(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】圧縮シャフトライン上の多段変速ドライブユニット
(51)【国際特許分類】
F04B 35/00 20060101AFI20240822BHJP
F04C 23/02 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
F04B35/00 Z
F04C23/02 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508651
(86)(22)【出願日】2022-08-16
(85)【翻訳文提出日】2024-02-15
(86)【国際出願番号】 EP2022025379
(87)【国際公開番号】W WO2023020716
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】102021000022031
(32)【優先日】2021-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517029381
【氏名又は名称】ヌオーヴォ・ピニォーネ・テクノロジー・ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】Nuovo Pignone Tecnologie S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】スポルヴェリ,ニコロー
(72)【発明者】
【氏名】スグロウ,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】フラットーニ,ミケーレ
(72)【発明者】
【氏名】ナルディ,ヴァレンティーナ
【テーマコード(参考)】
3H076
3H129
【Fターム(参考)】
3H076AA16
3H076BB01
3H076CC07
3H076CC36
3H129AA01
3H129AA15
3H129AA18
3H129BB21
3H129CC07
3H129CC16
(57)【要約】
【解決手段】 ドライビングシャフトを備えた、遠心圧縮機、ポンプ等の負荷を駆動するためのドライブユニットが、駆動される負荷に接続される。ドライブユニットは、ドライビングシャフトに接続された複数の電気モータと、各電気モータに給電するために使用される電力グリッド(G)に電気的に接続された複数の可変周波数ドライブと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠心圧縮機、ポンプ等の負荷(L)を駆動するためのドライブユニット(1)であって、
駆動される前記負荷(L)に結合可能なドライビングシャフト(2)と、
前記負荷(L)を駆動するために、各々が、前記ドライビングシャフト(2)に互いに直列に機械的に結合された複数の電気モータ(31、32)と、
各々が、接続された前記電気モータ(31、32)のトルク及び/又は角速度を調整することができる関連する電気モータ(31、32)に電気的に結合された複数の可変周波数ドライブ(41、42)であって、それらの動作によって、平均トルク値以外のトルク高調波、及び基本電流成分以外の電力グリッド(G)上の電流高調波成分の生成を引き起こす、複数の可変周波数ドライブ(41、42)と、
各々が可変周波数ドライブ(41、42)及び前記電力グリッド(G)に結合された複数の絶縁変圧器(61、62)と、を備え、
前記ドライブユニット(1)の前記電気モータ(31、32)及び前記絶縁変圧器(61、62)は、前記平均トルク値以外のトルク高調波及び/又は前記基本電流成分以外の電流高調波成分を低減するように構成されている、ドライブユニット(1)。
【請求項2】
前記負荷(L)を駆動するために前記ドライビングシャフト(2)に機械的に結合された第1の電気モータ(31)と、
前記第1の電気モータ(31)に結合されており、前記ドライビングシャフト(2)上の前記第1の電気モータ(31)のトルク及び/又は角速度を調整することができる第1の可変周波数ドライブ(41)と、
前記第1の可変周波数ドライブ(41)及び前記電力グリッド(G)に結合された前記複数の絶縁変圧器(61、62)のうちの第1の絶縁変圧器(61)と、
前記負荷(L)を駆動するために前記ドライビングシャフト(2)に機械的に結合された、前記複数の電気モータ(31、32)のうちの第2の電気モータ(42)と、
前記第2の電気モータ(32)に結合され、前記ドライビングシャフト(2)上の前記第2の電気モータ(32)のトルク及び/又は角速度を調整することができる第2の可変周波数ドライブ(42)と、
前記第2の可変周波数ドライブ(42)及び前記電力グリッド(G)に結合された第2の絶縁変圧器(62)と、を備える、請求項1に記載のドライブユニット(1)。
【請求項3】
前記第2のモータ(32)の1つ又は複数のトルク高調波は、前記ドライビングシャフト(2)に作用するトルク高調波全体を低減するために、前記第1のモータ(31)のそれぞれのトルク高調波に対して位相シフトされる、請求項2に記載のドライブユニット(1)。
【請求項4】
各電気モータ(31、32)はステータ(311、321)を備え、
各ステータ(311、321)は、複数の巻線(311a、311b、311c;321a、321b、321c)を有し、
各電気モータ(31、32)の前記ステータ巻線(321a、321b、321c)は、前記ドライビングシャフト(2)に作用する前記トルク高調波全体を低減するために、基準電気モータ(31)の前記ステータ巻線(311a、311b、311c)に対して所定の変位角(θ)だけ半径方向に物理的にシフトされる、請求項1~3のいずれか一項に記載のドライブユニット(1)。
