(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】拡張可能な抽出容器用の壁部分
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20240822BHJP
B65D 85/804 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
G03G21/16
B65D85/804 200
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509047
(86)(22)【出願日】2022-08-15
(85)【翻訳文提出日】2024-03-15
(86)【国際出願番号】 EP2022072754
(87)【国際公開番号】W WO2023020987
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】CH070169/2021
(32)【優先日】2021-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523087227
【氏名又は名称】スウィス ティー イノヴェイション アー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Swiss Tea Innovation AG
【住所又は居所原語表記】Leberngasse 21, 4600 Olten, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フランコ デル ボン
(72)【発明者】
【氏名】ヨーゼフ アラン シェラー
(72)【発明者】
【氏名】テオドア ヴュスト
【テーマコード(参考)】
2H171
【Fターム(参考)】
2H171FA28
2H171FA30
2H171GA03
2H171GA04
2H171GA06
2H171HA22
2H171HA23
2H171WA16
2H171WA18
(57)【要約】
抽出飲料の調製用の抽出乾燥物質を収容するための拡張可能な抽出容器(20)用の壁部分(23)と、抽出容器と、壁部分を製造する方法とが開示されている。壁部分(23)は第1の端部(231)と第2の端部(232)とを有し、さらに第1の端部(231)と第2の端部(232)とを結合する変形可能なチューブフィルム(233)を有する。第1の端部(231)は取付けリング(50)を有し、この取付けリング(50)は、チューブフィルム(233)と一体に結合されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抽出飲料の調製用の抽出乾燥物質を収容するための拡張可能な抽出容器(20)用の壁部分(23)であって、該壁部分(23)が、第1の端部(231)と第2の端部(232)とを有し、さらに前記第1の端部(231)と前記第2の端部(232)とを結合する変形可能なチューブフィルム(233)を有する、拡張可能な抽出容器(20)用の壁部分(23)において、
前記第1の端部(231)が、取付けリング(50)を有し、該取付けリング(50)が、前記チューブフィルム(233)と一体に結合されていることを特徴とする、拡張可能な抽出容器(20)用の壁部分(23)。
【請求項2】
前記第2の端部(232)が、前記抽出容器(20)のカバー部分(22)として形成されており、該カバー部分(22)が、前記チューブフィルム(233)と一体に結合されていることを特徴とする、請求項1記載の壁部分(23)。
【請求項3】
前記第1の端部(231)と前記第2の端部(232)とが、螺旋状の構造体(234)を介して互いに結合されていることを特徴とする、請求項1または2記載の壁部分(23)。
【請求項4】
前記螺旋状の構造体(234)が、前記チューブフィルム(233)と一体に結合されていることを特徴とする、請求項3記載の壁部分(23)。
【請求項5】
前記チューブフィルム(233)と、前記カバー部分(22)および/または前記取付けリング(50)および/または前記螺旋状の構造体(234)との間の結合部が、射出成形された結合部として形成されていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の壁部分(23)。
【請求項6】
前記カバー部分(22)と前記取付けリング(50)と前記螺旋状の構造体(234)とが、1つの一体品として形成されていることを特徴とする、請求項5記載の壁部分(23)。
