IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エクソンモービル ケミカル パテンツ インコーポレイテッドの特許一覧

特表2024-531180触媒の再生プロセス並びにアルカン及び/又はアルキル芳香族炭化水素のアップグレードプロセス
<>
  • 特表-触媒の再生プロセス並びにアルカン及び/又はアルキル芳香族炭化水素のアップグレードプロセス 図1
  • 特表-触媒の再生プロセス並びにアルカン及び/又はアルキル芳香族炭化水素のアップグレードプロセス 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】触媒の再生プロセス並びにアルカン及び/又はアルキル芳香族炭化水素のアップグレードプロセス
(51)【国際特許分類】
   B01J 38/18 20060101AFI20240822BHJP
   C07C 5/333 20060101ALI20240822BHJP
   C07C 11/06 20060101ALI20240822BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20240822BHJP
【FI】
B01J38/18
C07C5/333
C07C11/06
C07B61/00 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508360
(86)(22)【出願日】2022-07-25
(85)【翻訳文提出日】2024-04-09
(86)【国際出願番号】 US2022038131
(87)【国際公開番号】W WO2023018538
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】63/231,946
(32)【優先日】2021-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509004675
【氏名又は名称】エクソンモービル ケミカル パテンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100228005
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 英之
(72)【発明者】
【氏名】バオ シャオイン
【テーマコード(参考)】
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AB46
4H006AC12
4H006BA11
4H006BA26
4H006BA55
4H006BA60
4H006BA81
4H006BA84
4H006BB61
4H006BC10
4H006BD36
4H006BD52
4H039CA21
4H039CC10
(57)【要約】
第10族元素、無機担体、及び混入物を含み得る少なくとも部分的に失活した触媒の再生プロセス。第10族元素は、無機担体の質量に基づいて0.06wt%~6wt%の濃度を有し得る。プロセスは、(I)その総モルに基づいて>5モル%の濃度でH2Oを含む加熱ガス混合物を用いて失活触媒を加熱して前駆触媒を生成するステップを含み得る。プロセスは、(II)その総モルに基づいて≦5モル%のH2Oを含む酸化的ガスを供給するステップ、及び(III)前駆触媒を酸化温度で少なくとも30秒の持続時間にわたって酸化的ガスと接触させて酸化前駆触媒を生成するステップをも含み得る。プロセスは、(IV)酸化前駆触媒から再生触媒を得るステップをも含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第10族元素、無機担体、及び混入物を含む少なくとも部分的に失活した触媒の再生プロセスであって、前記第10族元素が、前記無機担体の質量に基づいて、0.06wt%~6wt%の範囲の濃度を有し、かつ前記プロセスが、
(I)加熱ガス混合物であって、その総モルに基づいて5モル%超の濃度でH2Oを含む前記加熱ガス混合物を用いて前記少なくとも部分的に失活した触媒を加熱して前駆触媒を生成するステップと、
(II)酸化的ガスであって、その総モルに基づいて5モル%以下のH2Oを含む前記酸化的ガスを供給するステップと、
(III)前記前駆触媒を620℃~1,000℃の範囲の酸化温度で少なくとも30秒、好ましくは少なくとも1分、好ましくは少なくとも5分の持続時間にわたって前記酸化的ガスと接触させて酸化前駆触媒を生成するステップと、
(IV)前記酸化前駆触媒から再生触媒を得るステップと
を含む、プロセス。
【請求項2】
前記加熱ガス混合物が、燃料を酸化性ガスで燃焼させることによって生成される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記燃料が、H2、CO、及び炭化水素の少なくとも1つを含み、前記酸化性ガスがO2を含む、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記第10族元素がPtを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記無機担体が、該無機担体の質量に基づいて、少なくとも0.5wt%の第4族元素を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記無機担体が少なくとも0.5wt%のZrを含む、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記第4族元素の少なくとも一部がZrO2の形態にある、請求項5又は請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記少なくとも部分的に失活した触媒が、57~71の原子数を有する1種以上の元素をさらに含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記少なくとも部分的に失活した触媒が、前記無機担体の質量に基づいて、0.01wt%、0.05wt%、又は0.1wt%から1wt%、5wt%、又は10wt%までの総量の、57~71の原子数を有する1種以上の元素を含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記少なくとも部分的に失活した触媒が、前記無機担体の質量に基づいて10wt%までのプロモーターをさらに含み、前記プロモーターは、下記元素:Sn、Ga、Zn、Ge、In、Re、Ag、Au、Cu、その組み合わせ、又はその混合物の1種以上を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記少なくとも部分的に失活した触媒が、前記無機担体の質量に基づいて5wt%までのアルカリ金属元素をさらに含み、前記アルカリ金属元素は、下記:Li、Na、K、Rb、及びCsの少なくとも1種を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項12】
1種以上のC2-C16直鎖若しくは分岐アルカン、又は1種以上のC4-C16環状アルカン、1種以上のC8-C16アルキル芳香族炭化水素、又はその混合物を含む炭化水素含有フィードの脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化の1つ以上を引き起す能力がある、前記再生触媒の活性成分が前記第10族元素を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項13】
ステップ(II)が、
(IIa)前記酸化的ガスを前記酸化温度以下の温度で供給するステップと、
(IIb)前記酸化的ガスを、ステップ(III)の接触前の前記前駆触媒の温度より高い温度に予熱するステップと
を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項14】
さらに、
(V)ステップ(III)中に、放射/伝導熱源、熱交換器、又はその組み合わせを使用することによって前記酸化的ガス、前記前駆触媒、又は両方を加熱するステップ
を含む、請求項1~13のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項15】
ステップ(IV)が、
(IVa)前記酸化前駆触媒を、O2を含まない第1ストリッピングガスと接触させてストリップト酸化前駆触媒を生成するステップと、
(IVb)前記ストリップト酸化前駆触媒から前記再生触媒を得るステップと
を含む、請求項1~14のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項16】
ステップ(IV)が、
(IVc)前記酸化前駆触媒又は前記ストリップト酸化前駆触媒をH2含有雰囲気と接触させて還元触媒を生成するステップと、
(IVd)前記還元触媒から前記再生触媒を得るステップと
を含む、請求項1~15のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項17】
ステップ(IVd)が、
(IVd-1)前記還元触媒を第2ストリッピングガスと接触させて前記再生触媒を生成するステップを含む、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
ステップ(IVc)が、前記再生触媒の使用温度より高い前記酸化前駆触媒の温度で行われ、かつステップ(IVd)がさらに、
(IVd-2)前記還元触媒又は前記再生触媒を、10分以下、5分以下、1分以下、30秒以下、10秒以下、5秒以下、1秒以下、0.5秒以下、0.1秒以下、0.01秒以下、又は0.001秒以下の持続時間で前記使用温度まで冷却するステップ
を含む、請求項16又は請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか1項に記載のプロセスによって生成された前記再生触媒を使用する脱水素プロセスであって、
(VI)炭化水素含有フィードを前記再生触媒と接触させて前記炭化水素含有フィードの少なくとも一部の脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化の1つ以上を引き起こして、前記第10族元素、前記無機担体、及び前記混入物を含む前記少なくとも部分的に失活した触媒と、1種以上のアップグレードされた炭化水素及び分子水素を含む流出物とを生成するステップであって、前記炭化水素フィードは、1種以上のC2-C16直鎖若しくは分岐アルカン、1種以上のC4-C16環状アルカン、1種以上のC8-C16アルキル芳香族炭化水素、又はその混合物を含む、ステップと、
(VII)ステップ(I)~(IV)を繰り返すステップであって、ステップ(III)において追加の酸化前駆触媒が生成され、かつステップ(IV)において、前記追加の酸化前駆触媒から追加の再生触媒が得られる、ステップと、
(VIII)追加量の前記炭化水素含有フィードを前記追加の再生触媒の少なくとも一部と接触させて追加の少なくとも部分的に失活した触媒及び追加の流出物を生成するステップと
を含む、前記脱水素プロセス。
【請求項20】
ステップ(VI)の前記炭化水素含有フィードと前記再生触媒の接触からステップ(VIII)の前記追加量の炭化水素含有フィードと前記追加の再生触媒の接触までのサイクル時間が≦5時間である、請求項19に記載の脱水素プロセス。
【請求項21】
炭化水素のアップグレードプロセスであって、
(I)炭化水素含有フィードを、第10族元素及び無機担体を含む触媒と接触させて前記炭化水素含有フィードの少なくとも一部の脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化の1つ以上を引き起こして、第10族元素、無機担体、及び混入物を含む少なくとも部分的に失活した触媒と、1種以上のアップグレードされた炭化水素及び分子水素を含む流出物とを生成するステップであって、
前記炭化水素含有フィードは、1種以上のC2-C16直鎖若しくは分岐アルカン、又は1種以上のC4-C16環状アルカン、1種以上のC8-C16アルキル芳香族炭化水素、又はその混合物を含み、
前記第10族元素は、前記無機担体の質量に基づいて、0.06wt%~6wt%の範囲の濃度を有し、
前記炭化水素含有フィードと前記触媒は、300℃~900℃の範囲の温度で接触され、かつ
前記1種以上のアップグレードされた炭化水素は、脱水素炭化水素、脱水素芳香族化炭化水素、及び脱水素環化炭化水素の少なくとも1種を含む、
ステップと、
(II)加熱ガス混合物であって、その総モルに基づいて5モル%超の濃度でH2Oを含む前記加熱ガス混合物を用いて前記少なくとも部分的に失活した触媒を加熱して前駆触媒を生成するステップと、
(III)酸化的ガスであって、その総モルに基づいて2モル%以下のH2Oを含む前記酸化的ガスを供給するステップと、
(IV)前記前駆触媒を620℃~1,000℃の範囲の酸化温度で少なくとも30秒、好ましくは少なくとも1分、好ましくは少なくとも5分の持続時間にわたって前記酸化的ガスと接触させて酸化前駆触媒を生成するステップと、
(V)前記酸化前駆触媒から再生触媒を得るステップと、
(VI)追加量の前記炭化水素含有フィードを前記再生触媒の少なくとも一部と接触させて追加の少なくとも部分的に失活した触媒及び追加の流出物を生成するステップと
を含む、プロセス。
【請求項22】
前記加熱ガス混合物が、燃料を酸化性ガスで燃焼させることによって生成される、請求項21に記載のプロセス。
【請求項23】
前記燃料が、H2、CO、及び炭化水素の少なくとも1つを含み、前記酸化性ガスがO2を含む、請求項22に記載のプロセス。
【請求項24】
前記第10族元素がPtを含み、かつ
前記無機担体が、該無機担体の質量に基づいて少なくとも0.5wt%の第4族元素を含む、
請求項21~23のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項25】
前記触媒が、前記無機担体の質量に基づいて10wt%までのプロモーターをさらに含み、前記プロモーターは、下記元素:Sn、Ga、Zn、Ge、In、Re、Ag、Au、Cu、その組み合わせ、又はその混合物の1種以上を含む、請求項21~24のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項26】
前記触媒が、前記無機担体の質量に基づいて5wt%までのアルカリ金属元素をさらに含み、前記アルカリ金属元素は、下記:Li、Na、K、Rb、及びCsの少なくとも1種を含む、請求項21~25のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項27】
ステップ(III)が、
(IIIa)前記酸化的ガスを前記酸化温度以下の温度で供給するステップと、
(IIIb)前記酸化的ガスを、ステップ(IV)の接触前の前記前駆触媒の温度より高い温度に予熱するステップと
を含む、請求項21~26のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項28】
さらに、
(VII)ステップ(IV)中に、放射/伝導熱源、熱交換器、又はその組み合わせを使用することによって前記酸化的ガス、前記前駆触媒、又は両方を加熱するステップ
を含む、請求項21~27のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項29】