【請求項5】
請求項2に従属する場合、
前記第1の電気モータ(31)は、ステータ(311)を備え、
前記第1の電気モータ(31)の前記ステータ(311)は、複数の巻線(311a、311b、311c)を有し、
前記第2の電気モータ(32)は、ステータ(321)を備え、
前記ステータ(321)は、複数の巻線(321a、321b、321c)を有し、
前記第2の電気モータ(32)の前記ステータ(321)の前記巻線(321a、321b、321c)は、前記ドライビングシャフト(2)に作用する前記トルク高調波全体を低減するために、前記第1の電気モータ(32)の前記ステータ(311)の前記巻線(311a、311b、311c)に対して所定の変位角(θ)だけシフトされる、請求項4に記載のドライブユニット(1)。
【請求項6】
前記第1の電気モータ(31)は三相式であり、前記ステータ(311)は3つの巻線(311a、311b、311c)を有し、
前記第2の電気モータ(32)は三相式であり、前記ステータ(321)は3つの巻線(321a、321b、321c)を有する、請求項5に記載のドライビングユニット(1)。
【請求項7】
基準電気モータ(31)の前記ステータ(311)に対する各ステータ(311、321)の前記所定のシフトされる変位角(θ)は、前記ドライビングシャフト(2)上の起こり得る機械的励振を低減するために、1つ又は複数のトルク高調波を抑制又は低減するように設定されている、請求項4~6のいずれか一項に記載のドライビングユニット(1)。
【請求項8】
各電気モータ(31、32)はロータ(312、322)を備え、
各電気モータ(31、32)の各ロータ(312、322)は、前記ドライビングシャフト(2)に機械的に接続されており、他の電気モータ(32)のロータ(322)に対して所定の物理的角変位(θ)を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のドライブユニット(1)。
【請求項9】
請求項2に従属する場合、
前記第1の電気モータ(31)は、前記ドライビングシャフト(2)に機械的に接続されたロータ(312)を備え、
前記第2の電気モータ(32)は、前記ドライビングシャフト(2)に機械的に接続されたロータ(322)を備え、
前記第2の電気モータ(32)の前記ロータ(322)は、前記第1の電気モータ(32)の前記ロータ(312)に対して所定の物理的角変位(θ)を有する、請求項8に記載のドライブユニット(1)。
【請求項10】
前記所定の変位角(θ)は、1つ又は複数のトルク高調波、前記ドライビングシャフト(2)上の2つの低減的な起こり得る機械的励振を抑制又は低減するように設定されている、請求項9に記載のドライブユニット(1)。
【請求項11】
各絶縁変圧器(61、62)は、
前記電力グリッド(G)の共通点に接続された一次巻線(611、621)と、
前記関連する可変周波数ドライブ(41、42)に接続された二次巻線(612、622)と、を備え、
前記絶縁変圧器(61、62)の前記一次巻線(611、621)は、同じ共通結合点で前記電力グリッド(G)に接続可能であり、
前記複数の絶縁変圧器の前記一次巻線(611、621)又は前記二次巻線(612、622)は、前記電力グリッド(G)に注入される前記電流高調波成分を低減するために、異なるベクトル群を用いて配置されている、請求項1~10のいずれか一項に記載のドライビングユニット(1)。
【請求項12】
請求項2に従属する場合、
前記第1の絶縁変圧器(61)は、前記電力グリッド(G)の共通点に接続された一次巻線(611)と、前記第1の可変周波数ドライブ(41)に接続された二次巻線(612)と、を有し、
前記第1の絶縁変圧器(61)の前記一次巻線(611)及び前記二次巻線(612)は、「デルタ-デルタ」構成で接続されており、
前記第2の絶縁変圧器(62)は、前記電力グリッド(G)の共通点に接続された一次巻線(621)と、前記第2の可変周波数ドライブ(42)に接続された二次巻線(622)と、を有し、
前記第2の絶縁変圧器(62)の前記一次巻線(621)及び前記二次巻線(622)は、「デルタ-ワイ」構成で接続されている、請求項11に記載のドライビングユニット(1)。
【請求項13】
前記電気モータ(31、32)の各々は、等しいトルクを生成する、請求項1~12のいずれか一項に記載のドライビングユニット(1)。
【請求項14】
前記可変周波数ドライブ(41、42)のうちの少なくとも1つに接続された制御論理ユニット(5)を備え、
前記制御論理ユニット(5)は、前記複数の電気モータ(31、32)によって生成されて前記負荷(L)に伝達される電力を制御するように構成されており、
前記制御論理ユニット(5)は、前記角速度基準値(ω)を前記第1の可変周波数ドライブ(41)に提供するように構成されており、
前記第1の可変周波数ドライブ(41)は、前記ドライビングシャフト(2)の必要とされる前記角速度を維持するために、前記トルク基準値(T)を前記複数の可変周波数ドライブ(42)に提供することが可能である、請求項1~13のいずれか一項に記載のドライビングユニット(1)。
【請求項15】
前記制御論理ユニット(5)は、前記複数の可変周波数ドライブ(41、42)に接続されている、請求項14に記載のドライビングユニット(1)。
【請求項16】
前記制御論理ユニット(5)は、前記複数の電気モータ(31、32)によって生成されて前記負荷(L)に伝達される電力を制御するように構成されており、
