(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】路面非平坦性を算出および特徴付けるための方法および装置
(51)【国際特許分類】
B60W 30/02 20120101AFI20240822BHJP
B60W 40/06 20120101ALI20240822BHJP
F02D 29/02 20060101ALI20240822BHJP
B60T 8/172 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
B60W30/02
B60W40/06
F02D29/02 311A
B60T8/172 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508944
(86)(22)【出願日】2022-08-09
(85)【翻訳文提出日】2024-04-09
(86)【国際出願番号】 EP2022072374
(87)【国際公開番号】W WO2023020899
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】102021209136.9
(32)【優先日】2021-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】サンカラ,デビ ラジ
(72)【発明者】
【氏名】シューイング,ヤン
【テーマコード(参考)】
3D241
3D246
3G093
【Fターム(参考)】
3D241BA10
3D241BB05
3D241BB08
3D241BC01
3D241BC02
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC17
3D241DB05Z
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3D246GB24
3D246HA64A
3D246HA67A
3D246HA93A
3D246HB09B
3D246HB09C
3D246HB25A
3G093BA01
3G093CB07
3G093DB02
3G093EA01
3G093EB04
(57)【要約】
【課題】 本発明は、路面の路面非平坦性を算出および特徴付けるための方法に関する。
【解決手段】 このために、複数のセンサデータが、路面上を走行する車両の少なくとも1つのホイール回転数センサおよび/または少なくとも1つのホイール個別の加速度センサによって生ぜしめられる。路面非平坦性は、生成されたセンサデータを用いて演算装置によって算出され、特徴付けされる。この場合、路面非平坦性の縁部形状が算出される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面の路面非平坦性を算出および特徴付けるための方法において、次のステップ、すなわち、
路面上を走行する自動車(101)の少なくとも1つのホイール回転数センサ(103)および/または少なくとも1つのホイール個別の加速度センサ(103)によってセンサデータを生成するステップ(S1)と、
生成された前記センサデータを用いて演算装置(3)によって路面非平坦性を算出し、かつ特徴付けるステップ(S2)と、を有しており、
前記路面非平坦性の特徴付けが、路面非平坦性の縁部形状の算出を含んでいる、路面の路面非平坦性を算出および特徴付けるための方法。
【請求項2】
前記ホイール回転数センサ(103)が前記自動車(101)の1つのホイールに配置されたパルスホイールの運動に依存してパルスを検出し、前記演算装置(3)が、時間に依存して検出されたパルスの変化を用いてホイール回転数の角状の推移を算出し、前記演算装置(3)がホイール回転数の算出された角状の推移を用いて前記縁部形状を算出する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記演算装置(3)は、ホイール回転数の角状の変化の大きさが第1の閾値を上回ったときに路面非平坦性を算出し、ホイール回転数の角状の変化の大きさを少なくとも1つの第2の閾値と比較することによって前記縁部形状を算出する、請求項2記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つのホイール個別の加速度センサのセンサデータがホイールの上下方向加速度を含んでおり、前記演算装置(3)が、前記上下方向加速度の経時推移に依存して路面非平坦性の前記縁部形状を算出する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記上下方向加速度の大きさが前記第1の閾値を上回ったときに、前記演算装置(3)が路面非平坦性を算出し、前記上下方向加速度の大きさを少なくとも1つの第2の閾値と比較することによって前記縁部形状を算出する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記演算装置(3)が、生成された前記センサデータを用いてホイールのホイール回転数の周波数特性および/または上下方向加速度を演算し、前記演算装置(3)が、ホイールの前記ホイール回転数の演算された前記周波数特性および/またはホイールの前記上下方向加速度を用いて路面非平坦性の縁部形状を算出する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記演算装置(3)が路面非平坦性の前記縁部形状を、前記センサデータに依存する入力データを受信する機械学習モデルおよび/または統計学的なモデルを用いて算出する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記演算装置(3)が、前記自動車(101)に関連して外部の演算装置(3)であり、
