(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】自動車のための内燃機関
(51)【国際特許分類】
F02B 37/00 20060101AFI20240822BHJP
F02B 37/04 20060101ALI20240822BHJP
F02B 37/24 20060101ALI20240822BHJP
F02B 37/10 20060101ALI20240822BHJP
F02B 39/00 20060101ALI20240822BHJP
F02M 26/05 20160101ALI20240822BHJP
F02M 26/10 20160101ALI20240822BHJP
F02M 26/34 20160101ALI20240822BHJP
F01N 1/08 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
F02B37/00 302F
F02B37/04 C
F02B37/24
F02B37/10 Z
F02B39/00 D
F02M26/05
F02M26/10 301
F02M26/34
F01N1/08 K
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508023
(86)(22)【出願日】2022-07-25
(85)【翻訳文提出日】2024-04-05
(86)【国際出願番号】 EP2022070835
(87)【国際公開番号】W WO2023016792
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】102021004152.6
(32)【優先日】2021-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100101856
【氏名又は名称】赤澤 日出夫
(72)【発明者】
【氏名】シュティラー,ミヒャエル
【テーマコード(参考)】
3G004
3G005
3G062
【Fターム(参考)】
3G004AA01
3G004EA01
3G005EA16
3G005FA35
3G005GB28
3G062AA01
(57)【要約】
【課題】特にエミッションの少ない動作を具体化することができるように内燃機関を改良する。
【解決手段】本発明は自動車のための内燃機関(10)に関し、内燃機関(10)の排ガスにより貫流可能な排ガス管(20)と、排ガス管(20)に配置されて排ガスにより駆動可能なタービンホイール(28)と、タービンホイール(28)の上流側に配置された分岐個所(A1)で排ガスの少なくとも一部を排ガス管(20)から分岐可能であり、内燃機関(10)の空気により貫流可能な吸気管(18)へと再循環可能であり、導入個所(E1)で吸気管(18)へ導入可能である排ガス再循環配管(52)を有する排ガス再循環装置(50)とを有し、吸気管(18)における導入個所(E1)の上流側又は下流側に、吸気管(18)を貫流する空気を圧縮するための電気駆動可能な圧縮機ホイール(32,92)が配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のための内燃機関(10)であって、前記内燃機関(10)の排ガスにより貫流可能な排ガス管(20)と、前記排ガス管(20)に配置されて排ガスにより駆動可能なタービンホイール(28)と、排ガスの少なくとも一部を、前記タービンホイール(28)の上流側に配置された分岐個所(A1)で前記排ガス管(20)から分岐可能であり、前記内燃機関(10)の空気により貫流可能な吸気管(18)へと再循環可能であり、導入個所(E1)で前記吸気管(18)へ導入可能である排ガス再循環配管(52)を有する排ガス再循環装置(50)とを有する内燃機関において、
前記吸気管(18)における前記導入個所(E1)の上流側又は下流側に、前記吸気管(18)を貫流する空気を圧縮するための電気駆動可能な圧縮機ホイール(32,92)が配置される
ことを特徴とする内燃機関。
【請求項2】
前記排ガス管(20)における前記タービンホイール(28)の下流側に、排ガスを堰き止めるための排ガスフラップ(42)が配置される
ことを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関(10)。
【請求項3】
前記排ガス再循環装置(50)は、排ガス再循環弁(60)を有し、この排ガス再循環弁によって、前記排ガス再循環配管(52)を貫流する排ガスの量を調整可能である
ことを特徴とする、請求項1または請求項2記載の内燃機関(10)。
【請求項4】
前記タービンホイール(28)は、排ガスにより貫流可能なタービンハウジングに配置され、前記タービンハウジングに対して相対的に回転可能であり、
前記排ガス再循環弁(60)は、前記タービンハウジングに配置され、前記量の調整のために前記タービンハウジングに対して相対的に可動である
ことを特徴とする、請求項3記載の内燃機関(10)。
【請求項5】
前記排ガス管(20)に排ガスマニホールド(22)が配置され、この排ガスマニホールドの中で排ガスが前記内燃機関(10)の複数の燃焼室(16)から集められ、
前記排ガス再循環弁(60)は、前記排ガスマニホールド(22)に配置され、前記量の調整のために前記排ガスマニホールド(22)に対して相対的に可動である
ことを特徴とする、請求項3記載の内燃機関(10)。
【請求項6】
前記タービンホイール(28)は、可変タービンジオメトリー(82)を有するタービン(26)のタービンホイール(28)である
ことを特徴とする、請求項1~請求項5のいずれか1項記載の内燃機関(10)。
【請求項7】
