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特表2024-531230タイヤの動的バランスを改善するための注入シーラントの使用 発明の背景
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】タイヤの動的バランスを改善するための注入シーラントの使用 発明の背景
(51)【国際特許分類】
   B05D 3/00 20060101AFI20240822BHJP
   B05D 7/02 20060101ALI20240822BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20240822BHJP
   B29D 30/08 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
B05D3/00 D
B05D7/02
B05D7/24 301N
B29D30/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508632
(86)(22)【出願日】2022-07-24
(85)【翻訳文提出日】2024-02-10
(86)【国際出願番号】 US2022074094
(87)【国際公開番号】W WO2023044189
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】63/245,225
(32)【優先日】2021-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515168916
【氏名又は名称】ブリヂストン アメリカズ タイヤ オペレーションズ、 エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クロティアウ,ジョン ディー.
【テーマコード(参考)】
4D075
4F501
【Fターム(参考)】
4D075AC06
4D075AC08
4D075AC09
4D075AC64
4D075AC71
4D075AC84
4D075AC88
4D075AC93
4D075AC94
4D075AC99
4D075DA19
4D075DA23
4D075DB35
4D075DC13
4D075EA39
4F501TA13
4F501TA15
4F501TB03
4F501TC25
4F501TE10
4F501TE20
4F501TE30
4F501TR06
4F501TS01
4F501TV22
(57)【要約】
【解決手段】 シーラント層をタイヤの内面に塗布する方法及び得られるタイヤが開示される。シーラントを塗布する前に、タイヤの第1及び第2の側面上の第1及び第2のバランス光点が識別される。タイヤの第1の側に隣接するシーラントビードの開始位置は、第1のバランス光点の位置の関数として決定される。タイヤの第2の側に隣接するシーラントビードの終了位置は、第2のバランス光点の位置の関数として決定される。シーラント層の塗布により、タイヤのバランスが改善される。
【選択図】図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーラント層をタイヤの内面に塗布する方法であって、
(a)前記タイヤの物理的指標から前記タイヤの回転軸の周りで測定された第1の角度θとして、前記タイヤの第1の側上の第1のバランス光点の周方向の位置を特定することと、
(b)前記タイヤの第2の側上の第2のバランス光点の周方向の位置を、前記物理的指標から前記タイヤの前記回転軸の周りで測定された第2の角度θとして決定することと、
(c)前記タイヤの前記第1の側に隣接するシーラントビードの目標開始位置を、前記物理的指標から前記タイヤの前記回転軸の周りで測定された目標開始角度θとして決定することであって、前記目標開始角度θが、前記第1の角度θの関数として決定される、決定することと、
(d)前記タイヤの前記第2の側に隣接する前記シーラントビードの目標終了位置を、前記物理的指標から前記タイヤの前記回転軸の周りで測定された目標終了角度θとして決定することであって、前記目標終了角度θが、前記第2の角度θの関数として決定される、決定することと、
(e)前記目標開始角度θに基づいて選択された実際の開始位置で始まり、前記目標終了角度θに基づいて選択された実際の終了位置で終わるらせん状パターンで前記タイヤの前記内面に前記シーラントビードを塗布することと
を含む方法。
【請求項2】
工程(e)における前記シーラントビードの塗布が、前記シーラントビードの塗布前の前記タイヤの静的及び動的バランスと比較して、前記タイヤの前記静的及び前記動的バランスの両方を改善する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(c)において、前記目標開始角度θが、以下の関数:
θ=θ+90°によって決定される、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
工程(d)において、前記目標終了角度θが、以下の関数:
θ=θ-90°によって決定される、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記実際の開始角度及び前記実際の終了角度がそれぞれ、前記目標開始角度及び前記目標終了角度のそれぞれの許容可能なスポッティング誤差範囲内にある、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記許容可能なスポッティング誤差範囲が、プラスマイナス45度である、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記許容可能なスポッティング誤差範囲が、プラスマイナス30度である、
請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記許容可能なスポッティング誤差範囲が、プラスマイナス15度である、
請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記物理的指標が、前記タイヤの前記第1の側部を画定する第1のサイドウォール上に位置されたバーコードである、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法によって製造されたタイヤ。
【請求項11】
タイヤであって、
トレッド部分と、
前記トレッド部分から半径方向内向きに延在する第1及び第2のサイドウォール部と、
前記タイヤ上の物理的指標から前記タイヤの回転軸の周りの第1の角度θとして測定された、シーラント塗布前の前記タイヤの第1の側の第1のバランス光点位置と、
前記タイヤ上の前記物理的表示から前記タイヤの前記回転軸の周りの第2の角度θとして測定された、シーラント塗布前の前記タイヤの第2の側の第2のバランス光点位置と、
前記第1のサイドウォール部分と前記第2のサイドウォール部分との間に前記タイヤの内部キャビティを画定する内面と、
前記内面上に置かれたらせん状に巻かれたシーラントビードであって、前記シーラントビードが、前記第1のサイドウォールに最も近い開始位置と前記第2のサイドウォールに最も近い終了位置とを有する、らせん状に巻かれたシーラントビードとを備え、
前記開始位置が、前記シーラントビードの巻き付け方向に対して前記第1のバランス光点位置θの45度から135度の範囲内にあり、
前記終了位置が、前記シーラントビードの巻き付け方向に対して前記第2のバランス光点位置θから45度から135度の範囲内にある、タイヤ。
【請求項12】
前記開始位置が、前記シーラントビードの巻き付け方向に対して前記第1のバランス光点位置θよりも60度から120度前方の範囲内にあり、
前記終了位置が、前記シーラントビードの巻き付け方向に対して前記第2のバランス光点位置θの後方60度から120度の範囲内にある、
請求項11に記載のタイヤ。
【請求項13】
前記開始位置が、前記シーラントビードの巻き付け方向に対して前記第1のバランス光点位置θよりも75度から105度前方の範囲内にあり、
前記終了位置が、前記シーラントビードの巻き付け方向に対して前記第2のバランス光点位置θの後方75度から105度の範囲内にある、
請求項11に記載のタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、タイヤのバランスを改善するためにシーラント層をタイヤの内面に塗布する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シーラント層を塗布するために使用される典型的な従来技術のタイヤシーラントセルは、国際公開第2019123272(A1)号及び国際公開第2019123275(A1)号に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
シーラント層がタイヤのバランスを改善するように、シーラント層をタイヤの内面に塗布するための改善された方法が必要とされている。
【0004】
本開示は、シーラント層がタイヤに塗布されるときのタイヤの固有バランスを改善するための方法、及びそのようなプロセスによって製造される改善されたタイヤに関する。
【0005】
一実施形態では、シーラント層をタイヤの内面に塗布する方法は、
(a)タイヤの物理的指標からタイヤの回転軸の周りで測定された第1の角度θとして、タイヤの第1の側上の第1のバランス光点の周方向の位置を特定する工程と、
(b)タイヤの第2の側上の第2のバランス光点の周方向の位置を、物理的指標からタイヤの回転軸の周りで測定された第2の角度θとして決定する工程と、
(c)タイヤの第1の側に隣接するシーラントビードの目標開始位置を、物理的指標からタイヤの回転軸の周りで測定された目標開始角度θとして決定することであって、目標開始角度θは、第1の角度θの関数として決定される、決定する工程と、
(d)タイヤの第2の側に隣接するシーラントビードの目標終了位置を、物理的指標からタイヤの回転軸の周りで測定された目標終了角度θとして決定することであって、目標終了角度θは、第2の角度θの関数として決定される、決定する工程と、
(e)シーラントビードを、目標開始角度θに基づいて選択された実際の開始位置で始まり、目標終了角度θに基づいて選択された実際の終了位置で終わるらせん状パターンでタイヤの内面に塗布する工程と、を含むことができる。
【0006】
シーラントビードの塗布は、シーラントビードの塗布前のタイヤの静的及び動的バランスと比較して、タイヤの静的及び動的バランスの両方を改善することができる。
【0007】
上記の方法のいずれにおいても、目標開始角度θは、関数θ=θ+90°によって決定され得る。
