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特表2024-531060親油性化合物の改善された経口バイオアベイラビリティを有する自己乳化薬物送達配合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】親油性化合物の改善された経口バイオアベイラビリティを有する自己乳化薬物送達配合物
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/34 20170101AFI20240822BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240822BHJP
   A61P 39/06 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 31/353 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 31/355 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 31/122 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 31/07 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 31/203 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 31/59 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 31/592 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 31/593 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 31/015 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 31/7004 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20240822BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20240822BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
A61K47/34
A61K45/00
A61P39/06
A61K31/353
A61K31/355
A61K31/122
A61K31/07
A61K31/203
A61K31/59
A61K31/592
A61K31/593
A61K31/015
A61K31/7004
A61K9/48
A61K9/06
A61K47/14
A61K47/44
A61K47/24
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502117
(86)(22)【出願日】2022-10-31
(85)【翻訳文提出日】2024-03-19
(86)【国際出願番号】 MY2022050101
(87)【国際公開番号】W WO2024010441
(87)【国際公開日】2024-01-11
(31)【優先権主張番号】PI2022003597
(32)【優先日】2022-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】MY
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524017098
【氏名又は名称】アバンサール センディリアン ベルハッド
【氏名又は名称原語表記】AVANTSAR SDN BHD
【住所又は居所原語表記】NO.124-126, JALAN BENDAHARA, 98000 MIRI, SARAWAK, MALAYSIA
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100130443
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 真治
(72)【発明者】
【氏名】エリック クォン セン キウ
(72)【発明者】
【氏名】リム シウ チン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076AA53
4C076BB01
4C076CC21
4C076DD46
4C076DD63
4C076EE23
4C076EE53
4C076FF15
4C076FF34
4C084AA17
4C084MA28
4C084MA37
4C084MA52
4C084NA11
4C084ZC21
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA08
