(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】発電プロセス時に発電及び/又はモータ動作時に動力供給をするシャフトジェネレータ
(51)【国際特許分類】
H02K 1/18 20060101AFI20240822BHJP
H02K 7/18 20060101ALI20240822BHJP
H02K 11/33 20160101ALI20240822BHJP
H02K 15/02 20060101ALI20240822BHJP
B63H 21/17 20060101ALI20240822BHJP
B63J 3/02 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
H02K1/18 C
H02K7/18 A
H02K11/33
H02K15/02 D
H02K15/02 A
H02K7/18 B
B63H21/17
B63J3/02 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508759
(86)(22)【出願日】2022-07-19
(85)【翻訳文提出日】2024-04-08
(86)【国際出願番号】 EP2022070191
(87)【国際公開番号】W WO2023016760
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】102021120740.1
(32)【優先日】2021-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524055148
【氏名又は名称】アープルスカー アントリーベ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クルツ-リン クラウス
(72)【発明者】
【氏名】ラム アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】キューナー マティアス
【テーマコード(参考)】
5H601
5H607
5H611
5H615
【Fターム(参考)】
5H601AA10
5H601CC02
5H601CC15
5H601DD01
5H601DD09
5H601DD11
5H601DD18
5H601DD31
5H601EE12
5H601GA02
5H601GD02
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5H601GD23
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5H601KK29
5H607BB02
5H607BB07
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5H607BB26
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5H607FF25
5H611BB02
5H611BB06
5H611TT01
5H611UA04
5H615AA03
5H615BB02
5H615BB05
5H615BB14
5H615PP01
5H615PP28
(57)【要約】
本発明は、発電プロセス時に発電及び/又はモータ動作時に動力供給をするシャフトジェネレータ(01)に関する。シャフトジェネレータ(01)は、ステータ(02)と、ロータ(03)と、を備え、ロータ(03)は、駆動ユニットのシャフト(04)の周りに、特に軸受なしで配置されるように構成され、ステータ(02)は、ロータ(03)の周りに配置されるように構成される。シャフトジェネレータ(01)は、少なくとも2つの周波数変換器(08,09)を備え、ステータ(02)は、少なくとも2つのステータセグメント(05,06)に分離可能であり、少なくとも2つのステータセグメント(05,06)のそれぞれには、少なくとも2つの周波数変換器(08,09)の1つが割り当てられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電プロセス時に発電及び/又はモータ動作時に動力供給をするシャフトジェネレータ(01)であって、
ステータ(02)と、
ロータ(03)と、を備え、
前記ロータ(03)は、駆動ユニットのシャフト(04)の周りに、特に軸受なしで配置されるように構成され、
前記ステータ(02)は、前記ロータ(03)の周りに配置されるように構成され、
少なくとも2つの周波数変換器(08,09)を備え、
前記ステータ(02)は、少なくとも2つのステータセグメント(05,06)に分離可能であり、
少なくとも2つの前記ステータセグメント(05,06)のそれぞれには、少なくとも2つの前記周波数変換器(08,09)の1つが割り当てられている、ことを特徴とするシャフトジェネレータ。
【請求項2】
請求項1に記載のシャフトジェネレータにおいて、
前記ロータ(03)は、少なくとも2つのロータセグメント(13,14)に分離可能である、ことを特徴とするシャフトジェネレータ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のシャフトジェネレータにおいて、
少なくとも2つの前記ステータセグメント(05,06)は、半径方向及び/又は軸方向に変位するようにそれぞれ構成されている、ことを特徴とするシャフトジェネレータ。
【請求項4】
請求項2に記載のシャフトジェネレータにおいて、
少なくとも2つの前記ロータセグメント(13,14)は、半径方向及び/又は軸方向に変位するようにそれぞれ構成されている、ことを特徴とするシャフトジェネレータ。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載のシャフトジェネレータにおいて、
少なくとも2つの前記ステータセグメント(05,06)は、対応する前記周波数変換器(08,09)によって、モータ動作時及び/又は発電プロセス時に、互いに独立して動作するようにそれぞれ構成されている、ことを特徴とするシャフトジェネレータ。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つに記載のシャフトジェネレータにおいて、
