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特表2024-531200ピペラジンをベースとするLFA-1及びVLA-4のアゴニスト
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】ピペラジンをベースとするLFA-1及びVLA-4のアゴニスト
(51)【国際特許分類】
   C07D 241/08 20060101AFI20240822BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240822BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240822BHJP
   C07D 295/088 20060101ALI20240822BHJP
   C07D 295/205 20060101ALI20240822BHJP
   C07D 409/14 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 31/495 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 9/127 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 35/545 20150101ALI20240822BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20240822BHJP
【FI】
C07D241/08
A61P27/02
A61P43/00 111
C07D295/088 CSP
C07D295/205
C07D409/14
A61K31/495
A61K31/496
A61K9/127
A61K35/545
A61K35/17
A61P43/00 105
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508472
(86)(22)【出願日】2022-06-09
(85)【翻訳文提出日】2024-03-13
(86)【国際出願番号】 US2022032896
(87)【国際公開番号】W WO2023018471
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】63/231,549
(32)【優先日】2021-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518094924
【氏名又は名称】テキサス ハート インスティテュート
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マーケット,ロバート ブイ
(72)【発明者】
【氏名】ビーディガー,ロナルド ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ウッドサイド,ダレン ジー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4C087
【Fターム(参考)】
4C076AA19
4C076CC10
4C076CC26
4C076FF70
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC50
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA24
4C086NA14
4C086ZA33
4C086ZB21
4C086ZC01
4C086ZC41
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB37
4C087BB61
4C087MA24
4C087NA14
4C087ZA33
4C087ZB21
4C087ZC01
4C087ZC41
(57)【要約】
N,N-二置換アミノカルボニル化合物と、インテグリン結合リガンドまたはレセプターに対するインテグリン発現細胞の結合を強化するためのインテグリンアゴニストとしてのそれらの使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式Iの化合物であって、
【化1】

はアリール環であり、
はアリール基、アラルキル基、または低級アルキル基を備え、
は-(CH-、-O(CH-、および-(CHO(CH-から実質的になる群から選択されるリンカーであり、
は、-CO-、-CO(CH、-COO(CH-、-(CH-、-(CHO-、及び-(CHO(CH-から実質的になる群から選択されるリンカーであり、
は、アリール、ヘテロシクリル、CONR、および-CORから実質的になる群から選択され、
XおよびYは、-CH-および-C(O)-から独立して選択され、
nは1~4の整数であり、
m、p、及びqは、それぞれ存在する場合、独立して1~2の整数であり、
およびRは、存在する場合、水素、低級アルキル基、およびアラルキル基から実質的になる群から独立して選択され、
は、存在する場合、複素環であり、
存在する場合、各RおよびRは、非置換であるか、または低級アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、-OH、アルコキシアルキル基、(C-Cアルキル)アミノ基、アルコキシアルコキシ基、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルキルアリール基、アラルキル基、アルキルヘテロシクリル基、及びヘテロシクリルアルキル基から実質的になる群から選択される置換基で置換されていてもよく、
、R、RおよびRは、非置換であるか、またはヒドロキシ、アルコキシ、ジアルキルアミノ、ハロゲン、低級アルキル基、ヒドロキシアルキル基、脂肪族アシル基、-CF、オキソ、-CN、アルコキシアルキル基、(C-Cアルキル)アミノ基、アルコキシアルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルキルアリール基、アラルキル基、アルキルヘテロシクリル基、ヘテロシクリルアルキル基、及びアリールオキシアルキル基から実質的になる群から選択される置換基で置換されていてもよい、化合物と、
その薬学的に許容される塩。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物であって、Rは、置換フェニルと、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピロリルおよびピリジルから実質的になる群から選択される置換または非置換のヘテロ芳香族化合物とから実質的になる群から選択される、化合物。
【請求項3】
請求項1に記載の化合物であって、Rが下記のものから実質的になる群から選択され、

アスタリスク*はLへの結合を示し、
各Mは、存在する場合、ヒドロキシ、アルコキシ、ジアルキルアミノ、ハロゲン、およびアルキルから実質的になる群から選択され、
各rは、存在する場合、1~2の整数である、化合物。
【請求項4】
請求項1に記載の化合物であって、2,2'-((ピペラジン-1,4-ジルビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(N,N-ビス(チオフェン-2-イルメチル)アセトアミド)、ピペラジン-1,4-ジルビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(ビス(3-メトキシベンジル)カーバメート)、ベンジル4-(2-((4-(ジメチルアミノ)ベンジル)(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(チオフェン-2-イルメチル)アセトアミド)、ベンジル4-(2-((4-ヒドロキシベンジル)(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(2-((4-(ジメチルアミノ)ベンジル)(4-ヒドロキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート二塩酸塩、ベンジル4-(2-(ビス(4-ヒドロキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(2-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(2-(ビス(3-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ピペラジン-1,4-ジルビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(4-(ジメチルアミノ)ベンジル(4-メトキシベンジル)カーバメート)、2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N-(3-(ジメチルアミノ)ベンジル)-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(3-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(ピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、ベンジル4-(4-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-4-オキソブチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(5-(ビス(チオフェン-2-イルメチル)アミノ)-5-オキソペンチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、2,2'-(ピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(チオフェン-2-イルメチル)アセトアミド)、3-メトキシベンジル4-(2-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(5-(ビス(3-メトキシベンジル)アミノ)-5-オキソペンチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(5-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-5-オキソペンチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、4-メトキシフェネチル4-(2-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、2,2'-(2-オキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、3-メトキシベンジル4-(2-((4-(ジメチルアミノ)ベンジル)(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)-3-オキソピペラジン-1-カルボキシレート、N,N-ビス(4-メトキシベンジル)-2-(4-(3-メトキシベンジル)-2-オキソピペラジン-1-イル)アセトアミド、N-(4-(ジメチルアミノ)ベンジル)-2-(4-(3-メトキシベンゾイル)-2-オキソピペラジン-1-イル)-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド、2-(4-(3-メトキシベンゾイル)-2-オキソピペラジン-1-イル)-N,N-ビス(4-メトキシベンジル)アセトアミド、N,N-ビス(4-メトキシベンジル)-2-(4-(2-(3-メトキシフェニル)アセチル)-2-オキソピペラジン-1-イル)アセトアミド、(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(ビス(3-メトキシベンジル)カーバメート)、(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(ビス(4-メトキシベンジル)カーバメート)、(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(4-(ジメチルアミノ)ベンジル(3-メトキシベンジル)カーバメート)、(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(4-(ジメチルアミノ)ベンジル(4-メトキシベンジル)カーバメート)、(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(ビス(チオフェン-2-イルメチル)カーバメート)、2,2'-(ピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N-イソブチル-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(2-オキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N-イソブチル-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N-イソブチル-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(2-オキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N-(4-(ジメチルアミノ)ベンジル)-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(4-(ジメチルアミノ)ベンジル)アセトアミド)、これらの溶媒和物、これらの前駆体、及び、これらの水和物から実質的になる群から選択される化合物。
【請求項5】
請求項1に記載の化合物であって、logPが約6未満である化合物。
【請求項6】
医薬組成物であって、下記の式Iの化合物を含み、
【化1】

はアリール環であり、
はアリール基、アラルキル基、または低級アルキル基を備え、
は-(CH-、-O(CH-、および-(CHO(CH-から実質的になる群から選択されるリンカーであり、
は、-CO-、-CO(CH、-COO(CH-、-(CH-、-(CHO-、及び-(CHO(CH-から実質的になる群から選択されるリンカーであり、
は、アリール、ヘテロシクリル、CONR、および-CORから実質的になる群から選択され、
XおよびYは、-CH-および-C(O)-から独立して選択され、
nは1~4の整数であり、
m、p、及びqは、それぞれ存在する場合、独立して1~2の整数であり、
およびRは、存在する場合、水素、低級アルキル基、およびアラルキル基から実質的になる群から独立して選択され、
は、存在する場合、複素環であり、
存在する場合、各RおよびRは、非置換であるか、または低級アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、-OH、アルコキシアルキル基、(C-Cアルキル)アミノ基、アルコキシアルコキシ基、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルキルアリール基、アラルキル基、アルキルヘテロシクリル基、及びヘテロシクリルアルキル基から実質的になる群から選択される置換基で置換されていてもよく、
、R、RおよびRは、非置換であるか、またはヒドロキシ、アルコキシ、ジアルキルアミノ、ハロゲン、低級アルキル基、ヒドロキシアルキル基、脂肪族アシル基、-CF、オキソ、-CN、アルコキシアルキル基、(C-Cアルキル)アミノ基、アルコキシアルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルキルアリール基、アラルキル基、アルキルヘテロシクリル基、ヘテロシクリルアルキル基、及びアリールオキシアルキル基から実質的になる群から選択される置換基で置換されていてもよい、化合物と、
薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項7】
インテグリン受容体の選択的な占有によって改善または予防され得る任意の状態の治療に使用するための医薬であって、下記の式Iの化合物を含み、
【化1】

はアリール環であり、
はアリール基、アラルキル基、または低級アルキル基を備え、
は-(CH-、-O(CH-、および-(CHO(CH-から実質的になる群から選択されるリンカーであり、
は、-CO-、-CO(CH、-COO(CH-、-(CH-、-(CHO-、及び-(CHO(CH-から実質的になる群から選択されるリンカーであり、
は、アリール、ヘテロシクリル、CONR、および-CORから実質的になる群から選択され、
XおよびYは、-CH-および-C(O)-から独立して選択され、
nは1~4の整数であり、
m、p、及びqは、それぞれ存在する場合、独立して1~2の整数であり、
およびRは、存在する場合、水素、低級アルキル基、およびアラルキル基から実質的になる群から独立して選択され、
は、存在する場合、複素環であり、
存在する場合、各RおよびRは、非置換であるか、または低級アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、-OH、アルコキシアルキル基、(C-Cアルキル)アミノ基、アルコキシアルコキシ基、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルキルアリール基、アラルキル基、アルキルヘテロシクリル基、及びヘテロシクリルアルキル基から実質的になる群から選択される置換基で置換されていてもよく、
、R、RおよびRは、非置換であるか、またはヒドロキシ、アルコキシ、ジアルキルアミノ、ハロゲン、低級アルキル基、ヒドロキシアルキル基、脂肪族アシル基、-CF、オキソ、-CN、アルコキシアルキル基、(C-Cアルキル)アミノ基、アルコキシアルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルキルアリール基、アラルキル基、アルキルヘテロシクリル基、ヘテロシクリルアルキル基、及びアリールオキシアルキル基から実質的になる群から選択される置換基で置換されていてもよい、化合物と、
その薬学的に許容される塩。
【請求項8】
請求項7に記載の医薬であって、インテグリンが、α4β1、α5β1、α4β7、およびαLβ2から実質的になる群から選択される、医薬。
【請求項9】
請求項7に記載の医薬であって、薬学的に許容される賦形剤、薬学的に許容される担体、またはその両方をさらに備える、医薬。
【請求項10】
リポソームであって、
2,2'-((ピペラジン-1,4-ジルビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(N,N-ビス(チオフェン-2-イルメチル)アセトアミド)、ピペラジン-1,4-ジルビス(エタン-2,1-ジイル) ビス(ビス(3-メトキシベンジル)カーバメート)、ベンジル4-(2-((4-(ジメチルアミノ)ベンジル)(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(チオフェン-2-イルメチル)アセトアミド)、ベンジル4-(2-((4-ヒドロキシベンジル)(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(2-((4-(ジメチルアミノ)ベンジル)(4-ヒドロキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート二塩酸塩、ベンジル4-(2-(ビス(4-ヒドロキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(2-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(2-(ビス(3-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ピペラジン-1,4-ジルビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(4-(ジメチルアミノ)ベンジル(4-メトキシベンジル)カーバメート)、2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N-(3-(ジメチルアミノ)ベンジル)-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(3-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(ピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、ベンジル4-(4-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-4-オキソブチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(5-(ビス(チオフェン-2-イルメチル)アミノ)-5-オキソペンチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、2,2'-(ピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(チオフェン-2-イルメチル)アセトアミド)、3-メトキシベンジル4-(2-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(5-(ビス(3-メトキシベンジル)アミノ)-5-オキソペンチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(5-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-5-オキソペンチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、4-メトキシフェネチル4-(2-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、2,2'-(2-オキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、3-メトキシベンジル4-(2-((4-(ジメチルアミノ)ベンジル)(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)-3-オキソピペラジン-1-カルボキシレート、N,N-ビス(4-メトキシベンジル)-2-(4-(3-メトキシベンジル)-2-オキソピペラジン-1-イル)アセトアミド、N-(4-(ジメチルアミノ)ベンジル)-2-(4-(3-メトキシベンゾイル)-2-オキソピペラジン-1-イル)-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド、2-(4-(3-メトキシベンゾイル)-2-オキソピペラジン-1-イル)-N,N-ビス(4-メトキシベンジル)アセトアミド、N,N-ビス(4-メトキシベンジル)-2-(4-(2-(3-メトキシフェニル)アセチル)-2-オキソピペラジン-1-イル)アセトアミド、(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(ビス(3-メトキシベンジル)カーバメート)、(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(ビス(4-メトキシベンジル)カーバメート)、(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(4-(ジメチルアミノ)ベンジル(3-メトキシベンジル)カーバメート)、(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(4-(ジメチルアミノ)ベンジル(4-メトキシベンジル)カーバメート)、(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(ビス(チオフェン-2-イルメチル)カーバメート)、2,2'-(ピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N-イソブチル-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(2-オキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N-イソブチル-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N-イソブチル-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(2-オキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N-(4-(ジメチルアミノ)ベンジル)-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(4-(ジメチルアミノ)ベンジル)アセトアミド)、これらの溶媒和物、これらの前駆体、及び、これらの水和物から実質的になる群から選択される化合物を備える、リポソーム。
【請求項11】
眼科用製剤であって、下記の式Iの化合物を含むリンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)アゴニストを含み、
【化1】

はアリール環であり、
はアリール基、アラルキル基、または低級アルキル基を備え、
は-(CH-、-O(CH-、および-(CHO(CH-から実質的になる群から選択されるリンカーであり、
は、-CO-、-CO(CH、-COO(CH-、-(CH-、-(CHO-、及び-(CHO(CH-から実質的になる群から選択されるリンカーであり、
は、アリール、ヘテロシクリル、CONR、および-CORから実質的になる群から選択され、
XおよびYは、-CH-および-C(O)-から独立して選択され、
nは1~4の整数であり、
m、p、及びqは、それぞれ存在する場合、独立して1~2の整数であり、
およびRは、存在する場合、水素、低級アルキル基、およびアラルキル基から実質的になる群から独立して選択され、
は、存在する場合、複素環であり、
存在する場合、各RおよびRは、非置換であるか、または低級アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、-OH、アルコキシアルキル基、(C-Cアルキル)アミノ基、アルコキシアルコキシ基、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルキルアリール基、アラルキル基、アルキルヘテロシクリル基、及びヘテロシクリルアルキル基から実質的になる群から選択される置換基で置換されていてもよく、
、R、RおよびRは、非置換であるか、またはヒドロキシ、アルコキシ、ジアルキルアミノ、ハロゲン、低級アルキル基、ヒドロキシアルキル基、脂肪族アシル基、-CF、オキソ、-CN、アルコキシアルキル基、(C-Cアルキル)アミノ基、アルコキシアルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルキルアリール基、アラルキル基、アルキルヘテロシクリル基、ヘテロシクリルアルキル基、及びアリールオキシアルキル基から実質的になる群から選択される置換基で置換されていてもよい、化合物と、
その薬学的に許容される塩。
【請求項12】
請求項11に記載の化合物であって、Rが下記のものから実質的になる群から選択され、

アスタリスク*はLへの結合を示し、
各Mは、存在する場合、ヒドロキシ、アルコキシ、ジアルキルアミノ、ハロゲン、およびアルキルから実質的になる群から選択され、
各rは、存在する場合、1~2の整数である、化合物。
【請求項13】
複合体であって、(i)インテグリン発現細胞とインテグリンアゴニスト、および/または(ii)インテグリン結合タンパク質との間に形成され、インテグリンアゴニストが下記の一般式Iを有し、
【化1】

はアリール環であり、
はアリール基、アラルキル基、または低級アルキル基を備え、
は-(CH-、-O(CH-、および-(CHO(CH-から実質的になる群から選択されるリンカーであり、
は、-CO-、-CO(CH、-COO(CH-、-(CH-、-(CHO-、及び-(CHO(CH-から実質的になる群から選択されるリンカーであり、
は、アリール、ヘテロシクリル、CONR、および-CORから実質的になる群から選択され、
XおよびYは、-CH-および-C(O)-から独立して選択され、
nは1~4の整数であり、
m、p、及びqは、それぞれ存在する場合、独立して1~2の整数であり、
およびRは、存在する場合、水素、低級アルキル基、およびアラルキル基から実質的になる群から独立して選択され、
は、存在する場合、複素環であり、
存在する場合、各RおよびRは、非置換であるか、または低級アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、-OH、アルコキシアルキル基、(C-Cアルキル)アミノ基、アルコキシアルコキシ基、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルキルアリール基、アラルキル基、アルキルヘテロシクリル基、及びヘテロシクリルアルキル基から実質的になる群から選択される置換基で置換されていてもよく、
、R、RおよびRは、非置換であるか、またはヒドロキシ、アルコキシ、ジアルキルアミノ、ハロゲン、低級アルキル基、ヒドロキシアルキル基、脂肪族アシル基、-CF、オキソ、-CN、アルコキシアルキル基、(C-Cアルキル)アミノ基、アルコキシアルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルキルアリール基、アラルキル基、アルキルヘテロシクリル基、ヘテロシクリルアルキル基、及びアリールオキシアルキル基から実質的になる群から選択される置換基で置換されていてもよい、インテグリンアゴニストを含む複合体と、
その薬学的に許容される塩。
【請求項14】
請求項13に記載の複合体であって、Rが下記のものから実質的になる群から選択され、

