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特表2024-531156涙液膜の動態を定量的に評価する技術
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】涙液膜の動態を定量的に評価する技術
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20240822BHJP
   A61B 3/107 20060101ALI20240822BHJP
   G02C 13/00 20060101ALI20240822BHJP
   G02C 7/04 20060101ALI20240822BHJP
   G16H 30/00 20180101ALI20240822BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240822BHJP
   G06V 10/82 20220101ALI20240822BHJP
【FI】
A61B3/10
A61B3/107
G02C13/00
G02C7/04
G16H30/00
G06T7/00 350C
G06V10/82
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508035
(86)(22)【出願日】2022-06-30
(85)【翻訳文提出日】2024-03-28
(86)【国際出願番号】 IB2022056122
(87)【国際公開番号】W WO2023017330
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】63/232,081
(32)【優先日】2021-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ケビン ベイカー
(72)【発明者】
【氏名】ヒョ ウォン チェ
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ボージャ
(72)【発明者】
【氏名】キャロライナ クネン
【テーマコード(参考)】
2H006
4C316
5L096
5L099
【Fターム(参考)】
2H006BB00
2H006BC00
2H006DA05
4C316AA02
4C316AA03
4C316AA24
4C316AB14
4C316AB16
4C316FA20
4C316FB05
4C316FB06
4C316FB21
4C316FB22
4C316FB26
4C316FC12
4C316FC21
4C316FY02
5L096AA06
5L096BA06
5L096CA02
5L096FA04
5L096FA06
5L096FA69
5L096HA11
5L096KA04
5L099AA26
(57)【要約】
本開示の態様は、コンタクトレンズに関連付けられた涙液膜動態を定量的に評価する技術を提供する。例示的な方法は、眼に装着されたコンタクトレンズの涙液膜表面に1個以上の形状の画像を投影するステップと、コンタクトレンズの涙液膜表面に投影された1個以上の形状の複数の画像フレームを含むビデオデータをある期間にわたり取得するステップと、複数の画像フレームに含まれる複数の反射パターン上で画像分割を実行するステップと、期間にわたるコンタクトレンズの涙液膜表面の変化を示す、コンタクトレンズの涙液膜表面の複数のマップを生成するステップと、複数のマップに基づいて、コンタクトレンズの涙液膜表面の期間にわたる変化を定量化する1個以上の測定値を出力するステップと、を含んでいる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼に装着されたコンタクトレンズの涙液膜を解析するための撮像装置であって、
前記眼に装着された前記コンタクトレンズの涙液膜表面に1個以上の形状の画像を投影すべく構成された角膜トポグラファと、
前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面に投影された前記1個以上の形状のビデオデータをある期間にわたり取得すべく構成されたデジタルカメラであって、前記ビデオデータが複数の画像フレームを含み、前記複数の画像フレームの各画像フレームが、前記画像フレームが取得された特定の時点での前記1個以上の形状の反射パターンを含んでいるデジタルカメラと、
メモリに結合されていて、前記撮像装置に、
前記複数の画像フレームの前記各々の反射パターン上で画像分割を実行させ、
前記複数の反射パターン上で実行された前記画像分割に基づいて、前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面の複数のマップであって前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面の前記期間にわたる変化を示す複数のマップを生成させ、
前記複数のマップに基づいて、前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面の前記期間にわたる変化を定量化する1個以上の測定値を出力させるべく構成された少なくとも1個のプロセッサと、
を含んでいる撮像装置。
【請求項2】
前記少なくとも1個のプロセッサが前記撮像装置に、コンタクトレンズに関連付けられた反射パターンを含む画像の画像分割を実行すべく訓練された人工知能(AI)モデルに基づいて前記画像分割を実行させるべく構成されている、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記1個以上の形状が1個以上のプラシドリングを含み、
前記1個以上の測定値が前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面に関連付けられた1個以上の涙液膜破断時点を含んでいる、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記1個以上の涙液膜破断時点が、
前記コンタクトレンズの中央部分に関連付けられた第1の涙液膜破断時点、又は、
前記コンタクトレンズの周辺部に関連付けられた第2の涙液膜破断時点の少なくとも一方を含んでいる、請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記少なくとも1個のプロセッサが更に前記撮像装置に、前記プラシドリングに関連付けられた縁の、少なくとも第1の画像フレームから第2の画像フレームへの、前記涙液膜表面の前記複数のマップにより示す変位に基づいて前記1個以上の涙液膜破断時点を判定させるべく構成されている、請求項3に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記1個以上の形状が1個以上のプラシドリングを含み、
前記1個以上の測定値が、前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面に関連付けられた1個以上の涙液膜破断速度測定値を含んでいる、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記1個以上の涙液膜破断速度測定値が、
前記コンタクトレンズの中央部近傍での前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面の破断に関連付けられた第1の涙液膜破断速度測定値、又は、
前記コンタクトレンズの周辺部近傍での前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面の破断に関連付けられた第2の涙液膜破断速度測定値の少なくとも一方を含んでいる、請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記少なくとも1個のプロセッサが更に前記撮像装置に、前記プラシドリングに関連付けられた縁の、少なくとも第1の画像フレームから第2の画像フレームへの、前記涙液膜表面の前記複数のマップにより示す変位の変化率に基づいて前記1個以上の涙液膜破断速度測定値を判定させるべく構成されている、請求項6に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記1個以上の形状が1個以上のプラシドリングを含み、
前記1個以上の測定値が、前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面に関連付けられた1個以上の涙液膜破断の規模の測定値を含んでいる、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記1個以上の涙液膜破断の規模の測定値が、
前記コンタクトレンズの中央部分近傍での前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面の破断に関連付けられた第1の涙液膜破断の規模の測定値、又は、
