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特表2024-531317方法及びオプトエレクトロニクスデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】方法及びオプトエレクトロニクスデバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/30 20100101AFI20240822BHJP
【FI】
H01L33/30
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509134
(86)(22)【出願日】2022-08-16
(85)【翻訳文提出日】2024-04-10
(86)【国際出願番号】 EP2022072883
(87)【国際公開番号】W WO2023021049
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2021/072901
(32)【優先日】2021-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】エイエムエス-オスラム インターナショナル ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】ams-OSRAM International GmbH
【住所又は居所原語表記】Leibnizstrasse 4, D-93055 Regensburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クレンプ クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】イレック シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ピートツオンカ イネス
(72)【発明者】
【氏名】ビーバースドルフ アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ワン シュエ
【テーマコード(参考)】
5F241
【Fターム(参考)】
5F241AA24
5F241CA04
5F241CA05
5F241CA37
5F241CA49
5F241CA53
5F241CA57
5F241CA60
5F241CA72
5F241CA73
(57)【要約】
本発明は、オプトエレクトロニクスデバイスであって、第1のドープされたキャリア輸送[(AlGa1-xIn1-y1-z層(xは[0;0.5]の範囲)と、第2のドープされたキャリア輸送[(AlGa1-xIn1-y1-z(xは[0;0、5]の範囲)とを含む、オプトエレクトロニクスデバイスに関する。両層の間に、活性領域が配置され、活性領域は、複数の交互の[(AlGa1-aIn1-b1-c量子井戸層及び[(AlGa1-dIn1-e1-f障壁層を含み、「a」は[0;0.5]の範囲であり、「d」は[0.45;1]の範囲、特に、[0.60;1.0]の範囲、特に、0.75~1.0である。複数の量子井戸層及び障壁層のうちの少なくとも1つは、濃度が1e15cm-3~5e17cm-3の範囲、特に、2e16cm-3~7e16cm-3の範囲の意図的に誘起されたドーパントを含み、ドーパントは、Mg、Zn、Te、及びSiの群の少なくとも1つから選択される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オプトエレクトロニクスデバイスを製造するための方法であって、
成長基板層を用意するステップと、
第1のドープされた[(AlGa1-xIn1-y1-zキャリア輸送層を、前記基板層上に、xが[0.5;1]の範囲で、成長方向に沿って堆積させるステップと、
前記成長方向に沿って活性領域を堆積させるステップであって、前記活性領域は、放射線を生成するように構成され、複数の交互の[(AlGa1-aIn1-b1-c量子井戸層及び[(AlGa1-dIn1-e1-f障壁層を含み、「a」は[0;0.5]の範囲であり、「d」は[0.45;1.0]の範囲、特に、[0.60;1.0]の範囲、特に、0.75~1.0であり、
前記障壁層及び/または前記量子井戸層の少なくとも1つを堆積させる間に、濃度が1e15原子/cm~5e17原子/cmの範囲、特に、2e16原子/cm~7e16原子/cmの範囲のドーパントによりドーピングし、前記ドーパントは、Mg、Zn、Te、及びSiの群の少なくとも1つから選択される、前記ステップと、
第2のドープされたキャリア輸送[(AlGa1-xIn1-y1-z層を、xが[0.45;1]の範囲で、前記成長方向に沿って堆積させるステップと、を含む前記方法。
【請求項2】
前記ドーピングは、少なくとも1つの量子障壁層の堆積中に、特に、複数の量子障壁層の堆積中に行う、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ドーパントの前記濃度が、前記ドーピングのステップ中に変化する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ドーパントによるドーピングは、前記障壁層及び前記量子井戸層の前記少なくとも1つに対する材料の堆積が開始した後に行い、前記障壁層及び前記量子井戸層の前記少なくとも1つに対する材料の前記堆積が停止する前に終了する、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
活性領域を堆積させることは、3~30の量子井戸層を堆積させることを含み、一方で、前記量子井戸層はそれぞれ、2nm~15nmの厚さを含み、前記量子障壁層はそれぞれ、3nm~25nmの厚さを含む、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記活性領域を堆積させるステップが、特に、前記堆積された複数の交互の量子井戸層及び障壁層の450℃~600℃の温度範囲でのアニーリングを含む、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記第1のドープされたキャリア輸送層を堆積させるステップは、前記活性領域を堆積させる前に、アンドープの[(AlGa1-xIn1-y1-z層を堆積させることを含む、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記複数の障壁層の少なくとも一部は、互いに異なるAl含有量を含み、各障壁層内の前記Al含有量は一定であり、及び/または、前記活性領域内の前記異なる層の最小及び最大のAl含有量は、1.1~3,5の範囲の係数だけ異なる、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記障壁層の少なくとも一部は、異なる厚さを含み、活性ゾーン内の前記障壁層の最小及び最大厚さは1.5~6の係数だけ異なる、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
