(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】アルカン及びアルキル芳香族炭化水素の脱水素プロセス
(51)【国際特許分類】
C07C 5/333 20060101AFI20240822BHJP
C07C 11/06 20060101ALI20240822BHJP
B01J 23/44 20060101ALI20240822BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20240822BHJP
【FI】
C07C5/333
C07C11/06
B01J23/44 Z
C07B61/00 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508361
(86)(22)【出願日】2022-07-22
(85)【翻訳文提出日】2024-04-09
(86)【国際出願番号】 US2022038036
(87)【国際公開番号】W WO2023018536
(87)【国際公開日】2023-02-16
(32)【優先日】2021-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509004675
【氏名又は名称】エクソンモービル ケミカル パテンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100202603
【氏名又は名称】宮崎 智史
(72)【発明者】
【氏名】マドゥスカール サウラブ エス
(72)【発明者】
【氏名】バオ シャオイン
(72)【発明者】
【氏名】キュヒラー キース エイチ
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169BA01A
4G169BA06A
4G169BA20A
4G169BB04B
4G169BC22B
4G169BC75B
4G169CC05
4G169EC30
4G169FB14
4G169FB30
4G169FB63
4G169GA02
4H006AA02
4H006AB46
4H006AC12
4H006BA11
4H006BA26
4H006BA55
4H006BA60
4H006BA81
4H006BA83
4H006BA84
4H006BB61
4H006BC10
4H006BC19
4H006BC34
4H006BD36
4H006BD52
4H006BD53
4H006BD84
4H039CA21
4H039CC10
(57)【要約】
炭化水素フィードが脱水素触媒粒子と接触されて、コークス化触媒粒子及び脱水素炭化水素を含む変換流出物を生成し得る。コークス化触媒粒子は酸化剤及び燃料と接触されて、コークスが少ない触媒粒子及び燃焼ガスを含み得る燃焼流出物を生成し得る。コークスが少ない触媒粒子は酸化温度で少なくとも30秒の持続時間にわたって酸化的ガスと接触されて、コークス化触媒粒子より低い可能性がある活性を有し得る調整触媒粒子を生成し得る。調整触媒粒子は還元性ガスと接触されて、コークス化触媒粒子より高い可能性がある脱水素活性を有し得る再生触媒粒子を生成し得る。脱水素炭化水素は冷却され、圧縮され、圧縮気体ストリームから複数の生成物が分離され得る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素のアップグレードプロセスであって、
(I)炭化水素含有フィードを変換ゾーン内で流動脱水素触媒粒子と接触させて前記炭化水素含有フィードの少なくとも一部の脱水素を引き起こして、コークス化触媒粒子及び1種以上の脱水素炭化水素を含む変換流出物を生成するステップであって、
前記炭化水素含有フィードは、1種以上のC
2-C
16直鎖若しくは分岐アルカン、1種以上のC
4-C
16環状アルカン、1種以上のC
8-C
16アルキル芳香族炭化水素、又はその混合物を含み、
前記炭化水素含有フィードは、該炭化水素含有フィード中のいずれものC
2-C
16アルカン及びいずれものC
8-C
16芳香族炭化水素の質量に基づいて、0.1時間
-1~1,000時間
-1の範囲の質量毎時空間速度で前記触媒粒子と接触し、
いずれものC
2-C
16アルカン及びいずれものC
8-C
16芳香族炭化水素の合計量に対する前記流動脱水素触媒粒子の質量比は、3~100の範囲であり、かつ
前記炭化水素含有フィードと前記触媒粒子は600℃~750℃の範囲の温度で接触される、ステップと、
(II)前記変換流出物から、前記コークス化触媒粒子に富む第1粒子ストリーム及び前記1種以上の脱水素炭化水素に富む第1気体ストリームを分離するステップと、
(III)前記第1粒子ストリーム中の前記コークス化触媒粒子の少なくとも一部を燃焼ゾーン内で酸化剤及び燃料と接触させてコークスの少なくとも一部の燃焼を引き起こして、コークスが少ない触媒粒子及び燃焼ガスを含む燃焼流出物を生成するステップであって、前記コークスが少ない触媒粒子の脱水素活性は、前記コークス化触媒粒子の脱水素活性より低い、ステップと、
(IV)前記コークスが少ない触媒粒子に富む第2粒子ストリーム及び前記燃焼ガスに富む第2気体ストリームを前記燃焼流出物から分離するステップと、
(V)前記第2粒子ストリーム中の前記コークスが少ない触媒粒子の少なくとも一部を酸素浸漬ゾーン内で620℃~1,000℃の範囲の酸化温度で少なくとも20秒の持続時間にわたって酸化的ガスと接触させて、前記コークス化触媒粒子より低い活性を有する調整触媒粒子を生成するステップと、
(VI)前記調整触媒粒子の少なくとも一部を還元ゾーン内で還元性ガスと接触させて、前記コークス化触媒粒子より高い脱水素活性を有する再生触媒粒子を生成するステップと、
(VII)追加量の前記炭化水素含有フィードを前記変換ゾーン内で前記再生触媒粒子の少なくとも一部と接触させて、再コークス化触媒粒子及び追加量の前記1種以上の脱水素炭化水素を含む追加量の変換流出物を生成するステップと、
(VIII)前記第1気体ストリームを冷却して冷却気体ストリームを生成するステップと、
(IX)前記冷却気体ストリームの少なくとも一部を圧縮して圧縮気体ストリームを生成するステップと、
(X)複数の生成物を前記圧縮気体ストリームから分離するステップとを含む、
前記プロセス。
【請求項2】
前記炭化水素含有フィードが、該炭化水素含有フィード中のいずれものC
2-C
16アルカン及びいずれものC
8-C
16芳香族炭化水素に基づいて、0.1時間
-1~100時間
-1、好ましくは0.2時間
-1~64時間
-1、さらに好ましくは0.4時間
-1~32時間
-1の範囲の質量毎時空間速度で前記流動脱水素触媒粒子と接触する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
いずれものC
2-C
16アルカン及びいずれものC
8-C
16芳香族炭化水素の合計量に対する前記流動脱水素触媒粒子の質量比が、5~90、さらに好ましくは10~80の範囲である、請求項1又は請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記炭化水素含有フィードが、0.1秒~2分、好ましくは1秒~1分、さらに好ましくは0.5秒~3秒の持続時間にわたって前記流動脱水素触媒粒子と接触される、請求項1~3のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記炭化水素含有フィードが、0kPaゲージ圧~500kPaゲージ圧、好ましくは20kPaゲージ圧~300kPaゲージ圧、さらに好ましくは40kPaゲージ圧~200kPaゲージ圧の範囲の総圧力下で前記流動脱水素触媒粒子と接触される、請求項1~4のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記炭化水素含有フィードが、0.1モル%~15モル%の水蒸気、好ましくは1モル%~10モル%の水蒸気、さらに好ましくは3モル%~8モル%の水蒸気を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記炭化水素含有フィードが、前記流動脱水素触媒粒子との最初の接触時に≦620℃の温度である、請求項1~6のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項8】
ステップ(V)において、前記第2粒子ストリーム中の前記コークスが少ない触媒粒子が、0.5分~30分、好ましくは2分~20分、さらに好ましくは3分~10分の持続時間にわたって前記酸化的ガスと接触して前記調整触媒粒子を生成する、請求項1~7のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項9】
ステップ(V)の前記酸化的ガスが、該酸化的ガスの総モルに基づいて、5%以下のH
2Oを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項10】
ステップ(VI)において、前記調整触媒粒子が、450℃~900℃、好ましくは600℃~900℃、さらに好ましくは620℃~800℃の範囲の温度で前記還元性ガスと接触される、請求項1~9のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項11】
ステップ(VI)において、前記調整触媒粒子が、0.1秒~300秒、好ましくは1秒~100秒、さらに好ましくは2秒~10秒の持続時間にわたって前記還元性ガスと接触されて前記再生触媒粒子を生成する、請求項1~10のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記1種以上の脱水素炭化水素に富む前記第1気体ストリームがさらに同伴コークス化触媒粒子を含み、
ステップ(VIII)が、
(VIIIa)前記第1気体ストリームを第1クエンチ媒体と接触させて、間接的に熱を前記第1気体ストリームから第1伝熱媒体、又はその組み合わせに移動させて前記冷却気体ストリームを生成するステップと、
(VIIIb)前記冷却気体ストリームをクエンチ塔内で第2クエンチ媒体と接触させるステップと、
(VIIIc)前記クエンチ塔から、前記1種以上の脱水素炭化水素を含む第3気体ストリームと、液相の前記第2クエンチ媒体の少なくとも一部及び前記同伴コークス化触媒粒子を含むスラリーストリームとを回収するステップと
を含み、かつ
ステップ(IX)が、前記第3気体ストリームの少なくとも一部を圧縮して前記圧縮気体ストリームを生成するステップを含む、
請求項1~11のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記変換流出物がさらにベンゼンを含み、
(XI)前記クエンチ塔からベンゼン生成物ストリームを引き出すステップをさらに含む、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
ステップ(VIIIa)が、前記第1気体ストリームを前記第1クエンチ媒体と接触させるステップを含む、請求項12又は請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
前記第1粒子ストリーム及び前記第1気体ストリームが、1つ以上のサイクロン内で前記変換流出物から分離され、かつ前記第1気体ストリームが、ステップ(VIII)において前記1つ以上のサイクロンの少なくとも1つのプレナム内で第1クエンチ媒体と接触されて前記冷却気体ストリームを生成する、請求項1~11のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項16】
前記1つ以上の各サイクロン内における前記第1気体ストリーム中の気体成分の滞留時間が≦1秒である、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
前記変換流出物が≧620℃の温度であり、前記冷却気体ストリームが≧500℃かつ<620℃、好ましくは≧550℃~≦600℃の温度である、請求項1~16のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項18】
前記脱水素触媒粒子が、担体上に配置された0.001wt%~6wt%の第8~10族元素及び場合によりSn、Cu、Au、Ag、Ga、その組み合わせ、又はその混合物を含む10wt%までのプロモーターを含み、ここで、全ての質量パーセント値は前記担体の質量に基づいている、請求項1~17のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項19】
前記脱水素触媒粒子が、担体上に配置された0.001wt%~6wt%のPt及び場合によりSn、Cu、Au、Ag、Ga、その組み合わせ、又はその混合物を含む10wt%までプロモーターを含み、ここで、前記担体は、少なくとも0.5wt%の第2族元素を含み、全ての質量パーセント値は前記担体の質量に基づいている、請求項1~18のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項20】
脱水素触媒粒子が、ゲルダートA又はゲルダートB分類の要件を満たす、請求項1~19のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項21】
ステップ(X)において、前記複数の生成物が、ストリームクラッカー(stream cracker)炉から熱分解流出物を受け取る一次分留装置から分離された気体オーバーヘッド生成物をも受け取る生成物回収ユニット内で前記圧縮気体ストリームから分離される、請求項1~20のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項22】
前記炭化水素含有フィードが、バイオマス由来のプロパンを含む、請求項1~21のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項23】
前記炭化水素含有フィードが液化石油ガスを含む、請求項1~22のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項24】
ステップ(III)で用いられる前記酸化剤が≧95モル%のO
2を含む、請求項1~23のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項25】
前記変換ゾーン及び前記燃焼ゾーンが、改造流動接触分解反応器-再生器ユニット内に位置している、請求項1~24のいずれか1項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照することにより両開示内容全体を本明細書に援用する出願日2021年8月13日を有する米国仮出願第63/232,959号、及び出願日2022年4月8日を有する米国仮出願第63/328,971号に対する優先権及びそれらの利益を主張する。
【0002】
分野
本開示は、1種以上のアルカン及び/又はアルキル芳香族炭化水素の脱水素プロセスに関する。さらに詳細には、本開示は、1種以上のアルカン及び/又は1種以上のアルキル芳香族炭化水素を流動触媒粒子の存在下で脱水素して、1種以上のオレフィンを含む流出物を生成するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
アルカン及び/又はアルキル芳香族炭化水素の接触脱水素は、吸熱性で、平衡制限される工業的に重要な化学変換プロセスである。アルカン、例えば、C2-C16アルカン、及び/又はアルキル芳香族炭化水素、例えば、エチルベンゼンの脱水素は、種々の異なる担持触媒粒子システム、例えば、Pt系、Cr系、Ga系、V系、Zr系、In系、W系、Mo系、Zn系、及びFe系システムを介して行うことができる。既存のプロパン脱水素プロセスの中で、特定のプロセスはアルミナ担持クロミア触媒を使用し、この触媒は、約50%の最高プロピレン収率(90%のプロピレン選択性で55%のプロパン転化率)の1つをもたらし、これは約560℃~650℃の温度及び20kPa絶対圧~50kPa絶対圧の低圧力で得られる。このような低圧力で操作しなくてもプロピレン収率を上昇させて脱水素プロセスの効率を高めることが望ましい。
脱水素プロセスの温度を上げることは、プロセスの熱力学に従ってプロセスの転化率を高める1つの手段である。例えば、670℃、100kPa絶対圧で、いずれの不活性/希釈剤も非存在下では、平衡プロピレン収率は、シミュレーションにより約74%であると推定された。しかしながら、このような高温では、触媒粒子が非常に急速に失活し、及び/又はプロピレン選択性が不経済に低くなる。触媒粒子の急速な失活は、触媒粒子へのコークス沈着及び/又は活性相の凝集が原因であると考えられる。コークスは、酸素含有ガスを用いる燃焼によって除去できるが、活性相の凝集は、燃焼プロセス中に悪化すると考えられ、これは触媒粒子の活性及び安定性を急速に低下させる。
従って、アルカン及び/又はアルキル芳香族炭化水素を脱水素するための改善されたプロセスが必要である。本開示はこの必要性及び他の必要性を満たす。
【発明の概要】
【0004】
要約
アルカン及び/又はアルキル芳香族炭化水素のアップグレードプロセスを提供する。一部の実施形態では、炭化水素のアップグレードプロセスは、(I)炭化水素含有フィードを変換ゾーン内で流動脱水素触媒粒子と接触させて、炭化水素含有フィードの少なくとも一部の脱水素を引き起こして、コークス化触媒粒子及び1種以上の脱水素炭化水素を含み得る変換流出物を生成するステップを含み得る。炭化水素含有フィードは、1種以上のC2-C16直鎖若しくは分岐アルカン、1種以上のC4-C16環状アルカン、1種以上のC8-C16アルキル芳香族炭化水素、又はその混合物を含み得る。炭化水素含有フィードは、炭化水素含有フィード中のいずれものC2-C16アルカン及びいずれものC8-C16芳香族炭化水素の質量に基づいて、0.1時間-1~1,000時間-1の範囲の質量毎時空間速度で触媒粒子と接触し得る。いずれものC2-C16アルカン及びいずれものC8-C16芳香族炭化水素の合計量に対する流動脱水素触媒粒子の質量比は、3~100の範囲であり得る。炭化水素含有フィードと触媒粒子は、600℃~750℃の範囲の温度で接触され得る。プロセスは、(II)変換流出物から、コークス化触媒粒子に富む第1粒子ストリーム及び1種以上の脱水素炭化水素に富む第1気体ストリームを分離するステップをも含み得る。プロセスは、(III)第1粒子ストリーム中のコークス化触媒粒子の少なくとも一部を燃焼ゾーン内で酸化剤及び燃料と接触させてコークスの少なくとも一部の燃焼を引き起こして、コークスが少ない触媒粒子及び燃焼ガスを含み得る燃焼流出物を生成するステップをも含み得る。コークスが少ない触媒粒子の脱水素活性は、コークス化触媒粒子の脱水素活性より低い可能性がある。プロセスは、(IV)コークスが少ない触媒粒子に富む第2粒子ストリーム及び燃焼ガスに富む第2気体ストリームを燃焼流出物から分離するステップをも含み得る。プロセスは、(V)第2粒子ストリーム中のコークスが少ない触媒粒子の少なくとも一部を、酸素浸漬ゾーン内で620℃~1,000℃の範囲の酸化温度にて少なくとも30秒の持続時間にわたって酸化的ガスと接触させて、コークス化触媒粒子より低い可能性がある活性を有する調整(conditioned)触媒粒子を生成するステップをも含み得る。プロセスは、(VI)調整触媒粒子の少なくとも一部を還元ゾーン内で還元性ガスと接触させて、コークス化触媒粒子より高い可能性がある脱水素活性を有する再生触媒粒子を生成するステップをも含み得る。プロセスは、(VII)追加量の炭化水素含有フィードを変換ゾーン内で再生触媒粒子の少なくとも一部と接触させて、再コークス化触媒粒子及び追加量の1種以上の脱水素炭化水素を含み得る追加量の変換流出物を生成するステップをも含み得る。プロセスは、(VIII)第1気体ストリームを冷却して冷却気体ストリームを生成するステップをも含み得る。プロセスは、(IX)冷却気体ストリームの少なくとも一部を圧縮して圧縮気体ストリームを生成するステップをも含み得る。プロセスは、(X)複数の生成物を圧縮気体ストリームから分離するステップをも含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】1つ以上の記載実施形態に従って、炭化水素含有フィードを脱水素するためのシステムを示す。
【
図2】触媒組成物がプロパン脱水素に対して60サイクル超にわたって安定していたこと示す。
【
図3】触媒組成物(触媒10)が204サイクルにわたってその性能を維持したこと示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
詳細な説明
以下に、本発明の種々の特定の実施形態、バージョン及び実施例について、請求項に係る発明を理解するという目的で本明細書で採択される好ましい実施形態及び定義を含めて記載する。下記詳細な説明は、特定の好ましい実施形態を与えるが、当業者ならこれらの実施形態は単なる例示に過ぎず、本発明は他の方法で実施され得ることが分かるだろう。侵害を判断するという目的で、本発明の範囲は、いずれの1つ以上の添付請求項をも指し、列挙されているものに等価であるそれらの等価物、及び要素又は制限が含まれる。「発明」へのいずれの言及も、請求項によって定義される本発明の1つ以上を指すことがあるが、必ずしも全てではない。
