(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】リチウムイオン蓄電デバイス用負極スラリー組成物
(51)【国際特許分類】
H01M 4/62 20060101AFI20240822BHJP
H01M 4/139 20100101ALI20240822BHJP
H01M 4/587 20100101ALI20240822BHJP
H01M 4/48 20100101ALI20240822BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20240822BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20240822BHJP
H01M 10/0568 20100101ALI20240822BHJP
H01M 10/0569 20100101ALI20240822BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20240822BHJP
C08F 220/02 20060101ALI20240822BHJP
C08L 33/00 20060101ALI20240822BHJP
C08F 290/06 20060101ALI20240822BHJP
C08L 1/00 20060101ALI20240822BHJP
C08L 9/06 20060101ALI20240822BHJP
C08K 3/01 20180101ALI20240822BHJP
H01G 11/38 20130101ALI20240822BHJP
H01G 11/60 20130101ALI20240822BHJP
H01G 11/62 20130101ALI20240822BHJP
【FI】
H01M4/62 Z
H01M4/139
H01M4/587
H01M4/48
H01M4/38 Z
H01M4/13
H01M10/0568
H01M10/0569
H01M10/052
C08F220/02
C08L33/00
C08F290/06
C08L1/00
C08L9/06
C08K3/01
H01G11/38
H01G11/60
H01G11/62
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506993
(86)(22)【出願日】2022-06-06
(85)【翻訳文提出日】2024-03-18
(86)【国際出願番号】 US2022072769
(87)【国際公開番号】W WO2023015062
(87)【国際公開日】2023-02-09
(32)【優先日】2021-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】399074983
【氏名又は名称】ピーピージー・インダストリーズ・オハイオ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PPG Industries Ohio,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グルダヤル、フヌ
(72)【発明者】
【氏名】シスコ、スコット ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】シルベスター、ケビン トーマス
【テーマコード(参考)】
4J002
4J100
4J127
5E078
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
4J002AB012
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(57)【要約】
本開示は、(a)α,β-エチレン性不飽和カルボン酸の残基を含む0.1重量%~15重量%の構成単位、(b)ヒドロキシル官能基を含むエチレン性不飽和モノマーの残基を含む0.1重量%~25重量%の構成単位、(c)(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの残基を含む30重量%~90重量%の構成単位、および(d)ビニル芳香族化合物の残基を含む0.1重量%~50重量%の構成単位を含み、重量%が、付加ポリマーの総重量に基づく、付加ポリマーを含む結合剤と、負極活性材料と、水性媒体と、を含む、負極水系スラリー組成物を提供する。スラリー組成物、および蓄電デバイスもまた開示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負極水系スラリー組成物であって、
付加ポリマーを含む結合剤であって、
(a)α,β-エチレン性不飽和カルボン酸の残基を含む0.1重量%~15重量%の構成単位、
(b)ヒドロキシル官能基を含むエチレン性不飽和モノマーの残基を含む0.1重量%~25重量%の構成単位、
(c)(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの残基を含む30重量%~90重量%の構成単位、および
(d)ビニル芳香族化合物の残基を含む0.1重量%~50重量%の構成単位を含み、前記重量%が、前記付加ポリマーの総重量に基づく、結合剤と、
負極活性材料と、
水性媒体と、
を含む、負極水系スラリー組成物。
【請求項2】
前記付加ポリマーが、メトキシ(ポリ(アルキレングリコール))(メタ)アクリレートの残基を含む0.1重量%~10重量%の構成単位をさらに含む、請求項1に記載の負極水系スラリー組成物。
【請求項3】
前記付加ポリマーが、5,000g/mol~1,000,000g/molの重量平均分子量を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の負極水系スラリー組成物。
【請求項4】
前記付加ポリマーが、50℃未満の理論上のガラス転移温度を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の負極水系スラリー組成物。
【請求項5】
前記結合剤が、セルロースまたはセルロース誘導体をさらに含む、先行請求項のいずれか一項に記載の負極水系スラリー組成物。
【請求項6】
前記結合剤が、スチレン-ブタジエンコポリマーをさらに含む、先行請求項のいずれか一項に記載の負極水系スラリー組成物。
【請求項7】
前記結合剤が、スチレン-ブタジエンポリマーを実質的に含まないか、本質的に含まないか、または完全に含まない、先行請求項1~5のいずれか一項に記載の負極水系スラリー組成物。
【請求項8】
前記結合剤が、架橋剤をさらに含む、先行請求項のいずれか一項に記載の負極水系スラリー組成物。
【請求項9】
前記負極活性材料が、グラファイト、ケイ素、酸化ケイ素、またはこれらの組み合わせを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の負極水系スラリー組成物。
【請求項10】
導電性炭素、カーボンナノチューブ、グラフェン、またはこれらの任意の組み合わせを含む導電性添加剤をさらに含む、先行請求項のいずれか一項に記載の負極水系スラリー組成物。
【請求項11】
前記組成物の総固体重量に基づいて、1重量%~10重量%の前記結合剤と、
90重量%~99重量%の前記負極活性材料と、を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の負極水系スラリー組成物。
【請求項12】
前記組成物の総重量に基づいて、0.5重量%~5重量%の結合剤と、
45重量%~49.5重量%の前記負極活性材料と、
45.5重量%~54.5重量%の前記水性媒体と、を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の負極水系スラリー組成物。
【請求項13】
前記組成物の総固体重量に基づいて、0.5重量%~5重量%の前記結合剤と、
0.5重量%~5重量%の前記セルロースまたはセルロース誘導体と、を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の負極水系スラリー組成物。
【請求項14】
有機共溶媒をさらに含む、先行請求項のいずれか一項に記載の負極水系スラリー組成物。
【請求項15】
前記共溶媒が、前記水性媒体の総重量に基づいて、0.1重量%~20重量%の量で存在する、請求項14に記載の負極水系スラリー組成物。
【請求項16】
前記有機共溶媒が、非可燃性の有機共溶媒を含む、請求項14または15に記載の負極水系スラリー組成物。
【請求項17】
非可燃性の共溶媒が、少なくとも93℃の引火点を有する、請求項16に記載の負極水系スラリー組成物。
【請求項18】
負極であって、
(a)集電体と、
(b)前記集電体上に形成されたフィルムであって、前記フィルムが、
(1)付加ポリマーを含む結合剤であって、
(i)α,β-エチレン性不飽和カルボン酸の残基を含む0.1重量%~15重量%の構成単位、
(ii)ヒドロキシル官能基を含むエチレン性不飽和モノマーの残基を含む0.1重量%~25重量%の構成単位、
(iii)(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの残基を含む30重量%~90重量%の構成単位、および
(iv)ビニル芳香族化合物の残基を含む0.1重量%~50重量%の構成単位を含み、前記重量%が、前記付加ポリマーの総重量に基づく、結合剤と、
(2)負極活性材料と、を含むフィルムと、
を備える、負極。
【請求項19】
前記フィルムが、先行請求項1~17のいずれか一項に記載の負極水系スラリー組成物から堆積される、請求項18に記載の電極。
【請求項20】
前記フィルムが、2,000ppm未満、または1,000ppm未満、または200ppm未満の量の残留有機共溶媒を含む、請求項18または19に記載の電極。
【請求項21】
蓄電デバイスであって、
(a)請求項18~20のいずれか一項に記載の負極と、
(b)正極と、
(c)電解質と、
(d)ポリマーセパレータと、
を備える、蓄電デバイス。
【請求項22】
前記電解質(c)が、溶媒中に溶解されたリチウム塩を含む、請求項21に記載の蓄電デバイス。
【請求項23】
前記リチウム塩が、有機カーボネート中に溶解されている、請求項22に記載の蓄電デバイス。
【請求項24】
前記蓄電デバイスが、セル、電池パック、二次電池、キャパシタ、またはスーパーキャパシタを備える、請求項21~23のいずれか一項に記載の蓄電デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる、2021年8月6日に出願された、米国仮特許出願第63/230,231号の利益を主張する。
【0002】
政府支援の通知
本開示は、米国エネルギー省によって授与された政府契約番号DE-EE0006250の下、政府支援を受けてなされたものである。米国政府は、本開示において特定の権利を有する。
【0003】
本開示は、電池などの蓄電デバイス内で使用するための負極を製造する際に使用され得るスラリー組成物に関する。
【背景技術】
【0004】
エレクトロニクス業界では、より小型かつより軽量な電池を電源とするより小型のデバイスを生産する傾向がある。炭素質材料などの負極およびリチウム金属酸化物などの正極を有する電池は、比較的高い電力および低重量を提供することができるが、負極活性層は、充電および放電中に膨張および収縮する。結果として、負の活性材料間の電子伝導率が変化し、および負の活性材料と集電体との間の伝導経路が増加する可能性があり、このため、充電式電池のサイクル特性が低下し得るという問題がある。加えて、典型的な負極結合剤は、コーティングが脆性であり、亀裂または他の欠陥を被るため、厚い活性層コーティングを形成することができない。改善された電極が所望される。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、(a)α,β-エチレン性不飽和カルボン酸の残基を含む0.1重量%~15重量%の構成単位、(b)ヒドロキシル官能基を含むエチレン性不飽和モノマーの残基を含む0.1重量%~25重量%の構成単位、(c)(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの残基を含む30重量%~90重量%の構成単位、および(d)ビニル芳香族化合物の残基を含む0.1重量%~50重量%の構成単位を含み、重量%が、付加ポリマーの総重量に基づく、付加ポリマーを含む結合剤と、負極活性材料と、水性媒体と、を含む、負極水系スラリー組成物を提供する。
【0006】
本開示はまた、(a)集電体と、(b)集電体上に形成されたフィルムと、を含む、負極を提供し、フィルムは、(1)(i)α,β-エチレン性不飽和カルボン酸の残基を含む0.1重量%~15重量%の構成単位、(ii)ヒドロキシル官能基を含むエチレン性不飽和モノマーの残基を含む0.1重量%~25重量%の構成単位、(iii)(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの残基を含む30重量%~90重量%の構成単位、および(iv)ビニル芳香族化合物の残基を含む0.1重量%~50重量%の構成単位を含み、重量%が付加ポリマーの総重量に基づく、付加ポリマーを含む結合剤と、(2)負極活性材料と、を含む。
【0007】
本開示は、(a)集電体と、集電体上に形成されたフィルムと、を備える、負極であって、フィルムが、(1)(i)α,β-エチレン性不飽和カルボン酸の残基を含む0.1重量%~15重量%の構成単位、(ii)ヒドロキシル官能基を含むエチレン性不飽和モノマーの残基を含む0.1重量%~25重量%の構成単位、(iii)(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの残基を含む30重量%~90重量%の構成単位、および(iv)ビニル芳香族化合物の残基を含む0.1重量%~50重量%の構成単位、を含み、重量%が付加ポリマーの総重量に基づく、付加ポリマーを含む結合剤、ならびに(2)負極活性材料を含む、負極と、(b)正極と、(c)電解質と、(d)ポリマーセパレータと、を備える、蓄電デバイスをさらに提供する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、(a)α,β-エチレン性不飽和カルボン酸の残基を含む0.1重量%~15重量%の構成単位、(b)ヒドロキシル官能基を含むエチレン性不飽和モノマーの残基を含む0.1重量%~25重量%の構成単位、(c)30重量%~90重量%の(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、および(d)ビニル芳香族化合物の残基を含む0.1重量%~50重量%の構成単位を含み、重量%が付加ポリマーの総重量に基づく、付加ポリマーを含む結合剤と、負極活性材料と、水性媒体と、を含む、負極水系スラリー組成物を対象とする。
【0009】
本開示のスラリー組成物は、付加ポリマーを含む。付加ポリマーは、不飽和モノマーの残基を含む構成単位を含む。付加ポリマーは、ブロックポリマー、ランダムポリマー、またはグラジエントポリマーの形態にあり得る。
【0010】
