(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】ヒドロシリル化硬化性ポリオルガノシロキサン組成物並びにその調製方法及び封止フィルムにおけるその使用
(51)【国際特許分類】
H10K 50/842 20230101AFI20240822BHJP
C09D 183/05 20060101ALI20240822BHJP
C09D 183/07 20060101ALI20240822BHJP
C09K 3/10 20060101ALI20240822BHJP
C08L 83/07 20060101ALI20240822BHJP
C08L 83/05 20060101ALI20240822BHJP
H10K 59/122 20230101ALI20240822BHJP
H10K 71/40 20230101ALI20240822BHJP
H10K 50/844 20230101ALI20240822BHJP
【FI】
H10K50/842 141
C09D183/05
C09D183/07
C09K3/10 G
C08L83/07
C08L83/05
H10K59/122
H10K50/842 426
H10K71/40
H10K50/844 445
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504989
(86)(22)【出願日】2022-05-20
(85)【翻訳文提出日】2024-01-26
(86)【国際出願番号】 US2022072453
(87)【国際公開番号】W WO2023015049
(87)【国際公開日】2023-02-09
(32)【優先日】2021-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100217663
【氏名又は名称】末広 尚也
(72)【発明者】
【氏名】チョン、ジェフン
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ウォンボム
【テーマコード(参考)】
3K107
4H017
4J002
4J038
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC09
3K107CC23
3K107DD89
3K107EE03
3K107EE45
3K107EE48
3K107FF14
3K107FF17
3K107FF18
4H017AA04
4H017AB15
4H017AE05
4J002CP043
4J002CP121
4J002CP122
4J002CP131
4J002CP132
4J002CP141
4J002CP142
4J002EX016
4J002EX057
4J002FD143
4J002FD158
4J002FD206
4J002FD207
4J002GJ02
4J002GQ00
4J038DL042
4J038DL111
4J038JC38
4J038KA04
4J038KA06
4J038NA06
4J038NA08
4J038PB09
(57)【要約】
ヒドロシリル化硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を硬化させて、シリコーン封止フィルムを形成することができる。シリコーン封止フィルムは、OLEDディスプレイでの使用に適したDk及び弾性率を有する。1.8mm~2mmの厚さを有するシリコーン封止フィルムは、Dk<2.8、貯蔵弾性率<1MPa、及びショアA 00硬度>12を有し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーン封止フィルムを形成するための方法であって、
(1)ヒドロシリル化反応硬化性組成物をフィルムに形成することであって、前記組成物は、
出発材料(A)、(B)、(C)及び(D)の合計重量に基づいて、50%~58.59%の、(A)単位式(R
1
2R
2SiO
1/2)
a(R
1
2SiO
2/2)
bを有するポリジオルガノシロキサンポリマーであって、式中、R
1は、1~12個の炭素原子のアルキル基であり、R
2は、2~12個の炭素原子のアルケニル基であり、下付き文字a、b及びcは、1分子当たりの各単位の平均数を表し、a=2、100≦b≦300であるような値を有する、(A)と、
出発材料(A)、(B)、(C)及び(D)の合計重量に基づいて、40%~48.59%の、(B)単位式(R
1
2R
2SiO
1/2)
d(R
1
3SiO
2/2)
e(SiO
4/2)
f(HO
1/2)
gを有するアルケニル官能性ポリオルガノシリケート樹脂であって、式中、R
1及びR
2は、上記の通りであり、下付き文字e、f、g、及びhは、前記樹脂中の各単位のモル分率を表し、d>0、e≧0、f>0、量(d+e+f)=1であるような値を有し、前記樹脂は、1,500g/モル~15,000g/モルの数平均分子量を有し、下付き文字g>0であり、ただし、前記樹脂の重量に基づいて0~2重量%のヒドロキシル含量を前記樹脂に提供するのに十分な値を有することを条件とする、(B)と、
出発材料(A)~(D)の合計重量に基づいて、1.4重量%~2.5重量%の、(C)単位式(R
1
2HSiO
1/2)
h(R
1
3SiO
1/2)
i(R
1
2SiO
2/2)
j(R
1HSiO
2/2)
kを有するポリオルガノハイドロジェンシロキサンであって、式中、R
1は、上記の通りであり、下付き文字h、i、j、及びkは、1分子当たりの各単位の平均数を表し、0≦h≦2、0≦i≦2、(h+i)=2、0≦j<10、0<k<10、0<(j+k)<10、かつ3≦(h+k)≦12であり、(A)前記ポリジオルガノシロキサンポリマー、(B)前記アルケニル官能性ポリオルガノシリケート樹脂、及び(C)前記ポリオルガノハイドロジェンシロキサンの量は、(C)由来のケイ素結合水素原子の(A)及び(B)の合計由来のアルケニル基に対する重量比(SiH/Vi比)が0.30~0.55となるのに十分な量である、(C)と、
出発材料(A)~(D)の合計重量に基づいて、0.01重量%~0.02重量%の、(D)アルケニル官能性オルガノシロキサンと錯体化した白金を含むヒドロシリル化反応触媒であって、それによってヒドロシリル化硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を形成する、(D)と、を含む、形成することと、
(2)前記ヒドロシリル化硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を硬化させ、それによって前記シリコーン封止フィルムを形成することと、を含む、方法。
【請求項2】
各R
1がメチルであり、各R
2がビニルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ヒドロシリル化硬化性ポリオルガノシロキサン組成物が、(E)ヒドロシリル化反応阻害剤、(F)接着促進剤、(G)湿潤剤、及び(E)~(G)のうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される追加の出発材料を更に含む、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法が、周囲温度及び圧力で混合することによって前記出発材料を組み合わせて、前記ヒドロシリル化硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を形成することを更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
工程(1)における形成が、前記ヒドロシリル化硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を、1mm~5mmの厚さを有する前記シリコーン封止フィルムを提供するのに十分な量で型に注入することによって行われる、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程(2)における硬化が、80℃~150℃の温度で15分~1時間加熱することによって行われる、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
OLEDディスプレイ中の湿気に敏感な電子部品を覆うための、請求項1~6のいずれか一項に記載のシリコーン封止フィルムの使用。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法によって調製されたシリコーン封止フィルムでOLEDディスプレイ中の湿気に敏感な電子部品を覆うことを含む、方法。
【請求項9】
OLEDディスプレイの構成要素であって、前記構成要素は、ダム(101)であって、前記ダム(101)は、カラーフィルタ(102)、パッシベーション層(105)、並びに薄膜トランジスタ及び白色有機発光ダイオード(104)を収容する、ダムと、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法によって調製されたシリコーン封止フィルム(103)であって、前記カラーフィルタ(102)、パッシベーション層(105)、並びに薄膜トランジスタ及び白色有機発光ダイオード(104)を囲み、それによって前記カラーフィルタ(102)、前記パッシベーション層(105)、並びに前記薄膜トランジスタ及び前記白色有機発光ダイオード(104)を水分及び他の損傷から保護する、シリコーン封止フィルムと、を備える、構成要素。
【請求項10】
OLEDディスプレイを製作する方法において、改善は、
(1)OLEDディスプレイ用の電子部品をヒドロシリル化反応硬化性組成物で被覆することと、
(2)前記ヒドロシリル化反応硬化性組成物を硬化させて、前記電子部品を保護するシリコーン封止フィルムを形成することと、を含み、
前記ヒドロシリル化反応硬化性組成物は、
出発材料(A)、(B)、(C)及び(D)の合計重量に基づいて、50%~58.59%の、(A)単位式(R
1
2R
2SiO
1/2)
a(R
1
2SiO
2/2)
bを有するポリジオルガノシロキサンポリマーであって、式中、R