y及びzはそれぞれ[0.45;0.55]の範囲であり、b及びcは[0.45;0.55]の範囲である、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
構造化マスク層を堆積させることと、
ドーパントを堆積させ、前記第2のドープされたキャリア輸送[(AlGa1-xIn1-y1-z層を通して前記活性領域内に拡散させて、量子井戸混合領域を得ることと、をさらに含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記ドーパントは、第1の温度で堆積させて、第2の温度で拡散させ、前記第2の温度は前記第1の温度よりも高い、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ドーパントはZnである、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第2のドープされたキャリア輸送層を通して前記ドーパントを拡散させることは、AsH3または任意の他のV族含有ガスを供給することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
オプトエレクトロニクスデバイスであって、
第1のドープされたキャリア輸送[(AlGa1-xIn1-y1-z層(xは[0;0.5]の範囲)と、
前記第1のドープされたキャリア輸送層上に配置された活性領域であって、前記活性領域は、放射線を生成するように構成され、複数の交互の[(AlGa1-aIn1-b1-c量子井戸層及び[(AlGa1-dIn1-e1-f障壁層を含み、「a」は[0;0.5]の範囲であり、「d」は[0.45;1.0]の範囲、特に、[0.60;1.0]の範囲、特に、0.75~1.0である、前記活性領域と、
前記活性領域上に配置された第2のドープされたキャリア輸送[(AlGa1-xIn1-y1-z層(xは[0;0、5]の範囲)と、を含み、
前記複数の量子井戸層及び/または前記障壁層の少なくとも1つは、1e15原子/cm~5e17原子/cmの範囲、特に、2e16原子/cm~7e16原子/cmの範囲の濃度のドーパントを含み、前記ドーパントは、Mg、Zn、Te、及びSiの群の少なくとも1つから選択される、前記オプトエレクトロニクスデバイス。
【請求項16】
前記活性領域は、3~30の量子井戸層を含み、一方で、前記量子井戸層はそれぞれ、2nm~15nmの厚さを含み、前記量子障壁層はそれぞれ、3nm~25nmの厚さを含む、請求項15に記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
【請求項17】
前記第1のドープされたキャリア輸送層の少なくとも1つと前記活性領域との間に配置された、変化する、特に、減少するドーパント濃度を有する層、及び/または
前記活性領域及び前記第2のドープされたキャリア輸送層上に配置された、変化する、特に、増加するドーパント濃度を有する層、をさらに含む、請求項15または16に記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
【請求項18】
前記複数の障壁層の少なくとも一部は、互いに異なるAl含有量を含み、各障壁層内の前記Al含有量は一定であり、及び/または、
前記活性領域内の前記異なる層間の最小及び最大のAl含有量は、1.1~3,5の範囲の係数だけ異なる、請求項15~17のいずれかに記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
【請求項19】
前記活性領域内の前記ドーパントは、複数の交互の量子井戸層及び障壁層上に及ぶ、請求項15~18のいずれかに記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
【請求項20】
量子井戸混合領域をさらに含み、前記量子井戸混合領域のドーパント濃度は、非混合領域内のドーパント濃度よりも高く、前記ドーパントは、特にZnを含む、請求項15~19のいずれかに記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
【請求項21】
前記量子井戸混合領域は、前記オプトエレクトロニクスデバイスの縁界面に隣接する、請求項15~20のいずれかに記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、WO特許出願PCT/EP2021/072901(2021年8月18日)の優先権を主張する。その開示は、本明細書において全体として組み込まれている。
【0002】
本発明は、オプトエレクトロニクスデバイスを製造するための方法に関する。本発明はまた、オプトエレクトロニクスデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
オプトエレクトロニクスデバイスは、照明ダイオードまたはLEDとも言われ、照明用のエネルギーの供給を必要とする。オプトエレクトロニクスデバイスの活性ゾーン内に導入された電荷キャリアは、光の放出下で再結合する。最近のサイズの減少は、μLEDの開発につながった。μLEDのサイズは、1000μm未満の領域にあり、約10μmまで下がる可能性がある。そのようなサイズでは、表面再結合による量子効率の低下を回避することが、そのようなデバイスが小さな電流ならびにより大きな電流で光を放出できるようにするために最も重要である。加えて、デバイスの性能の劣化が観察されており、これはまた、デバイスを通って流れる電流の量に依存すると思われる。
【0004】
これら及び他の問題に対処するために、いくつかの手段が提案されている。依然として、オプトエレクトロニクスデバイスの性能を向上させるためのさらなる手段を提供することが求められている。
【発明の概要】
【0005】
