(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】デバイス冷却システム及び熱管理システム
(51)【国際特許分類】
B60K 11/02 20060101AFI20240822BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240822BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20240822BHJP
H01M 10/6568 20140101ALI20240822BHJP
H01M 10/6571 20140101ALI20240822BHJP
【FI】
B60K11/02
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6568
H01M10/6571
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024507136
(86)(22)【出願日】2021-08-31
(85)【翻訳文提出日】2024-02-06
(86)【国際出願番号】 CN2021115796
(87)【国際公開番号】W WO2023028879
(87)【国際公開日】2023-03-09
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133569
【氏名又は名称】野村 進
(72)【発明者】
【氏名】尹 建▲強▼
【テーマコード(参考)】
3D038
5H031
【Fターム(参考)】
3D038AB01
3D038AC23
5H031KK03
5H031KK08
(57)【要約】
本出願ではデバイス冷却システム及び熱管理システムが提供される。熱管理システムは電気駆動部液冷ループとバッテリ液冷ループとを含む。デバイス冷却システムは車載デバイス、メインコントローラ及びバルブセットを含む。車載デバイスには液流入パイプと液流出パイプとが配置され、液流入パイプはバルブセットと連通し、バルブセットは電気駆動部液冷ループに接続されて第1の経路が形成され、バルブセットはバッテリ液冷ループに接続されて第2の経路が形成され、バルブセットは、スイッチ状況を切り換えて第1の経路又は第2の経路を接続するように制御するように構成される。車載デバイスには温度湿度検出装置が配置される。メインコントローラは、温度湿度検出装置によって検出された温度及び湿度に基づいて露点温度を取得し、露点温度に基づいて、スイッチ状況を切り換えるようにバルブセットを制御するように構成される。本出願で提供されているデバイス冷却システム及び熱管理システムに係れば、車載デバイスが液冷循環システムに接続される場合に結露が生じる問題が解決されることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱管理システムに適用されるデバイス冷却システムであって、前記熱管理システムは電気駆動部液冷ループとバッテリ液冷ループとを備え、前記デバイス冷却システムは車載デバイス、メインコントローラ及びバルブセットを備え、
前記車載デバイスには液流入パイプと液流出パイプとが配置され、前記液流入パイプは前記バルブセットと連通し、前記バルブセットは前記電気駆動部液冷ループに接続されて第1の経路が形成され、前記バルブセットは前記バッテリ液冷ループに接続されて第2の経路が形成され、前記バルブセットは、スイッチ状況を切り換えて前記第1の経路又は前記第2の経路を接続するように制御するように構成され、前記液流出パイプは前記電気駆動部液冷ループ又は前記バッテリ液冷ループに接続され、
前記車載デバイスには温度湿度検出装置が配置され、前記温度湿度検出装置と前記バルブセットとに前記メインコントローラが個別に接続され、前記メインコントローラは、前記温度湿度検出装置によって検出された温度及び湿度に基づいて露点温度を取得し、前記露点温度に基づいて、前記スイッチ状況を切り換えるように前記バルブセットを制御するように構成される、デバイス冷却システム。
【請求項2】
前記電気駆動部液冷ループと前記バルブセットとの間には第1の温度センサが配置され、前記バッテリ液冷ループと前記バルブセットとの間には第2の温度センサが配置され、
前記第1の温度センサと前記第2の温度センサとには前記メインコントローラが個別に接続され、前記メインコントローラは、前記第1の温度センサによって検出された第1の温度と、前記第2の温度センサによって検出された第2の温度と、を取得し、前記露点温度、前記第1の温度及び前記第2の温度を比較し、前記第1の温度と前記第2の温度との両方が前記露点温度以上である場合に、前記第1の温度と前記第2の温度とのうちの低い方の温度に対応する経路を接続するように制御し、又は前記第1の温度と前記第2の温度とのいずれかが前記露点温度以上である場合に、前記第1の温度と前記第2の温度とのうちの高い方の温度に対応する経路を接続するように制御するように構成される、請求項1に記載のデバイス冷却システム。
【請求項3】
前記デバイス冷却システムは第1のヒータをさらに備え、前記第1のヒータは前記バルブセットと前記液流入パイプとの間に接続され、前記第1のヒータには前記メインコントローラが接続され、前記メインコントローラは、前記第1の温度と前記第2の温度との両方が前記露点温度未満である場合に、オンにされるように前記第1のヒータを制御するように構成される、請求項2に記載のデバイス冷却システム。
【請求項4】
前記デバイス冷却システムは第3の温度センサをさらに備え、前記第3の温度センサは前記第1のヒータと前記液流入パイプとの間に接続され、前記第3の温度センサには前記メインコントローラが接続され、前記メインコントローラは、前記第3の温度センサによって検出された第3の温度を取得し、前記第3の温度が前記露点温度未満にならないように、オンにされるように前記第1のヒータを制御するように構成される、請求項3に記載のデバイス冷却システム。
【請求項5】
前記バルブセットは第1の3ウェイソレノイドバルブを備え、前記第1の3ウェイソレノイドバルブの流出部には前記液流入パイプが接続され、前記第1の3ウェイソレノイドバルブの第1の流入部には前記電気駆動部液冷ループが接続され、前記第1の3ウェイソレノイドバルブの第2の流入部には前記バッテリ液冷ループが接続される、請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイス冷却システム。
【請求項6】
前記バルブセットは第1の2ウェイソレノイドバルブと第2の2ウェイソレノイドバルブとを備え、前記第1の2ウェイソレノイドバルブは前記電気駆動部液冷ループと前記液流入パイプとの間に接続され、前記第2の2ウェイソレノイドバルブは前記バッテリ液冷ループと前記液流入パイプとの間に接続される、請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイス冷却システム。
【請求項7】
前記車載デバイスはハウジングと、前記ハウジングに配置されるメインボードと、を備え、前記ハウジングは冷温プレートを備え、前記冷温プレートには前記液流入パイプと前記液流出パイプとが配置される、請求項1から6のいずれか一項に記載のデバイス冷却システム。
【請求項8】
前記電気駆動部液冷ループは、管路を通じて順次連通するラジエータ、第1のケトル、第1のウォータポンプ及びパワートレインを備え、前記第1のウォータポンプと前記パワートレインとの間に前記バルブセットが接続される、請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイス冷却システム。
【請求項9】
前記電気駆動部液冷ループは第2の3ウェイソレノイドバルブをさらに備え、前記第2の3ウェイソレノイドバルブの流入部が前記パワートレインに接続され、前記第2の3ウェイソレノイドバルブの2つの流出部が前記ラジエータと前記第1のケトルとにそれぞれ接続される、請求項8に記載のデバイス冷却システム。
【請求項10】
前記バッテリ液冷ループはコンプレッサ、熱交換器、コンデンサ、第2のケトル、第2のウォータポンプ及びバッテリパックを備え、前記コンプレッサ、前記熱交換器及び前記コンデンサは管路を通じて順次連通して冷媒ループが形成され、前記第2のケトル、前記第2のウォータポンプ、前記熱交換器及び前記バッテリパックは管路を通じて順次連通して冷却剤ループが形成され、前記熱交換器と前記バッテリパックとの間には前記バルブセットが接続される、請求項1から9のいずれか一項に記載のデバイス冷却システム。
【請求項11】
前記バッテリ液冷ループは第2のヒータをさらに備え、前記第2のヒータは前記熱交換器と前記バッテリパックとの間に接続され、前記第2のヒータと前記バッテリパックとの間には前記バルブセットが接続される、請求項10に記載のデバイス冷却システム。
【請求項12】
前記車載デバイスはドメインコントローラ、オンボードチャージャ又はエレクトロニックコントロールユニットECUを備える、請求項1から11のいずれか一項に記載のデバイス冷却システム。
【請求項13】
前記メインコントローラはビークルコントロールユニットVCU、又は前記車載デバイス中のコントローラである、請求項1から12のいずれか一項に記載のデバイス冷却システム。
【請求項14】
電気駆動部液冷ループと、バッテリ液冷ループと、請求項1から13のいずれか一項に記載のデバイス冷却システムと、を備える、熱管理システム。
【請求項15】
デバイス冷却システムを制御する方法であって、
車載デバイスの温度湿度検出装置によって検出された温度情報及び湿度情報を取得し、前記温度情報及び前記湿度情報に基づいて露点温度を計算するステップと、
前記露点温度が第1の区間に属するのか第2の区間に属するのかを決定するステップと、
前記露点温度が前記第1の区間に属する場合に、第1の経路を開くようにスイッチを切り換えるようにバルブセットを制御するステップであって、前記第1の経路は前記車載デバイスを電気駆動部液冷ループと接続する、ステップ、又は
前記露点温度が前記第2の区間に属する場合に、第2の経路を開くようにスイッチを切り換えるようにバルブセットを制御するステップであって、前記第2の経路は前記車載デバイスをバッテリ液冷ループと接続する、ステップと、を含む、方法。
【請求項16】
前記露点温度が第1の区間に属するのか第2の区間に属するのかを決定する前記ステップは、
第1の温度センサによって検出された第1の温度と、第2の温度センサによって検出された第2の温度と、を取得するステップであって、前記第1の温度は前記第1の経路の液流入温度であり、前記第2の温度は前記第2の経路の液流入温度である、ステップと、
前記露点温度、前記第1の温度及び前記第2の温度を比較するステップと、
