(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】NLRX1のテトラヒドロピラゾロピリジンアナログリガンド及びこれらの使用
(51)【国際特許分類】
C07D 471/04 20060101AFI20240822BHJP
A61K 31/437 20060101ALI20240822BHJP
A61K 31/444 20060101ALI20240822BHJP
A61K 31/497 20060101ALI20240822BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20240822BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240822BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240822BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240822BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20240822BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20240822BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240822BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
C07D471/04 106H
C07D471/04 CSP
A61K31/437
A61K31/444
A61K31/497
A61K31/506
A61P29/00
A61P37/02
A61P11/00
A61P11/06
A61P3/06
A61P3/10
A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508921
(86)(22)【出願日】2022-08-09
(85)【翻訳文提出日】2024-04-12
(86)【国際出願番号】 US2022039781
(87)【国際公開番号】W WO2023018682
(87)【国際公開日】2023-02-16
(32)【優先日】2021-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524056477
【氏名又は名称】ランドス バイオファーマ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100162422
【氏名又は名称】志村 将
(72)【発明者】
【氏名】バッサガンヤ-リエラ ジョセップ
(72)【発明者】
【氏名】ホンテシリャス ラケル
(72)【発明者】
【氏名】トゥバウ-ジュニ ヌリア
(72)【発明者】
【氏名】リーバー アンドリュー
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB05
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA16
4C086ZA36
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA89
4C086ZB07
4C086ZB11
4C086ZB13
4C086ZB26
4C086ZB32
4C086ZC35
4C086ZC41
(57)【要約】
ヌクレオチド結合オリゴマー化ドメイン,ロイシンリッチリピート含有X1(NLRX1)タンパク質を標的とする式I:
のテトラヒドロピラゾロピリジンアナログ化合物;或いはその薬学的に許容される塩又はエステルを提供する。特に慢性及び/又は炎症性呼吸器疾患、慢性及び/又は炎症性中枢神経系疾患、アレルギ性疾患、自己免疫疾患、心血管疾患、糖尿病、好酸球増多症候群、肉芽腫性障害、がん及び/又は感染性疾患の治療においてこれらの化合物を使用する方法も提供する。例示的な状態としては、喘息、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、アルツハイマー病、アトピー性皮膚炎、好酸球性胃腸炎、好酸球性食道炎、糖尿病、並びにチャーグ・ストラウス症候群、ベリリウム肺及びサルコイドーシスなどの肉芽腫性障害が挙げられる。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】
の化合物、或いはその薬学的に許容される塩又はエステルであって、
式中、
A
1及びA
4がそれぞれ独立して、C(R
1)
2、N(R
1)、O、S、N(R
O)、C(R
1)(R
O)又はC(=O)であり;
A
2がC(R
1)
2、N(R
1)、O又はSであり;
A
3がN(Y)、C(R
1)(Y)、N(L
Q-Y)又はC(R
1)(L
Q-Y)であり;
A
5及びA
6がそれぞれ独立して、C、C(R
1)又はNであり;
A
7、A
8及びA
9がそれぞれ独立して、C(R
1)
2、N(R
1)、O、S、C(R
1)、N、N(R
A)、C(R
1)(R
A)、C(R
A)、N(Z)、C(R
1)(Z)、C(Z)、N(L
Z-Z)、C(R
1)(L
Z-Z)又はC(L
Z-Z)であるが、A
7、A
8及びA
9のうち正確に1つがN(Z)、C(R
1)(Z)、C(Z)、N(L
Z-Z)、C(R
1)(L
Z-Z)又はC(L
Z-Z)であり;
各例におけるR
Oが独立して、ヒドロキシル、任意に置換されたアルキルオキシ、チオール、任意に置換されたアルキルチオ又は任意に置換されたアミノであり;
R
Aが任意に置換されたアルキル又はヒドロキシルであり;
L
Qが1つ又は2つのヘテロ原子を任意に含有する任意に置換されたアルキレン、1つ又は2つのヘテロ原子を任意に含有する任意に置換されたアルケニレン、1つ又は2つのヘテロ原子を任意に含有する任意に置換されたアルキニレン、酸素原子、硫黄原子又はN(R
1)であり;
L
Zが1つ又は2つのヘテロ原子を任意に含有する任意に置換されたアルキレン、1つ又は2つのヘテロ原子を任意に含有する任意に置換されたアルケニレン、1つ又は2つのヘテロ原子を任意に含有する任意に置換されたアルキニレン、酸素原子、硫黄原子又はN(R
1)であり;
YがY
1又はY
2であり;
Y
1が、
【化2】
であり;
A
10、A
11、A
12、A
13及びA
14がそれぞれ独立して、C(R
1)、C(R
Y)又はNであるが、A
10、A
11、A
12、A
13及びA
14のうち正確に1つがC(R
Y)であり;
Y
2が、
【化3】
であり;
A
15、A
16、A
17及びA
18がそれぞれ独立して、C(R
1)、C(R
1)
2、C(R
Y)、C(R
1)(R
Y)、N、N(R
1)、N(R
Y)、S又はOであるが、A
15、A
16、A
17及びA
18のうち正確に1つがC(R
Y)、C(R
1)(R
Y)又はN(R
Y)であり;
R
YがR
L又はL
Y-R
Lであり;
R
Lがヒドロキシル、カルボキシル、任意に置換されたアルキルオキシ、チオール、スルフィノ、任意に置換されたアルキルチオ、任意に置換されたアミノ、任意に置換されたアルキルオキシカルボニル、任意に置換されたカルバモイル又は任意に置換されたスルファモイルであり;
L
Yが1つ又は2つのヘテロ原子を任意に含有する任意に置換されたアルキレン、1つ又は2つのヘテロ原子を任意に含有する任意に置換されたアルケニレン、1つ又は2つのヘテロ原子を任意に含有する任意に置換されたアルキニレン、酸素原子、硫黄原子又はN(R
1)であり;
Zが、
【化4】
であり;
A
19及びA
23がそれぞれ独立して、C(R
1)又はNであり;
A
20、A
21及びA
22がそれぞれ独立して、C(R
1)、N又はC(R
Z)であり;
各例におけるR
Zが独立して、ハロゲン、任意に置換されたアルキル、ヒドロキシル、任意に置換されたアルキルオキシ、チオール又は任意に置換されたアルキルチオであり;
隣接する原子間の各---が、存在する又は存在しない結合を表し;
各例におけるR
1が独立して、水素、ハロゲン、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルケニル、ヒドロキシル、カルボキシル、任意に置換されたアルキルオキシ、任意に置換されたアルケニルオキシ、任意に置換されたアルキニルオキシ、任意に置換されたシクロアルキルオキシ、任意に置換されたシクロアルケニルオキシ、チオール、スルフィノ、任意に置換されたアルキルチオ、任意に置換されたアルケニルチオ、任意に置換されたアルキニルチオ、任意に置換されたアルキルスルフィニル、任意に置換されたアルキルスルホニル、任意に置換されたアルキルスルホニルオキシ、任意に置換されたシクロアルキルチオ、任意に置換されたシクロアルキルスルフィニル、任意に置換されたシクロアルキルスルホニル、任意に置換されたシクロアルキルスルホニルオキシ、任意に置換されたシクロアルケニルチオ、任意に置換されたシクロアルケニルスルフィニル、任意に置換されたシクロアルケニルスルホニル、任意に置換されたシクロアルケニルスルホニルオキシ、任意に置換されたアミノ、アシル、任意に置換されたアルキルオキシカルボニル、任意に置換されたアルケニルオキシカルボニル、任意に置換されたアルキニルオキシカルボニル、任意に置換されたアリールオキシカルボニル、任意に置換されたカルバモイル、任意に置換されたスルファモイル、シアノ、ニトロ、任意に置換されたアリール、任意に置換されたアリールオキシ、任意に置換されたアリールチオ、任意に置換されたアリールスルフィニル、任意に置換されたアリールスルホニル、任意に置換されたアリールスルホニルオキシ、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたヘテロアリールオキシ、任意に置換されたヘテロアリールチオ、任意に置換されたヘテロアリールスルフィニル、任意に置換されたヘテロアリールスルホニル、任意に置換されたヘテロアリールスルホニルオキシ又は任意に置換された非芳香族複素環基である、化合物或いはその薬学的に許容される塩又はエステル。
【請求項2】
A
1及びA
4の少なくとも1つが、C(R
1)(R
O)又はC(=O)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
A
4がC(=O)である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
A
3がN(Y)又はN(L
Q-Y)である、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
A
8及びA
9がそれぞれ独立して、N(R
1)、N、N(Z)又はN(L
Z-Z)である、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
A
8及びA
9がそれぞれ独立して、N、N(Z)又はN(L
Z-Z)であるが、A
8及びA
9の正確に1つがN(Z)又はN(L
Z-Z)である、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
A
5及びA
6がそれぞれCである、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
A
1及びA
2がそれぞれC(R
1)
2であり;
A
7がC(R
1)又はC(R
A)である、
請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
A
11及びA
12のうち正確に1つが、C(R
Y)である、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
A
13がNである、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
A
10及びA
14がそれぞれC(R
1)であり;
C(R
Y)ではないA
11及びA
12の1つがC(R
1)である、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
YがY
1である、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
A
15、A
16、A
17及びA
18のうち正確に1つが、N(R
1)、N(R
Y)、S又はOである、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
A
15、A
16、A
17及びA
18のうち少なくとも2つが、それぞれ独立して、N、N(R
1)、N(R
Y)、S又はOである、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
A
15、A
16及びA
17のうち正確に1つが、C(R
Y)又はN(R
Y)である、請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
A
16がC(R
Y)である、請求項1~15のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
A
18がNである、請求項1~16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
YがY
2である、請求項1~8及び13~17のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
R
Lがヒドロキシル、カルボキシル、任意に置換されたアルキルオキシ、任意に置換されたアミノ、任意に置換されたアルキルオキシカルボニル及び任意に置換されたカルバモイルである、請求項1~18のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
R
Lがカルボキシルである、請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項21】
R
YがL
Y-R
Lである、請求項1~20のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項22】
L
Yが無置換C1、C2、C3又はC4アルキレンである、請求項1~21のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項23】
A
20、A
21及びA
22のうち少なくとも1つがC(R
Z)である、請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項24】
各例におけるR
Zが独立して、ハロゲン、任意に置換されたアルキル、ヒドロキシル又は任意に置換されたアルキルオキシである、請求項1~23のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項25】
各例におけるR
1が独立して、水素、ハロゲン、無置換アルキル、無置換シクロアルキル、無置換アルキルオキシ、無置換シクロアルキルオキシ、無置換アルキルチオ、無置換アルキルスルフィニル、無置換シクロアルキルチオ、無置換シクロアルキルスルフィニル、無置換アミノ、アシル、無置換アリール、無置換アリールオキシ、無置換アリールチオ、無置換ヘテロアリール、無置換ヘテロアリールオキシ、無置換ヘテロアリールチオ、無置換ヘテロアリールスルフィニル又は無置換非芳香族複素環基である、請求項1~24のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項26】
各例におけるR
1が水素である、請求項1~25のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項27】
化合物が
図1A~1Rに示す化合物の構造を有する請求項1に記載の化合物、或いはその薬学的に許容される塩又はエステル。
【請求項28】
化合物が
【化5】
【化6】
の構造を有する請求項1に記載の化合物、或いはこれらの薬学的に許容される塩又はエステル。
【請求項29】
動物の状態を請求項1~28のいずれか一項に記載の化合物で治療する方法であって、有効量の前記化合物を前記動物に投与することを含み、前記状態が、慢性及び/又は炎症性呼吸器疾患、慢性及び/又は炎症性中枢神経系疾患、アレルギ性疾患、自己免疫疾患、心血管疾患、糖尿病、好酸球増多症候群、肉芽腫性障害、がん、並びに感染性疾患のうちの少なくとも1つを含む、方法。
【請求項30】
前記状態が、慢性及び/又は炎症性呼吸器疾患、並びに糖尿病のうちの少なくとも1つを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記状態が、喘息、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、アルツハイマー病、アトピー性皮膚炎、好酸球性胃腸炎、好酸球性食道炎、糖尿病、並びにチャーグ・ストラウス症候群、ベリリウム肺及びサルコイドーシスのうちの少なくとも1つを含む肉芽腫性障害の少なくとも1つを含む、請求項29に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヌクレオチド結合オリゴマー化ドメイン,ロイシンリッチリピート含有X1(NLRX1)のテトラヒドロピラゾロピリジンアナログリガンド、並びに疾患及び障害の薬物療法としての使用、特に炎症性、アレルギ性又は免疫介在性疾患を治療及び予防するための使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ヌクレオチド結合オリゴマー化ドメイン,ロイシンリッチリピート含有X1(NLRX1)(「NOD様受容体X1」又は「NLRファミリメンバX1」又は「NOD9」とも呼ばれる)は、免疫細胞、消化管、及び皮膚、肺、筋肉、内分泌器、及び生殖組織で発現するシグナル伝達経路タンパク質である(Davisら、2014)。NLRX1分子は3つの異なるドメインを有し、ミトコンドリアに局在している(Arnoultら、2009)。炎症性腸疾患モデルにおいて、NLRX1の喪失は疾患重症度を悪化させ、免疫細胞代謝を変化させる(Leberら、2017)ことが公開された結果により示されている(Leberら、2018、Luら、2015、Soaresら、2014)。NLRX1タンパク質は、ウイルス反応(Allenら、2011、Fengら、2017、Guoら、2016、Jaworskaら、2014、Kimら、2017、Maら、2017、Mooreら、2008、Qinら、2017)、細菌感染症 (Philipsonら、2015)、真菌感染症(Kaleら、2017)、がん(Coutermarsh-Ottら、2016、Koblanskyら、2016、Leiら、2016、Singhら、2015、Tattoliら、2016)、脂肪性肝疾患(Korsら、2018、Wangら、2013)、2型糖尿病(Costfordら、2018)、脳損傷(Theusら、2017)、心筋虚血(Liら、2016)、慢性閉塞性肺疾患(Kangら、2015)及び自己免疫性脳脊髄炎(Eitasら、2014)のモデルにも関与している。
NLRX1が関与する疾患の安全で効果的な治療に対し、明確で臨床的なアンメットニーズがある。これらの疾患としては、自己免疫疾患、喘息などの炎症性及びアレルギ性疾患、慢性閉塞性肺疾患、並びに感染性疾患が含まれる。現在のアレルギ及び自己免疫治療は、有効性が低く、安全性に乏しいため、頻繁なモニタリング、治療パラダイムシフト及び複雑な輸送方法が必要とされる。従って、疾患の長期管理のために経口投与することができる新しい治療が必要である。感染性疾患においては、様々な微生物における高い変異率によって、抗菌剤、抗真菌剤及び抗ウイルス剤を使用することのない新規の非抗微生物治療を開発する必要がある。更に、新しい株及び流行性感染症では、病原体の出現から微生物特異的治療処置が利用できるまでに時間差があり、新規の宿主標的治療の必要性が生じる。全体として、感染性、アレルギ性及び自己免疫性疾患の流行を考慮すると、NLRX1経路は、何百万もの患者に著しく影響を与える可能性を有する。
ウイルス核酸(Hongら、2012)及び食物脂質はNLRX1の天然リガンドとして特定されている(Luら、2015)。治療を個別の疾患に対して具体的に調整し、それらの有効性を潜在的に最大にするために、NLRX1経路の新規リガンドを開発する必要性がある。
【0003】
本発明は、NLRX1タンパク質への結合能を最大にするため、従って限定されないが、特にがん、細菌、真菌及びウイルス起源の感染性疾患、並びに喘息、慢性閉塞性肺疾患及び特発性肺線維症などの炎症性、アレルギ性、免疫介在性又は慢性呼吸器疾患を含む様々な疾患状態において有益な反応を誘導するために、新規の医薬化学アプローチにより開発され、インシリコ、インビトロ及びインビボ技術を使用してスクリーニングされた化合物を提供する。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、式I:
【化1】
の化合物、或いはこれらの薬学的に許容される塩又はエステルを提供し、
式中、A
1及びA
4はそれぞれ独立してC(R
1)
2、N(R
1)、O、S、N(R
O)、C(R
1)(R
O)又はC(=O)であり;
A
2はC(R
1)
2、N(R
1)、O又はSであり;
A
3はN(Y)、C(R
1)(Y)、N(L
Q-Y)又はC(R
1)(L
Q-Y)であり;
A
5及びA
6はそれぞれ独立してC、C(R
1)又はNであり;
A
7、A
8及びA
9はそれぞれ独立してC(R
1)
2、N(R
1)、O、S、C(R
1)、N、N(R
A)、C(R
1)(R
A)、C(R
A)、N(Z)、C(R
1)(Z)、C(Z)、N(L
Z-Z)、C(R
1)(L
Z-Z)又はC(L
Z-Z)であるが、A
7、A
8及びA
9の正確に1つは、N(Z)、C(R
1)(Z)、C(Z)、N(L
Z-Z)、C(R
1)(L
Z-Z)又はC(L
Z-Z)であり;
各例におけるR
Oは独立してヒドロキシル、任意に置換されたアルキルオキシ、チオール、任意に置換されたアルキルチオ又は任意に置換されたアミノであり;
R
Aは任意に置換されたアルキル又はヒドロキシルであり;
L
Qは1つ又は2つのヘテロ原子を任意に含有する任意に置換されたアルキレン、1つ又は2つのヘテロ原子を任意に含有する任意に置換されたアルケニレン、1つ又は2つのヘテロ原子を任意に含有する任意に置換されたアルキニレン、酸素原子、硫黄原子或いはN(R
1)であり;
L
Zは1つ又は2つのヘテロ原子を任意に含有する任意に置換されたアルキレン、1つ又は2つのヘテロ原子を任意に含有する任意に置換されたアルケニレン、1つ又は2つのヘテロ原子を任意に含有する任意に置換されたアルキニレン、酸素原子、硫黄原子或いはN(R
1)であり;
YはY
1又はY
2であり;
Y
1は、
【化2】
であり;
A
10、A
11、A
12、A
13及びA
14はそれぞれ独立してC(R
1)、C(R
Y)又はNであるが、A
10、A
11、A
12、A
13及びA
14の正確に1つはC(R
Y)であり;
Y
2は、
【化3】
であり;
A
15、A
16、A
17及びA
18はそれぞれ独立してC(R
1)、C(R
1)
2、C(R
Y)、C(R
1)(R
Y)、N、N(R
1)、N(R
Y)、S又はOであるが、A
15、A
16、A
17及びA
18の正確に1つは、C(R
Y)、C(R
1)(R
Y)又はN(R
Y)であり;
R
YはR
L又はL
Y-R
Lであり;
R
Lはヒドロキシル、カルボキシル、任意に置換されたアルキルオキシ、チオール、スルフィノ、任意に置換されたアルキルチオ、任意に置換されたアミノ、任意に置換されたアルキルオキシカルボニル、任意に置換されたカルバモイル又は任意に置換されたスルファモイルであり;
L
Yは1つ又は2つのヘテロ原子を任意に含有する任意に置換されたアルキレン、1つ又は2つのヘテロ原子を任意に含有する任意に置換されたアルケニレン、1つ又は2つのヘテロ原子を任意に含有する任意に置換されたアルキニレン、酸素原子、硫黄原子或いはN(R
1)であり;
Zは、
【化4】
であり;
A
19及びA
23はそれぞれ独立してC(R
1)又はNであり;
A
20、A
21及びA
22はそれぞれ独立してC(R
1)、N又はC(R
Z)であり;
各例におけるR
Zは独立してハロゲン、任意に置換されたアルキル、ヒドロキシル、任意に置換されたアルキルオキシ、チオール又は任意に置換されたアルキルチオであり;
隣接する原子間の各---は、存在する又は存在しない結合を表し;
各例におけるR
1は独立して水素、ハロゲン、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルケニル、ヒドロキシル、カルボキシル、任意に置換されたアルキルオキシ、任意に置換されたアルケニルオキシ、任意に置換されたアルキニルオキシ、任意に置換されたシクロアルキルオキシ、任意に置換されたシクロアルケニルオキシ、チオール、スルフィノ、任意に置換されたアルキルチオ、任意に置換されたアルケニルチオ、任意に置換されたアルキニルチオ、任意に置換されたアルキルスルフィニル、任意に置換されたアルキルスルホニル、任意に置換されたアルキルスルホニルオキシ、任意に置換されたシクロアルキルチオ、任意に置換されたシクロアルキルスルフィニル、任意に置換されたシクロアルキルスルホニル、任意に置換されたシクロアルキルスルホニルオキシ、任意に置換されたシクロアルケニルチオ、任意に置換されたシクロアルケニルスルフィニル、任意に置換されたシクロアルケニルスルホニル、任意に置換されたシクロアルケニルスルホニルオキシ、任意に置換されたアミノ、アシル、任意に置換されたアルキルオキシカルボニル、任意に置換されたアルケニルオキシカルボニル、任意に置換されたアルキニルオキシカルボニル、任意に置換されたアリールオキシカルボニル、任意に置換されたカルバモイル、任意に置換されたスルファモイル、シアノ、ニトロ、任意に置換されたアリール、任意に置換されたアリールオキシ、任意に置換されたアリールチオ、任意に置換されたアリールスルフィニル、任意に置換されたアリールスルホニル、任意に置換されたアリールスルホニルオキシ、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたヘテロアリールオキシ、任意に置換されたヘテロアリールチオ、任意に置換されたヘテロアリールスルフィニル、任意に置換されたヘテロアリールスルホニル、任意に置換されたヘテロアリールスルホニルオキシ又は任意に置換された非芳香族複素環基である。
【0005】
いくつかの実施形態において、A1及びA4の少なくとも1つはC(R1)(RO)又はC(=O)である。いくつかの実施形態において、A1はC(R1)(RO)又はC(=O)である。いくつかの実施形態において、A1はC(=O)である。いくつかの実施形態において、A1はC(R1)(RO)である。いくつかの実施形態において、A1のROはヒドロキシルである。いくつかの実施形態において、A1はC(R1)2である。いくつかの実施形態において、A4はC(R1)(RO)又はC(=O)である。いくつかの実施形態において、A4はC(=O)である。いくつかの実施形態において、A4はC(R1)(RO)である。いくつかの実施形態において、A4のROはヒドロキシルである。いくつかの実施形態において、A4はC(R1)2である。いくつかの実施形態において、A2はC(R1)2である。いくつかの実施形態において、A3はN(Y)又はN(LQ-Y)である。いくつかの実施形態において、A3がN(LQ-Y)であるとき、LQは酸素原子、硫黄原子又はN(R1)ではない。いくつかの実施形態において、A3はN(Y)又はC(R1)(Y)である。いくつかの実施形態において、A3はN(Y)である。いくつかの実施形態において、A5はCである。いくつかの実施形態において、A6はCである。いくつかの実施形態において、A5及びA6はそれぞれCである。いくつかの実施形態において、A7はC(R1)又はC(RA)である。いくつかの実施形態において、A7はC(R1)である。いくつかの実施形態において、A7はC(RA)である。いくつかの実施形態において、各例におけるRAは無置換C1-C4アルキル、ハロゲン置換C1-C4アルキル又はヒドロキシルである。いくつかの実施形態において、各例におけるRAは無置換C1-C4アルキルである。いくつかの実施形態において、A8及びA9はそれぞれ独立してN(R1)、N、N(Z)又はN(LZ-Z)である。いくつかの実施形態において、A8及びA9はそれぞれ独立してN、N(Z)又はN(LZ-Z)であるが、A8及びA9の正確に1つはN(Z)又はN(LZ-Z)である。いくつかの実施形態において、A8はN(Z)又はN(LZ-Z)である。いくつかの実施形態において、A9はN(Z)又はN(LZ-Z)である。いくつかの実施形態において、A7、A8又はA9の正確に1つがN(LZ-Z)であるとき、LZは酸素原子、硫黄原子又はN(R1)ではない。いくつかの実施形態において、A8及びA9はそれぞれ独立してN又はN(Z)であるが、A8及びA9の正確に1つはN(Z)である。いくつかの実施形態において、A8はN(Z)である。いくつかの実施形態において、A9はN(Z)である。
【0006】
いくつかの実施形態において、YはY1である。いくつかの実施形態において、A10、A11、A12、A13及びA14の少なくとも1つはNである。いくつかの実施形態において、A10、A11、A12、A13及びA14の正確に1つはNである。いくつかの実施形態において、A10はNである。いくつかの実施形態において、A11はNである。いくつかの実施形態において、A12はNである。いくつかの実施形態において、A13はNである。いくつかの実施形態において、A14はNである。いくつかの実施形態において、A10及びA13はNである。いくつかの実施形態において、A12及びA14はNである。いくつかの実施形態において、A11及びA12の正確に1つはC(RY)である。いくつかの実施形態において、A11はC(RY)である。いくつかの実施形態において、A12はC(RY)である。いくつかの実施形態において、A13はNである。いくつかの実施形態において、A10、A11、A12、A13及びA14のそれぞれは、他に指定しない限り、C(R1)である。
いくつかの実施形態において、YはY2である。いくつかの実施形態において、A15、A16、A17及びA18の正確に1つはN(R1)、N(RY)、S又はOである。いくつかの実施形態において、A15、A16、A17及びA18の少なくとも1つはN、N(R1)、N(RY)、S又はOである。いくつかの実施形態において、A15、A16、A17及びA18の少なくとも2つはそれぞれ独立してN、N(R1)、N(RY)、S又はOである。いくつかの実施形態において、A15、A16及びA17の正確に1つはC(RY)又はN(RY)である。いくつかの実施形態において、A15はNである。いくつかの実施形態において、A15はC(R1)である。いくつかの実施形態において、A16はC(RY)である。いくつかの実施形態において、A16はN(RY)である。いくつかの実施形態において、A17はN(R1)、S又はOである。いくつかの実施形態において、A17はN(R1)である。いくつかの実施形態において、A17はOである。いくつかの実施形態において、A17はNである。いくつかの実施形態において、A18はNである。いくつかの実施形態において、A16はN(RY)、A17はN、A18はNである。
【0007】
いくつかの実施形態において、RYはRLである。いくつかの実施形態において、RYはLY-RLである。いくつかの実施形態において、RLはヒドロキシル、カルボキシル、任意に置換されたアルキルオキシ、任意に置換されたアミノ、任意に置換されたアルキルオキシカルボニル及び任意に置換されたカルバモイルである。いくつかの実施形態において、RLはヒドロキシル、カルボキシル、無置換C1-C4アルキルオキシ、無置換アミノ、1つ又は2つのC1-C4アルキル基で置換されたアミノ、無置換C1-C4アルキルオキシカルボニル、無置換カルバモイル、及び1つ又は2つのC1-C4アルキル基で置換されたアミノを含むカルバモイルである。いくつかの実施形態において、RLはカルボキシルである。いくつかの実施形態において、A15、A16、A17及びA18の正確に1つがN(RY)であるとき、LYは酸素原子、硫黄原子又はN(R1)ではない。いくつかの実施形態において、LYは1つ又は2つのヘテロ原子を任意に含有する任意に置換されたアルキレンである。いくつかの実施形態において、LYは原子4つ以下の連続する主鎖を有し、1つ又は2つのヘテロ原子を任意に含有する任意に置換されたアルキレンである。いくつかの実施形態において、LYは原子4つ以下の連続する主鎖を有する任意に置換されたアルキレンである。いくつかの実施形態において、LYは無置換C1、C2、C3又はC4アルキレンである。
いくつかの実施形態において、A19、A20、A21、A22及びA23の少なくとも1つはNであるか、A20、A21及びA22の少なくとも1つはC(RZ)である。いくつかの実施形態において、A19、A20、A21、A22及びA23の少なくとも1つはNである。いくつかの実施形態において、A19はNである。いくつかの実施形態において、A20はNである。いくつかの実施形態において、A21はNである。いくつかの実施形態において、A20及びA22はそれぞれNである。いくつかの実施形態において、A20、A21及びA22の少なくとも1つはC(RZ)である。いくつかの実施形態において、A20、A21及びA22の少なくとも2つはC(RZ)である。いくつかの実施形態において、A20はC(RZ)である。いくつかの実施形態において、A21はC(RZ)である。いくつかの実施形態において、A22はC(RZ)である。いくつかの実施形態において、A19及びA23はそれぞれC(R1)である。
【0008】
いくつかの実施形態において、各例におけるRZは独立してハロゲン、任意に置換されたアルキル、ヒドロキシル又は任意に置換されたアルキルオキシである。いくつかの実施形態において、各例におけるRZは独立してハロゲン、無置換C1-C4アルキル、ハロゲン置換C1-C4アルキル、ヒドロキシル又は無置換C1-C4アルキルオキシである。いくつかの実施形態において、各例におけるRZはハロゲンである。
いくつかの実施形態において、各例におけるR1は、他に指定されない限り、独立して水素、ハロゲン、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアルキルオキシ、任意に置換されたシクロアルキルオキシ、任意に置換されたアルキルチオ、任意に置換されたアルキルスルフィニル、任意に置換されたシクロアルキルチオ、任意に置換されたシクロアルキルスルフィニル、任意に置換されたアミノ、アシル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたアリールオキシ、任意に置換されたアリールチオ、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたヘテロアリールオキシ、任意に置換されたヘテロアリールチオ、任意に置換されたヘテロアリールスルフィニル又は任意に置換された非芳香族複素環基である。いくつかの実施形態において、各例におけるR1は、他に指定されない限り、独立して水素、ハロゲン、無置換アルキル、無置換シクロアルキル、無置換アルキルオキシ、無置換シクロアルキルオキシ、無置換アルキルチオ、無置換アルキルスルフィニル、無置換シクロアルキルチオ、無置換シクロアルキルスルフィニル、無置換アミノ、アシル、無置換アリール、無置換アリールオキシ、無置換アリールチオ、無置換ヘテロアリール、無置換ヘテロアリールオキシ、無置換ヘテロアリールチオ、無置換ヘテロアリールスルフィニル又は無置換非芳香族複素環基である。いくつかの実施形態において、各例におけるR1は、他に指定されない限り、独立して水素、ハロゲン又は無置換C1-C6アルキルである。いくつかの実施形態において、各例におけるR1は、他に指定されない限り、独立して水素又はハロゲンである。いくつかの実施形態において、各例におけるR1は、他に指定されない限り、水素である。
【0009】
いくつかの実施形態において、本化合物は
図1A~1Rに示す任意の化合物、或いはその薬学的に許容される塩又はエステルの構造を有する。いくつかの実施形態において、本化合物は
図2A~2Eに示す任意の化合物、或いはその薬学的に許容される塩又はエステルの構造を有する。いくつかの実施形態において、本化合物は:
【化5】
【化6】
或いはこれらの薬学的に許容される塩又はエステルの構造を有する。
【0010】
本発明は、本明細書に記載の化合物で動物の状態を治療する方法も提供する。本方法は有効量の化合物をこの動物に投与することを含む。この状態は、特に慢性及び/又は炎症性呼吸器疾患、慢性及び/又は炎症性中枢神経系疾患、アレルギ性疾患、自己免疫疾患、心血管疾患、糖尿病、好酸球増多症候群、肉芽腫性障害、がん及び感染性疾患の少なくとも1つを含むことができる。例示的な状態としては、喘息、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、アルツハイマー病、アトピー性皮膚炎、好酸球性胃腸炎、好酸球性食道炎、糖尿病、並びにチャーグ・ストラウス症候群、ベリリウム肺及びサルコイドーシスなどの肉芽腫性障害が挙げられる。
【0011】
本発明の目的及び利点は、添付の図面と併せて、本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明からより完全に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】選択した化合物のNLRX1に対する結合の計算予測(kcal/mol)。
【
図1B】選択した化合物のNLRX1に対する結合の計算予測(kcal/mol)。
【
図1C】選択した化合物のNLRX1に対する結合の計算予測(kcal/mol)。
【
図1D】選択した化合物のNLRX1に対する結合の計算予測(kcal/mol)。
【
図1E】選択した化合物のNLRX1に対する結合の計算予測(kcal/mol)。
【
図1F】選択した化合物のNLRX1に対する結合の計算予測(kcal/mol)。
【
図1G】選択した化合物のNLRX1に対する結合の計算予測(kcal/mol)。
【
図1H】選択した化合物のNLRX1に対する結合の計算予測(kcal/mol)。
【
図1I】選択した化合物のNLRX1に対する結合の計算予測(kcal/mol)。
【
図1J】選択した化合物のNLRX1に対する結合の計算予測(kcal/mol)。
【
図1K】選択した化合物のNLRX1に対する結合の計算予測(kcal/mol)。
【
図1L】選択した化合物のNLRX1に対する結合の計算予測(kcal/mol)。
【
図1M】選択した化合物のNLRX1に対する結合の計算予測(kcal/mol)。
【
図1N】選択した化合物のNLRX1に対する結合の計算予測(kcal/mol)。
【
図1O】選択した化合物のNLRX1に対する結合の計算予測(kcal/mol)。
【
図1P】選択した化合物のNLRX1に対する結合の計算予測(kcal/mol)。
【
図1Q】選択した化合物のNLRX1に対する結合の計算予測(kcal/mol)。
【
図1R】選択した化合物のNLRX1に対する結合の計算予測(kcal/mol)。
【
図2B】LABP-72-4の1,2,3-トリアゾールアナログ(
図2B)。
【
図3-1】
図3A及び3B。CD4+T細胞におけるLABP-72-4、LABP-72-38、LABP-72-56及びLABP-72-69活性の免疫学的検証。100ナノモル濃度のLABP化合物で細胞をインビトロ処置した後、TNFα+(
図3A)及びIFNγ+(
図3B)CD4+T細胞の割合をフローサイトメトリで測定した。統計的有意性(p<0.05)をアスタリスクでマークする。
【
図3-2】
図3A及び3B。CD4+T細胞におけるLABP-72-4、LABP-72-38、LABP-72-56及びLABP-72-69活性の免疫学的検証。100ナノモル濃度のLABP化合物で細胞をインビトロ処置した後、TNFα+(
図3A)及びIFNγ+(
図3B)CD4+T細胞の割合をフローサイトメトリで測定した。統計的有意性(p<0.05)をアスタリスクでマークする。
【
図4】
図4A及び4B。OVA誘発性喘息モデルにおけるLABP-72-38有効性のインビボ検証。4日間、OVAチャレンジを行い、強制経口投与により毎日ビヒクル又はLABP-72-38(50mg/kg)で処置した後、肺内の好酸球(
図4A)及び抗OVAIgEの血漿濃度(
図4B)をフローサイトメトリで測定した。統計的有意性(p<0.05)をアスタリスクでマークする。
【
図5】
図5A及び5B。イエダニ喘息モデルにおけるLABP-72-38有効性のインビボ検証。3週間、イエダニチャレンジを行い、経鼻投与により毎日ビヒクル又はLABP-72-38(20mg/kg)で処置した後、肺内の好酸球(
図5A)及び好中球(
図5B)をフローサイトメトリで測定した。統計的有意性(p<0.05)をアスタリスクでマークする。
【
図6】
図6A及び6B。ブレオマイシン肺線維症マウスモデルにおけるLABP-72-38有効性のインビボ検証。ブレオマイシンチャレンジを行い、強制経口投与により1週間毎日ビヒクル又はLABP-72-38(50mg/kg)で処置した2週間後、肺内の好中球(
図6A)及びIL21+細胞(
図6B)をフローサイトメトリで測定した。統計的有意性(p<0.05)をアスタリスクでマークする。
【
図7】
