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特表2024-531120光活性化薬物送達のための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】光活性化薬物送達のための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/64 20060101AFI20240822BHJP
   A61N 5/06 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
G01N21/64 F
A61N5/06 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024507000
(86)(22)【出願日】2022-08-03
(85)【翻訳文提出日】2024-03-18
(86)【国際出願番号】 FI2022050511
(87)【国際公開番号】W WO2023012407
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】17/392,388
(32)【優先日】2021-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524046227
【氏名又は名称】モデュライト コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】ウーシマー,ペッテリ
(72)【発明者】
【氏名】ペルッティラ,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ユロニエミ,サッラマーリ
【テーマコード(参考)】
2G043
4C082
【Fターム(参考)】
2G043AA03
2G043AA04
2G043BA16
2G043EA01
2G043EA03
2G043EA14
2G043HA05
2G043KA02
2G043KA09
2G043LA02
2G043NA01
4C082PA01
4C082PA02
4C082PC10
(57)【要約】
光活性化薬物送達のための方法及びシステムが開示される。光学プローブは、薬物送達のための多相方法を用いて薬物送達を作動及び/又は監視するために、光信号を組織に送信するために組織に結合される。第一の光信号は、薬物送達を作動及び/又は監視するために光学プローブを通して送信され、異なる波長を有する第二の光信号は、薬物送達を作動及び/又は監視するために光学プローブを通して第一の光信号と同時に送信される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光活性化薬物送達のための方法であって、以下の:
薬物送達を作動及び/又は監視するために光信号を組織に送信するために、光学プローブを前記組織に結合させること;
ここで、前記方法は、薬物送達のための2つ以上の連続作動及び/又は監視段階がある薬物送達のための多段階方法であり、
前記薬物送達を作動させる及び/又は監視するために、第一の波長がある第一の光信号を、前記光学プローブを通して送信させること;かつ、
前記薬物送達を作動させる及び/又は監視するために、前記第一の光信号と同時に、第二の波長がある第二の光信号を、前記光学プローブを通して送信させることであって、ここで、前記第一の波長は前記第二の波長とは異なる、
方法。
【請求項2】
前記第一の光信号は、前記組織に送信され、かつ、前記第二の光信号は、前記組織から受信されて、前記組織への薬物の到達を監視する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第一の光信号は、前記組織に送信され、かつ、前記第二の光信号は、前記組織から受信されて、薬物送達のために薬物を封入する担体の完全性を監視する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第一の光信号は、前記組織に送信され、担体からの薬物の放出を誘発することによって前記薬物送達を作動させ、かつ、前記第二の光信号は、前記組織から受信されて、前記放出を監視する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第一の光信号は、前記組織に送信され、薬物の活性化を誘導することによって前記薬物送達を作動させ、かつ、前記第二の光信号は、前記組織から受信されて、前記活性化を監視する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第一の光信号は、前記組織に送信され、薬物の活性化を精査し、かつ、前記第二の光信号は、前記組織から受信されて、薬物の活性化の完了を監視する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第一の光信号は、前記組織に送信され、薬物及び/又は前記薬物を封入する薬物送達構築物からの蛍光を活性化し、かつ、前記第二の光信号は、前記組織から受信されて、前記蛍光を監視する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第一の光信号は、前記組織に送信され、前記組織からの蛍光、反射率又はラマン散乱信号等のような特徴的な光学応答を活性化し、かつ、前記第二の光信号は、前記組織から受信されて、前記特徴的な光学応答を監視する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記薬物送達を作動させる及び/又は監視するために、波長が異なる1つ以上の信号を、前記第一の信号及び前記第二の信号と同時に前記光学プローブを通して送信させることを含み、前記異なる波長は、前記第一の波長及び前記第二の波長とは異なる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
2つ以上の異なる波長が、薬物送達を作動させるために用いられ、及び/又は、2つ以上の異なる波長が、監視信号を誘導するために用いられる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