【請求項7】
前記カバー部分(22)が、1つまたは複数の開口(222)を有し、該開口(222)を閉鎖するために、前記カバー部分(22)にシールフィルム(221)が配置されていることを特徴とする、請求項2から6までのいずれか1項記載の壁部分(23)。
【請求項8】
抽出飲料の調製用の抽出乾燥物質を収容するための拡張可能な抽出容器(20)であって、ボトム部分(21)と、カバー部分(22)と、前記ボトム部分(21)と前記カバー部分(22)とを結合する壁部分(23)、特に請求項1から7までのいずれか1項記載の壁部分(23)とを含み、該壁部分(23)が、可変の長さを有する、拡張可能な抽出容器(20)において、
前記壁部分(23)の第1の端部(231)が、一体の取付けリング(50)を有し、該取付けリング(50)を用いて前記壁部分(23)が前記ボトム部分(21)に取り付けられていることを特徴とする、拡張可能な抽出容器(20)。
【請求項9】
前記カバー部分(22)が、前記壁部分(23)の一体の構成要素として形成されていることを特徴とする、請求項8記載の拡張可能な抽出容器(20)。
【請求項10】
前記取付けリング(50)と前記カバー部分(22)とが、螺旋状の構造体(234)を介して互いに結合されていることを特徴とする、請求項9記載の拡張可能な抽出容器(20)。
【請求項11】
前記取付けリング(50)と前記カバー部分(22)との間に、チューブフィルム(233)が延びていることを特徴とする、請求項9から10までのいずれか1項記載の拡張可能な抽出容器(20)。
【請求項12】
前記チューブフィルム(233)と、前記取付けリング(50)および/または前記カバー部分(22)および/または前記螺旋状の構造体(234)とが、一体の結合部を有することを特徴とする、請求項11記載の拡張可能な抽出容器(20)。
【請求項13】
前記チューブフィルム(233)と、前記カバー部分(22)および/または前記取付けリング(50)および/または前記螺旋状の構造体(234)との間の結合部が、射出成形された結合部として形成されていることを特徴とする、請求項12記載の拡張可能な抽出容器(20)。
【請求項14】
前記カバー部分(22)に流入弁(10)が配置されていることを特徴とする、請求項9から13までのいずれか1項記載の拡張可能な抽出容器(20)。
【請求項15】
前記ボトム部分(21)に流出弁(30)が配置されていることを特徴とする、請求項8から14までのいずれか1項記載の拡張可能な抽出容器(20)。
【請求項16】
前記ボトム部分(21)にフィルタ篩(40)が配置されていることを特徴とする、請求項8から15までのいずれか1項記載の拡張可能な抽出容器(20)。
【請求項17】
抽出飲料の調製用の抽出乾燥物質を収容するための拡張可能な抽出容器(20)、特に請求項8から16までのいずれか1項記載の抽出容器(20)用の壁部分(23)、特に請求項1から7までのいずれか1項記載の壁部分(23)を製造する方法において、
-チューブフィルム(233)を準備するステップと、
-該チューブフィルムを工具コア(60)に被せて位置決めするステップと、
-該工具コア(60)を射出成形型(61)内に嵌め込むステップと、
-前記チューブフィルム(233)に直接被着するように取付けリング(50)を射出成形して、該取付けリング(50)と前記チューブフィルム(233)とを一体に結合するステップと、
-前記チューブフィルム(233)を、該チューブフィルム(233)に付着するように射出成形された前記取付けリング(50)と共に型抜きするステップと、
を有することを特徴とする、壁部分(23)を製造する方法。
【請求項18】
前記取付けリング(50)の射出成形の間、前記チューブフィルム(233)に直接被着するようにカバー部分(22)を射出成形して、該カバー部分(22)と前記チューブフィルム(233)とを一体に結合することを特徴とする、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記取付けリング(50)の射出成形の間、前記チューブフィルム(233)に直接被着するように螺旋状の構造体(234)を射出成形して、該螺旋状の構造体(234)と前記チューブフィルム(233)とを一体に結合することを特徴とする、請求項17または18記載の方法。
【請求項20】