前記センサデータを、前記自動車(101)のインターフェース(106)を介して前記演算装置(3)にアウトプットする、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記演算装置(3)が、前記自動車(101)のアンチロックシステムのコントロールユニットである、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
路面の路面非平坦性を算出および特徴付けるための装置(1)において、
路面上を走行する自動車(101)の少なくとも1つのホイール回転数センサ(103)および/または少なくとも1つのホイール個別の加速度センサ(103)によって生成されたセンサデータを受信するために構成されたインターフェース(2)と、
生成された前記センサデータを用いて路面非平坦性を算出し、かつ特徴付けるために構成された演算装置(3)と、を有しており、
前記路面非平坦性の特徴付けが、路面非平坦性の縁部形状の算出を含んでいる、路面の路面非平坦性を算出および特徴付けるための装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路面非平坦性を算出および特徴付けるための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばくぼみの形の路面非平坦性は頻繁に現れ、自動車のための安全上のリスクとなる。安全上のリスクがどの程度大きいかは、主に路面非平坦性の形状および大きさに依存する。二輪車の運転者は、特に危険にさらされるグループとみなされる。しかも、路面非平坦性は、自動車の運転者および同乗者にとって不快の原因でもある。しかしながら、このような路面非平坦性の存在および種類に関する確実な地域特有のデータが不足している。ハザードマップの作成は、例えば特許文献1に記載されている。
【0003】
路面非平坦性を検知、評価および地図製作のために、ライダーセンサ、レーダセンサまたはカメラセンサのセンサデータが引用され得る。このような検知方法および評価方法を用いて道路損傷を検知し、この場合、この方法は、画像データおよびビデオデータをインプットとして受信する機械学習アルゴリズムを含んでいてよい。
【0004】
しかしながら、この際に使用されるセンサは、ASIL-D標準(Automotive Safety Integration Level-D「自動車用安全度水準-D」)をしばしば満たさない。しかも、このような形式のセンサを備えた自動車の割合は非常に少ない。
【0005】
さらに、路面のくぼみを検知しかつ評価するための機械的な学習アルゴリズムは、フォールスポジティブおよびフォールスネガティブな結果になりやすい。さらに、アルゴリズムはかなりの演算時間リソースを消費する。
【0006】
路面非平坦性の潜在的な危険性は、特に路面非平坦性の形状および大きさにも依存している。例えば、大きく降下する縁部を備えたくぼみは、一般的に自動車のより大きい損傷につながり得る。これに対して、比較的滑らかな移行部では潜在的な危険性はより低い。したがって、路面非平坦性を検知するだけではなく、より精確に分類する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】独国特許出願公開第102010055370号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、独立請求項に記載した特徴を有する路面非平坦性を算出および特徴付けるための方法および装置を提供する。好適な実施形態は従属請求項の対象である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって第1の態様によれば、本発明は路面の路面非平坦性を算出および特徴付けるための方法に関する。このために、路面上を走行する自動車の少なくとも1つのホイール回転数センサおよび/または少なくとも1つのホイール個別の加速度センサによってセンサデータが生成される。路面非平坦性は、生成されたセンサデータを用いて演算装置によって算出され、かつ特徴付けられる。路面非平坦性の特徴付けは、路面非平坦性の縁部形状の算出を含んでいる。
【0010】
第2の態様によれば、本発明は、インターフェースと演算装置とを有する、路面の路面非平坦性を算出および特徴付けるための装置に関する。インターフェースは、路面上を走行する自動車の少なくとも1つのホイール回転数センサおよび/または少なくとも1つのホイール個別の加速度センサによって生成されたセンサデータを受信するために構成されている。演算装置は、生成された前記センサデータを用いて路面非平坦性を算出するために構成されている。路面非平坦性の特徴付けは、路面非平坦性の縁部形状の算出を含んでいる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、特に路面非平坦性の縁部形状が検知されることによって、路面非平坦性の発生、および重大性若しくは程度を検出し、かつ分析することを可能にする。本発明は、さらに路面非平坦性の包括的なデータベースを作成するために寄与できる。
【0012】
最近の自動車は、複数のセンサを有しており、これらのデータが、埋め込まれたシステムまたは自動車コンピュータによって安全性および快適性のために利用される。ホイール回転数センサは、最も頻繁に使用されるセンサに属する。
【0013】
高周波ホイール回転数センサは、ホイールの正確な状態に関する情報を提供する。これらのセンサは、ASIL-D標準を満たす数少ないセンサにも属するので、その他のセンサと比較して非常に信頼できる。
【0014】
さらに、ホイール回転数センサは非常に広く行き渡っている。しかも、ホイール回転数センサは、路面の最も近くに存在するセンサである。何故ならば、ホイール回転数センサはホイールに直に取り付けられているからである。したがって、路面に対するセンサの近さに基づいて高い信頼性が得られる。
