(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】非接触印刷プロセスのための導電性エラストマー印刷インク
(51)【国際特許分類】
H01B 13/00 20060101AFI20240822BHJP
C08L 83/04 20060101ALI20240822BHJP
C08K 3/04 20060101ALI20240822BHJP
C08J 3/20 20060101ALI20240822BHJP
C09D 11/52 20140101ALI20240822BHJP
C09D 11/106 20140101ALI20240822BHJP
H01B 1/24 20060101ALI20240822BHJP
H01B 1/00 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
H01B13/00 Z
C08L83/04
C08K3/04
C08J3/20 A CFH
C09D11/52
C09D11/106
H01B1/24 A
H01B1/00 L
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579515
(86)(22)【出願日】2021-10-13
(85)【翻訳文提出日】2024-02-20
(86)【国際出願番号】 EP2021078319
(87)【国際公開番号】W WO2023061578
(87)【国際公開日】2023-04-20
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390008969
【氏名又は名称】ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スラル,サビン-ルシアン
(72)【発明者】
【氏名】ケルンベルガー,アンドレアス
【テーマコード(参考)】
4F070
4J002
4J039
5G301
【Fターム(参考)】
4F070AA60
4F070AB10
4F070AB16
4F070AC04
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4F070AE16
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4J002CP031
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4J002DA016
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4J039EA24
5G301DA18
5G301DA20
5G301DA42
5G301DA48
5G301DA60
5G301DD02
5G301DE01
(57)【要約】
本発明は、センサ、アクチュエータ又はEAP層システム用の電極を製造するための非接触印刷プロセスにおける、導電性印刷インクとしての導電性の架橋性シリコーンエラストマー組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む導電性の架橋性シリコーンエラストマー組成物の製造方法であって、
- 0.5重量%~3.0重量%の導電性カーボンブラック
- 0.1重量%~3.0重量%の多層カーボンナノチューブ(MWCNT)、
- 溶媒なし、
ただし、
a) 一成分系の場合、全ての成分を1つ以上の工程で混合し、その後、最大200μmのメッシュサイズを有する金属布に通して加圧濾過を行う、又は、
b) 二成分系の場合、いずれの場合もA組成物もしくはB組成物の成分のみを1つ以上の工程で混合し、その後、いずれの場合も、最大200μmのメッシュサイズを有する金属布に通して、A組成物もしくはB組成物の加圧濾過を行う、方法。
【請求項2】
それは導電性の付加架橋性シリコーンエラストマー組成物であり、以下の成分を含有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
(A) 脂肪族炭素-炭素多重結合を有する基を含む、少なくとも1種の直鎖状化合物、
(B) Si結合水素原子を有する少なくとも1種の、好ましくは直鎖状の、オルガノポリシロキサン化合物、
又は、(A)及び(B)の代わりに、もしくは(A)及び(B)に加えて、
(C) 脂肪族炭素-炭素多重結合及びSi結合水素原子を有するSi-C結合基を含む、少なくとも1種の直鎖状オルガノポリシロキサン化合物、並びに
(D) 少なくとも1種のヒドロシリル化触媒。
【請求項3】
請求項1~2に記載の方法により得られる導電性の架橋性シリコーンエラストマー組成物。
【請求項4】
弾性担体上に導電性エラストマーを製造するための非接触印刷プロセスにおける、導電性印刷インクとしての請求項3に記載の導電性の架橋性シリコーンエラストマー組成物の使用。
【請求項5】
前記非接触印刷プロセスはレーザ転写印刷であることを特徴とする、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
弾性担体上に製造された導電性エラストマーは、誘電エラストマーセンサ、アクチュエータ及び発電機並びにEAP層システムのための電極であることを特徴とする、請求項4及び5に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ、アクチュエータ又はEAP層システム用の電極を製造するための非接触印刷プロセスにおける導電性印刷インクとしての導電性の架橋性シリコーンエラストマー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
