(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】アビラテロン誘導体、その製造及び使用
(51)【国際特許分類】
C07J 43/00 20060101AFI20240822BHJP
A61K 31/58 20060101ALI20240822BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240822BHJP
A61P 13/08 20060101ALI20240822BHJP
A61P 17/10 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
C07J43/00 CSP
A61K31/58
A61P35/00
A61P13/08
A61P17/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579578
(86)(22)【出願日】2022-07-02
(85)【翻訳文提出日】2024-02-16
(86)【国際出願番号】 CN2022103497
(87)【国際公開番号】W WO2023020135
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】202110948115.3
(32)【優先日】2021-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523484172
【氏名又は名称】広東中科薬物研究有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】王偉
(72)【発明者】
【氏名】陸永章
(72)【発明者】
【氏名】譚進輝
【テーマコード(参考)】
4C086
4C091
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086DA12
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZB26
4C091AA01
4C091BB05
4C091BB11
4C091CC01
4C091DD01
4C091EE02
4C091FF01
4C091GG01
4C091HH01
4C091JJ03
4C091KK01
4C091LL01
4C091MM03
4C091NN01
4C091PA02
4C091PA13
4C091PB04
4C091QQ01
4C091RR10
(57)【要約】
本発明は、アビラテロン誘導体及びその製造方法を開示し、本発明に係るアビラテロン誘導体は、アビラテロンに比べて、比較的少ない腹部膨満の現象を示し、より高い薬効及び耐性を有し、薬物動態実験から分かるように、等モルの投与量で胃内投与した後、M1の血中濃度がアビラテロン酢酸エステルより顕著に高い。アビラテロンより顕著に優れた、前立腺癌に対する阻害作用を有し、胃腸管に対する副作用は、アビラテロンより少ない。また、本発明に係る化合物は、ニキビを治療する作用を有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iで表されるアビラテロン誘導体であって、
【化1】
式I
式I中、Rは、
【化2】
から選択され、Arは、置換若しくは非置換の芳香環を表し、具体的には、ベンゼン環、ピリジン環であり、置換基は、C1-C8のアルキル基、C1-C8のアルコキシ基、ハロゲンであり、
ここで、R
1及びR
2は、独立して、H、(C3-C8)カルボシクロアルキル基、置換若しくは非置換の(C1-C18)アルカン、(C2-C8)アルケニル基又は置換基を含有する(C2-C8)アルケニル基、(C2-C8)アルキニル基又は置換基を含有する(C2-C8)アルキニル基、(C6-C20)アリール基又は置換基を含有する(C6-C20)アリール基、(C2-C20)複素環基又は置換基を含有する(C2-C20)複素環基から選択されるいずれか1つであり、
或いは、R
1及びR
2は、互いに環を形成して、(C3-C8)ヘテロシクロアルキル基又は置換(C3-C8)ヘテロシクロアルキル基、(C6-C20)ヘテロアリール基又は置換(C6-C20)ヘテロアリール基になり、
Rが
【化3】
である場合、R
1及びR
2は、炭素数が1以上の非置換アルカンではない、アビラテロン誘導体。
【請求項2】
以下のいずれか1つである、請求項1に記載の式Iで表されるアビラテロン誘導体。
【化4】
【請求項3】
1.真核生物腫瘍細胞増殖阻害剤または、
2.腫瘍を予防及び/又は治療する薬物を製造するための、請求項1又は2に記載の式Iで表されるアビラテロン誘導体の使用。
【請求項4】
前記真核生物は、哺乳動物であり、
前記腫瘍細胞は、癌細胞であり、
前記癌細胞は、前立腺癌細胞であり、
前記腫瘍は、癌であり、前記癌は、前立腺癌である、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
前記前立腺癌は、過去にドセタキセルを含む化学療法を受けた転移性去勢難治性前立腺癌である、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の式Iで表されるアビラテロン誘導体を含む、真核生物腫瘍細胞増殖阻害剤。
【請求項7】
請求項1又は2に記載のアビラテロン誘導体のニキビを治療する薬物を製造するための使用。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の式Iで表されるアビラテロン誘導体を含む、ニキビを治療するための薬物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬の分野に属し、具体的には、アビラテロン誘導体、その製造及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アビラテロン(Abiraterone)は、構造式が以下の通りである。
【化1】
【0003】
