(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】換気ノズルのための空気案内部材
(51)【国際特許分類】
B60H 1/34 20060101AFI20240822BHJP
F21V 33/00 20060101ALI20240822BHJP
B60Q 3/20 20170101ALI20240822BHJP
【FI】
B60H1/34 651Z
F21V33/00 330
B60Q3/20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508369
(86)(22)【出願日】2022-07-21
(85)【翻訳文提出日】2024-04-01
(86)【国際出願番号】 EP2022070527
(87)【国際公開番号】W WO2023020777
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】102021004197.6
(32)【優先日】2021-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100090583
【氏名又は名称】田中 清
(74)【代理人】
【識別番号】100098110
【氏名又は名称】村山 みどり
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー・ゲルハルト
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・オーム
(72)【発明者】
【氏名】フェーリクス・ハインリヒ
(72)【発明者】
【氏名】ハラルト・ヴォルフ
【テーマコード(参考)】
3K014
3K040
3L211
【Fターム(参考)】
3K014AA01
3K014PD01
3K040AA02
3L211BA12
3L211BA60
3L211DA17
3L211DA99
(57)【要約】
換気ノズル(14)の断面を少なくとも部分的に取り囲む、空気案内リブ(3)が配置された本体(2)と、照明装置(4)とを有する、自動車の換気ノズル(14)のための空気案内部材(1)において、本体(2)と空気案内リブ(3)はマルチコンポーネント3Dプリントによって一体的に製作され、本体(2)は透明なコア(5)を有し、本体(2)と空気案内リブ(3)の表面の各部分は、少なくとも部分的に半透明の材料で、及び少なくとも的に不透明の材料(13)で、コア(5)上にプリントされている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の換気ノズル(14)のための空気案内部材(1)であって、前記換気ノズル(14)の断面を少なくとも部分的に取り囲む本体(2)を有し、その上に空気案内リブ(3)が配置されており、かつ照明装置(4)を有する、前記空気案内部材(1)において、
前記本体(2)と前記空気案内リブ(3)はマルチコンポーネント3Dプリントによって一体的に製作されるものであり、ここで前記本体(2)は透明なコア(5)を有しており、前記本体(2)の表面の各部分及び前記空気案内リブ(3)は、少なくとも部分的に半透明の材料で及び少なくとも部分的に不透明の材料(13)で、前記コア(5)上にプリントされていることを特徴とする、前記空気案内部材(1)。
【請求項2】
前記透明なコア(5)上にプリントされている前記不透明の材料(13)及び/又は前記半透明の材料は、着色されていることを特徴とする、請求項1に記載の空気案内部材。
【請求項3】
前記コア(5)は断面で見て鋭角で交わる2つの脚部(7,8)で構成され、これらの脚部の間でキャビティ(6)が形成され、前記照明装置(4)は前記鋭角と反対を向くほうの側から前記脚部(7,8)及び/又は前記キャビティ(6)へ光を入力するものであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の空気案内部材(1)。
【請求項4】
前記空気案内リブ(3)は、前記不透明の材料(13)でプリントされていることを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の空気案内部材(1)。
【請求項5】
前記空気案内リブ(3)の間に位置する前記本体(2)の表面(12)は、前記半透明の材料でプリントされていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の空気案内部材(1)。