前記制御論理ユニット(5)は、トルク基準値(T)を前記第1の可変周波数ドライブ(41)に提供するように構成されており、前記制御論理ユニット(5)は、前記ドライビングシャフト(2)の前記必要とされる角速度を維持するために、トルク基準値(T)を前記複数の可変周波数ドライブ(42)に提供するように構成されている、請求項14又は15に記載のドライビングユニット(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、圧縮機、ポンプ等の負荷を駆動するために、圧縮ドライビングシャフト又はシャフトライン上で動作する多段変速ドライブユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
石油及びガスの分野などのいくつかの技術分野では、圧縮機又はポンプなどの負荷を駆動することが通常必要とされる。また、今日では、いわゆる「全電気」圧縮シャフトラインソリューションの適用が着実に増加しており、その理由は、ガス又はディーゼルなどの化学燃料の燃焼に由来する排気ガスが環境中に放出されないからである。
【0003】
しかしながら、上述した用途では、通常、電気モータは、かなりの量の電力を発生しなければならない。したがって、電気モータは、可変周波数ドライブ(Variable Frequency Drive、VFD)(又は可変速ドライブシステム(Variable Speed Drive System)、VSDS)を装備して、電気モータの電力供給を制御し、したがってそれによって生成されるトルクを制御する。より具体的には、可変周波数ドライブ(VFD)は、上述したようなポンプ、圧縮機、ファンなどの被駆動機器の速度及びトルクを制御することができる電気モータに給電するためのパワーエレクトロニクスデバイスである。
【0004】
例えば、石油及びガス分野、特に液化天然ガス(LNG)用途を参照すると、圧縮シャフトラインは、50MW~100MWの範囲の高定格出力を有する可変周波数ドライブを必要とし、一般に、VFDのみによって駆動されるLNGシステムは、「e-LNG」とも呼ばれる。このような電力範囲では、参照されるVFDは非常に少ない。したがって、必要とされる高出力で負荷を駆動するために、より小さい出力のそれぞれの可変周波数ドライブによって給電される、2つの、又はそれよりも多い電気モータが、シャフトラインに動作可能に接続される。
【0005】
しかしながら、関連する電気モータに必要な電力を供給している間、VFDは、妨害交流トルク成分もまた生成し、これは、起こり得る機械的故障を伴う過剰なシャフト振動を引き起こし得るシャフトラインの固有周波数を励起する場合がある。
【0006】
また、各電気モータのVFDは電力グリッドに接続されており、この場合であっても、VFDによって電力グリッドに注入される妨害電流高調波は、ネットワーク上で歪み及び加熱の問題を引き起こす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
顕著な負荷を駆動することができ、同時に、シャフトラインへのねじり振動の発生を防止することができるだけでなく、グリッドへの電気高調波の発生を回避することができる、同じシャフトラインに作用する2つ以上の電気モータを備えた改良された多段変速ドライブユニットは、当技術分野で歓迎されるであろう。
【0008】
一態様では、本明細書に開示される主題は、遠心圧縮機、ポンプ等の負荷を駆動するためのドライブユニットを対象とする。ドライブユニットは、負荷を駆動するために負荷に結合されたドライビングシャフトを備える。また、ドライブユニットは複数の電気モータを備えており、各電気モータはドライビングシャフトに互いに直列に機械的に結合されている。また、複数の可変周波数ドライブが予見される。各可変周波数ドライブは、関連するトルク及び角速度を調整するために、電気モータに接続又は結合される。可変周波数ドライブは、通常、動作中に、それらの動作によって、平均トルク値以外のトルク高調波、及び基本電流成分以外の電力グリッド上の電流高調波成分の発生を引き起こし、これらは、システム全体の誤動作を引き起こす。ドライブユニットはまた、複数の絶縁変圧器を備え、各絶縁変圧器は、可変周波数ドライブ及び電力グリッドに接続又は結合されている。電気モータ及び絶縁変圧器は、平均トルク値以外のトルク高調波及び基本電流成分以外の電流高調波成分を低減するように構成される。このようなトルク高調波は、振動トルク高調波である。
【0009】
別の態様において、本明細書に開示されるのは、各電気モータがステータを備え、ステータが複数の巻線を有することである。電気モータの各ステータの巻線は、ドライビングシャフトに作用する交流トルク成分全体を減少させるように、互いに所定の角度だけシフトされる。
【0010】
別の態様において、本明細書に開示されるのは、各電気モータが三相式であり、ステータが3つの巻線を有することである。
【0011】
別の態様において、本明細書に開示されるのは、各電気モータが、ドライビングシャフトに機械的に結合されており、他の電気モータのロータに対して所定の物理的角変位を有するロータを備えていることである。
【0012】
別の態様では、本明細書に開示される主題は、各絶縁変圧器が、電力グリッドの共通点に接続された一次巻線と、関連する可変周波数ドライブに接続された二次巻線と、を備えることに関する。各絶縁変圧器の一次巻線は、同じ共通結合点で電力グリッドに接続される。絶縁変圧器の一次巻線又は二次巻線は、電力グリッドに注入される電流高調波を低減するために、異なるベクトル群で配置されている。
【0013】
