(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】工学的な音減衰特性を有する建築材料及びその方法
(51)【国際特許分類】
G10K 11/165 20060101AFI20240822BHJP
G10K 11/162 20060101ALI20240822BHJP
E04B 1/84 20060101ALN20240822BHJP
【FI】
G10K11/165
G10K11/162
E04B1/84 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508574
(86)(22)【出願日】2021-08-13
(85)【翻訳文提出日】2024-04-03
(86)【国際出願番号】 US2021046005
(87)【国際公開番号】W WO2023018422
(87)【国際公開日】2023-02-16
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521539616
【氏名又は名称】オーシャニット ラボラトリーズ インク
【氏名又は名称原語表記】OCEANIT LABORATORIES, INC.
【住所又は居所原語表記】US 96813 Hawaii,Honolulu,828 Fort Street Mall,Suite 600
(74)【代理人】
【識別番号】100123559
【氏名又は名称】梶 俊和
(74)【代理人】
【識別番号】100177437
【氏名又は名称】中村 英子
(72)【発明者】
【氏名】ポロック, ジェイコブ
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス, ラファエル
(72)【発明者】
【氏名】デイビス, ブライス
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン, エリカ
(72)【発明者】
【氏名】フォファナ, エル ハディ
【テーマコード(参考)】
2E001
5D061
【Fターム(参考)】
2E001DF04
2E001FA04
2E001GA08
2E001GA82
2E001HA01
2E001HA03
2E001HA04
2E001HA14
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2E001HD11
2E001JA01
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2E001JB01
2E001JD02
5D061AA07
5D061AA09
5D061AA13
5D061AA16
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5D061AA29
(57)【要約】
音減衰材料は、複数の粒子であって、各々が、コアと、コアの周りの弾性またはコンプライアントコーティングとを含む、複数の粒子、及び複数の粒子を取り囲むマトリックスを有し、マトリックスはコアほど密度が高くない。音減衰材料を製造する方法は、弾性またはコンプライアントコーティングをコア粒子に添加し、コーティングを乾燥すること、コーティングされたコア粒子をマトリックス材料に混合すること、及び混合物を型に注ぐことを含む。コア粒子はマトリックス材料よりも高密度である。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音減衰材料であって、
複数の粒子であって、各々が、コアと、前記コアの周りの弾性またはコンプライアントコーティングとを含む、前記複数の粒子、及び
前記複数の粒子を取り囲むマトリックス、を含み、
前記コアは前記コーティングよりも高密度であり、
前記コーティングは発泡体である、
前記音減衰材料。
【請求項2】
前記弾性またはコンプライアントコーティングが、前記マトリックスの密度よりも低い密度を有する充填材料を含む、請求項1に記載の音減衰材料。
【請求項3】
前記充填材料は、ポリマーまたはガラスマイクロバルーンを含む、請求項2に記載の音減衰材料。
【請求項4】
前記粒子が球状である、請求項1に記載の音減衰材料。
【請求項5】
前記複数の粒子が、いくつかの異なる粒子の質量を含む、請求項1に記載の音減衰材料。
【請求項6】
前記マトリックスが建築材料である、請求項1に記載の音減衰材料。
【請求項7】
前記マトリックスが、石膏、セメント、コンクリート、ポリマー、またはセラミックを含む、請求項1に記載の音減衰材料。
【請求項8】
前記マトリックスが、強化充填剤を含み、前記強化充填剤が、ポリプロピレン繊維、砂利、カーボンナノチューブ、デンプン添加剤、紙繊維、及びガラス繊維のうちの1つまたは複数を含む、請求項1に記載の音減衰材料。
【請求項9】
前記複数の粒子の少なくとも1つの前記コアが、金属、鉱物、またはセラミックである、請求項1に記載の音減衰材料。
【請求項10】
前記複数の粒子の少なくとも1つの前記コアが、スチールまたはタングステンである、請求項9に記載の音減衰材料。
【請求項11】
前記複数の粒子の少なくとも1つの前記弾性コーティングが、エラストマーポリマーである、請求項1に記載の音減衰材料。
【請求項12】
前記複数の粒子の少なくとも1つの前記弾性コーティングが、ポリウレタン、シリコーン、またはゴムである、請求項11に記載の音減衰材料。
【請求項13】
前記複数の粒子の少なくとも1つの前記コアが、10nm~100cmの直径及び2.0~20g/ccの密度を有し、前記複数の粒子の前記少なくとも1つの前記弾性コーティングが、10nm~20mmの厚さ、0.005~0.5GPaの弾性率、及び0.01~2.0g/ccの密度を有する、請求項1に記載の音減衰材料。
【請求項14】
前記複数の粒子の前記少なくとも1つの前記コアが、1mm~5cmの直径を有し、前記複数の粒子の前記少なくとも1つの前記弾性コーティングが、0.1mm~10mmの厚さ、0.01~0.1GPaの弾性率、及び0.05~0.3g/ccの密度を有する、請求項13に記載の音減衰材料。
【請求項15】
前記複数の粒子がパンコーティングされている、請求項1に記載の音減衰材料。
【請求項16】
前記複数の粒子が、前記マトリックスに均一に分布している、請求項1に記載の音減衰材料。
【請求項17】
前記複数の粒子の少なくとも1つが、1つより多いコアを含む、請求項1に記載の音減衰材料。
【請求項18】
音減衰材料を製造する方法であって、
発泡体の弾性またはコンプライアントコーティングをコア粒子に添加し、前記コーティングを乾燥すること、
前記コーティングされたコア粒子をマトリックス材料に混合すること、及び
前記混合物を型に注ぐこと、を含み、
前記コア粒子が前記マトリックス材料よりも高密度である、
前記方法。
【請求項19】
前記混合物を乾燥することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記コア粒子がある範囲の質量を有する、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
コア粒子の各質量は共振周波数に対応し、前記コア粒子の前記質量は、最終的な建築材料によって減衰される事前に選択された周波数に基づいて選択され、各質量コア粒子の割合は、前記対応する共振周波数での事前に決定された所望の減衰レベルに基づいて選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
空気またはガス取り込み、発泡剤、ポリウレタン反応、または真空適用によって前記マトリックス材料を発泡させることをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
請求項18に記載の方法に従って製造された音減衰材料。
【請求項24】
音減衰材料であって、
複数の粒子であって、各々が、コアと、前記コアの周りに等しく分布された弾性またはコンプライアントコーティングとを含む、前記複数の粒子、及び
前記複数の粒子を取り囲むマトリックスを含むプラスターボードを含み、
前記コアは前記コーティング及び前記マトリックスの両方よりも高密度であり、
前記マトリックスは前記コーティングよりも高密度であり、
前記コーティング及び前記マトリックスの両方は発泡体である、
前記音減衰材料。
【請求項25】
前記マトリックスが弾性材料を含む、請求項24に記載の音減衰材料。
【請求項26】
音減衰粒子を製造する方法であって、
ポリジメチルシロキサン及び複数のアクリル微小球を鉱物スピリットに分散させることによりポリマー溶液を調製すること、
パンコータ及び/または流動床コータに複数の金属コアを充填すること、
前記複数の金属コアを前記ポリマー溶液でコーティングすること、及び
前記コーティング中に前記パンコータ及び/または前記流動床コータの粒子床に熱風を吹き付け、それによって前記ポリマー溶液でコーティングされた前記複数の金属コアを含む複数の音減衰粒子を生成することを含む、
前記方法。
【請求項27】