【0015】
また、ホイール個別の加速度センサがますます頻繁に設けられている。車両の可動な部分に配置されていない、車両に固定された慣性センサとは異なり、ホイール個別の加速度センサは、ホイールと共に運動する。これによって、各個別のホイールのために精確な瞬間加速度が検知され得る。
【0016】
特に、ホイールにおけるホイール回転数センサと加速度センサの組合せも有利である。
【0017】
自動車は、二輪車、三輪車、乗用車、トラック、自動二輪車等であってよい。自動車は、例として滑走路の損傷を検知するための例えば航空機であってもよい。
【0018】
路面非平坦性の算出とは、特に路面非平坦性の存在が検知されることであると解釈されてよい。特徴付けとは、さらに(単に存在するだけであること以上の)追加的な特性が算出されることであると解釈されてよい。この場合、特に路面非平坦性の縁部形状が算出される。
【0019】
路面非平坦性の縁部形状とは、路面非平坦性の縁部の形であると解釈され、これは、路面非平坦性に乗り入れる際に出現する縁部および/または路面非平坦性から抜け出す際に出現する縁部であり得る。したがって、縁部とは、路面非平坦性と路面との接触領域であってよい。可能な縁部形状は、例えば急勾配の縁部、丸味の付けられた縁部または傾斜面状の(折り曲がった)縁部を含んでいてよい。
【0020】
縁部形状は、路面に相対する傾斜(急傾斜)によって描かれ得る。傾斜は、路面と路面非平坦性との間の角度によって描かれ得る。路面に相対する縁部が急勾配で降下すればするほど、自動車の損傷の危険は高くなる。
【0021】
本発明の枠内で、路面非平坦性は、道路損傷、例えば路面のくぼみ、凹部または隆起部、轍を含んでいてよいが、また不自然な路面非平坦性、例えば速度限界、傾斜路等を含んでいてもよい。
【0022】
演算装置は好適には、センサ値をできるだけフィルタリングされずに処理できるようにするために、データソース若しくはセンサ装置の近傍に位置しており、例えばブレーキコントロールシステムのコントロールユニット内に組み込まれている。
【0023】
路面非平坦性を算出および特徴付けるための方法の別の実施形態によれば、ホイール回転数センサが例えばホールセンサを用いて自動車のホイールに配置されたパルスホイールの運動に依存してパルスを検出するようになっている。演算装置は、検出されたパルスの変化を用いて時間に依存して、つまりパルスホイールから発せられる交互に変化する磁界(北/南)の生信号を用いて高周波のホイール回転数の角状の推移を算出する。この場合、ホイール回転数の角状の推移とは、角度に依存するホイール回転数の変化であると解釈されるべきである。これは、個別のパルス間の時間差を算出することによって行うことができる。演算装置は、算出されたホイール回転数の角状の推移を用いて路面非平坦性の縁部形状を検知する。路面非平坦性は大抵の場合、ホイール回転数の短期的な変化を生ぜしめる。何故ならば、自動車のホイールは、路面非平坦性上を走行する際に加速または減速されるからである。同様のことは、路面非平坦性を抜け出す際にもあてはまる。ホイール回転数のこのような変化を検知することによって、演算装置は路面非平坦性を算出し、さらに縁部形状を算出することもできる。特に様々な急勾配の縁部は、ホイール回転数の様々に特徴付けられた角状の形状を特徴としている。これにより角状の形状を評価することによって縁部形状を決定することができる。
【0024】
ホイール回転数の経時推移と比較して、所定の時間に亘ってのパルス変化から得られる角状の推移が、路面表面状態の小さい変化の精確さに関する明らかな利点を提供する。例えば、所定の時間、例えば1msと同じかこれより短い時間間隔内でのパルスの数を算出できるようになっている。演算装置でセンサ生信号を処理することによって、路面表面状態のほとんど僅かな変化の精確な測定および検知が可能となる。
【0025】
路面非平坦性を算出および特徴付けるための方法の別の実施形態によれば、ホイール回転数の角状の変化の大きさが第1の閾値を上回ったときに、演算装置が路面非平坦性を算出するようになっている。この場合、閾値は自動車速度に依存し得る。さらに、演算装置は、ホイール回転数の角状の変化の大きさと少なくとも1つの第2の閾値と比較することによって縁部形状を算出し、この際に、少なくとも第2の閾値は第1の閾値よりも大きい。例えば、n個の異なる縁部形状を区別するように設定されることができ、この場合、nは自然数である。第1の閾値を含めて全部でn個の閾値が設けられている。例えば、尖った(急勾配の)縁部と、丸味の付けられた縁部と、斜面状の縁部とは、区別されるべきである。ホイール回転数の角状の変化の大きさが第1の閾値を上回っているが、第2の閾値よりも小さい場合、縁部の存在が検知され、この縁部は丸味の付けられた縁部と特徴付けられる。ホイール回転数の角状の変化の大きさが第2の閾値を上回っているが、第3の閾値よりも小さい場合、斜面状の縁部であると検知される。最後に、ホイール回転数の角状の変化の大きさが第3の閾値を上回っている場合、尖った縁部であると検知される。
【0026】
路面非平坦性を算出および特徴付けるための方法の別の実施形態によれば、少なくとも1つのホイール個別の加速度センサのセンサデータが、自動車の上下方向軸線に沿ったそれぞれのホイールの上下方向加速度を含んでおり、この場合、演算装置が上下方向加速度の経時推移に依存して路面非平坦性の縁部形状を算出する。上下方向加速度が大きければ大きいほど、縁部は一般的に、より急勾配で降下する。
【0027】
路面非平坦性を算出および特徴付けるための方法の別の実施形態によれば、上下方向加速度の大きさが第1の閾値を上回ったときに、路面非平坦性が算出され、上下方向加速度の大きさを少なくとも1つの第2の閾値と比較することによって縁部形状が算出される。ホイール回転数の角状の変化の大きさの場合と同様に、n個の縁部形状が区別されることができ、この場合、第1の閾値を含めて全部でn個の閾値が定められる。