【0008】
上記の方法のいずれにおいても、目標終了角度θは関数θ=θ-90°によって決定されてもよい。
【0009】
上記の方法のいずれにおいても、実際の開始角度及び実際の終了角度はそれぞれ、目標開始角度及び目標終了角度それぞれの許容可能なスポッティング誤差範囲内にあってもよい。
【0010】
上記方法のいずれにおいても、許容可能なスポッティング誤差範囲はプラスマイナス45度であってもよい。
【0011】
上記方法のいずれにおいても、許容可能なスポッティング誤差範囲はプラスマイナス30度であってもよい。
【0012】
上記方法のいずれにおいても、許容可能なスポッティング誤差範囲はプラスマイナス15度であってもよい。
【0013】
上記方法のいずれにおいても、物理的指標は、タイヤの第1の側部を画定する第1のサイドウォール上に配置されたバーコードであってもよい。
【0014】
別の実施形態では、上記の方法のいずれかによって製造されたタイヤは、トレッド部分と、トレッド部分から半径方向内向きに延在する第1及び第2のサイドウォール部分とを含むことができる。タイヤは、タイヤ上の物理的指標からタイヤの回転軸の周りの第1の角度θとして測定されるシーラント塗布前のタイヤの第1の側上の第1のバランス光点位置と、タイヤ上の物理的指標からタイヤの回転軸の周りの第2の角度θとして測定されるシーラント塗布前のタイヤの第2の側上の第2のバランス光点位置とを有することができる。タイヤの内面は、第1のサイドウォール部分と第2のサイドウォール部分との間にタイヤの内部キャビティを画定することができる。第1のサイドウォールに最も近い開始位置及び第2のサイドウォールに最も近い終了位置を有するらせん状に巻かれたシーラントビードを内面上に置くことができる。開始位置は、シーラントビードの巻き付け方向に対して第1のバランス光点位置θから45度~135度の範囲内にあってもよく、終了位置は、シーラントビードの巻き付け方向に対して第2のバランス光点位置θから45度~135度の範囲内にあってもよい。
【0015】
上記タイヤの別の実施形態では、開始位置は、シーラントビードの巻き付け方向に対して第1のバランス光点位置θから60度~120度の範囲内にあってもよく、終了位置は、シーラントビードの巻き付け方向に対して第2のバランス光点位置θから60度~120度の範囲内にあってもよい。
【0016】
上記タイヤの別の実施形態では、開始位置は、シーラントビードの巻き付け方向に対して第1のバランス光点位置θから75度~105度の範囲内であってもよく、終了位置は、シーラントビードの巻き付け方向に対して第2のバランス光点位置θから75度~105度の範囲内であってもよい。
【0017】
本発明の多数の対象、特徴、及び利点は、添付の図面と併せて以下の開示を一読すると、当業者であれば容易に明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本開示によるタイヤシーラントセルシステムの平面図である。
図2図2は、図1のタイヤシーラントセルシステムの左前方斜視図である。
図3図3は、シーラントビードを塗布するためにディスペンスロボットがタイヤのキャビティ内にディスペンスツールを保持している、塗布スタンドの1つに配置されたタイヤの概略断面図である。
図4図4は、タイヤの内面上にシーラント層を形成するために部分的に配置されたシーラントビードを示す、タイヤの拡大概略断面図である。
図5図5は、タイヤハンドリングロボットの正面図である。
図6図6は、タイヤハンドリングロボットの側面図である。
図7図7は、1つの塗布スタンドの斜視図である。
図8図8は、図7の塗布スタンドの端面図である。
図9図9は、図7の塗布スタンドの背面図である。
図10図10は、ディスペンスロボットの側面図である。
図11図11は、ディスペンスロボットの正面図である。
図12図12は、ディスペンスロボットの上面図である。
図13図13は、ディスペンスロボットが持つディスペンスツールの拡大側面図である。
図14図14は、ディスペンスロボットが持つディスペンスツールの正面図である。
図15図15は、ディスペンスロボットが持つディスペンスツールの断面図である。
図16図16は、タイヤシーラントセルシステムのコントローラ及び関連構成要素の概略図である。
図17図17は、タイヤ内面のシーラント層のゲージの走査の視覚的表現である。
図18図18は、タイヤの赤道面に関して対称的に配置された仮想シーラント層を概略的に示す。また、クロスハッチで示されているのは、シーラントビードの端部の仮想的な重なりである。
図19図19は、塗布スタンドのうちの1つに取り付けられたときのタイヤの向きの概略図である。タイヤ光点の角度位置、並びにシーラントビードの塗布のための目標開始角度及び目標終了角度が示されている。
【発明を実施するための形態】
【0019】
ここで、本開示の実施形態を詳細に参照し、その1つ以上の図面を本明細書に記載する。各図面は、本開示の説明のために提供され、限定するものではない。実際、本開示の範囲から逸脱することなく、本開示の教示に対して様々な修正及び変形を行うことができることは当業者には明らかであろう。例えば、一実施形態の一部として図示又は説明される特徴は、別の実施形態とともに使用されて、更なる実施形態をもたらすことができる。
【0020】
したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物の範囲内に入るような修正及び変形を包含することが意図されている。本開示の他の目的、特徴、及び態様は、以下の詳細な説明に開示されているか、又は以下の詳細な説明から明らかである。本考察は、例示的な実施形態の説明にすぎず、本開示のより広い態様を限定するものとして意図されないことが、当業者によって理解されるべきである。
【0021】
「接続された」、「取り付けられた」、「接合された」、「取り付けられた」、「締結された」などの語は、2つの物体を接合する任意の様式を意味すると解釈されるべきであり、静止、並進、又は枢動可能な関係を可能にする、ねじ、ナット及びボルト、ボルト、ピン及びクレビスなどの任意の締結具の使用を含むが、これらに限定されず、従来のMIG溶接、TIG溶接、摩擦溶接、ろう付け、はんだ付け、超音波溶接、トーチ溶接、誘導溶接などの任意の種類の溶接、任意の樹脂、接着剤、エポキシなどの使用、単一の部品として一体的に形成されること、摩擦嵌め、締まり嵌め、摺動可能な嵌め、回転可能な嵌め、枢動可能な嵌めなどの任意の機械的嵌め、これらの任意の組み合わせなどを含む。
【0022】
特に明記しない限り、本開示の装置の任意の部分は、金属、合金、ポリマ、ポリマ混合物、木材、複合材、又はそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない任意の適切な又は好適な材料から作製され得る。
【0023】
全体のプロセス:
図1は、タイヤシーラントセルシステム100の上面図を概略的に示し、図2は、タイヤシーラントセルシステム100の斜視図を概略的に示す。タイヤシーラントセルシステム100は、本明細書ではタイヤシーラントセル100と呼ばれることもある。タイヤシーラントセルシステム100は、シーラント層102をタイヤ110の内面部分112に自動的に塗布するように構成されている。シーラント層102は、例えば釘(図示せず)などの道路デブリによって引き起こされ得るタイヤ110内の穴(図示せず)を自動的に封止するように構成され得る。シーラント層102は、固体でも液体でもなく、半粘性状態のままであり、シーラント層102は、タイヤ110に侵入した道路デブリに結合することができ、道路デブリの除去時にそれ自体に結合して、空気がタイヤ110のキャビティ114から逃げることができない。タイヤ110の内面部分112は、本明細書ではタイヤ110の内面112と呼ばれることもある。タイヤ110のキャビティ114は、本明細書ではタイヤ110の内部114と呼ばれることもある。タイヤ110の内面部分112は、タイヤ110のトレッド部分116に対向して画定されてもよく、タイヤ110のサイドウォール118a及び118bの上に少なくとも部分的に延在してもよい。タイヤ110のトレッド部分116は、本明細書では、タイヤ110の外側トレッド表面116と呼ばれることもある。タイヤシーラントセルシステム100は、既存のシステムよりも良好な比でより高い出力を提供することができる。
【0024】
シーラント層102は、例えば、DOW(登録商標)シーラントから構成されてもよい。ある実施形態では、シーラント層102は、別々に保管され、塗布時に一緒に混合され得る、パートA成分(図示せず)及びパートB成分(図示せず)を含む、重量比10:1のDOW(登録商標)シーラントであり得る。他の実施形態では、比を調整することができる。シーラント層102の初期硬化時間は1日であってよく、完全硬化は28日である。タイヤ110は、タイヤ110を著しく変形させないように注意が払われる限り、1日のマークより前に移動させることができる。したがって、トレッド部分116を介してタイヤ110を取り扱うことは、以下に更に開示されるように有用であり得る。
【0025】
タイヤ(例えば、第1のタイヤ110A、第2のタイヤ110B、第3のタイヤ110Cなど)は、最初に、タイヤシーラントセルシステム100の供給コンベヤ130によって順次受け取られることによって、タイヤシーラントセルシステム100と相互作用する。タイヤは、タイヤシーラントセルシステム100の排出コンベヤ132を介してタイヤシーラントセルシステム100から出る。
【0026】
供給コンベヤ130は、タイヤ識別ステーション140を含むことができる。タイヤ識別ステーション140は、タイヤ110を供給コンベヤ130に沿って移動させるための第1のコンベヤベルト142を含むことができる。タイヤ識別ステーション140は、タイヤ110のタイヤコード120、図7参照をスキャンするように構成されたバーコードリーダBCR:bar code reader、144を更に含むことができる。タイヤコード120は、本明細書ではバーコード120と呼ばれることもある。バーコードリーダ144は、本明細書ではスキャナ144と呼ばれることもある。バーコードリーダ144は、例えば、データロジックBCRアレイなどであってもよい。タイヤコード120は、タイヤ110に固有のものであってもよく、図3に示すように、タイヤ110の外面上に刻印又は画定されてもよい。タイヤコード120は更に、タイヤの幅、トレッド深さ、サイドウォール高さ、開口直径などのタイヤ110に関する特定の情報と関連付けられてもよい。
【0027】