前記コーティングが、空気噴霧スプレーガンを使用して、前記複数の金属コア上に前記ポリマー溶液を噴霧することをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記複数の金属コアが複数のスチールボールを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記複数のスチールボールは、1インチの1/4、1インチの1/8、1インチの1/16、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される直径を有する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記複数の金属コアが複数のタングステンペレットを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
請求項26に記載の方法に従って製造された音減衰粒子。
【請求項32】
音減衰材料を製造する方法であって、
請求項26に記載の方法に従って音減衰粒子を製造すること、
音減衰マトリックスを、
ベース材料を水の第1の部分と混合し、それによってスラリーを生成すること、
発泡剤を水の第2の部分と混合し、それによって発泡体を生成すること、
前記発泡体を前記スラリーに添加し、それによって音減衰マトリックスを生成すること、及び
前記音減衰粒子を前記音減衰マトリックスに添加し、それによって、前記音減衰材料を生成すること、によって製造すること、
を含む、前記方法。
【請求項33】
型の中に前記音減衰材料を注ぐこと、及び
前記音減衰材料を乾燥させること、をさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記ベース材料が、プラスターまたはセメントのいずれかである、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記音減衰粒子の7wt%~25wt%が、前記音減衰マトリックスに添加される、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
請求項32に記載の方法に従って製造された音減衰材料。
【請求項37】
音減衰材料を製造する方法であって、
請求項26に記載の方法に従って音減衰粒子を製造すること、
前記音減衰粒子をポリウレタン膨張絶縁発泡体に添加し、それによって発泡複合体を生成すること、及び
前記発泡複合体をセットさせ、それによって前記音減衰材料を生成すること、
を含む、前記方法。
【請求項38】
請求項37に記載の方法に従って製造された音減衰材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、建築材料の分野に関し、より具体的には、音減衰建築材料に関する。
【背景技術】
【0002】
既存の音減衰材料は、製造及び設置に高価であり、高い質量及び/または重量を有し、及び/または適切な音減衰を設けることができない。
【0003】
したがって、改良された音減衰材料が必要である。
【発明の概要】
【0004】
これら及び他の目的は、本開示に記載されている工学的な音減衰特性及び方法を有する建築材料において達成される。特に、少なくとも1つの実施形態によれば、新規の音減衰材料は、複数の粒子であって、各々が、コアと、コアの周りの弾性またはコンプライアントコーティングとを含む、複数の粒子、及び複数の粒子を取り囲むマトリックスを含み、コアはコーティングよりも高密度である。コアは、弾性またはコンプライアントコーティングよりも高密度であってもよい。弾性またはコンプライアントコーティングは、ポリマーまたはガラスマイクロバルーンなどの、マトリックスの密度よりも低い密度を有する充填材料を含み得る。粒子は、球形または別の形状、例えば不規則なシャードであってもよく、様々な形状であってもよい。複数の粒子は、いくつかの異なる粒子の質量を含み得る。マトリックスは、建築材料であり得る。マトリックスは、石膏、セメント、コンクリート、ポリマー、またはセラミックを含み得る。マトリックス及び/または弾性またはコンプライアントコーティングは、発泡体であり得る。マトリックスは、強化充填剤を含み得、ポリプロピレン繊維、砂利、カーボンナノチューブ、デンプン添加剤、紙繊維、及びガラス繊維のうちの1つまたは複数を有し得る。
【0005】
少なくともいくつかの実施形態では、複数の粒子の少なくとも1つのコアは、金属、鉱物、またはセラミック、例えば、スチールまたはタングステンであってもよい。複数の粒子の少なくとも1つの弾性コーティングは、エラストマーポリマーであってもよい。複数の粒子の少なくとも1つの弾性コーティングは、ポリウレタン、シリコーン、またはゴムであってもよい。
【0006】
少なくとも1つのさらなる実施形態において、複数の粒子の少なくとも1つのコアは、10nm~100cmの直径及び2.0~20g/ccの密度を有し得、複数の粒子の少なくとも1つの弾性コーティングが、10nm~20mmの厚さ、0.005~0.5GPaの弾性率、及び0.01~2.0g/ccの密度を有し得る。いくつかの実施形態において、複数の粒子の少なくとも1つのコアは、1mm~5cmの直径を有し、複数の粒子の少なくとも1つの弾性コーティングが、0.1mm~10mmの厚さ、0.01~0.1GPaの弾性率、及び0.05~0.3g/ccの密度を有する。
【0007】
音減衰材料を製造する新規の方法は、弾性またはコンプライアントコーティングをコア粒子に添加し、コーティングを乾燥すること、コーティングされたコア粒子をマトリックス材料に混合すること、及び混合物を型に注ぐことを含む。コア粒子は、マトリックス材料よりも高密度であり、また、弾性コーティングまたはコンプライアントコーティングよりも高密度であり得る。本方法はまた、混合物を乾燥させることを含んでもよい。コア粒子は、ある範囲の質量を有し得る。コア粒子の各質量は共振周波数に対応し、コア粒子の質量は、最終的な建築材料によって減衰される事前に選択された周波数に基づいて選択される。各質量コア粒子の割合は、対応する共振周波数での事前に決定された所望の減衰レベルに基づいて選択される。本方法はまた、空気またはガス取り込み、発泡剤、ポリウレタン反応、または真空適用によってマトリックス材料を発泡させることも含み得る。
【0008】
いくつかの実施形態では、音減衰材料は、複数の粒子であって、各々の粒子が、コアと、コアの周りの弾性またはコンプライアントコーティングとを含む、複数の粒子、及び複数の粒子を取り囲むマトリックスを含む。少なくとも1つの実施形態では、コアはコーティングよりも高密度である。少なくとも別の実施形態では、コーティングは発泡体である。
【0009】
弾性またはコンプライアントコーティングは、マトリックスよりも低い密度を有する充填材料をさらに含むことができる。充填材料は、ポリマーまたはガラスマイクロバルーンを含み得る。
【0010】
少なくとも1つの実施形態において、複数の粒子の1つ以上は、球状である。複数の粒子はまた、いくつかの異なる粒子の質量を含み得る。
【0011】
マトリックスは、少なくともいくつかの実施形態では、建築材料である。したがって、マトリックスは、石膏、セメント、コンクリート、ポリマー、セラミック、強化充填剤、及びこれらの組み合わせを含み得る。強化充填剤は、ポリプロピレン繊維、砂利、砂、カーボンナノチューブ、デンプン添加剤、紙繊維、ガラス繊維、及びこれらの組み合わせのうちの1つまたは複数を含み得る。
【0012】
少なくとも1つの実施形態では、複数の粒子の少なくとも1つのコアは、金属、鉱物、セラミック、スチール、及び/またはタングステンである。複数の粒子のうち少なくとも1つの粒子のコアが、例えば、直径10nm~100cm、密度2.0~20g/ccであってもよい。いくつかの実施形態において、複数の粒子の少なくとも1つのコアは、1mm~5cmの直径を有し得る。
【0013】
少なくともさらなる実施形態において、複数の粒子の少なくとも1つの弾性コーティングは、エラストマーポリマーである。弾性コーティングはまた、ポリウレタン、シリコーン、及び/またはゴムを含み得る。さらなる実施形態において、複数の粒子の少なくとも1つの弾性コーティングは、10nm~20mmの厚さ、0.005~0.5GPaの弾性率、及び/または0.01~2.0g/ccの密度を有する。複数の粒子の少なくとも1つの弾性コーティングはまた、0.1mm~10mmの厚さ、0.01~0.1GPaの弾性率、及び/または0.05~0.3g/ccの密度を有し得る。
【0014】
少なくとも1つの実施形態における複数の粒子は、パンコーティングされる。さらなる実施形態における複数の粒子は、流動床コーティングプロセスを用いてコーティングされる。複数の粒子はまた、マトリックスに均一に分布され得る。加えて、複数の粒子の少なくとも1つの粒子は、1つより多いコアを含み得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、音減衰材料を製造する方法は、発泡体の弾性またはコンプライアントコーティングをコア粒子に添加し、コーティングを乾燥すること、コーティングされたコア粒子をマトリックス材料に混合すること、及び混合物を型に注ぐことを含む。少なくとも1つの実施形態において、コア粒子は、マトリックス材料よりも高密度である。本方法は、混合物を乾燥させることをさらに含み得る。追加の実施形態では、本方法は、空気またはガス取り込み、発泡剤、ポリウレタン反応、及び/または真空適用によってマトリックス材料を発泡させることを含む。
