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特表2024-531261高血糖および糖尿病を治療するための方法および組成物
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  • 特表-高血糖および糖尿病を治療するための方法および組成物 図1A
  • 特表-高血糖および糖尿病を治療するための方法および組成物 図1B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】高血糖および糖尿病を治療するための方法および組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/44 20060101AFI20240822BHJP
   C12N 9/08 20060101ALI20240822BHJP
   C07K 14/38 20060101ALI20240822BHJP
   C12N 9/04 20060101ALI20240822BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240822BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240822BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
A61K38/44
C12N9/08 ZNA
C07K14/38
C12N9/04 D
A61P43/00 121
A61P3/10
A61P3/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508802
(86)(22)【出願日】2022-08-12
(85)【翻訳文提出日】2024-03-19
(86)【国際出願番号】 US2022074932
(87)【国際公開番号】W WO2023019264
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】63/232,920
(32)【優先日】2021-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524055724
【氏名又は名称】アナグラム セラピューティクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100095832
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 芳徳
(74)【代理人】
【識別番号】100187850
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 芳弘
(72)【発明者】
【氏名】マーゴリン,アレクセイ
(72)【発明者】
【氏名】ピアージノフスキー,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ピアージノフスカ,カテリナ
【テーマコード(参考)】
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C084DC23
4C084MA02
4C084MA16
4C084MA23
4C084MA34
4C084MA35
4C084MA43
4C084MA52
4C084NA14
4C084ZA70
4C084ZC35
4C084ZC751
4H045AA10
4H045BA09
4H045CA11
4H045DA89
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
特に高血糖、糖尿病、肥満、メタボリックシンドロームおよび/または摂食障害を治療するために使用され得る、グルコースオキシダーゼ酵素および過酸化物分解酵素(例えばカタラーゼ酵素)を含む医薬組成物が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グルコースオキシダーゼ酵素、過酸化物分解酵素および薬学的に許容され得る賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項2】
グルコースオキシダーゼ酵素が噴霧乾燥されるかまたは凍結乾燥される、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
グルコースオキシダーゼ酵素が、微生物グルコースオキシダーゼ酵素またはその機能的断片もしくはバリアントである、請求項1または2記載の医薬組成物。
【請求項4】
グルコースオキシダーゼ酵素がアスペルギルス・ニガー由来である、請求項1~3いずれか記載の医薬組成物。
【請求項5】
グルコースオキシダーゼ酵素が、配列番号:2またはその機能的断片もしくはバリアントを含む、請求項4記載の医薬組成物。
【請求項6】
約1,000~約250,000国際単位(I.U.)のグルコースオキシダーゼ酵素を含む、請求項1~5いずれか記載の医薬組成物。
【請求項7】
過酸化物分解酵素が噴霧乾燥されるかまたは凍結乾燥される、請求項1~6いずれか記載の医薬組成物。
【請求項8】
過酸化物分解酵素がカタラーゼ酵素またはペルオキシダーゼ酵素である、請求項1~7いずれか記載の医薬組成物。
【請求項9】
過酸化物分解酵素がカタラーゼ酵素である、請求項8記載の医薬組成物。
【請求項10】
カタラーゼ酵素が微生物カタラーゼ酵素またはその機能的断片もしくはバリアントである、請求項9記載の医薬組成物。
【請求項11】
カタラーゼ酵素がアスペルギルス・ニガー由来である、請求項9または10記載の医薬組成物。
【請求項12】
カタラーゼ酵素が配列番号:4またはその機能的断片もしくはバリアントを含む、請求項11記載の医薬組成物。
【請求項13】
約1,000~約250,000国際単位(I.U.)の過酸化物分解酵素を含む、請求項1~12いずれか記載の医薬組成物。
【請求項14】
グルコースオキシダーゼの国際単位対過酸化物分解酵素の国際単位の比が0.1~10の範囲である、請求項1~13いずれか記載の組成物。
【請求項15】
経口剤型(例えば固体または液体の経口剤型)として製剤化される、請求項1~14いずれか記載の医薬組成物。
【請求項16】
散剤、サシェ(satchel)、顆粒、ペレット、マイクロペレット、錠剤、ミニ錠剤、エリキシル、シロップ剤、ドロップまたはナノ調製物として製剤化される。請求項15記載の医薬組成物。
【請求項17】
散剤、サシェまたは錠剤として製剤化される、請求項16記載の医薬組成物。
【請求項18】
室温で少なくとも3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月、15ヶ月、18ヶ月、21ヶ月、24ヶ月、36ヶ月、48ヶ月、60ヶ月、72ヶ月、84ヶ月、96ヶ月、108ヶ月または120ヶ月の貯蔵寿命を有する、請求項1~17いずれか記載の医薬組成物。
【請求項19】
グルコアミラーゼ酵素、スクラーゼ酵素、ラクターゼ酵素、トランスグルコシダーゼ酵素、α-アミラーゼ酵素またはそれらの組合せを含まない、請求項1~18いずれか記載の医薬組成物。
【請求項20】
糖尿病の治療を必要とする被験体に請求項1~19いずれか記載の医薬組成物を経口投与する工程を含む、該被験体において糖尿病を治療する方法。
【請求項21】
糖尿病が2型糖尿病である、請求項20記載の方法。
【請求項22】
肥満の治療を必要とする被験体に請求項1~19いずれか記載の医薬組成物を経口投与する工程を含む、該被験体において肥満を治療する方法。
【請求項23】
メタボリックシンドロームの治療を必要とする被験体に請求項1~19いずれか記載の医薬組成物を経口投与する工程を含む、該被験体においてメタボリックシンドロームを治療する方法。
【請求項24】
高血糖の治療を必要とする被験体に請求項1~19いずれか記載の医薬組成物を経口投与する工程を含む、該被験体において高血糖を治療する方法。
【請求項25】
高インスリン血症の治療を必要とする被験体に請求項1~19いずれか記載の医薬組成物を経口投与する工程を含む、該被験体において高インスリン血症を治療する方法。
【請求項26】
被験体に請求項1~19いずれか記載の医薬組成物を経口投与する工程を含む、該被験体においてグルコースレベルを低減する方法。
【請求項27】
被験体の血液においておよび/または被験体の胃腸管においてグルコースのレベルを低減する、請求項26記載の方法。
【請求項28】
被験体由来の試料においてグルコースのレベルを低減する、請求項26または27記載の方法。
【請求項29】
食事または間食の0~240分後または0~360分後に被験体の血液においてグルコースのレベルを、曲線下面積(AUC)分析により決定する場合に少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%だけ低減する、請求項26~28いずれか記載の方法。
【請求項30】
食事または間食の後に、被験体の血液においてグルコースCmaxを少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%だけ低減する、請求項26~29いずれか記載の方法。
【請求項31】
食事または間食の後に、被験体の血液においてグルコースTmaxを少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%だけ低減する、請求項26~30いずれか記載の方法。
【請求項32】
食物と一緒に投与される場合に、食物の血糖負荷を少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%だけ低減する、請求項26~31いずれか記載の方法。
【請求項33】
食物と一緒に投与される場合に、食物のカロリー摂取量を少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%だけ低減する、請求項26~32いずれか記載の方法。
【請求項34】
被験体に請求項1~19いずれか記載の医薬組成物を経口投与する工程を含む、該被験体においてC-ペプチドおよび/またはインスリンレベルを低減する方法。
【請求項35】
被験体の血液においてC-ペプチドおよび/またはインスリンのレベルを低減する、請求項34記載の方法。
【請求項36】
被験体由来の試料においてレベルC-ペプチドおよび/またはインスリンを低減する、請求項34または35記載の方法。
【請求項37】
食事または間食の0~240分後または0~360分後に、被験体の血液においてC-ペプチドおよび/またはインスリンのレベルを、曲線下面積(AUC)分析で決定する場合に少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%または60%だけ低減する、請求項34~36いずれか記載の方法。
【請求項38】
被験体に請求項1~19いずれか記載の医薬組成物を経口投与する工程を含む、該被験体においてヘモグロビンA1c (HA1c)レベルを低減する方法。
【請求項39】
被験体の血液においてHA1cのレベルを低減する、請求項38記載の方法。
【請求項40】
被験体由来の試料においてHA1cのレベルを低減する、請求項38または39記載の方法。
【請求項41】
該試料が体液試料である、請求項38~40いずれか記載の方法。
【請求項42】
流体試料が血液、血清または血漿である、請求項41記載の方法。
【請求項43】
被験体に請求項1~19いずれか記載の医薬組成物を経口投与する工程を含む、炭水化物に富んだ食事において消費される炭水化物の血糖負荷を低減する方法。
【請求項44】
医薬組成物の投与が、吸収に利用可能な被験体の胃腸管においてグルコースのレベルを低減する、請求項43記載の方法。
【請求項45】
被験体が、糖尿病、肥満、メタボリックシンドローム、高血糖、高インスリン血症および/または摂食障害を有する、請求項26~44いずれか記載の方法。
【請求項46】
医薬組成物が、1日当たり1、2、3、4または4回より多く被験体に投与される、請求項20~45いずれか記載の方法。
【請求項47】
医薬組成物が、食事または間食と一緒に被験体に投与される、請求項20~46いずれか記載の方法。
【請求項48】
医薬組成物が、食事または間食のそれぞれで被験体に投与される、請求項20~47いずれか記載の方法。
【請求項49】