この目的及び他の目的は、独立請求項1の主題によって解決される。実施形態及びさらなる態様が従属請求項の主題である。
【0006】
発明者らは、InGaAlP材料系に基づくオプトエレクトロニクスデバイスにおいて、デバイスの活性ゾーンの意図的に低いレベルのドーピングによって性能の増加を達成できることが分かった。さらに、Al含有量と低レベルのドーピングとの間の関係は、低レベルのドーピングによる効率向上が、活性ゾーンの量子障壁内のAl含有量のあるレベルまで増加することが観察されている。この性能の増加は、量子井戸スタック内へのキャリア注入の改善によって説明され得る。そのような増加はデバイスのサイズとは無関係であるが、その効果は、デバイスのサイズを縮小することとより関連しており、性能を向上させる他の手段と組み合わせることができる。
【0007】
ここで、発明者らは、オプトエレクトロニクスデバイスを製造するための方法を提案する。成長層を用意した後、すなわち、GaAsまたは任意の他の好適な材料に基づいて、第1のドープされたキャリア輸送[(AlGa1-xIn1-y1-z層を基板層上に、xが[0.5;1]の範囲で、成長方向に沿って堆積させる。Alの含有量は、ニーズ及び要件ならびにデバイスの所望の波長に応じて変化させてもよい。次いで、活性領域を成長方向に沿って堆積させる。活性領域は、放射線を生成するように構成され、複数の交互の[(AlGa1-aIn1-b1-c量子井戸層及び[(AlGa1-dIn1-e1-f障壁層を含む。パラメータ「a」は[0;0.5]の範囲であり、パラメータ「d」は[0.45;1]の範囲、特に、[0.60;1.0]の範囲、特に、0.75~1.0である。次いで、第2のドープされたキャリア輸送[(AlGa1-xIn1-y1-z層を、xが[0.45;1]の範囲で、成長方向に沿って堆積させる。
【0008】
パラメータy及びzは[0.45;0.55]の範囲であってもよく、b及びcは[0.45;0.55]の範囲である。
【0009】
提案した原理に従って、活性領域にドーパントをドープする。この目的のために、濃度が1e15原子/cm~5e17原子/cmの範囲、特に、1e16原子/cm~1e17原子/cmの範囲、特に、2e16原子/cm~7e16原子/cmの範囲のドーパントを、量子井戸層及び/または障壁層の少なくとも1つを堆積する間に添加する。ドーパントは、Mg、Zn、Te、及びSiの群から選択してもよい。
【0010】
場合によっては、In含有量[(AlGa1-aIn1-b1-c量子井戸層及び[(AlGa1-dIn1-e1-f障壁層、パラメータ1-b及び1-eは、それらが異なるように選択される。たとえば、パラメータ1-bは、20%(1-0.8)~60%(1-0.2)、特に、40%~60%の範囲であってもよい。同様に、障壁層に対するIn含有量は、量子井戸層と比較して異なっていてもよいし、等しくてもよい。In含有量は、バンドギャップに影響するが、格子定数も変化させる。したがって、多重量子井戸構造の堆積中にIn含有量を変化させると、多重量子井戸構造内に何らかの歪みを誘発する場合がある。
【0011】
結果として、いくつかの態様では、各障壁層のIn含有量は等しいが、隣接する量子井戸層と比較して異なっている。ある態様では、隣接する量子井戸及び量子障壁層内のIn含有量の差によって、歪みが誘発され、これは、-4000ppm~+4000ppmの範囲であり得る。いくつかの態様では、障壁層内のIn含有量は、量子井戸層内のIn含有量よりも小さく、全体的な歪みを誘発するが、障壁層に対するバンドギャップも増加させる。
【0012】
全体的な結果として、障壁層と量子井戸層とを比較すると、In含有量、厚さ、またはAl含有量は変化し得る。したがって、いくつかの態様では、少なくとも2つのパラメータが、障壁層と、隣接する量子井戸層との間で異なり、前記パラメータは、厚さ、Al含有量、及びIn含有量から選択される。いくつかのさらなる態様では、これらのパラメータは、それぞれの障壁及び/または量子井戸層に対しても異なっている。たとえば、いくつかの障壁層は、他の障壁層と比較して、異なるIn含有量または異なる厚さを有していてもよい。これは、パラメータの緩やかな変化を誘発する可能性があり、したがって、活性領域内での歪みの緩やかな変化を誘発する可能性がある。
【0013】
提案した方法により、活性領域内の障壁及び/または量子井戸層の少なくとも1つにおいて、さらなるドーパントが意図的に誘起される。デバイスの効率が、このさらなる意図的なドーピングによって増加することが分かった。堆積中の意図しないドーピングが通常発生するが、そのような意図しないドーピングに含まれる濃度は、意図的に誘起されるドーピングと比較して、はるかに低いことに留意されたい。さらに、1e16原子/cm~5e17原子/cmよりも高いドーピングは有害であり、効率及び性能の低下をもたらすことが観察された。
【0014】
結果として、可能なドーパント濃度は、1e16原子/cm~約4e17原子/cmの範囲、しかし、より好ましくは、2e16原子/cm~2e17原子/cmの範囲、または特に、5e16原子/cm~1.5e17原子/cmであり得る。本出願で述べた他のドーピング濃度も同様に好適である。ドーパントは変えられること、及び2種以上のドーパントを活性領域内に前述の濃度で誘起できることが分かった。各ドーパントのドーピングレベルは、5e17原子/cmより小さくすることができる。量子井戸層及び障壁層に、それぞれ異なるドーパントをドープすることができる。同様に、ドーピング濃度は、障壁層と、隣接する量子井戸層との間で変化させることができる。たとえば、障壁層に対するドーピング濃度は、それぞれの量子井戸層に対するものより低くてもよい。同様に、量子井戸層及び障壁層をそれぞれ堆積または成長させるときに、異なるドーパント材料を使用してもよい。
【0015】
場合によっては、ドーピング濃度を、隣接する層において、また量子井戸層または障壁層である同じタイプの層の間で、変化させることができる。そのような目的に対する典型的なドーパントは、Te、Zn、Si、Mgなどとすることができる。
【0016】
この意図的なドーピングは、材料内の意図しない固有のドーパント濃度よりも約10~100倍高くてもよい。これに関連して、表現「意図しないドーピング」は、材料不純物によるドーピングを含むだけでなく、他のすべての不純物及び自然欠陥も含む。
【0017】
