(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】体液の出入り監視システム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61M 5/168 20060101AFI20240822BHJP
G16H 20/17 20180101ALI20240822BHJP
【FI】
A61M5/168 512
G16H20/17
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505567
(86)(22)【出願日】2022-08-08
(85)【翻訳文提出日】2024-01-30
(86)【国際出願番号】 US2022039746
(87)【国際公開番号】W WO2023022895
(87)【国際公開日】2023-02-23
(32)【優先日】2021-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591018693
【氏名又は名称】シー・アール・バード・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100107249
【氏名又は名称】中嶋 恭久
(72)【発明者】
【氏名】ミース、トーマス マイケル
(72)【発明者】
【氏名】パテル、ハーシュ ラメシュ
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ、デニス
(72)【発明者】
【氏名】チャバン、バラド
【テーマコード(参考)】
4C066
5L099
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD11
4C066FF01
4C066QQ72
4C066QQ84
5L099AA25
(57)【要約】
患者の体液平衡を監視するためのシステムが開示される。システムは、輸液流体を患者に送達するための流体輸液システムと、患者から排出された尿量(UO)を収集および測定するためのUOシステムとを含む。UOシステムは、流体輸液システムと結合される。流体出入り(I/O)ロジックは、I/Oデータをディスプレイ上に表示するとともに、電子医療記録へI/Oデータを送信しながら、流体輸液データおよびUOデータから流体I/Oデータを決定する。患者の体液平衡を監視する方法は、(i)I/Oデータから体液平衡を計算することと、(ii)体液平衡を非一時的コンピュータ可読記憶媒体に記憶された体液平衡限界値と比較することと、(iii)体液平衡が体液平衡限界値を超えたときに警告を生成することとを含む。また、方法は、修正された輸液命令をI/Oデータから生成することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の体液平衡を監視するためのシステムであって、
輸液流体を前記患者に送達するように構成された流体輸液システムと、
前記患者から排出された尿量(UO)を収集および測定するように構成されるとともに、前記流体輸液システムと通信可能に結合される尿量(UO)システムと、
輸液出入り(I/O)ロジックを含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体(CRM)と
を備え、
前記I/Oロジックは、前記システムの1つ以上のプロセッサによって実行されると、
前記輸液システムから輸液データを受信することと、
前記UOシステムからUOデータを受信することと、
前記輸液データおよび前記UOデータからI/Oデータを決定することと、
前記システムのディスプレイ上に前記I/Oデータを表示することと
を含む動作を実行する、システム。
【請求項2】
前記動作は、ネットワークを介して外部エンティティにI/Oデータを送信することをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記外部エンティティは、電子医療記録を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記流体輸液システムは、有線接続を介して前記UOシステムと結合される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記流体輸液システムおよび前記UOシステムは、一緒に取り付けられる、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記流体輸液システムおよび前記UOシステムは、共通の支持構造に固定される、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記UOシステムは前記ディスプレイを含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記UOシステムは前記I/Oロジックを含む、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のシステムはハウジングをさらに含み、前記流体輸液システムおよび前記UOシステムは前記ハウジング内に配置される、システム。