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特表2024-531289基板をコーティングするためのコーティングシステム及びそれを用いて基板をコーティングするプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】基板をコーティングするためのコーティングシステム及びそれを用いて基板をコーティングするプロセス
(51)【国際特許分類】
   B01J 37/02 20060101AFI20240822BHJP
   B05C 19/06 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
B01J37/02 301D
B05C19/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509025
(86)(22)【出願日】2022-08-18
(85)【翻訳文提出日】2024-03-12
(86)【国際出願番号】 CN2022113358
(87)【国際公開番号】W WO2023020582
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/113509
(32)【優先日】2021-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505470786
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】リー、ユーティン
(72)【発明者】
【氏名】ジアン、ジュンコン
(72)【発明者】
【氏名】チー、ユンフェイ
(72)【発明者】
【氏名】デン、チェンハオ
(72)【発明者】
【氏名】リウ、ジアンチェン
(72)【発明者】
【氏名】シアニ、アッティリオ
(72)【発明者】
【氏名】イン、シアオミン
【テーマコード(参考)】
4F042
4G169
【Fターム(参考)】
4F042AA03
4F042AB03
4F042EC04
4G169AA08
4G169CA03
4G169CA18
4G169CD05
4G169DA05
4G169EC28
4G169FA03
4G169FB23
(57)【要約】
基板(10)をコーティングするためのコーティングシステムであって、搬送される固体材料を事前に計量して、投入するための投入ユニット(1)と、計量された固体材料を、搬送ガス流によってコーティングされる基板(10)に搬送するための搬送ユニット(2)と、基板を受け取るための受け取りユニット(3)であって、搬送ガス流の流れ方向(F)に沿って搬送ユニットの下流に位置する、受け取りユニット(3)と、投入ユニット(1)、搬送ユニット(2)、及び受け取りユニット(3)の動作を制御するための制御ユニット(4)と、を備える、コーティングシステム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(10)をコーティングするためのコーティングシステムであって、
搬送される固体材料を事前に計量して、投入するための投入ユニット(1)と、
前記計量された固体材料を、搬送ガス流によってコーティングされる前記基板(10)に搬送するための搬送ユニット(2)と、
前記基板を受け取るための受け取りユニット(3)であって、前記搬送ガス流の流れ方向(F)に沿って前記搬送ユニットの下流に位置する、受け取りユニット(3)と、
前記投入ユニット(1)、前記搬送ユニット(2)、及び前記受け取りユニット(3)の動作を制御するための制御ユニット(4)と、を備える、コーティングシステム。
【請求項2】
前記投入ユニット(1)が、
分配ポート(12)を有する材料容器(13)、及び前記材料容器内に配置された分配機構(14)を備える自動材料投入デバイス(11)と、
材料移送容器(15)と、
計量デバイス(16)と、を備え、
前記分配機構(14)が、前記固体材料を前記分配ポート(12)を通して前記材料移送容器(15)内に分配するために使用され、前記計量デバイスが、前記材料移送容器内の前記固体材料を計量するために使用される、請求項1に記載のコーティングシステム。
