(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】故障位置特定、隔離及びシステム復旧(FLISR)システム
(51)【国際特許分類】
H02H 3/06 20060101AFI20240822BHJP
H02H 3/00 20060101ALI20240822BHJP
H02H 3/02 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
H02H3/06 D
H02H3/00 Q
H02H3/02 N
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508779
(86)(22)【出願日】2022-06-30
(85)【翻訳文提出日】2024-04-04
(86)【国際出願番号】 US2022035864
(87)【国際公開番号】W WO2023018494
(87)【国際公開日】2023-02-16
(32)【優先日】2021-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505153993
【氏名又は名称】エス アンド シー エレクトリック カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100123869
【氏名又は名称】押田 良隆
(72)【発明者】
【氏名】マイジンガー.マイケル.ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ビショップ.マーティン.ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ.スティーブン.イー.
【テーマコード(参考)】
5G142
【Fターム(参考)】
5G142AA15
5G142AA16
5G142AC01
5G142BC01
5G142BD02
5G142FF07
5G142FF33
5G142HH02
5G142HH28
(57)【要約】
故障位置特定、隔離及びシステム復旧を採用する電力ネットワークを提供する。当該システムは、故障遮断器の下流側に電力線に沿って電気的に結合される複数のスイッチング装置も含む。各スイッチング装置は電流・電圧検知機能と、故障の存在を検出するパルス検査を行う機能を有する。故障遮断器が再閉路動作を行い、当該再閉路動作と連動して複数のスイッチング装置が故障電流の検出を所定回数行い、電圧の損失を検出すると、スイッチング装置は各々開放する。スイッチング装置が開放すると、故障遮断器は閉じ、その後、複数のスイッチング装置がパルス検査を行い、電圧の戻りを検出して故障の存在を検出しなかったときに最上流側のスイッチング装置から閉じ、故障に最も近いスイッチング装置がパルス検査を行い、故障の存在を検出し、開いた状態でロックされるまでパルス検査が連続的に行われる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力ネットワークの電力復旧システムであって、前記システムが、
電力線と、
前記電力線に電力を供給する少なくとも1つの電源と、
前記電力線と電気的に結合され、故障電流を検出して再閉路動作を行う少なくとも1つの故障遮断器と、
前記少なくとも1つの故障遮断器の下流側に前記電力線に沿って電気的に結合される複数のスイッチング装置であって、前記複数のスイッチング装置の各々が、電流・電圧検知機能を有し、低エネルギーパルスを使用して故障の存在を検出するパルス検査を行う機能を有し、且つ同一又は同様の開放応答時間を有するスイッチング装置と
を備え、前記電力線の故障に応じて前記少なくとも1つの故障遮断器が再閉路動作を行い、前記故障遮断器により行われる再閉路動作と連動して前記複数のスイッチング装置が故障電流の検出を所定回数行い、前記少なくとも1つの故障遮断器が開いたときに前記複数のスイッチング装置が電圧の損失を検出すると、前記複数のスイッチング装置が再度開放することを特徴とする電力復旧システム。
【請求項2】
前記複数のスイッチング装置が前記所定回数の故障電流を検出した結果開いたときに、前記少なくとも1つの故障遮断器は閉じ、前記複数のスイッチング装置がパルス検査を行い、電圧の戻りを検出して故障の存在を検出しなかったときに最上流側のスイッチング装置から閉じ、故障に最も近いスイッチング装置がパルス検査を行い、故障の存在を検出し、開いた状態でロックされるまで前記パルス検査が連続的に行われることを特徴とする請求項1に記載の電力復旧システム。
【請求項3】