付加ポリマーは、α,β-エチレン性不飽和カルボン酸の残基を含む構成単位を含み得る。α,β-エチレン性不飽和カルボン酸の非限定的な例としては、アクリル酸およびメタクリル酸などの最大10個の炭素原子を含有するものが挙げられる。他の不飽和酸の非限定的な例は、マレイン酸またはその無水物、フマル酸およびイタコン酸などのα,β-エチレン性不飽和ジカルボン酸である。また、これらのジカルボン酸の半エステルが用いられ得る。α,β-エチレン性不飽和カルボン酸の残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、例えば、少なくとも0.5重量%、例えば、少なくとも1重量%、例えば、少なくとも1.5重量%、例えば、少なくとも3重量%、例えば、少なくとも5重量%を含み得る。α,β-エチレン性不飽和カルボン酸の残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、15重量%以下、例えば、10重量%以下、例えば、8重量%以下、例えば、6重量%以下、例えば、5重量%以下、例えば、4重量%以下、例えば、3重量%以下、例えば、2重量%以下、例えば、1.5重量%以下、例えば、1.0重量%以下を含み得る。α,β-エチレン性不飽和カルボン酸の残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、0.1重量%~15重量%、例えば、0.1重量%~10重量%、例えば、0.1重量%~8重量%、例えば、0.1重量%~6重量%、例えば、0.1重量%~5重量%、例えば、0.1重量%~4重量%、例えば、0.5重量%~3重量%、例えば、0.1重量%~2重量%、例えば、0.1重量%~1.5重量%、例えば、0.1重量%~1.0重量%、例えば、0.5重量%~15重量%、例えば、0.5重量%~10重量%、例えば、0.5重量%~8重量%、例えば、0.5重量%~6重量%、例えば、0.5重量%~5重量%、例えば、0.5重量%~4重量%、例えば、0.5重量%~3重量%、例えば、0.5重量%~2重量%、例えば、0.5重量%~1.5重量%、例えば、0.5重量%~1.0重量%、例えば、1重量%~15重量%、例えば、1重量%~10重量%、例えば、1重量%~8重量%、例えば、1重量%~6重量%、例えば、1重量%~5重量%、例えば、1重量%~4重量%、例えば、1重量%~3重量%、例えば、1重量%~2重量%、例えば、1重量%~1.5重量%、例えば、1.5重量%~15重量%、例えば、1.5重量%~10重量%、例えば、1.5重量%~8重量%、例えば、1.5重量%~6重量%、例えば、1.5重量%~5重量%、例えば、1.5重量%~4重量%、例えば、1.5重量%~3重量%、例えば、1.5重量%~2重量%、例えば、3重量%~15重量%、例えば、3重量%~10重量%、例えば、3重量%~8重量%、例えば、3重量%~6重量%、例えば、3重量%~5重量%、例えば、3重量%~4重量%、例えば、5重量%~15重量%、例えば、5重量%~10重量%、例えば、5重量%~8重量%、例えば、5重量%~6重量%を含み得る。付加ポリマーは、反応混合物中で使用される重合性モノマーの総重量に基づいて、0.1重量%~15重量%、例えば、0.1重量%~10重量%、例えば、0.1重量%~8重量%、例えば、0.1重量%~6重量%、例えば、0.1重量%~5重量%、例えば、0.1重量%~4重量%、例えば、0.5重量%~3重量%、例えば、0.1重量%~2重量%、例えば、0.1重量%~1.5重量%、例えば、0.1重量%~1.0重量%、例えば、0.5重量%~15重量%、例えば、0.5重量%~10重量%、例えば、0.5重量%~8重量%、例えば、0.5重量%~6重量%、例えば、0.5重量%~5重量%、例えば、0.5重量%~4重量%、例えば、0.5重量%~3重量%、例えば、0.5重量%~2重量%、例えば、0.5重量%~1.5重量%、例えば、0.5重量%~1.0重量%、例えば、1重量%~15重量%、例えば、1重量%~10重量%、例えば、1重量%~8重量%、例えば、1重量%~6重量%、例えば、1重量%~5重量%、例えば、1重量%~4重量%、例えば、1重量%~3重量%、例えば、1重量%~2重量%、例えば、1重量%~1.5重量%、例えば、1.5重量%~15重量%、例えば、1.5重量%~10重量%、例えば、1.5重量%~8重量%、例えば、1.5重量%~6重量%、例えば、1.5重量%~5重量%、例えば、1.5重量%~4重量%、例えば、1.5重量%~3重量%、例えば、1.5重量%~2重量%、例えば、3重量%~15重量%、例えば、3重量%~10重量%、例えば、3重量%~8重量%、例えば、3重量%~6重量%、例えば、3重量%~5重量%、例えば、3重量%~4重量%、例えば、5重量%~15重量%、例えば、5重量%~10重量%、例えば、5重量%~8重量%、例えば、5重量%~6重量%の量で、α,β-エチレン性不飽和カルボン酸を含む反応混合物に由来し得る。付加ポリマー中のα,β-エチレン性不飽和カルボン酸の残基を含む構成単位の包含は、少なくとも1つのカルボン酸基を含む付加ポリマーをもたらす。α,β-エチレン性不飽和カルボン酸の包含から生じるカルボン酸基は、例えば、カルボジイミド、ポリエポキシド、ポリオキサゾリン、およびポリアジリジンなどのカルボン酸基と反応する官能基を含む別に添加された架橋剤と反応し得る。
【0011】
付加ポリマーは、ヒドロキシル官能基を含むエチレン性不飽和モノマーの残基を含む構成単位を含み得る。ヒドロキシル官能基を含むエチレン性不飽和モノマーの非限定的な例としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、およびヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキルエステルが挙げられる。ヒドロキシル官能基を含むエチレン性不飽和モノマーの残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、例えば、少なくとも0.5重量%、例えば、少なくとも1重量%、例えば、少なくとも1.5重量%、例えば、少なくとも3重量%、例えば、少なくとも5重量%、例えば、少なくとも7重量%、例えば、少なくとも8重量%を含み得る。ヒドロキシル官能基を含むエチレン性不飽和モノマーの残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、25重量%以下、例えば、20重量%以下、例えば、15重量%以下、例えば、10重量%以下、例えば、8重量%以下、例えば、6重量%以下、例えば、5重量%以下、例えば、3重量%以下、例えば、2重量%以下、例えば、1重量%以下を含み得る。ヒドロキシル官能基を含むエチレン性不飽和モノマーの残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、0.1重量%~25重量%、例えば、0.1重量%~20重量%、例えば、0.1重量%~15重量%、例えば、0.1重量%~10重量%、例えば、0.1重量%~8重量%、例えば、0.1重量%~6重量%、例えば、0.1重量%~5重量%、例えば、0.1重量%~3重量%、例えば、0.1重量%~2重量%、例えば、0.1重量%~1重量%、例えば、0.5重量%~25重量%、例えば、0.5重量%~20重量%、例えば、0.5重量%~15重量%、例えば、0.5重量%~10重量%、例えば、0.5重量%~8重量%、例えば、0.5重量%~6重量%、例えば、0.5重量%~5重量%、例えば、0.5重量%~3重量%、例えば、0.5重量%~2重量%、例えば、0.5重量%~1重量%、例えば、1重量%~25重量%、例えば、1重量%~20重量%、例えば、1重量%~15重量%、例えば、1重量%~10重量%、例えば、1重量%~8重量%、例えば、1重量%~6重量%、例えば、1重量%~5重量%、例えば、1重量%~3重量%、例えば、1重量%~2重量%、例えば、1.5重量%~25重量%、例えば、1.5重量%~20重量%、例えば、1.5重量%~15重量%、例えば、1.5重量%~10重量%、例えば、1.5重量%~8重量%、例えば、1.5重量%~6重量%、例えば、1.5重量%~5重量%、例えば、1.5重量%~3重量%、例えば、1.5重量%~2重量%、例えば、3重量%~25重量%、例えば、3重量%~20重量%、例えば、3重量%~15重量%、例えば、3重量%~10重量%、例えば、3重量%~8重量%、例えば、3重量%~6重量%、例えば、3重量%~5重量%、例えば、5重量%~25重量%、例えば、5重量%~20重量%、例えば、5重量%~15重量%、例えば、5重量%~10重量%、例えば、5重量%~8重量%、例えば、5重量%~6重量%、例えば、7重量%~25重量%、例えば、7重量%~20重量%、例えば、7重量%~15重量%、例えば、7重量%~10重量%、例えば、7重量%~8重量%、例えば、8重量%~25重量%、例えば、8重量%~20重量%、例えば、8重量%~15重量%、例えば、8重量%~10重量%の量を含み得る。付加ポリマーは、反応混合物中で使用される重合性モノマーの総重量に基づいて、0.1重量%~25重量%、例えば、0.1重量%~20重量%、例えば、0.1重量%~15重量%、例えば、0.1重量%~10重量%、例えば、0.1重量%~8重量%、例えば、0.1重量%~6重量%、例えば、0.1重量%~5重量%、例えば、0.1重量%~3重量%、例えば、0.1重量%~2重量%、例えば、0.1重量%~1重量%、例えば、0.5重量%~25重量%、例えば、0.5重量%~20重量%、例えば、0.5重量%~15重量%、例えば、0.5重量%~10重量%、例えば、0.5重量%~8重量%、例えば、0.5重量%~6重量%、例えば、0.5重量%~5重量%、例えば、0.5重量%~3重量%、例えば、0.5重量%~2重量%、例えば、0.5重量%~1重量%、例えば、1重量%~25重量%、例えば、1重量%~20重量%、例えば、1重量%~15重量%、例えば、1重量%~10重量%、例えば、1重量%~8重量%、例えば、1重量%~6重量%、例えば、1重量%~5重量%、例えば、1重量%~3重量%、例えば、1重量%~2重量%、例えば、1.5重量%~25重量%、例えば、1.5重量%~20重量%、例えば、1.5重量%~15重量%、例えば、1.5重量%~10重量%、例えば、1.5重量%~8重量%、例えば、1.5重量%~6重量%、例えば、1.5重量%~5重量%、例えば、1.5重量%~3重量%、例えば、1.5重量%~2重量%、例えば、3重量%~25重量%、例えば、3重量%~20重量%、例えば、3重量%~15重量%、例えば、3重量%~10重量%、例えば、3重量%~8重量%、例えば、3重量%~6重量%、例えば、3重量%~5重量%、例えば、5重量%~25重量%、例えば、5重量%~20重量%、例えば、5重量%~15重量%、例えば、5重量%~10重量%、例えば、5重量%~8重量%、例えば、5重量%~6重量%、例えば、7重量%~25重量%、例えば、7重量%~20重量%、例えば、7重量%~15重量%、例えば、7重量%~10重量%、例えば、7重量%~8重量%、例えば、8重量%~25重量%、例えば、8重量%~20重量%、例えば、8重量%~15重量%、例えば、8重量%~10重量%の量でヒドロキシアルキルを含む反応混合物に由来し得る。付加ポリマー中にヒドロキシアルキルエステルの残基を含む構成単位の包含は、少なくとも1つのヒドロキシル基を含む付加ポリマーをもたらす(ただし、ヒドロキシル基は、他の方法によって含まれ得る)。ヒドロキシアルキルエステルの包含から生じる(または他の手段によって組み込まれる)ヒドロキシル基は、付加ポリマーに組み込まれるヒドロキシル基と反応する基を有する、例えば、アミノプラスト、フェノールプラスト、およびポリエポキシドなどのヒドロキシル基と反応する官能基を含む別に添加された架橋剤と反応し得る。
【0012】
付加ポリマーは、(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの残基を含む構成単位をさらに含み得る。(メタ)アクリル酸のアルキルエステルは、アルキル基中に1~18個の炭素原子を含み得る。(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの非限定的な例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、およびドデシル(メタ)アクリレート、ならびにシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどの脂環式基を有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、少なくとも30重量%、例えば、少なくとも35重量%、例えば、少なくとも40重量%、例えば、少なくとも45重量%、例えば、少なくとも50重量%、例えば、少なくとも55重量%、例えば、少なくとも60重量%を含み得る。(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、90%以下、例えば、85%以下、例えば、80%以下、例えば、75%以下、例えば、70%以下、例えば、65%以下、例えば、60%以下を含み得る。(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、30重量%~90重量%、例えば、30重量%~85重量%、例えば、30重量%~80重量%、例えば、30重量%~75重量%、例えば、30重量%~70重量%、例えば、30重量%~65重量%、例えば、30重量%~60重量%、例えば、35重量%~90重量%、例えば、35重量%~85重量%、例えば、35重量%~80重量%、例えば、35重量%~75重量%、例えば、35重量%~70重量%、例えば、35重量%~65重量%、例えば、35重量%~60重量%、例えば、40重量%~90重量%、例えば、40重量%~85重量%、例えば、40重量%~80重量%、例えば、40重量%~75重量%、例えば、40重量%~70重量%、例えば、40重量%~65重量%、例えば、40重量%~60重量%、例えば、45重量%~90重量%、例えば、45重量%~85重量%、例えば、45重量%~80重量%、例えば、45重量%~75重量%、例えば、45重量%~70重量%、例えば、45重量%~65重量%、例えば、45重量%~60重量%、例えば、50重量%~90重量%、例えば、50重量%~85重量%、例えば、50重量%~80重量%、例えば、50重量%~75重量%、例えば、50重量%~70重量%、例えば、50重量%~65重量%、例えば、50重量%~60重量%、例えば、55重量%~90重量%、例えば、55重量%~85重量%、例えば、55重量%~80重量%、例えば、55重量%~75重量%、例えば、55重量%~70重量%、例えば、55重量%~65重量%、例えば、55重量%~60重量%、例えば、60重量%~90重量%、例えば、60重量%~85重量%、例えば、60重量%~80重量%、例えば、60重量%~75重量%、例えば、60重量%~70重量%、例えば、60重量%~65重量%を含み得る。付加ポリマーは、反応混合物中で使用される重合性モノマーの総重量に基づいて、30重量%~90重量%、例えば、30重量%~85重量%、例えば、30重量%~80重量%、例えば、30重量%~75重量%、例えば、30重量%~70重量%、例えば、30重量%~65重量%、例えば、30重量%~60重量%、例えば、35重量%~90重量%、例えば、35重量%~85重量%、例えば、35重量%~80重量%、例えば、35重量%~75重量%、例えば、35重量%~70重量%、例えば、35重量%~65重量%、例えば、35重量%~60重量%、例えば、40重量%~90重量%、例えば、40重量%~85重量%、例えば、40重量%~80重量%、例えば、40重量%~75重量%、例えば、40重量%~70重量%、例えば、40重量%~65重量%、例えば、40重量%~60重量%、例えば、45重量%~90重量%、例えば、45重量%~85重量%、例えば、45重量%~80重量%、例えば、45重量%~75重量%、例えば、45重量%~70重量%、例えば、45重量%~65重量%、例えば、45重量%~60重量%、例えば、50重量%~90重量%、例えば、50重量%~85重量%、例えば、50重量%~80重量%、例えば、50重量%~75重量%、例えば、50重量%~70重量%、例えば、50重量%~65重量%、例えば、50重量%~60重量%、例えば、55重量%~90重量%、例えば、55重量%~85重量%、例えば、55重量%~80重量%、例えば、55重量%~75重量%、例えば、55重量%~70重量%、例えば、55重量%~65重量%、例えば、55重量%~60重量%、例えば、60重量%~90重量%、例えば、60重量%~85重量%、例えば、60重量%~80重量%、例えば、60重量%~75重量%、例えば、60重量%~70重量%、例えば、60重量%~65重量%の量で(メタ)アクリル酸のアルキルエステルを含む、反応混合物に由来し得る。
【0013】
