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特表2024-531310コーティングシステムの作動方法および作動方法を実行するためのコーティングシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】コーティングシステムの作動方法および作動方法を実行するためのコーティングシステム
(51)【国際特許分類】
   B05D 1/02 20060101AFI20240822BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20240822BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20240822BHJP
   B05B 12/00 20180101ALI20240822BHJP
   B05B 5/025 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
B05D1/02 Z
B05D3/00 D
B05D7/00 Z
B05B12/00 A
B05B5/025 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509114
(86)(22)【出願日】2022-08-01
(85)【翻訳文提出日】2024-02-15
(86)【国際出願番号】 EP2022071520
(87)【国際公開番号】W WO2023020821
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】102021121320.7
(32)【優先日】2021-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504389784
【氏名又は名称】デュール システムズ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】Durr Systems AG
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(72)【発明者】
【氏名】コッホ、ニコ
(72)【発明者】
【氏名】トーメ、パウル
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンツェンツ、ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】ハイム、ロビン
【テーマコード(参考)】
4D075
4F034
4F035
【Fターム(参考)】
4D075AA01
4D075AA10
4D075AA82
4D075AA86
4D075AA90
4D075BB99Z
4D075CA23
4D075CA48
4D075DA06
4D075DB01
4D075DB31
4D075DC12
4D075EA35
4D075EA39
4D075EB52
4D075EC11
4F034BA21
4F034BA26
4F034BB02
4F034BB12
4F034BB15
4F034BB24
4F034BB25
4F035AA03
4F035BA06
4F035BA22
4F035BB06
4F035BB13
4F035BB32
4F035BC02
(57)【要約】
本発明は、塗布器(例えば回転式噴霧器)を用いて、部品(例えば自動車車体部品)をコーティング剤(例えば塗料)でコーティングするためのコーティングシステムの作動方法であって、以下のステップを含む作動方法に関する。コーティング剤で部品をコーティングするステップであって、それにより、個々の部品のコーティング中に、コーティングシステムの装置の操作変数を表す部品関連プロセス値が得られ、それにより、個々の部品のコーティング中に特定の部品関連コーティング品質が得られるステップ、コーティングシステムの部品関連プロセス値を決定するステップ、任意に、部品のコーティング中の予測操作の一部として、個々の部品のコーティング中のコーティング欠陥(19)を検出するためのプロセス値における品質関連異常を決定するステップ、プロセス値の評価により、コーティングされた部品の部品表面の異常に対応するコーティング欠陥(19)の位置を決定するステップ。さらに、本発明は、当該作動方法を実施するための対応するコーティングシステムに関する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布器を用いて、部品にコーティング剤をコーティングするためのコーティングシステム、特に、噴霧器を用いて自動車車体部品に塗料を塗布する塗装装置の作動方法であって、
(a)コーティング剤で部品をコーティングするステップであって、
(a1)個々の部品のコーティング中に、コーティングシステムの装置の操作変数を示す部品関連プロセス値が取得され、
(a2)個々の部品のコーティング中に、特定部品関連コーティング品質が取得される、
ステップと、
(b)コーティング装置の前記部品関連プロセス値を決定するステップと、
(c)任意に、部品関連品質値を決定し、当該部品関連品質値は前記個々の部品のコーティング品質を反映するステップと、
(d)前記部品のコーティング中の予測操作において、前記個々の部品のコーティング中に、コーティング欠陥(19)を検出するためのプロセス値の品質関連異常を決定するステップと、
を備え、
(e)前記プロセス値を評価することにより、コーティングされた部品表面の異常に対応するコーティング欠陥(19)の位置を決定するステップを備えることを特徴とする、
作動方法。
【請求項2】
(a)表示画面(15)に、画像部品表示(16)の形式で、画像として前記部品を表示するステップと、
(b)表示画面(15)に、前記部品表面上の前記コーティング欠陥(19)の位置に応じて、前記画像部品表示(16)に前記コーティング欠陥(19)を画像としてマークするステップと、
を含むことを特徴とする、
請求項1に記載の作動方法。
【請求項3】
前記プロセス値の品質関連異常は、機械学習アルゴリズムによって、前記予測操作の過程で決定されることを特徴とする、
請求項1または2に記載の作動方法。
【請求項4】
決定された前記プロセス値の品質関連異常は、関連する品質値と共にデータベースに保存されることを特徴とする、
請求項3に記載の作動方法。
【請求項5】
前記機械学習アルゴリズムは、訓練操作の過程において、特に、
