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特表2024-531166ガス密封トロカールにおけるガス濃度測定
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  • 特表-ガス密封トロカールにおけるガス濃度測定 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】ガス密封トロカールにおけるガス濃度測定
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/04 20060101AFI20240822BHJP
【FI】
G01N27/04 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508094
(86)(22)【出願日】2022-09-06
(85)【翻訳文提出日】2024-02-08
(86)【国際出願番号】 US2022042608
(87)【国際公開番号】W WO2023038882
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】17/467,790
(32)【優先日】2021-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500103074
【氏名又は名称】コンメッド コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コルツ マイケル ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ホーキンズ ルーク サミュエル
(72)【発明者】
【氏名】ティーガン ギャリー
【テーマコード(参考)】
2G060
【Fターム(参考)】
2G060AA01
2G060AB03
2G060AE19
2G060AF07
2G060BA01
2G060BC03
2G060BC06
2G060HC15
2G060KA01
(57)【要約】
内視鏡外科手術処置中に外科手術空洞内のガス組成物を監視するためのシステムは、外科手術空洞と流体連通するための主ガス流回路を含むガス再循環システムを含む。そのシステムは、患者の外科手術空洞からのガス流中のガス種を監視するためのセンサを含む。センサは、外科手術空洞から来る主ガス流回路から分岐しているチャネル内に配置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡外科手術処置の間に外科手術空洞内のガス組成物を監視するためのシステムであって、
外科手術空洞とガス再循環システムとの間の流体連通のための主ガス流回路を含む前記ガス再循環システムと、
前記主ガス流から分岐している流路と、
前記主ガス流回路を通る前記ガス流中のガス種を監視するための、前記流路と動作可能に関連付けられたセンサと、
を備える、システム。
【請求項2】
前記主ガス流回路から分岐している前記チャネルが、前記ガス再循環システム内のデッドエンドのチャネルである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記主ガス流回路が、主直径を有する断面流れ面積を有し、前記センサが、前記主ガス流回路からの前記チャネルを通る拡散によって前記センサに到達する前記ガス種を検出できるように、前記主ガス流回路から主直径距離の十倍以上の距離だけ前記チャネルに沿って離間している、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記主ガス流回路内の前記ガス再循環システムに動作可能に接続されていて、前記外科手術空洞へ、かつ前記外科手術空洞から、前記ガスの流れを移動させるコンプレッサをさらに備え、前記チャネルが、前記コンプレッサの下流の前記主ガス流回路内の位置で前記主ガス流回路に接続している、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記主ガス流回路が、前記外科手術空洞から前記ガス再循環システムにガスを戻すための上流部分と、前記外科手術空洞にガスを供給するための下流部分と、を含み、前記コンプレッサが、前記上流部分と前記下流部分との間で分離していて、前記チャネルが、前記下流部分に接続している、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記ガス再循環システムを前記外科手術空洞に接続するために、前記上流部分および前記下流部分に接続されたガス密封アクセスポートをさらに備える、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記ガス密封アクセスポート、前記上流部分、前記下流部分、および前記コンプレッサが、外科手術空洞内に配置された前記ガス密封アクセスポートと連続