2つ以上の異なる波長が、薬物送達を監視するために用いられる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
以下の:
薬物送達を作動及び/又は監視するための光信号を提供するための光源;
前記光源に結合され、薬物送達を作動及び/又は監視するために前記光信号を組織に送信し、かつ、前記薬物送達を監視するために前記組織から光信号を送信する光学プローブ;かつ、
前記薬物送達を監視するために前記組織から前記光信号を受信するための、前記光学プローブに結合された光受信機;
を含む光活性化薬物送達システムであって、ここで、
前記システムは、2つ以上の連続作動及び/又は監視段階がある多段階薬物送達のために構成され、かつ、以下の:
前記薬物送達を作動させる及び/又は監視するために、第一の波長がある第一の光信号を、前記光学プローブを通して送信させること;かつ、
前記薬物送達を作動させる及び/又は監視するために、前記第一の光信号と同時に、第二の波長がある第二の光信号を、前記光学プローブを通して送信させることであって、ここで、前記第一の波長は前記第二の波長とは異なる、
システム。
【請求項13】
前記第一の光信号を前記組織に送信し、前記組織から前記第二の光信号を受信することによって、前記組織への薬物の到達を監視するように構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記第一の光信号を前記組織に送信し、前記組織から前記第二の光信号を受信することによって、薬物送達のための薬物を封入する担体の完全性を監視するように構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記第一の光信号を前記組織に送信して、担体からの薬物の放出を誘導することによって前記薬物送達を作動させ、かつ、
前記組織から前記第二の光信号を受信して、前記放出を監視するように構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記第一の光信号を前記組織に送信して、薬物の活性化を誘導することによって前記薬物送達を作動させ、かつ、
前記組織から前記第二の光信号を受信して、前記活性化を監視するように構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
前記第一の光信号を前記組織に送信して、かつ、
前記組織から前記第二の光信号を受信して、薬物の活性化の完了を監視するように構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項18】
前記第一の光信号を前記組織に送信して、薬物及び/又は前記薬物を封入する薬物送達構築物からの蛍光を活性化し、かつ、
前記第二の光信号を受信して、前記蛍光を監視するように構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項19】
前記第一の光信号を前記組織に送信して、前記組織から蛍光、反射率、又はラマン散乱信号のような特徴的な光学応答を誘発すること;かつ、
前記第二の光信号を受信して、前記組織からの前記特徴的な光学応答を監視すること;
により、前記組織からの前記特徴的な光学応答を監視するように構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項20】
前記薬物送達を作動させる及び/又は監視するために、波長が異なる1つ以上の信号を、前記第一の信号及び前記第二の信号と同時に前記光学プローブを通して送信させるするように構成され、前記異なる波長は、前記第一の波長及び前記第二の波長とは異なる、請求項12に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光活性化薬物送達に関する。具体的には、本発明は、腫瘍学及び光活性薬物、光増感剤及び/又は光活性部分がある薬物送達構築物を用いた癌治療の分野で利用することができる。
【背景技術】
【0002】
医療用レーザーは、例えば、手術室及び無菌状態で用いられる。医療用レーザーによって提供される治療用又は硬組織照明は、治療監視機能を併用した、セラノスティック医療装置を提供しうる。セラノスティック医療装置を用いて薬物送達プロセスを改善することは有益である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本概要は、以下の詳細な説明においてさらに説明される概念の選択を簡略化された形態で紹介するために提供される。本概要は、特許請求される主題の重要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図しておらず、特許請求される主題の範囲を限定するために用いられることも意図していない。
【0004】
本明細書に開示されるソリューションは、治療用レーザシステムの機能性を診断/監視装置のいくつかの特性と組み合わせる。ソリューションは、ナノ構造体などの光活性化薬物送達構造体と共に用いることができる。これらは、リポソームなどの担体、担体内に封入された薬物及び/又は標的化成分、並びに光活性化成分/光増感剤を含むか、又はそれらからなってよい。薬物送達システムは、薬物送達構築物の構成要素のための蛍光及び/又は他の光学イメージングソリューションを利用して、治療効果の作動を容易にすると同時に、そのような治療中の様々なプロセスを監視するように構成することができる。
【0005】
多相治療用薬物送達効果を誘導するためだけでなく、さらに又はあるいは、光線力学的療法(PDT)、光化学療法治療、又は他の光利用治療モダリティの間に起こる複数のプロセスを監視するために用いられてよい、低侵襲性ソリューションが開示される。本ソリューションは、組織におこる機械的応力を最小限にするために、組織にいかなる不要な異物を導入する必要性を排除する間質プロセスを監視するためにも、標準的な光活性化照明ファイバが利用できる。
【0006】