前記複数のスイッチング装置が、外部の通信システムを用いて互いに通信しないことを特徴とする請求項1に記載の電力復旧システム。
【請求項4】
前記複数のスイッチング装置が、故障遮断器でないことを特徴とする請求項1に記載の電力復旧システム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの電源が、前記電力線の一端に電力を供給する第一の電源及び前記電力線の他端に電力を供給する第二の電源であり、前記少なくとも1つの故障遮断器が、前記電力線の前記一端における第一の故障遮断器及び前記電力線の前記他端における第二の故障遮断器であることを特徴とする請求項1に記載の電力復旧システム。
【請求項6】
前記電力ネットワークが、中圧配電ネットワークであることを特徴とする請求項1に記載の電力復旧システム。
【請求項7】
前記電力ネットワークが、高圧送電ネットワークであることを特徴とする請求項1に記載の電力復旧システム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの電源が、変電所であることを特徴とする請求項1に記載の電力復旧システム。
【請求項9】
送電ネットワークの電力復旧システムであって、前記システムが、
送電線と、
前記送電線の一端に高圧電力を供給する第一の変電所と、
前記送電線の他端に高圧電力を供給する第二の変電所と、
前記送電線の前記一端と電気的に結合され、故障電流を検出して再閉路動作を行う第一の故障遮断器と、
前記送電線の前記他端と電気的に結合され、故障電流を検出して再閉路動作を行う第二の故障遮断器と、
前記第一及び第二の故障遮断器間の前記送電線に沿って電気的に結合される複数のスイッチング装置であって、前記複数のスイッチング装置の各々が、電流・電圧検知機能を有し、故障の存在を検出するパルス検査を行う機能を有し、且つ同一又は同様の開放応答時間を有するスイッチング装置と
を備え、前記送電線の故障に応じて前記第一及び第二の故障遮断器が再閉路動作を行い、前記故障遮断器により行われる再閉路動作と連動して前記複数のスイッチング装置が故障電流の検出を所定回数行い、前記故障遮断器が再閉路動作の後開いたときに前記複数のスイッチング装置が電圧の損失を検出すると、前記複数のスイッチング装置が再度開放することを特徴とする電力復旧システム。
【請求項10】
前記複数のスイッチング装置が開放したときに前記故障遮断器は閉じ、前記複数のスイッチング装置がパルス検査を行い、電圧の戻りを検出して故障の存在を検出しなかったときに最上流側のスイッチング装置から閉じ、故障に最も近いスイッチング装置がパルス検査を行い、故障の存在を検出し、開いた状態でロックされるまで前記パルス検査が連続的に行われることを特徴とする請求項9に記載の電力復旧システム。
【請求項11】
前記複数のスイッチング装置が、外部の通信システムを用いて互いに通信しないことを特徴とする請求項9に記載の電力復旧システム。
【請求項12】
前記複数のスイッチング装置が、故障遮断器でないことを特徴とする請求項9に記載の電力復旧システム。
【請求項13】
電力ネットワークにおける電力復旧方法であって、
電力線に沿って分散配置される少なくとも1つの故障遮断器及び複数のスイッチング装置が、少なくとも1つの電源から故障へ流れる前記電力線の故障電流を検出する工程と、ここにおいて前記複数のスイッチング装置の各々が、電流・電圧検知機能を有し、故障の存在を検出するパルス検査を行う機能を有し、且つ負荷の影響下で同一又は同様の開放応答時間を有し、
前記少なくとも1つの故障遮断器が再閉路動作を行い、故障がまだ存在するか否かを判断する工程と、
前記少なくとも1つの故障遮断器により行われる再閉路動作に応じて、前記複数のスイッチング装置が故障電流を検出する回数を蓄積する工程と、
蓄積された回数が所定回数に達したとき前記複数のスイッチング装置がすべて開放され、前記少なくとも1つの故障遮断器が再閉路動作の後開いたときに前記複数のスイッチング装置が電圧の損失を検出する工程と、
前記複数のスイッチング装置が開放したとき前記少なくとも1つの故障遮断器が閉じる工程と、
前記複数のスイッチング装置がパルス検査を行い、電圧の戻りを検出して故障の存在を検出しなかったときに最上流側のスイッチング装置から閉じ、故障に最も近いスイッチング装置がパルス検査を行い、故障の存在を検出し、開いた状態でロックされるまで連続的にパルス検査を行う工程と
を含むことを特徴とする電力復旧方法。
【請求項14】
前記複数のスイッチング装置が、外部の通信システムを用いて互いに通信しないことを特徴とする請求項13に記載の電力復旧方法。