本開示では、少なくとも1つの「ステップ」を含むようにプロセスを記述する。各ステップは、プロセスにおいて1回又は連続若しくは不連続様式で複数回行われ得る動作又は操作であることを理解すべきである。反対の定めがない限り又は文脈上明白に他の意味に解すべき場合を除き、プロセスの複数のステップは、1つ以上の他のステップとの重なりの有無にかかわらず、記載どおりの順序で連続して行なってよく、又は場合によっては、いずれの他の順序で行ってもよい。さらに、1つ以上又は全てのステップさえ、材料の同一又は異なるバッチに関して同時に行ってよい。例えば、連続プロセスにおいて、プロセスの最初に供給されたばかりの原材料に対してプロセスの第1ステップを行いながら、第1ステップのより早い時点でプロセスに供給された原材料の処理の結果生じる中間材料に対して同時に第2ステップを行ってよい。好ましくは、記載した順序でステップを行う。
【0007】
別段の指示がない限り、本開示において量を指示する全ての数は、全ての場合に用語「約」によって修飾されているものと理解すべきである。また、本明細書及び特許請求の範囲で用いられる正確な数値は特定の実施形態を構成することを理解すべきである。実施例のデータの正確さを保証するよう努力した。しかしながら、いずれの測定データも本質的に、測定を行うために利用される技術及び/又は機器の限界のため、ある一定レベルの誤差を含有することを理解すべきである。
本明細書では一連の上限数値及び一連の下限数値を用いて特定の実施形態及び特徴を記述する。別段の指示がない限り、任意の2つの値の組み合わせ、例えば、任意の下限値と任意の上限値の組み合わせ、任意の2つの下限値の組み合わせ、及び/又は任意の2つの上限値の組み合わせを含む範囲を企図することを理解すべきである。
本明細書で用いる不定冠詞「a」又は「an」は、反対の定めがあるか又は文脈上明白に他の意味に解すべき場合を除き、「少なくとも1つ」を意味する。従って、「a reactor」又は「a conversion zone」を使用する実施形態には、反対の定めがあるか又は文脈が明白に1つのみの反応器又は変換ゾーンを使用すると指示していない限り、1、2又は3つ以上の反応器又は変換ゾーンを使用する実施形態が含まれる。
【0008】
本明細書で使用する用語「上方(up)」と「下方(down)」、「上向き」と「下向き」、「上部(upper)」と「下部(lower)」、「上向きに」と「下向きに」、「上」と「下」、及び他の同様の用語は、互いに相対的な位置を指し、同一用語を用いる装置及び方法は種々の角度又は定位で等しく有効であり得るので、特定の空間的定位を表す意図ではない。
用語「炭化水素」は、(i)水素原子及び炭素原子から成る任意の化合物又は(ii)(i)の2種以上の該化合物の任意の混合物を意味する。用語「Cn炭化水素」(nは正の整数である)は、(i)その分子中に炭素原子を総数nで含む任意の炭化水素化合物、又は(ii)(i)の2種以上の該炭化水素化合物の任意の混合物を意味する。従って、C2炭化水素はエタン、エチレン、アセチレン、又はこれらの化合物の少なくとも2種の任意の比率の混合物であり得る。「Cm~Cn炭化水素」又は「Cm-Cn炭化水素」(m及びnは正の整数であり、かつm<n)は、Cm、Cm+1、Cm+2、...、Cn-1、Cn炭化水素のいずれか、又はこれらの2種以上の任意の混合物を意味する。従って、「C2~C3炭化水素」又は「C2-C3炭化水素」は、エタン、エチレン、アセチレン、プロパン、プロペン、プロピン、プロパジエン、シクロプロパン、及びこれらの2種以上の該成分間の任意の比率の任意の混合物のいずれかであり得る。「飽和C2-C3炭化水素」は、エタン、プロパン、シクロプロパン、又はこれらの2種以上の任意の比率の任意の混合物であり得る。「Cn+炭化水素」は、(i)その分子中に少なくともnの総数で炭素原子を含む任意の炭化水素化合物、又は(ii)(i)の2種以上の該炭化水素化合物の任意の混合物を意味する。「Cn-炭化水素」は、(i)その分子中に最大nの総数で炭素原子を含む任意の炭化水素化合物、又は(ii)(i)の2種以上の該炭化水素化合物の任意の混合物を意味する。「Cm炭化水素ストリーム」は、本質的にCm炭化水素から成る炭化水素ストリームを意味する。「Cm-Cn炭化水素ストリーム」は、本質的にCm-Cn炭化水素から成る炭化水素ストリームを意味する。
【0009】
本開示の目的では、元素の命名法は、Hawley's Condensed Chemical Dictionary, 16th Ed., John Wiley & Sons, Inc., (2016), Appendix Vに提供されている元素周期表のバージョン(新表記法下)に準拠する。例えば、第8族元素はFeを含み、第9族元素はCoを含み、第10族元素はNiを含む。本明細書で使用する用語「半金属」は、下記元素:B、Si、Ge、As、Sb、Te、及びAtを指す。本開示では、所与の元素が存在すると示されるとき、特段の記載がない限り又は文脈上明白に他の意味に解すべき場合を除き、それは元素状態で又はその任意の化合物として存在し得る。
用語「アルカン」は、飽和炭化水素を意味する。用語「環状アルカン」は、その分子構造中に環状炭素環を含む飽和炭化水素を意味する。アルカンは、直鎖、分岐、又は環状であり得る。
用語「芳香族」は、当該技術分野において承認されている範囲に従って理解すべきであり、アルキル置換及び非置換の単核及び多核化合物を包含する。
装置、例えば、変換ゾーンから得られる出ていくストリームに関して、「Xリッチ(X-rich)」又は「Xに富む(rich in X)」のような表現で使用されるとき、用語「rich」は、該ストリームが引き出される同装置に供給されたフィード材料中におけるより高い濃度で材料Xをストリームが含むことを意味する。装置、例えば、変換ゾーンから得られる出ていくストリームに関して、「Xリーン(X-lean)」又は「Xが少ない(lean in X)」のような表現で使用されるとき、用語「lean」は、該ストリームが引き出される同装置に供給されたフィード材料中におけるより低い濃度でストリームが材料Xを含むことを意味する。
【0010】
用語「混合金属酸化物」は、酸素原子及び少なくとも2種の異なる金属原子を含み、それらが原子スケールで混ざり合っている組成物を指す。例えば、「混合Mg/Al金属酸化物」は、原子スケールで混ざり合ったO、Mg、及びAl原子を有し、実質的に、下記一般化学式を有するMg/Alハイドロタルサイトをか焼することによって得られる組成物と同一である。
【化1】
式中、Aは、負電荷nの対アニオンであり、xは、>0から<e1までの範囲であり、mは≧0である。一緒に混ざり合ったnmサイズのMgO粒子及びnmサイズのAl
2O
3粒子から成る材料は、Mg原子とAl原子が原子スケールで混ざり合っているのではなく、nmスケールで混ざり合っているので、混合金属酸化物でない。
【0011】
用語「選択性」は、触媒反応における特定化合物の生成率(炭素モル基準で)を指す。例として、「アルカン炭化水素変換反応は、オレフィン炭化水素に対して100%の選択性を有する」という表現は、該反応で変換されるアルカン炭化水素の100%(炭素モル基準)がオレフィン炭化水素に変換されることを意味する。特定反応体に関して使用されるとき、用語「転化率」は反応で消費される反応体の量を意味する。例えば、特定反応体がプロパンであるとき、100%転化率は、反応でプロパンの100%が消費されることを意味する。収率(炭素モル基準)は、転化率×選択性である。
用語「プレナム」は、反応器又は分離器の、熱い生成物ストリームを反応器又は分離器から出口に運ぶ管又はダクト間の流体連絡を促進する領域を意味する。反応器又は分離器が複数のプレナム、例えば、第1プレナム及び第2プレナムを有することがあり、用語プレナムは、特に断りのない限り、複数のプレナムのいずれをも指す。
用語「スラリー」は、スラリーの質量に基づいて20wt%までの量で微粉又は固体を含有するいずれの液体ストリームをも意味する。用語「スラッジ」は、スラリーの質量に基づいて>20wt%から40wt%までの範囲で微粉又は固体を含有するいずれの液体ストリームをも意味する。用語「ケーク」は、スラリーの質量に基づいて>40wt%の量で微粉又は固体を含有するいずれの液体ストリームをも意味する。
【0012】
概要
炭化水素含有フィードがいずれかの適切な変換ゾーン内で流動脱水素触媒粒子と接触されて炭化水素含有フィードの少なくとも一部の脱水素を引き起こして、コークス化触媒粒子及び1種以上の脱水素炭化水素を含み得る変換流出物を生成し得る。炭化水素含有フィードは、1種以上のC2-C16直鎖若しくは分岐アルカン、1種以上のC4-C16環状アルカン、1種以上のC8-C16アルキル芳香族炭化水素、又はその混合物を含み得る。一部の実施形態では、1種以上の脱水素炭化水素は、エチレン、プロピレン、1種以上のブテン、1種以上のペンテン、若しくはその混合物であるか又はこれらを含み得る。一部の実施形態では、変換流出物はベンゼンをも含み得る。
炭化水素含有フィードは、炭化水素含有フィード中のいずれものC2-C16アルカン及びいずれものC8-C16芳香族炭化水素の質量に基づいて、0.1時間-1~1,000時間-1の範囲の質量毎時空間速度で触媒粒子と接触し得る。いずれものC2-C16アルカン及びいずれものC8-C16芳香族炭化水素の合計量に対する流動脱水素触媒粒子の質量比は3~100の範囲であり得る。炭化水素含有フィードと触媒粒子は、600℃~750℃の範囲の温度で接触され得る。
変換流出物から、コークス化触媒粒子に富む第1粒子ストリーム及び1種以上の脱水素炭化水素に富む第1気体ストリームが分離され得るか又は他の方法で得られる。一部の実施形態では、第1粒子ストリーム及び第1気体ストリームは、1つ以上の分離装置又は気固分離器内で変換流出物から分離され得る。一部の実施形態では、第1粒子ストリーム及び第1気体ストリームは、1つ以上のサイクロンによって変換流出物から分離され得る。一部の実施形態では、第1粒子ストリーム及び第1気体ストリームは、一次分離装置及びその下流にあって一次分離装置と流体連絡している二次分離装置、例えば、一次サイクロン及び二次サイクロン内で変換流出物から分離され得る。一部の実施形態では、第1粒子ストリーム及び第1気体ストリームは、一次分離装置内で変換流出物から分離され得る。
【0013】
一部の実施形態では、第1粒子ストリーム中のコークス化触媒粒子の少なくとも一部が燃焼ゾーン内で酸化剤及び燃料と接触してコークスの少なくとも一部の燃焼を引き起こして、コークスが少ない触媒粒子及び燃焼ガスを含み得る燃焼流出物を生成し得る。該実施形態では、コークスが少ない触媒粒子を生成するのに必要とされる熱の一部が燃料の燃焼によって供給される。他の実施形態では、第1粒子ストリーム中のコークス化触媒粒子の少なくとも一部が燃焼ゾーン内で酸化剤と接触されてコークスの少なくとも一部の燃焼を引き起こして、コークスが少ない触媒粒子及び燃焼ガスを含み得る燃焼流出物を生成し得る。該実施形態では、燃焼ゾーン内に存在するいずれの炭化水素も変換流出物からの同伴炭化水素由来であり得る。言い換えれば、該実施形態では、補充燃料が燃焼ゾーンに導入されない。もっと正確に言えば、コークスが少ない触媒粒子を生成するのに必要とされる熱の一部が、電気ヒーター又は他の加熱装置によって供給され得る。コークスが少ない触媒粒子を生成するのに必要とされる熱の一部を供給するために、それぞれ、燃料又は電気ヒーターを使用する両実施形態では、コークスが少ない触媒粒子の脱水素活性がコークス化触媒粒子の脱水素活性より低い可能性がある。
【0014】
コークスが少ない触媒粒子に富む第2粒子ストリーム及び燃焼ガスに富む第2気体ストリームが燃焼流出物から分離され得る。一部の実施形態では、第2粒子ストリーム及び第2気体ストリームは、1つ以上の分離装置又は気固分離器内で燃焼流出物から分離され得る。一部の実施形態では、第2粒子ストリーム及び第2気体ストリームは、1つ以上のサイクロン、例えば、1つのサイクロン又は直列に接続された2、3,4、若しくは5つ以上のサイクロンによって燃焼流出物から分離され得る。一部の実施形態では、第2粒子ストリーム及び第2気体ストリームは、一次分離装置及びその下流にあって一次分離装置と流体連絡している二次分離装置、例えば、一次サイクロン及び二次サイクロン内で燃焼流出物から分離され得る。一部の実施形態では、第2粒子ストリーム及び第2気体ストリームは、一次分離装置内で燃焼流出物から分離され得る。一部の実施形態では、燃焼ゾーンは、バブリングレジメ、乱流レジメ、又は高速流動レジメで作動する高密度流動床を含み得る。該実施形態では、コークスが少ない触媒粒子に富む第2粒子ストリームは、高密度床から引き出され得る。
【0015】
一部の実施形態では、燃料が燃焼ゾーンに導入されるとき、第2粒子ストリーム中のコークスが少ない触媒粒子の少なくとも一部が、酸素浸漬ゾーン内でコークス化触媒粒子の脱水素活性より低い脱水素活性を有し得る調整触媒粒子を生成するための持続時間又は時間にわたって酸化的ガスと接触され得る。一部の実施形態では、燃料が燃焼ゾーンに導入されるとき、第2粒子ストリーム中のコークスが少ない触媒粒子の少なくとも一部が、酸素浸漬ゾーン内で620℃~1,000℃の範囲の酸化温度で少なくとも30秒の持続時間にわたって酸化的ガスと接触されて調整触媒粒子を生成し得る。一部の実施形態では、補充燃料が燃焼ゾーンに導入されず、電気ヒーターを用いて燃焼ゾーンに熱が供給されるとき、第2粒子ストリーム中のコークスが少ない触媒粒子は、酸素浸漬ゾーン内での酸化的ガスとの接触を回避することができる。
一部の実施形態では、調整触媒粒子の少なくとも一部が還元ゾーン内で還元性ガスと接触されて、コークス化触媒粒子より高い脱水素活性を有する再生触媒粒子を生成し得る。他の実施形態では、補充燃料が燃焼ゾーンに導入されず、その中で電気ヒーターを用いて熱を供給するとき、第2粒子ストリーム中のコークスが少ない触媒粒子の少なくとも一部が還元ゾーン内で還元性ガスと接触されて、コークス化触媒粒子の脱水素活性より高い脱水素活性を有する再生触媒粒子を生成し得る。本明細書で開示する触媒粒子は、追加量の炭化水素含有フィードとの再接触前に還元ステップを受けた後に改善された活性及び選択性を示すことが判明した。さらに、還元後の触媒粒子は、炭化水素含有フィードの存在下で10分以上にわたって改善された活性及び選択性を維持し得る。
一部の実施形態では、脱水素炭化水素(複数可)に富む第1気体ストリームが冷却されて、冷却気体ストリームを生成し得る。冷却気体ストリームの少なくとも一部が圧縮されて、圧縮気体ストリームを生成し得る。圧縮気体ストリームから複数の生成物が分離され得る。
【0016】
炭化水素脱水素プロセス
炭化水素含有フィードは、任意の適切な変換ゾーン内で脱水素触媒粒子と接触されて炭化水素含有フィードの少なくとも一部の脱水素を引き起こして、コークス化触媒粒子及び1種以上の脱水素炭化水素を含み得る変換流出物を生成し得る。一部の実施形態では、変換流出物はベンゼンをも含み得る。一部の実施形態では、脱水素触媒粒子は、担体上に配置された第8~10族元素を含み得る。一部の実施形態では、炭化水素含有フィード及び脱水素触媒粒子は、流動床反応器で一般的に利用される連続型プロセス内に配置された変換ゾーン内で変換ゾーン内で接触され得る。一部の実施形態では、変換ゾーンはライザー反応器内に配置され得る。他の実施形態では、変換ゾーンはダウナー反応器内に配置され得る。さらに他の実施形態では、変換ゾーンはボルテックス反応器内に配置され得る。他の実施形態では、変換ゾーンは反応器内に配置され、流動脱水素触媒粒子が、炭化水素含有フィードとの接触中にその中で相対的に高密度の乱流又は高速流動床を形成できるようにし得る。相対的に高密度の乱流又は高速流動床とは、バブリング及び乱流床の遷移間の臨界速度と表される遷移速度より大きいが、ライザー反応器内におけるように脱水素触媒粒子が運ばれる空気輸送レジメを画定する輸送速度未満であるガス空塔速度の流動床を意味する。他の実施形態では、変換ゾーンは、高速流動又は乱流床として作動する下部セクションと、平均触媒流及び平均ガス流が同時に上向きであるライザーとして作動する上部セクションとを含む脱水素反応器と共に配置され得る。他の実施形態では、変換ゾーン及び燃焼ゾーンは、改造流動接触分解反応器-再生器ユニット内に位置し得る。改造流動接触分解反応器-再生器ユニットは以前に、本明細書に記載の脱水素プロセスで使用するために改変された流動接触分解プロセスの実施に利用されたことがあり得る。例えば、酸素浸漬ゾーン及び還元ゾーンが流動接触分解反応器-再生器に組み込まれて、適切な改造流動接触分解ユニットを提供し得る。
【0017】
いずれの数の反応器も直列及び/又は並列に操作され得る。いずれの2つ以上のタイプの反応器も互いに組み合わせて使用可能である。2つ以上の反応器が使用される場合、反応器は、同一条件及び/又は異なる条件で操作され、同一炭化水素含有フィード又は異なる炭化水素含有フィードを受け取り得る。2つ以上の反応器が使用される場合、反応器は相互に直列、並列、又はその組み合わせで配置され得る。一部の実施形態では、適切な反応器は、限定するものではないが、高ガス速度ライザー反応器、高ガス速度ダウナー反応器、ボルテックス反応器、相対的に高密度の流動触媒床を第1端部若しくは下端部に有し、かつ第2端部若しくは上端部に位置するライザー内に相対的に低密度の流動触媒を有する反応器、並行して及び/若しくは順次に操作され、相互に同一条件若しくは異なる条件で作動する複数のライザー反応器及び/若しくはダウナー反応器、又はその組み合わせであるか或いはこれらを含み得る。
【0018】
一部の実施形態では、脱水素触媒粒子は、空気作用によって反応システムを通って移動され得る。例えば、キャリア流体又は輸送流体によって、変換ゾーンに供給され、燃焼ゾーンに供給され、酸素浸漬ゾーンに供給され(該ステップが必要な場合)、2つ以上の場所をつなぐ導管を通って輸送される等である。輸送流体は、限定するものではないが、希釈剤、気体形態の1種以上の反応体、すなわち、1種以上のC2-C16アルカン、1種以上のC8-C16アルキル芳香族炭化水素、1種以上の脱水素炭化水素、若しくはその混合物であるか又はこれらを含み得る。適切な輸送流体は、限定するものではないが、分子窒素、揮発性炭化水素、例えばメタン、エタン、及び/若しくはプロパン等、アルゴン、一酸化炭素、二酸化炭素、水蒸気等であるか又はこれらを含み得る。輸送流体の量は、脱水素触媒粒子を流動状態に維持し、脱水素触媒粒子をある場所、例えば、燃焼ゾーンから第2の場所、例えば変換ゾーンまで輸送するのに十分な量であり得る。一部の実施形態では、輸送流体に対する脱水素触媒粒子の質量比は5、10、15、又は20から50、60、80、90、又は100までの範囲であり得る。輸送流体に適した注入点は、燃焼ゾーンと変換ゾーンのような任意の2つのゾーン又は他の場所をつなぐ任意の1つ以上の移送ラインに沿って複数点に設定され得る。
【0019】
炭化水素含有フィード及び脱水素触媒粒子は、300℃、350℃、400℃、450℃、500℃、550℃、600℃、620℃、630℃、640℃、650℃、660℃、670℃、680℃、690℃、又は700℃から725℃、750℃、760℃、780℃、800℃、825℃、850℃、875℃、又は900℃までの範囲の温度で接触され得る。一部の実施形態では、炭化水素含有フィード及び脱水素触媒粒子は、少なくとも620℃、少なくとも630℃、少なくとも640℃、少なくとも650℃、少なくとも660℃、少なくとも670℃、少なくとも680℃、少なくとも690℃、又は少なくとも700℃から725℃、750℃、760℃、780℃、800℃、825℃、850℃、875℃、又は900℃までの温度で接触され得る。
一部の実施形態では、炭化水素含有フィードは、変換ゾーンに導入され、その中で脱水素触媒粒子と≦5時間、≦4時間、≦3時間、≦1時間、≦0.5時間、≦0.1時間、≦3分、≦1分、≦30秒、又は≦0.1秒の持続時間若しくは時間にわたって接触され得る。他の実施形態では、炭化水素含有フィードは、変換ゾーンに導入され、その中で脱水素触媒粒子と0.1秒、1秒、1.5秒、2秒、又は2.5秒から3秒、5秒、10秒、20秒、30秒、45秒、1分、1.5分、2分、2.5分、又は3分までの範囲の時間にわたって接触され得る。一部の実施形態では、変換ゾーン内の脱水素触媒粒子の平均滞留時間は、≦7分、≦6分、≦5分、≦4分、≦3分、≦2分、≦1.5分、≦1分、≦45秒、≦30秒、≦20秒、≦15秒、≦10秒、≦7秒、≦5秒、≦3秒、≦2秒、又は≦1秒であり得る。一部の実施形態では、変換ゾーン内の脱水素触媒粒子の平均滞留時間は、変換ゾーン内の気体成分、例えば、炭化水素含有フィード及びそれから得られる変換流出物の平均滞留時間より長い可能性がある。
【0020】