【0016】
少なくともいくつかの実施形態では、コア粒子は、ある範囲の質量を有する。コア粒子の各質量はさらに共振周波数に対応し得、コア粒子の質量は、最終的な建築材料によって減衰される事前に選択された周波数に基づいて選択され、各質量コア粒子の割合は、対応する共振周波数での事前に決定された所望の減衰レベルに基づいて選択される。
【0017】
さらなる実施形態では、音減衰材料は、複数の粒子であって、各々が、コアと、コアの周りに等しく分布された弾性またはコンプライアントコーティングとを含む、複数の粒子、及び複数の粒子を取り囲むマトリックスを含むプラスターボードを含む。音減衰材料は、コーティング及びマトリックスの両方よりも高密度のコアを含むことができる。マトリックスは、さらにコーティングよりも密度が高い場合がある。少なくとも1つの追加の実施形態では、コーティング及び/またはマトリックスは発泡体である。マトリックスは、本明細書に記載の弾性材料のいずれかを含む弾性材料をさらに含み得る。
【0018】
いくつかの実施形態における音減衰粒子を製造する方法は、ポリジメチルシロキサン及び複数のアクリル微小球を鉱物スピリットに分布させることによりポリマー溶液を調製すること、パンコータに複数の金属コアを充填すること、複数の金属コアをポリマー溶液でコーティングすること、及びコーティング中にパンコータの粒子床に熱風を吹き付け、それによってポリマー溶液でコーティングされた複数の金属コアを含む複数の音減衰粒子を生成することを含む。
【0019】
少なくとも1つの実施形態において、ポリマー溶液による複数の金属コアのコーティングは、空気噴霧スプレーガンを使用して、ポリマー溶液を複数の金属コア上に噴霧することをさらに含む。このような噴霧は、例えば、8時間の過程にわたって達成され得る。
【0020】
少なくとも1つの実施形態では、複数の金属コアをシステムに加えることができ、それにより、金属コアは、強制空気を使用して流動化され、ポリマー溶液は、コアが乾燥ポリマーでコーティングされるようになるような間隔(例えば、10秒から数分の範囲の間隔)で複数の金属コア上に噴霧することができる。いくつかの実施形態では、ポリマーの噴霧及び乾燥プロセスを繰り返して(例えば、100回から1000回から数千回)、様々なポリマーの厚さ(例えば、0.1mm~10mm)を達成することができる。
【0021】
いくつかの実施形態における複数の金属コアは、複数のスチールボールを含む。複数のスチールボールは、1インチの1/4、1インチの1/8、1インチの1/16、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される直径を有し得る。追加の実施形態における複数の金属コアは、複数のタングステンペレットを含む。
【0022】
いくつかの実施形態における音減衰材料を製造する方法は、本明細書に記載の方法の1つ以上に従って音減衰粒子を製造すること、音減衰マトリックスを、ベース材料を水の第1の部分と混合し、それによってスラリーを生成すること、発泡剤を水の第2の部分と混合し、それによって発泡体を生成すること、発泡体をスラリーに添加し、それによって音減衰マトリックスを生成すること、及び音減衰粒子を音減衰マトリックスに添加し、それによって、音減衰材料を生成すること、によって製造することを含む。少なくとも追加の実施形態では、本方法は、型の中に音減衰材料を注ぐこと、及び/または音減衰材料を乾燥させることをさらに含む。ベース材料は、プラスターまたはセメントのいずれかであり得る。少なくとも1つの実施形態では、音減衰粒子の7wt%~25wt%が音減衰マトリックスに添加される。
【0023】
いくつかの実施形態における音減衰材料を製造する方法は、本明細書に記載の方法の1つ以上に従って音減衰粒子を製造すること、音減衰粒子をポリウレタン膨張絶縁発泡体に添加し、それによって発泡複合体を生成すること、及び発泡複合体をセットさせ、それによって音減衰材料を生成することを含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、音減衰材料は、上述の方法の1つまたは複数に従って作製された音減衰材料を含む。
【0025】
本明細書に記載の音減衰粒子及び/または材料の目的は、様々な音に存在する1つまたは複数の周波数に対する音減衰応答をもたらすことであることを理解されたい。そのような応答は、音波に存在するエネルギー量を減少させることによってもたらされる。したがって、サイズ、コーティング、充填材料の量、及び充填材料の種類を含む、所与の種類の音減衰粒子の材料及び構成は、音減衰応答の範囲及び種類に影響を及ぼす。
【0026】
本明細書に記載のマトリックス及び/またはコーティングの発泡を含む発泡することは、それらの密度を低減し、これらの材料のより柔軟な及び/またはより軽いバージョンをもたらす、音減衰材料を含む材料を生成または改質する方法である。発泡方法の例としては、例えば、空気取り込み、発泡剤、二酸化炭素を生成するポリウレタン反応、真空適用、及び低密度充填剤(例えば、低密度マイクロバルーン)の組み込みが挙げられる。これらの発泡方法は、粒子を取り囲むマトリックスと共に粒子の密度を低減するための粒子のコーティングを発泡させるために使用され得る。したがって、発泡材料及び発泡音減衰粒子は、非発泡の標準的な音減衰粒子を生成するのと異なる製造技術を必要とする。
【0027】
加えて、音減衰粒子の発泡は、それらの粒子の密度及び音減衰応答の両方に影響を及ぼす。具体的には、所与のタイプの音減衰粒子の発泡バージョンは、同じタイプの音減衰粒子の非発泡の標準的なバージョンとは異なる音減衰応答を生じる。例えば、微小球やマイクロバルーンなど種々の低密度充填剤を発泡コーティングに用いることができる。粒子の密度を制御し、低密度の発泡コーティングを適用できることは、均一な粒子分散及び沈降にとって重要である。したがって、発泡コーティングは、マトリックスの密度とは無関係に粒子の密度を低減することができる(これは、粒子自体の一部ではなく、代わりに、コーティングされた粒子を取り囲む材料を指す)。
【0028】
音減衰粒子の文脈において、本明細書でさらに詳細に示されるように、これらの粒子に発泡コーティングを適用することは、有益な音響バンドギャップ特性及びより低い全体的な複合体の密度を含む異なる利点を提供することが発見された。
【0029】
したがって、前述及び継続する説明に基づいて、本発明は、その様々な実施形態において、任意の非相互排他的な組み合わせにおいて、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。
・音減衰材料は、複数の粒子であって、各々の粒子が、コアと、コアの周りの弾性またはコンプライアントコーティングとを含む、複数の粒子、及び複数の粒子を取り囲むマトリックスを含む。
・複数の粒子のコアは、コーティングよりも高密度である。
・弾性またはコンプライアントコーティングが発泡体である。
・弾性またはコンプライアントコーティングは、マトリックスよりも低い密度を有する充填材料をさらに含む。
・充填材料は、ポリマーまたはガラスマイクロバルーンを含む。
・複数の粒子の1つ以上は球状である。
・複数の粒子は、いくつかの異なる粒子の質量を含む。
・複数の粒子を取り囲むマトリックスは、建築材料である。
・マトリックスは、石膏、セメント、コンクリート、ポリマー、セラミック、及び強化充填剤の1つまたは複数を含む。
・強化充填剤は、ポリプロピレン繊維、砂利、砂、カーボンナノチューブ、デンプン添加剤、紙繊維、及びガラス繊維の1つまたは複数を含む。
・複数の粒子の少なくとも1つのコアは、金属、鉱物、セラミック、スチール、及びタングステンの1つ以上から作られる。
・複数の粒子の少なくとも1つのコアは10nm~100cmの直径を有する。
・複数の粒子の少なくとも1つのコアは2.0~20g/ccの密度を有する。
・複数の粒子の少なくとも1つのコアは1nm~5cmの直径を有する。
・複数の粒子の少なくとも1つの弾性コーティングは、エラストマーポリマーである。
・弾性コーティングは、ポリウレタン、シリコーン、及びゴムの1つまたは複数を含む。
・複数の粒子の少なくとも1つの弾性コーティングは、10nm~20mmの厚さを有する。
・複数の粒子の少なくとも1つの弾性コーティングは、0.005~0.5GPaの弾性率を有する。
・複数の粒子の少なくとも1つの弾性コーティングは、0.01~2.0g/ccの密度を有する。
・複数の粒子の少なくとも1つの弾性コーティングは、0.1nm~10mmの厚さを有する。
・複数の粒子の少なくとも1つの弾性コーティングは、0.01~0.1GPaの弾性率を有する。
・複数の粒子の少なくとも1つの弾性コーティングは、0.05~0.3g/ccの密度を有する。
・複数の粒子の少なくとも1つは、パンコーティング及び/または流動床コーティングされている。
・複数の粒子は、マトリックスに均一に分布される。
・複数の粒子の少なくとも1つは、1つより多いコアを含む。
