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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】方法及び搬送装置
(51)【国際特許分類】
   F17C 9/02 20060101AFI20240822BHJP
   F17C 13/00 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
F17C9/02
F17C13/00 302D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024507994
(86)(22)【出願日】2022-08-17
(85)【翻訳文提出日】2024-02-08
(86)【国際出願番号】 EP2022025381
(87)【国際公開番号】W WO2023025410
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】21020422.8
(32)【優先日】2021-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519288685
【氏名又は名称】リンデ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Linde GmbH
【住所又は居所原語表記】Dr.-Carl-von-Linde-Str. 6-14, 82049 Pullach i. Isartal, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴェレンホーファー、アントン
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー、エファ
(72)【発明者】
【氏名】フェルビンガー、シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルファーシュテッター、クレメンズ
(72)【発明者】
【氏名】ツェンツ、ハラルド
(72)【発明者】
【氏名】ヴェレンホーファー、カトリン
(72)【発明者】
【氏名】ハケミ、ナベエル
(72)【発明者】
【氏名】トネファ、ペトヤ
(72)【発明者】
【氏名】クルーズ、ホセ、アルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ドゥルネフ、デニス
(72)【発明者】
【氏名】シャフラネク、ヨハネス
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB01
3E172BA04
3E172BA06
3E172BD05
3E172DA90
3E172EB03
3E172EB20
3E172GA11
3E172KA03
3E172KA22
(57)【要約】
貯蔵容器(2)からの寒剤(H2)を消費器(3)に供給する方法であって、a)貯蔵容器(2)からの寒剤(H2)の一部を、消費器(3)及び貯蔵容器(2)から閉鎖可能な容積部(14)に導入するステップ(S1)と、b)容積部(14)と消費器(3)との間に配置された供給弁(V1)を最初に閉鎖し、次いで、貯蔵容器(2)と容積部(14)との間に配置された入口弁(V2)を閉鎖することによって、容積部(14)を消費器(3)及び貯蔵容器(2)から閉鎖するステップ(S2)と、c)容積部(14)内の寒剤(H2)を気化させて、容積部(14)を貯蔵容器(2)内に行き渡る圧力(p2)よりも高い圧力(p14)にさらすステップ(S3)と、d)気化寒剤(H2)を容積部(14)から消費器(3)に、消費器(3)が負荷要求(L)を有するときに供給弁(V1)を開くことによって排出するステップ(S4)とを含み、供給弁(V1)が開いているとき、容積部(14)内の圧力(p14)が貯蔵容器(2)内に行き渡る圧力(p2)を下回るとすぐに入口弁(V2)が開かれる、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵容器(2)から消費器(3)に寒剤(H2)を供給するための方法であって、
a)前記貯蔵容器(2)からの前記寒剤(H2)の一部を、前記消費器(3)及び前記貯蔵容器(2)から閉鎖可能な容積部(14)内に導入するステップ(S1)と、
b)前記容積部(14)と前記消費器(3)との間に配置された供給弁(V1)を最初に閉鎖し、次いで、前記貯蔵容器(2)と前記容積部(14)との間に配置された入口弁(V2)を閉鎖することによって、前記容積部(14)を前記消費器(3)及び前記貯蔵容器(2)から閉鎖するステップ(S2)と、
c)前記容積部(14)内の前記寒剤(H2)を気化させて、前記容積部(14)を前記貯蔵容器(2)内に行き渡る圧力(p2)よりも高い圧力(p14)にさらすステップ(S3)と、
d)前記気化寒剤(H2)を前記容積部(14)から前記消費器(3)に、前記消費器(3)が負荷要求(L)を有するときに前記供給弁(V1)を開くことによって排出するステップ(S4)とを含み、前記供給弁(V1)が開いているとき、前記容積部(14)内の圧力(p14)が前記貯蔵容器(2)内に行き渡る圧力(p2)を下回るとすぐに前記入口弁(V2)が開かれる、方法。