別の態様において、本明細書に開示されるのは、ドライビングユニットが、可変周波数ドライブのうちの少なくとも1つに接続された制御論理ユニットを備えることである。制御論理ユニットは、電気モータによって生成されて負荷に伝達される電力を制御するように構成されている。制御論理ユニットは、角速度基準値を第1の可変周波数ドライブに提供し、第1の可変周波数ドライブは、ドライビングシャフトの必要とされる角速度を維持するために、トルク基準値を複数の可変周波数ドライブに提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明の開示される実施形態、及びそれに付随する利点の多くについて、添付図面に関連して考慮される場合、以下の発明を実施するための形態を参照することによってそれらがより良好に理解されるため、完全な理解が容易に得られるであろう。
【
図1】
図1は、第1の実施形態による遠心圧縮機を駆動するためのドライブユニットの概略図である。
【
図2】
図2は、第2の実施形態によるドライブユニットの概略図である。
【
図3】
図3は、第3の実施形態によるドライブシステムの概略図である。
【
図4】
図4は、
図4のドライブシステムの動作の概略図である。
【
図5】
図5は、絶縁変圧器の巻線のデルタ-デルタ接続を示す図である。
【
図6】
図6は、絶縁変圧器の巻線のデルタ-ワイ接続を示す図である。
【
図7】
図7は、第4の実施形態によるドライブユニットの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
石油及びガスの分野では、一般的に、高駆動力を必要とする遠心圧縮機又はポンプなどの負荷を駆動する必要がある。今日、電気モータは、環境に汚染が拡散しないので、負荷を駆動するための好ましいデバイスである。上述の負荷を駆動するのに必要な電力に達するために、互いに直列に結合されたいくつかの電気モータが必要とされ、それらが生成する電力が合計される。
【0016】
電気モータは可変周波数ドライブによって給電されるが、可変周波数ドライブは、妨害交流トルク成分をシャフトラインに導入し、かつ/又は妨害電流高調波をグリッドに注入する。本発明によれば、電気モータをそれらの間に配置すること、及び/又は、妨害交流成分が互いに相殺するように電圧絶縁変圧器を配置してそのような妨害交流成分を低減することが可能である。これは、限定はしないが、ドライブシャフト上の望ましくないねじり振動を低減すること、最小化すること、及び/又は更に排除すること、したがって、ドライブユニットの動作に対する機械的問題を低減又は回避することを含む、いくつかの利点を有する。これはまた、ドライブシャフト及び/又はカップリングなどの他の構成要素の動作寿命を延ばすという利点を有することができる。
【0017】
本明細書で使用される場合、「電圧絶縁変圧器」は、安全上の理由により電源から受電デバイスを絶縁しながら、交流(AC)電源から何らかの機器又はデバイスに電力を伝達することができる電気機械である。絶縁変圧器は、AC電圧の振幅を変化させ、一方の回路から他方の回路への信号のDC成分の伝送を阻止し、AC成分を通過させる。
【0018】
絶縁変圧器は、変圧器の一次巻線及び二次巻線がどのように電気的に接続されるかに応じて、いくつかの異なる方式で電気的に接続することができる。以下でより詳細に説明するように、利用可能な接続の中には、いわゆる「デルタ-ワイ接続」及び「デルタ-デルタ接続」があり、これらは、絶縁変圧器の一次巻線と二次巻線との間の異なる電圧比及び位相シフトを可能にする。
【0019】
ここで図面を参照すると、
図1は、負荷Lを駆動するためのドライブユニット1の第1の実施形態を示す。ドライブユニット1は、駆動される負荷Lに機械的に結合されたドライビングシャフト2と、負荷Lを駆動するために各々がドライビングシャフト2に機械的に結合された2つの電気モータ31、32を備える電力ユニット3と、それぞれの電気モータ31及び32に電気的に接続されて、電気モータ31及び32によって生成されるトルクを調整するために電気モータ31及び32の各々に給電する2つの可変周波数ドライブ(VFD)41、42と、を備える。ドライブユニット1はまた、
図1に示される実施形態において第1のVFD41に動作可能に接続される制御論理ユニット5を備える。
【0020】
本開示によれば、負荷Lは遠心圧縮機である。遠心圧縮機は、インペラを通して流体に運動エネルギー/速度を加えることによって圧力上昇を達成する回転機械である。しかしながら、他の実施形態では、負荷Lのタイプ及び数が異なっていてもよい。より具体的には、油田及びガス田に留まるために、負荷Lは、例えば、パイプラインを通して油を圧送するためのポンプであり得る。
【0021】
本開示によれば、
図1を参照して理解され得るように、電気モータ31及び32は直列に接続される。また、上述のように、各電気モータ31及び32はドライビングシャフト2上で動作する。特に、各電気モータ31及び32のロータは、ドライビングシャフト2に機械的に結合される。いくつかの実施形態では、電気モータ31及び32のタイプ及び数が異なっていてもよい。特に、いくつかの実施形態では、直列接続された同じドライビングシャフト2に作用する、3つ又は4つの電気モータなど、2つより多い電気モータが含められてもよい。
【0022】
本実施形態では、各電気モータ31及び32は、この用途で広く普及している三相式である。しかしながら、異なるタイプの電気モータが考慮され得る。
【0023】
VFD41及び42の各々は、電気モータ31及び32からドライビングシャフト2に加えられるトルクΤを調整するために、それぞれの電気モータ31及び32に給電する。より具体的には、負荷Lによって吸収される電力及びドライビングシャフト2の角速度ωが与えられると、負荷Lによって一定のトルクが要求されるので、電気モータ31及び32の各々は、固有のトルクを発生させなければならない。VFD41及び42は次いで、要求された回転速度ωに従って負荷Lを駆動するために、適切なトルクを発生させるよう、関連する電気モータ31及び32の電力供給を制御する。