【請求項3】
前記分配機構(14)及び前記計量デバイス(16)が、それぞれ、前記制御ユニット(4)と通信し、前記制御ユニット(4)が、前記計量デバイス(16)から前記材料移送容器内に分配される前記固体材料の重量測定値を受信し、前記重量測定値と前記搬送される固体材料の設定重量とを比較し、前記重量測定値が、前記設定重量に等しい場合、前記制御ユニット(4)が、前記固体材料の分配を停止するように、前記分配機構(14)を制御する、請求項2に記載コーティングシステム。
【請求項4】
前記搬送ユニット(2)が、
入口端(21a)及び出口端(21b)を有する搬送パイプ(21)であって、第1の逆止弁(V1)及び第2の逆止弁(V2)が、前記入口端と前記出口端との間に提供される、搬送パイプ(21)と、
前記搬送パイプの前記出口端(21b)から、前記受け取りユニット(3)に流れる搬送ガス流を発生させるためのファン(5)と、
前記ファン(5)を、前記搬送パイプの前記出口端(21b)及び前記受け取りユニット(3)と流体連通させる接続パイプライン(22)と、を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のコーティングシステム。
【請求項5】
前記搬送パイプが、垂直に配置され、その入口端部(21a)が、漏斗形状であり、
前記搬送ユニット(2)が、
前記ファン(5)と前記搬送パイプ(21)との間に配置されたガスバッファボックス(23)と、
前記ファン(5)と前記ガスバッファボックス(23)との間に配置された冷却器(24)と、
前記冷却器と前記ガスバッファタンクとの間に提供された第1の制御弁(25)と、
前記ガスバッファボックス(23)と前記搬送パイプ(21)との間に提供された第2の制御弁(26)と、
前記冷却器(24)と前記第1の制御弁(25)との間に提供された、前記接続パイプライン(22)を外部環境と流体連通させる分岐パイプ(27)と、を更に備え、第3の制御弁(28)が、前記分岐パイプ(27)内に配設される、請求項4に記載のコーティングシステム。
【請求項6】
前記受け取りユニット(3)が、
前記基板(10)を固定的に保持するための保持機構(31)であって、前記接続パイプライン(22)によって前記ファン(5)に気密的に接続されている、保持機構(31)を備える、請求項4又は5に記載のコーティングシステム。
【請求項7】
前記保持機構(31)が、異なるサイズの前記基板を保持するように調整することができる膨張可能な可撓性ホルダである、請求項6に記載のコーティングシステム。
【請求項8】
前記接続パイプライン(22)が、前記ファン(5)及び前記搬送パイプの前記出口端(21b)に接続され、第1の断面を有する第1のパイプセクション(22a)と、前記受け取りユニット(3)に接続された第2のテーパ状パイプセクション(22b)と、を備え、前記第2のテーパ状パイプセクションの最小断面が、前記第1の断面に等しく、前記第2のテーパ状パイプセクションの最大断面が、前記基板(10)の断面以上である第2の断面として定義される、請求項7に記載のコーティングシステム。
【請求項9】
前記第1の断面の直径が、0.3D~0.75D、好ましくは0.4D~0.6Dの範囲内であり、前記第2断面の最大径が、1D~1.2D、好ましくは1.02D~1.1Dであり、前記第2のテーパ状パイプセクション22bの高さが、0.3D~0.9D、好ましくは0.4D~0.8Dの範囲内であり、前記基板が楕円柱である場合、Dが、前記基板の円形断面の直径又は前記基板の楕円形断面の短軸を意味する、請求項8に記載のコーティングシステム。
【請求項10】
前記接続パイプライン(22)が、前記ファン(5)及び前記搬送パイプの前記出口端(21b)に接続され、第1の断面を有する第1のパイプセクション(22a)と、前記受け取りユニット(3)に接続される第2のテーパ状パイプセクション(22b)と、前記第1のパイプセクション(22a)を前記第2のテーパ状パイプセクション(22b)に接続する第3のパイプセクション(22c)と、を備え、前記第3のパイプセクションが、そのテーパ状接続部分(22d)によって前記第1のパイプセクション(22b)に接続され、前記第2のテーパ状パイプセクションの最大断面が、第2の断面として定義され、前記第2の断面が、前記基板(10)の断面以上であり、前記第3のパイプセクションの断面が、第3の断面として定義され、前記第3の断面が、前記第1の断面より大きく、前記第2のテーパ状パイプセクションの最小断面に等しい、請求項7に記載のコーティングシステム。
