(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】電動工具バッテリパックのための電力供給調整器
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240822BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20240822BHJP
B25F 5/00 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
H02J7/00 B
H02J1/00 306B
H02J1/00 306F
B25F5/00 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506205
(86)(22)【出願日】2022-08-12
(85)【翻訳文提出日】2024-03-06
(86)【国際出願番号】 US2022040209
(87)【国際公開番号】W WO2023018962
(87)【国際公開日】2023-02-16
(32)【優先日】2021-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598073073
【氏名又は名称】ミルウォーキー エレクトリック ツール コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スタンケ、ザカリー、ジー.
【テーマコード(参考)】
3C064
5G165
5G503
【Fターム(参考)】
3C064AA01
3C064AA02
3C064AA03
3C064AA04
3C064AA06
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3C064DA02
3C064DA03
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3C064DA59
3C064DA72
3C064DA73
3C064DA91
5G165CA02
5G165DA07
5G165EA02
5G165HA02
5G165HA03
5G165HA04
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5G165NA01
5G165NA03
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5G165NA06
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5G503CB11
5G503DA07
5G503GB03
5G503GD06
(57)【要約】
電力調整ユニットが、電動工具バッテリパックへの電力又は電動工具バッテリパックからの電力を調整するために提供される。電力調整ユニットは、電力調整回路とコントローラとを備える。電力調整回路は、受けた電力を調整するように構成される。コントローラは、電力調整回路に接続される。コントローラは、1つ以上のバッテリセルからの入力電力を受け、電圧調整及び電流調整のうちの少なくとも一方を行うことにより入力電力を調整し、調整された出力電力を出力するように構成される。電圧調整では、調整された出力電力は、電動工具の動作電流に関係なく、一定の電圧を含む。電流調整では、調整された出力電力は、所定の電流閾値まで、一定の電圧を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動工具バッテリパックへの電力又は前記電動工具バッテリパックからの前記電力を調整するための電力調整ユニットであって、前記電力調整ユニットが、
受けた電力を調整するように構成された電力調整回路と、前記電力調整回路に接続されたコントローラであって、前記コントローラが、
1つ以上のバッテリセルからの入力電力を受け、
電圧調整及び電流調整のうちの少なくとも一方を行うことにより前記入力電力を調整し、
調整された出力電力を出力する
ように構成される、コントローラと
を備え、
前記電圧調整では、前記調整された出力電力が、動作電流に関係なく、一定の電圧を含み、
前記電流調整では、前記調整された出力電力が、所定の電流閾値まで、前記一定の電圧を含む、電力調整ユニット。
【請求項2】
前記コントローラが、
前記電動工具バッテリパック内の前記1つ以上のバッテリセルが過負荷条件にあることを判定し、
電動工具が前記過負荷条件を認識していないことを判定し、
前記調整された出力電力の前記出力を停止する
ように更に構成される、請求項1に記載の電力調整ユニット。
【請求項3】
前記コントローラが、
前記1つ以上のバッテリセルからの前記入力電力を受けたことに応じて、ネゴシエートされた電圧及びネゴシエートされた電流のうちの少なくとも一方の要求を電動工具から受信し、
前記ネゴシエートされた電圧及び前記ネゴシエートされた電流のうちの前記少なくとも一方を前記電動工具に供給する
ように更に構成される、請求項1に記載の電力調整ユニット。
【請求項4】
前記コントローラが、ネゴシエートされたインピーダンスを前記電動工具に提供するように更に構成される、請求項3に記載の電力調整ユニット。
【請求項5】
前記コントローラが、
バッテリセル化学作用が電動工具によってサポートされていないことを判定し、
前記電動工具が、前記サポートされていないバッテリセル化学作用によって電力供給されることを可能にする
ように更に構成される、請求項1に記載の電力調整ユニット。
【請求項6】
前記コントローラが、
前記バッテリセルの構成が電動工具によってサポートされていないことを判定し、
前記電動工具が、前記サポートされていないバッテリセル構成によって電力供給されることを可能にする
ように更に構成される、請求項1に記載の電力調整ユニット。
【請求項7】
前記電力調整回路が、前記1つ以上のバッテリセルの放電中に降圧モードで動作するように構成される、請求項1に記載の電力調整ユニット。
【請求項8】
前記コントローラが、
電動工具の動作中に前記バッテリパックの出力電流を監視し、
前記出力電流に基づいて前記一定の電圧を変更する
ように更に構成され、
前記一定の電圧を変更するために、前記コントローラが、前記出力電流が増加するにつれて電動工具への前記一定の電圧を上昇させること、又は前記出力電流が増加するにつれて前記電動工具への前記一定の電圧を低下させることのうちの一方を行うように構成される、請求項1に記載の電力調整ユニット。
【請求項9】
前記電力調整ユニットが、前記1つ以上のバッテリセルを備える前記電動工具バッテリパック又は電動工具のうちの一方に組み込まれる、請求項1に記載の電力調整ユニット。
【請求項10】
前記電力調整ユニットが、前記1つ以上のバッテリセルを備える前記バッテリパックと電動工具との間に配置されるように構成されるアダプタに組み込まれる、請求項1に記載の電力調整ユニット。
【請求項11】
電動工具バッテリパックへの電力又は前記電動工具バッテリパックからの前記電力を調整する電力調整ユニットを動作させる方法であって、前記方法が、
1つ以上のバッテリセルからの入力電力を受けることと、
電圧調整及び電流調整のうちの少なくとも一方を行うことにより前記入力電力を調整することと、
調整された出力電力を出力することと
を含み、
前記電圧調整では、前記調整された出力電力が、動作電流に関係なく、一定の電圧を含み、
前記電流調整では、前記調整された出力電力が、所定の電流閾値まで、前記一定の電圧を含む、方法。
【請求項12】
前記電動工具バッテリパック内の前記1つ以上のバッテリセルが過負荷条件にあることを判定することと、
電動工具が前記過負荷条件を認識していないことを判定することと、
前記電動工具への前記調整された出力電力の前記出力を停止することと
を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記1つ以上のバッテリセルからの前記入力電力を受けたことに応じて、ネゴシエートされた電圧及びネゴシエートされた電流のうちの少なくとも一方の要求を電動工具から受信することと、
前記ネゴシエートされた電圧及び前記ネゴシエートされた電流のうちの前記少なくとも一方を前記電動工具に供給することと
を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記ネゴシエートされた電圧及び前記ネゴシエートされた電流のうちの前記少なくとも一方を前記電動工具に供給することが、ネゴシエートされたインピーダンスを供給することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