図7A及び7B。高脂肪食誘発性肥満モデルにおけるLABP-72-38有効性のインビボ検証。16週間高脂肪餌を摂取したマウスを、強制経口投与により4週間毎日ビヒクル又はLABP-72-38(10mg/kg)で処置した後の血中グルコース濃度(
図7A)及び体重で正規化した肝質量(
図7B)。統計的有意性(p<0.05)をアスタリスクでマークする。
【発明を実施するための形態】
【0013】
「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を指す。フッ素、塩素及び臭素が好ましい。
「ヘテロ原子」という用語は、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子を指す。
「アルキル」という用語は、炭素原子数1~8の直鎖又は分岐鎖1価炭化水素基を含む。例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、neo-ペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル等が挙げられる。C1-C6アルキルが好ましい。C1-C4アルキル又はC1-C3アルキルが更に好ましい。炭素数が明記されると、この範囲内の炭素数を有する「アルキル」を意味する。
「アルケニル」という用語は、1つ又は複数の二重結合を有する炭素原子数2~8の直鎖又は分岐鎖1価炭化水素基を含む。例としては、ビニル、アリル、1-プロペニル、2-ブテニル、2-ペンテニル、2-ヘキセニル、2-ヘプテニル、2-オクテニル等が挙げられる。C2-C6アルケニルが好ましい。C2-C4アルケニルが更に好ましい。
「アルキニル」という用語は、1つ又は複数の三重結合を有する炭素原子数2~8の直鎖又は分岐鎖1価炭化水素基を含む。例としては、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、2-ブチニル、2-ペンチニル、2-ヘキシニル、2-ヘプチニル、2-オクチニル等が挙げられる。C2-C6アルキニルが好ましい。C2-C4アルキニルが更に好ましい。
【0014】
「シクロアルキル」という用語は、炭素原子数3~8のシクロアルキルを含む。例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等が挙げられる。C3-C6シクロアルキルが好ましい。
「シクロアルケニル」という用語は、炭素原子数3~8のシクロアルケニルを含む。例としては、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル(cycloocentyl)等が挙げられる。C3-C6シクロアルケニルが好ましい。
「アルキルオキシ」という用語は、酸素原子が本明細書に記載の「アルキル」の1つで置換された基を含む。例としては、メチルオキシ、エチルオキシ、n-プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、n-ブチルオキシ、イソブチルオキシ、sec-ブチルオキシ、tert-ブチルオキシ、n-ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、2-ペンチルオキシ、3-ペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシ、イソヘキシルオキシ、2-ヘキシルオキシ、3-ヘキシルオキシ、n-ヘプチルオキシ、n-オクチルオキシ等が挙げられる。C1-C6アルキルオキシが好ましい。C1-C4アルキルオキシ又はC1-C3アルキルオキシが更に好ましい。炭素数が明記されると、この範囲内の炭素数を有する「アルキルオキシ」を意味する。
「アルケニルオキシ」という用語は、酸素原子が本明細書に記載の「アルケニル」の1つで置換された基を含む。例としては、ビニルオキシ、アリルオキシ、1-プロペニルオキシ、2-ブテニルオキシ、2-ペンテニルオキシ、2-ヘキセニルオキシ、2-ヘプテニルオキシ、2-オクテニルオキシ等が挙げられる。C2-C6アルケニルオキシが好ましい。更に、C2-C4アルケニルオキシが更に好ましい。炭素数が明記されると、この範囲内の炭素数を有する「アルケニルオキシ」を意味する。
「アルキニルオキシ」という用語は、酸素原子が本明細書に記載の「アルキニル」の1つで置換された基を含む。例としては、エチニルオキシ、1-プロピニルオキシ、2-プロピニルオキシ、2-ブチニルオキシ、2-ペンチニルオキシ、2-ヘキシニルオキシ、2-ヘプチニルオキシ、2-オクチニルオキシ等が挙げられる。C2-C6アルキニルオキシが好ましい。C2-C4アルキニルオキシが更に好ましい。炭素数が明記されると、この範囲内の炭素数を有する「アルキニルオキシ」を意味する。
「シクロアルキルオキシ」という用語は、酸素原子が本明細書に記載の「シクロアルキル」の1つで置換された基を含む。例としては、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロヘプチルオキシ及びシクロオクチルオキシが挙げられる。C3-C6シクロアルキルオキシが好ましい。炭素数が明記されると、この範囲内の炭素数を有する「シクロアルキルオキシ」を意味する。
「シクロアルケニルオキシ」という用語は、酸素原子が本明細書に記載の「シクロアルケニル」の1つで置換された基を含む。例としては、シクロプロペニルオキシ、シクロブテニルオキシ、シクロペンテニルオキシ、シクロヘキセニルオキシ、シクロヘプテニルオキシ及びシクロオクテニルオキシが挙げられる。C3-C6シクロアルケニルオキシが好ましい。炭素数が明記されると、この範囲内の炭素数を有する「シクロアルケニルオキシ」を意味する。
【0015】
「アルキルチオ」という用語は、硫黄原子が本明細書に記載の「アルキル」の1つで置換された基を含む。例としては、メチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、イソプロピルチオ、n-ブチルチオ、イソブチルチオ、sec-ブチルチオ、tert-ブチルチオ、n-ペンチルチオ、イソペンチルチオ、2-ペンチルチオ、3-ペンチルチオ、n-ヘキシルチオ、イソヘキシルチオ、2-ヘキシルチオ、3-ヘキシルチオ、n-ヘプチルチオ、n-オクチルチオ等が挙げられる。C1-C6アルキルチオが好ましい。C1-C4アルキルチオが更に好ましい。C1-C3アルキルチオが更に好ましい。炭素数が明記されると、この範囲内の炭素数を有する「アルキルチオ」を意味する。
「アルケニルチオ」という用語は、硫黄原子が本明細書に記載の「アルケニル」の1つで置換された基を含む。例としては、ビニルチオ、アリルチオ、1-プロペニルチオ、2-ブテニルチオ、2-ペンテニルチオ、2-ヘキセニルチオ、2-ヘプテニルチオ、2-オクテニルチオ等が挙げられる。C2-C6アルケニルチオが好ましい。C2-C4アルキルチオが更に好ましい。炭素数が明記されると、この範囲内の炭素数を有する「アルケニルチオ」を意味する。
「アルキニルチオ」という用語は、硫黄原子が本明細書に記載の「アルキニル」の1つで置換された基を含む。例としては、エチニルチオ、1-プロピニルチオ、2-プロピニルチオ、2-ブチニルチオ、2-ペンチニルチオ、2-ヘキシニルチオ、2-ヘプチニルチオ、2-オクチニルチオ等が挙げられる。C2-C6アルキニルチオが好ましい。C2-C4アルキニルチオが更に好ましい。炭素数が明記されると、この範囲内の炭素数を有する「アルキニルチオ」を意味する。
【0016】
「アルキルスルフィニル」という用語は、スルフィニルが本明細書に記載の「アルキル」の1つで置換された基を含む。例としては、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、n-プロピルスルフィニル、イソプロピルスルフィニル、n-ブチルスルフィニル、イソブチルスルフィニル、sec-ブチルスルフィニル、tert-ブチルスルフィニル、n-ペンチルスルフィニル、イソペンチルスルフィニル、2-ペンチルスルフィニル、3-ペンチルスルフィニル、n-ヘキシルスルフィニル、イソヘキシルスルフィニル、2-ヘキシルスルフィニル、3-ヘキシルスルフィニル、n-ヘプチルスルフィニル、n-オクチルスルフィニル等が挙げられる。C1-C6アルキルスルフィニルが好ましい。C1-C4アルキルスルフィニルが更に好ましい。
「アルキルスルホニル」という用語は、スルホニルが本明細書に記載の「アルキル」の1つで置換された基を含む。例としては、メチルスルホニル、エチルスルホニル、n-プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、n-ブチルスルホニル、イソブチルスルホニル、sec-ブチルスルホニル、tert-ブチルスルホニル、n-ペンチルスルホニル、イソペンチルスルホニル、2-ペンチルスルホニル、3-ペンチルスルホニル、n-ヘキシルスルホニル、イソヘキシルスルホニル、2-ヘキシルスルホニル、3-ヘキシルスルホニル、n-ヘプチルスルホニル、n-オクチルスルホニル等が挙げられる。C1-C6アルキルスルホニルが好ましい。C1-C4アルキルスルホニルが更に好ましい。
「アルキルスルホニルオキシ」という用語は、酸素原子が本明細書に記載の「アルキルスルホニル」の1つで置換された基を含む。例としては、メチルスルホニルオキシ、エチルスルホニルオキシ、n-プロピルスルホニルオキシ、イソプロピルスルホニルオキシ、n-ブチルスルホニルオキシ、イソブチルスルホニルオキシ、sec-ブチルスルホニルオキシ、tert-ブチルスルホニルオキシ、n-ペンチルスルホニルオキシ、イソペンチルスルホニルオキシ、2-ペンチルスルホニルオキシ、3-ペンチルスルホニルオキシ、n-ヘキシルスルホニルオキシ、イソヘキシルスルホニルオキシ、2-ヘキシルスルホニルオキシ、3-ヘキシルスルホニルオキシ、n-ヘプチルスルホニルオキシ、n-オクチルスルホニルオキシ等が挙げられる。C1-C6アルキルスルホニルが好ましい。C1-C4アルキルスルホニルが更に好ましい。
【0017】
「シクロアルキルチオ」という用語は、硫黄原子が本明細書に記載の「シクロアルキル」の1つで置換された基を含む。例としては、シクロプロピルチオ、シクロブチルチオ、シクロペンチルチオ、シクロヘキシルチオ、シクロヘプチルチオ、シクロオクチルチオ等が挙げられる。C3-C6シクロアルキルチオが好ましい。炭素数が明記されると、この範囲内の炭素数を有する「シクロアルキルチオ」を意味する。
「シクロアルキルスルフィニル」という用語は、スルフィニルが本明細書に記載の「シクロアルキル」の1つで置換された基を含む。例としては、シクロプロピルスルフィニル、シクロブチルスルフィニル、シクロペンチルスルフィニル、シクロヘキシルスルフィニル、シクロヘプチルスルフィニル及びシクロオクチルスルフィニルが挙げられる。C3-C6シクロアルキルスルフィニルが好ましい。
「シクロアルキルスルホニル」という用語は、スルホニルが本明細書に記載の「シクロアルキル」の1つで置換された基を含む。例としては、シクロプロピルスルホニル、シクロブチルスルホニル、シクロペンチルスルホニル、シクロヘキシルスルホニル、シクロヘプチルスルホニル及びシクロオクチルスルホニルが挙げられる。C3-C6シクロアルキルスルホニルが好ましい。
「シクロアルキルスルホニルオキシ」という用語は、酸素原子が本明細書に記載の「シクロアルキルスルホニル」の1つで置換された基を含む。例としては、シクロプロピルスルホニルオキシ、シクロブチルスルホニルオキシ、シクロペンチルスルホニルオキシ、シクロヘキシルスルホニルオキシ、シクロヘプチルスルホニルオキシ及びシクロオクチルスルホニルオキシが挙げられる。C6-C3シクロアルキルスルホニルオキシが好ましい。
【0018】
「シクロアルケニルチオ」という用語は、硫黄原子が本明細書に記載の「シクロアルケニル」の1つで置換された基を含む。例としては、シクロプロペニルチオ、シクロブテニルチオ、シクロペンテニルチオ、シクロヘキセニルチオ、シクロヘプテニルチオ及びシクロオクテニルチオが挙げられる。C3-C6シクロアルケニルチオが好ましい。炭素数が明記されると、この範囲内の炭素数を有する「シクロアルケニルチオ」を意味する。
「シクロアルケニルスルフィニル」という用語は、スルフィニルが本明細書に記載の「シクロアルケニル」の1つで置換された基を含む。例としては、シクロプロペニルスルフィニル、シクロブテニルスルフィニル、シクロペンテニルスルフィニル、シクロヘキセニルスルフィニル、シクロヘプテニルスルフィニル及びシクロオクテニルスルフィニルが挙げられる。C3-C6シクロアルケニルスルフィニルが好ましい。
「シクロアルケニルスルホニル」という用語は、スルホニルが本明細書に記載の「シクロアルケニル」の1つで置換された基を含む。例としては、シクロプロペニルスルホニル、シクロブテニルスルホニル、シクロペンテニルスルホニル、シクロヘキセニルスルホニル、シクロヘプテニルスルホニル及びシクロオクテニルスルホニルが挙げられる。好ましくは、C3-C6シクロアルケニルスルホニルが好ましい。
「シクロアルケニルスルホニルオキシ」という用語は、酸素原子が本明細書に記載の「シクロアルケニルスルホニル」の1つで置換された基を含む。例としては、シクロプロペニルスルホニルオキシ、シクロブテニルスルホニルオキシ、シクロペンテニルスルホニルオキシ、シクロヘキセニルスルホニルオキシ、シクロヘプテニルスルホニルオキシ及びシクロオクテニルスルホニルオキシが挙げられる。C3-C6シクロアルケニルスルホニルオキシが好ましい。
【0019】
「アルキルオキシカルボニル」という用語は、カルボニルが本明細書に記載の「アルキルオキシ」の1つで置換された基を含む。例としては、メチルオキシカルボニル、エチルオキシカルボニル、n-プロピルオキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、n-ブチルオキシカルボニル、tert-ブチルオキシカルボニル及びn-ペンチルオキシカルボニルが挙げられる。C1-C6、C1-C4又はC1-C3アルキルオキシカルボニルが好ましい。C1-C2アルキルオキシカルボニルが更に好ましい。
「アルケニルオキシカルボニル」という用語は、カルボニルが本明細書に記載の「アルケニルオキシ」の1つで置換された基を含む。例としては、ビニルオキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、1-プロペニルオキシカルボニル、2-ブテニルオキシカルボニル及び2-ペンテニルオキシカルボニル(2-pentenyloxyarbonyl)が挙げられる。C2-C6又はC2-C4アルキルオキシカルボニルが好ましい。
「アルキニルオキシカルボニル」という用語は、カルボニルが本明細書に記載の「アルキニルオキシ」の1つで置換された基を含む。例としては、エチニルオキシカルボニル、1-プロピニルオキシカルボニル、2-プロピニルオキシカルボニル、2-ブチニルオキシカルボニル(2-butynyloxyarbonyl)及び2-ペンチニルオキシカルボニルが挙げられる。C2-C6又はC2-C4アルキニルオキシカルボニルが好ましい。
【0020】
「アシル」という用語は、アルキル部分が本明細書に記載の「アルキル」であるアルキルカルボニル、アルケニル部分が本明細書に記載の「アルケニル」であるアルケニルカルボニル、アルキニル部分が本明細書に記載の「アルキニル」であるアルキニルカルボニル、シクロアルキル部分が本明細書に記載の「シクロアルキル」であるシクロアルキルカルボニル、アリール部分が本明細書に記載の「アリール」であるアリールカルボニル、ヘテロアリール部分が本明細書に記載の「ヘテロアリール」であるヘテロアリールカルボニル、及び非芳香族複素環基部分が本明細書に記載の「非芳香族複素環基」である非芳香族複素環カルボニルを含む。「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」、「シクロアルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」及び「非芳香族複素環基」は、それぞれ本明細書に記載の「任意に置換されたアルキル」、「任意に置換されたアルケニル」、「任意に置換されたアルキニル」、「任意に置換されたシクロアルキル」、「任意に置換されたアリール」、「任意に置換されたヘテロアリール」及び「任意に置換された非芳香族複素環基」で例示された置換基で置換される場合がある。アシル基の例としては、アセチル、プロピオニル、ブチロイル、シクロヘキシルカルボニル、ベンゾイル、ピリジンカルボニル等が挙げられる。
【0021】
「任意に置換されたアミノ」という用語は、本明細書に記載の「アルキル」、本明細書に記載の「アルケニル」、本明細書に記載の「アルキニル」、本明細書に記載の「シクロアルキル」、本明細書に記載の「シクロアルキニル」、本明細書に記載の「アリール」、本明細書に記載の「ヘテロアリール」、本明細書に記載の「アシル」、本明細書に記載の「アルキルオキシカルボニル」、本明細書に記載の「アルケニルオキシカルボニル」、本明細書に記載の「アルキニルオキシカルボニル」、本明細書に記載の「アルキルスルホニル」、「アルケニルスルホニル」、「アルキニルスルホニル」、「アリールスルホニル」及び/又は「ヘテロアリールスルホニル」の1つ又は2つの基で置換される場合があるアミノ基を含む。任意に置換されたアミノ基の例としては、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、エチルメチルアミノ、ベンジルアミノ、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、メチルオキシカルボニルアミノ及びメタンスルホニルアミノが挙げられる。アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルメチルアミノ、ジエチルアミノ、アセチルアミノ及びメタンスルホニルアミノが好ましい。
「任意に置換されたカルバモイル」という用語は、任意に置換されたアミノ部分が本明細書に記載の「任意に置換されたアミノ」であるアミノカルボニル基を含む。任意に置換されたカルバモイル基の例としては、カルバモイル、N-メチルカルバモイル、N,N-ジメチルカルバモイル、N-エチル-N-メチルカルバモイル、N,N-ジエチルカルバモイル、N-フェニルカルバモイル、N-ベンジルカルバモイル、N-アセチルカルバモイル及びN-メチルスルホニルカルバモイル等が挙げられる。カルバモイル、N-メチルカルバモイル、N,N-ジメチルカルバモイル及びN-メチルスルホニルカルバモイル等が好ましい。
「任意に置換されたスルファモイル」という用語は、任意に置換されたアミノ部分が本明細書に記載の「任意に置換されたアミノ」であるアミノスルホニル基を含む。任意に置換されたスルファモイル基の例としては、スルファモイル、N-メチルスルファモイル、N,N-ジメチルスルファモイル、N-エチル-N-メチルスルファモイル、N,N-ジエチルスルファモイル、N-フェニルスルファモイル、N-ベンジルスルファモイル、N-アセチルスルファモイル及びN-メチルスルホニルスルファモイル等が挙げられる。スルファモイル、N-メチルスルファモイル、N,N-ジメチルスルファモイル及びN-メチルスルホニルスルファモイル等が好ましい。
【0022】
「アルキレン」という用語は、炭素原子数1~8の直鎖又は分岐鎖アルキレン基を意味する。例としては、メチレン、エチレン、1-メチルエチレン、トリメチレン、1-メチルトリメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン等が挙げられる。C1-C4又はC1-3アルキレンが好ましい。C1-C2アルキレンが更に好ましい。
「アリール」という用語は、芳香族単環又は芳香族縮合環炭化水素を含む。アリールは、任意の可能な位置で本明細書に記載の「シクロアルキル」、本明細書に記載の「シクロアルケニル」又は本明細書に記載の「非芳香族複素環基」と縮合してよい。単環及び縮合環のどちらも、任意の位置で置換される場合がある。例としては、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、アントリル、テトラヒドロナフチル、1,3-ベンゾジオキソリル、1,4-ベンゾジオキサニル等が挙げられる。フェニル、1-ナフチル及び2-ナフチルが好ましい。フェニルが更に好ましい。
「非芳香族複素環基」という用語は、酸素、硫黄及び窒素原子から独立して選択される1つ又は複数のヘテロ原子を含有する5~7員の非芳香族複素環、或いはこれらの2つ以上の環を縮合することにより形成される多環を含む。例としては、ピロリジニル(例えば、1-ピロリジニル、2-ピロリジニル)、ピロリニル(例えば、3-ピロリニル)、イミダゾリジニル(例えば、2-イミダゾリジニル)、イミダゾリニル(例えば、イミダゾリニル)、ピラゾリジニル(例えば、1-ピラゾリジニル、2-ピラゾリジニル)、ピラゾリニル(例えば、ピラゾリニル)、ピペリジル(例えば、ピペリジノ、2-ピペリジル)、ピペラジニル(例えば、1-ピペラジニル)、インドリニル(例えば、1-インドリニル)、イソインドリニル(例えば、イソインドリニル)、モルホリニル(例えば、モルホリノ、3-モルホリニル)等が挙げられる。
