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特表2024-531113アイトラッキングによるモーションブラー補正
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】アイトラッキングによるモーションブラー補正
(51)【国際特許分類】
   G06T 5/77 20240101AFI20240822BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20240822BHJP
   G06F 3/0481 20220101ALI20240822BHJP
   G06T 7/20 20170101ALI20240822BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20240822BHJP
【FI】
G06T5/77
G06F3/01 510
G06F3/0481
G06T7/20 300Z
H04N23/60 500
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506718
(86)(22)【出願日】2022-07-04
(85)【翻訳文提出日】2024-02-02
(86)【国際出願番号】 US2022073407
(87)【国際公開番号】W WO2023015085
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】17/392,983
(32)【優先日】2021-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】310021766
【氏名又は名称】株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】オスマン、スティーヴン
(72)【発明者】
【氏名】アリマツ、カズユキ
【テーマコード(参考)】
5B057
5C122
5E555
5L096
【Fターム(参考)】
5B057CC03
5B057CE04
5C122DA03
5C122DA13
5C122EA65
5C122FH11
5C122FH12
5C122FH14
5C122FH22
5C122FK09
5C122FK24
5C122FK41
5C122GA01
5C122HA13
5C122HA35
5C122HA75
5C122HB01
5C122HB05
5E555AA27
5E555AA64
5E555BA38
5E555BB38
5E555BC08
5E555BE17
5E555CA42
5E555CA44
5E555CB19
5E555CB65
5E555CC05
5E555DA08
5E555DB53
5E555DC36
5E555DC63
5E555DC84
5E555DD06
5E555EA11
5E555EA14
5E555EA22
5E555FA00
5L096DA02
5L096FA67
5L096FA69
5L096HA02
(57)【要約】
【解決手段】ユーザーの視線がディスプレイ(200)上の移動しているオブジェクト(202)を追うとき、ユーザーの目(402)と、必要に応じて頭部(400)が追跡される。移動しているオブジェクトのモーションブラーは、アイ/ヘッドトラッキングに連動(408)される。フレーム内の他のオブジェクトのモーションブラーも、アイ/ヘッドトラッキングに連動させてもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一過性の信号ではなく、
ディスプレイを見ているユーザーのゲイズトラッキングを実行し、
前記ゲイズトラッキングに従って、前記ディスプレイ上に提示された少なくとも1つのオブジェクトの少なくとも1つのモーションブラー機能を実装する、少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令を含む、少なくとも1つのコンピュータ媒体を備えるシステム。
【請求項2】
前記ディスプレイと、前記命令を実行する前記少なくとも1つのプロセッサとを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ゲイズトラッキングは、ヘッドトラッキングを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ゲイズトラッキングは、アイトラッキングを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記ゲイズトラッキングは、アイトラッキングを含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記命令は、