いくつかの態様では、ドーパントの堆積は、活性領域内に少なくとも1つの量子障壁層に対する材料を堆積させる間に行う。ドーパントの堆積は、複数の層上で、または第2または第3の層ごとに行ってもよい。いくつかのさらなる態様では、添加するドーパントの濃度は、ドーピングのステップ中に変化させてもよい。結果として、キャリア輸送層により近い障壁層及び/または量子井戸層に、活性領域内の中央に位置する障壁層及び量子井戸層とは異なる濃度でドープすることが好適であり得る。いくつかの他の態様では、ドーピング濃度は、キャリア輸送層のうちの1つに向かって増加または減少させてもよく、すなわち、量子井戸層及び障壁層を堆積させる間のドーパントの濃度は、成長方向に沿って増加または減少させてもよい。
【0018】
活性領域を堆積させることは、3~30の量子井戸層を堆積させることを含んでいてもよく、一方で、量子井戸層はそれぞれ、2nm~15nmの厚さを含み、量子障壁層はそれぞれ、3nm~25nmの厚さを含む。これによって、約7(3つの量子井戸層と4つの障壁層)~61の交互層が、活性領域内に生成される。厚さならびにドーパント濃度は、前述したように、層を堆積させるときに変化させてもよい。
【0019】
いくつかの態様では、複数の障壁層の少なくとも一部は、互いに異なるAl含有量を含み、各障壁層内のAl含有量は一定である。その代わりに、活性領域内の最小及び最大のAl含有量は、1.1~3,5の範囲の係数だけ異なる。たとえば、量子井戸層のAl含有量は、0.0~0.5の範囲(xが[0.0;0.5]の範囲)であり、障壁層内では、0.6~1の範囲である。障壁層の少なくとも一部に対する厚さは変わってもよく、活性ゾーンでの障壁層の最小及び最大厚さは、1.5~6の係数だけ異なる。
【0020】
いくつかの態様では、量子井戸層または障壁層の堆積中のドーパントの添加は、それぞれの層の実際の堆積に対して少し遅れる。たとえば、ドーパントによるドーピングは、障壁層及び量子井戸層の少なくとも1つに対する材料の堆積が開始した後に行う。したがって、それぞれの層のいくつかは、ドーパントを添加する前にすでに成長している。同様に、いくつかの態様では、ドーパントの添加は、障壁層及び量子井戸層の少なくとも1つに対する材料の堆積が停止する前に終了してもよい。
【0021】
単一層のみにドープするか、または特定の層のみにドープするが、ドーパントは、隣接する層内に拡散することが分かった。結果として、前述のプロセスによって製造されたオプトエレクトロニクスデバイスは、活性領域内のいくつかの層にわたってドーパントの濃度変動を示す場合があり、これはドーパント変調と言われる。結果として、いくつかの態様では、隣接する層内のドーパントを変化させること、及び/またはいくつかの他の態様では、アニーリングステップを提供することによって、ドーパント変調を提案する。このアニーリングステップは、活性領域の堆積中または活性領域が形成された後に行うことができる。いくつかの態様では、複数のそのようなステップは、障壁及び量子井戸層に対する材料のそれぞれの堆積ステップの後に行うことができる。
【0022】
いくつかのさらなる態様では、アンドープのAlGaInP層を、活性領域に隣接して堆積させてもよく、この層は、活性領域とドープされたキャリア輸送層との間にある。Al含有量は、隣接するキャリア輸送層のAl含有量、または活性領域の隣接する第1の層のAl含有量に関して変化させてもよい。いくつかの態様では、Al含有量は、隣接するキャリア輸送層と同じであってもよい。
【0023】
いくつかの他の態様は、デバイスの効率のさらなる向上に関し、これは、活性領域の意図的なドーピングと組み合わせたときに特に好適である。いくつかの態様では、構造化マスク層を堆積させる。いくつかの態様では、第2の輸送層を、構造化マスク層の目的を満たすように構造化することもできる。次いで、他のドーパントを堆積させ、第2のドープされたキャリア輸送[(AlGa1-xIn1-y1-z層を通して活性領域内に拡散させる。さらなるドーピングによって、ドーパント濃度が増加したそれらの領域内で量子井戸混合が起こり、結果的に、マスクされた領域内に注入される電荷キャリアに対する横方向のエネルギー障壁がもたらされる。混合される領域の位置は、種々の半導体層がそれらの領域内で分離される結果、隣接する量子井戸混合を伴うデバイス端部が形成できるように選択する。誘起されたエネルギー障壁により、電荷キャリアがデバイスの縁部に沿って非放射的に再結合することが防止され、性能が向上する。両方の手段を組み合わせると、個々の手段の合計を超えて性能が向上することが分かった。
【0024】
このさらなるドーパント(特に、Zn)の堆積及び拡散は、種々の手段によって達成することができる。いくつかの態様では、ドーパントは、第1の温度で堆積させて、第2の温度で拡散させ、第2の温度は第1の温度よりも高い。このアプローチによって、材料内へのドーパントの拡散が制御され得る。いくつかの態様では、AsHまたは任意の他のAs含有ガスを、拡散プロセス中に適用することができ、Gaまたは他のIII型材料を、提供するAsによって飽和させることができる。
【0025】
いくつかのさらなる態様は、活性領域内の意図的な低レベルのドーピングの提案した原理によるオプトエレクトロニクスデバイスに関する。そのようなオプトエレクトロニクスデバイスは、第1のドープされたキャリア輸送[(AlGa1-xIn1-y1-z層(xは[0.5;1]の範囲)と、第2のドープされたキャリア輸送[(AlGa1-xIn1-y1-z(xは[0.5;1]の範囲)とを含む。パラメータxは、Al含有量を指し、両方の層内で一定で、それぞれの輸送層内で異なるが、特定の方向に沿って変化することもできる。
【0026】
両層の間に、活性領域が配置され、活性領域は、複数の交互の[(AlGa1-aIn1-b1-c量子井戸層及び[(AlGa1-dIn1-e1-f障壁層を含み、「a」は[0;0.5]の範囲であり、「d」は[0.55;1]の範囲、特に、[0.60;0.90]の範囲、特に、0.75~0.85である。複数の量子井戸層及び障壁層のうちの少なくとも1つは、濃度が1e16原子/cm~1e17原子/cmの範囲、特に、2e16原子/cm~7e16原子/cmの範囲の意図的に誘起されたドーパントを含み、ドーパントは、Mg、Zn、Te、及びSiのうちの少なくとも1つから選択される。
【0027】