開示されるソリューションは、臨床医が、腫瘍を全体としてより正確に照射し、治療中の進行を監視することができるように、腫瘍学で用いられてよい。本機能性は、具体的には腫瘍環境からリアルタイムでフィードバックを得ることにより、光活性化療法の成功の見込みを著しく高めうる。PDT、光免疫療法(PIT)、又は他の光活性化薬物送達方法のための以前に導入された治療監視解決法は、典型的には、光学監視目的のための別個のプローブ又はカメラの使用に基づく。開示されるソリューションは、治療送達及び監視のための全ファイバ単一多目的プローブとともに利用することができ、異なるモダリティ(具体的には治療及び監視の)間を別個に切り替えずに、リアルタイムで互いに独立して同時治療起動及び監視ができる。本ソリューションは、波長感知検出ユニットを適用することで、監視装置にて、異なる波長によって表されてよい異なる光信号の分離をさらにサポートする。
【0007】
当該ソリューションは、同時治療と、以下の:組織への薬物担体の到達、担体からの薬物放出、薬物活性化(別個の光活性化薬物及び/又は光増感剤の活性化を含んでよい)、薬物活性化の完了、治療中の血流などの閉塞の検出、並びに、例えば熱及び/又はアブレーションによる組織の光学特性の変化、のいずれかのような治療中の1つ以上の段階を単独で又はいかなる組み合わせで含んでよい、多段階薬物送達のリアルタイム監視と、を含んでよい。
【0008】
当該ソリューションにより、標的化された化学療法薬送達、PITを介した局所腫瘍制御、及び免疫原性の長期持続性抗腫瘍効果を併用しうる。それらによりまた、セラノスティクスのための一般的な診断、画像化及び/又は治療技術が可能になりうる。それらは、癌細胞の3つの主要な成分:細胞膜(例えば、抗体を用いて)、細胞質(例えば、光増感剤を用いて)及び/又は核(例えば、化学を用いて)の全てを標的化するために用いられてよい。ナノリポソーム担体は、複数の光免疫複合体を共送達させうることによって、癌細胞への光免疫複合体(PIC)の取り込みを改善し得る。光活性化は、化学療法の効能を高めるために用いられてよく、薬剤耐性腫瘍細胞を化学療法に対して感作させてよい。当該ソリューションはまた、免疫治療の全身性及び長期持続性の抗腫瘍応答を誘導するために用いられてよい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第一の態様では、光活性化薬物送達のための方法が開示される。本方法は、薬物送達を作動及び/又は監視するために光信号を組織に送信するために、光学プローブを前記組織に結合させることを含んでよい。重要なことに、前記方法は、薬物送達のための2つ以上の連続作動及び/又は監視段階がある薬物送達のための多段階方法であってよい。本方法は、前記薬物送達を作動させる及び/又は監視するために、第一の波長がある第一の光信号を、前記光学プローブを通して送信させることを含んでよい。前記薬物送達を作動させる及び/又は監視するために、前記第一の光信号と同時に、第二の波長がある第二の光信号を、前記光学プローブを通して送信させることも含んでよい。重要なことに、前記第一の波長は前記第二の波長とは異なってよい。
【0010】
一実施形態では、前記第一の光信号は、前記組織に送信され、かつ、前記第二の光信号は、前記組織から受信されて、前記組織への薬物の到達を監視する。
一実施形態では、前記第一の光信号は、前記組織に送信され、かつ、前記第二の光信号は、前記組織から受信されて、薬物送達のために薬物を封入する担体の完全性を監視する。
一実施形態では、前記第一の光信号は、前記組織に送信され、担体からの薬物の放出を誘発することによって前記薬物送達を作動させ、かつ、前記第二の光信号は、前記組織から受信されて、前記放出を監視する。
一実施形態では、前記第一の光信号は、前記組織に送信され、薬物の活性化を誘導することによって前記薬物送達を作動させ、かつ、前記第二の光信号は、前記組織から受信されて、前記活性化を監視する。
一実施形態では、前記第一の光信号は、前記組織に送信され、薬物の活性化を精査し、かつ、前記第二の光信号は、前記組織から受信されて、薬物の活性化の完了を監視する。
一実施形態では、前記第一の光信号は、前記組織に送信され、薬物及び/又は前記薬物を封入する薬物送達構築物からの蛍光を活性化し、かつ、前記第二の光信号は、前記組織から受信されて、前記蛍光を監視する。
一実施形態では、前記第一の光信号は、前記組織に送信され、前記組織からの蛍光、反射率又はラマン散乱信号等のような特徴的な光学応答を活性化し、かつ、前記第二の光信号は、前記組織から受信されて、前記特徴的な光学応答を監視する。
一実施形態では、前記方法は、前記薬物送達を作動させる及び/又は監視するために、波長が異なる1つ以上の信号を、前記第一の信号及び前記第二の信号と同時に前記光学プローブを通して送信させることを含み、前記異なる波長は、前記第一の波長及び前記第二の波長とは異なる。
一実施形態では、2つ以上の異なる波長が、薬物送達を作動させるために用いられ、及び/又は、2つ以上の異なる波長が、監視信号を誘導するために用いられる。
一実施形態では、2つ以上の異なる波長が、薬物送達を監視するために用いられる。
【0011】
第二の態様では、光活性化薬物送達システムが開示される。前記システムは、薬物送達を作動及び/又は監視するための光信号を提供するための光源を備えてよい。前記システムはまた、前記光源に結合され、薬物送達を作動及び/又は監視するために前記光信号を組織に送信し、かつ、前記薬物送達を監視するために前記組織から光信号を送信する光学プローブを備えてよい。前記システムは、前記薬物送達を監視するために前記組織から前記光信号を受信するための、前記光学プローブに結合された光受信機を備えてよい。重要なことに、前記システムは、2つ以上の連続作動及び/又は監視段階がある多段階薬物送達のために構成されてよい。前記システムはまた、前記薬物送達を作動させる及び/又は監視するために、第一の波長がある第一の光信号を、前記光学プローブを通して送信させるように構成されてよい。前記システムは、前記薬物送達を作動させる及び/又は監視するために、前記第一の光信号と同時に、第二の波長がある第二の光信号を、前記光学プローブを通して送信させるように構成されてよい。重要なことに、前記第一の波長は前記第二の波長とは異なってよい。
【0012】
一実施形態では、前記システムは、前記第一の光信号を前記組織に送信し、前記組織から前記第二の光信号を受信することによって、前記組織への薬物の到達を監視するように構成されてよい。
一実施形態では、前記システムは、前記第一の光信号を前記組織に送信し、前記組織から前記第二の光信号を受信することによって、薬物送達のための薬物を封入する担体の完全性を監視するように構成されてよい。