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載のシステムであって、前記動作は、
前記I/Oデータから体液平衡を計算することと、
前記体液平衡を前記CRMに記憶された体液平衡限界値と比較することと、
前記体液平衡が前記体液平衡限界値を超えたときにアラートを生成することと
をさらに含む、システム。
【請求項11】
前記動作は、前記アラートを前記外部エンティティに送信することをさらに含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
請求項10又は11に記載のシステムであって、
前記輸液データは、輸液命令を含み、
前記動作は、修正された輸液命令を前記I/Oデータから生成することを含み、
前記アラートは、前記修正された輸液命令を含む、システム。
【請求項13】
前記修正された輸液命令は、輸液速度の増加または減少のうちの少なくとも1つを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記修正された輸液命令は、前記体液平衡の変化を化学的に引き起こすための前記輸液流体の変更された医学的用量を含む、請求項12又は13に記載のシステム。
【請求項15】
前記修正された輸液命令は、投与されるべき異なる薬を含む、請求項12乃至14のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
適切な体液平衡の維持が健康にとって不可欠であることが示されている。不適切な流体摂取または過剰な流体損失は、脱水につながる可能性があるため、心臓および腎機能ならびに電解質管理に影響を及ぼす可能性がある。不十分な尿産生は、体液過負荷、腎不全および電解質毒性をもたらし得る。流体の摂取および排出に対する注意は、看護業務の重要な要素である。体液平衡の管理不良は、急性疾患入院患者の転帰不良の一因であることが分かっている。
【0002】
身体から失われた流体の量が取り込まれた流体の量に等しいとき、身体は体液平衡にある。体内の流体は、体細胞内(細胞内)、細胞の周囲(間質)、および血管内(血管内)に見出される。それは身体の主要な化学成分であり、平均して体重の60パーセントを構成する。
【0003】
流体の出入りを手動で記録することは、長年にわたってヘルスケアシステムにおいて実施されてきた。チャートは、定義された期間、典型的には24時間の期間にわたる患者の水分の出入りを記録する。流体の入/出チャート化は、薬剤投与および処方ならびに外科的介入を含む臨床決定に対する重要な指針である。体液平衡の不正確または不適切なチャート化は逆効果であり、場合によっては、患者を重大なリスクにさらす可能性がある。
【0004】
医療スタッフ、看護師、および栄養士は、適切なケアを計画し、脱水、栄養失調、および電解質不均衡に関連し得る合併症のリスクを低減するために、正確な流体バランス総計に依存する。研究によれば、流体の出入りを手動で記録することは、信頼性が低く、不正確であることが多い。したがって、患者の体液平衡の監視を自動化する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
簡潔に要約すると、本明細書に開示されるのは、患者の体液平衡を監視するためのシステムである。前記システムは、輸液流体を前記患者に送達するように構成された流体輸液システムと、前記患者から排出された尿量(UO)を収集および測定するように構成されたUOシステムとを含み、前記UOシステムは前記流体輸液システムと通信可能に結合される。前記システムは、輸液出入り(I/O)ロジックを含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体(CRM)をさらに含み、前記I/Oロジックは、前記システムの1つ以上のプロセッサによって実行されると、(i)輸液システムから輸液データを受信することと、(ii)前記UOシステムからUOデータを受信することと、(iii)前記輸液データおよび前記UOデータからI/Oデータを決定することと、(iv)前記システムのディスプレイ上に前記I/Oデータを表示することとを含む動作を実行する。