・音減衰材料を製造する方法は、発泡体の弾性またはコンプライアントコーティングをコア粒子に添加し、コーティングを乾燥すること、コーティングされたコア粒子をマトリックス材料に混合すること、及び混合物を型に注ぐことを含む。
・方法は、混合物を乾燥することをさらに含む。
・方法は、空気またはガス取り込み、発泡剤、ポリウレタン反応、及び/または真空適用によってマトリックス材料を発泡させることをさらに含む。
・コア粒子は、マトリックス材料よりも高密度である。
・コア粒子は、ある範囲の質量を有する。
・コア粒子の各質量は、共振周波数に対応する。
・コア粒子の質量は、最終的な建築材料によって減衰される事前に選択された周波数に基づいて選択される。
・各質量コア粒子の割合は、対応する共振周波数における事前に決定された所望の減衰レベルに基づいて選択される。
・音減衰材料は、複数の粒子であって、各粒子が、コアと、コアの周りに等しく分布された弾性またはコンプライアントコーティングとを含む、複数の粒子、及び複数の粒子を取り囲むマトリックスを含むプラスターボードを含む。
・コアは、コーティング及び/またはマトリックスよりも高密度である。
・マトリックスは、コーティングよりも高密度である。
・コーティング及び/またはマトリックスは発泡体である。
・マトリックスは、弾性材料を含む。
・音減衰粒子を製造する方法は、ポリジメチルシロキサン及び複数のアクリル微小球を鉱物スピリットに分布させることによりポリマー溶液を調製すること、パンコータ及び/または流動床コータに複数の金属コアを充填すること、複数の金属コアをポリマー溶液でコーティングすること、及びコーティング中にパンコータ及び/または流動床コータの粒子床に熱風を吹き付け、それによってポリマー溶液でコーティングされた複数の金属コアを含む複数の音減衰粒子を生成することを含む。
・ポリマー溶液による複数の金属コアのコーティングは、空気噴霧スプレーガンを使用して、ポリマー溶液を複数の金属コア上に噴霧することをさらに含む。
・ポリマー溶液の噴霧は、8時間の経過にわたる。
・複数の金属コアは、複数のスチールボールを含む。
・複数のスチールボールは、1インチの1/4、1インチの1/8、1インチの1/16の直径を有する。
・複数の金属コアは、複数のタングステンペレットを含む。
・音減衰材料を製造する方法は、本明細書に記載の方法の1つ以上に従って音減衰粒子を製造すること、音減衰マトリックスを、ベース材料を水の第1の部分と混合し、それによってスラリーを生成すること、発泡剤を水の第2の部分と混合し、それによって発泡体を生成すること、発泡体をスラリーに添加し、それによって音減衰マトリックスを生成すること、及び音減衰粒子を音減衰マトリックスに添加し、それによって、音減衰材料を生成すること、によって製造することを含む。
・方法は、音減衰材料を型に注ぐことをさらに含む。
・方法は、音減衰材料を乾燥させることをさらに含む。
・マトリックス材料は、プラスターまたはセメントのいずれかである。
・7wt%~25wt%の音減衰粒子が音減衰マトリックスに添加される。
・音減衰材料を製造する方法は、本明細書に記載の方法の1つ以上に従って音減衰粒子を製造すること、音減衰粒子をポリウレタン膨張絶縁発泡体に添加し、それによって発泡複合体を生成すること、及び発泡複合体をセットさせ、それによって音減衰材料を生成することを含む。
・音減衰材料は、上述の方法の1つまたは複数に従って製造される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1A】本開示の実施形態による、音減衰のためのデザイナー充填材料を有する複合材料を示す。
【
図1B】4種類の音減衰粒子(対照のセメント、スチールビーズ、シリコーンを含むスチールビーズ、及び発泡シリコーンを含むスチールビーズ)に対する周波数の範囲にわたる振幅低減量を示すグラフである。
【
図1C】
図1Bと同じ4種類の音減衰粒子(対照のセメント、スチールビーズ、シリコーンを含むスチールビーズ、及び発泡シリコーンを含むスチールビーズ)に対する周波数の範囲にわたる伝送損失量を示すグラフである。
【
図2A】本開示の実施形態による複合音減衰パネルを示す。
【
図2B】本開示の実施形態による、
図2Aの複合パネルにおける音減衰を示す。
【
図3】コーティングされていないタングステン粒子とコーティングされたタングステン粒子のサイズ分布比較である。
【
図4】
図2Aに示されるものと同様または同じパネルで行われた音響減衰試験を示す。
【
図5】対照、ならびに本開示の実施形態によるウォールボードのインピーダンスチューブ試験結果を示す。
【
図6】
図5と同じサンプルについてのインピーダンスチューブからのSTC値、厚さ、及び密度を示す。
【
図7】市販のウォールボードのサンプルに対する超音波試験の結果を示す。
【
図8】対照、ならびに本開示の実施形態によるウォールボードサンプルの超音波試験結果試験結果を示す。
【
図9】本開示の実施形態による、音減衰粒子を製造する方法の流れ図である。
【
図10A】本開示の実施形態による、音減衰材料を製造する方法の流れ図である。
【
図10B】本開示の実施形態による、音減衰マトリックスを製造する方法の流れ図である。
【
図11】本開示の実施形態による、音減衰材料を製造するさらなる方法の流れ図である。
【
図12】対照、ならびに本発明の実施形態による2つのセメントサンプルに対する衝撃音試験を示す。
【
図13】対照、ならびに本発明の実施形態によるコンクリートサンプルに対する衝撃音試験を示す。
【
図14】対照、ならびに本発明の実施形態によるコンクリートサンプルに対するタッピング機からの音伝送結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
高価な及び/または不適切な音減衰材料の問題に対する解決策は、以下に示すように見出される。
【0032】
本願は、工学的な音減衰特性を有する建築材料、及び種々の例示的実施形態に関する方法を詳述する。
【0033】
本明細書に記載の様々な実施形態において、吸音パネル、コーティング、及び発泡体は、デザイナー充填材料を組み込むことによって作製される。充填剤は、特定の音減衰特性を付与する特定の幾何学形状及び機械的特性を有する層状微粒子である。
【0034】
図1Aは、本開示の実施形態による、音減衰のためのデザイナー充填材料を有する複合材料を示す。
図1Aに示すように、粒子は、弾性またはコンプライアントコーティング120によって囲まれた高密度コア110からなる。それらは、それらの層状構造及び機械的特性によって特徴付けられる。粒子は、周囲のマトリックス130内の局所共振構造として作用する。
【0035】
これより
図1Bに移ると、グラフが、4種類の音減衰粒子(対照のセメント140、スチールビーズ142、シリコーンを含むスチールビーズ144、及び発泡シリコーンを含むスチールビーズ146)に対する周波数の範囲にわたる振幅低減量を示す。見て分かるように、発泡粒子146(すなわち、発泡シリコーンを有するスチールビーズ)は、試験したほぼすべての周波数において、同じ粒子の非発泡バージョンよりもはるかに大きな振幅低減をもたらした。
【0036】
同様に、
図1Cは、
図1Bと同じ4種類の音減衰粒子(すなわち、対照のセメント140、スチールビーズ142、シリコーンを含むスチールビーズ144、及び発泡シリコーンを含むスチールビーズ146)に対して、ある周波数範囲にわたる伝送損失の量のグラフである。見て分かるように、発泡粒子146(すなわち、発泡シリコーンを含むスチールビーズ)は、試験したほぼすべての周波数において、同じ粒子の非発泡バージョンよりも大きな伝送損失をもたらした。
【0037】
図2Aは、少なくとも1つの実施形態による複合音減衰パネルを示す。具体的には、
図2Aは、周囲マトリックス130が、建築材料として使用され得るプラスターボードに構成される、
図1に示されるような粒子を示す。高密度コア110は、弾性コーティング120の内部で振動し、マトリックス130の内部に配置され、
図2Bに示すようにその周波数に依存して音エネルギーを減衰させることができる。
【0038】
図2Bは、少なくとも1つの実施形態による、
図2Aの複合パネルにおける音減衰を示す。高密度コアの共振周波数及びその周囲で、コアは振動し、音エネルギーを吸収し、それを運動エネルギーに変換し、マトリックス/プラスターボードの他方の側に送達される音エネルギーを低減する。
図2Bでは、音源200は音202を発し、ボード206によって部分的に反射され204、基板を通して部分的に透過される208。しかしながら、伝達された音エネルギー208は、音エネルギーが粒子210を通過する際に、粒子210による音エネルギーの吸収によって減衰され、粒子210の周囲の帯域によって示されるように、振動する。
【0039】
