(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】ジアリールイソオキサゾリン誘導体を作製するための方法
(51)【国際特許分類】
C07D 413/04 20060101AFI20240822BHJP
A61P 33/14 20060101ALN20240822BHJP
A61K 31/422 20060101ALN20240822BHJP
【FI】
C07D413/04
A61P33/14
A61K31/422
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503432
(86)(22)【出願日】2022-08-10
(85)【翻訳文提出日】2024-01-18
(86)【国際出願番号】 US2022039965
(87)【国際公開番号】W WO2023018806
(87)【国際公開日】2023-02-16
(32)【優先日】2021-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516001834
【氏名又は名称】エランコ・ユーエス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Elanco US Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】フ,ジンダン
(72)【発明者】
【氏名】ウ,グアンミン
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA04
4C086BC67
4C086GA03
4C086GA09
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA63
4C086NA20
4C086ZB39
(57)【要約】
本開示は、エナンチオマー的に純粋な式(1)の化合物を作製するための方法を提供する。
【化1】
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エナンチオマー的に純粋な式(1)のイソオキサゾリン化合物
【化1】
を作製するための方法であって、
(i)式(2)の化合物を、ヒドロキシルアミン
【化2】
(式中、Xは、ハロゲン及び-C(O)OR
4(式中、R
4はC
1~C
4アルキルである)からなる群より選択される)、適切な塩基、及び式(3)の化合物
【化3】
(式中、Y
-はアニオンであり、
R
1は、水素及びメトキシからなる群より選択され、
R
2は、エチル及びビニルからなる群より選択され、
R
3は、アリールであって、任意選択でニトロ、ハロゲン、アミノ、トリフルオロメチル、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシ、及びベンジルオキシからなる群より独立して選択される1~5個の置換基で置換されたアリールと、ヘテロアリールであって、任意選択で、ハロゲン、トリフルオロメチル、C
1~C
4アルキル、及びC
1~C
4アルコキシからなる群より独立して選択される1~3個の置換基で置換されたヘテロアリールとからなる群より選択される)
と反応させて、式(4)の化合物を得るステップ、
【化4】
(ii)式(4)の化合物のXを、式(5)の化合物
【化5】
のカルボン酸に変換するステップ、
(iii)任意選択で、前記式(5)の化合物を、C
1~5アルコール、C
2~5アルキルシアニド、C
3~9アルキルケトン、C
2~8アルキルエーテル、C
2~8アルキルアセテートからなる群より選択される溶媒と、任意選択で、水及びC
5~8炭化水素からなる群より選択される貧溶媒とを用いて結晶化するステップ、
ならびに
(iv)前記式5の化合物を適切なアミンとカップリングするステップを含み、
前記適切なアミンが、2-アミノ-プロパルギル-アセトアミドであるか、または任意選択でカルボキシル保護されたグリシンを、次に必要な場合は脱保護し、次いでプロパルギルアミンとカップリングさせるという連続的反応から生じるアミンである、方法。
【請求項2】
Xがブロモである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Xが-C(O)OR
4(式中、R
4はメチルである)である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
R
1がメトキシである、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記適切なアミンが2-アミノ-プロパルギル-アセトアミドである、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記適切なアミンが、任意選択でカルボキシル保護されたグリシンを、次に必要な場合は脱保護し、次いでプロパルギルアミンとカップリングするという連続的反応から生じる前記アミンである、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記式(2)の化合物と、ヒドロキシルアミン、前記適切な塩基、及び前記式(3)の化合物との前記反応が、ジクロロメタン及びエーテルを含む溶媒系の存在下で行われる、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記式(5)の化合物のエナンチオマー過剰率が90%以上である、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
(iii)の結晶化が行われる、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
(iii)の結晶化が行われ、かつ前記式(5)の化合物のエナンチオマー純度が98%以上である、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
(iii)の結晶化が行われ、かつ前記溶媒がアセトニトリルであり、かつ前記式(5)の化合物のエナンチオマー純度が98%以上である、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願の相互参照
本特許出願は、米国仮特許出願第63/231,858号(2021年8月11日出願)及び米国仮特許出願第63/306,240号(2022年2月3日出願)の優先権を主張し、これらの各開示内容は全体として本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
下記示す式(1)の化合物5-[(5S)-4,5-ジヒドロ-5-(3,4,5-トリクロロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-3-イソオキサゾリル]-3-メチル-N-[2-オキソ-2-[(2-プロピン-1-イル)アミノ]エチル]-2-チオフェンカルボキサミド
【化1】
はジアリールイソオキサゾリン誘導体であり、害虫の駆除、特定的には外部寄生虫の駆除に有用である。式(1)の化合物は、昆虫及びダニ類のガンマアミノ酪酸(GABA)作動性塩化物イオンチャネルを阻害する。この阻害により、細胞膜をまたぐ塩化物イオンの移動が遮断され、その結果昆虫及びダニ類が死滅する。特定的には、式(1)の化合物は、動物(ヒト、魚を含む家畜、ならびに飼育動物(イヌ及びネコ)を含む)における外部寄生虫(例えば、ノミ寄生)の治療ならびにダニ寄生の治療及び駆除に有用である。
【0003】
式(1)の化合物は、WO2016/077158(参照により本明細書に援用される)でさらに説明されており、殺虫及び殺ダニ活性を有する周知されたクラスのイソオキサゾリン誘導体に属し、農業、林業、芝生、家庭、木材製品、苗作物保護、及び獣医学の分野で使用することができる。例えば、このようなイソオキサゾリンは、WO2010/070068及びWO2013/079407(参照により本明細書に援用される)で開示されている。
【0004】
純粋なエナンチオマーの製造には費用及び時間がかかる。別のイソオキサゾリン誘導体であるロチラネルを調製するための方法はWO2014/090918(参照により本明細書に援用される)で説明されており、当該文献において、(S)-エナンチオマーは以下のカルボン酸:
【化2】
を、ジアステレオマー塩の結晶化によって分割し、次いでラセミ化のサイクルを繰り返し、次いでジアステレオマー塩形成をさらに分割することにより、調製される。分割ならびにラセミ化及び分割のサイクルを行う方法は、労力及び費用がかかる。所望の(S)-エナンチオマーを直接形成することが有利である。ある特定の5-アリール-5-トリフルオロメチル-4,5-ジヒドロ-イソオキサゾールのエナンチオマーの直接形成は当技術分野で知られており、これにはUS2014/0206633;US2014/0350261;WO2013/116236;WO2014/081800;Angew,Chem.Int.Ed.2010,49,5762-7566;及びWO2017/176948(これらの各々は参照により本明細書に援用される)で説明されているものが含まれる。
【0005】
本発明は、式(1)の化合物を作製する方法であって、キナアルカロイド指向性の不斉ヒドロキシルアミン/エノンカスケード反応を用いて、費用及び労力がかかる分割及びラセミ化及びさらなる分割のサイクルを回避する、方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】3-メチル-N-[2-オキソ-2-[(2-プロピン-1-イル)アミノ]エチル]-5-[(5S)-5-(3,4,5-トリクロロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4H-イソオキサゾール-3-イル]チオフェン-2-カルボキサミド(下の線)、5S-エナンチオマー参照試料(真ん中の線)、及び5R-エナンチオマー参照試料(上の線)のキラルクロマトグラムを重ねたものを示している。