【請求項2】
ステップd)の間、前記容積部(14)内に行き渡る前記圧力(p14)が、前記寒剤(H2)が前記供給弁(V1)を用いて前記容積部(14)から排出されるときに、前記消費器(3)に適した供給圧力まで低減される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記消費器(3)に適した前記供給圧力が、前記貯蔵容器(2)内も行き渡る前記圧力(p2)よりも低い、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ステップd)の間、前記供給弁(V1)が、前記消費器(3)の前記負荷要求(L)に応じて開かれる、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
ステップd)の間、前記供給弁(V1)が、前記供給弁(V1)の下流に配置された圧力センサ(19)からのセンサ信号及び/又は流量センサ(21)からのセンサ信号に基づいて、開ループ及び閉ループ制御装置(13)を用いて制御される、請求項2から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記入口弁(V2)が、前記容積部(14)内の前記圧力(p14)が前記貯蔵容器(2)内に行き渡る前記圧力(p2)よりも高い限り、閉鎖される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
熱(Q)が、前記寒剤(H2)を気化させるために、気化器ユニット(11)を用いて、ステップc)の間に前記寒剤(H2)に導入される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
貯蔵容器(2)から寒剤(H2)を消費器(3)に供給するための搬送装置(9)であって、前記貯蔵容器(2)と前記容積部(14)との間に配置された入口弁(V2)と、前記容積部(14)と前記消費器(3)との間に配置された供給弁(V1)と、前記消費器(3)及び前記貯蔵容器(2)から閉鎖可能な容積部(14)と、気化器ユニット(11)と、開ループ及び閉ループ制御装置(13)とを備え、前記開ループ及び閉ループ制御装置(13)が、前記入口弁(V2)が前記貯蔵容器(2)から前記容積部(14)に前記寒剤(H2)の一部を導入するように前記入口弁(V2)を制御するように構成され、前記開ループ及び閉ループ制御装置(13)が、前記入口弁(V2)及び前記供給弁(V1)が前記消費器(3)及び前記貯蔵容器(2)から前記容積部(14)を閉鎖するように前記入口弁(V2)及び前記供給弁(V1)を制御するように構成され、前記開ループ及び閉ループ制御装置(13)が、最初に前記供給弁(V1)を閉鎖し、次いで前記入口弁(V2)を閉鎖するように構成され、前記気化器ユニット(14)が、前記閉鎖容積部(14)内に収容された前記寒剤(H2)を気化させて、前記閉鎖容積部(14)を前記貯蔵容器(2)内に行き渡る圧力(p2)よりも高い圧力(p14)にさらすように構成され、前記開ループ及び閉ループ制御装置(11)が、前記供給弁(V1)が、前記消費器(3)が負荷要求(L)を有するときに前記供給弁が前記気化寒剤(H2)を前記閉鎖容積部(13)から前記消費器(3)に排出するように前記供給弁(V1)を制御するように構成され、前記開ループ及び閉ループ制御装置(13)が、前記供給弁(V1)が開いているときに、前記容積部(14)内の前記圧力(p14)が前記貯蔵容器(2)内に行き渡る前記圧力(p2)を下回るとすぐに前記入口弁(V2)を開くように構成される、搬送装置(9)。
【請求項9】
前記供給弁(V1)が、前記入口弁(V2)の下流に配置される、請求項8に記載の搬送装置。
【請求項10】
前記容積部(14)が、前記入口弁(V2)と前記供給弁(V1)との間に設けられる、請求項8又は9に記載の搬送装置。
【請求項11】
前記容積部(14)が、1つ以上のパイプループ、パイプライン、及び/又は貯蔵容積部によって形成される、請求項8から10のいずれか一項に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯蔵容器から寒剤を消費器に供給する方法、及び貯蔵容器から寒剤を消費器に供給する搬送装置に関する。
【0002】
液体水素用の貯蔵容器は、本出願人の社内ノウハウによれば、圧力上昇気化器を有することができ、これにより貯蔵容器内に圧力を上昇させることが可能になり、気体水素を、例えば、1から2.5バールの安定した供給圧力で、例えば、燃料電池の形態で消費器に利用可能にすることができる。このような貯蔵容器の動作中に、例えば海洋分野では、例えば膨張による貯蔵容器の移動は、燃料電池に必要な供給圧力を一定に保つことができるように、貯蔵容器内で安定した動作条件を維持することを非常に困難にする可能性がある。
【0003】
本出願人は、水素がほぼ無圧力で貯蔵容器内に貯蔵される社内の従来技術も認識している。この場合、水素は、極低温ポンプを使用して搬送され、前述の供給圧力で燃料電池に供給される。しかしながら、このような極低温ポンプは可動部品を有しており、この可動部品は、ある程度の保守作業が必要になり、したがって動作停止時間をもたらす可能性がある。更に、社内の調査結果によれば、必要な供給圧力を達成するために、燃料電池の上流で水素を気化させ、次いでそれを圧縮することも可能である。しかしながら、これはエネルギー使用の観点から好ましくない。