前記ステータ(02)は、4、6、8、又は10個の前記ステータセグメント(05,06)に分離可能であり、及び/又は、前記ロータ(03)は、4、6、8、又は10個の前記ロータセグメント(13,14)に分離可能である、ことを特徴とするシャフトジェネレータ。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1つに記載のシャフトジェネレータにおいて、
少なくとも2つの前記ステータセグメント(05,06)及び/又は少なくとも2つの前記ロータセグメント(13,14)は、それぞれ、中空円筒セグメントの形状であるように設計されている、ことを特徴とするシャフトジェネレータ。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1つに記載のシャフトジェネレータにおいて、
少なくとも2つの前記周波数変換器(08,09)のそれぞれは、モータ動作時及び/又は発電プロセス時に、少なくとも2つの前記ステータセグメント(05,06)のうち対応する前記ステータセグメント(05,06)を動作させるように構成されている、ことを特徴とするシャフトジェネレータ。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1つに記載のシャフトジェネレータにおいて、
前記シャフトジェネレータは、500キロワット~15000キロワットの出力範囲を有する、ことを特徴とするシャフトジェネレータ。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1つに記載のシャフトジェネレータにおいて、
動作時において、前記ステータ(02)と前記ロータ(03)との間には、1ミリメートル~30ミリメートルの空隙がある、ことを特徴とするシャフトジェネレータ。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1つに記載のシャフトジェネレータにおいて、
前記ステータ(02)は、150センチメートル~500センチメートルの直径を有する、ことを特徴とするシャフトジェネレータ。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1つに記載のシャフトジェネレータにおいて、
前記シャフトジェネレータの総重量は、3000キログラム~30000キログラムである、ことを特徴とするシャフトジェネレータ。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1つに記載のシャフトジェネレータにおいて、
前記ステータ(02)、前記ロータ(03)、及び少なくとも2つの前記周波数変換器(08,09)は、電気同期機の構成要素を形成する、ことを特徴とするシャフトジェネレータ。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1つに記載のシャフトジェネレータ(01)と、シャフト(04)を備える駆動ユニットとを有するエネルギー生成及び/又は駆動システムであって、
前記ロータ(03)は、前記シャフト(04)の周りに配置され、
前記ステータ(02)は、前記ロータ(03)の周りに配置され、
前記シャフト(04)は、前記駆動ユニット及び/又は前記シャフトジェネレータ(01)により回転可能である、エネルギー生成及び/又は駆動システム。
【請求項15】
請求項1~13のいずれか1つに記載のシャフトジェネレータ(01)又は請求項14に記載のエネルギー生成及び/又は駆動システムを有する船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに係る、発電プロセス時に発電及び/又はモータ動作時に動力供給をするシャフトジェネレータ、特に船舶に使用されるシャフトジェネレータ、請求項14のプリアンブルに係る、シャフトジェネレータと、シャフトを有する駆動ユニットを有するエネルギー生成及び/又は駆動システム、及び請求項15のプリアンブルに係る対応する船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発電プロセス時に発電及び/又はモータ動作時に動力供給をする、電磁駆動のシャフトジェネレータが一般に知られている。シャフトジェネレータは、例えば船舶の部門において、パワーテイクイン(PTI)及びパワーテイクオフ(PTO)に使用される。すなわち、シャフトジェネレータは、要求されるパワーに応じて、モータ駆動(PTI)及び/又は発電プロセス(PTO)のいずれかで動作する。好ましくは、船舶に搭載のシステムに(電気)パワーを供給するためのパワーユニットは、PTIで動作され得る。加えて、船舶を動作させるための機械的な力は、このモードでは、シャフトモータとして働くシャフトジェネレータよって、プロペラシャフトに直接供給される。これにより、例えば、船舶が港に入るとき又は船舶を港で操縦するときに、主機関の燃焼力を増大させる必要なく、電動ブースト動作ができる。これとは対照的に、PTOでは、好ましくは、船舶の(最も一般的にはディーゼル油で運転される)動力ユニットのスイッチを切ることができる。搭載されたシステムの動作のために要求される電力は、シャフトジェネレータ及び必要に応じて排熱回収によって、エミッションフリーで主機関から供給できる。これに関連して、船舶を動作させる主機関は、動力ユニットに使用されるディーゼル油よりも安価な重油を燃焼させる。PTIモード及び/又はPTOモードにおいてこの種のシャフトジェネレータを使用することで、内燃機関のみで運転される船舶と比較して、著しいエミッションの節約が達成できるという利点が得られ、これらのエミッションの節約は、問題となっている船舶の環境バランスにプラスの効果を有する。
【0003】