バッテリセル化学作用が電動工具によってサポートされていないことを判定することと、
前記電動工具が、前記サポートされていないバッテリセル化学作用によって電力供給されることを可能にする
を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記バッテリセルの構成が電動工具によってサポートされていないことを判定することと、
前記電動工具が、前記サポートされていないバッテリセル構成によって電力供給されることを可能にすることと
を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
電動工具の動作中に前記バッテリパックの出力電流を監視することと、
前記出力電流に基づいて前記一定の電圧を変更することと
を更に含み、
前記一定の電圧を変更することが、前記出力電流が増加するにつれて電動工具への前記一定の電圧を上昇させることと、前記出力電流が増加するにつれて前記電動工具への前記一定の電圧を低下させることとのうちの少なくとも一方を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
バッテリパックであって、
1つ以上のバッテリセルと、
デバイスに機械的且つ電気的に接続するためのインターフェースと
を備える、バッテリパックと、
電力調整ユニットであって、
受けた電力を調整するように構成された電力調整回路と、
前記電力調整回路に接続されたコントローラであって、
電圧調整及び電流調整のうちの少なくとも一方を行うことにより前記受けた電力を調整し、
調整された出力電力を出力する
ように構成される、コントローラと
を備える、電力調整ユニットと
を備える、バッテリパックシステムにおいて、
前記電圧調整では、前記調整された出力電力が、一定の電圧を含み、
前記電流調整では、前記調整された出力電力が、電流が所定の電流閾値に到達するまで、前記一定の電圧を含む、バッテリパックシステム。
【請求項19】
前記電力調整ユニットが、電動工具、バッテリパック充電器、及び前記バッテリパックと前記電動工具及び前記バッテリパック充電器のうちの一方との間に接続されたアダプタのうちの1つに配置される、請求項18に記載のバッテリパックシステム。
【請求項20】
前記電力調整ユニットが双方向である、請求項18に記載のバッテリパックシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年8月12日に出願された米国仮特許出願第63/232,347号の利益を主張するものであり、同米国仮特許出願の内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書で説明される実施形態は、電動工具に関する。
【背景技術】
【0003】
電動工具は、その機能を実行するために入力電力を必要とする。多くの場合、入力電力は、バッテリパックなどの電力源から受ける。バッテリパックは、電動工具に電圧及び電流を供給する。従来、電動工具に供給される電圧及び電流は、バッテリパックの定格電圧に依存する。例えば、18ボルトのバッテリパックは約18ボルトを電動工具に供給する。バッテリパックによって供給される電圧は、供給される出力電流に基づいて変わり得る。例えば、電動工具は、より大きな負荷を経験することがあり、そうすると、バッテリパックから引き出される電流の量を増やし、電流が減少するにつれて出力電圧を低下させる。追加的に、場合によっては、バッテリパックは、そのバッテリパックとは異なる電圧量を定格とする電動工具に電圧を供給する必要があることもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、バッテリパックから電動工具への入力電力を調整する電力供給調整器が必要とされている。バッテリパック又は出力電力要件に関係なく電動工具が最適に動作し得るように、電動工具に入力される電力を調整すると有利である。追加的に、バッテリパック充電器の定格電圧に関係なくバッテリパックが定格電圧で充電され得るように、バッテリパック充電器からバッテリパックに出力される電力を調整すると有利である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書で説明される実施形態は、電動工具バッテリパックへの電力又は電動工具バッテリパックからの電力を調整するためのシステム及び方法を提供する。
【0006】
本明細書で説明される電力調整ユニットは、電力調整回路とコントローラとを備える。電力調整回路は、受けた電力を調整するように構成される。コントローラは、電力調整回路に接続される。コントローラは、1つ以上のバッテリセルからの入力電力を受け、電圧調整及び電流調整のうちの少なくとも一方を行うことにより入力電力を調整し、調整された出力電力を出力するように構成される。電圧調整では、調整された出力電力は、電動工具の動作電流に関係なく、一定の電圧を含む。電流調整では、調整された出力電力は、所定の電流閾値まで、一定の電圧を含む。
【0007】
いくつかの態様では、コントローラは、電動工具バッテリパック内の1つ以上のバッテリセルが過負荷条件にあることを判定し、電動工具が過負荷条件を認識(honor)していないことを判定し、調整された出力電力の出力を停止するように更に構成される。
【0008】
いくつかの態様では、コントローラは、1つ以上のバッテリセルからの入力電力を受けたことに応じて、ネゴシエートされた電圧及びネゴシエートされた電流のうちの少なくとも一方の要求を電動工具から受信し、ネゴシエートされた電圧及びネゴシエートされた電流のうちの少なくとも一方を電動工具に供給するように更に構成される。
【0009】
いくつかの態様では、コントローラは、ネゴシエートされたインピーダンスを電動工具に提供するように更に構成される。
【0010】
いくつかの態様では、コントローラは、バッテリセル化学作用が電動工具によってサポートされていないことを判定し、電動工具が、サポートされていないバッテリセル化学作用によって電力供給されることを可能にするように更に構成される。
【0011】
いくつかの態様では、コントローラは、バッテリセルの構成が電動工具によってサポートされていないことを判定し、電動工具が、サポートされていないバッテリセル構成によって電力供給されることを可能にするように更に構成される。
【0012】
いくつかの態様では、電力調整回路は、1つ以上のバッテリセルの放電中に降圧モードで動作するように構成される。
【0013】
いくつかの態様では、コントローラは、電動工具の動作中にバッテリパックの出力電流を監視し、出力電流に基づいて一定の電圧を変更するように更に構成される。一定の電圧を変更するために、コントローラは、出力電流が増加するにつれて電動工具への一定の電圧を上昇させること、又は出力電流が増加するにつれて電動工具への一定の電圧を低下させることのうち一方を行うように構成される。
【0014】
いくつかの態様では、電力調整ユニットは、1つ以上のバッテリセルを備える電動工具バッテリパック又は電動工具の一方に組み込まれる。
【0015】
いくつかの態様では、電力調整ユニットは、1つ以上のバッテリセルを備えるバッテリパックと電動工具との間に配置されるように構成されるアダプタに組み込まれる。
【0016】
本明細書で説明される方法は、電動工具バッテリパックへの電力又は電動工具バッテリパックからの電力を調整する電力調整ユニットを動作させることを提供する。本方法は、1つ以上のバッテリセルからの入力電力を受けることと、電圧調整及び電流調整のうちの少なくとも一方を行うことにより入力電力を調整することと、調整された出力電力を出力することとを含む。電圧調整では、調整された出力電力は、電動工具の動作電流に関係なく、一定の電圧を含む。電流調整では、調整された出力電力は、所定の電流閾値まで、一定の電圧を含む。
【0017】
いくつかの態様では、本方法は、電動工具バッテリパック内の1つ以上のバッテリセルが過負荷条件にあることを判定することと、電動工具が過負荷条件を認識していないことを判定することと、電動工具への調整された出力電力の出力を停止することとを更に含む。
【0018】
いくつかの態様では、本方法は、1つ以上のバッテリセルからの入力電力を受けたことに応じて、ネゴシエートされた電圧及びネゴシエートされた電流のうちの少なくとも一方の要求を電動工具から受信することと、ネゴシエートされた電圧及びネゴシエートされた電流のうちの少なくとも一方を電動工具に供給することとを更に含む。
【0019】
いくつかの態様では、ネゴシエートされた電圧及びネゴシエートされた電流のうちの少なくとも一方を電動工具に供給することは、ネゴシエートされたインピーダンスを供給することを含む。