ガス再循環回路を形成するように構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記外科手術空洞からの前記ガス流中で監視される前記ガス種が、それぞれの所望の範囲内にあるかどうかを判定し、前記ガス種が、それぞれの所望の範囲外にある場合には是正措置を取るために、センサに動作可能に接続されたコントローラをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記コントローラが、前記センサの回路に動作可能に接続されて、前記センサの電気抵抗の変化を監視し、前記センサが曝露されている前記ガス種の濃度を判定する、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記コントローラに動作可能に接続されたユーザーインターフェースをさらに備え、前記コントローラが、所定の閾値で前記ガス種が検出されると、前記ユーザーインターフェースを介してユーザーに警報を発するように構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記コントローラが、メモリを含み、前記コントローラが、所定の閾値を超えるガスレベルのときに呼び出すために、1~60秒間隔でセンサによって検出されたガス濃度の履歴を前記コントローラに書き込ませるように構成された機械可読命令を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
前記センサが、端点を含む100ppm(百万分率)~10ppt(千分率)の濃度範囲で水素の存在を検出するように構成された、金属酸化物膜およびヒーターを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記センサが、10pptの水素が存在すると、前記センサ全体の電気抵抗が10キロオーム以下に低下するように構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
外科手術処置中に穿孔された腸を検出する方法であって、
センサを用いて穿孔された腸を示すガス種の存在を検出することであって、前記ガス種は、外科手術空洞と流体連通しているガス再循環の主ガス流回路からの拡散によってセンサに到達する、検出することと、
穿孔された腸を示す閾値において前記ガス種を検出すると警報を出力することと、
を含む、方法。
【請求項15】
前記センサが、前記主ガス流回路から分岐しているチャネル内に配置され、前記チャネルが、デッドエンドのチャネルであり、検出することが、前記デッドエンドのチャネルを通るバルクガス流なしに前記ガス種を検出することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記主ガス流回路が、主直径を有する断面流れ面積を有し、前記センサが、主直径の十倍以上の距離だけ前記デッドエンドのチャネルに沿って前記主ガス流回路から離間している、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
検出することが、前記センサを用いて前記主ガス流回路からガスをサンプリングすることを含み、ガスをサンプリングすることが、前記主ガス流回路内の前記ガス再循環システムに動作可能に接続されたコンプレッサの下流の前記主ガス流回路内の位置から前記ガスをサンプリングして、前記ガスの流れを前記外科手術空洞に、かつ前記外科手術空洞から移動させることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記外科手術空洞への、かつ外科手術空洞からのガスの流れの移動が、前記ガス再循環システムと前記外科手術空洞との間を接続しているガス密封アクセスポートを介して前記外科手術空洞へ、かつ前記外科手術空洞からガスを流すことを含み、前記ガス密封アクセスポートおよび前記ガス再循環システムが、外科手術空洞内に配置された前記ガス密封アクセスポートを有する密封再循環回路を形成する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記外科手術空洞から前記ガス流中で監視される前記ガス種がそれぞれの所望の範囲内にあるかどうかを判定する前記センサに動作可能に接続されたコントローラが、前記ガス種が前記それぞれの所望の範囲外にある場合、是正措置を取るようにユーザーに警告するために、出力デバイスへの出力を開始する、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記コントローラが、前記センサの回路に動作可能に接続されて、前記センサの電気抵抗の変化を監視し、前記センサが曝露されている前記ガス種の濃度を判定する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
