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特表2024-531203操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼバリアント酵素
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼバリアント酵素
(51)【国際特許分類】
   C12N 9/10 20060101AFI20240822BHJP
   C12N 15/54 20060101ALI20240822BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240822BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240822BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240822BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240822BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
C12N9/10 ZNA
C12N15/54
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508477
(86)(22)【出願日】2022-08-10
(85)【翻訳文提出日】2024-04-04
(86)【国際出願番号】 US2022074775
(87)【国際公開番号】W WO2023019178
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】63/232,725
(32)【優先日】2021-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502427921
【氏名又は名称】コデクシス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ボッラ-ガースク, マージー タブガ
(72)【発明者】
【氏名】アルビゾ, オスカー
(72)【発明者】
【氏名】ミラー, リリアン ジャスミン
(72)【発明者】
【氏名】ペトコヴァ, アクシニヤ リューベノヴァ
(72)【発明者】
【氏名】ハフマン, マーク
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス-グラニッロ, アグスティナ
【テーマコード(参考)】
4B065
【Fターム(参考)】
4B065AA26X
4B065AA30Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA29
4B065CA44
(57)【要約】
本発明は、操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼ(NDT)酵素、NDT活性を有するポリペプチド、およびこれらの酵素をコードするポリヌクレオチド、ならびにこれらのポリヌクレオチドおよびポリペプチドを含むベクターおよび宿主細胞を提供する。NDT酵素を産生させるための方法も提供する。本発明は、NDT酵素を含む組成物、および操作されたNDT酵素を使用する方法をさらに提供する。本発明は、医薬化合物の生成において特に使用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号4、14および/もしくは126またはそれらの機能的断片と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高い配列同一性を有するポリペプチド配列を含む操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼであって、前記操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼの前記ポリペプチド配列が、少なくとも1つの置換または置換セットを含み、前記ポリペプチド配列のアミノ酸位置が、配列番号4、14および/または126を参照して番号付けされる、操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼ。
【請求項2】
前記ポリペプチド配列が、配列番号4と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高い配列同一性を有し、前記操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼの前記ポリペプチド配列が、20/101/104、15、17、18、18/19/22/91/104、18/19/22/104、18/22/62/91/104、19/91/104、19/104、20、20/63/101/104、20/101、20/104、22、22/62、22/62/91/104、22/91、22/91/104、22/91/108、22/104、22/108、30、50、53、55/133、56、61、62/104、72、75、76、91/104、93、101/104、104、104/139、108、109、114、134、136および138から選択される前記ポリペプチド配列中の1つまたは複数の位置に少なくとも1つの置換または置換セットを含み、前記ポリペプチド配列のアミノ酸位置が、配列番号4を参照して番号付けされる、請求項1に記載の操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼ。
【請求項3】
前記操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼの前記ポリペプチド配列が、配列番号14と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高い配列同一性を有し、前記操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼの前記ポリペプチド配列が、22/75/108、22/108、22/108/109、50/61、50/75、53/108/109、61、61/108/109、75/108、75/108/114、108、108/109および108/138から選択される1つまたは複数の位置に少なくとも1つの置換または置換セットを含み、前記ポリペプチド配列のアミノ酸位置が、配列番号14を参照して番号付けされる、請求項1に記載の操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼ。
【請求項4】
前記操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼの前記ポリペプチド配列が、配列番号14と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高い配列同一性を有し、前記操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼの前記ポリペプチド配列が、22/108/109、31/76、50/75、61/108/109、75、108、108/109および108/138から選択される1つまたは複数の位置に少なくとも1つの置換または置換セットを含み、前記ポリペプチド配列のアミノ酸位置が、配列番号14を参照して番号付けされる、請求項1に記載の操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼ。
【請求項5】
前記操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼの前記ポリペプチド配列が、配列番号126と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高い配列同一性を有し、前記操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼの前記ポリペプチド配列が、12/35/61/69、12/35/61/157、20、20/50/149、20/149/157、28/39/61、28/61、35、35/39/61/149/157、35/50/149/157、35/69、35/157、39/50、39/61、39/61/149、39/69/149/157、39/149、39/157、50/61/149、61/69、61/69/149、61/69/157、61/157、69/149/157、149および149/157から選択される1つまたは複数の位置に少なくとも1つの置換または置換セットを含み、前記ポリペプチド配列のアミノ酸位置が、配列番号126を参照して番号付けされる、請求項1に記載の操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼ。
【請求項6】
前記操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼの前記ポリペプチド配列が、配列番号126と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高い配列同一性を有し、前記操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼの前記ポリペプチド配列が、20/50/149および39/157から選択される1つまたは複数の位置に少なくとも1つの置換または置換セットを含み、前記ポリペプチド配列のアミノ酸位置が、配列番号126を参照して番号付けされる、請求項1に記載の操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼ。
【請求項7】
表5-1、6-1、6-2、7-1および/または7-2に示される少なくとも1つの操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼバリアントの配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高く同一であるポリペプチド配列を含む、請求項1に記載の操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼ。
【請求項8】
配列番号4、14および/または126と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高く同一であるポリペプチド配列を含む、請求項1に記載の操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼ。
【請求項9】
配列番号14または126に示されるバリアント操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼを含む、請求項1に記載の操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼ。
【請求項10】
配列番号6~214の偶数配列に示される少なくとも1つの操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼバリアントの配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高く同一であるポリペプチド配列を含む、請求項1に記載の操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼ。
【請求項11】
配列番号6~214の少なくとも1つの偶数配列に示されるポリペプチド配列を含む、請求項1に記載の操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼ。
【請求項12】
野生型Lactobacillus reuteriヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼと比較して少なくとも1つの改善された性質を含む、請求項1に記載の操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼ。
【請求項13】
前記改善された性質が、基質に対する改善された活性を含む、請求項12に記載の操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼ。
【請求項14】
前記基質が、化合物(2)を含む、請求項13に記載の操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼ。
【請求項15】
前記改善された性質が、化合物(1)の改善された生成を含む、請求項12に記載の操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼ。
【請求項16】
前記改善された性質が、化合物(2)に対する改善された基質特異性を含む、請求項12に記載の操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼ。
【請求項17】
精製されている、請求項1に記載の操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼ。
【請求項18】
請求項1に記載の少なくとも1つの操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼを含む組成物。
【請求項19】
請求項1に記載の少なくとも1つの操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼをコードするポリヌクレオチド配列。
【請求項20】
少なくとも1つの操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼをコードするポリヌクレオチド配列であって、前記ポリヌクレオチド配列が、配列番号3、13および/または125と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高い配列同一性を含み、前記操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼの前記ポリヌクレオチド配列が、1つまたは複数の位置に少なくとも1つの置換を含む、ポリヌクレオチド配列。
【請求項21】
配列番号3、13および/もしくは125またはそれらの機能的断片と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高い配列同一性を含む少なくとも1つの操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼをコードするポリヌクレオチド配列。
【請求項22】
制御配列に作動可能に連結されている、請求項19に記載のポリヌクレオチド配列。
【請求項23】
コドン最適化されている、請求項19に記載のポリヌクレオチド配列。
【請求項24】
配列番号5~213の奇数配列に示されるポリヌクレオチド配列を含む、請求項19に記載のポリヌクレオチド配列。
【請求項25】
請求項19に記載の少なくとも1つのポリヌクレオチド配列を含む発現ベクター。
【請求項26】
請求項25に記載の少なくとも1つの発現ベクターを含む宿主細胞。
【請求項27】
請求項19に記載の少なくとも1つのポリヌクレオチド配列を含む宿主細胞。
【請求項28】
宿主細胞において操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼを産生させる方法であって、請求項1に記載の少なくとも1つの操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼが産生されるように、適切な条件下で、宿主細胞を培養することを含む、方法。
【請求項29】
培養物および/または宿主細胞から少なくとも1つの操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼを回収することをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記少なくとも1つの操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼを精製するステップをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年8月13日に出願された米国仮特許出願第63/232,725号に対する優先権を主張し、これは、すべての目的のために、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼ(NDT)酵素、NDT活性を有するポリペプチド、およびこれらの酵素をコードするポリヌクレオチド、ならびにこれらのポリヌクレオチドおよびポリペプチドを含むベクターおよび宿主細胞を提供する。NDT酵素を産生させるための方法も提供する。本発明は、NDT酵素を含む組成物、および操作されたNDT酵素を使用する方法をさらに提供する。本発明は、医薬化合物の生成において特に使用される。
【0003】
配列表、表またはコンピュータープログラムに対する参照
配列表の公式の写しを、作成日2022年8月9日およびサイズ344キロバイトのファイル名「CX2-175WO1_ST26.xml」のXMLとして本明細書と共に、ここに提出する。配列表は、本明細書の一部であり、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)と表されるレトロウイルスは、罹患した個体の免疫系の進行性の破壊、ならびに中枢および末梢神経系の変性を含む複雑な疾患である後天性免疫不全症候群(AIDS)の病原因子である。レトロウイルスの複製の一般的な特徴は、ウイルスの複製のために必要なHIV配列のDNAコピーを生じる、ウイルスにコードされる逆転写酵素によるウイルスのRNAゲノムの逆転写である。MK-8591(Merck)などのいくつかの化合物は、公知の逆転写酵素阻害剤であり、AIDSおよび類似の疾患の処置において使用されている。HIV逆転写酵素を阻害することが公知のいくつかの化合物があるが、この酵素の阻害においてより有効で、それによってAIDSの作用を寛解させるさらなる化合物について当技術分野における必要性が残されている。
【0005】
MK-8591(化合物(1)、下記に表される)などのヌクレオシドアナログは、DNA合成において使用される天然のヌクレオシドに対するそれらの類似性に起因して、HIVの逆転写酵素の有効な阻害剤である。逆転写酵素によるこれらのアナログの結合は、逆転写酵素の進行性の性質を阻害することによって、DNAの合成を停滞させる。酵素の停滞は、DNA分子の中途終止をもたらし、それを無効にする。しかしながら、標準的な化学合成技法によるヌクレオシドアナログの生成は、それらの化学的な複雑さに起因して課題をもたらし得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概要
本発明は、操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼ(NDT)酵素、NDT活性を有するポリペプチド、およびこれらの酵素をコードするポリヌクレオチド、ならびにこれらのポリヌクレオチドおよびポリペプチドを含むベクターおよび宿主細胞を提供する。NDT酵素を産生させるための方法も提供する。本発明は、NDT酵素を含む組成物、および操作されたNDT酵素を使用する方法をさらに提供する。本発明は、医薬化合物の生成において特に使用される。
【0007】
本発明は、新規生体触媒、ならびにヌクレオシドアナログの合成のための使用の関連する方法、およびヌクレオシド交換による関連化合物を提供する。本開示の生体触媒は、配列番号2のアミノ酸配列を有するヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼをコードする(N末端ヒスチジン(6残基)タグも含む)、Lactobacillus reuteri由来の野生型遺伝子の操作されたポリペプチドバリアントである。配列番号2のM104Aと比較して異なる残基を含有する野生型ヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼのバリアント(配列番号4)は、タンパク質操作のための出発点として使用された。これらの操作されたポリペプチドは、有用な抗ウイルス性を有するヌクレオシドアナログへのアルキニルデオキシウリジンおよび関連化合物の変換を触媒することができる。
【0008】
本発明は、配列番号4、14および/もしくは126またはそれらの機能的断片と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高い配列同一性を有するポリペプチド配列を含む操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼであって、前記操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼが、前記ポリペプチド配列中に少なくとも1つの置換または置換セットを含むポリペプチドを含み、前記ポリペプチド配列のアミノ酸位置が、配列番号4、14および/または126を参照して番号付けされる、操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼを提供する。一部の実施形態では、ポリペプチド配列は、配列番号4と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高い配列同一性を有し、操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼのポリペプチドは、15、17、18、18/19/22/91/104、18/19/22/104、18/22/62/91/104、19/91/104、19/104、20、20/63/101/104、20/101、20/101/104、20/104、22、22/62、22/62/91/104、22/91、22/91/104、22/91/108、22/104、22/108、30、50、53、55/133、56、61、62/104、72、75、76、91/104、93、101/104、104、104/139、108、109、114、134、136、および138から選択される前記ポリペプチド配列中の1つまたは複数の位置に少なくとも1つの置換または置換セットを含み、前記ポリペプチド配列のアミノ酸位置は、配列番号4を参照して番号付けされる。一部の実施形態では、操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼのポリペプチド配列は、配列番号4と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高い配列同一性を有し、操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼのポリペプチドは、15F、15L、17L、18A/19G/22W/91M/104G、18A/19G/22W/104G、18G/19G/22W/91M/104G、18G/22W/62H/91M/104G、18S、19G/91M/104G、19G/104G、20E/101G、20E/101G/104T、20E/101G/104V、20E/101N/104S、20P/104G、20S、20S/63G/101G/104S、20S/101A/104T、20S/101G/104G、20S/101G/104S、20S/101N/104G、20S/104G、20S/104S、22W、22W/62H、22W/62H/91M/104G、22W/91M、22W/91M/104G、22W/91M/108V、22W/104G、22W/108V、30I、30L、50E、53V、55R/133Q、56H、61A、62H/104G、72H、72I、72L、72V、75H、76G、91M/104G、93C、101N/104T、104G、104S、104S/139T、108A、108M、109A、109S、109T、114V、134G、136A、および138Hから選択される前記ポリペプチド配列中の1つまたは複数の位置に少なくとも1つの置換または置換セットを含み、前記ポリペプチド配列のアミノ酸位置は、配列番号4を参照して番号付けされる。一部の実施形態では、操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼのポリペプチド配列は、配列番号4と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高い配列同一性を有し、操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼのポリペプチドは、V15F、V15L、F17L、C18A/A19G/F22W/L91M/A104G、C18A/A19G/F22W/A104G、C18G/A19G/F22W/L91M/A104G、C18G/F22W/D62H/L91M/A104G、C18S、A19G/L91M/A104G、A19G/A104G、G20E/D101G、G20E/D101G/A104T、G20E/D101G/A104V、G20E/D101N/A104S、G20P/A104G、G20S、G20S/E63G/D101G/A104S、G20S/D101A/A104T、G20S/D101G/A104G、G20S/D101G/A104S、G20S/D101N/A104G、G20S/A104G、G20S/A104S、F22W、F22W/D62H、F22W/D62H/L91M/A104G、F22W/L91M、F22W/L91M/A104G、F22W/L91M/L108V、F22W/A104G、F22W/L108V、Y30I、Y30L、V50E、Q53V、Q55R/L133Q、Y56H、V61A、D62H/A104G、E72H、E72I、E72L、E72V、T75H、A76G、L91M/A104G、A93C、D101N/A104T、A104G、A104S、A104S/A139T、L108A、L108M、G109A、G109S、G109T、L114V、M134G、W136A、およびI138Hから選択される前記ポリペプチド配列中の1つまたは複数の位置に少なくとも1つの置換または置換セットを含み、前記ポリペプチド配列のアミノ酸位置は、配列番号4を参照して番号付けされる。一部の実施形態では、操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼは、配列番号4と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高い配列同一性を有するポリペプチド配列を含む。一部の実施形態では、操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼは、配列番号4と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高い配列同一性を有するポリペプチド配列を含む。一部の実施形態では、操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼは、配列番号4と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高い配列同一性を有するポリペプチド配列を含む。
【0009】
一部の実施形態では、本発明は、配列番号14と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高い配列同一性のポリペプチド配列を有する操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼであって、前記操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼのポリペプチドが、22/75/108、22/108、22/108/109、50/61、50/75、53/108/109、61、61/108/109、75/108、75/108/114、108、108/109および108/138から選択される前記ポリペプチド配列中の1つまたは複数の位置に少なくとも1つの置換または置換セットを含み、前記ポリペプチド配列のアミノ酸位置が、配列番号14を参照して番号付けされる、操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼを提供する。一部の実施形態では、本発明は、配列番号14と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高い配列同一性のポリペプチド配列を有する操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼであって、前記操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼのポリペプチドが、22W/75H/108M、22W/108M、22W/108M/109A、22W/108M/109S、50E/61A、50E/75H、53V/108M/109S、61A、61A/108M/109S、75H/108M、75H/108M/114V、108M、108M/109T、および108M/138Hから選択される前記ポリペプチド配列中の1つまたは複数の位置に少なくとも1つの置換または置換セットを含み、前記ポリペプチド配列のアミノ酸位置が、配列番号14を参照して番号付けされる、操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼを提供する。一部の実施形態では、本発明は、配列番号14と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれよりも高い配列同一性のポリペプチド配列を有する操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼであって、前記操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼのポリペプチドが、F22W、F22W/T75H、F22W/T75H/L108M、F22W/A76G、F22W/L108M、F22W/L108M/G109A、F22W/L108M/G109S、F22W/L108M/G109T、F22W/G109A、V50E/T75H、Q53H/I138H、Q53V/L108M/G109S、Q53V/L108M/G109T、Q53V/L108M/I138H、V61A、V61A/A76G、V61A/L108M/G109S、T75H/L108M、T75H/L108M/I138H、L108M、L108M/G109T、L108M/I138H、およびI138Hから選択される前記ポリペプチド配列中の1つまたは複数の位置に少なくとも1つの置換または置換セットを含み、前記ポリペプチド配列のアミノ酸位置が、配列番号14を参照して番号付けされる、操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼを提供する。一部の実施形態では、操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼは、配列番号14と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高い配列同一性を有するポリペプチド配列を含む。一部の実施形態では、操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼは、配列番号14と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高い配列同一性を有するポリペプチド配列を含む。一部の実施形態では、操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼは、配列番号14と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高い配列同一性を有するポリペプチド配列を含む。