前記露点温度が前記第1の温度と前記第2の温度とのいずれか以下である場合において、前記第1の温度が前記第2の温度を超えるときに、前記露点温度が前記第1の区間に属すると決定する、若しくは前記第1の温度が前記第2の温度未満であるときに、前記露点温度が前記第2の区間に属すると決定するステップ、又は
前記露点温度が前記第1の温度と前記第2の温度との両方以下である場合において、前記第1の温度が前記第2の温度を超えるときに、前記露点温度が前記第2の区間に属すると決定する、若しくは前記第1の温度が前記第2の温度未満であるときに、前記露点温度が前記第1の区間に属すると決定するステップと、を特に備える、請求項15に記載のデバイス冷却システムを制御する方法。
【請求項17】
前記露点温度が第3の区間に属するか否かを決定し、前記露点温度が前記第3の区間に属する場合に、オンにされるように第1のヒータを制御するステップであって、前記第1のヒータは前記バルブセットと前記車載デバイスとの間に配置される、ステップをさらに備える、請求項16に記載のデバイス冷却システムを制御する方法。
【請求項18】
前記露点温度が第3の区間に属するか否かを決定する前記ステップは、
前記露点温度、前記第1の温度及び前記第2の温度を比較し、前記露点温度が前記第1の温度と前記第2の温度との両方を超える場合に、前記露点温度が前記第3の区間に属すると決定するステップを特に備える、請求項17に記載のデバイス冷却システムを制御する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は熱管理技術の分野に関し、特にデバイス冷却システム及び熱管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
結露とは、空気の絶対湿度が不変のままでありかつ空気温度が減少し、温度が特定の値まで減少したときに空気の湿度が飽和状態に達し、温度が減少し続けるときに空気の湿気が凝結させられる現象である。露点温度とは、混合比及び大気圧が不変のままであることを前提として空気の相対湿度が100%に達することができる温度である。デバイスに付けられた水滴は電気化学的腐食やカビの発生などの異常現象を引き起こすおそれがある。デバイスの電気部品上で垂れる水滴は短絡や破裂などの問題を引き起こすおそれがある。
【0003】
例として車両分野を用いる。車載デバイスの機能がますます強力になるのにつれて、車載デバイスのチップのパワー消費がますます大きくなる。したがって、車載デバイスの放熱要求がますます高くなり、放熱要求が自然放熱や空冷放熱だけでは満たされることができない。放熱効率を改善するために、車載デバイスが車両の液冷循環システムに接続される場合がある。しかし、空気と液冷循環システムの冷却剤との温度差が大きい。結果として、車載デバイス内の暖かい空気が車載デバイスの冷温のハウジングに触れると、結露が生じる場合があり、車載デバイスのメインボードや電子部品で生じる腐食及び短絡のリスクが引き起こされる。
【発明の概要】
【0004】
本出願の実施形態では、デバイスが液冷循環システムに接続される場合に結露が生じる問題を解決する、デバイス冷却システム及び熱管理システムが提供される。解決手段が車両システムに適用されると、車載デバイスで生じる結露のリスクが低下させられることができ、車両安全性が改善されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願の実施形態の態様では、熱管理システムに適用されるデバイス冷却システムが提供される。熱管理システムは電気駆動部液冷ループとバッテリ液冷ループとを含む。デバイス冷却システムは車載デバイス、メインコントローラ及びバルブセットを含む。車載デバイスには液流入パイプと液流出パイプとが配置され、液流入パイプはバルブセットと連通し、バルブセットは電気駆動部液冷ループに接続されて第1の経路が形成され、バルブセットはバッテリ液冷ループに接続されて第2の経路が形成され、バルブセットは、スイッチ状況を切り換えて第1の経路又は第2の経路を接続するように制御するように構成され、液流出パイプは電気駆動部液冷ループ又はバッテリ液冷ループに接続される。車載デバイスには温度湿度検出装置が配置される。温度湿度検出装置とバルブセットとにメインコントローラが個別に接続され、メインコントローラは、温度湿度検出装置によって検出された温度及び湿度に基づいて露点温度を取得し、露点温度に基づいて、スイッチ状況を切り換えるようにバルブセットを制御するように構成される。
【0006】
本出願の実施形態で提供されているデバイス冷却システムに係れば、車載デバイスに温度湿度検出装置が配置されて車載デバイス内の空気の露点温度が取得される。車載デバイスが電気駆動部液冷ループとバッテリ液冷ループとにバルブセットを用いて接続される。バルブセットを用いてスイッチを切り換えることによって車載デバイスが電気駆動部液冷ループ又はバッテリ液冷ループに接続される。このようにして、車載デバイスに入る冷却剤の温度が常に車載デバイス内の空気の露点温度以上である。これにより、車載デバイスで結露現象が生じることを避けることができ、車載デバイスの信頼性及び耐用年数の改善及び延長を行なうことができる。
【0007】
可能な実現例では、電気駆動部液冷ループとバルブセットとの間には第1の温度センサが配置され、バッテリ液冷ループとバルブセットとの間には第2の温度センサが配置される。第1の温度センサと第2の温度センサとにメインコントローラが個別に接続される。メインコントローラは、第1の温度センサによって検出された第1の温度と、第2の温度センサによって検出された第2の温度と、を取得し、露点温度、第1の温度及び第2の温度を比較し、第1の温度と第2の温度との両方が露点温度以上である場合に、第1の温度と第2の温度とのうちの低い方の温度に対応する経路を接続するように制御し、又は第1の温度と第2の温度とのいずれかが露点温度以上である場合に、第1の温度と第2の温度とのうちの高い方の温度に対応する経路を接続するように制御するように構成される。
【0008】
この場合、電気駆動部液冷ループとバッテリ液冷ループとの液流入温度が露点温度と比較されてもよいことで、車載デバイスに入る冷却剤の温度がより正確に制御されることができる。これにより、車載デバイスで結露現象が生じることを避けることができ、車載デバイスが最低稼動温度にあることができて、車載デバイスの信頼性を改善し、故障率を低下させることができる。
【0009】
可能な実現例では、デバイス冷却システムは第1のヒータをさらに含む。第1のヒータはバルブセットと液流入パイプとの間に接続され、第1のヒータにはメインコントローラが接続され、メインコントローラは、第1の温度と第2の温度との両方が露点温度未満である場合に、オンにされるように第1のヒータを制御するように構成される。
【0010】
バッテリ液冷ループ又は電気駆動部液冷ループからの低温の水を加熱するように第1のヒータが配置される。このようにして、車載デバイスに入る水の温度が露点温度以上であることで、結露現象が避けられることができる。
【0011】
可能な実現例では、デバイス冷却システムは第3の温度センサをさらに含む。第3の温度センサは第1のヒータと液流入パイプとの間に接続されてもよく、第3の温度センサにはメインコントローラが接続される。メインコントローラは、第3の温度センサによって検出された第3の温度を取得し、第3の温度が露点温度未満にならないように、オンにされるように第1のヒータを制御するように構成される。
【0012】
第3の温度センサが配置されることで、車載デバイスに入る水の温度がリアルタイムに監視されてもよい。これにより、車載デバイスに入る水の温度が露点温度以上であることが確実になり、第1のヒータの過度の加熱パワーによって引き起こされる水の過度に高い温度により車載デバイスの冷却効率と稼動の信頼性とに影響を及ぼすことが避けられる。
【0013】
可能な実現例では、バルブセットは第1の3ウェイソレノイドバルブを含む。第1の3ウェイソレノイドバルブの流出部には液流入パイプが接続され、第1の3ウェイソレノイドバルブの第1の流入部には電気駆動部液冷ループが接続され、第1の3ウェイソレノイドバルブの第2の流入部にはバッテリ液冷ループが接続される。
【0014】
第1の3ウェイソレノイドバルブの2つの流入部が開くように切り換えられることで、少数の部品があり管路が単純である場合に2つのループに液流入パイプが接続されるように切り換えられることができる。
【0015】
可能な実現例では、バルブセットは第1の2ウェイソレノイドバルブと第2の2ウェイソレノイドバルブとを含む。第1の2ウェイソレノイドバルブは電気駆動部液冷ループと液流入パイプとの間に接続され、第2の2ウェイソレノイドバルブはバッテリ液冷ループと液流入パイプとの間に接続される。
【0016】
2つの2ウェイソレノイドバルブが配置されることで、1つの3ウェイソレノイドバルブの機能と同じ2つの2ウェイソレノイドバルブの機能が実施されることができる。これに加えて、管路接続関係が単純であり、実施し易い。
【0017】
可能な実現例では、車載デバイスはハウジングと、ハウジングに配置されるメインボードと、を含む。ハウジングは冷温プレートを含み、冷温プレートには液流入パイプと液流出パイプとが配置される。
【0018】
車載デバイスに配置される冷温プレートが車載デバイスと液冷ループとの接続を実施するのに用いられて、車載デバイスの液冷を実施してメインボードの優れた保護を行なうことができる。
【0019】
可能な実現例では、電気駆動部液冷ループは、管路で順次連通するラジエータ、第1のケトル、第1のウォータポンプ及びパワートレインを含み、第1のウォータポンプとパワートレインとの間にバルブセットが接続される。
【0020】
このようにして、電気駆動部液冷ループの低温冷却剤が車載デバイスに入ることができる。
【0021】
可能な実現例では、電気駆動部液冷ループは第2の3ウェイソレノイドバルブをさらに含み、第2の3ウェイソレノイドバルブの流入部がパワートレインに接続され、第2の3ウェイソレノイドバルブの2つの流出部がラジエータと第1のケトルとにそれぞれ接続される。
【0022】
第2の3ウェイソレノイドバルブが配置されることで、パワートレインによって発生させられた熱が低いと、冷却剤循環を通るだけで放熱要求が満たされることができ、ラジエータがオンにされる必要がない。これにより、エネルギー消費を低下させることができる。
【0023】
可能な実現例では、バッテリ液冷ループはコンプレッサ、熱交換器、コンデンサ、第2のケトル、第2のウォータポンプ及びバッテリパックを含む。コンプレッサ、熱交換器及びコンデンサは管路を通じて順次連通して冷媒ループが形成される。第2のケトル、第2のウォータポンプ、熱交換器及びバッテリパックは管路を通じて順次連通して冷却剤ループが形成される。熱交換器とバッテリパックとの間にはバルブセットが接続される。
