(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】駆動機構、ブレーキ装置用圧力発生器
(51)【国際特許分類】
H02K 11/01 20160101AFI20240822BHJP
H02K 11/225 20160101ALI20240822BHJP
H02K 11/40 20160101ALI20240822BHJP
【FI】
H02K11/01
H02K11/225
H02K11/40
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508666
(86)(22)【出願日】2022-08-08
(85)【翻訳文提出日】2024-04-09
(86)【国際出願番号】 EP2022072207
(87)【国際公開番号】W WO2023020868
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】102021209125.3
(32)【優先日】2021-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ハウフェ,ベンジャミン
【テーマコード(参考)】
5H611
【Fターム(参考)】
5H611AA01
5H611AA03
5H611BB01
5H611BB06
5H611PP07
5H611QQ03
5H611RR01
5H611UA07
5H611UB01
(57)【要約】
本発明は、ハウジング(3)内に配置される電気機械(4)であって、前記電気機械(4)のロータ(13)が前記ハウジング(3)内に回転可能に支持される駆動軸(9)に相対回転不能に配置されている前記電気機械(4)と、前記ロータ(13)の回転位置を検知するために形成されているセンサユニット(23)であって、前記センサユニット(23)が少なくとも1つのセンサ素子を備えたプリント回路基板(24)を有し、前記プリント回路基板(24)がリングディスク状に形成されて、前記駆動軸(9)の回転軸線(10)に対し同軸に配置されている前記センサユニット(23)とを備える駆動機構(2)に関する。前記プリント回路基板(24)が前記ハウジング(3)内に配置されていることと、前記駆動機構(2)が、前記プリント回路基板(24)を少なくとも部分的に半径方向に取り囲む遮蔽板(37)を有していることとが企図されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(3)内に配置される電気機械(4)であって、前記電気機械(4)のロータ(13)が前記ハウジング(3)内に回転可能に支持される駆動軸(9)に相対回転不能に配置されている前記電気機械(4)と、前記ロータ(13)の回転位置を検知するために形成されているセンサユニット(23)であって、前記センサユニット(23)が少なくとも1つのセンサ素子を備えたプリント回路基板(24)を有し、前記プリント回路基板(24)がリングディスク状に形成されて、前記駆動軸(9)の回転軸線(10)に対し同軸に配置されている前記センサユニット(23)とを備える駆動機構において、前記プリント回路基板(24)が前記ハウジング(3)内に配置されていることと、前記駆動機構(2)が、前記プリント回路基板(24)を少なくとも部分的に半径方向に取り囲む遮蔽板(37)を有していることとを特徴とする駆動機構。
【請求項2】
前記遮蔽板(37)が前記プリント回路基板(24)を半径方向において全周にわたって取り囲んでいることを特徴とする、請求項1に記載の駆動機構。
【請求項3】
前記遮蔽板(37)が前記ハウジング(3)に固定され、特に形状拘束的結合によって固定されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の駆動機構。
【請求項4】
前記遮蔽板(37)が少なくとも1つの曲げ連結部(42)を有し、前記曲げ連結部(42)によって前記ハウジング(3)に固定されていることを特徴とする、請求項3に記載の駆動機構。
【請求項5】
前記遮蔽板(37)が前記ハウジング(3)のベアリングシールド(18)に固定されていることを特徴とする、請求項3または4に記載の駆動機構。
【請求項6】