いくつかの態様では、活性領域は、3~30の量子井戸層を含み、一方で、量子井戸層はそれぞれ、2nm~15nmの厚さを含み、量子障壁層はそれぞれ、3nm~25nmの厚さを含む。障壁層のいくつかにドープするが、ドーピング濃度は、量子井戸層と障壁層との間で変化させてもよい。これは、ドーパント濃度の変調と言う。たとえば、量子井戸層は、障壁層よりも低いが依然として意図的なドーピングレベルを含んでいてもよい。結果として、活性領域内のドーパントは、複数の交互の量子井戸層及び障壁層上に及ぶ。表現「意図的なドーピング」または「意図的なドーピングレベル」は、活性領域の材料中の不可避の不純物よりもはるかに高い(すなわち、少なくとも10倍の)ドーパントの濃度を指す。したがって、ドーパントの濃度は、異なる層の間で変化させてもよいが、第1及び第2の電荷輸送層のうちの1つに向かって減少または増加させてもよい。
【0028】
いくつかの態様では、ドーパント濃度は、活性領域の中央層スタック内で最大であってもよい。いくつかのさらなる態様では、デバイスは、第1のドープされたキャリア輸送層と活性領域、及び活性領域と第2のドープされたキャリア輸送層のうちの少なくとも一方の間に配置されたアンドープ層をさらに含んでいてもよい。いくつかのさらなる態様では、Al含有量は、障壁と量子井戸層との間で変化するだけでなく、隣接する障壁層間で変化してもよい。たとえば、いくつかの態様では、活性領域内の最小及び最大のAl含有量は、1.1~1.7の範囲の係数だけ異なる。
【0029】
提案した原理によるデバイスの性能は、デバイスの縁部近くに配置された領域内の量子井戸混合によって、さらに向上させることができる。いくつかの態様では、オプトエレクトロニクスデバイスは、量子井戸混合領域をさらに含み、量子井戸混合領域のドーパント濃度は、活性領域内のドーパント濃度よりも高く、ドーパントは、特にZnを含むが、Mgを含んでいてもよい。量子井戸混合領域は、オプトエレクトロニクスデバイスの縁界面に隣接する。
【0030】
提案した原理によるさらなる態様及び実施形態は、添付図面に関連して詳細に説明する種々の実施形態及び例に関連して明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】提案した原理のいくつかの態様によるオプトエレクトロニクスデバイスの実施形態を示す図である。
図2】提案した原理によるオプトエレクトロニクスデバイスの一実施形態における活性領域にわたるドーパント濃度を例示する図である。
図3A】提案した原理のいくつかの態様によるオプトエレクトロニクスデバイスを製造するための実施形態の種々のステップを例示する図である。
図3B】提案した原理のいくつかの態様によるオプトエレクトロニクスデバイスを製造するための実施形態の種々のステップを例示する図である。
図3C】提案した原理のいくつかの態様によるオプトエレクトロニクスデバイスを製造するための実施形態の種々のステップを例示する図である。
図3D】提案した原理のいくつかの態様によるオプトエレクトロニクスデバイスを製造するための実施形態の種々のステップを例示する図である。
図3E】提案した原理のいくつかの態様によるオプトエレクトロニクスデバイスを製造するための実施形態の種々のステップを例示する図である。
図3F】提案した原理のいくつかの態様によるオプトエレクトロニクスデバイスを製造するための実施形態の種々のステップを例示する図である。
図3G】提案した原理のいくつかの態様によるオプトエレクトロニクスデバイスを製造するための実施形態の種々のステップを例示する図である。
図3H】提案した原理のいくつかの態様によるオプトエレクトロニクスデバイスを製造するための実施形態の種々のステップを例示する図である。
図3I】提案した原理のいくつかの態様によるオプトエレクトロニクスデバイスを製造するための実施形態の種々のステップを例示する図である。
図4】意図しないドーピングを伴うオプトエレクトロニクスデバイスと比較して提案した原理によるオプトエレクトロニクスデバイスの性能向上を示す図である。
図5】本開示のいくつかの態様を例示するためのオプトエレクトロニクスデバイスのドーピングプロセスの例を例示する図である。
図6】本開示のいくつかの態様を例示するためのオプトエレクトロニクスデバイスの典型的な実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下の実施形態及び例では、提案した原理による異なる態様及びそれらの組み合わせを開示する。実施形態及び例は、必ずしも一定の比率であるとは限らない。同様に、異なる要素は、個々の態様を強調するために、サイズを拡大または縮小して表示する可能性がある。言うまでもなく、図に示した実施形態及び例の個々の態様を、難しい話は抜きにして互いに組み合わせることが、これが本発明による原理と矛盾することなく可能である。いくつかの態様は、規則的な構造または形態を示す。実際には、本発明の考え方と矛盾することなく、理想的な形態または形状とのわずかな違い及びずれが生じる場合があることを留意されたい。
【0033】
加えて、個々の図及び態様は、必ずしも正しいサイズで示してはおらず、個々の要素間の比率も本質的に正しい必要はない。いくつかの態様は、それらを拡大して示すことによって強調している。しかし、「上方」、「下方」、「より大きい」、「より小さい」などの用語は、図中の要素に関して正しく表現されている。したがって、図に基づいて、要素間のそのような関係を推論することができる。
【0034】
図1に、本発明による低ドープされた活性領域を実装するAlGaInP材料系におけるオプトエレクトロニクスデバイス1の実施形態を例示する。オプトエレクトロニクスデバイス1は、n型コンタクト層10aと、それに続くn型キャリア分布及び輸送層20とを含む。コンタクト層10aは、金属または任意の他の好適な材料で作ることができる。キャリア輸送層20は、AlGaInP材料系にドーパントとしてTeまたはSiを有するものに基づく。活性領域30が、n型キャリア輸送層20の上に配置され、交互に並ぶ複数の量子井戸層32a、32bならびに障壁層31a、31b、及び31cを含む。
【0035】
特に、活性領域の第1の障壁層31aは、キャリア輸送層20に隣接する。次いで、第1の障壁層31a上に量子井戸層32aが配置され、それに続いて第2の障壁層31bが配置される。この交互の障壁層及び量子井戸層の構造は、最後の障壁層31cまで繰り返される。
【0036】
最後の障壁層31cの上に、p型電荷キャリア輸送層40が配置される。第2の電荷キャリア輸送層40の上に、この実施形態では構造化マスクとしても作用するp型コンタクト層50が設けられている。
【0037】
