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特表2024-531334抗原提示細胞/標的細胞ハイブリドーマ由来ワクチン
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】抗原提示細胞/標的細胞ハイブリドーマ由来ワクチン
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/00 20060101AFI20240822BHJP
   A61K 47/46 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 39/39 20060101ALI20240822BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20240822BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240822BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240822BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20240822BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240822BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20240822BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20240822BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20240822BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 39/02 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 39/12 20060101ALI20240822BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240822BHJP
   C12N 5/078 20100101ALN20240822BHJP
   C12N 5/09 20100101ALN20240822BHJP
   C07K 14/47 20060101ALN20240822BHJP
   C07K 14/37 20060101ALN20240822BHJP
   C07K 14/195 20060101ALN20240822BHJP
   C07K 14/005 20060101ALN20240822BHJP
【FI】
A61K39/00 G
A61K47/46
A61K39/39
A61P31/00
A61P25/00
A61P25/28
A61P37/06
A61P35/00
A61P37/04
A61P31/04
A61P31/10
A61P31/12
A61K39/02
A61K39/00 K
A61K39/12
A61P35/02
C12N5/078
C12N5/09
C07K14/47
C07K14/37
C07K14/195
C07K14/005
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509346
(86)(22)【出願日】2022-08-19
(85)【翻訳文提出日】2024-03-22
(86)【国際出願番号】 US2022040963
(87)【国際公開番号】W WO2023023377
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】63/235,100
(32)【優先日】2021-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of California
(74)【代理人】
【識別番号】110003007
【氏名又は名称】弁理士法人謝国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】クオン、ヨン、ジク
(72)【発明者】
【氏名】チュン、ジー、ヨン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA92X
4B065AB05
4B065AC20
4B065BA08
4C076AA95
4C076BB11
4C076BB15
4C076BB16
4C076CC01
4C076CC03
4C076CC06
4C076CC07
4C076CC27
4C076CC31
4C076CC35
4C076EE57
4C076EE57Q
4C076FF36
4C076FF63
4C085AA03
4C085AA06
4C085AA38
4C085BA01
4C085BB01
4C085BB11
4C085BB12
4C085CC02
4C085CC03
4C085DD51
4C085DD63
4C085EE01
4C085EE06
4C085FF24
4C085GG01
4C085GG03
4C085GG04
4C085GG05
4H045AA11
4H045AA30
4H045DA86
4H045EA31
(57)【要約】
本開示は、樹状細胞および標的細胞のハイブリドーマからブレブ形成剤を使用して誘導された細胞由来小胞を含む組成物、製剤、および方法、ならびにそれらの使用(対象の免疫系を調整する手段としてを含む)を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗原提示細胞および標的細胞のハイブリドーマ由来の細胞外ブレブを含むワクチン製剤であって、該ハイブリドーマが、対象の免疫系を調整することができる抗原を発現し、
該細胞外ブレブが、該ハイブリドーマをブレブ形成剤で処置することによって該ハイブリドーマから産生され、
該抗原が、該細胞外ブレブの表面に表示される、ワクチン製剤。
【請求項2】
前記抗原提示細胞が、マクロファージ、B細胞および樹状細胞から選択される、請求項1に記載のワクチン製剤。
【請求項3】
前記樹状細胞が成熟樹状細胞である、請求項2に記載のワクチン製剤。
【請求項4】
前記樹状細胞が未熟樹状細胞である、請求項2に記載のワクチン製剤。
【請求項5】
前記樹状細胞が、骨髄由来樹状細胞、単球由来樹状細胞、または末梢血単核細胞由来樹状細胞である、請求項2に記載のワクチン製剤。
【請求項6】
前記樹状細胞がヒト樹状細胞である、請求項1に記載のワクチン製剤。
【請求項7】
前記標的細胞が、癌細胞、異常もしくは罹患細胞、抗原を表示するよう操作された細胞、または感染性病原体に感染している細胞から選択される、請求項1に記載のワクチン製剤。
【請求項8】
前記標的細胞が、骨髄腫、リンパ腫、癌腫、肉腫、白血病、腺癌、胸腺腫、または悪性腫瘍由来の新生物細胞から選択される癌細胞である、請求項7に記載のワクチン製剤。
【請求項9】
前記標的細胞が、ウイルス、真菌、または細菌によって感染されている細胞である、請求項7に記載のワクチン製剤。
【請求項10】
前記ウイルスが、アデノ随伴ウイルス、アイチウイルス、オーストラリアコウモリリッサウイルス、BKポリオーマウイルス、バンナウイルス、バーマフォレストウイルス、ブニヤムウェラウイルス、ブニヤウイルスラクロス、ブニヤウイルスカンジキウサギ、オナガザルヘルペスウイルス、チャンディプラウイルス、チクングニアウイルス、コサウイルスA、コロナウイルス、牛痘ウイルス、コクサッキーウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、デングウイルス、ドーリウイルス、ダグベウイルス、デュベンハゲ(Duvenhage)ウイルス、東部ウマ脳炎ウイルス、エボラウイルス、エコーウイルス、脳心筋炎ウイルス、エプスタイン・バーウイルス、ヨーロッパコウモリリッサウイルス(lyssavirusalitis)、GBウイルスC/G型肝炎ウイルス、ペギウイルス、ハンタンウイルス、ヘンドラウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、デルタ肝炎ウイルス、馬痘ウイルス、ヒトアデノウイルス、ヒトアストロウイルス、ヒトコロナウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、ヒトエンテロウイルス、ヒトヘルペスウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、ヒトパピローマウイルス、ヒトパラインフルエンザ、ヒトパルボウイルスB19、ヒト呼吸器合胞体ウイルス、ヒトライノウイルス、ヒトSARSコロナウイルス、ヒトスプーマレトロウイルス、ヒトTリンパ球向性ウイルス、ヒトトロウイルス、A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、イスファハン(Isfahan)ウイルス、JCポリオーマウイルス、日本脳炎ウイルス、フニンアレナウイルス、KIポリオーマウイルス、クンジンウイルス、ラゴスコウモリウイルス、レイクビクトリアマールブルグウイルス、ランガットウイルス、ラッサウイルス、ローズデール(Lordsdale)ウイルス、跳躍病ウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、マチュポウイルス、マヤロウイルス、MERSコロナウイルス、麻疹ウイルス、メンゴ脳心筋炎ウイルス、メルケル細胞ポリオーマウイルス、モコラウイルス、伝染性軟属腫ウイルス、サル痘ウイルス、ムンプスウイルス、マレーバレー脳炎ウイルス、ニューヨークウイルス、ニパウイルス、ノーウォークウイルス、オニョンニョンウイルス、オルフウイルス、オロプーシェウイルス、ピチンデウイルス、ポリオウイルス、プンタトロフレボウイルス、プーマラウイルス、狂犬病ウイルス、リフトバレー熱ウイルス、ロザウイルスA、ロスリバーウイルス、ロタウイルスA、ロタウイルスB、ロタウイルスC、風疹ウイルス、鷺山ウイルス、サリウイルスA、サシチョウバエ熱シチリアウイルス、サッポロウイルス、セムリキ森林ウイルス、ソウルウイルス、サル泡沫状ウイルス、サルウイルス、シンドビスウイルス、サザンプトンウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、ダニ媒介ポワッサンウイルス、トルクテノウイルス、トスカーナウイルス、ウークニエミウイルス、ワクシニアウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、痘瘡ウイルスO、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、水疱性口内炎ウイルス、西部ウマ脳炎ウイルス、WUポリオーマウイルス、ウエストナイルウイルス、ヤバサル腫瘍ウイルス、ヤバ様疾患(Yaba-like disease)ウイルス、黄熱ウイルス、およびジカウイルスからなる群から選択される、請求項9に記載のワクチン製剤。
【請求項11】
前記真菌が、アブシディア・コリンビフェラ(Absidia corymbifera)、アブシディア・ラモセ(Absidia ramose)、アコリオン・ガリナエ(Achorion gallinae)、アクチノマヅラ属種(Actinomadura spp.)、アジェロミセス・デルマチディディス(Ajellomyces dermatididis)、アレウリスマ・ブラジリエンシス(Aleurisma brasiliensis)、アレルシェリア・ボイディイ(Allersheria boydii)、アルスロデルマ属種(Arthroderma spp.)、アスペルギルス・フラブス(Aspergillus flavus)、アスペルギルス・フミガツ(Aspergillus fumigatu)、バシディオボラス属種(Basidiobolus spp.)、ブラストミセス属種(Blastomyces spp.)、カドフォラ属種(Cadophora spp.)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、セルコスポラ・アピイ(Cercospora apii)、クリソスポリウム属種(Chrysosporium spp.)、クラドスポリウム属種(Cladosporium spp.)、クラドスリクス・アステロイズ(Cladothrix asteroids)、コクシジオイデス・イミチス(Coccidioides immitis)、クリプトコッカス・アルビヅス(Cryptococcus albidus)、クリプトコッカス・ガッチイ(Cryptococcus gattii)、クリプトコッカス・ラウレンチイ(Cryptococcus laurentii)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、クニンガメラ・エレガンス(Cunninghamella elegans)、デマチウム・ウェルネクケ(Dematium wernecke)、ディスコミセス・イスラエリイ(Discomyces israelii)、エモンシア属種(Emmonsia spp.)、エモンシエラ・カプスラテ(Emmonsiella capsulate)、エンドミセス・ゲオトリクム(Endomyces geotrichum)、エントモフトラ・コロナテ(Entomophthora coronate)、エピデルモフィトン・フロッコスム(Epidermophyton floccosum)、フィロバシディエラ・ネオフォルマンス(Filobasidiella neoformans)、フォンセケア属種(Fonsecaea spp.)、ゲオトリカム・カンジヅム(Geotrichum candidum)、グレノスポラ・クハルトウメンシス(Glenospora khartoumensis)、ギムノアスカス・ギプセウス(Gymnoascus gypseus)、ハプロスポランギウム・パルブム(Haplosporangium parvum)、ヒストプラズマ属(Histoplasma)、ヒストプラズマ・カプスラツム(Histoplasma capsulatum)、ホルミシウム・デルマチディディス(Hormiscium dermatididis)、ホルモデンドルム属種(Hormodendrum spp.)、ケラチノミセス属種(Keratinomyces spp.)、ランゲロニア・ソウダネンセ(Langeronia soudanense)、レプトスファエリア・セネガレンシス(Leptosphaeria senegalensis)、リクテイミア・コリンビフェラ(Lichtheimia corymbifera)、ロブミセス・ロボイ.(Lobmyces loboi.)、ロボア・ロボイ(Loboa loboi)、ロボミコーシス(Lobomycosis)、マヅレラ属種(Madurella spp.)、マラセチア・フルフル(Malassezia furfur)、ミクロコッカス・ペレチエリ(Micrococcus pelletieri)、ミクロスポルム属種(Microsporum spp.)、モニリア属種(Monilia spp.)、ムコール属種(Mucor spp.)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、ナンニッツィア属種(Nannizzia spp.)、ネオテスツディナ・ロサチイ(Neotestudina rosatii)、ノカルジア属種(Nocardia spp.)、オイディウム・アルビカンス(Oidium albicans)、オスポラ・ラクチス(Oospora lactis)、パラコクシジオイデス・ブラジリエンシス(Paracoccidioides brasiliensis)、ペトリエリディウム・ボイディイ(Petriellidium boydii)、フィアロフォラ属種(Phialophora spp.)、ピエドライア・ホルタエ(Piedraia hortae)、ピチロスポルム・フルフル(Pityrosporum furfur)、ニューモシスチス・イロベシイ(Pneumocystis jirovecii)(またはニューモシスチス・カリニイ(Pneumocystis carinii))、プルラリア・ゴウゲロチイ(Pullularia gougerotii)、ピレノカエタ・ロメロイ(Pyrenochaeta romeroi)、リノスポリジウム・セーベリ(Rhinosporidium seeberi)、サボウラウディテス属(Sabouraudites)(ミクロスポルム属(Microsporum))、サルトリア・フミガテ(Sartorya fumigate)、セペドニウム属(Sepedonium)、スポロトリクム属種(Sporotrichum spp.)、スタキボトリス属(Stachybotrys)、スタキボトリス・カルタルム(Stachybotrys chartarum)、ストレプトミセス属種(Streptomyce spp.)、チネア属種(Tinea spp.)、トルラ属種(Torula spp.)、トリコフィトン属種(Trichophyton spp.)、トリコスポロン属種(Trichosporon spp.)、およびゾフィア・ロサチイ(Zopfia rosatii)から選択される、請求項9に記載のワクチン製剤。
【請求項12】
