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特表2024-5310682-置換ベンズイミダゾールの大規模製造のためのワンポット均一プロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】2-置換ベンズイミダゾールの大規模製造のためのワンポット均一プロセス
(51)【国際特許分類】
   C07D 235/12 20060101AFI20240822BHJP
   C23F 11/14 20060101ALI20240822BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20240822BHJP
【FI】
C07D235/12
C23F11/14
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503871
(86)(22)【出願日】2022-08-01
(85)【翻訳文提出日】2024-01-22
(86)【国際出願番号】 US2022039051
(87)【国際公開番号】W WO2023014657
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】63/228,401
(32)【優先日】2021-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510250467
【氏名又は名称】エコラボ ユーエスエー インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【弁理士】
【氏名又は名称】河原 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100191444
【弁理士】
【氏名又は名称】明石 尚久
(72)【発明者】
【氏名】プラディープ チェルク
(72)【発明者】
【氏名】パトリシア ギレンウォーター
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス レフレム
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー マンティス
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ ジョーセフ マイケルス
(72)【発明者】
【氏名】スレシュ アール.スリラム
【テーマコード(参考)】
4H039
4K062
【Fターム(参考)】
4H039CA42
4H039CH10
4K062AA03
4K062BB18
4K062FA04
4K062FA05
4K062FA06
(57)【要約】
【課題】2-置換ベンズイミダゾール及びそれを調製する方法の提供。
【解決手段】2-置換ベンズイミダゾール及びそれを調製する方法が開示される。本組成物は、化合物又はその塩、強酸、及びカルボン酸を含んでもよい。本組成物は、極性非プロトン性溶媒を含まなくてもよい。本組成物は、水性系と接触する金属表面の腐食を抑制するために使用されてもよく、水性系中の金属の腐食に対する強化された保護を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
強酸と、カルボン酸と、下記式(I)の化合物又はその塩と、を含む、組成物であって、
【化1】
式中、
Xが、独立して、水素、ハロゲン、又は置換若しくは非置換C1~5アルキル基であり、mが、1、2、3、又は4であり、
が、水素、置換若しくは非置換C~C12アルキル基、又は置換若しくは非置換C~Cアリール基であり、
が、存在しないか、水素、置換若しくは非置換C~C12アルキル基、又は置換若しくは非置換C~Cアリール基であり、
が、結合又はCHRであり、
が、水素、ハロゲン、NR、又はORであり、
ここで、R及びRが、各々独立して、水素、置換若しくは非置換C~C12アルキル基、又は置換若しくは非置換C~Cアリール基であり、
Zが、独立して、置換若しくは非置換C、置換若しくは非置換N、又はそれらの任意の組み合わせから選択され、
前記組成物が極性非プロトン性溶媒を含まない、組成物。
【請求項2】
水を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
Xが、独立して、水素又はハロゲンであり、
が、水素であり、
が、存在せず、
が、CHRである、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
が結合であり、少なくとも1つのZが窒素である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項5】
前記化合物又はその塩が、式(II)のものであり、
【化2】
式中、
Yが、独立して、水素、ハロゲン、又はC1~5アルキル基であり、nが、1、2、3、4、又は5である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項6】
前記強酸が、硫酸、塩酸、硝酸、メタンスルホン酸、スルファミン酸、p-トルエンスルホン酸、臭化水素酸、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記カルボン酸が、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、リンゴ酸、クエン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸、イコサン酸、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が少なくとも約10重量%の前記カルボン酸を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
高温安定相間移動触媒を更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記カルボン酸が酢酸である、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
式(V)の化合物又はその塩を作製するためのプロセスであって、
【化3】
前記プロセスは、式(III)の化合物又はその塩と、式(IV)の化合物又はその塩と、強酸と、カルボン酸と、高温安定相間移動触媒とを含む混合物を加熱することを含み、
【化4】
式中、
Xが、独立して、水素、ハロゲン、又はC1~5アルキル基であり、mが、1、2、3、又は4であり、
が、水素、置換若しくは非置換C~C12アルキル基、置換若しくは非置換C~Cアリール基であり、
が、存在しないか、水素、置換若しくは非置換C~C12アルキル基、置換若しくは非置換C~Cアリール基であり、
が、水素、ハロゲン、NR、又はORであり、
ここで、R及びRが、各々独立して、水素、置換若しくは非置換C~C12アルキル基、又は置換若しくは非置換C~Cアリール基であり、
が、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換C~C12アルキル基、置換若しくは非置換C~Cヘテロアリール基、置換若しくは非置換C~Cアリール基、又は置換若しくは非置換C~C12シクロアルキル基であり、
前記混合物が極性非プロトン性溶媒を含まず、
前記プロセスが極性非プロトン性溶媒を含まない、プロセス。
【請求項12】
前記強酸が、硫酸、塩酸、硝酸、メタンスルホン酸、スルファミン酸、p-トルエンスルホン酸、臭化水素酸、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記カルボン酸が、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、リンゴ酸、クエン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸、イコサン酸、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項11又は12に記載のプロセス。
