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▶ フイルメニツヒ ソシエテ アノニムの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】甘味組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/00 20160101AFI20240822BHJP
   A23F 3/14 20060101ALI20240822BHJP
   A23F 5/10 20060101ALI20240822BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20240822BHJP
   A23L 29/00 20160101ALI20240822BHJP
   A23F 3/16 20060101ALN20240822BHJP
   A23F 5/24 20060101ALN20240822BHJP
【FI】
A23L27/00 E
A23F3/14
A23F5/10
A23L5/00 F
A23L5/00 H
A23L29/00
A23F3/16
A23F5/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504915
(86)(22)【出願日】2022-08-12
(85)【翻訳文提出日】2024-02-14
(86)【国際出願番号】 EP2022072633
(87)【国際公開番号】W WO2023020949
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】63/233,999
(32)【優先日】2021-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】21198215.2
(32)【優先日】2021-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009287
【氏名又は名称】フイルメニツヒ ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Firmenich SA
【住所又は居所原語表記】7,Rue de la Bergere,1242 Satigny,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド スキフ
(72)【発明者】
【氏名】ピエール-エティエンヌ ブーケラン
(72)【発明者】
【氏名】マキシム ドゥラトル
【テーマコード(参考)】
4B027
4B035
4B047
【Fターム(参考)】
4B027FB13
4B027FB24
4B027FC01
4B027FC02
4B027FE01
4B027FK02
4B027FK03
4B027FK04
4B027FK05
4B027FK06
4B027FK20
4B027FP90
4B027FQ03
4B027FR04
4B035LC01
4B035LE01
4B035LG04
4B035LG08
4B035LG12
4B035LG13
4B035LG14
4B035LG15
4B035LG17
4B035LG19
4B035LG20
4B035LG21
4B035LG28
4B035LG31
4B035LG32
4B035LG57
4B035LK02
4B035LK03
4B035LP01
4B035LP21
4B035LP22
4B035LP26
4B047LB09
4B047LF07
4B047LF08
4B047LF09
4B047LF10
4B047LG08
4B047LG10
4B047LG12
4B047LG13
4B047LG14
4B047LG15
4B047LG17
4B047LG18
4B047LG20
4B047LG21
4B047LG22
4B047LG24
4B047LG25
4B047LG26
4B047LG27
4B047LG28
4B047LG30
4B047LG31
4B047LG32
4B047LG33
4B047LG36
4B047LG37
4B047LP02
4B047LP20
(57)【要約】
本発明は、送達系の分野に関する。より具体的には、本発明は、甘味組成物に関する。甘味組成物を調製する方法も本発明の対象である。上記甘味組成物を含む消費者製品も本発明の一部である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥甘味組成物であって、
-不溶性食品担体、
-前記不溶性担体上のコーティングであって、
-甘味料、
-水溶性マトリックス材料、および
-任意に、乳化剤
を含むコーティング
を含む、乾燥甘味組成物。
【請求項2】
前記コーティングが、フレーバーオイルを含む油および/または水溶性フレーバーを含む水性天然抽出物を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記コーティングが、前記甘味組成物の総重量を基準として0.8~20重量%を占める、請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
前記コーティングが、
-前記コーティングの総重量を基準として0%~25%、好ましくは7%~23%の、フレーバーオイルを含む油、および/または
-前記コーティングの総重量を基準として1%~50%、好ましくは10%~30%の前記甘味料、および/または
-前記コーティングの総重量を基準として20%~80%、好ましくは30%~75%の前記マトリックス材料、および/または
-前記コーティングの総重量を基準として0~5%、好ましくは1%~3%の前記乳化剤
を含む、請求項1から3までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項5】
前記甘味料が天然甘味料または人工甘味料である、請求項1から4までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項6】
前記甘味料が、スクロース、グルコース、フルクトース、ステビア抽出物、ステビア抽出物のグリコシル化誘導体、砂糖、スクラロース、D-トリプトファン、NHDC、ポリオール、ステビオシド、レバウジオシドA、ソーマチン、モグロシド、モネリン、ネオテーム、アスパルテーム、アリテーム、アセスルファムカリウム、サッカリン、グリチルリチン酸モノアンモニウム、シクラミン酸カルシウム、シクラミン酸ナトリウム、サッカリンナトリウム、サッカリンカリウム、サッカリンアンモニウム、サッカリンカルシウムおよびそれらの任意の混合物からなる群から選択される、請求項1から5までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項7】
