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特表2024-531213マルチバンドスロットアンテナおよび接地寄生要素を有するウェアラブルコンピューティングデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】マルチバンドスロットアンテナおよび接地寄生要素を有するウェアラブルコンピューティングデバイス
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/22 20060101AFI20240822BHJP
   H01Q 1/24 20060101ALI20240822BHJP
   H01Q 13/10 20060101ALI20240822BHJP
   H01Q 19/02 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
H01Q1/22 Z
H01Q1/24 Z
H01Q13/10
H01Q19/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508511
(86)(22)【出願日】2021-08-20
(85)【翻訳文提出日】2024-02-09
(86)【国際出願番号】 US2021046930
(87)【国際公開番号】W WO2023022732
(87)【国際公開日】2023-02-23
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517230219
【氏名又は名称】フィットビット・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】FITBIT LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ティエンジー
(72)【発明者】
【氏名】リ,ケビン
(72)【発明者】
【氏名】バーマ,リツ
【テーマコード(参考)】
5J020
5J045
5J047
【Fターム(参考)】
5J020DA02
5J045DA03
5J045NA02
5J047AA04
5J047EF02
(57)【要約】
ウェアラブルコンピューティングデバイスが提供される。ウェアラブルコンピューティングデバイスは、プリント回路板と、導電性ハウジングと、を含む。ウェアラブルコンピューティングデバイスは、プリント回路板と導電性ハウジングとの間の間隙によって規定されたスロットアンテナをさらに含む。スロットアンテナは複数の異なる周波数帯域において動作可能である。複数の異なる周波数帯域は1つまたは複数の全地球測位システム周波数帯域を含む。ウェアラブルコンピューティングデバイスは寄生要素を含む。寄生要素はプリント回路板に複数の異なる場所において電気的に接地されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント回路板と、
導電性ハウジングと、
前記プリント回路板と前記導電性ハウジングとの間の間隙によって規定されたスロットアンテナと、を備え、前記スロットアンテナは複数の異なる周波数帯域において動作可能であり、前記複数の異なる周波数帯域は1つまたは複数の全地球測位システム(GPS)周波数帯域を含み、
寄生要素を備え、前記寄生要素は複数の異なる場所において前記プリント回路板に電気的に接地されている、ウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項2】
前記寄生要素は1つまたは複数のバイパスキャパシタを介して前記プリント回路板に無線周波数(RF)接地されている、請求項1に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項3】
前記寄生要素は前記プリント回路板にその上の第1の場所において直流(DC)接地されており、
前記寄生要素は前記プリント回路板にその上の第2の場所においてDC接地されている、請求項1に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項4】
前記第1の場所および前記第2の場所は、前記プリント回路板上に配設された1つまたは複数の磁石が前記第1の場所と前記第2の場所との間に位置付けられるよう、前記プリント回路板上で互いに離間されている、請求項3に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項5】
前記プリント回路板と前記導電性ハウジングとの間の前記間隙の幅は約0.5ミリメートル~約10ミリメートルに及ぶ、先行する請求項のいずれか1項に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項6】
前記プリント回路板の外周はグラウンドキープアウト領域を含む、請求項1に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項7】
前記スロットアンテナの幅は前記間隙の前記幅および前記グラウンドキープアウト領域の幅にわたる、請求項6に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項8】
前記スロットアンテナの前記幅は約0.5ミリメートル~約10ミリメートルに及ぶ、請求項7に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項9】
前記スロットアンテナが前記1つまたは複数のGPS周波数帯域において動作する時に、前記スロットアンテナは1つまたは複数の電流を前記寄生要素上に誘導する、先行する請求項のいずれか1項に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項10】
前記スロットアンテナは第1の接地接点および第2の接地接点を含み、前記第1の接地接点は第1の場所において前記プリント回路板と前記導電性ハウジングとの間に結合されており、前記第2の接地接点は、前記第1の場所とは異なる第2の場所において前記プリント回路板と前記導電性ハウジングとの間に結合されている、先行する請求項のいずれか1項に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項11】
前記1つまたは複数のGPS周波数帯域は、
約1164MHz~約1189MHzに及ぶ第1のGPS周波数帯域、
約1563メガヘルツ(MHz)~約1587MHzに及ぶ第2のGPS周波数帯域、および
約1215MHz~約1240MHzに及ぶ第3のGPS周波数帯域、
を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項12】
少なくとも部分的に、前記寄生要素が前記1つまたは複数のバイパスキャパシタを介して前記プリント回路板にRF接地されているおかげで、前記1つまたは複数のGPS周波数帯域における前記スロットアンテナの放射効率は少なくとも2デシベルだけ増大させられる、請求項2に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項13】
