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特表2024-531290基材をコーティングするためのコーティングシステム及びそれを用いて基材をコーティングする方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】基材をコーティングするためのコーティングシステム及びそれを用いて基材をコーティングする方法
(51)【国際特許分類】
   B05C 19/06 20060101AFI20240822BHJP
   B05B 13/02 20060101ALI20240822BHJP
   B05C 13/02 20060101ALI20240822BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20240822BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20240822BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
B05C19/06
B05B13/02
B05C13/02
B05C11/00
B05C11/10
B05D3/00 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509026
(86)(22)【出願日】2022-08-18
(85)【翻訳文提出日】2024-03-12
(86)【国際出願番号】 CN2022113351
(87)【国際公開番号】W WO2023020580
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/113507
(32)【優先日】2021-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505470786
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】リー、ユーティン
(72)【発明者】
【氏名】チー、ユンフェイ
(72)【発明者】
【氏名】ジアン、ジュンコン
(72)【発明者】
【氏名】デン、チェンハオ
(72)【発明者】
【氏名】シアニ、アッティリオ
(72)【発明者】
【氏名】リウ、ジアンチェン
(72)【発明者】
【氏名】イン、シアオミン
【テーマコード(参考)】
4D075
4F035
4F042
【Fターム(参考)】
4D075AC71
4D075AC74
4D075DC16
4D075EA01
4F035CA01
4F035CA05
4F035CB03
4F035CB26
4F042AA03
4F042AB03
4F042BA02
4F042BA06
4F042BA08
4F042BA11
4F042BA12
4F042CA01
4F042CB03
4F042CB10
4F042CB11
4F042CB19
4F042DF05
4F042DF17
4F042DF24
4F042DF25
4F042DF29
4F042DH09
4F042EC04
(57)【要約】
本発明は、基材(10)をコーティングするためのコーティングシステムであって、搬送される固体材料を事前秤量するための投入ユニット(1)と、秤量された固体材料を、コーティングされる基材に、搬送気流によって(10)に搬送するための搬送ユニット(2)と、搬送気流の流れ方向(F)に沿って搬送ユニット(2)の下流に配置され、基材(10)を受け取るための受け取りユニット(3)、基材(10)を受け取りユニット(3)に移送し、コーティングされた基材(10)を受け取りユニット(3)から取り出すための自動移送機構(4)と、投入ユニット(1)、受け取りユニット(3)、及び自動移送機構(4)の動作を制御するための制御ユニット(5)と、搬送気流を発生させる気流発生装置(20)と、を備えるコーティングシステムに関連する。本発明はまた、当該コーティングシステムで基材(10)をコーティングする方法にも関連する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材(10)をコーティングするためのコーティングシステムであって、
搬送される固体材料を事前秤量するための投入ユニット(1)と、
秤量された固体材料を、コーティングされる前記基材(10)に、搬送気流によって搬送するための搬送ユニット(2)と、
前記搬送気流の流れ方向(F)に沿って前記搬送ユニットの下流に配置され、前記基材を受け取るための受け取りユニット(3)と、
前記基材を前記受け取りユニットに移送し、前記コーティングされた基材を、前記受け取りユニットから取り出すための自動移送機構(4)と、
前記投入ユニット(1)、前記受け取りユニット(3)、及び前記自動移送機構(4)の動作を制御するための制御ユニット(5)と、
前記搬送気流を発生させるための気流発生装置(20)と、
を備えるコーティングシステム。
【請求項2】
前記投入ユニット(1)は、
分配ポート(12)を有する材料容器(13)、及び前記材料容器内に配置された分配機構(14)を備える、自動材料投入装置(11)と、
材料移送容器(15)と、
秤量装置(16)と、
を備え、
前記分配機構(14)は、前記分配ポート(12)を介して前記固体材料を前記材料移送容器(15)内に分配するために使用され、前記秤量装置は、前記材料移送容器内の前記固体材料を秤量するために使用される、
請求項1に記載のコーティングシステム。
【請求項3】