吸気側に追加圧縮機(92)が配置され、前記排ガス再循環装置(50)が前記追加圧縮機(92)の前に導入(E1)される
ことを特徴とする、請求項1~請求項6のいずれか1項記載の内燃機関(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段に記載の自動車のための内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
このような内燃機関は、たとえば下記特許文献1から、すでに公知のものとして参照することができる。この内燃機関は、内燃機関の排ガスにより貫流可能な排ガス管と、たとえば排ガスターボチャージャの構成要素であってよい、排ガス管に配置されて排ガスにより駆動されるタービンホイールとを有する。更に排ガス再循環装置が設けられている。排ガス再循環装置は、排ガス再循環配管を有し、これによって、排ガス管を貫流する排ガスの少なくとも一部を、タービンホイールの上流側に配置された分岐個所で排ガス管から分岐可能であり、空気により貫流可能な内燃機関の吸気管へと再循環可能であり、また導入個所で排ガス管へ、及びこれに伴って排ガス管を貫流する空気へ導入可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第10 2018 006 413 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、特にエミッションの少ない動作を具体化することができるように、冒頭に述べた種類の内燃機関を改良することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1の特徴を有する内燃機関によって解決される。本発明の好適な発展形態を含む有利な構成は他の請求項に記載されている。
【0006】
特にエミッションの少ない内燃機関の動作を具体化することができるように、請求項1の前段に記載されている種類の、特にディーゼルエンジンとして構成される内燃機関を改良するために、本発明によれば、導入個所の上流側または下流側における排ガス管に、排ガス管を貫流する空気を圧縮するための電気駆動可能な圧縮機ホイール(コンプレッサホイール)が配置されることが提供される。このことは、圧縮機ホイールが電気式の圧縮機の、すなわち電気式に作動可能な圧縮機の構成要素であることを意味している。圧縮機は、圧縮機ホイールと電気機械とを有しており、この電気機械によって、圧縮機ホイールを空気の圧縮のために駆動することができる。空気の圧縮は、過給またはチャージング(スーパーチャージング)とも呼ばれる。圧縮機ホイールが電気式に駆動可能であることによって、電気式に補助されるチャージングが具体化される。電気式に補助されるチャージングにより、従来の解決法と比較したとき、特に分岐個所と導入個所との間の促進的掃気勾配を低くすることができる。掃気勾配は排ガスの再循環のために利用される。排ガスの再循環は排ガス再循環とも呼ばれ、本発明ではこれを特に好ましく実行することができる。本発明の根底には、特に次のような知見と考察がある。すなわち、比出力の向上のために、及び内燃機関のエミッションと燃費の削減のために、ターボチャージングが確立されたことである。その場合、特に排ガスターボチャージャとして構成される、又は排ガスターボチャージャとして機能する、又は作動可能である流動機械(ターボ機械)が設けられており、その質量慣性は、動的動作のときにチャージ圧力上昇の遅延につながる。低いモータ回転数のもとで、たとえば一定の回転数のもとで負荷飛躍が生じたとき、特にアイドリングからの起動プロセスのとき、排ガスターボチャージャは低い回転数ないしチャージ圧力を有している。すなわち初期状態から最大のトルク要求が生じたとき、ただちに最大のトルクが放出されるのではなく、最小ラムダまでの噴射量ないしトルクだけが放出される。トルク上昇はチャージ圧力から帰結され、更にチャージ圧力は、タービンサイズ、効率、慣性質量、エンタルピー提供、及び排ガス再循環率に依存して決まる。定常的なチャージ圧力に達すると、ただちにスモークモードないし低空気(空気不足)モードも終了する。このようなエンジンの利用法のもとでは、動的なトルク上昇と、排ガス再循環率すなわち窒素酸化物形成との間で妥協点を見出さなければならない。なぜならば、排ガス再循環は新気の質量流量を低減させ、それに伴ってチャージ圧力需要を増大させ、並びにタービンへのエネルギー提供を低減させるからである。最大の負荷率は、コールドスタートの後からSCR(選択的触媒還元)による窒素酸化物浄化が動作温度に達するまで生じる。窒素酸化物浄化は、およそ摂氏160度から摂氏180度まで効率を上げながら、およそ摂氏240~270度まで作用する。その後に、EGR率を低減するか、ないしは窒素酸化物エミッションを増やすことにより、窒素酸化物/煤エミッションの相反する目標を顧慮して、煤の生成をより少なくし、それに伴ってたとえばディーゼル粒子フィルタ(DPF)として構成される粒子フィルタを再生するための再生インターバルを長くすることができ、また排ガス浄化の経年劣化と動的な出力生成を改善することができる。上述した相反する目標を改善するには、チャージ圧力上昇がいっそう迅速に行われるテクノロジーが適切である。これらのテクノロジーは、エネルギー源の種類によって次のように異なる。
-流量が少ない領域でいっそう高い効率を有する小型化されたVTGタービン
-たとえばセラミック又はTiAlの低い質量慣性を有するタービン
-機械式の追加圧縮機
-タービンの手前での圧縮空気インジェクションまたは空気インジェクション
-電気式の追加圧縮機
-電気式のターボチャージャ
【0007】
