IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイコサバックス, インコーポレイテッドの特許一覧

特表2024-531150呼吸器多核体ウイルスに対するウイルス様粒子ワクチン
<>
  • 特表-呼吸器多核体ウイルスに対するウイルス様粒子ワクチン 図1
  • 特表-呼吸器多核体ウイルスに対するウイルス様粒子ワクチン 図2
  • 特表-呼吸器多核体ウイルスに対するウイルス様粒子ワクチン 図3
  • 特表-呼吸器多核体ウイルスに対するウイルス様粒子ワクチン 図4
  • 特表-呼吸器多核体ウイルスに対するウイルス様粒子ワクチン 図5
  • 特表-呼吸器多核体ウイルスに対するウイルス様粒子ワクチン 図6
  • 特表-呼吸器多核体ウイルスに対するウイルス様粒子ワクチン 図7
  • 特表-呼吸器多核体ウイルスに対するウイルス様粒子ワクチン 図8
  • 特表-呼吸器多核体ウイルスに対するウイルス様粒子ワクチン 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】呼吸器多核体ウイルスに対するウイルス様粒子ワクチン
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/12 20060101AFI20240822BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20240822BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20240822BHJP
   C07K 14/08 20060101ALN20240822BHJP
   C07K 19/00 20060101ALN20240822BHJP
【FI】
A61K39/12
A61P37/04
A61P31/14
C07K14/08 ZNA
C07K19/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508009
(86)(22)【出願日】2022-08-09
(85)【翻訳文提出日】2024-03-26
(86)【国際出願番号】 US2022074699
(87)【国際公開番号】W WO2023019131
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】63/231,568
(32)【優先日】2021-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/367,103
(32)【優先日】2022-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522478466
【氏名又は名称】アイコサバックス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】カネサ-タサン, ニランジャン
(72)【発明者】
【氏名】ホルツマン, ダグラス
【テーマコード(参考)】
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C085AA03
4C085BA51
4C085CC08
4C085CC22
4C085EE01
4C085GG01
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA41
4H045DA86
4H045EA31
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、呼吸器多核体ウイルス(RSV)を標的化すること、およびRSVによる感染、特に、下部気道感染(LRTI)を処置するためにかかるワクチンを使用する方法に関する。一態様では、RSV Fタンパク質および第1のマルチマー化ドメインを含む第1の成分、および第2のマルチマー化ドメインを含む第2の成分を含むタンパク質複合体と、1つまたは複数の薬学的に許容される希釈剤または賦形剤とを含む、医薬組成物が本明細書に提供される。一部の実施形態では、医薬組成物は、水中油アジュバントを含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、水酸化アルミニウム-アジュバントを含む。一部の実施形態では、タンパク質複合体は、正二十面体タンパク質複合体である。一部の実施形態では、タンパク質複合体は、20コピーの第1の成分および12コピーの第2の成分を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
RSV Fタンパク質および第1のマルチマー化ドメインを含む第1の成分を含むタンパク質複合体と、1つまたは複数の薬学的に許容される希釈剤または賦形剤とを含む、医薬組成物。
【請求項2】
前記タンパク質複合体が、2、3、4、5またはそれよりも多くのコピーの前記第1の成分を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記タンパク質複合体が、第2のマルチマー化ドメインを含む第2の成分を含む、請求項1または請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記タンパク質複合体が、2、3、4、5またはそれよりも多くのコピーの前記第2の成分を含む、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記タンパク質複合体が、第3のマルチマー化ドメインを含む第3の成分を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記タンパク質複合体が、2、3、4、5またはそれよりも多くのコピーの前記第3の成分を含む、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記タンパク質複合体が、ナノ構造体、ナノ粒子、またはタンパク質ベースのウイルス様粒子である、請求項1から6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記タンパク質複合体の前記成分が、二面体対称群(dihedral symmetry group)を形成する対称作用素のセットに従って配置される、請求項1から7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記タンパク質複合体の前記成分が、周期対称群(cyclic symmetry group)を形成する対称作用素のセットに従って配置される、請求項1から8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記タンパク質複合体が、正二十面体タンパク質複合体である、請求項1から9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記タンパク質複合体が、四面体タンパク質複合体である、請求項1から9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記タンパク質複合体が、八面体タンパク質複合体である、請求項1から9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記第1のマルチマー化ドメインがトリマー化ドメインであり、および/または前記第2のマルチマー化ドメインがペンタマー化ドメインである、請求項1から12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記タンパク質複合体が、20コピーの前記第1の成分および12コピーの前記第2の成分を含む、請求項2から13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記RSV Fタンパク質が、配列番号14、34および35のうちのいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一なアミノ酸配列を含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記第1のマルチマー化ドメインが、配列番号24および30~31のうちのいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%同一なアミノ酸配列を含む;ならびに/または前記第2のマルチマー化ドメインが、配列番号22~23、25~29および32のうちのいずれか1つから選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%もしくは少なくとも100%同一なアミノ酸配列を含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記第1の成分が、配列番号6に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一なアミノ酸配列を含む;および
前記第2の成分が、配列番号26に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一なアミノ酸配列を含む
請求項1から16のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
水中油アジュバントを含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
水酸化アルミニウム-アジュバントを含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか一項に記載の医薬組成物の単位用量であって、約0.5μgと約500μgとの間の前記タンパク質複合体を含む、単位用量。
【請求項21】
約25μgと約250μgとの間の前記タンパク質複合体を含む、請求項20に記載の単位用量。
【請求項22】
約25μgと約75μgとの間の前記タンパク質複合体を含む、請求項20に記載の単位用量。
【請求項23】
約75μgと約250μgとの間の前記タンパク質複合体を含む、請求項20に記載の単位用量。
【請求項24】
約25μg、約75μgまたは約250μgの前記タンパク質複合体を含む、請求項20に記載の単位用量。
【請求項25】
多くても約25μg、多くても約75μg、または多くても約250μgの前記タンパク質複合体を含む、請求項20に記載の単位用量。
【請求項26】
多くても1μg、多くても2.5μg、多くても5μg、多くても7.5μg、多くても10μg、多くても12.5μg、多くても15μg、多くても17.5μg、多くても20μg、多くても22.5μg、または多くても25μgの前記タンパク質複合体を含む、請求項20に記載の単位用量。
【請求項27】
1μg、2.5μg、5μg、7.5μg、10μg、12.5μg、15μg、17.5μg、20μg、22.5μgまたは25μgの前記タンパク質複合体を含む、請求項20に記載の単位用量。
【請求項28】
対象をワクチン接種する方法であって、有効量の請求項1から19のいずれか一項に記載の医薬組成物または請求項20から27のいずれか一項に記載の単位用量を、前記対象に投与するステップを含む、方法。
【請求項29】
対象において免疫応答を生成する方法であって、有効量の請求項1から19のいずれか一項に記載の医薬組成物または請求項20から27のいずれか一項に記載の単位用量を、前記対象に投与するステップを含む、方法。
【請求項30】
RSV Fタンパク質との交差反応性を介して、ヒトメタニューモウイルス(hMPV)Fタンパク質に対する免疫応答を同時発生的に生成する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
対象においてRSVによって引き起こされる関連する重症下部気道感染(LRTI)を処置および/または予防する方法であって、有効量の請求項1から19のいずれか一項に記載の医薬組成物または請求項20から27のいずれか一項に記載の単位用量を、前記対象に投与するステップを含む、方法。
【請求項32】
対象においてRSV疾患を予防する方法であって、有効量の請求項1から19のいずれか一項に記載の医薬組成物または請求項20から27のいずれか一項に記載の単位用量を、前記対象に投与するステップを含む、方法。
【請求項33】
前記対象が、重症RSV疾患のリスクがある、請求項28から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記対象が、根底にある糖尿病、心血管疾患または呼吸器疾患に起因して、重症RSV疾患のリスクがある、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記対象が、50歳を超える成人、55歳を超える成人、または60歳を超える成人である、請求項28から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記対象が、少なくとも50歳の成人、少なくとも55歳の成人、または少なくとも60歳の成人である、請求項28から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記対象が、18~45歳の成人である、請求項28から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記対象が、18~45歳の健康な成人である、請求項28から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記対象が、18歳を超える、請求項28から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記対象が、18歳またはそれよりも年上である、請求項28から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記対象が、18歳またはそれ未満である、請求項28から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
胎児において免疫応答を生成する方法であって、有効量の請求項1から19のいずれか一項に記載の医薬組成物または請求項20から27のいずれか一項に記載の単位用量を、前記胎児の母親に投与するステップを含む、方法。
【請求項43】
前記医薬組成物が、妊娠の最終トリメスター中に前記母親に投与される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
妊娠対象の母体免疫化を介して、幼児において免疫応答を生成する方法および/または幼児において呼吸器多核体ウイルス(RSV)疾患を予防する方法であって、有効量の請求項1から19のいずれか一項に記載の医薬組成物または請求項20から27のいずれか一項に記載の単位用量を、前記対象に投与するステップを含む、方法。
【請求項45】
前記有効量が、約0.5μgと約500μgとの間の前記タンパク質複合体である、請求項28から44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記有効量が、約25μgと約250μgとの間の前記タンパク質複合体である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記有効量が、約25μgと約75μgとの間の前記タンパク質複合体である、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記有効量が、約75μgと約250μgとの間の前記タンパク質複合体である、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
前記有効量が、約25μg、約75μgまたは約250μgの前記タンパク質複合体である、請求項45に記載の方法。
【請求項50】
前記有効量が、多くても約25μg、多くても約75μg、または多くても約250μgの前記タンパク質複合体である、請求項45に記載の方法。
【請求項51】
前記単位用量が、多くても1μg、多くても2.5μg、多くても5μg、多くても7.5μg、多くても10μg、多くても12.5μg、多くても15μg、多くても17.5μg、多くても20μg、多くても22.5μg、または多くても25μgの前記タンパク質複合体を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項52】
前記単位用量が、1μg、2.5μg、5μg、7.5μg、10μg、12.5μg、15μg、17.5μg、20μg、22.5μgまたは25μgの前記タンパク質複合体を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項53】
前記医薬組成物の第2の用量を投与するステップをさらに含む、請求項28から52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記第2の用量が、第1の用量の約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12週間、約1か月、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約9か月、約12か月、約24か月または約36か月以内に投与される、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記医薬組成物の第3の用量を投与するステップをさらに含む、請求項53または請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記第3の用量が、前記第2の用量の約1年、約2年、約3年、約4年、約5年、約6年、約7年、約8年、約9年または約10年後に投与される、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
約1、2、3、4、5、6、7、8、9または10年の定期的な間隔で、引き続く用量を投与するステップをさらに含む、請求項55または請求項56に記載の方法。
【請求項58】
対象におけるRSV感染の発生を制限する、請求項28から57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記対象におけるさらなる重症下部気道感染(LRTI)の発生を制限する、請求項28から57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記対象におけるRSV-A特異的中和抗体の産生を生じる、請求項28から57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記対象において、ベースラインと比較して、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約8倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍または少なくとも約25倍の、RSV-A特異的中和抗体における増加を生じる、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
RSV-A特異的中和抗体における前記増加が、前記医薬組成物の投与の約1週間以内、約2週間以内、約3週間以内、約4週間以内、約5週間以内、約6週間以内、約7週間以内、約8週間以内、約9週間以内、約10週間以内、約11週間以内または約12週間以内に検出可能である、請求項60または請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記対象におけるRSV-B特異的中和抗体の産生を生じる、請求項28から62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記対象において、ベースラインと比較して、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約8倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍または少なくとも約25倍の、RSV-B特異的中和抗体における増加を生じる、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
RSV-B特異的中和抗体における前記増加が、前記医薬組成物の投与の約1週間以内、約2週間以内、約3週間以内、約4週間以内、約5週間以内、約6週間以内、約7週間以内、約8週間以内、約9週間以内、約10週間以内、約11週間以内または約12週間以内に検出可能である、請求項63または請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記対象におけるRSV Fタンパク質特異的IgG抗体の産生を生じる、請求項28から65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記対象において、ベースラインと比較して、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約8倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍または少なくとも約25倍の、RSV Fタンパク質特異的IgG抗体の増加を生じる、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
RSV Fタンパク質特異的IgG抗体における前記増加が、前記医薬組成物の投与の約1週間以内、約2週間以内、約3週間以内、約4週間以内、約5週間以内、約6週間以内、約7週間以内、約8週間以内、約9週間以内、約10週間以内、約11週間以内または約12週間以内に検出可能である、請求項66または請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記対象におけるコア-VLP特異的IgG抗体の産生を生じる、請求項58から68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記対象において、ベースラインと比較して、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約8倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍または少なくとも約25倍の、コア-VLP特異的IgG抗体における増加を生じる、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
コア-VLP特異的IgG抗体における前記増加が、前記医薬組成物の投与の約1週間以内、約2週間以内、約3週間以内、約4週間以内、約5週間以内、約6週間以内、約7週間以内、約8週間以内、約9週間以内、約10週間以内、約11週間以内または約12週間以内に検出可能である、請求項69または請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記対象において、コア-VLP特異的IgG抗体の産生を実質的に生じない、請求項58から68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記対象において、RSV F-タンパク質特異的メモリーB細胞の産生を生じる、請求項58から72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記対象において、ベースラインと比較して、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約8倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍または少なくとも約25倍の、RSV F-タンパク質特異的メモリーB細胞における増加を生じる、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
RSV F-タンパク質特異的メモリーB細胞における前記増加が、前記医薬組成物の投与の約1週間以内、約2週間以内、約3週間以内、約4週間以内、約5週間以内、約6週間以内、約7週間以内、約8週間以内、約9週間以内、約10週間以内、約11週間以内または約12週間以内に検出可能である、請求項73または請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記対象におけるRSV F-タンパク質特異的T細胞の産生を生じる、請求項58から75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記対象において、ベースラインと比較して、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約8倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍または少なくとも約25倍の、RSV F-タンパク質特異的T細胞における増加を生じる、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
RSV F-タンパク質特異的T細胞における前記増加が、前記医薬組成物の投与の約1週間以内、約2週間以内、約3週間以内、約4週間以内、約5週間以内、約6週間以内、約7週間以内、約8週間以内、約9週間以内、約10週間以内、約11週間以内または約12週間以内に検出可能である、請求項76または請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記対象におけるヒトメタニューモウイルスに対する中和抗体の産生を生じる、請求項58から78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記対象において、ベースラインと比較して、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約8倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍または少なくとも約25倍の、ヒトメタニューモウイルスに対する中和抗体における増加を生じる、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
ヒトメタニューモウイルスに対する抗体における前記増加が、前記医薬組成物の投与の約1週間以内、約2週間以内、約3週間以内、約4週間以内、約5週間以内、約6週間以内、約7週間以内、約8週間以内、約9週間以内、約10週間以内、約11週間以内または約12週間以内に検出可能である、請求項79または請求項80に記載の方法。
【請求項82】
配列番号7、14、34および35のうちのいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一なアミノ酸配列を有するトリマー性抗原の投与を伴う方法よりも有効に、RSVに関連するまたはRSVによって引き起こされる重症LRTIを予防する、請求項28から81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
配列番号7、14、34および35のうちのいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一なアミノ酸配列を有するトリマー性抗原の投与を伴う方法よりも有効に、RSVに関連するまたはRSVによって引き起こされる重症LRTIを予防する、請求項28から82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