前記マトリックス材料が、マルトデキストリン、加工デンプン、イヌリン、植物性タンパク質、ガム、可溶性繊維、可溶性多糖およびそれらの任意の混合物からなる群から選択される、請求項1から6までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項8】
前記乳化剤が、レシチン、グリセロールエステル、脂肪酸エステル、サポニン、タンパク質、アラビアガム、オクテニルコハク酸デンプンおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から7までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項9】
前記不溶性食品担体が、花、葉、豆、種子、藻類、果実片、野菜片、粉末および粒子からなる群から選択され、好ましくは、前記不溶性食品担体が、茶葉およびコーヒー豆からなる群から選択される、請求項1から8までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項記載の乾燥甘味組成物を調製する方法であって、
a)
-任意に、フレーバーオイルを含む油、
-水溶性マトリックス材料、
-甘味料、および
-任意に、乳化剤
を含む混合物を調製する工程、
b)工程a)で得られた前記混合物を不溶性食品担体と混合して、前記乾燥甘味組成物を形成する工程
を含む、方法。
【請求項11】
工程b)中に前記混合物を70℃未満の温度、好ましくは室温で前記不溶性食品担体と混合して、前記乾燥甘味組成物を形成する、請求項10記載の方法。
【請求項12】
工程a)で得られた前記混合物が500mPas超、好ましくは900mPas超の粘度を有し、前記粘度が25℃にて100s-1の剪断速度で測定される、請求項10または11記載の方法。
【請求項13】
前記不溶性食品担体が0.6未満、好ましくは0.5未満、より好ましくは0.4未満の水分活性を有する、請求項10から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
請求項1から9までのいずれか1項記載の甘味組成物を含む消費者製品。
【請求項15】
食品製品または飲料である、請求項14記載の消費者製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送達系の分野に関する。より具体的には、本発明は、甘味組成物に関する。甘味組成物を調製する方法も本発明の対象である。上記甘味組成物を含む消費者製品も本発明の一部である。
【0002】
発明の背景
多くの食品および飲料の甘味は、これらの食品および飲料が消費者に消費され、好まれるために重要な役割を果たす。
【0003】
場合によっては、食品および飲料に含まれる成分の自然な甘味度は、消費者の嗜好を満たすのに十分でない。したがって、上記食品および飲料は、多くの場合、消費者自身により多量の高カロリー砂糖で甘味付けされることが多く、このことが長期的には健康問題につながる恐れがある。
【0004】
特に、茶およびコーヒーの浸出飲料は、消費者により、従来の砂糖のような高カロリー甘味料で甘味付けされることが多い。したがって、例えば天然由来の茶葉およびコーヒー豆を、上記茶葉およびコーヒー豆を用いてそれぞれ調製された飲料の甘味知覚が増強されるように改変することが望ましい。これにより、消費者自身がコーヒーまたは茶飲料をさらに甘味付けする可能性が低くなり、上記飲料を高カロリー砂糖で過度に甘味付けすることを低減または防止することができる。長期的には、これにより高カロリー甘味料の摂取量が減少することで、それに伴う健康問題を減少させることができる。さらに、既に甘味付けされた天然由来の成分、例えば茶葉またはコーヒー豆は、消費者に或る特定の利便性を与える。
【0005】
同時に、天然由来の食品および飲料材料に或る特定の風味および/または味を付与することも有利である。
【0006】
フレーバー業界が直面する問題の1つは、活性化合物によってもたらされる嗅覚的利点が、その揮発性、特に「トップノート」の揮発性により比較的急速に失われることにある。これらの活性物質のカプセル化は、同時に、カプセル化された成分を酸化または水分等の「攻撃」から保護し、一方で、連続的な放出によって感覚効果を誘導するために、フレーバー放出の動態を或る程度制御することを可能にする。
【0007】
発明の概要
第1の態様では、本発明は、乾燥甘味組成物であって、
-不溶性食品担体、
-不溶性担体上のコーティングであって、
-甘味料、
-水溶性マトリックス材料、および
-任意に、乳化剤
を含むコーティング
を含む、乾燥甘味組成物に関する。
【0008】
本発明の別の目的は、本発明による乾燥甘味組成物を調製する方法であって、
a)
-任意に、フレーバーオイルを含む油、
-水溶性マトリックス材料、
-甘味料、および
-任意に、乳化剤
を含む混合物を調製する工程、
b)工程a)で得られた混合物を不溶性食品担体と混合して、乾燥甘味組成物を形成する工程
を含む、方法に関する。
【0009】
本発明の第3の態様は、本発明による乾燥甘味組成物を含む消費者製品に関する。
【0010】
発明の詳細な説明
別段の記載がない限り、パーセンテージ(%)は、重量パーセントを指すことを意図している。
【0011】
「室温」とは、20℃~25℃の温度を意味する。
【0012】
「水溶性フレーバーまたはフレーバーオイル」とは、単一の風味付与化合物または幾つかの風味付与化合物の混合物を意味する。
【0013】
「乳化剤」は、2つの相の間の界面に集中し、その界面の特性を変化させる両親媒性分子である。乳化剤の例は、McCutcheon’s Emulsifiers & DetergentsまたはIndustrial Surfactants Handbookに見ることができる。
【0014】
「乾燥組成物」とは、0.6未満、好ましくは0.5未満、より好ましくは0.4未満の水分活性を有する組成物と理解されるべきである。
【0015】
「コーティング」とは、不溶性食品担体を均一に(完全に)被覆するコーティングだけでなく、不溶性食品担体を不均一に(部分的に)被覆するコーティングとも理解される。
【0016】
本発明において、「フレーバー(flavour)」および「フレーバー(flavor)」という用語は、区別なく使用される。
【0017】
本発明は、第1の態様において、乾燥甘味組成物であって、
-不溶性食品担体、
-不溶性担体上のコーティングであって、
-甘味料、
-水溶性マトリックス材料、および
-任意に、乳化剤
を含むコーティング
を含む、乾燥甘味組成物に関する。
【0018】
本発明によると、乾燥甘味組成物は不溶性食品担体を含む。この点で、不溶性とは、食品担体が水に溶解しないことを意味する。
【0019】