化学名が17-(3-ピリジル)アンドロスタ-5,16-ジエン-3β-オールであり、CYP17阻害剤であり、臨床的に、主にプレドニゾンと併用して、過去にドセタキセルを含む化学療法を受けた転移性去勢難治性前立腺癌患者の治療に適用され、アビラテロン酢酸エステル(ZYTIGA)は、体内で、17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ(CYP17)を阻害するアンドロゲン生合成阻害剤であるアビラテロンに変換される。この17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ(CYP17)は、精巣、副腎及び前立腺腫瘍組織に発現し、アンドロゲン生合成に必要なものである。アビラテロンは、臨床的に、アビラテロン酢酸エステルの形態で使用され、食物によるアビラテロン酢酸エステルの吸収への影響が大きく、個体間の差異も大きいため、アビラテロン酢酸エステルを、空腹なときに服用する必要がある。アビラテロン酢酸エステルの代謝物の1つは、M1と略称され、化学名が17-(3-ピリジン)-4,16-ジエンアンドロスタ-3-オンである(英語名が17-(3-pyridine)-4,16-dieneandrost-3-oneである)。
【0004】
本発明者らは、前期研究において、アビラテロン酢酸エステルが腹腔内注射された、Vcap(ヒト前立腺癌細胞)を接種した腫瘍モデルマウスに対して、薬物を腹腔内注射した後、一部のモデルマウスは、腹部膨満が現れ、死亡現象が現れ、解剖後、一部の薬物が吸収されなかったことを発見した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、アビラテロン誘導体及びその製造方法を提供し、本発明に係るアビラテロン誘導体は、アビラテロンに比べて、比較的少ない腹部膨満の現象を示し、より高い薬効及び耐性を有し、薬物動態実験から分かるように、等モルの投与量で胃内投与した後、M1の血中濃度がアビラテロン酢酸エステルより顕著に高く、代謝物にM2が検出されるが、アビラテロン酢酸エステルの代謝物にM2がない。アビラテロンより顕著に優れた、前立腺癌に対する阻害作用を有し、胃腸管に対する副作用は、アビラテロンより少ない。また、本発明に係る化合物は、ニキビを治療する作用を有する。
【化2】
ZONK1901-1 ZONK1901-2
(M1) (M2)
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るアビラテロン誘導体は、その構造式が式Iで表され、
【化3】
式I
式I中、Rは、
【化4】
から選択され(Arは、置換若しくは非置換の芳香環を表し、具体的には、ベンゼン環、ピリジン環であり、置換基は、C1-C8のアルキル基、C1-C8のアルコキシ基、ハロゲンであってもよく)、
ここで、R
1及びR
2は、独立して、H、(C3-C8)カルボシクロアルキル基、置換若しくは非置換の(C1-C18)(具体的にC2-C6であってもよい)アルカン(置換基は、アミノ基(アミノ基は末端にあるときに活性水素を含まない)、カルボキシル基(カルボキシル基は末端にあるときに活性水素を含まない)、ハロゲン、(C3-C8)ヘテロシクロアルキル基であってもよい)、(C2-C8)アルケニル基又は置換基を含有する(C2-C8)アルケニル基、(C2-C8)アルキニル基又は置換基を含有する(C2-C8)アルキニル基、(C6-C20)アリール基又は置換基を含有する(C6-C20)アリール基、(C2-C20)複素環基又は置換基を含有する(C2-C20)複素環基から選択されるいずれか1つであり、
或いは、R
1及びR
2は、互いに環を形成して、(C3-C8)ヘテロシクロアルキル基又は置換(C3-C8)ヘテロシクロアルキル基、(C6-C20)ヘテロアリール基又は置換(C6-C20)ヘテロアリール基になり、
Rが
【化5】
である場合、R
1及びR
2は、炭素数が1以上の非置換アルカンではない。
【0007】
上記化合物の置換基は、末端置換基が水酸基、アミノ基、カルボキシル基、ホスホリル基、スルホニル基であるものを含まないが、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、ホスホリル基、スルホニル基の活性水素が置換された置換基を含む。実験により、末端に活性水素基を有する化合物がいずれも不安定であることが証明され、実験から分かるように、R1及びR2が非置換のアミノ基であり、或いは、R1及びR2の末端が非置換のアミノ基である場合、安定した化合物サンプルを得ることができず、R1及びR2の末端がカルボキシル基である場合、同様に安定した化合物サンプルを得ることができない。
【0008】
末端のアミノ基が置換されるか又はアミド結合になる場合、以下に示す化合物を得ることができ、本発明に記載の特徴を有する。末端がカルボキシル基である場合も、安定性の問題により化合物サンプルを得ることができないが、カルボキシル基がアルコール又は置換アルコールとエステルを形成し、アミン又は置換アミンとアミドを形成し、末端がアミノ基、カルボキシル基によって置換されたものではない場合、安定したサンプルを得ることができ、発明に記載の特徴を有する。
【化6】
【0009】
【化7】
において、R
2がHであり、R
1が1個以上のCを有する直鎖アルキル基であり、例えば、R
1が-CH
3である場合、体内のM1及びM2(構造について薬物動態実施例を参照する)の薬物濃度が他の化合物より顕著に低く、その原因として、直鎖アルキル基は、脂溶性が大きいため、吸収されにくく、かつ体内で加水分解されにくいことである。
【0010】
具体的には、上記式Iで表されるアビラテロン誘導体の代表的な形態は、以下の通りである。
【化8】
【0011】
上記式Iで表されるアビラテロン誘導体は、
図1に示す反応フローチャートに従って、以下のステップを含む方法で製造される。
【化9】
【0012】
1.アビラテロンを原料とし、アルミニウムイソプロポキシド及びシクロヘキサノンの存在下で、酸化反応させて化合物aを得て、
2.アルカリ性条件下で、化合物aと塩酸ヒドロキシルアミンとを縮合反応させて化合物bを得て、
