(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】選択的触媒還元のための金属酸化物触媒
(51)【国際特許分類】
B01J 23/34 20060101AFI20240822BHJP
B01J 23/889 20060101ALI20240822BHJP
B01J 37/02 20060101ALI20240822BHJP
B01J 35/57 20240101ALI20240822BHJP
B01J 32/00 20060101ALI20240822BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20240822BHJP
F01N 3/10 20060101ALI20240822BHJP
F01N 3/08 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
B01J23/34 A ZAB
B01J23/889 A
B01J37/02 101D
B01J35/57 L
B01J35/57 E
B01J32/00
B01D53/94 222
B01D53/94 245
B01D53/94 280
B01D53/94 400
B01D53/94 228
F01N3/10 A
F01N3/08 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509023
(86)(22)【出願日】2022-08-18
(85)【翻訳文提出日】2024-03-12
(86)【国際出願番号】 CN2022113350
(87)【国際公開番号】W WO2023020579
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】202110952837.6
(32)【優先日】2021-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/113508
(32)【優先日】2021-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505470786
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、デンソン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ペンルー
(72)【発明者】
【氏名】リー、ホンルイ
(72)【発明者】
【氏名】リー、ユエジン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、シャウ リン
【テーマコード(参考)】
3G091
4D148
4G169
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
非バナジウム系金属酸化物触媒組成物が提供される。触媒組成物は、酸化マンガンを含み担体上に分散されている、少なくとも1種の金属酸化物と、アルミニウム並びにセリウム、マンガン及びチタンから選択される少なくとも1種の金属の複合酸化物の粒子を含む担体と、を含み、アルミニウムは、複合酸化物中に、複合酸化物の総重量に基づいて、Al2O3として計算して50重量%~80重量%の量で存在し、酸化マンガンは、金属酸化物触媒組成物中に、金属酸化物触媒組成物の総重量に基づいて、MnO2として計算して2.5重量%~10重量%の量で存在する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非バナジウム系金属酸化物触媒組成物であって、
-酸化マンガンを含む、少なくとも1種の金属酸化物と、
-アルミニウムと、セリウム、マンガン及びチタンから選択される少なくとも1種の金属と、の複合酸化物の粒子を含み、アルミニウムが、前記複合酸化物中に、前記複合酸化物の総重量に基づいて、Al
2O
3として計算して50重量%~80重量%の量で存在する担体と、
を含み、
前記少なくとも1種の金属酸化物が、前記担体上に分散されており、
酸化マンガンが、前記金属酸化物触媒組成物中に、前記金属酸化物触媒組成物の総重量に基づいて、MnO
2として計算して2.5重量%~10重量%の量で存在する、非バナジウム系金属酸化物触媒組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1種の金属酸化物が、チタン(Ti)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)若しくはアルミニウム(Al)、又はそれらの任意の組合せの酸化物を更に含む、請求項1に記載の非バナジウム系金属酸化物触媒組成物。
【請求項3】
Ti、Fe、Mg及びAlの前記酸化物の各々が、前記金属酸化物触媒組成物の総重量に基づいて、それぞれの酸化物として計算して、10重量%以下、8重量%以下、又は6重量%以下の量で存在する、請求項2に記載の非バナジウム系金属酸化物触媒組成物。
【請求項4】
酸化マンガンが、前記金属酸化物触媒組成物の総重量に基づいて、MnO
2として計算して3重量%~8重量%の量で存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の非バナジウム系金属酸化物触媒組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1種の金属酸化物が、酸化チタンを更に含み、酸化チタンが、好ましくは、前記触媒組成物の総重量に基づいて、TiO
2として計算して1~6重量%、又は2~4重量%の量で存在する、請求項1~4のいずれか一項に記載の非バナジウム系金属酸化物触媒組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1種の金属酸化物が、酸化鉄を更に含み、酸化鉄が、好ましくは、前記金属酸化物触媒組成物の総重量に基づいて、Fe
2O
3として計算して、1~5重量%、又は3~5重量%の量で存在する、請求項1~5のいずれか一項に記載の非バナジウム系金属酸化物触媒組成物。
【請求項7】
前記担体が、前記複合酸化物の粒子と、Ti、Si、Zr、La及びBaから選択されるドーパントと、を含み、ドーパントが、好ましくは、前記金属酸化物触媒組成物の総重量に基づいて、それぞれの酸化物として計算して1~10重量%、又は3~6重量%の量で存在する、請求項1~6のいずれか一項に記載の非バナジウム系金属酸化物触媒組成物。
【請求項8】
前記担体が、アルミニウム、セリウム、並びに任意にマンガン及び/又はチタンの複合酸化物の粒子を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の非バナジウム系金属酸化物触媒組成物。
【請求項9】
前記担体が、アルミニウム及びセリウムの複合酸化物の粒子と、任意にドーパントと、からなる、請求項7に記載の非バナジウム系金属酸化物触媒組成物。
【請求項10】