前記細菌が、アクチノミセス・イスラエリイ(Actinomyces israelii)、炭疽菌(Bacillus anthracis)、セレウス菌(Bacillus cereus)、バルトネラ・ヘンセラ(Bartonella henselae)、バルトネラ・クインターナ(Bartonella quintana)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)、ボレリア・ガリニイ(Borrelia garinii)、ボレリア・アフゼリ(Borrelia afzelii)、ボレリア・レクレンチス(Borrelia recurrentis)、ブルセラ・アボルツス(Brucella abortus)、ブルセラ・カニス(Brucella canis)、ブルセラ・メリテンシス(Brucella melitensis)、ブルセラ・スイス(Brucella suis)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、クラミジア・ニューモニエ(Chlamydia pneumoniae)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、オウム病クラミジア(Chlamydophila psittaci)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、破傷風菌(Clostridium tetani)、ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、大腸菌(Escherichia coli)、野兎病菌(Francisella tularensis)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、レプトスピラ・インターロガンス(Leptospira interrogans)、レプトスピラ・サンタロサイ(Leptospira santarosai)、レプトスピラ・ウェイリイ(Leptospira weilii)、レプトスピラ・ノグチイ(Leptospira noguchii)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、らい菌(Mycobacterium leprae)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、マイコバクテリウム・ウルセランス(Mycobacterium ulcerans)、マイコプラズマ・ニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、リケッチア・リケッチア(Rickettsia rickettsia)、チフス菌(Salmonella typhi)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、ソンネ菌(Shigella sonnei)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、スタフィロコッカス・サプロフィチカス(Staphylococcus saprophyticus)、ストレプトコッカス・アガラクチア(Streptococcus agalactiae)、肺炎レンサ球菌(Streptococcus pneumoniae)、化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)、ウレアプラズマ・ウレアリチカム(Ureaplasma urealyticum)、コレラ菌(Vibrio cholerae)、ペスト菌(Yersinia pestis)、エルシニア・エンテロコリチカ(Yersinia enterocolitica)、および仮性結核菌(Yersinia pseudotuberculosis)から選択される、請求項9に記載のワクチン製剤。
【請求項13】
前記抗原提示細胞および/または標的細胞が、前記ワクチン製剤で処置されるべき対象由来である、請求項1に記載のワクチン製剤。
【請求項14】
前記抗原が、腫瘍特異的抗原、または腫瘍関連抗原を含む、請求項1に記載のワクチン製剤。
【請求項15】
前記腫瘍特異的抗原、または前記腫瘍関連抗原が、アルファフェトプロテイン、癌胎児性抗原、CA-125、MUC-1、上皮性腫瘍抗原、チロシナーゼ、メラノーマ関連抗原、k-ras、p53の異常産物、アルファ-アクチニン-4、ARTC1、B-RAF、BCR-ABL融合タンパク質、ベータ-カテニン、CASP-5、CASP-8、CDc27、CDK12、CDK4、CDKN2A、CLPP、COA-1、COA-2、CSNK1A1、dek-can融合タンパク質、EFTUD2、伸長因子2、ETV6-AML1融合タンパク質、FLT3-ITD、FN1、FNDC3B、GAS7、GPNMB、HAUS3、HLA-A11、HLA-A2、hsp70-2、LDLR-フコシルトランスフェラーゼAS融合タンパク質、MART2、MATN、ME1、MUM-1、MUM-2、MUM-3、ミオシンクラスI、N-ras、ネオ-PAP、NFYC、OGT、OS-9、p53、pml-RARアルファ融合タンパク質、PPP1R3B、PRDX5、PTPRK、RBAF600、SIRT2、SNRPD1、SYT-SSX1またはSSX2融合タンパク質、TGF-ベータRII、TP53、トリオースリン酸イソメラーゼ、BAGE-1、CT37/FMR1NB、サイクリン-A1、D393-CD20n、GAGE-1,2,8、GAGE-3,4,5,6,7、GnTV、HERV-E、HERV-K-MEL、KK-LC-1、KM-HN-1、LAGE-1、LRPAP1、LY6K、MAGE-A1、MAGE-A10、MAGE-A12m、MAGE-A2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-C1、MAGE-C2、ムチン、NA88-A、NY-ESO-1/LAGE-2、SAGE、Sp17、SSX-2、SSX-4、TAG-1、TAG-2、TRAG-3、TRP2-INT2、XAGE-1b/GAGED2a、CEA、gp100/Pmel17、マンマグロビン-A、メラン-A/MART-1、NY-BR-1、OA1、PAP、PSA、RAB38/NY-MEL-1、TRP-1/gp75、TRP-2、BCLX、BING-4、CALCA、CD274、CD45、CPSF、サイクリンD1、DKK1、ENAH、epCAM、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、HEPACAM、ヘプシン、HER-2/neu、HLA-G、HSPH1、IGF2B3、IMP-3、MUC1、メロー(Meloe)、ミッドカイン、WT1、VEGF、TPBG、テロメラーゼ、STEAP1、STEAP1、RAGE-1、PSMA、PRAME、RGS5、RhoC、RNF43、RU2AS、SOX10、およびサバイビンから選択される、請求項14に記載のワクチン製剤。
【請求項16】
前記抗原が、外来抗原または自己抗原である、請求項1に記載のワクチン製剤。
【請求項17】
前記外来抗原が、細菌、真菌またはウイルス由来である、請求項16に記載のワクチン製剤。
【請求項18】
前記自己抗原が、対象の身体に見出される任意の生体分子またはその一部由来である、請求項16に記載のワクチン製剤。
【請求項19】
アジュバントをさらに含む、請求項1に記載のワクチン製剤。
【請求項20】
アジュバントを含まない、請求項1に記載のワクチン製剤。
【請求項21】
前記細胞外ブレブが、下記表面および成熟マーカーCD11c、MHC I、CD40、CD80、および/またはCD86の1つまたは複数を含む、請求項1に記載のワクチン製剤。
【請求項22】
請求項1から21のいずれか一項に記載のワクチン製剤を作製する方法であって、
細胞外ブレブをハイブリドーマから、該ハイブリドーマを1つまたは複数のスルフヒドリル遮断剤と30分~24時間接触させることによって生成させることと、
該細胞外ブレブを単離すること
とを含む、方法。
【請求項23】
前記1つまたは複数のスルフヒドリル遮断剤が、塩化水銀、p-クロロ水銀ベンゼンスルホン酸、塩化第二金、p-クロロ水銀ベンゾエート、クロルメロドリン、メラルリドナトリウム、ヨードアセトミド、パラホルムアルデヒド、ジチオトレイトール、およびN-エチルマレイミドからなる群から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記1つまたは複数のスルフヒドリル遮断剤が、N-エチルマレイミドまたはパラホルムアルデヒドである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記N-エチルマレイミドが、0.2mMから30mMの濃度で使用され、パラホルムアルデヒドが、10mMから100mMの濃度で使用される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
それを必要とする対象を免疫化する方法であって、治療有効量の請求項1から21のいずれか一項に記載のワクチン製剤を該対象に投与することを含む、方法。
【請求項27】
前記ワクチン製剤が、筋内、皮下、皮内、または腫瘍内に投与される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記対象が、癌、自己免疫疾患、神経変性障害、または病原体による感染を有する、請求項26に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年8月19日に出願された米国仮出願第63/235,100号の米国特許法第119条に基づく利益を主張しており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、抗原提示細胞および標的細胞を含むハイブリドーマから産生された細胞外ブレブを含む組成物、製剤、および方法、ならびにそれらの使用(対象の免疫系を調整するためのものを含む)を提供する。
【背景技術】
【0003】
樹状細胞(DC)は、ワクチンおよび免疫療法の開発に広く使用されている強力な抗原提示細胞(APC)である。DCは、臨床試験で安全であることが歴史的に証明されており、個別化医療のために、同種異系供給源から、または患者自身の細胞から操作することができる。証明された免疫原性および好適な安全性プロファイルにもかかわらず、DCベースの免疫療法は、有意な客観的臨床応答を達成していない。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、抗原提示細胞および標的細胞(例えば、癌細胞)を含むハイブリドーマから産生された細胞外ブレブ(EB)を含む組成物、製剤(例えば、ワクチン製剤)、および方法を提供する。本明細書において開示されるEBを含む製剤および組成物は、細胞様であるが、無細胞である。EBは、迅速で、効率的で、かつコストおよび労力にとって都合のよい化学的にまたは物理的に誘導されたブレブ形成(blebbing)プロセスを介して、本明細書において開示されるハイブリドーマから産生される。本明細書において提示される研究において示されるように、樹状細胞および癌細胞のハイブリドーマから産生されたEBは、抗原タンパク質をMHCクラスIおよびMHCクラスII分子と複合して提示して、in vivoで完全に最適化された分子機構でT細胞を活性化することがわかった。
【0005】
特定の実施形態では、本開示は、抗原提示細胞および標的細胞のハイブリドーマ由来の細胞外ブレブを含むワクチン製剤を提供し、ここで、ハイブリドーマは、対象の免疫系を調整することができる抗原を発現し、ここで、細胞外ブレブは、ハイブリドーマをブレブ形成剤で処置することによってハイブリドーマから産生され、ここで、抗原は、細胞外ブレブの表面に表示される。さらなる実施形態では、抗原提示細胞は、マクロファージ、B細胞および樹状細胞から選択される。さらなる実施形態では、樹状細胞は成熟樹状細胞である。別の実施形態では、樹状細胞は未熟樹状細胞である。さらに別の実施形態では、樹状細胞は、骨髄由来樹状細胞、単球由来樹状細胞、または末梢血単核細胞由来樹状細胞である。さらなる実施形態では、樹状細胞はヒト樹状細胞である。さらなる実施形態では、標的細胞は、癌細胞、異常もしくは罹患細胞、抗原を表示するよう操作された細胞、または感染性病原体に感染している細胞から選択される。特定の実施形態では、標的細胞は、骨髄腫、リンパ腫、癌腫、肉腫、白血病、腺癌、胸腺腫、または悪性腫瘍由来の新生物細胞から選択される癌細胞である。別の実施形態では、標的細胞は、ウイルス、真菌、または細菌によって感染されている細胞である。ウイルスの例として、アイチウイルス、オーストラリアコウモリリッサウイルス、BKポリオーマウイルス、バンナウイルス、バーマフォレストウイルス、ブニヤムウェラウイルス、ブニヤウイルスラクロス、ブニヤウイルスカンジキウサギ(Bunyavirus snowshoe hare)、オナガザルヘルペスウイルス(Cercopithecine herpesvirus)、チャンディプラウイルス、チクングニアウイルス、コサウイルスA、コロナウイルス、牛痘ウイルス、コクサッキーウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、デングウイルス、ドーリウイルス、ダグベウイルス、デュベンハゲ(Duvenhage)ウイルス、東部ウマ脳炎ウイルス、エボラウイルス、エコーウイルス、脳心筋炎ウイルス、エプスタイン・バーウイルス、ヨーロッパコウモリリッサウイルス(lyssavirusalitis)、GBウイルスC/G型肝炎ウイルス、ペギウイルス、ハンタンウイルス、ヘンドラウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、デルタ肝炎ウイルス、馬痘ウイルス、ヒトアデノウイルス、ヒトアストロウイルス、ヒトコロナウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、ヒトエンテロウイルス、ヒトヘルペスウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、ヒトパピローマウイルス、ヒトパラインフルエンザ、ヒトパルボウイルスB19、ヒト呼吸器合胞体ウイルス、ヒトライノウイルス、ヒトSARSコロナウイルス、ヒトスプーマレトロウイルス、ヒトTリンパ球向性ウイルス、ヒトトロウイルス、A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、イスファハン(Isfahan)ウイルス、JCポリオーマウイルス、日本脳炎ウイルス、フニンアレナウイルス、KIポリオーマウイルス、クンジンウイルス、ラゴスコウモリウイルス、レイクビクトリアマールブルグウイルス、ランガットウイルス、ラッサウイルス、ローズデール(Lordsdale)ウイルス、跳躍病ウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、マチュポウイルス、マヤロウイルス、MERSコロナウイルス、麻疹ウイルス、メンゴ脳心筋炎ウイルス、メルケル細胞ポリオーマウイルス、モコラウイルス、伝染性軟属腫ウイルス、サル痘ウイルス、ムンプスウイルス、マレーバレー脳炎ウイルス、ニューヨークウイルス、ニパウイルス、ノーウォークウイルス、オニョンニョンウイルス、オルフウイルス、オロプーシェウイルス、ピチンデウイルス、ポリオウイルス、プンタトロフレボウイルス、プーマラウイルス、狂犬病ウイルス、リフトバレー熱ウイルス、ロザウイルスA、ロスリバーウイルス、ロタウイルスA、ロタウイルスB、ロタウイルスC、風疹ウイルス、鷺山ウイルス、サリウイルスA、サシチョウバエ熱シチリアウイルス、サッポロウイルス、セムリキ森林ウイルス、ソウルウイルス、サル泡沫状ウイルス、サルウイルス、シンドビスウイルス、サザンプトンウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、ダニ媒介ポワッサンウイルス、トルクテノウイルス、トスカーナウイルス、ウークニエミウイルス、ワクシニアウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、痘瘡ウイルスO、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、水疱性口内炎ウイルス、西部ウマ脳炎ウイルス、WUポリオーマウイルス、ウエストナイルウイルス、ヤバサル腫瘍ウイルス、ヤバ様疾患ウイルス、黄熱ウイルス、およびジカウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。真菌の例として、アブシディア・コリンビフェラ(Absidia corymbifera)、アブシディア・ラモセ(Absidia ramose)、アコリオン・ガリナエ(Achorion gallinae)、アクチノマヅラ属種(Actinomadura spp.)、アジェロミセス・デルマチディディス(Ajellomyces dermatididis)、アレウリスマ・ブラジリエンシス(Aleurisma brasiliensis)、アレルシェリア・ボイディイ(Allersheria boydii)、アルスロデルマ属種(Arthroderma spp.)、アスペルギルス・フラブス(Aspergillus flavus)、アスペルギルス・フミガツ(Aspergillus fumigatu)、バシディオボラス属種(Basidiobolus spp.)、ブラストミセス属種(Blastomyces spp.)、カドフォラ属種(Cadophora spp.)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、セルコスポラ・アピイ(Cercospora apii)、クリソスポリウム属種(Chrysosporium spp.)、クラドスポリウム属種(Cladosporium spp.)、クラドスリクス・アステロイズ(Cladothrix asteroids)、コクシジオイデス・イミチス(Coccidioides immitis)、クリプトコッカス・アルビヅス(Cryptococcus albidus)、クリプトコッカス・ガッチイ(Cryptococcus gattii)、クリプトコッカス・ラウレンチイ(Cryptococcus laurentii)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、クニンガメラ・エレガンス(Cunninghamella elegans)、デマチウム・ウェルネクケ(Dematium wernecke)、ディスコミセス・イスラエリイ(Discomyces israelii)、エモンシア属種(Emmonsia spp.)、エモンシエラ・カプスラテ(Emmonsiella capsulate)、エンドミセス・ゲオトリクム(Endomyces geotrichum)、エントモフトラ・コロナテ(Entomophthora coronate)、エピデルモフィトン・フロッコスム(Epidermophyton floccosum)、フィロバシディエラ・ネオフォルマンス(Filobasidiella neoformans)、フォンセケア属種(Fonsecaea spp.)、ゲオトリカム・カンジヅム(Geotrichum candidum)、グレノスポラ・クハルトウメンシス(Glenospora khartoumensis)、ギムノアスカス・ギプセウス(Gymnoascus gypseus)、ハプロスポランギウム・パルブム(Haplosporangium parvum)、ヒストプラズマ属(Histoplasma)、ヒストプラズマ・カプスラツム(Histoplasma capsulatum)、ホルミシウム・デルマチディディス(Hormiscium dermatididis)、ホルモデンドルム属種(Hormodendrum spp.)、ケラチノミセス属種(Keratinomyces spp.)、ランゲロニア・ソウダネンセ(Langeronia soudanense)、レプトスファエリア・セネガレンシス(Leptosphaeria senegalensis)、リクテイミア・コリンビフェラ(Lichtheimia corymbifera)、ロブミセス・ロボイ.(Lobmyces loboi.)、ロボア・ロボイ(Loboa loboi)、ロボミコーシス(Lobomycosis)、マヅレラ属種(Madurella spp.)