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特表2024-531084車両意思決定計画方法、装置、デバイスおよび媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】車両意思決定計画方法、装置、デバイスおよび媒体
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/08 20120101AFI20240822BHJP
   B60W 40/02 20060101ALI20240822BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20240822BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
B60W30/08
B60W40/02
B60W60/00
G08G1/16 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505119
(86)(22)【出願日】2022-04-22
(85)【翻訳文提出日】2024-01-26
(86)【国際出願番号】 CN2022088532
(87)【国際公開番号】W WO2023024542
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】202111095293.2
(32)【優先日】2021-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110984268.3
(32)【優先日】2021-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520003435
【氏名又は名称】馭勢科技(北京)有限公司
【氏名又は名称原語表記】UISEE TECHNOLOGIES (BEIJING) LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 401, Building 2 NO. 85, Hongan Road, Fangshan District, Beijing 102402, China
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲ウー▼ 楊明
(72)【発明者】
【氏名】王 錫貴
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲ジュン▼▲ヤン▼
(72)【発明者】
【氏名】蔡 祺生
(72)【発明者】
【氏名】周 小成
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA31
3D241BC01
3D241BC02
3D241CD09
3D241CE05
3D241DB02Z
3D241DB05Z
3D241DC01Z
3D241DC13Z
3D241DC25Z
3D241DC31Z
3D241DC33Z
5H181AA01
5H181CC04
5H181CC14
5H181CC24
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL09
(57)【要約】
車両意思決定計画方法、装置、デバイスおよび媒体である。該方法は、基本座標系を生成することと、基本座標系下でガイドラインを生成して車両の将来概略走行軌跡を意思決定することと、ガイドラインの制約下で障害物意思決定を行うことと、障害物意思決定に基づいて走行可能領域を生成することと、を含む。該方法は、グリッド種類および凸包種類の障害物に対する統一的な意思決定を実現し、混合種類の障害物の、障害物意思決定プロセスを簡略化し、障害物意思決定過程を加速して、意思決定計画モジュールが障害物意思決定を便利かつ迅速に行うことができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基本座標系を生成することと、
前記基本座標系下でガイドラインを生成して車両の将来概略走行軌跡を意思決定することと、
前記ガイドラインの制約下で障害物意思決定を行うことと、
障害物意思決定に基づいて走行可能領域を生成することと、を含むことを特徴とする車両意思決定計画方法。
【請求項2】
障害物意思決定を行うことは、
道路情報、第1のグリッド障害物の第1のグリッド障害物情報および第1の凸包障害物の第1の凸包障害物情報を取得することと、
前記道路情報および前記第1のグリッド障害物情報に基づいて、前記第1のグリッド障害物を前処理して第2のグリッド障害物を得ることと、
前記第2のグリッド障害物を第2の凸包障害物に変換することと、
目標凸包障害物の目標凸包障害物情報に基づいて前記目標凸包障害物に対して回避の意思決定をすることと、を含み、
前記目標凸包障害物は、前記第1の凸包障害物および/または前記第2の凸包障害物を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記道路情報および前記第1のグリッド障害物情報に基づいて、前記第1のグリッド障害物を前処理して第2のグリッド障害物を得ることは、
前記道路情報および前記第1のグリッド障害物情報に基づいて、道路の外側に位置する前記第1のグリッド障害物を濾過し、残りの前記第1のグリッド障害物を前記第2のグリッド障害物とすることと、および/または、
前記道路情報および前記第1のグリッド障害物情報に基づいて、前記道路の内側に位置する前記第1のグリッド障害物を決定し、前記道路の内側に位置する前記第1のグリッド障害物を集計処理し、集計処理後の前記第1のグリッド障害物を前記第2のグリッド障害物とすることと、を含む、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記道路情報および前記第1のグリッド障害物情報に基づいて、道路の外側に位置する前記第1のグリッド障害物を濾過することは、
前記道路情報に基づいて道路通行方向に沿った道路包囲ボックスを生成することと、
前記第1のグリッド障害物情報に基づいて、前記第1のグリッド障害物のグリッド障害物包囲ボックスを生成することと、
前記グリッド障害物包囲ボックスおよび前記道路包囲ボックスに基づいて、道路の外側に位置する前記第1のグリッド障害物を決定することと、
道路の外側に位置する前記第1のグリッド障害物を濾過することと、を含む、ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
障害物意思決定に基づいて走行可能領域を生成することは、
環境感知情報を取得することであって、前記環境感知情報は、車線情報、障害物情報および自車両情報中の少なくとも2つの情報を含み、前記障害物情報は、静的障害物情報および/または動的障害物情報を含む、ことと、
前記環境感知情報に基づいて各車線の車線意思決定意味情報を決定することであって、前記車線意思決定意味情報は通過時間コストおよび安全性コストを含む、ことと、
前記車線意思決定意味情報に基づいて走行可能領域を生成することと、を含む、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記車線意思決定意味情報が通過時間コストを含む場合、前記環境感知情報に基づいて各車線の車線意思決定意味情報を決定することは、
各車線に対して、前記環境感知情報に基づいて自車両と自車両前方の第1の障害物の衝突時間を決定することと、
前記衝突時間を前記通過時間コストとして決定することと、を含む、ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記車線意思決定意味情報が安全性コストを含む場合、前記環境感知情報に基づいて各車線の車線意思決定意味情報を決定することは、
前記車線情報および前記自車両情報に基づいて自車両車線および他の車線を決定することと、
前記自車両車線に対して、第1のプリセット安全性コストを前記安全性コストとして決定することと、
前記他の車線に対して、前記環境感知情報に基づいて、障害物がプリセット時間内で自車両の危険領域に進入すると判定される場合、第2のプリセット安全性コストを前記安全性コストとして決定し、前記環境感知情報に基づいて、前記障害物が前記プリセット時間内で自車両の危険領域に進入しないと判定される場合、前記第1のプリセット安全性コストを前記安全性コストとして決定することと、を含み、
前記第2のプリセット安全性コストは、前記第1のプリセット安全性コストと異なる、ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
道路情報、第1のグリッド障害物の第1のグリッド障害物情報および第1の凸包障害物の第1の凸包障害物情報を取得することと、
前記道路情報および前記第1のグリッド障害物情報に基づいて、前記第1のグリッド障害物を前処理して第2のグリッド障害物を得ることと、
前記第2のグリッド障害物を第2の凸包障害物に変換することと、
目標凸包障害物の目標凸包障害物情報に基づいて前記目標凸包障害物に対して回避の意思決定をすることと、を含み、
前記目標凸包障害物は、前記第1の凸包障害物および/または前記第2の凸包障害物を含む、ことを特徴とする障害物回避の意思決定方法。
【請求項9】
前記道路情報および前記第1のグリッド障害物情報に基づいて、前記第1のグリッド障害物を前処理して第2のグリッド障害物を得ることは、
前記道路情報および前記第1のグリッド障害物情報に基づいて、道路の外側に位置する前記第1のグリッド障害物を濾過し、残りの前記第1のグリッド障害物を前記第2のグリッド障害物とすることと、および/または、
前記道路情報および前記第1のグリッド障害物情報に基づいて、前記道路の内側に位置する前記第1のグリッド障害物を決定し、前記道路の内側に位置する前記第1のグリッド障害物を集計処理し、集計処理後の前記第1のグリッド障害物を前記第2のグリッド障害物とすることと、を含む、ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
環境感知情報を取得することであって、前記環境感知情報は、車線情報、障害物情報および自車両情報中の少なくとも2つの情報を含み、前記障害物情報は、静的障害物情報および/または動的障害物情報を含む、ことと、
前記環境感知情報に基づいて各車線の車線意思決定意味情報を決定することであって、前記車線意思決定意味情報は、通過時間コストおよび安全性コストを含む、ことと、
前記車線意思決定意味情報に基づいて走行可能領域を生成することと、を含む、ことを特徴とする車両走行可能領域生成方法。
【請求項11】
前記車線意思決定意味情報が通過時間コストを含む場合、前記環境感知情報に基づいて各車線の車線意思決定意味情報を決定することは、
各車線に対して、前記環境感知情報に基づいて自車両と自車両前方の第1の障害物の衝突時間を決定することと、
前記衝突時間を前記通過時間コストとして決定することと、を含む、ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記車線意思決定意味情報が安全性コストを含む場合、前記環境感知情報に基づいて各車線の車線意思決定意味情報を決定することは、
前記車線情報および前記自車両情報に基づいて自車両車線および他の車線を決定することと、
前記自車両車線に対して、第1のプリセット安全性コストを前記安全性コストとして決定することと、
前記他の車線に対して、前記環境感知情報に基づいて、障害物がプリセット時間内で自車両の危険領域に進入すると判定される場合、第2のプリセット安全性コストを前記安全性コストとして決定し、前記環境感知情報に基づいて、前記障害物が前記プリセット時間内で自車両の危険領域に進入しないと判定される場合、前記第1のプリセット安全性コストを前記安全性コストとして決定することと、を含み、
前記第2のプリセット安全性コストは、前記第1のプリセット安全性コストと異なる、ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
基本座標系を生成するための基本座標系生成部と、
前記基本座標系下でガイドラインを生成して車両の将来概略走行軌跡を意思決定するためのガイドライン生成部と、
前記ガイドラインの制約下で障害物意思決定を行うための障害物意思決定部と、
障害物意思決定に基づいて走行可能領域を生成するための走行空間生成部と、を備える、車両意思決定計画装置。
【請求項14】
障害物意思決定部は、
道路情報、第1のグリッド障害物の第1のグリッド障害物情報および第1の凸包障害物の第1の凸包障害物情報を取得するための情報取得モジュールと、
前記道路情報および前記第1のグリッド障害物情報に基づいて、前記第1のグリッド障害物を前処理して第2のグリッド障害物を得るための前処理モジュールであって、前記第2のグリッド障害物の数が前記第1のグリッド障害物の数よりも小さい、前処理モジュールと、
前記第2のグリッド障害物を第2の凸包障害物に変換するための種類変換モジュールと、
目標凸包障害物の目標凸包障害物情報に基づいて前記目標凸包障害物に対して回避の意思決定をするための回避意思決定モジュールであって、前記目標凸包障害物は、前記第1の凸包障害物および/または前記第2の凸包障害物を含む、回避意思決定モジュールと、を含むことを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
走行空間生成部は、
環境感知情報を取得するための感知情報取得モジュールであって、前記環境感知情報は、車線情報、障害物情報および自車両情報中の少なくとも2つの情報を含み、前記障害物情報は、静的障害物情報および/または動的障害物情報を含む、感知情報取得モジュールと、
前記環境感知情報に基づいて各車線の車線意思決定意味情報を決定するための車線意思決定意味情報決定モジュールであって、前記車線意思決定意味情報は、通過時間コストおよび安全性コストを含む、車線意思決定意味情報決定モジュールと、
前記車線意思決定意味情報に基づいて走行可能領域を生成するための走行可能領域生成モジュールと、を含む、ことを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項16】
道路情報、第1のグリッド障害物の第1のグリッド障害物情報および第1の凸包障害物の第1の凸包障害物情報を取得するための情報取得モジュールと、
前記道路情報および前記第1のグリッド障害物情報に基づいて、前記第1のグリッド障害物を前処理して第2のグリッド障害物を得るための前処理モジュールであって、前記第2のグリッド障害物の数が前記第1のグリッド障害物の数よりも小さい、前処理モジュールと、
前記第2のグリッド障害物を第2の凸包障害物に変換するための種類変換モジュールと、
目標凸包障害物の目標凸包障害物情報に基づいて前記目標凸包障害物に対して回避の意思決定をするための回避意思決定モジュールであって、前記目標凸包障害物は、前記第1の凸包障害物および/または前記第2の凸包障害物を含む、回避意思決定モジュールと、を含むことを特徴とする障害物回避の意思決定装置。
【請求項17】
環境感知情報を取得するための感知情報取得モジュールであって、前記環境感知情報は、車線情報、障害物情報および自車両情報中の少なくとも2つの情報を含み、前記障害物情報は、静的障害物情報および/または動的障害物情報を含む、感知情報取得モジュールと、
前記環境感知情報に基づいて各車線の車線意思決定意味情報を決定するための車線意思決定意味情報決定モジュールであって、前記車線意思決定意味情報は、通過時間コストおよび安全性コストを含む、車線意思決定意味情報決定モジュールと、
前記車線意思決定意味情報に基づいて走行可能領域を生成するための走行可能領域生成モジュールと、を含む、ことを特徴とする車両走行可能領域生成装置。
【請求項18】
メモリおよび1つまたは複数のプロセッサを備える電子機器であって、
前記メモリは前記1つまたは複数のプロセッサと通信可能に接続され、前記1つまたは複数のプロセッサによって実行可能な命令が前記メモリに記憶されており、前記命令が前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、前記電子機器は請求項1~12のいずれか1項に記載の方法を実現するようにする、ことを特徴とする電子機器。
【請求項19】