付加ポリマーは、ビニル芳香族化合物の残基を含む構成単位をさらに含み得る。ビニル芳香族化合物の非限定的な例としては、スチレン、α-メチルスチレン、α-クロロスチレン、およびビニルトルエンが挙げられる。ビニル芳香族化合物の残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、例えば、少なくとも1重量%、例えば、少なくとも5重量%、例えば、少なくとも10重量%、例えば、少なくとも15重量%、例えば、少なくとも20重量%、例えば、少なくとも25重量%を含み得る。ビニル芳香族化合物の残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、50重量%以下、例えば、40重量%以下、例えば、30重量%以下、例えば、20重量%以下、例えば、15重量%以下、例えば、10重量%以下を含み得る。ビニル芳香族化合物の残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、例えば、0.1重量%~50重量%、例えば、0.1重量%~40重量%、例えば、0.1重量%~30重量%、例えば、0.1重量%~20重量%、例えば、0.1重量%~15重量%、例えば、0.1重量%~10重量%、例えば、1重量%~50重量%、例えば、1重量%~40重量%、例えば、1重量%~30重量%、例えば、1重量%~20重量%、例えば、1重量%~15重量%、例えば、1重量%~10重量%、例えば、5重量%~50重量%、例えば、5重量%~40重量%、例えば、5重量%~30重量%、例えば、5重量%~20重量%、例えば、5重量%~15重量%、例えば、5重量%~10重量%、例えば、10重量%~50重量%、例えば、10重量%~40重量%、例えば、10重量%~30重量%、例えば、10重量%~20重量%、例えば、10重量%~15重量%、例えば、15重量%~50重量%、例えば、15重量%~40重量%、例えば、15重量%~30重量%、例えば、15重量%~20重量%、例えば、20重量%~50重量%、例えば、20重量%~40重量%、例えば、20重量%~30重量%、例えば、25重量%~50重量%、例えば、25重量%~40重量%、例えば、25重量%~30重量%を含み得る。付加ポリマーは、反応混合物中で使用される重合性モノマーの総重量に基づいて、例えば、0.1重量%~50重量%、例えば、0.1重量%~40重量%、例えば、0.1重量%~30重量%、例えば、0.1重量%~20重量%、例えば、0.1重量%~15重量%、例えば、0.1重量%~10重量%、例えば、1重量%~50重量%、例えば、1重量%~40重量%、例えば、1重量%~30重量%、例えば、1重量%~20重量%、例えば、1重量%~15重量%、例えば、1重量%~10重量%、例えば、5重量%~50重量%、例えば、5重量%~40重量%、例えば、5重量%~30重量%、例えば、5重量%~20重量%、例えば、5重量%~15重量%、例えば、5重量%~10重量%、例えば、10重量%~50重量%、例えば、10重量%~40重量%、例えば、10重量%~30重量%、例えば、10重量%~20重量%、例えば、10重量%~15重量%、例えば、15重量%~50重量%、例えば、15重量%~40重量%、例えば、15重量%~30重量%、例えば、15重量%~20重量%、例えば、20重量%~50重量%、例えば、20重量%~40重量%、例えば、20重量%~30重量%、例えば、25重量%~50重量%、例えば、25重量%~40重量%、例えば、25重量%~30重量%の量で、ビニル芳香族化合物を含む反応混合物に由来し得る。
【0014】
付加ポリマーは、必要に応じて、メトキシ(ポリ(アルキレングリコール))(メタ)アクリレートの残基を含む構成単位をさらに含み得る。メトキシ(ポリ(アルキレングリコール))(メタ)アクリレートの非限定的な例として、メトキシ(ポリ(エチレングリコール))(メタ)アクリレートおよびメトキシ(ポリ(プロピレングリコール))(メタ)アクリレートが挙げられる。存在する場合、メトキシ(ポリ(アルキレングリコール))(メタ)アクリレートの残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、例えば、少なくとも0.5重量%、例えば、少なくとも1重量%、例えば、少なくとも1.5重量%、例えば、少なくとも3重量%、例えば、少なくとも5重量%を含み得る。存在する場合、メトキシ(ポリ(アルキレングリコール))(メタ)アクリレートの残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、10重量%以下、例えば、8重量%以下、例えば、6重量%以下、例えば、5重量%以下、例えば、4重量%以下、例えば、3重量%以下、例えば、2重量%以下、例えば、1.5重量%以下、例えば、1.0重量%以下を含み得る。メトキシ(ポリ(アルキレングリコール))(メタ)アクリレートの残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、0.1重量%~10重量%、例えば、0.1重量%~8重量%、例えば、0.1重量%~6重量%、例えば、0.1重量%~5重量%、例えば、0.1重量%~4重量%、例えば、0.5重量%~3重量%、例えば、0.1重量%~2重量%、例えば、0.1重量%~1.5重量%、例えば、0.1重量%~1.0重量%、例えば、0.5重量%~10重量%、例えば、0.5重量%~8重量%、例えば、0.5重量%~6重量%、例えば、0.5重量%~5重量%、例えば、0.5重量%~4重量%、例えば、0.5重量%~3重量%、例えば、0.5重量%~2重量%、例えば、0.5重量%~1.5重量%、例えば、0.5重量%~1.0重量%、例えば、1重量%~10重量%、例えば、1重量%~8重量%、例えば、1重量%~6重量%、例えば、1重量%~5重量%、例えば、1重量%~4重量%、例えば、1重量%~3重量%、例えば、1重量%~2重量%、例えば、1重量%~1.5重量%、例えば、1.5重量%~10重量%、例えば、1.5重量%~8重量%、例えば、1.5重量%~6重量%、例えば、1.5重量%~5重量%、例えば、1.5重量%~4重量%、例えば、1.5重量%~3重量%、例えば、1.5重量%~2重量%、例えば、3重量%~10重量%、例えば、3重量%~8重量%、例えば、3重量%~6重量%、例えば、3重量%~5重量%、例えば、3重量%~4重量%、例えば、5重量%~10重量%、例えば、5重量%~8重量%、例えば、5重量%~6重量%を含み得る。付加ポリマーは、反応混合物中で使用される重合性モノマーの総重量に基づいて、0.1重量%~10重量%、例えば、0.1重量%~8重量%、例えば、0.1重量%~6重量%、例えば、0.1重量%~5重量%、例えば、0.1重量%~4重量%、例えば、0.5重量%~3重量%、例えば、0.1重量%~2重量%、例えば、0.1重量%~1.5重量%、例えば、0.1重量%~1.0重量%、例えば、0.5重量%~10重量%、例えば、0.5重量%~8重量%、例えば、0.5重量%~6重量%、例えば、0.5重量%~5重量%、例えば、0.5重量%~4重量%、例えば、0.5重量%~3重量%、例えば、0.5重量%~2重量%、例えば、0.5重量%~1.5重量%、例えば、0.5重量%~1.0重量%、例えば、1重量%~10重量%、例えば、1重量%~8重量%、例えば、1重量%~6重量%、例えば、1重量%~5重量%、例えば、1重量%~4重量%、例えば、1重量%~3重量%、例えば、1重量%~2重量%、例えば、1重量%~1.5重量%、例えば、1.5重量%~10重量%、例えば、1.5重量%~8重量%、例えば、1.5重量%~6重量%、例えば、1.5重量%~5重量%、例えば、1.5重量%~4重量%、例えば、1.5重量%~3重量%、例えば、1.5重量%~2重量%、例えば、3重量%~10重量%、例えば、3重量%~8重量%、例えば、3重量%~6重量%、例えば、3重量%~5重量%、例えば、3重量%~4重量%、例えば、5重量%~10重量%、例えば、5重量%~8重量%、例えば、5重量%~6重量%の量でメトキシ(ポリ(アルキレングリコール))(メタ)アクリレートを含む、反応混合物に由来し得る。
【0015】
付加ポリマーは、必要に応じて、他のα,β-エチレン性不飽和モノマーの残基を含む構成単位を含み得る。他のα,β-エチレン性不飽和モノマーの非限定的な例としては、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルなどの有機ニトリル、アリルクロリドおよびアリルシアニドなどのアリルモノマー、1,3-ブタジエンおよび2-メチル-1,3-ブタジエンなどのモノマージエン、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート(AAEM)(自己架橋であり得る)などのアセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ヘキサンジオールジアクリレートなどの二官能性不飽和モノマー、酢酸ビニルなどのビニルエステル、N-ビニルアセトアミドおよびN-ビニルピロリドンなどのN-ビニルアミドおよびN-ビニルラクタム、アクリルアミド、N-ブトキシメチロールアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、およびジアセトンアクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミドが挙げられる。他のα,β-エチレン性不飽和モノマーの残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、少なくとも0.5重量%、例えば、少なくとも1重量%、例えば、少なくとも1.5重量%を含み得る。他のα,β-エチレン性不飽和モノマーの残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、20重量%、例えば、15重量%以下、例えば、8重量%以下、例えば、6重量%以下、例えば、5重量%以下、例えば、4重量%以下、例えば、3重量%以下、例えば、2重量%以下、例えば、1.5重量%以下、例えば、1.0重量%以下を含み得る。他のα,β-エチレン性不飽和モノマーの残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、0.5重量%~20重量%、例えば、0.5重量%~15重量%、例えば、0.5重量%~10重量%、例えば、0.5重量%~8重量%、例えば、0.5重量%~6重量%、例えば、0.5重量%~5重量%、例えば、0.5重量%~4重量%、例えば、0.5重量%~3重量%、例えば、0.5重量%~2重量%、例えば、0.5重量%~1.5重量%、例えば、0.5重量%~1.0重量%、例えば、1重量%~20重量%、例えば、1重量%~15重量%、例えば、1重量%~10重量%、例えば、1重量%~8重量%、例えば、1重量%~6重量%、例えば、1重量%~5重量%、例えば、1重量%~4重量%、例えば、1重量%~3重量%、例えば、1重量%~2重量%、例えば、1重量%~1.5重量%、例えば、1.5重量%~20重量%、例えば、1.5重量%~15重量%、例えば、1.5重量%~10重量%、例えば、1.5重量%~8重量%、例えば、1.5重量%~6重量%、例えば、1.5重量%~5重量%、例えば、1.5重量%~4重量%、例えば、1.5重量%~3重量%、例えば、1.5重量%~2重量%を含み得る。付加ポリマーは、反応混合物であって、他のα,β-エチレン性不飽和モノマーを、反応混合物に使用される重合性モノマーの総重量に基づいて、0.5重量%~20重量%、例えば、0.5重量%~15重量%、例えば、0.5重量%~10重量%、例えば、0.5重量%~8重量%、例えば、0.5重量%~6重量%、例えば、0.5重量%~5重量%、例えば、0.5重量%~4重量%、例えば、0.5重量%~3重量%、例えば、0.5重量%~2重量%、例えば、0.5重量%~1.5重量%、例えば、0.5重量%~1.0重量%、例えば、1重量%~20重量%、例えば、1重量%~15重量%、例えば、1重量%~10重量%、例えば、1重量%~8重量%、例えば、1重量%~6重量%、例えば、1重量%~5重量%、例えば、1重量%~4重量%、例えば、1重量%~3重量%、例えば、1重量%~2重量%、例えば、1重量%~1.5重量%、例えば、1.5重量%~20重量%、例えば、1.5重量%~15重量%、例えば、1.5重量%~10重量%、例えば、1.5重量%~8重量%、例えば、1.5重量%~6重量%、例えば、1.5重量%~5重量%、例えば、1.5重量%~4重量%、例えば、1.5重量%~3重量%、例えば、1.5重量%~2重量%の量で含む、反応混合物、に由来し得る。
【0016】
モノマーおよび相対量は、得られた付加ポリマーが、50℃または50℃未満のTgを有するように選択され得る。得られた(メタ)アクリルポリマーは、例えば、少なくとも-50℃、例えば、少なくとも-40℃、例えば、-30℃、例えば、-20℃、例えば、-15℃、例えば-10℃、例えば-5℃、例えば、0℃のTgを有し得る。得られた(メタ)アクリルポリマーは、例えば、+50℃以下、例えば、+40℃以下、例えば、+25℃以下、例えば、+15℃以下、例えば、+10℃以下、例えば、+5℃以下、例えば、0℃以下のTgを有し得る。得られた(メタ)アクリルポリマーは、例えば、-50~+50℃、例えば、-50~+40℃、例えば、-50~+25℃、例えば、-50~+20℃、例えば、-50~+15℃、例えば、-50~+10℃、例えば、-50~+5℃、例えば、-50~0℃、例えば、-40~+50℃、例えば、-40~+40℃、例えば、-40~+25℃、例えば、-40~+20℃、例えば、-40~+15℃、例えば、-40~+10℃、例えば、-40~+5℃、例えば、-40~0℃、例えば、-30~+50℃、例えば、-30~+40℃、例えば、-30~+25℃、例えば、-30~+20℃、例えば、-30~+15℃、例えば、-30~+10℃、例えば、-30~+5℃、例えば、-30~0℃、例えば、-20~+50℃、例えば、-20~+40℃、例えば、-20~+25℃、例えば、-20~+20℃、例えば、-20~+15℃、例えば、-20~+10℃、例えば、-20~+5℃、例えば、-20~0℃、例えば、-15~+50℃、例えば、-15~+40℃、例えば、-15~+25℃、例えば、-15~+20℃、例えば、-15~+15℃、例えば、-15~+10℃、例えば、-15~+5℃、例えば、-15~0℃、例えば、-10~+50℃、例えば、-10~+40℃、例えば、-10~+25℃、例えば、-10~+20℃、例えば、-10~+15℃、例えば、-10~+10℃、例えば、-10~+5℃、例えば、-10~0℃、例えば、-5~+50℃、例えば、-5~+40℃、例えば、-5~+25℃、例えば、-5~+20℃、例えば、-5~+15℃、例えば、-5~+10℃、例えば、-5~+5℃、例えば、-5~0℃、例えば、0~+50℃、例えば、0~+40℃、例えば、0~+25℃、例えば、0~+20℃、例えば、0~+15℃のTgを有し得る。低温で許容可能な電池性能を確保するには、0℃を下回るより低いTgが望ましい場合がある。
【0017】
付加ポリマーは、少なくとも少なくとも5,000g/mol、例えば、少なくとも20,000g/mol、例えば、少なくとも50,000g/mol、例えば、少なくとも75,000g/mol、例えば、少なくとも95,000g/molの重量平均分子量を有し得る。付加ポリマーは、1,000,000g/mol以下、例えば、500,000g/mol以下、例えば、200,000g/mol以下、例えば、150,000g/mol以下、例えば、100,000g/mol以下の重量平均分子量を有し得る。付加ポリマーは、5,000~1,000,000g/mol、例えば、5,000~500,000g/mol、例えば、5,000~200,000g/mol、例えば、5,000~150,000g/mol、例えば、5,000~100,000g/mol、例えば、20,000~1,000,000g/mol、例えば、20,000~500,000g/mol、例えば、20,000~200,000g/mol、例えば、20,000~150,000g/mol、例えば、20,000~100,000g/mol、例えば、50,000~1,000,000g/mol、例えば、50,000~500,000g/mol、例えば、50,000~200,000g/mol、例えば、50,000~150,000g/mol、例えば、50,000~100,000g/mol、例えば、75,000~1,000,000g/mol、例えば、75,000~500,000g/mol、例えば、75,000~200,000g/mol、例えば、75,000~150,000g/mol、例えば、75,000~100,000g/mol、例えば、95,000~1,000,000g/mol、例えば、95,000~500,000g/mol、例えば、95,000~200,000g/mol、例えば、95,000~150,000g/mol、例えば、95,000~100,000g/molの重量平均分子量を有し得る。
