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特表2024-531175異種材料接着用組成物及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】異種材料接着用組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 4/02 20060101AFI20240822BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20240822BHJP
   C09J 163/00 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
C09J4/02
C09J11/06
C09J163/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508341
(86)(22)【出願日】2022-08-10
(85)【翻訳文提出日】2024-04-05
(86)【国際出願番号】 KR2022011907
(87)【国際公開番号】W WO2023018212
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】10-2021-0105851
(32)【優先日】2021-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500578515
【氏名又は名称】サムヤン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リ,ゼフン
(72)【発明者】
【氏名】リュウ,フン
(72)【発明者】
【氏名】イム,ジュンソブ
【テーマコード(参考)】
4J040
【Fターム(参考)】
4J040EC001
4J040EC061
4J040EC071
4J040EC121
4J040EF051
4J040EF131
4J040EF211
4J040EF281
4J040FA131
4J040FA291
4J040HB36
4J040HC24
4J040JB02
4J040KA12
4J040KA16
4J040KA19
4J040LA06
4J040LA08
4J040LA11
4J040MA02
4J040MA10
(57)【要約】
本発明は、異種材料接着用組成物及びその製造方法に関し、より詳しくは、親水性(メタ)アクリル変性ポリウレタンと親油性(メタ)アクリル変性ポリウレタンを含む(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分、(メタ)アクリルモノマー、エポキシ樹脂、エポキシ硬化促進剤、熱重合開始剤及び重合禁止剤を特定の重量比で含み、室温及び高温で異種材料間の高い接着力を実現することができるとともに耐油性に優れる異種材料接着用組成物及びその製造方法に関するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物の全量100重量部に対して、
親水性(メタ)アクリル変性ポリウレタンと親油性(メタ)アクリル変性ポリウレタンを含む(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分25.5~84.5重量部;
(メタ)アクリルモノマー9.5~63.5重量部;
エポキシ樹脂2.5~34.5重量部;
エポキシ硬化促進剤0.06~2.95重量部;
熱重合開始剤0.0006~2.95重量部;及び
重合禁止剤0.006~0.65重量部;
を含む、異種材料接着用組成物。
【請求項2】
前記親水性(メタ)アクリル変性ポリウレタンが、アンヒドロ糖アルコール-アルキレンオキシド付加物に由来する重合単位;ポリイソシアネートに由来する重合単位;及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに由来する重合単位;を含み、
前記親油性(メタ)アクリル変性ポリウレタンは、親油性ポリオールに由来する重合単位;ポリイソシアネートに由来する重合単位;及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに由来する重合単位;
を含む請求項1に記載の異種材料接着用組成物。
【請求項3】
前記(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分は、前記(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分の全量100重量部に対して、前記親水性(メタ)アクリル変性ポリウレタン16~84重量部及び前記親油性(メタ)アクリル変性ポリウレタン16~84重量部を含む請求項1に記載の異種材料接着用組成物。
【請求項4】
前記アンヒドロ糖アルコール-アルキレンオキシド付加物が、アンヒドロ糖アルコールの両末端又は片末端のヒドロキシ基とアルキレンオキシドを反応させて得られるものであり、前記アルキレンオキシドが炭素数2~8の直鎖状アルキレンオキシド又は炭素数3~8の分岐状アルキレンオキシドである請求項2に記載の異種材料接着用組成物。
【請求項5】
前記アンヒドロ糖アルコールが、イソソルビド、イソマンニド、イソイジド又はそれらの組み合わせである請求項4に記載の異種材料接着用組成物。
【請求項6】
前記ポリイソシアネートが、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、又はそれらの組み合わせである請求項2に記載の異種材料接着用組成物。
【請求項7】
前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが、ヒドロキシ-C1-8アルキル(メタ)アクリレートである請求項2に記載の異種材料接着用組成物。
【請求項8】
前記親水性(メタ)アクリル変性ポリウレタンが、下記式(2)で示される請求項1に記載の異種材料接着用組成物。
【化1】
(式中、R1は、それぞれ独立して、アルキレン基であり、
R2は、それぞれ独立して、アルキレン基、シクロアルキレン基又はアリーレン基であり、
R3は、それぞれ独立して、アルキレン基であり、
R4は、それぞれ独立して、水素原子又はアルキル基であり、
Mは、アンヒドロ糖アルコールから誘導される2価の有機基であり、
m及びnは、それぞれ独立して、0~15の整数を表し、
m+nは、1~30の整数を表す。)
【請求項9】
前記式(2)において、
R1は、それぞれ独立して、C2-C8の直鎖状又はC3-C8の分岐状アルキレン基であり、
R2は、それぞれ独立して、C2-C20の直鎖状又はC3-C20の分岐状アルキレン基、C3-C20のシクロアルキレン基又はC6-C20のアリーレン基であり、
R3は、それぞれ独立して、C1-C8の直鎖状又はC3-C8の分岐状アルキレン基であり、
R4は、それぞれ独立して、水素原子又はC1-C4の直鎖状又はC3-C4の分岐状アルキル基であり、
Mは、イソソルビド、イソマンニド又はイソイジドから誘導される2価の有機基であり、
m及びnは、それぞれ独立して、0~15の整数を表し、
m+nは、1~25の整数を表す請求項8に記載の異種材料接着用組成物。
【請求項10】
前記親油性ポリオールが、ポリテトラヒドロフラン、ポリプロピレングリコール、ポリジメチルシロキサン(PDMS)ポリオール又はそれらの組み合わせから選択される請求項2に記載の異種材料接着用組成物。
【請求項11】
前記親油性(メタ)アクリル変性ポリウレタンが、下記式(3)で示される請求項1に記載の異種材料接着用組成物。
【化2】
(式中、R1は、それぞれ独立して、アルキレン基、シクロアルキレン基又はアリーレン基であり、
R2は、それぞれ独立して、アルキレン基であり、
R3は、それぞれ独立して、水素原子又はアルキル基であり、
Lは、親油性ポリオールから誘導される2価の有機基であり、ここで、前記親油性ポリオールの数平均分子量は200~3,000g/molである。)
【請求項12】
前記式(3)において、
R1は、それぞれ独立して、C2-C20の直鎖状又はC3-C20の分岐状アルキレン基、C3-C20のシクロアルキレン基又はC6-C20のアリーレン基であり、
R2は、それぞれ独立して、C1-C8の直鎖状又はC3-C8の分岐状アルキレン基であり、
R3は、それぞれ独立して、水素原子又はC1-C4の直鎖状又はC3-C4の分岐状アルキル基であり、
Lは、ポリテトラヒドロフラン、ポリプロピレングリコール、ポリジメチルシロキサン(PDMS)ポリオール又はそれらの組み合わせから選択される親油性ポリオールから誘導される2価の有機基であり、ここで、前記親油性ポリオールの数平均分子量は500~2,500g/molである請求項11に記載の異種材料接着用組成物。
【請求項13】
前記(メタ)アクリルモノマーが、分子中に1~4個の(メタ)アクリル基を有するモノマーである請求項1に記載の異種材料接着用組成物。
【請求項14】
前記エポキシ樹脂が、分子中に2個以上のエポキシ基を有する樹脂である請求項1に記載の異種材料接着用組成物。
【請求項15】
熱重合開始剤が、下記式(4-1)で示される化合物、下記式(4-2)で示される化合物又はそれらの混合物から選択される請求項1に記載の異種材料接着用組成物。
【化3】
[式中、R及びR'は、それぞれ独立して、C2-C8の直鎖状又はC3-C8の分岐状アルキル基;C3-C20のシクロアルキル基;C6-C20のアリール基;又はC2-C8の直鎖状又はC3-C8の分岐状メトキシ-アルキル基であり、Xは、-CN又は-CO2R''(ここで、R''は、C2-C8の直鎖状又はC3-C8の分岐状アルキル基;C3-C20のシクロアルキル基;又はC6-C20のアリール基である)である。]
【化4】
(式中、Rは、それぞれ独立して、C2-C8の直鎖状又はC3-C8の分岐状アルキル基;C3-C20のシクロアルキル基;又はC6-C20のアリール基である。)
【請求項16】
組成物の全量100重量部に対して、
親水性(メタ)アクリル変性ポリウレタンと親油性(メタ)アクリル変性ポリウレタンを含む(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分25.5~84.5重量部;
(メタ)アクリルモノマー9.5~63.5重量部;
エポキシ樹脂2.5~34.5重量部;
エポキシ硬化促進剤0.06~2.95重量部;
熱重合開始剤0.0006~2.95重量部;及び
重合禁止剤0.006~0.65重量部;
を混合する工程を含む異種材料接着用組成物の製造方法。
【請求項17】
請求項1~15のいずれか1項に記載の異種材料接着用組成物が適用された物品。
【請求項18】
金属材料;金属以外の材料;及びそれらの間の接着剤層;を含み、
前記接着剤層が、請求項1~15のいずれか1項に記載の異種材料接着用組成物を含む請求項17に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異種材料接着用組成物及びその製造方法に関し、より具体的には、親水性(メタ)アクリル変性ポリウレタンと親油性(メタ)アクリル変性ポリウレタンを含む(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分、(メタ)アクリルモノマー、エポキシ樹脂、エポキシ硬化促進剤、熱重合開始剤及び重合禁止剤を特定重量比で含み、室温及び高温で異種材料間の高い接着力を実現することができるとともに、耐油性に優れた異種材料接着用組成物及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンの必須成分であるポリオールとイソシアネートは、通常、石油由来の原料から製造される。しかし、ポリウレタン分野では、石油資源の枯渇の加速、気候変化に伴う温室効果ガス排出量の削減要求、原料価格の高騰、再生可能な原材料へのニーズの高まりなどの様々な理由から、石油系原料から製造されるポリオール及びイソシアネートの一部又は全部を、環境にやさしい成分に置き換える方法が求められている。