一実施形態では、前記システムは、前記第一の光信号を前記組織に送信して、担体からの薬物の放出を誘導することによって前記薬物送達を作動させ、かつ、前記組織から前記第二の光信号を受信して、前記放出を監視するように構成されてよい。
一実施形態では、前記システムは、前記第一の光信号を前記組織に送信して、薬物の活性化を誘導することによって前記薬物送達を作動させ、かつ、前記組織から前記第二の光信号を受信して、前記活性化を監視するように構成されてよい。
一実施形態では、前記システムは、前記第一の光信号を前記組織に送信して、かつ、前記組織から前記第二の光信号を受信して、薬物の活性化の完了を監視するように構成されてよい。
一実施形態では、前記システムは、前記第一の光信号を前記組織に送信して、薬物及び/又は前記薬物を封入する薬物送達構築物からの蛍光を活性化し、かつ、前記第二の光信号を受信して、前記蛍光を監視するように構成されてよい。
一実施形態では、前記システムは、前記第一の光信号を前記組織に送信して、前記組織から蛍光、反射率、又はラマン散乱信号のような特徴的な光学応答を誘発すること;かつ、前記第二の光信号を受信して、前記組織からの前記特徴的な光学応答を監視すること;により、前記組織からの前記特徴的な光学応答を監視するように構成されてよい。
一実施形態では、前記システムは、前記薬物送達を作動させる及び/又は監視するために、波長が異なる1つ以上の信号を、前記第一の信号及び前記第二の信号と同時に前記光学プローブを通して送信させるするように構成されてよく、前記異なる波長は、前記第一の波長及び前記第二の波長とは異なる。
一実施形態では、前記システムは、薬物送達を作動させるために光学プローブを通して異なる波長を有する2つ以上の光信号を同時に送信するように、及び/又は監視信号を誘導する2つ以上の光を同時に送信するように構成されてよい。
一実施形態では、前記システムは、薬物送達を監視するために光学プローブを通して受信される2つ以上の異なる波長を同時に監視するための波長感知検出ユニットを備える。
上記の態様及び実施形態は、互いにいかなる組み合わせで用いられてよいことを理解されたい。ある態様及び実施形態は、本発明のさらなる実施形態を形成するためにともに組み合わせることができる。
本ソリューションを用いて得られ得る効果のいくつかは、(処方された間隔とは対照的に)薬物送達のリアルタイム監視、(例えば、複数の波長を用いた)複数の色素又は光増感剤の監視、複数段階治療のための適用性、並びにスイッチ及び/又はシャッタ若しくは検出チャネルのための別個のファイバを用いなくてよいことである。単一のレーザー源は、治療ビームとして、及び、例えば蛍光などの励起光を検出及び/又は活性化監視するための監視のために用いることもできる。本発明のソリューションは、光線量測定に用いることができる。それらは、組織のその場監視のために用いられてよい。それらにより、組織中のいくつかの位置でスペクトル点情報を同時に収集することができる。監視は、複数の分光計を用いるのとは対照的に、単一の分光計を用いて実行されてよい。監視は、スペクトル情報に基づいてよい。ソリューションは、マルチチャネル及び/又は多波長ソリューションとして実装されてよい。
【0013】
例えば、セラノスティックレーザ装置で実施されるソリューションは、治療の治療効果を誘発し、かつ治療中に生じる異なるプロセスを監視できる。それらは、治療される組織領域の周囲に別個の監視装置を挿入する、又は選択された場所で治療ファイバと監視プローブとを切り替えずに、両方のプロセス用の光ファイバ等の同一の光学プローブを利用しうる。本ソリューションは、薬物送達構築物が治療を活性化するか、又は光学監視プロセスを励起するための1つ以上の波長がある1つ以上のレーザーが使用できる。薬物送達構築物の異なる構成要素は、各送達チャネルの異なる機能間で切り替えずに並行して自由に光学的に監視することができる。複数の照明波長は、異なる機能間で物理的又は光学的に切り替えずに、組織に挿入される単一の光ファイバプローブに結合されてよい。これにより、治療と監視を同時に行うことができ、したがって、治療の進行に関するリアルタイムの情報を得ることができる。治療中の異なる間質プロセスに関する本情報は、クラウドなどの遠隔処理システムに収集することができる。それは、治療決定を下すためにローカルに又は遠隔で分析されてよい。組織内に挿入された全く同じプローブを、組織からの光信号(場合によっては異なる波長である)を収集するために用いて、治療薬送達時に異なる薬物送達プロセスをその場監視することもできる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
添付の図面は、さらなる理解を提供するために含まれ、本明細書の一部を構成し、例を示し、説明とともに本開示の原理を説明するのに役立つ。図面は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一例による薬物送達構築物を示す。
図2】一例による試験結果を示す。
図3】一例による方法を示す。
図4】一例によるシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
添付の図面において、同等の、又は少なくとも機能的に同等の部分を示すために、同様の参照符号が用いられる。以下、詳細に説明する。
添付の図面に関して以下に提供される詳細な説明は、例の説明として意図されており、例が構築又は利用されてよい唯一の形態を表すことは意図されていない。しかし、同一又は同等の機能及び構造が、異なる例によって達成されてよい。
図1は、多相薬物送達のための薬物送達構築物100の例を示す。薬物送達構築物は、ナノ構築物であってよい。それは、担体110、担体内の1つ以上の薬物及び/又は標的化成分120、並びに光増感剤等の1つ以上の光活性化成分を含むか、又はそれらからなってよい。担体は、ナノリポソームなどのリポソームを含むか、又はそれからなってよい。それは、1つ以上の薬物及び/又は標的化成分をカプセル化できる。1つ以上の薬物は、例えば、イリノテカンなどの1つ以上の化学療法薬を含むか、又はそれらからなってよい。1つ以上の要素130は、多相薬物送達のために担体に連結されてよい。これらの要素は、抗体及び/又は光増感剤を含んでよい。抗体は、例えば、セツキシマブなどのEGFR標的化抗体であり得る。光増感剤は、例えば、ベンゾポルフィリン誘導体(BPD)であってよい。光増感剤は、例えば抗体の表面上で抗体に結合されてよい。1つ以上の要素は、それによって、抗体結合光増感剤、例えば、BPD+セツキシマブを含んでよい。薬物送達は、レーザー光、例えば近赤外レーザー光などの光10によって作動されてよい。作動は、言及される場合は常に、例えば光力学的反応による、光活性薬物などの薬物及び/又は光増感剤の活性化を含んでよい。さらに又はあるいは、それは、薬物の効能を増強することを含んでよい。