前記電気機械(4)が、特に多相のモータ巻線を備えたステータ(14)を有し、前記モータ巻線が、少なくとも1つの導電性のモータ相供給導線(29,30,31)によって、電気エネルギー蓄積器と電気結合されており、または、電気結合可能であり、前記遮蔽板(37)が、半径方向において、一方では前記プリント回路基板(24)と、他方では前記モータ相供給導線(29,30,31)との間に配置されていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の駆動機構。
【請求項7】
前記駆動機構(3)が、前記ハウジング(3)に固定されて前記プリント回路基板(24)を担持する担持要素(32)を有していることと、前記担持要素(32)が前記遮蔽板(37)を有していることとを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の駆動機構。
【請求項8】
前記担持要素(32)がプラスチックから製造される基礎体(33)を有していることと、前記遮蔽板(37)が前記基礎体(33)によって前記プリント回路基板(24)から電気的に切り離されていることとを特徴とする、請求項7に記載の駆動機構。
【請求項9】
前記担持要素(32)が前記遮蔽板(37)によって前記ハウジング(3)に固定されていることを特徴とする、請求項7または8に記載の駆動機構。
【請求項10】
前記遮蔽板(37)が、少なくとも実質的に軸線方向に延びている第1の部分(38)と、少なくとも実質的に半径方向に延びている第2の部分(39)とを有し、前記第1の部分(38)が前記プリント回路基板(24)を少なくとも部分的に半径方向に取り囲み、前記第2の部分(39)が前記プリント回路基板(24)を少なくとも部分的に覆っていることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の駆動機構。
【請求項11】
ポンプ機構(5)と、前記ポンプ機構(5)を操作するための駆動機構(2)と、前記駆動機構(2)を制御するための制御デバイス(8)とを備えたブレーキ装置用圧力発生器において、前記駆動機構(2)が請求項1~10のいずれか一項に従って形成されていることを特徴とするブレーキ装置用圧力発生器。
【請求項12】
前記遮蔽板(37)が前記制御デバイス(8)の電気アース接続部と電気結合されていることを特徴とする、請求項11に記載の圧力発生器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジング内に配置される電気機械であって、前記電気機械のロータが前記ハウジング内に回転可能に支持される駆動軸に相対回転不能に配置されている前記電気機械と、前記ロータの回転位置を検知するために形成されているセンサユニットであって、前記センサユニットが少なくとも1つのセンサ素子を備えたプリント回路基板を有し、前記プリント回路基板がリングディスク状に形成されて、前記駆動軸の回転軸線に対し同軸に配置されている前記センサユニットとを備える駆動機構に関するものである。
【0002】
さらに、本発明はこの種の駆動機構を備えたブレーキ装置用圧力発生器に関する。
【背景技術】
【0003】
冒頭で取り上げた種類の駆動機構は、技術水準から知られている。電気機械を備えた駆動機構では、電気機械は典型的には駆動機構のハウジング内に配置されている。その際、通常では、電気機械のロータは、ハウジング内に回転可能に支持される駆動軸に相対回転不能に配置されている。ロータを駆動軸に配置することにより、駆動軸を電気機械によって駆動または回転させることができる。駆動軸の回転により、駆動軸と作用結合されている、たとえばポンプ機構のような作業機械も操作することができる。その際、少なくとも1つのセンサ素子を備えたプリント回路基板を有するセンサユニットを用いてロータの回転位置を検知することは公知である。その際、リングディスク状に形成されて、駆動軸の回転軸線に対し同軸に配置されているプリント回路基板を使用することが多い。プリント回路基板のこの種の構成または配置により、駆動機構内へのプリント回路基板の省スペースの組み込みを達成できる。センサユニットはたとえば誘導センサであり、その結果この場合、センサ素子はプリント回路基板上に形成された少なくとも1つの受信コイルを有している。
【発明の概要】
【0004】