3.化合物bとセグメントRのカルボニル化合物とを直接的にエステル化反応させて、式Iで表されるアビラテロン誘導体を得て、或いは、化合物bとカルボニルジイミダゾールとに活性化物を形成させてから、セグメントRの対応するアルコール、アンモニアと縮合させて、式Iで表されるアビラテロン誘導体を得る。
【0013】
1.真核生物腫瘍細胞増殖阻害剤の製造における使用と、
2.腫瘍を予防及び/又は治療する薬物の製造における使用とを含む、上記式Iで表されるアビラテロン誘導体の使用は、本発明の保護範囲に属する。
【0014】
前記真核生物は、哺乳動物であり、
前記腫瘍細胞は、癌細胞であり、
前記癌細胞は、前立腺癌細胞であり、
前記腫瘍は、癌であり、前記癌は、前立腺癌である。
【0015】
前記前立腺癌は、過去にドセタキセルを含む化学療法を受けた転移性去勢難治性前立腺癌である。
【0016】
本発明に係る真核生物腫瘍細胞増殖阻害剤は、式Iで表されるアビラテロン誘導体を含む。
【0017】
ニキビを治療する薬物の製造における式Iで表される化合物の使用も、本発明の保護範囲に属する。
【0018】
本発明に係るニキビを治療する薬物は、式Iで表されるアビラテロン誘導体を含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るアビラテロン誘導体は、アビラテロンに比べて、比較的少ない腹部膨満の現象を示し、より高い薬効及び耐性を有し、薬物動態実験から分かるように、等モルの投与量で胃内投与した後、M1の血中濃度がアビラテロン酢酸エステルより顕著に高く、代謝物にM2が検出されるが、アビラテロン酢酸エステルの代謝物にM2がない。アビラテロンより顕著に優れた、前立腺癌に対する阻害作用を有し、胃腸管に対する副作用は、アビラテロンより少ない。また、本発明に係る化合物は、ニキビを治療する作用を有する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、具体的な実施例により本発明を説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0021】
以下の実施例に使用される実験方法は、特に説明しない限り、いずれも一般的な方法であり、以下の実施例に使用される試薬、材料などは、特に説明しない限り、いずれも市販するものである。
【0022】
実施例1:
(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンO-((2-(ジメチルアミノ)エチル)カルバモイル)オキシムの合成
【化10】
1.(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オン
【化11】
アビラテロン(35.0g、100mmol、1.0eq)、アルミニウムイソプロポキシド(20.5g、100mmol、1.0eq)、シクロヘキサノン(29.5g、300mmol、3.0eq)をそれぞれ秤量し、丸底反応フラスコに入れ、トルエン(210mL)を加え、窒素ガスの保護下で、100℃で16h(時間)加熱し反応させた。反応液を冷却し、食塩水を加え、珪藻土で不溶物を濾過し、有機層を分離し、カラムクロマトグラフィーにより精製して、白色固体の(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オン(30.2g、87.0%)を得た。
1H NMR(DMSO-d6 400 MHz)δ8.47(s,1H),8.33(d,1H),7.77-7.29(m,2H),5.96(m,1H),5.85(s,1H),2.99(m,2H),2.37-1.27(m,21H).ESI-MS m/z:348.1[M+H]+.
【0023】
2.(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンオキシム
【化12】
(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オン(30.0g、86.5mmol、1.0eq)を秤量し、無水エタノール(250mL)に溶解してから、塩酸ヒドロキシルアミン(12.0g、173mmol、2.0eq)、酢酸ナトリウム(21.3g、260mmol、3.0eq)を加え、室温で3h反応させた。反応液に過剰の水を加え、白色固体を析出させた。粗生成物を濾過し、エタノールで再結晶して、(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンオキシム(25.0g、80.0%)を得た。
1H NMR(DMSO-d6 400 MHz)δ8.47(s,1H),8.33(d,1H),7.77-7.29(m,2H),5.96(m,1H),5.85(s,1H),4.62(s,1H),2.99(m,2H),2.37-1.27(m,21H).ESI-MS m/z:363.1[M+H]+.
【0024】
3.(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンO-(1H-イミダゾール-1-カルボニル)オキシム
【化13】
(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンオキシム(2.0g、5.52mmol、1.0eq)をジクロロメタン(20mL)に溶解し、トリエチルアミン(1.11g、11.0mmol、2.0eq)、カルボニルジイミダゾール(1.78g、11.0mmol、2.0eq)をそれぞれ加え、室温で8h撹拌した。反応液に水を加えて抽出し、有機相を濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンO-(1H-イミダゾール-1-カルボニル)オキシム(2.0g、79.5%)を得た。
1H NMR(DMSO-d6 400 MHz)δ8.47(s,1H),8.33(d,1H),8.14(s,1H),7.77-7.14(m,4H),5.96(m,1H),5.85(s,1H),2.99(m,2H),2.37-1.27(m,21H).ESI-MS m/z:457.1[M+H]+.