【0003】
ポリオールは、天然植物油、セルロース、リグニンなど再生可能なバイオマスから生産することができ、天然植物油由来のバイオポリオールは既に商業規模で生産されている。製造されるバイオポリオールの性質は、製造に使用されたバイオマスの種類によって異なってくる。一般に、ヒマシ油、ヤシ油などは軟質及び硬質ポリウレタンと合成用ポリオールの製造に使用され、大豆油は軟質ポリウレタン用ポリオールの製造に使用される。しかし、現在、製造されているバイオマス由来のバイオポリオールには、粘度が高いという短所がある。
【0004】
天然植物油由来のイソシアネートは、本質的に脂肪族化合物であり、これは石油由来の芳香族ジイソシアネートに比べて反応性が低いという短所がある。そのため、バイオマスを利用したジイソシアネート製造の研究はあまり行われていない。
【0005】
水素化糖(「糖アルコール」ともいう)は、糖類が有する還元性末端基に水素を付加して得られる化合物を意味するものである。一般に、HOCH2(CHOH)nCH2OH(ここで、nは2~5の整数)の式を有し、炭素数に応じて、テトリトール、ペンチトール、ヘキシトール及びヘプチトール(それぞれ、炭素数4、5、6及び7)に分類される。その中で、炭素数6のヘキシトールには、ソルビトール、マンニトール、イジトール、ガラクチトールなどが含まれており、ソルビトールとマンニトールは特に効用性が大きな物質である。
【0006】
アンヒドロアルコールは、水素化糖の内部から1つ以上の水分子が除去されて形成される物質であり、水分子が1つ除去されると分子内に水酸基が4つあるテトラオール(tetraol)の形態となり、2の水分子が除去されると分子内に水酸基が2つあるジオール(diol)の形態となり、デンプン由来のヘキシトールを用いて製造することができる(例えば、特許文献1、2)。アンヒドロアルコールは、再生可能な天然資源由来の環境にやさしい物質であることから、古くから関心が高く、製造方法の研究が行われてきた。このようなアンヒドロアルコールの中で、ソルビトールから製造されたイソソルビドは、現在、産業的応用範囲が最も広い。
【0007】
アンヒドロアルコールは、心臓及び血管疾患の治療、パッチの接着剤、口腔清浄剤などの医薬品、化粧品業界の組成物の溶媒、食品業界の乳化剤など、様々な分野で使用されている。また、ポリエステル、PET、ポリカーボネート、ポリウレタン、エポキシ樹脂など高分子物質のガラス転移温度を上昇させ、そのような物質の強度改善効果があり、天然物由来の環境にやさしい材料であるため、バイオプラスチックなどのプラスチック産業で非常に有用である。さらに、アンヒドロアルコールは、接着剤、環境にやさしい可塑剤、生分解性高分子、水溶性ラッカーの環境に優しい溶媒として使用することができることも知られている。
【0008】
このようにアンヒドロアルコールは、その活用範囲の広さから大きな関心が寄せられており、工業的な実用化レベルが高まっている。
【0009】
特許文献3は、熱重合開始剤の存在下、アクリル変性ポリウレタン及びの他アクリル単量体から金属-金属界面用の導電性接着剤を製造することが開示されている。しかし、このように製造された接着剤組成物は、耐油性が不十分であり、その接着性をさらに改善する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】韓国 特許 第10-1079518号
【特許文献2】韓国 特開 第10-2012-0066904号
【特許文献3】韓国 特開 第10-2017-0125328号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、アンヒドロ糖アルコールの誘導体を利用することにより、室温のみならず高温においても異種材料間の高い接着力を実現することができるともに、耐油性に優れた異種材料接着用組成物及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は、組成物の全量100重量部に対して、親水性(メタ)アクリル変性ポリウレタンと親油性(メタ)アクリル変性ポリウレタンを含む(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分25.5~84.5重量部;(メタ)アクリルモノマー9.5~63.5重量部;エポキシ樹脂2.5~34.5重量部;エポキシ硬化促進剤0.06~2.95重量部;熱重合開始剤0.0006~2.95重量部;及び重合禁止剤0.006~0.65重量部;を含む、異種材料接着用組成物を提供する。
【0013】
本発明の別の側面において、組成物の全量100重量部に対して、親水性(メタ)アクリル変性ポリウレタンと親油性(メタ)アクリル変性ポリウレタンを含む(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分25.5~84.5重量部;(メタ)アクリルモノマー9.5~63.5重量部;エポキシ樹脂2.5~34.5重量部;エポキシ硬化促進剤0.06~2.95重量部;熱重合開始剤0.0006~2.95重量部;及び重合禁止剤0.006~0.65重量部;を混合する工程を含む、異種材料接着用組成物の製造方法を提供する。
【0014】
本発明のさらに別の側面において、本発明は、上記本発明の異種材料接着用組成物が適用された物品を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明による異種材料接着用組成物は、異種材料間の高い接着力を実現すると同時に、硬化後の高温において接着力が低下しないという利点があり、また、耐油性が優れているため、接着材料が油にさらされる環境においても優れた性能維持特性を発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0017】
本明細書で使用される場合、用語「(メタ)アクリル」は、アクリル、メタクリル又はそれらの組み合わせを含み、用語「(メタ)アクリレート」は、アクリレート、メタクリレート又はそれらの組み合わせを含む。
【0018】
本明の異種材料接着用組成物は、組成物の全量100重量部に対して、親水性(メタ)アクリル変性ポリウレタンと親油性(メタ)アクリル変性ポリウレタンを含む(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分25.5~84.5重量部;(メタ)アクリルモノマー9.5~63.5重量部;エポキシ樹脂2.5~34.5重量部;エポキシ硬化促進剤0.06~2.95重量部;熱重合開始剤0.0006~2.95重量部;及び重合禁止剤0.006~0.65重量部;を含む。
【0019】
本発明の異種材料接着用組成物の全量100重量部に対して、上記親水性(メタ)アクリル変性ポリウレタンと親油性(メタ)アクリル変性ポリウレタンを含む(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分の含量が25.5重量部未満であると、室温及び高温での接着性と耐油性がすべて低下し、逆に、その含量が84.5重量部を超えると、高温接着性が低下される。一実施形態において、組成物の全量100重量部中の上記親水性(メタ)アクリル変性ポリウレタンと親油性(メタ)アクリル変性ポリウレタンを含む(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分の含量は、25.5重量部以上、26重量部以上、27重量部以上、28重量部以上、29重量部以上又は30重量部以上であってもよく、また、84.5重量部以下、84重量部以下、83重量部以下、82重量部以下、81重量部以下又は80重量部以下であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0020】
本発明の異種材料接着用組成物の全量100重量部に対して、上記(メタ)アクリルモノマーの含量が9.5重量部未満であると、高温での接着性及び耐油性が低下し、逆に、その含量が63.5重量部を超えると、室温及び高温での接着性が低下される。一実施形態において、組成物の全量100重量部中の上記(メタ)アクリルモノマーの含量は、9.5重量部以上、10重量部以上、11重量部以上、12重量部以上、13重量部以上又は14重量部以上であってもよく、また、63.5重量部以下、63重量部以下、60重量部以下、58重量部以下、55重量部以下、53重量部以下又は50重量部以下であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0021】
本発明の異種材料接着用組成物の全量100重量部に対して、上記エポキシ樹脂の含量が2.5重量部未満であると、高温接着性が低下し、逆に、その含量が34.5重量部を超えると、室温及び高温での接着性と耐油性がすべて低下される。一実施形態において、組成物の全量100重量部中の上記エポキシ樹脂の含量は、2.5重量部以上、3重量部以上、3.5重量部以上、4重量部以上、4.5重量部以上又は5重量部以上であってもよく、また、34.5重量部以下、34重量部以下、33重量部以下、32重量部以下、31重量部以下、30重量部以下又は29重量部以下であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0022】
本発明の異種材料接着用組成物の全量100重量部に対して、上記エポキシ硬化促進剤の含量が0.06重量部未満であると、室温及び高温での接着性と耐油性が低下し、逆に、その含量が2.95重量部を超えると、室温及び高温での接着性がすべて低下される。一実施形態において、組成物の全量100重量部中の上記エポキシ硬化促進剤の含量は、0.06重量部以上、0.1重量部以上、0.2重量部以上、0.3重量部以上、0.4重量部以上又は0.5重量部以上であってもよく、また、2.95重量部以下、2.5重量部以下、2重量部以下、1.5重量部以下又は1重量部以下であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0023】
本発明の異種材料接着用組成物の全量100重量部に対して、上記熱重合開始剤の含量が0.0006重量部未満であると、加熱しても硬化が起こらず、初期剥離により異種材料の接着が困難であり、逆に、その含量が2.95重量部を超えると、室温及び高温での接着性が低下される。一実施形態において、組成物の全量100重量部中の上記熱重合開始剤の含量は、0.0006重量部以上、0.001重量部以上、0.005重量部以上、0.01重量部以上、0.02重量部以上、0.03重量部以上又は0.04重量部以上であってもよく、また、2.95重量部以下、2.8重量部以下、2.5重量部以下、2.3重量部以下又は2重量部以下であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0024】
本発明の異種材料接着用組成物の号に100重量部に対して、上記重合禁止剤の含量が0.006重量部未満であると、保存安定性が悪くなり、室温保存でも組成物内で硬化が発生することがあり、逆に、その含量が0.65重量部を超えると、室温及び高温での接着性と耐油性がすべて低下される。一実施形態において、組成物の全量100重量部中の上記重合禁止剤の含量は、0.006重量部以上、0.007重量部以上、0.008重量部以上、0.009重量部以上又は0.01重量部以上であってもよく、また、0.65重量部以下、0.6重量部以下、0.55重量部以下又は0.5重量部以下であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0025】
以下、本発明の異種材料接着用組成物に含まれる成分の実施形態について説明する。
【0026】
[(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分]