プリント回路板と、
導電性ハウジングと、
前記プリント回路板と前記導電性ハウジングとの間の間隙によって規定されたスロットアンテナと、を備え、前記スロットアンテナは複数の異なる周波数帯域において動作可能であり、前記複数の異なる周波数帯域は1つまたは複数の全地球測位システム(GPS)周波数帯域を含み、
心電図(ECG)電極を備え、前記ECG電極は前記プリント回路板に複数の異なる場所において無線周波数(RF)接地されており、
複数のバイパスキャパシタを備え、バイパスキャパシタの各々は、前記ECG電極と、前記プリント回路板上の前記複数の異なる場所のうちの対応する場所との間に結合されている、ウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項14】
前記スロットアンテナが前記1つまたは複数のGPS周波数帯域において動作している時に、前記スロットアンテナは1つまたは複数の電流を前記心電図電極上に誘導する、請求項13に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項15】
前記心電図電極は第1の第1のスプリングクリップを介して前記プリント回路板にその上の第1の場所においてRF接地されており、
前記心電図電極は第2のスプリングクリップを介して前記プリント回路板にその上の第2の場所においてRF接地されている、請求項13または請求項14に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項16】
前記第1の場所および前記第2の場所は、前記プリント回路板上に配設された1つまたは複数の磁石が前記第1の場所と前記第2の場所との間に位置付けられるよう、前記プリント回路板上で互いに離間されている、請求項15に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項17】
前記1つまたは複数のGPS周波数帯域は、
約1164MHz~約1189MHzに及ぶ第1のGPS周波数帯域、
約1563メガヘルツ(MHz)~約1587MHzに及ぶ第2のGPS周波数帯域、および
約1215MHz~約1240MHzに及ぶ第3のGPS周波数帯域、
を含む、請求項13~請求項16のいずれか1項に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項18】
前記プリント回路板に電気結合された皮膚電気活動電極をさらに備える、請求項13~請求項17のいずれか1項に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項19】
前記プリント回路板の外周はグラウンドキープアウト領域を含む、請求項13~請求項18のいずれか1項に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項20】
前記スロットアンテナは第1の接地接点および第2の接地接点を含み、前記第1の接地接点は第1の場所において前記プリント回路板と前記導電性ハウジングとの間に結合されており、前記第2の接地接点は、前記第1の場所とは異なる第2の場所において前記プリント回路板と前記導電性ハウジングとの間に結合されている、請求項13~請求項19のいずれか1項に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本開示は概してウェアラブルコンピューティングデバイスに関する。より詳細には、本開示は、ウェアラブルコンピューティングデバイスのプリント回路板とウェアラブルコンピューティングデバイスの導電性ハウジングとの間の間隙によって規定されたスロットアンテナの性能(例えば、放射効率)を改善するための接地寄生要素を有するウェアラブルコンピューティングデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
最新の電子デバイスは、しばしば、他の電子デバイスとの無線通信を促進するための1つまたは複数の無線周波数(RF:radio-frequency)アンテナを含む。例えば、ウェアラブルコンピューティングデバイス内において、RFアンテナは、望ましい放出および受信特性を依然として提供しつつ、制約された空間内に収まらなければならない。さらに、これらのウェアラブルコンピューティングデバイスにとっては、複数の周波数帯域を通じた通信をサポートすることが望ましくなり得る。
【発明の概要】
【0003】
概要
本開示の実施形態の態様および利点は部分的に以下の説明において記載されることになるか、または説明から知ることができるか、または実施形態の実施を通じて知ることができる。
【0004】
一態様では、ウェアラブルコンピューティングデバイスが提供される。ウェアラブルコンピューティングデバイスは、プリント回路板と、導電性ハウジングと、を含む。ウェアラブルコンピューティングデバイスは、プリント回路板と導電性ハウジングとの間の間隙によって規定されたスロットアンテナをさらに含む。スロットアンテナは複数の異なる周波数帯域において動作可能である。複数の異なる周波数帯域は1つまたは複数の全地球測位システム周波数帯域を含む。ウェアラブルコンピューティングデバイスは寄生要素を含む。寄生要素はプリント回路板に複数の異なる場所において電気的に接地されている。
【0005】
実装形態によっては、寄生要素はプリント回路板にその上の第1の場所において直流接地されている。加えて、寄生要素はプリント回路板にその上の第2の場所において直流接地されている。実装形態によっては、第1の場所および第2の場所は、プリント回路板上に配設された1つまたは複数の磁石が第1の場所と第2の場所との間に位置付けられるよう、互いに離間されている。実装形態によっては、寄生要素は1つまたは複数のバイパスキャパシタを介してプリント回路板に無線周波数接地されている。
【0006】
実装形態によっては、プリント回路板と導電性ハウジングとの間の間隙の幅は約0.5ミリメートル~約10ミリメートルに及ぶ。実装形態によっては、プリント回路板の外周はグラウンドキープアウト領域を含む。さらに、実装形態によっては、スロットアンテナの幅は間隙の幅およびグラウンドキープアウト領域の幅にわたる。実装形態によっては、スロットアンテナの幅は約0.5ミリメートル~約10ミリメートルに及ぶ。
【0007】
実装形態によっては、スロットアンテナが1つまたは複数の全地球測位システム周波数帯域で動作する時に、スロットアンテナは1つまたは複数の電流を寄生要素上に誘導する。
【0008】
実装形態によっては、スロットアンテナは第1の接地接点および第2の接地接点を含む。第1の接地接点は第1の場所においてプリント回路板と導電性ハウジングとの間に結合されている。第2の接地接点は、第1の場所とは異なる第2の場所においてプリント回路板と導電性ハウジングとの間に結合されている。