前記コンタクトレンズの周辺部近傍での前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面の破断に関連付けられた第2の涙液膜破断の規模の測定値の少なくとも一方を含んでいる、請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記少なくとも1個のプロセッサが更に前記撮像装置に、前記プラシドリングに関連付けられた縁の、少なくとも第1の画像フレームから第2の画像フレームへの、前記涙液膜表面の前記複数のマップにより示す変位の面積に基づいて、前記1個以上の涙液膜破断の規模の測定値を判定させるべく構成されている、請求項9に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記少なくとも1個のプロセッサが更に前記撮像装置に、異なる湿度レベル、異なる種類の点眼薬、又は異なる瞬き条件、異なるコンタクトレンズ、又は異なるコンタクトレンズ装着時間の少なくとも1個について、前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面に投影された前記1個以上の形状のビデオデータを取得させるべく構成されている、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記少なくとも1個のプロセッサが更に前記撮像装置に、前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面の前記期間にわたる変化を定量化する前記1個以上の測定値に基づいて、前記コンタクトレンズに関する1個以上の推奨を出力させるべく構成されていて、前記コンタクトレンズに関する前記1個以上の推奨が、
前記コンタクトレンズを特定の製造材料で製造する旨の推奨、
前記コンタクトレンズと共に特定の点眼薬を用いる旨の推奨、
前記コンタクトレンズの形状を変更する旨の推奨、又は、
特定の角膜形状を有する眼に前記コンタクトレンズを用いる旨の推奨のうち少なくとも1個を含んでいる、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項14】
眼に装着されたコンタクトレンズの涙液膜を解析するための方法であって、
前記眼に装着された前記コンタクトレンズの涙液膜表面に1個以上の形状の画像を投影するステップと、
前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面に投影された前記1個以上の形状のビデオデータをある期間にわたり取得するステップであって、前記ビデオデータが複数の画像フレームを含み、前記複数の画像フレームの各画像フレームが、前記画像フレームが取得された特定の時点での前記1個以上の形状の反射パターンを含んでいるステップと、
前記複数の画像フレームの前記各々の反射パターン上で画像分割を実行するステップと、
前記複数の反射パターン上で実行された前記画像分割に基づいて、前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面の複数のマップであって前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面の前記期間にわたる変化を示す複数のマップを生成するステップと、
前記複数のマップに基づいて、前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面の前記期間にわたる変化を定量化する1個以上の測定値を出力するステップと、を含む方法。
【請求項15】
前記画像分割を実行するステップが、コンタクトレンズに関連付けられた反射パターンを含む画像の画像分割を実行すべく訓練された人工知能(AI)モデルに基づいている、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記1個以上の形状が1個以上のプラシドリングを含み、
前記1個以上の測定値が、前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面に関連付けられた1個以上の涙液膜破断時点を含み、
前記1個以上の涙液膜破断時点が、
前記コンタクトレンズの中央部分に関連付けられた第1の涙液膜破断時点、又は、
前記コンタクトレンズの周辺部に関連付けられた第2の涙液膜破断時点の少なくとも一方を含み、
前記方法が更に、前記プラシドリングに関連付けられた縁の、少なくとも第1の画像フレームから第2の画像フレームへの、前記涙液膜表面の前記複数のマップにより示す変位に基づいて前記1個以上の涙液膜破断時点を判定するステップを含んでいる、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記1個以上の形状が1個以上のプラシドリングを含み、
前記1個以上の測定値が、前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面に関連付けられた1個以上の涙液膜破断速度測定値を含み、
前記1個以上の涙液膜破断速度測定値が、
前記コンタクトレンズの中央部近傍での前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面の破断に関連付けられた第1の涙液膜破断速度測定値、又は、
前記コンタクトレンズの周辺部近傍での前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面の破断に関連付けられた第2の涙液膜破断速度測定値の少なくとも一方を含み、
前記方法が更に、前記プラシドリングに関連付けられた縁の、少なくとも第1の画像フレームから第2の画像フレームへの、前記涙液膜表面の前記複数のマップにより示す変位の変化率に基づいて前記1個以上の涙液膜破断速度測定値を判定するステップを含んでいる、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記1個以上の形状が1個以上のプラシドリングを含み、
前記1個以上の測定値が、前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面に関連付けられた1個以上の涙液膜破断の規模の測定値を含み、
前記1個以上の涙液膜破断の規模の測定値が、
前記コンタクトレンズの中央部分近傍での前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面の破断に関連付けられた第1の涙液膜破断の規模の測定値、又は、
前記コンタクトレンズの周辺部近傍での前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面の破断に関連付けられた第2の涙液膜破断の規模の測定値の少なくとも一方を含み、
前記方法が更に、前記プラシドリングに関連付けられた縁の、少なくとも第1の画像フレームから第2の画像フレームへの、前記涙液膜表面の前記複数のマップにより示す変位の面積に基づいて前記1個以上の涙液膜破断の規模の測定値を判定するステップを含んでいる、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
異なる湿度レベル、異なる種類の点眼薬、又は異なる瞬き条件、異なるコンタクトレンズ、又は異なるコンタクトレンズ装着時間の少なくとも1個について、前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面に投影された前記1個以上の形状のビデオデータを取得するステップを含んでいる、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面の前記期間にわたる変化を定量化する前記1個以上の測定値に基づいて、前記コンタクトレンズに関する1個以上の推奨を出力するステップを更に含み、前記コンタクトレンズに関する前記1個以上の推奨が、
前記コンタクトレンズを特定の製造材料で製造する旨の推奨、
前記コンタクトレンズと共に特定の点眼薬を用いる旨の推奨、
前記コンタクトレンズの形状を変更する旨の推奨、又は、
特定の角膜形状を有する眼に前記コンタクトレンズを用いる旨の推奨のうち少なくとも1個を含んでいる、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ヒトの眼において、眼球表面を覆う角膜前涙液膜は3種の一次層、すなわちムチン層、水液層、及び脂質層で構成されている。各層は眼を保護及び潤滑する役割を果たすため、眼の乾燥又は保護及び潤滑の欠如に影響を与える。眼の乾燥は眼疾患として認識され、一般に「ドライアイ」、「ドライアイ症候群」(DES)、又は「乾性角結膜炎」(KCS)と称される。ドライアイは、かゆみ、灼熱感、炎症感等の症状を引き起こし、不快感が生じる場合がある。眼球涙液膜層の厚さとドライアイとの間には相関関係がある。
【0002】
コンタクトレンズの装着者について医師に広く報告されている症状は、長時間のコンタクトレンズ装着が苦痛であることである。コンタクトレンズの装着はドライアイの原因となりうる。コンタクトレンズは本来の涙液膜を乱し、時間の経過に伴い角膜の感度を低下させ、涙の生成を減少させる恐れがある。患者によっては、眼の不快感による痛み、刺激、又は視力の低下により、コンタクトレンズの装着が管理できなくなる場合ある。典型的な治療法として、点眼薬を繰り返し適用すること、日常活動を変えること、又はコンタクトレンズを繰り返し外して標準的な眼鏡若しくは低下した視力に戻すこと等がある。医師に側では、患者に対し代替的な視力矯正を推奨するまで、治療薬の変更及びコンタクトレンズの交換等の典型的な治療方針を試して評価する。このような患者の多くにとって、蒸発性ドライアイ疾病はコンタクトレンズの苦痛の根本原因である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