本発明の異種材料接着用組成物に含まれる(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分は、親水性(メタ)アクリル変性ポリウレタンと親油性(メタ)アクリル変性ポリウレタンを含む。
【0027】
一実施形態において、上記親水性(メタ)アクリル変性ポリウレタンは、アンヒドロ糖アルコール-アルキレンオキシド付加物に由来する重合単位;ポリイソシアネートに由来する重合単位;及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに由来する重合単位;を含むことができる。
【0028】
一実施形態において、上記親油性(メタ)アクリル変性ポリウレタンは、親油性ポリオールに由来する重合単位;ポリイソシアネートに由来する重合単位;及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに由来する重合単位;を含むことができる。
【0029】
一実施形態において、上記(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分は、(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分の全量100重量部に対して、上記親水性(メタ)アクリル変性ポリウレタン16~84重量部及び上記親油性(メタ)アクリル変性ポリウレタン16~84重量部を含むことができる。(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分中の親水性(メタ)アクリル変性ポリウレタンの含量が上記水準より少なすぎると(すなわち、親油性(メタ)アクリル変性ポリウレタンの含量が上記水準より多すぎると)、それから製造された異種材料接着用組成物は金属に対して低い接着力が示すことがあり、逆に、親水性(メタ)アクリル変性ポリウレタンの含量が上記水準より多すぎると(すなわち、親油性(メタ)アクリル変性ポリウレタン含量が上記水準より少なすぎると)、それから製造された異種材料接着用組成物は、有機材料に対して低い接着力を示すことがある。
【0030】
より具体的には、上記(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分の全量100重量部に対して、上記親水性及び親油性(メタ)アクリル変性ポリウレタンの各々が、16重量部以上、17重量部以上、18重量部以上、19重量部以上又は20重量部以上の量で含まれてもよく、また、上記親水性及び親油性(メタ)アクリル変性ポリウレタンの各々が、84重量部以下、83重量部以下、82重量部以下、81重量部以下又は80重量部以下の量で含まれてもよいが、これに限定されるものではない。
【0031】
・アンヒドロ糖アルコール-アルキレンオキシド付加物
一実施形態において、上記親水性(メタ)アクリル変性ポリウレタンに重合単位として含まれるアンヒドロ糖アルコール-アルキレンオキシド付加物(又は、「アンヒドロ糖アルコール-アルキレングリコール」ともいう)は、アンヒドロ糖アルコールの両末端又は片末端(好ましくは、両末端)のヒドロキシ基とアルキレンオキシドを反応させることにより得られる付加物であり、アンヒドロ糖アルコールの両末端又は片末端(好ましくは、両末端)ヒドロキシ基の水素が、アルキレンオキシドの開環形態のヒドロキシアルキル基で置換された形態の化合物を意味する。
【0032】
一実施形態において、上記アルキレンオキシドは、炭素数2~8の直鎖状又は炭素数3~8の分岐状アルキレンオキシドであってもよく、より具体的には、エチレンオキシド、プロピレンオキシド又はそれらの組み合わせであってもよい。
【0033】
上記アンヒドロ糖アルコールは、天然物由来の水素化糖の脱水反応によって製造することができる。水素化糖(「糖アルコール」ともいう)は、糖類が有する還元性末端基に水素を付加して得られる化合物を意味するものである。一般に、HOCH2(CHOH)nCH2OH(ここで、nは2~5の整数)の式を有し、炭素数に応じて、テトリトール、ペンチトール、ヘキシトール及びヘプチトール(それぞれ、炭素数4、5、6及び7)に分類される。その中で、炭素数6のヘキシトールには、ソルビトール、マンニトール、イジトール、ガラクチトールなどが含まれており、ソルビトールとマンニトールは特に効用性が大きな物質である。
【0034】
上記アンヒドロ糖アルコールとしては、モノアンヒドロ糖アルコール、ジアンヒドロ糖アルコール又はそれらの混合物であってもよく、特に限定しないが、ジアンヒドロ糖アルコールを使用することができる。
【0035】
モノアンヒドロ糖アルコールは、水素化糖の内部から水分子1つを除いて生成されるアンヒドロ糖アルコールであり、分子内に4つのヒドロキシ基を有するテトラオール(tetraol)形態を有する。本発明において、上記モノアンヒドロ糖アルコールの種類は特に限定されないが、好ましくはモノアンヒドロ糖ヘキシトールであってもよく、より具体的には、1,4-アンヒドロヘキシトール、3,6-アンヒドロヘキシトール、2,5-アンヒドロヘキシトール、1,5-アンヒドロヘキシトール、2,6-アンヒドロヘキシトール又はこれらの2つ以上の混合物であってもよい。
【0036】
ジアンヒドロ糖アルコールは水素化糖の内部から水分子2個を除いて生成されるアンヒドロ糖アルコールであり、分子内に2つのヒドロキシ基を有するジオール(diol)形態であり、デンプン由来のヘキシトールを用いて製造することができる。ジアンヒドロ糖アルコールは、再生可能な天然資源から得られる環境に優しい物質であることから、以前から注目されており、その製造方法に関する研究が続けられている。このようなジアンヒドロ糖アルコールの中でも、ソルビトールから製造されたイソソルビドが、現在最も工業的応用範囲が広い。
【0037】
本発明において、上記ジアンヒドロ糖アルコールの種類は特に限定されないが、好ましくはジアンヒドロヘキシトールであってもよく、より具体的には、1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトールであってもよい。上記1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトールは、イソソルビド、イソマンニド、イソイジド又はそれらの2つ以上の混合物であってもよい。
【0038】
一実施形態において、上記アンヒドロ糖アルコール-アルキレンオキシド付加物は、下記式(1)で示される化合物又はそれらの混合物であってもよい。
【0039】
【化1】
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、炭素数2~8の直鎖状又は炭素数3~8の分岐状アルキレン基を表し、
m及びnは、それぞれ独立して、0~15の整数を表し、
m+nは、1~30の整数を表す。)
より好ましくは、上記式1において、
1及びR2は、それぞれ独立して、エチレン基、プロピレン基又はイソプロピレン基を表し、好ましくはR1及びR2は同一であり、
m及びnは、それぞれ独立して、0~14の整数を表し、
ただし、m+nは、1以上、2以上、又は3以上の整数であり、また、25以下、20以下、15以下又は12以下の整数であり、例えば、1~25の整数、好ましくは2~20の整数、より好ましくは3~15の整数を表す。
【0040】
一実施形態において、上記アンヒドロ糖アルコール-アルキレンオキシド付加物は、下記式(1-1)で示されるアンヒドロ糖アルコール-プロピレンオキシド付加物、下記式(1-2)で示されるアンヒドロ糖アルコール-エチレンオキシド付加物又はそれらの混合物であってもよい。
【0041】
【化2】
(式中、a及びbは、それぞれ独立して、0~15の整数を表し、
a+bは1~30の整数を表し、
より好ましくは、a及びbは、それぞれ独立して、0~14の整数を表し、
ただし、a+bは、1以上、2以上、又は3以上の整数であり、また、25以下、20以下、15以下又は12以下の整数であり、例えば、1~25の整数、好ましくは2~20の整数、より好ましくは3~15の整数を表す。)
【0042】
【化3】
(式中、c及びdは、それぞれ独立して、0~15の整数を表し、
c+dは、1~30の整数を表し、
より好ましくは、c及びdは、それぞれ独立して、0~14の整数を表し、
ただし、c+dは、1以上、2以上、又は3以上の整数であり、また、25以下、20以下、15以下又は12以下の整数であり、例えば、1~25の整数、好ましくは2~20の整数、より好ましくは3~15の整数を表す。)
【0043】
一実施形態において、上記アンヒドロ糖アルコール-アルキレンオキシド付加物は、(1)アンヒドロ糖アルコールを酸成分で処理する工程;及び(2)上記工程(1)で得られた酸成分で処理されたアンヒドロ糖アルコールとアルキレンオキシドとの付加反応を行う工程;を含む製造方法によって製造されたものであってもよい。
【0044】
より具体的には、上記アンヒドロ糖アルコール-アルキレンオキシド付加物は、(1)アンヒドロ糖アルコールを酸成分で処理する工程;(2)上記工程(1)で得られた酸成分で処理されたアンヒドロ糖アルコールとアルキレンオキシドとの付加反応を行う工程;及び(3)塩基触媒の存在下、上記工程(2)で得られた生成物とアルキレンオキシドとの付加反応を行う工程;を含む製造方法によって製造されたものであってもよい。
【0045】
上記酸成分としては、特に限定されず、リン酸、硫酸、酢酸、ギ酸、ヘテロポリ酸又はそれらの混合物からなる群から選択することができる。一実施形態において、上記ヘテロポリ酸としては、ホスホタングステン酸(phosphotungstic acid)、ホスホモリブデン酸(phosphomolybdic acid)、シリコタングステン酸(silicotungstic acid)又はシリコモリブデン酸(silicomolybdic acid)等を使用することができ、他の有用な酸成分としては、アンバーリスト15(Dow Chemical社製)等の市販の酸成分を使用することもできる。
【0046】
一実施形態において、上記酸処理は、アンヒドロ糖アルコール1モルに対して、0.1~10モル、好ましくは0.1~8モル、より好ましくは0.1~5モルの酸成分を用い、窒素の雰囲気下、昇温(例えば、80℃~200℃又は90℃~180℃)した後、真空下で減圧を行い、反応器内の水分を除去することにより行うことができるが、これに限定されるものではない。
【0047】
上記酸処理で使用される酸成分は、後述するアルキレンオキシドの付加反応においてアルキレンオキシドの開環を促進するために用いられる。
【0048】
一般に、アルコールにアルキレンオキシドを付加する反応は塩基触媒下で進行するがが、アンヒドロ糖アルコールの場合には、構造上の特徴からアルキレンオキシドが付加される速度と、塩基触媒によるアンヒドロ糖アルコールの環構造の開環・分解速度が競争する。従って、アンヒドロ糖アルコールだけでなく、アンヒドロ糖アルコールの分解物もアルキレンオキシドと反応し、塩基触媒により分解されたアンヒドロ糖アルコールの分解物とアルキレンオキシドとの反応生成物が、製品の品質及び保存安定性を低下させる要因として作用する可能性がある。これに対し、アンヒドロ糖アルコールを酸成分で処理した後、アルキレンオキシドと付加反応に供すると、酸成分によりアルキレンオキシドの開環が促進されるため、塩基触媒によるアンヒドロ糖アルコールの分解物を生成することなく、アンヒドロ糖アルコールとアルキレンオキシドとの付加反応によりアンヒドロ糖アルコール-アルキレンオキシド付加物が容易に製造することができる。従って、酸処理アンヒドロ糖アルコールとアルキレンオキシドとを付加反応させることにより、従来の問題を解決することができる。
【0049】