被験体がヒト成人またはヒト小児の被験体である(as)、請求項20~48いずれか記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願についての他所参照
本願は、2021年8月13日に出願された米国仮特許出願第63/232,920号の利益およびそれに対する優先権を主張し、該出願の開示は、全ての目的でその全体において参照により本明細書に援用される。
【0002】
発明の分野
本発明は一般的に、高血糖、糖尿病、肥満、メタボリックシンドロームおよび/または摂食障害を治療するための方法および組成物に関し、より具体的に、本発明は、グルコースオキシダーゼ酵素および過酸化物分解酵素(例えばカタラーゼ酵素)を含む組成物ならびに高血糖、糖尿病、肥満、メタボリックシンドロームおよび/または摂食障害の治療におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
疾病管理センター(Centers for Disease Control)(CDC)によると、米国において3420万人が糖尿病を有し、3人に1人より多い8800万人の成人が前糖尿病を有する。糖尿病と診断された人々の総医療費ならびに仕事および賃金の損失は、3270億ドルに達する。糖尿病流行は米国に限られない。世界保健機関(WHO)によると、糖尿病を有して生存している成人の数は、1980年以来、4億2200万の成人までほぼ4倍になっている。糖尿病は、失明、腎不全、心臓発作、脳卒中および下肢切断の主要な原因である。高い血液グルコースが原因の全ての死亡のほぼ半数は70歳前に起こる。WHOは、糖尿病が2016年に7番目に高い死亡原因であったと推定する。糖尿病の世界組合(World Federation of Diabetes)によると、毎年400万の人々が糖尿病で死んでいる。
【0004】
血液グルコースレベルの積極的な管理は、糖尿病の死亡率を劇的に低減し得ることが示されている。しかしながら、血糖管理の明らかな利益に関わらず、ほぼ半数の人々が血糖目標を満たしていない。高いグリセミックインデックスおよび血糖負荷を有する炭水化物に富んだ食物は特に、食後のグルコース(PPG)の増加に寄与し、小腸管からの炭水化物の吸収は順に、肥満および糖尿病などの慢性的な疾患の発症に寄与し得る(Vlachos et al. (2020) Nutrients 12(6): 1561)。
【0005】
したがって、炭水化物吸収を制御するためならびに高血糖、糖尿病、肥満および/またはメタボリックシンドロームを治療するための新規の有効な医薬組成物および治療についての進行中の必要性がある。
【発明の概要】
【0006】
発明の概要
本発明は部分的に、高血糖および/または糖尿病の治療を必要とする被験体において高血糖および/または糖尿病を治療するために使用され得るグルコースオキシダーゼ酵素および過酸化物分解酵素(例えばカタラーゼ酵素)を含む医薬組成物の発見に基づく。
【0007】
したがって、一局面において、本発明は、グルコースオキシダーゼ酵素、過酸化物分解酵素および薬学的に許容され得る賦形剤を含む(または本質的にそれからなる)医薬組成物を提供する。
【0008】
ある態様において、グルコースオキシダーゼ酵素は、噴霧乾燥または凍結乾燥される。ある態様において、グルコースオキシダーゼ酵素は、微生物グルコースオキシダーゼ酵素またはその機能的断片もしくはバリアントである。ある態様において、グルコースオキシダーゼ酵素は、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)由来であり、例えばグルコースオキシダーゼ酵素は、配列番号:1、配列番号:2またはその機能的断片もしくはバリアントを含む。ある態様において、医薬は、約1,000~約250,000国際単位(I.U.)のグルコースオキシダーゼ酵素を含む。
【0009】
ある態様において、過酸化物分解酵素は噴霧乾燥または凍結乾燥される。ある態様において、過酸化物分解酵素は、カタラーゼ酵素またはペルオキシダーゼ酵素であり、例えば過酸化物分解酵素はカタラーゼ酵素であり、これは細菌性カタラーゼ酵素またはその機能的断片もしくはバリアントであり得る。ある態様において、カタラーゼ酵素はアスペルギルス・ニガー由来であり、例えばカタラーゼ酵素は、配列番号:3、配列番号:4またはその機能的断片もしくはバリアントを含む。ある態様において、医薬は、約1,000~約250,000国際単位(I.U.)のカタラーゼ酵素を含む。該状況に応じて、組成物中のグルコースオキシダーゼの国際単位対過酸化物分解酵素の国際単位の比は0.1~10の範囲にある。
【0010】
ある態様において、組成物は経口剤型として製剤化される。ある態様において、組成物は、固形経口剤型、例えば散剤、サシェ(satchel)、顆粒、ペレット、マイクロペレット、錠剤またはミニ錠剤として製剤化される。ある態様において、組成物は、液体経口剤型、例えばエリキシル、シロップ剤またはドロップとして製剤化される。ある態様において、組成物は、ナノ粒子またはナノ調製物として製剤化される。
【0011】
ある態様において、組成物は、室温で、少なくとも3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月、15ヶ月、18ヶ月、21ヶ月、24ヶ月、36ヶ月、48ヶ月、60ヶ月、72ヶ月、84ヶ月、96ヶ月、108ヶ月または120ヶ月の貯蔵寿命を有する。
【0012】
ある態様において、組成物は、グルコアミラーゼ酵素、スクラーゼ酵素、ラクターゼ酵素、トランスグルコシダーゼ酵素、α-アミラーゼ酵素またはそれらの組合せを含まない。
【0013】
別の局面において、本発明は、糖尿病(例えば2型糖尿病)の治療を必要とする被験体において糖尿病(例えば2型糖尿病)を治療する方法を提供する。該方法は、被験体に、本明細書に記載される酵素または組成物のいずれかの有効量を投与(例えば経口投与)して、被験体において糖尿病を治療する工程を含む。
【0014】
別の局面において、本発明は、肥満の治療を必要とする被験体において肥満を治療する方法を提供する。該方法は、被験体に、本明細書に記載される酵素または組成物のいずれかの有効量を投与(例えば経口投与)して、被験体において肥満を治療する工程を含む。
【0015】
別の局面において、本発明は、メタボリックシンドロームの治療を必要とする被験体においてメタボリックシンドロームを治療する方法を提供する。該方法は、被験体に、本明細書に記載される酵素または組成物のいずれかの有効量を投与(例えば経口投与)して、被験体においてメタボリックシンドロームを治療する工程を含む。
【0016】
別の局面において、本発明は、高血糖の治療を必要とする被験体において高血糖を治療する方法を提供する。該方法は、被験体に、本明細書に記載される酵素または組成物のいずれかの有効量を投与(例えば経口投与)して、被験体において高血糖を治療する工程を含む。
【0017】
別の局面において、本発明は、高インスリン血症の治療を必要とする被験体において高インスリン血症を治療する方法を提供する。該方法は、被験体に、本明細書に記載される酵素または組成物のいずれかの有効量を投与(例えば経口投与)して、被験体において高インスリン血症を治療する工程を含む。
【0018】
別の局面において、本発明は、摂食障害(例えば過食症または炭水化物摂食亢進症)の治療を必要とする被験体において摂食障害(例えば過食症または炭水化物摂食亢進症)を治療する方法を提供する。該方法は、被験体に、本明細書に記載される酵素または組成物のいずれかの有効量を投与(例えば経口投与)して、被験体において摂食障害を治療する工程を含む。
【0019】
別の局面において、本発明は、グルコースのレベルの低減を必要とする被験体においてグルコースのレベルを低減する方法を提供する。該方法は、被験体に、本明細書に記載される酵素または組成物のいずれかの有効量を投与(例えば経口投与)して、被験体においてグルコースのレベルを低減する工程を含む。該方法は、被験体の血液および/または胃腸管においてグルコースのレベルを低減し得るか、または被験体由来の試料(例えば体液試料、例えば血液、血清または血漿試料)においてグルコースのレベルを低減し得る。
【0020】
ある態様において、該方法は、食事または間食の0~240分または0~360分後、被験体の血液中のグルコースのレベルを、曲線下面積(AUC)分析により決定される場合に、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%だけ低減する。ある態様において、該方法は、食事または間食後の被験体の血液中のグルコースCmaxを、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%だけ低減する。ある態様において、該方法は、食事または間食後の被験体の血液中のグルコースTmaxを、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%だけ低減する。ある態様において、食物と一緒に投与される場合、該方法は、食物のグリセミックインデックスを、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%だけ低減する。ある態様において、食物と一緒に投与される場合に、該方法は、食物のカロリー摂取量を少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%だけ低減する。
【0021】
別の局面において、本発明は、C-ペプチドおよび/またはインスリンのレベルの低減を必要とする被験体において、C-ペプチドおよび/またはインスリンのレベルを低減する方法を提供する。該方法は、被験体に、本明細書に記載される酵素または組成物のいずれかの有効量を投与(例えば経口投与)して、被験体においてC-ペプチドおよび/またはインスリンのレベルを低減する工程を含む。該方法は、被験体の血液および/または胃腸管においてC-ペプチドおよび/またはインスリンのレベルを低減し得るかまたは被験体由来の試料(例えば体液試料、例えば血液、血清または血漿試料)においてC-ペプチドおよび/またはインスリンのレベルを低減し得る。ある態様において、該方法は、被験体の血液中のC-ペプチドおよび/またはインスリンのレベルを、食事または間食の0~240分または0~360分後、曲線下面積(AUC)分析により決定する場合に、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%または60%だけ低減する。
【0022】
別の局面において、本発明は、HA1cのレベルの低減を必要とする被験体において、HA1cのレベルを低減する方法を提供する。該方法は、被験体に、本明細書に記載される酵素または組成物のいずれかの有効量を投与(例えば経口投与)して、被験体においてHA1cのレベルを低減する工程を含む。該方法は、被験体の血液中のHA1cのレベルを低減し得るかまたは被験体由来の試料(例えば体液試料、例えば血液、血清または血漿試料)中のHA1cのレベルを低減し得る。
【0023】
別の局面において、本発明は、消費された炭水化物に富んだ食事の血糖負荷のレベルを低減する方法を提供する。該方法は、被験体に、本明細書に記載される酵素または組成物のいずれかの有効量を投与(例えば経口投与)して、吸収のために利用可能なGI管においてグルコースのレベルを低減する工程を含む。
【0024】
前述の方法のいずれかのある態様において、被験体は、糖尿病、肥満、メタボリックシンドローム、高血糖、高インスリン血症および/または摂食障害(例えば過食症または炭水化物摂食亢進症)を有する。
【0025】
該状況に応じて、酵素または組成物は、1日当たり1、2、3、4回または4回より多く被験体に投与され得る。さらに、酵素または組成物は、食事または間食と共に(例えばそれぞれの食事または間食で)被験体に投与され得る。
【0026】
本発明のこれらおよび他の局面および特徴は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲において記載される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図面の説明
本発明は、以下の図面に関してより完全に理解され得る。
図1A図1A~1Bは、MGTT III (酵素処理なし、黒色の線(円))と比較した、食事グルコース負荷試験(Meal Glucose Tolerance Test)(MGTT) IV (450mgのグルコースオキシダーゼおよび0.8mlのカタラーゼによる酵素処理を含む;黒色の線(ボックス))の間のグルコース吸収曲線を示す。図1Aは、飼料のみの食事の後のグルコース吸収を示す。図1Bは、飼料の食事およびグルコース粉末後のグルコース吸収を示す。全てのデータ点は平均±SDに対応し、AUCは平均±SEMとして表される。