【0010】
一部の追加の実施形態では、操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼは、配列番号14と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高い配列同一性を有するポリペプチド配列を含み、前記操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼのポリペプチドは、22/108/109、31/76、50/75、61/108/109、75、108、108/109および108/138から選択される前記ポリペプチド配列中の1つまたは複数の位置に少なくとも1つの置換または置換セットを含み、前記ポリペプチド配列のアミノ酸位置は、配列番号14を参照して番号付けされる。一部の追加の実施形態では、操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼは、配列番号14と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高い配列同一性を有するポリペプチド配列を含み、前記操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼのポリペプチドは、22W/108M/109S、31D/76G、50E/75H、61A/108M/109S、75H、108M、108M/109Tおよび108M/138Hから選択される前記ポリペプチド配列中の1つまたは複数の位置に少なくとも1つの置換または置換セットを含み、前記ポリペプチド配列のアミノ酸位置は、配列番号14を参照して番号付けされる。一部の追加の実施形態では、操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼは、配列番号14と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高い配列同一性を有するポリペプチド配列を含み、前記操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼのポリペプチドは、F22W/L108M/G109S、E31D/A76G、V50E/T75H、V61A/L108M/G109S、T75H、L108M、L108M/G109T、およびL108M/I138Hから選択される前記ポリペプチド配列中の1つまたは複数の位置に少なくとも1つの置換または置換セットを含み、前記ポリペプチド配列のアミノ酸位置は、配列番号14を参照して番号付けされる。一部の実施形態では、操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼは、配列番号14と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高い配列同一性を有するポリペプチド配列を含む。一部の実施形態では、操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼは、配列番号14と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高い配列同一性を有するポリペプチド配列を含む。一部の実施形態では、操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼは、配列番号14と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高い配列同一性を有するポリペプチド配列を含む。
【0011】
一部の追加の実施形態では、操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼは、配列番号126と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高い配列同一性を有するポリペプチド配列を含み、前記操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼのポリペプチドは、12/35/61/69、12/35/61/157、20、20/50/149、20/149/157、28/39/61、28/61、35、35/39/61/149/157、35/50/149/157、35/69、35/157、39/50、39/61、39/61/149、39/69/149/157、39/149、39/157、50/61/149、61/69、61/69/149、61/69/157、61/157、69/149/157、149および149/157から選択される前記ポリペプチド配列中の1つまたは複数の位置に少なくとも1つの置換または置換セットを含み、前記ポリペプチド配列のアミノ酸位置は、配列番号126を参照して番号付けされる。一部の追加の実施形態では、操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼは、配列番号126と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高い配列同一性を有するポリペプチド配列を含み、前記操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼのポリペプチドは、12T/35C/61A/69T、12T/35C/61A/157T、20N、20N/50F/149D、20N/149D/157T、28R/39C/61A、28R/61A、35C、35C/39C/61A/149S/157T、35C/50F/149D/157T、35C/69T、35C/157T、39C/50F、39C/61A、39C/61A/149D、39C/69T/149D/157T、39C/149S、39C/157T、50F/61A/149S、61A/69I、61A/69L、61A/69L/149D、61A/69M、61A/69T、61A/69T/157T、61A/157T、69T/149D/157T、149D、および149D/157Tから選択される前記ポリペプチド配列中の1つまたは複数の位置に少なくとも1つの置換または置換セットを含み、前記ポリペプチド配列のアミノ酸位置は、配列番号126を参照して番号付けされる。一部の追加の実施形態では、操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼは、配列番号126と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高い配列同一性を有するポリペプチド配列を含み、前記操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼのポリペプチドは、S12T/N35C/V61A/Q69T、S12T/N35C/V61A/S157T、E20N、E20N/V50F/P149D、E20N/P149D/S157T、K28R/A39C/V61A、K28R/V61A、N35C、N35C/A39C/V61A/P149S/S157T、N35C/V50F/P149D/S157T、N35C/Q69T、N35C/S157T、A39C/V50F、A39C/V61A、A39C/V61A/P149D、A39C/Q69T/P149D/S157T、A39C/P149S、A39C/S157T、V50F/V61A/P149S、V61A/Q69I、V61A/Q69L、V61A/Q69L/P149D、V61A/Q69M、V61A/Q69T、V61A/Q69T/S157T、V61A/S157T、Q69T/P149D/S157T、P149D、およびP149D/S157Tから選択される前記ポリペプチド配列中の1つまたは複数の位置に少なくとも1つの置換または置換セットを含み、前記ポリペプチド配列のアミノ酸位置は、配列番号126を参照して番号付けされる。一部の実施形態では、操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼは、配列番号126と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高い配列同一性を有するポリペプチド配列を含む。一部の実施形態では、操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼは、配列番号126と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高い配列同一性を有するポリペプチド配列を含む。一部の実施形態では、操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼは、配列番号126と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高い配列同一性を有するポリペプチド配列を含む。
【0012】
一部の追加の実施形態では、操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼは、配列番号126と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高い配列同一性を有するポリペプチド配列を含み、前記操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼのポリペプチドは、20/50/149および39/157から選択される前記ポリペプチド配列中の1つまたは複数の位置に少なくとも1つの置換または置換セットを含み、前記ポリペプチド配列のアミノ酸位置は、配列番号126を参照して番号付けされる。一部の追加の実施形態では、操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼは、配列番号126と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高い配列同一性を有するポリペプチド配列を含み、前記操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼのポリペプチドは、20N/50F/149Dおよび39C/157Tから選択される前記ポリペプチド配列中の1つまたは複数の位置に少なくとも1つの置換または置換セットを含み、前記ポリペプチド配列のアミノ酸位置は、配列番号126を参照して番号付けされる。一部の追加の実施形態では、操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼは、配列番号126と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高い配列同一性を有するポリペプチド配列を含み、前記操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼのポリペプチドは、E20N/V50F/P149DおよびA39C/S157Tから選択される前記ポリペプチド配列中の1つまたは複数の位置に少なくとも1つの置換または置換セットを含み、前記ポリペプチド配列のアミノ酸位置は、配列番号126を参照して番号付けされる。一部の実施形態では、操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼは、配列番号126と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高い配列同一性を有するポリペプチド配列を含む。一部の実施形態では、操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼは、配列番号126と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高い配列同一性を有するポリペプチド配列を含む。一部の実施形態では、操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼは、配列番号126と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高い配列同一性を有するポリペプチド配列を含む。
【0013】
一部の追加の実施形態では、本発明は、表5-1、6-1、6-2、7-1および/または7-2に示される少なくとも1つの操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼバリアントの配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高く同一であるポリペプチド配列を含む、操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼを提供する。
【0014】
一部の追加の実施形態では、本発明は、配列番号4、14および/または126と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高く同一であるポリペプチド配列を含む、操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼを提供する。一部の実施形態では、操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼは、配列番号4、14および/または126に示されるバリアント操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼを含む。
【0015】
本発明は、配列番号6~214の偶数配列に示される少なくとも1つの操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼバリアントの配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高く同一であるポリペプチド配列を含む、操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼも提供する。
【0016】
本発明は、野生型Lactobacillus reuteriヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼと比較して少なくとも1つの改善された性質を含む、操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼをさらに提供する。一部の実施形態では、改善された性質は、基質に対する改善された活性を含む。一部のさらなる実施形態では、基質は、化合物(2)および/または化合物(3)を含む。一部の追加の実施形態では、改善された性質は、化合物(1)の改善された生成を含む。さらに一部の追加の実施形態では、操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼは、精製されている。本発明は、本明細書に提供される少なくとも1つの操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼを含む組成物も提供する。
【0017】
本発明は、本明細書に提供される少なくとも1つの操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼをコードするポリヌクレオチド配列も提供する。一部の実施形態では、少なくとも1つの操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼをコードするポリヌクレオチド配列は、配列番号3、13および/または125と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高い配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼをコードするポリヌクレオチド配列は、配列番号3、13および/または125と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高い配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含み、前記操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼのポリヌクレオチド配列は、1つまたは複数の位置に少なくとも1つの置換を含む。一部のさらなる実施形態では、少なくとも1つの操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼをコードするポリヌクレオチド配列は、配列番号4、14および/または126と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高い配列同一性を含む。さらに一部の追加の実施形態では、ポリヌクレオチド配列は、制御配列に作動可能に連結されている。一部のさらなる実施形態では、ポリヌクレオチド配列は、コドン最適化されている。なお一部の追加の実施形態では、ポリヌクレオチド配列は、配列番号5~213の奇数配列に示されるポリヌクレオチド配列を含む。
【0018】
本発明は、本明細書に提供される少なくとも1つのポリヌクレオチド配列を含む発現ベクターも提供する。本発明は、本明細書に提供される少なくとも1つの発現ベクターを含む宿主細胞をさらに提供する。一部の実施形態では、本発明は、本明細書に提供される少なくとも1つのポリヌクレオチド配列を含む宿主細胞を提供する。
【0019】
本発明は、宿主細胞において操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼを産生させる方法であって、少なくとも1つの操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼが産生するように、適切な条件下で、本明細書に提供される宿主細胞を培養することを含む、方法も提供する。一部の実施形態では、方法は、培養物および/または宿主細胞から少なくとも1つの操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼを回収することをさらに含む。一部の追加の実施形態では、方法は、前記少なくとも1つの操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼを精製するステップをさらに含む。
【発明を実施するための形態】
【0020】
発明の説明
本発明は、操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼ(NDT)酵素、NDT活性を有するポリペプチド、およびこれらの酵素をコードするポリヌクレオチド、ならびにこれらのポリヌクレオチドおよびポリペプチドを含むベクターおよび宿主細胞を提供する。NDT酵素を産生させるための方法も提供する。本発明は、NDT酵素を含む組成物、および操作されたNDT酵素を使用する方法をさらに提供する。本発明は、医薬化合物の生成において特に使用される。
【0021】
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、一般に、本発明が関係する分野の当業者によって通常理解されるものと同じ意味を有する。一般に、本明細書で使用される命名法、ならびに下記に記載する細胞培養、分子遺伝学、微生物学、有機化学、分析化学および核酸化学の実験手順は、当技術分野において周知かつ通常用いられるものである。このような技法は周知であり、多数のテキストおよび当業者に周知の参照文献に記載されている。標準的な技法、またはその改変は、化学合成および化学分析のために使用される。本明細書において言及されるすべての特許、特許出願、文献および刊行物は、上記および下記の両方とも、ここに、参照によって本明細書に明示的に組み込まれる。
【0022】
本明細書に記載されるものに類似または同等の任意の適切な方法および材料は、本発明の実施において使用されるが、いくつかの方法および材料を、本明細書に記載する。それらが当業者によって使用される状況に応じて変わり得るので、本発明が、記載される特定の方法論、プロトコールおよび試薬に限定されないことが理解されるべきである。したがって、直下で定義される用語は、全体として本発明に対する参照によって、より完全に記載される。
【0023】
前述の一般的な記載および以下の詳細な記載の両方が、例示的かつ説明的なものにすぎず、本発明を制限するものではないことが理解されるべきである。本明細書において使用される節の見出しは、構成の目的のためにすぎず、記載される主題を限定するものとして解釈されるべきではない。数値範囲は、その範囲を定義する数字を包含する。したがって、本明細書に開示されるすべての数値範囲は、より狭い数値範囲が本明細書においてすべて明示的に記載されているかのように、より広い数値範囲内に入るそのようなすべてのより狭い数値範囲を包含することが意図される。本明細書に開示されるすべての最大の(または最小の)数値限定は、より低い(またはより高い)数値限定が本明細書において明示的に記載されているかのように、そのようなすべてのより低い(またはより高い)数値限定を含むことも意図される。
【0024】
略語および定義
遺伝子によってコードされるアミノ酸について使用される略語は、従来のものであり、以下の通りである:アラニン(AlaまたはA)、アルギニン(ArgまたはR)、アスパラギン(AsnまたはN)、アスパラギン酸(AspまたはD)、システイン(CysまたはC)、グルタミン酸(GluまたはE)、グルタミン(GlnまたはQ)、ヒスチジン(HisまたはH)、イソロイシン(IleまたはI)、ロイシン(LeuまたはL)、リシン(LysまたはK)、メチオニン(MetまたはM)、フェニルアラニン(PheまたはF)、プロリン(ProまたはP)、セリン(SerまたはS)、トレオニン(ThrまたはT)、トリプトファン(TrpまたはW)、チロシン(TyrまたはY)、およびバリン(ValまたはV)。
【0025】
三文字略語が使用される場合、「L」もしくは「D」が具体的に先行しない限り、または略語が使用される文脈から明らかでない限り、アミノ酸は、α炭素(Cα)についてL配置またはD配置のいずれかであり得る。例えば、「Ala」は、α炭素についての立体配置を特定することなくアラニンを指すが、「D-Ala」および「L-Ala」は、それぞれ、D-アラニンおよびL-アラニンを指す。一文字略語が使用される場合、大文字は、α炭素についてL配置にあるアミノ酸を指し、小文字は、α炭素についてD配置にあるアミノ酸を指す。例えば、「A」は、L-アラニンを指し、「a」は、D-アラニンを指す。ポリペプチド配列が、一連の一文字または三文字の略語(またはこれらの混合)として表される場合、配列は、一般的な慣例に従って、アミノ(N)からカルボキシ(C)の方向で表される。
【0026】
遺伝子コードヌクレオシドのために使用される略語は、従来のものであり、以下の通りである:アデノシン(A);グアノシン(G);シチジン(C);チミジン(T);およびウリジン(U)。具体的に詳述されない限り、略されたヌクレオシドは、リボヌクレオシドまたは2’-デオキシリボヌクレオシドのいずれかであり得る。ヌクレオシドは、個別基準または集合基準で、リボヌクレオシドまたは2’-デオキシリボヌクレオシドのいずれかであると特定され得る。核酸配列が、一連の一文字略語として表される場合、配列は、一般的な慣例に従って、5’から3’の方向で表され、そのリン酸は示さない。
【0027】
本発明に関して、本明細書における記載において使用される技術用語および科学用語は、特に他に定義されない限り、当業者によって通常理解される意味を有する。したがって、以下の用語は、以下の意味を有することが意図される。
【0028】
本明細書で使用される場合、単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「ポリペプチド(a polypeptide)」への言及は、2つ以上のポリペプチドを含む。
【0029】
同様に、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(include)」、「含む(includes)」および「含む(including)」は、互換可能であり、限定することを意図しない。したがって、本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」という用語およびその同語源語は、それらの包括的な意味で使用される(すなわち、「含む(including)」という用語およびその対応する同語源語と同等である)。
【0030】
さまざまな実施形態の記載が「含む(comprising)」という用語を使用する場合、当業者が、一部の特定の例では、実施形態が、「から本質的になる(consisting essentially of)」または「からなる(consisting of)」という語を使用して代わりに記載することができることを理解するであろうことがさらに理解されるべきである。
【0031】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、特定の値についての許容可能な誤差を意味する。一部の例では、「約」は、所与の値の範囲の0.05%、0.5%、1.0%または2.0%以内を意味する。一部の例では、「約」は、所与の値の1、2、3または4標準偏差以内を意味する。
【0032】
本明細書で使用される場合、「EC」番号は、国際生化学・分子生物学連合の命名委員会(NC-IUBMB)の酵素命名法を指す。IUBMB生化学分類は、酵素が触媒する化学反応に基づく、酵素についての数字分類システムである。
【0033】
本明細書で使用される場合、「ATCC」は、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関を指し、そのバイオレポジトリーコレクションは遺伝子および株を含む。
【0034】
本明細書で使用される場合、「NCBI」は、アメリカ国立生物工学情報センターおよびそこで提供される配列データベースを指す。
【0035】
本明細書で使用される場合、「ヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼ」(「NDT」)酵素は、「ヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼバリアント」、「ヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼポリペプチド」および「NDT」と本明細書で互換的に使用され、遊離プリンまたはピリミジン塩基(または塩基アナログ)と2’-デオキシリボヌクレオシドのプリンまたはピリミジン塩基(または塩基アナログ)との間の可逆的ヌクレオシド交換を触媒する酵素である。非限定的な一例は、アルキニル-デオキシウリジン(化合物(2))および2-フルオロ-アデニン(化合物(3))のNDT触媒ヌクレオシド交換による化合物(1)のアルキニルデオキシアデノシン生成物の合成である。本明細書で使用される場合、「ヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼ」は、天然に存在する酵素および操作された酵素の両方を含み得る。
【0036】
「タンパク質」、「ポリペプチド」および「ペプチド」は、長さまたは翻訳後修飾(例えば、グリコシル化またはリン酸化)に関わらず、アミド結合によって共有結合的に連結された少なくとも2つのアミノ酸のポリマーを示すために、本明細書で互換可能に使用される。この定義内には、D-アミノ酸およびL-アミノ酸、ならびにD-アミノ酸およびL-アミノ酸の混合物だけでなく、D-アミノ酸およびL-アミノ酸、ならびにD-アミノ酸およびL-アミノ酸の混合物を含むポリマーも含む。
【0037】
「アミノ酸」は、本明細書において、それらの通常公知の三文字記号によって、またはIUPAC-IUB生化学命名委員会によって推奨される一文字記号によってのいずれかで言及される。同様に、ヌクレオチドは、それらの通常許容される一文字表記によって言及され得る。
【0038】
本明細書で使用される場合、「親水性アミノ酸または残基」は、Eisenbergら(Eisenberg et al., J. Mol. Biol., 179:125-142 [1984])の標準化コンセンサス疎水性尺度に従って、ゼロ未満の疎水性を示す側鎖を有するアミノ酸または残基を指す。遺伝子によってコードされる親水性アミノとしては、L-Thr(T)、L-Ser(S)、L-His(H)、L-Glu(E)、L-Asn(N)、L-Gln(Q)、L-Asp(D)、L-Lys(K)およびL-Arg(R)が挙げられる。
【0039】
本明細書で使用される場合、「酸性アミノ酸または残基」は、アミノ酸がペプチドまたはポリペプチドに含まれる場合、約6未満のpKa値を示す側鎖を有する親水性アミノ酸または残基を指す。酸性アミノ酸は、典型的には、水素イオンの喪失に起因して、生理学的なpHで負に荷電した側鎖を有する。遺伝子によってコードされる酸性アミノ酸としては、L-Glu(E)およびL-Asp(D)が挙げられる。
【0040】
本明細書で使用される場合、「塩基性アミノ酸または残基」は、アミノ酸がペプチドまたはポリペプチドに含まれる場合、約6よりも大きいpKa値を示す側鎖を有する親水性アミノ酸または残基を指す。塩基性アミノ酸は、典型的には、ヒドロニウムイオンとの会合に起因して、生理学的なpHで正に荷電した側鎖を有する。遺伝子によってコードされる塩基性アミノ酸としては、L-Arg(R)およびL-Lys(K)が挙げられる。
【0041】
本明細書で使用される場合、「極性アミノ酸または残基」は、生理学的pHで非荷電であるが、2つの原子によって共有される電子対が、原子の1つによってより密接に保持される少なくとも1つの結合を有する側鎖を有する親水性アミノ酸または残基を指す。遺伝子によってコードされる極性アミノ酸としては、L-Asn(N)、L-Gln(Q)、L-Ser(S)およびL-Thr(T)が挙げられる。
【0042】
本明細書で使用される場合、「疎水性アミノ酸または残基」は、Eisenbergら(Eisenberg et al., J. Mol. Biol., 179:125-142 [1984])の標準化コンセンサス尺度に従って、ゼロを超える疎水性を示す側鎖を有するアミノ酸または残基を指す。遺伝子によってコードされる疎水性アミノ酸としては、L-Pro(P)、L-Ile(I)、L-Phe(F)、L-Val(V)、L-Leu(L)、L-Trp(W)、L-Met(M)、L-Ala(A)およびL-Tyr(Y)が挙げられる。
【0043】
本明細書で使用される場合、「芳香族アミノ酸または残基」は、少なくとも1つの芳香族環もしくは複素芳香族環を含む側鎖を有する親水性または疎水性のアミノ酸または残基を指す。遺伝子によってコードされる芳香族アミノ酸としては、L-Phe(F)、L-Tyr(Y)およびL-Trp(W)が挙げられる。L-His(H)は、その複素芳香族環の窒素原子のpKaに基づいて塩基性残基として分類される場合があり、または、その側鎖として複素芳香族環を含むので芳香族残基として分類される場合があるが、本明細書において、ヒスチジンは、親水性残基として、または「拘束残基」(以下を参照のこと)として分類される。
【0044】
本明細書で使用される場合、「拘束アミノ酸または残基」は、拘束配置を有するアミノ酸または残基を指す。本明細書において、拘束残基としては、L-Pro(P)およびL-His(H)が挙げられる。ヒスチジンは、比較的小さなイミダゾール環を有するので、拘束配置を有する。プロリンは、これも5員環を有するので、拘束配置を有する。
【0045】
本明細書で使用される場合、「非極性アミノ酸または残基」は、生理学的pHで非荷電であり、2つの原子によって共有される電子対が、一般に、2つの原子のそれぞれによって同等に保持される結合を有する側鎖を有する(すなわち、側鎖は極性でない)疎水性アミノ酸または残基を指す。遺伝子によってコードされる非極性アミノ酸としては、L-Gly(G)、L-Leu(L)、L-Val(V)、L-Ile(I)、L-Met(M)およびL-Ala(A)が挙げられる。
【0046】
