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特表2024-531145高効率のエネルギーダウンコンバージョンシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】高効率のエネルギーダウンコンバージョンシステム
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20240822BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20240822BHJP
   H10K 30/50 20230101ALI20240822BHJP
【FI】
G02B5/20
C09K11/06
C09K11/06 620
C09K11/06 660
H10K30/50
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024507968
(86)(22)【出願日】2022-07-07
(85)【翻訳文提出日】2024-02-07
(86)【国際出願番号】 KR2022009856
(87)【国際公開番号】W WO2023018016
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】10-2021-0105286
(32)【優先日】2021-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0082955
(32)【優先日】2022-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524033098
【氏名又は名称】ローディン カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【弁理士】
【氏名又は名称】迫田 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100122448
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 賢一
(72)【発明者】
【氏名】パク プベ
(72)【発明者】
【氏名】キム ヨンジュン
(72)【発明者】
【氏名】ムン ミンシク
【テーマコード(参考)】
2H148
5F251
【Fターム(参考)】
2H148AA05
2H148AA18
5F251AA11
5F251HA13
5F251HA17
5F251XA01
(57)【要約】
複合機能発光化合物を含む、外部からエネルギーを受けて低いエネルギーに変換するエネルギーダウンコンバージョンシステムを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からエネルギーを受けて低いエネルギーに変換するエネルギーダウンコンバージョンシステムにおいて、
前記システムは複合機能発光化合物を含み、
前記複合機能発光化合物は発光モイエティ及び受光モイエティを含み、
前記受光モイエティはエネルギーを吸収して発光モイエティに伝達し、
前記発光モイエティは受光モイエティ伝達を受けたエネルギーを光で放出し、
前記受光モイエティのHOMOエネルギーをE(1)HOMO、LUMOエネルギーをE(1)LUMOとし、前記発光モイエティのHOMOエネルギーをE(2)HOMO、LUMOエネルギーをE(2)LUMOとする時、下記式1を満たし、
<式1>
│E(1)HOMO‐E(1)LUMO│≧│E(2)HOMO‐E(2)LUMO
発光モイエティが吸収した光の量をI(A)、発光モイエティが放出した光の量をI(E)とし、受光モイエティが吸収した光の量をN(1)とし、発光モイエティに伝達されて発光モイエティから放出された光の量をN(2)とする時、発光モイエティの波長が350nm以上2500nm未満で下記式2を満たし、
<式2>
0.2×[I(E)/I(A)]≦N(2)/N(1)
前記複合機能発光化合物は、前記発光モイエティと前記受光モイエティが化学的に繋がって各モイエティ間の最短距離が10Å以内である
エネルギーダウンコンバージョンシステム。
【請求項2】
前記受光モイエティは、300nm以上で、最大吸収波長でモル吸光係数が1000以上である、
請求項1に記載のエネルギーダウンコンバージョンシステム。
【請求項3】
前記発光モイエティは、発光材料から誘導された、
請求項1に記載のエネルギーダウンコンバージョンシステム。
【請求項4】
前記発光モイエティは、400nmないし650nmの可視光線波長領域で量子効率10%以上の共役構造を持つ、
請求項1に記載のエネルギーダウンコンバージョンシステム。
【請求項5】
前記発光モイエティは、650nmないし2500nmの近赤外線波長領域で量子効率0.5%以上の共役構造を持つ、
請求項1に記載のエネルギーダウンコンバージョンシステム。
【請求項6】
前記複合機能発光化合物は少なくとも1つの重水素置換基を含む、
請求項1に記載のエネルギーダウンコンバージョンシステム。
【請求項7】
前記受光モイエティと前記発光モイエティは、前記受光モイエティと前記発光モイエティが連結基を媒介にして繋がるか、連結基なしに前記受光モイエティと前記発光モイエティが直接繋がるか、またはスピロ結合で繋がった、
請求項1に記載のエネルギーダウンコンバージョンシステム。
【請求項8】
前記受光モイエティと前記発光モイエティが直接繋がる場合、前記受光モイエティ内の炭素原子と前記発光モイエティ内の炭素原子が直接繋がって、
前記受光モイエティと前記発光モイエティは、前記受光モイエティと前記発光モイエティが連結基を媒介にして繋がる場合、前記連結基は置換されたフェニレン基;または置換または非置換された炭素数6ないし20のアリーレンまたは炭素数5ないし20のヘテロアリーレンであってもよく、前記フェニレン基、前記アリーレン及び前記ヘテロアリーレンが置換された場合の置換基は、重水素、炭素数1ないし20のアルキル基、炭素数1ないし20のアルコキシ基、ハロゲン、シアノ基、カルボキシ基、カルボニル基、アミン基、炭素数1ないし20のアルキルアミン基、ニトロ基、炭素数1ないし20のアルキルシリル基、炭素数1ないし20のアルコキシシリル基、炭素数3ないし30のシクロアルキルシリル基、炭素数6ないし30のアリールシリル基、炭素数6ないし30のアリール基、炭素数6ないし30のアリールアミン基、炭素数5ないし30のヘテロアリール基、炭素数6ないし30のアリールホスフィンオキサイド基、炭素数6ないし30のアリールホスフィニル基、炭素数6ないし30のアルキルホスフィンオキサイド、炭素数6ないし30のアルキルスルホニル基、これらの組み合わせからなる群から選択された一つであってもよいか;または、前記連結基は、炭素原子、酸素原子、窒素原子、シリコーン原子、Ge原子、S原子またはP原子であってもよく、前記連結基が原子である場合、水素、炭素数1ないし20のアルキル、炭素数6ないし20のアリール、炭素数5ないし20のヘテロアリール及びこれらの組み合わせから選択された置換基を有することができ、
前記受光モイエティ及び前記発光モイエティがスピロ結合形成が可能な原子を共有するスピロ結合を形成する場合、前記スピロ結合は、炭素、シリコーンまたはGeをスピロ原子にして繋がることができる、
請求項7に記載のエネルギーダウンコンバージョンシステム。
【請求項9】
前記連結基は、受光モイエティと発光モイエティとの間の最短距離が10Å以内になるようにする共役構造で、前記共役構造のバンドギャップエネルギーは受光モイエティのバンドギャップエネルギーより大きい、
請求項1に記載のエネルギーダウンコンバージョンシステム。
【請求項10】
前記受光モイエティと前記発光モイエティは、化学的に結合されることによって、相互の間のHOMOエネルギー準位、LUMOエネルギー準位またはHOMO‐LUMOバンドギャップエネルギーを0.2eVを超過して変化させない、