、マラセチア・フルフル(Malassezia furfur)、ミクロコッカス・ペレチエリ(Micrococcus pelletieri)、ミクロスポルム属種(Microsporum spp.)、モニリア属種(Monilia spp.)、ムコール属種(Mucor spp.)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、ナンニッツィア属種(Nannizzia spp.)、ネオテスツディナ・ロサチイ(Neotestudina rosatii)、ノカルジア属種(Nocardia spp.)、オイディウム・アルビカンス(Oidium albicans)、オスポラ・ラクチス(Oospora lactis)、パラコクシジオイデス・ブラジリエンシス(Paracoccidioides brasiliensis)、ペトリエリディウム・ボイディイ(Petriellidium boydii)、フィアロフォラ属種(Phialophora spp.)、ピエドライア・ホルタエ(Piedraia hortae)、ピチロスポルム・フルフル(Pityrosporum furfur)、ニューモシスチス・イロベシイ(Pneumocystis jirovecii)(またはニューモシスチス・カリニイ(Pneumocystis carinii))、プルラリア・ゴウゲロチイ(Pullularia gougerotii)、ピレノカエタ・ロメロイ(Pyrenochaeta romeroi)、リノスポリジウム・セーベリ(Rhinosporidium seeberi)、サボウラウディテス属(Sabouraudites)(ミクロスポルム属(Microsporum))、サルトリア・フミガテ(Sartorya fumigate)、セペドニウム属(Sepedonium)、スポロトリクム属種(Sporotrichum spp.)、スタキボトリス属(Stachybotrys)、スタキボトリス・カルタルム(Stachybotrys chartarum)、ストレプトミセス属種(Streptomyce spp.)、チネア属種(Tinea spp.)、トルラ属種(Torula spp.)、トリコフィトン属種(Trichophyton spp.)、トリコスポロン属種(Trichosporon spp.)、およびゾフィア・ロサチイ(Zopfia rosatii)が挙げられるが、これらに限定されない。細菌の例として、アクチノミセス・イスラエリイ(Actinomyces israelii)、炭疽菌(Bacillus anthracis)、セレウス菌(Bacillus cereus)、バルトネラ・ヘンセラ(Bartonella henselae)、バルトネラ・クインターナ(Bartonella quintana)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)、ボレリア・ガリニイ(Borrelia garinii)、ボレリア・アフゼリ(Borrelia afzelii)、ボレリア・レクレンチス(Borrelia recurrentis)、ブルセラ・アボルツス(Brucella abortus)、ブルセラ・カニス(Brucella canis)、ブルセラ・メリテンシス(Brucella melitensis)、ブルセラ・スイス(Brucella suis)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter
jejuni)、クラミジア・ニューモニエ(Chlamydia pneumoniae)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、オウム病クラミジア(Chlamydophila psittaci)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、破傷風菌(Clostridium tetani)、ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、大腸菌(Escherichia coli)、野兎病菌(Francisella tularensis)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、レプトスピラ・インターロガンス(Leptospira interrogans)、レプトスピラ・サンタロサイ(Leptospira santarosai)、レプトスピラ・ウェイリイ(Leptospira weilii)、レプトスピラ・ノグチイ(Leptospira noguchii)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、らい菌(Mycobacterium leprae)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、マイコバクテリウム・ウルセランス(Mycobacterium ulcerans)、マイコプラズマ・ニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、リケッチア・リケッチア(Rickettsia rickettsia)、チフス菌(Salmonella typhi)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、ソンネ菌(Shigella sonnei)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、スタフィロコッカス・サプロフィチカス(Staphylococcus saprophyticus)、ストレプトコッカス・アガラクチア(Streptococcus agalactiae)、肺炎レンサ球菌(Streptococcus pneumoniae)、化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)、ウレアプラズマ・ウレアリチカム(Ureaplasma urealyticum)、コレラ菌(Vibrio cholerae)、ペスト菌(Yersinia pestis)、エルシニア・エンテロコリチカ(Yersinia enterocolitica)、および仮性結核菌(Yersinia pseudotuberculosis)が挙げられるが、これらに限定されない。別の実施形態では、抗原提示細胞および/または標的細胞は、ワクチン製剤で処置されるべき対象由来である。さらに別の実施形態では、抗原は、腫瘍特異的抗原、または腫瘍関連抗原を含む。腫瘍特異的抗原および腫瘍関連抗原の例として、アルファフェトプロテイン、癌胎児性抗原、CA-125、MUC-1、上皮性腫瘍抗原、チロシナーゼ、メラノーマ関連抗原、k-ras、p53の異常産物、アルファ-アクチニン-4、ARTC1、B-RAF、BCR-ABL融合タンパク質、ベータ-カテニン、CASP-5、CASP-8、CDc27、CDK12、CDK4、CDKN2A、CLPP、COA-1、COA-2、CSNK1A1、dek-can融合タンパク質、EFTUD2、伸長因子2、ETV6-AML1融合タンパク質、FLT3-ITD、FN1、FNDC3B、GAS7、GPNMB、HAUS3、HLA-A11、HLA-A2、hsp70-2、LDLR-フコシルトランスフェラーゼAS融合タンパク質、MART2、MATN、ME1、MUM-1、MUM-2、MUM-3、ミオシンクラスI、N-ras、ネオ-PAP、NFYC、OGT、OS-9、p53、pml-RARアルファ融合タンパク質、PPP1R3B、PRDX5、PTPRK、RBAF600、SIRT2、SNRPD1、SYT-SSX1またはSSX2融合タンパク質、TGF-ベータRII、TP53、トリオースリン酸イソメラーゼ、BAGE-1、CT37/FMR1NB、サイクリン-A1、D393-CD20n、GAGE-1,2,8、GAGE-3,4,5,6,7、GnTV、HERV-E、HERV-K-MEL、KK-LC-1、KM-HN-1、LAGE-1、LRPAP1、LY6K、MAGE-A1、MAGE-A10、MAGE-A12m、MAGE-A2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-C1、MAGE-C2、ムチン、NA88-A、NY-ESO-1/LAGE-2、SAGE、Sp17、SSX-2、SSX-4、TAG-1、TAG-2、TRAG-3、TRP2-INT2、XAGE-1b/GAGED2a、CEA、gp100/Pmel17、マンマグロビン-A、メラン-A/MART-1、NY-BR-1、OA1、PAP、PSA、RAB38/NY-MEL-1、TRP-1/gp75、TRP-2、BCLX、BING-4、CALCA、CD274、CD45、CPSF、サイクリンD1、DKK1、ENAH、epCAM、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、HEPACAM、ヘプシン、HER-2/neu、HLA-G、HSPH1、IGF2B3、IMP-3、MUC1、メロー(Meloe)、ミッドカイン、WT1、VEGF、TPBG、テロメラーゼ、STEAP1、STEAP1、RAGE-1、PSMA、PRAME、RGS5、RhoC、RNF43、RU2AS、SOX10、およびサバイビンが挙げられるが、これらに限定されない。さらなる実施形態では、抗原は、外来抗原または自己抗原である。さらなる実施形態では、外来抗原は、細菌、真菌またはウイルス由来である。別の実施形態では、ワクチン製剤はアジュバントをさらに含む。アジュバントの例として、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、AS04、MF59、AS01、CpG 1018、およびIVAX-1が挙げられるが、これらに限定されない。代替的な実施形態では、ワクチン製剤はアジュバントを含まない。別の実施形態では、細胞外ブレブは、下記の表面および成熟マーカーCD11c、MHC I、CD40、CD80、および/またはCD86の1つまたは複数を含む。
【0006】
本開示はさらに、本開示のワクチン製剤を作製する方法であって、細胞外ブレブをハイブリドーマから、該ハイブリドーマを1つまたは複数のスルフヒドリル遮断剤(blocking agent)と30分~24時間接触させることによって生成させることと、該細胞外ブレブを単離することとを含む、方法を提供する。さらなる実施形態では、1つまたは複数のスルフヒドリル遮断剤は、塩化水銀、p-クロロ水銀ベンゼンスルホン酸、塩化第二金、p-クロロ水銀ベンゾエート、クロルメロドリン、メラルリドナトリウム、ヨードアセトミド、パラホルムアルデヒド、ジチオトレイトール、およびN-エチルマレイミドからなる群から選択される。さらなる実施形態では、1つまたは複数のスルフヒドリル遮断剤は、N-エチルマレイミドまたはパラホルムアルデヒドである。別の実施形態では、N-エチルマレイミドは、0.2mMから30mMの濃度で使用され、あるいはパラホルムアルデヒドは、10mMから100mMの濃度で使用される。
【0007】
本開示はまた、それを必要とする対象を免疫化する方法であって、治療有効量の本明細書において開示されるワクチン製剤を投与することを含む、方法を提供する。さらなる実施形態では、ワクチン製剤は、筋内、皮下、皮内、または腫瘍内に投与される。さらなる実施形態では、対象は、癌、自己免疫疾患、神経変性障害、または病原体による感染を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】所望の成熟状態にある骨髄由来樹状細胞(BMDC)、および特徴的な抗原を有するか、または有さないTリンパ腫細胞のハイブリドーマに由来するEBを調製する概要図を示す図である。簡潔に述べると、C57BL/6マウスから単離した骨髄をBMDCに分化させ、LPSとのインキュベーションによってさらに成熟させた。次に、未熟および成熟BMDCの両方(それぞれiDCおよびmDC)を、ポリエチレングリコール(PEG)を介して、それぞれ特徴的な抗原(即ち、OVA)を有するか、または有さないE.G7-OVA-GFP(E7OG)またはEL4(E4)T細胞リンパ腫細胞と融合させた。得られたハイブリドーマ細胞をフローサイトメトリーで選別し、96ウェルプレートにおいてクローニングして、純粋な集団を得た。最終的に、OVA抗原を有するか、または有さない様々なDC成熟状態を有するハイブリドーマ由来のEBを、化学的に誘導されたブレブ形成および一連の遠心分離によって調製した。
図2】培地および半固形培地中で成長させたBMDC-EG7-Ova-GFPハイブリドーマ細胞の画像を提供する図である。得られたクローンを、フローサイトメトリーを使用してCD11c(樹状細胞マーカー)およびGFPによって分析した。
図3A】~
図3B】純粋なDC/腫瘍ハイブリドーマの調製および継代を越えて表面分子を提示する際のそれらの安定性を提供する図である。(A)PEG媒介性融合は、およそ40%のmDC/E7OGハイブリドーマ細胞を生じ、それらを、フローサイトメトリーによって定量化されるような純粋な集団となるようにさらに選別およびクローニングした。得られたハイブリドーマは、選別前(左)および選別後(右)に顕微鏡を使用してそれらのGFP発現について分析した。(B)imDC/E7OGおよびmDC/E7OGを最大40継代まで増殖させ、それらの生物学的安定性を、CD11c、CD40、CD80、CD86、MHC I、MHC II、およびMHC I/SIINFEKLについてフローサイトメトリーによって分析した。ハイブリドーマは、継代に関係なく、親DCに由来する免疫賦活状態を維持した。
図4】抗CD11c、CD40、CD80、CD86、MHC I、またはMHC II抗体で標識し、フローサイトメトリーを使用して分析した未熟および成熟ハイブリドーマを提供する図である。
図5A】~
図5C】EL4 Tリンパ腫細胞と融合した様々な成熟状態の骨髄由来樹状細胞(BMDC)のハイブリドーマの分析を示す図である。簡潔に述べると、C57BL/6マウスから単離した骨髄を、GM-CSFの存在下でBMDCに分化させ、LPSとのインキュベーションによってさらに成熟させた。(A)ポリエチレングリコール(PEG)媒介性細胞融合を介して、特徴的な抗原を有さないEL4(E4)T細胞リンパ腫細胞と融合した未熟および成熟BMDCの両方(それぞれ、iDCおよびmDC)。得られたハイブリドーマは、DCマーカーであるCD11cマーカーを保持した。(B)CD11c(DCマーカー)およびCD90.2(EL4細胞に関するマーカー)の両方を発現する比較的純粋な集団を得るために、DC/E4ハイブリドーマを96ウェルプレートにおいて選別およびクローニングした。(C)imDC/E4およびmDC/E4ハイブリドーマはともに、CD11c、CD40、CD80、CD86、MHC I、およびMHC IIを有することによって親DCの成熟特性を示した。
図6】凍結保存され、解凍され、特殊なハイブリッド培地中で成長させた未熟および成熟ハイブリドーマ細胞系を示す図である。ハイブリドーマを、3日間培養し、CD11cおよびGFPを使用して陽性クローンについて分析した。
図7】10継代毎にCD11c、CD40、CD80、CD86、MHC I、MHC II、およびMHC I-SIINFEKLについて分析した未熟ハイブリドーマ細胞を示す図である。
図8】10継代毎にCD11c、CD40、CD80、CD86、MHC I、MHC II、およびMHC I-SIINFEKLについて分析した成熟ハイブリドーマ細胞を示す図である。
図9】フローサイトメトリーを使用して表面分子提示について分析した未熟ハイブリドーマおよびそこから誘導されたブレブを示す図である。
図10】フローサイトメトリーを使用して表面分子提示について分析した未熟ハイブリドーマおよびそこから誘導されたブレブを示す図である。
図11】β-gal分泌によって定量化される、未熟および成熟ハイブリドーマならびにそこから誘導されたEBによるCD8 T B3Z細胞の活性化を示す図である。
図12A】~
図12C】樹状細胞の表面分子プロファイルの保持および相当するEBによる生じたT細胞活性化を示す図である。(A)NEMとの8時間インキュベーション、続く細胞砕片を差次的に除去し、精製されたEBを収集するための一連の遠心分離を介したimDC/E7OGおよびmDC/E7OGに由来するEBの形態。(B)imDC/E7OGおよびmDC/E7OGハイブリドーマに由来するEBは、CD11c、CD40、CD80、CD86、MHC I、およびMHC IIについてのフローサイトメトリーによって確認されるように、相当する親ハイブリドーマの同じ表面分子を運搬するように適合された。(C)親DCのT細胞刺激能は、活性化されたB3Z CD8 Tハイブリドーマ細胞のMHC I/SIINFEKLおよびCPRGアッセイについてフローサイトメトリーによって確認されるように、相当するEBに厳密に置き換えられた。相対的なT細胞の活性化は、様々な濃度でSIILFEKLとともにインキュベートしたBMDCによって生成された同じ比色シグナルに必要なSIINFEKL濃度で比較した。
図13】PBS、Ova、iBMDC、mBMDC、または未熟および成熟EBハイブリドーマをワクチン接種したマウスの体重を示す図である。
図14】PBS、Ova、iBMDC、mBMDC、または未熟および成熟EBハイブリドーマをワクチン接種したマウスの腫瘍体積を示す図である。
図15A】~
図15B】DC/E7OG EBをワクチン接種した場合の腫瘍からのマウスの防御を示す図である。(A)C57BL/6マウスに、14日間隔で2回、2回目の注射の10日後にE7OGまたはE4腫瘍の樹立前に、OVAを有するか、または有さない様々な免疫刺激のEBおよび/またはDCをワクチン接種した。腫瘍体積は2日毎に測定し、直径1.5cmに達するか、またはそれよりも大きい腫瘍を保有するマウスを安楽死させた。(B)Aに示されるようにワクチン接種したマウスの生存率プロット。データは、平均値±SDとして表す(n=6)。生存率グラフは、ログランク(マンテル・コックス)検定によって解析した。**P<0.01、***P<0.001は有意であるとみなした。生存率統計値は、表1および表2に見出すことができる。
図16A】~
図16B】DC/E4 EBをワクチン接種した場合の腫瘍からのマウスの防御を示す図である。(A)C57BL/6マウスに、14日間隔で2回、2回目の注射の10日後にE7OGまたはE4腫瘍の樹立前に、OVAを有するか、または有さない様々な免疫刺激のEBおよび/またはDCをワクチン接種した。腫瘍体積は2日毎に測定し、直径1.5cmに達するか、またはそれよりも大きい腫瘍を保有するマウスを安楽死させた。(B)Aに示されるようにワクチン接種したマウスの生存率プロット。データは、平均値±SDとして表す(n=6)。生存率グラフは、ログランク(マンテル・コックス)検定によって解析した。**P<0.01、***P<0.001は有意であるとみなした。生存率統計値は、表3および表4に見出すことができる。