【
図2】ブランク(下の線)と比較した3-メチル-N-[2-オキソ-2-[(2-プロピン-1-イル)アミノ]エチル]-5-[(5S)-5-(3,4,5-トリクロロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4H-イソオキサゾール-3-イル]チオフェン-2-カルボキサミド(上の線)のHPLC純度を示している。
【
図3】3-メチル-N-[2-オキソ-2-[(2-プロピン-1-イル)アミノ]エチル]-5-[(5S)-5-(3,4,5-トリクロロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4H-イソオキサゾール-3-イル]チオフェン-2-カルボキサミド(下の線)と参照試料(上の線)との間の
1H NMRの比較を示している。
【
図4】3-メチル-N-[2-オキソ-2-[(2-プロピン-1-イル)アミノ]エチル]-5-[(5S)-5-(3,4,5-トリクロロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4H-イソオキサゾール-3-イル]チオフェン-2-カルボキサミドの
1H NMRデータを示している。
【発明の概要】
【0007】
1つの態様において、本発明は、エナンチオマー的に純粋な式(1)の化合物
【化3】
を調製するための方法であって、
(i)式(2)の化合物を、ヒドロキシルアミン
【化4】
(式中、Xは、ハロゲン及び-C(O)OR
4(式中、R
4はC
1~C
4アルキルである)からなる群より選択される)、適切な塩基、及び式(3)の化合物
【化5】
(式中、Y
-はアニオンであり、
R
1は、水素及びメトキシからなる群より選択され、
R
2は、エチル及びビニルからなる群より選択され、
R
3は、アリールであって、任意選択でニトロ、ハロゲン、アミノ、トリフルオロメチル、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシ、及びベンジルオキシからなる群より独立して選択される1~5個の置換基で置換されたアリールと、ヘテロアリールであって、任意選択で、ハロゲン、トリフルオロメチル、C
1~C
4アルキル、及びC
1~C
4アルコキシからなる群より独立して選択される1~3個の置換基で置換されたヘテロアリールとからなる群より選択される)
と反応させて、式(4)の化合物を得るステップ、
【化6】
(ii)式(4)の化合物のXをカルボン酸に変換して、式(5)の化合物を得るステップ、
【化7】
(iii)任意選択で、式(5)の化合物を、C
1~5アルコール、C
2~5アルキルシアニド、C
3~9アルキルケトン、C
2~8アルキルエーテル、及びC
2~8アルキルアセテートからなる群より選択される溶媒と、任意選択で、水及びC
5~8炭化水素からなる群より選択される貧溶媒とを用いて結晶化するステップ、
ならびに
(iv)当該式5の化合物を適切なアミンとカップリングするステップを含み、
当該適切なアミンが、2-アミノ-プロパルギル-アセトアミドであるか、または任意選択でカルボキシル保護されたグリシンを、次に必要な場合は脱保護し、プロパルギルアミンとカップリングさせるという連続的反応から生じるアミンである、方法に関する。
【0008】
本発明は、さらにスキーム1によって説明される。スキーム1において、全ての生成物は、当技術分野で周知されている技法(例えば、抽出、蒸発、トリチュレーション、クロマトグラフィー、及び再結晶)によって単離及び精製することができる。
【化8】
【0009】
スキーム1のステップ1は、式(2)の化合物(式中、Xは、ハロゲン及び-C(O)OR4(式中、R4はC1~C4アルキルである)からなる群より選択される)を、式(3)の化合物の存在下でヒドロキシルアミン及び適切な塩基とともに使用して、エナンチオマー的に純粋な式(4)の化合物を得る、キナアルカロイド指向性の不斉ヒドロキシルアミン/エノンカスケード反応を図示したものである。
【0010】
当業者であれば、式(2)の化合物が幾何異性体として存在することを理解するであろう。式(2)の化合物において、二重結合からCF3基への結合は、このような幾何異性体(E-異性体、Z-異性体、及びこれらの混合物を含む)を示し、本発明は、任意の比率のE-異性体、Z-異性体、及びこれらの混合物の使用を包含する。特に好ましい式(2)の化合物は、Xが、クロロまたはブロモである、さらに好ましくはブロモである化合物である。他の特に好ましい式(2)の化合物は、Xが-C(O)OR4であり、R4がメチル及びエチルの群から選択され、さらに好ましくはメチルである化合物である。特に好ましい式(3)の化合物は、R1がメトキシである化合物である。
【0011】
式(3)の化合物は、典型的には、式(2)の化合物を基準として、典型的には0.001~10のモル比、より典型的には0.01~1のモル比、さらにより典型的には0.05~0.5のモル比で使用される。
【0012】
適切な塩基の例としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化セシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、カリウムt-ブトキシドなどが挙げられる。1つの実施形態において、適切な塩基は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化セシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、カリウムt-ブトキシド、及びこれらの混合物からなる群より選択される。典型的には、式(2)の化合物を基準として、塩基は、1~10のモル比、より典型的には1~5のモル比、さらにより典型的には2~4のモル比で使用される。当然ながら、当業者であれば、ヒドロキシルアミンが塩として使用される場合、さらなる塩基が使用され得ることを理解するであろう。
【0013】
スキーム1のステップ1で図示している反応は、溶媒(例えば、低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール、及びイソプロパノール)、塩素化溶媒(例えば、塩化メチレン及びクロロホルム)、エーテル溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、及びメチル-t-ブチルエーテル、t-アミルメチルエーテル、エチル-t-ブチルエーテル)、芳香族溶媒(例えば、トルエン、クロロベンゼン、及びベンゾトリフルオリド)、またはアルカン溶媒(例えば、ヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン、及びシクロヘキサン)、ならびにこのような溶媒の混合物)中で行われる。反応物に水を加えてもよい。反応は、典型的には-50℃~50℃の温度で、より典型的には-40℃~0℃、より典型的には-40℃~-10℃、さらにより典型的には-30℃~-20℃の温度で行われ、概して1~48時間要する。
【0014】
典型的な式(3)の化合物としては、(R)-[(2S)-1-[(3,5-ビス-トリフルオロメチルフェニル)メチル]-5-ビニル-キヌクリジン-1-イウム-2-イル]-(6-メトキシ-4-キノリル)メタノールブロミド、(R)-[(2S)-1-[(3,5-ビス-トリフルオロメチルフェニル)メチル]-5-ビニル-キヌクリジン-1-イウム-2-イル]-(6-メトキシ-4-キノリル)メタノールクロリド、(R)-[(2S)-1-[(3,5-ビス-トリフルオロメチルフェニル)メチル]-5-ビニル-キヌクリジン-1-イウム-2-イル]-(4-キノリル)メタノールブロミド、(R)-[(2S)-1-[(2,3,5-トリフルオロフェニル)メチル]-5-ビニル-キヌクリジン-1-イウム-2-イル]-(6-メトキシ-4-キノリル)メタノールブロミド、(R)-[(2S)-1-[(3,5-ジ-t-ブチルフェニル)メチル]-5-ビニル-キヌクリジン-1-イウム-2-イル]-(6-メトキシ-4-キノリル)メタノールブロミド、及び(R)-[(2S)-1-[(アントラセン-9-イル)メチル]-5-ビニル-キヌクリジン-1-イウム-2-イル]-(6-メトキシ-4-キノリル)メタノールブロミドが挙げられる。
【0015】
スキーム1のステップ2は、式(4)の化合物のXを式(5)の化合物のカルボン酸に変換するステップを図示したものである。Xがハロゲンである式(4)の化合物は、X位置をグリニャール試薬またはアルキルリチウムとのハロゲン金属交換でメタル化し、メタル化種を、二酸化炭素と、またはカルボン酸に産生することができる試薬と反応させることにより、式(5)の化合物に変換することができる。このような反応は容易に行われ、周知されている。WO2014/090918を参照。Xが-C(O)OR4である式(4)の化合物は、加水分解によって容易に式(5)の化合物に変換される。このような反応は容易に行われ、周知されている。
【0016】
スキーム1のステップ3は、式(5)の化合物を適切なアミン(式(6)の化合物である2-アミノ-プロパルギル-アセトアミド、
【化9】
または任意選択でカルボキシル保護されたグリシンを、次に必要に応じて脱保護し、プロパルギルアミンとカップリングさせるという連続的反応から得られるアミンのいずれか)とカップリングして、式(1)の化合物を得るステップを示している。
【0017】