【0028】
路面非平坦性を算出および特徴付けるための方法の別の実施形態によれば、演算装置が、ホイール回転数センサによって生成されたセンサデータを用いて自動車のホイールの上下方向加速度および/またはホイール回転数の周波数特性を演算し、この場合、演算装置がホイール回転数および/または上下方向加速度の演算された周波数特性を用いて路面非平坦性を算出する。したがって、周波数特性において少なくとも1つの所定の周波数が発生したときに、路面非平坦性が算出され得る。周波数特性は、路面非平坦性を算出し、かつ縁部形状を決定するために所定の周波数パターンと比較されてもよい。
【0029】
路面非平坦性を算出および特徴付けるための方法の別の実施形態によれば、演算装置がさらに、センサデータを用いて路面非平坦性の種類および/または状態を決定するようになっている。路面非平坦性の種類とは、例えば路面のくぼみ、凹部、隆起部、速度限界、傾斜面等であってよい。路面非平坦性の状態とは、空間的な広がり、例えば路面のくぼみの深さ、幅および長さと理解され得る。
【0030】
路面非平坦性を算出および特徴付けるための方法の別の実施形態によれば、路面非平坦性の特徴付けが、ホイール回転数および/または上下方向加速度の変化の振幅を用いて、路面非平坦性の深さおよび/または高さ(例えばセンチメートル)の算出を含む。この瞬間において変化する高周波のホイール回転数および/または上下方向加速度の振幅は、路面非平坦性の深さ若しくは高さに相当する。
【0031】
路面非平坦性を算出および特徴付けるための方法の別の実施形態によれば、ホイール回転数センサは、自動車のホイールに配置されたパルスホイールの運動に依存してパルスを検出し、この場合、路面非平坦性の特徴付けが、路面非平坦性への乗り入れと抜け出しとの間の時間内でのパルスの変化の数を用いた路面非平坦性の長さの算出を含む。
【0032】
路面非平坦性を算出および特徴付けるための方法の別の実施形態によれば、路面非平坦性の算出が、算出されたカーブ走行および/または個別ホイール評価を用いた自動車の基準点に対して相対的な前記路面非平坦性の位置の算出を含む。これによって、路面非平坦性の幅が決定され得る。
【0033】
路面非平坦性を算出および特徴付けるための方法の別の実施形態によれば、路面非平坦性の様々な縁部形状のために、例えば所定の条件下でのテスト走行において生成される、ホイール回転数振幅の周波数パターンおよび所定の時間内でのパルス変化の数が記録され得る。瞬間的に算出された周波数パターンまたは振幅変動を、記録された周波数パターンと比較することによって、路面非平坦性の縁部形状を算出することができる。
【0034】
路面非平坦性を算出および特徴付けるための方法の別の実施形態によれば、勾配の振幅、つまりホイール回転数の経時変化を観察することによって、路面非平坦性、例えばくぼみの深さが算出され得る。振幅が大きければ大きい程、くぼみはより深くなる。所定の関係性、例えば参照表を用いて、ホイール回転数の経時変化によって路面非平坦性の深さが算出され得る。この場合、別のパラメータ、例えば自動車の瞬間的な速度も考慮されてよい。
【0035】
路面非平坦性を算出および特徴付けるための方法の別の実施形態によれば、演算装置がさらに、路面非平坦性を走行状況および/または走行事象を考慮して算出および/または特徴付ける。走行事象とは、例えばブレーキング事象、加速事象またはステアリング事象であってよい。走行状況において、例えば自動車の瞬間的な速度が考慮され得る。
【0036】
加速または減速自体によって既に路面非平坦性が検知されるのを避けるために、例えば強い加速時または減速時に路面非平坦性を検知するための閾値が高められることによって、走行状況または走行事象を用いてフォールスポジティブな検出が減少され得る。
【0037】
しかしながら、走行状況または走行事象を用いて、路面非平坦性の予測を検知することもできる。運転者が例えばくぼみを検知すると、運転者は通常形式で制動するので、ブレーキング事象の存在が、例えば検知された路面非平坦性の妥当性のために引用され得る。したがって例えば、所定の路面非平坦性の存在のための可能性が算出され得る。この可能性はブレーキング事象の存在によって高められる。
【0038】
路面非平坦性を算出および特徴付けるための方法の別の実施形態によれば、演算装置が路面非平坦性の縁部形状を、センサデータに依存する入力データを受信する機械学習モデルおよび/または統計学的なモデルを用いて算出する。
【0039】
入力データは、例えばセンサデータ自体であってよい。しかしながら、センサデータは、これが機械学習モデルおよび/または統計学的なモデルに提供される前に、まず先に処理されてもよい。
【0040】
機械学習モデルは、トレーニングデータを用いて前もってトレーニングされ得る。一実施形態によれば、機械学習モデルが運転中にリアルタイムで路面非平坦性を算出および/または特徴付けするようになっていてよい。
【0041】
路面非平坦性を算出および特徴付けるための方法の別の実施形態によれば、機械学習モデルは、少なくとも1つのホイール回転数の経時推移および/またはホイール回転数の周波数特性を入力値として受信する。機械学習モデルは路面非平坦性の存在の可能性に相当する値をアウトプットする。機械学習モデルは、路面非平坦性の様々な種類および/または状態を分類するためにトレーニングされてもよい。例えば、機械学習モデルは縁部形状を決定することができる。このために、例えば縁部形状は、所定の量の縁部形状から算出されてよい(例えば尖った縁部、丸味の付けられた縁部、傾斜面)。縁部形状は、例えば0と1との間の連続的なパラメータとして決定されてもよく、この場合、0は平らな移行部(丸味の付けられた縁部)に相当し、1は急勾配の縁部(例えば垂直な斜面)に相当する。