アスタリスク*はLへの結合を示し、
各Mは、存在する場合、ヒドロキシ、アルコキシ、ジアルキルアミノ、ハロゲン、およびアルキルから実質的になる群から選択され、
各rは、存在する場合、1~2の整数である、複合体。
【請求項15】
請求項13に記載の複合体であって、インテグリン結合タンパク質が、血管細胞接着分子-1(VCAM1)、フィブロネクチン、粘膜アドレシン細胞接着分子-1(MAdCAM-1)、細胞間接着分子-1(ICAM-1)、細胞間接着分子-2(ICAM-2)、またはそれらの組み合わせを含む、複合体。
【請求項16】
請求項13に記載の複合体であって、インテグリン発現細胞が、免疫細胞、胚性幹細胞、成体幹細胞、前駆細胞、人工多能性幹細胞、またはそれらの組み合わせを含む、複合体。
【請求項17】
哺乳動物の生体内標的部位における外因的に導入された細胞の保持を増強する方法であって、
インテグリン発現細胞をin vitroでインテグリンのアゴニストで処理し、アゴニスト処理細胞を作製するステップと、
アゴニスト処理細胞の少なくとも一部を、哺乳動物の生体内標的部位に導入するステップと、を概して備え、
同じインテグリン発現細胞を処理せずに生体内標的部位に導入した場合に保持される細胞数と比較して、生体内標的部位に残存するアゴニスト処理細胞の数の方が多く、インテグリンのアゴニストがVLA-4インテグリンアゴニストである、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、インテグリンのアゴニストが、2,2'-((ピペラジン-1,4-ジルビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(N,N-ビス(チオフェン-2-イルメチル)アセトアミド)、ピペラジン-1,4-ジルビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(ビス(3-メトキシベンジル)カーバメート)、ベンジル4-(2-((4-(ジメチルアミノ)ベンジル)(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(チオフェン-2-イルメチル)アセトアミド)、ベンジル4-(2-((4-ヒドロキシベンジル)(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(2-((4-(ジメチルアミノ)ベンジル)(4-ヒドロキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート二塩酸塩、ベンジル4-(2-(ビス(4-ヒドロキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(2-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(2-(ビス(3-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ピペラジン-1,4-ジルビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(4-(ジメチルアミノ)ベンジル(4-メトキシベンジル)カーバメート)、2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N-(3-(ジメチルアミノ)ベンジル)-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(3-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(ピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、ベンジル4-(4-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-4-オキソブチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(5-(ビス(チオフェン-2-イルメチル)アミノ)-5-オキソペンチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、2,2'-(ピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(チオフェン-2-イルメチル)アセトアミド)、3-メトキシベンジル4-(2-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(5-(ビス(3-メトキシベンジル)アミノ)-5-オキソペンチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(5-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-5-オキソペンチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、4-メトキシフェネチル4-(2-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、2,2'-(2-オキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、3-メトキシベンジル4-(2-((4-(ジメチルアミノ)ベンジル)(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)-3-オキソピペラジン-1-カルボキシレート、N,N-ビス(4-メトキシベンジル)-2-(4-(3-メトキシベンジル)-2-オキソピペラジン-1-イル)アセトアミド、N-(4-(ジメチルアミノ)ベンジル)-2-(4-(3-メトキシベンゾイル)-2-オキソピペラジン-1-イル)-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド、2-(4-(3-メトキシベンゾイル)-2-オキソピペラジン-1-イル)-N,N-ビス(4-メトキシベンジル)アセトアミド、N,N-ビス(4-メトキシベンジル)-2-(4-(2-(3-メトキシフェニル)アセチル)-2-オキソピペラジン-1-イル)アセトアミド、(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(ビス(3-メトキシベンジル)カーバメート)、(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(ビス(4-メトキシベンジル)カーバメート)、(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(4-(ジメチルアミノ)ベンジル(3-メトキシベンジル)カーバメート)、(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(4-(ジメチルアミノ)ベンジル(4-メトキシベンジル)カーバメート)、(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(ビス(チオフェン-2-イルメチル)カーバメート)、2,2'-(ピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N-イソブチル-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(2-オキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N-イソブチル-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N-イソブチル-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(2-オキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N-(4-(ジメチルアミノ)ベンジル)-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(4-(ジメチルアミノ)ベンジル)アセトアミド)、これらの溶媒和物、これらの前駆体、及び、これらの水和物から実質的になる群から選択される化合物である、方法。
【請求項19】
請求項17に記載の方法であって、インテグリン発現細胞が、胚性幹細胞、成体幹細胞、前駆細胞、人工多能性幹細胞、またはそれらの組み合わせを含む、方法。
【請求項20】
請求項17に記載の方法であって、処理細胞が、損傷した血管組織、病気の血管組織、またはそれらの組み合わせの部位に直接または近接して注入される、方法。
【請求項21】
請求項17に記載の方法であって、標的部位が、血管細胞接着分子-1(VCAM1)、フィブロネクチン、粘膜アドレシン細胞接着分子-1(MAdCAM-1)、細胞間接着分子-1(ICAM-1)、または細胞間接着分子-2(ICAM-2)を含む、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米国国立癌研究所および米国国立衛生研究所からそれぞれ授与された助成金番号2R42CA203456-02A1および1R41AI145507-01の政府支援を受けて行われた。政府は本発明に対して一定の権利を有する。
【0002】
関連出願との相互参照
本出願は、2021年8月10日に出願された、マーケットらによる「PIPERAZINE-BASEDAGONISTS OF LFA-1 AND VLA-4」と題された米国仮出願番号第63/231,549号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0003】
本開示は、概して、N,N-二置換アミノカルボニル化合物、およびインテグリン発現細胞とインテグリン結合リガンドまたは受容体との結合を増強するためのインテグリンアゴニストとしてのそれらの使用に関する。これらは、細胞ベースの治療において有用であり、特にワクチンや癌治療のためのアジュバントとして有用となり得る。VLA-4に対する効能(ポテンシー)は、概して、以前に報告されたインテグリンアゴニスト化合物の、他のより親油性のクラスと同じ範囲である。化合物はまた、リンパ球機能関連抗原-1またはLFA-1アゴニズムに対しても増強された活性を示す。
【0004】
従来技術のインテグリンアゴニストは、細胞内部機構を増強するか、インテグリン遺伝子の発現をアップレギュレートするか、またはインテグリンを持続的に損傷するか化学的に変化させることにより、インテグリンを活性化することが知られている。しかしながら当技術分野において、それらの標的インテグリンを持続的に損傷または化学的に変化させないインテグリン活性化化合物に対する需要が存在する。これはインテグリンに持続的な損傷や化学的変化を与えず、このことは、幹細胞、免疫細胞、その他細胞ベースの治療に用いられる細胞にとって重要である。従って、当技術分野では、細胞の活性化、プライミング、ホーミング、トラフィッキング、浸潤化、標的化、および/または患者の体内における他の細胞の移動を促進するインテグリン活性化化合物が必要とされている。ここで、細胞の自然な機能は持続的に損傷を受けたり化学的に変化されたりせず、増強されるのみである。
【発明の概要】
【0005】
本明細書に開示したのは、一実施形態において、下記の式I(化1)の化合物であり、
【化1】

はアリール環であり、Rはアリール、アラルキル、および低級アルキルから選択され、Lは-(CH-、-O(CH-から選択され、Lは、-CO-、-CO(CH、-COO(CH-、-(CH-、-(CHO-、から選択され、Rは、アリール、ヘテロシクリル、CONR、および-CORから選択され、XおよびYは、-CH-および-C(O)-から選択され、nは1~4の整数であり、mは、存在する場合、1~2の整数であり、RおよびRは、存在する場合、低級アルキル、およびアラルキルの群から独立して選択され、Rは、存在する場合、複素環であり、存在する場合、各RおよびRは、非置換であるか、または低級アルキル、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、-OH、アルコキシアルキル基、(C-Cアルキル)アミノ、アルコキシアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルキルアリール基、アラルキル基、アルキルヘテロシクリル基、及びヘテロシクリルアルキル基から実質的になる群から選択される置換基で置換されていてもよく、
、R、RおよびRは、非置換であるか、またはヒドロキシ、アルコキシ、ジアルキルアミノ、ハロゲン、低級アルキル基、ヒドロキシアルキル基、脂肪族アシル基、-CF、オキソ、-CN、アルコキシアルキル基、(C-Cアルキル)アミノ基、アルコキシアルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルキルアリール基、アラルキル基、アルキルヘテロシクリル基、ヘテロシクリルアルキル基、及びアリールオキシアルキル基から実質的になる群から選択される置換基で置換されていてもよく、並びに、その薬学的に許容される塩。
【0006】
別の実施形態では、式Iの化合物を含む組成物であって、Rが、開示される置換フェニル、および置換または非置換のチエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピロリルおよびピリジルから実質的になる群から選択される。
【0007】
さらなる実施形態として、Rは、実質的に以下のものからなる群から選択され、