本明細書で使用される場合、「脂肪族アミノ酸または残基」は、脂肪族炭化水素側鎖を有する疎水性アミノ酸または残基を指す。遺伝子によってコードされる脂肪族アミノ酸としては、L-Ala(A)、L-Val(V)、L-Leu(L)およびL-Ile(I)が挙げられる。システイン(または「L-Cys」もしくは「[C]」)は、他のL-Cys(C)アミノ酸、または他のスルファニルもしくはスルフヒドリル含有アミノ酸とジスルフィド架橋を形成することができるという点で、普通ではないことに留意する。「システイン様残基」としては、システイン、およびジスルフィド架橋の形成のために利用可能なスルフヒドリル部分を含有する他のアミノ酸が挙げられる。還元型遊離-SHまたは酸化型ジスルフィド架橋形態のいずれかでペプチド中に存在するL-Cys(C)(および-SHを含有する側鎖を有する他のアミノ酸)の能力は、L-Cys(C)がペプチドへの正味の疎水性または親水性の特性に寄与するかどうかに影響を及ぼす。L-Cys(C)は、Eisenberg(Eisenberg et al., 1984、上記)の標準化コンセンサス尺度に従って、0.29の疎水性を示すが、本開示の目的のためには、L-Cys(C)は、その独自の類のない群にカテゴリー化されることが理解されるべきである。
【0047】
本明細書で使用される場合、「小型アミノ酸または残基」は、全部で3つまたはそれよりも少ない炭素および/またはヘテロ原子(α-炭素および水素を除く)で構成される側鎖を有するアミノ酸または残基を指す。小型アミノ酸または残基は、上記の定義に従って、脂肪族、非極性、極性もしくは酸性の小型アミノ酸または残基として、さらにカテゴリー化されてもよい。遺伝子によってコードされる小型アミノ酸としては、L-Ala(A)、L-Val(V)、L-Cys(C)、L-Asn(N)、L-Ser(S)、L-Thr(T)およびL-Asp(D)が挙げられる。
【0048】
本明細書で使用される場合、「ヒドロキシル含有アミノ酸または残基」は、ヒドロキシル(-OH)部分を含有するアミノ酸を指す。遺伝子によってコードされるヒドロキシルを含有するアミノ酸としては、L-Ser(S)、L-Thr(T)およびL-Tyr(Y)が挙げられる。
【0049】
本明細書で使用される場合、「ポリヌクレオチド」および「核酸」は、共有結合的に一緒に連結された2つまたはそれよりも多くのヌクレオチドを指す。ポリヌクレオチドは、リボヌクレオチドから全体的に構成されてもよく(すなわち、RNA)、2’デオキシリボヌクレオチドから全体的に構成されてもよく(すなわち、DNA)、またはリボヌクレオチドおよび2’デオキシリボヌクレオチドの混合物で構成されてもよい。ヌクレオシドは、典型的には、標準的なホスホジエステル結合を介して一緒に連結されるが、ポリヌクレオチドは、1つまたは複数の非標準的な結合を含んでいてもよい。ポリヌクレオチドは、一本鎖もしくは二本鎖であってもよく、または一本鎖領域および二本鎖領域の両方を含んでいてもよい。また、ポリヌクレオチドは、典型的には、天然に存在するコード核酸塩基(すなわち、アデニン、グアニン、ウラシル、チミンおよびシトシン)から構成されるが、例えば、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチンなどのような1つまたは複数の修飾核酸塩基および/または合成核酸塩基を含んでいてもよい。一部の実施形態では、このような修飾核酸塩基または合成核酸塩基は、アミノ酸配列をコードする核酸塩基である。
【0050】
本明細書で使用される場合、「ヌクレオシド」は、核酸塩基(すなわち、窒素塩基)および5炭糖(例えば、リボースまたはデオキシリボース)を含むグリコシルアミンを指す。ヌクレオシドの非制限的な例としては、シチジン、ウリジン、アデノシン、グアノシン、チミジンおよびイノシンが挙げられる。対照的に、「ヌクレオチド」という用語は、核酸塩基、5炭糖、および1つまたは複数のリン酸基を含むグリコシルアミンを指す。一部の実施形態では、ヌクレオシドは、キナーゼによってリン酸化されて、ヌクレオチドを生成することができる。
【0051】
本明細書で使用される場合、「ヌクレオシド二リン酸」は、核酸塩基(すなわち、窒素塩基)、5炭糖(例えば、リボースまたはデオキシリボース)および二リン酸(すなわち、ピロリン酸)部分を含むグリコシルアミンを指す。本明細書における一部の実施形態では、「ヌクレオシド二リン酸」は、「NDP」と略される。ヌクレオシド二リン酸の非限定的な例としては、シチジン二リン酸(CDP)、ウリジン二リン酸(UDP)、アデノシン二リン酸(ADP)、グアノシン二リン酸(GDP)、チミジン二リン酸(TDP)およびイノシン二リン酸(IDP)が挙げられる。「ヌクレオシド」および「ヌクレオチド」という用語は、一部の文脈において互換可能に使用され得る。
【0052】
本明細書で使用される場合、「コード配列」は、タンパク質のアミノ酸配列をコードする核酸(例えば、遺伝子)の部分を指す。
【0053】
本明細書で使用される場合、「生体触媒」、「生体触媒の」、「生体内変換」および「生合成」という用語は、有機化合物に対して化学反応を行う酵素の使用を指す。
【0054】
本明細書で使用される場合、「野生型」および「天然に存在する」は、天然に見出される形態を指す。例えば、野生型ポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列は、天然の供給源から単離することができ、ヒトの操作によって意図的に改変されていない、生物中に存在する配列である。
【0055】
本明細書で使用される場合、「組換え」、「操作された」、「バリアント」および「天然に存在しない」は、細胞、核酸またはポリペプチドに関連して使用される場合、そうでなければ天然に存在しないであろう様式で改変されている材料、または材料の天然もしくはネイティブ形態に対応する材料を指す。一部の実施形態では、細胞、核酸またはポリペプチドは、天然に存在する細胞、核酸またはポリペプチドと同一であるが、合成材料からおよび/もしくは組換え技法を使用する操作によって、生成または得られる。非限定的な例としては、中でも、細胞のネイティブ(非組換え)形態内では見出されない遺伝子を発現するか、またはそうでなければ異なるレベルで発現されるネイティブ遺伝子を発現する、組換え細胞が挙げられる。
【0056】
「配列同一性のパーセント(%)」という用語は、本明細書において、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの間の比較を指すために使用され、2つの最適に整列させた配列を比較ウィンドウに対して比較することによって決定され、ここで、比較ウィンドウにおけるポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の部分は、2つの配列の最適なアライメントのために参照配列と比較して、付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含んでいてもよい。パーセンテージは、同一の核酸塩基またはアミノ酸残基が両方の配列に存在する位置の数を決定して、マッチした位置の数を得、マッチした位置の数を比較ウィンドウにおける位置の総数で除算し、その結果に100を乗じて配列同一性のパーセンテージを得ることによって計算されてもよい。あるいは、パーセンテージは、同一の核酸塩基もしくはアミノ酸残基のいずれかが両方の配列に存在する位置の数を決定するか、または核酸塩基もしくはアミノ酸残基をギャップと共に整列させてマッチした位置の数を得て、マッチした位置の数を比較ウィンドウにおける位置の総数で除算し、その結果に100を乗じて配列同一性のパーセンテージを得ることによって計算されてもよい。当業者は、2つの配列を整列させるために利用可能な多くの確立されたアルゴリズムが存在することを十分に理解している。比較のための配列の最適なアライメントは、当技術分野において公知であるように、限定されるものではないが、SmithおよびWatermanのローカル相同性アルゴリズム(Smith and Waterman, Adv. Appl. Math., 2:482 [1981])、NeedlemanおよびWunschの相同性アライメントアルゴリズム(Needleman and Wunsch, J. Mol. Biol., 48:443 [1970])、PearsonおよびLipmanの類似性についての検索方法(Pearson and Lipman, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444 [1988])、これらのアルゴリズムのコンピューター化実装(例えば、GCG WisconsinソフトウェアパッケージにおけるGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA)、または目視検査を含む、任意の適切な方法によって実施することができる。配列同一性パーセントおよび配列類似性パーセントを決定するために適切なアルゴリズムの例としては、限定されるものではないが、Altschulら(それぞれ、Altschul et al., J. Mol. Biol., 215: 403-410 [1990];およびAltschul et al., Nucl. Acids Res., 3389-3402 [1977]を参照のこと)によって記載される、BLASTおよびBLAST2.0アルゴリズムが挙げられる。BLAST分析を行うためのソフトウェアは、アメリカ国立生物工学情報センターのウェブサイトを通して公開されている。このアルゴリズムは、最初に、データベース配列における同じ長さのワードと整列させた場合に、いくつかの正の値の閾値スコアTとマッチするかまたは満たすかのいずれかの、クエリ配列における短いワード長Wを特定することによって、高スコアリングの配列ペア(HSP)を特定することを含む。Tは、隣接ワードスコア閾値と称される(Altschul et al.、上記を参照のこと)。これらの最初の隣接ワードヒットは、それらを含有するより長いHSPを見出す検索を開始するためのシードとしての役割を果たす。次いで、ワードヒットを、累積アライメントスコアを増加させることができる範囲まで、それぞれの配列に沿って両方の方向に伸長させる。累積スコアは、ヌクレオチド配列のために、パラメータM(マッチする残基の対についてのリワードスコア:常に>0)およびN(ミスマッチ残基についてのペナルティスコア;常に<0)を使用して計算する。アミノ酸配列のためには、スコアリング行列を使用して累積スコアを計算する。それぞれの方向におけるワードヒットの伸長は、以下の場合に停止する:累積アライメントスコアがその最大達成値から量X低下する;累積スコアが、1つもしくは複数の負のスコアリング残基アライメントの蓄積に起因して、ゼロもしくはそれよりも低くなる;またはいずれかの配列の末端に達する。BLASTアルゴリズムパラメータのW、T、およびXは、アライメントの感度および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列のため)は、デフォルトとして、ワード長(W)11、期待値(E)10、M=5、N=-4、および両方の鎖の比較を使用する。アミノ酸配列のためには、BLASTPプログラムは、デフォルトとして、ワード長(W)3、期待値(E)10、およびBLOSUM62スコアリング行列を使用する(Henikoff and Henikoff, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915 [1989]を参照のこと)。配列アライメントおよび配列同一性%の例示的な決定は、提供されたデフォルトパラメータを使用して、GCG Wisconsinソフトウェアパッケージ(Accelrys、Madison WI)におけるBESTFITまたはGAPプログラムを用いることができる。
【0057】
本明細書で使用される場合、「参照配列」は、配列および/または活性の比較のための基礎として使用される定義された配列を指す。参照配列は、より大きな配列のサブセット、例えば、全長の遺伝子またはポリペプチド配列のセグメントであってもよい。一般に、参照配列は、少なくとも20ヌクレオチド長またはアミノ酸残基長、少なくとも25残基長、少なくとも50残基長、少なくとも100残基長、または全長の核酸もしくはポリペプチドである。2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、それぞれ、(1)2つの配列間で類似である配列(すなわち、完全な配列の一部)を含んでいてもよく、(2)2つの配列間で相違する配列をさらに含んでいてもよいので、2つの(またはそれより多くの)ポリヌクレオチドまたはポリペプチド間の配列比較は、典型的には、「比較ウィンドウ」に対して2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチドの配列を比較して、ローカル領域の配列類似性を特定および比較することによって行われる。一部の実施形態では、「参照配列」は、参照配列が一次配列中に1つまたは複数の変化を有することができる配列である場合、一次アミノ酸配列に基づくことができる。
【0058】
本明細書で使用される場合、「比較ウィンドウ」は、少なくとも約20の連続するヌクレオチド位置またはアミノ酸残基の概念的セグメントを指し、ここで、配列は、少なくとも20の連続するヌクレオチドまたはアミノ酸の参照配列と比較されてもよく、比較ウィンドウにおける配列の部分は、2つの配列の最適なアライメントのために参照配列(付加または欠失を含まない)と比較して20パーセントまたはそれよりも低い付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含んでいてもよい。比較ウィンドウは、20の連続する残基より長い場合があり、必要に応じて、30、40、50、100、またはそれよりも長いウィンドウを含む。
【0059】
本明細書で使用される場合、「対応する」、「参照して」および「比べて」は、所与のアミノ酸またはポリヌクレオチド配列の番号付けの文脈において使用される場合、所与のアミノ酸またはポリヌクレオチド配列を参照配列と比較した場合の特定された参照配列の残基の番号付けを指す。言い換えれば、所与のポリマーの残基番号または残基位置は、所与のアミノ酸またはポリヌクレオチド配列内の残基の実際の数的な位置によってよりもむしろ参照配列に関して指定される。例えば、操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼのアミノ酸配列などの所与のアミノ酸配列は、2つの配列間の残基のマッチを最適化するためにギャップを導入することによって、参照配列と整列させることができる。これらの場合では、ギャップは存在するが、所与のアミノ酸またはポリヌクレオチド配列中の残基の番号付けは、それを整列させた参照配列に関して行われる。
【0060】
本明細書で使用される場合、「実質的な同一性」は、少なくとも20残基位置の比較ウィンドウに対して、しばしば少なくとも30~50残基のウィンドウに対して、参照配列と比較して、少なくとも80パーセントの配列同一性、少なくとも85パーセントの同一性、少なくとも89~95パーセントの配列同一性、もしくはより通常は少なくとも99パーセントの配列同一性を有するポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列を指し、ここで、配列同一性のパーセンテージは、比較ウィンドウに対して、参照配列の合計で20パーセントまたはそれよりも少ない欠失または付加を含む配列に対して参照配列を比較することによって計算される。ポリペプチドに適用される一部の特定の実施形態では、「実質的な同一性」という用語は、デフォルトのギャップ重さを使用して、プログラムのGAPまたはBESTFITによってなど最適に整列させた場合に、2つのポリペプチド配列が、少なくとも80パーセントの配列同一性、好ましくは、少なくとも89パーセントの配列同一性、少なくとも95パーセントまたはそれより高い配列同一性(例えば、99パーセントの配列同一性)を共有することを意味する。一部の実施形態では、比較される配列中の同一でない残基位置は、保存的アミノ酸置換によって異なる。
【0061】
本明細書で使用される場合、「アミノ酸の相違」および「残基の相違」は、参照配列における対応する位置でのアミノ酸残基と比べて、ポリペプチド配列の位置でのアミノ酸残基の相違を指す。一部の場合では、参照配列は、N末端ヒスチジンタグを有し、番号付けは、N末端ヒスチジン残基を含む。アミノ酸の相違の位置は、一般に、本明細書において、「Xn」と称し、ここで、nは、残基の相違が参照配列に基づくその参照配列中の対応する位置を指す。例えば、「配列番号4と比較したX93位での残基の相違」は、配列番号4の93位に対応するポリペプチド位置でのアミノ酸残基の相違を指す。したがって、配列番号4の参照ポリペプチドが93位にセリンを有する場合、「配列番号4と比較したX93位での残基の相違」は、配列番号4の93位に対応するポリペプチドの位置でのセリン以外の任意の残基のアミノ酸置換を指す。本明細書におけるほとんどの例では、ある位置での特定のアミノ酸残基の相違は、「XnY」として示され、ここで、「Xn」は、上記に記載の対応する位置を特定し、「Y」は、操作されたポリペプチドにおいて見出されるアミノ酸の一文字識別子(すなわち、参照ポリペプチドとは異なる残基)である。一部の例では(例えば、実施例に示す表では)、本発明は、従来の表記「AnB」によって表される特定のアミノ酸の相違も提供し、ここで、Aは、参照配列における残基の一文字識別子であり、「n」は、参照配列における残基位置の番号であり、Bは、操作されたポリペプチドの配列における残基置換の一文字識別子である。一部の例では、本発明のポリペプチドは、参照配列と比べて残基の相違が存在する特定された位置のリストによって表される、参照配列と比べて1つまたは複数のアミノ酸残基の相違を含むことができる。一部の実施形態では、2つ以上のアミノ酸をポリペプチドの特定の残基位置で使用することができる場合、使用することができるさまざまなアミノ酸残基は、「/」(例えば、X307H/X307PまたはX307H/P)によって分離される。スラッシュはまた、所与のバリアント内の複数の置換を示すために使用されてもよい(すなわち、コンビナトリアルバリアントにおけるなどの所与の配列において、2つ以上の置換が存在する)。一部の実施形態では、本発明は、保存的または非保存的アミノ酸置換を含む1つまたは複数のアミノ酸の相違を含む操作されたポリペプチド配列を含む。一部の追加の実施形態では、本発明は、保存的および非保存的アミノ酸置換の両方を含む操作されたポリペプチド配列を提供する。
【0062】
本明細書で使用される場合、「保存的アミノ酸置換」は、類似の側鎖を有する異なる残基による残基の置換を指し、したがって、典型的には、同じまたは類似の定義されたアミノ酸のクラス内のアミノ酸によるポリペプチド中のアミノ酸の置換を含む。限定ではなく例として、一部の実施形態では、脂肪族側鎖を有するアミノ酸は、別の脂肪族アミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシン)で置換され;ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸は、ヒドロキシル側鎖を有する別のアミノ酸(例えば、セリンおよびトレオニン)で置換され;芳香族側鎖を有するアミノ酸は、芳香族側鎖を有する別のアミノ酸(例えば、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファンおよびヒスチジン)で置換され;塩基性側鎖を有するアミノ酸は、塩基性側鎖を有する別のアミノ酸(例えば、リシンおよびアルギニン)で置換され;酸性側鎖を有するアミノ酸は、酸性側鎖を有する別のアミノ酸(例えば、アスパラギン酸またはグルタミン酸)で置換され;および/または疎水性もしくは親水性アミノ酸は、それぞれ、別の疎水性もしくは親水性アミノ酸で置き換えられる。
【0063】
本明細書で使用される場合、「非保存的置換」は、著しく異なる側鎖の性質を有するアミノ酸によるポリペプチド中のアミノ酸の置換を指す。非保存的置換は、定義された群内よりもむしろ、群の間のアミノ酸を使用してもよく、(a)置換(例えば、グリシンについてプロリン)の領域におけるペプチド主鎖の構造、(b)電荷もしくは疎水性、または(c)側鎖のかさに影響を及ぼす。限定ではなく例として、例示的な非保存的置換は、塩基性または脂肪族アミノ酸で置換された酸性アミノ酸、小型アミノ酸で置換された芳香族アミノ酸、および疎水性アミノ酸で置換された親水性アミノ酸であり得る。
【0064】
本明細書で使用される場合、「欠失」は、参照ポリペプチドからの1つまたは複数のアミノ酸の除去によるポリペプチドへの改変を指す。欠失は、操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼ酵素の酵素活性を保持し、および/または改善された性質を保持しながら、1つもしくはそれより多くのアミノ酸、2つもしくはそれより多くのアミノ酸、5つもしくはそれより多くのアミノ酸、10もしくはそれより多くのアミノ酸、15もしくはそれより多くのアミノ酸、または20もしくはそれより多くのアミノ酸、参照酵素を構成するアミノ酸の総数の最大で10%、またはアミノ酸の総数の最大で20%の除去を含み得る。欠失は、ポリペプチドの内部部分および/または末端部分を対象とすることができる。さまざまな実施形態では、欠失は、連続するセグメントを含み得るか、または不連続であり得る。欠失は、典型的に、アミノ酸配列において「-」によって示される。
【0065】
本明細書で使用される場合、「挿入」は、参照ポリペプチドへの1つまたは複数のアミノ酸の付加によるポリペプチドへの改変を指す。挿入は、ポリペプチドの内部部分にあり得るか、またはカルボキシ末端もしくはアミノ末端にあり得る。本明細書で使用される挿入は、当技術分野において公知の融合タンパク質を含む。挿入は、アミノ酸の連続するセグメントであり得るか、または天然に存在するポリペプチドにおいて1つまたは複数のアミノ酸によって分離され得る。
【0066】
「アミノ酸置換セット」または「置換セット」という用語は、参照配列と比較して、ポリペプチド配列中のアミノ酸置換の群を指す。置換セットは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15またはそれよりも多くのアミノ酸置換を有することができる。一部の実施形態では、置換セットは、実施例において提供される表に列挙されたバリアントヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼのいずれかに存在するアミノ酸置換のセットを指す。
【0067】
「機能的断片」および「生物活性断片」は、本明細書において互換可能に使用され、アミノ末端および/またはカルボキシ末端の欠失(複数可)および/または内部欠失を有するが、残りのアミノ酸配列が、それが比較される配列(例えば、本発明の全長の操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼ)における対応する部分と同一であり、全長ポリペプチドの活性の実質的にすべてを保持する、ポリペプチドを指す。
【0068】
本明細書で使用される場合、「単離されたポリペプチド」は、天然で付随する他の夾雑物(例えば、タンパク質、脂質およびポリヌクレオチド)から実質的に分離されているポリペプチドを指す。この用語は、それらの天然に存在する環境または発現系(例えば、宿主細胞内またはin vitro合成を介して)から除去されているか、または精製されているポリペプチドを包含する。組換えヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼポリペプチドは、細胞内に存在していてもよく、細胞培地に存在していてもよく、または溶解物もしくは単離された調製物などのさまざまな形態で調製されてもよい。このように、一部の実施形態では、組換えヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼポリペプチドは、単離されたポリペプチドであり得る。
【0069】
本明細書で使用される場合、「実質的に純粋なポリペプチド」または「精製されたタンパク質」は、ポリペプチド種が存在する主たる種である組成物を指し(すなわち、モル濃度または重量に基づいて、それが組成物において任意の他の個々の高分子種より豊富である)、一般に、目的の種がモルまたは重量%によって、存在する高分子種の少なくとも約50パーセントを構成する場合、実質的に精製された組成物である。しかしながら、一部の実施形態では、ヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼを含む組成物は、50%未満(例えば、約10%、約20%、約30%、約40%、または約50%)純粋であるヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼを含む。一般に、実質的に純粋なヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼ組成物は、組成物中に存在するモルまたは重量%ですべての高分子種の約60%またはそれより多く、約70%またはそれより多く、約80%またはそれより多く、約90%またはそれより多く、約95%またはそれより多く、および約98%またはそれより多くを構成する。一部の実施形態では、目的の種は、本質的に均一まで精製され(すなわち、夾雑種が従来の検出法によって組成物中で検出することができない)、ここで、組成物は、単一の高分子種から本質的になる。溶媒種、小型分子(<500ダルトン)および元素イオン種は、高分子種とは見なさない。一部の実施形態では、単離された組換えヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼポリペプチドは、実質的に純粋なポリペプチド組成物である。
【0070】
本明細書で使用される場合、「改善された酵素の性質」は、酵素の少なくとも1つの改善された性質を指す。一部の実施形態では、本発明は、参照ヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼポリペプチド、および/または野生型ヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼポリペプチド、および/または別の操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼポリペプチドと比較して、任意の酵素の性質の改善を示す操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼポリペプチドを提供する。したがって、「改善」のレベルは、野生型だけでなく操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼを含む、さまざまなヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼポリペプチドの間で決定および比較することができる。改善された性質としては、限定されるものではないが、増加したタンパク質発現、増加した熱活性、増加した熱安定性、増加したpH活性、増加した安定性、増加した酵素活性、増加した基質特異性もしくは親和性、増加した比活性、基質または最終生成物の阻害に対する増加した耐性、増加した化学安定性、改善された化学選択性、改善された溶媒安定性、酸性pHに対する増加した許容性、タンパク質分解活性に対する増加した許容性(すなわち、タンパク質分解に対する低減された感受性)、低減された凝集、増加した溶解度、および変更された温度プロファイルなどの性質が挙げられる。追加の実施形態では、この用語は、ヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼ酵素の少なくとも1つの改善された性質に関連して使用される。一部の実施形態では、本発明は、参照ヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼポリペプチド、および/または野生型ヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼポリペプチド、および/または別の操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼポリペプチドと比較して、任意の酵素の性質の改善を示す操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼポリペプチドを提供する。したがって、「改善」のレベルは、野生型だけでなく操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼを含む、さまざまなヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼポリペプチドの間で決定および比較することができる。
【0071】
本明細書で使用される場合、「増加した酵素活性」および「増強された触媒活性」は、操作されたポリペプチドの改善された性質を指し、これは、参照酵素と比較して、比活性(例えば、生成した生成物/時間/重量タンパク質)の増加、または基質の生成物への変換パーセント(例えば、特定の量の酵素を使用して特定の期間での開始量の基質の生成物への変換パーセント)の増加によって表すことができる。一部の実施形態では、この用語は、本明細書に提供される操作されたpヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼポリペプチドの改善された性質を指し、これは、参照ヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼ酵素と比較して、比活性(例えば、生成した生成物/時間/重量タンパク質)の増加、または基質の生成物への変換パーセント(例えば、特定の量のヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼを使用して特定の期間での開始量の基質の生成物への変換パーセント)の増加によって表すことができる。一部の実施形態では、この用語は、本明細書に提供される改善されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼ酵素に関連して使用される。本発明の操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼの酵素活性を決定する例示的な方法を実施例に提供する。K、Vmaxまたはkcatの古典的な酵素の性質を含む、酵素活性に関する任意の性質は影響を受け得、その変化が増加した酵素活性をもたらし得る。例えば、酵素活性の改善は、対応する野生型酵素の酵素活性の約1.1倍から、天然に存在するヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼまたはヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼポリペプチドが由来する別の操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼよりも2倍、5倍、10倍、20倍、25倍、50倍、75倍、100倍、150倍、200倍、またはそれより高い酵素活性であり得る。
【0072】
本明細書で使用される場合、「変換」は、基質(複数可)の対応する生成物(複数可)への酵素的変換(または生体内変換)を指す。「変換パーセント」は、特定の条件下で一定の期間内に生成物に変換される基質のパーセントを指す。したがって、ヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼポリペプチドの「酵素活性」または「活性」は、特定の期間での基質の生成物への「変換パーセント」として表すことができる。
【0073】