【請求項14】
前記混合物が少なくとも約10重量%の前記カルボン酸を含む、請求項11~13のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
前記混合物が約80℃~約160℃の温度に加熱される、請求項11~14のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項16】
ポリベンズイミダゾールを調製するためのプロセスであって、前記プロセスは、イソフタル酸ジフェニル及び3,3’,4,4’-テトラアミノジフェニルと、強酸と、カルボン酸と、高温安定相間移動触媒とを含む混合物を加熱することを含み、前記プロセスが極性非プロトン性溶媒を含まない、プロセス。
【請求項17】
前記強酸が、硫酸、塩酸、硝酸、メタンスルホン酸、スルファミン酸、p-トルエンスルホン酸、臭化水素酸、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
前記カルボン酸が、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、リンゴ酸、クエン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸、イコサン酸、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項16又は17に記載のプロセス。
【請求項19】
前記混合物が少なくとも約10重量%の前記カルボン酸を含む、請求項16~18のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項20】
腐食を抑制する方法であって、前記方法は、
請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物を、金属表面を含む工業用水系に添加することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、2-置換ベンズイミダゾールの合成、及びその組成物に関する。より具体的には、本開示は、2-置換ベンズイミダゾールを合成するための均一プロセス、及びそれらの、例えば、腐食抑制剤としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ベンゾイミダゾールは、異なる合成経路を使用して作製することができる。1つの一般的な経路は、ジアミンとカルボン酸との間の酸触媒縮合反応である。この経路は主に、中程度から良好な収率で、単離された最終生成物として固体のベンズイミダゾールを得ることに焦点を当てている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これらのベンズイミダゾールは、主に鉱酸で合成され、塩基を使用してpHを7又は8に調整することにより、最終生成物が沈殿する。沈殿した生成物は、濾過により単離され、オーブンで乾燥させる。先行技術の合成方法は、以下のようないくつかの不利点に悩まされている:1)反応及びプロセス時間が長く、その結果、バッチあたりのスループットが低くなる;2)後処理及び単離工程からの収率損失;3)単離及びその後の乾燥工程に特別な設備の設置を必要とし、それにより、かなりの設備投資が生じる;4)湿潤ケーキ及び乾燥粉末の両方としての固体生成物の取り扱いが重大な材料取り扱い課題を伴い、その結果、収率損失がもたらされる;並びに5)腐食防止などのある特定の用途で使用するために最終固体生成物を溶媒に再溶解させる前に乾燥させる必要がある。
【0004】
ベンズイミダゾールの他の使用には、医薬品及び農薬での用途が含まれる。ポリベンゾイミダゾールは、それらの高強度及び高温性能で知られている。ポリベンゾイミダゾールは、半導体、コンタクトシール、ウェーハキャリア、絶縁体ブッシング、断熱材、発光ダイオード、太陽電池、燃料電池、及び高性能保護服に使用されている。他の使用としては、石油化学及び航空宇宙産業での用途が挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
いくつかの実施形態では、本開示は、強酸と、カルボン酸と、式(I):
【化1】
[式中、Xが、独立して、水素、ハロゲン、又は置換若しくは非置換C1~5アルキル基であり、mが、1、2、3、又は4であり、
が、水素、置換若しくは非置換C~C12アルキル基、又は置換若しくは非置換C~Cアリール基であり、
が、存在しないか、水素、置換若しくは非置換C~C12アルキル基、又は置換若しくは非置換C~Cアリール基であり、
が、結合又はCHRであり、
が、水素、ハロゲン、NR、又はORであり、
ここで、R及びRが、各々独立して、水素、置換若しくは非置換C~C12アルキル基、又は置換若しくは非置換C~Cアリール基であり、
Zが、独立して、置換若しくは非置換C、置換若しくは非置換N、又はそれらの任意の組み合わせから選択される]の化合物又はその塩と、を含む組成物であって、更に、本組成物が極性非プロトン性溶媒を含まない、組成物を提供する。
【0006】
いくつかの実施形態では、本組成物は、水を更に含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、Xは、独立して、水素又はハロゲンであり、Rは、水素であり、Rは、存在せず、Rは、CHRである。
【0008】
いくつかの実施形態では、Rは、結合であり、少なくとも1つのZは、窒素である。
【0009】
いくつかの実施形態では、化合物又はその塩は、式(II)
【化2】
[式中、Yは、独立して、水素、ハロゲン、又はC1~5アルキル基であり、nは、1、2、3、4、又は5である]のものである。
【0010】
いくつかの実施形態では、強酸は、硫酸、塩酸、硝酸、メタンスルホン酸、スルファミン酸、p-トルエンスルホン酸、臭化水素酸、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0011】
いくつかの実施形態では、カルボン酸は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、リンゴ酸、クエン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸、イコサン酸、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0012】
いくつかの実施形態では、本組成物は、少なくとも約10重量%のカルボン酸を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、本組成物は、高温安定相間移動触媒を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、カルボン酸は、酢酸である。
【0015】
本開示は、式(V)の化合物又はその塩を作製するプロセスであって、
【化3】
式(III)の化合物又はその塩と、式(IV)の化合物又はその塩と、
【化4】
[式中、Xが、独立して、水素、ハロゲン、又はC1~5アルキル基であり、mが、1、2、3、又は4であり、
が、水素、置換若しくは非置換C~C12アルキル基、置換若しくは非置換C~Cアリール基であり、
が、存在しないか、水素、置換若しくは非置換C~C12アルキル基、置換若しくは非置換C~Cアリール基であり、
が、水素、ハロゲン、NR、又はORであり、
ここで、R及びRが、各々独立して、水素、置換若しくは非置換C~C12アルキル基、又は置換若しくは非置換C~Cアリール基であり、
が、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換C~C12アルキル基、置換若しくは非置換C~Cヘテロアリール基、置換若しくは非置換C~Cアリール基、又は置換若しくは非置換C~C12シクロアルキル基である]、強酸と、カルボン酸と、高温安定相間移動触媒と、を含む、混合物であって、本混合物が極性非プロトン性溶媒を含まない、混合物を加熱することを含むプロセスであって、本プロセスが極性非プロトン性溶媒を含まない、プロセスも提供する。