【0020】
いくつかの態様では、本方法は、バッテリセル化学作用が電動工具によってサポートされていないことを判定することと、電動工具が、サポートされていないバッテリセル化学作用によって電力供給されることを可能にするを更に含む。
【0021】
いくつかの態様では、本方法は、バッテリセルの構成が電動工具によってサポートされていないことを判定することと、電動工具が、サポートされていないバッテリセル構成によって電力供給されることを可能にすることとを更に含む。
【0022】
いくつかの態様では、本方法は、電動工具の動作中にバッテリパックの出力電流を監視することと、出力電流に基づいて一定の電圧を変更することとを更に含む。一定の電圧を変更することは、出力電流が増加するにつれて電動工具への一定の電圧を上昇させることと、出力電流が増加するにつれて電動工具への一定の電圧を低下させることとのうちの少なくとも一方を含む。
【0023】
本明細書で説明されるバッテリパックシステムは、バッテリパックと電力調整ユニットとを備える。バッテリパックは、1つ以上のバッテリセルと、デバイスに機械的且つ電気的に接続するためのインターフェースとを備える。電力調整ユニットは、受けた電力を調整するように構成された電力調整回路と、電力調整回路に接続されたコントローラとを備える。コントローラは、電圧調整及び電流調整のうちの少なくとも一方を行うことにより受けた電力を調整し、調整された出力電力を出力するように構成される。電圧調整では、調整された出力電力は、一定の電圧を含む。電流調整では、調整された出力電力は、電流が所定の電流閾値に到達するまで、一定の電圧を含む。
【0024】
いくつかの態様では、電力調整ユニットは、電動工具、バッテリパック充電器、及びバッテリパックと電動工具及びバッテリパック充電器のうちの一方との間に接続されたアダプタのうちの1つに配置される。
【0025】
いくつかの態様では、電力調整ユニットは双方向である。
【0026】
実施形態について詳細に説明する前に、実施形態は、その適用において、以下の記述に記載するか又は添付の図面に示す構成要素の構成及び配置の詳細に限定されないことを理解されたい。これらの実施形態は、様々な態様で実施又は実行することができる。本明細書で用いる語法及び用語は、説明目的のためのものであり、本発明を限定するものとみなすべきでないことも理解されたい。「含む」、「備える」、又は「有する」及びこれらの変化形の使用は、以降に列挙する項目及びそれらの均等物並びに追加的な項目を包含するものとする。別段の明示又は限定がない限り、「取り付けられる」、「接続される」、「支持される」、及び「結合される」という用語並びにその変化形は広い意味で用いられており、直接的及び間接的両方の取り付け、接続、支持、及び結合を含む。
【0027】
加えて、実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア及び電子構成部品又はモジュールを含み得、これらは、論述する目的のために、構成部品の大部分がハードウェアのみで実装されているかのように図示及び説明される可能性があることを理解されたい。しかしながら、当業者であれば、この詳細な説明を読むことに基づいて、少なくとも1つの実施形態において、電子ベースの態様が、マイクロプロセッサ及び/又は特定用途向け集積回路(「ASIC」)などの1つ以上の処理ユニットによって実行可能なソフトウェア(例えば、非一時的コンピュータ可読媒体に格納されたソフトウェア)で実装され得ることを認識するであろう。このように、複数のハードウェア及びソフトウェア方式のデバイス、並びに複数の異なる構造的要素を用いてこれらの実施形態を実装できる点に注意されたい。例えば、本明細書の記述する「サーバ」、「コンピューティングデバイス」、「コントローラ」、「プロセッサ」などは、1つ以上の処理ユニット、1つ以上のコンピュータ可読媒体モジュール、1つ以上の入出力インターフェース、及び要素を接続する各種の接続部(例えば、システムバス)を含み得る。
【0028】
量又は状態との関連で用いる相対用語、例えば「約」、「ほぼ」、「実質的に」などが記載された値を含み、文脈で言及された意味を有する(例えば、用語がある程度の少なくとも測定精度関連付けられた誤差、特定の値に関連付けられた公差[例えば、製造、組み立て、使用など]などを含む)ことが当業者には理解されよう。かかる用語はまた、2個の終点の絶対値により定義される範囲を示すものと考えるべきである。例えば、「約2~約4」という表現は「2~4」の範囲を示している。相対用語は、示された値のある百分率(例えば、1%、5%、10%以上)の増減を指す場合がある。
【0029】
ある特定の図面は特定のデバイス内に配置されたハードウェア及びソフトウェアを例示しているが、これらの描写は例示を目的としているに過ぎないと理解されたい。本明細書で1つのコンポーネントにより実行されると記載される機能は、複数のコンポーネントにより分散的に実行され得る。同様に、複数のコンポーネントにより実行される機能は、まとめて1つのコンポーネントにより実行され得る。いくつかの実施形態では、例示されたコンポーネントは、結合されるか、又は別々のソフトウェア、ファームウェア及び/若しくはハードウェアに分割され得る。例えば、ロジック及び処理は、単一の電子プロセッサ内にあり、且つそれにより実行されるのではなく、複数の電子プロセッサに分散され得る。これらがどのように結合又は分割されるにせよ、ハードウェア及びソフトウェアコンポーネントは、同じコンピューティングデバイス上にあるか、又は1つ以上のネットワーク若しくは他の適当な通信リンクにより接続される異なるコンピューティングデバイス間で分散され得る。同様に、特定の機能を実行すると記載される構成要素は、本明細書に記載されない追加の機能も実行し得る。例えば、特定の態様で「構成された」デバイス又は構造は、少なくともその態様で構成されるが、明示的に列挙しない態様でも構成され得る。
【0030】
実施形態の他の態様は、詳細な説明及び添付図面を検討すれば明らかになるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本明細書で説明される実施形態による電動工具を示す。
【
図2】本明細書で説明される実施形態による、
図1の電動工具に電力供給するためのバッテリパックを示す。
【
図3】本明細書で説明される実施形態による、
図1の電動工具のためのアダプタを示す。
【
図4】本明細書で説明される実施形態による、
図1の電動工具のブロック回路図である。
【
図5】本明細書で説明される実施形態による電力調整ユニットのブロック図を示す。
【
図6A】本明細書で説明される実施形態による、
図1の電動工具の電力調整ユニットのブロック図である。
【
図6B】本明細書で説明される実施形態による、
図2のバッテリパックの電圧調整ユニットのブロック図である。
【
図6C】本明細書で説明される実施形態による、
図3のアダプタの電力調整ユニットのブロック図である。
【
図6D】本明細書で説明される実施形態による、
図3のアダプタの電力調整ユニットのブロック図である。
【
図6E】本明細書で説明される実施形態による、バッテリパック充電器の電力調整ユニットのブロック図である。
【
図6F】本明細書で説明される実施形態による、バッテリパックの電力調整ユニットのブロック図である。
【
図7A】本明細書で説明される実施形態による、放電モードの可逆電力調整器の回路図を示す。
【
図7B】本明細書で説明される実施形態による、充電モードの可逆電力調整器の回路図を示す。
【
図7C】本明細書で説明される実施形態による、個別コントローラを備える電力調整ユニットの回路図を示す。
【
図8】本明細書で説明される実施形態による、電力調整ユニットによって電圧を調整する方法を示すフローチャートである。
【
図9】本明細書で説明される実施形態による、電力調整ユニットによって電流を制限する方法を示すフローチャートである。
【
図10】本明細書で説明される実施形態による、電動工具が過負荷条件を認識していないことを判定する方法を示すフローチャートである。
【
図11】本明細書で説明される実施形態による、電動工具電圧をネゴシエートする方法を示すフローチャートである。
【
図12】本明細書で説明される実施形態による、電力調整ユニットの例示的な動作のグラフである。
【
図13】本明細書で説明される実施形態による、電力調整ユニットの例示的な動作のグラフである。
【
図14A-14B】本明細書で説明される実施形態による、電力調整ユニットの例示的な動作のグラフである。
【