配列番号7、14、34および35のうちのいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一なアミノ酸配列を有するトリマー性抗原の投与を伴う方法よりも多くのRSV-Aおよび/またはRSV-B特異的中和抗体を生じる、請求項28から83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
配列番号7、14、34および35のうちのいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一なアミノ酸配列を有するトリマー性抗原の投与を伴う方法よりも長い期間にわたって保護免疫を生じる、請求項28から84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
少なくとも12か月持続する中和抗体応答を生じる、請求項28から85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
少なくとも12か月持続する保護免疫を生じる、請求項28から86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
前記アジュバントが、存在する場合には、前記対象において、前記中和抗体応答の耐久性、前記中和抗体応答の交差保護、および/またはB細胞もしくはT細胞活性化の大きさを増加させる、請求項28から87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
配列番号7、14、34および35のうちのいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一なアミノ酸配列を有するトリマー性抗原の投与を伴う方法よりも少ない有害事象を引き起こす、請求項28から88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
1,000国際単位/ミリリットル(IU/mL)よりも高い、2,000IU/mLよりも高い、3,000IU/mLよりも高い、4,000IU/mLよりも高い、5,000IU/mLよりも高い、6,000IU/mLよりも高い、7,000IU/mLよりも高い、8,000IU/mLよりも高い、9,000IU/mLよりも高い、または10,000IU/mLよりも高い幾何平均力価(GMT)で、前記対象においてRSV-Aおよび/またはRSV-B特異的中和抗体を生じる、請求項28から89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
1,000IU/mLよりも高い、2,000IU/mLよりも高い、3,000IU/mLよりも高い、4,000IU/mLよりも高い、5,000IU/mLよりも高い、6,000IU/mLよりも高い、7,000IU/mLよりも高い、8,000IU/mLよりも高い、9,000IU/mLよりも高い、または10,000IU/mLよりも高いGMTで、前記対象においてRSV-Aおよび/またはRSV-B特異的中和抗体を生じ、前記対象が、18~45歳の成人である、請求項28から89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
1,000IU/mLよりも高い、2,000IU/mLよりも高い、3,000IU/mLよりも高い、4,000IU/mLよりも高い、5,000IU/mLよりも高い、6,000IU/mLよりも高い、7,000IU/mLよりも高い、8,000IU/mLよりも高い、9,000IU/mLよりも高い、または10,000IU/mLよりも高いGMTで、前記対象においてRSV-Aおよび/またはRSV-B特異的中和抗体を生じ、前記対象が、60~75歳の成人である、請求項28から89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
3,000IU/mLよりも高いGMTで前記対象においてRSV-A特異的中和抗体を生じる、請求項28から89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
3,000IU/mLよりも高いGMTで前記対象においてRSV-A特異的中和抗体を生じ、前記対象が、18~45歳の成人である、請求項28から89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
3,000IU/mLよりも高いGMTで前記対象においてRSV-A特異的中和抗体を生じ、前記対象が、60~75歳の成人である、請求項28から89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
1,000免疫吸着アッセイ単位/ミリリットル(EU/mL)よりも高い、2,000EU/mLよりも高い、3,000EU/mLよりも高い、4,000EU/mLよりも高い、5,000EU/mLよりも高い、6,000EU/mLよりも高い、7,000EU/mLよりも高い、8,000EU/mLよりも高い、9,000EU/mLよりも高い、または10,000EU/mLよりも高いGMTで、前記対象において融合前RSV F結合性IgG抗体を生じる、請求項28から95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
1,000EU/mLよりも高い、2,000EU/mLよりも高い、3,000EU/mLよりも高い、4,000EU/mLよりも高い、5,000EU/mLよりも高い、6,000EU/mLよりも高い、7,000EU/mLよりも高い、8,000EU/mLよりも高い、9,000EU/mLよりも高い、または10,000EU/mLよりも高いGMTで、前記対象において融合前RSV F結合性IgG抗体を生じ、前記対象が、18~45歳の成人である、請求項28から96のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
1,000EU/mLよりも高い、2,000EU/mLよりも高い、3,000EU/mLよりも高い、4,000EU/mLよりも高い、5,000EU/mLよりも高い、6,000EU/mLよりも高い、7,000EU/mLよりも高い、8,000EU/mLよりも高い、9,000EU/mLよりも高い、または10,000EU/mLよりも高いGMTで、前記対象において融合前RSV F結合性IgG抗体を生じ、前記対象が、60~75歳の成人である、請求項28から97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
3,000EU/mLよりも高いGMTで前記対象においてRSV-A特異的中和抗体を生じる、請求項28から98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
3,000EU/mLよりも高いGMTで前記対象においてRSV-A特異的中和抗体を生じ、前記対象が、18~45歳の成人である、請求項28から99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
3,000EU/mLよりも高いGMTで前記対象においてRSV-A特異的中和抗体を生じ、前記対象が、60~75歳の成人である、請求項28から100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%の、4倍の上昇または8倍の上昇におけるRSV-A抗体応答率を生じる、請求項28から101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
20%~40%、30%~50%、40%~60%、50%~70%、60%~80%または70%~90%の、4倍の上昇または8倍の上昇におけるRSV-A抗体応答率を生じる、請求項28から102のいずれか一項に記載の方法。
【請求項104】
少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%の、4倍の上昇または8倍の上昇におけるRSV-B抗体応答率を生じる、請求項28から103のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
20%~40%、30%~50%、40%~60%、50%~70%、60%~80%または70%~90%の、4倍の上昇または8倍の上昇におけるRSV-B抗体応答率を生じる、請求項28から104のいずれか一項に記載の方法。
【請求項106】
前記医薬組成物が投与された対象の20%未満、10%未満、5%未満または約0%において、重篤な有害事象を生じる、請求項28から105のいずれか一項に記載の方法。
【請求項107】
前記医薬組成物が投与された対象の20%未満、10%未満、5%未満または約0%において、重篤な有害事象を生じ、前記対象が、18~45歳の成人である、請求項28から105のいずれか一項に記載の方法。
【請求項108】
前記医薬組成物が投与された対象の20%未満、10%未満、5%未満または約0%において、重篤な有害事象を生じ、前記対象が、60~75歳の成人である、請求項28から105のいずれか一項に記載の方法。
【請求項109】
前記医薬組成物が投与された対象の20%未満、10%未満、5%未満または約0%において、重篤な有害事象を生じる、請求項28から105のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
前記医薬組成物が投与された対象の20%未満、10%未満、5%未満または約0%において、重篤な有害事象を生じ、前記対象が、18~45歳の成人である、請求項28から105のいずれか一項に記載の方法。
【請求項111】
前記医薬組成物が投与された対象の20%未満、10%未満、5%未満または約0%において、重篤な有害事象を生じ、前記対象が、60~75歳の成人である、請求項28から105のいずれか一項に記載の方法。
【請求項112】
前記医薬組成物が、いかなるアジュバントも実質的に含まない、請求項28から111のいずれか一項に記載の方法。
【請求項113】
前記医薬組成物が、アルミニウム塩アジュバントを実質的に含まない、請求項28から112のいずれか一項に記載の方法。
【請求項114】
前記医薬組成物が、アラムを実質的に含まない、請求項28から112のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、35U.S.C.§119(e)の下で、その各々の全体がこれにより参照により本明細書に組み込まれる、2022年6月27日出願の米国仮特許出願第63/367,103号および2021年8月10日出願の米国仮特許出願第63/231,568号に対する優先権の利益を主張する。
【0002】
配列表の参照による組込み
本出願は、EFS-WEBを介してASCIIフォーマットで提出された、その全体がこれにより参照により本明細書に組み込まれる配列表を含む。2022年8月8日に作成された前記ASCIIコピーは、名称が061291-506001WO_ST26.txtであり、サイズが40キロバイトである。
【0003】
開示の分野
本開示は、呼吸器多核体ウイルス(RSV)に対するワクチンに関する。
【背景技術】
【0004】
背景
呼吸器多核体ウイルスは、ニューモウイルス科の一本鎖マイナス鎖RNAウイルスである。RSVは、季節的に流行し、世界中で下部気道感染(LRTI)の主な原因である。疫学的データは、米国単独において、RSVが、毎年>170,000件の入院および約14,000件の死亡を引き起こし得ることを示唆している(Colosia et al., PLoS One. 2017;12(8):e0182321)。同様に、RSVは、欧州において、呼吸器疾患の重要な原因である(Broberg et al., Euro Surveill. 2018;23(5):17-00284)。
【0005】
蓄積しつつあるデータは、成人における、インフルエンザに匹敵する実質的な疾患負荷を同定しており、入院および死亡率のほとんどは、60歳を超える高齢者において発生している(Falsey et al., J Infect Dis. 2014;209(12):1873-81;Fleming et al. BMC Infect Dis. 2015;15(1):443)。RSV疾患の発生率および重症度は、合併症および入院の高いリスクがあるとみなされている、フレイルの高齢者において、および心肺状態を有する高齢者において、特に高い(Falsey et al., N Engl J Med. 2005;352(17):1749-59)。高齢者における疾患の負荷に加えて、RSV感染は、世界中で低年齢小児における細気管支炎および肺炎の主な原因である(Nair et al., Lancet. 2010; 375(9725):1545-55)。これらのうちの大きな割合が、生後12か月までの下部気道感染(LRTI)であり、その結果、RSVは、特に、合併症および入院の高いリスクがあるとみなされている、早産幼児において、および心肺状態を有する幼児において、世界中で、乳児期および幼児期の間の単一の最も重要なウイルス性LRTIである。米国からのデータは、RSVが、幼児における急性呼吸器疾患(acute respiratory illness)(ARI)の主な原因の1つであることを示唆しており、毎年2百万の症例が推定される(Lee et al., Hum Vaccin. 2005;1(1):6-11)。
【0006】
RSV(例えば、RSV-Aおよび/またはRSV-B)によって引き起こされる病気に対する処置は、主に対症的であり、予防は、感染制御戦略、例えば、手洗いおよび飛沫予防策から主に構成される。RSV感染の高いリスクがある新生児、例えば、未熟な幼児、または心肺疾患を有する幼児は、ヒト化モノクローナル抗体パリビズマブによる予防の候補であるが(Resch et al., Hum Vaccin Immunother. 2017;13(9):2138-2149)、この抗体は、RSVによる入院を低減させるのに、中程度にのみ有効であった(45~55%)ことが示されている(Ambrose et al., Human Vaccines & Immunotherapeutics. 2014;10:10,2785-2788)。高齢の成人におけるRSV感染の予防および処置のための抗ウイルス剤は、現在利用可能ではなく、RSV感染に起因する疾患の予防のために許諾されたワクチンは存在しない。
【0007】
RSV Fタンパク質は、RSVの主要な保存された表面抗原であり、それに対する抗体は、疾患に対する保護に関連する。RSV F-タンパク質は、F-抗原に結合しウイルスの中和をもたらすモノクローナル抗体であるパリビズマブの臨床的有効性によって実証されるように、RSVによる感染に対する保護のための検証された標的である(Johnson et al., J Infect Dis. 1997 Nov;176(5):1215-24)。RSV-Fタンパク質は、融合前形態から融合後形態への構造における顕著な変化を受け、この融合後形態が、細胞中へのウイルス侵入を可能にするウイルスと宿主との膜融合を触媒することが公知である(McLellan et al., Science. 2013;342(6158):592-8)。融合前F-タンパク質は、融合後F-タンパク質への遷移の間に喪失される重要なエピトープを有する(Melero et al., Vaccine. 2017;35(3):461-468)。いずれかのコンフォメーションのRSV Fタンパク質に吸収させたヒト血清を用いた抗体枯渇研究は、RSV Fタンパク質に対する中和応答の大部分が、融合前構造を標的化していることを実証している(Krarup et al., Nat Commun. 2015;6:8143)。これらの研究はまた、融合後Fタンパク質に結合する抗体が中和を妨害する潜在力を実証している(Ngwuta et al., Sci Transl Med. 2015;7(309):309ra162)。一般に、RSV Fタンパク質に対する高レベルの抗体は、重症疾患に対する保護に関連する。しかし、RSV Fタンパク質に対する高力価の中和抗体を生成することは、RSV Fタンパク質の特異的な生化学的性質およびRSV Fに対するワクチン応答の予測不能性に起因して、いまだに困難である。
したがって、高い中和抗体レベルを誘導するための、RSV(例えば、RSV-Aサブタイプおよび/またはRSV-Bサブタイプ)を標的化する新規ワクチンの必要性が存在する。本開示の組成物および方法は、この必要性に取り組むものである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Johnsonら、J Infect Dis.(1997)176(5):1215~24
【非特許文献2】McLellanら、Science.(2013)342(6158):592~8
【非特許文献3】Meleroら、Vaccine.(2017)35(3):461~468
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
簡潔な概要
一態様では、RSV Fタンパク質および第1のマルチマー化ドメインを含む第1の成分、および第2のマルチマー化ドメインを含む第2の成分を含むタンパク質複合体と、1つまたは複数の薬学的に許容される希釈剤または賦形剤とを含む、医薬組成物が本明細書に提供される。一部の実施形態では、医薬組成物は、水中油アジュバントを含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、水酸化アルミニウム-アジュバントを含む。一部の実施形態では、タンパク質複合体は、正二十面体タンパク質複合体である。一部の実施形態では、タンパク質複合体は、20コピーの第1の成分および12コピーの第2の成分を含む。
【0010】
一部の実施形態では、RSV Fタンパク質は、配列番号14、34および35のうちのいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一なアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第1のマルチマー化ドメインは、配列番号24および30~31のうちのいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%同一なアミノ酸配列を含む;ならびに/または第2のマルチマー化ドメインが、配列番号22~23、25~29および32のうちのいずれか1つから選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%もしくは少なくとも100%同一なアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第1の成分は、配列番号6に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一なアミノ酸配列を含む;および第2の成分は、配列番号26に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一なアミノ酸配列を含む。
【0011】
別の態様では、約0.5μg~約1μg、約20μg~約25μg、約70μg~約75μg、約100μg~約125μgまたは約200μg~約250μgのタンパク質複合体を含む、医薬組成物の単位用量が、本明細書に提供される。
【0012】
別の態様では、対象をワクチン接種する方法であって、有効量の本明細書に提供される医薬組成物を対象に投与するステップを含む、方法が、本明細書に提供される。別の態様では、対象において免疫応答を生成する方法であって、有効量の本明細書に提供される医薬組成物を対象に投与するステップを含む、方法が、本明細書に提供される。別の態様では、対象においてRSV疾患を予防する方法であって、有効量の本明細書に提供される医薬組成物を対象に投与するステップを含む、方法が、本明細書に提供される。一部の実施形態では、対象は、重症RSV疾患のリスクがある。一部の実施形態では、対象は、60歳を超える成人である。一部の実施形態では、対象は、18~45歳の健康な成人である。
【0013】
別の態様では、胎児において免疫応答を生成する方法であって、有効量の本明細書に提供される医薬組成物を、当該胎児の母親に投与するステップを含む、方法が、本明細書に提供される。一部の実施形態では、医薬組成物は、妊娠の最終トリメスター中に母親に投与される。
【0014】
一部の実施形態では、医薬組成物の有効量は、約0.5μg~約1μg、約20μg~約25μg、約70μg~約75μg、約100μg~約125μgまたは約200μg~約250μgのタンパク質複合体を含む。
【0015】
一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、本明細書に提供される医薬組成物の第2の用量を投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、第2の用量は、第1の用量の約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12週間、約1か月、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約9か月または約12か月以内に投与される。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、本明細書に提供される医薬組成物の第3の用量を投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、第3の用量は、第2の用量の約1年、約2年、約3年、約4年または約5年後に投与される。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、約1、2、3、4または5年の定期的な間隔で、引き続く用量を投与するステップをさらに含む。
【0016】
一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、対象におけるRSV感染の発生を制限する。一部の実施形態では、方法は、対象におけるRSV-A特異的中和抗体の産生を生じる。一部の実施形態では、方法は、対象において、ベースラインと比較して、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍または少なくとも約25倍の、RSV-A特異的中和抗体における増加を生じる。一部の実施形態では、RSV-A特異的中和抗体における増加が、医薬組成物の投与の約1週間以内、約2週間以内、約3週間以内、約4週間以内、約5週間以内、約6週間以内、約7週間以内、約8週間以内、約9週間以内、約10週間以内、約11週間以内または約12週間以内に検出可能である。一部の実施形態では、方法は、対象におけるRSV-B特異的中和抗体の産生を生じる。一部の実施形態では、方法は、対象において、ベースラインと比較して、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍または少なくとも約25倍の、RSV-B特異的中和抗体における増加を生じる。一部の実施形態では、RSV-B特異的中和抗体における増加が、医薬組成物の投与の約1週間以内、約2週間以内、約3週間以内、約4週間以内、約5週間以内、約6週間以内、約7週間以内、約8週間以内、約9週間以内、約10週間以内、約11週間以内または約12週間以内に検出可能である。
【0017】
一部の実施形態では、方法は、対象におけるRSV Fタンパク質特異的IgG抗体の産生を生じる。一部の実施形態では、方法は、対象において、ベースラインと比較して、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍または少なくとも約25倍の、RSV Fタンパク質特異的中和抗体の増加を生じる。一部の実施形態では、RSV Fタンパク質特異的IgG抗体における増加が、医薬組成物の投与の約1週間以内、約2週間以内、約3週間以内、約4週間以内、約5週間以内、約6週間以内、約7週間以内、約8週間以内、約9週間以内、約10週間以内、約11週間以内または約12週間以内に検出可能である。
【0018】
一部の実施形態では、方法は、対象において、RSV F-タンパク質特異的メモリーB細胞の産生を生じる。一部の実施形態では、方法は、対象において、ベースラインと比較して、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍または少なくとも約25倍の、RSV F-タンパク質特異的メモリーB細胞における増加を生じる。一部の実施形態では、RSV F-タンパク質特異的メモリーB細胞における増加が、医薬組成物の投与の約1週間以内、約2週間以内、約3週間以内、約4週間以内、約5週間以内、約6週間以内、約7週間以内、約8週間以内、約9週間以内、約10週間以内、約11週間以内または約12週間以内に検出可能である。
【0019】
一部の実施形態では、方法は、対象におけるRSV F-タンパク質特異的T細胞の産生を生じる。一部の実施形態では、方法は、対象において、ベースラインと比較して、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍または少なくとも約25倍の、RSV F-タンパク質特異的T細胞における増加を生じる。一部の実施形態では、RSV F-タンパク質特異的T細胞における増加が、医薬組成物の投与の約1週間以内、約2週間以内、約3週間以内、約4週間以内、約5週間以内、約6週間以内、約7週間以内、約8週間以内、約9週間以内、約10週間以内、約11週間以内または約12週間以内に検出可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1A~1Cは、RSVワクチンの投与後0日目(図1A)、42日目(図1B)および56日目(図1C)にナイーブマウスにおいて測定した中和抗体価を示す(両側、独立t検定)。群1:RSVワクチン(8.33μg);群2:RSVワクチン(8.33μg)+Alhydrogel;群3:RSVワクチン(2.5μg);群4:RSVワクチン(2.5μg)+Alhydrogel;群5:RSVワクチン(0.83μg);群6:RSVワクチン(0.83μg)+Alhydrogel;群7:RSVワクチン(8.33μg)+Addavax;群8:対照血清。
【0021】
図2図2は、RSVでプライミングしたマウスにおける、Alhydrogelアジュバント含有またはアジュバント非含有RSVワクチンまたはRSV F-タンパク質の投与による、中和抗体価における増加を示す。
【0022】
図3図3は、ウサギにおけるRSV中和抗体価;VLPコアによる事前免疫化の影響を示す。群1=5匹のNew Zealand White(NZW)雌性ウサギに、1日目および14日目に、VLPコア+Addavax(水中油エマルション)を投与した。引き続いて、ウサギを、56日目、70日目および84日目に、RsVワクチン+Alhydrogel(水酸化アルミニウムアジュバント)でワクチン接種した。群2=3匹のNZW雌性ウサギを各々、投与前のVLPコアなしで、AlhydrogelなしのRSVワクチンでワクチン接種した。群3=3匹のNZW雌性ウサギを各々、投与前のVLPコアなしで、AlhydrogelありのRSVワクチンでワクチン接種した。
【0023】
図4図4は、若年成人および高齢者対象においてIVX-121投与を評価するための第1/1b相ランダム化観察者盲検プラセボ対照研究のための研究設計である。
【0024】
図5図5は、安全性データの概要を示す。重篤な有害事象(SAE)も、特に目的とされるAE(AESI)も、研究中止をもたらす有害事象(AE)も、存在しなかった。
【0025】
図6図6は、単一用量の7日以内の非自発的(solicited)全身性有害事象、最大重症度のグラフを示す(「アラム(alum)」=500μg/mLの水酸化アルミニウム)。アジュバント非含有IVX-121反応源性は、プラセボと類似の耐容性で、高齢者において軽度である。