【0018】
付加ポリマーは、重合性モノマーが、溶媒または溶媒の混合物を含む有機媒体中に溶解され、転換が完了するまでフリーラジカル開始剤の存在下で重合される、従来のフリーラジカル開始溶液重合技術によって調製され得る。
【0019】
フリーラジカル開始剤の例としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(α、γ-メチルバレロニトリル)、過安息香酸三級ブチル、過酢酸三級ブチル、過酸化ベンゾイル、過酸化二三級ブチルおよび過酸化三級アミル2-エチルヘキシルカーボネートなどの有機媒体中に可溶性であるものである。
【0020】
必要に応じて、アルキルメルカプタンなどのモノマー、例えば、三級-ドデシルメルカプタン、メチルエチルケトンなどのケトン、クロロホルムなどのクロロハイドロカーボンの混合物中に可溶性である連鎖移動剤を使用することができる。連鎖移動剤は、様々なコーティング用途に必要な粘度を有する生成物を得るように、分子量を制御する。
【0021】
付加ポリマーを調製するために、溶媒が、最初に加熱されて、還流させ得、次いで、重合性モノマーの混合物およびフリーラジカル開始剤の混合物が、ある期間にわたって、別に還流溶媒に添加され得る。次いで、重合性モノマーの混合物の総重量に基づいて、遊離モノマー含有量を、1.0パーセントを下回るように、通常は0.5パーセントを下回るように低減するように、重合温度で保持する。
【0022】
有機媒体中で重合した後、および水性媒体中に分散する前に、付加ポリマーのカルボン酸基は、存在する場合、付加ポリマーを中和塩基と接触させることによって少なくとも部分的に中和され得る。好適な中和塩基の例としては、例えば、ジメチルエタノールアミン(DMEA)、トリメチルアミン、メチルジエタノールアミン、エチルメチルエタノールアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルプロピルアミン、ジメチル3-ヒドロキシ-1-プロピルアミン、ジメチルベンジルアミン、ジメチル2-ヒドロキシ-1-プロピルアミン、ジエチルメチルアミン、ジメチル1-ヒドロキシ-2-プロピルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N-メチルモルホリンなどの三級アミン;アンモニア;ヒドラジン;金属アルミニウム;金属亜鉛;元素Li、Na、K、Mg、Ca、Fe(II)およびSn(II)の水溶性酸化物;元素Li、Na、K、Mg、Ca、Fe(II)およびSn(II)の水溶性水酸化物;元素Li、Na、K、Mg、Ca、Fe(II)およびSn(II)の水溶性炭酸塩;ならびにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。中和塩基は、三級アミンを含み得る。中和塩基は、ジメチルエタノールアミン(DMEA)を含み得る。
【0023】
溶液重合付加ポリマーは、中和塩基の付加の前、最中、または後に、水中に実質的に溶解および/または分散され得る。溶液重合付加ポリマーは、中和塩基の付加中に、水中に実質的に溶解および/または分散され得る。したがって、溶液重合付加ポリマーは、溶媒中で形成され、その後、実質的に水中に溶解および/または分散され得る。溶液重合付加ポリマーは、それが水に実質的に溶解され得るように、十分な官能性を有し得る。
【0024】
付加ポリマーはまた、従来のエマルション重合技術によって調製され得る。付加ポリマーは、従来のエマルションバッチプロセスまたは連続プロセスによって調製することができる。バッチプロセスの一例では、モノマー組成物を、最初に水を充填した加熱反応器に1時間~4時間の期間にわたって供給する。開始剤は、同時に供給することができるか、モノマー組成物の一部とすることができるか、またはモノマー組成物中に供給される前に、反応器に充填することができる。最適な温度は、使用される具体的な開始剤に依存する。時間の長さは、2時間~6時間の範囲であり得、反応温度は、25℃~90℃の範囲であり得る。
【0025】
別の例では、水およびモノマー組成物の少量の部分を少量の界面活性剤およびフリーラジカル開始剤を用いて反応器に充填し、シードを形成し得る。残りのモノマー、界面活性剤、および水のプレエマルションを、窒素ブランケットを使用して、約80℃~85℃の反応温度で、所定の期間(例えば、3時間)にわたって開始剤とともに供給する。1時間保持した後、モノマー供給が完了すると、残留遊離モノマー(過酸化水素/イソアスコルビン酸を含む)を還元するための酸化還元後供給を、反応器に添加する。次いで、ラテックス生成物を、pH7~8に中和する。
【0026】
エマルション重合反応混合物は、界面活性剤を含み得る。界面活性剤は、アニオン型、カチオン型、または非イオン型安定剤であり得る。アニオン性界面活性剤の好適な例としては、例えば、ドデシルサルフェートナトリウムまたはポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートナトリウムなどのアルキルサルフェート;例えば、ドデシルベンゼンスルホネートナトリウムなどのアリールスルホネート;例えば、ジイソブチルスルホサクシネートナトリウム、ジオクチルスルホサクシネートナトリウム、およびジシクロヘキシルスルホサクシネートナトリウムなどのスルホサクシネート;ならびにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。非イオン性乳化剤の好適な例としては、例えば、ポリエチレングリコールモノラウリルエーテルなどの脂肪アルコールエトキシレート;例えば、ポリエチレングリコールモノステアレートまたはポリエチレングリコールモノラウレートなどの脂肪酸エトキシレート;プルロニクスとしても知られ、この種類の市販製品としては、Dow Chemicalから市販されているTergitol(RTM)XJ、XHまたはXDが挙げられる、例えば、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロックポリマーなどのポリエーテルブロックポリマー;ならびにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。カチオン性乳化剤の好適な例としては、例えば、セチルトリメチルアンモニウムクロリドまたはベンジルドデシルジメチルアンモニウムブロマイドなどのアミン塩;ならびにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。アニオン性乳化剤およびカチオン性乳化剤の混合物が望ましくない場合があることは、当業者によって理解されるであろう。
【0027】
エチレン性不飽和モノマーの重合を行うために、フリーラジカル開始剤が、多くの場合存在する。水溶性および油溶性開始剤の両方を使用することができる。酸化還元開始剤などの特定の開始剤の添加は、強い発熱反応をもたらす可能性があるため、一般的に、反応が行われる直前に、開始剤を他の構成成分に添加することが望ましい。水溶性開始剤の例としては、ペルオキシ二硫酸アンモニウム、ペルオキシ二硫酸カリウム、および過酸化水素が挙げられる。油溶性開始剤の例としては、t-ブチルヒドロペルオキシド、ジラウリルペルオキシド、t-ブチルペルベンゾエート、および2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)が挙げられる。ペルオキシニ硫酸アンモニウム/メタ重亜硫酸ナトリウムまたはt-ブチルヒドロペルオキシド/イソアスコルビン酸などの酸化還元開始剤が、本明細書において利用され得る。
【0028】
代替的に、水性媒体中の付加ポリマーは、Newton,MassのMicrofluidics Corporationから入手可能なMICROFLUIDIZER(登録商標)乳化剤を使用して、マイクロ流体化などの高応力技術によって調製することができる。MICROFLUIDIZER(登録商標)高圧インピンジメント乳化剤は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,533,254号に開示される。デバイスは、高圧力(最大1.4×105kPa(20,000psi))ポンプ、および乳化が行われる相互作用チャンバからなる。ポンプは、水性媒体中の反応物の混合物をチャンバ内に押圧し、チャンバ内で混合物は、少なくとも2つのスリットを非常に高速で通過して衝突する少なくとも2つの流れに分割され、混合物が粒子化され小さい粒子になる。一般に、反応混合物は、3.5×104~1×105kPa(5,000~15,000psi)の圧力で一度乳化剤を通過する。複数の通過は、小さい平均粒径、および粒径分布のより狭い範囲をもたらし得る。前述のMICROFLUIDIZER(登録商標)乳化剤を使用する場合、説明されているように、応力が液体-液体インピンジメントによって加えられる。しかしながら、所望される場合、必要な粒径分布を達成するために、すなわち、重合後、20%未満のポリマー微粒子が5マイクロメートルを超える平均直径を有するように、十分な応力が加えられる限り、プレ乳化混合物に応力を加える他のモードを利用することができることを理解されたい。例えば、応力を加える1つの代替的な方法は、超音波エネルギーの使用である。
【0029】
重合が完了すると、得られた生成物は、水性媒体中の付加ポリマーの安定した分散体である。したがって、水性媒体は、水溶性付加ポリマーを実質的に含まない場合がある。得られた付加ポリマーは、当然のことながら、水性媒体中で不溶性である。本明細書で使用される場合、「実質的に含まない」とは、水性媒体が、付加ポリマーの総重量に基づいて、30重量%以下の溶解付加ポリマー、例えば、15重量%以下を含有することを意味する。「安定して分散した」とは、ポリマー微粒子が静止時に沈降せず、製造中または静止中に本質的に凝固または凝集しないことを意味する。
【0030】
水性媒体中の付加ポリマーの粒径は、一様に小さくあり得、すなわち、重合後、付加ポリマーの20重量%未満が、5マイクロメートル超、例えば、1マイクロメートル超の平均直径を有する。概して、付加ポリマーは、0.01マイクロメートル~10マイクロメートルの平均直径を有する。重合後の付加ポリマーの平均直径は、0.05マイクロメートル~0.5マイクロメートルの範囲であり得る。粒径は、Coulterから市販されているCoulter N4機器などの粒径分析器で測定することができる。機器には、粒径測定のための詳細な使用説明書が付属している。しかしながら、簡単に言えば、水性分散液の試料は、試料濃度が機器によって必要とされる指定された限界内に入るまで水で希釈される。測定時間は、10分である。
【0031】
付加ポリマーは、結合剤固体の総重量に基づいて、少なくとも30重量%、例えば、少なくとも40重量%、例えば、少なくとも50重量%、例えば、少なくとも65重量%、例えば、少なくとも80重量%、例えば、少なくとも90重量%、例えば、少なくとも95重量%の量で、結合剤中に存在し得る。付加ポリマーは、結合剤固体の総重量に基づいて、100重量%、例えば、95重量%以下、例えば、85重量%以下、例えば、75重量%以下、例えば、65重量%以下の量で、結合剤中に存在し得る。付加ポリマーは、結合剤固体の総重量に基づいて、30重量%~100重量%、例えば、30重量%~95重量%、例えば、30重量%~85重量%、例えば、30重量%~75重量%、例えば、30重量%~65重量%、例えば、40重量%~100重量%、例えば、40重量%~95重量%、例えば、40重量%~85重量%、例えば、40重量%~75重量%、例えば、40重量%~65重量%、例えば、50重量%~100重量%、例えば、50重量%~95重量%、例えば、50重量%~85重量%、例えば、50重量%~75重量%、例えば、50重量%~65重量%、例えば、65重量%~100重量%、例えば、65重量%~95重量%、例えば、65重量%~85重量%、例えば、65重量%~75重量%、例えば、80重量%~100重量%、例えば、80重量%~95重量%、例えば、80重量%~85重量%、例えば、90重量%~100重量%、例えば、90重量%~95重量%、95重量%~100重量%の量で、結合剤中に存在し得る。
【0032】
付加ポリマーは、スラリー組成物の総固体重量に基づいて、少なくとも1重量%、例えば、少なくとも2重量%、例えば、少なくとも3重量%、例えば、少なくとも4重量%の量で、スラリー組成物中に存在し得る。付加ポリマーは、スラリー組成物の総固体重量に基づいて、10重量%以下、例えば、8重量%以下、例えば、5重量%以下、例えば、4重量%以下、例えば、3重量%以下、例えば、2重量%以下、例えば、1重量%以下の量で存在し得る。付加ポリマーは、スラリー組成物の総固体重量に基づいて、1重量%~10重量%、例えば、1重量%~8重量%、例えば、1重量%~5重量%、例えば、1重量%~4重量%、例えば、1重量%~3重量%、例えば、1重量%~2重量%、例えば、2重量%~10重量%、例えば、2重量%~8重量%、例えば、2重量%~5重量%、例えば、2重量%~4重量%、例えば、2重量%~3重量%、例えば、3重量%~10重量%、例えば、3重量%~8重量%、例えば、3重量%~5重量%、例えば、3重量%~4重量%、例えば、4重量%~5重量%の量で存在し得る。
【0033】
付加ポリマーは、スラリー組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.5重量%、例えば、少なくとも1重量%、例えば、少なくとも2重量%、例えば、少なくとも3重量%、例えば、少なくとも4重量%の量で、スラリー組成物中に存在し得る。付加ポリマーは、スラリー組成物の総重量に基づいて、5重量%以下、例えば、4重量%以下、例えば、3重量%以下、例えば、2重量%以下、例えば、1重量%以下の量で存在し得る。付加ポリマーは、スラリー組成物の総重量に基づいて、0.5重量%~5重量%、例えば、0.5重量%~4重量%、例えば、0.5重量%~3重量%、例えば、0.5重量%~2重量%、例えば、0.5重量%~1重量%、例えば、1重量%~5重量%、例えば、1重量%~4重量%、例えば、1重量%~3重量%、例えば、1重量%~2重量%、例えば、2重量%~5重量%、例えば、2重量%~4重量%、例えば、2重量%~3重量%、例えば、3重量%~5重量%、例えば、3重量%~4重量%、例えば、4重量%~5重量%の量で存在し得る。
【0034】
本開示のスラリー組成物は、水性媒体をさらに含む。本発明で使用される場合、「水性媒体」という用語は、水性媒体の総重量に基づいて、50重量%超の水を含む液体媒体を指す。水性媒体は、水性媒体の総重量に基づいて、少なくとも60重量%、例えば、少なくとも70重量%、例えば、少なくとも80重量%、例えば、少なくとも90重量%の量で水を含み得る。水性媒体は、水性媒体の総重量に基づいて、51重量%~100重量%、例えば、60重量%~100重量%、例えば、70重量%~100重量%、例えば、80重量%~100重量%、例えば、90重量%~100重量%の量で水を含み得る。水性媒体は、スラリー組成物の総重量に基づいて、少なくとも30重量%、例えば、少なくとも35重量%、例えば、少なくとも40重量%、例えば、少なくとも45.5重量%の量で存在し得る。水性媒体は、スラリー組成物の総重量に基づいて、60重量%以下、例えば、54.5重量%以下の量で存在し得る。水性媒体は、スラリー組成物の総重量に基づいて、30重量%~60重量%、例えば、30重量%~54.5重量%、例えば、35重量%~60重量%、例えば、35重量%~54.5重量%、例えば、40重量%~60重量%、例えば、40重量%~54.5重量%、例えば、45.5重量%~60重量%、例えば、45.5重量%~54.5重量%の量で存在し得る。
【0035】
スラリー組成物は、必要に応じて、有機共溶媒をさらに含み得る。任意の好適な有機溶媒が使用され得る。有機共溶媒の非限定的な例としては、トリエチルホスフェート、ブチルCELLOSOLVE(2-ブトキシエタノール)、ブチルCARBITOL(2-ブトキシエタノール)、DOWANOL PnB(プロピレングリコールn-ブチルエーテル)、ヘキシルCELLOSOLVE(エチレングリコールモノヘキシルエーテル)、またはこれらの任意の組み合わせなどのトリアルキルホスフェートが挙げられる。
【0036】