本発明によれば、活性領域内の障壁層31a、31b、及び31cのアルミニウム含有量は、[(AlGa1-xIn1-y)]1-zの範囲にあり、xは[0.60及び1.00]の間、この特定の実施形態では、x=0.8付近である。これにより、エネルギーバンドギャップレベルは約2.4eVまで上がり、一方で、量子井戸層30a及び30bのアルミニウム含有量は、[(AlGa1-xIn1-y)]1-z(xは0.5未満であり、1.8~1.9eVのバンドギャップに対応する)に対応する。
【0038】
提案した原理によれば、活性領域30、特に障壁層31a、31b、及び31cに、次に、それぞれの障壁層の成長中にマグネシウム(Mg)の低濃度ドーパントをドープする。Znのような他のドーパント、またはn型ドーパントTeまたはSiも、同様に好適であり得る。低濃度のドーパントは、低ドーピングと言われ、意図しないドーピングまたは意図しない不純物と比較して意図的なドーピングである。低ドーピング用の低濃度のドーパントは、約1e16~3e17原子/cmの範囲であってもよい。その結果、低ドーパントによって、量子効率の著しい向上が得られ、したがって、低い電流レベルならびにより高い電流レベルにおけるデバイスの著しい改善が得られる。結果として、アンドープまたは非ドープ層は、意図的にドープされていない層を指す。しかし、ドーパント及び他の不純物が依然として含まれ得る。これは、製造プロセスの不可避の部分であり、回避することはできない。さらに、ドープ領域からアンドープ領域へのドーパントのある程度の拡散が生じる場合があり、その結果、前記領域内でドーパント勾配が生じる。
【0039】
この手段に加えて、量子井戸混合(QWI)を、図1に例示するようにそれぞれのデバイス1の外側縁において実行してもよい。デバイスの縁部に近い点線は、Zn拡散領域を例示し、その量子井戸構造内でQWIが起こる。コンタクト層50を構造化した後、または構造化された誘電体拡散マスクを堆積させた後、量子井戸混合は、p型ドーパント(特に、Zn)を堆積させ、続いてp型輸送キャリア層40及び活性領域30の種々の量子井戸層及び障壁層内に拡散させることによって達成される。誘起された量子井戸混合によって、デバイスの縁部のより近くに位置する領域内でエネルギーバンドギャップの増加が生じ、したがって、活性領域30内の電荷キャリアが、非放射表面再結合に起因して側壁において再結合することが防止される。結果として、放射再結合と非放射再結合との間の比率が、放射再結合の方にシフトする。
【0040】
図2に、デバイスの活性領域30内の種々の障壁及び量子井戸層にわたるドーパント濃度の変化を示す。図1とは対照的に、種々の層を90°回転させている。最も左側の層は、ドープされた電荷輸送層20と活性領域30との間に配置された層20aである。第1の層20aは、AlGaInP材料を含み、アルミニウム含有量は第1の障壁層31aに近い。アンドープのキャリア輸送層20aは、図1の実施形態では示していないが、nドープされた電荷キャリア輸送層20上に成長させて、同じ材料で作ることができる。
【0041】
第1の障壁層31aに隣接して、第1の量子井戸層32aが配置されている。これらの2つの層に続いて、複数の障壁及び量子井戸層が、互いに重なり合って交互に配置されている。最後に、最後の障壁層31cが第2の電荷輸送層40に隣接する。
【0042】
図示した構造の上に、ドーパントの濃度を例示する。種々の障壁層及び量子層の成長の間に、ドーパント(特に、マグネシウム)を、それぞれの障壁層材料内に添加する。その結果、ドーパント濃度は、障壁層の位置において比較的高い。この例では、マグネシウムまたは任意の他のドーパントの添加は、量子井戸層の成長中には行わず、それぞれの障壁層の堆積中のみである。しかし、それぞれのドーパントの拡散により、量子井戸層の内部のドーパントの濃度はゼロではなく、より小さいレベルまで低下する。このレベルは、拡散に依存しており、それ自体は、成長プロセス及び/または任意のその後のアニーリングステップによって制御することができる。その結果、ドーパント濃度は、活性領域にわたって変調され、隣接するキャリア輸送層20a及び40内でのみ減少する。
【0043】
例示した拡散による濃度の変調は、それぞれのデバイスに対するニーズ及び要望に従って調整することができる。たとえば、ドーピングは、例示したように、それぞれの障壁層の成長中にのみ行うことができる。しかし、量子井戸層の成長中にドーパントを添加することも可能である。ドーピング材料は同じとすることができるが、異なる障壁において変化させることもできる。いくつかの態様では、マグネシウム(Mg)または任意の他の好適なドーパントによるドーピングは、各障壁層において例示したように、活性領域内の特定の層の堆積中にのみ行い及び行わない。たとえば、ドーパントの添加は、活性領域の中央の層内でのみ、キャリア輸送層に隣接する層内でのみ、または各第3または第4の層内でのみ行ってもよい。
【0044】
その代わりに、ドーパント濃度は、ドーパントの添加自体の間に変化させることができる。たとえば、ドーピングレベルは、第1の障壁層31aから始まる場合に、それぞれの層内で増加または減少させることができる。1e16原子/cm~3e17原子/cmの範囲のドーパント濃度は、デバイスの改善及び性能の増加が得られるが、1e18原子/cmの範囲のより高いドーピング濃度は有害であることが分かった。
【0045】
図3A~3Iに、提案した原理によるオプトエレクトロニクスデバイスの製造を例示する。
【0046】
図3Aにおいて、成長基板10を用意する。この上に、第1の電荷キャリア輸送層20を成長させる。この実施形態では、電荷キャリア輸送層20は、n型ドープされたAlGaInPベースであり、[(AlGa1-xIn1-y1-zは、アルミニウム含有量が約0.5~1.0のxである。パラメータy及びzは、0.47~0.53の範囲である。第1の輸送層20と成長基板10との間に、2~3の犠牲層または他の層を成長させて、格子定数を調整することができるが、その後に成長させる半導体層のための滑らかな表面を与えることもできる。
【0047】
第1のn型ドープされたキャリア輸送層20の上に、アンドープ層20aが配置される。堆積は、AlGaInP層20を成長させるときにドーパント濃度を低減するかまたは他の方法で変更することによって、容易に達成することができる。層20aに対する他のドーパントの濃度は、デバイスに対するニーズを反映するように容易に調整できることに留意されたい。
【0048】
