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  • 特表-リヨセルトウを含むタバコフィルタ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】リヨセルトウを含むタバコフィルタ
(51)【国際特許分類】
   A24D 3/08 20060101AFI20240822BHJP
【FI】
A24D3/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505213
(86)(22)【出願日】2022-11-03
(85)【翻訳文提出日】2024-02-05
(86)【国際出願番号】 KR2022017175
(87)【国際公開番号】W WO2023106644
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】10-2021-0173488
(32)【優先日】2021-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519217032
【氏名又は名称】ケーティー アンド ジー コーポレイション
(71)【出願人】
【識別番号】519222922
【氏名又は名称】コロン インダストリーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ジン チュル
(72)【発明者】
【氏名】マ、キェン バエ
(72)【発明者】
【氏名】アン、キ ジン
(72)【発明者】
【氏名】チェオン、ボン ス
(72)【発明者】
【氏名】ハ、スン フーン
(72)【発明者】
【氏名】ジェオン、ジョン チョル
(72)【発明者】
【氏名】ジン、サン ウー
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジェオン フン
(72)【発明者】
【氏名】セオ、セウン ドン
(72)【発明者】
【氏名】フワン、イェオン ナム
【テーマコード(参考)】
4B045
【Fターム(参考)】
4B045BA02
4B045BC02
(57)【要約】
複数個のリヨセル繊維からなるリヨセルトウ、前記リヨセル繊維を互いに結合するバインダーを含み、85%以上の硬度を有するタバコフィルタを提供する。本発明の一具体例によるタバコフィルタは、リヨセルトウ100重量部を基準として20重量部~25重量部の水を注入してから5分後にも80%以上の硬度を有する。本発明の一具体例によるタバコフィルタは、7%以下の水分崩壊度を有する。本発明の一具体例によるタバコフィルタは、従来リヨセルトウが有していた素材的問題点を克服し、高い硬度および低い水分崩壊度を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個のリヨセル繊維からなるリヨセルトウと、
前記リヨセル繊維を互いに結合するバインダーと、を含み、
85%以上の硬度を有するタバコフィルタ。
【請求項2】
前記タバコフィルタは、リヨセルトウ100重量部を基準として20重量部~25重量部の水を注入してから5分後にも80%以上の硬度を有する、請求項1に記載のタバコフィルタ。
【請求項3】
前記タバコフィルタは、7%以下の水分崩壊度を有する、請求項2に記載のタバコフィルタ。
【請求項4】
前記バインダーは、ポリエステルを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のタバコフィルタ。
【請求項5】
前記ポリエステルは、芳香族単量体と脂肪族単量体の共重合体である、請求項4に記載のタバコフィルタ。
【請求項6】
前記ポリエステルは、15重量%濃度のポリエステル水溶液に対して40℃における粘度が5cps未満である、請求項4に記載のタバコフィルタ。
【請求項7】
前記芳香族単量体は、C5~C12のアリレン基またはヘテロアリレン基を有するジカルボン酸である、請求項5に記載のタバコフィルタ。
【請求項8】
前記脂肪族単量体は、C1~C4のアルキレン基を有するジオール、C2~C12のアルキレン基を有するジカルボン酸またはこれらの組み合わせである、請求項5に記載のタバコフィルタ。
【請求項9】
前記ポリエステルは、リヨセルトウ100重量部を基準として0.1重量部~5重量部が含まれる、請求項4に記載のタバコフィルタ。
【請求項10】
前記バインダーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはポリビニルピロリドンをさらに含む、請求項4に記載のタバコフィルタ。
【請求項11】
前記バインダーにおいてポリエステルとヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはポリビニルピロリドンの重量比は、1:1~1:3である、請求項10に記載のタバコフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リヨセルトウを含むタバコフィルタに関する。具体的には、本発明は、複数個のリヨセル繊維からなるリヨセルトウと、前記リヨセル繊維を互いに結合するバインダーと、を含み、85%以上の優れた硬度を有するタバコフィルタに関する。