【0006】
前記I/Oロジック動作は、ネットワークを介して外部エンティティに前記I/Oデータを送信することをさらに含んでもよく、前記外部エンティティは、電子医療記録を含んでもよい。
【0007】
前記流体輸液システムは、有線接続を介して前記UOシステムと結合されてもよく、前記流体輸液システムおよび前記UOシステムは、一緒に取り付けられてもよい。いくつかの実施形態では、前記流体輸液システムおよび前記UOシステムは、共通の支持構造に固定されてもよい。
【0008】
いくつかの実施形態では、前記UOシステムは、ディスプレイおよび/または前記I/Oロジックを含む。前記システムはハウジングをさらに含んでもよく、前記流体輸液システムおよび前記UOシステムは前記ハウジング内に配置される。
【0009】
前記I/Oロジックの動作は、(i)前記I/Oデータから体液平衡を計算することと、(ii)前記体液平衡を前記CRMに記憶された体液平衡限界値と比較することと、(iii)前記体液平衡が前記体液平衡限界値を超えたときに警告を生成することとをさらに含んでもよい。前記I/Oロジックの動作は、前記警告を前記外部エンティティに送信することをさらに含んでもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、前記輸液データは、輸液命令を含み、前記動作は、修正された輸液命令を前記I/Oデータから生成することを含み、前記警告は、前記修正された輸液命令を含む。
【0011】
前記修正された輸液命令は、輸液速度の増加または減少のうちの少なくとも1つを含んでもよい。また、前記修正された輸液命令は、前記体液平衡の変化を化学的に引き起こすための前記輸液の変更された医学的用量を含んでもよい。また、前記修正された輸液命令は、投与されるべき異なる薬を含んでもよい。
【0012】
また、本明細書に開示されるのは、患者の体液平衡を監視するための方法である。この方法は、(i)患者に輸液流体を供給する流体輸液システムから流体輸液データを受信することと、(ii)前記患者から尿量(UO)を収集および測定するUOシステムからUOデータを受信することと、(iii)前記流体輸液データおよび前記UOデータから流体出入り(I/O)データを決定することと、(iv)前記I/Oデータをディスプレイ上に表示ることとを含む。前記UOシステムは、I/Oシステムを画定すべく前記流体輸液システムと結合され、前記ディスプレイは前記I/Oシステムと結合される。
【0013】
前記方法は、ネットワークを介して外部エンティティに前記I/Oデータを送信することをさらに含んでもよく、前記外部エンティティは、電子医療記録を含んでもよい。
前記方法は、(i)前記I/Oデータから体液平衡を計算することと、(ii)前記体液平衡を前記I/Oシステムの非一時的コンピュータ可読記憶媒体に記憶された体液平衡限界値と比較することと、(iii)前記体液平衡が前記体液平衡限界値を超えたときに警告を生成することとをさらに含んでもよい。前記方法は、前記警告を前記外部エンティティに送信することをさらに含んでもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、前記方法は、修正された輸液命令を前記I/Oデータから生成することと、前記修正された輸液命令の通知をユーザに提供することとを含む。前記修正された輸液命令は、輸液速度の増加または減少のうちの少なくとも1つを含んでもよい。更なる実施形態では、前記修正された輸液命令は、前記体液平衡の変化を化学的に引き起こすための前記輸液流体の変更された医学的用量および/又は投与されるべき異なる薬とを含んでもよい。
【0015】
本明細書で提供される概念のこのよう特徴および他の特徴は、そのような概念の特定の実施形態をより詳細に説明する添付の図面および以下の説明を考慮して、当業者にとってより明白になるであろう。
【0016】
本開示のより具体的な説明は、添付の図面に示される特定の実施形態を参照することによってなされる。これら図面は、本発明の典型的な実施形態のみを示しているため、その範囲を限定するものと見なされるべきではないことを理解されたい。本発明の例示的な実施形態は、添付の図面を使用することにより、追加の特異性および詳細とともに説明および説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1A】いくつかの実施形態による体液の出入り(I/O)監視システムの第1の実施形態を示す。
【
図1B】いくつかの実施形態による、
図1Aのシステムのディスプレイ上に表示され得る例示的なスクリーンショットを示す。