ステップ(I)の前記炭化水素含有フィードと前記触媒の接触からステップ(VI)の前記追加量の炭化水素含有フィードと前記再生触媒の接触までのサイクル時間が≦5時間である、請求項21~28のいずれか1項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照することによりその開示内容全体をここに援用する出願日2021年8月11日を有す米国仮出願第63/231,946号に対する優先権及びその利益を主張する。
【0002】
分野
本開示は、触媒の再生プロセス並びにアルカン及び/又はアルキル芳香族炭化水素のアップグレードプロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
アルカン及び/又はアルキル芳香族炭化水素の接触脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化は、吸熱性で、平衡制限される工業的に重要な化学変換プロセスである。アルカン、例えば、C2-C12アルカン、及び/又はアルキル芳香族炭化水素、例えば、エチルベンゼンの脱水素は、種々の異なる担持触媒システム、例えば、Pt系、Cr系、Ga系、V系、Zr系、In系、W系、Mo系、Zn系、及びFe系システムを介して行うことができる。既存のプロパン脱水素プロセスの中で、特定のプロセスはアルミナ担持クロミア触媒を使用し、この触媒は、約50%の最高プロピレン収率(90%のプロピレン選択性で55%のプロパン転化率)の1つを与え、これは約560℃~650℃の温度及び20kPa絶対圧~50kPa絶対圧の低圧力で得られる。このような低圧力で操作しなくてもプロピレン収率を上昇させて脱水素プロセスの効率を高めることが望ましい。
脱水素プロセスの温度を上げることは、プロセスの熱力学に従ってプロセスの転化率を高める1つの手段である。例えば、670℃、100kPa絶対圧で、いずれの不活性/希釈剤も非存在下では、平衡プロピレン収率は、シミュレーションにより約74%であると推定された。しかしながら、このような高温では、触媒が非常に急速に失活し、及び/又はプロピレン選択性が不経済に低くなる。急速な触媒の失活は、触媒へのコークス沈着及び/又は活性相の凝集が原因であると考えられる。コークスは、酸素含有ガスを用いる燃焼によって除去できるが、活性相の凝集は、燃焼プロセス中に悪化すると考えられ、これは触媒の活性及び安定性を急速に低下させる。
従って、少なくとも部分的に失活した触媒の改善された再生プロセス並びにアルカン及び/又はアルキル芳香族炭化水素を脱水素、脱水素芳香族化、及び/又は脱水素環化するための改善されたプロセスが必要である。本開示はこの必要性及び他の必要性を満たす。
【発明の概要】
【0004】
要約
少なくとも部分的に失活した触媒の再生プロセス及び炭化水素のアップグレードプロセスを提供する。一部の実施形態では、本プロセスを用いて、第10族元素、無機担体、及び混入物を含み得る少なくとも部分的に失活した触媒を再生することができる。第10族元素は、無機担体の質量に基づいて、0.06wt%~6wt%の範囲の濃度を有し得る。プロセスは、(I)加熱ガス混合物であって、その総モルに基づいて5モル%超の濃度でH2Oを含み得る加熱ガス混合物を用いて、少なくとも部分的に失活した触媒を加熱して前駆触媒を生成するステップを含み得る。プロセスは、(II)酸化的ガスであって、その総モルに基づいて5モル%以下のH2Oを含み得る酸化的ガスを供給するステップをも含み得る。プロセスは、(III)前駆触媒を620℃~1,000℃の範囲の酸化温度で少なくとも30秒、好ましくは少なくとも1分、好ましくは少なくとも5分の持続時間にわたって酸化的ガスと接触させて酸化前駆触媒を生成するステップをも含み得る。プロセスは、(IV)酸化前駆触媒から再生触媒を得るステップをも含み得る。
【0005】
他の実施形態では、炭化水素のアップグレードプロセスは、(I)炭化水素含有フィードを、第10族元素及び無機担体を含み得る触媒と接触させて、炭化水素含有フィードの少なくとも一部の脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化の1つ以上を引き起こして、第10族元素、無機担体、及び混入物を含み得る少なくとも部分的に失活した触媒と、1種以上のアップグレードされた炭化水素及び分子水素を含み得る流出物とを生成するステップを含み得る。炭化水素含有フィードは、1種以上のC2-C16直鎖若しくは分岐アルカン、又は1種以上のC4-C16環状アルカン、1種以上のC8-C16アルキル芳香族炭化水素、又はその混合物を含み得る。第10族元素は、無機担体の質量に基づいて、0.06wt%~6wt%の範囲の濃度を有し得る。炭化水素含有フィードと触媒は、300℃~900℃の範囲の温度で接触され得る。1種以上のアップグレードされた炭化水素は、脱水素炭化水素、脱水素芳香族化炭化水、及び脱水素環化炭化水素の少なくとも1種を含み得る。プロセスは、(II)加熱ガス混合物であって、その総モルに基づいて5モル%超の濃度でH2Oを含み得る加熱ガス混合物を用いて、少なくとも部分的に失活した触媒を加熱して前駆触媒を生成するステップをも含み得る。プロセスは、(III)酸化的ガスであって、その総モルに基づいて5モル%以下のH2Oを含み得る酸化的ガスを供給するステップをも含み得る。プロセスは、(IV)前駆触媒を620℃~1,000℃の範囲の酸化温度で少なくとも30秒の持続時間にわたって酸化的ガスと接触させて酸化前駆触媒を生成するステップをも含み得る。プロセスは、(V)酸化前駆触媒から再生触媒を得るステップをも含み得る。プロセスは、(VI)追加量の炭化水素含有フィードを再生触媒の少なくとも一部と接触させて追加の少なくとも部分的に失活した触媒及び追加の流出物を生成するステップをも含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】PDHのための実施例5で用いた触媒の性能が75+サイクル後に安定していたことを示す。
図2】再生温度(620℃)が他の実施例よりずっと低いにもかかわらず、比較触媒1の性能は失活し続けたことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
詳細な説明
以下に、本発明の種々の特定の実施形態、バージョン及び実施例について、請求項に係る発明を理解するという目的で本明細書で採択される好ましい実施形態及び定義を含めて記載する。下記詳細な説明は、特定の好ましい実施形態を与えるが、当業者ならこれらの実施形態は単なる例示に過ぎず、本発明は他の方法で実施され得ることが分かるだろう。侵害を判断するという目的で、本発明の範囲は、いずれの1つ以上の添付請求項をも指し、列挙されているものに等価であるそれらの等価物、及び要素又は制限が含まれる。「発明」へのいずれの言及も、請求項によって定義される本発明の1つ以上を指すことがあるが、必ずしも全てではない。
本開示では、少なくとも1つの「ステップ」を含むようにプロセスを記述する。各ステップは、プロセスにおいて1回又は連続若しくは不連続様式で複数回行われ得る動作又は操作であることを理解すべきである。反対の定めがない限り又は文脈上明白に他の意味に解すべき場合を除き、プロセスの複数のステップは、1つ以上の他のステップとの重なりの有無にかかわらず、記載どおりの順序で連続して行なってよく、又は場合によっては、いずれの他の順序で行ってもよい。さらに、1つ以上又は全てのステップさえ、材料の同一又は異なるバッチに関して同時に行ってよい。例えば、連続プロセスにおいて、プロセスの最初に供給されたばかりの原材料に対してプロセスの第1ステップを行いながら、第1ステップのより早い時点でプロセスに供給された原材料の処理の結果生じる中間材料に対して同時に第2ステップを行ってよい。好ましくは、記載した順序でステップを行う。
【0008】
別段の指示がない限り、本開示において量を指示する全ての数は、全ての場合に用語「約」によって修飾されていると理解すべきである。また、本明細書及び特許請求の範囲で用いられる正確な数値は特定の実施形態を構成することを理解すべきである。実施例のデータの正確さを保証するよう努力した。しかしながら、いずれの測定データも本質的に、測定を行うために利用される技術及び/又は機器の限界のため、ある一定レベルの誤差を含有することを理解すべきである。
本明細書では一連の上限数値及び一連の下限数値を用いて特定の実施形態及び特徴を記述する。別段の指示がない限り、任意の2つの値の組み合わせ、例えば、任意の下限値と任意の上限値の組み合わせ、任意の2つの下限値の組み合わせ、及び/又は任意の2つの上限値の組み合わせを含む範囲を企図することを理解すべきである。
本明細書で用いる不定冠詞「a」又は「an」は、反対の定めがあるか又は文脈上明白に他の意味に解すべき場合を除き、「少なくとも1つ」を意味する。従って、「a reactor」又は「a conversion zone」を使用する実施形態には、反対の定めがあるか又は文脈が明白に1つのみの反応器又は変換ゾーンを使用すると指示していない限り、1、2又は3つ以上の反応器又は変換ゾーンを使用する実施形態が含まれる。
【0009】
用語「炭化水素」は、(i)水素原子及び炭素原子から成る任意の化合物又は(ii)(i)の2種以上の該化合物の任意の混合物を意味する。用語「Cn炭化水素」(nは正の整数である)は、(i)その分子中に炭素原子を総数nで含む任意の炭化水素化合物、又は(ii)(i)の2種以上の該炭化水素化合物の任意の混合物を意味する。従って、C2炭化水素はエタン、エチレン、アセチレン、又はこれらの化合物の少なくとも2種の任意の比率の混合物であり得る。「Cm~Cn炭化水素」又は「Cm-Cn炭化水素」(m及びnは正の整数であり、かつm<n)は、Cm、Cm+1、Cm+2、...、Cn-1、Cn炭化水素のいずれか、又はこれらの2種以上の任意の混合物を意味する。従って、「C2~C3炭化水素」又は「C2-C3炭化水素」は、エタン、エチレン、アセチレン、プロパン、プロペン、プロピン、プロパジエン、シクロプロパン、及びこれらの2種以上の該成分間の任意の比率の任意の混合物のいずれかであり得る。「飽和C2-C3炭化水素」は、エタン、プロパン、シクロプロパン、又はこれらの2種以上の任意の比率の任意の混合物であり得る。「Cn+炭化水素」は、(i)その分子中に少なくともnの総数で炭素原子を含む任意の炭化水素化合物、又は(ii)(i)の2種以上の該炭化水素化合物の任意の混合物を意味する。「Cn-炭化水素」は、(i)その分子中に最大nの総数で炭素原子を含む任意の炭化水素化合物、又は(ii)(i)の2種以上の該炭化水素化合物の任意の混合物を意味する。「Cm炭化水素ストリーム」は、本質的にCm炭化水素から成る炭化水素ストリームを意味する。「Cm-Cn炭化水素ストリーム」は、本質的にCm-Cn炭化水素から成る炭化水素ストリームを意味する。
【0010】
本開示の目的では、元素の命名法は、Hawley's Condensed Chemical Dictionary, 16th Ed., John Wiley & Sons, Inc., (2016), Appendix Vに提供されている元素周期表のバージョン(新表記法下)に準拠する。例えば、第2族元素はMgを含み、第4族元素はZrを含み、第8族元素はFeを含み、第9族元素はCoを含み、第10族元素はNiを含み、第13族元素はAlを含む。本明細書で使用する用語「半金属」は、下記元素:B、Si、Ge、As、Sb、Te、及びAtを指す。本開示では、所与の元素が存在すると示されるとき、特段の記載がない限り又は文脈上明白に他の意味に解すべき場合を除き、それは元素状態で又はその任意の化合物として存在し得る。
用語「アルカン」は、飽和炭化水素を意味する。用語「環状アルカン」は、その分子構造中に環状炭素環を含む飽和炭化水素を意味する。アルカンは、直鎖、分岐、又は環状であり得る。
用語「芳香族」は、当該技術分野において承認されている範囲に従って理解すべきであり、アルキル置換及び非置換の単核及び多核化合物を包含する。
【0011】
装置、例えば、変換ゾーンから得られる出ていくストリームに関して、「Xリッチ(X-rich)」又は「Xに富む(rich in X)」のような表現で使用されるとき、用語「rich」は、ストリームが引き出される同装置に供給されたフィード材料中におけるより高い濃度で材料Xをストリームが含むことを意味する。装置、例えば、変換ゾーンから得られる出ていくストリームに関して、「Xリーン(X-lean)」又は「Xが少ない(lean in X)」のような表現で使用されるとき、用語「lean」は、ストリームが引き出される同装置に供給されたフィード材料中におけるより低い濃度でストリームが材料Xを含むことを意味する。
用語「選択性」は、触媒反応における特定化合物の生成率(炭素モル基準で)を指す。例として、「アルカン炭化水素変換反応は、オレフィン炭化水素に対して100%の選択性を有する」という表現は、該反応で変換されるアルカン炭化水素の100%(炭素モル基準)がオレフィン炭化水素に変換されることを意味する。特定反応体に関して使用されるとき、用語「転化率」は反応で消費される反応体の量を意味する。例えば、特定反応体がプロパンであるとき、100%転化率は、反応でプロパンの100%が消費されることを意味する。別の例では、特定反応体がプロパンであるとき、1モルのプロパンが1モルのメタンと1モルのエチレンに変換する場合、メタンに対する選択性は33.3%であり、エチレンに対する選択性は66.7%である。収率(炭素モル基準)は、転化率×選択性である。
【0012】
炭化水素アップグレード及び触媒再生プロセス
炭化水素含有フィードは、限定するものではないが、1種以上のアルカン炭化水素、例えば、C2-C16直鎖若しくは分岐アルカン及び/又はC4-C16環状アルカン、及び/又は1種以上のアルキル芳香族炭化水素、例えば、C8-C16アルキル芳香族炭化水素であるか或いはこれらを含み得る。一部の実施形態では、炭化水素含有フィードは、場合により、炭化水素含有フィード中のいずれものC2-C16アルカン及びいずれものC8-C16アルキル芳香族炭化水素の総体積に基づいて0.1vol%~50vol%の水蒸気を含み得る。他の実施形態では、炭化水素含有フィードは、炭化水素含有フィード中のいずれものC2-C16アルカン及びいずれものC8-C16アルキル芳香族炭化水素の総体積に基づいて<0.1vol%の水蒸気を含むか又は水蒸気を含まない可能性がある。炭化水素含有フィードは、第10族元素、例えば、Pt、及び無機担体を含む触媒と接触されて、炭化水素含有フィードの少なくとも一部の脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化の1種以上を引き起こして、第10族元素、無機担体、及び混入物、例えば、コークスを含む少なくとも部分的に失活した触媒と、1種以上のアップグレードされた炭化水素及び分子水素を含み得る流出物とを生成し得る。
【0013】
1種以上のアップグレードされた炭化水素は、限定するものではないが、1種以上の脱水素炭化水素、1種以上の脱水素芳香族化炭化水素、1種以上の脱水素環化炭化水素、若しくはその混合物であるか又はこれらを含み得る。炭化水素含有フィードと触媒は、300℃~900℃の範囲の温度で接触され得る。一部の実施形態では、炭化水素含有フィードと触媒は、≦5時間、≦4時間、又は≦3時間、≦1時間、≦0.5時間、≦0.1時間、≦3分、≦1分、≦30秒、又は≦0.1秒の時間にわたって接触され得る。一部の実施形態では、炭化水素含有フィードと触媒は、少なくとも20kPa絶対圧の炭化水素分圧下で接触され得る。ここで、炭化水素分圧は、炭化水素含有フィード中のいずれものC2-C16アルカン及びいずれものC8-C16アルキル芳香族炭化水素の総分圧である。触媒は、無機担体の質量に基づいて、0.06wt%~6wt%の第10族元素、例えば、Ptを含み得る。