前記チューブフィルム(233)が、変形可能なチューブフィルム(233)であることを特徴とする、請求項17から19までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立形式の各請求項の前提部に記載の、拡張可能な抽出容器用の壁部分、拡張可能な抽出容器ならびに拡張可能な抽出容器用の壁部分を製造する方法に関する。
【0002】
本発明と関連して「抽出飲料」とは、抽出乾燥物質から出発して、冷たい抽出液または熱い抽出液との接触によって調製され得る、あらゆる種類の飲料であると解される。典型的な抽出飲料は、たとえば、茶葉またはハーブに熱湯を注ぐことにより調製される茶である。
【0003】
種々異なる種類の茶が、その香りを最適に立たせるために、数分間の比較的長い時間、熱湯に浸すことを必要とすることが知られている。したがって、茶葉と抽出湯との間の接触時間は、十分に長くなければならない。
【0004】
欧州特許第3119245号明細書に基づき、茶調製装置および調量された量の抽出乾燥物質を規定の接触時間にわたって抽出液と接触させることを可能にする方法が公知である。これは、拡張可能な抽出容器により可能となる。抽出液を容器内に導入するためには、この容器のカバーが充てんニードルによって突き通され、この充てんニードルを通じて抽出液が容器内に導入される。抽出容器を空にするためには、流出弁が設けられており、この流出弁は、抽出容器の内部の所定の過圧が超えられると開く。この過圧は、押出しピストンを用いて容器を押し縮めることにより達成される。
【0005】
抽出乾燥物質に応じて、この抽出乾燥物質は、多かれ少なかれ圧縮させられた形で存在していてよい。抽出乾燥物質を完全に湿らせるためには、抽出乾燥物質が比較的ルーズな形で存在していなければならない。このためには、抽出容器が拡張可能となっているので、抽出乾燥物質をまんべんなく湿らせることができる。抽出容器の容積を拡大させることができるようにするために、すなわち抽出容器を拡張させることができるようにするために、欧州特許第3119245号明細書に記載の構成では、ベローズが設けられている。ベローズは、折り畳まれた状態では小さな所要スペースを有し、引き伸ばされた状態では比較的大きな容積を提供することができる。ベローズの製作は比較的手間がかかり、相応して高価である。さらに、ベローズが密となり、ベローズ内に存在する抽出乾燥物質の香りが維持されることが確保され得るようにするためには、種々異なる多数の生産ステップが存在することに基づき、相応する多数の品質管理が実施されなければならない。
【0006】
本発明の課題は、従来技術の少なくとも1つまたは複数の不都合を取り除くことである。特に、簡単に、かつ特に好都合に製造され得るとともに、資源を保護し、製造時の高い繰返し精度を可能にし、特に容易な拡張を可能にするような、拡張可能な抽出容器用の壁部分が提供されることが望ましい。
【0007】
この課題は、独立形式の各請求項において規定された装置および方法により解決される。別の実施態様は、従属形式の各請求項から得られる。
【0008】
抽出飲料の調製用の抽出乾燥物質を収容するための拡張可能な抽出容器用の本発明による壁部分は、第1の端部と第2の端部とを有する。この壁部分はさらに、第1の端部と第2の端部とを結合する変形可能なチューブフィルムを有する。
【0009】
第1の端部は取付けリングを有し、この取付けリングはチューブフィルムと一体に結合されている。
【0010】
チューブフィルムは、その長さもしくは面状の延在長さに対して相対的に小さな肉厚を有する、環状に延びる閉じられた壁を有する材料から成る要素である。肉厚はこの場合、0.2mmよりも小さく、好適には0.1mmよりも小さく、ただし少なくとも0.01mmの厚さを有する。チューブフィルムは、好ましくは正確に0.1mmの厚さを有する。
【0011】
チューブフィルムは、この場合、PET、PEFまたは比較可能な材料から成るフィルムであってよい。このチューブフィルムは好ましくは、100℃までの温度に対して、好ましくは150℃までの温度に対して、特に200℃までの温度に対して耐熱性を有する。チューブフィルムは、特に可塑剤不含であって、引張破断強さを有し、かつ高い耐しわ性を有する。
【0012】
チューブフィルムは、たとえば単層または多層のインフレーションフィルムとして製造されていてよく、択一的にはチューブフィルムは巻かれて、かつ溶着されてもよい。
【0013】
チューブフィルムの第1の端部に取付けリングを形成することにより、このチューブフィルムは、たとえば抽出容器の相応するボトム部分に簡単に結合され得る。
【0014】