一定の回転数のもとで負荷飛躍が生じたケースでは、ディーゼルエンジンでの用途について、最大トルクに達するまで窒素酸化物エミッションが減少するという関係が生じる。対応する評価においては、たとえば特定のトルクに達するまでの時間、ないし遂行された仕事、すなわち正の出力の積分がプロットされる。同様の方式で、窒素酸化物質量流量(NOx質量流量)が積分される。EGR率を変更することでさまざまに異なるx値ペアとy値ペアが生じ、上に挙げた関係を具体的に示し、かつ特に当該トルクに達するまでの時間ないしは遂行した仕事に対する窒素酸化物エミッションの推移を具体的に示す曲線を形成することができる。電気式圧縮機ないし電気式ターボチャージャを追加することにより、特に一定の回転数を有する負荷電流では、短時間の電気式補助によりチャージ圧力の上昇は著しく速くなるが、使用法を適合化しなければ、窒素酸化物の流量も明らかに増加する。使用法の適合化は、窒素酸化物エミッション、チャージ圧力、及びトルク上昇に関して改善につながる。より小型で高性能のタービンは、窒素酸化物エミッションと有利なダイナミクスとの間の相反する目標において、軽微な改善をもたらすことが判明した。電気駆動式ターボチャージャないし電気式圧縮機の利用によって、明らかな改善を実現することができる。電気式補助の方式は、たとえば高圧排ガス再循環装置として構成される、ないしは高圧排ガス再循環を実行するために構成される排ガス再循環装置の分岐個所から導入個所への促進的掃気勾配に影響を及ぼす。たとえば電気式ターボチャージャで、又は電気式追加圧縮機で電気駆動可能な圧縮機ホイールを利用することにより、タービンホイールの手前で排ガス管にかかる圧力を上昇させることなく、吸気管圧力とも呼ばれる、吸気管にかかる圧力を上昇させることが可能である。それにより、出力レベルに関わりなく分岐個所から導入個所への促進的掃気勾配が低下することから、排ガスは再循環できなくなる。このことにより、チャージ圧力はより速く上昇可能であるにもかかわらず、窒素酸化物エミッションはそれ以上改善しない。
【0008】
本発明の更なる利点、特徴及び詳細は、好適な実施例並びに図面に基づく以下の説明より明らかになる。上記の説明において挙げた特徴及び特徴の組み合わせ、並びに以下の各図に関する説明において挙げられる特徴及び特徴の組み合わせ、並びに/又は各図においてのみ示される特徴及び特徴の組み合わせは、それぞれ提示した組み合わせにおいてのみ使用されるのではなく、本発明の範囲から逸脱することなく他の組み合わせで使用することもできるし、単独で使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態に係る自動車のための内燃機関を示す模式図である。
【
図2】内燃機関を部分的に示す模式的な断面図である。
【
図3】第2の実施形態に係る内燃機関を部分的に示す模式的な断面図である。
【
図4】内燃機関のためのタービンを部分的に示す模式的な前面図である。
【
図5】第3の実施形態に係る内燃機関を部分的に示す模式図である。
【
図6】第4の実施形態に係る内燃機関を部分的に示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図中、同一の要素又は機能的に同一の要素には、同一の参照符号を付している。
【0011】
図1は、自動車のための内燃機関10の第1の実施形態を模式図で示している。内燃機関10は、ディーゼルエンジンとして構成されるのが好ましい。内燃機関10は、複数のシリンダ14を備えるエンジンブロック12を有しており、それぞれのシリンダ14が内燃機関10のそれぞれの燃焼室16を形成し、又はこれを画定している。内燃機関10は空気により貫流可能な、インテークパイプとも呼ばれる吸気管18を有しており、これにより、吸気管18を貫流する空気が燃焼室16に向かって、及びその中へ案内される。更に内燃機関10は、燃焼室16からの排ガスにより貫流可能な排ガス管20を有しており、その中に、単にマニホールドとも呼ばれる排ガスマニホールド22が配置されている。排ガスマニホールド22により、排ガスが複数の燃焼室16から、特に内燃機関10のすべての燃焼室から集められる。内燃機関10は排ガスターボチャージャ24を有し、これは、排ガス管20に配置された、タービンホイール28を備えるタービン26を有している。タービンホイール28は、排ガス管20を貫流する排ガスによって駆動可能である。排ガスターボチャージャ24は、圧縮機ホイール32を有する、吸気管18に配置された圧縮機30を更に含んでいて、これにより、圧縮機ホイール32が駆動されることで、吸気管18を貫流する空気を圧縮することができる。ここでは圧縮機ホイール32は、排ガスターボチャージャ24のシャフト34を介して、タービンホイール28により駆動可能である。第1の実施形態では、排ガスターボチャージャ24は電気機械36を有しており、これによって少なくとも圧縮機ホイール32を電気駆動することができる。このように、排ガスターボチャージャ24は電気式排ガスターボチャージャとして、すなわち電気式に作動可能な排ガスターボチャージャとして構成される。吸気管18における圧縮機ホイール32の上流側に生じる圧力が、p1で表されている。吸気管18における、圧縮機ホイール32の下流側かつ燃焼室16の上流側にチャージエア冷却器39が配置されており、これによって圧縮された空気が冷却される。吸気管18におけるチャージエア冷却器39の下流側かつ燃焼室16の上流側に生じる空気の圧力がp2sで表されており、圧力p2sはチャージ圧力とも呼ばれ、たとえば圧縮機ホイール32によってこのチャージ圧力まで空気を圧縮することができる。排ガス管20において燃焼室16の下流側かつタービンホイール28の上流側に生じる圧力が、p3で表されている。
【0012】