【0009】
実装形態によっては、1つまたは複数の全地球測位システム周波数帯域は、約1164メガヘルツ~約1189メガヘルツに及ぶ第1の全地球測位システム周波数帯域、約1563メガヘルツ~約1587メガヘルツに及ぶ第2の全地球測位システム周波数帯域、および約1215メガヘルツ~約1240メガヘルツに及ぶ第3の全地球測位システム周波数帯域を含む。
【0010】
実装形態によっては、少なくとも部分的に、寄生要素が1つまたは複数のバイパスキャパシタを介してプリント回路板に無線周波数接地されているおかげで、1つまたは複数の全地球測位システム周波数帯域におけるスロットアンテナの放射効率は少なくとも2デシベルだけ増大させられる。
【0011】
別の態様では、ウェアラブルコンピューティングデバイスが提供される。ウェアラブルコンピューティングデバイスは、プリント回路板と、導電性ハウジングと、を含む。ウェアラブルコンピューティングデバイスは、プリント回路板と導電性ハウジングとの間の間隙によって規定されたスロットアンテナをさらに含む。スロットアンテナは複数の異なる周波数帯域において動作可能である。複数の異なる周波数帯域は1つまたは複数の全地球測位システム周波数帯域を含む。ウェアラブルコンピューティングデバイスは心電図電極をさらに含む。心電図電極はプリント回路板に複数の異なる場所において無線周波数接地されている。ウェアラブルコンピューティングデバイスは複数のバイパスキャパシタをさらに含む。複数のバイパスキャパシタの各々は、心電図電極と、プリント回路板上の複数の異なる場所の対応する場所との間に結合されている。
【0012】
実装形態によっては、スロットアンテナが1つまたは複数の全地球測位システム周波数帯域で動作している時に、スロットアンテナは1つまたは複数の電流を心電図上に誘導する。実装形態によっては、心電図電極は第1のスプリングクリップを介してプリント回路板にその上の第1の場所において無線周波数接地されている。加えて、心電図電極は第2のスプリングクリップを介してプリント回路板にその上の第2の場所において無線周波数接地されている。実装形態によっては、第1の場所および第2の場所は、プリント回路板上に配設された1つまたは複数の磁石が第1の場所と第2の場所との間に位置付けられるよう、プリント回路板上で互いに離間されている。
【0013】
実装形態によっては、1つまたは複数の全地球測位システム周波数帯域は、約1164メガヘルツ~約1189メガヘルツに及ぶ第1の全地球測位システム周波数帯域、約1563メガヘルツ~約1587メガヘルツに及ぶ第2の全地球測位システム周波数帯域、および約1215メガヘルツ~約1240メガヘルツに及ぶ第3の全地球測位システム周波数帯域を含む。
【0014】
実装形態によっては、皮膚電気活動電極がプリント回路板に電気結合されている。代替的に、または加えて、プリント回路板の外周はグラウンドキープアウト領域を含む。
【0015】
実装形態によっては、スロットアンテナは第1の接地接点および第2の接地接点を含む。第1の接地接点は第1の場所においてプリント回路板と導電性ハウジングとの間に結合されている。第2の接地接点は、第1の場所とは異なる第2の場所においてプリント回路板と導電性ハウジングとの間に結合されている。
【0016】
本開示の様々な実施形態のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は以下の説明および添付の請求項を参照してより深く理解されるであろう。本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、本開示の例示的な実施形態を図解し、説明とともに、本開示の関連原理を説明する役割を果たす。
【0017】
当業者に向けた実施形態の詳細な説明が本明細書において記載される。説明は添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本開示のいくつかの実装形態に係るウェアラブルコンピューティングデバイスを示す図である。
図2】本開示のいくつかの実装形態に係るウェアラブルコンピューティングデバイスの導電性ハウジングを示す図である。
図3】本開示のいくつかの実装形態に係る、ウェアラブルコンピューティングデバイスのハウジングアセンブリの下カバーが取り外された状態のウェアラブルコンピューティングデバイスの側面図を示す図である。
図4】本開示のいくつかの実装形態に係る、ウェアラブルコンピューティングデバイスのハウジングアセンブリが取り外された状態のウェアラブルコンピューティングデバイスの側面図を示す図である。
図5】本開示のいくつかの実装形態に係るウェアラブルコンピューティングデバイスの導電性ハウジング内に位置付けられたプリント回路板を示す図である。
図6】本開示のいくつかの実装形態に係るウェアラブルコンピューティングデバイスのプリント回路板を示す図である。
図7】本開示のいくつかの実装形態に係るウェアラブルコンピューティングデバイスの導電性ハウジングとプリント回路板との間の間隙によって規定されたスロットアンテナを示す図である。
図8】本開示のいくつかの実装形態に係るウェアラブルコンピューティングデバイスのプリント回路板に接地された寄生要素を示す図である。
図9】本開示のいくつかの実装形態に係るウェアラブルコンピューティングデバイスのプリント回路板に無線周波数接地された寄生要素を示す図である。
図10】本開示のいくつかの実装形態に係るウェアラブルコンピューティングデバイスのプリント回路板のレイアウトの概略図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
詳細な説明
次に、図面に1つまたは複数の例が示された、本発明の実施形態を詳細に参照する。各例は、本発明の限定ではなく、本発明の説明として提供されている。実際に、本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく様々な変更および変形を本発明において行うことができることが当業者には明らかであろう。例えば、一実施形態の一部として図示または説明されている特徴は、なおさらなる実施形態を生み出すために、別の実施形態とともに用いることができる。それゆえ、本発明は、添付の請求項およびそれらの同等物の範囲に含まれるとおりのこのような変更および変形を網羅することが意図される。
【0020】