有機共溶媒は、必要に応じて、非可燃性有機共溶媒を含み得る。本明細書で使用される場合、「非可燃性、有機共溶媒」という用語は、少なくとも93℃の引火点を有する有機溶媒を指す。非可燃性共溶媒の非限定的な例としては、トリエチルホスフェート、ブチルCARBITOL(2-ブトキシエタノール)、またはこれらの任意の組み合わせなどのトリアルキルホスフェートが挙げられる。
【0037】
有機共溶媒は、仮にあったとしても、水性媒体の総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、例えば、0.25重量%、例えば、少なくとも0.5重量%、例えば、少なくとも1重量%の量で、存在し得る。有機共溶媒は、仮にあったとしても、水性媒体の総重量に基づいて、20重量%以下、例えば、15重量%以下、例えば、10重量%以下、例えば、5重量%以下、例えば、4重量%以下、例えば、3重量%以下、例えば、2重量%以下の量で、存在し得る。有機共溶媒は、仮にあったとしても、水性媒体の総重量に基づいて、0.1重量%~20重量%、例えば、0.1重量%~15重量%、例えば、0.1重量%~10重量%、例えば、0.1重量%~5重量%、例えば、0.1重量%~4重量%、例えば、0.1重量%~3重量%、例えば、0.1重量%~2重量%、例えば、0.25重量%~20重量%、例えば、0.25重量%~15重量%、例えば、0.25重量%~10重量%、例えば、0.25重量%~5重量%、例えば、0.25重量%~4重量%、例えば、0.25重量%~3重量%、例えば、0.25重量%~2重量%、例えば、0.5重量%~20重量%、例えば、0.5重量%~15重量%、例えば、0.5重量%~10重量%、例えば、0.5重量%~5重量%、例えば、0.5重量%~3重量%、例えば、0.5重量%~2重量%、例えば、1重量%~20重量%、例えば、1重量%~15重量%、例えば、1重量%~10重量%、例えば、1重量%~5重量%、例えば、1重量%~4重量%、例えば、1重量%~3重量%、例えば、1重量%~2重量%の量で存在し得る。
【0038】
スラリー組成物は、必要に応じて、スチレンブタジエンコポリマーをさらに含み得る。本明細書で使用される場合、「スチレンブタジエンコポリマー」という用語は、スチレン(またはその誘導体)およびブタジエンを含むコポリマーを指す。
【0039】
存在する場合、スチレンブタジエンコポリマーは、スラリー組成物の総固体重量に基づいて、少なくとも0.5重量%、例えば、少なくとも1重量%、例えば、少なくとも2重量%、例えば、少なくとも3重量%、例えば、少なくとも4重量%の量で、スラリー組成物中に存在し得る。スチレンブタジエンコポリマーは、スラリー組成物の総固体重量に基づいて、5重量%以下、例えば、4重量%以下、例えば、3重量%以下、例えば、2重量%以下、例えば、1重量%以下の量で存在し得る。スチレンブタジエンコポリマーは、スラリー組成物の総固体重量に基づいて、0.5重量%~5重量%、例えば、0.5重量%~4重量%、例えば、0.5重量%~3重量%、例えば、0.5重量%~2重量%、例えば、0.5重量%~1重量%、例えば、1重量%~5重量%、例えば、1重量%~4重量%、例えば、1重量%~3重量%、例えば、1重量%~2重量%、例えば、2重量%~5重量%、例えば、2重量%~4重量%、例えば、2重量%~3重量%、例えば、3重量%~5重量%、例えば、3重量%~4重量%、4重量%~5重量%の量で、存在し得る。
【0040】
代替的に、スラリー組成物は、スチレンブタジエンコポリマーを実質的に含まない、本質的に含まない、または完全に含まない場合があり得る。本明細書で使用される場合、スラリー組成物は、スチレンブタジエンコポリマーが、仮にあったとしても、スラリー組成物の総固体重量に基づいて、0.5重量%未満の量で存在する場合、スチレンブタジエンコポリマーを「実質的に含まない」。本明細書で使用される場合、スラリー組成物は、スチレンブタジエンコポリマーが、仮にあったとしても、スラリー組成物の総固体重量に基づいて、0.1重量%未満の量で存在する場合、スチレンブタジエンコポリマーを「本質的に含まない」。本明細書で使用される場合、スラリー組成物は、スチレンブタジエンコポリマーが、スラリー組成物中に存在しない、すなわち、スラリー組成物の総固体重量に基づいて、0.0重量%の場合、スチレンブタジエンコポリマーを「完全に含まない」。
【0041】
スラリー組成物は、必要に応じて、セルロース誘導体を含み得る。セルロース誘導体は、例えば、カルボキシメチルセルロースおよびその塩(CMC)であり得る。CMCは、無水グルコース環上のヒドロキシル基の一部分がカルボキシメチル基で置換されたセルロースエーテルである。カルボキシメチル置換の程度は、0.4~3の範囲であり得る。CMCは長鎖ポリマーであるため、水溶液中のその粘度は、重量平均ベースで50,000~2,000,000g/molで変化し得るその分子量に依存する。カルボキシメチルセルロースは、少なくとも50,000g/mol、例えば、少なくとも100,000g/mol、またはいくつかの場合、少なくとも200,000g/mol、例えば、50,000~1,000,000g/mol、100,000~500,000g/mol、または200,000~300,000g/molの重量平均分子量を有し得る。
【0042】
セルロース誘導体は、結合剤固体の総重量に基づいて、少なくとも30重量%、例えば、少なくとも40重量%、例えば、少なくとも50重量%、例えば、少なくとも65重量%、例えば、少なくとも80重量%、例えば、少なくとも90重量%、例えば、少なくとも95重量%の量で、結合剤中に存在し得る。セルロース誘導体は、結合剤固体の総重量に基づいて、100重量%、例えば、95重量%以下、例えば、85重量%以下、例えば、75重量%以下、例えば、65重量%以下の量で、結合剤中に存在し得る。セルロース誘導体は、結合剤固体の総重量に基づいて、30重量%~100重量%、例えば、30重量%~95重量%、例えば、30重量%~85重量%、例えば、30重量%~75重量%、例えば、30重量%~65重量%、例えば、40重量%~100重量%、例えば、40重量%~95重量%、例えば、40重量%~85重量%、例えば、40重量%~75重量%、例えば、40重量%~65重量%、例えば、50重量%~100重量%、例えば、50重量%~95重量%、例えば、50重量%~85重量%、例えば、50重量%~75重量%、例えば、50重量%~65重量%、例えば、65重量%~100重量%、例えば、65重量%~95重量%、例えば、65重量%~85重量%、例えば、65重量%~75重量%、例えば、80重量%~100重量%、例えば、80重量%~95重量%、例えば、80重量%~85重量%、例えば、90重量%~100重量%、例えば、90重量%~95重量%、95重量%~100重量%の量で、結合剤中に存在し得る。
【0043】
セルロース誘導体は、スラリー組成物の総固体重量に基づいて、少なくとも1重量%、例えば、少なくとも2重量%、例えば、少なくとも3重量%、例えば、少なくとも4重量%の量で、スラリー組成物中に存在し得る。セルロース誘導体は、スラリー組成物の総固体重量に基づいて、10重量%以下、例えば、8重量%以下、例えば、5重量%以下、例えば、4重量%以下、例えば、3重量%以下、例えば、2重量%以下、例えば、1重量%以下の量で存在し得る。セルロース誘導体は、スラリー組成物の総固体重量に基づいて、1重量%~10重量%、例えば、1重量%~8重量%、例えば、1重量%~5重量%、例えば、1重量%~4重量%、例えば、1重量%~3重量%、例えば、1重量%~2重量%、例えば、2重量%~10重量%、例えば、2重量%~8重量%、例えば、2重量%~5重量%、例えば、2重量%~4重量%、例えば、2重量%~3重量%、例えば、3重量%~10重量%、例えば、3重量%~8重量%、例えば、3重量%~5重量%、例えば、3重量%~4重量%、例えば、4重量%~5重量%の量で存在し得る。
【0044】
セルロース誘導体は、スラリー組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.5重量%、例えば、少なくとも1重量%、例えば、少なくとも2重量%、例えば、少なくとも3重量%、例えば、少なくとも4重量%の量で、スラリー組成物中に存在し得る。セルロース誘導体は、スラリー組成物の総重量に基づいて、5重量%以下、例えば、4重量%以下、例えば、3重量%以下、例えば、2重量%以下、例えば、1重量%以下の量で存在し得る。セルロース誘導体は、スラリー組成物の総重量に基づいて、0.5重量%~5重量%、例えば、0.5重量%~4重量%、例えば、0.5重量%~3重量%、例えば、0.5重量%~2重量%、例えば、0.5重量%~1重量%、例えば、1重量%~5重量%、例えば、1重量%~4重量%、例えば、1重量%~3重量%、例えば、1重量%~2重量%、例えば、2重量%~5重量%、例えば、2重量%~4重量%、例えば、2重量%~3重量%、例えば、3重量%~5重量%、例えば、3重量%~4重量%、例えば、4重量%~5重量%の量で存在し得る。
【0045】
スラリー組成物は、必要に応じて、付加ポリマーとの反応のために別に添加された架橋剤をさらに含み得る。架橋剤は、水性媒体中に可溶性または分散性であり、存在する場合、カルボン酸基およびヒドロキシル基などの付加ポリマーの活性水素基と反応性である。好適な架橋剤の非限定的な例としては、アミノプラスト樹脂、フェノプラスト樹脂、カルボジイミド、ポリオキサゾリン、ポリアジリジン、ブロックポリイソシアネート、およびポリエポキシドが挙げられる。
【0046】
架橋剤として使用するためのアミノプラスト樹脂の例は、メラミンまたはベンゾグアナミンなどのトリアジンをホルムアルデヒドと反応させることによって形成されるものである。これらの反応生成物は、反応性N-メチルロール基を含有する。通常、これらの反応性基を、それらの混合物を含むメタノール、エタノール、ブタノールでエーテル化して、それらの反応性を調節する。アミノプラスト樹脂の化学調製および使用については、Dr.Oldringによって編集された「The Chemistry and Applications of Amino Crosslinking Agents or Aminoplast」,Vol.V,Part II,page 21 ff.;John Wiley&Sons/Cita Technology Limited,London,1998を参照されたい。これらの樹脂は、MAPRENAL MF980などの商標MAPRENAL(登録商標)で、およびCytec Industriesから入手可能なCYMEL303およびCYMEL1128などの商標CYMEL(登録商標)で、市販されている。
【0047】
ブロックポリイソシアネート架橋剤は、典型的には、イソシアネート基が、ε-カプロラクトンおよびメチルエチルケトキシムなどの材料と反応(「ブロック化」)するイソシアネート二量体およびその三量体を含む、トルエンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、およびイソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネートである。硬化温度では、ブロッキング剤は、(メタ)アクリルポリマーと関連するヒドロキシル官能基と反応性であるイソシアネート官能基を露出させるブロックを解除する。ブロックポリイソシアネート架橋剤は、DESMODUR BLとしてCovestroから市販されている。
【0048】
フェノプラスト樹脂は、アルデヒドとフェノールとの縮合によって形成される。好適なアルデヒドとしては、ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドが挙げられる。パラホルムアルデヒドおよびヘキサメチレンテトラミンなどのメチレン放出剤およびアルデヒド放出剤もまた、アルデヒド剤として利用することができる。フェノール自体、クレゾール、または直鎖、分岐鎖、もしくは環状構造のいずれかを有する炭化水素ラジカルが芳香族環中の水素と置換されている置換フェノールなどの、様々なフェノールを使用することができる。フェノールの混合物も用いることができる。好適なフェノールのいくつかの具体的な例は、p-フェニルフェノール、p-tert-ブチルフェノール、p-tert-アミルフェノール、シクロペンチルフェノール、およびブテニル基をオルト位、メタ位、またはパラ位に含み、二重結合が炭化水素鎖中の様々な位置に発生するモノブテニルフェノールなどの不飽和炭化水素置換フェノールである。
【0049】
カルボジイミド架橋剤は、モノマーもしくはポリマー形態、またはこれらの混合物であり得る。カルボジイミド架橋剤とは、以下の構造を有する化合物を指す:
R-N=C=N-R’
式中、RおよびR’は、各々個別に、脂肪族基、芳香族基、アルキル芳香族基、カルボン酸基、または複素環基を含み得る。市販されているカルボジイミド架橋剤の例としては、例えば、CARBODILITE V-02-L2、CARBODILITE SV-02、CARBODILITE E-02、CARBODILITE SW-12G、CARBODILITE V-10、およびCARBODILITE E-05など、Nisshinbo Chemical Inc.から入手可能な、CARBODILITEの商標名で販売されているものが挙げられる。
【0050】
ポリエポキシド架橋剤の例は、エポキシ含有(メタ)アクリルポリマー、例えば、他のビニルモノマーと共重合したグリシジルメタクリレートから調製したもの、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルなどの多価フェノールのポリグリシジルエーテル;ならびに3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、およびビス(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシル-メチル)アジペートなどの脂環式ポリエポキシドである。
【0051】
別に添加された架橋剤は、最大25重量%、例えば、0.1重量%~25重量%、例えば、0.1重量%~15重量%、例えば、1重量%~25重量%、例えば、1重量%~15重量%の量でスラリー組成物中に存在し得、重量%は、結合剤固体の総重量に基づく。
【0052】
結合剤固体は、スラリーの総固体重量に基づいて、少なくとも1重量%、例えば、少なくとも1.5重量%、例えば、少なくとも2重量%、例えば、少なくとも3重量%、例えば、少なくとも4重量%の量で、スラリー組成物中に存在し得る。結合剤固体は、スラリーの総固体重量に基づいて、10重量%以下、例えば、7.5重量%以下、例えば、5重量%以下、例えば、4重量%以下、例えば、3重量%以下の量で、スラリー組成物中に存在し得る。結合剤固体は、スラリーの総固体重量に基づいて、1重量%~10重量%、例えば、1重量%~7.5重量%、例えば、1重量%~5重量%、例えば、1重量%~4重量%、例えば、1重量%~3重量%、例えば、1.5重量%~10重量%、例えば、1.5重量%~7.5重量%、例えば、1.5重量%~5重量%、例えば、1.5重量%~4重量%、例えば、1.5重量%~3重量%、例えば、2重量%~10重量%、例えば、2重量%~7.5重量%、例えば、2重量%~5重量%、例えば、2重量%~4重量%、例えば、2重量%~3重量%、例えば、3重量%~10重量%、例えば、3重量%~7.5重量%、例えば、3重量%~5重量%、例えば、3重量%~4重量%、例えば、4重量%~10重量%、例えば、4重量%~7.5重量%、例えば、4重量%~5重量%の量で、スラリー組成物中に存在し得る。
【0053】
スラリー組成物は、負極活性材料をさらに含む。スラリー中に含有される負極活性材料を構成する材料は、特に限定されず、対象となる蓄電デバイスの種類に従って、好適な材料が選択され得る。負極活性材料は、グラファイト、ケイ素、酸化ケイ素、またはこれらの組み合わせを含み得る。
【0054】
負極活性材料は、スラリー組成物の総固体重量に基づいて、少なくとも90重量%、例えば、91重量%、例えば、少なくとも92重量%、例えば、93重量%、例えば、95重量%、例えば97重量%、例えば98重量%の量で、スラリー組成物中に存在し得る。負極活性材料は、スラリー組成物の総固体重量に基づいて、99重量%以下、例えば、97重量%以下、例えば、95重量%以下の量で、スラリー組成物中に存在し得る。負極活性材料は、スラリー組成物の総固体重量に基づいて、90重量%~99重量%、例えば、90重量%~97重量%、例えば、90重量%~95重量%、例えば、91重量%~99重量%、例えば、91重量%~97重量%、例えば、91重量%~95重量%、例えば、92重量%~99重量%、例えば、92重量%~97重量%、例えば、92重量%~95重量%、例えば、93重量%~99重量%、例えば、93重量%~97重量%、例えば、93重量%~95重量%、例えば、95重量%~99重量%、例えば、95重量%~97重量%、例えば、97重量%~99重量%、例えば、98重量%~99重量%の量で、スラリー組成物中に存在し得る。