(a)前記予測操作の前、および/または、
(b)前記予測操作中
において訓練されることを特徴とする、
請求項3または4に記載の作動方法。
【請求項6】
前記訓練操作において前記機械学習アルゴリズムを訓練するため、
(a)コーティング操作中に前記プロセス値を決定するステップと、
(b)コーティング操作中に関連する品質値を決定するステップと、
(c)決定された前記プロセス値と、決定された前記品質値と、をデータベースに保存するステップと、
(d)前記データベースに保存された前記プロセス値と、前記データベースに保存された前記品質値と、に基づいて、前記機械学習アルゴリズムを訓練するステップと、
を備えることを特徴とする、
請求項5に記載の作動方法。
【請求項7】
(a)前記コーティング欠陥を回避し前記プロセス値を最適化するために、最適化案(20)を決定するステップ、
(b)前記最適化案(20)を自動的に実行するステップ、または
(c)前記最適化案(20)を表示するステップ、
を備えることを特徴とする、
請求項1から6の何れか1項に記載の作動方法。
【請求項8】
(a)表示画面(15)上の画像部品表示(16)が二次元であること、または
(b)表示画面(15)上の画像部品表示(16)が三次元であること、
を特徴とする、
請求項1から7の何れか1項に記載の作動方法。
【請求項9】
前記プロセス値が、前記コーティングシステムの装置の操作変数の目標値および/または実測値であることを特徴とする、
請求項1から8の何れか1項に記載の作動方法。
【請求項10】
前記プロセス値が、以下の操作変数、
(a)コーティングロボットを駆動するためのロボット駆動装置の駆動変数であり、特に位置、角度、回転速度および/または回転トルクの目標値および/または実測値、
(b)ロボット移動の経路データであって、特にロボット経路に沿った空間における塗布器の経路位置および/または経路速度の目標値および/または実測値、
(c)コーティング剤ポンプのポンプ変数、特にコーティング剤の流量、コーティング剤の吐出量、ポンプ速度、ポンプ駆動部のトルクの目標値および/または実測値、
(d)定量ポンプの定量ピストンの操作変数、特に定量ピストンの位置、定量ポンプの入口または出口の圧力、定量ポンプを通る流量、ポンプ駆動のトルクの目標値および/または実測値、
(e)圧力センサの圧力測定値、特にコーティング剤ポンプの上流側のコーティング剤圧力、コーティング剤ポンプの下流側のコーティング剤圧力、定量ピストンの下流側のコーティング剤圧力、
(f)バルブの変数、特に塗料、溶剤、水、シーラント、絶縁材料または接着剤の流れを制御するためのバルブにおける、コーティング剤の流れを制御するためのコーティング剤バルブの目標値および/または実測値、
(g)空気圧レギュレータの操作変数、特に媒体の圧力、流量、特にシェーピングエア、噴霧エア、ホーンエアまたはフリーフローエアの目標値および/または実測値、
(h)速度制御装置の操作変数、特に速度、回転霧化装置の場合はモータ空気圧、モータ空気量の目標値および/または実測値、
(i)塗料圧力制御装置の操作変数、特に塗料圧力および/または流量の目標値および/または実測値、
(j)静電コーティング剤帯電システムの操作変数、特に静電コーティング剤帯電システムの電圧および/または電流の目標値および/または実測値、
(k)塗装ブースのブース空調システムの操作変数、特にコーティングブース内の空気温度、空気湿度、および/または空気シンク率の目標値および/または実績値、
(l)磨耗変数、特に、好ましくは機械部品、特にRFIDタグに保存される磨耗カウンタの読み取り値、または稼働時間、
(m)近接センサ、特に容量性近接センサまたは誘導性近接センサの実測値、
(n)フィールドバスの接続機器、フィールドバスシステムの接続状態またはエラーカウンタの種類や特性、
(o)特に駆動部、塗布器、または材料供給部の温度センサの実測値、
(p)コーティング操作に関わる装置、特に塗布ロボット、ハンドリングロボット、PLC/セル制御装置、洗浄装置、コンベヤ技術、ブースコンディショニング、および/または前処理からの障害メッセージ、
(q)コーティングされる部品を識別するためのワークピース識別番号、
(r)コーティング剤の特性、特に色、色番号、カラーコード、接着剤の種類、粘度、保存温度、塗布温度、バッチ、
(s)操作変数の記録時間のタイムスタンプ、
のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする、
請求項1から9の何れか1項に記載の作動方法。
【請求項11】
(a)前記部品がそれぞれ、互いに隣接して走るコーティング経路でコーティングされ、
(b)前記プロセス値は、それぞれの場合において、現在コーティングされているコーティング経路と、隣接するコーティング経路に関連する、
ことを特徴とする、
請求項1から10の何れか1項に記載の作動方法。
【請求項12】
前記品質値は、
(a)それぞれの部品の前記コーティング欠陥(19)の数、
(b)前記コーティング欠陥(19)の空間上の位置、前記部品との関係、またはコーティングされた部分表面との関係、
(c)前記コーティング欠陥(19)の種類、
の何れか1つの変数であることを特徴とする、
請求項1から11の何れか1項に記載の作動方法。
【請求項13】
(a)コーティングされる前記部品は、自動車車体部品であること、および/または
(b)前記コーティング剤は、塗料、接着剤、シーリング材、または絶縁材料であること、および/または
(c)塗布器は、プリントヘッドまたは噴霧器、特に回転式噴霧器であること、
を特徴とする、
請求項1から12の何れか1項に記載の作動方法。
【請求項14】
部品をコーティング剤でコーティングするためのコーティングシステム、特に自動車車体部品を塗装するための塗装装置であって、
(a)コーティング剤を提供する少なくとも1つの塗布器、特に回転式噴霧器の形式の塗布器と、
(b)前記塗布器を移動させる少なくとも1つのコーティングロボット(1-4)と、
(c)前記コーティングロボットと前記塗布器を制御するための制御システム(5-15)と、
を備え、
(d)前記制御システム(5-14)は、請求項1から13の何れか1項に記載の作動方法を実行するように適合されている、
ことを特徴とする、
コーティングシステム。
【請求項15】
前記制御システムは、以下のシステム要素、
(a)前記コーティングロボット(1-4)、ロボット制御装置(5-8)、または前記プロセス値の少なくとも一部を供給する追加の取得装置、を制御するための少なくとも1つのロボット制御装置(5-8)、および/または、