特定の実施形態では、不溶性食品担体は、花、葉、豆、種子、藻類、果実片、野菜片、粉末および粒子からなる群から選択される。好ましくは、不溶性食品担体は、茶葉およびコーヒー豆からなる群から選択される。より好ましくは、不溶性食品担体は茶葉である。葉は葉全体、刻んだ葉、粉砕した葉、粉末状の葉、特に流動性粉末の形態、または粒子であり得る。コーヒー豆は、挽いていないコーヒー豆であっても、または挽いたコーヒー豆であってもよい。
【0020】
特定の実施形態では、不溶性食品担体は、ハーブ担体、果実担体および他の植物からなる群から選択される。
【0021】
特定の実施形態では、不溶性食品担体は藻類、好ましくは海藻であり得る。
【0022】
特定の実施形態では、不溶性食品担体は、1つ以上の果実片である。1つ以上の果実片は、同じ種類の果実に由来しても、または異なる種類の果実に由来してもよい。1つ以上の果実片は、例えばリンゴ、セイヨウナシ、オレンジ、マンダリン、ライム、ネクタリン、アンズ、モモ、プラム、バナナ、マンゴー、イチゴ、ラズベリー、ブルーベリー、キウイフルーツ、パッションフルーツおよび/またはスイカに由来し得る。
【0023】
特定の実施形態では、不溶性食品担体は、1つ以上の野菜片である。1つ以上の野菜片は、同じ種類の野菜に由来しても、または異なる種類の野菜に由来してもよい。
【0024】
本発明によると、不溶性担体上のコーティングは甘味料を含む。
【0025】
「甘味料」という用語は、単一の甘味料または甘味料の組合せを含む。任意の好適な甘味料を使用することができる。
【0026】
幾つかの実施形態では、甘味料は、スクロース、フルクトース、グルコース等の一般的なサッカリド甘味料、および天然糖を含む甘味料組成物、例えばコーンシロップ(高フルクトースコーンシロップを含む)、または天然果実および野菜源に由来する他のシロップもしくは甘味料濃縮物である。
【0027】
幾つかの他の実施形態では、甘味料は、D-アロース、D-プシコース、L-リボース、D-タガトース、L-グルコース、L-フコース、L-アラビノース、D-ツラノースおよびD-ロイクロースを含む希少天然糖から選択される。幾つかの実施形態では、甘味料は、半合成「糖アルコール」甘味料、例えばエリトリトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、ラクチトール、キシリトール、イソマルト、プロピレングリコール、グリセロール(グリセリン)、トレイトール、ガラクチトール、パラチノース、還元イソマルトオリゴ糖、還元キシロオリゴ糖、還元ゲンチオオリゴ糖、還元マルトースシロップ、還元グルコースシロップ、イソマルツロース、マルトデキストリン等から選択される。
【0028】
幾つかの実施形態では、甘味料は、アスパルテーム、サッカリン、アセスルファム-K、シクラメート、スクラロースおよびアリテーム等の人工甘味料から選択される。甘味料の他の非限定的な例としては、シクラミン酸、タガトース、マルトース、ガラクトース、マンノース、スクロース、フルクトース、ラクトース、アルロース、ネオテームおよび他のアスパルテーム誘導体、グルコース、D-トリプトファン、グリシン、マルチトール、ラクチトール、イソマルト、水素化グルコースシロップ(HGS)、水素化デンプン加水分解物(HSH)、ステビオシド、レバウジオシドA、他の甘味ステビア系グリコシド、化学修飾ステビオールグリコシド(グルコシル化ステビオールグリコシド等)、モグロシド、化学修飾モグロシド(グルコシル化モグロシド等)、カレラーム(carrelame)および他のグアニジン系甘味料が挙げられる。
【0029】
幾つかの実施形態では、甘味料は、本明細書で言及される甘味料の2つ以上の組合せである。幾つかの実施形態では、甘味料は、本明細書に開示される2つ、3つ、4つまたは5つの甘味料の組合せであってもよい。幾つかの実施形態では、甘味料は砂糖であり得る。幾つかの実施形態では、甘味料は、1つ以上の砂糖と他の天然および人工甘味料との組合せであり得る。
【0030】
甘味料の更なる非限定的な例としては、アガベイヌリン、アガベネクター、アガベシロップ、甘酒、ブラゼイン、玄米シロップ、ココナッツクリスタル、ココナッツシュガー、ココナッツシロップ、デーツシュガー、フルクタン(イヌリン繊維、フラクトオリゴ糖またはオリゴフルクトースとも称される)、グリーンステビア粉末、ステビア・レバウディアナ(stevia rebaudiana)、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドC、レバウジオシドD、レバウジオシドE、レバウジオシドF、レバウジオシドI、レバウジオシドH、レバウジオシドL、レバウジオシドK、レバウジオシドJ、レバウジオシドN、レバウジオシドO、レバウジオシドMおよび他の甘味ステビア系グリコシド、ステビオシド、ステビオシド抽出物、ハチミツ、キクイモシロップ、カンゾウ根、羅漢果(果実、粉末または抽出物)、ルクマ(果実、粉末または抽出物)、メープル樹液(例えば、アケル・サッカルム(Acer saccharum)、アケル・ニグルム(Acer nigrum)、アケル・ルブルム(Acer rubrum)、アケル・サッカリヌム(Acer saccharinum)、アケル・プラタノイデス(Acer platanoides)、アケル・ネグンド(Acer negundo)、アケル・マクロフィルム(Acer macrophyllum)、アケル・グランディデンタツム(Acer grandidentatum)、アケル・グラブルム(Acer glabrum)、アケル・モノ(Acer mono)から抽出した樹液を含む)、メープルシロップ、メープルシュガー、クルミ樹液(例えば、ユグランス・シネレア(Juglans cinerea)、ユグランス・ニグラ(Juglans nigra)、ユグランス・アイランティフォリア(Juglans ailatifolia)、ユグランス・レギア(Juglans regia)から抽出した樹液を含む)、カバノキ樹液(例えば、ベツラ・パピリフェラ(Betula papyrifera)、ベツラ・アレグハニエンシス(Betula alleghaniensis)、ベツラ・レンタ(Betula lenta)、ベツラ・ニグラ(Betula nigra)、ベツラ・ポプリフォリア(Betula populifolia)、ベツラ・ペンデュラ(Betula pendula)から抽出した樹液を含む)、シカモア樹液(例えば、プラタナス・オキデンタリス(Platanus occidentalis)から抽出した樹液等)、アイアンウッド樹液(例えば、オストリア・バージニアナ(Ostrya virginiana)から抽出した樹液等)、マスコバド、糖蜜(例えば、廃糖蜜等)、糖蜜糖(molasses