(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】増加したトランスフェクション効率を有するメッセンジャーRNAを産生するための、酵素をベースとするシステム
(51)【国際特許分類】
C12N 15/10 20060101AFI20240822BHJP
C12N 15/113 20100101ALN20240822BHJP
C12N 15/39 20060101ALN20240822BHJP
C12N 15/54 20060101ALN20240822BHJP
C12N 15/63 20060101ALN20240822BHJP
C12N 9/12 20060101ALN20240822BHJP
【FI】
C12N15/10 Z ZNA
C12N15/113 Z
C12N15/39
C12N15/54
C12N15/63 Z
C12N9/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508927
(86)(22)【出願日】2022-09-12
(85)【翻訳文提出日】2024-02-14
(86)【国際出願番号】 US2022076290
(87)【国際公開番号】W WO2023044286
(87)【国際公開日】2023-03-23
(32)【優先日】2021-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523333870
【氏名又は名称】イミュニティバイオ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モリモト,ブレット
(72)【発明者】
【氏名】ニアジ,ケイヴァン
(72)【発明者】
【氏名】シン,アニー
(72)【発明者】
【氏名】ガイサート,リーゼ
(72)【発明者】
【氏名】リウ,フィリップ ティー.
(57)【要約】
メッセンジャーRNA(mRNA)のインビトロ転写(IVT)で使用されるタンパク質の製造方法であって、そのタンパク質が、合成的にそこから誘導されたmRNAを続いて細胞にトランスフェクトし、コード化タンパク質が産生される、その効率によって純度及び有効性について評価される、方法。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アラビノースプロモーター及びT7 RNAポリメラーゼをコードする核酸配列を含む第1プラスミドベクターを、第1多数のコンピテント細菌細胞にトランスフェクトする工程;
少なくとも1つのアラビノースプロモーター及びワクシニアウイルスキャップ化酵素(VVCE)をコードする核酸配列を含む第2プラスミドベクターを、第2多数のコンピテント細菌細胞にトランスフェクトする工程;
アラビノースプロモーター、UUG開始コドン、及びポリアデノシン(ポリ(A))ポリメラーゼをコードする核酸配列を含む第3プラスミドベクターを、第3多数のコンピテント細菌細胞にトランスフェクトする工程;
前記第1多数からT7 RNAポリメラーゼを発現し、精製する工程;
前記第2多数からVVCEを発現し、精製する工程;
前記第3多数からポリ(A)ポリメラーゼを発現し、精製する工程;
前記精製T7 RNAポリメラーゼを含む第1組成物に直鎖化プラスミドDNAを添加して、RNA転写物を産生する工程;
前記精製VVCEを含む第2組成物に前記RNA転写物を添加して、キャップ化RNA転写物を産生する工程;
前記精製ポリ(A)ポリメラーゼを含む第3組成物に、前記キャップ化RNA転写物を添加して、ポリアデニル化キャップ化mRNA転写物を産生する工程;及び
前記第3組成物からmRNAを精製する工程;
を含む、mRNAのインビトロ合成の方法。
【請求項2】
前記第1プラスミドベクターが、配列番号19と少なくとも85%同一のヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1プラスミドベクターが、配列番号19と少なくとも90%同一のヌクレオチド配列を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1プラスミドベクターが、配列番号19と少なくとも95%同一のヌクレオチド配列を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1プラスミドベクターが、配列番号19を含むヌクレオチド配列を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第2プラスミドベクターが、配列番号20と少なくとも85%同一のヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第2プラスミドベクターが、配列番号20と少なくとも90%同一のヌクレオチド配列を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第2プラスミドベクターが、配列番号20と少なくとも95%同一のヌクレオチド配列を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第2プラスミドベクターが、配列番号20を含むヌクレオチド配列を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第3プラスミドベクターが、配列番号21と少なくとも85%同一のヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第3プラスミドベクターが、配列番号21と少なくとも90%同一のヌクレオチド配列を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第3プラスミドベクターが、配列番号21と少なくとも95%同一のヌクレオチド配列を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第3プラスミドベクターが、配列番号21を含むヌクレオチド配列を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記細菌コンピテント細胞がClear Coli BL21(DE3)コンピテント細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
VVCEが18℃で発現される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
VVCEが、18時間の発酵期間にわたって発現される、請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年9月16日出願の米国仮特許出願第63/244,990号への35U.S.C.§119(e)下での優先権の利益を主張する。米国仮特許出願第63/244,990号の全開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表の参照
本出願は、ST.26XMLファイル形式として電子的に提出された配列表を含有する。「PAT005268_Sequence_Listing.xml」という名称のファイルは、61000バイトのサイズを有し、2022年9月12日に作製された。ST.26XMLファイルに含まれる情報は、37CFR§1.52(e)(5)に従って、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本開示は、酵素産生の新規な、及び対費用効果が高い方法を用いた、インビトロ転写(IVT)を介した合成メッセンジャーRNA(mRNA)の製造に関する。
【背景技術】
【0004】
COVID-19の世界的流行の根絶におけるメッセンジャーRNAベースのワクチンの最近の成功によって、RNA治療薬の有効性が実証され、mRNA製造の効率的方法の必要性が強調されている。mRNA製造の条件の最適化では、mRNA合成に関与するコアタンパク質のより良い収率、mRNA純度の増加、並びにmRNAの量及び品質を評価するアッセイ法の改善が目標となるだろう。mRNA合成のための最適化されたタンパク質は、mRNAの製造効率の増加、及びそのタンパク質自体のコストのために、有益であると考えられ、それは市販されている。ストラテジーの主要な構成要素は、IVTで使用されるコアタンパク質の組換え発現のための最適化プラスミド構築物、最適化されたタンパク質産生条件、及び最適化タンパク質精製プロトコルを含む。Hornblower&al.(2015)“Minding your caps and tails-considerations for functional mRNA synthesis”New England Biolabs White Paperには、mRNAの例示的なインビトロ合成スキームが記述されている。治療用mRNA合成で使用される臨床製造グレードの酵素を製造する、最適化された方法が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