4C086BA09
4C086DA15
4C086EA01
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA28
4C086MA47
4C086MA52
4C086NA11
4C206AA01
4C206AA02
4C206BA04
4C206CA10
4C206CB27
4C206DA12
4C206MA02
4C206MA05
4C206MA55
4C206MA72
4C206NA11
(57)【要約】
本発明は、親油性化合物、ビタミンEポリエチレングリコール1000スクシネート(TPGS)、油担体及びリン脂質を含む、親油性化合物の改善された経口バイオアベイラビリティを有する自己乳化薬物送達配合物に関する。本発明はまた、親油性化合物の改善された経口バイオアベイラビリティを有する栄養補助食品の製造における自己乳化薬物送達系の使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
親油性化合物;
ビタミンEポリエチレングリコール1000スクシネート(TPGS);
油担体;及び
リン脂質
を含む、親油性化合物の改善された経口バイオアベイラビリティを有する自己乳化薬物送達配合物。
【請求項2】
前記親油性化合物は、トコトリエノール、コエンザイムQ10、脂溶性ビタミン、カロテノイド又はそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の薬物送達配合物。
【請求項3】
前記トコトリエノールは、アルファ-トコトリエノール、ベータ-トコトリエノール、ガンマ-トコトリエノール又はデルタ-トコトリエノールをさらに含む、請求項2に記載の薬物送達配合物。
【請求項4】
前記コエンザイムQ10は、ユビキノン及びユビキノールをさらに含む、請求項2に記載の薬物送達配合物。
【請求項5】
前記脂溶性ビタミンは、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK又はそれらの2つ以上の組み合わせから選択される、請求項2に記載の薬物送達配合物。
【請求項6】
前記カロテノイドは、アルファ-カロテン、ベータ-カロテン、ベータ-クリプトキサンチン、ルテイン、ゼアキサンチン及びリコペンをさらに含む、請求項2に記載の薬物送達配合物。
【請求項7】
前記親油性化合物は、前記薬物送達配合物の5重量%~80重量%の範囲の量で存在する、請求項1~6のいずれか一項に記載の薬物送達配合物。
【請求項8】
前記ビタミンE TPGSは、前記薬物送達配合物の0.1重量%~30重量%の範囲の量で存在する、請求項1に記載の薬物送達配合物。
【請求項9】
前記油担体は、グリセロールの脂肪酸エステル、プロピレングリコールの脂肪酸エステル、植物油又はそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の薬物送達配合物。
【請求項10】
前記グリセロールの脂肪酸エステルは、モノグリセリド、ジグリセリド又はトリグリセリドである、請求項9に記載の薬物送達配合物。
【請求項11】
前記植物油は、パームオレイン、ダイズ油、ゴマ油、米ヌカ油、コーン油、ヒマワリ油又はヒマシ油である、請求項9に記載の薬物送達配合物。
【請求項12】
前記油担体は、前記薬物送達配合物の5重量%~80重量%の範囲の量で存在する、請求項9~11のいずれか一項に記載の薬物送達配合物。
【請求項13】
前記リン脂質は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン及びホスファチジルイノシノールを含むレシチンである、請求項1に記載の薬物送達配合物。
【請求項14】
前記リン脂質は、前記薬物送達配合物の1重量%~10重量%の範囲の量で存在する、請求項13に記載の薬物送達配合物。
【請求項15】
カプセル剤又はソフトゲル剤の形態である、請求項1~14のいずれか一項に記載の薬物送達配合物。
【請求項16】
親油性化合物の改善された経口バイオアベイラビリティを有する栄養補助食品の製造における自己乳化薬物送達配合物の使用であって、前記配合物は、トコトリエノール、コエンザイムQ10、脂溶性ビタミン、カロテノイド又はそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される親油性化合物であって、前記薬物送達配合物の5重量%~80重量%の範囲の量で存在する親油性化合物、前記薬物送達配合物の0.1重量%~30重量%の範囲の量で存在するビタミンEポリエチレングリコール1000スクシネート(TPGS)、油担体及びリン脂質を含む使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、親油性化合物のための薬物送達系に、さらに特定すると、親油性化合物の改善された経口バイオアベイラビリティを有する自己乳化薬物送達系に関する。
【背景技術】
【0002】