本発明による駆動機構は、請求項1の構成により、プリント回路基板がハウジング内に配置されていることと、駆動機構が、プリント回路基板を少なくとも部分的に半径方向に取り囲む遮蔽板を有していることとを特徴としている。プリント回路基板がハウジング内に配置されているため、駆動機構は特にコンパクトに形成されている。しかしながら、プリント回路基板は、ハウジング内の配置なので、ハウジング内部を貫通して延びている導電線に対し空間的に近い位置にある。これらの導線は、駆動機構の作動中に容量性効果のためにセンサユニットの機能を阻害することがある。典型的には、センサユニットは、プリント回路基板上に配置される、少なくとも1つの、たとえば特定用途向け集積回路(ASIC)のような電子部品を有している。この種の電子部品は、容量性効果による障害を特に受けやすい。本発明による遮蔽板により、プリント回路基板およびプリント回路基板上に配置または形成されている素子は遮蔽され、その結果容量性効果による障害が少なくとも削減される。好ましくは、遮蔽板はプラスチック材料から製造されている。これによって、プリント回路基板の特に効果的な遮蔽が達成される。プリント回路基板がハウジング内に配置されているので、遮蔽板の、プリント回路基板を半径方向に取り囲む少なくとも1つの部分も、ハウジング内に配置されている。好ましくは、プリント回路基板はロータまたはロータと相対回転不能に連結されている測定値送信器に対し軸線方向に対向している。この種の測定値送信器があれば、センサユニットは、好ましくは、測定値送信器の回転位置を検知することによってロータの回転位置を検知するために形成されている。本開示事項の範囲内で「軸線方向」および「半径方向」という概念を使用する場合、別の意味が明確に開示されていない限り、これらの概念は駆動軸の回転軸線に関わるものである。好ましくは、遮蔽板はプリント回路基板から半径方向に間隔をおいて位置している。
【0005】
有利な実施形態によれば、遮蔽板がプリント回路基板を半径方向において全周にわたって取り囲んでいることが企図されている。すなわち、遮蔽板の延在は周方向に閉じている。遮蔽板のこの種の構成により、プリント回路基板の特に効果的な遮蔽が達成される。
【0006】
有利な実施形態によれば、遮蔽板がハウジングに固定されていることが企図されている。これは、遮蔽板の安定な固定に関して有利である。好ましくは、遮蔽板はハウジングにダイレクトに固定されている。これから、遮蔽板と金属製ハウジングとの間の導電性結合が形成されるという利点が得られ、その結果ハウジングを用いて遮蔽板を電気アース接続部と結合可能である。特に有利には、遮蔽板は形状拘束的結合によってハウジングに固定されている。択一的な実施形態によれば、遮蔽板は駆動機構の回転可能に支持される要素に固定され、たとえばロータまたは駆動軸に固定されている。
【0007】
有利な実施形態によれば、遮蔽板が少なくとも1つの曲げ連結部を有し、曲げ連結部によってハウジングに固定されていることが企図されている。曲げ連結部により、形状拘束的結合を技術的に簡単に形成可能である。このため、ハウジングのハウジング一部分はたとえば破断部を有し、この場合曲げ連結部は破断部を貫通して案内されて、遮蔽板の形状拘束的固定のために前記ハウジング一部分と係合する。少なくとも1つの曲げ連結部を用いて固定する代わりに、他の種類および態様でも遮蔽板をハウジングに固定してよい。更なる実施形態によれば、遮蔽板はたとえばコーキングによってハウジングに固定されている。
【0008】
好ましくは、遮蔽板はハウジングのベアリングシールドに固定されている。ベアリングシールドとは、駆動軸を回転可能に支持しているハウジングのハウジングカバーである。典型的には、駆動軸を支持するためにベアリングシールドは回転軸受を担持している。好ましくは、プリント回路基板は、一方ではベアリングシールドと、他方ではロータまたは測定値送信器との間に配置されている。
【0009】
好ましくは、電気機械は、特に多相のモータ巻線を備えたステータを有し、この場合モータ巻線は、少なくとも1つの導電性のモータ相供給導線によって、電気エネルギー蓄積器と電気結合されており、または、電気結合可能であり、且つ遮蔽板は、半径方向において、一方ではプリント回路基板と、他方では少なくとも1つのモータ相供給導線との間に配置されている。駆動機構の作動時に、モータ相供給導線には、典型的には高い電圧傾度が印加され、このことが基本的には容量性効果によるセンサユニットの著しい障害を生じさせることがある。この限りでは、遮蔽板を半径方向において一方ではプリント回路基板と他方ではモータ相供給導線との間に配置することにより、プリント回路基板の効果的な遮蔽に関して特に有利である。好ましくは、駆動機構は、ハウジングに固定して配置される結線板を有し、この場合、結線板は遮蔽板を半径方向において取り囲み、且つモータ相供給導線は結線板を貫通して延びる。