カルボン酸または活性化カルボン酸誘導体(例えば、酸ハロゲン化物)をアミンとこのようにカップリング反応させてアミドを生成するステップは、当技術分野で周知されている。カルボキシル保護されたグリシンの使用、脱保護、及びプロパルギルアミンとのアミドカップリングも同様に容易に達成される。WO2010/070068及びWO2014/090918を参照。
【0018】
本明細書で使用する場合、「エナンチオマー的に純粋な」という用語は、90%超(すなわち、80%以上のエナンチオマー過剰率(すなわち、e.e.))で存在する(S)-エナンチオマーを指す。1つの実施形態において、「エナンチオマー的に純粋な」という用語は、92%超(すなわち、84%以上のe.e.)で存在する(S)-エナンチオマーを指す。1つの実施形態において、「エナンチオマー的に純粋な」という用語は、94%超(すなわち、88%以上のe.e.)で存在する(S)-エナンチオマーを指す。1つの実施形態において、「エナンチオマー的に純粋な」という用語は、95%超(すなわち、90%以上のe.e.)で存在する(S)-エナンチオマーを指す。1つの実施形態において、「エナンチオマー的に純粋な」という用語は、96%超(すなわち、92%以上のe.e.)で存在する(S)-エナンチオマーを指す。1つの実施形態において、「エナンチオマー的に純粋な」という用語は、97%超(すなわち、94%以上のe.e.)で存在する(S)-エナンチオマーを指す。1つの実施形態において、「エナンチオマー的に純粋な」という用語は、98%超(すなわち、96%以上のe.e.)で存在する(S)-エナンチオマーを指す。1つの実施形態において、「エナンチオマー的に純粋な」という用語は、99%超(すなわち、98%以上のe.e.)で存在する(S)-エナンチオマーを指す。1つの実施形態において、「エナンチオマー的に純粋な」という用語は、99.8%超(すなわち、99.6%以上のe.e.)で存在する(S)-エナンチオマーを指す。
【0019】
貧溶媒の使用が有利であり得る。この文脈で使用する場合、「貧溶媒」とは、式(5)の化合物の溶解度が、選択溶媒よりも著しく低い溶媒を指す。貧溶媒が使用される場合、貧溶媒は選択溶媒と混和することが好ましい。
【0020】
また、本発明は、エナンチオマー的に純粋な式(1)のイソオキサゾリン化合物を作製するための方法であって、式(5)の化合物のエナンチオマー純度を改善することを特徴とし、C1~5アルコール/水からの結晶化を含む、方法も提供する。好ましい実施形態において、C1~5アルコール:水の比は約9:1(v/v)である。好ましい実施形態において、C1~5アルコールはイソプロパノールである。さらに好ましい実施形態において、C1~5アルコールはイソプロパノールであり、イソプロパノール:水の比は9:1(v/v)である。
【0021】
また、本発明は、エナンチオマー的に純粋な式(1)の化合物を作製するための方法であって、式(5)の化合物のエナンチオマー純度を改善することを特徴とし、C3~9アルキルケトン/水からの結晶化を含む、方法も提供する。好ましい実施形態において、C3~9アルキルケトン:水の比は約9:1(v/v)である。好ましい実施形態において、C3~9アルキルケトンはアセトンである。さらに好ましい実施形態において、C3~9アルキルケトンはアセトンであり、アセトン:水の比は9:1(v/v)である。
【0022】
好ましい貧溶媒は、C5~8炭化水素及び水である。特定的には、好ましい貧溶媒は、水、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、及びメチルシクロヘキサンからなる群より選択される。特に好ましい貧溶媒はメチルシクロヘキサンである。選択溶媒:貧溶媒の比は決定的なものではなく、典型的には2:1~1:6(v/v)の範囲である。
【0023】
また、本発明は、エナンチオマー的に純粋な式(1)のイソオキサゾリン化合物を作製するための方法であって、式(5)の化合物のエナンチオマー純度を改善することを特徴とし、C1~5アルコール及びC5~8炭化水素からの結晶化を含む、方法も提供する。好ましい実施形態において、C1~5アルコールは、エタノール及びイソプロパノールからなる群より選択される。
【0024】
また、本発明は、エナンチオマー的に純粋な式(1)のイソオキサゾリン化合物を作製するための方法であって、式(5)の化合物のエナンチオマー純度を改善することを特徴とし、C2~8アルキルエーテル及びC5~8炭化水素からの結晶化を含む、方法も提供する。好ましい実施形態において、C2~8アルキルエーテルは、テトラヒドロフラン及び2-メチルテトラヒドロフランからなる群より選択される。
【0025】
また、本発明は、エナンチオマー的に純粋な式(1)のイソオキサゾリン化合物を作製するための方法であって、式(5)の化合物のエナンチオマー純度を改善することを特徴とし、C2~8アルキルアセテート及びC5~8炭化水素からの結晶化を含む、方法も提供する。好ましい実施形態において、C2~8アルキルアセテートは、酢酸エチル及び酢酸イソプロピルからなる群より選択される。
【0026】
また、本発明は、エナンチオマー的に純粋な式(1)のイソオキサゾリン化合物を作製するための方法であって、式(5)の化合物のエナンチオマー純度を改善することを特徴とし、C3~9アルキルケトン及びC5~8炭化水素からの結晶化を含む、方法も提供する。好ましい実施形態において、C3~9アルキルケトンは、アセトン及びメチルエチルケトンからなる群より選択される。
【0027】
本明細書で使用する場合、「ハロゲン」という用語は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子を指す。特定的には、「ハロゲン」という用語は、フッ素原子、塩素原子、及び臭素原子を指す。さらに特定的には、「ハロゲン」という用語は、塩素原子及び臭素原子を指す。
【0028】
Y-に関連する「アニオン」という用語は、負に帯電した有機または無機の基を指す。例えば、Y-は、トシレート、ブロシレート、メシレート、ノシレート、トリフレート、アセテートなどであってもよく、またはハロゲン化物、硫酸、リン酸、水酸化物、四フッ化ホウ素などであってもよい。1つの実施形態において、Y-はハロゲン化物である。1つの実施形態において、Y-は塩化物または臭化物である。
【0029】
「アリール」という用語は、フェニル、ナフチル、アントラセニルなどを指す。1つの実施形態において、「アリール」はフェニルである。1つの実施形態において、「アリール」は、アントラセン-9-イルである。
【0030】
「ヘテロアリール」という用語は、窒素、酸素、及び硫黄からなる群より選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む完全不飽和環を指し、これにはピリジル、ピリミジル、ピラジニル、インドリル、キノリニル、アクリジニルなどが含まれる。
【0031】
「C1~C4アルキル」とは、1~4個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状鎖のアルキル基を指す。
【0032】
「C1~C4アルコキシ」という用語は、酸素原子を介して結合したC1~C4アルキル基を指す。
【0033】
「約」という用語は、測定可能な数値的変数に関して使用される場合、変数の指示値、及び指示値の実験誤差内または指示値の±10%以内のいずれか大きい方の全ての変数の値を指す。
【0034】
「C1~5アルコール」という用語は、1~5個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状のアルカノールを指し、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソ-プロパノール、1-ブタノール、1,3-プロパンジオールなどがある。
【0035】
「C2~5アルキルシアニド」という用語は、合計2~5個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状のアルキルシアニドを指し、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル(proprionitrile)、及びブチロニトリルがある。
【0036】
「C3~9アルキルケトン」という用語は、オキソ基を有し、合計3~9個の炭素原子を有する直鎖状、分枝状、または環状のアルキル基を指し、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、及びシクロヘキサノンがある。
【0037】
「C2~8アルキルエーテル」という用語は、合計2~8個の炭素原子を有する直鎖状、分枝状、または環状のアルキルエーテルを指し、例えば、ジエチルエーテル、メチルt-ブチルエーテル、t-アミルメチルエーテル、エチルt-ブチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルTHF、ジオキサンなどがある。
【0038】
「C3~8アルキルアセテート」という用語は、合計3~8個の炭素原子を有する酢酸の直鎖状または分枝状のアルキルエステルを指し、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどがある。
【0039】
「C5~8炭化水素」という用語は、直鎖状、分枝状、または環状の飽和アルキル炭化水素を指し、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどがある。
【0040】
「結晶化する」、「結晶化すること」、及び「結晶化」という用語は、完全な溶解に続く完全な溶解を伴わない沈殿及びスラリープロセスを指すものと理解されたい。スラリープロセスには、完全な溶解後の沈殿に続く撹拌の継続を包含するプロセスが含まれる。