このことは、特にチューブフィルムが取付けリングと一体に形成されていることにより単純化される。したがって、手間をかけてチューブフィルムをボトム部分に締付け固定する必要はなく、ボトム部分に設けられた相応する対応部材に取付けリングを結合させるだけで済む。
【0015】
壁部分の第2の端部が、抽出容器のカバー部分として形成されていることが規定されていてよい。カバー部分はこの場合、チューブフィルムと一体に結合されている。
【0016】
特にチューブフィルムをカバー部分と一体に結合することによって第2の端部が抽出容器のカバー部分として形成されていることに基づき、チューブフィルムをカバー部分に結合するための付加的な作業ステップが不要になり得る。
【0017】
さらに、カバー部分とチューブフィルムとの間の一体的な結合により、製造プロセスを単純化することが可能になる。特に、付加的な品質管理を不要にすることができる。なぜならば、チューブフィルムとカバー部分との間の別個の結合および/またはあとで実施される結合をチェックしなくて済むからである。
【0018】
このことは、同じくチューブフィルムと取付けリングとの間の結合についても云える。
【0019】
第1の端部と第2の端部とは、螺旋状の構造体を介して互いに結合されていてよい。
【0020】
螺旋状の構造体は、一方では壁部分の安定性を高め、他方では螺旋状の構造体によってコイルばねの形の弾性的な要素が提供され得る。この弾性的な要素は、拡張可能な抽出容器の拡張時における拡開動作を助成する。
【0021】
螺旋状の構造体は、チューブフィルムと一体に結合されていてよい。したがって、チューブフィルムは支持され、かつ案内されている。すなわち、チューブフィルムは螺旋状の構造体の螺条に結合されていて、螺旋状の構造体の螺条と一緒に運動する。抽出容器が、その拡張させられた形から収縮させられた形に押し縮められる際、チューブフィルムは、螺旋状の構造体によって案内され、螺旋状の構造体に対する結合部の領域においてその直径を維持するか、もしくは直径が少しだけ大きくなる。
【0022】
抽出容器が押し縮められる際、抽出容器は少しだけ回転させられ得るか、またはねじられ得るので、チューブフィルムの外径、ひいては螺旋状の構造体の外径も、一定のままとなる。
【0023】
チューブフィルムと、カバー部分および/または取付けリングおよび/または螺旋状の構造体との間の結合部は、射出成形された結合部として形成されていてよい。
【0024】
射出成形された結合部として形成されることに基づき、2つの要素の間の一体結合は比較的容易に可能となる。たとえばチューブフィルムを取り囲むように射出成形を行うことができ、したがってチューブフィルムを2つの側から封入することができ、チューブフィルムを取り囲むように要素を射出成形するか、またはチューブフィルムに付着するように要素を射出成形することにより、部分的な融着または溶着による結合も可能になるので、表面は少なくとも部分的に互いに噛み合わされている。
【0025】
好ましくは、カバー部分と取付けリングと螺旋状の構造体とは、1つの一体品として形成されている。
【0026】
これにより、個々の要素の間の別のインタフェースまたは付加的なインタフェースが回避され得る。このことは、欠陥発生率に関してポジティブな影響を与える。
【0027】
一体品としての製作は、特に射出成形法において有利である。
【0028】
互いに一緒に製作されるすべての要素が均一に、かつ均質に形成され得る。
【0029】
壁部分のカバー部分は、1つまたは複数の開口を有していてよい。この開口を閉鎖するためには、カバー部分にシールフィルムが配置されていてよい。
【0030】
カバーに設けられた開口により、材料も重量も節約され得る。
【0031】
本発明の別の観点は、抽出飲料の調製用の抽出乾燥物質を収容するための拡張可能な抽出容器に関する。この抽出容器は、ボトム部分と、カバー部分と、このボトム部分とカバー部分とを結合する壁部分とを含む。壁部分は、特に前で説明したように形成されている。壁部分は可変の長さを有する。壁部分の第1の端部が、一体の取付けリングを有する。壁部分は、この取付けリングを用いて抽出容器のボトム部分に取り付けられている。
【0032】
一体の取付けリングにより、ボトム部分における壁部分の簡単な取付けが可能となる。抽出容器は、相応して簡単に、かつ廉価に製造され得る。
【0033】
カバー部分が、壁部分の一体の構成要素として形成されていることが規定されていてよい。
【0034】