【0016】
いくつかの実施形態では、強酸は、硫酸、塩酸、硝酸、メタンスルホン酸、スルファミン酸、p-トルエンスルホン酸、臭化水素酸、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0017】
いくつかの実施形態では、カルボン酸は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、リンゴ酸、クエン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸、イコサン酸、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0018】
いくつかの実施形態では、混合物は、少なくとも約10重量%のカルボン酸を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、混合物は、約80℃~約160℃の温度に加熱される。
【0020】
本開示は、ポリベンズイミダゾールを調製するプロセスであって、イソフタル酸ジフェニル及び3,3’,4,4’-テトラアミノジフェニルと、強酸と、カルボン酸と、高温安定相間移動触媒とを含む混合物を加熱することを含み、本プロセスが極性非プロトン性溶媒を含まない、プロセスも提供する。
【0021】
いくつかの実施形態では、強酸は、硫酸、塩酸、硝酸、メタンスルホン酸、スルファミン酸、p-トルエンスルホン酸、臭化水素酸、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0022】
いくつかの実施形態では、カルボン酸は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、リンゴ酸、クエン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸、イコサン酸、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0023】
いくつかの実施形態では、混合物は、少なくとも約10重量%のカルボン酸を含む。
【0024】
本開示は、腐食を抑制する方法であって、請求項1に記載の組成物を、金属表面を含む工業用水系に添加することを含む、方法も提供する。
【0025】
前述は、後に続く発明を実施するための形態がより良好に理解され得るように、本開示の特徴及び技術的利点を概括的に概説した。本願の特許請求の範囲の主題を形成する、本開示の更なる特徴及び利点は、以下に説明される。開示される概念及び具体的な実施形態は、本開示と同じ目的を実行するためのその他の実施形態を修正又は設計するための基礎として容易に利用され得ることが、当業者により理解されるべきである。このような同等の実施形態が、添付の特許請求の範囲に明記される本開示の趣旨及び範囲から逸脱しないこともまた、当業者によって認識されるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
様々な実施形態が以下に説明される。実施形態の様々な要素の関係性及び機能は、以下の詳細な説明を参照することによってより深く理解され得る。しかしながら、実施形態は、以下に例証されるものに限定されない。ある特定の事例では、本明細書に開示される実施形態の理解のために必要ではない詳細は、省略されている場合がある。
【0027】
「アルキル」は、直鎖又は分岐アルキル置換基を指す。そのような置換基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソアミル、ヘキシル等が挙げられる。
【0028】
「アリール」とは、当該技術分野で一般に理解されているように、非置換又は置換芳香族炭素環式置換基を指し、「C~C10アリール」という用語には、フェニル及びナフチルが含まれる。アリールという用語は、フッケルの法則に従って、平面状であり、4n+2n電子を含む環状置換基にも適用されると理解される。
【0029】
「シクロアルキル」は、例えば、約3~約8個の炭素原子、好ましくは約4~約7個の炭素原子、より好ましくは約4~約6個の炭素原子を含む環状アルキル置換基を指す。そのような置換基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等が挙げられる。環状アルキル基は、非置換であり得るか、又はメチル基、エチル基などのアルキル基で更に置換され得る。
【0030】
「ハロゲン」又は「ハロ」は、F、Cl、Br、及びIを指す。
【0031】
「ヘテロアリール」は、単環式又は二環式の5又は6員環系を指し、ヘテロアリール基は、不飽和であり、ハッケルの法則を満たす。ヘテロアリール基の非限定的な例としては、フラニル、チオフェニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、イソキサゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル、1,3,4-オキサジアゾール-2-イル、1,2,4-オキサジアゾール-2-イル、5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール、3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンズオキサゾリニル、ベンゾチアゾリニル、キナゾリニル等が挙げられる。
【0032】
「オキソ」は、炭素原子に二重結合した酸素原子を指す。
【0033】
本開示の化合物は、好適な置換基で置換され得る。本明細書で使用される「好適な置換基」という用語は、化学的に許容される官能基、好ましくは化合物の活性を打ち消さない部分を意味することが意図される。そのような好適な置換基としては、ハロ基、ペルフルオロアルキル基、ペルフルオロアルコキシ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、オキソ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アルコキシ基、アリール又はヘテロアリール基、アリールオキシ又はヘテロアリールオキシ基、アラルキル又はヘテロアラルキル基、アラルコキシ又はヘテロアラルコキシ基、HO-(C=O)-基、複素環基、シクロアルキル基、アミノ基、アルキル及びジアルキルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、ジアルキルアミノカルボニル基、アリールカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、並びにアリールスルホニル基が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、好適な置換基としては、ハロゲン、非置換C~C12アルキル基、非置換C~Cアリール基、又は非置換C~C10のアルコキシ基が挙げられ得る。当業者であれば、多くの置換基が更なる置換基により置換可能であることを理解するであろう。
【0034】