【0010】
有利な実施形態によれば、駆動機構が、ハウジングに固定されてプリント回路基板を担持する担持要素を有していることと、担持要素が遮蔽板を有していることとが企図されている。すなわち、遮蔽板は担持要素の一部である。いずれにしても、典型的には、プリント回路基板をハウジングに固定するために担持要素が設けられている。すなわち、遮蔽板を担持要素の中に組み込むことにより、設けられる部品の総数は増大しない。
【0011】
有利な実施形態によれば、担持要素がプラスチックから製造される基礎体を有していることと、遮蔽板が基礎体によってプリント回路基板から電気的に切り離されていることとが企図されている。これによって、一方では遮蔽板と、他方ではプリント回路基板上に形成されている導電路との間での電気的短絡が阻止される。好ましくは、プリント回路基板は基礎体に固定され、その結果担持要素の基礎体はプリント回路基板を担持している。好ましくは、遮蔽板の少なくとも1つの一部分は、プラスチックから形成された基礎体を貫通して延びている。
【0012】
好ましくは、担持要素は遮蔽板によってハウジングに固定されている。遮蔽板は、その機械的丈夫さにより、このために特に適している。加えて、遮蔽板とハウジングとの間に導電結合を形成するためには、いずれにしろハウジングと遮蔽板との間での接触が望ましい。
【0013】
有利な実施形態によれば、遮蔽板が、少なくとも実質的に軸線方向に延びている第1の部分と、少なくとも実質的に半径方向に延びている第2の部分とを有し、この場合第1の部分がプリント回路基板を少なくとも部分的に半径方向に取り囲み、且つ第2の部分がプリント回路基板を少なくとも部分的に覆っていることが企図されている。このように、プリント回路基板は半径方向に遮蔽されるばかりでなく、軸線方向にも遮蔽され、すなわちプリント回路基板を少なくとも部分的に覆っている第2の部分によって遮蔽される。
【0014】
本発明によるブレーキ装置用圧力発生器は、ポンプ機構と、前記ポンプ機構を操作するための駆動機構と、前記駆動機構を制御するための制御デバイスとを有している。この圧力発生器は、請求項11の構成により、本発明による駆動機構の構成によって特徴づけられる。これからも、すでに取り上げた利点が得られる。更なる有利な構成要件および構成要件の組み合わせは、上記の説明および特許請求の範囲から明らかである。
【0015】
有利な実施形態によれば、遮蔽板が制御デバイスの電気アース接続部と電気結合されていることが企図されている。これによって、駆動機構の作動時に発生する容量性効果を遮蔽板により抑止することができる。好ましくは、遮蔽板とアース接続部との間の電気結合は、駆動機構のハウジングとポンプ機構のハウジングとによって少なくとも比例的に提供される。
【0016】
次に、図面を用いて本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、自動車の液圧式ブレーキ装置用圧力発生器1の簡略図である。圧力発生器1は、電気駆動機構2を有している。駆動機構2はハウジング3を有し、ハウジングは本実施形態では円形の横断面を有している。さらに、駆動機構2は電気機械4を有している。電気機械4はハウジング3内に配置されており、それ故
図1では認められない。圧力発生器1は、作業機械として、少なくとも1つの流体ポンプを備えたポンプ機構5を有している。駆動機構2のハウジング3は、複数の固定手段6を用いてポンプ機構5のハウジング7に固定されている。駆動機構2は、電気機械4を用いてポンプ機構5の少なくとも1つの流体ポンプを操作するために形成されている。さらに、圧力発生器1は電気機械4を制御するための制御デバイス8を有している。ポンプ機構5は、一方では駆動機構2と、他方では制御デバイス8との間に配置されている。
【0019】
図2は、駆動機構2の断面図である。
図2からわかるように、駆動機構2は、ハウジング3内で回転軸線10のまわりに回転可能に支持されている駆動軸9を有する。駆動軸9は、伝動機構11によってポンプ機構5の少なくとも1つの流体ポンプと作用結合している。
図2では、伝動機構11に関しては、伝動機構11の、駆動軸9に相対回転不能に配置されている平歯車12のみが図示されている。しかし、好ましくは伝動機構11は遊星歯車機構として形成されている。
【0020】