特定の実施形態において、眼に装着されたコンタクトレンズの涙液膜解析方法を提供する。本方法は、眼に装着されたコンタクトレンズの涙液膜表面に1個以上の形状の画像を投影するステップを含んでいる。本方法は更に、コンタクトレンズの涙液膜表面に投影された1個以上の形状のビデオデータをある期間にわたり取得するステップを含み、ビデオデータは複数の画像フレームを含み、複数の画像フレームの各画像フレームは、当該画像フレームが取得された特定の時点での1個以上の形状の反射パターンを含んでいる。本方法は更に、複数の画像フレームの各々の反射パターン上で画像分割を実行するステップを含んでいる。本方法は更に、複数の反射パターン上で実行された画像分割に基づいてコンタクトレンズの涙液膜表面の複数のマップを生成するステップを含み、複数のマップは、期間にわたるコンタクトレンズの涙液膜表面の変化を示す。本方法は更に、複数のマップに基づいて、コンタクトレンズの涙液膜表面の期間にわたる変化を定量化する1個以上の測定値を出力するステップを含んでいる。
【0004】
特定の実施形態において、眼に装着されたコンタクトレンズの涙液膜を解析するための撮像装置を提供する。撮像装置は、眼に装着されたコンタクトレンズの涙液膜表面に1個以上の形状の画像を投影すべく構成された角膜トポグラファを含んでいる。撮像装置はまた、コンタクトレンズの涙液膜表面に投影された1個以上の形状のビデオデータをある期間にわたり取得すべく構成されたデジタルカメラを含み、ビデオデータは複数の画像フレームを含み、複数の画像フレームの各画像フレームは、当該画像フレームが取得された特定の時点での1個以上の形状の反射パターンを含んでいる。撮像装置はまた、メモリに結合されていて、撮像装置に、複数の画像フレームの各々の反射パターン上で画像分割を実行させるべく構成された少なくとも1個のプロセッサを含んでいる。また、少なくとも1個のプロセッサは、複数の反射パターン上で実行された画像分割に基づいて、コンタクトレンズの涙液膜表面の複数のマップを撮像装置に生成させるべく構成されていてよく、複数のマップは、期間にわたるコンタクトレンズの涙液膜表面の変化を示す。また、少なくとも1個のプロセッサは、複数のマップに基づいて、コンタクトレンズの涙液膜表面の期間にわたる変化を定量化する1個以上の測定値を撮像装置に出力させるべく構成されていてよい。
【0005】
本開示の上述の特徴の詳細が理解されるよう、上で簡潔に要約した本開示のより具体的な説明を、一部を添付図面に示す複数の実施形態を参照することにより提示できる。しかし、添付図面は例示的な実施形態を示すに過ぎず、従って本発明の範囲を限定するものと考えてはならず、他の同様に有効な実施形態も可能であることに注意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A-1B】コンタクトレンズを装着した患者と装着していない患者の眼の様々な涙液膜を示す。
図2】特定の実施形態による、患者の眼の涙液膜の破断時間を測定する角膜トポグラファを含む例示的な環境を示す。
図3】特定の実施形態による、眼に装着されたコンタクトレンズの涙液膜解析の例示的な処理を示す。
図4A】特定の実施形態による、撮像装置が取得したビデオデータの第1の画像フレームの一例を示す。
図4B】特定の実施形態による、撮像装置が取得したビデオデータの第1の画像フレーム内の反射パターン上で実行される画像分割の一例を示す。
図5A】特定の実施形態による、撮像装置が取得したビデオデータの第2の画像フレームの一例を示す。
図5B】特定の実施形態による、撮像装置が取得したビデオデータの第2の画像フレームにおける反射パターン上で実行される画像分割の一例を示す。
図6A-6B】特定の実施形態による、第1及び第2の画像フレーム内の反射パターン上で実行された画像分割に基づいて生成された変位マップの一例を示す。
図7】本明細書に記述する特定の実施形態と合わせて利用される、撮像装置の様々な要素が通信及び共に動作する様子を示す例示的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
理解を容易にすべく、可能ならば同一の参照符号を用いて各図に共通する同一要素を指定する。ある実施形態の要素及び特徴が、更に言及することなく他の実施形態に有利に組み込まれている場合も考えられる。
【0008】
本明細書に記述する複数の実施形態は、コンタクトレンズ装着に関連付けられた眼科情報を取得するための光学システム、装置、及び技術を提供する。眼科情報を用いてコンタクトレンズ装着に関連付けられた患者の眼の涙液膜動態を定量的に評価できる。いくつかの実施形態において、眼科情報は、コンタクトレンズの涙液膜表面の変化を示す複数のマップの生成に用いるビデオデータを含んでいてよい。いくつかの実施形態において、複数のマップに基づいて、涙液膜表面の変化を定量化する1個以上の測定値を出力することができる。
【0009】
図1A、1Bに、コンタクトレンズを装着した患者と装着していない患者の眼100の様々な涙液膜を示す。図1Aに示すように、眼100は、複数の異なる下位層を含む角膜前涙液膜102を含んでいる。例えば、涙液膜102の最も内側の層を、粘液層106として知られる眼100の角膜104と接触した状態で示している。粘液層106は、角膜104の水分の保持を支援して眼100の乾燥を防ぐべく潤滑及び保護層を設けるムチンを含んでいてよい。
【0010】
涙液膜102はまた、涙液膜102の大部分を含む中間又は水液層108も含んでいる。水液層108は、眼100を包む涙腺及び副涙腺による水分の分泌により形成される。涙腺及び副涙腺から分泌される水分は一般に「涙」とも称する。水液層108の一つの機能は眼100に入る得る埃、ごみ、異物を洗い流すのを助けることである。水液層108の別の重要な機能は、眼100を潤して快適に保つべく潤滑及び保護層を設けることである。「水分欠乏症」としても知られる水液層14で充分な水分が不足する不具合はドライアイの一般的な原因である。
【0011】
図示するように、涙液膜102はまた、眼の乾燥防止に役立つ脂質層110も含んでいる。脂質層110は、眼100の上下の瞼にあるマイボーム腺により生成される「マイバム」又は「皮脂」として知られる脂質を含んでいる。この脂質層110は極めて薄く、典型的には厚さが250ナノメートル(nm)未満である。脂質層110は、水液層108に被せて保護膜を設けて水液層108が蒸発する速度を制限する。瞬きにより、上瞼は水分及び脂質を涙液膜として汲み上げて眼100を覆う保護膜を形成する。水液層108の蒸発速度が速ければ眼球が乾燥する恐れがある。従って、脂質層110が水液層108の蒸発速度を制限するのに充分でない場合、眼の乾燥が生じる恐れがある。
【0012】
多くの場合、患者は低下した視力を矯正すべくコンタクトレンズの装着を選択する場合があり、これは図1Bに示すように眼100の涙液膜の機能に影響を及ぼすことがある。例えば、コンタクトレンズ112を眼100に装着したならば、コンタクトレンズ112の包装溶液又はケアレジメンの一方からの追加的液体により最初に眼100の涙/水分が希釈される。コンタクトレンズ112は、角膜104の位置に装着されたならば涙液膜102をレンズ前涙液膜114及びレンズ後涙液膜116として知られる二つの別々の層に分割する。図示するように、レンズ前涙液膜114はコンタクトレンズ112の外面を覆うのに対し、レンズ後涙液膜116はコンタクトレンズ112と角膜104の間に配置される。
【0013】
健康な眼の場合、涙液膜の厚さは約7μm(マイクロメートル)であるが、コンタクトレンズ112(典型的に中心厚が少なくとも70μmである)が眼100の角膜104に適用されて定着したならば、レンズ前涙液膜114は約1μm~2μmでしかない。このため、コンタクトレンズ112の外面を覆うレンズ前涙液膜114は、図1Aに示す正常な涙液膜102と比較して脂質層が薄くなって蒸発速度が増し、涙液膜量が減少している。これらの変化により涙液膜を不安定化し、その結果、患者がコンタクトレンズ装着中にドライアイの症状を訴える恐れがある。
【0014】
患者のドライアイは、患者の眼の涙液膜の破断時間を測定する技術を用いて診断することができる。一般に、涙液膜の破断時間の値が約10~35秒であれば正常とみなされる(すなわち、患者はドライアイでないと考えてよい)。逆に、涙液膜破断時間が10秒未満の場合、患者の涙液膜は不安定であり、ドライアイや不快感を感じていると考えられる。コンタクトレンズは涙液膜破断時間に直接的な影響を及ぼし得る。例えば、ソフトコンタクトレンズを装着すると、コンタクトレンズの素材や装着方法に依らず、涙液膜破断時間は通常、挿入前の15~30秒から10秒未満に短縮する。
【0015】
涙液膜の破断時間を測定する一つの仕方は、角膜トポグラファを用いて既知のパターンを患者の眼の角膜上の涙液膜の表面に投影し、カメラで患者の角膜からの既知のパターンの反射を記録するものである。記録された反射を用いて既知のパターンの歪みを検出することができ、これは患者の眼の角膜上の涙液膜の破断を示唆する場合がある。