【0016】
図3は、光活性化薬物送達に用いられ得る方法300の例を示す。方法は、薬物送達を作動させる及び/又は監視するために光信号を組織に送信するために、光学プローブを組織に結合するステップ310を含んでよい。光学プローブは、光ファイバを含むか、又はそれからなってよい。光学プローブは、組織への光の原位置送達及び/又は組織からの光の原位置受信のために、組織に結合されてよい。結合は、実質的に非侵襲的であってよい。
【0017】
本方法は、薬物送達のための多段階方法であってよい。これは、本明細書の開示に従って、薬物送達構築物100を用いた薬物送達を含んでよい。薬物送達のための多段階方法には、薬物送達のための2つ以上の連続作動及び/又は監視相があってよい。ある実施形態では、薬物送達のための2つ以上の連続作動段階があってよい。あるいは又はさらに、薬物送達のための2つ以上の連続的な監視段階が存在してよい。作動段階及び/又は監視段階を含む2つ以上の段階も、薬物送達のために同時に実行されてよい。作動段階は、例えば、薬物の活性化、光増感剤の活性化、及び/又は薬物の効能の増強を含んでよい。監視段階は、例えば、色素、蛍光標識、及び/又は光増感剤などの1つ以上の標的からの応答を作動させることを含んでよい。それらはまた、いかなるそのような応答を受信することを含んでよい。監視段階は、組織自体からの蛍光、反射率、又はラマン散乱信号等のような特徴的な光学応答を活性化することを含んでよい。それらはまた、いかなるそのような応答を受信することを含んでよい。上記の代替案の全ては、光学プローブを通して組織に光を送達することによって促進されてよい。具体的には、同じ光学プローブが、代替案のいかなる組み合わせに対して用いられ得る。2つ以上の代替案は、それらが薬物送達を作動させることを含むか、又は監視することを含むかにかかわらず、同じプローブを利用して同時に実施されてよい。
【0018】
方法300は、前記薬物送達を作動させる及び/又は監視するために、第一の波長がある第一の光信号を、前記光学プローブを通して送信させるステップ320を含んでよい。当該方法はまた、前記薬物送達を作動させる及び/又は監視するために、前記第一の光信号と同時に、第二の波長がある第二の光信号を、前記光学プローブを通して送信させるステップ330を含んでよい。重要なことに、前記第一の波長は前記第二の波長とは異なってよい。第一の光信号及び/又は第二の光信号を含む光信号は、光パルスであってよい。単一のパルスは、実質的に単一の波長又は複数の別個の波長からなってよい。それらは、いかなる適当な周波数、例えば可視光、赤外線又は近赤外線周波数であってよい。それらは、レーザー源、例えば近赤外レーザー源によって提供されてよい。
【0019】
第一の光信号は、薬物送達を作動及び/又は監視するために組織に送信される信号であってよい。第二の光信号は、薬物送達を監視するために組織から送信される信号であってよい。他方、第一の光信号及び第二の光信号はともに、薬物送達を作動及び/又は監視するために組織に送信される信号であってもよく、又はそれらはともに、薬物送達を監視するために組織から送信される信号であってよい。本方法は、波長に基づいて前記光信号を区別するために、波長感知検出ユニットにおいて光学プローブから2つ以上の光信号を受信することも含んでよい。
【0020】
本方法は、互いに独立して、及び/又はいかなる順序で実行されてよいいくつかの追加の部分を含んでよい。例えば、第一の光信号は、薬物送達構築物又は薬物の組織への到達を監視するために、組織に送信されてよい。あるいは又はさらに、第二の光信号は、本目的のために組織から受信されてよい。第一の光信号はまた、薬物送達のために、薬物送達構築物、例えば、薬物を封入する担体の完全性を監視するために、組織に送信されてよい。あるいは又はさらに、第二の光信号は、本目的のために組織から受信されてよい。第一の光信号は、担体からの薬物の放出を誘発することによって薬物送達を作動させるように組織に送信されてよい。あるいは又はさらに、第二の光信号は、放出を監視するために組織から受信されてよい。第一の光信号は、薬物の活性化を誘導することによって薬物送達を作動させるために組織に送信されてよい。あるいは又はさらに、第二の光信号は、活性化を監視するために組織から受信されてよい。第一の光信号は、薬物の活性化を探査するために組織に送信されてよい。あるいは又はさらに、第二の光信号は、薬物の活性化の完了を監視するために組織から受信されてよい。例えば、第二の光信号の強度が閾値レベルを下回って低下すること、又は第二の光信号が完全に消失することが、活性化の完了の指示として決定されてよい。
【0021】
上記の例の全ては、監視のために蛍光を利用してよい。薬物送達構築物は、本目的のために1つ以上の蛍光マーカーを含んでよい。それはまた、異なる蛍光波長に対応する2つ以上の蛍光マーカーを含んでよい。第一の光信号は、薬物及び/又は薬物送達構築物からの蛍光を活性化するために組織に送信されてよい。あるいは又はさらに、第二の光信号は、蛍光を監視するために組織から受信されてよい。第一の光信号は、組織に送信されて、組織自体からの蛍光、反射率、又はラマン散乱信号等のような特徴的な光学応答を活性化することができる。あるいは又はさらに、第二の光信号は、組織自体からの特徴的な光学応答を監視するために組織から受信されてよい。
【0022】