カバー部分が壁部分の一体の構成要素として形成されていることにより、製作における別のステップを不要にすることが可能となる。カバー部分を壁部分に結合するための別個のステップが不要となり得る。このことはプロセス安全性を高め、品質管理が簡素化される。
【0035】
取付けリングとカバー部分とは、螺旋状の構造体を介して互いに結合されていてよい。
【0036】
これによって、カバー部分は確実に取付けリングに保持されている。
【0037】
取付けリングとカバー部分との間には、チューブフィルムが延びていてよい。
【0038】
チューブフィルムにより、カバー部分と取付けリングとの間には、たとえば抽出乾燥物質を導入することのできるスペースまたは容積が提供され得る。チューブフィルムは、壁部分の空気密な形成を可能にするので、抽出乾燥物質の香りが揮発するおそれはない。
【0039】
チューブフィルムと、取付けリングおよび/またはカバー部分および/または螺旋状の構造体とは、一体の結合部を有していてよい。
【0040】
一体の結合部は、信頼性良く、かつ確実であるとともに、高い品質基準を満たし、この高い品質基準は単純な手段によって達成され得る。一体の結合部の形成により、さらに、品質管理のための手間のかかるテストを不要にすることが可能となる。同じく、付加的な結合ステップを不要にすることができる。
【0041】
チューブフィルムと、カバー部分および/または取付けリングおよび/または螺旋状の構造体との間の結合部は、射出成形された結合部として形成されていてよい。
【0042】
射出成形された結合部としての形成より、2つの要素の間の一体の結合が比較的簡単に可能となる。たとえばチューブフィルムを取り囲むように射出成形を行うことができ、したがってチューブフィルムを2つの側から封入することができ、チューブフィルムを取り囲むように要素を射出成形するか、またはチューブフィルムに付着するように要素を射出成形することにより、部分的な融着または溶着による結合も可能になるので、表面は少なくとも部分的に互いに噛み合わされている。
【0043】
このことは、カバー部分を取付けリングおよび螺旋状の構造体と一緒に1つの一体品として製作することも可能にする。その利点は、壁部分に関して既に説明されており、同じくこの場合にも該当する。
【0044】
カバー部分には流入弁が配置されていてよい。流入弁を設けることにより、カバー部分が信頼性良く、かつ密に閉鎖され得ることが確保され得る。
【0045】
ボトム部分には流出弁が配置されていてよい。流出弁を設けることにより、ボトム部分が信頼性良く、かつ密に閉鎖され得ることが確保され得る。
【0046】
したがって、抽出容器は、収縮させられた形で空気密に閉鎖され得る。
【0047】
弁は、同じく抽出容器の固有の開閉を可能にする。
【0048】
付加的に、ボトム部分にフィルタ篩が配置されていることが規定されていてよい。フィルタ篩は、特に抽出容器の内部から流出弁に向かう方向で流体流が濾過されるように配置されている。
【0049】
さらに別の観点は、抽出飲料の調製用の抽出乾燥物質を収容するための拡張可能な抽出容器用の壁部分、特に前で説明したような壁部分を製造する方法に関する。壁部分は、特に、前で説明したような拡張可能な抽出容器のために設けられている。この方法は、以下のステップ:
-チューブフィルムを準備するステップと、
-チューブフィルムを工具コアに被せて位置決めするステップと、
-工具コアを射出成形型内に嵌め込むステップと、
-チューブフィルムに直接被着するように取付けリングを射出成形して、取付けリングとチューブフィルムとを一体に結合するステップと、
-チューブフィルムを、このチューブフィルムに付着するように射出成形された取付けリングと共に型抜きするステップと、
を含む。
【0050】
このことは、一体の構成要素としてチューブフィルムと取付けリングとを有する壁部分の簡単で、かつ廉価な製作を可能にする。取付けリングとチューブフィルムとの間の結合は、射出成形により直接に形成され、これら両要素を結合するための付加的なステップは必要とならない。
【0051】
取付けリングの射出成形の間、同じステップにおいてカバー部分が直接にチューブフィルムに被着するように射出成形され得るので、カバー部分とチューブフィルムとは、同じく一体に結合されている。
【0052】
この製作ステップは、壁部分の製作を簡単にするとともに、チューブフィルムをカバー部分に結合するための別のステップを不要にすることを可能にする。カバー部分は、もはや別個に製造される必要はなく、チューブフィルムと取付けリングとの間のインタフェースが不要となるのと同様に、カバー部分とチューブフィルムとの間のあとからのインタフェースも不要となる。