【0023】
「ヘテロアリール」という用語は、酸素、硫黄及び窒素原子から独立して選択される1つ又は複数のヘテロ原子を含有する5~6員の芳香環を含む。任意の可能な位置で本明細書に記載の「シクロアルキル」、本明細書に記載の「アリール」、本明細書に記載の「非芳香族複素環基」又は他のヘテロアリールと縮合してよい。ヘテロアリール基は、単環又は縮合環であれば、任意の位置で置換される場合がある。例としては、ピロリル(例えば、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル)、フリル(例えば、2-フリル、3-フリル)、チエニル(例えば、2-チエニル、3-チエニル)、イミダゾリル(例えば、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル)、ピラゾリル(例えば、1-ピラゾリル、3-ピラゾリル)、イソチアゾリル(例えば、3-イソチアゾリル)、イソオキサゾリル(例えば、3-イソオキサゾリル)、オキサゾリル(例えば、2-オキサゾリル)、チアゾリル(例えば、2-チアゾリル)、ピリジル(例えば、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル)、ピラジニル(例えば、2-ピラジニル)、ピリミジニル(例えば、2-ピリミジニル、4-ピリミジニル)、ピリダジニル(例えば、3-ピリダジニル)、テトラゾリル(例えば、1H-テトラゾリル)、オキサジアゾリル(例えば、1,3,4-オキサジアゾリル)、チアジアゾリル(例えば、1,3,4-チアジアゾリル)、インドリジニル(例えば、2-インドリジニル、6-インドリジニル)、イソインドリニル(例えば、2-イソインドリニル)、インドリル(例えば、1-インドリル、2-インドリル、3-インドリル)、インダゾリル(例えば、3-インダゾリル)、プリニル(例えば、8-プリニル)、キノリジニル(例えば、2-キノリジニル)、イソキノリル(例えば、3-イソキノリル)、キノリル(例えば、2-キノリル、5-キノリル)、フタラジニル(例えば、1-フタラジニル)、ナフチリジニル(例えば、2-ナフチリジニル)、キノラニル(例えば、2-キノラニル)、キナゾリニル(例えば、2-キナゾリニル)、シンノリニル(例えば、3-シンノリニル)、プテリジニル(例えば、2-プテリジニル)、カルバゾリル(例えば、2-カルバゾリル、4-カルバゾリル)、フェナントリジニル(例えば、2-フェナントリジニル、3-フェナントリジニル)、アクリジニル(例えば、1-アクリジニル、2-アクリジニル)、ジベンゾフラニル(例えば、1-ジベンゾフラニル、2-ジベンゾフラニル)、ベンゾイミダゾリル(例えば、2-ベンゾイミダゾリル)、ベンゾイソオキサゾリル(例えば、3-ベンゾイソオキサゾリル)、ベンゾオキサゾリル(例えば、2-ベンゾオキサゾリル)、ベンゾオキサジアゾリル(例えば、4-ベンゾオキサジアゾリル)、ベンゾイソチアゾリル(例えば、3-ベンゾイソチアゾリル)、ベンゾチアゾリル(例えば、2-ベンゾチアゾリル)、ベンゾフリル(例えば、3-ベンゾフリル)、ベンゾチエニル(例えば、2-ベンゾチエニル)、ジベンゾチエニル(例えば、2-ジベンゾチエニル)及びベンゾジオキソリル(例えば、1,3-ベンゾジオキソリル)等が挙げられる。
【0024】
「アリールオキシ」という用語は、酸素原子が本明細書に記載の「アリール」の1つで置換された基を含む。例としては、フェニルオキシ及びナフチルオキシ等が挙げられる。
「アリールチオ」という用語は、硫黄原子が本明細書に記載の「アリール」の1つで置換された基を含む。例としては、フェニルチオ及びナフチルチオ等が挙げられる。
「アリールスルフィニル」という用語は、スルフィニルが本明細書に記載の「アリール」の1つで置換された基を含む。例としては、フェニルスルフィニル及びナフチルスルフィニル等が挙げられる。
「アリールスルホニル」という用語は、スルホニルが本明細書に記載の「アリール」の1つで置換された基を含む。例としては、フェニルスルホニル及びナフチルスルホニル(naphthylsulfoinyl)等が挙げられる。
「アリールスルホニルオキシ」の例としては、フェニルスルホニルオキシ及びナフチルスルホニルオキシ等が挙げられる。
「アリールオキシカルボニル」という用語は、カルボニルが本明細書に記載の「アリールオキシ」の1つで置換された基を含む。例としては、フェニルオキシカルボニル、1-ナフチルオキシカルボニル及び2-ナフチルオキシカルボニル等が挙げられる。
【0025】
「ヘテロアリールオキシ」という用語は、酸素原子が本明細書に記載の「ヘテロアリール」の1つで置換された基を含む。例としては、ピロリルオキシ、フリルオキシ、チエニルオキシ、イミダゾリルオキシ、ピラゾリルオキシ、イソチアゾリルオキシ、イソオキサゾリルオキシ、オキサゾリルオキシ、チアゾリルオキシ、ピリジルオキシ、ピラジニルオキシ、ピリミジニルオキシ、ピリダジニルオキシ、テトラゾリルオキシ、オキサジアゾリルオキシ、チアジアゾリルオキシ、インドリジニルオキシ、イソインドリニルオキシ、インドリルオキシ、インダゾリルオキシ、プリニルオキシ、キノリジニルオキシ、イソキノリルオキシ、キノリルオキシ、フタラジニルオキシ、ナフチリジニルオキシ、キノラニルオキシ、キナゾリニルオキシ、シンノリニルオキシ、プテリジニルオキシ、カルバゾリルオキシ、フェナントリジニルオキシ、アクリジニルオキシ、ジベンゾフラニルオキシ、ベンゾイミダゾリルオキシ、ベンゾイソオキサゾリルオキシ、ベンゾオキサゾリルオキシ、ベンゾオキサジアゾリルオキシ、ベンゾイソチアゾリルオキシ、ベンゾチアゾリルオキシ、ベンゾフリルオキシ、ベンゾチエニルオキシ、ジベンゾチエニルオキシ及びベンゾジオキソリルオキシが挙げられる。フリルオキシ、チエニルオキシ、イミダゾリルオキシ、ピラゾリルオキシ、イソチアゾリルオキシ、イソオキサゾリルオキシ、オキサゾリルオキシ、チアゾリルオキシ、ピリジルオキシ、ピラジニルオキシ、ピリミジニルオキシ及びピリダジニルオキシ等が好ましい。
「ヘテロアリールチオ」という用語は、硫黄原子が本明細書に記載の「ヘテロアリール」の1つで置換された基を含む。例としては、ピロリルチオ、フリルチオ、チエニルチオ、イミダゾリルチオ、ピラゾリルチオ、イソチアゾリルチオ、イソオキサゾリルチオ、オキサゾリルチオ、チアゾリルチオ、ピリジルチオ、ピラジニルチオ、ピリミジニルチオ、ピリダジニルチオ、テトラゾリルチオ、オキサジアゾリルチオ、チアジアゾリルチオ、インドリジニルチオ、イソインドリニルチオ、インドリルチオ、インダゾリルチオ、プリニルチオ、キノリジニルチオ、イソキノリルチオ、キノリルチオ、フタラジニルチオ、ナフチリジニルチオ、キノラニルチオ、キナゾリニルチオ、シンノリニルチオ、プテリジニルチオ、カルバゾリルチオ、フェナントリジニルチオ、アクリジニルチオ、ジベンゾフラニルチオ、ベンゾイミダゾリルチオ、ベンゾイソオキサゾリルチオ、ベンゾオキサゾリルチオ、ベンゾオキサジアゾリルチオ、ベンゾイソチアゾリルチオ、ベンゾチアゾリルチオ、ベンゾフリルチオ、ベンゾチエニルチオ、ジベンゾチエニルチオ及びベンゾジオキソリルチオ等が挙げられる。フリルチオ、チエニルチオ、イミダゾリルチオ、ピラゾリルチオ、イソチアゾリルチオ、イソオキサゾリルチオ、オキサゾリルチオ、チアゾリルチオ、ピリジルチオ、ピラジニルチオ、ピリミジニルチオ及びピリダジニルチオ等が好ましい。
【0026】
「ヘテロアリールスルフィニル」という用語は、スルフィニルが本明細書に記載の「ヘテロアリール」の1つで置換された基を含む。例としては、ピロリルスルフィニル、フリルスルフィニル、チエニルスルフィニル、イミダゾリルスルフィニル、ピラゾリルスルフィニル、イソチアゾリルスルフィニル、イソオキサゾリルスルフィニル、オキサゾリルスルフィニル、チアゾリルスルフィニル、ピリジルスルフィニル、ピラジニルスルフィニル、ピリミジニルスルフィニル、ピリダジニルスルフィニル、テトラゾリルスルフィニル、オキサジアゾリルスルフィニル、チアジアゾリルスルフィニル、インドリジニルスルフィニル、イソインドリルスルフィニル、インドリルスルフィニル、インダゾリルスルフィニル、プリニルスルフィニル、キノリジニルスルフィニル、イソキノリルスルフィニル、キノリルスルフィニル、フタラジニルスルフィニル、ナフチリジニルスルフィニル、キノラニルスルフィニル、キナゾリニルスルフィニル、シンノリニルスルフィニル、プテリジニルスルフィニル、カルバゾリルスルフィニル、フェナントリジニルスルフィニル、アクリジニルスルフィニル、ジベンゾフラニルスルフィニル、ベンゾイミダゾリルスルフィニル、ベンゾイソオキサゾリルスルフィニル、ベンゾオキサゾリルスルフィニル、ベンゾオキサジアゾリルスルフィニル、ベンゾイソチアゾリルスルフィニル、ベンゾチアゾリルスルフィニル、ベンゾフリルスルフィニル、ベンゾチエニルスルフィニル、ジベンゾチエニルスルフィニル及びベンゾジオキソリルスルフィニル等が挙げられる。フリルスルフィニル、チエニルスルフィニル、イミダゾリルスルフィニル、ピラゾリルスルフィニル、イソチアゾリルスルフィニル、イソオキサゾリルスルフィニル、オキサゾリルスルフィニル、チアゾリルスルフィニル、ピリジルスルフィニル、ピラジニルスルフィニル、ピリミジニルスルフィニル及びピリダジニルスルフィニル等が好ましい。
「ヘテロアリールスルホニル」という用語は、スルホニルが本明細書に記載の「ヘテロアリール」の1つで置換された基を含む。例としては、ピロリルスルホニル、フリルスルホニル、チエニルスルホニル、イミダゾリルスルホニル、ピラゾリルスルホニル、イソチアゾリルスルホニル、イソオキサゾリルスルホニル、オキサゾリルスルホニル、チアゾリルスルホニル、ピリジルスルホニル、ピラジニルスルホニル、ピリミジニルスルホニル、ピリダジニルスルホニル、テトラゾリルスルホニル、オキサジアゾリルスルホニル、チアジアゾリルスルホニル、インドリジニルスルホニル、イソインドリルスルホニル、インドリルスルホニル、インダゾリルスルホニル、プリニルスルホニル、キノリジニルスルホニル、イソキノリルスルホニル、キノリルスルホニル、フタラジニルスルホニル、ナフチリジニルスルホニル、キノラニルスルホニル、キナゾリニルスルホニル、シンノリニルスルホニル、プテリジニルスルホニル、カルバゾリルスルホニル、フェナントリジニルスルホニル、アクリジニルスルホニル、ジベンゾフラニルスルホニル、ベンゾイミダゾリルスルホニル、ベンゾイソオキサゾリルスルホニル、ベンゾオキサゾリルスルホニル、ベンゾオキサジアゾリルスルホニル、ベンゾイソチアゾリルスルホニル、ベンゾチアゾリルスルホニル、ベンゾフリルスルホニル、ベンゾチエニルスルホニル、ジベンゾチエニルスルホニル及びベンゾジオキソリルスルホニル等が挙げられる。フリルスルホニル、チエニルスルホニル、イミダゾリルスルホニル、ピラゾリルスルホニル、イソチアゾリルスルホニル、イソオキサゾリルスルホニル、オキサゾリルスルホニル、チアゾリルスルホニル、ピリジルスルホニル、ピラジニルスルホニル、ピリミジニルスルホニル及びピリダジニルスルホニルが好ましい。
【0027】
「ヘテロアリールスルホニルオキシ」という用語は、酸素原子が本明細書に記載の「ヘテロアリールスルホニル」の1つで置換された基を含む。例としては、ピロリルスルホニルオキシ、フリルスルホニルオキシ、チエニルスルホニルオキシ、イミダゾリルスルホニルオキシ、ピラゾリルスルホニルオキシ、イソチアゾリルスルホニルオキシ、イソオキサゾリルスルホニルオキシ、オキサゾリルスルホニルオキシ、チアゾリルスルホニルオキシ、ピリジルスルホニルオキシ、ピラジニルスルホニルオキシ、ピリミジニルスルホニルオキシ、ピリダジニルスルホニルオキシ、テトラゾリルスルホニルオキシ、オキサジアゾリルスルホニルオキシ、チアジアゾリルスルホニルオキシ、インドリジニルスルホニルオキシ、イソインドリルスルホニルオキシ、インドリルスルホニルオキシ、インダゾリルスルホニルオキシ、プリニルスルホニルオキシ、キノリジニルスルホニルオキシ、イソキノリルスルホニルオキシ、キノリルスルホニルオキシ、フタラジニルスルホニルオキシ、ナフチリジニルスルホニルオキシ、キノラニルスルホニルオキシ、キナゾリニルスルホニルオキシ、シンノリニルスルホニルオキシ、プテリジニルスルホニルオキシ、カルバゾリルスルホニルオキシ、フェナントリジニルスルホニルオキシ、アクリジニルスルホニルオキシ、ジベンゾフラニルスルホニルオキシ、ベンゾイミダゾリルスルホニルオキシ、ベンゾイソオキサゾリルスルホニルオキシ、ベンゾオキサゾリルスルホニルオキシ、ベンゾオキサジアゾリルスルホニルオキシ、ベンゾイソチアゾリルスルホニルオキシ、ベンゾチアゾリルスルホニルオキシ、ベンゾフリルスルホニルオキシ、ベンゾチエニルスルホニルオキシ、ジベンゾチエニルスルホニルオキシ及びベンゾジオキソリルスルホニルオキシ等が挙げられる。フリルスルホニルオキシ、チエニルスルホニルオキシ、イミダゾリルスルホニルオキシ、ピラゾリルスルホニルオキシ、イソチアゾリルスルホニルオキシ、イソオキサゾリルスルホニルオキシ、オキサゾリルスルホニルオキシ、チアゾリルスルホニルオキシ、ピリジルスルホニルオキシ、ピラジニルスルホニルオキシ、ピリミジニルスルホニルオキシ及びピリダジニルスルホニルオキシ等が好ましい。
【0028】
「芳香族炭素環」という用語は、芳香族単環又は芳香族縮合炭素環を含む。例としては、ベンゼン環、ナフタレン環及びアントラセン環が挙げられる。ベンゼン環が好ましい。
「芳香族複素環」という用語は、芳香族単環又は芳香族縮合複素環を含む。例としては、ピロール環、フラン環、チオフェン環、ピラゾール環、イミダゾール環、イソチアゾール環、イソオキサゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、テトラゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、インドリジン環、イソインドール環、インドール環、インダゾール環、プリン環、キノリジン環、イソキノリン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノラン環、キナゾリン環、シンノリン環、プテリジン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、ジベンゾフラン環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾオキサジアゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環及びベンゾジオキソラン環が挙げられる。好ましくは、ピリジン環、フラン環及びチオフェン環が例示される。
【0029】
「C1-C6アルキレン」という用語は、炭素原子数1~6の直鎖又は分岐鎖アルキレン基を含む。例としては、-CH2-、-CH(CH3)-、-C(CH3)2-、-CH2CH2-、-CH(CH3)CH2-、-C(CH3)2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2CH2-及び-CH2CH2CH2CH2CH2CH2-が挙げられる。-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-及び-CH2CH2CH2CH2-が好ましい。
「1つ又は2つのヘテロ原子を任意に含有する任意に置換されたアルキレン」の「1つ又は2つのヘテロ原子を任意に含有するアルキレン」という用語は、本明細書に記載の「アルキル」で置換される場合があり、1つ又は2つのヘテロ原子を任意に含有する炭素原子数1~6の直鎖又は分岐鎖アルキレン基を含む。例としては、-CH2-、-CH(CH3)-、-C(CH3)2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2CH2CH2-、-CH2O-、-OCH2-、-CH2CH2O-、-OCH2CH2-、-CH2S-、-SCH2-、-CH2CH2S-、-SCH2CH2-、-CH2CH2OCH2CH2-、-OCH2CH2O-、-OCH2O-、-NHCH2-、-N(CH3)CH2-、-N+(CH3)2CH2-、-NHCH2CH2CH2-及び-N(CH3)CH2CH2CH2-等が挙げられる。-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2-、-OCH2CH2O-、-OCH2O-及び-N(CH3)CH2CH2CH2-が好ましい。
【0030】
「1つ又は2つのヘテロ原子を任意に含有する任意に置換されたアルケニレン」の「1つ又は2つのヘテロ原子を任意に含有するアルケニレン」という用語は、本明細書に記載の「アルキル」で置換される場合があり、1つ又は2つのヘテロ原子を任意に含有する炭素原子数2~6の直鎖又は分岐鎖アルケニレン基を含む。例としては、-CH=CHCH=CH-、-CH=CHO-、-OCH=CH-、-CH=CHS-、-SCH=CH-、-CH=CHNH-、-NHCH=CH-、-CH=CH-CH=N-及び-N=CH-CH=CH-が挙げられる。-CH=CHCH=CH-、-CH=CHCH=N-及び-N=CHCH=CH-が好ましい。
「1つ又は2つのヘテロ原子を任意に含有するアルキニレン」という用語は、本明細書に記載の「アルキル」で置換される場合があり、1つ又は2つのヘテロ原子を任意に含有する炭素原子数2~6の直鎖又は分岐鎖アルキニレン基を含む。例としては、-C≡CCH2-、-CH2C≡CCH2-、-CH2C≡CCH2O-、-OCH2C≡CH-、-CH2C≡CCH2S-、-SCH2C≡CH-、-CH2C≡CCH2NH-、-NHCH2C≡CH-、-CH2C≡CCH2N(CH3)-及び-N(CH3)CH2C≡CH-が挙げられる。特に、-CH2C≡CCH2-及び-OCH2C≡CH-が好ましい。
【0031】
「3~8員の窒素含有非芳香族複素環」という用語は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,143,285号明細書に記載されるいずれかの式の環を含む。
「3~8窒素含有芳香族複素環」という用語は、環に1つ又は複数の窒素原子、更に任意に酸素原子及び/又は硫黄原子を含有する3~8員の芳香族複素環を含む。例としては、ピロリル(例えば、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル)、イミダゾリル(例えば、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル)、ピラゾリル(例えば、1-ピラゾリル、3-ピラゾリル)、イソチアゾリル(例えば、3-イソチアゾリル)、イソオキサゾリル(例えば、3-イソオキサゾリル)、オキサゾリル(例えば、2-オキサゾリル)、チアゾリル(例えば、2-チアゾリル)、ピリジル(例えば、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル)、ピラジニル(例えば、2-ピラジニル)、ピリミジニル(例えば、2-ピリミジニル、4-ピリミジニル)、ピリダジニル(例えば、3-ピリダジニル)、テトラゾリル(例えば、1H-テトラゾリル)、オキサジアゾリル(例えば、1,3,4-オキサジアゾリル)及びチアジアゾリル(例えば、1,3,4-チアジアゾリル)が挙げられる。
「1つ又は2つの窒素原子を含有する4~8員の窒素含有複素環」という用語は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,143,285号明細書に記載されるいずれかの式の環を意味する。
「オキソ」という用語は、=O基を指す。
「任意に置換された」は、本明細書で「置換又は無置換」と交換可能に用いられる。
【0032】
本明細書において、「任意に置換されたアルキル」、「任意に置換されたアルキルオキシ」、「任意に置換されたアルキルチオ」、「任意に置換されたアルキルスルフィニル」、「任意に置換されたアルキルスルホニル」、「任意に置換されたアルキルスルホニルオキシ」、及び「the」における置換基の例としては、シクロアルキル、1つ又は2つのヘテロ原子を任意に含有するアルキレン、ヒドロキシル、オキソ、1~3つの位置において置換基Aで任意に置換されたアルキルオキシ、チオール、アルキルチオ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、カルボキシル、スルフィノ(-SO2H)、アルキルオキシカルボニル、任意に置換されたアミノ、任意に置換されたカルバモイル、アシル、1~3つの位置において置換基Bで任意に置換されたアリール(例えば、フェニル)、1~3つの位置において置換基Cで任意に置換されたヘテロアリール(例えば、ピリジル、フリル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル)、1~3つの位置において置換基Cで置換される場合がある任意に置換された非芳香族複素環基(例えば、モルホリニル、ピロリジニル、ピペラジニル)、1~3つの位置において置換基Bで任意に置換されたアリールオキシ(例えば、フェニルオキシ)、アルキルスルホニル等が挙げられる。先述の「任意に置換された」部分は、任意の可能な位置において1~3つの先述の置換基で置換することができる。
