(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】盗難防止ロックボルトアセンブリ
(51)【国際特許分類】
F16B 41/00 20060101AFI20240822BHJP
【FI】
F16B41/00 P
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508442
(86)(22)【出願日】2022-08-02
(85)【翻訳文提出日】2024-03-07
(86)【国際出願番号】 US2022039170
(87)【国際公開番号】W WO2023018580
(87)【国際公開日】2023-02-16
(32)【優先日】2021-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(32)【優先日】2021-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520476628
【氏名又は名称】リムガルド スウェーデン アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イヴァルソン、ラース
(72)【発明者】
【氏名】エクストレーム、マルクス
(57)【要約】
盗難防止ロックボルトアセンブリが、開示される。アセンブリは、保護される物品にねじ込み式に取り付け可能な盗難防止ボルトと、盗難防止ボルトのヘッド上のボアにぴったりと収まるボルトキャップと、盗難防止ボルトのヘッドに少なくとも部分的に回転可能に接続されたロックシリンダハウジングと、を備え、ロックシリンダハウジングは、ボルトキャップ及びロックシリンダを覆い、ボルトキャップの取り外しを防止するための手段を提供するように構成されている。盗難防止ロックボルトアセンブリは、車両の車輪をロックすることに好適であり、かつまた、車両の不正な使用を防止するために、燃焼エンジンのスパークプラグを交換することにも好適である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
盗難防止ロックボルトアセンブリであって、
盗難防止ボルトと、ボルトキャップと、ロックシリンダハウジングと、ロックシリンダと、を備え、
前記盗難防止ボルトが、シャフト及びヘッドを備え、
前記シャフトが、保護される物品のねじ山と一致するように構成された外部ねじ山と、内側チャネルと、を有し、
前記ヘッドが、非円形の周囲を有する中心ボアを備える略平坦な上部表面を有し、
前記ボルトキャップが、上部と、下部と、前記上部及び前記下部を通って延在する中心孔とを有し、
前記上部が、前記下部の周囲よりも大きい周囲を有し、このためリップを形成し、前記上部が、その周囲上に少なくとも1つの直線部を有し、
前記底部が、前記中心ボアの前記非円形の周囲と一致する非円形の周囲を有し、前記ボルトキャップは、前記ボルトキャップの前記底部が前記中心ボアに挿入されているとき、前記中心孔を通って前記盗難防止ボルト上に取り付け手段で取り付けられるように構成されており、
円筒形ロックハウジングが、前記ロックシリンダ及び前記ボルトキャップを覆うように構成されており、前記ロックシリンダ及び前記ボルトキャップ用のロック媒体を提供するために、ロックスタッド及び前記ボルトキャップの前記リップを適合させるための少なくとも1つの内部スロットを有し、前記ロックシリンダハウジングが、前記盗難防止ボルトヘッドの上に載置されるように構成されており、前記アセンブリが、盗難防止ボルトヘッドの上の前記ロックシリンダハウジングの自由な回転を少なくとも部分的に可能にして、前記ボルトへのトルクの伝達を防止するための手段を備え、
盗難防止ボルトロックアセンブリは、前記ロックシリンダハウジングが前記盗難防止ボルト上に載置されているとき、ロック位置にあり、前記ボルトキャップが、前記ハウジングの上部開口部を通って挿入され、そのため前記ボルトキャップの前記底部が、前記中心ボアにぴったりと収まり、前記上部の前記リップが、前記ロックシリンダハウジングの前記少なくとも1つのスロットの下部内側縁部上に載置され、前記ロックシリンダが、前記上部開口部を通って前記ロックシリンダハウジングに挿入され、前記スタッドが前記スロット内に延在し、かつ前記スロットの上部内側縁部によってブロックされるように回転される、アセンブリ。