【請求項11】
前記基板(10)が、ウォールフローフィルタ用の基板であり、入口側(10a)及び出口側(10b)を有し、前記基板(10)は、その入口側(10a)が前記搬送ユニット(2)に面した状態で、前記膨張可能な可撓性ホルダ内に配置される、請求項6~10のいずれか一項に記載のコーティングシステム。
【請求項12】
前記コーティングされる基板(10)を前記受け取りユニットに移送し、前記コーティングされた基板を前記受け取りユニットから取り出すための自動移送機構(6)を更に備える、請求項1に記載のコーティングシステム。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載のコーティングシステムで、基板(10)をコーティングするプロセスであって、
前記基板(10)を提供することと、
前記基板を受け取りユニット(3)内に固定的に保持することと、
投入ユニット(1)によって前記基板上にコーティングされる固体材料を事前に計量することと、
前記計量された固体材料を前記搬送ガス流と混合し、前記搬送ユニット(2)によって前記受け取りユニット(3)に搬送して、前記基板をコーティングすることと、
前記コーティングされた基板を前記受け取りユニット(3)から取り出すことと、を含む、プロセス。
【請求項14】
前記基板(10)が、ウォールフローフィルタ用の基板である、請求項13に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板、具体的には、ウォールフローフィルタ用の基板をコーティングするためのコーティングシステム、及びコーティングシステムで基板をコーティングするプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
特定の内燃機関、例えば、希薄燃焼エンジン、ディーゼルエンジン、天然ガスエンジン、発電所、焼却炉、及びガソリンエンジンは、かなりの量の煤及び他の粒子状物質を有する排気ガスを生じる傾向がある。通常、粒子状物質の排出は、PM含有排気ガスをウォールフローフィルタに通すことによって改善することができる。
【0003】
ディーゼルウォールフローフィルタは、ディーゼルエンジンの排気ガスから炭素煤を除去するのに効率的であることが証明されている。最も広く使用されているディーゼル微粒子フィルタは、フィルタ本体の多孔質ウォール上で煤を捕捉することによって、ディーゼル排気ガスを濾過するウォールフローフィルタである。ウォールフローフィルタは、排気流を著しく妨げることなく、煤のほぼ完全な濾過を提供するように設計されている。
【0004】
フィルタ、例えば、優れた濾過効率及び低い背圧を有するウォールフローフィルタを得るために、改善されたコーティングシステム及びコーティングプロセスを提供する必要性がある。
【0005】
最近、Euro 6d及びChina 6bのような更により厳しい規制が課され、従来の触媒フィルタ技術は、更なる改善なしに、粒子状物質に対する顧客の排出目標及び排気システムに対する背圧目標を同時に満たすことができなかった。これは、次世代触媒フィルタ(又はFWC)を開発し、同時に、この次世代製品を大規模に生産することができる新しいコーティングシステムを開発する緊急の必要性を生み出した。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、優れた濾過効率及び低い背圧を有するフィルタをより効率的に製造するための改良されたコーティングシステムを提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、優れた濾過効率及び低い背圧を有するフィルタをより効率的に製造するための改良されたコーティングプロセスを提供することである。
【0008】