【0002】
本出願は、2021年12月7日付けの韓国特許出願第10-2021-0173488号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容を本明細書の一部として含む。
【背景技術】
【0003】
一般的に、タバコを製造するために、まず、様々な種類の葉タバコ(leaf tobacco)をお好みの香りや味が得られるように配合して加工する。次に、加工した葉タバコを裁刻してタバコ刻み(cut tobacco leaf)を製造し、シガレットペーパー(cigarette paper)でタバコ刻みを巻いて、フィルター無しのシガレットを製造する。次に、必要に応じてフィルター無しのシガレットにフィルターを付着する。
【0004】
シガレットペーパーは、亜麻(flax)、木材パルプなどで製造することができ、燃焼時に燃焼性とタバコの味を維持することが要求される。タバコフィルタは、活性炭、香味物質などを含んでもよいし、モノフィルターまたは多重フィルターからなることができ、タバコフィルタ巻紙(cigarette filter wrapping paper)により包まれている。チップペーパー(tipping paper)によりタバコ刻み部とタバコフィルタが連結され、チップペーパーは、微細な孔を含んでもよい。
【0005】
一般的なタバコフィルタは、木材パルプからセルロースを抽出してアセチル化させたセルロースアセテートトウ(tow)を使用しており、最近では、自然環境の保護とコスト削減のために、環境に優しい素材への代替素材の開発が行われている。例えば、セルロースアセテートとは異なって、セルロース自体を繊維化させたリヨセル(lyocell)繊維を利用したトウの開発が行われている。
タバコフィルタにおいて硬度は、消費者のニーズおよびタバコ製造の作業性と関連した重要な指標である。繊維ストランドの束体であるトウでタバコフィルタを製造する場合、タバコフィルタの硬度が低いため、適しておらず、タバコフィルタに活用するためには、一定レベル以上に硬度を向上させる必要がある。例えば、フィルターの硬度の向上方法は、硬化剤を使用する方法と可塑剤(plasticizer)を使用する方法がある。前記硬化剤を使用する方法は、バインダー性質の物質を利用して繊維ストランドを接合させてフィルターに硬度を付与する方法であり、フィルターを丈夫にさせる。前記可塑剤を使用する方法は、特定の物質を利用して繊維自体を部分的に溶解またはプラスチック化して繊維間の接合点を形成した後、可塑化する方法である。
【0006】
従来のセルロースアセテートは、可塑剤(トリアセチン(Triacetin)、トリエチルシトレート(Triethyl Citrate)を活用して、繊維ストランドを部分的に溶解させ、繊維ストランドどうし硬化する原理を利用してタバコフィルタに硬度を付与する。しかしながら、リヨセル繊維は、現在可塑剤がない状況なので、リヨセル繊維に合う硬度向上剤を開発することが必須である。
【0007】
前記リヨセル繊維は、疎水性ベースのセルロースアセテートとは異なって、親水性物質と知られているので、硬度向上剤により硬度を向上させてタバコフィルタに適用しても、喫煙時に喫煙者などから供給される水分などから構造が崩壊されないことも重要な事項として考慮しなければならない。
【0008】
本発明者は、上述したリヨセル繊維素材について技術的課題を認識し、タバコフィルタに適用するのに適した機能性に優れたリヨセルトウについて持続的な研究の末に本発明を完成した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】韓国特許公開第10-2015-0035800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
環境に優しい素材としてリヨセルトウを含むタバコフィルタにおいて、リヨセルトウが基本的に有している硬度および水分崩壊度などの素材的問題点を解決できるタバコフィルタを提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1態様によれば、
本発明は、複数個のリヨセル繊維からなるリヨセルトウと、前記リヨセル繊維を互いに結合するバインダーと、を含み、85%以上の硬度を有するタバコフィルタを提供する。
【0012】
本発明の一具体例において、前記タバコフィルタは、リヨセルトウ100重量部を基準として20重量部~25重量部の水を注入してから5分後にも80%以上の硬度を有する。
【0013】
本発明の一具体例において、前記タバコフィルタは、7%以下の水分崩壊度を有する。
【0014】
本発明の一具体例において、前記バインダーは、ポリエステルを含む。
【0015】
本発明の一具体例において、前記ポリエステルは、芳香族単量体と脂肪族単量体の共重合体である。
【0016】
本発明の一具体例において、前記ポリエステルは、15重量%濃度のポリエステル水溶液に対して40℃における粘度が5cps未満である。
【0017】
本発明の一具体例において、前記芳香族単量体は、C5~C12のアリレン基またはヘテロアリレン基を有するジカルボン酸である。
【0018】