方法300は、前記薬物送達を作動させる及び/又は監視するために、波長が異なる1つ以上の信号を、前記第一の信号及び前記第二の信号と同時に前記光学プローブを通して送信させることを含んでよく、前記異なる波長は、前記第一の波長及び前記第二の波長とは異なる。異なる波長の数は、必ずしも限定されず、例えば5~10であってよい。2つ以上の異なる波長が、例えば、2つの異なる薬物及び/又は2つの異なる光増感剤のために、薬物送達を作動させるために用いられてよい。2つ以上の異なる波長もまた、例えば蛍光マーカーなどの2つの異なる標的について、監視信号を誘導するために用いられ得る。あるいは又はさらに、2つ以上の異なる波長が、例えば蛍光マーカーなどの標的を作動させることによって、又は組織からの2つ以上の異なる波長を監視することによって、監視を作動させるために、薬物送達を監視するために用いられてよい。
【0023】
上記のステップの全ては、同時に、かついかなる組み合わせで行われてよい。本目的のために、同じ光学プローブが用いられてよい。これに対応して、送信と受信との間の切り替えは必要なく、複数のプローブを用いる必要もないが、複数のプローブが依然として様々な目的のために用いられてよい。例えば、同じ光学プローブを通る複数の異なる波長が、薬物送達を作動させるために同時に用いられてもよく、及び/又は同じ光学プローブを通る複数の異なる波長が、薬物送達を監視するために同時に用いられてよい。
【0024】
図4は、システム400の例を示す。方法300に関して記載した事項は、システムにも適宜当てはまり、システムは適宜構成されてよい。システムは、光活性化薬物送達システムとして提供されてよい。
【0025】
システム400は、レーザー源などの光源410を備えてもよく、これは、薬物送達を作動させる及び/又は監視するための光信号を提供するように構成されてよい。システムはまた、薬物送達を作動及び/又は監視するために光信号を組織に送信するため、及び薬物送達を監視するために光信号を組織から送信するために、光源に結合された光ファイバなどの光学プローブ420を備えてよい。システムは、薬物送達を監視するために組織から光信号を受信するための光学プローブに結合された光受信機430を備えてよい。システムは、2つ以上の連続作動及び/又は監視段階を伴う、多段階薬物送達のために構成されてよい。薬物送達のために、例えば、薬物送達構造体100を用いてよい。システムは、前記薬物送達を作動させる及び/又は監視するために、第一の波長がある第一の光信号を、前記光学プローブを通して送信させるように構成されてよい。システムは、前記薬物送達を作動させる及び/又は監視するために、前記第一の光信号と同時に、第二の波長がある第二の光信号を、前記光学プローブを通して送信させるように構成されてよい。ここで、第一の波長は第二の波長とは異なってよい。
【0026】
システム400は、1つ以上のカプラを備えてもよく、カプラは、パッシブ双方向ファイバカプラなどのファイバカプラであってよい。1つ以上のカプラの各々は、光ファイバなどの光学プローブ420を光源410に同時に結合して、光源から光送達プローブに1つ以上の第一の下流光信号を送信し、光学プローブから光受信機に1つ以上の第一の上流光信号を送信するように構成されてよい。430従って、カプラは、各カプラがそれ自身のプローブ専用となるように分離されてよい。各カプラ及び各プローブは、システムに対して別個の測定チャネルを提供してよい。システム400は、データ処理ユニット440を含むか、又はそれに結合されてよい。データ処理ユニットは、薬物送達に関する情報を受信及び/又は送信するために、光源410及び/又は光受信機430に結合されてよい。例えば、薬物送達のための光信号を送信するための光源の1つ以上のパラメータを手動で又は自動的に制御するための情報を提供してよい。また、光源の1つ以上のパラメータを制御するために利用されてよい情報を、光受信機から受信してよい。データ処理ユニットは、薬物送達からデータを収集するように構成されてよい。また、薬物送達のためのデータを分析するように構成されてよい。それは、薬物送達の操作のためのガイダンスを送達するように構成されてよい。これらのいずれか又はすべては、ローカル及び/又はリモートで実行されてよい。したがって、データ処理ユニットは、クラウド処理ユニットなどのローカル及び/又はリモートデータ処理ユニットであってよい。また、分散コンピューティングを利用して、そのアクションのいずれかをローカルに及び/又はリモートに実行することもできる。データ処理ユニットはまた、システムがデータ処理ユニットに通信可能に接続されてよいように、システムの外部にあってよい。
【0027】
システム400は、薬物送達を監視するために光学プローブ420を通して受信される2つ以上の異なる波長を同時に監視するための波長感知検出ユニットを備えてよい。検出部は、受光部430の一部であってよい。検出ユニットは、データ処理ユニットに監視情報を提供することができる。
【0028】
システム400は、場合によっては、例えば本明細書に開示される薬物送達構築物100を利用して、薬物を対象に送達するための薬物送達ユニットを含んでよい。薬物送達ユニットは、例えば自動的に薬物の投与量を調整するように構成されてよい。本目的のために、データ処理ユニット440からの情報が、手動で及び/又は自動的に用いられてよい。
【0029】
特定のソリューションには、クラウド接続されたパーソナルコンピュータ(PC)などの信号処理ユニットと、レーザー及びシャッタコントローラなどのコントローラと、光受信機(1つ以上の分光計及び/又は光検出器を備え得る)と、光源(1つ以上のレーザーモジュールを備え得る)と、1つ以上のカプラとを備えるシステム400がある。
【0030】
個々のレーザーモジュールがある1つ以上のチャネルは、レンズカプラなどのカプラを介して、アプリケーションファイバなどの光送達プローブに結合されてよい。プローブから戻ってくる光は、ファイバカプラなどのカプラを通して収集することができる。ここで、レンズカプラ及びファイバカプラは、単一の2方向カプラとして統合されてもよく、第一の経路は、光源410から光学プローブ420への下流光信号用であり、第二の経路は、光学プローブから光受信機430への上流光信号用である。
【0031】
図2a~cは、試験結果の例を示す。図2aは、蛍光標識比率(%)対蛍光強度の可能な依存性を示す。図2b及び2cは、光増感剤(700nmでのBPD)及び蛍光標識(520nmでのフルオレセイン)からの蛍光シグナル比の、照射波長及びパワーに対する可能な依存性を示す。