請求項1に記載のエネルギーダウンコンバージョンシステム。
【請求項11】
前記発光モイエティはボロンを含む共役構造を持つ、
請求項1に記載のエネルギーダウンコンバージョンシステム。
【請求項12】
前記発光モイエティは金属を含む、
請求項1に記載のエネルギーダウンコンバージョンシステム。
【請求項13】
前記複合機能発光化合物は、少なくとも1つの受光モイエティを含み、前記少なくとも1つの受光モイエティは、前記発光モイエティとそれぞれスピロ結合を通じて繋がった、
請求項1に記載のエネルギーダウンコンバージョンシステム。
【請求項14】
前記複合機能化合物は少なくとも1つの発光モイエティを含み、前記少なくとも1つの発光モイエティは前記受光モイエティとそれぞれスピロ結合を通じて繋がった、
請求項1に記載のエネルギーダウンコンバージョンシステム。
【請求項15】
前記複合機能化合物は、少なくとも1つ以上の発光モイエティ及び少なくとも1つ以上の受光モイエティを含み、前記発光モイエティ及び前記受光モイエティの組み合わせによってスピロ結合を通じて繋がった、
請求項1に記載のエネルギーダウンコンバージョンシステム。
【請求項16】
前記複合機能発光化合物の少なくとも1種を含む層を含む、
請求項1に記載のエネルギーダウンコンバージョンシステム。
【請求項17】
前記複合機能発光化合物は、溶液工程によって前記エネルギーダウンコンバージョンシステムに適用されることができる、
請求項1に記載のエネルギーダウンコンバージョンシステム。
【請求項18】
前記エネルギーダウンコンバージョンシステムは光源を含み、
前記複合機能発光化合物が前記光源に対して色変換を引き起こす、
請求項1に記載のエネルギーダウンコンバージョンシステム。
【請求項19】
前記光源はOLED光源または無機LED光源である、
請求項18に記載のエネルギーダウンコンバージョンシステム。
【請求項20】
前記複合機能発光化合物は、生化学または医療分野の診断用蛍光材料として適用される、
請求項1に記載のエネルギーダウンコンバージョンシステム。
【請求項21】
前記エネルギーダウンコンバージョンシステムが有機太陽電池で、
前記有機太陽電池は、第1電極、第2電極及び前記第1電極と前記第2電極との間に介在された太陽エネルギー吸収電気発生層を含み、
前記太陽エネルギー吸収電気発生層が前記複合機能発光化合物を含む、
請求項1に記載のエネルギーダウンコンバージョンシステム。
【請求項22】
前記エネルギーダウンコンバージョンシステムが有機太陽電池で、
前記有機太陽電池は基板及び基板の上部に取り付けられたフィルムを含み、
前記基板は下部から上部の方に、第1電極、太陽エネルギー吸収電気発生層及び第2電極を順次含み、
前記フィルムは前記複合機能発光化合物を含む、
請求項1に記載のエネルギーダウンコンバージョンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高効率光変換が可能なエネルギーダウンコンバージョンシステム及びその応用に関する。
【背景技術】
【0002】
有機または無機LEDにおいて、青色、緑色、赤色及び近赤外線エネルギーを得る方法は、自己発光法とエネルギーダウンコンバージョン方法がある。自己発光法は発光層材料のバンドギャップエネルギーを調整して青色、緑色、赤色及び近赤外線のエネルギーを得るし、エネルギーダウンコンバージョン方式は高いエネルギーの光源が光転換媒体を通るようにすることにより、青色、緑色、赤色及び近赤外線エネルギーを得る。主に、シャドウメタルマスク(shadow metal mask)でピクセレーション(pixelation)が容易な小型ディスプレイは自己発光法を、AR、VRのような極小型ディスプレイまたは大面積ディスプレイにシャドウメタルマスクの使用が難しい工程はエネルギーダウンコンバージョン方式を利用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、エネルギー吸収率を高めながらエネルギー損失は最小になるようにしてエネルギー転換効率を高めたエネルギーダウンコンバージョンシステムを提供する。
本発明の目的は、以上で言及した目的に制限されず、言及されていない本発明の他の目的及び長所は下記の説明によって理解されることができ、本発明の実施例によって明らかに理解される。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示した手段及びその組み合わせによって実現できることが容易に分かることができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一具現例において、
外部からエネルギーを受けて低いエネルギーに変換するエネルギーダウンコンバージョンシステムにおいて、
前記システムは複合機能発光化合物を含み、
前記複合機能発光化合物は発光モイエティ及び受光モイエティを含み、
前記受光モイエティはエネルギーを吸収して発光モイエティに伝達し、
前記発光モイエティは受光モイエティ伝達を受けたエネルギーを光で放出し、
前記受光モイエティのHOMOエネルギーをE(1)HOMO、LUMOエネルギーをE(1)LUMOとし、前記発光モイエティのHOMOエネルギーをE(2)HOMO、LUMOエネルギーをE(2)LUMOとする時、下記式1を満たし、
<式1>
│E(1)HOMO‐E(1)LUMO│≧│E(2)HOMO‐E(2)LUMO
発光モイエティが吸収した光の量をI(A)、発光モイエティが放出した光の量をI(E)とし、受光モイエティが吸収した光の量をN(1)とし、発光モイエティに伝達されて発光モイエティから放出された光の量をN(2)とする時、発光モイエティの波長が350nm以上2500nm未満で下記式2を満たし、
<式2>
0.2×[I(E)/I(A)]≦N(2)/N(1)
前記複合機能発光化合物は、前記発光モイエティと前記受光モイエティが化学的に繋がって各モイエティ間の最短距離が10Å以内である、
エネルギーダウンコンバージョンシステムを提供する。
【発明の効果】
【0005】
前記エネルギーダウンコンバージョンシステムは、エネルギー吸収率を高めながらエネルギー損失は最小になるようにしてエネルギー転換効率が向上される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】発光化合物の吸収発光メカニズムを模式的に示す。
図2】受光化合物と発光化合物が混合された状態の吸収発光メカニズムを模式的に示す。
図3】前記受光化合物に基づく受光モイエティと前記発光化合物に基づく発光モイエティとを結合させた複合機能発光化合物の吸収発光メカニズムを模式的に示す。
図4】化合物1‐1、化合物1‐2及び化合物1‐3の吸収発光メカニズムを模式的に示す。
図5】化合物2‐1、化合物2‐2及び化合物2‐3の吸収発光メカニズムを模式的に示す。
図6】化合物3‐1、化合物3‐2及び化合物3‐3の吸収発光メカニズムを模式的に示す。
図7】化合物3‐4の吸収発光メカニズムを模式的に示す。
図8】化合物1‐1及び化合物1‐2の混合物に対して測定した吸収スペクトルと発光スペクトルである。
図9】化合物1‐1、1‐2及び1‐3に対して測定した吸収スペクトルと発光スペクトルである。
図10】化合物2‐1、化合物2‐2及び化合物2‐3に対して測定した吸収スペクトルと発光スペクトルである。
図11】化合物3‐1、化合物3‐2及び化合物3‐3に対して測定した吸収スペクトルと発光スペクトルである。
図12】化合物3‐3及び化合物3‐4に対して測定した吸収スペクトルと発光スペクトルである。
図13】比較例2と実施例5でそれぞれ製造されたフィルムに対して測定した発光スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明の実施例について本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。本発明は幾つか異なる形態に具現されてもよく、ここで説明する実施例に限定されない。