前記オブジェクトを、前記ディスプレイを横切って移動しているとして識別し、
前記ゲイズトラッキングを、前記オブジェクトを追っているとして識別し、
前記オブジェクトが前記ディスプレイを横切って移動していると識別され、前記ゲイズトラッキングが前記オブジェクトを追っていると識別されたことに呼応して、前記オブジェクトのモーションブラーがないとして前記モーションブラー機能を実装するように実行可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記命令は、
前記オブジェクトを、前記ディスプレイを横切って移動しているとして識別し、
前記ゲイズトラッキングを、前記オブジェクトを追っていないと識別し、
前記オブジェクトが前記ディスプレイを横切って移動していると識別され、前記ゲイズトラッキングが前記オブジェクトを追っていないと識別されたことに呼応して、前記オブジェクトのモーションブラーであるとして前記モーションブラー機能を実装するように実行可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記オブジェクトの前記モーションブラーは、前記オブジェクトの運動ベクトルと前記ゲイズトラッキングの運動ベクトルの差に比例する、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記命令は、
前記オブジェクトを、前記ディスプレイを横切って移動しているとして識別し、
前記ゲイズトラッキングを、前記ディスプレイに対して移動しているとして識別し、
前記オブジェクトが前記ディスプレイを横切って移動していないと識別され、前記ゲイズトラッキングが前記ディスプレイに対して移動していると識別されたことに呼応して、前記オブジェクトのモーションブラーであるとして前記モーションブラー機能を実装するために実行可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記命令は、
前記オブジェクトを含む前記ディスプレイの第1の領域において第1の輝度と第1の露光を確立し、
前記オブジェクトを含まない前記ディスプレイの第2の領域において第2の輝度および/または第2の露光を確立することによって、前記モーションブラー機能を少なくとも部分的に実装するために実行可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
ディスプレイ上に提示されたオブジェクトの第1のモーションブラーを、前記オブジェクトが移動するにつれ、ユーザーの視線が前記オブジェクトを追っていることに応じて、実装することと、
前記オブジェクトの第2のモーションブラーを、前記オブジェクトが移動するにつれ、前記ユーザーの視線が前記オブジェクトを追っていないことに応じて、実装することと、を含む方法。
【請求項12】
前記第1のモーションブラーは前記第2のモーションブラーより小さい、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記オブジェクトは第1のオブジェクトであり、前記方法は、
前記ユーザーの視線が前記ディスプレイに対して移動していることに呼応して前記ディスプレイ上に提示される第2のオブジェクトのモーションブラーを実装することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1つのディスプレイと、
前記ディスプレイの視聴者に関連付けられた第1の運動ベクトルを識別し、
前記ディスプレイ上に提示されたオブジェクトに関連付けられた第2の運動ベクトルを識別し、
前記第1と第2の運動ベクトルに基づいて前記オブジェクトのモーションブラーを実装する命令で構成された少なくとも1つのプロセッサと
を備える装置。
【請求項15】
前記プロセッサが、
前記オブジェクトを、前記ディスプレイを横切って移動しているとして識別し、
ゲイズトラッキングを、前記第1の運動ベクトルに少なくとも部分的に基づいて前記オブジェクトを追っているとして識別し、
前記オブジェクトが前記ディスプレイを横切って移動していると識別され、前記ゲイズトラッキングが前記オブジェクトを追っていると識別されたことに呼応して、前記オブジェクトの最小限のモーションブラーを実装する命令で構成されている、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記プロセッサが、
前記オブジェクトを、前記ディスプレイを横切って移動しているとして識別し、
ゲイズトラッキングを、前記第1の運動ベクトルに少なくとも部分的に基づいて前記オブジェクトを追っていないものとして識別し、