一般に、本発明のソリューションにより、薬物送達、担体からの放出、及び薬物の活性化に関連する複数の異なるプロセスを監視することができ、これらのプロセスとしては、以下のいずれかの単独又はいかなる組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
-例えば、薬物送達構築物の蛍光を利用して、治療前に組織中の薬物担体の存在を確認すること。
-例えば、薬物送達構築物の異なる成分からの蛍光ピーク間の比を通して、薬物送達構築物の完全性を監視すること。例えば、ベンゾポルフィリン誘導体(BPD)は、リポソーム表面上のPICの一部であってよく、フルオレセイン色素は、リポソーム二重層に組み込まれてよい。BPD-フルオレセイン発光シグナル比は、薬物送達構築物の完全性の監視に用いられてよい。例えば、微小環境の変化又はいかなる内部若しくは外部トリガーに起因して薬物送達構築物の表面から脱離するPICは、BPD-フルオレセイン発光強度比を低下させうる。また、封入された薬物の蛍光の変化(蛍光非消光)は、エンベロープの完全性の破壊及びその結果としての完全又は部分的な薬物放出があったことを示すことができる。
-薬物送達構築物からの、化学療法薬のような1つ以上の薬物の放出を誘導すること。
-例えば、1つ以上の薬物の蛍光の増加を評価することによって、薬物送達構築物からの1つ以上の薬物の放出を監視すること。これは、蛍光の非消光及び/又はエンベロープ完全性の劣化に基づくことができる。
-光増感剤の活性化による光力学的反応の誘導。
-光増感剤蛍光の減少によるリアルタイムでの光線力学的治療の進行の監視。したがって、光退色を利用してよい。
-光信号が最適ではない場合、及び/又は治療中のいかなる時点で変化する場合に、治療光が十分なレベルで(標的)組織に到達し、光パラメータを調整することを、場合によってはリアルタイムで検証すること。これは、照射の過程で変化する組織の光学的特性を調整することを可能にする。これによりまた、過小又は過剰治療のリスクを減少させることができる。
-光ファイバなどの2つの間隙光学プローブ間の光伝送を測定することによって、組織内の光伝搬を、場合によってはリアルタイムで監視する。
-例えば蛍光が存在しない場合、1つ以上の薬物が照明において消費されたことを検証する。これにより、治療結果を組織の変動と容易に無関係にできる。
―例えば組織への点光源として作用する複数の光学プローブがあると、光学プローブを所望の位置に配置することで、広い領域でも、いかなる所望の位置(単数又は複数)で蛍光監視及び/又は治療をすることができる。あるいは又はさらに、光学プローブは、治療照明及び/又は監視を最適化するために、局所組織特性に基づいて変化する密度グリッド上にクラスタ化されてよい。
【0032】
開示されたソリューションは、複数の色素及び/又は光増感剤が同時に用いられてそれらの利点を組み合わせる場合に、監視及び/又は治療も可能にする。例えば、BPDは、光のより良好な腫瘍浸透深さ(690 nmでの活性化)を可能にし得、一方、5-ALA(5-アミノレブリン酸、635 nmでの活性化)は、改善された蛍光監視能力を提供し得る。開示されたソリューションを用いて、両方の色素を同時に、例えばリアルタイムで活性化及び/又は監視することができる。
【0033】
システムは、例えば吸収スペクトルが励起波長と重なる場合、1つの波長で同時にいくつかの色素及び/又は光増感剤の蛍光発光を活性化するように構成されてよい。これは、各監視チャネルに対して波長感知検出ユニットを有することによって達成されてよい。これには、1つのレーザーしか必要ないため、システムの設計及びハードウェア要件を単純化できる。この場合、励起された色素の発光ピークは、装置スクリーン、外部ディスプレイ、及び/又はスペクトルデータが供給されるコンピュータから分析されてよい。蛍光発光ピークは、波長感知検出ユニットからのデータを収集し、分析することによって可視化することができる。
【0034】
システムはまた、以下の:色素、蛍光標識、及び/又は光増感剤のうちのいずれかを単独で、又はいかなる組み合わせで含んでよい、標的を活性化するために、いくつかの蛍光励起波長を利用するように構成されてよい。これは、同時に、いかなる所望の順序で順次に、及び/又は異なる時点で行われてよい。これは、用いられる他の標的の吸収窓と著しく重ならないように各標的の活性化波長を選択することで標的を選択的に活性化するためのフィルタを利用して行うことができる。光増感剤などの標的の蛍光特性は、PDT又は他の薬物活性化効果を有意に生成せず、低エネルギー励起波長を用いて、位置、分布、及び/又は蓄積を監視するために用いることができる。その後、同じ又は異なる励起波長の高出力レーザーなどのレーザーを用いて、蛍光により、腫瘍組織などの組織への蓄積が検出された場合、光増感剤からのPDT効果を活性化することができる。
【0035】
多相光活性薬物送達の活性化及び/又は監視のシステム及び方法が開示される。それは、癌治療又はいかなる他の類似の治療プロセスに適合されうる。治療は、以下の段階:
-例えばIV(静脈内)又はIP(腹腔内)を介して、薬物送達構築物を患者に与えること;
―非侵襲性であり得る1つ以上の治療及び/又は監視光学プローブを、腫瘍などの治療されるべき組織に挿入すること;
-組織を、例えば、連続的に、プローブで照射し、他のプローブで同じ波長で光学信号を測定して、治療及び/又は監視のために1つ以上の選択された波長について組織内の均一な照射場を決定すること;
-光増感剤(PS)、色素又は薬物などの1つ以上の蛍光部分によって吸収されてよい選択された波長で組織を照射し、1つ以上の波長で組織における蛍光応答を測定して、薬物送達構築物又は担体が組織中に及び/又は所望の濃度で存在するかどうかを決定すること;これは、治療を開始するための組織及び飽和レベルの相対的変化を決定するための複数の測定を含んでよい;
-薬物送達構築物を溶解し、薬物(複数可)を組織に放出する1つ以上の波長で組織を照射すること;これは、薬物送達構築物及び/又はその薬物(複数可)の蛍光シグナル変化を同時に、又はその間に、又はその後に監視して、薬物放出の完了を同定することを含んでよい;
-薬物及び/又は光増感剤を光活性化するために、及び/又は光によって薬物の効能を高めるために、1つ以上の波長で組織を照射すること;これは、活性化プロセスの進行をモニターするために、1つ以上の活性化標的からの蛍光シグナル(又は光退色)の変化をモニターすることを含んでよい;