前記分配機構(14)及び前記秤量装置(16)は、それぞれ前記制御ユニット(5)と通信し、前記制御ユニット(5)は、前記秤量装置(16)から、前記材料移送容器に分配する前記固体材料の重量測定値を受信し、前記重量測定値を、前記搬送される固体材料の設定重量と比較し、前記重量測定値が前記設定重量±5%の範囲内にある場合、前記固体材料の分配を停止するように前記制御ユニット(5)は前記分配機構(14)を制御する、請求項2に記載のコーティングシステム。
【請求項4】
前記搬送ユニット(2)は、順に接続された、第1の円筒形パイプセクション(212)、第2の円筒形パイプセクション(213)、第2の円錐形パイプセクション(214)及び第3の円筒形パイプセクション(215)を備える、搬送パイプ(21)を備え、
前記第2の円筒形パイプセクション(213)は、前記第1の円筒形パイプセクション(212)に移動可能に接続され、前記第2の円筒形パイプセクション(213)は、前記第3の円筒形パイプセクション(215)が下降して、前記受け取りユニット(3)に気密に接続されて前記基材を覆うことができる第1の位置と、前記第3の円筒形パイプセクション(215)が上昇して、前記自動移送機構が、前記第1の円筒形パイプセクション(212)に対して、前記コーティングされる基材又は前記コーティングされた基材を操作するのに十分な空間を残すことができる第2の位置との間で移動することができるようになっている、
請求項1~3のいずれかに記載のコーティングシステム。
【請求項5】
前記搬送パイプ(21)は、垂直に配向され、前記第1の円筒形パイプセクション(212)に接続された第1の円錐形パイプセクション(211)を更に備え、前記第1の円錐形パイプセクション(210)は、秤量された前記固体材料を受け取るために使用され、
前記第1の円錐形パイプセクション(211)は、前記搬送気流の前記流れ方向(F)に沿って先細になり、前記第2の円錐形パイプセクション(214)は、前記搬送気流の前記流れ方向に沿って末広がりになる、
請求項4に記載のコーティングシステム。
【請求項6】
前記第2の円筒形パイプセクション(213)は、前記第1の円筒形パイプセクション(212)よりも長さが短く、
前記第2の円筒形パイプセクション(213)は、前記第1の円筒形パイプセクション(212)よりも直径が小さく、かつ
前記第3の円筒形パイプセクション(215)は、前記第3の円筒形パイプセクションがコーティングされる前記基材(10)を覆うことができるように選択される直径及び高さを有する、
請求項5に記載のコーティングシステム。
【請求項7】
前記第1の円筒形パイプセクション(212)の内径をDと定義し、
前記第2の円筒形パイプセクション(213)は、前記第1の円筒形パイプセクション(212)よりも2mm~5mm小さい内径を有し、
前記第2の円錐形パイプセクション(214)は、0.5D~1.5Dの範囲内の高さを有し、
前記第3の円筒形パイプセクション(215)は、1.2D~1.8Dの範囲内の高さを有し、
前記第3の円筒形パイプセクション(215)の直径は、2.5D~3Dの範囲内であり、
前記第3の円筒形パイプセクション(215)の前記直径は、前記基材の円形断面の直径よりも、又は前記基材が楕円形の円筒である場合には、前記基材の楕円形断面の短軸の直径よりも大きい、
請求項4~6のいずれか一項に記載のコーティングシステム。
【請求項8】
前記第1の円筒形パイプセクション(212)は、40mm~140mmの範囲内の内径を有し、
前記第2の円筒形パイプセクション(213)は、前記第1の円筒形パイプセクション(212)の前記内径よりも2mm~5mm小さい内径を有し、
前記第2の円錐形パイプセクションは、20mm~200mmの範囲内の高さを有し、
前記第3の円筒形パイプセクション(215)は、60mm~200mmの範囲内の高さを有し、
前記第3の円筒形パイプセクション(215)の前記直径は、100mm~400mmの範囲内である、
請求項4~7のいずれか一項に記載のコーティングシステム。
【請求項9】
前記受け取りユニット(3)は、
前記基材(10)を固定的に保持する保持機構(31)と、
前記保持機構及び前記基材と前記気流発生装置(20)とを、気密に接続する接続パイプライン(32)と、
を備え、
圧力センサ(33)及び流量センサ(34)が、前記接続パイプラインに設けられている、
請求項1~8のいずれか一項に記載のコーティングシステム。
【請求項10】
前記気流発生装置(20)は、前記搬送パイプの入口端(21a)から出口端(21b)へ流れる前記搬送気流を発生させるために前記受け取りユニット(3)の下流に配置されたファンであり、冷却器もまた、前記ファンの近くの前記接続パイプライン(32)内に配置されている、請求項9に記載のコーティングシステム。
【請求項11】
前記保持機構(31)は、異なるサイズの前記基材を保持するように調整することができる膨張可能な可撓性ホルダであり、前記制御ユニット(5)は、前記圧力センサ(33)及び前記流量センサ(34)と通信して、前記圧力センサ及び前記流量センサを介して前記接続パイプライン内で測定された気流量及び圧力を受け取り、
前記接続パイプライン(32)は、前記基材(10)よりも大きい断面積を有する、
請求項9に記載のコーティングシステム。
【請求項12】
前記基材(10)は、ウォールフローフィルタ用の基材であり、入口側(10a)及び出口側(10b)を有し、前記基材(10)は、その入口側(10a)が前記搬送ユニット(2)に面するように、前記膨張可能な可撓性ホルダ内に配置され、