【0014】
少なくとも部分的に失活した触媒から前駆触媒を得ることができる。一部の実施形態では、少なくとも部分的に失活した触媒がそのまま前駆触媒として供給され得る。他の実施形態では、前駆触媒は、加熱ガス混合物であって、その総モルに基づいて5モル%超の濃度でH2Oを含む加熱ガス混合物を用いて、少なくとも部分的に失活した触媒を加熱して前駆触媒を生成することによって得ることができる。一部の実施形態では、加熱ガス混合物は、少なくとも部分的に失活した触媒上に配置された混入物、例えば、コークス及び/又は残留炭化水素含有フィードの少なくとも一部を酸化性ガスで燃焼させることによって生成され得る。一部の実施形態では、加熱ガス混合物は、燃料を酸化性ガスで燃焼させることによって生成され得る。他の実施形態では、加熱ガス混合物は、少なくとも部分的に失活した触媒上に配置された混入物の少なくとも一部及び燃料を酸化性ガスで燃焼させることによって生成され得る。他の実施形態では、5モル%超のH2Oの濃度でH2Oを含み得る加熱ガス混合物は、該H2O、例えば、5モル%超のH2Oを有する加熱空気と共に供給され得る。燃料は、限定するものではないが、H2、CO、及び炭化水素の少なくとも1つであるか又はこれらを含み得る。酸化性ガスは、限定するものではないが、O2、O3、CO、若しくはその任意の混合物であるか又はこれらを含み得る。一部の実施形態では、加熱ガス混合物は、部分的に失活した触媒と<5分、<2分、<1分、<30秒、<10秒、<5秒、<1秒、<0.5秒、<0.1秒の持続時間にわたって接触し得る。
【0015】
酸化的ガスが供給され得る。酸化的ガスは、その総モルに基づいて、5モル%以下のH2O、4.5モル%以下のH2O、4モル%以下のH2O、3.5モル%以下のH2O、3モル%以下のH2O、2.5モル%以下のH2O、2モル%以下のH2O、1.7モル%以下のH2O、1.5モル%以下のH2O、1.3モル%以下のH2O、1モル%以下のH2O、0.7モル%以下のH2O、0.5モル%以下のH2O、0.3モル%以下のH2O、0.1モル%以下のH2Oを含み得る。前駆触媒は、少なくとも部分的に失活した触媒がそのまま前駆触媒として供給されようと、少なくとも部分的に失活した触媒が加熱ガス混合物を用いて加熱されようと、酸化的ガスと接触され得る。
驚くべきかつ予想外に、少なくとも部分的に失活した触媒がそのまま前駆触媒として供給されようと、少なくとも部分的に失活した触媒が加熱ガス混合物を用いて加熱されて前駆触媒を生成しようと、前駆触媒を、5モル%以下のH2Oを含む酸化的ガスと接触させると、再生触媒の活性及び/又は選択性を顕著に改善し得ることが判明した。理論によって束縛されることを望むものではないが、酸化的ガス中に存在するH2OがPtの再分散の有効性、ひいては再生触媒の有効性を著しく低下させ得ると考えられる。
【0016】
前駆触媒は、620℃、650℃、675℃、700℃、又は750℃から775℃、800℃、850℃、900℃、950℃、又は1,000℃までの範囲の酸化温度で酸化的ガスと接触されて酸化前駆触媒を生成し得る。前駆触媒は、酸化的ガスと少なくとも30秒、少なくとも1分、少なくとも5分、少なくとも7分、少なくとも10分、少なくとも15分、少なくとも20分、少なくとも25分、少なくとも30分、少なくとも45分、少なくとも60分又は少なくとも120分の持続時間にわたって接触されて酸化前駆触媒を生成し得る。一部の実施形態では、前駆触媒は、酸化的ガスと30秒、1分、5分、又は10分から30分、60分、又は120分までの範囲の持続時間にわたって接触されて酸化前駆触媒を生成し得る。一部の実施形態では、前駆触媒及び酸化的ガスは、≦2時間、≦1時間、≦30分、≦10分、≦5分、≦1分、≦30秒、≦10秒、≦5秒、又は≦1秒の持続時間にわたって互いに接触されて酸化前駆触媒を生成し得る。例えば、前駆触媒及び酸化的ガスは、2秒~2時間の持続時間にわたって互いに接触されて酸化前駆触媒を生成し得る。一部の実施形態では、前駆触媒及び酸化的ガスは、前駆触媒上に配置された混入物、例えば、コークスの≧50wt%、≧75wt%、又は≧90wt%又は>99wt%を除去するのに十分な持続時間にわたって接触され得る。
【0017】
前駆触媒及び酸化的ガスは、5kPa絶対圧、10kPa絶対圧、20kPa絶対圧、50kPa絶対圧、100kPa絶対圧、300kPa絶対圧、500kPa絶対圧、750kPa絶対圧、又は1,000kPa絶対圧から1,500kPa絶対圧、2,500kPa絶対圧、4,000kPa絶対圧、5,000kPa絶対圧、7,000kPa絶対圧、8,500kPa絶対圧、又は10,000kPa絶対圧までの範囲の酸化的ガス分圧下で互いに接触されて酸化前駆触媒を生成し得る。一部の実施形態では、酸化前駆触媒を生成するために前駆触媒と接触中の酸化的ガス分圧は、5kPa絶対圧、10kPa絶対圧、20kPa絶対圧、50kPa絶対圧、100kPa絶対圧、150kPa絶対圧、200kPa絶対圧、250kPa絶対圧、又は300kPa絶対圧から500kPa絶対圧、600kPa絶対圧、700kPa絶対圧、800kPa絶対圧、900kPa絶対圧、又は1,000kPa絶対圧までの範囲であり得る。
【0018】
理論によって束縛されることを望むものではないが、前駆触媒上に配置された第10族元素、例えば、Ptの少なくとも一部は、炭化水素含有フィードとの接触前の触媒に比べて凝集され得ると考えられる。前駆触媒と酸化的ガスの接触中に、前駆触媒上の混入物の少なくとも一部が燃焼され得るとき、第10族元素の少なくとも一部が無機担体の周囲に再分散され得ると考えられる。凝集した第10族元素の少なくとも一部を再分散させると、多サイクルにわたって触媒の活性を高め、触媒の安定性を改善することができる。
一部の実施形態では、酸化的ガスは酸化温度以下の温度で供給され、酸化的ガスは、前駆触媒を酸化的ガスと酸化温度で接触させる前の前駆触媒の温度より高い温度に予熱され得る。一部の実施形態では、酸化的ガスは、放射/伝導熱源、熱交換器、又はその組み合わせを使用することによって予熱され得る。他の実施形態では、酸化的ガス、前駆触媒、又は両方が、放射/伝導熱源、熱交換器、又はその組み合わせを使用することによって予熱され得る。言い換えれば、前駆触媒及び/又は酸化的ガスは、別々に加熱されてから酸化温度で互いに接触されるか或いは互いの存在下で酸化温度に加熱され得る。一部の実施形態では、放射/伝導熱源は、1種以上の電熱体であるか又はこれらを含み得る。
【0019】
酸化前駆触媒から再生触媒が得られる。一部の実施形態では、酸化前駆触媒がそのまま再生触媒として供給され得る。一部の実施形態では、酸化前駆触媒は、場合により、O2が含まれ得ない第1ストリッピングガスと接触されてストリップト酸化前駆触媒を生成し、このストリップト酸化前駆触媒から再生触媒が得られる。第1ストリッピングガスは、限定するものではないが、CO、CO2、N2、C1-C4炭化水素、H2O、He、Ne、Ar、若しくはその任意の混合物であるか又はこれらを含み得る。一部の実施形態では、ストリップト酸化前駆触媒がそのまま再生触媒として供給され得る。
一部の実施形態では、酸化前駆触媒中の第10族元素、例えば、Ptの少なくとも一部は、炭化水素含有フィードと接触した触媒中の第10族元素と比べて及び少なくとも部分的に失活した触媒中の第10族元素と比べて高い酸化状態であり得る。一部の実施形態では、酸化前駆触媒又はストリップト酸化前駆触媒は、H2含有雰囲気と接触されて還元触媒を生成し得る。他の実施形態では、酸化前駆触媒又はストリップト酸化前駆触媒は、H2、CO、CH4、C2H6、C3H8、C2H4、C3H6、水蒸気、又はその混合物を含有する雰囲気と接触されて還元触媒を生成し得る。一部の実施形態では、酸化前駆触媒と接触される雰囲気は、不活性ガス、例えばAr、Ne、He、N2、CO2、H2O、又はその混合物をも含み得る。該実施形態では、還元触媒中の第10族元素の少なくとも一部は、酸化前駆触媒中の第10族元素と比べて低い酸化状態、例えば、元素状態に還元され得る。
【0020】
一部の実施形態では、酸化前駆触媒又はストリップト酸化前駆触媒は、H2含有雰囲気又はH2、CO、CH4、C2H6、C3H8、C2H4、C3H6、水蒸気、若しくはその混合物を含有する雰囲気と400℃、450℃、500℃、550℃、600℃、620℃、650℃、又は670℃から720℃、750℃、800℃、又は900℃までの範囲の温度で接触され得る。酸化前駆触媒又はストリップト酸化前駆触媒とH2含有雰囲気又はH2、CO、CH4、C2H6、C3H8、C2H4、C3H6、水蒸気、若しくはその混合物を含有する雰囲気は、0.01秒、0.1秒、1秒、5秒、10秒、20秒、30秒、又は1分から10分、30分、又は60分までの範囲の持続時間にわたって接触され得る。酸化前駆触媒又はストリップト酸化前駆触媒とH2含有雰囲気又はH2、CO、CH4、C2H6、C3H8、C2H4、C3H6、水蒸気、若しくはその混合物を含有する雰囲気は、0.1kPa絶対圧、1kPa絶対圧、5kPa絶対圧、10kPa絶対圧、20kPa絶対圧、50kPa絶対圧、又は100kPa絶対圧、300kPa絶対圧、500kPa絶対圧、750kPa絶対圧、又は1,000kPa絶対圧から1,500kPa絶対圧、2,500kPa絶対圧、4,000kPa絶対圧、5,000kPa絶対圧、7,000kPa絶対圧、8,500kPa絶対圧、又は10,000kPa絶対圧までの範囲の還元剤分圧で接触され得る。この還元剤にはあらゆるH2、CO、CH4、C2H6、C3H8、C2H4、C3H6、及び水蒸気が含まれる。他の実施形態では、還元剤分圧は、再生触媒を生成するために0.1kPa絶対圧、1kPa絶対圧、5kPa絶対圧、10kPa絶対圧、20kPa絶対圧、50kPa絶対圧、100kPa絶対圧、150kPa絶対圧、200kPa絶対圧、250kPa絶対圧、又は300kPa絶対圧から500kPa絶対圧、600kPa絶対圧、700kPa絶対圧、800kPa絶対圧、900kPa絶対圧、又は1,000kPa絶対圧までの範囲であり得る。この還元剤にはあらゆるH2、CO、CH4、C2H6、C3H8、C2H4、C3H6、及び水蒸気が含まれる。
【0021】
一部の実施形態では、酸化前駆触媒又はストリップト酸化前駆触媒は、再生触媒の使用温度より高い温度でH2含有雰囲気と接触され得る。該実施形態では、還元触媒は使用温度まで冷却され得る。一部の実施形態では、還元触媒は、20分以下、15分以下、10分以下、7分以下、5分以下、2分以下、1分以下、30秒以下、10秒以下、5秒以下、2秒以下、1秒以下、0.1秒以下、0.01秒以下、又は0.001秒以下の持続時間で使用温度まで冷却され得る。触媒の使用温度は、炭化水素含有フィード又は追加量の炭化水素含有フィードが触媒又は再生触媒と接触されて炭化水素含有フィードの少なくとも一部の脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化の1つ以上を引き起こして、第10族元素、無機担体、及び混入物を含み得る少なくとも部分的に失活した触媒と、1種以上のアップグレードされた炭化水素及び分子水素を含み得る流出物とを生成する温度である。
再生触媒は還元触媒から得ることができる。一部の実施形態では、還元触媒がそのまま再生触媒として供給され得る。他の実施形態では、還元触媒が第2ストリッピングガスと接触されて再生触媒を生成し得る。第2ストリッピングガスは、限定するものではないが、CO、CO2、N2、C1-C4炭化水素、H2O、He、Ne、Ar、若しくはその任意の混合物であるか又はこれらを含み得る。
【0022】
再生触媒、新しいか若しくは未使用の触媒、又はその混合物の少なくとも一部が、反応ゾーン又は変換ゾーン内で追加量の炭化水素含有フィードと接触されて追加の流出物及び追加の少なくとも部分的に失活した触媒を生成し得る。炭化水素含有フィードと触媒の接触から、追加量の炭化水素含有フィードと再生触媒の少なくとも一部及び場合により新しいか又は未使用の触媒との接触までのサイクル時間は、≦5時間、≦4.5時間、≦4時間、≦3.5時間、≦3時間、≦2.5時間、≦2時間、≦1時間、≦0.5時間、≦0.2時間、≦0.1時間、≦0.05時間、又は≦0.01時間であり得る。
第1サイクルは、触媒が炭化水素含有フィードと接触すると始まり、その後触媒が少なくとも酸化的ガスと接触して、再生触媒としてそのまま供給され得る酸化前駆触媒を生成するか、又は少なくとも酸化的ガス及び任意的還元ガスと接触して再生触媒を生成し、第1サイクルは、再生触媒が追加量の炭化水素含有フィードと接触すると終わる。第1ストリッピングガス及び/若しくは第2ストリッピングガス又は任意の他のストリッピングガス(複数可)が、炭化水素含有フィード及び酸化的ガスの流れ間、酸化的ガスと還元ガス(使用する場合)の間、酸化的ガスと追加量の炭化水素含有フィードの間、及び/又は還元ガス(使用する場合)と追加量の炭化水素含有フィードの間に利用される場合、該ストリッピングガス(複数可)が利用される期間は、サイクル時間に含まれる期間に含められることになる。結果として、炭化水素含有フィードと触媒の接触ステップから追加量の炭化水素含有フィードと再生触媒の接触ステップまでのサイクル時間は≦5時間であり得る。
【0023】
第10族元素、例えば、Pt、及び無機担体を含み得る触媒は、各サイクル時間が≦5時間、≦4時間、≦3時間、≦2時間、≦1時間、≦50分、≦45分、≦30分、≦15分、≦10分、≦5分、≦1分、≦30秒、又は≦10秒間持続する多サイクル、例えば、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも100サイクル、少なくとも125サイクル、少なくとも150サイクル、少なくとも175サイクル、又は少なくとも200サイクル後に十分活性かつ安定なままであり得る。一部の実施形態では、サイクル時間は、5秒、30秒、1分又は5分から10分、20分、30分、45分、50分、70分、2時間、3時間、4時間、又は5時間までであり得る。一部の実施形態では、触媒性能が安定化した後(最初の数サイクルが相対的に不良又は相対的に良好な性能を有することがあるが、性能は最終的に安定化し得る)、プロセスは、最初に炭化水素含有フィードと接触したときに、第1のアップグレードされた炭化水素生成物収率、例えば、炭化水素含有フィードがプロパンを含むときはプロピレン収率を、≧75%、≧80%、≧85%、又は≧90%、又は>95%のアップグレードされた炭化水素選択性、例えばプロピレン選択性でもたらすことができ、かつ最後のサイクル(全部で少なくとも15サイクル)完了時に、≧75%、≧80%、≧85%、又は≧90%、又は>95%のアップグレードされた炭化水素選択性、例えば、プロピレン選択性で第1のアップグレードされた炭化水素生成物収率の少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、又は少なくとも100%であり得る第2のアップグレードされた炭化水素生成物収率を有し得る。
【0024】