【0008】
本明細書において、「置換」という用語は、化合物内の炭素原子に結合された水素原子が他の置換基に置換されることを意味する。置換が発生する位置は水素原子が置換された位置を意味する。前記位置は前記位置での水素が置換基で置換されることができる位置であれば限定されない。2つ以上の置換が発生する場合、2つ以上の置換基が同一であるか、異なってもよい。
【0009】
本明細書において、「置換」された場合の置換基は、例えば、重水素、炭素数1ないし20のアルキル基、炭素数1ないし20のアルコキシ基、ハロゲン、シアノ基、カルボキシ基、カルボニル基、アミン基、炭素数1ないし20のアルキルアミン基、ニトロ基、炭素数1ないし20のアルキルシリル基、炭素数1ないし20のアルコキシシリル基、炭素数3ないし30のシクロアルキルシリル基、炭素数6ないし30のアリールシリル基、炭素数6ないし30のアリール基、炭素数6ないし30のアリールアミン基、炭素数5ないし30のヘテロアリール基、炭素数6ないし30のアリールホスフィンオキサイド基、炭素数6ないし30のアリールホスフィニル基、炭素数6ないし30のアルキルホスフィンオキサイド、炭素数6ないし30のアルキルスルホニル基、これらの組み合わせからなる群から選択された一つであってもよいが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0010】
本発明の一具現例において、
外部からエネルギーを受けて低いエネルギーに変換するエネルギーダウンコンバージョンシステムにおいて、
前記システムは複合機能発光化合物を含み、
前記複合機能発光化合物は発光モイエティ及び受光モイエティを含み、
前記受光モイエティはエネルギーを吸収して発光モイエティに伝達し、
前記発光モイエティは受光モイエティ伝達を受けたエネルギーを光で放出し、
前記受光モイエティのHOMOエネルギーをE(1)HOMO、LUMOエネルギーをE(1)LUMOとし、前記発光モイエティのHOMOエネルギーをE(2)HOMO、LUMOエネルギーをE(2)LUMOとする時、下記式1を満たし、
<式1>
│E(1)HOMO‐E(1)LUMO│≧│E(2)HOMO‐E(2)LUMO
発光モイエティが吸収した光の量をI(A)、発光モイエティが放出した光の量をI(E)とし、受光モイエティが吸収した光の量をN(1)とし、発光モイエティに伝達されて発光モイエティから放出された光の量をN(2)とする時、発光モイエティの波長が350nm以上2500nm未満で下記式2を満たし、
<式2>
0.2×[I(E)/I(A)]≦N(2)/N(1)
前記複合機能発光化合物は、前記発光モイエティと前記受光モイエティが化学的に繋がって各モイエティ間の最短距離が10Å以内である。
【0011】
前記複合機能発光化合物は、前記発光モイエティと前記受光モイエティが化学結合を通じて繋がったエネルギーダウンコンバージョンシステムを提供する。
【0012】
前記受光モイエティは、光源などのように外部から印加されたエネルギーを吸収する機能をし、前記化学結合による連結部位は前記受光モイエティから前記発光モイエティへエネルギーが伝達される通路の機能をし、前記発光モイエティは外部から印加されたエネルギーを吸収するだけでなく、前記受光モイエティから伝達されたエネルギーを再放出する機能を遂行する。
【0013】
前記エネルギーダウンコンバージョンシステムは、高いエネルギーを吸収して低いエネルギーの光を放出させる光変換(エネルギーダウンコンバージョン)するシステムを称する。前記エネルギーダウンコンバージョンシステムはエネルギー吸収率を高めながらエネルギー損失は最小になるようにしてエネルギー転換効率を高めることができる。
【0014】
前記エネルギーダウンコンバージョンシステムの光変換方式は、ディスプレイ、照明、医療、太陽電池などの領域で幅広く活用することができる。
【0015】
前記エネルギーダウンコンバージョンシステムは、エネルギー転移速度と係る速度定数値を高めることができる前記複合機能発光化合物を利用することで光転換効率を向上させる。
従来のエネルギーダウンコンバージョンシステムは、発光化合物を単独で使用するか、高分子化合物と混合して使用する。発光化合物を単独で使う場合、濃度消光現象によって量子効率が減少し、長波長の移動現象が発生する問題を避けるためにバンドギャップエネルギーが非常に大きい高分子(または低分子)化合物と混合して発光化合物の間の距離を置く方式が一般的である。
【0016】
このようなエネルギーダウンコンバージョンシステムの光転換効率(式3)は、一般的に発光化合物の量子効率とシステムの光吸収率に比例する。
<式3>
光転換効率∝エネルギーダウンコンバージョンシステムの光吸収率×発光化合物の量子効率
式3において、発光化合物の量子効率は下記式4で計算される。
<式4>
発光化合物の量子効率=(発光する光の量/吸収された光の量)
発光化合物の量子効率は物質固有の値であるため、前記光転換効率はシステムの組成及び構造によって変わる。例えば、発光化合物の濃度を高めれば光吸収率は高くなるが、濃度消光現象によって光変換効率が減少し、発光化合物の濃度を減少させて薄膜の厚さを増加させれば微細ピクセル構造の適用の際に光漏れ現象が生じる。
【0017】
前記複合機能発光化合物を適用した前記エネルギーダウンコンバージョンシステムは、光転換効率を高めることによって濃度消光現象を最小にしながらも光吸収率を増加させることができる。
【0018】
前記複合機能発光化合物は、受光モイエティと発光モイエティが化学結合で繋がって形成される。前記複合機能発光化合物は、前述の式1及び発光モイエティの波長が350nm以上2500nm未満で式2の条件を満たし、前記発光モイエティと前記受光モイエティが化学的に繋がって各モイエティ間の最短距離が10Å以内に形成されることで、前記受光モイエティに吸収されたエネルギーが発光モイエティに伝達される。
【0019】
化合物またはモイエティのHOMOエネルギーは、循環電圧電流法(CV、Cyclic Voltammetry)、紫外光電子分光法(UPS、Ultraviolet Photoelectron Spectroscopy)、AC2などの方法で測定することができ、LUMOエネルギーはUV吸収スペクトルまたは循環電圧電流法(CV)で測定した値を適用することができる。また、本明細書で言及されている物質の量子効率は、発光物質を溶液に溶解して測定するか、ホスト物質と共蒸着してフィルム状態で製作するか、溶液にホスト物質と発光物質を同時に溶解させた後、スピンコーティングまたはキャスティング方法を利用してフィルムを作って測定して得ることができる。
【0020】
前記複合機能発光化合物は、連結基を媒介にして前記受光モイエティと前記発光モイエティが繋がるか、連結基なしに直接前記受光モイエティと前記発光モイエティが直接繋がるか、前記受光モイエティ及び前記発光モイエティがスピロ結合形成が可能な原子を共有するスピロ結合を形成することができる。
【0021】
例えば、前記発光モイエティと前記受光モイエティの化学的連結は、単一結合、二重結合、三重結合または配位結合を含むことができる。
【0022】
前記受光モイエティと前記発光モイエティが直接繋がる場合、前記受光モイエティ内の炭素原子と前記発光モイエティ内の炭素原子が直接繋がる。
【0023】