ビタミンEは、通常、植物及び種子中に見出される、際立った抗酸化特性を有する親油性天然由来化合物の総称である。天然由来ビタミンEは、8つの化学異性体、すなわち、アルファ-、ベータ-、ガンマ-、及びデルタ-トコフェロール並びにアルファ-、ベータ-、ガンマ-及びデルタ-トコトリエノールで存在し、各々、様々なレベルの生物学的活性を有する。抗酸化物質は、不対電子を含有し、癌及び心血管疾患の発症の広い原因であるフリーラジカルに起因する酸化的損傷から細胞を保護することが当該技術分野において周知である。したがって、ビタミンEは、多数の疾患の予防のための抗酸化特性を有し、ヒト身体における健康を促進する必須親油性栄養素として台頭した。近年まで、トコフェロールのアルファ異性体は、ヒトの要求を満たすことが認識される最も活性な形態とみなされてきた。しかしながら、長年にわたる科学的研究により、トコトリエノールが一般に使用されるビタミンE異性体から区別されることが見出され、トコフェロールよりも強力な特性が示唆される。トコトリエノールは、一般に、血流を介してヒト身体全体に分布し、経口投与後に身体組織、例えば、脳、心臓、心筋、皮膚、肝臓及び脂肪組織中に蓄積する傾向がある。このことは、ビタミンEのトコトリエノールサブファミリーが、強力な神経保護、腫瘍抑制及びコレステロール低下特性を示すため、トコフェロールサブファミリーよりも良好な抗酸化特性を有することを示す。
【0003】
全ての親油性栄養素及び食物脂肪と同様、トコトリエノールの経口吸収は、胆汁酸の分泌に起因する脂肪の取り込みの増加に伴って増加して腸管バリアを通過する輸送のための脂肪分解及びミセルの形成を容易にする。食物源中にユビキタスであるトコフェロールと異なり、トコトリエノールは天然食物源に限定され、一部の輸送タンパク質に対してより低い親和性を有する。経口投与される場合、トコトリエノールは、アルファ-トコフェロールよりもおよそ10倍低い親和性でアルファ-トコフェロール輸送タンパク質(α-TTP)についてトコフェロールと競合する傾向がある。したがって、トコトリエノールは、典型的には、低いか又は不安定な経口バイオアベイラビリティを有する。
【0004】
低いか又は不安定な経口バイオアベイラビリティの課題を回避するため、且つトコトリエノールを含む親油性ビタミンの常に高い吸収を達成するため、エマルジョンがそれを改善するとみなされてきた。しかしながら、慣用のエマルジョンは相対的にバルキーであり、安定性の課題に起因してより短い寿命を有し、あまり口当たりが良くないため、望ましい剤形でない。近年、バイオアベイラビリティの向上、血漿プロファイルの再現性の改善並びに対象間及び対象内変動の低減を確保する自己乳化薬物送達系(SEDDS)の開発が大いに注目されている。SEDDSは、一般に、油/界面活性剤系中の十分な溶解度を有する親油性薬物及び化合物がその中に封入され得るように、油を好適な非イオン性界面活性剤と混合することにより水の不存在下で配合される。
【0005】
トコトリエノールの有効な送達のための既存のSEDDS技術が提案されている。例えば、米国特許第6596306B1号明細書は、トコトリエノールを含む脂溶性薬物の経口投与での使用のための自己乳化薬物送達組成物を開示する。上記技術は、カプリロカプロイルマクロゴールグリセリド及びポリオキシエチレングリコール20ソルビタンモノオレエートの界面活性剤系と適切な油との好適な組み合わせを用いて自己乳化を促進し、それによりトコトリエノールの吸収をさらに増加させることによりトコトリエノールの経口吸収の向上を確保する。別のSEDDS技術は、トコトリエノール、2つの非イオン性界面活性剤、すなわち、ソルビタンモノラウレート及びポリオキシエチレンソルビタン20モノオレエートの組み合わせ、並びに油担体を含む、トコトリエノールの改善された送達のための自己乳化薬物送達配合物を開示する米国特許第10493055B2号明細書に例示される。これにもかかわらず、上記SEDDS技術は、慣用の非自己乳化配合物のバイオアベイラビリティ改善の少なくとも2~3倍のバイオアベイラビリティ改善を報告すると考えられる。
【0006】
肝臓外に急速に輸送されないトコトリエノールは、シトクロムP450(CYP)酵素による異化代謝とそれに続くβ酸化、カルボキシクロマノール及びコンジュゲートされた相当物を生成するコンジュゲーションを受ける。トコトリエノールは、極めて高濃度で、腸細胞中でP-糖タンパク質の転移活性を増強し得る。しかしながら、このような教示は、P-糖タンパク質排出機序に対するトコトリエノールの影響を考慮して別の阻害剤でトコトリエノールのバイオアベイラビリティを促進することは当業者に明らかでない。
【0007】