本明細書で使用される場合、「高温安定相間移動触媒」という用語は、特に本明細書に記載の組成物の調製に関連する場合に、本明細書に記載の方法及びプロセスが必要とする温度及び条件で安定したままである相間移動触媒を指す。この文脈において、「安定したままである」という用語は、相間移動触媒が分解も劣化もせず、本明細書に記載の温度及び条件で動作上機能したままであることを意味する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される高温安定相間移動触媒は、約80℃超~約250℃超の温度で安定であり得る。例えば、ある特定の実施形態では、本明細書に開示される高温安定相間移動触媒は、約80℃、約90℃、100℃、約110℃、約120℃、約130℃、約140℃、約150℃、約160℃、約170℃、約180℃、約190℃、約200℃、約210℃、約220℃、約230℃、約240℃、又は約250℃を超える温度で安定したままであり得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物又はその塩と、強酸と、カルボン酸とを含んでもよい組成物が開示される。本組成物は、溶媒を含まなくてもよい。いくつかの実施形態では、本組成物は、極性溶媒を含まない。いくつかの実施形態では、本組成物は、非プロトン性溶媒を含まない。いくつかの実施形態では、本組成物は、極性非プロトン性溶媒を含まない。式(I)の化合物は、以下に示される式を有する。
【化5】
【0036】
いくつかの実施形態では、Xは、独立して、水素、ハロゲン、又は置換若しくは非置換C1~5アルキル基であり、mは、1、2、3、又は4であり得る。いくつかの実施形態では、Rは、水素、置換若しくは非置換C~C12アルキル基、又は置換若しくは非置換C~Cアリール基であり得る。いくつかの実施形態では、Rは、存在しないか、水素、置換若しくは非置換C~C12アルキル基、又は置換若しくは非置換C~Cアリール基であり得る。いくつかの実施形態では、Rは、結合又はCHRであり得る。いくつかの実施形態では、Rは、水素、ハロゲン、NR、又はORであり得る。いくつかの実施形態では、R及びRは、各々独立して、水素、置換若しくは非置換C~C12アルキル基、又は置換若しくは非置換C~Cアリール基である。
【0037】
が存在する場合、対イオンが含まれてもよい。対イオンとしては、塩化物、臭化物、及びヨウ化物などのハロゲン化物、又は例えば、メタンスルホン酸イオン、硫酸イオン、酢酸イオン、及びギ酸イオンなどの他の対イオンを挙げることができる。
【0038】
X置換基又は複数のX置換基は、ベンズイミダゾール環の任意の利用可能な位置を占めることができる。したがって、ある特定の実施形態では、X置換基又は複数のX置換基は、ベンズイミダゾールの4位、5位、6位、及び/又は7位に位置し得る。ある特定の実施形態では、X置換基は、5位にある。
【0039】
X置換基の数mは、1、2、3、又は4であり得る。mが2、3、又は4である場合、X置換基は、任意の開いた位置を占めることができ、互いにオルト、メタ、又はパラに配置され得る。
【0040】
ある特定の実施形態では、式(I)の化合物の塩は、任意の塩、例えば、塩化物塩、臭化物塩、ヨウ化物塩、硫酸塩、フッ化物塩、過塩素酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、リン酸塩、硝酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、ギ酸塩、塩素酸塩、臭素酸塩、亜塩素酸塩、チオ硫酸塩、シュウ酸塩、シアン化物塩、シアン酸塩、テトラフルオロホウ酸塩などであり得る。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物の塩は、塩酸塩又は硫酸塩であり得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、Zは、独立して、置換若しくは非置換C、置換若しくは非置換N、又はそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0042】
いくつかの実施形態では、Zは、CH又はNである。
【0043】
いくつかの実施形態では、Xは、水素であり、mは、4である。
【0044】
いくつかの実施形態では、Rは、水素である。
【0045】
いくつかの実施形態では、Rは、存在しない。
【0046】
いくつかの実施形態では、Rは、結合である。
【0047】
いくつかの実施形態では、Rは、CHRである。
【0048】
いくつかの実施形態では、Rは、水素である。
【0049】
いくつかの実施形態では、Rは、ハロゲンである。
【0050】
いくつかの実施形態では、Rは、NRである。
【0051】
いくつかの実施形態では、Rは、ORである。
【0052】
いくつかの実施形態では、Rは、置換若しくは非置換C~C12アルキル基である。
【0053】
いくつかの実施形態では、Rは、水素である。
【0054】
いくつかの実施形態では、Rは、置換若しくは非置換C~Cアリール基である。
【0055】
いくつかの実施形態では、1つのZがNであり、残りはCHである。いくつかの実施形態では、少なくとも2つのZがNであり、残りはCHである。いくつかの実施形態では、少なくとも3つのZがNであり、残りはCHである。いくつかの実施形態では、少なくとも4つのZがNであり、残りはCHである。いくつかの実施形態では、全てのZがNであるか、又は全てのZがCHである。
【0056】
いくつかの実施形態では、Rは、結合であり、少なくとも1つのZがNである。
【0057】
いくつかの実施形態では、Xは、独立して、水素又はハロゲンであり、Rは、水素であり、Rは、存在せず、Rは、CHRである。
【0058】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物又はその塩は、
【化6】
である。
【0059】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物又はその塩は、
【化7】
である。
【0060】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物又はその塩は、
【化8】
である。
【0061】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物又はその塩は、
【化9】
である。
【0062】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物又はその塩は、
【化10】
である。
【0063】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物又はその塩は、
【化11】
である。
【0064】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物又はその塩は、
【化12】
である。
【0065】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物又はその塩は、
【化13】
である。
【0066】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物又はその塩は、
【化14】
である。
【0067】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物又はその塩は、
【化15】
である。
【0068】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物又はその塩は、
【化16】
である。
【0069】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物又はその塩は、
【化17】
である。
【0070】
いくつかの実施形態では、本組成物は、式(Ia)、
【化18】
[式中、Xが、独立して、水素、ハロゲン、又は置換若しくは非置換C1~5アルキル基であり、mは、1、2、3、又は4であり、Rが、水素、置換若しくは非置換C~C12アルキル基、又は置換若しくは非置換C~Cアリール基であり、Rが、存在しないか、水素、置換若しくは非置換C~C12アルキル基、又は置換若しくは非置換C~Cアリール基であり、Rは、結合又はCHRである]の化合物又はその塩を含み得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、化合物又はその塩は、式(II)、
【化19】