(b)前記ロボット制御装置に加えて、特にロボットセルを制御するセル制御装置(9)の形式で、前記プロセス値の少なくとも一部を供給する少なくとも1つの更なる制御装置(9)、
(c)前記プロセス値および関連する前記品質値を格納するデータベースを有するデータベースコンピュータ(12)、
(d)前記品質値を手動または自動で取得する品質値コンピュータ(11)、
(e)接続コンピュータ(10)であって、
(e1)少なくとも1つの前記ロボット制御装置(5-8)、および/または、前記更なる制御装置(9)から前記プロセス値を受信し、前記データベースコンピュータ(12)に転送し、および/または、
(e2)前記品質値コンピュータ(11)から前記品質値を受信し、前記データベースコンピュータ(12)に転送する、
接続コンピュータ、
(f)AIコンピュータ(13)であって、
(f1)前記データベースコンピュータ(12)から、前記プロセス値と前記関連する品質値を受信し、機械学習アルゴリズムによって、前記プロセス値と部品上の関連する位置の品質関連異常を決定し、
(f2)決定された前記品質関連異常を、前記データベースコンピュータ(12)に送信し、データバンクに保存する、
AIコンピュータ、
(g)部品表面上のコーティング欠陥(19)の位置に応じて、画像部品画面(16)上に前記コーティング欠陥(19)を画像として表示するための表示コンピュータ(14)、
の少なくとも1つを備えることを特徴とする、
請求項14に記載のコーティングシステム。
【請求項16】
(a)前記制御システム(5-15)のシステム構成要素(5-15)は、別個のハードウェア構成要素として設計されていること、または、
(b)前記制御システム(5-15)のシステム構成要素(5-15)は、それぞれ、統合された制御コンピュータのハードウェアモジュールまたはソフトウェアモジュールを形成すること、
(c)以下のシステム構成要素(5-15)のうち、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、またはすべてが統合コンピュータに統合されていること、
(c1)前記接続コンピュータ(10)、
(c2)前記データベースコンピュータ(12)、
(c3)前記AIコンピュータ(13)、
(c4)前記制御コンピュータ、
(c5)前記表示コンピュータ(14)、
(c6)前記品質値コンピュータ(11)、
ことを特徴とする、
請求項15に記載のコーティングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布器(例えば回転式噴霧器)を用いて、部品(例えば自動車車体部品)にコーティング剤(例えば塗料)をコーティングするためのコーティングシステムの作動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車車体部品を塗装する最新の塗装システムでは、塗装結果が一定の基準を満たすように塗装工程の品質管理が行われている。例えば、塗布された塗料の品質特性、例えば、ほんの数例を挙げると、層の厚さ、均一性、色調、明度、硬度、架橋度、光沢などが測定される。このようにして、自動車車体の塗料の品質不良を決定することができる。これらの品質特性の測定に応じて、塗装システムのプロセス値(例えば、静電塗料帯電システムの高電圧、塗料フロー、シェーピングエアフローなど)を調整し、塗装工程の品質を向上させることができる。これまで、塗装工程の品質を向上させるための塗装工程のプロセス値の調整は、専門家の経験に基づいて、専門家が手作業で行っていた。また、品質不良の原因究明も、トライ・アンド・エラーの原理でプロセス値を変更し、その都度、塗装作業品質の変化への影響を評価しながら手作業で行っている。このような品質管理はミスが起こりやすく、それを任された専門家の経験に大きく依存する。
【0003】
プロセス値が決定されるコーティングシステムは、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4により知られている。プロセス値を評価することで、故障状態を検出することができる。しかし、これはまだ完全に満足できるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2020/141372号
【特許文献2】中国特許出願公開第112246469号明細書
【特許文献3】欧州特許第2095336号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第19756467号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明は、部品(例えば自動車車体部品)をコーティングするためのコーティングシステム(例えば塗装工場)における品質管理を改善するという課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題は、本発明に係る作動方法または独立請求項の対応する適切なコーティングシステムにより解決される。
【0007】
本発明に係る作動方法は、一般に、塗布器を用いてコーティング剤で部品をコーティングするコーティングシステムに適している。
【0008】
しかしながら、本発明の好ましい実施形態では、コーティングシステムは、塗料で自動車車体部品をコーティングするコーティングシステムであり、ここで、塗布器として噴霧器(例えば、回転式噴霧器)を使用することができる。
【0009】
しかしながら、本発明は、供給されるコーティング剤に関して、塗料に限定されるものではない。むしろ、供給されるコーティング剤は、ほんの数例を挙げると、接着剤、シーリング材、または絶縁材料であってもよい。
【0010】
さらに、本発明は、塗布器の種類に関して、噴霧器に限定されない。むしろ、プリントヘッドやいわゆるシーリング塗布器など、本発明の範囲内で異なる塗布器を使用することもできる。
【0011】
さらに、本発明は、コーティングされる部品に関して、本発明の好ましい実施形態において塗装される自動車車体部品に限定されない。むしろ、本発明による作動方法は、一般に、様々な種類の部品のコーティングに適している。
【0012】