【請求項2】
前記底部及び前記中心ボアの前記非円形の周囲が、多角形パターンを有する、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記シャフトの前記内側チャネルが、前記中心ボアの前記底部に開口している、請求項1又は2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
取り付けるための前記手段が、ねじであり、前記内側チャネルが、ねじ付きである、請求項3に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記ロックシリンダハウジングの自由な回転を少なくとも部分的に可能にするための前記手段が、前記ロックシリンダハウジングと前記盗難防止ボルトヘッドとの間に配置された1つ以上のボールベアリングを含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記盗難防止ボルトの前記平坦な表面が、前記1つ以上のボールベアリングを適合させるためのくぼみを備える、請求項5に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記ロックシリンダハウジングの下端部が、前記少なくとも1つのベアリングを適合させるための円形溝を有する、請求項5又は6に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記ロックシリンダハウジングの自由な回転を少なくとも部分的に可能にするための前記手段が、前記ロックシリンダハウジングと前記盗難防止ボルトヘッドとの間に配置された少なくとも1つの制御ワッシャを含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記ロックシリンダハウジングの前記下端部が、前記少なくとも1つの制御ワッシャの外周上のフラップに対応するへこみを備える、請求項8に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記ボルトキャップが、前記底部と前記上部との間に中間部を有する、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記アセンブリが、多数のロックの組み合わせ、好ましくは、前記ロックシリンダの長さに応じて、少なくとも60,000の組み合わせを有する、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記盗難防止ボルトの外側の前記ねじ山が、車両の車輪ハブ上のねじ山と嵌合し、前記アセンブリが、車両の車輪の不正な取り外しを防止するように構成されている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記盗難防止ボルトの前記外側のねじ山が、燃焼エンジンのスパークプラグスロットのねじ山と嵌合し、前記アセンブリが、スパークプラグを前記アセンブリと交換することによって、前記エンジンの不正な始動を防止するように構成されている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項14】
物品の不正な取り外しを防止するための方法であって、前記方法が、前記物品上に先行請求項のいずれか一項に記載の盗難防止ロックアセンブリを取り付けることを含み、前記物品が、車両の車輪又は燃焼エンジンである、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アセンブリでロックされた物品の不正な取り外し又は使用を防止するために、定位置にロックすることができるロックボルトアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車の車輪の不正な取り外しを防止するために、様々な盗難防止ソリューションが利用可能である。車の車輪用に特別に意図された、いくつかのデバイスは、例えば、出願人の以前の米国特許第9,689,180号及び同第10,486,461号に開示される。
【0003】