【0033】
本明細書において、「任意に置換されたアルケニル」、「任意に置換されたアルキニル」、「任意に置換されたアルケニルオキシ」、「任意に置換されたアルキニルオキシ」、「任意に置換されたアルケニルチオ」、「任意に置換されたアルキニルチオ」、「任意に置換されたアルケニルオキシカルボニル」、「任意に置換されたアルキニルオキシカルボニル」、「任意に置換されたシクロアルキル」、「任意に置換されたシクロアルケニル」、「任意に置換されたシクロアルキルオキシ」、「任意に置換されたシクロアルケニルオキシ」、「任意に置換されたシクロアルキルチオ」、「任意に置換されたシクロアルケニルチオ」、「任意に置換されたシクロアルキルスルフィニル」、「任意に置換されたシクロアルケニルスルフィニル」、「任意に置換されたシクロアルキルスルホニル」、「任意に置換されたシクロアルケニルスルホニル」、「任意に置換されたシクロアルキルスルホニルオキシ」、「任意に置換されたシクロアルケニルスルホニルオキシ」、「任意に置換されたアルケニルオキシカルボニル」、「任意に置換されたアルキレン」、「任意に置換されたC1-C6アルキレン」、「1つ又は2つのヘテロ原子を任意に含有する任意に置換されたアルキレン」、「任意に置換されたアルケニレン」、「1つ又は2つのヘテロ原子を任意に含有する任意に置換されたアルケニレン」、「任意に置換されたアルキニレン」及び「1つ又は2つのヘテロ原子を任意に含有する任意に置換されたアルキニレン」における置換基の例としては、1~3つの位置において置換基Dで任意に置換されたアルキル(ジアルキルなど)、シクロアルキル、ヒドロキシル、オキソ、1~3つの位置において置換基Aで任意に置換されたアルキルオキシ、チオール、アルキルチオ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、カルボキシル、スルフィノ、アルキルオキシカルボニル、任意に置換されたアミノ、任意に置換されたカルバモイル、アシル、アシルオキシ、1~3つの位置において置換基Bで任意に置換されたアリール(例えば、フェニル)、1~3つの位置において置換基Cで任意に置換されたヘテロアリール(例えば、ピリジル、フリル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル)、1~3つの位置において置換基Cで任意に置換された非芳香族複素環基(例えば、モルホリニル、ピロリジニル、ピペラジニル)、1~3つの位置において置換基Cで任意に置換されたアリールオキシ(例えば、フェニルオキシ)、アルキルスルホニル等が挙げられる。先述の「任意に置換された」部分は、任意の可能な位置において1つ又は複数の先述の置換基で置換することができる。
【0034】
本明細書において、「任意に置換されたアリール」、「任意に置換されたフェノキシ」、「任意に置換されたアリールオキシ」、「任意に置換されたフェニルチオ」、「任意に置換されたアリールチオ」、「任意に置換されたアリールスルフィニル」、「任意に置換されたアリールスルホニル」、「任意に置換されたアリールスルホニルオキシ」、「任意に置換されたヘテロアリール」、「任意に置換されたヘテロアリールオキシ」、「任意に置換されたヘテロアリールチオ」、「任意に置換されたヘテロアリールスルフィニル」、「任意に置換されたヘテロアリールスルホニル」、「任意に置換されたヘテロアリールスルホニルオキシ」、「任意に置換された非芳香族複素環基」、「任意に置換されたC6アレーン-1,4-ジアミン-N1,N4-ジイル」及び「置換されたC6アレーン-1,4-ジアミン-N1,N4-ジイル」における置換基の例としては、1~3つの位置において置換基Dで任意に置換されたアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、1~3つの位置において置換基Aで任意に置換されたアルキルオキシ、1~3つの位置において置換基Bで任意に置換されたアリールオキシ(例えば、フェノキシ)、チオール、アルキルチオ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、カルボキシル、スルフィノ、アルキルオキシカルボニル、アシル、アルキルスルホニル、任意に置換されたアミノ、任意に置換されたカルバモイル、1~3つの位置において置換基Bで任意に置換されたアリール(例えば、フェニル)、1~3つの位置において置換基Cで任意に置換されたヘテロアリール(例えば、ピリジル、フリル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル)、1~3つの位置において置換基Cで任意に置換された非芳香族複素環基(例えば、モルホリニル、ピロリジニル、ピペラジニル)等が挙げられる。先述の「任意に置換された」部分は、任意の可能な位置において1つ又は複数の先述の置換基で置換することができる。
【0035】
置換基Aはハロゲン、及び置換基Bから選択される1~3つの置換基で任意に置換されたフェニルから構成される。
置換基Bはハロゲン、アルキル、アルキルオキシ、シアノ及びニトロから構成される。
置換基Cはハロゲン及びアルキルから構成される。
置換基Dはハロゲン及びアルキルオキシから構成される。
隣接する原子間の「---」は、所与の特定の構造的状況における隣接する原子の価数に応じて、存在する又は存在しない結合を指す。この結合は、所与の特定の構造的状況に応じて、隣接する原子間の局在化電子、又は非局在化電子を含んでよい。
「正確に1つ」は1つ及び1つのみを意味する。
【0036】
Y1のA10、A12、A13、A14及びA15により形成される環は、3つ以下の構成環ヘテロ原子を含むのが好ましい。いくつかの型において、Y1のA10、A12、A13、A14及びA15により形成される環は、2つ以下の構成環ヘテロ原子を含む。いくつかの型において、Y1のA10、A12、A13、A14及びA15により形成される環は、1つ以下の構成環ヘテロ原子を含む。
Y2のA15、A16、A17及びA18により形成される環は、3つ以下の構成環ヘテロ原子を含むのが好ましい。いくつかの型において、Y2のA15、A16、A17及びA18により形成される環は、2つ以下の構成環ヘテロ原子を含む。いくつかの型において、Y2のA15、A16、A17及びA18により形成される環は、1つ以下の構成環ヘテロ原子を含む。
A1、A2、A3、A4、A5及びA6により形成される環は、3つ以下の構成環ヘテロ原子を含むのが好ましい。いくつかの型において、A1、A2、A3、A4、A5及びA6により形成される環は、2つ以下の構成環ヘテロ原子を含む。いくつかの型において、A1、A2、A3、A4、A5及びA6により形成される環は、1つ以下の構成環ヘテロ原子を含む。
A5、A6、A7、A8及びA9により形成される環は、3つ以下の構成環ヘテロ原子を含むのが好ましい。いくつかの型において、A5、A6、A7、A8及びA9により形成される環は、2つ以下の構成環ヘテロ原子を含む。いくつかの型において、A5、A6、A7、A8及びA9により形成される環は、1つ以下の構成環ヘテロ原子を含む。
ZのA19、A20、A21、A22及びA23により形成される環は、3つ以下の構成環ヘテロ原子を含むのが好ましい。いくつかの型において、ZのA19、A20、A21、A22及びA23により形成される環は、2つ以下の構成環ヘテロ原子を含む。いくつかの型において、ZのA19、A20、A21、A22及びA23により形成される環は、1つ以下の構成環ヘテロ原子を含む。
【0037】
いくつかの型において、他に明確に指定されない限り、A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、A8、A9、A10、A11、A12、A13、A14、A15、A16、A17、A18、A19、A20、A21、A22及びA23の構成環原子の任意の置換基対における少なくとも1つの置換基は、非環状部分である。いくつかの型において、他に明確に指定されない限り、A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、A8、A9、A10、A11、A12、A13、A14、A15、A16、A17、A18、A19、A20、A21、A22及びA23の構成環原子の任意の置換基対における少なくとも1つの置換基は、独立して水素、ハロゲン又は任意に置換されたC1-C6アルキルである。いくつかの型において、他に明確に指定されない限り、A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、A8、A9、A10、A11、A12、A13、A14、A15、A16、A17、A18、A19、A20、A21、A22及びA23の構成環原子の任意の置換基対における少なくとも1つの置換基は、独立して水素又はハロゲンである。いくつかの型において、他に明確に指定されない限り、A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、A8、A9、A10、A11、A12、A13、A14、A15、A16、A17、A18、A19、A20、A21、A22及びA23の構成環原子の任意の置換基対における少なくとも1つの置換基は、独立して水素である。この状況における「ビシナル」は、隣接する構成環原子に結合した任意の2つの置換基を指す。
【0038】
本発明の方法の過程では、有効量の本発明の化合物を哺乳動物及びヒトを含む動物に多くの方法で投与することができる。好ましい実施形態において、本発明の化合物は経口、非経口又は局所的に投与されるが、合剤又はエアロゾルなど、他の投与形態も意図される。「有効量」は、ここでは所与の状態又は疾患、或いは所与の種類の状態又は疾患を治療するのに有効な量を指すのに用いられる。
経口投与の場合、例えば固体、半固体、液体又は気体状で有効量の化合物を投与してよい。具体例としては、錠剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤及びエリキシル剤が挙げられる。しかしながら、これらの化合物はこれらの形態に限定されない。
本発明の化合物を錠剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、液剤又は懸濁剤に製剤するために、化合物を好ましくはバインダ、崩壊剤及び/又は滑沢剤と混合する。必要であれば、公知の方法を使用して、得られる組成物を希釈剤、バッファ、浸潤剤、保存料及び/又はフレーバと混合してよい。バインダの例としては、結晶セルロース、セルロース誘導体、コーンスターチ、シクロデキストリン及びゼラチンが挙げられる。崩壊剤の例としては、コーンスターチ、片栗粉及びカルボキシメチルセルロースナトリウムが挙げられる。滑沢剤の例としては、タルク及びステアリン酸マグネシウムが挙げられる。更に、ラクトース及びマンニトールなど、従来用いられてきた添加剤を使用してもよい。
【0039】
非経口投与の場合、本発明の化合物を経直腸で又は注射により投与してよい。直腸投与の場合、坐薬を使用してよい。体温で溶けるが、室温で固体である薬学的に好適な賦形剤と本発明の化合物を混合することにより、坐薬を調製してよい。例としては、限定されないが、カカオ脂、カーボンワックス及びポリエチレングリコールが挙げられる。当分野で公知の方法を使用して、得られる組成物を任意の所望の形態に成形してよい。
注射による投与の場合、本発明の化合物を皮下、皮内、静脈内又は筋肉内注射してよい。公知の方法により、植物油、合成樹脂酸のグリセリド、高級脂肪酸のエステル、又はプロピレングリコールなどの水性又は非水性溶媒に本発明の化合物を溶解、懸濁又は乳化することにより、該注射用医薬品を調製してよい。所望であれば、従来用いられてきた溶解補助剤、浸透圧調整剤、乳化剤、安定剤又は保存料などの添加剤を添加してもよい。必要ではないが、組成物は無菌であるか、又は殺菌するのが好ましい。
本発明の化合物を懸濁剤、シロップ剤又はエリキシル剤に製剤するために、薬学的に好適な溶媒を使用してよい。これらのうち、非限定的な例としては水が挙げられる。
局所投与の場合、局所製剤はゲル、クリーム、ローション、液体、エマルジョン、軟膏、スプレー、液剤、懸濁剤及びパッチ状とすることができる。局所製剤における不活性成分の例としては、限定されないが、乳酸ラウリル(皮膚軟化剤/透過促進剤)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(皮膚軟化剤/透過促進剤)、DMSO(溶解促進剤)、シリコーンエラストマ(レオロジー/テクスチャ改良剤)、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド(皮膚軟化剤)、オクチサレート(皮膚軟化剤/UVフィルタ)、シリコーン液(皮膚軟化剤/希釈剤)、スクアレン(皮膚軟化剤)、ヒマワリ油(皮膚軟化剤)及び二酸化ケイ素(silicone dioxide)(増粘剤)が挙げられる。
【0040】
医薬品を調製するために、本発明の化合物を他の薬学的に好適な活性を有する更なる化合物と共に使用してもよい。独立する化合物として、又は組成物の一部として本発明の化合物を含有する薬物を、それを必要とする対象の治療に使用してよい。
本発明の化合物を、液体又は微粉状で気体又は液体スプレー剤、必要であれば膨張剤などの公知の助剤とともに、エアロゾル容器又は吸入器などの非加圧容器に装填することにより、エアロゾル又は吸入剤状に調製し、投与してもよい。例えば、ジクロロフルオロメタン、プロパン又は窒素の加圧ガスをスプレー剤として使用してよい。
本発明の化合物を錠剤、カプセル剤、液剤又はエマルジョン剤などの医薬組成物として、哺乳動物及びヒトを含むそれを必要とする動物に投与してよい。
本発明の化合物を栄養添加物、食品サプリメント又は栄養サプリメントとして、それを必要とする動物に投与してもよい。
【0041】
「治療する」という用語は、状態或いはその任意の様子、合併症又は症状が任意の程度に低減することを指す。例としては、状態の重症度を低減すること、状態の症状又は合併症の数を低減すること、状態の特定の症状又は合併症を取り除くこと、状態の1つ又は複数の症状又は合併症の重症度を低減すること、或いは患者の状態における任意の他の変化を導き、治療成績を改善することが挙げられる。
「予防する」という用語は、状態或いはその任意の様子、合併症又は症状を任意の程度に予防的に低減することを指す。例としては、状態の重症度を予防的に低減すること、状態の症状又は合併症の数を予防的に低減すること、状態の特定の症状又は合併症を予防的に取り除くこと、状態の1つ又は複数の症状又は合併症の重症度を予防的に低減すること、或いは患者の状態における任意の他の変化を予防的に導き、治療成績を改善することが挙げられる。
【0042】
本発明に記載される化合物は組成物の形態で使用及び/又は投与されるのが好ましい。好適な組成物は、好ましくは医薬組成物、食料又は食品サプリメントである。これらの組成物は、本化合物を輸送するのに便利な形態を提供する。本発明の組成物は、酸化又は溶解性に対する化合物の安定性を上昇させるのに有効な量で酸化防止剤を含んでよい。
本発明の方法で投与される、又は本発明の使用における投与のための化合物の量は、任意の好適な量である。例としては、1日当たり化合物1ng/体重kgから20g/体重kg、例えば1μg/体重kgから1g/体重kg又は1mg/体重kgから100mg/体重kgが挙げられる。従って、好適な組成物を製剤することができる。生物学的活性剤を投与する当業者は、公知の十分に理解されているパラメータに基づき、様々な対象のために特定の投与計画を作成することができるであろう。
本発明による好ましい組成物は、錠剤、丸薬、カプセル剤、カプレット剤、マルチパーティクル(顆粒、ビーズ、ペレット及びマイクロカプセル化粒子を含む)、粉末剤、エリキシル剤、シロップ剤、懸濁剤及び液剤状などの医薬組成物である。通常、医薬組成物は薬学的に許容される希釈剤又は担体を含む。医薬組成物は非経口又は経口投与に適応させるのが好ましい。経口投与可能な組成物は固体又は液体状でよく、特に錠剤、粉末剤、懸濁剤及びシロップ剤状でよい。任意に、これらの組成物は1つ又は複数のフレーバ剤及び/又は着色剤を含む。一般的に、治療組成物及び栄養組成物は、対象への化合物の作用を著しく妨げない任意の物質を含んでよい。
【0043】
該組成物で使用するのに好適な薬学的に許容される担体は、薬学分野で周知である。本発明の組成物は、0.01~99質量%の本発明の化合物を含有してよい。一般的に、本発明の組成物は単位剤形で調製される。本発明の化合物の単位投与量の例としては、50mg~1000mgなどの0.1mgから2000mgが挙げられる。これらの組成物の調製で使用される賦形剤は、当技術分野で公知の任意の賦形剤を挙げることができる。
組成物の製品形態の更なる例は、軟質ゲル又は硬質カプセル状などの食品サプリメントであり、ゼラチン、デンプン、加工デンプン、デンプン誘導体、例えばグルコース、スクロース、ラクトース及びフルクトースからなる群から選択される封入材料を含む。封入材料は、任意に架橋又は重合剤、安定剤、酸化防止剤、感光性の充填材を保護するための光吸収剤、保存料等を含有してよい。
一般的に、「担体」という用語は、薬学的担体、食料、栄養サプリメント又は補助食品であっても、記載の化合物と混合され得る組成物を表す。上記の材料は、本発明の目的のための担体とみなしてよい。本発明のある実施形態において、担体は本発明の化合物に対する生物活性をほとんど有さないか、まったく有さない。
【0044】
用量:本発明の方法は、必要とする動物に治療有効量の化合物を投与することを含むことができる。化合物の有効量は、投与する化合物の形態、投与期間、投与経路(例えば、経口又は非経口)、動物の年齢、並びに哺乳動物及びヒトを含む動物の状態によって決まる。例示的な量は、1ng/kg/日から20g/kg/日、例えば50μg/kg/日から5g/kg/日又は1~100mg/kg/日である。化合物の有効量は、約1から1000日間以上、例えば7から300日間又は30から90日間の期間で投与するとき、状態を治療又は予防するのに最も有効である。化合物の有効量は、慢性疾患における有益な反応を維持するために、これらの期間を越えて継続される場合がある。
本発明の化合物の有効量を栄養、治療、医療又は動物用組成物で投与する場合、例示的な用量は、食品又は栄養製品に対して約0.01から2.0質量/質量%である。
【0045】
一般的に、本発明は全身的な炎症の抑制に関し、関係する部分は膵臓、脾臓、肺、心臓、心血管系、中枢神経系、関節、肝臓、腎臓、免疫系又は消化管を含む。消化管における関係する部分は、食道、胃、小腸、盲腸、大腸及び直腸を含む。その効果は、生物学的効果を引き起こす身体の様々な細胞型が本発明の化合物に曝されることによって生じる。これらの細胞は、特に肺又は皮膚組織、免疫細胞(つまり、マクロファージ、単球、好酸球、樹状細胞、好中球、リンパ球)、膵島細胞、内皮細胞、神経細胞、或いは上皮細胞に由来するものを含んでよい。
本発明の方法を実施するとき、上記のように任意の許容可能な形態を使用して、任意の許容可能な投与経路により対象に化合物を投与し、自然のプロセスにより対象の身体が標的組織及び細胞に化合物を分散させることにより行うことができる。上記の通り、同様に標的細胞(つまり、処置される細胞)を含有する部位(例えば、臓器、組織)に直接注射することにより投与することができる。
投与する量は、対象、疾患又は障害のステージ、対象の年齢、対象の全体的な健康、及び医学分野の業者に公知であり、日常的に考慮される様々な他のパラメータに応じて変わる。一般的な事項として、全身或いは身体における任意の特定の組織又は部位における炎症量に検出可能な変化を起こすために、十分な量の化合物が投与されるであろう。炎症の低減は、対象が受ける疼痛量、血液中のインスリン、抗核抗原抗体、TNFα又はC反応性タンパク質のレベル、血液、唾液又は標的組織中の好酸球又は制御性T細胞の割合、或いは便中カルプロテクチン濃度に関係し得る。
【0046】
本発明の方法は、免疫細胞の代謝に作用することにより炎症を低減させる治療を提供することができる。本方法は、全身的(つまり、対象の身体全体)に又は局所的(例えば、投与部位、又は限定されないがT細胞及びマクロファージを含む炎症性細胞の部位)に炎症を低減することができる。免疫代謝により炎症を治療又は予防する際に、観察され得る1つの効果は、グルコース代謝の変化である。特に、ピルビン酸からの乳酸の産生から、免疫炎症性作用に関係するトリカルボン酸回路への進入に変化し得る。より具体的に、この代謝の変化は、Th2、IL17+Th17又はIFNγ+Th1エフェクタ細胞などのエフェクタCD4+T細胞に対するCD4+CD25+FOXP3+又は他の制御性CD4+T細胞の割合の増加と関連し得る。別の観察された効果は細胞増殖の減少であり得、これは嫌気性代謝減少及び免疫チェックポイント経路増加が組み合わさることに起因する。治療的に引き起こされる代謝変化の別の効果は、脂肪酸のプロセシング及び貯蔵の変化に起因するMCP-1、IL-8又はCXCL9など、炎症性ケモカインの発現減少であり得る。従って、本方法は治療を受ける対象の免疫応答に作用する又は免疫応答を変化させ、これにより炎症、疾患及び病状を遮断する方法とみなすこともできる。