図3Cにおいて、活性領域の第1の障壁層31aを、アンドープ層20a上に成長させる。これは[(AlGa1-xIn1-y1-zで、アルミニウム含有量のxは0.7~0.8である。それぞれの障壁層31aに対する成長速度は、1分あたり数層の原子のみが成長するように低減することができる。第1の障壁層の全体の厚さは、3~20nmの範囲であってもよい。第1の障壁層の材料の成長中に、ドーパント(この特定の例ではマグネシウム)を添加し、したがって、第1の障壁層31a内に低ドーパント濃度をもたらす。ドーパント濃度は、約2e16原子/cmに設定する。
【0049】
第1の障壁層31aの上に、図3Dに図示すように、第1の量子井戸層32aを成長させる。この第1の量子井戸層32aのアルミニウム含有量は、第1の障壁層31aのアルミニウム含有量よりも著しく低く、x=0.5より低い範囲であってもよい。さらに、第1の量子井戸層を構成する材料の堆積中に、さらなるドーパントは添加しない。量子井戸層32aの厚さは、障壁層と同じ範囲にあるように選択するが、それぞれの第1の障壁層31aよりわずかに薄くすることもできる。アルミニウム含有量の低減によって、2.4eVの範囲のバンドギャップを有する障壁層と比較して、約1.9eV~2.0eVのより狭いバンドギャップレベルとなる。
【0050】
図3Eに例示する次のステップでは、第2の障壁層31bを第1の量子井戸層上に成長させながら、ドーパント元素を堆積段階中に添加する。第2の障壁層31bの厚さは、この例では、第1の障壁層の厚さと同じ範囲だが、調整してもよく、たとえば、第1の障壁層31aより大きいかまたは小さくすることができる。図3Fに例示する次のステップでは、第2の量子井戸層32bを再び成長させ、材料の堆積中にさらなるドーパントを添加しない。
【0051】
交互の障壁及び量子井戸層を積層するステップを、活性領域の所望の構造が形成されるまで繰り返すことができる。この例に示したように、それぞれの障壁層の成長の間に、マグネシウム(Mg)をドーパントとして、障壁層材料の堆積段階の間に添加する。特定の実施形態では、マグネシウム(Mg)の添加は、それぞれの障壁層の材料の成長が始まり、第1の原子層が成長した少し後に行う。言い換えれば、ドーパントとしてのマグネシウムの添加は、成長中にわずかに遅れ、それぞれの障壁層の材料の堆積を終了する少し前に終了する。
【0052】
図3Gに、キャリア輸送層20上に形成される活性領域の構造として、典型的な3つの量子井戸層32a、32b、及び32cと、全体で4つの障壁層31a~31dとを示す。最後の障壁層31dの上に、第2のp型キャリア輸送層40を成長させる。高いpドーパント濃度を有するコンタクト層50を、その第2のキャリア輸送層40の上に配置する。
【0053】
現時点で存在する構造は、活性領域の特定の層内のドーパントの濃度が低いが明確であるため、性能が向上したオプトエレクトロニクスデバイスに似ている。前の実施形態と同様に、活性領域にわたるドーパント濃度の変調は、隣接する量子井戸層内でのドーパント材料Mgの拡散によって達成される。前記拡散は、活性領域の生成後、または障壁層及び量子井戸層のそれぞれの成長中の特定のステップ後のいずれかに、アニーリングステップによってある程度まで制御することができる。
【0054】
オプトエレクトロニクスデバイスのさらなる改善は、活性領域の特定の領域内に量子井戸混合をさらに設けることによって達成することができる。量子井戸混合に対して選択する領域は、その後に完成するオプトエレクトロニクスデバイスの縁部により近い。この目的のために、コンタクト層50を、開口部60をもたらすように構造化し、それによって、p型ドープされた第2のキャリア輸送層40の表面を露出する。次いで、後続のステップにおいて、ドーパント材料Znを、第2のキャリア輸送層40の表面上、ならびに構造化されたコンタクト層50の表面上に堆積させる。
【0055】
ドーパントとしてのZnの堆積は、第1の比較的低い温度で行う。これによって、種々の層内への意図しない拡散が防止され、したがって、拡散深さのより良好な制御が達成される。その後、Znドーパントを、p型キャリア輸送層40ならびに活性領域30、及びそれぞれの障壁及び量子井戸層内に、第1の温度より高い第2の温度で拡散させる。
【0056】
構造化されたコンタクト層50のために、そのような量子井戸混合が起こる領域は、構造化されたコンタクト層50の下方の量子井戸及び障壁層内では拡張しない。この点で、コンタクト層50は拡散マスクとして機能する。その結果、図3Iに例示するように、量子井戸混合領域70が、半導体材料及び活性領域30内の特定の位置に配置される。亜鉛拡散領域は、アンドープ層20aに近い活性領域30を通って広がる。量子井戸混合に対して選択する領域は、種々のデバイスを分離するために後で使用する位置に配置され、したがって、それぞれのデバイスの側縁部を形成する。量子井戸混合領域内でのバンドギャップは、電荷キャリアが反発電界に面するように増加し、表面再結合が最も高いデバイスの外縁に電荷キャリが到達するのを防止する。活性領域の意図的な低ドーピングとともに、量子デバイスの性能及び効率をさらに増加させることができる。
【0057】
図4に、活性層の意図的なドーピングをすることなく製造したデバイスと比較して、提案した原理によるオプトエレクトロニクスデバイスの性能の増加及びそれを製造する方法を例示する図を示す。図のy軸は、光出力パワーを任意単位で示し、これは、その下端として約1200単位から始まり、約1800単位で終わる。
【0058】
異なる方法で製造した複数のオプトエレクトロニクスデバイスに対応する3つの例を提示している。最初の2つのオプトエレクトロニクスデバイス例は、AlGaInP材料系に基づいており、障壁層内のアルミニウム含有量がx=0.8、ならびに12の意図せずにドープされた量子井戸層(各層は3.6nm幅)を使用している。これらの具体例において測定したオプトエレクトロニクスデバイスは、およそ1400単位の中央照明値を含み、その95%信頼間隔は、約1250単位から1550単位に達する。その結果、活性領域内でのさらなるドーピングがない場合、この従来の方法によって製造したオプトエレクトロニクスデバイスの約50%は、照明が1400単位である。
【0059】
これに対し、最も右側の要素は、障壁層ならびに12の量子井戸層内で同じアルミニウム含有量を有するオプトエレクトロニクスデバイスに対応し、それらはそれぞれ厚さが4nmである。加えて、活性領域は、ドーパントとしてマグネシウムを用いて障壁層内にドープした。この図に示したように、このようにして製造した電子デバイスの大部分は、マグネシウムドーピングを行わないデバイスよりも照明値が約200単位大きく、中央値が約1600単位である。95%信頼間隔は、1400単位から約1800単位に達する。これは、さらなるドーピングによって約14%の性能向上が得られることを意味する。