前記受光モイエティと前記発光モイエティは、前記受光モイエティと前記発光モイエティが連結基を媒介にして繋がる場合、前記連結基は置換されたフェニレン基;または置換または非置換された炭素数6ないし20のアリーレンまたは炭素数5ないし20のヘテロアリーレンであってもよく、前記フェニレン基、前記アリーレン及び前記ヘテロアリーレンが置換された場合の置換基は、重水素、炭素数1ないし20のアルキル基、炭素数1ないし20のアルコキシ基、ハロゲン、シアノ基、カルボキシ基、カルボニル基、アミン基、炭素数1ないし20のアルキルアミン基、ニトロ基、炭素数1ないし20のアルキルシリル基、炭素数1ないし20のアルコキシシリル基、炭素数3ないし30のシクロアルキルシリル基、炭素数6ないし30のアリールシリル基、炭素数6ないし30のアリール基、炭素数6ないし30のアリールアミン基、炭素数5ないし30のヘテロアリール基、炭素数6ないし30のアリールホスフィンオキサイド基、炭素数6ないし30のアリールホスフィニル基、炭素数6ないし30のアルキルホスフィンオキサイド、炭素数6ないし30のアルキルスルホニル基、これらの組み合わせからなる群から選択された一つであってもよいか;または、前記連結基は、炭素原子、酸素原子、窒素原子、シリコーン原子、Ge原子、S原子またはP原子であってもよく、前記連結基が原子である場合、水素、炭素数1ないし20のアルキル、炭素数6ないし20のアリール、炭素数5ないし20のヘテロアリール及びこれらの組み合わせから選択された置換基を有することができる。
【0024】
前記受光モイエティ及び前記発光モイエティがスピロ結合形成が可能な原子を共有するスピロ結合を形成する場合、前記スピロ結合は、炭素、シリコーンまたはGeをスピロ原子にして繋がることができる。
【0025】
一具現例において、前記連結基は受光モイエティと発光モイエティの間の最短距離が10Å以内となるようにする共役構造で、前記共役構造のバンドギャップエネルギーは受光モイエティのバンドギャップエネルギーより大きい。
【0026】
例えば、受光化合物と発光化合物を化学結合させることによって前記複合機能発光化合物を形成することができる。その結果、前記受光モイエティは前記受光化合物に起因し、前記発光モイエティは前記発光化合物に起因する。前記受光化合物と前記発光化合物の化学結合の際に、置換基などが適宜変形されて前記受光モイエティと前記発光モイエティが誘導されることができる。
【0027】
受光モイエティと発光モイエティの化学的連結は、受光モイエティと発光モイエティのそれぞれの電子状態(Electronic State)に大きく影響を与えないように形成されるべきである。ここで「大きく影響を与えないように」ということは、ある一方のモイエティが他のモイエティのHOMOエネルギー準位、LUMOエネルギー準位またはHOMO‐LUMOバンドギャップエネルギーを0.2eVを超過して変化させてはならないことを意味する。また、受光モイエティと発光モイエティの間に励起錯体を形成してはならない。
【0028】
複合機能発光化合物において、各モイエティの電子状態を定義する基準は、各モイエティと連結部分が離れて連結部分を含まずに、その部分に水素で置換された化合物として独立した化合物の状態であり得る。例えば、スピロ構造で繋がった場合、スピロ構造で繋がったそれぞれのモイエティが2つの水素で置換されて分離した独立した化合物の状態と比べることができる。この時、連結部分によって各化合物の共役度合いが変わって、これによって電子状態が変わることは、連結または連結基による影響であって、対になるモイエティの影響としてみなされない。
【0029】
一具現例において、前記複合機能化合物は、少なくとも1つ以上の発光モイエティ及び少なくとも1つ以上の受光モイエティを含み、前記発光モイエティ及び前記受光モイエティの組み合わせによってスピロ結合を通じて繋がることができる。
【0030】
例えば、前記多機能化合物は第1受光モイエティ及び第2受光モイエティ及び発光モイエティを含むことができ、前記第1受光モイエティ及び前記第2受光モイエティに関する詳細な説明は前記受光モイエティについたものと同様であり、これらは互いに同一であるか異なってもよい。例えば、前記第1受光モイエティは前記発光モイエティと繋がって、前記第2受光モイエティは前記発光モイエティまたは前記第1受光モイエティに繋がることができる。
【0031】
一具現例において、前記複合機能化合物は少なくとも2つの発光モイエティ及び少なくとも2つの受光モイエティを含み、前記発光モイエティと前記受光モイエティが交互にスピロ結合を通じて繋がることができる。
【0032】
前記複合機能発光化合物は少なくとも一つの水素原子が重水素に置換されてもよい。前記重水素置換基を持つ複合機能発光化合物を含むエネルギーダウンコンバージョンシステムは、物質安定性の特性が改善されることができる。
【0033】
図1は、発光化合物の吸収発光メカニズムを模式的に示す。図1では、外部から印加されたエネルギー(I1)を発光化合物のHOMOにある電子が吸収率(A1)に比例してエネルギーを吸収してLUMOに転移された後、量子効率(Q1)に比例してエネルギー(I2)を再放出する一般的な吸収発光メカニズムを示した。
【0034】
図2は、受光化合物と発光化合物が混合された状態の吸収発光メカニズムを模式的に示す。図2では、受光化合物が発光化合物と独立的に存在する場合であって、受光化合物は図1の発光化合物と同一の動作機器でエネルギー(I1)を吸収(受光化合物の吸収率(A2)に比例)してエネルギー(I3)を放出(受光化合物の量子効率(Q2)に比例)し、この時、発光化合物は外部から印加されたエネルギー(I1)に加えてさらに受光化合物から放出されたエネルギー(I3)を吸収した後、エネルギー(I4)を放出するようになる。放出されるエネルギー(I4)は発光化合物が単独で存在する場合、放出エネルギー(I2)よりいつも大きくなる。この時、エネルギー(I4)の大きさは、受光化合物から発光化合物へのエネルギー伝達効率によって決まる。
【0035】
エネルギー伝達方式としては、下記数式1の光による方法、
と下記数式2の電子による方法(Dexter Electron Transfer)がある。
【0036】

【数1】
【0037】
Dexter Electron Transfer
【数2】
ET:速度定数
r:エネルギー供与体とエネルギー受容体との間の距離
τD:エネルギー供与体のPL減衰時間(PL decay time)
κ:配向係数(orientation factor)
D:エネルギー供与体のPL量子効率
A:アボガドロ定数
n:屈折率
J:下記数式3に定義される。
【0038】
【数3】
D:エネルギー供与体の発光スペクトル
εA:エネルギー受容体の波長による吸光係数
L:ファンデルワールス半径の和(the sum of Vander Waals radii)
λ:波長
【0039】
エネルギー伝達方式が数式1の光による方法であれ、数式2の電子による方法であれ、重要なことはエネルギーを与える物質とエネルギーを受ける物質との間の距離(r)である。光によるエネルギー伝達の数式1で距離(r)が0に近くなればエネルギー供与体の量子(受光化合物)効率及び減衰時間(decay time)は重要ではなくなり、理論上のエネルギー伝達速度は無限大に近くなる。一方、電子の移動によるエネルギー伝達方式の数式2では、2つの物質の間の距離(r)が0に近くなれば、エネルギー伝達速度は2つの物質の間の発光スペクトルと吸収スペクトルの間の重ね(J)度合いのみに影響を受けるようになる。
【0040】
図3は、前記受光化合物に基づく受光モイエティと前記発光化合物に基づく発光モイエティを結合させた複合機能発光化合物の吸収発光メカニズムを模式的に示す。図3には複合機能発光化合物で、一つの分子内に受光モイエティと発光モイエティとを含んでいる。2つのモイエティはそれぞれの電子エネルギー状態にはほとんど影響を与えないように結合するようにしたので、各モイエティが結合する前の独立的な化合物として存在する場合と比べて、吸光及び発光の特性がさほど変わらない状態である。受光モイエティが吸収したエネルギーは、速く発光モイエティに伝達され、発光モイエティは自分の電子エネルギー状態を通じて光を放出させることにより、放出されるエネルギーI5図1のI2及び図2のI4より大きくなる。