sugar)、モナチン、モネリン、甘蔗糖(天然糖、未精製甘蔗糖またはスクロースとも称される)、パーム糖、パノーチャ(panocha)、ピロンシージョ(piloncillo)、ラパデュラ(rapadura)、粗糖、米飴、ソルガム、ソルガムシロップ、キャッサバシロップ(タピオカシロップとも称される)、ソーマチン、ヤーコン根、麦芽シロップ、大麦麦芽シロップ、大麦麦芽粉、甜菜糖、甘蔗糖、結晶果汁結晶、カラメル、カルビトール、キャロブシロップ、上白糖、加水分解水添デンプン、加水分解甘蔗汁、加水分解デンプン、転化糖、アネトール、アラビノガラクタン、アローペ(arrope)、シロップ、P-4000、アセスルファムカリウム(アセスルファムKまたはace-Kとも称される)、アリテーム(aclameとも称される)、アドバンテーム、アスパルテーム、バイユノシド(baiyunoside)、ネオテーム、ベンズアミド誘導体、ベルナデーム(bernadame)、カンデレル、カレラームおよび他のグアニジン系甘味料、植物繊維、トウモロコシ糖、カップリングシュガー、クルクリン、シクラメート、シクロカリオシド(cyclocarioside)I、デメララ、デキストラン、デキストリン、糖化性麦芽、ズルチン、スクロール、バルジン、ズルコシドA、ズルコシドB、エムリン(emulin)、エノキソロン、マルトデキストリン、サッカリン、エストラゴール、エチルマルトール、グルシン(glucin)、グルコン酸、グルコノラクトン、グルコサミン、グルクロン酸、グリセロール、グリシン、グリシフィリン(glycyphillin)、グリチルリチン、グリシルレチン酸モノグルクロニド、ゴールデンシュガー、イエローシュガー(yellow sugar)、ゴールデンシロップ、グラニュー糖、アマチャヅル、ヘルナンズルシン、異性化液糖、ジャラブ(jallab)、チコリ根食物繊維、キヌレニン誘導体(N’-ホルミル-キヌレニン、N’-アセチル-キヌレニン、6-クロロ-キヌレニンを含む)、ガラクチトール、litesse、リジケーン(ligicane)、lycasin、ルグズナム、グアニジン、ファレナム(falernum)、マビンリンI、マビンリンII、マルトール、maltisorb、マルトデキストリン、マルトトリオール、マンノサミン、ミラクリン、水飴、モグロシド(例えばモグロシドIV、モグロシドVおよびネオモグロシドを含む)、ムクロジオシド、ナノシュガー(nano sugar)、ナリンギンジヒドロカルコン、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、ニブシュガー、ニゲロオリゴ糖、ノルブ(norbu)、オルジェーシロップ、オスラジン、ペクメズ、ペンタジン、ペリアンドリンI、ペリルアルデヒド、ペリラルチン、ペトフィラム(petphyllum)、フェニルアラニン、フロミソシドI、フロロジジン(phlorodizin)、フィロズルチン、ポリグリシトールシロップ、ポリポドシドA、プテロカリオシドA、プテロカリオシドB、rebiana、リファイナーシロップ、ルブ(rub)シロップ、ルブソシド、セリゲアインA、シュグル(shugr)、シアメノシドI、シライティア・グロスヴェノリイ(siraitia grosvenorii)、大豆オリゴ糖、Splenda、SRIオキシムV、ステビオールグリコシド、ステビオールビオシド、ステビオシド、ストロギン1、2および4、スクロン酸、スクロノネート、砂糖、スオサン、フロリジン、スーパーアスパルテーム、四糖類、トレイトール、トリークル(treacle)、トリロブタイン(trilobtain)、トリプトファンおよび誘導体(6-トリフルオロメチル-トリプトファン、6-クロロ-D-トリプトファン)、バニラ糖、ボレミトール、バーチシロップ、アスパルテーム-アセスルファム、assugrin、ならびにそれらの任意の2つ以上の組合せまたはブレンドが挙げられる。
【0031】
甘味料は、任意の好適な濃度範囲で存在することができ、当業者は、問題の甘味料の甘味度(potency)に応じてこれを調整することができる。例えば、ステビオールグリコシド、モグロシド、スクラロース、アスパルテーム、ネオテームまたはアセスルファムカリウム等の高甘味度甘味料は、通例、より低濃度で使用される。例えばスクロース、フルクトースおよびグルコース等のカロリー甘味料は、通例、より高濃度で使用される。
【0032】
幾つかの実施形態では、甘味料は、モグロシド、例えばモンクフルーツ果汁もしくは抽出物、またはモンクフルーツから抽出された1つ以上の化合物、例えばモグロシドIII、モグロシドIV、モグロシドV、シアメノシドI、イソモグロシドV、モグロシドIVE、イソモグロシドIV、モグロシドIIIE、11-オキソモグロシドV、シアメノシドIの1,6-α異性体等である。「モンクフルーツ」という用語は、「羅漢果」または「LHG」とも呼ばれる植物シライティア・グロスヴェノリイ(Siraitia grosvenorii)の果実を指す。幾つかの実施形態では、甘味料は、モンクフルーツ果汁またはモンクフルーツ抽出物である。「モンクフルーツ果汁」という用語は、果実を破砕し、その繊維状物質の少なくとも一部を除去することによって得られる組成物を指す。「モンクフルーツ抽出物」という用語は、組成物中のモグロシドV等のモグロシド化合物の濃度を果汁中のそれらの濃度と比べて高めるために、モンクフルーツ果汁を任意の好適なプロセスに供することで得られる組成物を指す。かかるモグロシド果汁および抽出物は、任意の好適な手段による脱色に供することができる。
【0033】
特定の実施形態では、甘味料はモンクフルーツ果汁または抽出物である。好ましくは、甘味料はモンクフルーツ抽出物である。
【0034】
幾つかの実施形態では、甘味料は、ステビオールグリコシド、例えばステビア抽出物、またはステビアから抽出された1つ以上の化合物、例えばレバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドM、レバウジオシドDまたはレバウジオシドEである。幾つかの関連の実施形態では、甘味料はグルコシル化ステビオールグリコシドを含む。「グルコシル化ステビオールグリコシド」または「GSG」という用語は、天然ステビオールグリコシド化合物を酵素的にグルコシル化した生成物を指す。グルコシル化は、一般にα-1,2結合、α-1,4結合、α-1,6結合、β-1,2結合、β-1,4結合、β-1,6結合等のグリコシド結合を介して起こる。
【0035】
特定の実施形態では、甘味料はグルコシル化ステビオールグリコシドを含み、好ましくはそれからなる。
【0036】
幾つかの実施形態では、甘味料は合成高甘味度甘味料である。非限定的な例としては、アセスルファムカリウム(アセスルファムK)、アスパルテーム、ネオテーム、シクラメート、サッカリンおよびスクラロースが挙げられる。
【0037】
特定の実施形態では、甘味料は、アセスルファムKおよびアスパルテームから選択される。好ましくは、甘味料はアセスルファムKとアスパルテームとの組合せである。