【0041】
式(1)の化合物は、当技術分野では有害生物の駆除に使用するための有益な活性成分として知られている(WO2016/077158)。「有害生物」という用語には、動物の体表及び体内ならびに衛生分野における内部寄生虫、好ましくは外部寄生虫が含まれる。外部寄生虫とは、特定的には昆虫、ダニ類(マダニ(tick)及びコダニ(mite))、ならびに魚類寄生性甲殻類(ウオジラミ)であるものと理解されたい。特定的な有害生物としては、ノミ、マダニ、コダニ、ハエ、蠕虫、シラミ、及び甲殻類がある。さらにより特定的な有害生物としては、ノミ、ダニ、シラミ、及びウオジラミがある。
【0042】
本明細書で記述する動物とは、脊椎動物を含むものと理解されたい。この文脈における脊椎動物という用語は、例えば、魚類、両生類、爬虫類、鳥類、及びヒトを含む哺乳類を指すものと理解されたい。本発明に従う脊椎動物の好ましい一群は温血動物を含み、これにはウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、及びヤギなどの家畜、ニワトリ、シチメンチョウ、ホロホロチョウ、及びガチョウなどの家禽、ミンク、キツネ、チンチラ、ウサギなどの毛皮を有する動物、ならびにフェレット、モルモット、ラット、ハムスター、ネコ、及びイヌなどのコンパニオンアニマル、そしてヒトも含まれる。本発明に従う好ましい脊椎動物のさらなる一群は魚類を含み、これにはサケ科、例えば、サケ、マス、またはホワイトフィッシュが含まれる。
【0043】
式(1)の化合物は単独で、または組成物の形態で投与することができる。実際には、化合物は通常、組成物の形態で、すなわち、少なくとも1つの許容される賦形剤と混和して投与される。任意の許容される賦形剤の割合及び性質は、治療対象となる障害または状態、及び他の関連する状況、選択した投与経路、ならびに獣医学及び製薬の分野におけるような標準的なやり方によって決定される。
【0044】
本発明を、以下の実施例によってさらに例示する。この実施例は例示が意図されているに過ぎず、いかなる形においても本発明を限定することは意図されていない。
【0045】
実施例1
(5S)-3-(5-ブロモ-4-メチル-2-チエニル)-5-(3,4,5-トリクロロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4H-イソオキサゾール
【化10】
(Z/E)-1-(5-ブロモ-4-メチル-2-チエニル)-4,4,4-トリフルオロ-3-(3,4,5-トリクロロフェニル)ブタ-2-エン-1-オン(1.0g、2.1mmol)及び(R)-[(2S)-1-[[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル]-5-ビニル-キヌクリジン-1-イウム-2-イル]-(6-メトキシ-4-キノリル)メタノールブロミド(135mg、0.2138mmol、0.1当量)を窒素下のジクロロメタン(100mL)中で合わせた。溶液を-15℃~-10℃の範囲で冷却し、ヒドロキシルアミンの水中溶液(386μL、6.25mmol、16.2mol/L、3.0当量)及び水酸化ナトリウム(0.70mL、7.0mmol、10M、3.3当量)を、内部温度を-10℃に維持しながら、反応混合物にゆっくり加えた。-10℃で7時間撹拌した後、冷却装置を停止し、反応物を室温で一晩撹拌し続けて反応を完了した。キラルHPLCは90.3%のS-異性体及び9.7%のR-異性体を示した。反応混合物を丸底フラスコに移し、減圧下室温で濃縮して固体を得た。固体を酢酸エチル(3mL)に溶解し、シリカゲルを用いた自動化フラッシュクロマトグラフィーにより、EtOAc:ヘキサン(1:1)で溶出することによって精製した。生成物を含む画分から溶媒を減圧下40℃で除去して、薄黄色の固体を得た(0.833g、81%)。
【0046】
実施例2
(5S)-3-(5-ブロモ-4-メチル-2-チエニル)-5-(3,4,5-トリクロロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4H-イソオキサゾール
【化11】
(Z/E)1-(5-ブロモ-4-メチル-2-チエニル)-4,4,4-トリフルオロ-3-(3,4,5-トリクロロフェニル)ブタ-2-エン-1-オン(10.0g、20.9mmol)及び(R)-[(2S)-1-[[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル]-5-ビニル-キヌクリジン-1-イウム-2-イル]-(6-メトキシ-4-キノリル)メタノールブロミド(2.14mmol、0.1当量)を窒素下のジクロロメタン(250mL)中で合わせた。溶液を-10℃~-15℃の範囲に冷却し、ヒドロキシルアミンの水中溶液(3.9mL、63.2mmol、16.2mol/L、3.0当量)及び水酸化ナトリウム(7.0mL、70mmol、10M、3.3当量)を、内部温度を-10℃~-15℃に維持しながら、ゆっくり加えた。-15℃~-10℃で18時間撹拌した後、今度は反応混合物を丸底フラスコに移し、減圧下室温で濃縮して固体を得た。次いで固体を50℃でエタノール(90mL)に溶解し、50℃(水浴)で30分間撹拌し、次いで水(300mL)を撹拌しながらゆっくり滴加して、懸濁液を得た。懸濁液を濾過し、再結晶を1回繰り返して易流動性の固体を得た。固体を25~30℃の真空オーブン内で乾燥して、10.34gの生成物を得た。固体をキラルHPLCによって評価し、91.0%のS-異性体及び9.0%のR-異性体が示された。
【0047】
実施例3a
(5S)-3-(5-ブロモ-4-メチル-2-チエニル)-5-(3,4,5-トリクロロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4H-イソオキサゾール
【化12】
(Z/E)1-(5-ブロモ-4-メチル-2-チエニル)-4,4,4-トリフルオロ-3-(3,4,5-トリクロロフェニル)ブタ-2-エン-1-オン(50.0g、104.5mmol)及び(R)-[(2S)-1-[[3,5-ビス(tert-ブチル)フェニル]メチル]-5-ビニル-キヌクリジン-1-イウム-2-イル]-(6-メトキシ-4-キノリル)メタノールブロミド(0.11当量)をジクロロメタン(100mL)及びエチルt-ブチルエーテル(400mL)中で合わせた。反応混合物を30℃で30分間撹拌し、次いで-20℃の範囲に冷却し、ヒドロキシルアミンの水中溶液(50%、40mL、313mmol、3.0当量)及び水酸化ナトリウム(34.5mL、345mmol、10M、3.3当量)を、内部温度を-15℃~-20℃に維持しながら、ゆっくり加えた。-15℃~-20℃で18時間撹拌した後、塩酸水溶液(1N、500mL)を加え、反応混合物を15℃~20℃で撹拌し、次いで撹拌を停止し、30分後に相を分離した。有機層を塩酸水溶液(1N、75mL)で抽出し、層を分離し、有機層を再び塩酸水溶液(1N、100mL)で抽出した。有機層を分離し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(75mL)で抽出し、層を分離し、再び有機層を飽和重炭酸ナトリウム水溶液(100mL)で抽出した。層を分離し、有機層を硫酸ナトリウム(10g)で乾燥した。有機層を濾過し、ケーキをエチルt-ブチルエーテル(50mL)で洗浄し、次いでモンモリロナイト粘土(50g)を加え、混合物を10℃~20℃で撹拌した。2時間後、反応混合物を濾過し、ケーキをエチルt-ブチルエーテル(50mL)ですすぎ、濾液を約100mLに濃縮し、THFを2回加え、再び約100mLに濃縮し、次いでTHF(150mL)を加えて、表題化合物をTHF中溶液として得た。溶液をキラルHPLCによって評価し、96.5%のS-異性体及び3.5%のR-異性体が示された。
【0048】
実施例3b
3-メチル-5-[(5S)-5-(3,4,5-トリクロロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4H-イソオキサゾール-3-イル]チオフェン-2-カルボン酸
【化13】
(5S)-3-(5-ブロモ-4-メチル-2-チエニル)-5-(3,4,5-トリクロロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4H-イソオキサゾールのTHF中22%溶液(185.0g、374.8mmol)を0℃~5℃に冷却した。エチルマグネシウムクロリドのTHF中溶液(2M、300mL、1.6当量)を、内部温度を10℃未満に維持しながら滴加した。反応混合物を15℃~20℃で2~4時間撹拌した。次いで、濃硫酸(50mL)を通した後、二酸化炭素ガス(58g、3.5当量)を0℃~5℃で表面下に導入した。反応混合物を0℃~5℃で2時間撹拌し、8%塩化ナトリウム水溶液(601g)を10℃未満で滴加し、続いて37%塩酸水溶液(92.5g)を0℃未満で加えて表題化合物を得た。
【0049】
実施例4a
(5S)-3-(5-ブロモ-4-メチル-2-チエニル)-5-(3,4,5-トリクロロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4H-イソオキサゾール
【化14】