アスタリスク*はLへの結合を示し、各Mは、存ヒドロキシ、アルコキシ、ジアルキルアミノ、ハロゲン、およびアルキルから実質的になる群から選択され、各nは、存在する場合、1~2の整数である。
【0008】
さらなる実施形態として、式Iの化合物は、以下のものから実質的になる群から選択される。2,2'-((ピペラジン-1,4-ジルビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(N,N-ビス(チオフェン-2-イルメチル)アセトアミド)、ピペラジン-1,4-ジルビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(ビス(3-メトキシベンジル)カーバメート)、ベンジル4-(2-((4-(ジメチルアミノ)ベンジル)(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(チオフェン-2-イルメチル)アセトアミド)、ベンジル4-(2-((4-ヒドロキシベンジル)(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(2-((4-(ジメチルアミノ)ベンジル)(4-ヒドロキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート二塩酸塩、ベンジル4-(2-(ビス(4-ヒドロキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(2-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(2-(ビス(3-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ピペラジン-1,4-ジルビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(4-(ジメチルアミノ)ベンジル(4-メトキシベンジル)カーバメート)、2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N-(3-(ジメチルアミノ)ベンジル)-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(3-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(ピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、ベンジル4-(4-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-4-オキソブチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(5-(ビス(チオフェン-2-イルメチル)アミノ)-5-オキソペンチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、2,2'-(ピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(チオフェン-2-イルメチル)アセトアミド)、3-メトキシベンジル4-(2-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(5-(ビス(3-メトキシベンジル)アミノ)-5-オキソペンチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(5-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-5-オキソペンチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、4-メトキシフェネチル4-(2-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、2,2'-(2-オキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、3-メトキシベンジル4-(2-((4-(ジメチルアミノ)ベンジル)(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)-3-オキソピペラジン-1-カルボキシレート、N,N-ビス(4-メトキシベンジル)-2-(4-(3-メトキシベンジル)-2-オキソピペラジン-1-イル)アセトアミド、N-(4-(ジメチルアミノ)ベンジル)-2-(4-(3-メトキシベンゾイル)-2-オキソピペラジン-1-イル)-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド、2-(4-(3-メトキシベンゾイル)-2-オキソピペラジン-1-イル)-N,N-ビス(4-メトキシベンジル)アセトアミド、N,N-ビス(4-メトキシベンジル)-2-(4-(2-(3-メトキシフェニル)アセチル)-2-オキソピペラジン-1-イル)アセトアミド、(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(ビス(3-メトキシベンジル)カーバメート)、(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(ビス(4-メトキシベンジル)カーバメート)、(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(4-(ジメチルアミノ)ベンジル(3-メトキシベンジル)カーバメート)、(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(4-(ジメチルアミノ)ベンジル(4-メトキシベンジル)カーバメート)、(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(ビス(チオフェン-2-イルメチル)カーバメート)、2,2'-(ピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N-イソブチル-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(2-オキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N-イソブチル-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N-イソブチル-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(2-オキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N-(4-(ジメチルアミノ)ベンジル)-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、および2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(4-(ジメチルアミノ)ベンジル)アセトアミド)。本明細書に開示した実施形態によっては、式Iの化合物を含む医薬組成物、または薬学的に許容可能なその塩、および薬学的に受け入れ可能な担体を含む。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の議論は、様々な例示的な実施形態に向けたものである。しかしながら、開示した実施形態は、特許請求の範囲を含む本開示の範囲を限定するものとして解釈されたりまたは使用されたりするべきではない。加えて、当業者であれば、以下の説明は広範な適用を有し、任意の実施形態の議論は、その実施形態の例示であることを意味するに過ぎず、特許請求の範囲を含むこの開示の範囲は、その実施形態に限定されないことを理解されたい。
【0010】
図面における図は必ずしも縮尺通りではない。本明細書における特定の特徴および構成要素は、縮尺が誇張されて示されているか、またはいくらか概略的な形態で示されている場合があり、また、明確性および簡潔性の観点から、従来の要素の一部の詳細が省略されている場合がある。
【0011】
以下の議論および特許請求の範囲において、「含む」および「備える」という用語は、オープンエンド形式で使用されるため、「含むが、これらに限定されない」という意味に解釈されなければならない。本明細書で使用するように、「約」という用語が百分率または他の数値量とともに使用される場合、その百分率または他の数値量のプラスマイナス10%を意味する。例えば、「約80%」という用語は、80%±8%を包含する。本明細書で引用した文献は、そのような参照により全体に援用される。
【0012】
定義
慣用的かつ通常の意味に加え、以下の定義が明細書および特許請求の範囲において文脈が許す場合に適用される。
【0013】
「医薬組成物」とは、薬として哺乳動物に投与するための、1以上の化学物質またはその薬学的に許容される塩と、適切な担体との混合物を指す。
【0014】
「治療上有効な量」とは、治療される疾患の1以上の症状を少なくともある程度緩和する、投与される化合物の量を指す。例えば、疾患の症状を予防、緩和、改善するのに有効な化合物の量、または治療対象の生存期間を長くするのに有効な化合物の量である。
【0015】
疾患または不調(障害)に関して、「治療」という用語は、疾患または不調の発生を予防・抑止すること、疾患または不調の症状または副作用を阻止、退行、または緩和すること、および/または、治療される対象の生存期間を長くすることを指す。
【0016】
本明細書で単独または組み合わせて使用される「アルキル」という用語は、1つの水素原子を除去することによって飽和炭化水素から誘導される、C~C12の直鎖または分枝鎖の、置換または非置換の飽和鎖ラジカルを指す。アルキル基の代表例としては、特にメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、及びtert-ブチルなどを含む。
【0017】
「アルケニル」という用語は、単独でまたは組み合わせて、2~10の炭素原子を含む、置換もしくは非置換で直鎖または分枝鎖のアルケニルラジカルを指す。このようなラジカルの例としては、これらに限定されてないが、エテニル、E-およびZ-ペンテニル、デセニルなどを含む。
【0018】
「アルキル」、「アルケニル」または「アルコキシ」を修飾する「低級」という用語は、特定の官能性に対するC~Cユニットを指す。例えば、低級アルキルとはC~Cアルキルを意味する。
【0019】
本明細書で単独でまたは組み合わせて使用される用語「シクロアルキル」は、3~10の炭素原子と1~3の環とを有する置換または非置換の脂肪族環系を指し、これに限定されないが、特にシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル、およびアダマンチルなどを含む。シクロアルキル基は、非置換であるか、または低級アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、チオアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドロキシ、ハロ、メルカプト、ニトロ、カルボキシアルデヒド、カルボキシ、アルコキシカルボニルおよびカルボキサミドから独立して選択される1、2または3つの置換基で置換され得る。この用語は、シクロアルケニル基を包含することを意味する。「シクロアルキル」は、シス型またはトランス型を含む。さらに置換基は、架橋二環系においてエンド位またはエキソ位のいずれであってもよい。
【0020】
本明細書で単独でまたは組み合わせて使用される「シクロアルケニル」という用語は、4~8の炭素原子および1以上の二重結合を含む環状炭素環(cyclic carbocycle)を指す。このようなシクロアルケニルラジカルの例としては、これらに限定されないが、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロペンタジエニルなどが挙げられる。
【0021】
本明細書で使用する「シクロアルキルアルキル」という用語は、低級アルキルラジカルに付加されるシクロアルキル基を指し、これに限定されないが、シクロヘキシルメチルを含む。
【0022】
本明細書で使用される用語「ハロ」または「ハロゲン」は、I、Br、ClまたはFを指す。
【0023】
本明細書で使用される用語「ハロアルキル」は、少なくとも1つのハロゲン置換基が付加された低級アルキルラジカルを指し、例えば、クロロメチル、フルオロエチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルなどが特に挙げられる。
【0024】
「アルコキシ」という用語は、単独でまたは組み合わせて、式アルキル-O-のラジカルを指し、ここで「アルキル」という用語は上記で定義した通りである。適切なアルキルエーテルラジカルの例としては、これらに限定されないが、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシなどが挙げられる。
【0025】
「アルケノキシ」という用語は、単独でまたは組み合わせて、式アルケニル-O-のラジカルを指し、ただし、そのラジカルはエノールエーテルではなく、「アルケニル」という用語は上記で定義した通りである。適切なアルケノキシラジカルの例としては、これらに限定されないが、アリルオキシ、E-およびZ-3-メチル-2-プロペノキシなどが挙げられる。
【0026】
「アルキノキシ」という用語は、単独でまたは組み合わせて、式アルキニル-O-のラジカルを指し、ただし、そのラジカルは-イノールエーテルではない。適切なアルキノキシラジカルの例としては、これらに限定されないが、プロパルギルオキシ、2-ブチニルオキシなどが挙げられる。
【0027】
本明細書で使用する「カルボキシル」という用語は、-COHを指す。
【0028】
用語「チオアルコキシ」は、式アルキル-S-のチオエーテルラジカルを指し、ここで「アルキル」は上記で定義した通りである。
【0029】
本明細書で使用する用語「カルボキシアルデヒド」は、-C(O)Rを指し、Rは水素である。
【0030】
本明細書で使用する「カルボキサミド」という用語は、-C(O)NRを指し、ここでRは水素、アルキル、または他の適切な置換基である。
【0031】
本明細書で使用する「アルコキシアルコキシ」という用語は、RO-RO-を指し、ここでRは上記で定義した低級アルキルであり、Rはアルキレンであり、ここでアルキレンは-(CHn’-であり、ここでn’は1~6の整数である。アルコキシアルコキシ基の代表例としては、特にメトキシメトキシ、エトキシメトキシ、t-ブトキシメトキシなどが挙げられる。
【0032】
本明細書で使用する「アルキルアミノ」という用語は、RNH-を指し、ここでRは低級アルキル基であり、例えば特にエチルアミノ、ブチルアミノなどが挙げられる。
【0033】
「アルケニルアミノ」という用語は、単独でまたは組み合わせて、式アルケニル-NH-または(アルケニル)N-のラジカルを指し、ここで「アルケニル」という用語は上記で定義した通りである。ただし、このラジカルはエナミンではない。このようなアルケニルアミノラジカルの一例としては、アリルアミノラジカルがある。
【0034】
本明細書で使用する「ジアルキルアミノ」という用語は、RN-を指し、ここでRおよびRは独立して低級アルキルから選択され、例えば特にジエチルアミノ、メチルプロピルアミノなどが挙げられる。
【0035】
本明細書で使用する「アミノ」という用語は、HN-を指す。
【0036】
本明細書で使用する「アルコキシカルボニル」という用語は、カルボニル基を介して親分子部分に付加された、先に定義したようなアルコキシル基を指す。アルコキシカルボニルの例としては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニルおよびイソプロポキシカルボニルなどが挙げられる。
【0037】
本明細書で単独または組み合わせて使用する「アリール」または「芳香族」という用語は、次に記載するような約6~12の炭素原子を有する置換または非置換の炭素環式芳香族基を指す。例えば、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、アズレニル、フルオレニル、アントラセニルなどを指す。あるいは、フリル、チエニル、ピリジル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、1,3,5-トリアジニル、インドリジニル、インドリル、イソインドリル、3H-インドリル、インドリニル、ベンゾ[b]フラニル、2,3-ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾ[b]チオフェニル、1H-インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、プリニル、4H-キノリジニル、イソキノリニル、シノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、1,8-ナフチリジニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、ピラゾロ[1,5-c]トリアジニルなどからなる群から選択される複素環式芳香族基を指す。「アリールアルキル」および「アルキルアリール」は、上記で定義した用語「アルキル」を用いる。環は多置換であってもよい。芳香族環は、他の芳香族環または非芳香族環と縮合して多環式環(multicyclic rings)を形成してもよく、本明細書で使用する「芳香族」という用語によっても包含される。
【0038】
用語「アラルキル」は、単独でまたは組み合わせて、アリール置換アルキルラジカルを指し、ここで「アルキル」および「アリール」という用語は上記で定義した通りである。適切なアラルキルラジカルの例としては、フェニルメチル、フェネチル、フェニルヘキシル、ジフェニルメチル、ピリジルメチル、テトラゾリルメチル、フリルメチル、イミダゾリルメチル、インドリルメチル、チエニルプロピルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
用語「アラルケニル」は、単独でまたは組み合わせて、アリール置換アルケニルラジカルを指し、「アリール」および「アルケニル」という用語は上記で定義した通りである。
【0040】
用語「アリールアミノ」は、単独でまたは組み合わせて、式アリール-NR-g-のラジカルを指し、ここで「アリール」は上記で定義した通りである。Rgは、特に、H、低級アルキル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され得る。アリールアミノラジカルの例としては、フェニルアミノ(アニリド)、ナフチルアミノ、2-,3-,および4-ピリジルアミノなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
用語「ビアリール」は、単独でまたは組み合わせて、式アリール-アリールのラジカルを指し、ここで用語「アリール」は上記で定義した通りである。
【0042】
用語「チオアリール」は、単独でまたは組み合わせて、式アリール-S-のラジカルを指し、ここで用語「アリール」は上記で定義した通りである。チオアリールラジカルの一例としては、チオフェニルラジカルがある。
【0043】
用語「アロイル」または「芳香族アシル」は、単独でまたは組み合わせて、式アリール-CO-のラジカルを指し、ここで用語「アリール」は上記で定義した通りである。適切な芳香族アシルラジカルの例としては、ベンゾイル、4-ハロベンゾイル、4-カルボキシベンゾイル、ナフトイル、ピリジルカルボニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
「脂肪族アシル」という用語は、単独でまたは組み合わせて、式アルキル-CO-のラジカルを指し、ここで「アルキル」という用語は上記で定義した通りである。適切なアルキルアシルラジカルの例としては、アセチル、プロピオニル、イソブチリルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
「ヘテロシクリル」という用語は、単独でまたは組み合わせて、少なくとも1つの環内のN、OまたはS原子を含む非芳香族の三員~十員環を指す。複素環は、必要に応じてアリール縮合していてもよい。複素環はまた、必要に応じて、特にハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アルキル、アラルキル、アルケニル、アリール、シアノ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、カルボキシアルキル、オキソ、アリールスルホニル、およびアラルキルアミノカルボニルからなる群から独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換されていてもよい。
【0046】
本明細書で使用する「アルキルヘテロシクリル」という用語は、ヘテロシクリル基を介して親分子部分に付加された、先に定義したようなアルキル基を指す。
【0047】
本明細書で使用する「ヘテロシクリルアルキル」という用語は、アルキル基を介して親分子部分に付加された、先に定義したヘテロシクリル基を指す。
【0048】
本明細書で使用する「アミナール」という用語は、構造RCH(NH)(OH)のヘミアセタールを指す。
【0049】
「電子求引性」または「電子供与性」という用語は、水素が分子内で同じ位置を占める場合に水素の電子求引性または電子供与性と比較して、置換基が電子を求引または供与する能力を指す。これらの用語は当業者にはよく理解されており、J.March著のADVANCED ORGANIC CHEMISTRY,1985,pp.16~18で議論されており、参照により本明細書に援用される。電子吸引性基としては、特に、ハロ、ニトロ、カルボキシル、低級アルケニル、低級アルキニル、カルボアルデヒド、カルボキシアミド、アリール、第4級アンモニウム、トリフルオロメチル、およびアリール低級アルカノイルなどを含む。電子供与性基としては、特に、ヒドロキシ、低級アルキル、アミノ、低級アルキルアミノ、ジ(低級アルキル)アミノ、アリールオキシ、メルカプト、低級アルキルチオ、低級アルキルメルカプト、ジスルフィドなどの基を含む。当業者であれば、前述の置換基は、異なる化学条件下で電子供与性または電子求引性を有し得ることは理解できるであろう。さらに、本発明は、上記で特定した基から選択される置換基の任意の組み合わせも考慮に入れている。
【0050】
最も好ましい電子供与性または電子吸引性の置換基は、ハロ、ニトロ、アルカノイル、カルボキシアルデヒド、アリールアルカノイル、アリールオキシ、カルボキシル、カルボキサミド、シアノ、スルホニル、スルホキシド、ヘテロシクリル、グアニジン、第4級アンモニウム、低級アルケニル、スルホニウム塩、ヒドロキシ、低級アルコキシ、低級アルキル、アミノ、低級アルキルアミノ、ジ(低級アルキル)アミノ、アミン低級アルキルメルカプト、メルカプトアルキル、アルキルチオ、およびアルキルジチオである。
【0051】
上記の用語の使用は、置換および非置換部分を包含することを意味する。置換は、アルコール、エーテル、エステル、アミド、スルホン、スルフィド、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アミン、ヘテロ原子、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルコキシカルボニル、アルコキシアルコキシ、アシルオキシ、ハロゲン、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シアノ、カルボキシ、カルボアルコキシ、カルボキシアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、アルキルヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、オキソ、アリールスルホニル、およびアラルキルアミノカルボニル、または直接若しくは適当なリンカーによって結合された前段落の置換基またはそれらの置換基のいずれかである。リンカーは、典型的には、-C-、-C(O)-、-NH-、-S-、-S(O)-、-O-、-C(O)O-または-S(O)O-の任意の組み合わせを含む1~3の原子の短い鎖である。環は複数回置換されていてもよい。
【0052】
「哺乳類」という用語には、ヒトやその他の動物が含まれる。
【0053】
本明細書で使用する「ヘテロ原子」という用語には、窒素、硫黄、酸素が含まれる。
【0054】
本明細書で使用される「アルファ」という用語は、記載された位置のすぐ隣の位置を示す。
【0055】
「1または複数」、「少なくとも1つ」、「1以上」という用語は、1つの項目または複数の項目(2以上)を意味する。
【0056】
「約」という用語は、所与の量の値が記載値の±20%以内であることを意味する。他の実施形態では、その値は記載値の±15%以内である。他の実施形態では、その値は記載値の±10%以内である。他の実施形態では、その値は記載値の±5%以内である。他の実施形態では、その値は記載値の±2.5%以内である。他の実施形態では、その値は記載値の±1%以内である。
【0057】
「実質的に」という用語は、所与の量の値が記載値の±10%以内であることを意味する。他の実施形態では、その値は記載値の±5%以内である。他の実施形態では、その値は記載値の±2.5%以内である。他の実施形態では、その値は記載値の±1%以内である。一部の用途では、開示化合物はリポソームの形態で投与される。当該技術分野で知られているように、リポソームは概してリン脂質または他の脂質物質に由来する。リポソームは、水性媒体中に分散された単層または多層の水和液晶(hydrated liquid crystals)によって形成される。リポソームを形成することのできる、非毒性で、生理学的に許容され得て、代謝可能な脂質であれば、どのようなものでも使用することができる。実施形態によっては、リポソーム形態の組成物は、開示したアゴニスト化合物に加えて、安定剤、保存剤、賦形剤などを含む。好ましい脂質は、別々にまたは一緒に使用される、天然のおよび合成の、リン脂質およびホスファチジルコリン(レシチン)である。リポソームを形成する方法は当技術分野で知られている。例えば、Prescott,Ed.,Methods in cell Biology,Volume XIV,Academic Press,New York,N.Y.(1976),33頁以下を参照。
【0058】
本明細書で使用される「薬学的に許容されるプロドラッグ」という用語は、開示した化合物のプロドラッグを示す。これは、健全な医学的判断の範囲内で、可能な場合、開示した化合物の双性イオン形態と同様に、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などを伴わずに、ヒトおよび下等動物の組織と接触して使用するのに適しており、妥当なベネフィット/リスク比にふさわしく、それらの用途に有効である。特定の実施形態によるプロドラッグは、例えば血中での加水分解により、生体内で速やかに上記式の親化合物に変換され得る。詳細な考察は、T.HiguchiとV.StellaのPro-drugs as Novel Delivery Systems,V.14 of the A.C.S.Symposium Series、およびEdward B.Roche,ed.,Bioreversable Carriers in Drug Design,American Pharmaceutical Association and Pergamon Press(1987)に記載されており、参照により本明細書に援用される。
【0059】
略語
本明細書では以下の略語を使用する。
Ac:アセチル
AcOH:酢酸
Bn:ベンジル
Boc:tert-ブチルオキシカルボニル
Cbz:ベンジルオキシカルボニル
CDI:N,N’-カルボニルジイミダゾール
DCE:1,2-ジクロロエタン
DCM:ジクロロメタン(塩化メチレン)
ジオキサン(dioxane):1,4-ジオキサン
DIPEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
Et:エチル
EtOH:エタノール
HBTU:O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N′,N′-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸
LogP:オクタノール水分配係数の対数
Me:メチル
MeOH:メタノール
MS:質量分析
m/z:質量電荷比
NMR:核磁気共鳴
OAc:酢酸塩
Ph:フェニル
RT:室温
tBu:tert-ブチル
TEA:トリエチルアミン
THF:テトラヒドロフラン
Tol:トルエン
Z:ベンジルオキシカルボニル
【0060】
本明細書に開示した実施形態によっては、インテグリン媒介接着を増強する低分子化合物は、治療薬として有益となり得るし、さらなる実施形態において、当該化合物は、細胞ベースの治療が適用可能な疾患または状態の治療において有用となり得る。このような疾患または状態の非限定的な例として、心筋梗塞、心不全、末梢動脈疾患、糖尿病、腎不全、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、肺線維症、肺高血圧症、急性呼吸窮迫症候群、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、脊髄損傷、不妊症、および骨髄移植が挙げられる。従って、細胞のインテグリンを介したそれぞれのリガンドへの結合を増強する化合物群が開示されている。これらの化合物が標的とするインテグリンには、α4β1、α4β7、α5β1、およびαLβ2が含まれるが、これらに限定されるものではない。対応するリガンドとしては、VCAM-1、フィブロネクチン、MAdCAM-1、ICAM-1、およびICAM-2が挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
アゴニスト化合物、代表的な化合物のインテグリン発現細胞への結合を増強する能力、およびアゴニスト処理細胞の治療への応用について、以下でさらに説明する。
【0062】
どのような作用理論(theory of action)にも拘束されないが、現在のインテグリンアゴニストは、特定のインテグリンに結合し、インテグリンの不活性状態から活性状態への変化に影響を与えると考えられている。この変化には、インテグリンの閉じた形状から開いた形状への形態の変化が関与していると考えられている。現在のインテグリンアゴニストは、インテグリンを活性化する一方で、インテグリンが、細胞間の接着に関与するそれらの天然のリガンドと結合すると、インテグリンから外れる。細胞内メカニズムを増強することによってインテグリンを活性化したり、インテグリン遺伝子の発現をアップレギュレートしたり、インテグリンを持続的に損傷したり、又は化学的に変化させたりするインテグリン活性化化合物とは対照的に、本発明のインテグリン活性化化合物は、標的であるインテグリンを持続的に損傷したり化学的に変化させたりしない。このようにインテグリンを持続的に損傷したり化学的変化を与えたりしないことは、細胞療法に用いられる幹細胞、免疫細胞、その他の細胞にとって重要である。なぜなら、本発明のインテグリン活性化化合物は、患者の体内における細胞の活性化、プライミング、ホーミング、トラフィキング、浸潤、標的化、および/または他の細胞の移動を促進するだけであり、細胞の本来の機能は、持続的に損傷したり化学的変化を受けたりせず、増強されるだけだからである。
【0063】
アゴニスト前処理細胞
1以上のインテグリン発現細胞を、本明細書に記載されているように、一般式Iを有するアゴニスト化合物でまず処理(前処理)し、細胞の表面にアゴニスト結合インテグリン分子を形成させる。インテグリン発現細胞は、例えば、胚性幹細胞、成体幹細胞/前駆細胞、または人工多能性幹細胞であってもよい。実施形態によっては、細胞はα4β1、α5β1、α4β7、αLβ2のうち一以上のインテグリンを発現する。細胞の処理は概して、インテグリン発現細胞をin vitroでアゴニストと接触させることを含む。多くの用途において、アゴニスト化合物は、約100nMから約30μMの範囲の濃度で処理培地中に存在する。実施形態によっては、アゴニスト濃度は約1μM~約10μMの範囲である。アゴニストに暴露された後に生じる、アゴニスト処理された細胞は、同族(cognate)リガンドに結合する能力が増強される。インテグリンは細胞表面で発現され、自然に発生したものでも、外来性のインテグリン遺伝子を発現するように形質転換された細胞によって遺伝子導入されて発現されたものでもよい。インテグリンが結合するタンパク質または他の同族リガンドは、細胞表面に発現しているか、細胞外マトリックスの一部である。
【0064】
インテグリン結合リガンドに対する前処理した細胞の増強された結合
薬学的に許容できる希釈液に溶解された本明細書に記載のアゴニストを、細胞培養培地または細胞懸濁液に添加し、混合する。得られたアゴニスト処理細胞が、インテグリン結合リガンドまたは結合部位に導入されると、処理された細胞は、溶液中、または表面上もしくは標的組織上の同族リガンドに結合、付着または接着する。実施形態によっては、インテグリン結合タンパク質は、血管細胞接着分子-1(VCAM1)、フィブロネクチン、粘膜アドレシン細胞接着分子-1(MAdCAM-1)、細胞間接着分子-1(ICAM-1)、または細胞間接着分子-2(ICAM-2)である。アゴニスト処理の結果、アゴニスト処理細胞のリガンドへの結合は、アゴニストで処理されていないインテグリン発現細胞の結合と比較して増強されまたは増加する。実施形態によっては、アゴニスト処理細胞は、未処理のインテグリン発現細胞よりも少なくとも3倍多く、リガンドでコーティングした表面に結合する。実施形態によっては、アゴニスト処理細胞は、未処理細胞よりも最大3倍多くインテグリン結合タンパク質に結合する。
【0065】
インテグリン結合リガンドを発現する組織への前処理細胞の保持増強
細胞の種類、作用機序、投与方法に関係なく、多くの用途にとって、傷害を受けた関連組織に細胞が向かい、その組織に保持されることが重要である。動物モデルや臨床試験で観察される細胞の保持率の低さは、細胞ベースの治療法の進歩を妨げる大きな要因の一つと考えられている。細胞を局所に注入した場合でさえ、1時間後には通常、注入した細胞の10%未満しか保持されず、この数は従来の細胞ベースの治療では時間とともに減少する。全身的に投与された場合、その保持率はさらに低くなる。それに比べ、本開示の方法の多くの実施形態は、外因的に投与された細胞の保持率を高め、再生医療における取り組みを大きく前進させる可能性がある。
【0066】
哺乳動物の生体内標的部位における外因的に導入された細胞の保持を増強する方法は、概して(a)インテグリン発現細胞をin vitroでインテグリンのアゴニストで処理するステップを含み、アゴニストが本明細書に記載の一般式Iを有する化合物であり、(b)アゴニストで処理された細胞を、哺乳動物の生体内標的部位に導入するステップを含み、(c)アゴニストで処理されていないインテグリン発現細胞が標的部位に導入された場合に保持される細胞の数と比較して、導入されたアゴニストで処理された細胞の数がより多く標的部位に留まるようにするステップを含む。標的部位は、例えば、血管細胞接着分子-1(VCAM1)、フィブロネクチン、粘膜アドレシン細胞接着分子-1(MAdCAM-1)、細胞間接着分子-1(ICAM-1)、または細胞間接着分子-2(ICAM-2)などのインテグリン結合タンパク質を含む。
【0067】
損傷または病変した血管組織の治療処置
上記のように調製されたアゴニスト処理細胞は、哺乳動物の血管における損傷部位または病変部位に投与される。この細胞は、心臓発作後の虚血による組織や末梢動脈疾患の組織でしばしば起こるように、損傷または病気の血管組織の部位、またはその周囲に直接注入される。あるいは、実施形態によっては、アゴニストで処理された細胞は、治療が望まれる損傷部位や疾患部位にホーミングするために静脈内に注入される。損傷組織または疾患組織はVCAM-1を発現する細胞(例えば内皮細胞)を含む。その細胞において、細胞表面にVCAM-1が存在する。VCAM-1の発現は、実施形態によっては、腫瘍壊死因子-α、インターロイキン-4、およびインターロイキン-1βなどの炎症性サイトカインによって誘導される。実施例によっては、治療部位または治療部位に隣接した細胞または細胞外マトリックスは、フィブロネクチン、粘膜アドレシン細胞接着分子-1(MAdCAM-1)、細胞間接着分子-1(ICAM-1)、または細胞間接着分子-2(ICAM-2)などの1以上の他のインテグリン結合タンパク質を発現し、その表面に付着している。このような実施例では、注入されたアゴニスト処理細胞は、損傷組織部位または疾患組織部位で同族リガンドに接着し、代わりに投与されたら保持されるであろう未処理のインテグリン発現細胞数と比較して、投与されたアゴニスト処理細胞の数が治療部位に多く残るようにさせている。治療部位に保持されたアゴニスト処理細胞は、増殖および/またはパラクリン因子の放出が可能となり、損傷部位または疾患部位(例えば虚血、自己免疫反応、機械的損傷などによる損傷)の血管組織を再生することができる。パラクリン因子とは、成長因子やサイトカインなど、隣接する細胞に影響を及ぼす細胞から放出される物質である。
【0068】
他の疾患や状態の治療のための細胞ベースの治療
様々な実施形態において、細胞ベースの治療が可能な数多くの疾患や状態の治療のための、上述のアゴニスト処理細胞の使用も考慮される。例えば、心筋梗塞、末梢動脈疾患、糖尿病、腎不全、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、肺線維症、肺高血圧症、急性呼吸窮迫症候群、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、脊髄損傷、不妊症、骨髄移植、臍帯血移植、およびCAR-T細胞療法を含むがん免疫療法は、実施形態によっては、上記の細胞懸濁液を静脈内、動脈内、または損傷部位もしくはその周辺に直接注射することによって治療される。新しい組織は、注入された細胞の増殖と分化、および/または、近隣の宿主細胞の増殖と分化を誘導する、注入された細胞によるパラクリン因子の放出のいずれかによって生成される。
【0069】
インテグリンアゴニスト治療組成物
本開示の実施形態は、癌、特に固形腫瘍を治療するための、式Iの1以上のインテグリンアゴニスト化合物を含む組成物を含み、式Iの1以上のインテグリンアゴニスト化合物は、ナチュラルT細胞、および/または処理済および/または未処理のエフェクター細胞のホーミング、浸潤、生着、および侵入を増強し、約1fM~約300μMの有効濃度で患者の血液中および/または治療部位に存在する。
【0070】
インテグリンアゴニストおよび幹細胞/前駆細胞治療組成物
本開示の実施形態には、幹細胞治療、特に固形腫瘍の治療のための、式Iの1以上のインテグリンアゴニスト化合物および1以上の幹細胞/前駆細胞を含む組成物が含まれ、式Iの1以上のインテグリンアゴニスト化合物は、ナチュラルT細胞、および/または処理済みおよび/または未処理のエフェクター細胞のホーミング、浸潤、生着、および侵入を増強し、約1fM~約300μMの有効濃度で患者の血液中および/または治療部位に存在する。式Iの1以上のインテグリンアゴニスト化合物および1以上の幹細胞/前駆細胞は別々に、まとめて、および/または同時に投与することができる。特定の実施形態において、式Iの1以上のインテグリンアゴニスト化合物は、1以上の幹細胞/前駆細胞の投与前、投与中、および投与後に投与することができる。特定の実施形態において、式Iの1以上のインテグリンアゴニスト化合物は、1以上の幹細胞/前駆細胞の投与前に別々の用量の投与スケジュールで、1以上の幹細胞/前駆細胞の投与と同時、および/または1以上の幹細胞/前駆細胞の投与後に別々の用量の投与スケジュールで、投与することができる。ここで投与スケジュールは同じであっても異なっていてもよい。他の実施形態では、投与スケジュールは、1以上の幹細胞/前駆細胞の投与前の数日間の投与と、1以上の幹細胞/前駆細胞の投与後の数日間の投与とを含んでいてもよい。
【0071】
インテグリンアゴニストおよび治療用抗体治療組成物
本開示の実施形態は、癌を治療するための、特に固形腫瘍を治療するための、式Iの1以上のインテグリンアゴニスト化合物および1以上の治療抗体を含む組成物を含む。式Iの1以上のインテグリンアゴニスト化合物は、ナチュラルT細胞、および/または処理済および/または未処理のエフェクター細胞のホーミング、浸潤、生着、および侵入を増強し、約1fM~約300μMの有効濃度で患者の血液中および/または治療部位に存在する。式Iの1以上のインテグリンアゴニスト化合物および1以上の治療用抗体は、別々に、まとめて、および/または同時に投与され得る。また本開示の実施形態はその組成物の投与方法を含む。特定の実施形態において、式Iの1以上のインテグリンアゴニスト化合物は、1以上の治療用抗体の投与前、投与中、および投与後に投与され得る。特定の実施形態において、式Iの1以上のインテグリンアゴニスト化合物は、1以上の治療用抗体の投与前に別々の用量の投与スケジュールで、1以上の治療用抗体の投与と同時に、および/または1以上の治療用抗体の投与後に別々の用量の投与スケジュールで投与することができ、投与スケジュールは同じであっても異なっていてもよい。他の実施形態では、投与スケジュールは、1以上の治療用抗体の投与前の数日の投与と、1以上の治療用抗体の投与後の数日間の投与とを含んでもよい。
【0072】
インテグリンアゴニストおよび免疫調節剤治療組成物
本開示の実施形態は、癌、特に固形腫瘍を治療するための、式Iの1以上のインテグリンアゴニスト化合物および1以上の免疫調節剤を含む組成物を含む。式Iの1以上のインテグリンアゴニスト化合物は、ナチュラルT細胞、および/または処理済および/または未処理のエフェクター細胞のホーミング、浸潤、生着、および侵入を増強し、約1fM~約300μMの有効濃度で患者の血液中および/または治療部位に存在する。式Iの1以上のインテグリンアゴニスト化合物および1以上の免疫調節剤は、別々に、まとめて、および/または同時に投与されてもよい。また本開示の実施形態は組成物の投与方法を含む。特定の実施形態において、式Iの1以上のインテグリンアゴニスト化合物は、1以上の免疫調節剤の投与前、投与中、および投与後に投与され得る。特定の実施形態において、式Iの1以上のインテグリンアゴニスト化合物は、1以上の免疫調節剤の投与前に別々の用量の投与スケジュールで、1以上の免疫調節剤の投与と同時に、および/または1以上の免疫調節剤の投与後に、別々の用量の投与スケジュールで投与することができ、投与スケジュールは同じであっても異なっていてもよい。他の実施形態において、投与スケジュールは、1以上の免疫調節剤の投与前の数日の投与と、1以上の免疫調節剤の投与後の数日間の投与とを含み得る。
【0073】
インテグリンアゴニストおよび抗原治療組成物
本開示の実施形態には、癌の治療、特に固形腫瘍の治療のための、式Iの1以上のインテグリンアゴニスト化合物および1以上の抗原を含む組成物が含まれる。式Iの1以上のインテグリンアゴニスト化合物は、ナチュラルT細胞、および/または処理済および/または未処理のエフェクター細胞のホーミング、浸潤、および侵入を増強し、約1fM~約300μMの有効濃度で患者の血液中および/または治療部位に存在する。式Iの1以上のインテグリンアゴニスト化合物と1以上の抗原とが、別個に、まとめて、および/または同時に投与され得る。本開示の実施形態はその組成物の投与方法を含む。特定の実施形態において、式Iの1以上のインテグリンアゴニスト化合物は、1以上の抗原の投与前、投与中、および投与後に投与され得る。特定の実施形態において、式Iの1以上のインテグリンアゴニスト化合物は、1以上の抗原の投与前に別々の用量の投与スケジュールで、1以上の抗原の投与と同時に、および/または1以上の抗原の投与後に別々の用量の投与スケジュールで投与することができ、投与スケジュールは同じであっても異なっていてもよい。他の実施形態において、投与スケジュールは、1以上の抗原の投与前数日の投与と、1以上の抗原の投与後の数日間の投与を含むことができる。
【0074】
インテグリンアゴニストおよびワクチン治療組成物
本開示の実施形態は、癌、特に固形腫瘍を治療するための、式Iの1以上のインテグリンアゴニスト化合物と1以上のワクチンとを含む組成物を含む。式Iの1以上のインテグリンアゴニスト化合物は、ナチュラルT細胞、および/または処理済および/または未処理のエフェクター細胞のホーミング、浸潤、および侵入を増強し、約1fM~約300μMの有効濃度で患者の血液中および/または治療部位に存在する。式Iの1以上のインテグリンアゴニスト化合物および1以上のワクチンが、別々に、まとめて、および/または同時に投与され得る。また本開示の実施形態はその組成物の投与方法を含む。特定の実施形態において、式Iの1以上のインテグリンアゴニスト化合物は、1以上のワクチンの投与前、投与中、および投与後に投与され得る。特定の実施形態において、式Iの1以上のインテグリンアゴニスト化合物は、1以上のワクチンの投与前に別々の用量の投与スケジュールで、1以上のワクチンの投与と同時に、および/または1以上のワクチンの投与後に別々の用量の投与スケジュールで投与することができ、投与スケジュールは同じであっても異なっていてもよい。他の実施形態において、投与スケジュールは、1以上のワクチンの投与前数日の投与と、1以上のワクチンの投与後の数日間の投与とを含んでもよい。
【0075】
細胞とは無関係に輸送されるアゴニスト
アゴニストはまた、上述の細胞ベースの治療のために、細胞とは無関係に輸送され得る。このような場合、アゴニストは細胞治療の前および/または後に1回以上輸送されて細胞のホーミング、接着、生着を促進する。また本明細書に記載のアゴニストを、ワクチンのアジュバントとして用いたり、単独治療としてがんの治療として用いたり、またチェックポイント阻害抗体、放射線、他の低分子抗がん剤を含む他の治療法と併用して用いたりすることを含め、細胞ベースの治療とは無関係の治療を増強することもできる。
【0076】
本明細書に記載された化合物および方法は、開示した化合物が調製され得る方法を説明する以下の合成スキームと関連して、よりよく理解されるであろう。代表的なアゴニスト化合物の調製についての詳細な説明は実施例に記載されている。なお、同一または類似の合成法を使用して本明細書に開示した他のアゴニスト化合物も合成できることは理解されたい。これらの実施例は、化合物およびアゴニスト処理細胞の好ましい実施形態と使用とを説明するために提示されたものであり、それらの範囲においては非限定的である。免疫調節剤はCTLA-4、PD-1、PDL-1、4-1BB、TIM-1、LAG-3、IDO-1、TIGIT、STING、インターロイキン、インターフェロン、電離放射線、Toll様受容体、その他の受容体を標的とする。
【0077】
市販されているPD-1阻害剤の代表例としては、これらに限定されないが、ペムブロリズマブ(キイトルーダ)、ニボルマブ(オプジーボ)、セミピリマブ(リブタヨ)、その他のPD-1阻害剤、およびそれらの混合物または組み合わせを含む。
【0078】
市販されているPD-L1阻害剤の代表例としては、これらに限定されないが、アテゾリズマブ(テセントリク)、アベルマブ(バベンチオ)、デュルバルマブ(イミフィンジ)、その他のPD-L1阻害剤、およびそれらの混合物または組み合わせを含む。
【0079】
市販されているCTLA-4阻害剤の代表例としては、これらに限定されるものではないが、イピリムマブ(ヤーボイ)、その他のCTLA-4阻害剤、およびそれらの混合物または組み合わせが含まれる。
【0080】
市販されているインターフェロンの代表例としては、これらに限定されないが、インターフェロンアルファ(ロフェロン-A、イントロンA、アルフェロン)、その他のインターフェロン、およびそれらの混合物または組み合わせが含まれる。
【0081】
インターロイキンの代表例としては、これらに限定されないが、インターロイキン-2(IL-2)またはアルデスロイキン(プロロイキン)、およびそれらの混合物または組み合わせを含む。
【0082】
腫瘍溶解性ウイルスの代表例としては、これらに限定されないが、タリモジン ラヘルパレプベク(Imlygic)、任意の他の腫瘍溶解性ウイルス、およびそれらの混合物または組み合わせを含む。
【0083】
治療用抗体の代表例としては、これらに限定されないが、トラスツズマブ、セツキシマブ、イピリムマブ、ニボルマブ、リツキシマブ、アレムツズマブ、アツムマブ、トシツモマブ、任意の他の類似の治療用抗体、およびそれらの混合物または組み合わせを含む。
【0084】
ワクチンの代表例としては、これらに限定されないが、Covid19ワクチン、抗癌ワクチン、アデノウイルスワクチン、AVA(BioThrax)などの炭疽ワクチン、Vaxchoraなどのコレラワクチン、DTaP(Daptacel、Infanrix)、Td(Tenivac、ジェネリック)、DT(ジェネリック)、Tdap(Adacel、Boostrix)、DTaP-IPV(Kinrix、Quadracel)、DTaP-HepB-IPV(Pediarix、DTaP-IPV/Hib(ペンタセル)などのジフテリア・ワクチン、HepA(Havrix、Vaqta、HepA-HepB(Twinrix))などのA型肝炎ワクチン、HepB(Engerix-B、Recombivax HB、Heplisav-B、DTaP-HepB-IPV(Pediarix、HepA-HepB(Twinrix))などのB型肝炎ワクチン、C型肝炎ワクチン、Hib(ActHIB、PedvaxHIB、Hiberix、DTaP-IPV/Hib(ペンタセル))などのインフルエンザB型(Hib)ワクチン、HPV9(ガーダシル9)などのヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン(学術論文では9vHPVと略記することが望ましい)、IIV*(Afluria、Fluad、Flublok、Flucelvax、FluLaval、Fluarix、Fluvirin、Fluzone、Fluzone High-Dose、Fluzone Intradermal)、LAIV(FluMist)、及びIIV3、IIV4、RIV3、RIV4、ccIIV4などの不活化インフルエンザワクチンといった季節性インフルエンザ(Flu)のみのワクチン、JE(Ixiaro)などの日本脳炎ワクチン、MMR(M-M-RII、MMRV(ProQuad))などの麻疹ワクチン、MenACWY(Menactra、Menveo、MenB(Bexsero、Trumenba)などの髄膜炎菌ワクチン、MMR(M-M-RII、MMRV(ProQuad))などのおたふくかぜワクチン、DTaP(Daptacel、Infanrix、Tdap(Adacel、Boostrix、DTaP-IPV(Kinrix、Quadracel、DTaP-HepB-IPV(Pediarix、DTaP-IPV/Hib(ペンタセル)などの百日咳ワクチン、PCV13(Prevnar13、PPSV23(Pneumovax23)などの肺炎球菌ワクチン、Polio(Ipol、DTaP-IPV(Kinrix、Quadracel、DTaP-HepB-IPV(Pediarix)、DTaP-IPV/Hib(ペンタセル)などのポリオワクチン、Rabies(Imovax Rabies、RabAvert)などの狂犬病ワクチン、RV1(Rotarix、RV5(RotaTeq))などのロタウイルスワクチン、MMR(M-M-R II、MMRV(ProQuad))などの風疹ワクチン、RZV(Shingrix)などの帯状疱疹ワクチン、Vaccinia(ACAM2000)などの天然痘ワクチン、DTaP(Daptacel、Infanrix、Td(Tenivac、ジェネリック、DT(-ジェネリック-)、Tdap(Adacel、Boostrix、DTaP-IPV(Kinrix、Quadracel、DTaP-HepB-IPV(Pediarix、DTaP-IPV/Hib(ペンタセル)などの破傷風ワクチン、結核ワクチン、経口腸チフスワクチン(Vivotif、腸チフス多糖体(Typhim Vi)などの腸チフスワクチン、VAR(Varivax、MMRV(ProQuad))などの水痘ワクチン、及び、YF(YF-Vax)などの黄熱ワクチンが含まれる。
【0085】
追加の開示
以下は、本開示による非限定的で具体的な態様である。
【0086】
式Iの化合物である第一実施形態であって、
【化1】