マトリックスは、石膏、セメント、コンクリート、ポリマー、セラミック、または粒子充填剤を埋め込むことができる別の材料であってもよい。これらの材料の発泡バージョンは、充填剤を組み込むこともできる。発泡は、空気または気体同伴、発泡剤、ポリウレタン反応、または真空適用などの公知の方法によって達成され得る。マトリックス材料はまた、強化充填剤のような追加の構造成分を含むことができ、積層パネルのような複合構造自体に組み込むことができる。これらの材料は、低重量で優れた吸音特性を有する。強化充填剤は、ポリプロピレン繊維、砂利、砂、及び/またはカーボンナノチューブのような様々な状況においてマトリックス材料に使用されることが知られているものであってよい。例えば、市販の石膏ウォールボードは、デンプン添加剤、紙繊維、及び/またはガラス繊維を含むことが多い。音減衰目的のために粒子充填剤が含まれる石膏ウォールボードは、これらの他の充填剤も保持し得る。
【0040】
高密度コアは、金属、鉱物、またはセラミックであり得る。コアは、好ましくはスチールまたはタングステンであるが、周囲のマトリックスよりも高密度の任意の材料であってもよい。弾性コーティングは、ポリウレタン、シリコーン、ゴム、または任意の他のエラストマーポリマーであってもよい。弾性コーティングは、好ましくは、その機械的特性、重要なことには、その密度及び粒子の全密度を制御するために、ポリマーまたはガラスマイクロバルーンのような低密度充填剤で充填される。例として、弾性マトリックス中の低密度充填剤は、粒子をより軟らかくする可能性があり、これは、いくつかの用途において有利である可能性がある。
【0041】
粒子は、10nm~100cm、一部の実施形態では1mm~5cmのコアサイズ、2.0~20g/ccのコア密度、10nm~20mm、一部の実施形態では0.1mm~10mmのコーティングの厚さ、0.005~0.5GPa、一部の実施形態では0.01~0.1GPaのコーティング弾性率、及び0.01~2.0g/cc、一部の実施形態では0.05~0.3g/ccのコーティング密度を有し得る。未発泡ポリマーコーティングは一般に1.0~2.0g/ccの密度範囲を有するので、0.05または0.01g/ccという低いコーティング密度は、本明細書に記載の発泡コーティングを示すことを理解されたい。非常に低い周波の音減衰を達成するために、ハイウェイ音分離に使用されるコンクリートのスラブ及び壁のような大きな複合構造に、より大きな粒子を使用することができる。具体的なスラブでは、約5cmまたは20cmまでの大きな粒子を使用することができる。
【0042】
複合材料の音響バンドギャップ周波数は、コアのサイズ及び密度、ならびに充填剤粒子の弾性コーティングの弾性率に依存する。減衰周波数範囲は、一般に、粒子コアサイズの減少に伴って増加し、粒子コアサイズ分布に伴って広がる。各粒子サイズは、異なる周波数応答を有し、所与の周波数で達成される減衰の量は、主に、適切な周波数応答の粒子の濃度の因子である。したがって、所与のサイズにおけるより少ない粒子及び近くのサイズにおけるより多い粒子は、所与のサイズに対応する周波数における減衰を低減するが、近くのサイズに相関する周波数における減衰を増大させ、減衰の大きさを効果的に低減する一方で、周波数スペクトルにわたる減衰効果を広げる。このようにして、複合体の音減衰特性を制御することができる。以下に詳述する実施例8及び11と同様に、複数の粒子サイズを組み合わせて、より大きな周波数のスパンをカバーすることができ、可聴範囲での広帯域音分離をもたらす。代替的に、選択周波数は、デザイナー音減衰特性のために分離され得る。減衰のための低周波数を選択することによって、例えば道路及び他の構造、例えば橋または建物の基礎のための振動の絶縁が達成され得る。振動の絶縁は、材料の耐久性を改善し得る。全充填剤粒子濃度は、所与の用途に対して材料全体の適切な機械的強度を確保するレベルに維持されなければならない。場合によっては、過剰に高い充填剤粒子濃度は、許容できない材料の脆弱性をもたらす。マトリックス材料の亀裂がマトリックス材料と充填剤粒子との交点で停止し得るので、記載の音減衰材料は、優れた亀裂伝播性能も示し得る。
【0043】
粒子は、内側コア及び外側コーティングを有する層構造をもたらす様々なコーティング方法によって生成することができる。コーティングは、好ましくは、粒子の上に良好に分布する。一部の実施形態では、粒子当たり複数のコアが存在してもよい。そのような複数のコアの粒子は、マトリックス材料のコアのブロックを製造し、次いでブロックを細断して個々の粒子を得ることによって生じ得る。好ましいコーティング方法は、パンコーティング及び/または流動床コーティングである。パンコーティング法では、粒子をドラムに巻き取り、コーティング材料前駆体溶液を塗布するが、その間に多くの場合、乾燥及び/または熱風及び/または水分で硬化させる。流動床コーティング法では、多くの場合、熱風及び/または湿気で乾燥及び/または硬化させる間に、空気を使用して粒子を動き回らせ(すなわち、流動化させる)、コーティング材料前駆体溶液を同時に噴霧する。粒子を生成するために他のタイプのミキサーを使用することもできる。コーティングの厚さ及び均一性は、粒子の密度の正確な制御に必須である。しかしながら、許容可能な音減衰は、そのような正確な密度または形状の制御なしに達成されることが多くなり得る。したがって、高球状粒子を生成する製造方法は、所与の用途に必要とされるコスト対密度の制御に依存し得る。
【0044】
コーティングの厚さを制御し、マトリックス前駆体の厚さに及ぶコーティング及びコア密度を使用することによって、粒子の密度は、周囲のマトリックスに適合するように調整され得る。これは、マトリックス全体にわたって均一な粒子分布を達成し、マトリックス前駆体密度及び粒子密度の差による分離を防止するために重要である。粒子でのコーティングの均一な分布は、均一な密度をもたらし、異なる密度を有する粒子の沈降または浮遊を回避する。同じ材料における複数の粒子サイズの場合、各々の密度は、周囲のマトリックスにおける均一な分散を確実にするためにマトリックスに適合され得る。
【0045】
次に
図9に移ると、音減衰粒子を製造するための方法900の流れ図が示されている。本方法の特定の実施形態は、以下の実施例でさらに詳細に記載される。一般に、この方法は、ポリマー溶液を調製するステップ902、パンコータに複数の金属コアを充填するステップ904、複数の金属コアをポリマー溶液でコーティングするステップ906、及びパンコータの粒子床に熱風を吹き付けるステップ908を含む。ステップ908は、コーティングステップ906の間に行うことができる。
【0046】
少なくとも1つの実施形態において、ポリマー溶液は、ポリジメチルシロキサン及び複数のアクリル微小球を鉱物スピリットに分散させることによって調製される。
【0047】
少なくとも追加の実施形態では、コーティングステップ906は、空気噴霧スプレーガンを使用してポリマー溶液を複数の金属コア上に噴霧するサブステップ910をさらに含む。このような噴霧は、例えば、8時間の期間にわたって達成され得る。
【0048】
上述の複数の金属コアは、複数のスチールボール及び/または複数のタングステンペレットを含むことができる。いくつかの実施形態では、複数のスチールボールは、1インチの1/4、1インチの1/8、1インチの1/16、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される直径を有する。
【0049】
別の流れ図が
図10Aに示されて、これは、音減衰材料を製造するための方法1000を示す。本方法の特定の実施形態は、以下の実施例でさらに詳細に記載される。一般に、この方法は、音減衰粒子を製造するステップ1002と、音減衰マトリックスを製造するステップ1004と、音減衰粒子を音減衰マトリックスに添加し、それによって音減衰材料を生成するステップ1006とを含む。
【0050】
音減衰粒子を製造するステップ1002は、それ自体、方法900を含むがこれに限定されない、音減衰粒子を製造するための本明細書に記載される任意の方法を含んでもよいことを理解されたい。
【0051】
少なくとも1つの実施形態では、音減衰マトリックスを製造するステップ1004は、
図10Bの流れ図に示されるサブステップ、具体的には、ベース材料を水の第1の部分と混合し、それによってスラリーを生成するサブステップ1008、発泡剤を水の第2の部分と混合し、それによって発泡体を生成するサブステップ1010、及びスラリーに発泡体を添加し、それによって音減衰マトリックスを生成するサブステップ1012をさらに含む。
【0052】
方法1000は、
図10Aに示すように、音減衰材料を型に注ぐステップ1014、及び音減衰材料を乾燥するステップ1016をさらに含むことができる。
【0053】
少なくとも1つの実施形態では、ベース材料は、プラスターまたはセメントのいずれかである。
【0054】
少なくともさらなる実施形態では、音減衰粒子の7wt%~25wt%が音減衰マトリックスに添加される。
【0055】
次に
図11に移ると、音減衰材料を製造するための方法1100の流れ図が示されている。本方法の特定の実施形態は、以下の実施例でさらに詳細に記載される。一般に、方法1100は、音減衰粒子を製造するステップ1102、音減衰粒子をポリウレタン膨張絶縁発泡体に添加し、それによって発泡複合体を生成するステップ1104、及び発泡複合体をセットさせ、それによって音減衰材料を生成するステップ1106を含む。
【0056】