[式中、X、m、及びR Xが、独立して、水素、ハロゲン、又は置換若しくは非置換C1~5アルキル基であり、mが、1、2、3、又は4であり、Rが、結合又はCHRであり、Yが、独立して、水素、ハロゲン、又はC1~5アルキル基であり、nが、1、2、3、4、又は5である]のものである。
【0072】
いくつかの実施形態では、Yは、水素である。
【0073】
いくつかの実施形態では、Yは、独立して、水素及びハロゲンである。
【0074】
本明細書に記載されるように、mは、1、2、3、又は4であり得る。mが2、3、又は4である場合、X置換基は、任意の開いた位置を占めることができ、互いにオルト、メタ、又はパラに配置され得る。Y置換基の数nは、1、2、3、又は4であり得る。nが2、3、又は4である場合、Y置換基は、任意の開いた位置を占めることができ、互いにオルト、メタ、又はパラに配置され得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、組成物中の式(I)、式(Ia)、又は式(II)の化合物又はそれらの塩の濃度は、約1重量%~約50重量%、約5重量%~約50重量%、約10重量%~約50重量%、約15重量%~約50重量%、約20重量%~約50重量%、約20重量%~約45重量%、約25重量%~約45重量%、又は約25重量%~約40重量%の範囲であり得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、強酸は、強無機酸、強有機酸、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、強酸は、強無機酸である。いくつかの実施形態では、強酸は、強有機酸である。本明細書で使用される場合、「強」は、約1未満のpKaを有する酸を指す。
【0077】
いくつかの実施形態では、強酸は、硫酸、塩酸、硝酸、メタンスルホン酸、スルファミン酸、p-トルエンスルホン酸、臭化水素酸、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。
【0078】
いくつかの実施形態では、強酸は、硫酸であり得る。
【0079】
いくつかの実施形態では、強酸は、塩酸であり得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、強酸は、硝酸であり得る。
【0081】
いくつかの実施形態では、強酸は、メタンスルホン酸であり得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、強酸は、スルファミン酸であり得る。
【0083】
いくつかの実施形態では、強酸は、p-トルエンスルホン酸であり得る。
【0084】
いくつかの実施形態では、強酸は、臭化水素酸であり得る。
【0085】
組成物中の強酸の量は、約10重量%~約80重量%の範囲であり得る。例えば、組成物中の強酸の量は、約10重量%~約70重量%、約10重量%~約60重量%、約10重量%~約50重量%、約10重量%~約40重量%、約10重量%~約30重量%、約10重量%~約20重量%、約15重量%~約20重量%、約15重量%~約25重量%、又は約15重量%~約30重量%の範囲であり得る。
【0086】
本明細書で使用される場合、「カルボン酸」は、カルボキシル基を含有する有機化合物を指す。いくつかの実施形態では、カルボン酸は、置換若しくは非置換C~C32アルキルカルボン酸であり得る。
【0087】
いくつかの実施形態では、カルボン酸は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、リンゴ酸、クエン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸、イコサン酸、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0088】
いくつかの実施形態では、カルボン酸は、酢酸である。
【0089】
いくつかの実施形態では、本組成物は、5重量%を超えるカルボン酸、例えば少なくとも約6重量%、少なくとも約7重量%、少なくとも約8重量%、少なくとも約9重量%、又は少なくとも約10重量%のカルボン酸を含む。いくつかの実施形態では、本組成物は、10重量%超のカルボン酸を含む。いくつかの実施形態では、本組成物は、12重量%超のカルボン酸を含む。いくつかの実施形態では、本組成物は、15重量%超のカルボン酸を含む。いくつかの実施形態では、本組成物は、5重量%を超えるカルボン酸、例えば、少なくとも約6重量%、少なくとも約7重量%、少なくとも約8重量%、少なくとも約9重量%、少なくとも約10重量%、12重量%、又は15重量%のカルボン酸から約70重量%、約60重量%、約50重量%、約40重量%、約30重量%、又は約20重量%のカルボン酸を含む。いくつかの実施形態では、本組成物は、10重量%を超えるカルボン酸から約70重量%のカルボン酸を含む。
【0090】
いくつかの実施形態では、本組成物は、少なくとも約10重量%のカルボン酸から約50重量%のカルボン酸を含む。いくつかの実施形態では、本組成物は、10重量%を超えるカルボン酸から約50重量%のカルボン酸を含む。いくつかの実施形態では、本組成物は、少なくとも約10重量%のカルボン酸から約40重量%のカルボン酸を含む。いくつかの実施形態では、本組成物は、10重量%を超えるカルボン酸から約40重量%のカルボン酸を含む。いくつかの実施形態では、本組成物は、少なくとも約10重量%のカルボン酸から約30重量%のカルボン酸を含む。いくつかの実施形態では、本組成物は、10重量%を超えるカルボン酸から約30重量%のカルボン酸を含む。いくつかの実施形態では、本組成物は、少なくとも約10重量%のカルボン酸から約20重量%のカルボン酸を含む。いくつかの実施形態では、本組成物は、10重量%を超えるカルボン酸から約20重量%のカルボン酸を含む。
【0091】
本発明者らは、予想外に、極性溶媒、非プロトン性溶媒、及び/又は極性非プロトン性溶媒などの溶媒を含めず、酢酸などのカルボン酸を含めることによって、この製剤の全体的な安定性に悪影響が及ぼされないことを見出した。前述の溶媒を含めないことによって、この製剤は、改善された環境プロファイルも示した。5重量%を超える量、例えば少なくとも約10重量%で存在するカルボン酸が、他の利点に加えて所望の低温(凍結融解)安定性を達成することを判定するために、広範な実験を行った。
【0092】
本明細書に開示される組成物は、溶媒、極性溶媒、非プロトン性溶媒、及び/又は極性非プロトン性溶媒を含めなくてもよく、本明細書に開示される任意の方法工程は、溶媒、極性溶媒、非プロトン性溶媒、及び/又は極性非プロトン性溶媒の添加を含めなくてもよい。極性非プロトン性溶媒の例としては、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、N-メチルピロリジノン、メチルスルホニルメタン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン、ニトロメタン、及びイオン性液体が挙げられる。これらの極性非プロトン性溶媒のうちのいずれか又は任意の他の極性非プロトン性溶媒は、本明細書に開示される組成物及び方法工程から除外され得る。
【0093】
いくつかの実施形態では、本組成物は、高温安定相間移動触媒を含み得る。
【0094】
いくつかの実施形態では、高温安定相間移動触媒は、アルキルグアニジニウム塩、アリールグアニジニウム塩、アルキルホスホニウム塩、アリールホスホニウム塩、過アルキル化ホスファゼニウム塩、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。高温安定相間移動触媒の例としては、塩化ヘキサエチルグアニジニウム、臭化テトラフェニルホスホニウム、ヘキサアルキルホスホニウム塩、臭化ヘキサデシルトリブチルホスホニウム、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0095】