シャフトジェネレータによって、動作用電力は、船舶プロペラのプロペラシャフト又は船舶の主機関(ディーゼルエンジンなど)から、直接的又は間接的に(すなわち、相互接続されたギヤシステムを介して)電磁的に取得されて、エネルギー生成(PTOモード)のために使用される。特に、シャフトジェネレータがプロペラシャフトの軸系に直接組み込まれるか、又はプロペラシャフトの軸系に一体化される、すなわちシャフトジェネレータのロータシャフトがプロペラシャフトと一致することが知られている。言い換えると、シャフトジェネレータのロータは、一体に形成され、プロペラシャフトに直接配置される。例えば、40メートル以上の範囲の、プロペラシャフトの一般的に大きな寸法を考慮すると、ロータは、このようにプロペラシャフトにロータを配置するために、プロペラシャフトが対応する船舶に取り付けられる前に、その製造の過程でシャフトと接続される必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この構造タイプの不利な点は、構造的な状況及び構成要素の大きな寸法により船舶のプロペラシャフトの改造が不可能になるため、まだシャフトジェネレータを有していない既存の船舶を改造することができないということである。したがって、既存の船舶は、十分な柔軟性をもって改造することができない。
【0005】
この不利な点を少なくとも部分的に克服するために、シャフトジェネレータはまた、ギヤシステムを介して船舶のプロペラシャフトと間接的に結合することもでき、例えば、このような場合、シャフトジェネレータのロータシャフトは、1つ以上のギヤステップを介してプロペラシャフトと係合される。しかしながら、このアプローチは、ギヤシステム等を提供するための追加の設置スペースが利用できなければならず、したがって、シャフトジェネレータをコンパクトに設計することができないという不利な点を有する。
【0006】
特に、化石燃料(重油及びディーゼル油など)の燃焼に起因するエミッションをできる限り最小限に抑えるよう、全ての産業部門において世界的な圧力が高まっているため、世界貿易の原動力である海運部門にとって、一方では既存の船舶の耐用年数を最大限に活用できるように、他方では要求されるエミッション抑制目標を満たすように、改造することにも適合した解決手段として、シャフトジェネレータによる低エミッションでの動作のオプションを提供することが望ましい。
【0007】
既存のシャフトジェネレータの別の不利な点は、故障が発生した場合に火災が引き起こされる可能性、又は少なくとも船舶の望ましくないブレーキが引き起こされる可能性が、シャフトジェネレータによってもたらされることである。すなわち、例えば、ステータ巻線のうちの1つが短絡すると、結果として生じる短絡電流がステータ巻線の絶縁体を通って流れて、プロペラシャフトが回転し続ける、及び/又は短絡電流がシャフトジェネレータの他の電気及び/又は電子部品に流れ込み、そこで火災を引き起こす可能性がある。シャフトジェネレータのステータ及び/又はロータの不具合の結果として、望ましくない制動モーメントがプロペラシャフトに作用することもあり得る。火災は海損の原因となり得、望ましくないブレーキはさらなる不利な点を伴い得るので、前述の故障事例は、一般に回避されるべきである。さらに、既存のシャフトジェネレータの故障事例は、一般に、主機関を遮断して、シャフトジェネレータを後でメンテナンスすることによってのみ解決することができ、それによって、問題の船舶は使用不能になる。これは、特に、外洋においては回避されるべきである。
【0008】
前述の説明により、柔軟で、安価で、単純で、かつ/又はコンパクトなシャフトジェネレータの設置、及び安全な動作が可能であり、特に、後付けという選択肢が利用可能なシャフトジェネレータの開発が求められている。したがって、本発明の目的は、前述の問題点を克服し、最小限の空間を必要としながら、特に安全な動作を確保するために、シャフトジェネレータと、シャフトジェネレータ、及びシャフトを備える駆動ユニットを有するエネルギー生成及び/又は駆動システムとを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、独立請求項1において教示されたシャフトジェネレータ、独立請求項14において教示された、シャフトジェネレータ及びシャフトを備える駆動ユニットを有するエネルギー生成及び/又は駆動システム、並びに独立請求項15に教示された対応する船舶によって、驚くほど簡単であるが効果的な方法で達成される。
【0010】
本発明によると、発電プロセス時に発電及び/又はモータ動作時に動力供給をするシャフトジェネレータが提案され、シャフトジェネレータは、ステータと、ロータとを備え、ロータは、駆動ユニットのシャフトの周りに、特に軸受なしで配置されるように構成され、ステータは、ロータの周りに配置されるように構成される。本発明に係るシャフトジェネレータは、少なくとも2つの周波数変換器をさらに備え、ステータは、少なくとも2つのステータセグメントに分離可能であり、少なくとも2つのステータセグメントのそれぞれには、少なくとも2つの周波数変換器の1つが割り当てられている。
【0011】
本発明に係るシャフトジェネレータは、ステータを、少なくとも2つのステータセグメントに分割可能及び/又は分離可能にすることにより、まだシャフトジェネレータを有していない既存のアプリケーションの改造が可能になるという概念に基づいている。すなわち、例えば、シャフトジェネレータのない船舶において、残存する駆動シャフトの変形を必要とすることなく、本発明に係るシャフトジェネレータを後付けすることが可能である。したがって、シャフトジェネレータの、特に効果的かつ迅速な設置が確保される。設置の柔軟性もまた圧倒的に向上される。これらの作用は、従来のシャフトジェネレータを使用してはこれまで不可能であった。同様に、本発明に係るシャフトジェネレータは、駆動ユニットのシャフトに直接接続され得ること、すなわち、ギヤシステムを相互に接続する必要がないことを特徴とし、これは、ほとんど空間を必要とせず、後付け可能な、特にコンパクトな設計が可能であることを意味する。
【0012】
同様に、本発明に係るシャフトジェネレータは、故障の場合に、故障部品、例えば、ステータセグメントの1つにおける短絡又は短絡コイルの単純かつ迅速な除去が、それらの大部分が個々に分離可能であることにより可能となるという利点を有する。これにより、シャフトジェネレータの特に安全な動作が可能になる。特に好ましくは、少なくとも2つのステータセグメントは、可逆的に分離可能であるように設計され、故障の場合に、手動で及び/又は(半)自動的に開かれるか又は分離され得る。
【0013】