前記第1の位置において、前記第3の円筒形パイプセクション(215)は下降して、前記膨張可能な可撓性ホルダに気密に接続され得る、
請求項11に記載のコーティングシステム。
【請求項13】
前記搬送ユニット(2)と前記受け取りユニット(3)とからなる少なくとも2つの組合せが配置される載置台(6)と、
前記自動移送機構(4)の前記載置台(6)近くの側に配置された供給装置(7)と、
前記自動移送機構(4)の前記載置台(6)近くの他方の側に配置された出力装置(8)と、
を更に備える、請求項1~12のいずれか一項に記載のコーティングシステム。
【請求項14】
前記載置台(6)は円弧形の台であり、前記少なくとも2つの組合せは、前記円弧の円周方向に沿って前記載置台上に設置され、
前記自動移送機構(4)は、前記自動移送機構から各受け取りユニットまでの距離が同じになるように、前記円弧の中心に配置されている、
請求項13に記載のコーティングシステム。
【請求項15】
前記載置台(6)は半円形の台であり、前記搬送ユニットと前記受け取りユニットとからなる4つの組合せが前記載置台上に配置され、前記自動移送機構(4)は、前記制御ユニット(5)と通信するロボットであり、前記制御ユニットは、前記ロボットを制御して、どの受け取りユニットがアイドル状態にあるかを決定し、次いで、前記コーティングされる基材を前記アイドル状態にある受け取りユニットに移送する、請求項14に記載のコーティングシステム。
【請求項16】
前記出力装置(8)が少なくとも2つの出力コンベヤを備え、前記出力コンベヤの一方(81)が適格製品に使用され、前記出力コンベヤの他方(82)が不適格製品に使用される、請求項13~15のいずれか一項に記載のコーティングシステム。
【請求項17】
前記コーティングされる基材の背圧を測定するために使用され得る背圧測定デバイスを更に備え、前記基材上にコーティングされる前記固体材料の重量が、前記測定された背圧値に基づいて決定され得る、請求項1~16のいずれか一項に記載のコーティングシステム。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載のコーティングシステムで基材(10)をコーティングする方法であって、
前記基材(10)を提供することと、
自動移送機構(4)によって前記基材を受け取りユニット(3)に搬送し、前記受け取りユニットにおいて前記基材を固定保持することと、
前記基材上にコーティングされる固体材料を、投入ユニット(1)によって事前に秤量することと、
前記秤量された固体材料を前記搬送気流と混合し、それらを前記搬送ユニットによって前記受け取りユニット(3)に搬送して、前記基材をコーティングすることと、
前記コーティングされた基材を、前記自動移送機構(4)によって前記受け取りユニット(3)から取り出すことと、
を含む方法。
【請求項19】
前記基材上にコーティングされる固体材料を前記投入ユニット(1)によって事前秤量するステップにおいて、前記秤量装置(16)によって測定される、前記材料移送容器(15)及びその中で搬送される前記固体材料の総重量をWtと定義し、前記材料移送容器(15)内の前記固体材料を前記搬送ユニット(2)内に供給した後、前記材料移送容器(15)を前記秤量装置(16)によって再び秤量し、その測定値をWrとし、Wt-Wrが、前記搬送ユニット2に供給される実際の材料重量Gとなり、前記実際の材料重量Gが、設定重量W±5%の範囲内にある場合、前記投入ユニット(1)は、次の基材のための固体材料を続けて秤量し、そうでない場合、前記秤量装置16は、信号を前記制御ユニットに送信して、今回コーティングされた前記基材を「不合格製品」としてマークする、
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記コーティングされた基材を前記受け取りユニット3から取り出すステップの後で、前記得られた製品が背圧試験によって適格であるかどうかを判定することが可能であり、例えば、所望の製品の背圧がPであり、測定された背圧Pt=P□1±5□であれば適格製品と判定でき、そうでなければ不適格製品(不合格品)と判定することができる、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
前記予備秤量ステップの前に、背圧測定装置によって前記コーティングされる基材の背圧を測定し、前記背圧測定値に基づいて、前記基材上にコーティングされる前記固体材料の重量を決定することを更に含む、請求項18~20のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材、特にウォールフローフィルタ用の基材をコーティングするためのコーティングシステム、及び当該コーティングシステムで基材をコーティングする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特定の内燃機関、例えば、希薄燃焼エンジン、ディーゼルエンジン、天然ガスエンジン、発電所、焼却炉、及びガソリンエンジンは、かなりの量のすす及び他の粒子状物質を含む排気ガスを生成する傾向がある。通常、粒子状物質の排出は、粒子状物質含有排気ガスをウォールフローフィルタに通すことによって改善することができる。
【0003】
ディーゼル用ウォールフローフィルタは、ディーゼルエンジンの排気ガスから炭素すすを除去するのに効率的であることが証明されている。最も広く使用されているディーゼル微粒子フィルタは、フィルタ本体の多孔質壁上にすすを捕捉することによって、ディーゼル排気ガスを濾過するウォールフローフィルタである。ウォールフローフィルタは、排気流を実質的に妨げることなく、すすをほぼ完全に濾過するように設計されている。