1は、1~12個の炭素原子のアルキル基であり、R
2は、2~12個の炭素原子のアルケニル基であり、下付き文字a、b及びcは、1分子当たりの各単位の平均数を表し、a=2、100≦b≦300であるような値を有する、(A)と、
出発材料(A)、(B)、(C)及び(D)の合計重量に基づいて、40%~48.59%の、(B)単位式(R
1
2R
2SiO
1/2)
d(R
1
3SiO
2/2)
e(SiO
4/2)
f(HO
1/2)
gを有するアルケニル官能性ポリオルガノシリケート樹脂であって、式中、R
1及びR
2は、上記の通りであり、下付き文字e、f、g、及びhは、前記樹脂中の各単位のモル分率を表し、d>0、e≧0、f>0、量(d+e+f)=1であるような値を有し、前記樹脂は、1,500g/モル~15,000g/モルの数平均分子量を有し、下付き文字g>0であり、ただし、前記樹脂の重量に基づいて0~2重量%のヒドロキシル含量を前記樹脂に提供するのに十分な値を有することを条件とする、(B)と、
出発材料(A)~(D)の合計重量に基づいて、1.4重量%~2.5重量%の、(C)単位式(R
1
2HSiO
1/2)
h(R
1
3SiO
1/2)
i(R
1
2SiO
2/2)
j(R
1HSiO
2/2)
kを有するポリオルガノハイドロジェンシロキサンであって、式中、R
1は、上記の通りであり、下付き文字h、i、j、及びkは、1分子当たりの各単位の平均数を表し、0≦h≦2、0≦i≦2、(h+i)=2、0≦j<10、0<k<10、0<(j+k)<10、かつ2≦(h+k)≦12であり、(A)前記ポリジオルガノシロキサンポリマー、(B)前記アルケニル官能性ポリオルガノシリケート樹脂、及び(C)前記ポリオルガノハイドロジェンシロキサンの量は、(C)由来のケイ素結合水素原子の(A)及び(B)の合計由来のアルケニル基に対する重量比(SiH/Vi比)が0.30~0.55となるのに十分な量である、(C)と、
出発材料(A)~(D)の合計重量に基づいて、0.01重量%~0.02重量%の、(D)アルケニル官能性オルガノシロキサンと錯体化した白金を含むヒドロシリル化反応触媒である、(D)と、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2021年8月05日に出願された米国特許仮出願第63/229606号の利益を主張する。米国特許仮出願第63/229606号は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
ヒドロシリル化硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を硬化させて、OLEDディスプレイでの使用に好適なシリコーン封止フィルムを形成することができる。組成物を調製する方法、及び組成物を使用してシリコーン封止フィルムを調製する方法が提供される。
【背景技術】
【0003】
序論
封止フィルムは、繊細な電子部品を保護するために有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイにおいて使用される。封止フィルムは、湿気に敏感な電子部品、例えば、有機発光体を覆って、酸化を防止するとともに、外力によって引き起こされる損傷から電子部品を物理的に保護する。
【0004】
光透過率、速硬化性、アウトガス発生がないか又は最小限であること、及び寸法安定性のうちの1つ以上の特徴を有する封止フィルムが、業界で必要とされている。弾性率は、封止フィルムの寸法安定性、更には封止フィルムを含有する電子部品を積層する能力にも影響を与える。また、誘電率(Dk)は、フィルムの分極率の測定値である。低いDk値を有する封止フィルムは、寄生容量を低減する場合があり、これは、寄生容量が電力消費を増加させるため望ましくない。したがって、低いDk値及び適切な弾性率値の両方を有するOLED封止フィルムを調製するための材料が業界で必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
シリコーン封止フィルムを形成する方法が提供される。シリコーン封止フィルムは、OLEDディスプレイでの使用に適している。シリコーン封止フィルムの形成方法は、
(1)
出発材料(A)、(B)、(C)及び(D)の合計重量に基づいて、50%~58.59%の、(A)単位式(R1
2R2SiO1/2)a(R1
2SiO2/2)bを有する直鎖状ポリマーを含むポリジオルガノシロキサンポリマーであって、式中、R1は、1~12個の炭素原子のアルキル基であり、R2は、2~12個の炭素原子のアルケニル基であり、下付き文字a、b及びcは、1分子当たりの各単位の平均数を表し、a=2、100≦b≦300であるような値を有する、(A)と、
出発材料(A)、(B)、(C)及び(D)の合計重量に基づいて、40%~48.59%の、(B)単位式(R1
2R2SiO1/2)d(R1
3SiO2/2)e(SiO4/2)f(HO1/2)gを有するアルケニル官能性ポリオルガノシリケート樹脂であって、式中、R1及びR2は、上記の通りであり、下付き文字e、f、g、及びhは、樹脂中の各単位のモル分率を表し、d>0、e≧0、f>0、量(d+e+f)=1であるような値を有し、樹脂は、1,500g/モル~15,000g/モルの数平均分子量を有し、下付き文字g>0であり、ただし、樹脂の重量に基づいて0~2重量%のヒドロキシル含量を樹脂に提供するのに十分な値を有することを条件とする、(B)と、
出発材料(A)~(D)の合計重量に基づいて、1.4重量%~2.5重量%の、(C)単位式(R1
2HSiO1/2)h(R1
3SiO1/2)i(R1
2SiO2/2)j(R1HSiO2/2)kを有するポリオルガノハイドロジェンシロキサンであって、式中、R1は、上記の通りであり、下付き文字h、i、j、及びkは、1分子当たりの各単位の平均数を表し、0≦h≦2、0≦i≦2、(h+i)=2、0≦j<10、0<k<10、0<(j+k)<10、かつ2≦(h+k)≦12であり、(A)ポリジオルガノシロキサンポリマー、(B)アルケニル官能性ポリオルガノシリケート樹脂、及び(C)ポリオルガノハイドロジェンシロキサンの量は、(C)由来のケイ素結合水素原子の(A)及び(B)の合計由来のアルケニル基に対する重量比(SiH/Vi比)が0.30~0.55となるのに十分な量である、(C)と、
出発材料(A)~(D)の合計重量に基づいて、0.01重量%~0.02重量%の、(D)アルケニル官能性オルガノシロキサンと錯体化した白金を含むヒドロシリル化反応触媒であって、それによってヒドロシリル化硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を形成する、(D)と、を含む、出発材料を混合することと、
(2)ヒドロシリル化硬化性ポリオルガノシロキサン組成物をフィルムに成形することと、
(3)ヒドロシリル化硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を硬化させ、それによってシリコーン封止フィルムを形成することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】ガラス基材に取り付けられた透明かつ剛性のOLEDの構成要素の構造配置である。
【0007】
参照番号
100 ガラス基材に取り付けられた透明かつ剛性のOLEDの構成要素の構造配置
101 ダム
102 CF
103 シリコーン封止フィルム
104 パッシベーション(SiON)
105 TFT+WOLED
106 ガラス基材
【発明を実施するための形態】
【0008】
上記の方法で使用される出発材料を以下に詳細に記載する。
【0009】
(A)ポリジオルガノシロキサンポリマー
出発材料(A)は、ポリジオルガノシロキサンポリマーである。ポリジオルガノシロキサンポリマーは、(A-1)単位式(R1
2R2SiO1/2)a(R1
2SiO2/2)bを有する直鎖状ポリマーを含み、式中、R1は、1~12個の炭素原子のアルキル基であり、R2は、2~12個の炭素原子のアルケニル基であり、下付き文字a、b及びcは、1分子当たりの各単位の数を表し、下付き文字aは2であり、下付き文字bは100~300である。
【0010】
R1に好適なアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状、又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせであり得る。アルキル基は、メチル、エチル、プロピル(n-プロピル及び/又はイソプロピルを含む)、ブチル(n-ブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、及び/又はイソブチルを含む)、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、及びドデシル(及び5~12個の炭素原子を有する分岐異性体)によって例示され、アルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルなどのシクロアルキル基によって更に例示される。あるいは、R1のアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、及びブチル、あるいは、メチル、エチル、及びプロピル、あるいは、メチル又はエチルからなる群から選択され得る。あるいは、R1のアルキル基は、メチルであり得る。
【0011】
R2のアルケニル基は、末端アルケニル官能基を有し得、例えば、R2は、式
【0012】
【化1】
を有し得、式中、下付き文字yは、0~10、あるいは0~6であり、
*は、結合点(すなわち、ケイ素原子への結合点)を示す。あるいは、各R
2は、独立して、ビニル、アリル、及びヘキセニルからなる群から選択され得る。あるいは、各R
2は、独立して、ビニル及びアリルからなる群から選択され得る。あるいは、各R
2は、ビニル及びヘキセニルからなる群から独立して選択され得る。あるいは、各R
2は、ビニルであってもよい。
【0013】