【0026】
図7図7は、RSV-A中和抗体(nAB)のグラフを示す。幾何平均力価(GMT)は、国際単位/ミリリットル(IU/mL)で表される。アジュバント非含有IVX-121のGMTは、若年成人および高齢者において匹敵している。
【0027】
図8図8は、アジュバント非含有 対 アジュバント含有の、RSV-A中和抗体(nAB)のグラフを示す。幾何平均力価(GMT)は、国際単位/ミリリットル(IU/mL)で表される。アラムアジュバントは、若年成人および高齢者において有益な効果を有しなかった。
【0028】
図9図9は、中和および結合抗体データを要約する表を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
詳細な説明
RSV(例えば、RSV-Aサブタイプおよび/またはRSV-Bサブタイプ)に対してワクチン接種するために使用され得る、タンパク質複合体を含む医薬組成物が、本明細書に提供される。特に、免疫系にウイルス様粒子(VLP)として提示される非複製性の組換えタンパク質ベースのワクチンを含む組成物が、本明細書に提供される。いくつかの天然に存在するVLPは、許諾されたワクチン(例えば、B型肝炎、ヒトパピローマウイルス)の構成成分であり、低年齢小児から高齢者までの範囲の全ての年齢群にわたって安全に使用されている。理論に束縛されることは望まないが、かかるワクチンは、増強呼吸器疾患(ERD)と以前には関連付けられていた結合性非中和抗体の誘導を低減させつつ、RSV-中和抗体価をブーストすることができると考えられている。
定義
【0030】
用語「1つの(a)」または「1つの(an)」は、その実体の1つまたは複数を指す、即ち、複数形の指示対象を指し得る。このように、用語「1つの(a)」、「1つの(an)」、「1つまたは複数の」および「少なくとも1つの」は、本明細書で相互交換可能に使用される。さらに、不定冠詞「1つの(a)」または「1つの(an)」による「1つの(an)要素」への言及は、それらの要素のうちの1つまたは1つだけが存在することを文脈が明らかに要求しない限り、それらの要素のうちの1つよりも多くが存在する可能性を排除しない。
【0031】
本出願を通じて、用語「約」は、ある値が、その値を決定するために使用されているデバイスもしくは方法に関する誤差の固有の変動、または測定されている試料間に存在する変動を含むことを示すために使用される。他に示されない限りまたは文脈から明らかでない限り、用語「約」は、報告された数値の上または下10%以内を意味する(かかる数が、可能な値の100%を超える場合または0%を下回る場合を除く)。ある範囲の値または一連の値と併せて使用される場合、用語「約」は、他に示されない限り、その範囲の終点またはその一連の中で列挙された値の各々に適用される。本出願で使用される場合、用語「約」および「およそ」は、等価物として使用される。
【0032】
本明細書で使用される場合、用語「配列同一性」は、2つの最適にアラインメントされたポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列が、残基、例えば、ヌクレオチドまたはアミノ酸のアラインメントのウインドウを通して不変である程度を指す。試験配列および参照配列のアラインメントされたセグメントについての「同一性の割合」は、参照配列セグメント、即ち、参照配列全体または参照配列のより小さい規定された一部中の残基の総数によって除算された、2つのアラインメントされた配列によって共有される同一な残基の数である。「パーセント同一性」は、同一性の割合×100である。パーセント同一性を決定するための配列の比較は、例えば、数学アルゴリズム、例えば、BLASTスイートの配列分析プログラム中のものなどを使用することによるものを含む、いくつかの周知の方法によって達成され得る。特記しない限り、用語「配列同一性」は、目的の配列が、National Center for Biotechnology Information(NCBI)オンラインアラインメントツールのBlast-pプログラム、バージョン2.11.0(2020年10月19日にリリース)、Altschul et al. J. Mol. Biol. 215:403-410 (1990)を使用して参照配列に対してアラインメントされる場合の、参照配列の全長にわたる、参照配列と目的の配列との間での正確なマッチのパーセンテージとして計算される配列同一性を指す。
【0033】
本明細書で使用される場合、用語「異種ワクチン」および「異種ワクチン接種」は、別の技術で作製されたワクチン(例えば、mRNAワクチン、アデノウイルスベクターワクチンまたはタンパク質サブユニットのワクチン)を使用して、同じ適応症(例えば、RSV)に対するワクチン接種を受けたことがあるまたは受けることになる対象に与えられるワクチンを指す。このように、「異種ワクチン」は、参照ワクチンとは異なる技術型を使用して作製されたワクチンを指す。
【0034】
「異種ブースト」または「異種ブーストワクチン」は、別の技術で作製されたワクチン(例えば、mRNAワクチン、アデノウイルスベクターワクチンまたはタンパク質サブユニットのワクチン)を使用して、同じ適応症(例えば、RSV)に対するワクチン接種を受けたことがある対象に与えられる異種ワクチン(例えば、タンパク質ベースのVLP)を指す。
【0035】
用語「プライムワクチン」は、ワクチン接種プロトコールにおける第1のワクチン、または異種ブーストワクチンの前に投与される第1のセットのワクチンを指す。例えば、mRNAワクチンまたはアデノウイルスワクチンが最初に投与され得、必要に応じて、その後、適切な間隔の後に第2のプライムワクチンが投与され得、次いで、異種ワクチンが投与され得る。異種ワクチンは、プライムワクチンに対する免疫応答を「ブーストする」ように機能し得る。「プライミングワクチン」は、本明細書で使用される場合、それに対する免疫応答が生成される標的抗原をコードする薬剤(複数可)を含むワクチンを指す。プライミングワクチンは、標的抗原に対する免疫応答を惹起するのに有効な量で、対象に投与される。
【0036】
「異種プライム-ブーストワクチン接種」は、別の技術で作製されたワクチンを使用して、同じ適応症(例えば、RSV)に対するワクチン接種を受けることになる対象に与えられるワクチンを指す。例えば、ワクチンの初回用量(一次ワクチンまたはプライムワクチン接種)は、mRNAワクチンであり得(またはあるいは、対象は、適応症、例えば、RSVと診断されている場合があり)、引き続いて、同じ適応症に対する第2のワクチン接種を受け得、第2のワクチン接種は、異なる技術のもの-異種ワクチン接種(例えば、タンパク質ベースのVLP)である。例では、異種プライム-ブーストワクチン接種は、ある適応症に対する一次ワクチン接種および同じ適応症に対する引き続くワクチン接種を含み、異種ワクチン接種は、異種プライムワクチンの3か月~6か月後、または異種プライムワクチンの4か月もしくはそれよりも長い期間後、または異種プライムワクチンの6か月もしくはそれよりも長い期間後、または異種プライムワクチンの10か月もしくはそれよりも長い期間後に、投与される。さらに他の例では、異種ブーストワクチン接種は、異種プライムワクチンの1年後に投与される。「異種プライム」または「異種プライムワクチン」は、別の技術で作製されたワクチン(例えば、mRNAワクチン、アデノウイルスベクターワクチンまたはタンパク質サブユニットワクチン)を使用して、同じ適応症(例えば、RSV)に対するワクチン接種を受けることになる対象に与えられるワクチンを指す。
【0037】
用語「ウイルス様粒子」または「VLP」は、ウイルスと似ているが非感染性であり、ウイルスタンパク質または糖タンパク質の抗原性タンパク質またはその抗原性断片をディスプレイする、分子アセンブリを指す。「タンパク質ベースのVLP」は、タンパク質または糖タンパク質から形成され、他の成分(例えば、脂質)を実質的に含まないVLPを指す。タンパク質ベースのVLPは、翻訳後改変および化学的改変を含み得るが、ミセル状VLP、および生または生不活化ウイルス調製物からのウイルスタンパク質の抽出によって形成されるVLPとは区別される。用語「設計されたVLP」は、コンピューターによるタンパク質設計によって生成された1つまたは複数のポリペプチドを含むVLPを指す。用語「対称なVLP」は、対称なコアを有するタンパク質ベースのVLPを指す。これらには、設計されたVLPが含まれるがこれに限定されない。例えば、タンパク質フェリチンは、天然に存在するフェリチン配列を使用する対称なタンパク質ベースのVLPを生成するために使用されてきた。フェリチンベースのVLPは、ウイルスタンパク質をフェリチン分子に融合させる以外には、フェリチンから対称なVLPを形成するためにタンパク質操作が必要ないという点で、設計されたVLPとは区別される。タンパク質設計法は、鋳型構造(例えば、Protein Data Bankに寄託された構造)に基づいてまたはde novoで(即ち、所望の構造を有するが、天然に存在するタンパク質に対する相同性をほとんどまたは全く有しない新たなタンパク質のコンピューターによる設計によって)、類似の1成分および2成分ナノ構造を生成するために使用され得る。次いで、かかる1成分および2成分ナノ構造は、設計されたVLPのコアとして使用され得る。用語「タンパク質ナノ粒子」または「ナノ粒子」および用語「ナノ構造」は、本明細書に記載されるタンパク質ベースのVLPを指すために使用され得る。
【0038】
本明細書で使用される場合、「免疫原性組成物」は、対象へのその組成物の投与が、対象において抗原に対する体液性および/または細胞性免疫応答の発生を生じる、抗原を含む組成物である。
【0039】
本明細書で使用される場合、用語「対象」は、ヒトおよび他の動物を含む。典型的には、対象は、ヒトである。例えば、対象は、成人、ティーンエイジャー、小児(2歳~14歳)、幼児(誕生~2歳)または新生児(最大で2か月)であり得る。特定の態様では、対象は、最大で4か月齢または最大で6か月齢である。一部の実施形態では、成人は、高齢者、例えば、50歳を超える高齢者、55歳を超える高齢者、60歳を超える高齢者、65歳を超える高齢者である。一部の実施形態では、対象は、妊娠女性または妊娠することを予定している女性である。他の態様では、対象は、ヒトではない;例えば、非ヒト霊長類;例えば、ヒヒ、チンパンジー、ゴリラまたはマカクである。ある特定の態様では、対象は、ペット、例えば、イヌまたはネコであり得る。
【0040】
タンパク質複合体
本開示は一般に、RSV Fタンパク質および第1のマルチマー化ドメインを含む第1の成分を含むタンパク質複合体による対象のワクチン接種に関する。タンパク質複合体は、RSV-AまたはRSV-BのFタンパク質を含み得る。RSV-AおよびBのFタンパク質の例示的な配列は、それぞれ配列番号14および34に示される。Fタンパク質部分および第1のマルチマー化ドメインは、融合タンパク質としての共発現が含まれる任意の適切な手段によって連結され得る。タンパク質複合体は、必要に応じて、第2のマルチマー化ドメインを含む第2の成分を含み得る。医薬組成物は、典型的には、1つまたは複数の薬学的に許容される希釈剤または賦形剤を含む。
【0041】
一部の実施形態では、タンパク質複合体は、ナノ構造体、ナノ粒子、またはタンパク質ベースのウイルス様粒子である。
【0042】
一部の実施形態では、タンパク質複合体は、米国特許第10,248,758号または米国特許出願公開第2020/0392187号A1に開示されたものなどの正二十面体タンパク質複合体であり、これらの内容は、それらの全体がこれにより参照により本明細書に組み込まれる。
【0043】
マルチマー化ドメインは、少なくとも1つのアミノ酸残基の置換によって、またはN末端もしくはC末端における1つもしくは複数の残基の付加によって、天然に存在するタンパク質配列から誘導され得る。一部の場合には、第1のマルチマー化ドメインは、コンピューターによる方法によって決定されるタンパク質配列を含む。この第1のマルチマー化ドメインは、VLPのコア全体を形成し得るか;またはVLPのコアは、1つまたは複数のさらなるポリペプチド(「第2の成分」または第3、第4、第5の成分などとも呼ばれる)を含み得、その結果、VLPは、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つまたはそれよりも多くのマルチマー化ドメインを含む。一部の場合には、第1の成分は、3回回転対称で関連するトリマーを形成し、第2の成分は、5回回転対称で関連するペンタマーを形成する。このような場合、VLPは、I53対称性を有する「正二十面体粒子」を形成する。合わせると、これら1つまたは複数の複数の成分は、各複数の成分のメンバーが、対称オペレーター(symmetry operator)によって互いに関連付けられるように、配置され得る。標的の対称なアーキテクチャにおけるタンパク質構成要素の対称的ドッキングが関与する、自己アセンブルするタンパク質材料を設計するための一般的なコンピューターによる方法は、米国特許出願公開第2015/0356240号A1に開示されている。
【0044】
VLPの「コア」は、VLPによってディスプレイされるRSV Fタンパク質細胞外ドメイン、またはそれらの抗原性断片の数個のコピーを一緒に連結するVLPの中心部分を記載するために、本明細書で使用される。ある実施形態では、第1の成分は、Fタンパク質を含む第1のポリペプチド、リンカー、およびマルチマー化ドメインを含む。
【0045】
一部の場合には、VLPは、RSVの2つまたはそれよりも多くの多様な株由来のFタンパク質をディスプレイするように適応される。非限定的な例では、同じVLPは、RSVの異なる株由来のタンパク質抗原の混合集団またはタンパク質抗原の混合ヘテロトリマーをディスプレイする。種々のRSV株のFタンパク質の配列は、当該分野で公知である。例えば、NCBIアクセッション番号QFX69124.1、QFX69112.1、APW78900.1、APW78889.1、APW78878.1、APW78867.1、APW78856.1、APW78845.1、APW78834.1、APW78823.1、APW78812.1、APW78801.1、APW78790.1、APW78779.1、APW78768.1、APW78757.1、APW78746.1、APW78735.1、APW78724.1、APW78713.1、APW78702.1、APW78691.1、APW78680.1、APW78669.1、APW78658.1、APW78647.1、APW78636.1、APW78625.1、APW78614.1およびAAR14266.1を参照されたい。
【0046】
本開示のVLPは、遺伝子融合物として含まれる種々の方法で、または本明細書で開示される他の手段によって、抗原性タンパク質をディスプレイする。本明細書で使用される場合、「~に連結される」または「~に結合される」は、2つのポリペプチドを会合させるための、当該分野で公知の任意の手段を示す。会合は、直接的または間接的、可逆的または不可逆的、弱いまたは強い、共有結合的または非共有結合的、および選択的または非選択的であり得る。
【0047】
一部の実施形態では、結合は、VLPを構成する複数のポリペプチドのうちの1つへの、抗原のN末端またはC末端融合を創出するために、遺伝子操作によって達成される。したがって、VLPは、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つまたは10個の複数の抗原をディスプレイする1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つまたは10個の複数のポリペプチドからなり得るかまたはそれから本質的になり得、複数の抗原のうちの少なくとも1つは、複数のポリペプチドのうちの少なくとも1つに、遺伝的に融合される。一部の場合には、VLPは、自己アセンブリが可能であり、それに遺伝的に融合された複数の抗原性タンパク質を含む、一方の複数のポリペプチドから本質的になる。一部の場合には、VLPは、複数の抗原を含む第1の複数のポリペプチド;および2成分VLPへと共アセンブルすることが可能な第2の複数のポリペプチドから本質的になり、一方の複数のポリペプチドは、抗原性タンパク質をVLPに連結し、他方の複数のポリペプチドは、VLPの自己アセンブリを促進する。
【0048】
一部の実施形態では、結合は、1つまたは複数の複数のポリペプチドと1つまたは複数の複数の抗原性タンパク質との間での翻訳後共有結合によって達成される。一部の場合には、化学的架橋が、抗原をVLPポリペプチドに非特異的に結合させるために使用される。一部の場合には、化学的架橋は、抗原性タンパク質をVLPポリペプチドに(例えば、第1のポリペプチドまたは第2のポリペプチドに)特異的に結合させるために使用される。種々の特異的および非特異的な架橋化学、例えば、クリックケミストリーおよび他の方法が、当該分野で公知である。一般に、2つのタンパク質を連結するために使用される任意の架橋化学が、本明細書で開示されたVLPにおける使用のために適応され得る。特に、イムノコンジュゲートまたは抗体薬物コンジュゲートの創出において使用される化学が使用され得る。一部の場合には、VLPは、切断性または非切断性リンカーを使用して創出される。担体への抗原のコンジュゲーションのためのプロセスおよび方法は、例えば、米国特許出願公開第2008/0145373号A1によって提供される。
【0049】
本開示のVLPの成分は、種々のアミノ酸配列のうちのいずれかを有し得る。米国特許出願公開第2015/0356240号A1は、タンパク質アセンブリを設計するための種々の方法を記載している。米国特許出願公開第2016/0122392号A1および国際特許出願公開WO2014/124301A1に記載されるように、ポリペプチドを、VLP、例えば正二十面体粒子を形成するように対で自己アセンブルするそれらの能力について設計した。設計は、アセンブルしてVLPを形成することができるポリペプチド対の各メンバーについての適切な界面残基の設計を含んだ。そのように形成されたVLPは、第1のアセンブリおよび第2のアセンブリを、VLP、例えば、正二十面体対称性を有するものへと配向させる、対称的に反復された非天然の非共有結合的ポリペプチド-ポリペプチド界面を含む。
【0050】
本開示のタンパク質ベースのVLPにおいて有用な設計されたタンパク質複合体の非限定的な例には、米国特許第9,630,994号、国際特許出願公開WO2018187325A1、米国特許出願公開第2018/0137234号A1、米国特許出願公開第2019/0155988号A2に開示されたものが含まれ、これらは各々、その全体がこれにより本明細書に組み込まれる。例示的な配列は、表1に提供される。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【表1-9】
【0051】
一部の実施形態では、第1のマルチマー化ドメインは、配列番号24および30~31のうちのいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一なアミノ酸配列を含む。
【0052】
一部の実施形態では、第2のマルチマー化ドメインは、配列番号22~23および25~26のアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一なアミノ酸配列を含む。
【0053】
第1のマルチマー化ドメイン50Aは、第2のマルチマー化ドメイン50Bと対形成する。第1のマルチマー化ドメインdn5Bは、第2のマルチマー化ドメインdn5Aと対形成する。
【0054】
一部の実施形態では、VLPは、配列番号1~10のうちのいずれか1つに対して少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%の同一性を有する融合タンパク質を含み、本明細書で開示されるRSV Fタンパク質;および配列番号22~23、25~29および32のうちのいずれか1つに対して少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%の同一性を有する第2の成分を含む。
【0055】
一部の実施形態では、VLPは、配列番号6に対して少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%の同一性を有する融合タンパク質を含み、本明細書で開示されるRSV Fタンパク質;および配列番号26に対して少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%の同一性を有する第2の成分を含む。
【0056】
一部の実施形態では、第1の成分は、配列番号14、34および35のうちのいずれか1つに対して少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%の同一性を有するポリペプチド配列を含む。
【0057】
第1の成分は、全長RSV Fタンパク質、RSV Fの細胞外ドメイン、またはそれらの抗原性断片であり得る、RSV Fタンパク質を含み得る。一部の実施形態では、RSV Fタンパク質は、配列番号14、34および35のうちのいずれか1つに対して少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%の同一性を有するポリペプチド配列を含む。一部の実施形態では、RSV Fタンパク質は、RVS-A Fタンパク質である。一部の実施形態では、RSV Fタンパク質は、RSV-B Fタンパク質である。
【0058】
一部の実施形態では、第1の成分は、配列番号14に対して少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%の同一性を有するポリペプチド配列を含み、シグナルペプチドをさらに含む。一部の実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号11~13のうちのいずれか1つの配列を含む。
【0059】
本明細書に記載されるポリペプチドは、野生型RSVと比較して、1つまたは複数のアミノ酸置換を有し得る。例えば、限定なしに、本明細書に提供されるタンパク質複合体の第2の成分は、H9Y、E24D、A28Q、A36E、R38A、N97D、N105S、D121Hのうちのいずれか1つから選択される、配列番号14と比較した、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、または8つ全ての位置を含み得る。
【0060】
本明細書で提供されるポリペプチドは、1つまたは複数の保存的アミノ酸置換を含み得る。専門用語「保存的アミノ酸置換」は、当該分野で周知であり、特定のアミノ酸の、類似の特徴(例えば、類似の電荷または疎水性)を有するアミノ酸による置換に関する。保存的変異には、限定なしに、例えば、類似の電荷または疎水性を有するが、サイズまたは嵩高さが異なる(例えば、空洞充填機能を提供するため)アミノ酸残基の置換が含まれ得る。保存的アミノ酸置換のリストは、以下の表に提供される。
【表7】

【0061】
あるいは、例えば、RSV Fタンパク質二次構造の柔軟性のある部分の根絶が所望される場合、例えば、システイン残基を付加することによる非保存的アミノ酸置換が好まれ得る(または逆も同様)。「非保存的置換」は、1つのクラスのアミノ酸の、別のクラスからのアミノ酸による置換;例えば、Alaの、Asp、Asn、GluまたはGlnによる置換を指す。非保存的置換のさらなる非限定的な例には、非極性(疎水性)アミノ酸残基、例えば、イソロイシン、バリン、ロイシン、アラニン、メチオニンによる、極性(親水性)残基、例えば、システイン、グルタミン、グルタミン酸もしくはリシンの置換および/または極性残基による非極性残基の置換が含まれる。D-CysのD-Ala、D-SerもしくはD-Tyr(または別の残基)への置換は、分子内ジスルフィド結合を除去するために使用され得、これは、一部の場合には、タンパク質の安定性または発現を改善し得る。D-Cysへの置換は、タンパク質を安定化するまたはタンパク質を所望のコンフォメーションへとロックするジスルフィド結合を生成するために使用され得る。
【0062】
核酸、ベクターおよび細胞
別の態様では、本開示は、本開示のポリペプチドまたは融合タンパク質をコードする核酸を提供する。核酸配列は、RNA(例えば、mRNA)またはDNAを含み得る。かかる核酸配列は、ポリA配列、改変型Kozak配列、ならびにエピトープタグ、搬出シグナル、および分泌シグナル、核局在化シグナルおよび形質膜局在化シグナルをコードする配列が含まれるがこれらに限定されない、コードされるタンパク質の発現および/または精製を促進するのに有用なさらなる配列を含み得る。本明細書の教示に基づいて、どの核酸配列が本発明のタンパク質をコードするかは、当業者に明らかである。
【0063】
別の態様では、本開示は、適切な制御配列に動作可能に連結された本開示の任意の実施形態または実施形態の組合せの単離された核酸を含む発現ベクターを提供する。「発現ベクター」は、核酸コード領域または遺伝子を、遺伝子産物の発現をもたらすことが可能な任意の制御配列に動作可能に連結させているベクターを含む。本開示の核酸配列に作動可能に連結された「制御配列」は、核酸分子の発現をもたらすことが可能な核酸配列である。制御配列は、その核酸配列の発現を導くように機能する限り、核酸配列と連続している必要はない。したがって、例えば、介在性の、翻訳されないが転写される配列が、プロモーター配列と核酸配列との間に存在し得、プロモーター配列は、コード配列に「作動可能に連結した」となおもみなされ得る。他のかかる制御配列には、ポリアデニル化シグナル、終結シグナルおよびリボソーム結合部位が含まれるがこれらに限定されない。かかる発現ベクターは、プラスミドおよびウイルスベースの発現ベクターが含まれるがこれらに限定されない、当該分野で公知の任意の型のものであり得る。哺乳動物系において開示された核酸配列の発現を駆動するために使用される制御配列は、構成的(CMV、SV40、RSV、アクチン、EFが含まれるがこれらに限定されない種々のプロモーターのいずれかによって駆動される)または誘導可能(テトラサイクリン、エクジソン、ステロイド応答性が含まれるがこれらに限定されない、いくつかの誘導可能なプロモーターのいずれかによって駆動される)であり得る。
【0064】
別の態様では、本開示は、本開示の任意の実施形態または実施形態の組合せのポリペプチド、ウイルス様粒子、組成物、核酸および/または発現ベクターを含む細胞であって、原核生物細胞または真核生物細胞のいずれか、例えば、哺乳動物細胞であり得る、細胞を提供する。一部の実施形態では、細胞は、本開示の核酸または発現ベクターで一過的にまたは安定にトランスフェクトされ得る。原核生物細胞および真核生物細胞中への発現ベクターのかかるトランスフェクションは、当該分野で公知の任意の技法を介して達成され得る。本発明に従うポリペプチドを産生する方法は、本発明のさらなる一部である。この方法は、(a)本発明のこの態様に従う宿主を、ポリペプチドの発現につながる条件下で培養するステップ、および(b)必要に応じて、発現されたポリペプチドを回収するステップを含む。
【0065】
医薬組成物
別の態様では、本開示は、
(a)本明細書の実施形態または実施形態の組合せのポリペプチド、ウイルス様粒子、組成物、核酸、発現ベクターおよび/または細胞、ならびに
(b)薬学的に許容される担体
を含む医薬組成物/ワクチンを提供する。
【0066】
以下の例で示されるように、ウイルス様粒子は、RSVに対する(例えば、RSV-Aおよび/またはRSV-Bに対する)強力な保護的抗体応答を惹起する。例えば、本開示のウイルス様粒子は、中和抗体価を誘導する。
【0067】
一部の実施形態では、本明細書に提供される医薬組成物またはワクチンは、二価であり得る、例えば、RSV-AおよびRSV-Bの両方の抗原(例えば、RSV-AおよびRSV-Bの両方のFタンパク質)を含み得る。