図17A】~
図17B】E.G7-OVAおよびEL4腫瘍由来EBをワクチン接種した場合の腫瘍からのマウスの防御を示す図である。(A)14日間隔で2回、2回目の注射の10日後に相当する腫瘍の樹立前に、E.G7-OVA-GFPおよびEL4腫瘍に由来するEBをワクチン接種したC57BL/6マウスにおける腫瘍成長。(B)Aにおけるマウスの生存率プロット。データは、平均値±SDとして表す(n=6)。
図18A】~
図18B】E7OGまたはE4腫瘍に対するDC/E7OG EBをワクチン接種したマウスにおける代表的なCTL活性化プロットを提供する図である。(A)様々な成熟状態のDC/E7OG EBまたはDCをワクチン接種したマウスから採取した脾細胞によるE7OG腫瘍の特異的溶解。(B)様々な成熟状態のDC/E7OG EBまたはDCをワクチン接種したマウスから採取した脾細胞によるE4腫瘍の特異的溶解。脾細胞を、2回目の注射の10日後にマウス(n=5)から採取し、エフェクター(脾細胞)対標的(腫瘍)比25:1で腫瘍細胞とともに4時間インキュベートし、特異的溶解は、フローサイトメトリーによるYO-PRO-1陽性細胞のパーセントによって決定した。図21の棒グラフは、特異的溶解の平均パーセントを示す。
図19A】~
図19B】E7OGまたはE4腫瘍に対するDC/E4 EBをワクチン接種したマウスにおける代表的なCTL活性化プロットを提供する図である。(A)様々な成熟状態のDC/E4 EBまたはDCをワクチン接種したマウスから採取した脾細胞によるE7OG腫瘍の特異的溶解。(B)様々な成熟状態のDC/E4 EBまたはDCをワクチン接種したマウスから採取した脾細胞によるE4腫瘍の特異的溶解。脾細胞を、2回目の注射の10日後にマウス(n=5)から採取し、エフェクター(脾細胞)対標的(腫瘍)比25:1で腫瘍細胞とともに4時間インキュベートし、特異的溶解は、フローサイトメトリーによるYO-PRO-1陽性細胞のパーセントによって決定した。図21の棒グラフは、特異的溶解の平均パーセントを示す。
図20】100:1、50:1、25:1、12.5:1、および6.25:1の範囲の比のEL4およびE.G7-OVA癌細胞の特異的溶解を示す図である。
図21A】~
図21B】E.G7-OVAまたはEL4腫瘍に対するDCおよびDC/腫瘍EBをワクチン接種したマウスから採取した脾細胞の活性化の定量化を示す図である。(A)様々な成熟状態のDCおよびDC/E7OG EBをワクチン接種したマウスから採取した脾細胞によるE.G7-OVAおよびEL4細胞の特異的溶解。(B)様々な成熟状態のDCおよびDC/E4 EBをワクチン接種したマウスから採取した脾細胞によるE.G7-OVAおよびEL4細胞の特異的溶解。C57BL/6マウスに、14日間隔で2回、DCおよびEBをワクチン接種し、2回目の注射後に脾細胞を採取した後、エフェクター(脾細胞)対標的(腫瘍細胞)比25:1で腫瘍細胞とともに4時間インキュベートした。続いて、腫瘍細胞の特異的溶解は、フローサイトメトリーによるYO-PRO-1染色細胞の比によって決定し、データは、平均値±SDとして示す(n=6)。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確に他の状況を指示しない限り、複数の指示対象を包含する。したがって、例えば、「細胞外ブレブ」に対する言及は、複数のそのような細胞外ブレブを包含し、「ワクチン」に対する言及は、1つまたは複数のワクチンおよび当業者に公知のそれらの等価物に対する言及を包含する。
【0010】
また、「または」の使用は、別記されない限り、「および/または」を意味する。同様に、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、「含んでいる」、「包含する(include)」、「包含する(includes)」、および「包含している」は交換可能であり、限定すると意図されるものではない。
【0011】
様々な実施形態の記載が「含んでいる」という用語を使用する場合、いくつかの具体例において、一実施形態が「本質的にからなる」または「からなる」という言語を使用して代替的に記載され得ることが当業者に理解されることは、さらに理解されよう。
【0012】
別記されない限り、本明細書において使用される技術用語および科学用語は全て、本開示が属する技術分野における当業者に一般的に理解されるものと同じ意味を有する。多くの方法および試薬は、本明細書に記載されるものと同様または等価であるが、例示的な方法および材料が本明細書において開示されている。
【0013】
本明細書で言及される刊行物は全て、方法論を記載および開示する目的で、参照により本明細書に完全に組み込まれ、それらは本明細書における記載に関連して使用され得る。さらに、本開示において明確に定義された用語に類似しているか、またはそれと同一である1つまたは複数の刊行物において提示される任意の用語に関しては、本開示において明確に提供されるような用語の定義が、全ての点で優先される。
【0014】
本開示は、本明細書において記載される特定の方法論、プロトコール、および試薬などに限定されるものではなく、したがって多様であり得ることが理解されるべきである。本明細書において使用される用語は、特定の実施形態について記載することのみを目的としており、特許請求の範囲によってのみ規定される本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0015】
実用例におけるもの、または別記される場合を除いて、本明細書において使用される成分の量または反応条件を表す数は全て、全ての場合において「約」という用語によって修飾されると理解されるべきである。「約」という用語は、パーセントに関連して本発明について記載するのに使用される場合、±1%を意味する。
【0016】
「ブレブ形成」、「原形質膜ブレブ形成」または「細胞膜ブレブ形成」という用語は、本明細書において使用される場合、全てが、細胞外ブレブ(EB)の産生をもたらす細胞内において原形質膜ブレブ形成を誘導する本明細書において開示される方法を指す。ブレブは、細胞骨格が原形質膜から局所的に分断することによって引き起こされる細胞の原形質膜における不規則なバルジである。バルジは最終的に、ともに細胞質に関わる親原形質膜から分離して、小胞、即ち、細胞外ブレブを形成する。ブレブ形成はまた、細胞の移動運動および細胞分裂を含むいくつかの正常な細胞プロセスに関与している。原形質膜の典型的なブレブ形成は、後期アポトーシスを経験した細胞の形態学的特徴であるのに対して、化学的または物理的に誘導されたブレブ形成は、細胞および分子プロファイルが保存され、一貫して高収率の任意の細胞段階での原形質膜を変換する能動的な方法である。したがって、細胞ブレブ形成は、物理的または化学的処置によって操作することができる。細胞ブレブ形成は、微小管の分解後、アクチン重合の阻害、膜の剛性の増加またはミオシン運動の不活性化によって、および細胞内圧力を調整することによって誘導することができる。EBはまた、スルフヒドリル基を結合する薬剤(即ち、スルフヒドリル遮断剤)への曝露などの様々な細胞外化学刺激に応答して産生され得る。
【0017】
「ブレブ形成剤」という用語は、本明細書において使用される場合、細胞に投与されると、細胞が原形質膜ブレブ形成を経験するよう誘導するスルフヒドリル遮断剤などの化学剤を指す。
【0018】
「細胞外ブレブ」または「EB」という用語は、本明細書において使用される場合、「誘導細胞由来小胞」または「ICV」と同義であり、細胞とブレブ形成剤との接触からの直接的な結果として形成される細胞外小胞を指す。したがって、EBは、天然に存在する細胞外小胞と同義ではない。というのは、後者はブレブ形成剤の存在なしで形成されるのに対して、前者は産生されるのにブレブ形成剤の使用を必要とするためである。本明細書において記載される方法および組成物は、全てのサイズのEBに適用することができる。特定の実施形態では、本明細書において記載される方法および組成物は、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、110nm、120nm、130nm、140nm、150nm、160nm、170nm、180nm、190nm、200nm、250nm、300nm、350nm、400nm、450nm、500nm、550nm、600nm、650nm、700nm、750nm、800nm、850nm、900nm、950nm、1000nm、1100nm、1200nm、1300nm、1400nm、1500nm、1600nm、1700nm、1800nm、1900nm、2000nm、2500nm、3000nm、3500nm、4000nm、5000nm、10μm、15μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、または前述の値のいずれか2つを含むか、もしくはその間に存在する任意の範囲(その小数増分を含む)の平均直径を有するEBを含む。さらに、本明細書において開示されるEBは、対象の免疫系を調整することができる抗原を発現する目的の細胞から産生される。本開示のEBは、核酸、タンパク質、ペプチド、脂質、オリゴ糖などの生体分子;抗ウイルス薬、抗生物質、および抗真菌薬のような医薬品などの治療剤;プロドラッグ;遺伝子サイレンシング剤;化学療法;診断剤;CRISPR-Cas系、CRISPRi系、またはCRISPR-Cpf1系などの遺伝子編集系の構成成分などをさらに封入してもよい。特定の実施形態では、本明細書において開示されるEBは、本明細書において開示されるような外来抗原を発現する遺伝子操作された抗原性提示細胞または感染された細胞から産生され、ここでEBは、封入された抗ウイルス剤、抗生物質、および/または化学療法剤をさらに含む。
【0019】
「ナノメートルサイズの細胞外ブレブ」、「nEB」または「nICV」という用語は、本明細書において使用される場合、ナノメートルサイズ範囲の直径を有する本明細書において記載されるようなブレブ形成剤を使用して細胞から産生されたEBを指す。特定の実施形態では、nEBは、5nm、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、150nm、200nm、250nm、300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、最大1000nmの直径を有するか、または前述の値のいずれか2つを含むか、もしくはその間に存在する範囲(その小数増分を含む)である。
【0020】
「マイクロメートルサイズの細胞外ブレブ」、または「mEB」または「mICV」という用語は、本明細書において使用される場合、全てがマイクロメートルサイズ範囲の直径を有する本明細書において記載されるようなブレブ形成剤を使用して目的の細胞から産生された細胞外ブレブを指す。特定の実施形態では、mEBは、1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、10μm、15μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、または前述の値のいずれか2つを含むか、もしくはその間に存在する範囲(その小数増分を含む)の直径を有する。
【0021】
「外来抗原」という用語は、本明細書において使用される場合、体外に由来する抗原を指す。外来抗原の例として、ウイルスもしくは微生物(細菌および原生動物など)の一部またはそれらによって産生された物質、ならびにヘビ毒中の物質、食品中のある特定のタンパク質、および他の個体由来の血清および赤血球の構成成分が挙げられる。
【0022】
「内因性抗原」という用語は、対象自体の細胞に由来する抗原を指す。内因性抗原の例として、癌または腫瘍抗原、ならびに病原体(例えば、細菌、ウイルス、または真菌)による感染の結果で産生された細胞抗原が挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
「スルフヒドリル遮断剤」という用語は、本明細書において使用される場合、スルフヒドリル基が、通常アルキル化もしくはジスルフィド交換反応を介してスルフヒドリル遮断剤によって遮断または結合されるように細胞のスルフヒドリル基と相互作用する化合物または試薬を指す。スルフヒドリル基を遮断もしくは結合する本明細書において開示される方法または組成物において使用することができる化学剤として、塩化水銀、p-クロロ水銀ベンゼンスルホン酸、塩化第二金、p-クロロ水銀ベンゾエート、クロルメロドリン、メラルリドナトリウム、ヨードアセトアミド、パラホルムアルデヒド、ジチオトレイトール、およびN-エチルマレイミドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
本開示の目的で「癌」という用語は、別記されない限り、細胞増殖性障害、新生物、前癌細胞障害および癌を包含するのに使用される。したがって、「癌」は、転移または腫瘍成長につながる可能性のある異常な細胞増殖を経験する任意の細胞を指す。例示的な癌として、副腎皮質癌、エイズ関連癌、エイズ関連リンパ腫、肛門癌、肛門直腸癌、肛門管の癌、虫垂癌、小児小脳星細胞腫、小児大脳脳星細胞腫、基底細胞癌、皮膚癌(非メラノーマ)、胆道癌、肝外胆管癌、肝内胆管癌、膀胱癌、泌尿器の膀胱癌、骨および関節癌、骨肉腫および悪性線維性組織球腫、脳癌、脳腫瘍、脳幹神経膠腫、小脳星細胞腫、大脳星細胞腫/悪性神経膠腫、上衣腫、髄芽腫、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、視経路および視床下部神経膠腫、トリプルネガティブ乳癌を含む乳癌、気管支腺腫/カルチノイド、カルチノイド腫瘍、消化管癌、神経系癌、神経系リンパ腫、中枢神経系癌、中枢神経系リンパ腫、子宮頸癌、小児癌、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄増殖性障害、結腸癌、結腸直腸癌、皮膚T細胞リンパ腫、リンパ系新生物、菌状息肉腫、セザリー症候群、子宮内膜癌、食道癌、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、肝外胆管癌、眼癌、眼内メラノーマ、網膜芽細胞腫、胆嚢癌、胃の(胃)癌、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛性腫瘍神経膠腫、頭頸部癌、肝細胞(肝臓)癌、ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、眼内メラノーマ、眼球癌、膵島細胞腫瘍(膵内分泌)、カポジ肉腫、腎臓癌、腎癌、喉頭癌、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、ヘアリー細胞白血病、口唇および口腔の癌、肝臓癌、肺癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、エイズ関連リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、髄芽腫、メラノーマ、眼内(眼)メラノーマ、メルケル細胞癌、悪性中皮腫、中皮腫、転移性頸部扁平上皮癌、口の癌、舌の癌、多発性内分泌腫瘍症候群、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性疾患、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、慢性骨髄増殖性障害、上咽頭癌、神経芽細胞腫、口腔癌、口腔の癌、中咽頭癌、卵巣癌、卵巣上皮癌、卵巣低悪性度腫瘍、膵癌、膵島細胞膵癌、副鼻腔および鼻腔癌、副甲状腺癌、陰茎癌、咽頭癌、褐色細胞腫、松果体芽腫およびテント上原始神経外胚葉性腫瘍、下垂体腫瘍、形質細胞腫瘍/多発性骨髄腫、胸膜肺芽腫、前立腺癌、直腸癌、腎盂および尿管癌、移行上皮癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、軟部組織肉腫、子宮癌、子宮肉腫、皮膚癌(非メラノーマ)、皮膚癌(メラノーマ)、乳頭腫、光線性角化症およびケラトアカントーマ、メルケル細胞皮膚癌、小腸癌、軟部組織肉腫、扁平上皮癌、胃(胃の)癌、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、精巣癌、喉の癌、胸腺腫、胸腺腫および胸腺癌、甲状腺癌、腎盂および尿管および他の泌尿器の移行上皮癌、妊娠性絨毛性腫瘍、尿道癌、子宮内膜子宮癌、子宮肉腫、子宮体癌、膣癌、外陰癌、ウィルムス腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
「有効量」という用語は、本明細書において使用される場合、所望の結果または効果の少なくとも再現可能に検出可能な量を生じるのに十分な量を指す。有効量は、特定の状態および状況によって異なる。そのような量は、所与の状況に対して当業者によって決定され得る。
【0026】
「患者」、「対象」および「個体」という用語は、本明細書において交換可能に使用され、予防処置(例えば、ワクチン接種)を含む処置が提供される動物、特にヒトを指す。これには、ヒトおよび非ヒト動物が含まれる。「非ヒト動物」という用語は、本明細書において使用される場合、全ての脊椎動物、例えば、非ヒト霊長類(特に高等霊長類)、ヒツジ、イヌ、齧歯類(例えば、マウスまたはラット)、モルモット、ヤギ、ブタ、ネコ、ウサギ、ウシなどの哺乳動物およびニワトリ、両生類、爬虫類などの非哺乳動物を含む。1つの実施形態では、対象はヒトである。別の実施形態では、対象は、実験動物または疾患モデルとしての動物代用である。「哺乳動物」は、ヒト、非ヒト霊長類、家畜動物および農場動物、動物園の動物、スポーツ動物、またはペット動物、例えばイヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウサギなどを含む哺乳動物として分類される任意の動物を指す。患者または対象には、前述の任意のサブセット、例えば、上記の全てが含まれるが、ヒト、霊長類もしくは齧歯類などの1つまたは複数の群または種は排除される。対象は、雄または雌であり得る。対象は、完全に発達した対象(例えば、成体)または発達過程を経験している対象(例えば、子供、乳児または胎児)であり得る。
【0027】
「単離された」という用語は、本明細書において開示されるEBに関連して使用される場合、EBが、それが生成されたか、またはそれが通常自然に存在するたいていの他の細胞構成成分から分離されているという事実を指す。本明細書において開示されるEBは通常、それらが、たいていの他の細胞構成成分および細胞砕片から実質的に単離されている状態乃至完全に単離されている状態に調製されている。
【0028】