【0042】
路面非平坦性を算出および特徴付けるための方法の別の実施形態によれば、機械学習モデルは、少なくとも1つのホイール回転数センサのセンサデータも、また少なくとも1つのホイール個別の加速度センサのセンサデータも、入力データとして備えている。これらのデータは、並行して提供されるか、または機械学習モデルにインプットされる前に融合されてよい。
【0043】
路面非平坦性を算出および特徴付けるための方法の別の実施形態によれば、2つの機械学習モデルが設けられており、第1の機械学習モデルは、少なくとも1つのホイール回転数センサのセンサデータを用いて路面非平坦性の縁部形状を算出し、第2の機械学習モデルは、少なくとも1つのホイール個別の加速度センサのセンサデータを用いて路面非平坦性の縁部形状を算出する。次いで第1の機械学習モデルおよび第2の機械学習モデルのアウトプットは、路面非平坦性の縁部形状を最終的に算出するために、融合されてよい。様々なセンサデータを組み合わせることによって、精度が改善され得る。
【0044】
路面非平坦性を算出および特徴付けるための方法の別の実施形態によれば、演算装置は外部の、つまり自動車の外側に配置されている演算装置である。例えば、評価はクラウドで行われ得る。この場合、センサデータは、自動車のインターフェースを介して演算装置にアウトプットされてよい。
【0045】
路面非平坦性を算出および特徴付けるための方法の別の実施形態によれば、演算装置は内部の、つまり自動車内に配置されている演算装置である。例えば演算装置は自動車または自動車の部分システムのコントロールユニットである。例えば演算装置は自動車のアンチロックシステムのコントロールユニットであってよい。
【0046】
路面非平坦性を算出および/または特徴付けることは、別の実施形態によれば、コンピュータネットワークのエッジに実装されており(エッジコンピューティング)、この場合、コンピュータネットワークは、電子コントロールユニット、自動車コンピュータ、接続コントロールユニットおよびクラウドの任意の組合せを含んでいる。この複合体で、車両位置も情報として提供可能である。これにより検知された路面非平坦性と組み合わせて地図製作もできる。
【0047】
路面非平坦性を算出および特徴付けるための方法の別の実施形態によれば、道路損傷が検知されると、情報が自動車の表示装置を介して自動車の運転者にアウトプットされる。特にこの情報は、路面非平坦性の発生および/または路面非平坦性に関する詳細、例えば路面非平坦性の種類および/または状態を含んでいてよい。
【0048】
路面非平坦性を算出および特徴付けるための方法の別の実施形態によれば、演算装置は、様々なホイールの様々なホイール回転数センサおよび/またはホイール個別の加速度センサのセンサデータを互いに比較することができる。例えば自動車の一方側のホイール回転数センサおよび/またはホール個別の加速度センサにだけホイール回転数若しくは加速度の変化が発生すると、演算装置は、自動車の相応の側の範囲内に路面非平坦性の存在をつきとめたと、算出することができる。次いで演算装置は例えば路面のくぼみを検知することができる。
【0049】
自動車の両側のホイール回転数センサおよび/またはホイール個別の加速度センサでホイール回転数若しくは加速度の変化が発生すると、演算装置は、路面非平坦性が拡大していると、算出することができる。次いで演算装置は、例えば速度限界を検知することができる。
【0050】
路面非平坦性を算出および特徴付けるための方法の別の実施形態によれば、演算装置は、自動車の舵角を考慮することもできる。自動車がカーブを走行すると舵角が所定の閾値を上回り、ホイールのホイール回転数センサおよび/またはホイール個別の加速度センサのうちの1つだけが閾値を上回るホイール回転数若しくは加速度の著しい変化を測定したことが、演算装置により算出されると、演算装置は路面のくぼみを検知することができる。この場合、舵角に基づいて自動車の1つのホイールだけが路面のくぼみを通過したことが予測される。路面非平坦性が広く存在する場合、複数のホイールで閾値を上回るホイール回転数若しくは加速度の著しい変化が測定される。
【0051】
路面非平坦性を算出および特徴付けるための方法の別の実施形態によれば、演算装置は、複数のセンサデータを用いて路面非平坦性の長さを演算する。つまり、演算装置はホール回転数および/または加速度の第1の変化に基づいて路面非平坦性への乗り入れを検知することができ、ホイール回転数および/または加速度の第2の変化を用いて路面非平坦性からの抜け出しを検知することができる。車両速度を考慮して、演算装置は路面非平坦性の長さを算出することができる。路面非平坦性への乗り入れの時点と路面非平坦性からの抜け出しの時点との間のパルス変化の数は、例えばセンチメートルの長さに相当する。
【0052】
路面非平坦性を算出および特徴付けるための方法の別の実施形態によれば、演算装置は、所定の時間に亘ってのホイール回転数の平均値を求めることによって、平均化されたホイール回転数を演算する。平均化されたホイール回転数からの瞬間的なホイール回転数のずれが閾値を上回っている場合、演算装置は路面非平坦性を算出する。
【0053】
路面非平坦性を算出および特徴付けるための方法の別の実施形態によれば、演算装置は、路面非平坦性の存在を、別のセンサ、例えばビデオセンサ、ライダーセンサ、レーダセンサ等のセンサデータを考慮して算出する。特に演算装置は、路面非平坦性の存在を追加的なセンサデータを用いて妥当化することができる。したがって、ビデオデータを用いて物体認識法によって路面非平坦性の種類および/または状態が算出され得る。
【0054】
路面非平坦性を算出および特徴付けるための方法の別の実施形態によれば、路面非平坦性を算出および/または特徴付けるための少なくとも1つの閾値が設定可能であり得る。このために、例えば自動車とクラウドとの間の双方向通信によるインターフェースが設けられていてよい。