セリウムが、前記複合酸化物中に、前記複合酸化物の総重量に基づいて、CeO
2として計算して、20重量%~50重量%、20重量%~40重量%、又は20重量%~30重量%の量で存在する、請求項8又は9に記載の非バナジウム系金属酸化物触媒組成物。
【請求項11】
アルミニウム及びセリウムの前記複合酸化物が、Al
2O
3の相及びCeO
2の相を含み、結晶子サイズが、フレッシュな状態でのXRD分析によって測定して、少なくとも5nm、好ましくは少なくとも9nm、少なくとも9.5nm、又は少なくとも10nmである、請求項10に記載の非バナジウム系金属酸化物触媒組成物。
【請求項12】
コーティング金属酸化物、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム又はこれらの任意の組合せを更に含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の非バナジウム系金属酸化物触媒組成物。
【請求項13】
前記少なくとも1種の金属酸化物の1種以上の前駆体を前記担体上に含浸させる工程と、次いで任意に、前記コーティング金属酸化物の1種以上の前駆体を含浸させる工程と、を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の非バナジウム系金属酸化物触媒組成物を調製するためのプロセス。
【請求項14】
前記少なくとも1種の金属酸化物の1種以上の前駆体の担体上への含浸が、水溶性アルコール溶媒中で行われる、請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
前記水溶性アルコール溶媒が、メタノール、エタノール、n-プロパノール及びイソプロパノールから選択される、請求項13又は14に記載のプロセス。
【請求項16】
前記少なくとも1種の金属酸化物の1種以上の前駆体を含浸させる前に、好ましくは水溶性アルコール溶媒中で、ドーパントの1種以上の前駆体を前記複合酸化物の粒子上に含浸させる工程を更に含む、請求項13~15のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項17】
選択的触媒還元による窒素酸化物を含有する排気ガスの処理のための方法であって、還元剤の存在下で、前記排気ガスを請求項1~12のいずれか一項に記載の金属酸化物触媒組成物と接触させることを含む、方法。
【請求項18】
前記排気ガスが、内燃エンジン、例えば、ディーゼルエンジン、特に、高負荷ディーゼルエンジンから発生する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
請求項1~12のいずれか一項に記載の金属酸化物触媒組成物を、例えば、粉末若しくは押出物の形態で、又は基材上のウォッシュコートの形態で含む触媒物品。
【請求項20】
前記基材が、モノリシックフロースルー構造又はモノリシックウォールフロー構造である、請求項19に記載の触媒物品。
【請求項21】
還元剤供給源と、請求項19又は20に記載の触媒物品と、任意に、ディーゼル酸化触媒(DOC)、三元変換触媒(TWC)、四元変換触媒(FWC)、無触媒又は触媒スートフィルタ(CSF)、アンモニア酸化触媒(AMOx)、NOx捕捉、NOx吸収装置触媒、炭化水素捕捉触媒、センサ及びミキサのうちの1つ以上と、を含む、特に内燃エンジンからの排気ガスの処理のためのシステム。
【請求項22】
前記触媒物品が、ディーゼルエンジン、特に高負荷ディーゼルエンジンなどの内燃エンジンの下流に、密結合位置、密結合位置の下流、あるいはその両方で、好ましくは密結合位置で配置される、請求項21に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選択的触媒還元のための非バナジウム系金属酸化物触媒、その調製プロセス、及び選択的触媒還元による窒素酸化物を含有する排気ガスの処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
窒素酸化物(NOx)は、一般的な大気汚染物質であり、自動車などの移動源及び発電所などの固定源からの排気ガス中に一般に含有される。NOx排出の制御は、生態系、ヒト、動物及び植物に対するNOxの環境的な悪影響のために、例えば自動車製造分野において、常に最も重要な話題の1つである。
【0003】
排気ガス中のNOxを減少させるために、様々な処理方法、例えば窒素酸化物の触媒還元が使用されてきた。1つの典型的な触媒還元プロセスは、大気中の酸素の存在下で還元剤としてアンモニア(NH3)あるいはアンモニア前駆体を用いる選択的触媒還元であり、これはSCRプロセスとも呼ばれる。SCRプロセスは、少量の還元剤で高度のNOx低減を得ることができるので、優れていると考えられる。典型的には、窒素酸化物及び還元剤NH3は、以下の式に従って反応する。
4NO+4NH3+O2→4N2+6H2O(標準SCR反応)
2NO2+4NH3+O2→3N2+6H2O(低速SCR反応)
NO+NO2+2NH3→2N2+3H2O(高速SCR反応)。
【0004】
選択的触媒還元に伴う副反応は、低原子価窒素酸化物、特に還元剤NH3及び酸素からの亜酸化窒素(N2O)の形成である。
【0005】
例えば、NOx変換及びN2O形成に関するNOx処理効率は、SCRプロセスで使用される触媒に大きく依存する。NOxの選択的触媒還元に有用な触媒、すなわちSCR触媒はよく知られている。
【0006】
典型的な種類のSCR触媒はバナジウム系触媒であり、これは一般に、TiO2などの担体上に、活性種として酸化バナジウム及び、任意に、WO3などの促進剤として1つ以上の他の金属酸化物を含む。しかしながら、バナジウム系触媒は、望ましい熱耐久性を有していない。バナジウム系触媒は、一旦エージングされると、低温(例えば、300℃未満)下でかなり低い活性を示す。バナジウム系触媒の別の欠点は、V2O5が周囲に漏出する可能性があり、環境問題を引き起こすことである。
【0007】
別の種類のSCR触媒は、ゼオライト系触媒であり、これは一般に遷移金属交換小細孔アルミノシリケートゼオライトを含む。ゼオライト系触媒は、低温(例えば、210℃)で高い活性を示すが、還元剤の注入に対する反応が遅いという欠点がある。低速の反応は、ゼオライト骨格の酸部位に起因すると考えられ、ここで、還元剤NH3は、NOx還元に効果的に利用可能になる前に、飽和状態まで吸収される。
【0008】
最近、非バナジウム金属酸化物の種類が、SCR用のゼオライト系触媒及びバナジウム系触媒の代替物として提案されている。これらの金属酸化物触媒は、一般に、いくつかの先行特許出願に記載されているように、担体上にベース金属活性種の1つ以上の酸化物を含む。
【0009】
特開2003-326167号公報は、ジルコニウム系担体上に酸化タングステンあるいは酸化モリブデンを含むSCR触媒を記載している。
【0010】
国際公開第2009/001131号は、セリウム及びジルコニウムからなる担体材料としての混合酸化物若しくは複合酸化物又はそれらの混合物上に分散された少なくとも1種の遷移金属を含むSCR触媒を記載している。