本開示の例示的な態様は、例えば、ユーザの手首またはユーザの身体上の他の場所に装着され得るウェアラブルコンピューティングデバイスに関する。ウェアラブルコンピューティングデバイスは、導電性ハウジング(例えば、金属ハウジング)とプリント回路板との間の間隙(例えば、約0.1mmの間隙~約10mmの間隙)によって規定されたスロットアンテナを含むことができる。スロットアンテナは複数の異なる周波数帯域において動作することができる。例えば、スロットアンテナは1つまたは複数の全地球的航法衛星システム(例えば、全地球測位システム(GPS:global positioning system)、GLONASS、Galileo等)周波数帯域において動作することができる。例えば、1つまたは複数の全地球的航法衛星システム周波数帯域は1つまたは複数のGPS周波数帯域(例えば、1164MHz~1189MHz、1563MHz~1587MHz、1215MHz~1240MHz)を含むことができる。しかし、ウェアラブルコンピューティングデバイスは、例えば、ユーザの手首に装着されるために十分にコンパクトでなければならないため、スロットアンテナの寸法(例えば、長さ)は制限され、これは、状況によっては、1つまたは複数のGPS周波数帯域におけるスロットアンテナの性能(例えば、放射効率)に影響を及ぼし得る。
【0021】
本開示の一態様は、寄生要素を有するウェアラブルコンピューティングデバイスに関する。寄生要素はプリント回路板に電気的に接地され得る。例えば、寄生要素はプリント回路板のグラウンドプレーンに電気的に接地され得る。寄生要素は、寄生共振を生じさせる任意の要素を含むことができることを理解されたい。例えば、寄生要素は金属要素(例えば、装飾要素)を含むことができる。心電図(ECG:electrocardiogram)電極の形態の寄生要素を有するウェアラブルコンピューティングデバイスの例が以下においてさらに説明される。
【0022】
寄生要素はプリント回路板にその上の第1の場所において直流(DC:direct current)接地され得る。加えて、寄生要素はプリント回路板にその上の第2の場所においてDC接地され得る。第1の場所および第2の場所はプリント回路板に沿って互いに離間され得る。さらに、プリント回路板は、寄生要素をそれぞれ第1の場所および第2の場所においてプリント回路板に結合するための、第1の場所における第1の留め具(例えば、スプリングクリップ)および第2の場所における第2の留め具(例えば、スプリングクリップ)を含むことができる。例えば、寄生要素の第1の極および/または寄生要素の第2の極は、それぞれ第1の留め具および第2の留め具を介してプリント回路板に機械結合および/または電気結合され得る。
【0023】
寄生要素はプリント回路板に複数の異なる場所において無線周波数(RF)接地され得る。このように、スロットアンテナは、1つまたは複数のGPS周波数帯域において動作している時に、1つまたは複数の電流を寄生要素上に誘導し、これは、1つまたは複数のGPS周波数帯域におけるスロットアンテナの性能(例えば、放射効率)を改善することができる。例えば、寄生要素が複数の場所においてプリント回路板にRF接地されていることは、場合によっては、1つまたは複数のGPS周波数帯域におけるスロットアンテナの放射効率を少なくとも約2デシベルだけ改善することができる。本明細書で使用する時、数値と併せた用語「約(about)」の使用は、提示された数値の約20%以内を指す。
【0024】
実装形態によっては、寄生要素は1つまたは複数のバイパスキャパシタを介してプリント回路板に無線周波数(RF)接地され得る。このように、寄生要素はDCまたは低周波数(例えば、非RF周波数)において電気的に隔離され得る。例えば、実装形態によっては、寄生要素は第1のバイパスキャパシタを介してプリント回路板にその上の第1の場所においてRF接地され得る。代替的に、または加えて、寄生要素は第2のバイパスキャパシタを介してプリント回路板にその上の第2の場所においてRF接地され得る。
【0025】
本開示の別の態様は、ECG電極を有するウェアラブルコンピューティングデバイスに関する。ECG電極はプリント回路板に複数の異なる場所においてRF接地され得る。さらに、ECG電極はRF接地されているため、スロットアンテナが1つまたは複数のGPS周波数帯域において動作している時に、スロットアンテナは1つまたは複数の電流をECG電極上に誘導することができる。このように、ECG電極がプリント回路板に複数の場所においてRF接地されていることは、1つまたは複数のGPS周波数帯域におけるスロットアンテナの性能(例えば、放射効率)を改善することができる。例えば、1つまたは複数のGPS周波数帯域におけるスロットアンテナの放射効率は少なくとも2デシベルだけ改善され得る。さらに、ECG電極は寄生要素を兼ねることができるため、1つまたは複数のGPS周波数帯域におけるスロットアンテナの性能は、別個の寄生要素を必要とすることなく改善され得る。
【0026】
ECGは1つまたは複数のバイパスキャパシタを介してプリント回路板にRF接地され得る。例えば、ECG電極は、プリント回路板とECG電極の第1の極との間に結合された第1のバイパスキャパシタを介してRF接地され得る。加えて、ECG電極は、プリント回路板とECG電極の第2の極との間に結合された第2のバイパスキャパシタを介してRF接地され得る。さらに、場合によっては、第1のバイパスキャパシタおよび/または第2のバイパスキャパシタは、それぞれ第1の留め具および第2の留め具を介してプリント回路板に機械的および電気的に結合され得る。
【0027】
本開示の例示的な態様に係るウェアラブルコンピューティングデバイスは数多くの技術的効果および恩恵をもたらすことができる。例えば、寄生要素またはECG電極をプリント回路板に複数の場所においてRF接地することは、1つまたは複数のGPS周波数帯域におけるスロットアンテナの性能(例えば、放射効率)を改善することができる。さらに、ECG電極をプリント回路にRF接地することは、ECG電極がECGセンサおよび寄生要素を兼ねることを可能にすることができる。このように、スロットアンテナの性能(例えば、放射効率)は、別個の寄生要素を必要とすることなく改善され得る。
【0028】
次に図を参照すると、図1は、本開示のいくつかの実装形態に係るウェアラブルコンピューティングデバイス100を示す。図示のように、ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、例えば、ユーザの腕102(例えば、手首)に装着され得る。例えば、ウェアラブルコンピューティングデバイス100はバンド104およびハウジングアセンブリ110を含むことができる。ハウジングアセンブリ110はバンド104に結合され得る。このように、バンド104は、ハウジングアセンブリ110をユーザの腕102に固定するためにユーザの腕102に締められ得る。
【0029】