【0025】
4.(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンO-((2-(ジメチルアミノ)エチル)カルバモイル)オキシム
【化14】
(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンO-(1H-イミダゾール-1-カルボニル)オキシム(2.0g、4.39mmol、1.0eq)をジクロロメタン(10mL)に溶解し、N,N-ジメチルエチレンジアミン(0.58g、6.58mmol、1.5eq)を滴下し、室温で5h撹拌した。反応液を濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製して、固体の(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンO-((2-(ジメチルアミノ)エチル)カルバモイル)オキシム(1.5g、7.8%)を得た。
1H NMR(DMSO-d6 400 MHz)δ8.47(s,1H),8.33(d,1H),7.77-7.29(m,2H),5.96(m,1H),5.85(s,1H),3.28-3.26(d,4H),2.36(s,6H),2.37-1.27(m,23H).ESI-MS m/z:477.1[M+H]+.
【0026】
実施例2:
(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル))-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンO-ジメチルカルバモイルオキシムの合成
【化15】
(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンオキシム(2.0g、5.52mmol、1.0eq)、トリエチルアミン(1.11g、11.0mmol、2.0eq)をそれぞれジクロロメタン(20mL)に溶解し、ジメチルカルバモイルクロリド(1.19g、11.0mmol、2.0eq)を滴下し、室温で5h反応させた。反応液を濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより白色固体の(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンO-ジメチルカルバモイルオキシム(2.0g、83.7%)を得た。
1H NMR(DMSO-d6 400 MHz)δ8.47(s,1H),8.33(d,1H),7.77-7.29(m,2H),5.96(m,1H),5.85(s,1H),3.47(s,6H),2.37-1.27(m,23H).ESI-MS m/z:434.1[M+H]+.
【0027】
実施例3:
(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンO-(ビス(2-クロロエチル)カルバモイル)オキシムの合成
【化16】
実施例1~2の合成方法をまとめて、ビス(2-クロロエチル)カルバモイルクロリドと中間体の(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンオキシムとをエステル化して、白色固体の(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンO-(ビス(2-クロロエチル)カルバモイル)オキシムを得た。
1H NMR(DMSO-d6 400 MHz)δ8.47(s,1H),8.33(d,1H),7.77-7.29(m,2H),5.96(m,1H),5.62(s,1H),3.64(m,4H),3.24(m,4H),2.37-1.27(m,23H).ESI-MS m/z:532.1[M+H]+.
【0028】
実施例4:
(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンO-([1,4’-ビピペリジン]-1’-カルボニル)オキシムの合成
【化17】
実施例1~2の合成方法をまとめて、[1,4’-ビピペリジン]-1’-塩化カルボニルと中間体の(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンオキシムとをエステル化して、白色固体の(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンO-([1,4’-ビピペリジン]-1’-カルボニル)オキシムを得た。
1H NMR(DMSO-d6 400 MHz)δ8.47(s,1H),8.33(d,1H),7.77-7.29(m,2H),5.96(m,1H),5.62(s,1H),3.39(m,4H),2.62-2.42(m,5H),2.37-1.27(m,33H).ESI-MS m/z:557.1[M+H]+.
【0029】
実施例5:
(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンO-(2-メチルベンゾイル)オキシムの合成
【化18】
実施例1~2の合成方法をまとめて、O-トルオイルクロリドと中間体の(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンオキシムとをエステル化して、白色固体の(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンO-(2-メチルベンゾイル)オキシムを得た。
1H NMR(DMSO-d6 400 MHz)δ8.47(s,1H),8.33(d,1H),7.88-7.29(m,6H),5.96(m,1H),5.62(s,1H),2.37-1.27(m,26H).ESI-MS m/z:481.1[M+H]+.
【0030】
実施例6:
(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンO-(3-(メチルアミノ)プロピオニル)オキシムの合成
【化19】
実施例1~2の合成方法をまとめて、3-メチルアミノプロピオン酸と中間体の(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンオキシムとをエステル化した後、脱保護して、白色固体の(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンO-(3-(メチルアミノ)プロピオニル)オキシムを得た。
1H NMR(DMSO-d6 400 MHz)δ8.47(s,1H),8.33(d,1H),7.77-7.29(m,2H),5.96(m,1H),5.62(s,1H),3.62(s,3H),2.83-2.63(m,4H),2.37-1.27(m,23H).ESI-MS m/z:448.1[M+H]+.