mRNAのインビトロ転写における装置、システム及び方法が本明細書において開示され、そのプロセスは、ヒトの疾患のための臨床的に関連する作用薬(agent)の効果的及び安価なロットを製造するために最適化される。本明細書に記載の方法は、インビトロ転写(IVT)に関与するコアタンパク質の製造の改善に関する。その改善は、タンパク質の細菌タンパク質製造に使用される発現ベクター配列における最適化を含む。この方法はさらに、製造の最適化条件、時間及び温度などの条件を含む。最終的に、この方法は、mRNA品質の評価手段を含み、コード化タンパク質のmRNAトランスフェクション及び発現は、IVTプロセスにおいて使用されるタンパク質成分の品質に対して評価される。
【0006】
一実施形態において、最適化細菌発現ベクターは、発現ベクターに個々にクローン化される、3つのIVTタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含有する。一態様において、第1DNA配列又はインサートが第1細菌発現ベクターにクローン化され、第1インサートは、T7 RNAポリメラーゼの遺伝子配列を含む。そのインサートはさらに、ポリメラーゼ配列の上流にアラビノースプロモーター配列を含む。一態様において、インサートは、配列番号19で構成される。一態様において、T7 RNAポリメラーゼのコドン最適化遺伝子配列は、配列番号22である。
【0007】
別の態様において、第2遺伝子配列が、第2細菌発現ベクターにクローン化され、インサートは、ワクシニアウイルスキャップ化酵素(VVCE)のD1及びD12サブユニットに対する遺伝子配列を含む。インサートはさらに、D1及びD12サブユニットの上流にアラビノースプロモーター配列を含む。インサートはさらに、アラビノースプロモーターのすぐ下流にリボゾーム結合部位(RBS)を含む。一態様において、インサートは配列番号20で構成される。一態様において、VVCEのD1サブユニットに対するコドン最適化遺伝子配列は配列番号23である。一態様において、VVCEのD12サブユニットに対するコドン最適化遺伝子配列は配列番号24である。
【0008】
別の態様において、第3インサートが第3細菌発現ベクターにクローン化され、インサートは、ポリ(A)ポリメラーゼの遺伝子配列を含む。インサートはさらに、ポリ(A)ポリメラーゼ配列の上流にアラビノースプロモーター配列を含む。一態様において、インサートは配列番号21で構成される。一態様において、ポリ(A)ポリメラーゼの遺伝子配列は配列番号25である。
【0009】
別の態様において、細菌は、タンパク質発現及びその後の精製のための発現ベクターを含有する。場合によっては、タンパク質の増殖及び精製の条件は、発現プラスミドにクローン化されるインサートに修飾を加えることによって可能となる。かかる修飾は、タンパク質コード化ヌクレオチド配列の上流にアラビノースプロモーターを置くことを含む。別の修飾は、VVCEの上流に2つのアラビノースプロモーター、D1サブユニットの上流にある1つのプロモーター、及びD12サブユニットの上流にある第2プロモーターを置くことを含む。更なる修飾は、Hisタグをコードする核酸配列の付加を含み、ポリマーヒスチジンは、タンパク質配列とインフレームでコード化され、N又はC末端のいずれかに置かれ、それによってタンパク質を発酵後にカラム精製することができる。更なる修飾は、タバコエッチウイルス(Tobacco Etch Virus)プロテアーゼ配列の付加を含み、それによって、タンパク精製に続いて、Hisタグ配列をタンパク質分解的に除去することができる。
【0010】
一態様において、精製タンパク質は、インビトロ転写反応に逐次、添加される。最初に、対象のmRNA転写物をコードする直鎖化されたプラスミドDNAを含む反応に、精製T7 RNAポリメラーゼを添加する。それによってRNAは、T7 RNAポリメラーゼの作用を介して直鎖化DNAから転写される。第2反応は、第1反応からのRNA転写物、S-アデノシルメチオニン、及び精製VVCEを含む。それによってRNA転写物はN末端でキャップされ、キャップ0mRNAが産生される。第3反応は、VVCE反応からのキャップ化mRNA、精製ポリ(A)ポリメラーゼ、及びATPを含み、それによってポリアデニル化テールが、キャップ化mRNA転写物の3’末端に付加される。
【0011】
様々な目的、特徴、態様及び利点は、同様な数字が同様な構成要素を表す、添付の図面と共に、好ましい実施形態の以下の詳細な説明からより明らかとなるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】mRNAの構造的特徴を示す。Vaccines(2020)5:11からの図面。mRNA発現性能を指示する重要な品質特性を示す。対象の遺伝子の効率的発現を示す5つの重要品質特性が同定される。これらの特性のうち3つは、酵素:転写(T7 RNAポリメラーゼ);キャップ化(グアニリルトランスフェラーゼ);ポリ(A)テール化(ポリ(A)テール化)(ポリ(A)ポリメラーゼ)の使用を必要とする。今のところ、これら3種のコア酵素は、IVT用に購入する必要がある。
【
図2】T7ポリメラーゼ発現コンストラクトを示す。T7促進システムからの漏出(Leaky)発現によって、有害なタンパク質作用が起こり、遺伝子配列の変異が生じる。厳密に調節されたプロモーターに切り替えることによって、遺伝子の提案されたクローニングが可能となった。
【
図3A】T7プロモーターをアラビノースプロモーターで置換することによって、BL21 DE3 Clear Coliにおける増殖及びタンパク質発現が可能となる。最適化増殖条件を示す。
図3Aは、使用される発現コンストラクトを示す。T7促進システムからの漏出発現システムによって、有害なタンパク質作用が起こり、遺伝子配列の変異が生じる。厳密に調節されたプロモーターに切り替えることによって、遺伝子の提案されたクローニングが可能となった。
図3Bは、4時間発酵でのタンパク質ゲルの結果を示す。
図3Cは、一晩(O/N)発酵でのタンパク質ゲルの結果を示す。各クマシー(Coomassie)染色タンパク質ゲルにおいて:レーン0 タンパク質ラダー;レーン1 細胞ペレット;レーン2 上清;レーン3 フロースルー;レーン4 洗浄;レーン5 洗浄2;レーン6 イミダゾール洗浄;レーン7 溶離1;レーン8 溶離2;レーン9 溶離3;レーン10 溶離4;レーン11 溶離5;レーン12溶離 6;レーン13 溶離7。
【
図4A】T7プロモーターの後ろに発現された場合の低いVVCE溶解性の実証。
図4Aは、使用される発現コンストラクを示す。BL21 DE3 Clear Coliにおけるタンパク質発現。タンパク質ゲルに示される結果(
図4B)。クマシー染色タンパク質ゲルにおいて:レーン0 タンパク質ラダー;レーン1 細胞ペレット;レーン2 上清;レーン3 フロースルー;レーン4 洗浄;レーン5 イミダゾール洗浄;レーン6 溶離1;レーン7 溶離2;レーン8 溶離3;レーン9 溶離4、レーン10 溶離5。T7プロモーターの後ろに発現された場合に酵素の溶解性が妨げられた。
【
図5A】T7プロモーターがアラビノースプロモーターで置換された場合の、VVCE D1及びD12サブユニットの溶解性の向上を示す。
図5Aは、使用される発現コンストラクを示す。BL21 DE3 Clear Coliにおけるタンパク質発現(
図5C)。クマシー染色タンパク質ゲルにおいて:レーン0 タンパク質ラダー;レーン1 細胞ペレット;レーン2 上清;レーン3 フロースルー;レーン4 洗浄1;レーン5 洗浄2;レーン6 イミダゾール洗浄;レーン7 溶離1;レーン8 溶離2;レーン9 溶離3;レーン10 溶離4;レーン11 溶離5。T7プロモーターの後ろに発現された場合に酵素の溶解性が妨げられた。厳密に調節されたプロモーターに切り替え、且つ発現を減速する(18℃)ことによって、溶解性が向上した。