【0004】
この背景に対して、本発明の目的は、貯蔵容器から寒剤を消費器に供給するための改善された方法を提供することである。
【0005】
したがって、貯蔵容器から寒剤を消費器に供給する方法が提案される。本方法は、a)貯蔵容器からの寒剤の一部を、消費器及び貯蔵容器から閉鎖可能な容積部内に導入するステップと、b)容積部と消費器との間に配置された供給弁を最初に閉鎖し、次いで貯蔵容器と容積部との間に配置された入口弁を閉鎖することによって、容積部を消費器及び貯蔵容器から閉鎖するステップと、c)容積部内の寒剤を気化させて、容積部を貯蔵容器内に行き渡る圧力よりも高い圧力にさらすステップと、d)気化寒剤を容積部から消費器に、消費器が負荷要求を有するときに供給弁を開くことによって排出するステップとを含み、供給弁が開いているとき、容積部内の圧力が貯蔵容器内の圧力を下回るとすぐに入口弁が開かれる。
【0006】
容積部が、消費器に気化寒剤を供給するための蓄圧器として使用され得るという事実により、例えば、膨張が大きいときの貯蔵容器の移動は、消費器への気化寒剤の供給に悪影響を及ぼさない。更に、貯蔵容器は可能な限り低い圧力で動作させることができる。これによって、寒剤の保持時間が延長する。更に、極低温ポンプに存在するような可動部品を省くことが可能である。
【0007】
寒剤は、好ましくは水素である。したがって、「寒剤」及び「水素」という用語は、所望に応じて交換可能である。しかしながら、原則として、寒剤は、任意の他の寒剤であってもよい。極低温流体若しくは液体、又は略して寒剤の例としては、前述の水素に加えて、液体ヘリウム、液体窒素、又は液体酸素がある。したがって、「寒剤」は、特に液体として理解されるべきである。寒剤は、気化して気相に変換することもできる。気化後、寒剤は気体であるか、又は気体状若しくは気化寒剤と称され得る。したがって、「寒剤」という用語は、両方、すなわち気相及び液相を含むことができる。ここで、「気化寒剤」という用語は、好ましくは、寒剤の気相のみを指す。
【0008】
寒剤を貯蔵容器に充填した後又は充填している間に、気体領域及びその下の液体領域が貯蔵容器内に形成される。気体領域と液体領域との間に相境界ができる。したがって、寒剤は、貯蔵容器に入った後、異なる凝集状態の2つの相、すなわち、液相及び気相を有することが好ましい。液体状態相は気相に移行することができ、逆もまた同様である。液相は、液相と称され得る。気相は、気相と称され得る。貯蔵容器の純粋な液体充填も可能である。貯蔵容器内に行き渡る圧力は、好ましくは約3.5バールである。貯蔵容器内に行き渡る圧力は、特に一定である。
【0009】
消費器は、好ましくは燃料電池である。この場合、「燃料電池」は、連続供給される燃料、この場合は水素と、酸化剤、この場合は酸素との化学反応エネルギーを、電気エネルギーに変換するガルバニ電池を意味すると理解される。寒剤は、規定の供給圧力で、特に気体の形態で消費器自体に供給される。これは、寒剤が消費器の前又は消費器の上流で完全に気化されることを意味する。寒剤は、例えば、供給圧力1バール~2.5バール、温度+10℃~+25℃で消費器に供給される。しかしながら、供給圧力は6バールまでであり得る。
【0010】
上述したように、寒剤は二相性であり得る。好ましくは、ステップa)において、又はステップa)の間に、貯蔵容器からの寒剤の液相又は液相の一部が、消費器及び貯蔵容器から閉鎖可能な容積部に導入される。「一部」とは、特に、貯蔵容器からの寒剤の液相の特定の体積がその体積に導かれることを意味すると理解されるべきである。液相の残りは貯蔵容器内に残る。この目的のために、1つ又は複数の弁を設けることができる。ステップa)~d)は、好ましくは連続して行われる。特に、以下に説明する搬送装置は、本方法を行うために使用される。
【0011】
容積部は、例えば、容器、パイプループなどによって実現することができる。容積部は、ヘッダ又は収集器とも称され得る。この場合、「容積部」、「ヘッダ」及び「収集器」という用語は、所望に応じて互いに交換することができる。この場合、「容積部」は、非常に一般的に、貯蔵容器及び消費器から流体的に閉鎖され、加圧され得る領域として理解されるべきである。したがって、容積部は蓄圧器として機能する。したがって、容積部は蓄圧器とも称され得る。これは、「容積部」及び「蓄圧器」という用語が所望に応じて互いに交換され得ることを意味する。
【0012】
ステップb)において、又はステップb)の間に、容積部は、好ましくは、弁によって消費器及び貯蔵容器から閉鎖される。「閉鎖」という用語は、この場合、流体が貯蔵容器から閉鎖容積部内に流れることができず、流体が閉鎖容積部から消費器に流れることもできないように、容積部と消費器との間及び容積部と貯蔵容器との間の流体接続又は流体的接続が分離されることを意味するものとして理解されるべきである。
【0013】