少なくとも2つのステータセグメントが故障時に自動的に分離され、結果として生じる損傷を防ぐための直接的な反応が可能であれば、有利であると思われる。これは、例えば、ロボット制御を介して行うことができる。特に好ましくは、少なくとも2つのステータセグメントは、ロータから切り離されるために開放又は分離された後に、ロータに対して個別にそれぞれ変位され得る。その結果、故障イベント又は故障(望ましくないブロッキングなど)を即座に除去できる。少なくとも2つのステータセグメントが個々に分離可能であることにより、ステータセグメントのうちの1つにおいて故障イベントが発生した後でさえ、部分負荷で、すなわち残りのステータセグメントを使用することで、シャフトジェネレータの動作を継続できる。事後的に故障したステータセグメントを交換することも可能であり、これは、シャフトジェネレータが特に長い耐用年数を有することを意味する。さらに、ステータが少なくとも2つのステータセグメントに分離可能であることにより、故障部品(すなわち、ステータセグメント)を個別に除去できるため、短絡電流及び/又は望ましくない制動モーメントを低減できる。その後、この目的のために駆動ユニットを止める必要なく、故障は終了する。言い換えれば、少なくとも2つのステータセグメントは、本発明に係るシャフトジェネレータの冗長性を向上させる。少なくとも2つのステータセグメントは、好ましくは別個の電気システムとして動作可能である。少なくとも2つのステータセグメントが分離可能であることは、好ましくは互いに並列にかつ互いに独立して動作できることを意味する。故障が発生した場合、シャフトジェネレータの動作は、部分負荷で維持できる。同時に、故障電流及び/又は故障に起因する制動モーメントは、故障したセグメントを除去する結果として、比例的に低減され得る。
【0014】
本発明に係るシャフトジェネレータの特定の利点は、ロータが、好ましくは無軸受で、すなわち、それ自体の軸受なしで、駆動ユニットの任意のシャフトの周りに位置又は配置され得ることである。ロータが、通常はそれ自体の軸受によりシャフトの周りに大きな労力で配置されなければならないという従来技術に関して、この実施形態は、特に、ロータがほぼメンテナンスフリーで動作できるという利点をもたらす。したがって、既存の軸受のメンテナンスは不要である。
【0015】
同様に、本発明に係るシャフトジェネレータは、1ミリ秒~数ミリ秒の範囲の迅速な応答時間と、98%より大きい高い効率とを特徴とする。95%より大きい割合は、全体的な効率の度合い、すなわち、提供された機械的なシャフトエネルギーから始まり、対応する周波数変換器の出口における電気エネルギーへのエネルギー変換までの効率の度合いとして示すことができる。
【0016】
本発明に係るシャフトジェネレータにより、例えば、これまで純粋に内燃機関動作式の駆動ユニットを備えていた船舶を、シャフトの純粋に電動式の駆動装置を介して、又は純粋なモータ動作で駆動されるシャフトジェネレータによって電動でサポートされたシャフトの駆動装置を介して、沿岸境界領域などのエミッション保護によって規制された水域において、エミッションフリーで又はエミッションを低減して船舶を運転することを可能にする。本発明に係るシャフトジェネレータは、好ましくは、パワーテイクイン(PTI)及びパワーテイクオフ(PTO)のために、すなわち、モータ動作時(PTI)に、又は必要とされる動力に応じた発電プロセス時(PTO)に、船舶部門で使用できる。PTIモードでは、好ましくは船舶に搭載されたシステム用の(電気)エネルギーを供給する電力ユニットが動作され得る。船舶を動作させるための(場合によっては追加の)機械的動力がシャフトジェネレータによってプロペラシャフトに直接提供される。このモードにおいて、シャフトジェネレータはシャフトモータとして作用する。これにより、例えば、船舶が港に入ったとき又は港で船舶を操縦するときに、燃焼式駆動ユニットの燃焼力を増加させる必要なく、電気によるブースト(又は推進)動作が可能になる。対照的に、PTOモードでは、好ましくは船舶のパワーユニット(通常、ディーゼル油で燃料供給される)を止めることができる。搭載されたシステムの運転に必要な電力は、シャフトジェネレータによって、場合によっては駆動ユニットからの排熱回収によって、エミッションフリーで供給できる。
【0017】
本発明に係るシャフトジェネレータをエネルギー管理システムに含めることは、シャフトジェネレータと(例えば燃焼ベースの)駆動ユニットとを備えるハイブリッド運転を可能にするために特に好ましいと思われる。
【0018】
「少なくとも2つ」という表現は、問題のコンポーネントに2つ以上のコンポーネントが存在し得ることを表している。したがって、シャフトジェネレータは、好ましくは2つの周波数変換器又は2つよりも多い周波数変換器を備えることができる。同様に、ステータは、2つのステータセグメント又は2つよりも多いステータセグメントを備えることができる。この表現は、対応するコンポーネントとは無関係に等価的に解釈されるべきである。
【0019】
発電プロセス時に発電及び/又はモータ動作時に動力供給をするための「シャフトジェネレータ」という用語は、本発明に係るシャフトジェネレータが、純粋に発電プロセス時に動作可能であり、かつ純粋にモータ動作時に、すなわちシャフトモータとして動作可能であることが、本願において理解されるべきである。この場合の「シャフトジェネレータ」という用語は、発電プロセス時の動作とモータ動作時の動作との両方を含む。シャフトジェネレータは、好ましくは電磁機械のように、例えば、永久磁石によって励磁される同期機として、又は外部励磁される同期機として構成される。一般に、シャフトジェネレータはまた、他の電磁機械、例えば、非同期機、横方向磁束機、直流機などとして構成することもでき、それぞれの例において異なる電磁構造が必要とされる。シャフトジェネレータが発電プロセス時に動作するときには、駆動ユニットのシャフト(シャフトジェネレータに属さない)の回転、例えば船舶の内燃機関のシャフトの回転は、電磁電力変換を介して対応する周波数変換器の出口で電力を供給するために使用される。これに関連して、ロータは、ステータ内のシャフトの外部励起回転によって回転し、したがって、定義可能な電磁電力密度を有する回転電磁場を生成する。周波数変換器によって、周波数が安定した出力電力を提供され、様々なユーザによって使用され得る。シャフトジェネレータ(シャフトモータ)がモータ動作時に動作するときには、周波数変換器を介して、ステータの電磁極に電力が供給される。このようにして励磁されたステータ内の回転磁界を介して、シャフトを用いて回転可能なロータが回転するように誘導される。ロータは、シャフトに対して不動となるようにシャフトの周りに配置されているため、シャフトは、ロータと共に回転しかつ例えば船舶のプロペラを動作させることができる。