いくつかの実施形態では、本組成物は、水を含み得る。例えば、本組成物は、約5重量%~約95重量%の水、例えば、約5重量%~約50重量%、約5重量%~約25重量%、約10重量%~約50重量%、又は約20重量%~約75重量%の水を含み得る。
【0096】
いくつかの実施形態では、本組成物は、均一混合物であり得る。いくつかの実施形態では、本組成物は、溶液であり得る。
【0097】
いくつかの実施形態では、本組成物は、フェニレンジアミン化合物を含み得る。本組成物がフェニレンジアミン化合物を含む場合、それは、本組成物中に約0.0001重量%~約0.1重量%の量で存在する。いくつかの実施形態では、本組成物中のフェニレンジアミン化合物の量は、約0.1重量%未満であり得る。いくつかの実施形態では、本組成物中のフェニレンジアミン化合物の量は、約0.9重量%、約0.8重量%、約0.7重量%、約0.6重量%、約0.5重量%、約0.4重量%、又は約0.3重量%未満であり得る。
【0098】
他の実施形態では、式(V)の化合物又はその塩を作製するためのプロセスが開示される。
【化20】
【0099】
本プロセスは、式(III)の化合物又はその塩と、式(IV)の化合物又はその塩と、強酸と、カルボン酸と、高温安定相間移動触媒とを含む混合物を加熱することを含み得る。本プロセスは、極性溶媒、非プロトン性溶媒、及び/又は極性非プロトン性溶媒を添加することを含まなくてもよい。
【化21】
【0100】
式(III-V)について、Xは、独立して、水素、ハロゲン、又は置換若しくは非置換C1~5アルキル基であり、mは、1、2、3、又は4であり、Rは、水素、置換若しくは非置換C~C12アルキル基、又は置換若しくは非置換C~Cアリール基であり、Rは、存在しないか、水素、置換若しくは非置換C~C12アルキル基、又は置換若しくは非置換C~Cアリール基であり、Rは、水素、ハロゲン、NR、又はORであり、Rは、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換C~C12アルキル基、置換若しくは非置換C~Cヘテロアリール基、置換若しくは非置換C~Cアリール基、又は置換若しくは非置換C~C12シクロアルキル基であり得る。R及びRは、各々独立して、水素、置換若しくは非置換C~C12アルキル基、又は置換若しくは非置換C~Cアリール基である。
【0101】
いくつかの実施形態では、Rは、置換若しくは非置換C~Cヘテロアリール基である。
【0102】
いくつかの実施形態では、Rは、置換若しくは非置換C~Cヘテロアリール基、又は置換若しくは非置換C~Cアリール基である。
【0103】
いくつかの実施形態では、Rは、置換若しくは非置換C~Cアリール基である。
【0104】
いくつかの実施形態では、Rは、置換若しくは非置換Cヘテロアリール基である。
【0105】
いくつかの実施形態では、Rは、置換若しくは非置換Cアリール基である。
【0106】
いくつかの実施形態では、式(III)及び(IV)の化合物の反応生成物を修飾後工程で更に反応させて、Rの場合には水素以外の置換基を、Rの場合には置換基を付加してもよい。
【0107】
本明細書に開示される合成プロセスは、先行技術を超える多くの利点を有する。従来の合成法と比較して、最終生成物をより高い収率で得ることができる。最終生成物はまた、均一液体形態であり得、それにより、生成物の移動及び配合を容易にする一方で、収率損失を最小限に抑える。最終生成物は、均一液体形態であり得るため、固形物分離プロセス及び機器は、不要になり、大幅なコスト削減につながる。
【0108】
ある特定の実施形態では、式(I)の化合物又はその塩を作製するためのプロセスが開示される。
【化22】
【0109】
本プロセスは、式(III)の化合物又はその塩と、式(VI)の化合物又はその塩と、強酸と、カルボン酸と、高温安定相間移動触媒とを含む混合物を加熱することを含み得る。本プロセスは、極性溶媒、非プロトン性溶媒、及び/又は極性非プロトン性溶媒を添加することを含まなくてもよい。混合物は、極性溶媒、非プロトン性溶媒、及び/又は極性非プロトン性溶媒を含まなくてもよい。
【化23】
【0110】
式(I)、(III)、及び(VI)について、Xは、独立して、水素、ハロゲン、又は置換若しくは非置換C1~5アルキル基であり、mは、1、2、3、又は4であり、Rは、水素、置換若しくは非置換C~C12アルキル基、又は置換若しくは非置換C~Cアリール基であり、Rは、存在しないか、水素、置換若しくは非置換C~C12アルキル基、又は置換若しくは非置換C~Cアリール基であり、Rは、結合又はCHRであり、Rは、水素、ハロゲン、NR、又はORであり、R及びRは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換C~C12アルキル基、又は置換若しくは非置換C~Cアリール基であり、Zは、独立して、置換若しくは非置換C、置換若しくは非置換N、又はそれらの任意の組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、Rは、オキソ又はCOOHである。
【0111】
いくつかの実施形態では、Rは、COOHである。
【0112】
いくつかの実施形態では、Rは、オキソである。
【0113】
本開示に記載される任意の酸及び任意の同等物は、式(I)及び(V)の化合物又は塩を作製するプロセスで使用され得る。
【0114】
いくつかの実施形態では、混合物又は組成物中の強酸の濃度は、約10重量%~約80重量%の範囲であり得る。例えば、強酸の量は、約10重量%~約70重量%、約10重量%~約60重量%、約10重量%~約50重量%、約10重量%~約40重量%、約10重量%~約30重量%、約10重量%~約20重量%、約15重量%~約20重量%、約15重量%~約25重量%、又は約15重量%~約30重量%の範囲であってもよい。
【0115】
本開示に記載される任意の高温安定相間移動触媒及び任意の同等物は、式(I)及び(V)の化合物又は塩を作製するプロセスで使用され得る。
【0116】
いくつかの実施形態では、混合物又は組成物中の高温安定相間移動触媒の濃度は、約0.001重量%~約30重量%の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、混合物又は組成物中の高温安定相間移動触媒の濃度は、約0.001重量%~約25重量%、約0.001重量%~約20重量%、約0.01重量%~約25重量%、約0.1重量%~約25重量%、約0.5重量%~約25重量%、約1重量%~約25重量%、約1重量%~約20重量%、又は約1重量%~約25重量%の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、混合物中の極性非プロトン性溶媒の濃度は、1重量%、5重量%、又は10重量%であり得る。
【0117】
いくつかの実施形態では、式(I)又は(V)の化合物又はその塩を作製するプロセスは、混合物を約80℃~約160℃の温度に加熱することを含み得る。いくつかの実施形態では、混合物は、約80℃~約120℃、約90℃~約120℃、又は約90℃~約110℃の温度に加熱され得る。混合物は、温度を好適なレベルに上げるのに適した任意の手段を使用して加熱され得る。加熱系は、燃料ベース、電気ベース、又は蒸気ベースであり得る。例えば、蒸気は、混合物と接触する管を通過され得る。
【0118】
いくつかの実施形態では、混合物は、約30分~約12時間の範囲の期間加熱され得る。いくつかの実施形態では、混合物は、約1時間~約12時間、約2時間~約12時間、約2時間~約10時間、約4時間~約10時間、又は5時間~約10時間の範囲の期間加熱され得る。
【0119】
いくつかの実施形態では、混合物は、約1~約50重量%の活性物質濃度を有し得、「活性物質濃度」は、式(III)及び式(IV)の化合物又は式(III)及び式(VI)の化合物の濃度を指す。いくつかの実施形態では、混合物は、約10重量%~約50重量%、約20重量%~約50重量%、約20重量%~約45重量%、約25重量%~約45重量%、又は約25重量%~約40重量%の活性物質濃度を有し得る。