【0024】
このようにして、バッテリ液冷ループの低温冷却剤が車載デバイスに入ることができる。
【0025】
可能な実現例では、バッテリ液冷ループは第2のヒータをさらに含む。第2のヒータは熱交換器とバッテリパックとの間に接続され、第2のヒータとバッテリパックとの間にはバルブセットが接続される。
【0026】
第2のヒータは、冷却剤を加熱して冬期で温度が低いときにバッテリパックを加熱して、低温によってバッテリパックの稼動に影響が及ぼされるのを防止するように構成される。
【0027】
可能な実現例では、車載デバイスはドメインコントローラ、オンボードチャージャ又はエレクトロニックコントロールユニットECUを含む。
【0028】
複数のタイプの車載デバイスのすべてが上記の冷却デバイスで用いられて、効率的な冷却と結露防止とを実施することができる。
【0029】
可能な実現例では、メインコントローラはビークルコントロールユニットVCU、又は車載デバイス中のコントローラである。
【0030】
車両統合性を高くするためにメインコントローラがビークルコントロールユニットに組み込まれてもよいし、回路接続を容易にするためにメインコントローラが、車載デバイスに含まれるコントローラであってもよい。
【0031】
本出願の実施形態の別の態様では熱管理システムが提供される。熱管理システムは電気駆動部液冷ループと、バッテリ液冷ループと、上記のデバイス冷却システムと、を含む。
【0032】
本出願の実施形態の熱管理システムでは、電気駆動部液冷ループとバッテリ液冷ループとがパワートレインとバッテリパックという主要な2つの発熱デバイスをそれぞれ冷却するように配置される。これに加えて、メインコントローラの制御下で車載デバイスが電気駆動部液冷ループに接続されたりバッテリ液冷ループに接続されたりしてもよい。このようにして、車載デバイスの液冷が実施されることができ、車載デバイスの結露現象が避けられることができる。
【0033】
本出願の実施形態の別の態様ではデバイス冷却システムを制御する方法がさらに提供される。本方法は、
車載デバイスの温度湿度検出装置によって検出された温度情報及び湿度情報を取得し、温度情報及び湿度情報に基づいて露点温度を計算するステップと、
露点温度が第1の区間に属するのか第2の区間に属するのかを決定するステップと、
露点温度が第1の区間に属する場合に、第1の経路を開くようにスイッチを切り換えるようにバルブセットを制御するステップであって、第1の経路は車載デバイスを電気駆動部液冷ループと接続する、ステップ、又は
露点温度が第2の区間に属する場合に、第2の経路を開くようにスイッチを切り換えるようにバルブセットを制御するステップであって、第2の経路は車載デバイスをバッテリ液冷ループと接続する、ステップと、を含む。
【0034】
露点温度の解析を通じて、露点温度が異なる区間に属する場合に、異なる液冷ループに接続されるように車載デバイスが制御されることができることで、車載デバイスに入る冷却剤の温度が常に車載デバイス内の空気の露点温度以上である。これにより、車載デバイスで結露現象が生じることを避けることができる。
【0035】
可能な実現例では、露点温度が第1の区間に属するのか第2の区間に属するのかを決定するステップは、
第1の温度センサによって検出された第1の温度と、第2の温度センサによって検出された第2の温度と、を取得するステップであって、第1の温度は第1の経路の液流入温度であり、第2の温度は第2の経路の液流入温度である、ステップと、
露点温度、第1の温度及び第2の温度を比較するステップと、
露点温度が第1の温度と第2の温度とのいずれか以下である場合において、第1の温度が第2の温度を超えるときに、露点温度が第1の区間に属すると決定する、若しくは第1の温度が第2の温度未満であるときに、露点温度が第2の区間に属すると決定するステップ、又は
露点温度が第1の温度と第2の温度との両方以下である場合において、第1の温度が第2の温度を超えるときに、露点温度が第2の区間に属すると決定する、若しくは第1の温度が第2の温度未満であるときに、露点温度が第1の区間に属すると決定するステップと、を特に含む。
【0036】
2つのループのそれぞれの液流入温度と露点温度との比較の結果に基づいて、車載デバイスに入る冷却剤の温度がより正確に制御されることができることで、結露現象が避けられる。
【0037】
可能な実現例では、デバイス冷却システムを制御する方法は、露点温度が第3の区間に属するか否かを決定し、露点温度が第3の区間に属する場合に、オンにされるように第1のヒータを制御するステップであって、第1のヒータはバルブセットと車載デバイスとの間に配置される、ステップをさらに含む。
【0038】
露点温度が高く、車載デバイスが電気駆動部液冷ループに接続されるのかバッテリ液冷ループに接続されるのかにまったく無関係に結露現象が避けられることができない場合、冷却剤がヒータを用いて加熱されてもよく、これにより、液流入温度が露点温度以上である。
【0039】
可能な実現例では、露点温度が第3の区間に属するか否かを決定するステップは、
露点温度、第1の温度及び第2の温度を比較し、露点温度が第1の温度と第2の温度との両方を超える場合に、露点温度が第3の区間に属すると決定するステップ
を特に含む。
【0040】
2つのループのそれぞれの液流入温度と露点温度との比較の結果に基づいて、2つのループの液流入温度が両方とも露点温度未満であることがより正確に決定されることができ、その際、ヒータが適時にオンにされて結露が防止される。
【0041】
本出願の本実施形態では、2つ以上の液冷ループを含む熱管理システムに用いられるデバイス冷却システムがさらに提供される。熱管理システムは第1の液冷ループと第2の液冷ループとを含む。第1の液冷ループの冷却剤の冷却温度が第2の液冷ループの冷却剤の冷却温度を超える。デバイス冷却システムは冷却されるデバイスと、メインコントローラと、バルブセットと、を含む。冷却されるデバイスの液流入パイプがバルブセットと連通し、バルブセットが第1の液冷ループに接続されて第1の経路が形成され、バルブセットが第2の液冷ループに接続されて第2の経路が形成される。バルブセットはスイッチ状況を切り換えて第1の経路又は第2の経路を接続するように制御するように構成される。冷却されるデバイスの液流出パイプが第1の液冷ループと第2の液冷ループとに接続される。冷却されるデバイスには温度湿度検出装置が配置され、温度湿度検出装置とバルブセットとにメインコントローラが個別に接続される。メインコントローラは、温度湿度検出装置によって検出された温度及び湿度に基づいて露点温度を取得し、露点温度に基づいて、スイッチ状況を切り換えるようにバルブセットを制御するように構成される。本出願の本実施形態で提供されているデバイス冷却システムは車両中の上記の熱管理システムで用いられてもよいし、パワーシステムやデータセンターなどの分野で用いられてもよい。
【0042】
本出願の実施形態で提供されているデバイス冷却システム、熱管理システム及びデバイス冷却システムを制御する方法に係れば、車載デバイスに温度湿度検出装置が配置されて車載デバイス内の空気の露点温度が取得され、車載デバイスが電気駆動部液冷ループとバッテリ液冷ループとにバルブセットを用いて接続され、スイッチを切り換えるようにバルブセットを制御することによって車載デバイスが電気駆動部液冷ループ又はバッテリ液冷ループに接続される。このようにして、車載デバイスに入る冷却剤の温度が常に車載デバイス内の空気の露点温度以上である。これにより、車載デバイスで結露現象が生じることを避け、車載デバイスの信頼性及び耐用年数の改善及び延長を行なって、車両の熱管理システムの信頼性を改善するのを支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】従来の技術に係る、車載デバイスを電気駆動部液冷ループに接続する概略図である。
【
図2】従来の技術に係る、車載デバイスをバッテリ液冷ループに接続する概略図である。
【
図3】本出願の実施形態に係るデバイス冷却システムの概略図である。
【
図4】本出願の実施形態に係る車載デバイスの構造の概略図である。
【
図5】本出願の実施形態に係るデバイス冷却システムの別の構造の概略図である。
【
図6】本出願の実施形態に係るデバイス冷却システムのまた別の構造の概略図である。
【
図7】本出願の実施形態に係るデバイス冷却システムのまたさらに別の構造の概略図である。
【
図8】本出願の実施形態に係るデバイス冷却システムのメインコントローラの稼動フローチャートである。
【
図9】本出願の実施形態に係るデバイス冷却システムの別の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本出願の実施形態では熱管理システムが提供される。熱管理システムは電気自動車に適用され、車両システムに対する熱エネルギー管理を行なうように構成される。熱管理システムは電気駆動部液冷ループ及びバッテリ液冷ループという2つの液冷循環システムを含んでもよい。パワートレインを冷却するためにパワートレインが電気駆動部液冷ループに接続され、バッテリパックを冷却するためにバッテリパックがバッテリ液冷ループに接続される。
【0045】
パワートレイン及びバッテリパックという主要な2つの発熱デバイスに加えて、車両はドメインコントローラ(モバイルデータセンター(Mobile data center、略称MDC)とも称される場合がある)、オンボードチャージャやエレクトロニックコントロールユニット(Electronic Control Unit,ECU)などの複数のタイプの車載デバイスをさらに含む。車載モジュールはエンジンルームに設置される場合があるし、前席助手席グローブボックスに設置される場合があるし、座席下に設置される場合があるし、電気自動車の別の位置に設置される場合がある。これらの位置では車載モジュールが高い周囲温度をサポートすることが要求される。放熱環境が苛酷であり、車載デバイスが稼動していると、部品の温度が増加し、近傍の周囲温度もデバイスの内部温度に影響を及ぼす。この結果、電子部品の稼動の信頼性に影響が及ぼされる。電子産業では、部品の周囲温度が10℃増加すると、電子部品の故障率が通常2倍になる。車載デバイスの正常な稼動と車両の円滑な運行とを確実にするためには、当該車載デバイスの放熱も考慮される必要がある。したがって、熱管理システムはデバイス冷却システムをさらに含んでもよい。
【0046】
従来の技術では、車載デバイスが自然放熱や空冷式放熱をサポートする場合がある。車載デバイスはラジエータのハウジングと、ラジエータのハウジング内に配置されるメインボードと、を含む場合がある。メインボードにはチップと別の電子部品とが配置される。メインボード、チップ及び別の電子部品によって発生させられる熱は放射と対流とを通じてラジエータのハウジングに伝達されることができる。ラジエータのハウジングには複数の放熱フィンが配置され、放熱フィンに伝達された熱が放射と対流とを通じて外気に放散させられることができる。