図1B図1A~1Bは、MGTT III (酵素処理なし、黒色の線(円))と比較した、食事グルコース負荷試験(Meal Glucose Tolerance Test)(MGTT) IV (450mgのグルコースオキシダーゼおよび0.8mlのカタラーゼによる酵素処理を含む;黒色の線(ボックス))の間のグルコース吸収曲線を示す。図1Aは、飼料のみの食事の後のグルコース吸収を示す。図1Bは、飼料の食事およびグルコース粉末後のグルコース吸収を示す。全てのデータ点は平均±SDに対応し、AUCは平均±SEMとして表される。
図2図2は、900mgのグルコースオキシダーゼおよび1.6mlのカタラーゼによる酵素処理を受ける群(「処理」)ならびに酵素処理なしの群(「対照」)を含んだ食事グルコース負荷試験(MGTT) Vの間のグルコース吸収曲線を示す。全てのデータ点は平均±SEMに対応し、AUCは平均±SEMとして表される。
図3図3は、飼料のみの食事を受ける群(「対照飼料」)、飼料の食事およびグルコース粉末を受ける群(「対照飼料+グルコース」)ならびに飼料の食事およびグルコース粉末ならびに450mgのグルコースオキシダーゼおよび0.8mlのカタラーゼによる酵素処理を受ける群(「処理飼料+グルコース」)を含んだ食事グルコース負荷試験(MGTT) VIの間のグルコース吸収曲線を示す。全てのデータ点は平均±SEMに対応し、AUCは平均±SEMとして表される。
図4A図4A~4Bは、MGTT III (酵素処理なし、黒色の線(円))と比較した、食事グルコース負荷試験 (MGTT) IV (450mgのグルコースオキシダーゼおよび0.8mlのカタラーゼによる酵素処理を含む、黒色の線(ボックス))の間のC-ペプチド放出曲線を示す。図4Aは、飼料のみの食事の後のC-ペプチド放出を示す。図4Bは、飼料の食事およびグルコース粉末の後のC-ペプチド放出を示す。全てのデータ点は平均±SDMに対応する。AUCは平均±SEMとして表される。
図4B図4A~4Bは、MGTT III (酵素処理なし、黒色の線(円))と比較した、食事グルコース負荷試験 (MGTT) IV (450mgのグルコースオキシダーゼおよび0.8mlのカタラーゼによる酵素処理を含む、黒色の線(ボックス))の間のC-ペプチド放出曲線を示す。図4Aは、飼料のみの食事の後のC-ペプチド放出を示す。図4Bは、飼料の食事およびグルコース粉末の後のC-ペプチド放出を示す。全てのデータ点は平均±SDMに対応する。AUCは平均±SEMとして表される。
図5図5Aは、900mgのグルコースオキシダーゼおよび1.6mlのカタラーゼによる酵素処理を受ける群(「MGTT V処理」黒色の線(ボックス))および酵素処理なしの群(「MGTT V対照」黒色の線(円))を含んだ食事グルコース負荷試験(MGTT) Vの間のC-ペプチド放出曲線を示す。図5Bは、MGTT V、MGTT IV(450mgのグルコースオキシダーゼおよび0.8mlのカタラーゼによる酵素処理を含む、群1)、およびMGTT III(酵素処理なし、群1)の間のC-ペプチド放出曲線の比較を示す。全てのデータ点は平均±SDMに対応する。
図6図6は、飼料のみの食事を受ける群(「対照飼料」)、飼料の食事およびグルコース粉末を受ける群(「対照飼料+グルコース」)ならびに飼料の食事およびグルコース粉末ならびに450mgのグルコースオキシダーゼおよび0.8mlのカタラーゼによる酵素処理を受ける群(「処理飼料+グルコース」)を含んだ食事グルコース負荷試験(MGTT) VIの間のC-ペプチド放出曲線を示す。全てのデータ点は平均±SDMに対応する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
詳細な説明
本発明は部分的に、糖尿病(例えば2型糖尿病)、高血糖、高インスリン血症、肥満およびメタボリックシンドロームの治療を必要とする被験体において糖尿病(例えば2型糖尿病)、高血糖、高インスリン血症、肥満およびメタボリックシンドロームを治療するために使用され得るグルコースオキシダーゼ酵素および過酸化物分解酵素(例えばカタラーゼ酵素)を含む医薬組成物の発見に基づく。
【0029】
本発明の種々の特徴および局面を以下で詳細に議論する。
【0030】
I. 酵素
特に、本発明は、例えば糖尿病(例えば2型糖尿病)、高血糖、高インスリン血症、肥満およびメタボリックシンドロームなどの障害の治療に有用なグルコースオキシダーゼ酵素および過酸化物分解酵素を含む医薬組成物を提供する。
【0031】
本明細書で使用する場合、用語「グルコースオキシダーゼ」は、β-D-グルコースのD-グルコノ-ω-ラクトンおよび過酸化水素への酸化および/またはD-グルコノ-ω-ラクトンのグルコン酸への変換を触媒し得る任意の酵素またはその機能的断片をいう。グルコースオキシダーゼは典型的に少なくとも以下の反応:
β-D-グルコース+O2→D-グルコノ-ω-ラクトン+H2O2
を触媒する。
【0032】
グルコースオキシダーゼは、EC 1.1.3.4、グルコースオキシヒドラーゼ、コリロフィリン(corylophyline)、ペナチン(penatin)、グルコースエアロデヒドロゲナーゼ(glucose aerodehydrogenase)、ミクロシド(microcid)、β-D-グルコースオキシダーゼ、D-グルコースオキシダーゼ、D-グルコース-1-オキシダーゼ、β-D-グルコース:キノンオキシドレダクターゼ、グルコースオキシヒドラーゼおよびデオキシン(deoxin)-1とも称され、そうではないと示されない限り、該用語は、本明細書において交換可能に使用される。用語グルコースオキシダーゼとしては、野生型グルコースオキシダーゼ配列および/またはグルコースオキシダーゼを含む融合タンパク質もしくはコンジュゲートに対して1つ以上のアミノ酸の置換、欠失または挿入を有するバリアントが挙げられる。本明細書で使用する場合、グルコースオキシダーゼの用語「機能的断片」は、対応する全長の天然に存在するグルコースオキシダーゼの酵素活性の例えば少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または100%を保持する全長グルコースオキシダーゼの断片をいう。グルコースオキシダーゼ酵素活性は、当該技術分野で公知の任意の方法によりアッセイされ得る。例示的なグルコースオキシダーゼ活性アッセイは、Sigma-Aldrich (Cat. No. MAK097)から入手可能である。
【0033】
例示的なグルコースオキシダーゼ酵素としては、アスペルギルス・ニガー由来のグルコースオキシダーゼ酵素が挙げられる。アスペルギルス・ニガー由来の例示的な野生型グルコースオキシダーゼ酵素のアミノ酸配列は、配列番号:1(シグナル配列あり)および配列番号:2(シグナル配列なし)に示される。さらなる例示的なグルコースオキシダーゼ酵素は、brenda-enzymes.org/enzyme.php?ecno=1.1.3.4#ORGANISMで、ワールドワイドウェブ上に見られ得る。
【0034】
本明細書で使用する場合、用語「過酸化物分解酵素」は、過酸化水素を分解し得る任意の酵素またはその機能的断片をいう。例示的な過酸化物分解酵素としては、カタラーゼおよびペルオキシダーゼ酵素が挙げられる。
【0035】
本明細書で使用する場合、用語「カタラーゼ」は、過酸化水素の水および酸素への分解を触媒し得る任意の酵素またはその機能的断片をいう。カタラーゼは典型的に、以下の反応:
2H2O2→O2+2H2O
を触媒する。
【0036】
カタラーゼは、EC 1.11.1.6、エクイラーゼ(equilase)、カペラーゼ(caperase)、オプチダーゼ(optidase)、カタラーゼ-ペルオキシダーゼおよびCATとも称され、そうではないと示されない限り、該用語は本明細書において交換可能に使用される。用語カタラーゼとしては、野生型カタラーゼ配列および/またはカタラーゼを含む融合タンパク質もしくはコンジュゲートに対して1つ以上のアミノ酸の置換、欠失または挿入を有するバリアントが挙げられる。本明細書で使用する場合、カタラーゼの用語「機能的断片」は、対応する全長の天然に存在するカタラーゼの酵素活性の例えば少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または100%を保持する全長カタラーゼの断片をいう。例示的なカタラーゼ活性アッセイは、Sigma-Aldrich (Cat. Nos. CAT100 and 219265)から入手可能である。
【0037】
例示的なカタラーゼ酵素としては、アスペルギルス・ニガー由来のカタラーゼ酵素が挙げられる。アスペルギルス・ニガー由来の例示的な野生型カタラーゼ酵素のアミノ酸配列は、配列番号:3(シグナル配列あり)および配列番号:4(シグナル配列なし)に示される。さらなる例示的なカタラーゼ酵素は、brenda-enzymes.org/enzyme.php?ecno=1.11.1.6#ORGANISMで、ワールドワイドウェブ上に見られ得る。
【0038】
本明細書で使用する場合、用語「ペルオキシダーゼ」は、化合物を酸化または重合生成物に変換し得る遊離ラジカルの機構による酸化-還元反応を触媒し得る任意の酵素またはその機能的断片をいう。ペルオキシダーゼは典型的に、以下の反応:
H2O2+AH2→2H2O+A
を触媒する。
【0039】
用語ペルオキシダーゼとしては、野生型ペルオキシダーゼ配列および/またはペルオキシダーゼを含む融合タンパク質もしくはコンジュゲートに対して1つ以上のアミノ酸の置換、欠失または挿入を有するバリアントを含む。本明細書で使用する場合、ペルオキシダーゼの用語「機能的断片」は、対応する全長の天然に存在するペルオキシダーゼの酵素活性の例えば少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または100%を保持する全長ペルオキシダーゼの断片をいう。例示的なペルオキシダーゼ活性アッセイは、Sigma-Aldrich (Cat. No. MAK092)から入手可能である。
【0040】
ペルオキシダーゼは大きな群の酵素を示す。例示的なペルオキシダーゼ酵素は、brenda-enzymes.org/enzyme.php?ecno=1.11.1.7#ORGANISMで、ワールドワイドウェブ上に見られ得る。
【0041】
ある態様において、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素は、本明細書に開示される野生型グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素に対して少なくとも1つ(例えば1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つまたは8つ)の変異(1つ以上)を含む。
【0042】
ある態様において、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素は、本明細書に開示されるグルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素に対して1つ以上の保存的置換を含む。他の態様において、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素は、本明細書に開示されるグルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素に対して1つ以上の非保存的置換を含む。本明細書で使用する場合、用語「保存的置換」は、構造的に同様のアミノ酸での置換をいう。例えば、保存的置換は、以下の群:SerおよびCys;Leu、IleおよびVal;GluおよびAsp;LysおよびArg;Phe、TyrおよびTrp;ならびにGln、Asn、Glu、AspおよびHis内のものを含み得る。保存的置換は、BLAST (Basic Local Alignment Search Tool)アルゴリズム、BLOSUM置換マトリックス(例えばBLOSUM 62マトリックス)またはPAM置換:pマトリックス(例えばPAM 250マトリックス)によっても定義され得る。非保存的置換は、保存的置換ではないアミノ酸置換である。
【0043】