本発明に係る作動方法において、部品(例えば自動車車体部品)は、当業界の技術水準に従ったコーティング剤(例えば塗料)によりコーティングされる。このコーティング作業中に、部品関連プロセス値(例えば、塗料フロー、シェーピングエアフロー、静電塗料帯電システムの帯電電圧など)が生成され、これは、個々の部品のコーティング中のコーティングシステムの装置の操作変数を反映する。例として、上述したプロセス値に加えて、後に詳述するように、広範なプロセス値を生成し、評価することができる。
【0013】
個々の部品のコーティング中の部品関連コーティング品質は、各部品による。すなわち、個々の部品は、個々のコーティング品質でコーティングされる。
【0014】
本発明は、塗装システムの部品関連プロセス値が、少なくとも部分的に決定されることを提供する。これは、例えば、自動車の車体の塗装中に、この自動車の車体の塗装されるプロセス値が決定されることを意味する。これにより、後に詳細に説明するように、品質管理が可能になる。
【0015】
さらに、本発明は、好ましくは、次に、部品関連品質値が、個々のコーティングされた部品について決定されることを提供し、これは、個々の部品のコーティング品質を反映する。このように、少なくとも1つの品質値、または、好ましくは一連の品質値が、各コーティング部品について決定される。
【0016】
本発明は、さらに、部品のコーティング中の予測操作の過程で、個々の部品のコーティング中にコーティング欠陥を検出できるように、プロセス値の品質関連異常が決定されることを提供する。したがって、本発明の文脈では、コーティング欠陥の決定は、測定された品質値を評価することによって、すなわち遡及的に実施されるだけでなく、プロセス値の品質関連異常を決定することによって、事前に実施されるべきである。予測操作の範囲内でのプロセス値の品質関連異常の決定は、好ましくは、機械学習アルゴリズム、すなわち人工知能(AI)によって実施される。
【0017】
さらに、本発明は、プロセス値を評価することによって、コーティングされた部品の部品表面の品質関連異常に対応するコーティング欠陥の位置が決定されることを提供する。こうして、プロセス値の品質関連異常が発生したときに、部品表面のどの位置がちょうどコーティングされたかが決定される。
【0018】
プロセス値を評価する際、一方では、コーティング欠陥につながる可能性のある品質関連異常が決定される。他方では、部品表面上のコーティング欠陥の位置も決定される。部品表面上のコーティング欠陥の位置が決定されることにより、欠陥の除去が容易になり、後に詳細に説明するように、画面上にコーティング欠陥の画像表示が可能になる。一方のコーティング欠陥と、他方の品質に関連するプロセス値の異常との間の相関関係により、プロセス値の最適化が容易になり、コーティング品質が向上する。それにより、オペレータの経験的な知識がより少なくて済むようになる。
【0019】
本発明の好ましい実施形態では、部品の画像表現は、画面上の部品の画像表現という形式で提供される。自動車車体部品を塗装する場合、塗装される自動車車体部品が、例えば、透視図または他の図(例えば、側面図、上面図、背面図)で、画面上に表示されることができる。次に、事前に決定されたコーティング欠陥を、コーティング欠陥の位置に応じて、部品の画像表示上にマークすることができる。例えば、自動車の車体のフロント左フェンダーにコーティング欠陥があると事前に決定された場合、このコーティング欠陥は、画面上の自動車の車体の画像表示上のフロント左フェンダーにもそれに応じてマークされる。この画像表示により、オペレータは、欠陥を発見しやすくなり、それに応じてプロセス値を調整することで欠陥を取り除くことができる。
【0020】
ここで、画面上の部品の画像表示は、例えば、二次元(例えば、上面図、側面図、背面図、正面図)または三次元(透視図)とすることができることにも言及すべきである。
【0021】
決定されたプロセス値の品質関連異常は、好ましくは、関連する品質値と共にデータベースに保存され、これにより評価が可能になる。
【0022】
プロセス値の品質に関連する偏差の決定は、好ましくは、訓練操作の過程で訓練され得る機械学習アルゴリズムによって実施されることは、既に上述した通りである。機械学習アルゴリズムによるこの訓練操作は、好ましくは実際の予測操作の前に、すなわち実際の塗装工程とは別に行われる。しかしながら、機械学習アルゴリズムの訓練操作は、予測操作中、すなわち実際の塗装工程中に行われることも可能である。さらに、機械学習アルゴリズムを訓練するために、実際の塗装工程の前に訓練操作を行うことも可能である。機械学習アルゴリズムは、その後、通常の塗装工程中でさらに最適化することができる。
【0023】
訓練モードでの機械学習アルゴリズムの訓練は、通常いくつかのステップから構成される。まず、コーティング操作のプロセス値が決定される。さらに、コーティング操作における関連する品質値も決定される。決定されたプロセス値と品質値は、その後、データベース内の割り当てられた場所に格納される。その後、機械学習アルゴリズムは、データベースに格納されたプロセス値と、データベースに格納された品質値を用いて、訓練され得る。
【0024】
さらに、本発明は、好ましくは、発生したコーティング欠陥を回避するために、プロセスパラメータをどのように最適化できるかを特定する最適化案を決定することも提供する。最適化案は、好ましくは自動的に決定され、また好ましくは自動的に実行される。例えば、プロセス値の分析およびコーティング欠陥の分析により、コーティングフローが高すぎた場合、最適化案として、コーティングフローを低減することを提供し得る。さらに、最適化案は、好ましくは、視覚的にも示される。したがって、本発明の範囲内において、最適化案が表示されるだけであることも可能であり、その場合、コーティングシステムのオペレータは、最適化案を受け入れて実行するかどうかを決定することができる。
【0025】
本発明の文脈で使用されるプロセス値という用語は、一般的な意味で理解されるべきであり、コーティングシステムの個々の装置の操作変数の目標値および/または実測値を含み得る。
【0026】
例えば、プロセス値は、コーティングシステムの以下の操作変数の少なくとも1つとすることができる。
コーティングロボットを駆動するためのロボット駆動装置の駆動変数、特に位置、角度、速度および/またはトルクの目標値および/または実測値、
ロボット移動の経路データ、特にロボット経路に沿った空間における塗布器の経路位置および/または経路速度の目標値および/または実測値、
コーティング剤ポンプのポンプ変数、特にコーティング剤の流量、コーティング剤の吐出量、ポンプ速度、ポンプ駆動部のトルクの目標値および/または実測値、