電気機械4は、駆動軸9に相対回転不能に配置されるロータ13と、ハウジングに固定して配置されるステータ14とを有している。ステータ14は、図を見やすくするために図示していない多相モータ巻線を有し、多相モータ巻線は、ロータ13が、よって駆動軸9が、モータ巻線の適宜な通電によって回転可能または駆動可能であるように、ロータ13のまわりに配分して配置されている。
【0021】
ハウジング3は、ステータ14を担持するポールポット15を有する。ポールポット15は、金属材料から製造されている。
図1からわかるように、ポールポット15はグラス状に形成されている。この限りでは、ポールポット15は、底部16とスリーブ部分17とを有する。底部16は、少なくとも実質的に半径方向に延びている。スリーブ部分17は、底部16から出て少なくとも実質的に軸線方向に延びている。
【0022】
ハウジング3は、さらに、ベアリングシールド18を有している。ベアリングシールド18は電気機械4を覆い、この限りではハウジング3のハウジングカバーを形成している。ベアリングシールド18は金属材料から製造されており、本実施形態では深絞りを用いて形成されている。ベアリングシールド18は、駆動軸9を支持するために形成されている。このため、ベアリングシールド18は、軸線方向に延びるスリーブ状の支持部分19を有している。支持部分19と駆動軸9との間には回転軸受20が配置され、回転軸受は本実施形態では転動体軸受20である。
【0023】
ベアリングシールド18は、さらに、半径方向に延びるリングディスク状のハウジング部分21を有している。ハウジング部分21は、本実施形態では、支持部分19に直接接続している。
【0024】
ベアリングシールド18は、さらに、軸線方向に延びるスリーブ状の固定部分22を有している。固定部分22の、半径方向外側へ向けられている側面43は、ポールポット15の、半径方向内側へ向けられている側面45に、半径方向において当接している。本実施形態では、固定部分22とポールポット15との間に摩擦結合が形成されているように、ベアリングシールド18がポールポット15のなかへ圧入されている。しかしながら、ベアリングシールド18は他の固定態様によってポールポット15に固定されていてもよく、たとえば接着結合、溶接結合、または、少なくとも1つの固定手段によって固定されていてもよい。
【0025】
駆動機構2は、さらに、ロータ13の回転位置を検知するために形成されているセンサユニット23を有する。センサユニット23は、ハウジング3内に配置されているリングディスク状のプリント回路基板24を有する。その際、プリント回路基板24は駆動軸9の回転軸線10に対し同軸に配置され、その結果プリント回路基板24は駆動軸9を半径方向に取り囲んでいる。本実施形態では、プリント回路基板24は、一方ではベアリングシールド18のハウジング部分21と、他方ではロータ13との間に配置されている。プリント回路基板24は、ロータ13側の第1の端面25と、ハウジング部分21側の第2の端面26とを有している。第1の端面25には、センサユニット23のセンサ素子が配置または形成されている。本実施形態では、センサユニット23は誘導センサ23として形成されている。このため、センサ素子は、少なくとも1つの送信コイルと、少なくとも1つの受信コイルとを有し、この場合送信コイルと受信コイルとは、導電路としてプリント回路基板23上に形成されている。プリント回路基板24のハウジング部分18側の第2の端面26には、センサユニット23の電子部品27が配置されている。本実施形態では、電子部品27は特定用途向け集積回路(ASIC)である。電子部品27は、センサ素子のセンサ信号を復調または処理するために形成されている。
【0026】
更なる実施形態によれば、駆動機構2は、ロータ13と相対回転不能に連結される測定値送信器を有し、プリント回路基板24は、一方ではベアリングシールド18のハウジング部分21と、他方では測定値送信器との間に配置されている。この実施形態では、このときセンサユニット23は、測定値送信器の回転位置を検知することによってロータ13の回転位置を検知するために形成されている。
【0027】
駆動機構2は、さらに、ハウジングに固定して配置されている結線板28を有する。結線板28はリング状に形成されて、センサユニット23を半径方向に取り囲んでいる。結線板28を貫通して複数の導電性のモータ相供給導線29,30,31が延びている。モータ相供給導線29,30,31は、
図2では簡略に示唆されているにすぎない。