一実施形態において、上記酸成分で処理されたアンヒドロ糖アルコールとアルキレンオキシドとの付加反応は、酸成分で処理されたアンヒドロ糖アルコールにアルキレンオキシドを高温(例えば、100℃~180℃又は120℃~160℃)で、例えば、1時間~8時間又は2時間~4時間にわたってゆっくり供給することにより行うことができるが、これに限定されるものではない。アンヒドロ糖アルコール1モルに対するアルキレンオキシドの反応モル比は、例えば、1モル以上又は2モル以上であり、また、30モル以下、20モル以下、15モル以下又は12モル以下であり、例えば、1モルを~30モル、好ましくは2~20モルであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0050】
一実施形態において、上記アルキレンオキシドの付加反応により得られた生成物と追加のアルキレンオキシドとのさらなる付加反応は、例えば、加圧(例えば、3MPa以上に加圧された)可能な高圧反応器内で、塩基触媒(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物又は水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物)の存在下、高温(例えば、100℃~180℃又は120℃~160℃)で、例えば、1時間~8時間又は2時間~4時間行うことができるが、これに限定されるものではない。アンヒドロ糖アルコール1モルに対するアルキレンオキシドの反応モル比は、例えば、1モル以上、2モル以上又は3モル以上で、また、30モル以下、20モル以下、15モル以下又は12モル以下であり、例えば、1モルを~30モル、好ましくは2~20モル、より好ましくは3~15モルであってもよいが、これに限定されるものではない。上記塩基触媒を投入する前に、処理に使用した酸成分をろ過して除去することができる。
【0051】
酸処理したアンヒドロ糖アルコールとアルキレンオキシドとの付加反応により得られる生成物(すなわち、アンヒドロ糖アルコールにアルキレンオキシドが付加された形の化合物)は、が非常に安定した構造を有しているため、塩基触媒の存在下でも、高温で容易にアンヒドロ糖アルコールの環構造が開環したり、分解したりしない。従って、アルキレンオキシドのさらなる付加反応に非常に有利である。アルキレンオキシドのさらなる付加反応時においても酸触媒を使用し続けると、酸触媒はアルキレンオキシドの開環を促進するのに役立つが、付加するアルキレンオキシドのモル数が増加するにつれて反応速度が低下する。すなわち、アルキレンオキシドの付加速度とアルキレンオキシド自体の開環速度が競争し、このとき、アルキレンオキシドの付加速度が遅くなり、開環したアルキレンオキシド同士の自己縮合反応及び副産物生成が進行し、品質劣化の原因となる。そのため、アルキレンオキシドのさらなる付加反応は塩基触媒下で行われる。
【0052】
その後、使用済み塩基触媒から放出された金属イオンを除去する工程を追加して行ってもよく、これのために、例えばAmbosol MP20(ケイ酸マグネシウム成分)などの金属イオン吸着剤を使用することができる。
【0053】
・親油性ポリオール
一実施形態において、上記親油性(メタ)アクリル変性ポリウレタンに重合単位として含まれる親油性ポリオールは、低表面エネルギー特性を有するポリオールであり、具体的には、ポリテトラヒドロフラン、ポリプロピレングリコール、ポリジメチルシロキサン(PDMS)ポリオール又はそれらの組み合わせから選択することができるが、これに限定されるものではない。
【0054】
一実施形態において、特に制限されないが、上記親油性ポリオールの数平均分子量(Mn)は、具体的には200~3,000g/mol、より具体的には500~2,500g/mol、さらに具体的には700~2,300g/mol、さらに具体的には1,000~2,000g/molであってもよい。親油性ポリオールの数平均分子量が上記レベルより低すぎると、そこから製造される(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分を含む異種材料接着用組成物が適用される異種材料接着試片のせん断強度が低いため、接着性が悪くなることがあり、逆に、親油性ポリオールの数平均分子量が上記上記レベルより高すぎると、そこから製造される(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分を含む異種材料接着用組成物が適用される異種材料接着試片の耐油性が低くなることがある。
【0055】
・ポリイソシアネート
一実施形態において、上記親水性及び親油性(メタ)アクリル変性ポリウレタンに重合単位として含まれるポリイソシアネートは、例えば、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)(例するに、2,4-又は4,4'-メチレンジフェニルジイソシアネート)、キシレンジイソシアネート(XDI)、m-又はp-テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジ-又はテトラ-アルキルジフェニルメタンジイソシアネート、3,3'-ジメチルジフェニル-4,4'-ジイソシアネート(TODI)、フェニレンジイソシアネート(例えば、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、又は4,4'-ジベンジルジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート;水素化MDI(H12MDI)、1-メチル-2,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1,12-ジイソシアナトドデカン、1,6-ジイソシアナト-2,2,4-トリメチルヘキサン、1,6-ジイソシアナト-2,4,4-トリメチルヘキサン、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、テトラメトキシブタン-1,4-ジイソシアネート、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)(例えば、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート)、二量体脂肪酸ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート(例えば、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート)又はエチレンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート;又はそれらの組み合わせであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0056】
別の実施形態において、上記ポリイソシアネートは、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、エチレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、1-12-ドデカンジイソシアネート、シクロブタン-1,3-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,3-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2,4-ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、2,6-ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4'-ジイソシアネート(HMDI)、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネートと2,6-トルエンジイソシアネートが混合されたトルエンジイソシアネート(2,4-/2,6-異性体比=80/20)、ジフェニルメタン-2,4'-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4'-ジイソシアネート、ポリジフェニルメタンジイソシアネート(PMDI)、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート又はそれらの組み合わせであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0057】
より具体的には、上記ポリイソシアネートは、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、又はそれらの組み合わせであってもよい。
【0058】
・ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート
一実施形態において、上記親水性及び親油性(メタ)アクリル変性ポリウレタンに重合単位として含まれるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、例えば、ヒドロキシ基を有する直鎖状又は分岐状アルキルアクリレート、ヒドロキシ基を有する直鎖状又は分岐状アルキルメタクリレート、又はそれらの組み合わせであってもよく、より具体的には、ヒドロキシ-C1-8アルキル(メタ)アクリレート、すなわち、ヒドロキシ基を有する直鎖状C1-8アルキルアクリレート、ヒドロキシ基を有する分岐状C3-8アルキルアクリレート、ヒドロキシ基を有する直鎖状C1-8アルキルメタクリレート、ヒドロキシ基を有する分岐状C3-8アルキルメタクリレート又はそれらの組み合わせであってもよく、さらに具体的には、ヒドロキシアクリル酸メチル、ヒドロキシメチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、ヒドロキシペンチルアクリレート、ヒドロキシペンチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルヘキシルアクリレート、2-ヒドロキシエチルヘキシルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルブチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルブチルメタクリレート、ヒドロキシオクチルアクリレート、ヒドロキシオクチルメタクリレート又はそれらの組み合わせであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0059】
より具体的には、上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート又はそれらの組み合わせであってもよい。
【0060】
・親水性(メタ)アクリル変性ポリウレタン
一実施形態において、上記親水性(メタ)アクリル変性ポリウレタンは、下記式(2)で示すことができる。
【0061】
【化4】
[式中、R1は、それぞれ独立してアルキレン基であり、具体的には、C2-C8の直鎖状又はC3-C8の分岐状アルキレン基であり、より具体的にはC2-C6の直鎖状又はC3-C6の分岐状アルキレン基であり、
R2は、それぞれ独立して、アルキレン基、シクロアルキレン基又はアリーレン基であり、具体的にはC2-C20の直鎖状又はC3-C20の分岐状アルキレン基、C3-C20のシクロアルキレン基又はC6-C20のアリーレン基であり、
R3は、それぞれ独立して、アルキレン基であり、具体的には、C1-C8の直鎖状又はC3-C8の分岐状アルキレン基であり、より具体的には、C2-C6の直鎖状又はC3-C6の分岐状アルキレン基であり、
R4は、それぞれ独立して、水素原子又はアルキル基であり、具体的には、水素原子又はC1-C4の直鎖状又はC3-C4の分岐状アルキル基であり、