前記オブジェクトが前記ディスプレイを横切って移動していると識別され、前記ゲイズトラッキングが前記オブジェクトを追っていないと識別されたことに呼応して、前記オブジェクトの最小限のモーションブラーより大きいモーションブラーを実装する命令で構成されている、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記オブジェクトの前記モーションブラーは、前記第1と第2の運動ベクトルの差に比例する、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記プロセッサが、
前記オブジェクトを、前記ディスプレイを横切って移動していないとして識別し、
ゲイズトラッキングを、前記第1の運動ベクトルに少なくとも部分的に基づいて前記ディスプレイに対して移動しているとして識別し、
前記オブジェクトが前記ディスプレイを横切って移動していないと識別され、前記ゲイズトラッキングが前記オブジェクトに対して移動していると識別されたことに呼応して、前記オブジェクトのモーションブラーを実装する命令で構成されている、請求項14に記載の装置。
【請求項19】
前記プロセッサが、
前記オブジェクトを含む前記ディスプレイの第1の領域において第1の輝度と第1の露光を確立し、
前記オブジェクトを含まない前記ディスプレイの第2の領域において第2の輝度および/または第2の露光を確立することによって、モーションブラーを少なくとも部分的に実施する命令で構成されている、請求項14に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、概して、アイトラッキングによるモーションブラー補正に関する。
【背景技術】
【0002】
モーションブラーは通常、シーンを横切るオブジェクトの動きによって計算される。具体的には、左から右に高速で移動しているオブジェクトの場合、ゲームのレンダラーは、画面を横切る動きに「縞を付ける」ことを選択することができる。
【0003】
モーションブラーを実現するために、カメラの動きだけを考慮してフルスクリーンで放射状のブラーを作成してもよいし、ソフトウェアシェーダをプログラミングして速度バッファを作成し、オブジェクトにモーションブラー効果を与えるために動きの強さをマークすることで、より選択的なオブジェクトごとのモーションブラーを使用してもよい。モーションブラー効果により、オブジェクトが「縞模様」に見える。
【発明の概要】
【0004】
本明細書で理解されるように、現在のモーションブラー技術は、プレーヤー/視聴者の目の動き(時には頭の動き)を考慮していない。つまり、移動しているオブジェクトは、視聴者がそのオブジェクトを凝視(ゲイズ(gaze))して追っているにもかかわらず、モーションブラーを施して表現されることがあり、その場合、実世界では、そのオブジェクトは動きによってぼけているようには見えないであろう。
【0005】
従って、システムは、一過性の信号ではない、少なくとも1つのコンピュータ媒体であって、ディスプレイを見ているユーザーのゲイズトラッキングを実行し、ゲイズトラッキングに従ってディスプレイ上に提示された少なくとも1つのオブジェクトの少なくとも1つのモーションブラー機能を実装する、少なくとも1つのプロセッサが実行可能な命令である少なくとも1つのコンピュータ媒体を含む。
【0006】
一部の例では、ゲイズトラッキングは、ヘッドトラッキング、アイトラッキング、ユーザーのボディモーショントラッキングの1つ以上を含む。別の言い方をすれば、視聴者の目、頭、仮想の身体の動き(車内や電車内に座っているなど)を考慮した、全体的なモーションアカウンティングを実装することができる。
【0007】
一部の実施形態では、命令は、オブジェクトがディスプレイを横切って移動していると識別し、ゲイズトラッキングがオブジェクトを追っていると識別し、オブジェクトがディスプレイを横切って移動していると識別し、かつ、ゲイズトラッキングがオブジェクトを追っていると識別することに呼応して、オブジェクトのモーションブラーがないとしてモーションブラー機能を実装させるように実行可能であってもよい。
【0008】
例示の実施形態では、命令は、オブジェクトがディスプレイを横切って移動していると識別し、ゲイズトラッキングがオブジェクトを追っていないと識別し、オブジェクトがディスプレイを横切って移動していると識別し、かつ、ゲイズトラッキングがオブジェクトを追っていないと識別することに呼応して、オブジェクトのモーションブラーであるとしてモーションブラー機能を実装させるように実行可能である。このような例では、オブジェクトのモーションブラーは、オブジェクトの運動ベクトルとゲイズトラッキングの運動ベクトルの差に比例し得る。