【0041】
前記発光モイエティは外部から印加されたエネルギーを吸収して光を出すことができる発光材料(本明細書において、発光化合物という)から誘導されることができる。
【0042】
前記発光化合物(発光材料)は、通常、所望の発光波長領域に応じて目的に合わせて発光化合物を選択し、これより発光モイエティを誘導することができる。
【0043】
一具現例において、前記発光モイエティは400nmないし650nmの可視光線波長領域で量子効率10%以上の共役構造を持つことができる。
【0044】
一具現例において、前記発光モイエティは650nmないし2500nmの近赤外線波長領域で量子効率0.5%以上の共役構造を持つことができる。
【0045】
前記発光化合物(または発光材料)の具体的な例示は下記化合物であってもよく、これに限定されない。
【化1】
【0046】
前記式において、Ar及びRは、それぞれ、置換または非置換された炭素数1ないし20のアルキル、置換または非置換された炭素数6ないし30のアリール、置換または非置換された炭素数5ないし30のヘテロアリール、または置換または非置換された炭素数6ないし30のアリールアミンであってもよく、Xは窒素、酸素、硫黄、炭素、シリコーン、GeまたはPの元素である。
【0047】
このように、前記発光化合物は、前述の構造式の化合物のように窒素、酸素、硫黄、炭素、シリコーン、Ge、Pなどが置換されたボロン化合物、ピレン化合物、窒素を含む共役構造を持つ化合物などであってもよいが、これに限定されない。
【0048】
さらに、前記発光化合物は、発光材料として公知の材料を用いることができる。例えば、前記発光化合物は、アントラセン(Anthracene)、ペリレン(Perylene)、テトラセン(Tetracene)、クリセン(Chrysene)、クマリン(Coumarine)、ピロメテン(Pyrometane)などの共役構造を持つ発光化合物であってもよい。
【0049】
一具現例において、前記発光化合物及び前記発光モイエティは、ボロンを含んで共役構造を持つことができる。
【0050】
一具現例において、前記発光化合物及び前記発光モイエティは、金属を含むことができる。
前記発光モイエティの発光メカニズムは一重項で光が出る蛍光、三重項で光が出る燐光、三重項から一重項にエネルギーが伝達されて光が出る遅延蛍光を含むことができる。
【0051】
一具現例において、前記受光モイエティのバンドギャップエネルギーは0.5eVないし4.7eVで、前記発光モイエティのバンドギャップエネルギーは0.5eVないし3.5eVであってもよい。
【0052】
一具現例において、前記受光モイエティと前記発光モイエティとのバンドギャップエネルギーの差は4eV以内であってもよい。
【0053】
前記発光モイエティは外部から印加されたエネルギーを吸収して光を出すことができる発光材料(本明細書において、発光化合物という)から誘導されることができる。
【0054】
前記受光モイエティは、外部から印加されたエネルギーを吸収して前記発光モイエティに伝達し、下記式1と発光モイエティの波長が350nm以上2500nm未満で式2を満たすように設計される。
<式1>
│E(1)HOMO‐E(1)LUMO│≧│E(2)HOMO‐E(2)LUMO
式1において、E(1)HOMOは受光モイエティのHOMOエネルギーを、E(1)LUMOは受光モイエティのLUMOエネルギーを示し、E(2)HOMOは発光モイエティのHOMOエネルギー、E(2)LUMOは発光モイエティのLUMOエネルギーを示す。
<式2>
0.2×[I(E)/I(A)]≦N(2)/N(1)
式2において、I(A)は発光モイエティが吸収した光の量を示し、I(E)は発光モイエティが放出した光の量を示し、N(1)は受光モイエティが吸収した光の量を示し、N(2)は発光モイエティに伝達されて発光モイエティから放出された光の量を示す。
【0055】
例えば、発光材料から発光化合物を選択した後、適切な受光化合物を前記発光化合物に結合させて前記複合機能発光化合物を製造することによって、前記受光モイエティが前記受光化合物から誘導される。したがって、前記受光化合物は前記受光モイエティの前駆体で見られる。
【0056】
例えば、前記受光モイエティを誘導する受光化合物は所望の光吸収スペクトルを持ちながら、前記式1及び発光モイエティの波長が350nm以上2500nm未満で式2を満たす化合物として選定することができる。
【0057】
一具現例において、前記受光モイエティは、300nm以上において、最大吸収波長でモル吸光係数が1000以上であってもよい。
【0058】
一具現例において、前記受光モイエティを誘導する受光化合物は、モル吸光係数が500以上で、前記式1及び発光モイエティの波長が350nm以上2500nm未満で式2を満たす化合物として選定することができる。
【0059】
前記受光化合物の量子効率が低いとしても、前記複合機能発光化合物の光転換効率が優秀である理由は、前記図3における前記複合機能発光化合物の吸収発光メカニズムを見れば分かる。
【0060】
したがって、前記複合機能発光化合物を設計するために受光化合物を選定する時、受光化合物の量子効率を考慮しないこともある。
【0061】
前記複合機能発光化合物は、前記発光モイエティの発光特性に影響を及ぼすことなく、吸収率のみ増加させることができる受光モイエティを導入したものであって、このエネルギーが発光モイエティに効率的に伝達されるので、優れる光変換効率を持つことができる。
【0062】
一具現例において、前記エネルギーダウンコンバージョンシステムは、短波長光源を吸収して長波長の光を放出する前記複合機能発光化合物を適用することで、高効率光変換システムを具現することができる。
【0063】
一具現例において、前記エネルギーダウンコンバージョンシステムは、前記複合機能発光化合物の少なくとも1種を含む層またはフィルムを含むことができる。
【0064】
前記複合機能発光化合物の少なくとも1種を含む層は、選択的に、マトリックス形成用高分子化合物をさらに含むことができる。
【0065】
前記マトリックス形成用高分子化合物は、例えば、ポリイミド(Polyimide)、ポリアクリレート(Poly acrylate)、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate)などを挙げることができる。
【0066】
前記複合機能発光化合物の少なくとも1種を含む層は、選択的に、無機化合物をさらに含むことができる。
【0067】
前記無機化合物は、例えば、シリコーンオキサイド、アルミニウムオキサイド、チタンオキサイド、モリブデンオキサイドなどを挙げることができる。
【0068】
一具現例において、前記複合機能発光化合物は、溶液工程によって前記エネルギーダウンコンバージョンシステムに適用されることができる。例えば、前記層は溶液工程の一種である、スピンコーティング工程、インクジェット工程、スローダイコーティング工程、シルクスクリーンプリンティング工程によって製造されることができる。
【0069】
前記エネルギーダウンコンバージョンシステムは、ディスプレイと照明分野のみならず、太陽電池及び医療分野でも応用可能である。
【0070】
有機太陽電池は、正極と負極との間に太陽エネルギーを吸収できる物質が位置して太陽エネルギーを吸収すれば、この物質が励起状態になって、電子は正極に、ホールは負極に移動して電気を発生させるようになる。電気発生効率は光吸収率と比例し、光を吸収した物質の励起状態の寿命に比例する。本発明の複合発光化合物は、高いエネルギーを吸収して発光効率の高い発光モイエティへエネルギーを移動させることにより、電子とホールを生成して電気発生効率を高めることができる。
【0071】