【請求項6】
前記空気案内リブ(3)の間に位置しない前記本体(2)のすべての表面は、前記不透明の材料(13)でプリントされていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の空気案内部材(1)。
【請求項7】
前記本体(2)は前記空気案内リブ(3)と共に、その表面の少なくとも一部に半透明の金属層が蒸着されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の空気案内部材(1)。
【請求項8】
前記本体(2)は環状に構成されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の空気案内部材(1)。
【請求項9】
前記照明装置(3)は前記本体(2)に対応する形状を有するLED機構として構成されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の空気案内部材(1)。
【請求項10】
空気案内リング(1)として形成された、請求項1から9のいずれか一項に記載の空気案内部材(1)を備えた自動車用の換気ノズル(14)であって、前記換気ノズル(14)を車両内部空間の方向に遮蔽する、前記換気ノズル(14)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に詳しく定義されている種類の、自動車の換気ノズルのための空気案内部材、たとえば空気案内リングに関する。更に本発明は、このような空気案内部材を有する換気ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1より、換気ノズルのハウジングに対して特定の角度で空気流を導出案内するための空気案内部材が設けられた換気装置が公知である。この場合、当該案内部材の一部をライトガイドを介して照明可能である。この構造体は、2つのライトガイド部材の間の可動性が意図されるように製作されるが、このことは、構造体をその製造に関して比較的高コストにするとともに、特に、比較的故障を発生しやすくする。
【0003】
特許文献2は、特にライトガイド部材のための調節部材が照明可能なように製作される、別の換気装置を記載している。
更に別の従来技術として、特許文献3を指摘することができ、この明細書は、部分的に電気メッキされたプラスチック及び部分的に電気メッキされていないプラスチックで構成され、そのようにして特定の領域での電気メッキによる表面コーティングを的確に可能にする、プラスチック成形物の構造体を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】DE102014018302A1
【特許文献2】DE102014015252A1
【特許文献3】DE102008047833A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、照明されるように製作された、車両の換気ノズルのための空気案内部材を提供することにあり、この構造体は従来技術に比べて設計的に簡素化されるとともに、構成可能性に関して拡張される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、この課題は、請求項1の構成要件を備えた、ここでは特に請求項1の特徴部分に記載の構成要件を備えた、空気案内部材によって解決される。有利な構成及び発展形態は、請求項1に従属する請求項から明らかになる。更に、このような種類の空気案内部材を有する、自動車のための換気ノズルが記載される。
【0007】
本発明による空気案内部材では、空気案内部材は断面で見て換気ノズルを取り囲む本体を有し、すなわち、換気ノズルをその円周の周りで完全に、又は大部分で、取り囲む、ないしは包囲する、本体を有する。実際にはしばしば該当する、断面で見て円形の換気ノズルの場合、特別に好都合な本発明の実施形態では、空気案内部材は空気案内リングとして具体化されることになる。本体には空気案内リブが配置され、空気案内部材は照明装置を備えている。
【0008】