本発明の一具体例において、前記脂肪族単量体は、C1~C4のアルキレン基を有するジオール、C2~C12のアルキレン基を有するジカルボン酸またはこれらの組み合わせである。
【0019】
本発明の一具体例において、前記ポリエステルは、リヨセルトウ100重量部を基準として0.1重量部~5重量部が含まれる。
【0020】
本発明の一具体例において、前記バインダーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはポリビニルピロリドンをさらに含む。
【0021】
本発明の一具体例において、前記バインダーにおいてポリエステルとヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはポリビニルピロリドンの重量比は、1:1~1:3である。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一具体例によるタバコフィルタは、環境に優しい素材であるリヨセルトウを含みながらも、従来リヨセルトウが有していた素材的問題点を克服し、90%以上の優れた硬度を有する。
【0023】
また、前記タバコフィルタは、水分に対しても適当な耐久性を有し、喫煙者が喫煙する間にも硬度の変化を6%以下に最小化して、喫煙者が喫煙を完了して喫煙物品が喫煙者の手を離れるまでも85%以上という優れた硬度を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一具体例による喫煙物品の概略的な構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、具体例を例示的な図面に基づいて詳細に説明する。各図面の構成要素に参照符号を付加するに際して、同じ構成要素については、異なる図面に表示されていても、できる限り、同一の符号を有するようにしていることに留意されたい。また、具体例を説明するに際して、関連する公知の構成または機能に関する具体的な説明が具体例の理解を妨げると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。
【0026】
また、具体例の構成要素を説明するに際して、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用することができる。これらの用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものであり、その用語によって当該構成要素の本質や順番または順序などが限定されない。任意の構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」または「接続」されると記載された場合、当該構成要素は、他の構成要素に直接的に連結されたり接続されてもよいが、各構成要素の間にさらに他の構成要素が「連結」、「結合」または「接続」されてもよいと理解すべきである。
【0027】
いずれか1つの具体例に含まれた構成要素と、共通の機能を含む構成要素は、他の具体例において同じ名称を使用して説明することとする。反対される記載がない限り、いずれか1つの具体例に記載した説明は、他の実施例にも適用することができ、重複する範囲で具体的な説明を省略する。
【0028】
本明細書において、用語「喫煙物品」は、タバコ(シガレット)、シガーなどのように、エアロゾルを発生させることができるものを意味し得る。喫煙物品は、エアロゾル発生物質またはエアロゾル形成基質を含んでもよい。また、喫煙物品は、板状葉タバコ、刻み、再構成タバコなどタバコ原料を基礎とする固体物質を含んでもよい。喫煙物質は、揮発性化合物を含んでもよい。前記喫煙物品は、それぞれの機能性を有する数個のセグメントを含んでもよいし、このようなセグメントは、「…部」で表示される。本明細書において喫煙物品は、燃焼型シガレットだけでなく、電子タバコ機器などのエアロゾル生成装置(不図示)とともに使用される加熱式シガレットなどであってもよい。
【0029】
本明細書において、用語「上流」および「下流」は、ユーザが喫煙物品を使用して空気を吸引する方向を基準として、喫煙物品を構成するセグメントの相対的な位置を示すために使用された用語である。喫煙物品は、上流端部(すなわち、空気が入る部分)およびこれに対向する下流端部(すなわち、空気が出る部分)を含む。喫煙物品の使用時にユーザは、喫煙物品の下流端部をかむことができる。下流端部は、上流端部の下流に位置し、なお、用語「端部」は、また「末端」とも記述されることがある。
【0030】
本発明は、喫煙物品に適用できるタバコフィルタに関し、本発明の一具体例によれば、前記タバコフィルタは、複数個のリヨセル(lyocell)繊維からなるリヨセルトウ(tow)と、前記リヨセル繊維を互いに結合するバインダーと、を含む。前記リヨセル繊維は、木材パルプから抽出したセルロースで作った環境に優しい繊維である。前記リヨセルトウは、隣接するリヨセル繊維同士が交差連結されて形成された束を意味する。本発明の一具体例によれば、前記リヨセル繊維は、1.0デニール~12.0デニールの繊度を有していてもよい。本発明の一具体例によれば、リヨセルトウを構成するリヨセル繊維束は、15,000デニール~45,000デニールの繊度を有していてもよい。前記リヨセル繊維に適したバインダーを溶媒と混合してバインダー溶液を製造し、これをリヨセルトウに噴霧した後、乾燥することによって、リヨセルトウは、一定レベル以上の硬度を有する構造体を形成することができる。