そのため、本発明の一態様は、基板をコーティングするためのコーティングシステムであって、搬送される固体材料を事前に計量して、投入するための投入ユニットと、計量された固体材料を、搬送ガス流によってコーティングされる基板に搬送するための搬送ユニットと、基板を受け取るための受け取りユニットであって、搬送ガス流の流れ方向に沿って搬送ユニットの下流に位置する、受け取りユニットと、投入ユニット、搬送ユニット及び受け取りユニットの動作を制御するための制御ユニットと、を備える、コーティングシステムに関連する。
【0009】
実施形態では、投入ユニットは、分配ポートを有する材料容器、及び材料容器内に配置された分配機構を備える自動材料投入デバイスと、材料移送容器と、計量デバイスと、を備え得、分配機構は、固体材料を分配ポートを通して材料移送容器内に分配するために使用され、計量デバイスは、材料移送容器内の固体材料を計量するために使用される。
【0010】
実施形態では、分配機構及び計量デバイスは、それぞれ、制御ユニットと通信し得、制御ユニットは、計量デバイスから材料移送容器内に分配される固体材料の重量測定値を受信し、重量測定値と搬送される固体材料の設定重量とを比較し、重量測定値が設定重量±5%の範囲内にある場合、制御ユニットは、固体材料の分配を停止するように、分配機構を制御する。
【0011】
実施形態では、搬送ユニットは、入口端及び出口端を有する搬送パイプであって、第1の逆止弁及び第2の逆止弁は、入口端と出口端との間に提供される、搬送パイプと、搬送パイプの出口端から、受け取りユニットに流れる搬送ガス流を発生させるファンと、
ファンを、搬送パイプの出口端及び受け取りユニットと流体連通させる接続パイプラインと、を備え得る。
【0012】
好ましくは、搬送パイプは垂直に配置され得、その入口端は漏斗形状であり、搬送ユニットは、ファンと搬送パイプとの間に配置されたガスバッファボックスと、ファンとガスバッファボックスとの間に配置された冷却器と、冷却器とガスバッファタンクとの間に提供された第1の制御弁と、ガスバッファボックスと搬送パイプとの間に提供された第2の制御弁と、冷却器と第1の制御弁との間に提供され、接続パイプラインを外部環境と流体連通させる分岐パイプと、を更に備え得、第3の制御弁は、分岐パイプ内に配設される。
【0013】
実施形態では、受け取りユニットは、基板を固定的に保持するための保持機構であって、接続パイプラインによってファンに気密的に接続される、保持機構を備え得る。
【0014】
好ましくは、保持機構は、異なるサイズの基板を保持するように調整することができる膨張可能な可撓性ホルダである。
【0015】
実施形態では、接続パイプラインは、ファン及び搬送パイプの出口端に接続され、第1の断面を有する第1のパイプセクションと、受け取りユニットに接続された第2のテーパ状パイプセクションと、を備え得、第2のテーパ状パイプセクションの最小断面は、第1の断面に等しく、第2のテーパ状パイプセクションの最大断面は、基板の断面以上である第2の断面として定義される。
【0016】
実施形態では、第1の断面の直径は、0.3D~0.75D、好ましくは0.4D~0.6Dの範囲内であり得る。第2の断面の最大径は、1D~1.2D、好ましくは1.02D~1.1Dの範囲内であり得る。第2のテーパ状パイプセクションの高さは、0.3D~0.9D、好ましくは0.4D~0.8Dの範囲内であり得、基板が楕円柱である場合、Dは、基板の円形断面の直径又は基板の楕円形断面の短軸を意味する。
【0017】
当業者であれば、円柱は円形断面を有し、楕円柱は楕円形断面を有することを理解することができる。
【0018】
実施形態では、基板のDが95mm~155mmの範囲内である場合、第1の断面の直径は、60mm~100mmの範囲内、例えば60mm又は100mmであり得、第2の断面の最大径は、96~160mmの範囲内、例えば98又は155mmであり得、第2のテーパ状パイプセクションの高さは、60mm~130mmの範囲内であり得る。
【0019】