「治療有効量」という用語は、本明細書において使用される場合、状態を有する典型的な対象に投与された場合に、状態の1つまたは複数の症状における治療上有意な低減に影響を及ぼすのに十分な量を指す。症状における治療上有意な低減は、例えば、対照または非処置対象と比較した場合に例えば、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、またはそれ以上である。
【0029】
「処置する」または「処置」という用語は、本明細書において使用される場合、症状を排除または減少することが目的である治療的処置を指す。有益な、または所望の臨床結果として、症状の排除、症状の軽減、状態の程度の減少、状態の安定化(即ち、悪化しないこと)状況、状態の進行の遅延または緩徐化が挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
免疫療法は、広い範囲の感染性疾患および癌に対する最も有望で多様な治療戦略の1つとして大きな関心が持たれている。一般にワクチンと呼ばれる免疫学的に活性な材料(例えば、抗原)を送達することによる免疫系の活性化は、ヒトの健康と福祉の向上に多大な貢献をしている。ワクチン接種の成功は、標的抗原ペプチドを、免疫賦活性シグナルを有するT細胞に提示する抗原提示細胞(APC)によって中心的に果たされている。樹状細胞(DC)は、T細胞を活性化する極めて強力な能力を有するプロフェッショナルAPCであり、それにより特に癌に対する細胞ベースのワクチン接種の主要な標的となっている。
【0031】
抗原提示細胞(APC)またはアクセサリー細胞は、その表面に主要組織適合複合体(MHC)タンパク質によって結合された抗原を表示する細胞であり、このプロセスは、抗原提示として既知である。T細胞は、それらのT細胞受容体(TCR)を使用してこれらの複合体を認識し得る。APCは、抗原をプロセシングし、それらをT細胞に提示する。T細胞の活性化に関与するAPCは通常、樹状細胞である。T細胞は、「遊離」または可溶性抗原を認識することができない(したがって、それらに応答することができない)。T細胞は、MHC分子のような担体分子を介して細胞によってプロセシングおよび提示された抗原を認識して応答することができるのみである。ヘルパーT細胞は、MHCクラスIIに提示される外因性抗原を認識することができ、細胞傷害性T細胞は、MHCクラスIに提示される内因性抗原を認識することができる。体内のたいていの細胞は、抗原を、MHCクラスIを介してCD8+細胞傷害性T細胞に提示することができるが、「抗原提示細胞」という用語は、プロフェッショナルAPCについて記載するのに具体的に使用される場合が多い。そのような細胞は、MHCクラスIおよびMHCクラスII分子を発現し、CD4+ヘルパーT細胞ならびに細胞傷害性T細胞を刺激することができる。
【0032】
プロフェッショナルAPCは、T細胞へ抗原を提示することを専門としている。プロフェッショナルAPCは、食作用(例えば、マクロファージ)、マクロピノサイトーシス、または受容体媒介性エンドサイトーシス(B細胞)のいずれかによって抗原を内部移行し、抗原をペプチド断片へとプロセシングし、続いてそれらのペプチド(クラスI MHC分子にまたはクラスII MHC分子に結合されている)をそれらの膜上に表示するのに非常に効率的である。T細胞は、抗原提示細胞の膜上の抗原-クラスI MHC分子複合体または抗原-クラスII MHC分子複合体を認識し、それと相互作用する。次に、さらなる共刺激シグナルが、抗原提示細胞によって産生され、T細胞の活性化につながる。共刺激分子およびMHCクラスIIの発現は、プロフェッショナルAPCの決定的な特徴である。また、プロフェッショナルAPCは全て、同様にMHCクラスI分子を発現する。
【0033】
プロフェッショナル抗原提示細胞の主なタイプは、樹状細胞、マクロファージ、およびB細胞である。
【0034】
樹状細胞は、最も広範囲の抗原提示を有し、ナイーブT細胞の活性化に必要である。DCは、ヘルパーおよび細胞傷害性T細胞の両方に抗原を提示する。また、DCは、それらがMHCクラスI分子上の外因性抗原を細胞傷害性T細胞に提示するプロセスである交差提示を遂行することができる。交差提示は、これらのT細胞の活性化を可能にする。樹状細胞はまた、末梢性トレランスにおいて役割を果たし、それは自己免疫疾患の防止に寄与する。
【0035】
外来抗原に遭遇する前、樹状細胞は、それらの細胞表面に非常に低レベルのMHCクラスIIおよび共刺激分子を発現する。これらの未熟樹状細胞は、ヘルパーT細胞へ抗原を提示する際に効果がない。樹状細胞のパターン認識受容体が、病原体関連分子パターンを認識すると、抗原は貪食され、樹状細胞は活性化されるようになり、MHCクラスII分子の発現をアップレギュレートする。また、それがCD40およびB7を含むT細胞活性化に要されるいくつかの共刺激分子をアップレギュレートする。後者は、CD4+T細胞の表面にあるCD28と相互作用することができる。続いて、樹状細胞は、完全に成熟したプロフェッショナルAPCである。樹状細胞は、組織からリンパ節に移動し、そこで樹状細胞は、T細胞に遭遇して活性化する。
【0036】
樹状細胞(DC)は、実質的に全ての組織において見出すことができ、そこで樹状細胞は恒常性の不均衡を検出し、T細胞への提示のために抗原をプロセシングして、自然免疫応答と適応免疫応答との関連性を確立させる。さらに、DCは、進行中の免疫応答を改変するサイトカインおよび増殖因子を分泌し、ナチュラルキラー細胞および自然リンパ球(ILC)のような他の免疫細胞とのそれらの相互作用に影響される。樹状細胞は、「成熟」および「未熟」の2つの異なる機能性状態で見出される。これらは、多くの特徴によって区別されるが、二次リンパ器官において抗原特異的ナイーブT細胞を活性化する能力は、成熟樹状細胞の特質である。樹状細胞の成熟は、病原体関連分子パターン(PAMP)または損傷関連分子パターン(DAMP)の認識によって検出される組織恒常性の攪乱によって誘発される。成熟は、代謝、細胞、および遺伝子転写プログラムをオンにし、樹状細胞が、二次リンパ器官において末梢組織からT依存性領域まで遊走することが可能となり、そこでTリンパ球活性化抗原提示が行われ得る。
【0037】
成熟中、DCは接着構造を損失し、細胞骨格を再編成し、それらの運動性を高める。DC成熟はまた、それらのエンドサイトーシス活性の減少につながるが、MHC-IIおよび共刺激分子の発現の増加を引き起こす。成熟DCは、より高レベルのケモカイン受容体であるCCR7を発現し、T細胞の活性化に必須なサイトカインを分泌する。したがって、成熟DC細胞と抗原特異的T細胞との間の相互作用は、抗原特異的免疫応答のトリガーとなる。CD4+T細胞と相互作用すると、DCは、Th1、Th2、Th17、または他のCD4+T細胞サブタイプなどの種々のヘルパーT(Th)サブセットへのそれらの分化を誘導し得る。未熟DCは、それらが共刺激分子の低い表面発現、ケモカイン受容体の低い発現を有し、免疫賦活性サイトカインを放出しないため、ナイーブリンパ球エフェクター応答の乏しい誘導物質である。しかし、これらの「未熟」細胞は、レクチン、Toll様、FCおよび補体受容体を含む受容体媒介性エンドサイトーシスならびにマクロピノサイトーシスを介して、その高いエンドサイトーシス能に起因して、抗原捕捉に非常に効率的である。したがって、未熟DCは、実際に、侵入する病原体に対するセンチネルとして作用するだけでなく、組織スカベンジャーとしても作用し、アポトーシス細胞および壊死細胞を捕捉する。
【0038】
一次免疫応答を開始するというそれらの特有の役割を考慮して、患者由来培養DCから調製されたワクチン製品は、広い範囲のワクチン用途向けに開発中であり、末梢血から、または骨髄から調製される。そのような個別化DCベースのワクチンは、安全で十分な耐容性を示すことがわかっており、それらは抗原特異的なCD4+およびCD8+T細胞応答を誘導する。しかしながら、そのようなワクチン製品の有効性は、限られた患者数においてのみ実証されており、一貫した臨床的成果を示していない。これは、患者ベースの製品の効力を標準化することが不可能であるという事実に主に起因している。血液または骨髄から樹状細胞を採取し、機能的樹状細胞を生成するための標準的な操作手順を開発することは可能であるが、完全な再現性は、患者間の変動性によって常に妨げられている。さらに、大規模な実施に関してかなりのハードルがあり、時間を消費し、高価である。さらに、DCは多くの場合、病理学的微小環境に順応している(例えば、腫瘍組織において抑制されるようになっている)。
【0039】
需要の高い免疫療法の例の1つは、癌ワクチンである。多くの戦略は、腫瘍ワクチン用に腫瘍抗原をDCに負荷するよう開発されている。腫瘍関連ペプチドまたはタンパク質でパルスされたDCは、抗腫瘍免疫の誘導をもたらす(腫瘍特異的遺伝子をコードするウイルスベクターによるか、もしくはリポソームDNAもしくはRNAを用いたトランスフェクションによる腫瘍抗原のDCへの導入)。これらの戦略は、ある程度は有効であるが、ある特定の欠点を共有している。例えば、腫瘍抗原は、ほとんど同定されておらず、腫瘍細胞は、腫瘍抗原のダウンレギュレーションにより認識を回避する可能性がある。代替戦略として、化学的、物理的、または生物学的方法により癌細胞に融合されたDCは、DC由来共刺激分子、および特定腫瘍由来抗原の存在を組み合わせるヘテロカリオンを創出する。したがって、DC癌融合細胞は、腫瘍抗原を発達させて、免疫細胞に提示するのに、また有効な抗腫瘍応答を誘導するのに必須な要素を組み合わせている。しかしながら、DC癌細胞融合の使用に対する主な制限は、十分な量の自家DC細胞の利用可能性、生癌試料の利用可能性の制限、および低い臨床応答である。融合技術は、癌ワクチンの設計において万能なアプローチであり、ほぼ全てのタイプの癌細胞に適用可能であり得るが、そのような万能性および幅広い適用性は、ワクチンを標準化するのをより困難にする変動につながる。最も重要なことは、DC癌細胞融合は、かなりの安全性の懸念を有している。
【0040】
腫瘍関連抗原(TAA)をex vivoで負荷したDCは、多くの前臨床研究ならびにいくつかの初期臨床試験において主に予防有効性およびいくらかの治療有効性を示している。DCは従来、腫瘍細胞溶解物、腫瘍由来アポトーシス小体、精製されたTAAタンパク質によるインキュベーション、またはTAA由来ペプチド、あるいはTAAコードcDNAまたはmRNAによる形質導入を介して、予め決められたTAAを負荷される。しかしながら、癌ワクチン接種のために既知の抗原を用いるこのアプローチは、多くの形態の癌における特徴的な抗原の欠如、免疫系に提供されるべき抗原分子プロファイルの制限、ならびに時間および労働集約型の同定および調製によって課題とされている。あるいは、DCおよび腫瘍細胞のハイブリダイゼーションは、各種動物モデルおよび進行期の癌患者において実証されるように、未同定抗原を含む完全なTAAレパートリーの、Tナイーブ細胞への確実な提示の利点を提供する。融合性化学剤(例えば、ポリエチレングリコール[PEG])、電場(電気融合)、またはウイルスを使用してDCを腫瘍細胞と融合させると、非融合細胞ならびに同じ種類の融合細胞を必然的に産生し、多くの場合、有効性の改善ためにさらなる精製を要する。
【0041】
安全性および免疫原性が確認されたにもかかわらず、癌に対する細胞ベースのワクチン接種に関する臨床試験の結果は、非常に失望的なものであった。これは主に、患者由来材料の厄介な効力の標準化、再現性、および調製のスケーラビリティの事実に起因している。さらに、免疫抑制性腫瘍微小環境への適応および不安定な保管は、DCベースのワクチンおよびCAR-T細胞療法などの細胞ベースの癌免疫療法にとって共通の課題であることが知られている。細胞外小胞(EV)は、細胞ベースの免疫療法に代わる無細胞代替法として研究されていたが、EVベースの治療薬(例えば、DC由来エクソソーム、デクソソーム)は、構造および機能の両方において高い不均一性、低収量および純度、乏しい品質管理、ならびにスケーラビリティの制限に起因して、臨床的置き換えに向けてゆっくりと進行している。
【0042】
本開示は、安定なハイブリドーマを産生するためのAPCおよび標的細胞の融合によって癌に対する免疫原性を増強する組成物、製剤ならびに方法を提供する。次に、最適に免疫活性化されたハイブリドーマは、迅速で、効率的で、かつコストおよび労力にとって都合のよい化学的におよび物理的に誘導されたプロセスを介して、無細胞の細胞様小胞に変換される。APC-標的細胞ハイブリドーマから産生された得られた細胞外ブレブは、抗原性タンパク質を提示および送達し、それらをMHC IおよびII分子と複合して提示して、完全に最適化された分子機構で所望の免疫活性化(または抑制)モードでT細胞を活性化することができる。
【0043】
本開示の組成物、製剤および方法は、分子的に調整可能な免疫応答、所望の様式における保証された免疫応答、抗原の完全なライブラリーに対する包括的な免疫活性化、適正な量の樹状細胞の利用可能性、品質管理、安全性、および有効性を含む、タンパク質、核酸、および樹状細胞の現在のワクチン配合物に関連した主要な制限を克服している。DCおよび標的細胞の融合は、抗原提示においてより効率的かつ包括的であり、強力な免疫を誘導する免疫原性細胞を創出する。さらに、DCおよび標的細胞の操作は、独立して実施することができる一方で、各細胞特性は長期間持続することができる。無細胞ベースのAPC標的細胞ワクチン接種の使用は、細胞ベースのワクチンを含む従来のワクチンよりも安全でより効果的なワクチン分子の産生に関して優れた制御メカニズムを提供する。さらに、細胞とは異なり、細胞様の無細胞EBは、保管に対して安定であり、様々な配合物に対して高度に修正可能であり、長期間にわたって持続性のT細胞の活性化が可能である。
【0044】
癌免疫療法の重要な概念は、免疫系の操作により癌の制御が達成され、理想的には治癒することができるということである。多くの研究により、細菌産物およびTLRアゴニストなどの一般的な免疫系活性化因子を使用した場合の臨床的有益性が示されている。これらのアプローチの抗腫瘍活性は、それが行われた場合、これらの化合物の、免疫系を活性化する能力に起因し、それは次に、腫瘍細胞を死滅させる能力を獲得する。この効果の多くは、DC活性化、続くT細胞応答の生成に起因するものであることがわかった。樹状細胞は、適応免疫応答の重要な活性化因子として、抗腫瘍免疫応答の誘導において中心的な役割を果たすと予想され、これらの細胞が癌患者において示す多くの機能的逸脱は、それらが実際に抗腫瘍免疫応答において果たし得る関連する役割を強調している。これらのデータに直面して、DCの免疫活性化力を利用して、癌患者において抗腫瘍応答を誘導することは、直観的である。しかしながら、多数のこれらの細胞を非侵襲的な方法で得ることは困難であるため、DCを使用する治療アプローチは縮小されてきた。
【0045】
本開示は、大量に成長し得るDCベースのハイブリドーマを提供することによって、DC産生の問題点を防ぐことができる組成物、製剤および方法を提供し、さらに、本開示の方法を使用して、ほぼ無制限の量のEBを生成することができる。特に、本開示のハイブリドーマは、免疫系を活性化(例えば、癌ワクチン)または抑制(例えば、自己免疫疾患)するために、抗原提示細胞および標的細胞(例えば、癌細胞)から生成されている。ハイブリドーマ形成に使用される抗原提示細胞は、任意の供給源、理想的にはヒトに由来されてもよく;任意のサブタイプの抗原提示細胞(例えば、骨髄由来樹状細胞)を含むことができ;および/または任意の成熟状態の抗原提示細胞(例えば、未熟DCまたは成熟DC)を含むことができる。さらに、ハイブリドーマに関する抗原提示細胞の供給源は、処置されるべき対象に由来し得る(即ち、個別化処置)。標的細胞に関して、標的細胞は通常、癌細胞である。ほとんどのタイプの癌細胞は、本明細書において記載される方法および当該技術分野において記載される方法を使用して、樹状細胞と融合させることができるため、癌細胞のタイプは限定的ではない。本開示のハイブリドーマを作製するのに使用され得る癌細胞の例として、骨髄腫、リンパ腫、癌腫、肉腫、白血病、腺癌、胸腺腫、または他のタイプの癌細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
本明細書において開示されるEB生産技術は、工業的および医学適用性を有するハイブリドーマ由来の細胞様の無細胞ベースのワクチンを産生するためのスケーラブルな選択肢を提示する。さらに、本明細書において記載されるブレブ形成剤を使用することによって、ハイブリドーマを誘導して、ワクチンとして使用することができるナノスケールおよびマイクロスケールのEBを産生することができる。ハイブリドーマの生理活性特性を維持することによって、EBは投与時に免疫応答を誘発することができる。本発明において提示される研究において、EBは、アジュバントの非存在下でさえ、強力な免疫応答を誘発することができる。さらに、本明細書において開示されるEBは、そのように所望であれば、他の治療剤(例えば、化学療法薬)またはアジュバントを負荷することができる。
【0047】
本明細書において提示される研究において示されるように、ハイブリドーマから産生されたEBは、ハイブリドーマ自体と比較して、in vivoで改善された抗癌効果を有していた。これらの結果に基づいて、本開示の組成物、方法、およびキットは、抗原性タンパク質を提示および送達して、それらをMHCクラスIおよびクラスII分子と複合して提示するものとして利用され、T細胞を活性化する。本開示の組成物、方法およびキットの潜在的な利点として、免疫応答の調整により、保管に対して安定であり、様々な配合物に対して高度に修正可能であり、また体内で長期間にわたって持続性のT細胞の活性化が可能な、癌および外来抗原に対してより有効なタイプの免疫を生じることが可能となることが挙げられるが、これに限定されない。
【0048】
特に、本開示は、ハイブリドーマからわずか数時間で高収率のEBを提供し、マイクロスケールおよびナノスケールサイズのEBの両方を産生する技法ならびに方法を規定する。例えば、本明細書において記載されるブレブ形成剤の使用は、本明細書において提示される研究において、早ければ30分程度で、8時間に最適化されて、EBの産生を誘導することができる。
【0049】
さらなる実施形態では、ブレブ形成を誘導する化学剤は、スルフヒドリル遮断剤である。スルフヒドリル遮断剤の例として、塩化水銀、p-クロロ水銀ベンゼンスルホン酸、塩化第二金、p-クロロ水銀ベンゾエート、クロルメロドリン、メラルリドナトリウム、ヨードアセトミド、パラホルムアルデヒド、ジチオトレイトール、およびN-エチルマレイミドが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、EBは、(1)パラホルムアルデヒド、(2)パラホルムアルデヒドおよびジチオトレイトール、または(3)N-エチルマレイミドによって、ハイブリドーマにおいて誘導されるブレブ形成から産生される。さらなる実施形態では、EBは、ハイブリドーマを、5mM、10mM、15mM、20mM、25mM、30mM、35mM、40mM、50mM、55mM、60mM、65mM、70mM、75mM、80mM、85mM、90mM、95mM、100mM、110mM、120mM、130mM、140mM、150mM、160mM、170mM、180mM、190mM、200mM、210mM、220mM、230mM、240mM、250mM、または10mMと100mMから、および20mMから50mMを含む、前述の濃度のいずれか2つを含む範囲のパラホルムアルデヒドを含む溶液と接触させることによって、ハイブリドーマにおいて誘導されるブレブ形成から産生される。