【
図6A】アラビノースプロモーターの付加によって、BL21 DE3 Clear Coliにおける不溶性ポリ(A)ポリメラーゼの増殖及び発現が可能となる。
図6Aは、使用される発現コンストラクを示す。クマシー染色タンパク質ゲルにおいて(
図6B):レーン0 タンパク質ラダー;レーン1 細胞ペレット;レーン2 上清;レーン3 フロースルー;レーン4 洗浄1;レーン5 洗浄2;レーン6 イミダゾール洗浄;レーン7 溶離1;レーン8 溶離2;レーン9 溶離3;レーン10 溶離4;レーン11 溶離5。過剰発現したタンパク質は約43kDである。タンパク質発現によって、溶解性のない切断酵素が生じた。
【
図7A】UUG開始コドンを有するポリ(A)ポリメラーゼ遺伝子によって、適切なサイズ及び良好な溶解性を有するタンパク質の発現が可能となった。BL21 DE3 Clear Coliにおける発現。
図7Aは、使用される発現コンストラクを示す。
図7Bは、抗Hisを用いたウェスタンブロットを示す。レーン0 タンパク質ラダー;レーン1 細胞ペレット;レーン2 上清;レーン3 フロースルー;レーン4 洗浄1;レーン5 洗浄2;レーン6 イミダゾール洗浄;レーン7 溶離1;レーン8 溶離2;レーン9 溶離3。タンパク質発現によって、溶解性のない切断酵素が生じた。異常な開始コドン及び転写調節配列の付加によって、酵素が適切に発現された。
【
図8】トランスフェクション対応のmRNA製造ワークフローを示す。
【
図9-1】フローサイトメトリーヒストグラム分析を示す。市販のインビトロ転写酵素に対する向上したClear Coli発現の性能比較。IVT GFP-mRNAをトランスフェクトされた293T細胞におけるGFP発現の検出をプロットで示す。示されるプロットは、三つ組を表す。
【
図10A】市販のインビトロ転写酵素に対する向上したClear Coli発現の性能比較。異なる酵素を用いて得られたIVT GFP-mRNAのトランスフェクション結果。
図10Aは、GFPポジティブの平均パーセンテージを示す。
図10Bは、幾何平均蛍光強度の平均を示す。各グラフにおいて、RNA試料は以下の通りである:(1)非トランスフェクト293t;(2)修飾を含まないインビトロ転写物;(3)5’キャップを有するインビトロ転写物;(4)テールを有する非キャップHiScribe転写物;(5)ARCAでキャップされたHiScribe転写物;(6)NEB VVCEでキャップされたHiScribe転写物;(7)インハウスの酵素で産生されたmRNA転写物(矢印)。
【発明を実施するための形態】
【0013】
開示の成分、組成物、システム、キット、及び方法が、無細胞メッセンジャーRNA(mRNA)合成を実施するために用いられ得る。インビトロ転写(IVT)を用いた無細胞mRNA合成では、トランスフェクト細菌細胞の溶解産物から製造された触媒タンパク質のアンサンブルを利用する。精製タンパク質は、IVT反応の必須成分を含む。無細胞mRNA合成のためのタンパク質成分を製造する、本明細書に記載の方法など、様々な方法が存在する。
【0014】
本明細書において同定されるすべての特許及び公開された出願は、あたかも個々の特許又は出願がそれぞれ、具体的及び個々に参照により組み込まれることが意図されるのと同程度に参照により組み込まれる。組み込まれた参考文献における用語の定義又は使用が、本明細書で提供されるその用語の定義と一致しない、又は反する場合、本明細書において提供されるその用語の定義が該当し、且つ参考文献におけるその用語の定義は該当しない。
【0015】
定義
一部の実施形態において、特定の実施形態を説明し、且つ請求するために使用される、成分の量、特性、例えば濃度、反応条件などを表す数は、一部の場合に「約」という用語によって修飾されると理解されたい。したがって、一部の実施形態において、書面による明細書及び添付の特許請求の範囲に記載の数値パラメーターは、特定の実施形態によって得られることが求められる所望の特性に応じて異なり得る近似値である。一部の実施形態において、数値パラメーターは、報告される有意な数字(digit)の数を考慮に入れて、且つ通常の丸め技術を適用することによって解釈されるべきである。一部の実施形態の広範な範囲を設定する数値範囲及びパラメーターが近似値であるにもかかわらず、具体的な実施例に記載の数値は、実行可能な数値として正確に報告される。一部の実施形態に示される数値は、それぞれの試験測定値で見出される標準偏差から生じる特定の誤差を必然的に含有し得る。
【0016】
文脈に相反するものが指示されていない限り、本明細書に記載のすべての範囲が、その終点を含んで解釈されるべきであり、オープンエンド範囲は、実用化可能な値のみを含むと解釈されるべきである。同様に、値のすべての一覧は、文脈に相反するものが指示されていない限り、中間の値を含むと解釈されるべきである。
【0017】
以下の本明細書において、及び特許請求の範囲全体を通して使用される、「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」という意味は、文脈に明確に特別な指示がない限り、複数形を含む。また、本明細書において使用される、「において(in)」の意味は、文脈に明確に特別な指示がない限り、「において(in)」及び「の上(on)」を含む。
【0018】
本明細書における値の範囲の列挙は単に、その範囲内にある別々の値を個々に参照する省略法として役立てることが意図される。本明細書において別段の指定がない限り、個々の各値は、あたかも本明細書に個々に記載されているがごとく、本明細書に組み込まれる。本明細書に記載のすべての方法は、本明細書において別段の指定がない限り、又は文脈と特に明確に矛盾がない限り、適切ないずれかの順序で実施することができる。本明細書における特定の実施形態に関して提供される、いずれかの、及びすべての実施例、又は例示的な文言(例えば、「~など」)の使用は、明確にすることが単に意図され、且つ請求される本発明の範囲に制限を課すものではない。本明細書における文言は、請求される本発明の実施に必須の、請求項に記載されない要素を示すと解釈すべきではない。
【0019】
本明細書に開示の代替の要素又は実施形態のグループ化は、制限として解釈されるものではない。各グループメンバーは、個々に、又はグループの他のメンバー若しくは本明細書に見出される他の要素とのいずれかの組み合わせで、参照及び請求され得る。グループの1つ又は複数のメンバーが、便宜上及び/又は特許性の理由のために、グループに含まれ得る、又はグループから削除され得る。かかる包含又は削除が生じた場合、本明細書は、修飾されたグループを含有するとみなされ、したがって添付の特許請求の範囲において使用されるすべてのマーカッシュ群の書面の説明が履行される。
【0020】
発現ベクター
本明細書に記載の1つ又は複数のmRNAをコードする核酸を含有する発現ベクターが提供される。本明細書で使用される、「ベクター」という用語は、それが連結される別の核酸を輸送することができる核酸分子を意味する。ベクターの1つのタイプは「プラスミド」であり、更なるDNAセグメントをそれにライゲートすることができる環状二本鎖DNAループを意味する。かかるベクターは、本明細書において「発現ベクター」と呼ばれる。一般に、組換えDNA技術において有用な発現ベクターは、プラスミドの形をとる場合が多い。本明細書において、「プラスミド」及び「ベクター」は区別なく使用することができる。しかしながら、開示の方法及び組成物は、等しい機能を果たすウイルスベクター(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス及びアデノ随伴ウイルス)などのかかる他の形態の発現ベクターを含むことが意図される。
【0021】
メッセンジャーRNA
購入された酵素T7 RNAポリメラーゼ、VVCE、及びポリ(A)ポリメラーゼを、mRNA製造プロセスにおいてインハウスで生成された酵素と置き換えた場合に、mRNAトランスフェクト細胞において発現されたタンパク質の発現レベルによって決定される、mRNA品質の意外な増加が生じる。酵素の産生は、プラスミド発現ベクターの細菌へのトランスフェクションを含み、対象のタンパク質をコードする遺伝子が、トランスフェクト遺伝子の発現をドライブするプロモーター配列に作動可能に連結される。