所定の閾値を超える前記ガス種のガスレベルのときに呼び出すために、1~60秒の間隔で、センサによって検出されたガス濃度の履歴を出力することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記センサが、金属酸化物膜およびヒーターを含み、前記ガス種を検出することが、前記金属酸化物膜を使用して、終点を含む100ppm(百万分率)~10ppt(千分率)の濃度範囲で水素の存在を検出することを含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年9月7日に出願された米国特許出願第17/467,790号の優先権の利益を主張するものであり、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
分野
本開示は、内視鏡外科手術、より具体的には、内視鏡または腹腔鏡外科手術処置中の外科手術空洞内のガス組成物を測定するためのシステムおよび方法を対象とする。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
腹腔鏡外科手術中に意図しない腸穿孔が発生する可能性がある。検出されない場合、敗血症が発生する可能性がある。腹腔鏡外科手術に関連する固有の可視化の難しさにより、腸穿孔は外科医による視覚的検出から逃れてしまう可能性がある。穿孔が疑われる場合、穿孔部位の位置決めおよび可視化は、困難であり、時間がかかる可能性がある。
【0004】
腸穿孔検出のための従来の技法は、それらの意図された目的に対して満足できるものであると考えられてきた。しかしながら、内視鏡外科手術処置中に穿孔された腸を検出するための、より一般的には内視鏡外科手術処置中にガス種を監視するための、改善されたシステムおよび方法に対するニーズが常に存在する。本開示は、このニーズに対する解決策を提供する。
【発明の概要】
【0005】
内視鏡外科手術処置中に外科手術空洞内のガス組成物を監視するためのシステムは、ガス再循環システムを含む。システムは、外科手術空洞とガス再循環システムとの間の流体連通のための主ガス流回路と、主ガス流回路から分岐している流路とを有する。センサは、主ガス流回路を通るガス流中のガス種を監視するために、流路と動作可能に関連付けられている。主ガス流回路から分岐しているチャネルは、ガス再循環システムにおいてデッドエンドのチャネルとすることができる。主ガス流回路は、主直径を有する断面流れ面積を有することができ、センサは、主直径距離の十倍以上の距離だけチャネルに沿って主ガス流回路から離間しており、その結果、センサは、主ガス流回路からのチャネルを通る拡散によってセンサに到達するガス種を検出することができる。
【0006】
コンプレッサは、主ガス流回路内のガス再循環システムに動作可能に接続されて、ガスの流れを外科手術空洞に、かつ外科手術空洞から移動させることができる。チャネルは、コンプレッサの下流の主ガス流回路内の位置で主ガス流回路に接続することができる。主ガス流回路は、ガスを外科手術空洞からガス再循環システムに戻すための上流部分と、ガスを外科手術空洞に供給するための下流部分とを含むことができる。コンプレッサは、上流部分と下流部分との間で分離することができる。チャネルは、下流部分に接続することができる。ガス密封アクセスポートは、ガス再循環システムを外科手術空洞に接続するために、上流部分および下流部分に接続され得る。ガス密封アクセスポート、上流部分、下流部分、およびコンプレッサは、外科手術空洞内に配置されたガス密封アクセスポートを有する密封再循環回路を形成するように構成することができる。
【0007】
コントローラは、外科手術空洞からのガス流中で監視されるガス種が、それぞれの所望の範囲内にあるかどうかを判定し、ガス種が、それぞれの所望の範囲外にある場合には是正処置を取るために、センサに動作可能に接続することができる。コントローラは、センサの回路に動作可能に接続されていて、センサの電気抵抗の変化を監視し、センサが曝露されるガス種の濃度を判定することができる。ユーザーインターフェースは、コントローラに動作可能に接続することができる。コントローラは、所定の閾値でガス種が検出されると、ユーザーインターフェースを介してユーザーに警報を発するように構成することができる。コントローラは、メモリを含むことができ、コントローラは、所定の閾値を超えるガスレベルのときに呼び出すために、1~60秒の間隔にわたってセンサによって検出されたガス濃度の履歴をコントローラにメモリに書き込ませるように構成された機械可読命令を含む。
【0008】
センサは、端点を含む100ppm(百万分率)~10ppt(千分率)の濃度範囲で水素の存在を検出するように構成された、金属酸化物膜およびヒーターを含むことができる。センサは、10pptの水素が存在すると、センサ全体の電気抵抗が10キロオーム以下に低下するように構成することができる。
【0009】