図15A-15B】本明細書で説明される実施形態による、電力調整ユニットの例示的な動作のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本明細書で説明される実施形態は、電動工具への電力又はバッテリパックからの電力を調整するためのシステム及び方法を提供する。例えば、電力調整ユニットは、電動工具に出力される電圧を固定し、電動工具に出力される電流を制限し、バッテリパックが過負荷のときに強制的に遮断し、バッテリパックからの所望の電圧をネゴシエートし、電動工具への負荷ラインを自動的に較正し、電動工具への負荷ライン較正をネゴシエートし、並びに/又は非標準のセル化学作用及び/若しくは非標準セル構成をサポートすることによって、電動工具への電力を調整する。
【0033】
電動工具又はバッテリパックに出力される電力を調整することによって、いくつかの利点が達成される。例えば、電動工具によって使用される電力を最適化するために、電動工具は、様々な電圧及び電流で動作され得る。追加的に、電動工具は、非標準セル化学作用及び非標準セル構成で使用され得るため、電動工具を動作させるときに使用者に更なる柔軟性を提供する。
【0034】
上で強調した、電動工具への電力又はバッテリパックからの電力を調整するための技法及び利点は、そのような電力調整技法が有益となるような任意の電動工具又はバッテリパックにおいて実施され得る。同様の電力調整技法は、バッテリパックを充電するためのバッテリパック充電器に適用することもできる。
【0035】
図1は、電動工具100に入力される電力を調整する電力調整ユニットと共に使用される電動工具100の実施形態を示している。電動工具100は、1つ以上の特定のタスク(例えば、孔あけ、締結、プレス、インパクトなど)を行うように構成される。例えば、インパクトレンチは、(例えば、締結具を駆動するために)回転出力を発生させるタスクに関連する。特定の工具に関連するタスクは、工具の主要機能とも呼ばれることがある。本明細書で図示及び説明される特定の電動工具デバイス100(例えば、インパクトドライバ)は、代表的なものに過ぎない。他の実施形態は、様々な電動工具を含み得る。電動工具としては、ドリル、丸のこ、ジグソー、帯のこ、往復式のこぎり、ねじ回し、アングルグラインダ、ストレートグラインダ、ハンマー、マルチツール、インパクトレンチ、ロータリハンマー、インパクトドライバ、アングルドリル、電動ラチェット、電動トルクレンチ、油圧パルス工具、油圧テンション工具、ロックボルト取り付け工具、リアクションアーム工具、リベット工具、釘打ち機、ステープラ、TCボルトガンなどが挙げられる。
【0036】
図1に示す電動工具100はインパクトドライバである。電動工具100は、上部本体102と、ハンドル104と、バッテリパック/アダプタ受入部106と、出力駆動デバイス又は機構108と、トリガ110と、作業灯112と、正逆セレクタ114とを備える。電動工具100は、ハウジングの本体102内にあり、且つ回転子及び固定子を有するモータを更に備える。回転子は、出力駆動デバイス又は機構を介してハウジングの外部に出力を生ずるように配置されたモータシャフトに結合される。電動工具100のハウジング(例えば、本体及びハンドル)は、例えば、耐久性のある軽量のプラスチック材料で構成される。駆動デバイス108は、例えば、金属(例えば、鋼)出力スピンドルで構成される。バッテリパック受入部106は、電動工具100に電力を供給するバッテリパック120(
図2参照)を受け入れ、結合するように構成される。バッテリパック受入部106は、バッテリパックを固定する機構と係合する接続構造と、バッテリパック120を電動工具100に電気的に接続する端子台とを備える。
【0037】
いくつかの実施形態では、電動工具100は、バッテリパック120から電動工具100に入力される電力を調整するための電力調整ユニット270(
図5参照)を更に備える。いくつかの実施形態では、バッテリパック受入部106は、バッテリパック120から電動工具100に供給される電力を調整する電力調整ユニット270(
図4参照)を備えるアダプタ150(
図3参照)を受け入れ、結合するように構成される。
【0038】
図2は、バッテリパック120を示している。バッテリパック120は、一般に電動工具100などの電動工具に電力供給するために使用される電動工具バッテリパックである。バッテリパック120は、ハウジング125と、バッテリパック120をデバイス(例えば、電動工具100及び/又はアダプタ150)に接続するためのインターフェース部130とを備える。いくつかの実施形態では、バッテリパック120はリチウムイオンバッテリセルを備える。他の実施形態では、バッテリパック120は、例えば、ニッケルカドミウム、ニッケル水素など、異なる化学作用のものであってもよい。いくつかの実施形態では、バッテリセルは、円筒状バッテリセル、角柱バッテリセル、パウチバッテリセル、又はこれらの組み合わせである。図示の実施形態では、バッテリパック120は、18ボルトのバッテリパックである。他の実施形態では、バッテリパック120の出力電圧レベルは異なり得る。例えば、バッテリパック120は、4ボルトのバッテリパック、28ボルトのバッテリパック、40ボルトのバッテリパック、又は別の電圧のものであり得る。バッテリパック120はまた、様々な容量(例えば、3、4、5、6、8、又は12アンペア時)を有し得る。
【0039】
バッテリパック120はまた、電動工具100に接続する端子を備える。バッテリパック120のための端子は、バッテリパック120に電力を供給し、バッテリパック120から電力を供給する正の端子及び負の端子を含む。いくつかの実施形態では、バッテリパック120は、電力調整ユニット270(
図4参照)を備え得る。いくつかの実施形態では、バッテリパック120はまた、電動工具100と通信するデータ端子を備える。
【0040】
バッテリパック120のための端子は、バッテリパック充電器からバッテリパック120に電力を供給し得る。いくつかの実施形態では、バッテリパック120は、以下に詳述するように、電力調整ユニット270を介して充電器との互換性を維持し得る。
【0041】
図3はアダプタ150を示している。アダプタ150は、一般にバッテリパック(例えば、バッテリパック120)と電動工具(例えば、電動工具100)との間で使用される電動工具アダプタである。アダプタは、ハウジング155と、アダプタ150を第1のデバイス(例えば、電動工具100又はバッテリパック充電器)に接続するための第1のインターフェース部160と、アダプタ150を第2のデバイス(例えば、バッテリパック120)に接続するための第2のインターフェース部165とを備える。いくつかの実施形態では、アダプタ150は、電動工具デバイスから情報をエクスポートし、電動工具デバイスに情報をインポートするために、異なる電動工具デバイス(例えば、電動工具100、バッテリパック120、及び充電器)に結合する。アダプタ150は、例えば、電動工具100から工具使用データ、メンテナンスデータ、モード情報、駆動デバイス情報などをエクスポートする。アダプタ150はまた、例えば、構成データ、動作閾値、メンテナンス閾値、モード構成、電動工具100のためのプログラミングなどの情報を電動工具100にインポートする。一般に、アダプタ150は、電動工具100とバッテリパック120との間に通信経路を形成する。
【0042】
いくつかの実施形態では、アダプタ150は、電力調整ユニット270(
図5参照)を備える。アダプタ150内の電力調整ユニット270は、バッテリパック120又は充電器から電力を受け、電力を調整し、調整された電圧を電動工具100に出力する。
【0043】
電動工具100のためのコントローラ200を
図4に示す。コントローラ200は、電動工具100の様々なモジュール又はコンポーネントに電気的及び/又は通信可能に接続される。例えば、図示のコントローラ200は、インジケータ245、センサ250(これは、例えば、電流センサ、電圧センサ、トリガ引き込み量センサ、温度センサなどを含み得る)、トリガスイッチ255、スイッチングネットワーク265、及び電力調整ユニット270に接続される。
【0044】
コントローラ200は、コントローラ200及び/又は電動工具100内のコンポーネント及びモジュールに電力、動作制御、及び保護を提供する複数の電気及び電子コンポーネントを備える。例えば、コントローラ200は、とりわけ、処理ユニット205(例えば、マイクロプロセッサ、電子プロセッサ、電子コントローラ、マイクロコントローラ、又は別の適切なプログラマブルデバイス)、メモリ225、入力ユニット230、及び出力ユニット235を備える。処理ユニット205は、とりわけ、制御ユニット210、数値演算ユニット(「ALU」)215、及び複数のレジスタ220(