炭化水素含有フィード及び脱水素触媒粒子は、少なくとも20kPa絶対圧の炭化水素分圧下で接触され得る。この炭化水素分圧は、炭化水素含有フィード中のいずれものC2-C16アルカン及びいずれものC8-C16アルキル芳香族炭化水素の総分圧である。一部の実施形態では、炭化水素含有フィードと脱水素触媒粒子の接触中の炭化水素分圧は、20kPa絶対圧、50kPa絶対圧、100kPa絶対圧、150kPa、200kPa、300kPa絶対圧、500kPa絶対圧、750kPa絶対圧、又は1,000kPa絶対圧から1,500kPa絶対圧、2,500kPa絶対圧、4,000kPa絶対圧、5,000kPa絶対圧、7,000kPa絶対圧、8,500kPa絶対圧、又は10,000kPa絶対圧までの範囲であり得る。この炭化水素分圧は、炭化水素含有フィード中のいずれものC2-C16アルカン及びいずれものC8-C16アルキル芳香族炭化水素の総分圧である。
一部の実施形態では、炭化水素含有フィードは、炭化水素含有フィードの総体積に基づいて、少なくとも60vol%、少なくとも65vol%、少なくとも70vol%、少なくとも75vol%、少なくとも80vol%、少なくとも85vol%、少なくとも90vol%、少なくとも95vol%、又は少なくとも99vol%の単一C2-C16アルカン、例えば、プロパンを含み得る。一部の実施形態では、炭化水素含有フィード及び脱水素触媒粒子は、少なくとも20kPa絶対圧、少なくとも50kPa絶対圧、少なくとも70kPa絶対圧、少なくとも100kPa絶対圧、少なくとも150kPa絶対圧、又は少なくとも250kPa絶対圧から300kPa絶対圧、400kPa絶対圧、500kPa絶対圧、又は1,000kPa絶対圧までの単一C2-C16アルカン、例えば、プロパンの圧力下で接触され得る。
【0021】
炭化水素含有フィードは、変換ゾーン内で脱水素プロセスの実施に有効な任意の質量毎時空間速度(WHSV)にて脱水素触媒粒子と接触され得る。一部の実施形態では、WHSVは、0.1時間-1、0.2時間-1、0.4時間-1、0.8時間-1、2時間-1、4時間-1、又は8時間-1から16時間-1、32時間-1、64時間-1、100時間-1、250時間-1、500時間-1、750時間-1、又は1,000時間-1までであり得る。一部の実施形態では、脱水素触媒粒といずれものC2-C16アルカン及びいずれものC8-C16アルキル芳香族炭化水素の合計量の比は、質量対質量基準で1、3、5、10、15、20、25、30、又は40から50、60、70、80、90、100、110、125、又は150までの範囲であり得る。
一部の実施形態では、変換ゾーン内の流動脱水素触媒粒子の少なくとも一部が除去され、脱水素触媒粒子が加熱され得る熱投入装置に供給され、加熱触媒粒子は変換ゾーンに戻って供給され得る。変換ゾーン内で起こる反応が吸熱性なので、炭化水素含有フィードとある程度接触した後に流動脱水素触媒粒子の一部を変換ゾーンから除去して、温度をさらに上げることは有益であり得る。熱は、電気ヒーター、又は触媒粒子を間接的に加熱するために典型的に使用される任意の他の適切なヒーターによって供給されるいずれの適切な伝熱媒体からも間接的に伝達され得る。別の実施形態では、変換ゾーン内に熱を直接加えることができる。
【0022】
一部の実施形態では、炭化水素含有フィードは、変換ゾーンへの導入前に、場合により1つ以上の前処理プロセスを受け得る。一部の実施形態では、炭化水素含有フィードは、≦620℃までの温度に予熱され、予熱温度又はそれに近い温度の変換ゾーンに導入され得る。一部の実施形態では、炭化水素含有フィードは、いずれもの硫黄化合物の少なくとも一部、いずれもの窒素化合物の少なくとも一部、いずれものメタンの少なくとも一部、いずれものC2炭化水素の少なくとも一部、いずれものC4+炭化水素の少なくとも一部、又はその任意の組み合わせを除去するために処理されて前処理炭化水素含有フィードを生成し、これが変換ゾーンに導入され得る。他の実施形態では、炭化水素含有フィードは、それに1種以上の添加剤、例えば1種以上の硫黄化合物を添加することによって処理されて前処理炭化水素含有フィードを生成し、これが変換ゾーンに導入され得る。
【0023】
コークス化触媒粒子に富み、かつ1種以上の脱水素炭化水素が少ない第1粒子ストリーム及び1種以上の脱水素炭化水素に富む第1気体ストリームは、変換流出物から任意の適切な装置によって分離され得るか又は他の方法で得られる。一部の実施形態では、第1粒子ストリーム及び第1気体ストリームは、変換流出物から1つ以上の固体・気体衝突捕集(solid-gas impingement)分離器、例えば、1つ以上のサイクロン分離器によって得ることができる。一部の実施形態では、サイクロン分離器は、正圧と負圧の両配置を含む2段階若しくは「連結」配置であるか又はこれを含み得る。一部の実施形態では、適切なサイクロン分離器は、米国特許第4,502,947号;第4,985,136号;及び第5,248,411号に開示されたものを含み得る。他の実施形態では、第1粒子ストリーム及び第1気体ストリームは、コークス化触媒粒子の大半を重力によって一方向に流し、気体成分を他の方向に流すことができる「T」形導管を介して変換流出物から得ることができる。
一部の実施形態では、1種以上の脱水素炭化水素に富む第1気体ストリームは、同伴コークス化触媒粒子をも含み得る。該実施形態では、コークス化触媒粒子に富み、かつ1種以上の脱水素炭化水素が少ない第1粒子ストリームは、変換流出物中の脱水素触媒粒子の>95%、>96%、>97%、>98%、又は>99%、>99.9%、>99.99%を含み得る。従って、一部の実施形態では、1種以上の脱水素炭化水素に富む第1気体ストリームは、変換流出物中の脱水素触媒粒子の>0.001%、>0.005%、>0.01%、>0.05%、>0.1%、>0.5%、>1%、又は>1.5%から3%、4%、又は5%までの量で同伴コークス化触媒粒子を含み得る。
【0024】
一部の実施形態では、第1粒子ストリーム中のコークス化触媒粒子の少なくとも一部が燃焼ゾーン内で1種以上の酸化剤及び、場合により、1種以上の炭化水素燃料と接触されて、コークスの少なくとも一部及び、存在する場合、燃料の燃焼を引き起こして、コークスが少ない触媒粒子及び燃焼ガスを含み得る燃焼流出物を生成し得る。他の実施形態では、第1粒子ストリーム中のコークス化触媒粒子の少なくとも一部が燃焼ゾーン内で補充燃料の非存在下で1種以上の酸化剤と接触されてコークスの少なくとも一部の燃焼を引き起こして、コークスが少ない触媒粒子及び燃焼ガスを含み得る燃焼流出物を生成し得る。一部の実施形態では、補充燃料が燃焼ゾーンに導入されないとき、電気ヒーター又は他の加熱装置を用いて燃焼ゾーンに熱を供給することができる。燃料が使用されるとき、一部の実施形態では、燃焼ゾーンは、平均触媒流及び平均ガス流が同時に上向きであり得るライザーを含み得る。一部の実施形態では、燃焼ゾーンは、高速流動、乱流、又はバブリング床として作動する下部セクションと、平均触媒流及び平均ガス流が同時に上向きであり得るライザーとして作動する上部セクションとを含み得る。一部の実施形態では、燃焼ゾーンは、平均触媒流が下向きで、平均ガス流が上向きであり得る高速流動、乱流、又はバブリング床を含み得る。このソーキング(soaking)ゾーンは、高速流動、乱流、又はバブリング床反応器内で生じる可能性があり、このゾーンでは平均触媒流が下向きで、平均ガス流が上向きであり得る。上向きに移動する燃焼ガスに同伴されたコークスが少ない触媒粒子の分離及び上向きに移動する酸化的ガスに同伴された調整触媒粒子の分離は、同セットの分離装置内で起こり得る。燃料が使用されないとき、燃焼ゾーンは、上記酸素浸漬ゾーンとしても機能し得る。一部の実施形態では、酸素浸漬ゾーンと燃焼ゾーンの相互の配置は、米国特許第10,647,634号及び第10,688,477号、並びに国際公開第WO2020/263544号で配置及び記載されている酸素浸漬ゾーン及び燃焼ゾーンの配置方法と同一であるか又は類似し得る。
【0025】
酸化剤は、限定するものではないが、分子酸素、オゾン、二酸化炭素、水蒸気、若しくはその混合物であるか又はこれらを含み得る。一部の実施形態では、コークス化触媒粒子上のコークスの100%を燃焼するのに必要な量を超える量の酸化剤を用いて、触媒粒子からのコークス除去率を高めることができ、結果として、コークス除去に必要な時間を短縮することができ、所与の時間内に生成されるアップグレードされた生成物の収率増加につながり得る。任意的燃料は、限定するものではないが、分子水素、メタン、エタン、プロパン、液化石油ガス、若しくはその混合物であるか又はこれらを含み得る。任意的燃料は、不活性ガス、例えばアルゴン、ネオン、ヘリウム、分子窒素、メタン、又はその混合物と混合され得る。
【0026】
コークス化触媒粒子及び酸化剤及び、存在する場合、燃料は、互いに500℃、550℃、600℃、650℃、700℃、750℃、又は800℃から900℃、950℃、1,000℃、1,050℃、又は1,100℃までの範囲の温度で接触されて燃焼流出物を生成し得る。一部の実施形態では、コークス化触媒粒子及び酸化剤及び、存在する場合、燃料は、互いに500℃~1,100℃、600℃~1,100℃、600℃~1,000℃、650℃~950℃、700℃~900℃、又は750℃~850℃の範囲の温度で接触されて燃焼流出物を生成し得る。コークス化触媒粒子及び酸化剤及び、存在する場合、燃料は、互いに20kPa絶対圧、50kPa絶対圧、70kPa絶対圧、100kPa絶対圧、150kPa絶対圧、又は200kPa絶対圧から300kPa絶対圧、500kPa絶対圧、750kPa絶対圧、又は1,000kPa絶対圧までの範囲の酸化剤分圧下で接触されて燃焼流出物を生成し得る。
コークス化触媒粒子及び酸化剤及び、存在する場合、燃料は、互いに0.1秒、0.5秒、1秒、3秒、5秒、10秒、15秒、30秒、1分、2分、又は5分から10分、20分、30分、40分、50分、又は60分までの範囲の時間にわたって接触され得る。例えば、コークス化触媒粒子及び酸化剤及び、存在する場合、燃料は、互いに0.5秒から50分、55分、又は60分までの範囲の時間にわたって接触され得る。一部の実施形態では、コークス化触媒粒子及び酸化剤及び、存在する場合、燃料は、触媒粒子上に配置されたいずれものコークスの≧50wt%、≧75wt%、又は≧90wt%又は>99%を除去するのに十分な時間にわたって接触され得る。
【0027】
一部の実施形態では、コークス化触媒粒及び酸化剤及び、存在する場合、燃料が互いに接触する時間は、触媒粒子が炭化水素含有フィードと接触して変換流出物を生成する時間より長い可能性がある。例えば、コークス化触媒粒子及び酸化剤及び、存在する場合、燃料が互いに接触する時間は、触媒粒子が炭化水素含有フィードと接触して変換流出物を生成する時間より少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも300%、少なくとも500%、少なくとも1,000%、少なくとも10,000%、少なくとも30,000%、少なくとも50,000%、少なくとも75,000%、少なくとも100,000%、少なくとも250,000%、少なくとも500,000%、少なくとも750,000%、少なくとも1,000,000%、少なくとも1,250,000%、少なくとも1,500,000%、少なくとも1,800,000%、少なくとも2,500,000%、少なくとも3,500,000%、又は4,140,000%長い可能性がある。
理論によって束縛されることを望むものではないが、コークス化触媒粒子中の担体上に配置された金属元素、例えば、第8~10族元素、例えばPtの少なくとも一部は、炭化水素含有フィードとの接触前の触媒粒子に比べて凝集され得ると考えられる。コークス化触媒粒子上のコークスの少なくとも一部の燃焼中に、金属元素、例えば、第8~10族元素少なくとも一部が担体の周囲に再分散され得ると考えられる。いずれもの凝集金属元素、例えば、第8~10族元素の少なくとも一部を再分散させると、多サイクルにわたって触媒粒子の脱水素活性を高め、選択性を改善することができる。
【0028】
一部の実施形態では、第2粒子ストリーム中のコークスが少ない触媒粒子の少なくとも一部が酸素浸漬ゾーン内で酸化的ガスと接触されて調整触媒粒子を生成し得る。好ましくは、燃料が燃焼ゾーンに導入されるときに第2粒子ストリーム中のコークスが少ない触媒粒子が酸素浸漬ゾーン内で酸化的ガスと接触され得る。燃料が燃焼ゾーンに導入されず、電気的又は他の加熱装置を用いて燃焼ゾーンに熱が供給されるとき、第2粒子ストリーム中のコークスが少ない触媒粒子は、以下にさらに詳述する還元ゾーンに直接送られ得る。そのため、酸化的ガスとの接触を受ける必要がない。しかしながら、燃料が燃焼ゾーンに導入されないときには、第2粒子ストリーム中のコークスが少ない触媒粒子は、望ましい場合には、酸素浸漬ゾーン内で酸化的ガスと接触されることもあることを理解すべきである。また、燃料が燃焼ゾーンに導入されないときには、燃焼ゾーンと酸素浸漬ゾーンが、コークス燃焼と酸素浸漬の両方のための単一ゾーンに統合され、コークス燃焼と酸素浸漬の両方のために単一の酸化的ガスが使用され得ることをも理解すべきである。該実施形態では、用語「コークスが少ない触媒粒子」及び「調整触媒粒子」は同一の触媒粒子ストリームを意味する。
【0029】
一部の実施形態では、第2粒子ストリーム中のコークスが少ない触媒粒子は、620℃、650℃、675℃、700℃、又は750℃から800℃、850℃、900℃、950℃、又は1,000℃までの範囲の酸化温度で酸化的ガスと接触されて調整触媒粒子を生成し得る。一部の実施形態では、第2粒子ストリーム中のコークスが少ない触媒粒子は、酸化的ガスと20秒、30秒、1分、2分、3分、又は5分から10分、15分、20分、25分、30分、40分、50分、又は60分までの範囲の持続時間又は時間にわたって接触されて調整触媒粒子を生成し得る。調整触媒粒子は、コークス化触媒粒子の脱水素活性より低い脱水素活性を有し得る。一部の実施形態では、酸素浸漬ゾーンに導入される酸化的ガスは、≦5モル%、≦3モル%、≦1モル%、≦0.5モル%、又は≦0.1モル%のH2Oを含み得る。酸化的ガスと第2粒子ストリーム中のコークスが少ない触媒粒子の接触を「乾燥空気浸漬」と呼ぶこともある。酸素浸漬ゾーン内の酸化的ガス及びいずれもの他の気体成分は≦5モル%、≦3モル%、≦1モル%、≦0.5モル%、又は≦0.1モル%のH2Oを含むことを理解すべきである。
驚くべきかつ予想外に、任意的燃料の存在下で生成されたコークスが少ない触媒粒子を5モル%以下のH2Oを含む酸化的ガスと接触させると、以下にさらに詳述する還元性ガスとの接触を経て生成される再生触媒の活性及び/又は選択性を顕著に改善できることが判明した。理論によって束縛されることを望むものではないが、酸化的ガス中に存在するか又は燃焼生成物として生成されるH2Oは、第8~10族元素、例えば、Ptの再分散の有効性、ひいては再生触媒の有効性を著しく減じる可能性があると考えられる。
【0030】
一部の実施形態では、燃料が燃焼ゾーンに導入されないときには第2粒子ストリーム中のコークスが少ない触媒粒子の少なくとも一部、又は燃料が燃焼ゾーンに導入されるときには調整触媒粒子の少なくとも一部が、還元ゾーン内で還元性ガスと接触されて再生触媒粒子を生成し得る。適切な還元性ガス(還元剤)は、限定するものではないが、分子水素、一酸化炭素、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、水蒸気、若しくはその混合物であるか又はこれらを含み得る。一部の実施形態では、還元性ガスは、不活性ガス、例えばアルゴン、ネオン、ヘリウム、分子窒素、又はその混合物と混合され得る。該実施形態では、再生触媒粒子中の金属元素、例えば、第8~10族元素の少なくとも一部が、第2粒子ストリーム中のコークスが少ない触媒粒子中の金属元素、例えば、第8~10族元素と比べて(燃料が燃焼ゾーンに導入されないとき)、及び調整触媒粒子中の金属元素と比べて低い酸化状態、例えば、元素状態に還元され得る。
一部の実施形態では、第2粒子ストリーム中のコークスが少ない触媒粒子又は調整触媒粒子と還元性ガスは400℃、450℃、500℃、550℃、600℃、620℃、650℃、又は670℃から720℃、750℃、800℃、又は900℃までの範囲の温度で接触され得る。第2粒子ストリーム中のコークスが少ない触媒粒子又は調整触媒粒子と還元性ガスは0.1秒、1秒、2秒、5秒、10秒、20秒、30秒、60秒、又は75秒から100秒、200秒、300秒、600秒、又は1,000秒、又は1,800秒までの範囲の持続時間又は時間にわたって接触され得る。第2粒子ストリーム中のコークスが少ない触媒粒子又は調整触媒粒子と還元性ガスは、20kPa絶対圧、50kPa絶対圧、70kPa絶対圧、100kPa絶対圧、150kPa絶対圧、又は200kPa絶対圧から300kPa絶対圧、500kPa絶対圧、750kPa絶対圧、又は1,000kPa絶対圧までの範囲の還元性ガス分圧で接触され得る。
【0031】
一部の実施形態では、コークス化触媒粒子に富む第1粒子ストリーム中のコークス化触媒粒子の第1部分が、その上に配置されたコークスの燃焼のために燃焼ゾーンに供給され、第1粒子ストリーム中のコークス化触媒粒子の第2部分がそのまま変換ゾーンに戻って再循環され得る。一部の実施形態では、コークス化触媒粒子に富む第1粒子ストリーム中のコークス化触媒粒子の第1部分が、その上に配置されたコークスの燃焼のために燃焼ゾーンに供給され、コークス化触媒粒子の第2部分が還元ゾーンに供給され得る。他の実施形態では、コークス化触媒粒子に富む第1粒子ストリーム中のコークス化触媒粒子の第1部分が、その上に配置されたコークスの燃焼のために燃焼ゾーンに供給され、コークス化触媒粒子の第2部分がそのまま変換ゾーンに戻って再循環され、コークス化触媒粒子の第3部分が還元ゾーンに供給され得る。他の実施形態では、コークス化触媒粒子に富む第1粒子ストリーム中のコークス化触媒粒子の第1部分が、その上に配置されたコークスの燃焼のために燃焼ゾーンに供給され、コークス化触媒粒子の第2部分がそのまま変換ゾーンに戻って再循環され、コークス化触媒粒子の第3部分が酸素浸漬ゾーンに供給され、コークス化触媒粒子の第4部分が還元ゾーンに供給され得る。これらの実施形態のいずれでも、連続的又は断続的に、コークス化触媒粒子の一部、第2粒子ストリーム中の触媒粒子の一部、調整触媒粒子の一部、及び/又は再生触媒粒子の一部がプロセスから除去され、新しい又は補給触媒粒子がプロセスに導入され得る。触媒粒子の除去は、触媒粒子が分解して小さくなり、不活化してきて、及び/又は望ましくない転化率で炭化水素含有フィードを変換し始めるにつれて行われ得る。一部の実施形態では、いずれもの除去された触媒粒子の少なくとも一部が金属再生利用施設に運搬され、そこで金属が回収され得る。
【0032】
コークス化触媒粒子の少なくとも一部、第2粒子ストリーム中のコークスが少ない触媒粒子の少なくとも一部、調整触媒粒子の少なくとも一部、再生触媒粒子の少なくとも一部、新しい若しくは補給触媒粒子、又はその任意の混合物が、変換ゾーン内で追加量の炭化水素含有フィードと接触されて追加の変換流出物及び再コークス化触媒粒子を生成し得る。一部の実施形態では、炭化水素含有フィードと触媒粒子の接触から追加量の炭化水素含有フィードと再生粒子の少なくとも一部の接触までのサイクル時間は、≦5時間、≦4時間、≦3時間、≦2時間、≦70分、≦60分、≦45分、又は≦30分、例えば、1分~70分又は5分~45分であり得る。
一部の実施形態では、1種以上の追加フィード、例えば、1種以上のストリッピング流体を利用して、触媒粒子からいずれもの同伴気体成分の少なくとも一部を除去することができる。一部の実施形態では、コークス化触媒粒子は、酸化剤との接触前にストリッピング流体と接触されて、いずれものアップグレードされた同伴炭化水素及び/又は分子水素、及び/又は他の気体成分の少なくとも一部を除去し得る。同様に、第2粒子ストリーム中のコークスが少ない触媒粒子、調整触媒粒子、及び/又は再生触媒粒子は、ストリッピングガスと接触されて、該触媒粒子からいずれもの同伴燃焼ガス、酸化的ガス、又は還元性ガスの少なくとも一部を除去し得る。一部の実施形態では、ストリッピングガスは、脱水素、燃焼、及び/又は還元条件下で不活性であり得る。適切なストリッピング流体は、限定するものではないが、分子窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素、水蒸気、メタン、若しくはその混合物であるか又はこれらを含み得る。ストリッピングガスは、触媒粒子1立方メートル当たり約0.1m3~10m3のストリッピングガスの体積比でコークス化触媒粒子、再生触媒粒子、及び/又は再生還元触媒粒子と接触され得る。
【0033】
上述したように、第1サイクルは、触媒粒子が炭化水素含有フィードと接触すると始まり、その後少なくとも酸化剤及び還元性ガスと接触して再生触媒粒子を生成し、第1サイクルは、再生触媒粒子が追加量の炭化水素含有フィードと接触すると終わる。例えば、コークス化触媒粒子から残留炭化水素をストリップするためにいくらかの掃引流体が利用される場合、該掃引流体が利用される時間は、サイクル時間に含まれることになる。