Mは、アンヒドロ糖アルコールから誘導される2価の有機基であり、より具体的には、イソソルビド、イソマンニド又はイソイジドから誘導される2価の有機基であり、より具体的には、以下の式から選択される。
【0062】
【化5】
m及びnは、それぞれ独立して、0~15の整数を表し、
m+nは、1~30の整数、具体的には、1~25の整数、より具体的には、1~20の整数、さらに具体的には3~15の整数、さらに具体的には、5~15の整数を表す。]
【0063】
より具体的には、上記親水性(メタ)アクリル変性ポリウレタンは、下記式のいずれかで示すことができるが、これに限定されるものではない:
【0064】
【化6】
(式中、m、n及びm+nは、それぞれ独立して、上記式(2)で定義したものと同義である。)
【0065】
上記親水性(メタ)アクリル変性ポリウレタンは、アンヒドロ糖アルコール-アルキレンオキシド付加物にポリイソシアネートを反応させた後、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを反応させることにより得ることができる。
【0066】
一実施形態において、上記親水性(メタ)アクリル変性ポリウレタンは、(a)アンヒドロ糖アルコール-アルキレンオキシド付加物とポリイソシアネートとを反応させて、末端イソシアネート基を有する中間体を製造する工程;及び(b)上記工程(a)で得られた中間体をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと反応させる工程;を含む方法によって製造することができる。
【0067】
一実施形態によれば、親水性(メタ)アクリル変性ポリウレタンは、2当量のジイソシアネートを1当量のアンヒドロ糖アルコール(例:イソソルビド(ISB))-アルキレンオキシド付加物と反応させて、末端イソシアネート基を有する中間体を製造し、次いで、上記中間体の末端イソシアネート基を2当量のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(例:2-ヒドロキシエチルメタクリレート)と反応させて製造することができる。
【0068】
一実施形態によれば、上記アンヒドロ糖アルコール-アルキレンオキシド付加物とポリイソシアネートとの反応は、任意に、触媒(例えば、ジブチルスズジラウレート(DBTDL)などのスズ系触媒)の存在下、室温で又は高温(例えば、50~100℃、好ましくは50~70℃)で、適切な時間(例えば、0.1~5時間、好ましくは0.5時間~2時間)の間に行うことができる。
【0069】
一実施形態によれば、上記アンヒドロ糖アルコール-アルキレンオキシド付加物とポリイソシアネートとの反応生成物(すなわち、上記工程(a)で得られた中間体)とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの反応は、任意に、触媒(例えば、ジブチルスズジラウレート(DBTDL)などのスズ系触媒)の存在下、高温(例えば、50~100℃、好ましくは50~70℃)で、適切な時間(例えば、0.1~5時間、好ましくは0.5時間~2時間)の間行うことができる。
【0070】
・親油性(メタ)アクリル変性ポリウレタン
一実施形態において、上記親油性(メタ)アクリル変性ポリウレタンは、下記式(3)で示されてもよい。
【化7】
[式中、R1は、それぞれ独立して、アルキレン基、シクロアルキレン基又はアリーレン基であり、
R2は、それぞれ独立して、アルキレン基であり、
R3は、それぞれ独立して、水素原子又はアルキル基であり、
Lは、親油性ポリオールから誘導される2価の有機基であり、
上記親油性ポリオールの数平均分子量は、200~3,000g/molであり、
より具体的には、
R1は、それぞれ独立して、C2-C20の直鎖状又はC3-C20の分岐状アルキレン基、C3-C20のシクロアルキレン基又はC6-C20のアリーレン基であり、
R2は、それぞれ独立して、C1-C8の直鎖状又はC3-C8の分岐状アルキレン基であり、
R3は、それぞれ独立して、水素原子又はC1-C4の直鎖状又はC3-C4の分岐状アルキル基であり、
Lは、ポリテトラヒドロフラン、ポリプロピレングリコール、ポリジメチルシロキサン(PDMS)ポリオール又はそれらの組み合わせから選択される親油性ポリオールから誘導される2価の有機基であり、
上記親油性ポリオールの数平均分子量は、500~2,500g/molである。]
【0071】
上記親油性(メタ)アクリル変性ポリウレタンは、親油性ポリオールにポリイソシアネートを反応させ、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを反応させることにより得ることができる。
【0072】
より具体的には、上記親油性(メタ)アクリル変性ポリウレタンは、(c)親油性ポリオールとポリイソシアネートとを反応させ、末端イソシアネート基を有する中間体を製造する工程;及び(d)上記工程(c)で得られた中間体をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと反応させる工程;を含む方法によって製造することができる。
【0073】
一実施形態によれば、親油性(メタ)アクリル変性ポリウレタンは、2当量のジイソシアネートを1当量の親油性ポリオール(例:200~3,000g/molの数平均分子量を有するポリテトラヒドロフラン、ポリプロピレングリコール、又はポリジメチルシロキサンジオール)と反応させて、末端イソシアネート基を有する中間体を製造し、次いで、その上記中間体の末端イソシアネート基を、2当量のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(例:2-ヒドロキシエチルメタクリレート)2当量と反応させて製造することができる。
【0074】
一実施形態によれば、上記親油性ポリオールとポリイソシアネートとの反応は、任意に、触媒(例えば、ジブチルスズジラウレート(DBTDL)などのスズ系触媒)の存在下、室温で又は高温(例えば、50~100℃、好ましくは50~70℃)で、適切な時間(例えば、0.1~5時間、好ましくは0.5時間~2時間)の間行うことができる。
【0075】
一実施形態によれば、上記親油性ポリオールとポリイソシアネートとの反応生成物(すなわち、上記工程(c)で得られた中間体)とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの反応は、任意に、触媒(例えば、ジブチルスズジラウレート(DBTDL)のなどのスズ系触媒)の存在下、高温(例えば、50~100℃、好ましくは50~70℃)で、適切な時間(例えば、0.1~5時間、好ましくは0.5時間~2時間)の間行うことができる。
【0076】
・(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分製造方法
一実施形態において、上記(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分は、(1)アンヒドロ糖アルコール-アルキレンオキシド付加物及び親油性ポリオールを含むポリオール成分とポリイソシアネートとを反応させて、末端イソシアネート基を有する中間体を製造する工程;及び(2)上記工程(1)で得られた中間体をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと反応させる工程;を含む方法(第1製造方法)で製造することができる。
【0077】
別の実施形態において、上記(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分は、親水性(メタ)アクリル変性ポリウレタンと親油性(メタ)アクリル変性ポリウレタンとを混合する工程を含む方法(第2製造方法)で製造することができ、より具体的には、(i)アンヒドロ糖アルコール-アルキレンオキシド付加物に由来する重合単位;ポリイソシアネートに由来する重合単位;及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに由来する重合単位;を含む親水性(メタ)アクリル変性ポリウレタンと、(ii)親油性ポリオールに由来する重合単位;ポリイソシアネートに由来する重合単位;及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに由来する重合単位;を含む親油性(メタ)アクリル変性ポリウレタンと、を混合する工程を含む方法で製造することができる。
【0078】
上記(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分の第1及び第2製造方法において、アンヒドロ糖アルコール-アルキレンオキシド付加物、親油性ポリオール、ポリイソシアネート及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートには上記と同様である。
【0079】
一実施形態によれば、上記(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分の第1製造方法において、上記ポリオール成分は、ポリオール成分の全量100重量部に対して、アンヒドロ糖アルコール-アルキレンオキシド付加物16~84重量部及び親油性ポリオール16~84重量部を含んでもよく、より具体的には、上記ポリオール成分の全量100重量部に対して、アンヒドロ糖アルコール-アルキレンオキシド付加物及び親油性ポリオールのそれぞれが、16重量部以上、17重量部以上、18重量部以上、19重量部以上又は20重量部以上の量で含まれてもよく、また、アンヒドロ糖アルコール-アルキレンオキシド付加物及び親油性ポリオールのそれぞれが、84重量部以下、83重量部以下、82重量部以下、81重量部以下又は80重量部以下の量で含まれてもよいが、これに限定されるものではない。
【0080】
一実施形態によれば、上記(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分の第1製造方法において、上記工程(1)におけるポリオール成分とポリイソシアネートとの反応は、任意に、触媒(例えば、ジブチルスズジラウレート(DBTDL)などのスズ系触媒)の存在下、室温で又は高温(例えば、50~100℃、好ましくは50~70℃)で、適切な時間(例えば、0.1~5時間、好ましくは0.5時間~2時間)の間行うことができ、上記工程(2)におけるポリオール成分とポリイソシアネートとの反応生成物(すなわち、工程(1)で得られた中間体)とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの反応は、任意に、触媒(例えば、ジブチルスズジラウレート(DBTDL)などのスズ系触媒)の存在下、高温(例えば、50~100℃、好ましくは50~70℃)で適切な時間(例えば、0.1~5時間、好ましくは0.5時間~2時間)の間行うことができる。
【0081】
一実施形態によれば、上記(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分の第2製造方法において、製造される(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分の全量100重量部に対して、(i)親水性(メタ)アクリル変性ポリウレタン16~84重量部と(ii)親油性(メタ)アクリル変性ポリウレタン16~84重量部とを混合されてもよく、より具体的には、(i)親水性及び(ii)親油性(メタ)アクリル変性ポリウレタンのそれぞれが、16重量部以上、17重量部以上、18重量部以上、19重量部以上又は20重量部以上の量で混合されてもよく、上記親水性及び親油性(メタ)アクリル変性ポリウレタンのそれぞれも、84重量部以下、83重量部以下、82重量部以下、81重量部以下又は80重量部以下の量で混合されてもよいが、これに限定されるものではない。
【0082】