「万能の性質」を有する酵素(または「万能酵素」)は、親配列と比較して、広範囲の基質について改善された活性を示す酵素を指す。万能酵素は、すべての可能性がある基質について改善された活性を必ずしも実証する必要はない。一部の実施形態では、本発明は、それらが広範囲の立体的および電子的に多様な基質について親遺伝子と比べて、類似または改善された活性を実証するという点で、万能の性質を有するヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼバリアントを提供する。加えて、本明細書に提供される万能酵素は、代謝物/生成物の生成を増加させるために広範囲の多様な分子にわたって改善されるように操作された。
【0074】
「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」という用語は、本明細書において、その条件の下で核酸ハイブリッドが安定である条件を指す。当業者に公知であるように、ハイブリッドの安定性は、ハイブリッドの融解温度(T)に反映される。一般に、ハイブリッドの安定性は、イオン強度、温度、G/C含量、およびカオトロピック剤の存在の関数である。ポリヌクレオチドについてのT値は、融解温度を予測するための公知の方法を使用して計算することができる(例えば、Baldino et al., Meth. Enzymol., 168:761-777 [1989];Bolton et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 48:1390 [1962];Bresslauer et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83:8893-8897 [1986];Freier et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83:9373-9377 [1986];Kierzek et al., Biochem., 25:7840-7846 [1986];Rychlik et al., Nucl. Acids Res., 18:6409-6412 [1990] (erratum, Nucl. Acids Res., 19:698 [1991]);Sambrook et al.、上記);Suggs et al., 1981, in Developmental Biology Using Purified Genes, Brown et al. [eds.], pp. 683-693, Academic Press, Cambridge, MA [1981];およびWetmur, Crit. Rev. Biochem. Mol. Biol. 26:227-259 [1991]を参照のこと)。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、本明細書に開示されるポリペプチドをコードし、中ストリンジェントまたは高ストリンジェントな条件などの定義された条件下で、本発明の操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼ酵素をコードする配列の相補体とハイブリダイズする。
【0075】
本明細書で使用される場合、「ハイブリダイゼーションのストリンジェンシー」は、核酸のハイブリダイゼーションにおける洗浄条件などのハイブリダイゼーション条件に関する。一般に、ハイブリダイゼーション反応は、より低いストリンジェンシーの条件下で行われ、続いて、多様であるが、より高いストリンジェンシーの洗浄を行う。「中ストリンジェントなハイブリダイゼーション」という用語は、標的DNAを、標的ポリヌクレオチドに対して約90%よりも高い同一性で、標的DNAに対して約60%の同一性、好ましくは、約75%の同一性、約85%の同一性を有する相補的核酸に結合することを可能にする条件を指す。例示的な中ストリンジェントな条件は、50%のホルムアミド、5×デンハルト溶液、5×SSPE、0.2%のSDS中、42℃でのハイブリダイゼーション、続いて、0.2×SSPE、0.2%のSDS中、42℃での洗浄と同等の条件である。「高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション」は、一般に、定義されたポリヌクレオチド配列のための溶液条件下で決定された熱融解温度Tから約10℃またはそれより低い条件を指す。一部の実施形態では、高ストリンジェンシー条件は、0.018MのNaCl中、65℃で安定なハイブリッドを形成する核酸配列のみのハイブリダイゼーションを可能にする条件を指す(すなわち、ハイブリッドが、0.018MのNaCl中、65℃で安定ではない場合、これは、本明細書において企図されるように、高ストリンジェンシー条件下で安定ではない)。高ストリンジェンシー条件は、例えば、50%のホルムアミド、5×デンハルト溶液、5×SSPE、0.2%のSDS、42℃と同等の条件でのハイブリダイゼーション、続いて、0.1×SSPE、および0.1%のSDS中、65℃での洗浄によって提供され得る。別の高ストリンジェンシー条件は、0.1%(w/v)のSDSを含有する5×SSC中、65℃でのハイブリダイズと同等の条件でハイブリダイズすること、および0.1%のSDSを含有する0.1×SSC中、65℃で洗浄することである。他の高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件および中ストリンジェントな条件は、上記で引用した参考文献に記載されている。
【0076】
本明細書で使用される場合、「コドン最適化」は、コードされるタンパク質が目的の生物において効率的に発現されるように、タンパク質をコードするポリヌクレオチドのコドンの、特定の生物において優先的に使用されるコドンへの変化を指す。遺伝コードは、ほとんどのアミノ酸が、「同義」または「同義の」コドンと呼ばれるいくつかのコドンによって表されるという点において縮重しているが、特定の生物によるコドン使用頻度は、ランダムではなく、特定のコドントリプレットの方に偏っていることは周知である。このコドン使用頻度バイアスは、所与の遺伝子、共通の機能または先祖起源の遺伝子、低コピー数タンパク質に対する高度に発現されるタンパク質、および生物のゲノムの凝集タンパク質コード領域に関連してより高くてもよい。一部の実施形態では、ヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼ酵素をコードするポリヌクレオチドは、発現のために選択される宿主生物における最適な産生のためにコドン最適化されてもよい。
【0077】
本明細書で使用される場合、「好ましい」、「最適な」および「高いコドン使用頻度バイアス」コドンは、単独または組み合わせて使用される場合、同じアミノ酸をコードする他のコドンより高い頻度でタンパク質コード領域において使用されるコドンを互換可能に指す。好ましいコドンは、単一の遺伝子、共通の機能もしくは起源の遺伝子のセット、高度に発現された遺伝子におけるコドン使用頻度、生物全体の凝集タンパク質コード領域におけるコドン頻度、関連する生物の凝集タンパク質コード領域におけるコドン頻度、またはそれらの組合せに関して決定され得る。その頻度が遺伝子発現のレベルと共に増加するコドンは、典型的には、発現のために最適なコドンである。コドン頻度(例えば、コドン使用頻度、相対的に同義のコドン使用頻度)および特定の生物におけるコドン選好、および遺伝子において使用されるコドンの有効数を決定するためには、例えば、クラスター分析または対応分析を使用する多変量解析を含む種々の方法が公知である(例えば、GCG CodonPreference, Genetics Computer Group Wisconsin Package;CodonW, Peden, University of Nottingham;McInerney, Bioinform., 14:372-73 [1998];Stenico et al., Nucl. Acids Res., 222437-46 [1994];およびWright, Gene 87:23-29 [1990]を参照のこと)。コドン使用頻度の表は、多くの異なる生物について利用可能である(例えば、Wada et al., Nucl. Acids Res., 20:2111-2118 [1992];Nakamura et al., Nucl. Acids Res., 28:292 [2000];Duret, et al.、上記;Henaut and Danchin, in Escherichia coli and Salmonella, Neidhardt, et al. (eds.), ASM Press, Washington D.C., p. 2047-2066 [1996]を参照のこと)。コドン使用頻度を得るためのデータソースは、タンパク質についてコードする能力を有する任意の利用可能なヌクレオチド配列に依拠し得る。これらのデータセットは、発現されるタンパク質をコードすることが実際に公知である核酸配列(例えば、完全なタンパク質コード配列-CDS)、発現される配列タグ(ESTS)、またはゲノム配列の予想されるコード領域を含む(例えば、Mount, Bioinformatics: Sequence and Genome Analysis, Chapter 8, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. [ 2001];Uberbacher, Meth. Enzymol., 266:259-281 [1996];およびTiwari et al., Comput. Appl. Biosci., 13:263-270 [1997]を参照のこと)。
【0078】
本明細書で使用される場合、「制御配列」は、本発明のポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドの発現のために必要であるか、または有利であるすべての構成要素を含む。それぞれの制御配列は、ポリペプチドをコードする核酸配列に対して、ネイティブまたは外来性であり得る。そのような制御配列としては、限定されるものではないが、リーダー、ポリアデニル化配列、プロペプチド配列、プロモーター配列、シグナルペプチド配列、開始配列および転写ターミネーターが挙げられる。最低でも、制御配列は、プロモーター、ならびに転写および翻訳停止シグナルを含む。制御配列は、制御配列とポリペプチドをコードする核酸配列のコード領域とのライゲーションを容易にする特異的制限部位を導入する目的で、リンカーを備えていてもよい。
【0079】
「作動可能に連結された」は、本明細書において、制御配列が、目的のポリヌクレオチドおよび/もしくはポリペプチドの発現を指示または調節するように、制御配列が、目的のポリヌクレオチドに対する位置で適切に(すなわち、機能的な関係で)配置される配置として定義される。
【0080】
「プロモーター配列」は、コード配列などの目的のポリヌクレオチドの発現のために宿主細胞によって認識される核酸配列を指す。プロモーター配列は、目的のポリヌクレオチドの発現を媒介する転写制御配列を含有する。プロモーターは、変異体、切断型およびハイブリッドプロモーターを含む、選り抜きの宿主細胞において転写活性を示す任意の核酸配列であってもよく、宿主細胞に対して同種もしくは異種のいずれかである細胞外または細胞内ポリペプチドをコードする遺伝子から得られ得る。
【0081】
「適切な反応条件」という語句は、本発明のヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼポリペプチドが、基質を所望の生成物化合物に変換することができる酵素的変換反応溶液における条件(例えば、酵素添加量、基質添加量、温度、pH、緩衝液、共溶媒の範囲など)を指す。一部の例示的な「適切な反応条件」を本明細書に提供する。
【0082】
本明細書で使用される場合、「化合物添加量」または「酵素添加量」におけるなどの「添加量」は、反応の開始時の反応混合物中の成分の濃度または量を指す。
【0083】
本明細書で使用される場合、酵素変換反応プロセスの文脈における「基質」は、本明細書に提供される操作された酵素(例えば、操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼポリペプチド)が作用する化合物または分子を指す。
【0084】
本明細書で使用される場合、反応からの生成物(例えば、デオキシリボースリン酸アナログ)の収率を「増加させること」は、反応の間に存在する特定の成分(例えば、ヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼ酵素)が、同じ基質および他の置換基を用いるが、目的の成分が非存在の同じ条件下で実施される反応と比較して、より多くの生成物を生成させる。
【0085】
反応は、反応の触媒に関与する他の酵素と比較して、その酵素の量が、約2%未満、約1%未満、または約0.1%(wt/wt)未満である場合に、特定の酵素を「実質的に含まない」と言う。
【0086】
本明細書で使用される場合、液体(例えば、培養ブロス)を「分画すること」は、分離プロセス(例えば、塩析、カラムクロマトグラフィー、サイズ排除、および濾過)またはそのようなプロセスの組合せを適用して、所望のタンパク質が、最初の液体生成物よりも溶液中で総タンパク質のより大きいパーセンテージを構成する溶液を提供することを意味する。
【0087】
本明細書で使用される場合、「出発組成物」は、少なくとも1つの基質を含む任意の組成物を指す。一部の実施形態では、出発組成物は、任意の適切な基質を含む。
【0088】
本明細書で使用される場合、酵素変換プロセスの文脈における「生成物」は、基質に対する酵素的ポリペプチドの作用から生じる化合物または分子を指す。
【0089】
本明細書で使用される場合、本明細書で使用される「平衡」は、化学反応または酵素反応の順方向速度定数および逆方向速度定数によって決定される、立体異性体の相互変換を含む、化学反応または酵素反応(例えば、AおよびBの2つの種の相互変換)において化学種の定常状態の濃度をもたらすプロセスを指す。
【0090】
本明細書で使用される場合、「アルキル」は、直鎖状または分枝状のいずれかの両端を含めて1~18個の炭素原子、より好ましくは、両端を含めて1~8個の炭素原子、最も好ましくは、両端を含めて1~6個の炭素原子の飽和炭化水素基を指す。特定の数の炭素原子を有するアルキルは、括弧内に示す(例えば、(C1~C4)アルキルは1~4個の炭素原子のアルキルを指す)。
【0091】
本明細書で使用される場合、「アルケニル」は、少なくとも1つの二重結合を含有するが、必要に応じて2つ以上の二重結合を含有する、直鎖状または分枝状のいずれかの両端を含めて2~12個の炭素原子の基を指す。
【0092】
本明細書で使用される場合、「アルキニル」は、少なくとも1つの三重結合を含有するが、必要に応じて2つ以上の三重結合を含有し、追加で必要に応じて1つまたは複数の二重結合部分を含有する、直鎖状または分枝状のいずれかの両端を含めて2~12個の炭素原子の基を指す。
【0093】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアルキル」、「ヘテロアルケニル」および「ヘテロアルキニル」は、1つまたは複数の炭素原子がそれぞれ独立して、同じもしくは異なるヘテロ原子またはヘテロ原子基で置き換えられる、本明細書で定義されるアルキル、アルケニルおよびアルキニルを指す。炭素原子を置き換え得るヘテロ原子および/またはヘテロ原子基としては、限定されるものではないが、-O-、-S-、-S-O-、-NRα-、-PH-、-S(O)-、-S(O)2-、-S(O)NRα-、-S(O)2NRα-など(それらの組合せを含む)を含み、式中、それぞれのRαは、水素、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから独立して選択される。
【0094】
本明細書で使用される場合、「アルコキシ」は、基-ORβを指し、式中、Rβは、本明細書でも定義される必要に応じて置換されたアルキル基を含む、上記で定義される通りのアルキル基である。
【0095】
本明細書で使用される場合、「アリール」は、単環(例えば、フェニル)または複数の縮合環(例えば、ナフチルまたはアントリル)を有する両端を含めて6~12個の炭素原子の不飽和芳香族炭素環式基を指す。例示的なアリールとしては、フェニル、ピリジル、ナフチルなどが挙げられる。
【0096】
本明細書で使用される場合、「アミノ」は、基-NH2を指す。置換アミノは、基-NHRδ、NRδRδ、およびNRδRδRδを指し、式中、それぞれのRδは、置換または無置換の、アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アシル、アルコキシカルボニル、スルファニル、スルフィニル、スルホニルなどから独立して選択される。典型的なアミノ基としては、限定されるが(but are limited to)、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、メチルスルホニルアミノ、フラニル-オキシ-スルファミノなどが挙げられる。
【0097】
本明細書で使用される場合、「オキソ」は、=Oを指す。
【0098】
本明細書で使用される場合、「オキシ」は、エーテルおよびエステルを含む異なるオキシ基を形成するためにさまざまな置換基を有していてもよい、二価の基の-O-を指す。
【0099】
本明細書で使用される場合、「カルボキシ」は、-COOHを指す。
【0100】
本明細書で使用される場合、「カルボニル」は、酸、酸ハロゲン化物、アルデヒド、アミド、エステルおよびケトンを含む異なるカルボニル基を形成するために種々の置換基を有していてもよい、-C(O)-を指す。
【0101】
本明細書で使用される場合、「アルコキシカルボニル」は、-C(O)ORεを指し、式中、Rεは、必要に応じて置換され得る本明細書に定義されるアルキル基である。
【0102】
本明細書で使用される場合、「アミノカルボニル」は、-C(O)NH2を指す。置換アミノカルボニルは、-C(O)NRδRδを指し、式中、アミノ基NRδRδは、本明細書に定義される通りである。
【0103】
本明細書で使用される場合、「ハロゲン」および「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを指す。
【0104】
本明細書で使用される場合、「ヒドロキシ」は、-OHを指す。
【0105】
本明細書で使用される場合、「シアノ」は、-CNを指す。
【0106】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール」は、環内に両端を含めて1~10個の炭素原子、ならびに酸素、窒素、および硫黄から選択される両端を含めて1~4個のヘテロ原子の芳香族複素環式基を指す。そのようなヘテロアリール基は、単環(例えば、ピリジルまたはフリル)または複数の縮合環(例えば、インドリジニルまたはベンゾチエニル)を有することができる。
【0107】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリールアルキル」は、好ましくは、アルキル部分に両端を含めて1~6個の炭素原子、およびヘテロアリール部分に両端を含めて5~12個の環原子を有する、ヘテロアリールで置換されたアルキル(すなわち、ヘテロアリール-アルキル基)を指す。そのようなヘテロアリールアルキル基は、ピリジルメチルなどによって例示される。
【0108】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリールアルケニル」は、好ましくは、アルケニル部分に両端を含めて2~6個の炭素原子、およびヘテロアリール部分に両端を含めて5~12個の環原子を有する、ヘテロアリールで置換されたアルケニル(すなわち、ヘテロアリール-アルケニル基)を指す。
【0109】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリールアルキニル」は、好ましくは、アルキニル部分に両端を含めて2~6個の炭素原子、およびヘテロアリール部分に両端を含めて5~12個の環原子を有する、ヘテロアリールで置換されたアルキニル(すなわち、ヘテロアリール-アルキニル基)を指す。
【0110】
本明細書で使用される場合、「複素環」、「複素環式」、および互換可能に「ヘテロシクロアルキル」は、環内に両端を含めて2~10個の炭素環原子、および窒素、硫黄または酸素から選択される両端を含めて1~4個のヘテロ環(hetero ring)原子の単環または複数の縮合環を有する飽和または不飽和の基を指す。そのような複素環式基は、単環(例えば、ピペリジニルまたはテトラヒドロフリル)または複数の縮合環(例えば、インドリニル、ジヒドロベンゾフランまたはキヌクリジニル)を有することができる。複素環の例としては、限定されるものではないが、フラン、チオフェン、チアゾール、オキサゾール、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチルピリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、イソチアゾール、フェナジン、イソキサゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、インドリンなどが挙げられる。
【0111】
本明細書で使用される場合、「員環」は、任意の環状構造を包含することを意味する。「員」という用語に先行する数字は、環を構成する骨格原子の数を表す。したがって、例えば、シクロヘキシル、ピリジン、ピランおよびチオピランは、6員環であり、シクロペンチル、ピロール、フランおよびチオフェンは、5員環である。
【0112】
他に規定のない限り、前述の基において水素によって占められる位置は、限定されるものではないが、ヒドロキシ、オキソ、ニトロ、メトキシ、エトキシ、アルコキシ、置換アルコキシ、トリフルオロメトキシ、ハロアルコキシ、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、ハロ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、アルキル、アルケニル、アルキニル、置換アルキル、トリフルオロメチル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、チオ、アルキルチオ、アシル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、カルボキサミド、置換カルボキサミド、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニルアミノ、スルホンアミド、置換スルホンアミド、シアノ、アミノ、置換アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノアルキル、アシルアミノ、アミジノ、アミドキシモ(amidoximo)、ヒドロキサモイル、フェニル、アリール、置換アリール、アリールオキシ、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ピリジル、イミダゾリル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキルアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリノ、複素環、(複素環)オキシおよび(複素環)アルキルによって例示される置換基でさらに置換され得、好ましいヘテロ原子は、酸素、窒素および硫黄である。開放原子価がこれらの置換基上に存在する場合、開放原子価がアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基および/または複素環基でさらに置換され得ること、これらの開放原子価が炭素上に存在する場合、開放原子価がハロゲンによっておよび酸素、窒素、または硫黄に結合した置換基によってさらに置換され得ること、ならびに複数のそのような開放原子価が存在する場合、結合の直接形成または新たなヘテロ原子、好ましくは、酸素、窒素または硫黄への結合の形成のいずれかによって、これらの基が、結合して環を形成することができることが理解される。置換基による水素の置き換えが、本発明の分子が許容されない不安定性を導入せず、そうでなければ化学的に妥当であるという条件で、上記置換を行うことができることがさらに理解される。
【0113】
本明細書で使用される場合、「培養する」という用語は、任意の適切な条件下で(例えば、液体、ゲルまたは固体培地を使用する)、微生物細胞の集団を成長させることを指す。
【0114】
組換えポリペプチドは、当技術分野において公知の任意の適切な方法を使用して産生させることができる。目的の野生型ポリペプチドをコードする遺伝子は、プラスミドなどのベクターにおいてクローニングすることができ、E.coliなどのような所望の宿主において発現させることができる。組換えポリペプチドのバリアントは、当技術分野において公知のさまざまな方法によって生成することができる。実際に、当業者に周知である広範な異なる変異誘発技法がある。加えて、変異誘発キットは、多くの商業的分子生物学供給業者から入手可能でもある。定義されたアミノ酸での特定の置換(部位指向的)、遺伝子の局所領域における特異的もしくはランダム変異(領域特異的)、または全遺伝子にわたるランダム変異誘発(例えば、飽和変異誘発)を行うための方法が利用可能である。限定されるものではないが、PCRを使用する一本鎖DNAまたは二本鎖DNAの部位指向的変異誘発、カセット変異誘発、遺伝子合成、エラープローンPCR、シャッフリング、および化学的飽和変異誘発、または当技術分野において公知の任意の他の適切な方法を含む、酵素バリアントを生成するための多数の適切な方法が当業者に公知である。変異誘発および指向進化法を、酵素をコードするポリヌクレオチドに容易に適用して、発現させ、スクリーニングし、アッセイすることができるバリアントライブラリーを生成することができる。任意の適切な変異誘発および指向進化法は、本発明において使用され、当技術分野において周知である(例えば、米国特許第5,605,793号、同第5,811,238号、同第5,830,721号、同第5,834,252号、同第5,837,458号、同第5,928,905号、同第6,096,548号、同第6,117,679号、同第6,132,970号、同第6,165,793号、同第6,180,406号、同第6,251,674号、同第6,265,201号、同第6,277,638号、同第6,287,861号、同第6,287,862号、同第6,291,242号、同第6,297,053号、同第6,303,344号、同第6,309,883号、同第6,319,713号、同第6,319,714号、同第6,323,030号、同第6,326,204号、同第6,335,160号、同第6,335,198号、同第6,344,356号、同第6,352,859号、同第6,355,484号、同第6,358,740号、同第6,358,742号、同第6,365,377号、同第6,365,408号、同第6,368,861号、同第6,372,497号、同第6,337,186号、同第6,376,246号、同第6,379,964号、同第6,387,702号、同第6,391,552号、同第6,391,640号、同第6,395,547号、同第6,406,855号、同第6,406,910号、同第6,413,745号、同第6,413,774号、同第6,420,175号、同第6,423,542号、同第6,426,224号、同第6,436,675号、同第6,444,468号、同第6,455,253号、同第6,479,652号、同第6,482,647号、同第6,483,011号、同第6,484,105号、同第6,489,146号、同第6,500,617号、同第6,500,639号、同第6,506,602号、同第6,506,603号、同第6,518,065号、同第6,519,065号、同第6,521,453号、同第6,528,311号、同第6,537,746号、同第6,573,098号、同第6,576,467号、同第6,579,678号、同第6,586,182号、同第6,602,986号、同第6,605,430号、同第6,613,514号、同第6,653,072号、同第6,686,515号、同第6,703,240号、同第6,716,631号、同第6,825,001号、同第6,902,922号、同第6,917,882号、同第6,946,296号、同第6,961,664号、同第6,995,017号、同第7,024,312号、同第7,058,515号、同第7,105,297号、同第7,148,054号、同第7,220,566号、同第7,288,375号、同第7,384,387号、同第7,421,347号、同第7,430,477号、同第7,462,469号、同第7,534,564号、同第7,620,500号、同第7,620,502号、同第7,629,170号、同第7,702,464号、同第7,747,391号、同第7,747,393号、同第7,751,986号、同第7,776,598号、同第7,783,428号、同第7,795,030号、同第7,853,410号、同第7,868,138号、同第7,783,428号、同第7,873,477号、同第7,873,499号、同第7,904,249号、同第7,957,912号、同第7,981,614号、同第8,014,961号、同第8,029,988号、同第8,048,674号、同第8,058,001号、同第8,076,138号、同第8,108,150号、同第8,170,806号、同第8,224,580号、同第8,377,681号、同第8,383,346号、同第8,457,903号、同第8,504,498号、同第8,589,085号、同第8,762,066号、同第8,768,871号、同第9,593,326号およびすべての関連する米国特許、ならびにPCTおよび米国以外の対応特許;Ling et al., Anal. Biochem., 254(2):157-78 [1997];Dale et al., Meth. Mol. Biol., 57:369-74 [1996];Smith, Ann. Rev. Genet., 19:423-462 [1985];Botstein et al., Science, 229:1193-1201 [1985];Carter, Biochem. J., 237:1-7 [1986];Kramer et al., Cell, 38:879-887 [1984];Wells et al., Gene, 34:315-323 [1985];Minshull et al., Curr. Op. Chem. Biol., 3:284-290 [1999];Christians et al., Nat. Biotechnol., 17:259-264 [1999];Crameri et al., Nature, 391:288-291 [1998];Crameri, et al., Nat. Biotechnol., 15:436-438 [1997];Zhang et al., Proc. Nat. Acad. Sci. U.S.A., 94:4504-4509 [1997];Crameri et al., Nat. Biotechnol., 14:315-319 [1996];Stemmer, Nature, 370:389-391 [1994];Stemmer, Proc. Nat. Acad. Sci. USA, 91:10747-10751 [1994];国際公開第95/22625号;国際公開第97/0078号;国際公開第97/35966号;国際公開第98/27230号;国際公開第00/42651号;国際公開第01/75767号;および国際公開第2009/152336号を参照のこと、これらのすべては参照によって本明細書に組み込まれる)。
【0115】
一部の実施形態では、変異誘発処理後に得られた酵素クローンは、酵素調製物を規定の温度(または他のアッセイ条件)に付すこと、および熱処理または他の適切なアッセイ条件後に残った酵素活性の量を測定することによってスクリーニングされる。次いで、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するクローンを、遺伝子から単離し、配列決定して、ヌクレオチド配列の変化(もしあれば)を特定し、宿主細胞において酵素を発現させるために使用する。発現ライブラリーから酵素活性を測定することは、当技術分野において公知の任意の適切な方法(例えば、HPLC分析などの標準的な生化学技法)を使用して行うことができる。