【請求項15】
前記複数のスイッチング装置が、故障遮断器でないことを特徴とする請求項13に記載の電力復旧方法。
【請求項16】
前記電力線の故障電流を検出する工程が、前記電力線の一端における第一の電源及び前記電力線の他端における第二の電源から流れる電力線の故障電流の検出を含み、前記少なくとも1つの故障遮断器が、前記電力線の前記一端における第一の故障遮断器及び前記電力線の前記他端における第二の故障遮断器であることを特徴とする請求項13に記載の電力復旧方法。
【請求項17】
前記電力ネットワークが、中圧配電ネットワークであることを特徴とする請求項13に記載の電力復旧方法。
【請求項18】
前記電力ネットワークが、高圧送電ネットワークであることを特徴とする請求項13に記載の電力復旧方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの電源が、変電所であることを特徴とする請求項13に記載の電力復旧方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年8月12日に出願された米国仮特許出願第63/232,318号に基づく優先権の利益を主張するものであり、その開示全体はその目的を問わず参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に、故障位置特定、隔離、システムを採用する電力ネットワークに関する。
【背景技術】
【0003】
電力ネットワークは電力系統と呼ばれることが多く、通常、ガスタービン、原子炉、石炭火力発電機、水力発電ダムなど発電機を有する発電所を含む。発電所は様々な中電圧で電力を供給し、変圧器によって高圧交流信号に昇圧され、通常は地域内にある変電所に電力を供給する高圧送電線に接続され、変圧器によって中電圧に降圧されて配電される。変電所は、様々な配電変圧器や側線接続に中電圧を供給する3本の単相給電線を含む三相給電線に、中圧電力を供給する。三相及び単相の側線は、様々な配電変圧器に中電圧を供給する給電線から分岐され、ここで電圧は低電圧に降圧され、家庭や企業などの負荷に供給される。上記のタイプの電力供給ネットワークは、通常、ネットワークを介した電力の流れを制御する、スイッチング装置、遮断器、再閉路装置、断続器などを含む。
【0004】
動物による電線の接触、落雷、電線上の枝木の落下、車両の電柱衝突など様々な要因で、定期的に電力供給ネットワークに障害が生じる。このような障害によって短絡が生じ、ネットワークの負荷が増大すると、変電所からの電流の流れが故障経路に沿って大幅に増加し、例えば通常の何倍もの電流が流れることがある。この電流量により、電線が著しく加熱し、場合によっては溶融し、更には変電所やネットワーク内の様々な部品に機械的損傷を与える可能性がある。多くの場合、このような故障は、持続的又は永久的な故障ではなく、一時的又は断続的な故障であり、例えば落雷など、故障の原因となったものが故障発生後短時間で取り除かれ、供給ネットワークはほぼすぐに正常に作動し始める。
【0005】
真空遮断器を採用する再閉路装置(recloser)などの故障遮断器が電力線に沿って電柱や地下回路に設けられ、再閉路装置はその下流への電力の流れを許可又は防止するスイッチを備える。再閉路装置は、給電線の電流と電圧を検出して電流の流れを監視し、故障事象中の大電流の検出などネットワーク回路上の問題箇所を示す制御装置を備える。このような故障大電流が検出されると、それに応じて再閉路装置が開き、その後少し遅れて閉鎖されて、故障が未だ存在するか否かを判断する。再閉路装置が開放後閉じたときに故障電流が流れると、再閉路装置は予め設定されたタイミングに従って直ぐに再開する。その後の開閉動作中に持続性故障を示す故障電流が2回又は複数回検出された場合、再閉路装置は開いたままとなり、検査のたびに検査間隔が長くなる場合がある。故障検出検査の一般的な再閉動作では、再閉路装置が開く前に約3~6サイクル又は50~100ミリ秒の故障電流が再閉路装置を通過するが、遅延曲線での検査では故障電流がはるかに長い時間流れる可能性があり、ネットワーク内の様々な機器に多大なストレスを与える可能性がある。
【0006】
上記問題を解決するために、当該技術分野ではパルス検査技術を用いた故障遮断器が開発されており、当該技術では、例えば真空遮断器接点の開閉がパルス方式で行われるため、故障が未だ存在するか否かを再閉路装置が判断している間は、複数の基本周波数サイクルの全故障電流がネットワークに印加されることはない。通常、パルスは基本周波数電流サイクルのおよそ2分の1であり、更に、このような故障遮断器は電圧波形上の適したポイントで閉路し、非対称電流を除去することで、大電流によるネットワーク機器へのストレスを低減する。