図1に図示した圧力発生器1がブレーキ装置内に構築されていれば、ステータ14のモータ巻線の相はモータ相供給導線29,30,31によって電気エネルギー蓄積器と電気結合されている。
【0028】
駆動アッセンブリ2は、さらに、プリント回路基板24をベアリングシールド18に固定するために担持要素32を有している。担持要素32の構成を以下で
図3を参照してより詳細に説明する。
図3は、担持要素32の領域における駆動機構2の一部分の断面図である。
【0029】
担持要素32は、プラスチックから製造されている基礎体33を有する。プリント回路基板24は基礎体33に固定されており、たとえばロック結合によって固定されている。基礎体33はリング状に形成され、駆動軸9の回転軸線10に対し同軸に配置されている。基礎体33は、プリント回路基板24を半径方向に取り囲んでいる第1の部分34を有する。すなわち、第1の部分34はプリント回路基板24の周方向において全周にわたってプリント回路基板24のまわりに延在している。基礎体33は、さらに、第2の部分35を有している。第2の部分35は、プリント回路基板24を少なくとも実質的に覆っている。対応的に、第2の部分35は、一方ではプリント回路基板24と、他方ではベアリングシールド18のハウジング部分21との間に配置されている。第2の部分35の領域に基礎体33は材料繰り抜き部36または中空空間36を有し、この場合電子部品27が材料繰り抜き部36または中空空間36内に配置されている。
【0030】
担持要素32は、さらに、遮蔽板37を有しており、遮蔽板は本実施形態では基礎体33を貫通して延びて、基礎体33と形状拘束的に結合されている。好ましくは、遮蔽板37は銅材料から製造されている。その際、基礎体33と遮蔽板37は、遮蔽板37が基礎体33によってプリント回路基板24から電気的に切り離されているように形成されている。
【0031】
遮蔽板37は、本実施形態では、軸線方向に延びる第1の部分38を有している。第1の部分38は、プリント回路基板24を半径方向に取り囲んでいる。対応的に、第1の部分38はスリーブ状に形成されている。その際、遮蔽板38の第1の部分38は、半径方向において、一方ではプリント回路基板24と、他方では結線板28またはモータ相供給導線29,30,31との間に配置されている。
【0032】
遮蔽板37は、本実施形態では、さらに、半径方向に延びる第2の部分39を有している。第2の部分39はリングディスク状に形成され、第1の部分38から出発して半径方向内側へ延びている。その際、第2の部分39はプリント回路基板24を部分的に覆っており、その結果第2の部分39はプリント回路基板24に対し部分的に軸線方向において対向している。
【0033】
遮蔽板37は、本実施形態では、さらに、軸線方向に延びる第3の部分40を有している。第3の部分40は、基礎体33から突出している。第3の部分40の自由端41には、2つの曲げ連結部42が設けられている。曲げ連結部42は、ベアリングシールド18のハウジング部分21の軸線方向破断部43を貫通して案内されてハウジング部分21と係合することで、担持要素32を形状拘束的結合部44によってベアリングシールド18に固定している。
図2から明らかなように、
図3に図示した第3の部分40に加えてさらに、それぞれ2つの曲げ連結部42を備える複数の他の第3の部分40が設けられ、この場合これら第3の部分40は遮蔽板37の周方向に配分して配置されている。あくまでも一例であるが、ハウジング部分21は6つの軸線方向破断部43を有し、この場合遮蔽板37は、それぞれ2つの曲げ連結部42を備えた6つの第3の部分40を有し、しかも軸線方向破断部43のそれぞれを、それぞれ1つの他の第3の部分40の曲げ連結部42が貫通して案内されている。
【0034】
駆動機構2が
図1に図示したように圧力発生器1の一部であれば、遮蔽板37は制御デバイス8のアース接続部と電気結合されている。その際、この電気結合は、少なくとも比例的に、ベアリングシールド18とポールポット15と固定手段6とポンプ機構5のハウジング7とによって提供される。
【0035】
遮蔽板37により、センサユニット23および特に電子部品27はモータ相供給導線29,30,31に対し遮蔽される。対応的に、駆動機構2の領域における容量性効果のためにモータ相供給導線29,30,31がセンサユニット23の機能を阻害することが回避される。
【符号の説明】
【0036】
1 圧力発生器
2 駆動機構
3 駆動機構のハウジング
4 電気機械
5 ポンプ機構