【0116】
バリアントが産生した後、それらは、任意の所望の性質(例えば、高いもしくは増加した活性、または低いもしくは低減された活性、増加した熱活性、増加した熱安定性、および/または酸性pH安定性など)についてスクリーニングすることができる。一部の実施形態では、「組換えヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼポリペプチド」(本明細書において「操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼポリペプチド」、「バリアントヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼ酵素」、「ヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼバリアント」および「ヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼコンビナトリアルバリアント」とも称する)が使用される。一部の実施形態では、「組換えヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼポリペプチド」(「操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼポリペプチド」、「バリアントヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼ酵素」、「ヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼバリアント」および「ヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼコンビナトリアルバリアント」とも称する)が使用される。
【0117】
本明細書で使用される場合、「ベクター」は、DNA配列を細胞に導入するためのDNA構築物である。一部の実施形態では、ベクターは、適切な宿主において、DNA配列におけるコードされるポリペプチドの発現をもたらす能力を有する適切な制御配列に作動可能に連結された発現ベクターである。一部の実施形態では、「発現ベクター」は、宿主細胞において発現を駆動するためにDNA配列(例えば、導入遺伝子)に作動可能に連結されたプロモーター配列を有し、一部の実施形態では、転写ターミネーター配列も含む。
【0118】
本明細書で使用される場合、「発現」という用語は、限定されるものではないが、転写、転写後修飾、翻訳および翻訳後修飾を含む、ポリペプチドの産生に関与する任意のステップを含む。一部の実施形態では、この用語は、細胞からのポリペプチドの分泌も包含する。
【0119】
本明細書で使用される場合、「産生する」という用語は、細胞によるタンパク質および/または他の化合物の産生を指す。この用語は、限定されるものではないが、転写、転写後修飾、翻訳および翻訳後修飾を含む、ポリペプチドの産生に関与する任意のステップを包含することが意図される。一部の実施形態では、この用語は、細胞からのポリペプチドの分泌も包含する。
【0120】
本明細書で使用される場合、アミノ酸またはヌクレオチド配列(例えば、プロモーター配列、シグナルペプチド、ターミネーター配列など)は、2つの配列が天然で会合していない場合、それが作動可能に連結している別の配列に対して「異種」である。例えば、「異種ポリヌクレオチド」は、実験技法によって宿主細胞に導入される任意のポリヌクレオチドであり、宿主細胞から取り出され、実験操作に付され、次いで、宿主細胞に再導入されるポリヌクレオチドを含む。
【0121】
本明細書で使用される場合、「宿主細胞」および「宿主株」という用語は、本明細書に提供されるDNA(例えば、ヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼバリアントをコードするポリヌクレオチド)を含む発現ベクターのための適切な宿主を指す。一部の実施形態では、宿主細胞は、当技術分野において公知である組換えDNA技法を使用して構築されたベクターで形質転換されたか、もしくはトランスフェクトされた、原核細胞または真核細胞である。
【0122】
「アナログ」という用語は、参照ポリペプチドに対して70%より高い配列同一性であるが、100%未満の配列同一性(例えば、75%、78%、80%、83%、85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%より高い配列同一性)を有するポリペプチドを意味する。一部の実施形態では、アナログは、限定されるものではないが、ホモアルギニン、オルニチンおよびノルバリンを含む、1つまたは複数の天然に存在しないアミノ酸残基、ならびに天然に存在するアミノ酸を含有するポリペプチドを意味する。一部の実施形態では、アナログは、1つまたは複数のD-アミノ酸残基、および2つまたはそれより多くのアミノ酸残基の間に非ペプチド結合も含む。アナログという用語はまた、別の化合物の構造に類似するが、例えば、天然置換基または基の非天然置換基または基での置換を含み得る、1つまたは複数の相違を有する化学構造を指すために使用され得る。
【0123】
「有効量」という用語は、所望の結果をもたらすために十分な量を意味する。当業者は、慣例の実験を使用することによって、有効量を決定し得る。
【0124】
「単離された」および「精製された」という用語は、それが天然に会合する少なくとも1つの他の成分から除去された分子(例えば、単離された核酸、ポリペプチドなど)または他の成分を指すために使用される。「精製された」という用語は、絶対純度は必要とせず、むしろこれは相対的な定義として意図される。
【0125】
本明細書で使用される場合、「立体選択性」は、別の立体異性体に対して1つの立体異性体の化学反応または酵素反応における優先的な形成を指す。立体選択性は、1つの立体異性体の形成が他の立体異性体より好ましい場合、部分的であり得るか、または唯一の立体異性体が形成される場合、完全であり得る。立体異性体がエナンチオマーである場合、立体選択性は、エナンチオ選択性と称され、両方の和における1つのエナンチオマーの画分(典型的には、パーセンテージとして報告される)である。あるいは、これは、通常、式[主たるエナンチオマー-少量のエナンチオマー]/[主たるエナンチオマー+少量のエナンチオマー]に従って、それらから計算されたエナンチオマー過剰率([e.e.])として(典型的にパーセンテージとして)、当技術分野において報告される。立体異性体がジアステレオ異性体である場合、立体選択性は、ジアステレオ選択性と称され、2つのジアステレオマーの混合物における1つのジアステレオマーの画分(典型的には、パーセンテージとして報告される)であり、あるいは、通常、ジアステレオマー過剰率(「d.e.」)として報告される。エナンチオマー過剰率およびジアステレオマー過剰率は、立体異性体過剰率の種類である。
【0126】
本明細書で使用される場合、「位置選択性」および「位置選択的反応」は、結合の形成または切断の1つの方向が、すべての他の可能な方向に対して優先的に起こる反応を指す。反応は、判別が完全である場合、完全に(100%)位置選択的であり得、1つの部位の反応の生成物が他の部位での反応の生成物に対して優勢である場合、実質的に位置選択的(少なくとも75%)、または部分的に位置選択的(x%、ここで、パーセンテージは、目的の反応に依存して設定される)であり得る。
【0127】
本明細書で使用される場合、「化学選択性」は、別の生成物に対して1つの生成物の化学反応または酵素反応における優先的な形成を指す。
【0128】
本明細書で使用される場合、「pH安定な」とは、高いまたは低いpH(例えば、4.5~6、または8~12)に一定期間(例えば、0.5~24時間)曝露後に、未処理の酵素と比較して、類似の活性(例えば、60%~80%より高い)を維持するヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼポリペプチドを指す。
【0129】
本明細書で使用される場合、「熱安定な」とは、上昇した温度(例えば、40~80℃)に一定期間(例えば、0.5~24時間)曝露後に、同じ上昇した温度に曝露された野生型酵素と比較して、類似の活性(例えば、60%~80%より高い)を維持するヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼポリペプチドを指す。
【0130】
本明細書で使用される場合、「溶媒安定な」とは、様々な濃度(例えば、5~99%)の溶媒(エタノール、イソプロピルアルコール、ジメチルスルホキシド[DMSO]、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、アセトン、トルエン、酢酸ブチル、メチルtert-ブチルエーテルなど)に一定期間(例えば、0.5~24時間)曝露後に、同じ溶媒の同じ濃度に曝露した野生型酵素と比較して、類似の活性(例えば、60%~80%より高い)を維持するヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼポリペプチドを指す。
【0131】
本明細書で使用される場合、「熱および溶媒安定な」とは、熱安定および溶媒安定の両方であるヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼポリペプチドを指す。
【0132】
本明細書で使用される場合、「必要に応じた」および「必要に応じて」は、続いて記載される事象もしくは状況が起こってもよく、または起こらなくてもよいこと、ならびに記載が、事象または状況が起こる例、および起こらない例を含むことを意味する。当業者は、1つまたは複数の必要に応じた置換基を含有すると記載された任意の分子に関して、立体的に実際的におよび/または合成的に実現可能な化合物のみが含まれることを意味すると理解するだろう。
【0133】
本明細書で使用される場合、「必要に応じて置換された」とは、1つの用語または一連の化学基におけるすべてのその後の修飾子を指す。例えば、「必要に応じて置換されたアリールアルキル」という用語において、分子の「アルキル」部分および「アリール」部分が、置換されていてもよく、または置換されていなくてもよく、一連の「必要に応じて置換されたアルキル、シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリール」について、アルキル、シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリール基は、他とは関係なく、置換されていてもよく、または置換されていなくてもよい。
【0134】
本発明の詳細な説明
本発明は、操作されたヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼ(NDT)酵素、NDT活性を有するポリペプチド、およびこれらの酵素をコードするポリヌクレオチド、ならびにこれらのポリヌクレオチドおよびポリペプチドを含むベクターおよび宿主細胞を提供する。NDT酵素を産生させるための方法も提供する。本発明は、NDT酵素を含む組成物、および操作されたNDT酵素を使用する方法をさらに提供する。本発明は、医薬化合物の生成において特に使用される。
【0135】
一部の実施形態では、本発明は、化合物(1)(下記に表す、MK-8591としても公知)の非天然ヌクレオシドアナログのin vitro酵素合成に有用である酵素を提供する。本発明は、ヌクレオシドアナログを生成する生体触媒酵素の使用に対処するために、開発された。しかしながら、このアプローチによる1つの課題は、野生型酵素が、これらの化合物の合成のために必要な非天然基質に対する限定的な活性を有することである。
【化1】
【0136】
非天然ヌクレオシドは、がんおよびウイルス感染症の処置のための薬物を含む薬物の多くの重要なクラスのための必須のビルディングブロックである。販売中または臨床試験中の少なくとも12のヌクレオシドアナログ薬がある(Jordheim et al., Nat. Rev. Drug Discovery 12:447-464 [2013])。化合物(1)の非天然ヌクレオシドは、強力な抗ウイルス活性を有し、ヒト免疫不全ウイルスおよび他の疾患の処置において有用であり得る。
【0137】
しかしながら、化合物(1)の従来の化学合成は、非効率的であり、極めて低い収率で12ステップより多くを必要とする。最近、生体触媒法を使用して、収率を改善し、合成ステップの数を低減し、立体選択性を改善し、毒性廃棄物を低減するために、医薬中間体が合成されている。
【0138】
いくつかの生体触媒法が、非天然ヌクレオシドを合成するために提案されている(Fresco-Taboada et al. Appl Microbiol Biotechnol 97, 3773-3785 (2013))。1つのアプローチは、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ、およびピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼまたはウリジンホスホリラーゼのいずれかからなる2つの酵素系の使用を含む。しかしながら、ヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼ(NDT)酵素は、単一ステップのプロセスを可能にし得る。NDTは、遊離プリンまたはピリミジン塩基と2’-デオキシリボヌクレオシドのプリンまたはピリミジン塩基との間のヌクレオシド交換を触媒することが公知である。したがって、アルキニル-デオキシウリジン(化合物(2))および2-フルオロ-アデニン(化合物(3))のNDT触媒ヌクレオシド交換による化合物(1)のアルキニルデオキシアデノシン生成物の合成は、従来の化学合成法に対する魅力的な代替を提示し得る。下記のスキーム1を参照のこと。
【化2】
【0139】
しかしながら、非天然アルキニル基質の化合物(2)に対する野生型NDTの活性は限定的である。NDTホモログからのいくつかの結晶構造が利用可能である(中でも、Lactobacillus helveticus、PDBコード1S2L、およびLactobacillus leichmannii、PDBコード1F8X)。これらの結晶構造の調査は、基質結合ポケットにおける残基の変異が、アルキニル基質に適応し得ることを示唆する。
【0140】
NDT結合ポケットにおける非天然基質の限定的な受け入れを理由として、変更された基質特異性および非天然ヌクレオシドアナログの改善された生成を有する操作されたNDTについての必要性がある。本発明は、この必要性に対処し、工業条件下でのこれらの反応における使用のために適切な操作されたNDTを提供する。
【0141】
操作されたNDTポリペプチド
本発明は、操作されたNDTポリペプチド、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、ポリペプチドを調製する方法、およびポリペプチドを使用するための方法を提供する。記載がポリペプチドに関する場合、これがポリペプチドをコードするポリヌクレオチドも記載することが理解されるべきである。
【0142】
一部の実施形態では、本発明は、野生型NDT酵素と比較して、改善された性質を有する、操作された天然に存在しないNDT酵素を提供する。一部の実施形態では、操作されたNDT酵素は、化合物(2)のアルキニルデオキシウリジンを含む非天然ヌクレオシドアナログおよび中間体に対する改善された基質特異性を含む。一部の実施形態では、NDT酵素は、化合物(2)に対する増加した活性を含む。一部の実施形態では、NDT酵素は、野生型または参照酵素と比較して、増加した熱安定性を含む。一部の実施形態では、NDT酵素は、野生型または参照酵素と比較して、増加した立体選択性を含む。一部の実施形態では、NDT酵素は、野生型または参照酵素と比較して、工業的に関連するプロセス条件下での増加した活性を含む。
【0143】
本発明の例示的な天然に存在しない(または操作された)ポリペプチドについての構造および機能情報は、化合物(1)への化合物(2)および化合物(3)の変換に基づいており、その結果は、下記の表5-1、6-1、6-2、7-1および/または7-2に示し、実施例にさらに記載する。これらの表における奇数配列識別子(すなわち、配列番号)は、これらの表における偶数配列番号によって提供されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を指す。例示的な配列は、本発明に添付して提出された電子配列表に提供され、これは、これにより参照により本明細書に組み込まれる。アミノ酸残基の相違は、示されるように、配列番号4、14および/または126の参照配列との比較に基づく。
【0144】
操作されたポリペプチドの上記に記載の改善された性質が、ポリペプチドの濃度もしくは量、基質、緩衝液、pH、ならびに/または温度および反応時間を含む条件に関して決定され得る一部の適切な反応条件が、本明細書に提供される。一部の実施形態では、適切な反応条件は、下記および実施例に記載されるアッセイ条件を含む。
【0145】
当業者に明らかであるように、前述の残基位置およびそれぞれの残基位置についての具体的なアミノ酸残基は、中でも、酵素活性、基質/生成物の優先性、立体選択性、基質/生成物の耐容性、ならびにさまざまな条件下での安定性、例えば、温度上昇、溶媒および/またはpHを含む、所望の改善された性質を有するNDTポリペプチドを合成するために、個々にまたはさまざまな組合せで使用することができる。
【0146】
当業者に明らかであるように、一部の実施形態では、選択される上記の残基の相違の1つまたは組合せが、コア特徴として操作されたNDTにおいて一定に保たれ得(すなわち維持され得)、他の残基位置での追加の残基の相違が、改善された性質を有する追加の操作されたNDTポリペプチドを生じるように配列に組み込まれ得る。したがって、上記の残基の相違の1つまたはサブセットを含有する任意の操作されたNDTについて、本発明が、残基の相違の1つまたはサブセット、および本明細書に開示される他の残基位置での追加の1つまたは複数の残基の相違を含む、他の操作されたNDTを企図することが理解されるべきである。
【0147】
上記で述べたように、操作されたNDTポリペプチドは、基質(例えば、化合物(2)および化合物(3))を生成物(例えば、化合物(1))に変換することができる。一部の実施形態では、操作されたNDTポリペプチドは、配列番号4、14および/または126の参照ポリペプチドの活性と比べて、少なくとも1.2倍、1.45倍、2.5倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、またはそれよりも高い活性で、基質化合物を生成物化合物に変換することができる。
【0148】
一部の実施形態では、配列番号4、14および/または126と比べて少なくとも1.45倍の活性で、基質化合物を生成物化合物に変換することができる操作されたNDTポリペプチドは、配列番号6~214における偶数配列から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0149】
一部の実施形態では、基質化合物を生成物化合物に変換することができる操作されたNDTポリペプチドは、配列番号4と比べて少なくとも1.45倍の活性を有し、X20、X101および/またはX104位で配列番号4と比較して、1つまたは複数の置換を有する、配列番号4と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0150】
一部の実施形態では、基質化合物を生成物化合物に変換することができる操作されたNDTポリペプチドは、配列番号4と比べて少なくとも3.5倍の活性を有し、X20、X101および/またはX104位で配列番号4と比較して、1つまたは複数の置換を有する、配列番号4と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0151】
一部の実施形態では、基質化合物を生成物化合物に変換することができる操作されたNDTポリペプチドは、配列番号4と比べて少なくとも1.45倍の活性を有し、X20、X101および/またはX104位で配列番号4と比較して、1つまたは複数の置換を有する、配列番号4と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0152】
一部の実施形態では、基質化合物を生成物化合物に変換することができる操作されたNDTポリペプチドは、配列番号4と比べて少なくとも3.5倍の活性を有し、X20、X101および/またはX104位で配列番号4と比較して、1つまたは複数の置換を有する、配列番号4と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0153】
一部の実施形態では、本発明は、その操作されたNDTポリペプチドの機能的NDT活性および/または改善された性質を保持する、本明細書に記載される操作されたNDTポリペプチドのいずれかの断片を含む操作されたNDTポリペプチドも提供する。したがって、一部の実施形態では、本発明は、NDT活性(例えば、適切な反応条件下、化合物(2)および化合物(3)を化合物(1)に変換することができる)を有するポリペプチド断片であって、断片が、本発明の操作されたポリペプチド、例えば、配列番号6~214の偶数配列識別子を有する例示的な操作されたポリペプチドの全長アミノ酸配列の少なくとも約80%、90%、95%、98%または99%を含む、ポリペプチド断片を提供する。
【0154】
一部の実施形態では、本発明の操作されたNDTポリペプチドは、本明細書に記載される操作されたNDTポリペプチド配列、例えば、配列番号6~214の偶数配列識別子を有する例示的な操作されたポリペプチド配列のいずれか1つと比較して、欠失を含むアミノ酸配列を含む。したがって、本発明の操作されたNDTポリペプチドのありとあらゆる実施形態について、アミノ酸配列は、NDTポリペプチドの1つもしくはそれより多くのアミノ酸、2つもしくはそれより多くのアミノ酸、3つもしくはそれより多くのアミノ酸、4つもしくはそれより多くのアミノ酸、5つもしくはそれより多くのアミノ酸、6つもしくはそれより多くのアミノ酸、8つもしくはそれより多くのアミノ酸、10もしくはそれより多くのアミノ酸、15もしくはそれより多くのアミノ酸、または20もしくはそれより多くのアミノ酸、アミノ酸の総数の最大で10%、アミノ酸の総数の最大で10%、アミノ酸の総数の最大で20%、またはアミノ酸の総数の最大で30%の欠失を含むことができ、本明細書に記載される操作されたNDTの関連する機能的活性および/または改善された性質は維持される。一部の実施形態では、欠失は、1~2、1~3、1~4、1~5、1~6、1~7、1~8、1~9、1~10、1~15、1~20、1~21、1~22、1~23、1~24、1~25、1~30、1~35、1~40、1~45、1~50、1~55または1~60アミノ酸残基を含むことができる。一部の実施形態では、欠失の数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、30、35、40、45、50、55または60アミノ酸残基であり得る。一部の実施形態では、欠失は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、18、20、21、22、23、24、25または30アミノ酸残基の欠失を含むことができる。
【0155】
一部の実施形態では、本発明は、本明細書に記載される操作されたNDTポリペプチド配列、例えば、配列番号6~214の偶数配列識別子を有する例示的な操作されたポリペプチド配列のいずれか1つと比較して、挿入を含むアミノ酸配列を有する操作されたNDTポリペプチドを提供する。したがって、本発明のNDTポリペプチドのありとあらゆる実施形態について、挿入は、1つもしくはそれより多くのアミノ酸、2つもしくはそれより多くのアミノ酸、3つもしくはそれより多くのアミノ酸、4つもしくはそれより多くのアミノ酸、5つもしくはそれより多くのアミノ酸、6つもしくはそれより多くのアミノ酸、8つもしくはそれより多くのアミノ酸、10もしくはそれより多くのアミノ酸、15もしくはそれより多くのアミノ酸、または20もしくはそれより多くのアミノ酸を含むことができ、本明細書に記載される操作されたNDTポリペプチドの関連する機能的活性および/または改善された性質は維持される。挿入は、NDTポリペプチドのアミノもしくはカルボキシ末端、または内部部分にあり得る。
【0156】
一部の実施形態では、本発明のポリペプチドは、操作されたポリペプチドが、他のポリペプチド、例えば、例として、限定されないが、抗体タグ(例えば、mycエピトープ)、精製配列(例えば、金属への結合のためのHisタグ)および細胞局在化シグナル(例えば、分泌シグナル)に融合されている、融合ポリペプチドの形態である。したがって、本明細書に記載される操作されたポリペプチドは、他のポリペプチドへの融合ありまたはなしで使用することができる。
【0157】
本明細書に記載される操作されたNDTポリペプチドは、遺伝子によってコードされるアミノ酸に制限されない。したがって、遺伝子によってコードされるアミノ酸に加えて、本明細書に記載されるポリペプチドは、全体的にまたは部分的に、天然に存在するおよび/または合成のコードされないアミノ酸から構成されていてもよい。本明細書に記載されるポリペプチドを構成し得るある特定の一般的に遭遇するコードされないアミノ酸としては、限定されるものではないが、遺伝子によってコードされるアミノ酸のD-立体異性体;2,3-ジアミノプロピオン酸(Dpr);α-アミノイソ酪酸(Aib);ε-アミノヘキサン酸(Aha);δ-アミノ吉草酸(Ava);N-メチルグリシンまたはサルコシン(MeGlyまたはSar);オルニチン(Orn);シトルリン(Cit);t-ブチルアラニン(Bua);t-ブチルグリシン(Bug);N-メチルイソロイシン(MeIle);フェニルグリシン(Phg);シクロヘキシルアラニン(Cha);ノルロイシン(Nle);ナフチルアラニン(Nal);2-クロロフェニルアラニン(Ocf);3-クロロフェニルアラニン(Mcf);4-クロロフェニルアラニン(Pcf);2-フルオロフェニルアラニン(Off);3-フルオロフェニルアラニン(Mff);4-フルオロフェニルアラニン(Pff);2-ブロモフェニルアラニン(Obf);3-ブロモフェニルアラニン(Mbf);4-ブロモフェニルアラニン(Pbf);2-メチルフェニルアラニン(Omf);3-メチルフェニルアラニン(Mmf);4-メチルフェニルアラニン(Pmf);2-ニトロフェニルアラニン(Onf);3-ニトロフェニルアラニン(Mnf);4-ニトロフェニルアラニン(Pnf);2-シアノフェニルアラニン(Ocf);3-シアノフェニルアラニン(Mcf);4-シアノフェニルアラニン(Pcf);2-トリフルオロメチルフェニルアラニン(Otf);3-トリフルオロメチルフェニルアラニン(Mtf);4-トリフルオロメチルフェニルアラニン(Ptf);4-アミノフェニルアラニン(Paf);4-ヨードフェニルアラニン(Pif);4-アミノメチルフェニルアラニン(Pamf);2,4-ジクロロフェニルアラニン(Opef);3,4-ジクロロフェニルアラニン(Mpcf);2,4-ジフルオロフェニルアラニン(Opff);3,4-ジフルオロフェニルアラニン(Mpff);ピリド-2-イルアラニン(2pAla);ピリド-3-イルアラニン(3pAla);ピリド-4-イルアラニン(4pAla);ナフト-1-イルアラニン(1nAla);ナフト-2-イルアラニン(2nAla);チアゾリルアラニン(taAla);ベンゾチエニルアラニン(bAla);チエニルアラニン(tAla);フリルアラニン(fAla);ホモフェニルアラニン(hPhe);ホモチロシン(hTyr);ホモトリプトファン(hTrp);ペンタフルオロフェニルアラニン(5ff);スチリルアラニン(styrylkalanine)(sAla);アウトリルアラニン(authrylalanine)(aAla);3,3-ジフェニルアラニン(Dfa);3-アミノ-5-フェニルペンタン酸(Afp);ペニシラミン(Pen);1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸(Tic);β-2-チエニルアラニン(Thi);メチオニンスルホキシド(Mso);N(w)-ニトロアルギニン(nArg);ホモリシン(hLys);ホスホノメチルフェニルアラニン(pmPhe);ホスホセリン(pSer);ホスホトレオニン(pThr);ホモアスパラギン酸(hAsp);ホモグルタミン酸(hGlu);1-アミノシクロペンタ-(2または3)-エン-4カルボン酸;ピペコリン酸(PA)、アゼチジン-3-カルボン酸(ACA);1-アミノシクロペンタン-3-カルボン酸;アリルグリシン(aOly);プロパルギルグリシン(pgGly);ホモアラニン(hAla);ノルバリン(nVal);ホモロイシン(hLeu)、ホモバリン(hVal);ホモイソロイシン(hIle);ホモアルギニン(hArg);N-アセチルリシン(AcLys);2,4-ジアミノ酪酸(Dbu);2,3-ジアミノ酪酸(Dab);N-メチルバリン(MeVal);ホモシステイン(hCys);ホモセリン(hSer);ヒドロキシプロリン(Hyp)およびホモプロリン(hPro)が挙げられる。本明細書に記載されるポリペプチドを構成し得る追加のコードされないアミノ酸は、当業者に明らかである。これらのアミノ酸は、L-またはD-配置のいずれかであり得る。
【0158】
当業者は、側鎖保護基を持つアミノ酸または残基も本明細書に記載されるポリペプチドを構成し得ることを認識する。この場合において芳香族のカテゴリーに属するそのような保護されたアミノ酸の非限定的な例としては、限定されるものではないが、Arg(tos)、Cys(メチルベンジル)、Cys(ニトロピリジンスルフェニル)、Glu(δ-ベンジルエステル)、Gln(キサンチル)、Asn(N-δ-キサンチル)、His(bom)、His(ベンジル)、His(tos)、Lys(fmoc)、Lys(tos)、Ser(O-ベンジル)、Thr(O-ベンジル)およびTyr(O-ベンジル)が挙げられる(保護基が括弧内に列挙される)。
【0159】
本明細書に記載されるポリペプチドを構成し得るコンフォメーション的に拘束された非コードアミノ酸としては、限定されるものではないが、N-メチルアミノ酸(L-配置);1-アミノシクロペンタ-(2または3)-エン-4-カルボン酸;ピペコリン酸;アゼチジン-3-カルボン酸;ホモプロリン(hPro);および1-アミノシクロペンタン-3-カルボン酸が挙げられる。
【0160】
一部の実施形態では、操作されたポリペプチドは、固体支持体、例えば、膜、樹脂、固体キャリアまたは他の固相材料上に提供され得る。固体支持体は、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフルオロエチレン、ポリエチレンオキシおよびポリアクリルアミド、ならびにそれらのコポリマーおよびグラフトなどの有機ポリマーから構成され得る。固体支持体はまた、ガラス、シリカ、制御細孔ガラス(CPG)、逆相シリカ、または金もしくは白金などの金属などの無機物であり得る。固体支持体の形状は、ビーズ、球、粒子、顆粒、ゲル、膜または面の形態であり得る。面は、平面、実質的に平面、または非平面であり得る。固体支持体は、多孔性または非多孔性であり得、膨潤特性または非膨潤特性を有し得る。固体支持体は、ウェル、窪みまたは他の容器(container)、容器(vessel)、特徴または位置の形態で構成され得る。
【0161】