【0004】
フィルタ、例えば、優れた濾過効率及び低い背圧を有するウォールフローフィルタを得るための、改善されたコーティングシステム及びコーティングプロセスを提供することが求められている。
【0005】
最近、ユーロ6d及び中国6bのような更により厳しい規制が課され、従来の触媒フィルタ技術は、粒子状物質に対する顧客の排出目標と排気システムに対する背圧目標とを同時に満たすことが、更なる改善なしには不可能になっている。このことから、次世代触媒フィルタ(又はFWC)を開発し、同時に、この次世代製品を大規模に生産することができる新しいコーティングシステムを開発することが切実に必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的の1つは、優れた濾過効率及び低い背圧を有するフィルタを、より効率的に製造するための、改良されたコーティングシステムを提供することである。
【0007】
本発明の別の目的の1つは、優れた濾過効率及び低い背圧を有するフィルタを、より効率的に製造するための、改良されたコーティングプロセスを提供することである。
【0008】
したがって、本発明の一態様は、基材をコーティングするためのコーティングシステムであって、搬送される固体材料を事前秤量するための投入ユニットと、秤量された固体材料を、コーティングされる基材に、搬送気流によって搬送するための搬送ユニットと、搬送気流の流れ方向に沿って搬送ユニットの下流側に配置され、基材を受け取るための受け取りユニットと、基材を受け取りユニットに移送し、コーティングされた基材を受け取りユニットから取り出すための自動移送機構と、投入ユニット、受け取りユニット、及び自動移送機構の動作を制御するための制御ユニットと、搬送気流を発生させるための気流発生装置と、を備えるコーティングシステムである。
【0009】
一実施形態では、投入ユニットは、分配ポートを有する材料容器及び材料容器内に配置された分配機構を有する、自動材料投入装置と、材料移送容器と、秤量装置と、を備えていてよく、分配機構は、分配ポートを介して固体材料を材料移送容器内に分配するために使用され、秤量装置は、材料移送容器内の固体材料を秤量するために使用される。
【0010】
一実施形態では、分配機構及び秤量装置は、それぞれ制御ユニットと通信することができ、制御ユニットは、秤量装置から材料移送容器に分配する固体材料の重量測定値を受信し、重量測定値を搬送される固体材料の設定重量と比較し、重量測定値が設定重量±5%の範囲内にある場合、固体材料の分配を停止するように分配機構を制御する。
【0011】
一実施形態では、搬送ユニットは、順に接続された、第1の円筒形パイプセクション、第2の円筒形パイプセクション、第2の円錐形パイプセクション、及び第3の円筒形パイプセクションを備える、搬送パイプを備え得る。第2の円筒形パイプセクションは、第1の円筒形パイプセクションに移動可能に接続され、第2の円筒形パイプセクションは、第3の円筒形パイプセクションが下降して、受け取りユニットに気密に接続されて基材を覆うことができる第1の位置と、第3の円筒形パイプセクションが上昇して、自動移送機構が、第1の円筒形パイプセクションに対して、コーティングされる基材又はコーティングされた基材を操作するのに十分な空間を残すことができる第2の位置との間で移動することができるようになっている。
【0012】
好ましくは、搬送パイプは、垂直に配置されてもよく、第1の円筒形パイプセクションに接続された第1の円錐形パイプセクションを更に備えてもよく、第1の円錐形パイプセクションは、秤量された固体材料を受け取るために使用され、第1の円錐形パイプセクションは、搬送気流の流れ方向に沿って先細になり、第2の円錐形パイプセクションは、搬送気流の流れ方向に沿って末広がりになる。
【0013】
一実施形態では、第2の円筒形パイプセクションは、第1の円筒形パイプセクションよりも長さが短くてよく、第2の円筒形パイプセクションは、第1の円筒形パイプセクションの直径(内径)よりも小さい直径(内径)を有していてよく、第3の円筒形パイプセクションは、第3の円筒形パイプセクションがコーティングされる基材を覆うことができるように選択された直径及び高さを有していてもよい。
【0014】
好ましくは、第1の円筒形パイプセクションの内径は、Dとして定義される。第2の円筒形パイプセクションは、第1の円筒形パイプセクションよりも小さい直径を有し、例えば、第1の円筒形パイプセクションよりも、2mm~5mm、例えば、3mm小さい。第2の円錐形パイプセクションは、0.5D~1.5Dの範囲内の高さを有してもよい。第3の円筒形パイプセクションは、1.2~1.8D、例えば1.5Dである高さを有してもよい。第3の円筒形パイプセクションの直径は、2.5D~3Dの範囲内にあるように選択される。一実施形態では、第3の円筒形パイプセクションの直径は、基材の円形断面の直径よりも、又は基材が楕円形の円筒である場合には、基材の楕円形断面の短軸の直径よりも大きい。
【0015】
好ましくは、第1の円筒形パイプセクションは、40mm~140mmの範囲内の直径を有し得る。第2の円筒形パイプセクションは、第1の円筒形パイプセクションの直径よりも2mm~5mm小さい直径を有する。第2の円錐形パイプセクションは、20mm~200mmの範囲内の高さを有してもよい。第3の円筒形パイプセクションは、60mm~200mmの範囲内の高さを有してもよい。第3の円筒形パイプセクションの直径は、100mm~400mmの範囲内にあるように選択される。