【
図1C】いくつかの実施形態による、患者の体液平衡を監視する例示的プロセスを示す。
【
図2】いくつかの実施形態による、体液の(I/O)監視システムの第2の実施形態を示す。
【
図3】いくつかの実施形態による、体液の(I/O)監視システムの第3の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
いくつかの特定の実施形態がより詳細に開示される前に、本明細書に開示される特定の実施形態は、本明細書に提供される概念の範囲を限定しないことを理解されたい。本明細書に開示される特定の実施形態は、特定の実施形態から容易に分離でき、任意選択で、本明細書に開示される他の多数の実施形態のいずれかの特徴と組み合わせるか、または置換することができる特徴を有することができることも理解されたい。
【0019】
本明細書で使用される用語に関して、用語は、いくつかの特定の実施形態を説明するためのものであり、用語は、本明細書で提供される概念の範囲を限定しないことも理解されたい。序数(例えば、第1、第2、第3など)は、一般に、複数の特徴または複数の工程のグループ内の異なる特徴またはステップを区別または識別するために使用され、連続的な限定または数値限定を提供するものではない。例えば、「第1」、「第2」、および「第3」の特徴またはステップは、必ずしもその順序で現れる必要はなく、そのような特徴またはステップを含む特定の実施形態は、必ずしも3つの特徴またはステップに限定される必要はない。「左」、「右」、「上」、「下」、「前」、「後」、などのラベルは、便宜上使用されており、例えば、特定の固定位置、向き、又は方向を意味するものではない。代わりに、そのような表記は、例えば、相対的な位置、向き、又は方向を反映するために使用される。単数形の「一」、「1つ」、および「前記」は、文脈で明確に指示されていない限り、複数形の参照も含む。「含む(including)」、「有する(has)」、及び「有する(having)」という語は、特許請求の範囲を含む本明細書で使用する場合、「備える(comprising)」という語と同じ意味を有する。さらに、「又は」及び「及び/又は」という用語は、本明細書で使用する場合、包括的又は任意の1つの若しくは任意の組み合わせを意味するものと解釈されるものとする。一例として、「A、B又はC」又は「A、B及び/又はC」は、「以下、すなわち、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びB、A及びC、B及びC、並びにA、B及びC、のいずれか」を意味する。この定義の例外は、要素、構成要素、機能、工程、又は行為の組み合わせが何らかの方法で本質的に相互に排他的である場合にのみ生じる。
【0020】
「に接続される」及び「に連結される」という語句は、機械的、電気的、磁気的、電磁的、流体的、信号的、通信的(無線を含む)、及び熱的相互作用を含む、2つ以上の実体間の任意の形態の相互作用を指す。2つの構成要素は、互いに直接接触していなくても、互いに接続又は連結され得る。例えば、2つの構成要素は、中間構成要素を介して互いに連結され得る。
【0021】
本明細書に開示するいずれの方法も、記載された方法を実行する1つ又は複数のステップ又は行為を含む。方法のステップ及び/又は行為は、互いに置き換えてもよい。言い換えれば、実施形態の適切な動作のためにステップ又は行為の所定の順序が必要とされない限り、所定のステップ及び/又は行為の順序及び/又は使用を変更してもよい。さらに、本明細書に記載される方法のサブルーチン、又は一部のみが、本開示の範囲内の別個の方法であってもよい。別の言い方をすれば、いくつかの方法は、より詳細な方法に記載されるステップの一部のみを含んでもよい。
【0022】
本明細書では、医療デバイスにおける反対側の位置を指すために、「基端」及び「先端」という方向を示す用語を用いる。デバイスの基端部は、デバイスがエンドユーザによって使用されているときにエンドユーザに最も近いデバイスの端として定義される。先端部は、デバイスの長手方向に沿って基端部の反対側の端部、又はエンドユーザから最も遠い端部である。
【0023】
他に定義しない限り、本明細書中で使用される全ての科学技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。