ステップc)において、又はステップc)の間に、特に、密閉容積部内に残っている寒剤の液体状態相が気化される。この目的のために、熱が寒剤に導入されることが好ましい。閉鎖容積部内の寒剤を気化させることによって、容積部内の圧力が上昇する。例えば、容積部内の圧力は、3~10バールの圧力まで上昇する。好ましくは、例えば3.5バールの実質的に一定の圧力が貯蔵容器内に行き渡っている。
【0014】
ステップd)における、又はステップd)の間の、容積部から消費器への気化寒剤の排出は、好ましくは、消費器に気化寒剤を供給するために消費器の負荷要求に応じて制御することができる弁、特に供給弁を用いて行われる。弁は、特に、寒剤を適切な供給圧力で消費器に供給するのにも適している。ステップd)において、又はステップd)の間に、容積部と消費器との間の流体接続又は流体的接続が確立され、その結果、気化寒剤が容積部から消費器に流れることができる。この場合、弁を用いて減圧を行うことができる。
【0015】
一実施形態によれば、ステップd)の間に、容積部内に行き渡る圧力は、寒剤が供給弁を用いて容積部から排出されるときに、消費器に適した供給圧力まで低減される。
【0016】
上述したように、適切な供給圧力は、例えば1~2.5バールであり得る。適切な供給温度は、+10~+25℃であり得る。供給弁は、開ループ及び閉ループ制御装置を用いて、閉鎖容積部内に行き渡る圧力を適切な供給圧力に低減させるように制御することができる。
【0017】
更なる実施形態によれば、消費器に適した供給圧力は、貯蔵容器内に行き渡る圧力よりも低い。
【0018】
上述したように、貯蔵容器内に行き渡る圧力は3.5バールであり得る。対照的に、適切な供給圧力は、1~2.5バールである。供給弁を用いて、貯蔵容器内に行き渡る圧力を適切な供給圧力まで低減することができる。
【0019】
更なる実施形態によれば、ステップd)の間、供給弁は、消費器の負荷要求に応じて開かれる。
【0020】
これは特に、消費器の負荷要求が存在するときにのみ供給弁が開かれることを意味する。気化寒剤の体積流量を消費器の負荷要求に適合させるために、供給弁を連続的に開くことができる。
【0021】
更なる実施形態によれば、ステップd)の間、供給弁は、供給弁の下流に配置された圧力センサ及び/又は流量センサからのセンサ信号に基づいて、開ループ及び閉ループ制御装置を用いて制御される。
【0022】
ここで「下流」とは、貯蔵容器から消費器への寒剤の流れ方向に沿って見た場合を意味する。開ループ及び閉ループ制御装置は、圧力センサ及び/又は流量センサからセンサ信号を受信し、それらを適切に評価するように構成される。この場合、開ループ及び閉ループ制御装置は、圧力センサ及び/又は流量センサからのセンサ信号に基づいて供給弁を制御することができる。
【0023】
ステップb)の間、供給弁は閉鎖される。
【0024】
供給弁は、消費器の負荷要求が存在するまで閉鎖されたままである。消費器の負荷要求が存在するとすぐに、適切な供給圧力で寒剤を消費器に供給するために、供給弁が開き始める。
【0025】
ステップb)の間、供給弁の上流に置かれた入口弁は閉鎖される。
【0026】
供給弁及び入口弁を用いて、この容積部を消費器及び貯蔵容器から閉鎖可能である。したがって、容積部は、入口弁と供給弁との間に置かれ、配置され、又は設けられる。この場合、「上流」は、貯蔵容器から消費器への寒剤の流れ方向に関して理解されるべきである。
【0027】
更なる実施形態によれば、入口弁は、容積部内の圧力が貯蔵容器内に行き渡る圧力よりも高い限り閉鎖される。
【0028】
したがって、入口弁が閉鎖されている限り、寒剤は貯蔵容器から容積部内に流入することができない。入口弁が閉鎖されているという事実により、容積部内の圧力が貯蔵容器内に行き渡る圧力よりも高い限り、寒剤が容積部から貯蔵容器内に押し戻されることが防止される。
【0029】
入口弁は、容積部内の圧力が貯蔵容器内に行き渡る圧力未満に低下するとすぐに開かれる。
【0030】
入口弁が開かれるとすぐに、寒剤は貯蔵容器から出て容積部に流入することができる。供給弁を用いて、貯蔵容器内に行き渡る圧力を、消費器に適した供給圧力に低減させることができる。貯蔵容器からの寒剤は、容積部に関連付けられた気化器ユニットを用いて気化させることができる。
【0031】
更なる実施形態によれば、ステップc)の間に、寒剤を気化させるために気化器ユニットを用いて寒剤に熱が導入される。
【0032】
気化器ユニットは、例えば、電気加熱装置であるか、又はそれを含むことができる。気化器ユニットは、例えば、任意の熱交換器又は復熱器であり得る。気化器ユニットは容積部の一部とすることができる。
【0033】
更に、貯蔵容器からの寒剤を消費器に供給するための搬送装置が提案される。搬送装置は、貯蔵容器と容積部との間に配置された入口弁と、容積部と消費器との間に配置された供給弁と、消費器から及び貯蔵容器から閉鎖可能な容積部と、気化器ユニットと、開ループ及び閉ループ制御装置とを備え、開ループ及び閉ループ制御装置は、入口弁が貯蔵容器から容積部内に寒剤の一部を導入するように入口弁を制御するように構成され、開ループ及び閉ループ制御装置は、入口弁及び供給弁が消費器から及び貯蔵容器から容積部を閉鎖するように入口弁及び供給弁を制御するように構成され、開ループ及び閉ループ制御装置は、最初に供給弁を閉鎖し、次いで入口弁を閉鎖するように構成され、気化器ユニットは、閉鎖容積部内に収容された寒剤を気化させて、閉鎖容積部を貯蔵容器内に行き渡る圧力よりも高い圧力にさらすように構成され、開ループ及び閉ループ制御装置は、消費器が負荷要求を有する場合に、供給弁が気化寒剤を閉鎖容積部から消費器に排出するように供給弁を制御するように構成され、開ループ及び閉ループ制御装置は、供給弁が開いている場合に、容積部内の圧力が貯蔵容器内に行き渡る圧力を下回るとすぐに入口弁を開くように構成される。