8 制御デバイス
9 駆動軸
10 駆動軸の回転軸線
13 電気機械のロータ
14 電気機械のステータ
18 ベアリングシールド
23 センサユニット
24 プリント回路基板
29,30,31 モータ相供給導線
32 担持要素
33 担持要素の基礎体
37 遮蔽板
38 遮蔽板の第1の部分
39 遮蔽板の第2の部分
42 遮蔽板の曲げ連結部
【手続補正書】
【提出日】2024-04-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(3)内に配置される電気機械(4)であって、前記電気機械(4)のロータ(13)が前記ハウジング(3)内に回転可能に支持される駆動軸(9)に相対回転不能に配置されている前記電気機械(4)と、前記ロータ(13)の回転位置を検知するために形成されているセンサユニット(23)であって、前記センサユニット(23)が少なくとも1つのセンサ素子を備えたプリント回路基板(24)を有し、前記プリント回路基板(24)がリングディスク状に形成されて、前記駆動軸(9)の回転軸線(10)に対し同軸に配置されている前記センサユニット(23)とを備える駆動機構において、前記プリント回路基板(24)が前記ハウジング(3)内に配置されていることと、前記駆動機構(2)が、前記プリント回路基板(24)を少なくとも部分的に半径方向に取り囲む遮蔽板(37)を有していることとを特徴とする駆動機構。
【請求項2】
前記遮蔽板(37)が前記プリント回路基板(24)を半径方向において全周にわたって取り囲んでいることを特徴とする、請求項1に記載の駆動機構。
【請求項3】
前記遮蔽板(37)が前記ハウジング(3)に固定され、特に形状拘束的結合によって固定されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の駆動機構。
【請求項4】
前記遮蔽板(37)が少なくとも1つの曲げ連結部(42)を有し、前記曲げ連結部(42)によって前記ハウジング(3)に固定されていることを特徴とする、請求項3に記載の駆動機構。
【請求項5】
前記遮蔽板(37)が前記ハウジング(3)のベアリングシールド(18)に固定されていることを特徴とする、請求項3に記載の駆動機構。
【請求項6】
前記電気機械(4)が、特に多相のモータ巻線を備えたステータ(14)を有し、前記モータ巻線が、少なくとも1つの導電性のモータ相供給導線(29,30,31)によって、電気エネルギー蓄積器と電気結合されており、または、電気結合可能であり、前記遮蔽板(37)が、半径方向において、一方では前記プリント回路基板(24)と、他方では前記モータ相供給導線(29,30,31)との間に配置されていることを特徴とする、請求項1
または2に記載の駆動機構。
【請求項7】
前記駆動機構(3)が、前記ハウジング(3)に固定されて前記プリント回路基板(24)を担持する担持要素(32)を有していることと、前記担持要素(32)が前記遮蔽板(37)を有していることとを特徴とする、請求項1
または2に記載の駆動機構。
【請求項8】
前記担持要素(32)がプラスチックから製造される基礎体(33)を有していることと、前記遮蔽板(37)が前記基礎体(33)によって前記プリント回路基板(24)から電気的に切り離されていることとを特徴とする、請求項7に記載の駆動機構。
【請求項9】
前記担持要素(32)が前記遮蔽板(37)によって前記ハウジング(3)に固定されていることを特徴とする、請求項
7に記載の駆動機構。
【請求項10】
前記遮蔽板(37)が、少なくとも実質的に軸線方向に延びている第1の部分(38)と、少なくとも実質的に半径方向に延びている第2の部分(39)とを有し、前記第1の部分(38)が前記プリント回路基板(24)を少なくとも部分的に半径方向に取り囲み、前記第2の部分(39)が前記プリント回路基板(24)を少なくとも部分的に覆っていることを特徴とする、請求項1
または2に記載の駆動機構。
【請求項11】
ポンプ機構(5)と、前記ポンプ機構(5)を操作するための駆動機構(2)と、前記駆動機構(2)を制御するための制御デバイス(8)とを備えたブレーキ装置用圧力発生器において、前記駆動機構(2)が請求項1
または2に従って形成されていることを特徴とするブレーキ装置用圧力発生器。
【請求項12】
前記遮蔽板(37)が前記制御デバイス(8)の電気アース接続部と電気結合されていることを特徴とする、請求項11に記載の圧力発生器。
【国際調査報告】