【0038】
上述の甘味料は、ヒト被験体が或る特定の甘味料を特定の濃度で甘いと知覚する程度を増強する化合物である、或る特定の甘味増強化合物と組み合わせて使用することもできる。甘味増強剤は、通例、低い濃度、例えば飲料の総重量を基準として1ppm~50ppmの範囲の濃度で使用される。存在する場合、このように低い濃度であっても、甘味料の濃度を半分に下げ、通常濃度の甘味料を含有し、甘味増強剤を含有しない組成物と同等の甘味を得ることができる。甘味増強剤の幾つかの非限定的な例としては、ヘスペレチンジヒドロカルコン、ヘスペレチンジヒドロカルコン-4’-O’グルコシド、ネオヘスペレチンジヒドロカルコン、ブラゼイン、ヘスペリジン、フィロズルチン、ナリンゲニン、ナリンギン、フロレチン、グルコシル化ステビオールグリコシド、(2R,3R)-3-アセトキシ-5,7,4’-トリヒドロキシフラバノン、(2R,3R)-3-アセトキシ-5,7,3’-トリヒドロキシ-4’-メトキシフラバノン、ルブソシド、ソーマチン、モネリン、ミラクリン、グリチルリチンおよびその食用の許容可能な塩(モノアンモニウム塩等)、ナリンギンジヒドロカルコン、ミリセチン、ノビレチン、ポリメトキシフラボン、混合メトキシフラボンおよびヒドロキシフラボン、ケルセチン、或る特定のアミノ酸等が挙げられる。かかる化合物は苦味物質、例えば茶に自然に含まれる苦味物質(例えばタンニン)の知覚される苦味を抑制するようにも機能し得る。
【0039】
特定の実施形態では、甘味料は、スクロース、グルコース、フルクトース、ステビア抽出物、ステビア抽出物のグリコシル化誘導体、砂糖、スクラロース、D-トリプトファン、NHDC、ポリオール、ステビオシド、レバウジオシドA、ソーマチン、モグロシド、モネリン、ネオテーム、アスパルテーム、アリテーム、アセスルファムカリウム、サッカリン、グリチルリチン酸モノアンモニウム、シクラミン酸カルシウム、シクラミン酸ナトリウム、サッカリンナトリウム、サッカリンカリウム、サッカリンアンモニウム、サッカリンカルシウムおよびそれらの任意の混合物からなる群から選択される。
【0040】
本発明によると、コーティングは水溶性マトリックス材料を含む。本発明によると、水溶性マトリックス材料および甘味料は、全く同一の化合物/材料ではない。
【0041】
本発明に使用されるマトリックス材料は水溶性である。「水溶性マトリックス材料」は、本発明の目的上、水中で単相溶液を形成する任意のマトリックス材料を包含すると意図される。好ましくは、水溶性マトリックス材料は、20重量%、より好ましくは、さらには50重量%の濃度で水に溶解した場合に単相溶液を形成する。最も好ましくは、水溶性マトリックス材料は、任意の濃度で水に溶解した場合に単相溶液を形成する。
【0042】
特定の実施形態では、マトリックス材料はマルトデキストリン、加工デンプン、イヌリン、植物性タンパク質、ガム、可溶性繊維、可溶性多糖およびそれらの任意の混合物からなる群から選択される。
【0043】
特定の実施形態によると、水溶性マトリックス材料はアラビアガムである。
【0044】
特定の実施形態によると、水溶性マトリックス材料は、マルトデキストリン、好ましくはDE値15~20を示し、より好ましくはDE値18を示すマルトデキストリンである。
【0045】
特定の実施形態によると、水溶性マトリックス材料は加工デンプンである。
【0046】
本明細書で使用される「可溶性繊維」という用語は、公認分析化学者協会の公定法(Prosky et al, 1988; J. Assoc. Off Anal. Chem, 70, 5, 1017)を用いて可溶性であると特徴付けられた多糖、例えば水溶性繊維、例えば室温で水溶性の繊維を指す。上記可溶性繊維は、例えば果実繊維、穀物繊維、天然可溶性繊維および合成可溶性繊維であり得る。天然繊維としては、可溶性トウモロコシ繊維、アカシアおよび加水分解グアーガムが挙げられる。合成可溶性繊維としては、ポリデキストロース、加工食品用デンプン等が挙げられる。本発明の実施形態において有用な可溶性繊維の食品グレードの供給源としては、イヌリン、トウモロコシ繊維、オオムギ、トウモロコシ胚芽、粉砕カラスムギ外皮、摩砕トウモロコシふすま、小麦ふすまのアリューロン層の誘導体、亜麻粉、全粒亜麻仁ふすま、冬オオムギフレーク、粗挽き焙燥オートグローツ、トウモロコシ、エンドウマメ繊維(例えばカナダ産黄エンドウマメ)、デンマーク産ジャガイモ、コンニャク植物繊維、プランタゴ・オバタ(planago ovate)の種子殻由来のサイリウム繊維、サイリウムハスク、液体アガベ繊維、米ぬか、カラスムギスプラウト繊維、アマランサススプラウト、レンズ豆粉、ブドウ種子繊維、リンゴ、ブルーベリー、クランベリー、イチジク繊維、シランダパワー(ciranda power)、キャロブパウダー、摩砕プルーン繊維、マンゴー繊維、リンゴ繊維、オレンジ、オレンジ果肉、イチゴ、カラギーナン親水コロイド、ユーチュマ・コットニー(eucheuma cottonnil)海藻の誘導体、綿実、ダイズ(soya)、キウイフルーツ、アカシアガム繊維、タケ、チア、ジャガイモ、ジャガイモデンプン、ペクチン(炭水化物)繊維、加水分解グアーガム、ニンジン、ダイズ(soy)、大豆(soybean)、チコリ根、カラスムギ、コムギ、トマト、ポリデキストロース繊維、精製コーンスターチシロップ、イソマルトオリゴ糖混合物、可溶性デキストリン、シトラスビオフラボノイドの混合物、細胞壁破壊栄養酵母、親油性繊維、プラム果汁、カラマツ由来の誘導体、オリゴース繊維、甘蔗糖由来の誘導体、短鎖フラクトオリゴ糖、グルコースの合成ポリマー、ポリデキストロース、ペクチン、ポリアニオン化合物、セルロース繊維、広葉樹植物に由来するセルロース繊維、およびカルボキシメチルセルロースが挙げられる。
【0047】
特定の実施形態によると、マトリックス材料は、アラビアガムのような乳化特性を有する。この特定の実施形態では、乳化剤は任意である。
【0048】
特定の実施形態では、コーティングは乳化剤をさらに含む。乳化剤は、レシチン、グリセロールエステル、脂肪酸エステル、サポニン、タンパク質、アラビアガム、オクテニルコハク酸デンプン(octenyl succinated starch)およびそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0049】
特定の実施形態によると、乳化剤および水溶性マトリックス材料は、互いに異なる材料である。
【0050】
特定の実施形態では、コーティングは、フレーバーオイルを含む油をさらに含む。
【0051】
「油」とは、単一種類の油または幾つかの異なる種類の油の混合物が理解される。上記実施形態では、油はフレーバーオイルを含む。
【0052】
特定の実施形態では、コーティングは、水溶性フレーバーを含む水性天然抽出物をさらに含む。