【0024】
図1に示されるドライブユニット1の第1の実施形態では、制御論理ユニット5は、第1の電気モータ31に接続された第1のVFD41を制御する。特に、制御論理ユニット5は、第1のVFD41を介して、速度調整モードで第1の電気モータ31を制御することができる。第2の電気モータ32は、第2のVFD42を介してトルク調整モードで制御される。したがって、制御論理ユニット5は、以下でより詳細に説明されるように、第1のVFD41を動作させて第1の電気モータ31の、したがってドライビングシャフト2の角速度ωを設定するように構成され、第2の可変周波数ドライブVFD42は、第2の電気モータ32のトルクΤを調整することができる。
【0025】
制御論理ユニット5は、プログラム可能なマイクロコントローラ、PLC等として具現化され得る。制御論理ユニット5は、コンピュータ可読命令を含むように、任意の適切なプログラミング技法及び/又はC++等のプログラミング言語を使用して手動でプログラムされることができ、コンピュータ可読命令は、コンピュータプロセッサによって実行されると、コンピュータプロセッサに、例えば各VFD41及び42、並びに各電気モータ31及び32の動作状態、すなわち、吸収された電力、生成されたトルク、ドライブシャフト2の角速度を読み取らせる。
【0026】
次に、制御ユニット5は、一実施形態では、VFD41を制御するための第1の出力信号と、VFD42を制御するための第2の出力信号とを生成し、各電気モータ31又は32の角速度を調整して各電気モータが生成するトルク基準値Τを平衡させるようにプログラムされる。このようにして、以下でより良く説明されるように、トルク高調波(平均トルク値を除く)と電流高調波成分(基本電流成分を除く)との相殺が、以下でより良く説明されるように、電気モータ31、32の結合及び絶縁変圧器の配置を通して可能になる。
【0027】
通常、制御論理ユニット5は、制御する電気モータのVFDに電気的に接続されたマザーボードで具現化される。制御論理ユニット5は、場合によっては、それが接続されるVFD機器に対して遠くに配置されてもよい。
【0028】
制御論理ユニット5は、上述のように、第1のVFD41に動作可能に接続される。特に、制御論理ユニット5は、角速度基準値又は角速度設定値ωを決定することができ、また角速度基準値ωを第1のVFD41へ送信することができる。2つのVFD41及び42は、制御論理ユニット5によって必要とされる角速度基準値ωを維持するために、トルク及び速度データを交換し、負荷Lトルクの要求に従って、電気モータ31と電気モータ32の両方によって生成されるトルクΤを適切に分配する。
【0029】
また、
図1に示されるように、2つのVFD41及び42は、互いに接続されて連動する。具体的には、2つのVFD41及び42は、上述のように、モータ電源の周波数及び電圧を調整することによってその速度及びトルクを制御するために、それに接続されたそれぞれの電気モータの電源を制御することができる電子デバイスである。
【0030】
また、一般的にドライビングシャフト2の角速度ωは、圧縮機などの負荷Lによって決定され、ここで、動作レジームに応じて、異なる角速度ωが必要とされる。したがって、負荷Lによって必要とされる電力に基づいて、必要とされる総トルクも設定され、制御論理ユニット5は、第1の電気モータ31の動作、したがって第2の電気モータ32の動作を間接的に調整して、負荷Lを駆動するために生成されるトルクを可能な限り比例的に分配する。第1の電気モータ31によって生成されるトルクと第2の電気モータ32によって生成されるトルクが同じである場合、交流トルク成分は同じ振幅を有し、また適切にシフトされる場合、以下でより詳細に説明されるように、交流トルク成分は互いに相殺され得る。
【0031】
引き続き
図1を参照すると、ドライビングシャフト2に機械的に結合された各電気モータ31及び32は、それぞれ関連するステータ巻線311及び321を有する。
【0032】
各電気モータ31及び32が関連するVFD41及び42によって給電されるとき、妨害トルク高調波、すなわち平均トルク値とは異なる高調波が導入される可能性があり、それらはドライブシャフト2にねじり振動を発生させる可能性があり、ドライブユニット1の動作に機械的問題を引き起こす可能性がある。上述したように、第1の電気モータ31によって生成されるトルクと第2の電気モータによって生成されるトルクが同じである場合、各電気モータ31及び32によって生成される交流トルク成分の振幅は同じ振幅を有する。
【0033】
上述のように、第1の電気モータ31及び第2の電気モータ32のステータ311及び321は、上述した角度θだけ位相シフトされるように設計された巻線を有する。特に、第1の電気モータ31のステータ巻線311a、311b、及び311cは、第2の電気モータ32の関連するステータ巻線321a、321b、及び321cに対して、上述した所定の変位角度θだけ物理的にシフトされている。より具体的には、第2の電気モータ32のステータ巻線321a、321b、及び321cは、第1の電気モータ31のステータ巻線311a、311b、及び311cに対して、半径方向に(すなわち、電気モータ2が結合されるドライビングシャフト2の長さに垂直に)上述の変位角度θだけ物理的にシフトされる。
【0034】