【0031】
実施例7:
(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンO-アセチルオキシムの合成
【化20】
実施例1~2の合成方法をまとめて、無水酢酸と中間体の(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンオキシムとをエステル化した後、脱保護して、白色固体の(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンO-アセチルオキシムを得た。
1H NMR(DMSO-d6 400 MHz)δ8.47(s,1H),8.33(d,1H),7.77-7.29(m,2H),5.96(m,1H),5.62(s,1H),2.37-1.27(m,26H).ESI-MS m/z:405.1[M+H]+.
【0032】
実施例8
((((((8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-7,8,9,11,12,13,14,15-オクタヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H,6H,10H)-イリデン)アミノ)オキシ)カルボニル)オキシ)メチルイソブチレートの合成
【化21】
実施例1~2の合成方法をまとめて、クロロギ酸クロロメチルと中間体の(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンオキシムとをエステル化してから、イソ酪酸とエステルを形成して、白色固体の((((((8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-7,8,9,11,12,13,14,15-オクタヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H,6H,10H)-イリデン)アミノ)オキシ)カルボニル)オキシ)メチルイソブチレートを得た。
1H NMR(DMSO-d6 400 MHz)δ8.47(s,1H),8.33(d,1H),7.70-7.29(m,2H),6.95(s,1H),5.96(m,1H),5.62(s,1H),2.67-1.14(m,30H).ESI-MS m/z:507.1[M+H]+.
【0033】
実施例9:
(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンO-((2-モルホリノエトキシカルボニル)オキシムの合成
【化22】
実施例1~2の合成方法をまとめて、2-モルホリノエタノールと中間体の(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンオキシムとを用いて、トリホスゲン環境下で炭酸エステルの(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンO-((2-モルホリノエトキシカルボニル)オキシムを形成した。
1H NMR(DMSO-d6 400 MHz)δ8.47(s,1H),8.33(d,1H),7.70-7.29(m,2H),5.96(m,1H),5.62(s,1H),4.43(m,2H),3.65(m,4H),2.97(m,2H),2.36(m,4H),2.12-1.12(m,23H).ESI-MS m/z:520.1[M+H]+.
【0034】
実施例10:
(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンO-ピペリジン-4-カルボニルオキシムの合成
【化23】
実施例1~2の合成方法をまとめて、4-ピペリジンカルボン酸と中間体の(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンオキシムとをエステル化して、白色固体の(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンO-ピペリジン-4-カルボニルオキシムを得た。
1H NMR(DMSO-d6 400 MHz)δ8.47(s,1H),8.33(d,1H),7.70-7.29(m,2H),5.96(m,1H),5.62(s,1H),2.79(m,4H),2.33-1.27(m,28H).ESI-MS m/z:474.1[M+H]+.
【0035】
実施例11:
(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンO-(1-メチルピペリジン-4-カルボニル)オキシムの合成
【化24】
実施例1~2の合成方法をまとめて、1-メチルピペリジン-4-カルボン酸と中間体の(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンオキシムとをエステル化して、白色固体の(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンO-(1-メチルピペリジン-4-カルボニル)オキシムを得た。
1H NMR(DMSO-d6 400 MHz)δ8.47(s,1H),8.33(d,1H),7.70-7.29(m,2H),5.96(m,1H),5.62(s,1H),2.79(m,4H),2.33-1.27(m,31H).ESI-MS m/z:488.1[M+H]+.
【0036】
実施例12:
1-(4-(((((8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-7,8,9,11,12,13,14,15-オクタヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H,6H,10H)-イリデン)アミノ)オキシ)カルボニル)ピペリジン-1-イル)エタノンの合成
【化25】
実施例1~2の合成方法をまとめて、1-アセチルピペリジン-4-カルボン酸と中間体の(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンオキシムとをエステル化して、白色固体の1-(4-(((((8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-7,8,9,11,12,13,14,15-オクタヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H,6H,10H)-イリデン)アミノ)オキシ)カルボニル)ピペリジン-1-イル)エタノンを得た。
1H NMR(DMSO-d6 400 MHz)δ8.47(s,1H),8.33(d,1H),7.70-7.29(m,2H),5.96(m,1H),5.62(s,1H),3.39(m,4H),2.33-1.27(m,31H).ESI-MS m/z:516.1[M+H]+.
【0037】
実施例13:
(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンO-(1-(2-(ジメチルアミノ)エチル)ピペリジン-4-カルボニル)オキシムの合成
【化26】
実施例1~2の合成方法をまとめて、1-(2-(ジメチルアミノ)エチル)ピペリジン-4-カルボン酸と中間体の(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンオキシムとをエステル化して、白色固体の(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンO-(1-(2-(ジメチルアミノ)エチル)ピペリジン-4-カルボニル)オキシムを得た。
1H NMR(DMSO-d6 400 MHz)δ8.47(s,1H),8.33(d,1H),7.70-7.29(m,2H),5.96(m,1H),5.62(s,1H),2.66(m,6H),2.41-2.37(m,8H),2.36-1.27(m,28H).ESI-MS m/z:545.1[M+H]+.