【0053】
「水溶性フレーバーまたはフレーバーオイル」とは、本明細書では、食用組成物またはチュアブル製品に添加して、その官能特性、特にその風味および/または味を付与、改善または修飾することを意図した、風味付与成分、または風味付与成分、風味付与配合物の調製に現在使用されている溶媒もしくは補助剤の混合物、すなわち成分の特定の混合物を意味する。味調節剤も上記定義に包含される。風味付与成分は、当業者にはよく知られており、その性質は、本明細書での詳細な説明を必要とするものではなく、いずれの場合にも包括的ではなく、熟練したフレーバリストは、一般的な知識に基づき、使用目的または用途、および達成が望まれる感覚刺激効果に応じてそれらを選択することができる。これらの風味付与成分の多くは、参照文献、例えばS. Arctanderによる書籍であるPerfume and Flavor Chemicals, 1969, Montclair, N.J., USAもしくはそのより最新版、または同種の他の論文、例えばFenaroli’s Handbook of Flavor Ingredients, 1975, CRC PressもしくはSynthetic Food Adjuncts, 1947, by M.B. Jacobs, can Nostrand Co., Inc.に記載されている。風味付与配合物の調製に現在使用されている溶媒および補助剤も当該技術分野でよく知られている。
【0054】
特定の実施形態では、フレーバーオイルは、柑橘およびミントオイルを含むテルペンフレーバー、ならびに硫黄フレーバーからなる群から選択される。
【0055】
特定の実施形態では、フレーバーオイルは、2以上のlogP値を特徴とする。
【0056】
特定の実施形態では、フレーバーオイルはベルガモットフレーバーオイルである。
【0057】
特定の実施形態では、フレーバーオイルはレモンフレーバーオイルである。
【0058】
特定の実施形態では、フレーバーオイルは糖蜜フレーバーオイルである。
【0059】
特定の実施形態によると、水溶性フレーバーは2未満のLogP値を有する。
【0060】
特定の実施形態では、コーティングは、フレーバーオイルを含む油と水溶性フレーバーを含む水性天然抽出物との両方を含む。上記実施形態では、水溶性フレーバーとフレーバーオイルとの重量比は、好ましくは0.05超、より好ましくは0.06超である。
【0061】
上述のフレーバーオイルは、疎水性(すなわち非水溶性)である。言い換えると、水に分散した場合に単相を形成する水溶性フレーバーとは対照的に、フレーバーオイルは水に分散した場合に2相を形成する。
【0062】
上述の天然抽出物は、果汁、果実シロップ、果実抽出物、コーヒー抽出物、ハチミツ抽出物、花、葉の抽出物、およびそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0063】
一実施形態によると、天然抽出物は、最大10重量%の水溶性フレーバーを含む。
【0064】
特定の実施形態では、コーティングは、フレーバーオイルと水溶性フレーバーとの両方を遊離フレーバーの形態で含んでいてもよい。「遊離フレーバー」とは、カプセル化されていないフレーバーを意味する。
【0065】
別の実施形態によると、フレーバーオイルと水溶性フレーバーとの両方がカプセル化形態であってもよい。別の実施形態によると、フレーバーオイルと水溶性フレーバーとの両方が、遊離フレーバーとカプセル化フレーバーとの混合物として存在してもよく、後者は、好ましくは非水溶性マイクロカプセルからなる。マイクロカプセルは、当該技術分野で既知の任意のプロセスによって得ることができ、より詳細な説明を必要としない。非限定的な例として、これらの非水溶性マイクロカプセルは、界面重合、重縮合、単純および複合コアセルベーション、またはそれらの組合せからなる群から選択されるプロセスによって得ることができる。特定の実施形態によると、マイクロカプセルは、ポリマーシェルを有するコア-シェル構造を有する。本発明のマイクロカプセルからのポリマーシェルの性質は様々であり得る。別の実施形態によると、マイクロカプセルは、国際公開第2014044840号または国際公開第2013174921号に記載されているような、シェルが場合により架橋された、複合コアセルベーションから得られたポリマーシェルを有する。
【0066】
一実施形態によると、コーティングは、
-コーティングの総重量を基準として0%~25%、好ましくは7%~23%の、フレーバーオイルを含む油、および/または
-コーティングの総重量を基準として1%~50%、好ましくは10%~30%の甘味料、および/または
-コーティングの総重量を基準として20%~80%、好ましくは30%~75%のマトリックス材料、および/または
-コーティングの総重量を基準として0~5%、好ましくは1%~3%の乳化剤
を含む。
【0067】
特定の実施形態では、コーティングは、コーティングの総重量を基準として0%~25%、好ましくは7%~23%のフレーバーオイルを含む油を含む。
【0068】
特定の実施形態では、コーティングは、コーティングの総重量を基準として1%~50%、好ましくは10%~30%の甘味料を含む。
【0069】
特定の実施形態では、コーティングは、コーティングの総重量を基準として20%~80%、好ましくは30%~75%のマトリックス材料を含む。
【0070】
特定の実施形態では、コーティングは、コーティングの総重量を基準として0~5%、好ましくは1%~3%の乳化剤を含む。
【0071】
特定の実施形態によると、コーティングは、甘味組成物の総重量を基準として0.8~20重量%、好ましくは1.5~10%を占める。
【0072】
特定の実施形態では、不溶性食品担体は、甘味組成物の総重量を基準として20重量%超に相当する。
【0073】
特定の実施形態では、乾燥甘味組成物は、不溶性食品担体およびコーティングからなる。
【0074】
本発明の別の目的は、本発明による乾燥甘味組成物を調製する方法であって、
a)
-任意に、フレーバーオイルを含む油、
-水溶性マトリックス材料、
-甘味料、および
-任意に、乳化剤
を含む混合物を調製する工程、
b)工程a)で得られた混合物を不溶性食品担体と混合して、乾燥甘味組成物を形成する工程
を含む、方法である。
【0075】
混合物が、フレーバーオイルを含む油を含む場合、混合物は、油相と、水溶性成分を含む極性相とを示すエマルションである。甘味料の性質に応じて、甘味料は油相または極性相に存在する。
【0076】
混合工程b)は、室温および/もしくは低圧、またはより高温および/もしくは低圧のいずれかで行うことができる。
【0077】
混合工程b)中に、不溶性担体上にコーティングを形成するために、混合物を不溶性食品担体上にノズルを通して注入、散布、噴霧することができる。
【0078】