【0016】
図2に、患者の眼の涙液膜の分断時間を測定する角膜トポグラファを含む例示的な環境200を示す。例えば、図示するように、環境200は角膜トポグラファ202を含んでいる。角膜トポグラファ202は、同心円状のリングのパターンを含むプラシドディスク204を含んでいる。プラシドディスク204は光源によりバックライトされ、矢印206で示すように、同心円のパターンをプラシドディスク204の前方に置かれた患者の眼208の涙液膜の表面に投影することができる。投影された同心円のパターンは次いで、矢印210で示すように、患者の眼208の涙液膜から反射され得る。
【0017】
図示するように、角膜トポグラファ202はまた、患者の眼の涙液膜表面に投影された同心円のリングのパターンの反射のビデオを記録すべく使用されてよいデジタルカメラ等のカメラ212を含んでいる。角膜トポグラファ202のカメラ212により記録されたビデオは、コンピュータ214に入力/保存され、モニタ216に表示される。涙液膜の破断時間を判定すべく、患者の眼の涙液膜表面に投影された同心円のパターンの反射をカメラ212が記録している間に、医師が患者に瞬きをするよう指示する場合がある。患者が瞬きをした後で、医師及び/又はコンピュータ214内のハードウェア/ソフトウェアが、カメラ212により撮影されたビデオを監視して、患者の眼の涙液膜表面から反射された同心円のパターンにおける歪みの有無を調べることができる。患者の眼の涙液膜表面から反射された同心円のパターンに歪みがあれば、涙液膜表面が破断しており、患者の眼が乾燥し始めたことを示す可能性がある。患者の最後の瞬きと、患者の眼の涙液膜表面から反射された同心円のパターンの歪みの検出との時間間隔により、患者の眼に関連付けられた特異な涙液膜破断時間測定値が得られる。
【0018】
しかし、上述の技術は患者の眼の涙液膜の破断時間の判定には利用できるが、特異な涙液膜破断時間を判定する上述の技術等、涙液膜動態を評価する上述の技術では限られた値しか得られず、往々にして不安定(例えば結果が再現不可能)、不充分であり、コンタクトレンズの装着時に用いることを意図されていない。更に、上述の涙液膜測定値(例えば特異な涙液膜破断時間)は、涙液膜動態を充分に記述できず、コンタクトレンズの装着に関連付けられた快適性、コンタクトレンズの視力性能等、臨床的結果との良い相関が得られない場合が多い。また更に、異なるコンタクトレンズ設計と潤滑用の点眼薬溶液との間の定量的な涙液膜比較(例えば涙液膜破断時間の比較)は異なるテスト条件下及び上述の技術を用いた患者集団では困難である。
【0019】
従って、本開示の複数の態様は、コンタクトレンズの使用に関連付けられた患者の眼の涙液膜動態を定量的に評価する技術を提供する。いくつかの場合において、涙液膜動態の定量的な評価は患者の眼及びコンタクトレンズ装着に関連付けられた眼科情報に基づいていてよい。眼科情報は、例えば、患者の眼に装着されたコンタクトレンズの涙液膜表面のビデオデータを含んでいてよく、これを用いて涙液膜表面の変化を示す複数のマップを生成することができる。更に、複数のマップに基づいて、涙液膜表面の変化を定量化する1個以上の測定値を出力することができる。
【0020】
いくつかのケースにおいて、本明細書に記述する技術により判定/出力される1個以上の測定値は、破断が発生する時間だけを提供するが速度、加速度、規模、位置等の破断に関連付けられた任意の種類の追加的な情報を提供しない上述の特異な涙液膜破断時間よりも多くの情報を提供する。このように、本明細書に記述する技術により判定される1個以上の測定値は、例えば、涙液膜破断速度、涙液膜破断加速度、涙液膜破断の規模、又は涙液膜破断位置(例えばコンタクトレンズの周辺部、コンタクトレンズの中央部等)のうち少なくとも一つが含まれる。これらの追加的な測定値は、涙液膜をより正確に定量化できるため、コンタクトレンズの装着に関連付けられた快適性及びコンタクトレンズの視覚的性能等の臨床結果をより正確に評価することができる。
【0021】
また、上述の技術及び1個以上の測定値を用いてコンタクトレンズに関連付けられた他の有用な情報/推奨を提供できるが、これは上述の特異な涙液膜破断時間測定値では不可能な場合がある。例えば、いくつかのケースにおいて、上述の技術及び1個以上の測定値に基づいて生成される旨の推奨は、特定の製造材料でコンタクトレンズを製造する旨の推奨、コンタクトレンズと共に特定の点眼薬を用いる旨の推奨、コンタクトレンズの形状を変更する旨の推奨、又は特定の角膜形状を有する眼でコンタクトレンズを用いる旨の推奨のうち少なくとも一つを含んでいてよい。
【0022】
図3に、眼に装着されたコンタクトレンズの涙液膜を解析する例示的な処理300を示す。いくつかの実施形態において、処理900は、角膜トポグラファ202及びカメラ212と組み合わせたコンピュータ214等の撮像装置により実行されてよい。
【0023】
処理300は、撮像装置が(例えば角膜トポグラファ202を介して)眼に装着されたコンタクトレンズの涙液膜表面に1個以上の形状の画像を投影するブロック310から開始される。いくつかのケースにおいて、1個以上の形状は1個以上のプラシドリングを含んでいてよい。例えば、図2に関して上で述べたように、角膜トポグラファ202を用いて眼208に装着されたコンタクトレンズの涙液膜表面にプラシドディスク204の画像を投影することができる。本明細書で提示する技術は、1個以上のプラシドリングの画像の投影に関連して記述しているが、プラシドリングではなく任意の種類の既知のパターン(例えばドットのマトリクス又は他の1個以上の形状)を用いて眼に投影されてよいことを理解されたい。
【0024】
次いで、ブロック320において、撮像装置は(例えばカメラ212を介して)コンタクトレンズの涙液膜表面に投影された1個以上のプラシドリングのビデオデータをある期間にわたり取得する。ビデオデータは、複数の画像フレームを含んでいてよく、複数の画像フレームの各画像フレームは、当該画像フレームが取得された特定の時点での1個以上の(例えば図2の210に示すような)プラシドリングの反射パターンを含んでいる。いくつかのケースにおいて、(複数の画像フレームを含む)ビデオデータが取得される期間は眼の瞬きの間隔を含んでいてよい。
【0025】
図4Aに、撮像装置が取得したビデオデータの第1の画像フレーム400の一例を示す。図示するように、第1の画像フレーム400は、患者の眼408のコンタクトレンズ406の涙液膜表面に投影されたプラシドリング404の反射パターン402を含んでいる。いくつかの実施形態において、第1の画像フレーム400は、患者が瞬いた直後に取得されてよく、以下に記述するように患者の眼408に装着されたコンタクトレンズ406の涙液膜表面の変化を判定する根拠の役割を果たすことができる。一般に、患者が瞬いた直後ではコンタクトレンズ406の涙液膜表面は無傷であって変化が観察されない可能性がある。
【0026】
図3に戻り、ブロック330において、撮像装置は複数の画像フレームの各々の反射パターン上で画像分割を実行する。いくつかの実施形態において、撮像装置は画像分割を実行して各反射パターンにおける1個以上のプラシドリングの縁を判定することができる。いくつかのケースにおいて、画像分割を実行して1個以上のプラシドリングの縁を判定するステップは、画像フレームの反射パターンを解析して、不連続性又は輝度の急激な変化を有する画像フレームの反射パターンの点を識別するステップを含んでいてよい。いくつかのケースにおいて、このような解析は、画像フレームのピクセル間の輝度又は強度、色等を解析するステップを含んでいてよい。
【0027】
図4Bに、上述の画像分割の一例を示す。例えば、図示するように、撮像装置は第1の画像フレーム400の反射パターン402に対して画像分割を実行してプラシドリング404の縁410を判定することができる。いくつかの実施形態において、撮像装置は、コンタクトレンズに関連付けられた反射パターンを含む画像の画像分割を実行すべく訓練された人工知能(AI)モデルに基づいて画像分割を実行してもよい。より具体的には、例えば、AIモデルは専らコンタクトレンズの涙液膜表面から反射された反射パターンにおける1個以上のプラシドリングの縁を判定すべく訓練されていてよい。
【0028】
ビデオデータの第1の画像フレーム400に対して画像分割を実行した後で、撮像装置は、ビデオデータの追加的な画像フレームに対して画像分割を実行することができる。例えば、図5Aに、患者の眼408のコンタクトレンズ406の涙液膜表面に投影されたプラシドリング404の反射パターン502を含むビデオデータの第2の画像フレーム500を示す。いくつかの実施形態において、第2の画像フレーム500は、第1の画像フレーム400の後の第2の時点で撮影されてよく、以下に述べるように、第1の画像フレーム400と組み合わせて(直接的又は間接的に)用いてコンタクトレンズ406の涙液膜表面の変化を判定することができる。
【0029】