第1の電気モータ31は三相式であるため、第2電気モータ32の3相巻線321a、321b、及び321cに対して所定の物理的角度変位θを有するように配置された三相巻線311a、311b、及び311cを備える。本開示によれば、角度変位θは6相巻線電気モータの場合のように30°である。しかしながら、いくつかの実施形態では、異なる物理的角度変位θが、特定の用途及びモータ構築技術に基づいて使用され得る。
【0035】
ドライブユニット1が3つ以上のモータを備える場合、ドライビングシャフト2に直列に結合された後続の電気モータの各々の間に、交流トルク成分を低減するために適切に計算された角度変位が存在することになる。
【0036】
依然として
図1を参照すると、本開示によれば、ドライビングシャフト2に機械的に結合された各電気モータ31及び32は、2つの関連する電気モータ31及び32のステータの2組の三相巻線311a、311b及び311cと321a、321b及び321cとの間で、所定の角変位θを有する三相巻線モータであり、平均トルク値とは異なるいくつかのトルク高調波が、互いに結合された2つのモータロータに作用する等価な合成エアギャップトルクから低減される。換言すれば、また、より具体的には、各電気モータ31及び32はトルク高調波成分を有する。しかしながら、各モータ31及び32のステータ巻線は上述の変位角θだけシフトされており、そのような電気モータ31及び32は同じドライビングシャフト2に機械的に結合されているので、関連するトルクの合計である、同じ電気モータ31及び32によって生成される合成トルクは、望ましくないトルク高調波を低減する。
【0037】
上述のように、トルク高調波は、VFD41及び42の使用によって生成される。特に、このような高調波は、例えば、LNG用途のためのトレインのねじり共振モードの励振であり得る振動トルクとして、平均トルクΤに重畳され、シャフトライン、すなわちドライビングシャフト2の振動の問題につながる。
【0038】
2つのVFD41及び42によって駆動される電気モータ31及び32が同じドライビングシャフト2に結合されることを考慮すると、同じ2つのVFD41及び42は、好ましくは同じ電力レベル(すなわち、同じトルク分配であり、これは、上述のように、電気モータ31及び32によって供給される電力をより良く分配するための最適化された解決策である)で動作し、
図1に示される電気モータステータ311及び321の構成では、望ましくないトルク高調波(すなわち、上述のように、平均トルク値とは異なる高調波)の低減が最大化される。実際には、各VFD41及び42のそのようなトルク高調波は、各電気モータによって生成される平均トルクが同じである場合、回転速度ωが与えられると、同じトルク高調波の振幅も同じ値を有する。
【0039】
具体的には、いくつかの実施形態では、2つの関連する電気モータ31及び32のステータ311及び321の2組の三相巻線311a、311b及び311c並びに321a、321b及び321cの配置は、交流トルク成分を相殺することを可能にする。当該交流トルク成分は、上述のように、VFD41及び42によって生成される。より具体的には、第2の電気モータ32のステータ321の巻線の位相シフトは、望ましくない高調波のフェーザが、第1の電気モータ32のVFD41によって生成される同じ望ましくない高調波のフェーザに対して180°位相シフトされるように設計され、その結果、それらは互いに相殺することができる。
【0040】
加えて、制御論理ユニット5の動作を通じて、ドライブユニット1の動作の最適化が達成される。なぜなら、2つのモータを有することにより、それらは、交互のトルクの相殺が最大化されるように同じトルクを生成することができるからである。同じことが、以下でより詳細に説明するように、絶縁変圧器の巻線の位相シフトを介して電力グリッドに注入される電流高調波成分の相殺にも当てはまり、電流高調波成分は、グリッドG及び電気ネットワークに応じて、50Hz又は60Hzに設定された基本電流成分以外のものである。
【0041】
図2を参照すると、ドライブユニット1の第2の実施形態が示されている。特に、制御論理ユニット5は、ここでは、第1のVFD41と第2のVFD42の両方に接続されており、これらのVFDの各々はまた、この場合、第1の電気モータ31及び第2の電気モータ32にそれぞれ接続されている。
【0042】
また、この実施形態では、第1の電気モータ31及び第2の電気モータ32は、負荷Lに機械的に結合されたドライビングシャフト2に機械的に結合される。
【0043】
この第2実施形態では、トルクΤ又は電力及び角速度ωの制御は、上述のように、VFD41とVFD42の両方に結合された制御論理ユニット5によって直接実行される。
【0044】
この実施形態では、VFD41とVFD42は互いに直接通信していない。特に、制御論理ユニット5は、ドライビングシャフト2上の角速度を維持するように角速度基準値ω及びトルク基準値又はトルク設定点Τを決定して、生成されるトルクΤを電気モータ31と電気モータ32との間で分配するように構成される。
【0045】
更に、制御論理ユニット5は、上述したように、2つのVFD41及び42を速度及び/又はトルクにおいてそれぞれ制御するために、角速度基準値ωを第1のVFD41に送信し、トルク基準値Τを第2のVFD42に送信するように構成及びプログラムされている。このようにして、ドライビングシャフト2上での望ましい角速度ωが設定されると、制御論理ユニット5は、第1のVFD41及び第2のVFD42によって2つの電気モータ31及び32の制御を可能にして、負荷Lに送られる必要な電力を生成するのに必要な全トルクΤを分配する。
【0046】
図2の第2実施形態のドライブユニット1の動作は、第1の実施形態の動作と同じである。しかしながら、この場合、制御論理ユニット5は、第2のVFD42に直接接続され、したがって、第2の電気モータ32の動作のより具体的な制御が、制御論理ユニット5によって直接実行され得る。