【0031】
本発明の一具体例によるリヨセルトウを含むタバコフィルタは、バインダーの結合により優れた硬度を有し、水分による耐久性にも優れている。本発明の一具体例によれば、前記タバコフィルタは、85%以上の硬度を有する。具体的には、前記タバコフィルタの硬度は、85%以上、86%以上、87%以上、88%以上、89%以上、90%以上、91%以上、91.5%以上であってもよい。前記タバコフィルタの硬度は、垂直方向の一定レベルの力でタバコフィルタを押圧するとき、タバコフィルタの直径が維持される程度を数値化した値であり、具体的には、下記計算式1により計算することができる。
【0032】
[計算式1]
フィルター硬度(%)=[D-a]/D×100
【0033】
ここで、Dは、フィルター直径(mm)であり、aは、300gの分銅で下降(フィルターが押圧される)する距離(mm)を示す。前記タバコフィルタの硬度を計算するに際して必要な測定値は、当該技術分野において一般的に使用される装置を利用して得ることができ、例えば、Filtrona社のDHT 200TMが使用できる。硬度を測定するに際して、加える力は、実際に喫煙者がタバコを把持するときに加えられる力を考慮したものである。本発明の一具体例によるタバコフィルタを通じて得られた85%以上の硬度値は、環境に優しい素材であるリヨセルトウを利用して従来のセルロースアセテートで構成されたタバコフィルタを代替できるレベルに硬度を確保することができるという点から技術的意義がある。
【0034】
上述したタバコフィルタの硬度は、喫煙者が喫煙するために最初にタバコを把持するときの硬度を示すものであり、このような硬度は、喫煙者が喫煙を終了するまでのタバコフィルタの硬度が維持されることを保証しない。喫煙者が喫煙するとき、タバコフィルタに相当量の水分が流入することができ、この際、リヨセルトウを含むフィルターが一定レベル以上の水分に対する耐久性がある場合、最初の硬度を維持することが容易である。前記リヨセル繊維は、疎水性ベースのセルロースアセテートとは異なって、親水性物質と知られているので、素材の特性上、硬度の維持が容易ではない。本発明の一具体例によれば、前記タバコフィルタは、リヨセルトウ100重量部を基準として20重量部~25重量部の水を注入してから5分後にも80%以上の硬度を有する。具体的には、水を注入した後、タバコフィルタの硬度は、80%以上、81%以上、82%以上、83%以上、84%以上、85%以上、86%以上であってもよい。水を注入した後、タバコフィルタの硬度も、水を注入する前と同じ方法で測定される。水を注入した後、タバコフィルタの硬度を測定して水分に対する耐久性を確認することは、喫煙者が喫煙を終了するまでのタバコフィルタの硬度変化を考慮したものである。水を注入する量や経過時間は、喫煙者の実際喫煙を考慮したものであり、実際に喫煙者が喫煙後にタバコフィルタに含まれる水分の量は、平均8重量部のレベルであり、20重量部~25重量部の水を注入することは、実際喫煙状況よりも苛酷な条件である。本発明の一具体例によるタバコフィルタは、喫煙中に喫煙者がタバコを把持している間には、85%以上の優れた硬度を維持することができる。
【0035】
水を注入する前と後の硬度を対比して、水の注入による硬度の変化量を意味する水分崩壊度を計算することができる。本発明の一具体例によれば、前記タバコフィルタは、7%以下の水分崩壊度を有する。具体的には、前記タバコフィルタの水分崩壊度は、7%以下、6.5%以下、6%以下、5.5%以下、5%以下であってもよい。前記水分崩壊度は、基本的に水を注入する前と後の硬度を基礎とし、下記計算式2により計算することができる。
【0036】
[計算式2]
水分崩壊度(%)=(1-D/D)×100
【0037】
ここで、Dは、水の注入前の硬度(%)を意味し、Dは、水の注入後の硬度(%)を意味する。前記水分崩壊度が少ないというのは、水の注入後の硬度が高くてもよいという点から有意になるが、喫煙者の立場では、喫煙時にタバコフィルタから感じる触感の変化が少ないという点から技術的意義がある。
【0038】
本発明の一具体例によれば、前記バインダーは、ポリエステルを含む。前記ポリエステルは、リヨセル繊維を結合させてリヨセルトウに硬度を付与する機能性を有する。具体的には、前記ポリエステルは、多価有機酸と多価アルコールを反応させて作った合成樹脂であり、水と様々な化合物に対する適切な抵抗を有する。本発明の一具体例によれば、前記ポリエステルは、1,000~50,000、具体的には、1,500~30,000、より具体的には、2,000~10,000の重量平均分子量を有する。前記範囲未満の分子量を有する場合、水などに対する抵抗性が低下することがあり、前記範囲超過の分子量を有する場合、リヨセルトウに適切に分散することが容易でない。
【0039】