コンピュータ実行可能な命令が記憶されたコンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータ実行可能な命令がコンピューティング装置によって実行されると、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法を実現させる、ことを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無人運転の技術分野に関し、特に車両意思決定計画方法、装置、デバイスおよび媒体に関する。
【0002】
<関連出願の相互参照>
本開示は、2021年8月25日に中国特許庁に提出され、出願番号が202110984268.3で、発明の名称が「障害物回避の意思決定方法、装置、デバイスおよび媒体」である中国特許出願の優先権、および2021年9月17日に中国特許庁に提出され、出願番号が202111095293.2で、発明の名称が「車両走行可能領域生成方法、装置、デバイスおよび媒体」である中国特許出願の優先権を主張し、そのすべての内容は引用により本開示に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
車両知能化技術の発展に伴い、無人車両自動制御技術は車両研究分野において徐々にホットスポットとなっている。自動運転システムは、車両が障害物に衝突しないように、円滑、安全及び車両通過可能な経路を計画する必要がある。
【0004】
通常、自動運転システムの感知モジュールは、豊富な意味情報を含む凸包障害物と、意味情報を含まないグリッド障害物の2種類の障害物を出力する。凸包障害物の場合、意思決定計画モジュールはより便利に障害物意思決定を行うことができるが、離散度が高く、数が多いグリッド障害物の場合、意思決定計画モジュールは便利かつ迅速に障害物意思決定を行うことが困難であり、その結果、意思決定計画モジュールが混合種類の障害物に対して、障害物意思決定を行うのが困難である。
【発明の概要】
【0005】
上記技術的課題の全部または少なくとも一部を解決するために、本開示は、車両意思決定計画方法、装置、デバイスおよび媒体を提供する。
【0006】
本開示の実施例は、車両意思決定計画方法を提供し、
基本座標系を生成すること、
前記基本座標系下でガイドラインを生成して車両の将来概略走行軌跡を意思決定すること、
前記ガイドラインの制約下で障害物意思決定を行うこと、
障害物意思決定に基づいて走行可能領域を生成すること、を含む。
【0007】
いくつかの実施例では、障害物決定は、
道路情報、第1のグリッド障害物の第1のグリッド障害物情報および第1の凸包障害物の第1の凸包障害物情報を取得すること、
前記道路情報および前記第1のグリッド障害物情報に基づいて、前記第1のグリッド障害物を前処理して第2のグリッド障害物を得ること、
前記第2のグリッド障害物を第2の凸包障害物に変換すること、
目標凸包障害物の目標凸包障害物情報に基づいて前記目標凸包障害物を回避すると決定をすること、を含み、ここで、前記目標凸包障害物は前記第1の凸包障害物および/または前記第2の凸包障害物を含む。
【0008】
いくつかの実施例では、障害物意思決定に基づいて走行可能領域を生成することは、
環境感知情報を取得すること、ここで、前記環境感知情報は車線情報、障害物情報および自車両情報中の少なくとも2つのを含み、前記障害物情報は静的障害物情報および/または動的障害物情報を含み、
前記環境感知情報に基づいて各車線の車線意思決定意味情報を決定すること、ここで、前記車線意思決定意味情報は通過時間コストおよび安全性コストを含み、
前記車線意思決定意味情報に基づいて走行可能領域を生成すること、を含む。
【0009】
本開示の実施例は車両意思決定計画装置を提供し、
基本座標系を生成するための基本座標系生成部と、
前記基本座標系下でガイドラインを生成して車両の将来概略走行軌跡を意思決定するためのガイドライン生成部と、
前記ガイドラインの制約下で障害物意思決定を行うための障害物意思決定部と、
障害物意思決定に基づいて走行可能領域を生成するための走行空間生成部と、を備える。
【0010】
いくつかの実施例では、障害物意思決定部は、
道路情報、第1のグリッド障害物の第1のグリッド障害物情報および第1の凸包障害物の第1の凸包障害物情報を取得するための情報取得モジュールと、
前記道路情報および前記第1のグリッド障害物情報に基づいて、前記第1のグリッド障害物を前処理して第2のグリッド障害物を得るための前処理モジュールと、ここで、前記第2のグリッド障害物の数が前記第1のグリッド障害物の数よりも小さく、
前記第2のグリッド障害物を第2の凸包障害物に変換するための種類変換モジュールと、
目標凸包障害物の目標凸包障害物情報に基づいて前記目標凸包障害物を回避すると決定をするための回避意思決定モジュールと、を含み、ここで、前記目標凸包障害物は前記第1の凸包障害物および/または前記第2の凸包障害物を含む。
【0011】
いくつかの実施例では、走行空間生成部は、
環境感知情報を取得するための感知情報取得モジュールと、ここで、前記環境感知情報は車線情報、障害物情報および自車両情報中の少なくとも2つのを含み、前記障害物情報は静的障害物情報および/または動的障害物情報を含み、
前記環境感知情報に基づいて各車線の車線意思決定意味情報を決定するための車線意思決定意味情報決定モジュールと、ここで、前記車線意思決定意味情報は通過時間コストおよび安全性コストを含み、
前記車線意思決定意味情報に基づいて走行可能領域を生成するための走行可能領域生成モジュールと、を含む。
【0012】
本開示の実施例は電子機器を提供し、
メモリおよび1つまたは複数のプロセッサを備え、
ここで、前記メモリは前記1つまたは複数のプロセッサと通信可能に接続され、前記メモリに前記1つまたは複数のプロセッサによって実行可能な命令が記憶されており、前記命令が前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、前記電子機器は本開示の任意の実施例が提供する車両意思決定計画方法を実現するために使用される。
【0013】
本開示の実施例は、コンピュータ可読記憶媒体を提供し、コンピュータ実行可能な命令が記憶されており、前記コンピュータ実行可能な命令がコンピューティング装置によって実行されると、本開示の任意の実施例が提供する車両意思決定計画方法を実現する。
【0014】
本開示の実施例が提供する技術的解決策は従来技術と比較すると、以下の利点を有する。
【0015】
1、第1のグリッド障害物を前処理して第2のグリッド障害物を得た後に、第2のグリッド障害物を第2の凸包障害物に変換し、すなわちグリッド種類の障害物を凸包種類の障害物に変換し、グリッド種類および凸包種類の2種類の障害物(すなわち、混合種類の障害物)に対する統一的な意思決定を実現することで、混合種類の障害物の、障害物意思決定プロセスを簡略化し、障害物意思決定過程を加速して、意思決定計画モジュールが障害物決定を便利かつ迅速に行うことができる。
【0016】
2、環境感知情報に基づいて各車線の車線意思決定意味情報を決定し、車線意思決定意味情報を走行可能領域の制約境界に変換して、通過性と安全性を両立させ、通過性および安全性の高い走行可能領域を迅速に生成し、走行軌跡の生成を加速し、障害物に対する迅速回避を実現し、同時に、時間コストと安全性コストによって動的障害物の通行コストを特徴付け、通過時間コストによって静的障害物の通行コストを特徴付けることができるので、本開示の技術的解決策は、通過時間コストと安全性コストに基づいて走行可能領域を生成し、動的障害物と静的障害物に対する通行計画を同時に実現することができ、動的環境における障害物の処理に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
ここでの添付図面は本明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成し、本開示に従った実施例を示し、本開示の原理を解釈するために明細書と併せて使用される。
【0018】
本開示の実施例または従来技術における技術的解決策をより明確に説明するために、以下、実施例または従来技術の説明において使用される必要のある添付図面を簡単に説明するが、明らかに、当業者であれば、創造的な労働をすることなく、これらの添付図面に基づいて他の図面を得ることができる。
図1】本開示の実施例が提供する車両意思決定計画方法の概略フローチャートである。
図2】本開示の実施例が提供する意思決定計画モジュールの機能モジュールのブロック図である。
図3】本開示の実施例が提供する車両意思決定計画方法の適用シナリオの概略図である。
図4】本開示の実施例が提供する車両意思決定計画方法の部分概略フローチャートである。
図5】本開示の実施例が提供する障害物意思決定部の機能モジュールのブロック図である。
図6】本開示の実施例が提供する道路包囲ボックスの概略図である。
図7】本開示の実施例が提供する回避意思決定時のシナリオ図である。
図8】本開示の実施例が提供する別の車両意思決定計画方法の部分概略フローチャートである。
図9】本開示の実施例が提供する車線通過時間コストに対応するシナリオ図である。
図10】本開示の実施例が提供する車線安全性判定のST図である。
図11】本開示の実施例が提供する走行可能領域境界の離散化の概略図である。
図12】本開示の実施例が提供する車線幅通行コストに対応するシナリオ図である。
図13】本開示の実施例が提供するプリセット交通規則に基づく走行可能領域の更新の概略図である。
図14】本開示の実施例が提供する車両の運動学および動力学制約に基づく走行可能領域の更新の概略図である。
図15】本開示の実施例が提供する障害物意味情報およびプリセット安全領域に基づく走行可能領域の更新の概略図である。
図16】本開示の実施例が提供するfrenet包囲ボックスの生成の概略図である。
図17】本開示の実施例が提供する静的障害物情報、障害物意思決定意味情報およびレイトレーシングアルゴリズムに基づく走行可能領域の更新の概略図である。
図18】本開示の実施例が提供する車両意思決定計画装置中の障害物意思決定部の機能モジュールのブロック図である。
図19】本開示の実施例が提供する車両意思決定計画装置中の走行空間生成部の機能モジュールのブロック図である。
図20】本開示の実施例が提供する本開示の実施形態の実現に適する電子機器の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示の上記目的、特徴および利点をより明確に理解するために、以下、本開示のスキームをさらに説明する。なお、矛盾しない限り、本開示の実施例および実施例の特徴を互いに組み合わせることができる。
【0020】
本開示の完全な理解を容易にするために、多くの具体的な詳細が以下の説明に記載されているが、本開示はここでの説明と異なる他の方法で実施することも可能であり、明らかに、明細書中の実施例は、全ての実施例ではなく、本開示の一部の実施例に過ぎない。
【0021】
図1は、本開示の実施例が提供する車両意思決定計画方法の概略フローチャートである。該方法は、無人運転車両の障害物意思決定および走行可能領域の生成の場合に適用可能である。図1に示すように、該方法は以下のステップを含む。
【0022】
ステップS110では、基本座標系を生成する。
【0023】
ステップS120では、基本座標系下でガイドラインを生成して車両の将来概略走行軌跡を意思決定する。
【0024】
ステップS130では、ガイドラインの制約下で障害物意思決定を行う。
【0025】
ステップS140では、障害物意思決定に基づいて走行可能領域を生成する。
【0026】
本実施例では、基本座標系を生成することにより、後続のガイドライン、障害物決定データおよび走行可能領域がいずれも該基本座標系下で生成され、車両および障害物測位のための基準を提供する。基本座標系はfrenet座標系であってもよい。ガイドラインが生成された後、ガイドラインが示す概略走行軌跡に基づいて、該概略走行軌跡上の障害に対して、障害物意思決定を行って障害物を回避する。その後、障害物意思決定に基づいて、車両が障害物の左側を通過するか、障害物の右側を通過するか、障害物に追従するかを決定して、車両の走行可能領域を決定する。
【0027】
図2は、意思決定計画モジュールの機能モジュールのブロック図である。図2に示すように、意思決定計画モジュール1は、制約生成ユニット11、軌跡生成ユニット12および軌跡平滑化ユニット13を含む。
【0028】
いくつかの実施例では、制約生成ユニット11は、基本座標系生成部111、ガイドライン生成部112、障害物意思決定部113および走行空間生成部114を含む。ここで、基本座標系生成部111は、例えばfrenet座標系などの基本座標系を生成するために使用され、ガイドライン生成部112は、ガイドラインを生成して車両の将来概略走行軌跡を意思決定するために使用され、障害物意思決定部113は、障害物意思決定を行うために使用され、走行空間生成部は、障害物意思決定に基づいて走行可能領域を生成するために使用される。いくつかの実施例では、軌跡生成ユニット12は、走行可能領域に基づいて無人運転車両の走行軌跡を生成するために使用され、軌跡平滑化ユニット13は、走行軌跡を平滑化処理するために使用される。
【0029】
いくつかの実施例では、障害物意思決定部113は、具体的に道路情報、第1のグリッド障害物の第1のグリッド障害物情報および第1の凸包障害物の第1の凸包障害物情報を取得し、道路情報および第1のグリッド障害物情報に基づいて、第1のグリッド障害物を前処理して第2のグリッド障害物を得、第2のグリッド障害物を第2の凸包障害物に変換し、目標凸包障害物の目標凸包障害物情報に基づいて、目標凸包障害物に対して回避の意思決定をするために使用される。
【0030】
いくつかの実施例では、走行空間生成部114は、具体的に環境感知情報を取得し、環境感知情報に基づいて、各車線の車線意思決定意味情報を決定し、車線意思決定意味情報に基づいて走行可能領域を生成するために使用され、ここで、車線意思決定意味情報は、通過時間コストおよび安全性コストを含む。
【0031】
上記技術的解決策に基づいて、本開示の実施例は車両意思決定計画方法を提供し、該方法は、無人運転車両が道路環境におけるグリッド障害物および凸包障害物などの静的障害物および/または動的障害物に対して意思決定する場合に適用される。図3は、車両意思決定計画方法の適用シナリオを示し、図3を参照すると、無人運転車両100の前方に凸包障害物200(静的障害物および動的障害物を含む)およびグリッド障害物300が存在し、無人運転車両100は、凸包障害物200およびグリッド障害物300の障害物情報を取得し、グリッド障害物300の種類を凸包種類に変換することで、凸包障害物200およびグリッド障害物300の統一的な意思決定を実現することができる。該方法は、無人運転車両に適用可能であり、具体的に無人運転車両の自動運転システム中の意思決定計画モジュールに適用可能である。本開示の実施例が提供する車両意思決定計画方法によれば、混合種類の障害物の統一的な意思決定を実現し、障害物意思決定を便利かつ迅速に行うことができる。
【0032】
上記技術的解決策に基づいて、図4は本開示の実施例が提供する車両意思決定計画方法の部分概略フローチャートである。図4に示すように、障害物意思決定(または、障害物回避の意思決定方法)を行うことは、以下のステップを含む。
【0033】
ステップS210では、道路情報、第1のグリッド障害物の第1のグリッド障害物情報および第1の凸包障害物の第1の凸包障害物情報を取得する。
【0034】
本開示の実施例では、グリッド障害物は、グリッド種類の障害物であり、凸包障害物は、凸包種類の障害物である。
【0035】
いくつかの実施例では、高精度地図または車載カメラを介して道路情報を取得し、道路情報は道路境界情報および道路曲率情報などを含んでもよい。同時に、車両感知モジュール(例えば、車載カメラおよびレザーライダーなど)および測位モジュールを介して障害物情報を取得し、障害物情報は障害物種類情報、障害物サイズ情報および障害物位置情報などを含んでもよい。ここで、障害物種類情報は障害物種類識別子であってもよく、異なる障害物種類識別子を予め定義して障害物種類を区別し、障害物種類情報は障害物データフォーマットであってもよく、車両感知モジュールが障害物を感知した後、障害物データを処理し、異なる種類の障害物のデータを異なる障害物データフォーマットで記憶し、意思決定計画モジュールが障害物情報を取得する際に、障害物データフォーマットによって障害物種類を区別し、例えば、グリッド障害物の障害物データフォーマットは「.ogm」、凸包障害物の障害物データフォーマットは「.mot」である。このようにして、障害物種類情報に基づいて、第1のグリッド障害物および第1の凸包障害物を決定して、第1のグリッド障害物情報および第1の凸包障害物情報を取得する。