【0009】
一部の実装態様では、命令は、オブジェクトがディスプレイを横切って移動していると識別し、ゲイズトラッキングをディスプレイに対して移動していると識別し、オブジェクトがディスプレイを横切って移動していないと識別し、かつ、ゲイズトラッキングがディスプレイに対して移動していると識別することに呼応して、オブジェクトのモーションブラーであるとしてモーションブラー機能を実装させるために実行可能であってもよい。
【0010】
オブジェクトを含むディスプレイの第1の領域において第1の輝度および第1の露光を確立し、オブジェクトを含まないディスプレイの第2の領域において第2の輝度および/または第2の露光を確立することによって、モーションブラー機能が少なくとも部分的に実装されるハードウェア実装を提供してもよい。
【0011】
別の態様では、方法は、オブジェクトが移動するにつれてオブジェクトを追うユーザーの視線に従って、ディスプレイ上に提示されたオブジェクトの第1のモーションブラーを実装することと、オブジェクトが移動してもオブジェクトを追わないユーザーの視線に従って、第1のオブジェクトの第2のモーションブラーを実装することとを含む。
【0012】
別の態様では、装置は、少なくとも1つのディスプレイと、ディスプレイの視聴者に関連付けられた第1の運動ベクトルを識別し、ディスプレイ上に提示されたオブジェクトに関連付けられた第2の運動ベクトルを識別し、第1および第2の運動ベクトルに基づいてオブジェクトのモーションブラーを実装する命令を有するように構成された少なくとも1つのプロセッサとを含む。
【0013】
本出願の詳細は、その構造および動作の両方に関して、添付図面を参照することにより最もよく理解することができ、その中で同じ参照番号は同じ部品を示す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本原理に従った実施例を含むシステムの一例のブロック図である。
図2】ディスプレイ上に提示された固定オブジェクトに注視点(POG)を維持する視聴者を模式的に示すスクリーンショットである。
図3】POGがディスプレイ上に提示された移動しているオブジェクトを追う視聴者を模式的に示すスクリーンショットである。
図4】本原理に沿ったロジックの一例をフローチャート形式で示す。
図5】HMDのコンポーネントを概略的に示すヘッドマウントディスプレイ(HMD)の一例を示す図である。
図6】ハードウェアシステムの実装の一例を示す。
図7図6に沿ったロジックの一例をフローチャート形式で示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示は、一般に、コンピュータゲームネットワークに限定されないコンシューマエレクトロニクス(CE)機器ネットワークの特徴を含むコンピュータエコシステムに関する。本明細書におけるシステムは、クライアントコンポーネントとサーバーコンポーネントの間でデータが交換できるように、ネットワーク経由で接続できるサーバーコンポーネントとクライアントコンポーネントを含んでいてもよい。クライアントコンポーネントには、ソニーPlayStation(商標登録)などのゲーム機、マイクロソフト社や任天堂などのメーカー製ゲーム機、仮想現実(VR)ヘッドセット、拡張現実(AR)ヘッドセット、ポータブルテレビ(スマートテレビ、インターネット対応テレビなど)、ラップトップやタブレットコンピュータなどのポータブルコンピュータ、スマートフォンなどのモバイルデバイスを含む1つ以上のコンピューティングデバイス、および後述する追加の例を含んでいてもよい。これらのクライアントデバイスは、さまざまな動作環境で動作し得る。例えば、クライアントコンピュータの中には、Linux(登録商標)オペレーティングシステム、マイクロソフト社のオペレーティングシステム、Unix(登録商標)オペレーティングシステム、アップル社やグーグルのオペレーティングシステムを採用しているものもある。これらの動作環境は、マイクロソフトやグーグル、モジラ製のブラウザーや、後述するインターネットサーバーがホストするウェブサイトにアクセスできるその他のブラウザープログラムなど、1つ以上のブラウジングプログラムを実行するために使用することができる。また、本原理による動作環境は、1つ以上のコンピュータゲームプログラムを実行するために使用することができる。
【0016】
サーバーおよび/またはゲートウェイは、インターネットなどのネットワーク経由でデータを受信および送信するようにサーバーを構成する命令を実行する1つ以上のプロセッサを含んでいてもよい。あるいは、クライアントとサーバーをローカルイントラネットや仮想プライベートネットワークで接続することもできる。サーバーまたはコントローラは、ソニーPlayStation(商標登録)などのゲーム機、パーソナルコンピュータなどによってインスタンス化され得る。