【0068】
組成物/ワクチンは、(a)凍結乾燥保護剤(lyoprotectant)、(b)界面活性剤、(c)充填剤、(d)張度調整剤、(e)安定剤、(f)防腐剤および/または(g)緩衝液をさらに含み得る。一部の実施形態では、医薬組成物中の緩衝液は、Tris緩衝液、ヒスチジン緩衝液、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液または酢酸緩衝液である。組成物は、凍結乾燥保護剤、例えば、スクロース、ソルビトールまたはトレハロースもまた含み得る。ある特定の実施形態では、組成物は、防腐剤、例えば、塩化ベンザルコニウム、ベンゼトニウム、クロルヘキシジン(chlorohexidine)、フェノール、m-クレゾール、ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロロブタノール、o-クレゾール、p-クレゾール、クロロクレゾール、硝酸フェニル水銀、チメロサール、安息香酸、およびそれらの種々の混合物を含む。他の実施形態では、組成物は、充填剤、例えば、グリシンを含む。さらに他の実施形態では、組成物は、界面活性剤例えば、ポリソルベート-20、ポリソルベート-40、ポリソルベート-60、ポリソルベート-65、ポリソルベート-80、ポリソルベート-85、ポロクサマー-188、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリラウレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタントリオレエート(sorbitan trioleaste)、またはそれらの組合せを含む。組成物は、張度調整剤、例えば、製剤をヒト血液と実質的に等張(isotonic)または等浸透圧(isoosmotic)なものにする化合物もまた含み得る。例示的な張度調整剤には、スクロース、ソルビトール、グリシン、メチオニン、マンニトール、デキストロース、イノシトール、塩化ナトリウム、アルギニンおよび塩酸アルギニンが含まれる。他の実施形態では、組成物は、さらに、安定剤、例えば、凍結乾燥された形態または液体形態でのナノ構造の化学的および/または物理的不安定性を実質的に防止または低減させる分子を含む。例示的な安定剤には、スクロース、ソルビトール、グリシン、イノシトール、塩化ナトリウム、メチオニン、アルギニンおよび塩酸アルギニンが含まれる。
【0069】
ウイルス様粒子は、組成物中の唯一の活性薬剤であり、例えば、水性ワクチンとして製剤化されてもよいし、または組成物は、免疫系を全般的に刺激し、免疫応答全体を改善するためのアジュバントが含まれるがこれらに限定されない、意図した使用に適切な1つまたは複数の他の薬剤をさらに含んでもよい。任意の適切なアジュバントが使用され得る。用語「アジュバント」は、抗原に対する免疫応答を増強する化合物または混合物を指す。
【0070】
本明細書で提供される医薬組成物において使用され得るアジュバントの例示的な型には、以下が含まれる:1.鉱物含有組成物、2.油エマルション、3.サポニン製剤、4.ビロソームおよびウイルス様粒子、5.細菌または微生物誘導体、6.生体接着剤および粘膜接着剤、7.リポソーム、8.ポリオキシエチレンエーテルおよびポリオキシエチレンエステル製剤、9.ポリホスファゼン(pcpp)、10.ムラミルペプチド、11.イミダゾキノロン化合物、12.チオセミカルバゾン化合物、13.トリプタントリン化合物、14.ヒト免疫調節剤、15.リポペプチド、16.ベンゾナフチリジン、17.微粒子、18.免疫賦活性ポリヌクレオチド(例えば、RNAまたはDNA;例えば、cpg含有オリゴヌクレオチド)。
【0071】
本明細書で提供される医薬組成物において使用され得る例示的なアジュバントには、3M-052、Adju-Phos(商標)、Alhydrogel(商標)、Adjumer(商標)、アルブミン-ヘパリン微粒子、藻類グルカン、アルガンムリン(Algammulin)、ミョウバン、抗原製剤、AS-2アジュバント、ASO1、ASO3、自家樹状細胞、自家PBMC、Avridine(商標)、B7-2、BAK、BAY R1005、BECC TLR-4アゴニスト、ブピバカイン、ブピバカイン-HCl、BWZL、カルシトリオール、リン酸カルシウムゲル、CCR5ペプチド、CFA、コレラホロ毒素(CT)およびコレラ毒素Bサブユニット(CTB)、コレラ毒素A1-サブユニット-プロテインA D-断片融合タンパク質、CpG、CPG-1018、CRL1005、サイトカイン含有リポソーム、D-ムラパルミチン(Murapalmitine)、DDA、DHEA、ジフテリアトキソイド、DL-PGL、DMPC、DMPG、DOC/ミョウバン複合体、鶏痘、フロイント完全アジュバント、ガンマイヌリン、Gerbuアジュバント、GM-CSF、GMDP、hGM-CSF、hIL-12(N222L)、hTNF-アルファ、IFA、pcDNA3中のIFN-ガンマ、IL-12 DNA、IL-12プラスミド、IL-12/GMCSFプラスミド(Sykes)、pcDNA3中のIL-2、IL-2/Igプラスミド、IL-2/Igタンパク質、IL-4、pcDNA3中のIL-4、イミキモド(商標)、ImmTher(商標)、共刺激分子に対する抗体を含有するイムノリポソーム、インターフェロン-ガンマ、インターロイキン-1ベータ、インターロイキン-12、インターロイキン-2、インターロイキン-7、ISCOM(複数可)(商標)、Iscoprep 7.0.3(商標)、キーホールリンペットヘモシアニン、脂質ベースのアジュバント、リポソーム、ロキソリビン、LT(R192G)、LT-OAまたはLT経口アジュバント、LT-R192G、LTK63、LTK72、Matrix-M(商標)アジュバント、MF59、MONTANIDE ISA 51、MONTANIDE ISA 720、MPL(商標)、MPL-SE、MTP-PE、MTP-PEリポソーム、ムラメチド(Murametide)、ムラパルミチン、NAGO、nCTネイティブコレラ毒素、非イオン性界面活性剤小胞、コレラ毒素の非毒性変異体E112K mCT-E112K、p-ヒドロキシ安息香酸(p-Hydroxybenzoique acid)メチルエステル、pCIL-10、pCIL12、pCMVmCAT1、pCMVN、ペプトマー(Peptomer)-NP、プレウラン(Pleuran)、PLG、PLGA、PGAおよびPLA、Pluronic(登録商標)L121、PMMA、PODDS(商標)、ポリrA:ポリrU、ポリソルベート80、タンパク質コクリエート(Protein Cochleate)、QS-21、Quadri Aサポニン、Quil-A、Rehydragel HPA、Rehydragel LV、RIBI、Ribi様アジュバントシステム(MPL、TMD、CWS)、S-28463、SAF-1、Sclavoペプチド、センダイプロテオリポソーム、センダイ含有脂質マトリックス、Span(登録商標)85、Specol、スクアラン1、スクアレン2、ステアリルチロシン、SWE、破傷風トキソイド(TT)、Theramide(商標)、スレオニルムラミルジペプチド(TMDP)、Ty粒子、ならびにWalter Reedリポソームが含まれるがこれらに限定されない。アジュバントの選択は、処置される対象に依存する。好ましくは、薬学的に許容されるアジュバントが使用される。一部の実施形態では、アジュバントは、水酸化アルミニウムゲル(例えば、Alhydrogel(商標))である。一部の実施形態では、アジュバントは、SWEである。一部の実施形態では、アジュバントは、MF59である。一部の実施形態では、アジュバントは、水中油エマルションである。
【0072】
例えば、組成物は、アルミニウム塩アジュバント、水中油エマルション(例えば、スクアレンを含む水中油エマルション、例えば、MF59、SWEまたはAS03)、TLR9アゴニスト(例えば、CpGオリゴヌクレオチド)、TLR7アゴニスト(例えば、イミダゾキノリンまたはイミキモド)、またはそれらの組合せを含み得る。一部の実施形態では、アジュバントは、アルミニウム塩とCPG-1018との組合せである。適切なアルミニウム塩には、水酸化物(例えば、オキシ水酸化物)、リン酸塩(例えば、ヒドロキシリン酸塩、オルトリン酸塩)、(例えば、Vaccine Design. (1995) eds. Powell & Newman. ISBN: 030644867X. Plenumの第8章および第9章を参照されたい)、またはそれらの混合物が含まれる。塩は、任意の適切な形態(例えば、ゲル、結晶、非晶質など)をとり得、塩への抗原の吸着が一例である。患者への投与のための組成物中のAl+++の濃度は、5mg/ml未満、例えば、<4mg/ml、<3mg/ml、<2mg/ml、<1mg/mlなどであり得る。例示的な範囲は、0.3mg/mlと1mg/mlとの間である。水酸化アルミニウムおよびリン酸アルミニウムアジュバントが、本開示との使用に適切である。一部の実施形態では、本明細書に提供される医薬組成物は、アジュバントとして水酸化アルミニウムを含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される医薬組成物は、500μgの水酸化アルミニウムを含む。
【0073】
一部の実施形態では、ウイルス様粒子を含む組成物は、組成物中の唯一の活性薬剤であり得、このとき、アジュバントは含まれないか、または組成物は、アジュバントを実質的に含まない(いずれのアジュバントも実質的に含まないことを含む)。例えば、アジュバントは添加されなくてもよい、またはアジュバント特性を有する物質(複数可)が、最小量、例えば、アジュバント効果を発揮しないと予期される量ではあるが存在する。一部の実施形態では、医薬組成物は、約5%(w/v)未満、約4%(w/v)未満、約4%(w/v)未満、約3%(w/v)未満、約2%(w/v)未満、約1%(w/v)未満、約0.5%(w/v)未満、約0.1%(w/v)未満、5%(w/v)未満、4%(w/v)未満、4%(w/v)未満、3%(w/v)未満、2%(w/v)未満、1%(w/v)未満、0.5%(w/v)未満もしくは0.1%(w/v)未満でのアジュバントを有する。一部の実施形態では、ウイルス様粒子を含む組成物は、組成物中の唯一の活性薬剤であり得、アジュバント(例えば、ミョウバンまたはアルミニウム塩アジュバント)を含まない。
【0074】
単位用量の本明細書に記載される医薬組成物もまた、本明細書で提供される。一部の実施形態では、単位用量は、約1μg~約5μg、約5μg~約10μg、約10μg~約15μg、約15μg~約20μg、約20μg~約30μg、約30μg~約40μg、約40μg~約50μg、約50μg~約60μg、約60μg~約70μg、約70μg~約80μg、約80μg~約90μg、約90μg~約100μg、約100μg~約110μg、約110μg~約120μg、約120μg~約130μg、約130μg~約140μg、約140μg~約150μg、約150μg~約200μg、約200μg~約250μg、約250μg~約300μg、約300μg~約350μg、約350μg~約400μg、約400μg~約450μgまたは約450μg~約500μgのタンパク質複合体を含む。一部の実施形態では、単位用量は、約1μg、約2μg、約5μg、約10μg、約15μg、約25μg、約50μg、約75μg、約100μg、約125μg、約150μg、約200μgまたは約250μgのタンパク質複合体を含む。一部の実施形態では、単位用量は、25μg、75μgまたは250μgのタンパク質複合体を含む。略号μgは、物質のマイクログラムを指すために、略号mcgと相互交換可能に使用され得る。一部の実施形態では、単位投薬量は、5μgのタンパク質複合体を含む。一部の実施形態では、単位投薬量は、25μgのタンパク質複合体を含む。一部の実施形態では、単位投薬量は、125μgのタンパク質複合体を含む。一部の実施形態では、単位投薬量は、100μgのタンパク質複合体を含む。別の態様では、本明細書に記載される医薬組成物の単位用量であって、2μg、5μg、10μg、15μg、25μg、50μg、75μg、100μgまたは125μgのタンパク質複合体を含む、単位用量が、本明細書に提供される。一部の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物の単位用量であって、約25μgと約125μgとの間のタンパク質複合体を含む、単位用量が、本明細書に提供される。一部の実施形態では、医薬組成物の単位用量は、約2μg~約125μgの間、または約5μg~約125gの間、または約15μg~125μgの間、または約25μg~約125μgの間、または約50μg~約125μgの間、または約100μg~約125μgの間のタンパク質複合体である。
【0075】
一部の実施形態では、単位用量の本明細書に記載される医薬組成物であって、約25μgと約125μgとの間のタンパク質複合体を含む、単位用量の医薬組成物が、本明細書で提供される。一部の実施形態では、医薬組成物の単位用量は、約2μg~約125μgの間、または約5μg~約125gの間、または約15μg~125μgの間、または約25μg~約125μgの間、または約50μg~約125μgの間、または約100μg~約125μgの間のタンパク質複合体である。
【0076】
一部の実施形態では、約10μg~約100μg、約10μg~約150μg、約10μg~約200μg、約10μg~約250μg、約10μg~約300μg、約10μg~約350μg、約10μg~約400μg、約10μg~約450μg、または約10μg~約500μgのタンパク質複合体が投与される。
【0077】
一部の実施形態では、約25μg~約100μg、約25μg~約150μg、約25μg~約200μg、約25μg~約250μg、約25μg~約300μg、約25μg~約350μg、約25μg~約400μg、約25μg~約450μg、または約25μg~約500μgのタンパク質複合体が投与される。
【0078】
一部の実施形態では、約50μg~約100μg、約50μg~約150μg、約50μg~約200μg、約50μg~約250μg、約50μg~約300μg、約50μg~約350μg、約50μg~約400μg、約50μg~約450μg、または約50μg~約500μgのタンパク質複合体が投与される。
【0079】
一部の実施形態では、約5μg~約150μg、約10μg~約150μg、約25μg~約150μg、約50μg~約150μg、約75μg~約150μg、約100μg~約150μg、または約125μg~約150μgのタンパク質複合体が投与される。
【0080】
一部の実施形態では、約5μg~約125μg、約10μg~約125μg、約25μg~約125μg、約50μg~約125μg、約75μg~約125μg、または約100μg~約125μgのタンパク質複合体が投与される。
【0081】
一部の実施形態では、約5μg~約100μg、約10μg~約100μg、約25μg~約100μg、約50μg~約100μg、または約75μg~約100μgのタンパク質複合体が投与される。
【0082】
一部の実施形態では、約5μg~約75μg、約10μg~約75μg、約25μg~約75μg、または約50μg~約75μgのタンパク質複合体が投与される。
【0083】
一部の実施形態では、約5μg~約50μg、約10μg~約50μg、または約25μg~約50μgのタンパク質複合体が投与される。
【0084】
本開示のタンパク質複合体は、RSV Fタンパク質を含む。例示的な実施形態では、タンパク質複合体の総分子質量は、約5.6MDaであり、タンパク質複合体中のRSV Fタンパク質の質量割合は、約58%である;これらの実施形態では、タンパク質複合体1つ当たり20コピーのRSV Fタンパク質トリマーが存在する。したがって、これらの例示的な実施形態について、上記用量は、モル量に変換され得、このとき、1μgは、約0.18ピコモル(pmol)のタンパク質複合体またはタンパク質複合体内の約3.6pmolのRSV Fタンパク質と等しい。各1μgのタンパク質複合体は、約0.6μgのRSV Fタンパク質と等しい。25μgのタンパク質複合体の単位用量は、約14μgの非粒子関連RSV Fタンパク質トリマーの単位用量と等しい;逆に、約100μgの非粒子関連RSF Fタンパク質トリマーの単位用量は、約174μgのかかる例示的なタンパク質複合体と等価である。
【0085】
製剤のpHもまた変動し得る。一般に、pHは、約pH6.2~約pH8.0の間である。一部の実施形態では、pHは、約6.2、約6.4、約6.6、約6.8、約7.0、約7.2、約7.4、約7.6、約7.8または約8.0である。当然、pHは、値のある範囲内でもあり得る。したがって、一部の実施形態では、pHは、約6.2と約8.0との間、約6.2と7.8との間、約6.2と7.6との間、約6.2と7.4との間、約6.2と7.2との間、約6.2と7.0との間、約6.2と6.8との間、約6.2と約6.6との間、または約6.2と6.4との間である。他の実施形態では、pHは、6.4と約8.0との間、約6.4と7.8との間、約6.4と7.6との間、約6.4と7.4との間、約6.4と7.2との間、約6.4と7.0との間、約6.4と6.8との間、または約6.4と約6.6との間である。なお他の実施形態では、pHは、約6.6と約8.0との間、約6.6と7.8との間、約6.6と7.6との間、約6.6と7.4との間、約6.6と7.2との間、約6.6と7.0との間、または約6.6と6.8との間である。さらに他の実施形態では、pHは、約6.8と約8.0との間、約6.8と7.8との間、約6.8と7.6との間、約6.8と7.4との間、約6.8と7.2との間、または約6.8と7.0との間である。なお他の実施形態では、pHは、約7.0と約8.0との間、約7.0と7.8との間、約7.0と7.6との間、約7.0と7.4との間、約7.0と7.2との間、約7.2と8.0との間、約7.2と7.8との間、約7.2と約7.6との間、約7.2と7.4との間、約7.4と約8.0、約7.4と約7.6との間、または約7.6と約8.0との間である。
【0086】
一部の実施形態では、製剤は、1つまたは複数の塩、例えば、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、またはそれらの組合せを含み得る。一般に、各塩は、約10mM~約200mMで製剤中に存在する。したがって、一部の実施形態では、存在する任意の塩は、約10mM~約200mM、約20mM~約200mM、約25mM~約200mM、約30mM~約200mM、約40mM~約200mM、約50mM~約200mM、約75mM~約200mM、約100mM~約200mM、約125mM~約200mM、約150mM~約200mM、または約175mM~約200mMで存在する。他の実施形態では、存在する任意の塩は、約10mM~約175mM、約20mM~約175mM、約25mM~約175mM、約30mM~約175mM、約40mM~約175mM、約50mM~約175mM、約75mM~約175mM、約100mM~約175mM、約125mM~約175mM、または約150mM~約175mMで存在する。なお他の実施形態では、存在する任意の塩は、約10mM~約150mM、約20mM~約150mM、約25mM~約150mM、約30mM~約150mM、約40mM~約150mM、約50mM~約150mM、約75mM~約150mM、約100mM~約150mM、または約125mM~約150mMで存在する。さらに他の実施形態では、存在する任意の塩は、約10mM~約125mM、約20mM~約125mM、約25mM~約125mM、約30mM~約125mM、約40mM~約125mM、約50mM~約125mM、約75mM~約125mM、または約100mM~約125mMで存在する。一部の実施形態では、存在する任意の塩は、約10mM~約100mM、約20mM~約100mM、約25mM~約100mM、約30mM~約100mM、約40mM~約100mM、約50mM~約100mM、または約75mM~約100mMで存在する。さらに他の実施形態では、存在する任意の塩は、約10mM~約75mM、約20mM~約75mM、約25mM~約75mM、約30mM~約75mM、約40mM~約75mM、または約50mM~約75mMで存在する。なお他の実施形態では、存在する任意の塩は、約10mM~約50mM、約20mM~約50mM、約25mM~約50mM、約30mM~約50mM、または約40mM~約50mMで存在する。他の実施形態では、存在する任意の塩は、約10mM~約40mM、約20mM~約40mM、約25mM~約40mM、約30mM~約40mM、約10mM~約30mM、約20mM~約30、約25mM~約30mM、約10mM~約25mM、約20mM~約25mM、または約10mM~約20mMで存在する。一部の実施形態では、塩化ナトリウムは、約100mMで製剤中に存在する。一部の実施形態では、リン酸ナトリウムは、約25mMで製剤中に存在する。
【0087】
本明細書の製剤は、可溶化剤、例えば、非イオン性洗剤をさらに含み得る。かかる洗剤には、ポリソルベート80(Tween(登録商標)80)、Triton(登録商標)X100およびポリソルベート20が含まれるがこれらに限定されない。
【0088】
一部の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、本明細書の実施形態または実施形態の組合せのポリペプチド、ウイルス様粒子、組成物、核酸、発現ベクターおよび/または細胞、ならびに1つまたは複数のさらなるワクチンと、薬学的に許容される担体とを含み得る。一部の実施形態では、1つまたは複数のさらなるワクチンは、小児ワクチンである。本明細書に記載される実施形態または組合せのポリペプチド、ウイルス様粒子、組成物、核酸、発現ベクターおよび/または細胞と共に共製剤化され得るワクチンには、限定なしに、B型肝炎に対するワクチン、ロタウイルスに対するワクチン、ジフテリア、破傷風および百日咳に対するワクチン(「DTaP」)、ポリオに対するワクチン、インフルエンザに対するワクチン、ならびに麻疹、ムンプスおよび風疹に対するワクチン(「MMR」)が含まれる。
【0089】
処置の方法
別の態様では、本開示は、RSVによる感染(例えば、RSV-Aおよび/またはRSV-Bによる感染)に対して対象にワクチン接種するための方法であって、本明細書の任意の実施形態のポリペプチド、ウイルス様粒子、組成物、核酸、医薬組成物またはワクチン(「免疫原性組成物」と呼ばれる)の、感染の発生を処置または制限するのに有効な量を、それを必要とする対象に投与するステップを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、かかる方法は、RSVサブタイプAおよび/またはBによる感染後の疾患を予防する。一部の実施形態では、かかる方法は、RSV関連疾患(例えば、重症疾患)、例えば、肺炎および/または急性呼吸器疾患の発生に対して保護する。対象は、ヒト対象が含まれるがこれに限定されない任意の適切な哺乳動物対象であり得る。一部の実施形態では、対象は、ヒト小児、例えば、12か月齢未満の小児である。一部の実施形態では、対象は、例えば、約1~約3歳または約1~約5歳の、ヒトのよちよち歩きの幼児(toddler)である。一部の実施形態では、対象は、60歳よりも年上のヒト成人である。一部の実施形態では、対象は、65歳よりも年上のヒト成人である。特定の実施形態では、対象は、他者の支援に依存している、または重篤な健康上の懸念もしくはリスクを有する(例えば、フレイルの高齢者)。一部の実施形態では、対象は、18~60歳の健康な成人である。一部の実施形態では、対象は、18~45歳の健康な成人である。別の実施形態では、対象は、妊娠女性である。一部の実施形態では、対象は、免疫無防備状態のヒト成人である。一部の実施形態では、対象は、慢性基礎心臓および/もしくは肺疾患または機能的能力障害を被っているヒト成人である。一部の実施形態では、対象は、重症RSV疾患(例えば、LRTIまたは肺炎)のリスクがある。
【0090】
本明細書に提供される免疫原性組成物は、胎児をワクチン接種するために使用され得る。ある特定の不活化ワクチン、例えば、破傷風トキソイド、減量(reduced)ジフテリアトキソイドおよび無細胞百日咳(Tdap)ワクチンならびにインフルエンザワクチンの投与は、胎児において免疫を誘導するために、妊娠の間に推奨される。したがって、一部の実施形態では、胎児において免疫応答を生成する方法であって、有効量の本明細書に提供される免疫原性組成物を、当該胎児の母親に投与するステップを含む方法が、本明細書で提供される。免疫原性組成物は、妊娠中の任意の適切な時点で、例えば、妊娠の最終トリメスター中に、投与され得る。
【0091】
本明細書に提供される免疫原性組成物は、他の処置、例えば、他のワクチンと共に共投与され得る。したがって、一部の実施形態では、本明細書に提供される方法に従って処置される対象には、1つまたは複数の季節性またはパンデミックワクチン、例えば、インフルエンザワクチンまたはSARS-Cov2ワクチンもまた投与され得る。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法に従って処置される対象には、肺炎球菌、組換え帯状疱疹(帯状ヘルペス)またはTdapワクチンもまた投与され得る。1種、2種またはそれよりも多くのワクチンが、本明細書に提供される免疫原性組成物と共に共投与され得る。「共投与」は、同時発生的にならびに引き続く投与の両方を含む。例えば、1種、2種またはそれよりも多くのワクチンと本明細書に提供される免疫原性組成物とは、同日に投与され得る。一部の実施形態では、1種、2種またはそれよりも多くのワクチンと本明細書に提供される免疫原性組成物とは、1時間以内、2時間以内、3時間以内、4時間以内、5時間以内、6時間以内、8時間以内、10時間以内または12時間以内に投与される。
【0092】
別の態様では、RSV感染を被っている対象を処置する方法が、本明細書で提供される。本明細書で使用される場合、「処置する」または「処置すること」には、以下のうちの1つまたは複数を達成することが含まれるがこれらに限定されない:(a)対象においてRSV力価(例えば、RSV-A力価および/もしくはRSV-B力価)を低減させること;(b)対象においてRSV力価(例えば、RSV-A力価および/もしくはRSV-B力価)のあらゆる増加を制限すること;(c)RSV感染症状(例えば、RSV-A感染および/もしくはRSV-B感染)の重症度を低減させること;(d)RSV感染(例えば、RSV-A感染および/もしくはRSV-B感染)後の症状の発生を制限もしくは予防すること;(e)RSV感染(例えば、RSV-A感染および/もしくはRSV-B感染)の症状の悪化を阻害すること;(f)RSV感染(例えば、RSV-A感染および/もしくはRSV-B感染)について以前に症候性であった対象においてRSV感染(例えば、RSV-A感染および/もしくはRSV-B感染)の症状の再発を制限もしくは予防すること;および/または(e)生存。一部の実施形態では、ワクチン接種する方法は、対象がRSV(例えば、RSV-Aおよび/またはRSV-B)に感染するリスクを減少させる。一部の実施形態では、ワクチン接種する方法は、RSV感染(例えば、RSV-A感染および/またはRSV-B感染)の発生を制限する。一部の実施形態では、ワクチン接種する方法は、RSV感染(例えば、RSV-A感染および/またはRSV-B感染)の症状の重症度を減少させる。一部の実施形態では、RSVによる感染(例えば、RSV-Aおよび/またはRSV-Bによる感染)は、下部気道感染(LRTI)である。
【0093】