【0050】
さらなる実施形態では、パラホルムアルデヒド(PFA)を含む溶液は、0.2mM、0.4mM、0.5mM、0.6mM、0.8mM、1mM、1.1mM、1.2mM、1.3mM、1.4mM、1.45mM、1.5mM、1.55mM、1.6mM、1.65mM、1.7mM、1.75mM、1.8mM、1.85mM、1.9mM、1.95mM、2.0mM、2.1mM、2.2mM、2.3mM、2.4mM、2.45mM、2.5mM、2.55mM、2.6mM、2.65mM、2.7mM、2.75mM、2.8mM、2.85mM、2.9mM、2.95mM、3.0mM、3.1mM、3.2mM、3.3mM、3.4mM、3.45mM、3.5mM、3.55mM、3.6mM、3.65mM、3.7mM、3.75mM、3.8mM、3.85mM、3.9mM、3.95mM、4.0mM、4.5mM、5.0mM、5.5mM、6.0mM、6.5mM、7.0mM、7.5mM、8.0mM、8.5mM、9.0mM、9.5mM、10mM、または1.0mMから3mM、および1.5mMから2.5mMを含む、前述の濃度のいずれか2つを含むか、またはその間に存在する任意の範囲の濃度のジチオトレイトール(DTT)をさらに含む。代替的な実施形態では、ICVは、ハイブリドーマを、0.2mM、0.4mM、0.5mM、0.6mM、0.8mM、1.0mM、1.5mM、2.0mM、2.5mM、3.0mM、3.5mM、4.0mM、4.5mM、5.0mM、5.5mM、6.0mM、6.5mM、7.0mM、7.5mM、8.0mM、8.5mM、9.0mM、9.5mM、10.0mM、10.5mM、11.0mM、11.5mM、12mM、12.5mM、13.0mM、13.5mM、14.0mM、14.5mM、15.0mM、15.5mM、16.0mM、16.5mM、17.0mM、17.5mM、18.0mM、18.5mM、19.0mM、19.5mM、20mM、または2.0mMから20.0mM、および2.0mMから5.0mMを含む、前述の濃度のいずれか2つを含むか、またはその間に存在する任意の範囲の濃度のN-エチルマレイミド(NEM)を含む溶液と接触させることによって、ハイブリドーマにおいて誘導されたブレブ形成から産生される。さらなる実施形態では、PFA;PFAおよびDTT;またはNEMを含む溶液は、緩衝平衡塩溶液を含む。緩衝生理食塩水の例として、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)、アール平衡塩溶液(ICVSS)、ハンクス平衡塩溶液(HBSS)、TRIS緩衝生理食塩水(TBS)、およびリンゲル平衡塩溶液(RBSS)が挙げられるが、これらに限定されない。さらなる実施形態では、PFA;PFAおよびDTT;またはNEMを含む溶液は、0.5倍、0.6倍、0.7倍、0.8倍、0.9倍、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、および10倍、または前述の濃度/希釈のいずれか2つを含むか、もしくはその間に存在する任意の範囲(それらの小数値を含む)の濃度/希釈の緩衝平衡塩溶液を含む。
【0051】
ある特定の実施形態では、本開示はまた、EBが任意の適切な手段によって収集されて、EBをハイブリドーマまたはハイブリドーマの細胞砕片と分離し得ることを提供する。一部の実施形態では、EBを単離するために、細胞および細胞砕片は、1000から1500rpmで1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、または10分間の遠心分離、続くハイブリドーマおよびハイブリドーマの細胞砕片の除去によって除去することができる。続いて、mEBおよびnEBは、10,000×gから18,000×gで5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15分間の遠心分離によって回収することができる。EBは、濃縮器を使用してさらに濃縮され得る。本明細書において開示されるEBのサイズは、本明細書において提示される単離方法を使用することによって制御することができる。
【0052】
本開示はさらに、本明細書において開示されるEBが、(1)他の薬剤もしくは分子と組み合わせて、および/または(2)生体分子、治療剤、プロドラッグ、アジュバント、診断剤、および/または遺伝子編集系の構成要素などの他の薬剤または分子を負荷して使用され得ることを提供する。特定の実施形態では、ICVは、1つまたは複数の化学療法薬と組み合わせて、またはそれらを含むカーゴを負荷して使用される。
【0053】
本開示の実施形態に従って産生されたEBはまた、直接的な膜透過、化学的標識およびコンジュゲーション、静電コーティング、吸着、吸収、エレクトロポレーション、またはそれらの任意の組合せを介してカーゴを負荷され得る。さらに、本開示のある特定の実施形態に従って産生されたEBは、一部のカーゴがブレブ形成に先立ってハイブリドーマに導入され得るのに対して、さらなるカーゴがブレブ形成中またはブレブ形成後に負荷され得るように、複数の負荷工程を経験してもよい。さらに、EBは、ブレブ形成中にカーゴが負荷され、ブレブ形成後に別のカーゴがさらに負荷されてもよい。さらなる実施形態では、EBは、ハイブリドーマまたはEBを、25pg/mL、50pg/mL、100pg/mL、200pg/mL、300pg/mL、400pg/mL、500pg/mL、600pg/mL、700pg/mL、800pg/mL、900pg/ml、1ng/mL、10ng/mL、100ng/mL、1μg/mL、10μg/mL、または前述の濃度の任意の2つを含むか、もしくはその間に存在する任意の範囲の濃度を有するカーゴとともにインキュベートすることによって、上記で規定されるようなカーゴで負荷され得る。さらに、インキュベーションは、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、12時間、24時間、48時間、または前述の時点のいずれか2つを含むか、もしくはその間に存在する任意の範囲で行われ得る。あるいは、負荷条件は、ICVと化合物の比1:20~20:1、1:15~15:1、12:1~1:12、11:1~1:11、10:1~1:10、9:1~1:9、8:1~1:8、7:1~1:7、6:1~1:6、5:1~1:5、4:1~1:4、3:1~1:3、2:1~1:2、1.5:1~1:1.5、または1:1で行われ得る。さらに、カーゴ負荷されたEBの多分散性は、無負荷のICVと類似した多分散性指数(PDI)を有し得る。したがって、カーゴ負荷されたEBは、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、または前述の値のいずれか2つを含むか、またはその間に存在する任意の範囲のPDIを有し得る。
【0054】
本開示はさらに、指定の投与様式用の本明細書に記載されるEBを含む医薬組成物および配合物を提供する。1つの実施形態では、医薬組成物は、EBおよび薬学的に許容可能な担体を含む。「薬学的に許容可能な担体」という用語は、本明細書において使用される場合、対象薬剤を身体の臓器の1つ、もしくは一部から、身体の別の臓器、もしくは一部に運搬または輸送することに関与する、液体もしくは固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒または封入材料などの薬学的に許容可能な材料、組成物またはビヒクルを意味する。各担体は、組成物の他の成分と適合性であるという意味で「許容可能」でなければならず、対象、例えばヒトへの投与と適合性である。そのような組成物は、本明細書において記載される投与経路などの多数の経路のうちの1つまたは複数を介した投与用に特異的に製剤化され得る。補足的な有効成分も、組成物に組み込むことができる。
【0055】
本開示はさらに、癌、感染性疾患、および自己免疫疾患用の無細胞ワクチンとしての本開示のEBを含む医薬組成物の使用を提供する。さらなる実施形態では、本開示はまた、ある量の本開示のEBを投与して、対象において免疫応答を誘発することを含む、対象を免疫化する方法を提供する。本明細書に記載されるEB製剤を患者に投与する適切な方法として、EBを患者に送達するのに適したin vivo投与の任意の経路によるものが挙げられる。好ましい投与経路は、使用されるワクチンのEBの製剤のタイプ、および標的細胞集団に応じて、当業者に明らかである。in vivo投与の好ましい方法として、静脈内投与、腫瘍間投与、腹腔内投与、筋内投与、冠動脈内投与、動脈内投与(例えば、頸動脈への)、皮下投与、経皮送達、気管内投与、皮下投与、関節内投与、心室内投与、吸入(例:エアロゾル)、脳内投与、鼻腔投与、経口投与、肺投与、カテーテルの含浸、および組織への直接注射が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、好ましい投与経路は、EBの筋内注射によるものである。さらなる実施形態では、好ましい投与経路は、EBの腫瘍内注射によるものである。さらなる実施形態では、好ましい投与経路は、EBの皮下注射によるものである。
【0056】
静脈内投与、腹腔内投与、皮下投与、皮内投与および筋内投与は、当該技術分野において標準的な方法を使用して実施することができる。エアロゾル(吸入)送達も、当該技術分野において標準的な方法を使用して実施することができる(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれるStriblingら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 189:11277~11281ページ、1992を参照)。経口送達は、本発明のEB製剤を、動物の腸における消化酵素による分解に抵抗することが可能な担体に複合体形成させることによって実施することができる。そのような担体の例として、当該技術分野において公知のものなどのプラスチックカプセルまたは錠剤が挙げられる。
【0057】
本明細書において記載されるワクチン接種方法に関する適切な投薬および処置レジメンは、送達されるEBおよび対象の特定の状態に関して多様である。1つの実施形態では、投与は、所望の効果が達成される(例えば、感染性病原体に対する強力な免疫応答)まで、一定期間にわたる。
【0058】
本明細書において記載される治療用途における使用のために、キットおよび製造品も、本明細書において記載される。そのようなキットは、バイアル、チューブなどの1つまたは複数の容器を受け入れるように区画化されているキャリア、パッケージ、または容器を含むことができ、容器はそれぞれ、本明細書において記載される方法において使用されるべき別個の要素のうちの1つを含む。適切な容器として、例えば、ビン、バイアル、シリンジ、および試験管が挙げられる。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料で形成され得る。
【0059】
例えば、容器は、任意選択で組成物中に、または本明細書において開示されるような別の薬剤と組み合わせて、本明細書において記載される1つまたは複数のEBを含むことができる。容器は任意選択で、滅菌アクセスポートを有する(例えば、容器は、皮下注射針によって穿刺可能なストッパーを有する静脈溶液バッグまたはバイアルであり得る)。そのようなキットは任意選択で、本明細書において開示される化合物を、本明細書において記載される方法におけるその使用に関する識別説明またはラベルまたは説明書とともに含む。
【0060】
キットは通常、1つまたは複数のさらなる容器を含み、それぞれが、本明細書において記載される化合物の使用のための商業的観点およびユーザの観点から望ましい各種材料(任意選択で濃縮形態の試薬、および/またはデバイスなど)のうちの1つまたは複数を有する。そのような材料の非限定的な例としては、緩衝液、希釈剤、フィルター、針、シリンジ;使用のための内容物および/または説明書を列挙しているキャリア、パッケージ、容器、バイアルおよび/またはチューブのラベル、ならびに使用説明書を備えた添付文書が挙げられるが、これらに限定されない。説明書一式も、通常含まれる。
【0061】
ラベルは、容器上に、または容器に付随して存在し得る。ラベルを形成する文字、数字、またはその他の文字が容器自体に取り付けられているか、成形されているか、またはエッチングされている場合、ラベルは容器上に存在することができ、ラベルが例えば添付文書として、容器も保持するレセプタクルまたはキャリア内に存在する場合、ラベルは、容器に付随させることができる。ラベルは、内容物が特定用途に使用されるべきであることを示すのに使用することができる。ラベルはまた、本明細書において記載される方法におけるような、内容物の使用法を示すことができる。
【0062】
本開示は、本明細書において記載される方法、製剤および組成物が下記の態様(態様1から態様28)によってさらに規定され得ることをさらに提供する。
【0063】
1.抗原提示細胞および標的細胞のハイブリドーマ由来の細胞外ブレブを含むワクチン製剤であって、該ハイブリドーマが、対象の免疫系を調整することができる抗原を発現し、該細胞外ブレブが、該ハイブリドーマをブレブ形成剤で処置することによって該ハイブリドーマから産生され、該抗原が、該細胞外ブレブの表面に表示され、好ましくは、該抗原が、該抗原に対する該対象の免疫系を活性化するか、あるいは該抗原が、該抗原に対する該対象の免疫系を不活性化し、好ましくは、該ワクチン製剤が、薬学的に許容可能な担体、賦形剤、および/または希釈剤をさらに含み、好ましくは、該細胞外ブレブが、単離された細胞外ブレブであり、好ましくは、該細胞外ブレブが、1μmから500μmのサイズである、ワクチン製剤。
【0064】
2.前記抗原提示細胞が、マクロファージ、B細胞および樹状細胞から選択され、好ましくは樹状細胞である、態様1のワクチン製剤。
【0065】
3.前記樹状細胞が成熟樹状細胞である、態様2のワクチン製剤。
【0066】
4.前記樹状細胞が未熟樹状細胞である、態様2のワクチン製剤。
【0067】
5.前記樹状細胞が、骨髄由来樹状細胞、単球由来樹状細胞、または末梢血単核細胞由来樹状細胞である、態様2から4のいずれか1つのワクチン製剤。
【0068】
6.前記樹状細胞が、哺乳動物樹状細胞、好ましくはヒト樹状細胞である、態様2から5のいずれか1つのワクチン製剤。
【0069】
7.前記標的細胞が、癌細胞、異常もしくは罹患細胞、抗原を表示するよう操作された細胞、または感染性病原体に感染している細胞から選択され、好ましくは、前記標的細胞が哺乳動物細胞であり、より好ましくは、前記標的細胞がヒト細胞である、先述の態様のいずれか1つのワクチン製剤。
【0070】
8.前記標的細胞が、骨髄腫、リンパ腫、癌腫、肉腫、白血病、腺癌、胸腺腫、または悪性腫瘍由来の新生物細胞から選択される癌細胞である、先述の態様のいずれか1つのワクチン製剤。
【0071】
9.前記標的細胞が、ウイルス、真菌、または細菌によって感染されている細胞である、先述の態様のいずれか1つのワクチン製剤。
【0072】
10.前記ウイルスが、アデノ随伴ウイルス、アイチウイルス、オーストラリアコウモリリッサウイルス、BKポリオーマウイルス、バンナウイルス、バーマフォレストウイルス、ブニヤムウェラウイルス、ブニヤウイルスラクロス、ブニヤウイルスカンジキウサギ、オナガザルヘルペスウイルス、チャンディプラウイルス、チクングニアウイルス、コサウイルスA、コロナウイルス、牛痘ウイルス、コクサッキーウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、デングウイルス、ドーリウイルス、ダグベウイルス、デュベンハゲウイルス、東部ウマ脳炎ウイルス、エボラウイルス、エコーウイルス、脳心筋炎ウイルス、エプスタイン・バーウイルス、ヨーロッパコウモリリッサウイルス、GBウイルスC/G型肝炎ウイルス、ペギウイルス、ハンタンウイルス、ヘンドラウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、デルタ肝炎ウイルス、馬痘ウイルス、ヒトアデノウイルス、ヒトアストロウイルス、ヒトコロナウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、ヒトエンテロウイルス、ヒトヘルペスウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、ヒトパピローマウイルス、ヒトパラインフルエンザ、ヒトパルボウイルスB19、ヒト呼吸器合胞体ウイルス、ヒトライノウイルス、ヒトSARSコロナウイルス、ヒトスプーマレトロウイルス、ヒトTリンパ球向性ウイルス、ヒトトロウイルス、A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、イスファハンウイルス、JCポリオーマウイルス、日本脳炎ウイルス、フニンアレナウイルス、KIポリオーマウイルス、クンジンウイルス、ラゴスコウモリウイルス、レイクビクトリアマールブルグウイルス、ランガットウイルス、ラッサウイルス、ローズデールウイルス、跳躍病ウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、マチュポウイルス、マヤロウイルス、MERSコロナウイルス、麻疹ウイルス、メンゴ脳心筋炎ウイルス、メルケル細胞ポリオーマウイルス、モコラウイルス、伝染性軟属腫ウイルス、サル痘ウイルス、ムンプスウイルス、マレーバレー脳炎ウイルス、ニューヨークウイルス、ニパウイルス、ノーウォークウイルス、オニョンニョンウイルス、オルフウイルス、オロプーシェウイルス、ピチンデウイルス、ポリオウイルス、プンタトロフレボウイルス、プーマラウイルス、狂犬病ウイルス、リフトバレー熱ウイルス、ロザウイルスA、ロスリバーウイルス、ロタウイルスA、ロタウイルスB、ロタウイルスC、風疹ウイルス、鷺山ウイルス、サリウイルスA、サシチョウバエ熱シチリアウイルス、サッポロウイルス、セムリキ森林ウイルス、ソウルウイルス、サル泡沫状ウイルス、サルウイルス、シンドビスウイルス、サザンプトンウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、ダニ媒介ポワッサンウイルス、トルクテノウイルス、トスカーナウイルス、ウークニエミウイルス、ワクシニアウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、痘瘡ウイルスO、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、水疱性口内炎ウイルス、西部ウマ脳炎ウイルス、WUポリオーマウイルス、ウエストナイルウイルス、ヤバサル腫瘍ウイルス、ヤバ様疾患ウイルス、黄熱ウイルス、およびジカウイルスから選択される、態様9のワクチン製剤。