【0034】
上述した方法は、搬送装置を用いて行うことができる。搬送装置は貯蔵容器を含むことができる。搬送装置はまた、消費器を含むことができる。代替的に、貯蔵容器及び/又は消費器は、搬送装置の一部でなくてもよい。搬送装置はまた、搬送装置に加えて、消費器及び/又は貯蔵容器を備えることができるコンベヤアセンブリの一部であり得る。
【0035】
「容積部」は、「閉鎖容積部」とは異なり、閉鎖容積部の場合、入口弁及び供給弁が閉鎖され、したがって、消費器及び貯蔵容器から容積部を閉鎖する。入口弁が貯蔵容器から容積部内に寒剤の一部を導入するように「構成される」という事実は、この場合、寒剤、特に寒剤の液相が貯蔵容器から容積部内に流入することができるように、入口弁を開閉することができることを特に意味する。
【0036】
入口弁及び供給弁が、消費器及び貯蔵容器から容積部を閉鎖するように「構成される」という事実は、この場合、特に、容積部を閉鎖するための入口弁及び供給弁の両方が、このように容積部を閉鎖するために閉鎖され得ることを意味する。気化器ユニットは、特に、寒剤への熱の導入を用いて寒剤を気化させるのに適している。気化寒剤は、供給弁を用いて閉鎖容積部から消費器に供給することができる。この目的のために、供給弁を開閉することができる。
【0037】
一実施形態によれば、供給弁は入口弁の下流に配置される。
【0038】
これは、貯蔵容器から消費器への寒剤の流れ方向に沿って見て、供給弁が入口弁の後に置かれることを意味する。
【0039】
更なる実施形態によると、容積部は、入口弁と供給弁との間に設けられる。
【0040】
容積部は、寒剤の気化を用いて加圧され得る任意の中空空間であり得る。上述したように、容積部は、収集器、ヘッダ、又は蓄圧器とも称され得る。
【0041】
更なる実施形態によれば、容積部は、1つ以上のパイプループ、パイプライン、及び/又は貯蔵容積部によって形成される。
【0042】
例えば、容積部は、15~20mの長さ及び200~600mm、特に400mmまでのパイプ直径を有するパイプループによって形成される。容積部は、蛇行する湾曲したパイプループを含むことができる。貯蔵容積部は、任意の容器などであり得る。
【0043】
搬送装置は、入口弁及び/又は供給弁を制御するための開ループ及び閉ループ制御装置を更に備える。
【0044】
好ましくは、圧力センサ及び流量センサが供給弁の下流に設けられる。圧力センサ及び流量センサは、センサ信号を開ループ及び閉ループ制御装置に提供し、その結果、開ループ及び閉ループ制御装置は、気化寒剤が供給弁を用いて流出するときに、容積部内の圧力が消費器に適した供給圧力に低減されるように、供給弁を制御することができる。
【0045】
したがって、方法について説明された実施形態及び特徴は、提案された搬送装置に適用され、逆もまた同様である。
【0046】
この場合、「a(n)」は、必ずしも厳密に1つの要素に限定するものとして理解されるべきではない。むしろ、2つ、3つ、又はそれ以上などの、いくつかの要素が提供されてもよい。本明細書で使用される任意の他の数値語はまた、厳密に対応する要素数に対する厳密な制限を意味するものとして理解されるべきではない。むしろ、数値の上向き又は下向きの差が可能である。
【0047】
方法及び/又は搬送装置の更なる可能な実装形態はまた、例示的な実施形態に関して上述された又は後述する特徴又は実施形態の、明示的に言及されていない組み合わせも含む。当業者であればまた、方法及び/又は搬送装置の基本形態のそれぞれに対する改善又は追加としての個別の態様も付け加えるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0048】
方法及び/又は搬送装置の更なる有利な実施形態は、従属請求項、並びに以下に説明する方法及び/又は搬送装置の例示的な実施形態の主題である。更に、方法及び/又は搬送装置を、好ましい実施形態に基づいて添付の図面を参照して、以下により詳細に説明する。
図1】水素を搬送するためのコンベヤアセンブリの一実施形態の概略図を示す。
図2図1によるコンベヤアセンブリの機能を概略的に示すグラフを示す。
図3】貯蔵容器から寒剤を消費器に供給するための方法の一実施形態の概略ブロック図を示す。
【0049】
図において、別途指示しない限り、同一又は機能的に等価の要素には、同一の参照符号が付されている。
【0050】
図1は、水素H2を貯蔵容器2から消費器3に搬送するためのコンベヤアセンブリ1の一実施形態の概略図を示す。コンベヤアセンブリ1は、貯蔵容器2の移動とは無関係に、最大6バール、好ましくは1~2.5バールの一定供給圧力で、且つ約+10~+25℃の温度で、気体水素H2を消費器3に連続的に供給するように構成される。コンベヤアセンブリ1は、水素コンベヤアセンブリとも称され得る。貯蔵容器2及び/又は消費器3は、コンベヤアセンブリ1の一部であり得る。