導電性印刷インクは、プリンテッド・エレクトロニクスの製造に使用され、電子部品において任意の所望の印刷プロセスによって、基板上に大面積にわたって又は構造化された方法で電極を塗布するために使用される。弾性担体(シリコーン、TPU等)上への導電性エラストマーの印刷は、伸縮又は圧縮の場合でもその電気的特性がほとんど変化しない完全又は部分的に弾性のある電子部品を作ることを可能にする。加えて、導電性エラストマー印刷インクは、PET、PE、PTFE又は紙等の可撓性(しかし伸縮性ではない)基材上に印刷することができ、それにより、繰り返し曲げることによる機械的負荷が持続する場合でさえも、印刷された電極への機械的損傷を低く保ち、したがって、例えば、抵抗の増加による導電率の変化を防止することができる。プリンテッド・エレクトロニクス用の導電性印刷インクは知られており、そのいくつかは市販もされている。それらは、典型的には、少なくとも1種のポリマーバインダー、金属粒子又は炭素粒子等の少なくとも1種の導電性成分、及び粘度を調整するための少なくとも1種の溶媒を含む。原則として、充填剤としての、カーボンブラック及びカーボンナノチューブ(CNT)等の導電性炭素粒子は、配合物の粘度を著しく上昇させるという欠点を有し、これはこのインクを印刷することを大幅により困難にし、その結果、印刷インク中の粒子の有効濃度を低下させ、そのため該印刷インクを塗布することを可能にするために希釈溶媒が典型的に使用される。US9253878は、シリコーンエラストマー、導電性カーボンブラック及びCNTをベースとするそのような配合物を記載し、ここで、後者は、少なくとも30nmの厚さを有することを特徴とする。後者の特性は、スクリーン印刷における良好な印刷性を溶媒含有導電性印刷インクに付与し、これは薄いCNT(<30nm)では不可能である。しかし、この配合物は、溶媒なしでは行うことができない。
【0003】
US2016351289は、インクを塗布することができるようにするために、シリコーンベースの導電性印刷インク中に少なくとも10%の溶媒含有率がなければならないと述べている。典型的には、シリコーン印刷インクの分野では、有機溶媒が使用され、この有機溶媒は、その後完全に除去することが非常に困難であり、職業上の安全性及び環境保護に関して使用者にとって高いコストを必要とする。
【0004】
CNT含有シリコーンエラストマーが知られている。CN103160128は、CNTとカーボンブラックの両方を含むシリコーンエラストマーを記載している。この文献に記載されているシリコーンエラストマーは、高い割合のカーボンブラックを特徴とする。少なくとも3.7重量%のカーボンブラックが請求される。しかし、実施例は、比抵抗が20Ω*cm未満であるような良好な電気特性を得るために、少なくとも8.5%の総充填剤含有率(CB+CNT)が必要であることを示す。これらの組成物を使用する印刷プロセスは開示されていない。
【0005】
少数の無溶媒シリコーンベースの印刷インクのみが知られている。例えば、US2014060903は、溶媒を含まないシリコーンベースの導電性印刷インクを記載するが、しかし、高いアスペクト比を有するいかなる導電性粒子(カーボンナノチューブ=CNT等)も含有せず、したがって、伸縮可能な用途には適していない。誘電エラストマーセンサ、アクチュエータ及び発電機を含む伸縮可能な用途では、高いアスペクト比を有する導電性異方性粒子、典型的にはCNTと組み合わせた伸縮可能なバインダー(エラストマー)が使用される。導電性粒子の高いアスペクト比は、球状粒子とは対照的に、導電性粒子が比較的低い充填剤量で系全体を通して導電性ネットワークを形成することができ、このネットワークはエラストマーの伸縮下でさえ残ることを確実にする。したがって、良好な電子伝導は、エラストマーの伸縮の場合でも依然として保証される。
【0006】
シリコーン層、特にアクチュエータ、センサ及び他の電気活性ポリマー層システムにおける電極層及び/又は誘電体層の製造に適したシリコーン層を塗布するための先行技術において知られているプロセスは、それらの変動性、塗布精度、スループットの点で、並びに後に達成される成分の有効性及び耐久性の点で制限される。
【0007】
層の塗布のための先行技術において知られているプロセスの1つは、レーザ転写印刷と呼ばれるものである。しかし、このプロセスの塗布は、これまで、低粘度インク及び分散液、並びに金属に限定されてきた。
【0008】
例として、WO2009/153192A2は、半導体構造上の導電層の製造方法が記載されており、そこでは、金属粉末分散液が担体に塗布され、レーザビームによって担体から目標物上に剥離される。
【0009】
例として、WO2010/069900A1は、インクのレーザ転写印刷を記載する。
【0010】
WO2015/181810A1は、金属体を印刷するためのレーザ転写プロセスを記載する。これは、透明担体上の金属膜を選択的に加熱し、液滴の形態で配置することを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第9253878号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2016/351289号明細書