ロックボルトのヘッドへのアクセスを防止する盗難防止ソリューションは、英国特許出願公開第2073298号に開示される。本公開は、ナット、シュラウド、及びキー操作ロックを備える、3つの部分のロックボルトアセンブリを開示する。このデバイスでは、ロックの突出部は、スプリングリングを介してナットと係合し、ロックは、シュラウドと係合するキー作動戻り止めを有する。DE3017879では、ロックボルトが、半径方向に延在する溝を有し、それにキー操作ロックの対応する外面形状が取り付けられる、円筒形の長手方向ボアを備えたシステムが開示される。このため、これらのアプローチの両方において、ロックは、ロックボルトに直接取り付けられる。この種のソリューションの問題は、ロックボルトにロックを直接取り付ける必要があるため、ロックボルトにロックを係合させる構造が、長時間使用すると劣化し、ロックが固定されないことである。
【0004】
加えて、盗難防止又はセキュリティシステムを開示する様々な公開物が存在し、動作は、ボルトに一致する特定の幾何学的設計を有するナット、及びナット設計に一致する設計を有するソケットキーに基づいている。かかる公開の例としては、米国特許第10612581号及び国際出願第0109527号である。これらのタイプのソリューションでは、問題は、代替的な設計の数が限られていることである。最大限、かかるシステムは、何百もの個々の設計を提供することができ、したがって、2つのロックが同じキーを有する既存のスレッドが存在する。更に、これらのロックは、ナット上に一致しないソケットキーを打ち付けることによって引き抜くことができるという意味で本質的にあまり安全ではない。
【0005】
したがって、セキュリティを提供するために、実質的に無制限の数の代替的なロックコード又はキーを有する追加のデバイス及び方法に対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0006】
上記を考慮すると、本発明の目的は、上記の懸念の少なくともいくつかに対処する技術を提供することである。このこと及び以下で明らかになる他の目的は、特許請求の範囲で定義されるアセンブリ及び方法によって達成される。
【0007】
このため、本発明の第1の態様によれば、ロックシステムが取り付けられている物品の不正な取り外し又は使用を防止するために、ロックシステム用の盗難防止ボルトロックアセンブリが提供される。
【0008】
本発明の一態様によれば、盗難防止ロックボルトアセンブリが提供され、このアセンブリは、盗難防止ボルトと、ボルトキャップと、ロックシリンダハウジングと、ロックシリンダと、を備え、盗難防止ボルトは、シャフト及びヘッドを備え、シャフトは、保護される物品のねじ山に一致するように構成された外部ねじ山、及び内側チャネルを有し、ヘッドは、非円形の周囲を有する中心ボアを備える略平坦な上部表面を有し、ボルトキャップは、上部と、底部と、上部及び底部を通って延在する中心孔と、を有し、上部は、底部の周囲よりも大きい周囲を有し、このためリップを形成し、上部は、その周囲に少なくとも1つの直線部を有し、底部は、中心ボアの非円形の周囲と一致する非円形の周囲を有し、ボルトキャップは、ボルトキャップの底部が中央ボアに挿入されるとき、中心孔を通って盗難防止ボルト上に取り付け手段で取り付けられるように構成されており、円筒形ロックハウジングは、ロックシリンダ及びボルトキャップを覆うように構成され、ロックシリンダ及びボルトキャップのためのロック媒体を提供するために、ロックスタッド及びボルトキャップのリップを適合させるための少なくとも1つの内部スロットを有し、ロックシリンダハウジングは、盗難防止ボルトヘッドの上に載置されるように構成され、アセンブリは、盗難防止ボルトヘッドの上のロックシリンダハウジングの自由な回転を少なくとも部分的に可能にし、このため盗難防止ボルトへのトルクの伝達を防止する手段を備え、盗難防止ボルトロックアセンブリは、ロックシリンダハウジングが盗難防止ボルト上に載置されているときにロック位置にあり、ボルトキャップは、ボルトキャップの底部が中心ボアにぴったりと収まるようにハウジングの上部開口部を通って挿入され、上部のリップは、ロックシリンダハウジングの少なくとも1つのスロットの下部内側縁部上に載置され、ロックシリンダは、上部開口部を通ってロックシリンダハウジングに挿入され、スタッドがスロット内に延在し、かつスロットの上部内側縁部によってブロックされるように回転される。