【0011】
中国特許出願公開第106824173号明細書には、担体としてセリウム及びアルミニウムの複合酸化物(CeO2-Al2O3)上に分散された酸化マンガン(MnOx)を含むSCR触媒が記載されている。担体は、セリウム及びアルミニウムの水酸化物を共沈させ、次いで焼成してセリウム及びアルミニウムの複合酸化物を得ることによって調製された。
【0012】
改善されたNOx処理効率を有する非バナジウム系金属酸化物SCR触媒を開発することができれば望ましいであろう。
【発明の概要】
【0013】
本発明の目的は、特に低温(例えば、210℃未満)下で良好に機能するSCR触媒を提供することである。
【0014】
驚くべきことに、この目的は、アルミニウム(Al)と、セリウム(Ce)、マンガン及びチタン(Ti)から選択される少なくとも1種の金属と、の複合酸化物の粒子を含む担体上に分散されたマンガン(Mn)種を含む非バナジウム系金属酸化物組成物によって達成されることが見出された。
【0015】
本発明の別の目的は、改善されたNOx処理効率を有する非バナジウム系金属酸化物組成物の調製に特に有用なプロセスを提供することである。
【0016】
この目的は、水溶性アルコール溶媒中、アルミニウムと、セリウム、マンガン及びチタンから選択される少なくとも1種の金属と、の複合酸化物の粒子を含む担体上に、Mn種の前駆体を含浸させることを含むプロセスによって達成された。
【0017】
したがって、一態様において、本発明は、
-酸化マンガンを含む、少なくとも1種の金属酸化物と、
-アルミニウムと、セリウム、マンガン及びチタンから選択される少なくとも1種の金属と、の複合酸化物の粒子を含み、アルミニウムが、複合酸化物中に、複合酸化物の総重量に基づいて、Al2O3として計算して50重量%~80重量%の量で存在する担体と、
を含み、
少なくとも1種の金属酸化物は、担体上に分散されており、
酸化マンガンは、金属酸化物触媒組成物中に、金属酸化物触媒組成物の総重量に基づいて、MnO2として計算して2.5重量%~10重量%の量で存在する非バナジウム系金属酸化物触媒組成物に関する。
【0018】
別の態様において、本発明は、本明細書に記載される非バナジウム系金属酸化物触媒組成物を調製するためのプロセスであって、少なくとも1種の金属酸化物の1種以上の前駆体を、特に水溶性アルコール溶媒中で担体上に含浸させることと、焼成することとを含むプロセスに関する。
【0019】
更に別の態様では、本発明は、還元剤の存在下で排気ガスを本明細書に記載される金属酸化物触媒組成物と接触させることを含む、選択的触媒還元による窒素酸化物を含有する排気ガスの処理方法に関する。
【0020】
更なる態様では、本発明は、還元剤供給源と、本明細書に記載される金属酸化物触媒組成物と、任意に、ディーゼル酸化触媒(diesel oxidation catalyst、DOC)、三元変換触媒(three-way conversion catalyst、TWC)、四元変換触媒(four-way conversion catalyst、FWC)、無触媒又は触媒スートフィルタ(catalyzed soot filter、CSF)、アンモニア酸化触媒(ammonia oxidation catalyst、AMOx)、NOx捕捉、NOx吸収装置触媒、炭化水素捕捉触媒、センサ及びミキサのうちの1つ以上と、を含む、特に内燃エンジンからの排気ガスの処理のためのシステムに関する。
【0021】
本発明者らは、本発明による金属酸化物触媒組成物が、自動車エンジン、特に高負荷ディーゼルエンジンからの排気ガスを処理するのに特に有用な、改善されたNOx処理効率を有することを見出した。本発明による金属酸化物触媒組成物は、低温(例えば、210℃未満)での良好なSCR性能と、所望の熱安定性と、を両立する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施例で使用したフレッシュな複合酸化物担体材料のXRDパターンを示す。
【
図2】実施例で使用したエージングした複合酸化物担体材料のXRDパターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、本明細書の以下に詳細に記載されるであろう。本発明は、多くの異なる方法で実施され得、本明細書に記載される実施形態に限定されるものと解釈されるべきではないことを理解されたい。
【0024】
本明細書において、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに他のことを指示しない限り、複数の指示対象を含む。「含む(comprise)」、「含んでいる(comprising)」などの用語は、「含有する(contain)」、「含有している(containing)」などと互換的に使用され、非限定的なオープンな方式で解釈されるべきである。すなわち、例えば、更なる成分又は要素が存在し得る。「からなる(consists of)」又は「から本質的になる(consists essentially of)」という表現又は同族語は、「含む(comprises)」又は同族語に包含され得る。
【0025】
本明細書で使用される「複合酸化物」という用語は、X線回折によってそれぞれの酸化物及び結晶相として同定することができる2つ以上の元素の酸化物からなる酸化物材料を指す。それぞれの酸化物は密接に接触しているが、物理的手段、例えば機械的混合あるいはブレンドによって得られる酸化物の物理的混合物ではない。
【0026】
本明細書で使用される「非バナジウム系」という用語は、組成物に意図的に組み込まれたバナジウム(例えば、バナジウムの形態で)を含まない金属酸化物触媒組成物を指す。「非バナジウム系金属酸化物触媒組成物」という用語及び「金属酸化物触媒組成物」という用語は、本明細書では互いに交換可能に使用される。
【0027】
本明細書で使用される「触媒物品」という用語は、必ずしも単一の物体ではない、触媒の機能を有する特定の形状の物品を意味することを意図している。換言すれば、触媒物品は、単一の本体であってもよく、あるいは2つ以上の分離可能な本体からなってもよい。
【0028】
第1の態様において、本発明は、
-酸化マンガンを含む、少なくとも1種の金属酸化物と、
-アルミニウムと、セリウム、マンガン及びチタンから選択される少なくとも1種の金属と、の複合酸化物の粒子を含み、アルミニウムが、複合酸化物中に、複合酸化物の総重量に基づいて、Al2O3として計算して50重量%~80重量%の量で存在する担体と、
を含み、
少なくとも1種の金属酸化物は、担体上に分散されており、
酸化マンガンは、金属酸化物触媒組成物中に、金属酸化物触媒組成物の総重量に基づいて、MnO2として計算して2.5重量%~10重量%の量で存在する非バナジウム系金属酸化物触媒組成物に関する。
【0029】