【0051】
コンベヤアセンブリ1は、移動用途に特に適している。コンベヤアセンブリは、車両の一部、特に陸上車両、船舶、又は航空機の一部であることが好ましい場合がある。例えば、コンベヤアセンブリ1は、客船などの船舶、例えばトラック又はユーティリティビークルなどの自動車などの一部である。
【0052】
貯蔵タンク2はまた、貯蔵容器とも称され得る。複数の貯蔵容器2を設けることもできる(図示せず)。貯蔵容器2は、中心軸又は対称軸4に対して回転対称に設計することができる。対称軸4は、重力方向gに対して垂直に配向されることができる。これは、貯蔵容器2が平らに配置されるか又は水平位置にあることを意味する。しかしながら、貯蔵容器2は、直立又は垂直に配置することもできる。この場合、対称軸4は重力方向gに平行に配向される。
【0053】
貯蔵容器2は、液体水素H2(沸点1バール:20.268K=-252.882℃)を収容するのに適している。したがって、貯蔵容器2はまた、水素貯蔵容器又は水素貯蔵タンクとも称され得る。しかしながら、貯蔵容器2はまた、他の極低温液体にも使用することができる。極低温流体又は液体、又は略して寒剤の例は、前述の液体水素H2(沸点1バール:4.222K=-268.928℃)、液体窒素N2(沸点1バール:77.35K=-195.80℃)又は液体酸素O2(沸点1バール:90.18K=-182.97℃)に加えて液体ヘリウムHeである。
【0054】
貯蔵容器2内には、液体水素H2が収容されている。水素H2が二相領域にある限り、気化した水素H2を含む気体領域5と、液体水素H2を含む液体領域6とを貯蔵容器2内に設けることができる。したがって、貯蔵容器2に入った後、水素H2は、異なる凝集状態、すなわち液体及び気体を有する2つの相を有する。これは、貯蔵容器2内で、液体水素H2と気体水素H2との間に相境界7が存在することを意味する。貯蔵容器2内の圧力を検出することができる圧力センサ8が、貯蔵容器2に関連付けられている。貯蔵容器2内の圧力は約3.5バールである。貯蔵容器2内の圧力は実質的に一定である。
【0055】
複数の消費器3を設けることができる。しかしながら、1つの消費器3のみが以下に説明される。消費器3は、好ましくは燃料電池である。この場合、「燃料電池」は、連続供給される燃料、この場合は水素H2と、酸化剤、この場合は酸素との化学反応エネルギーを、電気エネルギーに変換するガルバニ電池を意味すると理解される。得られた電気エネルギーによって、例えば電気モータ(図示せず)を駆動することができる。消費器3の安定した動作のために、上述したように、規定の供給圧力で気体水素を消費器3に供給することが必要である。
【0056】
移動用途では、貯蔵容器2に収容された液体水素H2の移動が予想されなければならない。水平に配置された円筒状貯蔵容器2の場合、広い領域にわたる液体水素H2のスロッシングが、液体水素H2の質量慣性と、貯蔵容器2の水平設置に起因して貯蔵容器の円筒状外壁及び端部の両方に存在する貯蔵容器の湾曲とによって促進される。
【0057】
スロッシングとしても知られるこのスワッシングは、液体水素H2よりも上の気体領域5内の気相の冷却につながり、それによって液体水素H2より上に形成された気体クッションの減圧につながる。貯蔵容器2の移動に応じて、これは、消費器3の動作部品に利用可能な供給圧力に望ましくない影響を及ぼす可能性があり、消費器3の不安定な動作につながる可能性がある。
【0058】
消費器3に適切な供給圧力を提供するために、液体水素を圧送するための液体冷却及び液体貯蔵ポンプを使用することが可能である。しかしながら、このようなポンプは可動部品を有する。加えて、ポンプの間欠動作の場合、ポンプの加熱に起因して液体水素H2内に気泡が形成される可能性がある。これは、ポンプの誤動作につながる場合がある。代替的に、水素H2を最初に気化させ、次いで圧縮機を使用して必要な供給圧力にすることができる。しかしながら、これはエネルギー使用の観点から好ましくない。
【0059】
更に、貯蔵容器2は、供給圧力で直接動作させることもできる。この場合、貯蔵容器2内では、液相と、液相の上に積層された気相との平衡状態が確立される。液体水素の表面張力が低いことに起因して、例えば貯蔵容器2が上述のように車両の中又は上に配置されているときに貯蔵容器2が移動すると、液相と気相とが互いに混合され、液体水素H2がそれによってより温かい気体水素H2を冷却する。したがって、液体水素H2の温度と気体水素H2の温度との間に平衡状態が確立されるまで、供給圧力を維持することは不可能である。これらの前述の問題は、コンベヤアセンブリ1を用いて解決されなければならない。
【0060】
コンベヤアセンブリ1は、搬送装置9を有する。コンベヤアセンブリ1とは対照的に、貯蔵容器2及び/又は消費器3は、好ましくは、搬送装置9の一部ではない。しかしながら、貯蔵容器2及び/又は消費器3が搬送装置9の一部であることは除外されない。
【0061】
搬送装置9は、貯蔵容器2から相境界7の下に、すなわち液体領域6の領域に通じるライン10を含む。ライン10を用いて、液体水素H2を貯蔵容器2から搬送装置9の入口弁V2に供給することができる。入口弁V2の下流側には、気化器ユニット11が置かれている。気化器ユニット11は、熱Qを導入することによって液体水素H2を気化させるのに適している。