【0073】
11.前記真菌が、アブシディア・コリンビフェラ、アブシディア・ラモセ、アコリオン・ガリナエ、アクチノマヅラ属種、アジェロミセス・デルマチディディス、アレウリスマ・ブラジリエンシス、アレルシェリア・ボイディイ、アルスロデルマ属種、アスペルギルス・フラブス、アスペルギルス・フミガツ、バシディオボラス属種、ブラストミセス属種、カドフォラ属種、カンジダ・アルビカンス、セルコスポラ・アピイ、クリソスポリウム属種、クラドスポリウム属種、クラドスリクス・アステロイズ、コクシジオイデス・イミチス、クリプトコッカス・アルビヅス、クリプトコッカス・ガッチイ、クリプトコッカス・ラウレンチイ、クリプトコッカス・ネオフォルマンス、クニンガメラ・エレガンス、デマチウム・ウェルネクケ、ディスコミセス・イスラエリイ、エモンシア属種、エモンシエラ・カプスラテ、エンドミセス・ゲオトリクム、エントモフトラ・コロナテ、エピデルモフィトン・フロッコスム、フィロバシディエラ・ネオフォルマンス、フォンセケア属種、ゲオトリカム・カンジヅム、グレノスポラ・クハルトウメンシス、ギムノアスカス・ギプセウス、ハプロスポランギウム・パルブム、ヒストプラズマ属、ヒストプラズマ・カプスラツム、ホルミシウム・デルマチディディス、ホルモデンドルム属種、ケラチノミセス属種、ランゲロニア・ソウダネンセ、レプトスファエリア・セネガレンシス、リクテイミア・コリンビフェラ、ロブミセス・ロボイ.、ロボア・ロボイ、ロボミコーシス、マヅレラ属種、マラセチア・フルフル、ミクロコッカス・ペレチエリ、ミクロスポルム属種、モニリア属種、ムコール属種、結核菌、ナンニッツィア属種、ネオテスツディナ・ロサチイ、ノカルジア属種、オイディウム・アルビカンス、オスポラ・ラクチス、パラコクシジオイデス・ブラジリエンシス、ペトリエリディウム・ボイディイ、フィアロフォラ属種、ピエドライア・ホルタエ、ピチロスポルム・フルフル、ニューモシスチス・イロベシイ(またはニューモシスチス・カリニイ)、プルラリア・ゴウゲロチイ、ピレノカエタ・ロメロイ、リノスポリジウム・セーベリ、サボウラウディテス属(ミクロスポルム属)、サルトリア・フミガテ、セペドニウム属、スポロトリクム属種、スタキボトリス属、スタキボトリス・カルタルム、ストレプトミセス属種、チネア属種、トルラ属種、トリコフィトン属種、トリコスポロン属種、およびゾフィア・ロサチイから選択される、態様9のワクチン製剤。
【0074】
12.前記細菌が、アクチノミセス・イスラエリイ、炭疽菌、セレウス菌、バルトネラ・ヘンセラ、バルトネラ・クインターナ、百日咳菌、ボレリア・ブルグドルフェリ、ボレリア・ガリニイ、ボレリア・アフゼリ、ボレリア・レクレンチス、ブルセラ・アボルツス、ブルセラ・カニス、ブルセラ・メリテンシス、ブルセラ・スイス、カンピロバクター・ジェジュニ、クラミジア・ニューモニエ、クラミジア・トラコマチス、オウム病クラミジア、ボツリヌス菌、クロストリジウム・ディフィシル、ウェルシュ菌、破傷風菌、ジフテリア菌、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、大腸菌、野兎病菌、インフルエンザ菌、ヘリコバクター・ピロリ、レジオネラ・ニューモフィラ、レプトスピラ・インターロガンス、レプトスピラ・サンタロサイ、レプトスピラ・ウェイリイ、レプトスピラ・ノグチイ、リステリア・モノサイトゲネス、らい菌、結核菌、マイコバクテリウム・ウルセランス、マイコプラズマ・ニューモニエ、淋菌、髄膜炎菌、緑膿菌、リケッチア・リケッチア、チフス菌、ネズミチフス菌、ソンネ菌、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、スタフィロコッカス・サプロフィチカス、ストレプトコッカス・アガラクチア、肺炎レンサ球菌、化膿レンサ球菌、梅毒トレポネーマ、ウレアプラズマ・ウレアリチカム、コレラ菌、ペスト菌、エルシニア・エンテロコリチカ、および仮性結核菌から選択される、態様9のワクチン製剤。
【0075】
13.前記抗原提示細胞および/または標的細胞が、前記ワクチン製剤で処置されるべき対象由来である、先述の態様のいずれか1つのワクチン製剤。
【0076】
14.前記抗原が、腫瘍特異的抗原、または腫瘍関連抗原を含む、先述の態様のいずれか1つのワクチン製剤。
【0077】
15.前記腫瘍特異的抗原、または前記腫瘍関連抗原が、アルファフェトプロテイン、癌胎児性抗原、CA-125、MUC-1、上皮性腫瘍抗原、チロシナーゼ、メラノーマ関連抗原、k-ras、p53の異常産物、アルファ-アクチニン-4、ARTC1、B-RAF、BCR-ABL融合タンパク質、ベータ-カテニン、CASP-5、CASP-8、CDc27、CDK12、CDK4、CDKN2A、CLPP、COA-1、COA-2、CSNK1A1、dek-can融合タンパク質、EFTUD2、伸長因子2、ETV6-AML1融合タンパク質、FLT3-ITD、FN1、FNDC3B、GAS7、GPNMB、HAUS3、HLA-A11、HLA-A2、hsp70-2、LDLR-フコシルトランスフェラーゼAS融合タンパク質、MART2、MATN、ME1、MUM-1、MUM-2、MUM-3、ミオシンクラスI、N-ras、ネオ-PAP、NFYC、OGT、OS-9、p53、pml-RARアルファ融合タンパク質、PPP1R3B、PRDX5、PTPRK、RBAF600、SIRT2、SNRPD1、SYT-SSX1またはSSX2融合タンパク質、TGF-ベータRII、TP53、トリオースリン酸イソメラーゼ、BAGE-1、CT37/FMR1NB、サイクリン-A1、D393-CD20n、GAGE-1,2,8、GAGE-3,4,5,6,7、GnTV、HERV-E、HERV-K-MEL、KK-LC-1、KM-HN-1、LAGE-1、LRPAP1、LY6K、MAGE-A1、MAGE-A10、MAGE-A12m、MAGE-A2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-C1、MAGE-C2、ムチン、NA88-A、NY-ESO-1/LAGE-2、SAGE、Sp17、SSX-2、SSX-4、TAG-1、TAG-2、TRAG-3、TRP2-INT2、XAGE-1b/GAGED2a、CEA、gp100/Pmel17、マンマグロビン-A、メラン-A/MART-1、NY-BR-1、OA1、PAP、PSA、RAB38/NY-MEL-1、TRP-1/gp75、TRP-2、BCLX、BING-4、CALCA、CD274、CD45、CPSF、サイクリンD1、DKK1、ENAH、epCAM、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、HEPACAM、ヘプシン、HER-2/neu、HLA-G、HSPH1、IGF2B3、IMP-3、MUC1、メロー、ミッドカイン、WT1、VEGF、TPBG、テロメラーゼ、STEAP1、STEAP1、RAGE-1、PSMA、PRAME、RGS5、RhoC、RNF43、RU2AS、SOX10、およびサバイビンから選択される、態様14のワクチン製剤。
【0078】
16.前記抗原が、外来抗原または自己抗原である、先述の態様のいずれか1つのワクチン製剤。
【0079】
17.前記外来抗原が、細菌、真菌またはウイルス由来である、態様16のワクチン製剤。
【0080】
18.前記自己抗原が、対象の身体に見出される任意の生体分子またはその一部から選択され、好ましくは、前記自己抗原が、対象の身体において見出されるタンパク質、ペプチドまたはその一部を含み、好ましくは、前記対象がヒト対象である、態様16のワクチン製剤。
【0081】
19.アジュバントをさらに含む、先述の態様のいずれか1つのワクチン製剤。
【0082】
20.アジュバントを含まない、先述の態様のいずれか1つのワクチン製剤。
【0083】
21.前記細胞外ブレブが、下記表面および成熟マーカーCD11c、MHC I、CD40、CD80、および/またはCD86の1つまたは複数を含み、好ましくは、前記細胞外ブレブが、CD11c、MHC I、CD40、CD80、およびCD86表面および成熟マーカーを含む、先述の態様のいずれか1つのワクチン製剤。
【0084】
22.先述の態様のいずれか1つのワクチン製剤を作製する方法であって、
細胞外ブレブをハイブリドーマから、該ハイブリドーマを1つまたは複数のスルフヒドリル遮断剤と30分~24時間接触させることによって生成させることと、
該細胞外ブレブを単離すること
とを含む、方法。
【0085】
23.前記1つまたは複数のスルフヒドリル遮断剤が、塩化水銀、p-クロロ水銀ベンゼンスルホン酸、塩化第二金、p-クロロ水銀ベンゾエート、クロルメロドリン、メラルリドナトリウム、ヨードアセトミド、パラホルムアルデヒド、ジチオトレイトール、およびN-エチルマレイミドからなる群から選択される、態様22の方法。
【0086】
24.前記1つまたは複数のスルフヒドリル遮断剤が、N-エチルマレイミドまたはパラホルムアルデヒドである、態様23の方法。
【0087】
25.前記N-エチルマレイミドが、0.2mMから30mMの濃度で使用され、パラホルムアルデヒドが、10mMから100mMの濃度で使用される、態様24の方法。
【0088】
26.それを必要とする対象を免疫化する方法であって、治療有効量の態様1から21のいずれか1つのワクチン製剤を該対象に投与することを含む、方法。
【0089】
27.前記ワクチン製剤が、筋内、皮下、皮内、または腫瘍内に投与される、態様26の方法。
【0090】
28.前記対象が、癌、自己免疫疾患、神経変性障害、または病原体による感染を有する、態様26の方法。
【0091】
下記の実施例は、本開示を説明するものと意図されるが、本開示を限定するものではない。実施例は使用され得るものの典型であるが、当業者に公知の他の手順が代替的に使用されてもよい。
【実施例
【0092】
細胞および動物。EL4マウスTリンパ腫細胞をATCC(マナッサス、VA)から購入し、10%(v/v)FBS、2mM L-グルタミン、および1%(w/v)ペニシリン-ストレプトマイシン(全てThermoFisher Scientific、ウォルサム、MAから)を補充したGibco(商標)DMEM中で培養した。オボアルブミン由来ペプチドを提示するようEL4細胞から改変されたE.G7-OVA Tリンパ腫細胞(ATCC)を、全てThermoFisherからの10%FBS、2mM L-グルタミン、10mM HEPES、1mMピルビン酸ナトリウム、55μM 2-メルカプトエタノール、および0.4mg/mLのジェネティシンを含有するRPMIハイブリッド培地中で培養した。Shinら(Immune Network 16:134~139ページ(2016))によって記載されるように、E.G7-OVA細胞をさらにGFPを発現するようにレトロウイルスで形質導入し、E.G7-OVA-GFP細胞を作製した。SIINFEKL負荷MHC I(H-2K)に応答してβ-ガラクトシダーゼ(LacZ)を産生するよう操作されたB3Z CD8 Tハイブリドーマ細胞を、E.G7-OVA細胞を培養するのに使用されるのと同じ培地中で培養した。細胞を2または3日毎に継代し、マイコプラズマPCRテストキット(ABM、リッチモンド、カナダ)を使用してマイコプラズマ(Mycoplasma)混入に関して検査した。細胞は全て、37℃、5%CO、湿度100%で培養した。C57BL/6マウス(6~8週齢、雌、Charles River Laboratories、ウィルミントン、MA)は、UC IrvineのIACUCによって承認された動物使用プロトコル(AUP-20-116)に従って、全ての動物研究で使用された。
【0093】
骨髄由来樹状細胞(BMDC)。BMDCを、Madaanら(Journal of Biological Methods 1(1):e1(2014))およびOnai ら(Methods Mol Biol 1423:53~9ページ(2016))において報告された通りに調製した。簡潔に述べると、安楽死させたマウスから単離した骨髄を、RPMI培地を充填した27ゲージの針(ThermoFisher)を使用して大腿骨後四半部から流し出した。続いて、骨髄を40μmの滅菌セルストレーナー(ThermoFisher)に通して均質化し、続いて、収集した細胞を300×gで室温にて10分間遠心分離した。上清を吸引した後、細胞ペレットを再懸濁し、1×RBC溶解緩衝液(ThermoFisher)1mL中で室温にて10分間インキュベートした。RBC溶解をクエンチした後、RPMI培地10mLを混合物に添加し、300×gで10分間遠心分離し、細胞ペレットは、それをRPMIに再懸濁することによって1回すすいだ。遠心分離後、細胞ペレットを、10%FBS、1%ペニシリン-ストレプトマイシン、および20ng/mLのGM-CSFを含有するRPMI培地からなるDC分化培地中に再懸濁し、大腿骨から採取した懸濁細胞を、100cm細胞培養皿(ThermoFisher)に播種した。培地に、初回接種から2日後に20ng/mLのGM-CSFを含有する新たに調製した培地10mLを補充した。さらに3日のうちに、DC集団を、抗マウスCD11c抗体(Biolegend、サンディエゴ、CA)で染色した細胞のフローサイトメトリーによって評価した。GM-CSFの存在下でのDCへの5日間の分化後、血清ピペットを用いてプレートを穏やかにすすぎ、300×gで10分間遠心分離することによって、緩く接着した細胞を収集した。成熟DCを得るために、収集したDCを、20ng/mLのリポ多糖類(LPS、Sigma Aldrich、セントルイス、MO)を補充した10%FBSおよび1%ペニシリン-ストレプトマイシンを含有するRPMI培地とともに24時間インキュベートした。未熟および成熟DCはともに、フローサイトメトリーによって表面分子の発現について特徴付けた。
【0094】
BMDCおよびT細胞リンパ腫細胞のハイブリドーマ。BMDCを、5:1の比でEL4またはE.G7-OVA-GFP細胞と混合し、無血清RPMI培地を使用して300×gで10分間、2回洗浄し、製造業者の手順に従って、ClonalCell(商標)HY-Hybridomaキット(Stemcell technologies、バンクーバー、カナダ)を使用して融合させた。室温で5分間のインキュベーション後、無血清RPMI 10mLを融合溶液にゆっくりと添加し、細胞を300×gで10分間の遠心分離によって洗浄した後、37℃でインキュベートした20ng/mLのGM-CSFを含有するRPMI培地中でそれらを6日間インキュベートした。BMDCおよびTリンパ腫細胞のハイブリドーマを、6日間でフローサイトメトリーによってCD11c(DCマーカー)、GFP(E.G7-OVA-GFP細胞)、およびCD90.2(EL4細胞)に関して二重陽性集団によって定量し、さらにBD FACSAria(商標)Fusion細胞選別機(BD Biosciences、フランクリンレイクス、NJ)を使用して選別した。細胞をPBS中に再懸濁し、樹状細胞の特徴を有する細胞表面分子について分析した。簡単に述べると、1×10個の細胞を、蛍光標識した抗マウスCD11c抗体(Biolegend)とともに氷上で20分間インキュベートし、非結合抗体を、300×gで10分間の遠心分離によって除去した。選別したハイブリドーマ細胞を、96ウェル(ThermoFisher)において細胞100個(ウェル1つあたりおよそ1個の細胞)を14日間インキュベートすることによってさらにクローニングした。上述するように、CD11c染色とともに、90%もしくはそれよりも高い割合の同時GFP発現またはFITC-CD90.2を有するクローンを収集し、ハイブリッド培養培地中で培養した。ハイブリドーマ細胞を、1:20の比で3日毎に継代し、液体窒素中での保管用に90%FBSおよび10%DMSO中で凍結保存した。ハイブリドーマの安定的に維持された抗原提示および成熟状態は、継代40まで細胞継代10回毎に、前述のように相当する蛍光標識抗体(Biolegend)による染色した後に、それらをCD11c、CD40、CD80、CD86、MHC I、およびMHC II、ならびにMHC I/SIINFEKL複合体についてフローサイトメトリーにより分析することによって確認した。
【0095】
骨髄由来樹状細胞とEG7-Oova T細胞リンパ腫とのポリエチレングリコール(PEG)媒介性融合。BMDCは、C57BL/6マウス大腿骨由来の骨髄細胞を20ng/mLのGM-CSFとともに5日間インキュベートすることによって得られた。次に、得られたBMDC(CD11c+およそ80%)を20ng/mLのLPSを伴い、または伴わずに24時間インキュベートし、それぞれmBMDCおよび未熟DC(iBMDC)を調製した。BMDCを、無血清培地中で5:1の比でポリエチレングリコール(PEG)を使用してE.G7-OVA-GFP Tリンパ腫細胞と融合させた。融合細胞を37℃で15分間インキュベートした。PEGを、無血清培地を使用して300×gで10分間、合計2回の洗浄で洗浄した。融合細胞を、20ng/mLのGM-CSFの存在下で10%FBS、1%pen-strepを含有するRPMI培地中に配置し、6日間培養した後、フローサイトメトリーによってCD11c(樹状細胞マーカー)およびGFPを使用して単一細胞選別した。DC-EG7-ova-GFPハイブリドーマを、0.05mM 2-メルカプトエタノール、および0.4mg/mLのG418を補充した10%FBS、1%pen-strep、2mM L-グルタミン、10mM HEPES、1.0mMピルビン酸ナトリウムを有するRPMI中での成長のために維持した。得られたハイブリドーマは、代表的なDCマーカーであるCD11cおよびE.G7-OVA Tリンパ腫細胞がGFPを発現する場合にはGFPに関して陽性クローンを示した。
【0096】
EG7-ovaハイブリドーマ系の細胞表面分子発現。DC成熟は、高レベルの共刺激分子および免疫賦活性サイトカインを発現し、それにより、DCが表現型的におよび機能的に成熟した状態であることが示される。ハイブリドーマが樹状細胞マーカーおよび共刺激分子を発現するかどうかを決定するために、1×10個のハイブリドーマ細胞を収集し、CD11c、CD40、CD80、CD86、MHC I、MHC IIおよびMHC I-SIINFEKLに対する蛍光抗体で標識した。染色した試料を、フローサイトメトリーを使用して分析した。未熟および成熟ハイブリドーマ細胞系はともに、安定で類似したレベルのCD11cを示した一方で、成熟ハイブリドーマは、CD40、CD80およびCD86の増加および安定した蛍光を示した。両方の細胞系についてMHC IおよびMHC IIレベルも観察され、より高い蛍光が、成熟ハイブリドーマ(mBMDC-EG7-ova-GFP)細胞系で観察された。