【0009】
底部及び中心ボアの非円形の周囲は、五角形、六角形、七角形、八角形などの多角形パターンであり得る。
【0010】
シャフトの内側チャネルは、中心ボアの底部に開口され得る。内側チャネルは、ねじ付きであり得、ボルトキャップを盗難防止ボルトに取り付けるための手段は、ねじであり得る。別の実施形態によれば、内側チャネルは、ねじ付きではなく、ボルトキャップを盗難防止ボルトに取り付けるための手段は、少なくとも1つのピンであり得る。
【0011】
ボルトキャップは、底部と上部との間に中間部を有し得る。中間部は、円形であり得る。
【0012】
本発明のある態様によれば、ボルトへのトルクの伝達を防止するために盗難防止ボルトヘッドの上のロックシリンダハウジングの自由な回転を少なくとも部分的に可能にする手段は、ロックシリンダハウジングとボルトヘッドとの間の少なくとも1つのボールベアリング又は少なくとも1つの制御ワッシャであり得る。
【0013】
ロックシリンダハウジングの下端部は、平坦であり得るか、又は少なくとも1つのベアリングを適合させるための円形溝を有し得る。本発明のある態様によれば、ロックシリンダハウジングの下端部は、制御ワッシャ上のフラップと一致するへこみを有し得る。
【0014】
盗難防止ボルトヘッドの平坦な表面は、滑らかであってもよく、又はパターン化されていてもよい。平坦な表面は、1つ以上の半円形のくぼみを含み得るか、又は少なくとも1つのくぼみは、1つ以上のボールベアリングを適合させるための円形の溝であり得る。平坦な表面は、制御ワッシャの表面のパターンに対応するパターンを有し得る。
【0015】
本明細書において開示されたアセンブリは、より長いシリンダが、シリンダの内側のより多くの数のロックピンを可能にするため、ロックシリンダの長さに応じて多数のロックの組み合わせを有する。アセンブリは、少なくとも60000の異なる組み合わせを有する。アセンブリは、少なくとも200000の異なる組み合わせを有し得、アセンブリは、800万を超える組み合わせを有し得る。
【0016】
盗難防止ボルトの外側のねじ山は、車両の車輪ハブ上のねじ山と嵌合し得、アセンブリは、車両の車輪の不正な取り外しを防止するように構成されている。盗難防止ボルトの外側のねじ山は、燃焼エンジンのスパークプラグスロットのねじ山と嵌合し得、アセンブリは、スパークプラグをアセンブリと交換することによってエンジンの不正な始動を防止するように構成される。
【0017】
本発明のある態様によれば、方法は、物品の不正な取り外しを防止するために提供され、この方法は、盗難防止ロックアセンブリを物品上に取り付けることを含む。物品は、車両の車輪であり得る。物品は、燃焼エンジンを有する車両であり得、盗難防止ロックアセンブリは、スパークプラグを交換するために使用される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1A】車の車輪を定位置に固定するために据え付けられた盗難防止ロックボルトアセンブリを例解する。ロックボルトアセンブリのロックシリンダ1並びにロックシリンダハウジング4が図内で可視である。ロックボルトアセンブリは、リムを通して車の車輪のハブに据え付けられ、このため、最初にロックボルトアセンブリを取り外さずに車輪を取り外すことを防止する。
【
図1B】ロックボルトアセンブリの代替的な使用を例解する。ここで、左側には、燃焼エンジン上に取り付けられた点火プラグ9が例解される。右側では、点火プラグは、本開示のロックボルトアセンブリによって置き換えられている。図では、盗難防止ボルト6、ロックシリンダ1、及びロックシリンダハウジング4が可視である。エンジンは、スパークプラグなしでは始動することができず、ロックボルトアセンブリを取り外す前に新しいスパークプラグを挿入することはできない。
【
図2】本開示のロックボルトアセンブリの分解図を例解する。図は、ロックシリンダ1、この実施形態では、カウンターサンクスクリューである取り付け手段2、車輪ボルトキャップ3、ロックシリンダハウジング4、ボールベアリング5、及び盗難防止ボルト6を示す。
【