-プロセス中に異なるプローブ間の組織からの光学応答を監視して、出血及び/又は組織の暗化及び/又はアブレーションのような異常の可能性を検出すること;
-例えばグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を介して、ユーザに、薬物送達の進行について、例えば成功レベル及び/又は異なる段階の完了について、すべての薬物が放出及び/又は活性化されたときにプロセスを停止することについて、又は薬物が組織中で検出されなかった場合、及び/又は治療において合併症が検出された場合、及び/又はいかなる他の異常な出来事について通知すること;
-例えば、経験豊富なユーザ及び/又は機械学習及び/又はAIアルゴリズムによって、データのローカル及び/又はリモート分析をするため、動作パラメータ及び/又は監視信号からデータをローカル又はリモートでデータ記憶装置に収集すること;これにより、例えば、類似の治療からの以前のデータ及び/又は治療計画データに基づいて、治療中の異なるフェーズの進行、長さ、継続又は成功のいずれかを決定することができる;
の1つ以上を、いかなる組み合わせで、場合によっては様々な順序で含んでよい。
【0036】
上記システムは、ソフトウェア、ハードウェア、アプリケーションロジック、又はソフトウェア、ハードウェア、及びアプリケーションロジックの組み合わせで実装されてよい。アプリケーションロジック、ソフトウェア、又は命令セットは、様々な従来のコンピュータ可読媒体のうちのいずれか1つに格納されてよい。「コンピュータ可読媒体」は、コンピュータなどの命令実行システム、装置、又は装置によって、又はそれらに関連して用いるための命令を含み、記憶し、通信し、伝搬し、又は移送することができるいかなる媒体又は手段であってよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータなどの命令実行システム、装置、又は装置によって、又はそれらと関連して用いるための命令を含むか、又は記憶することができるいかなる媒体又は手段であり得るコンピュータ可読記憶媒体を備え得る。例は、本明細書に記載される様々なプロセスに関する情報を記憶することができる。本情報は、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、RAMなどの1つ以上のメモリに記憶することができる。1つ以上のデータベースは、実施形態を実装するために用いられる情報を記憶することができる。データベースは、本明細書に列挙される1つ以上のメモリ又は記憶装置に含まれるデータ構造(例えば、レコード、テーブル、アレイ、フィールド、グラフ、ツリー、リスト等)を用いて編成されてよい。データベースは、サーバなどのローカル及び/又はリモート装置を含む1つ以上の装置上に配置されてよい。実施形態に関して説明されるプロセスは、実施形態の装置及びサブシステムのプロセスによって収集及び/又は生成されたデータを1つ以上のデータベースに記憶するための適当なデータ構造を含んでよい。
【0037】
実施形態の全て又は一部は、コンピュータ及び/又はソフトウェア技術の当業者には理解されるように、実施形態の教示に従ってプログラムされた1つ以上の汎用プロセッサ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、マイクロコントローラ等を使用して実施することができる。ソフトウェア技術の当業者には理解されるように、実施形態の教示に基づいて、通常の技能を有するプログラマは、適当なソフトウェアを容易に準備することができる。さらに、実施形態は、電気技術分野の当業者によって理解されるように、特定用途向け集積回路の準備によって、又は従来のコンポーネント回路の適当なネットワークを相互接続することによって実施されてよい。したがって、実施形態は、ハードウェア及び/又はソフトウェアのいかなる特定の組み合わせに限定されない。
【0038】
本明細書で説明される異なる機能は、異なる順序で、及び/又は互いに同時に実行されてよい。
本明細書に記載されるいかなる範囲又は値は、別段の指示がない限り、求められる効果を失わずに拡張又は変更されてよい。また、明示されない限り、いかなる例を別の例と組み合わせてよい。
主題は、構造的特徴及び/又は動作に特有の言語で説明されているが、添付の特許請求の範囲において定義される主題は、必ずしも上記の特定の特徴又は動作に限定されないことを理解されたい。むしろ、上述した特定の特徴及び動作は、特許請求の範囲を実施する例として開示されており、他の同等の特徴及び動作は、特許請求の範囲内にあることが意図されている。
上述の利益及び利点は、1つの実施形態に関連してよく、又はある実施形態に関連してよいことが理解されるであろう。実施形態は、記載された問題のいずれか又はすべてを解決するもの、又は記載された利益及び利点のいずれか又はすべてを有するものに限定されない。さらに、「1つの(an)」項目への言及は、それらの項目のうちの1つ以上を指すことがあることを理解されよう。
用語「含む(comprising)」は、本明細書では、識別された方法、ブロック、又は要素を含むが、そのようなブロック又は要素が排他的なリストを備えず、方法又は装置がさらなるブロック又は要素を含んでよいことを意味するために用いられる。
「第一の」、「第二の」などの数値記述子は、本明細書において、単に、そうでなければ同様の名称がある部分を区別する方法として用いられる。数値記述子は、いかなる特定の構造における選好、製造、又は発生の順序等のいかなる特定の順序を示すものとして解釈されるべきではない。
本発明は、特定のタイプの装置及び/又は方法と関連して説明されたが、本発明は、いかなる特定のタイプの装置及び/又は方法に限定されないことを理解されたい。本発明は、多くの例、実施形態及び実装に関連して説明されてきたが、本発明は、そのように限定されるものではなく、むしろ、特許請求の範囲内に入る様々な修正及び等価な構成を包含する。様々な例が、ある程度の特殊性を伴って、又は1つ若しくは複数の個々の実施形態を参照して上で説明されたが、当業者は、本明細書の範囲から逸脱することなく、開示された例に対して多数の変更を行うことができる。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】