【0020】
「駆動ユニットのシャフトの周りに、特に無軸受で、配置されるように構成される」という表現は、ロータが、好ましくは遡及して既存のシャフトの周りに配置され得ることを表している。ロータは、対応するシャフトに、当該シャフトに対して回転できないように、すなわち、当該シャフトに固定されて(好ましくは可逆的に取り外し可能な方法で)接続されるように、取り付けられることが好ましい。ロータとシャフトとの間には、従来技術とは対照的に、軸受は設けられていない。したがって、ロータが、既存のシャフトに、当該シャフトの周りに固定されるように配置され得る場合には、特に有利である。
【0021】
「ステータは、ロータの周りに配置されるように構成される」という表現は、ステータが、ロータの周りに、好ましくは接触せずに配置され得ることを表している。したがって、ロータは、好ましくはシャフトの周りに取り付けられ、その結果、ステータは、ロータの周りにできる限り同心円状に固定されて配置される。ステータは、ロータの周りに配置された後、少なくとも2つのステータセグメントに分離可能であるため、ロータの周りに永久的に配置されるのではなく、可逆的に配置される。ステータセグメントは、好ましくは、ロータから個々に取り外し又は分離できる。実質的に中空円筒形のステータの内周面と実質的に環状のロータとの間に、この配置、好ましくは同心の配置において、半径方向に空隙が存在する。したがって、ステータ及びロータは、この配置では物理的に接触していないことが好ましい。
【0022】
この場合の「ロータ」という用語は、電気機械、この場合はシャフトジェネレータの回転部分であると理解される。代わりに、ロータはまた、アーマチャ、可動部品、又は回転部品と呼ばれることもある。ロータは、一般に、移動しないステータによって取り囲まれていて、非常に薄い空隙によってステータから分離されるだけである。ロータは、例えば、いくつかの構成では、円筒形であり得る。ロータは、互いに電気的に絶縁された層状の電磁鋼板を含むことができる。ロータの円周に亘って分布して、溝を、ロータの回転軸に平行な電磁鋼板に導入することができ、当該溝は、いわゆるロータ巻線を受容する。シャフトジェネレータの所望の極対数から、ロータ巻線の数が決定され、極対当たり2つのロータ巻線が設けられる。一般に、ロータは、ロータ巻線の代わりに、永久磁石(つまり、生成されたときに永久的に磁化された永久磁石)を備えることができ、それによって、1つ以上の極対が提供される。この種の永久磁石は、例えば、同期機の一部である永久磁石機械において一般に使用される。これに関連した利点は、ロータ磁界を生成するために動作中に必要とされる電気エネルギーが不要であるため、効率がより高いことである。
【0023】
この場合の「ステータ」という用語は、シャフトジェネレータにおいて動かない部分として理解される。ステータは、固定部品とも呼ばれる。少なくとも2つのステータセグメントが組み立てられた状態では、ステータは、好ましくは実質的に中空円筒形である。いくつかのステータ巻線は、ステータの円周に亘って分布して、ロータの回転軸に平行に配置され得る。特に中・高性能範囲では、対応する流れ断面を提供するために、個々の巻線の代わりに、ほぼ銅製の棒状(電線)ストランドを使用することが好ましい。ストランドは、互いに絶縁された個々の導体ループの形態でそれぞれ提供される。ストランドは、センチメートル範囲の断面を有することができる。シャフトジェネレータの選択された極対数は、ステータ巻線の数を決定する。
【0024】
「極対数p」という用語は、回転電機内の磁極対の数を示し、結果として、2つの極の組の数を示す。
【0025】
「周波数変換器」という用語は、交流電源電圧から異なる種類の交流電圧(振幅及び/又は周波数がずれている)を生成する電力変換器を示す。このとき、出口周波数及び出口振幅は、好ましくは可変である。周波数変換器は、それらの構造タイプに応じて、単相交流電圧、三相交流電圧、又は直流電圧によって給電され得るとともに、そこから所定周波数を有する三相交流電圧を生成できる。
【0026】
したがって、本発明に係るシャフトジェネレータによって、故障部品の、簡単で、迅速で、かつ信頼できる取り外しを介して、その一貫した安全な運転を保証できるとともに、内燃機関のみを使用して運転される船舶に比べて、大幅なエミッションの節約を達成できる。同時に、この種のシャフトジェネレータの、柔軟で、安価で、簡単で、及び/又はコンパクトな設置が可能になり、設置スペースをほとんど必要としないコンパクトな設計を有する、迅速で、簡単で、かつ柔軟な改造が可能になる。加えて、特に、構成要素の数が低減された、簡単かつコンパクトな構造タイプにより、製造コスト及び材料コスト、並びに総重量を大幅に低減できる。
【0027】
個々に又は組み合わせて実現できる本発明のさらなる有利な実施形態は、従属請求項に示されている。
【0028】
本発明の一実施形態では、ロータが少なくとも2つのロータセグメントに分離可能であることが考えられる。この実施形態は、セグメントに分離可能であるため、ロータを任意の駆動ユニットの任意のシャフトの周りに後で配置することができ、かつ/又は、相対回転不能にロータをシャフトジェネレータに後で固定できるので、シャフトジェネレータを後付けすることに関して特に有利である。これにより、ロータを既存のシャフト上に自由に配置できる。したがって、既存のシャフトは、ロータを配置できるようにするために、特別に変更される必要はない。少なくとも2つのロータセグメントのシャフトへの可逆的な相対回転不能な接続の可能性は、例えば、ねじなどの1つ以上のクランプ要素を介して提供され得る。他のタイプの可逆的に取り外し可能な相対回転不能な締結も可能である。溶接、はんだ付け、又は接着などの他の非可逆的接続は、一般に少なくとも考慮され得る。しかしながら、このようにすると、ロータをシャフトから可逆的に取り外すことができなくなる。少なくとも2つのステータセグメントに関連して言及された利点及び実施形態は、明示的に言及する必要なく、少なくとも2つのロータセグメントに対応して当てはまる。