はアリール環であり、Rは、アリール基、アラルキル基、または低級アルキル基を含み、Lは、-(CH-,-O(CH-,および-(CHO(CH-から実質的になる群から選択されるリンカーであり、Lは-CO-,-CO(CH,-COO(CH-,-(CH-,-(CHO-,及び-(CHO(CH-から実質的になる群から選択されるリンカーであり、Rは、アリール、ヘテロシクリル、CONR、および-CORから実質的になる群から選択され、XおよびYは、独立して、-CH-および-C(O)-から選択され、nは、1~4の整数であり、m、pおよびqは、存在する場合、それぞれ独立して1~2の整数であり、RおよびRは、存在する場合、独立して、実質的に水素、低級アルキル基およびアラルキル基からなる群から選択され、Rは、存在する場合、複素環であり、存在する場合、各RおよびRは、非置換であるか、または低級アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、-OH、アルコキシアルキル基、(C-Cアルキル)アミノ基、アルコキシアルコキシ基、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルキルアリール基、アラルキル基、アルキルヘテロシクリル基、およびヘテロシクリルアルキル基から実質的になる群から選択される置換基で置換されていてもよく、R、R、RおよびRは、非置換であるか、またはヒドロキシ、アルコキシ、ジアルキルアミノ、ハロゲン、低級アルキル基、ヒドロキシアルキル基、脂肪族アシル基、-CF、オキソ、-CN、アルコキシアルキル基、(C-Cアルキル)アミノ基、アルコキシアルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルキルアリール基、アラルキル基、アルキルヘテロシクリル基、ヘテロシクリルアルキル基、およびアリールオキシアルキル基から実質的になる群から選択される置換基で置換されていてもよく、当該実施形態はそれらの薬学的に許容される塩を含む。
【0087】
第1実施形態の化合物である第2実施形態であって、Rが、置換フェニル、またはチエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピロリル若しくはピリジルから選択される置換または非置換のヘテロ芳香族化合物からなる群から選択される。
【0088】
第1~第2実施形態のいずれかの化合物である第三実施形態であって、Rが、実質的に下記からなる群から選択される。

アスタリスク*はLの付着を示し、各Mは、存在する場合、実質的にヒドロキシ、アルコキシ、ジアルキルアミノ、ハロゲンおよびアルキルからなる群から選択される基から選択され、各rが存在する場合、1~2の整数である。
【0089】
第1~第3実施形態のいずれかの化合物である第4実施形態であって、以下のものから実質的になる群から選択される化合物。2,2'-((ピペラジン-1,4-ジルビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(N,N-ビス(チオフェン-2-イルメチル)アセトアミド)、ピペラジン-1,4-ジルビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(ビス(3-メトキシベンジル)カーバメート)、ベンジル4-(2-((4-(ジメチルアミノ)ベンジル)(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(チオフェン-2-イルメチル)アセトアミド)、ベンジル4-(2-((4-ヒドロキシベンジル)(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(2-((4-(ジメチルアミノ)ベンジル)(4-ヒドロキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート二塩酸塩、ベンジル4-(2-(ビス(4-ヒドロキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(2-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(2-(ビス(3-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ピペラジン-1,4-ジルビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(4-(ジメチルアミノ)ベンジル(4-メトキシベンジル)カーバメート)、2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N-(3-(ジメチルアミノ)ベンジル)-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(3-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(ピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、ベンジル4-(4-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-4-オキソブチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(5-(ビス(チオフェン-2-イルメチル)アミノ)-5-オキソペンチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、2,2'-(ピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(チオフェン-2-イルメチル)アセトアミド)、3-メトキシベンジル4-(2-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(5-(ビス(3-メトキシベンジル)アミノ)-5-オキソペンチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(5-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-5-オキソペンチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、4-メトキシフェネチル4-(2-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、2,2'-(2-オキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、3-メトキシベンジル4-(2-((4-(ジメチルアミノ)ベンジル)(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)-3-オキソピペラジン-1-カルボキシレート、N,N-ビス(4-メトキシベンジル)-2-(4-(3-メトキシベンジル)-2-オキソピペラジン-1-イル)アセトアミド、N-(4-(ジメチルアミノ)ベンジル)-2-(4-(3-メトキシベンゾイル)-2-オキソピペラジン-1-イル)-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド、2-(4-(3-メトキシベンゾイル)-2-オキソピペラジン-1-イル)-N,N-ビス(4-メトキシベンジル)アセトアミド、N,N-ビス(4-メトキシベンジル)-2-(4-(2-(3-メトキシフェニル)アセチル)-2-オキソピペラジン-1-イル)アセトアミド、(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(ビス(3-メトキシベンジル)カーバメート)、(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(ビス(4-メトキシベンジル)カーバメート)、(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(4-(ジメチルアミノ)ベンジル(3-メトキシベンジル)カーバメート)、(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(4-(ジメチルアミノ)ベンジル(4-メトキシベンジル)カーバメート)、(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(ビス(チオフェン-2-イルメチル)カーバメート)、2,2'-(ピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N-イソブチル-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(2-オキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N-イソブチル-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N-イソブチル-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(2-オキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N-(4-(ジメチルアミノ)ベンジル)-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(4-(ジメチルアミノ)ベンジル)アセトアミド)、それらの溶媒和物、それらの前駆体、及び、それらの水和物。
【0090】
第1~第4の実施形態のいずれかに記載の化合物である第5の実施形態であって、log(対数)Pが約6未満である。
【0091】
医薬組成物である第6実施形態であって、式Iの化合物を備え、
【化1】

はアリール環であり、Rは、アリール基、アラルキル基、または低級アルキル基を含み、Lは、-(CH-,-O(CH-,および-(CHO(CH-から実質的になる群から選択されるリンカーであり、Lは-CO-,-CO(CH,-COO(CH-,-(CH-,-(CHO-,及び-(CHO(CH-から実質的になる群から選択されるリンカーであり、Rは、アリール、ヘテロシクリル、CONR、および-CORから実質的になる群から選択され、XおよびYは、独立して、-CH-および-C(O)-から選択され、nは、1~4の整数であり、m、pおよびqは、存在する場合、それぞれ独立して1~2の整数であり、RおよびRは、存在する場合、独立して、水素、低級アルキル基およびアラルキル基から実質的になる群から選択され、Rは、存在する場合、複素環であり、存在する場合、各RおよびRは、非置換であるか、または低級アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、-OH、アルコキシアルキル基、(C-Cアルキル)アミノ基、アルコキシアルコキシ基、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルキルアリール基、アラルキル基、アルキルヘテロシクリル基、およびヘテロシクリルアルキル基から実質的になる群から選択される置換基で置換されていてもよく、R、R、RおよびRは、非置換であるか、またはヒドロキシ、アルコキシ、ジアルキルアミノ、ハロゲン、低級アルキル基、ヒドロキシアルキル基、脂肪族アシル基、-CF、オキソ、-CN、アルコキシアルキル基、(C-Cアルキル)アミノ基、アルコキシアルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルキルアリール基、アラルキル基、アルキルヘテロシクリル基、ヘテロシクリルアルキル基、およびアリールオキシアルキル基から実質的になる群から選択される置換基で置換されていてもよく、当該実施形態はそれらの薬学的に許容される塩を含む。
【0092】
式Iの化合物を含む、インテグリン受容体の選択的占有によって改善または予防可能な任意の状態の治療において使用するための医薬である第7の実施形態であって、
【化1】