本発明の一具体例によれば、前記ポリエステルは、芳香族単量体と脂肪族単量体の共重合体である。前記芳香族単量体は、ポリエステルの構造的安定性を付加し、前記脂肪族単量体は、ポリエステルの構造的柔軟性を付加して、前記芳香族単量体と脂肪族単量体を含むポリエステルは、リヨセル繊維など他の成分と容易に接着してバインダーとしての機能性を付加することができる。前記芳香族単量体は、多価有機酸または多価アルコールであってもよく、同様に、前記脂肪族単量体も、多価有機酸または多価アルコールであってもよい。前記ポリエステルは、水溶液状態で低い粘度を示して、水溶液状態で噴霧して適用することが容易である。本発明の一具体例によれば、前記ポリエステルは、15重量%濃度のポリエステル水溶液に対して40℃における粘度が5cps未満、4cps以下、3cps以下、2cps以下である。ここで、15重量%濃度のポリエステル水溶液は、15重量%のポリエステルと85重量%の水を混合した溶液を意味する。
【0040】
本発明の一具体例によれば、前記芳香族単量体は、C5~C12のアリレン基またはヘテロアリレン基を有するジカルボン酸である。例示的に、前記C5~C12のアリレン基またはヘテロアリレン基を有するジカルボン酸は、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸であってもよい。本発明の一具体例によれば、前記脂肪族単量体は、C1~C6のアルキレン基を有するジオール、C2~C12のアルキレン基を有するジカルボン酸またはこれらの組み合わせである。例示的に、前記C1~C6のアルキレン基を有するジオールは、エチレングリコールであり、前記C2~C12のアルキレン基を有するジカルボン酸は、セバシン酸である。ポリエステルの場合、カルボン酸基とヒドロキシ基が1:1の割合で縮合反応により形成されることができるという点から、カルボン酸基を有する単量体として、上述したC5~C12のアリレン基またはヘテロアリレン基を有するジカルボン酸、C2~C12のアルキレン基を有するジカルボン酸またはこれらの組み合わせが使用でき、ヒドロキシ基を有する単量体として、C1~C6のアルキレン基を有するジオールが使用できる。前記アリレン基、ヘテロアリレン基またはアルキレン基は、置換または非置換状態で存在し、置換状態の場合、アリレン基、ヘテロアリレン基またはアルキレン基の主鎖にC1~C4のアルキル基、C1~C4のアルコキシ基、ハロゲン基など当該技術分野において一般的に知られた置換基が置換されてもよい。
【0041】
前記ポリエステルは、水のような溶媒に含まれていて、バインダー溶液の形態でリヨセルトウに適用することができ、その後、乾燥して溶媒の一部または全部は除去される。乾燥後にも、ポリエステルは、リヨセル繊維の間毎に位置し、リヨセルトウの硬度を向上させる。本発明の一具体例によれば、前記ポリエステルは、リヨセルトウ100重量部を基準として0.1重量部~5重量部が含まれる。具体的には、前記ポリエステルの含有量は、0.1重量部以上、0.2重量部以上、0.3重量部以上、0.4重量部以上であり、5重量部以下、4.5重量部以下、4重量部以下、3.5重量部以下、3重量部以下、2.5重量部以下であり、0.1重量部~5重量部、0.2重量部~4重量部、0.3重量部~3重量部であってもよい。前記ポリエステルは、前記範囲内に適用するとき、リヨセルトウの基本的なフィルターとしての機能を低下させることなく、硬度を適切なレベルまで上げることができる。
【0042】
前記バインダーは、ポリエステルとともに他のバインダー成分を含んでもよい。前記他のバインダー成分として、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(hydroxyl propyl methyl cellulose,HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(hydoroxy propyl cellulose,HPC)、ポリビニルアルコール(poly vinyl alcohol,PVA)、エチレンビニルアセテート(ethylene vinyl acetate,EVA)、ポリビニルアセテート(poly vinyl aceytate,PVAc)またはポリビニルピロリドン(poly vinyl pyrrolidone,PVP)が使用できる。本発明の一具体例によれば、前記バインダーは、ポリエステルとともにヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはポリビニルピロリドン、具体的には、ヒドロキシプロピルメチルセルロースをさらに含んでもよい。前記バインダーは、バインダーとしての機能性においてポリエステルとともに使用するとき、シナジー効果を示すことができる。本発明の一具体例によれば、前記バインダーにおいてポリエステルとヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはポリビニルピロリドンの重量比は、1:1~1:3である。具体的には、ポリエステルとヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはポリビニルピロリドンの重量比は、1:1~1:3,1:1.5~1:3,1:2~1:3,1:2~1:2.5であってもよい。前記ポリエステルを他のバインダー成分とともに使用するときは、前記含有量比の範囲内で調節することが、組み合わせを介したシナジー効果を得ることができる。