本発明の方法は、他の効果を発揮することにより炎症を低減する方法を提供することができる。本方法は、全身的(つまり、対象の身体全体)に又は局所的(例えば、投与部位、又は限定されないが好酸球、T細胞及びマクロファージを含む炎症性細胞の部位)に炎症を低減することができる。本発明の方法により炎症を治療又は予防する際、見られ得る1つの効果は、血液単球又はマクロファージ及び所与の組織に浸潤するリンパ球の数の減少である。別の効果は、CD4+CD25+FoxP3+制御性T細胞などの制御性免疫細胞集団の増加、或いはリンパ球又はマクロファージの制御性の増加(例えば、インターロイキン4(IL-4)又はIL-10の増加、或いはTNF-α及びIL-6の減少)であり得る。別の効果は、炎症性遺伝子及び/又は接着分子の存在の減少であり得る。従って、本方法は、治療を受ける対象の免疫応答に作用する又は免疫応答を変化させる方法とみなすこともできる。この対象は、T細胞の免疫調節、又は細胞接着分子の発現低下が所望の結果である任意の状態を有し得る。
【0047】
本発明は、本明細書に記載の化合物でアレルギ性、炎症性又は免疫介在性疾患を治療する方法を提供する。炎症性又は免疫介在性疾患は、特にDattatreyaら、2011及びShurinら、2007に記載される任意の疾患を挙げることができる。
本発明は、本明細書に記載の化合物で炎症性自己免疫疾患などの自己免疫疾患を治療する方法を提供する。自己免疫疾患の非限定例としては、特に炎症性腸疾患(IBD)(例えば、クローン病及び潰瘍性大腸炎)、過敏性腸症候群(IBS)、ループス、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、シェーグレン症候群、全身性強皮症、1型糖尿病、乾癬(乾癬性関節炎を含む)、自己免疫性脳炎、多発性硬化症、サルコイドーシス、ギラン・バレー症候群、バセドウ病、抗リン脂質抗体症候群及びがん免疫療法誘発性自己免疫疾患が挙げられる。がん免疫療法誘発性自己免疫疾患の非限定例としては、がん免疫療法誘発性リウマチ性疾患が挙げられる。多発性硬化症の非限定例としては、再発寛解型多発性硬化症、2次進行型多発性硬化症及び原発性進行型多発性硬化症が挙げられる。本発明は、自己免疫疾患に伴う炎症を治療する方法も提供する。
本発明の化合物は、全身性エリテマトーデスと診断された対象の症状を治療する、又は全身性エリテマトーデスに遺伝的に罹患しやすい対象の疾患の発症を予防するのに使用することができる。本発明で治療することができるループスの症状及び兆候としては、限定されないが、ループス腎炎、中枢神経系の炎症、頭痛、強膜炎、視神経炎、発熱、動脈硬化、冠動脈疾患、関節痛及び頬部紅斑が挙げられる。本発明は、皮膚ループス(円板状)、薬剤誘発性ループス及び新生児ループスを含むループスの更なる形態を治療する方法も提供する。
本発明の化合物は、糖尿病又はこれに起因する状態を治療するのに使用することができる。糖尿病の例示的な型は、1型糖尿病及び2型糖尿病が挙げられる。例示的な糖尿病の状態は、糖尿病性腎症、糖尿病網膜症、慢性疼痛、ニューロパチー、深部静脈血栓症又はアテローム性動脈硬化が挙げられる。
【0048】
本発明は、本明細書に記載の化合物で慢性炎症性疾患を治療する方法を提供する。慢性炎症性疾患の非限定例としては、メタボリックシンドローム、肥満、前糖尿病、心血管疾患、2型糖尿病、非アルコール性脂肪肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、肝硬変、喘息、アレルギ、慢性肉芽腫性疾患、移植片対宿主病、並びに腫瘍壊死因子受容体関連周期性症候群;筋萎縮性側索硬化症、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、側弯症及び脊髄性進行性筋萎縮症などの筋肉消耗などが挙げられる。
本発明は、本明細書に記載の化合物で急性結腸憩室炎及び消化管の放射線誘発性炎症など、他の炎症性疾患を治療する方法を提供する。消化管の放射線誘発性炎症の非限定例としては、放射線性直腸炎、放射線性腸炎及び放射線性直腸S状結腸炎が挙げられる。
本発明は、本明細書に記載の化合物でアレルギ性疾患を治療する方法を提供する。アレルギ性疾患の例としては、花粉症(季節性アレルギ)、副鼻腔炎、喘息、湿疹、発疹、アナフィラキシーが挙げられる。
本発明は、本明細書に記載の化合物で慢性及び/又は炎症性呼吸器疾患を治療する方法を提供する。慢性及び/又は炎症性呼吸器疾患の非限定例としては、喘息、気腫などの慢性閉塞性肺疾患、特発性肺線維症などの肺線維症、及び肉芽腫性肺疾患が挙げられる。
本発明は、本明細書に記載の化合物で喘息を治療する方法を提供する。本明細書に記載の化合物で治療する喘息の例示的な形態は、慢性喘息、急性喘息、アレルギ性喘息、2型喘息、好酸球性喘息、非2型喘息及び好中球性喘息が挙げられる。
本発明は、本明細書に記載の化合物で慢性及び/又は炎症性中枢神経疾患を治療する方法を提供する。慢性及び/又は炎症性中枢神経疾患の非限定例としては、アルツハイマー病、パーキンソン病、脳卒中、外傷性脳損傷又は脊髄損傷に起因する神経炎症が挙げられる。
【0049】
本発明は、皮膚の炎症性又は免疫介在性の状態を治療する方法を提供する。例示的な皮膚の炎症性又は免疫介在性の状態としては、乾癬、皮膚エリテマトーデス、皮膚筋炎、類天疱瘡、天疱瘡、強皮症、血管炎、後天性表皮水疱症、尋常性白斑、扁平苔癬、強膜炎、皮膚炎、結節性紅斑、壊疽性膿皮症、皮膚亀裂、ざ瘡、腸管皮膚瘻、スキンタグ、アフタ性口内炎、先天性腸性肢端皮膚炎、増殖性膿皮症、白血球破砕性血管炎、裂肛、スイート症候群、酒さ、脱毛症、膿漏性角皮症、酒さ、口唇ヘルペス、蕁麻疹、日光角化症、癰、蜂巣炎、尋常性魚鱗癬、皮膚感染症、頬部紅斑、光線過敏症、網状皮斑、網状皮斑、口腔及び鼻腔潰瘍、紫斑病、粘膜炎、痔、熱傷及び日焼けが挙げられる。
本発明は、本明細書に記載の化合物で皮膚のアレルギ性障害を治療する方法を提供する。例示的な皮膚のアレルギ性障害としては、アトピー性皮膚炎(湿疹)及び接触皮膚炎などの皮膚炎、発疹(蕁麻疹)並びにむくみ(血管性浮腫)が挙げられる。
本発明は、本明細書に記載の化合物で消化管の炎症を阻害する、又はアレルギ性疾患を治療する方法を提供し、消化管の関係する部分は胃、小腸、大腸及び直腸を含むことができる。消化管のアレルギ性疾患は、好酸球性消化管障害を挙げることができる。好酸球性(eosinic)消化管障害は、好酸球性胃腸炎又は好酸球性食道炎を含むことができる。
本発明は、本明細書に記載の化合物で好酸球増多症候群を治療する方法を提供する。
本発明は、本明細書に記載の化合物で肉芽腫性障害を治療する方法を提供する。例示的な肉芽腫系障害としては、特にチャーグ・ストラウス症候群、ベリリウム肺及びサルコイドーシスが挙げられる。James DG.A clinicopathological classification of granulomatous disorders. “Postgrad Med J.” 2000;76(898):457-465.doi:10.1136/pmj.76.898.457を参照のこと。肉芽腫性障害は、特に感染症起因(例えば、結核)、環境暴露(例えば、ベリリウム暴露)、又は慢性疾患(例えば、サルコイドーシス)によるものであり得る。
【0050】
本発明は、本明細書に記載の化合物で感染性疾患を治療する方法を提供する。該感染性疾患の非限定例としては、ウイルス感染症、細菌感染症及び真菌感染症が挙げられる。
ウイルス感染症の非限定例としては、特にアデノウイルスなどのアデノウイルス科のウイルス;単純ヘルペスウイルス1型、単純ヘルペスウイルス2型、水痘帯状疱疹ウイルス、エプスタイン・バールウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、ヒトヘルペスウイルス及び8型などのヘルペスウイルス科のウイルス;ヒトパピローマウイルスなどのパピローマウイルス科のウイルス;BKウイルス及びJCウイルスなどのポリオーマウイルス科のウイルス;天然痘などのポックスウイルス科のウイルス;B型肝炎ウイルスなどのヘパドナウイルス科のウイルス;ヒトボカウイルス及びパルボウイルスB19などのパルボウイルス科のウイルス;ヒトアストロウイルスなどのアストロウイルス科のウイルス;ノーウォークウイルスなどのカリシウイルス科のウイルス;コクサッキーウイルス、A型肝炎ウイルス、ポリオウイルス及びライノウイルスなどのピコルナウイルス科のウイルス;急性呼吸器症候群ウイルスなどのコロナウイルス科のウイルス;C型肝炎ウイルス、黄熱ウイルス、デングウイルス及びウエストナイルウイルスなどのフラビウイルス科のウイルス、風疹ウイルスなどのトガウイルス科のウイルス;E型肝炎ウイルスなどのへぺウイルス科のウイルス;ヒト免疫不全ウイルス(HIV)などのレトロウイルス科のウイルス;インフルエンザウイルスなどのオルトミクソウイルス科のウイルス;ガナリトウイルス、フニンウイルス、ラッサウイルス、マチュポウイルス及びサビアウイルスなどのアレナウイルス科のウイルス;クリミア・コンゴ出血熱ウイルスなどのブニヤウイルス科のウイルス;エボラウイルス及びマールブルグウイルスなどのフィロウイルス科のウイルス;コロナウイルス(COVID-19);麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、パラインフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ヒトメタニューモウイルス、ヘンドラウイルス及びニパウイルスなどのパラミクソウイルス科のウイルス;狂犬病ウイルスなどのラブドウイルス科のウイルス;D型肝炎ウイルスなどの未分類ウイルス;並びにロタウイルス、オルビウイルス、コルティウイルス及びバンナウイルスなどのレオウイルス科のウイルスによる感染症が挙げられる。
【0051】
細菌感染症の非限定例としては、上記の細菌に加えて、バチルス・アンシラシス(Bacillus anthracis)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、ボルデテラ・パーツシス(Bordetella pertussis)、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)、ブルセラ・アボルタス(Brucella abortus)、ブルセラ・カニス(Brucella canis)、ブルセラ・メリテンシス(Brucella melitensis)、ブルセラ・スイス(Brucella suis)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、クラミジア・ニューモニエ(Chlamydia pneumoniae)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、クラミドフィラ・シッタシ(Chlamydophila psittaci)、クロストリジウム・ボツリヌス(Clostridium botulinum)、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)、クロストリジウム・テタニ(Clostridium tetani)、コリネバクテリウム・ジフテリアエ(Corynebacterium diphtheriae)、エンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)、フランシセラ・ツラレンシス(Francisella tularensis)、ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae)、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、レプトスピラ・インターロガンス(Leptospira interrogans)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、マイコバクテリウム・レプラエ(Mycobacterium leprae)、マイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)、マイコバクテリウム・ウルセランス(Mycobacterium ulcerans)、マイコプラズマ・ニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)、ナイセリア・ゴノレエ(Neisseria gonorrhoeae)、ナイセリア・メニンギティディス(Neisseria meningitidis)、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、リケッチア・リケッチイ(Rickettsia rickettsii)、サルモネラ・ティフィ(Salmonella typhi)、サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)、シゲラ・ソネイ(Shigella sonnei)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、スタフィロコッカス・エピデルミジス(Staphylococcus epidermidis)、スタフィロコッカス・サプロフィティカス(Staphylococcus saprophyticus)、ストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、トレポネーマ・パリズム(Treponema pallidum)、ビブリオ・コレレ(Vibrio cholerae)、エルシニア・ペスティス(Yersinia pestis)、エルシニア・エンテロコリチカ(Yersinia enterocolitica)、エルシニア・シュードツベルクローシス(Yersinia pseudotuberculosis)、並びに上記生物の属の他の種による感染症が挙げられる。
【0052】
真菌感染症の非限定例としては、アスペルギルス症を引き起こすアスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)などのアスペルギルス属の真菌;ブラストミセス症を引き起こすブラストミセス・デルマチチジス(Blastomyces dermatitidis)などのブラストミセス属の真菌;カンジダ症を引き起こすカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)などのカンジダ属の真菌;コクシジオイデス症(バレー熱)を引き起こすコクシジオイデス属の真菌;クリプトコッカス症を引き起こすクリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)及びクリプトコッカス・ガッティ(Cryptococcus gattii)などのクリプトコッカス属の真菌;白癬を引き起こす皮膚糸状菌;フザリウム属種、アスペルギルス属種及びカンジダ属種などの角膜真菌症を引き起こす真菌;ヒストプラスマ症を引き起こすヒストプラスマ・カプスラツム(Histoplasma capsulatum)などのヒストプラスマ属の真菌;ムコール症を引き起こすケカビ目の真菌;サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)などのサッカロミセス属の真菌;ニューモシスチス肺炎を引き起こすニューモシスチス・イロベチイ(Pneumocystis jirovecii)などのニューモシスチス属の真菌;並びにスポロトリコーシスを引き起こすスポロトリクス・シェンキィ(Sporothrix schenckii)などのスポロトリクス属の真菌による感染症が挙げられる。
【0053】
本発明は、本明細書に記載の化合物で過剰増殖性障害を治療する方法も提供する。過剰増殖性障害は、がんなどの制御されない細胞増殖を伴う状態、或いは腫瘍、腺腫又はポリープの成長を伴う状態を含む。過剰増殖性障害の非限定例としては、特に大腸がん、家族性大腸腺腫症(PAP)、咽頭がん、甲状腺がん、胃がん、消化管がん、膵臓がん、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、急性骨髄性白血病、肝細胞がん、消化管間質腫瘍、急性リンパ性白血病、慢性骨髄増殖性障害、好酸球増多症候群、マスト細胞症が挙げられる。
【0054】
本明細書で使用する「テトラヒドロピラゾロピリジンアナログ」は、テトラヒドロピラゾロピリジン部分又はその構造的アナログを含む化合物を指す。
本明細書に示す任意の部分又は化合物の表現又は定義は、他に文脈から明らかでない限り、この部分又は化合物の任意の互変異性体を包含する。
本明細書に示す任意の部分又は化合物の表現又は定義は、他に文脈から明らかでない限り、この部分又は化合物の任意の塩を包含する。
本明細書に記載の要素、実施形態、型及び方法工程は、明確に記載されているかどうかに関わらず任意の共存できる組合せで使用することができる。
本明細書で使用する方法工程のすべての組合せは、他に指定されない限り、又は参照した組合せの状況により明らかに反対に示唆されない限り、任意の順に実施することができる。
【0055】
本明細書で使用する単数形「a」、「an」及び「the」は、他に内容が明らかに示さない限り、複数の指示物を含む。
本明細書で使用する数字範囲は、具体的に開示されるかどうかに関わらず、その範囲内に含まれる各数字及び数字のサブセットを含むことが意図される。更に、これらの数字範囲は、その範囲の任意の数字又は数字のサブセットを対象とするクレームを支持するものとして解釈されるべきである。例えば、1から10の開示は、2から8、3から7、5から6、1から9、3.6から4.6、3.5から9.9などの範囲を支持するものとして解釈されるべきである。
本明細書に引用されるすべての特許、特許公開及び査読出版物(つまり「参考文献」)は、各個別の参考文献が参照により組み入れられたものとして具体的及び個別に示されるのと同程度に、参照により明確に組み入れられたものとする。本開示及び組み入れられた参考文献に矛盾があれば、本開示が優先される。
本発明は本明細書で説明及び記載される部分の特定の構成及び配置に限定されないが、変更された形態を特許請求の範囲内にあるものとして包含すると理解される。
【実施例】
【0056】
分子モデリング
実施例1.NLRX1リガンドの分子モデリング
ウイルスRNA及び食物脂質(プニカ酸及びドコサヘキサエン酸)を含む前述のNLRX1リガンドを使用し、我々はNLRX1タンパク質における可能性が高い2つの結合部位の存在を決定した(Luら、2015)。これらのリガンドをNLRX1(pdb:3UN9)のC末端に関して公開された構造にドッキングし、重要な結合残基を確立した。
方法
バーチャルスクリーニング.予備骨格に対する更なる洞察を行うために、AutoDock Vinaを使用し、直方体の検索グリッドサイズ(58×40×40オングストローム)を用いた2つの部位のそれぞれで、NLRX1にリガンドデータベースをドッキングして、リガンドの結合親和性及びコンフォメーションを予測した。結合親和性をリガンドの分子量に対して正規化した。結合ポーズの更なる調査のために上位リガンドを選択した。
化合物生成.特定した残基及び予測した生化学的相互作用から、高親和性のNLRX1リガンドの構造を生成した。WebMoを使用して構造を生成し、化学的に最適化した。構造ファイルをpdb形式で生成し、ガスタイガー方法による電荷計算を使用してpdbqtフォーマットに変換した。AutoDock Vinaを使用して、構造をドッキングさせて結合親和性を確認した。
分析.全分子間エネルギ、全内部エネルギ及びねじれ自由エネルギの最小化を通して、最も好ましい結合ポーズを表し、分子量に対して正規化された最も低い結合親和性の予測によって、化合物を予備的にランク付けした。その後、NLRX1の重要な結合残基までの好ましい距離に基づき、化合物に優先順位を付けた。
結果
新規化学物質(NCE)のバーチャルスクリーニング及び最適化から、親和性が最も高いNLRX1結合NCEは、主に中心の1,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[4,3-C]ピリジン-4-オン環系を有する化合物から構成された。一般的に、結合親和性は、Y基環構造、中心基に添加された疎水性部分(つまり、式IのA
1、A
2、A
3、A
4、A
5、A
6、A
7、A
8及びA