はアリール環であり、Rは、アリール基、アラルキル基、または低級アルキル基を含み、Lは、-(CH-,-O(CH-,および-(CHO(CH-から実質的になる群から選択されるリンカーであり、Lは-CO-,-CO(CH,-COO(CH-,-(CH-,-(CHO-,及び-(CHO(CH-から実質的になる群から選択されるリンカーであり、Rは、アリール、ヘテロシクリル、CONR、および-CORから実質的になる群から選択され、XおよびYは、独立して、-CH-および-C(O)-から選択され、nは、1~4の整数であり、m、pおよびqは、存在する場合、それぞれ独立して1~2の整数であり、RおよびRは、存在する場合、独立して、水素、低級アルキル基およびアラルキル基から実質的になる群から選択され、Rは、存在する場合、複素環であり、存在する場合、各RおよびRは、非置換であるか、または低級アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、-OH、アルコキシアルキル基、(C-Cアルキル)アミノ基、アルコキシアルコキシ基、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルキルアリール基、アラルキル基、アルキルヘテロシクリル基、およびヘテロシクリルアルキル基から実質的になる群から選択される置換基で置換されていてもよく、R、R、RおよびRは、非置換であるか、またはヒドロキシ、アルコキシ、ジアルキルアミノ、ハロゲン、低級アルキル基、ヒドロキシアルキル基、脂肪族アシル基、-CF、オキソ、-CN、アルコキシアルキル基、(C-Cアルキル)アミノ基、アルコキシアルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルキルアリール基、アラルキル基、アルキルヘテロシクリル基、ヘテロシクリルアルキル基、およびアリールオキシアルキル基から実質的になる群から選択される置換基で置換されていてもよく、当該実施形態はそれらの薬学的に許容される塩を含む。
【0093】
第7実施形態の医薬である第8実施形態であって、インテグリンが、α4β1、α5β1、α4β7、およびαLβ2から実質的になる群から選択されるもの。
【0094】
第7~8実施形態のいずれかの医薬である第9実施形態であって、薬学的に許容される賦形剤、薬学的に許容される担体、またはその両方をさらに含む。
【0095】
リポソームである第10実施形態であって、以下のものから実質的になる群から選択される化合物を含む。2,2'-((ピペラジン-1,4-ジルビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(N,N-ビス(チオフェン-2-イルメチル)アセトアミド),ピペラジン-1,4-ジルビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(ビス(3-メトキシベンジル)カーバメート)、ベンジル4-(2-((4-(ジメチルアミノ)ベンジル)(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(チオフェン-2-イルメチル)アセトアミド)、ベンジル4-(2-((4-ヒドロキシベンジル)(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(2-((4-(ジメチルアミノ)ベンジル)(4-ヒドロキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート二塩酸塩、ベンジル4-(2-(ビス(4-ヒドロキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(2-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(2-(ビス(3-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ピペラジン-1,4-ジルビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(4-(ジメチルアミノ)ベンジル(4-メトキシベンジル)カーバメート)、2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N-(3-(ジメチルアミノ)ベンジル)-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(3-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(ピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、ベンジル4-(4-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-4-オキソブチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(5-(ビス(チオフェン-2-イルメチル)アミノ)-5-オキソペンチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、2,2'-(ピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(チオフェン-2-イルメチル)アセトアミド)、3-メトキシベンジル4-(2-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(5-(ビス(3-メトキシベンジル)アミノ)-5-オキソペンチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(5-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-5-オキソペンチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、4-メトキシフェネチル4-(2-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、2,2'-(2-オキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、3-メトキシベンジル4-(2-((4-(ジメチルアミノ)ベンジル)(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)-3-オキソピペラジン-1-カルボキシレート、N,N-ビス(4-メトキシベンジル)-2-(4-(3-メトキシベンジル)-2-オキソピペラジン-1-イル)アセトアミド、N-(4-(ジメチルアミノ)ベンジル)-2-(4-(3-メトキシベンゾイル)-2-オキソピペラジン-1-イル)-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド、2-(4-(3-メトキシベンゾイル)-2-オキソピペラジン-1-イル)-N,N-ビス(4-メトキシベンジル)アセトアミド、N,N-ビス(4-メトキシベンジル)-2-(4-(2-(3-メトキシフェニル)アセチル)-2-オキソピペラジン-1-イル)アセトアミド、(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(ビス(3-メトキシベンジル)カーバメート)、(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(ビス(4-メトキシベンジル)カーバメート)、(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(4-(ジメチルアミノ)ベンジル(3-メトキシベンジル)カーバメート)、(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(4-(ジメチルアミノ)ベンジル(4-メトキシベンジル)カーバメート)、(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(ビス(チオフェン-2-イルメチル)カーバメート)、2,2'-(ピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N-イソブチル-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(2-オキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N-イソブチル-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N-イソブチル-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(2-オキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N-(4-(ジメチルアミノ)ベンジル)-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(4-(ジメチルアミノ)ベンジル)アセトアミド)、それらの溶媒和物、それらの前駆体、及び、それらの水和物。
【0096】
眼科用製剤である第11実施形態であって、式Iの化合物を含むリンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)アゴニストを含むもの。
【化1】

はアリール環であり、Rは、アリール基、アラルキル基、または低級アルキル基を含み、Lは、-(CH-,-O(CH-,および-(CHO(CH-から実質的になる群から選択されるリンカーであり、Lは-CO-,-CO(CH,-COO(CH-,-(CH-,-(CHO-,及び-(CHO(CH-から実質的になる群から選択されるリンカーであり、Rは、アリール、ヘテロシクリル、CONR、および-CORから実質的になる群から選択され、XおよびYは、独立して、-CH-および-C(O)-から選択され、nは1~4の整数であり、m、pおよびqは、存在する場合、それぞれ独立して1~2の整数であり、RおよびRは存在する場合、独立して、水素、低級アルキル基およびアラルキル基から実質的になる群から選択され、Rは、存在する場合、複素環であり、存在する場合、各RおよびRは、非置換であるか、または低級アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、-OH、アルコキシアルキル基、(C-Cアルキル)アミノ基、アルコキシアルコキシ基、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルキルアリール基、アラルキル基、アルキルヘテロシクリル基、およびヘテロシクリルアルキル基から実質的になる群から選択される置換基で置換されていてもよく、R、R、RおよびRは、非置換であるか、またはヒドロキシ、アルコキシ、ジアルキルアミノ、ハロゲン、低級アルキル基、ヒドロキシアルキル基、脂肪族アシル基、-CF、オキソ、-CN、アルコキシアルキル基、(C-Cアルキル)アミノ基、アルコキシアルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルキルアリール基、アラルキル基、アルキルヘテロシクリル基、ヘテロシクリルアルキル基、およびアリールオキシアルキル基から実質的になる群から選択される置換基で置換されていてもよく、当該実施形態はそれらの薬学的に許容される塩を含む。
【0097】
第11実施形態の眼科用製剤である第12実施形態であって、Rが実質的に以下のものからなる群から選択される。

アスタリスク*はLへの付着を示す。ここで、各Mは、存在する場合、ヒドロキシ、アルコキシ、ジアルキルアミノ、ハロゲンおよびアルキルから実質的になる群から選択され、各rは、存在する場合、1~2の整数である。
【0098】
第13実施形態は(i)インテグリン発現細胞及びVLA-4インテグリンアゴニストと、(ii)インテグリン結合タンパク質との間に形成される複合体であって、VLA-4インテグリンアゴニストが一般式Iを有し、
【化1】

はアリール環であり、Rは、アリール基、アラルキル基、または低級アルキル基を含み、Lは、-(CH-,-O(CH-,および-(CHO(CH-から実質的になる群から選択されるリンカーであり、Lは-CO-,-CO(CH,-COO(CH-,-(CH-,-(CHO-,及び-(CHO(CH-から実質的になる群から選択されるリンカーであり、Rは、アリール、ヘテロシクリル、CONR、および-CORから実質的になる群から選択され、XおよびYは、独立して、-CH-および-C(O)-から選択され、nは1~4の整数であり、m、pおよびqは、存在する場合、それぞれ独立して1~2の整数であり、RおよびRは存在する場合、独立して、水素、低級アルキル基およびアラルキル基から実質的になる群から選択され、Rは、存在する場合、複素環であり、存在する場合、各RおよびRは、非置換であるか、または低級アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、-OH、アルコキシアルキル基、(C-Cアルキル)アミノ基、アルコキシアルコキシ基、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルキルアリール基、アラルキル基、アルキルヘテロシクリル基、およびヘテロシクリルアルキル基から実質的になる群から選択される置換基で置換されていてもよく、R、R、RおよびRは、非置換であるか、またはヒドロキシ、アルコキシ、ジアルキルアミノ、ハロゲン、低級アルキル基、ヒドロキシアルキル基、脂肪族アシル基、-CF、オキソ、-CN、アルコキシアルキル基、(C-Cアルキル)アミノ基、アルコキシアルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルキルアリール基、アラルキル基、アルキルヘテロシクリル基、ヘテロシクリルアルキル基、およびアリールオキシアルキル基から実質的になる群から選択される置換基で置換されていてもよく、当該実施形態はそれらの薬学的に許容される塩を含む。
【0099】
第13実施形態の複合物である第14実施形態であって、Rが、実質的に以下のものからなる群から選択され、