医療分野では、複合発光機能化合物は小さい光源エネルギーをもっても高い効率の光を得ることができるため、敏感度を高めて親水性が強いように変換させ、適切な抗原や抗体を結合させて診断用に活用可能である。また、自然光または可視光エネルギーを利用して近赤外線でエネルギーを転換させることにより、近赤外線が適用される医療分野にも利用することができる。
【0072】
一具現例において、前記エネルギーダウンコンバージョンシステムは光源を含み、前記複合機能発光化合物が前記光源に対して色変換を引き起こす。すなわち、発光する光の色は一定にさせながら最大吸収波長の範囲を調節することができる。これは、従来は発光する光の色で診断していたが、前記エネルギーダウンコンバージョンシステムは光源の波長を変化させることで診断できることを意味する。
【0073】
前記光源は、OLED光源または無機LED光源であってもよい。
【0074】
一具現例において、前記複合機能発光化合物は、生化学または医療分野での診断用蛍光物質として適用されることができる。赤色発光モイエティと450nm波長の受光化合物を結合させて前記複合機能発光化合物として適用する場合と、赤色発光モイエティと500nm波長の受光化合物を結合させて前記複合機能発光化合物として適用する場合を例えて説明することができる。2つの物質は、いずれも赤色発光を示すが、一つの物質は450nm光源を照射する場合、赤色が強く表れ、他の物質は500nmの光源を照射する場合、赤色が強く表れる。したがって、細胞分裂の際に特定の領域に前記複合機能発光化合物を導入する場合、この領域が以後どのような機能で発現するのか、測定光源を変更させることで確認することができる。なお、前記複合機能発光化合物は、前記受光モイエティによって吸収率が増加したので、光源の強度を減少させることができ、細胞の破壊を最小化することができるという長所がある。
【0075】
本発明の一具現例において、前記エネルギーダウンコンバージョンシステムが有機太陽電池であるエネルギーダウンコンバージョンシステムを提供する。
【0076】
一具現例において、前記有機太陽電池は、第1電極、第2電極及び前記第1電極と前記第2電極との間に介在された太陽エネルギー吸収電気発生層を含み、
前記太陽エネルギー吸収電気発生層が前記複合機能発光化合物を含むことができる。
【0077】
前記第1電極及び第2電極は、それぞれ、負極または正極であるか、または、その逆であってもよい。
【0078】
前記有機太陽電池において、前記複合機能発光化合物は、有機太陽電池の第1電極と第2電極との間の太陽エネルギー吸収電気発生層に使われることによって、受光モイエティは高いエネルギーを持つ短波長の太陽エネルギー吸収率を高め、これの伝達を受けた発光モイエティで低いエネルギー状態に変換されることで電子発生効率を増加させることができる。
【0079】
本発明の一具現例において、前記有機太陽電池は、基板及び基板の上部に取り付けられたフィルムを含み、
前記基板は、下部から上部の方に第1電極、太陽エネルギー吸収電気発生層及び第2電極を順次含み、
前記フィルムは前記複合機能発光化合物を含むことができる。
【0080】
前記第1電極及び第2電極は、それぞれ、負極または正極であるか、または、その逆であってもよい。
【0081】
例えば、前記複合機能発光化合物を前記有機太陽電池の基板上にフィルムでコーティングすることができる。前記基板上にフィルムで形成された前記複合機能発光化合物は、高いエネルギーを持つ短波長の太陽エネルギーを吸収して低いエネルギーを持つ長波長に変化させ、変換されたエネルギーは有機太陽電池の正極と負極との間の太陽エネルギー吸収電気発生層で吸収されるようにすることで、電子発生効率を増加させることができる。
【実施例
【0082】
以下、本発明の実施例及び比較例を記載する。下記実施例は本発明の一実施例に過ぎず、本発明が下記実施例に限定されるものではない。
【0083】
合成例1
下記化合物1‐1を受光化合物として、下記化合物1‐2を発光化合物として用意し、化合物1‐1から誘導された受光モイエティと化合物1‐2から誘導された発光モイエティをスピロ構造で繋いだ下記化合物1‐3を前記複合機能発光化合物として合成した。
【0084】
【化2】
【0085】
図4は、化合物1‐1、化合物1‐2及び化合物1‐3の吸収発光メカニズムを模式的に示す。
化合物1‐3において、受光モイエティのHOMOエネルギーE(1)HOMO、LUMOエネルギーE(1)LUMO、発光モイエティのHOMOエネルギーE(2)HOMO、LUMOエネルギーE(2)LUMOを測定して<式1>の│E(1)HOMO‐E(1)LUMO│、│E(2)HOMO‐E(2)LUMO│値を下記表1に示す。
【0086】
(化合物1‐1の合成)
【化3】
【0087】
丸底フラスコ反応器に化合物1‐1‐1を4.45g(10.0mmol)、化合物1‐1‐2を2.03g(0.012mol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラチウム(0)を0.275g(0.3mmol)、ナトリウム‐t‐ブトキシドを2.88g(0.03mol)、トリ‐t‐ブチルホスフィンを0.606g(0.3mmol)、トルエンを60ml入れて、2時間還流撹拌した。
反応液を室温まで冷却した後、冷却された水を投入して有機層をエチルアセテートを利用して抽出した。抽出した有機層の溶媒をMgSO4で乾燥した後、ろ過した。ろ液を減圧濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/Hexane)方法を利用して精製した。
以後、DCM/Acetone混合溶媒で再結晶して精製し、前記化合物1‐1を60%の収率で3.2gを得た。
MS(MALDI‐TOF)m/z:533[M]+
NMR:δH(400MHz;CDCl3;Me4Si)8.15(d,J=8.0、2.0Hz、1H)、7.79(d,1H)、7.72‐7.63(m,3H)、7.55(t,1H)、7.29‐7.19(m,6H)、7.08(t,4H)、7.03(dd,1H)、6.98(t,1H)、6.93(d,4H)、6.91‐6.81(m,4H)、6.72(d,1H)
【0088】
(化合物1‐2の合成)
【化4】
【0089】
前記(化合物1‐1の合成)と同一のモル比で化合物1‐1‐1の代わりに化合物1‐2‐1を使用し、化合物1‐1‐2の代わりに化合物1‐2‐2を使用したことを除いては、同様の方法で行った。
この後、化合物1‐2を58%の収率で3.26gを得た。
MS(MALDI‐TOF)m/z:561[M]+
【0090】
(化合物1‐3の合成)
【化5】
【0091】
前記(化合物1‐1の合成)で化合物1‐1‐1の代わりに化合物1‐3‐1使用したことを除いては、同様の方法で行った。
この後、化合物1‐3を62%の収率で4.34gを得た。
MS(MALDI‐TOF)m/z:700[M]+
NMR:δH(400MHz;CDCl3;Me4Si)8.13(d,J=8.0、2.0Hz、1H)、7.77(d,1H)、7.68(t,2H)、7.38(d,1H)、7.30‐7.25(m,2H)、7.19(t,4H)、7.14‐7.01(m,12H)、7.01‐6.84(m,12H)、6.69(d,1H)
【0092】
合成例2
下記化合物2‐1を受光化合物として、下記化合物2‐2を発光化合物として用意し、化合物2‐1から誘導された受光モイエティと化合物2‐2から誘導された発光モイエティをスピロ構造で繋いだ下記化合物2‐3を前記複合機能発光化合物として合成した。
【0093】
【化6】
【0094】
図5は、化合物2‐1、化合物2‐2及び化合物2‐3の吸収発光メカニズムを模式的に示す。
化合物2‐3において、受光モイエティのHOMOエネルギーE(1)HOMO、LUMOエネルギーE(1)LUMO、発光モイエティのHOMOエネルギーE(2)HOMO、LUMOエネルギーE(2)LUMOを<式1>の│E(1)HOMO‐E(1)LUMO│、│E(2)HOMO‐E(2)LUMO│値を下記表1に示した。