【0053】
取付けリングの射出成形の間、同じステップにおいて、チューブフィルムに直接被着するように螺旋状の構造体が射出成形され得るので、螺旋状の構造体とチューブフィルムとは一体に結合されている。
【0054】
このステップも、製作を容易にするとともに、チューブフィルムを螺旋状の構造体に取り付けるための相応する付加的なステップを不要にすることを可能にする。
【0055】
フィルムに付着するように、またはフィルムを取り囲むように射出成形することにより、部分的な融着または溶着による結合も可能になるので、フィルムの表面と、付着または取り囲むように射出成形された要素の表面とは、少なくとも部分的に互いに噛み合わされている。
【0056】
チューブフィルムは、変形可能なチューブフィルムである。
【0057】
変形可能なチューブフィルムを使用することにより、製造に続いて壁部分を収縮させることができることが保証されている。
【0058】
この場合、カバー部分が取付けリングの方向に移動させられることが規定されていてよい。これにより、螺旋状の構造体の直径が少しだけ増大する。択一的には、カバー部分が取付けリングの方向に移動させられる間、壁部分が少しだけねじられるので、螺旋状の構造体の外径が変化しないことが規定されていてもよい。
【0059】
以下に、概略的な図面につき、本発明の種々異なる観点を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【
図2A】
図1に示した抽出容器を収縮させられた形で示す斜視図である。
【
図2B】
図2Aに示した抽出容器を拡張させられた形で示す斜視図である。
【
図10】
図9に示した工具コアと、この工具コアに被さるように配置されたチューブフィルムとの斜視図である。
【0061】
図面を見易くするために、すべての図面において、場合によっては抽出容器20内に存在する抽出乾燥物質の図示は省略されている。
【0062】
図1には、抽出容器20の斜視断面図が示されている。抽出容器20は、流入弁10と、送出開口を備えた流出弁30とを有する。抽出容器自体は、ボトム部分21と、カバー部分22と、壁部分23とを含む。壁部分23は拡張可能であり、かつこの場合、チューブフィルム233を含む。壁部分23は、一方ではボトム部分21に液密に結合されており、他方ではカバー部分22に液密に結合されている。チューブフィルム233の周面を巡るように、螺旋状の構造体234が形成されている。この壁部分23は、ボトム部分21とカバー部分22とによって取り囲まれている。このためには、ボトム部分21の周面に、カバー部分22の方向に延びる中空円筒状の壁部211が設けられている。
【0063】
同じく、流出弁30が少なくとも部分的に、ボトム部分21の一体の構成要素として形成されていることが判る。流出弁30を完全な形にするためには、クロージャ31が設けられている。送出開口の上流側、ひいては流出弁30の上流側に配置されているフィルタ篩40が同じく図示されている。
【0064】
図1から判るように、流入弁10は少なくとも部分的にカバー部分22の構成要素として形成されていて、ボトム部分21に設けられた相応する対応部材と協働する。この対応部材は、フィルタ篩40に設けられた突出部である。カバー部分22には、シールフィルム221が配置されており、このシールフィルム221は流入弁10を閉鎖している。
【0065】
図1に示した抽出容器20は、実質的に回転対称に形成されていて、中心軸線Lを有する。この中心軸線Lは同じく軸方向を規定する。抽出容器20が非回転対称に形成されている場合でも、中心軸線が存在している。この中心軸線は、実質的に流入弁10と流出弁30とを結ぶ線により規定されている。同じく流入弁10と流出弁30とによって、流入弁10から流出弁30へ延びる流れ方向が規定されている。
【0066】
図2Aには、
図1に示した抽出容器を、この抽出容器が収縮させられた形で示す斜視図が示されている。図面から判るように、抽出容器20はこの形で実質的に、クロージャ31の内部に配置されているボトム部分21(
図1参照)と、中空円筒状の壁部211と、シールフィルム221によって閉鎖されたカバー部分22とから成り、これらの構成要素によって、抽出容器20の内部に位置する拡張可能な壁部分が保護されて配置されている。
【0067】
図2Aおよび
図1から判るように、収縮させられた形では、ボトム部分21が、その周面に配置された壁部211を介してカバー部分22に結合されている。
【0068】
図2Bには、