供給コンベヤ130は、第1の計量ステーション150を更に含んでもよい。第1の計量ステーション150は、タイヤ110を供給コンベヤ130に沿って移動させるための第2のコンベヤベルト152を含むことができる。第1の計量ステーション150は、タイヤ110内にシーラント層102を塗布する前に、タイヤ110の重量を計量して記録するように構成される。
【0028】
供給コンベヤ130は、タイヤ位置決めステーション160を更に含むことができる。タイヤ位置決めステーション160は、タイヤ110を供給コンベヤ130に沿って移動させるための第3のコンベヤベルト162を含むことができる。タイヤ位置決めステーション160は、タイヤ110の中心122の位置を特定するように構成されたスキャナ164を更に含むことができる。タイヤ110の中心122は、図3に示すように、本明細書ではタイヤ110の回転軸122と呼ばれることもある。特定の任意選択の実施形態では、スキャナ164は、Fanuc irVisionカメラなどであってもよく、これは、タイヤ110の中心122の識別を助けるために、偏光ブルーライト(図示せず)と対にされてもよい。この実施形態によれば、第3のコンベヤベルト162は、スキャナ164の有効性を増大させるために青色に着色されてもよい(例えば、Fanuc irVisionカメラなど)。
【0029】
タイヤシーラントセルシステム100は、タイヤハンドリングロボット200と、少なくとも1つの塗布スタンド300と、ディスペンスロボット400とを更に含んでもよい。少なくとも1つの塗布スタンド300は、本明細書では、少なくとも1つのシーラント塗布スタンド300と呼ばれることもある。図示されるように、少なくとも1つの塗布スタンド300は、第1の塗布スタンド300A及び第2の塗布スタンド300Bを含む。第1及び第2の塗布スタンド300A、300Bは同一であってもよく、少なくとも1つの塗布スタンド300に関して更に説明される。
【0030】
第1及び第2の塗布スタンド300A、300Bは、タイヤ(例えば、第1のタイヤ110A、第2のタイヤ110B、第3のタイヤ110Cなど)が、タイヤの回転軸122がほぼ水平に向けられた状態で第1及び第2の塗布スタンド300A、300B上に受けられ得るように、互いに隣接して配置され得る。第1及び第2の塗布スタンド300A、300B上に受け入れられたタイヤは、トレッド部分116が互いに面するように端と端を位置合わせされることができる。タイヤハンドリングロボット200は、第1及び第2の塗布スタンド300A、300Bの一方の側に配置されてもよい。ディスペンスロボット400は、第1及び第2の塗布スタンド300A、300Bの反対側に位置付けられてもよい。したがって、タイヤ110が第1又は第2の塗布スタンド300A、300Bのうちの1つによって受け取られるとき、タイヤ110の1つのサイドウォールはタイヤハンドリングロボット200に面し、タイヤ110の別のサイドウォールはディスペンスロボット400に面する。
【0031】
タイヤハンドリングロボット200は、タイヤハンドリングロボット200のタイヤ把持ツール202を使用して、タイヤ110を供給コンベヤ130、又はより具体的には、タイヤ位置決めステーション160の第3のコンベヤベルト162から取り上げ、タイヤ110を第1又は第2の塗布スタンド300A、300Bのうちの占有されていない方の上に配置するように構成され得る。タイヤ把持ツール202は、タイヤ110を移動させるときにタイヤ110のトレッド部分116に係合するように構成される。タイヤ把持ツール202の把持力は、タイヤコード120に基づいて調整することができる。
【0032】
特定の実施形態では、タイヤハンドリングロボット200は、スキャナ204を更に含むことができる。タイヤハンドリングロボット200が少なくとも1つの塗布スタンド300のうちの1つにタイヤ110を配置すると、タイヤ把持ツール202はタイヤ110の係合を解除し、タイヤハンドリングロボット200によって持たれたスキャナ204を使用して、タイヤ110が少なくとも1つの塗布スタンド300によって回転されている間にタイヤ110の内面部分112を走査(例えば、初期走査又は事前走査)することができる。他の実施形態では、ディスペンスロボット400は、初期走査を行うためのスキャナを含んでもよい。
【0033】
ディスペンスロボット400は、(図3及び4に示すように)タイヤ110が少なくとも1つの塗布スタンド300のうちの1つによって回転されている間に、ディスペンスロボット400のディスペンスツール402を使用して、タイヤ110の内面部分112にシーラントビード104を塗布するように構成されてもよい。シーラントビード104は、シーラント層102を形成するためにタイヤ110が少なくとも1つの塗布スタンド300のうちの1つによって回転されている間に、ディスペンスツール402によってタイヤ110の内面部分112上の連続リボンに分配されてもよい。シーラントビード104は、好ましくは、形状がほぼ長方形である。シーラントビード104の幅は、6mm~18mm、好ましくは6mm~10mmの範囲であってもよい。シーラントビードの厚さは、3mm~5mmの範囲、好ましくは約4mmであってもよい。一実施形態において、シーラントビードは、8mmの幅及び4mmの厚さを有してもよい。他の実施形態では、シーラントビード104の幅及び厚さは異なっていてもよい。
【0034】
ディスペンスロボット400は、上述したように、タイヤハンドリングロボット200又はディスペンスロボット400のいずれかによって実行されるタイヤ110の内面部分112の初期走査を利用して、例えば、シーラントビード104を分配するためのx、y、z座標における移動経路を計算することができる。
【0035】
ディスペンスロボット400は、ディスペンスロボット400のディスペンスツール402上に配置された少なくとも1つのセンサ410を含んでもよい。少なくとも1つのセンサ410は、タイヤ110の内面部分112に対するディスペンスツール402の位置を検出するように構成することができる。少なくとも1つのセンサ410は、ディスペンスツールとタイヤ110の内面部分112との間の距離420を検出するように更に構成されてもよい。特定の実施形態では、少なくとも1つのセンサ410を利用して、タイヤ110が少なくとも1つの塗布スタンド300によって回転されている間にタイヤ110の内面部分112の初期走査を実行することができる。
【0036】
ディスペンスロボット400がシーラント層102を形成するためにタイヤ110の内面部分112上にシーラントビード104を堆積させることを完了すると、タイヤハンドリングロボット200又はディスペンスロボット400の一方は、シーラント層102又はシーラントビード104のゲージ(例えば、厚さ)が設定基準(例えば、シーラント層102の最小許容ゲージ)内にあるかどうかを判定するためにシーラント層102を走査する(例えば、最終走査又は後走査)ように構成され得る。例えば、ゲージは、密封性能が悪影響を受けないように十分でなければならない。したがって、特定の実施形態では、タイヤハンドリングロボット200のスキャナ204を利用して、タイヤ110の内面部分112上のシーラント層102を走査することができる。他の実施形態では、少なくとも1つのセンサ410を利用して、タイヤ110の内面部分112上のシーラント層102を走査することができる。
【0037】
タイヤシーラントセルシステム100は、最終走査を実行してもよく、タイヤ110の内面部分112上のシーラント層102の位置に対応するデータと相関させて、タイヤ110の内面部分112上のシーラント層102のゲージに対応するデータを記録してもよい。図17に示すように、タイヤシーラントセルシステム100は、タイヤ110の内面部分112上のシーラント層102を表す視覚画像530を表示するように構成されたディスプレイ518を更に含むことができる。視覚画像530は、シーラント層のゲージが設定基準内にあるかどうかに対応する、一般に色分けされた視覚指標532を含んでもよい。視覚画像530は、例えば5mm×5mmのセクションに分割されたタイヤ110のフラットバージョンを示すことができる。各セクションは、視覚指標532を含んでもよい。
【0038】
特定の任意選択の実施形態では、少なくとも1つのセンサ410を利用して、シーラントビード104がタイヤ110の内面部分112に塗布される際にシーラントビードのゲージをリアルタイムで走査し、ディスプレイ518上に表示される関連データを送信することができる。
【0039】
最終走査が完了すると、タイヤハンドリングロボット200は、完成したタイヤ110を第1又は第2の塗布スタンド300A、300Bから取り上げ、タイヤ110を排出コンベヤ132上に配置することができる。より具体的には、タイヤハンドリングロボット200は、排出コンベヤ132の排出受け取りステーション170上にタイヤ110を配置することができる。排出受け取りステーション170は、タイヤ110を排出コンベヤ132に沿って移動させるための第4のコンベヤベルト172を含むことができる。
【0040】
排出コンベヤ132は、第2の計量ステーション180を更に含むことができる。第2の計量ステーション180は、タイヤ110を排出コンベヤ132に沿って移動させるための第5のコンベヤベルト182を含むことができる。第2の計量ステーション180は、タイヤ110内にシーラント層102を塗布した後にタイヤ110を計量するように構成される。タイヤ110の重量の変化は、第1の計量ステーション150及び第2の計量ステーション180からのデータに基づいて決定されてもよい。重量の変化は、記録され、記憶され、集計されてもよく、タイヤコード120を介して特定のタイヤに関連付けられたベースラインデータセットとして使用されてもよい。
【0041】
排出コンベヤ132は、最終ステーション190を更に含むことができる。最終ステーション190は、タイヤ110を排出コンベヤ132に沿って移動させるための第6のコンベヤベルト192を含むことができる。タイヤ110は、最終ステーション190からタイヤシーラントセルシステム100を出ることができる。他の実施形態では、タイヤ110は、第2の計量ステーション180からタイヤシーラントセルシステム100を出ることができる。
【0042】
タイヤシーラントセルシステム100は、複数の電子フロー(eFlow)ドラムポンプ106を更に含み、各ポンプは、シーラントビード104に使用されるシーラントを生成するために使用される2つの成分のうちの1つを含む。シーラントビード104のためのシーラントは、所与の時間に複数のeFlowドラムポンプ106のうちの少なくとも2つからディスペンスロボット400に提供され、少なくとも2つのeFlowドラムポンプの各々は、シーラントビード104のために使用されるシーラントを生成するために使用される2つの成分のうちの異なる1つを含む。2つの成分は、シーラントビード104をタイヤ110の内面部分112に塗布する直前に、ディスペンスロボット400によって混合される。