【0017】
情報は、クライアントとサーバーの間でネットワークを経由して交換されてもよい。この目的とセキュリティのために、サーバー、および/またはクライアントは、ファイアウォール、ロードバランサー、一時ストレージ、プロキシ、その他の信頼性とセキュリティのためのネットワークインフラを含んでいてもよい。1つ以上のサーバーが、オンラインソーシャルウェブサイトのような安全なコミュニティをネットワークメンバーに提供する方法を実装する装置を形成することができる。
【0018】
プロセッサは、アドレスライン、データライン、コントロールライン、レジスタ、シフトレジスタなどの各種ラインによってロジックを実行できるシングルチップまたはマルチチップのプロセッサでよい。
【0019】
ある実施形態に含まれるコンポーネントは、他の実施形態でも適切な組み合わせで使用できる。例えば、本明細書に記載および/または図面に示された種々のコンポーネントはいずれも、他の実施形態から統合、代替、または除外することができる。
【0020】
「A、B、Cの少なくとも1つを有するシステム」(同様に「A、B、Cの少なくとも1つを有するシステム」、「A、B、Cの少なくとも1つを有するシステム」)には、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとB、AとC、BとC、および/またはA、B、Cを有するシステムが含まれる。
【0021】
ここで具体的に図1を参照すると、システム10の一例が示されており、このシステム10は、上述の例示のデバイスの1つ以上を含んでいてもよく、本原理に従って以下にさらに説明する。システム10に含まれる例示のデバイスの第1は、TVチューナーを備えたインターネット対応TV(等価的に、TVを制御するセットトップボックス)などのオーディオビデオデバイス(AVD)12などのコンシューマエレクトロニクス(CE)デバイスである。AVD12は、代わりに、コンピュータ制御のインターネット対応(「スマート」)電話機、タブレットコンピュータ、ノートブックコンピュータ、HMD、装着型コンピュータデバイス、コンピュータ制御のインターネット対応音楽プレーヤー、コンピュータ制御のインターネット対応ヘッドフォン、埋め込み型皮膚デバイスのようなコンピュータ制御のインターネット対応埋め込み型デバイスなどであってもよい。いずれにせよ、AVD12は、本原理を実施する(例えば、本原理を実施するために他のCEデバイスと通信し、本明細書で説明するロジックを実行し、本明細書で説明する他の機能および/または動作を実行する)ように構成されていることを理解されたい。
【0022】
したがって、このような原理を実現するために、AVD12は図1に示したコンポーネントの一部または全部によって確立することができる。例えば、AVD12は、高精細または超高精細「4K」またはそれ以上のフラットスクリーンによって実装でき、ディスプレイ上のタッチを介してユーザー入力信号を受信するためにタッチ対応でよい1つ以上のディスプレイ14を含んでいてもよい。AVD12は、本原理に従って音声を出力するための1つ以上のスピーカー16と、AVD12を制御するためにAVD12に可聴コマンドを入力するための音声受信機/マイクロフォンなどの少なくとも1つの追加入力装置18と、を含んでいてもよい。例示のAVD12はまた、1つ以上のプロセッサ24の制御下で、インターネット、WAN、LANなどの少なくとも1つのネットワーク22を経由して通信するための1つ以上のネットワークインターフェース20を含んでいてもよい。したがって、インターフェース20は、限定されるものではないが、無線コンピュータネットワークインターフェースの一例であるWiーFiトランシーバ、例えばメッシュネットワークトランシーバなどであってもよい。プロセッサ24は、ディスプレイ14を制御して画像を提示したり、そこから入力を受け取ったりするなど、本明細書で説明するAVD12の他の要素を含め、本原理を実行するためにAVD12を制御することを理解されたい。さらに、ネットワークインターフェース20は、有線または無線のモデムまたはルータ、あるいは無線電話トランシーバ、前述のWiーFiトランシーバなどの他の適切なインターフェースであってもよいことに留意されたい。
【0023】