その後、図5Bに示すように、撮像装置は第2の画像フレーム500に対して画像分割を実行して反射パターン502におけるプラシドリング404の縁504を判定することができる。上述のように、第2の画像フレーム500は、撮像装置が第1の画像フレーム400を取得した後の第2の時点で取得される。第1の画像フレーム400が取得されてから第2の画像フレーム500が取得されるまでの時間間隔において、コンタクトレンズ406上の涙液膜が蒸発及び劣化し始め、最終的に涙液膜の破断等、涙液膜の変化が生じる可能性がある。例えば、第2の画像フレーム500に示すように、コンタクトレンズ406の涙液膜の第1の変化506をコンタクトレンズ406の周辺部分に示し、コンタクトレンズ406の涙液膜の第2の変化508をコンタクトレンズ406の中央部分に示している。いくつかのケースにおいて、第1の変化506及び第2の変化508は、コンタクトレンズ406の涙液膜の破断であるか、又は(涙液膜が未だ無傷であっても)コンタクトレンズ406の涙液膜が充分に蒸発してプラシドリング404の縁の変位を生じさせる領域である可能性がある。撮像装置は、後述するように、ビデオデータの画像フレームの反射パターン上で実行された画像分割に基づいて生成された複数の変位マップを用いて、涙液膜に対するこれらの変化を定量化することができる。
【0030】
本開示の複数の態様は、2個の異なる画像フレーム、すなわち図4Aの第1の画像フレーム400及び図5Aの第2の画像フレーム500だけを示しているが、撮像装置は、ビデオデータを取得する期間(例えば眼球の瞬きの間)にわたり、任意の個数の画像フレームを取得(及びその後、画像分割を実行し、それに基づいて変位マップを生成)できることを理解されたい。
【0031】
例えば、図3のブロック340において、撮像装置は、複数の反射パターン上で実行された画像分割に基づいて、コンタクトレンズの涙液膜表面の複数の変位マップを生成する。いくつかの実施形態において、複数のマップはマップビデオを形成し、ブロック320でのビデオデータが取得される期間にわたるコンタクトレンズの涙液膜表面の変化を示すことができる。複数の変位マップを生成すべく、撮像装置は、ビデオデータ内の複数の画像フレームに跨って(例えば図3のブロック330で実行された画像分割に基づいて判定された)1個以上のプラシドリングの(例えば極座標、デカルト座標等における)縁の位置を追跡することができる。例えば、撮像装置は、複数の画像フレームに跨って1個以上のプラシドリングの縁の位置を比較し、縁の位置の比較に基づいて、ビデオデータが取得される期間にわたる1個以上のプラシドリングの縁の位置の変化を示す複数の変位マップを生成することができる。いくつかのケースにおいて、複数のマップは、ビデオデータが取得される期間にわたり、ある画像フレームから次の画像フレームまでの1個以上のプラシドリングの縁の変位の規模を示していてよい。
【0032】
上述のように、コンタクトレンズ406の涙液膜表面に1個以上のプラシド環の画像を投影するのではなく、ドットのマトリクス等、任意の既知のパターンを用いてもよい。例えば、そのような場合、撮像装置は、コンタクトレンズ406の涙液膜表面にドットのマトリクスを投影してよい。撮像装置は次いで、ある期間(例えば眼球の瞬きの間)の間に、(例示的な第1の画像フレーム400及び第2の画像フレーム500を含む)複数の画像フレームを含むビデオデータを取得することができる。この場合、複数の画像フレームの各画像フレームは、当該画像フレームが取得された特定の時点でのドットのマトリクスの反射パターンを含んでいてよい。撮像装置は次いで複数の画像フレームの各々の反射パターン上で画像分割を実行して、コンタクトレンズ406の涙液膜表面に投影されたドットのマトリクスのドットの縁(及び位置)を判定することができる。撮像装置は次いで、複数の画像フレームに跨ってドットの縁/位置を追跡することができる。例えば、撮像装置は、複数の画像フレームに跨ってドットの縁の位置を比較し、縁の位置の比較に基づいて、ビデオデータが取得される期間にわたるドットの縁の位置の変化を示す複数の変位マップを生成することができる。
【0033】
図6A及び6Bに、複数の反射パターン上でブロック330で実行された画像分割に基づいて生成された例示的な変位マップを示す。例えば、図6Aは、第1の画像フレーム400におけるプラシドリング404の反射パターン402に対応する第1の変位マップ602を示す。上述のように、第1の画像フレーム400は、患者の瞬きの直後に取得され、患者の眼408のコンタクトレンズ406の涙液膜表面の変化を判定する基礎となるため、第1の変位マップ602をソリッドマップとして示している。換言すれば、第1の画像フレーム400の反射パターン402は、患者が瞬きをした直後に撮影されるため、コンタクトレンズ406の涙液膜表面には視認可能な変化が無い可能性があるため、プラシドリング404の縁の位置は移動していない。
【0034】
図6Bに、第2の画像フレーム500におけるプラシドリング404の反射パターン502に対応する第2の変位マップ604を示す。上述のように、第2の画像フレーム500は、第1の画像フレーム400が取得された後の第2の時点で取得されるため、第2の画像フレーム500における反射パターンは、コンタクトレンズ406の涙液膜の第1の変化506及び第2の変化508を含んでいる。撮像装置は、第2の画像フレーム500におけるプラシドリング404の縁の位置と、第1の画像フレームにおけるプラシドリング404の縁の位置との比較に基づいて、第1の変化506及び第2の変化508を判定することができる。
【0035】
例えば、第1の画像フレーム400と第2の画像フレーム500との比較に基づいて、撮像装置は、第2の画像フレーム500における第1の変化506に対応する領域に生じるプラシドリング404の縁の位置が、第1の画像フレーム400における第1の変化506に対応する領域に生じるプラシドリング404の縁の位置と比較して、ある量だけ変位していると判定することができる。同様に、第1の画像フレーム400と第2の画像フレーム500との比較に基づいて、撮像装置は、第2の画像フレーム500における第2の変化508に対応する領域に発生するプラシドリング404の縁の位置が、第1の画像フレーム400における第2の変化508に対応する領域に発生するプラシドリング404の縁の位置に比べてある量だけ変位していると判定することができる。
【0036】
撮像装置は次いで、第2の変位マップ604内のプラシドリング404の縁の変位をマッピングすることができる。例えば、図6Bにおいて、第2の変位マップ604内のプラシドリング404の縁の変位は、異なる密度のスティプリングにより表すことができる。例えば、図に見られるように、第2の画像フレーム500の第1の変化506及び第2の変化508の位置におけるプラシドリング404の縁の位置が、第1の画像フレームに相対的にある量だけ変位しているため、図6Bの第2の変位マップ604に示すスティプリングが、第1の画像フレーム400に相対的にプラシドリング404の縁の位置が変化していない第2の画像フレーム500の他の位置と比較して、第1の変化506及び第2の変化508の位置の方がより密である。このように、第2の変位マップ604においてスティプリングがこのようにより密であることは、患者の眼408に装着されたコンタクトレンズ406に相対的な第1の変化506及び第2の変化508の位置を示す。
【0037】
上述のように、図3のブロック340で生成された複数の変位マップは、ビデオデータ及び複数の画像フレームが取得される期間にわたるコンタクトレンズ406の涙液膜表面に対する変化(例えば破断)を示すことができる。コンタクトレンズ406の涙液膜表面の変化を定量化すべく、撮像装置は、図3のブロック350において1個以上の測定値を判定及び出力すべく構成されている。いくつかの実施形態において、1個以上の測定値を出力するステップは、例えば、図2に図示したモニタ216に1個以上の測定値を表示するステップと、1個以上の測定値をコンピュータ214のメモリ又はコンピュータ214の外付けメモリ(例えば外部サーバ、フラッシュドライブ等)に記憶するステップと、プリンタを用いて1個以上の測定値を印刷するステップ等を含んでいてよい。いくつかの実施形態において、撮像装置が1個以上の測定値を判定及び出力するのではなく、撮像装置は、ビデオデータ及び/又は複数の変位マップ等のデータを外部機器又はサーバへ送信してもよい。これに応答して、撮像装置は外部機器又はサーバから1個以上の測定値を受信して図3のブロック350で1個以上の測定値を出力してもよい。
【0038】
いくつかの実施形態において、1個以上の測定値は、コンタクトレンズの涙液膜表面に関連付けられた1個以上の涙液膜破断時点を含んでいる。例えば、いくつかの実施形態において、1個以上の涙液膜破断時点は、コンタクトレンズの中央部分に関連付けられた第1の涙液膜破断時点(例えば第2の変化508に関連付けられた涙液膜破断時点)及び/又はコンタクトレンズの周辺部分に関連付けられた第2の涙液膜破断時点(例えば第1の変化506に関連付けられた涙液膜破断時点)を含んでいる。いくつかの実施形態において、撮像装置は1個以上のプラシドリングに関連付けられた縁の、少なくとも第1の画像フレーム(例えば第1の画像フレーム400)から第2の画像フレーム(例えば第2の画像フレーム500)への、涙液膜表面の複数のマップ(例えば第1の変位マップ602及び第2の変位マップ604)により示す変位に基づいて1個以上の涙液膜破断時点を判定することができる。
【0039】