図1Aは、本明細書に開示されるいくつかの実施形態による、患者からの体液の排出を監視するとともに、患者に送達される流体の流入を監視するためのシステムの一実施形態を示す。流体I/Oシステム100は、概して、流体輸液システム110と、尿量収集および測定(UO)システム150とを含む。流体I/Oシステム100は、概して、流体の出入り(I/O)データ/情報を定義するために、定義された期間にわたって、(i)患者50に輸液された流体および(ii)患者50から排出された流体を自動的に記録するように構成される。次いで、流体I/Oシステム100は、ディスプレイ上にI/O情報を表示することができる。
【0024】
流体I/Oシステム100は、ネットワーク30を介して外部エンティティ40にI/Oデータを送信するようにさらに構成される。ネットワーク30は、流体I/Oシステム100と外部エンティティ40との間の通信経路を表す。一実施形態では、ネットワーク30はインターネットである。また、ネットワーク30は、必ずしもインターネットの一部ではない専用またはプライベート通信リンク(例えば、WAN、MAN、またはLAN)を利用することができる。ネットワーク30は、標準的な通信技術および/またはプロトコルを使用することができる。外部エンティティ40は、人、機関、またはクラウドコンピューティング環境(例えば、インターネットなどのネットワークを介してアクセス可能なクラウドコンピューティングリソース)であってもよい。いくつかの実施形態では、外部エンティティ40は電子医療記録(EMR:electronic medical record)を含んでもよい。
【0025】
図示される実施形態では、流体輸液システム110は、1つ以上の輸液ライン112を介して患者50に医療流体120を送達するように構成される1つ以上の輸液ポンプ111を含む。流体輸液システム110は、輸液命令に従って医療用流体120の輸液を容易にするようにプログラム可能である。輸液命令は、例えば、薬剤、流体注入体積、流体輸液/送達の速度、および/または輸液の開始時間等の流体輸液のパラメータを定義してもよい。場合によっては、輸液命令は、長期間にわたる、例えば24時間以上にわたる、例えば複数日にわたる、複数の輸液流体120(複数の薬剤を含む)の輸液を含んでもよい。
【0026】
図示の実施形態では、UOシステム150は、患者50内に挿入されたカテーテル(図示せず)に結合された排液チューブ161を通して患者50から排出されたUO52(すなわち、ある量の尿)を収集するための容器160を含む。容器160は、輸液命令に従って患者50に輸液される輸液流体120の総体積と一致する体積の尿52を収容するようなサイズであってもよい。UOシステム150は、容器160内に収集された尿52の体積を測定および記録するように構成される。UOシステムのディスプレイモジュール170は、24時間以上の期間など、定義された期間にわたって容器160内のUO52の重量を測定する。ディスプレイモジュール170は、UO52の測定および再コード化と整合する、1つまたは複数のプロセッサおよび非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含むハードウェアおよびソフトウェアを含む。ディスプレイモジュール170はディスプレイ171を含み、使用時にUOデータ/情報がディスプレイ171上に表示され得る。
【0027】
流体I/Oシステム100は、流体輸液システム110とUOシステム150との間の通信リンク105を含む。図示される実施形態では、通信リンクは、流体輸液システム110とUOシステム150との間の有線接続である。他の実施形態では、通信リンク105は孔で無線接続であってもよい。
【0028】
図示される実施形態では、流体輸液システム110およびUOシステム150はそれぞれ、流体輸液システム110およびUOシステム150が単一のユニットとして取り扱われ/輸送され得るように、支持構造102(例えば、IVポール)に固定されている。また、単一の支持構造102に取り付けられた流体輸液システム110およびUOシステム150を有することは、別個の支持構造を有する流体輸液入システム110およびUOシステム150の各々よりも、病室において少ない空間を占有する。
【0029】
流体I/Oシステム100は、流体出入り(I/O)ロジック109を含む。I/Oロジック109は、輸液システム110から輸液データを受信し、UOシステム150からUOデータを受信するように構成される。I/Oロジック109は、輸液データおよびUOデータから患者50のためのI/Oデータ/情報を生成するようにさらに構成される。I/O情報は、I/Oデータに関する統計値、表、チャート、グラフなどを含んでもよい。I/Oロジック109は、ディスプレイ171上にI/Oデータ/情報を表示するように構成されている。
【0030】