図1は、mRNAの主要な特性を示す。
【0022】
プロモーター配列は、細菌においてタンパク質発現をドライブするのに適切ないずれかのプロモーターであり得る。好ましい実施形態において、プロモーターはアラビノースプロモーターである。プラスミド発現ベクターに挿入される遺伝子配列の更なる工学は、タンパク質がそれによって同定及び/又は精製され得る、タグの使用を含む。好ましい実施形態において、対象のタンパク質をコードする遺伝子は、タンパク質の5’又は3’末端のいずれかで、インフレームでポリマーヒスチジン(His)タグをコードする配列に連結される。Hisタグは、タバコエッチウイルス(TEV)プロテアーゼ認識配列によって対象の遺伝子から分離され得て、それによって、TEVがタンパク質に付加されて、Hisタグが切断除去され得る。
【0023】
T7 RNAポリメラーゼの発現をドライブするアラビノースプロモーターでのT7プロモーターの置換(
図2及び
図3A~3C)は、BL21 DE3 Clear Coli細胞の増殖を可能にし、その中で異種タンパク質発現をドライブすることが示された。4時間から一晩(18時間)に発酵時間を増加すると、タンパク質発現もまた増加した。アラビノースプロモーターで、VVCEのD1及びD12サブユニットの発現をドライブするT7プロモーターを同様に置換することによって、サブユニットの発現が可能となった(
図4A~4B及び
図5A~5B)。18℃でのタンパク質発現の実施によって、タンパク質発現もまた向上した。
【0024】
IVTタンパク質の産生のための配列はさらに、タンパク質コード配列に選択的(alternative)開始コドンを付加することによって修飾され得る。好ましい実施形態において、選択的開始コドンは、ポリ(A)ポリメラーゼの末端に連結される。ポリ(A)ポリメラーゼのこの異常なUUG開始コドンは、Cao & Sarkar(Proc.Natl.Acad.Sci.USA.Vol.89,pp.10380-10384,November 1992)において最初に仮定された。UUG開始コドンを含むN末端配列(配列番号21)は、配列番号25の野生型タンパク質配列に関してアミノ酸位置11にてリジンのすぐ上流にてインフレームでコード化される。
【0025】
IVTタンパク質の産生のための発現プラスミドインサート配列はさらに、新規なプロモーター配列の使用によって修飾され得る。意外なことに、アラビノースプロモーターは、VVCEの溶解性を有意に高め、したがって大腸菌(E.coli)において発現されたVVCEの収率を高める。また意外なことには、T7 RNAポリメラーゼ及びポリ(A)ポリメラーゼの上流にT7プロモーターを使用した結果、標準技術によって細菌中でうまく増殖することができるクローン発現プラスミドが産生できなくなるため、T7 RNAポリメラーゼ及びポリ(A)ポリメラーゼ遺伝子の、発現ベクターへのクローニング自体が、両方のタンパク質の開始コドンの上流にアラビノースプロモーターを置くことによって可能となった。
【0026】
T7 RNAポリメラーゼの産生がタンパク質収率に関して最適化される方法が、本明細書において開示される。BL21 DE3 Clear Coliに発現プラスミドをトランスフェクトした後、発酵温度を18℃に下げ、発光時間は18時間に延長された。
図7は、これらの発酵条件が適用された場合の、可溶性T7 RNAポリメラーゼの収率の増加を示す。
【0027】
本明細書に記載の1つ又は複数のmRNAをコードする核酸を含有する発現ベクターが提供される。本明細書で使用される、「ベクター」という用語は、それが連結されている、別の核酸を輸送することができる核酸分子を意味する。ベクターの1つのタイプは、「プラスミド」であり、更なるDNAセグメントをそれにライゲートすることができる環状二本鎖DNAループを意味する。かかるベクターは、本明細書において「発現ベクター」と呼ばれる。一般に、組換えDNA技術において有用な発現ベクターは、プラスミドの形をとる場合が多い。本明細書において、「プラスミド」及び「ベクター」は区別なく使用することができる。しかしながら、開示の方法及び組成物は、等しい機能を果たすウイルスベクター(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス及びアデノ随伴ウイルス)などのかかる他の形態の発現ベクターを含むことが意図される。
【0028】
細菌におけるT7 RNAポリメラーゼ、VVCE、及びポリ(A)ポリメラーゼの産生を最適化し、標準法によってタンパク質を精製及び特徴付けたら、タンパク質は、一連の反応に適用され、それによって、対象の遺伝子を含有する直鎖化プラスミドDNAが転写され、キャップ化され、ポリ-アデノシンテールが付加される。そのDNAが挿入されたプラスミドは、ウイルス、原核生物又は真核生物における増殖に適切であり得る。
【0029】
鋳型DNAは通常、スーパーコイルプラスミドDNAとして増殖され、貯蔵される。プラスミドDNAは、1つ又は複数の制限酵素の作用によって直鎖化され、それによって、対象の遺伝子が、環状プラスミドDNAから取り除かれ、又は切り取られる。一般に、ユニークな制限部位は、対象の遺伝子の5’及び3’末端に生じる。その制限部位は同一であっても、又は異なっていてもよい。対象の遺伝子内の制限部位を認識しないという条件で、いずれかの制限酵素を使用することができる。次いで、エタノール又はイソプロパノール沈殿などの他の標準法を使用してもよいが、直鎖化DNAは、カラム精製によって単離される。次いで、遺伝子配列を含む精製直鎖化DNAが、サイズ決定によって単離され、分光光度法で定量化される。次いで、1μG鋳型DNAを、ヌクレオチド三リン酸(ATP、CTP、GTP、及びUTP)及び精製T7 RNAポリメラーゼを含む反応に添加する。反応は、サーマルサイクラーで37℃にて一晩進行する。次いで、RNA転写物が、カラム精製され、分光光度法によって定量化される。
【0030】
キャップ0RNAへのRNA転写物の変換には、3つの酵素的逐次工程:RNAトリホスファターゼ活性(TPase)による5’末端g-リン酸の除去、RNAグアニリルトランスフェラーゼ活性(GTase)による、得られた二リン酸5’末端へのGMP基の転移、及びグアニン-N7メチルトランスフェラーゼ活性(MTase)による、グアノシンキャップのN7アミンの修飾が必要とされる。ワクシニアウイルスキャップ化酵素は、D1及びD12サブユニットからなり、3つすべての酵素的工程がD1サブユニットによって実施される。次いで、精製及び定量化されたRNA転写物(10μg)が、GTP、s-アデノシルメチオニン、及び精製VVCEを含む反応に添加される。次いで、反応は37℃で1時間進行する。次いで、キャップ化RNAがカラム精製され、分光光度法で定量化される。
【0031】
ポリアデニル化は、mRNA転写物へのポリ(A)テールの付加である。ポリ(A)テールは、mRNAの核の輸送、翻訳及び安定性に重要である。mRNAのインビトロ製造における最終的な工程は、キャップ化転写物へのポリ(A)テールの付加である。キャップ化mRNA(10μg)転写物が、ATP及び精製ポリ(A)ポリメラーゼを含む反応に添加され、反応が37℃で1時間進行する。次いで、キャップ化、ポリアデニル化mRNA転写物が、カラム精製され、分光光度法で定量化される。精製mRNAは即座に使用するか、又は-80C以下にて凍結すべきである。
【0032】
mRNAワークフローの概要を
図8に示す。それによって誘導されたmRNAが、細胞(インビトロトランスフェクション)又は組織(インビボトランスフェクション)に送達するために製剤化され得る。いずれかの適切な製剤形態が使用され得る。例示的なナノ粒子製剤が、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第16/622,908号明細書に記載されている。HEK293細胞がトランスフェクトされ、フローサイトメトリーによって評価される、
図9A~9Fに示す標準法を用いたmRNAコード化タンパク質の送達及び発現の評価。
図10A及び10Bは、NEW ENGLAND BIOLABS(登録商標)からの市販のVVCEタンパク質でキャップされた市販のRNA転写物と比べて、本明細書に記載の方法によって製造されるmRNAで、向上したタンパク質収率を示す。
【0033】