【0043】
上述したタバコフィルタは、次のような製造方法により製造することができる。前記製造方法は、リヨセル繊維を利用してリヨセルトウを製造する段階と、バインダーと溶媒を混合してバインダー溶液を製造する段階と、前記リヨセルトウにバインダー溶液を噴霧し、乾燥する段階と、乾燥したリヨセルトウを巻紙で包んでタバコフィルタを製造する段階と、を含む。前記製造方法は、基本的には、上述したタバコフィルタを製造する方法に関するものであるから、上述した内容において具体化された部分に関する説明を省略し、以下では、製造方法上の特徴についてより具体的に説明する。
【0044】
まず、複数のリヨセル繊維を利用してリヨセルトウを製造する。製造したリヨセルトウは、隣接するリヨセル繊維同士が交差連結されて形成された束形状を有する。この際、ブルーミング(blooming)を通じてトウを膨らませる段階をさらに行う。前記ブルーミング段階を通じてトウを膨らませると、その後噴霧されるバインダー溶液がリヨセルトウを構成するリヨセル繊維の間に容易に浸透することができる。
【0045】
次に、バインダーと溶媒を混合してバインダー溶液を製造する。前記バインダー溶液は、リヨセルトウの硬度などの機能性の向上のためにリヨセルトウに噴霧する物質である。噴霧後に乾燥過程を通じてバインダー溶液の一部成分が消失することがあるので、バインダー溶液の組成は、タバコフィルタを構成する成分の組成と差異がありえる。前記バインダーは、上述した内容によって具体化することができ、乾燥後にも成分が特に消失しないので、噴霧を通じてリヨセルトウに供給した量が最終タバコフィルタにもほぼそのまま残存する。前記溶媒は、水を含み、水は、乾燥過程で一部が消失する。バインダーと水のみでバインダー溶液を製造する場合、バインダー溶液からバインダーの含有量を除いた部分が水の含有量となる。本発明の一具体例によれば、前記バインダーは、バインダー溶液100重量部を基準として5重量部~40重量部が含まれる。具体的には、前記バインダーの含有量は、5重量部以上、6重量部以上、7重量部以上、8重量部以上、9重量部以上、10重量部以上であり、40重量部以下、35重量部以下、30重量部以下、25重量部以下、20重量部以下であり、5重量部~40重量部、7重量部~30重量部、10重量部~20重量部であってもよい。前記バインダーは、前記範囲内にバインダー溶液を形成するとき、噴霧してリヨセルトウに適用することが容易である。
【0046】
上述した内容によって製造されたバインダー溶液をリヨセルトウに噴霧する。前記バインダー溶液は、リヨセルトウの基本的なフィルターとしての機能を低下させることなく、リヨセルトウが素材上有する硬度などの問題点を解消できる程度にリヨセルトウに噴霧することができる。本発明の一具体例によれば、前記バインダー溶液は、リヨセルトウ100重量部を基準として5重量部~30重量部をリヨセルトウに噴霧する。具体的には、前記バインダー溶液の噴霧量は、5重量部以上、6重量部以上、7重量部以上、8重量部以上、9重量部以上、10重量部以上であり、30重量部以下、28重量部以下、26重量部以下、24重量部以下、22重量部以下、20重量部以下であり、5重量部~30重量部、7重量部~24重量部、10重量部~20重量部であってもよい。前記バインダー溶液は、上述した範囲内に噴霧するとき、リヨセルトウの硬度などの機能性を改善することができる。前記バインダー溶液を噴霧する方法は、当該技術分野において一般的に使用される方法が使用でき、特に制限されない。例えば、前記バインダー溶液の噴霧は、ノズル噴霧、ブラッシュ噴霧または電気噴霧などを活用することができる。
【0047】
バインダー溶液をリヨセルトウに噴霧した後、水分の量を減らして硬度を確保するために乾燥する。リヨセルトウを乾燥する方法は、当該技術分野において一般的に使用される方法が使用でき、特に制限されない。乾燥は、例えば、最初に噴霧した水分の量が30%以上減少することができるように乾燥することができる。
【0048】
乾燥したリヨセルトウを巻紙で包んでタバコフィルタを製造する。必要に応じて前記リヨセルトウは、機械式ロール、または切断機などを利用してタバコフィルタに適用することが適当な規格で加工することができる。
【0049】
上述したタバコフィルタは、喫煙物品に適用することができる。図1は、本発明の一具体例による喫煙物品の概略的な構成を示す図を提供する。前記喫煙物品100は、喫煙物質部10およびフィルター部20を含み、上述したタバコフィルタは、喫煙物品100のフィルター部20に適用される。前記喫煙物品100において喫煙物質部10は、フィルター部20に比べて上流に位置する。
【0050】