一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、対象においてRSV感染または病気(例えば、肺炎または急性呼吸器疾患)を予防するために使用され得る。本明細書で使用される場合、「予防する」または「予防すること」には、以下のうちの1つあるいは複数を達成することが含まれるがこれらに限定されない:(a)対象においてRSVによって引き起こされるもしくはRSVに関連する下部気道感染(LRTI)に対する保護を付与すると予期されるRSV(例えば、RSV-Aおよび/もしくはRSV-B)に対する免疫応答(抗体および/もしくは細胞ベースの、例えば、CD4 T細胞、メモリーB細胞および/もしくはCD8 T細胞)を対象において生成すること;(b)対象においてRSVによって引き起こされるもしくはRSVに関連するLRTIの重症度を低減させると予期されるRSV(例えば、RSV-Aおよび/もしくはRSV-B)に対する中和抗体を対象において生成すること;(c)対象のウイルスの力価における増加として、またはRSV感染の1つもしくは複数の症状における増加によって検出される、対象におけるRSVによって引き起こされるもしくはRSVに関連するLRTIを予防すること;(d)対象のウイルスの力価における増加として、またはRSV感染の1つもしくは複数の重症症状における増加によって検出される、対象におけるRSVによって引き起こされるもしくはRSVに関連する重症LRTIを予防すること;(e)対象の集団内のRSVによって引き起こされるもしくはRSVに関連するLRTIもしくは重症LRTIのリスクを低減させること;あるいは(f)対象の抗体応答(またはセロコンバージョン)を引き起こすこと、例えば、対象においてベースライン抗体レベルよりも少なくとも4倍高い、RSVに対する中和抗体を生成すること。予防は、ワクチンを投与した対象における免疫応答、特に保護の相関を、投与前の同じ対象(ベースラインと呼ばれる)、プラセボを投与した対象、または比較対象ワクチンを投与した対象と比較することによって、評価され得る。
【0094】
本明細書で使用される場合、RSV感染(例えば、RSV-A感染および/またはRSV-B感染)の発生を「制限すること」には、以下のうちの1つまたは複数を達成することを指す:(a)対象においてウイルス力価もしくは症状における増加を制限すると予期されるRSV(例えば、RSV-Aおよび/またはRSV-B)に対する免疫応答(抗体および/または細胞ベースの、例えば、CD4 T細胞、メモリーB細胞および/またはCD8 T細胞)を対象において生成すること;(b)対象においてウイルス力価もしくは症状における増加を制限すると予期されるレベルで、対象においてRSV(例えば、RSV-Aおよび/またはRSV-B)に対する中和抗体を生成すること;(c)タンパク質複合体を投与していない対象と比較して、RSV(例えば、RSV-Aおよび/またはRSV-B)への曝露後に、対象において低減されたRSV力価(例えば、RSV-Aおよび/またはRSV-B力価)を引き起こすこと;ならびに(d)RSV感染(例えば、RSV-A感染および/またはRSV-B感染)後の症状の低減された発生率または重症度を引き起こすこと。RSV感染の例示的な症状には、発熱、疲労、咳、鼻づまり、くしゃみ、息切れ、喘鳴および下部気道感染が含まれるがこれらに限定されない。
【0095】
本明細書に提供される方法は、RSV-Aサブタイプおよび/またはRSV-Bサブタイプによる感染の発生を予防または制限するために使用され得る。
【0096】
さらに、本明細書に提供される方法は、RSVの元の株による感染および/またはRSVのバリアント株による感染の発生を予防または制限するために使用され得る。バリアントRSV株の例には、限定なしに、RSV ON1、RSV NA1、RSV LBA1、RSV LBA2、RSV BA、RSV Long、RAV A2などが含まれる(例えば、Pandya et al., Pathogens 2019, 8(2), 67;およびMelero and Moore, Curr Top Microbiol Immunol. 2013; 372: 59-82を参照されたい)。本発明の医薬組成物は、いまだ記載も発見もされていないRSV株の感染を予防または制限する際に有効であり得る。
【0097】
呼吸器系ウイルスワクチンの臨床的有効性は、ワクチン接種した対象 対 対照対象におけるウイルス負荷またはRSV疾患の症状を測定するためのプラセボ対照臨床的有効性研究が含まれるがこれに限定されない、当該分野で公知の種々の手段によって評価され得る。保護の相関、例えば、中和抗体価(典型的には、幾何平均力価として表される)、ベースラインを上回る増加倍数(fold increase)(典型的には、幾何上昇倍数(geometric fold rise)として表される)、抗体応答率(中和抗体価における所定の閾値を上回る上昇倍数を達成する対象のパーセンテージ)もまた定義され得る。呼吸器疾患に対する臨床的有効性の直接的尺度および代理尺度に関するガイダンスは、例えば、Guidance for Industry: Clinical Data Needed to Support the Licensure of Seasonal Inactivated Influenza Vaccines. U.S. Food & Drug Administration (May 2007)およびRespiratory Syncytial Virus Infection: Developing Antiviral Drugs for Prophylaxis and Treatment Guidance for Industry. U.S. Food & Drug Administration (October 2017)において入手可能である。
【0098】
一部の実施形態では、本明細書に記載される方法は、RSV(例えば、RSV-Aおよび/またはRSV-B)に感染していることが既知ではない対象において免疫応答を生成し、免疫応答は、感染およびRSV(例えば、RSV-Aおよび/またはRSV-B)感染の症状の発生を制限するように機能する。一部の実施形態では、免疫応答は、RSV(例えば、RSV-Aおよび/またはRSV-B)に対する中和抗体および/または細胞ベースの応答の生成を含む。一部の実施形態では、免疫応答は、少なくとも1×10、少なくとも1×10、少なくとも1×10、少なくとも1×10、少なくとも1×10、少なくとも1×10または少なくとも1×10の幾何平均力価での、RSV Fタンパク質特異的(例えば、RSV-Aおよび/またはRSV-B Fタンパク質特異的)応答の生成を含む。さらなる実施形態では、免疫応答は、複数の抗原性エピトープまたはRSV(例えば、RSV-Aおよび/またはRSV-B)に対する抗体の生成を含む。
【0099】
一態様では、本明細書に提供される方法は、対象において抗体価における増加、例えば、RSV-A特異的中和抗体、RSV-B特異的中和抗体、RSV F-タンパク質特異的IgG抗体および/またはRSV F-タンパク質特異的中和抗体における増加を生じ得る。抗体価は、限定なしに、結合酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、酵素結合免疫吸着スポット(enzyme-linked immune absorbent spot)(ELISpot)、競合ELISA、免疫沈降、イムノブロッティングおよび凝集アッセイが含まれる、当該分野で公知のまたは本明細書に記載される任意の適切なアッセイを使用して、決定され得る。
【0100】
一部の実施形態では、中和またはマイクロ中和(MN)アッセイは、本明細書に記載されるタンパク質複合体の投与後の、対象における中和抗体における増加を測定するために使用され得る。マイクロ中和は、小型化されたフォーマット、例えば、96ウェルプレートで実施される中和を指す。(マイクロ)中和アッセイは、抗体(例えば、精製された抗体、血清または血漿)によるウイルスの阻害について試験するために使用される。アッセイは、ウイルスをin vitroで中和することができる、試料中に存在する抗体のレベルを測定する。一般に、臨床的試料についてのマイクロ中和アッセイは、固定濃度のウイルスと混合した血清の連続希釈を用いて実施される。(マイクロ)中和アッセイを実施するための方法は、周知である。例示的なマイクロ中和アッセイは、記載されている。例えば、van Baalen et al. Vaccine 35 (2017) 46-52を参照されたい。
【0101】
RSVに対して特異的な中和抗体が試料中に存在する場合、ウイルスは中和され、細胞(例えば、HEp-2細胞)の感染は阻害される。ウイルス感染を示す免疫蛍光レベルは、例えば、感染細胞の自動化計数のためのBioSpot(登録商標)分析ソフトウェアを備えたCTL ImmunoSpot(登録商標)UV分析器を使用して、分析され得る。結果は一般に、国際単位/ミリリットル(IU/mL)で報告される。マイクロ中和アッセイの検証および規格化は、以下の実施例に記載される。
【0102】
一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、ベースラインと比較して、約1倍~約3倍、約3倍~約4倍、約4倍~約5倍、約5倍~約6倍、約6倍~約7倍、約7倍~約8倍、約8倍~約9倍、約9倍~約10倍、約10倍~約12倍、約12倍~約15倍、約15倍~約20倍、約20倍~約25倍、約25倍~約30倍、約30倍~約40倍、約40倍~約50倍、約50倍~約60倍、約60倍~約70倍、約70倍~約80倍、約80倍~約90倍、約90倍~約100倍の、または約100倍よりも高い、抗体(例えば、RSV-A特異的中和抗体、RSV-B特異的中和抗体、RSV F-タンパク質特異的IgG抗体、RSV F-タンパク質特異的中和抗体および/またはヒトメタニューモウイルスに対する抗体)における増加を生じる。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、ベースラインと比較して、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍または少なくとも約25倍の、抗体における増加(例えば、RSV-A特異的中和抗体、RSV-B特異的中和抗体、RSV F-タンパク質特異的IgG抗体、RSV F-タンパク質特異的中和抗体および/またはヒトメタニューモウイルスに対する抗体における増加)を生じる。
【0103】
「ベースライン」は、本明細書に提供される免疫原性組成物の第1の用量の投与の直前の、抗体の測定値を意味する。一部の実施形態では、ベースラインと比較した、抗体(例えば、RSV-A特異的中和抗体、RSV-B特異的中和抗体、RSV F-タンパク質特異的IgG抗体、RSV F-タンパク質特異的中和抗体および/またはヒトメタニューモウイルスに対する抗体)における増加は、免疫原性組成物の投与の約3日~約7日、約1週間~約2週間、約2週間~約3週間、約3週間~約4週間、約4週間~約5週間、約5週間~約6週間、約6週間~約7週間、約7週間~約8週間、約8週間~約9週間、約9週間~約10週間、約10週間~約11週間、約11週間~約12週間、約3か月~約4か月、約4か月~約5か月、約5か月~約6か月、約6か月~約9か月、約9か月~約12か月、約12か月~約18か月、約18か月~約24か月、約2年~約3年、約3年~約4年、約4年~約5年または約5年~約10年以内に検出可能である。一部の実施形態では、ベースラインと比較した、抗体における増加(例えば、RSV-A特異的中和抗体、RSV-B特異的中和抗体、RSV F-タンパク質特異的IgG抗体、RSV F-タンパク質特異的中和抗体および/またはヒトメタニューモウイルスに対する抗体における増加)は、免疫原性組成物の投与の約2週間以内、約3週間以内、約4週間以内、約5週間以内、約6週間以内、約7週間以内、約8週間以内、約9週間以内、約10週間以内、約11週間以内または約12週間以内に検出可能である。
【0104】
別の態様では、本明細書に提供される方法は、対象における免疫細胞における増加、例えば、RSV F-タンパク質特異的メモリーB細胞および/またはRSV F-タンパク質特異的T細胞における増加を生じ得る。メモリーB細胞および/またはT細胞は、RSV-A Fタンパク質もしくはRSV-B Fタンパク質に対して特異的であり得る、または両方と反応性であり得る。対象における免疫細胞の数は、限定なしに、FACSおよびフローサイトメトリーが含まれる、当該分野で公知のまたは本明細書に記載される任意の適切なアッセイを使用して、決定され得る。
【0105】
一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、ベースラインと比較して、約1倍~約3倍、約3倍~約4倍、約4倍~約5倍、約5倍~約6倍、約6倍~約7倍、約7倍~約8倍、約8倍~約9倍、約9倍~約10倍、約10倍~約12倍、約12倍~約15倍、約15倍~約20倍、約20倍~約25倍、約25倍~約30倍、約30倍~約40倍、約40倍~約50倍、約50倍~約60倍、約60倍~約70倍、約70倍~約80倍、約80倍~約90倍、約90倍~約100倍の、または約100倍よりも高い、免疫細胞における増加(例えば、RSV F-タンパク質特異的メモリーB細胞および/またはRSV F-タンパク質特異的T細胞における増加)を生じる。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、対象における免疫細胞における増加、例えば、RSV F-タンパク質特異的メモリーB細胞および/またはRSV F-タンパク質特異的T細胞における増加を生じる。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、ベースラインと比較して、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍または少なくとも約25倍の、免疫細胞における増加(例えば、RSV F-タンパク質特異的メモリーB細胞および/またはRSV F-タンパク質特異的T細胞における増加)を生じる。メモリーB細胞および/またはT細胞は、RSV-A Fタンパク質もしくはRSV-B Fタンパク質に対して特異的であり得る、または両方と反応性であり得る。
【0106】
一部の実施形態では、ベースラインと比較した、免疫細胞における増加(例えば、RSV F-タンパク質特異的メモリーB細胞および/またはRSV F-タンパク質特異的T細胞における増加)は、免疫原性組成物の投与の約3日~約7日、約1週間~約2週間、約2週間~約3週間、約3週間~約4週間、約4週間~約5週間、約5週間~約6週間、約6週間~約7週間、約7週間~約8週間、約8週間~約9週間、約9週間~約10週間、約10週間~約11週間、約11週間~約12週間、約3か月~約4か月、約4か月~約5か月、約5か月~約6か月、約6か月~約9か月、約9か月~約12か月、約12か月~約18か月、約18か月~約24か月、約2年~約3年、約3年~約4年、約4年~約5年または約5年~約10年以内に検出可能である。一部の実施形態では、ベースラインと比較した、免疫細胞における増加(例えば、RSV F-タンパク質特異的メモリーB細胞および/またはRSV F-タンパク質特異的T細胞における増加)は、免疫原性組成物の投与の約2週間以内、約3週間以内、約4週間以内、約5週間以内、約6週間以内、約7週間以内、約8週間以内、約9週間以内、約10週間以内、約11週間以内または約12週間以内に検出可能である。メモリーB細胞および/またはT細胞は、RSV-A Fタンパク質もしくはRSV-B Fタンパク質に対して特異的であり得る、または両方と反応性であり得る。
【0107】
本明細書で使用される場合、「有効量」は、RSV感染(例えば、RSV-A感染および/またはRSV-B感染)を処置および/または制限するのに有効な、免疫原性組成物の量を指す。本明細書の任意の実施形態のポリペプチド、ウイルス様粒子、組成物、核酸、医薬組成物またはワクチンは、典型的には、上で開示されたものなどの医薬組成物として製剤化され、従来の薬学的に許容される担体、アジュバントおよびビヒクルを含有する投薬単位製剤中で、鼻内、舌下、経口、非経口、吸入スプレーによる、直腸、または外用が含まれる任意の適切な経路を介して投与され得る。非経口という用語は、本明細書で使用される場合、皮下、静脈内、動脈内、筋肉内、胸骨内、腱内(intratendinous)、脊髄内、頭蓋内、胸腔内、注入技法または腹腔内で、を含む。ポリペプチド組成物は、適切な組織(例えば、血液)中に導入されたミクロスフェア、リポソーム、免疫刺激複合体(ISCOM)、または他の微粒子状送達系もしくは持続放出製剤を介しても投与され得る。
【0108】
投薬量レジメンは、最適な所望の応答(例えば、治療的または予防的応答)を提供するために調整され得る。適切な投与量範囲は、例えば、0.1μg/kg~0.5μg/kg体重、0.5μg/kg~1μg体重、1μg/kg~2μg/kg体重、2μg/kg~3μg/kg体重、3μg/kg~4μg/kg体重、4μg/kg~5μg/kg体重、5μg/kg~6μg/kg体重、6μg/kg~7μg/kg体重、7μg/kg~8μg/kg体重、8μg/kg~9μg/kg体重、9μg/kg~10μg/kg体重、10μg/kg~15μg/kg体重、15μg/kg~20μg/kg体重、20μg/kg~25μg/kg体重、25μg/kg~30μg/kg体重、30μg/kg~35μg/kg体重、35μg/kg~40μg/kg体重、40μg/kg~45μg/kg体重、45μg/kg~50μg/kg体重、50μg/kg~55μg/kg体重、55μg/kg~60μg/kg体重、60μg/kg~65μg/kg体重、65μg/kg~70μg/kg体重、70μg/kg~75μg/kg体重、75μg/kg~80μg/kg体重、80μg/kg~85μg/kg体重、85μg/kg~90μg/kg体重、90μg/kg~95μg/kg体重、95μg/kg~100μg/kg体重、100μg/kg~150μg体重、150μg/kg~200μg体重、200μg/kg~250μg/kg体重、250μg/kg~300μg/kg体重、300μg/kg~350μg/kg体重、350μg/kg~400μg/kg体重、400μg/kg~450μg/kg体重、450μg/kg~500μg体重、500μg/kg~550μg体重、550μg/kg~600μg体重、600μg/kg~650μg体重、650μg/kg~700μg体重、700μg/kg~750μg/kg体重、750μg/kg~800μg/kg体重、800μg/kg~850μg/kg体重、850μg/kg~900μg/kg体重、900μg/kg~950μg/kg体重、950μg/kg~1mg/kg体重、1mg/kg~2mg/kg体重、2mg/kg~3mg/kg体重、3mg/kg~4mg/kg体重、4mg/kg~5mg/kg体重、5mg/kg~6mg/kg体重、6mg/kg~7mg/kg体重、7mg/kg~8mg/kg体重、8mg/kg~90mg/kg体重、90mg/kg~100mg/kg体重、100mg/kg~150mg/kg体重、150mg/kg~200mg/kg体重、200mg/kg~250mg/kg体重、250mg/kg~300mg/kg体重、300mg/kg~350mg/kg体重、350mg/kg~400mg/kg体重、400mg/kg~450mg/kg体重、450mg/kg~500mg/kg体重、500mg/kg~550mg/kg体重、550mg/kg~600mg/kg体重、600mg/kg~650mg/kg体重、650mg/kg~700mg/kg体重、700mg/kg~750mg/kg体重、750mg/kg~800mg/kg体重、800mg/kg~850mg/kg体重、850mg/kg~900mg/kg体重、900mg/kg~950mg/kg体重、または950mg/kg~1g/kgのポリペプチドまたはそのウイルス様粒子であり得る。
【0109】
組成物は、単一のボーラスで送達され得るか、または担当の医療従事者によって決定されるように、1回よりも多く(例えば、2回、3回、4回、5回またはそれよりも多くの回数)投与され得る。一部の実施形態では、約1μg、約2μg、約3μg、約4μg、約5μg、約10μg、約15μg、約20μg、約25μg、約30μg、約35μg、約40μg、約45μg、約50μg、約55μg、約60μg、約65μg、約70μg、約75μg、約80μg、約85μg、約90μg、約100μg、約125μg、約150μg、約175μg、約200μg、約225μg、約250μg、約275μg、約300μg、約325μg、約350μg、約375μg、約400μg、約425μg、約450μg、約475μg、または約500μgのポリペプチドまたはそのウイルス様粒子が投与される。一部の実施形態では、約5μg~約10μg、約10μg~約15μg、約15μg~約20μg、約20μg~約30μg、約30μg~約40μg、約40μg~約50μg、約50μg~約60μg、約60μg~約70μg、約70μg~約80μg、約80μg~約90μg、約90μg~約100μg、約100μg~約110μg、約110μg~約120μg、約120μg~約130μg、約130μg~約140μg、約140μg~約150μg、約150μg~約200μg、約200μg~約250μg、約250μg~約300μg、約300μg~約350μg、約350μg~約400μg、約400μg~約450μg、または約450μg~約500μgのポリペプチドまたはそのウイルス様粒子が投与される。
【0110】
一部の実施形態では、約10μg~約100μg、約10μg~約150μg、約10μg~約200μg、約10μg~約250μg、約10μg~約300μg、約10μg~約350μg、約10μg~約400μg、約10μg~約450μg、または約10μg~約500μgのタンパク質複合体が投与される。
【0111】
一部の実施形態では、約25μg~約100μg、約25μg~約150μg、約25μg~約200μg、約25μg~約250μg、約25μg~約300μg、約25μg~約350μg、約25μg~約400μg、約25μg~約450μg、または約25μg~約500μgのタンパク質複合体が投与される。
【0112】
一部の実施形態では、約50μg~約100μg、約50μg~約150μg、約50μg~約200μg、約50μg~約250μg、約50μg~約300μg、約50μg~約350μg、約50μg~約400μg、約50μg~約450μg、または約50μg~約500μgのタンパク質複合体が投与される。
【0113】
一部の実施形態では、約5μg~約150μg、約10μg~約150μg、約25μg~約150μg、約50μg~約150μg、約75μg~約150μg、約100μg~約150μg、または約125μg~約150μgのタンパク質複合体が投与される。
【0114】
一部の実施形態では、約5μg~約125μg、約10μg~約125μg、約25μg~約125μg、約50μg~約125μg、約75μg~約125μg、または約100μg~約125μgのタンパク質複合体が投与される。
【0115】
一部の実施形態では、約5μg~約100μg、約10μg~約100μg、約25μg~約100μg、約50μg~約100μg、または約75μg~約100μgのタンパク質複合体が投与される。
【0116】
一部の実施形態では、約5μg~約75μg、約10μg~約75μg、約25μg~約75μg、または約50μg~約75μgのタンパク質複合体が投与される。
【0117】
一部の実施形態では、約5μg~約50μg、約10μg~約50μg、または約25μg~約50μgのタンパク質複合体が投与される。
【0118】
一部の実施形態では、約1μg~約5μg、約5μg~約10μg、約10μg~約15μg、または約15μg~約25μgのタンパク質複合体が投与される。
【0119】
一部の実施形態では、約1μg~約5μg、約1μg~約10μg、約1μg~約15μg、約1μg~約20μg、約1μg~約25μg、約1μg~約50μg、または約1μg~約75μgのタンパク質複合体が投与される。
【0120】
一部の実施形態では、1μg~5μg、1μg~10μg、1μg~15μg、1μg~20μg、1μg~25μg、1μg~50μg、または1μg~75μgのタンパク質複合体が投与される。
【0121】
一部の実施形態では、約5μg~約10μg、約5μg~約15μg、約5μg~約20μg、約5μg~約25μg、約5μg~約50μg、または約5μg~約75μgのタンパク質複合体が投与される。
【0122】
一部の実施形態では、5μg~10μg、5μg~15μg、5μg~20μg、5μg~25μg、5μg~50μg、または5μg~75μgのタンパク質複合体が投与される。
【0123】
一部の実施形態では、約10μg~約15μg、約10μg~約20μg、約10μg~約25μg、約10μg~約50μg、または約10μg~約75μgのタンパク質複合体が投与される。
【0124】
一部の実施形態では、10μg~15μg、10μg~20μg、10μg~25μg、10μg~50μg、または10μg~75μgのタンパク質複合体が投与される。
【0125】
一部の実施形態では、約25μg~約50μg、または約25μg~約75μgのタンパク質複合体が投与される。
【0126】
一部の実施形態では、25μg~50μg、または25μg~75μgのタンパク質複合体が投与される。
【0127】
一部の実施形態では、約50μg~約75μgのタンパク質複合体が投与される。
【0128】
一部の実施形態では、50μg~75μgのタンパク質複合体が投与される。
【0129】
一部の実施形態では、医薬組成物の単位用量は、最大で1μg、最大で2.5μg、最大で5μg、最大で7.5μg、最大で10μg、最大で12.5μg、最大で15μg、最大で17.5μg、最大で20μg、最大で22.5μg、または最大で25μgのタンパク質複合体を含み、タンパク質複合体は、60コピー(20トリマー)のDS-Cav1-I53-50AまたはDS-Cav1-I53-50AΔcysおよび60コピー(12ペンタマー)のI53-50B、I53-50B.1、I53-50B.1NegT2またはI53-50B.4PosT1を含む。
【0130】
一部の実施形態では、本開示の方法は、最大で1μg、最大で2.5μg、最大で5μg、最大で7.5μg、最大で10μg、最大で12.5μg、最大で15μg、最大で17.5μg、最大で20μg、最大で22.5μg、または最大で25μgのタンパク質複合体を投与することを含み、タンパク質複合体は、60コピー(20トリマー)のDS-Cav1-I53-50AまたはDS-Cav1-I53-50AΔcysおよび60コピー(12ペンタマー)のI53-50B、I53-50B.1、I53-50B.1NegT2またはI53-50B.4PosT1を含む。
【0131】
一部の実施形態では、医薬組成物の単位用量は、1μg、2.5μg、5μg、7.5μg、10μg、12.5μg、15μg、17.5μg、20μg、22.5μg、または25μgのタンパク質複合体を含み、タンパク質複合体は、60コピー(20トリマー)のDS-Cav1-I53-50AまたはDS-Cav1-I53-50AΔcysおよび60コピー(12ペンタマー)のI53-50B、I53-50B.1、I53-50B.1NegT2またはI53-50B.4PosT1を含む。
【0132】
一部の実施形態では、本開示の方法は、1μg、2.5μg、5μg、7.5μg、10μg、12.5μg、15μg、17.5μg、20μg、22.5μg、または25μgのタンパク質複合体を投与することを含み、タンパク質複合体は、60コピー(20トリマー)のDS-Cav1-I53-50AまたはDS-Cav1-I53-50AΔcysおよび60コピー(12ペンタマー)のI53-50B、I53-50B.1、I53-50B.1NegT2またはI53-50B.4PosT1を含む。
【0133】