特定の実施形態によると、工程b)中に混合物を70℃未満の温度、好ましくは室温で不溶性食品担体と混合して、乾燥甘味組成物を形成する。
【0079】
特定の実施形態によると、上記の方法は、水分除去を伴う任意の乾燥工程を含まない。水分除去を伴う乾燥工程としては、例えば噴霧乾燥工程または流動床工程を挙げることができる。
【0080】
別の実施形態によると、混合工程b)は、25℃~70℃の温度にて真空下で行われる。
【0081】
幾つかの実施形態による方法は、特にコーティングがフレーバーオイルおよび/または水溶性フレーバーを含む場合、高温を伴わないため、起こり得る揮発損失を低減し、初期の風味プロファイルを守るという利点をもたらす。これは生産コストおよびカーボンフットプリントを削減する方法でもあり、熱風で液体を乾燥させることに伴う爆発のリスクが回避される。
【0082】
工程a)で得られた混合物中にフレーバーオイルを含む油が存在する場合、フレーバーオイルは、極性相に分散した遊離油の形態であってもよい。本発明の文脈における「遊離油」とは、カプセル化されていない油を意味する。別の実施形態によると、フレーバーオイルは、極性相に分散したカプセル化形態、すなわちスラリーの形態である。さらに別の実施形態によると、フレーバーオイルは、遊離油とカプセル化油との混合物として存在する。本発明の第1の工程(工程a)で調製された混合物がカプセル化形態のフレーバーオイルを含む場合、後者は、好ましくは非水溶性マイクロカプセルからなる。これらのマイクロカプセルは、当該技術分野で既知の任意のプロセスによって得ることができ、より詳細な説明を必要としない。非限定的な例として、これらの非水溶性マイクロカプセルは、界面重合、重縮合、単純および複合コアセルベーション、またはそれらの組合せからなる群から選択されるプロセスによって得ることができる。特定の実施形態によると、マイクロカプセルは、ポリマーシェルを有するコア-シェル構造を有する。本発明のマイクロカプセルからのポリマーシェルの性質は様々であり得る。別の実施形態によると、マイクロカプセルは、国際公開第2014044840号または国際公開第2013174921号に記載されているような、シェルが場合により架橋された、複合コアセルベーションから得られたポリマーシェルを有する。
【0083】
特定の実施形態によると、不溶性食品担体は0.6未満、好ましくは0.5未満、好ましくは0.4未満の水分活性を有する。
【0084】
特定の実施形態によると、工程b)の終了時に、甘味組成物は0.6未満、好ましくは0.5未満、好ましくは0.4未満の水分活性を有する。
【0085】
水分活性は、含水組成物に存在する自由水の量を表す既知のパラメーターである。
【0086】
水分活性(aw)は、物質中の水の蒸気分圧を標準状態の水の蒸気分圧で除算したものである。食品科学の分野では、標準状態は、同じ温度での純水の蒸気分圧と定義される。awは組成物の固有特性であり、当業者であれば、抵抗電解、静電容量または露点湿度計等の種々の方法を用いて容易に決定することができる。
【0087】
例えば、水分活性は、5~6分間の平衡化後にAwを推定するSUPPLIER Quick Aw(登録商標)機能を使用し、飽和塩溶液で較正した10進4桁のRotronic Hygrolabセルを用いて25℃で決定することができる。
【0088】
特定の実施形態によると、食品担体は、水溶性マトリックス材料の臨界水分活性を下回る水分活性を有し、平衡化後の甘味組成物は、依然として水溶性マトリックスの臨界水分活性を下回る水分活性を有し、甘味組成物のガラス転移温度は、25℃以上である。
【0089】
水溶性マトリックス(例えば多糖)の臨界水分活性a は、25℃のガラス転移値をもたらすのに十分な水分が存在するaとして数名の著者により定義されている。炭水化物ガラスの吸湿安定性のこの実用的な測定基準は測定、あるいは予測することができる(M. Sillick, C.M. Gregson / Carbohydrate Polymers 79 (2010) 1028-1033)。
【0090】
特定の実施形態によると、工程a)で得られた混合物は、500mPas超、好ましくは900mPas超の粘度を有し、粘度は25℃および剪断速度100s-1で測定される。粘度は例えば、同心円筒構造のTA InstrumentsのAR2000レオメーター(New Castle,DE,USA)を用いて測定することができる。
【0091】
本発明の別の目的は、本発明による甘味組成物を含む消費者製品である。
【0092】
特定の実施形態では、消費者製品は、食品製品または飲料である。
【0093】
典型的な食品製品は、インスタントスープまたはソース、朝食用シリアル、粉乳、離乳食、粉末飲料、粉末チョコレート飲料、スプレッド、粉末シリアル飲料、チューインガム、発泡錠、シリアルバーおよびチョコレートバーからなる群から選択される。粉末食品または飲料は、製品を水、牛乳および/もしくはジュース、または別の水性液体で再構成した後に摂取されることを意図し得る。
【0094】
本発明による乾燥甘味組成物は、飲料、流動性乳製品、調味料、ベイクド品、フロスティング、パンのフィリング、キャンディー、チューインガムおよび他の食品製品に甘味を付与し、場合により風味付与するのに適している可能性がある。
【0095】
飲料としては、限定されるものではないが、粉末飲料、ならびにファウンテンシロップおよびコーディアル等の液体濃縮物;麦芽飲料、ココア、コーヒーおよびコーヒーベースの飲料、代替コーヒー、ならびにシリアルベースの飲料を含むホット飲料;インスタント飲料、例えばインスタントコーヒー、ドライミックス製品、ならびにそのまま飲用可能な茶(ハーブおよび茶葉ベース)を含む茶;果物および野菜のジュースおよびジュース風味付き飲料、ならびにジュース飲料、ネクター、濃縮物、乾燥風味付き口腔ケア製品または医薬品が挙げられる。
【0096】
非限定的な例として、消費者製品は、
・ ベイクド品(例えばパン、ドライビスケット、ケーキ、他のベイクド品)、
・ インスタント飲料(例えばホット飲料、インスタント野菜飲料、粉末清涼飲料、インスタントコーヒーおよび茶、チョコレート飲料、麦芽飲料)、
・ 穀物製品(例えば朝食用シリアル、調理済み既製米製品、米粉製品、キビおよびソルガム製品、生または調理済みの麺およびパスタ製品)、
・ コンデンスミルクおよび類似物、
・ 菓子製品(例えばチューインガム、ハードおよびソフトキャンディ)、
・ チョコレートおよびコンパウンドコーティング、
・ 乾燥卵、
・ ベジタリアン用の肉代替物、ベジタリアンバーガー、
・ 香辛料または香辛料調製物(例えばカラシ調製物、セイヨウワサビ調製物)、香辛料混合物、特に、スナックの分野で使用される調味料、
・ スナック物品(例えば、焼いたまたは揚げたポテトチップスまたはポテト生地製品、パン生地製品、トウモロコシ、コメまたはラッカセイをベースとした押出物)