【0029】
本発明の一実施形態では、少なくとも2つのステータセグメントが半径方向及び/又は軸方向に変位するようにそれぞれ構成されることが考えられる。したがって、問題のセグメントの電磁的分離が容易に可能である。問題のセグメントは、変位によりシャフトジェネレータの残りの構成要素から離間され、もはやそれらと電磁的に相互作用しない。本発明の一実施形態では、少なくとも2つのロータセグメントが半径方向及び/又は軸方向に変位するようにそれぞれ構成されることも同様に考えられる。したがって、ステータセグメント及び/又はロータセグメントは、個々に分離され、他のステータセグメント及び/又はロータセグメントに対して軸方向及び/又は半径方向に変位可能である。半径方向に変位可能であることは、問題のセグメントがロータの回転軸の周りの半径方向に並進的に移動できることを意味する。軸方向変位の変位は、問題のセグメントがロータの回転軸に対して並進的に離れるように移動できることを意味する。したがって、問題のセグメントをシャフトジェネレータから分離できる。故障が発生したときには、例えば、故障したセグメントは、まずシャフトジェネレータから分離され、次いで、シャフトジェネレータの電磁システムから完全に切り離しできるように、シャフトジェネレータから離れるように移動され得る。問題のセグメントを異なる方向に移動させることもできる。さらに、対応するセグメントが半径方向に垂直に、及び/又は軸方向に垂直に、又は曲線軌道に沿って移動可能であることが一般に考えられる。この場合の「セグメント」という用語は、1つ以上のステータセグメント及び/又はロータセグメントを等しく示すことができることに留意されたい。
【0030】
半径方向及び/又は軸方向の変位可能性は、例えば、少なくとも2つのステータセグメント及び/又は少なくとも2つのロータセグメントが配置されるレールガイドを介して確保できる。したがって、特に好ましくは、シャフトジェネレータは、少なくとも2つのステータセグメント及び/又は少なくとも2つのロータセグメントが互いに対して変位可能であるように配置され、これにより、互いに対して軸方向及び/又は半径方向に変位され得るような、少なくとも1つのレールガイドを有する。少なくとも2つのステータセグメント及び/又は少なくとも2つのロータセグメントは、好ましくは直線状のトラック(例えば、レールガイド)に沿って、好ましくは互いに対して反対方向に変位可能である。少なくとも2つのステータセグメント及び/又は少なくとも2つのロータセグメントが、このように変位するために配置される、ロボットアーム、クレーンガイドなどの他の変位システムが考えられ、適用可能な場合には、有利になる。
【0031】
本発明の一実施形態では、少なくとも2つのステータセグメントが、対応する周波数変換器によって、モータ動作時及び/又は発電プロセス時に、互いに独立して動作するように、それぞれ構成されることが考えられる。したがって、2つのステータセグメントは、互いに独立して動作可能な自律システムをそれぞれ形成することが好ましい。したがって、例えば、ステータの半分が不具合を有し、結果として取り除かれなければならない場合、シャフトジェネレータの動作は、ステータの半分だけを使用して継続できる。パーツシステムは、特に、それぞれがステータセグメント当たり完全な数の極対を有するステータ巻線を有する個別のステータセグメントによって提供され得る。したがって、対応するステータセグメントは、例えば、2、4、6、8、又は10極の巻線(すなわち、1、2、3、4又は5極対)を備えることができる。個々のパーツシステムは、少なくとも2つの変換器を備えるシャフトジェネレータによって提供され得る。これに関連して、各ステータセグメントには周波数変換器が割り当てられ、これは各ステータセグメント自体がそれ自体の周波数変換器を介して動作可能であることを意味する。
【0032】
加えて、特に好ましくは、問題の対応するコンバータを、問題のステータセグメントにおける故障検出のために使用可能である。問題の周波数変換器が、例えば欠陥電流の形で不具合を検出する場合、対応する不具合のあるステータセグメントの自動分離及び移動を開始することができ、及び/又は警告信号を出力した上でステータセグメントの、手動での分離及び移動を行うことができる。
【0033】
本発明の一実施形態では、ステータが4、6、8、又は10個のステータセグメントに分離可能であり、及び/又はロータが4、6、8、又は10個のロータセグメントに分離可能であることが考えられる。言い換えれば、ステータ及び/又はロータは、より多くのセグメントに分離することができ、これは、ステータ及び/又はロータは、互いに独立して動作可能な3つ以上のパーツシステムに分離可能であるように構成できる。好ましくは、ステータ及び/又はロータは、2の偶数倍に対応する数のセグメントを有する。一般に、ステータ及びロータは、異なる数のセグメントを有することが考えられる。したがって、例えば、ステータが4つのセグメントに分割できる一方、ロータが2つのセグメントに分離できる。一般に、電気工学の観点から、ステータ及び/又はロータが3、5、7、9又はそれ以上の奇数のセグメントに分割可能であることも考えられる。
【0034】
本発明の一実施形態では、少なくとも2つのステータセグメント及び/又は少なくとも2つのロータセグメントが、中空円筒セグメントの形態でそれぞれ設計されることが考えられる。ここで、「中空円筒セグメント」の用語は、対応するセグメントがその縦軸に沿って(軸)対称に分割された中空円筒の形状を有することを意味する。例えば、ステータが2つの部分に分離可能である場合、対応するステータセグメントは、例えば、中空円筒の半割ケースの形状を有する。ステータ及び好ましくはロータは、ステータ及び好ましくはロータがロータの回転軸及びそれに直交する半径方向にまたがる切断平面に沿って分離されるように、セグメントに分割されることが好ましい。
【0035】