定量ポンプの定量ピストンの操作変数、特に定量ピストンの位置、定量ポンプの入口または出口の圧力、定量ポンプを通過する流量、ポンプ駆動のトルクの目標値および/または実測値、
圧力センサの圧力測定値、特にコーティング剤ポンプの上流側のコーティング剤圧力、コーティング剤ポンプの下流側のコーティング剤圧力、定量ピストンの下流側のコーティング剤圧力、
バルブの変数、特に塗料、溶剤、水、シーラント、絶縁材料または接着剤の流れを制御するためのバルブにおける、コーティング剤の流れを制御するためのコーティング剤バルブの目標値および/または実測値、
空気圧レギュレータの操作変数、特にシェーピングエア、噴霧エア、ホーンエアまたはフリーフローエアにおける圧力、媒体の流量の目標値および/または実測値、
速度制御装置の操作変数、特に回転式噴霧器における速度、モータ空気圧、モータ空気量の目標値および/または実測値、
塗料圧力制御装置の操作変数、特に塗料圧力および/または流量の目標値および/または実測値、
静電コーティング剤帯電システムの操作変数、特に静電コーティング剤帯電システムの電圧および/または電流の目標値および/または実測値、
コーティングブースのブース空調システムの操作変数、特にコーティングブース内の空気温度、空気湿度、および/または空気シンク率の目標値および/または実測値、
磨耗変数、特に磨耗カウンタまたは稼働時間の読取値であり、好ましくは機械部品、特にRFIDタグ(RFID:Radio Frequency and Identification)に保存される摩耗変数、
近接センサの実測値、特に容量性近接センサまたは誘導性近接センサの実測値、
フィールドバス装置の種類や特性、フィールドバスシステムの接続状態またはエラーカウンタ、
特に駆動部、塗布器、または材料供給部における、温度センサの実測値、
コーティング作業に関わる装置からの障害メッセージ、特にアプリケーションロボット、ハンドリングロボット、PLC/セル制御、洗浄装置、コンベア技術、ブースコンディショニングおよび/または前処理からの障害メッセージ、
コーティングされる部品を識別するためのワークピース識別番号、
コーティング剤の特性、特に色、色番号、カラーコード、接着剤の種類、粘度、保存温度、塗布温度、バッチ、
操作変数の記録時間のタイムスタンプ。
【0027】
ここで、上記の操作変数のどのような組み合わせもプロセス値として評価できることを述べておく。実際には、多数の操作変数の完全なセットがプロセス値として評価され、品質管理に考慮される。
【0028】
さらに、コーティングされる部品は、先行技術からそれ自体知られているように、好ましくは、並走する複数のコーティング経路でコーティングされることを述べる。隣り合って走行するコーティング経路は、その端部で重なり合い、部品上に連続したコーティング膜を形成する。各コーティング経路の品質管理を個別に行うために、プロセス値は、各コーティング経路について、個別に決定することができる。しかしながら、プロセス値は、それぞれの場合において、現在コーティングされているコーティング経路と、少なくとも1つの隣接するコーティング経路に関連させることも可能である。
【0029】
本発明の範囲内で、コーティング操作の品質を反映する品質値が決定されることは、既に上述した。例えば、これらの品質値は、以下の量のうちの少なくとも1つであってよい。
各部品のコーティング欠陥の数、
空間におけるコーティング欠陥の位置、部品との関係、またはコーティングされた部分表面との関係、
コーティング欠陥の種類。
【0030】
さらに、本発明は、本発明に係る上述の作動方法についてのみ保護を請求するものではないことを述べる。むしろ、本発明は、本発明による作動方法を実施するために好適に設計されたコーティングシステムの保護も請求する。
【0031】
この目的のために、本発明に係るコーティングシステムは、まず、部品(例えば自動車車体部品)にコーティング剤(例えば塗料)を塗布するために使用される、少なくとも1つの塗布器(例えば回転式霧化器)を備える。
【0032】
さらに、本発明に係るコーティングシステムは、塗布器を稼働させる少なくとも1つのコーティングロボットから構成される。
【0033】
コーティングロボットと塗布器は、従来技術により知られている制御システムによって制御される。
【0034】
さて、本発明は、制御システムが、本発明に係る作動方法を実行するように設計されていることを提供する。この目的のために、通常、対応する制御プログラムが制御システムに格納され、この制御プログラムが制御システム上で実行されると、本発明による作動方法が実行される。
【0035】
ここで、制御システムは、好ましくは、異なる機能を果たす複数の異なるシステム構成要素を有することを述べる。個々のシステム構成要素は、ここでは、単一のコンピュータにソフトウェアモジュールとして集中させることもできる。しかし、その代わりに、個々のシステム構成要素を、別々のハードウェア構成要素として実現させることも可能である。
【0036】
例えば、本発明によるコーティングシステムの制御システムは、以下のシステム構成要素を有することができる。
コーティングロボットを制御する少なくとも1つのロボット制御装置であって、該ロボット制御装置または追加の取得装置がプロセス値の少なくとも一部を供給する、ロボット制御装置、
ロボット制御システムに加えて、少なくとも1つの更なる制御システム、特にロボットセルを制御するセル制御システムの形態であり、この更なる制御システムは、プロセス値の少なくとも一部を供給する制御システム、
プロセス値と、関連する品質値を格納するデータベースを備えたデータベースコンピュータ、
手動または自動で品質値を取得するための品質値コンピュータ、
少なくとも1つのロボット制御装置および/または更なる制御装置から、プロセス値を受信し、該データベースコンピュータに転送し、該品質値コンピュータから品質値を受信し、該データベースコンピュータに転送する、接続コンピュータ、
データベースコンピュータからプロセス値と関連する品質値を受信し、機械学習アルゴリズムによって、プロセス値と部品上の関連する位置の品質関連異常を決定し、データベースに格納するために、決定された品質関連異常を、データベースコンピュータに送信する、AIコンピュータ、
部品表面上のコーティング欠陥の位置に対応するコーティング欠陥を、画像部品表示上に画像表示するための表示コンピュータ。
【0037】