実装形態によっては、ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、内容(例えば、時刻、日付等)をユーザに表示することができるディスプレイ112を含むことができる。実装形態によっては、ディスプレイ112は対話型ディスプレイ(例えば、タッチスクリーンまたはタッチフリー)を含むことができる。このような実装形態では、ユーザはディスプレイ112を介してウェアラブルコンピューティングデバイス100と対話し、ウェアラブルコンピューティングデバイス100の動作を制御することができる。代替的に、または加えて、ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、ウェアラブルコンピューティングデバイス100と対話するためにユーザによって操作され得る1つまたは複数の入力デバイス114を含むことができる。例えば、1つまたは複数の入力デバイス114は、ウェアラブルコンピューティングデバイス100と対話するために操作され得る(例えば、押される)機械式ボタンを含むことができる。実装形態によっては、1つまたは複数の入力デバイス114は、ディスプレイ112に関連付けられたバックライト(図示せず)の動作を制御するために操作され得る。1つまたは複数の入力デバイス114は、ユーザが任意の好適な仕方でウェアラブルコンピューティングデバイス100と対話することを可能にするように構成され得ることを理解されたい。例えば、実装形態によっては、1つまたは複数の入力デバイス114は、ディスプレイ112上の1つまたは複数のメニューを通してナビゲートするためにユーザによって操作され得る。
【0030】
実装形態によっては、ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、ユーザによって(例えば、継続的に)装着されるように設計され得る。装着されている際、ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、ユーザによって遂行される活動に関する、またはユーザの生理状態に関するデータを集めることができる。このようなデータは、ユーザの周りの周囲環境、または環境とのユーザの相互作用を表すデータを含み得る。例えば、データは、ユーザの運動に関する動きデータ、周囲光、周囲騒音、空気品質等、ならびに/あるいは心拍数、発汗レベル、および同様のものなどの、ユーザの様々な生理学的特性を測定することによって取得される生理学的データを含むことができる。
【0031】
次に図2を参照すると、本開示のいくつかの実装形態に係るウェアラブルコンピューティングデバイス100のハウジングアセンブリ110の側面図が示されている。図示のように、ハウジングアセンブリ110は導電性ハウジング120を含むことができる。導電性ハウジング120は、ハウジングアセンブリ110をユーザの腕102(図1)に固定するために用いられるバンド104に取り付けられ得る。ハウジングアセンブリ110は、導電性ハウジング120に結合されたカバー122を含むことができる。実装形態によっては、カバー122は導電性ハウジング120の下部に結合され得る。このように、カバー122は、ハウジングアセンブリ110がバンド104を介してユーザの腕102に固定された時に、ユーザの腕102(図1)に接触することができる(例えば、触れる)。
【0032】
導電性ハウジング120は任意の好適な導電材料を含むことができる。例えば、実装形態によっては、導電性ハウジング120は金属ハウジングを含むことができる。カバー122は絶縁材料を含むことができる。例えば、実装形態によっては、カバー122はプラスチックカバーを含むことができる。
【0033】
実装形態によっては、ウェアラブルコンピューティングデバイス100は心電図(ECG)電極200を含むことができる。図示のように、ECG電極200は、カバー122によって画定された開口部(例えば、切り欠き)内に位置付けられ得る。このように、ECG電極200は、ハウジングアセンブリ110がバンド104を介してユーザの腕102に固定された時に、ユーザの腕102(図1)に接触することができる(例えば、触れる)。ECG電極200がユーザの腕102に接触している時に、ECG電極200はユーザの腕102(例えば、手首)に電気接続され得る。さらに、ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、ECG電極200がユーザの腕102(例えば、手首)に電気接続されている時に、ECG電極200を介して取得されたデータに少なくとも部分的に基づいてユーザの1種または複数種の健康メトリック(例えば、心拍数)を決定することができることを理解されたい。
【0034】
次に図3および図4を参照すると、いくつかの実装形態に係るウェアラブルコンピューティングデバイス100の側面図が示されている。図3は、カバー122(図2)が取り外された状態のウェアラブルコンピューティングデバイス100の側面図を示す。図4は、ハウジングアセンブリ110(図2)を有しないウェアラブルコンピューティングデバイス100の側面図を示す。図示のように、ディスプレイ112は、実装形態によっては、ディスプレイITOコーティング116およびタッチITOコーティング118を含むことができる。
【0035】
ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、ハウジングアセンブリ110(図2)内に配設されたプリント回路板300を含むことができる。例えば、実装形態によっては、プリント回路板300の第1の部分は導電性ハウジング120内に位置付けられ得、プリント回路板300の第2の部分はカバー122内に位置付けられ得る。プリント回路板300は、その上に配設された複数の電子構成要素(図示せず)を含むことができる。実装形態によっては、プリント回路板300は、プリント回路板300の少なくとも部分を覆うシールドカン302を含むことができる。このように、シールドカン302は、プリント回路板300上に配設された複数の電子構成要素のうちの1つまたは複数の電子構成要素を覆うことができる。代替的に、または加えて、プリント回路板300は1つまたは複数の充電ピン304を含むことができる。このように、ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、ウェアラブルコンピューティングデバイス100のエネルギー貯蔵デバイス(例えば、電池)の充電を促進するために1つまたは複数の充電ピン304を介して充電回路(図示せず)に結合され得る。
【0036】
実装形態によっては、導電性ハウジング120は1つまたは複数のセンサ130のための開口部(例えば、切り欠き)を画定することができる。このように、1つまたは複数のセンサ130はユーザに対して可視であることができる。実装形態によっては、1つまたは複数のセンサ130は皮膚電気活動(EDA:electrodermal activity)電極およびECG電極のうちの少なくとも一方を含むことができる。このような実装形態では、ユーザは、ユーザの1種または複数種の健康メトリック(例えば、心拍数、血圧、ECG、EDA等)を測定することを促進するために1つまたは複数のセンサ130に接触することができる(例えば、触れる)。1つまたは複数のセンサ130はプリント回路板300に電気結合され得ることを理解されたい。
【0037】
次に図5を参照すると、プリント回路板300は、間隙400が導電性ハウジング120とプリント回路板300との間に画定されるよう、導電性ハウジング120に対して位置付けられている。間隙400はプリント回路板300の全外周の周りに延びることができる。別の言い方をすれば、プリント回路板300の縁部は導電性ハウジング120に接触することができない(例えば、触れることができない)。