本発明の一実施形態では、少なくとも2つの周波数変換器のそれぞれが、モータ動作時及び/又は発電プロセス時に、少なくとも2つのステータセグメントのうち対応するステータセグメントを動作させるように構成されることが考えられる。したがって、対応する周波数変換器によって、シャフトジェネレータを、-100%(純粋なモータ動作に対応する)から0%(シャフトジェネレータのエンジンアイドルに対応する)を超えて+100%(純粋な発電プロセスに対応する)まで、好ましくは連続的に可変に制御することができる。対応する周波数変換器及び対応して割り当てられたステータセグメントにより、内蔵型パーツシステムが形成される。この種のパーツシステムを介して、シャフトジェネレータの発電プロセス及びモータ動作が、少なくとも部分負荷でロータと共に可能になる。
【0036】
本発明の一実施形態では、シャフトジェネレータが、500キロワット~15000キロワットの出力範囲を有することが考えられる。一般に、他の出力範囲も考えられる。したがって、シャフトジェネレータは、好ましくは発電プロセス時に500キロワット~15000キロワットの電力、又はモータ動作時に500キロワット~15000キロワットの、軸で利用可能になる機械的動力を提供できる。
【0037】
本発明の一実施形態では、シャフトジェネレータの動作状態においてステータとロータとの間に、1ミリメートル、2ミリメートル、3ミリメートル、4ミリメートル、5ミリメートル、6ミリメートル、7ミリメートル、8ミリメートル、9ミリメートル、10ミリメートル、11ミリメートル、12ミリメートル、13ミリメートル、14ミリメートル、15ミリメートル、16ミリメートル、17ミリメートル、18ミリメートル、19ミリメートル、20ミリメートル、21ミリメートル、22ミリメートル、23ミリメートル、24ミリメートル、25ミリメートル、26ミリメートル、27ミリメートル、28ミリメートル、29ミリメートル、から少なくとも30ミリメートルまでのサイズの空隙が存在すること考えられる。ロータとシャフトとの間には軸受がないため、本発明に係るシャフトジェネレータの空隙は、主に1ミリメートル~1.5ミリメートルのサイズを有する従来の空隙よりも大きい。従来と比較して空隙が大きいにもかかわらず、電磁損失は無視できるものとみなされる。これは、98%を超えるシャフトジェネレータの高い効率が依然として提供されることを意味する。本発明の範囲において、前述の軸受は、結果として大きく形成された空隙に関連する効率の不利な点(より大きな磁気損失による)があることよりも多くの利点を有することが理解される。
【0038】
本発明の一実施形態では、ステータが少なくとも150センチメートル、200センチメートル、250センチメートル、300センチメートル、350センチメートル、400センチメートル、から少なくとも500センチメートルまでの直径を有することが考えられる。一般に、ステータのより大きな構成も考えられる。例えば、ステータは、600センチメートル、700センチメートル、800センチメートル、900センチメートル又はそれ以上の直径を有することができる。この場合、明示的に記載されていないステータの他の全ての中間サイズも含まれることに留意されたい。
【0039】
本発明の一実施形態では、シャフトジェネレータが3000キログラム~30000キログラムの総重量を有することが考えられる。シャフトジェネレータのより軽い又はより重い構成も一般に考えられる。重量は特に、当業者の専門知識及びシャフトジェネレータの所望の用途によって決まる対応する材料選択に依存する。
【0040】
本発明の一実施形態では、ステータ、ロータ、及び少なくとも2つの周波数変換器が電気同期機の構成要素を形成することが考えられる。したがって、シャフトジェネレータは、好ましくは永久磁石によって励磁されるか、又は外部から励磁される同期機として設計される。
【0041】
上記の用語の定義及び詳細は、反対する他の記載がなければ、この説明及び以下に記載される全ての態様に関連するものとみなされる。
【0042】
また、本発明は、本発明に係るシャフトジェネレータを有しかつシャフトを含む駆動ユニットを有するエネルギー生成及び/又は駆動システムであって、ロータがシャフトの周りに配置され(好ましくは無軸受)、ステータがロータの周りに配置され、シャフトが駆動ユニット及び/又はシャフトジェネレータによって回転可能なエネルギー生成及び/又は駆動システムも含む。この種の駆動ユニットのシャフトは、例えば、40メートル以上の長さを有することができ、例えば、船舶の胴体領域に配置可能である。
【0043】
特に好ましくは、本発明に係るシャフトジェネレータ、又はこの種のシャフトジェネレータを有するエネルギー生成及び/又は駆動システムは、船舶分野、特に貨物船、輸送船、海軍船、巡航船、ヨット、タンク船、研究船において使用される。しかしながら、本発明に係るシャフトジェネレータ、又はこの種のシャフトジェネレータを有する本発明に係るエネルギー生成及び/又は駆動システムの適用は、船舶部門に限定されず、一般に、任意の種類の駆動システムの回転可能なシャフトが使用される場合に適用され得る。
【0044】
さらに、本発明に係るシャフトジェネレータ、及び/又は、本発明に係るエネルギー生成及び/又は駆動システムを有する船舶は、他の場所で詳細に説明されるように、本発明によって構成される。
【0045】
本発明のさらなる詳細、特徴、及び利点は、従属請求項に関連する好ましい例示的な実施形態の以下の説明から理解できる。対応する特徴は個々に、又は互いの任意の組合せで実現できる。なお、この実施形態によって本発明が限定されるものではない。例示的な実施形態は、図に概略的に示されている。個々の図面における同じ参照番号は、同じ要素又は機能的に同じ、若しくはそれらの機能に関して互いに対応する要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】
図1は、運転状態にあるシャフトジェネレータ及び駆動ユニットのシャフトの斜視図を示す。
【
図2】
図2は、互いに対して半径方向に変位された、分離されたステータセグメントを有するシャフトジェネレータの斜視図を示す。
【
図3】
図3は、駆動ユニットのシャフトを含む、互いに対して半径方向に変位された、分離されたロータセグメントの斜視図を示す。
【
図4】
図4は、閉鎖状態にある2つのステータセグメントの斜視図を示す。
【
図5】