【特許文献3】中国特許出願公開第103160128号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2014/060903号明細書
【特許文献5】国際公開第2009/153192号
【特許文献6】国際公開第2010/069900号
【特許文献7】国際公開第2015/181810号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の目的は、高いアスペクト比を有する導電性カーボンブラック及びCNTの同時使用にもかかわらず、溶媒の使用を伴わずに、同時に、例えば、レーザ転写印刷等の非接触塗布プロセス及び塗布後の印刷インクとして良好な塗布特性を示しながら、粒子を含まない滑らかな表面を提供する、導電性の架橋性シリコーンエラストマー組成物の製造方法を提供することである。
【0013】
驚くべきことに、本発明において、導電性カーボンブラック(0.5~3重量%)及びMWCNT(0.1~3重量%)をベースとする導電性シリコーンエラストマー組成物は、印刷プロセスの前に、該インクが、加圧濾過用の200μm以下(特に100μm以下)のメッシュサイズを有する金属布を通過する場合、誘電エラストマーセンサ及びアクチュエータのための電極を印刷するために、溶媒の添加を伴わないで印刷インクとして使用することができることがわかった。得られた印刷画像は滑らかな表面を有し、しみがない。
【0014】
(L/B>10、好ましくは>100)という高いアスペクト比(長さ対直径の比)を有する粒子を含むペーストを通過させると、フィルタメッシュが直ちにふさがれないことは、間違いなく驚くべきことである。これは、導電性粒子がペーストから除去され、したがって濾過工程が材料の電気的特性に悪影響を及ぼしたであろう結果となるであろう。これは当てはまらない。未架橋の濾過された印刷インクの電気抵抗及びそれから加硫された試料の電気特性は両方とも、伸縮下で一定のままである。
【0015】
本発明の説明において過剰な数のページを生じないようにするために、個々の特徴の好ましい実施形態のみが以下で特定される。
【0016】
しかし、したがって、異なるレベルの選好の任意の組合せも明確に開示され、明確に所望されるように、専門家の読者はこの開示の方法を明確に理解すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
したがって、本発明は、導電性の架橋性シリコーンエラストマー組成物の製造方法であって、導電性の架橋性シリコーンエラストマー組成物は以下を含み、
- 0.5重量%~3.0重量%の導電性カーボンブラック、
- 0.1重量%~3.0重量%の多層カーボンナノチューブ(MWCNT)、
- 溶媒なし、
ただし、
a) 一成分系の場合、全ての成分を1つ以上の工程で混合し、その後、最大200μmのメッシュサイズを有する金属布に通して加圧濾過を行う、又は、
b) 二成分系の場合、いずれの場合も、A組成物もしくはB組成物の成分のみを1つ以上の工程で混合し、その後、いずれの場合も、最大200μmのメッシュサイズを有する金属布に通してA組成物もしくはB組成物の加圧濾過を行う、
製造方法を提供する。
【0018】
本発明に従って使用されるMWCNTは、好ましくはL/B>10、特に好ましくはL/B>100のアスペクト比を有する。
【0019】
加圧濾過に用いる金属メッシュは、最大100μmのメッシュサイズを有することが好ましい。
【0020】
導電性充填剤の分散方法、成分の混合方法、加圧濾過方法及びそれらに使用可能な装置は、先行技術から当業者によく知られている。
【0021】
分散は、例えば、ローラーミル、混練機又は特に溶解機(高速ミキサー)を用いて行われ、スクレーパーはまた、典型的には、導電性充填剤の均一な分布を達成するために使用される。スクレーパーを有する遊星型溶解機を用いることが好ましい。スクレーパー及びビームスターラを有する真空遊星型溶解機を用いることが特に好ましい。任意の所望の配置及び数の歯を有する溶解機ディスクを使用することができる。
【0022】
シリコーンエラストマー組成物に使用される基材は、原則として、先行技術において既知の全てのシリコーンエラストマー組成物であり得る。
【0023】
例えば、付加架橋性、過酸化物架橋性、縮合架橋性又は放射線架橋性のシリコーンエラストマー組成物を用いることができる。過酸化物架橋性又は付加架橋性組成物が好ましい。付加架橋性組成物が特に好ましい。
【0024】
シリコーンエラストマー組成物は、一成分又は二成分配合物を有し得る。ここで、シリコーンエラストマー組成物は、熱、UV光及び/又は水分の供給によって架橋される。好適なシリコーンエラストマー組成物としては、例えば、以下のもの、すなわち、HTV(付加架橋性)、HTV(放射線架橋性)、LSR、RTV2(付加架橋性)、RTV2(縮合架橋性)、RTV1、TPSE(熱可塑性シリコーンエラストマー)、チオール-エン及びシアノアセトアミド架橋系が挙げられる。
【0025】
最も単純な場合、好ましい付加架橋性シリコーンエラストマー組成物は、以下を含む。
(A) 脂肪族炭素-炭素多重結合を有する基を含む、少なくとも1種の直鎖状化合物、
(B) Si結合水素原子を有する少なくとも1種の、好ましくは直鎖状の、オルガノポリシロキサン化合物、
又は、(A)及び(B)の代わりに、もしくは(A)及び(B)に加えて、
(C) 脂肪族炭素-炭素多重結合及びSi結合水素原子を有するSi-C結合基を含む、少なくとも1種の直鎖状オルガノポリシロキサン化合物、並びに