【0016】
一実施形態では、受け取りユニットは、基材を固定的に保持する保持機構と、保持機構及び基材と気流発生装置とを気密的に接続する接続パイプラインと、を備えてもよく、接続パイプラインには、圧力センサ及び流量センサが配置されている。
【0017】
好ましくは、気流発生装置は、搬送パイプの入口端からその出口端へ流れる搬送気流を発生させるために受け取りユニットの下流に配置されたファンであってもよく、冷却器もまた、ファンの近くの接続パイプライン内に配置される。
【0018】
好ましくは、保持機構は、異なるサイズの基材を保持するように調整することができる膨張可能な可撓性ホルダであり、制御ユニットは、圧力センサ及び流量センサと通信して、圧力センサ及び流量センサを介して接続パイプライン内で測定された気流量及び圧力を受け取り、接続パイプラインは、基材の断面積より大きい断面積を有する。
【0019】
一実施形態では、基材は、フィルタ基材、特に入口側及び出口側を有するウォールフローフィルタ基材であってもよく、基材は、その入口側が搬送ユニットに面するように、膨張可能な可撓性ホルダ内に配置されている。第1の位置において、第3の円筒形パイプセクションは下降して、保持機構に気密に接続され得る。
【0020】
一実施形態において、コーティングシステムは、搬送ユニット及び受け取りユニットからなる少なくとも2つの組合せが配置される載置台と、自動移送機構の載置台近くの一方の側に配置された供給装置と、自動移送機構の載置台近くの他方の側に配置された出力装置と、を更に備える。
【0021】
好ましくは、載置台は円弧形の台であり、少なくとも2つの組合せは、円弧の円周方向に沿って載置台に設置され、自動移送機構は、円弧の中心に配置され、自動移送機構から各受け取りユニットまでの距離が同じになっている。
【0022】
より好ましくは、載置台は半円形の台であり、搬送ユニットと受け取りユニットからなる4つの組合せが載置台上に配置され、自動移送機構は、制御ユニットと通信するロボットであり、制御ユニットは、ロボットを制御して、どの受け取りユニットがアイドル状態にあるかを決定し、次いで、コーティングされる基材をアイドル状態にある受け取りユニットに移送する。
【0023】
一実施形態では、出力装置は、少なくとも2つの出力コンベヤを備えることができ、出力コンベヤのうちの一方は、適格製品のために使用することができ、出力コンベヤのうちの他方は、不適格製品のために使用することができる。
【0024】
好ましくは、コーティングシステムは、コーティングされる基材の背圧を測定するために使用され得る背圧測定デバイスを更に備え得るが、その場合、基材上にコーティングされる固体材料の重量が、測定された背圧値に基づいて決定され得る。
【0025】
本発明の別の一態様は、上記コーティングシステムで基材をコーティングする方法であって、基材を提供するステップと、自動移送機構により基材を受け取りユニットに搬送し、受け取りユニットにおいて基材を固定保持するステップと、基材上にコーティングされる固体材料を、投入ユニットによって事前に秤量するステップと、秤量された固体材料を搬送気流と混合し、それらを搬送ユニットによって受け取りユニットに搬送して、基材をコーティングするステップと、コーティングされた基材を、自動移送機構によって受け取りユニットから取り出すステップと、を含む方法である。
【0026】
有利には、基材上にコーティングされる固体材料を投入ユニットによって事前秤量するステップにおいて、秤量装置によって測定される、材料移送容器及びその中の搬送される固体材料の総重量が、Wtとして定義され、材料移送容器内の固体材料を搬送ユニット内に供給した後、材料移送容器を秤量装置によって再び秤量し、その測定値をWrとし、Wt-Wrが、搬送ユニットに供給される実際の材料重量Gとなり、実際の材料重量Gが、設定重量W±5%の範囲内にある場合、投入ユニットは、次の基材のための固体材料を続けて秤量し、そうでない場合、秤量装置16は、信号を制御ユニットに送信して、今回コーティングされた基材を「不合格品」としてマークする。
【0027】
好ましくは、コーティングされた基材を受け取りユニットから取り出すステップの後、得られた製品が背圧試験によって適格であるかどうかを判定することが可能である。例えば、所望の製品の背圧をPとし、測定された背圧Pt=P(1±5%)であれば適格製品と判定でき、そうでなければ不適格製品(不合格品)と判定できる。
【0028】
好ましくは、予備秤量ステップの前に、コーティングされる基材の背圧を背圧測定装置によって測定し、背圧測定値に基づいて、基材にコーティングされる固体材料の重量を決定するステップを更に含んでもよい。
【0029】
本発明によるコーティングシステムは、更なる改良なしに、粒子状物質に対する顧客の排出目標と、排気システムに対する背圧目標とを、同時に満たすことができる。この新しいコーティングシステムによって得られる製品(触媒フィルタ)は、粒子状物質に対してより高いトラップ効率を有し、同時に、コーティングシステムは、この製品を大規模に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明によるコーティングシステムの一実施形態を示す、概略ブロック図である。
図2】本発明による投入ユニットを示す、概略構造図である。
図3】搬送ユニット及び受け取りユニットを示す、概略構造図である。
図4】載置台、供給装置、及び出力装置を示す、概略構造図である。