一部の実施形態では、NDT活性を有する操作されたポリペプチドは、それらが、参照ポリペプチド(例えば、配列番号4、14および/または126)と比べて、それらの改善された活性、エナンチオ選択性、立体選択性および/または他の改善された性質を保持するように、固体支持体に結合または固定される。そのような実施形態では、固定されたポリペプチドは、所望の生成物への基質化合物の生体触媒による変換を容易にすることができ、反応が完了した後、(例えば、ポリペプチドが固定されているビーズを保持することによって)容易に保持され、次いで、その後の反応において再使用またはリサイクルされる。そのような固定された酵素のプロセスは、さらなる効率およびコスト低減を可能にする。したがって、本発明の操作されたNDTポリペプチドを使用する方法のいずれかを、固体支持体に結合または固定された同じNDTポリペプチドを使用して行うことができることがさらに企図される。
【0162】
操作されたNDTポリペプチドは、非共有的または共有結合的に結合され得る。固体支持体(例えば、樹脂、膜、ビーズ、ガラスなど)への酵素のコンジュゲーションおよび固定のためのさまざまな方法は、当技術分野において周知である。特に、PCT公開の国際公開第2012/177527A1号は、固定されたポリペプチドを調製する方法を開示し、ここで、ポリペプチドは、疎水性相互作用または共有結合のいずれかによって樹脂に物理的に付着され、少なくとも100%までの有機溶媒を含む溶媒系中で安定である。固体支持体(例えば、樹脂、膜、ビーズ、ガラスなど)への酵素のコンジュゲーションおよび固定のための他の方法は、当技術分野において周知である(例えば、Yi et al., Proc. Biochem., 42: 895-898 [2007];Martin et al., Appl. Microbiol. Biotechnol., 76: 843-851 [2007];Koszelewski et al., J. Mol. Cat. B: Enz., 63: 39-44 [2010];Truppo et al., Org. Proc. Res. Develop., published online: dx.doi.org/10.1021/op200157c;およびMateo et al., Biotechnol. Prog., 18:629-34 [2002]などを参照のこと)。
【0163】
本発明の操作されたNDTポリペプチドを固定するために有用な固体支持体としては、限定されるものではないが、エポキシド官能基を有するポリメタクリレート、アミノエポキシド官能基を有するポリメタクリレート、オクタデシル官能基を有するスチレン/DVBコポリマーまたはポリメタクリレートを含む、ビーズまたは樹脂が挙げられる。本発明の操作されたNDTポリペプチドを固定するために有用な例示的な固体支持体としては、限定されるものではないが、キトサンビーズ、Eupergit C、ならびに以下の異なる種類のSEPABEAD:EC-EP、EC-HFA/S、EXA252、EXE119およびEXE120を含む、SEPABEAD(三菱ケミカル株式会社)が挙げられる。
【0164】
一部の実施形態では、操作されたNDTポリペプチドは、ポリペプチドが位置的に区別される場所に配置されるアレイの形態で提供され得る。一部の実施形態では、位置的に区別される場所は、96ウェルプレートなどの固体支持体におけるウェルである。複数の支持体は、試薬のロボット送達のため、または検出方法および/もしくは装置によって対処可能なさまざまな場所のアレイで構成され得る。そのようなアレイは、ポリペプチドによる変換について各種の基質化合物を試験するために使用することができる。
【0165】
一部の実施形態では、本明細書に記載される操作されたポリペプチドは、キットの形態で提供される。キット中のポリペプチドは、個々にまたは複数のポリペプチドとして存在していてもよい。キットは、酵素反応を行うための試薬、ポリペプチドの活性を評価するための基質、および生成物を検出するための試薬をさらに含むことができる。キットは、試薬ディスペンサーおよびキットの使用のための指示を含むこともできる。一部の実施形態では、本発明のキットは、異なる対処可能な位置に複数の異なる操作されたNDTポリペプチドを含むアレイを含み、ここで、異なるポリペプチドは、少なくとも1つの異なる改善された酵素の性質をそれぞれ有する参照配列の異なるバリアントである。複数の操作されたポリペプチドを含むそのようなアレイおよびそれらの使用の方法は公知である(例えば、国際公開第2009/008908A2号を参照のこと)。
操作されたNDT酵素を使用する方法
【0166】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるNDT酵素は、化合物(2)および化合物(3)を化合物(1)に変換するためのプロセスにおいて使用される。一部の実施形態では、ヌクレオシド交換反応を行うためのプロセスは、単一ステップまたはワンポットでの合成を含む。
【0167】
任意の適切な反応条件が本発明において使用される。一部の実施形態では、方法を使用して、ヌクレオシド交換反応を行うための操作されたポリペプチドの改善された性質を分析する。一部の実施形態では、反応条件は、下記および実施例においてさらに記載するように、操作されたNDTの濃度もしくは量、基質(複数可)、緩衝液(複数可)、溶媒(複数可)、pH、温度および反応時間を含む条件、ならびに/または操作されたNDTポリペプチドが固相支持体に固定される条件に関連して、修正される。
【0168】
一部の実施形態では、追加の反応成分または追加の技法を利用して、反応条件を補完する。一部の実施形態では、これらは、酵素を安定化するか、または酵素の不活性化を防止する、生成物の阻害を低減する、反応の平衡を所望の生成物の形成にシフトさせるための手段を取ることを含む。
【0169】
本明細書に提供され、実施例で説明される実施形態では、プロセスにおいて使用され得るさまざまな範囲の適切な反応条件としては、限定されるものではないが、基質添加量、共基質添加量、還元剤、二価遷移金属、pH、温度、緩衝液、溶媒系、ポリペプチド添加量および反応時間が挙げられる。本明細書に記載される操作されたNDTポリペプチドを使用する生成物化合物への基質化合物の生体触媒変換のためのプロセスを行うためのさらなる適切な反応条件は、限定されるものではないが、濃度、pH、温度および溶媒条件の実験反応条件下で操作されたNDTポリペプチドおよび基質化合物を接触させること、ならびに生成物化合物を検出することを含む慣例の実験によって、本明細書に提供される指針を考慮して、容易に最適化することができる。
【0170】
反応混合物中の基質化合物は、例えば、生成物化合物の所望の量、酵素活性に対する基質濃度の効果、反応条件下での酵素の安定性、および基質から生成物へのパーセント変換を考慮に入れて、変更することができる。一部の実施形態では、適切な反応条件は、少なくとも約0.5~約200g/L、1~約200g/L、5~約150g/L、約10~約100g/L、20~約100g/Lまたは約50~約100g/Lの基質化合物である化合物(2)の添加量を含む。一部の実施形態では、適切な反応条件は、少なくとも約0.5g/L、少なくとも約1g/L、少なくとも約5g/L、少なくとも約10g/L、少なくとも約15g/L、少なくとも約20g/L、少なくとも約30g/L、少なくとも約50g/L、少なくとも約75g/L、少なくとも約100g/L、少なくとも約150g/Lもしくは少なくとも約200g/L、またはさらに多い基質化合物添加量を含む。本明細書に提供される基質添加量についての値は、化合物(2)の分子量に基づくが、しかしながら、さまざまな2’-デオキシリボヌクレオシドアナログの等モル量をプロセスにおいて使用することもできることも企図される。
【0171】
一部の実施形態では、適切な反応条件は、少なくとも約0.5~約200g/L、1~約200g/L、5~約150g/L、約10~約100g/L、20~約100g/Lまたは約50~約100g/Lの基質化合物である化合物(3)の添加量を含む。一部の実施形態では、適切な反応条件は、少なくとも約0.5g/L、少なくとも約1g/L、少なくとも約5g/L、少なくとも約10g/L、少なくとも約15g/L、少なくとも約20g/L、少なくとも約30g/L、少なくとも約50g/L、少なくとも約75g/L、少なくとも約100g/L、少なくとも約150g/Lもしくは少なくとも約200g/L、またはさらに多い基質化合物添加量を含む。本明細書に提供される基質添加量についての値は、化合物(3)の分子量に基づくが、しかしながら、さまざまなプリン塩基アナログの等モル量をプロセスにおいて使用することもできることも企図される。
【0172】
本明細書に記載されるNDT媒介プロセスを行う際に、操作されたポリペプチドは、精製された酵素、部分的に精製された酵素、その酵素をコードする遺伝子(複数可)で形質転換された全細胞の形態で、そのような細胞の細胞抽出物および/もしくは溶解物として、ならびに/または固体支持体に固定された酵素として、反応混合物に添加されてもよい。操作されたNDT酵素をコードする遺伝子(複数可)で形質転換された全細胞、またはその細胞抽出物、溶解物、および単離された酵素は、固体(例えば、凍結乾燥されたもの、噴霧乾燥されたものなど)または半固体(例えば、粗ペースト)を含む各種の異なる形態で用いられ得る。細胞抽出物または細胞溶解物は、沈殿(硫酸アンモニウム、ポリエチレンイミン、熱処理など)と、それに続く凍結乾燥前の脱塩手順(例えば、限外濾過、透析など)によって、部分的に精製されていてもよい。酵素調製物(全細胞の調製物を含む)のいずれかは、例えば、グルタルアルデヒドなどの公知の架橋剤を使用する架橋、または固相(例えば、Eupergit Cなど)への固定によって安定化され得る。
【0173】
操作されたNDTポリペプチドをコードする遺伝子(複数可)は、宿主細胞に別々に、または同じ宿主細胞に一緒に形質転換され得る。例えば、一部の実施形態では、1セットの宿主細胞を、1つの操作されたNDTポリペプチドをコードする遺伝子(複数可)で形質転換することができ、別のセットを、別の操作されたNDTポリペプチドをコードする遺伝子(複数可)で形質転換することができる。両セットの形質転換細胞は、全細胞の形態、またはそれらに由来する溶解物もしくは抽出物の形態で、反応混合物中で一緒に利用することができる。他の実施形態では、宿主細胞は、多数の操作されたNDTポリペプチドをコードする遺伝子(複数可)で形質転換することができる。一部の実施形態では、操作されたポリペプチドが分泌ポリペプチドの形態で発現され得、分泌ポリペプチドを含有する培養培地を、NDT反応のために使用することができる。
【0174】
一部の実施形態では、本明細書に開示される操作されたNDTポリペプチドの改善された活性および/または基質選択性は、より高いパーセンテージの変換がより低い濃度の操作されたポリペプチドにより達成され得るプロセスを提供する。プロセスの一部の実施形態では、適切な反応条件は、基質化合物添加量のうち、約0.03%(w/w)、0.05%(w/w)、0.1%(w/w)、0.15%(w/w)、0.2%(w/w)、0.3%(w/w)、0.4%(w/w)、0.5%(w/w)、1%(w/w)、2%(w/w)、5%(w/w)、10%(w/w)、20%(w/w)またはそれよりも多くの操作されたポリペプチドの量を含む。
【0175】
一部の実施形態では、操作されたポリペプチドは、約0.01g/L~約15g/L;約0.05g/L~約15g/L;約0.1g/L~約10g/L;約1g/L~約8g/L;約0.5g/L~約10g/L;約1g/L~約10g/L;約0.1g/L~約5g/L;約0.5g/L~約5g/L;または約0.1g/L~約2g/Lで存在する。一部の実施形態では、NDTポリペプチドは、約0.01g/L、0.05g/L、0.1g/L、0.2g/L、0.5g/L、1g/L、2g/L、5g/L、10g/Lまたは15g/Lで存在する。
【0176】
反応の過程の間、反応混合物のpHは変化し得る。反応混合物のpHは、所望のpHで、または所望のpH範囲内で維持され得る。これは、反応の前および/または反応の過程の間の酸または塩基の添加によって行われてもよい。あるいは、pHは、緩衝液を使用することによって制御されてもよい。したがって、一部の実施形態では、反応条件は、緩衝液を含む。所望のpH範囲を維持するための適切な緩衝液は、当技術分野において公知であり、例として、限定されないが、ホウ酸塩、クエン酸リン酸塩、リン酸塩、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、酢酸塩、トリエタノールアミン(TEoA)および2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-プロパン-1,3-ジオール(Tris)などが挙げられる。一部の実施形態では、緩衝液は、クエン酸リン酸緩衝液である。プロセスの一部の実施形態では、適切な反応条件は、約0.01~約0.4M、0.05~約0.4M、0.1~約0.3M、または約0.1~約0.2Mの緩衝液(例えば、クエン酸リン酸塩)の濃度を含む。一部の実施形態では、反応条件は、約0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.07、0.1、0.12、0.14、0.16、0.18、0.2、0.3または0.4Mの緩衝液(例えば、クエン酸リン酸塩)の濃度を含む。
【0177】
一部の実施形態では、反応条件は、ウェット有機溶媒を含む。適切なウェット有機溶媒は、当技術分野において公知であり、例として、限定されないが、ウェットイソプロピルアルコール、ウェットトルエンおよびウェットメチル第三級ブチルエーテルが挙げられる。
【0178】
プロセスの実施形態では、反応条件は、適切なpHを含み得る。所望のpHまたは所望のpH範囲は、酸もしくは塩基、適切な緩衝液、または緩衝液および酸もしくは塩基の組合せの使用によって維持することができる。反応混合物のpHは、反応の前および/または反応の過程の間、制御することができる。一部の実施形態では、適切な反応条件は、約4~約10の溶液pH、約5~約10のpH、約5~約9のpH、約6~約9のpHまたは約6~約8のpHを含む。一部の実施形態では、反応条件は、約4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5または10の溶液pHを含む。
【0179】
本明細書におけるプロセスの実施形態では、好適な温度を、例えば、より高い温度での反応速度の増加、および反応期間の間の酵素の活性を考慮に入れて、反応条件のために使用することができる。したがって、一部の実施形態では、適切な反応条件は、約10℃~約60℃、約10℃~約55℃、約15℃~約60℃、約20℃~約60℃、約20℃~約55℃、約25℃~約55℃または約30℃~約50℃の温度を含む。一部の実施形態では、適切な反応条件は、約10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃、45℃、50℃、55℃または60℃の温度を含む。一部の実施形態では、酵素反応の間の温度を、反応の過程全体にわたって特定の温度で維持することができる。一部の実施形態では、酵素反応の間の温度を、反応の過程の間、温度プロファイルに対して調整することができる。
【0180】
一部の実施形態では、適切な反応条件は、約20g/Lの基質のアルキニルデオキシウリジン(化合物(2))、約15g/Lの基質の2-F-アデニン(化合物(3))、約0.05g/LのNDTポリペプチド、100mMのクエン酸リン酸塩、約pH6および約45℃を含む。
【0181】
一部の実施形態では、反応条件は、反応を安定化するまたは増強するための界面活性剤を含むことができる。界面活性剤は、非イオン性、カチオン性、アニオン性および/または両親媒性界面活性剤を含み得る。例示的な界面活性剤としては、例として、限定されないが、ノニルフェノキシポリエトキシルエタノール(NP40)、Triton(登録商標)X-100、ポリオキシエチレン-ステアリルアミン、臭化セチルトリメチルアンモニウム、オレイルアミド硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン-ソルビタンモノステアレート、ヘキサデシルジメチルアミンなどが挙げられる。反応を安定化または増強し得る任意の界面活性剤が用いられ得る。反応において用いられる界面活性剤の濃度は、一般に、0.1~50mg/ml、特に、1~20mg/mlであり得る。
【0182】
一部の実施形態では、反応条件は、例えば、反応溶液が混合またはスパージされる場合に、反応溶液における泡の発生を低減または防止するのを助ける消泡剤を含むことができる。消泡剤としては、非極性油(例えば、鉱物、シリコーンなど)、極性油(例えば、脂肪酸、アルキルアミン、アルキルアミド、硫酸アルキルなど)および疎水性(例えば、処理シリカ、ポリプロピレンなど)が挙げられ、それらの一部は、界面活性剤としても機能する。例示的な消泡剤としては、Y-30(登録商標)(Dow Corning)、ポリグリコールコポリマー、オキシ/エトキシ化アルコールおよびポリジメチルシロキサンが挙げられる。一部の実施形態では、消泡剤は、約0.001%(v/v)~約5%(v/v)、約0.01%(v/v)~約5%(v/v)、約0.1%(v/v)~約5%(v/v)または約0.1%(v/v)~約2%(v/v)で存在し得る。一部の実施形態では、消泡剤は、反応を促進するために望ましい場合、約0.001%(v/v)、約0.01%(v/v)、約0.1%(v/v)、約0.5%(v/v)、約1%(v/v)、約2%(v/v)、約3%(v/v)、約4%(v/v)もしくは約5%(v/v)、またはそれよりも多く存在し得る。
【0183】
ヌクレオシド交換反応で使用される反応物の量は、一般に、所望される生成物の量、および併せて、用いられる基質の量に応じて変わる。当業者は、生産性の所望のレベルおよび製造スケールにそれらを合わせるためにこれらの量を変える方法を容易に理解する。
【0184】
一部の実施形態では、反応物の添加の順序は重要ではない。反応物は、同時に一緒に溶媒(例えば、単相の溶媒、二相の水性共溶媒系など)に添加されてもよく、または代替的に、反応物の一部が、別々に、および一部が異なる時点で一緒に添加されてもよい。
【0185】
固体反応物(例えば、酵素、塩など)は、粉末(例えば、凍結乾燥されたもの、噴霧乾燥されたものなど)、溶液、エマルジョン、懸濁液などを含む各種の異なる形態で反応に提供されてもよい。反応物は、当業者に公知である方法および機器を使用して、容易に凍結乾燥または噴霧乾燥することができる。例えば、タンパク質溶液は、少量のアリコート中で-80℃で凍結され、次いで、予め冷やされた凍結乾燥チャンバーに加えられ、それに続いて真空が適用され得る。
【0186】
水性共溶媒系が使用される場合に改善された混合効率のために、NDT酵素および補助因子が、水相に最初に添加され、混合されてもよい。次いで、有機相が添加および混合され、それに続いてPPM酵素基質、他の酵素(例えば、SP、DERAおよびPNP)および共基質が添加されてもよい。あるいは、PPM酵素基質は、水相への添加の前に、有機相中で予め混合されていてもよい。
【0187】
ヌクレオシド交換プロセスは、一般に、基質の生成物へのさらなる変換が反応時間とともに有意に変化しなくなるまで(例えば、基質の10%未満が変換される、または基質の5%未満が変換される)、進めることが可能である。一部の実施形態では、反応は、基質の生成物への変換が完了またはほぼ完了するまで、進めることが可能である。基質の生成物への転換は、誘導体化を用いてまたは用いずに、基質および/または生成物を検出することによる公知の方法を使用してモニタリングすることができる。適切な分析方法としては、ガスクロマトグラフィー、HPLC、MSなどが挙げられる。
【0188】
プロセスの一部の実施形態では、適切な反応条件は、少なくとも約5g/L、10g/L、20g/L、30g/L、40g/L、50g/L、60g/L、70g/L、100g/Lまたはそれよりも多い基質添加量を含み、ここで、方法は、約48時間もしくはそれ未満、約36時間もしくはそれ未満、約24時間もしくはそれ未満、または約3時間もしくはそれ未満で、少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%またはそれよりも高い基質化合物の生成物化合物への変換をもたらす。
【0189】
操作されたNDTポリペプチドを使用して、基質化合物を生成物化合物に変換するためのプロセスのさらなる実施形態では、適切な反応条件は、その後ポリペプチドが接触する反応溶液への初期基質添加量を含むことができる。次いで、この反応溶液に、少なくとも約1g/L/時間、少なくとも約2g/L/時間、少なくとも約4g/L/時間、少なくとも約6g/L/時間、またはそれよりも速い速度で、時間とともに連続添加またはバッチ添加として、追加の基質化合物がさらに補充される。したがって、これらの適切な反応条件によれば、ポリペプチドは、少なくとも約20g/L、30g/Lまたは40g/Lの初期基質添加量を有する溶液に添加される。次いで、このポリペプチドの添加には、少なくとも約30g/L、40g/L、50g/L、60g/L、70g/L、100g/L、150g/L、200g/L、またはそれよりも高い、非常に高い最終基質添加量に達するまで、約2g/L/時間、4g/L/時間または6g/L/時間の速度で、溶液へのさらなる基質の連続添加が続く。したがって、プロセスの一部の実施形態では、適切な反応条件は、少なくとも約20g/L、30g/Lまたは40g/Lの初期基質添加量を有する溶液へのポリペプチドの添加と、それに続く少なくとも約30g/L、40g/L、50g/L、60g/L、70g/L、100g/L、またはそれよりも高い最終基質添加量に達するまで、約2g/L/時間、4g/L/時間または6g/L/時間の速度でのさらなる基質の溶液への添加を含む。この基質補充の反応条件は、少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%またはそれよりも高い基質の変換の基質の生成物への変換の高い割合を維持しながら、より高い基質添加量を達成するのを可能にする。
【0190】
一部の実施形態では、追加の反応成分または追加の技法を行って、反応条件を補完する。これらは、酵素を安定化するもしくは酵素の不活性化を防止する、生成物の阻害を低減する、および/または反応の平衡を生成物の形成にシフトさせるための手段を取ることを含み得る。
【0191】
さらなる実施形態では、基質化合物の生成物化合物への変換のための上記に記載されるプロセスのいずれかは、生成化合物の抽出、単離、精製、および結晶化から選択される1つまたは複数のステップをさらに含むことができる。上記に開示されるプロセスによって生成した生体触媒反応混合物から生成物を抽出、単離、精製および/または結晶化するための方法、技法、およびプロトコールは、当業者に公知であるか、および/または慣例の実験を通して利用可能である。加えて、例示的な方法を下記の実施例において提供する。
【0192】
本発明のさまざまな特徴および実施形態を以下の代表的な実施例において説明し、これらは例示的なものであって、限定するものではないことを意図する。
操作されたポリペプチドをコードする操作されたNDTポリヌクレオチド、発現ベクターおよび宿主細胞
【0193】
本発明は、本明細書に記載の操作された酵素ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドを、遺伝子発現を制御する1つまたは複数の異種調節配列に機能的に連結させて、ポリペプチドを発現する能力を有する組換えポリヌクレオチドを作出する。一部の実施形態では、操作された酵素ポリペプチド(複数可)をコードする少なくとも1つの異種ポリヌクレオチドを含有する発現構築物を、適切な宿主細胞に導入して、対応する酵素ポリペプチド(複数可)を発現させる。
【0194】
当業者に明らかであるように、タンパク質配列の利用可能性、およびさまざまなアミノ酸に対応するコドンの知識は、主題のポリペプチドをコードすることができるすべてのポリヌクレオチドの説明をもたらす。同じアミノ酸が代替または同義のコドンによってコードされる遺伝コードの縮重は、そのすべてが操作された酵素(例えば、NDT)ポリペプチドをコードする極めて多数の核酸を作製することを可能にする。したがって、本発明は、可能性があるコドンの選択に基づいて組合せを選択することによって、本明細書に記載の酵素ポリペプチドをコードする、作製され得る酵素ポリヌクレオチドのそれぞれおよびすべての可能性のあるバリエーションの生成のための方法ならびに組成物を提供し、そのようなすべてのバリエーションは、実施例(例えば、さまざまな表中)に示されるアミノ酸配列を含む、本明細書に記載の任意のポリペプチドについて具体的に開示されると見なされるべきである。
【0195】
一部の実施形態では、コドンは、好ましくは、タンパク質産生のための選択された宿主細胞による利用のために最適化される。例えば、細菌において使用される好ましいコドンは、典型的には、細菌中での発現のために使用される。その結果、操作された酵素ポリペプチドをコードするコドン最適化されたポリヌクレオチドは、全長コード領域において約40%、50%、60%、70%、80%、90%、または90%よりも多くのコドン位置に好ましいコドンを含有する。
【0196】
一部の実施形態では、酵素ポリヌクレオチドは、本明細書に開示される性質を有する酵素活性を有する操作されたポリペプチドをコードし、ここで、ポリペプチドは、本明細書に提供される配列番号から選択される参照配列と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高い同一性を有するアミノ酸配列、または任意のバリアント(例えば、実施例に提供されるバリアント)のアミノ酸配列、および参照ポリヌクレオチド(複数可)もしくは実施例に開示される任意のバリアントのアミノ酸配列と比較して、1つもしくは複数の残基の相違(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれよりも多くのアミノ酸残基の位置)を含む。一部の実施形態では、参照ポリペプチド配列は、配列番号4、14および/または126から選択される。
【0197】
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、本明細書に提供される任意のポリヌクレオチド配列から選択される参照ポリヌクレオチド配列、もしくはその相補体、または本明細書に提供されるバリアント酵素ポリペプチドのいずれかをコードするポリヌクレオチド配列と、高ストリンジェント条件下でハイブリダイズする能力を有する。一部の実施形態では、高ストリンジェント条件下でハイブリダイズする能力を有するポリヌクレオチドは、参照配列と比較して、1つまたは複数の残基の相違を有するアミノ酸配列を含む酵素ポリペプチドをコードする。
【0198】
一部の実施形態では、本明細書における操作された酵素ポリペプチドのいずれかをコードする単離されたポリヌクレオチドは、酵素ポリペプチドの発現を容易にするために種々の方法で処置される。一部の実施形態では、酵素ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、1つまたは複数の制御配列が酵素ポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドの発現を調節するために存在する発現ベクターを含む。単離されたポリヌクレオチドのベクターへの挿入前の処置(manipulation)は、利用される発現ベクターに応じて、望ましいことも必要なこともある。組換えDNA法を利用するポリヌクレオチドおよび核酸配列を改変するための技法は、当技術分野において周知である。一部の実施形態では、制御配列としては、中でも、プロモーター、リーダー配列、ポリアデニル化配列、プロペプチド配列、シグナルペプチド配列、および転写ターミネーターが挙げられる。一部の実施形態では、適切なプロモーターは、宿主細胞の選択に基づいて選択される。細菌宿主細胞のためには、本開示の核酸構築物の転写を指示するために適切なプロモーターとしては、限定されるものではないが、E.coli lacオペロン、Streptomyces coelicolorアガラーゼ遺伝子(dagA)、Bacillus subtilisレバンスクラーゼ遺伝子(sacB)、Bacillus licheniformisアルファ-アミラーゼ遺伝子(amyL)、Bacillus stearothermophilusマルトース生成アミラーゼ遺伝子(amyM)、Bacillus amyloliquefaciensアルファ-アミラーゼ遺伝子(amyQ)、Bacillus licheniformisペニシリナーゼ遺伝子(penP)、Bacillus subtilis xylAおよびxylB遺伝子、および原核生物のベータ-ラクタマーゼ遺伝子(例えば、Villa-Kamaroff et al., Proc. Natl Acad. Sci. USA 75: 3727-3731 [1978]を参照のこと)、ならびにtacプロモーター(例えば、DeBoer et al., Proc. Natl Acad. Sci. USA 80: 21-25 [1983]を参照のこと)から得られるプロモーターが挙げられる。糸状菌宿主細胞のための例示的なプロモーターとしては、限定されるものではないが、Aspergillus oryzae TAKAアミラーゼ、Rhizomucor mieheiアスパラギン酸プロテナーゼ、Aspergillus niger中性アルファ-アミラーゼ、Aspergillus niger酸安定アルファ-アミラーゼ、Aspergillus nigerまたはAspergillus awamoriグルコアミラーゼ(glaA)、Rhizomucor mieheiリパーゼ、Aspergillus oryzaeアルカリプロテアーゼ、Aspergillus oryzaeトリオースリン酸イソメラーゼ、Aspergillus nidulansアセトアミダーゼ、およびFusarium oxysporumトリプシン様プロテアーゼ(例えば、国際公開第96/00787号を参照のこと)の遺伝子から得られるプロモーター、ならびにNA2-tpiプロモーター(Aspergillus niger中性アルファ-アミラーゼおよびAspergillus oryzaeトリオースリン酸イソメラーゼの遺伝子由来のプロモーターのハイブリッド)、ならびにそれらの変異体、切断型、およびハイブリッドプロモーターが挙げられる。例示的な酵母細胞プロモーターは、Saccharomyces cerevisiaeエノラーゼ(ENO-1)、Saccharomyces cerevisiaeガラクトキナーゼ(GAL1)、Saccharomyces cerevisiaeアルコールデヒドロゲナーゼ/グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(ADH2/GAP)、およびSaccharomyces cerevisiae 3-ホスホグリセリン酸キナーゼの遺伝子に由来し得る。酵母宿主細胞のための他の有用なプロモーターは、当技術分野において公知である(例えば、Romanos et al., Yeast 8:423-488 [1992]を参照のこと)。
【0199】
一部の実施形態では、制御配列は、適切な転写ターミネーター配列(すなわち、転写を終結するために宿主細胞によって認識される配列)でもある。一部の実施形態では、ターミネーター配列は、酵素ポリペプチドをコードする核酸配列の3’末端に作動可能に連結される。選り抜きの宿主細胞において機能する任意の適切なターミネーターが、本発明において使用される。糸状菌宿主細胞のための例示的な転写ターミネーターは、Aspergillus oryzae TAKAアミラーゼ、Aspergillus nigerグルコアミラーゼ、Aspergillus nidulansアントラニル酸シンターゼ、Aspergillus nigerアルファ-グルコシダーゼおよびFusarium oxysporumトリプシン様プロテアーゼの遺伝子から得ることができる。酵母宿主細胞のための例示的なターミネーターは、Saccharomyces cerevisiaeエノラーゼ、Saccharomyces cerevisiaeチトクロムC(CYC1)およびSaccharomyces cerevisiaeグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼの遺伝子から得ることができる。酵母宿主細胞のための他の有用なターミネーターは、当技術分野において公知である(例えば、Romanos et al.、上記を参照のこと)。