【0047】
一方で、車載モジュールの機能がますます強力になるのにつれて、それに応じてチップの計算能力が増加し、チップのパワー消費も増加し、放熱要求がますます高くなる。例としてコンピューティングデバイスを用いる。自動運転レベルが絶え間なく増加するのにつれて、ドメインコントローラの計算能力に対する要求が絶え間なく増加する。たとえば、動作量が10Tflopsから300Tflopsに増加させられたりさらに大きい動作量まで増加させられたりする必要がある。結果として、ドメインコントローラシステムのパワー消費が増加し、たとえば、20Wから300Wに増加する。この結果、ドメインコントローラが自然放熱や空冷式放熱を通じてでは大パワーコントローラの放熱要求を満たすことができない。したがって、液冷を通じて熱を放散させるようにドメインコントローラを設計することが欠かせない。
【0048】
従来の技術では、車載デバイスの液冷放熱を実施するために、車載デバイスが電気駆動部液冷ループに接続されたりバッテリ液冷ループに接続されたりする場合がある。
【0049】
図1は従来の技術に係る、車載デバイスを電気駆動部液冷ループに接続する概略図である。
図1に示されているように、電気駆動部液冷ループ300はラジエータ31、第1のケトル32、第1のウォータポンプ33、パワートレイン34及び第1のファン36を含む場合がある。ラジエータ31、第1のケトル32、第1のウォータポンプ33及びパワートレイン34が管路を通じて順次連通してループを形成することができ、水などの冷却剤がループを循環することができる。パワートレイン34によって発生させられた熱が冷却剤によって取り除かれ、ラジエータ31で放散させられる。ラジエータ31の放熱効率を改善するために、ラジエータ31に接近して第1のファン36が配置される場合がある。
【0050】
第1のウォータポンプ33とパワートレイン34との間に車載デバイス100が接続される場合があり、これにより、電気駆動部液冷ループ300の水などの冷却剤によって車載デバイス100の熱を放散させることができる。しかし、電気駆動部液冷ループ300の水の温度は通常40℃を超えたり65℃にまで達する場合があったりする。電気駆動部液冷ループ300の水の温度が高いと、車載デバイス100に対する冷却効果が制限される。これに加えて、高い周囲温度が維持されると、車載デバイス100の電子部品の故障率が増加するおそれがある。
【0051】
図2は従来の技術に係る、車載デバイスをバッテリ液冷ループに接続する概略図である。
図2に示されているように、バッテリ液冷ループ400はコンプレッサ41、熱交換器42、コンデンサ43、第2のケトル44、第2のウォータポンプ45、バッテリパック46及び第2のファン48を含む場合がある。コンプレッサ41、熱交換器42及びコンデンサ43が管路を通じて順次連通してループが形成され、冷媒がループを循環することができる。熱交換器42、第2のケトル44、第2のウォータポンプ45及びバッテリパック46が管路を通じて順次連通してループが形成され、水などの冷却剤がループを循環することができる。バッテリパック46によって発生させられた熱が水などの冷却剤によって取り除かれることができ、熱は熱交換器42で交換され、放熱のためにコンデンサ43で冷媒が凝縮させられる。コンデンサ43の放熱効率を改善するために、コンデンサ43に接近して第2のファン48が配置される場合がある。
【0052】
熱交換器42とバッテリパック46との間に車載デバイス100が接続される場合があり、これにより、バッテリ液冷ループ400の水などの冷却剤によって車載デバイス100の熱を放散させることができる。しかし、バッテリ液冷ループ400の水の温度は通常約20℃である。夏期には、車載デバイス100を設置して配備する場合の周囲温度は通常約40℃である。水の温度と周囲温度との間に20℃の温度差がある。車載デバイス100の暖かい空気が冷温のデバイスのハウジングの壁に触れると、結露が生じるおそれがある。結露によって、ボード部品で生じる腐食及び短絡のリスクが引き起こされるおそれがある。結果として、ボードが不良になる。
【0053】
車載デバイス100が液冷システムに接続された後に結露が生じる問題を解決するために、防水車載デバイス100が特設される場合がある。車載デバイス100は上部ハウジング、下部ハウジング及びコネクタを含む場合がある。下部ハウジング及びコネクタの機械部分に防水封止剤が直接定量盛られ、防水封止剤が固化させられる前に、上部ハウジングと下部ハウジングとがねじを用いて一体に組み立てられる。防水封止剤が完全に固化させられた後、完全な接着力が形成されて上部ハウジングと下部ハウジングとコネクタとが一体に結合されて封止され、コネクタとケーブルとの間と、コネクタとデバイスのハウジングとの間とに防水機能が実施されることができる。このようにして、車載デバイス100では全体としてIP67以上の防水要求が実施され、湿気が入ることを防止して結露が生じるのを遅らせることができる。しかし、湿気を隔離する解決手段には長期信頼性のリスクがあり、防水封止剤がデバイスを封止することを果たせないおそれがある。これに加えて、防水封止剤が長い間用いられる場合、車載デバイス100の内外の湿気が最終的に均衡し、その際、結露現象が生じる。
【0054】
別の可能な実現例では、車載デバイス100のメインボードの表面に定量盛るすなわちコーティングする(Coating)設計が用いられる。これにより、ボード上の水滴によって引き起こされる部品の腐食及び短絡を防止することができる。しかし、製造効率が低いこと、コストが高いこと、防湿であるが防水でないことや、部品の放熱に対するインパクトなどの一連の問題がある。
【0055】
空気の温度が高いことが、空気に含まれることができる水蒸気が多く、飽和湿度が高いことを指し示すことに留意するべきである。空気の湿度を維持することによって空気の温度が低下させられる場合、温度が特定の値未満になると、水蒸気の分圧が空気の現在の温度に対応する飽和圧力に達する。この場合、空気中の水蒸気が飽和状態に達する。空気の温度がさらに低下させられる場合、水蒸気は凝縮されて空気から離れ、この現象は結露と呼ばれている。露点温度は湿度と大気圧とを変化させずに空気が飽和状態まで冷却された温度である。
【0056】
車載デバイス100では、結露現象は、温度が露点温度未満のハウジングの表面に内部の湿っていて暖かい空気が触れるときに生じる。したがって、車載デバイス100に入る冷却剤の温度が常に車載デバイス100内の空気の露点温度以上であるように制御されることで、結露現象が避けられることができる。
【0057】
上記の課題に基づいて、本出願の実施形態ではデバイス冷却システムが提供される。車載デバイスに温度湿度検出装置が配置されて車載デバイス内の空気の露点温度が取得され、車載デバイスが電気駆動部液冷ループとバッテリ液冷ループとにバルブセットを用いて接続され、バルブセットはスイッチを切り換えて車載デバイスが電気駆動部液冷ループ又はバッテリ液冷ループに接続されるのを可能にする。このようにして、車載デバイスに入る冷却剤の温度が常に車載デバイス内の空気の露点温度以上である。これにより、車載デバイスで結露現象が生じることを避けることができ、車載デバイスの信頼性及び耐用年数の改善及び延長を行なうことができる。
【0058】
図3は本出願の実施形態に係るデバイス冷却システムの概略図である。
図4は本出願の実施形態に係る車載デバイスの構造の概略図である。
図3及び
図4に示されているように、本出願の本実施形態ではデバイス冷却システムが提供される。デバイス冷却システムは車載デバイス100、メインコントローラ(図には示されていない)及びバルブセットを含んでもよい。車載デバイス100には液流入パイプ113と液流出パイプ114とが配置されている。液流入パイプ113はバルブセットと連通し、バルブセットは電気駆動部液冷ループに接続されて第1の経路が形成され、バルブセットはバッテリ液冷ループに接続されて第2の経路が形成される。バルブセットはスイッチ状況を切り換えて第1の経路又は第2の経路を接続するように制御するように構成される。液流出パイプ114は電気駆動部液冷ループ又はバッテリ液冷ループに接続される。
【0059】
車載デバイス100はハウジング11と、ハウジング11に配置されるメインボード12と、を含んでもよい。ハウジング11は上部ハウジング111と下部ハウジング112とを含んでもよい。上部ハウジング111と下部ハウジング112とは、ねじを用いて接続されてもよい。上部ハウジング111と下部ハウジング112との間にコネクタ13が挟まれてもよく、コネクタ13は外部ケーブルに接続されるように構成される。上部ハウジング111は冷温プレートを含んでもよく、冷温プレートには液流入パイプ113と液流出パイプ114とが配置される。液流入パイプ113から冷温プレートに水などの冷却剤が入って熱を吸収してもよく、その後、液流出パイプ14から排出されてもよい。
【0060】
本出願の本実施形態では、バルブセットが液流入パイプ113を電気駆動部液冷ループとバッテリ液冷ループとに接続するように配置される。バルブセットがスイッチを切り換えるように制御されることで、電気駆動部液冷ループ又はバッテリ液冷ループの低温冷水が液流入パイプ113から車載デバイス100に入った後、液流出パイプ114から排出される。このようにして、液冷システムを用いて車載デバイス100が冷却されることができる。液冷システムには高い冷却効率があり、液冷システムにより、液流入温度を制御することによって結露現象を防止することができる。
【0061】
当該液流入温度はバルブセットを制御することによって実施されてもよい。本出願の本実施形態では、車載デバイス100に温度湿度検出装置が配置されてもよく、温度湿度検出装置とバルブセットとにメインコントローラが個別に接続される。メインコントローラは、温度湿度検出装置によって検出された温度及び湿度に基づいて露点温度を取得し、露点温度に基づいて、スイッチ状況を切り換えるようにバルブセットを制御するように構成され、これにより、車載デバイス100に入る水などの冷却剤の温度が常に車載デバイス100内の空気の露点温度以上である。これにより、車載デバイス100で生じる結露現象を避けることができる。
【0062】
この場合、本出願の実施形態で提供されている、デバイス冷却システムを制御する方法は、以下のステップを含んでもよい。
【0063】