図5】本発明によるウォールフローフィルタ用基材の一実施形態を示す、概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
定義されていない冠詞「a」、「an」、「the」は、当該冠詞に続く用語によって指定される種のうちの1つ以上を意味する。
【0032】
本開示のコンテクストにおいて、特徴について言及された任意の特定の値(範囲中において、端点として言及された特定の値を含む)は、新たな範囲を形成するために組み換えられ得る。
【0033】
本開示のコンテクストにおいて、そのように定義された各態様は、そうではないということが明確に示されない限り、任意の他の態様(複数可)と組み合わされ得る。特に、好ましい又は有利であると示された任意の特徴は、好ましい又は有利であると示された任意の他の1つ以上の特徴と組み合わされてもよい。
【0034】
図1は、本発明による、基材10をコーティングするためのコーティングシステムの一実施形態を示す概略ブロック図である。コーティングシステムは、主に、投入ユニット1と、搬送ユニット2と、受け取りユニット3と、自動移送機構4と、制御ユニット5とを備え、制御ユニット5は、投入ユニット1、受け取りユニット3、及び自動移送機構4の動作を制御する。投入ユニット1は、搬送される固体材料を予め秤量して投入するために使用され、搬送ユニット2は、秤量された固体材料を、搬送気流によって、コーティングされる基材10に搬送するために使用され、自動移送機構4は、コーティングされる基材10を受け取りユニットに移送し、コーティングされた基材を受け取りユニットから取り出すために提供される。また、受け取りユニット3は、基材を受け取るために使用され、搬送気流の流れ方向Fに沿って、搬送ユニットの下流に配置される。コーティングシステムは、搬送気流を発生させるための気流発生装置20を更に備えてもよい。本発明において、基材は、微粒子フィルタ、特にウォールフローフィルタ用の基材であり得る。しかしながら、当業者であれば、基材は、コーティングされる必要がある他のタイプの基材であってもよいということを理解すべきである。
【0035】
図2に示すように、好ましい一実施形態では、投入ユニット1は、自動材料投入装置11と、材料移送容器15と、秤量装置16とを備え得る。図から確認できるように、自動材料投入装置11は、分配ポート(又は分配管)12を有する材料容器13と、材料容器内に配置された分配機構14とを含むように構成されている。搬送される固体材料は材料容器に収容されており、分配機構14は、その固体材料を、分配ポート12を介して、カップ等の材料移送容器15に分配するために用いられ、材料移送容器内の固体材料は、秤量装置によって秤量される。一例では、分配機構14は、例えば、斜めに配置された分配管内に固体材料を押し込むための、ねじ機構であってもよい。
【0036】
上記投入ユニット1において、分配機構14及び秤量装置16は、それぞれ制御ユニット4と通信し、制御ユニット4は、秤量装置16から、材料移送容器に分配される固体材料の重量測定値W1を受信し、その重量測定値W1を、搬送される固体材料の設定重量Wと比較し、重量測定値W1が設定重量W±5%の範囲内にある場合、固体材料の分配を停止するように制御ユニット4は分配機構14を制御する。実際の動作では、固体材料の重量測定値W1は、秤量装置16の重量測定値Wtから材料移送容器15の重量Wcを減算したものとなる。材料移送容器15の壁にいくつかの固体材料が付着することを回避することは困難であるので、材料移送容器15内の固体材料を搬送ユニット2に供給した後、空の材料移送容器15を秤量装置16上に置いて再び秤量する必要があり、測定値がWrであれば、Wt-Wrが、搬送ユニット2に供給される実際の材料重量Gとなる。実際の材料重量Gが特定の範囲内、例えば、設定重量W±5%の範囲内にある場合、投入ユニット1は、次の基材のための固体材料を続けて秤量し、そうでない場合、秤量装置16は、信号を制御ユニットに送信して、今回コーティングされた基材を「不合格製品」としてマークする。
【0037】
図3に示すように、本発明による一実施形態において、搬送ユニット2は、垂直に配向された搬送パイプ21を備え、搬送パイプは、順に接続された、第1の円錐形パイプセクション211、第1の円筒形パイプセクション212、第2の円筒形パイプセクション213、第2の円錐形パイプセクション214、及び第3の円筒形パイプセクション215を備えることができる。有利には、第2の円筒形パイプセクション213は、第1の円筒形パイプセクション212に移動可能に接続され、第2の円筒形パイプセクション213は、第3の円筒形パイプセクション215が下降して、受け取りユニット3に気密に接続されてコーティングされる基材20を覆うことができる第1の位置と、第3の円筒形パイプセクション215が上昇して、自動移送機構4が、第1の円筒形パイプセクション212に対して、コーティングされる基材又はコーティングされた基材を操作するのに十分な空間を残すことができる第2の位置との間で移動することができるようになっている。第2の円筒形パイプセクション213と第1の円筒形パイプセクション212との間の接続手段は、当業者に知られており、ここでは繰り返さない。
【0038】