開示の技術は、IVTコアタンパク質T7 RNAポリメラーゼ、ワクシニアウイルスキャップ化酵素、及びポリ(A)ポリメラーゼの産生の増加、並びにそれによって産生されたmRNA転写物に由来するタンパク質産物の収率の増加など、多くの有利な技術的効果を提供することが理解されよう。
【実施例】
【0034】
アラビノースプロモーターインサートの調製。アラビノースプロモーターを増幅するために使用されるPCRの鋳型として、pBAD-DEST49DNAプラスミドを使用した。配列番号1(フォワード)及び配列番号2(リバース)プライマーを使用して、アラビノースプロモーターを増幅した。増幅混合物は(1反応につき):5×PRIMESTAR(登録商標)GXLポリメラーゼ緩衝液10μL;DNTP4μL;10μMフォワードプライマー1μL;10μMリバースプライマー1μL;pBAD-DEST49 50ng;PRIMESTAR(登録商標)GXLポリメラーゼ1μL;及び最終体積50μLにするMILLI-Q(登録商標)水を含んだ。以下の条件:98℃で2分間;98℃で20秒間(×30サイクル);55℃で15秒間(×30サイクル);68℃で90秒間(×30サイクル);及び68℃で1分間がアラビノースインサートの増幅に用いられた。QIAQUICK(登録商標)PCRスピンカラムを使用して、PCR産物を精製した。
【0035】
次いで、プライマー配列番号3及び4を用いた別のPCRにおいて、精製されたPCR産物が使用された。増幅混合物は(1反応につき):5×PRIMESTAR(登録商標)GXLポリメラーゼ緩衝液10μL;DNTP4μL;10μMフォワードプライマー1μL;10μMリバースプライマー1μL;pBAD-DEST49 50ng;PRIMESTAR(登録商標)GXLポリメラーゼ1μL;及び最終体積50μLにするMILLI-Q(登録商標)水を含んだ。以下の条件:98℃で2分間;98℃で20秒間(×30サイクル);60℃で15秒間(×30サイクル);68℃で90秒間(×30サイクル);及び68℃で1分間がアラビノースインサートの増幅に用いられた。次いで、QIAGEN(登録商標)ゲル抽出キットを用いて、Gibson Assemblyハンドル(handle)を有するアラビノースプロモーターインサートをゲル抽出し、精製した。
【0036】
BglIII制限消化プロトコル。NEW ENGLAND BIOLABS(登録商標)から購入されたBglIII制限酵素を使用して、pET22bラクトース誘発発現系を消化した。2つの別々の反応をpET22b及びBglIII制限消化に関して、以下の通りに(1反応につき)完了した:緩衝液3.1 10μL;BglIII制限酵素3μL;pET22b DNA46μL;MILLI-Q(登録商標)水41μL。次いで、各反応をサーマルサイクラー内で37℃にて2時間インキュベートした。インキュベーションに続いて、緩衝液PB500μLを各反応に添加した。QIAGEN(登録商標)から購入された、別々の2つのミニプレップカラムに、緩衝液PB及び制限消化混合物を添加した。15000×gにてカラムを1分間遠心し、フロースルーを廃棄した。エタノールを含有する緩衝液PE1mLを各カラムに添加した。カラムを再び、15000×gで1分間遠心し、フロースルーを廃棄した。カラムを15000×gにて2分間遠心脱水した。次いで、カラムを新たなマイクロ遠心チューブに移した。MILLI-Q(登録商標)水50μLを各カラムに添加し、15000×gにて2分間遠心した。
【0037】
Xba1制限消化プロトコル。精製及び消化された物質50μLが、以下のプロトコル(1反応につき):CUTSMART(登録商標)緩衝液9μL;Xba1 3μL;BglIII消化物質50μL;及びMILLI-Q(登録商標)水28μL;を用いた消化において使用された。反応をサーマルサイクラー内で37℃にて2時間インキュベートした。次いで、Antarcticホスファターゼを添加した(10μL/Antarcticホスファターゼ緩衝液の反応&2μL/Antarcticホスファターゼの反応)。次いで、反応混合物を37℃で1時間インキュベートした。QIAGEN(登録商標)ゲル抽出精製キットを使用して、消化されたベクターをゲル抽出し、精製した。
【0038】
GIBSON ASSEMBLY(登録商標)プロトコル。消化及び精製されたベクター100ngを反応のために調製した。増殖及び精製されたプロモーター70ngもまた、反応のために調製した。各反応は、GIBSON ASSEMBLY(登録商標)で使用される総DNA0.1pmolのみ含有した。ベクターDNA及びインサートDNAをMILLI-Q(登録商標)水と混合し、最終体積10μにした。2×NEB HIFI ASSEMBLY Master mix(NEW ENGLAND BIOLABS(登録商標)から入手)10μLを次いで、反応混合物に添加した。次いで、準備されたGIBSON ASSEMBLY(登録商標)反応をサーマルサイクラー内で50℃にて15分間インキュベートした。インキュベーション期間に続いて、NEB5αウルトラコンピテント細胞を使用して、次いで反応混合物8μLを形質転換した。pET22b発現プラスミドにクローン化されたアラビノースプロモーターでの形質転換細胞を使用して、プラスミドDNAを増幅し、次いでQIAGEN(登録商標)Maxi Prep精製システムを使用して、それを収集した。
【0039】
T7 RNAポリメラーゼ発現系を作製するためのpBM100のクローニング。Gibsonハンドル並び組み込まれた6×Hisタグを有するRNAポリメラーゼを、プライマーとして配列番号5及び6を用いてPCR増幅した。PCR反応混合物は(1反応につき):5×PRIMESTAR(登録商標)GXLポリメラーゼ緩衝液10μL;DNTP4μL;10μMフォワードプライマー1μL;10μMリバースプライマー1μL;RNAポリメラーゼDNA50ng;及びPRIMESTAR(登録商標)GXLポリメラーゼ1μLを含んだ。RNAポリメラーゼインサートを増幅するためのPCRを以下の通りに完了した:98℃で2分間;98℃で20秒間(×30サイクル);60℃で15秒間(×30サイクル);68℃で120秒間(×30サイクル);及び68℃で1分間。次いで、QIAQUICK(登録商標)PCRスピンカラムを使用して、完了したPCRを精製した。酵素:Nde1及びNco1-HFを使用して、以下の反応レシピ(1反応につき):CUTSMART(登録商標)緩衝液90μL;Nco1-HF1μL;Nde1 1μL;RNAポリメラーゼDNA20μg;及び最終体積90μLにする水を用いて、二重制限消化においてpBM98 20μgを使用した。次いで、制限消化をサーマルサイクラー内で37℃にて2時間インキュベートした。次いで、Antarcticホスファターゼを添加した(10μL/Antarcticホスファターゼ緩衝液の反応及び2μL/Antarcticホスファターゼの反応)。次いで、反応混合物を37℃で1時間インキュベートした。QIAGEN(登録商標)ゲル抽出精製キットを使用して、消化されたベクターをゲル抽出し、精製した。
【0040】
GIBSON ASSEMBLY(登録商標)反応のために、消化及び精製されたベクター100ngを調製した。増幅及び精製されたRNAポリメラーゼインサート126ngもまた、反応のために調製した。各GIBSON ASSEMBLY(登録商標)反応において、0.1pmol以下の総DNAを使用した。ベクターDNA及びインサートDNAをMILLI-Q(登録商標)水と混合し、最終体積10μにした。2×NEB HIFI ASSEMBLY Master mix(NEW ENGLAND BIOLABS(登録商標)から入手)10μLを次いで、反応混合物に添加した。次いで、準備されたGIBSON ASSEMBLY(登録商標)反応をサーマルサイクラー内で50℃にて15分間インキュベートした。インキュベーション期間に続いて、NEB5αウルトラコンピテント細胞を使用して、次いで反応混合物8μLを形質転換した。アラビノース促進発現プラスミドにクローニングされたT7 RNAポリメラーゼでの形質転換細胞を使用して、プラスミドDNAを増幅し、次いでQIAGEN(登録商標)Maxi Prep精製システムを使用して、それを収集した。
【0041】