一部の界面活性剤は、薬物のシトクロムP450酵素代謝に対する調節特性も有することが報告されている。上記技術に示されるようなトコトリエノールとの界面活性剤の従来の使用は、トコトリエノールの経口バイオアベイラビリティに対する自己乳化配合物の性能を補完及び増強し得る、P-糖タンパク質及びCYP媒介代謝の同時阻害の可能性を何ら示していない。特に、アルファ-トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート又はTPGSは、親油性薬物溶解度を改善し、そのP-糖タンパク質阻害効果に起因して薬物透過を向上させ得る非イオン性界面活性剤である。さらに、TPGSは、CYP3A4及びCYP2C9代謝を阻害することにより薬物安定性を改善することが実証されている。しかしながら、TPGSの従来の使用は、自発ミセル化、P-gpの阻害及びCYP媒介代謝の三重作用機序としてα-TTPについてトコフェロールと競合する別のビタミンE異性体、例えば、トコトリエノールの経口バイオアベイラビリティをTPGSが増強し得ることを示さなかった。本発明は、親油性トコトリエノールの経口バイオアベイラビリティを増強し得る上記相乗効果を誘発するための自己乳化薬物送達配合物中のTPGSの利用を促す。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、親油性化合物の向上した経口バイオアベイラビリティを経口摂取時に示す自己乳化薬物送達配合物を提供することである。有利には、本発明の自己乳化薬物送達配合物は、慣用の自己乳化薬物送達配合物と比較して2~3倍向上した経口バイオアベイラビリティを示す。
【0009】
本発明の別の態様は、実質的に安定化された自己乳化薬物送達配合物を提供することである。
【0010】
前述の目的の少なくとも1つが全体的に又は部分的に達成され、本発明の実施形態は、親油性化合物、ビタミンEポリエチレングリコール1000スクシネート(TPGS)、油担体及びリン脂質を含む、親油性化合物の改善された経口バイオアベイラビリティを有する自己乳化配合物を記載する。
【0011】
本発明の好ましい実施形態において、親油性化合物は、トコトリエノール、コエンザイムQ10、脂溶性ビタミン、カロテノイド又はそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択されることが開示される。
【0012】
好ましくは、トコトリエノールは、アルファ-トコトリエノール、ベータ-トコトリエノール、ガンマ-トコトリエノール又はデルタ-トコトリエノールをさらに含む。
【0013】
好ましくは、コエンザイムQ10は、ユビキノン及びユビキノールをさらに含む。
【0014】
好ましくは、脂溶性ビタミンは、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK又はそれらの2つ以上の組み合わせから選択される。
【0015】
好ましくは、カロテノイドは、アルファ-カロテン、ベータ-カロテン、ベータ-クリプトキサンチン、ルテイン、ゼアキサンチン及びリコペンをさらに含む。
【0016】
本発明の好ましい実施形態において、ビタミンE TPGSは、薬物送達配合物の0.1重量%~30重量%の範囲の量で存在することが開示される。
【0017】
本発明の別の好ましい実施形態において、油担体は、グリセロールの脂肪酸エステル、プロピレングリコールの脂肪酸エステル、植物油又はそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択されることが開示される。
【0018】
好ましくは、グリセロールの脂肪酸エステルは、モノグリセリド、ジグリセリド又はトリグリセリドである。
【0019】
好ましくは,植物油は、パームオレイン、ダイズ油、ゴマ油、米ヌカ油、ヒマワリ油又はヒマシ油である。
【0020】
より好ましくは、油担体は、薬物送達配合物の5重量%~80重量%の範囲の量で存在する。
【0021】
本発明のさらなる実施形態は、リン脂質は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン及びホスファチジルイノシノールを含むレシチンであることを開示する。
【0022】
好ましくは、リン脂質は、薬物送達配合物の1重量%~10重量%の範囲の量で存在する。
【0023】
薬物送達配合物は、カプセル剤又はソフトゲル剤の形態であることが好ましい。
【0024】
本発明の例示的な実施形態は、親油性化合物の改善された経口バイオアベイラビリティを有する栄養補助食品の製造における自己乳化薬物送達配合物の使用であって、配合物は、トコトリエノール、コエンザイムQ10、脂溶性ビタミン、カロテノイド又はそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される親油性化合物であって、薬物送達配合物の5重量%~80重量%の範囲の量で存在する親油性化合物、薬物送達配合物の0.1重量%~30重量%の範囲の量で存在するビタミンEポリエチレングリコール1000スクシネート(TPGS)、油担体及びリン脂質を含む使用を開示する。
【0025】
当業者は、挙げられる目的を実施し、結果及び利点、並びにそれに固有のものを得るために本発明が十分に適合されることを容易に認識する。本明細書に記載される実施形態は、本発明の範囲の限定を意図するものではない。
【0026】