この実施形態では、第1の円錐形パイプセクション211は、材料移送容器15から秤量された固体材料を受け取るために使用され、好ましくは、搬送気流の流れ方向Fに沿って先細になり、それにより、材料移送容器5からの固体材料がより容易に搬送パイプ内に供給される。第1の円錐形パイプセクション211は、任意であるか、又は省略可能であるということを理解されたい。加えて、本出願では、本明細書の円筒形パイプセクションは、正方形断面などの他の形状の断面を有するパイプセクションと置き換えることもでき、これも本出願の範囲内に入る。また、本発明では、第2の円錐形パイプセクション214は、搬送気流の流れ方向Fに沿って徐々に拡がるように構成されている。
【0039】
図3に示す実施形態では、第2の円筒形パイプセクション213の長さは、第1の円筒形パイプセクション212よりも短くてもよい。また、例えば、第1の円筒形パイプセクション212の(内)径Dは、40mm~140mm、好ましくは60mm~100mm、更に好ましくは60mm又は100mmに選択されてもよい。第2の円筒形パイプセクション213の(内)径は、第1の円筒形パイプセクション212の直径より小さく、例えば、第1の円筒形パイプセクション212の直径より2mm~5mm小さく、その結果、第2の円筒形パイプセクションは、第1の円筒形パイプセクション内で自由に動くことができるようになっている。第3の円筒形パイプセクション215の直径及び高さは、コーティングされる基材10を覆うことができるように選択されなければならない。例えば、第3の円筒形パイプセクション215の高さは、1.2~1.8D、例えば1.5Dであってもよい。特に、第3の円筒形パイプセクションの高さは、60mm~200mm、好ましくは90mm~150mmの範囲内、例えば90mm又は150mmであってもよい。また、第3の円筒形パイプセクション215の直径は、2.5D~3Dであってもよい。具体的には、第3の円筒形パイプセクション215の直径は、100mm~400mm、好ましくは150mm~300mmの範囲内、例えば150mm又は300mmであってもよい。この場合、第3の円筒形パイプセクションの直径は、基材の円形断面の直径よりも、又は基材が楕円形の円筒である場合には、基材の楕円形断面の短軸の直径よりも大きい。
【0040】
更に、コーティングシステムの動作中、第1の円筒形パイプセクション212及び第2の円筒形パイプセクション213の直径、並びに第2の円錐形パイプセクション214及び第3の円筒形パイプセクション215の高さは、基材上にコーティングされる固体材料の分布にとって非常に重要である。特に、第2の円錐形パイプセクション214の高さに関して、その高さの値が大きいほど、乱流が、第1の円筒形パイプセクション214によって画定されるキャビティ内に生成され、固体材料の分布が、より良好になる。例えば、第2の円錐形パイプセクションの高さは、20mm~200mm、好ましくは100mm~200mmの範囲内であり得る。
【0041】
本発明の一実施形態によれば、図3を更に参照すると、受け取りユニット3は、コーティングされる基材10を固定的に保持するための保持機構31を備えることができ、その保持機構31は、接続パイプライン32によって気流発生装置20に気密に接続することができる。なお、接続パイプライン32の断面積は、基材10の断面積よりも大きい。例えば、気流発生装置20は、搬送パイプの入口端21aからその出口端21bへ流れる搬送気流を発生させるために、受け取りユニット3の下流に配置されたファンであってもよい。有利には、保持機構31は、異なるサイズの基材10を収容するように調整することができる、膨張可能な可撓性ホルダである。例えば、膨張可能な可撓性ホルダは、浮き輪又はタイヤの形態であってもよい。
【0042】
ファンが過熱するのを防止するために、冷却器(図示せず)を接続パイプライン32内のファンの近くに設けてもよい。更に、搬送空気流の安定性を維持するために、ガスバッファボックス(図示せず)が接続パイプラインに接続されてもよい。更に、圧力センサ33及び流量センサ34が接続パイプライン内に設けられ、制御ユニット5は、圧力センサ33及び流量センサ34と通信して、圧力センサ及び流量センサを介して接続パイプライン内で測定された気流量及び圧力を受信し、接続パイプライン32内の圧力及び気流量をリアルタイムで監視して、基材の背圧安定性を制御する。
【0043】
加えて、接続パイプライン32を外部環境と流体連通させることができる分岐パイプ(図示せず)が冷却器の近くに更に配置されてもよく、制御弁が分岐パイプ内に配置され、制御弁は、搬送ユニット2内の搬送空気流の流量を制御するように、コーティングシステムが動作するときに完全に又は部分的に開かれてもよい。
【0044】
図4に示すように、本発明の一実施形態によれば、コーティングシステムは、半円形の台である載置台6を備え、自動移送機構4は、半円の弧の中心に配置され、自動移送機構4から各受け取りユニットまでの距離が同じになっている。コーティングシステムは、自動移送機構4の載置台6近くの一方の側に配置された供給装置7と、自動移送機構4の載置台6近くの他方の側に配置された出力装置8と、を更に備える。
【0045】
当業者は、本発明における載置台が、他の適切な形状、例えば、半円とは異なる他の円弧形状に構成されてもよく、これらも本出願の範囲内にあるということを理解すべきである。本実施形態では、搬送ユニット2と受け取りユニット3とからなる組合せを4つ、載置台上に配置してもよい。簡略化のために、図4には、組合せ中の受け取りユニット3のみが示されている。ここで、自動移送機構4は、制御ユニット5と通信するロボットであり、制御ユニット5は、ロボットを制御して、どの受け取りユニットがアイドル状態にあるかを決定し、次に、コーティングされる基材を、アイドル状態にある受け取りユニットに搬送する。
【0046】