担体上に分散された少なくとも1種の金属酸化物は、チタン(Ti)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)若しくはアルミニウム(Al)、又はそれらの任意の組合せの酸化物を更に含んでもよい。Ti、Fe、Mg及びAlの酸化物の各々は、存在する場合、本発明による金属酸化物触媒組成物中に、金属酸化物触媒組成物の総重量に基づいて、それぞれの酸化物として計算して、10重量%以下、8重量%以下、又は6重量%以下の量で含まれ得る。
【0030】
いくつかの実施形態において、担体上に分散された少なくとも1種の金属酸化物は酸化マンガンからなり、酸化マンガンは、金属酸化物触媒組成物中に、金属酸化物触媒組成物の総重量に基づいて、MnO2として計算して、2.5重量%~10重量%又は3重量%~8重量%の量で存在する。
【0031】
いくつかの実施形態において、担体上に分散された少なくとも1種の金属酸化物は、酸化マンガン及び酸化チタンを含むか、あるいはそれらからなる。これらの実施形態において、各々金属酸化物触媒組成物の総重量に基づいて、酸化マンガンは、MnO2として計算して2.5重量%~10重量%あるいは3重量%~8重量%の量で存在し、酸化チタンは、TiO2として計算して1重量%~6重量%あるいは2重量%~4重量%の量で存在することが好ましい。具体的に酸化マンガン及び酸化チタンは、1:1~3:1、あるいは1.2:1~2.5:1、あるいは1.5:1~2:1の重量比で存在してもよい。
【0032】
いくつかの実施形態において、担体上に分散された少なくとも1種の金属酸化物は、酸化マンガン及び酸化鉄を含むか、あるいはそれらからなる。これらの実施形態において、各々金属酸化物触媒組成物の総重量に基づいて、酸化マンガンは、MnO2として計算して2.5重量%~10重量%あるいは3重量%~8重量%の量で存在し、酸化鉄は、Fe2O3として計算して1~5重量%あるいは3~5重量%の量で存在することが好ましい。具体的に酸化マンガン及び酸化鉄は、1:1~2:1、あるいは1:1~1.5:1の重量比で存在してもよい。
【0033】
いくつかの更なる実施形態において、担体上に分散された少なくとも1種の金属酸化物は、酸化マンガン、酸化チタン及び酸化鉄を含むか、あるいはそれらからなる。これらの実施形態において、各々金属酸化物触媒組成物の総重量に基づいて、酸化マンガンは、MnO2として計算して2.5重量%~10重量%あるいは3重量%~8重量%の量で存在し、酸化チタンは、TiO2として計算して1重量%~6重量%あるいは2重量%~4重量%の量で存在し、酸化鉄は、Fe2O3として計算して1重量%~5重量%あるいは3重量%~5重量%の量で存在することが好ましい。
【0034】
担体は、本明細書に記載される少なくとも1種の金属酸化物が分散され得る(「担持され得る」とも呼ばれる)粒子の形態である。複合酸化物の粒子は、フレッシュ状態で50~200m2/gのBET比表面積を有してもよい。
【0035】
粒子は、ドーパント、例えばTi、Si、Zr、LaあるいはBaによって修飾されていてもよい。この場合、担体は、複合酸化物の粒子及びドーパントを含んでいてもよい。ドーパントは、金属酸化物触媒組成物の総重量に基づいて、それぞれの酸化物として計算して1~10重量%、あるいは3~6重量%の量で存在してもよい。
【0036】
本明細書では、担体の文脈内で使用される「修飾された」あるいは「修飾する」という用語は、複合酸化物の粒子を処理してドーパントを粒子に組み込むことを指す。換言すれば、ドーパントは、複合酸化物の形成中に組み込まれない。
【0037】
いくつかの実施形態において、担体は、アルミニウム、セリウム、並びに任意にマンガン及び/又はチタンの複合酸化物の粒子を含むか、あるいはそれらからなる。特に、担体は、アルミニウム及びセリウムの複合酸化物の粒子と、任意にドーパントと、からなる。アルミニウム及びセリウムの複合酸化物は、Al2O3の相、及びCeO2の相を含んでもよく、結晶子サイズは、フレッシュな状態でX線粉末回折(XRD)分析によって測定して、少なくとも5nm、好ましくは少なくとも9nm、少なくとも9.5nm、又は少なくとも10nmである。セリウムは、複合酸化物中に、複合酸化物の総重量に基づいて、CeO2として計算して、20重量%~50重量%、20重量%~40重量%、あるいは20重量%~30重量%の量で存在し得る。
【0038】
本発明による金属酸化物触媒組成物は、コーティング金属酸化物、例えば酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウムあるいはそれらの任意の組合せを更に含むことができる。コーティング金属酸化物は、硫黄被毒に対する触媒の耐性を改善するため、あるいは触媒の熱安定性を改善するために有用であり得る。
【0039】
本明細書において、「コーティング」という用語は、それあるいはその前駆体を触媒粒子の表面上に分散させることによって金属酸化物触媒組成物中に組み込まれる成分を指す。コーティング金属酸化物は、触媒粒子の表面上のガス透過性層若しくは部分層又は分離された島の形態であってもよい。コーティング金属酸化物は、後処理によって、あるいは活性成分との共含浸によって触媒上に組み込むことができる。
【0040】
コーティング金属酸化物は、金属酸化物触媒組成物中に、金属酸化物触媒組成物の総重量に基づいて、0.5重量%~10重量%、1重量%~5重量%、あるいは0.8重量%~3重量%の量で存在し得る。
【0041】
本発明による金属酸化物触媒組成物が、少なくとも1種の金属酸化物、ドーパント及びコーティング金属酸化物成分のうちの2つ以上においてチタンを含む場合、チタンは、金属酸化物触媒組成物の総重量に基づいて、TiO2として計算して合計で6重量%以下の量で存在し得る。
【0042】
いくつかの実施形態において、本発明による金属酸化物触媒組成物は、少なくとも1種の金属酸化物成分、ドーパント及びコーティング金属酸化物の成分のうちの1つのみにおいて、チタンを、本明細書で上述したそれぞれの量で含む。
【0043】
いくつかの例示的な実施形態において、金属酸化物触媒組成物は、
-酸化マンガン、又は酸化マンガン及び酸化チタンを含むか、あるいはそれらからなる少なくとも1種の金属酸化物と、
-アルミニウム及びセリウムの複合酸化物の粒子、並びに任意にドーパントを含む担体であって、セリウムが、複合酸化物中に、複合酸化物の総重量に基づいて、CeO2として計算して20重量%~40重量%あるいは20重量%~30重量%の量で存在する担体と、
を含み、
少なくとも1種の金属酸化物は、担体上に分散されており、
酸化マンガンは、金属酸化物触媒組成物中に、金属酸化物触媒組成物の総重量に基づいて、MnO2として計算して2.5重量%~10重量%の量で存在する。
【0044】
いくつかの他の例示的な実施形態において、金属酸化物触媒組成物は、
-酸化マンガン、あるいは酸化マンガン及び酸化チタンからなる少なくとも1種の金属酸化物と、
-アルミニウム及びセリウムの複合酸化物の粒子、並びに任意にドーパントを含む担体であって、セリウムが、複合酸化物中に、複合酸化物の総重量に基づいて、CeO2として計算して20重量%~40重量%あるいは20重量%~30重量%の量で存在する担体と、