出発材料(A-1)は、アルケニル官能性ポリジオルガノシロキサン、例えば、i)ビス-ジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、ii)ビス-ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、iii)ビス-ジメチルビニルシロキシ末端ポリメチルビニルシロキサン、iv)ビス-トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、v)ビス-トリメチルシロキシ末端ポリメチルビニルシロキサン、vi)ビス-ジメチルヘキセニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、vii)ビス-ジメチルヘキセニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、viii)ビス-ジメチルヘキセニルシロキシ末端ポリメチルヘキセニルシロキサン、ix)ビス-トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、x)ビス-トリメチルシロキシ末端ポリメチルヘキセニルシロキサン、xi)ビス-ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、xii)ビス-ジメチルヘキセニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、及びxiii)i)~xii)のうち2つ以上の組み合わせを含み得る。あるいは、出発材料(A-1)は、i)ビス-ジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、vi)ビス-ジメチルヘキセニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。あるいは、出発材料(A)は、ビス-ジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンであってもよい。
【0014】
出発材料(A-1)のための上記のアルケニル官能性ポリジオルガノシロキサンの調製方法、例えば、対応するオルガノハロシラン及びオリゴマーの加水分解及び縮合、又は環状ポリジオルガノシロキサンの平衡化は、当該技術分野において既知であり、例えば、米国特許第3,284,406号、同第4,772,515号、同第5,169,920号、同第5,317,072号、及び同第6,956,087号を参照されたく、これらは、アルケニル基を有する直鎖状ポリジオルガノシロキサンの調製について開示している。アルケニル基を有する直鎖状ポリジオルガノシロキサンの例は、例えば、商品名DMS-V00、DMS-V03、DMS-V05、DMS-V21、DMS-V6、DMS-V25、DMS-V-31、DMS-V33、DMS-V34、DMS-V35、DMS-V41、DMS-V42、DMS-V43、DMS-V46、DMS-V51、DMS-V52でGelest Inc.(Morrisville,Pennsylvania,USA)から市販されている。
【0015】
出発材料(A)は、(A-2)単位式(R1R2SiO2/2)cを有する環状ポリマーを任意選択で更に含んでよく、式中、R1及びR2は、上記の通りであり、下付き文字cは、3~12である。当業者は、上記の直鎖状アルケニル官能性ポリジオルガノシロキサンを製造する方法において、環状ポリマーが副生成物として形成され得ることを認識するであろう。環状アルケニル官能性ポリジオルガノシロキサンの例としては、2,4,6-トリメチル-2,4,6-トリビニル-シクロトリシロキサン、2,4,6,8-テトラメチル-2,4,6,8-テトラビニル-シクロテトラシロキサン、2,4,6,8,10-ペンタメチル-2,4,6,8,10-ペンタビニル-シクロペンタシロキサン、及び2,4,6,8,10,12-ヘキサメチル-2,4,6,8,10,12-ヘキサビニル-シクロヘキサシロキサンが挙げられる。これらの環状アルケニル官能性ポリジオルガノシロキサンは、当技術分野において既知であり、例えば、Sigma-Aldrich(St.Louis,Missouri,USA)、Milliken(Spartanburg,South Carolina,USA)、及び他の業者から市販されている。出発材料(A-2)の量は、出発材料(A)~(D)の合計重量に基づいて0~0.2%であってもよい。出発材料(A)の残りは、上記の出発材料(A-1)である。
【0016】
(B)ポリオルガノシリケート樹脂
出発材料(B)は、ポリオルガノシリケート樹脂であり、これは、式、RM
3SiO1/2の単官能単位、及び式SiO4/2の四官能単位(「Q」単位)を含み、式中、各RMは、上記のR1及び2から選択される、独立して選択される一価ヒドロカルビル基である。あるいは、各RMは、メチル、及びビニル、及びフェニルから選択され得る。あるいは、RM基の少なくとも3分の1、代替的に少なくとも3分の2は、メチル基である。あるいは、単官能単位は、(Me3SiO1/2)及び(Me2ViSiO1/2)によって例示され得る。ポリオルガノシリケート樹脂は、液体炭化水素、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ヘプタン、及びそれらの2つ以上の組み合わせによって例示される、溶剤中に可溶性であるか、又は低粘度の線状及び環状ポリジオルガノシロキサンなどの液体有機ケイ素化合物中で可溶性である。
【0017】
調製されたとき、ポリオルガノシリケート樹脂は上記の単官能単位及び四官能単位を含み、また、ポリオルガノシリケート樹脂は更に、シラノール(ケイ素結合ヒドロキシル)基を含む単位を含み、また、式、Si(OSiRM
3)4、のネオペンタマーを含んでもよく、式中、RMは上記の通りである。米国特許第9,593,209号の欄32、参考例2に記載されているように、Si29核磁気共鳴(NMR)分光法は、単官能単位と四官能単位とのモル比を測定するために使用され得、当該比は、{M(樹脂)+(M(ネオペンタマー)}/{Q(樹脂)+Q(ネオペンタマー)}として表され、ポリオルガノシリケート樹脂の樹脂部及びネオペンタマー部分のトリオルガノシロキシ基(M単位)の総数と、樹脂部及びネオペンタマー部分のシリケート基(Q単位)の総数とのモル比を表す。
【0018】
ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、存在するRMによって表されるヒドロカルビル基の種類を含む様々な要因に依存する。ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、ネオペンタマーを表すピークが測定から除外される場合、米国特許第9,593,209号の第31欄の参照例1における手順に従ってゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用して測定される数平均分子量を指す。ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、1,500以上、あるいは3,000g/モル超、あるいは1,500g/モル~15,000g/モル、及びあるいは3,000g/モル~8,000g/モルであり得る。代替的に、ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、4,500g/mol~7,500g/molであり得る。
【0019】
ポリオルガノシリケート樹脂は、対応するシランの共加水分解又はシリカヒドロゾルキャッピング法などの任意の好適な方法によって調製することができる。ポリオルガノシリケート樹脂は、Daudtらの米国特許第2,676,182号、Rivers-Farrellらの同第4,611,042号、及びButlerらの同第4,774,310号に開示されているものなどのシリカヒドロゾルキャッピング法によって調製することができる。上述のDaudtらの方法は、酸性条件下でシリカヒドロゾルを、トリメチルクロロシランなどの加水分解性トリオルガノシラン、ヘキサメチルジシロキサンなどのシロキサン、又はそれらの混合物と反応させ、単官能性単位及び四官能性単位を有するコポリマーを回収することを伴う。得られたコポリマーは概ね、2~5重量パーセントのヒドロキシル基を含有する。
【0020】
ポリオルガノシリケート樹脂を調製するために使用される中間体は、トリオルガノシラン及び4つの加水分解性置換基を含むシラン又はアルカリ金属シリケートであることができる。トリオルガノシランは、式R1
3SiX1を有し得、式中、R1は、上記の通りであり、X1は、加水分解性置換基を表す。4つの加水分解性置換基を有するシランは、式SiX2
4を有し得、式中、各X2は、ハロゲン、アルコキシ、又はヒドロキシルである。好適なアルカリ金属シリケートとしては、ナトリウムシリケートが挙げられる。
【0021】
上記のように調製されたポリオルガノシリケート樹脂は、典型的には、ケイ素結合ヒドロキシル基、すなわち、式、HOSi3/2及び/又は(HO)xRM
(3-x)SiO1/2を有するものを含有し、式中、下付き文字xは、1、2、又は3である。ポリオルガノシリケート樹脂中に存在するケイ素結合ヒドロキシル基の濃度は、ASTM Standard E-168-16に従ってフーリエ変換赤外(Fourier Transform-Infra Red、FTIR)分光法を使用して求めることができる。ある特定の用途では、ケイ素結合ヒドロキシル基の量は、0.7%未満、代替的に0.3%未満、代替的に1%未満、代替的に0.3%~0.8%であることが望ましい場合がある。ポリオルガノシリケート樹脂の調製中に形成されたケイ素結合ヒドロキシル基は、シリコーン樹脂を適切な終端基を含有するシラン、ジシロキサン、又はジシラザンと反応させることにより、トリヒドロカルビルシロキサン基又は別の加水分解性基に変換することができる。加水分解性基を含有するシランは、ポリオルガノシリケート樹脂におけるケイ素結合ヒドロキシル基と反応するのに必要な量よりもモル過剰で添加され得る。
【0022】