一実施形態では、ライザー構造が装備されることがあり、この構造では、ライザー内で炭化水素含有フィードが希釈ガスと混合され、加熱流動触媒粒子と接触され得る。希釈ガスは、限定するものではないが、分子窒素、メタン、水蒸気、分子水素、若しくはその混合物であるか又はこれらを含み得る。混合ガスは、ライザーを経て流動触媒粒子を対流によって移動させるか又は他の方法で運びながら、該混合物がライザーを通って流れるにつれて接触及び反応して、1種以上の脱水素炭化水素及びコークス化触媒粒子を含む変換流出物を生成することができる。炭化水素含有フィード及び流動触媒粒子の滞留時間は、炭化水素含有フィードの1種以上の脱水素炭化水素への望ましい転化率を達成するのに十分であり得る。製作及び寸法を含め、ライザーの具体的デザインは、少なくとも部分的に、意図した化学によって決まり得るが、典型的に平均ガス組成下で4.5m/秒を超える速度を必要とし得る。
炭化水素含有フィードの脱水素の実施に適したシステムとしては、米国特許第3,888,762号;第7,102,050号;第7,195,741号;第7,122,160号;及び第8,653,317号;米国特許出願公開第2004/0082824号;第2008/0194891号;及び国際公開第WO2001/85872号;第WO2004/029178号;及び第WO2005/077867号で開示された流動反応器等の技術上周知のシステムが挙げられる。
【0034】
第1気体ストリームは、冷却されて冷却気体ストリームを生成し得る。一部の実施形態では、第1気体ストリームは、1つ以上の熱交換器内で第1気体ストリームから熱を伝熱媒体に移動させることによって、クエンチ媒体との直接接触によって、又はその組み合わせによって、間接的熱交換を経て冷却され得る。一部の実施形態では、第1気体ストリームは、間接的熱交換だけで冷却されて冷却気体ストリームを生成し得る。他の実施形態では、第1気体ストリームは、クエンチ媒体との直接接触だけで冷却され得る。他の実施形態では、第1気体ストリームは、間接的熱交換によってもクエンチ媒体との直接接触によってもいずれの順序又はシーケンスでも冷却され得る。
一部の実施形態では、第1気体ストリームは、熱を間接的に任意の適切な伝熱媒体に移動させることによって間接的に冷却され得る。変換ゾーン、水、水蒸気、他の炭化水素ストリーム、又はその任意の組み合わせに導入され得る予熱炭化水素含有フィードを生成するために適切な伝熱媒体は、限定するものではないが、炭化水素含有フィードであるか又これを含み得る。第1気体ストリームから伝熱媒体への間接的熱移動のためにいずれの適切な熱交換器をも使用可能である。
【0035】
一部の実施形態では、第1気体ストリームは、第1クエンチ媒体と接触されて冷却気体ストリームを生成し得る。例えば、分離装置又は気固分離器がサイクロンであるとき、第1気体ストリームは、サイクロンのプレナム内で第1クエンチ媒体と接触され得る。複数のサイクロンが直列に用いられるとき、第1気体ストリームは、複数のサイクロンの間又はその後の任意の場所で第1クエンチ媒体と接触され得る。他の実施形態では、第1気体ストリームは、分離装置又は気固分離器の出口及びクエンチ塔と流体連絡している移送ライン内で接触され得る。
一部の実施形態では、第1クエンチ媒体は、第1気体ストリームとの接触時に気相、液相、又は気相と液相の混合相中にあり得る。一部の実施形態では、第1クエンチ媒体は、第1気体ストリームとの接触時に液相中にあり得、第1気体ストリームと接触した後は完全に気相中にあり得る。
一部の実施形態では、第1気体ストリームは、最初に第1クエンチ媒体と接触されるとき及び/又は伝熱媒体への熱の間接的移動のために熱交換器に導入されるとき、≧600℃、≧620℃、≧630℃、≧640℃、≧650℃、≧660℃、≧670℃、≧680℃、又は≧700℃の温度であり得る。一部の実施形態では、冷却気体ストリームは、第1クエンチ媒体との接触前又は熱交換器への導入前の第1気体ストリームの温度より少なくとも10℃、少なくとも20℃、少なくとも30℃、少なくとも60℃、80℃、又は少なくとも100℃低い温度であり得る。一部の実施形態では、冷却気体ストリームは500℃、515℃、530℃、550℃、又は560℃から575℃、590℃、600℃、610℃、又は620℃までの範囲の温度であり得る。一部の実施形態では、冷却気体ストリームは、≧500℃又は≧550℃から<620℃までの温度であり得る。
【0036】
一部の実施形態では、冷却気体ストリームは、クエンチ塔内に配置された接触ゾーン内で第2クエンチ媒体と接触され得る。一部の実施形態では、第2クエンチ媒体は、クエンチ塔内で冷却気体ストリームと向流的に接触され得る。例えば、冷却気体ストリームは、クエンチ塔に第2クエンチ媒体の下に導入されてクエンチ塔内で上向きに流れ、第2クエンチ媒体は、クエンチ塔内で下向きに流れ得る。一部の実施形態では、第2クエンチ媒体は、クエンチ塔に1つ以上のノズルを経て導入され得る。
上述したように、一部の実施形態では、第1気体ストリームは、その中に同伴コークス化触媒粒子を含み得る。該実施形態では、1種以上の脱水素炭化水素を含み、実質的に又は全く同伴コークス化触媒粒子を含まない第3気体ストリームがクエンチ塔からオーバーヘッドとして回収され、第2クエンチ媒体の少なくとも一部及び同伴コークス化触媒粒子を含み得るスラリーストリームがクエンチ塔からボトムとして回収され得る。一部の実施形態では、同伴コークス化触媒粒子は液体とより強く相互作用し得るので、第2クエンチ媒体が液体のままであれば、同伴コークス化触媒粒子は第2クエンチ媒体に同伴され得る。一部の実施形態では、同伴コークス化触媒粒子を実質的に含まない第3気体ストリームは<10wt%、<5wt%、<3wt%、<1wt%、<0.5wt%、<0.1wt%、<0.01wt%、又は<0.001wt%のいくらかの同伴コークス化触媒粒子を含み得る。一部の実施形態では、気体ストリームは50℃、100℃、又は150℃から200℃、250℃、又は300℃までの範囲の温度であり得る。
【0037】
第1気体ストリームが直接第1クエンチ媒体と接触されると、凝縮第1クエンチ媒体ストリームがクエンチ塔からサイドドローとして回収され、凝縮第1クエンチ媒体の少なくとも一部が再循環されて追加量の第1気体ストリームと接触し得る。一部の実施形態では、クエンチ塔から回収される凝縮第1クエンチ媒体は、50℃、60℃、又は70℃から80℃、100℃、又は120℃までの範囲の温度であり得る。
第1気体ストリームが同伴触媒粒子を含むとき、第2クエンチ媒体の少なくとも一部及び同伴コークス化触媒粒子を含み得るスラリーストリームがクエンチ塔からボトムストリームとして回収され得る。一部の実施形態では、クエンチ塔内のボトムゾーンは、スラリーストリームのインベントリ(inventory)を含有することがあり、結果として、クエンチ塔から回収されるスラリーストリームはこのインベントリから引き出され得る。スラリーストリームは、クエンチ塔から回収されるときに150℃、200℃、又は250℃から300℃、400℃、又は500℃までの範囲の温度であり得る。
【0038】
一部の実施形態では、クエンチ塔は、冷却気体ストリームの第3気体ストリーム、第1クエンチ媒体ストリーム(使用時)、及びスラリーストリームへの分離を促進し得る1つ以上の内部構造物を含み得る。例となる内部構造物としては、限定するものではないが、トレイ、グリッド、パッキング、又はその任意の組み合わせが挙げられる。例となるトレイとしては、限定するものではないが、固定弁トレイ、ジェットタブトレイ、シーブトレイ、デュアルフロートレイ、バッフルトレイ、角鉄トレイ、ドローオフ(draw off)トレイ、シェドデック(shed deck)トレイ、ディスクトレイ、ドーナツトレイ(donut tray)、サイドバイサイドスプラッシュトレイ(side by side-splash tray)、又はその任意の組み合わせが挙げられる。適切な固定弁トレイ、シーブトレイ、デュアルフロートレイ、及びグリッドとしては、Distillation Design, Henry Z. Kister, McGraw-Hill Inc., 1992, 262~265ページ及び464~466ページに開示されたものが挙げられる。適切なジェットタブトレイとしては、国際公開第WO2011/014345号に開示されたものが挙げられる。
一部の実施形態では、クエンチ塔内のプロセス条件が、同伴コークス化触媒粒子がクエンチ塔からオーバーヘッドとして回収される第3気体ストリーム中に留まり得るようであれば、第3気体ストリームはさらなる処理を受け得る。一部の実施形態では、クエンチ塔からオーバーヘッドとして回収される第3気体ストリームが少しでも同伴コークス化触媒粒子を含む場合、第3気体ストリームは、さらに1つ以上の静電式集塵器、1つ以上のフィルター、1つ以上のスクリーン、1つ以上の膜、湿式気体スクラバー、吸収捕捉剤との接触、1つ以上の追加のクエンチ塔、1つ以上のエレクトロサイクロン、1つ以上のヒドロサイクロン、1つ以上の遠心分離機、1つ以上のプレート若しくはコーン、又はその任意の組み合わせによって分離されて、気体ストリームから同伴コークス化触媒粒子の少なくとも一部を除去し得る。
【0039】
一部の実施形態では、炭化水素含有フィードが水を含み、及び/又は脱水素反応中に水が生成され、結果として変換流出物が水を含有する場合、水ストリームがクエンチ塔からの第2サイドドローとしてクエンチ塔から回収され得る。該実施形態では、水ストリームはプロセスから除去され、水ストリームの一部がクエンチ塔の上部セクションに再循環されて、クエンチ塔内の冷却気体ストリームからの同伴コークス化触媒微粉、第1クエンチ媒体、及び第2クエンチ媒体、又はその組み合わせの分離をさらに促進し得る。一部の実施形態では、水ストリームの少なくとも一部が気化され、変換ゾーンの入口に炭化水素含有フィード用のコフィードとして再循環されることもある。
第1クエンチ媒体及び第2クエンチ媒体は、独立に、限定するものではないが、1種以上の芳香族炭化水素、水、若しくはその混合物であるか又はそれらを含み得る。一部の実施形態では、芳香族炭化水素は、ベンゼン、1種以上の単置換ベンゼン、1種以上の二置換ベンゼン、1種以上の多置換ベンゼン、及び/若しくは<580℃の標準沸点を有する1種以上の多環芳香族炭化水素であるか又はこれらを含み得る。一部の実施形態では、多環芳香族炭化水素は<580℃、<550℃、<500℃、<400℃、<300℃、<200℃、又は<100℃の標準沸点を有し得る。適切な芳香族炭化水素は、限定するものではないが、ベンゼン、トルエン、クメン、エチルベンゼン、キシレン、メチルエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルナフタレン、A-100溶媒混合物、A-150溶媒混合物、A-200溶媒混合物、A-250溶媒混合物、中間留出物、超低硫黄ディーゼル、重質軽油、若しくはその任意の混合物であるか又はこれらを含み得る。
一部の実施形態では、第2クエンチ媒体は、低表面張力、高熱安定性、及び低毒性を有し得る。一部の実施形態では、第1クエンチ媒体は、限定するものではないが、ベンゼンであるか又はベンゼンを含み得、第2クエンチ媒体は、限定するものではないが、A-100溶媒混合物、A-150溶媒混合物、A-200溶媒混合物、A-250溶媒混合物、中間留出物、超低硫黄ディーゼル、重質軽油、若しくはその任意の混合物であるか又はこれらを含み得る。
【0040】
一部の実施形態では、第1クエンチ媒体の組成と第2クエンチ媒体の組成は同一又は異なり得る。一部の実施形態では、第1クエンチ媒体及び第2クエンチ媒体の組成は、同一である1種以上の成分及び異なる1種以上の成分を含み、結果として第1クエンチ媒体及び第2クエンチ媒体の組成の一部は同一であり、第1クエンチ媒体及び第2クエンチ媒体の組成の一部は異なる。一部の実施形態では、第2クエンチ媒体は、第1クエンチ媒体の標準沸点より高い標準沸点を有し得る。一部の実施形態では、第2クエンチ媒体は、第1クエンチ媒体の標準沸点より低い標準沸点を有し得る。一部の実施形態では、第1クエンチ媒体はベンゼンであるか又はベンゼンを含み得、第2クエンチ媒体は1種以上の多環芳香族炭化水素を含み得る。一部の実施形態では、第1クエンチ媒体及び/又は第2クエンチ媒体が使用されないこともある。
一部の実施形態では、第1気体ストリームに対する第1クエンチ媒体の質量比は0.01、0.05、又は0.08から0.1、0.2、又は0.3までの範囲であり得る。一部の実施形態では、冷却気体ストリームに対する第2クエンチ媒体の質量比は0.01、0.1、又は0.3から0.5、1、2、又は5までの範囲であり得る。一部の実施形態では、第2クエンチ媒体に対する第1クエンチ媒体の質量比は0.002、0.02、又は0.2から1、5、又は10までの範囲であり得る。
【0041】
第1気体ストリームが同伴コークス化触媒粒子を含むとき、同伴コークス化触媒粒子の少なくとも一部がスラリーから分離されて、いずれの同伴コークス化触媒粒子も少ないか又は含まれない回収第2クエンチ媒体及び回収同伴コークス化触媒粒子ストリームもたらし得る。一部の実施形態では、回収第2クエンチ媒体の少なくとも一部がクエンチ塔に再循環されてその中で追加量の第1冷却気体ストリームと接触し得る。
一部の実施形態では、同伴コークス化触媒粒子は、スラリーから1つ以上の液固分離装置によって分離され得る。適切な液固分離装置は、限定するものではないが、1つ以上のフィルター、1つ以上の膜、1つ以上のスクリーン、1つ以上の遠心分離機、1つ以上の沈降タンク、若しくはその任意の組み合わせであるか又はこれらを含み得る。一部の実施形態では、2つ以上の液固分離装置が並行して使用され得る。結果として少なくとも1つの第1液固分離装置が濾過モードで操作され、同時に少なくとも1つの第2液固分離装置が逆洗モードで操作されて、分離装置から収集コークス化触媒粒子を除去し得る。濾過モード及び逆洗モードは周期的に交替され得る。一部の実施形態では、2つ以上のフィルターを用いてスラリーから同伴コークス化触媒粒子を分離するとき、逆洗モードは、フィルターから分離されたコークス化触媒粒子を除去するために逆流方向の逆洗モードである少なくとも1つのフィルターを通る少なくとも1つの圧縮ガスパルスを含み得る。一部の実施形態では、燃焼ゾーンから回収された燃焼ガス又は煙道ガスが、フィルターを逆洗するためのガスとして使用され得る。一部の実施形態では、液体ストリームがフィルターを逆洗するために使用され得る。一部の実施形態では、スラリーから同伴コークス化触媒粒子を回収するための適切なプロセスとしては、米国特許第7,375,143号に開示されたプロセスが挙げられる。
【0042】
一部の実施形態では、冷却第1気体ストリーム、例えば、クエンチ塔から回収され得る第3気体ストリームの少なくとも一部が圧縮されて圧縮気体ストリームを生成し得る。冷却第1気体水蒸気の少なくとも一部は、1つ以上の圧縮器又は圧縮段階で圧縮されて圧縮気体ストリームを生成し得る。複数の生成物が圧縮気体ストリームから分離され得る。圧縮気体ストリームは、それから複数の生成物を分離できる生成物回収ゾーン又はユニットに導入され得る。生成物回収ユニットは、限定するものではないが、下記:蒸留塔、膜分離、吸着床、深冷分離のいずれか1つ以上であるか又はこれらを含み得る。
一部の実施形態では、圧縮気体ストリームは、生成物回収ゾーン内で軽質ガスストリーム、未反応炭化水素含有フィードストリーム、脱水素炭化水素ストリーム、及び液体ストリームに分離され得る。一部の実施形態では、軽質ガスストリームは、水素、メタン、ブタン、又はその任意の混合物を含み得る。一部の実施形態では、軽質炭化水素ストリームの少なくとも一部が燃焼ゾーンに任意的燃料として導入され得る。未反応炭化水素含有フィード、例えば、エタン、プロパンは変換ゾーンに再循環され得る。脱水素炭化水素ストリームは、さらに処理されて1種以上の生成物、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、又は他のポリマーを生成し得る。液体ストリーム又はその少なくとも一部は、第1クエンチ媒体、第2クエンチ媒体、又はその組み合わせとして使用され得る。一部の実施形態では、回収オレフィン、例えば、プロピレンはポリマー製造のために使用され得る。例えば、回収オレフィンは重合されて、回収プロピレン由来のセグメント又は単位を有するポリマー、例えばポリプロピレン、エチレン-プロピレンコポリマー等を生成し得る。回収イソブテンは、例えば、含酸素化合物、例えばメチルtert-ブチルエーテル、燃料添加剤、例えばジイソブテン、合成エラストマーポリマー、例えばブチルゴム等の1種以上の製造に使用可能である。一部の実施形態では、回収オレフィン、例えばプロピレン、イソブテンがアルキル化ユニットに送られることがある。
【0043】
一部の実施形態では、プロセス回収ユニットは、スチームクラッカー内で生成されたストリームクラッカー(stream cracker)流出物から種々の生成物を受け取って分離する一次分留装置からのオーバーヘッド生成物として回収され得る第4気体ストリームを受け取ることもできる。例えば、一次分留装置は、スチームクラッカー流出物をタール生成物、スチームクラッカークエンチオイル生成物、スチームクラッカーガスオイル生成物、スチームクラッカーナフサ生成物、並びに水素、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ブテン、ブタン、ペンタン、及び他の気体生成物を含み得るスチームクラッカー気体オーバーヘッド生成物に分離することができる。
一部の実施形態では、第4気体ストリームは既に圧縮されていることがある。他の実施形態では、第4気体ストリームは第3気体ストリームと混ぜ合わされ、この混合ガスストリームが圧縮されて混合第3及び第4圧縮気体ストリームを生成し、これが生成物回収ゾーンに導入され得る。
【0044】
一部の実施形態では、回収同伴コークス化触媒粒子ストリーム中のコークス化触媒粒子の少なくとも一部が再生利用施設に運搬され得る。該実施形態では、金属元素、例えば、第8~10族元素(複数可)の少なくとも一部が回収同伴触媒粒子ストリーム中のコークス化触媒粒子から回収され得る。一部の実施形態では、再生利用施設に運搬されたコークス化触媒粒子の少なくとも一部はスラッジ又はケークの形態で回収され得る。一部の実施形態では、スラッジ又はケーク中の液体は、第2クエンチ媒体の一部を含み得る。他の実施形態では、同伴コークス化触媒粒子は実質的に第2クエンチ媒体から分離され、流動粒子の形態で運搬され得る。さらに他の実施形態では、同伴コークス化触媒粒子は、第2クエンチ媒体から実質的に分離され、別の液体媒体と混合されて別のスラリー、スラッジ、又はケークを形成し、これが再生利用施設に運搬され得る。回収第8~10族元素(複数可)は再利用されて新しい触媒粒子を作り、精製され、例えば商品として販売され、或いは他の何らかの望ましい目的に使用され得る。
【0045】
一部の実施形態では、燃焼ゾーンで用いられる電気は、再生可能資源、例えば太陽、風、地熱、水力発電等からのものであり得る。一部の実施形態では、燃焼中に生じるCO2の捕獲及び隔離が促進され得るように純粋O2が燃焼ゾーンで使用され得る。一部の実施形態では、フィードは、両C3及びC4パラフィン分子を含む液化石油ガスであり得る。一部の実施形態では、フィードは、一般的にNGLとして知られる液体天然ガス中の1種以上の成分であり得る。一部の実施形態では、フィードは、再生可能資源、例えばバイオマス発酵又はトランスフォーメーション由来であり得る。
一部の実施形態では、第8~10族元素(複数可)少なくとも一部はコークス化触媒粒子からいずれの適切なプロセス又はプロセスの組み合わせによっても回収され得る。第8~10族元素(複数可)の少なくとも一部を再生利用するための適切なプロセスとしては、限定するものではないが、米国特許第7,033,480号;米国特許出願公開第2004/0219082号;英国特許出願公開第GB829972A号;中国特許第CN101760627号;及び/又は中国特許公開第CN104831071A号に記載のものが挙げられる。
【0046】
脱水素触媒粒子
脱水素触媒粒子は、担体の質量に基づいて、0.001wt%、0.002wt%、0.003wt%、0.004wt%、0.005wt%、0.006wt%、0.007wt%、0.008wt%、0.009wt%、0.01wt%、0.015wt%、0.02wt%、0.025wt%、0.03wt%、0.035wt%、0.04wt%、0.045wt%、0.05wt%、0.055wt%、0.06wt%、0.065wt%、0.07wt%、0.08wt%、0.085wt%、0.09wt%、0.095wt%、0.1wt%、0.2wt%、0.3wt%、0.4wt%、0.5wt%、0.6wt%、0.7wt%、0.8wt%、0.9wt%、又は1wt%から2wt%、3wt%、4wt%、5wt%、又は6wt%までの、担体上に配置された第8~10族元素、例えば、Ptを含み得る。一部の実施形態では、触媒粒子は、担体の質量に基づいて、≦5.5wt%、≦4.5wt%、≦3.5wt%、≦2.5wt%、≦1.5wt%、≦1wt%、≦0.9wt%、≦0.8wt%、≦0.7wt%、≦0.6wt%、≦0.5wt%、≦0.4wt%、≦0.3wt%、≦0.2wt%、≦0.15wt%、≦0.1wt%、≦0.09wt%、≦0.08wt%、≦0.07wt%、≦0.06wt%、≦0.05wt%、≦0.04wt%、≦0.03wt%、≦0.02wt%、≦0.01wt%、≦0.009wt%、≦0.008wt%、≦0.007wt%、≦0.006wt%、≦0.005wt%、≦0.004wt%、≦0.003wt%、又は≦0.002wt%の、担体上に配置された第8~10族元素を含み得る。一部の実施形態では、触媒粒子は、担体の質量に基づいて、>0.001、>0.003wt%、>0.005wt%、>0.007、>0.009wt%、>0.01wt%、>0.02wt%、>0.04wt%、>0.06wt%、>0.08wt%、>0.1wt%、>0.13wt%、>0.15wt%、>0.17wt%、>0.2wt%、>0.2wt%、>0.23、>0.25wt%、>0.27wt%、又は>0.3wt%かつ<0.5wt%、<1wt%、<2wt%、<3wt%、<4wt%、<5wt%、又は<6wt%の、担体上に配置された第8~10族元素を含み得る。一部の実施形態では、第8~10族元素は、限定するものではないが、Fe、Co、Ni、Ru、Pd、Os、Ir、Pt、その組み合わせ、若しくはその混合物であるか又はこれらを含み得る。少なくとも1つの実施形態では、第8~10族元素は、Ptであるか又はPtを含み得る。