音減衰粒子を製造するステップ1102は、ステップ1002のように、それ自体、方法900を含むがこれに限定されない、音減衰粒子を製造するための本明細書に記載される任意の方法を含んでもよいことを理解されたい。
【0057】
様々な実施形態は、本明細書に記載の方法の1つ以上に従って製造された音減衰材料を含むことをさらに理解されたい。
【実施例】
【0058】
実施例1:コーティングされた直径1/4インチのスチールコアの調製
弾性コーティングに封入された直径1/4インチのスチールボールコアからなる粒子を、実験室規模のパンコータ中で調製した。ポリマー溶液は、226gのポリジメチルシロキサン(DAP製の100%シリコーン封止剤)及び6.8gのアクリル微小球(Akzo Nobel製の920 DE80 d30)を、912gの鉱物スピリット(Klean Strip製の無臭の鉱物スピリット)中に分散させることによって調製した。パンコータに500gのスチールコア(McMaster Carr製の低炭素スチールボール)を充填した。出発基材の密度は7.7g/cm3であった。コーティングプロセス中に、80℃の熱風を粒子床に吹き付けた。ポリマー混合物(25℃)を、空気噴霧スプレーガン(Walther Pilot製のWA740 HVLP Plus)を用いて、7mL/分の速度でスチールコア上に噴霧した。コーティングプロセスを8時間にわたって行った。放出された粒子は、高い均一性を示し、出発コア材と同じ真球度及び真円度を維持した(>0.9のKrumbbein-Sloss形状因子)。得られた粒子の直径は10.8±0.2mm、コーティングの厚さは2.2mm、密度は1.9g/cm3であった。
【0059】
実施例2:コーティングされた直径1/8インチのスチールコアの調製
弾性コーティングに封入された直径1/8インチのスチールボールコアからなる粒子を、前述の手順に従って調製した。層状コーティング手法を通して、粒子の密度は、7.7g/cm3(コーティングされていない)から2.0g/cm3(コーティングされた)に減少した。得られた粒子は、5.4+/-0.3mmの直径及び1.1mmのコーティングの厚さを有した。
【0060】
実施例3:コーティングされた直径1/16インチのスチールコアの調製
弾性コーティングに封入された直径1/16インチのスチールボールコアからなる粒子を、前述の手順に従って調製した。層状コーティング手法を通して、粒子の密度は、7.7g/cm3(コーティングされていない)から2.2g/cm3(コーティングされた)に減少した。得られた粒子は、2.6+/-0.3mmの直径及び0.5mmのコーティングの厚さを有した。
【0061】
実施例4:コーティングされた直径0.8mmのタングステンコアの調製
弾性コーティングに封入された0.8+/-0.1mm直径の炭化タングステンペレットからなる粒子を、パンコータ中で調製した。ポリマー溶液は、383gのポリジメチルシロキサン(DAP製の100%シリコーン封止剤)及び11.5gのアクリル微小球(Akzo Nobel製の920 DE80 d30)を、1160gの鉱物スピリット(Klean Strip製の無臭の鉱物スピリット)中に分散させることによって調製した。パンコータに500gのタングステンペレット(TungCo製の20/40炭化タングステンペレット)を充填した。20/40ペレットは、ASTM E-11に記載されているように、20~40メッシュ(米国標準篩シリーズ)の粒子の90%を有する。コーティングプロセスの間に、80℃の熱風を粒子床に吹き付けた。ポリマー混合物(25℃)を、空気噴霧スプレーガンを用いて、14mL/分の速度でタングステンコア上に噴霧した。コーティングプロセスを8時間にわたって行った。放出された粒子は、サイズが均一であり、出発コア材と同じ真球度及び真円度を示した(>0.9のKrumbein-Sloss形状因子)。得られた粒子の直径は1.7+/-0.4mm、コーティングの厚さは0.45mm、密度は2.1g/cm3であった。
【0062】
コーティングされていないタングステン及びコーティングされた粒子のサイズ分布(各直径320における割合310)は、
図3にグラフで示される。コーティングされていないショットは、直径1.7mm及びサイズ範囲1mm~2.2mmで0.15をわずかに超えるコーティングされた粒子のピーク分率と比較して、サイズがより小さく、より狭い分布を有し、直径0.9mmで0.4~0.45のピーク分率を有し、すべてのショットは0.6mm~1.1mmであった。
【0063】
実施例1~4から得た試験の結果はまた、表1にまとめられている。
【表1】
【0064】
実施例5:実施例1からの粒子を含むプラスターボードの調製
1部の水に、シフティングにより、2部のプラスターを添加し、1分間浸漬させた。スラリーをFannブレンダーで4000rpmで60秒間混合した。別に、0.1gの発泡剤(BASF製「MasterCell 30」)及び4gの水を4000rpmで60秒間混合して、安定した発泡体を生成した。発泡体を未発泡のプラスタースラリーに添加し、4000rpmでさらに60秒間ブレンドした。このようにして調製したスラリーに、実施例1で調製した20wt%の粒子を添加し、手で混合した。得られた混合物は、重厚な紙のストックに面している6インチ×6インチ×1/2インチの油を敷いたガラス型に注ぎ、12時間セットした。次いで、サンプル基板を型から取り出し、対流式オーブンにおいて70℃で24時間乾燥させた。音響減衰の測定は、周波数掃引を用いてピッチキャッチ構成で一対の24kHzトランスデューサを用いて行った。このような既知の構成では、一方のトランスデューサは、サンプル基板の表面に対して周波数を送信し、他方のトランスデューサは、サンプルボードの同じ側で、幾ばくか離れて、基板の表面に沿って伝搬した後に反射されて戻る際に周波数を受信する。基板表面に沿った伝搬は、基板を通る伝搬に高度に相関する。
【0065】
図4は、放射トランスデューサ400、受信トランスデューサ402、複合基板404、元の信号406、基板の表面を通って伝搬する信号408、及び最後に第2の送信機で受信された信号410を有するこのような構成を示す。ニートのプラスターボードを、上記と同じ方法で調製し、対照として機能させた。いずれのコーティング粒子も含有していなかった。このようにして調製した複合プラスターボードは、3,500Hzの帯域幅(1,750Hz~5,250Hz)を有する3,500Hzの中心周波数で、対照に対して65dBの増加した減衰を示した。帯域幅は、減衰がピーク減衰(65dB)の少なくとも10%である範囲である。したがって、少なくとも6.5dBの減衰が、1,750~5,250Hzの範囲で実証された。
【0066】
実施例6:実施例2からの粒子を含むプラスターボードの調製
1部の水に、シフティングにより、2部のプラスターを添加し、1分間浸漬させた。スラリーをブレンダーで4000rpmで60秒間混合した。別に、0.1gの発泡剤(BASF製「MasterCell 30」)及び4gの水を4000rpmで60秒間混合して、安定な発泡体を生成した。発泡体を未発泡のプラスタースラリーに添加し、4000rpmでさらに60秒間ブレンドした。このようにして調製したスラリーに、実施例2で得た20wt%の粒子を添加し、手で混合した。得られた混合物は、重厚な紙のストックに面している6インチ×6インチ×1/2インチの油を敷いたガラス型に注ぎ、12時間セットした。次いで、サンプル基板を型から取り出し、対流式オーブンにおいて70℃で24時間乾燥させた。音響減衰の測定は、周波数掃引を用いてピッチキャッチ構成で一対の24kHzトランスデューサを用いて行った。ニートのプラスターボードを上記と同じ方法で調製し、対照として機能させた。いずれのコーティング粒子も含有していなかった。このようにして調製した複合プラスターボードは、8,500Hzの中心周波数で8,000Hzの帯域幅で65dBの増加した減衰を示した。
【0067】
実施例7:実施例3からの粒子を含むプラスターボードの調製
1部の水に、シフティングにより、2部のプラスターを添加し、1分間浸漬させた。スラリーをブレンダーで4000rpmで60秒間混合した。別に、0.1gの発泡剤(BASF製「MasterCell 30」)及び4gの水を4000rpmで60秒間混合して、安定な発泡体を生成した。発泡体を未発泡のプラスタースラリーに添加し、4000rpmでさらに60秒間ブレンドした。このようにして調製したスラリーに、実施例3で得た20wt%の粒子を添加し、手で混合した。得られた混合物は、重厚な紙のストックに面している6インチ×6インチ×1/2インチの油を敷いたガラス型に注ぎ、12時間セットした。次いで、サンプル基板を型から取り出し、対流式オーブンにおいて70℃で24時間乾燥させた。音響減衰の測定は、周波数掃引を用いてピッチキャッチ構成で一対の24kHzトランスデューサを用いて行った。ニートのプラスターボードを上記と同じ方法で調製し、対照として機能させた。いずれのコーティング粒子も含有していなかった。このようにして調製した複合プラスターボードは、14,000Hzの中心周波数で15,000Hzの帯域幅で60dBの増加した減衰を示した。
【0068】
実施例8:実施例1、2、及び3からの粒子を含むプラスターボードの調製