【0043】
タイヤ(例えば、第1のタイヤ110A、第2のタイヤ110B、第3のタイヤ110Cなど)は、タイヤシーラントセルシステム100に連続的に出入りすることができる。例えば、1つのタイヤが、所与の時間に6つのコンベヤベルト並びに第1及び第2の塗布スタンド300A、300Bのそれぞれの上にあってもよい。ディスペンスロボット400は、第1の塗布スタンド300Aと第2の塗布スタンド300Bとの間で前後に移動して、他方に移動する前に、所与の塗布スタンド上に配置されたタイヤ内にシーラントビード104を塗布することができる。例えば、タイヤハンドリングロボット200は、第1の塗布スタンド300A上に第1のタイヤ110Aを配置してもよく、その後、初期走査が実行されてもよい。ディスペンスロボット400がシーラントビード104を第1のタイヤ110Aの内面部分112に塗布する間に、タイヤハンドリングロボット200は、第2のタイヤ110Bを第2の塗布スタンド300B上に位置決めするように進むことができる。ディスペンスロボット400が第1のタイヤ110Aへのシーラントビード104の塗布を完了すると、ディスペンスロボット400は、第2の塗布スタンド300Bに移動し、第2のタイヤ110Bの内面部分112へのシーラントビード104の塗布を開始することができる。第1のタイヤ110Aの最後のスキャンが実行されると、タイヤハンドリングロボット200は、第1のタイヤ110Aを第1の塗布スタンド300Aから取り出し、第1のタイヤ110Aを排出コンベヤ132上に配置することに進んでもよい。次いで、タイヤハンドリングロボット200は、第3のタイヤ110Cを第1の塗布スタンド300A上に配置することに進んでもよい。ディスペンスロボット400が第2のタイヤ110Bへのシーラントビード104の塗布を完了すると、ディスペンスロボット400は、第1の塗布スタンド300Aに戻り、第3のタイヤ110Cの内面部分112へのシーラントビード104の塗布を開始することができる。第2のタイヤ110Bの最終スキャンが実行されると、タイヤハンドリングロボット200は、第2の塗布スタンド300Bから第2のタイヤ110Bを取り出し、排出コンベヤ132上に第2のタイヤ110Bを配置することに進むことができる。シーラント層102のタイヤへの塗布は、一般に、この一般的な方法で連続的に進めることができる。第1及び第2の塗布スタンド300A、300Bを含むことによって、タイヤシーラントセルシステム100の効率又は処理量が増加する。
【0044】
タイヤハンドリングロボット:
図5は、タイヤハンドリングロボット200の正面図を概略的に示し、図6は、タイヤハンドリングロボット200の側面図を概略的に示す。
【0045】
タイヤハンドリングロボット200は、少なくとも3つの自由度軸を有する多関節アームアセンブリ210を含むことができる。多関節アームアセンブリ210の近位端212は、支持面に結合されるように構成された表面取り付けプレート220に結合されてもよい。タイヤ把持ツール202及びスキャナ204は、多関節アームアセンブリ210の遠位端214に連結されてもよい。近位端212はまた、本明細書では、近位アーム部材212と称されてもよく、遠位端214はまた、本明細書では、遠位アーム部材214と称されてもよい。
【0046】
タイヤハンドリングロボット200は、多関節アームアセンブリ210の遠位端214に結合された第1のアーム部分230及び第2のアーム部分232を更に含むことができる。第1のアーム部分230はまた、本明細書では、第1のアーム230と称されてもよく、第2のアーム部分232はまた、本明細書では、第2のアーム232と称されてもよい。タイヤ把持ツール202は、第1のアーム部分230に結合されてもよく、スキャナ204は、第2のアーム部分232に結合されてもよい。したがって、第1のアーム部分230は、タイヤ把持ツール202を持ってもよく、第2のアーム部分232は、スキャナ204を持ってもよい。特定の実施形態は、第1のアーム部分230又はタイヤ把持ツール202のうちの少なくとも1つは、空気圧ダブルエンドシリンダからなってもよい。
【0047】
タイヤ把持ツール202は、タイヤ110のトレッド部分116に係合するときに追加のグリップを提供するために、タイヤ把持ツール202の端部に取り付けられたゴムバンパ240を含むことができる。
【0048】
前述のように、タイヤハンドリングロボット200は、タイヤ把持ツール202がタイヤ110のトレッド部分116に係合するように、タイヤ把持ツール202を使用してタイヤ110をタイヤ位置決めステーション160から取り上げるように構成されている。タイヤ把持ツール202によってタイヤ110のトレッド部分116に加えられる把持力は、タイヤ識別ステーション130によって走査されるタイヤコード120に基づいて調整される。次いで、タイヤハンドリングロボット200は、タイヤ110を受け取るために利用可能である塗布スタンド300A又は300Bのうちの1つの上にタイヤ110を配置し、タイヤ把持ツール202をタイヤ110から係合解除するように構成される。いったん係合解除されると、タイヤハンドリングロボット200は、スキャナ204をタイヤ110のキャビティ114の中に挿入し、初期走査を行ってもよい。
【0049】
シーラント塗布スタンド:
図7は、少なくとも1つの塗布スタンド300の斜視図を概略的に示し、図8は、少なくとも1つの塗布スタンド300の側面図を概略的に示し、図9は、少なくとも1つの塗布スタンド300の背面図を概略的に示す。第1及び第2の塗布スタンド300A、300Bは、同一であってもよく、少なくとも1つの塗布スタンド300を説明することによって更に説明されてもよい。
【0050】
少なくとも1つの塗布スタンド300は、上部安定化バー310と、上部安定化バー310の下に配置された複数の駆動ローラ(図示せず)とを含むことができる。タイヤ110の内径124の上部は、上部安定化バー310上に載るように構成されてもよい。タイヤ110のトレッド部分116の一部分は、複数の駆動ローラ上に載置されるように構成され得る。複数の駆動ローラは、例えば、タイヤ110の内面部分112の走査中及びタイヤ110の内面部分112へのシーラントビード104の塗布中に、タイヤ110をその回転軸122を中心に回転させるように構成されてもよい。
【0051】
少なくとも1つの塗布スタンド300は、ディスペンスロボット400がタイヤ110の内面部分112により容易にアクセスすることができるように、タイヤ110のビード126を広げるように構成された複数のビードスプレッダフィンガ320を更に含むことができる。上部安定化バー310及び複数の駆動ローラは、複数のビードスプレッダフィンガ320がタイヤ110のキャビティ114内に到達することを可能にするように、同時に下方に作用してもよい。複数のビードスプレッダフィンガ320が定位置にくると、上部安定化バー310及び複数の駆動ローラが同時に上向きに作動して、ビード126が複数のビードスプレッダフィンガ320内に着座するように、複数のビードスプレッダフィンガ320をタイヤ110のビード126に係合させることができる。いったん着座すると、複数のビードスプレッダフィンガ320は、タイヤ110から離れるように移動するように作動され、それによって、タイヤ110のビード126を設定距離まで広げることができる。
【0052】
少なくとも1つの塗布スタンド300は、旋回してタイヤ110のトレッド部分116と係合するように構成された複数の側方安定化アーム330を更に含むことができる。複数の側方安定化アーム330の各々は、タイヤ110のトレッド部分116に回転係合するように構成されたローラを含むことができる。複数の側方安定化アーム330は、複数の駆動ローラによるタイヤ110の回転の前に、タイヤ110のトレッド部分116に係合するように構成され得る。
【0053】
少なくとも1つの塗布スタンド300のすべての移動は、上部安定化バー310及び複数の側方安定化アーム330を除いて、サーボモータを用いて実現され得る。上部安定化バー310及び複数の側方安定化アーム330は、圧力が比例弁を使用して制御される空気シリンダを利用してもよい。
【0054】
少なくとも1つの塗布スタンド300は、上部安定化バー310に結合されたセンサ340を更に含むことができる。センサ340は、センサ340を通過する回転タイヤ110上の物理的指標を検出することによって、タイヤ110の回転位置を感知するように構成され得る。物理的指標は、例えば、タイヤ110上に画定されたタイヤコード120であってもよい。センサ340は、例えば、BANNER(登録商標)QS30PDPQセンサなどのセンサであってもよい。
【0055】
ディスペンスロボット:
図10は、ディスペンスロボット400の側面図を概略的に示し、図11は、ディスペンスロボット400の正面図を概略的に示し、図12は、ディスペンスロボット400の底面図を概略的に示す。図13は、図10からのディスペンスロボット400のディスペンスツール402の側面図を概略的に示す。図14は、図12からのディスペンスロボット400のディスペンスツール402の底面図を概略的に示す。図15は、ディスペンスロボット400のディスペンスツール402の断面図を概略的に示す。
【0056】
ディスペンスロボット400は、少なくとも3つの自由度軸を有する多関節アームアセンブリ430を含んでもよい。多関節アームアセンブリ430の近位端432は、支持面に結合されるように構成された表面取り付けプレート440に結合されてもよい。ディスペンスツール402は、多関節アームアセンブリ430の遠位端434に結合されてもよい。したがって、ディスペンスツール402は、ディスペンスロボット400の多関節アームアセンブリ430の遠位端434によって持たれるように構成されている。近位端432はまた、本明細書では、近位アーム部材432と称されてもよく、遠位端434はまた、本明細書では、遠位アーム部材434と称されてもよい。
【0057】
ディスペンスロボット400は、多関節アームアセンブリ430又はディスペンスツール402のうちの1つに配置された混合弁450を更に含んでもよい。混合弁450は、第1のシーラント成分計量ディスペンサ452及び第2のシーラント成分計量ディスペンサ454を介して複数のeFlowドラムポンプ106のうちの2つに結合されるように構成されてもよい。第1及び第2のシーラント成分計量ディスペンサ452、454は、NORDSON(登録商標)サーボ駆動ギアメータなどのギアメータであってもよい。他の任意選択の実施形態では、第1及び第2のシーラント成分計量ディスペンサ452、454は、GRACO(登録商標)HFRポンプ(例えば、油圧往復ピストルを特徴とする)であってもよい。図10及び図11に最もよく見られるように、第1及び第2のシーラント成分計量ディスペンサ452、454は、多関節アームアセンブリ210に取り付けられてもよい。第1及び第2の可撓性導管455及び457は、図3に概略的に見られるように、第1及び第2のシーラント成分計量ディスペンサ452、454をそれぞれシーラントノズル460に接続することができる。