上記(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分の第2製造方法において、混合される(i)親水性及び(ii)親油性(メタ)アクリル変性ポリウレタンのそれぞれの製造方法は、上記説明と同様である。
【0083】
[(メタ)アクリルモノマー]
本発明の異種材料接着用組成物に含まれる(メタ)アクリルモノマーは、上記異種材料接着用組成物の粘度を調節し、接着基材への塗布性などの作業性を改善させ、上記異種材料接着用組成物の熱硬化速度を向上させ、硬化物の強度を向上させて接着性を改善させることができる。
【0084】
一実施形態において、本発明の異種材料接着用組成物中に含まれる(メタ)アクリルモノマーは、分子中に1~4個の(メタ)アクリル基を有する1種以上のモノマーであってもよい。
【0085】
上記(メタ)アクリルモノマーとしては、1個の(メタ)アクリル基を有するモノマー、例えば、(メタ)アクリル酸、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチルグリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシテトラエチルグリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェニルポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エピクロロヒドリン(以下、ECHと略す)-変性ブチル(メタ)アクリレート、ECH-変性フェノキシ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド(以下、EOと略す)-変性フタル酸(メタ)アクリレート、EO-変性コハク酸(メタ)アクリレート、カプロラクトン-変性2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0086】
また、上記(メタ)アクリルモノマーとしては、分子中に2個以上(例えば、2~4個)の(メタ)アクリル基を有するモノマー、例えば、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)、ブタンジオールジアクリレート(BDDA)、トリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)、ビスフェノールA[EO]4~30ジアクリレート(BPA[EO]4~30DA、EOはエチレンオキシド単位)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパン[EO]3~15トリアクリレート(TMP[EO]3~15TA、EOはエチレンオキシド単位)、ペンタエリトリトールトリアクリレート(PETA)、ペンタエリトリトールテトゥタアクリルレイトゥ(PETTA)、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTTA)、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート(DPPA)、ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート(DPHA)、又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0087】
[エポキシ樹脂]
本発明の異種材料接着用組成物に含まれるエポキシ樹脂は、上記異種材料接着用組成物の硬化物の強度を高め、接着性を改善するために使用される。
【0088】
一実施形態において、本発明の異種材料接着用組成物に含まれるエポキシ樹脂は、分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であってもよい。上記エポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0089】
上記エポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂には、例えば、ビスフェノール系エポキシ樹脂、フェノールノボラック系エポキシ樹脂、o-クレゾールノボラック系エポキシ樹脂、多官能エポキシ樹脂、アミン系エポキシ樹脂、複素環含有エポキシ樹脂、置換エポキシ樹脂、ナフトール系エポキシ樹脂、又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0090】
[エポキシ硬化促進剤]
本発明の異種材料接着用組成物に含まれるエポキシ硬化促進剤は、上記エポキシ樹脂の硬化速度を高めるために使用される。
【0091】
一実施形態において、本発明の異種材料接着用組成物に含まれるエポキシ硬化促進剤は、例えば、置換イミダゾール、例えば、1-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチルイミダゾール、イミダゾリン、例えば、2-フェニルイミダゾリン、3級アミン、例えば、N,N-ジメチルベンジルアミン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(DMP30)、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ノニルフェノール、p-tert-ブチルフェノール、ノボラック型のフェノール樹脂、サリチル酸、p-トルエンスルホン酸、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、S-トリアジン(LUPRAGEN N600)、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル(LUPRAGEN N206)、ペンタメチルジエチレントリアミン(LUPRAGEN N301)、トリメチルアミノエチルエタノールアミン(LUPRAGEN N400)、テトラメチル-1,6-ヘキサンジアミン(LUPRAGEN N500)、アミノエチルモルホリン、アミノプロピルモルホリン、アミノエチルエチレンウレア、ケチミン、例えば、Epi-Kure3502(エチレンジアミンとメチルイソブチルケトンの反応生成物)、ウロン、例えば、3-(4-クロロフェニル)-1,1-ジメチルウレア(モニュロン)、3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチルウレア(ジウロン)、3-フェニル-1,1-ジメチルウレア(フェヌロン(phenuron))及び3-(3-クロロ-4-メチルフェニル)-1,1-ジメチルウレア(クロロトルロン)、トリル-2,4-ビス-N,N-ジメチルカルバミド(AMICURE UR2T)、ジシアンジアミド(DICY)、マンニッヒ塩基又は2級アミン、例えば、ジアルキルアミン、例えば、ジ(2-エチルヘキシル)アミン、ジブチルアミン、ジプロピルアミン、ジトリデシルアミン、N,N'-ジイソプロピルイソホロンジアミン(JEFFLINK(登録商標)XTJ-584)、N,N'-ジイソブチル-4,4'-ジアミノジシクロヘキシルメタン(CLEARLINK 1000)、N-(ヒドロキシエチル)アニリン、及びジ(2-メトキシエチル)アミン、又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0092】
[熱重合開始剤]
本発明の異種材料接着用組成物に含まれる熱重合開始剤は、上記(メタ)アクリルモノマー及び(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分の重合を開始させ、硬化を促進するために使用される。
【0093】
一実施形態において、本発明の異種材料接着用組成物に含まれる熱重合開始剤では、例えば、下記式(4-1)で示される化合物、下記式(4-2)で示される化合物又はそれらの混合物から選択されるものが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0094】
【化8】
[式中、R及びR'は、それぞれ独立して、C2-C8の直鎖状又はC3-C8の分岐状アルキル基;C3-C20のシクロアルキル基;C6-C20のアリール基;又はC2-C8の直鎖状又はC3-C8の分岐状メトキシ-アルキル基;であり、
Xは、-CN又は-CO2R''(ここで、R''は、C2-C8の直鎖状又はC3-C8の分岐状アルキル基;C3-C20のシクロアルキル基;又はC6-C20のアリール基;である)である。]
【0095】
【化9】
(式中、Rは、それぞれ独立して、C2-C8の直鎖状又はC3-C8の分岐状アルキル基;C3-C20のシクロアルキル基;又はC6-C20のアリール基である。)
【0096】
[重合禁止剤]
本発明の異種材料接着用組成物に含まれる重合禁止剤は、上記異種材料接着用組成物の非使用保管中に自然的に起こる組成物内の室温での硬化反応を抑制し、使用前の組成物の保存安定性を向上させるために使用される。
【0097】
一実施形態において、本発明の異種材料接着用組成物に含まれる重合禁止剤には、例えば、ヒドロキノン(HQ)、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)、ヒドロキノンモノエチルエーテル(EEHQ)又はそれらの混合物から選択されるものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0098】
上記で説明した成分に加えて、本発明の異種材料接着用組成物は、従来の接着用組成物に含まれ得る1つ以上の添加剤成分をさらに含むことができる。
【0099】
[異種材料接着用組成物の製造方法及びその組成物が適用される物品]
本発明の別の側面によれば、本発明は、異種材料を接着するための組成物を製造するための方法であって、組成物の全量100重量部に対して、親水性(メタ)アクリル変性ポリウレタンと親油性(メタ)アクリル変性ポリウレタンとを含む(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分25.5~84.5重量部;(メタ)アクリルモノマー9.5~63.5重量部;エポキシ樹脂2.5~34.5重量部;エポキシ硬化促進剤0.06~2.95重量部;熱重合開始剤0.0006~2.95重量部;及び重合禁止剤0.006~0.65重量部;を混合する工程を含む、異種材料接着用組成物の製造方法が提供される。
【0100】
上記異種材料接着用組成物の製造方法において、(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分、(メタ)アクリルモノマー、エポキシ樹脂、エポキシ硬化促進剤、熱重合開始剤及び重合禁止剤は、前述したものと同じである。
【0101】
一実施形態において、上記成分(すなわち、(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分、(メタ)アクリルモノマー、エポキシ樹脂、エポキシ硬化促進剤、熱重合開始剤及び重合禁止剤、及び任意のさらなる添加剤)の混合は、60℃以下(例えば、10~60℃)に制御された環境で行うことができる。
【0102】
本発明のさらに別の側面によれば、上記本発明の異種材料接着用組成物が適用された物品が提供される。
【0103】
一実施形態において、上記異種材料は、金属材料と金属以外の材料(例えば、プラスチック材料などの有機材料)であってもよい。
【0104】
一実施形態において、上記物品は、金属材料;金属以外の材料;及びそれらの間の接着剤層を含み、上記接着剤層は、本発明の異種材料接着用組成物を含むことができる。
【0105】
以下、実施例及び比較例を通じて本発明をより詳細に説明する。しかしながら、本発明の範囲がこれらによって限定されるものではない。
【0106】
実施例
<アンヒドロ糖アルコール-アルキレンオキシド付加物の製造>