【0120】
いくつかの実施形態では、本開示に記載されるプロセスに従って調製される組成物が開示される。式(I)又は(V)の化合物又は塩を作製するプロセスは、更に精製せずに腐食抑制のために使用され得る均一組成物を生成することができる。
【0121】
いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、医薬品において使用され得る。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、農薬において使用され得る。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、腐食を抑制するために使用され得る。
【0122】
いくつかの実施形態では、腐食を防止する方法が開示される。
【0123】
本開示は、工業用水系中の金属成分の腐食を抑制するために特に有用である、複素環式化合物及び複素環式化合物を含む製剤を使用する方法を提供する。水性系に添加することにより、金属とのキレート化を経ることができるベンズイミダゾールは、優れた金属腐食耐性を提供する。具体的には、2-ピリジル又はベンジルアルコールで置換されたベンズイミダゾールを、金属表面と接触する水性系に添加することにより、銅などの金属に対する優れた腐食抑制がもたらされる。更に、ベンゾトリアゾール及びベンゾイミダゾールは、一般に酸化ハロゲン化合物の存在下で不安定であるが、本開示の化合物は、金属との1,2-キレート化を経て、酸化ハロゲン化合物の存在下で金属の例示的な保護を与えることが可能である。具体的には、2-(2-ピリジル)ベンズイミダゾールは、酸化ハロゲン化合物の存在下で、ベンズイミダゾール、2-フェニルベンズイミダゾール、及びトリルトリアゾールよりも優れた腐食に対する保護を提供する。任意の特定の理論に縛られることを望むものではないが、本開示の化合物は、腐食抑制剤の金属表面との二座キレート化により、一般的な酸化ハロゲン化合物が本質的に侵入不可能な保護膜を形成すると考えられる。したがって、ある特定の実施形態では、本開示の方法は、殺生物剤として酸化ハロゲン化合物を使用する水性系中の金属腐食に対する保護を提供する。
【0124】
いくつかの実施形態では、本開示は、水性系と接触する金属表面の腐食を抑制する方法を提供する。この方法は、本開示に記載される任意の組成物を水性系に添加することを含み得る。例えば、本組成物は、式(I)の化合物、強酸、及びカルボン酸を含み得る。本組成物は、極性非プロトン性溶媒、極性溶媒、及び/又は非プロトン性溶媒を含まなくてもよい。
【0125】
「工業用水系」とは、水をその主成分として循環させるあらゆる系を意味する。「工業用水系」の非限定的な例としては、冷却系、ボイラ系、加熱系、膜系、製紙系、又は水を循環させる任意の他の系が挙げられる。
【0126】
式(I)、(Ia)、及び(II)の化合物は、銅、鉄、銀、鋼(例えば、亜鉛めっき鋼)、及びアルミニウムを含むが、これらに限定されない任意の金属又は金属合金に対して腐食保護を提供することができる。ある特定の実施形態では、式(I)、(Ia)、又は(II)の化合物を、銅を含む金属表面と接触する水性系に添加して、金属腐食を抑制する。ある特定の実施形態では、式(I)、(Ia)、又は(II)の化合物を、銅合金を含む金属表面と接触する水性系に添加して、金属腐食を抑制する。ある特定の実施形態では、銅は、式(I)、(Ia)、又は(II)の化合物中の1つ又は複数のヘテロ原子と錯体を形成する。ある特定の実施形態では、銅は、式(I)、(Ia)、又は(II)の化合物中の1つ又は複数のヘテロ原子と錯体を形成する。銅は、配管及び産業機械における銅配管及び銅管としての使用を含む、幅広い用途を有する。銅及び銅合金は、冷却水系及びボイラ水系で使用することがよく知られている。
【0127】
式(I)、(Ia)、及び(II)の化合物は、青銅及び黄銅を含むあらゆる銅合金を保護するために使用され得る。青銅は、通常、銅及びスズを含むが、アルミニウム、マンガン、ケイ素、ヒ素、及びリンを含む他の元素を含んでもよい。黄銅は、銅及び亜鉛を含み、水ボイラ系の配管で一般的に使用されている。ある特定の実施形態では、式(I)、(Ia)、又は(II)の化合物は、青銅を含む金属表面と接触する水性系に添加されて、金属腐食を抑制する。ある特定の実施形態では、式(I)、(Ia)、又は(II)の化合物は、黄銅、例えばアドミラルティ黄銅を含む金属表面と接触する水性系に添加されて、金属腐食を抑制する。ある特定の実施形態では、式(I)、(Ia)、又は(II)の化合物は、銅-ニッケル合金を含む金属表面と接触する水性系に添加されて、金属腐食を抑制する。
【0128】
ある特定の実施形態では、式(I)、(Ia)、又は(II)の化合物は、軟鋼の腐食を抑制する。ある特定の実施形態では、式(I)、(Ia)、又は(II)の化合物は、亜鉛めっき鋼、ステンレス鋼、鋳鉄、ニッケル、及びそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない金属合金の腐食を抑制する。いかなる特定の理論にも縛られることを望まないが、式(I)、(Ia)、及び(II)の化合物は、溶液中のCu(II)を不活性化し、鋼表面でのガルバニ電池の発生を防止すると仮定される。したがって、ある特定の実施形態では、式(I)、(Ia)、又は(II)の化合物は、軟鋼の腐食を抑制する。
【0129】
式(I)、(Ia)、及び(II)の化合物は、任意の投与速度で水性系に添加され得るが、式(I)、(Ia)、及び(II)の化合物は、一般に、約0.01ppm~約500ppmの投与速度で水性系に添加される。ある特定の実施形態では、式(I)、(Ia)、又は(II)の化合物は、約0.01ppm~約100ppmの投与速度で水性系に添加される。ある特定の実施形態では、式(I)、(Ia)、又は(II)の化合物は、約0.01ppm~約100ppm、約0.01ppm~約75ppm、約0.01ppm~約50ppm、約0.01ppm~約25ppm、約0.01ppm~約10ppm、約0.01ppm~約5ppm、約0.1ppm~約100ppm、約0.1ppm~約75ppm、約0.1ppm~約50ppm、約0.1ppm~約25ppm、約0.1ppm~約10ppm、約0.1ppm~約5ppm、約1ppm~約100ppm、約1ppm~約75ppm、約1ppm~約50ppm、約1ppm~約25ppm、約1ppm~約10ppm、約5ppm~約100ppm、約10ppm~約100ppm、約25ppm~約100ppm、約50ppm~約100ppm、又は約80ppm~約100ppmの投与速度で水性系に添加される。
【0130】
ある特定の実施形態では、水性系は、冷却水系である。冷却水系は、閉ループ冷却水系又は開ループ冷却水系であり得る。ある特定の実施形態では、式(I)、(Ia)、又は(II)の化合物は、約0.01ppm~約200ppmの投与速度で閉ループ冷却水系に添加される。ある特定の実施形態では、式(I)、(Ia)、又は(II)の化合物は、約0.01ppm~約20ppmの投与速度で開ループ冷却水系に添加される。
【0131】
式(I)、(Ia)、及び(II)の化合物は、任意の好適な方法によって金属表面と接触される。ある特定の実施形態では、式(I)、(Ia)、又は(II)の化合物の溶液は、浸漬、噴霧、又は他のコーティング技術によって金属表面と接触される。ある特定の実施形態では、式(I)、(Ia)、又は(II)の化合物の溶液は、任意の従来の方法によって水性系の水に導入され、定期的又は連続ベースで水性系に供給される。
【0132】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、蛍光有機化合物を含み得る。ある特定の実施形態では、蛍光有機化合物は、ローダミン又はその誘導体、アクリジン色素、フルオレセイン又はその誘導体、及びそれらの組み合わせから選択され得る。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、蛍光タグ付きポリマーを含み得る。