【0036】
ステップS220では、道路情報および第1のグリッド障害物情報に基づいて、第1のグリッド障害物を前処理して第2のグリッド障害物を得る。
【0037】
ステップS230では、第2のグリッド障害物を第2の凸包障害物に変換する。
【0038】
図5は、障害物意思決定部の機能モジュールのブロック図である。図5に示すように、障害物意思決定部113は、グリッド障害物プロセッサ1131、通行モード決定部1132および凸包障害物濾過部1133を含む。
【0039】
ここで、グリッド障害物プロセッサ1131は、道路情報および第1のグリッド障害物情報に基づいて、第1のグリッド障害物を前処理して第2のグリッド障害物を得るステップS220を実行し、第2のグリッド障害物を第2の凸包障害物に変換するステップS230を実行する。
【0040】
ステップS220において、第1のグリッド障害物を前処理することでデータ計算量を減少し、障害物意思決定プロセスを簡略化することができ、第1のグリッド障害物のグリッド障害物輪郭を生成すること、第1のグリッド障害物の障害物包囲ボックスを生成すること、道路の外側に位置する第1のグリッド障害物を濾過すること、および道路の内側に位置する第1のグリッド障害物を集計処理すること、の少なくとも1つのステップを含む。
【0041】
いくつかの実施例では、前処理後に得られた第2のグリッド障害物の数が第1のグリッド障害物の数よりも小さいように、第1のグリッド障害物を前処理して、下流モジュールによる障害物計算を容易にすることができる。
【0042】
本開示の実施例は、道路の外側に位置する第1のグリッド障害物を濾過することで、第1のグリッド障害物の数を減少することができる。いくつかの実施例では、道路情報および第1のグリッド障害物情報に基づいて、第1のグリッド障害物を前処理して第2のグリッド障害物を得ることは、以下のステップを含む。
【0043】
ステップS221では、道路情報および第1のグリッド障害物情報に基づいて、道路の外側に位置する第1のグリッド障害物を濾過する。
【0044】
いくつかの実施例では、道路情報および第1のグリッド障害物情報に基づいて、道路の外側に位置する第1のグリッド障害物を濾過することは、以下のステップを含む。
【0045】
ステップS2211では、道路情報に基づいて、道路通行方向に沿った道路包囲ボックスを生成する。
【0046】
いくつかの実施例では、道路情報に基づいて道路境界を境界点に離散化させ、境界点に基づいて道路包囲ボックスを生成する。本開示の実施例では、第1のグリッド障害物が道路の外側に位置するかどうかを後で判定するように、境界点を通過して道路を覆うことができる限り、道路包囲ボックスの形状は無人車両本体の右手座標系の軸対称の包囲ボックスである。
【0047】
具体的に、図6を参照すると、道路情報に基づいて道路境界および道路境界曲率を決定し、道路境界曲率に基づいて道路境界を離散化させ、道路通行方向に沿って間隔を開けて配列された境界点群を得、任意の隣接する2つの境界点群に基づいて、任意の隣接する2つの境界点群中の各境界点の矩形フレームbを生成し、矩形フレームbを道路包囲ボックスとして使用し、ここで、各境界点群は、横方向において対応する左境界点aおよび右境界点a’を含み、横方向は道路通行方向と垂直である。
【0048】
いくつかの実施例では、矩形フレームbの隣接する2辺の一方は、自車両走行方向、すなわち無人運転車両100の走行方向xに平行であり、他方は自車両走行方向、すなわち無人運転車両100の走行法線方向yに垂直である。同時に、同じ道路境界上の隣接する2つの境界点間の距離は道路境界曲率と負の相関があり、すなわち道路境界曲率が高いほど、曲げ度合いが大きくなり、道路境界上の隣接する2つの境界点間の距離が小さくなる。このようにして、道路包囲ボックスが道路を完全に覆うことを保証し、その後に一部が道路の内側に位置する第1のグリッド障害物を道路の外側に位置すると判断して濾過されることを回避し、障害物意思決定への影響を回避することができる。
【0049】
いくつかの実施例では、道路境界曲率に基づいて道路境界を離散化させて、道路通行方向に沿って間隔を開けて配列された境界点群を得ることは、自車両の現在位置を開始道路点とすることと、横方向で開始道路点に対応する1つの境界点群を取得することと、道路境界曲率に基づいて、道路通行方向に沿って次の道路点を選択することであって、隣接する2つの道路点間の距離と道路境界曲率と負の相関がある、ことと、次の道路点を開始道路点とし、道路通行方向において次の道路点から自車両の現在位置までの距離がプリセット距離閾値よりも大きくなるまで、横方向で開始道路点に対応する1つの境界点群を取得することに戻って実行し、現在取得されたすべての境界点群を境界点群として決定することとを、含む。ここで、プリセット距離閾値は、車両の障害物感知最大範囲に基づいて決定されてもよい。
【0050】
上記技術的解決策に基づいて、本開示の一具体的な実施例では、4つの境界点(道路左側で隣接する2つの境界点、道路右側で対応の隣接する2つの境界点)ごとに1つの道路包囲ボックスB={bmin,bmax,bleft,0,bleft,1,bright,0,bright,1}を生成することができ、ここで、bminおよびbmaxはそれぞれ道路包囲ボックスの最小、最大座標点であり、bleft,0,bleft,1,bright,0,bright,1はそれぞれ道路の左側および右側の座標点であり、道路全体はn個の道路包囲ボックスで表され、道路包囲ボックス列Broad_list={BR0,BR1,・・・,BRn}を生成することができる。本開示の実施例では、道路は車両走行路線における1つの路線セグメントであってもよく、車両測位情報に基づいて自車両が位置する路線セグメントを決定し、道路境界を離散化させ、すなわち自車両が位置する路線セグメントの境界を離散化させることができる。例示的に、道路境界点のリストをSとして定義し、空のテーブルとして初期化され、道路包囲ボックス列Broad_listも空として初期化され、自車両が位置する路線セグメントから道路境界を離散させ、路線セグメントの第1の道路点(自車両の現在位置であってもよい)を取得し、次に、横方向で第1の道路点に対応する左境界点および右境界点を取得し、現在の左境界点および右境界点をリストSに追加する。道路境界曲率に基づいて、道路通行方向に沿って次の道路点を選択し、道路通行方向に沿って第1の道路点から次の道路点までの距離がプリセット距離閾値以下であるかどうかを検出し、該距離がプリセット距離閾値以下であれば、横方向に次の道路点に対応する左境界点および右境界点を取得してリストSに追加する。道路境界曲率に基づいて、道路通行方向に沿って次の道路点を継続して選択し、道路通行方向に沿って第1の道路点から次の道路点までの距離がプリセット距離閾値よりも大きくなると、左境界点および右境界点の取得を停止し、最後に更新されたリストSに基づいて道路網包囲ボックス列Broad_listを生成する。
【0051】
ステップS2212では、第1のグリッド障害物情報に基づいて、第1のグリッド障害物のグリッド障害物包囲ボックスを生成する。
【0052】
いくつかの実施例では、第1のグリッド障害物情報に基づいて、第1のグリッド障害物のグリッド障害物輪郭を生成し、グリッド障害物輪郭に基づいてグリッド障害物包囲ボックスを生成する。
【0053】
具体的に、第1のグリッド障害物情報に基づいて、suzuki輪郭追従アルゴリズムを採用し、第1のグリッド障害物の閉じた輪郭図形、すなわちグリッド障害物輪郭を生成する。このようにして、すべての生の点群グリッド障害物データ処理を回避することができ、プロセッサおよびセンサのハードウェア要件を大幅に削減することができる。例示的に、グリッド障害物輪郭Ω={P,P,・・・,P}では、Pはグリッド障害物輪郭の1つの座標点であり、該グリッド障害物輪郭はn個の座標点から構成される。グリッド障害物包囲ボックスB={Pmin,Pmax}では、グリッド障害物包囲ボックスの4つの頂点は2つの座標点Pmin=[xmin,ymin]およびPmax=[xmax,ymax]の座標値から構成され、ここで、
【数1】
,x,…、xはグリッド障害物輪郭中のn個の座標点のx座標であり、y,y,…、yはグリッド障害物輪郭中のn個の座標点のy座標である。
【0054】
ステップS2213では、グリッド障害物包囲ボックスおよび道路包囲ボックスに基づいて、道路の外側に位置する第1のグリッド障害物を決定する。
【0055】
本開示の実施例では、第1のグリッド障害物を2段階の衝突検出を実行し、道路の外側に位置する第1のグリッド障害物を迅速かつ正確に決定することができる。例示的に、まずグリッド障害物に対して粗衝突検出を実行し、道路の外側に位置する第1のグリッド障害物を迅速に濾過し、衝突検出の計算量を低減し、且つ粗衝突検出によって決定された衝突する第1のグリッド障害物に対して微細衝突検出を実行し、道路の外側に位置する第1のグリッド障害物をさらに決定して、濾過後の残りの第1のグリッド障害物がすべて道路の内側に位置することを確保する。
【0056】
上記粗衝突検出について、いくつかの実施例では、各グリッド障害物包囲ボックスについて、グリッド障害物包囲ボックスおよび道路包囲ボックスに基づいて、道路包囲ボックスから、グリッド障害物包囲ボックスまでのユークリッド距離が最小の目標道路包囲ボックスを決定し、グリッド障害物包囲ボックスと対応する目標道路包囲ボックスに対して衝突検出を実行し、グリッド障害物包囲ボックスと対応する目標道路包囲ボックスの衝突がない場合、グリッド障害物包囲ボックスに対応する第1のグリッド障害物が道路の外側に位置すると決定する。道路包囲ボックスからグリッド障害物包囲ボックスまでのユークリッド距離が比較的小さい時、道路包囲ボックスとグリッド障害物包囲ボックスの衝突可能性が大きくなることを表示するが、上記ユークリッド距離が小さいとき対応する道路包囲ボックスとグリッド障害物包囲ボックスが衝突しない場合、上記ユークリッド距離が小さいとき対応する道路包囲ボックスとグリッド障害物が衝突する可能性が一層ない。したがって、道路包囲ボックスから、グリッド障害物包囲ボックスまでのユークリッド距離が最小の目標道路包囲ボックスを決定し、グリッド障害物包囲ボックスと衝突検出を実行して、衝突検出の計算量を低減することで、障害物決定速度を加速することができる。いくつかの実施例では、グリッド障害物包囲ボックスの頂点が目標道路包囲ボックス上または目標道路包囲ボックス内に位置するかどうかを検出すればよい。例えば、グリッド障害物包囲ボックスの頂点がすべて目標道路包囲ボックス外に位置するとき、該グリッド障害物包囲ボックスに対応する第1のグリッド障害物が道路の外側に位置すると判定し、グリッド障害物包囲ボックスの頂点が目標道路包囲ボックス上または目標道路包囲ボックス内に位置するとき、該グリッド障害物包囲ボックスに対応する第1のグリッド障害物が道路の内側に位置すると判定する。
【0057】
上記微細衝突検出について、いくつかの実施例では、グリッド障害物包囲ボックスと対応する目標道路包囲ボックスとが衝突する場合、グリッド障害物包囲ボックスに対応する第1のグリッド障害物が道路の外側に位置するかどうかを判定する。いくつかの実施例では、目標道路包囲ボックスの境界点およびグリッド障害物包囲ボックスに基づいて、ベクトルのクロス積により衝突検出を実行し、グリッド障害物包囲ボックスに対応する第1のグリッド障害物が道路の外側に位置するかどうかを判定する。具体的に、境界点のベクトルを決定し、グリッド障害物包囲ボックスの頂点のベクトルを決定し、グリッド障害物包囲ボックスの頂点のベクトルと境界点のベクトルのクロス積が0よりも大きいとき、グリッド障害物包囲ボックスに対応する第1のグリッド障害物が道路の外側に位置すると判定する。グリッド障害物包囲ボックスの頂点のベクトルと境界点のベクトルのクロス積が0以下であるとき、グリッド障害物包囲ボックスに対応する第1のグリッド障害物が道路の内側に位置すると判定する。ここで、境界点のベクトルは目標道路包囲ボックスの2つの左境界点から構成された左境界ベクトル、および目標道路包囲ボックスの2つの右境界点から構成された右境界ベクトルを含み、グリッド障害物包囲ボックスの頂点のベクトルは、グリッド障害物包囲ボックスの頂点と目標道路包囲ボックスの境界点から構成されたベクトルであり、且つ該境界点は、クロス積演算に参与する境界点のベクトルに対応する1つの境界点であり、例えば、頂点のベクトルと右境界ベクトルのクロス積の場合、頂点のベクトル中の境界点は右境界ベクトルに対応する1つの境界点である。例示的に、グリッド障害物包囲ボックスをB={Pmin,Pmax}、目標道路包囲ボックスをB={bmin,bmax,bleft,0,bleft,1,bright,0,bright,1}、左境界ベクトルをvleft=bleft,1-bleft,0、右境界ベクトルをvright=bright,1-bright,0とし、その後、グリッド障害物包囲ボックスBの4つの頂点を横断して4つの頂点のベクトルを形成し、4つの頂点のベクトルをそれぞれ左境界ベクトルまたは右境界ベクトルとクロス積し、クロス積結果に基づいてグリッド障害物包囲ボックスに対応する第1のグリッド障害物が道路の外側に位置すると判定する。例えば、Bの1つの頂点P0=[xmin,ymin]とすると、右境界ベクトルと頂点のベクトルのクロス積c=cross(P-bright,0,vright)であり、c>0であれば、頂点Pが道路右境界の右側に位置し、そうでないと、頂点Pが道路右境界上または道路右境界の左側に位置する。同様に、グリッド障害物包囲ボックスの他の頂点が道路右境界上または道路右境界の左側または右側に位置する。このようにして、グリッド障害物包囲ボックスに対応する第1のグリッド障害物が道路の外側に位置するかどうかを判定することができる。
【0058】
ステップS2214では、道路の外側に位置する第1のグリッド障害物を濾過する。
【0059】
ステップS222では、残りの第1のグリッド障害物を第2のグリッド障害物として使用する。
【0060】
また、本開示の実施例では、道路の内側に位置する第1のグリッド障害物を集計処理して第1のグリッド障害物の数を低減してもよい。いくつかの実施例では、道路情報および第1のグリッド障害物情報に基づいて、第1のグリッド障害物を前処理して第2のグリッド障害物を得ることは、以下のステップを含んでもよい。
【0061】
ステップS223では、道路情報および第1のグリッド障害物情報に基づいて道路の内側に位置する第1のグリッド障害物を決定する。
【0062】
本実施例では、道路の内側に位置する第1のグリッド障害物は、上記実施例における第1のグリッド障害物が道路の外側に位置するかどうかを判定する方法によって決定されてもよく、ここでは繰り返さない。
【0063】
ステップS224では、道路の内側に位置する第1のグリッド障害物を集計処理する。
【0064】
いくつかの実施例では、道路の内側に位置する第1のグリッド障害物の第1のグリッド障害物情報に基づいて、第1のグリッド障害物の第1の障害物包囲ボックスを生成し、隣接する2つの第1の障害物包囲ボックス間のユークリッド距離が自車両幅未満である場合、隣接する2つの第1の障害物包囲ボックスを統合して第2の障害物包囲ボックスを生成する。第2の障害物包囲ボックスを第1の障害物包囲ボックスとして、隣接する2つの第1の障害物包囲ボックス間のユークリッド距離が自車両幅未満であるとき、第2の障害物包囲ボックスと隣接する第1の障害物包囲ボックス間のユークリッド距離が自車両幅以上であり、または第2の障害物包囲ボックスと隣接する第1の障害物包囲ボックスが存在しなくなるまで、隣接する2つの第1の障害物包囲ボックスを統合して第2の障害物包囲ボックスを生成することに戻って実行する。
【0065】
例示的に、CLOSEDテーブルを作成し、空のテーブルとして初期化され、第1の障害物包囲ボックスの集合setcontourから1つの第1の障害物包囲ボックスを取り出してCLOSEDテーブルに追加し、集合setcontourから当該第1の障害物包囲ボックスを削除し、その後集合setcontourを横断し、集合setcontour中の第1の障害物包囲ボックスとCLOSEDテーブル中の第1の障害物包囲ボックスのユークリッド距離が自車両幅未満である場合、集合setcontourの該第1の障害物包囲ボックスをCLOSEDテーブルに追加し、CLOSEDテーブルにおけるユークリッド距離比較のための第1の障害物包囲に集計され、新しい第1の障害物包囲に集計され、その後CLOSEDテーブルに追加された第1の障害物包囲ボックスを集合setcontourから削除する。このように、集合setcontourが空になるまで繰り返すことで、道路の内側に位置する第1のグリッド障害物の集計処理を完了させることができる。