製造例1:イソソルビド-エチレンオキシド5モル付加物の製造
加圧可能な反応中にイソソルビド146gを加え、酸成分としてリン酸(85%)0.15gを加え、反応器内部を窒素置換して100℃まで加熱し、真空下減圧して反応器内の水分を除去した。次に、上記反応器中にエチレンオキシド88gをゆっくり加えながら、100℃~140℃で2時間~3時間反応させた。このとき、反応温度は140℃を超えないように制御した。その後、反応器の内部温度を50℃まで冷却し、水酸化カリウム0.3gを反応器内に加え、反応器内を窒素置換し、100℃まで加熱し、真空下減圧して反応器内の水分を除去した。次いで、エチレンオキシド132gをゆっくり加えながら、100℃~140℃で2時間~3時間反応させた。反応終了後、反応器の内部温度を50℃まで冷却し、吸着剤として4.0gのAmbosol MP20を加え、反応器内を再加熱し、100℃~120℃で1時間~5時間撹拌して金属イオンを除去した。このとき、反応器内を窒素置換及び/又は真空減圧した。金属イオンが検出されないことを確認した後、反応器内部温度を60℃~90℃に冷却し、残留副産物を除去し、透明液体のイソソルビド-エチレンオキシド5モル付加物362gを得た。
【0107】
製造例2:イソソルビド-エチレンオキシド10モル付加物の製造
2回目のエチレンオキシドの添加量を132gから352gに変更した以外は製造例1と同様の方法で、透明液体のイソソルビド-エチレンオキシド10モル付加物551gを得た。
【0108】
製造例3:イソソルビド-プロピレンオキシド5モル付加物の製造
付加反応原料として、エチレンオキシドの代わりにプロピレンオキシドを用いた。具体的には、エチレンオキシド88gの代わりにプロピレンオキシド116gを加え、次にエチレンオキシド132gの代わりにプロピレンオキシド174gを加えた以外は製造例1と同様の方法で、透明液体のイソソルビド-プロピレンオキシド5モル付加物423gを得た。
【0109】
製造例4:イソソルビド-プロピレンオキシド10モル付加物の製造
付加反応原料としてエチレンオキシドの代わりにプロピレンオキシドを用いた。具体的には、エチレンオキシド88gの代わりにプロピレンオキシド116gを加え、次にエチレンオキシド132gの代わりにプロピレンオキシド465gを加えた以外は製造例1と同様の方法で、透明液体のイソソルビド-プロピレンオキシド10モル付加物698gを得た。
【0110】
<(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分の製造>
製造例A1:ポリオールとしてポリプロピレングリコール(全ポリオール100重量部に対して80重量部)及びイソソルビド-エチレンオキシド5モル付加物(全ポリオール100重量部に対して20重量部)、ポリイソシアネートとしてイソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとして2-ヒドロキシエチルメタクリレートを用いることによる(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分の製造
撹拌付き3口ガラス製反応器に、イソホロンジイソシアネート(IPDI)600g及び反応触媒としてジブチルスズジラウレート(DBTDL)0.6gを加えた。この混合物を室温で撹拌しながら、ポリオール成分としてポリプロピレングリコール(数平均分子量:1,000g/mol、Kumho Petrochemical社製)800g及び製造例1で得られたイソソルビド-エチレンオキシド5モル付加物200gをゆっくり加え、架橋反応を行った。上記ポリオール成分の添加終了後、50℃で1時間熟成撹拌し、2-ヒドロキシエチルメタクリレート350gをゆっくり加えてアクリル変性反応を行った。2-ヒドロキシエチルメタクリレートの添加完了後、50℃で1時間熟成撹拌し、反応生成物を室温まで冷却し、下記式(A-1)の(メタ)アクリル変性ポリウレタン390g及び下記式(A-2)の(メタ)アクリル変性ポリウレタン1,560gを含む(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分1,950gを得た。
【0111】
【化10】
【化11】
【0112】
製造例A2:ポリオールとしてポリテトラヒドロフラン(全ポリオール100重量部に対して50重量部)及びイソソルビド-エチレンオキシド10モル付加物(全ポリオール100重量部に対して50重量部)、ポリイソシアネートとしてヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとして2-ヒドロキシエチルアクリレートを用いることによる(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分製造
ポリイソシアネートとしてイソホロンジイソシアネート(IPDI)の代わりにヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)270gを用いた以外は、ポリオールとしてポリプロピレングリコール(数平均分子量:1,000g/mol、KUMHO PETROCHEMICAL社製)及び製造例1で得られたイソソルビド-エチレンオキシド5モル付加物の代わりにポリテトラヒドロフラン(数平均分子量:2,000g/mol、シグマアルドリッチ社製)365g及び製造例2で得られたイソソルビド-エチレンオキシド10モル付加物365gを用い、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとして2-ヒドロキシエチルメタクリレートの代わりに2-ヒドロキシエチルアクリレート186gを用いた以外は製造例A1と同様の方法で、下記式(B-1)の(メタ)アクリル変性ポリウレタン593g及び下記式(B-2)の(メタ)アクリル変性ポリウレタン592gを含む(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分1,185gを得た。
【0113】
【化12】
【化13】
【0114】
製造例A3:ポリオールとしてポリジメチルシロキサンジオール(全ポリオール100重量部に対して20重量部)及びイソソルビド-プロピレンオキシド5モル付加物(全ポリオール100重量部に対して80重量部)、ポリイソシアネートとしてメチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとして2-ヒドロキシエチルメタクリレートを用いることによる(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分の製造
ポリイソシアネートとしてイソホロンジイソシアネート(IPDI)の代わりにメチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)700gを用い、ポリオールとしてポリプロピレングリコール(数平均分子量:1,000g/mol、KUMHO PETROCHEMICAL社製)及び製造例1で得られたイソソルビド-エチレンオキシド5モル付加物の代わりにポリジメチルシロキサンジオール(数平均分子量:1,000g/mol、シグマアルドリッチ社製)140g及び製造例3で得られたイソソルビド-プロピレンオキシド5モル付加物560gを用い、2-ヒドロキシエチルメタクリレートの含量を350gから364gに変更した以外は製造例A1と同様の方法で、下記式(C-1)の(メタ)アクリル変性ポリウレタン1,410g及び下記式(C-2)の(メタ)アクリル変性ポリウレタン353gを含む(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分1,763gを得た。
【0115】
【化14】
【化15】
【0116】
製造例A4:ポリオールとしてポリテトラヒドロフラン(全ポリオール100重量部に対して30重量部)及びイソソルビド-プロピレンオキシド10モル付加物(全ポリオール100重量部に対して70重量部)、ポリイソシアネートとしてイソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとして2-ヒドロキシエチルメタクリレートを用いることによる(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分の製造
ポリオールとしてポリプロピレングリコール(数平均分子量:1,000g/mol、KUMHO PETROCHEMICAL社製)及び製造例1で得られたイソソルビド-エチレンオキシド5モル付加物の代わりにポリテトラヒドロフラン(数平均分子量:1,000g/mol、シグマアルドリッチ社製)324g及び製造例4で得られたイソソルビド-プロピレンオキシド10モル付加物746gを用いた以外は製造例A1と同様の方法で、下記式(D-1)の(メタ)アクリル変性ポリウレタン1,414g及び下記式(D-2)の(メタ)アクリル変性ポリウレタン606gを含む(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分2,020gを得た。
【0117】
【化16】
【化17】
【0118】
製造例A5:親水性(メタ)アクリル変性ポリウレタンと親油性(メタ)アクリル変性ポリウレタンをそれぞれ製造し、これらを混合することによる(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分の製造
ポリオール成分としてポリプロピレングリコール(数平均分子量:1,000g/mol、KUMHO PETROCHEMICAL社製)を用いず、製造例1で得られたイソソルビド-エチレンオキシド5モル付加物981gのみを用いた以外は製造例A1と同様の方法で、下記式(A-1の)(メタ)アクリル変性ポリウレタン1,930gを得た。
【0119】
【化18】
【0120】
また、ポリオール成分として製造例1で得られたイソソルビド-エチレンオキシド5モル付加物を用いず、ポリプロピレングリコール(数平均分子量:1,000g/mol、KUMHO PETROCHEMICAL社製)1,349gのみを用いた以外は製造例A1と同様の方法で、下記式(A-2)の(メタ)アクリル変性ポリウレタン2,250gを得た。
【0121】
【化19】
【0122】
上記得られた式(A-1)の(メタ)アクリル変性ポリウレタン200gと上記得られた式(A-2)の(メタ)アクリル変性ポリウレタン800gを単純混合して、(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分1,000gを得た。
【0123】
製造例A6:親水性(メタ)アクリル変性ポリウレタンと親油性(メタ)アクリル変性ポリウレタンをそれぞれ製造し、これらを混合することによる(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分の製造
上記得られた式(A-1)の(メタ)アクリル変性ポリウレタンの含量を200gから500gに変更し、上記得られた得られた式(A-2)の(メタ)アクリル変性ポリウレタンの含量を800gから500gに変更した以外は製造例A5と同様の方法で、上記式(A-1)の(メタ)アクリル変性ポリウレタン及び上記式(A-2)の(メタ)アクリル変性ポリウレタンを単純混合して(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分1,000gを得た。
【0124】
製造例A7:親水性(メタ)アクリル変性ポリウレタンと親油性(メタ)アクリル変性ポリウレタンをそれぞれ製造し、これらを混合することによる(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分の製造