【0047】
一部の実施形態では、触媒粒子は、場合により、2種以上の第8~10族元素、例えば、PtとNi及び/又はPdを含み得る。2種以上の第8~10族元素が担体上に配置される場合、触媒粒子は、担体の質量に基づいて、0.001wt%、0.002wt%、0.003wt%、0.004wt%、0.005wt%、0.006wt%、0.007wt%、0.008wt%、0.009wt%、0.01wt%、0.015wt%、0.02wt%、0.025wt%、0.03wt%、0.035wt%、0.04wt%、0.045wt%、0.05wt%、0.055wt%、0.06wt%、0.065wt%、0.07wt%、0.075wt%、0.08wt%、0.085wt%、0.09wt%、0.095wt%、0.1wt%、0.2wt%、0.3wt%、0.4wt%、0.5wt%、0.6wt%、0.7wt%、0.8wt%、0.9wt%、又は1wt%から2wt%、3wt%、4wt%、5wt%、又は6wt%までの、担体上に配置された全ての第8~10族元素の合計量を含み得る。一部の実施形態では、炭化水素フィードの脱水素を引き起こす能力があり得る触媒粒子の活性成分は、第8~10族元素(複数可)を含み得る。
【0048】
一部の実施形態では、触媒粒子は、場合により、担体の質量に基づいて、10wt%までの量で担体上に配置されたプロモーターを含み得る。プロモーターは、存在する場合、限定するものではないが、Sn、Ga、Zn、Ge、In、Re、Ag、Au、Cu、その組み合わせ、若しくはその混合物であるか又はこれらを含み得る。少なくとも1つの実施形態では、プロモーターはSnであるか又はSnを含み得る。一部の実施形態では、プロモーターは、第8~10族元素と関連し得る。例えば、担体上に配置されたプロモーターとPtがPt-プロモータークラスターを形成することがあり、これは担体上に再分散され得る。プロモーターは、所与のアップグレードされた炭化水素のために触媒粒子の選択性/活性/寿命を改善することができる。一部の実施形態では、プロモーターは、炭化水素含有フィードがプロパンを含むときに触媒粒子のプロピレン選択性を改善することができる。触媒粒子は、担体の質量に基づいて、0.01wt%、0.1wt%、0.2wt%、0.3wt%、0.4wt%、0.5wt%、0.6wt%、0.7wt%、0.8wt%、0.9wt%、又は1wt%から3wt%、5wt%、7wt%、又は10wt%までの量でプロモーターを含み得る。
【0049】
一部の実施形態では、触媒粒子は、場合により、担体の質量に基づいて、5wt%までの量で担体上に配置された1種以上のアルカリ金属元素を含み得る。アルカリ金属元素は、存在する場合、限定するものではないが、Li、Na、K、Rb、Cs、その組み合わせ、若しくはその混合物であるか又はこれらを含み得る。少なくとも1つの実施形態では、アルカリ金属元素はK及び/若しくはCsであるか又はこれらを含み得る。少なくとも一部の実施形態では、アルカリ金属元素はK及び/若しくはCsであるか又はこれらを含み得る。一部の実施形態では、アルカリ金属元素は、存在する場合、所与のアップグレードされた炭化水素のために触媒粒子の選択性を改善することができる。触媒粒子は、担体の質量に基づいて、0.01wt%、0.1wt%、0.2wt%、0.3wt%、0.4wt%、0.5wt%、0.6wt%、0.7wt%、0.8wt%、0.9wt%、又は1wt%から2wt%、3wt%、4wt%、又は5wt%までの量でアルカリ金属元素を含み得る。
【0050】
担体は、限定するものではないが、1種以上の第2族元素、その組み合わせ、若しくはその混合物であるか又はこれらを含み得る。一部の実施形態では、第2族元素は、その元素形態で存在し得る。他の実施形態では、第2族元素は化合物の形態で存在し得る。例えば、第2族元素は、酸化物、リン酸塩、ハロゲン化物、ハラート(halate)、硫酸塩、硫化物、ホウ酸塩、窒化物、炭化物、アルミン酸塩、アルミノケイ酸塩、ケイ酸塩、炭酸塩、メタリン酸塩、セレン化物、タングステン酸塩、モリブデン酸塩、亜クロム酸塩、クロム酸塩、二クロム酸塩、又はケイ化物として存在し得る。一部の実施形態では、第2族元素を含むいずれもの2種以上の化合物の混合物が異なる形態で存在し得る。例えば、第1化合物が酸化物であり、第2化合物がアルミン酸塩であり得る。この場合、第1化合物及び第2化合物は、相互に同一又は異なる第2族元素を含む。
担体は、担体の質量に基づいて、≧0.5wt%、≧1wt%、≧2wt%、≧3wt%、≧4wt%、≧5wt%≧6wt%、≧7wt%、≧8wt%、≧9wt%、≧10wt%、≧11wt%、≧12wt%、≧13wt%、≧14wt%、≧15wt%、≧16wt%、≧17wt%、≧18wt%、≧19wt%、≧20wt%、≧21wt%、≧22wt%、≧23wt%、≧24wt%、≧25wt%、≧26wt%、≧27wt%、≧28wt%、≧29wt%、≧30wt%、≧35wt%、≧40wt%、≧45wt%、≧50wt%、≧55wt%、≧60wt%、≧65wt%、≧70wt%、≧75wt%、≧80wt%、≧85、又は≧90wt%の第2族元素を含み得る。一部の実施形態では、担体は、担体の質量に基づいて、0.5wt%、1wt%、2wt%、2.5wt%、3wt%、5wt%、7wt%、10wt%、11wt%、13wt%、15wt%、17wt%、19wt%、21wt%、23wt%、又は25wt%から30wt%、35wt%、40wt%、45wt%、50wt%、55wt%、60wt%、65wt%、70wt%、75wt%、80wt%、85wt%、90wt%、又は92.34wt%までの範囲で第2族元素を含み得る。一部の実施形態では、存在する第2族元素と第8~10族元素(複数可)のモル比は、0.24、0.5、1、10、50、100、300、450、600、800、1,000、1,200、1,500、1,700、又は2,000から3,000、3,500、4,000、4,500、5,000、5,500、6,000、6,500、7,000、7,500、8,000、8,500、9,000、9,500、10,000、15,000、20,000、25,000、30,000、35,000、40,000、45,000、50,000、55,000、60,000、65,000、70,000、75,000、80,000、85,000、90,000、95,000、100,000、200,000、300,000、400,000、500,000、600,000、700,000、800,000、又は900,000までの範囲であり得る。
【0051】
一部の実施形態では、担体は、第2族元素及びAlを含み、かつ原子スケールで混ざり合ったO、Mg、及びAl原子を有する混合第2族元素/Al金属酸化物の形態であり得る。一部の実施形態では、担体は、酸化物の形態又はnmスケールで混ざり合っている可能性のある第2族元素とAl2O3の1つ以上の酸化物の形態の第2族元素及びAlであるか又はこれらを含み得る。一部の実施形態では、担体は、第2族元素の酸化物、例えば、MgO、及びnmスケールで混ざり合ったAl2O3であるか又はこれらを含み得る。
一部の実施形態では、担体は、混合第2族元素/Al金属酸化物の形態の第1量の第2族元素とAl及び第2族元素の酸化物の形態の第2量の第2族元素であるか又はこれらを含み得る。該実施形態では、混合第2族元素/Al金属酸化物と第2族元素の酸化物はnmスケールで混ざり合っている可能性があり、混合第2族元素/Al金属酸化物中の第2族元素とAlは、原子スケールで混ざり合っている可能性がある。
他の実施形態では、担体は、混合第2族元素/Al金属酸化物の形態の第1量の第2族元素と第1量のAl、第2族元素の酸化物の形態の第2量の第2族元素、及びAl2O3の形態の第2量のAlであるか又はこれらを含み得る。該実施形態では、混合第2族元素/Al金属酸化物、第2族元素の酸化物、及びAl2O3は、nmスケールで混ざり合っている可能性があり、混合第2族元素/Al金属酸化物中の第2族元素とAlは、原子スケールで混ざり合っている可能性がある。
【0052】
一部の実施形態では、担体が第2族元素とAlを含むとき、担体中のAlに対する第2族元素の質量比は、0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.15、0.2、0.3、0.5、0.7、又は1から3、6、12.5、25、50、75、100、200、300、400、500、600、700、800、900、又は1,000までの範囲であり得る。一部の実施形態では、担体がAlを含むとき、担体は、担体の質量に基づいて、0.5wt%、1wt%、1.5wt%、2wt%、2.1wt%、2.3wt%、2.5wt%、2.7wt%、3wt%、4wt%、5wt%、6wt%、7wt%、8wt%、9wt%、10wt%、又は11wt%から15wt%、20wt%、25wt%、30wt%、40wt%、45wt%、又は50wt%までの範囲でAlを含み得る。
一部の実施形態では、担体は、限定するものではないが、下記化合物の1種以上であるか又はこれらを含み得る:MgwAl2O3+w(wは正数である);CaxAl2O3+x(xは正数である);SryAl2O3+y(yは正数である);BazAl2O3+z(zは正数である);BeO;MgO;CaO;BaO;SrO;BeCO3;MgCO3;CaCO3;SrCO3、BaCO3;CaZrO3;Ca7ZrAl6O18;CaTiO3;Ca7Al6O18;Ca7HfAl6O18;BaCeO3;1種以上のクロム酸マグネシウム、1種以上のタングステン酸マグネシウム、1種以上のモリブデン酸マグネシウム、その組み合わせ、及びその混合物。一部の実施形態では、第2族元素がMgを含み、かつ第2族元素の少なくとも一部がMgOの形態又はMgOを含む混合酸化物の形態にあり得る。一部の実施形態では、担体は、限定するものではないが、MgO-Al2O3混合金属酸化物であるか又はこれを含み得る。一部の実施形態では、担体がMgO-Al2O3混合金属酸化物であるとき、担体は、20、10、5、2、1から0.5、0.1、又は0.01までに等しいMgとAlのモル比を有し得る。
【0053】
MgwAl2O3+w(wは正数である)は、担体又は担体の成分として存在する場合、0.5、1、2、3、4、又は5から6、7、8、9、又は10までの範囲のMgとAlのモル比を有し得る。一部の実施形態では、MgwAl2O3+wはMgAl2O4、Mg2Al2O5、又はその混合物を含み得る。CaxAl2O3+x(xは正数である)は、担体又は担体の成分として存在する場合、1:12、1:4、1:2、2:3、5:6、1:1、12:14、又は1.5:1のCaとAlのモル比を有し得る。一部の実施形態では、CaxAl2O3+xは、アルミン酸三カルシウム、七アルミン酸十二カルシウム、アルミン酸一カルシウム、二アルミン酸一カルシウム、六アルミン酸一カルシウム、アルミン酸二カルシウム、三アルミン酸五カルシウム、三アルミン酸四カルシウム、又はその任意の混合物を含み得る。SryAl2O3+y(yは正数である)は、担体として又は担体の成分として存在する場合、0.05、0.3、又は0.6から0.9、1.5、又は3までの範囲のSrとAlのモル比を有し得る。BazAl2O3+z(zは正数である)は、担体として又は担体の成分として存在する場合、0.05、0.3、又は0.6から0.9、1.5、又は3までの範囲のBaとAlのモル比を有し得る。
【0054】
一部の実施形態では、担体は、限定するものではないが、第2族及び第10族以外の族から選択される少なくとも1種の金属元素及び/若しくは少なくとも1種の半金属元素並びに/又はその少なくとも1種の混合物をも含み得る。この少なくとも1種の金属元素及び/又は少なくとも1種の半金属元素はLi、Na、K、Rb、Cs、Sn、Cu、Au、Ag、又はGaでない。担体が第2族及び第10族以外の族から選択される金属元素及び/又は半金属元素(少なくとも1種の金属元素及び/又は少なくとも1種の半金属元素はLi、Na、K、Rb、Cs、Sn、Cu、Au、Ag、又はGaでない)を含む化合物をも含む場合、化合物は、担体中に、酸化物、リン酸塩、ハロゲン化物、ハラート、硫酸塩、硫化物、ホウ酸塩、窒化物、炭化物、アルミン酸塩、アルミノケイ酸塩、ケイ酸塩、炭酸塩、メタリン酸塩、セレン化物、タングステン酸塩、モリブデン酸塩、亜クロム酸塩、クロム酸塩、二クロム酸塩、又はケイ化物として存在し得る。一部の実施形態では、第2族及び第10族以外の族から選択される少なくとも1種の金属元素及び/若しくは少なくとも1種の半金属元素並びに/又はその少なくとも1種の化合物(少なくとも1種の金属元素及び/又は少なくとも1種の半金属元素はLi、Na、K、Rb、Cs、Sn、Cu、Au、Ag、又はGaでない)は、限定するものではないが、1種以上の希土類元素、すなわち、21、39、又は57~71の原子数を有する元素であるか又はこれらを含み得る。
【0055】
担体が、第2族及び第10族以外の族から選択される少なくとも1種の金属元素及び/若しくは少なくとも1種の半金属元素並びに/又はその少なくとも1種の化合物(少なくとも1種の金属元素及び/又は少なくとも1種の半金属元素はLi、Na、K、Rb、Cs、Sn、Cu、Au、Ag、又はGaでない)を含む場合、第2族及び第10族以外の族から選択される少なくとも1種の金属元素及び/又は少なくとも1種の半金属元素は、一部の実施形態では、バインダーとして機能することができ、「バインダー」と呼ばれることがある。第2族及び第10族以外の族から選択される少なくとも1種の金属元素及び/若しくは少なくとも1種の半金属元素並びに/又はその少なくとも1種の化合物(少なくとも1種の金属元素及び/又は少なくとも1種の半金属元素はLi、Na、K、Rb、Cs、Sn、Cu、Au、Ag、又はGaでない)か否かにかかわらず、説明を明瞭かつ簡単にするため、本明細書では第2族及び第10族以外の族から選択される少なくとも1種の金属元素及び/又は少なくとも1種の半金属元素をさらに「バインダー」と記述する。文献では、本明細書で「バインダー」と呼ぶ化合物は、フィラー、マトリックス、添加剤等と呼ばれることもあるこが知られている。一部の実施形態では、担体は、担体の質量に基づいて、0.01wt%、0.05wt%、0.1wt%、0.5wt%、1wt%、5wt%、10wt%、15wt%、20wt%、25wt%、30wt%、35wt%又は40wt%から50wt%、60wt%、70wt%、80wt%、又は90wt%までの範囲でバインダーを含み得る。
一部の実施形態では、バインダーを含む適切な化合物は、限定するものではないが、下記:B2O3、AlBO3、Al2O3、SiO2、ZrO2、TiO2、SiC、Si3N4、アルミノケイ酸塩、アルミノケイ酸亜鉛、ZnO、VO、V2O3、VO2、V2O5、GasOt、InuOv、Mn2O3、Mn3O4、MnO(s、t、u、及びvは正数である)、1種以上の酸化モリブデン、1種以上の酸化タングステン、1種以上のゼオライト並びにその混合物及び組み合わせの1種以上であるか又はこれらを含み得る。
【0056】
触媒粒子は、1μm、5μm、10μm、20μm、40μm、又は60μmから80μm、100μm、115μm、130μm、150μm、200μm、300μm又は400、又は500μmまでの範囲のメジアン粒子サイズを有し得る。触媒粒子は、100又は250mLのメスシリンダーの代わりに10、25、又は50mLのメスシリンダーを用いて修正したASTM D7481-18に従って測定して、0.3g/cm3、0.4g/cm3、0.5g/cm3、0.6g/cm3、0.7g/cm3、0.8g/cm3、0.9g/cm3、又は1g/cm3から1.1g/cm3、1.2g/cm3、1.3g/cm3、1.4g/cm3、1.5g/cm3、1.6g/cm3、1.7g/cm3、1.8g/cm3、1.9g/cm3、又は2g/cm3までの範囲の見掛けゆるみ嵩密度を有し得る。一部の実施形態では、触媒粒子は、ASTM D5757-11(2017)に従って測定して、≦5wt%、≦4wt%、≦3wt%、≦2wt%、≦1wt%、≦0.7wt%、≦0.5wt%、≦0.4wt%、≦0.3wt%、≦0.2wt%、≦0.1wt%、≦0.07wt%、又は≦0.05wt%の1時間後摩損度を有し得る。粒子の形態は、粒子が流動床反応器内で動くのに適するように大部分は球状である。一部の実施形態では、触媒粒子は、流動可能固体のゲルダートA又はゲルダートB定義と一致するサイズ及び密度を有し得る。
一部の実施形態では、触媒粒子は0.1m2/g、1m2/g、10m2/g、又は100m2/gから500m2/g、800m2/g、1,000m2/g、又は1,500m2/gまでの範囲の表面積を有し得る。触媒粒子の表面積は、4時間350℃で粉末を脱気した後にMicromeritics 3flex機器で窒素の吸着-脱着(液体窒素の温度、77K)を利用するブルナウアー‐エメット‐テラー(BET)法に従って測定可能である。この方法に関するさらなる情報は、例えば、“Characterization of Porous Solids及びPowders: Surface Area, Pore Size及びDensity,” S. Lowell et al., Springer, 2004で見つけられる。
【0057】
担体の調製は、いずれの既知のプロセスによっても達成可能である。説明の単純さ及び容易さのため、マグネシウムとアルミニウムの混合酸化物(Mg(Al)O又はMgO/Al2O3)担体を含む適切な担体の調製をより詳細に述べる。触媒合成技術は周知であり、下記説明は例示目的のためであり、担体又は触媒粒子の合成を限定するものとみなすべきでない。一部の実施形態では、MgO/Al2O3混合酸化物担体を作製するため、Mg及びAl前駆体、例えばMg(NO3)2及びAl(NO3)3を一緒に混合し、例えば、ボールミル粉砕した後にか焼して担体を生成し得る。別の実施形態では、2つの前駆体をH2Oに溶かし、乾固(場合により熱を加えて)するまで撹拌した後にか焼して担体を生成し得る。別の実施形態では、2つの前駆体をH2Oに溶かした後に塩基及び炭酸塩、例えば、NaOH/Na2CO3を添加してハイドロタルサイトを生成した後にか焼して担体を生成し得る。別の実施形態では、市販のMgO及びAl2O3を混合し、ボールミル粉砕し得る。別の実施形態では、Mg(NO3)2前駆体をH2Oに溶かし、この溶液を既存担体、例えばAl2O3担体上に含浸させ、乾燥させ、か焼して担体を生成し得る。別の実施形態では、Mg(NO3)2由来のMgをイオン吸着によって既存Al2O3担体上に積載した後に液固分離し、乾燥させ、か焼して担体を生成し得る。理論によって束縛されることを望むものではないが、上記方法及び/又は他の方法のいずれか1つによって生成される担体は、(i)nmスケールで一緒に混ざり合ったMgとAl、(ii)混合Mg/Al金属酸化物の形態のMgとAl、又は(iii)(i)と(ii)の組み合わせを含み得る。
【0058】
第8~10族金属及びいずれものプロモーター及び/又はいずれものアルカリ金属元素は、混合酸化物担体上にいずれの既知の技術によっても積載され得る。例えば、1種以上の第8~10族元素前駆体、例えば、クロロ白金酸、硝酸テトラアンミン白金、及び/又は水酸化テトラアンミン白金、1種以上のプロモーター前駆体(使用する場合)、例えば、SnCl4及び/又はAgNO3等の塩及び1種以上のアルカリ金属元素前駆体(使用する場合)、例えば、KNO3、KCl、及び/又はNaClは水に溶解され得る。この溶液は担体上に含浸された後に乾燥、か焼され得る。一部の実施形態では、第8~10族元素前駆体並びに場合によりプロモーター前駆体及び/又はアルカリ金属元素前駆体は担体上に同時に、或いは乾燥及び/又はか焼ステップによって隔てられた順序で別々に積載され得る。他の実施形態では、第8~10族元素並びに、場合によりプロモーター及び/又はアルカリ金属元素は、担体上に化学蒸着によって積載され得る。この場合、前駆体は気化され、担体上に蓄積された後にか焼され得る。他の実施形態では、第8~10族元素前駆体並びに、場合により、プロモーター前駆体及び/又はアルカリ金属前駆体は、イオン吸着後の液固分離、乾燥及びか焼を経て担体上に積載され得る。場合により、触媒粒子はワンポット合成法を利用して合成されることもある。この方法では、担体の前駆体、第8~10族金属活性相及びプロモーターが全て一緒に、合成を助けるための何らかの他の添加剤の有無にかかわらず、湿式又は乾式で混合された後に乾燥及びか焼される。