外科手術処置中に穿孔された腸を検出する方法は、センサを用いて穿孔された腸を示すガス種の存在を検出することを含み、そのガス種は、外科手術空洞と流体連通しているガス再循環システムの主ガス流回路からの拡散によってセンサに到達する。方法は、穿孔された腸を示す閾値でガス種を検出すると警報を出力することを含む。
【0010】
センサは、主ガス流回路から分岐しているチャネル内に配置することができ、チャネルは、デッドエンドのチャネルであり、検出は、デッドエンドのチャネルを通るバルクガス流なしにガス種を検出することを含む。検出することは、センサを用いて主ガス流回路からガスをサンプリングすることを含むことができ、ガスをサンプリングすることは、主ガス流回路内のガス再循環システムに動作可能に接続されたコンプレッサの下流の主ガス流回路内の位置からガスをサンプリングして、ガスの流れを外科手術空洞に、かつ外科手術空洞から移動させることを含む。外科手術空洞への、かつ外科手術空洞からのガスの流れの移動は、ガス再循環システムと外科手術空洞との間を接続しているガス密封アクセスポートを介する外科手術空洞への、かつ外科手術空洞からのガスの流れを含むことができ、ガス密封アクセスポートおよびガス再循環システムは、外科手術空洞内に配置されたガス密封アクセスポートを有する密封再循環回路を形成する。
【0011】
コントローラは、外科手術空洞からのガス流中の監視されるガス種が、それぞれの所望の範囲内にあるかどうかを判定し、ガス種が、それぞれの所望の範囲外にある場合には、出力デバイスへの出力を開始して、ユーザーに是正措置を講じるよう警報するようにセンサに動作可能に接続することができる。コントローラは、センサの回路に動作可能に接続されていて、センサの電気抵抗の変化を監視し、センサが曝露されるガス種の濃度を判定することができる。
【0012】
方法は、所定の閾値を超えるガス種のガスレベルのときに呼び出すために、1~60秒の間隔で、センサによって検出されたガス濃度の履歴を出力することを含むことができる。センサは、金属酸化物膜およびヒーターを含むことができ、ガス種を検出することは、金属酸化物膜を使用して、端点を含む100ppm(百万分率)~10ppt(千分率)の濃度範囲で水素の存在を検出することを含む。
【0013】
本開示のシステムおよび方法のこれらおよび他の特徴は、図面と併せてなされる以下の発明を実施するための形態から、当業者にはより容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本開示が属する技術分野の当業者が、過度の実験を有することなく本開示の装置および方法を作成および使用する方法を容易に理解するように、その好ましい実施形態を、特定の図面を参照して以下に詳細に記述する。
【0015】
図1】外科手術処置中に使用されるガス再循環システムを示している、本開示に従って構築されたシステムの実施形態の概略図である。
図2】ガス送達デバイスの実施形態の概略図である。
図3】センサ回路を示す図2のガス送達デバイスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここで図面を参照するが、同様の参照番号は本開示の同様の構造的特徴または態様を識別する。限定ではなく説明および例示の目的で、本開示によるトロカール組立品の一実施形態の部分図を図1に示し、概して参照符号100によって指定している。本開示によるシステムの他の実施形態、またはその態様は、後述するように、図2~3に提供する。本明細書に記載のシステムおよび方法は、内視鏡外科手術処置中に外科手術部位内のガス種を監視するために、例えば、穿孔された腸を検出するために、使用することができる。
【0017】
図1に示すように、システム100は、ガス密封アクセスポートガス再循環システム102を含む。ガス再循環システム102は、プログラム可能なマルチモードガス再循環システムと協働するように設計することができる。マルチモードのガス再循環システムは、同一出願人による、米国特許 第9,375,539号および同第10,905,463号に記載されているタイプであることができ、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。簡潔に述べると、ガス再循環システム102は、デュアルルーメン部分およびシングルルーメン部分を含むマルチルーメンフィルタ付きチューブセット(例えば、図2に示すチューブセット124)と、チューブセットのデュアルルーメン部分に動作可能に接続された第一のガス密封シングルルーメンアクセスポートと、チューブセットのシングルルーメン部分に動作可能に接続された第二のバルブ密封シングルルーメンアクセスポートと、を含む。デュアルルーメン部分は、本明細書では主ガス流回路104と称される、ガス密封トロカールのジェットに対してガス連続再循環を促進するための加圧ガスラインおよび戻りガスラインを有する。シングルルーメン部分は、送気ガスを患者の外科手術空洞106に(例えば、送気マニホールド103から)送達し、患者の外科手術空洞内の圧力を定期的に感知するための少なくともガス供給ラインおよび感知ライン105を有する。さらに、シングルルーメン部分は、漏れ補償に必要とされる最小値を超える速度でガスを供給して、外科手術空洞から煙を排出する。この過剰な流れは、存在する場合、同伴された煙および穿孔された腸からの脱出ガスとともに、戻りラインを介してコンプレッサに戻る。