1部の水に、シフティングにより、2部のプラスターを添加し、1分間浸漬させた。スラリーをブレンダーで4000rpmで60秒間混合した。別に、0.1gの発泡剤(BASF製「MasterCell 30」)及び4gの水を4000rpmで60秒間混合して、安定な発泡体を生成した。発泡体を未発泡のプラスタースラリーに添加し、4000rpmでさらに60秒間ブレンドした。このようにして調製したスラリーに、実施例1からの7wt%の粒子、実施例2からの7wt%の粒子、及び実施例3からの7wt%の粒子を添加し、これらを手動で混合した。得られた混合物は、6インチ×6インチ×1/2インチの油を敷いたガラス型に注ぎ、12時間セットした。次いで、サンプル基板を型から取り出し、対流式オーブンにおいて70℃で24時間乾燥させた。音響減衰の測定は、周波数掃引を用いてピッチキャッチ構成で一対の24kHzトランスデューサを用いて行った。ニートのプラスターボードを上記と同じ方法で調製し、対照として機能させた。いずれのコーティング粒子も含有していなかった。このようにして調製した複合プラスターボードは、10,000Hzの中心周波数で20,000Hzの帯域幅で50dBの増加した減衰を示した。
【0069】
実施例9:実施例4からの粒子を含む発泡体セメント基板の調製
141gの水を354gのAPI Portland Class H水硬性セメントと混合することによって、API仕様10Aに従って、未発泡のセメントスラリーを、Fannブレンダーで、水とセメントの比率0.44で混合した。別に、0.1gの発泡剤(BASF製「MasterCell 30」)及び4gの水を4000rpmで60秒混合して、安定な発泡体を生成した。発泡体を未発泡のセメントのスラリーに添加し、4000rpmでさらに60秒間ブレンドした。このようにして調製した発泡スラリーに、粒子の均一な分布が達成されるまで、手持ち式ドリルに取り付けられた混合ブレードで、実施例4から得た25wt%の粒子を組み込んだ。得られた混合物は、重厚な紙のストックに面している6インチ×6インチ×1/2インチの油を敷いたガラス型に注ぎ、12時間セットした。音響減衰の測定は、周波数掃引を用いてピッチキャッチ構成で一対の24kHzトランスデューサを用いて行った。ニートのプラスターボードを上記と同じ方法で調製し、対照として機能させた。いずれのコーティング粒子も含有していなかった。このようにして調製した複合プラスターボードは、14,000Hzの中心周波数で16,000Hzの帯域幅で55dBの増加した減衰を示した。
【0070】
実施例10:複合サンドイッチプラスター基板の調製
複合サンドイッチパネルを、弾性層を有する2つのプラスターパネルを接合することによって調製した。1部の水に、シフティングにより、2部のプラスターを添加し、1分間浸漬させた。スラリーをブレンダーで4000rpmで60秒間混合した。別に、0.2gの発泡剤(BASF製「MasterCell 30」)及び8gの水を4000rpmで60秒間混合して、安定な発泡体を生成した。発泡体を未発泡のプラスタースラリーに添加し、4000rpmでさらに60秒間ブレンドした。得られた混合物は、重厚な紙のストックに面している6インチ×6インチ×1/2インチの油を敷いた2つのガラス型に注ぎ、12時間セットした。次いで、サンプル基板を型から取り出し、対流式オーブンにおいて70℃で24時間乾燥させた。200gのポリジメチルシロキサン(PDMS)に、75gの20/40炭化タングステンペレットを添加した。均一な混合物が得られるまで、ポリマーを手で混合した。6インチ×6インチ×5/8インチの型の底に、調製したプラスターボードを配置した。プラスターボードの上部に、1/8インチの厚さのポリマータングステン混合物を添加した。調製したプラスターボードをポリマー層の上部に置いた。アセンブリを軽く締め付けて、過剰なポリマーの絞り出しを可能にし、プラスターパネル間で均一な間隔を確保した。2つのニートのプラスターボードを上記と同じ方法で調製し、エポキシと共に接着して、対照として機能させた。このようにして調製した複合プラスターボードは、10,000Hzの中心周波数で20,000Hzの帯域幅で50dBの増加した減衰を示した。
【0071】
実施例11:実施例1、2、及び3からの粒子を含む膨張ポリウレタン発泡体基板の調製
別の実施形態では、実施例1、2、及び3から得た粒子をポリウレタン膨張絶縁発泡体(Dow Chemical Company製のGREAT STUFF)に組み込んで、音響絶縁充填剤を作製した。GREAT STUFF発泡体200グラムをエアロゾルキャニスターからビーカー内に排出した。発泡体に、実施例1からの10wt%の粒子、実施例2からの10wt%の粒子、及び実施例3からの10wt%の粒子を添加し、これらを、粒子の均一な分布が観察されるまで手で混合した。発泡体複合材料を6インチ×6インチ×1インチの油を塗ったガラスの型に配置し、12時間セットした。粒子を含まない対照発泡体サンプルも製造した。音響減衰の測定は、周波数掃引を用いてピッチキャッチ構成で一対の24kHzトランスデューサを用いて行った。このようにして調製した複合発泡体絶縁材は、20,000kHzの帯域幅を有する10,000Hzの中心周波数で、30dBの伝送損失の増加を示した。
【0072】
実施例12:実施例1からの粒子を含むセメントスラブの調製
さらに別の実施形態では、実施例1から得た粒子を用いて大きな複合セメントスラブを調製した。5cu ft回転ドラムセメント混合機に、水17kg及びポルトランドセメント40kg(Hawaiian Cement製のタイプI-II)を添加した。スラリーを5分間混合した。このようにして調製したスラリーに、実施例1からの25wt%粒子を添加し、スラリーをさらに5分間混合した。複合スラリーを20インチ×20インチ×4インチの型に注入し、24時間セットした。音響減衰の測定は、周波数掃引を用いてピッチキャッチ構成で一対の24kHzトランスデューサを用いて行った。このようにして調製した複合セメントスラブは、粒子を含まないセメントスラブと比較して、4,000Hzの帯域幅を有する2,000Hzの中心周波数で50dB伝送損失を示した。
【0073】
実施例13:強化建築材料の試験
本開示の実施形態による防音壁板のインピーダンスチューブ及び超音波音響試験を実施して、空中及び構造伝播音響伝送の両方に対するその強化された耐性を実証した。
【0074】
本開示の実施形態及び市販のバージョンの両方に従う、コアード(1と1/4インチの直径)の紙張りの石膏壁板サンプルを、伝達損失及びインピーダンスチューブを使用して、ASTM E2611-09の修正版のStandard Test Method for Measurement of Normal Incidence Sound Transmission of Acoustical Materials Based on the Transfer Matrix Methodに従って試験した。この方法は、空中の音に対する周波数の関数として伝送損失を測定する。軽量(軽質)及びより重い(ニート)石膏サンプル(β硫酸カルシウム半水和物、水、界面活性剤発泡体、及び他の添加剤なし)を、本開示の実施形態による添加剤を含有する強化サンプル(軽質と同じ公称密度)と共に試験した。市販の音低減建築材料A及びBも、対照として試験した。伝送損失の結果を
図5に示し、計算されたSTC(音伝送クラス)の値及び対応するサンプルの厚さ及び密度の測定値を
図6に示し、各々、光508、ニート506、強化502、材料A510及び材料B504サンプルの結果を示す。
図6において、左のバー602はcm単位の厚さであり、中央のバー604はSTCであり、右のバー606はg/cc単位の密度である。本開示の実施形態による強化サンプルは、STCにおける他のサンプルよりも実質的に優れていることが分かる。
【0075】
紙張りの壁板サンプル(6インチ×6インチ×1/2インチ)は、ソース及びレシーバートランスデューサの超音波トランスデューサセットアップ、増幅器、信号発生器、及びデータ取得カードを用いて試験した。測定は、ソース及びレシーバーがサンプルの同じ側にある間接モードで行った。この試験は、周波数の関数としての構造伝播音響伝送に対する耐性を示す。商用基板A704及びC702の結果を
図7に、対する対照802及び強化(本開示の実施形態)804の基板の結果を
図8に示す。対照基板802及び強化804は、市販の基板A704と同じ密度を有する。この場合も、強化されたサンプル804は、他のものよりも実質的に優れている。
【0076】
実施例14:流動床コータを用いたコーティングされたステンレススチールコアの調製
ステンレススチール(SS)ショット粒子を、流動床コータを用いて弾性コーティングで封入した。具体的には、SSショット粒子は、ポリマー溶液との接着の質及び速度を改善するために、揮発性シロキサンで下塗りされ、空気乾燥された。このポリマー溶液は、ポリジメチルシロキサン(100% Silicone Sealant)及びアクリル微小球(気体を封入する熱可塑性微小球)を鉱物スピリット(無臭の鉱物スピリット)に分散させることによって調製した。次いで、流動床コータを充填し、シロキサン下塗りのSSショット粒子と共に流動させた。コーティングプロセス中、流動床コータを80℃の温度に維持した。ポリマー溶液(25℃)を、空気噴霧スプレーガンを用いて、下塗りのSSショット粒子の上に噴霧した。結果生じる被コーティング粒子は、サイズが均一であり、出発コア材料と同等の真球度及び真円度を示した(>0.9のKrumbein-Sloss形状因子)。