ある態様において、開示されるグルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素(またはそれを含む医薬組成物、例えば固形医薬組成物)は、室温で、少なくとも3ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも15ヶ月、少なくとも18ヶ月、少なくとも21ヶ月、少なくとも24ヶ月、少なくとも36ヶ月、少なくとも48ヶ月、少なくとも60ヶ月、少なくとも72ヶ月、少なくとも84ヶ月、少なくとも96ヶ月、少なくとも108ヶ月または少なくとも120ヶ月の貯蔵寿命(例えばその生物学的活性の少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%を保持する)を有する。ある態様において、開示されるグルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素(またはそれを含む医薬組成物、例えば固形医薬組成物)は、室温で、約3~約120ヶ月、約3~約96ヶ月、約3~約72ヶ月、約3~約48ヶ月、約3~約24ヶ月、約3~約21ヶ月、約3~約18ヶ月、約3~約15ヶ月、約3~約12ヶ月、約3~約9ヶ月、約3~約6ヶ月、約6~約120ヶ月、約6~約96ヶ月、約6~約72ヶ月、約6~約48ヶ月、約6~約24ヶ月、約6~約21ヶ月、約6~約18ヶ月、約6~約15ヶ月、約6~約12ヶ月、約6~約9ヶ月、約9~約120ヶ月、約9~約96ヶ月、約9~約72ヶ月、約9~約48ヶ月、約9~約24ヶ月、約9~約21ヶ月、約9~約18ヶ月、約9~約15ヶ月、約9~約12ヶ月、約12~約120ヶ月、約12~約96ヶ月、約12~約72ヶ月、約12~約48ヶ月、約12~約24ヶ月、約12~約21ヶ月、約12~約18ヶ月、約12~約15ヶ月、約15~約120ヶ月、約15~約96ヶ月、約15~約72ヶ月、約15~約48ヶ月、約15~約24ヶ月、約15~約21ヶ月、約15~約18ヶ月、約18~約120ヶ月、約18~約96ヶ月、約18~約72ヶ月、約18~約48ヶ月、約18~約24ヶ月、約18~約21ヶ月、約21~約120ヶ月、約21~約96ヶ月、約21~約72ヶ月、約21~約48ヶ月、約21~約24ヶ月、約24~約120ヶ月、約24~約96ヶ月、約24~約72ヶ月、約24~約48ヶ月、約48~約120ヶ月、約48~約96ヶ月、約48~約72ヶ月、約72~約120ヶ月、約72~約96ヶ月または約96~約120ヶ月の貯蔵寿命を有し得る。
【0044】
グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素の安定性、貯蔵寿命または半減期は、選択された条件(例えば温度、pHおよび/または湿度条件)で選択された時間の酵素のインキュベーション後に、酵素活性またはSDS-PAGE分析などの当該技術分野で公知の任意の方法により測定され得る。グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素の安定性、貯蔵寿命または半減期は、それが測定される実験条件に依存することが理解される。
【0045】
ある態様において、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素は、本明細書に開示されるグルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有する。例えば、ある態様において、グルコースオキシダーゼ酵素は、配列番号:1または配列番号:2に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有する。ある態様において、過酸化物分解酵素は、配列番号:3または配列番号:4に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有する。配列同一性は、当該技術分野の技術の範囲内にある種々の方法で、例えば公的に利用可能なコンピューターソフトウェア、例えばBLAST、BLAST-2、ALIGNまたはMegalign (DNASTAR)ソフトウェアを使用して決定され得る。プログラムblastp、blastn、blastx、tblastnおよびtblastxにより使用されるアルゴリズムを使用したBLAST (Basic Local Alignment Search Tool)分析(Karlin et al., (1990) PROC. NATL. ACAD. SCI. USA 87:2264-2268;Altschul, (1993) J. MOL. EVOL. 36, 290-300; Altschul et al., (1997) NUCLEIC ACIDS RES.25:3389-3402、参照により援用される)は、配列類似性の検索のために調整される。配列データベースの検索における基本的な問題の議論については、参照により十分に援用されるAltschul et al., (1994) NATURE GENETICS 6:119-129参照。当業者は、比較される配列の全長にわたり最大の整列(alignment)を達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、整列を測定するための適切なパラメーターを決定し得る。ヒストグラム、ディスクリプション、アラインメント、エクスペクト(すなわちデータベース配列に対する適合を報告するための統計的有意さ閾値)、カットオフ、マトリックスおよびフィルターについての検索パラメーターは、デフォルト設定にある。blastp、blastx、tblastnおよびtblastxにより使用されるデフォルトスコアリングマトリックスは、BLOSUM62マトリックスである(Henikoff et al., (1992) PROC. NATL. ACAD. SCI. USA 89:10915-10919、参照により十分に援用される)。4つのblastnパラメーターは以下の通りに調整され得る:Q=10(ギャップ生成ペナルティー);R=10(ギャップ伸長ペナルティー(gap extension penalty));wink=1(クエリに沿ってwink.sup.thの位置毎にワードヒットを生じる);およびgapw=16(ギャップのあるアラインメントが生成されるウィンドウ幅を設定する)。同等のBlastpパラメーター設定は、Q=9;R=2;wink=1;およびgapw=32であり得る。検索はまた、NCBI (National Center for Biotechnology Information) BLAST Advanced Optionパラメーターを使用して実施され得る(例えば:-G、オープンギャップについてのコスト[整数]:デフォルト=ヌクレオチドについて5/タンパク質について11;-E、伸長ギャップについてのコスト[整数]:デフォルト=ヌクレオチドについて2/タンパク質について1;-q、ヌクレオチドミスマッチについてのペナルティー[整数]:デフォルト=-3;-r、ヌクレオチド適合についての報酬(reward)[整数]:デフォルト=1;-e、予測値[実数]:デフォルト=10;-W、ワードサイズ[整数]:デフォルト=ヌクレオチドについて11/megablastについて28/タンパク質について3;-y、ビットでのblast伸長についてのドロップオフ(X):デフォルト=blastnについて20/その他について7;-X、ギャップのあるアラインメントについてのXドロップオフ値(ビット(in bit)):デフォルト=全てのプログラムについて15であるがblastnには適用可能ではない;および-Z、ギャップのあるアラインメントについての最終Xドロップオフ値(ビット):blastnについて50、その他について25)。ペアワイズタンパク質アラインメントについてのClustalWも使用され得る(デフォルトパラメータは、例えばBlosum62マトリックスおよびギャップオープンペナルティー(Gap Opening Penalty)=10およびギャップ伸長ペナルティー=0.1を含み得る)。GCGパッケージバージョン10.0において利用可能な配列間の最適合比較はDNAパラメーターGAP=50(ギャップ生成ペナルティー)およびLEN=3(ギャップ伸長ペナルティー)を使用し、タンパク質比較における同等の設定はGAP=8およびLEN=2である。
【0046】
開示されるグルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素は、改変、遺伝子工学で作り変えまたは化学的にコンジュゲートされ得ることが企図される。例えば、開示されるグルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素は、標準的なインビトロコンジュゲーション化学を使用して、エフェクター剤にコンジュゲートされ得ることが企図される。エフェクター剤がポリペプチドである場合、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素は、エフェクターに化学的にコンジュゲートされ得るかまたは融合タンパク質としてエフェクターに連結され得る。融合タンパク質の構築は、当該技術分野の通常の技術の範囲内にある。
【0047】
ある態様において、投与の特定の様式または活性の部位に応じて、開示されるグルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素は、循環中、例えば血液、血清または他の組織においてその安定性および/または保持を向上する部分により改変され得る。例えば開示されるグルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素は、ポリマー、例えば実質的に非抗原性のポリマー、例えばポリアルキレンオキシドまたはポリエチレンオキシドにコンジュゲートされ得る。ある態様において、開示されるグルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素は、水溶性ポリマー、例えば親水性ポリビニルポリマー、例えばポリビニルアルコールまたはポリビニルピロリドンにコンジュゲートされる。かかるポリマーの例としては、ポリアルキレンオキシドホモポリマー、例えばポリエチレングリコール(PEG)またはポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン化ポリオール、それらのコポリマーおよびそれらのブロックコポリマーが挙げられる。さらなる有用なポリマーとしては、ポリオキシアルキレン、例えばポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンおよびポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンのブロックコポリマー、ポリメタクリレート、カルボマーおよび分岐または非分岐多糖が挙げられる。
【0048】
II. 酵素作製
本発明のグルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素を作製するための方法は当該技術分野で公知である。例えばグルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素をコードするDNA分子は、本明細書に提供される配列情報を使用して化学的に合成され得る。合成DNA分子は、例えば発現制御配列などの他の適切なヌクレオチド配列にライゲーションされて、所望のグルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素をコードする従来の遺伝子発現構築物を作製し得る。
【0049】
所望のグルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素をコードする核酸は、発現ベクターに組み込まれ(ライゲーションされ)得、これは従来のトランスフェクションまたは形質転換技術により宿主細胞に導入され得る。形質転換された宿主細胞は、宿主細胞がグルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素をコードする遺伝子を発現することを可能にする条件下で増殖され得る。
【0050】
ある態様において、本発明の組換えグルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素をコードする核酸は、当該技術分野で公知の方法を使用して、異種細胞、例えば酵母細胞(例えばピキア細胞)または大腸菌細胞内での発現のためにコドン最適化され得る。