【0066】
S225、集計処理後の第1のグリッド障害物を第2のグリッド障害物として使用する。
【0067】
さらに、本開示の実施例では、道路情報および第1のグリッド障害物情報に基づいて、道路の外側に位置する第1のグリッド障害物を濾過することに加えて、道路情報および第1のグリッド障害物情報に基づいて、道路の内側に位置する第1のグリッド障害物を決定し、道路の内側に位置する第1のグリッド障害物を集計処理することもできる。このようにして、第1のグリッド障害物の数をさらに減少することができる。
【0068】
上記実施例に基づいて、第2のグリッド障害物を得た後、高速凸包アルゴリズムを採用し、第2のグリッド障害物を第2の凸包障害物に変換してもよい。このようにして、グリッド障害物および凸包障害物に対する統一的な意思決定を実現することができる。
【0069】
ステップS240では、目標凸包障害物の目標凸包障害物情報に基づいて、目標凸包障害物に対して回避の意思決定をする。
【0070】
本ステップは、図5中の通行モード決定部1132によって実行されてもよい。いくつかの実施例では、目標凸包障害物の目標凸包障害物情報に基づいて、目標凸包障害物対して回避の意思決定をすることは、目標凸包障害物情報に基づいて、プリセット濾過条件を満たす目標凸包障害物に回避不要タグまたは横方向回避不要タグを付与することを含む。本開示の実施例は、プリセット濾過条件を満たす目標凸包障害物に回避不要タグまたは横方向回避不要タグを付与することで、図2中の軌跡生成ユニット12に該目標凸包障害物を無視させることができ、軌跡生成ユニット12の障害物処理負担を軽減し、軌跡生成速度を向上させるだけでなく、軌跡生成の合理性を向上させることもできる。
【0071】
いくつかの実施例では、プリセット濾過条件は、目標凸包障害物が道路の外側に位置すること、目標凸包障害物の移動状態が横方向回避不要条件を満たすこと、目標凸包障害物が自車両ガイドライン上に位置すること、のうちの少なくとも1つを含む。したがって、目標凸包障害物情報に基づいて、プリセット濾過条件を満たす目標凸包障害物に回避不要タグまたは横方向回避不要タグを付与することは、目標凸包障害物が道路の外側に位置する時、目標凸包障害物に回避不要タグを付与することと、目標凸包障害物の移動状態が横方向回避不要条件を満たすまたは目標凸包障害物が自車両ガイドライン上に位置する時、目標凸包障害物に横方向回避不要タグを付与することと、を含む。例示的に、図7を参照すると、例えば障害物1のように目標凸包障害物が道路の外側に位置する時、目標凸包障害物が無人運転車両100の正常走行に全く影響を与えないとき、該目標凸包障害物を無視し、該目標凸包障害物に回避不要タグを付与してもよい。目標凸包障害物の移動状態が横方向回避不要条件を満たす時、例えば目標凸包障害物が道路を横断する場合、例えば歩行者が道路を横断する場合、無人運転車両100は、歩行者の通過を待つだけでよく、歩行者の近くに回り込むような軌跡を生成する必要がなく、該歩行者に横方向回避不要タグを付与してもよい。また、目標凸包障害物が自車両車線に向かって変更する場合、または目標凸包障害物の縦方向速度が自車両速度よりも大きい場合(例えば、隣接する車線を高速で移動する障害物)、自車両車線の安全に影響を与えることなく、自車両が横方向に回避する必要がなく、上記目標凸包障害物に上横方向回避不要タグを付与する。例えば、障害物2が自車両ガイドラインc上に位置するのように目標凸包障害物が自車両ガイドライン上に位置する時、無人運転車両100は横方向に障害物2を回避する必要がなく、障害物2に追従することを選択すればよく、該障害物2は、無人運転車両100と同じ方向へ移動する動的障害物であることが理解できる。
【0072】
上記実施例では、図5中の凸包障害物濾過部1133によってプリセット濾過条件を満たす目標凸包障害物を濾過してもよい。いくつかの実施例では、凸包障害物濾過部1133は、障害物frenet包囲ボックスに基づく道路網濾過部、行動意味情報濾過部およびガイドライン濾過部中の少なくとも1つを含んでもよい。ここで、障害物frenet包囲ボックスに基づく道路網濾過部は、道路の外側に位置する目標凸包障害物を迅速に濾過し、障害物frenet包囲ボックスに基づく道路網濾過部は、上記実施例における2段階の衝突検出方法によって道路の外側に位置する目標凸包障害物を濾過し、行動意味情報濾過部は、目標凸包障害物に含まれる意味情報に基づいて、回避不要および横方向回避不要な目標凸包障害物を濾過し、ガイドライン濾過部は、ガイドラインと衝突する目標凸包障害物を濾過する。
【0073】
上記の目標凸包障害物に回避不要タグを付与することで回避不要と決定し、目標凸包障害物に横方向回避不要タグを付与することで横方向回避不要と決定することに加えて、本開示の実施例では、目標凸包障害物に対して追従、左側通行または右側通行の回避意思決定を行うことができる。いくつかの実施例では、目標凸包障害物情報および自車両ガイドラインに基づいて、目標凸包障害物に上回避タグを付与することは、目標凸包障害物が自車両ガイドライン上に位置すると、目標凸包障害物に追従タグを付与することと、目標凸包障害物が自車両ガイドライン上に位置しないと、目標凸包障害物の質量中心が自車両ガイドラインの左側に位置するとき、目標凸包障害物に右側通行タグを付与し、目標凸包障害物の質量中心が自車両ガイドラインの右側に位置するとき、目標凸包障害物に左側通行タグを付与することと、を含む。
【0074】
引き続き図7を参照すると、障害物2が自車両ガイドラインc上に位置するとき、無人運転車両100は障害物2に追従し、障害物2に追従タグを付与すればよい。障害物3が自車両ガイドラインc上に位置しなく道路の内側に位置し、無人運転車両100の車線安全に影響を与えるとき、障害物3を回避するために、障害物3の左側から通行するか、または右側から通行する必要がある。本開示の技術的解決策に基づいて、障害物3の質量中心と自車両ガイドラインcの相対位置を検出し、障害物3の質量中心が自車両ガイドラインcの右側に位置すると(図7に示す)、障害物3の左側から通行し、障害物3に左側通行タグを付与し、障害物3の質量中心が自車両ガイドラインcの左側に位置すると、障害物3の右側から通行し、障害物3に右側通行タグを付与する。
【0075】
本開示の実施例が提供する車両意思決定計画方法は、第1のグリッド障害物を前処理して第2のグリッド障害物を得た後、第2のグリッド障害物を第2の凸包障害物に変換し、すなわちグリッド種類の障害物を凸包種類の障害物に変換して、グリッド種類および凸包種類の2種類の障害物(すなわち混合種類の障害物)に対する統一的な意思決定を実現することにより、混合種類の障害物の、障害物意思決定プロセスを簡略化し、障害物意思決定過程を加速し、意思決定計画モジュールが障害物決定を便利かつ迅速に行うことができる。
【0076】
車両知能化技術の発展に伴い、無人車両自動制御技術は徐々に車両研究分野のホットスポットとなっている。自動運転システムは、車両が障害物と衝突しないように、円滑、安全および車両通行可能な経路を計画する必要がある。最適化された計画アルゴリズムとして、Julius Zieglerは、計画問題を最適化問題に変換することができるディカール空間における最適化方法を提案した。しかし、該方法は計画モジュールの計算負担を大幅に増加させ、高速障害物回避問題を解決することができず、軌跡の生成速度を低下させ、該方法は動的環境における障害物の処理には適用できない。
【0077】
上記技術的問題に対して、図8は本開示の実施例が提供する別の車両意思決定計画方法の部分概略フローチャートである。該方法は、無人運転車両の静的障害物および/または動的障害物に対する走行可能領域の生成の場合に適用可能であり、該方法は走行空間生成部によって実行され得る。図8に示すように、障害物意思決定に基づいて走行可能領域を生成する(または車両走行可能領域生成方法)ことは、以下のステップを含む。
【0078】
ステップS310では、環境感知情報を取得する。
【0079】
ここで、環境感知情報は、車線情報、障害物情報および自車両情報中の少なくとも2つの情報を含み、障害物情報は、静的障害物情報および/または動的障害物情報を含む。いくつかの実施例では、車線情報は、車線ライン情報および道路境界情報を含み、車載カメラによって取得されてもよい。障害物情報は障害物位置情報、障害物サイズ情報および障害物移動情報を含んでもよく、ここで、障害物位置情報は高精地図および車載カメラ/レザーライダーによって取得され、障害物サイズ情報は車載カメラによって取得され、障害物移動情報は車載カメラおよび/またはレザーライダーによって取得されてもよい。自車両情報は自車両位置情報および自車両移動情報を含んでもよく、ここで、自車両位置情報は高精地図および自車両測位モジュール(例えばGPS)によって取得され、自車両移動情報は自車両移動センサ(例えば速度センサおよび加速度センサなど)によって取得されてもよい。
【0080】
ステップS320では、環境感知情報に基づいて各車線の車線意思決定意味情報を決定する。
【0081】
ここで、車線意思決定意味情報は、通過時間コストおよび安全性コストを含む。通過時間コストは、車線の通行状況を特徴付けるために使用され、例えば、車両が車線を迅速に通過できる場合、該車線の通行時間が速く、安全性コストは車線の安全性を特徴付けるために使用される。
【0082】
いくつかの実施例では、自車両の縦方向速度および障害物の縦方向速度の大きさ関係に基づいて各車線の通過時間コストを決定してもよい。したがって、車線意思決定意味情報が通過時間コストを含むとき、環境感知情報に基づいて、各車線の車線意思決定意味情報を決定することは、各車線に対して、環境感知情報に基づいて、自車両と自車両前方の第1の障害物の衝突時間を決定することと、衝突時間を通過時間コストとして決定することとを含む。
【0083】
具体的に、環境感知情報は、自車両位置情報および自車両の縦方向速度情報、および各車線上における自車両の直近の前方障害物の障害物位置情報および障害物の縦方向速度情報を含み、自車両位置情報および障害物位置情報に基づいて、自車両から各車線の直近の前方障害物までの縦方向距離をそれぞれ計算し、自車両の縦方向速度情報および障害物の縦方向速度情報に基づいて、障害物の縦方向速度が自車両の縦方向速度未満であるかどうかを判定する。障害物の縦方向速度が自車両の縦方向速度未満であるとき、縦方向距離、自車両の縦方向速度情報および障害物の縦方向速度情報に基づいて、自車両と前方障害物が衝突する衝突時間を予測し、該衝突時間を通過時間コストとして決定する。また、自車両前方に障害物が存在しない、または自車両前方の第1の障害物の縦方向速度が自車両の縦方向速度以上である場合、プリセット時間を通過時間コストとして決定する。上記技術的解決策に基づいて、以下の式を用いて通過時間コストを計算することができる。
【0084】
【数2】
ここで、TCCは通過時間コストであり、vadvは自車両の縦方向速度であり、vobsは障害物の縦方向速度であり、tccmaxはプリセット時間であり、固定値であり、衝突時間よりも大きく、例えば1000である(ここで、数値のみであり、単位が衝突時間の単位と同じであり、例えば秒またはミリ秒などである)。該式から分かるように、自車両前方の第1の障害物の縦方向速度が小さいほど、通過時間コストが小さくなり、対応する車線の通過性も悪くなり、自車両前方に障害物がない、または自車両前方の第1の障害物の縦方向速度が自車両の縦方向速度以上である場合、自車両が対応車線に障害物と衝突せず、対応車線の通過性が最適となる。
【0085】
例示的に、図9に示すように、同一方向車線において、自車両車線上の自車両前方の第1の障害物が障害物1であり、隣接する車線上の自車両前方の第1の障害物が障害物2である。自車両の縦方向速度が5m/sであり、障害物1の縦方向速度が1m/sであり、障害物2の縦方向速度が10m/sである。自車両車線に対して、障害物1の縦方向速度が自車両の縦方向速度よりも小さく、自車両が障害物1と衝突し、このとき、自車両と障害物1間の距離Dが16mであると決定し、上記式により、自車両と障害物1の衝突時間が4sであると決定するため、自車両車線の通過時間コストが4である。隣接する車線に対して、障害物2の縦方向速度が自車両の縦方向速度よりも大きく、自車両が障害物2と衝突せず、このとき、隣接する車線の通過時間コストはプリセット時間であり、例えば10000である。これにより、隣接する車線の通過時間コストが自車両車線の通過時間コストよりも大きく、すなわち隣接する車線の通過性が良いと判定できる。
【0086】
いくつかの実施例では、車両の安全性を確保するために、各車線の安全性コストを同時に決定する必要がある。したがって、車線意思決定意味情報が安全性コストを含む場合、環境感知情報に基づいて各車線の車線意思決定意味情報を決定することは、車線情報および自車両情報に基づいて、自車両車線および他の車線を決定することと、自車両車線に対して、第1のプリセット安全性コストを安全性コストとして決定することと、他の車線に対して、環境感知情報に基づいて障害物がプリセット時間内で自車両の危険領域に進入すると判定される場合、第2のプリセット安全性コストを安全性コストとして決定し、環境感知情報に基づいて障害物がプリセット時間内で自車両の危険領域に進入しないと判定される場合、第1のプリセット安全性コストを安全性コストとして決定することとを含み、ここで、第2のプリセット安全性コストは第1のプリセット安全性コストと異なる。
【0087】
具体的に、環境感知情報は車線情報、自車両情報および障害物情報を含み、車線情報および自車両情報に基づいて自車両車線および他の車線を決定し、自車両車線に対して、デフォルトとして自車両が絶対的な通行権を有し、すなわち自車両車線の安全性が最も高い。他の車線に対して、自車両観察領域内の障害物に対して安全性判定を行い、自車両観察領域内の障害物が将来の一定期間(すなわち、プリセット時間)内で自車両の危険領域に進入すると予測された場合、障害物が現時点で位置する車線の安全性が低いことを意味し、自車両観察領域内の障害物が将来の一定期間内で自車両の危険領域に進入しないと予測された場合、障害物が現時点で位置する車線の安全性が高いことを意味する。
【0088】
第2のプリセット安全性コストに対応する車線の安全性が、第1のプリセット安全性コストに対応する車線の安全性よりも低いことを理解できる。いくつかの実施例では、第2のプリセット安全性コストが第1のプリセット安全性コストよりも低い。いくつかの実施例では、ペナルティ機構を採用して第1のプリセット安全性コストおよび第2のプリセット安全性コストに値を割り当て、例えば第1のプリセット安全性コストが0であり、第2のプリセット安全性コストが-100000である。
【0089】
上記技術的解決策に基づいて、ST図(縦方向変位-時間図)を用いて他の車線の障害物が将来の一定期間内で自車両の危険領域に進入するかどうかを判定することができる。いくつかの実施例では、環境感知情報に基づいて、自車両ST図曲線および障害物ST図曲線を決定し、自車両ST図曲線に基づいて自車両の危険領域を決定し、プリセット時間内で障害物ST図曲線が自車両の危険領域と重複するかどうかを判定する。プリセット時間内で障害物ST図曲線が自車両の危険領域と重複すると判定された場合、障害物がプリセット時間内で自車両の危険領域に進入すると判定し、そうでないと、障害物がプリセット時間内で自車両の危険領域に進入しないと判定する。例示的に、図10に示すように、自車両ST図曲線は図中の自車両で示される曲線であり、障害物ST図曲線は図中の障害物1、障害物2、障害物3および障害物4のそれぞれで示される曲線を含む。自車両の危険領域は、自車両後方危険領域(区間L2に対応する領域)および自車両前方危険領域(区間L3に対応する領域)を含み、自車両観察領域は、自車両後方観察領域(区間L1に対応する領域)および自車両前方観察領域(区間L4に対応する領域)を含み、プリセット時間はT_eである。選択可能に、L1は100メートル、L2は20メートル、L3は10メートル、L4は100メートル、T_eは6秒である。図10を参照すると、自車両ST図曲線および各障害物ST図曲線から分かるように、自車両後方観察領域の障害物2に対応する障害物ST図曲線はプリセット時間T_e内で自車両後方危険領域と重複し、自車両後方観察領域の障害物1に対応する障害物ST図曲線はプリセット時間T_e内で自車両後方危険領域と重複しなく、自車両前方観察領域の障害物3に対応する障害物ST図曲線はプリセット時間T_e内で自車両前方危険領域と重複し、自車両前方観察領域の障害物4に対応する障害物ST図曲線はプリセット時間T_e内で自車両前方危険領域と重複しない。このことから分かるように、障害物2および障害物3がプリセット時間内で自車両の危険領域に進入し、障害物2および障害物3が現時点で位置する車線の安全性が低く、すなわち対応する車線の安全性コストが第2のプリセット安全性コストであり、障害物1および障害物4がプリセット時間内で自車両の危険領域に進入せず、障害物1および障害物4が現時点で位置する車線の安全性が高く、すなわち対応する車線の安全性コストが第1のプリセット安全性コストである。なお、障害物ST図曲線が自車両の危険領域と重複することは、障害物ST図曲線が自車両の危険領域内に完全に位置する、または障害物ST図曲線の一部が自車両の危険領域内に位置することを含む。上記実施例では、計算を簡略化するために、障害物が一定速度で移動し、障害物ST図曲線が直線であり、自車両の危険領域が平行四辺形であり、いずれも凸包種類の図形であるように設定することで、Gilbert-Johnson-Keerthiアルゴリズムに基づく衝突検出アルゴリズムを利用して、障害物がプリセット時間T_e内で自車両の危険領域に進入するかどうかを迅速に計算する。