図4ではレジスタ群として示す)を備え、公知のコンピュータアーキテクチャ(例えば、修正ハーバードアーキテクチャ、フォンノイマンアーキテクチャなど)を用いて実装される。処理ユニット205、メモリ225、入力ユニット230、及び出力ユニット235、並びにコントローラ200に接続された様々なモジュールは、1つ以上の制御バス及び/又はデータバス(例えば、共通バス240)によって接続される。制御バス及び/又はデータバスは、説明のために、
図4では大まかに示されている。様々なモジュール及びコンポーネント間の相互接続及び通信のための1つ以上の制御バス及び/又はデータバスの使用については、本明細書で説明する実施形態を検討することで当業者に分かるであろう。
【0045】
メモリ225は、非一時的コンピュータ可読媒体であり、例えば、プログラムストレージ領域及びデータストレージ領域を含む。プログラムストレージ領域及びデータストレージ領域は、ROM、RAM(例えば、DRAM、SDRAMなど)、EEPROM、フラッシュメモリ、ハードディスク、SDカード、又は他の適切な磁気式、光学式、物理的、若しくは電子的メモリデバイスなど、異なるタイプのメモリの組み合わせを含み得る。処理ユニット205は、メモリ225に接続され、メモリ225のRAM(例えば、実行中に)、メモリ225のROM(例えば、一般的に永続的に)、又は別のメモリやディスクなどの別の非一時的なコンピュータ可読媒体に記憶することができるソフトウェア命令を実行する。電動工具100の実装に含まれるソフトウェアは、コントローラ200のメモリ225に記憶することができる。ソフトウェアは、例えば、ファームウェア、1つ以上のアプリケーション、プログラムデータ、フィルタ、規則、1つ以上のプログラムモジュール、及び他の実行可能命令を含む。コントローラ200は、メモリ225から、とりわけ、本明細書で説明される制御プロセス及び方法に関する命令を取得し、実行するように構成される。他の実施形態では、コントローラ200は、追加的な、より少ない、又は異なるコンポーネントを含む。
【0046】
モータ275は、トリガ280の状態に基づいて通電される。一般に、トリガ280が作動されると、モータ275が通電され、トリガ280が作動解除されると、モータは通電を停止される。
図1に示す電動工具100などのいくつかの実施形態では、トリガ280は、電動工具のハンドルの長さの下方に部分的に延び、トリガ280が電動工具ハウジングに対して移動するように、ハンドルに移動可能に結合される。図示の実施形態では、トリガ280が押し下げられるとトリガスイッチ255が作動され、トリガ280が解放されるとトリガスイッチ255が作動停止されるように、トリガ280がトリガスイッチ255に結合される。図示の実施形態では、トリガ280は、トリガ280がユーザによって解放されたときに、トリガ280が電動工具100のハンドルから離れる第2の方向に移動するように(例えば、ばねなどの付勢部材で)付勢される。換言すれば、トリガスイッチ255のデフォルト状態は、ユーザがトリガ280を押してトリガスイッチ255を作動させない限り、非作動状態になる。
【0047】
スイッチングネットワーク265により、コントローラ200は、モータ275の動作を制御することができる。スイッチングネットワーク265は、パルス幅変調(PWM)信号を用いてモータ275の作動を制御するネットワークを形成するように一緒に接続された複数の電子スイッチ(例えば、FET、バイポーラトランジスタなど)を備える。例えば、スイッチングネットワーク265は、コントローラ200からPWM信号を受信してモータ275を駆動する6-FETブリッジを備えてもよい。一般に、トリガ280が、トリガスイッチ255の出力によって示されるように押し下げられると、電流が、スイッチングネットワーク265を介して、バッテリパック120からモータ275に供給される。トリガ280が押し下げられないと、電流は、バッテリパック120からモータ275に供給されない。以下により詳しく論じるように、いくつかの実施形態では、トリガスイッチ255によって検出されるトリガ引き込み量は、モータ275の所望の回転速度に関連する、又は対応する。他の実施形態では、トリガ引き込み量は、所望のトルクに対応する。
【0048】
バッテリパックインターフェースは、コントローラ200に接続され、バッテリパック120に結合される。バッテリパックインターフェースは、電動工具100をバッテリパック120とインターフェースさせる(例えば、機械的に、電気的に、且つ通信可能に接続させる)ように構成されそのように動作可能な、機械的な構成要素(例えば、バッテリパック受入部)と電気的な構成要素との組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、バッテリパックインターフェースは、電力調整ユニット270を備える。電力調整ユニット270は、バッテリパック120から電動工具100への電力を調整する。電力調整ユニット270については、
図5に関連して更に説明する。
【0049】
インジケータ245もまたコントローラ200に結合され、コントローラ200から制御信号を受信して、電源をオン及びオフにするか、又は電動工具100の異なる状態に基づく情報を伝達する。インジケータ245は、例えば、1つ以上の発光ダイオード(LED)、又は表示画面(例えば、LCDディスプレイ)を含む。インジケータ245は、電動工具100の条件又は電動工具に関連する情報を表示するように構成され得る。例えば、インジケータ245は、電動工具100が必要とする電力又は電動工具100に供給される電力に関連する情報を表示し得る。視覚的なインジケータに加えて又はその代わりに、インジケータ245は、スピーカー又は触覚フィードバック機構も含んで、可聴の又は触知できる出力を通して情報をユーザに伝達し得る。
【0050】
センサ250は、コントローラ200に結合され、コントローラ200に電動工具100又はモータ275の様々なパラメータを示す様々な出力信号を伝達する。センサ250としては、例えば、位置センサ又は移動センサ、ホール効果センサ、モータ電流センサ、モータ電圧センサ、モータ位置センサ、温度センサ、トルクセンサ、トリガ引き込み量センサ、レーザ、超音波センサなどが挙げられる。
【0051】
コントローラ200は、トリガ引き込み量センサから入力信号を受信して、トリガ280が作動されていること、及びどの程度作動されているかを検知する。例えば、トリガ引き込み量センサは、トリガが引かれた量及び/又はトリガが引かれた力を検知する。コントローラ200はまた、モータ電流センサ、モータ電圧センサ、及びトルクセンサからの入力を受信して、モータ275がどのように動作しているか、そしてどのような用途に使用されているかを判定する。例えば、モータ電流センサ、モータ電圧センサ、及びトルクセンサは、モータ275のパラメータを監視して、モータ275がどのくらいの時間、どのくらいの速度で、どのくらいの負荷の下で動作しているかを判定する。
【0052】
電力調整ユニット270を
図5に示す。電力調整ユニット270は、コントローラ400と電力調整回路420とを備える。コントローラ400は、処理ユニット405と、メモリ410と、入出力ユニット415とを備える。電力調整ユニット270のための処理ユニット405は、所望の電動工具100の動作に基づいて、電力調整回路420を制御して、電動工具100に供給される電力を調整する。例えば、トリガスイッチ255に結合されたトリガセンサによって検知されたトリガ引き込み量に基づいて、電動工具100の負荷が増加するにつれて、電動工具100は、バッテリパック120から一定量の電力を要求し得る。よって、電力調整ユニット270の処理ユニット405は、要求された電力を電動工具100に供給するように、バッテリパック120とネゴシエートし得る。メモリ410は、電力調整ユニット270が以前に実行された電力調整を容易に呼び出すことができるように、以前に実行された電力調整を記憶する役割を果たし得る。入出力ユニット415は、電力調整ユニット270が組み込まれ、結合されたデバイスの様々な構成要素と通信する役割を果たす。電力調整回路420は、抵抗器、インダクタ、コンデンサ、MOSFET、電圧調整器などの回路コンポーネントを備える(例えば、
図7A~
図7C参照)。電力調整回路420は、回路コンポーネントを使用することにより、所望の電力調整を実施する役割を果たす。電力調整回路420は、処理ユニット405と通信して、回路コンポーネントを使用して必要な電力調整を実施する。
【0053】