【0062】
入口弁V2は、動作接続部12を介して搬送装置9の開ループ及び閉ループ制御装置13に動作可能に接続されている。動作接続部12は、データ接続とすることができる。動作接続部12は、無線又は有線であり得る。開ループ及び閉ループ制御装置13は、必要に応じて入口弁V2を開閉するのに適している。開ループ及び閉ループ制御装置13は、圧力センサ8からのセンサ信号を受信及び/又は評価するのにも適し得る。
【0063】
入口弁V2からヘッダ14が供給弁V1に通じている。気化器ユニット11は、ヘッダ14の一部であり得る。ヘッダ14は、気化器ユニット11を通って案内され得る。気化器ユニット11は、ヘッダ14に接続することができる。「ヘッダ」は、特に、加圧され得る密閉容積部として理解されるべきである。特に、「ヘッダ」は、この場合、弁V1、V2の間に位置し、加圧され得る容積部を意味すると理解されるべきである。
【0064】
ヘッダは、容積部、蓄圧器又は収集器とも称され得る。したがって、用語「ヘッダ」、「容積部」、「蓄圧器」又は「収集器」は、所望に応じて互いに交換することができる。ヘッダ14は、例えば、15~20mの長さ及び200~250mmの直径を有する1つ又は複数のチューブループによって実現することができる。パイプループは、蛇行して延びることができる。3~10バールの圧力がヘッダ14内に行き渡り得る。
【0065】
ヘッダ14はまた、搬送装置9の一部である。ヘッダ14には、ヘッダ14の圧力を監視する圧力センサ15が接続されている。圧力センサ15は、気化器ユニット11の下流且つ供給弁V1の上流のヘッダ14内に置かれている。「下流」及び「上流」という用語は、貯蔵容器2から消費器3への水素H2の流れ方向に関して理解されるべきである。圧力センサ15は、開ループ及び閉ループ制御装置13が圧力センサ15のセンサ信号を受信及び/又は評価するように、開ループ及び閉ループ制御装置13と通信することができる。
【0066】
供給弁V1は、動作接続部16を介して開ループ及び閉ループ制御装置13に結合される。動作接続部16は、データ接続であり得る。動作接続部16は、無線又は有線であり得る。開ループ及び閉ループ制御装置13は、必要に応じて供給弁V1を開閉するのに適している。
【0067】
供給弁V1の下流には、ライン17と、気体水素H2を複数の消費器3に分配する分配器18とが接続されている。消費器3が1つだけ設けられている場合には、分配器18を省略することができる。ライン17及び/又は分配器18には、1~2.5バールの圧力、すなわち消費器3に適した供給圧力が行き渡っている。したがって、ヘッダ14内の圧力は、ライン17及び/又は分配器18内の圧力と比較して著しく高い。
【0068】
ライン17は、動作可能な動作接続部20を介して開ループ及び閉ループ制御装置13に結合された圧力センサ19を有する。更に、ライン17は、動作接続部22を介して開ループ及び閉ループ制御装置13に結合された流量センサ21を備える。開ループ及び閉ループ制御装置13は、圧力センサ19及び/又は流量センサ21からのセンサ信号を評価し、動作接続部20、22を介してそれらを受信するように構成される。
【0069】
コンベヤアセンブリ1又は搬送装置9の機能は、貯蔵容器2又はヘッダ14内の圧力p及び消費器3の負荷又は負荷要求Lが時間tにわたってプロットされたグラフを示す図2を参照して以下に説明される。
【0070】
図2において、秒単位の時間tが右軸にプロットされている。貯蔵容器2又はヘッダ14内の圧力pは、バールで縦軸にプロットされ、消費器3の負荷要求Lはパーセントでプロットされている。ヘッダ14内に行き渡る圧力p14は実線で示されている。実質的に一定である貯蔵容器2内に行き渡る圧力p2は、一点鎖線で示されている。破線23は、供給弁V1の開閉挙動を示している。二点鎖線24は、入口弁V2の開閉挙動を示している。消費器3の負荷要求Lは点線で示されている。
【0071】
時点t0において、両方の弁V1、V2は完全に開いている。消費器3が負荷要求Lを有する限り、入口弁V2は開いており、供給弁V1は消費器3への気体水素H2の流れを制御する。これは、圧力センサ19及び/又は流量センサ21からのセンサデータに基づいて、開ループ及び閉ループ制御装置13を用いて行われる。気化器ユニット11は、貯蔵容器2から液体水素H2を気化させる。
【0072】
時点t1において、負荷要求Lが低減し始める。低減する負荷要求Lに応じて、供給弁V1は、時点t2で始まるわずかな遅延を伴って閉鎖される。時点t3において、負荷要求Lは0パーセントである。わずかな遅延を伴って時点t4に供給弁V1が完全に閉鎖される。時点t3では、入口弁V2はまだ完全に開いている。時点t4において、入口弁V2が完全に閉鎖される。従って、時点t4から、消費器3にはもはや水素H2が供給されない。消費器3には、負荷要求Lの場合にのみ水素H2が供給される。
【0073】