あるいは、ポリオルガノシリケート樹脂は、末端脂肪族不飽和基(例えば、アルケニル基)を有していてもよい。終端脂肪族不飽和基を有するポリオルガノシリケート樹脂は、最終生成物中に3~30モル%の不飽和有機基を提供するのに十分な量の、不飽和有機基含有末端封止剤及び脂肪族不飽和を含まない末端封止剤と、Daudtらの生成物を反応させることによって調製することができる。末端封止剤の例としては、限定されないが、シラザン、シロキサン、及びシランが挙げられる。好適な末端封止剤は、当該技術分野で既知であり、米国特許第4,584,355号、同第4,591,66号及び同第4,585,836号に例示される。単一の末端封止剤又はこのような剤の混合物を使用して、このような樹脂を調製することができる。
【0023】
ポリオルガノシリケート樹脂は、単位式(R1
2R2SiO1/2)d(R1
3SiO2/2)e(SiO4/2)f(HO1/2)gを有し得、式中、R1及びR2は、上記の通りであり、下付き文字e、f、g、及びhは、樹脂中の各単位のモル分率を表し、d>0、e≧0、f>0、量(d+e+f)=1であるような値を有し、樹脂は、1,500g/モル~15,000g/モルの数平均分子量を有し、下付き文字g>0であり、ただし、樹脂の重量に基づいて0~2重量%のヒドロキシル含量を樹脂に提供するのに十分な値を有することを条件とする。ポリオルガノシリケート樹脂は市販もされており、例えば、DOWSIL(商標)6-3444 IntはDSCから入手可能である。
【0024】
ヒドロシリル化硬化性ポリオルガノシロキサン組成物中の(B)ポリオルガノシリケート樹脂の量は、(A)ポリジオルガノシロキサンポリマーの種類及び量、出発材料(A)及び(B)のアルケニル含有量、並びに出発材料(C)のケイ素結合水素含有量などの様々な要因に依存する。しかしながら、(B)ポリオルガノシリケート樹脂の量は、出発材料(A)、(B)、(C)、及び(D)の合計重量に基づいて40%~48.59%であり得る。
【0025】
(C)ポリオルガノハイドロジェンシロキサン
ヒドロシリル化硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の出発材料(C)は、ポリオルガノハイドロジェンシロキサンである。ポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、単位式(R1
2HSiO1/2)h(R1
3SiO1/2)i(R1
2SiO2/2)j(R1HSiO2/2)kを有し得、式中、R1は、上記の通りであり、下付き文字h、i、j、及びkは、1分子当たりの各単位の平均数を表し、0≦h≦2、0≦i≦2、(h+i)=2、0≦j<10、0<k<10、0<(j+k)<10、かつ2≦(h+k)≦12である。あるいは、hは0であってもよく、iは2であってもよい。あるいは、jは、0~5、あるいは1~4、あるいは2~4、あるいは3~3.5であってもよい。あるいは、kは、1~10、あるいは2~9、あるいは3~8、あるいは4~7、あるいは5~6であってもよい。
【0026】
本明細書での使用に好適なポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、(i)ビス-ジメチルハイドロジェンシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルハイドロジェンシロキサン)、(ii)ビス-ジメチルハイドロジェンシロキシ末端ポリメチルハイドロジェンシロキサン、(iii)ビス-トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルハイドロジェンシロキサン)、
(iv)ビス-トリメチルシロキシ末端ポリメチルハイドロジェンシロキサン、(v)α-ジメチルハイドロジェンシロキシ-ω-トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルハイドロジェンシロキサン)、(vi)α-ジメチルハイドロジェンシロキシ-ω-トリメチルシロキシ末端ポリメチルハイドロジェンシロキサン、及び(vii)これらの2つ以上の組み合わせによって例示される。
【0027】
ポリオルガノハイドロジェンシロキサンも市販されており、例えば、Gelest,Inc.(Morrisville,Pennsylvania,USA)から入手可能なもの、例えば、HMS-H271(i)、HMS-071(iii)、HMS-993(iv)、HMS-301及びHMS-301R(iii)、HMS-031(iii)、HMS-991(iv)、HMS-992(iv)、HMS-993(iv)、HMS-082(iii)、HMS-151(iii)、HMS-013(iii)、HMS-053(iii)、HAM-301(オクチル官能性)、及びHMS-HM271(v)である。あるいは、本明細書で使用するポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、(iii)ビス-トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルハイドロジェンシロキサン)、(iv)ビス-トリメチルシロキシ末端ポリメチルハイドロジェンシロキサン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。DOWSIL(商標)6-3570ポリマーなどのポリオルガノハイドロジェンシロキサンもDSCから入手可能である。オルガノハロシランの加水分解及び縮合などの本明細書での使用に好適なポリオルガノハイドロジェンシロキサンの調製方法は、Speierらの米国特許第2,87,218号、Jeramらの同第3,957,713号、Hardmanらの同第4,329,273号に例示されるように、当該技術分野において周知である。
【0028】
ポリオルガノハイドロジェンシロキサンのケイ素結合水素(Si-H)の含有量は、ASTM E168に準拠して定量的赤外線分析を使用して決定され得る。ケイ素結合水素対アルケニル(例えば、ビニル)比(すなわち、SiH/Vi比)は、ヒドロシリル化反応硬化プロセスに依存する場合に重要である。一般に、これは、水素の分子量を1、ビニルの分子量を27とし、ケイ素に結合した水素対ビニルのモル比を27[H]/[V]として、組成物中のアルケニル基、例えば、ビニル[V]の総重量%と、組成物中のケイ素に結合した水素[H]の総重量%を計算することにより決定される。上記の出発材料(A)、(B)、及び(C)は、0.3~0.55、あるいは0.31~0.53、あるいは0.4~0.5、あるいは0.41~0.49のSiH/Vi比を提供するように選択され得る。
【0029】
(D)ヒドロシリル化反応触媒
ヒドロシリル化硬化性ポリオルガノシロキサン組成物中の出発材料(D)は、ヒドロシリル化反応触媒である。この触媒は、出発材料(A)及び(B)中のアルケニル基と出発材料(C)中のケイ素結合水素原子との間の反応を促進する。当該触媒は、白金族金属を含む。白金族金属は、白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、及びイリジウムからなる群から選択され得る。あるいは、白金族金属は、白金であり得る。例えば、ヒドロシリル化反応触媒は、(D-1)上記の白金族金属、(D-2)そのような金属の化合物、例えば、クロリドトリス(トリフェニルホスファン)ロジウム(I)(Wilkinsonの触媒)、[1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ジクロロジロジウム若しくは[1,2-ビス(ジエチルホスピノ(diethylphospino))エタン]ジクロロジロジウムなどのロジウムジホスフィンキレート、塩化白金酸(Speierの触媒)、塩化白金酸六水和物、二塩化白金、(D-3)化合物(D-2)とアルケニル基含有オルガノポリシロキサンとの錯体、(D-4)マトリックス若しくはコアシェル型構造にマイクロカプセル化された白金族金属化合物、又は、(D-5)そのようなマトリックス若しくはコアシェル型構造中にマイクロカプセル化された錯体(D-3)、からなる群から選択され得る。白金とアルケニル官能性オルガノポリシロキサンとの錯体としては、1,3-ジエチル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンと白金との錯体(Karstedt触媒)、及びテトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン中のPt(0)錯体(Ashby錯体)が挙げられる。出発材料(D)に好適な白金含有触媒の具体例としては、六水和物の形態若しくは無水物の形態のいずれかの塩化白金酸、又は塩化白金酸をジビニルテトラメチルジシロキサンなどの脂肪族不飽和オルガノシリコン化合物と反応させることを含む方法により得られる白金含有触媒、又はRoyの米国特許第6,605,734号に記載されているアルケン-白金-シリル錯体が挙げられる。アルケン-白金-シリル錯体は、例えば、0.015モルの(COD)PtCl2を、0.045モルのCOD及び0.0612モルのHMeSiCl2と混合することによって調製され得る(式中、CODは、シクロオクタジエニルを表し、Meは、メチルを表す)。他の例示的なヒドロシリル化反応触媒は、Speierの米国特許第2,87,218号、Ashbyの同第3,159,601号、Lamoreauxの同第3,60,972号、Chalkらの同第3,296,291号、Willingの同第3,419,593号、Modicの同第3,516,946号、Karstedtの同第3,715,334号、Karstedtの同第3,814,730号、Chandraの同第3,928,629号、Leeらの同第3,989,668号、Leeらの同第4,766,176号、Leeらの同第4,784,879号、Togashiの同第5,017,654号、Chungらの同第5,036,117号、及びBrownの同第5,175,325号、並びにTogashiらの欧州特許第0347895(A)号に記載されている。出発材料(D)に好適なヒドロシリル化反応触媒は市販されており、例えば、DOWSIL(商標)3-8015 Int(Platinum #2)、SYL-OFF(商標)4000 Catalyst、及びSYL-OFF(商標)2700は、DSCから入手可能である。
【0030】