【0047】
図2に示される第2の実施形態のドライブユニット1はまた、ステータの2つの関連する電気モータ31及び32の2組の三相巻線311a、311b、及び311c、並びに321a、321b、及び321cの配置を通して、VFD41及び42によって生成される交流トルク成分を相殺することができ、この場合もまた、2つの関連する電気モータ31及び32は、第1のVFD41の望ましくない交流トルク成分を第2のVFD42のそれと相殺して後者の位相を180°シフトするために、変位角θだけ位相シフトされる。
【0048】
したがって、
図1に示される第1の実施形態と、
図2の第2の実施形態との両方において、ドライブユニット1は、1つ又は複数の交流トルク成分、ドライビングシャフト2上の2つの低減的な起こり得る機械的共振を抑制又は相殺することができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、制御論理ユニット5はまた、電気モータ31、32によって生成され、負荷Lに伝達される電力を制御するように構成される。次いで、制御論理ユニット5は、ドライビングシャフト2の必要な角速度を維持するために、トルク基準値Tを第1の可変周波数ドライブ41に提供し、トルク基準値Tを可変周波数ドライブ42に提供するように構成される。
【0050】
図3及び
図4を参照すると、ドライブユニット1の第3の実施形態が示されており、この場合もまた、ドライビングシャフト2に機械的に結合され、次に負荷Lに機械的に結合された2つの電気モータ31及び32を備える。先の実施形態と同様に、電気モータ31及び32は、やはり参照番号41及び42によってそれぞれ示されている関連するVFDによって駆動及び給電される。
【0051】
ドライブユニット1はまた、各VFD41及び42に対して1つずつの2つの絶縁変圧器、特に第1の絶縁変圧器61及び第2の絶縁変圧器62を備える。具体的には、以下のとおりである。第1絶縁変圧器61は、第1のVFD41と電力グリッドGとの間に接続され、第2の絶縁変圧器62は、第2のVFD42と電力グリッドGとの間に接続される。また、各絶縁変圧器61及び62は、それぞれ参照番号611及び621で示される一次巻線と、それぞれ参照番号612及び622で示される二次巻線とを備える。
【0052】
2つの絶縁変圧器61及び62は、電力グリッドGからVFD41及び42に電力を、同じVFD41及び42を電力グリッドGから絶縁しながら、伝達することができる。
【0053】
各VFD41及び42の第1の絶縁変圧器61及び第2の絶縁変圧器62の一次巻線611及び621は、
図3及び
図4に示されるように、共通結合の同じ点でグリッドGに接続される。各VFD41及び42の第1の絶縁変圧器61及び第2の絶縁変圧器62の二次巻線612及び622は、ドライブユニット1によってグリッドGに生成される電流高調波成分を抑制するように配置される。動作原理は、各変速システム41及び/又は42から生成される電流高調波を取得し、高調波の一方の発生源を他方に対して180°シフトさせてそれらを一緒に結合し、したがってグリッドGに注入されるこれらの電流高調波の相殺をもたらすことである。
【0054】
例えば、三相電力分配システムでは、第5及び第7高調波が支配的な高調波であり、通常、歪み及び加熱の問題を引き起こす。各VFD41及び42によって生成されるこれらの電流高調波成分の相殺は、
図5及び
図6により良好に示されるように、絶縁変圧器61及び62のベクトル群を第1の構成、すなわち「デルタ-デルタ」構成に、また第2の構成、すなわちデルタ-ワイ構成にそれぞれ配置することによって達成することができ(この構成に限定されない)、
図5及び
図6には、「デルタ-デルタ」及びデルタ-ワイ変圧器の一次巻線及び二次巻線のベクトル群の配置が示されている。より具体的には、デルタ-デルタ接続構成では、三相変圧器の一次巻線並びに二次巻線は、デルタ(すなわち「Δ」)として電気的に接続される。代わりに、デルタ-ワイ接続構成では、依然として三相変圧器の一次巻線はデルタとして接続され、二次巻線は「Y」として電気的に接続される。
【0055】
特に、第1の絶縁変圧器61のデルタ-デルタ構成は、電流の0°の位相シフトを引き起こし、第2の絶縁変圧器62のデルタ-ワイ構成は、第2のVFD42に供給される電流の30°の電流位相シフトを引き起こす。
【0056】
デルタ-ワイ変圧器62内の第5高調波は、30°の5倍だけ位相シフトされるので、150°の位相シフトを有する。加えて、第5高調波は、負シーケンス高調波であり、したがって、それは、反対方向に30°位相シフトされる基本波の反対方向にあり、合計180°位相シフトをもたらす。このようにして、2つのVSDシステムによって生成された第5高調波は、互いに対して180°の位相シフトを有し、この高調波成分の相殺を引き起こす。
【0057】
同様に、第2のデルタ-ワイ変圧器62における第7高調波は、30°の7倍だけ位相シフトされるので、210°の位相シフトを有する。第7高調波は正シーケンス高調波であるので、基本波との相対シフトは再び180°である。
【0058】
上述の高調波の相殺は、
図4において視覚化することができ、ここで、第1の絶縁変圧器61及び第2の絶縁変圧器62の一次巻線611及び621から来る第5及び第7の交流高調波成分が、グリッドGへの接続を考慮して相殺されることが理解され得る。
【0059】
このようにして、
図3及び