排ガス管20には、排ガスによって貫流可能である排ガス後処理装置38が配置されている。排ガス後処理装置38によって排ガスが後処理される。排ガス管20におけるタービンホイール28の下流側かつ排ガス後処理装置38の上流側に生じる圧力が、p4で表されている。排ガス温度とも呼ばれる、排ガス管20の中の排ガスの温度がT4で表されており、排ガスは、タービンホイール28の下流側かつ排ガス後処理装置38の上流側で温度T4を有する。排ガス後処理装置38は排ガス後処理部材40a~40dを有しており、排ガス後処理部材40dは、タービンホイール28の下流側かつ排ガス後処理部材40cの上流側に配置されている。排ガス後処理部材40cは、排ガス後処理部材40dの下流側かつ排ガス後処理部材40bの上流側に配置され、排ガス後処理部材40bは、排ガス後処理部材40cの下流側かつ排ガス後処理部材40aの上流側に配置されている。排ガス後処理部材40dは、たとえば酸化触媒、特にディーゼル酸化触媒(DOC)である。排ガス後処理部材40cは、たとえば粒子フィルタ、特にディーゼル粒子フィルタ(DPF)を含む。その代替又は追加として、排ガス後処理部材40cはSCR触媒を有していてよい。特に排ガス後処理部材40cは、排ガスの脱硝のための選択触媒還元(SCR)に有効なコーティングを有することができ、たとえば粒子フィルタ、特にディーゼル粒子フィルタにこれが付与されていてよい。排ガス後処理部材40bは、たとえば1つの、特に2つのSCR触媒である。排ガス後処理部材40aは、たとえばアンモニアスリップ触媒(ASC)である。
【0013】
第1の実施形態では、排ガス管20における排ガス後処理装置38の下流側かつそれに伴ってタービンホイール28の下流側に、排ガスフラップ42が配置されており、これによって排ガス管20の中の排ガスを堰き止めることができる。たとえば排ガスフラップ42は排ガス管20の1つの配管部材に配置され、この配管部材に対して相対的に、互いに相違する少なくとも2つの位置の間で可動であり、特に旋回可能である。第1の位置にあるとき、排ガスフラップ42を介して、排ガスにより貫流可能な排ガス管20の流動断面の少なくとも1つの部分領域が排ガスフラップ42により遮蔽され、それにより、排ガスはこの部分領域を通って流れることができなくなる。第2の位置にあるとき、排ガスフラップ42はたとえば部分領域を解放する。
【0014】
タービン26、特にタービンホイール28には迂回装置44が付属している。迂回装置44は、バイパス配管又はウェイストゲート配管とも呼ばれる迂回配管46を含んでいる。迂回配管46は、接続個所V1及びV2で排ガス管20と流体接続されており、接続個所V1はタービンホイール28の上流側に配置され、接続個所V2はタービンホイール28の下流側に、かつ特に排ガス後処理装置38の上流側に配置される。迂回配管46により、接続個所V1で、排ガス管20を貫流する排ガスの少なくとも一部を排ガス管20から分岐させて、迂回配管46に導入することができる。分岐した排ガスは迂回配管46を貫流することができ、迂回配管46によって接続個所V2へと案内され、迂回配管46を貫流する排ガスがそこで迂回配管46から流出して、再び排ガス管20に流入することができる。迂回配管46を貫流する排ガスはタービンホイール28を迂回するので、タービンホイール28は、迂回配管46を貫流する排ガスによって駆動されることはない。更に迂回装置44は、ウェイストゲートまたはウェイストゲート弁またはバイパス弁とも呼ばれる弁部材48を含んでおり、これによって、迂回配管46を貫流する排ガスの量を調整可能である。迂回配管46を貫流する排ガスの量が調整されることで、たとえばタービン出力とも呼ばれるタービン26の出力を、及びそれによってチャージ圧力(圧力p2s)を調整可能である。
【0015】
内燃機関10は、高圧排ガス再循環として構成される排ガス再循環を実行可能である第1の排ガス再循環装置50を有している。すなわち、排ガス再循環装置50は高圧再循環装置として構成されている。排ガス再循環装置50は、排ガス再循環配管とも呼ばれる再循環配管52を含んでいる。再循環配管52は、分岐個所A1で排ガス管20と流体接続されるとともに、導入個所E1で吸気管18と流体接続されており、それにより、再循環配管52によって分岐個所A1において、排ガス再循環装置50を貫流する排ガスの少なくとも一部を排ガス管20から分岐させて再循環配管52へと導入することができる。分岐されて再循環配管52へ導入された排ガスは、再循環配管52を貫流することができ、再循環配管52によって導入個所E1へと案内される。導入個所E1において、再循環配管52を貫流する排ガスが再循環配管52から流出し、その結果として吸気管18に流入し、それにより、再循環配管52を貫流する排ガスが導入個所E1で吸気管18へ、及びそれに伴って吸気管18を貫流する空気へ導入される。第1の実施形態では、排ガス再循環装置50が、冷却及び非冷却の排ガス再循環装置として構成される。ことのことは特に下記のように理解される。すなわち、再循環配管52には排ガス再循環冷却器54が配置されており、これによって、再循環配管52を貫流する排ガスの少なくとも一部を冷却することができる。更に排ガス再循環装置50は、個所S1及びS2で再循環配管52と流体接続された別の迂回配管56を有している。個所S1は、再循環配管52における排ガス再循環冷却器54の上流側に配置されており、個所S2は、再循環配管52における排ガス再循環冷却器54の下流側かつ導入個所E1の上流側に配置されている。別の迂回配管56により、再循環配管52を貫流する排ガスの少なくとも一部を個所S1で再循環配管52から分岐させて、別の迂回配管56へと導入することができる。別の迂回配管56に導入された排ガスは別の迂回配管56を貫流し、別の迂回配管56によって個所S2へと案内される。個所S2で、別の迂回配管56を貫流する排ガスが別の迂回配管56から流出して、再循環配管52に流入することができる。別の迂回配管56を貫流する排ガスは、排ガス再循環冷却器54を迂回する。このことは、別の迂回配管56を貫流する排ガスが排ガス再循環冷却器54を通って流れることがなく、それに伴い、排ガス再循環冷却器54によって冷却されず、冷却されないまま保たれることを意味する。別の迂回配管56には弁部材58が配置されており、これにより、別の迂回配管56を貫流する排ガスの量を調整可能である。