【0058】
第1の遮断弁459は、第1のシーラント成分の流れを遮断するために、第1のシーラント成分計量ディスペンサ452とシーラントノズル460との間に配置されてもよい。第2の遮断弁461は、第2のシーラント成分の流れを遮断するために、第2シーラント成分計量ディスペンサ454とシーラントノズル460との間に配置されてもよい。遮断弁459及び461は、好ましくはスナッフバックバルブである。スナッフバックバルブの動作原理は、バルブを遮断すると、負圧が生成されてシーラント材を引き戻して、迅速な遮断を実現し、及び/又はシーラント材料の滴下を防止することである。
【0059】
第1のオン/オフ弁465は、第1のシーラント成分計量ディスペンサ452の上流に位置してもよい。第2のオン/オフ弁467は、第2のシーラント成分計量ディスペンサ454の上流に位置してもよい。オン/オフ弁はパンケーキ型弁であってもよい。
【0060】
ディスペンスツール402は、シーラントノズル460を含むことができる。シーラントノズル460は、シーラントビード104を分配するように構成されたノズル先端462を含むことができる。少なくとも1つのセンサ410は、ディスペンスツール402上に配置されてもよく、タイヤ110の内面部分112に対するノズル先端462の位置を感知するように構成されてもよい。
【0061】
ディスペンスロボット400の少なくとも1つのセンサ410は、シーラントノズル460の両側に位置する第1のセンサ412及び第2のセンサ414を含んでもよい。第1のセンサ412は、本明細書では第1の距離センサ412と呼ばれることもあり、第2のセンサ414は、本明細書では第2の距離センサ414と呼ばれることもある。(図13に示すように)第1及び第2のセンサ412、414は、タイヤ110の内面部分112からのノズル先端462の距離420が、第1のセンサ412又は第2のセンサ414のうちの少なくとも1つによって検出され得るように、シーラントノズル460の長さ464に沿って視認するように構成されてもよい。第1及び第2のセンサ412、414は、例えば、LJV KEYENCE(登録商標)プロフィロメータであってもよい。
【0062】
図14に見られるような実施形態では、第1及び第2のセンサ412、414の一方は、シーラントノズル460に対するタイヤ110の回転方向に関してシーラントノズル460の上流に位置されてもよく、第1及び第2のセンサの他方は、タイヤ110の回転方向に関してシーラントノズルの下流に位置されてもよい。図14において、タイヤ回転方向が左から右であると仮定すると、第1のセンサ412は上流センサであり、第2のセンサ414は下流センサである。
【0063】
ノズル先端462は、シーラント104のビードがノズル先端462から分配される方向を画定する先端軸463を有する。第1及び第2の距離センサ412及び414の各々は、ノズル先端462の分配軸463に平行に配置された感知軸413及び415をそれぞれ有する。
【0064】
第1及び第2の距離センサのうちの一方、図示の実施形態では第1の距離センサ412は、ノズル先端462がタイヤ110の内面112の幅を横断方向に横断するにつれて、ノズル先端462の分配軸463及び第1の距離センサ412の感知軸413が内面112の共通円周線に沿って内面112と交差するように、シーラントノズル460の横に配置される。第1及び第2の距離センサの他方、図示の実施形態では第2の距離センサ414は、ノズル先端462が横断方向に内面112の幅を横断するときにノズル先端462が第2の距離センサ414に先行するように、横断方向に関してシーラントノズル460に対して後方(例えば、後方11から16mmの範囲内)に配置されている。例えば、図4の概略図に見られるように、ノズル先端462は、シーラントビード104を置くために図の左から右へ横断方向に移動するように示されている。
【0065】
第1及び第2のセンサ412及び414は、以下で更に説明されるコントローラ500と組み合わせて、ノズル先端462がタイヤ110の内面112に対して垂直に配向されることを可能にする。コントローラは、第1及び第2の距離センサ412及び414から距離信号を受信し、タイヤ110の内面112のジオメトリに基づいて、ノズル先端462が横断方向に内面112の幅を横断するときに分配軸463がタイヤ110の内面112に対して垂直に維持されるようにシーラントノズル460の向きを定めるように構成される。
【0066】
先に述べたように、特定の任意選択の実施形態では、第1のセンサ412又は第2のセンサ414のうちの少なくとも1つを利用して、シーラントビード104がタイヤ110の内面部分112に塗布されるときにシーラントビードのゲージをリアルタイムで走査し、ディスプレイ518上に表示される関連データを送信することができる。例えば、第1のセンサ412又は第2のセンサ414の一方は、タイヤ110の内面部分112を走査するように構成されてもよく、他方のセンサは、タイヤ110の内面部分112への塗布直後にシーラントビード104を走査する。
【0067】
シーラントノズル460は、ノズル先端462と第1及び第2のシーラント成分計量ディスペンサ452、454との間に配置されたスタティックミキサ470を更に含んでもよい。スタティックミキサ470は、本明細書では内部スタティックミキサ470と呼ばれることもある。図15に示されるように、スタティックミキサ470は、シーラントノズル先端462を出る前に2つのシーラント成分の完全な混合を作り出すように、複数の不規則な内部通路を含んでもよい。スタティックミキサ470は、12~18インチの範囲、好ましくは約16インチの長さを有することができる。
【0068】
第1及び第2のシーラント成分計量ディスペンサ452、454は、スタティックミキサ470に直接連結されてもよい。特定の代替実施形態では、第1及び第2のシーラント成分計量ディスペンサ452、454は、第1及び第2の可撓性導管455及び457を使用してスタティックミキサ470に結合されてもよい。
【0069】
ディスペンスツール402は、ノズル先端462に隣接して配置された空気ノズル480を更に含むことができ、(図14に示すように)タイヤ110の内面部分112にシーラント材のビードを付着させるのを補助するために、シーラントビード104に対して向けられたエアストリーム482を噴出するように構成されている。特定の実施形態では、エアストリーム482は平面であってもよい。
【0070】
特定の任意実施形態では、ディスペンスロボット400は、ディスペンスツール402上に取り付けられたカメラ483を含んでもよく、それにより、オペレータは、分配される際にディスプレイ518上のシーラントビード104を視認することができる。
【0071】
コントローラ:
図16は、タイヤシーラントセルシステム100のコントローラ500を概略的に示す。コントローラ500は、タイヤシーラントセルシステム100の様々な構成要素(例えば、タイヤ識別ステーション140、第1の計量ステーション150、タイヤ位置決めステーション160、排出受け取りステーション170、第2の計量ステーション180、最終ステーション190、タイヤハンドリングロボット200、第1及び第2の塗布ステーション300A、300B、及びディスペンスロボット400)の動作を制御するためのコマンド信号を生成することができ、このコマンド信号は、コントローラ500からそれぞれの構成要素へのコマンド信号の流れを示す矢印で、コントローラ500を前述の様々な構成要素に接続する仮想線によって図16に概略的に示されている。
【0072】
本明細書に開示されるように、様々な前述の構成要素からのデータは、仮想線及び矢印によって概略的に示されるように、様々な前述の構成要素からコントローラ500に送信されてもよいことが理解されよう。
【0073】
例えば、コントローラ500からタイヤ識別ステーション140、第1の計量ステーション150、タイヤ位置決めステーション160、排出受け取りステーション170、第2の計量ステーション180、最終ステーション190のそれぞれへのコマンド信号は、第1、第2、第3、第4、第5、及び第6のコンベヤベルト142、152、162、172、182、192のそれぞれの動きを制御することができる。タイヤ識別ステーション140からコントローラ500へのデータは、バーコードリーダ144によって走査されたタイヤコード120を含むことができる。第1の計量ステーション150からコントローラ500へのデータは、シーラント層102の塗布前のタイヤ110(例えば、第1のタイヤ110A、第2のタイヤ110B、第3のタイヤ110Cなど)の重量を含むことができる。タイヤ位置決めステーション160からコントローラ500へのデータは、タイヤ110を係合するためにタイヤハンドリングロボット200によって利用され得る、第3のコンベヤベルト162上のタイヤ110の位置を含んでもよい。第2の計量ステーション180からコントローラ500へのデータは、シーラント層102の塗布後のタイヤ110(例えば、第1のタイヤ110A、第2のタイヤ110B、第3のタイヤ110Cなど)の重量を含んでもよい。コントローラ500は、同じタイヤコード120を有するタイヤへのシーラント層102の将来塗布する際に使用するために、タイヤコード120に関連してタイヤ110の前後の重量を記憶することができる。
【0074】
更に、例えば、コントローラ500からタイヤハンドリングロボット200へのコマンド信号は、多関節アームアセンブリ210、タイヤ把持ツール202、及びスキャナ204の移動を制御し、並びにスキャナ204の機能性を制御することができる。タイヤハンドリングロボット200からコントローラ500へのデータは、多関節アームアセンブリ210、タイヤ把持ツール202、及びスキャナ204のそれぞれの位置、並びにタイヤ110に関連付けられたスキャナ204からの出力を含むことができ、これは、シーラントビード104をタイヤ110に塗布するためのディスペンスロボット400のx、y、z座標における移動経路をプロットするために利用することができる。
【0075】