図3】盗難防止ボルト6の詳細図である。ボルトは、実質的に平坦なヘッド部分61と、外部のねじ付きのシャフト62と、を有する。平坦なヘッド部分61は、非円形の周囲65を有する中心ボア66を備える。この図では、ねじ付き内側チャネル67がシャフト62に延在し、ボア66の中心に開口される実施形態が示されている。他の実施形態によれば、内側チャネルは、ねじ付きでなくてもよい。実質的に平坦なヘッド部分61は、ボールベアリングを適合させるために、その表面上に少なくとも1つのくぼみ68を有する。この実施形態に示されるくぼみは、各々1つのボールベアリングに適合された半球くぼみである。 少なくとも1つのくぼみは、1つ以上のボールベアリングに適合された円形溝であり得る。
【
図4】ボルトキャップ3を2つの視点で示す。上部の図は、ボルトキャップの底面図であり、下部の図は、ボルトキャップの上面図である。各図では、キャップ32の底部31及び上部が可視である。両方の図はまた、底部31の非円形の周囲33を示す。中心孔34は、底面図に示される。上部32は、下部31の周囲B-Bよりも大きい周囲A-Aを有し、このため、上部は、リップ36を形成する。上部32のリップ36は、その周囲上に少なくとも1つの直線部35を有して、ボルトキャップ3がハウジング(
図6に示される)の上部開口部44を通って一方向でのみ入ることを可能にする。リップ36はまた、
図8に示されるように、ハウジングの下部内側縁部48の後方にボルトキャップをロックする目的を有する。
図4に示されるように、上部32と下部31との間に中間部37があってもよい。中間部は、
図8において可視であるように、盗難防止ロックボルトの平坦な表面に対して載置される縁部を形成する。
【
図5】ロックシリンダハウジング4の底面図を示す。この実施形態では、ハウジングの下端部41は、ボールベアリング5を適合させるように構成された円形溝43を有する(
図2に示される)。別の実施形態では、ハウジング41の下端部は、平坦である。ロックシリンダハウジングの内側には、下部内側縁部48及び上部内側縁部47を形成するスロット49が可視である。
【
図6】ハウジングの上端部42に対する図を有するロックシリンダハウジング4を示す。上部開口部44は、ロックシリンダ1及びボルトキャップ3が一方向でのみ孔を通って収まるような形状を有し、すなわち、開口部は、開口部をロックシリンダ及びボルトキャップの形状と一致する形状を有するようにする少なくとも1つの平坦な表面46を有する。ロックシリンダハウジング4は、
図8から見ることができるように、ロックシリンダ1のヘッド12が載置される外縁部45を有する。
【
図7】ロック位置にあるロックシリンダ1を示す。図は、ロックシリンダがロック解除位置にあるとき、ロックがロックシリンダハウジング4に一方向のみで挿入されることを可能にし、そのためロック10の平坦な表面及びハウジングの上部開口部の平坦な表面46が一致する、ロック10の平坦な表面を示す。図は、ロックのキーによって回転させることができるロックのスタッド11を示す。ロックシリンダ1は、キーの操作によってロックシリンダハウジング4にロックされ、そのためスタッド11は、ロックシリンダハウジングの上部内側縁部47(
図8で可視)の後方でブロックされる。本発明のロックボルトは、ロックシリンダハウジングの長さに応じて、実質的に無限の数の変形で作製することができる。ロックシリンダのロック機構は、概して、正しいキー位置合わせピンに基づいており、キープラグの移動を可能にする。組み合わせに起因して、ロックシリンダ内のピンは、ピンの数に応じて、x数の方式で配置することができる。シリンダの長さを増加させることは、より多くのピンが追加され、組み合わせが指数関数的に増加することを可能にする。6つのピンを使用する例示的な実施形態では、約66000の組み合わせを達成することができる。組み合わせの数は、ロックシリンダの長さを増加させ、それでも使用可能なロックシリンダを有することによって800万超まで増加させることができる。
【