【0038】
実施例14:
(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンO-(1-(シクロプロパンスルホニル)ピペリジン-4-カルボニル)オキシムの合成
【化27】
実施例1~2の合成方法をまとめて、1-(シクロプロパンスルホニル)ピペリジン-4-カルボン酸と中間体の(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンオキシムとをエステル化して、白色固体の(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンO-(1-(シクロプロパンスルホニル)ピペリジン-4-カルボニル)オキシムを得た。
1H NMR(DMSO-d6 400 MHz)δ8.47(s,1H),8.33(d,1H),7.70-7.29(m,2H),5.96(m,1H),5.62(s,1H),2.91(m,4H),2.36-1.27(m,33H).ESI-MS m/z:578.1[M+H]+.
【0039】
実施例15:
(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンO-(1-(シクロプロパンメチル)ピペリジン-4-カルボニル)オキシムの合成
【化28】
実施例1~2の合成方法をまとめて、1-(シクロプロパンメチル)ピペリジン-4-カルボン酸と中間体の(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンオキシムとをエステル化して、白色固体の(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンO-(1-(シクロプロパンメチル)ピペリジン-4-カルボニル)オキシムを得た。
1H NMR(DMSO-d6 400 MHz)δ8.47(s,1H),8.33(d,1H),7.70-7.29(m,2H),5.96(m,1H),5.62(s,1H),2.41(m,4H),2.36-1.27(m,35H).ESI-MS m/z:528.1[M+H]+.
【0040】
実施例16:
(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンO-((S)-1-メチルピロリジン-2-カルボニル)オキシムの合成
【化29】
実施例1~2の合成方法をまとめて、(S)-1-メチルピロリジン-2-カルボン酸と中間体の(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンオキシムとをエステル化して、白色固体の(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンO-((S)-1-メチルピロリジン-2-カルボニル)オキシムを得た。
1H NMR(DMSO-d6 400 MHz)δ8.47(s,1H),8.33(d,1H),7.70-7.29(m,2H),5.96(m,1H),5.62(s,1H),3.08(m,1H),2.36-1.27(m,32H).ESI-MS m/z:474.1[M+H]+.
【0041】
実施例17:
(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンO-テトラヒドロ-2H-ピラン-4-カルボニルオキシムの合成
【化30】
実施例1~2の合成方法をまとめて、テトラヒドロピラン-4-カルボン酸と中間体の(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンオキシムとをエステル化して、白色固体の(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンO-テトラヒドロ-2H-ピラン-4-カルボニルオキシムを得た。
1H NMR(DMSO-d6 400 MHz)δ8.47(s,1H),8.33(d,1H),7.70-7.29(m,2H),5.96(m,1H),5.62(s,1H),3.55(m,4H),2.36-1.27(m,28H).ESI-MS m/z:475.1[M+H]+.
【0042】
実施例18:
(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンO-ニコチンオキシムの合成
【化31】
実施例1~2の合成方法をまとめて、ニコチン酸と中間体の(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンオキシムとをエステル化して、白色固体の(8S,9S,10R,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-(ピリジン-3-イル)-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3(2H)-オンO-ニコチンオキシムを得た。
1H NMR(DMSO-d6 400 MHz)δ8.88(s,1H),8.65(d,1H),8.47(s,1H),8.33(d,1H),7.70-7.29(m,4H),5.96(m,1H),5.62(s,1H),2.36-1.27(m,23H).ESI-MS m/z:468.1[M+H]+.