また、I/Oロジック109は、ネットワーク30を介して外部エンティティ40にI/Oデータ/情報を送信するように構成されている。したがって、臨床医または他の医療従事者は、流体I/Oシステム100のI/Oデータ/情報にアクセスすることによって、患者50の体液平衡を遠隔で監視することができる。
【0031】
いくつかの実施形態において、I/Oロジック109は、極端なI/O条件または傾向の場合にアラート(例えば、警告)を生成するように構成されてもよい。より具体的には、I/Oロジック109は、I/Oデータ及び/又は統計パラメータを、メモリに記憶された1つ以上の限界値と比較してもよい。比較の結果として、I/Oロジック109は、1つ以上のアラートをディスプレイ171上に表示してもよく、及び/又はアラートを外部エンティティ40に送信してもよい。例示的な一実施形態では、統計パラメータの1つは、体液平衡、すなわち定義された期間にわたる輸液流体120の累積量とUO52の累積量との間の差であってもよい。正の体液平衡は、患者の腎機能が輸液速度についていくことができないことを示し得る。一実施形態では、I/Oロジック109は、体液平衡を体液平衡上限値と比較し、体液平衡が体液平衡の高い限界値を超えたときにアラートを生成することができる。別の実施形態では、I/Oロジック109は、体液平衡を体液平衡下限値(即ち、大きい負の値)と比較し、体液平衡が体液平衡下限値を下回ったときにアラートを生成することができる。
【0032】
いくつかの実施形態において、I/Oロジック109は、UOシステム150上にロードされ(すなわち、UOシステム150の非一時的コンピュータ可読記憶媒体に記憶され)、UOシステム150に含まれるハードウェア処理回路によって実行可能なソフトウェアアプリケーションの形態であってもよい。他の実施形態では、I/Oロジック109またはその一部は、UOシステム150上にロードされる必要はなく、代わりに、流体輸液データおよびUOデータが処理のためにI/Oロジック109と通信するように、クラウドコンピューティング環境(参照番号30によって表され得る)内で実行されてもよい。したがって、UOシステム150の一部として表される任意のI/Oロジック109は、クラウドコンピューティング環境で動作するI/Oロジック109との間でデータ通信メッセージを送受信するように構成されたアプリケーションプログラミングインタフェース(API)を含んでもよい。
【0033】
当業者は、流体I/Oシステム100が、本明細書に記載されていない他のアーキテクチャモジュールを含み得ることを理解するであろう。さらに、ファイアウォール、認証システム、ネットワーク管理ツール、ロードバランサなどの従来の要素は、本発明にとって重要ではないので、図示されていない。
【0034】
図1Bは、ディスプレイ171上に表示され得るIOデータを示す例示的なスクリーンショット180を示す。スクリーンショット180は、例示的な輸液グラフ181を表し得る。輸液グラフ181は、定義された期間184にわたって流体輸液システム110によって送達された輸液流体120の累積輸液量を示す。また、スクリーンショット180は、例示的なUOグラフ182を表し得る。UOグラフ182は、定義された期間184にわたってUOシステム150によって収集されて測定された累積UO52を示す。また、スクリーンショット180は、例示的な体液平衡グラフ183を表し得る。平衡グラフ183は、輸液流体120の累積輸液量と累積UO52との間の差を示す。平衡グラフ183の観察は、臨床医に、患者50の体液平衡の評価、例えば、脱水に対する体液過負荷を提供し得る。
【0035】
図1Cは、いくつかの実施形態による、患者50の体液平衡を監視する例示的なプロセスを示す。使用中、臨床医60は、流体輸液命令を定義し、流体輸液システム110に入力することができる(参照番号191)。流体輸液命令は、例えば、輸液される流体の総体積、流体輸液速度、および/または投薬量等の1つ以上の流体輸液パラメータを含んでもよい。輸液命令は、輸液システム110によって受信され(参照番号192)、輸液システム110は、命令に従って患者50に輸液を投与する(参照番号193)。注入中、UOシステム150は、患者50のUO52を収集および測定する(参照番号194)。流体I/Oシステム100のI/Oロジック109は、(i)流体輸液命令パラメータを含み得る輸液データを輸液システム110から受信し(参照番号195)、(ii)UOデータをUOシステム150から受信する(参照番号196)。
【0036】