本発明による一実施形態では、出力装置8は、少なくとも2つの出力コンベヤを備えることができ、出力コンベヤのうちの一方は、適格製品のために使用することができ、出力コンベヤのうちの他方は、不適格製品のために使用することができる。
【0047】
図4に示す実施形態では、例えば、出力コンベヤ8は、3つの出力コンベヤ81、82、83を含むことができ、そのうちの1つの出力コンベヤ81は、不適格製品に使用され、他の2つの出力コンベヤ82、83は、異なる背圧範囲内にある適格製品に使用される。
【0048】
好ましくは、コーティングシステムは、コーティングされる基材の背圧を測定することができる背圧測定装置9を更に備え得るが、その場合、基材上にコーティングされる固体材料の重量が、測定された背圧値に基づいて決定され得る。
【0049】
本発明において、図5を参照すると、基材10は、例えば、ウォールフロー濾過基材であり、入口側10a及び出口側10bを有し、基材10は、その入口側10aが、搬送ユニット2に面するように、言い換えれば、その入口側10aが、接続パイプライン22に面するように、膨張可能な可撓性ホルダ内に配置される。円筒形パイプセクション213が第1の位置にあるとき、第3の円筒形パイプセクション215は下降して、膨張可能な可撓性ホルダに気密に接続され得る。図5に示す基材は、円形の断面を有し、例えば、相対的に小さいサイズの基材の断面の直径は、95mm~155mmの範囲内であってもよく、相対的に大きいサイズの基材の断面の直径は160mm~350mmの範囲内であってもよい。図示しない一実施形態では、基材の断面は、楕円形であってもよく、この場合、例えば、比較的小さいサイズの基材の楕円形断面の短軸は、95mm~155mmの範囲内であってもよく、比較的大きいサイズの基材の断面の短軸は、160mm~350mmの範囲内であってもよい。
【0050】
本発明はまた、上述のコーティングシステムで基材10をコーティングして、ウォールフローフィルタなどの製品を得る方法にも関し、この方法は、基材10を提供するステップと、自動移送機構4により基材を受け取りユニット3に搬送し、受け取りユニット3において基材を固定保持するステップと、基材上にコーティングされる固体材料を、投入ユニット1によって事前に秤量するステップと、秤量された固体材料を搬送気流と混合し、それらを搬送ユニットによって受け取りユニット3に搬送して、基材をコーティングするステップと、コーティングされた基材を自動移送機構4によって受け取りユニット3から取り出すステップと、を含む方法である。
【0051】
基材10を提供するステップでは、スキャン装置(図示せず)を提供して、提供された基材をスキャンして、基材のバッチが正しいかどうかを判断することができる。正しい場合には、その基材は受け取りユニット3に固定保持され、そうでない場合には、その基材は不合格基材と判定される。
【0052】
投入ユニット1によって基材上にコーティングされる固体材料を事前秤量するステップでは、実際に搬送ユニット2に供給される固体材料の重量Gもまた、秤量装置16によって測定され、設定重量Wと比較するために制御ユニットに送信され得る。特に、材料移送容器15と秤量装置16によって測定され搬送される固体材料の総重量が、Wtとして定義され、材料移送容器15内の固体材料を搬送ユニット2内に供給した後、材料移送容器15を秤量装置16によって再び秤量し、その測定値をWrとし、Wt-Wrが、搬送ユニット2に供給される実際の材料重量Gとなり、実際の材料重量Gが、設定重量W±5%の範囲内にある場合、投入ユニット1は、次の基材のための固体材料を続けて秤量し、そうでない場合、秤量装置16は、信号を制御ユニットに送信して、今回コーティングされた基材を「不合格製品」としてマークする。
【0053】
秤量された固体材料を搬送気流と混合し、搬送ユニット2によってそれらを受け取りユニット3に搬送して、基材をコーティングするステップにおいて、搬送気流の流量を制御することができる。得られた製品を、適格な製品特性及び外観を有するものとするために、異なる流量を有する搬送気流を、異なるサイズを有する基材に対して提供することができる。加えて、コーティング中に、適切な流量の搬送気流を使用して、コーティングされる基材を一定時間、例えば20秒間パージすることが必要である。流量が適切でなく、パージ時間が十分でない場合、得られた製品は不適格となる。
【0054】
コーティングされた基材を受け取りユニット3から取り出すステップの後で、得られた製品が背圧試験によって適格であるかどうかを判定することが可能である。例えば、所望の製品の背圧をPとし、測定された背圧Pt=P(1±5%)であれば適格製品と判定でき、そうでなければ不適格製品(不合格品)と判定できる。
【0055】
好ましくは、上記方法はまた、予備秤量ステップの前に、コーティングされるべき基材の背圧を背圧測定装置によって測定し、背圧測定値に基づいて、基材にコーティングされる固体材料の重量を決定するステップを含む。
【0056】
本開示の範囲又は趣旨から逸脱することなく、上記で開示された実施形態に対して、当業者によって考えられる様々な修正及び変形を行うことができる。本開示によれば、他の実施形態が当業者には明らかであろう。この説明及びその開示された例は、例示的なものにすぎないと見なされるべきであり、本開示の保護範囲は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物によって規定されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】