およそ-30℃に冷却したブテノンブロモチオフェン(658g)、(R)-[(2S)-1-[(3,5-ジ-t-ブチルフェニル)メチル]-5-ビニル-キヌクリジン-1-イウム-2-イル]-(6-メトキシ-4-キノリル)メタノールブロミド(57g)、ジクロロメタン(1120g)、及びメチルtert-ブチルエーテル(MTBE)(2586g)の混合物に、ヒドロキシルアミン塩酸塩(261g)の水(333g、0℃に予冷)中溶液を-30℃で加え、続いて水酸化ナトリウム水溶液(32%、548g)を同じく-30℃で加えた。反応混合物を-30℃で数時間、変換が完了するまで撹拌した。反応混合物を0~5℃に加温し、塩酸(37%、286g)、エタノール(468g)、及び水(600g)からなるクエンチ溶液に移した。混合物を40℃に加温し、pH=5~6であることを確認し、相を分離した。有機層を減圧下で濃縮し、蒸留液を新鮮なメチルtert-ブチルエーテル(2サイクル、各1777g)と交換した。続いて混合物を短時間加熱還流し、次いで-10℃に冷却して触媒の沈殿を誘発した。得られた懸濁液を濾過し、任意選択で、塩酸(37%、240g)、塩化ナトリウム(240g)、及び水(1080g)の溶液により抽出し、任意選択で、漂白土の濾床により濾過した。濾液を飽和重炭酸溶液(1200g)で洗浄し、有機層を、生成物(S)-イソオキサゾールブロモチオフェンを含むMTBE溶液として保存した。
【0050】
実施例4b
3-メチル-5-[(5S)-5-(3,4,5-トリクロロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4H-イソオキサゾール-3-イル]チオフェン-2-カルボン酸
【化15】
実施例4a(MTBE中の(5S)-3-(5-ブロモ-4-メチル-2-チエニル)-5-(3,4,5-トリクロロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4H-イソオキサゾール)から生成した反応混合物を反応器に投入し、濃縮した。蒸留液を新鮮なTHFと交換した(2サイクル、各2136g)。エチルマグネシウムクロリド(テトラヒドロフラン中約25%、933g)を、それを-10℃に冷却した後に加えた。反応(HPLC)の完了後、二酸化炭素ガス(236g)を、内部温度-1℃で可能な限り迅速に表面下に速く加えた。反応混合物を内部温度0℃で撹拌した。反応(HPLC)の完了後、反応混合物を、塩化ナトリウム(110g)、水(2235g)、及び37%塩酸(283g)を含む混合物に周囲温度でゆっくり加えることにより、クエンチした。混合及び沈殿後、相を分離した。有機層を濃縮し、蒸留液を新鮮なアセトニトリルと交換した(2サイクル、各1915g)。反応混合物を短時間加温して透明な溶液を得た後、これを-10℃に冷却し、生成物を遠心分離によって単離し、予め冷却したアセトニトリル(460g)で洗浄した。湿った(S)-イソオキサゾルチオフェンカルボン酸を真空乾燥機内で50℃、100mbar以下で乾燥した。乾燥収量は理論収量の82%であった。純度:100%、キラル純度:99.8a%。
【0051】
実施例4c
3-メチル-N-[2-オキソ-2-[(2-プロピン-1-イル)アミノ]エチル]-5-[(5S)-5-(3,4,5-トリクロロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4H-イソオキサゾール-3-イル]チオフェン-2-カルボキサミド
【化16】
乾燥したS-イソオキサゾルチオフェンカルボン酸(実施例4bからのもの、10g)及びトルエン(125g)を反応器に投入し、混合物を110℃に加熱した。塩化チオニル(7.0g)を反応混合物にゆっくりと加えた。反応の完了後、トルエンを真空中NMT 50℃で留去し、残渣を新鮮なジクロロメタン(82.5g)で希釈した。
別の反応器内で、2-アミノ-プロパルギル-アセトアミドHCl(3.4g)をジクロロメタン(100g)に懸濁し、トリエチルアミン(6.9g)を周囲温度で加えた。得られた混合物を0℃に冷却し、ジクロロメタン中の塩化アシル反応混合物を0℃で45分かけて加えた。合わせた反応混合物を0℃でさらに1~8時間撹拌し、IPCによって変換を確認した。
【0052】
十分に変換したら(IPC)、混合物を1M塩酸(37% HCl(4.8g)及び水(38.7g)の混合物)で抽出し、続いて飽和炭酸水素ナトリウム溶液(炭酸水素ナトリウム4.2g、水48g)で、最後に水(52.5g)で抽出した。
有機層の大部分を真空中40℃で除去し、メチルtert-ブチルエーテル(23.8g)を加えた。混合物を25℃で撹拌し、ヘプタン(47.6g)をゆっくりと加えて生成物を沈殿させた。生成物(3-メチル-N-[2-オキソ-2-[(2-プロピン-1-イル)アミノ]エチル]-5-[(5S)-5-(3,4,5-トリクロロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4H-イソオキサゾール-3-イル]チオフェン-2-カルボキサミド)を濾過により単離し、メチルtert-ブチルエーテル(4.3g)及びヘプタン(20.7g)の混合物で洗浄した。生成物を真空中45℃で乾燥した。必要に応じて生成物の結晶化を実施してもよい。収率:11.2g。純度:>98.7%、キラル純度>99.87%。1HNMRは真正の試料と一致した。
【0053】
生成物のエナンチオマー純度を、キラルカラム(Daicel Chiralpak AS-3R、150×4.6mm、3μm)を備えたHPLCにより定量した。保持時間(以下の表1を参照)は、各場合において、水/アセトニトリル55:45(v/v)の混合物を含む溶媒系の使用に関するものである。溶出剤を均一濃度モードにおいて1.5ml/分の流量で用いた。
図1は、3-メチル-N-[2-オキソ-2-[(2-プロピン-1-イル)アミノ]エチル]-5-[(5S)-5-(3,4,5-トリクロロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4H-イソオキサゾール-3-イル]チオフェン-2-カルボキサミド生成物(下の線)のキラルクロマトグラムを重ねたものを示している。真ん中の線は、3-メチル-N-[2-オキソ-2-[(2-プロピン-1-イル)アミノ]エチル]-5-[(5S)-5-(3,4,5-トリクロロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4H-イソオキサゾール-3-イル]チオフェン-2-カルボキサミドの参照試料(すなわち、エナンチオマー的に純粋なもの)のクロマトグラムを示している。上の線は、3-メチル-N-[2-オキソ-2-[(2-プロピン-1-イル)アミノ]エチル]-5-[(5R)-5-(3,4,5-トリクロロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4H-イソオキサゾール-3-イル]チオフェン-2-カルボキサミドの参照試料(すなわち、エナンチオマー的に純粋なもの)のクロマトグラムを示す。
図1におけるピーク結果を以下の表1に示す。
【表1】
【0054】
図2は、ブランク(下の線)と比べた実施例4cの生成物(上の線)のHPLC純度を示している。
図2における生成物のピーク結果を以下の表2に示す。
【表2】
【0055】
図3は、実施例4cの生成物(下線)とAPI参照試料(上線)との間の
1H NMR比較を示している。
【0056】
図4は、実施例4cの生成物における
1H NMRデータである。
【0057】
実施例5
3-メチル-5-[(5S)-5-(3,4,5-トリクロロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4H-イソオキサゾール-3-イル]チオフェン-2-カルボン酸
【化17】
(5S)-3-(5-ブロモ-4-メチル-2-チエニル)-5-(3,4,5-トリクロロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4H-イソオキサゾールのTHF中22%溶液(185.0g、374.8mmol)を0℃~5℃に冷却した。エチルマグネシウムクロリドのTHF中溶液(2M、300mL、1.6当量)を、内部温度を10℃未満に維持しながら滴加した。反応混合物を15℃~20℃で2~4時間撹拌した。次いで、濃硫酸(50mL)を通した後、二酸化炭素ガス(58g、3.5当量)を0℃~5℃で表面下に導入した。反応混合物を0℃~5℃で2時間撹拌し、8%塩化ナトリウム水溶液(601g)を10℃未満で滴加し、続いて37%塩酸水溶液(92.5g)を0℃未満で加えた。
【0058】
反応混合物を10℃~15℃で30分間撹拌し、次いで撹拌を停止し、30分後相を分離した。有機層を真空下で約370mLまで濃縮し、続いてTHF(1850mL)の添加及び真空下での濃縮を3回繰り返し、約370mL~555mLに濃縮した。反応混合物が乾燥していることを確認した後、アセトニトリル(925mL)の後に約555mL~740mLに真空濃縮するサイクルを3回実施した。反応混合物を75℃に加熱し、1時間かけて徐々に50℃に冷却した。製品シード(1.85g)を50℃で加え、反応混合物を50℃で30分間撹拌した。バッチを3時間かけて徐々に-10℃に冷却し、-10℃で2時間維持した。バッチを濾過し、ケーキを冷アセトニトリル(93~185mL)で洗浄した。ウェットケーキを真空下50℃で12時間乾燥した後、110gの表題化合物を得た。生成物をキラルHPLCによって評価し、99.9%超のS-異性体が示された。
【0059】