更に、例えば、コントローラ500から第1及び第2の塗布ステーション300A、300Bのそれぞれへのコマンド信号は、各それぞれの塗布ステーションに関連付けられた複数の駆動ローラ、上部安定化バー310、複数のビードスプレッダフィンガ320、及び複数の側方安定化アーム330のそれぞれの動きを制御することができる。第1及び第2の塗布ステーション300A、300Bの各々からコントローラ500へのデータは、各それぞれの塗布ステーションに関連付けられた複数の駆動ローラ、上部安定化バー310、複数のビードスプレッダフィンガ320、及び複数の側方安定化アーム330の各々の位置を含むことができる。
【0076】
最後に、例えば、コントローラ500からディスペンスロボット400へのコマンド信号は、多関節アームアセンブリ430及びディスペンスツール402の動きを制御し、並びにディスペンスツール402からのシーラントビード104の放出及び空気ノズル480からのエアストリーム482の放出を制御し、並びに少なくとも1つのセンサ410の機能を制御することができる。ディスペンスロボット400からコントローラ500へのデータは、多関節アームアセンブリ430及びディスペンスツール402の位置、並びにタイヤ110、シーラントビード104、又はシーラント層102のうちの少なくとも1つに関連付けられた少なくとも1つのセンサ410からの出力を含むことができる。
【0077】
コントローラ500は、プロセッサ510、コンピュータ可読媒体512、データベース514、及びディスプレイ518を有する入力/出力モジュール又はコントロールパネル516を含むか、又はこれらに関連付けられ得る。ディスプレイ518の例も図17に示されている。人間のオペレータがコントローラに命令を入力することができるように、キーボード又は他のユーザインターフェースなどの入力/出力デバイス520が設けられる。本明細書で説明されるコントローラ500は、説明される機能性のすべてを有する単一のコントローラであってもよく、又は説明される機能性が複数のコントローラの間で分散される複数のコントローラを含んでもよいことが理解される。
【0078】
コントローラ500に関連して説明した様々な動作、工程、又はアルゴリズムは、直接ハードウェアで、プロセッサ500によって実行されるソフトウェアモジュールなどのコンピュータプログラム製品522で、又はその2つの組み合わせで実施することができる。コンピュータプログラム製品522は、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、取り外し可能ディスク、又は当該技術分野で知られている任意の他の形態のコンピュータ可読媒体512に存在することができる。例示的なコンピュータ可読媒体512は、プロセッサがメモリ/記憶媒体から情報を読み取り、メモリ/記憶媒体に情報を書き込むことができるように、プロセッサ500に結合することができる。代替として、媒体は、プロセッサと一体であり得る。プロセッサ及び媒体は、特定用途向け集積回路(ASIC)内に存在することができる。ASICは、ユーザ端末内に常駐することができる。代替として、プロセッサ及び媒体は、ユーザ端末内の別個の構成要素として常駐することができる。
【0079】
本明細書で使用される「プロセッサ」という用語は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、ステートマシン、などを含むがこれらに限定されない、当業者によって理解され得るような少なくとも汎用又は特定目的の処理デバイス及び/又は論理を指すことができる。プロセッサはまた、コンピューティングデバイスの組み合わせ、例えば、DSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連携する1つ以上のマイクロプロセッサ、又は任意の他のそのような構成の組み合わせとして実装することもできる。
【0080】
本明細書で使用される「コントローラ」、「制御回路」、及び「制御回路」という用語は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)もしくは他のプログラマブルロジックデバイス、ディスクリートゲートもしくはトランジスタロジック、ディスクリートハードウェアコンポーネント、又は本明細書に記載の機能を実行するもしくは実行させるように設計及びプログラムされたそれらの任意の組み合わせなどの、機械を指すか、それによって具現化されるか、そうでなければ機械内に含まれ得る。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであってもよいが、代替として、プロセッサは、マイクロコントローラ、又はステートマシン、それらの組み合わせなどであってもよい。プロセッサはまた、コンピューティングデバイスの組み合わせ、例えば、DSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連携する1つ以上のマイクロプロセッサ、又は任意の他のそのような構成の組み合わせとして実装することもできる。
【0081】
タイヤ内面へのシーラント層の塗布方法:
シーラント層をタイヤの内面に塗布する方法は、
(a)タイヤハンドリングロボット200で第1のタイヤ110Aを取り上げ、第1のタイヤ110Aの回転軸122がほぼ水平に向けられた状態で、第1のタイヤ110Aを第1の塗布スタンド300A上に配置することと、
(b)第1のタイヤ110Aは第1の塗布スタンド300Aによって回転されるときに、タイヤハンドリングロボット200によって持たれたスキャナ204で第1のタイヤ110Aの内面112を走査することと、
(c)第1のタイヤ110Aの内面112上にシーラント層102を形成するために、第1のタイヤ110Aが第1の塗布スタンド300Aによって回転させられるときに、ディスペンスロボット400によって持たれたディスペンスツール402を用いて第1のタイヤ110Aの内面112にシーラントビード104を塗布することと、
(d)第1のタイヤ110Aが第1の塗布スタンド300Aによって回転されるときに、タイヤハンドリングロボット200によって持たれたスキャナ204を用いて第1のタイヤ110Aのシーラント層102を走査することとを含むことができる。
【0082】
本方法のタイヤハンドリングロボット200は、タイヤ把持ツール202を持つ第1のアーム部分230と、スキャナ204を持つ第2のアーム部分232とを含むことができる。本方法によれば、第1のタイヤ110Aを第1の塗布スタンド300A上に配置した後、タイヤハンドリングロボット200は、第1のタイヤ110Aをタイヤ把持ツール202から解放することができ、次いで、タイヤハンドリングロボット200は、スキャナ204を第1のタイヤ110Aのキャビティ114内に挿入することができる。
【0083】
工程(a)において、タイヤ把持ツール202は、第1のタイヤ110Aのトレッド部分116を把持することができる。
【0084】
方法は、工程(d)の後に、タイヤハンドリングロボット200を用いて第1の塗布スタンド300Aから第1のタイヤ110Aを取り上げ、第1のタイヤ110Aを排出コンベヤ132上に配置することを更に含むことができる。
【0085】
方法は、工程(a)の前に、供給コンベヤ130の第1の計量ステーション150上で第1のタイヤ110Aを計量することと、排出コンベヤ132の第2の計量ステーション180上で第1のタイヤ110Aを再び計量し、第1のタイヤ110Aの重量の変化を決定することとを更に含むことができる。
【0086】
方法は、タイヤハンドリングロボット200で第2のタイヤ110Bを取り上げ、第2のタイヤ110Bの回転軸122がほぼ水平に配向された状態で、第2のタイヤ110Bを第2の塗布スタンド300B上に配置することと、第2のタイヤ110Bが、第2の塗布スタンド300Bによって回転されるときに、タイヤハンドリングロボット200によって持たれたスキャナ204で第2のタイヤ110Bの内面部分112を走査することと、第2のタイヤ110Bの内面部分112上にシーラント層102を形成するために、第2のタイヤ110Bが第2の塗布スタンド300Bによって回転されるときに、ディスペンスロボット400によって持たれたディスペンスツール402でシーラントビード104を第2のタイヤ110Bの内面部分112に塗布することと、第2の塗布スタンド300Bによって第2のタイヤ110Bが回転されるとき、タイヤハンドリングロボット200によって持たれたスキャナ204で第2のタイヤ110Bのシーラント層102を走査することとを更に含むことができる。
【0087】
第1及び第2の塗布スタンド300A、300Bは、第1の塗布スタンド300A上の第1のタイヤ110Aのトレッド部分116が第2の塗布スタンド300B上の第2のタイヤ110Bのトレッド部分116に面し、各タイヤの一方のサイドウォールがタイヤハンドリングロボット200に面し、各タイヤの別のサイドウォールがディスペンスロボット400に面するように、互いに隣接して配置されてもよい。タイヤハンドリングロボット200は、第1及び第2のタイヤ110A、110Bの一方の側から走査工程を実行することができる。ディスペンスロボット400は、第1及び第2のタイヤ110A、110Bの反対側から塗布工程を実行してもよい。
【0088】
方法は、工程(a)の前に、バーコードリーダ144を用いて第1のタイヤ110Aを走査し、タイヤコード120を識別する工程を更に含むことができる。タイヤ把持ツール202は、第1のタイヤ110Aのトレッド部分116を把持することができ、把持力は、タイヤコード120に基づいて調整される。
【0089】
方法は、工程(c)の間に、シーラントビード104が第1のタイヤ110Aの内面部分112上に置かれるときにシーラントビード104のゲージを感知することと、シーラントビード104のゲージに対応するデータを、第1のタイヤ110Aの内面部分112上のシーラントビード104の位置に対応するデータと相関させて記録することとを更に含むことができる。
【0090】
本方法は、第1のタイヤ110Aの内面部分112上のシーラントビード104を表す視覚画像530をディスプレイ518上に表示することを更に含むことができる。視覚画像530(図17に示される)は、シーラントビード104のゲージが設定基準内にあるかどうかに対応する視覚指標532を含むことができる。
【0091】
シーラント層をタイヤの内面に塗布する更なる方法:
シーラント層をタイヤの内面に塗布する更なる方法は、
(a)タイヤシーラントセル100を提供する工程であって、
タイヤ110A、110B、110Cが、タイヤの回転軸122がほぼ水平に配向された状態で第1及び第2のシーラント塗布スタンド上に受け入れられたときに、タイヤが、タイヤのトレッド領域116が互いに対向した状態で端から端まで位置合わせされるように、互いに隣接して配置された第1及び第2のシーラント塗布スタンド300A、300Bと、