本発明の理解を容易にする目的のため、添付の図面に、以下の詳細な説明に関連して考慮される場合、本発明、その構築及び操作並びにその利点の多くが容易に理解及び認識される調査からの好ましい実施形態が説明される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】血中濃度-時間曲線に表される、単一用量のケトコナゾールあり及びなしのデルタ-トコトリエノールの経口バイオアベイラビリティを示す。
図2】血中濃度-時間曲線に表される、単一用量のケトコナゾールあり及びなしのガンマ-トコトリエノールの経口バイオアベイラビリティを示す。
図3】血中濃度-時間曲線に表される、単一用量のケトコナゾールあり及びなしのアルファ-トコトリエノールの経口バイオアベイラビリティを示す。
図4】血中濃度-時間曲線に表される、対照、製品X及び配合物Sを介して投与されたデルタ-トコトリエノールの経口バイオアベイラビリティを示す。
図5】血中濃度-時間曲線に表される、対照、製品X及び配合物Sを介して投与されたガンマ-トコトリエノールの経口バイオアベイラビリティを示す。
図6】血中濃度-時間曲線に表される、対照、製品X及び配合物Sを介して投与されたアルファ-トコトリエノールの経口バイオアベイラビリティを示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明は、本発明の好ましい実施形態に従って、添付の詳細な説明及び図面を参照することにより記載されるものとする。しかしながら、本発明の好ましい実施形態への詳細な説明の限定は本発明の考察を単に容易にすることであることが理解されるべきであり、当業者は種々の改変を添付の特許請求の範囲の範囲から逸脱せずに考案し得ることが想定される。
【0029】
本発明は、向上した経口バイオアベイラビリティ及び親油性化合物の常に高い吸収量を有する親油性化合物のための自己乳化薬物送達系(SEDDS)のための配合物を提供する。SEDDSは、本質的には、油及び界面活性剤の混合物であり、親油性化合物ベース配合物に広く使用されている。SEDDSは、穏やかな撹拌、例えば、胃及び小腸の蠕動運動で胃腸液への曝露時に水中油型エマルジョンを形成する。したがって、SEDDSは、吸収及び経口バイオアベイラビリティの改善を効率的に提供する。SEDDSからの親油性化合物の溶解度及び経口バイオアベイラビリティの効率は油担体及び界面活性剤の選択により決定されるため、親油性化合物の常に高い経口バイオアベイラビリティを達成するための油担体及び界面活性剤の好適な組み合わせの選択はSEDDSの配合物に不可欠な要件である。
【0030】
本発明の一実施形態において、SEDDS配合物は、親油性化合物、界面活性剤、油担体及びリン脂質を含む。定義によれば、親油性化合物は、他の脂質、脂肪及び油と親和し、その中で溶解する傾向がある分子である。任意の好適な親油性化合物が当業者により選択され得る。本発明のSEDDS配合物における使用に適切な親油性化合物は、トコトリエノール、コエンザイムQ10、脂溶性ビタミン、カロテノイド又はそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。本発明のSEDDS配合物において使用される親油性化合物は、追加の所望の栄養又は医薬的利益を、配合物内の界面活性剤、油担体及びリン脂質により提供される利益との組み合わせで提供し得、所望により適宜選択され得る。親油性化合物は、SEDDS配合物の5重量%~80重量%の範囲の量で存在することが好ましい。
【0031】
本発明の好ましい実施形態によれば、SEDDS配合物において使用されるトコトリエノールは、アルファ-トコトリエノール、ベータ-トコトリエノール、ガンマ-トコトリエノール又はデルタ-トコトリエノールをさらに含む。本発明のSEDDS配合物において使用されるトコトリエノールは、天然又は合成由来であり得る。例えば、トコトリエノールは、植物、例えば、限定されるものではないが、パーム油、米ヌカ油、アマニ油、胚芽、オオムギ及びある種の堅果及び穀類から抽出され得る。
【0032】
本発明の別の実施形態において、SEDDS配合物において使用される親油性化合物は、コエンザイムQ10である。本明細書において使用される通り、コエンザイムQ10は、ビタミンKの構造と類似する構造を有する脂溶性キノンであり、抗酸化特性を有する。本発明のSEDDS配合物において使用される好適なコエンザイムQ10としては、ユビキノン及びユビキノールが挙げられる。
【0033】
本発明の別の実施形態において、SEDDS配合物において使用される親油性化合物は、脂溶性ビタミンである。脂溶性ビタミンは、本質的には、脂肪中で溶解し、小腸を移動する脂肪球により吸収され、血流中で身体中に分布するビタミンである。本発明の実施形態において、SEDDS配合物において使用される脂溶性ビタミンとしては、限定されるものではないが、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE及びビタミンKが挙げられる。
【0034】