そして本発明によると、本体と空気案内リブが、及びそれに伴って空気案内部材全体が、照明装置を例外として、マルチコンポーネント3Dプリントによって一体的に製造される。このことは、製造に関してきわめて簡易かつ効率的である。この場合、さまざまな種類の成分を組み合わせて単一の一体的なコンポーネントにすることができ、それにより、本発明による空気案内部材の本体は透明なコアを有し、本体の表面の各部分及び空気案内リブは、部分的に半透明の材料で及び部分的に不透明の材料で、透明な材料からなるコア上にプリントされている。このようにして、マルチコンポーネント3Dプリントで得られるこの一体的な構造体を、ライトガイドとしての透明なコアを有するように具体化することができる。部分的に透明の材料及び部分的に不透明の材料での、その表面及び/又は空気案内リブ若しくはその表面のプリントは、所望のデザインをきわめて簡易かつ効率的に具体化することを可能にする。たとえば発光する空気案内リブを、本体の発光しない表面に装着することや、その逆を可能にする。
【0009】
本体のその他の部分は半透明又は不透明の材料でその上にプリントすることができ、それにより、これらの部分はデザインの要望に応じて、照明装置が作動したときに照明するか、又は照明しないかのいずれかとなる。
【0010】
このとき本発明による空気案内部材のきわめて好都合な発展形態は、透明なコアに適用される不透明の材料又は半透明の材料は、あるいはこの両方は、着色されていることを意図する。このようにして、色構成によってデザインをいっそう最適化することができ、それは、たとえば照明をする場合には透明に光透過をする色で個々の面が具体化され、それ以外の面は直接的な着色によって不透明に具体化されて、そこでは照明された状態のときに光が透過しないことによる。
【0011】
更に、本発明による空気案内部材の別のきわめて好都合な実施形態は、鋭角で交わる2つの脚部でコアが構成され、これらの間に中空スペースないしキャビティが形成され、照明装置は、尖端と反対を向くほうの側から光を脚部及び/又は中空スペースに入力することを意図する。すなわちこの構造体は、たとえば逆V字型のように構成されていてよい。このV字の中心軸は直線状に延びていてよく、あるいは斜めに延びていてよく、又は湾曲していてよい。このとき一方の端部でそれぞれ結合された、コアの透明な材料で形成される両方の脚部の間に、中空スペースが生じる。この中空スペースは、尖端とも呼ぶことができる、脚部の結合された部分と反対を向く側に光入力がなされたとき、入力された光が脚部の領域へと広面積に到達し、これらの脚部から、コアが半透明の材料でプリントされている領域へと効率的に放射されるように作用する。
【0012】
本発明による空気案内部材のきわめて好都合な実施形態は、空気案内リブが不透明の材料でプリントされていることを意図する。すなわちこの材料は光に対して透過性でなく、たとえば黒く着色された材料で具体化することができる。更に、非常に好ましい、特にこの実施形態と組み合わせることが可能な別の思想は、それぞれのライトガイドリブの間に位置している本体の表面が透明な材料でプリントされていることを意図する。この表面はたとえばコントラスト色の、白色の、透明な材料でプリントされていてよい。照明装置がスイッチオンされて、透明なコアに光を入力すると、空気案内リブの間に位置するこれらの表面の領域で光を放射することができ、それにより、これらの面が照明され、それに対して、上で説明した好ましい実施形態では、空気案内リブそのものは特に照明されないままに保たれ、それに伴って、それらの間に位置する表面を介して間接的にのみ照明される。
【0013】
同じく直近に説明した両方の実施形態と組み合わせることができるが、組み合わせなければならないわけではない、非常に好ましい別の実施形態は、空気案内リブの間に位置しない本体のすべての表面が不透明の材料でプリントされていることを意図する。すなわちそれに伴い、特に上に説明した実施形態との組み合わせにおいて、照明は、個々の空気案内リブの間の領域でのみ与えられ、これを取り囲む領域では、たとえばこれらをつなぎ合わせる外側及び/又は内側の環状領域などでは、与えられないことが実現される。
【0014】
更に、本発明によるライトガイド部材の別の非常に好都合な実施形態では、本体はその表面にある空気案内リブをもって、ここでは特に後に車両内部空間のほうを向く表面に、光透過性の金属層が蒸着されることが意図されていてよい。このような金属層は、本体と空気案内リブに蒸着される、たとえば薄いアルミニウム層であってよい。それに伴い、照明装置がスイッチオンになっていない状態のとき、クロムメッキされた空気案内部材ないし空気案内リングのように見える、クロムメッキされたコンポーネントのような視覚的印象が生じる。照明装置が作動すると、本体及び/又は空気案内リブが半透明の材料でプリントされている領域で、照明が透過して見える。それに伴い、照明装置が作動していないときの非常に魅力ある昼間デザインだけでなく、照明装置が作動したときの非常に魅力的な夜間デザインも創出することができる。