上述のように、コンタクトレンズの涙液膜表面に投影された1個以上のプラシドリングのビデオデータ及び複数の画像フレームはある期間にわたり取得され、その結果、コンタクトレンズの涙液膜表面の変化は期間にわたり変化し続ける可能性がある。例えば、ビデオデータ及び複数の画像フレームが取得される期間にわたり、コンタクトレンズ406の涙液膜表面の第1の変化506及び第2の変化508のサイズが大きくなり、その結果、位置が変化する可能性がある。従って、涙液膜表面の変化(例えば破断が成長して移動する)をより良好に定量化すべく、1個以上の測定値は、涙液膜表面の破断の速度、加速度、又は規模に関連付けられた1個以上の測定値を含んでいてよい。
【0040】
より具体的には、いくつかの実施形態において、図3のブロック350において撮像装置により判定/出力される1個以上の測定値は、コンタクトレンズの涙液膜表面に関連付けられた1個以上の涙液膜破断速度測定値を含んでいてよい。例えば、いくつかの実施形態において、1個以上の涙液膜破断速度測定値は、コンタクトレンズの中央部分付近でのコンタクトレンズの涙液膜表面の破断に関連付けられた第1の涙液膜破断速度測定値(例えば第2の変化508に関連付けられた第1の涙液膜破断速度)、及び/又は、コンタクトレンズの周辺部付近でのコンタクトレンズの涙液膜表面の破断に関連付けられた第2の涙液膜破断速度測定値(例えば第1の変化506に関連付けられた第2の涙液膜破断速度)である。涙液膜破断速度測定値は、涙液膜の破断がどの程度速く移動しているかを示すことができ、ミリメートル毎ミリ秒その他の単位で判定することができる。いくつかの実施形態において、撮像装置は1個以上のプラシドリングに関連付けられた縁の、少なくとも第1の画像フレーム(例えば第1の画像フレーム400)から第2の画像フレーム(例えば第2の画像フレーム500)への、涙液膜表面の複数のマップ(例えば第1の変位マップ602及び第2の変位マップ604)により示す変位に基づいて1個以上の涙液膜破断時点を判定することができる。
【0041】
いくつかの実施形態において、図3のブロック350において撮像装置により判定/出力される1個以上の測定値は、コンタクトレンズの涙液膜表面に関連付けられた1個以上の涙液膜破断加速度測定値を含んでいてよい。例えば、いくつかの実施形態において、1個以上の涙液膜破断加速度測定値は、コンタクトレンズの中央部分付近でのコンタクトレンズの涙液膜表面の破断に関連付けられた第1の涙液膜破断加速度測定値(例えば第2の変化508に関連付けられた第1の涙液膜破断加速度)を含んでいてよく、及び/又はコンタクトレンズの周辺部付近でのコンタクトレンズの涙液膜表面の破断に関連付けられた第2の涙液膜破断加速度測定値(例えば第1の変化506に関連付けられた第2の涙液膜破断加速度)を含んでいてよい。涙液膜破断加速度測定値は、涙液膜の破断に関連付けられた速度の変化率を示すことがあり、ミリメートル毎ミリ秒毎ミリ秒(mm/ms)その他の等価な単位で判定することができる。いくつかの実施形態において、撮像装置は、涙液膜表面の複数のマップ(例えば第1の変位マップ602及び第2の変位マップ604)により示すように、少なくとも第1の画像フレーム(例えば第1の画像フレーム400)から第2の画像フレーム(例えば第2の画像フレーム500)等の複数の画像フレームを介して、1個以上のプラシドリングに関連付けられた縁の速度の変化率に基づいて、1個以上の涙液膜破断加速度測定値を判定することができる。
【0042】
いくつかの実施形態において、図3のブロック350で撮像装置が判定/出力する1個以上の測定値は、コンタクトレンズの涙液膜表面に関連付けられた1個以上の涙液膜破断の規模の測定値を含んでいてよい。例えば、いくつかの実施形態において、1個以上の涙液膜破断速度測定値は、コンタクトレンズの中央部分付近でのコンタクトレンズの涙液膜表面の破断に関連付けられた第1の涙液膜破断規模測定値(例えば第2の変化508に関連付けられた第1の涙液膜破断規模測定値)及び/又はコンタクトレンズの周辺部分付近でのコンタクトレンズの涙液膜表面の破断に関連付けられた第2の涙液膜破断規模測定値(例えば第1の変化506に関連付けられた第2の涙液膜破断規模測定値)を含んでいる。第1及び第2の規模測定値は、コンタクトレンズの中心部分及び周辺部分に関連付けられた破断が(例えば面積の観点から)どの程度大きいか(例えば第1の変化506及び第2の変化508がどの程度大きいか)を示すことができる。いくつかのケースにおいて、規模測定値は、ミリメートルの2乗、マイクロメートルの2乗、ピクセルの2乗等、異なる面積の単位で判定されてよい。いくつかの実施形態において、撮像装置は、1個以上のプラシドリングに関連付けられた縁の、少なくとも第1の画像フレーム(例えば第1の画像フレーム400)から第2の画像フレーム(例えば第2の画像フレーム500)への、涙液膜表面の複数のマップ(例えば第1の変位マップ602及び第2の変位マップ604)により示す変位の面積に基づいて、1個以上の涙液膜破断の規模測定値を判定することができる。
【0043】
いくつかのケースにおいて、コンタクトレンズの涙液膜動態をより良好な定量的評価を行うべく、処理300が異なる試験条件下で実施されてよい。例えば、いくつかの実施形態において、撮像装置は図3のブロック320においてコンタクトレンズの涙液膜表面に投影された1個以上のプラシドリングのビデオデータを、異なる湿度レベル、異なる種類の点眼薬、異なる瞬き条件、又は異なるコンタクトレンズ装着時間のうち少なくとも一つについて取得すべく構成されていてよい。更に、いくつかのケースにおいて、処理300は、同様の湿度レベル、同様の瞬き条件、及び同様の種類の点眼薬等、同様の試験条件下で異なるコンタクトレンズに対して実行されてよい。異なるコンタクトレンズについて同様の試験条件下で処理300を実行することにより、これらの異なる種類のコンタクトレンズを互いに比較することができる。
【0044】
いくつかの実施形態において、処理300はまた、コンタクトレンズの涙液膜表面の期間にわたる変化を定量化する1個以上の測定値に基づいて、コンタクトレンズに関する1個以上の推奨を出力するステップを含んでいてよい。例えば、いくつかの実施形態において、コンタクトレンズに関する1個以上の推奨は、特定の製造材料でコンタクトレンズを製造する旨の推奨、コンタクトレンズと共に特定の点眼薬を用いる旨の推奨、コンタクトレンズの形状を変更する旨の推奨、又は特定の角膜形状を有する眼でコンタクトレンズを用いる旨の推奨のうち少なくとも一つを含んでいる。
【0045】
図7に、撮像装置700の様々な要素が互いに通信及び協働する様子を示す説明図を示す。いくつかの実施形態において、撮像装置700は、眼に装着されたコンタクトレンズの涙液膜を解析すべく処理300を実行する図3に関して説明した撮像装置であってよい。
【0046】
図示するように、撮像装置700は、非限定的に、角膜トポグラファ702、カメラ704、コンピューティングモジュール706、ディスプレイ708、相互接続710、及び様々なI/O機器(例えばキーボード、ディスプレイ、マウス装置、ペン入力等)を撮像装置700に接続可能にする少なくとも1個のI/O機器インターフェース712を含んでいる。
【0047】
更に、図示するように、図2の角膜トポグラファ202の一例であってよい角膜トポグラファ702は、少なくとも光源714及びプラシドディスク716を含んでいてよい。プラシドディスク716は、半透明であってよく、プラシドリング又は他のグリッドパターン(例えばドットのマトリクス)の既知のパターンを含んでいてよい。光源714は、プラシドディスク716を介して光を発して、患者の眼に装着されたコンタクトレンズの涙液膜表面に1個以上のプラシドリングの画像を投影すべく構成されていてよい。
【0048】
カメラ704は、光信号をデジタル電気信号に変換できるデジタル荷電結合素子(CCD)カメラを含んでいてよい。いくつかの実施形態において、カメラ704は、コンタクトレンズの涙液膜表面に投影された1個以上のプラシドリングのビデオデータをある期間にわたり取得すべく構成されていてよい。いくつかの実施形態において、カメラ704により取得されたビデオデータは複数の画像フレームを含んでいてよく、複数の画像フレームの各画像フレームは、当該画像フレームが取得された特定の時点での1個以上のプラシドリングの反射パターンを含んでいる。いくつかの実施形態において、カメラ704により取得されたビデオデータは、保存及び処理のために撮像装置700のコンピューティングモジュール706へ送られてよい。
【0049】
図示するように、コンピューティングモジュール706は、少なくともメモリ718と中央処理装置(CPU)720とを含んでいる。CPU720は、メモリ718に保存されたプログラミング命令を取り出して実行することができる。同様に、CPU720は、メモリ718に存在するアプリケーションデータを取り出して保存することができる。相互接続710は、CPU720、I/O機器インターフェース712、ディスプレイ708、メモリ718、角膜トポグラファ702、カメラ704等の間で、プログラミング命令及びアプリケーションデータを送信する。CPU720は、単一のCPU、複数のCPU、複数の処理コアを有する単一のCPU等を表していてよい。また、特定の実施形態において、メモリ718は、揮発性メモリ(例えばランダムアクセスメモリ)を含んでいてよい。更に、特定の実施形態において、メモリ718は不揮発性メモリ(例えばディスクドライブ)を含んでいてもよい。メモリ718は、単一ユニットとして示しているが、固定ディスクドライブ、リムーバブルメモリカード又は光学ストレージ、ネットワーク接続ストレージ(NAS)、又はストレージエリアネットワーク(SAN)等の固定又は着脱可能なストレージ機器の組み合わせであってよい。