図2Aに示した抽出容器20を、この抽出容器が拡張させられた形で示す斜視図が示されている。流入弁10(
図1参照)を介して過圧を導入することにより、カバー部分22は、壁部211に設けられた相応するシート215(
図5参照)から押し出され、抽出容器20内に抽出液を装入することによって壁部分23が拡張させられている。この拡張は、螺旋状の構造体234によって助成されている。もちろん、過圧の導入前に流入弁10は開放されている。抽出容器20はその後に、予め規定された時間にわたって、この拡張させられた形に留まり、引き続き、抽出飲料の導出のために押し縮められる。もちろん、流出弁30(
図1参照)は、特に押し縮めの前に開放され、抽出飲料はこの流出弁30を通じて送出される。
【0069】
図3には、
図1に示した抽出容器20の分解図が示されている。抽出容器20は、カバー部分22を有し、このカバー部分22は、このカバー部分22に取り付けられたシールフィルム221を備えている。シールフィルム221はこの場合、接着剤を用いてカバー部分22に取り付けられている。しかし、シールフィルム221が超音波溶着またはコンベンショナルな融着/融合によってカバー部分22に配置されていることも考えられる。この場合、カバー部分22が開口222を有し、この開口222が同じくシールフィルム221によって閉じられていることが判る。
【0070】
同じく壁部分23が図示されており、この壁部分23は、第1の端部231と第2の端部232とを有する。第1の端部231と第2の端部232とは、チューブフィルム233によって互いに結合されている。言い換えれば、チューブフィルム233が、第1の端部231と第2の端部232とを有している。第1の端部231は取付けリング50と一体に結合されている。第2の端部232はとカバー部分22一体に結合されている。
【0071】
チューブフィルム233の周面を巡るように、螺旋状の構造体234が形成されており、この螺旋状の構造体234は、同じくチューブフィルム233と一体に結合されている。カバー部分22と、螺旋状の構造体234と、取付けリング50とは、射出成形法で1つの一体品として製造されており、したがって一体の射出成形品として形成されている。射出成形法での製造により、これらの要素は直接にチューブフィルム233に被着または付着するように射出成形され得る。
【0072】
同じく
図3には、カバー部分22の方向に延びる壁部211を備えたボトム部分21が図示されている。このボトム部分21には、流出弁30のクロージャ31が配置されている。クロージャ31は、軸方向移動可能にボトム部分21に配置されている。
【0073】
クロージャ31はボトム部分21に完全に被さっている。中央にはクロージャ31の一体の構成要素として閉鎖体312が形成されており(
図6参照)、この閉鎖体312はボトム部分21に設けられた開口を閉鎖している。送出開口の上流側に配置されているフィルタ篩40が同じく図示されている。クロージャ31を軸方向に移動させることにより、ボトム部分21に設けられた開口を開放し、ひいては流出弁30を開放することが可能となる。
【0074】
以下の図面においては、
図3に示した抽出容器20の個々の構成要素について詳細に説明する。
【0075】
図4には、シールフィルム221の斜視図が示されている。このシールフィルムはこの場合、ポリプロピレンから製作されていて、0.05mm~0.1mmの厚さを有し、ここでは0.8mmの厚さを有する。
【0076】
図5には、ボトム部分21の斜視図が示されている。ボトム部分21には、中空円筒状の壁部211が配置されている。この中空円筒状の壁部211の上端部は、カバー部分22を係合させる(
図1参照)ためのシート215を有する。このためには、カバー部分22に突出要素が形成されている。中空円筒状の壁部211と、ボトム部分21の実質的に面状に延びるベースエレメントとの間の移行部には、クランプエレメント212が設けられている。クランプエレメント212は、実質的に軸方向に延びる突起214と、中空円筒状の壁部211の一部とにより形成されている。これら両要素の間には、相応する対応部材、この場合には取付けリング50(
図1参照)を嵌め込むことができる。クランプエレメント212の内部には、実質的に軸方向に延びるシールリップ213が配置されている。シールリップ213も突起214も、ボトム部分21の中心周りに環状に形成されている。
【0077】
ボトム部分21の中央には、フィルタ篩40が配置されている。
【0078】