(D) 少なくとも1種のヒドロシリル化触媒。
【0026】
分散を行うために、本発明によるシロキサン組成物の成分を任意の所望の順序で添加し、分散させることができる。
【0027】
プロセスのさらなる好ましい実施形態では、導電性カーボンブラック及びMWCNTは、シロキサンの一部に混合され、任意選択で互いに独立して分散され、すなわち、異なる混合容器中で混合され、分散され、その後、2つの混合物(カーボンブラック予備混合物及びMWCNT予備混合物)は、任意のさらなる成分と混合され、任意選択でさらに分散される。プロセスのさらなる実施形態において、一方又は両方の予備混合物は、ローラーミルを使用して製造され得る。
【0028】
ローラーミルを用いてカーボンブラック予備混合物を製造することが有利であることが判明している。
【0029】
プロセスの導電性カーボンブラック及びMWCNTのさらに好ましい実施形態では、使用されるシロキサンの全体又は一部に一緒に混合され、続いて一緒に分散される。ここでも、カーボンブラックの固体の代わりに、予め製造されたカーボンブラック予備混合物を使用してもよい。
【0030】
シロキサン、導電性カーボンブラック及びMWCNTの量は、最終混合物中の導電性カーボンブラック及びMWCNTの所望の固形分に対応するように計算することができ、又はいわゆるマスターバッチも製造することができる。マスターバッチの場合、シロキサン量及び/又はカーボンブラック及びMWCNT量のいずれかは、混合物中の固体含有量がその後必要とされるよりも多くなるように計算される。カーボンブラック及びMWCNTの両方は、固体として、又は予め製造された混合物の形態で使用され得る。分散が完了したら、濃縮固体分散物を、さらなるシロキサンで固体の目標値まで希釈することができる。これは、分散の直後に、又は後で、場合により異なる混合装置中で行うことができる。希釈は、同じシロキサン又は異なるシロキサンを用いて行うことができる。
【0031】
MWCNT、カーボンブラック及び成分A)~D)の添加は、いずれの場合も、正確なプロセスとは無関係に、少しずつ又は総量の添加によって行うことができる。
【0032】
実際の分散の前に、混合ツールのより低い回転速度で固体をシロキサン中に撹拌又は混合することが有利であることがある。これにより、シロキサンによる固体の対応する予備湿潤を達成することが可能になる。
【0033】
混合容器、したがってその中に存在する混合物は、任意選択で、分散中に温度制御されてもよく、すなわち、冷却又は加熱によって目標温度に維持されてもよい。この温度は、典型的には0~200℃の範囲、好ましくは20~100℃の範囲である。
【0034】
本発明によるプロセスは、任意選択で真空下で実施することができる。分散、すなわち分散休止を含む分散間隔は、好ましくは真空下で行われる。真空は、典型的には1000mbar未満、好ましくは800mbar未満、特に好ましくは500mbar未満である。
【0035】
分散後に真空を適用することがさらに有利であることがある。これは分散と同じ装置で行ってもよいし、異なる装置で行ってもよい。真空は、典型的には撹拌しながら適用される。真空は、典型的には1000mbar未満、好ましくは800mbar未満、特に好ましくは500mbar未満である。
【0036】
次いで、分散は、分散ツール、特に溶解機ディスクの高い回転速度で行われる。このように達成された高電源入力は、シロキサン中の、例えば、MWCNT又はカーボンブラック等の導電性充填剤の所望の微細分散分布をもたらす。混合ツールの最大電源入力は、分散結果に不可欠であり、したがって、導電性シロキサン混合物の最適に高い導電率に不可欠である。最大電源入力は、選択された混合ツール、それらの幾何学的配置、回転速度、特に溶解機ディスクの回転速度、混合物の温度及び有効粘度、すなわち、とりわけシロキサンの重合度及び添加される充填剤の量に依存するシロキサンの粘度に依存する。
【0037】
本発明はさらに、本発明による方法により得られる導電性の架橋性シリコーンエラストマー組成物を提供する。
【0038】
本発明はさらに、弾性担体上に導電性エラストマーを製造するための非接触印刷プロセスにおける、導電性印刷インクとしての本発明による導電性の架橋性シリコーンエラストマー組成物の使用を提供する。
【0039】
このようにして製造された本発明による導電性の架橋性シリコーンエラストマー組成物を、例えば、非接触印刷プロセスにおいて印刷インクとして使用すると、粒子(しみ)のない滑らかな表面を有する印刷画像が得られる。これは、多層系を製造すべき場合(導電性材料が、例えば、積層又は上塗りによって、さらなる層の間に挿入されるべきである)に重要な利点である。
【0040】
非接触印刷プロセスは、印刷基板が印刷プロセス中に可能な限り低い機械的負荷を受けるという利点を有する。本発明による導電性の架橋性シリコーンエラストマー組成物は、スプレープロセス、ドロップオンデマンドプロセス又はレーザ転写印刷(LIFTプロセス)等の他の非接触印刷プロセスのための印刷インクとして使用することができる。レーザ転写印刷(LIFT法)で用いることが好ましい。
【0041】
本発明による導電性の架橋性シリコーンエラストマー組成物は、誘電エラストマーセンサ、アクチュエータ及び発電機並びにEAP層システムのための電極を印刷するための印刷インクとして特に好ましく適している。
【実施例】
【0042】
以下の実施例は、本発明が原理的にどのように実施され得るかを説明するが、該発明をその中に開示されるものに限定するものではない。