【0043】
実施例19:前立腺腫瘍薬力学実験
化合物のZONK1901シリーズの化合物(発明の化合物)及びZONK1901-10(アビラテロン酢酸エステル)によるヒト前立腺癌細胞VCaPが接種されたヌードマウス移植腫瘍モデルの腫瘍の体内増殖に対する阻害作用を試験した。
【0044】
被験サンプル:実施例1の化合物(B)、実施例2の化合物(C)、実施例3の化合物(D)、実施例4の(E)、実施例5の(F)、実施例6の(G)、実施例7の(H)及びZONK1901-19、ZONK1901-10(I)(アビラテロン酢酸エステル)
【化32】
ZONK1901-19(群J)
【0045】
試薬:
DMEM培養液、ウシ胎児血清、トリプシン、ペニシリン/ストレプトマイシン溶液、ジメチルスルホキシド(DMSO)、TPGS、Matrigel、PBS(pH7.4、0.01M)
雄性のBALB/cヌードマウス(匹数:90匹、週齢:6~7週)を、北京維通利華実験動物技術有限公司から購入し、蘇州聖蘇新薬開発有限公司SPF動物室で飼育し、温度を20~25℃とし、相対湿度を40%~70%として、明視野と暗視野でそれぞれ12時間照明し、動物が自由に水を飲んで摂食した。約6日間に正常に飼育した後に、獣医師の検査により、体調が良好なマウスを本実験に入れた。群を分ける前に、マーカーペンを用いて動物の尾根部にマークを付け、群を分けた後、各動物に耳の切り欠きでマークを付けた。
【0046】
ヒト前立腺癌細胞VCaPは、中国科学院上海細胞ライブラリー(CAS、本実験室で液体窒素で凍結保存する)から購入された。
【0047】
5%のCO2、37℃の培養条件で、VCaP細胞に対して、10%のウシ胎児血清を含むDMEM培地内で通常の細胞培養を行った。0.25%のトリプシンで消化して継代し、細胞の増殖状況に応じて、毎週に2~3回継代し、継代比率を1:3~1:5とした。
【0048】
対数増殖期のVCaP細胞を収集し、細胞を数えた後に50%のDMEM基本培地及び50%のMatrigel Matrixに再懸濁し、細胞濃度を5×107細胞/mLに調整し、細胞をアイスボックスに入れ、1mLのシリンジで細胞懸濁液を吸い取り、ヌードマウスの前右側の腋窩皮下に注射し、動物毎に200μL(1×107細胞/匹)接種し、VCaP移植腫瘍モデルを構築した。動物の状態を定期的に観察し、電子ノギスを使用して腫瘍直径を測定し、データをExcelスプレッドシートに入力し、腫瘍体積を計算し、腫瘍の増殖状況をモニターした。腫瘍体積が100~300mm3に達した場合、健康状況が良好で、腫瘍体積が近い動物を60匹選択し、腫瘍体積に基づいて乱塊法で10個の群(n=6)に分けるとともに、各群の平均体重が一致することをできるだけ保証した。群を分けた当日を実験の第1日(D1)とし、実験開始後、腫瘍直径を週に2回測定し、腫瘍体積を計算するとともに、動物の体重を秤量して記録した。
【0049】
腫瘍体積(TV)の計算式は、以下の通りである。
TV(mm3)=l×w2/2
式中、lは、腫瘍の長径(mm)を表し、wは、腫瘍の短径(mm)を表す。
【0050】
DMSO&PEG400&PG(v:v:v、10:60:30)の調製:適量のDMSO、PEG400及びPGをそれぞれ吸い取り、均一に混合した。混合液中のDMSOとPEG400とPGとの比率を10:60:30(v:v:v)として、ブランク溶媒として室温で保存した。
【0051】
投与製剤の調製:
適量の被験化合物をガラス瓶に入れ、適量の溶媒DMSOを加え、ボルテックス超音波をかけてから、適量のPEG400とPGを順に加え、ボルテックスで均一に混合して、最終濃度が0.05Mの投与製剤を得た。個別包装した後、冷蔵庫に2~8℃で保存し、毎回投与する前にボルテックスで振動して均一に撹拌した。7日ごとに調製し、個別包装して冷蔵庫に4度で保存した。
【0052】
ZONK1901-10投与製剤の調製:
適量のZONK1901-10をガラス瓶に入れ、適量のトウモロコシ油を加え、ボルテックスで振動して均一に撹拌して、最終濃度が19.58mg・mL-1(0.05M)の投与製剤を得た。個別包装した後、冷蔵庫に2~8℃で保存し、毎回投与する前にボルテックスで振動して均一に撹拌した。7日ごとに調製し、個別包装して冷蔵庫に4度で保存した。
【0053】
動物の群分け及び投与計画について、表1を参照する。群を分けた当日から被験サンプルを投与し、28日後、又は溶媒対照群の腫瘍体積が2000mm
3に達した場合に実験を終了し(先に指標に達することを基準とする)、投与体積をいずれも10mL・kg
-1とした。群Aは、ブランク溶媒群であり、ブランク溶媒(DMSO&PEG400&PG(v:v:v、10:60:30))を1日1回(QD)胃内投与した。他の群に対して、いずれも被験化合物を1日1回(QD)胃内投与した。群Iに対して、ZONK1901-10を1日1回(QD)胃内投与し、投与量を195.8mg・kg
-1(0.5mmol・kg
-1)とした。
【0054】
実験の最終日に、体重を秤量し、腫瘍直径を測定した後、動物を安楽死させた(CO2)。腫瘍組織を剥がし、秤量して撮影し、腫瘍阻害率を計算した。動物に肉眼解剖を行い、臓器の異常があるか否かを目視で観察した。動物の死体及び腫瘍組織を死体保管冷蔵庫に入れて一括処理した。
【0055】
データの記録、計算式:
相対腫瘍体積(RTV)の計算式は、以下の通りである。
RTV=TVt/TVinitial
【0056】
式中、TVinitialは、群ごとに投与した場合に測定された腫瘍体積であり、TVtは、投与期間に毎回測定された腫瘍体積である。
【0057】
相対腫瘍増殖率(%T/C)の計算式は、以下の通りである。
%T/C=100%×(RTVT/RTVC)
【0058】
式中、RTVTは、治療群RTVを表し、RTVCは、溶媒対照群RTVを表す。
【0059】
腫瘍増殖阻害率TGI(%)の計算式は、以下の通りである。
TGI=100%×[1-(TVt(T)-TVinitial(T))/(TVt(C)-TVinitial(C))]
【0060】
式中、TVt(T)は、毎回測定された治療群の腫瘍体積を表し、TVinitial(T)は、群ごとに投与した場合の治療群の腫瘍体積を表し、TVt(C)は、毎回測定された溶媒対照群の腫瘍体積を表し、TVinitial(C)は、群ごとに投与した場合の溶媒対照群の腫瘍体積を表す。
【0061】
動物の体重減少率の計算式は、以下の通りである。
動物体重減少率=100%×(BWinitial-BWt)/BWinitial
【0062】
式中、BWtは、投与期間に毎回測定された動物の体重を表し、BWinitialは、群ごとに投与した場合の動物の体重を表す。
【0063】
腫瘍阻害率IR(%)の計算式は、以下の通りである。
IR=100%×(WC-WT)/WC
【0064】
式中、W
Cは、対照群の腫瘍重量を表し、W
Tは、治療群の腫瘍重量を表す。
【0065】
注:「*」は、腫瘍体積について、溶媒対照群と比較すると、顕著な差異がある(P<0.05)ことを示し、「**」は、腫瘍体積について、溶媒対照群と比較すると、極めて顕著な差異がある(P<0.01)ことを示す。
【0066】
実施例20:薬物動態実験
【化33】
ZONK1901-19(群H)
マウスの体内で胃内投与した後の薬物動態性質を研究した。
【0067】
45匹の雄性のマウスをランダムに9個の群(各群に5匹のマウスを含む)に分け、実施例1の化合物(B)、実施例2の化合物(C)、実施例3の化合物(D)、実施例4の(E)、実施例5の(F)、実施例6の(G)及びZONK1901-19(H)、ZONK1901-10(I)(アビラテロン酢酸エステル)を投与した。
【0068】
各マウスに対して2から3つの不連続時点で収集した。
【0069】
マウス全血中のZONK1901-1及びZONK1901-2の濃度を測定するためのLC-MS/MS分析方法を確立した。得られた血中濃度データを用いて、薬物動態処理ソフトウェアのPharsight Phoenix WinNonlin8.0ノンコンパートメントモデルにより、関連する薬物動態パラメータを計算した。
【化34】
ZONK1901-1 ZONK1901-2
(M1) (M2)
【0070】
各群の胃内投与後の代謝物のZONK1901-1及びZONK1901-2の主な薬物動態パラメータを下記表に示す。
【0071】
実施例21:ニキビ薬力学試験
140匹の健康な日本白色種ウサギを用い、体重が2.0~2.5kgで、すべて雄性である。動物を1週間適応飼育した後、体重に応じて10匹を正常対照群としてランダムに選択し、残りの130匹のウサギに対して、耳道の外の2cmの箇所に2×2cm2の範囲で、コールタールを1日1回塗布し、厚さを約0.5mmとした。(塗布する前に、コールタールを水浴で加熱して融解し、コールタールを塗布するたびに、前回に塗布したコールタール塗層を取り除き、正常対照群に対してオリーブオイルを塗布し、方法が前の方法と同じである。)モデルを構築して3週間経過した後、130匹のウサギを皮膚損傷程度に応じて13個の群にランダムに分け、それぞれモデル対照群、実施例1の化合物(群1)、実施例2の化合物(群2)、実施例3の化合物(群3)、実施例4(群4)、実施例5(群5)、実施例6(群6)、実施例7(群7)、実施例8(群8)、実施例9(群9)、実施例10(群10)、実施例11(群11)、実施例12(群12)、実施例13(群13)とし、群毎に10匹とする。群を分けた後、各投与量群に対して、毎日、午前にコールタールを塗布し続け、午後にコールタールを除去した後、損傷部分に被験薬物又は対照薬物を1回/日塗布し(いずれも0.01%/10gペーストで、1gペースト/匹で塗布し)、2週間連続して塗布した(モデル対照群と正常対照群に等量の基質を塗布した)。最後の投与から24時間経過した後、空気塞栓で動物を殺し、耳部の投与箇所の皮膚(全層)を取り、4%パラホルムアルデヒド溶液で固定し、HEで染色し、通常の病理観察を行った。
【0072】
【0073】
「*」は、モデル対照群と比較すると、P<0.05であることを示し、 「**」は、モデル対照群と比較すると、P<0.01であることを示す。
【0074】
以上の表4から分かるように、モデル対照群と比較すると、各群のウサギの耳の毛包内角化物は、いずれも改善される。
【0075】
「**」は、モデル対照群と比較すると、P<0.01であることを示し、「*」は、モデル対照群と比較すると、P<0.05であることを示す。
【0076】
以上の表5から分かるように、モデル対照群と比較すると、各群のウサギの耳の炎症細胞浸潤程度が改善される。
【国際調査報告】