【0050】
上述のように、いくつかの実施形態において、コンピューティングモジュール706は、カメラ704からビデオデータを受信すべく構成されていてよい。次いで、いくつかの実施形態において、コンピューティングモジュール706のCPU720は、カメラ704から受信したビデオデータ内の複数の画像フレームの複数の反射パターン上で画像分割を実行すべく構成されていてよい。いくつかの実施形態において、CPU720は、コンタクトレンズに関連付けられた反射パターンを含む画像の画像分割を実行すべく訓練された人工知能(AI)モデルに基づいて画像分割を実行すべく構成されていてよい。いくつかの実施形態において、AIモデルは、コンピューティングモジュール706のメモリ718に格納されていてよい。
【0051】
また、いくつかの実施形態において、コンピューティングモジュール706のCPU720は、複数の反射パターン上で実行された画像分割に基づいてコンタクトレンズの涙液膜表面の複数のマップを生成すべく構成されていてよい。いくつかの実施形態において、複数のマップは、期間にわたるコンタクトレンズの涙液膜表面の変化を示していてよく、メモリ718に保存されてよい。
【0052】
更に、いくつかの実施形態において、CPU720は、複数のマップに基づいて、コンタクトレンズの涙液膜表面の期間にわたる変化を定量化する1個以上の測定値を判定及び出力すべく構成されていてよい。いくつかの実施形態において、1個以上の測定値を出力するステップは、1個以上の測定値をメモリ718に保存するステップ、及び/又はディスプレイ708を用いて1個以上の測定値を表示するステップを含んでいてよい。また、いくつかの実施形態において、CPU720は、コンタクトレンズの涙液膜表面の期間にわたる変化を定量化する1個以上の測定値に基づいて、コンタクトレンズに関する1個以上の推奨を判定及び出力すべく構成されていてよい。いくつかの実施形態において、1個以上の推奨を出力するステップは、1個以上の推奨をメモリ718に保存するステップ、及び/又はディスプレイ708を用いて1個以上の推奨を表示するステップを含んでいてよい。
【0053】
本明細書で用いるように、項目のリストの「少なくとも1個」を指す語句は、単一の部材を含むこれらの項目の任意の組み合わせを指す。一例として、「a、b、又はcの少なくとも1個」は、a、b、c、a-b、a-c、b-c、及びa-b-c、並びに複数の同一要素との任意の組み合わせ(例えばa-a、a-a-a、a-a-b、a-a-c、a-b-b、a-c-c、b-b、b-b-c、c-c、及びc-c-c、又はa、b、及びcの他の任意の順序)を対象とすることを意図している。
【0054】
上の説明は、当業者であれば本明細書に記述する様々な実施形態を実施できるようにすべく与えられている。これらの実施形態に対する様々な変更は当業者には直ちに明らかになり、本明細書で定義する一般的な原理を他の実施形態に適用することができる。従って、請求項は、本明細書に示す実施形態への限定を意図されておらず、請求項の文言と整合する全範囲を対象とする。
【0055】
請求項内で、要素を単数形で言及していても、特に明記しない限り、「1個且つ唯一の」ではなく「1個以上」を意味することを意図している。別途明記しない限り、用語「いくつかの」は1個以上を指す。本開示を通じて記述された、当業者に公知又は後で公知になる様々な態様の要素の全ての構造的及び機能的等価物が引用により本明細書に明示的に取り込まれており、請求項に含まれることを意図している。更に、本明細書に開示するいかなるものも、そのような開示が請求項内で明示的に記載されているか否かに依らず、公開することを意図していない。請求項の如何なる要素も、要素が語句「するための手段」を用いて明示的に記載されていない限り、又は方法クレームの場合には、要素は語句「するためのステップ」を用いて記載されていない限り、合衆国法典第35巻第112条(f)の規定に基づいて解釈されない。本明細書において用語「例示的」は「例、実例、又は図示の役割を果たす」意味で使用される。本明細書において「例示的」と記述されるいかなる態様も、必ずしも他の態様よりも好適又は有利であると解釈すべきではない。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
【手続補正書】
【提出日】2022-12-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼に装着されたコンタクトレンズの涙液膜を解析するための撮像装置であって、
前記眼に装着された前記コンタクトレンズの涙液膜表面に1個以上のプラシドリングを含む1個以上の形状の画像を投影すべく構成された角膜トポグラファと、
前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面に投影された前記1個以上の形状のビデオデータをある期間にわたり取得すべく構成されたデジタルカメラであって、前記ビデオデータが複数の画像フレームを含み、前記複数の画像フレームの各画像フレームが、前記画像フレームが取得された特定の時点での前記1個以上の形状の反射パターンを含んでいるデジタルカメラと、
メモリに結合されていて、前記撮像装置に、
前記複数の画像フレームの前記各々の反射パターン上で画像分割を実行させ、
前記複数の反射パターン上で実行された前記画像分割に基づいて、前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面の複数のマップであって前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面の前記期間にわたる変化を示す複数のマップを生成させ、前記プラシドリングに関連付けられた縁の、少なくとも第1の画像フレームから第2の画像フレームへの、前記涙液膜表面の前記複数のマップにより示す変位に基づいて前記1個以上の涙液膜破断時点を判定させ、
前記複数のマップに基づいて、前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面の前記期間にわたる変化を定量化する1個以上の測定値を出力させるべく構成され、前記1個以上の測定値が前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面に関連付けられた1個以上の涙液膜破断時点を含んでいる、少なくとも1個のプロセッサと、
を含んでいる撮像装置。
【請求項2】
前記少なくとも1個のプロセッサが前記撮像装置に、コンタクトレンズに関連付けられた反射パターンを含む画像の画像分割を実行すべく訓練された人工知能(AI)モデルに基づいて前記画像分割を実行させるべく構成されている、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記1個以上の涙液膜破断時点が、
前記コンタクトレンズの中央部分に関連付けられた第1の涙液膜破断時点、又は、
前記コンタクトレンズの周辺部に関連付けられた第2の涙液膜破断時点の少なくとも一方を含んでいる、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記1個以上の形状が1個以上のプラシドリングを含み、
前記1個以上の測定値が、前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面に関連付けられた1個以上の涙液膜破断速度測定値を含んでいる、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記1個以上の涙液膜破断速度測定値が、
前記コンタクトレンズの中央部近傍での前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面の破断に関連付けられた第1の涙液膜破断速度測定値、又は、
前記コンタクトレンズの周辺部近傍での前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面の破断に関連付けられた第2の涙液膜破断速度測定値の少なくとも一方を含んでいる、請求項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記少なくとも1個のプロセッサが更に前記撮像装置に、前記プラシドリングに関連付けられた縁の、少なくとも第1の画像フレームから第2の画像フレームへの、前記涙液膜表面の前記複数のマップにより示す変位の変化率に基づいて前記1個以上の涙液膜破断速度測定値を判定させるべく構成されている、請求項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記1個以上の形状が1個以上のプラシドリングを含み、