一部の実施形態では、炭化水素含有フィードがプロパンを含み、アップグレードされた炭化水素がプロピレンを含むとき、炭化水素含有フィードを触媒と接触させると、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも100サイクル、少なくとも125サイクル、少なくとも150サイクル、少なくとも175サイクル、又は少なくとも200サイクルにわたって少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%のプロピレン選択性で少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも55%、少なくとも57%、少なくとも60%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、又は少なくとも66%のプロピレン収率をもたらすことができる。他の実施形態では、炭化水素含有フィードが、炭化水素含有フィードの総体積に基づいて、少なくとも70vol%のプロパンを含み、少なくとも20kPa絶対圧のプロパン分圧で接触されるとき、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%のプロピレン選択性で少なくとも15、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも100サイクル、少なくとも125サイクル、少なくとも150サイクル、少なくとも175サイクル、又は少なくとも200サイクルにわたって少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも55%、少なくとも57%、少なくとも60%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、又は少なくとも66%のプロピレン収率を得ることができる。さらに担体の組成を最適化し、及び/又は1つ以上のプロセス条件を調整することによって、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%のプロピレン選択性で少なくとも15サイクル、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも100サイクル、少なくとも125サイクル、少なくとも150サイクル、少なくとも175サイクル、又は少なくとも200サイクルにわたってプロピレン収率がさらに少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも70%、少なくとも72%、少なくとも75%、少なくとも77%、少なくとも80%、又は少なくとも82%まで高められ得ると考えられる。一部の実施形態では、このプロピレン収率は、触媒が炭化水素フィードと少なくとも620℃、少なくとも630℃、少なくとも640℃、少なくとも650℃、少なくとも655℃、少なくとも660℃、少なくとも670℃、少なくとも680℃、少なくとも690℃、少なくとも700℃、又は少なくとも750℃の温度で少なくとも15、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも100サイクル、少なくとも125サイクル、少なくとも150サイクル、少なくとも175サイクル、又は少なくとも200サイクルにわたって接触されると得ることができる。
【0025】
本明細書で開示するプロセスの実施に適したシステムとしては、国際公開第WO2017078894号に開示された固定床反応器;米国特許第3,888,762号;第7,102,050号;第7,195,741号;第7,122,160号;及び第8,653,317号;及び米国特許出願公開第2004/0082824号;第2008/0194891号に開示された流動ライザー反応器及び/又はダウナー反応器;並びに米国特許第8,754,276号;米国特許出願公開第2015/0065767号;及び国際公開第WO2013169461号に開示された逆流反応器のような技術上周知のシステムが挙げられる。
【0026】
触媒
触媒は、無機担体の質量に基づいて0.06wt%、0.07wt%、0.08wt%、0.09wt%、0.1wt%、0.2wt%、0.5wt%、又は1wt%から2wt%、3wt%、4wt%、5wt%、又は6wt%までの第10族元素を含み得る。一部の実施形態では、触媒は、無機担体の質量に基づいて>0.06wt%、>0.08wt%、>0.1wt%、>0.13wt%、>0.15wt%、>0.17wt%、>0.2wt%、>0.2wt%、>0.23、>0.25wt%、>0.27wt%、又は>0.3wt%かつ<0.5wt%、<1wt%、<2wt%、<3wt%、<4wt%、<5wt%、又は<6wt%の第10族元素を含み得る。一部の実施形態では、第10族元素は、Ni、Pd、Pt、その組み合わせ、若しくはその混合物であるか又はこれらを含み得る。少なくとも1つの実施形態では、第10族元素は、Ptであるか又はPtを含み得る。一部の実施形態では、1種以上のC2-C16直鎖若しくは分岐アルカン、又は1種以上のC4-C16環状アルカン、1種以上のC8-C16アルキル芳香族炭化水素、又はその混合物を含む炭化水素含有フィードの脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化の1つ以上を引き起こす能力があり得る再生触媒の活性成分は第10族元素を含み得る。
【0027】
無機担体は、限定するものではないが、1種以上の第4族元素、その組み合わせ、若しくはその混合物であるか又はこれらを含み得る。一部の実施形態では、第4族元素は、その元素形態で存在し得る。他の実施形態では、第4族元素は、化合物の形態で存在し得る。例えば、第4族元素は、酸化物、リン酸塩、ハロゲン化物、ハラート(halate)、硫酸塩、硫化物、ホウ酸塩、窒化物、炭化物、アルミン酸塩、アルミノケイ酸塩、ケイ酸塩、炭酸塩、メタリン酸塩、セレン化物、タングステン酸塩、モリブデン酸塩、亜クロム酸塩、クロム酸塩、二クロム酸塩、又はケイ化物として存在し得る。一部の実施形態では、第4族元素を含む任意の2種以上の化合物の混合物が異なる形態で存在し得る。例えば、第1化合物が酸化物であり、第2化合物がアルミン酸塩であり得、第1化合物及び第2化合物は、相互に同一又は異なる第4族元素を含む。
一部の実施形態では、第4族元素の少なくとも一部がZrO2の形態にあり得る。一部の実施形態では、第4族元素の少なくとも一部はZrO2の形態又はZrO2を含む混合酸化物の形態にあり得る。一部の実施形態では、第4族元素がZrO2を含む混合酸化物の形態にあるとき、他の酸化物は、限定するものではないが、Al2O3、SiO2、TiO2、MgO、CeO2、若しくはその任意の混合物であるか又はこれらを含み得る。一部の実施形態では、第4族元素は、限定するものではないが、下記化合物の1種以上であるか又はこれらを含み得る:ZrO2、ZrC、ZrN、ZrSiO4、CaZrO3、Ca7ZrAl6O18、CaTiO3、TiO2、TiC、TiN、TiSiO4、CaTiO3、HfO2、HfC、HfN、HfSiO4、HfZrO3、Ca7HfAl6O18、CeZrO4、硫酸化ジルコニア、タングステン酸化ジルコニア、ジルコニアアルミナ、マグネシア安定化ジルコニア、マグネシウムジルコニウム酸化物、セリウムジルコニウム酸化物、その組み合わせ、及びその混合物。
【0028】
無機担体は、無機担体の質量に基づいて≧0.5wt%、≧1wt%、≧2wt%、≧3wt5、≧4wt%、≧5wt%、≧10wt%、又は≧20wt%、≧40wt%、≧80wt%、又は≧90wt%の第4族元素を含み得る。一部の実施形態では、無機担体は、無機担体の質量に基づいて、0.5wt%、3wt%、5wt%、又は10wt%から30wt%、50wt%、70wt%、又は90wt%までの範囲の第4族元素を含み得る。一部の実施形態では、第4族元素と第10族元素のモル比は、0.18、0.3、0.5、1、10、50、100、又は200から300、400、500、600、700、又は810までの範囲であり得る。
一部の実施形態では、無機担体は、限定するものではないが、第4族及び第10族以外の族から選択される少なくとも1種の金属元素及び/若しくは少なくとも1種の半金属元素並びに/又はその少なくとも1種の化合物をも含み得る。ここで、少なくとも1種の金属元素及び/又は少なくとも1種の半金属元素はLi、Na、K、Rb、Cs、Sn、Ga、Zn、Ge、In、Re、Ag、Au、又はCuでない。担体が、第4族及び第10族以外の族から選択される少なくとも1種の金属元素及び/又は半金属元素(少なくとも1種の金属元素及び/又は少なくとも1種の半金属元素はLi、Na、K、Rb、Cs、Sn、Ga、Zn、Ge、In、Re、Ag、Au、又はCuでない)をも含む場合、化合物は、担体中に、酸化物、リン酸塩、ハロゲン化物、ハラート、硫酸塩、硫化物、ホウ酸塩、窒化物、炭化物、アルミン酸塩、アルミノケイ酸塩、ケイ酸塩、炭酸塩、メタリン酸塩、セレン化物、タングステン酸塩、モリブデン酸塩、亜クロム酸塩、クロム酸塩、二クロム酸塩、又はケイ化物として存在し得る。一部の実施形態では、第4族及び第10族以外の族から選択される金属元素及び/又は半金属元素(少なくとも1種の金属元素及び/又は少なくとも1種の半金属元素はLi、Na、K、Rb、Cs、Sn、Ga、Zn、Ge、In、Re、Ag、Au、又はCuでない)を含む適切な化合物は、限定するものではないが、下記化合物の1種以上であるか又はこれらを含み得る:B2O3、AlBO3、Al2O3、SiO2、SiC、Si3N4、アルミノケイ酸塩、アルミン酸亜鉛、ZnO、VO、V2O3、VO2、V2O5、GasOt、InuOv、Mn2O3、Mn3O4、MnO、1種以上の酸化モリブデン、1種以上の酸化タングステン、1種以上のゼオライト(s、t、u、及びvは正数である)並びにその混合物及び組み合わせ。
【0029】
一部の実施形態では、第4族及び第10族以外の族から選択される少なくとも1種の金属元素及び/若しくは少なくとも1種の半金属元素並びに/又はその少なくとも1種の化合物(少なくとも1種の金属元素及び/又は少なくとも1種の半金属元素はLi、Na、K、Rb、Cs、Sn、Ga、Zn、Ge、In、Re、Ag、Au、又はCuでない)は、限定するものではないが、57~71の原子数を有する1種以上の元素であるか又はこれらを含み得る。該実施形態では、触媒は、無機担体の質量に基づいて0.01wt%、0.05wt%、0.1wt%、0.3wt%、0.5wt%、0.7wt%、又は0.9wt%から1wt%、2wt%、3wt%、4wt%、5wt%、6wt%、7wt%、8wt%、9wt%、又は10wt%までの、57~71の原子数を有する1種以上の元素の総量を含み得る。一部の実施形態では、触媒が、57~71の原子数を有する元素を含むとき、57~71の原子数を有する元素と第10族元素のモル比は、0.19、0.5、1、10、50、100、又は150から200、250、300、350、400、又は438までの範囲であり得る。一部の実施形態では、触媒が2種以上の第4族元素及び/又は57~71の原子数を有する元素を含むとき、いずれもの第4族元素及びいずれもの57~71の原子数を有する元素の合計量と第10族元素のモル比は0.18、0.5、1、10、50、100、300、450、600、800、1,000、1,200、1,500、1,700、又は2,000から3,000、3,500、4,000、4,500、5,000、5,500、6,000、6,500、7,000、7,500、8,000、8,500、9,000、又は9,500までの範囲であり得る。
【0030】
一部の実施形態では、57~71の原子数を有する1種以上の元素は、限定するものではないが、La、Ce、Pr、その組み合わせ、若しくはその混合物であるか又はこれらを含み得る。一部の実施形態では、57~71の原子数を有する1種以上の元素は、酸化物、リン酸塩、ハロゲン化物、ハラート、硫酸塩、硫化物、ホウ酸塩、窒化物、炭化物、アルミン酸塩、アルミノケイ酸塩、ケイ酸塩、炭酸塩、メタリン酸塩、セレン化物、タングステン酸塩、モリブデン酸塩、亜クロム酸塩、クロム酸塩、二クロム酸塩、又はケイ化物として存在し得る。
一部の実施形態では、無機担体は、その上に配置された1種以上のプロモーターをも含み得る。プロモーターは、限定するものではないが、Sn、Ga、Zn、Ge、In、Re、Ag、Au、Cu、その組み合わせ、若しくはその混合物であるか又はこれらを含み得る。一部の実施形態では、プロモーターは、第10族元素、例えば、Ptと関連し得る。例えば、無機担体上に配置されたプロモーター及び第10族元素は、第10族元素-プロモータークラスターを形成することがあり、これは無機担体上に分散され得る。プロモーターは、存在する場合、所与のアップグレードされた炭化水素のために触媒の選択性/活性/寿命を改善することができる。一部の実施形態では、プロモーターの添加は、炭化水素含有フィードがプロパンを含むときに触媒のプロピレン選択性を改善することができる。触媒は、無機担体の質量に基づいて、0.01wt%、0.1wt%、0.2wt%、0.3wt%、0.4wt%、0.5wt%、0.6wt%、0.7wt%、0.8wt%、0.9wt%、又は1wt%から3wt%、5wt%、7wt%、又は10wt%までの量でプロモーターを含み得る。
【0031】
一部の実施形態では、無機担体は、その上に配置された1種以上のアルカリ金属元素をも含み得る。アルカリ金属元素は、存在する場合、限定するものではないが、Li、Na、K、Rb、Cs、その組み合わせ、若しくはその混合物であるか又はこれらを含み得る。少なくとも一部の実施形態では、アルカリ金属元素は、K及び/若しくはCsであるか又はこれらを含み得る。アルカリ金属元素は、存在する場合、所与のアップグレードされた炭化水素ために触媒の選択性を改善することができる。触媒は、無機担体の質量に基づいて、0.01wt%、0.1wt%、0.2wt%、0.3wt%、0.4wt%、0.5wt%、0.6wt%、0.7wt%、0.8wt%、0.9wt%、又は1wt%から2wt%、3wt%、4wt%、又は5wt%までの量でアルカリ金属元素を含み得る。一部の実施形態では、適切な触媒としては、米国特許第6,989,346号;第7,087,802号;及び第8,680,005号並びに米国特許出願公開第2007/009929号に記載のものが挙げられる。
【0032】
無機担体の調製は、いずれの既知のプロセスによっても達成可能である。説明の単純さ及び簡単さのため、ZrO2とSiO2の混合酸化物無機担体を含む適切な無機担体の調製についてより詳細に記述する。触媒合成技術は周知であり、下記説明は例示目的のためであり、無機担体又は触媒の合成を限定するものとみなすべきでない。一部の実施形態では、ZrO2/SiO2混合酸化物無機担体を作製するため、ZrO2とSiO2を一緒に混合し、例えば、ボールミル粉砕した後にか焼することができる。一部の実施形態では、ZrO2/SiO2混合酸化物無機担体を作製するため、ZrO2とSiO2を一緒に混合し、例えば、ボールミル粉砕し、スラリー化した後に噴霧乾燥させ、か焼することができる。別の実施形態では、Zr含有前駆体及びSi含有前駆体をH2Oに溶かし、乾固するまで撹拌(場合により熱又は沈殿剤を加えて)した後にか焼し得る。別の実施形態では、Si含有前駆体をH2Oに溶かし、この溶液を既存無機担体、例えば、ZrO2無機担体上に含浸させ、これを乾燥させ、か焼することができる。別の実施形態では、Si含有前駆体からのSiを既存ZrO2無機担体上に液相吸着を介して積載した後に液固分離し、乾燥させ、か焼することができる。別の実施形態では、Si含有前駆体からのSiを既存ZrO2無機担体上に気相吸着、例えば化学蒸着によって積載した後にか焼することができる。
【0033】