図4に示される第3の実施形態に係るドライブユニット1は、絶縁変圧器61及び62を介して、ステータの2つの関連する電気モータ31及び32の2組の三相巻線311a、311b及び311cと321a、321b及び321cとの間の角変位θ並びにグリッドGの基本電流成分以外の妨害電流高調波成分によって両方の交流トルク成分を相殺することができる。
【0060】
望ましくない電流高調波を相殺するために、第1の絶縁変圧器61及び第2の絶縁変圧器62の一次巻線611及び621並びに二次巻線612及び622の他の接続も予見され得る。
【0061】
上述のように、2つのVFD41及び42によって駆動される電気モータ31及び32は、同じドライビングシャフト2に接続され、2つのVFD41及び42は、好ましくは同じ電力レベルで動作し、したがって、高調波成分が同じ振幅を有するので、共通結合点における高調波相殺効果を最大にする。原則として、高調波相殺の同じ効果が、同じ共通結合点に接続された2つの独立したVFD41及び42によって達成され得るが、独立したVFD41及び42のサイズ及び動作条件は、通常、被駆動機械(例えば、遠心圧縮機)のプロセス要件によって導き出され、これらのVFD41及び42が、高調波相殺を最大化する同じ電力レベルで連続的に動作し得る可能性は低い。
【0062】
図7を参照すると、ドライブユニット1の第4の実施形態が示されており、第1の電気モータ31の三相ステータ巻線311a、311b及び311cの配置は、第2の電気モータ32の関連するステータ巻線321a、321b及び321cと同じである。ただし、第1の電気モータ31のロータ312は、第2の電気モータ32のロータ322に対して所定の物理的角変位θを有している。
【0063】
したがって、トルク高調波低減の効果(すなわち、平均トルク値とは異なる高調波)は、
図7に概略的に示されているように、電気モータステータ巻線の同じ配置を維持しながらも、第2の電気モータ32のロータ322に対して第1の電気モータ31のロータ312を所定の変位角θだけ物理的シフトするこの実施形態において達成される。
【0064】
ドライブユニット1の第4の実施形態の動作は、
図3又は
図4の第3の実施形態と同じである。また、この場合、ドライブユニット1は、VFD41とグリッドGとの間に接続された第1の絶縁変圧器61と、VFD42とグリッドGとの間に接続された第2の絶縁変圧器62と、を備える。このようにして、ドライブユニット1は、理論的には、電気モータによって吸収される電力が同じである場合、妨害電流高調波を相殺することができる。
【0065】
ここで
図4、
図5、及び
図6を参照して、本発明のある実施形態の1つの動作サイクルを例示のために説明する。具体的には、動作中、電気モータ31及び32が負荷2を駆動するように動作するとき、それらは関連するVFD41及び42によって給電される。モータステータ巻線311及び321の変位角θ分のシフトは、望ましくないトルク高調波、すなわち平均トルク値とは異なる高調波の相殺を可能にする。このようにして、電気モータ31及び32は、シャフト上の望ましくない機械的トルク振動なしに、あるいはそれを低減して、平均トルク値を負荷Lに伝達する。
【0066】
同時に、VFD41及び42は、変圧器61及び62によってそれぞれ給電される。図示の実施形態では、三相変圧器61の一次巻線及び二次巻線は、VFD41(第1の電気モータ31に供給するもの)の電流供給の位相シフトが0°に等しいデルタ-デルタ接続で接続され、一方、三相変圧器62の一次巻線及び二次巻線は、他方のVFD42(第2の電気モータ32に供給するもの)の電流供給の位相シフトが30°に等しいデルタ-ワイ接続で接続されているので、第5電流高調波と第7電流高調波はグリッドGで互いに相殺する。
【0067】
本発明の態様は、様々な特定の実施形態に関して説明されてきたが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲を逸脱することなく多くの修正、変更、及び省略が可能であることが、当業者には明らかであろう。加えて、本明細書で別段の指定がない限り、いずれのプロセス又は方法ステップの順序又は配列も、代替的な実施形態に従って変更又は再配列され得る。
【0068】
本開示の実施形態に対して詳細な参照がなされており、これらの1つ又は複数の例は、図面に例解されている。各例は、本開示を限定するものではなく、本開示の説明として提供するものである。実際には、本開示の範囲又は趣旨から逸脱しない限り、本開示に様々な修正及び変形を加えることができるということが、当業者には明らかであろう。本明細書全体を通して「一実施形態」又は「ある実施形態」又は「いくつかの実施形態」への言及は、ある実施形態に関して説明される特定の特徴、構造、又は特性が、開示される主題の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な個所に「一実施形態では」又は「ある実施形態では」又は「いくつかの実施形態では」という句が現れても、それは、必ずしも同一の実施形態を指しているものではない。また、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ又は複数の実施形態において、任意の好適な様式において組み合わされ得る。
【0069】
様々な実施形態の要素を提示する際、冠詞「a」、「an」、「the」、及び「当該(said)」は、要素のうちの1つ又は複数があることを意味することを意図している。「備える(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」という用語は、非排他的であることが意図され、列記された要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味するものである。
【国際調査報告】