【0038】
実装形態によっては、導電性ハウジング120とプリント回路板300との間に画定された間隙400の幅402は約0.5ミリメートル~約10ミリメートルに及ぶことができる。実装形態によっては、間隙400の幅402はプリント回路板300の外周の周りで変化することができる。例えば、プリント回路板300の外周の第1の部分における導電性ハウジング120とプリント回路板300との間の間隙400の幅402は、プリント回路板300の外周の第2の部分における導電性ハウジング120とプリント回路板300との間の間隙400の幅402とは異なり得る(例えば、それよりも広い、狭い)。
【0039】
次に図6および図7を参照すると、プリント回路板300の外周は、実装形態によっては、銅フリーまたはグラウンドキープアウト領域306を含むことができる。グラウンドキープアウト領域306は、電子構成要素(例えば、抵抗器、キャパシタ等)が配置され得ないプリント回路板300の領域を含むことができることを理解されたい。実装形態によっては、プリント回路板300のグラウンドキープアウト領域306の幅308は0.1ミリメートル~約2ミリメートルに及ぶことができる。後述されるように、グラウンドキープアウト領域306は電気的間隙の役割を果たすことができる。
【0040】
実装形態によっては、スロットアンテナ500(破線によって示される)が導電性ハウジング120とプリント回路板300との間の間隙400によって規定され得る。さらに、実装形態によっては、スロットアンテナ500は、プリント回路板300のグラウンドキープアウト領域306の幅308にわたる電気的間隙によってさらに規定され得る。このような実装形態では、スロットアンテナ500の幅は間隙400の幅402(図5)およびプリント回路板300のグラウンドキープアウト領域306の幅308にわたることができる。例えば、実装形態によっては、スロットアンテナ500の幅は約0.5ミリメートル~約10ミリメートルに及ぶことができる。
【0041】
スロットアンテナ500は複数の異なる周波数帯域において動作可能であることができる。例えば、スロットアンテナ500は1つまたは複数の全地球的航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)周波数帯域において動作可能であることができる。実装形態によっては、1つまたは複数のGNSSS周波数帯域は1つまたは複数のGPS周波数帯域を含むことができる。1つまたは複数のGPS周波数帯域は、約1164メガヘルツ(MHz)~約1189MHzに及ぶ第1のGPS周波数帯域、約1563MHz~約1587MHzに及ぶ第2のGPS周波数帯域、および約1215MHz~約1240MHzに及ぶ第3のGPS周波数帯域のうちの少なくとも1つを含むことができる。さらに、1つまたは複数のGPS周波数帯域に加えて、スロットアンテナ500は、セルラ通信(例えば、4G、5G)または無線構内通信に関連付けられた1つまたは複数の周波数帯域において放射するように構成され得る。しかし、スロットアンテナ500は、任意の好適な通信規格に関連付けられた周波数帯域において動作可能であることができることを理解されたい。
【0042】
実装形態によっては、スロットアンテナ500は第1の接地接点502および第2の接地接点504を含むことができる。第1の接地接点502は導電性ハウジング120とプリント回路板300の外周(例えば、グラウンドキープアウト領域306)上の第1の場所との間に結合され得る。逆に、第2の接地接点504は導電性ハウジング120とプリント回路板300の外周306上の第2の場所との間に結合され得る。実装形態によっては、第1の場所および第2の場所はプリント回路板300の反対の側に対応することができる。しかし、第1の接地接点502および第2の接地接点504は、スロットアンテナ500の長さを調整するための任意の好適な場所においてプリント回路板300の外周に結合され得ることを理解されたい。例えば、第1の接地接点502および第2の接地接点504は、スロットアンテナ500を短くするために、互いにより接近して位置付けられ得る。代替的に、第1の接地接点502および第2の接地接点504は、スロットアンテナ500を長くするために、互いにより遠く離れて位置付けられ得る。
【0043】
次に図8および図9を参照すると、本開示のいくつかの実装形態に係るウェアラブルコンピューティングデバイス(例えば、図1のウェアラブルコンピューティングデバイス100)の寄生要素600が示されている。実装形態によっては、寄生要素600は完全にウェアラブルコンピューティングデバイス100のハウジングアセンブリ110(図1)内に配設され得る。代替的実装形態では、寄生要素600はハウジングアセンブリ110内に部分的に位置付けられ得る。例えば、寄生要素600の第1の部分はハウジングアセンブリ110内に位置付けられ得、それに対して、寄生要素600の第2の部分はハウジングアセンブリ110の外部に位置付けられ得る。
【0044】
寄生要素600はプリント回路板300に電気的に接地され得る。例えば、寄生要素600はプリント回路板300のグラウンドプレーンに電気的に接地され得る。実装形態によっては、寄生要素600はプリント回路板300に複数の場所においてDC接地され得る。例えば、寄生要素600はプリント回路板300にその上の第1の場所602およびその上の第2の場所604においてDC接地され得る。図示のように、第1の場所602および第2の場所604はプリント回路板300に沿って互いに離間され得る。実装形態によっては、寄生要素60はプリント回路板300にその上の2つを超える場所(例えば、第1の場所602、第2の場所604)においてDC接地され得ることを理解されたい。
【0045】
実装形態によっては、寄生要素600は1つまたは複数のバイパスキャパシタを介してプリント回路板300にRF接地され得る。例えば、実装形態によっては、寄生要素600は第1のバイパスキャパシタ610を介してプリント回路板300にその上の第1の場所602においてRF接地され得る。加えて、寄生要素600は第2のバイパスキャパシタ612を介してプリント回路板300にその上の第2の場所604においてRF接地され得る。バイパスキャパシタ(例えば、第1のバイパスキャパシタ610および第2のバイパスキャパシタ612)は、直流および低周波数(例えば、非RF周波数)において寄生要素600を電気的グラウンドに対して電気的に隔離されたままにしておくことができることを理解されたい。
【0046】