【0090】
ステップS330では、車線意思決定意味情報に基づいて走行可能領域を生成する。
【0091】
各車線に対して、本開示の実施例は、同時に通過時間コストおよび安全性コストに基づいて、走行可能領域を生成することができるので、通過性と安全性のバランスを取る車線を選択することができる。
【0092】
いくつかの実施例では、車線意思決定意味情報中の各コストを重み付けて合計してもよく、重み付け求合計結果に基づいて、走行可能領域を生成することができる。本実施例では、通過時間コストと安全性コストを重み付けて合計して重み付け合計結果を得る。例えば:
f=wpass+wsafe
ここで、fは重み付け合計結果(または重み付け合計値)であり、fpassは通過時間コストであり、fsafeは安全性コストであり、wは通過時間コストの重みであり、wは安全性コストの重みである。wおよびwはシミュレーションまたは実際車両実験によって得られる。該技術的解決策に基づいて、本開示の実施例は重み付け合計値が最大の車線を走行可能領域として決定する。
【0093】
いくつかの実施例では、計画部がこの走行可能領域を受け取るのを容易にするために、走行可能領域の境界を離散化させて、左境界点および右境界点を含む走行可能領域境界点を形成する。例示的に、フレネル座標系に基づいて、固定解像度で走行可能領域を離散化させてもよい。図11に示すように、車線決定情報、および車線中心に構築された曲線フレネル座標系に基づいて、固定解像度で走行可能領域の左境界および右境界を生成する。左境界は、フレネル座標系におけるL値の上部境界を示し、右境界は、フレネル座標系におけるL値の下部境界を示す。ここで、隣接する2つの左境界点または隣接する2つの右境界点の縦方向距離は、上記固定解像度である。図11では車両が右車線に位置し、車線決定結果も右車線であるので、走行可能領域の左境界および右境界が図11に示されることを表している。車線決定結果が車線変更であれば、この時点の走行可能領域が2つの車線を含むことになる。
【0094】
本開示の実施例が提供する車両走行可能領域生成方法は、環境感知情報に基づいて各車線の車線意思決定意味情報を決定し、車線意思決定意味情報を走行可能領域の制約境界に変換し、通過性と安全性を両立し、通過性と安全性の高い走行可能領域を迅速に生成して、走行軌跡の生成を加速し、障害物の迅速回避を実現することができる。同時に、通過時間コストと安全性コストは両方とも動的障害物の通行コストを徴付けることができ、通過時間コストは静的障害物の通行コストを特徴付けることもできるので、本開示の技術的解決策は通過時間コストおよび安全性コストに基づいて走行可能領域を生成し、動的障害物および静的障害物の通行計画を同時に実現でき、動的環境における障害物の処理に適用することができる。
【0095】
上記技術的解決策に基づいて、車線意思決定意味情報に基づいて決定された走行可能領域が少なくとも2つの車線を含み、少なくとも2つの車線に静的障害物が存在する場合、通行幅コストに基づいて最適な車線をさらに選択してもい。いくつかの実施例では、車線意思決定意味情報は、通行幅コストをさらに含み、環境感知情報に基づいて、各車線の車線意思決定意味情報を決定することは、車線情報および静的障害物情報に基づいて、車線の最小通行幅を決定することと、最小通行幅を通行幅コストとすることとを含む。ここで、通行幅コストは、自車両前方の静的障害物による車線渋滞を特徴付けるために使用される。いくつかの実施例では、車線情報および静的障害物情報に基づいて車線の最小通行幅を決定することは、車線情報および静的障害物情報に基づいて、車線上の各静的障害物の最大通行幅を決定することと、各静的障害物の最大通行幅中の最小値を車線の最小通行幅として決定することとを含む。
【0096】
具体的に、フレネル座標系を確立し、各静的障害物をフレネル座標系に投影し、各障害物のSL包囲ボックスを生成する。各車線に対して、各静的障害物の左側通行幅および右側通行幅を計算し、左側通行幅および右側通行幅から各静的障害物の最大通行幅を決定し、すべての静的障害物の最大通行幅から最小の最大通行幅を車線の最小通行幅として選択して、該最小通行幅を通行幅コストとして決定する。該通行幅コストが大きいほど、静的障害物による車線渋滞度合いが小さくなる。例示的に、図12に示すように、自車両車線上に障害物1および障害物2が含まれ、隣接する車線上に障害物3(障害物1、障害物2および障害物3がいずれも静的障害物である)が含まれ、障害物1の最大通行幅がd1、障害物2の最大通行幅がd2、障害物3の最大通行幅がd3であり、ここで、d1がd2未満であり、d2がd3未満であるので、自車両車線の最小通行幅がd1、すなわち自車両車線の通行幅コストがd1であり、隣接する車線の最小通行幅がd3、すなわち隣接する車線の通行幅コストがd3である。このとき、隣接する車線の障害物渋滞度合いが自車両車線の障害物渋滞度合いよりも小さい。したがって、隣接する車線をさらに選択して走行可能領域を生成することができる。
【0097】
上記技術的解決策に基づいて、車線意思決定意味情報中の各コストに基づいて最適な走行可能領域を依然として決定できない場合、車両走行軌跡の安定性を確保するために、車線意思決定意味情報に安定性コストを追加することで、自車両車線を選択して走行可能領域を生成するのが好ましい。したがって、いくつかの実施例では、車線意思決定意味情報は安定性コストをさらに含み、環境感知情報に基づいて各車線の車線意思決定意味情報を決定することは、車線情報および自車両情報に基づいて自車両車線および他の車線を決定することと、自車両車線に対して、第1のプリセット安定性コストを安定性コストとして決定することと、他の車線に対して、第2のプリセット安定性コストを安定性コストとして決定することとを含み、ここで、第2のプリセット安定性コストが第1のプリセット安定性コストと異なる。該技術的解決策では、第1のプリセット安定性コストが第2のプリセット安定性コストよりも大きくてもよく、第1のプリセット安定性コストは100、第2のプリセット安定性コストは0であってもよい。
【0098】
上記各実施例に基づいて、車線意思決定意味情報中の各コストを重み付けて合計し、重み付け合計結果を得、以下の式を用いて計算し:
f=wpass+wsafe+wnarrow+wstable
ここで、fnarrowは通行幅コストであり、fstableは安定性コストであり、wは通行幅コストの重みであり、wは安定性コストの重みである。
【0099】
上記技術的解決策に基づいて、いくつかの実施例では、車線意思決定意味情報に基づいて走行可能領域を生成した後、方法はさらに、
プリセット交通規則に基づいて走行可能領域を更新することと、
車両の運動学および動力学制約に基づいて走行可能領域を更新することと、
障害物意味情報およびプリセット安全領域に基づいて、走行可能領域を更新することであって、プリセット安全領域が走行可能領域に接続される、ことと、
静的障害物情報、障害物意思決定意味情報およびレイトレーシングアルゴリズムに基づいて、走行可能領域を更新することであって、障害物意思決定意味情報は、障害物左側通過または障害物右側通過を含む、ことと、のうちの少なくとも1つを含む。
【0100】
具体的に、いくつかの実施例では、プリセット交通規則に基づいて走行可能領域が交通規則に違反するかどうかを判定し、さらに交通規則に違反する走行可能領域をトリミングして走行可能領域を更新する。本開示の実施例では、プリセット交通規則は黄色点線・実線、白色点線・実線および車線指示線などの一般的な交通規則を含んでもよい。例示的に、図13に示すように、車線決定後、車両が車線変更を選択するので、まず車線変更過程の2車線を走行可能領域、すなわち元の走行可能領域として使用する。しかし、車線の末端が実線であるので、プリセット交通規則に基づいて走行可能領域をトリミングし、図13中の境界点としての黒丸点で囲まれた走行可能領域、すなわち更新後の走行可能領域を得る。
【0101】
いくつかの実施例では、本開示の技術的解決策は、車両の運動学および動力学制約に基づいて、走行可能領域を更新してもよい。例示的に、車両の運動学および動力学制約に基づいて、車両が一時的に借用する場合に、追加の走行可能領域を追加することによって走行可能領域を更新する。図14に示すように、自車両の進路角と道路網の進路角間の挟角がΔθであり、自車両の自車両車線位置点の曲率がkであり、自車両のフレネル座標系におけるL座標値がdであるので、フレネル運動学方程式によると、自車両のフレネル座標系に対する横方向速度がd=(1-kd)tan(Δθ)であり、横方向加速度が
【数3】
であり、
ここで、kADVは無人車両自転車モデルの車輪回転角δを用いて計算された自車両軌跡曲率であり、自車両のホイールベースがBであると、
【数4】
、k は道路網の曲率変化率であり、計算を近似するために、k =0とする。追加の走行可能領域dextraを計算するために、自車両最後のフレネル横方向速度が0であると仮定し、フレネル座標系運動学に基づいて、
【数5】
である。このようにして、計算して得られた追加の走行可能領域が、走行可能領域を更新するために、走行可能領域を外側に拡張する。
いくつかの実施例では、隣接する車線上に走行可能領域に対する動的障害物の影響が存在する可能性があり、その結果、走行可能領域の絶対的な安全を保証できないことを考慮して、走行可能領域における動的障害物影響を受ける可能性のある領域をトリミングして、残りの走行可能領域の安全性を保証することができる。
【0102】
具体的に、障害物意味情報に基づいて、横方向回避すべき障害物を決定し、横方向回避すべき障害物の移動軌跡がプリセット安全領域を占める場合、プリセット安全領域の対応する位置を占める走行可能領域の一部をトリミングする。本実施例では、障害物意味情報は障害物合流、障害物横断、障害物並走および逆走などの障害物移動状態を特徴付けるための情報を含んでもよい。自車両は、障害物意味情報に基づいて、横方向障害物回避の必要があるかどうかを自動的に判定する。例えば、障害物意味情報に基づいて障害物合流と判定された場合、自車両が横方向に該障害物を回避する必要がなく、障害物意味情報に基づいて障害物が自車両車線に近すぎると判定された場合、自車両が横方向に該障害物を回避する必要がある。例示的に、図15に示すように、走行可能領域の両側にプリセット安全領域を追加し(走行可能領域が道路境界に隣接する場合、走行可能領域内側のみにプリセット安全領域を追加してもよい)、障害物予測モジュール(先行モジュール、本開示では関与しない)により出力された障害物の移動軌跡がプリセット安全領域を占有するかどうかを判定し、移動軌跡がプリセット安全領域を占有する場合、プリセット安全領域の対応する位置を占有する走行可能領域の一部、例えば図15のトリミング領域をトリミングして、走行可能領域を更新する。
【0103】
いくつかの実施例では、上記各実施例で得られた走行可能領域は静的障害物が位置する領域を含み、障害物回避制約を満たしないため、さらに静的障害物が位置する領域を走行可能領域からトリミングして走行可能領域を更新する必要がある。本開示の技術的解決策は、既存のスキームではフレネル包囲ボックスを使用して近似の走行可能領域を生成することに起因して車両通過性が低下するという問題を回避するために、障害物意思決定意味情報およびレイトレーシングアルゴリズムを組み合わせて、静的障害物が位置する領域を精度よく決定することができる。
【0104】
具体的に、静的障害物情報、障害物意思決定意味情報およびレイトレーシングアルゴリズムに基づいて走行可能領域を更新することは、静的障害物情報、障害物意思決定意味情報およびレイトレーシングアルゴリズムに基づいて、光線と障害物の衝突点を決定することであり、衝突点が走行可能領域内に位置する、ことと、衝突点に基づいて走行可能領域を更新することと、を含む。いくつかの実施例では、静的障害物情報、障害物意思決定意味情報およびレイトレーシングアルゴリズムに基づいて、光線と障害物の衝突点を決定することは、障害物意思決定意味情報に基づいて光源点よび光線投射方向を決定することと、静的障害物情報に基づいて光線投射範囲を決定することと、光源点、光線投射方向および光線投射範囲に基づいて、障害物を光線走査することと、光線と障害物の衝突点を決定することと、を含む。いくつかの実施例では、レイトレーシングアルゴリズムは、Gilbert-Johnson-Keerthiアルゴリズムに基づく光線投射アルゴリズムを採用して解の精度を向上させる。
【0105】
例示的に、障害物意思決定意味情報は、障害物左側通過または障害物右側通過を含む。障害物意思決定意味情報が障害物左側通過である場合、光源点が静的障害物の左側に位置し、光線投射方向が車線通行方向と垂直であり静的障害物に向かっていると判定し、障害物意思決定意味情報が障害物右側通過である場合、光源点が静的障害物の右側に位置し、光線投射方向が車線通行方向と垂直であり静的障害物に向かっていると判定する。静的障害物情報、例えば静的障害物の位置情報およびサイズ情報に基づいて、静的障害物の所在領域を決定し、光線投射範囲を決定することができる。光線と障害物の衝突点を決定した後、各衝突点で限定された走行可能領域をトリミングする。本開示の実施例では、光源点の具体的な位置が限定されなく、いくつかの実施例では、光源点が走行可能領域境界点上に位置してもよい。
【0106】
具体的な実施例では、図16に示すように、まず静的障害物のfrenet包囲ボックスbox_sl={S_min,S_max,L_min,L_max}とし、frenet包囲ボックスに基づいて、走行可能領域の縦方向における静的障害物のID範囲を決定する。走行可能領域境界点の解像度がΔsである場合、上記ID範囲が(id_start、id_end)、すなわち光線投射範囲であり、ここで、id_start=floor(s_min/Δs),id_end=ceil(s_max/Δs)、floorは浮動小数点数の下向き四捨五入の整数演算を示し、ceilは浮動小数点数の上向き四捨五入の整数演算を示す。なお、本開示の実施例はfrenet包囲ボックスを使用するだけで、静的障害物全体を含む光線投射範囲を決定して、光線による障害物の完全な走査を確保することができ、その後決定された衝突点は、frenet包囲ボックス境界上ではなく、静的障害物上に位置する。図17に示すように、走行可能領域は2つの静的障害物、すなわち障害物1および障害物2を含む。障害物1の障害物意思決定意味情報に基づいて自車両が障害物1の右側から通過すると判定し、障害物2の障害物意思決定意味情報に基づいて自車両が障害物2の左側から通過すると判定することができる。障害物1を例にすると、障害物1の障害物意思決定意味情報に基づいて、点光源が走行可能領域の右側境界点に位置すると判定し、障害物1の静的障害物情報に基づいて、光源による障害物1の光線投射範囲、すなわち上記ID範囲を決定することにより、点光源がID範囲に従って順に障害物1を走査することができる。具体的に、光線が障害物1と衝突した場合、衝突点が走行可能領域内にあると、光線投射範囲の走査が終了するまで、衝突点の点光源から離れた側の走行可能領域をトリミングする。上記技術的解決策によれば、走行可能領域が障害物回避制約を満たす場合に、走行可能領域における静的障害物の占有領域の解の精度を向上させ、車両の通過性を向上させることができる。
【0107】