【0095】
(化合物2‐1の合成)
【化7】
【0096】
前記(化合物1‐1の合成)と同一のモル比で化合物1‐1‐1の代わりに化合物2‐1‐1を使用し、化合物1‐1‐2の代わりに化合物2‐1‐2を使用したことを除いては、同様の方法で行った。
この後、化合物2‐1を55%の収率で2.65gを得た。
MS(MALDI‐TOF)m/z:481[M]+
NMR:δH(400MHz;CDCl3;Me4Si)8.04(d,J=8.0、2.0Hz、3H)、7.91(d,1H)、7.78(d,2H)、7.56(dd,1H)、7.42(t,1H)、7.35(t,2H)、7.30‐7.26(m,2H)、7.19(t,4H)、7.14(t,3H)、6.89(sd,1H)、6.85(d,2H)、6.79(d,1H)
【0097】
(化合物2‐2の合成)
【化8】
【0098】
前記(化合物1‐1の合成)と同一のモル比で化合物1‐1‐1の代わりに化合物2‐2‐1使用し、化合物1‐1‐2の代わりに化合物2‐2‐2を使用したことを除いては、同様の方法で行った。
この後、化合物2‐2を57%の収率で3.70gを得た。
MS(MALDI‐TOF)m/z:649[M]+
【0099】
(化合物2‐3の合成)
【化9】
【0100】
前記(化合物1‐1の合成)と同一のモル比で化合物1‐1‐1の代わりに化合物2‐3‐1を使用し、化合物1‐1‐2の代わりに化合物2‐3‐2を使用したことを除いては、同様の方法で行った。
この後、化合物2‐3を60%の収率で4.89gを得た。
MS(MALDI‐TOF)m/z:814[M]+
NMR:δH(400MHz;CDCl3;Me4Si)8.18(d,J=8.0、2.0Hz、1H)、8.05(d,2H)、8.02(d,1H)、7.89(d,1H)、7.84(d,1H)、7.57(d,2H)、7.48(d,1H)、7.42(t,3H)、7.33(d,2H)、7.29‐7.27(m,2H)、7.23‐7.13(m,13H)、7.10(t,4H)、6.96‐6.90(m,2H)、6.73(d,1H)、1.33(s,3H)1.32(s,3H)
【0101】
合成例3
下記化合物3‐1を受光化合物として、下記化合物3‐2を発光化合物として用意し、化合物3‐1から誘導された受光モイエティと化合物3‐2から誘導された発光モイエティをスピロ構造で繋いだ下記化合物3‐3を前記複合機能発光化合物として合成した。
【化10】
【0102】
図6は、化合物3‐1、化合物3‐2及び化合物3‐3の吸収発光メカニズムを模式的に示す。
化合物3‐3において、受光モイエティのHOMOエネルギーE(1)HOMO、LUMOエネルギーE(1)LUMO、発光モイエティのHOMOエネルギーE(2)HOMO、LUMOエネルギーE(2)LUMOを<式1>の│E(1)HOMO‐E(1)LUMO│、│E(2)HOMO‐E(2)LUMO│値を下記表1に示した。
【0103】
(化合物3‐1の合成)
【化11】
【0104】
前記(化合物1‐1の合成)と同一のモル比で化合物1‐1‐1の代わりに化合物2‐1‐1を使用し、化合物1‐1‐2の代わりに化合物2‐1‐2を使用したことを除いては、同様の方法で行った。
この後、化合物2‐1を55%の収率で2.65gを得た。
MS(MALDI‐TOF)m/z:481[M]+
【0105】
(化合物3‐2の合成)
【化12】
【0106】
出発物質3‐2‐1を9.52g(10.0mmol)とt‐ブチルベンゼン(32ml)に溶かした後、0℃まで冷却した。窒素雰囲気下で2.5Mのn‐ブチルリチウム溶液(ヘキサン内)8.0mL(20.0mmol)を添加し、室温で3時間撹拌した。
この後、再び反応物を0℃まで冷却し、ボロントリブロミド1.90mL(20.0mmol)を添加した後、常温で0.5時間撹拌した。再び反応物を0℃まで冷却し、N,N‐ジイソプロピルエチルアミン3.51mL(20.0mmol)を添加した後、60~70℃で2時間撹拌した。
反応液を室温まで冷却させ、エチルアセテートで有機層を抽出した。抽出した有機層の溶媒をMgSO4で乾燥した後、ろ過した。ろ液を減圧濃縮させた後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/Hexane)方法を利用して精製した。
以後、DCM/アセトン混合溶媒で再結晶して精製し、前記化合物3‐2を12%の収率で1.05gを得た。
MS(MALDI‐TOF)m/z:880[M]+
NMR:δH(400MHz;CDCl3;Me4Si)9.13(1H,s)、8.86‐8.83(1H,m)、7.92‐7.90(1H,m)、7.78(1H,d,J8.0)、7.73‐7.64(4H,m)、7.44‐7.27(8H,m)、7.17‐6.86(11H,m)、6.80‐6.57(5H,m)、6.49(1H,d,J4.0)、6.37(1H,d,J8.0)、6.12(2H,t)、5.89(1H,d,J8.0)、2.36(3H,s)、0.96(9H,s)
【0107】
(化合物3‐3の合成)
【化13】
【0108】
前記(化合物3‐2の合成)と同一のモル比で化合物3‐2‐1の代わりに化合物3‐3‐1を使用したことを除いては、同様の方法で行った。
この後、化合物3‐3を9%の収率で1.0gを得た。
MS(MALDI‐TOF)m/z:1046[M]+
NMR:δH(400MHz;CDCl3;Me4Si)9.13(1H,s)、8.86‐8.83(1H,m)、7.92‐7.90(1H,m)、7.78(1H,d,J8.0)、7.73‐7.64(6H,m)、7.44‐7.27(11H,m)、7.17‐6.86(13H,m)、6.80‐6.57(5H,m)、6.49(1H,d,J4.0)、6.37(1H,d,J8.0)、6.12(2H,t)、5.89(1H,d,J8.0)、2.36(3H,s)、0.96(9H,s)
【0109】
合成例4
下記化合物3‐1を受光化合物として、下記化合物3‐2を発光化合物として用意し、化合物3‐1から誘導された受光モイエティ2つを化合物3‐2から誘導された発光モイエティにそれぞれスピロ構造で繋いだ下記化合物3‐4を前記複合機能発光化合物として合成した。
図7は、実施例で合成した化合物3‐4の吸収発光メカニズムを模式的に示す。
【0110】
(化合物3‐4の合成)
【化14】
【0111】
前記(化合物3‐2の合成)と同一のモル比で化合物3‐2‐1の代わりに化合物3‐4‐1を使用したことを除いては、同様の方法で行った。
この後、化合物3‐4を10%の収率で1.43gを得た。
MS(MALDI‐TOF)m/z:1435[M]+
NMR:δH(400MHz;CDCl3;Me4Si)9.22‐9.15(m,2H)、8.07‐8.01(m,J=8.0、2.0Hz、4H)、8.00‐7.90(m,4H)、7.89‐7.78(m,2H)、7.60‐7.28(m,21H)、7.22‐7.07(m,13H)、7.01‐6.91(m,2H)、6.87‐6.68(m,7H)、6.59‐6.52(m,3H)、6.47‐6.28(m,1H)、6.26‐6.02(m,3H)、1.24(s,9H)
【0112】
評価1:HOMOエネルギー及びLUMOエネルギーの測定
前記合成された化合物1‐3、化合物2‐3、化合物3‐3及び化合物3‐4のHOMOエネルギー及びLUMOエネルギーを測定して<式1>の│E(1)HOMO‐E(1)LUMO│、│E(2)HOMO‐E(2)LUMO│値を下記表1に示した。
HOMOエネルギーは、CV、Cyclic Voltametryによって測定し、LUMOエネルギーは吸収スペクトルによって測定した。
【0113】
【表1】
【0114】
評価2:受光モイエティのモル吸光係数の測定
前記合成された化合物1‐3、化合物2‐3、化合物3‐3及び化合物3‐4の受光モイエティのモル吸光係数(L mol‐1cm‐1)SHIMADZU RF5301PC、SHIMADZU UV2550で測定した。