【0018】
ここで図3を参照すると、主ガス流回路104は、ガス再循環システム102と外科手術空洞106との間の流体連通を提供する。システム100は、患者の外科手術空洞106から来る主ガス流回路104内のガス流中のガス種を監視するためのセンサ108を含む。センサ108は、外科手術空洞106から来る主ガス流回路104から分岐しているチャネル110内に配置される。チャネル110は、ガス再循環システム102内のデッドエンドのチャネルであり、すなわち、ガスが、主ガス流回路104からチャネル内に拡散するためのチャネル110への入口112は存在するが、チャネル110からの出口はない。主ガス流回路104は、主直径D1を有する断面流れ面積を有する。センサ108は、主直径D1の十倍以上の距離L1(L1≧10×D1)だけチャネル110に沿って主ガス流回路104から離間しており、そのため、センサ108は、チャネル110を通って主ガス流回路104から拡散することによって、センサ108に到達するガス種を検出することができる。チャネル110は、蛇行していないように図示されているが、距離L1が蛇行性のために調整される限りは、より多くの蛇行性経路をチャネル110のために使用することができる。
【0019】
コンプレッサ114は、主ガス流回路104内のガス再循環システム102に動作可能に接続されて、ガスの流れを外科手術空洞106に、かつ外科手術空洞106から移動させる。コンプレッサ144は、ガス密封マニホールドによってガス密封アクセスポート122を通して外科用ガスを再循環させるための任意の好適なコンプレッサアセンブリであることができる。ある特定の実施形態では、コンプレッサ114は、ブラシレスDC(直流)モーターによって駆動され、これは、有利には、ガス再循環システム102内のガスの圧力および流量を調整するように制御され得る。代替的に、コンプレッサ114はACモーターによって駆動することができるが、DCモーターは比較的小さくより軽量であるため、製造の観点からより有利である。
【0020】
チャネル110は、コンプレッサ114の下流にある主ガス流回路104内の位置で、例えば、入口112で、主ガス流回路104に接続する。主ガス流回路104は、外科手術空洞106からガス再循環システム102にガスを戻すための上流部分116と、コンプレッサ114から外科手術空洞106にガスを供給するための下流部分118と、を含む。コンプレッサ114は、上流部分116と下流部分118との間で分離して、外科手術空洞106からのガス流を駆動し、ガス循環弁マニホールド120は、送気、安定した気腹、煙排出、および/または類似のもののために、外科手術空洞へのガスの流れおよび外科手術空洞からのガスの流れを調節する。
【0021】
ガス循環弁マニホールド120は、弁密封アクセスポート122への送気ガスの流れを制御するために、送気マニホールド103と動作可能に関連付けられた第一および第二の出口ライン弁(例えば、最小流量状態と最大流量状態との間で無限に可変のガス流量の調整を可能にする比例弁)を含むことができる。ガス循環弁マニホールド120は、第一および第二の出口ライン弁の上流に配置された送気マニホールド103と動作可能に関連付けられて、第一および第二の出口ライン弁への送気ガスの流れも制御する一次比例弁を含むことができる。
【0022】
ガス循環弁マニホールド120は、外科用ガスの供給源107からガス密封マニホールド110内に送達されるガスを制御するように適合され、かつ構成された、コンプレッサ114と動作可能に関連付けられた高圧ガス充填弁を含むことができる。弁マニホールドは、ある特定の動作条件下 で、主流れ経路104と送気マニホールド103との間のガス流を動的に制御するために、コンプレッサ114と動作可能に関連付けられている排煙弁を含むことができる。
【0023】
弁マニホールドは、ある特定の動作条件下で、主流れ経路104内のガス流を制御するために、コンプレッサ114の出口側とコンプレッサ114の入口側との間に位置付けられたバイパス弁を含むことができる。ガス循環弁マニホールド120はまた、ある特定の動作条件下で、システム100への大気の混入を制御するために、コンプレッサ114の入口側と動作可能に関連付けられている空気換気弁も含むことができる。例えば、空気換気弁は、大気をガス密封回路内に導入して、回路内の空気質量(すなわち、標準体積)を増加させることを可能にする。
【0024】