【0007】
故障が検出された場合、機器の損傷、人身傷害、火災などを防ぐために故障をネットワークから迅速に除去し、かつ故障遮断器上流の負荷が電源から切断されて負荷へのサービスが中断されないように、故障の上流にある最初の故障遮断器ができるだけ早く開放されることが望ましい。更に、何らかの理由で故障の上流にある最初の故障遮断器が開かなかった場合、故障の上流にある次の故障遮断器が開放されることが望ましい。これを達成するためには、所望の故障遮断器が故障に応じて開放されるように、ネットワークに何らかのタイプの通信又は協調保護方式を採用する必要がある。
【0008】
セクショナライザは、内蔵型の回路開放装置で、通常、再閉路装置又は回路遮断器などの電源側保護装置と組み合わせて使用され、配電ネットワークの故障区間を自動的に隔離する。セクショナライザは、通常、再閉路装置間に分散配置され、故障に応じてネットワークのより狭い区間を隔離するシステムを提供する。また、セクショナライザは通常、一連の故障電流と電圧の有無を観察して故障の存在を示すか、再閉路の試行回数をカウントし、所定の再閉路試行回数に達したときに装置内の通電接点を開いて回路を絶縁する。既存の配電回路用セクショナライザは、より精巧な故障隔離及び復旧プロセスの一環として、最初の故障事象とその後の再閉路装置初期事象の両方を含む故障電流の通過を検出する。これらのプロセスには、故障電流通過の離散間隔のカウント、又は、電圧の有無の離散間隔のカウントが含まれる場合がある。パルス検査動作を認識する機器や装置は、電流及び/又は電圧を測定し、パルス認識アルゴリズムを実装できるセンサと制御装置を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
(本文中に発明が解決しようとする課題に該当する記載なし)
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下に、故障位置特定、隔離及びシステム復旧を用いる電力ネットワークを開示し説明する。当該電力ネットワークは、電力線と、電力線に電力を供給する少なくとも1つの電源と、電力線と電気的に結合される故障遮断器を含む。当該故障遮断器は故障電流を検出して再閉路動作を行い、故障が引き続き存在するか否かの検査を行う。上記電力ネットワークは、故障遮断器の下流側に電力線に沿って電気的に結合される複数のスイッチング装置も含む。各スイッチング装置は電流・電圧検知機能と、低エネルギーパルスを使用して故障が引き続き存在するか否かの検査を行う機能と、負荷の影響下で同一又は同様の開放応答時間を有する。電力線の故障に応じて故障遮断器が再閉路動作を行い、複数のスイッチング装置の各々がこの再閉路動作の結果として故障電流を検出した回数を蓄積する。累積回数が2回など所定回数に達し、故障遮断器が開いた結果、電圧の損失が検出されると、複数のスイッチング装置が開く。複数のスイッチング装置が開くと、故障遮断器は故障を検出せず、閉じる。その後、複数のスイッチング装置がパルス検査を行い、上流側の電圧の検出と下流側の故障電流の不検出に応じて最上流側のスイッチング装置から閉じ、故障に最も近いスイッチング装置がパルス検査を行い、故障の存在を検出して開いた状態でロックされるまで連続的にパルス検査を行う。
【0011】
本開示の更なる特徴は、付随の図面と併せて以下の説明及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】故障位置特定、隔離及びシステム復旧(FLISR)システム及び方法のスイッチの配置を示す電力ネットワークの簡略配線図である。
【
図3】FLISRシステム及び方法のスイッチの配置を示す電力ネットワークの簡略配線図である。
【
図4】FLISRシステム及び方法のスイッチの配置を示す電力ネットワークの簡略配線図である。
【
図5】FLISRシステム及び方法のスイッチの配置を示す電力ネットワークの簡略配線図である。
【
図6】FLISRシステム及び方法のスイッチの配置を示す電力ネットワークの簡略配線図である。
【
図7】FLISRシステム及び方法を示す高圧送電ネットワークの配線図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に示す、故障位置特定、隔離及びシステム復旧を採用する電力ネットワークに関する開示の実施形態の説明は、本質的に単なる例示であり、本開示、本開示の適用、又は、本開示の使用を限定することを意図するものではない。