別の実施形態では、接続パイプラインは、ファン及び搬送パイプの出口端に接続され、第1の断面を有する第1のパイプセクションと、受け取りユニットに接続される第2のテーパ状パイプセクションと、第1のパイプセクションを第2のテーパ状パイプセクションに接続する第3のパイプセクションと、を備え得、第3のパイプセクションは、そのテーパ状接続部分によって第1のパイプセクションに接続され、第2のテーパ状パイプセクションの最大断面は、第2の断面として定義され、第2の断面は、基板の断面以上であり、第3のパイプセクションの断面は、第3の断面として定義され、第3の断面は、前記第1の断面より大きく、第2のテーパ状パイプセクションの最小断面に等しい。
【0020】
実施形態では、基板は、フィルタ基板、特に入口側及び出口側を有するウォールフローフィルタ用の基板であり得、基板は、その入口側が搬送ユニットに面した状態で、膨張可能な可撓性ホルダ内に配置される。
【0021】
好ましくは、本発明によるコーティングシステムは、コーティングされる基板を受け取りユニットに移送し、コーティングされた基板を受け取りユニットから取り出すための自動移送機構を更に備え得る。
【0022】
本発明はまた、上記のコーティングシステムで、基板をコーティングするプロセスに関し、プロセスは、基板を提供するステップと、基板を受け取りユニット内に固定的に保持するステップと、投入ユニットによって基板上にコーティングされる固体材料を事前に計量するステップと、計量された固体材料を搬送ガス流と混合し、搬送ユニットによって受け取りユニットに搬送して、基板をコーティングするステップと、コーティングされた基板を受け取りユニットから取り出すステップと、を含み得る。
【0023】
上述のプロセスでは、基板は、ウォールフローフィルタ用基板であり得る。
【0024】
本発明によるコーティングシステムは、更なる改良なしに、粒子状物質に対する顧客の排出目標及び排気システムに対する背圧目標を同時に満たすことができる。この新しいコーティングシステムによって得られる製品(触媒フィルタ)は、粒子状物質に対してより高い捕捉効率を有し、同時に、コーティングシステムは、この製品を大規模に生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明によるコーティングシステムの一実施形態の概略ブロック図を示す。
図2】本発明による投入ユニットの概略構造図を示す。
図3】互いに接続された搬送ユニット及び受け取りユニットを示す概略構成図である。
図4】互いに接続された搬送パイプ及び接続パイプラインを示す概略構造図である。
図5】本発明による、搬送パイプを受け取りユニットに接続する接続セクションの実施形態を示す概略構成図である。
図6】本発明による、搬送パイプを受け取りユニットに接続する接続セクションの別の実施形態を示す概略構成図である。
図7】本発明によるウォールフローフィルタ用基板の実施形態を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
定義されていない冠詞「a」、「an」、「the」は、前述の冠詞に続く用語によって指定される種のうちの1つ以上を意味する。
【0027】
本開示の文脈において、特徴について言及された任意の特定の値(終点としての範囲において言及された特定の値を含む)は、新たな範囲を形成するために組み換えることができる。
【0028】
本開示の文脈において、そのように定義された各態様は、明確に反対の指示がない限り、他の態様と組み合わされ得る。特に、好ましい又は有利であると示された任意の特徴は、好ましい又は有利であると示された任意の他の1つ又は複数の特徴と組み合わされ得る。
【0029】
図1は、本発明による基板10をコーティングするためのコーティングシステムの一実施形態の概略ブロック図を示す。コーティングシステムは、主に、投入ユニット1と、搬送ユニット2と、受け取りユニット3と、投入ユニット1、搬送ユニット2及び受け取りユニット3の動作を制御するための制御ユニット4とを備える。投入ユニット1は、搬送される固体材料を予め計量して投入するために使用され、搬送ユニット2は、計量された固体材料を搬送ガス流によってコーティングされる基板10に搬送するために使用される。加えて、受け取りユニット3は、基板を受け取るために使用され、搬送ガス流の流れ方向Fに沿って搬送ユニットの下流に位置する。本発明では、基板は、微粒子フィルタ、特にウォールフローフィルタ用の基板であり得る。しかしながら、当業者であれば、コーティングされる必要がある他のタイプの基板であり得ることも理解すべきである。