次に、I/Oロジック109は、患者50の体液平衡を決定(すなわち、計算)する(参照番号197)。体液平衡を計算することは、輸液流体120の累積輸液量から、UOシステム150によって測定されたUO52の累積量を減算することを含んでもよい。正の体液平衡は、UO52が流体輸液より遅れている(すなわち、より少ない)ことを示し得るものであり、患者50が体液を保持していることを示し、極端な場合には体液過負荷を示し得るものである。負の体液平衡は、UO52が流体輸液を取り込む量を上回っている(すなわち、より多い)ことを示し得るものであり、患者50が正常な/所望の量の体液を維持できていないことを示し、極端な場合には患者50の脱水を示し得るものである。
【0037】
上述したように、I/Oロジック109は、患者50の体液平衡に関連する1つ以上の限界値を規定してもよい。図示されたプロセスでは、I/Oロジック109は、体液平衡の高い限界値および体液平衡の低い限界値を含むことができ、I/Oロジック109は、決定された体液平衡を体液平衡の限界値と比較することができる。比較に応答して、I/Oロジック109は、体液平衡がいずれかの限界値を超えたときにアラート(参照番号198)を生成してもよい。また、アラートを生成すること(参照番号198)は、ディスプレイ171を介して臨床医に直接通知すること、および/またはアラートを外部エンティティ40に送信することを含んでもよい。いくつかの実施形態では、アラートを生成することは、腎毒性の薬が投与されているかどうかを臨床医に知らせることを含む。例えば、低い尿排出量などの体液不均衡がある場合、投与される薬のタイプが変更される可能性がある。
【0038】
また、I/Oロジック109は、決定された体液平衡に従って、修正された流体輸液命令(参照番号199)を生成してもよい。例として、正の体液平衡が高い限界値を超える場合、I/Oロジック109は、流体輸液の速度を低減する修正された流体輸液命令を生成してもよく、それによって、体液平衡を定義された期間内に所望の値に戻る。負の体液平衡が低い限界値を超える別の場合では、I/Oロジック109は、流体輸液の速度を増大する修正された流体輸液命令を生成してもよく、それによって、体液平衡を定義された期間内に所望の値に戻る。体液平衡の所望の値は、ゼロ値から逸脱し得ることに留意されたい。言い換えれば、体液平衡の所望の値は、正または負であり得る。いくつかの例では、修正された輸液命令は、患者50の体液平衡の変化を化学的に引き起こすために、薬剤(例えば、ナトリウム)のある用量の輸液を開始すること、または輸液速度を変更することを含み得る。
【0039】
図2は、体液(I/O)監視システム200の第2の実施形態を示し、これは、特定の点において、
図1A乃至
図1Cに関連して説明した流体I/Oシステム100の構成要素に類似し得る。全ての図示された実施形態が類似の特徴を有し得ることが理解されるであろう。したがって、同様の特徴に関して上述した関連する開示は、以下では繰り返さし説明しない場合がある。さらに、
図2に示される流体I/Oシステム200および関連する構成要素の特定の特徴は、図面中の参照番号によって示されないか、または識別されないか、または以下に記載される説明において具体的に説明されない場合がある。しかしながら、そのような特徴は、他の実施形態において示され、および/またはそのような実施形態に関して説明される特徴と明らかに同じ、または実質的に同じであり得る。したがって、そのような特徴の関連する説明は、
図2のシステムの特徴に等しく適用される。
図1A乃至
図1Cに示される流体I/Oシステム100および構成要素に関して説明される特徴およびその変形例の任意の好適な組み合わせは、
図2のシステムおよび構成要素とともに採用可能であり、逆もまた同様である。開示のこのパターンは、後続の図に示され、以下で説明される別の実施形態に等しく適用される。
【0040】
流体I/Oシステム200は、流体輸液システム110とUOシステム150を含む。UOシステム150は、容器160内に収集されたUO52を測定および記録するように構成され、UOシステム150のディスプレイモジュール170は、ディスプレイ171上にUOデータを表示する。流体I/Oシステム200は、ディスプレイ271を含む別個のディスプレイモジュール270を含む。いくつかの実施形態において、ディスプレイモジュール270は、例えば、タブレットコンピュータなどのコンピューティングデバイスであってもよい。ディスプレイモジュール270は、輸液システム110およびUOシステム150と無線で接続される。
【0041】