上記得られた式(A-1)の(メタ)アクリル変性ポリウレタンの含量を200gから800gに変更し、上記得られた得られた式(A-2)の(メタ)アクリル変性ポリウレタンの含量を800gから200gに変更した以外は製造例A5と同様の方法で、上記式(A-1)の(メタ)アクリル変性ポリウレタン及び上記式(A-2)の(メタ)アクリル変性ポリウレタンを単純混合して(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分1,000gを得た。
【0125】
比較製造例A1:ポリオールとしてイソソルビド-エチレンオキシド5モル付加物、ポリイソシアネートとしてイソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとして2-ヒドロキシエチルメタクリレートを用いることによる(メタ)アクリル変性ポリウレタンの製造
ポリオールとしてポリプロピレングリコール(数平均分子量:1,000g/mol、KUMHO PETROCHEMICAL社製)を用いず、製造例1で得られたイソソルビド-エチレンオキシド5モル付加物981gのみを用いた以外は製造例A1と同様の方法で、下記式(A-1)の(メタ)アクリル変性ポリウレタン1,930gを得た。
【0126】
【化20】
【0127】
比較製造例A2:ポリオールとしてポリプロピレングリコール、ポリイソシアネートとしてイソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとして2-ヒドロキシエチルメタクリレートを用いることによる(メタ)アクリル変性ポリウレタンの製造
ポリオールとして製造例1で得られたイソソルビド-エチレンオキシド5モル付加物を用いず、ポリプロピレングリコール(数平均分子量:1,000g/mol、KUMHO PETROCHEMICAL社製)1,349gのみを用いた以外は製造例A1と同様の方法で、下記式(A-2)の(メタ)アクリル変性ポリウレタン2,250gを得た。
【0128】
【化21】
【0129】
<異種材料接着用組成物の製造>
実施例A1~A7及び比較例A1~A14:標準製造法
60℃以下に制御された混合反応器内で、(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分;(メタ)アクリルモノマー;エポキシ樹脂;エポキシ硬化促進剤;熱重合開始剤;及び重合禁止剤を、下記表1に示す重量比で仕込み、60℃以下でこれらを撹拌混合することによって液状の異種材料接着用組成物を製造した。
【0130】
このとき、(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分;(メタ)アクリルモノマー;エポキシ樹脂;エポキシ硬化促進剤;熱重合開始剤;及び重合禁止剤は全量100重量部であった。
【0131】
<成分説明>
(1)(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分((メタ)アクリル変性PU成分)
・製造例A1:製造例A1で得られた(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分
・製造例A2:製造例A2で得られた(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分
・製造例A3:製造例A3で得られた(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分
・製造例A4:製造例A4で得られた(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分
・製造例A5:製造例A5で得られた(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分
・製造例A6:製造例A6で得られた(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分
・製造例A7:製造例A7で得られた(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分
・比較製造例A1:比較製造例A1で得られた式(A-1)の(メタ)アクリル変性ポリウレタン
・比較製造例A2:比較製造例A2で得られた式(A-2)の(メタ)アクリル変性ポリウレタン
(2)(メタ)アクリルモノマー
・2-HEMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート(Samchun Pure Chemical社製)
・4-HBA:4-ヒドロキシブチルアクリレート(Samchun Pure Chemical社製)
・BA:ブチルアクリレート(Samchun Pure Chemical社製)
・PETTA:ペンタエリトリトールテトラアクリレート(Miwon Commercial社製)
・P-2M:2-メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート(共栄化学株式会社製)
・BDDA:1,4-ブタンジオールジアクリレート(シグマアルドリッチ社製)
(3)エポキシ樹脂
・DGEBA:ビスフェノールA系エポキシ樹脂(KUKDO CHEMICAL社製)
・YDF-170:ビスフェノールF系エポキシ樹脂(KUKDO CHEMICAL社製)
・1,4-BDGE:1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(KUKDO CHEMICAL社製)
(4)エポキシ硬化促進剤
・DICY:ジシアンジアミド(エボニック社製)
・UR2T:1,1'-(4メチル-m-フェニレン)ビス(3,3ジメチルウレア)(エボニック社製)
(5)熱重合開始剤
・V-65:2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(富士フイルム社製)
・V-40:1,1'-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)(富士フイルム社製)
・Peroyl TCP:ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート(日油社製)
(6)重合禁止剤
・MEHQ:ヒドロキノンモノメチルエーテル(シグマアルドリッチ社製)
【0132】
【表1-1】
【0133】
【表1-2】
【0134】
【表1-3】
【0135】
<異種材料接着用組成物の物性評価>
上記実施例A1~A7及び比較例A1~A14の各々で製造された異種材料接着用組成物を、2.5cm×12cmの大きさに切断した圧延鋼板及び2.5cm×12cmの大きさに切断された炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の表面に、2.5cm×1.25cmの面積で塗布し、0.2mmのガラスビーズを用いて厚みを調製し、上記それぞれの塗布された部位を重ね合わせて固定し、100℃で2分間加熱硬化させて異種材料の接着試片を作製した。下記の方法により、上記各試片の接着性、耐油性及び保存安定性を評価し、その結果を下記表2に示した。
【0136】
<物性の評価方法>
(1)接着性
組成物の異種材料への接着性を評価するために、UTM(インストロン5967製品、Instron社製)を利用して、異種材料の各接着試片のせん断強度(単位:MPa)を室温(23℃)で測定し、また、異種材料の各接着試片を熱風乾燥機で100℃まで加熱した後、測定した。具体的には、異種材料の各接着試片について、せん断強度を合計5回測定し、その平均値を算出した。せん断強度が高いほど、接着性に優れていることを意味する。
【0137】
(2)耐油性
上記異種材料の接着試片を鉱物油(Daejung Chemical社製)に浸漬し、90℃で50時間間加熱した後、上記(1)で説明した接着性の測定方法で浸漬した異種材料の各接着試片のせん断強度を5回測定し、その平均値を算出した。その後、異種材料の各接着試片の浸漬前のせん断強度に対する浸漬後のせん断強度の減少率(%)を算出した。せん断強度の減少率が低いほど耐油性に優れれていることを意味する。
せん断強度の減少率(%)=(浸漬前のせん断強度-浸漬後のせん断強度)×100/浸漬前のせん断強度
【0138】
(3)保存安定性
上記実施例A1~A7及び比較例A1~A14で製造された各異種材料接着用組成物を透明なガラス製バイアルにそれぞれ入れて密封し、室温(23℃)で3日間放置後、硬化の有無を肉眼で確認した。
【0139】
【表2】
【0140】
上記表2に示すように、本発明による(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分を用いて製造した実施例A1~A7の異種材料接着用組成物の場合、異種材料間の接着性は、室温(23℃)でのせん断強度23MPa以上を示すように良好であり、高温(100℃)でもせん断強度が17MPa以上となるように接着性が良好に維持されていた。また、90℃で50時間、鉱物油に浸漬しても、せん断強度の減少率が20%未満と接着性が良好に維持され、耐油性にも優れていた。
【0141】
しかし、親油性ポリオールを用いずに製造された(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分が適用された比較例A1の異種材料接着用組成物の場合、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)との接着力が低下するため、室温、高温ともにせん断強度が低くなった。また、アンヒドロ糖アルコール-アルキレンオキシド付加物を用いずに製造された(メタ)アクリル変性ポリウレタン成分が適用された比較例A2の異種材料接着用組成物の場合、金属(圧延鋼板)との接着力が低下するため、室温、高温ともに断強度が低く、耐油性が劣るため、異種材料の接着試片の油中に浸漬した状態で加熱し終えると、異種材料の接着試片の自然剥離が観察された。
【0142】
また、比較例A3の異種材料接着用組成物の場合、室温、高温ともに接着性、耐油性が悪く、比較例A4の異種材料接着用組成物の場合、高温での接着性が悪かった。
【0143】
また、比較例A5の異種材料接着用組成物の場合、異種材料接着試片の加熱終了後に異種材料の接着試片の自然剥離が観察され、高温での接着性及び耐油性が悪く、比較例A6の異種材料接着用組成物の場合、接着力が低下し、室温、高温ともにせん断強度が低かった。
【0144】
さらに、比較例A7の異種材料接着用組成物の場合、高温での接着性が悪く、比較例A8の異種材料接着用組成物の場合、室温、高温ともに接着性と耐油性が悪かった。
【0145】
また、比較例A9の異種材料接着用組成物の場合、室温での接着性が低下し、異種材料の接着試片の加熱終了後に異種材料の接着試片の自然剥離が観察され、高温での接着性及び耐油性が悪く、比較例A10の異種材料接着用組成物の場合、室温、高温ともに接着性が低下した。
【0146】
さらに、比較例A11の異種材料接着用組成物の場合、異種材料の接着試片を製造するとき、100℃で2分間加熱しても組成物が硬化せず、初期剥離が観察され、異種材料の接着試片そのものを作製することができず、比較例A12の異種材料接着用組成物の場合、室温、高温ともに接着性が低下した。
【0147】
また、比較例A13の異種材料接着用組成物の場合、室温で3日以上保存すると組成物が硬化してしまい、保存安定性が悪く、比較例A14の異種材料接着用組成物の場合、異種材料の接着試片を製造するとき、100℃で2分間加熱しても組成物が完全に硬化せず、室温での接着性が低下し、異種材料の接着試片の加熱終了後、異種材料の接着試片の自然剥離が観察され、高温での接着性及び耐油性が悪かった。
【0148】
以上説明したように、本発明による異種材料接着用組成物を特定範囲の量で用いた場合、室温での異種材料間の接着性に優れ、高温に加熱、又は高温での鉱物油中に保管しても接着性が良好に維持されることから、高温での接着性及び耐油性にも優れていることが確認された。
【国際調査報告】