【0014】
図1は、12,000~38,000ボルトで運用される放射状中圧配電ネットワークなどの電力ネットワーク10の簡略配電図であり、故障位置特定、隔離及びシステム復旧(FLISR)のシステム及び方法を示す。ネットワーク10は、給電線14の一端に設けられた、高圧電力線(図示せず)からの高圧電力を中電圧に降圧する電力変圧器を含む変電所などのAC電源12を含む。5つのスイッチング装置18、20、22、24、26が給電線14に沿って分散配置されており、電源12と第1のスイッチング装置18との間に故障遮断器16が設けられ、当該装置16は再閉路機能を有する。本明細書で使用されるスイッチング装置18、20、22、24、26は、互いに通信せず、電流・電圧検知機能を有し、かつパルス検査技法を使用して故障の有無を回路ダウンライン(circuit downline)で検査する機能を有するが、故障遮断器ではなく、パルス検査スイッチング装置のような任意の適切な装置とすることができ、負荷の影響下で同一又は同様の開放応答時間を有する。給電線区間28は故障遮断器16と第1のスイッチング装置18との間に画定され、給電線区間30はスイッチング装置18、20の間に画定され、給電線区間32はスイッチング装置20、22の間に画定され、給電線区間34はスイッチング装置22、24の間に画定され、給電線区間36はスイッチング装置24、26の間に画定される。
【0015】
図2は、スイッチング装置18、20、22、24、26のいずれか1つの非限定的な複製を意図したスイッチング装置40の簡略ブロック図であり、当該装置40は、スイッチ42、電圧/電流センサ44、制御装置46、タイマー48、バッファ66を含む。
【0016】
給電線区間34に持続的な故障38が発生した場合、スイッチング装置22と24が開いて給電線区間34の故障38が隔離され、電力が電源12から給電線区間28、30、32に供給され、場合により別の電源(図示せず)から給電線区間36に供給できるようにすることが望ましい。故障38が発生すると、故障遮断器16及びスイッチング装置18、20、22は、電源12から故障38に流れる故障電流を検出する。故障遮断器16は故障電流を検出すると、開放し、その後再閉路動作を行い、故障38がまだ存在するかどうかを判断する。スイッチング装置18、20、22は、故障遮断器16が行う再閉路動作の回数と連動して故障電流を検出した回数を、例えばバッファ66に蓄積するように構成され、1回目に故障電流を検出したときは閉じたままである。スイッチング装置18、20、22が故障電流を検出した累積回数が2回など所定の閾値に達し、次に故障遮断器16が開いたときにスイッチング装置18、20、22が電圧の損失を検出すると、
図3に示すように、スイッチング装置18、20、22は一斉に開放する。
【0017】
その後、故障遮断器16は再び閉じて故障38を検査するが、故障38はスイッチング装置18の下流にあり、スイッチング装置18は開いているため、装置16は故障電流を検出せず、閉じたままとなる。そしてスイッチング装置18は、
図4に示すように、その上流側で電圧の戻りを検知し、故障38のパルス検査を行う。故障38はスイッチング装置20の下流にあり、スイッチング装置20は開いているため、スイッチング装置18は故障の存在を検出せず、閉じる。そしてスイッチング装置20は、
図5に示すように、その上流側で電圧の戻りを検知し、故障38のパルス検査を行う。故障38はスイッチング装置22の下流にあり、スイッチング装置22は開いているため、スイッチング装置20は故障の存在を検出せず、閉じる。そしてスイッチング装置22は、
図6に示すように、その上流側で電圧の戻りを検知し、故障38のパルス検査を行う。故障38は給電線区間34に存在するため、スイッチング装置22は故障の存在を検出し、開いた状態でロックされる。
【0018】
一般に、上述したようなFLISRのシステム及び方法は、69,000ボルト以上などの高圧送電線まで適用することができる。
図7は、本実施形態を示すFLISRシステム及び方法を示す送電ネットワーク50の配線図である。ネットワーク50は、発電所(図示せず)から送電線58、60にそれぞれ供給される345,000ボルトなどの超高電圧を、母線区間62、64にそれぞれ供給される高電圧まで降圧する一対の変圧器54、56を有する大型高圧変電所52を含む。回路遮断器70は、母線区間62と64との間に接続され、高圧送電線72に電力が流れているかどうかを制御する。再閉路及び故障遮断機能を有する2つの回路遮断器74、76が母線区間62、64に接続され、高圧送電線78の一端に流れる電力を制御する。ネットワーク50はまた、発電所(図示せず)から送電線86、88にそれぞれ供給される超高電圧を、母線区間90、92にそれぞれ供給される高電圧まで降圧する一対の変圧器82、84を有する小型高圧変電所80を含む。再閉路及び故障遮断機能を有する2つの回路遮断器94、96が母線区間90、92に接続され、高圧送電線78の他端に流れる電力を制御する。