前記1個以上の測定値が、前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面に関連付けられた1個以上の涙液膜破断の規模の測定値を含んでいる、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記1個以上の涙液膜破断の規模の測定値が、
前記コンタクトレンズの中央部分近傍での前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面の破断に関連付けられた第1の涙液膜破断の規模の測定値、又は、
前記コンタクトレンズの周辺部近傍での前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面の破断に関連付けられた第2の涙液膜破断の規模の測定値の少なくとも一方を含んでいる、請求項7に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記少なくとも1個のプロセッサが更に前記撮像装置に、前記プラシドリングに関連付けられた縁の、少なくとも第1の画像フレームから第2の画像フレームへの、前記涙液膜表面の前記複数のマップにより示す変位の面積に基づいて、前記1個以上の涙液膜破断の規模の測定値を判定させるべく構成されている、請求項に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記少なくとも1個のプロセッサが更に前記撮像装置に、異なる湿度レベル、異なる種類の点眼薬、又は異なる瞬き条件、異なるコンタクトレンズ、又は異なるコンタクトレンズ装着時間の少なくとも1個について、前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面に投影された前記1個以上の形状のビデオデータを取得させるべく構成されている、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記少なくとも1個のプロセッサが更に前記撮像装置に、前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面の前記期間にわたる変化を定量化する前記1個以上の測定値に基づいて、前記コンタクトレンズに関する1個以上の推奨を出力させるべく構成されていて、前記コンタクトレンズに関する前記1個以上の推奨が、
前記コンタクトレンズを特定の製造材料で製造する旨の推奨、
前記コンタクトレンズと共に特定の点眼薬を用いる旨の推奨、
前記コンタクトレンズの形状を変更する旨の推奨、又は、
特定の角膜形状を有する眼に前記コンタクトレンズを用いる旨の推奨のうち少なくとも1個を含んでいる、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項12】
眼に装着されたコンタクトレンズの涙液膜を解析するための方法であって、
前記眼に装着された前記コンタクトレンズの涙液膜表面に1個以上のプラシドリングを含む1個以上の形状の画像を投影するステップと、
前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面に投影された前記1個以上の形状のビデオデータをある期間にわたり取得するステップであって、前記ビデオデータが複数の画像フレームを含み、前記複数の画像フレームの各画像フレームが、前記画像フレームが取得された特定の時点での前記1個以上の形状の反射パターンを含んでいるステップと、
前記複数の画像フレームの前記各々の反射パターン上で画像分割を実行するステップと、
前記複数の反射パターン上で実行された前記画像分割に基づいて、前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面の複数のマップであって前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面の前記期間にわたる変化を示す複数のマップを生成するステップと、前記プラシドリングに関連付けられた縁の、少なくとも第1の画像フレームから第2の画像フレームへの、前記涙液膜表面の前記複数のマップにより示す変位に基づいて前記1個以上の涙液膜破断時点を判定するステップと、
前記複数のマップに基づいて、前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面の前記期間にわたる変化を定量化する1個以上の測定値を出力するステップと、を含前記1個以上の測定値が前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面に関連付けられた1個以上の涙液膜破断時点を含んでいる方法。
【請求項13】
前記画像分割を実行するステップが、コンタクトレンズに関連付けられた反射パターンを含む画像の画像分割を実行すべく訓練された人工知能(AI)モデルに基づいている、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記1個以上の形状が1個以上のプラシドリングを含み、
前記1個以上の測定値が、前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面に関連付けられた1個以上の涙液膜破断時点を含み、
前記1個以上の涙液膜破断時点が、
前記コンタクトレンズの中央部分に関連付けられた第1の涙液膜破断時点、又は、
前記コンタクトレンズの周辺部に関連付けられた第2の涙液膜破断時点の少なくとも一方を含み、
前記方法が更に、前記プラシドリングに関連付けられた縁の、少なくとも第1の画像フレームから第2の画像フレームへの、前記涙液膜表面の前記複数のマップにより示す変位に基づいて前記1個以上の涙液膜破断時点を判定するステップを含んでいる、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記1個以上の形状が1個以上のプラシドリングを含み、
前記1個以上の測定値が、前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面に関連付けられた1個以上の涙液膜破断速度測定値を含み、
前記1個以上の涙液膜破断速度測定値が、
前記コンタクトレンズの中央部近傍での前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面の破断に関連付けられた第1の涙液膜破断速度測定値、又は、
前記コンタクトレンズの周辺部近傍での前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面の破断に関連付けられた第2の涙液膜破断速度測定値の少なくとも一方を含み、
前記方法が更に、前記プラシドリングに関連付けられた縁の、少なくとも第1の画像フレームから第2の画像フレームへの、前記涙液膜表面の前記複数のマップにより示す変位の変化率に基づいて前記1個以上の涙液膜破断速度測定値を判定するステップを含んでいる、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記1個以上の形状が1個以上のプラシドリングを含み、
前記1個以上の測定値が、前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面に関連付けられた1個以上の涙液膜破断の規模の測定値を含み、
前記1個以上の涙液膜破断の規模の測定値が、
前記コンタクトレンズの中央部分近傍での前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面の破断に関連付けられた第1の涙液膜破断の規模の測定値、又は、
前記コンタクトレンズの周辺部近傍での前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面の破断に関連付けられた第2の涙液膜破断の規模の測定値の少なくとも一方を含み、
前記方法が更に、前記プラシドリングに関連付けられた縁の、少なくとも第1の画像フレームから第2の画像フレームへの、前記涙液膜表面の前記複数のマップにより示す変位の面積に基づいて前記1個以上の涙液膜破断の規模の測定値を判定するステップを含んでいる、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
異なる湿度レベル、異なる種類の点眼薬、又は異なる瞬き条件、異なるコンタクトレンズ、又は異なるコンタクトレンズ装着時間の少なくとも1個について、前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面に投影された前記1個以上の形状のビデオデータを取得するステップを含んでいる、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記コンタクトレンズの前記涙液膜表面の前記期間にわたる変化を定量化する前記1個以上の測定値に基づいて、前記コンタクトレンズに関する1個以上の推奨を出力するステップを更に含み、前記コンタクトレンズに関する前記1個以上の推奨が、
前記コンタクトレンズを特定の製造材料で製造する旨の推奨、
前記コンタクトレンズと共に特定の点眼薬を用いる旨の推奨、
前記コンタクトレンズの形状を変更する旨の推奨、又は、
特定の角膜形状を有する眼に前記コンタクトレンズを用いる旨の推奨のうち少なくとも1個を含んでいる、請求項12に記載の方法。
【国際調査報告】