【0051】
特異的な発現および精製の条件は、使用される発現系に応じて変化する。例えば、遺伝子が大腸菌で発現される場合、遺伝子は、遺伝子工学で作り変えられた遺伝子を適切な細菌性プロモーター、例えばTrpまたはTacおよび原核生物シグナル配列の下流に配置することにより、発現ベクターにクローニングされる。発現された分泌タンパク質は、屈折体または封入体に蓄積し、フレンチプレスまたは超音波処理による細胞の破壊の後に採取され得る。次いで、屈折体を可溶化して、当該技術分野で公知の方法によりタンパク質をリフォールドおよび切断する。
【0052】
グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素は、かかるグルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素をコードする発現ベクターでトランスフェクトされた宿主細胞を、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素の発現を可能にする条件下で増殖(培養)することにより作製され得る。発現後、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素は、採取されて、当該技術分野で公知の技術、例えばグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)およびヒスチジンタグなどのアフィニティタグを使用して精製または単離され得る。
【0053】
ある態様において、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素は乾燥、例えば噴霧乾燥される。医薬タンパク質は、多くの方法で、例えばN2、空気または不活性気体による乾燥、真空オーブン乾燥、凍結乾燥、揮発性有機溶媒での洗浄、その後の溶媒の蒸発、ヒュームフード内での蒸発、トレイ乾燥、流体床乾燥、噴霧乾燥、真空乾燥またはローラー乾燥などの手段による水、有機溶媒または液体ポリマーの除去により乾燥され得る。
【0054】
グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素を噴霧乾燥することにより、水はグルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素調製物から分離され、エマルジョンおよびポンプ可能懸濁液などの液体供給原料からの粉末、顆粒または塊り形態の乾燥固体の連続作製が可能になる。噴霧乾燥は、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素を含む液体供給原料の、液滴のスプレーの噴霧、および乾燥チャンバー内での液滴と熱い空気または気体との接触を含む。噴霧プロセスは、液体供給原料と、圧縮空気または窒素などの乾燥空気を混合する2流体アトマイザーを使用して実行され得る。作動条件および乾燥器設計は、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素の乾燥特徴ならびに所望の粉末品質に従って選択される。酵素を噴霧乾燥するための例示的な方法は、米国特許出願公開第2015/0353913号に記載される。グルコースオキシダーゼおよび過酸化物分解酵素は、別々にまたは合わせて噴霧乾燥され得、一緒に噴霧乾燥され得る。
【0055】
III. 医薬組成物
治療用途について、本明細書に記載されるグルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素は、好ましくは薬学的に許容され得る担体と合わされる。用語「薬学的に許容され得る」は、本明細書で使用する場合、過度な毒性、刺激、アレルギー応答または他の問題もしくは合併症を有することなく、妥当な利益/リスク比に釣り合った、ヒトおよび動物の組織との接触における使用に適した、正常な医学的判断の範囲内にあるこれらの化合物、材料、組成物および/または剤型をいう。
【0056】
用語「薬学的に許容され得る担体」は、本明細書で使用する場合、過度な毒性、刺激、アレルギー応答または他の問題もしくは合併症を有することなく、妥当な利益/リスク比に釣り合った、ヒトおよび動物の組織との接触における使用に適したバッファ、担体および賦形剤をいう。薬学的に許容され得る担体は、リン酸緩衝化食塩水溶液、水、エマルジョン(例えば油/水または水/油エマルジョンなど)および種々の型の湿潤化剤などの標準的な医薬担体のいずれかを含む。該組成物はまた、安定化剤および保存剤を含み得る。担体、安定化剤およびアジュバントの例について、例えばMartin, Remington's Pharmaceutical Sciences, 15th Ed., Mack Publ. Co., Easton, PA [1975]参照。薬学的に許容され得る担体としては、薬学的投与に適合性であるバッファ、溶媒、分散媒体、コーティング、等張剤および吸収遅延剤等が挙げられる。薬学的に活性な物質のためのかかる媒体および薬剤の使用は、当該技術分野で公知である。
【0057】
天然に存在するまたは組み換えの本明細書に開示されるグルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素を含む医薬組成物は、単位剤型で存在し得、任意の適切な方法で調製され得る。医薬組成物は、その意図される投与経路と適合性であるように製剤化されるべきである。医薬組成物は、種々の形態であり得る。例えばこれらとしては、液体溶液、分散剤または懸濁物、錠剤、丸薬、散剤、リポソームおよび坐剤などの液体、半固体および固体剤型が挙げられる。好ましい形態は、投与および治療適用の意図される様式に依存する。
【0058】
組成物は、好ましくは経腸的(例えば経口)の投与のために製剤化されるが、かかる組成物は、非経口の様式(例えば静脈内、皮下、腹腔内または筋内注射)により投与され得る。句「非経口投与」および「非経口的に投与される」は、本明細書で使用する場合、通常注射による、経腸的および局所投与以外の投与の形式を意味し、限定されることなく、静脈内、筋内、動脈内、鞘内、包内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、クモ膜下、脊椎内、硬膜外および胸骨下の注射および注入が挙げられる。
【0059】
組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、分散剤、リポソームまたは高濃度での安定な保存に適した他の規則正しい構造として製剤化され得る。滅菌注射可能溶液は、本明細書に記載される薬剤を、必要な場合は上に列挙される成分の1つまたは組み合わせと共に適切な溶媒中に必要な量で一体化し、次いで濾過滅菌により調製され得る、一般的に、分散剤は、本明細書に記載される薬剤を、基本的分散媒体および上に列挙されるものからの必要な他の成分を含む滅菌ビヒクルに一体化することにより調製される。滅菌注射可能溶液の調製のための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、本明細書に記載される薬剤の粉末および以前に滅菌濾過されたその溶液由来のさらなる所望の成分を生じる真空乾燥および凍結乾燥である。溶液の適切な流動性は、例えばレシチンなどのコーティングの使用により、分散剤の場合は必要な粒径の維持によりおよび界面活性剤の使用により維持され得る。注射可能組成物の延長された吸収は、組成物中に吸収を遅らせる薬剤、例えばモノステアリン酸塩およびゼラチンを含むことにより達成され得る。
【0060】
例えば非経口投与による投与様式に応じて、滅菌性である医薬製剤を作製することが望ましくあり得る。滅菌は、任意の適切な方法、例えば滅菌濾過膜による濾過により達成され得る。組成物が凍結乾燥される場合、フィルター滅菌は、凍結乾燥および再構成の前または後に行われ得る。
【0061】
ある態様において、開示される組成物は、例えばグルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素をコーティングし得るポリイオン性試薬を含む(例えば該組成物はポリイオン性コーティングを含む)。例示的なポリイオン性試薬としては、PSS(ポリ(ナトリウム4-スチレンスルホネート)、PAA(ポリアクリル酸ナトリウム塩)、PMG(ポリ(メチレン-コ-グアニジン)塩酸塩)、DS(硫酸デキストラン)、PMA(ポリ(アクリル酸メチル))またはPVS(ポリビニルシロキサン)が挙げられる。
【0062】
ある態様において、開示される組成物および/または用量は:(i)約750~約250,000、約750~約200,000、約750~約150,000、約750~約100,000、750~約75,000、約750~約60,000、約750~約45,000、約750~約30,000、約750~約15,000、約750~約10,000、約750~約7,500、約750~約5,000、約750~約2,500、約750~約1,000、約1,000~約250,000、約1,000~約200,000、約1,000~約150,000、約1,000~約100,000、1,000~約75,000、約1,000~約60,000、約1,000~約45,000、約1,000~約30,000、約1,000~約15,000、約1,000~約10,000、約1,000~約7,500、約1,000~約5,000、約1,000~約2,500、約2,500~約250,000、約2,500~約200,000、約2,500~約150,000、約2,500~約100,000、2,500~約75,000、約2,500~約60,000、約2,500~約45,000、約2,500~約30,000、約2,500~約15,000、約2,500~約10,000、約2,500~約7,500、約2,500~約5,000、約5,000~約250,000、約5,000~約200,000、約5,000~約150,000、約5,000~約100,000、5,000~約75,000、約5,000~約60,000、約5,000~約45,000、約5,000~約30,000、約5,000~約15,000、約5,000~約10,000、約5,000~約7,500、約7,500~約250,000、約7,500~約200,000、約7,500~約150,000、約7,500~約100,000、7,500~約75,000、約7,500~約60,000、約7,500~約45,000、約7,500~約30,000、約7,500~約15,000、約7,500~約10,000、約10,000~約250,000、約10,000~約200,000、約10,000~約150,000、約10,000~約100,000、10,000~約75,000、約10,000~約60,000、約10,000~約45,000、約10,000~約30,000、約10,000~約15,000、約15,000~約250,000、約15,000~約200,000、約15,000~約150,000、約15,000~約100,000、15,000~約75,000、約15,000~約60,000、約15,000~約45,000、約15,000~約30,000、約30,000~約250,000、約30,000~約200,000、約30,000~約150,000、約30,000~約100,000、約30,000~約75,000、約30,000~約60,000、約30,000~約45,000、約45,000~約250,000、約45,000~約200,000、約45,000~約150,000、約45,000~約100,000、約45,000~約75,000、約45,000~約60,000、約60,000~約250,000、約60,000~約200,000、約60,000~約150,000、約60,000~約100,000、約60,000~約75,000、約75,000~約250,000、約75,000~約200,000、約75,000~約150,000、約75,000~約100,000、約100,000~約250,000、約100,000~約200,000、約100,000~約150,000、約150,000~約250,000、約150,000~約200,000、約200,000~約250,000国際単位(I.U.)