上記の製品シードは以下のように調製した。(5S)-3-(5-ブロモ-4-メチル-2-チエニル)-5-(3,4,5-トリクロロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4H-イソオキサゾールの300mLのTHF中溶液(48.93g、99.1mmol)を0℃~5℃に冷却した。エチルマグネシウムクロリドのTHF中溶液(2M、80mL)を、内部温度を10℃未満に維持しながら滴加した。反応混合物を15℃~20℃で2~4時間撹拌した。次いで、濃硫酸(50mL)を通した後、二酸化炭素ガス(25g、3.5当量)を0℃~5℃で表面下に導入した。反応混合物を0℃~5℃で6時間撹拌し、5%塩化ナトリウム水溶液(157g)を10℃未満で滴加し、続いて37%塩酸水溶液(25g)を0℃未満で滴加した。反応混合物を10℃~15℃で30分間撹拌し、次いで撹拌を停止し、30分後に相を分離した。有機層を濃縮して溶媒を除去した。50mlのヘプタンを混合物に加え、次いで溶媒を除去した。粗生成物を50mLのEA及び100mLのヘプタンに40℃で溶解した。さらなる1000mLのヘプタンを滴下により混合物にゆっくり投入した。次いで混合物を40℃で15時間撹拌した。混合物を濾過し、ウェットケーキを得た。ウェットケーキをアセトンによって20℃でスラリー化した。混合物を濾過し、ウェットケーキを真空下50℃で3時間乾燥して、9.7gの生成物を得た。生成物をキラルHPLCによって評価し、99.9%超のS-異性体が示された。
実施例6
3-メチル-5-[(5S)-5-(3,4,5-トリクロロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4H-イソオキサゾール-3-イル]チオフェン-2-カルボン酸
【化18】
【0060】
2-ブロモ-3-メチル-5-アセチルチオフェン(20g)、p-トルエンスルホン酸一水和物(2.3g)、及びエチレングリコール(11.3g)をトルエン(120mL)中で合わせ、115℃で12時間、撹拌しながら加熱するとともに、Dean-Starkトラップで水を収集した。次いで反応混合物を冷却し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(40mL)でクエンチした。有機層を分離し、水(40mL)で2回洗浄し、真空下60℃で濃縮して、2-(5-ブロモ-4-メチル-2-チエニル)-2-メチル-1,3-ジオキソランを得た。
【0061】
2-(5-ブロモ-4-メチル-2-チエニル)-2-メチル-1,3-ジオキサン(25.2g)及びTHF(50mL)を合わせ、氷/水浴中で冷却した。撹拌しながらTHF中のエチルマグネシウムクロリド(2.0M、75mL)を加え、その間温度を氷/水浴で10℃~30℃に維持した。次いで反応混合物を周囲温度に加温した。90分後、反応混合物を氷/水浴で0℃~5℃に冷却し、二酸化炭素ガスを5℃~14℃で30分間、反応物の表面下にバブリングさせた。反応混合物を周囲温度に加温し、一晩撹拌した。反応混合物を0℃~10℃に冷却し、75mLの飽和ブライン水溶液を10℃~35℃で加えた。次いでpHを37%HCl水溶液で約1に調整した。酢酸エチル(50mL)及び水(25mL)を加え、反応混合物を撹拌した。水層を分離し、有機層を飽和ブライン水溶液(3×50mL)で洗浄した。洗浄した有機層を真空下40℃で濃縮して、3-メチル-5-(2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)チオフェン-2-カルボン酸(19.2g)を赤色の油状生成物(周囲温度で保存中に凝固)として得た。MS:ESI+228.96;ESI-:226.98。
【0062】
3-メチル-5-(2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)チオフェン-2-カルボン酸(19.2g)、炭酸カリウム(24.9g)、及び60mLのジメチルホルムアミド(DMF)を合わせた。反応混合物を氷/水浴で0~5℃に冷却し、次いでヨウ化メチル(13.1mL)を、温度を0~5℃で維持しながら滴加した。反応混合物を周囲温度で1時間撹拌した後、0℃~10℃に冷却し、水(180mL)及び酢酸エチル(180mL)でクエンチした。水層を分離し、有機層を水(2×60mL)及びブライン水溶液(60mL)で洗浄した。次いで有機層を真空下40℃で蒸発させて、メチル3-メチル-5-(2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)チオフェン-2-カルボキシレート(21.3g)を赤色の油状生成物として得た。MS:ESI+243.00。
【0063】
p-トルエンスルホン酸一水和物(1.7g)、メチル3-メチル-5-(2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)チオフェン-2-カルボキシレート(21.3g)、アセトン(140mL)、及び水(14mL)を合わせ、35℃で2時間撹拌し、次いで20℃に冷却した。次いで重炭酸ナトリウム(1.5g)を加え、反応混合物を20℃で10分間撹拌した。次いで、混合物を真空下40℃で濃縮して残渣を得た。残渣を200mLの酢酸エチルで溶解し、水(50mL)で洗浄した。層を分離し、有機層を水(2×50mL)で洗浄した。有機層を真空下40℃で濃縮して残渣を得、これをn-ヘプタン中MTBE(0~15%v/v)の混合物を用いたフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、メチル5-アセチル-3-メチルチオフェン-2-カルボキシレート(4.9g)を得た。1H NMR(500MHz,CDCl3)δ ppm 2.51(d,J=5.87Hz,6H)3.85(s,3H)7.43(s,1H).13C NMR(126MHz,CDCl3)δ ppm 15.85(s,1C)26.80(s,1C)52.06(s,1C)76.74(s,1C)77.00(s,1C)77.26(s,1C)132.65(s,1C)135.25(s,1C)145.37(s,1C)146.02(s,1C)162.57(s,1C)190.78(s,1C).
【0064】
メチル5-アセチル-3-メチル-チオフェン-2-カルボキシレート(4.1g)、2,2,2-トリフルオロ-1-(3,4,5-トリクロロフェニル)エタノン(5.74g)、トリエチルアミン(8.4mL)、及びMTBE(41mL)を合わせ、反応混合物を約57℃で加熱した。3時間後、反応混合物を周囲温度に冷却し、12時間撹拌した。次いで反応混合物を0~5℃に冷却し、塩化チオニル(2.3mL)を、温度を0~10℃に維持しながら滴加した。次いで反応混合物を周囲温度に加温し、一晩撹拌した。次いで混合物をMTBE(45mL)で希釈し、0~5℃に冷却した。飽和重炭酸ナトリウム水溶液(45mL)及び水(45mL)の混合物を滴加した。次いで反応混合物を酢酸エチル(60mL)と合わせ、層を分離した。水層を酢酸エチル(41mL)で抽出し、有機層を合わせ、ブライン水溶液(2×40mL)で洗浄した。次いで、有機層を真空下30℃~40℃で蒸発させて残渣を得た。残渣をエタノール(50mL)に懸濁し、1時間撹拌し、次いで0℃~5℃に冷却した。撹拌しながら水(50mL)を0℃~5℃で滴加し、混合物を3時間撹拌して固体を得た。固体を濾過によって収集し、予め冷却した1:3エタノール/水混合液(2×10mL)で洗浄し、真空下35℃~40℃で乾燥して、メチル3-メチル-5-[(E/Z)-4,4,4-トリフルオロ-3-(3,4,5-トリクロロフェニル)ブタ-2-エノイル]チオフェン-2-カルボキシレート(8.43g)を褐色の固体として得た。E/Z比:77:23(1H NMRによる)。
【0065】
メチル3-メチル-5-[(E/Z)-4,4,4-トリフルオロ-3-(3,4,5-トリクロロフェニル)ブタ-2-エノイル]チオフェン-2-カルボキシレート(500mg)、(R)-[(2S)-1-[[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル]-5-ビニル-キヌクリジン-1-イウム-2-イル]-(6-メトキシ-4-キノリル)メタノールブロミド(69mg)、及びDCM(50mL)を合わせ、-10~-15℃に冷却した。予め冷却した水酸化ナトリウム水溶液(10N、0.33mL)及びヒドロキシルアミン水溶液(50%、0.223mL)の混合物を、温度を-10℃~-15℃で維持しながらシリンジを介し滴加した。5時間後、塩酸水溶液(2N、25mL)をゆっくり加え、次いで反応混合物を10℃~15℃に加温した。次いで層を分離し、有機層を水(2回、25mL)で洗浄し、真空下50℃で蒸発させて、メチル3-メチル-5-[(5S)-5-(3,4,5-トリクロロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4H-イソオキサゾール-3-イル]チオフェン-2-カルボキシレート(640mg)を得、これをさらなる精製なしで次のステップに使用した。
【0066】
メチル3-メチル-5-[(5S)-5-(3,4,5-トリクロロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4H-イソオキサゾール-3-イル]チオフェン-2-カルボキシレート(640mg)をTHF(5mL)と連続的に2回合わせ、蒸発させて残渣を得、これをTHF(4.2mL)、水(1.6mL)、及び水酸化ナトリウム水溶液(10N、0.22mL)と合わせた。次いで反応混合物を撹拌しながら60℃に加熱した。4時間後、反応混合物をほぼ乾燥状態まで蒸発させて残渣を得、これを酢酸エチル(50mL)及び塩酸水溶液(0.5N HCl、25mL)に分割した。層を分離し、有機層を水(2×25mL)で洗浄し、真空下50℃で蒸発させて残渣を得た。残渣をトルエン(5mL)と合わせ、次いで真空下60℃で蒸発させて、表題化合物を泡状固体として得た(450mg)。S/R比:89:11。1H NMR(500MHz,CDCl3)δ ppm 2.53-2.60(m,3H)3.63-3.73(m,1H)4.03-4.12(m,1H)7.12-7.14(m,1H)7.60-7.65(m,2H).