本発明の別の実施形態において、SEDDS配合物において使用される親油性化合物は、カロテノイドである。一般に、カロテノイドは、果実及び野菜の鮮赤色、黄色及び橙色の色相を担う植物色素である。カロテノイドは、広範な植物、藻類及び細菌の細胞中で見出される植物性栄養素の一クラスである。カロテノイドは、ヒト身体において抗酸化物質としても作用する。本発明のSEDDS配合物において使用される好適なカロテノイドとしては、限定されるものではないが、アルファ-カロテン、ベータ-カロテン、ベータ-クリプトキサンチン、ルテイン、ゼアキサンチン及びリコペンが挙げられる。
【0035】
本発明のSEDDS配合物は、上記親油性化合物を、自己乳化性を提供するために有用な添加物として、界面活性剤及び油担体と組み合わせて含む。脂質系中の親油性化合物の溶解度は、親油性化合物を許容可能な油担体と混合することにより大いに増加され得、その混合物は界面活性剤と容易に乳化され得る。慣用的に、SEDDS配合物において一般に使用される界面活性剤としては、疎水性構成成分(油溶性)及び親水性(水溶性)を有し、それらの親水性親油性バランス(HLB)により特徴付けられる非イオン性界面活性剤が挙げられる。非イオン性界面活性剤は、油と水との間の界面での吸着により油と水との間の界面張力を低減させるために提供される。種々の薬学的に許容可能な界面活性剤は、SEDDS配合物の生産における使用に好適である。
【0036】
慣用のSEDDS配合物は、非SEDDS配合物と比較して2~5倍の経口バイオアベイラビリティの改善を報告した。本発明者らは、P-糖タンパク質の排出輸送タンパク質及びCYP3A4酵素の代謝酵素の両方に対する阻害を介する腸初回通過効果の潜在的な限定が、親油性化合物の経口バイオアベイラビリティを、慣用のSEDDS配合物による改善と比較してさらに2~3倍改善することを見出した。本発明に関して、P-糖タンパク質及びCYP3A4酵素の阻害の相乗効果は、天然ビタミンEの水溶性誘導体、すなわち、ビタミンEポリエチレングリコール1000スクシネート(TPGS)を用いることにより増強され得る。TPGSは、本発明のSEDDS配合物中の親油性化合物の溶解度を改善し、そのP-糖タンパク質阻害効果に起因してその透過を向上させ得る。さらに、TPGSは、CYP3A4代謝を阻害することにより化合物安定性を改善することが実証されている。TPGSは、小さい粒子サイズの安定的なエマルジョンを形成することにより、親油性化合物のための優れた乳化剤及びSEDDS配合物における経口バイオアベイラビリティの向上剤でもある。本明細書において使用される通り、用語「TPGS」は、ビタミンE TPGSという用語と互換的に使用される。本発明の好ましい実施形態によれば、使用されるビタミンE TPGSは、SEDDS配合物において使用される親油性化合物に応じて、SEDDS配合物の0.1重量%~30重量%の範囲の量で存在する。
【0037】
上記の通り、SEDDS配合物は、油担体をビタミンE TPGSとの組み合わせで含み、自己乳化性を提供する。撹拌時、油担体は小さい油滴となり、次いでそれはビタミンE TPGSの存在下で均等に分散し、ミセルに自己集合する。本発明の好ましい実施形態において、SEDDS配合物において使用される油担体は、グリセロールの脂肪酸エステル、プロピレングリコールの脂肪酸エステル、植物油又はそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。好ましくは、使用されるグリセロールの脂肪酸エステルは、モノグリセリド、ジグリセリド又はトリグリセリドである。本発明のSEDDS配合物において担体油として使用される好適な植物油としては、限定されるものではないが、パームオレイン、ダイズ油、ゴマ油、米ヌカ油、コーン油、ヒマワリ油又はヒマシ油が挙げられる。SEDDS配合物の十分な自己乳化性を提供するため、使用される油担体は、SEDDS配合物の5重量%~80重量%の範囲の量で存在する。油担体の量は、SEDDS配合物において使用されるビタミンE TPGSの量に応じて調整され得ることが留意されるべきである。
【0038】
本発明のSEDDS配合物において使用される別の添加物は、リン脂質、より好ましくは、植物由来のリン脂質である。リン脂質と油担体との組み合わせは、親油性化合物を送達するためのSEDDS配合物のミセル構造における安定化効果を顕著に発揮することが見出された。このように、親油性化合物の経口バイオアベイラビリティが向上され得る。本発明の好ましい実施形態において、使用されるリン脂質は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン及びホスファチジルイノシノールを含むレシチンである。好ましくは、使用されるリン脂質は、SEDDS配合物の1重量%~10重量%の範囲の量で存在する。
【0039】