【0055】
路面非平坦性を算出および特徴付けるための方法の別の実施形態によれば、路面非平坦性に関する複数のデータは、地理マップを作成するために集められる。特に、1つの道路マップに、路面非平坦性および任意に路面非平坦性の種類および/または状態が記載され得る。地理マップの作成は、統計に基づくおよび/または機械的な学習に基づくアルゴリズムを用いてクラウドで行うことができる。地理マップはダイナミックに更新され得る。
【0056】
路面非平坦性を算出および特徴付けるための方法の別の実施形態によれば、内部のまたは外部の加速度センサのセンサデータが、三次元の振動を検知するために引用され得る。統計学的な方法または機械的な学習モデルによって、路面非平坦性が検知され得る。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1】本発明の一実施形態による路面非平坦性を算出および特徴付けるための装置の概略的なブロック図である。
【
図2】路面非平坦性を算出および特徴付けるための本発明による装置を備えた自動車の概略的なブロック図である。
【
図3】路面非平坦性上を通り過ぎる際のホイール回転数の変化を説明するための概略図である。
【
図4】様々な縁部形状のためのホイール回転数および加速度の推移を示す概略図である。
【
図5】本発明の一実施形態による路面非平坦性を算出および特徴付けるための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0058】
すべての図面において、同じ若しくは機能的に同じ構成要素および装置には同じ符号が付けられている。方法ステップの番号付けは見やすくするために用いられるものであって、一般的に所定の時間的な連続を意味するものではない。特に複数の方法ステップが同時に実行されてもよい。
【0059】
実施例の説明
図1は、路面非平坦性を算出および特徴付けるための装置1の概略的なブロック図を示す。この装置1はインターフェース2を含んでおり、このインターフェース2は、例えば自動車通信バスを介して少なくとも1つのホイール回転数センサおよび/または少なくとも1つのホイール個別の加速度センサに連結されている。この装置1はさらに、自動車のブレーキシステムの様々な内部センサに接続されていてよい。追加的に、システム外部のセンサが例えば自動車通信バスを介して接続されていてもよい。
【0060】
インターフェース2は、自動車と結合できるようにするために無線誘導式の接続であってもよい。したがって、装置1は車両内部に配置されるかまたは外部の装置であってもよい。
【0061】
装置1はさらに、インターフェース2を介して受信されたセンサデータを用いて路面非平坦性を算出し、かつ特徴付ける演算装置3を含んでいる。演算装置3は、単数または複数の電子プロセッサ、例えばプログラミング可能なマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ等を含んでいてよい。さらに、装置1は、受信されたセンサデータを記憶するために、非一時的な機械読み取り可能な記憶装置4を含んでいる。演算装置3は、記憶装置4を読み取り、かつ記憶装置4に書き込むことができる。
【0062】
演算装置3は、データ検出のための第1のユニット31と、センサデータを前処理するための第2のユニット32と、路面非平坦性を算出するための第3のユニット33とを含んでいてよい。第1のユニット31乃至第3のユニット33は、別個の電子プロセッサとして構成されていてよいかまたは同じ電子プロセッサによってまたは電子プロセッサの組合せによって実行されてもよい。
【0063】
データ検出の段階で、装置1は少なくとも1つのセンサからほぼリアルタイムで信号を検出する。少なくとも1つのセンサによって受信されたデータは、例えばホイール回転数センサの回転数パルスまたはホイール個別の加速度センサからの車両のホイールの上下方向加速度等の未加工フォーマットで提供される。これらの信号は、インターフェース2を介して検出され、第1のユニット31によって例えば記憶装置4に書き込まれる。
【0064】
前処理段階において、高周波のホイール回転数データを演算するために、生センサデータは第2のユニット32によって修正され処理される。
【0065】
モデルアルゴリズムの演算の段階で、路面非平坦性を検知するために、第3のユニット33によって高周波のホイール回転数データが用いられる。第3のユニット33は、モデルの例えば精密校正された閾値に基づいて道路の粗さと路面のくぼみおよび起伏とを区別し得る。しかも、路面非平坦性の種類および/または状態を検知することができる。特に路面非平坦性の深さおよび/または長さおよび/または幅が検知されアウトプットされる。第3のユニット33はさらに、路面非平坦性の縁部形状を、例えばホイール回転数の推移を用いて検知する。選択的にまたは追加的に、路面非平坦性の縁部形状を検知するために第3のユニット33は単数若しくは複数のホイールの上下方向加速度の推移を考慮することができる。
【0066】
情報は、インターフェース2を介して、例えば自動車の別の演算装置または外部のクラウドにアウトプットされ得る。
【0067】
図2は、
図1に記載された路面非平坦性を算出および特徴付けるための装置1を備えた自動車101の概略的なブロック図を示す。自動車101の複数のホイールにそれぞれ1つのホイール回転数センサおよび/またはホイール個別の加速度センサ103が配置されており、これらのホイール回転数センサおよび/または加速度センサ103は、固定配線されてまたはその代わりに自動車バスを介して装置1および自動車コンピュータ104に接続されている。この場合、この装置1は自動車101の電子コントロールユニットであってよい。
【0068】