アスタリスク*はLへの付着を表す。ここで、各Mは、存在する場合、ヒドロキシ、アルコキシ、ジアルキルアミノ、ハロゲンおよびアルキルから実質的になる群から選択され、各rは、存在する場合、1~2の整数である。
【0100】
第12~14実施形態のいずれかに記載の複合体である第15実施形態であって、インテグリン結合タンパク質が、血管細胞接着分子-1(VCAM1)、フィブロネクチン、粘膜アドレシン細胞接着分子-1(MAdCAM-1)、細胞間接着分子-1(ICAM-1)、細胞間接着分子-2(ICAM-2)、またはそれらの組み合わせを含む。
【0101】
第12~15実施形態のいずれかの複合体である第16実施形態であって、インテグリン発現細胞が、胚性幹細胞、成体幹細胞、前駆細胞、人工多能性幹細胞、またはそれらの組み合わせを含む。
【0102】
第17実施形態は、哺乳動物の生体内(in vivo)標的部位における外因的に導入された細胞の保持を増強する方法であり、概して以下のステップを含む。インテグリン発現細胞をin vitroでインテグリンのアゴニストで処理し、アゴニスト処理細胞を生産するステップと、アゴニスト処理細胞の少なくとも一部を哺乳動物の生体内標的部位に導入するステップとを備える。同じインテグリン発現細胞が処理されずに生体内標的部位に導入された場合に保持される細胞数と比較して、より多くのアゴニスト処理細胞が生体内標的部位に保持され、インテグリンのアゴニストがVLA-4インテグリンアゴニストである。
【0103】
第17実施形態の方法である第18実施形態であって、インテグリンのアゴニストが、実質的に以下のものからなる群から選択される化合物である。2,2'-((ピペラジン-1,4-ジルビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(N,N-ビス(チオフェン-2-イルメチル)アセトアミド)、ピペラジン-1,4-ジルビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(ビス(3-メトキシベンジル)カーバメート)、ベンジル4-(2-((4-(ジメチルアミノ)ベンジル)(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(チオフェン-2-イルメチル)アセトアミド)、ベンジル4-(2-((4-ヒドロキシベンジル)(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(2-((4-(ジメチルアミノ)ベンジル)(4-ヒドロキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート二塩酸塩、ベンジル4-(2-(ビス(4-ヒドロキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(2-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(2-(ビス(3-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ピペラジン-1,4-ジルビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(4-(ジメチルアミノ)ベンジル(4-メトキシベンジル)カーバメート)、2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N-(3-(ジメチルアミノ)ベンジル)-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(3-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(ピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、ベンジル4-(4-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-4-オキソブチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(5-(ビス(チオフェン-2-イルメチル)アミノ)-5-オキソペンチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、2,2'-(ピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(チオフェン-2-イルメチル)アセトアミド)、3-メトキシベンジル4-(2-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(5-(ビス(3-メトキシベンジル)アミノ)-5-オキソペンチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(5-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-5-オキソペンチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、4-メトキシフェネチル4-(2-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、2,2'-(2-オキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、3-メトキシベンジル4-(2-((4-(ジメチルアミノ)ベンジル)(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)-3-オキソピペラジン-1-カルボキシレート、N,N-ビス(4-メトキシベンジル)-2-(4-(3-メトキシベンジル)-2-オキソピペラジン-1-イル)アセトアミド、N-(4-(ジメチルアミノ)ベンジル)-2-(4-(3-メトキシベンゾイル)-2-オキソピペラジン-1-イル)-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド、2-(4-(3-メトキシベンゾイル)-2-オキソピペラジン-1-イル)-N,N-ビス(4-メトキシベンジル)アセトアミド、N,N-ビス(4-メトキシベンジル)-2-(4-(2-(3-メトキシフェニル)アセチル)-2-オキソピペラジン-1-イル)アセトアミド、(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(ビス(3-メトキシベンジル)カーバメート)、(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(ビス(4-メトキシベンジル)カーバメート)、(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(4-(ジメチルアミノ)ベンジル(3-メトキシベンジル)カーバメート)、(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(4-(ジメチルアミノ)ベンジル(4-メトキシベンジル)カーバメート)、(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(ビス(チオフェン-2-イルメチル)カーバメート)、2,2'-(ピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N-イソブチル-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(2-オキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N-イソブチル-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N-イソブチル-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(2-オキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N-(4-(ジメチルアミノ)ベンジル)-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(4-(ジメチルアミノ)ベンジル)アセトアミド)、それらの溶媒和物、それらの前駆体およびそれらの水和物。
【0104】
第17~18実施形態のいずれかの方法である第19実施形態であって、インテグリン発現細胞が、胚性幹細胞、成体幹細胞、前駆細胞、人工多能性幹細胞、またはそれらの組み合わせを含む。
【0105】
第17~19実施形態のいずれかの方法である第20実施形態であって、処理された細胞が、損傷した血管組織、病気の血管組織、またはそれらの組み合わせの部位に直接または近接して注入される。
【0106】
第17~20実施形態のいずれかの方法である第21実施形態であって、標的部位が、血管細胞接着分子-1(VCAM1)、フィブロネクチン、粘膜アドレシン細胞接着分子-1(MAdCAM-1)、細胞間接着分子-1(ICAM-1)、または細胞間接着分子-2(ICAM-2)を含む。
【0107】
実施例
接着アッセイ
試薬と細胞株
in vitro細胞接着アッセイでは、アッセイバッファーで1:100に希釈すると1%DMSO(ビヒクル)において目的の最終作業濃度が得られるように、化合物をDMSOに溶解し、一連のストック溶液を作った。ヒトVCAM-1およびICAM-1はR&Dシステムズ社(ミネアポリス,MN)から購入した。Jurkat(VCAM-1アッセイ)およびHSB(ICAM-1アッセイ)細胞株は、American Type Culture Collection(マナサス、VA)から入手し、推奨培地で維持した。
【0108】
静的細胞接着アッセイ
アッセイは以下の文献で以前に説明されたように行った。1.Vanderslice, P.,Woodside, D. G., Caivano, A. R., Decker, E. R., Munsch, C. L., Sherwood, S. J.,Lejeune, W. S., Miyamoto, Y. J., McIntyre, B. W., Tilton, R. G.,及びDixon, R. A. (2010)の「Potentin vivo suppression of inflammation by selectively targeting the high affinityconformation of integrin alpha4beta1」(Biochem Biophys ResCommun 400, 619-624)と、2.Vanderslice, P.,Biediger, R. J., Woodside, D. G., Brown, W. S., Khounlo, S., Warier, N. D.,Gundlach, C. W. t., Caivano, A. R., Bornmann, W. G., Maxwell, D. S., McIntyre,B. W., Willerson, J. T., 及びDixon, R. A. (2013)の「Small molecule agonist of very late antigen-4 (VLA-4)integrin induces progenitor cell adhesion」(J Biol Chem 288,19414-19428)。VCAM-1またはICAM-1リガンドを50μLの50mM Tris-HCl(pH7.4)、150mM NaCl(TBS)に溶解したものを96ウェルプレートのウェルに添加し、4℃で一晩コーティングさせた。アゴニスト活性を最大限評価するために、リガンドのコーティング濃度は、VCAM-1とICAM-1それぞれについて、50μLのTBSにおける通常0.5~5μg/mLの、最適以下の濃度を使用した。このリガンド濃度は、用量反応曲線によって決定される5%以下の接着をもたらす濃度にほぼ対応していた。簡単に説明すると、2×10細胞をカルセインAM(MolecularProbes社)で30分間標識した後、洗浄したものを結合バッファー中に再懸濁させ、2%BSAでブロックされた、リガンドコーティングされたプレートの3つのウェル(2×10細胞/ウェル)に加えた。37℃で30分間インキュベートした後、プレートを結合バッファーで3回洗浄し、付着細胞を溶解し、Tecan Safireプレートリーダーで蛍光を測定した。結合バッファーには、α4β1/VCAM-1アッセイには1mM MgClと50%FBSを含むPBSを、αLβ2/ICAM-1アッセイには2mM MgClと、5mM EGTAと50%FBSとを含むPBSを用いた。EC50は、最大反応の50%を達成するのに必要な化合物の濃度として定義される。
【0109】
実施例1:(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル) ビス(ビス(チオフェン-2-イルメチル)カーバメート)(5)の合成
【0110】
ステップ1:トルエン(300mL)中のチオフェン-2-カルボキサアルデヒド(100.1g,0.892mol)および2-チオフェンメチルアミン(94.49g,0.834mol)の溶液を、ディーンスタークトラップを用いて水を除去しながら、アルゴン下で3時間還流した。その混合物を氷浴で0℃に冷却した後、無水エタノール(250mL)を攪拌しながら加え、続いて水素化ホウ素ナトリウム(34.79g,0.92mol)を40分かけてほぼ均等に6つに分けて加えた。6つのそれぞれの分は、前の分から発泡が収まった後に加えた。得られた混合物を室温まで温め、一晩攪拌した後、0℃まで冷却し、急速に攪拌しながら、HCl水溶液(4M、500mL)および酢酸エチル(50mL)を含むフラスコに注意深く注いだ。白色の固体が形成され、それをアセトンで洗浄しながら真空濾過で回収した。白色固体を真空下で乾燥させ、1(162.7g)を得た。
【0111】
この手順を用いて以下のものを調製できる。3-メトキシベンズアルデヒド及び3-メトキシベンジルアミンからビス(3-メトキシベンジル)アミン 塩酸塩、4-ジメチルアミノベンズアルデヒド及び4-メトキシベンジルアミンから4-(((4-メトキシベンジル)アミノ)メチル)-N,N-ジメチルアニリン二塩酸塩、4-ヒドロキシオキシベンズアルデヒド及び4-メトキシベンジルアミンから4-(((4-メトキシベンジル)アミノ)メチル)フェノール塩酸塩、4-ジメチルアミノベンズアルデヒド及び4-ヒドロキシオキシベンジルアミンから4-(((4-(ジメチルアミノ)ベンジル)アミノ)メチル)フェノール二塩酸塩、4-ヒドロキシベンズアルデヒド及び4-ヒドロキシベンジルアミンから4,4'-(アザンジイルビス(メチレン))ジフェノール塩酸塩、4-メトキシベンズアルデヒド及び4-メトキシベンジルアミンからビス(4-メトキシベンジル)アミン塩酸塩(6)、並びに4-メトキシベンジルアミン及びイソブチルアルデヒドからN-(4-メトキシベンジル)-2-メチルプロパン-1-アミン塩酸塩。
【0112】
実施例によっては、塩酸塩をジクロロメタンまたは酢酸エチルと水酸化ナトリウム水溶液との間で分離させることにより、生成物を遊離塩基として単離した。この修飾を用いて4-(((4 (ジメチルアミノ)ベンジル)アミノ)メチル)-N,N-ジメチルアニリン及び4-(((4-メトキシベンジル)アミノ)メチル)-N,N-ジメチルアニリンを調製できる。
【0113】
ステップ2:ジクロロメタン(472mL)における(1)(46.44g,0.189mol)の溶液に対して、アルゴン下、室温でトリエチルアミン(31.6mL,0.227mol)を加えた。それで得られた混合物を15分間撹拌した後、N,N’-カルボニルジイミダゾール(36.8g,0.227mmol)を10分間隔で2回に分けて加えた。得られた混合物を6時間撹拌した後、酢酸エチル(800L)で希釈し、水(2回)および塩水で洗浄した。有機層をMgSO上で乾燥させた後、1インチのシリカゲルパッドで濾過し、酢酸エチル(500mL)で洗浄した。ろ液を減圧下で濃縮した。その残渣を熱い酢酸エチル(120mL)に溶解させ、撹拌し、かつ、断続的に加熱しながらヘキサン(225mL)を添加漏斗から滴下した。ヘキサンの添加完了後、徐々に冷却しながら反応(the reaction)を撹拌した。一晩撹拌した後、混合物を濾過し、ヘキサン:酢酸エチルを3:1としたもので洗浄し、真空下で乾燥して、(2)(46.02)を白色結晶として得た。
【0114】
この手順を用いて以下のものも調製できる。ビス(3-メトキシベンジル)アミン 塩酸塩からN,N-ビス(3-メトキシベンジル)-1H-イミダゾール-1-カルボキサミド、4-(((4-メトキシベンジル)アミノ)メチル)-N,N-ジメチルアニリンからN-(4-(ジメチルアミノ)ベンジル)-N-(4-メトキシベンジル)-1H-イミダゾール-1-カルボキサミド、4-(((3-メトキシベンジル)アミノ)メチル)-N,N-ジメチルアニリン 塩酸塩からN-(4-(ジメチルアミノ)ベンジル)-N-(3-メトキシベンジル)-1H-イミダゾール-1-カルボキサミド、tert-ブチル4-(1H-イミダゾール-1-カルボニル)ピペラジン-1-カルボキシレートからtert-ブチル4-(1H-イミダゾール-1-カルボニル)ピペラジン-1-カルボキシレート、(6)からN,N-ビス(4-メトキシベンジル)-1H-イミダゾール-1-カルボキサミド、及びピペラジン-2-オンから4-(1H-イミダゾール-1-カルボニル)ピペラジン-2-オン。
【0115】
ステップ3:DMF(30mL)中のピペラジン-2,5-ジオン(1.00g,8.76mmol)の懸濁液に、アルゴン下、室温で、((2-ブロモエトキシ)メチル)ベンゼン(4.1g,19.1mmol)を加えた。その混合物を5分間撹拌した後、水素化ナトリウム(鉱油中60%分散、770mg、19.3mmol)を加えた。混合物を一晩撹拌した後、DMFを真空下で除去した。その残渣をジクロロメタンと水との間で分離した。有機層を水(5回)および塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮した。得られたオイルに対し、熱いヘキサン(75mL)を加えた。混合物を旋回させながら短時間加熱した後、ヘキサンをデカントした。この操作を繰り返し、残ったオイルを減圧下で乾燥させ、(3)(2.48g)を得た。
【0116】
この手順を用いてアルコールのアルキル化もできる。場合によっては、水素化ナトリウムは塩基として機能し、1以上の第1級または第2級アミンをアルキル化する際に生成する臭化水素を消費する。場合によっては、アミドを脱プロトン化し、アミンのアルキル化の際に形成される臭化水素を消費する。この手順を修正して、1つの部位のみがアルキル化された化合物を調製することもできる。この手順またはこれらの修正のうちのいずれかを用いて以下のものも調製できる。2-ブロモ-N,N-ビス(チオフェン-2-イルメチル)アセトアミド及び1,4-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピペラジンから2,2'-((ピペラジン-1,4-ジルビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(N,N-ビス(チオフェン-2-イルメチル)アセトアミド) [MS (m/z): 337.20 (M+2H)2+]、グリシン無水物及び2-ブロモ-N,N-ビス(チオフェン-2-イルメチル)アセトアミドから2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(チオフェン-2-イルメチル)アセトアミド) [MS (m/z): 613.24 (M+H)+]、グリシン無水物及び2-ブロモ-N-(4-(ジメチルアミノ)ベンジル)-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミドから2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N-(3-(ジメチルアミノ)ベンジル)-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド) [MS (m/z): 368.49 (M+2H)2+]、グリシン無水物及び2-ブロモ-N,N-ビス(3-メトキシベンジル)アセトアミドから2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(3-メトキシベンジル)アセトアミド)[MS (m/z): 709.41 (M+H)+]、3-メトキシベンジルピペラジン-1-カルボキシレート塩酸塩及び7から3-メトキシベンジル 4-(2-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート[MS (m/z): 548.38 (M+H)+]、2-ブロモ-N,N-ビス(4-メトキシベンジル)アセトアミド及びN,N-ビス(4-メトキシベンジル)-2-(3-オキソピペラジン-1-イル)アセトアミドから2,2'-(2-オキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(4-メトキシベンジル)アセトアミド)[MS (m/z): 695.47 (M+H)+]、2-ブロモ-N-(4-(ジメチルアミノ)ベンジル)-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド及び3-メトキシベンジル3-オキソピペラジン-1-カルボキシレートから3-メトキシベンジル4-(2-((4-(ジメチルアミノ)ベンジル)(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)-3-オキソピペラジン-1-カルボキシレート[MS (m/z): 575.29 (M+H)+]、N,N-ビス(4-メトキシベンジル)-2-(4-(3-メトキシベンジル)-2-オキソピペラジン-1-イル)アセトアミド [MS (m/z): 518.37(M+H)+] 2-ブロモ-N,N-ビス(4-メトキシベンジル)アセトアミド及び4-(3-メトキシベンジル)ピペラジン-2-オン、2-ブロモ-N-(4-(ジメチルアミノ)ベンジル)-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド及び4-(3-メトキシベンゾイル)ピペラジン-2-オンからN-(4-(ジメチルアミノ)ベンジル)-2-(4-(3-メトキシベンゾイル)-2-オキソピペラジン-1-イル)-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド [MS (m/z): 545.34 (M+H)+]、4-(3-メトキシベンゾイル)ピペラジン-2-オン及び2-ブロモ-N,N-ビス(4-メトキシベンジル)アセトアミドから2-(4-(3-メトキシベンゾイル)-2-オキソピペラジン-1-イル)-N,N-ビス(4-メトキシベンジル)アセトアミド[MS (m/z): 532.29 (M+H)+]、2-ブロモ-N-イソブチル-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド及びピペラジンから2,2'-(ピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N-イソブチル-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド)[MS (m/z): 553.47 (M+H)+]、ピペラジン-2-オン及び2-ブロモ-N-イソブチル-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミドから2,2'-(2-オキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N-イソブチル-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド)[MS (m/z): 567.45 (M+H)+]、グリシン無水物及び2-ブロモ-N-イソブチル-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミドから2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N-イソブチル-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド)[MS (m/z): 581.46 (M+H)+]、ピペラジン-2-オン及び2-ブロモ-N-(4-(ジメチルアミノ)ベンジル)-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミドから2,2'-(2-オキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N-(4-(ジメチルアミノ)ベンジル)-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド) [MS (m/z): 259.32 (M+3H)3+]、グリシン無水物及び2-ブロモ-N,N-ビス(4-(ジメチルアミノ)ベンジル)アセトアミドから2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(4-(ジメチルアミノ)ベンジル)アセトアミド) [MS (m/z): 259.32 (M+3H)3+]、並びに2-ブロモ-N,N-ビス(4-メトキシベンジル)アセトアミド及び4-(2-(3-メトキシフェニル)アセチル)ピペラジン-2-オンからN,N-ビス(4-メトキシベンジル)-2-(4-(2-(3-メトキシフェニル)アセチル)-2-オキソピペラジン-1-イル)アセトアミド [MS (m/z): 546.36 (M+H)+]。
【0117】
ステップ4:無水メタノール(50mL)中の(3)(2.48g)の溶液に、アルゴン下、室温でパラジウム炭素(デグサタイプE101NE/W、10%Pd乾燥重量基準、50%水分、700mg)を加えた。雰囲気をバルーンから水素に交換し(真空と水素とを数回切り替える)、混合物を一晩撹拌した。混合物をセライトでろ過し、ろ液を濃縮して(4)(810mg)を白色固体として得た。
【0118】
この手順を用いてジベンジル2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ジアセテートから2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)二酢酸も調製できる。
【0119】
ステップ5:DMF(3mL)およびテトラヒドロフラン(5mL)中の(4)(83mg、0.41mmol)および(2)(374mg、1.23mmol)の混合物に対して、アルゴン下、室温で、水素化ナトリウム(鉱油中60%分散、51mg、1.28mmol)を加えた。得られた混合物を室温で3日間撹拌した後、減圧下で濃縮した。その残渣をジクロロメタンに入れ、水:塩水(4:1、5回)及び塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、ヘキサン中のアセトンで溶出し、(5)[170mg、MS(m/z):673.26(M+H)]を白色固体として得た。
【0120】
実施例によっては、単官能アルコールから単一のカルバメート基が形成された。この手順を用いて以下のものも調製できる。2,2'-(ピペラジン-1,4-ジイル)ジエタノール及びN,N-ビス(3-メトキシベンジル)-1H-イミダゾール-1-カルボキサミドからピペラジン-1,4-ジルビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(ビス(3-メトキシベンジル)カーバメート)[MS(m/z):741.53(M+H)+]、2,2'-(ピペラジン-1,4-ジイル)ジエタノール及びN-(4-(ジメチルアミノ)ベンジル)-N-(4-メトキシベンジル)-1H-イミダゾール-1-カルボキサミドからピペラジン-1,4-ジルビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(4-(ジメチルアミノ)ベンジル(4-メトキシベンジル)カーバメート)[MS(m/z):384.50(M+2H)2+]、tert-ブチル4-(1H-イミダゾール-1-カルボニル)ピペラジン-1-カルボキシレート及び3-メトキシベンジルアルコールから1-tert-ブチル4-(3-メトキシベンジル)ピペラジン-1,4-ジカルボキシレート、4-メトキシフェネチルアルコール及びtert-ブチル4-(1H-イミダゾール-1-カルボニル)ピペラジン-1-カルボキシレートから1-tert-ブチル4-(4-メトキシフェネチル)ピペラジン-1,4-ジカルボキシレート(8)、4-(1H-イミダゾール-1-カルボニル)ピペラジン-2-オン及び3-メトキシベンジルアルコールから3-メトキシベンジル3-オキソピペラジン-1-カルボキシレート、1,4-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-2,5-ジオン及びN,N-ビス(3-メトキシベンジル)-1H-イミダゾール-1-カルボキサミドから(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(ビス(3-メトキシベンジル)カーバメート)[MS(m/z):769.40(M+H)+]、N,N-ビス(4-メトキシベンジル)-1H-イミダゾール-1-カルボキサミド及び1,4-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-2,5-ジオンから(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(ビス(4-メトキシベンジル)カーバメート)[MS(m/z):769.40(M+H)+]、1,4-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-2,5-ジオン及びN-(4-(ジメチルアミノ)ベンジル)-N-(3-メトキシベンジル)-1H-イミダゾール-1-カルボキサミドから(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(4-(ジメチルアミノ)ベンジル(3-メトキシベンジル)カーバメート)[MS(m/z):398.46(M+2H)2+]、並びに1,4-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-2,5-ジオン及びN-(4-(ジメチルアミノ)ベンジル)-N-(4-メトキシベンジル)-1H-イミダゾール-1-カルボキサミドから(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(4-(ジメチルアミノ)ベンジル(4-メトキシベンジル)カーバメート)[MS(m/z):398.46(M+2H)2+]。
【0121】
実施例2:4-メトキシフェネチル 4-(2-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート(10)の合成。
【0122】
ステップ1:アルゴン下で0℃に冷却した、ジクロロメタン(15.6mL)中のビス(4-メトキシベンジル)アミン塩酸塩(6, 1.00g,3.89mmol)とN,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.49mL,4.3mmol)との混合物に、ブロモアセチルクロリド(0.36mL,4.3mmol)をシリンジで滴下添加した。得られた混合物を徐々に室温まで温め、一晩撹拌した。その混合物をHCl水溶液(2N、2回)、水および塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮した。その残渣をシリカゲルカラムで精製し、(7)(634mg)を得た。
【0123】
この手順を用いて以下のものも調製できる。(1)から2-ブロモ-N,N-ビス(チオフェン-2-イルメチル)アセトアミド、ビス(3-メトキシベンジル)アミン塩酸塩から2-ブロモ-N,N-ビス(3-メトキシベンジル)アセトアミド、4-(((4-メトキシベンジル)アミノ)メチル)-N,N-ジメチルアニリン 二塩酸塩から2-ブロモ-N-(4-(ジメチルアミノ)ベンジル)-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド、N-(4-メトキシベンジル)-2-メチルプロパン-1-アミン 塩酸塩から2-ブロモ-N-イソブチル-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド、及び4-(((4-(ジメチルアミノ)ベンジル)アミノ)メチル)-N,N-ジメチルアニリンから2-ブロモ-N,N-ビス(4-(ジメチルアミノ)ベンジル)アセトアミド。
【0124】
ステップ2:(8)(480mg、1.32mmol)を含んだフラスコに、アルゴン下、室温でジオキサン中のHCl(4.0M、13.2mmol)を加えた。出発物質がすべて溶解するまでフラスコを旋回させ、その後一晩撹拌した。過剰のHClをアルゴン気流下で吹き飛ばした後、混合物を減圧下で濃縮して(9)(403mg)を得た。
【0125】
この手順を使用して1-tert-ブチル4-(3-メトキシベンジル) ピペラジン-1,4-ジカルボキシレートから3-メトキシベンジルピペラジン-1-カルボキシレート塩酸塩を調製することもできる。
【0126】
ステップ3:DMF(2.12mL)中の(7)(200mg、0.53mmol)と(9)(160mg、0.53mmol)との混合物に、アルゴン下、室温で、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.14mL、0.80mmol)を加えた。混合物を一晩80℃に加熱した後、室温まで冷却し、酢酸エチルで希釈し、水(数回)および塩水で洗浄した。有機層を乾燥、濾過、濃縮し、その残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、(10)[25mg、MS(m/z):562.40(M+H)]を得た。
【0127】
この手順を用いて以下のものも調製できる。ベンジル ピペラジン-1-カルボキシレート及びブロモ酢酸エチルからベンジル4-(2-エトキシ-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、1-Z-ピペラジン及びメチル4-ブロモブチレートからベンジル4-(4-メトキシ-4-オキソブチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、1-Z-ピペラジン及びメチル5-ブロモバレアレートからベンジル4-(5-メトキシ-5-オキソペンチル)ピペラジン-1-カルボキシレート(11)、3-メトキシベンジル臭化物及びピペラジン-2-オンから4-(3-メトキシベンジル)ピペラジン-2-オン、並びに2-ブロモ-N,N-ビス(4-メトキシベンジル)アセトアミド及びピペラジン-2-オンからN,N-ビス(4-メトキシベンジル)-2-(3-オキソピペラジン-1-イル)アセトアミド。
【0128】
実施例3:ベンジル 4-(5-(ビス(チオフェン-2-イルメチル)アミノ)-5-オキソペンチル)ピペラジン-1-カルボキシレート(13)の合成
【0129】
ステップ1:メタノール(2mL)中の(11)(640mg,2.0mmol)の溶液に対して、室温で、水酸化ナトリウム水溶液(2N,3mL,6mmol)を加えた。混合物を一晩撹拌した後、水で希釈し、塩酸(2N)でpHを4~5に調整した。その混合物を酢酸エチルで2度抽出し、有機相を合わせ、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して(12)(410mg)を得た。
【0130】
この手順を用いて以下のものも調製できる。ベンジル4-(2-エトキシ-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレートから2-(4-((ベンジルオキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)aceticacid、及びベンジル4-(4-メトキシ-4-オキソブチル)ピペラジン-1-カルボキシレートから4-(4-((ベンジルオキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)ブタン酸。
【0131】
ステップ2:DMF(0.6mL)とDIPEA(0.20mL、1.1mmol)とにおける(12)(50mg、0.15mmol)と1(41.8mg、0.17mmol)の溶液に対して、アルゴン下、室温で、HBTU(64.5mg、0.17mmol)を加えた。その混合物を50℃に加熱し、一晩撹拌した後、室温まで冷却し、水で希釈した。混合物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水および塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(Biotage,SNAP10,KP-sil、ヘキサンにおいて50~100%酢酸エチルで溶出した後、酢酸エチルにおいて0~25%メタノールで溶出)で精製し、(13)を得た[23mg、MS(m/z):512.32(M+H)]。
【0132】
場合によっては、逆相クロマトグラフィーを使用して生成物を精製し、一塩酸塩または二塩酸塩として分離した。この変更を含む手順を用いて以下のものも調製できる。4-(((4-メトキシベンジル)アミノ)メチル)-N,N-ジメチルアニリン二塩酸塩及び2-(4-((ベンジルオキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)酢酸からベンジル4-(2-((4-(ジメチルアミノ)ベンジル)(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート[NMR (300 MHz, DMSO-d6 {回転異性体を示す}): δ 7.28-7.42 (m, 5 H), 7.07-7.16(two d, 2H), 6.96-7.06 (two d, 2H), 6.86-6.95 (two d, 2H), 6.73-6.75 (two d,2H), 5.07 (s, 2H), 4.42及び4.39 (two s, 2H), 4.31及び4.27 (two s, 2H), 3.74及び3.73(two s, 3H). 3.37 (ブロード m, 部分的に重複するH2O, 4H), 3.25及び3.20 (two s, 2H), 2.45 (ブロードm, 4H)]、4-(((4-メトキシベンジル)アミノ)メチル)フェノール 塩酸塩及び2-(4-((ベンジルオキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)酢酸からベンジル4-(2-((4-ヒドロキシベンジル)(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート[MS (m/z): 504.34 (M+H)+]、4-(((4-(ジメチルアミノ)ベンジル)アミノ)メチル)フェノール二塩酸塩及び2-(4-((ベンジルオキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)酢酸からベンジル4-(2-((4-(ジメチルアミノ)ベンジル)(4-ヒドロキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート二塩酸塩[MS (m/z): 259.32 (M+2H)2+]、4,4'-(アザンジイルビス(メチレン))ジフェノール塩酸塩及び2-(4-((ベンジルオキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)酢酸からベンジル4-(2-(ビス(4-ヒドロキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート[MS(m/z): 490.36 (M+H)+]、(6)及び2-(4-((ベンジルオキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)酢酸からベンジル4-(2-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート[MS(m/z): 518.37 (M+H)+]、ビス(3-メトキシベンジル)アミン塩酸塩及び2-(4-((ベンジルオキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)酢酸からベンジル4-(2-(ビス(3-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート[MS(m/z): 518.40 (M+H)+]、(6)及び4-(4-((ベンジルオキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)ブタン酸からベンジル4-(4-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-4-オキソブチル)ピペラジン-1-カルボキシレート[MS(m/z): 546.41 (M+H)+]、(12)及びビス(3-メトキシベンジル)アミン塩酸塩からベンジル4-(5-(ビス(3-メトキシベンジル)アミノ)-5-オキソペンチル)ピペラジン-1-カルボキシレート[MS(m/z): 560.31 (M+H)+]、並びに(6)及び5-(4-((ベンジルオキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)ペンタン酸からベンジル4-(5-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-5-オキソペンチル)ピペラジン-1-カルボキシレート[MS(m/z): 560.41 (M+H)+]。
【0133】
実施形態によっては、2つのカルボン酸官能基を有する中間体を出発物質として使用し、アミン塩酸塩とHBTUとをそれぞれ2.2当量使用してジアミドを調製した。この変更を用いて以下のものも調製できる。2,2'-(ピペラジン-1,4-ジイル)二酢酸二塩酸塩及びビス(4-メトキシベンジル)アミン塩酸塩から2,2'-(ピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(4-メトキシベンジル)アセトアミド)[MS (m/z): 681.52 (M+H)+]、(1)及び2,2'-(ピペラジン-1,4-ジイル)二酢酸二塩酸塩から2,2'-(ピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(チオフェン-2-イルメチル)アセトアミド) [MS (m/z): 585.30 (M+H)+]。
【0134】
実施例4:4-(3-メトキシベンゾイル)ピペラジン-2-オン(14)の合成
【0135】
ステップ1:DMF(2mL)におけるピペラジン-2-オン(500mg、5.0mmol)の混合物に、アルゴン下、室温で、DIPEA(1.13mL、6.5mmol)と3-メトキシベンゾイルクロリド(938mg、5.5mmol)とを順次加えた。混合物を一晩撹拌した後、水で希釈し、酢酸エチルで2回抽出した。有機相を合わせ、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、(14)(1.93g)を黄色固体として得た。
【0136】
この手順はピペラジン-2-オン及び2-(3-メトキシフェニル)塩化アセチルから4-(2-(3-メトキシフェニル)アセチル)ピペラジン-2-オンを調製するためのものでもあった。
【0137】
リピンスキーのルールオブファイブ(Lipinski,A.,Drug Discovery Today:Technologies,Volume 1,Issue 4,2004,337~341頁)には、経口摂取の可能性を高め、最適な水溶性を得るために、分子量が500以下、LogPsが5以下であることの利点が開示されている。VLA-4インテグリンアゴニストとして作用する他の公表された化合物は、この点で望ましい性質を有さなかった。
【0138】
THI0019は妥当なLogPを有するが、リピンスキーのルールで規定された分子量よりかなり高い。現在臨床開発中のTHI00349も同様に分子量が600を超え、LogPは6.5以上である。ここで報告したTHI0019とTHI00349(平均11uM)の値は、本明細書で報告したアッセイ条件下で得られたものであり、血清存在下では、異なるアッセイ条件下での値よりも高くなった。以下の化合物は、効力を犠牲にすることなく、リピンスキーのルールオブファイブによって示唆されたものと類似の特性を有する、本明細書に開示した化合物のクラスを示す。CS1に対するコントロールとしてのTHI0019(平均33μM)に対して、(化合物活性/コントロール)の比は以下の通りである。グループI<または=1。グループIIは、同じプレートで行ったTHI0019の少なくとも1を超える比率から2倍まで、グループIIIは、THI0019の2倍を超えるが5倍未満、そしてグループIVは、THI0019の5倍を超える(上限は約200mM)。LAD(白血球接着不全症、Leukocyte Adhesion Deficiency)に関連して、LFA-1比は、各化合物の相対蛍光単位(RFU)を、THI340(RFU化合物/THI349のRFU)の参照基準のそれで割ることにより決定される。LFA-1に対して、3μMでのTHI349のシグナルを、同濃度での請求の範囲に記載の化合物と比較した。生の応答(蛍光単位)の増加は、LFA-1に対するものより効力のあるアゴニストを示し、その比は1(1.0)より大きくなる。
化合物リスト