を含み、
少なくとも1種の金属酸化物は、担体上に分散されており、
酸化マンガンは、金属酸化物触媒組成物中に、金属酸化物触媒組成物の総重量に基づいて、MnO2として計算して3重量%~8重量%の量で存在する。
【0045】
いくつかの更なる例示的な実施形態において、金属酸化物触媒組成物は、
-酸化マンガン、あるいは酸化マンガン及び酸化チタンからなる少なくとも1種の金属酸化物と、
-アルミニウム及びセリウムの複合酸化物の粒子、並びに任意にドーパントを含む担体であって、セリウムが、複合酸化物中に、複合酸化物の総重量に基づいて、CeO2として計算して20重量%~40重量%あるいは20重量%~30重量%の量で存在する担体と、
を含み、
少なくとも1種の金属酸化物は、担体上に分散されており、
酸化マンガンは、金属酸化物触媒組成物中に、金属酸化物触媒組成物の総重量に基づいて、MnO2として計算して3重量%~8重量%の量で存在し、
アルミニウム及びセリウムの複合酸化物は、Al2O3の相、及びCeO2の相を含んでもよく、結晶子サイズは、フレッシュな状態でX線粉末回折(XRD)分析によって測定して、少なくとも9nm、少なくとも9.5nm、又は少なくとも10nmである。
【0046】
金属酸化物触媒組成物は、従来通りに、例えば少なくとも1種の金属酸化物の1種以上の前駆体を担体上に含浸させることによって調製することができる。
【0047】
したがって、第2の態様において、本発明は、本明細書に記載される非バナジウム系金属酸化物触媒組成物を調製するためのプロセスであって、少なくとも1種の金属酸化物の1種以上の前駆体を、好ましくは水溶性アルコール溶媒中で担体上に含浸させる工程と、次いで任意にコーティング金属酸化物の1種以上の前駆体を含浸させる工程を含むプロセスを提供する。
【0048】
特に、本発明は、本明細書に記載される非バナジウム系金属酸化物触媒組成物を調製するためのプロセスを提供し、このプロセスは、以下の
-少なくとも1種の金属酸化物の1種以上の前駆体を、水溶性アルコール溶媒中で担体粒子上に含浸させて、担持された粒子を得る工程と、
-担持された粒子を焼成して、焼成された粒子を得る工程と、
-任意に、コーティング金属酸化物の1種以上の前駆体を焼成された粒子上に含浸させ、次いで焼成する工程と、
を含む。
【0049】
少なくとも1種の金属酸化物の1種以上の前駆体を含浸させるための溶媒として好適な水溶性アルコールとしては、メタノール、エタノール、n-プロパノール及びイソプロパノールを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0050】
少なくとも1種の金属酸化物、担体及びコーティング金属酸化物は、金属酸化物触媒組成物について上述した通りである。少なくとも1種の金属酸化物及びコーティング金属酸化物の前駆体には特に制限はない。前駆体は、金属の無機あるいは有機の可溶性塩、錯体あるいは他の化合物であってもよい。
【0051】
担体は、第1の態様における金属酸化物触媒組成物について上述したような複合酸化物の粒子を含んでもよく、あるいはそれからなってもよい。特に、担体は、金属酸化物触媒組成物について上述したように、複合酸化物の粒子と、任意にTi、Si、Zr、LaあるいはBaなどのドーパントと、からなる。
【0052】
担体がドーパントによって修飾された複合酸化物の粒子からなる場合、修飾はまた、好ましくは水溶性アルコール溶媒中で、ドーパントの1種以上の前駆体を複合酸化物の粒子上に含浸させ、乾燥させ、任意に焼成することを含むプロセスによって行われてもよい。
【0053】
したがって、本発明によるプロセスは任意に、少なくとも1種の金属酸化物の1種以上の前駆体を含浸させる前に、好ましくは水溶性アルコール溶媒中で、ドーパントの1種以上の前駆体を複合酸化物の粒子上に含浸させ、乾燥させ、任意に焼成する工程を含む。
【0054】
本発明によるプロセスにおいて、含浸及び焼成操作は、水溶性アルコール溶媒が少なくとも1種の金属酸化物の1種以上の前駆体を担体粒子上に含浸させるために使用され得ることを除いて、当該技術分野において周知の任意の従来の様式及び条件で行われ得る。
【0055】
いくつかの実施形態において、ドーパント及び/又はコーティング金属酸化物の前駆体の含浸も、水溶性アルコール溶媒中で行われる。
【0056】
当該技術分野において周知であるように、本発明によるプロセスにおける焼成工程は、乾燥工程の後であってもよい。
【0057】
本発明による金属酸化物触媒組成物は、従来の触媒と比較して、望ましい熱安定性及び改善されたNOx処理効率を示すことが見出された。
【0058】
いかなる理論にも束縛されるものではないが、熱安定性は、金属酸化物触媒組成物中の担体として使用される複合酸化物の明確なミクロ宇宙構造に関連し得ると考えられる。更に、NOx処理効率の改善は、含まれる金属酸化物の明確な組成に関連し、複合酸化物の明確なミクロ宇宙構造にも関連し得ると考えられる。
【0059】
また、驚くべきことに、水溶性アルコール溶媒中の担体粒子上に少なくとも1種の金属酸化物の1種以上の前駆体を含浸させることによって調製された触媒は、溶媒として水溶性アルコールの代わりに水を使用した以外は同じ方法で調製された触媒と比較して、改善されたNOx変換を示すことが見出された。
【0060】
第3の態様では、本発明は、還元剤の存在下で排気ガスを本明細書に記載される金属酸化物触媒組成物と接触させることを含む、選択的触媒還元による窒素酸化物を含有する排気ガスの処理方法を提供する。
【0061】
金属酸化物触媒組成物は、排気ガスの処理のための方法において任意の従来の形態で、例えば、粉末若しくは押出物として、又は基材上のウォッシュコートとして使用され得る。
【0062】
金属酸化物触媒組成物は、一般に1~100ミクロン(μm)の平均粒径を有する粉末として使用することができる。金属酸化物触媒組成物の粒径は、例えば、粉砕及び/又は篩い分けによって調整することができる。
【0063】
金属酸化物触媒組成物は、押出物、すなわち押出によって得られる成形体として使用されてもよい。押出物は、排気ガス流動を通過させる任意の適切な構造、好ましくはハニカム構造を有し得る。ハニカム構造は、本明細書の以下にモノリシックフロースルー及びウォールフロー構造について記載されるような流動流路を有し得る。
【0064】
金属酸化物触媒組成物は、基材上のウォッシュコートとして使用され得る。「基材」という用語は、一般に、排気流れ中で接触する条件に耐えるのに好適である構造を指し、その上に金属酸化物触媒組成物が、ウォッシュコートの形態で担持される。
【0065】
基材は、モノリシックフロースルー構造であり得、これは、基材の入口面から出口面まで延在する複数の微細な平行ガス流動流路を有し、その結果流路は、そこを通る流体流動に対して開いている。その流体入口からその流体出口まで本質的に直線の経路である流路は、流路を通って流動するガスが触媒材料と接触するように、触媒材料がウォッシュコートとして塗布される壁によって画定される。