出発材料(D)は、1種のヒドロシリル化反応触媒であってもよく、又は上記のヒドロシリル化反応触媒の2種以上の組み合わせであってもよい。組成物中の(D)ヒドロシリル化反応触媒の量は、出発材料(A)、(B)、及び(C)の選択、任意の追加の出発材料が存在する場合、それら各々のアルケニル基及びケイ素結合水素原子の含有量、並びに組成物中のヒドロシリル化反応阻害剤の存在の有無を含む様々な要因に依存するが、触媒の量は、SiH及びアルケニル基のヒドロシリル化反応を触媒するのに十分であり、あるいは触媒の量は、出発材料(A)、(B)、(C)、及び(D)の合計量に基づいて、少なくとも0.01ppm、あるいは少なくとも0.05ppm、あるいは少なくとも0.1ppm、あるいは少なくとも0.5ppm、あるいは少なくとも1ppmの白金族金属の質量を提供するのに十分である。同時に、触媒の量は、同じ基準で、最大800ppm、あるいは最大500ppm、あるいは最大100ppmの白金族金属を提供するのに十分である。あるいは、(D)ヒドロシリル化反応触媒がアルケニル官能性オルガノシロキサンと錯体化した白金を含む場合、その量は、出発材料(A)~(D)の合計重量に基づいて、0.01重量%~0.02重量%であってもよい。
【0031】
追加の出発材料
ヒドロシリル化硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、任意選択で、1つ以上の追加の出発材料を更に含んでもよい。例えば、追加の出発材料は、(E)ヒドロシリル化反応阻害剤、(F)接着促進剤、(G)溶剤、及び(H)湿潤剤、並びに(E)~(H)の2つ以上の組み合わせからなる群から選択されてもよい。
【0032】
(E)ヒドロシリル化反応阻害剤
出発材料(E)は、ヒドロシリル化反応阻害剤(阻害剤)であり、これは、阻害剤を除いて同じ出発材料を含有する組成物と比べて、ヒドロシリル化反応の速度を変えるために使用することができる。出発材料(E)は、(E1)アセチレン系アルコール、(E2)シリル化アセチレン系アルコール、(E3)エン-イン化合物、(E4)トリアゾール、(E5)ホスフィン、(E6)メルカプタン、(E7)ヒドラジン、(E8)アミン、(E9)フマラート、(E10)マレアート、(E11)エーテル、(E12)一酸化炭素、(E13)アルケニル官能性シロキサンオリゴマー、及び(E14)それらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択されてもよい。あるいは、ヒドロシリル化反応阻害剤は、(E1)アセチレン系アルコール、(E2)シリル化アセチレン系アルコール、(E9)フマラート、(E10)マレアート、(E13)一酸化炭素、(E14)それらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択されてもよい。
【0033】
アセチレン系アルコールは、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、1-ブチン-3-オール、1-プロピン-3-オール、メチルブチニル、例えば、2-メチル-3-ブチン-2-オール及び3-メチル-1-ブチン-3-オール、3-メチル-1-ペンチン-3-オール、3-フェニル-1-ブチン-3-オール、4-エチル-1-オクチン-3-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、並びにエチニルシクロヘキサノール、例えば、1-エチニル-1-シクロヘキサノール、並びにそれらの組み合わせによって例示される。アセチレン系アルコールは、当該技術分野において既知であり、様々な供給元から市販されており、例えば、Kookootsedesらの米国特許第3,445,420号を参照されたい。あるいは、阻害剤は、シリル化アセチレン系化合物であってもよい。理論に束縛されるものではないが、シリル化アセチレン系化合物を添加すると、シリル化アセチレン系化合物を含有していない、又は上記したものなどの有機アセチレン系アルコール阻害剤を含有する出発材料のヒドロシリル化による反応生成物と比較して、ヒドロシリル化反応から調製される反応生成物の黄変が低減すると考えられる。シリル化アセチレン系化合物は、(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)トリメチルシラン、((1,1-ジメチル-2-プロピニル)オキシ)トリメチルシラン、ビス(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルシラン、ビス(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)シランメチルビニルシラン、ビス((1,1-ジメチル-2-プロピニル)オキシ)ジメチルシラン、メチル(トリス(1,1-ジメチル-2-プロピニルオキシ))シラン、メチル(トリス(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ))シラン、(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルフェニルシラン、(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルヘキセニルシラン、(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)トリエチルシラン、ビス(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)メチルトリフルオロプロピルシラン、(3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オキシ)トリメチルシラン、(3-フェニル-1-ブチン-3-オキシ)ジフェニルメチルシラン、(3-フェニル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルフェニルシラン、(3-フェニル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルビニルシラン、(3-フェニル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルヘキセニルシラン、(シクロヘキシル-1-エチン-1-オキシ)ジメチルヘキセニルシラン、(シクロヘキシル-1-エチン-1-オキシ)ジメチルビニルシラン、(シクロヘキシル-1-エチン-1-オキシ)ジフェニルメチルシラン、(シクロヘキシル-1-エチン-1-オキシ)トリメチルシラン、及びそれらの組み合わせによって例示される。本明細書における阻害剤として有用なシリル化アセチレン系化合物は、当該技術分野において既知の方法によって調製することができ、例えば、Bilgrienらの米国特許第6,677,407号は、酸受容体の存在下でクロロシランと反応させることによって上記のアセチレン系アルコールをシリル化することを開示している。
【0034】
あるいは、阻害剤は、エン-イン化合物、例えば、3-メチル-3-ペンテン-1-イン、3,5-ジメチル-3-ヘキセン-1-イン、及びこれらの組み合わせであってもよい。あるいは、阻害剤は、ベンゾトリアゾールによって例示されるトリアゾールを含んでもよい。あるいは、阻害剤は、ホスフィンを含んでもよい。あるいは、阻害剤は、メルカプタンを含んでもよい。あるいは、阻害剤は、ヒドラジンを含んでもよい。あるいは、阻害剤は、アミンを含んでもよい。アミンは、テトラメチルエチレンジアミン、3-ジメチルアミノ-1-プロピン、n-メチルプロパルギルアミン、プロパルギルアミン、1-エチニルシクロヘキシルアミン、又はそれらの組み合わせによって例示される。あるいは、阻害剤は、フマラートを含んでもよい。フマラートとしては、フマル酸ジエチルなどのフマル酸ジアルキル、フマル酸ジアリルなどのフマル酸ジアルケニル、及びフマル酸ビス-(メトキシメチル)エチルなどのフマル酸ジアルコキシアルキルが挙げられる。あるいは、阻害剤は、マレアートを含んでもよい。マレアートとしては、マレイン酸ジエチルなどのマレイン酸ジアルキル、マレイン酸ジアリルなどのマレイン酸ジアルケニル、及びマレイン酸ビス-(メトキシメチル)エチルなどのマレイン酸ジアルコキシアルキルが挙げられる。あるいは、阻害剤は、エーテルを含んでもよい。
【0035】
あるいは、阻害剤は、一酸化炭素を含んでもよい。あるいは、阻害剤は、アルケニル官能性シロキサンオリゴマーを含んでもよく、これは、1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラヘキセニルシクロテトラシロキサン、1,3-ジビニル-1,3-ジフェニル-1,3-ジメチルジシロキサン、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、及びそれらの2つ以上の組み合わせによって例示されるメチルビニルシクロシロキサンなどの環状又は直鎖状であってもよい。上記の阻害剤として有用な化合物は、例えば、Sigma-Aldrich Inc.又はGelest,Inc.から市販されており、当技術分野において既知であり、例えば、Leeらの米国特許第3,989,667号を参照されたい。本明細書で使用するのに好適な阻害剤は、米国特許出願公開第20007/0099007号の段落[0148]~[0165]に安定剤Eとして記載されているものによって例示される。
【0036】
阻害剤の量は、所望のポットライフ、組成物が一部型組成物であるか多部型組成物であるか、使用される特定の阻害剤、及びヒドロシリル化反応触媒の選択及び量などの様々な要因によって異なることになる。しかし、阻害剤の量は、組成物中の出発材料(A)、(B)、(C)、及び(D)の合計重量に基づいて、0重量%~1重量%、あるいは0重量%~5重量%、あるいは0.001重量%~1重量%、あるいは0.01重量%~0.5重量%、あるいは0.0025重量%~0.025重量%であってもよい。
【0037】
(F)接着促進剤