図8】ロックボルトアセンブリの断面図を示す。図は、ロックシリンダ1、ロックシリンダハウジング4、ボルトキャップ3、ねじ付き外側表面を有する盗難防止ボルト6を示す。図は、ロックシリンダハウジング4を盗難防止ボルト6に接続するボールベアリング5を示す。ロックシリンダは、ロックシリンダハウジングの外側縁部45上に載置されるロックヘッド12を有する。ロックスタッド11は、ロックシリンダハウジング4の上部内側縁部47の後方でブロックされ、ボルトキャップのリップ36は、ロックシリンダハウジング4の下部内側縁部48の後方でブロックされる。
【
図9】制御ワッシャ7がロックシリンダハウジング4と盗難防止ボルト6との間に配置される代替的な実施形態を示す。
【
図10】制御ワッシャの外周上のフラップ8aと相互作用するように構成されたへこみ50を有するロックシリンダハウジング4の底面図を示す。
【
図11】ワッシャの外周が、ロックシリンダハウジングの対応する数のへこみ50と相互作用するための多数のフラップ8aを有する制御ワッシャ7を示す。ワッシャは、その内側周囲にヘキサロビュラ形状8bを有する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
盗難防止ロックボルトアセンブリは、アセンブリが取り付けられている物品の不正な取り外し又は使用を防止するために、本明細書において説明される。ロックボルトアセンブリは、車の車輪の不正な取り外しを防止するために使用することができるが(
図1A)、ロックボルトアセンブリは、例えば、点火プラグがロックボルトアセンブリによって置き換えられたとき、車両エンジンの始動を防止することにも好適である(
図1B)。これは、例えば、ボートの不正な使用を防止する盗難防止デバイスとして使用することができる。
【0020】
ここで、本明細書に示された実施形態を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【0021】
図2に例解されるように、本開示によるロックボルトアセンブリは、盗難防止ボルト6、円筒形ロックハウジング4、ボルトキャップ3、及びロックシリンダ1を備える。アセンブリは、ボルトへのトルクの伝達を防止するために、盗難防止ボルト6の上のロックシリンダハウジング4の自由な回転を少なくとも部分的に可能にする手段を備える。
図2に示される手段は、ボールベアリング5である。手段は、
図9に示されるような制御ワッシャ7であり得る。
図4に例解されるように、ボルトキャップは、底部31及び上部32を有し、底部は、非円形の周囲33を有する。中心スルーホール34は、ボルトキャップの底部及び上部を貫通する。上部32は、下部31の周囲(B-B)よりも大きい周囲(A-A)を有し、このため、リップ36を形成する。上部32のリップ36は、その周囲に少なくとも1つの直線部35を有し、ボルトキャップ3がロックシリンダハウジングの上部開口部44を通って一方向でのみ入ることを可能にする。ロックシリンダハウジングの上部開口部は、
図6に示される。リップ36はまた、
図8及び
図10に示されるように、ハウジングの下部内側縁部48の後方のボルトキャップをブロックする目的を有する。
【0022】
図3は、盗難防止ボルト6を詳細に示す。盗難防止ボルトは、そのシャフト62に外部ねじ山63を有し、ねじ山は、ボルトが取り付けられる物品内のねじ山、例えば、車輪ハブのねじ山、又はエンジン内のスパークプラグロット内のねじ山と嵌合するように構成される。盗難防止ボルトのヘッド61は、略平坦な上部表面64を有する(この文脈では、略平坦とは、ヘッド表面が略凹状又は凸状ではないことを意味する)。平坦な表面の中心では、非円形の周囲65を有する中心ボア66が存在する。ボルトキャップの底部31がボルトヘッドのボア66にぴったりと収まるように、ボアの周囲の非円形パターンは、ボルトキャップ周囲33の非円形パターン(
図4に示される)と一致する。ぴったりと収まることは、ここでは、ボルトキャップの底部の周囲が、それらの全長から実質的にボアの周囲と接触していることを意味し、このため、ボア内の底部の水平移動を実質的に防止する。
【0023】
図3に示されるように、一実施形態では、ボルトヘッドの略平坦な表面は、中心ボア66の周りに少なくとも1つのくぼみ68を有する。
図3に示されるような一実施形態によれば、いくつかの半球くぼみが存在し、各々が1つのボールベアリングに適合される。くぼみの数は、変化し得る。いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つのくぼみは、1つ以上のボールベアリングに適合された円形溝である。いくつかの実施形態によれば、ボルトヘッドの略平坦な表面は、制御ワッシャ7の表面のパターンに対応するパターンを有する(