【0066】
基材は代替的に、基材の入口面から出口面に沿って延在する複数の微細な平行ガス流動流路を有するモノリシックウォールフロー構造であり得、交互の流路は、反対端部で遮断される。流路は、流路を通って流動するガスが触媒材料と接触するように、触媒材料がウォッシュコートとして塗布される壁によって画定される。この構成は、ガスがウォールフロー基材の多孔質壁を通って流動して、出口面に到達することを必要とする。
【0067】
「ウォッシュコート」という用語は、当該技術分野におけるその通常の意味を有し、基材に塗布された触媒材料又は他の材料の薄い接着性コーティングを指す。ウォッシュコートは一般に、所望の材料、及び任意選択的に特定の固体含有量(例えば、15~60重量%)を有する結合剤などの加工助剤を含有するスラリーを調製し、次いで、スラリーを基材上に塗布し、乾燥させ、焼成して、ウォッシュコートを提供することによって形成される。
【0068】
したがって、第4の態様において、本発明は、本発明による金属酸化物触媒組成物を含む触媒物品を提供する。
【0069】
第5の態様において、本発明は、還元剤供給源と、本明細書に記載される触媒物品と、任意に、ディーゼル酸化触媒(diesel oxidation catalyst、DOC)、三元変換触媒(three-way conversion catalyst、TWC)、四元変換触媒(four-way conversion catalyst、FWC)、無触媒又は触媒スートフィルタ(catalyzed soot filter、CSF)、アンモニア酸化触媒(ammonia oxidation catalyst、AMOx)、NOx捕捉、NOx吸収装置触媒、炭化水素捕捉触媒、センサ及びミキサのうちの1つ以上と、を含む、特に内燃エンジンからの排気ガスの処理のためのシステムを提供する。
【0070】
本発明による触媒物品は、ディーゼルエンジン、特に高負荷ディーゼルエンジンなどの内燃エンジンの下流に、密結合位置、密結合位置の下流、あるいはその両方で配置され得る。本発明による触媒物品は、密結合位置で内燃エンジンの下流に配置されることが好ましい。
【0071】
排気ガス処理システムは、エンジンの下流かつ本発明による触媒物品の上流に位置するディーゼル酸化触媒を更に含むことが好ましい。いくつかの実施形態では、排気ガス処理システムは、好ましくは、本発明による触媒物品の上流に位置するディーゼル酸化触媒及び触媒スートフィルタの両方を含む。
【0072】
実施形態
様々な実施形態が以下に列挙される。以下に列挙される実施形態は、本発明の範囲に従って全ての態様及び他の実施形態と組み合わされ得ることが理解されるであろう。
1.非バナジウム系金属酸化物触媒組成物であって、
-酸化マンガンを含む、少なくとも1種の金属酸化物と、
-アルミニウムと、セリウム、マンガン及びチタンから選択される少なくとも1種の金属と、の複合酸化物の粒子を含み、アルミニウムが、複合酸化物中に、複合酸化物の総重量に基づいて、Al2O3として計算して50重量%~80重量%の量で存在する担体と、
を含み、
少なくとも1種の金属酸化物は、担体上に分散されており、
酸化マンガンは、金属酸化物触媒組成物中に、金属酸化物触媒組成物の総重量に基づいて、MnO2として計算して2.5重量%~10重量%の量で存在する、非バナジウム系金属酸化物触媒組成物。
2.少なくとも1種の金属酸化物が、チタン(Ti)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)若しくはアルミニウム(Al)、又はそれらの任意の組合せの酸化物を更に含む、実施形態1に記載の非バナジウム系金属酸化物触媒組成物。
3.Ti、Fe、Mg及びAlの酸化物の各々が、金属酸化物触媒組成物の総重量に基づいて、それぞれの酸化物として計算して、10重量%以下、8重量%以下、又は6重量%以下の量で存在する、実施形態2に記載の非バナジウム系金属酸化物触媒組成物。
4.酸化マンガンが、金属酸化物触媒組成物の総重量に基づいて、MnO2として計算して3重量%~8重量%の量で存在する、実施形態1~3のいずれかに記載の非バナジウム系金属酸化物触媒組成物。
5.少なくとも1種の金属酸化物が、酸化チタンを更に含み、酸化チタンが、好ましくは、触媒組成物の総重量に基づいて、TiO2として計算して1~6重量%、又は2~4重量%の量で存在する、実施形態1~4のいずれかに記載の非バナジウム系金属酸化物触媒組成物。
6.少なくとも1種の金属酸化物が、酸化鉄を更に含み、酸化鉄が、好ましくは、金属酸化物触媒組成物の総重量に基づいて、Fe2O3として計算して1~5重量%、又は3~5重量%の量で存在する、実施形態1~5のいずれかに記載の非バナジウム系金属酸化物触媒組成物。
7.担体が、複合酸化物の粒子と、Ti、Si、Zr、La及びBaから選択されるドーパントとを含み、ドーパントが、好ましくは、金属酸化物触媒組成物の総重量に基づいて、それぞれの酸化物として計算して1~10重量%、又は3~6重量%の量で存在する、実施形態1~6のいずれかに記載の非バナジウム系金属酸化物触媒組成物。
8.担体が、アルミニウム、セリウム、並びに任意にマンガン及び/又はチタンの複合酸化物の粒子を含む、実施形態1~7のいずれかに記載の非バナジウム系金属酸化物触媒組成物。
9.担体が、アルミニウム及びセリウムの複合酸化物の粒子、並びに任意にドーパントからなる、実施形態7に記載の非バナジウム系金属酸化物触媒組成物。
10.セリウムが、複合酸化物中に、複合酸化物の総重量に基づいて、CeO2として計算して、20重量%~50重量%、20重量%~40重量%、又は20重量%~30重量%の量で存在する、実施形態8又は9に記載の非バナジウム系金属酸化物触媒組成物。
11.アルミニウム及びセリウムの複合酸化物が、Al2O3の相及びCeO2の相を含み、結晶子サイズが、フレッシュな状態でXRD分析によって測定して、少なくとも5nm、好ましくは少なくとも9nm、少なくとも9.5nm又は少なくとも10nmである、実施形態10に記載の非バナジウム系金属酸化物触媒組成物。
12.コーティング金属酸化物、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム又はこれらの任意の組合せを更に含む、実施形態1~11のいずれかに記載の非バナジウム系金属酸化物触媒組成物。
13.少なくとも1種の金属酸化物の1種以上の前駆体を担体上に含浸させる工程と、次いで任意に、コーティング金属酸化物の1種以上の前駆体を含浸させる工程と、を含む、実施形態1~12のいずれかに記載の非バナジウム系金属酸化物触媒組成物を調製するためのプロセス。
14.少なくとも1種の金属酸化物の1種以上の前駆体の担体上への含浸が、水溶性アルコール溶媒中で行われる、実施形態13に記載のプロセス。
15.水溶性アルコール溶媒が、メタノール、エタノール、n-プロパノール及びイソプロパノールから選択される、実施形態13又は14に記載のプロセス。