【0055】
負極活性材料は、スラリー組成物の総重量に基づいて、少なくとも45重量%、例えば、47重量%、例えば、少なくとも49重量%の量で、スラリー組成物中に存在し得る。負極活性材料は、スラリー組成物の総重量に基づいて、49.5重量%以下、例えば、48重量%以下、例えば、46重量%以下の量で、スラリー組成物中に存在し得る。負極活性材料は、スラリー組成物の総重量に基づいて、45重量%~49.5重量%、例えば、45重量%~48重量%、例えば、45重量%~46重量%、例えば、47重量%~49.5重量%、例えば、47重量%~48重量%、例えば、49重量%~49.5重量%の量で、スラリー組成物中に存在し得る。
【0056】
本開示のスラリー組成物は、必要に応じて、導電剤をさらに含み得る。導電剤は、グラファイトよりも高い導電率を有する材料である。導電剤の非限定的な例としては、活性炭などの炭素質材料、アセチレンブラックおよびファーネスブラックなどのカーボンブラック、グラフェン、単層カーボンナノチューブおよび/または多層カーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブ、炭素繊維、フラーレン、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0057】
導電剤は、仮にあったとしても、スラリーの総固体重量に基づいて、少なくとも0.01重量%、例えば、少なくとも0.05重量%、例えば、少なくとも0.1重量%、例えば、少なくとも0.5重量%、例えば、少なくとも1重量%、例えば、少なくとも1.5重量%、例えば、少なくとも2重量%の量で、スラリー中に存在し得る。導電剤は、スラリーの総固体重量に基づいて、10重量%以下、例えば、7.5重量%以下、例えば、5重量%以下、例えば、4重量%以下、例えば、3重量%以下、例えば、2.5重量%以下、例えば、2重量%以下、例えば、1.5重量%以下の量で、スラリー中に存在し得る。導電剤は、スラリーの総固体重量に基づいて、0.01重量%~10重量%、例えば、0.01重量%~7.5重量%、例えば、0.01重量%~5重量%、例えば、0.01重量%~4重量%、例えば、0.01重量%~3重量%、例えば、0.01重量%~2.5重量%、例えば、0.01重量%~2重量%、例えば、0.01重量%~1.5重量%、例えば、0.05重量%~10重量%、例えば、0.05重量%~7.5重量%、例えば、0.05重量%~5重量%、例えば、0.05重量%~4重量%、例えば、0.05重量%~3重量%、例えば、0.05重量%~2.5重量%、例えば、0.05重量%~2重量%、例えば、0.05重量%~1.5重量%、例えば、0.1重量%~10重量%、例えば、0.1重量%~7.5重量%、例えば、0.1重量%~5重量%、例えば、0.1重量%~4重量%、例えば、0.1重量%~3重量%、例えば、0.1重量%~2.5重量%、例えば、0.1重量%~2重量%、例えば、0.1重量%~1.5重量%、例えば、0.5重量%~10重量%、例えば、0.5重量%~7.5重量%、例えば、0.5重量%~5重量%、例えば、0.5重量%~4重量%、例えば、0.5重量%~3重量%、例えば、0.5重量%~2.5重量%、例えば、0.5重量%~2重量%、例えば、0.5重量%~1.5重量%、例えば、1重量%~10重量%、例えば、1重量%~7.5重量%、例えば、1重量%~5重量%、例えば、1重量%~4重量%、例えば、1重量%~3重量%、例えば、1重量%~2.5重量%、例えば、1重量%~2重量%、例えば、1重量%~1.5重量%、例えば、1.5重量%~10重量%、例えば、1.5重量%~7.5重量%、例えば、1.5重量%~5重量%、例えば、1.5重量%~4重量%、例えば、1.5重量%~3重量%、例えば、1.5重量%~2.5重量%、例えば、1.5重量%~2重量%、例えば、2重量%~10重量%、例えば、2重量%~7.5重量%、例えば、2重量%~5重量%、例えば、2重量%~4重量%、例えば、2重量%~3重量%、例えば、2重量%~2.5重量%の量で、スラリー中に存在し得る。
【0058】
水性媒体と、負極活性材料と、結合剤分散体(別に添加される架橋剤を含み得る)と、導電材料などの必要に応じた構成成分と、を含む、負極スラリー組成物は、構成成分を組み合わせてスラリーを形成することによって調製され得る。これらの物質は、撹拌器、ビーズミル、または高圧ホモジナイザーなどの既知の手段で撹拌することによって一緒に混合することができる。
【0059】
電極スラリー組成物の製造のための混合および撹拌については、満足のいく分散条件を満たす程度にこれらの成分を撹拌することができるミキサーを選択すべきである。分散の程度は、粒ゲージで測定され得、混合および分散は、好ましくは、100マイクロメートルまたは100マイクロメートルより多くの凝集塊が存在しないことを確実にするために実施される。この条件を満たすミキサーの例としては、ボールミル、サンドミル、顔料分散機、粉砕機、押出機、ローターステータ、パグミル、超音波分散機、ホモジナイザー、遊星ミキサー、ホバートミキサー、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0060】
本開示はまた、(a)集電体と、(b)集電体上に形成されたフィルムと、を含む、負極を対象とし、フィルムは、(1)(i)0.1重量%~15重量%の(メタ)アクリル酸、(ii)ヒドロキシル官能基を含む0.1重量%~25重量%のエチレン性不飽和モノマー、(iii)30重量%~90重量%の(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、および(iv)0.1重量%~50重量%のビニル芳香族化合物を含み、重量%は、付加ポリマーの総重量に基づく、付加ポリマーを含む結合剤と、(2)負極活性材料と、を含む。フィルムは、上で説明された負極スラリー組成物から堆積され得る。負極は、上で説明されたスラリー組成物を集電体の表面に塗布して、コーティングフィルムを形成し、続いてコーティングフィルムを乾燥および/または硬化することによって製造され得る。コーティングフィルムは、少なくとも1マイクロメートル、例えば、1~500マイクロメートル(μm)、例えば、150~500μm、例えば、200~500μm、または200~500μmを超える厚さを有し得る。コーティングフィルムは、架橋コーティングを備え得、フィルムは、架橋剤の残基をさらに含み得る。集電体は、導電性材料を含み得、導電性材料は、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、およびそれらの合金、ならびにステンレス鋼などの金属を含み得る。例えば、集電体は、メッシュ、シート、または箔の形態のアルミニウムまたは銅を含み得る。集電体の形状および厚さは、特に限定されないが、集電体は、約0.001~0.5mmの厚さを有するメッシュ、シート、または箔など、約0.001~0.5mmの厚さを有し得る。
【0061】
加えて、集電体は、スラリー組成物を堆積させる前に、前処理組成物で前処理され得る。本明細書で使用される場合、「前処理組成物」という用語は、集電体と接触すると、集電体表面と反応し、集電体表面を化学的に変化させ、それに結合して保護層を形成する組成物を指す。前処理組成物は、IIIBおよび/またはIVB族金属を含む前処理組成物であり得る。本明細書で使用される場合、「IIIB族および/またはIVB族金属」という用語は、例えば、Handbook of Chemistry and Physics,63rd edition(1983)に示されているように、CAS元素周期表のIIIB族またはIVB族にある元素を指す。該当する場合、金属自体が使用され得るが、IIIB族および/またはIVB族金属化合物も使用され得る。本発明で使用される場合、「IIIB族および/またはIVB族金属化合物」という用語は、元素のCAS周期表のIIIB族またはIVB族にある少なくとも1つの元素を含む化合物を指す。集電体を前処理するための好適な前処理組成物および方法は、米国特許第9,273,399号の第4欄、第60行~第10欄、第26行に説明されており、その引用部分は、参照により本明細書に組み込まれる。前処理組成物は、正極または負極を生じさせるために使用される集電体を処理するために使用され得る。
【0062】
スラリー組成物を集電体に塗布する方法は、特に限定されない。スラリー組成物は、ドクターブレードコーティング、ディップコーティング、リバースロールコーティング、ダイレクトロールコーティング、グラビアコーティング、押出コーティング、浸漬、またはブラッシングによって塗布され得る。スラリー組成物の塗布量は、特に限定されないが、集電体の側面当たり、水性媒体が除去された後に形成されるコーティングの厚さは、少なくとも1マイクロメートル、例えば、1~500マイクロメートル(μm)、例えば、150~500μm、例えば、200~500μm、または200~500μmを超え得る。例えば、形成されたコーティングの厚さは、側面当たり200マイクロメートルまたは200マイクロメートルを超え得る。
【0063】
該当する場合、塗布後のコーティングフィルムの乾燥および/または架橋は、高温、例えば、少なくとも40℃、例えば、少なくとも50℃、例えば、少なくとも60℃、例えば、40~145℃、例えば、50~120℃、例えば、60~100℃で加熱することによって行われ得る。加熱時間は、温度によって多少異なる。一般的に、温度が高いほど、硬化に必要な時間は短くなる。通常、硬化時間は、5~60分などの少なくとも5分間である。温度および時間は、硬化フィルム中の付加ポリマーが架橋される(該当する場合)、すなわち、付加ポリマーのポリマー鎖上の共反応性基、例えば、カルボン酸基、およびヒドロキシル基、およびアミノプラストのN-メチルロールならびに/もしくはN-メチルロールエーテル基、ブロックポリイソシアネート架橋剤のイソシアネート基の間に共有結合が形成されるように、十分であるべきである。コーティングフィルムを乾燥させる他の方法としては、周囲温度乾燥、マイクロ波乾燥、および赤外線乾燥が挙げられ、コーティングフィルムを硬化させる他の方法としては、電子ビーム硬化およびUV硬化が挙げられる。
【0064】
乾燥したフィルムは、2,000ppm未満、または1,000ppm未満、または200ppm未満、または50ppm未満の量の残留有機共溶媒を含み得る。残留有機共溶媒は、少なくとも1ppm、例えば、少なくとも20ppm、例えば、少なくとも50ppmの量で存在し得る。残留有機共溶媒は、1~2,000ppm、例えば1~1,000ppm、例えば1~200ppm、例えば1~50ppm、例えば20~2,000ppm、例えば20~1,000ppm、例えば20~200ppm、例えば、20~50ppm、例えば、50~2,000ppm、例えば、50~1,000ppm、例えば、50~200ppmの量で存在し得る。
【0065】
リチウムイオン蓄電デバイスの放電中、リチウムイオンは、負極から放出され、電流を正極に伝えることができる。このプロセスは、脱インターカレーションとして知られるプロセスを含み得る。充電中、リチウムイオンは、正極中の電気化学的活性材料から負極に移動し、負極中に存在する電気化学的活性材料中に埋め込まれる。このプロセスは、インターカレーションとして知られるプロセスを含み得る。
【0066】
本開示の結合剤は、良好な電荷密度を有する負極活性材料としてグラファイトを含む負極の生成を可能にし得、例えば、電極は、以下の表に示されるように、面積荷重、厚さ、および面積電荷密度を有し得る。
【表1】
【0067】
本開示の結合剤は、良好な電荷密度を有する負極活性材料としてSiグラファイト複合活性材料(95重量%グラファイトおよび5重量%Si)を含む負極の生成を可能にし得、例えば、電極は、以下の表に示されるように、面積荷重、厚さ、および面積電荷密度を有し得る。
【表2】
【0068】
付加ポリマー含有結合剤、負極活性材料、ならびに導電材、セルロース誘導体および/または架橋剤などの他の必要に応じた成分を含む本開示の電極の集電体上のフィルムは、剥離強度試験法によって測定される際、少なくとも1つのアルコキシ置換基を含むケイ素含有官能基を含む付加ポリマーを含まない比較フィルムよりも、少なくとも5%高い、例えば、少なくとも8%高い、例えば、少なくとも10%高い、例えば、少なくとも12%高い、例えば、少なくとも15%高い集電体に対する接着性を有し得る。本明細書で使用される場合、比較フィルムとは、同じ負極活性材料、水性媒体、ならびに、存在する場合、導電材料、セルロース誘導体、および/または架橋剤を有するスラリー組成物から塗布されるフィルムを意味するが、付加ポリマー含有結合剤を欠く。
【0069】
剥離強度試験方法は、以下のように実施することができる。コーティングされた電極のストリップは、0.5インチに切断され、3M444両面テープを使用して、未処理のアルミパネルに固定され得る。MARK-10ESM303上での50mm/分の速度での90度剥離試験を使用して、コーティングされた電極の2つのストリップの接着強度が評価され得る。
【0070】
付加ポリマー含有結合剤、負極活材料、および導電剤、セルロース誘導体、および/または架橋剤などの他の必要に応じた成分を含む、本開示の電極の集電体上のフィルムは、驚くほど良好な可撓性を有し得、フィルムは、高いコーティング荷重で良好な可撓性を維持し得る。例えば、ASTM D522-88に従って実施されるように、最大25mg/cm2の荷重でのフィルムは、1/8インチのマンドレル曲げ後に完全性を維持し得る。
【0071】
本開示の負極はまた、蓄電デバイスの寿命中に良好な容量維持率を有し得、良好な容量維持率は、高いコーティング荷重で保持され得る。
【0072】
本発明はまた、蓄電デバイスを対象とする。本開示による蓄電デバイスは、本開示の電極スラリー組成物から調製された上記の負極を使用することによって製造することができる。蓄電デバイスは、正極、電解質、およびポリマーセパレータをさらに含み得る。正極は、正極活性材料を含み、活性材料を含む非限定的な例は、リチウムを組み込み得る材料(リチウムインターカレーション/脱インターカレーションによる組み込みを含む)、リチウム変換可能な材料、またはこれらの組み合わせを含み得る。リチウムを組み込むことができる電気化学的活性材料の非限定的な例としては、LiCoO2、LiNiO2、LiFePO4、LiCoPO4、LiMnO2、LiMn2O4、Li(NiMnCo)O2、Li(NiCoAl)O2、炭素コーティングされたLiFePO4、およびこれらの組み合わせが挙げられる。リチウム変換可能な材料の非限定的な例としては、硫黄、LiO2、FeF2およびFeF3、Si、アルミニウム、スズ、SnCo、Fe3O4、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。本開示による蓄電デバイスは、セル、電池、電池パック、二次電池、コンデンサ、およびスーパーコンデンサを含む。
【0073】
蓄電デバイスは、電解液を含み、一般的に使用される方法に従って、セパレータなどの部品を使用することによって製造することができる。より具体的な製造方法として、負極と正極とを、それらの間のセパレータとともに組み立て、得られたアセンブリを、電池の形状に従って、圧延または折り曲げて、電池容器に入れ、電解液を電池容器に注入し、電池容器を密封する。電池の形状は、コイン、ボタンまたはシートのように、円筒形、正方形、または平面であり得る。
【0074】