上記に加えて、AVD12は、他のCEデバイスに物理的に接続するための高品位マルチメディアインターフェース(HDMI(登録商標))ポートやUSBポートなどの1つ以上の入力ポートおよび/または出力ポート26、および/またはヘッドフォンをAVD12に接続して、AVD12からのヘッドフォンを介して音声をユーザーに提供するためのヘッドフォンポートを含んでいてもよい。例えば、入力ポート26は、有線または無線で、オーディオビデオコンテンツのケーブルまたは衛星ソース26aに接続することができる。したがって、ソース26aは、別個または統合されたセットトップボックス、あるいは衛星受信機であってもよい。あるいは、ソース26aは、コンテンツを含むゲーム機やディスクプレーヤーであってもよい。ゲーム機として実装される場合のソース26aは、CEデバイス48に関連して以下に説明するコンポーネントの一部または全部を含んでいてもよい。
【0024】
AVD12は、一過性の信号ではないディスクベースまたはソリッドステートストレージなどの1つ以上のコンピュータメモリ28をさらに含むことができ、場合によっては、スタンドアロンデバイスとして、またはAVプログラムを再生するためのAVDのシャーシの内部または外部のいずれかのパーソナルビデオレコーディングデバイス(PVR)またはビデオディスクプレーヤーとして、またはリムーバブルメモリメディアまたは後述のサーバーとして、AVDのシャーシに具現化される。また、一部の実施形態では、AVD12は、衛星または携帯電話基地局から地理的位置情報を受信し、その情報をプロセッサ24に提供し、および/またはプロセッサ24と連動してAVD12が配設される高度を決定するように構成される、携帯電話受信機、GPS受信機および/または高度計30などの位置または所在地受信機を含むことができるが、これらに限定されない。コンポーネント30はまた、AVD12の配置および向きを3次元で決定するために、典型的には加速度計、ジャイロスコープ、および磁気計の組み合わせを含む慣性測定ユニット(IMU)によって、またはイベントベースのセンサによって実装されてもよい。
【0025】
AVD12の説明を続けると、一部の実施形態では、AVD12は、赤外線カメラ、ウェブカムなどのデジタルカメラ、イベントベースのセンサ、および/またはAVD12に統合され、プロセッサ24によって制御可能で、本原理に従って写真/画像および/または映像を収集することができるカメラなど、1つ以上のカメラ32を含んでいてもよい。また、AVD12には、それぞれブルートゥース(登録商標)および/またはNFC技術をそれぞれ使用する他の装置と通信するためのブルートゥース(登録商標)トランシーバ34および他の近距離無線通信(NFC)素子36が含まれる場合がある。NFC素子の一例としては、無線周波数識別(RFID)素子でもよい。
【0026】
さらに、AVD12は、プロセッサ24に入力を提供する1つ以上の補助センサ38(例えば、加速度計、ジャイロスコープ、サイクロメータ、または磁気センサなどのモーションセンサ、赤外線(IR)センサ、光学センサ、速度および/またはケイデンスセンサ、イベントベースのセンサ、ジェスチャセンサ(例えば、ジェスチャコマンドを感知するためのもの))を含んでいてもよい。AVD12は、プロセッサ24に入力を提供するOTAテレビ放送を受信するためのOTAテレビ放送ポート40を含んでいてもよい。上記に加えて、AVD12はまた、IRデータ関連付け(IRDA)デバイスなどの赤外線(IR)送信機および/またはIR受信機および/またはIRトランシーバ42を含んでもよいことに留意されたい。バッテリ(図示せず)を設けて、AVD12に電力を供給してもよく、また、バッテリを充電するための電力および/またはAVD12に電力を供給するための電力に運動エネルギーを変換する運動エネルギーハーベスタであってもよい。グラフィックスプロセシングユニット(GPU)44とフィールドプログラマブルゲートアレイ46を含んでいてもよい。装置を保持または接触している人が感知できる触覚信号を生成するために、1つ以上の触覚生成器47を設けてもよい。
【0027】
引き続き図1を参照するが、AVD12に加えて、システム10は、1つ以上の他のCEデバイスタイプを含んでいてもよい。一例では、第1のCEデバイス48は、AVD12に直接送信されるコマンドを介して、および/または後述のサーバーを介して、コンピュータゲームの音声および映像をAVD12に送信するために使用できるコンピュータゲーム機であってもよく、一方、第2のCEデバイス50は、第1のCEデバイス48と同様のコンポーネントを含んでいてもよい。図示の例では、第2のCEデバイス50は、プレーヤーが操作するコンピュータゲームコントローラ、またはプレーヤーが装着するヘッドマウントディスプレイ(HMD)として構成してもよい。図示の例では、CEデバイスは2つしか示されていないが、これより少ない数または多い数のデバイスを使用してもよいことを理解されたい。本明細書における装置は、AVD12について示したコンポーネントの一部または全部を実装することができる。以下の図に示されるコンポーネントのいずれもが、AVD12の場合に示されるコンポーネントの一部または全部を組み込むことができる。