弁マニホールドは、ある特定の動作条件下で、システム101から大気へのガス放出を制御するために、コンプレッサ114の出口側と動作可能に関連付けられている過圧逃し弁を含むことができる。ガス循環弁マニホールド120は、米国特許第9,199,047号に開示されるように、外科手術処置前の自己試験中に採用され得る、主流れ経路104への入口流路と動作可能に関連付けられている第一および第二の遮断弁を含むことができる。
【0025】
第一および第二の遮断弁は、送気マニホールド103内に含まれた遮断弁パイロット(例えば、ソレノイド弁)と連通することができる。ガス循環弁マニホールド120は、ある特定の動作条件下で、システム100から大気へのガスの放出を制御するために、一次比例弁の下流にあり、かつ第一および第二の出口ライン弁の上流にある低圧安全弁を更に含むことができる。弁マニホールドは、ある特定の動作条件下で、システム100から大気へのガス放出を制御するために、一次比例弁の下流かつ出口ライン弁の上流に配置された換気排気弁を含むことができる。
【0026】
チャネル110は下流部分118に接続しているが、チャネル110が上流部分116(コンプレッサ114の上流)に接続する実施形態も本開示の範囲に含まれる。図1に示したチャネル110の下流配置は、センサ108の近傍のガス温度を上昇させ、これによりチャネル110内に拡散するガスの相対湿度は、上流部分116における相対湿度と比較して、本質的に低下する。これは、センサ108の精度および寿命に有益であり、相対湿度が低いほど改善される。上流部分116から分岐するチャネル110の配置を有する実施形態では、相対湿度を補償することは有益である。
【0027】
ガス密封アクセスポート122は、ガス再循環システム102を外科手術空洞106に接続するために、例えば、チューブセット124を介して、上流部分116および下流部分118に接続されている。ガス密封アクセスポート122は、同一出願人による米国特許第8,795,223号に開示されているタイプのものであり、これは参照により本明細書に組み込まれる。上記のようにガス再循環システム102と組み合わせて使用されるとき、ガス密封アクセスポート122は、体腔内で安定した圧力(例えば、腹膜腔又は腹腔内の安定した気腹)を維持しながら、体腔へのアクセスをガス密封器具に提供するように適合かつ構成される。ガス密封アクセスポート122、上流部分116、下流部分118、およびコンプレッサ114は、(例えば、上記したように)外科手術空洞106内に配置されたガス密封アクセスポート122を有する連続再循環回路を形成するように構成されている。コンプレッサアセンブリ114およびその関連する構成要素(例えば、中間冷却器/凝縮器、ガス密封マニホールド、および送気マニホールド103を含むことができる)は全て、例えば、図3に示したように、共通のハウジング内に封入され、これは、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、同一出願人による米国特許第9,199,047号に開示されているように、ユーザーインターフェース(例えば、インターフェース128)および制御電子機器を含む。
【0028】
コントローラ126は、外科手術空洞106からのガス流中で監視されるガス種が、それぞれの所望の範囲内にあるかどうかを判定し、ガス種が、それぞれの所望の範囲外にある場合には是正処置を取るために、センサ108に動作可能に接続されている。是正措置は、システム100自体によるアクション(例えば、ガスの濃度を調整すること)を含むことができ、または是正措置は、外科医によるアクション(例えば、穿孔の位置決めおよび治療)を含むことができる。ガス種センサは、同一出願人による米国特許出願第16/000,254号および第16/000,378号に開示されているものと同様であることができ、それらは両方とも、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。ユーザーインターフェース128は、コントローラ126に動作可能に接続されている。コントローラ126は、所定の閾値で、所定の閾値を上回る、または所定の閾値近くでガス種が検出されると、ユーザーインターフェース128を介して、音声警報および/もしくは視覚警報または書面メッセージであることができる警報をユーザーに発するように構成されている。コントローラは、メモリ130を含み、コントローラ126は、所定の閾値を超えるガスレベルのときに呼び出すために、1~60秒間隔でセンサによって検出されたガス濃度の履歴をコントローラ126にメモリ130に書き込ませるように構成された機械可読命令を含む。コントローラ126は、履歴をユーザーインターフェース128上に表示させることができる。
【0029】
引き続き図3を参照すると、コントローラ126は、センサ108の感知回路132に動作可能に接続されて、センサ108の電気抵抗の変化を監視し、センサ108が曝露されているガス種の濃度を判定する。より具体的には、センサ108は金属酸化物膜134を含み、その電気抵抗は感知回路132およびコントローラ126によって監視される。コントローラ126とセンサ108のヒーター138との間を接続しているヒーター回路136も存在し、これは、正確なガス種測定のために金属酸化物膜134の温度制御を提供する。