本開示の実施例は車両意思決定計画装置をさらに提供する。図2を参照すると、該車両意思決定計画装置は、基本座標系生成部111、ガイドライン生成部112、障害物意思決定部113および走行空間生成部114を含む。
【0108】
ここで、基本座標系生成部111は、基本座標系を生成するために使用され、ガイドライン生成部112は、前記基本座標系下でガイドラインを生成して車両の将来概略走行軌跡を意思決定するために使用され、障害物意思決定部113は、前記ガイドラインの制約下で障害物意思決定を行うために使用され、走行空間生成部114は、障害物意思決定に基づいて走行可能領域を生成するために使用される。
【0109】
図18は本開示の実施例が提供する車両意思決定計画装置中の障害物意思決定部の機能モジュールのブロック図である。図18に示すように、障害物意思決定部(または障害物回避の意思決定装置)は、情報取得モジュール401、前処理モジュール402、種類変換モジュール403および回避意思決定モジュール404を含む。
【0110】
ここで、情報取得モジュール401は、道路情報、第1のグリッド障害物の第1のグリッド障害物情報および第1の凸包障害物の第1の凸包障害物情報を取得するために使用され、
前処理モジュール402は、道路情報および第1のグリッド障害物情報に基づいて、第1のグリッド障害物を前処理して第2のグリッド障害物を得るために使用され、ここで、第2のグリッド障害物の数が第1のグリッド障害物の数よりも小さく、
種類変換モジュール403は、第2のグリッド障害物を第2の凸包障害物に変換するために使用され、
回避意思決定モジュール404は、目標凸包障害物の目標凸包障害物情報に基づいて、目標凸包障害物に対して回避の意思決定をするために使用され、ここで、目標凸包障害物は第1の凸包障害物および/または第2の凸包障害物を含む。
【0111】
いくつかの実施例では、前処理モジュール402は、
道路情報および第1のグリッド障害物情報に基づいて、道路の外側に位置する第1のグリッド障害物を濾過し、残りの第1のグリッド障害物を第2のグリッド障害物とするために使用される障害物濾過ユニット、および/または、
道路情報および第1のグリッド障害物情報に基づいて、道路の内側に位置する第1のグリッド障害物を決定し、道路の内側に位置する第1のグリッド障害物を集計処理し、集計処理後の第1のグリッド障害物を第2のグリッド障害物とするために使用される障害物集計ユニットを含む。
【0112】
いくつかの実施例では、障害物濾過ユニットは、
道路情報に基づいて道路通行方向に沿った道路包囲ボックスを生成するために使用される道路包囲ボックス生成サブユニットと、
第1のグリッド障害物情報に基づいて第1のグリッド障害物のグリッド障害物包囲ボックスを生成するために使用されるグリッド障害物包囲ボックス生成サブユニットと、
グリッド障害物包囲ボックスおよび道路包囲ボックスに基づいて、道路の外側に位置する第1のグリッド障害物を決定するために使用される第1のグリッド障害物サブユニットと、
道路の外側に位置する第1のグリッド障害物を濾過するために使用される第1のグリッド障害物濾過サブユニットとを含む。
【0113】
いくつかの実施例では、道路包囲ボックス生成サブユニットは具体的に、
道路情報に基づいて道路境界を境界点に離散化させ、
境界点に基づいて道路包囲ボックスを生成するために使用される。
【0114】
いくつかの実施例では、道路包囲ボックス生成サブユニットは具体的に、
道路情報に基づいて、道路境界および道路境界曲率を決定し、
道路境界曲率に基づいて、道路境界を離散化させ、道路通行方向に沿って間隔を開けて配列された境界点群を得るために使用され、ここで、各境界点群は、横方向上に対応する左境界点および右境界点を含み、横方向は道路通行方向と垂直である。
【0115】
いくつかの実施例では、道路包囲ボックス生成サブユニットは具体的に、
任意の隣接する2つの境界点群に基づいて、任意の隣接する2つの境界点群中の各境界点を通過する矩形フレームを生成し、矩形フレームを道路包囲ボックスとするために使用される。
【0116】
いくつかの実施例では、道路包囲ボックス生成サブユニットは具体的に、
自車両の現在位置を開始道路点とし、
横方向において開始道路点に対応する1つの境界点群を取得し、
道路境界曲率に基づいて、道路通行方向に沿って次の道路点を選択し、ここで、隣接する2つの道路点間の距離が道路境界曲率と負の相関があり、
次の道路点を開始道路点として、道路通行方向において次の道路点から自車両の現在位置までの距離がプリセット距離閾値よりも大きくなるまで、横方向に開始道路点に対応する1つの境界点群を取得することに戻って実行し、現在取得されたすべての境界点群を境界点群として決定するために使用される。
【0117】
いくつかの実施例では、グリッド障害物包囲ボックス生成サブユニットは具体的に、
第1のグリッド障害物情報に基づいて、第1のグリッド障害物のグリッド障害物輪郭を生成し、
グリッド障害物輪郭に基づいてグリッド障害物包囲ボックスを生成するために使用される。
【0118】
いくつかの実施例では、第1のグリッド障害物サブユニットは具体的に、
各グリッド障害物包囲ボックスに対して、グリッド障害物包囲ボックスおよび道路包囲ボックスに基づいて、道路包囲ボックスから、グリッド障害物包囲ボックスまでのユークリッド距離が最小の目標道路包囲ボックスを決定し、
グリッド障害物包囲ボックスと対応する目標道路包囲ボックスに対して衝突検出を行い、
グリッド障害物包囲ボックスと対応する目標道路包囲ボックスとが衝突しない場合、グリッド障害物包囲ボックスに対応する第1のグリッド障害物が道路の外側に位置すると判定するために使用される。
【0119】
いくつかの実施例では、装置は、
グリッド障害物包囲ボックスと対応する目標道路包囲ボックスとが衝突した場合、グリッド障害物包囲ボックスに対応する第1のグリッド障害物が道路の外側に位置するかどうかを判定するために使用される第1のグリッド障害物位置判定モジュールをさらに含む。
【0120】
いくつかの実施例では、第1のグリッド障害物位置判定モジュールは具体的に、
目標道路包囲ボックスの境界点およびグリッド障害物包囲ボックスに基づいてベクトルのクロス積を通じて衝突検出を行い、グリッド障害物包囲ボックスに対応する第1のグリッド障害物が道路の外側に位置するかどうかを判定する。
【0121】
いくつかの実施例では、第1のグリッド障害物位置判定モジュールは具体的に、
境界点のベクトルを決定し、
グリッド障害物包囲ボックスの頂点のベクトルを決定し、
グリッド障害物包囲ボックスの頂点のベクトルと境界点のベクトルのクロス積が0よりも大きい場合、グリッド障害物包囲ボックスに対応する第1のグリッド障害物が道路の外側に位置すると判定するために使用される。
【0122】
いくつかの実施例では、第1のグリッド障害物位置判定モジュールは具体的に、
境界点のベクトルを決定し、
グリッド障害物包囲ボックスの頂点のベクトルを決定し、
グリッド障害物包囲ボックスの頂点のベクトルと境界点のベクトルのクロス積が0以下である場合、グリッド障害物包囲ボックスに対応する第1のグリッド障害物が道路の内側に位置すると判定するために使用される。
【0123】
いくつかの実施例では、障害物集計ユニットは、
道路の内側に位置する第1のグリッド障害物の第1のグリッド障害物情報に基づいて、第1のグリッド障害物の第1の障害物包囲ボックスを生成するために使用される第1の障害物包囲ボックス生成サブユニットと、
隣接する2つの第1の障害物包囲ボックス間のユークリッド距離が自車両幅よりも小さい場合、隣接する2つの第1の障害物包囲ボックスを統合して第2の障害物包囲ボックスを生成するために使用される第2の障害物包囲ボックス生成サブユニットと、
第2の障害物包囲ボックスを第1の障害物包囲ボックスとして、隣接する2つの第1の障害物包囲ボックス間のユークリッド距離が自車両幅よりも小さい場合、第2の障害物包囲ボックスと隣接する第1の障害物包囲ボックス間のユークリッド距離が自車両幅以上になるまで、または第2の障害物包囲ボックスと隣接する第1の障害物包囲ボックスがなくなるまで、隣接する2つの第1の障害物包囲ボックスを統合して第2の障害物包囲ボックスを生成することに戻って実行するために使用される戻り実行ユニットと、を含む。
【0124】
いくつかの実施例では、回避意思決定モジュール404は、
目標凸包障害物情報に基づいて、プリセット濾過条件を満たす目標凸包障害物に回避不要タグまたは横方向回避不要タグを付与するために使用される第1の決定ユニット、および/または、
目標凸包障害物情報および自車両ガイドラインに基づいて、目標凸包障害物に回避タグを付与するために使用される第2の決定ユニットを含み、ここで、回避タグは左側通行タグ、右側通行タグまたは追従タグを含む。
【0125】
いくつかの実施例では、プリセット濾過条件は、
目標凸包障害物が道路の外側に位置すること、
目標凸包障害物の移動状態が横方向回避不要条件を満たすこと、
目標凸包障害物が自車両ガイドライン上に位置すること、のうちの少なくとも1つを含む。
【0126】
いくつかの実施例では、第1の決定ユニットは具体的に、
目標凸包障害物が道路の外側に位置する時、目標凸包障害物に回避不要タグを付与し、
目標凸包障害物の移動状態が横方向回避不要条件を満たす、または目標凸包障害物が自車両ガイドライン上に位置する時、目標凸包障害物に横方向回避不要タグを付与するために使用される。
【0127】
いくつかの実施例では、横方向回避不要条件は、
目標凸包障害物が道路を横断すること、
目標凸包障害物が自車両車線に変更すること、
目標凸包障害物の縦方向速度が自車両速度よりも大きいこと、のうちのいずれか1つを含む。
【0128】
いくつかの実施例では、第2の決定ユニットは具体的に、
目標凸包障害物が自車両ガイドライン上に位置する場合、目標凸包障害物に追従タグを付与し、
目標凸包障害物が自車両ガイドライン上に位置しない場合、目標凸包障害物の質量中心が自車両ガイドラインの左側に位置するとき、目標凸包障害物に右側通行タグを付与し、目標凸包障害物の質量中心が自車両ガイドラインの右側に位置するとき、目標凸包障害物に左側通行タグを付与するために使用される。
【0129】
図19は、本開示の実施例が提供する車両意思決定計画装置中の走行空間生成部の機能モジュールのブロック図である。図19に示すように、走行空間生成部(または車両走行可能領域生成装置)は、感知情報取得モジュール501、車線意思決定意味情報決定モジュール502および走行可能領域生成モジュール503を含む。
【0130】
ここで、感知情報取得モジュール501は、環境感知情報を取得するために使用され、ここで、環境感知情報は、車線情報、障害物情報および自車両情報中の少なくとも2つの情報を含み、障害物情報は、静的障害物情報および/または動的障害物情報を含む。
【0131】
車線意思決定意味情報決定モジュール502は、環境感知情報に基づいて、各車線の車線意思決定意味情報を決定するために使用され、ここで、車線意思決定意味情報は、通過時間コストおよび安全性コストを含む。
【0132】
走行可能領域生成モジュール503は、車線意思決定意味情報に基づいて走行可能領域を生成するために使用される。
【0133】
いくつかの実施例では、車線意思決定意味情報が通過時間コストを含む場合、車線意思決定意味情報決定モジュール502は具体的に、
各車線に対して、環境感知情報に基づいて、自車両と自車両前方の第1の障害物の衝突時間を決定し、
衝突時間を通過時間コストとして決定するために使用される。
【0134】
いくつかの実施例では、車線意思決定意味情報決定モジュール502はさらに、
環境感知情報に基づいて、自車両前方に障害物が存在しない、または自車両前方の第1の障害物の縦方向速度が自車両の縦方向速度以上であると判定した場合、プリセット時間を通過時間コストとして決定するために使用される。
【0135】
いくつかの実施例では、車線意思決定意味情報が安全性コストを含む場合、車線意思決定意味情報決定モジュール502は具体的に、
車線情報および自車両情報に基づいて自車両車線および他の車線を決定し、
自車両車線に対して、第1のプリセット安全性コストを安全性コストとして決定し、
他の車線に対して、環境感知情報に基づいて、障害物がプリセット時間内で自車両の危険領域に進入すると判定された場合、第2のプリセット安全性コストを安全性コストとして決定し、環境感知情報に基づいて、障害物がプリセット時間内で自車両の危険領域に進入しないと判定された場合、第1のプリセット安全性コストを安全性コストとして決定するために使用され、ここで、第2のプリセット安全性コストは第1のプリセット安全性コストと異なる。
【0136】
いくつかの実施例では、車線意思決定意味情報決定モジュール502は具体的に、
環境感知情報に基づいて、自車両ST図曲線および障害物ST図曲線を決定し、
自車両ST図曲線に基づいて、自車両の危険領域を決定し、
プリセット時間内で障害物ST図曲線が自車両の危険領域と重複するかどうかを判定し、
プリセット時間内で障害物ST図曲線が自車両の危険領域と重複する場合、障害物がプリセット時間内で自車両の危険領域に進入すると判定し、そうでないと、障害物がプリセット時間内で自車両の危険領域に進入しないと判定するために使用される。
【0137】
いくつかの実施例では、車線意思決定意味情報は通行幅コストをさらに含み、車線意思決定意味情報決定モジュール502は具体的に、
車線情報および静的障害物情報に基づいて車線の最小通行幅を決定し、
最小通行幅を通行幅コストとして決定するために使用される。
【0138】
いくつかの実施例では、車線意思決定意味情報決定モジュール502は具体的に、
車線情報および静的障害物情報に基づいて、車線上の各静的障害物の最大通行幅を決定し、
各静的障害物の最大通行幅中の最小値を車線の最小通行幅として決定するために使用される。
【0139】
いくつかの実施例では、車線意思決定意味情報は安定性コストをさらに含み、車線意思決定意味情報決定モジュール502は具体的に、
車線情報および自車両情報に基づいて、自車両車線および他の車線を決定し、
自車両車線に対して、第1のプリセット安定性コストを安定性コストとして決定し、
他の車線に対して、第2のプリセット安定性コストを安定性コストとして決定するために使用され、ここで、第2のプリセット安定性コストは第1のプリセット安定性コストと異なる。
【0140】
いくつかの実施例では、走行可能領域生成モジュール503は具体的に、
車線意思決定意味情報中の各コストを重み付けて合計し、
重み付け合計結果に基づいて、走行可能領域を生成するために使用される。
【0141】
いくつかの実施例では、上記装置は、
車線意思決定意味情報に基づいて走行可能領域を生成した後に、走行可能領域の境界を離散化させるために使用される離散化モジュールをさらに含む。
【0142】
いくつかの実施例では、上記装置は走行可能領域更新モジュールをさらに含み、該走行可能領域更新モジュールは車線意思決定意味情報に基づいて走行可能領域を生成した後、具体的に、
プリセット交通規則に基づいて走行可能領域を更新することと、
車両の運動学および動力学制約に基づいて走行可能領域を更新することと、
障害物意味情報およびプリセット安全領域に基づいて、走行可能領域を更新することであって、プリセット安全領域が走行可能領域に接続される、ことと、
静的障害物情報、障害物意思決定意味情報およびレイトレーシングアルゴリズムに基づいて、走行可能領域を更新することであって、障害物意思決定意味情報は障害物左側通過または障害物右側通過を含む、ことと、のうちの少なくとも1つの更新操作を実行する。
【0143】
いくつかの実施例では、走行可能領域更新モジュールは具体的に、
障害物意味情報に基づいて、横方向回避すべき障害物を決定し、
横方向回避すべき障害物の移動軌跡がプリセット安全領域を占有すると、プリセット安全領域の対応する位置を占有する部分走行可能領域をトリミングするために使用される。
【0144】
いくつかの実施例では、走行可能領域更新モジュールは具体的に、
静的障害物情報、障害物意思決定意味情報およびレイトレーシングアルゴリズムに基づいて、光線と障害物の衝突点を決定し、衝突点が走行可能領域内に位置し、
衝突点に基づいて、走行可能領域を更新するために使用される。
【0145】
いくつかの実施例では、走行可能領域更新モジュールは具体的に、
障害物意思決定意味情報に基づいて、光源点および光線投射方向を決定し、
静的障害物情報に基づいて光線投射範囲を決定し、
光源点、光線投射方向および光線投射範囲に基づいて、障害物を光線走査し、
光線と障害物の衝突点を決定するために使用される。
【0146】