二重(Dual)アラビノース促進発現プラスミドの作製。ワクシニアウイルスキャップ化酵素D1及びD12サブユニットのクローニングのために、二重発現(dual expressing)アラビノース促進システムを作製した。以下のプロトコル(1反応につき):CUTSMART(登録商標)緩衝液9μL;Xba1 3μL;pET-Duetプラスミド10μg;最終体積90μLにするMILLI-Q(登録商標)水を用いて、pET-Duet精製プラスミドをXba1で消化した。反応をサーマルサイクラー内で37℃にて2時間インキュベートした。次いで、Antarcticホスファターゼを添加した(10μL/Antarcticホスファターゼ緩衝液の反応&2μL/Antarcticホスファターゼの反応)。次いで、反応混合物を37℃で1時間インキュベートした。
【0042】
次いで、QIAGEN(登録商標)ゲル抽出精製キットを使用して、消化されたベクターをゲル抽出し、精製した。次いで、プライマーとして配列番号1及び配列番号2を用いて、以下の反応混合物(1反応につき):5×PRIMESTAR(登録商標)GXLポリメラーゼ緩衝液10μL;DNTP4μL;10μMフォワードプライマー1μL;10μMリバースプライマー1μL;pBM98 50ng;PRIMESTAR(登録商標)GXLポリメラーゼ1μL;及び最終体積50μLにするMILLI-Q(登録商標)水で、アラビノースプロモーターインサートをpBM98から増幅した。以下の条件:98℃で2分間;98℃で20秒間(×30サイクル);55℃で15秒間(×30サイクル);68℃で90秒間(×30サイクル);及び68℃で1分間がアラビノースインサートの増幅に用いられた。QIAQUICK(登録商標)PCRスピンカラムを使用して、PCR産物を精製した。
【0043】
次いで、プライマーとして配列番号7及び8を用いた別のPCRにおいて、精製PCR産物が使用された。このPCR産物は、アラビノース促進システムでマルチクローニングサイト#1を形成するためにGIBSON ASSEMBLY(登録商標)に使用された。消化及び精製されたベクター100ngをGIBSON ASSEMBLY(登録商標)反応のために調製した。増殖及び精製されたプロモーター70ngもまた、反応のために調製した。0.1pmol以下の総DNAが、GIBSON ASSEMBLY(登録商標)で使用された。ベクターDNA及びインサートDNAをMILLI-Q(登録商標)水と混合し、最終体積10μにした。2×NEB HIFI ASSEMBLY Master mix(NEW ENGLAND BIOLABS(登録商標)から入手)10μLを次いで、反応混合物に添加した。次いで、準備されたGIBSON ASSEMBLY(登録商標)反応をサーマルサイクラー内で50℃にて15分間インキュベートした。インキュベーション期間に続いて、NEB5αウルトラコンピテント細胞を使用して、次いで反応混合物8μLを形質転換した。pET-Duet二重発現プラスミドにクローン化されたアラビノースプロモーターでの形質転換細胞を使用して、プラスミドDNAを増幅し、次いでQIAGEN(登録商標)Maxi Prep精製システムを使用して、それを収集した。得られたプラスミドをpBM122として標識化して、MCS1におけるアラビノースプロモーター及びMCS2におけるT7プロモーターの存在を示した。
【0044】
次いで、新たに作製されたプラスミドを使用して、下流T7プロモーターを別のプラスミド促進インサートと置き換えた。酵素Bsrg1-HF及びNde1を使用して、以下の反応混合物(1反応につき):CUTSMART(登録商標)緩衝液9μL;Bsrg1-HF1.5μL;Nde1 1.5μL;pBM122 30μg;及び最終体積90μLにするMILLI-Q(登録商標)水を用いて、調製されたプラスミドで二重制限消化が完了した。
【0045】
制限消化を37℃で1時間インキュベートした。次いで、Antarcticホスファターゼを添加した(10μL/Antarcticホスファターゼ緩衝液の反応&2μL/Antarcticホスファターゼの反応)。次いで、反応混合物を37℃で1時間インキュベートした。次いで、QIAGEN(登録商標)ゲル抽出精製キットを使用して、消化されたベクターをゲル抽出し、精製した。プライマーとして配列番号1及び配列番号2を用いて、アラビノースプロモーターを調製した。以下のプロトコル(1反応につき):5×PRIMESTAR(登録商標)GXLポリメラーゼ緩衝液10μL;DNTP4μL;10μMフォワードプライマー1μL;10μMリバースプライマー1μL;pBM98 50ng;PRIMESTAR(登録商標)GXLポリメラーゼ1μL;及び最終体積50μLにするMILLI-Q(登録商標)水を用い、PCRが完了した。以下の条件:98℃で2分間;98℃で20秒間(×30サイクル);55℃で15秒間(×30サイクル);68℃で90秒間(×30サイクル);及び68℃で1分間がアラビノースインサートの増幅に用いられた。QIAQUICK(登録商標)PCRスピンカラムを使用して、PCR産物を精製した。
【0046】
次いで、プライマー配列番号9及び10を用いて、別のPCR増幅において、精製PCR産物を使用した。各PCR反応は:5×PRIMESTAR(登録商標)GXLポリメラーゼ緩衝液10μL;DNTP4μL;10μMフォワードプライマー1μL;10μMリバースプライマー1μL;作製されたPCR産物50ng;PRIMESTAR(登録商標)GXLポリメラーゼ1μL;及び最終体積50μLにするMILLI-Q(登録商標)水を含んだ。以下の条件:98℃で2分間;98℃で20秒間(×30サイクル);60℃で15秒間(×30サイクル);68℃で90秒間(×30サイクル);及び68℃で1分間がアラビノースインサートの増幅に用いられた。QIAQUICK(登録商標)PCRスピンカラムを使用して、PCR産物を精製した。
【0047】
次いで、プライマーとして配列番号9及び10を用いた別のPCRにおいて、以下(1反応につき):5×PRIMESTAR(登録商標)GXLポリメラーゼ緩衝液10μL;DNTP4μL;10μMフォワードプライマー1μ;10μMリバースプライマー1μL;作製されたPCR産物50ng;PRIMESTAR(登録商標)GXLポリメラーゼ1μL;及び最終体積50μLにするMILLI-Q(登録商標)水を含む反応混合物中で精製PCR産物を使用した。以下の条件:98℃で2分間;98℃で20秒間(×30サイクル);60℃で15秒間(×30サイクル);68℃で90秒間(×30サイクル);及び68℃で1分間がアラビノースインサートの増幅に用いられた。QIAQUICK(登録商標)PCRスピンカラムを使用して、PCR産物を精製した。
【0048】
消化及び精製されたベクター100ngをGIBSON ASSEMBLY(登録商標)反応のために調製した。増殖及び精製されたプロモーター58ngもまた、反応のために調製した。0.1pmol以下の総DNAが、GIBSON ASSEMBLY(登録商標)で使用された。ベクターDNA及びインサートDNAをMILLI-Q(登録商標)水と混合し、最終体積10μにした。2×NEB HIFI ASSEMBLY Master mix(NEW ENGLAND BIOLABS(登録商標)から入手)10μLを次いで、反応混合物に添加した。次いで、準備されたGIBSON ASSEMBLY(登録商標)反応をサーマルサイクラー内で50℃にて1時間インキュベートした。インキュベーション期間に続いて、NEB5αウルトラコンピテント細胞を使用して、次いで反応混合物8μLを形質転換した。
【0049】
pET-Duet二重発現プラスミドにクローン化されたアラビノースプロモーターでの形質転換細胞を使用して、プラスミドDNAを増幅し、次いでQIAGEN(登録商標)Maxi Prep精製システムを使用して、それを収集した。得られたプラスミドを、クローニングで使用されるpBM123として標識化した。
【0050】
二重アラビノース促進発現系におけるpBM127、ワクシニアウイルスキャップ化酵素のクローニング。以下の反応混合物(1反応につき):5×PRIMESTAR(登録商標)GXLポリメラーゼ緩衝液10μL;DNTP4μL;10μMフォワードプライマー1μL;10μMリバースプライマー1μL;D12サブユニット鋳型50ng;PRIMESTAR(登録商標)GXLポリメラーゼ1μL;及び最終体積50μLにするMILLI-Q(登録商標)水中で、アラビノース促進システムの第2マルチクローニングサイトにクローン化する目的のために、配列番号11及び12プライマーを使用して、D12サブユニットを増幅した。以下の条件:98℃で2分間;98℃で20秒間(×30サイクル);55℃で15秒間(×30サイクル);68℃で90秒間(×30サイクル);55℃で15秒間(×30サイクル);68℃で120秒間(×30サイクル);及び68℃で1分間が、D12 GIBSON ASSEMBLY(登録商標)インサートの増幅に用いられた。QIAQUICK(登録商標)PCRスピンカラムを使用して、PCR産物を精製した。