メインコントローラが、車載デバイス100の温度湿度検出装置によって検出された温度情報及び湿度情報を取得し、温度情報及び湿度情報に基づいて露点温度を計算し、露点温度が第1の区間に属するのか第2の区間に属するのかを決定し、露点温度が第1の区間に属する場合に、第1の経路を開くようにスイッチを切り換えるようにバルブセットを制御する、又は露点温度が第2の区間に属する場合に、第2の経路を開くようにスイッチを切り換えるようにバルブセットを制御する。
【0064】
特定の実施形態では、バッテリ液冷ループ400の水の温度が電気駆動部液冷ループ300の水の温度未満であってもよい。この場合、第1の区間の温度が第2の区間の温度を超える。温度が低い第2の区間に露点温度が属し、電気駆動部液冷ループ300とバッテリ液冷ループ400との両方の水の温度が露点温度以上である場合において、車載デバイスが電気駆動部液冷ループとバッテリ液冷ループとのいずれかに接続されるときに結露が生じない。水の温度が低いバッテリ液冷ループ400に車載デバイス100が接続されて冷却効率が改善されてもよい。温度が高い第1の区間に露点温度が属する場合、露点温度が電気駆動部液冷ループ300の水の温度以下でありかつバッテリ液冷ループ400の水の温度を超えてもよい。この場合、水の温度が高い電気駆動部液冷ループ300に車載デバイス100が接続されて結露が避けられてもよい。
【0065】
電気駆動部液冷ループ300の水の温度が高く、通常40℃を超える一方で、バッテリ液冷ループ400の水の温度が低く、通常約20℃であることが知られている。たとえば、第1の区間が20℃~40℃に設定されてもよく、第2の区間が0℃~20℃に設定されてもよい。
【0066】
上記の実施形態に基づいて、本出願の本実施形態では、液流入温度を正確に制御するために、温度センサが配置されて電気駆動部液冷ループとバッテリ液冷ループとから冷却水の温度が検出されてもよい。
【0067】
電気駆動部液冷ループとバルブセットとの間に第1の温度センサが配置されてもよく、バッテリ液冷ループとバルブセットとの間に第2の温度センサが配置されてもよい。第1の温度センサと第2の温度センサとにメインコントローラが個別に接続される。メインコントローラは、第1の温度センサによって検出された第1の温度と、第2の温度センサによって検出された第2の温度と、を取得し、露点温度、第1の温度及び第2の温度を比較し、第1の温度と第2の温度との両方が露点温度以上である場合に、第1の温度と第2の温度とのうちの低い方の温度に対応する経路を接続するように制御し、又は第1の温度と第2の温度とのいずれかが露点温度以上である場合に、第1の温度と第2の温度とのうちの高い方の温度に対応する経路を接続するように制御するように構成される。
【0068】
この場合、本出願の本実施形態で提供されている、デバイス冷却システムを制御する方法は、以下のステップを含んでもよい。
【0069】
メインコントローラが車載デバイスの温度湿度検出装置によって検出された温度情報及び湿度情報を取得し、温度情報及び湿度情報に基づいて露点温度を計算し、第1の温度センサによって検出された第1の温度と、第2の温度センサによって検出された第2の温度と、を取得し、露点温度、第1の温度及び第2の温度を比較して露点温度が第1の区間に属するのか第2の区間に属するのかを決定し、露点温度が第1の区間に属する場合に、第1の経路を開くようにスイッチを切り換えるようにバルブセットを制御する、又は露点温度が第2の区間に属する場合に、第2の経路を開くようにスイッチを切り換えるようにバルブセットを制御する。
【0070】
露点温度、第1の温度及び第2の温度に基づいて、露点温度が第1の区間に属するのか第2の区間に属するのかを決定することは、露点温度が第1の温度と第2の温度とのいずれか以下である場合において、第1の温度が第2の温度を超えるときに、露点温度が第1の区間に属すると決定する、若しくは第1の温度が第2の温度未満であるときに、露点温度が第2の区間に属すると決定すること、又は露点温度が第1の温度と第2の温度との両方以下である場合において、第1の温度が第2の温度を超えるときに、露点温度が第2の区間に属すると決定する、若しくは第1の温度が第2の温度未満であるときに、露点温度が第1の区間に属すると決定することを特に含む。
【0071】
第1の温度と第2の温度との両方が露点温度以上である場合に、第1の温度と第2の温度とのうちの低い方の温度に対応する経路を接続するようにメインコントローラが制御することで、結露が避けられつつ冷却効率が改善されることができる、又は第1の温度と第2の温度とのいずれかが露点温度以上である場合に、第1の温度と第2の温度とのうちの高い方の温度に対応する経路を接続するようにメインコントローラが制御することで、結露が避けられることができることが当然分かる。
【0072】
引き続き
図3に示されているように、可能な実現例では、バルブのブロックが第1の3ウェイソレノイドバルブ200であってもよい。第1の3ウェイソレノイドバルブ200は流出部A、第1の流入部B及び第2の流入部Cを含む。第1の3ウェイソレノイドバルブ200の流出部Aには液流入パイプ113が接続され、第1の3ウェイソレノイドバルブ200の第1の流入部Bには電気駆動部液冷ループ300が接続され、第1の3ウェイソレノイドバルブ200の第2の流入部Cにはバッテリ液冷ループ400が接続される。第1の3ウェイソレノイドバルブ200にはメインコントローラが接続され、メインコントローラが第1の3ウェイソレノイドバルブ200の流入部を切り換えることができることで、車載デバイス100が電気駆動部液冷ループ300又はバッテリ液冷ループ400に接続される。第1の流入部Bが開かれると、第1の経路が接続され、電気駆動部液冷ループ300によって低温冷却水が車載デバイス100に投入される。第2の流入部Cが開かれると、第2の経路が接続され、バッテリ液冷ループ400によって低温冷却水が車載デバイス100に投入される。
【0073】
バッテリ液冷ループ400の水の温度が電気駆動部液冷ループ300の水の温度未満である場合には、メインコントローラの制御ロジックが、第1の温度と第2の温度との両方が露点温度以上である場合に、第1の3ウェイソレノイドバルブ200の第2の流入部Cを開くようにメインコントローラが制御する、又は第1の温度が露点温度以上でありかつ第2の温度が露点温度未満である場合に、第1の3ウェイソレノイドバルブ200の第1の流入部Bを開くようにメインコントローラが制御する、といったように単純化されてもよい。
【0074】
図5は本出願の実施形態に係るデバイス冷却システムの別の構造の概略図である。
図5に示されているように、別の可能な実現例では、バルブセットが第1の2ウェイソレノイドバルブ202と第2の2ウェイソレノイドバルブ203とを含んでもよい。第1の2ウェイソレノイドバルブ202は電気駆動部液冷ループと液流入パイプ113との間に接続され、第2の2ウェイソレノイドバルブ203はバッテリ液冷ループと液流入パイプ113との間に接続される。
【0075】
第1の2ウェイソレノイドバルブ202と第2の2ウェイソレノイドバルブ203とにメインコントローラが個別に接続される。第1の2ウェイソレノイドバルブ202を開くようにメインコントローラが制御することができることで、第1の経路が接続され、電気駆動部液冷ループ300によって低温冷却水が車載デバイス100に投入される。第2の2ウェイソレノイドバルブ203を開くようにメインコントローラが制御することができることで、第2の経路が接続され、バッテリ液冷ループ400によって低温冷却水が車載デバイス100に投入される。
【0076】
またも参照する
図3に示されているように、可能な実現例では、車載デバイス100の液流出パイプ114が電気駆動部液冷ループ300に接続されてもよい。
図6は本出願の実施形態に係るデバイス冷却システムのさらに別の構造の概略図である。
図6に示されているように、別の可能な実現例では、車載デバイス100の液流出パイプ114がバッテリ液冷ループ400に接続されてもよい。
【0077】
電気駆動部液冷ループ300の冷却剤とバッテリ液冷ループ400の冷却剤とが同じであり、両方とも水であってもよいことが当然分かる。これに加えて、車載デバイス100によって要求される冷却剤の流量は電気駆動部液冷ループ300とバッテリ液冷ループ400との各々の冷却剤の流量よりもはるかに小さい。したがって、液流入パイプ113と第1の経路が連通するのか第2の経路が連通するのかにかかわらず、冷却剤が車載デバイス100から流れ出た後、2つのループのそれぞれの冷却効果に対する電気駆動部液冷ループ300又はバッテリ液冷ループ400に入る冷却剤のインパクトは無視され得る。
【0078】
図7は本出願の実施形態に係るデバイス冷却システムのまたさらに別の構造の概略図である。
図7に示されているように、可能な実現例では、車載デバイス100の液流入側が第1の3ウェイソレノイドバルブ200の第1の流入部Bを通じて電気駆動部液冷ループ300に直接接続されてもよい。車載デバイス100が第1の3ウェイソレノイドバルブ200の第2の流入部Cと3ウェイバルブV3とを通じてバッテリ液冷ループ400に接続されてもよい。車載デバイス100の液流出側が電気駆動部液冷ループ300に直接接続されてもよく、このことは、車載デバイス100が電気駆動部液冷ループ300に直列に直接接続されることに相当する。上記に加えて、第1の3ウェイソレノイドバルブ200を通じて液流入側で別の分岐が実施される。
【0079】
本出願の本実施形態では、バルブセットと、電気駆動部液冷ループ300及びバッテリ液冷ループ400の各々と、の接続が3ウェイバルブを通じて実施されてもよい。車載デバイス100の液流出パイプと、電気駆動部液冷ループ300又はバッテリ液冷ループ400と、の間の接続も3ウェイバルブを通じて実施されてもよい。
【0080】
図3及び
図5に示されているように、電気駆動部液冷ループ300に3ウェイバルブV1及びV2が配置されてもよく、3ウェイバルブV1は3ウェイバルブV2の上流に位置させられる。3ウェイバルブV1の流入部から冷却剤が入り、3ウェイバルブV1の、一方の流出部が3ウェイバルブV2の、一方の流入部に直接接続され、3ウェイバルブV1の他方の流出部がバルブセットに接続され、3ウェイバルブV2の他方の流入部が液流出パイプ114に接続され、3ウェイバルブV2の流出部から冷却剤が流れ出る。3ウェイバルブV1及びV2が配置されることで、基幹循環に影響を及ぼさずに分岐循環が電気駆動部液冷ループ300に加えられる。このようにして、冷却剤の少量部分が車載デバイス100に入る。
【0081】
バッテリ液冷ループ400に3ウェイバルブV3が配置されてもよい。3ウェイバルブV3の流入部から冷却剤が入り、3ウェイバルブV3の一方の流出部から冷却剤の一部が流れ出てバッテリ液冷ループ400の基幹循環として用いられる。冷却剤の他の部分が3ウェイバルブV3の他方の流出部を通じてバルブセットに接続されて車載デバイス100に入る。同じ原理にしたがって、