【0016】
排ガス再循環装置50は排ガス再循環弁60を更に含んでおり、これにより、再循環配管52を貫流する排ガスの量、すなわち再循環配管52により分岐個所A1で排ガス管20から分岐される排ガスの量を調整可能である。吸気管18には、特にチャージエア冷却器39の下流側かつ燃焼室16の上流側、特に導入個所E1の上流側にスロットルフラップ62が配置されており、これにより、燃焼室16に供給される、吸気管18を貫流する空気の量を調整することができる。
【0017】
更に内燃機関10は、低圧排ガス再循環装置として構成された第2の排ガス再循環装置64を有している。このことは、第2の排ガス再循環装置64が、低圧排ガス再循環としての排ガス再循環を実行することができることを意味する。そのために排ガス再循環装置64は、第2の排ガス再循環配管とも呼ばれる第2の再循環配管66を含んでいる。第2の再循環配管66は、第2の分岐個所A2で排ガス管20と流体接続されるとともに、第2の導入個所E2で吸気管18と流体接続されている。第2の再循環配管66により、排ガス管20を貫流する排ガスの少なくとも一部を第2の分岐個所A2で排ガス管から分岐させて、第2の再循環配管66に導入することができる。分岐個所A2で分岐されて第2の再循環配管66に導入された排ガスは、第2の再循環配管66を貫流することができ、第2の再循環配管66によって導入個所E2へと案内される。導入個所E2では、再循環配管66を貫流する排ガスが再循環配管66から流出して吸気管18の中に流入することができ、それにより、再循環配管66を貫流する排ガスを導入個所E2で吸気管18に、及びこれに伴って吸気管18を貫流する空気に導入可能であり、又は導入される。
図1から明らかなように、導入個所E2は吸気管18における圧縮機ホイール32の上流側に配置されている。分岐個所A2は、排ガス管20における、タービンホイール28の下流側に、特に排ガス後処理装置38の下流側に、かつその際に排ガスフラップ42の上流側に配置される。更に、分岐個所A1は排ガス管20におけるタービンホイール28の上流側に配置されることが明らかである。
【0018】
第2の排ガス再循環装置64は、第2の再循環配管66に配置された、特に第2の排ガス再循環冷却器68を有することができる。排ガス再循環冷却器68により、再循環配管66へと貫流する排ガスを冷却することができる。更に、たとえば第2の排ガス再循環装置64は、第2の再循環配管66に配置された第2の排ガス再循環弁70を有する。排ガス再循環弁70により、再循環配管66を貫流する排ガスの量、すなわち再循環配管66により分岐個所A2で排ガス管20から分岐されて再循環配管66に導入される排ガスの量を調整することができる。
【0019】
電気式ターボチャージャとして構成される排ガスターボチャージャ24により、電気式補助によってより高い出力を圧縮機30へ供給することができる。分岐個所A1から導入個所E1へ、及びこれに伴ってp3からp2sへEGRを促進する掃気勾配が低減される。本実施形態では、たとえばEGR率が十分ではないことと、また特にウェイストゲート及び/又はタービン26の可変のタービンジオメトリー(VTG)に関して、タービン26が、ダイナミクスないしEGR要求について最善に適合されていることとを前提とする。吸気空気スロットルフラップとも呼ばれるスロットルフラップ62が閉じることにより、吸気管圧力とも呼ばれる、吸気管18に特にチャージエア冷却器39の下流側で生じる圧力、例えば圧力p2sを低減することができる。電気式に得られる追加のチャージ圧力は、人工的にスロットル排除されなければ(人工的に絞らなければ)ならない。更に、圧縮機30における吸引曲線は、ポンプ限界に近づく。促進的EGR掃気勾配を大きくする別の手段が排ガスフラップ42である。これは圧縮機30へのフィードバックなしに、より大きな掃気勾配を可能にする。上昇した圧力p4により、特に少なくとも実質的にp3/p4に比例してタービン出力が低減される。これは電気式ターボチャージャによって補償される。
【0020】
同じくエンジン又は内燃エンジンとも呼ばれる
図1に示す内燃機関10は、p3からp2sへと向かう排ガス再循環装置50の形態の高圧EGR区間に加えて、周囲圧力からp1へと向かう、本実施形態では排ガスフラップ42を有する排ガス再循環装置64の形態の低圧EGR区間も有しており、これにより、たとえば周囲圧力からp1への掃気勾配へ能動的に影響を与えることができ、特に調整することができる。すなわち、低圧EGR区間は、より迅速なチャージ圧力上昇を可能にする追加の低圧EGR区間である。というのも、EGR質量流全体がタービン26を通じて利用されるからである。電気式ターボチャージャを使えば、このような利点を容易に埋め合わせることができ、それにより、窒素酸化物とダイナミクス(動力学的)の方策としての低圧EGR区間ないし低圧排ガス再循環が必ずしも必要ではなくなる。しかも、低圧排ガス再循環は非常に低い温度のもとでは、特に凝結や氷の形成によって常に利用できるとは限らない。
【0021】
低圧RGR区間(排ガス再循環装置64)が不要になることで、排ガスフラップ42も待機させておくこと(利用すること)ができる。この理由により、ないしはこの場合、たとえば特に電気式ターボチャージャとして構成される、排ガス再循環弁60などの排ガス再循環弁を有する排ガスターボチャージャ24が提案又は装備され、このことが例示として