【0019】
一連の4つのスイッチング装置100、102、104、106が送電線78に沿って分散配置されている。上記したように、スイッチング装置100、102、104、106は、互いに通信せず、電流・電圧検知機能を有し、かつ低エネルギーパルスを使用して継続的に故障の有無を検査する機能を有するが、故障遮断定格を有さないスイッチング装置などの、任意の適切な装置とすることができ、負荷の影響下で同一又は同様の開放応答時間を有する。送電線区間108はスイッチング装置100、102の間に画定され、送電線区間110はスイッチング装置102、104の間に画定され、送電線区間112はスイッチング装置104、106の間に画定される。送電線区間108から中圧変電所114が分岐し、送電線区間112から中圧変電所116が分岐しており、中圧変電所114、116はそれぞれ、一対のヒューズ120、122と、高電圧を中電圧に降圧する一対の変圧器124、126と、給電線130に流れる中圧電力を制御する回路遮断器128を含む。
【0020】
ネットワーク50で行われるFLISRシステム及び方法は、ネットワーク10で行われるFLISRシステム及び方法と同様である。送電線区間110で持続的な故障が発生した場合、回路遮断器74、76及びスイッチング装置100、102は変電所52から故障へ流れる故障電流を検出し、回路遮断器94、96及びスイッチング装置104、106は、変電所80から故障へ流れる故障電流を検出する。例えば、回路遮断器74、94が故障電流を検出すると、これらの遮断器が最初に開き、その後再閉路動作行い、故障がまだ存在するかどうかを判断する。スイッチング装置100、102、104、106は、回路遮断器74、94が行う再閉路動作の回数と連動して故障電流を検出した回数を蓄積し、1回目に故障電流を検出したときは閉じたままである。スイッチング装置100、102、104、106が故障電流を検出した累積回数が2回など所定の閾値に達し、次に回路遮断器74、94が開いたときにスイッチング装置100、102、104、106が電圧の損失を検出すると、スイッチング装置100、102、104、106はすべて開放する。
【0021】
その後回路遮断器74、94は再び閉じ、スイッチング装置100、102、104、106は開いているため、回路遮断器74、94は故障電流を検出せず、閉じたままとなる。そしてスイッチング装置100、106が各上流側で電圧の戻りを検出すると、パルス検査を行い、スイッチング装置102、104は開いているため、スイッチング装置100、106は故障の存在を検出せず、閉じる。そしてスイッチング装置102、104が各上流側で電圧の戻りを検出すると、パルス検査を行い、故障は送電線区間110に存在するため、スイッチング装置102、104は故障の存在を検出し、閉じずに開いた状態でロックされる。このようにして、故障が送電線区間110で隔離され、変電所114、116への電力が復旧される。
【0022】
前途の記述は、本発明の例示的な実施形態を開示及び説明したものにすぎない。当業者であれば、上記記述内容、並びに付随の図面及び特許請求の範囲から、以下の特許請求の範囲に定義される本開示の精神および範囲から逸脱することなく、様々な変更、修正及び変形が可能であることを容易に認識するであろう。
【符号の説明】
【0023】
10 電力ネットワーク
12 AC電源
14、130 給電線
16 故障遮断器
18、20、22、24、26、40、100、102、104、106 スイッチング装置
28、30、32、34、36 給電線区間
38 故障
42 スイッチ
44 電圧/電流センサ
46 制御装置
48 タイマー
50 送電ネットワーク
52 大型高圧変電所
54、56、82、84、124、126 変圧器
58、60、86、88 送電線
62、64、90、92 母線区間
66 バッファ
70、74、76、94、96、128 回路遮断器
72、78 高圧送電線
80 小型高圧変電所
108、110、112 送電線区間
114、116 中圧変電所
120、122 ヒューズ
【国際調査報告】