9により形成される基)、並びに二置換Z基環構造に酢酸部分を含有する化合物において高いことが観察された。選択したファミリメンバの結合親和性を
図1A~1Rに示す。それぞれのエネルギ結合が最低となる配置における予測される結合親和性は、-7.5kcal/molから-8.8kcal/molであった。このクラスのNCEにおける結合が最も高い化合物は、-8.8kcal/molのLABP-72-61及びLABP-72-62、続いて-8.7kcal/molのLABP-72-38、LABP-72-47、LABP-72-54及びLABP-72-60であることが観察された。結合結果及び予測される物理化学的性質に基づき、合成のためにこのクラスから化合物を選択した。
【0057】
医薬品化学
実施例2.LABP-72-38
2-(5-(2-(3,5-ジフルオロフェニル)-4-オキソ-2,4,6,7-テトラヒドロ-5H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-5-イル)ピリジン-3-イル)酢酸(LABP-72-38、
図2B)の合成は、以下に詳述するように4段階プロセスであった。
エタノール中のピぺリジン-2,4-ジオンを酢酸中の(3,5-ジフルオロフェニル)ヒドラジンヒドロクロリドに添加した。反応生成物を3時間還流し、室温で24時間維持した。反応終了後、溶媒を減圧下で蒸発させて粗生成物を得た。粗生成物を水10mLで希釈し、10分間撹拌して、固体を沈殿させた。固体をろ過し、真空下で乾燥させて、所望の生成物をオフホワイト固体として得た。
N,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(DMF-DMA)を乾燥DMF中の単離した生成物に添加した。反応生成物を120℃まで加熱し、4時間撹拌した。反応終了後、溶媒を減圧下で蒸発させて粗生成物を得、これをトルエンで共沸して固体を得た。得られた固体をヘキサンで2回洗浄して所望の生成物を得た。
エチル2-(5-ブロモピリジン-3-イル)アセタート及びCs
2CO
3を生成物の1,4-ジオキサン溶液に、5分間窒素ガスでパージした溶媒と共に添加した。Pd
2(dba)
3及びキサントホス(Xantphos)を添加し、100℃で16時間加熱した。反応終了後、反応生成物を酢酸エチルで希釈し、10分間撹拌し、セライトでろ過し、ろ液を蒸発させて粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィで精製して、所望の生成物を淡黄色固体として得た。
水酸化リチウムを2-(5-(2-(3,5-ジフルオロフェニル)-4-オキソ-2,4,6,7-テトラヒドロ-5H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-5-イル)ピリジン-3-イル)エチルアセタートの1,4-ジオキサン及び水の溶液に添加し、室温で3時間撹拌した。溶媒を蒸発させて粗残渣を得た。粗残渣を水で希釈し、2NのHClを使用してpHを2に調節して固体を沈殿させた。沈殿した固体をろ過し、真空下で乾燥させて粗生成物を得た。粗生成物を逆相精製で精製して、2-(5-(2-(3,5-ジフルオロフェニル)-4-オキソ-2,4,6,7-テトラヒドロ-5H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-5-イル)ピリジン-3-イル)酢酸をオフホワイト固体(LABP-72-38)として得た。
【0058】
実施例3.LABP-72-69
2-(5-(1-(3,5-ジフルオロフェニル)-4-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-5-イル)ピリジン-2-イル)酢酸(LABP-72-69、
図2D)の合成は、以下に詳述するように、4段階プロセスであった。
DMF-DMAをピぺリジン-2,4-ジオンの乾燥DMF溶液に添加した。反応生成物を120℃まで加熱し、4時間撹拌した。反応終了後、溶媒を減圧下で蒸発させて粗生成物を得、これをトルエンで共沸して暗褐色固体を得た。固体をヘキサンで2回洗浄して、所望の生成物を暗褐色固体として得た。
(3,5-ジフルオロフェニル)ヒドラジンヒドロクロリドを3-((ジメチルアミノ)メチレン)ピぺリジン-2,4-ジオンのエタノール溶液に添加した。反応生成物を120℃まで16時間加熱した。反応終了後、溶媒を減圧下で蒸発させて粗生成物を得た。粗生成物を水で希釈し、10分間撹拌して固体を沈殿させた。固体をろ過し、真空下で乾燥させて、所望の生成物をオフホワイト固体として得た。
メチル2-(5-ブロモピリジン-2-イル)アセタート、キサントホス((9,9-ジメチル-9H-キサンテン-4,5-ジイル)ビス(ジフェニルホスファン))、及びCs
2CO
3をろ過した固体の1,4-ジオキサン溶液に添加した。溶媒を窒素ガスで5分間パージした。Pd
2(dba)
3を添加し、100℃で16時間加熱した。反応終了後、反応生成物を酢酸エチルで希釈し、10分間撹拌し、セライトでろ過し、ろ液を蒸発させて粗生成物を得、これをカラムクロマトグラフィで精製して、所望の生成物を淡黄色固体として得た。
水酸化リチウムを2-(5-(1-(3,5-ジフルオロフェニル)-4-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-5-イル)ピリジン-2-イル)メチルアセタートの1,4-ジオキサン溶液に添加し、室温で3時間撹拌した。反応混合物を蒸発させて粗残渣を得た。粗残渣を水で希釈し、2NのHClを使用してpH2まで酸性にして固体を沈殿させ、これをろ過し、真空下で乾燥させて粗生成物を得た。粗生成物をHPLC精製し、プールした画分を蒸発させて、2-(5-(1-(3,5-ジフルオロフェニル)-4-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-5-イル)ピリジン-2-イル)酢酸をオフホワイト固体(LABP-72-69)として得た。
【0059】
実施例4.LABP-72-56
2-(5-(1-(3,5-ジフルオロフェニル)-4-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-5-イル)ピリジン-3-イル)酢酸(LABP-72-56、
図2C)の合成は、以下に詳述するように、4段階プロセスであった。
DMF-DMAをピぺリジン-2,4-ジオンの乾燥DMF溶液に添加し、120℃まで加熱し、4時間撹拌した。反応終了後、溶媒を減圧下で蒸発させて粗生成物を得た。粗生成物をトルエンで共沸して暗褐色固体を得、これをヘキサンで2回洗浄して、所望の生成物を暗褐色固体として得た。
(3,5-ジフルオロフェニル)ヒドラジンヒドロクロリドを3-((ジメチルアミノ)メチレン)ピぺリジン-2,4-ジオンのエタノール溶液に添加した。反応生成物を120℃まで16時間加熱した。反応終了後、溶媒を減圧下で蒸発させて粗生成物を得た。粗生成物を水で希釈し、10分間撹拌して固体を沈殿させた。固体をろ過し、真空下で乾燥させて、所望の生成物をオフホワイト固体として得た。
メチル2-(5-ブロモピリジン-3-イル)アセタート、キサントホス及びCs
2CO
3をろ過した固体の1,4-ジオキサン溶液に添加した。溶媒を窒素ガスで5分間パージした。Pd
2(dba)
3を添加し、100℃で16時間加熱した。反応終了後、反応生成物を酢酸エチルで希釈し、10分間撹拌し、セライトでろ過し、ろ液を蒸発させて粗生成物を得、これをカラムクロマトグラフィで精製して、所望の生成物を淡黄色固体として得た。
水酸化リチウムを2-(5-(1-(3,5-ジフルオロフェニル)-4-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-5-イル)ピリジン-3-イル)メチルアセタートの1,4-ジオキサン溶液に添加し、室温で3時間撹拌した。反応混合物を蒸発させて粗残渣を得た。粗残渣を水で希釈し、2NのHClを使用してpH2まで酸性にし、固体を沈殿させ、これをろ過し、真空下で乾燥させて粗生成物を得た。粗生成物をHPLC精製し、プールした画分を蒸発させて、2-(5-(1-(3,5-ジフルオロフェニル)-4-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-5-イル)ピリジン-3-イル)酢酸をオフホワイト固体(LABP-72-56)として得た。
【0060】
実施例5.LABP-72-4
2-(5-(2-(3,5-ジフルオロフェニル)-4-オキソ-2,4,6,7-テトラヒドロ-5H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-5-イル)ピリジン-3-イル)酢酸(LABP-72-4、
図2A)の合成は、以下に詳述するように、4段階プロセスであった。
エタノール中のピぺリジン-2,4-ジオンを酢酸中の(3,5-ジフルオロフェニル)ヒドラジンヒドロクロリドに添加した。反応生成物を3時間還流し、室温で24時間維持した。反応終了後、溶媒を減圧下で蒸発させて粗生成物を得た。粗生成物を水10mLで希釈し、10分間撹拌して固体を沈殿させた。固体をろ過し、真空下で乾燥させて、所望の生成物をオフホワイト固体として得た。
DMF-DMAを乾燥DMF中の単離した生成物に添加した。反応生成物を120℃まで加熱し、4時間撹拌した。反応終了後、溶媒を減圧下で蒸発させて粗生成物を得、これをトルエンで共沸して固体を得た。得られた固体をヘキサンで2回洗浄して所望の生成物を得た。
メチル2-(3-ヒドロキシ-1H-ピラゾール-5-イル)アセタートを生成物のTHF溶液にDIAD及びPh
3Pと共に添加した。反応終了後、反応生成物を酢酸エチルで希釈し、10分間撹拌し、セライトでろ過し、ろ液を蒸発させて粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィで精製して、所望の生成物を淡黄色固体として得た。
水酸化リチウムを2-(5-(2-(3,5-ジフルオロフェニル)-4-オキソ-2,4,6,7-テトラヒドロ-5H-ピラゾロ[4,3-c]1H-ピラゾール[2,3-イル]-5-イル)メチルアセタートのメタノール及び水の溶液に添加し、室温で3時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、固体をろ過し、真空下で乾燥させて粗生成物を得た。粗生成物を逆相精製により精製して、2-(5-(2-(3,5-ジフルオロフェニル)-4-オキソ-2,4,6,7-テトラヒドロ-5H-ピラゾロ[4,3-c]1H-ピラゾール[2,3-イル]-5-イル)酢酸をオフホワイト固体(LABP-72-4)として得た。
【0061】
実験研究
実施例6.CD4+T細胞におけるインビトロ免疫学的スクリーニング
序論
CD4+T細胞は、多くの自己免疫疾患の発症機序及び臓器損傷に寄与し得る炎症反応の増幅の中心である。従って、これらの細胞のトラフィッキング及び分化は、自己免疫疾患における症状の改善及び炎症予防のための有効な選択肢である。NLRX1が喪失すると、CD4+T細胞はより多くのIFNγ及びTNFαを産生し、Th17及びTh1などの炎症性サブセットに分化する可能性がより高い。
方法
細胞培養.脾臓をC57BL/6マウスから摘出した。脾臓を顕微鏡スライドグラスのフロスト端の間ですりつぶし、ろ過して細胞懸濁液を得た。赤血球を低張溶解により溶解した。残りの細胞を洗浄し、ろ過した。磁気選別に基づく負の選択を使用し、懸濁液内でCD4+T細胞を濃縮した。細胞を採取し、抗CD3/CD28でコーティングした96ウェルプレート内に播種し、0又は100ナノモル濃度のLABP-72-4、LABP-72-38、LABP-72-56、LABP-72-69の存在下、24時間培養した。培養の最後の6時間、細胞をホルボール12ミリスタート13アセタート(PMA)及びイオノマイシンで刺激した。
免疫学的分析.細胞を96ウェルプレートから採取し、フローサイトメトリによる免疫表現型解析のために抗体カクテルで染色した。培養上清を採取し、サイトメトリビーズアレイにより、サイトカイン濃度の測定を行った。データをBD FACS Celestaに捕捉し、FACSDivaを使用して分析した。
結果
試験を行った4つのNLRX1リガンドすべてが、CD4+T細胞培養物においてTNFα(
図3A)及びIFNγ(
図3B)の産生を減少させた。LABP-72-4、LABP-72-38及びLABP-72-69が、最大の反応を示すことが観察され、ビヒクル対照に対し、どちらの指標も著しく低下させた。
【0062】
実施例7.喘息モデルにおけるLABP-72-38の使用
喘息は人口のほぼ10%に影響を及ぼす一般的な疾患であり、現在の薬剤に反応しない患者の割合が高い。特に、非2型喘息は現在の治療に対する反応性が低い。気道上皮細胞障害、好中球動員の増加及び原因となる肺線維症は、アレルギ性喘息に難治性患者の多くで、発症機序をより複雑にする。NLRX1の喪失は、代謝を妨げ、気道上皮細胞における細胞死を引き起こし、様々な炎症性の状態において好中球動員を増加させることが以前から特定されている。
方法
OVA誘発性モデル.実験の0及び7日目に水酸化アルミニウムゲル中の10μgオボアルブミン(OVA)を用いて、腹腔内注射によりBALB/cマウスに免疫を与えた。その後、14から17日目まで毎日25分間、エアロゾル投与によりマウスをOVA(8質量/容量%)に暴露させた。強制経口投与により14から17日目に毎日、LABP-72-38(50mg/kg)又はビヒクル対照を使用して処置を行った。比較のために未チャレンジの陰性対照群を加えた。投与量は平均体重に基づき計算した。
HDM誘発性モデル.鼻腔内滴下により、BALB/cマウスにイエダニを5日間毎日25μg投与し、感作させた。イエダニを使用したチャレンジ(25μg/日)を次の3週間、連続して5日間行った。この3週間毎日、LABP-72-38(20mg/kg)又はビヒクル対照を使用して処置した。比較のために未チャレンジの陰性対照群を加えた。
免疫学的分析.肺を18日目(OVA)又は27日目(HDM)に採取した。肺組織を切り刻み、300U/mLコラゲナーゼ及び50U/mLDNaseを含有し、FBS、HEPES及び塩化カルシウムを加えたRPMIにおいて37℃で45分間消化した。ろ過後、赤血球を溶解した。フローサイトメトリに備えて、96ウェルプレートでの連続ライブ染色において細胞外(CD45、CD3、CD4、CD8、MHCII、CD11b、CD11c、SiglecF、Ly6C、Ly6G)抗体の混合物で細胞を標識した。データをBD FACS Celestaに捕捉し、FACSDivaを使用して分析した。
結果
経口のLABP-72-38は、ビヒクル対照に対し、18日目に肺の好酸球の割合(
図4A)、並びに18日目に血清の抗OVAIgE抗体濃度(
図4B)を低減させ、これによりNLRX1リガンドの肺炎症を減少させる可能性を示した。
経鼻のLABP-72-38は、ビヒクル対照に対し、18日目に肺の好酸球(
図5A)及び好中球(
図5B)の割合を低減させ、これによりNLRX1リガンドの肺炎症を減少させる可能性を更に示した。
【0063】
実施例8.ブレオマイシン誘発性肺線維症モデルにおけるLABP-72-38の使用
序論
特発性肺線維症は進行性疾患であり、肺の結合組織及び肺胞が損傷し、厚くなる。時間と共に、肺は効果的に機能しなくなり、息切れ、酸素欠乏となり、最終的に死に至る。特発性肺線維症は、米国で約10万人に影響を及ぼし、年間30,000~40,000の新規症例があると推定される。特発性肺線維症の正確な原因は不明であるが、この疾患の進行は慢性炎症と関係すると考えられる。この炎症の大部分が骨髄系細胞に由来しており、この細胞はサイトカインレベル、成長因子レベル、及び細胞外マトリックス組織化に関係する他分子レベルを調節することに寄与している。他の炎症性疾患の観点から、NLRX1は線維症の制御に重要であることが示されており、肺炎症の制御に強く関係している。
方法
ブレオマイシンモデル.C57BL/6マウスをイソフルランで麻酔し、0日目に1mg/kgブレオマイシンを気管内投与した。0.5%メチルセルロース(12~15cP)溶液内でLABP-72-38を調製した。使用した投与量は、ブレオマイシンチャレンジの7日後から強制経口投与により1日1回50mg/kg送達した。ブレオマイシンチャレンジの2週間後に肺を採取した。
フローサイトメトリ.消化用のコラゲナーゼ(300U/mL)及びDNase(50U/mL)を含有するRPMI/FBSバッファに肺を採取した。組織を撹拌下、37℃で45分間消化した。得られた細胞懸濁液を100μmストレイナでろ過し、遠心分離した(300×g、8分間)。赤血球を細胞懸濁液から溶解した。細胞をろ過し、新鮮なRPMIで洗浄した。96ウェルプレートでの連続ライブ染色において細胞外(CD45、CD3、CD4、CD8、CD19、NK1.1、F4/80、CD11b、Gr1)及び細胞内(IL21)抗体の混合物で細胞を標識した。FACSDivaソフトウェアを有するFACS Celestaフローサイトメータを使用して、データを取得した。
結果
経口のLABP-72-38処置は、ビヒクルで処置した対照に対し、ブレオマイシンチャレンジ後の肺の好中球(
図6A)及びIL21+細胞(
図6B)の割合を減少させた。どちらの細胞型も肺機能悪化及び線維症増加と関連付けられる。
【0064】
実施例9.高脂肪食誘発性肥満モデルにおけるLABP-72-38の使用
前糖尿病及びメタボリックシンドロームは2つの危険な健康状態であり、米国では成人の約40.1%を悩ませ、2型糖尿病(T2D)、心血管疾患及び脳卒中のリスクを劇的に増加させている。米国の成人のほぼ半分が前糖尿病及びT2Dである。T2Dは、世界中で4億人超が悩まされ、パンデミックの割合に達している疾患である。米国では、ヘルスケアに支出される9ドルのうち1ドルがT2D管理及び治療に当てられる。乏しい食生活及び肥満はT2Dの重大なリスク要因であるが、多くの人々が健康的なライフスタイルに執着していない。最近の証拠により、慢性低度炎症が太り過ぎで肥満の人に持続することが示されている。この炎症は、暴露される代謝の微小環境により、免疫細胞が炎症状態に傾くことに起因し得る。NLRX1は受容体であり、我々はこの傾きを逆転させるのに役立つと予測している。
方法
マウスモデル.16週間の高脂肪給餌において、60%kcalの脂肪を含有するげっ歯類食を自由給餌させ、C57BL6マウスをチャレンジした。チャレンジの12週間後、LABP-72-38を10mg/kgで使用して、4週間毎日マウスを処置した。処置は強制経口投与により行った。マウスの体重を毎週測定した。尾静脈から採取した血液の血中グルコースレベルをグルコメータで測定した。16週間の食事後、肝臓を摘出し、質量を測定した。質量を全体重に対して正規化した。
結果
経口のLABP-72-38は、高脂肪食を消費したマウスの血中グルコースレベルを低減させた(
図7A)。LABP-72-38は、ビヒクルで処置した対照と比較すると、体重で正規化した肝質量も低減させた(
図7B)。
【0065】
【0066】
例示的実施形態
1.式I:
【化7】
の化合物、或いはその薬学的に許容される塩又はエステルであって、
式中、A
1及びA
4はそれぞれ独立してC(R
1)
2、N(R
1)、O、S、N(R
O)、C(R
1)(R
O)又はC(=O)であり;
A
2はC(R
1)
2、N(R
1)、O又はSであり;
A
3はN(Y)、C(R
1)(Y)、N(L
Q-Y)又はC(R
1)(L
Q-Y)であり;
A
5及びA
6はそれぞれ独立してC、C(R
1)又はNであり;
A
7、A
8及びA
9はそれぞれ独立してC(R
1)
2、N(R
1)、O、S、C(R
1)、N、N(R
A)、C(R
1)(R
A)、C(R
A)、N(Z)、C(R
1)(Z)、C(Z)、N(L
Z-Z)、C(R
1)(L
Z-Z)又はC(L
Z-Z)であるが、A
7、A
8及びA
9の正確に1つは、N(Z)、C(R
1)(Z)、C(Z)、N(L
Z-Z)、C(R
1)(L
Z-Z)又はC(L
Z-Z)であり;
各例におけるR
Oは独立してヒドロキシル、任意に置換されたアルキルオキシ、チオール、任意に置換されたアルキルチオ又は任意に置換されたアミノであり;
R
Aは任意に置換されたアルキル又はヒドロキシルであり;
L
Qは1つ又は2つのヘテロ原子を任意に含有する任意に置換されたアルキレン、1つ又は2つのヘテロ原子を任意に含有する任意に置換されたアルケニレン、1つ又は2つのヘテロ原子を任意に含有する任意に置換されたアルキニレン、酸素原子、硫黄原子或いはN(R
1)であるが、ただし任意にA
3がN(L
Q-Y)であるとき、L
Qは酸素原子、硫黄原子又はN(R
1)ではなく;
L
Zは1つ又は2つのヘテロ原子を任意に含有する任意に置換されたアルキレン、1つ又は2つのヘテロ原子を任意に含有する任意に置換されたアルケニレン、1つ又は2つのヘテロ原子を任意に含有する任意に置換されたアルキニレン、酸素原子、硫黄原子或いはN(R