図2に示されている。
図2には、排ガス管20を貫流する排ガスによって貫流可能な排ガス案内部材を部分的に見ることができ、符号72が付されている。排ガス案内部材72は、たとえばタービンホイール28が中で回転可能に配置されたタービンハウジングである。更に排ガス案内部材72は、排ガス管20におけるタービンホイール28の上流側に、特にタービンハウジングの上流側に、及びそれに伴ってタービンハウジングの外部に、配置することができる排ガス案内部材であってよい。
【0022】
図2では、排ガスの全体流が矢印74で図示されている。タービンホイール28に当たり、それによってこれを駆動する排ガスが、
図2では矢印76で図示されており、矢印78は、再循環配管52によりタービンホイール28の上流側の分岐個所A1で排ガス管20から分岐しており、従ってタービンホイール28を駆動しない排ガスを示している。この好ましい構成において、排ガス再循環弁60は、たとえばタービンホイール28に向かう主排ガス流の中へと旋回するフラップである。それにより、特に必要な排ガス再循環が強制的に行われる。限界例においては、マニホールドからタービン26への区間が全体的に閉止され、全体の排ガス質量流が吸気側に押し出され、すなわち再循環されることが考えられる。それによって100%のEGR率が可能となる。
【0023】
図3は、内燃機関10の第2の実施形態を部分的に示している。排ガス案内部材72はたとえば排ガスマニホールド22であってよく、それにより、特に
図2との関連では、排ガス再循環弁60が排ガスマニホールド22に配置され、再循環する排ガスの量を調整するために、排ガスマニホールド22に対して相対的に可動であり、特に旋回可能であることが考えられる。それに対して
図3に示す第2の実施形態では、固定的な、すなわち排ガス案内部材72(排ガスマニホールド22)に対して相対的に可動ではない仕分部80が排ガス案内部材72の中、特に排ガスマニホールド22の中に設けられており、これにより、矢印74で図示する排ガスの全体流が、タービン流(矢印76)とEGR流(矢印78)とに分割される。
【0024】
図4は、タービンホイール28を有するタービン26の模式的な正面図を示している。
図4から明らかなように、タービン26は可変のタービンジオメトリー(VTG)82を有していてよい。可変のタービンジオメトリー82は、タービンハウジングに対して相対的に可動の、特に旋回可能な案内羽根84を含んでおり、これにより、たとえばタービンホイール28に当たる排ガスによって貫流可能な、特にタービンハウジングにおける流動断面を変更可能である。
図4では、案内羽根84のうちの1つの回動中心が符号86で表されている。更に、排ガスが通って流れることができる最小間隙が符号88で表されている。可変タービンジオメトリー82は、たとえば強力な密閉式の可変タービンジオメトリーであってよく、径方向で最小の間隙と軸方向の間隙とが最小化され、それにより、タービン26の処理量パラメータをいっそう低減することができる。場合により生じる効率面の不都合、及びその結果として低下するタービン出力は、電気式ターボチャージャによって補償される。
【0025】
図5は、内燃機関10の第3の実施形態を示している。第3の実施形態では、排ガスターボチャージャ24に追加して、電気式追加圧縮機である追加圧縮機90が吸気管18に配置されている。更に第3の実施形態では、排ガスターボチャージャ24は電気式の排ガスターボチャージャとして構成されておらず、それにより、圧縮機ホイール32を電気駆動するための電気機械は設けられていない。圧力p2sは、ここでは追加圧縮機90の下流側で発生し、チャージエア冷却器39の下流側かつ追加圧縮機90の上流側で吸気管18に生じる圧力が符号p2nで表されている。追加圧縮機90は、圧縮機ホイール32に追加して設けられる、吸気管18に配置された圧縮機ホイール92を有している。圧縮機ホイール92は圧縮機ホイール32の下流側に、かつその際にチャージエア冷却器39の下流側に配置されている。更に、追加圧縮機90は、圧縮機ホイール92を駆動可能な電気機械94を含んでいる。圧縮機ホイール92が駆動されることで、吸気管18を貫流する空気の少なくとも一部を圧縮することができる。
【0026】
圧縮機ホイール92には、別の迂回配管98を有する別の迂回装置96が付属している。別の迂回配管98は、個所S3及びS4で吸気管18と流体接続されている。個所S3は、圧縮機ホイール92の上流側かつ圧縮機ホイール32の下流側に、特にチャージエア冷却器39の下流側に配置されている。個所S4は、圧縮機ホイール92の下流側かつ燃焼室16の上流側に配置されている。迂回配管98により、吸気管18を貫流して特に圧縮機ホイール32により圧縮される空気の少なくとも一部を、個所S3で吸気管18から分岐させて迂回配管98に導入することができる。迂回配管98に導入される空気は迂回配管98を貫流し、迂回配管98によって個所S4へと案内される。迂回配管98を貫流する空気を個所S4で迂回配管98から導出して、吸気管18に導入することができる。迂回配管98を貫流する空気は圧縮機ホイール92を迂回し、従って圧縮機ホイール92では圧縮されない。
【0027】
図5に示す第3の実施形態では、迂回配管98の中に弁部材100が設けられており、この弁部材100は