【0067】
実施例7
メチル3-メチル-5-[(5S)-5-(3,4,5-トリクロロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4H-イソオキサゾール-3-イル]チオフェン-2-カルボキシレート
【化19】
3-メチル-2-チオフェンカルボン酸(2.5g)及びTHF(5mL)を周囲温度で合わせ、次いで2,2,6,6-テトラメチルピペリジニルマグネシウムクロリド-塩化リチウム錯体(50mL、THF中0.94M)を、温度を45℃未満で制御しながら、15分かけてシリンジを介し加えた。反応混合物を25℃で1時間撹拌し、次いでN-メトキシ-N-メチルアセトアミド(5.0mL)を、温度を40℃未満で制御しながら、シリンジを介し加えた。周囲温度で約90分間撹拌した後、反応混合物を0~5℃に冷却し、塩酸水溶液(2M、100mL)を、温度を45℃未満で制御しながら加えた。MTBE(100mL)を加え、層を分離し、水層をMTBE(50mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン水溶液(2×25mL)で洗浄し、真空下45℃で蒸発させて、5-アセチル-3-メチル-チオフェン-2-カルボン酸(4.8g)を黄色の固体として得た。
【0068】
5-アセチル-3-メチル-チオフェン-2-カルボン酸(4.8g)を炭酸カリウム(3.0当量)及びDMF(30mL)と合わせ、次いでヨウ化メチル(2.5当量)を滴加した。45分後、水(90mL)及びMTBE(120mL)を撹拌しながら加え、次いで層を分離し、水層をMTBE(60mL)で抽出した。合わせた有機層を水(2×30mL)で洗浄し、次いで真空下55℃で蒸発させて、メチル5-アセチル-3-メチル-チオフェン-2-カルボキシレート(4.5g)を得た。
【0069】
メチル5-アセチル-3-メチル-チオフェン-2-カルボキシレート(4.5g)、2,2,2-トリフルオロ-1-(3,4,5-トリクロロフェニル)エタノン(3.66g)、トリエチルアミン(2.9mL)、及びMTBE(30mL)を合わせ、反応混合物を約60℃で加熱した。6.5時間後、さらなるトリエチルアミン(2.0mL)を加え、加熱を60℃で3時間継続した。反応混合物を0℃~5℃に冷却し、温度を12℃未満で維持しながら塩化チオニル(1.7mL)を滴加した。次いで反応混合物を周囲温度に加温し、1時間撹拌した後、MTBE(30mL)で希釈し、次いで10℃に冷却し、続いて飽和重炭酸ナトリウム水溶液(30mL)及び水(30mL)の混合物をゆっくり加えた。次いで層を分離し、水層をMTBE(30mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン水溶液(2×30mL)で洗浄し、真空下30℃~40℃で蒸発させて残渣を得た。残渣をエタノール(30mL)に2回懸濁し、ほぼ乾燥状態まで蒸発させた。次いで残渣をエタノール(30mL)に懸濁し、0℃~5℃で1時間撹拌して固体を得た。固体を濾過によって収集し、予め冷却した1:3エタノール/水混合液(2×10mL)で洗浄し、真空下40℃で乾燥して、メチル3-メチル-5-[(E/Z)-4,4,4-トリフルオロ-3-(3,4,5-トリクロロフェニル)ブタ-2-エノイル]チオフェン-2-カルボキシレート(2.54g)(ほぼ純粋なE異性体(1H NMRによる))を得た。
【0070】
メチル3-メチル-5-[(E/Z)-4,4,4-トリフルオロ-3-(3,4,5-トリクロロフェニル)ブタ-2-エノイル]チオフェン-2-カルボキシレート(500mg)、(R)-[(2S)-1-[[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル]-5-ビニル-キヌクリジン-1-イウム-2-イル]-(6-メトキシ-4-キノリル)メタノールブロミド(69mg)、及びDCM(50mL)を合わせ、-10~-15℃に冷却した。予め冷却した水酸化ナトリウム水溶液(10N、0.33mL)及びヒドロキシルアミン水溶液(50%、0.223mL)の混合物を、温度を-10℃~-15℃で維持しながら、シリンジを介し撹拌しながら滴加した。-10℃~-15℃で5時間後、混合物を分析した。S/R比:89:11。
【0071】
実施例8
メチル3-メチル-5-[(5S)-5-(3,4,5-トリクロロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4H-イソオキサゾール-3-イル]チオフェン-2-カルボキシレート
メチル3-メチル-5-[(E/Z)-4,4,4-トリフルオロ-3-(3,4,5-トリクロロフェニル)ブタ-2-エノイル]チオフェン-2-カルボキシレート(500mg)、(R)-[(2S)-1-[[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル]-5-ビニル-キヌクリジン-1-イウム-2-イル]-(6-メトキシ-4-キノリル)メタノールブロミド(69mg)、及びトルエン/メチルシクロヘキサン(1:1(v/v)50mL)を加え、-10℃~-15℃に冷却した。予め冷却した水酸化ナトリウム水溶液(10N、0.33mL)及びヒドロキシルアミン水溶液(50%、0.223mL)の混合物を、温度を-10℃~-15℃で維持しながら、シリンジを介し撹拌しながら滴加した。-10℃~-15℃で46時間後、混合物を分析した。S/R比:92:8。
【0072】
実施例9
メチル3-メチル-5-[(5S)-5-(3,4,5-トリクロロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4H-イソオキサゾール-3-イル]チオフェン-2-カルボキシレート
メチル3-メチル-5-[(E/Z)-4,4,4-トリフルオロ-3-(3,4,5-トリクロロフェニル)ブタ-2-エノイル]チオフェン-2-カルボキシレート(500mg)、(R)-[(2S)-1-[[3,5-ビス(t-ブチル)フェニル]メチル]-5-ビニル-キヌクリジン-1-イウム-2-イル]-(6-メトキシ-4-キノリル)メタノールブロミド(69mg)、及びDCM(50mL)を加え、-10~-15℃に冷却した。予め冷却した水酸化ナトリウム水溶液(10N、0.33mL)及びヒドロキシルアミン水溶液(50%、0.223mL)の混合物を、温度を-10℃~-15℃で維持しながら、シリンジを介し撹拌しながら滴加した。-10℃~-15℃で18時間後、混合物を分析した。S/R比:81:19。
【0073】
実施例10
メチル3-メチル-5-[(5S)-5-(3,4,5-トリクロロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4H-イソオキサゾール-3-イル]チオフェン-2-カルボキシレート
メチル3-メチル-5-[(E/Z)-4,4,4-トリフルオロ-3-(3,4,5-トリクロロフェニル)ブタ-2-エノイル]チオフェン-2-カルボキシレート(500mg)、(R)-[(2S)-1-[[3,5-ビス(t-ブチル)フェニル]メチル]-5-ビニル-キヌクリジン-1-イウム-2-イル]-(6-メトキシ-4-キノリル)メタノールブロミド(69mg)、及びDIPE(50mL)を加え、-10~-15℃に冷却した。予め冷却した水酸化ナトリウム水溶液(10N、0.33mL)及びヒドロキシルアミン水溶液(50%、0.223mL)の混合物を、温度を-10℃~-15℃で維持しながら、シリンジを介し撹拌しながら滴加した。-10℃~-15℃で18時間後、混合物を分析した。S/R比:88:12。
【0074】
実施例11
メチル3-メチル-5-[(5S)-5-(3,4,5-トリクロロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4H-イソオキサゾール-3-イル]チオフェン-2-カルボキシレート
メチル3-メチル-5-[(E/Z)-4,4,4-トリフルオロ-3-(3,4,5-トリクロロフェニル)ブタ-2-エノイル]チオフェン-2-カルボキシレート(500mg)、(R)-[(2S)-1-[[3,5-ビス(t-ブチル)フェニル]メチル]-5-ビニル-キヌクリジン-1-イウム-2-イル]-(6-メトキシ-4-キノリル)メタノールブロミド(69mg)、及びジイソプロピルエーテル(40mL)、及びDCM(10mL)を合わせ、-10~-15℃に冷却した。予め冷却した水酸化ナトリウム水溶液(10N、0.33mL)及びヒドロキシルアミン水溶液(50%、0.223mL)の混合物を、温度を-10℃~-15℃で維持しながら、シリンジを介し撹拌しながら滴加した。-10℃~-15℃で18時間後、混合物を分析した。S/R比:91:9。