図11に示される)。
【0024】
ボルトキャップ3は、取り付け手段で盗難防止ボルト上に取り付けられる。好ましくは、取り付け手段は、盗難防止ボルトのシャフト62のねじ付き内側チャネル67にねじ込み式に取り付けられるねじ2である。内側チャネルは、好ましくは、中心ボア66の底部に開口している。別の実施形態では、取り付け手段は、シャフトのチャネルの内側に取り付けるように構成される少なくとも1つのピンである。取り付け手段がピンであるとき、内側チャネル67は、ねじ付きである必要はない。チャネルは、ボアの中心まで開口している必要はない。
図3は、シャフト62内の内側チャネル67がねじ付きであり、ボルトキャップをボルトに取り付けるための手段が、内側チャネル67の内側のねじ山に一致するねじ山を有するねじ2(
図2に示される)を介している実施形態を示す。
【0025】
図5及び
図6は、盗難防止ボルト6及びボルトキャップ3を覆い、ロックシリンダ1及び盗難防止ボルト6に取り付けられるボルトキャップ3に接続するように構成されるロックシリンダハウジング4の構造を例解する。ロックシリンダハウジング4は、下端部41及び上端部42を有する。ある態様によれば、下端部は、好ましくは、盗難防止ロック6の1つ以上のくぼみ68に挿入される1つ以上のボールベアリング5を適合させるように構成された円形溝43を有する。ボールベアリング5は、ロックシリンダハウジング4が盗難防止ボルト6の上で回転することを可能にし、それによって、ハウジングを回転させることによって盗難防止ボルトの回転を防止するような追加のセキュリティ機能を提供する。ある態様によれば、ロックシリンダハウジングの下端部は、制御ワッシャの外周上のフラップ8aと一致するへこみ50を有する(
図10及び
図11に示される)。この実施形態では、制御ワッシャのフラップは、ロックシリンダハウジングの下端部上の同じ数のへこみと相互作用する。ワッシャは、ロックシリンダキーを開位置と閉位置との間で操作する目的で、ロックシリンダハウジングのボルトに対する回転を一時的にロックする。キーを操作するために必要であるトルクよりも大きいトルクが加えられる場合、ワッシャのフラップが平らになり、ロックシリンダハウジングをボルト及びボルトヘッドに対して回転することを可能にし、トルクがボルトに伝達されるのを防止する。
【0026】
ある実施形態によれば、溝43は、任意選択的であり、別の実施形態では、ハウジングの下端部41は、平坦である。この実施形態では、ロックシリンダハウジング4はまた、盗難防止ボルト6の上で回転しており、ここでボールベアリング5のみがロックシリンダハウジング4の下部の平坦な縁部上で回転する。
【0027】
図8は、組み立てられたときのデバイスの断面図を示し、ボールベアリング5の場所は、盗難防止ボルトの平坦な表面とハウジングの下端部との間で見ることができる。
【0028】
ロックシリンダハウジング4の上部開口部44は、少なくとも1つの平坦な表面46を有する。平坦な表面は、ロックシリンダ1の平坦な表面10又はボルトキャップの上部の周囲の直線部35がハウジングの平坦な表面10に沿ってスライドするように、ロックシリンダ1並びにボルトキャップ3を1つの位置のみに挿入することを可能にする。平坦な表面44の後方(ここでは、ロックシリンダハウジングの下端部に向かう方向を意味する)には、スタッド11を回転させることができる少なくとも1つのスロット49が存在する。少なくとも1つのスロット49は、上部内側縁部47及び下部内側縁部48を有し、少なくとも1つのスロットは、ロックシリンダ1及びボルトキャップ3の両方をそれらの位置でブロックするために使用される。