【0015】
本発明による空気案内部材の非常に好ましい別の発展形態は、すでに前述したように、空気案内リングとして構成されることを意図することができる。
【0016】
その場合に空気案内部材ないし空気案内リングの好ましい発展形態は、照明装置がLEDリングとして構成されることを意図する。好ましくは空気案内リングとしての空気案内部材の環状の実施形態のもとでの、特にLEDリングの形態でのLEDを通じてのこのような実施形態は、非常に簡易かつ効率的な照明を可能にする。このとき照明装置そのものは空気案内部材の一部であり、それに応じてこれと共に動き、それにより、1つのライトガイドから別のライトガイドへの光のいかなる可動式の伝達も必要なく、上ですでに説明した方式で光を入力するために、照明装置を本体と固定的に結合することができる。その場合、照明装置は空気案内部材と共に動くので、照明装置へのフレキシブルな電力供給だけしか必要ない。
【0017】
このとき発光ダイオードを通じての照明は非常に省エネルギーであり、設計スペースに関して非常に小型に具体化することができ、さまざまな発光色を比較的容易に具体化できるという追加の利点を有する。たとえば、さまざまな発光色を照明装置を通じて具体化するという可能性がもたらされる。それにより、空気案内部材のデザインを、及び特にここではその照明の色を、車両の車内照明の雰囲気の色コンセプトに組み込むことができる。その補足又は代替として機能表示が可能であり、たとえば換気ノズルから温風が流れ出るときの赤い色調や、換気ノズルから冷風が流れ出るときの青い色調が可能である。
【0018】
その代替として、たとえば半透明の材料の着色によって補足されて、所望の発光色を車内空間へスタティックな照明色として放出する、単一の発光色を具体化することもできる。
【0019】
このようなライトガイド部材を有する自動車のための照明ノズルは、これがライトガイドリングとして構成され、換気ノズルを車両内部空間の方向に遮蔽することを意図することができる。すなわち空気案内部材ないし空気案内リングは、車両内部空間のほうを向く側で換気ノズルの遮蔽部を形成し、それにより空気案内部材の本発明による構造体では、幅広い区間にわたって非常にフレキシブルに適合化することができるデザインを全面的に活用することができる。
【0020】
このとき空気案内部材そのものを、一体的なコンポーネントとして非常に低コストにプリントすることができる。透明の、半透明の、不透明の、及び/又は着色された、さまざまな材料からなるマルチコンポーネントプリントは、きわめて差別化可能かつフレキシブルなデザインを可能にする。このとき特に空気案内リブは、着色された半透明の照明される領域と、着色された不透明の領域とを含むことができ、そのようにして空気案内リブを通じて、及び/又はこれらの間に位置する面を通じて、照明された状態のときでも照明されていない状態のときでも、デザインをフレキシブルに適合化することができる。
【0021】
本発明に基づく空気案内部材並びに換気ノズルのさらなる有利な実施形態は、以下に図を用いて詳しく示されている実施例からも明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】空気案内リングの形態の空気案内部材の考えられる実施形態を示す平面図である。
【
図2】
図1のII-II線に沿った模式的な断面図である。
【
図3】
図1の空気案内部材を有する、例示としての換気ノズルである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1の図面には、空気案内リング1の形態の空気案内部材1の平面図が示されている。これは実質的に、円周にわたって配分された複数の空気案内リブ3と、特にLEDリングとして構成される照明装置4とを有する、
図2の断面図に見ることができる本体で構成されている。本体2は空気案内リブ3と一緒に、異なる材料からマルチコンポーネント3Dプリントにより一体的なコンポーネントとして製作される。
【0024】