図6では、液流出パイプ114が3ウェイバルブV5を通じてバッテリ液冷ループ400に流れて戻ってもよい。
【0082】
3ウェイバルブを配置することによって電気駆動部液冷ループ300とバッテリ液冷ループ400とにバイパス分岐が加えられることで、車載デバイス100を冷却するように冷却剤の一部が車載デバイス100に転換されることができる。車載デバイス100が電気駆動部液冷ループ30又はバッテリ液冷ループ400に直列に直接接続される解決手段と比較して、本解決手段に係れば、車載デバイス100に入る冷却剤の流量と流速とが制御されることができる。これにより、流量が多く流速が大きい冷却剤の洗削(scouring)によって引き起こされる車載デバイス100の腐食が防止される。
【0083】
上記の実施形態に基づいて、
図3及び
図5から
図7に示されているように、本出願の本実施形態では、デバイス冷却システムが第1のヒータ201をさらに含む。第1のヒータ201は第1の3ウェイソレノイドバルブ200と液流入パイプ113との間に接続され、第1のヒータ201にはメインコントローラが接続されている。メインコントローラは、第1の温度と第2の温度との両方が露点温度未満である場合に、オンにされるように第1のヒータ201を制御するように構成されている。第1のヒータ201はたとえばPTC(Positive temperature efficiency、正温度効率)ヒータであってもよい。
【0084】
この場合、本出願の本実施形態で提供されている、デバイス冷却システムを制御する方法は、露点温度が第3の区間に属するか否かをメインコントローラが決定し、露点温度が第3の区間に属する場合に、オンにされるように第1のヒータをメインコントローラが制御することをさらに含んでもよい。露点温度が第3の区間に属するか否かを決定することは、露点温度、第1の温度及び第2の温度を比較し、露点温度が第1の温度と第2の温度との両方を超える場合に、露点温度が第3の区間に属すると決定することを特に含む。
【0085】
第1の温度と第2の温度との両方が露点温度未満である場合、車載デバイス100がバッテリ液冷ループ400又は電気駆動部液冷ループ300に接続されると、結露が生じる。バッテリ液冷ループ400又は電気駆動部液冷ループ300からの低温の水を加熱するように第1のヒータ201が配置される。このようにして、車載デバイス100に入る水の温度が露点温度以上であることで、結露現象が避けられることができる。
【0086】
上記に加えて、デバイス冷却システムが第3の温度センサをさらに含んでもよい。第3の温度センサは第1のヒータ201と液流入パイプ113との間に接続されてもよく、第3の温度センサにはメインコントローラが接続される。メインコントローラは、第3の温度センサによって検出された第3の温度を取得し、第3の温度が露点温度未満にならないように、オンにされるように第1のヒータ201を制御するように構成される。
【0087】
第3の温度センサが配置されることで、車載デバイス100に入る水の温度がリアルタイムに監視されてもよい。これにより、車載デバイス100に入る水の温度が露点温度以上であることが確実になり、第1のヒータ201の過度の加熱パワーによって引き起こされる水の過度に高い温度により車載デバイス100の冷却効率と稼動の信頼性とに影響を及ぼすことが避けられる。
【0088】
本出願の上記の実施形態では、電気駆動部液冷ループ300が、管路で順次連通するラジエータ31、第1のケトル32、第1のウォータポンプ33及びパワートレイン34を含んでもよい。第1のウォータポンプ33とパワートレイン34との間にバルブセットが接続されてもよいことで、車載デバイス100に入る冷却剤が低温状態にある。
【0089】
バルブセット、第1のウォータポンプ33及びパワートレイン34が3ウェイバルブV1を通じて接続されてもよく、第1のウォータポンプ33は3ウェイバルブV1の流入部に接続される。パワートレイン34と車載デバイス100との両方によって発生させられた熱が冷却剤によって取り除かれ、ラジエータ31で放散させられる。ラジエータ31の放熱効率を改善するために、ラジエータ31の近傍に第1のファン36がさらに配置されてもよい。
【0090】
車載デバイス100の液流出パイプ114が電気駆動部液冷ループ300に接続される場合、液流出パイプ114はパワートレイン34とラジエータ31との間に接続されてもよいし、第1のウォータポンプ33とパワートレイン34との間に接続されてもよい。液流出パイプ114の接続位置がバルブセットの接続位置の下流にある。したがって、低温冷却剤が車載デバイス100に入った後に電気駆動部液冷ループ300に流れて戻り、ラジエータ31で冷却される。
【0091】
電気駆動部液冷ループ300が第2の3ウェイソレノイドバルブ35をさらに含んでもよい。第2の3ウェイソレノイドバルブ35の流入部がパワートレイン34に接続され、第2の3ウェイソレノイドバルブ35の2つの流出部がラジエータ31と第1のケトル32とにそれぞれ接続される。パワートレイン34によって発生させられた熱が低いと、冷却剤循環を通るだけで放熱要求が満たされることができ、エネルギー消費が低下させられることができる。この場合、第2の3ウェイソレノイドバルブ35の流出部であってラジエータ31に接続されている流出部が閉じられてもよく、第2の3ウェイソレノイドバルブ35の流出部であって第1のケトル32に接続されている流出部が開かれてもよい。
【0092】
本出願の上記の実施形態では、バッテリ液冷ループ400がコンプレッサ41、熱交換器42、コンデンサ43、第2のケトル44、第2のウォータポンプ45及びバッテリパック46を含んでもよい。コンプレッサ41、熱交換器42及びコンデンサ43が管路を通じて順次連通して冷媒ループを形成してもよい。第2のケトル44、第2のウォータポンプ45、熱交換器42及びバッテリパック46が管路で順次連通して冷却剤ループを形成してもよい。バッテリパック46で発生させられた熱が水などの冷却剤によって取り除かれてもよく、熱は熱交換器42で交換され、放熱のためにコンデンサ43で冷媒が凝縮させられる。コンデンサ43の放熱効率を改善するために、コンデンサ43の近傍には第2のファン48が配置されてもよい。
【0093】
熱交換器42とバッテリパック46との間にバルブセットが接続されてもよいことで、車載デバイス100に入る冷却剤が低温状態にある。バルブセット、熱交換器42及びバッテリパック46が3ウェイバルブV3を通じて接続されてもよく、熱交換器42は3ウェイバルブV3の流入部に接続される。車載デバイス100の液流出パイプ114がバッテリ液冷ループ400に接続される場合、液流出パイプ114は熱交換器42とバッテリパック46との間に接続されて、バルブセットの接続位置の下流に位置してもよいし、バッテリパック46とウォータポンプ45との間に接続されてもよいし、ウォータポンプ45と熱交換器42との間に接続されてもよい。このようにして、低温冷却剤が車載デバイス100に入った後にバッテリ液冷ループ400に流れて戻り、熱交換器42で冷却される。
【0094】
本出願の本実施形態では、
図3及び
図6に示されているように、液流出パイプ114が電気駆動部液冷ループ300又はバッテリ液冷ループ400に接続される。3ウェイバルブが配置される解決手段と比較して、液流出パイプ114が電気駆動部液冷ループ300とバッテリ液冷ループ400とに同時に接続される解決手段に係れば、管路設計が単純化される。
【0095】
さらに、冷媒ループの循環媒体はR134a冷媒、R744(二酸化炭素)、R718(水)、R290(プロパン)、R717(アンモニア)、R410a、R32、R1234yf、R502、R12、R22、R407cやR600aや、これらの冷媒のいずれか2つ以上の組合せなどの冷媒を含むが、これに限定されない。冷却剤ループの循環媒体は水、不凍剤やエチレングリコールを含むが、これに限定されない。
【0096】
上記に加えて、バッテリ液冷ループ400は第2のヒータ47をさらに含んでもよい。第2のヒータ47は熱交換器42とバッテリパック46との間に接続されてもよく、第2のヒータ47とバッテリパック46との間にバルブセットが接続されてもよい。第2のヒータ47は、冷却剤を加熱して冬期で温度が低いときにバッテリパック46を加熱して、低温によってバッテリパック46の稼動に影響が及ぼされるのを防止するように構成される。
【0097】
第2のヒータ47はPTCヒータに設定されてもよい。温度が低いときには第2のヒータ47をオンにする期間が冬期であり、周囲温度が高いときには第1のヒータ201がオンにされることが当然分かる。これに加えて、第2のヒータ47の加熱パワーは第1のヒータ201の加熱パワーよりもはるかに大きい。したがって、機能の点で第2のヒータ47は第1のヒータ201の代わりにはなり得ない。
【0098】
本出願の上記の実施形態では、ドメインコントローラ(車載型のモバイルデータセンターMDCとも称される場合がある)に加えて、デバイス冷却システムが適用される車載デバイス100がオンボードチャージャやエレクトロニックコントロールユニットECUのようなデバイスであってもよい点に留意するべきである。
【0099】
デバイス冷却システムに対して、車載デバイス100が1つあってもよいし、2つあってもよいし、複数もの車載デバイス100があってもよいことが当然分かる。上記の添付の図面で提供されている実施形態では、車載デバイス100が1つある。一方で、車載デバイス100が複数ある場合、バルブセットを配置することによって各車載デバイス100が電気駆動部液冷デバイスとバッテリ液冷デバイスとに接続されてもよいし、複数の車載デバイス100が直列に直接接続されて一まとまりとしてみなされてもよい。バルブセットを1つだけ配置することによって全車載デバイスが電気駆動部液冷デバイスとバッテリ液冷デバイスとに接続されることで、管路が単純化される。
【0100】
上記に加えて、本出願の実施形態ではデバイス冷却システムを制御するように構成されるメインコントローラのタイプと位置とが特定のものに限定されない点にさらに留意するべきである。メインコントローラは車載デバイス100に含まれるコントローラであってもよいし、ビークルコントロールユニット(Vehicle Control Unit,VCU)であってもよい。
【0101】
図8は本出願の実施形態に係るデバイス冷却システムのメインコントローラの稼動フローチャートである。