【0043】
以下の実施例は、周囲圧力、すなわち、約1013hPaで実施し、特に明記しない限り、室温、すなわち約23℃で、又は追加の加熱又は冷却なしで室温で反応物を混合した際に確立された温度で実施した。
【0044】
<化学物質>
MWCNT LUCAN BT1001M、LG Chem Ltd.、製造業者の仕様書による平均直径:10nm
【0045】
カーボンブラック予備混合物を製造するために、5重量%の高導電性カーボンブラックKetjenblack EC-600JD(Nouryonから入手可能)を、3本ロールミルを使用して95重量%のViPo 1000に組み込む。
【0046】
ViPo 1000: Gelest Inc.から入手可能な1000mPa*sの粘度を有するビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、製品名DMS-V31(Gelestカタログ)
【0047】
HPo 1000: Gelest Inc.から入手可能な1000mPa*sの粘度を有するヒドリドジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、製品名DMS-H31(Gelestカタログ)
【0048】
使用した架橋剤は、α,ω-ジメチルハイドジェンシロキシ-ポリ(ジメチルメチルハイドロジェン)シロキサン(130~200mm2/sの粘度、0.145~0.165重量%のH)であった。
【0049】
一成分系については、選択されたヒドロシリル化触媒は、EP2050768B1(触媒6)に記載されるように、ホスファイト配位子を有する白金錯体であった。二成分系については、WACKER(R) KATALYSATOR OL(Wacker Chemie AGから入手可能)を使用した。
【0050】
1-エチニル-1-シクロヘキサノールは、Sigma Aldrich(CAS番号:78-27-3)から入手可能である。
【0051】
<粘度測定>
粘度測定は、Anton Paar製の空気ベアリング搭載MCR302レオメーターで25℃において行った。105μmのギャップサイズを有するコーン/プレートシステム(25mm、2°)を使用した。余分な材料をスパチュラで115μmのギャップ距離で除去(トリミング)した。次いで、コーンを105μmのギャップ距離に移動させ、ギャップ全体を充填した。各測定の前に、試料調製、塗布、及びトリミングから生じる剪断履歴を消去するために、予備剪断を行う。予備剪断を、10s-1の剪断速度で60秒間行い、その後300秒の休止期間が続く。いずれの場合も試料を1s-1、10s-1及び100s-1の一定の剪断速度で100秒間剪断するステッププロファイルによって、剪断粘度を決定する。10秒毎に読み取り値を記録し、剪断速度当たり10個の測定点を得る。これらの10個の測定点の平均により、それぞれの剪断速度における剪断粘度を得る。
【0052】
貯蔵弾性率G’は振幅試験によって求めた。この振動試験では、振幅γを0.01%から1000%(10s-1の角周波数ωにおいて、対数傾斜、30個の測定点)まで変化させた。線形の粘弾性(LVE)範囲は、典型的には、低い振幅値で見出され、そこでは領域G’は、γに対して二重対数的にプロットする場合、プラトー値を有する。プラトー値は、決定されるべき貯蔵弾性率G’である。
【0053】
<抵抗測定>
4導体測定は、電流を2つの接点に印加し、試料に既に流れた電流IUの電圧Uを2つのさらなる接点で測定するため、接触抵抗を測定しない。
【0054】
【0055】
未加硫シロキサンの抵抗Rを、Keithley Instrument製のマルチメーターモデル2110 5 1/2桁及び純粋なPPで作られた組み立てられた測定装置及びステンレス鋼(1.4571)電極で測定する。真鍮接点及び実験用リード線によって、測定機器を電極に接続する。測定装置は、16cm×3cm×0.975cmのL×W×Hについて規定された寸法を有する型であり、その中にシロキサンを測定のために広げる。2つの外側平坦電極を16cmの距離で取り付け、それにより電流が試料全体を流れることを確実にする。ベースプレートに直径1cmの2つの点電極を12cm(l)の距離で配置し、電圧を測定する。測定した抵抗Rから次式を用いて比抵抗を算出する。
【0056】
【数2】
試料高さh[cm]、試料幅w[cm]及び電極距離l[cm]である。
(ここで、h=0.975cm、w=3cm、l=12cm)
【0057】
<伸縮下での抵抗の変化>
ISO 37に従って、印刷インクを2mmプレートの形態で加硫し、タイプ1ダンベル試験片を打ち抜いた。この試験片について4導体測定を行う。前記試験片を、2つの導電性クランピングジョーの間の中央で固定し、互いからのそれらの距離を84.0mmとする。2つの外側電気接点に相当するクランピングジョーを構造化し、それによって材料への貫通効果(穿孔)を、この構造の結果として達成する。
【0058】
2つのクイッククランプを、いずれの場合も最も近いクランピングジョーから29.5mm離して、互いから25cmの距離に位置決めすることによって、2つの内側接点を準備する。この2つの内側測定クランプを銀導電性ペーストで前処理する。伸縮なしでこのように測定した抵抗(L=L0)はR0である。2つの外側クランピングジョーはさらに、試験片の一軸伸縮を可能にし、したがって伸縮(L-L0)/L0=50%の場合の印刷電極の抵抗Rの測定を可能にする。
【0059】
<混合方法>