一部の実施形態では、約1μg~約5μg、約1μg~約10μg、約1μg~約15μg、約1μg~約20μg、約1μg~約25μg、約1μg~約50μg、または約1μg~約75μgのタンパク質複合体が投与され、タンパク質複合体は、60コピー(20トリマー)のDS-Cav1-I53-50AまたはDS-Cav1-I53-50AΔcysおよび60コピー(12ペンタマー)のI53-50B、I53-50B.1、I53-50B.1NegT2またはI53-50B.4PosT1を含む。
【0134】
一部の実施形態では、1μg~5μg、1μg~10μg、1μg~15μg、1μg~20μg、1μg~25μg、1μg~50μg、または1μg~75μgのタンパク質複合体が投与され、タンパク質複合体は、60コピー(20トリマー)のDS-Cav1-I53-50AまたはDS-Cav1-I53-50AΔcysおよび60コピー(12ペンタマー)のI53-50B、I53-50B.1、I53-50B.1NegT2またはI53-50B.4PosT1を含む。
【0135】
一部の実施形態では、約5μg~約10μg、約5μg~約15μg、約5μg~約20μg、約5μg~約25μg、約5μg~約50μg、または約5μg~約75μgのタンパク質複合体が投与され、タンパク質複合体は、60コピー(20トリマー)のDS-Cav1-I53-50AまたはDS-Cav1-I53-50AΔcysおよび60コピー(12ペンタマー)のI53-50B、I53-50B.1、I53-50B.1NegT2またはI53-50B.4PosT1を含む。
【0136】
一部の実施形態では、5μg~10μg、5μg~15μg、5μg~20μg、5μg~25μg、5μg~50μg、または5μg~75μgのタンパク質複合体が投与され、タンパク質複合体は、60コピー(20トリマー)のDS-Cav1-I53-50AまたはDS-Cav1-I53-50AΔcysおよび60コピー(12ペンタマー)のI53-50B、I53-50B.1、I53-50B.1NegT2またはI53-50B.4PosT1を含む。
【0137】
一部の実施形態では、約10μg~約15μg、約10μg~約20μg、約10μg~約25μg、約10μg~約50μg、または約10μg~約75μgのタンパク質複合体が投与され、タンパク質複合体は、60コピー(20トリマー)のDS-Cav1-I53-50AまたはDS-Cav1-I53-50AΔcysおよび60コピー(12ペンタマー)のI53-50B、I53-50B.1、I53-50B.1NegT2またはI53-50B.4PosT1を含む。
【0138】
一部の実施形態では、10μg~15μg、10μg~20μg、10μg~25μg、10μg~50μg、または10μg~75μgのタンパク質複合体が投与され、タンパク質複合体は、60コピー(20トリマー)のDS-Cav1-I53-50AまたはDS-Cav1-I53-50AΔcysおよび60コピー(12ペンタマー)のI53-50B、I53-50B.1、I53-50B.1NegT2またはI53-50B.4PosT1を含む。
【0139】
一部の実施形態では、10μgのタンパク質複合体が投与され、タンパク質複合体は、60コピー(20トリマー)のDS-Cav1-I53-50AまたはDS-Cav1-I53-50AΔcysおよび60コピー(12ペンタマー)のI53-50B、I53-50B.1、I53-50B.1NegT2またはI53-50B.4PosT1を含む。
【0140】
一部の実施形態では、25μgのタンパク質複合体が投与され、タンパク質複合体は、60コピー(20トリマー)のDS-Cav1-I53-50AまたはDS-Cav1-I53-50AΔcysおよび60コピー(12ペンタマー)のI53-50B、I53-50B.1、I53-50B.1NegT2またはI53-50B.4PosT1を含む。
【0141】
一部の実施形態では、75μgのタンパク質複合体が投与され、タンパク質複合体は、60コピー(20トリマー)のDS-Cav1-I53-50AまたはDS-Cav1-I53-50AΔcysおよび60コピー(12ペンタマー)のI53-50B、I53-50B.1、I53-50B.1NegT2またはI53-50B.4PosT1を含む。
【0142】
一部の実施形態では、100μgのタンパク質複合体が投与され、タンパク質複合体は、60コピー(20トリマー)のDS-Cav1-I53-50AまたはDS-Cav1-I53-50AΔcysおよび60コピー(12ペンタマー)のI53-50B、I53-50B.1、I53-50B.1NegT2またはI53-50B.4PosT1を含む。
【0143】
一部の実施形態では、250μgのタンパク質複合体が投与され、タンパク質複合体は、60コピー(20トリマー)のDS-Cav1-I53-50AまたはDS-Cav1-I53-50AΔcysおよび60コピー(12ペンタマー)のI53-50B、I53-50B.1、I53-50B.1NegT2またはI53-50B.4PosT1を含む。
【0144】
タンパク質複合体およびその医薬組成物は、単一用量スケジュールまたは複数用量スケジュールで投与され得る。複数用量は、一次免疫化スケジュールにおいて使用され得る。複数用量スケジュールでは、種々の用量は、同じまたは異なる経路、例えば、非経口プライムおよび粘膜ブースト、粘膜プライムおよび非経口ブーストなどによって与えられ得る。一部の実施形態では、複数用量レジメンの第2の用量は、先の用量の約2週間、約3週間、約4週間、約5週間または約6週間後に投与される。実施形態では、各引き続く用量は、先の用量の投与の3週間後に投与される。実施形態では、第1の用量は、0日目に投与され、第2の用量は、21日目に投与される。実施形態では、第1の用量は、0日目に投与され、第2の用量は、28日目に投与される。
【0145】
複数用量のブーストが、異種ブースト免疫化スケジュールにおいて使用され得る。例えば、一次ワクチンの1つまたは複数の用量が投与され得、その後ブーストワクチンの1回よりも多くの投与が続き得る。複数用量ブーストスケジュールでは、種々のブースト用量は、同じまたは異なる経路、例えば、非経口プライムおよび粘膜ブースト、粘膜プライムおよび非経口ブーストなどによって与えられ得る。一部の実施形態では、複数用量ブーストレジメンの第2の用量は、先の用量の約2週間、約3週間、約4週間、約5週間または約6週間後に投与される。一部の実施形態では、各引き続く用量は、先の用量の投与の3週間後に投与される。一部の実施形態では、第1のブースト用量は、0日目に投与され、第2のブースト用量は、21日目に投与される。一部の実施形態では、第1のブースト用量は、0日目に投与され、第2のブースト用量は、28日目に投与される。一部の実施形態では、第1のブースト用量は、0日目に投与され、第2のブースト用量は、3か月で投与される。
【0146】
一部の実施形態では、本明細書に提供される免疫原性組成物は、別のRSVワクチン、例えば、生弱毒RSVワクチン、RSV-AワクチンおよびRSV-Bワクチン、または二価RSV-A/Bワクチンのブースターとして投与される。一部の実施形態では、投与は、免疫原性組成物の第1の用量および第2の用量を投与するステップを含み、第2の用量は、第1の用量が投与された約2週間~約12週間後または約4週間~約12週間後に投与される。種々のさらなる実施形態では、第2の用量は、第1の用量の約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12週間、約1か月、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約9か月、約12か月、約18か月、約2年、約3年、約4年または約5年後に投与される。別の実施形態では、3つの用量が投与され得、第2の用量は、第1の用量の約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12週間、約1か月、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約9か月、約12か月、約18か月、約2年、約3年、約4年または約5年後に投与され得、第3の用量は、第2の用量の約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12週間、約1か月、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約9か月、約12か月、約18か月、約2年、約3年、約4年または約5年後に投与され得る。第2の用量は、RSVブースター用量であり得る。
【0147】
一部の実施形態では、免疫原性組成物の2つよりも多くの用量が投与される。一部の実施形態では、免疫原性組成物の第1の用量と第2の用量とは、互いに約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12週間、約1か月、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約9か月または約12か月以内に投与され、第3の用量が、第2の用量の約1年、約2年、約3年、約4年または約5年後に投与される。一部の実施形態では、免疫原性組成物の第1の用量と第2の用量とは、互いに約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12週間、約1か月、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約9か月または約12か月以内に投与され、引き続く用量が、約1、2、3、4または5年の定期的な間隔で、投与される。
【0148】
一部の実施形態では、対象は、RSV(例えば、RSV-Aおよび/またはRSV-B)に以前に感染したことがある。方法の別の実施形態では、対象は、本明細書に提供される医薬組成物が投与される時点で、RSV(例えば、RSV-Aおよび/またはRSV-B)に感染しており、投与するステップは、対象におけるRSV感染(例えば、RSV-A感染および/またはRSV-B感染)を処置するRSV(例えば、RSV-Aおよび/またはRSV-B)に対する免疫応答を対象において惹起する。方法が、RSV感染(例えば、RSV-A感染および/またはRSV-B感染)を処置することを含む場合、免疫原性組成物は、RSV(例えば、RSV-Aおよび/またはRSV-B)に既に感染している対象、および/または対象がRSV(例えば、RSV-Aおよび/またはRSV-B)に感染している可能性が高いことを示す症状(例えば、上記)を被っている対象に投与される。
【0149】
RSV感染(例えば、RSV-A感染および/またはRSV-B感染)は、当該分野で公知の任意のPCRベースの試験または抗原ベースの試験を使用して診断され得る。一部の実施形態では、対象は、RSVに対する抗体を有する。抗RSV抗体(例えば、RSV-A抗体および/またはRSV-B抗体)は、当該分野で公知の任意の血清学的試験を使用して検出され得る。一部の実施形態では、本明細書で開示される組成物および方法は、高齢者において、RSVサブタイプAおよびBによる感染後の疾患を予防する。
【0150】
本開示のタンパク質複合体および医薬組成物は、異種プライム-ブーストワクチン接種のためにも使用され得る。一部の実施形態では、方法は、別のワクチン、例えば、異種プライムワクチンの約2週間~約12週間後または約4週間~約12週間後に、タンパク質複合体またはその医薬組成物を投与するステップを含む。さらなる実施形態では、医薬組成物は、他のワクチンの約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12週間、約1か月、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約9か月、約12か月、約18か月、約2年、約3年、約4年または約5年後に投与される。さらなる実施形態では、タンパク質複合体またはその医薬組成物は、以前のワクチンの約2か月もしくはそれよりも長い期間後、約3か月もしくはそれよりも長い期間後、約4か月もしくはそれよりも長い期間後、約5か月もしくはそれよりも長い期間後、約6か月もしくはそれよりも長い期間後、約8か月もしくはそれよりも長い期間後、約10か月もしくはそれよりも長い期間後、または約12か月もしくはそれよりも長い期間後に投与される。一部の実施形態では、方法は、別のワクチンの約2か月~約8か月後または約2か月~約6か月後に、タンパク質複合体またはその医薬組成物を投与するステップを含む。第1の(プライム)ワクチンと第2の(ブースト)ワクチンとの間の間隔は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12か月、または任意の他の適切な間隔であり得る。プライムワクチンは、複数用量の同じワクチンを含み得、異種ブーストワクチンは、適切な間隔で投与される、複数用量の同じ異種ワクチンを含み得る。
【0151】
変形形態では、方法は、タンパク質複合体またはその医薬組成物を、無期限に、例えば、一定の間隔にわたって投与するステップを含み得る。例えば、一定の間隔には、3か月毎、6か月毎、12か月毎、18か月毎または24か月毎が含まれ得る。一部の実施形態では、抗原のポリペプチド配列は、抗原ドリフトを相殺するように改変され得る。
【0152】
本開示のタンパク質複合体および医薬組成物は、同種プライム-ブーストワクチン接種(例えば、同じワクチンの一次レジメン後にブースター用量を投与する)のためにも使用され得る。一部の実施形態では、方法は、別のワクチン、例えば、異種プライムワクチンの約2週間~約12週間後または約4週間~約12週間後に、タンパク質複合体またはその医薬組成物を投与するステップを含む。さらなる実施形態では、医薬組成物は、他のワクチンの約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12週間、約1か月、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約9か月、約12か月、約18か月、約2年、約3年、約4年または約5年後に投与される。さらなる実施形態では、タンパク質複合体またはその医薬組成物は、以前のワクチンの約2か月もしくはそれよりも長い期間後、約3か月もしくはそれよりも長い期間後、約4か月もしくはそれよりも長い期間後、約5か月もしくはそれよりも長い期間後、約6か月もしくはそれよりも長い期間後、約8か月もしくはそれよりも長い期間後、約10か月もしくはそれよりも長い期間後、または約12か月もしくはそれよりも長い期間後に投与される。一部の実施形態では、方法は、別のワクチンの約2か月~約8か月後または約2か月~約6か月後に、タンパク質複合体またはその医薬組成物を投与するステップを含む。第1の(プライム)ワクチンと第2の(ブースト)ワクチンとの間の間隔は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12か月、または任意の他の適切な間隔であり得る。プライムワクチンは、複数用量の同じワクチンを含み得、同種ブーストワクチンは、適切な間隔で投与される、複数用量の同種ワクチンを含み得る。一部の実施形態では、方法は、継続的に、例えば、一定の間隔にわたって、タンパク質複合体またはその医薬組成物を投与するステップを含む。例えば、一定の間隔には、3か月毎、6か月毎、12か月毎、18か月毎または24か月毎が含まれ得る。
【0153】
本開示は、本明細書に記載されるタンパク質複合体または医薬組成物と一緒に、タンパク質、DNA、mRNA、不活化ウイルスまたはウイルスベクターワクチンが含まれるがこれらに限定されない任意の公知のまたは引き続いて開発されるワクチンを使用するプライム-ブースト戦略をさらに提供する。例えば、本明細書に記載されるタンパク質複合体は、別のワクチンによる異種ブーストが後に続く一次ワクチンとして使用され得る。必要に応じて、対象は、本明細書に記載されるタンパク質複合体によるさらなるワクチン接種を受け得る。他の変形形態では、別のワクチンが一次ワクチンとして使用され、本明細書に記載されるタンパク質複合体は、一次ワクチンに対する応答をブーストするために、1または複数回投与される。
【0154】
キット
本開示は、本開示のウイルス様粒子および組成物を調製するために使用され得るキットをさらに提供する。一部の実施形態では、本明細書で提供されるキットは、本明細書で開示される第1の成分および第2の成分、ならびに本開示の方法における使用に関する指示を含む。一部の実施形態では、キットは、本明細書で開示される1つまたは複数の単位用量、および本開示の方法における使用に関する指示を含む。一部の実施形態では、キットは、本明細書で提供される医薬組成物の単一用量を含むバイアルを含む。一部の実施形態では、キットは、本明細書で提供される複数用量を含むバイアルを含む。一部の実施形態では、キットは、医薬組成物の使用に関する指示をさらに含む。一部の実施形態では、キットは、投与の前に医薬組成物の希釈物を調製するための希釈剤をさらに含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、アジュバントを含む。一部の実施形態では、キットは、医薬組成物、およびアジュバントを含み、これらは投与の前に混合されなければならない。
【0155】
列挙された実施形態
本開示は、以下の列挙された実施形態を提供する:
【0156】
1.RSV Fタンパク質および第1のマルチマー化ドメインを含む第1の成分を含むタンパク質複合体と、1つまたは複数の薬学的に許容される希釈剤または賦形剤とを含む、医薬組成物。
【0157】
2.タンパク質複合体が、2、3、4、5またはそれよりも多くのコピーの第1の成分を含む、実施形態1に記載の医薬組成物。
【0158】
3.タンパク質複合体が、第2のマルチマー化ドメインを含む第2の成分を含む、実施形態1または実施形態2に記載の医薬組成物。
【0159】
4.タンパク質複合体が、2、3、4、5またはそれよりも多くのコピーの第2の成分を含む、実施形態3に記載の医薬組成物。
【0160】
5.タンパク質複合体が、第3のマルチマー化ドメインを含む第3の成分を含む、実施形態1から4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0161】
6.タンパク質複合体が、2、3、4、5またはそれよりも多くのコピーの第1の成分を含む、実施形態5に記載の医薬組成物。
【0162】
7.タンパク質複合体が、ナノ構造体、ナノ粒子、またはタンパク質ベースのウイルス様粒子である、実施形態1から6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0163】
8.タンパク質複合体の成分が、二面体対称群(dihedral symmetry group)を形成する対称作用素のセットに従って配置される、実施形態1から7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0164】
9.タンパク質複合体の成分が、周期対称群(cyclic symmetry group)を形成する対称作用素のセットに従って配置される、実施形態1から8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0165】
10.タンパク質複合体が、正二十面体タンパク質複合体である、実施形態1から9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0166】
11.タンパク質複合体が、四面体タンパク質複合体である、実施形態1から9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0167】
12.タンパク質複合体が、八面体タンパク質複合体である、実施形態1から9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0168】
13.第1のマルチマー化ドメインがトリマー化ドメインであり、および/または第2のマルチマー化ドメインがペンタマー化ドメインである、実施形態1から12に記載の医薬組成物。
【0169】
14.タンパク質複合体が、20コピーの第1の成分および12コピーの第2の成分を含む、実施形態2から13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0170】
15.RSV Fタンパク質が、配列番号14、34および35のうちのいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一なアミノ酸配列を含む、実施形態1から14のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0171】
16.第1のマルチマー化ドメインが、配列番号24および30~31のうちのいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%同一なアミノ酸配列を含む;ならびに/または第2のマルチマー化ドメインが、配列番号22~23、25~29および32のうちのいずれか1つから選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%もしくは少なくとも100%同一なアミノ酸配列を含む、実施形態1から15のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0172】
17.第1の成分が、配列番号6に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一なアミノ酸配列を含む;および
【0173】
第2の成分が、配列番号26に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一なアミノ酸配列を含む
実施形態1から16のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0174】
18.水中油アジュバントを含む、実施形態1から17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0175】
19.水酸化アルミニウム-アジュバントを含む、実施形態1から17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0176】
20.実施形態1から19のいずれか一項に記載の医薬組成物の単位用量であって、約0.5μgと約500μgとの間のタンパク質複合体;約0.9ピコモル(pmol)と約100pmolとの間のタンパク質複合体;および/または約1.8pmolと約2,000pmolとの間のRSV Fタンパク質を含む、単位用量。
【0177】
21.約25μgと約250μgとの間のタンパク質複合体;約5pmolと約50pmolとの間のタンパク質複合体;および/または約100pmolと約1,000pmolとの間のRSV Fタンパク質を含む、実施形態20に記載の単位用量。
【0178】
22.約25μgと約75μgとの間のタンパク質複合体;約5pmolと約15pmolとの間のタンパク質複合体;および/または約100pmolと約250pmolとの間のRSV Fタンパク質を含む、実施形態20に記載の単位用量。
【0179】
23.約75μgと約250μgとの間のタンパク質複合体;約15pmolと約50pmolとの間のタンパク質複合体;および/または約250pmolと約1,000pmolとの間のRSV Fタンパク質を含む、実施形態20に記載の単位用量。
【0180】
24.約25μg、約75μgもしくは約250μgのタンパク質複合体;約5pmol、約15pmolもしくは約50pmolのタンパク質複合体;および/または約100pmol、約250pmolもしくは約1,000pmolのRSV Fタンパク質を含む、実施形態20に記載の単位用量。
【0181】
25.少なくとも約25μg、少なくとも約75μgもしくは少なくとも約250μgのタンパク質複合体;少なくとも約5pmol、少なくとも約15pmolもしくは少なくとも約50pmolのタンパク質複合体;および/または少なくとも約100pmol、少なくとも約250pmolもしくは少なくとも約1,000pmolのRSV Fタンパク質を含む、実施形態20に記載の単位用量。
【0182】
26.多くても約25μg、多くても約75μg、もしくは多くても約250μgのタンパク質複合体;多くても約5pmol、多くても約15pmol、もしくは多くても約50pmolのタンパク質複合体;および/または多くても約100pmol、多くても約250pmol、もしくは多くても約1,000pmolのRSV Fタンパク質を含む、実施形態20に記載の単位用量。
【0183】
27.約1μg~約5μg、約5μg~約10μg、約10μg~約15μgまたは約15μg~約25μgのタンパク質複合体を含む、実施形態20に記載の単位用量。
【0184】
28.対象をワクチン接種する方法であって、有効量の実施形態1から19のいずれか一項に記載の医薬組成物を、対象に投与するステップを含む、方法。
【0185】
29.対象において免疫応答を生成する方法であって、有効量の実施形態1から19のいずれか一項に記載の医薬組成物を、対象に投与するステップを含む、方法。
【0186】
30.RSV Fタンパク質との交差反応性を介して、ヒトメタニューモウイルス(hMPV)Fタンパク質に対する免疫応答を同時発生的に生成する、実施形態29に記載の方法。
【0187】
31.対象においてRSVによって引き起こされる関連する重症下部気道感染(LRTI)を処置および/または予防する方法であって、有効量の実施形態1から19のいずれか一項に記載の医薬組成物を、対象に投与するステップを含む、方法。
【0188】
32.対象においてRSV疾患を予防する方法であって、有効量の実施形態1から19のいずれか一項に記載の医薬組成物を、対象に投与するステップを含む、方法。
【0189】
33.対象が、重症RSV疾患のリスクがある、実施形態28から32のいずれか一項に記載の方法。
【0190】
34.対象が、根底にある糖尿病、心血管疾患または呼吸器疾患に起因して、重症RSV疾患のリスクがある、実施形態33に記載の方法。
【0191】
35.対象が、50歳を超える成人、55歳を超える成人、または60歳を超える成人である、実施形態28から34のいずれか一項に記載の方法。
【0192】
36.対象が、少なくとも50歳の成人、少なくとも55歳の成人、または少なくとも60歳の成人である、実施形態28から34のいずれか一項に記載の方法。
【0193】
37.対象が、18~45歳の成人である、実施形態28から34のいずれか一項に記載の方法。
【0194】
38.対象が、18~45歳の健康な成人である、実施形態28から34のいずれか一項に記載の方法。
【0195】
39.対象が、18歳を超える、実施形態28から34のいずれか一項に記載の方法。
【0196】
40.対象が、18歳またはそれよりも年上である、実施形態28から34のいずれか一項に記載の方法。
【0197】
41.対象が、18歳またはそれ未満である、実施形態28から34のいずれか一項に記載の方法。
【0198】
42.胎児において免疫応答を生成する方法であって、有効量の実施形態1から19のいずれか一項に記載の医薬組成物を、胎児の母親に投与するステップを含む、方法。
【0199】
43.医薬組成物が、妊娠の最終トリメスター中に母親に投与される、実施形態42に記載の方法。
【0200】
44.妊娠対象の母体免疫化を介して、幼児において免疫応答を生成する方法および/または幼児において呼吸器多核体ウイルス(RSV)疾患を予防する方法であって、有効量の実施形態1から19のいずれか一項に記載の医薬組成物を、対象に投与するステップを含む、方法。
【0201】
45.有効量が、約0.5μgと約500μgとの間のタンパク質複合体;約0.9ピコモル(pmol)と約100pmolとの間のタンパク質複合体;および/または約1.8pmolと約2,000pmolとの間のRSV Fタンパク質である、実施形態28から44のいずれか一項に記載の方法。