電力調整ユニット270は、電動工具に出力される電圧を固定し、電動工具に出力される電流を制限し、バッテリが過負荷のときに強制的に遮断し、バッテリパックからの所望の電圧、電流、又は電力をネゴシエートし、電動工具への負荷ラインを自動的に較正し、電動工具への負荷ライン較正をネゴシエートし、非標準のセル化学作用及び非標準セル構成をサポートすることなどによって、電動工具への電力を調整する。
【0054】
電力調整ユニット270はまた、バッテリパック120のバッテリセルを充電するバッテリパック充電器から受けた電力を調整し得る。いくつかの実施形態では、電力調整回路420は、充電器から受けた電圧をバッテリパック120の定格電圧に調整する。いくつかの実施形態では、電力調整ユニット270は、充電器から受けた電力を調整する付加的な回路(電動工具に出力される電力を調整する電力調整回路420とは別個のもの)を備え得る。電力調整ユニット270は、充電器がバッテリパック120と同じ定格電圧でない場合でさえも、バッテリパック120とバッテリパック充電器との間の互換性を維持する。例えば、バッテリパック120は、41ボルトの最大充電容量を有する36ボルトを定格電圧とするバッテリパックであってもよく、バッテリパック充電器は、従来の定格18ボルトのバッテリパックであってもよい(例えば、充電のために20.5ボルトを供給するもの)。電力調整ユニット270は、例えば、充電中に電圧を昇圧して(例えば、昇圧回路として機能して)、バッテリパック120を充電する電圧を供給するように構成される。追加的又は代替的に、電力調整ユニット270は、例えば、充電中に電圧を降圧して(例えば、降圧回路として機能して)、バッテリパック120を充電する電圧を供給するように構成される。
図6Aは、一実施形態による、電動工具バッテリパックのための代表的な電力調整システム500のブロック図である。電力調整システム500は、電動工具510内の電力調整ユニット505とバッテリパック515とを備える。バッテリパック515は、電動工具510内の電力調整ユニット505に入力電力520を供給する。電力調整ユニット505は、入力電力520を調整し、調整された電力を出力電力525として出力する。出力電力525は、とりわけ、モータ(例えば、モータ275)に電力供給して、電動工具100が電動工具の動作を実行できるようにする。
【0055】
図6Bは、一実施形態による、電動工具バッテリパックのための代表的な電力調整システム540のブロック図である。電力調整システム540は、バッテリパック550内の電力調整ユニット545と電動工具555とを備える。バッテリパック550は、バッテリパック550内の電力調整ユニット545に入力電力560を供給する。電力調整ユニット545は、入力電力560を調整し、調整された電力を出力電力565として電動工具555に出力する。
【0056】
図6Cは、一実施形態による、電動工具バッテリパックのための代表的な電力調整システム568のブロック図である。電力調整システム568は、アダプタ572(例えば、アダプタ150と同様のもの)内の電力調整ユニット570と、バッテリパック575と、電動工具580とを備える。バッテリパック575は、アダプタ572内の電力調整ユニット570に入力電力585を供給する。電力調整ユニット570は、入力電力585を調整し、調整された電力を出力電力590として電動工具580に出力する。
【0057】
図6Dは、一実施形態による、電動工具バッテリパックのための代表的な電力調整システム592のブロック図である。電力調整システム592は、アダプタ600(例えば、アダプタ150と同様のもの)内の電力調整ユニット595と、バッテリパック充電器605と、バッテリパック610とを備える。バッテリパック充電器605は、アダプタ600内の電力調整ユニット595に入力電力615を供給する。電力調整ユニット595は、入力電力615を調整し、調整された電力を出力電力620としてバッテリパック610に出力する。
【0058】
図6Eは、一実施形態による、電動工具バッテリパックのための代表的な電力調整システム625のブロック図である。電力調整システム625は、バッテリパック充電器635内の電力調整ユニット630とバッテリパック640とを備える。バッテリパック充電器635は、バッテリパック充電器635内の電力調整ユニット630に入力電力645を供給する。電力調整ユニット630は、入力電力645を調整し、調整された電力を出力電力650としてバッテリパック640に出力する。
【0059】
図6Fは、一実施形態による、電動工具バッテリパックのための代表的な電力調整システム655のブロック図である。電力調整システム655は、バッテリパック665内の電力調整ユニット660とバッテリパック充電器670とを備える。バッテリパック充電器670は、バッテリパック665内の電力調整ユニット660に入力電力675を供給する。電力調整ユニット660は、入力電力675を調整し、調整された電力を、バッテリパック665を充電するための出力電力680として出力する。
【0060】
図7A~
図7Cは、電力調整ユニットのための回路トポロジを示している。特に、
図7A及び
図7Bは、放電モード及び充電モードの両方で同じコンポーネントを使用する可逆電力調整ユニットの回路を示している。電力調整ユニットは、可逆である回路を備えることができるため、双方向の電力の流れが可能になる。
図7Cは、個別コントローラを備える電力調整ユニットの回路を示している。
【0061】
上述のように、
図7Aは、放電モードの電力調整ユニット700の回路図を示している。例えば、電力調整ユニット700は、電動工具(例えば、電動工具100)、バッテリパック(例えば、バッテリパック120)、又はバッテリパックに結合されたアダプタ(例えば、アダプタ150)内に存在し得る。放電モードでは、電力調整ユニット700は、バッテリパックのバッテリセル内に貯蔵された電力を電動工具(例えば、電動工具100)に放電する。電力調整ユニット700は、コントローラ702と、バッテリ電圧(例えば、バッテリパック120からのもの)と、スイッチM1、M2と、インダクタL1と、コンデンサC1とを備える。コントローラ702(例えば、コントローラ400)は、マイクロコンピューティングユニット(MCU)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、組込コントローラ(IC)などのうちの1つであり得る。スイッチは、FET、MOSFET、BJT、ダイオードなどであり得る。バッテリ電圧はバッテリパックから受けられ得る。
【0062】
回路図に示すように、電力はバッテリ(すなわち、V_bat)から電動工具100に流れる。いくつかの実施形態では、調整器からの電力は、電動工具100(すなわち、V_tool)のモータ(例えば、モータ275)に電力供給するために使用される。放電モード中、コントローラ702は、例えば、昇圧モード又は降圧モードのいずれかで動作するように回路を制御する。例えば、バッテリからの入力電圧は、電動工具100への出力電圧よりも大きくてもよい。よって、バッテリから入力される電力は、電動工具に出力される電力よりも大きくなり得る。
【0063】
図7Bは、充電モードの電力調整ユニット705の回路図を示している。例えば、電力調整ユニット705は、バッテリパック(例えば、バッテリパック120)又はバッテリパック充電器内に存在し得る。充電モードでは、電力調整ユニット705は、バッテリパック充電器からの入力電力を使用して充電される。電力調整ユニット705は、コントローラ708と、バッテリ電圧(例えば、バッテリパック120におけるもの)と、スイッチM1、M2と、インダクタL1と、コンデンサC1とを備える。コントローラ708(例えば、コントローラ400)は、マイクロコンピューティングユニット(MCU)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、組込コントローラ(IC)などのうちの1つであり得る。スイッチは、FET、MOSFET、BJT、ダイオードなどであり得る。
【0064】
回路図に示すように、電力は充電器からバッテリパックに流れる。充電モード中、コントローラ708は、例えば、昇圧モード又は降圧モードのいずれかで動作するように回路を制御する。例えば、充電器からの入力電圧は、バッテリに供給される出力電圧よりも小さい。よって、バッテリパック充電器から入力される電力は、バッテリパックの電力よりも小さくなり得る。このことにより、充電器だけで供給可能である電力よりも大きな充電電力をバッテリパックに供給することができる。コントローラ708が充電モード中に昇圧モードで回路を制御(例えば、充電器からの電圧を昇圧)する場合、電力は、電力調整ユニット705の回路コンポーネントを第1の方向に流れる。その後、バッテリが放電され、電力が電力調整ユニット705の回路コンポーネントを第2の方向に流れると、コントローラ708は、例えば降圧モードで回路を制御する。例えば、電力調整ユニット705の回路コンポーネントは双方向であり、昇圧モード及び降圧モードの両方で動作し得るため、バッテリパックと電動工具及びバッテリパック充電器の両方との間における互換性が可能になる。