第10族金属(複数可)及びいずれものプロモーター及び/若しくはいずれものアルカリ金属元素及び/若しくは第4族及び第10族以外の族から選択されるいずれもの少なくとも1種の金属元素及び/若しくは少なくとも1種の半金属元素並びに/又はその少なくとも1種の化合物(少なくとも1種の金属元素及び/又は少なくとも1種の半金属元素はLi、Na、K、Rb、Cs、Sn、Ga、Zn、Ge、In、Re、Ag、Au、又はCuでない)は、いずれの既知の技術によっても混合酸化物無機担体上に積載され得る。例えば、1種以上の第10族元素前駆体、例えば、クロロ白金酸、硝酸テトラアンミン白金、及び/又は水酸化テトラアンミン白金、1種以上のプロモーター前駆体(使用する場合)、例えば、SnCl2、SnCl4及び/又はAgNO3等の塩、及び1種以上のアルカリ金属元素前駆体(使用する場合)、例えば、KNO3、KCl、及び/又はNaClが水に溶解され得る。この溶液は、無機担体上に含浸された後に乾燥及びか焼され得る。一部の実施形態では、第10族元素前駆体及び場合によりプロモーター前駆体及び/又は場合によりアルカリ金属元素前駆体及び/又は場合により少なくとも1種の金属元素及び/又は少なくとも1種の半金属元素(Li、Na、K、Rb、Cs、Sn、Ga、Zn、Ge、In、Re、Ag、Au、又はCuでない)は、同時に、又は1つ以上の乾燥ステップ及び/若しくはか焼ステップに隔てられたシーケンスで別々に無機担体上に積載され得る。他の実施形態では、第10族元素及び、場合によりプロモーター及び/又はアルカリ金属元素及び/又は第4族及び第10族以外の族から選択される少なくとも1種の金属元素及び/若しくは少なくとも1種の半金属元素並びに/又はその少なくとも1種の化合物(少なくとも1種の金属元素及び/又は少なくとも1種の半金属元素はLi、Na、K、Rb、Cs、Sn、Ga、Zn、Ge、In、Re、Ag、Au、又はCuでない)は、化学蒸着によって無機担体上に積載され、この場合、前駆体が気化されて無機担体上に沈着された後にか焼され得る。他の実施形態では、第10族元素前駆体及び、場合により、プロモーター前駆体及び/又はアルカリ金属前駆体及び/又は第4族及び第10族以外の族から選択される少なくとも1種の金属元素及び/若しくは少なくとも1種の半金属元素並びに/又はその少なくとも1種の化合物(少なくとも1種の金属元素及び/又は少なくとも1種の半金属元素はLi、Na、K、Rb、Cs、Sn、Ga、Zn、Ge、In、Re、Ag、Au、又はCuでない)は、イオン吸着によって無機担体上に積載された後に、液固分離、乾燥及びか焼される。場合により、触媒は、ワンポット合成法を利用して合成されることもあり、この方法では無機担体の前駆体、第10族金属(複数可)及びいずれものプロモーター及び/又はいずれものアルカリ金属元素及び/又は第4族及び第10族以外の族から選択されるいずれもの少なくとも1種の金属元素及び/若しくは少なくとも1種の半金属元素並びに/又はその少なくとも1種の化合物(少なくとも1種の金属元素及び/又は少なくとも1種の半金属元素はLi、Na、K、Rb、Cs、Sn、Ga、Zn、Ge、In、Re、Ag、Au、又はCuでない)が全て一緒に、合成を補助するためのいずれもの他の添加剤の有無にかかわらず、乾式又は湿式混合された後に乾燥及びか焼され得る。
本明細書で開示する触媒を調製するために使用できる適切なプロセスとしては、米国特許第6,989,346号;第7,087,802号;及び第8,680,005号並びに米国特許出願公開第2007/009929号に記載のプロセスが挙げられる。
【0034】
合成されたままの触媒は、走査型電子顕微鏡又は透過型電子顕微鏡下で調べると、一次粒子、一次粒子の集塊、凝集一次粒子、又はその組み合わせのように見え得る。合成されたままの触媒中の一次粒子は、走査型電子顕微鏡又は透過型電子顕微鏡下で調べると、0.2nm、0.5nm、1nm、5nm、10nm、25nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、150nm、200nm、250nm、300nm、350nm、400nm、450nm、又は500nmから1μm、10μm、25μm、50μm、100μm、150μm、200μm、250μm、300μm、400μm、又は500μmまでの範囲の平均粒子サイズ、例えば、球状のときは直径を有し得る。一部の実施形態では、触媒粒子は、透過型電子顕微鏡で測定して、0.2nm~500μm、0.5nm~300μm、1nm~200μm、2nm~100μm、又は2nm~500nmの平均断面長を有し得る。
触媒は、0.1m2/g、1m2/g、10m2/g、又は100m2/gから500m2/g、800m2/g、1,000m2/g、又は1,500m2/gまでの範囲の表面積を有し得る。触媒の表面積は、4時間350℃で粉末を脱気した後にMicromeritics 3flex機器で窒素の吸着-脱着(液体窒素の温度、77K)を利用するブルナウアー‐エメット‐テラー(BET)法に従って測定可能である。該方法に関するさらなる情報は、例えば“Characterization of Porous Solids and Powders: Surface Area, Pore Size and Density,” S. Lowell et al., Springer, 2004で見つけられる。
【0035】
一部の実施形態では、無機担体は、押し出されるか又は他の方法で任意の望ましいモノリシック構造体に形成され、その上に第10族元素並びにいずれもの任意的プロモーター及び/又はアルカリ金属元素及び/又は他の成分が配置され得る。適切なモノリシック構造体は、限定するものではないが、複数の実質的に平行な内部通路を有する構造体、例えば、セラミックハニカムの形態の構造体であるか又はこれを含み得る。一部の実施形態では、担体は、ビーズ、球、環、ドーナツ形状、不規則形状、棒、円柱、フレーク、フィルム、立方体、多角幾何形状、シート、繊維、コイル、らせん、メッシュ、焼結多孔性塊、顆粒、ペレット、タブレット、粉末、微粒子、押出物、布又はウェブ型材料、ハニカムマトリックスモノリスの形態(粉砕又は破砕形態を含めて)であり、その上に第10族元素並びにいずれもの任意的プロモーター及び/又はアルカリ金属元素が配置され得る。
【0036】
合成されたままの触媒は、様々な短サイクル(≦5時間)炭化水素アップグレードプロセスに適した1つ以上の形態に配合され得る。或いは、担体は、第10族元素並びに、いずれもの任意的プロモーター及び/又はアルカリ金属元素の添加前に、様々な短サイクル炭化水素アップグレードプロセスに適した形態に配合され得る。配合中に、1種以上の結合剤及び/又は添加剤が触媒/担体又は触媒/担体前駆体に添加されて、触媒の化学的/物理的性質を改善し得る。FCC型流動床反応器には40μm~100μmの範囲の平均断面径を有する噴霧乾燥触媒粒子が典型的に用いられる。霧乾燥触媒を作製するためには、噴霧乾燥及びか焼前に、担体/触媒又は担体/触媒前駆体をスラリーにして結合剤/添加剤がスラリー中にあるのが好ましい。一部の実施形態では、噴霧乾燥触媒は、粒子の形態であり、粒子のモルフォロジーは、粒子が流動床反応器内で動くのに適するように大部分は球状であり得る。一部の実施形態では、触媒粒子は、流動可能固体のゲルダートA又はゲルダートB定義と一致するサイズ及び密度を有し得る。
【0037】
炭化水素アップグレードプロセス
炭化水素アップグレードプロセスに戻って、炭化水素含有フィードと触媒及び/又は再生触媒の少なくとも一部は、いずれの適切な環境内でも、例えば1つ以上の反応器内に配置された1つ以上の反応ゾーン又は変換ゾーン内で互いに接触されて、流出物及び少なくとも部分的に失活した触媒を生成し得る。一部の実施形態では、反応ゾーン又は変換ゾーンは、1つ以上の固定床反応器、1つ以上の流動若しくは移動床反応器、1つ以上の逆流反応器、又はその任意の組み合わせ内に配置されるか又は他の方法で位置し得る。
炭化水素含有フィードと触媒及び/又は再生触媒の少なくとも一部は、300℃、350℃、400℃、450℃、500℃、550℃、600℃、620℃、650℃、660℃、670℃、680℃、690℃、又は700℃から725℃、750℃、760℃、780℃、800℃、825℃、850℃、875℃、又は900℃までの範囲の温度で接触され得る。一部の実施形態では、炭化水素含有フィードと触媒及び/又は再生触媒の少なくとも一部は、少なくとも620℃、少なくとも650℃、少なくとも660℃、少なくとも670℃、少なくとも680℃、少なくとも690℃、又は少なくとも700℃から725℃、750℃、760℃、780℃、800℃、825℃、850℃、875℃、又は900℃までの温度で接触され得る。炭化水素含有フィードは、反応ゾーン又は変換ゾーンに導入され、その中で触媒及び/又は再生触媒の少なくとも一部と≦3時間、≦2.5時間、≦2時間、≦1.5時間、≦1時間、≦45分、≦30分、≦20分、≦10分、≦5分、≦1分、≦30秒、≦10秒、≦5秒、又は≦1秒又は≦0.5秒の時間にわたって接触され得る。一部の実施形態では、炭化水素含有フィードは、触媒及び/又は再生触媒の少なくとも一部と0.1秒、0.5秒、0.7秒、1秒、30秒、1分、5分、又は10分から30分、50分、70分、1.5時間、2時間、又は3時間までの範囲の時間にわたって接触され得る。
【0038】
炭化水素含有フィードと触媒及び/又は再生触媒の少なくとも一部は、少なくとも20kPa絶対圧の炭化水素分圧下で接触され得る。ここで、炭化水素分圧は、炭化水素含有フィード中のいずれものC2-C16アルカン及びいずれものC8-C16アルキル芳香族炭化水素の総分圧である。一部の実施形態では、炭化水素含有フィードと触媒及び/又は再生触媒の少なくとも一部の接触中の炭化水素分圧は、20kPa絶対圧、50kPa絶対圧、100kPa絶対圧、少なくとも150kPa、少なくとも200kPa、300kPa絶対圧、500kPa絶対圧、750kPa絶対圧、又は1,000kPa絶対圧から1,500kPa絶対圧、2,500kPa絶対圧、4,000kPa絶対圧、5,000kPa絶対圧、7,000kPa絶対圧、8,500kPa絶対圧、又は10,000kPa絶対圧までの範囲であり得る。ここで、炭化水素分圧は、炭化水素含有フィード中のいずれものC2-C16アルカン及びいずれものC8-C16アルキル芳香族炭化水素の総分圧である。他の実施形態では、炭化水素含有フィードと触媒及び/又は再生触媒の少なくとも一部の接触中の炭化水素分圧は、20kPa絶対圧、50kPa絶対圧、100kPa絶対圧、150kPa絶対圧、200kPa絶対圧、250kPa絶対圧、又は300kPa絶対圧から500kPa絶対圧、600kPa絶対圧、700kPa絶対圧、800kPa絶対圧、900kPa絶対圧、又は1,000kPa絶対圧までの範囲であり得る。ここで、炭化水素分圧は、炭化水素含有フィード中のいずれものC2-C16アルカン及びいずれものC8-C16アルキル芳香族炭化水素の総分圧である。
【0039】
一部の実施形態では、炭化水素含有フィードは、炭化水素含有フィードの総体積に基づいて、少なくとも60vol%、少なくとも65vol%、少なくとも70vol%、少なくとも75vol%、少なくとも80vol%、少なくとも85vol%、少なくとも90vol%、少なくとも95vol%、又は少なくとも99vol%の単一C2-C16アルカン、例えば、プロパンを含み得る。炭化水素含有フィードと触媒及び/又は再生触媒の少なくとも一部は、少なくとも20kPa絶対圧、少なくとも50kPa絶対圧、少なくとも100kPa絶対圧、少なくとも150kPa絶対圧、少なくとも250kPa絶対圧、少なくとも300kPa絶対圧、少なくとも400kPa絶対圧、少なくとも500kPa絶対圧、又は少なくとも1,000kPa絶対圧の単一C2-C16アルカン、例えば、プロパンの圧力下で接触され得る。
炭化水素含有フィードは、アップグレードプロセスの実施に有効ないずれの質量毎時空間速度(WHSV)でも反応ゾーン又は変換ゾーン内で触媒及び/又は再生触媒の少なくとも一部と接触され得る。一部の実施形態では、WHSVは、0.01時間-1、0.1時間-1、1時間-1、2時間-1、5時間-1、10時間-1、20時間-1、30時間-1、又は50時間-1から100時間-1、250時間-1、500時間-1、又は1,000時間-1までであり得る。一部の実施形態では、炭化水素アップグレードプロセスが流動又は他の方法で移動する触媒及び/又は移動再生触媒を含むとき、触媒循環質量流量といずれものC2-C16アルカン及びいずれものC8-C16アルキル芳香族炭化水素の質量流量の合計量の比は、質量対質量基準で1、3、5、10、15、20、25、30、又は40から50、60、70、80、90、100、110、125、又は150までの範囲であり得る。
【0040】
少なくとも部分的に失活した触媒の活性が所望の最小量未満に低下したとき、少なくとも部分的に失活した触媒又はその少なくとも一部は、上記再生プロセスを受けて再生触媒を生成し得る。少なくとも部分的に失活した触媒の再生は、個々の反応器構成に応じて、反応ゾーン又は変換ゾーン内で又は反応ゾーン若しくは変換ゾーンとは別の離れた燃焼ゾーン内で起こって再生触媒を生成し得る。例えば、触媒の再生は、固定床反応器又は逆流反応器使用時には反応ゾーン又は変換ゾーン内で起こり、或いは流動床反応器又は他の循環若しくは流動型反応器使用時には反応ゾーン若しくは変換ゾーンとは別の離れた個別燃焼ゾーン内で起こり得る。同様に、任意的還元ステップも反応ゾーン若しくは変換ゾーン内で、燃焼ゾーン内で、及び/又は個別還元ゾーン内で起こり得る。従って、炭化水素含有フィードは、固定床反応器及び逆流反応器で一般的に利用されるプロセスのような周期性プロセス並びに/又は流動床反応器で一般的に利用される連続型プロセスで、触媒と接触されて炭化水素含有フィードの少なくとも一部の脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化の少なくとも1つを引き起こして、コークス化触媒と1種以上のアップグレードされた炭化水素及び分子水素を含む第1流出物とを生成し得る。必要に応じて、アップグレードされた炭化水素及び分子水素を含む流出物のコークス化触媒からの分離が、1つ以上の分離器、例えばサイクロン分離器によって達成され得る。上述したように、酸化的ガスは、限定するものではないが、O2、O3、CO2、若しくはその混合物であるか又はこれらを含み、かつ5モル%以下のH2Oを含み得る。一部の実施形態では、触媒上に配置された混入物、例えば、コークスの100%を燃焼させるために必要な量を超える量の酸化的ガスが用いられて、触媒からの混入物除去率を高め、結果として混入物の除去に必要な時間が短縮され、所与の時間内に生成されるアップグレードされた生成物の収率増加につながり得る。
【0041】
炭化水素含有フィード
C2-C16アルカンは、限定するものではないが、エタン、プロパン、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、イソペンタン、n-ヘキサン、2-メチルペンタン、3-メチルペンタン、2,2-ジメチルブタン、n-ヘプタン、2-メチルヘキサン、2,2,3-トリメチルブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、エチルシクロペンタン、n-プロピルシクロペンタン、1,3-ジメチルシクロヘキサン、若しくはその混合物であるか又はこれらを含み得る。例えば、炭化水素含有フィードは、脱水素されてプロピレンを生成し得るプロパン及び/又は脱水素されてイソブチレンを生成し得るイソブタンを含み得る。別の例では、炭化水素含有フィードは、液化石油ガス(LPガス)を含むことがあり、これは触媒と接触するときに気相中にあり得る。一部の実施形態では、炭化水素含有フィード中の炭化水素は、実質的に単一のアルカン、例えばプロパンで構成され得る。一部の実施形態では、炭化水素含有フィードは、炭化水素含有フィード中の全ての炭化水素の総質量に基づいて、≧50モル%、≧75モル%、≧95モル%、≧98モル%、又は≧99モル%の単一C2-C16アルカン、例えば、プロパンを含み得る。一部の実施形態では、炭化水素含有フィードは、炭化水素含有フィードの総体積に基づいて、少なくとも50vol%、少なくとも55vol%、少なくとも60vol%、少なくとも65vol%、少なくとも70vol%、少なくとも75vol%、少なくとも80vol%、少なくとも85vol%、少なくとも90vol%、少なくとも95vol%、少なくとも97vol%、又は少なくとも99vol%の単一C2-C16アルカン、例えば、プロパンを含み得る。