【0028】
ここで、前述の少なくとも1つのサーバー52を参照すると、少なくとも1つのサーバプロセッサ54と、ディスクベースまたはソリッドステートストレージなどの少なくとも1つの有形コンピュータ可読記憶媒体56と、サーバプロセッサ54の制御下で、ネットワーク22を経由して図1の他の装置との通信を可能にし、実際に本原理に従ってサーバーとクライアント装置との間の通信を容易にすることができる少なくとも1つのネットワークインターフェース58とを含む。尚、ネットワークインターフェース58は、例えば、有線または無線のモデムまたはルータ、WiーFiトランシーバ、あるいは無線電話トランシーバなどの他の適切なインターフェースであってもよい。
【0029】
したがって、一部の実施形態では、サーバー52は、インターネットサーバーまたはサーバー「ファーム」全体であってもよく、例えばネットワークゲームアプリケーションのための例示的な実施形態において、システム10のデバイスがサーバー52を介して「クラウド」環境にアクセスすることができるような「クラウド」機能を含んでいてもよく、かつ実行してもよい。あるいは、サーバー52は、図1に示した他の装置と同じ部屋またはその近くにある1つ以上のゲーム機または他のコンピュータに実装してもよい。
【0030】
以下の図に示すコンポーネントは、図1に示されるコンポーネントの一部または全部を含んでいてもよい。
【0031】
図2は、アニメーション化された移動しているオブジェクト202(図示の例では飛行機)を提示するディスプレイ200を示す図であり、運動ベクトル204によって示されるように左へ移動している。視聴者206は、ディスプレイ200上の静止しているオブジェクト210(この場合は木)を注視点(POG208)として見ている。図2の例では、POGは静止しているオブジェクト210に安定して固定されており、移動しているオブジェクト202に追従していないため、POG208は、移動しているオブジェクト202の進行方向、すなわちx次元において運動ベクトルはゼロである。したがって、線212で示されるモーションブラーが、後述する原理に沿って移動しているオブジェクト202に適用されている。線212の長さは、移動しているオブジェクト202の運動ベクトル212とPOG208の運動ベクトルの大きさの差に比例し得る。線212が移動しているオブジェクト202から離れて延びる方向は、POG208の所在地に向かう方向であり得る。
【0032】
ここで、POG208が、視聴者運動ベクトル300によって示されるように、移動しているオブジェクト202を追っている図3の場合を考える。この場合、視聴者が移動しているオブジェクトを正確に追跡している、つまり、視聴者の運動ベクトル300とオブジェクトの運動ベクトル204の大きさの差がゼロであると仮定する。その結果、移動しているオブジェクト202には最小限の(この場合はゼロの)モーションブラーが適用される。一方、視聴者のPOG208が静止しているオブジェクト210から離れて移動しているため、必要に応じて、静止しているオブジェクト210にモーションブラー302を適用することができる。線302の長さは、静止しているオブジェクト210(ゼロである)の運動ベクトル300とPOG208の運動ベクトルの大きさの差に比例し得る。線302が静止しているオブジェクト210から離れて延びる方向は、POG208の所在地に向かう方向であり得る。
【0033】
ここで図4を参照する。まずブロック400で、ヘッドトラッキングおよび/またはボディトラッキング(例えば、視聴者が移動しているプラットフォーム上にいる場合)を受信することができ、ブロック402でアイトラッキングを受信することができる。したがって、所望であれば、視聴者の注視点(POG)の運動ベクトルは、ブロック404において、体の動き、頭の動き、および目の動きに起因する運動ベクトルの合計であると決定してもよいが、一部の実施形態では(例えば、ディスプレイがHMDであり、視聴者の目がHMD上の内部カメラによって追跡される場合)、視聴者のPOGおよびディスプレイに対するそれの任意の動きを決定するには、アイトラッキングのみを使用すればよい。様々な運動ベクトルをPOGの運動ベクトルに結合することは、ベクトル代数を使って行うことができる。
【0034】
ブロック406に進むと、視聴者が見ているディスプレイ上のオブジェクト(複数可)の運動ベクトル(複数可)が識別される。これは、コンピュータシミュレーションのレンダリングに付随するオブジェクトのメタデータにアクセスすることで行うことができる。