のグルコースオキシダーゼ酵素;および/または(ii)約750~約250,000、約750~約200,000、約750~約150,000、約750~約100,000、750~約75,000、約750~約60,000、約750~約45,000、約750~約30,000、約750~約15,000、約750~約10,000、約750~約7,500、約750~約5,000、約750~約2,500、約750~約1,000、約1,000~約250,000、約1,000~約200,000、約1,000~約150,000、約1,000~約100,000、1,000~約75,000、約1,000~約60,000、約1,000~約45,000、約1,000~約30,000、約1,000~約15,000、約1,000~約10,000、約1,000~約7,500、約1,000~約5,000、約1,000~約2,500、約2,500~約250,000、約2,500~約200,000、約2,500~約150,000、約2,500~約100,000、2,500~約75,000、約2,500~約60,000、約2,500~約45,000、約2,500~約30,000、約2,500~約15,000、約2,500~約10,000、約2,500~約7,500、約2,500~約5,000、約5,000~約250,000、約5,000~約200,000、約5,000~約150,000、約5,000~約100,000、5,000~約75,000、約5,000~約60,000、約5,000~約45,000、約5,000~約30,000、約5,000~約15,000、約5,000~約10,000、約5,000~約7,500、約7,500~約250,000、約7,500~約200,000、約7,500~約150,000、約7,500~約100,000、7,500~約75,000、約7,500~約60,000、約7,500~約45,000、約7,500~約30,000、約7,500~約15,000、約7,500~約10,000、約10,000~約250,000、約10,000~約200,000、約10,000~約150,000、約10,000~約100,000、10,000~約75,000、約10,000~約60,000、約10,000~約45,000、約10,000~約30,000、約10,000~約15,000、約15,000~約250,000、約15,000~約200,000、約15,000~約150,000、約15,000~約100,000、15,000~約75,000、約15,000~約60,000、約15,000~約45,000、約15,000~約30,000、約30,000~約250,000、約30,000~約200,000、約30,000~約150,000、約30,000~約100,000、約30,000~約75,000、約30,000~約60,000、約30,000~約45,000、約45,000~約250,000、約45,000~約200,000、約45,000~約150,000、約45,000~約100,000、約45,000~約75,000、約45,000~約60,000、約60,000~約250,000、約60,000~約200,000、約60,000~約150,000、約60,000~約100,000、約60,000~約75,000、約75,000~約250,000、約75,000~約200,000、約75,000~約150,000、約75,000~約100,000、約100,000~約250,000、約100,000~約200,000、約100,000~約150,000、約150,000~約250,000、約150,000~約200,000、約200,000~約250,000国際単位(I.U.)の過酸化物分解酵素を含む。
【0063】
該状況に応じて、グルコースオキシダーゼの国際単位数対ペルオキシダーゼ分解酵素の国際単位数の比は、0.1~10、例えば0.1~9、0.1~8、0.1~7、0.1~6、0.1~5、0.1~4、0.1~3、0.1~1または0.1~1、0.5~10、0.5~9、0.5~8、0.5~7、0.5~6、0.5~5、0.5~4、0.5~3または0.5~2、0.5~1、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3または1~2の範囲内にある。
【0064】
該状況に応じて、特定の用量で被験体に投与されるグルコースオキシダーゼおよび/またはペルオキシダーゼ分解例の量は、約50~約20,000、約50~約15,000、約50~約10,000、約50~約7,500、約50~約5,000、約50~約4,000、約50~約3000、約50~約2000、約50~約1,000、約50~約750、約50~約500または約50~約150国際単位/kg、例えば約20,000、約15,000、約10,000、約5,000、約4,000、約3,000、2,000、1,000国際単位/体重kgの範囲であり得る。
【0065】
180kgのヒトについて、約500,000~約4,000,000、500,000~約3,000,000、約500,000~約2,000,000、500,000~約1,000,000、1,000,000~約4,000,000 1,000,000~約3,000,000または1,000,000~約2,000,000国際単位のグルコースオキシダーゼおよび/またはペルオキシダーゼ分解酵素が単回用量で投与され得ることが企図される。
【0066】
ある態様において、開示されるグルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素または組成物は、食事または間食と一緒に被験体に投与される。ある態様において、開示されるグルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素または組成物は、被験体が食べるそれぞれの食事または間食と一緒に被験体に投与される。ある態様において、開示されるグルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素または組成物は、7日毎に1回、6日毎に1回、5日毎に1回、4日毎に1回、3日毎に1回、2日毎に1回、毎日1回、毎日2回、毎日3回、毎日4回、毎日5回、毎日6回または毎日6回より多く被験体に投与される。
【0067】
該状況に応じて、組成物は、散剤、顆粒、ペレット、マイクロペレット、ミニ錠剤、ナノ粒子またはナノ調製物として製剤化され得る。組成物は、カプセル、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)カプセル、軟ゼラチンカプセルまたは硬ゼラチンカプセル内に封入され得る。代替的に、組成物は、錠剤剤型として製剤化され得る。組成物はまた、液体経口剤型、例えばエリキシル、シロップ剤またはドロップとして製剤化され得る。
【0068】
ある態様において、開示される組成物は、グルコアミラーゼ酵素を含まない(および/またはそれと組み合わせて投与されない)。ある態様において、開示される組成物は、スクラーゼ酵素を含まない(および/またはそれと組み合わせて投与されない)。ある態様において、開示される組成物は、ラクターゼ酵素を含まない(および/またはそれと組み合わせて投与されない)。ある態様において、開示される組成物は、トランスグルコシダーゼ酵素を含まない(および/またはそれと組み合わせて投与されない)。ある態様において、開示される組成物は、α-アミラーゼ酵素を含まない(および/またはそれと組み合わせて投与されない)。ある態様において、開示される組成物は、グルコアミラーゼ酵素、スクラーゼ酵素、ラクターゼ酵素、トランスグルコシダーゼ酵素および/またはα-アミラーゼ酵素のいずれかを含まない(および/またはそれと組み合わせて投与されない)。
【0069】
IV. 治療的用途
本明細書に開示される方法および組成物は、疾患または障害を治療するために使用され得る。例えば本発明は、被験体において糖尿病、肥満、メタボリックシンドローム、高血糖、高インスリン血症および/または摂食障害(例えば過食症または炭水化物摂食亢進症)を治療する方法を提供する。該方法は、被験体に、(i)グルコースオキシダーゼ酵素および(ii)過酸化物分解酵素の有効量を投与する工程を含む。例えば、該方法は、(i)噴霧乾燥または凍結乾燥されるグルコースオキシダーゼ酵素および(ii)噴霧乾燥または凍結乾燥される過酸化物分解酵素を含む開示される医薬組成物を投与する工程を含み得る。
【0070】
用語「有効量」は、本明細書で使用する場合、有益または所望の結果をもたらすのに十分な活性剤(例えば開示されるグルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素)の量をいう。有効量は、1つ以上の投与、適用または用量において投与され得、特定の製剤または投与経路に限定されることを意図しない。
【0071】
本明細書で使用する場合、「治療する(treat)」、「治療すること(treating)」および「治療(treatment)」は、被験体、例えばヒトにおける疾患の治療を意味する。これは、(a)疾患の阻害、すなわちその発症の阻止;および(b)疾患の軽減、すなわち疾患状態の後退を引き起こすことを含む。本明細書で使用する場合、用語「被験体」および「患者」は、本明細書に記載される方法および組成物により治療される生物をいう。かかる生物としては好ましくは、限定されないが、哺乳動物(例えば、マウス、サル、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ等)が挙げられ、より好ましくはヒトが挙げられる。
【0072】
本発明はまた、被験体、例えば肥満、糖尿病、高血糖および/または摂食障害(例えば過食症または炭水化物摂食亢進症)を有する被験体においてグルコースのレベルを低減する方法を提供する。該方法は、被験体に、(i)グルコースオキシダーゼ酵素および(ii)過酸化物分解酵素の有効量を投与する工程を含む。例えば、該方法は、(i)噴霧乾燥または凍結乾燥されるグルコースオキシダーゼおよび(ii)噴霧乾燥または凍結乾燥される過酸化物分解酵素を含む開示される医薬組成物を投与する工程を含み得る。被験体におけるグルコースのレベルは、被験体中の体液(例えば血液、血漿、血清または尿)、組織、臓器、細胞および/または胃腸管または前述のいずれかの試料中のグルコースのレベルをいい得る。
【0073】
グルコースレベル、例えば血液グルコースレベルは、例えば本明細書の実施例1に記載される血糖値計および/または試験ストリップなどの当該技術分野で公知の任意の方法により測定され得る。
【0074】
ある態様において、該方法は、被験体における(例えば被験体の血液における)、被験体が食事または間食を食べる5、15、30、60、90、120、180、240、300または360分後に測定されるグルコースのレベルを低減する。ある態様において、該方法は、被験体における(例えば被験体の血液における)、時間にわたり測定および/またはプロットされるグルコースのレベルを低減し、例えば該方法は、本明細書の実施例1に記載されるように、時間にわたり、曲線下面積(AUC)またはCmax分析に従って決定されるグルコースのレベルを低減する。例えば、ある態様において、該方法は、被験体が食事または間食を食べる約0~約5分、約0~約15分、約0~約30分、約0~約60分、約0~約90分、約0~約120分、約0~約180分、約0~約240分、約0~約300分、約0~約360分、約5~約15分、約5~約30分、約5~約60分、約5~約90分、約5~約120分、約5~約180分、約5~約240分、約5~約300分または約5~約360分の後に、被験体においてグルコースのレベルを低減する。
【0075】
ある態様において、該方法は、被験体がグルコースオキシダーゼおよび過酸化物分解酵素を投与されなかった場合の同じ被験体に対して、またはグルコースオキシダーゼおよび過酸化物分解酵素を投与されなかった同様の被験体に対して、少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%だけ、被験体において(例えば被験体の血液において、例えば食事または間食の後)グルコースのレベルを低減する。ある態様において、該方法は、該被験体がグルコースオキシダーゼおよび過酸化物分解酵素を投与されなかった場合に同じ被験体に対して、またはグルコースオキシダーゼおよび過酸化物分解酵素を投与されなかった同様の被験体に対して、10%~約90%、約10%~約80%、約10%~約60%、約10%~約40%、約10%~約20%、約20%~約80%、約20%~約60%、約20%~約40%、約40%~約80%、約40%~約60%または約60%~約80%だけ、被験体において(例えば被験体の血液において、例えば食事または間食の後)グルコースのレベルを低減する。