本発明の一実施形態において、SEDDS配合物は、1つ以上の親油性化合物をビタミンE TPGSに添加し、それを約45℃~50℃に加熱することにより調製される。次いで、好適な油担体及びリン脂質を混合物中に添加し、約30分間連続混合して均一混合物を得る。本発明のSEDDS配合物を得るための、親油性化合物、ビタミンE TPGS、油担体及びリン脂質の量は、上述の通りである。その後、均一化合物を室温に冷却し、次いで任意の好適な経口剤形中に充填する。本発明の好ましい実施形態において、SEDDS配合物は、硬カプセル剤又はソフトゲルカプセル剤中に封入される。
【0040】
したがって、それによれば、本発明の例示的な実施形態は、親油性化合物の改善された経口バイオアベイラビリティを有する栄養補助食品の製造におけるSEDDS配合物の使用を開示する。本発明のSEDDS配合物は、風味剤、着色剤、賦形剤、安定剤及び栄養補助食品配合物の当業者に公知の他の薬剤と組み合わせられ得、それらを含み得ることが理解されるべきである。
【実施例
【0041】
以下の非限定的な実施例を実施して本発明の好ましい実施形態を説明した。
【0042】
実施例1:
ラットを使用して2期間、2順序クロスオーバー試験を実施してP-糖タンパク質及びCYP3A4酵素の基質であるトコトリエノール(T3)の経口バイオアベイラビリティに対するP-糖タンパク質及びCYP3A4酵素の強力な阻害剤であるケトコナゾールの同時投与の影響を調査した。動物を2つの群に無作為に分け、以下の表1に示される順序に従って調製物を投与した。
【0043】

【表1】
【0044】
トコトリエノールリッチフラクション(TRF)及びパームオレインを1:1の比で混合することにより非自己乳化トコトリエノール油性懸濁液を調製した。ラット当たり投与される総トコトリエノールは、10mg/kg体重に相当した。単一用量のケトコナゾール(水中懸濁液)を32mg/kg体重の用量で投与した。
【0045】
ラットを試験前の少なくとも12時間、一晩絶食させた。第1相の間、第1群のラットにトコトリエノール油性懸濁液のみを与えた一方、第2群には単一用量のケトコナゾールをトコトリエノールの投与30分前に与えた。第2相は、1週間のウォッシュアウト期間後に実施した。血液サンプルを以下の所定のサンプリング間隔に従って尾静脈から採取した。各時点における個々のトコトリエノール異性体の血液レベルを、HPLCアッセイを使用して分析した。
【0046】
トコトリエノールの経口バイオアベイラビリティに対するCYP3A4酵素及びP-糖タンパク質阻害の影響を確認した。ケトコナゾール(P-糖タンパク質及びCYP3A4酵素の強力な阻害剤)の同時投与は、ラットにおけるトコトリエノールの経口バイオアベイラビリティをおよそ2.4倍増加させた。表2は、対照と比較した個々のトコトリエノール異性体の経口バイオアベイラビリティの改善をまとめる。図1~3は、血中濃度-時間曲線に表される、単一用量のケトコナゾールあり及びなしの個々のトコトリエノール異性体の経口バイオアベイラビリティを示す。
【0047】
【表2】
【0048】
典型的には、ある化合物がP-糖タンパク質による排出輸送及びCYP酵素による代謝を阻害するための強力な阻害剤、例えば、ケトコナゾールの同時投与で顕著に向上した経口バイオアベイラビリティを達成する場合、当該化合物は、P-糖タンパク質及びCYP3A4酵素の基質であると決定することができる。この実験において、トコトリエノール調製物の投与前の単一用量のケトコナゾールの投与は、血液中で検出される総トコトリエノールのおよそ2.4倍の増加をもたらした。したがって、トコトリエノールは、P-糖タンパク質及びCYP3A4酵素の基質であると結論付けることができる。
【0049】
実施例2:
ラットを使用して3期間、3順序クロスオーバー試験を実施して対照(非自己乳化油性懸濁液)、製品X(市販の自己乳化配合物)及び配合物S(本発明の自己乳化薬物送達配合物)におけるトコトリエノールの経口バイオアベイラビリティを比較した。動物を3つの群に無作為に分け、以下の表3に示される順序に従って調製物を投与した。
【0050】
【表3】
【0051】
対照(非自己乳化油性懸濁液)は、トコトリエノールリッチフラクション(TRF)及びパームオレインを1:1の比で混合することにより調製した。
【0052】
製品X(自己乳化市販製品)は、向上した経口バイオアベイラビリティのための、特許された自己乳化系と配合されたトコトリエノールを含有する。
【0053】
配合物Sは、トコトリエノール:約5~80重量%の油担体、及び約0.1~30重量%のTPGS:リン脂質相を含む。トコトリエノールと油担体との比は、1:1~1:10の範囲であり得る。TPGSとリン脂質との比は、1:1~1:20の範囲であり得る。
【0054】
ラットを試験前の少なくとも12時間、一晩絶食させた。第1相の間、第1群のラットにT3油性懸濁液(非自己乳化対照)を与え、第2群に配合物Sを与え、第3群に市販製品Xを与えた。各調製物についてのラット当たりの投与された総トコトリエノールは、10mg/kg体重に相当した。第2相及び第3相は、1週間のウォッシュアウト期間後に実施した。血液サンプルを以下の所定のサンプリング間隔に従って尾静脈から採取した。各時点における個々のトコトリエノール異性体の血液レベルを、HPLCアッセイを使用して分析した。