以上の実施例で開示された車両意思決定計画装置は、以上の各実施例で開示された車両意思決定計画方法を実施可能であり、同じまたは対応の有益な効果を有し、重複説明を避けるために、ここで繰り返さない。
【0147】
本開示の実施例は電子機器をさらに提供し、メモリおよび1つまたは複数のプロセッサを含み、ここで、メモリは1つまたは複数のプロセッサと通信可能に接続され、メモリに、1つまたは複数のプロセッサによって実行可能な命令が記憶されており、命令が1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、電子機器は本開示の任意の実施例で説明された方法を実施するために使用される。
【0148】
図20は、本開示の実施形態の実施に適した電子機器の構造概略図である。図20に示すように、電子機器600は、中央処理ユニット(CPU)601を備え、読み出し専用メモリ(ROM)602に記憶されたプログラムまたは記憶部608からランダムアクセスメモリ(RAM)603にロードされたプログラムに基づいて前記の実施形態中の各種処理を実行する。RAM603には、電子機器600の操作に必要な各種のプログラムやデータが記憶されている。CPU601、ROM602およびRAM603はバス604を介して互いに接続される。入力/出力(I/O)インタフェース605もバス604に接続される。
【0149】
I/Oインタフェース605に、キーボード、マウスなどの入力部606、陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)などおよびスピーカなどの出力部607、ハードディスクなどの記憶部608、およびLANカード、モデルなどのネットワークインタフェースカードの通信部609が接続される。通信部609はインターネットなどのネットワークを介して通信処理を実行する。ドライブ610も必要に応じてI/Oインタフェース605に接続される。磁気ディスク、光ディスク、磁気光ディスク、半導体メモリなどのリムーバブル媒体611は、必要に応じてドライブ610に取り付けられ、それらから読みだされたコンピュータプログラムが必要に応じて記憶部608に装着されるようになっている。
【0150】
特に、本開示の実施形態によれば、上記説明した方法はコンピュータソフトウェアプログラムとして実装され得る。例えば、本開示の実施形態は、コンピュータプログラム製品を含み、可読媒体に含まれる有形コンピュータプログラムを含み、コンピュータプログラムは前記障害物回避方法を実行するためのプログラムコードを含む。このような実施形態では、該コンピュータプログラムは、通信部609を介してネットワークからダウンロードされインストールされてもよく、および/またはリムーバブル媒体611からインストールされてもよい。
【0151】
添付図面中のフローチャートおよびブロック図は、本開示の各種実施形態の装置、方法およびコンピュータプログラム製品の可能な実装のアーキテクチャ、機能性および操作を示している。この点で、フローチャートまたはブロック図中の各ブロックは1つのモジュール、プログラムセグメントまたはコードの一部を示し、モジュール、プログラムセグメントまたはコードの一部は指定された論理機能を実装するための1つまたは複数の実行可能な命令を含む。また、代替のいくつかの実装では、ブロックに示された機能は、添付図面に示された順序と異なる順序で発生する可能性もあることに留意されたい。例えば、関連する機能によって、接続された2つのブロックは実質的に並行して実行され、場合によって逆順序で実行されてもよい。また、ブロック図および/またはフローチャート中の各ブロック、およびブロック図および/またはフローチャート中のブロックの組み合わせは、指定された機能または操作を実行するための専用ハードウェアベースシステムによって実装されてもよく、または専用ハードウェアとコンピュータ命令の組み合わせによって実装されてもよいことに留意されたい。
【0152】
本開示の実施形態において説明されたユニットまたはモジュールはソフトウェアによって実装されてもよく、ハードウェアによって実装されてもよい。説明されたユニットまたはモジュールはプロセッサに設けられてもよく、これらのユニットまたはモジュールの名称は、特定の場合において該ユニットまたはモジュール自体を限定するものではない。
【0153】
さらに、本開示の実施例は、コンピュータ可読記憶媒体をさらに提供し、該コンピュータ可読記憶媒体は上記実施形態に記載の装置に含まれるコンピュータ可読記憶媒体であってもよく、別個に存在し、デバイスに組み込まれないコンピュータ可読記憶媒体であってもよい。コンピュータ可読記憶媒体にコンピュータ実行可能な命令が記憶されており、コンピュータ実行可能な命令がコンピューティング装置によって実行されると、本開示の任意の実施例で説明された方法を実施するために使用される。
【0154】
前記道路情報に基づいて道路通行方向に沿った道路包囲ボックスを生成することは、
前記道路情報に基づいて、道路境界を境界点に離散化させることと、
前記境界点に基づいて、前記道路包囲ボックスを生成することとを含む。
【0155】
前記道路情報に基づいて、道路境界を境界点に離散化させることは、
前記道路情報に基づいて、道路境界および道路境界曲率を決定することと、
道路境界曲率に基づいて、前記道路境界を離散化させ、道路通行方向に沿って間隔を開けて配列された境界点群を得ることとを含み、ここで、各境界点群は横方向上に対応する左境界点および右境界点を含み、前記横方向は道路通行方向と垂直である。
【0156】
前記境界点に基づいて、前記道路包囲ボックスを生成することは、
任意の隣接する2つの境界点群に基づいて、前記任意の隣接する2つの境界点群中の各境界点を通過する矩形フレームを生成し、前記矩形フレームを前記道路包囲ボックスとすることを含む。
【0157】
道路境界曲率に基づいて、前記道路境界を離散化させ、道路通行方向に沿って間隔を開けて配列された境界点群を得ることは、
自車両の現在位置を開始道路点とすることと、
横方向に前記開始道路点に対応する1つの境界点群を得ることと、
道路境界曲率に基づいて、道路通行方向に沿って次の道路点を選択することであつて、隣接する2つの道路点間の距離が道路境界曲率と負の相関がある、ことと、
前記次の道路点を前記開始道路点として、前記道路通行方向に前記次の道路点から前記自車両の現在位置までの距離がプリセット距離閾値よりも大きくなるまで、横方向に前記開始道路点に対応する1つの境界点群を得、現在取得されたすべての境界点群を前記境界点群として決定することと、を含む。
【0158】
前記第1のグリッド障害物情報に基づいて、前記第1のグリッド障害物のグリッド障害物包囲ボックスを生成することは、
前記第1のグリッド障害物情報に基づいて、前記第1のグリッド障害物のグリッド障害物輪郭を生成することと、
前記グリッド障害物輪郭に基づいて前記グリッド障害物包囲ボックスを生成することと、を含む。
【0159】
前記グリッド障害物包囲ボックスおよび前記道路包囲ボックスに基づいて、道路の外側に位置する前記第1のグリッド障害物を決定することは、
各前記グリッド障害物包囲ボックスについて、前記グリッド障害物包囲ボックスおよび前記道路包囲ボックスに基づいて、前記道路包囲ボックスから、前記グリッド障害物包囲ボックスまでのユークリッド距離の最小の目標道路包囲ボックスを決定することと、
前記グリッド障害物包囲ボックスと対応する前記目標道路包囲ボックスに対して衝突検出を行うことと、
前記グリッド障害物包囲ボックスと対応する前記目標道路包囲ボックスが衝突しない場合、前記グリッド障害物包囲ボックスに対応する第1のグリッド障害物が道路の外側に位置すると判定することとを含む。
【0160】
前記方法は、
前記グリッド障害物包囲ボックスと対応する前記目標道路包囲ボックスが衝突した場合、前記グリッド障害物包囲ボックスに対応する第1のグリッド障害物が道路の外側に位置するかどうかを判定することをさらに含む。
【0161】
前記グリッド障害物包囲ボックスに対応する第1のグリッド障害物が道路の外側に位置するかどうかを判定することは、
目標道路包囲ボックスの境界点および前記グリッド障害物包囲ボックスに基づいてベクトルのクロス積を通じて衝突検出を行い、前記グリッド障害物包囲ボックスに対応する第1のグリッド障害物が道路の外側に位置するかどうかを判定することを含む。
【0162】
前記の目標道路包囲ボックスの境界点および前記グリッド障害物包囲ボックスに基づいてベクトルのクロス積を通じて衝突検出を行い、前記グリッド障害物包囲ボックスに対応する第1のグリッド障害物が道路の外側に位置するかどうかを判定することは、
境界点のベクトルを決定することと、
グリッド障害物包囲ボックスの頂点のベクトルを決定することと、
グリッド障害物包囲ボックスの頂点のベクトルと前記境界点のベクトルのクロス積が0よりも大きい場合、前記グリッド障害物包囲ボックスに対応する第1のグリッド障害物が道路の外側に位置すると判定することと、を含む。
【0163】
前記方法は、
境界点のベクトルを決定することと、
グリッド障害物包囲ボックスの頂点のベクトルを決定することと、
グリッド障害物包囲ボックスの頂点のベクトルと前記境界点のベクトルのクロス積が0以下である場合、前記グリッド障害物包囲ボックスに対応する第1のグリッド障害物が道路の内側に位置すると判定することと、をさらに含む。
【0164】
前記道路の内側に位置する前記第1のグリッド障害物を集計処理することは、
前記道路の内側に位置する前記第1のグリッド障害物の前記第1のグリッド障害物情報に基づいて、前記第1のグリッド障害物の第1の障害物包囲ボックスを生成することと、
隣接する2つの第1の障害物包囲ボックス間のユークリッド距離が自車両幅未満である場合、前記隣接する2つの第1の障害物包囲ボックスを統合し、第2の障害物包囲ボックスを生成することと、
前記第2の障害物包囲ボックスを前記第1の障害物包囲ボックスとして、隣接する2つの第1の障害物包囲ボックス間のユークリッド距離が自車両幅未満である場合、第2の障害物包囲ボックスと隣接する第1の障害物包囲ボックス間のユークリッド距離が自車両幅以上になるか、または第2の障害物包囲ボックスと隣接する第1の障害物包囲ボックスがなくなるまで、前記隣接する2つの第1の障害物包囲ボックスを統合し、第2の障害物包囲ボックスを生成することと、を含む。
【0165】
目標凸包障害物の目標凸包障害物情報に基づいて前記目標凸包障害物に対して回避の意思決定をすることは、
前記目標凸包障害物情報に基づいて、プリセット濾過条件を満たす前記目標凸包障害物に回避不要タグまたは横方向回避不要タグを付与すること、および/または、
前記目標凸包障害物情報および自車両ガイドラインに基づいて、前記目標凸包障害物に回避タグを付与することを含み、ここで、前記回避タグは左側通行タグ、右側通行タグまたは追従タグを含む。
【0166】
前記プリセット濾過条件は、
前記目標凸包障害物が道路の外側に位置すること、
前記目標凸包障害物の移動状態が横方向回避不要条件を満たすこと、
前記目標凸包障害物が自車両ガイドライン上に位置すること、のうちの少なくとも1つを含む。
【0167】
前記目標凸包障害物情報に基づいて、プリセット濾過条件を満たす前記目標凸包障害物に回避不要タグまたは横方向回避不要タグを付与することは、
前記目標凸包障害物が道路の外側に位置する時、前記目標凸包障害物に前記回避不要タグを付与することと、
前記目標凸包障害物の移動状態が横方向回避不要条件を満たすまたは前記目標凸包障害物が自車両ガイドライン上に位置する時、前記目標凸包障害物に前記横方向回避不要タグを付与することと、を含む。
【0168】
前記横方向回避不要条件は、
前記目標凸包障害物が道路を横断すること、
前記目標凸包障害物が自車両車線に変更すること、
前記目標凸包障害物の縦方向速度が自車両速度よりも大きいこと、のうちのいずれか1つを含む。
【0169】
前記目標凸包障害物情報および自車両ガイドラインに基づいて、前記目標凸包障害物に回避タグを付与することは、
前記目標凸包障害物が前記自車両ガイドライン上に位置する場合、前記目標凸包障害物に前記追従タグを付与することと、
前記目標凸包障害物に前記自車両ガイドライン上に位置しない場合、前記目標凸包障害物の質量中心が前記自車両ガイドラインの左側に位置すると、前記目標凸包障害物に前記右側通行タグを付与し、前記目標凸包障害物の質量中心が前記自車両ガイドラインの右側に位置すると、前記目標凸包障害物に前記左側通行タグを付与することと、を含む。
【0170】
前記方法は、
前記環境感知情報に基づいて、自車両前方に障害物がない、または自車両前方の第1の障害物の縦方向速度が自車両の縦方向速度以上であると判定した場合、プリセット時間を前記通過時間コストとして決定することをさらに含む。
【0171】
前記方法は、
前記環境感知情報に基づいて、自車両ST図曲線および障害物ST図曲線を決定することと、
前記自車両ST図曲線に基づいて自車両の危険領域を決定することと、
前記プリセット時間内で前記障害物ST図曲線が前記自車両の危険領域と重複するかどうかを判定することと、
前記プリセット時間内で前記障害物ST図曲線が前記自車両の危険領域と重複していると判定された場合、前記障害物がプリセット時間内で自車両の危険領域に進入すると判定し、そうでないと、前記障害物がプリセット時間内で自車両の危険領域に進入しないと判定することと、をさらに含む。
【0172】
前記車線意思決定意味情報は、通行幅コストをさらに含み、前記環境感知情報に基づいて各車線の車線意思決定意味情報を決定することは、
前記車線情報および前記静的障害物情報に基づいて車線の最小通行幅を決定することと、
前記最小通行幅を前記通行幅コストとして決定することと、を含む。
【0173】
前記車線情報および前記静的障害物情報に基づいて、車線の最小通行幅を決定することは、
前記車線情報および前記静的障害物情報に基づいて、前記車線上各静的障害物の最大通行幅を決定することと、
各静的障害物の最大通行幅中の最小値を前記車線の最小通行幅として決定することと、を含む。
【0174】
前記車線意思決定意味情報は安定性コストをさらに含み、前記環境感知情報に基づいて各車線の車線意思決定意味情報を決定することは、
前記車線情報および前記自車両情報に基づいて自車両車線および他の車線を決定することと、
前記自車両車線に対して、第1のプリセット安定性コストを前記安定性コストとして決定することと、
前記他の車線に対して、第2のプリセット安定性コストを前記安定性コストとして決定することとを含み、ここで、前記第2のプリセット安定性コストは前記第1のプリセット安定性コストと異なる。
【0175】
前記車線意思決定意味情報に基づいて走行可能領域を生成することは、
前記車線意思決定意味情報中の各コストを重み付けて合計することと、
重み付け合計結果に基づいて、走行可能領域を生成することと、を含む。
【0176】
前記車線意思決定意味情報に基づいて走行可能領域を生成した後、前記方法は、
前記走行可能領域の境界を離散化させることをさらに含む。
【0177】
前記車線意思決定意味情報に基づいて走行可能領域を生成した後、前記方法は、
プリセット交通規則に基づいて前記走行可能領域を更新することと、
車両の運動学および動力学制約に基づいて前記走行可能領域を更新すること、
障害物意味情報およびプリセット安全領域に基づいて、前記走行可能領域を更新することであって、前記プリセット安全領域が前記走行可能領域に接続される、ことと、
前記静的障害物情報、障害物意思決定意味情報およびレイトレーシングアルゴリズムに基づいて、前記走行可能領域を更新することであって、前記障害物意思決定意味情報は障害物左側通過または障害物右側通過を含む、ことと、を含む。
【0178】
障害物意味情報およびプリセット安全領域に基づいて前記走行可能領域を更新することは、
障害物意味情報に基づいて、横方向回避すべき障害物を決定すること、
前記横方向回避すべき障害物の移動軌跡が前記プリセット安全領域を占有する場合、前記前記プリセット安全領域の対応する位置を占有する部分走行可能領域をトリミングすることを含む。
【0179】
前記静的障害物情報、障害物意思決定意味情報およびレイトレーシングアルゴリズムに基づいて、前記走行可能領域を更新することは、
前記静的障害物情報、障害物意思決定意味情報およびレイトレーシングアルゴリズムに基づいて、光線と障害物の衝突点を決定することであり、前記衝突点が前記走行可能領域内に位置する、ことと、
前記衝突点に基づいて前記走行可能領域を更新することと、を含む。
【0180】
前記静的障害物情報、障害物意思決定意味情報およびレイトレーシングアルゴリズムに基づいて、光線と障害物の衝突点を決定することは、
前記障害物意思決定意味情報に基づいて、光源点と光線投射方向を決定することと、