1リットルの容量のPC Laborsystem GmbH製のLabotop 1LAにおいて、300mbarの真空及び室温で混合物を製造した。使用したツールは、溶解機ディスク(14個の歯、ディスクに対して90°の歯、直径52cm)、ビームスターラ(標準ツール)及び温度測定を伴うスクレーパーであった。より大きなバッチについては、歯付き溶解機ディスク(4つの歯、直径98mm)、ビームスターラ及びスクレーパーを備えた10Lの容量を有する実験室用ミキサー(Mischtechnik Hoffmann & Partner GmbH、アーストリア アンドレ-ヴェルデルン)を使用した。二重壁撹拌タンクをサーモスタットでジャケット温度19℃に調整する。
【0060】
成分A及びBを混合するために、IKA(R)-Werke GmbH & Co.KG、独国シュタウフェン製の3翼プロペラ撹拌機(R1381)を備えた実験室用撹拌機(IKA RW20)を使用した。
【0061】
EXAKT製の3本ロールミル(モデル50l)を使用した。ロールニップを最小距離に設定した。
【0062】
<濾過>
加圧濾過のために、組成物を、上部が開放され、基部に円形出口(直径31.5mm)を有する円筒形鋼容器(容量5L)に移した。円形の金属線布(直径80mm)が中央に配置された双円錐形の出口を取り付ける。圧力板を下降させ、50barのプレス圧力で、組成物を鋼製容器から金属線布に通して垂直に押し出した。PC Laborsystem製の油圧排出ユニットを使用して、圧力プレートを下降させた。
【0063】
50又は25μmのメッシュサイズを有するクロムニッケル鋼(X5CrNi18-10、DIN/DIN EN 1.4301による材料番号)製PACO Paul GmbH & Co.KG又はGKD-Gebr Kufferath AGの金属線布を使用した。
【0064】
[実施例1 マスターバッチM1の製造]
歯付き溶解機ディスク(直径98mm、4つの歯)、ビームスターラ及びスクレーパーを備えた10Lの容量を有する実験室用ミキサーにおいて、MWCNT(36g)及び1783gのカーボンブラックの予備混合物を、1800rpm(溶解機)及び50rpm(ビームスターラ)で60分間、ViPo 1000(581g)に混合した。二重壁撹拌タンクをサーモスタットでジャケット温度19℃に調整する。5.4Ω・cmの比抵抗を有する均質な黒色ペーストを得た。このペーストは10s-1の剪断速度における296Pa・sの粘度、及び51200PaのLVE範囲の貯蔵弾性率G’を有していた。
【0065】
[実施例2 マスターバッチM2の製造]
MWCNT(1.0g)及び50.9gのカーボンブラックの予備混合物を、ビームスターラ(80rpm、溶解機ディスクなしのLabotop)を用いてViPo 1000(16.6g)中で撹拌し(1分間)、次いで3本ロールミルに2回組み込んだ。6.1Ω・cmの比抵抗を有する均質な黒色ペーストを得た。このペーストは10s-1の剪断速度における280Pa・sの粘度、及び48800PaのLVE範囲の貯蔵弾性率G’を有していた。
【0066】
[実施例3 マスターバッチM3の製造]
5.0gのMWCNTを、ビームスターラ(80rpm、溶解機ディスクなしのLabotop)を用いて245gのViPo 1000中で撹拌し(1分間)、次いで3本ロールミルに2回組み込んだ。6.9Ω・cmの比抵抗を有する均質な黒色ペーストを得た。このペーストは10s-1の剪断速度における80Pa・sの粘度、及び17000PaのLVE範囲の貯蔵弾性率G’を有していた。
【0067】
[実施例4 印刷用インク1aの製造]
歯付き溶解機ディスク(直径52mm)を備えたPC Laborsystem GmbH製のLabotop 1LA実験室ミキサーにおいて、0.8重量%のMWCNT(4.0g)及び200gのカーボンブラックの予備混合物を、ViPo 1000(108g)、HPo 1000(154g)、架橋剤(20.0g)、Pt触媒(0.4g)及び1-エチニル-1-シクロヘキサノール(30mg)の混合物、室温、2000rpm(溶解機)及び200rpm(ビームスターラ)で60分間混合した。得られたペーストを50μmのメッシュサイズを有する金属布に通して加圧下でプレスした。均質な黒色ペーストを得た。
【0068】
[実施例5 印刷用インク1bの製造]
印刷用インク1bを、25μmのメッシュサイズを有する金属布に通してペーストをプレスした以外は、印刷用インク1aと同様にして作製した。
【0069】
[例6 印刷インク1c(非発明)の製造]
ペーストを金属布に通してプレスしなかったことを除いて、印刷インク1aと同様に、印刷インク1cを製造した。
【0070】
[実施例7 印刷インク2aの製造]
実施例1からのマスターバッチM1を希釈して、白金含有成分A及び白金を含まない成分Bを得た。
【0071】
A成分を生成するために、1000gのマスターバッチM1をVipo 1000(855g)及びWACKER(R) KATALYSATOR OL(3.7g)と、ビームスターラ(100rpm、溶解機ディスクなしの実験室用ミキサー)を用いて30分間混合した。続いて、試料を加圧下で金属布(メッシュサイズ50μm)に通してプレスした。
【0072】
1000gのマスターバッチM1をHPo 1000(465g)、架橋剤(260g)、Vipo 1000(134g)及び1-エチニル-1-シクロヘキサノール(2.6g)と混合したことを除いて、成分Aと同様に、成分Bを製造した。その後、試料を金属布(メッシュサイズ50μm)に通してプレスした。