【0202】
46.有効量が、約25μgと約250μgとの間のタンパク質複合体;約5pmolと約50pmolとの間のタンパク質複合体;および/または約100pmolと約1,000pmolとの間のRSV Fタンパク質である、実施形態45に記載の方法。
【0203】
47.有効量が、約25μgと約75μgとの間のタンパク質複合体;約5pmolと約15pmolとの間のタンパク質複合体;および/または約100pmolと約250pmolとの間のRSV Fタンパク質である、実施形態45に記載の方法。
【0204】
48.有効量が、約75μgと約250μgとの間のタンパク質複合体;約15pmolと約50pmolとの間のタンパク質複合体;および/または約250pmolと約1,000pmolとの間のRSV Fタンパク質である、実施形態45に記載の方法。
【0205】
49.有効量が、約25μg、約75μgもしくは約250μgのタンパク質複合体;約5pmol、約15pmolもしくは約50pmolのタンパク質複合体;および/または約100pmol、約250pmolもしくは約1,000pmolのRSV Fタンパク質である、実施形態45に記載の方法。
【0206】
50.有効量が、少なくとも約25μg、少なくとも約75μgもしくは少なくとも約250μgのタンパク質複合体;少なくとも約5pmol、少なくとも約15pmolもしくは少なくとも約50pmolのタンパク質複合体;および/または少なくとも約100pmol、少なくとも約250pmolもしくは少なくとも約1,000pmolのRSV Fタンパク質である、実施形態45に記載の方法。
【0207】
51.有効量が、多くても約25μg、多くても約75μg、もしくは多くても約250μgのタンパク質複合体;多くても約5pmol、多くても約15pmol、もしくは多くても約50pmolのタンパク質複合体;および/または多くても約100pmol、多くても約250pmol、もしくは多くても約1,000pmolのRSV Fタンパク質である、実施形態45に記載の方法。
【0208】
52.有効量が、約0.5μg~約1μg、約20μg~約25μg、約70μg~約75μg、約100μg~約125μgまたは約200μg~約250μgのタンパク質複合体である、実施形態45に記載の方法。
【0209】
53.医薬組成物の第2の用量を投与するステップをさらに含む、実施形態28から52のいずれか一項に記載の方法。
【0210】
54.第2の用量が、第1の用量の約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12週間、約1か月、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約9か月、約12か月、約24か月または約36か月以内に投与される、実施形態53に記載の方法。
【0211】
55.医薬組成物の第3の用量を投与するステップをさらに含む、実施形態53または実施形態54に記載の方法。
【0212】
56.第3の用量が、第2の用量の約1年、約2年、約3年、約4年、約5年、約6年、約7年、約8年、約9年または約10年後に投与される、実施形態55に記載の方法。
【0213】
57.約1、2、3、4、5、6、7、8、9または10年の定期的な間隔で、引き続く用量を投与するステップをさらに含む、実施形態55または実施形態56に記載の方法。
【0214】
58.対象におけるRSV感染の発生を制限する、実施形態28から57のいずれか一項に記載の方法。
【0215】
59.対象におけるさらなる重症下部気道感染(LRTI)の発生を制限する、実施形態28から57のいずれか一項に記載の方法。
【0216】
60.対象におけるRSV-A特異的中和抗体の産生を生じる、実施形態28から57のいずれか一項に記載の方法。
【0217】
61.対象において、ベースラインと比較して、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約8倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍または少なくとも約25倍の、RSV-A特異的中和抗体における増加を生じる、実施形態60に記載の方法。
【0218】
62.RSV-A特異的中和抗体における増加が、医薬組成物の投与の約1週間以内、約2週間以内、約3週間以内、約4週間以内、約5週間以内、約6週間以内、約7週間以内、約8週間以内、約9週間以内、約10週間以内、約11週間以内または約12週間以内に検出可能である、実施形態60または実施形態61に記載の方法。
【0219】
63.対象におけるRSV-B特異的中和抗体の産生を生じる、実施形態28から62のいずれか一項に記載の方法。
【0220】
64.対象において、ベースラインと比較して、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約8倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍または少なくとも約25倍の、RSV-B特異的中和抗体における増加を生じる、実施形態63に記載の方法。
【0221】
65.RSV-B特異的中和抗体における増加が、医薬組成物の投与の約1週間以内、約2週間以内、約3週間以内、約4週間以内、約5週間以内、約6週間以内、約7週間以内、約8週間以内、約9週間以内、約10週間以内、約11週間以内または約12週間以内に検出可能である、実施形態63または実施形態64に記載の方法。
【0222】
66.対象におけるRSV Fタンパク質特異的IgG抗体の産生を生じる、実施形態28から65のいずれか一項に記載の方法。
【0223】
67.対象において、ベースラインと比較して、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約8倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍または少なくとも約25倍の、RSV Fタンパク質特異的IgG抗体の増加を生じる、実施形態66に記載の方法。
【0224】
68.RSV Fタンパク質特異的IgG抗体における増加が、医薬組成物の投与の約1週間以内、約2週間以内、約3週間以内、約4週間以内、約5週間以内、約6週間以内、約7週間以内、約8週間以内、約9週間以内、約10週間以内、約11週間以内または約12週間以内に検出可能である、実施形態66または実施形態67に記載の方法。
【0225】
69.対象におけるコア-VLP特異的IgG抗体の産生を生じる、実施形態58から68のいずれか一項に記載の方法。
【0226】
70.対象において、ベースラインと比較して、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約8倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍または少なくとも約25倍の、コア-VLP特異的IgG抗体における増加を生じる、実施形態69に記載の方法。
【0227】
71.コア-VLP特異的IgG抗体における増加が、医薬組成物の投与の約1週間以内、約2週間以内、約3週間以内、約4週間以内、約5週間以内、約6週間以内、約7週間以内、約8週間以内、約9週間以内、約10週間以内、約11週間以内または約12週間以内に検出可能である、実施形態69または実施形態70に記載の方法。
【0228】
72.対象において、コア-VLP特異的IgG抗体の産生を実質的に生じない、実施形態58から68のいずれか一項に記載の方法。
【0229】
73.対象において、RSV F-タンパク質特異的メモリーB細胞の産生を生じる、実施形態58から72のいずれか一項に記載の方法。
【0230】
74.対象において、ベースラインと比較して、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約8倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍または少なくとも約25倍の、RSV F-タンパク質特異的メモリーB細胞における増加を生じる、実施形態73に記載の方法。
【0231】
75.RSV F-タンパク質特異的メモリーB細胞における増加が、医薬組成物の投与の約1週間以内、約2週間以内、約3週間以内、約4週間以内、約5週間以内、約6週間以内、約7週間以内、約8週間以内、約9週間以内、約10週間以内、約11週間以内または約12週間以内に検出可能である、実施形態73または実施形態74に記載の方法。
【0232】
76.対象におけるRSV F-タンパク質特異的T細胞の産生を生じる、実施形態58から75のいずれか一項に記載の方法。
【0233】
77.対象において、ベースラインと比較して、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約8倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍または少なくとも約25倍の、RSV F-タンパク質特異的T細胞における増加を生じる、実施形態76に記載の方法。
【0234】
78.RSV F-タンパク質特異的T細胞における増加が、医薬組成物の投与の約1週間以内、約2週間以内、約3週間以内、約4週間以内、約5週間以内、約6週間以内、約7週間以内、約8週間以内、約9週間以内、約10週間以内、約11週間以内または約12週間以内に検出可能である、実施形態76または実施形態77に記載の方法。
【0235】
79.対象におけるヒトメタニューモウイルスに対する中和抗体の産生を生じる、実施形態58から78のいずれか一項に記載の方法。
【0236】
80.対象において、ベースラインと比較して、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約8倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍または少なくとも約25倍の、ヒトメタニューモウイルスに対する中和抗体における増加を生じる、実施形態79に記載の方法。
【0237】
81.ヒトメタニューモウイルスに対する抗体における増加が、医薬組成物の投与の約1週間以内、約2週間以内、約3週間以内、約4週間以内、約5週間以内、約6週間以内、約7週間以内、約8週間以内、約9週間以内、約10週間以内、約11週間以内または約12週間以内に検出可能である、実施形態79または実施形態80に記載の方法。
【0238】
82.配列番号7、14、34および35のうちのいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一なアミノ酸配列を有するトリマー性抗原の投与を伴う方法よりも有効に、RSVに関連するまたはRSVによって引き起こされる重症LRTIを予防する、実施形態28から81のいずれか一項に記載の方法。
【0239】
83.配列番号7、14、34および35のうちのいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一なアミノ酸配列を有するトリマー性抗原の投与を伴う方法よりも有効に、RSVに関連するまたはRSVによって引き起こされる重症LRTIを予防する、実施形態28から82のいずれか一項に記載の方法。
【0240】
84.配列番号7、14、34および35のうちのいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一なアミノ酸配列を有するトリマー性抗原の投与を伴う方法よりも多くのRSV-Aおよび/またはRSV-B特異的中和抗体を生じる、実施形態28から83のいずれか一項に記載の方法。
【0241】
85.配列番号7、14、34および35のうちのいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一なアミノ酸配列を有するトリマー性抗原の投与を伴う方法よりも長い期間にわたって保護免疫を生じる、実施形態28から84のいずれか一項に記載の方法。
【0242】
86.少なくとも12か月持続する中和抗体応答を生じる、実施形態28から85のいずれか一項に記載の方法。
【0243】
87.少なくとも12か月持続する保護免疫を生じる、実施形態28から86のいずれか一項に記載の方法。
【0244】
88.アジュバントが、存在する場合には、対象において、中和抗体応答の耐久性、中和抗体応答の交差保護、および/またはB細胞もしくはT細胞活性化の大きさを増加させる、実施形態28から87のいずれか一項に記載の方法。
【0245】
89.配列番号7、14、34および35のうちのいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一なアミノ酸配列を有するトリマー性抗原の投与を伴う方法よりも少ない有害事象を引き起こす、実施形態28から88のいずれか一項に記載の方法。
【0246】
90.1,000国際単位/ミリリットル(IU/mL)よりも高い、2,000IU/mLよりも高い、3,000IU/mLよりも高い、4,000IU/mLよりも高い、5,000IU/mLよりも高い、6,000IU/mLよりも高い、7,000IU/mLよりも高い、8,000IU/mLよりも高い、9,000IU/mLよりも高い、または10,000IU/mLよりも高い幾何平均力価(GMT)で、対象においてRSV-Aおよび/またはRSV-B特異的中和抗体を生じる、実施形態28から89のいずれか一項に記載の方法。
【0247】
91.1,000IU/mLよりも高い、2,000IU/mLよりも高い、3,000IU/mLよりも高い、4,000IU/mLよりも高い、5,000IU/mLよりも高い、6,000IU/mLよりも高い、7,000IU/mLよりも高い、8,000IU/mLよりも高い、9,000IU/mLよりも高い、または10,000IU/mLよりも高いGMTで、対象においてRSV-Aおよび/またはRSV-B特異的中和抗体を生じ、対象が、18~45歳の成人である、実施形態28から89のいずれか一項に記載の方法。
【0248】
92.1,000IU/mLよりも高い、2,000IU/mLよりも高い、3,000IU/mLよりも高い、4,000IU/mLよりも高い、5,000IU/mLよりも高い、6,000IU/mLよりも高い、7,000IU/mLよりも高い、8,000IU/mLよりも高い、9,000IU/mLよりも高い、または10,000IU/mLよりも高いGMTで、対象においてRSV-Aおよび/またはRSV-B特異的中和抗体を生じ、対象が、60~75歳の成人である、実施形態28から89のいずれか一項に記載の方法。
【0249】
93.3,000IU/mLよりも高いGMTで対象においてRSV-A特異的中和抗体を生じる、実施形態28から89のいずれか一項に記載の方法。
【0250】
94.3,000IU/mLよりも高いGMTで対象においてRSV-A特異的中和抗体を生じ、対象が、18~45歳の成人である、実施形態28から89のいずれか一項に記載の方法。
【0251】
95.3,000IU/mLよりも高いGMTで対象においてRSV-A特異的中和抗体を生じ、対象が、60~75歳の成人である、実施形態28から89のいずれか一項に記載の方法。
【0252】
96.1,000免疫吸着アッセイ単位/ミリリットル(EU/mL)よりも高い、2,000EU/mLよりも高い、3,000EU/mLよりも高い、4,000EU/mLよりも高い、5,000EU/mLよりも高い、6,000EU/mLよりも高い、7,000EU/mLよりも高い、8,000EU/mLよりも高い、9,000EU/mLよりも高い、または10,000EU/mLよりも高いGMTで、対象において融合前RSV F結合性IgG抗体を生じる、実施形態28から95のいずれか一項に記載の方法。
【0253】
97.1,000EU/mLよりも高い、2,000EU/mLよりも高い、3,000EU/mLよりも高い、4,000EU/mLよりも高い、5,000EU/mLよりも高い、6,000EU/mLよりも高い、7,000EU/mLよりも高い、8,000EU/mLよりも高い、9,000EU/mLよりも高い、または10,000EU/mLよりも高いGMTで、対象において融合前RSV F結合性IgG抗体を生じ、対象が、18~45歳の成人である、実施形態28から96のいずれか一項に記載の方法。
【0254】
98.1,000EU/mLよりも高い、2,000EU/mLよりも高い、3,000EU/mLよりも高い、4,000EU/mLよりも高い、5,000EU/mLよりも高い、6,000EU/mLよりも高い、7,000EU/mLよりも高い、8,000EU/mLよりも高い、9,000EU/mLよりも高い、または10,000EU/mLよりも高いGMTで、対象において融合前RSV F結合性IgG抗体を生じ、対象が、60~75歳の成人である、実施形態28から97のいずれか一項に記載の方法。
【0255】
99.3,000EU/mLよりも高いGMTで対象においてRSV-A特異的中和抗体を生じる、実施形態28から98のいずれか一項に記載の方法。
【0256】
100.3,000EU/mLよりも高いGMTで対象においてRSV-A特異的中和抗体を生じ、対象が、18~45歳の成人である、実施形態28から99のいずれか一項に記載の方法。
【0257】
101.3,000EU/mLよりも高いGMTで対象においてRSV-A特異的中和抗体を生じ、対象が、60~75歳の成人である、実施形態28から100のいずれか一項に記載の方法。
【0258】
102.少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%の、4倍の上昇または8倍の上昇におけるRSV-A抗体応答率を生じる、実施形態28から101のいずれか一項に記載の方法。
【0259】
103.20%~40%、30%~50%、40%~60%、50%~70%、60%~80%または70%~90%の、4倍の上昇または8倍の上昇におけるRSV-A抗体応答率を生じる、実施形態28から102のいずれか一項に記載の方法。
【0260】
104.少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%の、4倍の上昇または8倍の上昇におけるRSV-B抗体応答率を生じる、実施形態28から103のいずれか一項に記載の方法。
【0261】
105.20%~40%、30%~50%、40%~60%、50%~70%、60%~80%または70%~90%の、4倍の上昇または8倍の上昇におけるRSV-B抗体応答率を生じる、実施形態28から104のいずれか一項に記載の方法。
【0262】
106.医薬組成物が投与された対象の20%未満、10%未満、5%未満または約0%において、重篤な有害事象を生じる、実施形態28から105のいずれか一項に記載の方法。
【0263】
107.医薬組成物が投与された対象の20%未満、10%未満、5%未満または約0%において、重篤な有害事象を生じ、対象が、18~45歳の成人である、実施形態28から105のいずれか一項に記載の方法。
【0264】
108.医薬組成物が投与された対象の20%未満、10%未満、5%未満または約0%において、重篤な有害事象を生じ、対象が、60~75歳の成人である、実施形態28から105のいずれか一項に記載の方法。
【0265】
109.医薬組成物が投与された対象の20%未満、10%未満、5%未満または約0%において、重篤な有害事象を生じる、実施形態28から105のいずれか一項に記載の方法。
【0266】
110.医薬組成物が投与された対象の20%未満、10%未満、5%未満または約0%において、重篤な有害事象を生じ、対象が、18~45歳の成人である、実施形態28から105のいずれか一項に記載の方法。
【0267】
111.医薬組成物が投与された対象の20%未満、10%未満、5%未満または約0%において、重篤な有害事象を生じ、対象が、60~75歳の成人である、実施形態28から105のいずれか一項に記載の方法。
【0268】
112.医薬組成物が、いかなるアジュバントも実質的に含まない、実施形態28から111のいずれか一項に記載の方法。
【0269】
113.医薬組成物が、アルミニウム塩アジュバントを実質的に含まない、実施形態28から112のいずれか一項に記載の方法。
【0270】
114.医薬組成物が、アラムを実質的に含まない、実施形態28から112のいずれか一項に記載の方法。
【実施例
【0271】
以下の非限定的な実施例は、本明細書で開示される実施形態の操作を例示するために提供される。全ての実施例は、第2の成分(配列番号26)と複合体化した、第1のマルチマー化ドメイン(配列番号24)上にRSV F DS-Cav1(配列番号14)をディスプレイする第1の成分(配列番号6)から形成された正二十面体構造体であって、20コピーの第1の成分および12コピーの第2の成分を有する、タンパク質ベースのVLPの非限定的な実施形態を使用して、実施した。
(実施例1)
ナイーブマウスにおいてRSVワクチンによって誘導された免疫応答の特徴付け
この研究の目的は、水酸化アルミニウムアジュバントありおよびなしのRSVワクチンがナイーブBalb/cマウスにおいてRSV中和抗体応答を生成する能力を評価することであった。
【0272】
方法:
研究は、70匹の雌性Balb/cマウスを含み、これを、1群当たり10匹の動物の7つの群に分配した。候補RSVワクチンを、アジュバント非含有、Alhydrogel(水酸化アルミニウムアジュバント)によるアジュバント含有、またはAddavax(水中油エマルション)によるアジュバント含有のいずれかの3つの用量レベル(8.33μg、2.5μgおよび0.83μg)で、0日目、21日目および42日目に筋肉内投与した。血清試料を0日目、42日目および56日目に得て、ウイルス中和アッセイを使用して中和抗体価を測定した。臨床的観察を毎日行い、動物を毎週計量した。研究は、70匹の雌性Balb/cマウスを含み、これを、1群当たり10匹の動物の7つの群に分配した(以下の表2を参照されたい)。
【表2】
【0273】
結果
臨床的観察は、RSVワクチンの全ての用量および製剤によるワクチン接種後に、正常であった。全てのマウスは、健康なままであり、研究終結まで生存した。
【0274】
0日目、42日目(ブースター用量1の後)および56日目(ブースター用量2の後)のRSV中和力価は、対応するアジュバント非含有群と比較して、アジュバント含有群について統計的により高かった(図1A~1C)。
【0275】
結論
ウイルス中和からの結果は、0日目のプライミング用量および1回または2回のブースター用量(それぞれ、21日目および42日目)の後、水酸化アルミニウムアジュバント(Alhydrogel)ありの製剤が、水性製剤と比較して、RSV候補ワクチンの免疫原性を増強したことを示した。水酸化アルミニウムのアジュバント効果を、試験した全ての用量レベル(8.33μg、2.5μgおよび0.83μg)において実証した。
【0276】
(実施例2)
プライミングした(血清陽性)マウスにおいてRSVワクチンによって誘導された免疫応答の特徴付け
この研究の目的は、水酸化アルミニウムアジュバントありおよびなしのRSVワクチンが血清陽性RSVA2 Balb/cマウスモデルにおいてRSV-中和抗体応答および細胞性免疫応答をブーストする能力を評価することであった。
【0277】
方法
200匹の雌性Balb/cマウス、6~8週齢に、1×10pfuのRSV A2を鼻腔内感染させ、12週間収容して、感染の消散および免疫学的記憶の確立を可能にした。20匹のマウスは感染させず、ナイーブ対照として機能した。
【0278】
動物を、28日目の血清試料からの中和抗体価に従って19の実験群へと割り当てて、匹敵する群を得た。マウスを、91日目に、候補RSVワクチンの4つの異なる用量レベル(1.66、0.5、0.16および0.016μg)のうちの1つ、または安定化されたRSV F-タンパク質の等価な量(1、0.3、0.1および0.01μg)で筋肉内でワクチン接種した(表3)。RSV中和力価を、0日目、28日目、87日目および101日目に測定した。血清試料を、0日目の感染前、28日目、87日目および101日目に、各動物から収集した(表4)。脾細胞を、101日目および102日目に動物のサブセットから単離し、ELISpotアッセイまたはサイトカイン放出アッセイ(細胞媒介性免疫アッセイ)において、RSV特異的ペプチドで刺激した。
【表3】
【表4】
結果
【0279】
臨床的観察は、全ての試験ワクチンによるワクチン接種後に、正常であった。全てのマウスは、健康なままであり、研究終結まで生存した。
【0280】
ウイルス中和アッセイからの結果は、中和力価が、Alhydrogelありおよびなしで製剤化したRSVワクチンにより、RSVでプライミングしたマウスのワクチン接種後に増加したことを実証した(図2)。
【0281】
低用量のRSVワクチンは、Alhydrogelの非存在下でのRSV F-タンパク質(RSV F-タンパク質当量として正規化した、0.3、0.1および0.01μgの抗原)と比較して、優れた中和力価を誘導した。
【0282】
体液性応答の飽和におそらくは起因して、1μgの用量の、食塩水中のRSVワクチンおよびRSV F-タンパク質で、類似の応答が観察された。予想外に、1μgのRSV F-タンパク質/Alhydrogelは、RSVワクチン/Alhydrogelの等価な用量よりも高い中和力価を示した。
【0283】
力価における一貫した増加は、食塩水で製剤化したRSVワクチンと比較して、Alhydrogelで製剤化したRSVワクチンについては実証できなかった。
【0284】
分泌されたサイトカインの増加もまた、RSV再感染後に観察された応答と類似のプロファイル(Th2サイトカインIL-4、IL-5およびIL-13よりも高いTh1サイトカインIFNγおよびTNFα)で測定された(データ示さず)。
【0285】
結論
ウイルス中和アッセイからの結果は、RSVでプライミングしたマウスにおいて、中和抗体価の増加が、試験した全ての用量について、AlhydrogelありおよびなしのRSVワクチンによるワクチン接種後に観察されたことを実証した。ナイーブマウスにおいて観察されたこととは対照的に、中和抗体価における一貫した増加は、食塩水で製剤化したワクチンと比較して、Alhydrogelで製剤化したワクチンについては実証できなかった。
【0286】
脾臓細胞に対するELISpot分析からの結果は、IFNγ産生CD4+細胞、およびより低い程度まで、Fペプチドに対して特異的なCD8+T細胞が、Alhydrogelありまたはなしで製剤化したワクチンによってブーストされ得ることを示した。
【0287】
結論として、Alhydrogelありおよびなしの試験したRSVワクチン試験は、血清陽性RSVA2 Balb/cマウスモデルにおいてRSV中和抗体価および細胞性免疫応答をブーストすることができた。
【0288】
(実施例3)
ウサギにおける安全性および免疫原性の評価
この研究は、ウサギにおいて可溶性RSVワクチン(Addavax、水中油エマルション中)および水酸化アルミニウム(Alhydrogel)-アジュバント含有製剤の最大で3回のワクチン接種の安全性および免疫原性を探索するために設計した。この研究の目的は、ウサギにおいてRSVワクチンの安全性の初期評価を開発すること;ワクチン接種した動物における免疫応答を評価すること;およびVLPコア(即ち、RSV F-タンパク質を欠如するタンパク質複合体)に対する既存の抗体の存在が、ウサギにおいてRSVワクチンに対する応答を妨害するかどうかを評価することであった。
【0289】
方法