【0075】
完全性の理由により、本開示の様々な態様を以下の番号付きの条項に示す。
【0076】
条項1.エナンチオマー的に純粋な式(1)のイソオキサゾリン化合物を作製するための方法であって、
(i)式(2)の化合物(式中、Xは、ハロゲン及び-C(O)OR4(式中、R4はC1~C4アルキルである)からなる群より選択される)を、ヒドロキシルアミン及び適切な塩基及び式(3)の化合物(式中、Y-はアニオンであり、R1は水素及びメトキシからなる群より選択され、R2はエチル及びビニルからなる群より選択され、R3は、アリールであって、任意選択でニトロ、ハロゲン、アミノ、トリフルオロメチル、C1~C4アルキル、C1~C4アルコキシ、及びベンジルオキシからなる群より独立して選択される1~5個の置換基で置換されたアリールと、ヘテロアリールであって、任意選択でハロゲン、トリフルオロメチル、C1~C4アルキル、及びC1~C4アルコキシからなる群より独立して選択される1~3個の置換基で置換されたヘテロアリールとからなる群より選択される)
と反応させて、式(4)の化合物を得るステップ、
(ii)式(4)の化合物のXを、式(5)の化合物のカルボン酸に変換するステップ、
(iii)任意選択で、式(5)の化合物を、C1~5アルコール、C2~5アルキルシアニド、C3~9アルキルケトン、C2~8アルキルエーテル、C2~8アルキルアセテートからなる群より選択される溶媒と、任意選択で、水及びC5~8炭化水素からなる群より選択される貧溶媒とを用いて結晶化するステップ、
ならびに
(iv)当該式5の化合物を適切なアミンとカップリングするステップを含み、
当該適切なアミンが、2-アミノ-プロパルギル-アセトアミドであるか、または任意選択でカルボキシル保護されたグリシンを、次に必要な場合は脱保護し、次いでプロパルギルアミンとカップリングさせるという連続的反応から生じるアミンである、方法。
条項2.当該適切なアミンが2-アミノ-プロパルギル-アセトアミドである、条項1に記載の方法。
条項3.当該適切なアミンが、任意選択でカルボキシル保護されたグリシンを、次に必要な場合は脱保護し、次いでプロパルギルアミンとカップリングさせるという連続的反応から生じるアミンである、条項1に記載の方法。
条項4.Xがハロゲンである、条項1~3のいずれか1項に記載の方法。
条項5.Xがブロモである、条項4に記載の方法。
条項6.Xがクロロである、条項4に記載の方法。
条項7.Xが-C(O)OR4(式中、R4はC1~C4アルキルである)である、条項1~3のいずれか1項に記載の方法。
条項8.R4がメチルである、条項7に記載の方法。
条項9.R4がエチルである、条項7に記載の方法。
条項10.R1がメトキシである、条項1~9のいずれか1項に記載の方法。
条項11.ステップ(i)が-40℃~-10℃の温度で行われる、条項1~10のいずれか1項に記載の方法。
条項12.ステップ(i)が-30℃~-20℃の温度で行われる、条項1~10のいずれか1項に記載の方法。
条項13.ステップ(i)が約-30℃の温度で行われる、条項1~10のいずれか1項に記載の方法。
条項14.当該式(2)の化合物と、ヒドロキシルアミン、当該適切な塩基、及び当該式(3)の化合物との反応が、ジクロロメタン及びエーテルを含む溶媒系の存在下で行われる、条項1~13のいずれか1項に記載の方法。
条項15.当該エーテルが、メチルt-ブチルエーテル、エチルt-ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、またはt-アミルメチルエーテルである、条項14に記載の方法。
条項16.当該エーテルが、メチルt-ブチルエーテルまたはエチルt-ブチルエーテルである、条項14に記載の方法。
条項17.当該式(4)の化合物のエナンチオマー過剰率が80%以上である、条項1~16のいずれか1項に記載の方法。
条項18.当該式(4)の化合物のエナンチオマー過剰率が93%以上である、条項1~16のいずれか1項に記載の方法。
条項19.ステップ(iii)が行われる、条項1~18のいずれか1項に記載の方法。
条項20.(iii)において当該貧溶媒が存在する、条項19に記載の方法。
条項21.(iii)における当該溶媒がC1~5アルコールである、条項19または20に記載の方法。
条項22.(iii)における当該溶媒がC2~5アルキルシアニドである、条項19または20に記載の方法。
条項23.(iii)における当該溶媒がC3~9アルキルケトンである、条項19または20に記載の方法。
条項24.(iii)における当該溶媒がC2~8アルキルエーテルである、条項19または20に記載の方法。
条項25.(iii)における当該溶媒がC2~8アルキルアセテートである、条項19または20に記載の方法。
条項26.(iii)における当該C1~5アルコールがイソプロパノールである、条項21に記載の方法。
条項27.(iii)における当該C1~5アルコールがエタノールである、条項21に記載の方法。
条項28.(iii)における当該C2~5アルキルシアニドがアセトニトリルである、条項22に記載の方法。
条項29.(iii)における当該C3~9アルキルケトンがアセトンである、条項23に記載の方法。
条項30.(iii)における当該C3~9アルキルケトンがメチルエチルケトンである、条項23に記載の方法。
条項31.(iii)における当該C2~8アルキルエーテルがテトラヒドロフランである、条項24に記載の方法。
条項32.(iii)における当該C2~8アルキルエーテルが2-メチルテトラヒドロフランである、条項24に記載の方法。
条項33.(iii)における当該C2~8アルキルアセテートが酢酸エチルである、条項25に記載の方法。
条項34.(iii)における当該C2~8アルキルアセテートが酢酸イソプロピルである、条項25に記載の方法。
条項35.(iii)における当該貧溶媒が水である、条項19~34のいずれか1項に記載の方法。
条項36.(iii)における当該貧溶媒がC5~8炭化水素である、条項19~34のいずれか1項に記載の方法。
条項37.当該C5~8炭化水素がペンタンである、条項36に記載の方法。
条項38.当該C5~8炭化水素がヘキサンである、条項36に記載の方法。
条項39.当該C5~8炭化水素がヘプタンである、条項36に記載の方法。
条項40.当該C5~8炭化水素がシクロヘキサンである、条項36に記載の方法。
条項41.当該C5~8炭化水素がメチルシクロヘキサンである、条項36に記載の方法。
条項42.当該式(5)の化合物のエナンチオマー過剰率が90%以上である、条項1~41のいずれか1項に記載の方法。
条項43.当該式(5)の化合物のエナンチオマー過剰率が96%以上である、条項1~41のいずれか1項に記載の方法。
条項44.当該式(5)の化合物のエナンチオマー過剰率が98%以上である、条項1~41のいずれか1項に記載の方法。
条項45.当該式(5)の化合物のエナンチオマー過剰率が99%以上である、条項1~41のいずれか1項に記載の方法。
条項46.当該式(5)の化合物のエナンチオマー過剰率が99.6%以上である、条項1~41のいずれか1項に記載の方法。
条項47.当該適切な塩基が、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化セシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、カリウムt-ブトキシド、及びこれらの混合物からなる群より選択される、条項1~46のいずれか1項に記載の方法。
条項48.Y-が、トシレート、ブロシレート、メシレート、ノシレート、トリフレート、アセテート、ハロゲン化物、硫酸、リン酸、水酸化物、及び四フッ化ホウ素からなる群より選択される、条項1~47のいずれか1項に記載の方法。
条項49.Y-がハロゲン化物である、条項48に記載の方法。
条項50.Y-が塩化物である、条項49に記載の方法。
条項51.Y-が臭化物である、条項49に記載の方法。
条項52.当該式(1)の化合物を98%以上のエナンチオマー純度で含む、組成物。
条項53.当該式(1)の化合物を99%以上のエナンチオマー純度で含む、組成物。
条項54.当該式(1)の化合物を99.8%以上のエナンチオマー純度で含む、組成物。
【国際調査報告】