【0030】
金属酸化物膜134およびヒーター138は、端点を含めて100ppm(百万分率)~10ppt(千分率)の濃度範囲で、金属酸化物膜134に存在する、または曝露される水素を検出するように構成されている。センサ108は、10pptでの水素の存在が、センサ全体(金属酸化物膜134全体)の電気抵抗が10キロオーム以下に低下するように構成されている。
【0031】
図3を再び参照すると、外科手術処置中に穿孔された腸を検出する方法は、センサ、例えば、センサ108を有する穿孔された腸を示すHガスなどのガス種の存在を検出することを含み、そのガス種は、ガス再循環システム、例えば、ガス再循環システム102の主ガス流回路、例えば、主ガス流回路104からの拡散によってセンサに到達し、外科手術空洞、例えば、外科手術空洞106内の圧力を維持する。この方法は、ガス種の濃度が、ある特定のレベル、例えば、穿孔された腸を示す閾値に、閾値を上回る、または閾値近くに達したことを検出したときに警報を出力すること、例えば、ユーザーインターフェース128を介して音声出力および/または視覚出力を出力すること、を含む。
【0032】
センサは、チャネル内に、例えば、主ガス流回路から分岐しているチャネル110(デッドエンドのチャネル)内に配置され、検出することは、デッドエンドのチャネルを通るバルクガス流なしにガス種を検出することを含む。検出することは、センサを用いて主ガス流回路からガスをサンプリングすることを含むことができ、サンプリングガスは、主ガス流回路内のガス再循環システムに動作可能に接続されたコンプレッサ、例えば、コンプレッサ114の下流の主ガス流回路内の位置からガスをサンプリングして、ガスの流れを外科手術空洞に、かつ外科手術空洞から移動させることを含む。外科手術空洞への、かつ外科手術空洞からのガスの流れの移動は、ガス再循環システムと外科手術空洞との間を接続しているガス密封アクセスポート、例えば、ガス密封アクセスポート122を介する外科手術空洞への、かつ外科手術空洞からのガスの流れを含み、ガス密封アクセスポートおよびガス再循環システムは、外科手術空洞内に配置されたガス密封アクセスポートを有する密封再循環回路を形成する。
【0033】
コントローラ、例えば、コントローラ126は、外科手術空洞からのガス流において監視されるガス種がそれぞれ所望の範囲内にあるかどうかを判定するセンサに動作可能に接続されていて、ガス種がそれぞれ所望の範囲外にある場合には、出力デバイスへの出力を開始して、ユーザーに是正措置を講じるよう警告する。コントローラは、センサの回路に、例えば、図3におけるに感知回路132に動作可能に接続されていて、センサの電気抵抗の変化を監視し、センサが曝露されているガス種の濃度を判定することができる。
【0034】
方法は、所定の閾値を超えるガス種のガスレベルのときに呼び出すために、1~60秒の間隔で、センサによって検出されたガス濃度の履歴を出力することを含むことができる。センサは、金属酸化物膜、例えば、膜134、およびヒーター、例えば、ヒーター138を含み、ガス種を検出することは、金属酸化物膜を使用して、端点を含む100ppm(百万分率)~10ppt(千分率)の濃度範囲で水素の存在を検出することを含む。
【0035】
本開示は、ガス濃度測定値を使用して、腸穿孔後に放出されることが知られている腸ガスの濃度をユーザーに警報する。測定および関連する警報は、外科医が穿孔を感知し、外科手術および麻酔時間を延長して穿孔を視覚的に検索するかどうかを決断する際に役立つことができる。
【0036】
腹腔鏡処置中の光学的可視化には、送気が必要である。標準的な送気は、ガスがガス再循環システムに戻されることなく、患者にガスを送達するが、ガス密封アクセスポートを使用した送気は、膨張した外科手術部位からガスを連続的に引き込む一方で、患者に隣接して配置されたガスシールから空気を連続的に戻す。ガスセンサをガス密封再循環回路に組み込むことにより、追加の機器、追加の外科手術工程、または追加のアクセスポートを必要とせずに、連続的な自動ガス監視が可能になる。
【0037】
デジタルガス濃度記録を参照することによって、医師は、術後に患者が腸穿孔に関連する症状を発症した場合に、その後の外科的検査の必要性を除外することができる。
【0038】
本開示の方法およびシステムは、上記し、かつ図面に示したように、例えば、穿孔された腸を検出するために、内視鏡外科手術処置中に、外科手術部位内のガス種を監視するために提供される。本開示の装置および方法を好ましい実施形態を参照しながら示し、かつ記述してきたが、当業者であれば、変更および/または修正が、本開示の範囲から逸脱することなくなされてもよいことを容易に理解するであろう。
図1
図2
図3
【国際調査報告】