【0076】
ある態様において、該方法は、被験体がグルコースオキシダーゼおよび過酸化物分解酵素を投与されなかった場合の同じ被験体に対して、またはグルコースオキシダーゼおよび過酸化物分解酵素が投与されなかった同様の被験体に対して、少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%だけ、食事または間食の後に被験体の血液においてグルコースCmaxを低減する。ある態様において、該方法は、被験体がグルコースオキシダーゼおよび過酸化物分解酵素を投与されなかった場合の同じ被験体に対してまたはグルコースオキシダーゼおよび過酸化物分解酵素が投与されなかった同様の被験体に対して、約10%~約80%、約10%~約60%、約10%~約40%、約10%~約20%、約20%~約80%、約20%~約60%、約20%~約40%、約40%~約80%、約40%~約60%または約60%~約80%だけ、食事または間食の後に被験体の血液においてグルコースCmaxを低減する。
【0077】
ある態様において、該方法は、被験体がグルコースオキシダーゼおよび過酸化物分解酵素を投与されなかった場合の同じ被験体に対してまたはグルコースオキシダーゼおよび過酸化物分解酵素が投与されなかった同様の被験体に対して、少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%だけ、食事または間食の後に被験体の血液においてグルコースTmaxを低減する。ある態様において、該方法は、被験体がグルコースオキシダーゼおよび過酸化物分解酵素を投与されなかった場合の同じ被験体に対してまたはグルコースオキシダーゼおよび過酸化物分解酵素が投与されなかった同様の被験体に対して、約10%~約80%、約10%~約60%、約10%~約40%、約10%~約20%、約20%~約80%、約20%~約60%、約20%~約40%、約40%~約80%、約40%~約60%または約60%~約80%だけ、食事または間食の後に被験体の血液においてグルコースTmaxを低減する。
【0078】
ある態様において、食物と一緒に投与される場合に、該方法は、被験体がグルコースオキシダーゼおよび過酸化物分解酵素を投与されなかった場合の同じ被験体に対してまたはグルコースオキシダーゼおよび過酸化物分解酵素が投与されなかった同様の被験体に対して、少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%だけ、食物のグリセミックインデックスを低減する。ある態様において、食物と一緒に投与される場合に、該方法は、被験体がグルコースオキシダーゼおよび過酸化物分解酵素を投与されなかった場合の同じ被験体に対してまたはグルコースオキシダーゼおよび過酸化物分解酵素が投与されなかった同様の被験体に対して、少なくとも約10%~約80%、約10%~約60%、約10%~約40%、約10%~約20%、約20%~約80%、約20%~約60%、約20%~約40%、約40%~約80%、約40%~約60%または約60%~約80%だけ、食物のグリセミックインデックスを低減する。
【0079】
ある態様において、食物と一緒に投与される場合に、該方法は、被験体がグルコースオキシダーゼおよび過酸化物分解酵素を投与されなかった場合の同じ被験体に対してまたはグルコースオキシダーゼおよび過酸化物分解酵素が投与されなかった同様の被験体に対して、少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%だけ、食物のカロリー摂取量を低減する。ある態様において、食物と一緒に投与される場合に、該方法は、被験体がグルコースオキシダーゼおよび過酸化物分解酵素を投与されなかった場合の同じ被験体に対してまたはグルコースオキシダーゼおよび過酸化物分解酵素が投与されなかった同様の被験体に対して、少なくとも約10%~約80%、約10%~約60%、約10%~約40%、約10%~約20%、約20%~約80%、約20%~約60%、約20%~約40%、約40%~約80%、約40%~約60%または約60%~約80%だけ、食物のカロリー摂取量を低減する。
【0080】
本発明はまた、被験体、例えば肥満、糖尿病、高血糖および/または摂食障害(例えば過食症または炭水化物摂食亢進症)を有する被験体において、C-ペプチドおよび/またはインスリンのレベルを低減する方法を提供する。該方法は、被験体に、(i)グルコースオキシダーゼ酵素および(ii)過酸化物分解酵素の有効量を投与する工程を含む。例えば、該方法は、(i)噴霧乾燥または凍結乾燥されるグルコースオキシダーゼおよび(ii)噴霧乾燥または凍結乾燥される過酸化物分解酵素を含む開示される医薬組成物を投与する工程を含み得る。被験体におけるC-ペプチドおよび/またはインスリンのレベルは、被験体中の体液(例えば血液、血漿、血清または尿)、組織、臓器、細胞および/または胃腸管または前述のいずれかの試料におけるC-ペプチドおよび/またはインスリンのレベルをいい得る。C-ペプチドおよび/またはインスリンレベル、例えば血液C-ペプチドレベルは、例えば本明細書の実施例1に記載されるELISAなどの当該技術分野で公知の任意の方法により測定され得る。
【0081】
ある態様において、該方法は、被験体において(例えば被験体の血液において)、被験体が食事または間食を食べる5、15、30、60、90、120、180、240、300または360分後に測定されるC-ペプチドおよび/またはインスリンのレベルを低減する。ある態様において、該方法は、被験体において(例えば被験体の血液において)、時間にわたり測定および/またはプロットされるC-ペプチドおよび/またはインスリンのレベルを低減し、例えば該方法は、例えば本明細書の実施例1に記載されるように、曲線下面積(AUC)またはCmax分析により決定される時間にわたり、グルコースのレベルを低減する。例えば、ある態様において、該方法は、被験体において、被験体が食事または間食を食べる約0~約5分、約0~約15分、約0~約30分、約0~約60分、約0~約90分、約0~約120分、約0~約180分、約0~約240分、約0~約300分、約0~約360分、約5~約15分、約5~約30分、約5~約60分、約5~約90分、約5~約120分、約5~約180分、約5~約240分、約5~約300分または約5~約360分の後に測定されるC-ペプチドおよび/またはインスリンのレベルを低減する。
【0082】
ある態様において、該方法は、被験体がグルコースオキシダーゼおよび過酸化物分解酵素を投与されなかった場合の同じ被験体に対してまたはグルコースオキシダーゼおよび過酸化物分解酵素が投与されなかった同様の被験体に対して、少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%または60%だけ、被験体において(例えば被験体の血液において、例えば食事または間食の後)、C-ペプチドおよび/またはインスリンのレベルを低減する。ある態様において、該方法は、被験体がグルコースオキシダーゼおよび過酸化物分解酵素を投与されなかった場合の同じ被験体に対してまたはグルコースオキシダーゼおよび過酸化物分解酵素が投与されなかった同様の被験体に対して、約5%~約60%、約5%~約40%、約5%~約20%、約5%~約10%、約10%~約60%、約10%~約40%、約10%~約20%、約20%~約60%、約20%~約40%または約40%~約60%だけ、被験体において(例えば被験体の血液において、例えば食事または間食の後)、C-ペプチドおよび/またはインスリンのレベルを低減する。
【0083】
本発明はまた、被験体、例えば肥満、糖尿病、高血糖および/または摂食障害(例えば過食症または炭水化物摂食亢進症)を有する被験体において、HA1cのレベルを低減する方法を提供する。該方法は、被験体に、(i)グルコースオキシダーゼ酵素および(ii)過酸化物分解酵素の有効量を投与する工程を含む。例えば、該方法は、(i)噴霧乾燥または凍結乾燥されるグルコースオキシダーゼおよび(ii)噴霧乾燥または凍結乾燥される過酸化物分解酵素を含む開示される医薬組成物を投与する工程を含み得る。被験体におけるHA1cのレベルは、被験体中の体液(例えば血液、血漿、血清または尿)、組織、臓器、細胞および/または胃腸管または前述のいずれかの試料におけるHA1cのレベルをいい得る。HA1cレベルは、当該技術分野で公知の任意の方法により測定され得る。
【0084】
本明細書に記載される方法および組成物は、単独または他の治療剤および/またはモダリティーと組み合わせて使用され得る。用語「組み合わせて」投与されるは、本明細書で使用する場合、患者に対する治療の効果がある時点で重複するように2つ(またはそれ以上)の異なる治療が、障害を有する被験体の苦痛の経過の間に被験体に送達されることを意味すると理解される。ある態様において、1つの治療の送達は、第2のものの送達が開始される際に依然として行われているので、投与期間の重複がある。これは、時々本明細書において「同時(simultaneous)」または「同時(concurrent)送達」と称される。他の態様において、1つの治療の送達は、他の治療の送達が開始する前に終了する。いずれかの場合のある態様において、組み合された投与のために治療はより効果的である。例えば、第2の治療はより効果的であり、例えばより少ない第2の治療を用いて同等の効果が見られるか、または第2の治療は、第1の治療の非存在下で第2の治療が投与される場合に見られるよりも大きい程度にまで症状を低減するか、または第1の治療により同様の状況が見られる。ある態様において、送達は、症状または障害に関連する他のパラメーターの低減が、他のものの非存在下で送達される1つの治療により観察されるものよりも大きいようなものである。2つの治療の効果は、部分的に相加的、全体的に相加的または相加的よりも大きいものであり得る。送達は、送達される第1の治療の効果が、第2のものを送達する場合に依然として検出可能であるようなものであり得る。
【0085】
本記載を通して、組成物が具体的な構成成分を有する、含む(including)、または含む(comprising)と記載される場合、またはプロセスおよび方法が具体的な工程を有する、含むまたは含むと記載される場合、さらに、記載される構成成分から本質的になるかまたはそれからなる本発明の組成物があること、ならびに記載されるプロセス工程から本質的になるかまたはそれからなる本発明によるプロセスおよび方法があることが企図される。
【0086】
本願において、要素または構成成分が記載される要素または構成成分のリストに含まれるおよび/またはそれから選択されるといわれる場合、要素または構成成分が記載される要素または構成成分のいずれか1つであり得るか、あるいは要素または構成成分が記載される要素または構成成分の2つ以上からなる群より選択され得ることが理解されるべきである。
【0087】
さらに、本明細書に記載される組成物または方法の要素および/または特徴は、本明細書において明示的であるか黙示的であるかのいずれであろうと、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、種々の方法において組み合され得ることが理解されるべきである。例えば特定の化合物について参照がなされる場合、文脈からそうではないことが理解されない限り、化合物は、本発明の組成物の種々の態様において、および/または本発明の方法において使用され得る。すなわち、本願において、態様は、記載および図示される明確かつ簡潔な適用を可能にする方法で記載されかつ示されるが、態様は本教示および本発明(1つまたは複数)から逸脱することなく、種々に組み合され得るかまたは分離され得ることが意図され理解される。例えば、本明細書に記載されかつ示される全ての特徴は、本明細書に記載され、示される発明(1つまたは複数)の全局面に適用可能であり得ることが理解される。
【0088】
表現「の少なくとも1つ」は、文脈および用途からそうではないと理解されない限り、該表現の後に記載されるもののそれぞれおよび記載されるものの2つ以上の種々の組合せを個々に含むことが理解されるべきである。3つ以上の記載されるものに関する表現「および/または」は、文脈からそうではないと理解されない限り同じ意味を有すると理解されるべきである。