16.少なくとも1種の金属酸化物の1種以上の前駆体を含浸させる前に、好ましくは水溶性アルコール溶媒中で、ドーパントの1種以上の前駆体を複合酸化物の粒子上に含浸させる工程を更に含む、実施形態13~15のいずれかに記載のプロセス。
17.選択的触媒還元による窒素酸化物を含有する排気ガスの処理のための方法であって、還元剤の存在下で、排気ガスを実施形態1~12のいずれかに記載の金属酸化物触媒組成物と接触させることを含む、方法。
18.排気ガスが、内燃エンジン、例えば、ディーゼルエンジン、特に、高負荷ディーゼルエンジンから発生する、実施形態17に記載の方法。
19.実施形態1~12のいずれかに記載の金属酸化物触媒組成物を、例えば、粉末若しくは押出物の形態で、又は基材上のウォッシュコートの形態で含む触媒物品。
20.基材が、モノリシックフロースルー構造又はモノリシックウォールフロー構造である、実施形態19に記載の触媒物品。
21.還元剤供給源と、実施形態19又は20に記載の触媒物品と、任意に、ディーゼル酸化触媒(DOC)、三元変換触媒(TWC)、四元変換触媒(FWC)、無触媒又は触媒スートフィルタ(CSF)、アンモニア酸化触媒(AMOx)、NOx捕捉、NOx吸収装置触媒、炭化水素捕捉触媒、センサ及びミキサのうちの1つ以上と、を含む、特に内燃エンジンからの排気ガスの処理のための、システム。
22.触媒物品が、ディーゼルエンジン、特に高負荷ディーゼルエンジンなどの内燃エンジンの下流に、密結合位置、密結合位置の下流、あるいはその両方で、好ましくは密結合位置で配置される、実施形態21に記載のシステム。
【0073】
本発明は、特に有利な実施形態を記載する以下の実施例によって更に例示されるであろう。実施例は、本発明を例示するために提供されるが、それらは、本発明を限定するように意図されない。
【実施例】
【0074】
I.調製実施例
実施例1-バナジウム系金属酸化物触媒(3V@8W-TiO2)の調製
0.1909gのメタタングステン酸アンモニウムを30mLの脱イオン水に溶解し、均一に撹拌し、これにアナターゼ型の2gのTiO2を添加し、1時間撹拌した。得られた溶液をロータリーエバポレーターに移し、60℃で乾燥させた。次いで、得られた生成物をマッフル炉中で2℃/分の昇温速度で500℃で3時間焼成して、WO3修飾TiO2担体を得た。
0.0867gのNH4VO3を、30mLの脱イオン水中の0.5gのシュウ酸の溶液中に溶解した。次いで、上記で得られたWO3修飾TiO2担体を溶液に添加し、1時間撹拌した。混合溶液をロータリーエバポレーターに移し、60℃で乾燥させた。次いで、得られた生成物をマッフル炉中で2℃/分の昇温速度で500℃で3時間焼成した。
【0075】
実施例2-アルミナ担体を有する非バナジウム系金属酸化物触媒(MnCeTi@Al)の調製
最初に、所定量のγ-Al2O3担体を25mLのるつぼ中で調製した。計算された量のCe(NO3)3・6H2O及びMn(NO3)2・4H2Oを、5mLビーカー中で10秒間超音波下で1.44mLの無水エタノールに溶解した。次いで、計算量のチタン酸テトラブチルを溶液に添加した。次いで、この溶液を、初期湿潤状態に達するように撹拌しながらγ-Al2O3担体と共にるつぼに添加した。るつぼ中の混合物をオーブン中80℃で2時間乾燥させ、2℃/分の加熱速度で500℃で3時間焼成した。焼成した粉末を室温まで自然冷却し、触媒を得た。異なる試料の配合を以下の表1に列挙した。
【0076】
【表1】
*%は、触媒の総重量に基づいて、それぞれの酸化物として計算される、合計でのMn、Ce及びTiの量(重量%)を指す。
【0077】
実施例3-非バナジウム系金属酸化物触媒(Mn@AlCe、MnTi@AlCe)の調製
るつぼに、担体としてアルミニウム及びセリウムの複合酸化物(AlCe10、AlCe20、AlCe30あるいはAlCe50)を所定量入れた。計算された量のMn(NO3)2・4H2Oを、10秒間超音波下で5mLビーカー中の1.44mLの無水エタノールに溶解した。チタンも担持されている場合には、計算量のチタン酸テトラブチルを上記溶液に添加した。このようにして含浸用溶液を調製した。
【0078】
含浸のための溶液を、初期湿潤状態に達するように撹拌しながら担体と共にるつぼに添加した。るつぼ中の混合物を80℃のオーブン中で2時間乾燥させた。乾燥粉末を2℃/分の速度で500℃まで加熱し、3時間保持して、焼成粉末を得た。焼成した粉末を室温まで自然冷却して触媒を得た。異なる試料の配合を以下の表2に列挙した。
【0079】
実施例4-水中での非バナジウム系金属酸化物触媒(7Mn@AlCe20(H2O))の調製
無水エタノールを同量の脱イオン水で置き換えた以外は、実施例3に記載したのと同じ方法で触媒試料を調製した。
【0080】
実施例5-Ti修飾担体を有する非バナジウム系金属酸化物触媒(8Mn@Ti-AlCe20)の調製
るつぼに、担体としてアルミニウム及びセリウムの複合酸化物(AlCe20)を所定量入れた。計算量のチタン酸テトラブチルを、透明になるまで超音波下で1.44mLの無水エタノールに溶解した。次いで、この溶液を、初期湿潤状態に達するように撹拌しながらAlCe20と共にるつぼに添加した。るつぼ中の混合物を80℃のオーブンで2時間乾燥させて、Ti修飾AlCe20担体を得た。次いで、計算された量のMn(NO3)2・4H2Oを、10秒間超音波下で5mLビーカー中の1.44mLの無水エタノールに溶解した。次いで、この溶液を、初期湿潤状態に達するように撹拌しながら担体と共にるつぼに添加した。粉末を2℃/分の速度で500℃まで加熱し、3時間保持して、焼成粉末を得た。焼成した粉末を室温まで自然冷却して触媒を得た。試料の組成も以下の表2に列挙した。
【0081】
【表2】
*Mn及びTiの前の数字は、触媒の総重量に基づいて、それぞれの酸化物として計算したそれらの量(重量%)を表し、Ceの後の数字は、Al及びCeの複合酸化物の重量に基づいて、CeO
2として計算したそれらの量(重量%)を表す。
【0082】
**「(H2O)」は、合成のための溶媒を指す。
【0083】
実施例6-非バナジウム系金属酸化物触媒(5Fe6.5Mn3.3Ti@AlCe20、5Fe7Mn@AlCe20)の調製
るつぼに、担体としてAlCe20を所定量入れた。計算された量のMn(NO3)2・4H2O及びFe(NO3)3・9H2Oを、10秒間超音波下で5mLビーカー中の1.44mLの無水エタノールに溶解した。チタンも担持されている場合には、計算量のチタン酸テトラブチルを上記溶液に添加した。このようにして含浸用溶液を調製した。
【0084】
含浸のための溶液を、初期湿潤状態に達するように撹拌しながらAlCe20担体と共にるつぼに添加した。るつぼ中の混合物をオーブン中80℃で2時間乾燥させた。乾燥粉末を2℃/分の速度で500℃まで加熱し、3時間保持して、焼成粉末を得た。次いで、焼成した粉末を室温まで自然冷却して触媒を得た。異なる試料の配合を以下の表3に列挙した。
【0085】
【表3】