【0073】
印刷インク2bを生成するために、成分A及びBを1:1の比で、プロペラ撹拌機(800rpm)を使用して1分間混合した。均質な黒色ペーストを得た。
【0074】
[例8 印刷用インク2b(非発明)の製造]
2つの成分A及びBが混合前に金属布にプレスしなかったことを除いて、印刷インク2aと同様に印刷インク2bを製造した。均質な黒色ペーストを得た。
【0075】
[実施例9 印刷インク3aの製造]
実施例2からのマスターバッチM2を希釈して、白金含有成分A及び白金を含まない成分Bを得た。
【0076】
A成分を生成するために、30gのマスターバッチM2をVipo 1000(25.7g)及びWACKER(R) KATALYSATOR OL(0.11g)と、ビームスターラ(80rpm、溶解機ディスクなしのLabotop)を用いて30分間混合した。続いて、試料を加圧下で金属布(メッシュサイズ50μm)に通してプレスした。
【0077】
30gのマスターバッチM2をHPo 1000(14.0g)、架橋剤(7.8g)、Vipo 1000(4.02g)及び1-エチニル-1-シクロヘキサノール(78μg)と混合したことを除いて、成分Bを成分Bと同様に製造した。その後、試料を金属布(メッシュサイズ50μm)に通してプレスした。
【0078】
印刷インク3aを生成するために、成分A及びBを1:1の比で、プロペラ撹拌機(800rpm)を使用して1分間混合した。均質な黒色ペーストを得た。
【0079】
[例10 印刷用インク3b(非発明)の作製]
2つの成分を混合前に金属布に通してプレスしなかったことを除いて、印刷インク3aと同様に印刷インク3bを製造した。均質な黒色ペーストを得た。
【0080】
[実施例11 印刷インク4aの製造]
二成分印刷インクを製造するために、白金含有成分A及び白金を含まない成分Bを最初に製造した。
【0081】
成分Aを製造するために、歯付き溶解機ディスク(直径98mm、4個の歯)、ビームスターラ及びスクレーパーを備えた10Lの容量を有する実験室用ミキサーにおいて、MWCNT(15g)及び743gのカーボンブラック予備混合物を、ViPo 1000(1097g)及びWACKER(R) KATALYSATOR OL(3.7g)の混合物に、1800rpm(溶解機)及び50rpm(ビームスターラ)で60分間混合した。二重壁撹拌タンクをサーモスタットでジャケット温度19℃に調整する。続いて、試料Aを加圧下で金属布(メッシュサイズ50μm)に通してプレスした。成分Bを、MWCNT(15g)、743gのカーボンブラック予備混合物、HPo 1000(465g)、架橋剤(260g)、Vipo 1000(373g)及び1-エチニル-1-シクロヘキサノール(2.61g)から成分Aと同様に製造した。続いて、試料Bを加圧下で金属布(メッシュサイズ50μm)に通してプレスした。印刷インク4aを生成するために、成分A及びBを1:1の比で、プロペラ撹拌機(800rpm)を使用して1分間混合した。均質な黒色ペーストを得た。
【0082】
[例12 印刷インク4b(非発明)の製造]
2つの成分を混合前に金属布にプレスしなかったことを除いて、印刷インク4aと同様に印刷インク4bを製造した。
【0083】
[実施例13 印刷インク5aの製造]
192gのマスターバッチM3(0.8重量%のMWCNTに対応する)及び192gのカーボンブラック予備混合物を、ViPo 1000(21.2g)、HPo 1000(41.4g)及び架橋剤(33.6g)の混合物中で使用したことを除いて、印刷インク1aと同様に製造を行った。得られたペーストを加圧下で金属布(メッシュサイズ50μm)に通してプレスした。均質な黒色ペーストを得た。
【0084】
[例14 印刷用インク5b(非発明)の製造]
ペーストを金属布に通してプレスしなかったことを除いて、印刷インク5aと同様に印刷インク5bを製造した。
【0085】
[実施例15 印刷インク6aの製造]
0.4重量%のMWCNT(2.0g)及び280gのカーボンブラック予備混合物(最終配合物中のカーボンブラック2.8重量%に相当する)を、ViPo 1000(48.1g)及びHPo 1000(150g)の混合物中で使用したことを除いて、印刷インク1aと同様に製造を行った。得られたペーストを加圧下で金属布(メッシュサイズ50μm)に通してプレスした。均質な黒色ペーストを得た。
【0086】
[例16 印刷インク6b(非発明)の製造]
ペーストを金属布に通してプレスしなかったことを除いて、印刷インク6aと同様に印刷インク6bを製造した。
【0087】
[実施例17 印刷インク7aの製造]
1.0重量%のMWCNT(5.0g)及び100gのカーボンブラック予備混合物(最終配合物中のカーボンブラック1.0重量%に相当する)を、ViPo 1000(221g)及びHPo 1000(153g)の混合物中で使用したことを除いて、印刷インク1aと同様に製造を行った。得られたペーストを加圧下で金属布(メッシュサイズ50μm)に通してプレスした。均質な黒色ペーストを得た。
【0088】
[例18 印刷インク7b(非発明)の製造]
ペーストを金属布に通してプレスしなかったことを除いて、印刷インク7aと同様に印刷インク7bを製造した。
【0089】
[実施例19 印刷インク8aの製造]