流体I/Oシステム200は、(i)流体輸液システム110から流体輸液データを受信し、(ii)UOシステム150からUOデータを受信し、(iii)ディスプレイ271上にI/Oデータを表示し、(iv)ネットワーク30を介して外部エンティティ40にI/Oデータを送信するように構成された流体出入り(I/O)ロジック209を含む。いくつかの実施形態において、I/Oロジック209は、ディスプレイモジュール270上にロードされるとともに、該ディスプレイモジュール270に含まれるハードウェア処理回路によって実行可能なソフトウェアアプリケーションの形態であってもよい。他の実施形態では、I/Oロジック209またはその一部は、ディスプレイモジュール270上にロードされる必要はなく、代わりに、流体輸液データおよびUOデータが処理のためにI/Oロジック209と通信するように、クラウドコンピューティング環境(参照番号30によって表され得る)内で実行されてもよい。したがって、ディスプレイモジュール270の一部として表される任意のI/Oロジック209は、クラウドコンピューティング環境で動作するI/Oロジック209との間でデータ通信メッセージを送受信するように構成されたアプリケーションプログラミングインタフェース(API)を含んでもよい。
【0042】
図示されるように、いくつかの実施形態では、流体輸液システム110は、支持構造202Aを含んでもよく、UOシステム150は、別個の支持構造202Bを含んでもよい。他の実施形態では、流体輸液システム110およびUOシステム150は、例えば支持構造202Aなどの単一の支持構造に取り付けられてもよい。
【0043】
図3は、体液(I/O)監視システム300の第3の実施形態を示す。流体I/Oシステム300は、支持構造302に取り付けられた共通のハウジング310内に配置された流体輸液システム110およびUOシステム150を含む。流体I/Oシステム300は、ハウジング310に組み込まれたディスプレイ371をさらに含み、ディスプレイ371は、該ディスプレイ371上にI/Oデータ/情報を表示するように構成されている。
【0044】
流体I/Oシステム300は、(i)流体輸液システム110から流体輸液データを受信し、UOシステム150からUOデータを受信し、(ii)ディスプレイ371上にI/Oデータを表示し、(iii)ネットワーク30を介して外部エンティティ40にI/Oデータを送信するように構成された流体出入り(I/O)ロジック309を含む。いくつかの実施形態において、I/Oロジック309は、流体I/Oシステム300の非一時的コンピュータ可読記憶媒体308に記憶され、流体I/Oシステム300の1つ以上のプロセッサによって実行可能なソフトウェアアプリケーションの形態であってもよい。さらなる実施形態では、I/Oロジック309は、流体輸液システム110またはUOシステム150にロードされ、それぞれのシステム内に含まれるハードウェア処理回路によって実行可能であってもよい。他の実施形態では、流体I/Oシステム300は、筐体310内に配置された任意選択のディスプレイモジュール370を含んでもよく、I/Oロジック309は、ディスプレイモジュール370にロードされてもよく、該ディスプレイモジュール370の中に含まれるハードウェア処理回路によって実行可能であってもよい。
【0045】
更に別の実施形態では、I/Oロジック309またはその一部は、流体注入データおよびUOデータが処理のためにI/Oロジック309に通信するように、クラウドコンピューティング環境(参照番号30によって表され得る)内で実行されてもよい。したがって、流体I/Oシステム300の一部として表される任意のI/Oロジック309は、クラウドコンピューティング環境で動作するI/Oロジック309との間でデータ通信メッセージを送受信するように構成されたアプリケーションプログラミングインタフェース(API)を含んでもよい。
【0046】
当業者であれば、これ以上の詳細な説明がなくても、前述の説明を使用して、本発明をその最大限まで利用することができると考えられる。本明細書に開示される特許請求の範囲及び実施形態は、単なる説明及び例示であり、本開示の範囲を一切限定するものではないと解釈されるべきである。当業者であれば、本開示の助けを借りて、本明細書の開示の基本原則から逸脱することなく、上記の実施形態の細部に変更を施すことができることは明らかであろう。換言すれば、上記説明に具体的に開示された実施形態の様々な修正及び改良は、添付の特許請求の範囲の範囲内である。さらに、本明細書に開示される方法の工程又は動作の順序は、本開示の範囲から逸脱することなく当業者によって変更され得る。換言すれば、工程又は動作の特定の順序が実施形態の適切な動作のために必要でない限り、特定の工程又は動作の順序又は使用は変更され得る。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物によって定義される。
【国際調査報告】