【0042】
C8-C16アルキル芳香族炭化水素は、限定するものではないが、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、1種以上のエチルトルエン、若しくはその混合物であるか又はこれらを含み得る。一部の実施形態では、炭化水素含有フィードは、炭化水素含有フィード中の全ての炭化水素の総質量に基づいて、≧50モル%、≧75モル%、≧95モル%、≧98モル%、又は≧99モル%の単一C8-C16アルキル芳香族炭化水素、例えば、エチルベンゼンを含み得る。一部の実施形態では、エチルベンゼンは、脱水素されてスチレンを生成し得る。従って、一部の実施形態では、本明細書で開示するプロセスは、プロパン脱水素、ブタン脱水素、イソブタン脱水素、ペンタン脱水素、シクロペンタジエンへのペンタン脱水素環化、ナフサ改質、エチルベンゼン脱水素、エチルトルエン脱水素等を含み得る。
一部の実施形態では、炭化水素含有フィードは、例えば、1種以上の希釈剤、例えば1種以上の不活性ガスで希釈され得る。適切な不活性ガスは、限定するものではないが、Ar、Ne、He、N2、CO2、CH4、若しくはその混合物であるか又はこれらを含み得る。炭化水素含有フィードが希釈剤を含む場合、炭化水素含有フィードは、炭化水素含有フィード中のいずれものC2-C16アルカン及びいずれものC8-C16アルキル芳香族炭化水素の総体積に基づいて0.1vol%、0.5vol%、1vol%、又は2vol%から3vol%、8vol%、16vol%、又は32vol%までの希釈剤を含み得る。
一部の実施形態では、炭化水素含有フィードは、H2をも含み得る。一部の実施形態では、炭化水素含有フィードがH2を含むとき、H2といずれものC2-C16アルカン及びいずれものC8-C16アルキル芳香族炭化水素の合計量のモル比は、0.1、0.3、0.5、0.7、又は1から2、3、4、5、6、7、8、9、又は10までの範囲であり得る。
【0043】
一部の実施形態では、炭化水素含有フィードは、実質的にほとんど水蒸気を含まず、例えば、炭化水素含有フィード中のいずれものC2-C16アルカン及びいずれものC8-C16アルキル芳香族炭化水素の総体積に基づいて、<0.1vol%の水蒸気であり得る。他の実施形態では、炭化水素含有フィードは水蒸気を含み得る。例えば、炭化水素含有フィードは、炭化水素含有フィード中のいずれものC2-C16アルカン及びいずれものC8-C16アルキル芳香族炭化水素の総体積に基づいて、0.1vol%、0.3vol%、0.5vol%、0.7vol%、1vol%、3vol%、又は5vol%から10vol%、15vol%、20vol%、25vol%、30vol%、35vol%、40vol%、45vol%、又は50vol%までの水蒸気を含み得る。他の実施形態では、炭化水素含有フィードは、炭化水素含有フィード中のいずれものC2-C16アルカン及びいずれものC8-C16アルキル芳香族炭化水素の総体積に基づいて、≦50vol%、≦45vol%、≦40vol%、≦35vol%、≦30vol%、≦25vol%、≦20vol%、又は≦15vol%の水蒸気を含み得る。他の実施形態では、炭化水素含有フィードは、炭化水素含有フィード中のいずれものC2-C16アルカン及びいずれものC8-C16アルキル芳香族炭化水素の総体積に基づいて、少なくとも1vol%、少なくとも3vol%、少なくとも5vol%、少なくとも10vol%、少なくとも15vol%、少なくとも20vol%、少なくとも25vol%、又は少なくとも30vol%の水蒸気を含み得る。
【0044】
一部の実施形態では、炭化水素含有フィードは硫黄を含み得る。例えば、炭化水素含有フィードは、0.5ppm、1ppm、5ppm、10ppm、20ppm、30ppm、40ppm、50ppm、60ppm、70ppm、又は80ppmから100ppm、150ppm、200ppm、300ppm、400ppm、又は500ppmまでの範囲で硫黄を含み得る。他の実施形態では、炭化水素含有フィードは、1ppm~10ppm、10ppm~20ppm、20ppm~50ppm、50ppm~100ppm、又は100ppm~500ppmの範囲で硫黄を含み得る。硫黄は、炭化水素含有フィード中に存在する場合、限定するものではないが、H2S、二硫化ジメチル、1種以上のメルカプタンとして、若しくはその任意の混合物であるか又はこれらを含み得る。
炭化水素フィードは、実質的に分子酸素を含まないか又は全く含まないことがある。一部の実施形態では、炭化水素フィードは、≦5モル%、≦3モル%、又は≦1モル%の分子酸素(O2)を含み得る。実質的に分子酸素を含まない炭化水素フィードを供給すると、そうでなければ炭化水素フィード中のアルカン及び/又はアルキル芳香族炭化水素の少なくとも一部を消費することになる酸化反応を実質的に阻止すると考えられる。
【0045】
アップグレードされた炭化水素の回収及び使用
アップグレードされた炭化水素は、少なくとも1種のアップグレードされた炭化水素、例えば、オレフィン、水、未反応炭化水素、分子水素等を含み得る。アップグレードされた炭化水素は、いずれの従来のプロセスによっても、例えば、1つ以上の従来のプロセスによって回収され得るか又は他の方法で得ることができる。このような1つのプロセスは、流出物を冷却及び/又は圧縮して、存在し得るいずれもの水及びいずれもの重質炭化水素の少なくとも一部を凝縮して、オレフィン及びいずれもの未反応アルカン又はアルキル芳香族炭化水素を主に気相中に残すことができる。オレフィン及び未反応アルカン又はアルキル芳香族炭化水素は、次に1つ以上の分離装置、例えば蒸留塔、吸着分離装置、膜分離装置、深冷分離装置等で反応生成物から除去され得る。例えば、1つ以上のスプリッター又は蒸留塔を用いて脱水素生成物を未反応炭化水素フィードから分離することができる。
一部の実施形態では、回収オレフィン、例えば、回収プロピレンは、ポリマーの製造に使用可能であり、例えば、回収プロピレンは重合されて、回収プロピレン由来のセグメント又は単位を有するポリマー、例えば、ポリプロピレン、エチレン-プロピレンコポリマー等を生成し得る。回収イソブテンは、例えば、含酸素化合物、例えばメチルtert-ブチルエーテル、燃料添加剤、例えばジイソブテン、合成エラストマーポリマー、例えばブチルゴム等の1種以上を製造するために使用可能である。
【実施例
【0046】
実施例:
下記非限定例を参照して前述の考察をさらに説明することができる。下記手順に従って触媒1及び比較触媒1を調製した。
触媒1:下記手順に従って触媒を調製した。18.375ml(14.5g)のエタノール中の0.036gのSnCl2・2H2O及び0.0236gのH2PtCl6・6H2Oの溶液を、5%のSiO2を添加した3gのZrO2(Saint-Gobain)上に混合物をマグネチックスターラーバーで撹拌しながら注いだ。過剰溶液を一晩蒸発させた。組成物を100℃で15時間乾燥させ、560℃で3時間か焼してか焼固体粒子を生成した。次に11.25mlのH2O中の0.0232gのCsNO3、0.0408gのKNO3及び0.295のLa(NO)3・6H2Oの溶液をか焼固体粒子上に混合物をマグネチックスターラーバーで撹拌しながら注いだ。上澄み液を60℃~90℃の温度で数日かけて蒸発させた。最終固体を110℃で6時間乾燥させ、800℃で12時間か焼して再か焼触媒粒子を生成した。
【0047】
比較触媒1:メスシリンダー中で、SnCl2(0.048g)(Aldrich)、クロロ白金酸の8%溶液(0.79g)(Aldrich)、及び残りのHCl(1.2M)(Acculute)を混ぜ合わせて5.6mLの暗色溶液を作製した。この溶液をθアルミナ(10g)に添加して15分間撹拌した。この触媒を1時間放置した。触媒をマッフル炉に入れ、全て空気中で、3℃/分で120℃まで温度を上げて2時間120℃で保持してから触媒温度を3℃/分で550℃まで上昇させ、2時間維持した。次に触媒を室温まで冷ました。
メスシリンダー中で、KNO3(0.258g)(Aldrich)を脱イオン水に溶かして5.6mLの溶液を得た。この溶液をPt-Sn触媒に添加して15分間撹拌した。触媒を1時間放置した。触媒をマッフル炉に入れ、全て空気中で、3℃/分で120℃まで温度を上げ、2時間120℃で保持してから触媒温度を3℃/分で550℃まで上昇させ、2時間維持した。次に触媒を室温まで冷ました。最終生成物は、名目上0.3wt%のPt、0.3wt%のSn、及び1.0wt%のKを含有した。
【0048】
上記触媒を使用する実施例
約100kPa絶対圧で固定床実験を行った。ガスクロマトグラフ(GC)を用いて反応器流出物の組成を測定した。次に反応器流出物中の各成分の濃度を用いてC3H6の収率及び選択性を計算した。これらの例で報告したC3H6の収率及び選択性は、炭素モル基準で計算した。
各実施例では、特定量の触媒「Mcat」を適量の石英希釈剤と混合し、石英反応器に充填した。希釈剤の量は、触媒床(触媒+希釈剤)が石英反応器の等温ゾーンと重なり、作動中に触媒床が大部分は等温になるように決めた。石英チップ/ロッドで反応器のデッドボリュームを満たした。
反応器流出物中の各成分の濃度を用いてC3H6の収率及び選択性を計算した。trxnの開始時及びtrxnの終了時のC3H6の収率及び選択性をそれぞれYini、Yend、Sini、及びSendと表し、下記データ表に百分率として報告する。
【0049】
実施例1-触媒1に関する再生温度/持続時間。1.反応ゾーンを再生温度Tregenに加熱しながらシステムに不活性ガスを流した。1.不活性ガスを反応ゾーン内に流しながら、酸素含有ガス(Ogas)を流速(Fregen)で反応ゾーンのバイパスに通した。3.次に酸素含有ガスを反応ゾーンに特定時間(tregen)にわたって通して触媒を再生した。4.tregen後、不活性ガスを反応ゾーンに通し、反応ゾーン内の温度をTregenから還元温度(Tred)に変えた。5.不活性ガスを反応ゾーンに通しながら、H2含有ガス(Hgas)を流速(Fred)で反応ゾーンのバイパスに特定時間にわたって通した。この後にH2含有ガスをTredの反応ゾーンに特定時間(tred)にわたって通した。6.システムに不活性を流した。このプロセス中に、反応ゾーンの温度をTredからTrxn℃の反応温度に変えた。7.不活性ガスを反応ゾーンに通しながら、81vol%のC3H8、9vol%の不活性(Ar又はKr)及び10vol%の水蒸気を含む炭化水素含有(HCgas)フィードを流速(Frxn)で反応ゾーンのバイパスに特定時間にわたって通した。次に炭化水素含有フィードをTrxn℃の反応ゾーンに10分間通した。フィードを反応ゾーンのバイパスから反応ゾーンに切り替えたらすぐに反応流出物のGCサンプリングを開始した。表1~3は、触媒のPDH性能への再生持続時間/温度の効果を示す。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
実施例2-触媒1に対する触媒還元及び水蒸気同時供給の効果。1.反応ゾーンを再生温度Tregenに加熱しながらシステムに不活性ガスを流した。2.不活性ガスを反応ゾーンに通しながら、酸素含有ガス(Ogas)を流速(Fregen)で反応ゾーンのバイパスに通した。3.次に酸素含有ガスを反応ゾーンに特定時間(tregen)にわたって通して触媒を再生した。4.tregen後、不活性ガスを反応ゾーンに通し、反応ゾーン内の温度をTregenから還元温度(Tred)に変えた。5.不活性ガスを反応ゾーンに通しながら、H2含有ガス(Hgas)を流速(Fred)で反応ゾーンのバイパスに特定時間にわたって通した。この後にH2含有ガスをTredの反応ゾーンに特定時間(tred)にわたって通した。6.システムに不活性ガスを流した。このプロセス中に、反応ゾーンの温度をTredからTrxn℃の反応温度に変えた。7.不活性ガスを反応ゾーンに通しながら、炭化水素含有(HCgas)を流速(Frxn)で反応ゾーンのバイパスに特定時間にわたって通した。次に炭化水素含有フィードをTrxn℃の反応ゾーンに10分間通した。フィードを反応ゾーンのバイパスから反応ゾーンに切り替えたらすぐに反応流出物のGCサンプリングを開始した。表4は、触媒還元及び水蒸気同時供給があるときに両触媒がPDHに対して最も活性であることを示す。
【0054】
【表4】
【0055】
実施例3-触媒1の再生中の水蒸気の効果。1.反応ゾーンを再生温度Tregenに加熱しながらシステムに不活性ガスを流した。2.不活性ガスを反応ゾーンに通しながら、酸素含有ガス(Ogas)を流速(Fregen)で反応ゾーンのバイパスに通した。3.次に酸素含有ガスを反応ゾーンに特定時間(tregen)にわたって通して触媒を再生した。4.tregen後、不活性ガスを反応ゾーンに通し、反応ゾーン内の温度をTregenから還元温度(Tred)に変えた。5.システムに不活性ガスを流した。6.不活性ガスを反応ゾーンに通しながら、H2含有ガス(Hgas)を流速(Fred)で反応ゾーンのバイパスに特定時間にわたって通した。この後にH2含有ガスをTredの反応ゾーンに特定時間(tred)にわたって通した。7.システムに不活性ガスを流した。このプロセス中に、反応ゾーンの温度をTredから650℃の反応温度に変えた。8.不活性ガスを反応ゾーンに通しながら、81vol%のC3H8、9vol%の不活性(Ar又はKr)及び10vol%の水蒸気を含む炭化水素含有(HCgas)フィードを流速(Frxn)で反応ゾーンのバイパスに特定時間にわたって通した。次に炭化水素含有フィードを650℃の反応ゾーンに10分間通した。フィードを反応ゾーンのバイパスから反応ゾーンに切り替えたらすぐに反応流出物のGCサンプリングを開始した。上記プロセスステップを安定性能が得られるまで周期的に繰り返した。表5は、再生中の空気に10vol%超の水蒸気が存在すると、再生後にさらにいっそう失活した触媒をもたらしたことを示す。他方で、再生の1分後に湿潤空気を乾燥空気に切り替えれば、触媒は効率的に再生された。
【0056】
【表5】
【0057】
実施例4-触媒1に対するH2還元の持続時間の効果。1.反応ゾーンを700℃の再生温度に加熱しながらシステムに不活性ガスを流した。2.不活性ガスを反応ゾーンに通しながら、酸素含有ガス(Ogas)を流速(Fregen)で反応ゾーンのバイパスに通した。3.次に酸素含有ガスを反応ゾーンに特定時間(tregen)にわたって通して触媒を再生した。4.システムに不活性ガスを流した。このプロセス中、反応ゾーンの温度を700に保った。5.不活性ガスを反応ゾーンに通しながら、H2含有ガス(Hgas)を流速(Fred)で反応ゾーンのバイパスに特定時間にわたって通した。この後にH2含有ガスを700℃の反応ゾーン内に特定時間(tred)にわたって流した。6.Heガスを反応ゾーンに通した。このプロセス中に、反応ゾーンの温度を700℃から650℃の反応温度に下げた。7.不活性ガスを反応ゾーンに通しながら、81vol%のC3H8、9vol%の不活性(Ar又はKr)及び10vol%の水蒸気を含む炭化水素含有(HCgas)フィードを流速(Frxn)で反応ゾーンのバイパスに特定時間にわたって通した。次に炭化水素含有フィードを650℃の反応ゾーンに10分間通した。フィードを反応ゾーンのバイパスから反応ゾーンに切り替えたらすぐに反応流出物のGCサンプリングを開始した。上記プロセスステップを安定性能が得られるまで周期的に繰り返した。表6は、触媒の性能に対する還元持続時間の効果を示す。