図6には、クロージャ31の斜視図が示されている。クロージャ31は、周縁部311と、中央に配置された閉鎖体312とを有する。周縁部311には、ボトム部分21に設けられた相応する対応部材と係合させるための半径方向内側に向けられた突出部が形成されている。
【0079】
図7には、壁部分23の斜視図が示されている。壁部分23は、第1の端部231と第2の端部232とを有する。壁部分23はこの場合、第2の端部に配置されているカバー部分22と、第1の端部231に配置されている取付けリング50とを含む。壁部分23はさらに、螺旋状の構造体234を含む。カバー部分22と、螺旋状の構造体234と、取付けリング50とは、射出成形法で一緒に1つの一体品として製作されている。壁部分23はさらに、チューブフィルム233を含む。カバー部分22と、螺旋状の構造体234と、取付けリング50とは、このチューブフィルム233に被着または付着するように射出成形されている。相応して、チューブフィルム233は、カバー部分22と螺旋状の構造体234と取付けリング50とに対する一体の取付け部を有する。したがって、これらの要素は、液密で、かつ空気密に互いに結合されている。カバー部分22には、開口222と、流入弁10(
図1参照)の一部とが設けられていることが判る。
【0080】
チューブフィルムはPETから成り、0.1mmの厚さを有する。チューブフィルムは、可塑剤不含であって、200℃までの耐熱性を有する。
【0081】
図8には、
図1の一部を詳細に示す図が示されている。一体に配置された取付けリング50を備えたチューブフィルム233が図示されており、取付けリング50は第1の脚部51と第2の脚部52とを有する。第1の脚部51は、環状に延びる溝によって第2の脚部52に対して間隔を置いて配置されている。
【0082】
取付けリング50は、ボトム部分21に設けられたクランプエレメント212内に保持されている。取付けリング50は、中空円筒状の壁部211と、環状に延びる突起214との間にクランプされている。軸方向の移動を防止するために、壁部211には突起216が設けられており、この突起216は取付けリング50の軸方向の移動を防止している。シールリップ213は、取付けリング50の第1の脚部51と接触している。
【0083】
これによって、取付けリング50、ひいてはこの取付けリング50に一体に取り付けられたチューブフィルム233は、ボトム部分21に確実に、かつ液密に保持されている。
【0084】
以下の図面には、
図7に示したような壁部分23のための製作方法の個々のステップが示されている。
【0085】
図9には、工具コア60とチューブフィルム233との斜視図が示されている。チューブフィルム233は、フィルムを一枚一枚巻いて溶着することにより製造される。個々のフィルムはこの場合、PETから製造されていて、0.1mmの厚さを有する。チューブフィルム233は、第1の端部231と第2の端部232とを有する。第1の端部231は、第2の端部232よりも少しだけ大きな直径を有する。すなわち、チューブフィルム233は、全体的に円錐状に先細りになるように形成されている。工具コア60は、相応して円錐状に形成されている。第1のステップにおいて、チューブフィルム233が工具コア60の手前に配置される。
【0086】
図10には、
図9に示した工具コア60と、この工具コア60に被さるように配置されたチューブフィルム233との斜視図が示されている。チューブフィルム233は工具60に被さって位置決めされている。工具60は、その後にチューブフィルム233と一緒に射出成形型61(
図11参照)内に嵌め込まれるか、もしくは射出成形型61が工具コア60を取り囲むように閉じられる。
【0087】
引き続き、相応して液状化されたプラスチック、この場合にはポリプロピレン、すなわちPP、が射出成形型61内に注射式に供給され、取付けリング50と螺旋状の構造体234とカバー部分22とが、チューブフィルム233に付着するように射出成形される。
【0088】
図11には、射出成形型61の工具コア60および工具半部62,63の斜視図が示されている。
図11には、射出成形後に工具半部62,63が開かれた後の状態が示されている。図面から判るように、螺旋状の構造体234とカバー部分22と取付けリング50とが、1つの一体の射出成形品として形成されていて、かつ射出成形法においてチューブフィルム233と一体に結合されている。
【0089】
したがって、射出成形型61の開放に続いて、完成された壁部分を工具60から型抜きすることができる。
【国際調査報告】