【0115】
【表2】
【0116】
比較例1
すべての測定試料は、各物質をトルエン溶液に溶解して2マイクロモルの濃度になるようにし、SHIMADZU RF5301PC、SHIMADZU UV2550で測定した。
図8は、化合物1‐1及び化合物1‐2の混合物に対して測定した吸収及び発光スペクトルである。
化合物1‐1及び化合物1‐2を1:1の割合で混合し、それぞれ2マイクロモルの濃度になるように、350nmのエネルギーを利用して励起させた。図8で見られるように、化合物1‐1と化合物1‐2が独立的に発光してエネルギー転移があまり起きていないことを確認することができた。
【0117】
実施例1
図9は、化合物1‐1、1‐2及び1‐3に対して測定した吸収スペクトルと発光スペクトルである。図1において、化合物1‐1、化合物1‐2及び化合物1‐3のエネルギー転移現象を比較確認した結果、化合物1‐3でモイエティ間のエネルギー転移を確認した。
化合物1‐2と化合物1‐3の吸収スペクトルを比べると、化合物1‐3で300~350nm領域の吸収率が増加したことを確認できるし、これは化合物1‐3の受光モイエティの吸収によるものである。化合物1‐3における350nmでの吸収率は、化合物1‐2に比べて約4倍増加した。複合機能発光化合物である化合物3‐3において、受光モイエティから発光モイエティにエネルギーが伝達される現象は、2つの物質の発光スペクトルを通じて確認することができる。化合物1‐2と化合物1‐3を350nmに励起させた場合、化合物1‐3の発光モイエティの発光率が化合物1‐2に比べて約3.7倍増加し、受光モイエティの発光スペクトルはすべてなくなった。これを通じて、図3で説明するエネルギー伝達現象が具現されたことを明確に確認することができる。
【0118】
実施例2
図10は、化合物2‐1、化合物2‐2及び化合物2‐3に対して測定した吸収スペクトルと発光スペクトルである。図10において、化合物2‐1、化合物2‐2及び化合物2‐3のエネルギー転移現象を比較確認し、化合物2‐3でモイエティ間のエネルギー転移を確認した。図10は、化合物2‐1、2‐2及び2‐3に対して測定した吸収スペクトルと発光スペクトルである。
化合物2‐2と化合物2‐3の吸収スペクトルを比べると、化合物2‐3で300~350nm領域の吸収率が増加したことを確認できるし、これは化合物2‐3の受光モイエティの吸収によるものである。化合物2‐3における330nmでの吸収率は化合物2に比べて約1.8倍増加した。複合機能化合物である化合物3‐3において、受光モイエティから発光モイエティにエネルギーが伝達される現象は、2つの物質の発光スペクトルを通じて確認することができる。化合物2‐2と化合物2‐3を330nmに励起させた場合、化合物3‐3の発光モイエティの発光率が化合物2に比べて約1.7倍増加し、受光モイエティの発光スペクトルはすべてなくなった。これを通じて、図3で説明するエネルギー伝達現象が具現されたことを明確に確認することができる。
本実施例2を通じて化学結合でエネルギー供与体(受光化合物)とエネルギー受容体(発光化合物)との間の距離を非常に近くすれば(すなわち、化学結合を通じて)、エネルギー転移が効率的に起きることを確認した。
【0119】
実施例3
図11は、化合物3‐1、化合物3‐2及び化合物3‐3に対して測定した吸収スペクトルと発光スペクトルである。図11において、化合物3‐1、化合物3‐2及び化合物3‐3のエネルギー転移現象を比較確認し、化合物3‐3でモイエティ間のエネルギー転移を確認した。図11は、化合物3‐1、3‐2及び3‐3に対して測定した吸収スペクトルと発光スペクトルである。
化合物3‐2と化合物3‐3の吸収スペクトルを比べると、化合物3‐3で300~350nm領域の吸収率が増加したことを確認できるし、これは化合物3‐3の受光モイエティの吸収によるものである。化合物3‐3における330nmでの吸収率は、化合物2に比べて約2倍増加した。複合機能化合物である化合物3‐3において、受光モイエティから発光モイエティにエネルギーが伝達される現象は、2つの物質の発光スペクトルを通じて確認することができる。化合物3‐2と化合物3‐3を330nmに励起させた場合、化合物3‐3の発光モイエティの発光率が化合物2に比べて約1.8倍増加し、受光モイエティの発光スペクトルはすべてなくなった。これを通じて、図3で説明するエネルギー伝達現象が具現されたことを明確に確認することができる。
実施例3を通じて化学結合でエネルギー供与体(受光化合物)とエネルギー受容体(発光化合物)との間の距離を非常に近くすれば(すなわち、化学結合を通じて)、エネルギー転移が効率的に起きることを確認した。
【0120】
実施例4
図12は、化合物3‐3及び化合物3‐4に対して測定した吸収スペクトルと発光スペクトルである。化合物3‐3及び化合物3‐4を通じて受光モイエティ1つが繋がった場合と受光モイエティ2つが繋がった場合のエネルギー転移現象を比較確認した。
化合物3‐2と化合物3‐3の吸収スペクトルを比べると、化合物3‐3において、300~350nm領域の吸収率が増加したことを確認できるし、これは化合物3‐1の受光モイエティの吸収によるものである。2つの受光モイエティが存在する場合のエネルギー伝達現象は、受光モイエティが1つの化合物3‐3と2つの受光モイエティを持っている化合物3‐4の吸収及び発光スペクトルを通じて確認することができる。化合物3‐3と化合物3‐4を330nmに励起させた場合、化合物3‐4の発光モイエティの発光率が化合物3‐3に比べて約30%ぐらい向上していて、受光モイエティの発光スペクトルはすべてなくなった。これを通じて、受光モイエティが2つ存在する場合も図3で説明するエネルギー伝達現象が具現されたことを明確に確認することができる。
本実施例4を通じて、化学結合でエネルギー供与体(受光化合物)とエネルギー受容体(発光化合物)との間の距離を非常に近くすれば(すなわち、化学結合を通じて)、エネルギー転移が効率的に起きることを確認した。
【0121】
<フィルム製作>
前記複合機能発光化合物をフィルム状態でエネルギーダウンコンバージョンシステムに適用した場合も光転換効率が向上されることを確認した。
【0122】
比較例2
PMMAの1gと化合物1‐2の0.1gをクロロベンゼン3mlに溶解した後、Quartz Glassの上にスピンコーティングして100nmのフィルムを製作した。8W 365nm UV Lampを利用して青色でエネルギーコンバージョン現象を誘導し、PR650 Spectraphotometerで輝度を測定し、約29nitsにCIE x0.151、y0.090の値を得た。
【0123】
実施例5
化合物1‐3を0.1g使用したこと以外、比較例2と同様の方法でフィルムを製作して測定し、約59nitsにCIE x0.148、y0.094の値を得た。化合物1‐2と化合物1‐3の分子量比は、約1.3であるため、同一のモル数を基準にして換算すれば、化合物1‐3の光量は約76.7nitsになり、これはエネルギーダウンコンバージョン効率が約2.6倍向上されたことを意味する。
【0124】
図13は、比較例2と実施例5でそれぞれ製造されたフィルムに対して測定した発光スペクトルである。
【0125】
以上のように、本発明について例示した図面を参照して説明したが、本明細書に開示された実施例と図面によって本発明が限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で通常の技術者によって多様な変形が行われることは自明である。同時に、前記にて本発明の実施例を説明しながら本発明の構成による作用効果を明示的に記載して説明しなかったとしても、該当構成によって予測可能な効果も認められるべきであることは当然である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】