記録されたプロセス値と品質データとの相関関係の認識は、好ましくは、二値分類器または多値分類器(例えばリーン、クレーターなどの異なる種類のコーティング欠陥を分類するという意味での多値分類器)を訓練することによって実施される。
【0038】
品質測定の測定点へのプロセス値の割り当ては、好ましくはロボット経路を介して行われ、このロボット経路も記録される。品質測定点については、塗布器の測定点までの距離が規定の測定値を超えないプロセス値は、説明特徴として好ましくは考慮される。
【0039】
この結果、時系列を品質測定に割り当てることになる。単純化のために、分類器の複雑さを軽減するために、時系列から集約を形成することができる。
【0040】
ロボット経路を介して割り当てられたプロセス値に加えて、個々の部品のメンテナンス状態、ブースの状態(特に温度、湿度)など、他の特徴を、分類器を介して含めることができる。
【0041】
以下の機械学習アルゴリズムは特に分類器、すなわち、勾配ブースティング、LSTM(長期短期記憶)、人工ニューラルネットワーク、SVM(サポートベクターマシン)に適している。
【0042】
訓練プロセスの実際の実行と同様に較正も、好ましくは、分類器を訓練するための「ベストプラクティス」にしたがって、前述のソフトウェアツールを使用して実行される。すなわち、本発明は、この点に関して、新規な手順を必要としない。
【0043】
本発明の他の有利なさらなる実施形態は、従属請求項に示されるか、または図を参照した本発明の好ましい実施形態の説明と共に、以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】プロセス値の品質関連異常を検出するための機械学習アルゴリズムの訓練操作を示すフローチャートである。
図2】実際の塗装工程における予測操作を示すフローチャートである。
図3】本発明に係る塗装システムの概略図である。
図4】自動車車体の透視図とコーティング欠陥のマーキングを示す画面表示である。
図5図4の変形を示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下では、まず、機械学習アルゴリズムの訓練操作を示すフローチャートを、図1に従って説明する。訓練操作のタスクは、機械学習アルゴリズムがプロセス値の品質関連異常を認識できるようにすることである。
【0046】
最初のステップS1では、コーティング操作においてプロセス値が測定され、記録される。プロセス値は、コーティング操作に関与する装置の様々な操作変数とすることができる。例えば、ほんの数例挙げると、塗料の流れ、シェーピングエアの流れ、静電塗料帯電システムの帯電電圧、または塗装ロボットの経路速度などである。しかしながら、好ましくは、プロセス値の評価をできるだけ意味のあるものにするために、多数の異なるプロセス値が測定され、記録される。
【0047】
次のステップS2では、コーティング操作の品質を反映する品質値が記録される。例えば、これらの品質値は、コーティングの厚さ、均一性、色調、硬度、光沢レベルまたは塗布されたコーティングの他の特性を反映することができる。
【0048】
次のステップS3では、事前に決定されたプロセス値が、同様に決定された品質値と共に、互いに割り当てられた状態で、データベースに格納される。例えば、プロセス値と品質値にはそれぞれタイムスタンプを付けて保存することができ、それによりその後の評価が容易になる。
【0049】
機械学習アルゴリズムは、プロセス値における品質関連異常を検出できるように、データベースに保存されたプロセス値と、同じくデータベースに保存された品質値に基づいて訓練され得る。
【0050】
以下、実際の塗装工程で行われる実際の予測操作を、図2のフローチャートにより説明する。
【0051】
最初のステップS1では、プロセス値が再び測定、記録され、これらのプロセス値は通常の塗装工程中に発生する。
【0052】
次のステップS2では、事前に訓練された機械学習アルゴリズムが、測定されたプロセス値を分析し、コーティング欠陥を示す品質関連異常を決定する。
【0053】
更なるステップS3では、プロセス値の品質関連異常に割り当てられる部品上の位置が決定される。
【0054】
その後、ステップS4において、決定されたプロセス値の異常は、部品上の位置と共にデータベースに格納される。
【0055】
次のステップS5では、プロセス値の異常が部品表示上に画像として表示され、ユーザがエラーを分析できるようにし、トラブルシューティングを容易にする。
【0056】
以下に、本発明係る塗装システムの概略図を、図3に示す。
【0057】
本発明に係る塗装システムは、複数の塗装ロボット1-4を備え、各塗装ロボット1-4はロボット制御装置5-8によって制御される。
【0058】
さらに、塗装セル(塗装ブース)内の各装置を統括的に制御する、セル制御装置9が別に設けられている。
【0059】
ロボット制御装置5-8とセル制御装置9は、接続コンピュータ10に接続されており、接続コンピュータ10はデータのやり取りが可能である。したがって、接続コンピュータ10は、ロボット制御装置5-8、およびセル制御装置9からも、それぞれの塗装セル内の装置の目標値や実測値など、多数のプロセス値を受信する。
【0060】
接続コンピュータ10は、品質値コンピュータ11に接続されており、品質値コンピュータ11は、塗装工程の品質を反映する測定された品質値を供給する。これらの品質値は、基本的に、プロセス値における品質関連異常を検出するため、機械学習アルゴリズムを訓練するために使用される。
【0061】
さらに、接続コンピュータ10は、データベースコンピュータ12に接続されており、このデータベースコンピュータ12は、接続コンピュータ10から、プロセス値と関連する品質値を受け取る。
【0062】
データベースコンピュータ12は、次にAIコンピュータ13に接続され、AIコンピュータ13では、機械学習アルゴリズムがプロセス値の品質関連異常を決定し、データベースコンピュータ12に報告する。
【0063】
最後に、データベースコンピュータ12は、表示コンピュータ14にも接続されており、この表示コンピュータ14は画面を有し、後に詳細に説明するように、塗装の欠陥のある塗装された自動車車体部品の画像表示を画面上に表示する。
【0064】
図4は、表示コンピュータ14の画面15の表示を、車体表示16で例示的に示したものである。ここでは、噴霧器が自動車の車体を塗装する個々の塗装経路17も、画像として表示されている。さらに、目立たない箇所18と異常な箇所19が、車体表示16上にマークされ、高い確率でコーティング欠陥を示す異常な箇所19は、測定されたプロセス値の評価から分かる。