【0089】
それらの文法的同等物を含む用語「含む(include)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(have)」、「有する(has)」、「有する(having)」、「含む(contain)」、「含む(contains)」または「含む(containing)」の使用は、そうではないと具体的に記載されないかまたは文脈から理解されない限り、例えばさらなる記載されない要素または工程を排除しない開放型および非限定的であると一般的に理解されるべきである。
【0090】
用語「約」の使用が量的値の前にある場合、本発明は、具体的にそうではないと記載されなければ、具体的な量的値自体も含む。本明細書で使用する場合、用語「約」は、そうではないと示されないか推測されない限り、名目上の値から±10%の変動をいう。
【0091】
工程の順序または特定の行為を行うための順序は、本発明が実行可能なままである限りは重要でないことが理解されるべきである。さらに2つ以上の工程または行為は同時に行われてもよい。
【0092】
任意および全ての例、または本明細書における例示的用語、例えば「など(such as)」または「含む(including)」の使用は、本発明を単によりよく説明することが意図され、特許請求されない限りは、本発明の範囲に限定を課さない。明細書における用語は、任意の特許請求されない要素を本発明の実施に必須として示すように解釈されるべきではない。
【実施例
【0093】
実施例
以下の実施例は単なる例示であり、いかなる方法においても本発明の範囲または内容を限定することは意図されない。
【0094】
実施例1
この実施例には、若い健常なブタにおける腸管からのグルコース吸収およびC-ペプチド放出に対する、乾燥飼料と均一に混合されたグルコースオキシダーゼおよびカタラーゼの組合せの効果を試験する試験が記載される。
【0095】
試験設計/方法
胃腸系の形態学および生理学、酵素的およびホルモン性因子、経過時間および消化効率におけるヒトとブタの間の類似性のためにブタモデルを使用した。健常および糖尿病の両方のブタを使用して、グルコース耐性およびインスリン感受性を試験した(例えばKoopmans et al. (2011) BMC BIOCHEM12:25およびPierzynowska et al. (2020) J. DIABETES RES. 2020: 2148740参照)。
【0096】
該試験は8匹のブタを含んだ(4匹のメスおよび4匹の去勢されたオス)。全てのブタは、実験施設に到着した際に10~12週齢であり、試験の開始時に9.06 ± 0.77kg(平均±SEM)の重量を有した。
【0097】
1週間の適応期間中に、ブタに、標準的なシリアル系の飼料(SD, Kcynia, Morawski Plant, Poland)を与えた。より高いおよび一定の胃のpHレベルを確実にするために、標準飼料(体重の0.5%)を、0900時間で朝に給餌を開始して3時間の間隔でブタに与えた(24時間に8回;0900、1200、1500、1800、2100、2400、0300および0600時間)。標準飼料の組成物を表1に提供する。標準飼料は、約50%のデンプン、17%のタンパク質、3%の脂肪、28%の食物繊維および2%のH2Oを含む。標準飼料が約50%のデンプンを含む場合、4グラムの飼料は2グラムのグルコースに相当する約2グラムのデンプンを含む。
【表1】
【0098】
到着の1週間後、適応期間の終了時に、ブタは、試験全体にわたる頻繁な血液サンプリングを可能にするために植え込まれた頸静脈カテーテルを有した。
【0099】
最初の適応期間および頸静脈カテーテル挿入後に、ブタを食事グルコース負荷試験(MGTT;表3参照)に供し、ここで飼料またはグルコースに富んだ飼料の両方に、グルコースオキシダーゼおよびカタラーゼ酵素またはそれらなしを補充した。グルコース利用およびC-ペプチド放出に対する酵素補充の効果をモニタリングした。
【0100】
試験に使用したグルコースオキシダーゼおよびカタラーゼ酵素の詳細を表2に提供する。
【表2】
【0101】
血液試料は、頸静脈カテーテルを介して収集し、BD Vacutainer(登録商標)ガラスK3EDTAチューブ(BD Diagnostics, New Jersey, USA)に移した。血液試料はすぐに氷上に置き、その後それらを3000 x gで15分間、4℃で遠心分離し、血漿を分離して、さらなる分析まで-80℃で保管した。
【0102】
血液グルコース濃度は、血液サンプリングの直後に血糖値計および試験ストリップ(Accu-Chek1 Aviva, Roche Diagnostics, Germany)を使用して測定した。血漿C-ペプチド濃度は、製造業者の指示書に従いブタC-ペプチドELISAキット(cat#10-1256-01 Mercodia, Uppsala, Sweden)を使用して測定した。
【0103】
試験設計および個々の食事グルコース負荷試験(MGTT)条件の要約を表3に記載する。全てのMGTTは、朝に行い、0900時間で開始した。それぞれの試験日に、給餌の前(ベースライン)および給餌の5、15、30、60、90、120、180および240分後に血液をサンプリングした。任意に、血液はさらに、給餌の300および360分後にサンプリングした。試験日の間、0600時間および1200時間にはブタに食事を与えなかった。
【0104】
最初に、一組のMGTT(MGTT I、IIおよびIII)を行って、最適な飼料の量および飼料/グルコース比を見出した。MGTT IおよびIIにより、体重1キログラム当たり2グラムのグルコースでブタに給餌することは、十分なピークを生じないことが明らかになった。MGTT IIIにおいて、ブタに、(i)体重1キログラム当たり16グラムの標準飼料または(ii)体重1キログラム当たり16グラムの標準飼料および体重1キログラム当たり8グラムのグルコース(飼料と混合)を給餌した。MGTT IIIにおいて、飼料および飼料/グルコース混合物の両方についてグルコース吸収ピークが観察された。結果的に、全てのさらなるMGTTにおいてこの量を使用した。
【0105】
さらなるMGTT(MGTT IV、VおよびVI)により、グルコースオキシダーゼおよびカタラーゼ補充の効果を試験した。グルコースオキシダーゼ粉末を添加して、飼料または飼料/グルコース混合物と均質化した。ピペットからのドロップ中のカタラーゼ懸濁物を、飼料/グルコースオキシダーゼまたは飼料/グルコースオキシダーゼ/グルコース混合物に直接添加した。このプロセスにより、個々の構成成分の均質化を確実にした。
【0106】
実験の終了時に、ブタをペントバルビツール酸(pentobarbiturate)ナトリウム(Morbital, Biowet, Pulawy, Poland;20mg/kg)で安楽死させて、肉眼の死体解剖検査に供した。胃ならびに近位および遠位の空腸を、病理学的変化について検査した。
【表3】
【0107】
AUCを除く全てのデータは平均±標準偏差(SD)で表した。パラメーターの分布はシャピロ-ウィルク正規性検定を使用してチェックした。食後の血液グルコースおよびC-ペプチドレベルについて総曲線下面積(AUC)を計算した。AUCをベースライン調整し、一元配置ANOVAを使用して比較した。AUCについてのデータを平均±平均の標準誤差(SEM)として表した。異なる時点での血液グルコースおよびC-ペプチドレベルを、二元配置ANOVAを使用して比較した。複数の比較についてデータは修正しなかった。全ての統計学的分析において、p≦0.05は有意であるとみなされた。全ての分析は、Prism、バージョン9.1.0 (GraphPad Software, Inc, San Diego, CA, USA)を使用して行った。
【0108】
結果-グルコース吸収
試験により、グルコースオキシダーゼおよびカタラーゼが、食事グルコース負荷試験(MGTT)の間に血液へのグルコースの吸収を低減し得たかどうかを評価した。
【0109】
MGTT IVの間、全てのブタは最初に、グルコースオキシダーゼおよびカタラーゼ組合せを受けた。結果を図1に示す。酵素補充は、飼料の嗜好性またはブタの食餌行動に影響を及ぼさなかった。グルコースオキシダーゼおよびカタラーゼ補充は、飼料のみを食べるブタ(給餌後180および240分、図1A)および飼料/グルコース混合物を食べるブタ(給餌後15および30分、図1B)の両方において血液グルコースレベルの有意な低下を生じた。飼料のみを食べるブタにおいてグルコースAUCの有意な(p=0.02) 53%低下が観察された(図1A)。
【0110】
MGTT Vの間、4匹のブタは、MGTT IVと比較して増加用量のグルコースオキシダーゼおよびカタラーゼ組合せを受けた。結果を図2に示す。結果は一般的に、より低用量のものと一致した。MGTT VIの間、3匹のブタは飼料のみの食事を受け、2匹のブタは飼料の食事/グルコース混合物を受け、2匹のブタは飼料の食事/グルコース混合物ならびにグルコースオキシダーゼおよびカタラーゼ組合せを受けた(MGTT IVと同じ用量)。結果を図3に示す。酵素処理を受けたブタにおいて、グルコースAUCの有意な52.5%低下が観察された(p<0.05)。グルコースCmaxについて傾向の違いが観察された(これは、酵素なしで飼料/グルコース混合物を受けた動物について120分で157.5mg/dlであり、酵素有りの飼料/グルコース混合物を受けた動物について15分で110.5mg/dlであった、p=0.06)。
【0111】
結果-C-ペプチド放出
該試験は、グルコースオキシダーゼおよびカタラーゼが、食事グルコース負荷試験(MGTT)中にC-ペプチド(インスリンの臨床マーカー)の放出を低減し得たかどうかも評価した。
【0112】
MGTT IVの間に、全てのブタは最初に、グルコースオキシダーゼおよびカタラーゼの組合せを受けた。結果を図4に示す。グルコースオキシダーゼおよびカタラーゼ補充は、飼料のみを食べたブタ図4A)および飼料/グルコース混合物を食べたブタ(図4B)の両方についてC-ペプチドAUCの低下傾向を生じた。
【0113】
MGTT Vについての結果を図5に示す。MGTT Vの間、酵素処理を受けない対照群と酵素処理を受けた処理群の間でC-ペプチド放出曲線またはAUCにおいて低下傾向があった。
【0114】
MGTT VIについての結果を図6に示す。MGTT VIの間、酵素処理を受けない対照群と酵素処理を受けた処理群の間でC-ペプチド放出曲線またはAUCにおいて低下傾向があった。
【0115】
概要
試験を通じて、グルコースオキシダーゼおよびカタラーゼ酵素の投与後に、死亡率、有害な臨床的徴候および消化管に沿った病理学的な巨視的所見は観察されなかった。
【0116】
実験条件に応じて、飼料にグルコースオキシダーゼおよびカタラーゼ酵素を補充することは、(i)血液グルコースAUCの有意な52%低下(p<0.05);(ii)血液グルコースCmaxの低下(30%低下、p=0.06);および(iii)C-ペプチドAUCの低下(飼料について35%低下および飼料/グルコース混合物について18%低下、p=0.089および0.12それぞれ)を生じた。
【0117】
一緒になって、これらの結果は、飼料にグルコースオキシダーゼおよびカタラーゼ酵素を補充することがグルコース吸収の低下を生じ得ることを示し、グルコースオキシダーゼおよびカタラーゼ酵素の投与が肥満または代謝障害、例えばメタボリックシンドロームおよび2型真性糖尿病を治療または予防し得ることを示唆する。
【0118】
参照による援用
本明細書に参照される特許および科学文献のそれぞれの全開示は、全ての目的のために参照により援用される。
【0119】
均等物
本発明は、その精神または本質的な特徴から逸脱することなく、他の具体的な形態において具体化され得る。そのため、前述の態様は、全ての観点において、本明細書に記載される発明の限定ではなく例示としてみなされる。したがって、本発明の範囲は、前述の記載ではなく添付の特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲の均等物の意味および範囲内にある全ての変更が、本発明に包含されることが意図される。
【0120】
配列表
【表4-1】
【表4-2】
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
【配列表】
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【国際調査報告】