【0051】
以下の反応混合物(1反応につき):CUTSMART(登録商標)緩衝液9μL;Nco1-HF2μL;pBM125 10μg;及び最終体積90μLにするMILLI-Q(登録商標)水を用いて、Nco1-HF制限酵素を使用して、pBM125プラスミド10μgを消化した。サーマルサイクラー内で37℃にて1時間、インキュベーションを完了した。次いで、Antarcticホスファターゼを添加した(10μL/Antarcticホスファターゼ緩衝液の反応&2μL/Antarcticホスファターゼの反応)。次いで、反応混合物を37℃で1時間インキュベートした。次いで、QIAGEN(登録商標)ゲル抽出精製キットを使用して、消化されたベクターをゲル抽出し、精製した。
【0052】
消化及び精製されたベクター100ngをGIBSON ASSEMBLY(登録商標)反応のために調製した。増殖及び精製されたサブユニット125ngもまた、反応のために調製した。0.1pmol以下の総DNAが、GIBSON ASSEMBLY(登録商標)で使用された。ベクターDNA及びインサートDNAをMILLI-Q(登録商標)水と混合し、最終体積10μLにした。2×NEB HIFI ASSEMBLY Master mix(NEW ENGLAND BIOLABS(登録商標)から入手)10μLを次いで、反応混合物に添加した。次いで、準備されたGIBSON ASSEMBLY(登録商標)反応をサーマルサイクラー内で50℃にて15分間インキュベートした。インキュベーション期間に続いて、NEB5αウルトラコンピテント細胞を使用して、次いで反応混合物8μLを形質転換した。クローン化されたD12サブユニットでの形質転換細胞を使用して、プラスミドDNAを増幅し、次いでQIAGEN(登録商標)Maxi Prep精製システムを使用して、それを収集した。得られたDNAをpBM127として標識化して、タンパク質発現用のCLEARCOLI(商標)コンピテント細胞への形質転換に使用した。
【0053】
大腸菌(E.coli)ポリ(A)ポリメラーゼ発現系を作製するためのpBM135のクローニング。プライマーとして配列番号15及び16を用いて、PCR反応混合物を以下の通りに調製した(1反応当たりの体積):5×PRIMESTAR(登録商標)GXLポリメラーゼ緩衝液10μL;DNTP4μL;10μMフォワードプライマー1μL;10μMリバースプライマー1μL;ポリ(A)ポリメラーゼDNA50ng;PRIMESTAR(登録商標)GXLポリメラーゼ1μL。ポリ(A)ポリメラーゼインサートを増幅するためのPCRを以下の通りに完了した:98℃で2分間;98℃で20秒間(×30サイクル);55℃で15秒間(×30サイクル);68℃で90秒間(×30サイクル);及び68℃で1分間。次いで、QIAQUICK(登録商標)PCRスピンカラムを使用して、完了したPCR産物を精製した。
【0054】
次いで、プライマーとして配列番号17及び18を用いた別のPCRにおいて、精製PCR産物を使用した。PCR反応を以下の通りに調製した(1反応につき):5×PRIMESTAR(登録商標)GXLポリメラーゼ緩衝液10μL;DNTP4μL;10μMフォワードプライマー1μL;10μMリバースプライマー1μL;製造されたPCR産物50ng;PRIMESTAR(登録商標)GXLポリメラーゼ1μL;及び最終体積50μLにするMILLI-Q(登録商標)水。以下の条件:98℃で2分間;98℃で20秒間(×30サイクル);55℃で15秒間(×30サイクル);68℃で60秒間(×30サイクル);68℃で1分間が、ポリ(A)ポリメラーゼインサートの増幅に用いられた。QIAQUICK(登録商標)PCRスピンカラムを使用して、PCR産物を精製した。
【0055】
酵素:Nde1及びNco1-HFを使用して、以下の反応レシピ(1反応につき):CUTSMART(登録商標)緩衝液90μL;Nco1-HF 1μL;Nde1 1μL;pBM98 20μg;及び最終体積90μLにする水を用いて、二重制限消化においてpBM98 20μgを使用した。制限消化をサーマルサイクラー内で37℃にて2時間インキュベートした。次いで、Antarcticホスファターゼを添加した(10μL/Antarcticホスファターゼ緩衝液の反応&2μL/Antarcticホスファターゼの反応)。次いで、反応混合物を37℃で1時間インキュベートした。QIAGEN(登録商標)ゲル抽出精製キットを使用して、消化されたベクターをゲル抽出し、精製した。
【0056】
消化及び精製されたベクター100ngをGIBSON ASSEMBLY(登録商標)反応のために調製した。増殖及び精製されたポリ(A)ポリメラーゼインサート63ngもまた、反応のために調製した。0.1pmol以下の総DNAが、GIBSON ASSEMBLY(登録商標)で使用された。ベクターDNA及びインサートDNAをMILLI-Q(登録商標)水と混合し、最終体積10μLにした。2×NEB HIFI ASSEMBLY Master mix(NEW ENGLAND BIOLABS(登録商標)から入手)10μLを次いで、反応混合物に添加した。次いで、準備されたGIBSON ASSEMBLY(登録商標)反応をサーマルサイクラー内で50℃にて15分間インキュベートした。インキュベーション期間に続いて、NEB5αウルトラコンピテント細胞を使用して、次いで反応混合物8μLを形質転換した。
【0057】
アラビノース促進発現プラスミドにクローン化された大腸菌(E.coli)ポリ(A)ポリメラーゼでの形質転換細胞を使用して、プラスミドDNAを増幅し、次いでQIAGEN(登録商標)Mini Prep精製システムを使用して、それを収集した。
【0058】
直鎖化DNAからのRNA転写物の産生。この手順は、更なる下流の修飾用の対象の所望の遺伝子をコードする、インビトロRNA転写物の産生の反応を調製するために用いられる。そのプロセスで使用される装置のリストは:96ウェルのサーマルサイクラー;10×転写緩衝液;マイクロピペット;NTP(100mM);8連PCRチューブ;無機ピロホスファターゼ;RNAse阻害剤(マウス);Not1-HF酵素;インハウス精製T7 RNAポリメラーゼ;及びQIAGEN(登録商標)PCR精製キットを含む。
【0059】
インビトロ転写(IVT)鋳型を作製するため、制限消化の準備のためにpRNI-GFPのアリコートを入手する。以下のレシピ:(1反応当たりの体積):CUTSMART(登録商標)緩衝液5μL;Not1-HF制限酵素2μL;pRNI-GFP10μg;最終体積100μLにするヌクレアーゼ不含水を用いて調製される3つすべてのIVT反応に対して、鋳型DNA10μgを消化した。「pRNI-GFP消化物」の名称でラベルが付けられた1.5mLマイクロ遠心チューブに上記の内容物を添加する。37℃インキュベータ内で2時間インキュベートする。インキュベーションに続いて、消化されたDNAを除去し、緩衝液PB500μLを添加した。緩衝液PBと消化DNAとの混合物を、紫色のQIAGEN(登録商標)PCR精製カラムに移した。卓上型遠心機でカラムを最高速度で1分間遠心し、フロースルーを廃棄した。緩衝液PE750μLを直接、カラムに通し、続いて遠心機で最高速度にて1分間遠心した。再び、フロースルーを廃棄した。次いで、最高速度でカラムを3分間、遠心脱水した。1.5mLマイクロ遠心チューブに「消化pRNI-GFP」とラベルを付けた。新たにラベル付けされたマイクロ遠心チューブにカラムを入れた。ヌクレアーゼ不含水40μLを膜に直接置いた。37℃で2分間インキュベートした後、遠心機でカラムを最高速度にて2分間遠心した。製造元の説明書に従って、分光光度計を使用して、溶離画分を分析した。
【0060】