図5では逆止弁として構成されていてよく、この逆止弁は個所S3の方向で遮蔽をするとともに、これと反対の方向、すなわち個所S4の方向で開き、それにより弁部材100が、迂回配管98を貫流する空気の個所S3から個所S4に向かう流動を許容するが、個所S4から個所S3に向かう流動を抑制、すなわち回避する。特に圧縮機ホイール92及び/又は個所S3は、導入個所E1の下流側に、かつそれに伴ってEGR導入部の下流側に配置されるようになっている。このことは、高圧排ガス再循環がチャージエア冷却器39の後で、かつ電気式の追加圧縮機90の前で、特に圧力p2nが生じている個所で、吸気管18に取り込まれることを意味する。電気式の追加圧縮機90で上昇したチャージ圧力は、促進的掃気勾配を低減させることがない。本実施形態では逆止弁として構成される弁部材100は、p2sからp2nへの空気の逆流を防止する。弁部材100は、通常では、ないし誤機能が起きた場合には開いており、圧力p2sが圧力p2nよりも高くなっている場合にのみ閉じる。電気式の追加圧縮機90が作動していないとき、弁部材100(逆止弁)は開いている。
【0028】
その代替として、吸気空気スロットルフラップ(スロットルフラップ62)が、たとえばバイパスフラップとして構成される弁部材100の機能の代わりを果たすことが考えられる。更に、電気式の追加圧縮機90は、追加の圧縮機特性マップによってポンプ限界が拡張されるという利点を有し、このことは、低い回転数のもとでEGR率が高いケースで利点となる。追加圧縮機90は、たとえばトルク上昇中に一時的に非定常的にEGRで作動し、圧縮された空気は冷却されない。
【0029】
上述した実施形態により、窒素酸化物とダイナミクスに関して、相反する目標の明らかな改善を実現することができる。同等の走行出力で、窒素酸化物エミッションの明らかな低減を実現することができる。追加圧縮機90により、これが高圧段のように作用し、圧縮機30の容積流量を低減させることがなく、それにより圧縮機が安定性限界(機能限界)に対してより多くの懸隔を有することによって、更に別の利点が与えられる。非定常的に、すなわち動的に特別に高い高圧EGR率で、動作を行うことができる。
【0030】
図面には示さない実施形態では、弁部材100が、たとえばスロットルフラップ62のような能動的なスロットルフラップとして構成されることが考えられる。このようにして、たとえば弁部材100により、迂回配管98を貫流する、及びそれに伴って追加圧縮機90を迂回する空気の量を、特に能動的に調整することができる。抑制された動作のために、電気式の追加圧縮機90が十分に圧力損失を発生させるのがよい。このことは、動作の停止又は流動方向と反対向きの回転によって実現することができる。
【0031】
最後に
図6は、第4の実施形態に基づく内燃機関10を示している。第4の実施形態では、電気式の追加圧縮機90が吸気管18に配置され、ただしその際に、圧縮機30の圧縮機ホイール32の下流側かつチャージエア冷却器39の上流側に配置されている。第4の実施形態では、排ガスターボチャージャ24が電気式の排ガスターボチャージャとして、すなわち電気式に支援される排ガスターボチャージャとして構成されており、それに応じて電気機械36を含んでいる。
【符号の説明】
【0032】
10 内燃機関
12 エンジンブロック
14 シリンダ
16 燃焼室
18 吸気管
20 排ガス管
22 排ガスマニホールド
24 排ガスターボチャージャ
26 タービン
28 タービンホイール
30 圧縮機
32 圧縮機ホイール
34 シャフト
36 電気機械
38 排ガス後処理装置
39 チャージエア冷却器
40a~40d 排ガス後処理部材
42 排ガスフラップ
44 迂回装置
46 迂回回路
48 弁部材
50 排ガス再循環装置
52 再循環配管
54 排ガス再循環冷却器
56 迂回回路
58 弁部材
60 排ガス再循環弁
62 スロットルフラップ
64 排ガス再循環装置
66 再循環配管
68 排ガス再循環冷却器
70 排ガス再循環弁
72 排ガス案内部材
74 矢印
76 矢印
78 矢印
80 仕分部
82 可変のタービンジオメトリー
84 案内羽根
86 回転中心
88 最小間隙
90 電気式の追加圧縮機
92 圧縮機ホイール
94 電気機械
96 迂回装置
98 迂回回路
100 弁部材
A1 分岐個所
A2 分岐個所
E1 導入個所
E2 導入個所
p1 圧力
p2 圧力
p2n 圧力
p2s 圧力
p3 圧力
p4 圧力
s1 個所
s2 個所
s3 個所
s4 個所
T4 温度
【手続補正書】
【提出日】2024-04-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のための内燃機関(10)であって、前記内燃機関(10)の排ガスにより貫流可能な排ガス管(20)と、前記排ガス管(20)に配置されて排ガスにより駆動可能なタービンホイール(28)と、前記タービンホイール(28)の上流側に配置された分岐個所(A1)で排ガスの少なくとも一部を前記排ガス管(20)から分岐可能であり、前記内燃機関(10)の空気により貫流可能な吸気管(18)へと再循環可能であり、導入個所(E1)で前記吸気管(18)へ導入可能である排ガス再循環配管(52)を有する排ガス再循環装置(50)とを有
し、前記吸気管(18)における前記導入個所(E1)の上流側又は下流側に、前記吸気管(18)を貫流する空気を圧縮するための電気駆動可能な圧縮機ホイール(32,92)が配置され
、前記排ガス再循環装置(50)が、排ガス再循環弁(60)を有し、この排ガス再循環弁によって、前記排ガス再循環配管(52)を貫流する排ガスの量を調整可能である内燃機関(10)において、
前記タービンホイール(28)が、排ガスにより貫流可能なタービンハウジングに配置され、前記タービンハウジングに対して相対的に回転可能であり、前記排ガス再循環弁(60)が、前記タービンハウジングに配置され、前記量の調整のために前記タービンハウジングに対して相対的に可動である、
又は、