1)であるが、ただし任意にA
7、A
8又はA
9の正確に1つがN(L
Z-Z)であるとき、L
Zは酸素原子、硫黄原子又はN(R
1)ではなく;
YはY
1又はY
2であり;
Y
1は、
【化8】
であり;
A
10、A
11、A
12、A
13及びA
14はそれぞれ独立してC(R
1)、C(R
Y)又はNであるが、A
10、A
11、A
12、A
13及びA
14の正確に1つはC(R
Y)であり;
Y
2は、
【化9】
であり;
A
15、A
16、A
17及びA
18はそれぞれ独立してC(R
1)、C(R
1)
2、C(R
Y)、C(R
1)(R
Y)、N、N(R
1)、N(R
Y)、S又はOであるが、A
15、A
16、A
17及びA
18の正確に1つはC(R
Y)、C(R
1)(R
Y)又はN(R
Y)であり;
R
YはR
L又はL
Y-R
Lであり;
R
Lはヒドロキシル、カルボキシル、任意に置換されたアルキルオキシ、チオール、スルフィノ、任意に置換されたアルキルチオ、任意に置換されたアミノ、任意に置換されたアルキルオキシカルボニル、任意に置換されたカルバモイル又は任意に置換されたスルファモイルであり;
L
Yは1つ又は2つのヘテロ原子を任意に含有する任意に置換されたアルキレン、1つ又は2つのヘテロ原子を任意に含有する任意に置換されたアルケニレン、1つ又は2つのヘテロ原子を任意に含有する任意に置換されたアルキニレン、酸素原子、硫黄原子又はN(R
1)であるが、ただし任意にA
15、A
16、A
17及びA
18の正確に1つがN(R
Y)であるとき、L
Yは酸素原子、硫黄原子又はN(R
1)ではなく;
Zは、
【化10】
であり;
A
19及びA
23はそれぞれ独立してC(R
1)又はNであり;
A
20、A
21及びA
22はそれぞれ独立してC(R
1)、N又はC(R
Z)であり;
各例におけるR
Zは独立してハロゲン、任意に置換されたアルキル、ヒドロキシル、任意に置換されたアルキルオキシ、チオール又は任意に置換されたアルキルチオであり;
隣接する原子間の各---は、存在する又は存在しない結合を表し;
各例におけるR
1は独立して水素、ハロゲン、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルケニル、ヒドロキシル、カルボキシル、任意に置換されたアルキルオキシ、任意に置換されたアルケニルオキシ、任意に置換されたアルキニルオキシ、任意に置換されたシクロアルキルオキシ、任意に置換されたシクロアルケニルオキシ、チオール、スルフィノ、任意に置換されたアルキルチオ、任意に置換されたアルケニルチオ、任意に置換されたアルキニルチオ、任意に置換されたアルキルスルフィニル、任意に置換されたアルキルスルホニル、任意に置換されたアルキルスルホニルオキシ、任意に置換されたシクロアルキルチオ、任意に置換されたシクロアルキルスルフィニル、任意に置換されたシクロアルキルスルホニル、任意に置換されたシクロアルキルスルホニルオキシ、任意に置換されたシクロアルケニルチオ、任意に置換されたシクロアルケニルスルフィニル、任意に置換されたシクロアルケニルスルホニル、任意に置換されたシクロアルケニルスルホニルオキシ、任意に置換されたアミノ、アシル、任意に置換されたアルキルオキシカルボニル、任意に置換されたアルケニルオキシカルボニル、任意に置換されたアルキニルオキシカルボニル、任意に置換されたアリールオキシカルボニル、任意に置換されたカルバモイル、任意に置換されたスルファモイル、シアノ、ニトロ、任意に置換されたアリール、任意に置換されたアリールオキシ、任意に置換されたアリールチオ、任意に置換されたアリールスルフィニル、任意に置換されたアリールスルホニル、任意に置換されたアリールスルホニルオキシ、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたヘテロアリールオキシ、任意に置換されたヘテロアリールチオ、任意に置換されたヘテロアリールスルフィニル、任意に置換されたヘテロアリールスルホニル、任意に置換されたヘテロアリールスルホニルオキシ又は任意に置換された非芳香族複素環基である、化合物或いはその薬学的に許容される塩又はエステル。
【0067】
2.A1及びA4の少なくとも1つはC(R1)(RO)又はC(=O)である、実施形態1に記載の化合物。
3.A1はC(R1)(RO)又はC(=O)である、実施形態1又は2に記載の化合物。
4.A1はC(=O)である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
5.A1はC(R1)(RO)である、実施形態1~3のいずれか1つに記載の化合物。
6.A1のROはヒドロキシルである、実施形態5に記載の化合物。
7.A1はC(R1)2である、実施形態1又は2に記載の化合物。
8.A4はC(R1)(RO)又はC(=O)である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
9.A4はC(=O)である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
10.A4はC(R1)(RO)である、実施形態1~8のいずれか1つに記載の化合物。
11.A4のROはヒドロキシルである、実施形態10に記載の化合物。
12.A4はC(R1)2である、実施形態1~7のいずれか1つに記載の化合物。
13.A2はC(R1)2である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
14.A3はN(Y)又はN(LQ-Y)である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
15.A3はN(Y)又はC(R1)(Y)である、実施形態1~13のいずれか1つに記載の化合物。
16.A3はN(Y)である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
17.A5はCである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
18.A6はCである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
19.A5及びA6はそれぞれCである、実施形態1~16のいずれか1つに記載の化合物。
20.A7はC(R1)又はC(RA)である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
21.A7はC(R1)である、実施形態20に記載の化合物。
22.A7はC(RA)である、実施形態20に記載の化合物。
【0068】
23.各例におけるRAは無置換C1-C4アルキル、ハロゲン置換C1-C4アルキル又はヒドロキシルである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
24.各例におけるRAは無置換C1-C4アルキルである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
25.A8及びA9はそれぞれ独立してN(R1)、N、N(Z)又はN(LZ-Z)である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
26.A8及びA9はそれぞれ独立してN、N(Z)又はN(LZ-Z)であるが、A8及びA9の正確に1つはN(Z)又はN(LZ-Z)である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
27.A8はN(Z)又はN(LZ-Z)である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
28.A9はN(Z)又はN(LZ-Z)である、実施形態1~26のいずれか1つに記載の化合物。
29.A8及びA9はそれぞれ独立してN又はN(Z)であるが、A8及びA9の正確に1つはN(Z)である、実施形態1~25のいずれか1つに記載の化合物。
30.A8はN(Z)である、実施形態29に記載の化合物。
31.A9はN(Z)である、実施形態29に記載の化合物。
32.A10、A11、A12、A13及びA14の少なくとも1つはNである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
33.A10、A11、A12、A13及びA14の正確に1つはNである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
34.A10はNである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
35.A11はNである、実施形態1~33のいずれか1つに記載の化合物。
36.A12はNである、実施形態1~33のいずれか1つに記載の化合物。
37.A13はNである、実施形態1~33のいずれか1つに記載の化合物。
38.A14はNである、実施形態1~33のいずれか1つに記載の化合物。
39.A10及びA13はNである、実施形態1~32のいずれか1つに記載の化合物。
40.A12及びA14はNである、実施形態1~32のいずれか1つに記載の化合物。
41.A11及びA12の正確に1つはC(RY)である、実施形態1~33のいずれか1つに記載の化合物。
42.A11はC(RY)である、実施形態41に記載の化合物。
43.A12はC(RY)である、実施形態41に記載の化合物。
44.A13はNである、実施形態41~43のいずれか1つに記載の化合物。
45.A10、A11、A12、A13及びA14のそれぞれは、他に指定されない限り、C(R1)である、実施形態41~44のいずれか1つに記載の化合物。
【0069】
46.YはY1である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
47.A15、A16、A17及びA18の正確に1つはN(R1)、N(RY)、S又はOである、実施形態1~45のいずれか1つに記載の化合物。
48.A15、A16、A17及びA18の少なくとも1つはN、N(R1)、N(RY)、S又はOである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
49.A15、A16、A17及びA18の少なくとも2つはそれぞれ独立してN、N(R1)、N(RY)、S又はOである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
50.A15、A16及びA17の正確に1つはC(RY)又はN(RY)である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
51.A15はNである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
52.A15はC(R1)である、実施形態1~50のいずれか1つに記載の化合物。
53.A16はC(RY)又はN(RY)である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
54.A17はN(R1)、S又はOである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
55.A17はN(R1)である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
56.A18はNである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
57.YはY2である、実施形態1~31及び47~56のいずれか1つに記載の化合物。
58.RLはヒドロキシル、カルボキシル、任意に置換されたアルキルオキシ、任意に置換されたアミノ、任意に置換されたアルキルオキシカルボニル及び任意に置換されたカルバモイルである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
59.RLはヒドロキシル、カルボキシル、無置換C1-C4アルキルオキシ、無置換アミノ、1つ又は2つのC1-C4アルキル基で置換されたアミノ、無置換C1-C4アルキルオキシカルボニル、無置換カルバモイル、及び1つ又は2つのC1-C4アルキル基で置換されたアミノを含むカルバモイルである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
60.RLはカルボキシルである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
61.RYはLY-RLである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
62.LYは1つ又は2つのヘテロ原子を任意に含有する任意に置換されたアルキレンである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
63.LYは原子4つ以下の連続する主鎖を有し、1つ又は2つのヘテロ原子を任意に含有する任意に置換されたアルキレンである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
64.LYは原子4つ以下の連続する主鎖を有する任意に置換されたアルキレンである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
65.LYは無置換C1、C2、C3又はC4アルキレンである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
【0070】
66.R
YはR
Lである、実施形態1~60のいずれか1つに記載の化合物。
67.A
19、A
20、A
21、A
22及びA
23の少なくとも1つはNであるか、又はA
20、A
21及びA
22の少なくとも1つはC(R
Z)である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
68.A
19、A
20、A
21、A
22及びA
23の少なくとも1つはNである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
69.A
19はNである、先行する実施形態に記載の化合物。
70.A
20はNである、実施形態1~68のいずれか1つに記載の化合物。
71.A
21はNである、実施形態1~68のいずれか1つに記載の化合物。
72.A
20及びA
22はそれぞれNである、実施形態1~68のいずれか1つに記載の化合物。
73.A
20、A
21及びA
22の少なくとも1つはC(R
Z)である、実施形態1~67のいずれか1つに記載の化合物。
74.A
20、A
21及びA
22の少なくとも2つはC(R
Z)である、実施形態1~68及び73のいずれか1つに記載の化合物。
75.A
20はC(R
Z)である、実施形態1~68及び73~74のいずれか1つに記載の化合物。
76.A
21はC(R
Z)である、実施形態1~68及び73~75のいずれか1つに記載の化合物。
77.A
22はC(R
Z)である、実施形態1~68及び73~76のいずれか1つに記載の化合物。
78.A
19及びA
23はそれぞれC(R
1)である、実施形態1~68及び73~77のいずれか1つに記載の化合物。
79.各例におけるR
Zは独立してハロゲン、任意に置換されたアルキル、ヒドロキシル又は任意に置換されたアルキルオキシである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
80.各例におけるR
Zは独立してハロゲン、無置換C1-C4アルキル、ハロゲン置換C1-C4アルキル、ヒドロキシル又は無置換C1-C4アルキルオキシである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
81.各例におけるR
Zはハロゲンである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
82.各例におけるR
1は、他に指定されない限り、独立して水素、ハロゲン、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアルキルオキシ、任意に置換されたシクロアルキルオキシ、任意に置換されたアルキルチオ、任意に置換されたアルキルスルフィニル、任意に置換されたシクロアルキルチオ、任意に置換されたシクロアルキルスルフィニル、任意に置換されたアミノ、アシル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたアリールオキシ、任意に置換されたアリールチオ、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたヘテロアリールオキシ、任意に置換されたヘテロアリールチオ、任意に置換されたヘテロアリールスルフィニル又は任意に置換された非芳香族複素環基である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
83.各例におけるR
1は、他に指定されない限り、独立して水素、ハロゲン、無置換アルキル、無置換シクロアルキル、無置換アルキルオキシ、無置換シクロアルキルオキシ、無置換アルキルチオ、無置換アルキルスルフィニル、無置換シクロアルキルチオ、無置換シクロアルキルスルフィニル、無置換アミノ、アシル、無置換アリール、無置換アリールオキシ、無置換アリールチオ、無置換ヘテロアリール、無置換ヘテロアリールオキシ、無置換ヘテロアリールチオ、無置換ヘテロアリールスルフィニル又は無置換非芳香族複素環基である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
84.各例におけるR
1は、他に指定されない限り、独立して水素又はハロゲンである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
85.各例におけるR
1は、他に指定されない限り、水素である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
86.
図1A~1Rに示す任意の化合物、或いはその薬学的に許容される塩又はエステルの構造を有する、実施形態1に記載の化合物。
87.
図2A~2Eに示す任意の化合物、或いはその薬学的に許容される塩又はエステルの構造を有する、実施形態1に記載の化合物。
88.
【化11】
【化12】
或いはこれらの薬学的に許容される塩又はエステルの構造を有する、実施形態1に記載の化合物。
【0071】
89.先行する実施形態のいずれかに記載の化合物で動物の状態を治療する方法であって、有効量の化合物を動物に投与することを含み、状態は慢性及び/又は炎症性呼吸器疾患、慢性及び/又は炎症性中枢神経系疾患、アレルギ性疾患、自己免疫疾患、心血管疾患、糖尿病、好酸球増多症候群、肉芽腫性障害、がん及び感染性疾患の少なくとも1つを含む、方法。
90.状態は、慢性及び/又は炎症性呼吸器疾患を含む、実施形態89に記載の方法。
91.慢性及び/又は炎症性呼吸器疾患は喘息を含む、実施形態90に記載の方法。
92.喘息は慢性喘息を含む、実施形態91に記載の方法。
93.喘息は急性喘息を含む、実施形態91に記載の方法。
94.喘息はアレルギ性喘息を含む、実施形態91に記載の方法。
95.喘息は2型又は好酸球性喘息を含む、実施形態91に記載の方法。
96.喘息は非2型又は好中球性喘息を含む、実施形態91に記載の方法。
97.慢性及び/又は炎症性呼吸器疾患は慢性閉塞性肺疾患を含む、実施形態90に記載の方法。
98.慢性及び/又は炎症性呼吸器疾患は肺線維症を含む、実施形態90に記載の方法。
99.状態は慢性及び/又は炎症性中枢神経系疾患を含む、実施形態89に記載の方法。
100.慢性及び/又は炎症性中枢神経系疾患はアルツハイマー病を含む、実施形態99に記載の方法。
101.状態はアレルギ性疾患を含む、実施形態89に記載の方法。
102.アレルギ性疾患は皮膚のアレルギ性障害を含む、実施形態101に記載の方法。
103.皮膚のアレルギ性障害はアトピー性皮膚炎を含む、実施形態102に記載の方法。
104.アレルギ性疾患は好酸球性消化管障害を含む、実施形態101に記載の方法。
105.好酸球性消化管障害は好酸球性胃腸炎又は好酸球性食道炎を含む、実施形態104に記載の方法。
106.状態は糖尿病を含む、実施形態89に記載の方法。
107.糖尿病は2型糖尿病を含む、実施形態106に記載の方法。
108.状態は肉芽腫性障害を含む、実施形態89に記載の方法。
109.肉芽腫性障害はチャーグ・ストラウス症候群を含む、実施形態108に記載の方法。
110.肉芽腫性障害はベリリウム肺を含む、実施形態108に記載の方法。
111.肉芽腫性障害はサルコイドーシスを含む、実施形態108に記載の方法。
【国際調査報告】