図5は、互いに対して半径方向に変位した、分離されたステータセグメントの斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1は、本発明に係るシャフトジェネレータ01の例示的な実施形態を示す。シャフトジェネレータ01は、ステータ02と、ロータ03とを有する。ここでは、ロータ03はシャフト04上に固定して配置され、かつ/又は無軸受で、すなわち軸受なしで、シャフトに相対回転不能に接続される。シャフト04は、例えば、船舶エンジンなどの駆動ユニット(図示せず)によって動作可能な船舶プロペラシャフトである。ここでは、ステータ02は、ロータ03の周りに同心円状に配置される。ロータ03は、空隙(図示せず)を介してステータ02から非接触で分離されていて、ステータ02の内側で回転可能である。
【0048】
本発明によると、ステータ02は、少なくとも2つのステータセグメント05,06を有する。ここでは、ステータ02は、第1ステータセグメント05及び第2ステータセグメント06を有する。ステータセグメント05,06は、それぞれ半割ケースである。ステータセグメント05,06は、互いに分離可能であり、ステータセグメント05,06は、
図1に示す状態で可逆的に着脱可能となるように組み立てられている。これは、ステータ02がこの状態で実質的に中空円筒の形状を有することを意味する。両方のステータセグメント05,06は、例えば、ステータセグメント05,06のタブ07に設けられ得る、可逆的クランプ又はネジ接続によって、ステータ02を形成するために互いに接続され得る。タブ07は、端面にそれぞれ配置される。ここでは、タブ07は、ステータセグメント05,06の対応する端部に、半径方向の突出部として設けられる(
図4及び5も参照)。ステータセグメント05、06が、ステータ02を形成するために組み立てられた後に、互いに、好ましくは個々に分離可能であることを保証する他の接続も一般に考えられる。
【0049】
さらに、シャフトジェネレータ01は、少なくとも2つの周波数変換器(より明確にするために
図1には示されていない)、すなわち、少なくとも1つの第1周波数変換器08と少なくとも1つの第2周波数変換器09とを備える。
図1には、第1周波数変換器08を接続するための第1クランプボックス08aと、第2周波数変換器09を接続するための第2クランプボックス09aとが示されているのみである。2つのステータセグメント05,06の各々には、少なくとも2つの周波数変換器08,09のうちの1つが割り当てられる。ここでは、第1周波数変換器08は、第1ステータセグメント05に割り当てられ、すなわち、第1ステータセグメント05に電気的に接続されている。第2周波数変換器09は、第2ステータセグメント06に割り当てられ、すなわち、第2ステータセグメント06に電気的に接続されている。対応する周波数変換器08,09は、対応するステータセグメント05,06と共に、ロータ03と相互作用する発電プロセス時及びモータ動作時の両方で互いに独立して動作できる、自己完結型電磁アクティブシステムをそれぞれ形成する。
【0050】
さらに、シャフトジェネレータ01は、ロータ03の回転軸11及び/又はシャフト04の回転軸11に対して直角に配向されたレールガイド10を有する。少なくとも2つのステータセグメント05,06のそれぞれに、ガイド12が設けられている。各ガイド12は、各ガイド12の端部のうちの一方において、対応するステータセグメント05,06に、例えば溶接されて、固定的に接続されている。各ガイド12は、他方の端部において、レールガイド10に係合し、これにより、ガイド12は、レールガイド10上に移動可能に配置される。本発明によると、各ステータセグメント05,06を対応する他のステータセグメントから分離することが可能である。レールガイド10により、分離されたステータセグメント05,06を、それぞれ個々にロータ03から半径方向に離間させることができる。
【0051】
図2では、例えば、両方のステータセグメント05、06が、互いに半径方向の反対側に、レールガイド10に沿ってロータ03から離れるようにそれぞれ変位させられることが示されている。したがって、ステータセグメント05,06は、それぞれ、ロータ03から電磁的に切り離される。ステータセグメント05,06のうちの1つに不具合があると、前記の理由により、ステータセグメントを効果的に切り離すことができる。したがって、ロータ03は、故障の際に火災の危険を引き起こす可能性があるステータへの電磁供給が行われることなく、シャフト04と共に回転し続けることができる。
【0052】
図3では、ロータ03は、単品図で、すなわち、シャフト04はあるがステータ02がない状態で示されている。
図3に示すように、ロータ03は、本発明によって意図されるように、少なくとも2つのロータセグメント13、14に分離できる。したがって、ここでは、ロータ03は、第1ロータセグメント13及び第2ロータセグメント14を有する。両方のロータセグメント13,14は、ロータ03を軸対称に2つの半体に分離する。ロータ03、又は、ここではむしろロータセグメント13、14は、それぞれが交互の極性を有する永久磁石極を有し、永久磁石極は対応するロータセグメント13、14の外周に沿って、すなわち、対応する部分的な周面に配置される。
図3では、明確に区切られた永久磁石極は描かれておらず、永久磁石極は、単に概略的に示されているに過ぎない。ここでは、ロータ03は、永久磁石によって励起される同期機の一部を形成する。ここでは、ロータセグメント13、14は、スポークのような内部を有するように設計されている。したがって、ロータ03は、連続する円形ディスクとして設計されず、むしろ、複数の凹部を有するホイールリムにより類似した形状を有する。これらは、実質的に、重量を低減し、ロータ03を始動するときの初期慣性モーメントを減少させるのに役立つ。
【0053】
図4及び
図5では、ステータ02は、単品図で再び示されている。
図4では、ステータ02は、
図1に示したように、組み立てられた状態で示されている。
図5では、ステータ02は、少なくとも2つのステータセグメント05,06が、互いに分離されて、レールガイドに沿って半径方向に互いに離れるように移動された状態で示されている。図から、ステータ02は、互いに隔離されるようにステータ02の内周面に沿って分布する複数のステータ巻線15を備えることが分かる。ステータ巻線15の数は、シャフトジェネレータ01の極対の数によって決定される。
【国際調査報告】