本体2そのものは、2つの脚部7,8の間でキャビティ6ないし中空スペース6を包囲する透明な材料からなるコア5を含んでいる。これら両方の脚部7,8は、符号9で表された尖端の領域で互いに結合されている。この尖端は、本発明による構造体では、両方の脚部7,8がコア5で一体的に交わるように製作される。このとき尖端は必ずしも鋭利に製作されていなくてよく、
図2の断面図に見られるように、
図1の平面図で見て環状の領域10を含むことができ、この領域を空気案内リング1の外側のリングセグメントと呼ぶことができる。この外側のリングセグメント10と内側のリングセグメント11との間に、ここでは符号3で表された空気案内リブが延びていて、これらの間で、同じく
図1の平面図に見られるように、それぞれ符号12で表された中間スペースが延びている。
【0025】
空気案内リブ3及びこれらの空気案内リブ3の間の中間スペース12のうち、
図1の図面ではいくつかにのみ符号が付されている。ただし、空気案内リブ3と中間スペース12とで交互に形成される構造体は、
図1に示すように、実際には空気案内部材1の円周全体にわたって継続されている。キャビティ6は照明装置4と協同作用して、コア5の両方の脚部7,8及び/又はキャビティ6に光が入力されるようになっている。それによって理想的な光配分が実現される。コア5の中に配置されたキャビティ6により、コア5の内部での光吸収が明らかに低減され、それに伴って照明が改善されるからである。
【0026】
空気案内リブ3と一緒に本体2の一体的な製作のために適用される、すでに述べたマルチコンポーネント3Dプリントは、異なる材料ないし成分を利用する。これはコア5の領域では透明の材料であり、それにより、コア5は照明装置4の光を円周全体にわたって、及び本体2の表面全体にわたって、均等に配分する。そのままであれば光がすべての表面で均等に放射されるので、本体が全面的に発光することになる。それを防ぐために、不透明の材料からなる層がコア5上に部分的にプリントされる。
図2の図面には、このような不透明の材料が符号13で示されている。この材料はコア5の大部分を取り囲んでおり、
図2の図面では交差するハッチングで図示されている。この材料は、たとえば黒く着色された不透明のプラスチックでできていてよく、これがコア5の透明な材料上にプリントされる。空気案内リブ3は、これと同じ不透明な材料から、全面的又は少なくとも部分的に具体化することができる。ここに図示する実施例では、空気案内リブは全体的にこの不透明の材料でできている。
【0027】
個々の空気案内リブ3の間に、かつ、すべて不透明の材料がコア5上にプリントされた両方のリングセグメント10,11の間に、位置している、
図1に見ることができる中間スペース12の領域には、透明又は半透明の材料を使用することができる。特に、白く着色された半透明の材料を中間スペース12の領域でコア5上にプリントするのがよい。その場合、空気案内部材1のデザインは、中間スペース12と空気案内リブ3の領域における交互の黒白画像と、これらを包囲する2つの黒いリングセグメント10,11とで構成される。照明がなされた場合に、照明装置4を通じてこれらの中間スペース12を照明することができる。入力される照明装置4の発光色に応じて、所望のデザインがもたらされる。昼間デザインでは、すなわち光がスイッチオフされている場合には、夜間デザインとは逆に、不透明の材料と透明の材料の色が有効になる。
【0028】
上述した着色に加えて、空気案内リブ3と一緒に本体2の表面全体に光透過性の金属層を付与することも可能である。このような金属層は、たとえば蒸着されたアルミニウム層であってよい。このとき金属層は、照明がスイッチオフされている場合に、すなわち昼間デザインのときに、空気案内リング1のクロムメッキ風の雰囲気が生じるように作用する。それに対して照明がスイッチオンされると、金属コーティングを通して中間スペース12が明るく輝き、空気案内リブ3とリングセグメント10,11の領域では、実質的に、金属層の背後に位置する黒い材料が有効となり、そのようにして、クロムメッキされた昼間デザインと、照明される夜間デザインとを容易に組み合わせることができる。
【0029】
形状に関してここでは模式的にのみ示唆している構造体全体は、さまざまな方式で具体化することができる。たとえばキャビティ6の中心を下から上に向かって延びる中心軸は、
図2の図面の水平線に対して、ここに図示しているよりも大きい角度で傾いていてよい。直線に代えて任意の曲線などを適用することもでき、すなわち、たとえばコア5を湾曲するように具体化することもできる。