【0059】
一部の実施形態では、触媒粒子は、周知の噴霧乾燥プロセスによってゲルダートA又はB型粒子に処方され得る。20μm、40μm、又は50μmから80μm、90μm、又は100μmまでの範囲の平均断面積を有する噴霧乾燥触媒粒子が典型的にFCC型流動床反応器に使用される。噴霧乾燥触媒粒子を作製するため、担体、第8~10族元素、並びにいずれもの追加成分、例えば、プロモーター及び/又はアルカリ金属がスラリーにされ、このスラリー中にバインダー/添加剤が含まれ、その後噴霧乾燥及びか焼され得る。或いは、第8~10族元素、並びにいずれもの追加成分、例えば、プロモーター及び/又はアルカリ金属が処方担体に添加されて処方触媒粒子を生成し得る。
本明細書で開示する触媒粒子を調製するために使用できる適切なプロセスとしては、米国特許第4,788,371号;第4,962,265号;第5,922,925号;第8,653,317号;欧州特許第EP0098622号;Journal of Catalysis 94 (1985), pp. 547-557;及び/又はApplied Catalysis 54 (1989), pp. 79-90に記載のプロセスが挙げられる。
【0060】
炭化水素含有フィード
C2-C16アルカンは、限定するものではないが、エタン、プロパン、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、イソペンタン、n-ヘキサン、2-メチルペンタン、3-メチルペンタン、2,2-ジメチルブタン、n-ヘプタン、2-メチルヘキサン、2,2,3-トリメチルブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、エチルシクロペンタン、n-プロピルシクロペンタン、1,3-ジメチルシクロヘキサン、若しくはその混合物であるか又はこれらを含み得る。例えば、炭化水素含有フィードは、脱水素されてプロピレンを生成し得るプロパン、及び/又は脱水素されてイソブチレンを生成し得るイソブタンを含み得る。別の例では、炭化水素含有フィードは、触媒粒子との接触時に気相中にあり得る液体石油ガス(LPガス)を含み得る。一部の実施形態では、炭化水素含有フィード中の炭化水素は、実質的に単一アルカン、例えばプロパンで構成され得る。一部の実施形態では、炭化水素含有フィードは、炭化水素含有フィード中の全ての炭化水素の総質量に基づいて、≧50モル%、≧75モル%、≧95モル%、≧98モル%、又は≧99モル%の単一C2-C16アルカン、例えば、プロパンを含み得る。一部の実施形態では、炭化水素含有フィードは、炭化水素含有フィードの総体積に基づいて、少なくとも50vol%、少なくとも55vol%、少なくとも60vol%、少なくとも65vol%、少なくとも70vol%、少なくとも75vol%、少なくとも80vol%、少なくとも85vol%、少なくとも90vol%、少なくとも95vol%、少なくとも97vol%、又は少なくとも99vol%の単一C2-C16アルカン、例えば、プロパンを含み得る。
【0061】
C8-C16アルキル芳香族炭化水素は、限定するものではないが、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、1種以上のエチルトルエン、若しくはその混合物であるか又はこれらを含み得る。一部の実施形態では、炭化水素含有フィードは、炭化水素含有フィード中の全ての炭化水素の総質量に基づいて、≧50モル%、≧75モル%、≧95モル%、≧98モル%、又は≧99モル%の単一C8-C16アルキル芳香族炭化水素、例えば、エチルベンゼンを含み得る。一部の実施形態では、エチルベンゼンは脱水素されてスチレンを生成し得る。従って、一部の実施形態では、本明細書で開示するプロセスは、プロパン脱水素、ブタン脱水素、イソブタン脱水素、ペンタン脱水素、シクロペンタジエンへのペンタン脱水脱環化、ナフサ改質、エチルベンゼン脱水素、エチルトルエン脱水素等を含み得る。
【0062】
一部の実施形態では、炭化水素含有フィードは、1種以上の希釈ガスで希釈され得る。適切な希釈剤は、限定するものではないが、アルゴン、ネオン、ヘリウム、分子窒素、二酸化炭素、メタン、分子水素、若しくはその混合物であるか又はこれらを含み得る。炭化水素含有フィードが希釈剤を含む場合、炭化水素含有フィードは、炭化水素含有フィード中のいずれものC2-C16アルカン及びいずれものC8-C16アルキル芳香族炭化水素の総体積に基づいて、0.1vol%、0.5vol%、1vol%、又は2vol%から3vol%、8vol%、16vol%、又は32vol%までの希釈剤を含み得る。希釈剤が分子水素を含むとき、分子水素といずれものC2-C16アルカン及びいずれものC8-C16アルキル芳香族炭化水素の合計量のモル比は、0.1、0.3、0.5、0.7、又は1から2、3、4、5、6、7、8、9、又は10までの範囲であり得る。一部の実施形態では、希釈剤が使用される場合、希釈剤は炭化水素含有フィードと混合され、及び/又は希釈剤を変換ゾーンに供給することに割り当てられた1つ以上の入口を経て個別フィードとして変換ゾーンに導入されるか又は他の方法で供給され得る。同様に、炭化水素含有フィードは、炭化水素含有フィードを変換ゾーンに供給することに割り当てられた1つ以上の入口を経て変換ゾーンに導入されることもある。
【0063】
一部の実施形態では、炭化水素含有フィードには、実質的に水又は水蒸気がなく、例えば、炭化水素含有フィード中のいずれものC2-C16アルカン及びいずれものC8-C16アルキル芳香族炭化水素の総体積に基づいて、<0.1vol%の水又は水蒸気しかない。他の実施形態では、炭化水素含有フィードは水蒸気を含み得る。例えば、炭化水素含有フィードは、炭化水素含有フィード中のいずれものC2-C16アルカン及びいずれものC8-C16アルキル芳香族炭化水素の総体積に基づいて、0.1vol%、0.3vol%、0.5vol%、0.7vol%、1vol%、3vol%、又は5vol%から10vol%、15vol%、20vol%、25vol%、30vol%、35vol%、40vol%、45vol%、又は50vol%までの水又は水蒸気を含み得る。他の実施形態では、炭化水素含有フィードは、炭化水素含有フィード中のいずれものC2-C16アルカン及びいずれものC8-C16アルキル芳香族炭化水素の総体積に基づいて、≦50vol%、≦45vol%、≦40vol%、≦35vol%、≦30vol%、≦25vol%、≦20vol%、又は≦15vol%の水又は水蒸気を含み得る。他の実施形態では、炭化水素含有フィードは、炭化水素含有フィード中のいずれものC2-C16アルカン及びいずれものC8-C16アルキル芳香族炭化水素の総体積に基づいて、少なくとも1vol%、少なくとも3vol%、少なくとも5vol%、少なくとも10vol%、少なくとも15vol%、少なくとも20vol%、少なくとも25vol%、又は少なくとも30vol%の水又は水蒸気を含み得る。希釈剤と同様に、水又は水蒸気が変換ゾーンに供給される場合、水又は水蒸気は、炭化水素含有フィードの成分として又は水蒸気を変換ゾーンに導入することに割り当てられた1つ以上の個別入口を経て変換ゾーンに供給され得る。
【0064】
一部の実施形態では、炭化水素含有フィードは硫黄を含み得る。例えば、炭化水素含有フィードは、0.5ppm、1ppm、5ppm、10ppm、20ppm、30ppm、40ppm、50ppm、60ppm、70ppm、又は80ppmから100ppm、150ppm、200ppm、300ppm、400ppm、又は500ppmまでの範囲で硫黄を含み得る。他の実施形態では、炭化水素含有フィードは、1ppm~10ppm、10ppm~20ppm、20ppm~50ppm、50ppm~100ppm、又は100ppm~500ppmの範囲で硫黄を含み得る。硫黄は、炭化水素含有フィード中に存在する場合、限定するものではないが、H2S、二硫化ジメチル、1種以上のメルカプタンとして、若しくはその任意の混合物であるか又はこれらを含み得る。一部の実施形態では、硫黄は、個別フィードとして、使用する場合は希釈剤の成分として、及び/又は使用する場合は水蒸気の成分として変換ゾーンに導入され得る。
炭化水素含有フィードには、実質的に又は全く分子酸素がない可能性がある。一部の実施形態では、炭化水素含有フィードは、≦5モル%、≦3モル%、又は≦1モル%の分子酸素(O2)を含み得る。実質的に分子酸素がない炭化水素含有フィードを供給すると、そうでなければ炭化水素含有フィード中のアルカン及び/又はアルキル芳香族炭化水素の少なくとも一部を消費することになる酸化的カップリング反応を実質的に阻止すると考えられる。
【0065】
代表的実施形態
図1は、1つ以上の実施形態に従って、ライン1001の炭化水素含有フィードを脱水素するためのシステム100を示す。システム100は、反応器又は変換ゾーン1010、分離ゾーン1015、直接クエンチゾーン1020、燃焼ゾーン1025、還元ゾーン1035、クエンチゾーン1040、圧縮ゾーン1050、及び生成物回収ゾーン1055を含み得る。一部の実施形態では、システム100は場合により炭化水素含有フィード前処理ゾーン1005を含み得る。一部の実施形態では、システム100は場合により酸素浸漬ゾーン1030を含み得る。ライン1001経由の炭化水素含有フィード又はライン1007経由の前処理炭化水素含有フィードが変換ゾーン1010に、例えば、流動床反応器、例えばライザー反応器の下端部又はダウナー反応器の上端部に導入され得る。一部の実施形態では、ライン1001の炭化水素含有フィード及び/又はライン1007の前処理炭化水素含有フィードは水蒸気を含み得る。還元ゾーン1035から再生触媒粒子がライン1036を経て変換ゾーン1010に運ばれ得る。炭化水素含有フィードは、変換ゾーン1010内で再生触媒粒子と接続されて炭化水素含有フィードの少なくとも一部の脱水素を引き起こして、コークス化触媒粒子、1種以上の脱水素炭化水素、未反応炭化水素含有フィード、水蒸気、ベンゼン、又はその任意の混合物を含み得るライン1013経由の変換流出物を生成し得る。
【0066】
変換流出物はライン1013を経て分離ゾーン1015に導入され、分離ゾーン1015は、変換流出物をコークス化触媒粒子に富む1017経由の第1粒子ストリームと、1種以上の脱水素炭化水素に富み、かつ同伴コークス化触媒粒子を含むライン1019経由の第1気体ストリームとに分離することができる。一部の実施形態では、分離ゾーンは、直列に配置され及び/又は並列に配置された1つ以上のサイクロンを含み得る。
ライン1017経由の第1粒子ストリームは燃焼ゾーン1025に導入され得る。一部の実施形態では、第1粒子ストリームは、同伴気体成分、例えば1種以上の脱水素炭化水素、未反応炭化水素含有フィード、水蒸気、又はその混合物を含み得る。該実施形態では、ライン1017の第1粒子ストリーム中の気体成分の少なくとも一部は、第1粒子ストリームが燃焼ゾーン1025に導入される前にストリップされ得る。ライン1022経由の酸化剤及び場合によりライン1024経由の燃料が燃焼ゾーン1025に導入され、第1粒子ストリーム中のコークス化触媒粒子の少なくとも一部と接触して、コークスの少なくとも一部、及び存在する場合、燃料の燃焼を引き起こして、コークスが少ない触媒粒子及び燃焼ガス又は煙道ガスを含む燃焼流出物を生成し得る。コークス及び、存在する場合は燃料の燃焼は熱を発生させて、コークス化触媒からのコークスを燃やし、使用済み触媒上に第8~10族元素(複数可)を再分散させ、再生触媒粒子に熱を加えることができる。
【0067】
コークスが少ない触媒粒子に富む第2粒子ストリームがライン1026を経て、及び燃焼ガスに富む第2気体ストリームがライン1027を経て燃焼ゾーン1025から回収されるか又は他の方法で得られる。燃焼流出物は1つ以上の分離装置に入って、同伴触媒の大半を燃焼ゾーンに戻すことができる。燃焼ゾーンのため、3段階以上のサイクロンが設置されて、煙道ガスからの高い固体回収効率を達成することもできる。残留触媒粒子は、下流でフィルター、静電式集塵器、湿式気体スクラバー等を使用することによってさらに回収され得る。変換ゾーン及び燃焼ゾーンに対する分離装置及び/又はサイクロンの操作条件は、燃焼ゾーンからの煙道ガスストリームからの微粉収集に対して、変換ゾーンからの生成物ストリームからの微粉収集の困難さレベルに応じて、変換ゾーン又は燃焼ゾーンのどちらかにより多いか又は少ない量の微粉を送り込むように調整され得る。
ライン1024経由で燃料が燃焼ゾーンに導入されるとき、第2粒子ストリームはライン1026経由で、酸化的ガスがライン1028経由で酸素浸漬ゾーン1030に導入され、その中で接触して調整触媒粒子を生成し得る。調整触媒粒子はライン1031経由で、気体ストリームがライン1032経由で酸素浸漬ゾーン1030から回収され得る。一部の実施形態では、ライン1032の気体ストリーム及びライン1031の調整触媒粒子は1つ以上のサイクロンによって分離され得る。一部の実施形態では、同セットのサイクロンを用いて、ライン1031経由の調整触媒粒子及びライン1032の気体ストリームと、ライン1026経由の第2粒子ストリーム及びライン1027経由の燃焼ガスの両方が分離され得る。
【0068】
ライン1031経由の調整触媒粒子、又は燃料がライン1024経由で燃焼ゾーンに導入されないときはライン1026経由の第2粒子ストリーム及びライン1033経由の還元性ガスが還元ゾーン1035に導入され、その中で接触して再生触媒粒子を生成し得る。再生触媒粒子はライン1036経由で、気体ストリームがライン1037経由で還元ゾーンから回収され得る。一部の実施形態では、ライン1036経由の再生触媒粒子及びライン1037経由の気体ストリームは、1つ以上のサイクロンによって分離され得る。他の実施形態では、還元ゾーン内の気体成分は、再生触媒粒子から分離されるのではなく、再生触媒粒子と共にライン1036を経て変換ゾーン1010に運ばれ得る。ライン1036経由の再生触媒粒子は変換ゾーン1010に導入され、その中で追加の炭化水素含有フィードと接触し得る。一部の実施形態では、ライン1037の気体ストリームは、H2等のいずれの残留還元剤も燃焼ゾーン用燃料として役立ち得るように燃焼ゾーンに再循環され得る。
【0069】
ライン1019経由の第1気体ストリーム及びライン1018経由の第1クエンチ媒体が直接クエンチゾーン1020に導入され、その中で接触して冷却気体ストリームを生成し得る。一部の実施形態では、炭化水素含有フィードの脱水素中にベンゼンが生成され、ライン1021の冷却気体ストリーム中に存在し得る。一部の実施形態では、ベンゼンは、ライン1018の第1クエンチ媒体として使用され得る。一部の実施形態では、第1クエンチ媒体ストリームは、直接クエンチゾーン1020内で第1気体ストリームと接触されるときに液相中にあり得る。一部の実施形態では、ライン1019の第1気体ストリームは、>620℃の温度であり、冷却気体ストリームは、≦620℃、≦610℃、≦600℃、≦590℃、又は≦580℃の温度であり得る。一部の実施形態では、冷却気体ストリームは≧550℃かつ≦620℃又は≦600℃の範囲の温度であり得る。ライン1019の第1気体ストリームの温度を600℃未満に下げると、気体成分の望ましくない熱反応を減少又は停止させ得る。冷却気体ストリームは、ライン1021経由で回収され得る。一部の実施形態では、直接クエンチゾーン1020は、1つ以上の間接的熱変換ゾーンに置き換えられることがある。他の実施形態では、1つ以上の間接的熱交換ゾーンは、直接クエンチゾーン1020の上流及び/又は下流のどこかで直接クエンチゾーン1020と連結して使用され得る。
【0070】
ライン1021経由の冷却気体ストリーム及びライン1022経由の第2クエンチ媒体がクエンチゾーン1040に導入され、その中で接触して、ライン1041を通るオーバーヘッド又は第3気体ストリーム、ライン1042を通る回収微粉リーン第2クエンチ媒体、及びライン1043を通る回収コークス化触媒粒子ストリームを生成し得る。一部の実施形態では、クエンチゾーン1040はクエンチ塔を含み得る。一部の実施形態では、冷却気体ストリームは、クエンチ塔内に配置された気体-液体接触ゾーンにライン1021経由で導入され得る。一部の実施形態では、上述したように、接触ゾーンに入る前に、ライン1021経由の冷却気体ストリームは、熱回収のため1つ以上の熱交換器を通過することもある。クエンチ塔内に配置された接触ゾーン内で、冷却気体ストリームは、ライン1022を経てクエンチ塔に導入された第2クエンチ媒体と接触し得る。ライン1022の第2クエンチ媒体は、冷却気体ストリームに対向する下向きに接触ゾーン中に噴霧されて、冷却気体ストリームと第2クエンチ媒体との間の良好な接触を確実にし得る。接触ゾーン内で、冷却気体ストリーム中の触媒微粉及び熱の大半が第2クエンチ媒体に移されて、液相の第2クエンチ媒体の少なくとも一部及びコークス化触媒粒子の少なくとも一部を含み得るスラリーを生成し得る。一部の実施形態では、スラリーはクエンチ塔の下部に蓄積して、その中中に液体リザーバーを形成し得る。一部の実施形態では、ライン1022の第2クエンチ媒体は、第1クエンチ媒体1018より高い標準沸点を有し得る。例えば、一部の実施形態では、第1クエンチ媒体はベンゼンであり、第2クエンチ媒体は、150℃~580℃の標準沸点を有し得る。
【0071】
クエンチゾーン1040において、スラリーは1つ以上の固液分離装置に導入されて、ライン1042を通る回収微粉リーン第2クエンチ媒体ストリーム及びライン1043を通る回収コークス化触媒粒子ストリームを生成し得る。一部の実施形態では、ライン1043経由の回収コークス化触媒粒子ストリームの少なくとも一部が任意的金属再生利用施設1060に導入され得る。1つ以上の実施形態では、ライン1043経由の回収コークス化触媒粒子ストリームの少なくとも一部が燃焼ゾーン1025に導入され得る。1つ以上の実施形態では、ライン1042経由の回収微粉リーン第2クエンチ媒体の少なくとも一部がクエンチゾーン1040内のクエンチ塔に戻って再循環され得る。
一部の実施形態では、クエンチ塔内の気体-液体接触ゾーンの上の位置で、標準沸点が第2クエンチ媒体よ低い第1クエンチ媒体がクエンチ塔から引き出され、1つ以上の熱交換器によって冷却され、第1の部分又は量がライン1018経由で直接接触ゾーンに戻って循環され得る。一部の実施形態では、第1クエンチ媒体は、アルカン脱水素生成物の1つ、ベンゼンであり得るので、冷却第1クエンチ媒体の第2の部分又は量が引き出されて生成物ストリームを形成し得る。一部の実施形態では、冷却第1クエンチ媒体の第3の部分又は量がクエンチ塔に再循環され得る。
【0072】
クエンチ塔内の接触ゾーンの上の位置で、クエンチ塔内に存在するいずれの水もクエンチ塔から引き出され、1つ以上の熱交換器によって冷却され、クエンチ塔に戻って循環され得る。冷却水の一部分又量が引き出されて廃水ストリームを形成し、これは処理のために送られ、及び/又は気化してライン1001の炭化水素水素含有フィード若しくはライン1007の前処理炭化水素含有フィードと共にコフィードとして使用され得る。
クエンチゾーン1040から出ていくライン1041経由の第3気体ストリームには、本質的にコークス化触媒粒子がないのでさらに冷却され、圧縮ゾーン1050に導入されて、ライン1051を通る圧縮気体ストリームを生成し得る。ライン1041の第3気体ストリームが少しでも残留コークス化触媒粒子を含有する場合、該コークス化触媒粒子は、1つ以上の静電式集塵器、1つ以上のフィルター、1つ以上のスクリーン、1つ以上の膜、湿式気体スクラバー、吸収捕捉剤との接触、1つ以上の追加のクエンチ塔、1つ以上のエレクトロサイクロン、1つ以上のヒドロサイクロン、1つ以上の遠心分離機、1つ以上のプレート若しくはコーン、又はその任意の組み合わせによって除去され、気体ストリームから同伴コークス化触媒粒子の少なくとも一部を除去し得る。
【0073】
圧縮気体ストリームはライン1051経由で生成物回収ゾーン1055に導入され、該ストリームから生成物を分離し得る。一部の実施形態では、生成物は、限定するものではないが、ライン1056を通る軽質ガス、ライン1057を通る未反応炭化水素含有フィード、ライン1058を通る1種以上の脱水素炭化水素、及びライン1059を通る1種以上の液体炭化水素を含み得る。1種以上の軽質ガスは、限定するものではないが、水素、メタン、エタン、プロパン、ブタン、若しくはその混合物であるか又はこれらを含み得る。一部の実施形態では、ライン1056を通る1種以上の軽質ガスは、ライン1024経由で任意的燃料として燃焼ゾーンに導入され得る。一部の実施形態では、未反応炭化水素含有フィードの少なくとも一部は、ライン1057を経て変換ゾーンに再循環され得る。一部の実施形態では、ライン1058の脱水素炭化水素はさらに加工されて1種以上の生成物、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、及び/又は他のポリマー生成物を生成し得る。一部の実施形態では、ライン1059の1種以上の液体炭化水素の少なくとも一部は、第1及び/若しくは第2クエンチ媒体として使用されるか又はどこかでクエンチ媒体として使用され得る。