前記静的障害物情報に基づいて光線投射範囲を決定することと、
前記光源点、前記光線投射方向および前記光線投射範囲に基づいて、障害物を光線走査することと、
光線と前記障害物の衝突点を決定することと、を含む。
【0181】
障害物回避の意思決定方法は、
道路情報、第1のグリッド障害物の第1のグリッド障害物情報および第1の凸包障害物の第1の凸包障害物情報を取得することと、
前記道路情報および前記第1のグリッド障害物情報に基づいて、前記第1のグリッド障害物を前処理して第2のグリッド障害物を得ることと、
前記第2のグリッド障害物を第2の凸包障害物に変換することと、
目標凸包障害物の目標凸包障害物情報に基づいて前記目標凸包障害物を回避すると決定をすることと、を含み、ここで、前記目標凸包障害物は前記第1の凸包障害物および/または前記第2の凸包障害物を含む。
【0182】
車両走行可能領域生成方法は、
環境感知情報を取得することであり、前記環境感知情報は車線情報、障害物情報および自車両情報中の少なくとも2つのを含み、前記障害物情報は静的障害物情報および/または動的障害物情報を含む、ことと、
前記環境感知情報に基づいて各車線の車線意思決定意味情報を決定することであって、前記車線意思決定意味情報は通過時間コストおよび安全性コストを含む、ことと、
前記車線意思決定意味情報に基づいて走行可能領域を生成すること、を含む。
【0183】
以上は本開示の具体的な実施形態であり、当業者が本開示を理解または実施できるようにするためのものである。これらの実施例の様々な修正は当業者にとって明らかであり、本明細書で定義された一般的な原理は、本開示の精神や範囲から逸脱することなく、他の実施例で実施され得る。したがって、本開示は、本明細書に記載のこれらの実施例に限定されず、本明細書に開示された原理および新規な特徴と一致する最も広い範囲に従う。
【0184】
<産業上の利用可能性>
本開示は、グリッド種類の障害物を凸包種類の障害物に変換し、グリッド種類および凸包種類の2種類の障害物に対する統一的な意思決定を実現することにより、混合種類の障害物の、障害物意思決定プロセスを簡略化し、障害物意思決定過程を加速し、意思決定計画モジュールが障害物決定を便利かつ迅速に行うことができ、高い産業上実用性を有する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【手続補正書】
【提出日】2024-01-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0052】
具体的に、第1のグリッド障害物情報に基づいて、suzuki輪郭追従アルゴリズムを採用し、第1のグリッド障害物の閉じた輪郭図形、すなわちグリッド障害物輪郭を生成する。このようにして、すべての生の点群グリッド障害物データ処理を回避することができ、プロセッサおよびセンサのハードウェア要件を大幅に削減することができる。例示的に、グリッド障害物輪郭Ω={P,P,・・・,P}では、Pはグリッド障害物輪郭の1つの座標点であり、該グリッド障害物輪郭はn個の座標点から構成される。グリッド障害物包囲ボックスB={Pmin,Pmax}では、グリッド障害物包囲ボックスの4つの頂点は2つの座標点Pmin=[xmin,ymin]およびPmax=[xmax,ymax]の座標値から構成され、ここで、
【数1】
,x,…、xはグリッド障害物輪郭中のn個の座標点のx座標であり、y,y,…、yはグリッド障害物輪郭中のn個の座標点のy座標である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基本座標系を生成することと、
前記基本座標系下でガイドラインを生成して車両の将来概略走行軌跡を意思決定することと、
前記ガイドラインの制約下で障害物意思決定を行うことと、
障害物意思決定に基づいて走行可能領域を生成することと、を含むことを特徴とする車両意思決定計画方法。
【請求項2】
障害物意思決定を行うことは、
道路情報、第1のグリッド障害物の第1のグリッド障害物情報および第1の凸包障害物の第1の凸包障害物情報を取得することと、
前記道路情報および前記第1のグリッド障害物情報に基づいて、前記第1のグリッド障害物を前処理して第2のグリッド障害物を得ることと、
前記第2のグリッド障害物を第2の凸包障害物に変換することと、
目標凸包障害物の目標凸包障害物情報に基づいて前記目標凸包障害物に対して回避の意思決定をすることと、を含み、
前記目標凸包障害物は、前記第1の凸包障害物および/または前記第2の凸包障害物を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記道路情報および前記第1のグリッド障害物情報に基づいて、前記第1のグリッド障害物を前処理して第2のグリッド障害物を得ることは、
前記道路情報および前記第1のグリッド障害物情報に基づいて、道路の外側に位置する前記第1のグリッド障害物を濾過し、残りの前記第1のグリッド障害物を前記第2のグリッド障害物とすることと、および/または、
前記道路情報および前記第1のグリッド障害物情報に基づいて、前記道路の内側に位置する前記第1のグリッド障害物を決定し、前記道路の内側に位置する前記第1のグリッド障害物を集計処理し、集計処理後の前記第1のグリッド障害物を前記第2のグリッド障害物とすることと、を含む、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記道路情報および前記第1のグリッド障害物情報に基づいて、道路の外側に位置する前記第1のグリッド障害物を濾過することは、
前記道路情報に基づいて道路通行方向に沿った道路包囲ボックスを生成することと、
前記第1のグリッド障害物情報に基づいて、前記第1のグリッド障害物のグリッド障害物包囲ボックスを生成することと、
前記グリッド障害物包囲ボックスおよび前記道路包囲ボックスに基づいて、道路の外側に位置する前記第1のグリッド障害物を決定することと、
道路の外側に位置する前記第1のグリッド障害物を濾過することと、を含む、ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
障害物意思決定に基づいて走行可能領域を生成することは、
環境感知情報を取得することであって、前記環境感知情報は、車線情報、障害物情報および自車両情報中の少なくとも2つの情報を含み、前記障害物情報は、静的障害物情報および/または動的障害物情報を含む、ことと、
前記環境感知情報に基づいて各車線の車線意思決定意味情報を決定することであって、前記車線意思決定意味情報は通過時間コストおよび安全性コストを含む、ことと、
前記車線意思決定意味情報に基づいて走行可能領域を生成することと、を含む、ことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項6】
記環境感知情報に基づいて各車線の車線意思決定意味情報を決定することは、
各車線に対して、前記環境感知情報に基づいて自車両と自車両前方の第1の障害物の衝突時間を決定することと、
前記衝突時間を前記通過時間コストとして決定することと、を含む、ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
記環境感知情報に基づいて各車線の車線意思決定意味情報を決定することは、
前記車線情報および前記自車両情報に基づいて自車両車線および他の車線を決定することと、
前記自車両車線に対して、第1のプリセット安全性コストを前記安全性コストとして決定することと、
前記他の車線に対して、前記環境感知情報に基づいて、障害物がプリセット時間内で自車両の危険領域に進入すると判定される場合、第2のプリセット安全性コストを前記安全性コストとして決定し、前記環境感知情報に基づいて、前記障害物が前記プリセット時間内で自車両の危険領域に進入しないと判定される場合、前記第1のプリセット安全性コストを前記安全性コストとして決定することと、を含み、
前記第2のプリセット安全性コストは、前記第1のプリセット安全性コストと異なる、ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
道路情報、第1のグリッド障害物の第1のグリッド障害物情報および第1の凸包障害物の第1の凸包障害物情報を取得することと、
前記道路情報および前記第1のグリッド障害物情報に基づいて、前記第1のグリッド障害物を前処理して第2のグリッド障害物を得ることと、
前記第2のグリッド障害物を第2の凸包障害物に変換することと、
目標凸包障害物の目標凸包障害物情報に基づいて前記目標凸包障害物に対して回避の意思決定をすることと、を含み、
前記目標凸包障害物は、前記第1の凸包障害物および/または前記第2の凸包障害物を含む、ことを特徴とする障害物回避の意思決定方法。
【請求項9】
前記道路情報および前記第1のグリッド障害物情報に基づいて、前記第1のグリッド障害物を前処理して第2のグリッド障害物を得ることは、
前記道路情報および前記第1のグリッド障害物情報に基づいて、道路の外側に位置する前記第1のグリッド障害物を濾過し、残りの前記第1のグリッド障害物を前記第2のグリッド障害物とすることと、および/または、
前記道路情報および前記第1のグリッド障害物情報に基づいて、前記道路の内側に位置する前記第1のグリッド障害物を決定し、前記道路の内側に位置する前記第1のグリッド障害物を集計処理し、集計処理後の前記第1のグリッド障害物を前記第2のグリッド障害物とすることと、を含む、ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
環境感知情報を取得することであって、前記環境感知情報は、車線情報、障害物情報および自車両情報中の少なくとも2つの情報を含み、前記障害物情報は、静的障害物情報および/または動的障害物情報を含む、ことと、
前記環境感知情報に基づいて各車線の車線意思決定意味情報を決定することであって、前記車線意思決定意味情報は、通過時間コストおよび安全性コストを含む、ことと、
前記車線意思決定意味情報に基づいて走行可能領域を生成することと、を含む、ことを特徴とする車両走行可能領域生成方法。
【請求項11】
前記車線意思決定意味情報が通過時間コストを含む場合、前記環境感知情報に基づいて各車線の車線意思決定意味情報を決定することは、
各車線に対して、前記環境感知情報に基づいて自車両と自車両前方の第1の障害物の衝突時間を決定することと、
前記衝突時間を前記通過時間コストとして決定することと、を含む、ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記車線意思決定意味情報が安全性コストを含む場合、前記環境感知情報に基づいて各車線の車線意思決定意味情報を決定することは、
前記車線情報および前記自車両情報に基づいて自車両車線および他の車線を決定することと、
前記自車両車線に対して、第1のプリセット安全性コストを前記安全性コストとして決定することと、
前記他の車線に対して、前記環境感知情報に基づいて、障害物がプリセット時間内で自車両の危険領域に進入すると判定される場合、第2のプリセット安全性コストを前記安全性コストとして決定し、前記環境感知情報に基づいて、前記障害物が前記プリセット時間内で自車両の危険領域に進入しないと判定される場合、前記第1のプリセット安全性コストを前記安全性コストとして決定することと、を含み、
前記第2のプリセット安全性コストは、前記第1のプリセット安全性コストと異なる、ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
基本座標系を生成するための基本座標系生成部と、
前記基本座標系下でガイドラインを生成して車両の将来概略走行軌跡を意思決定するためのガイドライン生成部と、
前記ガイドラインの制約下で障害物意思決定を行うための障害物意思決定部と、
障害物意思決定に基づいて走行可能領域を生成するための走行空間生成部と、を備える、車両意思決定計画装置。
【請求項14】
障害物意思決定部は、
道路情報、第1のグリッド障害物の第1のグリッド障害物情報および第1の凸包障害物の第1の凸包障害物情報を取得するための情報取得モジュールと、
前記道路情報および前記第1のグリッド障害物情報に基づいて、前記第1のグリッド障害物を前処理して第2のグリッド障害物を得るための前処理モジュールであって、前記第2のグリッド障害物の数が前記第1のグリッド障害物の数よりも小さい、前処理モジュールと、
前記第2のグリッド障害物を第2の凸包障害物に変換するための種類変換モジュールと、
目標凸包障害物の目標凸包障害物情報に基づいて前記目標凸包障害物に対して回避の意思決定をするための回避意思決定モジュールであって、前記目標凸包障害物は、前記第1の凸包障害物および/または前記第2の凸包障害物を含む、回避意思決定モジュールと、を含むことを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
走行空間生成部は、
環境感知情報を取得するための感知情報取得モジュールであって、前記環境感知情報は、車線情報、障害物情報および自車両情報中の少なくとも2つの情報を含み、前記障害物情報は、静的障害物情報および/または動的障害物情報を含む、感知情報取得モジュールと、
前記環境感知情報に基づいて各車線の車線意思決定意味情報を決定するための車線意思決定意味情報決定モジュールであって、前記車線意思決定意味情報は、通過時間コストおよび安全性コストを含む、車線意思決定意味情報決定モジュールと、
前記車線意思決定意味情報に基づいて走行可能領域を生成するための走行可能領域生成モジュールと、を含む、ことを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項16】
道路情報、第1のグリッド障害物の第1のグリッド障害物情報および第1の凸包障害物の第1の凸包障害物情報を取得するための情報取得モジュールと、
前記道路情報および前記第1のグリッド障害物情報に基づいて、前記第1のグリッド障害物を前処理して第2のグリッド障害物を得るための前処理モジュールであって、前記第2のグリッド障害物の数が前記第1のグリッド障害物の数よりも小さい、前処理モジュールと、
前記第2のグリッド障害物を第2の凸包障害物に変換するための種類変換モジュールと、
目標凸包障害物の目標凸包障害物情報に基づいて前記目標凸包障害物に対して回避の意思決定をするための回避意思決定モジュールであって、前記目標凸包障害物は、前記第1の凸包障害物および/または前記第2の凸包障害物を含む、回避意思決定モジュールと、を含むことを特徴とする障害物回避の意思決定装置。
【請求項17】
環境感知情報を取得するための感知情報取得モジュールであって、前記環境感知情報は、車線情報、障害物情報および自車両情報中の少なくとも2つの情報を含み、前記障害物情報は、静的障害物情報および/または動的障害物情報を含む、感知情報取得モジュールと、
前記環境感知情報に基づいて各車線の車線意思決定意味情報を決定するための車線意思決定意味情報決定モジュールであって、前記車線意思決定意味情報は、通過時間コストおよび安全性コストを含む、車線意思決定意味情報決定モジュールと、
前記車線意思決定意味情報に基づいて走行可能領域を生成するための走行可能領域生成モジュールと、を含む、ことを特徴とする車両走行可能領域生成装置。
【請求項18】
メモリおよび1つまたは複数のプロセッサを備える電子機器であって、
前記メモリは前記1つまたは複数のプロセッサと通信可能に接続され、前記1つまたは複数のプロセッサによって実行可能な命令が前記メモリに記憶されており、前記命令が前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、前記電子機器は請求項1~12のいずれか1項に記載の方法を実現するようにする、ことを特徴とする電子機器。
【請求項19】
コンピュータ実行可能な命令が記憶されたコンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータ実行可能な命令がコンピューティング装置によって実行されると、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法を実現させる、ことを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項20】
コンピュータプログラムであって、
前記コンピュータプログラムがコンピューティング装置により実行されると、請求項1ないし請求項12のいずれか一項に記載の方法を実現させるコンピュータプログラム。
【国際調査報告】