【0065】
図7A及び
図7Bの電力調整ユニット700、705は、放電プロセス及び充電プロセスで同じ回路コンポーネントを使用する。これにより、部分表(BOM)コスト、並びに電力調整ユニットの充電及び放電のためのサイズが最小化される。コントローラ702、708は、電力調整ユニット700、705が電動工具に結合されているかバッテリパック充電器に結合されているかに基づいて(例えば、電動工具又はバッテリパック充電器との通信に基づいて)、電力調整ユニット700、705が動作しているモードを変更することができる。
【0066】
図7Cは、個別コントローラを備える電力調整ユニット710の回路図を示している。例えば、電力調整ユニット700は、バッテリパック(例えば、バッテリパック120)、バッテリパックに結合されたアダプタ(例えば、アダプタ150)、又はバッテリパック充電器内に存在し得る。個別コントローラは、放電コントローラ715(例えば、コントローラ400)と充電コントローラ720(例えば、コントローラ400)とを含む。加えて、電力調整ユニット710は、バッテリ電圧(例えば、バッテリパック120内のもの)と、スイッチM1、M2と、ダイオードD1、D2と、インダクタL1と、コンデンサC1とを備える。放電コントローラ715又は充電コントローラ720のいずれかを常時動作させることもできる。
【0067】
放電コントローラ715は、電力調整ユニット710が放電モードにあるときに動作する。例えば、電力調整ユニット710は、バッテリパックが電動工具に結合され、電動工具に電力を供給する場合、放電モードで動作する。このようにして、バッテリパックのバッテリセルを放電する。いくつかの実施形態では、放電中、放電コントローラ715は、スイッチM1及びダイオードD2を使用して非同期降圧コンバータを形成する。
【0068】
或いは、充電コントローラ720は、電力調整ユニット710が充電モードにあるときに動作する。例えば、電力調整ユニット710は、バッテリパックがバッテリパック充電器に結合される場合、充電モードで動作する。このようにして、バッテリパックのバッテリセルを充電する。いくつかの実施形態では、充電中、充電コントローラ720は、スイッチM2及びダイオードD1を使用して非同期昇圧コンバータを形成する。
【0069】
図8は、本明細書で説明される実施形態による、電力調整ユニット270を動作させる方法800を示すフローチャートである。ステップ805において、電力調整ユニット270のコントローラ400は、バッテリパック120からの入力電圧を受ける。例えば、入力電圧は、12Vのバッテリパックから12~16Vの範囲内、又は18Vのバッテリパックから18~22Vの範囲内にあり得る。ステップ810において、電力調整ユニット270は入力電圧を調整する。いくつかの実施形態では、コントローラ400は、バッテリパックからの入力電圧の範囲の最大値未満の値に電圧を固定することによって、電力を調整する。他の実施形態では、コントローラ400は、バッテリパックからの入力電圧の範囲を上回る値に電圧を固定することによって、電力を調整する。ステップ815において、電力調整ユニット270は、調整された電力を電動工具100に出力する。例えば、予期される出力が18~22Vの範囲にある18Vのバッテリパックでは、電力調整ユニットは、電動工具の電流の増加又はバッテリパックの電圧の低下に関係なく、安定した20.5Vを出力し得る。調整された電圧は、バッテリパック120が放電されたり、電動工具100の負荷が増加したりしても降下しない。調整された電圧によって、電動工具100によって出力される電力をより大きくすることができる。バッテリパック充電器がバッテリパックに充電電力を供給しているときに同様の逆動作が行われ得る。
【0070】
図9は、本明細書で説明される実施形態による、電力調整ユニット270を動作させる方法900を示すフローチャートである。ステップ905において、電力調整ユニット270のコントローラ400は、バッテリパック120からの入力電力を受ける。例えば、入力電力は、12Vのバッテリパックから12~16Vの範囲内、又は18Vのバッテリパックから18~22Vの範囲内の電圧を含み得る。ステップ910において、電力調整ユニット270は、入力電力に電流制限を設定する。いくつかの実施形態では、コントローラ400は、電動工具が所定の電流値(例えば、100A)になったときに、電動工具に供給された電流が所定の値を超えるのをコントローラが(例えば、出力電圧を調整することによって)防ぐように、入力電力に電流制限を適用することによって電力を調整する。ステップ915において、電力調整ユニット270は、電流制限された電力を電動工具100に出力する。例えば、20.5Vの一定の出力を有する18Vのバッテリパックでは、電力調整ユニット270は、電動工具の電流が所定の値(例えば、100A)に達するまで、バッテリパック120から20.5Vを出力する。そして、電力調整ユニット270は、電動工具に供給された電流が100Aを超えることを防ぐ。電動工具に供給される電力の電流を制限することにより、極端に低いインピーダンスのバッテリパックで稼働するように設計されていない電動工具を保護することができる。追加的に、電力の電流を制限することにより、バッテリパックがかける過負荷をより穏やかにすることができる。バッテリパック充電器がバッテリパックに充電電力を供給しているときに同様の逆動作が行われ得る。
【0071】
図10は、本明細書で説明される実施形態による、電力調整ユニット270を動作させる方法1000を示すフローチャートである。ステップ1005において、電力調整ユニット270のコントローラ400は、バッテリパック120が過負荷であることを検出する。例えば、コントローラ400は、バッテリパック120の動作が不安定になり、バッテリパック120又は電動工具100に損傷を与え得るほどに、電動工具100がバッテリパック120から電力又は電流を過剰に引き出していることを検出し得る。ステップ1010において、電力調整ユニット270のコントローラ400は、電動工具100が過負荷を認識していない(例えば、電動工具100がシャットダウンすべき時点を過ぎても運転を継続した)ことを判定する。ステップ1015において、電力調整ユニット270のコントローラ400は、電動工具100が過負荷を認識していないことに応じて、電動工具100への電力の流れを停止する。電力調整ユニット270は、電動工具100が過負荷を認識していないときに、電動工具100が動作するのを阻止する。
【0072】
図11は、本明細書で説明される実施形態による、電動工具100を動作させる方法1100を示すフローチャートである。ステップ1105において、電動工具100のコントローラ200(又は電力調整ユニット270のコントローラ400)は、バッテリパック120が電動工具100によって受け入れられたことを判定する。例えば、コントローラ200は、バッテリパック120が電動工具100に結合されていることに起因して、電圧又は電流が存在することを判定し得る。ステップ1110において、コントローラ200は、バッテリパック120が電力調整ユニット270を備えるか否かを判定する。バッテリパック120が電力調整ユニット270を備えないとコントローラ200が判定した場合、方法1100はステップ1130に進む。ステップ1110において、バッテリパック120が電力調整ユニット270を備えるとコントローラ200が判定した場合、方法1100はステップ1115に進む。
【0073】