寄生要素600は1つまたは複数のGPS周波数帯域におけるスロットアンテナ500の性能(例えば、放射効率)を改善することができる。例えば、寄生要素600はプリント回路板300に複数の場所(例えば、第1の場所602、第2の場所604)において電気的に接地されているため(例えば、無線周波数接地されている、DC接地されている)、スロットアンテナ500が1つまたは複数のGPS周波数帯域において動作している時に、スロットアンテナ500は1つまたは複数の電流を寄生要素600上に誘導することができる。スロットアンテナ500が1つまたは複数の電流を寄生要素600上に誘導することは、1つまたは複数のGPS周波数帯域におけるスロットアンテナ500の性能(例えば、放射効率)を改善することができることを理解されたい。例えば、実装形態によっては、少なくとも部分的に、寄生要素600がプリント回路板300に複数の場所(例えば、第1の場所602、第2の場所604)において電気的に接地されているおかげで、スロットアンテナ500の放射効率は少なくとも2デシベルだけ増大することができる。
【0047】
実装形態によっては、寄生要素600は、ウェアラブルコンピューティングデバイス100(図3)のECG電極200(図3)とは別個のものである金属要素を含むことができる。代替的実装形態では、寄生要素600は、以上において図2図4を参照して説明されたECG電極200を含むことができる。加えて、実装形態によっては、ECG電極200は1つまたは複数のバイパスキャパシタ(例えば、第1のバイパスキャパシタ610、第2のバイパスキャパシタ612)を介してプリント回路板300にRF接地され得る。ECG電極200をプリント回路板300に複数の場所においてRF接地することは、1つまたは複数のGPS周波数帯域におけるスロットアンテナ500(図7)の性能が、別個の寄生要素600を必要とすることなく改善されることを可能にすることができることを理解されたい。
【0048】
次に図10を参照すると、本開示のいくつかの実装形態に係るプリント回路板300のレイアウトの概略図が示されている。図示のように、第1の場所602および第2の場所604は、1つまたは複数の磁石700が第1の場所602と第2の場所604との間に位置付けられるよう、プリント回路板300上で互いに離間され得る。例えば、実装形態によっては、1つまたは複数の磁石700は第1の磁石および第2の磁石を含むことができる。代替的実装形態では、より多数またはより少数の磁石が第1の場所と第2の場所との間に位置付けられている。
【0049】
実装形態によっては、プリント回路板300は、その上の第1の場所602における第1の留め具(例えば、スプリングクリップ)、およびその上の第2の場所における第2の留め具(例えば、スプリングクリップ)を含むことができる。このように、寄生要素600は、それぞれ第1の留め具および第2の留め具を介して第1の場所602および第2の場所604においてプリント回路板300に機械的に結合され得る。
【0050】
本主題はその様々な特定の例示的実施形態に関して詳細に説明されたが、各例は、本開示の限定ではなく、説明として提供されている。当業者は、上述のことを理解すれば、このような実施形態の変更、それらの変形、およびそれらの同等物を容易に作り出すことができる。したがって、当業者には容易に理解されるであろうように、本主題の開示は、本主題に対するこのような変更、変形、および/または追加の包含を除外しない。例えば、一実施形態の一部として図示または説明されている特徴は、なおさらなる実施形態を生み出すために、別の実施形態とともに用いることができる。それゆえ、本開示はこのような変更、変形、および同等物を網羅することが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-04-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント回路板と、
導電性ハウジングと、
前記プリント回路板と前記導電性ハウジングとの間の間隙によって規定されたスロットアンテナと、を備え、前記スロットアンテナは複数の異なる周波数帯域において動作可能であり、前記複数の異なる周波数帯域は1つまたは複数の全地球測位システム(GPS)周波数帯域を含み、
寄生要素を備え、前記寄生要素は複数の異なる場所において前記プリント回路板に電気的に接地されている、ウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項2】
前記寄生要素は1つまたは複数のバイパスキャパシタを介して前記プリント回路板に無線周波数(RF)接地されている、請求項1に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項3】
前記寄生要素は前記プリント回路板にその上の第1の場所において直流(DC)接地されており、
前記寄生要素は前記プリント回路板にその上の第2の場所においてDC接地されている、請求項1に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項4】
前記第1の場所および前記第2の場所は、前記プリント回路板上に配設された1つまたは複数の磁石が前記第1の場所と前記第2の場所との間に位置付けられるよう、前記プリント回路板上で互いに離間されている、請求項3に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項5】
前記プリント回路板と前記導電性ハウジングとの間の前記間隙の幅は約0.5ミリメートル~約10ミリメートルに及ぶ、求項1~4のいずれか1項に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項6】
前記プリント回路板の外周はグラウンドキープアウト領域を含む、請求項1に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項7】
前記スロットアンテナの幅は前記間隙の前記幅および前記グラウンドキープアウト領域の幅にわたる、請求項6に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項8】
前記スロットアンテナの前記幅は約0.5ミリメートル~約10ミリメートルに及ぶ、請求項7に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項9】
前記スロットアンテナが前記1つまたは複数のGPS周波数帯域において動作する時に、前記スロットアンテナは1つまたは複数の電流を前記寄生要素上に誘導する、求項1~8のいずれか1項に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項10】
前記スロットアンテナは第1の接地接点および第2の接地接点を含み、前記第1の接地接点は第1の場所において前記プリント回路板と前記導電性ハウジングとの間に結合されており、前記第2の接地接点は、前記第1の場所とは異なる第2の場所において前記プリント回路板と前記導電性ハウジングとの間に結合されている、求項1~9のいずれか1項に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項11】
前記1つまたは複数のGPS周波数帯域は、
約1164MHz~約1189MHzに及ぶ第1のGPS周波数帯域、