前記喫煙物質部10は、原料葉タバコ、板状葉または葉タバコと板状葉が配合された混合物のような喫煙物質で充填することができる。加工された喫煙物質は、シート形態または刻み形態で喫煙物質部10に充填することができる。前記喫煙物質部10は、長く延びたロッド形態を有することができ、その長さ、周りおよび直径は、特に限定されるものではないが、喫煙物質の充填量、ユーザの嗜好などを考慮した当該技術分野において一般的に使用されるサイズに調節することができる。前記喫煙物質部10は、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエテレングリコール、テトラエチレングリコールおよびオレイルアルコールのうち少なくとも1つのエアロゾル発生物質を含んでもよい。前記喫煙物質部10は、風味剤、湿潤剤および/またはアセテート化合物のような他の添加物質を含有することができる。前記エアロゾル発生物質および添加物質は、喫煙物質に含有されてもよい。
【0051】
前記フィルター部20は、喫煙物質部10の下流に配置され、喫煙物質部10で発生したエアロゾル物質をユーザが吸入する直前に通過するフィルターとしての役割を行う。前記フィルター部20は、様々な材質または形態で製造することができる。本発明の一具体例によるフィルター部20は、基本的に、複数個のリヨセル繊維がバインダーにより結合したリヨセルトウを含む上述したタバコフィルタを含む。前記リヨセルトウを含むタバコフィルタは、従来喫煙物品のフィルター部20の全部または一部を代替することができ、一部を代替する場合、従来使用したフィルター素材を共に使用することができる。従来のフィルター素材は、例えば、セルロースアセテートフィルター、中空チューブフィルターなどが使用できる。
【0052】
図1には、フィルター部20が単一のフィルターからなるモノフィルターであることが示されているが、これに限定されない。例えば、前記フィルター部20は、フィルター効率を上げるために、2個のアセテートフィルターを具備したデュアルフィルターまたは三重フィルターなどで設けられてもよい。また、図示してはいないが、フィルター部20の内部には、香料を含む内用液を被膜で包んだ構造の破砕可能なカプセル(不図示)が含まれてもよい。
【0053】
前記喫煙物質部10およびフィルター部20の外部は、ラッパー30aまたは30bにより包装することができる。
【0054】
前記喫煙物質部10は、喫煙物質部ラッパー30aにより包装することができる。一般的な喫煙物質部10の燃焼過程で発生するタバコ煙中の一部は、タバコフィルタを通過する前に喫煙物質部ラッパー30aを介して大気中に放出され、副流煙は、間接喫煙者などに不快感を与えることとなる。このような副流煙の低減のための従来シガレットペーパーに酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸ジルコニウムなどの充填材を入れるなど様々な試みがあったが、単にこのような充填材を適用して副流煙を低減するとき、喫味感が低下したり燃焼オフ、灰固結性の低下などが発生するので、充填材に入る物質の適切な組み合わせを通じて上記した問題点を解決するのに困難があった。本発明の一具体例による喫煙物質部ラッパー30aは、副流煙を低減させると同時に、喫味感、灰固結性の低下および燃焼オフを防止するために、マグネシウム酸化物(MgOおよび/またはMg(OH))および炭酸カルシウム(CaCO)が混合された充填剤が適用される。
【0055】
前記フィルター部20は、フィルター部ラッパー30bにより包装することができる。フィルター部ラッパー30bは、耐油性を有する巻紙で製作することができ、フィルター部ラッパー30bの内側面には、アルミホイルがさらに含まれてもよい。
【0056】
前記喫煙物質部ラッパー30aにより包装された喫煙物質部10およびフィルター部ラッパー30bにより包装されたフィルター部20は、チップペーパー40により結合包装することができる。前記チップペーパー40は、図1に示されたように、喫煙物質部ラッパー30aの少なくとも一部分(例えば、下流の一部領域)およびフィルター部ラッパー30bの外郭に包まれてもよい。換言すれば、喫煙物質部10の少なくとも一部分およびフィルター部20は、チップペーパー40によりさらに包装され、物理的に結合されてもよい。本発明の一具体例によれば、前記チップペーパー40は、耐油処理が施されていない非多孔性巻紙で製作することができるが、これに限定されない。また、前記チップペーパー40は、不燃性物質を含むことによってフィルター部20が燃焼する現象を防止することもできるが、これに限定されない。
【0057】
以下、実施例と比較例に基づいて本発明の構成およびそれによる効果をより詳細に説明する。しかしながら、本実施例は、本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。
【0058】
実施例
実施例1
繊維1本が約3.0デニールであるリヨセル繊維を利用して、トウ繊維束が約35,000デニールであるリヨセルトウを使用した。また、バインダーと溶媒の混合物であるバインダー溶液を製造した。具体的には、前記バインダー溶液は、バインダー溶液全重量を基準として15重量%のポリエステル(フタル酸およびセバシン酸とエチレングリコールの共重合体、重量平均分子量(M)=3,000~6,000)を85重量%の水に添加して製造された。製造されたバインダー溶液をノズル噴霧を通じてリヨセルトウに噴霧した。前記バインダー溶液をリヨセルトウの重量を基準として15重量%を噴霧して乾燥した。乾燥したリヨセルトウを巻紙で包んで軸方向の長さが約108mmであり、円周が約24.20mmであるタバコフィルタを製造した。