図8は、ロックスタッド11がスロットの上部内側縁部47によってブロックされ、リップ36がスロットの下部内側縁部48によってブロックされることを示す。このため、盗難防止ロックアセンブリがロック位置にあるとき、スタッドが上部内側縁部によってブロックされるため、ロックシリンダハウジングからロックを取り外すことができない。シリンダハウジングは、下部内側縁部がボルトキャップのリップによってブロックされ、ボルトキャップは、再び保護される物品にねじ付きである盗難防止ボルト6に取り付けられるため、取り外すことができない。盗難防止ボルト6とロックシリンダハウジング4との間のボールベアリング接続は、ロックシリンダハウジングがボールベアリング上で自由に回転しているため、盗難防止ボルトのあらゆる種類の回転を防止する。ボルトキャップとロックシリンダハウジングとの間のボールベアリングの代わりに、本発明のアセンブリは、
図9、
図10、及び
図11に示されるように、制御ワッシャ7を使用して、ボルト上のロックシリンダハウジングの回転を提供し得る。この場合、ワッシャのフラップ8aがロックシリンダハウジングのへこみ50と同一の空間を占めるとき、自由な回転は一時的にロックされる(すなわち、自由な回転は部分的である)。これは、ロックシリンダキーを開位置と閉位置との間で操作する目的のために実用的である。しかしながら、制御ワッシャはまた、キーを回転させるために必要とされるよりも多くのトルクが加えられる場合、かかる場合、フラップが平坦になり、ロックシリンダハウジングが自由に回転することを可能にするため、ボルトの上のロックシリンダハウジングの自由な回転を提供する。このため、ボールベアリング又は制御ワッシャが使用されるかどうかにかかわらず、結果は、ロックシリンダハウジングの自由な回転としての追加の保護層がボルトに伝達されるトルクを防止する。
【0029】
これにより、ロックハウジングが盗難防止ボルト上に載置され、その後、ボルトキャップがハウジングの上部開口部を通って挿入され、上部開口部及びボルトキャップの上部の一致する形状に起因して、ボルトキャップが1つの位置のみでハウジングを通過することが可能になり、その位置は、ボルトキャップの底部の非円形形状が盗難防止ボルトのボアの非円形形状と自動的に一致するようになる。
【0030】
本明細書に開示されるアセンブリは、ロックシリンダの長さに応じて多数のロックの組み合わせを有する。好ましくは、アセンブリは、少なくとも60000の異なる組み合わせを有する。アセンブリは、100000の異なる組み合わせ、200000の組み合わせ、更には最大800万の組み合わせを有し得る。したがって、本明細書に開示され、特許請求されるアセンブリは、セキュリティにおける任意の既存のデバイスと比較して顕著な改善を提供する。
【0031】
開示される実施形態に対する他の変形は、図面、開示、及び添付の特許請求の範囲の研究から、特許請求される発明を実施する当業者によって理解され、もたらされ得る。特許請求の範囲では、「含む(comprising)」という単語は、他の要素又は工程を除外するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は、複数を除外するものではない。ある措置が、相互に異なる従属請求項で列挙されているという単なる事実は、これらの措置の組み合わせを有利に使用することができないことを示すものではない。特許請求の範囲における任意の参照標識は、範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0032】
要素のリスト
1 ロックシリンダ
2 カウンターサンクねじ
3 ボルトキャップ
4 ロックシリンダハウジング
5 ボールベアリング
6 盗難防止ボルト
7 制御ワッシャ
8a 制御ワッシャの外周上のフラップ
8b 制御ワッシャの内周のヘキサロビュラ形状
9 スパークプラグ
10 ロックの平坦な表面
11 スタッド
12 ロックヘッド
31 ボルトキャップの底部
32 ボルトキャップの上部
33 底部の非円形の周囲
34 ボルトキャップの中心孔
35 上部の周囲の直線部
36 リップ
37 中間部
41 ハウジングの下端部
42 ハウジングの上端部
43 円形溝
44 ハウジングの上部開口部
45 ハウジングの外側縁部
46 上部開口部の平坦な表面
47 ハウジングの上部内側縁部
48 ハウジングの下部内側縁部
49 スロット
50 ハウジングの下端部上のへこみ
61 盗難防止ボルトのヘッド部分
62 シャフト
63 外部ねじ山
64 平坦な上部表面
65 中心ボアの非円形の周囲
66 中心ボア
67 ねじ付き内側チャネル
【国際調査報告】