IVT反応を調製するために、以下の名称:「IVT反応」でPCRチューブをラベル付けする。以下のチューブ:インハウス精製T7RNAポリメラーゼのバイアル;無機ピロホスファターゼのバイアル;RNAse阻害剤(マウス)のバイアル;「pRNI-GFP消化物」のチューブを得て、常に氷上に維持した。以下の試薬:10×反応バッファー;ATP;CTP;UTP;及びGTPを室温で解凍した。以下の順序で以下の試薬:RNAse不含水(≦20μL);10×反応バッファー(2μL);100mM ATP(2μL);100mM CTP(2μL);100mM GTP(2μL);100mM UTP(2μL);鋳型DNA(1μg);T7 RNAポリメラーゼ混合物(2μL);RNAse阻害剤(1μL);無機ピロホスファターゼ(2μL)を、ラベル付けされたPCRチューブに添加する。1反応の最終体積は20μLとなる。調製されたPCRチューブを簡単に遠心し、次いでサーマルサイクラーで37℃にて一晩インキュベートした。
【0061】
IVT RNA転写物の精製。一晩インキュベートした後、チューブをサーマルサイクラーから取り出し、濾過p200マイクロピペットを使用して、緩衝液PB100μLを反応に添加した。一晩のインキュベーション後に反応容器が混濁するのは、このプロセスのこの時点では一般的である。緩衝液PBを添加した際に、半透明の固体が存在し、それはピペットを使用して、穏やかに混合すべきである。
【0062】
紫色のQIAGEN(登録商標)PCR精製カラムの膜に、混合物を直接添加した。カラムを最高速度で1分間遠心し、フロースルーを廃棄した。緩衝液PE750μLを各カラムに添加し、最高速度で1分間遠心した。フロースルーは廃棄した。カラムを最高速度で3分間遠心脱水した。新たな1.5mLマイクロ遠心チューブに「インビトロ転写物」とラベルを付けた。ラベル付けされたマイクロ遠心チューブにカラムを移動し、RNAse不含水35μLを膜に直接添加した。カラムを最高速度で2分間遠心した。次いで、製造元の説明書に従って、溶離された転写物を分光光度計において分析した。分光光度計による分析後、精製RNA転写物は氷上で維持すべきである。
【0063】
精製直後にキャッピング反応を完了することができない場合、RNA転写物を-80℃で保管すべきである。最良の結果のためには、凍結されたRNAを1週間を超えて保管すべきではない。
【0064】
キャップ化RNA転写物の産生。作業開始前に以下の成分:10×キャップ化緩衝液、32mM S-アデノシルメチオニン(SAM)、10mMグアノシン三リン酸(GTP)、RNAse阻害剤(マウス)、インハウスの精製ワクシニアウイルスキャップ化酵素(VVCE)を-20℃で保管し、反応アセンブリ中に氷上に維持した。マイクロ遠心チューブに「2mM SAM」とラベルを付けた。ラベル付きマイクロ遠心チューブに、RNAse不含水30μL及び32mMストック2μLを添加することによって、SAMを1:16で希釈した。最も高いキャッピング効率には、反応直前にSAMを希釈することが最善である。2本の新たなPCRストリップチューブに「VVCEキャッピング反応」とラベルを付けた。収集された精製RNAを使用して、ラベル付けされた各チューブにRNA10μgを添加した。RNAse不含水を、各チューブで最終体積14μLとなるまで添加した。RNAと水の混合物をサーマルサイクラー内で65℃にて5分間変性させた。変性直後に、RNAを氷上に5分間置いた。試薬を各反応に、以下の順序(1反応当たりの体積):10×キャップ化緩衝液2μL;10mM GTP1μL;2mM SAM1μL;VVCE1μL;及びRNAse阻害剤1μL;で添加した。ピペットを使用して、内容物を穏やかに混合し、遠心沈殿した。反応をサーマルサイクラーで37℃にて1時間インキュベートした。
【0065】
37℃でのインキュベーション後に、チューブをサーマルサイクラーから取り出し、濾過p200マイクロピペットを用いて、緩衝液PB100μLを各反応に添加した。各反応チューブの内容物を、紫色のQIAGEN(登録商標)PCR精製カラムの膜上に注意深く移動した。カラムを最高速度で1分間遠心し、フロースルーを廃棄した。緩衝液PE750μLを各カラムに添加し、最高速度で1分間遠心した。フロースルーを廃棄した後、最高速度で3分間遠心することによって、カラムを脱水した。2本の新たな1.5mLマイクロ遠心チューブを「キャップ化RNA転写物」とラベル付けした。ラベル付けされたマイクロ遠心チューブにカラムを入れ、RNAse不含水35μLを膜に直接添加し、2分間インキュベートした。最高速度で2分間遠心することによって、産物を収集した。製造元の説明書に従って分光光度計を使用して、調製されたRNA転写物を分析した。SPECに続いて、精製RNA転写物を氷上に維持し、テール化反応に直接、移動した。精製直後にテール化反応を完了することができない場合には、RNA転写物を(最良の結果のためには1週間以下)の期間、-80℃で保管すべきである。
【0066】
ポリアデニル化mRNAの産生。以下の成分:10×テール化緩衝液;10mMアデノシン三リン酸(ATP);RNAse阻害剤(マウス);及びインハウスの精製ポリ(A)ポリメラーゼを作業開始前に20℃で保管し、反応アセンブリ中に氷上で維持した。2本の新たなPCRストリップチューブに「ポリ(A)ポリメラーゼテール化反応」とラベル付けした。収集された精製RNAを使用して、RNA10μgをラベル付けされた各チューブに添加した。RNAse不含水を、各チューブで最終体積14μLとなるまで添加した。試薬を各反応に、以下の順序:10×テール化緩衝液2μL;10mM ATP2μL;ポリ(A)ポリメラーゼ1μL;及びRNAse阻害剤1μLで添加した。ピペットを使用して、内容物を穏やかに混合し、遠心沈殿した。反応をサーマルサイクラーで37℃にて1時間インキュベートした。
【0067】
インキュベーション期間後に、チューブをサーマルサイクラーから取り出し、濾過p200マイクロピペットを用いて、緩衝液PB100μLを各反応に添加した。紫色のQIAGEN(登録商標)PCR精製カラムの膜上に混合物を直接添加した。カラムを最高速度で1分間遠心し、フロースルーを廃棄した。緩衝液PE750μLを各カラムに添加し、続いて最高速度で1分間遠心した。フロースルーを廃棄した後、最高速度で3分間遠心脱水した。新たな1.5mLマイクロ遠心チューブにカラムを入れ、RNAse不含水35μLを膜に直接添加した。カラムを2分間静置し、次いで最高速度で2分間遠心した。製造元の説明書に従って分光光度計を使用して、調製されたRNA転写物を分析した。SPECに続いて、精製RNA転写物を氷上に維持すべきであり、トランスフェクション反応に直接進むべきである。精製直後にトランスフェクションを完了することができない場合には、RNA転写物を-80℃で保管すべきである。
【0068】
以下の考察は多くの実施例の実施形態を提供する。各実施形態は、本発明の要素の1つの組み合わせを表すが、本発明の主題は、開示の要素の可能性のあるすべての組み合わせを包含するとみなされる。したがって、1つの実施形態が要素A、B、及びCを含み、且つ第2実施形態が要素B及びDを含む場合には、本発明の主題はまた、たとえ明確に開示されていないとしても、A、B、C、又はDの残りの他の組み合わせを包含するとみなされる。
【0069】
本明細書で使用され、且つ文脈に特に指定されていない限り、「~に結合された」という用語は、直接的結合(互いに結合された2つの要素が互いに接触する)と間接的結合(少なくとも1つの更なる要素が2つの要素間に位置する)の両方を包含することが意図される。したがって、「~に結合された」及び「~と結合された」という用語は同義で使用される。
【0070】
既に記載の修飾に加えて、より多くの修飾が、本明細書の概念から逸脱することなく可能であることは当業者には明らかである。したがって、添付の特許請求の範囲の精神において以外は、本発明の開示内容は制限されない。さらに、本明細書及び特許請求の範囲の両方の解釈において、すべての用語は、文脈と一致する最も広範な可能性のある様式で解釈されるべきである。特に、「含む」及び「含んでいる」という用語は、非排他的形式で要素、成分、又は工程を意味すると解釈すべきであり、言及される要素、成分、又は工程は、明確に言及されていない他の要素、成分、又は工程と共に存在し得る、或いは用いられ得る、或いは組み合わせられ得ることが示される。本明細書又は特許請求の範囲が、A、B、C…及びNからなる群から選択される何かの少なくとも1つを意味する場合、書かれた文章は、A+N、又はB+N等ではなく、その群からの要素を1つのみ必要とすると解釈すべきである。
【配列表】
【国際調査報告】