この装置1は、ホイール回転数センサおよび/またはホイール個別の加速度センサ103によって受信された情報を用いて、自動車速度、走行距離、スリップ等を算出する。さらに、この装置1は、上述のように路面非平坦性並びに路面非平坦性の縁部形状を算出する。
【0069】
選択的に、自動車コンピュータ104は、路面非平坦性を算出および特徴付けるために構成されていてもよい。
【0070】
路面非平坦性に関する情報は、自動車101の通信バスを介して、さらに別の自動車またはその他の外部の装置(V2X装置)と通信するための装置105に転送されてよい。この装置105は、情報を記憶し、かつ/または無線誘導式の通信チャンネル106を介してクラウドインフラストラクチャー107に伝送し得る。無線誘導式の通信チャンネル206は、例えば移動無線網、Wi-Fiインターフェース、ブルートゥース(登録商標)インターフェースその他を含んでいてよい。
【0071】
次いでクラウドインフラストラクチャー107で、データが、管理され、修正され、処理され、可視化され得る。路面非平坦性に関する情報が可視化される地理マップを作成するために、データは例えばさらに処理され得る。路面のくぼみおよび路面非平坦性に関する表または報告も生成され得る。
【0072】
図3は、自動車が路面非平坦性302,303を通り過ぎる際のホイール回転数の変化を説明するための概略図を示す。この場合、ホイール回転数センサは、インクリメンタルエンコーダ原理を利用してホイール301のホイール回転数を算出する。
【0073】
ホイール回転数センサのセンサ素子305、例えばホールセンサ、異方性磁気抵抗効果(AMR)センサ、巨大磁気抵抗(GMR)センサ等が、ホイール301の車軸に取り付けられている回転するエンコーダ304の変化する磁界に晒される。
【0074】
検出された磁束の変化は、回転数パルスとして演算装置1に伝送される。演算装置1は、隣接し合う回転数パルス間のタイムラグを測定して、その結果から(別の校正パラメータ、例えば1回転毎およびホイールサイズ毎のパルス数と共に)、瞬間的な高周波のホイール回転数を算出する。
【0075】
くぼみ302または路面隆起部303に乗り入れる際およびそこから抜け出す際に、瞬間的な高周波のホイール回転数の狂いが突発的に発生する。その原因は、ホイール301がくぼみ302に乗り入れる際にホイール回転数の突発的な上昇306に晒されることにある。それとは逆に、ホイール301はくぼみ302を抜け出す際に回転数の突発的な低下307に晒される。
【0076】
路面隆起部303では逆の挙動が発生する、つまり、ホイール301は、路面隆起部303に乗り入れる際にホイール回転数の突発的な低下308に晒される。それとは逆に、ホイール301は、路面隆起部303から抜け出す際に回転数の突発的な上昇309に晒される。
【0077】
狂いの振幅(ウェーブレット振幅)は、くぼみ302の深さ若しくは路面隆起部303の高さの程度であり、乗り入れと抜け出しとの間のパルスの数は、くぼみの長さを表す区間に相当する。
【0078】
図4は、様々な縁部形状、つまり急勾配の縁部401、丸味の付けられた縁部501、傾斜面601のためのホイール回転数および加速度の推移の概略図を示す。さらに、急勾配の縁部のためのホイール回転数センサ103の相応の信号推移402並びに加速度センサ103の信号推移403が示されており、また丸味の付けられた縁部のための相応の信号推移502,503、傾斜面のための信号推移602,603が示されている。これらの信号推移は、例えばパターン検知(例えば機械学習モデルおよび/または統計学的なモデルによる)または閾値との比較によって検知されることができ、それぞれ1つの特徴的な形状を示す。
【0079】
図5は、路面非平坦性を算出および特徴付けるための方法のフローチャートを示す。この方法は、以上記載した装置1によって実行され得る。それとは逆に、この装置1は、以下に記載する方法ステップを実行するために構成されていてよい。
【0080】
第1の方法ステップS1で、路面上を走行する自動車101の少なくとも1つのホイール回転数センサ103および/または少なくとも1つのホイール個別の加速度センサ103によってセンサデータが生成される。
【0081】
第2の方法ステップS2で、生成されたセンサデータを用いて演算装置3が路面非平坦性を算出および特徴付ける。このために、演算装置3は、ホイール回転数の経時推移を算出することができる。路面非平坦性の始まりにおいて、演算装置3は特にホイール回転数の時間的変化を算出し得る。この時間的変化が閾値を上回ると、路面非平坦性が検知される。さらに、演算装置3は路面非平坦性の縁部形状を算出する。
【0082】
演算装置3は、路面非平坦性を算出し、かつ特徴付けるために、ホイール回転数の周波数特性も演算しかつ考慮し得る。
【0083】
さらに、ホイールの上下方向加速度の変化が予め設定された閾値を上回ると、路面非平坦性が検知されることが設定され得る。
【0084】
路面非平坦性の算出は、モデルアルゴリズムによって行われ、このモデルアルゴリズムは、インプットとしての生のセンサデータの処理、瞬間的な高周波のホイール回転数の算出およびこのホイール回転数の監視を含んでいてよい。
【0085】
さらに、演算装置3は、ホイール回転数の第1の変化に基づいて路面非平坦性への乗り入れを検知し、ホイール回転数の第2の変化を用いて路面非平坦性からの抜け出しを検知することができる。
【0086】
路面非平坦性の乗り入れと抜け出しとの間の時間におけるパルスの数が算出されることによって、車両速度を考慮しながら、路面非平坦性の長さが算出され得る。
【0087】
さらに、例えばホイール回転数の変化の振幅が算出されることによって、路面非平坦性の深さが算出され得る。深さは、例えば振幅に比例しており、校正を用いて学習され得る。
【0088】
さらに、例えば路面非平坦性が各ホイールにおいてまたは所定のホイールにおいてのみ確認されるかどうかが検知されることによって、幅を算出することができる。