【0065】
さらに、最適化案20が、さらに画面15に表示される。この実施形態の例では、最適化案20は、回転式噴霧器の霧化速度を、50,000rpmから55,000rpmに増加させることである。しかし、これは単に本発明を説明するための例に過ぎない。そして、塗装システムのオペレータは、最適化案20を採用して実行することができる。
【0066】
図5は、異なる車体表示16を有する図5の変形例を示し、この車体表示16は、ここでは二次元のみであり、2つの側面図、上面図および背面図からなる。それ以外は、繰り返しを避けるために、上記の説明を参照されたい。
【0067】
本発明は、上述の好ましい実施形態に限定されるものではない。むしろ、本発明の思想を利用する多数の変形例および変形が可能であり、したがって保護範囲に属する。特に、本発明は、従属請求項の主題および特徴についても、各場合に言及される請求項とは独立して、特に主請求項の特徴なしでも保護を主張する。したがって、本発明は、互いに独立して保護を享受する本発明の異なる態様からなる。
【0068】
(付記)
(付記1)
塗布器を用いて、部品にコーティング剤をコーティングするためのコーティングシステム、特に、噴霧器を用いて自動車車体部品に塗料を塗布する塗装装置の作動方法であって、
(a)コーティング剤で部品をコーティングするステップであって、
(a1)個々の部品のコーティング中に、コーティングシステムの装置の操作変数を示す部品関連プロセス値が取得され、
(a2)個々の部品のコーティング中に、特定部品関連コーティング品質が取得される、
ステップと、
(b)コーティング装置の前記部品関連プロセス値を決定するステップと、
(c)任意に、部品関連品質値を決定し、当該部品関連品質値は前記個々の部品のコーティング品質を反映するステップと、
(d)前記部品のコーティング中の予測操作において、前記個々の部品のコーティング中に、コーティング欠陥(19)を検出するためのプロセス値の品質関連異常を決定するステップと、
を備え、
(e)前記プロセス値を評価することにより、コーティングされた部品表面の異常に対応するコーティング欠陥(19)の位置を決定するステップを備えることを特徴とする、
作動方法。
【0069】
(付記2)
(a)表示画面(15)に、画像部品表示(16)の形式で、画像として前記部品を表示するステップと、
(b)表示画面(15)に、前記部品表面上の前記コーティング欠陥(19)の位置に応じて、前記画像部品表示(16)に前記コーティング欠陥(19)を画像としてマークするステップと、
を含むことを特徴とする、
付記1に記載の作動方法。
【0070】
(付記3)
前記プロセス値の品質関連異常は、機械学習アルゴリズムによって、前記予測操作の過程で決定されることを特徴とする、
付記1または2に記載の作動方法。
【0071】
(付記4)
決定された前記プロセス値の品質関連異常は、関連する品質値と共にデータベースに保存されることを特徴とする、
付記3に記載の作動方法。
【0072】
(付記5)
前記機械学習アルゴリズムは、訓練操作の過程において、特に、
(a)前記予測操作の前、および/または、
(b)前記予測操作中
において訓練されることを特徴とする、
付記3または4に記載の作動方法。
【0073】
(付記6)
前記訓練操作において前記機械学習アルゴリズムを訓練するため、
(a)コーティング操作中に前記プロセス値を決定するステップと、
(b)コーティング操作中に関連する品質値を決定するステップと、
(c)決定された前記プロセス値と、決定された前記品質値と、をデータベースに保存するステップと、
(d)前記データベースに保存された前記プロセス値と、前記データベースに保存された前記品質値と、に基づいて、前記機械学習アルゴリズムを訓練するステップと、
を備えることを特徴とする、
付記5に記載の作動方法。
【0074】
(付記7)
(a)前記コーティング欠陥を回避し前記プロセス値を最適化するために、最適化案(20)を決定するステップ、
(b)前記最適化案(20)を自動的に実行するステップ、または
(c)前記最適化案(20)を表示するステップ、
を備えることを特徴とする、
付記1から6の何れか1つに記載の作動方法。
【0075】
(付記8)
(a)表示画面(15)上の画像部品表示(16)が二次元であること、または
(b)表示画面(15)上の画像部品表示(16)が三次元であること、
を特徴とする、
付記1から7の何れか1つに記載の作動方法。
【0076】
(付記9)
前記プロセス値が、前記コーティングシステムの装置の操作変数の目標値および/または実測値であることを特徴とする、
付記1から8の何れか1つに記載の作動方法。
【0077】
(付記10)
前記プロセス値が、以下の操作変数、
(a)コーティングロボットを駆動するためのロボット駆動装置の駆動変数であり、特に位置、角度、回転速度および/または回転トルクの目標値および/または実測値、
(b)ロボット移動の経路データであって、特にロボット経路に沿った空間における塗布器の経路位置および/または経路速度の目標値および/または実測値、
(c)コーティング剤ポンプのポンプ変数、特にコーティング剤の流量、コーティング剤の吐出量、ポンプ速度、ポンプ駆動部のトルクの目標値および/または実測値、
(d)定量ポンプの定量ピストンの操作変数、特に定量ピストンの位置、定量ポンプの入口または出口の圧力、定量ポンプを通る流量、ポンプ駆動のトルクの目標値および/または実測値、
(e)圧力センサの圧力測定値、特にコーティング剤ポンプの上流側のコーティング剤圧力、コーティング剤ポンプの下流側のコーティング剤圧力、定量ピストンの下流側のコーティング剤圧力、
(f)バルブの変数、特に塗料、溶剤、水、シーラント、絶縁材料または接着剤の流れを制御するためのバルブにおける、コーティング剤の流れを制御するためのコーティング剤バルブの目標値および/または実測値、
(g)空気圧レギュレータの操作変数、特に媒体の圧力、流量、特にシェーピングエア、噴霧エア、ホーンエアまたはフリーフローエアの目標値および/または実測値、
(h)速度制御装置の操作変数、特に速度、回転霧化装置の場合はモータ空気圧、モータ空気量の目標値および/または実測値、
(i)塗料圧力制御装置の操作変数、特に塗料圧力および/または流量の目標値および/または実測値、