【0060】
活性領域内でのさらなるドーパントとは別に、量子井戸層の厚さは、3.6nmを有する2つの前の例よりも約10%大きい4nmを有することにも留意されたい。しかし、さらなる厚さは通常、照明値の低下をもたらし、例示したように、照明が著しく増加することはない。結果として、活性領域に低濃度を意図的にドーピングした場合、量子井戸層厚さが3.6nmであると性能がさらに高まると仮定することができる。実際には、活性領域内でのMgの増加は、最大値に達するまで内部量子効率を向上させ、それを超えると有害な影響が生じて、非放射再結合を増加させることが観察された。
【0061】
図5に、提案した原理によるオプトエレクトロニクスデバイスにおけるドーピングプロセスの例を一緒に例示する。この図はまた、ドーピングの過程を、種々の層の厚さ、それぞれのバンドギャップ、及びドーパントの濃度レベルに対して例示する。実際のドーピングレベルは、隣接する層内にドーパントが拡散し得るにつれて変化し得る。結果として、実施形態は、典型的な実施形態であり、異なる層、ドーパントレベルなどによって変わる可能性がある。
【0062】
n型側は、厚さとして約1500nmを含み、材料中のアルミニウム含有量xを0.7~1.0の範囲で含む。nドープされた層は、たとえばテルルまたはシリコンを用いた、n型ドーパントDP1によるドーパントレベルを含む。図に示したように、ドーパント濃度は、活性領域に近づくと変化して概ね減少する場合があり、約2e18原子/cmのドーパントレベルから始まる。n側のn型キャリア輸送層20及び20aに続いて、活性領域30は、約2500nmから始まる。複数の量子障壁及び量子井戸層を含む活性領域30は、アンドープ領域に隣接して位置する。
【0063】
図に示したように、数1016原子/cmの範囲のより低濃度の第2のドーパントDP2を、活性領域の堆積及び製造中に、すなわち種々の障壁及び量子井戸層の成長中に添加する。このさらなるドーパントは、主に不純物及び結晶欠陥で構成される意図しない既存のドーパントDP4よりもわずかに高い濃度を含む。意図しないドーピングDP4は、1e16原子/cmを下回る範囲にあり、したがって、これは材料DP2の意図的な低ドーピングレベルよりも一桁低い。
【0064】
DP2に使用する材料は、p型ドーパントに対してZnまたはMg、ならびにn型ドーパントとしてシリコン(Si)またはテルル(Te)を含んでいてもよい。p型ドーパントとしてマグネシウムが、それぞれのデバイスの性能の増加に関して有用であることが分かった。活性領域30に隣接して、pドープされた層構造を成長させる。p型層構造は、約1e17原子/cmの初期濃度レベルから約1e18原子/cmまで上がる第2のドーパントDP3を含む。結果として、n側30、30aとp側40、40aとの間のドーピング濃度は、それらの最小及び最大レベルに関して変化するだけでなく、例示したように、ドーピングのこの実際の過程において異なる場合がある。
【0065】
図6に、提案した原理のいくつかの態様による、複数の障壁及び量子井戸層を有する活性領域のより詳細な図を例示する。量子井戸層ならびに障壁層の厚さは約7nmであり、したがって、障壁層及び量子井戸層は互いに等しい距離を有する。しかし、いくつかの場合及び実施形態では、量子井戸層の厚さは、隣接する障壁層の対応する厚さよりも小さくすることができる。
【0066】
量子井戸層内のアルミニウム含有量は、値xが0~0.5の範囲であり、一方で、障壁層内のアルミニウム含有量は、約x=0.8に達する。結果として、高いAl含有量を有するAlGaInP障壁層は、バンドギャップとして約2.4eVをもたらし、量子井戸層内のバンドギャップは、約1.9eVに存在する。
【0067】
図6の下部に、種々の障壁及び量子井戸層に対するドーピングレベルを例示する。前の例の場合と同様に、Mg、Zn、Te、またはSiによるドーピングは、それぞれの障壁層の成長中にのみ行い、それぞれの層の成長が始まった直後にドーパントを添加し、成長が終わる直前にドーパントを停止する。
【0068】
量子井戸層を形成する材料の成長中に、ドーパントは添加しない。結果として、ドーパントの濃度は、異なる層の間で変化する。さらに、障壁層に対して異なるドーパント濃度を選択した。特に、左側(層20aに近い)の最初の2つの障壁層31b及び31cは、p型ドープされたキャリア層に隣接する右側の障壁層31c及び31bと同じドーピングレベルを含む。これらの障壁層に対するドーパントの濃度レベルは、2e16原子/cmの範囲である。2つの中央に配置された障壁層31dは、約4e16原子/cmの範囲のより高い濃度のドーパントを含む。量子井戸層内のドーピングレベルは、障壁層から量子井戸層内へのドーパントの拡散により変化することが明らかになる。その結果、量子井戸層32b内のドーパント濃度は、隣接するドーパント濃度の2e16原子/cmから約1e16原子/cmまで減少する。隣接する量子井戸層32cは、2e16原子/cmから4e16原子/cmまで実質的に直線的に増加するドーパント濃度を含む。これは、障壁層31d及び31cそれぞれの間のドーピングレベルが異なることに起因する。最も外側の量子井戸層32aの外側では、ドーパント濃度は連続的に減少する。
【0069】
この例では、本発明によるオプトエレクトロニクスデバイスの活性領域内でのより低いレベルのドーピングに対する種々の実装可能性を例示する。例から分かるように、拡散により、ドーパント濃度は、それぞれの個々の障壁及び量子井戸層において変化する場合があり、障壁の全体を通して不均一である。それでもなお、拡散を使用して、図6及び図2にそれぞれ例示したように、所望の濃度プロファイルを得ることができる。
【符号の説明】
【0070】
1 オプトエレクトロニクスデバイス
10 成長基板
20 ドープされた電荷輸送層
20a アンドープ層
30 活性領域
31a、31b、31c、31d 障壁層
32a、32b、32c 量子井戸層
40 ドープされた電荷輸送層
50 接触領域、構造化マスク
60 開口部
70 量子井戸混合領域
DP1、DP2、DP3、DP4 ドーパント
QW QWIを有する亜鉛拡散領域
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図4
図5
図6
【国際調査報告】