5匹のNew Zealand White(NZW)雌性ウサギ(群1)に、1日目および14日目に、IM注射によって0.5mgのVLPコアをAddavaxと共に投与した。引き続いて、群1中のウサギを、56日目、70日目および84日目に、0.5mgの水酸化アルミニウムアジュバントに吸着させた0.25mgのRSVワクチンでワクチン接種した。各々3匹の雌性ウサギの2つのさらなる群を、56日目、70日目および84日目に、投与前のVLPコアなしで、0.25mgのRSVワクチン単独(群2)または0.5mgの水酸化アルミニウムアジュバントに吸着させた0.25mg(群3)でワクチン接種した。全てのワクチン接種は、2つの0.25mLの注射(右および左の大腿部での注射)に分割された0.5mLの総体積からなった。
【0290】
動物を、研究を通じて、罹患率および/または死亡率について毎日モニタリングし、体重を、全ての群について、各ワクチン接種の前およびその24時間後、ならびに28日目に、収集した。臨床化学および血液学を、群2および3について、処置前(0日目)に、および1回目のワクチン接種の1日後(57日目)に、評価した。血清を、全ての群について、1回目のワクチン接種の前(0日目)に、ならびに群1については13日目、27日目、55日目、69日目、83日目および98日目、群2および3については0日目、55日目、57日目、69日目、82日目および98日目に、RSV中和抗体価のために収集した。全ての動物を、最後の投与の14日後(98日目)に屠殺し、肉眼的剖検を、群2および群3の動物に対して実施した。
【0291】
結果
動物は、異常な臨床徴候を伴わずに、研究を通じて体重が増加し、それらの意図された屠殺まで、機敏で健康であった。さらに、可溶性または水酸化アルミニウム-アジュバント含有RSVワクチンに帰せられる臨床化学パラメーターにおける変化は存在しなかった。唯一の潜在的な試験物品関連の変化は、ワクチン接種前の値と比較した、1回目のワクチン接種後の血中好塩基球および好酸球における増加に限定された。98日目の屠殺の際に、注目に値する肉眼的知見は、剖検の間、いずれの臓器についても認められなかった。
【0292】
RSVワクチンの水酸化アルミニウム-アジュバント含有製剤を受けた動物のほとんど(群1および3中、8匹のうち6匹)は、単回のワクチン接種の後(69日目)に、測定可能な中和応答を生成した(図3)。中和抗体価は、免疫前血清(55日目)と比較して、RSVワクチンの2回のワクチン接種後(83日目)に、より高かった(図3)。3回目のワクチン接種(98日目)は、中和力価を目に見えては増加させなかった(図3)。1日目および14日目にRSVワクチンの第1の成分で事前ワクチン接種した動物(群1)由来の血清中の中和抗体価は、2回または3回のワクチン接種後に(それぞれ、83日目および98日目)、ナイーブ動物(群3)における中和抗体価と類似であった。
【0293】
結論
水性抗原として、または水酸化アルミニウムアジュバントに吸着させて投与した、250μgのRSVワクチンの最大予測ヒト用量は、ウサギによって充分に耐容された。試験物品の2回の投与後、機能的免疫応答(即ち、RSV/A中和抗体)が全ての動物において誘導され、ワクチンの免疫原性が確認された。RSV F抗原を欠如するVLPコアによる先のワクチン接種は、水酸化アルミニウムアジュバントで製剤化したRSVワクチンが中和抗体を生成する能力に影響を与えないようであった抗体を誘導した。
【0294】
(実施例4)
4週間の回復を伴うウサギにおける反復筋肉内用量ワクチン毒性研究
この研究の目的は、水酸化アルミニウムアジュバントありまたはなしのRSVワクチンの複数回の注射の毒性を、NZWウサギにおいて評価することであった。
【0295】
方法
NZWウサギを、滅菌食塩水(陰性対照)、0.25mgのRSVワクチン単独、または0.5mgの水酸化アルミニウムアジュバントに吸着させた0.25mgのRSVワクチンで、合計3回のワクチン接種になるように2週間毎に1回(即ち、1日目、15日目および29日目の投与)、ワクチン接種した(0.5mL/用量)。注射1回当たりの体積、ならびにアジュバントなしおよび水酸化アルミニウムアジュバントありのRSVワクチンの用量レベルは、意図された臨床用量および注射体積と等価である。3回目のワクチン接種の3日後、5匹の動物/性別を屠殺した(32日目);残りの動物(5匹/性別/群)は、さらなる4週間にわたって維持し、回復日(RD)29(研究日61)に屠殺した。群割り当てについては表5を参照されたい。
【0296】
RSVワクチンの製剤は、1mg/mLの水酸化アルミニウムアジュバントありまたはなしで、20mM Tris、200mM NaCl、4%スクロース、pH7.8±0.2中に0.5mg/mLのRSVワクチンを含有した。
【表5】
【0297】
罹患率および死亡率についての生存度チェックを、1日2回実施し、ケージ側観察を、投薬期および回復期の間、1日1回実施した。詳細な臨床的観察を、投薬期には、1週間に1回および屠殺前に記録し、回復の間は1週間に1回記録した。体重を、各ワクチン接種の前およびその24時間後、ならびに投薬期の間は8日目および31日目に、回復の間は1週間に1回取得し、食物消費を、研究の間中毎日記録した。注射部位を、改変Draize技法を使用して、1日目の投薬前に、ならびに各ワクチン接種のおよそ1、4、24、48および72時間後に、観察した。体温を、各投与の前、ならびに用量のおよそ6および24時間後に、記録した。眼の検査(eye exam)を、試験前、ならびに投薬および回復期間の最終週に実施した。臨床化学、血液学、凝固およびC反応性タンパク質を、試験前、1回目の投与および最後の投与のおよそ48時間後(3日目および41日目)に評価した。
【0298】
免疫原性分析のために、血清試料を、試験前、29日目の投薬前、およびRD29に収集した。RSV中和抗体価を測定した。
【0299】
予定された屠殺の時点(31日目およびRD29)で、完全剖検(肉眼的病理)を実施し、臓器のサブセットを計量し、骨髄スメアを収集し、組織の完全パネルを顕微鏡的に試験した。
【0300】
結果
全ての動物は、それらの予定された屠殺日まで生存し、臨床的もしくは皮膚観察、眼科検査、体重、食物消費、体温、肉眼的病理もしくは血液学、凝固または臨床化学パラメーターについて、試験物品効果は認められなかった。唯一の試験物品関連の効果は、最終的な屠殺の時点(最後の投与の3日後)で観察された。これらの知見は、周辺帯の変動する拡大、雄性および雌性動物の両方における、食塩水と比較して最大でおよそ1.3倍の、平均絶対的および相対的脾臓重量における全般的な相関性の軽微な増加と共に、白脾髄中の多巣性の拡大した胚中心によって特徴付けられる、脾臓中のリンパ球における最小限の増加からなった。最後の投与の4週間後、脾リンパ球数は、より低い発生率でではあるが、両方の群の雌性においてなおも高く、これは可逆性を示唆するが、雄性では、効果は完全に解消された。脾臓臓器重量は、群1(食塩水)の重量と類似であり、これは、雄性および雌性の両方における完全回復を実証している。一般に、これらの知見は、性質上深刻でなく、試験物品に対する免疫応答と一致していたので、非有害とみなした。
【0301】
0.25mg/用量のRSVワクチンの反復IM注射の後、RSV/A特異的中和抗体が惹起された。ピーク血清中和抗体価は、投薬期の29日目(最後の投与の前)までに検出された。最後のワクチン注射の4週間後に、RSV/A特異的中和抗体価における僅かな減少が観察された。水酸化アルミニウムアジュバントありのRSVワクチンを投与した動物(群3)は、アジュバントなしのRSVワクチンを投与した動物(群2)と比較して、投薬期の29日目および回復期の最後に、それぞれおよそ3.4倍および5.1倍高い力価を生成した。
【0302】
結論
0.25mgのRSVワクチンの2週間毎に1回(1日目、15日目および29日目)の反復IM注射は、免疫原性であり、雄性および雌性ウサギによって十分に耐容された。ピークRSV/A特異的中和抗体価は、投薬期の29日目(3回目の投与の前)までに生じ、4週間の回復期間後に、力価における小さい減少が生じた。水酸化アルミニウムアジュバントありのRSVワクチンを投与した動物は、アジュバントなしのRSVワクチンを投与した動物と比較して、投薬期の29日目および回復期間の最後に、それぞれおよそ3.4倍および5.1倍高い力価を生成した。最終的な屠殺(最後の投与の3日後)の時点で、相関する増加した脾臓重量と共に脾臓中に存在するリンパ球の増加からなる類似の試験物品関連の知見が、アジュバントなしのRSVワクチンおよび水酸化アルミニウムアジュバントありのRSVワクチンを投与した動物の両方において観察された。回復屠殺(最後の投与の4週間後)の時点で、最小限に増加したリンパ球が、より低い発生率でではあるが、一部の雌性の脾臓において持続し、これは部分的可逆性を示唆し、雄性においては完全に逆転した。性質上深刻でなかったこれらの知見は、試験物品に対する免疫応答と一致しており、非有害とみなした。
【0303】
(実施例5)
健康な成人においてRSVワクチンの安全性および免疫原性を評価するための第1/1b相(Ph1/1b)研究
この実施例は、水性製剤または水酸化アルミニウム-アジュバント含有製剤としてのRSVワクチンの単一の筋肉内(IM)用量の安全性および免疫原性を評価するためのランダム化プラセボ対照観察者盲検研究である第1/1b相研究を記載する。試験設計は、図4に示される。合計6つの製剤(水性製剤の3つの用量レベルおよび水酸化アルミニウム-アジュバント含有製剤の3つの用量レベル)を試験した。プラセボを対照として投与した。研究は2つのパートで実施した:
・パート1:18~45歳の健康な若年成人(N=90)における第1相ファースト・イン・ヒューマン(FIH)評価。
・パート2:60~75歳の健康な高齢者(N=217)における第1b相評価。
【0304】
各パートにおける7つの研究アーム(6つの製剤およびプラセボ)への対象割り当ては、表6に与えられる。
【表6】
【0305】
研究における対象参加の継続時間は、およそ6か月である。研究において試験した3つの用量レベル、25μg、75μgおよび250μgのVLPタンパク質複合体は、ディスプレイされた抗原およびそのコアの両方を含む完全VLPの質量からVLPコアの質量を減算することに基づいて、それぞれ14μg、42μgおよび140μgの可溶性RSV F抗原と質量が等価である。
【0306】
目標
一次目標:
健康な若年成人(18~45歳)および健康な高齢者(60~75歳)集団において評価することによって、VLP量、およびアジュバントとしての水酸化アルミニウムの要件に関して、RSVワクチンの最適な製剤を、さらなる臨床開発のために選択すること:
・重篤な有害事象(SAE)、医学的に注意を要する有害事象(medically attended adverse event)(MAAE)、および研究中止をもたらす有害事象(AE);
・RSV-A特異的中和抗体(NT Ab)についての、28日目の抗体応答率(SRR)(ベースライン(0日目)と比較して力価における4倍以上の上昇を有する対象のパーセンテージ)および幾何平均上昇倍数(GMFR)。
【0307】
二次目標:
以下の発生率によって、RSVワクチンの安全性を評価すること:
・7日目までの非自発的局所性反応および全身性AE;
・28日目までの自発的(Unsolicited)AE;
・中程度~重症のLRTI(特に目的とされる有害事象、AESI);
・臨床的安全性実験室パラメーター。
【0308】
180日目まで以下を評価することによって、RSVワクチンの免疫原性を評価すること:
・RSV-A特異的およびRSV-B特異的NT-Ab力価;
・RSV融合前F-タンパク質特異的IgG力価;
・RSV融合前F-タンパク質特異的IgG力価における上昇倍数の、RSV-A特異的NT-Ab力価における上昇倍数に対する比。
【0309】
探索目標:
以下を評価することによって、RSVワクチンの免疫原性をさらに探索すること:
・RSV融合前F-タンパク質に対するIgGのエピトープ特異性;
・コア-VLP特異的IgG力価;
・酵素結合免疫吸着スポット(ELISpot)によるRSV融合前F-タンパク質特異的メモリーB細胞頻度;
・ELISpotによるRSV融合前F-タンパク質特異的T細胞頻度;
・0日目および28日目のヒトメタニューモウイルス(hMPV)NT-Ab力価。
【0310】
治験医薬製品
RSVワクチン
治験ワクチンを、水性ワクチンとして、またはアジュバントとしての500μgの水酸化アルミニウムに吸着させて、1つの濃度、250μg/0.5mLで製剤化した。各製剤についてのより低い投薬量のワクチン(25および75μg)は、最も高い用量の希釈物であり、水性または水酸化アルミニウムアジュバント希釈剤のいずれかを使用して、投与の直前に調製した。水酸化アルミニウム含量は、全てのアジュバント製剤について同じであった。全てのRSVワクチン製剤を、0.5mLの用量として投与した。
【0311】
プラセボ
0.5mL用量として送達される滅菌水性希釈剤。プラセボは、防腐剤を含有しない。
【0312】
評価および分析のための基準:
コプライマリーエンドポイント(安全性):0日目から研究の最後までの、SAE、MAAE、および研究中止をもたらすAE。
【0313】
コプライマリーエンドポイント(免疫原性):28日目のRSV-A特異的NT Ab:SRR(ベースライン(0日目)と比較して力価における4倍以上の上昇を有する対象のパーセンテージ)およびベースライン(0日目)と比較したGMFRに基づく。
二次エンドポイント(安全性):
・0日目から7日目までの非自発的局所性反応および全身性AE;
・0日目から28日目までの自発的AE;
・0日目から研究の最後までの中程度~重症のLRTI;
・スクリーニング時、投薬後、0日目、7日目および28日目の臨床的安全性実験室パラメーター。
二次エンドポイント(免疫原性):
・RSV-A特異的NT AbおよびRSV-B特異的NT Ab:7日目および180日目のベースライン(0日目;GMFR)と比較した力価におけるGMFR;7日目および180日目の、いずれかのRSV株に対するSRR;7日目、28日目および180日目の、いずれかのRSV株に対するベースラインと比較して力価における4倍以上の上昇を有する対象のパーセンテージ;7日目、28日目および180日目の、いずれかのRSV株に対するベースラインと比較して力価における8倍以上の上昇を有する対象のパーセンテージ;7日目、28日目および180日目の、両方のRSV株に対するSRR;0日目、7日目、28日目および180日目の、両方のRSV株に対する幾何平均力価(GMT)に基づく。
・RSV融合前F-タンパク質特異的IgG:7日目、28日目および180日目のGMFRに基づく。
・RSV融合前F-タンパク質特異的IgG力価におけるベースラインと比較した上昇倍数の、RSV-A特異的NT-Ab力価におけるベースラインと比較した上昇倍数に対する比:0日目、7日目、28日目および180日目の幾何平均比(GMR)に基づく。
探索エンドポイント(免疫原性):
・0日目、28日目および180日目の、モノクローナル抗体の存在下での競合的結合によってエピトープマッピングされた、RSV融合前F-タンパク質特異的IgG力価;
・0日目、28日目および180日目のコア-VLP特異的IgG力価;
・0日目および7日目のRSV融合前F-タンパク質特異的メモリーB細胞ELISpot頻度;
・0日目および7日目のRSV融合前F-タンパク質特異的T細胞ELISpot頻度;
・0日目および28日目のhMPV NT-Ab力価。
【0314】
(実施例6)
第1b相の拡張および再ワクチン接種研究
この実施例は、実施例5の研究において与えられた単一用量から12か月までの免疫原性、ならびにRSVワクチンによる再ワクチン接種の効果を評価するための研究を記載する。
【0315】
RSVワクチンを、75μgアジュバント非含有IVX-121用量で、最大で120人の高齢者(例えば、60歳を超える成人)に投与する。これらの対象は、以下の実施例5に記載される高齢者研究集団のサブセットであり得る。対象を、初回用量の12か月後に再ワクチン接種し、有効性および安全性を、再ワクチン接種用量の6か月後に評価する。安全性および有効性エンドポイントは、実施例5に記載されたものである。
【0316】
(実施例7)
第1/1b相研究の中間結果
この実施例は、実施例5:若年成人および高齢者における融合前の安定化された呼吸器多核体ウイルス(RSV)F抗原をディスプレイするVLPであるIVX-121の第1/1b相臨床試験からの中間結果を提供する。IVX-121は、若年成人群および高齢者群の両方において、ロバストな免疫学的応答を実証した。
【0317】
IVX-121第1/1b相試験設計
IVX-121の第1/1b相臨床試験は、健康な若年成人および高齢者における、水酸化アルミニウムアジュバントありおよびなしのIVX-121の3つの用量レベルの安全性および免疫原性を評価するために設計したランダム化観察者盲検プラセボ対照多施設研究である。研究設計は、図4に示される。
【0318】
試験の第1相パートは、18~45歳の健康な若年成人90人を登録した。試験の第1b相パートは、60~75歳の健康な高齢者130人を登録した。対象に、水酸化アルミニウムアジュバントありもしくはなしの3つの用量レベル(25、75、250μg)のうちの1つでのIVX-121の単一用量、またはプラセボを投与した。
【0319】
研究の一次転帰は、ワクチン接種後28日までの安全性および免疫原性であった;RSV-AおよびRSV-Bに対する中和抗体を、WHO国際参照標準を使用して、国際単位(IU/mL)で測定した。
【0320】
最良の結果
安全性
この第1/1b相研究では、IVX-121は一般に、全ての投薬量群にわたって十分に耐容された。非自発的局所性および全身性有害事象(AE)は一般に、用量を制限する反応源性を伴わずに、軽度または中程度であった。高齢者標的集団では、アジュバントありまたはなしのIVX-121についての6つの投薬量群にわたって、7日以内にいずれかの全身性AEを経験している対象の割合は、11~33%であり、プラセボについての21%と類似であった。最も一般的な局所性および全身性AEは、注射部位圧痛、頭痛および疲労であった。ワクチンに関連する重篤なAEも、特に目的とされるAEも、中断をもたらすAEも、存在しなかった。データは、図5および図6に示される。
【0321】
免疫原性:
IVX-121は、若年成人群および高齢者群の両方において、ロバストな免疫応答を誘導した。データは、最も低いアジュバント非含有用量(25μg)を含めて、用量非依存的応答を示した(図7)。水酸化アルミニウムアジュバントからのさらなる利益は、研究のどの部分でも、いずれの投薬量レベルでも観察されなかった(図8)。RSV-AおよびRSV-Bについての幾何平均力価は、両方の群について匹敵する範囲内であった(図9)。
【0322】
若年成人(第1相):
若年成人では、投薬量群にわたって、IVX-121は、28日目に、プラセボについての1,100IU/mLと比較して、RSV-A中和抗体(nAb)における最大で7,687IU/mLの幾何平均力価(GMT)を誘導した。これらの力価は、28日目に、IVX-121について最大で10倍の、ベースラインと比較した幾何平均上昇倍数(GMFR)に対応した。
【0323】
高齢者(第1b相):
高齢者についてのIU/mLでのGMT応答は、この研究の第1相部分の若年成人についてのGMT応答と匹敵した。投薬量群にわたって、IVX-121は、28日目に、プラセボについての1,692IU/mLと比較して、RSV-A nAbにおける最大で7,561IU/mLのGMTを誘導した。28日目のGMFRは、高齢者群におけるより高いベースライン力価を反映して、最大で6倍であった。
【0324】
結論
これらのデータは、IVX-121が概して十分に耐容され、健康な若年成人および高齢者においてRSVに対する強い一貫した応答を惹起したことを示している。これらのデータは、併存症ならびに重症疾患および入院の増加したリスクを有する脆弱な高齢者集団にとっては特に励みになる。IVX-121は、非常に低いマイクログラムの投薬量レベルでは免疫原性を示し、最も高い用量レベルに対する耐容性を示す。第1b相コホートからの適格な高齢者を、応答の耐久性を評価するために、12か月まで追跡する。
【0325】
中和抗体アッセイ方法
検証されたRSV/AおよびRSV/B中和抗体(NAb)アッセイを使用して、RSV特異的中和抗体の存在を測定した。これらのアッセイを、特異度、正確度、精度、繰り返し精度(アッセイ内での精度)、中間精度、線形性、希釈線形性、範囲、安定性およびロバストさが含まれる標準的な生物分析アッセイパラメーターについて検証した。これらのアッセイのための重要な試薬は、商業的に購入し、使用のために適格である。簡潔に述べると、ヒト血清試料を連続希釈し、一定濃度のウイルス(RSV A2(ATCC、カタログ番号VR-1540)およびRSV B 18537(ATCC、Manassas、VA;カタログ番号VR-1580))と共にインキュベートする。中和を、HEp-2細胞(ATCC、カタログ番号CCL23)におけるウイルス増殖の阻害によって測定する。インキュベーション期間の後、細胞を固定し、RSV Fタンパク質に対するマウスモノクローナル抗体で、その後、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合体化ヤギ抗マウス抗体およびTrueBlue(TB)によって、免疫染色する。プレートを、UV分析器でスキャンし、各血清/抗体濃度における1ウェル当たりのスポット計数(SC;即ち、スポット形成細胞、SCF)を定量化する。次いで、値を分析して、選択された低減ポイント(reduction point)(即ち、50%またはIC50)を生じる血清/抗体の希釈を決定する。
【0326】
RSV中和アッセイのために異なるアッセイ形式が利用可能であるので、結果を標準化するために、参照抗血清を有することが重要である。RSV/AおよびRSV/Bに対する抗血清についての第1の国際標準(NIBSCコード:16/284)は、WHO Expert Committee on Biological Standardization in 2017 (McDonald et al., 2017;McDonald et al., 2018;McDonald et al., 2020)によって確立された。この参照標準は、ヒト血清中のRSV/AおよびRSV/Bに対する抗体レベルを測定するためのウイルス中和方法の標準化のために適切であることが示された。入手可能な参照標準の量が限定的であることに起因して、生物分析ラボには、社内参照(IHR)を国際参照標準に対して較正することによって、IHR標準を生成することが推奨される。アンプル1つ当たり1000国際単位(IU)の抗RSV/Aまたは抗RSV/B中和抗体の効力が割り当てられたRSV参照標準(16/284)を使用して、中和力価分析の間に含まれるIHRを確立および検証した。IHR標準の効力は、RSV/Aについては1,831IU/mL、RSV/Bについては609IU/mLであると決定された。これらの効力を使用して、MN力価結果(AU/mL)をIU/mLに変換するために使用され得る変換係数を計算した。IU/mLでの試験試料の効力を、試験試料MN力価に、RSV/Aについては1.0578を、RSV/Bについては0.6936を乗算することによって計算した。RSV/AおよびRSV/B NAbアッセイは、それぞれ9.4~180263AU/mLおよび8~195392AU/mLのアッセイ範囲まで検証されている。RSV/AおよびRSV/BについてのIU/mLでの検証されたアッセイ範囲は、それぞれ9.9~190682および5.5~135524である。
【0327】
McDonald et al. 2017. Report on the WHO collaborative study to establish the 1st international standard for antiserum to respiratory syncytial virus (No. WHO/BS/2017.2318). World Health Organization. https://apps.who.int/iris/handle/10665/260488
【0328】
McDonald et al. 2018. Establishment of the first WHO International Standard for antiserum to Respiratory Syncytial Virus: Report of an international collaborative study. Vaccine, 36, 7641-7649.
【0329】
McDonald et al. 2020. Expansion of the 1st WHO international standard for antiserum to respiratory syncytial virus to include neutralisation titres against RSV subtype B: An international collaborative study. Vaccine, 38, 800-807.
【0330】
WHO 2020. WHO International Standard 1st International Standard for Antiserum to Respiratory Syncytial Virus NIBSC code: 16/284 Instructions for use (Version 4.0, Dated 01/04/2020). https://www.nibsc.org/documents/ifu/16-284.pdf
【0331】
(実施例8)
予言的第2相または第3相研究
この実施例は、IVX-121の第2相または第3相研究を予言的に記載する。IVX-121を、アジュバント非含有ワクチンとして製剤化する。ワクチンを、多くても約25μg、例えば、1μg、2.5μg、5μg、7.5μg、10μg、12.5μg、15μg、17.5μg、20μg、22.5μgまたは25μgのIVX-121タンパク質複合体の単一用量で投与する。対象は、18+歳の成人もしくは60+歳の成人として、または重症疾患の高いリスクがある個体(例えば、糖尿病、心血管疾患および呼吸器疾患が含まれる根底にある慢性状態に罹患している;フレイルの高齢者;または免疫無防備状態)として、選択され得る。臨床的エンドポイントには、RSV関連LRTD(下部気道疾患)、中程度/重症RSV関連LRTDおよび/またはRSV関連急性呼吸器疾患が含まれる。対象を、1つ、2つまたは3つのRSVシーズンにわたってモニタリングする。ワクチンは、3~5年後に再度投与され得る。
【0332】
さらに、ヒトチャレンジ研究が、単一用量のワクチンとして受けた4週間後に、RSV/Aウイルスでチャレンジされる18~50歳の成人において実施され得る。臨床的エンドポイントには、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で確認されるRSV感染および自己報告される症状が含まれ得る。
【0333】
各研究において、有効性を、75μgのもしくはそれを下回るIVX-121タンパク質複合体および/または25μgのもしくはそれを下回るIVX-121タンパク質複合体の用量で観察する。
参照による組込み
【0334】
本明細書で引用される全ての参考文献、論文、刊行物、特許、特許公報および特許出願は、全ての目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。しかし、本明細書で引用される任意の参考文献、論文、刊行物、特許、特許公報および特許出願の言及は、それらが根拠のある先行技術を構成するまたは世界のいずれの国でも共通の一般知識の一部を構成するということの承認としても任意の形態の示唆としても解釈すべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【配列表】
2024531150000001.xml
【国際調査報告】