(j)静電コーティング剤帯電システムの操作変数、特に静電コーティング剤帯電システムの電圧および/または電流の目標値および/または実測値、
(k)塗装ブースのブース空調システムの操作変数、特にコーティングブース内の空気温度、空気湿度、および/または空気シンク率の目標値および/または実績値、
(l)磨耗変数、特に、好ましくは機械部品、特にRFIDタグに保存される磨耗カウンタの読み取り値、または稼働時間、
(m)近接センサ、特に容量性近接センサまたは誘導性近接センサの実測値、
(n)フィールドバスの接続機器、フィールドバスシステムの接続状態またはエラーカウンタの種類や特性、
(o)特に駆動部、塗布器、または材料供給部の温度センサの実測値、
(p)コーティング操作に関わる装置、特に塗布ロボット、ハンドリングロボット、PLC/セル制御装置、洗浄装置、コンベヤ技術、ブースコンディショニング、および/または前処理からの障害メッセージ、
(q)コーティングされる部品を識別するためのワークピース識別番号、
(r)コーティング剤の特性、特に色、色番号、カラーコード、接着剤の種類、粘度、保存温度、塗布温度、バッチ、
(s)操作変数の記録時間のタイムスタンプ、
のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする、
付記1から9の何れか1つに記載の作動方法。
【0078】
(付記11)
(a)前記部品がそれぞれ、互いに隣接して走るコーティング経路でコーティングされ、
(b)前記プロセス値は、それぞれの場合において、現在コーティングされているコーティング経路と、隣接するコーティング経路に関連する、
ことを特徴とする、
付記1から10の何れか1つに記載の作動方法。
【0079】
(付記12)
前記品質値は、
(a)それぞれの部品の前記コーティング欠陥(19)の数、
(b)前記コーティング欠陥(19)の空間上の位置、前記部品との関係、またはコーティングされた部分表面との関係、
(c)前記コーティング欠陥(19)の種類、
の何れか1つの変数であることを特徴とする、
付記1から11の何れか1つに記載の作動方法。
【0080】
(付記13)
(a)コーティングされる前記部品は、自動車車体部品であること、および/または
(b)前記コーティング剤は、塗料、接着剤、シーリング材、または絶縁材料であること、および/または
(c)塗布器は、プリントヘッドまたは噴霧器、特に回転式噴霧器であること、
を特徴とする、
付記1から12の何れか1つに記載の作動方法。
【0081】
(付記14)
部品をコーティング剤でコーティングするためのコーティングシステム、特に自動車車体部品を塗装するための塗装装置であって、
(a)コーティング剤を提供する少なくとも1つの塗布器、特に回転式噴霧器の形式の塗布器と、
(b)前記塗布器を移動させる少なくとも1つのコーティングロボット(1-4)と、
(c)前記コーティングロボットと前記塗布器を制御するための制御システム(5-15)と、
を備え、
(d)前記制御システム(5-14)は、付記1から13の何れか1つに記載の作動方法を実行するように適合されている、
ことを特徴とする、
コーティングシステム。
【0082】
(付記15)
前記制御システムは、以下のシステム要素、
(a)前記コーティングロボット(1-4)、ロボット制御装置(5-8)、または前記プロセス値の少なくとも一部を供給する追加の取得装置、を制御するための少なくとも1つのロボット制御装置(5-8)、および/または、
(b)前記ロボット制御装置に加えて、特にロボットセルを制御するセル制御装置(9)の形式で、前記プロセス値の少なくとも一部を供給する少なくとも1つの更なる制御装置(9)、
(c)前記プロセス値および関連する前記品質値を格納するデータベースを有するデータベースコンピュータ(12)、
(d)前記品質値を手動または自動で取得する品質値コンピュータ(11)、
(e)接続コンピュータ(10)であって、
(e1)少なくとも1つの前記ロボット制御装置(5-8)、および/または、前記更なる制御装置(9)から前記プロセス値を受信し、前記データベースコンピュータ(12)に転送し、および/または、
(e2)前記品質値コンピュータ(11)から前記品質値を受信し、前記データベースコンピュータ(12)に転送する、
接続コンピュータ、
(f)AIコンピュータ(13)であって、
(f1)前記データベースコンピュータ(12)から、前記プロセス値と前記関連する品質値を受信し、機械学習アルゴリズムによって、前記プロセス値と部品上の関連する位置の品質関連異常を決定し、
(f2)決定された前記品質関連異常を、前記データベースコンピュータ(12)に送信し、データバンクに保存する、
AIコンピュータ、
(g)部品表面上のコーティング欠陥(19)の位置に応じて、画像部品画面(16)上に前記コーティング欠陥(19)を画像として表示するための表示コンピュータ(14)、
の少なくとも1つを備えることを特徴とする、
付記14に記載のコーティングシステム。
【0083】
(付記16)
(a)前記制御システム(5-15)のシステム構成要素(5-15)は、別個のハードウェア構成要素として設計されていること、または、
(b)前記制御システム(5-15)のシステム構成要素(5-15)は、それぞれ、統合された制御コンピュータのハードウェアモジュールまたはソフトウェアモジュールを形成すること、
(c)以下のシステム構成要素(5-15)のうち、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、またはすべてが統合コンピュータに統合されていること、
(c1)前記接続コンピュータ(10)、
(c2)前記データベースコンピュータ(12)、
(c3)前記AIコンピュータ(13)、
(c4)前記制御コンピュータ、
(c5)前記表示コンピュータ(14)、
(c6)前記品質値コンピュータ(11)、
ことを特徴とする、
付記15に記載のコーティングシステム。
【符号の説明】
【0084】
1-4 塗装ロボット
5-8 ロボット制御装置
9 セル制御装置
10 接続コンピュータ
11 品質値コンピュータ
12 データベースコンピュータ
13 AIコンピュータ
14 表示コンピュータ
15 画面
16 画面上の車体表示
17 車体表示における塗装経路
18 車体表示における目立たない箇所
19 車体表示における異常な箇所
20 画面に映し出された最適化案
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】