【0077】
この例のSSショット粒子は、0.149~1.680mmの範囲の直径を有することができる。10~10,000mLの揮発性シロキサンを使用して、コーティング前にSS短粒子を下塗りすることができる。ポリマー溶液に関しては、0.85~170kgのポリジメチルシロキサンと、0.034~6.8kgのアクリル微小球を2.55~510kgの鉱物スピリットに混合することができる。ポリマー溶液は、0.5~2%のアクリル微小球と、微小球/シリコーン/鉱物スピリット微小球の具体的な比率1/50/150~1/12/38とを有し得る。流動床コータを充填し、5~1000kgのシロキサン下塗りSSショット粒子で流動化することができる。下塗りSS短粒子への溶液の噴霧は、空気噴霧スプレーガンを用いて10~20mL/分の速度で達成することができる。コーティング工程全体は、8~24時間の期間にわたって行うことができる。得られた粒子の直径は0.25~4.76mm、コーティングの厚さは0.1~3.0mm、密度は2~3g/cm3であった。
【0078】
実施例15:音減衰セメント及びコンクリートの調製及び試験
音減衰セメント及びコンクリートのサンプルを生成した。典型的なサンプルは、8インチ×8インチ×2インチのサイズ及び1ガロン当たり16lbsの密度を有した。セメントのサンプルについては、ベース材料として、標的密度(例えば、1ガロンあたり16lbs)を達成するのに適切な水対セメントの比を有するポルトランドセメント(Quikrete製)を使用した。コンクリートのサンプルについては、砂及び砂利をセメントのベース材料に組み込み、それによって床に使用したコンクリートに似せた。この実施例のコンクリートは、1:2:2体積部というセメント:砂利:砂の比、ならびに混合物(Iksung製の液状超可塑剤)を有し、結果、約1:2:2:0.1体積部というセメント:砂利:砂:可塑剤の比になった。
【0079】
次いで、2つの異なるタイプの音減衰粒子のそれぞれを、セメント及びコンクリートの両方に混合し、2つのセメントのサンプル及び2つのコンクリートのサンプルを生成した。具体的には、試験した2種類の音減衰粒子は、(1)第1のポリマーコーティングで封入させたステンレススチール(SS)ショット粒子、及び(2)第2のポリマーコーティングで封入させた炭化タングステン(WC)粒子である。両方のタイプの粒子に対するそれぞれのコーティングを、流動床コータでの噴霧を介して塗布した。
【0080】
6kgのSSショット粒子(16/35ステンレススチール)を取得し、1254.0gの鉱物スピリット、416gのシリコーン(Dow製の737シリコーン)、及び11.4gのマイクロバルーン(Expancel 920 DE 80 d30のマイクロバルーン)の配合を有する第1のポリマーコーティングを適用することによって、第1のセットの音減衰粒子を生成した。5.22kgの炭化タングステン粒子(14/24炭化タングステン)を取得し、1386.0gの鉱物スピリット、460gのシリコーン(Dow製の737シリコーン)、及び12.6gのマイクロバルーン(Expancel 920 DE 80 d30のマイクロバルーン)の配合を有する第2のポリマーコーティングを適用することによって、第2のセットの音減衰粒子を生成した。ポリマー溶液の両方のセットは、鉱物スピリットをシリコーンに添加し、400~500rpmで30分間撹拌することによって生成した。次いで、マイクロバルーンを溶液に添加し、さらに450rpmで20分間撹拌した。得られたポリマー溶液を塗料メッシュフィルターを通して濾過し、ポリマー溶液の混合されていない塊を除去し、それによってポリマー溶液がスプレーノズルのクロッキングを防止し、充分なコーティングを設けるのに充分に均質になる。
【0081】
2セットの音減衰粒子の各々を、セメント及びコンクリートの中に、全乾燥混合物の約8.6wt%で添加し、良好な取り扱い特性(例えば、容易に注ぎ込み、良好に分布される)を有する均質なスラリーと、粒子が均一に分布された最終的な硬化材料(例えば、粒子は、スラリー及び最終的なセメント及び/またはコンクリートブロック全体にわたって均一に分布及び/または分離され、粒子の凝集が最小限である状態からまったくない状態まで)とを生じた。
【0082】
試験のために、コンクリート及びセメントのサンプルの衝撃音伝送試験用の音計を、音響的に隔離するように、試験ボックスを構成した。ボックスを音響発泡体で絶縁し、空間を音計挿入のために側面に作り、サンプルを配置するために穴を上部に作った。スチール及びゴムのコーティングスチールボールを一貫した高さから落下させるために、ボール落下固定具を構築し、サンプル及びボックスの上方に配置した。直接的及び間接的な衝撃音が、ボールを表面に直接落下させる/ゴム製ハンマーで表面に衝撃を与えることによって、または衝撃音が表面のすぐ上方に発生することを可能にする木製の「ブリッジ」を利用することによって、使用された。Larson-Davis音計を使用して、衝撃音伝送データを収集した。直接的及び間接的な衝撃音を作り出すために、ゴムハンマーも使用した。ボールの落下及びハンマーベースの衝撃に加えて、電子的に制御された衝撃を伴うタッピング機(Cesva MI005)を使用して、再現可能な衝撃の雑音が生成されることを確実にした。タッピング機は、試験したサンプルの上に、音計用に下が空間であるように配置した。タッピング機の中央の3つのハンマーを使用して、衝撃音を発生させた。音響的な雑音サンプルを10秒間記録し、スペクトル分析のために処理した。
【0083】
高い振幅でのセメントサンプルの直接衝撃ハンマー試験から得た結果は、低周波数での音の伝送が減少したことを示す。試験した2つの異なる音減衰粒子のタイプは、
図12に示すように、セメントのサンプルにおいて異なるレベルの音減衰を有していた。トレース1202は、対照サンプルの挙動を示し、トレース1204は、第1のセットの音減衰材料(すなわち、SSベースの粒子)を示し、トレース1206は、第2のセットの減衰材料(すなわち、WCベースの粒子)を示す。見て分かるように、両方の粒子タイプは、8~300Hzの範囲の周波数で、最も一貫して音響伝送率の低下を示した。これらの周波数において、WCベースの粒子を有するセメントのサンプル(トレース1206)は、音の衝撃を低減する際に最も良好に機能した。
【0084】
衝撃の出所としてボールの落下及びハンマーを用いた直接衝撃試験から得たコンクリートのサンプルの試験は、セメントのサンプルと同様の挙動を示した。
図13は、WCベースの粒子を有する対照サンプル(トレース1304)と比較した対照サンプル(トレース1302)の挙動を示す。見て分かるように、WCベースの粒子は、幅が大きな周波数の範囲にわたる音の伝送の低減(例えば、300Hzまでの周波数で5~12dBの減少)を示す。
【0085】
最終的に、タッピング機を用いてコンクリートのサンプルに対して試験を行い、高度に再現可能な衝撃音を生成した。この試験から得た結果を
図14に示し、対照サンプル(トレース1402)を、WCベースの粒子を有するコンクリートのサンプル(トレース1404)と比較した。WCベースの粒子は、10Hz~160Hzの範囲の周波数で10dBまでの減少を示した。
【0086】
上述の試験の結果は、低周波数(例えば、10~500Hz)における音減衰材料の音響バンドギャップ特性を示しており、これは、これらの周波数において実質的に(例えば、5~30dB)音響伝送を減少させる。
【0087】
本発明の製造及び試験の特定の好ましい実施形態及び例を図示及び説明したが、本発明がそのように限定されないことは明らかであろう。本発明の趣旨及び範囲から逸脱していない、多数の修正または変更、変化、変形、置換及び等価物が当業者に想到し、本明細書に開示される本発明の本質的な部分とみなされる。
【0088】
さらに、本発明は、新規で、発明的な、工業的に適用可能であると考えることができる、本明細書、添付の特許請求の範囲、及び/または図面に記載されるすべての特徴のすべての可能な組み合わせを含むと考えるべきである。
【0089】
本明細書に記載されている本発明の実施形態では、複数の変形及び修正が可能である。本発明の特定の例示的な実施形態がここに示され、説明されたが、広い範囲の修正、変化及び置換が、前述の開示において企図される。上記の説明は多くの詳細を含むが、これらは、本発明の範囲に対する制限として解釈されるべきではなく、むしろ、その1つまたは別の好ましい実施形態の例示として解釈されるべきである。いくつかの例では、本発明のいくつかの特徴は、他の特徴の対応する使用をせずに利用され得る。
【0090】
したがって、前述の説明は、説明及び単なる例として与えられるものとして広く解釈され、理解されることが適切であり、本発明の趣旨及び範囲は、最終的に記載される特許請求の範囲によってのみ限定される。
【国際調査報告】