図8に示されているように、本出願の本実施形態で提供されているデバイス冷却システムのメインコントローラの稼動手順例が、まず、メインコントローラが温度湿度検出装置によって検出された温度及び湿度に基づいて車載デバイス100の露点温度を計算し、第1の温度センサによって検出された第1の温度と、第2の温度センサによって検出された第2の温度と、を取得して、露点温度、第1の温度及び第2の温度を比較し、その後、第1の温度と第2の温度との両方が露点温度以上であるか否かを決定する、といったようなものであってもよい。決定した結果が、第1の温度と第2の温度との両方が露点温度以上であるといったものである場合に、第1の温度と第2の温度とのうちの低い方の温度に対応する経路を接続するようにメインコントローラが制御する、又は決定した結果が、第1の温度と第2の温度との少なくとも一方が露点温度以上であるといったものである場合に、メインコントローラが第1の温度と第2の温度とのいずれかが露点温度以上であるか否かを決定し続ける。決定した結果が、第1の温度と第2の温度とのいずれかが露点温度以上であるといったものである場合に、第1の温度と第2の温度とのうちの高い方の温度に対応する経路を接続するようにメインコントローラが制御する、又は決定した結果が、第1の温度と第2の温度とのいずれも露点温度以上ではないといったものである場合に、オンにされるように第1のヒータ201をメインコントローラが制御することで、第3の温度センサによって検出された第3の温度が露点温度以上である。
【0102】
一般化して言えば、第1の温度、第2の温度及び露点温度の関係に基づいて、バッテリ液冷ループ400に接続されたり電気駆動部液冷ループ300に接続されたりするように車載デバイス100をメインコントローラが制御してもよいし、オンにされるように第1のヒータ201をメインコントローラが制御してもよい。このようにして、車載デバイス100に入る水の温度が常に露点温度以上であることで、結露現象が避けられることができる。
【0103】
本出願の本実施形態で提供されているデバイス冷却システムに係れば、車載デバイスに温度湿度検出装置が配置されて車載デバイス内の空気の露点温度が取得され、車載デバイスが電気駆動部液冷ループとバッテリ液冷ループとにバルブセットを用いて接続され、バルブセットはスイッチを切り換えて車載デバイスが電気駆動部液冷ループ又はバッテリ液冷ループに接続されるのを可能にする。このようにして、車載デバイスに入る冷却剤の温度が常に車載デバイス内の空気の露点温度以上である。これにより、車載デバイスで結露現象が生じることを避け、車載デバイスで生じる腐食及び短絡によって引き起こされる信頼性及び安全性の問題を効果的に防止し、製品の稼動安定性及び信頼性を改善することができる。これに加えて、結露防止条件が満たされることを前提として、車載デバイスが常に最小稼動温度にあることができる。これにより、車載デバイスの信頼性を改善し、故障率を低下させることができる。
【0104】
本出願の実施形態では熱管理システムがさらに提供される。熱管理システムは上記の実施形態で提供されている電気駆動部液冷ループ、バッテリ液冷ループ及びデバイス冷却システムを含んでもよい。
【0105】
本出願の実施形態の熱管理システムでは、電気駆動部液冷ループとバッテリ液冷ループとがパワートレインとバッテリパックという主要な2つの発熱デバイスをそれぞれ冷却するように配置される。これに加えて、メインコントローラの制御下で車載デバイスが電気駆動部液冷ループに接続されたりバッテリ液冷ループに接続されたりしてもよい。このようにして、車載デバイスの液冷が実施されることができ、車載デバイスの結露現象が避けられることができる。
【0106】
本出願の上記の実施形態で提供されているデバイス冷却システムは車両熱管理システムに適用され、電気駆動部液冷ループとバッテリ液冷ループとを用いて車載デバイスを冷却する。これに加えて、本出願の実施形態では、パワーシステムやデータセンターなどの分野に適用され得るデバイス冷却システムがさらに提供されてもよい。
【0107】
図9は本出願の実施形態に係るデバイス冷却システムの別の概略図である。
図9に示されているように、本出願の本実施形態では、2つ以上の液冷ループを含む熱管理システムに適用され得るデバイス冷却システムがさらに提供される。熱管理システムは第1の液冷ループ51と第2の液冷ループ52とを含んでもよい。第1の液冷ループ51の冷却剤の冷却温度が第2の液冷ループ52の冷却剤の冷却温度を超える。デバイス冷却システムは冷却されるデバイス53と、メインコントローラと、バルブセット54と、を含んでもよい。冷却されるデバイス53の液流入パイプがバルブセット54と連通し、バルブセット54が第1の液冷ループ51に接続されて第1の経路が形成され、バルブセット54が第2の液冷ループ52に接続されて第2の経路が形成される。バルブセット54はスイッチ状況を切り換えて第1の経路又は第2の経路を接続するように制御するように構成される。冷却されるデバイス53の液流出パイプが第1の液冷ループと第2の液冷ループとに接続される。冷却されるデバイス53には温度湿度検出装置が配置され、温度湿度検出装置とバルブセット54とにメインコントローラが個別に接続される。メインコントローラは、温度湿度検出装置によって検出された温度及び湿度に基づいて露点温度を取得し、露点温度に基づいて、スイッチ状況を切り換えるようにバルブセット54を制御するように構成される。
【0108】
たとえば、デバイス冷却システムはパワーシステムに適用される。第1の液冷ループ51と第2の液冷ループ52とがエネルギー貯蔵バッテリや変圧器などの大型電気デバイスに接続される液冷ループであってもよく、冷却されるデバイス53がパワーシステムのドメインコントローラなどの小型デバイスであってもよい。
【0109】
たとえば、デバイス冷却システムがデータセンターに適用される。第1の液冷ループ51と第2の液冷ループ52とが異なる設備室のサーバや、異なるエリアのサーバをそれぞれ冷却するのに用いられて異なるサーバの異なる冷却要求を満たしてもよい。冷却されるデバイス53は設備室などを監視するデータセンターであってもよい。
【0110】
配置されたデバイス冷却システムでは、冷却されるデバイスに温度湿度検出装置が配置されて冷却されるデバイス内の空気の露点温度が取得され、冷却されるデバイスが第1の液冷ループと第2の液冷ループとにバルブセットを用いて接続され、バルブセットはスイッチを切り換えて、冷却されるデバイスが第1の液冷ループ又は第2の液冷ループに接続されるのを可能にする。このようにして、冷却されるデバイスに入る冷却剤の温度が常に冷却されるデバイス内の空気の露点温度以上である。これにより、冷却されるデバイスで結露現象が生じることを避け、冷却されるデバイスで生じる腐食及び短絡によって引き起こされる信頼性及び安全性の問題を効果的に防止し、システムの全体の安定性及び信頼性を改善することができる。
【0111】
本出願の実施形態の説明では、別段明記及び限定がない限り、用語「設置(installation)」、「相互接続(interconnection)」及び「接続(connection)」が広義に理解されるべきである点に留意するべきである。たとえば、「接続」は固定される接続であってもよいし、中間媒体を通じた間接的な接続であってもよいし、2つの要素内の連通や、2つの要素の相互作用関係であってもよい。特定の例に基づいて本出願の実施形態の上記の用語の特定の意味を当業者は理解することができる。
【0112】
本明細書では、本出願の実施形態における用語「第1」、「第2」、「第3」、「第4」など(文中に存在する場合)は同様の物を区別することを意図しており、必ずしも特定の順序や配列を指し示さない。
【0113】
上記に加えて、用語「含む(include)」及び「有する(have)」及びその他一切の変化形は例示列挙されたものを含むことをカバーすることを意図している。たとえば、ステップや部位の列挙を含むプロセス、方法、システム、製品やデバイスが、当該明確に列挙されたステップや部位に必ずしも限定されず、明確に列挙されていなかったり、当該プロセス、方法、製品やデバイスに固有でなかったりする他のステップや部位を含んでもよい。
【0114】
最後に、上記の実施形態は本出願の実施形態を限定するのではなく、本出願の実施形態の技術的解決手段を説明することを意図するのにすぎない点に留意するべきである。本出願の実施形態が上記の実施形態を参照して詳細に説明されていても、本出願の実施形態の技術的解決手段の範囲を逸脱しない限りにおいて、上記の実施形態で説明されている技術的解決手段の修正を行なうことができたり、その技術的特徴の一部又は全部に対する均等置換を行なうことができたりすることを当業者は当然理解する。
【符号の説明】
【0115】
100 車載デバイス
11 ハウジング
111 上部ハウジング
112 下部ハウジング
113 液流入パイプ
114 液流出パイプ
12 メインボード
13 コネクタ
200 第1の3ウェイソレノイドバルブ
201 第1のヒータ
202 第1の2ウェイソレノイドバルブ
203 第2の2ウェイソレノイドバルブ
300 電気駆動部液冷ループ
31 ラジエータ
32 第1のケトル
33 第1のウォータポンプ
34 パワートレイン
35 第2の3ウェイソレノイドバルブ
36 第1のファン
400 バッテリ液冷ループ
41 コンプレッサ
42 熱交換器
43 コンデンサ
44 第2のケトル
45 第2のウォータポンプ
46 バッテリパック
47 第2のヒータ
48 第2のファン
【手続補正書】
【提出日】2024-02-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱管理システムに適用されるデバイス冷却システムであって、前記熱管理システムは電気駆動部液冷ループとバッテリ液冷ループとを備え、前記デバイス冷却システムは車載デバイス、メインコントローラ及びバルブセットを備え、
前記車載デバイスには液流入パイプと液流出パイプとが配置され、前記液流入パイプは前記バルブセットと連通し、前記バルブセットは前記電気駆動部液冷ループに接続されて第1の経路が形成され、前記バルブセットは前記バッテリ液冷ループに接続されて第2の経路が形成され、前記バルブセットは、スイッチ状況を切り換えて前記第1の経路又は前記第2の経路を接続するように制御するように構成され、前記液流出パイプは前記電気駆動部液冷ループ又は前記バッテリ液冷ループに接続され、
前記車載デバイスには温度湿度検出装置が配置され、前記温度湿度検出装置と前記バルブセットとに前記メインコントローラが個別に接続され、前記メインコントローラは、前記温度湿度検出装置によって検出された温度及び湿度に基づいて露点温度を取得し、前記露点温度に基づいて、前記スイッチ状況を切り換えるように前記バルブセットを制御するように構成される、デバイス冷却システム。
【請求項2】
前記電気駆動部液冷ループと前記バルブセットとの間には第1の温度センサが配置され、前記バッテリ液冷ループと前記バルブセットとの間には第2の温度センサが配置され、