【0035】
次に、ブロック408は、オブジェクトの運動ベクトルとPOGの運動ベクトルとの間の差に基づいて、モーションブラーが適用される(または適用されない)ことを示す。例えば、運動ベクトルが、視聴者が移動しているオブジェクトを追っていることを示す場合、その移動しているオブジェクトにはモーションブラーが適用されないことがあり、一方、所望であれば、静止しているオブジェクトに対して移動する視聴者のPOGに基づいて、ディスプレイ上で動いていないオブジェクトにモーションブラーが適用され得る。一方、視聴者が空間の一点を見つめていて、移動しているオブジェクトを追っていない場合、移動しているオブジェクトにモーションブラーが適用され得る。
【0036】
モーションブラーは、POGの方向または動きと、表示オブジェクトの運動ベクトルと視聴者のPOGとの差の両方に合わせて、図2および図3に示すようにエッジをぼかす/モーションラインを表現することによって、ソフトウェアを介して達成することができる。場合によっては、ブラーが暗黙のうちに起こることもある(例えば、視聴者がVR HMDを横切って目を急速に動かしている場合、視聴者の視覚では画像がぼやけることがある)。場合によっては、目が追跡しているシーンの部分のモーションブラーを減少させるか、または全くなくすことにより、フォーカスを実現することができる。
【0037】
図5は、位置センサ502、頭の動きを感知するためのモーションセンサ504、目を追跡するためのカメラ506、およびHMDのセンサからコンピュータシミュレーションコンソールやサーバーなどのモーションブラーコンピュータ510に信号を送信するためのトランシーバ508を含む、CEデバイス48用の図1に示したコンポーネントのいずれかまたはすべてを使用して実装することができるVR HMD500のようなものを示している。
【0038】
図6および図7は、本明細書における任意のディスプレイのようなディスプレイ600が、オブジェクト604が提示されるディスプレイの小さな部分602のみについて輝度を増加させる能力を有するハードウェア支援の実施形態を示す。輝度制御回路606および露光制御回路608を、部分602などのディスプレイ600の部分の露光および輝度を選択的に変更するために設けてもよい。例えば、輝度を上げたり、露光時間を短くしたりして、モーションブラーを減らすことができる。例えば、VR HMDの場合、画像を短時間露光した後、ディスプレイが黒くなる第2の期間を設けることで、画面を「ストロボ」させてブラーを抑えることができる。ディスプレイは、画面全体にわたって露光時間を変えることができ、画面のごく一部にのみ電力と熱を分配することで、高い露光を実現できるが、その期間は非常に短い。具体的な例として、あるディスプレイは、20%の時間、50%の輝度で画像を表示する(残りの時間は0%の輝度で表示する)。ディスプレイが100%の輝度を10%の時間しか使用しない場合は、同じ数の光子が送られるかもしれない。図2図3の移動しているオブジェクト(飛行機)の場合は、飛行機の輝度を上げ、露光時間を短くしてブラーを抑えることができる(図3)が、一方、眼球運動によってブラーが生じることが望ましい領域については、図2と逆のことをする、つまり、長時間の露光のために輝度を下げる。
【0039】
ブラーは1つの軸に沿って加えたり取り除いたりすることができる。ディスプレイに対する目の相対的な動きvs他の軸に沿ったその他すべて(頭、身体など)による動き。
【0040】
ハードウェアの場合は、フレームバッファだけでなく、ブラー/パーシステンスマスクも追加することができる。このマスクは、ピクセルごと/領域ごとのマスクで、画像をどれだけ持続させるかをハードウェアに通知する。フレームバッファだけでなく、速度場も渡すことができる。非同期再投影が、HMDの近くで起きる場合がある、つまり、HMDは低遅延トラッキングを実行し、それをレンダリングする直前に視野をワープさせることがあるので、視聴者は、ヘッドトラッキングおよび/またはアイトラッキングを組み合わせたのと同等のブラーで、超低遅延再投影を実現できる。HMDはまた、アイトラッキングで似たような動作をすることができ得、目の動きを渡された速度場と組み合わせることで、目からピクセルの動きの最新のスナップショットを作成し、HMD上で実行されるソフトウェアフィルターを通して、または動的にピクセルの露光を調整して、ブラーを調整するかどうかを決定する。
【0041】
本明細書では、特定の実施形態を示し、詳細に説明するが、本発明によって包含される主題は、特許請求の範囲によってのみ限定されることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】