ステップ1115において、電動工具100のコントローラ200は、バッテリパック120からのパラメータ(例えば、電圧、電流容量など)を要求する。例えば、バッテリパック120は、定格18Vのバッテリパックであり得、その情報がコントローラ200に伝達される。ステップ1120において、電動工具100は、バッテリパック120からのバッテリ出力電力プロファイルを要求する。例えば、電動工具100は、バッテリパック120の通常の動作電圧よりも高い電圧又は低い電圧を要求し得る。いくつかの実施形態では、電動工具100は、バッテリパック120の最大電圧、ソースインピーダンス、及び過負荷挙動を要求し得る。例えば、最大電圧は、バッテリパック120の最大定格電圧であり得る。電動工具100が最大電圧を要求した場合、コントローラ200は電力調整ユニット270にターンオフ信号を送信し得る。例えば、コントローラ200は、バッテリパック120のコントローラに信号を送信して、電力調整ユニット270をバイパスし得る。電力調整ユニット270は、電動工具又はアダプタ内に配置された場合、同様にバイパスされ得る。ステップ1125において、電力調整ユニット270は、要求された出力電力プロファイルを電動工具100に提供し、電動工具100のコントローラ200は、要求された出力電力プロファイルを受信する。いくつかの実施形態では、出力電力プロファイルに基づいて、電動工具100は、バッテリパック120の標準値又は定格値とは異なる(例えば、より高い電圧、異なる遮断条件など)電圧、電流、インピーダンス、過負荷挙動などの値をバッテリパック120からネゴシエートするように構成される。ステップ1130において、電動工具100は、出力電力プロファイルのネゴシエートされた値に基づいて動作を開始する。任意選択で、電動工具100は、動作中に要求された電力プロファイルを再ネゴシエートし得る。バッテリパック120とバッテリパック充電器との間でも、バッテリパック充電器がバッテリパックを充電しようとする際に同様のネゴシエーションが行われ得る。
【0074】
図12は、
図8の方法800にしたがって電力調整ユニット270から出力される固定電圧を経験する電動工具100の動作データ1200を示している。第1のライン1205で示されるように、一般的なバッテリパックは、電動工具の電流が増加するにつれて、徐々に低下する電圧を出力する。しかしながら、第2のライン1210によって示されるように、電力調整ユニット270は、電動工具の電流の増加に関係なく、代わりに20.5Vの固定電圧を出力する。
【0075】
図13は、
図9の方法900にしたがって電力調整ユニット270からの電流制限された出力を経験する電動工具100の動作データ1300を示している。第1のライン1305で示されるように、一般的なバッテリパックは、電動工具の電流が増加するにつれて、低下する電圧を出力する。代わりに、第2のライン1310によって示されるように、電力調整ユニット270は、電流制限に到達するまで、20.5Vの固定電圧を出力する。電流制限に到達すると、電力調整ユニット270は、電動工具100への電流が電流制限を超えるのを防ぐ。
【0076】
図14A及び
図14Bは、本明細書で説明される実施形態による、自動負荷ライン較正(LLC)を経験する電動工具のための動作データ1400を示している。バッテリパック120からの出力電流を使用して、電力調整ユニット270は、出力電圧を変更して、電動工具100の駆動を強化し得る。
図14Aに示すように、正のLLCによって、電流が増加するにつれて電圧が上昇して、動作電圧を維持する。特に、第1のライン1405で示されるように、一般的なバッテリパックは、電動工具の電流が増加するにつれて、低下する電圧を出力する。代わりに、第2のライン1410によって示されるように、電力調整ユニット270は、電動工具100の電流が増加するにつれて、上昇する電圧を出力する。電流の増加に伴う電圧の上昇は、電動工具100の性能を向上させるのに役立つ。
【0077】
動作データ1415を有する
図14Bに示すように、負のLLCは、電流が増加するにつれて電圧が低下して、従来のバッテリをエミュレートする。特に、第1のライン1420で示されるように、一般的なバッテリパックは、電動工具の電流が増加するにつれて、第1の負の傾きで低下する電圧を出力する。代わりに、1425とラベル付与された第2のラインによって示されるように、電力調整ユニット270は、電動工具100の電流が増加するにつれて、より急峻ではない第2の負の傾きで低下する電圧を出力する。電流の増加に伴う電圧のより遅い低下は、電動工具の様々なバッテリパックとの互換性を改善するのに役立つ。
【0078】
図15A及び
図15Bは、電力調整ユニット270がネゴシエートした負荷ライン較正出力を示している。例えば、電力調整ユニット270はバッテリパック120内に存在してもよく、バッテリパック120が電動工具100に結合されると、電動工具100はバッテリパック120内の電力調整ユニット270の存在を認識し得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、電力調整ユニット270は、電動工具100又はバッテリパック120と電動工具100との間にあるアダプタ150内に存在し得る。いくつかの実施形態では、電動工具100は、電力調整ユニット270からの特定のソース電圧及び仮想インピーダンスを要求して、所望のモータ性能曲線を形成する。
【0079】
ネゴシエートされた負荷ライン較正出力1500の第1の例を
図15Aに示す。第1の例では、電動工具100は、18Vのバッテリパックからの20.5Vの無負荷電圧及び55mOhmのインピーダンスを要求する。要求の結果、負荷ライン較正出力は、電動工具100の出力トルクに対するモータ275の出力速度の減少曲線1505となる。
【0080】
ネゴシエートされた負荷ライン較正出力1510の第2の例を
図15Bに示す。第2の例では、電動工具100は、22Vの無負荷電圧及び-104mOhmのインピーダンスを要求して、モータ275から一定の出力速度1515を提供する。要求の結果、モータ275は負荷が増加してもモータの減速を経験しない。いくつかの実施形態では、電動工具100は、減速することなく負荷を更に増大させるために、位相前進/弱め界磁技法を追加的に実施し得る。
【0081】
電動工具100の電圧出力を固定し、電動工具100に出力される電流を制限し、バッテリが過負荷のときに強制的に遮断し、バッテリパック120からの所望の電圧をネゴシエートし、電動工具100への負荷ラインを自動的に較正し、電動工具100への負荷ライン較正をネゴシエートすることに加えて、電力調整ユニット270はまた、非標準のセル化学作用及び非標準セル構成をサポートすることができる。
【0082】
いくつかの実施形態では、電力調整ユニット270は、電動工具(例えば、電動工具100)が、通常、電動工具によって使用され、電動工具のために設計されたバッテリパックとは別の化学作用を有するバッテリパック(例えば、バッテリパック120)によって電力供給されることを可能にし得る。例えば、電力調整ユニット270は、バッテリセルが互換性のない化学作用のものであることを判定し、バッテリパック120によって供給される電圧(例えば、12V)を、電動工具100が動作するのに適した電圧(例えば、18V)に変更する。いくつかの実施形態では、電力調整ユニット270を備えるバッテリパックは、通常、異なる電圧のバッテリパックによって使用され、異なる電圧のバッテリパックのために設計されたバッテリパック充電器によって充電され得る。例えば、18Vのバッテリパックは、2.5Vのフル充電化学作用を有するバッテリセルを有するバッテリパック(例えば、ニッケルカドミウムバッテリパック、ニッケル水素バッテリパックなど)を通常充電するバッテリパック充電器で充電され得る。或いは、2.5Vのフル充電化学作用を有するバッテリセルを備えるバッテリパックによって通常電力供給される電動工具100は、例えば、18Vのバッテリパックによって電力供給される(例えば、電力調整ユニット270は、バッテリパックの出力電圧を低下又は降圧する)。
【0083】
いくつかの実施形態では、電力調整ユニット270は、電動工具(例えば、電動工具100)が、別のバッテリセル構成を有するバッテリパック(例えば、バッテリパック120)によって電力供給されることを可能にし得る。電力調整ユニット270は、電動工具100、バッテリパック120、又はアダプタ150内に存在し得る。電力調整ユニット270は、別のセル構成が電動工具100と互換となるようにすることを可能にする。例えば、電力調整ユニット270がバッテリパックと電動工具との間に存在する場合、18Vのバッテリパックが12Vの電動工具と共に使用され得る。別の例として、電力調整ユニット270がバッテリパックと電動工具との間に存在する場合、36Vのバッテリパックが18Vの電動工具と共に使用され得る。
【0084】
以上のように、本明細書で説明された実施形態は、とりわけ、電動工具のバッテリパックの電力調整を提供する。いくつかの実施形態では、電動工具が電力調整ユニットを備え得る。いくつかの実施形態では、電力調整ユニットは、バッテリパック、アダプタ、又はバッテリパック充電器内に存在し得る。様々な特徴及び利点が以下の特許請求の範囲に記載される。
【国際調査報告】