【0200】
一部の実施形態では、制御配列は、適切なリーダー配列(すなわち、宿主細胞による翻訳のために重要であるmRNAの非翻訳領域)でもある。一部の実施形態では、リーダー配列は、酵素ポリペプチドをコードする核酸配列の5’末端に作動可能に連結される。選り抜きの宿主細胞において機能する任意の適切なリーダー配列が、本発明において使用される。糸状菌宿主細胞のための例示的なリーダーは、Aspergillus oryzae TAKAアミラーゼおよびAspergillus nidulansトリオースリン酸イソメラーゼの遺伝子から得られる。酵母宿主細胞のための適切なリーダーは、Saccharomyces cerevisiaeエノラーゼ(ENO-1)、Saccharomyces cerevisiae 3-ホスホグリセリン酸キナーゼ、Saccharomyces cerevisiaeアルファ-因子およびSaccharomyces cerevisiaeアルコールデヒドロゲナーゼ/グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(ADH2/GAP)の遺伝子から得られる。
【0201】
一部の実施形態では、制御配列は、ポリアデニル化配列(すなわち、核酸配列の3’末端に作動可能に連結され、転写されると、転写されたmRNAにポリアデノシン残基を付加するシグナルとして宿主細胞によって認識される配列)でもある。選り抜きの宿主細胞において機能する任意の適切なポリアデニル化配列が、本発明において使用される。糸状菌宿主細胞のための例示的なポリアデニル化配列としては、限定されるものではないが、Aspergillus oryzae TAKAアミラーゼ、Aspergillus nigerグルコアミラーゼ、Aspergillus nidulansアントラニル酸シンターゼ、Fusarium oxysporumトリプシン様プロテアーゼおよびAspergillus nigerアルファ-グルコシダーゼの遺伝子が挙げられる。酵母宿主細胞のために有用なポリアデニル化配列は公知である(例えば、Guo and Sherman, Mol. Cell. Bio., 15:5983-5990 [1995]を参照のこと)。
【0202】
一部の実施形態では、制御配列は、シグナルペプチド(すなわち、ポリペプチドのアミノ末端に連結されたアミノ酸配列をコードし、コードされたポリペプチドを細胞の分泌経路に方向付けるコード領域)でもある。一部の実施形態では、核酸配列のコード配列の5’末端は、本質的に、翻訳リーディングフレームにおいて、分泌されたポリペプチドをコードするコード領域のセグメントと天然に連結されたシグナルペプチドコード領域を含有する。あるいは、一部の実施形態では、コード配列の5’末端は、コード配列に対して外来であるシグナルペプチドコード領域を含有する。発現されたポリペプチドを選り抜きの宿主細胞の分泌経路に方向付ける任意の適切なシグナルペプチドコード領域が、操作されたポリペプチド(複数可)の発現のために使用される。細菌宿主細胞のための有効なシグナルペプチドコード領域は、限定されるものではないが、Bacillus NClB 11837マルトース生成アミラーゼ、Bacillus stearothermophilusアルファ-アミラーゼ、Bacillus licheniformisサブチリシン、Bacillus licheniformisベータ-ラクタマーゼ、Bacillus stearothermophilus中性プロテアーゼ(nprT、nprS、nprM)およびBacillus subtilis prsAの遺伝子から得られる領域を含む、シグナルペプチドコード領域である。さらなるシグナルペプチドは、当技術分野において公知である(例えば、Simonen and Palva, Microbiol. Rev., 57:109-137 [1993]を参照のこと)。一部の実施形態では、糸状菌宿主細胞のための有効なシグナルペプチドコード領域としては、限定されるものではないが、Aspergillus oryzae TAKAアミラーゼ、Aspergillus niger中性アミラーゼ、Aspergillus nigerグルコアミラーゼ、Rhizomucor mieheiアスパラギン酸プロテナーゼ、Humicola insolensセルラーゼおよびHumicola lanuginosaリパーゼの遺伝子から得られるシグナルペプチドコード領域が挙げられる。酵母宿主細胞のための有用なシグナルペプチドとしては、限定されるものではないが、Saccharomyces cerevisiaeアルファ-因子およびSaccharomyces cerevisiaeインベルターゼの遺伝子由来のシグナルペプチドが挙げられる。
【0203】
一部の実施形態では、制御配列は、ポリペプチドのアミノ末端に位置するアミノ酸配列をコードするプロペプチドコード領域でもある。得られたポリペプチドは、「プロ酵素」、「プロポリペプチド」または「酵素原」と称される。プロポリペプチドは、プロポリペプチドからのプロペプチドの触媒的または自己触媒的切断によって、成熟活性ポリペプチドに変換することができる。プロペプチドコード領域としては、限定されるものではないが、Bacillus subtilisアルカリプロテアーゼ(aprE)、Bacillus subtilis中性プロテアーゼ(nprT)、Saccharomyces cerevisiaeアルファ-因子、Rhizomucor mieheiアスパラギン酸プロテアーゼおよびMyceliophthora thermophilaラクターゼ(例えば、国際公開第95/33836号を参照のこと)の遺伝子を含む、任意の適切な供給源から得られ得る。シグナルペプチドおよびプロペプチド領域の両方がポリペプチドのアミノ末端に存在する場合、プロペプチド領域は、ポリペプチドのアミノ末端の隣に位置し、シグナルペプチド領域は、プロペプチド領域のアミノ末端の隣に位置する。
【0204】
一部の実施形態では、調節配列も利用される。これらの配列は、宿主細胞の成長に関連して、ポリペプチドの発現の調節を容易にする。調節系の例は、調節化合物の存在を含む、化学的もしくは物理的刺激に応答してオンまたはオフされる遺伝子の発現を引き起こす系である。原核宿主細胞では、適切な調節配列としては、限定されるものではないが、lac、tacおよびtrpオペレーター系が挙げられる。酵母宿主細胞では、適切な調節系としては、限定されるものではないが、ADH2系またはGAL1系が挙げられる。糸状菌では、適切な調節配列としては、限定されるものではないが、TAKAアルファ-アミラーゼプロモーター、Aspergillus nigerグルコアミラーゼプロモーターおよびAspergillus oryzaeグルコアミラーゼプロモーターが挙げられる。
【0205】
別の態様では、本発明は、操作された酵素ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、ならびにそれらが導入される宿主の種類に応じて、プロモーターおよびターミネーター、複製起点などのような1つまたは複数の発現調節領域を含む、組換え発現ベクターを対象とする。一部の実施形態では、本明細書に記載のさまざまな核酸および制御配列を一緒に結合して、そのような部位で酵素ポリペプチドをコードする核酸配列の挿入または置換を可能にするために1つまたは複数の好都合な制限部位を含む組換え発現ベクターを生成する。あるいは、一部の実施形態では、本発明の核酸配列は、核酸配列またはその配列を含む核酸構築物を、発現のための適切なベクターに挿入することによって発現される。発現ベクターの作出を含む一部の実施形態では、コード配列は、コード配列が発現のための適切な制御配列に作動可能に連結されるように、ベクターに位置する。
【0206】
組換え発現ベクターは、組換えDNA手順に好都合に供され、酵素ポリヌクレオチド配列の発現をもたらすことができる、任意の適切なベクター(例えば、プラスミドまたはウイルス)であり得る。ベクターの選択は、典型的には、ベクターと、ベクターが導入される宿主細胞との適合性に依存する。ベクターは、線形または閉環状のプラスミドであってもよい。
【0207】
一部の実施形態では、発現ベクターは、自己複製ベクター(すなわち、プラスミド、染色体外エレメント、ミニ染色体または人工染色体などの、その複製が染色体の複製とは無関係である染色体外実体として存在するベクター)である。ベクターは、自己複製を確実にするための任意の手段を含有していてもよい。一部の代替の実施形態では、ベクターは、宿主細胞に導入されると、ゲノムに組み込まれ、それが組み込まれた染色体(複数可)と一緒に複製されるベクターである。さらにまた、一部の実施形態では、宿主細胞のゲノムに導入される総DNAを一緒に含有する、単一のベクターもしくはプラスミド、または2つもしくはそれよりも多くのベクターもしくはプラスミド、および/あるいはトランスポゾンが利用される。
【0208】
一部の実施形態では、発現ベクターは、形質転換細胞の容易な選択を可能にする1つまたは複数の選択マーカーを含有する。「選択マーカー」は、その生成物が、殺生物剤もしくはウイルスに対する耐性、重金属に対する耐性、栄養要求株に対する原栄養性などを提供する遺伝子である。細菌の選択マーカーの例としては、限定されるものではないが、Bacillus subtilisもしくはBacillus licheniformis由来のdal遺伝子、またはアンピシリン、カナマイシン、クロラムフェニコールもしくはテトラサイクリン耐性などの抗生物質耐性を付与するマーカーが挙げられる。酵母宿主細胞のための適切なマーカーとしては、限定されるものではないが、ADE2、HIS3、LEU2、LYS2、MET3、TRP1およびURA3が挙げられる。糸状菌宿主細胞における使用のための選択マーカーとしては、限定されるものではないが、amdS(アセトアミダーゼ;例えば、A.nidulansまたはA.orzyae由来)、argB(オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ)、bar(ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ;例えば、S.hygroscopicus由来)、hph(ハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ)、niaD(硝酸レダクターゼ)、pyrG(オロチジン-5’-リン酸デカルボキシラーゼ;例えば、A.nidulansまたはA.orzyae由来)、sC(硫酸アデニルトランスフェラーゼ)およびtrpC(アントラニル酸シンターゼ)、ならびにそれらの同等物が挙げられる。
【0209】
別の態様では、本発明は、本発明の少なくとも1つの操作された酵素ポリペプチドをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む宿主細胞を提供し、ポリヌクレオチド(複数可)が宿主細胞において操作された酵素酵素(複数可)の発現のための1つまたは複数の制御配列に機能的に連結されている。本発明の発現ベクターによってコードされるポリペプチドの発現における使用のために適切な宿主細胞は、当技術分野において周知であり、限定されるものではないが、E.coli、Vibrio fluvialis、StreptomycesおよびSalmonella typhimurium細胞などの細菌細胞;酵母細胞(例えば、Saccharomyces cerevisiaeまたはPichia pastoris(ATCCアクセッション番号201178))などの真菌細胞;Drosophila S2およびSpodoptera Sf9細胞などの昆虫細胞;CHO、COS、BHK、293およびBowes黒色腫細胞などの動物細胞;ならびに植物細胞が挙げられる。例示的な宿主細胞としては、さまざまなEscherichia coli株(例えば、W3110(ΔfhuA)およびBL21)も挙げられる。細菌の選択マーカーの例としては、限定されるものではないが、Bacillus subtilisもしくはBacillus licheniformis由来のdal遺伝子、またはアンピシリン、カナマイシン、クロラムフェニコールおよびもしくはテトラサイクリン耐性などの抗生物質耐性を付与するマーカーが挙げられる。
【0210】
一部の実施形態では、本発明の発現ベクターは、ベクターの宿主細胞のゲノムへの組込み、またはゲノムとは無関係の細胞におけるベクターの自己複製を可能にするエレメント(複数可)を含有する。宿主細胞ゲノムへの統合を含む一部の実施形態では、ベクターは、ポリペプチドをコードする核酸配列、または相同もしくは非相同組換えによるベクターのゲノムへの組込みのためのベクターの任意の他のエレメントに依拠する。
【0211】
一部の代替の実施形態では、発現ベクターは、宿主細胞のゲノムへの相同組換えによる組込みを指示するための追加の核酸配列を含有する。追加の核酸配列は、ベクターが、宿主細胞のゲノムに、染色体(複数可)の正確な場所(複数可)で組み込まれることを可能にする。正確な場所での組込みの可能性を増加させるために、組込みエレメントは、好ましくは、相同組換えの確率を増強するために対応する標的配列と高度に相同である、100~10,000塩基対、好ましくは、400~10,000塩基対、最も好ましくは、800~10,000塩基対などの十分な数のヌクレオチドを含有する。組込みエレメントは、宿主細胞のゲノム中の標的配列と相同である任意の配列であり得る。さらにまた、組込みエレメントは、非コード核酸配列またはコード核酸配列であり得る。他方では、ベクターは、非相同組換えによって宿主細胞のゲノムに組み込まれてもよい。
【0212】
自己複製のために、ベクターは、ベクターが問題の宿主細胞において自己複製することを可能にする複製起点をさらに含んでいてもよい。細菌の複製起点の例は、P15A oriもしくはプラスミドpBR322、pUC19、pACYCl77(このプラスミドはP15A oriを有する)の複製起点、またはE.coliにおける複製を可能にするpACYC184、およびBacillusにおける複製を可能にするpUB110、pE194もしくはpTA1060である。酵母宿主細胞における使用のための複製起点の例は、2ミクロンの複製起点、ARS1、ARS4、ARS1およびCEN3の組合せ、ならびにARS4およびCEN6の組合せである。複製起点は、宿主細胞において温度感受性で機能するようになる変異を有するものであってもよい(例えば、Ehrlich, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 75:1433 [1978]を参照のこと)。
【0213】
一部の実施形態では、本発明の核酸配列の2つ以上のコピーは、遺伝子産物の産生を増加させるために、宿主細胞に挿入される。選択マーカー遺伝子の増幅されたコピー、およびそれにより、核酸配列の追加のコピーを含有する細胞を、細胞を適切な選択剤の存在下で培養することによって選択することができる場合、核酸配列のコピー数の増加は、配列の少なくとも1つの追加のコピーを宿主細胞のゲノム中に組み込むことによって、または、増幅可能な選択マーカー遺伝子を核酸配列と共に含めることによって得ることができる。
【0214】
本発明における使用のための多くの発現ベクターが市販されている。適切な市販の発現ベクターとしては、限定されるものではないが、p3xFLAGTM(商標)発現ベクター(Sigma-Aldrich Chemicals)が挙げられ、これは、CMVプロモーター、および哺乳動物宿主細胞における発現のためのhGHポリアデニル化部位、およびpBR322複製起点、およびE.coliにおける増幅のためのアンピシリン耐性マーカーを含む。他の適切な発現ベクターとしては、限定されるものではないが、pBluescriptII SK(-)およびpBK-CMV(Stratagene)、ならびにpBR322(Gibco BRL)、pUC(Gibco BRL)、pREP4、pCEP4(Invitrogen)またはpPoly(例えば、Lathe et al., Gene 57:193-201 [1987]を参照のこと)に由来するプラスミドが挙げられる。
【0215】
したがって、一部の実施形態では、少なくとも1つのバリアントNDTをコードする配列を含むベクターは、ベクターの増殖およびバリアントNDT(複数可)の発現を可能にするために、宿主細胞に形質転換される。一部の実施形態では、バリアントNDTを翻訳後修飾して、シグナルペプチドを除去し、一部の場合では、分泌後に切断してもよい。一部の実施形態では、上記に記載の形質転換された宿主細胞は、バリアントNDT(複数可)の発現を可能にする条件下で、適切な栄養培地中で培養される。限定されるものではないが、適切な補充物を含有する最小培地または複合培地を含む、宿主細胞を培養するために有用な任意の適切な培地が本発明において使用される。一部の実施形態では、宿主細胞は、HTP培地中で成長させる。適切な培地は、さまざまな商業的供給業者から入手可能であるか、または公開されたレシピ(例えば、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関のカタログ中)に従って調製されてもよい。
【0216】
別の態様では、本発明は、本明細書に提供される改善されたNDTポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞を提供し、ポリヌクレオチドは、宿主細胞においてNDT酵素の発現のための1つまたは複数の制御配列に機能的に連結されている。本発明の発現ベクターによってコードされるNDTポリペプチドの発現における使用のための宿主細胞は、当技術分野において周知であり、限定されるものではないが、E.coli、Bacillus megaterium、Lactobacillus kefir、StreptomycesおよびSalmonella typhimurium細胞などの細菌細胞;酵母細胞(例えば、Saccharomyces cerevisiaeまたはPichia pastoris(ATCCアクセッション番号201178))などの真菌細胞;Drosophila S2およびSpodoptera Sf9細胞などの昆虫細胞;CHO、COS、BHK、293およびBowes黒色腫細胞などの動物細胞;ならびに植物細胞が挙げられる。上記に記載の宿主細胞のための適切な培養培地および成長条件は、当技術分野において周知である。
【0217】
NDTの発現のためのポリヌクレオチドは、当技術分野において公知のさまざまな方法によって細胞に導入され得る。技法としては、中でも、電気穿孔、微粒子銃、リポソーム媒介トランスフェクション、塩化カルシウムトランスフェクションおよびプロトプラスト融合が挙げられる。ポリヌクレオチドを細胞に導入するためのさまざまな方法は、当業者に公知である。
【0218】
一部の実施形態では、宿主細胞は、真核細胞である。適切な真核生物宿主細胞としては、限定されるものではないが、真菌細胞、藻類細胞、昆虫細胞および植物細胞が挙げられる。適切な真菌宿主細胞としては、限定されるものではないが、Ascomycota、Basidiomycota、Deuteromycota、Zygomycota、Fungi imperfectiが挙げられる。一部の実施形態では、真菌宿主細胞は、酵母細胞および糸状菌細胞である。本発明の糸状菌宿主細胞は、Eumycotina亜門およびOomycota亜門のすべての糸状形態を含む。糸状菌は、キチン、セルロースおよび他の複合多糖で構成される細胞壁を有する栄養菌糸体によって特徴付けられる。本発明の糸状菌宿主細胞は、酵母とは形態学的に区別される。
【0219】
本発明の一部の実施形態では、糸状菌宿主細胞は、限定されるものではないが、Achlya、Acremonium、Aspergillus、Aureobasidium、Bjerkandera、Ceriporiopsis、Cephalosporium、Chrysosporium、Cochliobolus、Corynascus、Cryphonectria、Cryptococcus、Coprinus、Coriolus、Diplodia、Endothis、Fusarium、Gibberella、Gliocladium、Humicola、Hypocrea、Myceliophthora、Mucor、Neurospora、Penicillium、Podospora、Phlebia、Piromyces、Pyricularia、Rhizomucor、Rhizopus、Schizophyllum、Scytalidium、Sporotrichum、Talaromyces、Thermoascus、Thielavia、Trametes、Tolypocladium、Trichoderma、Verticillium、および/またはVolvariella、ならびに/またはそれらの有性世代もしくは無性世代、ならびに異名、バシオニムもしくは分類学的等価物を含む、任意の適切な属および種のものである。
【0220】
本発明の一部の実施形態では、宿主細胞は、限定されるものではないが、Candida、Hansenula、Saccharomyces、Schizosaccharomyces、Pichia、KluyveromycesまたはYarrowia種の細胞を含む、酵母細胞である。本発明の一部の実施形態では、宿主細胞は、Hansenula polymorpha、Saccharomyces cerevisiae、Saccharomyces carlsbergensis、Saccharomyces diastaticus、Saccharomyces norbensis、Saccharomyces kluyveri、Schizosaccharomyces pombe、Pichia pastoris、Pichia finlandica、Pichia trehalophila、Pichia kodamae、Pichia membranaefaciens、Pichia opuntiae、Pichia thermotolerans、Pichia salictaria、Pichia quercuum、Pichia pijperi、Pichia stipitis、Pichia methanolica、Pichia angusta、Kluyveromyces lactis、Candida albicans、またはYarrowia lipolyticaである。
【0221】
本発明の一部の実施形態では、宿主細胞は、Chlamydomonas(例えば、C.reinhardtii)およびPhormidium(P.sp.ATCC29409)などの藻類細胞である。
【0222】
一部の他の実施形態では、宿主細胞は、原核細胞である。適切な原核細胞としては、限定されるものではないが、グラム陽性、グラム陰性およびグラム不定の細菌細胞が挙げられる。限定されるものではないが、Agrobacterium、Alicyclobacillus、Anabaena、Anacystis、Acinetobacter、Acidothermus、Arthrobacter、Azobacter、Bacillus、Bifidobacterium、Brevibacterium、Butyrivibrio、Buchnera、Campestris、Camplyobacter、Clostridium、Corynebacterium、Chromatium、Coprococcus、Escherichia、Enterococcus、Enterobacter、Erwinia、Fusobacterium、Faecalibacterium、Francisella、Flavobacterium、Geobacillus、Haemophilus、Helicobacter、Klebsiella、Lactobacillus、Lactococcus、Ilyobacter、Micrococcus、Microbacterium、Mesorhizobium、Methylobacterium、Methylobacterium、Mycobacterium、Neisseria、Pantoea、Pseudomonas、Prochlorococcus、Rhodobacter、Rhodopseudomonas、Rhodopseudomonas、Roseburia、Rhodospirillum、Rhodococcus、Scenedesmus、Streptomyces、Streptococcus、Synecoccus、Saccharomonospora、Staphylococcus、Serratia、Salmonella、Shigella、Thermoanaerobacterium、Tropheryma、Tularensis、Temecula、Thermosynechococcus、Thermococcus、Ureaplasma、Xanthomonas、Xylella、YersiniaおよびZymomonasを含む、任意の適切な細菌生物が本発明において使用される。一部の実施形態では、宿主細胞は、Agrobacterium、Acinetobacter、Azobacter、Bacillus、Bifidobacterium、Buchnera、Geobacillus、Campylobacter、Clostridium、Corynebacterium、Escherichia、Enterococcus、Erwinia、Flavobacterium、Lactobacillus、Lactococcus、Pantoea、Pseudomonas、Staphylococcus、Salmonella、Streptococcus、Streptomyces、またはZymomonasの種である。一部の実施形態では、細菌宿主株は、ヒトに対して非病原性である。一部の実施形態では、細菌宿主株は、工業用株である。多数の細菌工業用株が公知であり、本発明において適切である。本発明の一部の実施形態では、細菌宿主細胞は、Agrobacterium種(例えば、A.radiobacter、A.rhizogenesおよびA.rubi)である。本発明の一部の実施形態では、細菌宿主細胞は、Arthrobacter種(例えば、A.aurescens、A.citreus、A.globiformis、A.hydrocarboglutamicus、A.mysorens、A.nicotianae、A.paraffineus、A.protophonniae、A.roseoparqffinus、A.sulfureusおよびA.ureafaciens)である。本発明の一部の実施形態では、細菌宿主細胞は、Bacillus種(例えば、B.thuringensis、B.anthracis、B.megaterium、B.subtilis、B.lentus、B.circulans、B.pumilus、B.lautus、B.coagulans、B.brevis、B.firmus、B.alkaophius、B.licheniformis、B.clausii、B.stearothermophilus、B.haloduransおよびB.amyloliquefaciens)である。一部の実施形態では、宿主細胞は、限定されるものではないが、B.subtilis、B.pumilus、B.licheniformis、B.megaterium、B.clausii、B.stearothermophilusまたはB.amyloliquefaciensを含む、工業用Bacillus株である。一部の実施形態では、Bacillus宿主細胞は、B.subtilis、B.licheniformis、B.megaterium、B.stearothermophilusおよび/またはB.amyloliquefaciensである。一部の実施形態では、細菌宿主細胞は、Clostridium種(例えば、C.acetobutylicum、C.tetani E88、C.lituseburense、C.saccharobutylicum、C.perfringensおよびC.beijerinckii)である。一部の実施形態では、細菌宿主細胞は、Corynebacterium種(例えば、C.glutamicumおよびC.acetoacidophilum)である。一部の実施形態では、細菌宿主細胞は、Escherichia種(例えば、E.coli)である。一部の実施形態では、宿主細胞は、Escherichia coli W3110である。一部の実施形態では、細菌宿主細胞は、Erwinia種(例えば、E.uredovora、E.carotovora、E.ananas、E.herbicola、E.punctataおよびE.terreus)である。一部の実施形態では、細菌宿主細胞は、Pantoea種(例えば、P.citreaおよびP.agglomerans)である。一部の実施形態では、細菌宿主細胞は、Pseudomonas種(例えば、P.putida、P.aeruginosa、P.mevaloniiおよびP.sp.D-0l 10)である。一部の実施形態では、細菌宿主細胞は、Streptococcus種(例えば、S.equisimiles、S.pyogenesおよびS.uberis)である。一部の実施形態では、細菌宿主細胞は、Streptomyces種(例えば、S.ambofaciens、S.achromogenes、S.avermitilis、S.coelicolor、S.aureofaciens、S.aureus、S.fungicidicus、S.griseusおよびS.lividans)である。一部の実施形態では、細菌宿主細胞は、Zymomonas種(例えば、Z.mobilisおよびZ.lipolytica)である。
【0223】
本発明において使用される多くの原核生物株および真核生物株は、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(ATCC)、ドイツ微生物培養細胞系統保存機関(DSM)、オランダ微生物株保存センター(CBS)、および農業研究局特許培養株保存機関北部研究センター(NRRL)などの多くの菌株保存機関から、公的に容易に入手可能である。
【0224】
一部の実施形態では、宿主細胞は、タンパク質分泌、タンパク質安定性ならびに/またはタンパク質の発現および/もしくは分泌のために望ましい他の性質を改善する特性を有するように遺伝子改変される。遺伝子改変は、遺伝子操作技法および/または古典的な微生物学的技法(例えば、化学的またはUV変異誘発、およびその後の選択)によって達成することができる。実際に、一部の実施形態では、組換え改変技法および古典的な選択技法の組合せを使用して、宿主細胞を生成させる。組換え技術を使用して、核酸分子を、宿主細胞内および/または培養培地中、NDTバリアント(複数可)の増加された収率をもたらす様式で、導入、欠失、阻害または改変することができる。例えば、Alp1機能のノックアウトは、プロテアーゼが欠損した細胞をもたらし、pyr5機能のノックアウトは、ピリミジン欠損表現型を有する細胞をもたらす。1つの遺伝子工学アプローチでは、相同組換えを使用して、コードされるタンパク質の発現を抑制するためにin vivoで遺伝子を特異的に標的化することによって、標的化遺伝子改変を誘導する。代替のアプローチでは、siRNA、アンチセンスおよび/またはリボザイム技術は、遺伝子発現の阻害において使用される。限定されるものではないが、タンパク質をコードする遺伝子の全部または一部の欠失、および遺伝子産物の発現または活性を破壊する部位特異的変異誘発を含む、細胞におけるタンパク質の発現を低減するための種々の方法が当技術分野において公知である(例えば、Chaveroche et al., Nucl. Acids Res., 28:22 e97 [2000];Cho et al., Molec. Plant Microbe Interact., 19:7-15 [2006];Maruyama and Kitamoto, Biotechnol Lett., 30:1811-1817 [2008];Takahashi et al., Mol. Gen. Genom., 272: 344-352 [2004];およびYou et al., Arch. Microbiol.,191:615-622 [2009]を参照のこと、これらのすべては参照によって本明細書に組み込まれる)。ランダム変異誘発、続く所望の変異についてのスクリーニングも使用される(例えば、Combier et al., FEMS Microbiol. Lett., 220:141-8 [2003];およびFiron et al., Eukary. Cell 2:247-55 [2003]を参照のこと、これらは両方とも参照によって組み込まれる)。