【0030】
好ましい実施形態では、図2に示すように、投入ユニット1は、自動材料投入デバイス11と、材料移送容器15と、計量デバイス16とを備え得る。図から分かるように、自動材料投入デバイス11は、分配ポート(又は分配チューブ)12を有する材料容器13と、材料容器内に配置された分配機構14とを含むように構成されている。搬送される固体材料は、材料容器に収容されており、分配機構14は、固体材料を分配ポート12を通してカップなどの材料移送容器15内に分配するために使用され、材料移送容器内の固体材料は計量デバイスによって計量される。実施例では、分配機構14は、例えば、斜めに配置されている分配パイプ内に固体材料を押し込むためのねじ機構であり得る。
【0031】
上述の投入ユニット1では、分配機構14及び計量デバイス16は、それぞれ、制御ユニット4と通信し、制御ユニット4は、計量デバイス16から材料移送容器内に分配される固体材料の重量測定値W1を受信し、重量測定値W1と搬送される固体材料の設定重量Wとを比較し、重量測定値W1が設定重量W±5%の範囲内にある場合、制御ユニット4は、固体材料の分配を停止するように、分配機構14を制御する。
【0032】
実際の動作では、固体材料の重量測定値W1は、計量デバイス16の重量測定値Wtから、材料移送容器15の重量Wcを減算したものとなる。材料移送容器15のウォールにいくつかの固体材料が付着することを回避することは困難であるので、材料移送容器15内の固体材料を搬送ユニット2内に供給した後、空の材料移送容器15を計量デバイス16上に置いて再計量する必要があり、測定値はWrであり、次いで、Wt-Wrは、搬送ユニット2内に供給される実際の材料重量Gである。実際の材料重量Gが特定の範囲内、例えば、設定重量W±5%の範囲内にある場合、投入ユニット1は、次の基板のための固体材料を計量し続けることになり、そうでない場合、計量デバイス16は、信号を制御ユニットに送信して、今回コーティングされた基板を「不良品」としてマークすることになる。
【0033】
本発明による実施形態では、図3に示すように、搬送ユニット2は、ファン5と、搬送パイプ21と、ファン5を搬送パイプの出口端21b及び受け取りユニット3と流体連通させる接続パイプライン22とを備え得る。
【0034】
特に図4を参照すると、入口端21a及び出口端21bを有する搬送パイプ21は、垂直に配置され、その入口端21aは、好ましくは漏斗形状である。搬送パイプライン21における入口端と出口端との間には、第1逆止弁(一方向弁)V1及び第2逆止弁V2が提供され得、第1逆止弁V1及び第2逆止弁V2は、それぞれ、制御ユニット4と連通しており、これらの弁の開閉は、制御ユニット4によって制御される。例えば、搬送パイプ21の上部の第1の逆止弁V1を最初に開くことができ、固体材料を材料移送容器15から搬送パイプ2内に供給することができ、次いで第1の逆止弁V1を閉じ、最後に第2の逆止弁V2を開く。重力の作用下で、固体材料は搬送パイプライン22内に搬送され、ファン5からの搬送空気流によって受け取りユニット3に搬送される。2つの逆止弁を提供する主な目的は、固体材料が搬送パイプ21に送り込まれるときに、ファン5からの逆方向の搬送空気流によって固体材料が吹き飛ばされ、固体材料の損失が生じることを防止することである。
【0035】
再び図3を参照すると、搬送空気流の安定性を維持するために、搬送ユニット2は、ファン5と搬送パイプ21との間に配置されたガスバッファボックス23を更に備える。ファンの過熱を防止するために、ファン5とガスバッファタンク2との間に冷却器24が提供される。加えて、冷却器24とガスバッファボックス23との間には、第1の制御弁25が提供され、ガスバッファボックス23と搬送パイプ21との間には、搬送ガス流の速度を制御する第2の制御弁26が提供される。更に、第1の制御弁25と冷却器24との間には、接続パイプ22を外部環境と流体連通させることができる分岐パイプ27が更に配置され得、分岐パイプ27内には、第3の制御弁28が配置され、第3の制御弁28は、搬送ユニット2内の搬送空気流の流量を制御するために、コーティングシステムが動作するときに完全に又は部分的に開かれ得る。コーティングプロセスの安定性を制御するために、流量センサ29を、接続パイプ22内の第2の制御弁26の下流に提供して、搬送空気流の流量を監視する場合もある。