電解液は、液体またはゲルであり得、電池として効果的に機能することができる電解液は、負極活性材料および正極活性材料の種類に従って蓄電デバイス内で使用される既知の電解液の中から選択され得る。電解液は、好適な溶媒中に溶解された電解質を含有する溶液であり得る。電解質は、リチウムイオン二次電池のための従来から既知のリチウム塩であり得る。リチウム塩の例としては、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiCF3CO2、LiAsF6、LiSbF6、LiB10Cl10、LiAlCl4、LiCl、LiBr、LiB(C2H5)4、LiB(C6H5)4、LiCF3SO3、LiCH3SO3、LiC4F9SO3、Li(CF3SO2)2N、LiB4CH3SO3Li、およびCF3SO3Liが挙げられる。上記電解質を溶解するための溶媒は、特に限定されず、その例として、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネートおよびジエチルカーボネートなどの有機カーボネート化合物、γ-ブチルラクトンなどのラクトン化合物、トリメトキシメタン、1,2-ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、2-エトキシエタン、テトラヒドロフランおよび2-メチルテトラヒドロフランなどのエーテル化合物、ならびにジメチルスルホキシドなどのスルホキシド化合物が挙げられる。電解液中の電解質の濃度は、0.5~3.0モル/L、例えば0.7~2.0モル/Lであり得る。
【0075】
本明細書で使用される場合、「ポリマー」という用語は、広義に、オリゴマーならびにホモポリマーおよびコポリマーの両方を指す。「樹脂」という用語は、「ポリマー」と交換可能に使用される。
【0076】
「アクリル」および「アクリレート」という用語は、別途明確に示されない限り、(そうすることで意図した意味が変わる場合を除き)交換可能に使用され、アクリル酸、無水物、およびそれらの誘導体、例えば、C1~C5アルキルエステル、低級アルキル置換アクリル酸、例えば、C1~C2置換アクリル酸、例えば、メタクリル酸、2-エチルアクリル酸など、ならびにそれらのC1~C4アルキルエステルを含む。「(メタ)アクリル」または「(メタ)アクリレート」という用語は、示される材料、例えば、(メタ)アクリレートモノマーのアクリル/アクリレートおよびメタクリル/メタクリレート形態の両方を網羅することを意図している。「(メタ)アクリルポリマー」という用語は、1つ以上の(メタ)アクリルモノマーから調製されたポリマーを指す。
【0077】
本明細書で使用される場合、分子量は、ポリスチレン標準物を使用するゲル透過クロマトグラフィーによって判定される。別途示されない限り、分子量は、重量平均ベースである。本明細書で使用される場合、「重量平均分子量」または「(Mw)」という用語は、ASTM D6579-11(「Standard Practice for Molecular Weight Averages and Molecular Weight Distribution of Hydrocarbon,Rosin and Terpene Resins by Size Exclusion Chromatography」。UV検出器;254nm、溶媒:不安定化THF、保持時間マーカー:トルエン、試料濃度:2mg/ml)によるポリスチレン標準材料を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって判定される重量平均分子量(Mw)を意味する。本明細書で使用される場合、「数平均分子量」または「(Mn)」という用語は、ASTM D6579-11(「Standard Practice for Molecular Weight Averages and Molecular Weight Distribution of Hydrocarbon, Rosin and Terpene Resins by Size Exclusion Chromatography」。UV検出器;254nm、溶媒:不安定化THF、保持時間マーカー:トルエン、試料濃度:2mg/ml)によるポリスチレン標準材料を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって判定される数平均分子量(Mn)を意味する。
【0078】
本明細書で使用される「ガラス転移温度」という用語は、理論的値であり、T.G.Fox,Bull.Am.Phys.Soc.(Ser.II)1,123(1956)およびJ.Brandrup,E.H.Immergut,Polymer Handbook 3rd edition,John Wiley,New York,1989によるモノマー電荷のモノマー組成を基準にした、Foxの方法によって計算されるガラス転移温度である。
【0079】
本明細書で使用される場合、別途定義されない限り、実質的に含まないという用語は、成分が、仮にあったとしても、スラリー組成物の総重量に基づいて、5重量%未満の量で存在することを意味する。
【0080】
本明細書で使用される場合、別途定義されない限り、本質的に含まないという用語は、成分が、仮にあったとしても、スラリー組成物の総重量に基づいて、1重量%未満の量で存在することを意味する。
【0081】
本明細書で使用される場合、別途定義されない限り、完全に含まないという用語は、成分が、スラリー組成物中に存在しない、すなわち、スラリー組成物の総重量に基づいて、0.00重量%であることを意味する。
【0082】
本明細書で使用される場合、「総固体」という用語は、本開示のスラリー組成物の不揮発性成分を指し、具体的には、水性媒体を除外する。
【0083】
本明細書で使用される場合、「から本質的になる」という用語は、記載された材料またはステップ、ならびに特許請求された本開示の基本的かつ新規の特徴に実質的に影響しないものを含む。
【0084】
本明細書で使用される場合、「からなる」という用語は、記載されていない任意の要素、ステップ、または構成成分を除外する。
【0085】
詳細な説明の目的のために、本開示は、相反することが明示的に指定されている場合を除き、様々な代替的な変形およびステップシーケンスを取り得ることが理解されるべきである。さらに、任意の動作例、または別途示される場合を除き、値、量、パーセンテージ、範囲、部分範囲、および割合を表すものなどの全ての数は、用語が明示的に表示されていない場合でも、「約」という語が前置されているかのように読むことができる。したがって、相反することが示されない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本開示によって得られる所望の特性に応じて変動し得る近似値である。少なくとも、かつ、均等物の理論の特許請求の範囲への適用を限定しようとするものではなく、各数値パラメータは、少なくとも報告された有効数字の数に照らし合わせて、かつ通常の四捨五入技法を適用することによって解釈されるべきである。クローズまたはオープンエンドの数値範囲が本明細書に記載される場合、数値範囲内または数値範囲に包含される全ての数、値、量、パーセンテージ、部分範囲、および割合は、これらの数、値、量、パーセンテージ、部分範囲、および割合がそれらの全体が明示的に書き出されているかのように、本出願の最初の開示に具体的に含まれ、かつそれに属するものとみなされるべきである。
【0086】
本開示の広範な範囲を示す数値範囲およびパラメータは近似値ではあるが、具体的な例において記載される数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、いずれの数値も、それらのそれぞれの試験測定値に見られる標準変動から必然的に生ずる特定の誤差を本質的に含有する。
【0087】
本明細書で使用される場合、別途示されない限り、複数の用語は、別途示されない限り、その単数の対応物を包含することができ、その逆もまた同様である。例えば、本明細書では、「1つ(a)」の負極活性材料、「1つ(an)」の付加ポリマー、および「1つ(an)」の導電剤に言及するが、これらの成分の組み合わせ(すなわち、複数)を使用することができる。加えて、本明細書では、「および/または」がある特定の例で明示的に使用され得るが、別途具体的に記述されない限り、「または」の使用は、「および/または」を意味する。
【0088】
本明細書で使用される場合、「含む(including)」、「含有する(containing)」、および同様の用語は、本出願の文脈において「含む(comprising)」と同義であることが理解され、したがって、オープンエンドであり、追加の説明されていないまたは記載されていない要素、材料、構成成分、または方法ステップの存在を除外しない。本明細書で使用される場合、「からなる」は、本出願の文脈において、任意の指定されていない要素、構成成分、または方法ステップの存在を除外することが理解される。本明細書で使用される場合、「から本質的になる」は、本出願の文脈において、指定された要素、材料、構成成分、または方法ステップ、および説明されているもののうち「基本的かつ新規の特徴に著しく影響を及ぼさないもの」を含むことが理解される。本開示の様々な実施形態が、「含む(comprising)」という観点から記述されが、本質的にからなる、またはからなる実施形態も、本開示の範囲内である。
【0089】
本明細書で使用される場合、「上(on)」、「上に(onto)」、「上に塗布される(applied on)」、「上に塗布される(applied onto)」、「上に形成される(formed on)」、「上に堆積される(deposited on)」、「上に堆積される(deposited onto)」という用語は、表面上に形成される、重ねられる、堆積される、または提供されるが、必ずしも表面とは接触しないことを意味する。例えば、基材「上に堆積される」組成物は、電着可能なコーティング組成物と基材との間に位置する、同じまたは異なる組成物の1つ以上の他の介在するコーティング層の存在を排除しない。
【0090】
本開示の具体的な実施形態が詳細に説明されているが、本開示の全体的な教示に照らして、それらの詳細に対する様々な修正および代替案が開発され得ることが、当業者によって理解されるであろう。したがって、開示される特定の構成は、例示的であるにすぎず、添付の特許請求の範囲の全容ならびにそのありとあらゆる均等物を与える本開示の範囲に対する限定ではないことが意図される。本明細書に説明される特徴および実施例、ならびにそれらの組み合わせの各々は、本開示によって包含されていると言うことができる。
【0091】
本開示を例示するのは以下の実施例であるが、本開示をそれらの詳細に限定するとみなすべきではない。別途示されない限り、以下の実施例における、ならびに本明細書の全体を通して、全ての部およびパーセンテージは、重量によるものである。
【実施例】
【0092】
実験用電極結合剤に関する合成手順
実施例の結合剤Aの合成:温度計、機械的撹拌器、凝縮器、窒素入口アダプタ、および加熱マントルを装備した4つ口丸底フラスコ。フラスコに382.5グラムの脱イオン水および7.93グラムの界面活性剤(Adeka Reasoap SR-1025)を添加した。反応器を、窒素ブランケット下で80℃の設定点まで加熱した。139グラムの脱イオン水、11.8グラムのAdeka Reasoap SR-1025、246.5グラムのブチルアクリレート、110グラムのスチレン、32.9グラムの2-ヒドロキシエチルメタクリレート、および7.2グラムのメタクリル酸を混合することによって、プレエマルション溶液を調製した。51.8グラムの脱イオン水と3.17グラムの過硫酸アンモニウムを混合することによって、開始剤溶液を調製した。反応器を80℃にした後、開始剤溶液の30%を、添加漏斗を介して5分間にわたって添加した。反応器を、5分間温度保持し、次いで5%のプレエマルション溶液を、添加漏斗を介して5分間にわたって添加した。反応器を、30分間温度保持した。開始剤溶液の残りを、添加漏斗を介して5分間にわたって添加した。反応器を、5分間温度保持し、次いで残りのプレエマルション溶液を、添加漏斗を介して180分間にわたって添加した。供給が完了した後、反応器を、80℃で60分間保持した。保持後、反応器を50℃まで冷却し、次いで51グラムの脱イオン水および21グラムの2-ブトキシエタノールの溶液を、添加漏斗を介して10分間にわたって添加した。反応器を、50℃で10分間保持した後、結合剤溶液を、10マイクロメートルのバッグを通して好適な容器に注いだ。結合剤は、37.5%の測定された固体含有量を有した。
【0093】
実施例の結合剤Bの合成:温度計、機械的撹拌器、凝縮器、窒素入口アダプタ、および加熱マントルを装備した4つ口丸底フラスコ。フラスコに382.5グラムの脱イオン水および7.93グラムの界面活性剤(Adeka Reasoap SR-1025)を添加した。反応器を、窒素ブランケット下で80℃の設定点まで加熱した。135.7グラムの脱イオン水、11.8グラムのAdeka Reasoap SR-1025、6.88グラムのメトキシポリ(エチレングリコール)メタクリレート[50%水溶液、2,000MW]、243グラムのブチルアクリレート、110グラムのスチレン、32.9グラムの2-ヒドロキシエチルメタクリレート、および7.2グラムのメタクリル酸を混合することによって、プレエマルション溶液を調製した。51.8グラムの脱イオン水と3.17グラムの過硫酸アンモニウムを混合することによって、開始剤溶液を調製した。反応器を80℃にした後、開始剤溶液の30%を、添加漏斗を介して5分間にわたって添加した。反応器を、5分間温度保持し、次いで5%のプレエマルション溶液を、添加漏斗を介して5分間にわたって添加した。反応器を、30分間温度保持した。開始剤溶液の残りを、添加漏斗を介して5分間にわたって添加した。反応器を、5分間温度保持し、次いで残りのプレエマルション溶液を、添加漏斗を介して180分間にわたって添加した。供給が完了した後、反応器を、80℃で60分間保持した。保持後、反応器を50℃まで冷却し、次いで51グラムの脱イオン水および21グラムの2-ブトキシエタノールの溶液を、添加漏斗を介して10分間にわたって添加した。反応器を、50℃で10分間保持した後、結合剤溶液を、10マイクロメートルのバッグを通して好適な容器に注いだ。結合剤は、38.5%の測定された固体含有量を有した。
【0094】
負極水系スラリーの一般的な調製
手順A-比較CMC/SBR対照スラリー製剤:プラスチックカップに、カルボキシメチルセルロース(「CMC」、Nipponから入手可能、DS=0.7、Mw=350,000、2%の固体)、および式中に存在する場合、導電性炭素(TIMCAL C-NERGY(商標)SUPER C65)を添加した。材料を、4つの超高密度酸化ジルコニウム粉砕ビーズ(Glenmills、5mm)と、2000rpmで3分間遠心混合器において混合した。次いで、グラファイトを脱イオン水とともに添加し、スラリーを2000rpmで1分間遠心混合器において混合した。スラリーを追加の脱イオン水で希釈し、2000rpmで2分間遠心混合器において混合した。最後に、スチレンブタジエンゴム(「SBR」、40%固体、Zeon BM-451B)を添加し、次いで2000rpmで30秒間遠心混合器において混合した。完全に配合されたスラリーは、組成物の総重量に基づいて、40~50%の範囲の固体%を有した。
【0095】
手順B-実験用電極スラリー製剤:プラスチックカップに、カルボキシメチルセルロース(「CMC」、Nipponから入手可能、DS=0.7、Mw=350,000、2%の固体)、および式中に存在する場合、導電性炭素(TIMCAL C-NERGY(商標)SUPER C65)を添加した。混合物を2000rpmで4つの超高密度酸化ジルコニウム粉砕ビーズ(Glenmills、5mm)と3分間遠心混合器において混合した。次いで、グラファイトを脱イオン水とともに添加し、混合物を2000rpmで遠心混合器において1分間撹拌した。スラリーを追加の脱イオン水で希釈し、2000rpmで2分間遠心混合器において混合した。最後に、例示的な結合剤Aまたは例示的な結合剤Bを添加し、次いでスラリーを2000rpmで30秒間遠心混合器において混合した。完全に配合されたスラリーは、組成物の総重量に基づいて、40~50%の範囲の固体%を有した。
【0096】
負極の一般的な調製
方法A-銅上での負極フィルムの調製:電極フィルムを、ドローダウンテーブル上のドローダウンバーを使用して、スラリー組成物から銅箔上に成型した。目標コーティング重量は、各負極に関して5~40mg/cm2であった。この湿潤コーティングを、55℃で2分間乾燥させ、続いて100℃で2分間乾燥させた。乾燥後、電極フィルムを、30~35%の多孔性にプレスした。