出発材料(F)は、ヒドロシリル化硬化性ポリオルガノシロキサン組成物に任意選択で添加され得る接着促進剤である。好適な接着促進剤は、遷移金属キレート、ハイドロカルボノオキシシラン、例えば、アルコキシシラン、アルコキシシランとヒドロキシ官能性ポリオルガノシロキサンとの組み合わせ、アミノ官能性シラン、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。接着促進剤は、当該技術分野において既知であり、式:R3
rR4
sSi(OR5)4-(r+s)を有するシランを含み得、式中、各R3は、少なくとも3つの炭素原子を有する一価有機基であり、R4は、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基又はアクリレート基などの接着促進基を有する少なくとも1つのSiC結合置換基を含有し、下付き文字rは、0~2の範囲の値を有し、下付き文字sは、1又は2のいずれかであり、(r+s)の合計は、3以下である。各R5は、独立して、飽和炭化水素基である。R5の飽和炭化水素基は、例えば、1~4個の炭素原子、あるいは1~ 2個の炭素原子を有するアルキル基であってもよい。R5は、メチル、エチル、プロピル、及びブチルによって例示される。あるいは、接着促進剤は、上述のシランの部分縮合体を含んでもよい。あるいは、接着促進剤は、上述のシランの部分縮合体を含んでもよい。あるいは、接着促進剤は、アルコキシシランとヒドロキシ官能性ポリオルガノシロキサンとの組み合わせを含み得る。
【0038】
あるいは、接着促進剤は、不飽和又はエポキシ官能性化合物を含んでもよい。接着促進剤は、不飽和又はエポキシ官能性アルコキシシランを含んでもよい。例えば、官能性アルコキシシランは、式R6
tSi(OR7)(4-t)を有することができ、式中、下付き文字tは、1、2、又は3であり、あるいは下付き文字tは、1である。各R6は、少なくとも1つのR6は、不飽和有機基又はエポキシ官能性有機基であることを条件として、独立して、一価有機基である。R6のエポキシ官能性有機基は、3-グリシドキシプロピル及び(エポキシシクロヘキシル)エチルによって例示される。R6の不飽和有機基は、3-メタクリロイルオキシプロピル、3-アクリロイルオキシプロピル、及びビニル、アリル、ヘキセニル、ウンデシレニルなどの不飽和一価炭化水素基によって例示される。各R7は、独立して、1~4個の炭素原子、又は1~2個の炭素原子を有する飽和炭化水素基である。R7は、Me、エチル、プロピル、及びブチルによって例示される。
【0039】
適切なエポキシ官能性アルコキシシランの例としては、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、(エポキシシクロヘキシル)エチルジメトキシシラン、(エポキシシクロヘキシル)エチルジエトキシシラン、及びそれらの組み合わせが含まれる。好適な不飽和アルコキシシランの例としては、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ヘキセニルトリメトキシシラン、ウンデシレニルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0040】
あるいは、接着促進剤は、上述のようなヒドロキシ末端ポリオルガノシロキサンとエポキシ官能性アルコキシシランとの反応生成物などのエポキシ官能性シロキサン、又はヒドロキシ末端ポリオルガノシロキサンとエポキシ官能性アルコキシシランとの物理的ブレンドを含んでもよい。接着促進剤は、エポキシ官能性アルコキシシランとエポキシ官能性シロキサンとの組み合わせを含み得る。例えば、接着促進剤は、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランと、ヒドロキシ末端メチルビニルシロキサン及び3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランの反応生成物と、の混合物、又は3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランとヒドロキシ末端メチルビニルシロキサンとの混合物、又は3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランとヒドロキシ末端メチルビニル/ジメチルシロキサンコポリマーとの混合物によって例示される。
【0041】
あるいは、接着促進剤は、H2N(CH2)2Si(OCH3)3、H2N(CH2)2Si(OCH2CH3)3、H2N(CH2)3Si(OCH3)3、H2N(CH2)3Si(OCH2CH3)3、CH3NH(CH2)3Si(OCH3)3、CH3NH(CH2)3Si(OCH2CH3)3、CH3NH(CH2)5Si(OCH3)3、CH3NH(CH2)5Si(OCH2CH3)3、H2N(CH2)2NH(CH2)3Si(OCH3)3、H2N(CH2)2NH(CH2)3Si(OCH2CH3)3、CH3NH(CH2)2NH(CH2)3Si(OCH3)3、CH3NH(CH2)2NH(CH2)3Si(OCH2CH3)3、C4H9NH(CH2)2NH(CH2)3Si(OCH3)3、C4H9NH(CH2)2NH(CH2)3Si(OCH2CH3)3、H2N(CH2)2SiCH3(OCH3)2、H2N(CH2)2SiCH3(OCH2CH3)2、H2N(CH2)3SiCH3(OCH3)2、H2N(CH2)3SiCH3(OCH2CH3)2、CH3NH(CH2)3SiCH3(OCH3)2、CH3NH(CH2)3SiCH3(OCH2CH3)2、CH3NH(CH2)5SiCH3(OCH3)2、CH3NH(CH2)5SiCH3(OCH2CH3)2、H2N(CH2)2NH(CH2)3SiCH3(OCH3)2、H2N(CH2)2NH(CH2)3SiCH3(OCH2CH3)2、CH3NH(CH2)2NH(CH2)3SiCH3(OCH3)2、CH3NH(CH2)2NH(CH2)3SiCH3(OCH2CH3)2、C4H9NH(CH2)2NH(CH2)3SiCH3(OCH3)2、C4H9NH(CH2)2NH(CH2)3SiCH3(OCH2CH3)2、及びこれらの組み合わせによって例示されるアミノ官能性アルコキシシランなど、アミノ官能性シランを含んでもよい。
【0042】
あるいは、接着促進剤は、遷移金属キレートを含んでもよい。好適な遷移金属キレートとしては、チタネート、ジルコニウムアセチルアセトネートなどのジルコネート、アルミニウムアセチルアセトネートなどのアルミニウムキレート、及びこれらの組み合わせが挙げられる。あるいは、接着促進剤は、遷移金属キレートとアルコキシシランとの組み合わせ(例えば、グリシドキシプロピルトリメトキシシランとアルミニウムキレート又はジルコニウムキレートとの組み合わせ)を含んでもよい。
【0043】
接着促進剤の量は、選択される接着促進剤の種類、並びに、組成物及びその硬化生成物の最終用途を含む様々な因子に依存する。しかしながら、接着促進剤の量は、出発材料(A)、(B)、(C)、及び(D)の合計重量に基づいて、>0~<2%であり得る。
【0044】
(G)溶剤
出発材料(G)は、1つ以上の出発材料の混合を容易にするために任意選択で追加され得る溶剤である。例えば、(B)アルケニル官能性ポリオルガノシリケート樹脂及び/又は(D)ヒドロシリル化反応触媒を溶剤中で送達してもよい。溶剤は、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、又は3~10の平均重合度を有する環状シロキサン、及び/又はハロゲン化炭化水素であり得る。好適な炭化水素は、i)ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン又はキシレンなどの芳香族炭化水素;ii)ヘキサン、ヘプタン、オクタン、若しくはイソパラフィンなどの脂肪族炭化水素;又はこれらの組み合わせであり得る。好適なハロゲン化炭化水素としては、トリクロロエチレン、ペルクロロエチレン、トリフルオロメチルベンゼン、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、メチルペンタフルオロベンゼン、ジクロロメタン、1,1,1-トリクロロエタン、及び塩化メチレンが挙げられる。重合度が3~10、あるいは3~6である好適な環状シロキサンとしては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、及び/又はデカメチルシクロペンタシロキサンが挙げられる。溶剤の正確な量は、混合される出発材料の種類と量、選択された溶剤の種類に応じて異なり得るが、組成物の形態が均質な混合物であるように溶剤の量を選択してもよい。溶剤の量は、出発材料(A)、(B)、(C)及び(D)の合計重量に基づき、>0%~<100%、あるいは10%~90%、あるいは5%~80%であり得る。溶剤の全て又は一部を、任意選択的に、組成物を調製した後に除去することができる。
【0045】
(H)湿潤剤
ヒドロシリル化硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、任意選択で、湿潤剤を更に含んでもよく、これは、組成物の表面張力を低下でき、型内又は基材上での組成物の均一な分布を容易にできる表面活性分子であり、それによって、硬化後に間隙を充填する及び/又は均一なシリコーン封止フィルムを形成するのを助ける。湿潤剤は、5~100cPの粘度を有するビス-トリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンなどの非官能性ポリジオルガノシロキサンであってもよい。このような湿潤剤は当該技術分野において既知であり、例えば、DSCから商品名DOWSIL(商標)200 Fluidsで市販されている。湿潤剤の量は、出発材料(A)、(B)、(C)、及び(D)の合計重量に基づいて、0~1重量%であり得る。
【0046】
ヒドロシリル化硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、充填剤を含まなくてもよく、又は組成物中の全ての出発材料の合計重量に基づいて0~30重量%などの限られた量の充填剤のみを含有してもよい。理論に束縛されるものではないが、充填剤は、組成物を適用又は分配するために使用される機器に凝集するか、若しくはそうでなければ粘着し、充填剤は、光学的透明性が望まれる場合、組成物及びそれを用いて形成されたシリコーン封止フィルムの光学特性、例えば、透明性を阻害し得ると考えられる。充填剤はまた、シリコーン封止フィルムの基材への接着性に悪影響を与え得る。