【0074】
一部の実施形態では、生成物回収ゾーン1055に第4気体ストリームがライン1053経由で導入されることもある。ライン1053の第4気体ストリームは、スチームクラッカー流出物を受け取り、それから種々の炭化水素フラクションを分離する一次分留装置と流体連絡し得る。例えば、一次分留装置は、スチームクラッカー流出物をタール生成物、スチームクラッカークエンチオイル生成物、スチームクラッカーガスオイル生成物、スチームクラッカーナフサ生成物、並びに水素、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ブテン、ブタン、ペンタン、及び他の揮発性炭化水素を含み得るスチームクラッカー気体オーバーヘッド生成物に分離することができる。一部の実施形態では、ライン1053の第4気体ストリームは圧縮され得る。他の実施形態では、ライン1053経由の第4気体ストリームはライン1041の第3気体ストリームと混ぜ合わされ、圧縮ゾーン1050に導入されてライン1051の混合第3及び第4圧縮気体ストリームを生成し得る。
【実施例】
【0075】
実施例
上記考察を下記非限定例を参照してさらに記載することができる。
触媒組成物1:CATAPAL(登録商標)D擬ベーマイト(Sasol)(47g)と、70wt%のMgO及び30wt%のAl2O3を含有するか焼Mg-Alハイドロタルサイト(PURALOX(登録商標)MG70)(44g)とを脱イオン水(524ml)中で混合してスラリーを調製することによって調製した。スラリーを製粉し、Buchi B-290ミニスプレードライヤーで噴霧乾燥させて噴霧乾燥粒子を生成した。噴霧乾燥粒子を空気中550℃で4時間か焼して、名目上50wt%のPURALOX(登録商標)MG70と、CATAPAL(登録商標)Dに由来する50wt%のAl2O3とを含有するか焼担体粒子を生成した。か焼担体粒子に、塩化スズ(IV)五水和物、クロロ白金酸六水和物、及び脱イオン水を含む水溶液をインシピエントウェットネス含浸を利用して含浸させた。この含浸材料を空気中800℃で12時間か焼して、50:50のMG70:CATAPAL(登録商標)D上に名目上0.3wt%のPt及び1.5wt%のSnを含有する触媒組成物を生成した。
【0076】
触媒組成物2:40wt%のアルミニウムクロロヒドロール溶液(ACH)(85g)及びか焼Mg-Alハイドロタルサイト(PURALOX(登録商標)MG70)(88g)を脱イオン水(596ml)中で混合してスラリーを調製することによって調製した。スラリーを製粉し、Buchi B-290ミニスプレードライヤーで噴霧乾燥させて噴霧乾燥粒子を生成した。噴霧乾燥粒子を空気中550℃で4時間か焼して、名目上80wt%のPURALOX(登録商標)MG70と、ACHに由来する20wt%のAl2O3とを含有するか焼担体粒子を生成した。か焼担体粒子に、塩化スズ(IV)五水和物、クロロ白金酸六水和物、及び脱イオン水を含む水溶液をインシピエントウェットネス含浸を利用して含浸させた。この含浸材料を空気中800℃で12時間か焼して、80:20のMG70:ACH上に名目上0.3wt%のPt及び1.5wt%のSnを含有する触媒組成物を生成した。
【0077】
触媒組成物3:この触媒は下記手順に従って調製した。ハイドロタルサイトをか焼することによって得られるMgO-Al2O3混合金属酸化物である2.3gのPURALOX(登録商標)MG70/170(Sasol)を確保した。この混合金属酸化物は70wt%のMgO及び30wt%のAl2O3を含有した。Sasolによれば、BET表面積は170m2/gだった。小型ガラスバイアル中で塩化スズ(IV)五水和物(0.103g)(Acros Organics)、クロロ白金酸六水和物(0.0184g)(BioXtra)、及び脱イオン水(2.2mL)を混合して溶液を作った。この溶液をPURALOX(登録商標)MG70/170担体に含浸させた。この含浸材料を全て空気中で110℃にて6時間乾燥させ、800℃で12時間か焼した。最終生成物は名目上0.3wt%のPt及び1.5wt%のSnを含浸した。
【0078】
触媒組成物4:この触媒は下記手順に従って調製した。ハイドロタルサイトをか焼することによって得られるMgO-Al2O3混合金属酸化物である20gのPURALOX(登録商標)MG70/170(Sasol)を確保した。この混合金属酸化物は70wt%のMgO及び30wt%のAl2O3を含有した。Sasolによれば、BET表面積は170m2/gだった。適量の塩化スズ(II)デヒドラート(dehydrate)と脱イオン水を混合して溶液を形成した。この溶液をPURALOX(登録商標)MG70/170担体に含浸させた。この含浸材料を密閉容器に室温で1時間保管した後120℃で一晩乾燥させた。適量の硝酸テトラアミン白金(II)と脱イオン水を混合して溶液を形成した。Snを含浸させた担体にさらにこのPt溶液を含浸させた。この含浸材料を密閉容器内で室温にて1時間放置した後、全て空気中で120℃にて一晩乾燥させ、800℃で12時間か焼した。最終生成物は名目上0.3wt%のPt及び1.5wt%のSnを含有した。
【0079】
触媒組成物5~18は下記手順に従って調製した。各触媒組成物のため、80wt%のMgO及び20wt%のAl2O3を含有し、かつ150m2/gの表面積を有する混合Mg/Al金属酸化物であるPURALOX(登録商標)MG80/150(3グラム)(Sasol)を空気下550℃で3時間か焼して担体を形成した。触媒組成物(Acros Organics)作製のために使用時には適量の塩化スズ(IV)五水和物及び/又は触媒組成物(Sigma Aldrich)作製のために使用時には適量のクロロ白金酸並びに1.8mlの脱イオン水を含有する溶液を小型ガラスバイアル中で調製した。各触媒組成物のため、か焼PURALOX(登録商標)MG80/15担体(2.3グラム)に対応溶液を含浸させた。この含浸材料を密閉容器内で室温(RT)にて24時間平衡化させ、110℃で6時間乾燥させ、800℃で12時間か焼した。表1は、各触媒組成物の担体の質量に基づいたPt及びSnの名目上の含量を示す。
【0080】
【0081】
上記触媒1~4を使用する実施例
固定床実験を約100kPa絶対圧で行った。ガスクロマトグラフ(GC)を用いて反応器流出物の組成を測定した。次に反応器流出物中の各成分の濃度を用いてC3H6の収率及び選択性を計算した。これらの実施例で報告したC3H6の収率及び選択性は、炭素モル基準で計算した。
各実施例では、0.3gの触媒Mcatを適量の石英希釈剤と混合し、石英反応器に充填した。希釈剤の量は、触媒床(触媒+希釈剤)が石英反応器の等温ゾーンと重なり、触媒床が作動中に大部分は等温になるように決めた。石英チップ/ロッドで反応器のデッドボリュームを満たした。
反応器流出物中の各成分の濃度を用いてC3H6の収率及び選択性を計算した。trxnの開始時及びtrxnの終了時のC3H6の収率及び選択性をそれぞれYini、Yend、Sini、及びSendと表し、百分率として下表に報告する。
【0082】
実施例1及び2のプロセスステップは以下のとおりだった。1.システムに不活性ガスを流した。2.不活性ガスを反応ゾーンに通しながら、酸素含有ガス(Ogas)を流速(F
regen)で反応ゾーンのバイパスに通した。反応ゾーンを再生温度T
regenに加熱した。3.次に酸素含有ガスを反応ゾーンに特定時間(t
regen)にわたって通して触媒を再生した。t
regen後、酸素含有ガス流量を維持しながら反応ゾーン内の温度をT
regenから還元温度(T
red)に変えた。4.システムに不活性ガスを流した。5.反応ゾーンに不活性ガスを通しながら、H
2含有ガス(Hgas)を流速(F
red)で反応ゾーンのバイパスに特定時間にわたって通した。この後にH
2含有ガスをT
redの反応ゾーン内に特定時間(t
red)にわたって流した。6.システムに不活性ガスを流した。このプロセス中に、反応ゾーンの温度をT
redから655℃の反応温度に変えた。7.反応ゾーンに不活性ガスを通しながら、81vol%のC
3H
8、9vol%の不活性(Ar又はKr)及び10vol%の水蒸気を含む炭化水素含有(HCgas)フィードを流速(F
rxn)で反応ゾーンのバイパスに特定時間にわたって通した。次に炭化水素含有フィードを655℃の反応ゾーンに10分間通した。フィードを反応ゾーンのバイパスから反応ゾーンに切り替えたらすぐに反応流出物のGCサンプリングを開始した。上記プロセスステップを安定性能が得られるまで周期的に繰り返した。表2は、触媒1と触媒2が両方ともプロパン脱水素に対して活性/選択的だったことを示す。
図2は、触媒2がプロパン脱水素に対して60サイクルにわたって安定していたことを示す。
【0083】
【0084】
実施例3-酸化中の水蒸気の効果。プロセスステップは以下のとおりだった。1.反応ゾーンを酸化温度Toxiに加熱しながら、システムに不活性ガスを流した。2.不活性ガスを反応ゾーンに通しながら、酸素含有ガス(Ogas)を流速(Foxi)で反応ゾーンのバイパスに通した。3.次に酸素含有ガスを反応ゾーンに特定時間(toxi)にわたって通して触媒を酸化した。4.toxi後、不活性ガスを反応ゾーンに通し、反応ゾーン内の温度をToxiから還元温度(Tred)に変えた。5.システムに不活性ガスを流した。6.不活性ガスを反応ゾーンに通しながら、H2含有ガス(Hgas)を流速(Fred)で反応ゾーンのバイパスに特定時間にわたって通した。この後にH2含有ガスをTredの反応ゾーン内に特定時間(tred)にわたって流した。7.システムに不活性ガスを流した。このプロセス中に、反応ゾーンの温度をTredから670℃の反応温度に変えた。8.不活性ガスを反応ゾーンに通しながら、81vol%のC3H8、9vol%の不活性(Ar又はKr)及び10vol%の水蒸気を含む炭化水素含有(HCgas)フィードを流速(Frxn)で反応ゾーンのバイパスに特定時間にわたって通した。次に炭化水素含有フィードを670℃の反応ゾーンに10分間通した。フィードを反応ゾーンのバイパスから反応ゾーンに切り替えたらすぐに反応流出物のGCサンプリングを開始した。上記プロセスステップを安定性能が得られるまで周期的に繰り返した。表3は、酸化中の空気に10vol%超の水蒸気が存在すると、再生後によりいっそう失活した触媒をもたらしたことを示す(56.8%対61.1%のC3H6収率)。酸化中の空気に存在する水蒸気が多いほど、活性が低い。他方で、酸化の2分後に湿潤空気を乾燥空気に切り替えれば、触媒は効率的に再生された。
【0085】
【0086】
実施例4-H2還元持続時間の効果。1.反応ゾーンを800℃の酸化温度に加熱しながらシステムに不活性ガスを流した。2.不活性ガスを反応ゾーンに通しながら、酸素含有ガス(Ogas)を流速(Foxi)で反応ゾーンのバイパスに通した。3.次に酸素含有ガスを反応ゾーンに特定時間(toxi)にわたって通して触媒を酸化した。4.システムに不活性ガスを流した。このプロセス中、反応ゾーンの温度を800℃に維持した。5.不活性ガスを反応ゾーンに通しながら、H2含有ガス(Hgas)を流速(Fred)で反応ゾーンのバイパスに特定時間にわたって通した。この後にH2含有ガスを800℃の反応ゾーン内に特定時間(tred)にわたって流した。6.反応ゾーンにHeを通した。このプロセス中に、反応ゾーンの温度を800℃から655℃の反応温度に下げた。7.不活性ガスを反応ゾーンに通しながら、81vol%のC3H8、9vol%の不活性(Ar又はKr)及び10vol%の水蒸気を含む炭化水素含有(HCgas)フィードを流速(Frxn)で反応ゾーンのバイパスに特定時間にわたって通した。次に炭化水素含有フィードを655℃の反応ゾーンに10分間通した。フィードを反応ゾーンのバイパスから反応ゾーンに切り替えたらすぐに反応流出物のGCサンプリングを開始した。上記プロセスステップを安定性能が得られるまで周期的に繰り返した。表4は、触媒を還元しないと、酸化触媒のプロピレン収率(53.7%)が失活触媒のプロピレン収率(61.3%)よりさらに低かったことを示す。
【0087】
【0088】
実施例5-固定床実験を約100kPa絶対圧で触媒5~18を用いて行った。ガスクロマトグラフ(GC)を用いて反応器流出物の組成を測定した。次に反応器流出物中の各成分の濃度を用いてC3H6の収率及び選択性を計算した。これらの実施例で報告したC3H6の収率及び選択性は、炭素モル基準で計算した。
各実施例では、0.3gの触媒組成物を適量の石英希釈剤と混合し、石英反応器に充填した。希釈剤の量は、触媒床(触媒+希釈剤)が石英反応器の等温ゾーンと重なり、触媒床が作動中に大部分は等温になるように決めた。石英チップ/ロッドで反応器のデッドボリュームを満たした。
trxnの開始時及びtrxnの終了時のC3H6の収率及び選択性をそれぞれYini、Yend、Sini、及びSendと表し、触媒組成物5~12についての下表5及び6に百分率として報告する。
【0089】
触媒組成物5~12のためのプロセスステップは以下のとおりだった。1.システムに不活性ガスを流した。2.不活性ガスを反応ゾーンに通しながら、乾燥空気を83.9sccmの流速で反応ゾーンのバイパスに通した。反応ゾーンを800℃の再生温度に加熱した。3.次に乾燥空気を83.9sccmの流速で反応ゾーンに10分間通して触媒を再生した。4.システムに不活性ガスを流した。5.反応ゾーンに不活性ガスを通しながら、10vol%のH2と90vol%のArを含むH2含有ガス(Hgas)を46.6sccmの流速で反応ゾーンのバイパスに特定時間にわたって通した。この後にH2含有ガスを800℃の反応ゾーン内に3秒間流した。6.システムに不活性ガスを流した。このプロセス中に、反応ゾーンの温度を800℃から670℃の反応温度に変えた。7.反応ゾーンに不活性ガスを通しながら、81vol%のC3H8、9vol%の不活性ガス(Ar又はKr)及び10vol%の水蒸気を含む炭化水素含有(HCgas)フィードを35.2sccmの流速で反応ゾーンのバイパスに特定時間にわたって通した。次に炭化水素含有フィードを670℃の反応ゾーンに10分間通した。フィードを反応ゾーンのバイパスから反応ゾーンに切り替えたらすぐに反応流出物のGCサンプリングを開始した。上記プロセスステップを安定性能が得られるまで周期的に繰り返した。表5及び6は、わずか0.025wt%のPt及び1wt%のSnを含有する触媒組成物10が、0.4wt%のPt及び1wt%のSnを含有する触媒組成物5と比べて、同様の収率と同様の選択性を両方とも有したことを示し、これは驚くべきかつ予想外だった。少しもPtを含まない触媒組成物12は、認識できるプロピレン収率を示さなかった。
【0090】
【0091】
【0092】
触媒5~12に関して上述したのと同じプロセスステップ1~7を用いて触媒組成物13~18をも試験した。表7は、担体の質量に基づいて0.1wt%のPtを含む触媒組成物にとって最適のプロピレン収率のためにはSnのレベルが低すぎても高すぎてもいけないことを示す。
【0093】
【0094】
表8は、担体の質量に基づいて0.0125wt%のPtを含む触媒組成物にとって最適のプロピレン収率のためにはSnのレベルが高すぎても低すぎてもいけないことを示す。
【0095】
【0096】
わずか0.025wt%のPt及び1wt%のSnを含有する触媒組成物10については、ステップ7で35.2sccmの代わりに17.6sccmの流速を用いたことを除き、触媒組成物5~12に関して上述したのと同じプロセスステップ1~7を利用する寿命試験をも行った。
図3は、触媒組成物10が204サイクルにわたって性能を維持したことを示す(x軸は時間であり、y軸はC
3H
6の収率及びC
3H
6に対する選択性であり、両方とも炭素モル%)。
【0097】
実施形態のリスト
本開示は、さらに以下の非限定実施形態を含み得る。
A1.炭化水素のアップグレードプロセスであって、(I)炭化水素含有フィードを変換ゾーン内で流動脱水素触媒粒子と接触させて炭化水素含有フィードの少なくとも一部の脱水素を引き起こして、コークス化触媒粒子及び1種以上の脱水素炭化水素を含む変換流出物を生成するステップであって、炭化水素含有フィードは、1種以上のC2-C16直鎖若しくは分岐アルカン、1種以上のC4-C16環状アルカン、1種以上のC8-C16アルキル芳香族炭化水素、又はその混合物を含み、炭化水素含有フィードは、炭化水素含有フィード中のいずれものC2-C16アルカン及びいずれものC8-C16芳香族炭化水素の質量に基づいて、0.1時間-1~1,000時間-1の範囲の質量毎時空間速度で触媒粒子と接触し、いずれものC2-C16アルカン及びいずれものC8-C16芳香族炭化水素の合計量に対する流動脱水素触媒粒子の質量比は、3~100の範囲であり、かつ炭化水素含有フィードと触媒粒子は、600℃~750℃の範囲の温度で接触される、ステップと、(II)変換流出物から、コークス化触媒粒子に富む第1粒子ストリーム及び1種以上の脱水素炭化水素に富む第1気体ストリームを分離するステップと、(III)第1粒子ストリーム中のコークス化触媒粒子の少なくとも一部を燃焼ゾーン内で酸化剤と接触させてコークスの少なくとも一部の燃焼を引き起こして、コークスが少ない触媒粒子及び燃焼ガスを含む燃焼流出物を生成するステップであって、コークスが少ない触媒粒子の脱水素活性は、コークス化触媒粒子の脱水素活性より低く、燃焼ゾーンは電気ヒーターによって加熱される、ステップと、(IV)コークスが少ない触媒粒子に富む第2粒子ストリーム及び燃焼ガスに富む第2気体ストリームを燃焼流出物から分離するステップと、(V)第2粒子ストリームの少なくとも一部を還元ゾーン内で還元性ガスと接触させて、コークス化触媒粒子より高い脱水素活性を有する再生触媒粒子を生成するステップと、(VI)追加量の炭化水素含有フィードを変換ゾーン内で再生触媒粒子の少なくとも一部と接触させて、再コークス化触媒粒子及び追加量の1種以上の脱水素炭化水素を含む追加量の変換流出物を生成するステップと、(VII)第1気体ストリームを冷却して冷却気体ストリームを生成するステップと、(VIII)冷却気体ストリームの少なくとも一部を圧縮して圧縮気体ストリームを生成するステップと、(IX)複数の生成物を圧縮気体ストリームから分離するステップとを含む、プロセス。
【0098】
A2.補充炭化水素燃料が燃焼ゾーンに導入されない、A1のプロセス。
A3.燃焼ゾー内に存在するいずれの炭化水素も変換流出物からの同伴炭化水素を含む、A1又はA2のプロセス。
A4.炭化水素含有フィードが、炭化水素含有フィード中のいずれものC2-C16アルカン及びいずれものC8-C16芳香族炭化水素の質量に基づいて、0.1時間-1~100時間-1、好ましくは0.2時間-1~64時間-1、又はさらに好ましくは0.4時間-1~32時間-1の範囲の質量毎時空間速度で流動脱水素触媒粒子と接触する、A1~A3のいずれか1つのプロセス。
A5.いずれものC2-C16アルカン及びいずれものC8-C16芳香族炭化水素の合計量に対する流動脱水素触媒粒子の質量比が、5~90、さらに好ましくは10~80の範囲である、A1~A4のいずれか1つのプロセス。
A6.炭化水素含有フィードが、0.1秒~2分、好ましくは1秒~1分、さらに好ましくは0.5秒~3秒の持続時間にわたって流動脱水素触媒粒子と接触される、A1~A5のいずれか1つのプロセス。
A7.炭化水素含有フィードが、0kPaゲージ圧~500kPaゲージ圧、好ましくは20kPaゲージ圧~300kPaゲージ圧、さらに好ましくは40kPaゲージ圧~200kPaゲージ圧の総圧力下で流動脱水素触媒粒子と接触される、A1~A5のいずれか1つのプロセス。
A8.炭化水素含有フィードが、0.1モル%~15モル%の水蒸気、好ましくは1モル%~10モル%の水蒸気、さらに好ましくは3モル%~8モル%の水蒸気を含む、A1~A7のいずれか1つのプロセス。
A9.炭化水素含有フィードが、流動脱水素触媒粒子との最初の接触時に≦620℃の温度である、A1~A8のいずれか1つのプロセス。
A10.第2粒子ストリームが、ステップ(V)において450℃~900℃、好ましくは600℃~900℃、さらに好ましくは620℃~800℃の範囲の温度で還元性ガスと接触される、A1~A9のいずれか1つのプロセス。
A11.第2粒子ストリームが、ステップ(V)において0.1秒~300秒、好ましくは1秒~100秒、さらに好ましくは2秒~10秒の持続時間にわたって還元性ガスと接触されて再生触媒粒子を生成する、A1~A10のいずれか1つのプロセス。
【0099】
A12.1種以上の脱水素炭化水素に富む第1気体ストリームがさらに同伴コークス化触媒粒子を含み、ステップ(VII)が、(VIIa)第1気体ストリームを第1クエンチ媒体と接触させて、間接的に熱を第1気体ストリームから第1伝熱媒体、又はその組み合わせに移動させて冷却気体ストリームを生成するステップと、(VIIb)この冷却気体ストリームをクエンチ塔内で第2クエンチ媒体と接触させるステップと、(VIIc)クエンチ塔から、1種以上の脱水素炭化水素を含む第3気体ストリームと、液相の第2クエンチ媒体の少なくとも一部及び同伴コークス化触媒粒子を含むスラリーストリームとを回収するステップとを含み、かつステップ(VIII)が、第3気体ストリームの少なくとも一部を圧縮して圧縮気体ストリームを生成するステップを含む、A1~A11のいずれか1つのプロセス。