【0058】
【表6】
【0059】
実施例5-触媒1の触媒寿命。1.触媒1の触媒寿命を調べるため、0.3gの触媒1を適量の石英希釈剤と混合して石英反応器に充填した。希釈剤の量は、触媒床(触媒+希釈剤)が石英反応器の等温ゾーンと重なり、作動中に触媒床が大部分は等温になるように決めた。石英チップ/ロッドで反応器のデッドボリュームを満たした。1.反応ゾーンを再生温度670℃に加熱しながら、システムに不活性ガスを流した。2.反応ゾーンに不活性ガスを通しながら、90%の空気及び10%のH2Oを含有するガスを93.2sccmの流速で反応ゾーンのバイパスに通した。3.次に空気及びH2Oを含有するガスを反応ゾーン内に1分間流して触媒を再生した。4.水蒸気を中断し、83.9sccmの乾燥空気を反応ゾーン内に30分間流して触媒をさらに再生した。5.不活性ガスを反応ゾーン内に流し、反応ゾーン内の温度を670℃に維持した。6.不活性ガスを反応ゾーンに通しながら、10%のH2及び90%のArを含有するガスを46.6sccmの流速で反応ゾーンのバイパスに特定時間にわたって通した。この後にH2含有ガスを670℃の反応ゾーン内に1分間流した。7.システムに不活性ガスを流した。このプロセス中に、反応ゾーンの温度を670℃から650℃の反応温度に変えた。8.不活性ガスを反応ゾーンに通しながら、81vol%のC3H8、9vol%の不活性(Ar又はKr)及び10vol%の水蒸気を含む炭化水素含有フィードを9.4sccmの流速で反応ゾーンのバイパスに特定時間にわたって通した。次に炭化水素含有フィードを650℃の反応ゾーンに10分間通した。フィードを反応ゾーンのバイパスから反応ゾーンに切り替えたらすぐに反応流出物のGCサンプリングを開始した。上記プロセスステップを安定性能が得られるまで周期的に繰り返した。図1は、触媒の性能がPDHに対して75+サイクル後に安定していたことを示す。
【0060】
比較例1:1.反応ゾーンをToxiの酸化温度に加熱しながら、システムに不活性ガスを流した。2.不活性ガスを反応ゾーンに通しながら、酸素含有ガス(Ogas)を流速(Foxi)で反応ゾーンのバイパスに通した。3.次に酸素含有ガスを反応ゾーンに特定時間(toxi)にわたって通して触媒を酸化した。4.システムに不活性ガスを流した。このプロセス中に、反応ゾーンの温度を620℃まで冷却した。5.不活性ガスを反応ゾーンに通しながら、H2含有ガス(Hgas)を流速(Fred)で反応ゾーンのバイパスに特定時間にわたって通した。この後に、H2含有ガスを620℃の反応ゾーン内に特定時間(tred)にわたって流した。6.反応ゾーンに不活性ガスを通した。このプロセス中、反応ゾーンの温度を620℃に維持した。7.不活性ガスを反応ゾーンに通しながら、90vol%のC3H8、10vol%の不活性(Ar又はKr)を含む炭化水素含有(HCgas)フィードを流速(Frxn)で反応ゾーンのバイパスに特定時間にわたって通した。次に炭化水素含有フィードを620℃の反応ゾーンに10分間通した。フィードを反応ゾーンのバイパスから反応ゾーンに切り替えたらすぐに反応流出物のGCサンプリングを開始した。表7は比較例の試験条件のさらなる詳細を示す。図2は、酸化温度(620℃)が他の実施例よりずっと低いにもかかわらず、比較触媒1の性能が失活し続けたことを示す。
【0061】
【表7】
【0062】
実施形態のリスト
本開示は、さらに下記非限定的実施形態を含む。
A1.第10族元素、無機担体、及び混入物を含む少なくとも部分的に失活した触媒の再生プロセスであって、第10族元素が、無機担体の質量に基づいて、0.06wt%~6wt%の範囲の濃度を有し、かつプロセスが、(I)少なくとも部分的に失活した触媒から前駆触媒を得るステップと、(II)酸化的ガスであって、その総モルに基づいて5モル%以下のH2Oを含む酸化的ガスを供給するステップと、(III)前駆触媒を620℃~1,000℃の範囲の酸化温度で少なくとも30秒、好ましくは少なくとも1分、好ましくは少なくとも5分の持続時間にわたって酸化的ガスと接触させて酸化前駆触媒を生成するステップと、(IV)酸化前駆触媒から再生触媒を得るステップとを含む、プロセス。
A2.第10族元素がPtを含み、かつ無機担体が、無機担体の質量に基づいて、少なくとも0.5wt%の第4族元素を含む、A1のプロセス。
A3.無機担体が少なくとも0.5wt%のZrを含む、A2のプロセス。
A4.第4族元素の少なくとも一部がZrO2の形態にある、A2又はA3のプロセス。
【0063】
A5.少なくとも部分的に失活した触媒が、無機担体の質量に基づいて、10wt%までのプロモーターをさらに含み、このプロモーターは、下記元素:Sn、Ga、Zn、Ge、In、Re、Ag、Au、Cu、その組み合わせ、又はその混合物の1種以上を含む、A1~A4のいずれか1つのプロセス。
A6.少なくとも部分的に失活した触媒が、無機担体上に配置された5wt%までのアルカリ金属元素をさらに含み、このアルカリ金属元素は、下記:Li、Na、K、Rb、及びCsの少なくとも1種を含む、A1~A5のいずれか1つのプロセス。
A7.1種以上のC2-C16直鎖若しくは分岐アルカン、又は1種以上のC4-C16環状アルカン、1種以上のC8-C16アルキル芳香族炭化水素、又はその混合物を含む炭化水素含有フィードの脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化の1つ以上を引き起こす能力がある再生触媒の活性成分が第10族元素を含む、A1~A6のいずれか1つのプロセス。
A8.ステップ(I)が、加熱ガス混合物であって、その総モルに基づいて5モル%超の濃度でH2Oを含む加熱ガス混合物を用いて、少なくとも部分的に失活した触媒を加熱して前駆触媒を生成するステップを含む、A1~A7のいずれか1つのプロセス。
A9.加熱ガス混合物が、燃料を酸化性ガスで燃焼させることによって生成され、燃料は、H2、CO、及び炭化水素の少なくとも1つを含み、酸化性ガスはO2を含む、A8のプロセス。
【0064】
A10.ステップ(I)において、少なくとも部分的に失活した触媒がそのまま前駆触媒として供給される、A1~A7のいずれか1つのプロセス。
A11.ステップ(II)が、(IIa)酸化的ガスを酸化温度以下の温度で供給するステップと、(IIb)酸化的ガスをステップ(III)の接触前の前駆触媒の温度より高い温度に予熱するステップとを含む、A1~A10のいずれか1つのプロセス。
A12.さらに(V)ステップ(III)中に、放射熱源、熱交換器、又はその組み合わせを使用することによって酸化的ガス又は前駆触媒を加熱するステップを含む、A1~A11のいずれか1つのプロセス。
A13.ステップ(IV)が、(IVa)酸化前駆触媒を、O2を含まない第1ストリッピングガスと接触させてストリップト酸化前駆触媒を生成するステップと、(IVb)ストリップト酸化前駆触媒から再生触媒を得るステップとを含む、A1~A12のいずれか1つのプロセス。
A14.ステップ(IV)が、(IVc)酸化前駆触媒又はストリップト酸化前駆触媒をH2含有雰囲気と接触させて還元触媒を生成するステップと、(IVd)還元触媒から再生触媒を得るステップとを含む、A1~A13のいずれか1つのプロセス。
A15.ステップ(IVd)が、(IVd-1)還元触媒を第2ストリッピングガスと接触させて再生触媒を生成するステップを含む、A14のプロセス。
A16.ステップ(IVc)が、再生触媒の使用温度より高い酸化前駆触媒の温度で行われ、ステップ(IVd)が、さらに(IVd-2)還元触媒又は再生触媒を10分以下、5分以下、1分以下、30秒以下、10秒以下、5秒以下、1秒以下、0.5秒以下、0.1秒以下、0.01秒以下、又は0.001秒以下の持続時間で使用温度まで冷却するステップを含む、A14又はA15のプロセス。
【0065】
A17.A1~A16のいずれか1つのプロセスによって生成された再生触媒を使用する脱水素プロセスであって、(VI)炭化水素含有フィードを再生触媒と接触させて炭化水素含有フィードの少なくとも一部の脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化の1つ以上を引き起こして、第10族元素、無機担体、及び混入物を含む少なくとも部分的に失活した触媒と、1種以上のアップグレードされた炭化水素及び分子水素を含む流出物とを生成するステップであって、炭化水素フィードは、1種以上のC2-C16直鎖若しくは分岐アルカン、1種以上のC4-C16環状アルカン、1種以上のC8-C16アルキル芳香族炭化水素、又はその混合物を含む、ステップと、(VII)ステップ(I)~(IV)を繰り返すステップであって、ステップ(III)において追加の酸化前駆触媒が生成され、かつステップ(IV)において、追加の酸化前駆触媒から追加の再生触媒が得られる、ステップと、(VIII)追加量の炭化水素含有フィードを追加の再生触媒の少なくとも一部と接触させて追加の少なくとも部分的に失活した触媒及び追加の流出物を生成するステップとを含む、脱水素プロセス。
A18.ステップ(VI)の炭化水素含有フィードと再生触媒の接触から、ステップ(VIII)の追加量の炭化水素含有フィードと追加の再生触媒の接触までのサイクル時間が≦5時間である、A17の脱水素プロセス。
【0066】
B1.炭化水素のアップグレードプロセスであって、(I)炭化水素含有フィードを、第10族元素及び無機担体を含む触媒と接触させて炭化水素含有フィードの少なくとも一部の脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化の1つ以上を引き起こして、第10族元素、無機担体、及び混入物を含む少なくとも部分的に失活した触媒と、1種以上のアップグレードされた炭化水素及び分子水素を含む流出物とを生成するステップであって、炭化水素含有フィードは、1種以上のC2-C16直鎖若しくは分岐アルカン、又は1種以上のC4-C16環状アルカン、1種以上のC8-C16アルキル芳香族炭化水素、又はその混合物を含み、第10族元素は、無機担体の質量に基づいて、0.06wt%~6wt%の範囲の濃度を有し、炭化水素含有フィードと触媒は、300℃~900℃の範囲の温度で接触され、かつ1種以上のアップグレードされた炭化水素は、脱水素炭化水素、脱水素芳香族化炭化水素、及び脱水素環化炭化水素の少なくとも1種を含む、ステップと、(II)少なくとも部分的に失活した触媒から前駆触媒を得るステップと、(III)酸化的ガスであって、その総モルに基づいて2モル%以下のH2Oを含む酸化的ガスを供給するステップと、(IV)前駆触媒を620℃~1,000℃の範囲の酸化温度で少なくとも30秒、好ましくは少なくとも1分、好ましくは少なくとも5分の持続時間にわたって酸化的ガスと接触させて酸化前駆触媒を生成するステップと、(V)酸化前駆触媒から再生触媒を得るステップと、(VI)追加量の炭化水素含有フィードを再生触媒の少なくとも一部と接触させて追加の少なくとも部分的に失活した触媒及び追加の流出物を生成するステップとを含む、プロセス。
【0067】
B2.第10族元素がPtを含み、無機担体が、無機担体の質量に基づいて少なくとも0.5wt%の第4族元素を含み、触媒が、場合により無機担体の質量に基づいて10wt%までのプロモーターをさらに含み、プロモーターは、存在する場合、下記元素:Sn、Ga、Zn、Ge、In、Re、Ag、Au、Cu、その組み合わせ、又はその混合物の1種以上を含み、触媒が、場合により、5wt%までのアルカリ金属元素をさらに含み、アルカリ金属元素は、存在する場合、下記:Li、Na、K、Rb、及びCsの少なくとも1種を含む、B1のプロセス。
B3.ステップ(II)が、加熱ガス混合物であって、その総モルに基づいて5モル%超の濃度でH2Oを含む加熱ガス混合物を用いて、少なくとも部分的に失活した触媒を加熱して前駆触媒を生成するステップを含む、B1又はB2のプロセス。
B4.加熱ガス混合物が、燃料を酸化性ガスで燃焼させることによって生成され、燃料は、H2、CO、及び炭化水素の少なくとも1つを含み、酸化性ガスはO2を含む、B3のプロセス。
B5.ステップ(II)において、少なくとも部分的に失活した触媒がそのまま前駆触媒として供給される、B1~B4のいずれか1つのプロセス。
B6.ステップ(III)が、(IIIa)酸化的ガスを酸化温度以下の温度で供給するステップと、(IIIb)酸化的ガスをステップ(IV)の接触前の前駆触媒の温度より高い温度に予熱するステップとを含む、B1~B5のいずれか1つのプロセス。
B7.さらに(VI)ステップ(IV)中に放射熱源、熱交換器、又はその組み合わせを使用することによって酸化的ガス又は前駆触媒を加熱するステップを含む、B1~B6のいずれか1つのプロセス。
B8.ステップ(I)の炭化水素含有フィードと触媒の接触から、(VI)の追加量の炭化水素含有フィードと再生触媒の接触までのサイクル時間が≦5時間である、B1~B7のいずれか1つのプロセス。
B9.第4族元素がZrを含む、B2~B8のいずれか1つのプロセス。
B10.ZrがZrO2の形態にある、B9のプロセス。
【0068】
種々の用語を上で定義した。請求項に用いられる用語が上で定義されていない限りでは、少なくとも1つの刊行物又は発行された特許に反映されたように当業者がその用語に与えた最も広い定義を与えるべきである。さらに、本出願で引用した全ての特許、試験手順、及び他の文書は、参照することにより該開示が本出願と矛盾しない程度まで完全に援用され、かつ該援用が許容される全ての権限のために援用される。
前述の説明は、本発明の実施形態に関するものであるが、本発明の基本範囲を逸脱することなく本発明の他のさらなる実施形態を考案することが可能であり、本発明の範囲は、下記特許請求の範囲によって決められる。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-04-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第10族元素、無機担体、及び混入物を含む少なくとも部分的に失活した触媒の再生プロセスであって、前記第10族元素が、前記無機担体の質量に基づいて、0.06wt%~6wt%の範囲の濃度を有し、かつ前記プロセスが、
(I)加熱ガス混合物であって、その総モルに基づいて5モル%超の濃度でH2Oを含む前記加熱ガス混合物を用いて前記少なくとも部分的に失活した触媒を加熱して前駆触媒を生成するステップと、
(II)酸化的ガス(oxidative gas)であって、その総モルに基づいて5モル%以下のH2Oを含む前記酸化的ガスを供給するステップと、
(III)前記前駆触媒を620℃~1,000℃の範囲の酸化温度で少なくとも30秒持続時間にわたって前記酸化的ガスと接触させて酸化前駆触媒を生成するステップと、
(IV)前記酸化前駆触媒から再生触媒を得るステップと
を含む、プロセス。
【請求項2】
前記加熱ガス混合物が、燃料を酸化性ガス(oxidizing gas)で燃焼させることによって生成される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記燃料が、H2、CO、及び炭化水素の少なくとも1つを含み、前記酸化性ガスがO2を含む、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記第10族元素がPtを含む、請求項1記載のプロセス。