【0139】
LogPの値はすべてChemdraw Ultraバージョン12.0を使用して求めた(ただし、その構造がlogPを計算するプログラムの能力を超える場合を除く)。**は、LogPの値がChemdraw Ultraを使用して計算できない場合、代替的にACD/Chemsketch Release12.00 Version12.01を使用して計算されたことを示す。
【0140】
前述の例示した構造(チャート)は、概して、LogPの値が約6未満であり、多くはTHI0019化合物またはTHI00349のLogPと比較した場合に、水溶性プロファイルの改善が期待される2~5の範囲であった。一実施形態において、logPの値は約2~約5の範囲である。またLogPの値が7を超える少数の実施形態において、それらの化合物のほとんどが(logPの計算に反映されない)イオン化可能な基を有したことに留意されたい。概して、水溶性が改善される可能性を増大させる一方、THI0019よりも大きな効力が観察された。
【0141】
開示したアゴニスト化合物の多くの実施形態は、式Iの合成化合物であるが、実施形態によっては、アゴニスト化合物は、前駆化合物の開示した化合物への生体内変換によって形成される。例えば、開示した化合物は、不斉中心またはキラル中心が存在する立体異性体として存在し得る。これらの立体異性体は、キラル炭素原子周りの置換基の配置に応じて「R」または「S」となる。本発明は、様々な立体異性体およびそれらの混合物を考慮する。立体異性体には、エナンチオマーおよびジアステレオマー、ならびにエナンチオマーまたはジアステレオマーの混合物が含まれる。アゴニスト化合物によっては個々の立体異性体は、不斉中心またはキラル中心を含む市販の出発物質から合成的に調製することができ、またはラセミ混合物の調製の後、当業者によく知られている分解によって調製することができる。これらの分解方法は、(1)エナンチオマーの混合物をキラル補助剤に結合させ、得られたジアステレオマーの混合物を再結晶化またはクロマトグラフィーによって分離し、光学的に純粋な生成物を補助剤から遊離させる方法、または(2)光学的エナンチオマーの混合物をキラルクロマトグラフィーカラムで直接分離する方法が例示される。
【0142】
開示したアゴニスト化合物の様々な実施形態は、半水和物などの水和物を含む、非溶媒和形態または溶媒和形態で存在し得る。概して、特に水やエタノールなどの薬学的に許容される溶媒を用いた溶媒和形態は、本開示の目的上、非溶媒和形態と同等である。開示したアゴニスト化合物を含有する医薬組成物について以下で説明する。
【0143】
この明細書に限定されるものではないが、開示したアゴニストの他の実施形態では、以下のような中心環に関連する置換基を使用することもできる。

ここで*は結合位置を示す。
【0144】
医薬組成物
本明細書に記載の化合物は、無機酸または有機酸から得られる薬学的に許容される塩の形態で使用できる。「薬学的に許容される塩」とは、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、炎症、アレルギー反応などを伴わずにヒトおよび下等動物の組織と接触して使用するのに適しており、かつ、妥当なベネフィット/リスク比に見合う塩を意味する。薬学的に許容される塩は当技術分野でよく知られている。例えば、S.M.Bergeらは、J.Pharmaceutical Sciences,1977,66:1 et seq.で薬学的に許容される塩について詳細に説明している。その塩は、化合物の最終的な分離および精製中にその場で(in situ)調製してもよいし、遊離塩基官能基を適当な無機酸または有機酸と反応させることによって別途調製してもよい。代表的な酸付加塩としては、これらに限定されないが、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、カンファー塩、カンファースルホン酸塩、ジグルコン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩(イソチオネート)、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、リン酸塩、グルタミン酸塩、重炭酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、及びウンデカン酸塩を含む。また、塩基性含窒素基は以下のような薬剤で四級化することができる。例えば、メチル、エチル、プロピルおよびブチルの塩化物、臭化物並びにヨウ化物などの低級ハロゲン化アルキル、ジメチル、ジエチル、ジブチルおよびジアミル硫酸塩などの硫酸ジアルキル、デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリルの塩化物、臭化物並びにヨウ化物などの長鎖ハロゲン化合物、ベンジルおよびフェネチル臭化物などのアリールアルキルハロゲン化合物などの薬剤が挙げられる。これにより、水溶性または油溶性または分散性の製品が得られる。薬学的に許容される酸付加塩を形成するために採用され得る酸の例としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸などの無機酸や、シュウ酸、マレイン酸、コハク酸、クエン酸などの有機酸が挙げられる。
【0145】
実施形態によっては、塩基性付加塩は、カルボン酸含有部分を、薬学的に許容される金属陽イオンの水酸化物、炭酸塩もしくは重炭酸塩などの適切な塩基、またはアンモニアもしくは有機第一級、第二級もしくは第三級アミンと反応させることによって、開示した化合物の最終分離および精製の間にin situで調製される。薬学的に許容される塩としては、これらに限定されないが、特に、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、及びアルミニウムの塩などのアルカリ金属またはアルカリ土類金属をベースとするカチオン、並びにアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、及びエチルアンモニウムなどの非毒性の第4級アンモニアおよびアミンカチオンが挙げられる。塩基付加塩の形成に有用な他の代表的な有機アミンとしては、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、ピペラジンなどが挙げられる。
【0146】
開示したアゴニスト化合物を局所投与するための剤形には、粉末、スプレー、軟膏、吸入剤などが含まれる。活性化合物は、無菌条件下で、薬学的に許容される担体と、必要とされる保存剤、緩衝剤、または必要となり得るプロペラントと混合される。眼科用製剤、眼軟膏剤、粉末および溶液もまた、実施形態によっては考慮される。
【0147】
医薬組成物中の活性成分の実際の投与量は、特定の患者、組成物および投与方法に対して所望の治療反応を達成するのに有効な活性化合物の量を得るために変化させることができる。選択される投与量は、特定の化合物の活性、投与経路、治療される状態の重症度、治療される患者の状態および既往歴に依存する。しかしながら、所望の治療効果を得るために必要な量よりも少ない量から化合物の投与を開始し、所望の効果が得られるまで徐々に投与量を増加させることは当業者の技術の範囲内である。
【0148】
特定の実施形態において、式Iのインテグリンアゴニストおよび他の成分は、存在する場合、任意の非経口的または非経口的でない投与方法を介して、別々に、まとめて、または同時に投与することができる。当該他の成分には、これらに限定されないが、治療抗体、チェックポイント阻害剤、処理および/または未処理のエフェクター細胞、抗原、アジュバント、賦形剤、幹細胞、前駆細胞、他のインテグリン発現細胞、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0149】
他の実施形態では、式Iのインテグリンアゴニストおよび他の成分は、非経口的でなく(non-parenterally)投与される。
【0150】
他の実施形態では、式Iのインテグリンアゴニストおよび他の成分は非経口的に投与される。
【0151】
他の実施形態において、式Iのインテグリンアゴニストは、他の成分の投与前、投与中、および/または投与後に非経口的でなく投与される。ここで、他の成分の投与は、これらに限定されないが、全身投与、経口投与、静脈内投与、動脈内投与、組織への直接投与、任意の他の投与手順、またはそれらの任意の組み合わせなどの任意の許容される投与手順を介して行われ得る。
【0152】
様々な治療処置に使用する場合、開示した化合物の1以上の治療有効量は、純粋な形態で、またはそのような形態が存在する場合、薬学的に許容される塩、エステルまたはプロドラッグの形態で使用され得る。実施形態によっては、化合物は、1以上の薬学的に許容される賦形剤と組み合わせて、目的の化合物を含む医薬組成物として投与される。開示したアゴニスト化合物の「治療上有効な量(therapeuticallyeffective amount)」とは、任意の医学的治療に適用さ得る妥当なベネフィット/リスク比で、疾患を治療するのに十分な化合物の量を意味する。しかしながら、開示した化合物および組成物の1日当たりの総使用量は、健全な医学的判断の範囲内で主治医が決定するということは理解されたい。特定の患者に対する特定の治療上有効な投与量は、治療される疾患およびその疾患の重症度、採用される特定の化合物の活性、採用される特定の組成物、患者の年齢、体重、一般的な健康状態、性別および食事、採用される特定の化合物の投与時間、投与経路および排泄速度、治療の期間、採用される特定の化合物と併用または同時に使用される薬物、および医療技術においてよく知られているような要因を含む様々な要因に依存する。例えば、所望の治療効果を得るために必要な量よりも少ない量から化合物の投与を開始し、所望の効果が得られるまで徐々に投与量を増加させることは、十分に当業者の技術の範囲内である。
【0153】
ヒトまたは下等動物に投与される開示化合物の1日総投与量は、約0.0001~約1000mg/kg/日の範囲であってもよい。経口投与の目的のために、実施形態によっては、投与量は、約0.001~約5mg/kg/日の範囲である。所望であれば、1日の有効な投与量は、投与の目的のために複数回の投与に分割され得る。その結果、単回投与の組成物は、1日の投与量を構成するために、そのような量またはその約数を含み得る。
【0154】
他の実施形態において、式(I)のインテグリンアゴニストの用量は、患者の血液中、または腫瘍間質、骨髄間質、もしくは任意の他の治療可能な病気もしくは疾病(malady)などの患者の作用部位において、インテグリンアゴニストのモル濃度単位での有効濃度の測定値を生じるように適合される。その有効濃度は、概して約1fMと約300μMの間、約1nMと約300μMの間、約10nMと約300μMの間、または約25nMと約300μMの間である。
【0155】
実施例によっては、医薬組成物は、1以上の非毒性の薬学的に許容される担体とともに製剤化される1以上の開示した化合物を含む。医薬組成物は、固体または液体形態での経口投与用、注射剤または直腸内投与用に特別に製剤することができる。
【0156】
開示した医薬組成物は、ヒトおよび他の哺乳動物に、経口、直腸、非経口、槽内、膣内、腹腔内、局所(粉末、軟膏または滴下による)、頬または口腔もしくは鼻腔スプレーとして投与され得る。本明細書で使用される「非経口的(parenterally)」という用語は、静脈内、筋肉内、腹腔内、胸骨内、皮下および関節内注射および注入を含む投与様式を指す。実施態様によっては、医薬組成物は、開示した化合物、生理学的に許容され得るまたは受容可能な希釈剤、担体、アジュバントまたはビヒクル(vehicle)を含み、これらは固体または液体形態での非経口注射用、鼻腔内投与用、経口投与用、直腸投与用または局所投与用などであり、本明細書ではまとめて希釈剤と呼ぶ。
【0157】
実施例によっては、組成物は標的部位への局所送達のためにカテーテルを介して、あるいは冠動脈内ステント(細かい金網からなる管状の装置)を介して、あるいは生分解性ポリマーを介して送達される。実施形態によっては、アゴニスト化合物は標的送達のために抗体などのリガンドと複合体化される。
【0158】
非経口注入に適した組成物は、生理学的に許容される、無菌の水溶液または非水溶液、分散液、懸濁液または乳濁液、および無菌の注射用溶液または分散液に復元するための無菌の粉末を含みうる。適切な水性および非水性担体、希釈剤、溶媒またはビヒクルの例としては、水、エタノール、ポリオール類(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロールなど)、植物油(オリーブ油など)、オレイン酸エチルなどの注入可能な有機エステル、およびそれらの適切な混合物が含まれる。これらの組成物はまた、保存剤、湿潤剤、乳化剤および調合剤などのアジュバントを含有し得る。微生物の作用は、種々の抗菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などによって確実に防止できる。また、等張化剤、例えば糖類、塩化ナトリウムなどを含むことが望ましい場合もある。例えば、モノステアリン酸アルミニウムやゼラチンなどの吸収を遅くする薬剤の使用により、注入可能な剤形の吸収を長引かせることができる。
【0159】
懸濁剤は、活性化合物に加えて、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール、およびソルビタンエステル、微結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天およびトラガント、またはこれらの物質の混合物などの懸濁剤を含有することができる。適切な流動性は、例えばレシチンなどのコーティング材料の使用、分散液の場合の必要な粒径の維持、および界面活性剤の使用によって維持することができる。
【0160】
実施形態によっては、薬物の効果を長くするために、皮下注射または筋肉内注射からの薬物の吸収を遅くすることが望ましい。これは、水溶性の乏しい結晶性またはアモルファスの液体懸濁液を使用することによって達成され得る。そうすると、薬物の吸収速度はその溶解速度に依存し、同様にその溶解速度は結晶サイズや結晶形態に依存する。あるいは、非経口的に投与される薬物の遅延吸収は、薬物を油ビヒクルに溶解または懸濁させることによって達成される。注射可能なデポ剤形は、ポリ乳酸-ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中に薬物のマイクロカプセルマトリックス(microencapsule matrices)を形成することによって作られる。ポリマーに対する薬物の比率や使用するポリマー特有の性質によって、薬物の放出速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)やポリ(無水物)を含む。デポ注射剤もまた、体組織に適合するリポソームやマイクロエマルジョンに薬物を封入することによって調製される。
【0161】
注射(注入)可能な製剤は、例えば、細菌保持フィルターで濾過することによって、あるいは、使用直前に滅菌水または他の滅菌注射媒体に溶解または分散させることができる滅菌固体組成物の形態で滅菌剤を取り込むことによって滅菌することができる。
【0162】
経口投与のための固形剤形には、カプセル、錠剤、丸薬、粉末および顆粒が含まれる。このような固形剤形では、活性化合物は、クエン酸ナトリウムやリン酸二カルシウムなどの少なくとも1つの不活性で薬学的に許容される賦形剤または担体、および/またはa)デンプン、乳糖、スクロース、グルコース、マンニトール、及びケイ酸などの充填剤または増量剤と、b)カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、及びアカシアなどの結合剤と、c)グリセロールなどの保湿剤と、d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、炭酸ナトリウムなどの崩壊剤と、e)パラフィンなどの溶解遅延剤、f)第4級アンモニウム化合物などの吸収促進剤と、g)セチルアルコール、モノステアリン酸グリセリンなどの湿潤剤と、h)カオリン、ベントナイトクレイなどの吸着剤と、i)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびそれらの混合物などの滑沢剤と混合することができる。カプセル剤、錠剤および丸薬の場合、剤形は緩衝剤も含むことができる。同様のタイプの固体組成物は、ラクトースまたは乳糖、高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を用いて、ソフトおよびハード充填ゼラチンカプセルの充填剤として使用することもできる。
【0163】
錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸薬および顆粒形態の固形剤形は、腸溶性コーティングおよび医薬製剤技術分野で周知の他のコーティングなどのコーティングおよびシェルを用いて調製することができる。これらは、必要に応じて不透明化剤を含むことができ、また、腸管の特定の部分においてのみ、または優先的に、必要に応じて、ゆっくりと有効成分を放出するような組成であってもよい。使用できる埋め込み用組成物の例としては、高分子物質やワックスを含む。活性化合物はまた、適切であれば、上記の1以上の賦形剤とともにマイクロカプセル化された形態とすることもできる。経口投与用の液体剤形としては、薬学的に許容される乳剤、溶液、懸濁剤、シロップ、エリキシル剤などがある。活性化合物に加えて、液体剤形は、例えば、水または他の溶媒、可溶化剤、並びにエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、ゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステル、およびこれらの混合物などの当技術分野で一般的に用いられる不活性希釈剤を含むことができる。
【0164】
不活性希釈剤の他に、経口組成物は、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味料、着香剤および芳香剤などのアジュバントを含むこともできる。直腸または膣投与用の組成物は、好ましくは座薬であり、開示した1以上の化合物を、ココアバター、ポリエチレングリコールまたは坐剤ワックスなどの適切な非刺激性賦形剤または担体と混合することにより調製することができる。適切な非刺激性賦形剤または担体は室温で固体であるが体温で液体であるため、直腸内または膣内で溶けて活性化合物を放出する。
【0165】
用途によっては、開示した化合物はリポソームの形態で投与される。当該技術分野で知られているように、リポソームは概してリン脂質または他の脂質物質に由来する。リポソームは、水性媒体中に分散された単層または多層の水和した液晶(hydrated liquid crystals)によって形成される。リポソームを形成できる、非毒性で、生理学的に許容され、代謝可能な脂質であれば、どのようなものでも利用できる。実施形態によっては、リポソーム形態の組成物は、開示したアゴニスト化合物に加えて、安定剤、保存剤、賦形剤などを含む。好ましい脂質は、別々にまたは一緒に使用される天然および合成リン脂質およびホスファチジルコリン(レシチン)である。リポソームを形成する方法は当技術分野で知られている。例えば、Prescott,Ed.,Methods in cell Biology,Volume XIV,Academic Press,New York,N.Y.(1976),p.33 et seq.を参照されたい。
【0166】
本明細書で使用される「薬学的に許容されるプロドラッグ」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などを伴わずに、ヒトおよび下等動物の組織と接触して使用するのに適しており、妥当なベネフィット/リスク比に相応し、意図される使用に有効である、開示した化合物のプロドラッグ、ならびに可能であれば、開示した化合物の双性イオン形態を表す。特定の実施形態によるプロドラッグは、生体内で、例えば、血中での加水分解により、上記式の親化合物に迅速に変換され得る。
【0167】
好ましい実施形態を示し、かつ、好ましい実施形態について説明してきたが、開示した主題の趣旨および教示から逸脱することなく、当業者によってその修正はなされ得る。本明細書に記載した実施形態は例示的なものであり、非限定的なものである。本明細書に開示した主題の多くの変形例および修正例が可能であり、これらは本開示の範囲内である。従って、保護の範囲は、上記の説明によって限定されるものではなく、後に続く特許請求の範囲によってのみ限定され、その範囲は、特許請求の範囲の主題の全ての均等物を含む。本明細書で引用したすべての特許、特許出願および刊行物は、本明細書に記載したものを補足する材料、方法および説明の詳細を提供する限りにおいて、参照により本明細書に援用される。