1.2重量%のMWCNT(6.0g)及び200gのカーボンブラック予備混合物(最終配合物中のカーボンブラック2.0重量%に相当する)をViPo 1000(124g)及びHPo 1000(150g)の混合物中で使用したことを除いて、印刷インク1aと同様に製造を行った。得られたペーストを加圧下で金属布(メッシュサイズ50μm)に通してプレスする。均質な黒色ペーストを得た。
【0090】
[例20 印刷インク8b(非発明)の製造]
ペーストを金属布に通してプレスしなかったことを除いて、印刷インク8aと同様に印刷インク8bを製造した。
【0091】
[実施例21 印刷インク9aの製造]
1.5重量%のMWCNT(7.5g)及び100gのカーボンブラック予備混合物(最終配合物中のカーボンブラック1.0重量%に相当する)をViPo 1000(221g)及びHPo 1000(152g)の混合物中で使用したことを除いて、印刷インク1aと同様に製造を行った。得られたペーストを加圧下で金属布(メッシュサイズ50μm)に通してプレスした。均質な黒色ペーストを得た。
【0092】
[例22 印刷インク9b(非発明)の製造]
ペーストを金属布に通してプレスしなかったことを除いて、印刷インク9aと同様に印刷インク9bを製造した。
【0093】
[実施例23 印刷インク10aの製造]
1.2重量%のMWCNT(2.4g)及び100gのカーボンブラック予備混合物(最終配合物中のカーボンブラック2.5重量%に相当する)を、ViPo 1000(28.3g)及びHPo 1000(59.3g)、架橋剤(8g)、Pt触媒(160mg)及び1-エチニル-1-シクロヘキサノール(12mg)の混合物中で使用したことを除いて、印刷インク1aと同様に製造を行った。得られたペーストを加圧下で金属布(メッシュサイズ50μm)に通してプレスした。均質な黒色ペーストを得た。
【0094】
[例24 印刷インク10b(非発明)の製造]
ペーストを金属布に通してプレスしなかったことを除いて、印刷インク10aと同様に印刷インク10bを製造した。
【0095】
[実施例25 印刷インク11aの製造]
2.0重量%のMWCNT(10g)及び300gのカーボンブラック予備混合物(最終配合物中のカーボンブラック3.0重量%に相当する)を、ViPo 1000(25.3g)及びHPo 1000(144g)の混合物中で使用したことを除いて、印刷インク1aと同様に製造を行った。得られたペーストを加圧下で金属布(メッシュサイズ50μm)に通してプレスする。均質な黒色ペーストを得た。均質な黒色ペーストを得た。
【0096】
[例26 印刷インク11b(非発明)の製造]
ペーストを金属布に通してプレスしなかったことを除いて、印刷インク11aと同様に印刷インク11bを製造した。
【0097】
<印刷実験>
LIFTプロセスを、WO2020156632に記載されるように実施した。印刷は、TROTEC Laser Deutschland GmbH製の通常使用されるレーザ彫刻システムを用いて行った。デュアルレーザ源(60W 10.6μm CO2レーザ、20W 1064nmファイバレーザ)を有するSpeedy 100flexx 60/20型のシステムを使用する。使用される担体及び印刷化合物担体は、GVB GmbH Solution(独国グラス)製の通例の石英ガラスシート(300×300×3mm)である。Zehntner GmbH、スイス製のZUA2000ユニバーサルアプリケータを備えたZAA2300自動フィルム製図ユニットを使用して印刷組成物フィルムを適用する。
【0098】
ドクターブレードシステムを使用して、60μmの厚さ及び200×200mmの寸法で石英ガラスシート上に均質な層を片側に中心的に塗布する。シートの縁部領域は、印刷化合物はないままである。水フィルムを介してコーティングされていないガラスシートに固定されたシリコーンフィルム(厚さ100μmのELASTOSIL(R)フィルム、Wacker Chemie AGから入手可能)を、印刷される表面としてレーザの切断空間に挿入する。コーティングされたシートを、そのコーティングされた側がコーティングされていないシートに面するように、200μmの間隔をあけて第1のシート上に置く。この間隔は、例えば、100μmの顕微鏡スライド等のスペーサーを用いて確立する。レーザシステムの制御ソフトウェアにおいて選択されるマスタは、灰色領域及び陰影のない二次元充填形状である。さらに、ファイバレーザ切断モードにおけるレーザ出力は、20Wレーザの場合には40~60%で充分である。レーザ速度は、50%~70%の間で選択されるべきである。焦点は、コーティングと石英ガラスシートとの間の界面から約4~4.5mm上であるべきである。したがって、選択された幾何学的形状を、レーザによってシリコーンフィルム上に転写することができた。
【0099】
<印刷物の評価>
印刷された電極の表面を光学的に評価した。印刷インク1a、1b、2a、3a、4a、5a、6a、7a、8a、9a、10a及び11aで印刷した層は、滑らかで光沢があり、突出したしみがなかった。したがって、これらの印刷インクは、例えば、誘電エラストマーセンサ、アクチュエータ及び発電機におけるような多層システムのための電極材料として特によく適している。
【0100】
印刷インク1c、2b、3b、4b、5b、6b、7b、8b、9b、10b及び11bで印刷した層は、層から突出するしみを有する表面を有し、したがって多層システムには適さない。
【0101】
以下の表は、(実施)例で使用したMWCNT及びカーボンブラックの量、濾過に使用したメッシュサイズ及び測定の結果を比較する。
【0102】
【国際調査報告】