【請求項5】
前記無機担体が、該無機担体の質量に基づいて、少なくとも0.5wt%の第4族元素を含む、請求項1記載のプロセス。
【請求項6】
前記少なくとも部分的に失活した触媒が、57~71の原子数を有する1種以上の元素をさらに含む、請求項1記載のプロセス。
【請求項7】
前記少なくとも部分的に失活した触媒が、前記無機担体の質量に基づいて10wt%までのプロモーターをさらに含み、前記プロモーターは、下記元素:Sn、Ga、Zn、Ge、In、Re、Ag、Au、Cu、その組み合わせ、又はその混合物の1種以上を含む、請求項1記載のプロセス。
【請求項8】
ステップ(II)が、
(IIa)前記酸化的ガスを前記酸化温度以下の温度で供給するステップと、
(IIb)前記酸化的ガスを、ステップ(III)の接触前の前記前駆触媒の温度より高い温度に予熱するステップと
を含む、請求項1記載のプロセス。
【請求項9】
さらに、
(V)ステップ(III)中に、放射/伝導熱源、熱交換器、又はその組み合わせを使用することによって前記酸化的ガス、前記前駆触媒、又は両方を加熱するステップ
を含む、請求項1記載のプロセス。
【請求項10】
ステップ(IV)が、
(IVa)前記酸化前駆触媒を、O2を含まない第1ストリッピングガスと接触させてストリップト酸化前駆触媒を生成するステップと、
(IVb)前記ストリップト酸化前駆触媒から前記再生触媒を得るステップと
を含む、請求項1記載のプロセス。
【請求項11】
ステップ(IV)が、
(IVc)前記酸化前駆触媒又は前記ストリップト酸化前駆触媒をH2含有雰囲気と接触させて還元触媒を生成するステップと、
(IVd)前記還元触媒から前記再生触媒を得るステップと
を含む、請求項1記載のプロセス。
【請求項12】
ステップ(IVd)が、
(IVd-1)前記還元触媒を第2ストリッピングガスと接触させて前記再生触媒を生成するステップを含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
ステップ(IVc)が、前記再生触媒の使用温度より高い前記酸化前駆触媒の温度で行われ、かつステップ(IVd)がさらに、
(IVd-2)前記還元触媒又は前記再生触媒を、10分以下持続時間で前記使用温度まで冷却するステップ
を含む、請求項11又は請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか1項に記載のプロセスによって生成された前記再生触媒を使用する脱水素プロセスであって、
(VI)炭化水素含有フィードを前記再生触媒と接触させて前記炭化水素含有フィードの少なくとも一部の脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化の1つ以上を引き起こして、前記第10族元素、前記無機担体、及び前記混入物を含む前記少なくとも部分的に失活した触媒と、1種以上のアップグレードされた炭化水素及び分子水素を含む流出物とを生成するステップであって、前記炭化水素フィードは、1種以上のC2-C16直鎖若しくは分岐アルカン、1種以上のC4-C16環状アルカン、1種以上のC8-C16アルキル芳香族炭化水素、又はその混合物を含む、ステップと、
(VII)ステップ(I)~(IV)を繰り返すステップであって、ステップ(III)において追加の酸化前駆触媒が生成され、かつステップ(IV)において、前記追加の酸化前駆触媒から追加の再生触媒が得られる、ステップと、
(VIII)追加量の前記炭化水素含有フィードを前記追加の再生触媒の少なくとも一部と接触させて追加の少なくとも部分的に失活した触媒及び追加の流出物を生成するステップと
を含む、前記脱水素プロセス。
【請求項15】
ステップ(VI)の前記炭化水素含有フィードと前記再生触媒の接触からステップ(VIII)の前記追加量の炭化水素含有フィードと前記追加の再生触媒の接触までのサイクル時間が≦5時間である、請求項14に記載の脱水素プロセス。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0068
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0068】
種々の用語を上で定義した。請求項に用いられる用語が上で定義されていない限りでは、少なくとも1つの刊行物又は発行された特許に反映されたように当業者がその用語に与えた最も広い定義を与えるべきである。さらに、本出願で引用した全ての特許、試験手順、及び他の文書は、参照することにより該開示が本出願と矛盾しない程度まで完全に援用され、かつ該援用が許容される全ての権限のために援用される。
前述の説明は、本発明の実施形態に関するものであるが、本発明の基本範囲を逸脱することなく本発明の他のさらなる実施形態を考案することが可能であり、本発明の範囲は、下記特許請求の範囲によって決められる。
本発明のまた別の態様は、以下の通りであってもよい。
〔1〕第10族元素、無機担体、及び混入物を含む少なくとも部分的に失活した触媒の再生プロセスであって、前記第10族元素が、前記無機担体の質量に基づいて、0.06wt%~6wt%の範囲の濃度を有し、かつ前記プロセスが、
(I)加熱ガス混合物であって、その総モルに基づいて5モル%超の濃度でH 2 Oを含む前記加熱ガス混合物を用いて前記少なくとも部分的に失活した触媒を加熱して前駆触媒を生成するステップと、
(II)酸化的ガスであって、その総モルに基づいて5モル%以下のH 2 Oを含む前記酸化的ガスを供給するステップと、
(III)前記前駆触媒を620℃~1,000℃の範囲の酸化温度で少なくとも30秒、好ましくは少なくとも1分、好ましくは少なくとも5分の持続時間にわたって前記酸化的ガスと接触させて酸化前駆触媒を生成するステップと、
(IV)前記酸化前駆触媒から再生触媒を得るステップと
を含む、プロセス。
〔2〕前記加熱ガス混合物が、燃料を酸化性ガスで燃焼させることによって生成される、前記〔1〕に記載のプロセス。
〔3〕前記燃料が、H 2 、CO、及び炭化水素の少なくとも1つを含み、前記酸化性ガスがO 2 を含む、前記〔2〕に記載のプロセス。
〔4〕前記第10族元素がPtを含む、前記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載のプロセス。
〔5〕前記無機担体が、該無機担体の質量に基づいて、少なくとも0.5wt%の第4族元素を含む、前記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載のプロセス。
〔6〕前記無機担体が少なくとも0.5wt%のZrを含む、前記〔5〕に記載のプロセス。
〔7〕前記第4族元素の少なくとも一部がZrO 2 の形態にある、前記〔5〕又は〔6〕に記載のプロセス。
〔8〕前記少なくとも部分的に失活した触媒が、57~71の原子数を有する1種以上の元素をさらに含む、前記〔1〕~〔7〕のいずれかに記載のプロセス。
〔9〕前記少なくとも部分的に失活した触媒が、前記無機担体の質量に基づいて、0.01wt%、0.05wt%、又は0.1wt%から1wt%、5wt%、又は10wt%までの総量の、57~71の原子数を有する1種以上の元素を含む、前記〔8〕に記載のプロセス。
〔10〕前記少なくとも部分的に失活した触媒が、前記無機担体の質量に基づいて10wt%までのプロモーターをさらに含み、前記プロモーターは、下記元素:Sn、Ga、Zn、Ge、In、Re、Ag、Au、Cu、その組み合わせ、又はその混合物の1種以上を含む、前記〔1〕~〔9〕のいずれかに記載のプロセス。
〔11〕前記少なくとも部分的に失活した触媒が、前記無機担体の質量に基づいて5wt%までのアルカリ金属元素をさらに含み、前記アルカリ金属元素は、下記:Li、Na、K、Rb、及びCsの少なくとも1種を含む、前記〔1〕~〔10〕のいずれかに記載のプロセス。
〔12〕1種以上のC 2 -C 16 直鎖若しくは分岐アルカン、又は1種以上のC 4 -C 16 環状アルカン、1種以上のC 8 -C 16 アルキル芳香族炭化水素、又はその混合物を含む炭化水素含有フィードの脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化の1つ以上を引き起す能力がある、前記再生触媒の活性成分が前記第10族元素を含む、前記〔1〕~〔11〕のいずれかに記載のプロセス。
〔13〕ステップ(II)が、
(IIa)前記酸化的ガスを前記酸化温度以下の温度で供給するステップと、
(IIb)前記酸化的ガスを、ステップ(III)の接触前の前記前駆触媒の温度より高い温度に予熱するステップと
を含む、前記〔1〕~〔12〕のいずれかに記載のプロセス。
〔14〕さらに、
(V)ステップ(III)中に、放射/伝導熱源、熱交換器、又はその組み合わせを使用することによって前記酸化的ガス、前記前駆触媒、又は両方を加熱するステップ
を含む、前記〔1〕~〔13〕のいずれかに記載のプロセス。
〔15〕ステップ(IV)が、
(IVa)前記酸化前駆触媒を、O 2 を含まない第1ストリッピングガスと接触させてストリップト酸化前駆触媒を生成するステップと、
(IVb)前記ストリップト酸化前駆触媒から前記再生触媒を得るステップと
を含む、前記〔1〕~〔14〕のいずれかに記載のプロセス。
〔16〕ステップ(IV)が、
(IVc)前記酸化前駆触媒又は前記ストリップト酸化前駆触媒をH 2 含有雰囲気と接触させて還元触媒を生成するステップと、
(IVd)前記還元触媒から前記再生触媒を得るステップと
を含む、前記〔1〕~〔15〕のいずれかに記載のプロセス。
〔17〕ステップ(IVd)が、
(IVd-1)前記還元触媒を第2ストリッピングガスと接触させて前記再生触媒を生成するステップを含む、前記〔16〕に記載のプロセス。
〔18〕ステップ(IVc)が、前記再生触媒の使用温度より高い前記酸化前駆触媒の温度で行われ、かつステップ(IVd)がさらに、
(IVd-2)前記還元触媒又は前記再生触媒を、10分以下、5分以下、1分以下、30秒以下、10秒以下、5秒以下、1秒以下、0.5秒以下、0.1秒以下、0.01秒以下、又は0.001秒以下の持続時間で前記使用温度まで冷却するステップ
を含む、前記〔16〕又は〔17〕に記載のプロセス。
〔19〕前記〔1〕~〔18〕のいずれかに記載のプロセスによって生成された前記再生触媒を使用する脱水素プロセスであって、
(VI)炭化水素含有フィードを前記再生触媒と接触させて前記炭化水素含有フィードの少なくとも一部の脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化の1つ以上を引き起こして、前記第10族元素、前記無機担体、及び前記混入物を含む前記少なくとも部分的に失活した触媒と、1種以上のアップグレードされた炭化水素及び分子水素を含む流出物とを生成するステップであって、前記炭化水素フィードは、1種以上のC 2 -C 16 直鎖若しくは分岐アルカン、1種以上のC 4 -C 16 環状アルカン、1種以上のC 8 -C 16 アルキル芳香族炭化水素、又はその混合物を含む、ステップと、
(VII)ステップ(I)~(IV)を繰り返すステップであって、ステップ(III)において追加の酸化前駆触媒が生成され、かつステップ(IV)において、前記追加の酸化前駆触媒から追加の再生触媒が得られる、ステップと、
(VIII)追加量の前記炭化水素含有フィードを前記追加の再生触媒の少なくとも一部と接触させて追加の少なくとも部分的に失活した触媒及び追加の流出物を生成するステップと
を含む、前記脱水素プロセス。
〔20〕ステップ(VI)の前記炭化水素含有フィードと前記再生触媒の接触からステップ(VIII)の前記追加量の炭化水素含有フィードと前記追加の再生触媒の接触までのサイクル時間が≦5時間である、前記〔19〕に記載の脱水素プロセス。
〔21〕炭化水素のアップグレードプロセスであって、
(I)炭化水素含有フィードを、第10族元素及び無機担体を含む触媒と接触させて前記炭化水素含有フィードの少なくとも一部の脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化の1つ以上を引き起こして、第10族元素、無機担体、及び混入物を含む少なくとも部分的に失活した触媒と、1種以上のアップグレードされた炭化水素及び分子水素を含む流出物とを生成するステップであって、
前記炭化水素含有フィードは、1種以上のC 2 -C 16 直鎖若しくは分岐アルカン、又は1種以上のC 4 -C 16 環状アルカン、1種以上のC 8 -C 16 アルキル芳香族炭化水素、又はその混合物を含み、
前記第10族元素は、前記無機担体の質量に基づいて、0.06wt%~6wt%の範囲の濃度を有し、
前記炭化水素含有フィードと前記触媒は、300℃~900℃の範囲の温度で接触され、かつ
前記1種以上のアップグレードされた炭化水素は、脱水素炭化水素、脱水素芳香族化炭化水素、及び脱水素環化炭化水素の少なくとも1種を含む、
ステップと、
(II)加熱ガス混合物であって、その総モルに基づいて5モル%超の濃度でH 2 Oを含む前記加熱ガス混合物を用いて前記少なくとも部分的に失活した触媒を加熱して前駆触媒を生成するステップと、
(III)酸化的ガスであって、その総モルに基づいて2モル%以下のH 2 Oを含む前記酸化的ガスを供給するステップと、
(IV)前記前駆触媒を620℃~1,000℃の範囲の酸化温度で少なくとも30秒、好ましくは少なくとも1分、好ましくは少なくとも5分の持続時間にわたって前記酸化的ガスと接触させて酸化前駆触媒を生成するステップと、
(V)前記酸化前駆触媒から再生触媒を得るステップと、
(VI)追加量の前記炭化水素含有フィードを前記再生触媒の少なくとも一部と接触させて追加の少なくとも部分的に失活した触媒及び追加の流出物を生成するステップと
を含む、プロセス。
〔22〕前記加熱ガス混合物が、燃料を酸化性ガスで燃焼させることによって生成される、前記〔21〕に記載のプロセス。
〔23〕前記燃料が、H 2 、CO、及び炭化水素の少なくとも1つを含み、前記酸化性ガスがO 2 を含む、前記〔22〕に記載のプロセス。
〔24〕前記第10族元素がPtを含み、かつ
前記無機担体が、該無機担体の質量に基づいて少なくとも0.5wt%の第4族元素を含む、
前記〔21〕~〔23〕のいずれかに記載のプロセス。
〔25〕前記触媒が、前記無機担体の質量に基づいて10wt%までのプロモーターをさらに含み、前記プロモーターは、下記元素:Sn、Ga、Zn、Ge、In、Re、Ag、Au、Cu、その組み合わせ、又はその混合物の1種以上を含む、前記〔21〕~〔24〕のいずれかに記載のプロセス。
〔26〕前記触媒が、前記無機担体の質量に基づいて5wt%までのアルカリ金属元素をさらに含み、前記アルカリ金属元素は、下記:Li、Na、K、Rb、及びCsの少なくとも1種を含む、前記〔21〕~〔25〕のいずれかに記載のプロセス。
〔27〕ステップ(III)が、
(IIIa)前記酸化的ガスを前記酸化温度以下の温度で供給するステップと、
(IIIb)前記酸化的ガスを、ステップ(IV)の接触前の前記前駆触媒の温度より高い温度に予熱するステップと
を含む、前記〔21〕~〔26〕のいずれかに記載のプロセス。
〔28〕さらに、
(VII)ステップ(IV)中に、放射/伝導熱源、熱交換器、又はその組み合わせを使用することによって前記酸化的ガス、前記前駆触媒、又は両方を加熱するステップ
を含む、前記〔21〕~〔27〕のいずれかに記載のプロセス。
〔29〕ステップ(I)の前記炭化水素含有フィードと前記触媒の接触からステップ(VI)の前記追加量の炭化水素含有フィードと前記再生触媒の接触までのサイクル時間が≦5時間である、前記〔21〕~〔28〕のいずれかに記載のプロセス。
【国際調査報告】