【0030】
図3の図面では、空気案内リング1が
図2に類似する模式的な断面図として再度示されているが、直径全体にわたる断面で示されている。個々の空気案内リブ3は、ここではすべてが明示的に図示されるのでなく、これらの空気案内リブ3と、それらの間に配置された中間スペース12だけが示唆されている。空気案内リング1は換気ノズル14に載置されていて、この換気ノズルはそれ自体周知の方式でハウジングないしパイプ15で構成されており、その中で球欠上の部材16が可動に配置されていて、それによりこれを位置調節することで、換気ノズル14を通じて放出される空気流を所望の方向に向けることができる。更に、ここでは絞りフラップ17の形式で模式的に示唆されている、貫流を制御するための装置が設けられていてよい。この可動の部材16の上に、空気案内リング1がその照明装置4と一緒に装着されている。このように、空気案内リング1及びその空気案内リブ3を通じて、可動の部材16を調整することで所望の空気流の方向を生起し、これを空気案内リブ3を介して良好に誘導することが可能であり、それにより、空気が所望の仕方で車両内部空間を通って流れ、たとえば希望どおりに人間を暖房又は冷房する。このとき空気案内リング1は、車両内部空間に対して換気ノズル14の好ましくは環状の遮蔽部を形成し、それに応じて車両内部空間は
図3では図面の上方に位置することになる。リングに代えて当然ながらこれ以外の形状も考えられ、たとえば楕円形、長方形、正方形、八角形、六角形、あるいは、たとえばパイプ15ないし部材16の円周の一部だけを取り囲むことができる不規則な形状も考えられる。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の換気ノズル(14)のための空気案内部材(1)であって、前記換気ノズル(14)の断面を少なくとも部分的に取り囲む本体(2)を有し、その上に空気案内リブ(3)が配置されており、かつ照明装置(4)を有する、前記空気案内部材(1)において、
前記本体(2)と前記空気案内リブ(3)はマルチコンポーネント3Dプリントによって一体的に製作されるものであり、ここで前記本体(2)は透明なコア(5)を有しており、前記本体(2)の表面の各部分及び前記空気案内リブ(3)は、少なくとも部分的に半透明の材料で及び少なくとも部分的に不透明の材料(13)で、前記コア(5)上にプリントされていることを特徴とする、前記空気案内部材(1)。
【請求項2】
前記透明なコア(5)上にプリントされている前記不透明の材料(13)及び/又は前記半透明の材料は、着色されていることを特徴とする、請求項1に記載の空気案内部材
(1)。
【請求項3】
前記コア(5)は断面で見て鋭角で交わる2つの脚部(7,8)で構成され、これらの脚部の間でキャビティ(6)が形成され、前記照明装置(4)は前記鋭角と反対を向くほうの側から前記脚部(7,8)及び/又は前記キャビティ(6)へ光を入力するものであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の空気案内部材(1)。
【請求項4】
前記空気案内リブ(3)は、前記不透明の材料(13)でプリントされていることを特徴とする、請求項1
又は2に記載の空気案内部材(1)。
【請求項5】
前記空気案内リブ(3)の間に位置する前記本体(2)の表面(12)は、前記半透明の材料でプリントされていることを特徴とする、請求項1
又は2に記載の空気案内部材(1)。
【請求項6】
前記空気案内リブ(3)の間に位置しない前記本体(2)のすべての表面は、前記不透明の材料(13)でプリントされていることを特徴とする、請求項1
又は2に記載の空気案内部材(1)。
【請求項7】
前記本体(2)は前記空気案内リブ(3)と共に、その表面の少なくとも一部に半透明の金属層が蒸着されることを特徴とする、請求項1
又は2に記載の空気案内部材(1)。
【請求項8】
前記本体(2)は環状に構成されることを特徴とする、請求項1
又は2に記載の空気案内部材(1)。
【請求項9】
前記照明装置(3)は前記本体(2)に対応する形状を有するLED機構として構成されることを特徴とする、請求項1
又は2に記載の空気案内部材(1)。
【請求項10】
空気案内リング(1)として形成された、請求項1
又は2に記載の空気案内部材(1)を備えた自動車用の換気ノズル(14)であって、前記換気ノズル(14)を車両内部空間の方向に遮蔽する、前記換気ノズル(14)。
【国際調査報告】