第1及び第2のシーラント塗布スタンドの一方の側に位置するタイヤハンドリングロボット200と、
タイヤハンドリングロボットから第1及び第2のシーラント塗布スタンドの反対側に配置されたディスペンスロボット400とを含む、提供する工程と、
(b)タイヤハンドリングロボット200で第1のタイヤ110Aを取り上げ、第1のタイヤ110Aを第1のシーラント塗布スタンド300A上に配置する工程と、
(c)第1のタイヤ110Aの内面112上にシーラント層102を形成するために、第1のタイヤ110Aが第1のシーラント塗布スタンド300Aによって回転されるときに、ディスペンスロボット400によって持たれたディスペンスツール402を用いて第1のタイヤ110Aの内面112にシーラントビード104を塗布する工程と、
(d)タイヤハンドリングロボット200で第2のタイヤ110Bを取り上げ、第2のタイヤ110Bを第2のシーラント塗布スタンド300B上に配置する工程と、
(e)第2のタイヤ110Bの内面112上にシーラント層102を形成するために、第2のタイヤ110Bが第2のシーラント塗布スタンド300Bによって回転されるときに、ディスペンスロボット400によって持たれたディスペンスツール402を用いて第2のタイヤ110Bの内面112にシーラントビード104を塗布する工程とを含むことができる。
【0092】
本方法は、工程(b)と工程(c)との間に、第1のタイヤ110Aが第1のシーラント塗布スタンド300Aによって回転されるときに、タイヤハンドリングロボット200によって持たれたスキャナ204で第1のタイヤ110Aの内面部分112を事前走査する工程を更に含むことができる。
【0093】
工程(e)中に、第1のタイヤ110Aが第1のシーラント塗布スタンド300Aによって回転されるときに、タイヤハンドリングロボット200によって持たれたスキャナ204で第1のタイヤ110Aのシーラント層102を後走査することと、次に、タイヤハンドリングロボット200で第1のタイヤ110Aを第1のシーラント塗布スタンド300Aから取り外し、第1のタイヤ110Aを排出コンベヤ132上に配置することと、次いで、タイヤハンドリングロボット200で第3のタイヤ110Cを取り上げ、第3のタイヤ110Cを第1のシーラント塗布スタンド300A上に配置し、次いで、第3のタイヤ110Cが第1のシーラント塗布スタンド300Aによって回転されるときに、タイヤハンドリングロボット200によって持たれたスキャナ204で第3のタイヤ110Cの内面部分112を予備走査することとを更に含むことができる。
【0094】
方法は、工程(d)の後であって第2のタイヤ110Bを第2のシーラント塗布スタンド300Bから取り外す前に、第1のタイヤ110Aが第1のシーラント塗布スタンド300Aによって回転されるときに、タイヤハンドリングロボット200によって持たれたスキャナ204を用いて第1のタイヤ110Aのシーラント層102を後走査することと、次に、タイヤハンドリングロボット200によって第1のタイヤ110Aを第1のシーラント塗布スタンド300Aから取り外し、第1のタイヤ110Aを排出コンベヤ132上に配置することと、次いで、タイヤハンドリングロボット200によって第3のタイヤ110Cを取り上げ、第3のタイヤ110Cを第1のシーラント塗布スタンド300A上に配置し、次いで、第3のタイヤ110Cが第1のシーラント塗布スタンド300Aによって回転されるときに、タイヤハンドリングロボット200によって持たれたスキャナ204によって第3のタイヤ110Cの内面部分112を予備走査することとを更に含むことができる。
【0095】
本方法は、工程(c)の前に、第1のタイヤ110Aが第1のシーラント塗布スタンド300Aによって回転されるときに、タイヤハンドリングロボット200によって持たれたスキャナ204で第1のタイヤ110Aの内面部分112を事前走査することと、工程(c)の後に、第1のタイヤ110Aが第1のシーラント塗布スタンド300Aによって回転されるときに、タイヤハンドリングロボット200によって持たれたスキャナ204で第1のタイヤ110Aのシーラント層102を事後走査することとを更に含むことができる。
【0096】
タイヤハンドリングロボット200は、タイヤ把持ツール202を持つ第1のアーム部分230と、スキャナ204を持つ第2のアーム部分232とを含むことができる。第1のタイヤ110Aを第1のシーラント塗布スタンド300A上に配置した後、タイヤハンドリングロボット200は、第1のタイヤ110Aをタイヤ把持ツール202から解放することができ、次いで、タイヤハンドリングロボット200は、スキャナ204を第1のタイヤ110Aのキャビティ114内に挿入することができる。
【0097】
方法は、工程(b)の前に、供給コンベヤ130の第1の計量ステーション150上で第1のタイヤ110Aを計量することと、工程(c)の後に、タイヤハンドリングロボット200で第1のタイヤ110Aを第1のシーラント塗布スタンド300Aから取り出し、第1のタイヤ110Aを排出コンベヤ132上に配置することと、排出コンベヤ132の第2の計量ステーション180上で第1のタイヤ110Aを再び計量し、第1のタイヤ110Aの重量変化を決定することとを更に含むことができる。
【0098】
本方法は、工程(b)の前に、バーコードリーダ144を用いて第1のタイヤ110Aを走査し、タイヤコード120を識別することを更に含むことができる。工程(b)において、タイヤハンドリングロボット200によって持たれたタイヤ把持ツール202は、第1のタイヤ110Aのトレッド部分116を把持することができ、把持力は、タイヤコード120に基づいて調整することができる。
【0099】
方法は、工程(c)の間に、シーラントビード104が第1のタイヤ110Aの内面部分112上に置かれるときにシーラントビード104のゲージを感知することと、シーラントビード104のゲージに対応するデータを、第1のタイヤ110Aの内面部分112上のシーラントビード104の位置に対応するデータと相関させて記録することとを更に含むことができる。
【0100】
本方法は、第1のタイヤ110Aの内面部分112上のシーラントビード104を表す視覚画像530をディスプレイ518上に表示することを更に含むことができる。視覚画像530は、シーラントビード104のゲージが設定基準内にあるかどうかに対応する視覚指標532を含むことができる。
【0101】
タイヤのバランスをとりながら、同時にタイヤの内面にシーラント層を塗布する方法:
タイヤシーラントセルシステム100はまた、タイヤ110のバランスを改善するために使用されてもよく、その結果、タイヤがホイールに取り付けられるときに必要な追加のバランスが少なくなる。図18に概略的に示すように、タイヤ110は、タイヤ上に物理的に配置されたバーコードであってもよい指標120を含む。この指標120は、タイヤ上の周方向位置を識別するための基準点として使用することができる。タイヤ上の任意の他の物理的特徴を基準点として使用することもできる。
【0102】
タイヤ110が供給コンベヤ130上に受け取られる前に、タイヤは、600として図1に概略的に示されるようなダイナミックバランサ上で動的バランスについて試験され得る。典型的なダイナミックバランサの一例は、インディアナ州インディアナポリスのKokusai,Inc.から入手可能なモデルFDB-6142Tダイナミックバランサである。ダイナミックバランサ600は、タイヤを回転させ、タイヤの質量/ジオメトリの不規則性によって引き起こされる力及びモーメントを測定する。典型的なダイナミックバランサでは、タイヤは、試験中に垂直軸を中心に回転するように水平に配向され、バーコード指標120を持つタイヤのサイドウォールは、上向きに配置される。この上向きのサイドウォールは、従来、タイヤの「トップ」サイドと呼ばれ、ホイールに取り付けられた場合、ホイールの対応するフランジはトップフランジと呼ばれる。タイヤの反対側は、「下部」側と呼ばれる。これらは単に便宜上の名称であり、タイヤが実際に特定の方法で配向されることを必要としないことが理解されるであろう。
【0103】
動的バランス中、外向き慣性力(「静的」力としても知られる)及び面外モーメント(「結合」としても知られる)は、ベクトルを介して結合され、上部側と下部側のそれぞれに正味質量ベクトルが生成される。これらの正味質量ベクトルの値は、タイヤをスピンさせるときに力又はモーメントが生成されないようにタイヤのバランスをとるために、どれだけの質量(バランスウェイト)が必要であるか、及びそれがバーコード指標120に対して円周方向にどこに位置しなければならないかを示す。ダイナミックバランサ600は、タイヤがまだホイールに取り付けられていないので、タイヤだけのバランスを測定する。これらの正味質量ベクトルの位置は、バーコード指標120の位置に対する角度としてデータベースに保存され、タイヤの「光点」と呼ばれることが多い。2つの「光点」が決定され、1つはタイヤの「上部」側であり、1つはタイヤの「下部」側である。この情報は、そのバーコード指標120によって識別される各個々のタイヤに関連付けられる。したがって、ダイナミックバランサ600上で各タイヤが試験されると、そのバーコードが読み取られ、バーコード指標120に対する上部及び下部光点の角度位置を含むすべてのバランスデータが、データベース514又はコントローラ500がアクセスできる別のデータベースとすることができるデータベースに書き込まれる。
【0104】
後に各タイヤが300A又は300Bなどの塗布スタンドの1つに到達すると、バーコード指標120が読み取られ、上部及び下部光点の角度位置に関する情報がデータベースから検索される。図示の例では、塗布スタンドは、水平軸を中心に回転する向きにタイヤを保持しており、上記のように、「上部」及び「下部」という用語、並びにデータベースから検索されたデータを指す名称のみが、シーラントビード104の塗布中にタイヤが特定の方法で配向されることを必要としないことが理解されよう。
【0105】
以下は、タイヤの動的バランスを改善するためにシーラントビードを塗布することができる方法の説明である。開示された方法を理解するために、タイヤの動的バランスを改善する方法でシーラントビード104をどのように敷設してシーラント層102を形成することができるかを考慮することが有用である。
【0106】