【0047】
組成物の製造方法
上記の組成物は、撹拌容器又は静的ミキサーなどの従来の装置を使用して室温で出発材料を混合するなどの任意の好都合な手段によって調製することができる。使用する場合、阻害剤は、ヒドロシリル化反応触媒の前、例えば組成物を高温で調製する際、及び/又は組成物を一部型組成物として調製する際に、添加してもよい。1種以上の出発材料、例えば(B)ポリオルガノシリケート樹脂及び(D)ヒドロシリル化反応触媒は、組成物中で1種以上の他の出発材料と組み合わされる場合、溶剤中で送達されてもよい。溶剤の全部又は一部は、出発材料を混合した後、組成物を硬化させない条件下で(例えば、溶剤を揮発させるのに十分であるが組成物を硬化させるには不十分な温度で減圧又は加熱することによって)除去することができる。当業者であれば、得られる組成物は、溶剤を含まないか、又は出発材料の送達からの微量の残留溶剤を含有することがあるが、溶剤(例えば、トルエン又は非官能性ポリジオルガノシロキサンなどの有機溶剤)は、組成物に意図的に添加されるものではないことを理解するであろう。
【0048】
あるいは、組成物は、例えば組成物を使用前に長期間、例えば、組成物を基材上又は型に分配する前に最大6時間保管する場合、多液型組成物として調製してもよい。多液型組成物において、ヒドロシリル化反応触媒は、ケイ素結合水素原子を有する任意の出発材料、例えばポリオルガノハイドロジェンシロキサンとは別個の部分に保存され、それらの部分は組成物の使用直前に組み合わされる(例えば、RTで混合することによる)。
【0049】
例えば、多液型組成物は、混合といった任意の都合のよい手法により、(A)アルケニル官能性ポリジオルガノシロキサンポリマー、(C)ポリオルガノハイドロジェンシロキサン、及び任意選択的に、1つ以上のその他追加の上記出発材料のうち少なくともいくつかを含む出発材料を組み合わせて基部を形成することにより調製してもよい。硬化剤は、混合等の任意の簡便な手段によって、(A)アルケニル官能性ポリジオルガノシロキサンポリマー、(D)ヒドロシリル化反応触媒、及び任意選択により上述の1つ以上の他の追加の出発材料のうちの少なくともいくつかを含む出発材料を組み合わせることによって調製され得る。出発材料は、RT又は高温で混合され得る。ヒドロシリル化反応阻害剤は、基部、硬化剤部、又は別個の追加部のうちの1つ以上に含まれてもよい。接着促進剤は基部に添加してもよく、又は別個の追加部として添加してもよい。出発材料(B)アルケニル官能性ポリオルガノシリケート樹脂は、ベース部分又は別個の追加の部分に添加されてもよい。二液型組成物を使用する場合、基部の量と硬化剤部の量との重量比は、1:1~10:1の範囲であり得る。組成物は、ヒドロシリル化反応により硬化してシリコーン封止フィルムを形成するであろう。
【0050】
溶剤が存在する場合、本方法は、硬化前及び/又は硬化中に溶剤の全て又は一部分を除去することを任意選択的に更に含んでもよい。溶剤の除去は、任意の簡便な手段、例えば、組成物を完全には硬化させることなく溶剤を気化させる温度で加熱すること、例えば70℃~120℃、あるいは50℃~100℃、あるいは70℃~80℃の温度で、溶剤の全て又は一部を除去するのに十分な時間(例えば30秒間~1時間、あるいは1分間~5分間)加熱することにより実施することができる。
【0051】
組成物の硬化は、感圧接着剤組成物を硬化させるのに十分な時間(例えば、30秒間~1時間、あるいは1分間~5分間)、80℃~200℃、あるいは90℃~180℃、あるいは100℃~160℃、あるいは110℃~150℃の温度で加熱することにより実施してもよい。硬化速度を増加させるか、又はプロセス温度を低下させる必要がある場合、触媒レベルを増加させることができ、及び/又は阻害剤量を減少させることができる。これにより硬化シリコーンが形成される。硬化は、組成物をオーブンに入れる(例えば、型に入れるか、又は基材上にフィルムとしてコーティングする)ことによって実施することができる。使用される組成物の量は具体的な用途に応じて異なるが、その量は、硬化後、得られた効果シリコーンの厚さが5マイクロメートル~50マイクロメートルとなることができるのに、及び保護フィルムについては、厚さが6マイクロメートル~50マイクロメートル、あるいは8マイクロメートル~40マイクロメートル、あるいは10~30マイクロメートルとなることができるのに、十分なものであってもよい。
【0052】
シリコーン封止フィルムの製造方法
上記のように調製された組成物は、シリコーン封止フィルムを形成する方法において有用である。本方法は、
(1)ヒドロシリル化硬化性ポリオルガノシロキサン組成物をフィルムに形成することであって、組成物は、(A)ポリジオルガノシロキサンポリマーと、(B)アルケニル官能性ポリオルガノシリケート樹脂と、(C)ポリオルガノハイドロジェンシロキサンと、(D)ヒドロシリル化反応触媒と、を含み、出発材料(A)、(B)、(C)及び(D)並びに組成物を調製する方法は上述の通りである、ことと、
(2)ヒドロシリル化硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を硬化させ、それによってシリコーン封止フィルムを形成することと、を含む。工程(1)は、成形、例えば、ヒドロシリル化硬化性ポリオルガノシロキサン組成物をスチールフレームなどの型に分配すること、又はヒドロシリル化硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を基材上に印刷(例えば、インクジェット印刷)することなどの任意の好都合な手段によって実施することができる。ヒドロシリル化反応硬化性組成物は、工程(2)における硬化後に、最大50マイクロメートル、あるいは1~50マイクロメートルの厚さを有するシリコーン封止フィルムを提供するのに十分な量で使用され得る。工程(2)は、例えばオーブン中に置くことによって、80℃~150℃の温度で15分~1時間加熱することにより実施し得る。必要に応じて、工程(2)において増加した圧力を加えてもよい。
【0053】
シリコーン封止フィルムの使用方法
上記のように調製されたシリコーン封止フィルムは、例えば、OLEDディスプレイにおける湿気に敏感な電子部品を覆うための、OLEDディスプレイにおける使用に適している。例えば、方法は、OLEDディスプレイ中の湿気に敏感な電子部品を上記のヒドロシリル化反応硬化性組成物で覆うことと、上記のように、当該組成物を硬化させてシリコーン封止フィルムを調製することとを含む。
【0054】
図1は、ガラス基材(100)を有する透明かつ剛性のOLEDの構成要素の構造配置を示す。構成要素(100)は、カラーフィルタ(102)、パッシベーション層(105)、並びに薄膜トランジスタ及び白色有機発光ダイオード(104)を収容するダム(101)を含む。上述のように製造されたシリコーン封止フィルム(103)は、カラーフィルタ(102)、パッシベーション層(105)、並びに薄膜トランジスタ及び白色有機発光ダイオード(104)を取り囲み、これらを水分及びその他の損傷から保護する。構成要素(100)はガラス基材(106)に取り付けられる。
【実施例】
【0055】
これらの実施例は、当業者に本発明を例示することを目的とするものであり、添付の請求項に記載の本発明の範囲を制限するものとして解釈すべきではない。これらの実施例で使用した出発材料を、表1に記載する。
【0056】
【0057】
ヒドロシリル化硬化性ポリオルガノシロキサン組成物(サンプル)を以下のように調製した。以下の表2に示す量(重量部)の表1に示す出発材料を容器に秤量し、Thinkyミキサーを用いて1500rpmで2分間混合した。
【0058】
【0059】
表2において、実施例1、実施例2、実施例3及び実施例8は、比較例であった。実施例1、実施例2及び実施例3はそれぞれ、ポリオルガノハイドロジェンシロキサン含有量が2.5%超であり、SiH/Vi比が0.55超であった。実施例8は、ポリオルガノハイドロジェンシロキサン含有量が1.4%未満であり、SiH/Vi比が0.30未満であった。
【0060】
シリコーン封止フィルムを調製するために、表2に記載の各サンプル15mLをスチールフレームに注ぎ、液圧ホットプレスを使用して100℃で30分間プレスした。得られたフィルムの厚さは1.8~2mmであった。
【0061】
各フィルムの弾性率を、Modulusコンパクトレオメーター(MCR、Anton Paar)を使用して室温で測定した。誘電率値は、インピーダンス測定器(16451B dielectric text fixture、Keysight)の2つの直径38mmのステンレス鋼電極の間に各フィルムを配置することによって測定した。100kHzの周波数及び1Vの電圧を室温で印加した。
【0062】
硬度は、Hildebrand Durometer(ショア00)、Asker CLE-150LJ(ショアA)を使用して測定した。試験サンプルを8mmフィルムとして調製し、装置を用いて組み立てた。重りをプレスし、硬度値を測定した。結果を下の表3に示す。
【0063】
【0064】
表3のデータは、硬化フィルムの特性に対する環状シロキサン含有量(例えば、DOWSIL(商標)1-687)の影響が無視できることを示した。実施例1、実施例2及び実施例3は、組成物のSiH/Vi比及びポリオルガノハイドロジェンシロキサン含有量が請求項1に記載のものよりも高い場合、誘電率及び弾性率が高すぎることを示した。実施例8は、請求項1に記載のものよりも低いポリオルガノハイドロジェンシロキサン(架橋剤)を含有しており、硬化してゲル状態を形成し、硬質フィルムを形成せず、Dkを測定することができなかった。実施例4~7は、OLEDディスプレイでの使用に好適な硬度、誘電率、及び貯蔵弾性率を有するシリコーン封止フィルムが、試験した条件下で調製され得ることを示した。ヒドロシリル化硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を硬化させて、室温で0.5≦G≦1、Dk<2.8、ショアA硬度が少なくとも12、あるいは12~45である、シリコーン封止フィルムを形成することができる。