【手続補正書】
【提出日】2024-07-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式Iの化合物であって、
【化1】

はアリール環であり、
はアリール基、アラルキル基、または低級アルキル基を備え、
は-(CH-、-O(CH-、および-(CHO(CH-から実質的になる群から選択されるリンカーであり、
は、-CO-、-CO(CH、-COO(CH-、-(CH-、-(CHO-、及び-(CHO(CH-から実質的になる群から選択されるリンカーであり、
は、アリール、ヘテロシクリル、CONR、および-CORから実質的になる群から選択され、
XおよびYは、-CH-および-C(O)-から独立して選択され、
nは1~4の整数であり、
m、p、及びqは、それぞれ存在する場合、独立して1~2の整数であり、
およびRは、存在する場合、水素、低級アルキル基、およびアラルキル基から実質的になる群から独立して選択され、
は、存在する場合、複素環であり、
存在する場合、各RおよびRは、非置換であるか、または低級アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、-OH、アルコキシアルキル基、(C-Cアルキル)アミノ基、アルコキシアルコキシ基、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルキルアリール基、アラルキル基、アルキルヘテロシクリル基、及びヘテロシクリルアルキル基から実質的になる群から選択される置換基で置換されていてもよく、
、R、RおよびRは、非置換であるか、またはヒドロキシ、アルコキシ、ジアルキルアミノ、ハロゲン、低級アルキル基、ヒドロキシアルキル基、脂肪族アシル基、-CF、オキソ、-CN、アルコキシアルキル基、(C-Cアルキル)アミノ基、アルコキシアルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルキルアリール基、アラルキル基、アルキルヘテロシクリル基、ヘテロシクリルアルキル基、及びアリールオキシアルキル基から実質的になる群から選択される置換基で置換されていてもよい、化合物と、
その薬学的に許容される塩。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物であって、Rは、置換フェニルと、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピロリルおよびピリジルから実質的になる群から選択される置換または非置換のヘテロ芳香族化合物とから実質的になる群から選択される、化合物。
【請求項3】
請求項1に記載の化合物であって、Rが下記のものから実質的になる群から選択され、

アスタリスク*はLへの結合を示し、
各Mは、存在する場合、ヒドロキシ、アルコキシ、ジアルキルアミノ、ハロゲン、およびアルキルから実質的になる群から選択され、
各rは、存在する場合、1~2の整数である、化合物。
【請求項4】
請求項1に記載の化合物であって、2,2'-((ピペラジン-1,4-ジルビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(N,N-ビス(チオフェン-2-イルメチル)アセトアミド)、ピペラジン-1,4-ジルビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(ビス(3-メトキシベンジル)カーバメート)、ベンジル4-(2-((4-(ジメチルアミノ)ベンジル)(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(チオフェン-2-イルメチル)アセトアミド)、ベンジル4-(2-((4-ヒドロキシベンジル)(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(2-((4-(ジメチルアミノ)ベンジル)(4-ヒドロキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート二塩酸塩、ベンジル4-(2-(ビス(4-ヒドロキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(2-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(2-(ビス(3-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ピペラジン-1,4-ジルビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(4-(ジメチルアミノ)ベンジル(4-メトキシベンジル)カーバメート)、2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N-(3-(ジメチルアミノ)ベンジル)-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(3-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(ピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、ベンジル4-(4-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-4-オキソブチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(5-(ビス(チオフェン-2-イルメチル)アミノ)-5-オキソペンチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、2,2'-(ピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(チオフェン-2-イルメチル)アセトアミド)、3-メトキシベンジル4-(2-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(5-(ビス(3-メトキシベンジル)アミノ)-5-オキソペンチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(5-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-5-オキソペンチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、4-メトキシフェネチル4-(2-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、2,2'-(2-オキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、3-メトキシベンジル4-(2-((4-(ジメチルアミノ)ベンジル)(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)-3-オキソピペラジン-1-カルボキシレート、N,N-ビス(4-メトキシベンジル)-2-(4-(3-メトキシベンジル)-2-オキソピペラジン-1-イル)アセトアミド、N-(4-(ジメチルアミノ)ベンジル)-2-(4-(3-メトキシベンゾイル)-2-オキソピペラジン-1-イル)-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド、2-(4-(3-メトキシベンゾイル)-2-オキソピペラジン-1-イル)-N,N-ビス(4-メトキシベンジル)アセトアミド、N,N-ビス(4-メトキシベンジル)-2-(4-(2-(3-メトキシフェニル)アセチル)-2-オキソピペラジン-1-イル)アセトアミド、(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(ビス(3-メトキシベンジル)カーバメート)、(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(ビス(4-メトキシベンジル)カーバメート)、(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(4-(ジメチルアミノ)ベンジル(3-メトキシベンジル)カーバメート)、(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(4-(ジメチルアミノ)ベンジル(4-メトキシベンジル)カーバメート)、(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(ビス(チオフェン-2-イルメチル)カーバメート)、2,2'-(ピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N-イソブチル-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(2-オキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N-イソブチル-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N-イソブチル-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(2-オキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N-(4-(ジメチルアミノ)ベンジル)-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(4-(ジメチルアミノ)ベンジル)アセトアミド)、これらの溶媒和物、これらの前駆体、及び、これらの水和物から実質的になる群から選択される化合物。
【請求項5】
請求項1に記載の化合物であって、logPが約6未満である化合物。
【請求項6】
記の式Iによって特徴付けられる請求項1に記載の化合物であって
【化1】

はアリール環であり、
はアリール基、アラルキル基、または低級アルキル基を備え、
は-(CH-、-O(CH-、および-(CHO(CH-から実質的になる群から選択されるリンカーであり、
は、-CO-、-CO(CH、-COO(CH-、-(CH-、-(CHO-、及び-(CHO(CH-から実質的になる群から選択されるリンカーであり、
は、アリール、ヘテロシクリル、CONR、および-CORから実質的になる群から選択され、
XおよびYは、-CH-および-C(O)-から独立して選択され、
nは1~4の整数であり、
m、p、及びqは、それぞれ存在する場合、独立して1~2の整数であり、
およびRは、存在する場合、水素、低級アルキル基、およびアラルキル基から実質的になる群から独立して選択され、
は、存在する場合、複素環であり、
存在する場合、各RおよびRは、非置換であるか、または低級アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、-OH、アルコキシアルキル基、(C-Cアルキル)アミノ基、アルコキシアルコキシ基、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルキルアリール基、アラルキル基、アルキルヘテロシクリル基、及びヘテロシクリルアルキル基から実質的になる群から選択される置換基で置換されていてもよく、
、R、RおよびRは、非置換であるか、またはヒドロキシ、アルコキシ、ジアルキルアミノ、ハロゲン、低級アルキル基、ヒドロキシアルキル基、脂肪族アシル基、-CF、オキソ、-CN、アルコキシアルキル基、(C-Cアルキル)アミノ基、アルコキシアルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルキルアリール基、アラルキル基、アルキルヘテロシクリル基、ヘテロシクリルアルキル基、及びアリールオキシアルキル基から実質的になる群から選択される置換基で置換されていてもよい、化合物と、
薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項7】
インテグリン受容体の選択的な占有によって改善または予防され得る任意の状態の治療に使用するための医薬であって、下記の式Iの化合物を含み、
【化1】

はアリール環であり、
はアリール基、アラルキル基、または低級アルキル基を備え、
は-(CH-、-O(CH-、および-(CHO(CH-から実質的になる群から選択されるリンカーであり、
は、-CO-、-CO(CH、-COO(CH-、-(CH-、-(CHO-、及び-(CHO(CH-から実質的になる群から選択されるリンカーであり、
は、アリール、ヘテロシクリル、CONR、および-CORから実質的になる群から選択され、
XおよびYは、-CH-および-C(O)-から独立して選択され、
nは1~4の整数であり、
m、p、及びqは、それぞれ存在する場合、独立して1~2の整数であり、
およびRは、存在する場合、水素、低級アルキル基、およびアラルキル基から実質的になる群から独立して選択され、
は、存在する場合、複素環であり、
存在する場合、各RおよびRは、非置換であるか、または低級アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、-OH、アルコキシアルキル基、(C-Cアルキル)アミノ基、アルコキシアルコキシ基、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルキルアリール基、アラルキル基、アルキルヘテロシクリル基、及びヘテロシクリルアルキル基から実質的になる群から選択される置換基で置換されていてもよく、
、R、RおよびRは、非置換であるか、またはヒドロキシ、アルコキシ、ジアルキルアミノ、ハロゲン、低級アルキル基、ヒドロキシアルキル基、脂肪族アシル基、-CF、オキソ、-CN、アルコキシアルキル基、(C-Cアルキル)アミノ基、アルコキシアルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルキルアリール基、アラルキル基、アルキルヘテロシクリル基、ヘテロシクリルアルキル基、及びアリールオキシアルキル基から実質的になる群から選択される置換基で置換されていてもよい、化合物と、
その薬学的に許容される塩。
【請求項8】
請求項7に記載の医薬であって、インテグリンが、α4β1、α5β1、α4β7、およびαLβ2から実質的になる群から選択される、医薬。
【請求項9】
請求項7に記載の医薬であって、薬学的に許容される賦形剤、薬学的に許容される担体、またはその両方をさらに備える、医薬。
【請求項10】
請求項7に記載の医薬であって、リポソームを備えリポソームが、
2,2'-((ピペラジン-1,4-ジルビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(N,N-ビス(チオフェン-2-イルメチル)アセトアミド)、ピペラジン-1,4-ジルビス(エタン-2,1-ジイル) ビス(ビス(3-メトキシベンジル)カーバメート)、ベンジル4-(2-((4-(ジメチルアミノ)ベンジル)(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(チオフェン-2-イルメチル)アセトアミド)、ベンジル4-(2-((4-ヒドロキシベンジル)(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(2-((4-(ジメチルアミノ)ベンジル)(4-ヒドロキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート二塩酸塩、ベンジル4-(2-(ビス(4-ヒドロキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(2-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(2-(ビス(3-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ピペラジン-1,4-ジルビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(4-(ジメチルアミノ)ベンジル(4-メトキシベンジル)カーバメート)、2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N-(3-(ジメチルアミノ)ベンジル)-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(3-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(ピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、ベンジル4-(4-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-4-オキソブチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(5-(ビス(チオフェン-2-イルメチル)アミノ)-5-オキソペンチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、2,2'-(ピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(チオフェン-2-イルメチル)アセトアミド)、3-メトキシベンジル4-(2-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(5-(ビス(3-メトキシベンジル)アミノ)-5-オキソペンチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ベンジル4-(5-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-5-オキソペンチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、4-メトキシフェネチル4-(2-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート、2,2'-(2-オキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、3-メトキシベンジル4-(2-((4-(ジメチルアミノ)ベンジル)(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-オキソエチル)-3-オキソピペラジン-1-カルボキシレート、N,N-ビス(4-メトキシベンジル)-2-(4-(3-メトキシベンジル)-2-オキソピペラジン-1-イル)アセトアミド、N-(4-(ジメチルアミノ)ベンジル)-2-(4-(3-メトキシベンゾイル)-2-オキソピペラジン-1-イル)-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド、2-(4-(3-メトキシベンゾイル)-2-オキソピペラジン-1-イル)-N,N-ビス(4-メトキシベンジル)アセトアミド、N,N-ビス(4-メトキシベンジル)-2-(4-(2-(3-メトキシフェニル)アセチル)-2-オキソピペラジン-1-イル)アセトアミド、(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(ビス(3-メトキシベンジル)カーバメート)、(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(ビス(4-メトキシベンジル)カーバメート)、(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(4-(ジメチルアミノ)ベンジル(3-メトキシベンジル)カーバメート)、(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(4-(ジメチルアミノ)ベンジル(4-メトキシベンジル)カーバメート)、(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(ビス(チオフェン-2-イルメチル)カーバメート)、2,2'-(ピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N-イソブチル-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(2-オキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N-イソブチル-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N-イソブチル-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(2-オキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N-(4-(ジメチルアミノ)ベンジル)-N-(4-メトキシベンジル)アセトアミド)、2,2'-(2,5-ジオキソピペラジン-1,4-ジイル)ビス(N,N-ビス(4-(ジメチルアミノ)ベンジル)アセトアミド)、これらの溶媒和物、これらの前駆体、及び、これらの水和物から実質的になる群から選択される化合物を備える、医薬
【請求項11】
請求項7に記載の医薬であって、当該医薬が眼科用製剤であ、下記の式Iの化合物を含むリンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)アゴニストを含み、
【化1】

はアリール環であり、
はアリール基、アラルキル基、または低級アルキル基を備え、
は-(CH-、-O(CH-、および-(CHO(CH-から実質的になる群から選択されるリンカーであり、
は、-CO-、-CO(CH、-COO(CH-、-(CH-、-(CHO-、及び-(CHO(CH-から実質的になる群から選択されるリンカーであり、
は、アリール、ヘテロシクリル、CONR、および-CORから実質的になる群から選択され、
XおよびYは、-CH-および-C(O)-から独立して選択され、
nは1~4の整数であり、
m、p、及びqは、それぞれ存在する場合、独立して1~2の整数であり、
およびRは、存在する場合、水素、低級アルキル基、およびアラルキル基から実質的になる群から独立して選択され、
は、存在する場合、複素環であり、
存在する場合、各RおよびRは、非置換であるか、または低級アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、-OH、アルコキシアルキル基、(C-Cアルキル)アミノ基、アルコキシアルコキシ基、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルキルアリール基、アラルキル基、アルキルヘテロシクリル基、及びヘテロシクリルアルキル基から実質的になる群から選択される置換基で置換されていてもよく、
、R、RおよびRは、非置換であるか、またはヒドロキシ、アルコキシ、ジアルキルアミノ、ハロゲン、低級アルキル基、ヒドロキシアルキル基、脂肪族アシル基、-CF、オキソ、-CN、アルコキシアルキル基、(C-Cアルキル)アミノ基、アルコキシアルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルキルアリール基、アラルキル基、アルキルヘテロシクリル基、ヘテロシクリルアルキル基、及びアリールオキシアルキル基から実質的になる群から選択される置換基で置換されていてもよい、化合物と、
その薬学的に許容される塩。
【請求項12】
請求項11に記載の医薬であって、Rが下記のものから実質的になる群から選択され、

アスタリスク*はLへの結合を示し、
各Mは、存在する場合、ヒドロキシ、アルコキシ、ジアルキルアミノ、ハロゲン、およびアルキルから実質的になる群から選択され、
各rは、存在する場合、1~2の整数である、医薬
【請求項13】
複合体であって、(i)インテグリン発現細胞とインテグリンアゴニスト、および/または(ii)インテグリン結合タンパク質との間に形成され、インテグリンアゴニストが下記の一般式Iを有し、
【化1】

はアリール環であり、
はアリール基、アラルキル基、または低級アルキル基を備え、
は-(CH-、-O(CH-、および-(CHO(CH-から実質的になる群から選択されるリンカーであり、
は、-CO-、-CO(CH、-COO(CH-、-(CH-、-(CHO-、及び-(CHO(CH-から実質的になる群から選択されるリンカーであり、
は、アリール、ヘテロシクリル、CONR、および-CORから実質的になる群から選択され、
XおよびYは、-CH-および-C(O)-から独立して選択され、
nは1~4の整数であり、
m、p、及びqは、それぞれ存在する場合、独立して1~2の整数であり、
およびRは、存在する場合、水素、低級アルキル基、およびアラルキル基から実質的になる群から独立して選択され、
は、存在する場合、複素環であり、
存在する場合、各RおよびRは、非置換であるか、または低級アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、-OH、アルコキシアルキル基、(C-Cアルキル)アミノ基、アルコキシアルコキシ基、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルキルアリール基、アラルキル基、アルキルヘテロシクリル基、及びヘテロシクリルアルキル基から実質的になる群から選択される置換基で置換されていてもよく、
、R、RおよびRは、非置換であるか、またはヒドロキシ、アルコキシ、ジアルキルアミノ、ハロゲン、低級アルキル基、ヒドロキシアルキル基、脂肪族アシル基、-CF、オキソ、-CN、アルコキシアルキル基、(C-Cアルキル)アミノ基、アルコキシアルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルキルアリール基、アラルキル基、アルキルヘテロシクリル基、ヘテロシクリルアルキル基、及びアリールオキシアルキル基から実質的になる群から選択される置換基で置換されていてもよい、インテグリンアゴニストを含む複合体と、
その薬学的に許容される塩。
【請求項14】
請求項13に記載の複合体であって、Rが下記のものから実質的になる群から選択され、

アスタリスク*はLへの結合を示し、
各Mは、存在する場合、ヒドロキシ、アルコキシ、ジアルキルアミノ、ハロゲン、およびアルキルから実質的になる群から選択され、
各rは、存在する場合、1~2の整数である、複合体。
【請求項15】
請求項13に記載の複合体であって、インテグリン結合タンパク質が、血管細胞接着分子-1(VCAM1)、フィブロネクチン、粘膜アドレシン細胞接着分子-1(MAdCAM-1)、細胞間接着分子-1(ICAM-1)、細胞間接着分子-2(ICAM-2)、またはそれらの組み合わせを含む、複合体。
【請求項16】
請求項13に記載の複合体であって、インテグリン発現細胞が、免疫細胞、胚性幹細胞、成体幹細胞、前駆細胞、人工多能性幹細胞、またはそれらの組み合わせを含む、複合体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
関連出願との相互参照
本出願は、35U.S.C.§371の下、米国への国内段階移行の出願であり、2022年6月9日に出願された「PIPERAZINE-BASEDAGONISTS OF LFA-1 AND VLA-4」と題する第PCT/US2022/032896号のPCT出願の優先権を主張し、これは2021年8月10日に出願された、マーケットらによる「PIPERAZINE-BASEDAGONISTS OF LFA-1 AND VLA-4」と題された米国仮出願番号第63/231,549号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に援用される。
【国際調査報告】