A13.変換流出物がさらにベンゼンを含み、プロセスが、(X)クエンチ塔からベンゼン生成物ストリームを引き出すステップをさらに含む、A12のプロセス。
A14.ステップ(VIIa)が、第1気体ストリームを第1クエンチ媒体と接触させるステップを含む、A12又はA13のプロセス。
A15.第1粒子ストリーム及び第1気体ストリームが、1つ以上のサイクロン内で変換流出物から分離され、かつ第1気体ストリームが、ステップ(VII)において1つ以上のサイクロンの少なくとも1つのプレナム内で第1クエンチ媒体と接触されて冷却気体ストリームを生成する、A1~A11のいずれか1つのプロセス。
A16.1つ以上の各サイクロン内における第1気体ストリーム中の気体成分の滞留時間が≦1秒である、A15のプロセス。
【0100】
A17.変換流出物が≧620℃の温度であり、冷却気体ストリームが≧500℃かつ<620℃、好ましくは≧550℃~≦600℃の温度である、A1~A16のいずれか1つのプロセス。
A18.脱水素触媒粒子が、担体上に配置された0.001wt%~6wt%の第8~10族元素及び場合により、Sn、Cu、Au、Ag、Ga、その組み合わせ、又はその混合物を含む10wt%までのプロモーターを含み、ここで、全ての質量パーセント値は担体の質量に基づいている、A1~A17のいずれか1つのプロセス。
A19.脱水素触媒粒子が、担体上に配置された0.001wt%~6wt%のPt及び場合により、Sn、Cu、Au、Ag、Ga、その組み合わせ、又はその混合物を含む10wt%までプロモーターを含み、ここで、担体は、少なくとも0.5wt%の第2族元素を含み、全ての質量パーセント値は担体の質量に基づいている、A1~A18のいずれか1つのプロセス。
A20.脱水素触媒粒子が、ゲルダートA又はゲルダートB分類の要件を満たす、A1~A19のいずれか1つのプロセス。
A21.ステップ(IX)において、複数の生成物が、ストリームクラッカー(stream cracker)炉から熱分解流出物を受け取る一次分留装置から分離された気体オーバーヘッド生成物をも受け取る生成物回収ユニット内で圧縮気体ストリームから分離される、A1~A20のいずれか1つのプロセス。
A22.炭化水素含有フィードが、バイオマス由来のプロパンを含む、A1~A21のいずれか1つのプロセス。
A23.炭化水素含有フィードが液化石油ガスを含む、A1~A22のいずれか1つのプロセス。
A24.ステップ(III)で用いられる酸化剤が≧95モル%のO2を含む、A1~A23のいずれか1つのプロセス。
A25.変換ゾーン及び燃焼ゾーンが、改造流動接触分解反応器-再生器ユニット内に位置している、A1~A24のいずれか1つのプロセス。
【0101】
種々の用語を上で定義した。請求項に用いられる用語が上で定義されていない限りでは、少なくとも1つの刊行物又は発行された特許に反映されたように当業者がその用語に与えた最も広い定義を与えるべきである。さらに、本出願で引用した全ての特許、試験手順、及び他の文書は、参照することにより該開示が本出願と矛盾しない程度まで完全に援用され、かつ該援用が許容される全ての権限のために援用される。
前述の説明は、本発明の実施形態に関するものであるが、本発明の基本範囲を逸脱することなく本発明の他のさらなる実施形態を考案することが可能であり、本発明の範囲は、下記特許請求の範囲によって決められる。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素のアップグレードプロセスであって、
(I)炭化水素含有フィードを変換ゾーン内で流動脱水素触媒粒子と接触させて前記炭化水素含有フィードの少なくとも一部の脱水素を引き起こして、コークス化触媒粒子及び1種以上の脱水素炭化水素を含む変換流出物を生成するステップであって、
前記炭化水素含有フィードは、1種以上のC
2-C
16直鎖若しくは分岐アルカン、1種以上のC
4-C
16環状アルカン、1種以上のC
8-C
16アルキル芳香族炭化水素、又はその混合物を含み、
前記炭化水素含有フィードは、該炭化水素含有フィード中のいずれものC
2-C
16アルカン及びいずれものC
8-C
16芳香族炭化水素の質量に基づいて、0.1時間
-1~1,000時間
-1の範囲の質量毎時空間速度で前記触媒粒子と接触し、
いずれものC
2-C
16アルカン及びいずれものC
8-C
16芳香族炭化水素の合計量に対する前記流動脱水素触媒粒子の質量比は、3~100の範囲であり、かつ
前記炭化水素含有フィードと前記触媒粒子は600℃~750℃の範囲の温度で接触される、ステップと、
(II)前記変換流出物から、前記コークス化触媒粒子に富む第1粒子ストリーム及び前記1種以上の脱水素炭化水素に富む第1気体ストリームを分離するステップと、
(III)前記第1粒子ストリーム中の前記コークス化触媒粒子の少なくとも一部を燃焼ゾーン内で酸化剤及び燃料と接触させてコークスの少なくとも一部の燃焼を引き起こして、コークスが少ない触媒粒子及び燃焼ガスを含む燃焼流出物を生成するステップであって、前記コークスが少ない触媒粒子の脱水素活性は、前記コークス化触媒粒子の脱水素活性より低い、ステップと、
(IV)前記コークスが少ない触媒粒子に富む第2粒子ストリーム及び前記燃焼ガスに富む第2気体ストリームを前記燃焼流出物から分離するステップと、
(V)前記第2粒子ストリーム中の前記コークスが少ない触媒粒子の少なくとも一部を酸素浸漬ゾーン内で620℃~1,000℃の範囲の酸化温度で少なくとも20秒の持続時間にわたって酸化的ガスと接触させて、前記コークス化触媒粒子より低い活性を有する調整触媒粒子を生成するステップと、
(VI)前記調整触媒粒子の少なくとも一部を還元ゾーン内で還元性ガスと接触させて、前記コークス化触媒粒子より高い脱水素活性を有する再生触媒粒子を生成するステップと、
(VII)追加量の前記炭化水素含有フィードを前記変換ゾーン内で前記再生触媒粒子の少なくとも一部と接触させて、再コークス化触媒粒子及び追加量の前記1種以上の脱水素炭化水素を含む追加量の変換流出物を生成するステップと、
(VIII)前記第1気体ストリームを冷却して冷却気体ストリームを生成するステップと、
(IX)前記冷却気体ストリームの少なくとも一部を圧縮して圧縮気体ストリームを生成するステップと、
(X)複数の生成物を前記圧縮気体ストリームから分離するステップとを含む、
前記プロセス。
【請求項2】
前記炭化水素含有フィードが、0.1モル%~15モル%の水蒸
気を含む、請求項
1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記炭化水素含有フィードが、前記流動脱水素触媒粒子との最初の接触時に≦620℃の温度である、請求項1
又は請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
ステップ(V)において、前記第2粒子ストリーム中の前記コークスが少ない触媒粒子が、0.5分~30
分の持続時間にわたって前記酸化的ガスと接触
される、請求項1
又は請求項2に記載のプロセス。
【請求項5】
ステップ(V)の前記酸化的ガスが、該酸化的ガスの総モルに基づいて、5%以下のH
2Oを含む、請求項1
又は請求項2に記載のプロセス。
【請求項6】
ステップ(VI)において、前記調整触媒粒子が、450℃~900
℃の範囲の温度で前記還元性ガスと接触される、請求項1
又は請求項2に記載のプロセス。
【請求項7】
ステップ(VI)において、前記調整触媒粒子が、0.1秒~300
秒の持続時間にわたって前記還元性ガスと接触されて前記再生触媒粒子を生成する、請求項1
又は請求項2に記載のプロセス。
【請求項8】
前記1種以上の脱水素炭化水素に富む前記第1気体ストリームがさらに同伴コークス化触媒粒子を含み、
ステップ(VIII)が、
(VIIIa)前記第1気体ストリームを第1クエンチ媒体と接触させて、間接的に熱を前記第1気体ストリームから第1伝熱媒体、又はその組み合わせに移動させて前記冷却気体ストリームを生成するステップと、
(VIIIb)前記冷却気体ストリームをクエンチ塔内で第2クエンチ媒体と接触させるステップと、
(VIIIc)前記クエンチ塔から、前記1種以上の脱水素炭化水素を含む第3気体ストリームと、液相の前記第2クエンチ媒体の少なくとも一部及び前記同伴コークス化触媒粒子を含むスラリーストリームとを回収するステップと
を含み、かつ
ステップ(IX)が、前記第3気体ストリームの少なくとも一部を圧縮して前記圧縮気体ストリームを生成するステップを含む、
請求項1
又は請求項2に記載のプロセス。
【請求項9】
ステップ(VIIIa)が、前記第1気体ストリームを前記第1クエンチ媒体と接触させるステップを含む、請求項
8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記第1粒子ストリーム及び前記第1気体ストリームが、1つ以上のサイクロン内で前記変換流出物から分離され、かつ前記第1気体ストリームが、ステップ(VIII)において前記1つ以上のサイクロンの少なくとも1つのプレナム内で第1クエンチ媒体と接触されて前記冷却気体ストリームを生成する、請求項1
又は請求項2に記載のプロセス。
【請求項11】
前記1つ以上の各サイクロン内における前記第1気体ストリーム中の気体成分の滞留時間が≦1秒である、請求項
10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記変換流出物が≧620℃の温度であり、前記冷却気体ストリームが≧500℃かつ<620
℃の温度である、請求項1
又は請求項2に記載のプロセス。
【請求項13】
前記脱水素触媒粒子が、担体上に配置された0.001wt%~6wt%の第8~10族元素及び場合によりSn、Cu、Au、Ag、Ga、その組み合わせ、又はその混合物を含む10wt%までのプロモーターを含み、ここで、全ての質量パーセント値は前記担体の質量に基づいている、請求項1
又は請求項2に記載のプロセス。
【請求項14】
前記脱水素触媒粒子が、担体上に配置された0.001wt%~6wt%のPt及び場合によりSn、Cu、Au、Ag、Ga、その組み合わせ、又はその混合物を含む10wt%までプロモーターを含み、ここで、前記担体は、少なくとも0.5wt%の第2族元素を含み、全ての質量パーセント値は前記担体の質量に基づいている、請求項1
又は請求項2に記載のプロセス。
【請求項15】
脱水素触媒粒子が、ゲルダートA又はゲルダートB分類の要件を満たす、請求項1
又は請求項2に記載のプロセス。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0101
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0101】
種々の用語を上で定義した。請求項に用いられる用語が上で定義されていない限りでは、少なくとも1つの刊行物又は発行された特許に反映されたように当業者がその用語に与えた最も広い定義を与えるべきである。さらに、本出願で引用した全ての特許、試験手順、及び他の文書は、参照することにより該開示が本出願と矛盾しない程度まで完全に援用され、かつ該援用が許容される全ての権限のために援用される。
前述の説明は、本発明の実施形態に関するものであるが、本発明の基本範囲を逸脱することなく本発明の他のさらなる実施形態を考案することが可能であり、本発明の範囲は、下記特許請求の範囲によって決められる。
付記:本開示は以下の実施形態を含む。
<実施形態1>
炭化水素のアップグレードプロセスであって、
(I)炭化水素含有フィードを変換ゾーン内で流動脱水素触媒粒子と接触させて前記炭化水素含有フィードの少なくとも一部の脱水素を引き起こして、コークス化触媒粒子及び1種以上の脱水素炭化水素を含む変換流出物を生成するステップであって、
前記炭化水素含有フィードは、1種以上のC
2
-C
16
直鎖若しくは分岐アルカン、1種以上のC
4
-C
16
環状アルカン、1種以上のC
8
-C
16
アルキル芳香族炭化水素、又はその混合物を含み、
前記炭化水素含有フィードは、該炭化水素含有フィード中のいずれものC
2
-C
16
アルカン及びいずれものC
8
-C
16
芳香族炭化水素の質量に基づいて、0.1時間
-1
~1,000時間
-1
の範囲の質量毎時空間速度で前記触媒粒子と接触し、
いずれものC
2
-C
16
アルカン及びいずれものC
8
-C
16
芳香族炭化水素の合計量に対する前記流動脱水素触媒粒子の質量比は、3~100の範囲であり、かつ
前記炭化水素含有フィードと前記触媒粒子は600℃~750℃の範囲の温度で接触される、ステップと、
(II)前記変換流出物から、前記コークス化触媒粒子に富む第1粒子ストリーム及び前記1種以上の脱水素炭化水素に富む第1気体ストリームを分離するステップと、
(III)前記第1粒子ストリーム中の前記コークス化触媒粒子の少なくとも一部を燃焼ゾーン内で酸化剤及び燃料と接触させてコークスの少なくとも一部の燃焼を引き起こして、コークスが少ない触媒粒子及び燃焼ガスを含む燃焼流出物を生成するステップであって、前記コークスが少ない触媒粒子の脱水素活性は、前記コークス化触媒粒子の脱水素活性より低い、ステップと、
(IV)前記コークスが少ない触媒粒子に富む第2粒子ストリーム及び前記燃焼ガスに富む第2気体ストリームを前記燃焼流出物から分離するステップと、
(V)前記第2粒子ストリーム中の前記コークスが少ない触媒粒子の少なくとも一部を酸素浸漬ゾーン内で620℃~1,000℃の範囲の酸化温度で少なくとも20秒の持続時間にわたって酸化的ガスと接触させて、前記コークス化触媒粒子より低い活性を有する調整触媒粒子を生成するステップと、
(VI)前記調整触媒粒子の少なくとも一部を還元ゾーン内で還元性ガスと接触させて、前記コークス化触媒粒子より高い脱水素活性を有する再生触媒粒子を生成するステップと、
(VII)追加量の前記炭化水素含有フィードを前記変換ゾーン内で前記再生触媒粒子の少なくとも一部と接触させて、再コークス化触媒粒子及び追加量の前記1種以上の脱水素炭化水素を含む追加量の変換流出物を生成するステップと、
(VIII)前記第1気体ストリームを冷却して冷却気体ストリームを生成するステップと、
(IX)前記冷却気体ストリームの少なくとも一部を圧縮して圧縮気体ストリームを生成するステップと、
(X)複数の生成物を前記圧縮気体ストリームから分離するステップとを含む、
前記プロセス。
<実施形態2>
前記炭化水素含有フィードが、該炭化水素含有フィード中のいずれものC
2
-C
16
アルカン及びいずれものC
8
-C
16
芳香族炭化水素に基づいて、0.1時間
-1
~100時間
-1
、好ましくは0.2時間
-1
~64時間
-1
、さらに好ましくは0.4時間
-1
~32時間
-1
の範囲の質量毎時空間速度で前記流動脱水素触媒粒子と接触する、実施形態1に記載のプロセス。
<実施形態3>
いずれものC
2
-C
16
アルカン及びいずれものC
8
-C
16
芳香族炭化水素の合計量に対する前記流動脱水素触媒粒子の質量比が、5~90、さらに好ましくは10~80の範囲である、実施形態1又は実施形態2に記載のプロセス。
<実施形態4>
前記炭化水素含有フィードが、0.1秒~2分、好ましくは1秒~1分、さらに好ましくは0.5秒~3秒の持続時間にわたって前記流動脱水素触媒粒子と接触される、実施形態1~3のいずれか1項に記載のプロセス。
<実施形態5>
前記炭化水素含有フィードが、0kPaゲージ圧~500kPaゲージ圧、好ましくは20kPaゲージ圧~300kPaゲージ圧、さらに好ましくは40kPaゲージ圧~200kPaゲージ圧の範囲の総圧力下で前記流動脱水素触媒粒子と接触される、実施形態1~4のいずれか1項に記載のプロセス。
<実施形態6>
前記炭化水素含有フィードが、0.1モル%~15モル%の水蒸気、好ましくは1モル%~10モル%の水蒸気、さらに好ましくは3モル%~8モル%の水蒸気を含む、実施形態1~5のいずれか1項に記載のプロセス。
<実施形態7>
前記炭化水素含有フィードが、前記流動脱水素触媒粒子との最初の接触時に≦620℃の温度である、実施形態1~6のいずれか1項に記載のプロセス。
<実施形態8>
ステップ(V)において、前記第2粒子ストリーム中の前記コークスが少ない触媒粒子が、0.5分~30分、好ましくは2分~20分、さらに好ましくは3分~10分の持続時間にわたって前記酸化的ガスと接触して前記調整触媒粒子を生成する、実施形態1~7のいずれか1項に記載のプロセス。
<実施形態9>
ステップ(V)の前記酸化的ガスが、該酸化的ガスの総モルに基づいて、5%以下のH
2
Oを含む、実施形態1~8のいずれか1項に記載のプロセス。
<実施形態10>
ステップ(VI)において、前記調整触媒粒子が、450℃~900℃、好ましくは600℃~900℃、さらに好ましくは620℃~800℃の範囲の温度で前記還元性ガスと接触される、実施形態1~9のいずれか1項に記載のプロセス。
<実施形態11>
ステップ(VI)において、前記調整触媒粒子が、0.1秒~300秒、好ましくは1秒~100秒、さらに好ましくは2秒~10秒の持続時間にわたって前記還元性ガスと接触されて前記再生触媒粒子を生成する、実施形態1~10のいずれか1項に記載のプロセス。
<実施形態12>
前記1種以上の脱水素炭化水素に富む前記第1気体ストリームがさらに同伴コークス化触媒粒子を含み、
ステップ(VIII)が、
(VIIIa)前記第1気体ストリームを第1クエンチ媒体と接触させて、間接的に熱を前記第1気体ストリームから第1伝熱媒体、又はその組み合わせに移動させて前記冷却気体ストリームを生成するステップと、
(VIIIb)前記冷却気体ストリームをクエンチ塔内で第2クエンチ媒体と接触させるステップと、
(VIIIc)前記クエンチ塔から、前記1種以上の脱水素炭化水素を含む第3気体ストリームと、液相の前記第2クエンチ媒体の少なくとも一部及び前記同伴コークス化触媒粒子を含むスラリーストリームとを回収するステップと
を含み、かつ
ステップ(IX)が、前記第3気体ストリームの少なくとも一部を圧縮して前記圧縮気体ストリームを生成するステップを含む、
実施形態1~11のいずれか1項に記載のプロセス。
<実施形態13>
前記変換流出物がさらにベンゼンを含み、
(XI)前記クエンチ塔からベンゼン生成物ストリームを引き出すステップをさらに含む、実施形態12に記載のプロセス。
<実施形態14>
ステップ(VIIIa)が、前記第1気体ストリームを前記第1クエンチ媒体と接触させるステップを含む、実施形態12又は実施形態13に記載のプロセス。
<実施形態15>
前記第1粒子ストリーム及び前記第1気体ストリームが、1つ以上のサイクロン内で前記変換流出物から分離され、かつ前記第1気体ストリームが、ステップ(VIII)において前記1つ以上のサイクロンの少なくとも1つのプレナム内で第1クエンチ媒体と接触されて前記冷却気体ストリームを生成する、実施形態1~11のいずれか1項に記載のプロセス。
<実施形態16>
前記1つ以上の各サイクロン内における前記第1気体ストリーム中の気体成分の滞留時間が≦1秒である、実施形態15に記載のプロセス。
<実施形態17>
前記変換流出物が≧620℃の温度であり、前記冷却気体ストリームが≧500℃かつ<620℃、好ましくは≧550℃~≦600℃の温度である、実施形態1~16のいずれか1項に記載のプロセス。
<実施形態18>
前記脱水素触媒粒子が、担体上に配置された0.001wt%~6wt%の第8~10族元素及び場合によりSn、Cu、Au、Ag、Ga、その組み合わせ、又はその混合物を含む10wt%までのプロモーターを含み、ここで、全ての質量パーセント値は前記担体の質量に基づいている、実施形態1~17のいずれか1項に記載のプロセス。
<実施形態19>
前記脱水素触媒粒子が、担体上に配置された0.001wt%~6wt%のPt及び場合によりSn、Cu、Au、Ag、Ga、その組み合わせ、又はその混合物を含む10wt%までプロモーターを含み、ここで、前記担体は、少なくとも0.5wt%の第2族元素を含み、全ての質量パーセント値は前記担体の質量に基づいている、実施形態1~18のいずれか1項に記載のプロセス。
<実施形態20>
脱水素触媒粒子が、ゲルダートA又はゲルダートB分類の要件を満たす、実施形態1~19のいずれか1項に記載のプロセス。
<実施形態21>
ステップ(X)において、前記複数の生成物が、ストリームクラッカー(stream cracker)炉から熱分解流出物を受け取る一次分留装置から分離された気体オーバーヘッド生成物をも受け取る生成物回収ユニット内で前記圧縮気体ストリームから分離される、実施形態1~20のいずれか1項に記載のプロセス。
<実施形態22>
前記炭化水素含有フィードが、バイオマス由来のプロパンを含む、実施形態1~21のいずれか1項に記載のプロセス。
<実施形態23>
前記炭化水素含有フィードが液化石油ガスを含む、実施形態1~22のいずれか1項に記載のプロセス。
<実施形態24>
ステップ(III)で用いられる前記酸化剤が≧95モル%のO
2
を含む、実施形態1~23のいずれか1項に記載のプロセス。
<実施形態25>
前記変換ゾーン及び前記燃焼ゾーンが、改造流動接触分解反応器-再生器ユニット内に位置している、実施形態1~24のいずれか1項に記載のプロセス。
【国際調査報告】