図18は、タイヤの赤道面EPとしても知られる中心線に対して対称に配置された仮想シーラント層102を概略的に示す。図18のクロスハッチングされていない部分は、タイヤ上の同じ角度位置に位置された開始端104a及び停止端104bを有するシーラントビードを表す。このようなシーラント層は、シーラント層の重量がタイヤの回転軸に対して均一に分布しているので、タイヤの静的バランスに全く影響を及ぼさない。しかし、シーラントビードがらせん状に配置され、ビードの開始部分と終了部分がタイヤの両側で横方向にオフセットされているが、異なる角度位置では、この配置はタイヤに動的不均衡を生じさせる。シーラントビードのこれらの横方向にオフセットされた不平衡部分は、図18に示すように、赤道面EPに平行な想像線L1及びL2の横方向外側に位置する部分である。シーラントビード104を同じ角度位置で開始及び終了させる代わりに、シーラントビードの開始部分及び終了部分が重なる場合、シーラント層の動的不均衡が最小化される。シーラントビード104のそのような重なり部分は、クロスハッチング領域104cに示されている。プラスマイナス180°の重なりがある場合、らせん状に巻かれたシーラントビード104のみからの動的不均衡が最小化される。以下の方法は、シーラントビードを有するタイヤの全体的な動的バランスの改善を最適化するために、既知の上部及び下部光点位置を有するタイヤと組み合わせて、シーラントビードの配置及び重なりの程度を利用する。
【0107】
図から分かるように、タイヤの第1の側又は「上部」側に隣接するシーラントビードの開始角度位置を使用して、タイヤの第1の側の動的バランスを最適化することができ、次いでシーラントビードの終了角度位置を使用して、シーラントビードの端部に隣接するタイヤの第2の側又は「下部」側の動的バランスを最適化することができる。
【0108】
図19は、タイヤの回転軸が水平に配向されるように、300A又は300Bなどの塗布スタンドのうちの1つに取り付けられたタイヤ110の概略図である。図19は、バーコード指標120を持つタイヤの第1の又は上部サイドウォールに面した図である。以下の説明では、すべての角度は、タイヤの上面又はバーコード側を見たときにバーコード指標120から時計回りに測定される。図19では、タイヤ110は、シーラントビード104の塗布中に時計回り方向に回転されると理解され、したがって、シーラントビード104は、実際には、図19の矢印121によって示されるように、その開始端104aからその停止端104bまで反時計回り方向に巻かれることに留意されたい。
【0109】
まず、ここではそれぞれθ及びθと指定された、個々のタイヤごとの上部光点及び下部光点の角度位置がデータベースから取得される。これは、タイヤ上の物理的指標120からタイヤの回転軸の周りで測定された第1の角度θとしてタイヤの第1の側の第1のバランス光点の周方向位置を識別し、物理的指標120からタイヤの回転軸の周りで測定された第2の角度θとしてタイヤの第2の側の第2のバランス光点の周方向位置を識別すると説明することができる。
【0110】
次いで、タイヤの第1の側に隣接するシーラントビード104の目標開始位置が、物理的指標120からタイヤの回転軸の周りで測定された目標開始角度θとして決定される。目標開始角度θは、第1角度θの関数として決定される。より具体的には、目標開始角度θは、次の関数によって決定される:
θ=θ+90°である。
開始角度のこの配向は、タイヤの第1の側又は上部側に隣接するシーラント巻線の最も重い部分をタイヤ上部光点と位置合わせする。
【0111】
また、タイヤの第2の側に隣接するシーラントビードの目標終了位置は、物理的指標120からタイヤの回転軸の周りで測定された目標終了角度θとして決定され、目標終了角度θは、第2の角度θの関数として決定される。より詳細には、ターゲット終了角度θは、次の関数によって決定される:
θ=θ-90°。
終了角度のこの配向は、タイヤの第2の側又は下部側に隣接するシーラント巻線の最も重い部分をタイヤ下部光点と位置合わせする。
【0112】
シーラントビードは、目標開始角度θに基づいて選択された実際の開始位置で始まり、目標終了角度θに基づいて選択された実際の終了位置で終わるらせん状パターンでタイヤの内面に塗布される。
【0113】
目標開始角度及び目標終了角度は、理論的に最適な開始角度及び終了角度であることが理解されるであろう。しかし、300A又は300Bなどの塗布スタンドの機械の制御における不正確さのために、実際の開始位置及び終了位置に不可避の誤差が存在する。本明細書では、この誤差を「スポッティング誤差」と呼ぶ。
【0114】
上述したように、塗布スタンド300A又は300Bは、バーコード指標120をトリガするフォトアイに基づいて、シーラントビード104の塗布を開始及び停止する。開始点及び終了点のスポッティングの精度に関する最大の問題は、シーラントの指令された塗布と実際の塗布との間に遅延を引き起こすシーラントポンプシステムの待ち時間である。
【0115】
任意の所与のタイヤについて、シーラント開始及び停止位置の必要とされる精度は、シーラント層102の配置によって実現され得る衝撃に対するタイヤの不均衡の値に依存する。一般に、タイヤの不均衡が大きいほど、シーラント層102の配置後のタイヤの動的バランスを改善するために、目標開始位置及び目標停止位置に対する実際のシーラント開始位置及び実際のシーラント停止位置の精度が低くなる。目標開始位置又は目標停止位置からそれぞれプラスマイナス45度である実際の開始位置又は実際の停止位置は、少なくともタイヤの動的不平衡を増加させない。45度未満のスポッティング誤差は、タイヤの動的バランスを改善する。したがって、実際の開始角度に対する最大許容スポッティング誤差範囲は、目標開始角度からプラスマイナス45度以内である。同様に、実際の終了角度に対する最大許容スポッティング誤差範囲は、目標終了角度からプラスマイナス45度以内である。
【0116】
好ましくは、許容可能なスポッティング誤差はプラスマイナス30度以内である。より好ましくは、許容可能なスポッティング誤差は、プラスマイナス15度以内である。
【0117】
上記方法のいずれかによって製造されたタイヤ110は、トレッド部分116と、トレッド部分から半径方向内向きに延在する第1及び第2のサイドウォール部分118a及び118bとを含むことができる。タイヤは、タイヤ上の物理的指標120からタイヤの回転軸の周りの第1の角度θとして測定されるシーラント塗布前のタイヤの第1の側の第1のバランス光点位置と、タイヤ上の物理的指標120からタイヤの回転軸の周りの第2の角度θとして測定されるシーラント塗布前のタイヤの第2の側の第2のバランス光点位置とを有することができる。タイヤの内面112は、第1のサイドウォール部分118aと第2のサイドウォール部分118bとの間にタイヤの内部キャビティ114を画定することができる。らせん状に巻かれたシーラントビード104は、内面112上に置かれてもよく、シーラントビード104は、第1のサイドウォールに最も近い開始位置と、第2のサイドウォールに最も近い終了位置とを有する。開始位置は、シーラントビードの巻き付け方向に対して第1のバランス光点位置θから45度~135度の範囲内にあってもよく、終了位置は、シーラントビードの巻き付け方向に対して第2のバランス光スポット位置θから45度~135度の範囲内にあってもよい。
【0118】
より好ましくは、開始位置は、シーラントビードの巻き方向に対して第1のバランス光点位置θより前方の60度から120度の範囲内にあってもよく、終了位置は、シーラントビードの巻き付け方向に対して第2のバランス光点位置θの後方60度から120度の範囲内にあってもよい。
【0119】
更により好ましくは、開始位置は、シーラントビードの巻き方向に対して第1のバランス光点位置θより前方の75度から105度の範囲内にあってもよく、終了位置は、シーラントビードの巻き付け方向に対して第2バランス光点位置θの後方75度から105度の範囲内にあってもよい。
【0120】
したがって、本発明の装置及び方法が、言及された目的及び利点並びに本明細書固有のものを容易に実現することが理解される。本発明の特定の好ましい実施形態が、本開示の目的のために示され説明されてきたが、部品及び工程の配置及び構成において多くの変更が当業者によってなされ得、その変更は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲及び趣旨内に包まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図16
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図19
【手続補正書】
【提出日】2024-02-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーラント層をタイヤの内面に塗布する方法であって、
(a)前記タイヤの物理的指標から前記タイヤの回転軸の周りで測定された第1の角度θとして、前記タイヤの第1の側上の第1のバランス光点の周方向の位置を特定することと、
(b)前記タイヤの第2の側上の第2のバランス光点の周方向の位置を、前記物理的指標から前記タイヤの前記回転軸の周りで測定された第2の角度θとして決定することと、
(c)前記タイヤの前記第1の側に隣接するシーラントビードの目標開始位置を、前記物理的指標から前記タイヤの前記回転軸の周りで測定された目標開始角度θとして決定することであって、前記目標開始角度θが、前記第1の角度θの関数として決定される、決定することと、
(d)前記タイヤの前記第2の側に隣接する前記シーラントビードの目標終了位置を、前記物理的指標から前記タイヤの前記回転軸の周りで測定された目標終了角度θとして決定することであって、前記目標終了角度θが、前記第2の角度θの関数として決定される、決定することと、
(e)前記目標開始角度θに基づいて選択された実際の開始位置で始まり、前記目標終了角度θに基づいて選択された実際の終了位置で終わるらせん状パターンで前記タイヤの前記内面に前記シーラントビードを塗布することと
を含む方法。
【請求項2】
工程(e)における前記シーラントビードの塗布が、前記シーラントビードの塗布前の前記タイヤの静的及び動的バランスと比較して、前記タイヤの前記静的及び前記動的バランスの両方を改善する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(c)において、前記目標開始角度θが、以下の関数:
θ=θ+90°によって決定され、
工程(d)において、前記目標終了角度θが、以下の関数:
θ=θ-90°によって決定される、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記実際の開始角度及び前記実際の終了角度がそれぞれ、前記目標開始角度及び前記目標終了角度のそれぞれの許容可能なスポッティング誤差範囲内にある、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記許容可能なスポッティング誤差範囲が、プラスマイナス15度である、
請求項4に記載の方法。

【国際調査報告】