【0065】
産業上の利用可能性
シリコーン封止フィルムは、本明細書に記載されるように、ヒドロシリル化硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を硬化させることによって調製される。ヒドロシリル化反応硬化性組成物は、室温で0.05MPa<G<1MPaの値であるような貯蔵弾性率Gを有するシリコーン封止フィルムを提供することができる。理論に束縛されるものではないが、上記範囲の弾性率は、シリコーン封止フィルムにDk<2.8を提供すると考えられる。更に、理論に束縛されるものではないが、弾性率が0.05MPa未満である場合、シリコーン封止フィルムは不十分な剛性を有するか、又はゲル状態を有する可能性があり、粘着性が望ましくないレベルまで増加する可能性があるが、弾性率が1MPAを超える場合、Dkは>2.8であり得ると考えられる。
【0066】
用語の定義及び使用
全ての量、濃度、比及び百分率は、特に指示しない限り、重量に基づく。「発明の概要」及び「要約書」は、参照により本明細書に組み込まれる。冠詞「a」、「an」、及び「the」はそれぞれ、別途記載のない限り、1つ又はそれ以上を指す。単数形は、別途記載のない限り、複数形を含む。略語は、以下の表4に定義される。
【0067】
【手続補正書】
【提出日】2024-02-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーン封止フィルムを形成するための方法であって、
(1)ヒドロシリル化反応硬化性組成物をフィルムに形成することであって、前記組成物は、
出発材料(A)、(B)、(C)及び(D)の合計重量に基づいて、50%~58.59%の、(A)単位式(R
1
2R
2SiO
1/2)
a(R
1
2SiO
2/2)
bを有するポリジオルガノシロキサンポリマーであって、式中、R
1は、1~12個の炭素原子のアルキル基であり、R
2は、2~12個の炭素原子のアルケニル基であり、下付き文字a、b及びcは、1分子当たりの各単位の平均数を表し、a=2、100≦b≦300であるような値を有する、(A)と、
出発材料(A)、(B)、(C)及び(D)の合計重量に基づいて、40%~48.59%の、(B)単位式(R
1
2R
2SiO
1/2)
d(R
1
3SiO
2/2)
e(SiO
4/2)
f(HO
1/2)
gを有するアルケニル官能性ポリオルガノシリケート樹脂であって、式中、R
1及びR
2は、上記の通りであり、下付き文字e、f、g、及びhは、前記樹脂中の各単位のモル分率を表し、d>0、e≧0、f>0、量(d+e+f)=1であるような値を有し、前記樹脂は、1,500g/モル~15,000g/モルの数平均分子量を有し、下付き文字g>0であり、ただし、前記樹脂の重量に基づいて0~2重量%のヒドロキシル含量を前記樹脂に提供するのに十分な値を有することを条件とする、(B)と、
出発材料(A)~(D)の合計重量に基づいて、1.4重量%~2.5重量%の、(C)単位式(R
1
2HSiO
1/2)
h(R
1
3SiO
1/2)
i(R
1
2SiO
2/2)
j(R
1HSiO
2/2)
kを有するポリオルガノハイドロジェンシロキサンであって、式中、R
1は、上記の通りであり、下付き文字h、i、j、及びkは、1分子当たりの各単位の平均数を表し、0≦h≦2、0≦i≦2、(h+i)=2、0≦j<10、0<k<10、0<(j+k)<10、かつ3≦(h+k)≦12であり、(A)前記ポリジオルガノシロキサンポリマー、(B)前記アルケニル官能性ポリオルガノシリケート樹脂、及び(C)前記ポリオルガノハイドロジェンシロキサンの量は、(C)由来のケイ素結合水素原子の(A)及び(B)の合計由来のアルケニル基に対する重量比(SiH/Vi比)が0.30~0.55となるのに十分な量である、(C)と、
出発材料(A)~(D)の合計重量に基づいて、0.01重量%~0.02重量%の、(D)アルケニル官能性オルガノシロキサンと錯体化した白金を含むヒドロシリル化反応触媒であって、それによってヒドロシリル化硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を形成する、(D)と、を含む、形成することと、
(2)前記ヒドロシリル化硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を硬化させ、それによって前記シリコーン封止フィルムを形成することと、を含む、方法。
【請求項2】
各R
1がメチルであり、各R
2がビニルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ヒドロシリル化硬化性ポリオルガノシロキサン組成物が、(E)ヒドロシリル化反応阻害剤、(F)接着促進剤、(G)湿潤剤、及び(E)~(G)のうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される追加の出発材料を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記方法が、周囲温度及び圧力で混合することによって前記出発材料を組み合わせて、前記ヒドロシリル化硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を形成することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
工程(1)における形成が、前記ヒドロシリル化硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を、1mm~5mmの厚さを有する前記シリコーン封止フィルムを提供するのに十分な量で型に注入することによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
工程(2)における硬化が、80℃~150℃の温度で15分~1時間加熱することによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
OLEDディスプレイ中の湿気に敏感な電子部品を覆うための、請求項1~6のいずれか一項に記載のシリコーン封止フィルムの使用。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法によって調製されたシリコーン封止フィルムでOLEDディスプレイ中の湿気に敏感な電子部品を覆うことを含む、方法。
【請求項9】
OLEDディスプレイの構成要素であって、前記構成要素は、ダム(101)であって、前記ダム(101)は、カラーフィルタ(102)、パッシベーション層(105)、並びに薄膜トランジスタ及び白色有機発光ダイオード(104)を収容する、ダムと、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法によって調製されたシリコーン封止フィルム(103)であって、前記カラーフィルタ(102)、パッシベーション層(105)、並びに薄膜トランジスタ及び白色有機発光ダイオード(104)を囲み、それによって前記カラーフィルタ(102)、前記パッシベーション層(105)、並びに前記薄膜トランジスタ及び前記白色有機発光ダイオード(104)を水分及び他の損傷から保護する、シリコーン封止フィルムと、を備える、構成要素。
【請求項10】
OLEDディスプレイを製作する方法において、改善は、
(1)OLEDディスプレイ用の電子部品をヒドロシリル化反応硬化性組成物で被覆することと、
(2)前記ヒドロシリル化反応硬化性組成物を硬化させて、前記電子部品を保護するシリコーン封止フィルムを形成することと、を含み、
前記ヒドロシリル化反応硬化性組成物は、
出発材料(A)、(B)、(C)及び(D)の合計重量に基づいて、50%~58.59%の、(A)単位式(R
1
2R
2SiO
1/2)
a(R
1
2SiO
2/2)
bを有するポリジオルガノシロキサンポリマーであって、式中、R
1は、1~12個の炭素原子のアルキル基であり、R
2は、2~12個の炭素原子のアルケニル基であり、下付き文字a、b及びcは、1分子当たりの各単位の平均数を表し、a=2、100≦b≦300であるような値を有する、(A)と、
出発材料(A)、(B)、(C)及び(D)の合計重量に基づいて、40%~48.59%の、(B)単位式(R
1
2R
2SiO
1/2)
d(R
1
3SiO
2/2)
e(SiO
4/2)
f(HO
1/2)
gを有するアルケニル官能性ポリオルガノシリケート樹脂であって、式中、R
1及びR
2は、上記の通りであり、下付き文字e、f、g、及びhは、前記樹脂中の各単位のモル分率を表し、d>0、e≧0、f>0、量(d+e+f)=1であるような値を有し、前記樹脂は、1,500g/モル~15,000g/モルの数平均分子量を有し、下付き文字g>0であり、ただし、前記樹脂の重量に基づいて0~2重量%のヒドロキシル含量を前記樹脂に提供するのに十分な値を有することを条件とする、(B)と、
出発材料(A)~(D)の合計重量に基づいて、1.4重量%~2.5重量%の、(C)単位式(R
1
2HSiO
1/2)
h(R
1
3SiO
1/2)
i(R
1
2SiO
2/2)
j(R
1HSiO
2/2)
kを有するポリオルガノハイドロジェンシロキサンであって、式中、R
1は、上記の通りであり、下付き文字h、i、j、及びkは、1分子当たりの各単位の平均数を表し、0≦h≦2、0≦i≦2、(h+i)=2、0≦j<10、0<k<10、0<(j+k)<10、かつ2≦(h+k)≦12であり、(A)前記ポリジオルガノシロキサンポリマー、(B)前記アルケニル官能性ポリオルガノシリケート樹脂、及び(C)前記ポリオルガノハイドロジェンシロキサンの量は、(C)由来のケイ素結合水素原子の(A)及び(B)の合計由来のアルケニル基に対する重量比(SiH/Vi比)が0.30~0.55となるのに十分な量である、(C)と、
出発材料(A)~(D)の合計重量に基づいて、0.01重量%~0.02重量%の、(D)アルケニル官能性オルガノシロキサンと錯体化した白金を含むヒドロシリル化反応触媒である、(D)と、を含む。
【国際調査報告】