【0225】
宿主細胞へのベクターまたはDNA構築物の導入は、限定されるものではないが、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-デキストラン媒介トランスフェクション、PEG媒介形質転換、電気穿孔、または当技術分野において公知の他の一般的な技法を含む、当技術分野において公知の任意の適切な方法を使用して達成することができる。一部の実施形態では、Escherichia coli発現ベクターpCK100900i(米国特許第9,714,437号を参照のこと、これは、参照によって本明細書に組み込まれる)が使用される。
【0226】
一部の実施形態では、本発明の操作された宿主細胞(すなわち、「組換え宿主細胞」)は、プロモーターを活性化するため、形質転換体を選択するため、またはNDTポリヌクレオチドを増幅するために、必要により、改変された従来の栄養培地中で培養される。温度、pHなどのような培養条件は、発現のために選択された宿主細胞で以前使用したものであり、当業者に周知である。述べたように、多くの標準的な参照文献およびテキストは、細菌、植物、動物(特に、哺乳動物)および古細菌が起源の細胞を含む、多くの細胞の培養および生成のために利用可能である。
【0227】
一部の実施形態では、本発明のバリアントNDTポリペプチドを発現する細胞は、バッチまたは連続発酵条件下で成長させる。古典的な「バッチ発酵」は、閉鎖系であり、ここで、培地の組成は、発酵の開始時に設定され、発酵の間に人為的な変更に付されない。バッチ系のバリエーションは、「フェドバッチ発酵」であり、これも本発明において使用される。このバリエーションでは、基質を、発酵が進行するにつれて漸増させて添加する。フェドバッチ系は、異化代謝産物抑制が細胞の代謝を阻害する可能性がある場合、および培地中の基質の量を制限することが望ましい場合に有用である。バッチおよびフェドバッチ発酵は、一般的であり、当技術分野において周知である。「連続発酵」は、開放系であり、ここで、規定の発酵培地を、バイオリアクターに連続的に添加し、等量の馴化培地を処理のために同時に取り出す。連続発酵は、一般に、培養物を細胞が主に対数期成長にある一定の高密度で維持する。連続発酵系は、定常状態の成長条件を維持することを目指す。連続発酵プロセスのために栄養分および成長因子をモジュレートするための方法、ならびに生成物形成の速度を最大化するための技法は、工業微生物学の技術分野において周知である。
【0228】
本発明の一部の実施形態では、無細胞転写/翻訳系は、バリアントNDT(複数可)の産生において使用される。いくつかの系が市販されており、方法は、当業者に周知である。
【0229】
本発明は、バリアントNDTポリペプチドまたは生物学的に活性なその断片を作製する方法を提供する。一部の実施形態では、方法は、配列番号4、14および/または126と少なくとも約70%(または少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%)の配列同一性を含むアミノ酸配列をコードし、本明細書に提供される少なくとも1つの変異を含む、ポリヌクレオチドで形質転換された宿主細胞を提供すること;宿主細胞がコードされたバリアントNDTポリペプチドを発現する条件下で、培養培地中で形質転換された宿主細胞を培養すること;ならびに必要に応じて、発現したバリアントNDTポリペプチドを回収もしくは単離すること、および/または、発現したバリアントNDTポリペプチドを含有する培養培地を回収もしくは単離することを含む。一部の実施形態では、方法は、必要に応じて、コードされるNDTポリペプチドが発現した後に形質転換された宿主細胞を溶解すること、ならびに必要に応じて、発現したバリアントNDTポリペプチドを細胞溶解物から回収および/または単離することをさらに提供する。本発明は、バリアントNDTポリペプチドで形質転換された宿主細胞を、バリアントNDTポリペプチドの産生のために適切な条件下で培養すること、およびバリアントNDTポリペプチドを回収することを含む、バリアントNDTポリペプチドを作製する方法をさらに提供する。典型的には、NDTポリペプチドの回収または単離は、宿主細胞の培養培地、宿主細胞、またはその両方からであって、本明細書に記載されるものを含む当技術分野において周知のタンパク質回収技法を使用する。一部の実施形態では、宿主細胞を、遠心分離によって採取し、物理的または化学的手段によって破壊し、得られた粗抽出物をさらなる精製のために保持する。タンパク質の発現において用いられる微生物細胞は、限定されるものではないが、凍結解凍サイクル、超音波処理、機械的破壊および/または細胞溶解剤の使用、ならびに当業者に周知の多くの他の適切な方法を含む任意の好都合な方法によって、破壊することができる。
【0230】
宿主細胞において発現した操作されたNDT酵素は、中でも、リゾチーム処理、超音波処理、濾過、塩析、超遠心分離およびクロマトグラフィーを含むタンパク質精製のための当術分野において公知の任意の1つまたは複数の技法を使用して、細胞および/または培養培地から回収することができる。E.coliなどの細菌由来のタンパク質の溶解および高効率の抽出のために適切な溶液は、商品名CelLytic B(商標)(Sigma-Aldrich)で市販されている。したがって、一部の実施形態では、得られたポリペプチドを、回収/単離し、必要に応じて当技術分野において公知の多くの方法のいずれかによって精製する。例えば、一部の実施形態では、ポリペプチドを、限定されるものではないが、遠心分離、濾過、抽出、噴霧乾燥、蒸発、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、アフィニティー、疎水性相互作用、クロマトフォーカシングおよびサイズ排除)、または沈殿を含む従来の手順によって、栄養培地から単離する。一部の実施形態では、タンパク質の再フォールディングステップを、所望により、成熟タンパク質の立体配置の完成において使用する。加えて、一部の実施形態では、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を最終精製ステップにおいて用いる。例えば、一部の実施形態では、当技術分野において公知の方法を、本発明において使用する(例えば、Parry et al., Biochem. J., 353:117 [2001];およびHong et al., Appl. Microbiol. Biotechnol., 73:1331 [2007]を参照のこと、これらは両方とも参照によって本明細書に組み込まれる)。実際に、当技術分野において公知の任意の適切な精製方法を本発明において使用する。
【0231】
NDTポリペプチドの単離のためのクロマトグラフィー技法としては、限定されるものではないが、逆相クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル電気泳動およびアフィニティークロマトグラフィーが挙げられる。特定の酵素を精製するための条件は、当業者に公知なように、正味電荷、疎水性、親水性、分子量、分子形状などのような要因に部分的に依存する。
【0232】
一部の実施形態では、アフィニティー技法が、改善されたNDT酵素の単離において使用される。アフィニティークロマトグラフィー精製のために、NDTポリペプチドに特異的に結合する任意の抗体を使用してもよい。抗体の産生のために、限定されるものではないが、ウサギ、マウス、ラットなどを含むさまざまな宿主動物を、NDTによる注射によって免疫してもよい。NDTポリペプチドは、側鎖官能基、または側鎖官能基に結合したリンカーによって、BSAなどの適切な担体に結合させてもよい。限定されるものではないが、フロイント(完全および不完全)、水酸化アルミニウムなどの無機ゲル、リゾレシチンなどの表面活性物質、プルロニック(登録商標)ポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油乳剤、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、ならびにBCG(Bacillus Calmette Guerin)およびCorynebacterium parvumなどの潜在的に有用なヒトアジュバントを含むさまざまなアジュバントを、宿主種に応じて、免疫学的応答を増加させるために使用してもよい。
【0233】
一部の実施形態では、NDTバリアントを調製し、酵素を発現する細胞の形態で、粗抽出物として、または単離もしくは精製された調製物として使用する。一部の実施形態では、NDTバリアントは、凍結乾燥物として、粉末形態(例えば、アセトン粉末)で調製され、または酵素溶液として調製される。一部の実施形態では、NDTバリアントは、実質的に純粋な調製物の形態である。
【0234】
一部の実施形態では、NDTポリペプチドは、任意の適切な固体基材に付着させる。固体基材としては、限定されるものではないが、固相、表面および/または膜が挙げられる。固体支持体としては、限定されるものではないが、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフルオロエチレン、ポリエチレンオキシおよびポリアクリルアミド、ならびにそれらのコポリマーおよびグラフトなどの有機ポリマーが挙げられる。固体支持体はまた、ガラス、シリカ、制御細孔ガラス(CPG)、逆相シリカ、または金もしくは白金などの金属などの無機物であり得る。基材の形状は、ビーズ、球、粒子、顆粒、ゲル、膜または面の形態であり得る。面は、平面、実質的に平面、または非平面であり得る。固体支持体は、多孔性または非多孔性であり得、膨潤特性または非膨潤特性を有し得る。固体支持体は、ウェル、窪みまたは他の容器(container)、容器(vessel)、特徴または場所の形態で構成され得る。複数の支持体は、試薬のロボット送達のため、または検出方法および/もしくは装置によって対処可能なさまざまな場所のアレイで構成され得る。
【0235】
一部の実施形態では、免疫学的方法を使用して、NDTバリアントを精製する。1つのアプローチでは、従来の方法を使用して野生型またはバリアントNDTポリペプチドに対して(例えば、配列番号4、14および/もしくは126のいずれかを含むポリペプチド、ならびに/またはそれらのバリアント、ならびに/またはそれらの免疫原性断片に対して)生じさせた抗体を、ビーズ上に固定し、バリアントNDTが結合する条件下で、細胞培養培地と混合し、沈殿させる。関連するアプローチでは、免疫クロマトグラフィーが使用される。
【0236】
一部の実施形態では、バリアントNDTは、非酵素部分を含む融合タンパク質として発現される。一部の実施形態では、バリアントNDT配列は、精製を容易にするドメインと融合されている。本明細書で使用される場合、「精製を容易にするドメイン」という用語は、それが融合しているポリペプチドの精製を媒介するドメインを指す。適切な精製ドメインとしては、限定されるものではないが、金属キレート化ペプチド、固定された金属上での精製を可能にするヒスチジン-トリプトファンモジュール、グルタチオンに結合する配列(例えば、GST)、赤血球凝集素(HA)タグ(インフルエンザ赤血球凝集素タンパク質に由来するエピトープに対応する;例えば、Wilson et al., Cell 37:767 [1984]を参照のこと)、マルトース結合タンパク質配列、FLAGS伸長/アフィニティー精製システムにおいて利用されるFLAGエピトープ(例えば、Immunex Corpから入手可能なシステム)などが挙げられる。本明細書に記載の組成物および方法における使用について意図される1つの発現ベクターを、エンテロキナーゼ切断部位によって分離されるポリヒスチジン領域と融合した本発明のポリペプチドを含む融合タンパク質の発現のために提供する。ヒスチジン残基は、IMIAC(固定された金属イオンアフィニティークロマトグラフィー;例えば、Porath et al., Prot. Exp. Purif., 3:263-281 [1992]を参照のこと)における精製を容易にする一方で、エンテロキナーゼ切断部位は、バリアントNDTポリペプチドを融合タンパク質から分離するための手段を提供する。pGEXベクター(Promega)はまた、外来ポリペプチドをグルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として発現させるために使用され得る。一般に、そのような融合タンパク質は可溶性であり、溶解細胞から、リガンド-アガロースビーズ(例えば、GST融合物の場合では、グルタチオン-アガロース)への吸着、続く遊離リガンドの存在下での溶出によって、容易に精製することができる。
【0237】
したがって、別の態様では、本発明は、操作された酵素ポリペプチドを産生させる方法であって、方法が、ポリペプチドの発現のために適切な条件下で、操作された酵素ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを発現する能力を有する宿主細胞を培養することを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、方法は、本明細書に記載の酵素ポリペプチドを単離および/または精製するステップをさらに含む。
【0238】
宿主細胞のための適切な培養培地および成長条件は、当技術分野において周知である。酵素ポリペプチドの発現のためにポリヌクレオチドを細胞に導入するための任意の適切な方法を本発明において使用することが企図される。適切な技法としては、限定されるものではないが、電気穿孔、微粒子銃、リポソーム媒介トランスフェクション、塩化カルシウムトランスフェクションおよびプロトプラスト融合が挙げられる。
【0239】
本発明のさまざまな特徴および実施形態を以下の代表的な実施例において説明し、これらは例示的なものであって、限定するものではないことを意図する。
【実施例
【0240】
実験
実験および達成された結果を含む以下の実施例は、例示の目的のためにのみ提供され、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。実際に、下記に記載の多くの試薬および機器についてさまざまな適切な供給源がある。本発明が、任意の試薬または機器の品目について任意の特定の供給源に限定されることを意図しない。
【0241】
下記の実験の開示では、以下の略記が適用される:M(モル濃度);mM(ミリモル濃度)、uMおよびμM(マイクロモル濃度);nM(ナノモル濃度);mol(モル);gmおよびg(グラム);mg(ミリグラム);ugおよびμg(マイクログラム);Lおよびl(リットル);mlおよびmL(ミリリットル);cm(センチメートル);mm(ミリメートル);umおよびμm(マイクロメートル);sec.(秒);min(分);hおよびhr(時間);U(単位);MW(分子量);rpm(毎分回転数);psiおよびPSI(平方インチあたりポンド);℃(摂氏温度);RTおよびrt(室温);CV(変異係数);CAMおよびcam(クロラムフェニコール);PMBS(硫酸ポリミキシンB);IPTG(イソプロピルβ-D-l-チオガラクトピラノシド);LB(溶原ブロス);TB(テリフィックブロス);SFP(振とうフラスコ粉末);CDS(コード配列);DNA(デオキシリボ核酸);RNA(リボ核酸);nt(ヌクレオチド;ポリヌクレオチド);aa(アミノ酸;ポリペプチド);E.coli W3110(一般に使用される実験室E.coli株、the Coli Genetic Stock Center[CGSC]、New Haven、CTから入手可能);HTP(ハイスループット);HPLC(高圧液体クロマトグラフィー);HPLC-UV(HPLC-紫外可視検出器);1H NMR(プロトン核磁気共鳴分光法);FIOPC(陽性対照に対する倍数改善);SigmaおよびSigma-Aldrich(Sigma-Aldrich、St.Louis、MO;Difco(Difco Laboratories、BD Diagnostic Systems、Detroit、MI);Microfluidics(Microfluidics、Westwood、MA);Life Technologies(Life Technologies、Fisher Scientificの一員、Waltham、MA);Amresco(Amresco,LLC、Solon、OH);Carbosynth(Carbosynth,Ltd.、Berkshire、UK);Varian(Varian Medical Systems、Palo Alto、CA);Agilent(Agilent Technologies,Inc.、Santa Clara、CA);Infors(Infors USA Inc.、Annapolis Junction、MD);ならびにThermotron(Thermotron,Inc.、Holland、MI)。
【0242】
(実施例1)
組換えNDT遺伝子を含有するE.coli発現宿主
本発明のためのバリアントを産生するために使用される進化したヌクレオシドデオキシリボシルトランスフェラーゼ(NDT)のための親遺伝子は、Lactobacillus reuteri NDT(配列番号1)であった。NDTコード遺伝子を、laclリプレッサーの制御下のlacプロモーターに機能的に連結された発現ベクターpCK110900(米国特許出願公開第2006/0195947号の図3を参照のこと)にクローニングした。発現ベクターは、P15a複製起点およびクロラムフェニコール耐性遺伝子も含有する。得られたプラスミドを、当技術分野において公知の標準的な方法を使用して、E.coli W3110に形質転換した。形質転換体を、当技術分野において公知の通り、細胞をクロラムフェニコール選択に付すことによって単離した(例えば、米国特許第8,383,346号および国際公開第2010/144103号を参照のこと)。
【0243】
(実施例2)
HTP NDTを含有する湿細胞ペレットの調製
モノクローナルコロニー由来の組換えNDTコード遺伝子を含有するE.coli細胞を、96ウェルシャローウェルマイクロタイタープレートのウェル中の1%のグルコースおよび30μg/mLのクロラムフェニコール(CAM)を含有する190μlのLBに植えつけた。プレートをO透過性シールでシールし、培養物を、20℃、200rpmおよび85%湿度で終夜成長させた。次いで、20μlのそれぞれの細胞培養物を、380μlのTBおよび30μg/mLのCAMを含有する96ウェルのディープウェルプレートのウェルに移した。ディープウェルプレートを、O透過性シールでシールし、0.6~0.8のOD600に達するまで、30℃、250rpmおよび85%湿度でインキュベートした。次いで、細胞培養物を、IPTGによって1mMの最終濃度にし、元々使用されていたものと同じ条件下で終夜インキュベートした。次いで、細胞を、4℃、4,000rpmで10分間の遠心分離を使用してペレット化した。上清を廃棄し、ペレットを溶解前に-80℃で凍結させた。
【0244】
(実施例3)
HTP NDT含有細胞溶解物の調製
最初に、実施例2に記載のようにして生成された細胞ペレットを、50mMのクエン酸塩、pH6、1g/Lのリゾチームおよび0.5g/LのPMBSを含有する200μLの溶解緩衝液を添加することによって溶解した。次いで、細胞ペレットを、卓上シェーカーにおいて、室温で2時間、振とうした。ペレットを、4,000rpmで、4℃で15分間遠心分離して、細胞デブリを除去した。次いで、上清を生体触媒反応において使用して、それらの活性レベルを決定した。
【0245】
(実施例4)
振とうフラスコ(SF)培養物由来の凍結乾燥溶解物の調製
振とうフラスコ手順を使用して、二次スクリーニングアッセイおよび/または本明細書に記載される生体触媒プロセスにおける使用に有用である、操作されたNDTポリペプチド振とうフラスコ粉末(SFP)を作成することができる。酵素の振とうフラスコ粉末(SFP)調製は、HTPアッセイにおいて使用される細胞溶解物と比較して、操作された酵素のより精製された調製物(例えば、総タンパク質の最大で30%)を提供し、より濃縮された酵素溶液の使用も可能にする。これを開始するために、上記に記載されるようにして成長させた選択されたHTP培養物を、1%のグルコースおよび30μg/mlのCAMを有するLB寒天プレート上にのせ、37℃で終夜成長させた。それぞれの培養物由来の単一コロニーを、1%のグルコースおよび30μg/mlのCAMを有する6mlのLBに移した。培養物を、30℃および250rpmで18時間成長させた。培養物を、0.05の最終OD600まで、30μg/mlのCAMを含有する250mlのTB中におよそ1:50で継代培養した。培養物を、0.6~0.8のOD600まで、30℃および250rpmでおよそ3.25時間成長させ、次いで、IPTGを用いて、1mMの最終濃度にした。次いで、培養物を、30℃および250rpmで20時間成長させた。培養物を、遠心分離ボトルに移し、7,000rpmで7~10分間遠心分離した。上清を廃棄し、ペレットを、少なくとも2時間または使用の準備ができるまで、-80℃で凍結させた。凍結したペレットを、30mlの20mMのTRIS-HCl pH7.5に再懸濁させ、18,000psiでMicrofluidizer(登録商標)プロセッサーシステム(Microfluidics)を使用して溶解した。溶解物をペレット化し(10,000rpmで60分間)、上清を凍結し、凍結乾燥して、振とうフラスコ(SF)酵素を作成した。
【0246】
(実施例5)
化合物(1)の改善された生成のための配列番号4に由来する操作されたポリペプチドの進化およびスクリーニング
配列番号4を、化合物(1)の改善された生成のためのバリアントのスクリーニングの結果に基づいて、親酵素として選択した。操作された遺伝子のライブラリーを、十分に確立された技法(例えば、飽和変異誘発、および以前に特定された有益な変異の組換え)を使用して、生成した。それぞれの遺伝子によってコードされるポリペプチドを、実施例2に記載されるようにして、HTP中で産生させ、可溶性溶解物を、実施例3に記載されるようにして、作成した。
【0247】
配列番号4の化合物(1)を生成するポリペプチドをコードする操作されたポリヌクレオチド(すなわち、配列番号3)を使用して、表5-1のさらに操作されたポリペプチドを作成した。これらのポリペプチドは、開始ポリペプチドと比較して、改善された生成物形成を提示した。操作されたポリペプチドを、下記の表5-2に記載されるHTPアッセイおよび分析方法と一緒に、上記に記載される指向進化法を使用して、配列番号4の「骨格」アミノ酸配列から作成した。
【0248】
指向進化は、配列番号3に示されるポリヌクレオチドを用いて開始した。次いで、操作されたポリペプチドを、開始「骨格」遺伝子配列として選択した。操作されたポリペプチドのライブラリーを、さまざまな周知の技法(例えば、飽和変異誘発、以前に特定された有益なアミノ酸相違の組換え)を使用して作成し、上記のスキーム1に示される化合物(2)を化合物(1)に変換するポリペプチドの能力を測定するHTPアッセイおよび分析方法を使用してスクリーニングした。
【0249】
酵素アッセイを、100μLの総体積/ウェルで96ウェルフォーマットにおいて行い、これは、5%v/vのHTP溶解物、20g/Lのアルキニルデオキシウリジン(化合物(2))、1.2モル当量の2-F-アデニン(化合物(3))および50mMのクエン酸緩衝液、pH6の最終濃度を含んでいた。プレートを、500rpmで振とうしながら、18~22時間、45℃でインキュベートした。
【0250】
18~22時間後、150μLの1:1の1MのKOH:DMSO混合物を添加した。プレートをシールし、短時間遠心分離して、液体をすべて沈ませ、試料を、マイクロタイタープレートシェーカーにおいて、室温で10分間振とうした。クエンチされた試料を、HPLC分析の前に、75:25の0.1Mのトリエタノールアミン、pH7.5:アセトニトリル混合物に、さらに20倍希釈した。HPLC実行パラメーターを、下記の表5-2に記載する。配列番号4に対して改善されたバリアントを表5-1に列挙する。
【表5-1-1】

【表5-1-2】

【表5-1-3】

【表5-2】
【0251】
(実施例6)
化合物(1)の改善された生成のための配列番号14に由来する操作されたポリペプチドの進化およびスクリーニング
配列番号14を、化合物(1)の改善された生成のためのバリアントのスクリーニングの結果に基づいて、親酵素として選択した。操作された遺伝子のライブラリーを、十分に確立された技法(例えば、飽和変異誘発、および以前に特定された有益な変異の組換え)を使用して、生成した。それぞれの遺伝子によってコードされるポリペプチドを、実施例2に記載されるようにして、HTP中で産生させ、可溶性溶解物を、実施例3に記載されるようにして、作成した。
【0252】
配列番号14の化合物(1)を生成するポリペプチドをコードする操作されたポリヌクレオチド(すなわち、配列番号13)を使用して、表6-1のさらに操作されたポリペプチドを作成した。これらのポリペプチドは、開始ポリペプチドと比較して、改善された生成物形成を提示した。操作されたポリペプチドを、上記の表5-2に記載されるHTPアッセイおよび分析方法と一緒に、上記に記載される指向進化法を使用して、配列番号14の「骨格」アミノ酸配列から作成した。
【0253】
指向進化は、配列番号13に示されるポリヌクレオチドを用いて開始した。次いで、操作されたポリペプチドを、開始「骨格」遺伝子配列として選択した。操作されたポリペプチドのライブラリーを、さまざまな周知の技法(例えば、飽和変異誘発、以前に特定された有益なアミノ酸相違の組換え)を使用して作成し、上記のスキーム1に示される化合物(1)を化合物(2)に変換するポリペプチドの能力を測定するHTPアッセイおよび分析方法を使用してスクリーニングした。
【0254】
酵素アッセイを、100μLの総体積/ウェルで96ウェルフォーマットにおいて行い、これは、0.1%v/vのHTP溶解物、20g/Lのアルキニルデオキシウリジン(化合物(2))、1.2モル当量の2-F-アデニン(化合物(3))および100mMのクエン酸緩衝液、pH6の最終濃度を含んでいた。プレートを、500rpmで振とうしながら、18~22時間、45℃でインキュベートした。
【0255】
18~22時間後、150μLの1:1の1MのKOH:DMSO混合物を添加した。プレートをシールし、試料を、マイクロタイタープレートシェーカーにおいて、室温で10分間振とうし、次いで、短時間遠心分離して、液体をすべて沈ませた。クエンチされた試料を、HPLC分析の前に、75:25の0.1Mのトリエタノールアミン、pH7.5:アセトニトリル混合物に、さらに20倍希釈した。HPLC実行パラメーターを、上記の表5-2に記載する。配列番号14に対して改善されたバリアントを表6-1に列挙する。
【表6-1-1】

【表6-1-2】
【0256】
いくつかのバリアントも、50g/Lの化合物(2)を使用して試験した。酵素アッセイを、100μLの総体積/ウェルで96ウェルフォーマットにおいて行った。アッセイを、0.1%v/vのHTP溶解物、50g/Lのアルキニルデオキシウリジン(化合物(2))、1.2モル当量の2-F-アデニン(化合物(3))および100mMのクエン酸緩衝液、pH6の最終濃度を使用して行った。プレートを、500rpmで振とうしながら、18~22時間、45℃でインキュベートした。
【0257】
18~22時間後、150μLの1:1の1MのKOH:DMSO混合物を添加した。プレートをシールし、試料を、マイクロタイタープレートシェーカーにおいて、室温で10分間振とうし、次いで、短時間遠心分離して、液体をすべて沈ませた。クエンチされた試料を、HPLC分析の前に、75:25の0.1Mのトリエタノールアミン、pH7.5:アセトニトリル混合物に、さらに20倍希釈した。
【表6-2】
【0258】
(実施例7)
化合物(1)の改善された生成のための配列番号126に由来する操作されたポリペプチドの進化およびスクリーニング
配列番号126を、化合物(1)の改善された生成のためのバリアントのスクリーニングの結果に基づいて、親酵素として選択した。操作された遺伝子のライブラリーを、十分に確立された技法(例えば、飽和変異誘発、および以前に特定された有益な変異の組換え)を使用して、生成した。それぞれの遺伝子によってコードされるポリペプチドを、実施例2に記載されるようにして、HTP中で産生させ、可溶性溶解物を、実施例3に記載されるようにして、作成した。
【0259】
配列番号126の化合物(1)を生成するポリペプチドをコードする操作されたポリヌクレオチド(すなわち、配列番号125)を使用して、表7-1のさらに操作されたポリペプチドを作成した。これらのポリペプチドは、開始ポリペプチドと比較して、改善された生成物形成を提示した。操作されたポリペプチドを、上記の表5-2に記載されるHTPアッセイおよび分析方法と一緒に、上記に記載される指向進化法を使用して、配列番号126の「骨格」アミノ酸配列から作成した。
【0260】
指向進化は、配列番号125に示されるポリヌクレオチドを用いて開始した。次いで、操作されたポリペプチドを、開始「骨格」遺伝子配列として選択した。操作されたポリペプチドのライブラリーを、さまざまな周知の技法(例えば、飽和変異誘発、以前に特定された有益なアミノ酸相違の組換え)を使用して作成し、上記のスキーム1に示される化合物(2)を化合物(1)に変換するポリペプチドの能力を測定するHTPアッセイおよび分析方法を使用してスクリーニングした。
【0261】
酵素アッセイを、100μLの総体積/ウェルで96ウェルフォーマットにおいて行い、これは、0.025%v/vのHTP溶解物、20g/Lのアルキニルデオキシウリジン(化合物(2))、1.2モル当量の2-F-アデニン(化合物(3))および100mMのクエン酸/リン酸緩衝液、pH6の最終濃度を含んでいた。プレートを、500rpmで振とうしながら、18~22時間、45℃でインキュベートした。
【0262】
18~22時間後、200μLの1:1の1MのKOH:DMSO混合物を添加した。プレートをシールし、試料を、マイクロタイタープレートシェーカーにおいて、室温で10分間振とうし、次いで、短時間遠心分離して、液体をすべて沈ませた。クエンチされた試料を、HPLC分析の前に、75:25の0.1Mのトリエタノールアミン、pH7.5:アセトニトリル混合物に、さらに20倍希釈した。配列番号126に対して改善されたバリアントを表7-1に列挙する。
【表7-1-1】

【表7-1-2】
【0263】
いくつかのバリアントも、50g/Lの化合物(2)を使用して試験した。酵素アッセイを、100μLの総体積/ウェルで96ウェルフォーマットにおいて行った。アッセイを、0.025%v/vのHTP溶解物、50g/Lのアルキニルデオキシウリジン(化合物(2))、1.2モル当量の2-F-アデニン(化合物(3))および100mMのクエン酸/リン酸緩衝液、pH6の最終濃度を使用して行った。プレートを、500rpmで振とうしながら、18~22時間、45℃でインキュベートした。
【0264】
18~22時間後、200μLの1:1の1MのKOH:DMSO混合物を添加した。プレートをシールし、試料を、マイクロタイタープレートシェーカーにおいて、室温で10分間振とうし、次いで、短時間遠心分離して、液体をすべて沈ませた。クエンチされた試料を、HPLC分析の前に、75:25の0.1Mのトリエタノールアミン、pH7.5:アセトニトリル混合物に、さらに20倍希釈した。配列番号126に対して改善されたバリアントを表7-2に列挙する。
【表7-2】
【0265】
本出願において引用されたすべての刊行物、特許、特許出願および他の文書は、個々の刊行物、特許、特許出願または他の文書のそれぞれがすべての目的のために参照によって組み込まれることが個々に示されたものと同じ程度に、すべての目的のために、それらの全体がこれにより参照によって本明細書に組み込まれる。
【0266】
さまざまな特定の実施形態を説明し、記載してきたが、本発明(複数可)の趣旨および範囲から逸脱することなく、さまざまな変更を行うことができることが理解される。
【配列表】
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【国際調査報告】