【0097】
実施例1
比較組成物1:このスラリーは、手順Aに従って調製され、OSG23(Gelonから入手可能なグラファイト材料)を使用した。スラリーの成分の比率は、97%グラファイト対1.5%CMC対1.5%SBRであり、重量%であり、固体の総重量に基づく。フィルムを、最終コーティング重量が5.0mg/cm2の状態で方法Aに従って成型した。上で説明した剥離強度試験方法により負極の接着性を測定し、以下の表の結果を得た。
【0098】
実験組成物1:このスラリーは、手順Bに従って調製され、OSG23(Gelonから入手可能なグラファイト材料)を使用した。スラリーの成分の比率は、97%グラファイト対1.5%CMC対1.5%結合剤Bであり、重量%であり、固体の総重量に基づく。フィルムを、最終コーティング重量が5.0mg/cm
2の状態で方法Aに従って成型した。上で説明した剥離強度試験方法により負極の接着性を測定し、以下の表の結果を得た。
【表3】
【0099】
接着試験の結果は、SBRを含む比較組成物1と比較して、結合剤Bを含む実験組成物1の接着性における改善を示す。
【0100】
実施例2
比較組成物2:このスラリーは、手順Aに従って調製され、Superior Graphite SLC1520T(Superior Graphiteから入手可能なグラファイト材料)を使用した。スラリーの成分の比率は、95%グラファイト対1.0%導電性炭素対2.0%CMC対2.0%SBRであり、重量%であり、固体の総重量に基づく。負極フィルムを、最終コーティング重量が5.0mg/cm2の状態で、方法Aに従って成型した。
【0101】
実験組成物2:このスラリーは、手順Bに従って調製され、Superior Graphite SLC1520T(Superior Graphiteから入手可能なグラファイト材料)を使用した。スラリーの成分の比率は、95%グラファイト対1.0%導電性炭素対2.0%CMC対2.0%結合剤Bであり、重量%であり、固体の総重量に基づく。負極フィルムを、最終コーティング重量が5.0mg/cm2の状態で、方法Aに従って成型した。
【0102】
コインハーフセルを、比較組成物2および実験組成物2に基づいて、負極を使用して組み立てた。セルを、対電極として使用されるリチウム金属を用いて、各組成物に対して3連で構築した。セルを形成し、C/10で5サイクル循環させ、次いでC/3で25サイクル循環させた。電気化学試験の結果は、以下の表内にあり、結合剤Bを含む実験組成物が、SBRを含む比較組成物2と比較して、改善された初期容量および容量保持を示すことを実証する。
【表4】
【0103】
実施例3
より厚い電極フィルムは、処理およびその後の取り扱い中により大きい内部応力を受けることが既知であり、特に亀裂が発生しやすい。CMCおよびSBRからなる電極結合剤はまた、より高いフィルム厚およびより大きいコーティング重量において、劣悪な処理特性の影響を受ける。この問題に対処するために、共溶媒をスラリーに添加して、後続のフィルム特性を変更した。結合剤成分としてのCMCおよび実施例の結合剤Bからなる電極を、様々な共溶媒を含む水系スラリーから調製した。
【0104】
共溶媒および負極フィルムを含むアノードスラリーの調製。以下の表に記載されるスラリーの全てを、液体媒体が1重量部の共溶媒(以下の表で識別される)と9重量部の水との混合物であったことを除き、手順Bと一致する様式で調製した。各スラリーは、95%のSuperior Graphite SLC1520T(Superior Graphiteから入手可能なグラファイト材料)対1.5%のCMC対2%の結合剤B対0.5%のC65炭素対1.0%のカーボンナノチューブ(Tuballから入手可能)の比率で46%の固形分を有し、重量%であり、固体の総重量に基づく。各スラリーを使用して、方法Aと一致する負極フィルムを成型した。目標コーティング重量は、少なくとも20mg/cm
2であった。接着性は、剥離強度方法を使用して評価され、各フィルムは、亀裂の存在について検査された。以下の表に提示されるように、共溶媒の使用は、フィルムの品質を改善した(亀裂がない)が、接着性を低減させた。
【表5】
【0105】
実施例4
接着性に関する共溶媒レベルの評価。以下の表に記載されたスラリーの全てを、液体媒体組成物を、共溶媒として異なる比率の水およびトリエチルホスフェートを使用して変更したことを除き、手順Bと一致する様式で調製した。各スラリーは、94%のSuperior Graphite SLC1520T(Superior Graphiteから入手可能なグラファイト材料)対1.5%のCMC対3.5%の結合剤B対1.0%のC65導電性炭素の比率で43%の固形分を有し、重量%であり、固体の総重量に基づく。各スラリーを使用して、方法Aと一致する負極フィルムを成型した。目標コーティング重量は、少なくとも20mg/cm
2であった。接着性は、剥離強度方法を使用して評価され、各フィルムは、亀裂の存在について検査された。以下の表は、結果を示す。
【表6】
【0106】
この結果は、様々なレベルでの亀裂を防止するために、共溶媒を添加することができることを実証する。
【0107】
本明細書に説明および例示される広範な発明の概念から逸脱することなく、上述の開示に照らして、多数の修正および変形が可能であることが当業者によって理解されるであろう。したがって、前述の開示は、本出願の様々な例示的な態様の単なる例示であり、本出願および添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内にある多数の修正および変形が、当業者によって容易に行われ得ることが理解されるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負極水系スラリー組成物であって、
付加ポリマーを含む結合剤であって、
(a)α,β-エチレン性不飽和カルボン酸の残基を含む0.1重量%~15重量%の構成単位、
(b)ヒドロキシル官能基を含むエチレン性不飽和モノマーの残基を含む0.1重量%~25重量%の構成単位、
(c)(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの残基を含む30重量%~90重量%の構成単位、および
(d)ビニル芳香族化合物の残基を含む0.1重量%~50重量%の構成単位を含み、前記重量%が、前記付加ポリマーの総重量に基づく、結合剤と、
負極活性材料と、
水性媒体と、
を含む、負極水系スラリー組成物。
【請求項2】
前記付加ポリマーが、メトキシ(ポリ(アルキレングリコール))(メタ)アクリレートの残基を含む0.1重量%~10重量%の構成単位をさらに含む、請求項1に記載の負極水系スラリー組成物。
【請求項3】
前記付加ポリマーが、5,000g/mol~1,000,000g/molの重量平均分子量を有する、
請求項1に記載の負極水系スラリー組成物。
【請求項4】
前記付加ポリマーが、50℃未満の理論上のガラス転移温度を有する、
請求項1に記載の負極水系スラリー組成物。
【請求項5】
前記結合剤が、セルロースまたはセルロース誘導体をさらに含む、
請求項1に記載の負極水系スラリー組成物。
【請求項6】
前記結合剤が、スチレン-ブタジエンコポリマーをさらに含む、
請求項1に記載の負極水系スラリー組成物。
【請求項7】
前記結合剤が、スチレン-ブタジエンポリマーを実質的に含まな
い、請求項1に記載の負極水系スラリー組成物。
【請求項8】
前記結合剤が、架橋剤をさらに含む、
請求項1に記載の負極水系スラリー組成物。
【請求項9】
前記負極活性材料が、グラファイト、ケイ素、酸化ケイ素、またはこれらの組み合わせを含む、
請求項1に記載の負極水系スラリー組成物。
【請求項10】
導電性炭素、カーボンナノチューブ、グラフェン、またはこれらの任意の組み合わせを含む導電性添加剤をさらに含む、
請求項1に記載の負極水系スラリー組成物。
【請求項11】
前記組成物の総固体重量に基づいて、1重量%~10重量%の前記結合剤と、
90重量%~99重量%の前記負極活性材料と、を含む、
請求項1に記載の負極水系スラリー組成物。
【請求項12】
前記組成物の総重量に基づいて、0.5重量%~5重量%の結合剤と、
45重量%~49.5重量%の前記負極活性材料と、
45.5重量%~54.5重量%の前記水性媒体と、を含む、
請求項1に記載の負極水系スラリー組成物。
【請求項13】
前記組成物の総固体重量に基づいて、0.5重量%~5重量%の前記結合剤と、
0.5重量%~5重量%の前記セルロースまたはセルロース誘導体と、を含む、
請求項1に記載の負極水系スラリー組成物。
【請求項14】
前記水性媒体の総重量に基づいて、0.1重量%~20重量%の量で存在する有機共溶媒をさらに含む、
請求項1に記載の負極水系スラリー組成物。
【請求項15】
前記有機共溶媒が、
少なくとも93℃の引火点を有する非可燃性の有機共溶媒を含む、請求項
14に記載の負極水系スラリー組成物。
【請求項16】
負極であって、
(a)集電体と、
(b)前記集電体上に形成されたフィルムであって、前記フィルムが、
(1)付加ポリマーを含む結合剤であって、
(i)α,β-エチレン性不飽和カルボン酸の残基を含む0.1重量%~15重量%の構成単位、
(ii)ヒドロキシル官能基を含むエチレン性不飽和モノマーの残基を含む0.1重量%~25重量%の構成単位、
(iii)(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの残基を含む30重量%~90重量%の構成単位、および
(iv)ビニル芳香族化合物の残基を含む0.1重量%~50重量%の構成単位を含み、前記重量%が、前記付加ポリマーの総重量に基づく、結合剤と、
(2)負極活性材料と、を含むフィルムと、
を備える、負極。
【請求項17】
前記フィルムが、2,000ppm未満、または1,000ppm未満、または200ppm未満の量の残留有機共溶媒を含む、請求項
16に記載の電極。
【請求項18】
蓄電デバイスであって、
(a)請求項
16に記載の負極と、
(b)正極と、
(c)電解質と、
(d)ポリマーセパレータと、
を備える、蓄電デバイス。
【請求項19】
前記電解質(c)が、
有機カーボネートを含む溶媒中に溶解されたリチウム塩を含む、請求項
18に記載の蓄電デバイス。
【請求項20】
前記蓄電デバイスが、セル、電池パック、二次電池、キャパシタ、またはスーパーキャパシタを備える、請求項
18に記載の蓄電デバイス。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0107
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0107】
本明細書に説明および例示される広範な発明の概念から逸脱することなく、上述の開示に照らして、多数の修正および変形が可能であることが当業者によって理解されるであろう。したがって、前述の開示は、本出願の様々な例示的な態様の単なる例示であり、本出願および添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内にある多数の修正および変形が、当業者によって容易に行われ得ることが理解されるべきである。
本発明に関連して、以下の内容を更に開示する。
[1]
負極水系スラリー組成物であって、
付加ポリマーを含む結合剤であって、
(a)α,β-エチレン性不飽和カルボン酸の残基を含む0.1重量%~15重量%の構成単位、
(b)ヒドロキシル官能基を含むエチレン性不飽和モノマーの残基を含む0.1重量%~25重量%の構成単位、
(c)(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの残基を含む30重量%~90重量%の構成単位、および
(d)ビニル芳香族化合物の残基を含む0.1重量%~50重量%の構成単位を含み、前記重量%が、前記付加ポリマーの総重量に基づく、結合剤と、
負極活性材料と、
水性媒体と、
を含む、負極水系スラリー組成物。
[2]
前記付加ポリマーが、メトキシ(ポリ(アルキレングリコール))(メタ)アクリレートの残基を含む0.1重量%~10重量%の構成単位をさらに含む、[1]に記載の負極水系スラリー組成物。
[3]
前記付加ポリマーが、5,000g/mol~1,000,000g/molの重量平均分子量を有する、先行項のいずれかに記載の負極水系スラリー組成物。
[4]
前記付加ポリマーが、50℃未満の理論上のガラス転移温度を有する、先行項のいずれかに記載の負極水系スラリー組成物。
[5]
前記結合剤が、セルロースまたはセルロース誘導体をさらに含む、先行項のいずれかに記載の負極水系スラリー組成物。
[6]
前記結合剤が、スチレン-ブタジエンコポリマーをさらに含む、先行項のいずれかに記載の負極水系スラリー組成物。
[7]
前記結合剤が、スチレン-ブタジエンポリマーを実質的に含まないか、本質的に含まないか、または完全に含まない、[1]~[5]のいずれかに記載の負極水系スラリー組成物。
[8]
前記結合剤が、架橋剤をさらに含む、先行項のいずれかに記載の負極水系スラリー組成物。
[9]
前記負極活性材料が、グラファイト、ケイ素、酸化ケイ素、またはこれらの組み合わせを含む、先行項のいずれかに記載の負極水系スラリー組成物。
[10]
導電性炭素、カーボンナノチューブ、グラフェン、またはこれらの任意の組み合わせを含む導電性添加剤をさらに含む、先行項のいずれかに記載の負極水系スラリー組成物。
[11]
前記組成物の総固体重量に基づいて、1重量%~10重量%の前記結合剤と、
90重量%~99重量%の前記負極活性材料と、を含む、先行項のいずれかに記載の負極水系スラリー組成物。
[12]
前記組成物の総重量に基づいて、0.5重量%~5重量%の結合剤と、
45重量%~49.5重量%の前記負極活性材料と、
45.5重量%~54.5重量%の前記水性媒体と、を含む、先行項のいずれかに記載の負極水系スラリー組成物。
[13]
前記組成物の総固体重量に基づいて、0.5重量%~5重量%の前記結合剤と、
0.5重量%~5重量%の前記セルロースまたはセルロース誘導体と、を含む、先行項のいずれかに記載の負極水系スラリー組成物。
[14]
有機共溶媒をさらに含む、先行項のいずれかに記載の負極水系スラリー組成物。
[15]
前記共溶媒が、前記水性媒体の総重量に基づいて、0.1重量%~20重量%の量で存在する、[14]に記載の負極水系スラリー組成物。
[16]
前記有機共溶媒が、非可燃性の有機共溶媒を含む、[14]または[15]に記載の負極水系スラリー組成物。
[17]
非可燃性の共溶媒が、少なくとも93℃の引火点を有する、[16]に記載の負極水系スラリー組成物。
[18]
負極であって、
(a)集電体と、
(b)前記集電体上に形成されたフィルムであって、前記フィルムが、
(1)付加ポリマーを含む結合剤であって、
(i)α,β-エチレン性不飽和カルボン酸の残基を含む0.1重量%~15重量%の構成単位、
(ii)ヒドロキシル官能基を含むエチレン性不飽和モノマーの残基を含む0.1重量%~25重量%の構成単位、
(iii)(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの残基を含む30重量%~90重量%の構成単位、および
(iv)ビニル芳香族化合物の残基を含む0.1重量%~50重量%の構成単位を含み、前記重量%が、前記付加ポリマーの総重量に基づく、結合剤と、
(2)負極活性材料と、を含むフィルムと、
を備える、負極。
[19]
前記フィルムが、[1]~[17]のいずれかに記載の負極水系スラリー組成物から堆積される、[18]に記載の電極。
[20]
前記フィルムが、2,000ppm未満、または1,000ppm未満、または200ppm未満の量の残留有機共溶媒を含む、[18]または[19]に記載の電極。
[21]
蓄電デバイスであって、
(a)[18]~[20]のいずれかに記載の負極と、
(b)正極と、
(c)電解質と、
(d)ポリマーセパレータと、
を備える、蓄電デバイス。
[22]
前記電解質(c)が、溶媒中に溶解されたリチウム塩を含む、[21]に記載の蓄電デバイス。
[23]
前記リチウム塩が、有機カーボネート中に溶解されている、[22]に記載の蓄電デバイス。
[24]
前記蓄電デバイスが、セル、電池パック、二次電池、キャパシタ、またはスーパーキャパシタを備える、[21]~[23]のいずれかに記載の蓄電デバイス。
【国際調査報告】