前記排ガス管(20)に排ガスマニホールド(22)が配置され、この排ガスマニホールドの中で排ガスが前記内燃機関(10)の複数の燃焼室(16)から集められ、前記排ガス再循環弁(60)が、前記排ガスマニホールド(22)に配置され、前記量の調整のために前記排ガスマニホールド(22)に対して相対的に可動である
ことを特徴とする内燃機関。
【請求項2】
前記排ガス管(20)における前記タービンホイール(28)の下流側に、排ガスを堰き止めるための排ガスフラップ(42)が配置される
ことを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関(10)。
【請求項3】
前記タービンホイール(28)は、可変タービンジオメトリー(82)を有するタービン(26)のタービンホイール(28)である
ことを特徴とする、請求項
1記載の内燃機関(10)。
【請求項4】
吸気側に追加圧縮機(92)が配置され、前記排ガス再循環装置(50)が前記追加圧縮機(92)の前に導入(E1)される
ことを特徴とする、請求項
1記載の内燃機関(10)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
このような内燃機関は、たとえば下記特許文献1から、すでに公知のものとして参照することができる。この内燃機関は、内燃機関の排ガスにより貫流可能な排ガス管と、たとえば排ガスターボチャージャの構成要素であってよい、排ガス管に配置されて排ガスにより駆動されるタービンホイールとを有する。更に排ガス再循環装置が設けられている。排ガス再循環装置は、排ガス再循環配管を有し、これによって、排ガス管を貫流する排ガスの少なくとも一部を、タービンホイールの上流側に配置された分岐個所で排ガス管から分岐可能であり、空気により貫流可能な内燃機関の吸気管へと再循環可能であり、また導入個所で排ガス管へ、及びこれに伴って排ガス管を貫流する空気へ導入可能である。
更に下記特許文献2は、内燃機関のための空気取込システムを開示している。下記特許文献3からは、複数の接続部を有する排ガス案内弁が公知であることが読み取れる。下記特許文献4より、自動車のための内燃機関が公知である。下記特許文献5は、内燃機関を含み内燃機関により駆動可能な自動車の排ガス管に配置された少なくとも1つの排ガス後処理装置を加熱する方法を開示している。更に下記特許文献6より、車両のための内燃機関を作動させる方法が公知である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第10 2018 006 413 A1号明細書
【特許文献2】英国特許第2590942 A号公報
【特許文献3】米国特許第10677140 B1号公報
【特許文献4】独国特許出願公開第10 2018 006 413 A1号明細書
【特許文献5】独国特許出願公開第10 2015 015 794 A1号明細書
【特許文献6】独国特許出願公開第10 2019 003 576 A1号明細書
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
一定の回転数のもとで負荷飛躍が生じたケースでは、ディーゼルエンジンでの用途について、最大トルクに達するまで窒素酸化物エミッションが減少するという関係が生じる。対応する評価においては、たとえば特定のトルクに達するまでの時間、ないし遂行された仕事、すなわち正の出力の積分がプロットされる。同様の方式で、窒素酸化物質量流量(NOx質量流量)が積分される。EGR率を変更することでさまざまに異なるx値ペアとy値ペアが生じ、上に挙げた関係を具体的に示し、かつ特に当該トルクに達するまでの時間ないしは遂行した仕事に対する窒素酸化物エミッションの推移を具体的に示す曲線を形成することができる。電気式圧縮機ないし電気式ターボチャージャを追加することにより、特に一定の回転数を有する負荷電流では、短時間の電気式補助によりチャージ圧力の上昇は著しく速くなるが、使用法を適合化しなければ、窒素酸化物の流量も明らかに増加する。使用法の適合化は、窒素酸化物エミッション、チャージ圧力、及びトルク上昇に関して改善につながる。より小型で高性能のタービンは、窒素酸化物エミッションと有利なダイナミクスとの間の相反する目標において、軽微な改善をもたらすことが判明した。電気駆動式ターボチャージャないし電気式圧縮機の利用によって、明らかな改善を実現することができる。電気式補助の方式は、たとえば高圧排ガス再循環装置として構成される、ないしは高圧排ガス再循環を実行するために構成される排ガス再循環装置の分岐個所から導入個所への促進的掃気勾配に影響を及ぼす。たとえば電気式ターボチャージャで、又は電気式追加圧縮機で電気駆動可能な圧縮機ホイールを利用することにより、タービンホイールの手前で排ガス管にかかる圧力を上昇させることなく、吸気管圧力とも呼ばれる、吸気管にかかる圧力を上昇させることが可能である。それにより、出力レベルに関わりなく分岐個所から導入個所への促進的掃気勾配が低下することから、排ガスは再循環できなくなる。このことにより、チャージ圧力はより速く上昇可能であるにもかかわらず、窒素酸化物エミッションはそれ以上改善しない。
更に排ガス再循環装置は排ガス再循環弁を有し、この排ガス再循環弁により、排ガス再循環配管を貫流する排ガスの量を調整可能であることが意図される。このとき、タービンホイールは排ガスにより貫流可能なタービンハウジングに配置され、タービンハウジングに対して相対的に回転可能であり、排ガス再循環弁もタービンハウジングに配置され、量の調整のためにタービンハウジングに対して相対的に可動であり、又は、排ガス管に排ガスマニホールドが配置され、この排ガスマニホールドの中で排ガスが内燃機関の複数の燃焼室から集められ、排ガス再循環弁は排ガスマニホールドに配置され、量の調整のために排ガスマニホールドに対して相対的に可動である。
【国際調査報告】