【0036】
本発明の実施形態によれば、図5に示すように、受け取りユニット3は、コーティングされる基板10を固定的に保持するための保持機構31を備え得、保持機構は、接続パイプ22によってファン5に気密に接続され得る。有利には、保持機構31は、異なるサイズの基板10を収納するように調整することができる膨張可能な可撓性ホルダである。例えば、膨張可能な可撓性ホルダは、浮輪又はタイヤの形態であり得る。
【0037】
本発明において、図7を参照すると、基板10は、例えば、ウォールフロー濾過基板であり、入口側10a及び出口側10bを有し、基板10は、その入口側10aが搬送ユニット2に面した状態で、言い換えれば、その入口側10aが接続パイプ22に面した状態で、膨張可能な可撓性ホルダ内に配置される。この図に示す基板は、円形断面を有しており、相対的に小さいサイズの基板の断面の直径(D)は、例えば、95mm~155mmの範囲内であり得、比較的大きいサイズの基板の断面の直径(D)は、例えば、160mm~350mmの範囲内であり得る。
【0038】
図示されていない実施形態では、基板の断面は、楕円形であり得、この場合、比較的小さいサイズの基板の楕円形断面の短軸(D)は、95mm~155mmの範囲内であり得、比較的大きいサイズの基板の断面の短軸(D)は、160mm~350mmの範囲内であり得る。
【0039】
再び図5を参照すると、これは、本発明による、搬送パイプ21を受け取りユニット3に接続するための接続パイプライン22の接続セクションの実施形態を示す概略構造図である。
【0040】
図3及び図5に見られるように、接続パイプライン22は、ファン5及び搬送パイプの出口端21bに接続され、第1の断面を有する第1のパイプセクション22aと、受け取りユニット3に接続された第2のテーパ付きパイプセクション22bと、を備え、第2のテーパ付きパイプセクションの最小断面は、第1の断面に等しく、第2のテーパ付きパイプセクションの最大断面は、基板10の断面以上である第2の断面として定義される。
【0041】
図5に示す、接続パイプラインの前述の接続セクションの構成は、小さいサイズの基板に特に好適であり、例えば、基板10の断面の直径/短軸(D)は、95mm~155mmの範囲内である。この場合、第1の断面の直径は、0.3D~0.75D、好ましくは0.4D~0.6D、例えば60mm~100mmの範囲内であり得、第2の断面の最大直径は、1D~1.2D、好ましくは1.02D~1.1D、例えば95~155mmの範囲内であり得、第2のテーパ状パイプセクション22bの高さは、0.3D~0.9D、好ましくは0.4D~0.8D、例えば60mm~130mmの範囲内であり得る。
【0042】
図6は、本発明による、搬送パイプ21を受け取りユニット3に接続するための接続パイプライン22の接続セクションの別の実施形態を示す概略構造図である。図6に示す、接続パイプラインの前述の接続セクションの構成は、大きいサイズの基板に特に好適であり、例えば、基板の断面の直径/短軸(D)は、160mm~350mmの範囲内である。
【0043】
この実施形態では、接続パイプライン22は、ファン5及び搬送パイプの出口端21bに接続され、第1の断面を有する第1のパイプセクション22aと、受け取りユニット3に接続される第2のテーパ付きパイプセクション22bと、第1のパイプセクション22aを第2のテーパ付きパイプセクション22bに接続する第3のパイプセクション22cと、を備え、第3のパイプセクションは、そのテーパ付き接続部分22dによって第1のパイプセクション22bに接続され、第2のテーパ付きパイプセクションの最大断面は、第2の断面として定義され、第2の断面は、基板10の断面以上であり、第3のパイプセクションの断面は、第3の断面として定義され、第3の断面は、第1の断面より大きく、第2のテーパ付きパイプセクションの最小断面に等しい。例えば、一実施例では、第1の断面の直径は、0.17D~0.375Dであり得、第3の断面の直径は、0.28D~0.625Dであり得、第2の断面の直径は、D以上であり得る。具体的には、第1の断面の直径は、60mmであり得、第3の断面の直径は、100mmであり得、第2の断面の直径は、350mmであり得る。