前記第1の温度センサと前記第2の温度センサとには前記メインコントローラが個別に接続され、前記メインコントローラは、前記第1の温度センサによって検出された第1の温度と、前記第2の温度センサによって検出された第2の温度と、を取得し、前記露点温度、前記第1の温度及び前記第2の温度を比較し、前記第1の温度と前記第2の温度との両方が前記露点温度以上である場合に、前記第1の温度と前記第2の温度とのうちの低い方の温度に対応する経路を接続するように制御し、又は前記第1の温度と前記第2の温度とのいずれかが前記露点温度以上である場合に、前記第1の温度と前記第2の温度とのうちの高い方の温度に対応する経路を接続するように制御するように構成される、請求項1に記載のデバイス冷却システム。
【請求項3】
前記デバイス冷却システムは第1のヒータをさらに備え、前記第1のヒータは前記バルブセットと前記液流入パイプとの間に接続され、前記第1のヒータには前記メインコントローラが接続され、前記メインコントローラは、前記第1の温度と前記第2の温度との両方が前記露点温度未満である場合に、オンにされるように前記第1のヒータを制御するように構成される、請求項2に記載のデバイス冷却システム。
【請求項4】
前記デバイス冷却システムは第3の温度センサをさらに備え、前記第3の温度センサは前記第1のヒータと前記液流入パイプとの間に接続され、前記第3の温度センサには前記メインコントローラが接続され、前記メインコントローラは、前記第3の温度センサによって検出された第3の温度を取得し、前記第3の温度が前記露点温度未満にならないように、オンにされるように前記第1のヒータを制御するように構成される、請求項3に記載のデバイス冷却システム。
【請求項5】
前記バルブセットは第1の3ウェイソレノイドバルブを備え、前記第1の3ウェイソレノイドバルブの流出部には前記液流入パイプが接続され、前記第1の3ウェイソレノイドバルブの第1の流入部には前記電気駆動部液冷ループが接続され、前記第1の3ウェイソレノイドバルブの第2の流入部には前記バッテリ液冷ループが接続される、請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイス冷却システム。
【請求項6】
前記バルブセットは第1の2ウェイソレノイドバルブと第2の2ウェイソレノイドバルブとを備え、前記第1の2ウェイソレノイドバルブは前記電気駆動部液冷ループと前記液流入パイプとの間に接続され、前記第2の2ウェイソレノイドバルブは前記バッテリ液冷ループと前記液流入パイプとの間に接続される、請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイス冷却システム。
【請求項7】
前記車載デバイスはハウジングと、前記ハウジングに配置されるメインボードと、を備え、前記ハウジングは冷温プレートを備え、前記冷温プレートには前記液流入パイプと前記液流出パイプとが配置される、請求項1から6のいずれか一項に記載のデバイス冷却システム。
【請求項8】
前記電気駆動部液冷ループは、管路を通じて順次連通するラジエータ、第1のケトル、第1のウォータポンプ及びパワートレインを備え、前記第1のウォータポンプと前記パワートレインとの間に前記バルブセットが接続される、請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイス冷却システム。
【請求項9】
前記電気駆動部液冷ループは第2の3ウェイソレノイドバルブをさらに備え、前記第2の3ウェイソレノイドバルブの流入部が前記パワートレインに接続され、前記第2の3ウェイソレノイドバルブの2つの流出部が前記ラジエータと前記第1のケトルとにそれぞれ接続される、請求項8に記載のデバイス冷却システム。
【請求項10】
前記バッテリ液冷ループはコンプレッサ、熱交換器、コンデンサ、第2のケトル、第2のウォータポンプ及びバッテリパックを備え、前記コンプレッサ、前記熱交換器及び前記コンデンサは管路を通じて順次連通して冷媒ループが形成され、前記第2のケトル、前記第2のウォータポンプ、前記熱交換器及び前記バッテリパックは管路を通じて順次連通して冷却剤ループが形成され、前記熱交換器と前記バッテリパックとの間には前記バルブセットが接続される、請求項1から9のいずれか一項に記載のデバイス冷却システム。
【請求項11】
前記バッテリ液冷ループは第2のヒータをさらに備え、前記第2のヒータは前記熱交換器と前記バッテリパックとの間に接続され、前記第2のヒータと前記バッテリパックとの間には前記バルブセットが接続される、請求項10に記載のデバイス冷却システム。
【請求項12】
電気駆動部液冷ループと、バッテリ液冷ループと、
請求項1から11のいずれか一項に記載のデバイス冷却システムと、を備える、熱管理システム。
【請求項13】
デバイス冷却システムを制御する方法であって、
車載デバイスの温度湿度検出装置によって検出された温度情報及び湿度情報を取得し、前記温度情報及び前記湿度情報に基づいて露点温度を計算するステップと、
前記露点温度が第1の区間に属するのか第2の区間に属するのかを決定するステップと、
前記露点温度が前記第1の区間に属する場合に、第1の経路を開くようにスイッチを切り換えるようにバルブセットを制御するステップであって、前記第1の経路は前記車載デバイスを電気駆動部液冷ループと接続する、ステップ、又は
前記露点温度が前記第2の区間に属する場合に、第2の経路を開くようにスイッチを切り換えるようにバルブセットを制御するステップであって、前記第2の経路は前記車載デバイスをバッテリ液冷ループと接続する、ステップと、を含む、方法。
【請求項14】
前記露点温度が第1の区間に属するのか第2の区間に属するのかを決定する前記ステップは、
第1の温度センサによって検出された第1の温度と、第2の温度センサによって検出された第2の温度と、を取得するステップであって、前記第1の温度は前記第1の経路の液流入温度であり、前記第2の温度は前記第2の経路の液流入温度である、ステップと、
前記露点温度、前記第1の温度及び前記第2の温度を比較するステップと、
前記露点温度が前記第1の温度と前記第2の温度とのいずれか以下である場合において、前記第1の温度が前記第2の温度を超えるときに、前記露点温度が前記第1の区間に属すると決定する、若しくは前記第1の温度が前記第2の温度未満であるときに、前記露点温度が前記第2の区間に属すると決定するステップ、又は
前記露点温度が前記第1の温度と前記第2の温度との両方以下である場合において、前記第1の温度が前記第2の温度を超えるときに、前記露点温度が前記第2の区間に属すると決定する、若しくは前記第1の温度が前記第2の温度未満であるときに、前記露点温度が前記第1の区間に属すると決定するステップと、を特に備える、
請求項13に記載のデバイス冷却システムを制御する方法。
【請求項15】
前記露点温度が第3の区間に属するか否かを決定し、前記露点温度が前記第3の区間に属する場合に、オンにされるように第1のヒータを制御するステップであって、前記第1のヒータは前記バルブセットと前記車載デバイスとの間に配置される、ステップをさらに備える、
請求項14に記載のデバイス冷却システムを制御する方法。
【請求項16】
前記露点温度が第3の区間に属するか否かを決定する前記ステップは、
前記露点温度、前記第1の温度及び前記第2の温度を比較し、前記露点温度が前記第1の温度と前記第2の温度との両方を超える場合に、前記露点温度が前記第3の区間に属すると決定するステップを特に備える、
請求項15に記載のデバイス冷却システムを制御する方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0045】
パワートレイン及びバッテリパックという主要な2つの発熱デバイスに加えて、車両はドメインコントローラ(モバイルデータセンター(Mobile data center、略称MDC)とも称される場合がある)、オンボードチャージャやエレクトロニックコントロールユニット(Electronic Control Unit,ECU)などの複数のタイプの車載デバイスをさらに含む。車載デバイスはエンジンルームに設置される場合があるし、前席助手席グローブボックスに設置される場合があるし、座席下に設置される場合があるし、電気自動車の別の位置に設置される場合がある。これらの位置では車載デバイスが高い周囲温度をサポートすることが要求される。放熱環境が苛酷であり、車載デバイスが稼動していると、部品の温度が増加し、近傍の周囲温度もデバイスの内部温度に影響を及ぼす。この結果、電子部品の稼動の信頼性に影響が及ぼされる。電子産業では、部品の周囲温度が10℃増加すると、電子部品の故障率が通常2倍になる。車載デバイスの正常な稼動と車両の円滑な運行とを確実にするためには、当該車載デバイスの放熱も考慮される必要がある。したがって、熱管理システムはデバイス冷却システムをさらに含んでもよい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0047】
一方で、車載デバイスの機能がますます強力になるのにつれて、それに応じてチップの計算能力が増加し、チップのパワー消費も増加し、放熱要求がますます高くなる。例としてコンピューティングデバイスを用いる。自動運転レベルが絶え間なく増加するのにつれて、ドメインコントローラの計算能力に対する要求が絶え間なく増加する。たとえば、動作量が10Tflopsから300Tflopsに増加させられたりさらに大きい動作量まで増加させられたりする必要がある。結果として、ドメインコントローラシステムのパワー消費が増加し、たとえば、20Wから300Wに増加する。この結果、ドメインコントローラが自然放熱や空冷式放熱を通じてでは大パワーコントローラの放熱要求を満たすことができない。したがって、液冷を通じて熱を放散させるようにドメインコントローラを設計することが欠かせない。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0099
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0099】
デバイス冷却システムに対して、車載デバイス100が1つあってもよいし、2つあってもよいし、複数もの車載デバイス100があってもよいことが当然分かる。上記の添付の図面で提供されている実施形態では、車載デバイス100が1つある。一方で、車載デバイス100が複数ある場合、バルブセットを配置することによって各車載デバイス100が電気駆動部液冷ループとバッテリ液冷ループとに接続されてもよいし、複数の車載デバイス100が直列に直接接続されて一まとまりとしてみなされてもよい。バルブセットを1つだけ配置することによって全車載デバイスが電気駆動部液冷ループとバッテリ液冷ループとに接続されることで、管路が単純化される。
【国際調査報告】