【0059】
実施例2
バインダー溶液において15重量%のポリエステルの代わりに3重量%のポリエステルおよび7重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース(Pharmacoat 606)を使用したことを除いて、実施例1と同じ方法でタバコフィルタを製造した。
【0060】
実施例3
バインダー溶液において15重量%のポリエステルの代わりに3重量%のポリエステルおよび7重量%のポリビニルピロリドン(K25)を使用したことを除いて、実施例1と同じ方法でタバコフィルタを製造した。
【0061】
比較例1
リヨセルトウにバインダー溶液を噴霧せずにタバコフィルタを製造した。
【0062】
実験例
実験例1:タバコフィルタの硬度の評価
実施例1~3と比較例1によって製造されたタバコフィルタの硬度を測定した。また、水分によりタバコフィルタが崩壊される程度を測定するために、前記それぞれのタバコフィルタにシリンジーで約20μl(リヨセルトウ基準22重量%)の水を注入した後、約5分後のタバコフィルタの硬度を測定した。具体的には、タバコフィルタの硬度の測定は、フィルター硬度測定機(Filtrona社のDHT 200TM)および下記の計算式1を利用して測定した。
【0063】
[計算式1]
フィルター硬度(%)=[D-a]/D×100
【0064】
ここで、Dは、フィルター直径であり、aは、300g分銅で下降(フィルターが押圧される)する距離(mm)を示す。
【0065】
【表1】
*水分崩壊度(%)=(1-D/D)×100
(ここで、Dは、水の注入前の硬度(%)を意味し、Dは、水の注入後の硬度(%)を意味する。)
【0066】
前記表1によれば、バインダー溶液にポリエステルを含む場合(実施例1~3)、水の注入前の硬度が85%以上、具体的には、90%以上、水の注入後の硬度が80%以上、具体的には、85%以上と優れた硬度を示した。実施例2および3によれば、前記ポリエステルは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリビニルピロリドンのような他の種類のバインダーと組み合わせて使用時にも優れた硬度を維持することができた。
【0067】
前記結果より、水の注入後の硬度は、喫煙者が喫煙を終了するまで最小の硬度と関連した数値であり、バインダーとしてポリエステルを含む場合(実施例1~3)、喫煙者が喫煙を終了するまでも80%以上の硬度を維持できるので、喫煙時にタバコフィルタの構造が崩れる感じは受けられない。それにも関わらず、ポリエステル単独またはポリエステルとヒドロキシプロピルメチルセルロースの組み合わせバインダーを使用した場合(実施例1および2)、水分崩壊度が7%以下、具体的には、6%以下と低いので、喫煙時に喫煙者が感じるタバコフィルタの触感変化はさらに少ない。
【0068】
これとは異なって、ポリエステルのようなバインダー溶液を使用しない場合(比較例1)、リヨセルトウを含むタバコフィルタは、水分に非常に脆弱で、喫煙時だけでなく、水分がある程度ある厳しい条件で保管時に構造が変更されることがあり、好ましくない。
【0069】
実験例2:バインダー溶液の粘度および接着力の評価
実施例1および2で使用されたバインダー溶液の粘度および接着力を測定して下記表2に示した。前記粘度は、40℃の温度条件でBrookField社のSpindle No.61装置を利用して測定した。前記接着力は、不織布に実施例1のバインダー溶液(15重量%のポリエステルおよび85重量%の水)と実施例2のバインダー溶液(3重量%のポリエステル、7重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび90重量%の水)それぞれ塗布し、坪量が100gsmのアート紙をラミして、乾燥した後、引張機(Tinius Olsen社、Universal Testing Machine 10STシリーズ)を利用して測定した。
【0070】
【表2】
【0071】
前記表2によれば、バインダー溶液に含まれるポリエステルの場合、粘度が非常に低い物質にもかかわらず、乾燥時に被着材を破壊するほどに高い接着力を示した。ポリエステルを含むバインダー溶液は、粘度が低くて、リヨセルトウのような適用対象物質に容易に分散して均一に分布することができ、乾燥後、優れた接着力などを示して、リヨセルトウの硬度などの機能性を付与するのに適している。
【0072】
以上のように実施例がたとえ限定された実施例と図面により説明されたが、当該技術分野における通常の知識を有する者なら、上記の記載から様々な修正および変形が可能である。例えば、説明された技術が説明された方法と異なる順序で行われたり、および/または説明されたシステム、構造、装置、回路などの構成要素が説明された方法と異なる形態で結合されるかまたは組み合わせられたり、他の構成要素または均等物によって代替または置換されても、適切な結果を達成することができる。
【符号の説明】
【0073】
10 喫煙物質部
20 フィルター部
30a 喫煙物質部ラッパー
30b フィルター部ラッパー
40 チップペーパー
100 喫煙物品
図1
【国際調査報告】