約1563メガヘルツ(MHz)~約1587MHzに及ぶ第2のGPS周波数帯域、および
約1215MHz~約1240MHzに及ぶ第3のGPS周波数帯域、
を含む、求項1~10のいずれか1項に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項12】
少なくとも部分的に、前記寄生要素が前記1つまたは複数のバイパスキャパシタを介して前記プリント回路板にRF接地されているおかげで、前記1つまたは複数のGPS周波数帯域における前記スロットアンテナの放射効率は少なくとも2デシベルだけ増大させられる、請求項2に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項13】
プリント回路板と、
導電性ハウジングと、
前記プリント回路板と前記導電性ハウジングとの間の間隙によって規定されたスロットアンテナと、を備え、前記スロットアンテナは複数の異なる周波数帯域において動作可能であり、前記複数の異なる周波数帯域は1つまたは複数の全地球測位システム(GPS)周波数帯域を含み、
心電図(ECG)電極を備え、前記ECG電極は前記プリント回路板に複数の異なる場所において無線周波数(RF)接地されており、
複数のバイパスキャパシタを備え、バイパスキャパシタの各々は、前記ECG電極と、前記プリント回路板上の前記複数の異なる場所のうちの対応する場所との間に結合されている、ウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項14】
前記スロットアンテナが前記1つまたは複数のGPS周波数帯域において動作している時に、前記スロットアンテナは1つまたは複数の電流を前記心電図電極上に誘導する、請求項13に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項15】
前記心電図電極は第1のスプリングクリップを介して前記プリント回路板にその上の第1の場所においてRF接地されており、
前記心電図電極は第2のスプリングクリップを介して前記プリント回路板にその上の第2の場所においてRF接地されている、請求項13または請求項14に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項16】
前記第1の場所および前記第2の場所は、前記プリント回路板上に配設された1つまたは複数の磁石が前記第1の場所と前記第2の場所との間に位置付けられるよう、前記プリント回路板上で互いに離間されている、請求項15に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項17】
前記1つまたは複数のGPS周波数帯域は、
約1164MHz~約1189MHzに及ぶ第1のGPS周波数帯域、
約1563メガヘルツ(MHz)~約1587MHzに及ぶ第2のGPS周波数帯域、および
約1215MHz~約1240MHzに及ぶ第3のGPS周波数帯域、
を含む、請求項13~請求項16のいずれか1項に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項18】
前記プリント回路板に電気結合された皮膚電気活動電極をさらに備える、請求項13~請求項17のいずれか1項に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項19】
前記プリント回路板の外周はグラウンドキープアウト領域を含む、請求項13~請求項18のいずれか1項に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項20】
前記スロットアンテナは第1の接地接点および第2の接地接点を含み、前記第1の接地接点は第1の場所において前記プリント回路板と前記導電性ハウジングとの間に結合されており、前記第2の接地接点は、前記第1の場所とは異なる第2の場所において前記プリント回路板と前記導電性ハウジングとの間に結合されている、請求項13~請求項19のいずれか1項に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
実装形態によっては、スロットアンテナが1つまたは複数の全地球測位システム周波数帯域で動作している時に、スロットアンテナは1つまたは複数の電流を心電図電極上に誘導する。実装形態によっては、心電図電極は第1のスプリングクリップを介してプリント回路板にその上の第1の場所において無線周波数接地されている。加えて、心電図電極は第2のスプリングクリップを介してプリント回路板にその上の第2の場所において無線周波数接地されている。実装形態によっては、第1の場所および第2の場所は、プリント回路板上に配設された1つまたは複数の磁石が第1の場所と第2の場所との間に位置付けられるよう、プリント回路板上で互いに離間されている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
スロットアンテナ500は複数の異なる周波数帯域において動作可能であることができる。例えば、スロットアンテナ500は1つまたは複数の全地球的航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)周波数帯域において動作可能であることができる。実装形態によっては、1つまたは複数のGNSS周波数帯域は1つまたは複数のGPS周波数帯域を含むことができる。1つまたは複数のGPS周波数帯域は、約1164メガヘルツ(MHz)~約1189MHzに及ぶ第1のGPS周波数帯域、約1563MHz~約1587MHzに及ぶ第2のGPS周波数帯域、および約1215MHz~約1240MHzに及ぶ第3のGPS周波数帯域のうちの少なくとも1つを含むことができる。さらに、1つまたは複数のGPS周波数帯域に加えて、スロットアンテナ500は、セルラ通信(例えば、4G、5G)または無線構内通信に関連付けられた1つまたは複数の周波数帯域において放射するように構成され得る。しかし、スロットアンテナ500は、任意の好適な通信規格に関連付けられた周波数帯域において動作可能であることができることを理解されたい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
寄生要素600はプリント回路板300に電気的に接地され得る。例えば、寄生要素600はプリント回路板300のグラウンドプレーンに電気的に接地され得る。実装形態によっては、寄生要素600はプリント回路板300に複数の場所においてDC接地され得る。例えば、寄生要素600はプリント回路板300にその上の第1の場所602およびその上の第2の場所604においてDC接地され得る。図示のように、第1の場所602および第2の場所604はプリント回路板300に沿って互いに離間され得る。実装形態によっては、寄生要素60はプリント回路板300にその上の2つを超える場所(例えば、第1の場所602、第2の場所604)においてDC接地され得ることを理解されたい。
【国際調査報告】