ここで、ヘッダ14は、時点t4から始まる閉鎖容積部を形成する。気化器ユニット11を用いて、貯蔵容器2から液体水素H2を気化させることによって、ヘッダ14を加圧することができる。この目的のために、気化器ユニット11は、液体水素H2に熱Qを導入する。水素H2の気化は、斜線領域25を用いてグラフに示されている。時点t5において、ヘッダ14及び気化器ユニット11内の水素H2は完全に気化され、上述したように、3~10バールの圧力がヘッダ14内に行き渡っている。
【0074】
斜線領域25は、特に、気化器ユニット11内に依然として存在する液体水素H2の後気化による圧力上昇を示している。通常の動作では、気化器ユニット11は気体で完全に充填されていないが、気化器ユニット11のパイプ内では、液体が負荷及び熱伝達から生成される。液体水素H2のこの液面は、圧力上昇のために使用される。時点t5において、全ての水素H2は、気化器ユニット11及びヘッダ14において気化される。
【0075】
両方の弁V1、V2がまだ閉鎖されている任意の時点t6において、消費器3の負荷要求Lが存在する。供給弁V1は、時点t7においてわずかな遅延を伴って開かれ、圧力センサ19からのセンサデータと、開ループ及び閉ループ制御装置13を介して流量センサ21からのセンサデータとに基づいて、消費器3が上述のように適切な供給圧力で気体水素H2を供給されるように制御される。消費器3の迅速な接近は、図2において斜線領域26を用いて示されるように、ヘッダ14に貯蔵された水素H2によって可能である。
【0076】
時点t6でヘッダ14内に高圧p14が行き渡っているので、消費器3に気体水素H2を直ちに供給することが可能である。この場合、最初に気化器ユニット11を充填し、負荷要求Lの下で液体水素H2を気化させることを省くことが可能である。時点t8において、負荷要求は100パーセントである。供給弁V1はわずかな遅延を伴って時点t9に完全に開かれる。入口弁V2は、時点t9においてまだ閉鎖されている。
【0077】
時点t10において、ヘッダ14内の圧力は、貯蔵容器2内の圧力を下回る。貯蔵容器2からの液体水素H2を気化器ユニット11及び/又はヘッダ14に充填するために、わずかな遅延を伴って、入口弁V2を時点t11に再び開くことができる。消費器3には、供給弁V1を介して適切な供給圧力を再び供給することができる。
【0078】
図3は、貯蔵容器2から消費器3に水素H2を供給する方法の一実施形態の概略ブロック図を示す。本方法は、コンベヤアセンブリ1又は搬送装置9を用いて行われる。
【0079】
本方法では、ステップS1において、貯蔵容器2からの水素H2の一部が、消費器3及び貯蔵容器2から閉鎖可能なヘッダ14に導入される。この目的のために、入口弁V2は開いている。ステップS2において、ヘッダ14は、消費器3及び貯蔵容器2から閉鎖される。この目的のために、ステップS2の間、供給弁V1は閉鎖される。ステップS2の間、供給弁V1の上流に置かれた入口弁V2も閉鎖される。
【0080】
ステップS3において、水素H2は、ヘッダ14を貯蔵容器2内に行き渡る圧力p2よりも高い圧力p14にさらすように、閉鎖されたヘッダ14内で気化される。ステップS3の間、ヘッダ14内の液体水素H2を完全に気化させるために、気化器ユニット11を用いてヘッダ14内の液体水素H2に熱Qが導入される。
【0081】
ステップS4において、消費器3の負荷要求Lの場合、気化された水素H2は、ヘッダ14から消費器3に排出される。ステップS4の間、ヘッダ14内に行き渡る圧力p14は、水素H2が供給弁V1を用いてヘッダ14から排出されるときに、消費器3に適した供給圧力まで低減される。消費器3に適した供給圧力は、貯蔵容器2内に行き渡る圧力p2よりも低い。
【0082】
ステップS4の間、供給弁V1は、消費器3の負荷要求Lに応じて開かれる。供給弁V1は、供給弁V1の下流に配置された圧力センサ19からのセンサ信号及び/又は流量センサ21のセンサ信号に基づいて、開ループ及び閉ループ制御装置13を用いて制御される。
【0083】
入口弁V2は、ヘッダ14内の圧力p14が貯蔵容器内に行き渡る圧力p2より高い限り、閉鎖されたままである。入口弁V2は、ヘッダ14内の圧力p14が貯蔵容器内に行き渡る圧力p2未満に低下するとすぐに開かれる。
【0084】
例示的な実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明は、特許請求の範囲内で様々に修正することができる。
【符号の説明】
【0085】
1 コンベヤアセンブリ
2 貯蔵容器
3 消費器
4 対称軸
5 気体領域
6 液体領域
7 相境界
8 圧力センサ
9 搬送装置
10 ライン
11 気化器ユニット
12 動作接続部
13 開ループ及び閉ループ制御装置
14 ヘッダ/容積部
15 圧力センサ
16 動作接続部
17 ライン
18 分配器
19 圧力センサ
20 動作接続部
21 流量センサ
22 動作接続部
23 ライン
24 ライン
25 領域
26 領域
g 重力方向
H2 水素/寒剤
L 負荷要求
p 圧力
p2 圧力
p14 圧力
Q 熱
S1 ステップ
S2 ステップ
S3 ステップ
S4 ステップ
t 時間
t0 時点
t1 時点
t2 時点
t3 時点
t4 時点
t5 時点
t6 時点
t7 時点
t8 時点
t9 時点
t10 時点
t11 時点
V1 供給弁
V2 入口弁
図1
図2
図3
【国際調査報告】