【0089】
路面非平坦性を、機械学習モデルを用いておよび/または統計学的なモデルを用いて得ることもできる。
【0090】
さらに、路面非平坦性に関する情報をクラウドにアウトプットすることができる。これらの情報を用いて、路面非平坦性が記録されている地理マップを作成することができる。
【0091】
路面非平坦性の算出は、例えば自動車101のアンチロックシステムのコントロールユニットで演算することによって車両内部で行うことができる。しかしながら、路面非平坦性の算出は、自動車101の少なくとも部分的に外部、例えばクラウドで行うこともできる。
【符号の説明】
【0092】
1 路面非平坦性を算出および特徴付けるための装置、電子コントロールユニット
2 インターフェース
3 演算装置
4 記憶装置
31 第1のユニット
32 第2のユニット
33 第3のユニット
101 自動車
103 ホイール回転数センサ、加速度センサ
104 自動車コンピュータ
105 外部の装置と通信するための装置
106 インターフェース、通信チャンネル
107 クラウドインフラストラクチャー
301 ホイール
302 路面非平坦性、くぼみ
303 路面非平坦性、路面隆起部
304 エンコーダ
305 センサ素子
306 上昇
307 低下
308 低下
309 上昇
401 急勾配の縁部
501 丸味の付けられた縁部
502,503 信号推移
601 傾斜面
602,603 信号推移
S1 方法ステップ
【手続補正書】
【提出日】2024-04-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面の路面非平坦性を算出および特徴付けるための方法において、次のステップ、すなわち、
路面上を走行する自動車(101)の少なくとも1つのホイール回転数センサ(103)および/または少なくとも1つのホイール個別の加速度センサ(103)によってセンサデータを生成するステップ(S1)と、
生成された前記センサデータを用いて演算装置(3)によって路面非平坦性を算出し、かつ特徴付けるステップ(S2)と、を有しており、
前記路面非平坦性の特徴付けが、路面非平坦性の縁部形状の算出を含んでいる、路面の路面非平坦性を算出および特徴付けるための方法。
【請求項2】
前記ホイール回転数センサ(103)が前記自動車(101)の1つのホイールに配置されたパルスホイールの運動に依存してパルスを検出し、前記演算装置(3)が、時間に依存して検出されたパルスの変化を用いてホイール回転数の角状の推移を算出し、前記演算装置(3)がホイール回転数の算出された角状の推移を用いて前記縁部形状を算出する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記演算装置(3)は、ホイール回転数の角状の変化の大きさが第1の閾値を上回ったときに路面非平坦性を算出し、ホイール回転数の角状の変化の大きさを少なくとも1つの第2の閾値と比較することによって前記縁部形状を算出する、請求項2記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つのホイール個別の加速度センサのセンサデータがホイールの上下方向加速度を含んでおり、前記演算装置(3)が、前記上下方向加速度の経時推移に依存して路面非平坦性の前記縁部形状を算出する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記上下方向加速度の大きさが前記第1の閾値を上回ったときに、前記演算装置(3)が路面非平坦性を算出し、前記上下方向加速度の大きさを少なくとも1つの第2の閾値と比較することによって前記縁部形状を算出する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記演算装置(3)が、生成された前記センサデータを用いてホイールのホイール回転数の周波数特性および/または上下方向加速度を演算し、前記演算装置(3)が、ホイールの前記ホイール回転数の演算された前記周波数特性および/またはホイールの前記上下方向加速度を用いて路面非平坦性の縁部形状を算出する、請求項1から
3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記演算装置(3)が路面非平坦性の前記縁部形状を、前記センサデータに依存する入力データを受信する機械学習モデルおよび/または統計学的なモデルを用いて算出する、請求項1から
3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記演算装置(3)が、前記自動車(101)に関連して外部の演算装置(3)であり、
前記センサデータを、前記自動車(101)のインターフェース(106)を介して前記演算装置(3)にアウトプットする、請求項1から
3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記演算装置(3)が、前記自動車(101)のアンチロックシステムのコントロールユニットである、請求項1から
3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
路面の路面非平坦性を算出および特徴付けるための装置(1)において、
路面上を走行する自動車(101)の少なくとも1つのホイール回転数センサ(103)および/または少なくとも1つのホイール個別の加速度センサ(103)によって生成されたセンサデータを受信するために構成されたインターフェース(2)と、
生成された前記センサデータを用いて路面非平坦性を算出し、かつ特徴付けるために構成された演算装置(3)と、を有しており、
前記路面非平坦性の特徴付けが、路面非平坦性の縁部形状の算出を含んでいる、路面の路面非平坦性を算出および特徴付けるための装置。
【国際調査報告】