の形態である。
【0097】
特定の実施形態によると、甘味組成物を含む消費者製品は、ホットもしくはコールド飲料、またはハーブ浸出物の形態である。
【0098】
特定の実施形態では、消費者製品は、消費者製品の総重量を基準として0.8%~100%、好ましくは1%~50%、より好ましくは1.5%~20%の量で本発明による甘味組成物を含む。
【0099】
本発明の更なる目的は、消費者製品、好ましくは食品製品または飲料を調製する方法であって、
a.消費者製品、好ましくは食品製品または飲料を準備する工程、
b.消費者製品に本発明の甘味組成物を添加する工程
を含む、方法である。
【0100】
消費者製品、好ましくは食品製品または飲料は、本発明の甘味組成物を添加する前に既に甘味付けされ、場合により風味付与されていてもよく、または未だ甘味付けされていなくてもよい。
【0101】
甘味組成物は、例えば、限定されるものではないが、搬送、混合、コーティング、浸出等の当業者に既知の添加手段によって消費者製品に添加することができる。
【0102】
ここで、本発明を実施例によってさらに説明する。特許請求される発明がこれらの実施例によって何ら限定されることを意図するものではないことを理解されたい。
【0103】
実施例1
本発明による甘味組成物の調製
グルコシル化ステビオールグリコシド(GSG)、マルトデキストリン(DE値18)および脱塩水を下記表1に示す量で混合した。初めに、GSGを脱塩水に添加し、400rpmで10分間混合した。次いで、形成された泡を減少させるためにスラリーを室温で1時間静置した。最後に、マルトデキストリンを添加し、得られた混合物を800rpmで10分間混合した。
【0104】
それにより得られた最終混合物を、最終甘味組成物の総重量を基準として1~20重量%の濃度で茶葉に噴霧した。
【0105】
同様に、それにより得られた最終混合物を、最終甘味組成物の総重量を基準として1~20重量%の濃度でコーヒー豆に噴霧した。
【0106】
【表1】
【0107】
実施例2
本発明による甘味組成物の調製
モンクフルーツ抽出物、アラビアガムおよび脱塩水を下記表2に示す量で混合した。初めに、アラビアガムを脱塩水に添加し、10分毎にアラビアガムの総量の3分の1を水に添加し、400rpmで混合した。次いで、モンクフルーツ抽出物で同じ手順を繰り返した。最終混合物を再び800rpmで10分間混合した。
【0108】
それにより得られた最終混合物を、最終甘味組成物の総重量を基準として1~20重量%の濃度で茶葉に噴霧した。
【0109】
同様に、それにより得られた最終混合物を、最終甘味組成物の総重量を基準として1~20重量%の濃度でコーヒー豆に噴霧した。
【0110】
【表2】
【0111】
さらに、非コーティング茶葉およびコーティング茶葉の両方を、茶飲料の調製(それぞれ非コーティングおよびコーティング茶葉の熱水浸出)に使用した。さらに、調製した茶飲料の官能評価を、調製した茶飲料の甘味について行った。コーティング茶葉で調製した茶飲料が、非コーティング茶葉で調製した茶飲料と比較して有意に高い甘味を示すことが見出された(ダンカン比較検定による信頼水準99.9%)。さらに、コーティング茶葉で調製した茶飲料について、有意に長い甘味の印象も認められた(ダンカン比較検定による信頼水準99.9%)。
【0112】
実施例3
本発明による甘味組成物の調製
アセスルファムK、アスパルテーム、ベルガモットフレーバーオイル、加工デンプンおよび脱塩水を下記表3に示す量で混合した。初めに、アスパルテームを水と400rpmで5分間混合した。次いで、アセスルファムKを5分間混合しながら添加した。その後、加工デンプンを添加し、10分間混合した。最後に、ベルガモットフレーバーオイルを添加し、最終混合物を10分間混合した。
【0113】
それにより得られた最終混合物を、最終甘味組成物の総重量を基準として1~20重量%の濃度で茶葉に噴霧した。
【0114】
同様に、それにより得られた最終混合物を、最終甘味組成物の総重量を基準として1~20重量%の濃度でコーヒー豆に噴霧した。
【0115】
【表3】
【0116】
実施例4
本発明による甘味組成物の調製
糖蜜フレーバー、グルコシル化ステビオールグリコシド(GSG)、マルトデキストリン(DE値18)および脱塩水を下記表4に示す量で混合した。初めに、GSGを水に溶解し、続いてマルトデキストリンをゆっくりと添加した。次いで、糖蜜フレーバーを添加した。
【0117】
それにより得られた最終混合物を、最終甘味組成物の総重量を基準として1~20重量%の濃度で茶葉に噴霧した。
【0118】
同様に、それにより得られた最終混合物を、最終甘味組成物の総重量を基準として1~20重量%の濃度でコーヒー豆に噴霧した。
【0119】
【表4】
【0120】
さらに、非コーティング茶葉およびコーティング茶葉の両方を、茶飲料の調製(それぞれ非コーティングおよびコーティング茶葉の熱水浸出)に使用した。さらに、調製した茶飲料の官能評価を、調製した茶飲料の甘味について行った。コーティング茶葉で調製した茶飲料が、非コーティング茶葉で調製した茶飲料と比較して有意に高い甘味を示すことが見出された(ダンカン比較検定による信頼水準99.9%)。さらに、コーティング茶葉で調製した茶飲料について、有意に長い甘味の印象も認められた(ダンカン比較検定による信頼水準99.9%)。
【0121】
コーティング茶葉で調製した茶飲料が、非コーティング茶葉で調製した茶飲料と比較して有意に減少した渋味を示すことがさらに見出された(ダンカン比較検定による信頼水準90%)。
【0122】
実施例5
本発明による甘味組成物の調製
スクラロース、フォレストフルーツフレーバー、アラビアガムおよび脱塩水を下記表5に示す量で混合した。初めに、スクラロースを水に溶解し、続いてアラビアガムをゆっくりと添加した。次いで、フォレストフルーツフレーバーを添加した。
【0123】
それにより得られた最終混合物を、最終甘味組成物の総重量を基準として1~20重量%の濃度で茶葉に噴霧した。
【0124】
同様に、それにより得られた最終混合物を、最終甘味組成物の総重量を基準として1~20重量%の濃度でコーヒー豆に噴霧した。
【0125】
【表5】
【0126】
実施例6
本発明による甘味組成物の調製
レモンフレーバー、モンクフルーツ、アラビアガムおよび脱塩水を下記表6に示す量で混合した。初めに、モンクフルーツを水に溶解し、続いてアラビアガムをゆっくりと添加した。次いで、レモンフレーバーを添加した。
【0127】
それにより得られた最終混合物を、最終甘味組成物の総重量を基準として1~20重量%の濃度で茶葉に噴霧した。
【0128】
同様に、それにより得られた最終混合物を、最終甘味組成物の総重量を基準として1~20重量%の濃度でコーヒー豆に噴霧した。
【0129】
【表6】
【国際調査報告】