*Fe、Mn及びTiの前の数字は、触媒の総重量に基づいて、それぞれの酸化物として計算したそれらの量(重量%)を表し、Ceの後の数字は、Al及びCeの複合酸化物の重量に基づいて、CeO
2として計算したそれらの量(重量%)を表す。
【0086】
実施例7-TiO2被覆金属酸化物触媒(TiO2被覆7Mn@AlCe20、Al2O3被覆7Mn@AlCe20)の調製
1gの触媒7Mn@AlCe20を、実施例1に記載したのと同じ方法で最初に調製した。
【0087】
所定量のジイソプロピルビス(トリエタノールアミン)チタネート(M=466.4)あるいはアルミニウムイソプロポキシドを、透明になるまで超音波下で1.44mLの無水エタノールに溶解した。次いで、この溶液を、初期湿潤状態に達するように撹拌しながら触媒7Mn@AlCe20と共にるつぼに添加した。るつぼ中の混合物を80℃のオーブン中で2時間乾燥させた。乾燥粉末を2℃/分の速度で500℃まで加熱し、3時間保持して、焼成粉末を得た。次いで、焼成した粉末を室温まで自然冷却して、コーティングを有する触媒を得た。異なる試料の配合を以下の表4に列挙した。
【0088】
実施例8-SiO2被覆金属酸化物触媒(SiO2被覆7Mn@AlCe20)の調製
実施例1に記載したのと同じ方法で調製した1gの触媒7Mn@/AlCe20触媒を、100mLの脱イオン水中に分散させ、次いで水酸化アンモニウムでpH 8に調整した。溶液を70oCで加熱したとき、所定量のオルトケイ酸テトラエチルを1時間激しく撹拌しながら添加した。その後、形成された沈殿物を分離し、1Lの脱イオン水でpHが7になるまで洗浄した。湿った混合物を80℃のオーブンで2時間乾燥させた。乾燥粉末を2℃/分の速度で500℃まで加熱し、3時間保持して、焼成粉末を得た。次いで、焼成した粉末を室温まで自然冷却して、コーティングを有する触媒を得た。異なる試料の配合も以下の表4に列挙した。
【0089】
【0090】
実施例9-MgO被覆金属酸化物触媒(MgO被覆7Mn@AlCe20)の調製
1gの触媒7Mn@AlCe20を、実施例1に記載したのと同じ方法で最初に調製した。0.1908gのMg(NO3)2・4H2Oを、10秒間超音波下で5mLビーカー中の1.44mLの無水エタノールに溶解した。この溶液を、初期湿潤状態に達するように撹拌しながら触媒7Mn@AlCe20と共にるつぼに添加した。るつぼ中の混合物を80℃のオーブン中で2時間乾燥させた。乾燥粉末を2℃/分の速度で500℃まで加熱し、3時間保持して、焼成粉末を得た。焼成した粉末を室温まで自然冷却して触媒を得た。
【0091】
実施例10-高いCe含有量を有するAl及びCeの複合酸化物(10Mn@AlCe52)に基づく非バナジウム系金属酸化物触媒の調製
中国特許出願公開第106824173号明細書の実施例1に従って、Al及びCeの複合酸化物を調製した。得られた複合酸化物AlCe52に対して、実施例3と同様にして、Mn(NO3)2・4H2Oを含浸させた。
【0092】
II.SCR性能測定
II.1一般的手順
SCR性能測定は、固定床石英フロー反応器(内径=4mm)を使用して行った。反応器に、40~60メッシュ(約250~400μm)の触媒試料0.15g及び希釈剤としてコージェライトの粒子を全長32mmまで充填した。測定は、90~480℃の温度範囲で行った。
【0093】
ガス供給物は、500vppmのNO、500vppmのNH3、10体積%のO2、5体積%のH2O、5体積%のCO2、及びバランスのN2からなる。総流量は、150000h-1のガス空間速度(GHSV)に対応する475mL/分に制御された。触媒体積で計算したGHSVは、全ての触媒の体積が同じになるように、コージェライトを助剤として固定した。
【0094】
NO、NO2、NH3、H2O、及びN2Oのガス濃度を、FTIR分光計(Thermo Fisher)によって同時にモニターした。SCR触媒活性は、反応系が定常状態に達した後に記録した。NO変換は、以下の式に従って計算した。
【0095】
【数1】
式中、[NO]
in及び[NO]
outは、それぞれ入口及び出口NO濃度を示す。
【0096】
触媒エージング条件:10%H2Oを含む空気、650℃で50時間。
【0097】
硫酸化条件:40~60メッシュの触媒0.15gを固定床石英フロー反応器(内径=4mm)に充填した。硫酸化プロセスは、300℃の温度で行った。ガス供給物は、40vppmのSO2、10体積%のO2、5体積%のH2O、5体積%のCO2、及びバランスのN2からなる。総流量は、75,000h-1のガス空間速度(GHSV)に対応する235mL・min-1に制御された。
【0098】
脱硫酸化条件:脱硫酸化プロセスは、600℃の温度で、バランスガスとして475mL/分のN2を用いて3時間行った。総流量は、150,000h-1のガス空間速度(GHSV)に対応する475mL・min-1に制御された。
【0099】
II.2 試験結果
試験結果を以下の表にまとめた。
【0100】
【0101】
結果から分かるように、本発明による触媒は、210℃以下の温度で、従来のバナジウム系触媒及び本発明によらない組成を有する触媒よりも高いNO変換を示す。
【0102】
【0103】
【0104】
結果から分かるように、本発明による触媒は、エージング時に著しい活性低下無しに望ましい熱安定性を有する。コーティングを有する触媒は、エージング時に改善された活性さえ示す。
【0105】
【0106】
III.担体としての複合酸化物の特徴付け
上記の触媒中の担体としての複合酸化物は、XRDによって特徴付けられた。各試料のパターンを
図1及び
図2に示し、各試料について示したd値は2θ=28.5
oに対応する。XRDパターンから得られた各試料の複合酸化物及びCeO
2結晶子サイズを以下の表9にまとめた。
【0107】
複合酸化物はまた、BET法による表面積、BJH法による細孔容積及び細孔径についても特徴付けられた。測定値もまた以下の表9にまとめる。
【0108】
【表9】
*エージング:10% H
2Oを含む空気、650℃で50時間。
【0109】
担体としての複合酸化物は全て、エージング時に増大した結晶子サイズを示す。結晶子サイズの増大が少ないほど、複合酸化物は高い安定性を示す。本発明による触媒において使用される少なくとも50%のアルミニウム(Al2O3として計算される)を有する複合酸化物は、複合酸化物AlCe52よりも高い水熱安定性を示すことが分かる。
【0110】
本明細書における本発明を特定の実施形態及び例を参照して説明してきたが、これらの実施形態及び例は、本発明の原理及び用途の単なる例示であることを理解されたい。本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本発明の組成物及びプロセスに対して様々な修正及び変形を行うことができることは当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物の範囲内にある修正及び変形を含むことが意図される。
【国際調査報告】