【0055】
非自己乳化対照と比較して、市販製品Xは総トコトリエノールの経口バイオアベイラビリティをおよそ4.6倍増加させた一方、配合物Sはその経口バイオアベイラビリティを11.5倍増加させた。配合物Sは、ケトコナゾールを使用する代謝酵素の単純な阻害で観察されるバイオアベイラビリティ改善をはるかに超過し、製品Xに見られる単純な自己乳化配合物によるバイオアベイラビリティ改善も上回る非常に向上した経口バイオアベイラビリティを生じさせる、添加物の組み合わせによる相乗効果を示した。表4は、対照、製品X及び配合物Sを用いて比較された個々の及び総トコトリエノール異性体の経口バイオアベイラビリティの改善をまとめる。図4~6は、血中濃度-時間曲線に表される、対照、製品X及び配合物Sを介して投与された個々のトコトリエノール異性体の経口バイオアベイラビリティを示す。
【0056】
【表4】
【0057】
自己乳化配合物は、油溶性化合物の経口バイオアベイラビリティを改善するための一般的な方策である。文献に記載される自己乳化調製物による典型的な向上は、非自己乳化調製物と比較して2~5倍である。上記の実施例1は、P-糖タンパク質及びCYP3A4酵素の基質であるトコトリエノールが、ケトコナゾールを使用するP-糖タンパク質及びCYP酵素の阻害で向上した経口バイオアベイラビリティを達成し得ることを示唆した。バイオアベイラビリティの記録された向上は、ケトコナゾールなしと比較して2~3倍大きい。
【0058】
本発明において、配合物Sは、自発ミセル化を促進し、P-糖タンパク質及びCYP3A酵素代謝の阻害を介して腸初回通過効果を限定し、エマルジョンを安定化する油溶性トコトリエノールとのTPGS:リン脂質の組み合わせを含有して経口投与時のトコトリエノールのより大きい腸吸収をもたらした。本発明のバイオアベイラビリティ向上は、個々の対策による、すなわち、阻害剤/ケトコナゾール単独の同時投与又は慣用の自己乳化調製物単独による、予想された(相加効果による)機能をはるかに超過した。本発明によれば、トコトリエノールの経口バイオアベイラビリティは、トコトリエノールの非自己乳化油性調製物と比較して11.5倍向上した。これは過去に報告されていない。
【0059】
実施例3:
本発明の自己乳化効率を評価するために使用される試験装置は、適宜整列された光源、パドルスターラー、250mlビーカー、電流継電器、及びフォトトランジスタからなるものであった。光源は40ワットバルブからのものであり、250mlの蒸留水で充填されたガラスビーカーを通過する約1000ルクスの光度を与えた。フォトトランジスタは、電流継電器及びストップウォッチに連結した。パドルスターラーは、100rpmで回転するように設定した。
【0060】
本発明の自己乳化特性を評価するため、0.5mlの液体配合物を含有する1mlのシリンジを、注入前にビーカーの水面下1cmに入れた。サンプルを250mlの蒸留水(37℃)中に導入した時、ストップウォッチを同時に開始した。パドルスターラーにより、ビーカー中の含有物に対して穏やかな撹拌を与えた。エマルジョンが形成し、ビーカーを通る光の透過を遮断した場合、フォトトランジスタはいかなる光も検出し得ず、ストップウォッチは電流継電器を介して停止するように誘発される。記録された時間を用いて、以下の表5に示すサンプル間での自己乳化効率を比較した。
【0061】
【表5】
【0062】
室温(25℃)で20分間静置した後に形成されたエマルジョン産物の物理的安定性を評価した。一定量(1ml)の各配合物を50mlの蒸留水中に分散させ、回転機上で5分間回転させた。試験管を静置し、目視検査した。目視観察に基づくエマルジョン産物の物理的安定性を、相の分離なし、わずかなクリーミング、クリーミング及び完全な分離として分類し、以下の表6にまとめた。全ての実験を三重に実施した。
【0063】
【表6】
【0064】
自己乳化効率は、配合物A(製品X)と、配合物B、C、及びD(配合物Bは、実施例2の動物試験で試験された最終配合物である)とで同等のままであった。同等の結果とは、配合物を水中に分散させた場合、本実験の最初の部分での光透過を遮断するまでに要した時間に基づいた判定において、配合物がほぼ直ぐに自己乳化したことを示す。
【0065】
しかしながら、自己乳化配合物を経時的に静置した場合、配合物の自己乳化状態の安定性に有意差がある。配合物A(製品X)は、10分でわずかなクリーミングを示し始めた(分離の開始を示す)。これに対し、配合物B、C及びDは、最大20分間も分離なしで安定のままであった。
【0066】
本開示は、添付の特許請求の範囲に含有されるもの、及び上記の詳細な説明のものを含む。本発明をある程度詳細にその好ましい実施形態で記載してきたが、好ましい形態の本開示は、例としてなされたにすぎないこと、並びに構築の詳細及び部品の組み合わせ及び配置の多数の変更が本発明の範囲から逸脱せずに行われ得ることが理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】