【0133】
当業者であれば、式(I)、(Ia)、又は(II)の化合物を、単独で、又は他の腐食抑制剤若しくは処理化学物質と組み合わせて、水性系に添加することができることを理解するであろう。式(I)、(Ia)、及び/若しくは式(II)の2つ以上の化合物を含む複数の腐食抑制剤を、組み合わせた腐食抑制剤製剤として投入することができるか、又は腐食抑制剤を各々別個に添加することができる。更に、式(I)、(Ia)、又は(II)の化合物は、トリアゾール、ベンゾトリアゾール(例えば、ベンゾトリアゾール又はトリルトリアゾール)、ベンズイミダゾール、オルトホスフェート、ポリホスフェート、ホスホネート、モリブデート、シリケート、オキシム、及びニトレートが挙げられるが、これらに限定されない様々な追加の腐食抑制剤と組み合わせて水性系に添加することができる。式(I)、(Ia)、及び(II)の化合物は、処理ポリマー、抗菌剤、スケーリング防止剤、着色剤、充填剤、緩衝剤、界面活性剤、粘度調整剤、キレート剤、分散剤、消臭剤、マスキング剤、脱酸素剤、及び指示染料などの様々な追加の添加剤と組み合わせて水性系に添加することもできる。
【0134】
他の実施形態では、ポリベンゾイミダゾールを作製するためのプロセスは、ジフェニルイソフタレートと、3,3’,4,4’-テトラアミノジフェニルと、カルボン酸と、強酸と、高温安定相間移動触媒とを有する混合物を加熱することを含み得る。本プロセスは、極性溶媒、非プロトン性溶媒、及び/又は極性非プロトン性溶媒の添加を含めなくてもよい。強酸、カルボン酸、及び高温安定相間移動触媒は、本開示に記載のとおりである。
【0135】
ポリベンゾイミダゾールは、それらの高強度及び高温性能で知られている。本明細書に開示されるプロセスに従って合成されたポリベンズイミダゾールは、例えば、半導体、コンタクトシール、ウェーハキャリア、絶縁体ブッシング、断熱材、発光ダイオード、太陽電池、燃料電池、及び高性能保護服に使用され得る。他の使用としては、石油化学及び航空宇宙産業での用途が挙げられる。
【実施例
【0136】
実施例
【0137】
実施例1
【0138】
マグネチックスターラ、還流冷却器、及び温度プローブを備えたフラスコに、メタンスルホン酸及び水を仕込んだ。これに、DL-マンデル酸(1当量)及び1,2-フェニレンジアミン(1当量)を添加し、フラスコの内容物を約100~110℃で約6~8時間還流した。反応完了後、酢酸(約10重量%)を添加し、還流を更に1~3時間維持した。後処理の後、追加量の水を添加して、活性物質を約20%に調整した。純度及び残留OPD分析は、NMR及びHPLCを使用して行った。このプロセスにより、均一溶液が生成された。
【0139】
実施例2
【0140】
マグネチックスターラ、還流冷却器、及び温度プローブを備えたフラスコに、メタンスルホン酸及び水を仕込んだ。これに、DL-マンデル酸(1~1.05当量)及び1,2-フェニレンジアミン(1当量)を添加し、フラスコの内容物を約100~約110℃で約6~約8時間還流した。反応の完了後、指定の量の酸を添加し、還流を更に約1~3時間維持した。次いで、追加量の水を添加して、活性物質を約20%に調整した。純度及び残留OPD分析は、NMR及びHPLCを使用して行った。
【0141】
サンプルを10ラウンドの凍結融解安定性試験に供した。各サンプルを約-10Fの冷凍庫に入れ、48時間にわたって凍結させた。凍結した材料が完全に解凍されるまで、凍結したサンプルを次の48時間にわたって周囲温度にした。このプロセスを10回繰り返し、サンプルを何らかの沈殿について調べた。全てのサンプルの活性%は、様々な量の酢酸(0%、5%、10%及び40%)又は10%の様々な酸で約20%であった。結果を表1に示す。
【0142】
【表1】
【0143】
表1から分かるように、約10重量%及び約40重量%の酢酸のみが、顕著な沈殿も結晶化もない均一サンプルを提供した。
【0144】
本明細書で開示及び特許請求される組成物及び方法の全ては、本開示を考慮して、過度の実験を伴わずに作製及び実行され得る。本発明は、多くの異なる形態で具現化され得、本発明の特定の好ましい実施形態が、本明細書で詳細に説明される。本開示は、本発明の原理の例示であり、本発明を例解された特定の実施形態に限定することを意図するものではない。なお、異なるように明示的に述べられない限り、「a(ある1つの)」という用語は、「少なくとも1つ(at least one)」又は「1つ又は複数(one or more)」を含むことを意図する。例えば、「強酸」は、「少なくとも1つの強酸」又は「1つ又は複数の強酸」を含むことを意図する。
【0145】
絶対的な用語又は近似的な用語のいずれかで示される任意の範囲は、両方を包含することを意図しており、本明細書で使用される任意の定義は、明確にすることを意図するものであり、限定することを意図するものではない。本発明の広範な範囲を明記する数値範囲及びパラメータは、近似値ではあるものの、特定の実施例で明記される数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、いかなる数値も、それらのそれぞれの試験測定値において見られる標準偏差に必然的に起因する特定の誤差を本質的に含む。更に、本明細書に開示される全ての範囲は、その中に包含されるあらゆる部分範囲(全ての小数値及び全体値を含む)を包含するものとして理解されるべきである。
【0146】
本明細書に開示される任意の組成物は、本明細書に開示される任意の要素、成分、及び/並びに原料、又は本明細書に開示される要素、成分、又は原料のうちの2つ以上の任意の組み合わせを含み得るか、それらからなり得るか、又はそれらから本質的になり得る。
【0147】
本明細書に開示される任意の方法は、本明細書に開示される任意の方法工程、又は本明細書に開示される方法工程のうちの2つ以上の任意の組み合わせを含み得るか、それらからなり得るか、又はそれらから本質的になり得る。
【0148】
「含む(including)」、「含有する(containing)」、又は「によって特徴付けられる(characterized by)」と同義である「含む(comprising)」という移行句は、包括的又はオープンエンドであり、追加の列挙されていない要素、成分、原料、及び/又は方法工程を除外しない。
【0149】
「からなる(consisting of)」という移行句は、特許請求の範囲に明記されていない任意の要素、成分、原料、及び/又は方法工程を除外する。
【0150】
「から本質的になる(consisting essentially of)」という移行句は、特許請求の範囲を、特定の要素、成分、原料及び/又は工程、並びに特許請求される発明の基本的な及び新規な特徴に実質的に影響を及ぼさないものに限定する。
【0151】
特に明記されていない限り、本明細書で言及される全ての分子量は、重量平均分子量であり、全ての粘度は、ニート(希釈されていない)ポリマーを用いて25℃で測定した。
【0152】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、それらのそれぞれの試験測定値において見られる標準偏差から生じる誤差内にある引用された値を指し、それらの誤差が判定され得ない場合、「約」は、例えば、引用された値の5%以内を指し得る。
【0153】
更に、本発明は、本明細書において説明される様々な実施形態の一部又は全部の、あらゆる可能な組み合わせを包含する。また、本明細書において説明される本発明の好ましい実施形態に対する様々な変更及び修正が、当業者にとって明らかであろうこともまた、理解されるべきである。このような変更及び修正は、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく、かつその意図される利点を縮小することなく行われ得る。したがって、このような変更及び修正は、添付の特許請求の範囲によって網羅されることが意図される。
【国際調査報告】