【0044】
更に図5を参照すると、本発明によるコーティングシステムは、コーティングされる基板10を受け取りユニットに移送し、コーティングされた基板を受け取りユニットから取り出すための自動移送機構6を更に備え得る。ここで、自動移送機構6は、ロボットであり得る。
【0045】
本発明はまた、上述のコーティングシステムで基板10をコーティングして、ウォールフローフィルタなどの製品を得るプロセスにも関し、このプロセスは、基板10を提供するステップと、基板を受け取りユニット3内に固定的に保持するステップと、投入ユニット1によって基板上にコーティングされる固体材料を事前に計量するステップと、計量された固体材料を搬送ガス流と混合し、搬送ユニット2によって受け取りユニット3に搬送して、基板をコーティングするステップと、コーティングされた基板を受け取りユニット3から取り出すステップと、を含む。
【0046】
基板10を提供するステップでは、スキャンデバイス(図示せず)を提供して、提供された基板をスキャンして、基板のバッチが正しいかどうかを判断することができる。正しい場合には、その基板は、受け取りユニット3に固定かつ保持され、そうでない場合には、その基板は、不合格基板と判断される。
【0047】
投入ユニット1によって基板上にコーティングされる固体材料を事前に計量するステップでは、搬送ユニット2内に実際に供給される固体材料の重量Gもまた、計量デバイス16によって測定され、設定重量Wと比較するために制御ユニットに送信することができる。Gが設定重量W±5%の範囲内にある場合、計測ユニットは、次の基板のために固体材料を計量し続け、そうでない場合、コーティングされた基板を不合格製品としてマークするために制御ユニットに信号を送信する。
【0048】
計量された固体材料を搬送ガス流と混合し、それらを受け取りユニット3に搬送して、搬送ユニット2によって基板をコーティングするステップでは、搬送ガス流の流量は、第1の制御弁、第2の制御弁、及び第3の制御弁によって制御することができる。
【0049】
適格な製品特性及び外観を有する得られた製品を作製するために、異なる流量を有する搬送ガス流を、異なるサイズを有する基板に提供することができる。例えば、100mm未満の断面直径又は短軸を有する基板に対して、搬送空気流の流量は、600±40m/時として選択することができる。100mm~160mmの範囲内の断面直径又は短軸を有する基板に対して、搬送空気流の流量は、300m/時~800m/時の範囲内であるように選択することができる。一方で、より大きいサイズの基板については、搬送空気流の流量は、500m/時~1000m/時の範囲内にあるように選択することができる。加えて、コーティング中に、コーティングされる基板を一定時間、例えば20秒間パージするために、好適な流量の搬送ガス流を使用することが必要である。流量が好適でなく、パージ時間が十分でない場合、得られた製品は、不適格であり得る。
【0050】
コーティングされた基板を受け取りユニット3から取り出すステップの後、得られた製品が背圧試験によって適格であるかどうかを判断することが可能である。例えば、所望の製品の背圧がPであり、測定された背圧Pt=P(1±5%)である場合、製品は、良品と判断することができ、そうでなければ、不適格品(不良品)と判断することができる。
【0051】
本開示の範囲又は趣旨から逸脱することなく、上記で開示された実施形態に対して、当業者によって考えられる様々な修正及び変形を行うことができる。本開示によれば、他の実施形態が当業者には明らかであろう。本明細書及びその開示された実施例は、例解的なものにすぎないとみなされるべきであり、本開示の保護範囲は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物によって規定されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】