【0097】
10継代毎のEG7-ovaハイブリドーマ系の安定性。未熟および成熟ハイブリドーマ細胞系を、10細胞継代毎にCD11c、CD40、CD80、CD86、MHC I、MHC II、およびMHC I-SIINFEKLに対する蛍光標識抗体を使用して、細胞表面分子発現について分析した。未熟および成熟ハイブリドーマ細胞系はともに、安定で類似したレベルのCD11cを発現したのに対して、成熟ハイブリドーマは、CD40、CD80およびCD86の増加および安定した蛍光を示した。両方の細胞系についてMHC IおよびMHC IIレベルも観察され、より高い蛍光が、成熟ハイブリドーマ細胞系で観察された。EG7-ova細胞は、オボアルブミンを発現するが、EG7-ova細胞中に存在するSIINFEKLの量は決定されておらず、未熟および成熟ハイブリドーマ細胞系はともに、MHC I-SIINFEKLのいくらかの発現を示す。結果により、ハイブリドーマ細胞系は、それらの樹状細胞機能を損失せずに、培養条件下で安定であることが証明されていることが示される。
【0098】
凍結保存後のEG7-ovaハイブリドーマ系の安定性。未熟および成熟ハイブリドーマ細胞を90%FBS中に凍結保存し、細胞を解凍し、ハイブリッド培地中で成長させた。陽性クローンを、フローサイトメトリーを使用して、樹状細胞マーカーCD11cおよびGFPを使用して分析した。未熟および成熟ハイブリドーマ細胞系はともに、およそ58.8%および75.9%の陽性クローンを示した。
【0099】
ハイブリドーマ細胞の化学的に誘導されたブレブ形成。スケーラビリティおよび保管が増強された細胞の生理活性特性を維持する無細胞ワクチンは、細胞ベースのワクチンに関連する制限を克服することができる。未熟および成熟ハイブリドーマの両方を、1×DPBS中で37℃にて8時間、N-エチルマレイミド(NEM)を使用して化学的に誘導した。ブレブを含有する上清を収集した後、300×gで10分間の遠心分離によって細胞および砕片の除去を行い、続いて16,100×gで10分間の遠心分離によってマイクロスケールのEB単離を行った。EBを1×DPBSで3回すすぎ、化学的ブレブ形成緩衝液のいかなる要素も除去した。ブレブは、フローサイトメトリーを使用してブレブを分析することによって、その細胞表面分子の発現について分析した。ブレブをCD11c、CD40、CD80、CD86、MHC I、MHC II、およびMHC I-SIINFEKLに対する蛍光抗体で標識し、フローサイトメトリーを使用して分析した。未熟EBおよび成熟EBハイブリドーマはともに、類似したレベルのDCマーカーであるCD11cを発現し、それらの共刺激マーカー発現レベルは、親ハイブリドーマ細胞の発現レベルに相当していた。
【0100】
BMDCおよびTリンパ腫細胞のハイブリドーマに由来するEBの調製および特徴付け。2mM N-エチルマレイミド(NEM、ThermoFisher)のストック溶液は、濃度でDI水10mL中に0.275gを溶解し、滅菌0.22μmシリンジフィルターを使用して溶液を濾過することによって調製した。0.22mM NEMを含有するブレブ形成緩衝液は、使用直前にNEMストッキング溶液90μLを、DPBS(ThermoFisher)10mLに希釈することによって調製した。ブレブ形成について、BMDC細胞およびTリンパ腫細胞のハイブリドーマを、ブレブ形成緩衝液中で37℃および5%COにて6時間インキュベートし、マイクロサイズのEBを産生した。次に、上清を1,000×gで5分間遠心分離し、ブレブ形成されていない細胞および細胞砕片をペレット化し、残りの上清を16,100×gで15分間遠心分離した。収集したEBをさらに、DPBSで3回すすぎ、16,100×gで10分間の遠心分離の繰り返しにより、いかなる残留ブレブ形成試薬も除去した。最終的に、得られたEBをDPBS中に再懸濁し、顕微鏡下で細胞または細胞砕片がないことを確認した。Pierce BCAタンパク質アッセイキット(ThermoFisher)を使用したビシンコニン酸(BCA)アッセイを使用して、ウシ血清アルブミン(BSA)を標準物質として使用して細胞、ハイブリドーマ、およびEBにおける等価なタンパク質量を決定した。簡潔に述べると、細胞、ハイブリドーマ、およびEBを1×RIPA緩衝液(Cell Signaling Technology、Danvers、MA)を用いて溶解し、試料25μLをBCA作業試薬(200μL)と組み合わせた。試料を96ウェルプレートにおいて37℃で30分間インキュベートした後、SpectraMax Plusプレートリーダー(Molecular Devices、サンノゼ、CA)を使用して562nmで読み取った。BCA作業試薬は、製造業者の仕様に従って、BCAストック溶液対試料50:1の容量比で混合することによって調製した。
【0101】
BMDCおよびTリンパ腫細胞のハイブリドーマに由来するEBによるCD8 T細胞への抗原提示。96ウェルプレートのウェル1つあたり3×10個から段階希釈したBMDCおよびTリンパ腫細胞のハイブリドーマ、または等価な表面積のEBを、9×10個のCD8 B3Zハイブリドーマ細胞とともにRPMIハイブリッド培地中で24時間、インキュベートした。300×gで10分間の遠心分離後、上清をピペッターで慎重に除去し、1ウェルあたり100μLの、DPBS中10%(v/v)NP-40(Sigma Aldrich)および0.6mg/mLのクロロフェノールレッド-β-D-ガラクトピラノシド(CPRG、Sigma Aldrich)からなる緩衝液を添加した後、37℃および5%COで最大3時間インキュベートした。相対的なT細胞活性化を、BioTEK Synergy H1プレートリーダーを使用してβ-ガラクトシダーゼによって、触媒されたCPRGの585nmでの吸光度によって測定し、培地100μL中で0~0.1mg/mLの範囲の様々なSIINFEKL(OVA257-264、Invivogen、サンディエゴ、CA)濃度で3×10個のBMDCとともにインキュベートしたB3Z細胞のものと比較した。
【0102】
BMDCおよびTリンパ腫細胞のハイブリドーマに由来するEBによるワクチン接種。マウスの右脇腹に、DPBS 50μL、50μM OVAタンパク質、2.5×10個の未熟または成熟BMDC、または等価なタンパク質量のBMDCおよびTリンパ腫細胞のハイブリドーマに由来するEBを、2週間のうちに2回皮下注射した(プライム注射およびブースター注射)。ブースター注射から10日のうちに、GFPフリーであり、その抗原性特性が回避される1×10個のE.G7-OVAまたはEL4細胞を、ワクチン接種したマウスの右脇腹に皮下注射し、腫瘍サイズを、デジタルノギスを使用して2日毎に測定し、V=0.5LW(式中、LおよびWは、それぞれある方向の最長の長さ、および別の方向の最短の幅を表す)で算出した。マウスを、動物使用プロトコルに従って、腫瘍が任意の測定方向で15mmを上回ったら、CO窒息および頸椎脱臼によって屠殺した。処置群1つにつき合計6匹のマウスを統計的有意性のために使用し、検出力は0.9であり、アルファは0.05に等しかった。対照と比較して、最低10%の増加が最終的な生存率にとって有意義であるとみなされ、0.05未満のp値は、統計学的に有意であるとみなした。
【0103】
ワクチン接種時の細胞傷害性Tリンパ球(taCTL)の活性化を評価するために、前述のようにワクチン接種したマウスを、ブースターワクチン接種の10日後に屠殺し、脾臓を採取した。脾細胞は、脾細胞培地(10%FBS、1%ペニシリン-ストレプトマイシン、および0.1%β-メルカプトエタノールを含有するRPMI培地)5mL中の5cm細胞培養皿における40μm滅菌組織ストレーナーに通した解離(maceration)、350×gで10分間の遠心分離、および冷1×RBC溶解緩衝液1mLを使用したRBC枯渇によって得られ、トリパンブルー排除アッセイで確認されたように、脾臓1つあたりおよそ1×10個の生脾細胞を生じた。製造業者が推奨するようにCellTrace Blue(ThermoFisher)で標識したE.G7-OVA細胞を、E:T(脾細胞:E.G7-OVA)比25:1で脾細胞とともに丸底96ウェルプレート(ThermoFisher)において4時間インキュベートした。300×gで10分間の遠心分離後、細胞をPBSで1回すすぎ、1μL/mLのYo-Pro-1(ThermoFisher)とともに氷上で15分間インキュベートした。PBSで3回、さらにすすいだ後、フローサイトメトリーを使用して、CellTrace BlueおよびYo-Pro-1に関する二重陽性細胞対CellTrace Blueのみに関する陽性細胞の比として、特異的溶解を決定した(BD Fortessaフローサイトメーター、BD Biosciences、フランクリンレイクス、NJ)。
【0104】
統計学的解析。全てのin vitro研究について、三重反復データを解析し、平均値±標準偏差として提示した。in vivo研究において統計学的有意性を達成するために、処置群1つあたり6匹の動物(n=6)を使用した。両側スチューデントt検定(GraphPad Prism Ver.8.0.1)を使用して、2つの群間の比較の統計学的有意性を算出し、0.05未満のp値を有意であるとみなした。カプラン・マイヤー曲線およびマンテル・コックス検定を使用して、群間の生存率を解析した。
【0105】
ハイブリドーマ細胞のT細胞活性化能力。未熟および成熟ハイブリドーマ細胞系ならびにそれらそれぞれのEBを、SIINFEKL提示応答性T細胞ハイブリドーマを使用してin vitroでT細胞刺激能力について検査した。等価な表面積で投薬した場合、EBは、親細胞と比較して類似したT細胞刺激を示し、成熟ハイブリドーマおよびEBは、未熟表現型よりも2倍多くT細胞を刺激した。
【0106】
OVA発現腫瘍からの防御のためのEG7-ovaハイブリドーマブレブのワクチン接種。C57BL/6マウスを、14日のうちに2回免疫化し(プライムおよびブースト)、ブースターショットの10日後に、1×10個のE.G7-OVA細胞を右脇腹に皮下注射した。体重、腫瘍体積、および生存率を記録した。全体として、体重は減少しなかった。腫瘍体積は、3日毎に測定した。PBSおよびOVAワクチンは、腫瘍成長を防止するのに有効ではなく、全てのマウスが、それぞれ18日および27日以内に腫瘍成長および死亡を示した。未熟BMDCおよび未熟ハイブリドーマEBに関しては、腫瘍成長の遅延がみられたのに対して、成熟BMDCおよび成熟EBハイブリドーマは、一貫した腫瘍成長を示した。
【0107】
EG7-ovaハイブリドーマの脾細胞特異的溶解。C57BL/6マウスを、14日のうちに2回免疫化し(プライムおよびブースト)、ブースターショットの10日後に、脾臓を収集し、特異的溶解について分析した。マウスから単離した脾細胞を、E.G7-OVA T細胞リンパ腫とともに4時間インキュベートした後、フローサイトメトリーを使用して分析を行った。癌細胞を細胞トレースブルーで標識し、フローサイトメトリーによってYO-PRO-1陽性細胞のパーセントに対して分析した。E:T(エフェクター:標的)比50:1で、OVAワクチン接種したマウスではE.G7-OVA細胞のおよそ27%、iBMDCワクチン接種したマウスではおよそ65%、mBMDCマウスではおよそ80%、未熟ハイブリドーマEBワクチン接種したマウスではおよそ68%、および成熟ハイブリドーマEBではおよそ90%が、特異的に死滅した。これらの結果に基づいて、ハイブリドーマEBは、T細胞活性化にとって効率的である。
【0108】
骨髄樹状細胞とのEL4 Tリンパ腫細胞融合。EG7-ovaハイブリドーマの効果を比較するために、EL4細胞を対照細胞として使用し、ハイブリドーマブレブの機能を決定した。BMDCは、C57BL/6マウス大腿骨由来の骨髄細胞を、20ng/mLのGM-CSFとともに5日間インキュベートすることによって得られた。次に、得られたBMDC(CD11c+およそ80%)を、20ng/mLのLPSを伴い、または伴わずに24時間インキュベートし、それぞれmBMDCおよび未熟DC(iBMDC)を調製した。BMDCを、無血清培地中で5:1の比でポリエチレングリコール(PEG)を使用してEL4 Tリンパ腫細胞と融合させた。融合細胞を37℃で15分間インキュベートした。PEGを、無血清培地を使用して300×gで10分間、合計2回の洗浄で洗浄した。融合細胞を、GM-CSFの存在下で10%FBS、1%pen-strepを含有するRPMI培地中に配置し、6日間培養した後、フローサイトメトリーによってCD11c(樹状細胞マーカー)およびRFPを使用して単一細胞選別した。DC-T細胞ハイブリドーマを、10%FBSおよび1%pen-strepを有するRPMI中での成長のために維持した。得られたハイブリドーマは、代表的なDCマーカーであるD11cに関して陽性クローンを示した。
【0109】
EL4ハイブリドーマの安定性。未熟および成熟ハイブリドーマ細胞系を、CD11c、CD40、CD80、CD86、MHC I、およびMHC IIに対する蛍光標識抗体を使用して細胞表面分子発現について分析した。未熟および成熟ハイブリドーマ細胞系はともに、安定で類似したレベルのCD11cを発現したのに対して、成熟ハイブリドーマは、CD40、CD80、およびCD86の増加および安定した蛍光を示した。両方の細胞系についてMHC IおよびMHC IIレベルも観察され、より高い蛍光が、成熟ハイブリドーマ細胞系で観察された。
【0110】
抗腫瘍防御のためのEL4ハイブリドーマブレブのワクチン接種。C57BL/6マウスを、14日のうちに2回免疫化し(プライムおよびブースト)、ブースターショットの10日後に、1×10個のEL4 Tリンパ腫細胞を右脇腹に皮下注射した。体重、腫瘍体積、および生存率を記録した。全体として、体重は減少しなかった。腫瘍体積は、3日毎に測定し、PBSおよびiBMDCワクチンは、腫瘍成長を防止するのに有効ではなく、全てのマウスが、それぞれ12日および15日以内に腫瘍成長および死亡を示した。未熟BMDCおよび未熟ハイブリドーマEBに関しては、腫瘍成長の遅延がみられたのに対して、成熟BMDCおよび成熟EBハイブリドーマは、一貫した腫瘍成長を示す。
【0111】
EL4ハイブリドーマブレブの脾細胞特異的溶解。C57BL/6マウスを、14日のうちに2回免疫化し(プライムおよびブースト)、ブースターショットの10日後に、脾臓を収集し、特異的溶解について分析した。マウスから単離した脾細胞を、EL4 T細胞リンパ腫とともに4時間インキュベートした後、フローサイトメトリーを使用して分析を行った。癌細胞を細胞トレースブルーで標識し、フローサイトメトリーによってYO-PRO-1陽性細胞のパーセントに対して分析した。E:T(エフェクター:標的)比50:1で、それぞれEL4およびE.G7-OVA癌細胞のおよそ55%および30%を、成熟ハイブリドーマEB群における脾細胞によって溶解し、他の群と比較した場合に最も高い特異的溶解を示した。未熟BMDCおよびEBはともに、癌細胞に対して類似した特異的溶解を示した。E.G7-OVAハイブリドーマワクチン系を使用したこれまでのデータから、ハイブリドーマワクチン系は、特定癌細胞を溶解するという点で抗原特異的であることが示されている。
【0112】
BMDC細胞およびTリンパ腫細胞の安定的に保存された機能を有するハイブリドーマ。細胞ベースのワクチンの開発における極めて重要な問題の1つは、持続的な抗原提示および共刺激などの免疫学的機能の寿命である。この研究は、制御された成熟のBMDCを、既知の抗原を有するか、または有さないTリンパ腫細胞と融合させた(図1を参照)。簡潔に述べると、C57BL/6マウスから採取した骨髄を、リポ多糖(LPS)とのインキュベーションによって、さらなる成熟を伴い、または伴わずにGM-CSFの存在下でBMDCに分化させ、未熟および成熟BMDC(imDCおよびmDC)を調製した。次に、オボアルブミン(OVA)、E.G7-OVAおよびEL4細胞の発現のためのさらなる改変を伴うか、または伴わないC57BL/6に由来するTリンパ腫細胞を、簡素なポリエチレングリコール(PEG)媒介性細胞融合を介してimDCまたはmDCとハイブリダイズした。明快な選択のために、E.G7-OVAを、GFP発現用のレトロウイルスベクターによってトランスフェクトし、E.G7-OVA-GFP(E7OG)を生じたのに対して、既知の抗原を有さないモデル腫瘍としてEL4に改変を行わなかった(E4細胞)。4つの異なるハイブリドーマimDC/E7OG、imDC/E4、mDC/E7OG、およびmDC/E4を、フローサイトメトリーによってそれぞれDCおよびE7OG細胞のマーカーとして、二重染色したCD11cおよびGFPについて分析した(図3Aおよび図5Aを参照)。BMDCおよびE4細胞のハイブリダイゼーションは、CD11cおよびCD90.2の二重染色によって確認された。ハイブリドーマは、細胞凝集塊として1日で目立つようになった(図3Aを参照)。純粋なmDC/E7OGハイブリドーマは、ヨウ化プロピジウム(PI)で染色し、CD11cおよびGFPを共発現させ、続いてコンフルエンシーになるまで成長させることによって同定された生細胞集団において選別した後に得られた。フローサイトメトリーおよび一様なGFP発現によって確認されるように、選別により、ハイブリドーマの集団がおよそ40%からほぼ100%まで増加した(図3Aおよび5Bを参照)。首尾よい細胞融合を介して調製されたハイブリドーマは、それらの生物学的安定性の拡張が示されている。抗原提示および共刺激に対するDC/Tリンパ腫細胞ハイブリドーマの持続能は、10継代毎にCD11c、CD40、CD80、CD86、MHC I(OVA由来SIINFEKLを提示するものを含む)、およびMHC IIについてそれらを分析することによって評価した(図3Bを参照)。CD11c発現は、親DCの成熟状態にかかわらず、全ての継代で一貫して維持された一方で、CD40、CD80、およびCD86ならびにMHC IIを含む共刺激および成熟マーカーは、iDC由来のものよりもmDC由来のハイブリドーマにおいて高く、相当するハイブリドーマにおいて親DCの保存された免疫学的機能を示していた。DC/EL4ハイブリドーマも、親DCの保存された成熟状態を示した(図5Cを参照)。図3および図5における結果により、様々なDC成熟状態および抗原プロファイルを有するハイブリドーマの首尾よい生成が実証された後、無細胞の細胞模倣性細胞外ブレブ(EB)ワクチンを調製した。
【0113】
ハイブリドーマおよびそれらのEBによる保存された抗原提示ならびに共刺激。主要抗原提示細胞(APC)として、DCは、高度に編成された細胞性および液性免疫応答を誘発する際に共刺激シグナルとともに抗原をCD4+およびCD8+T細胞に提示することが可能であり、それらを癌に対するワクチンなどの有望な細胞ベースの免疫療法薬としている。自家および同種異系DCを使用した臨床研究から証明された免疫原性ならびに好適な安全性プロファイルにもかかわらず、DCベースの免疫療法は、測定可能な臨床的有益性を保証することにまだ成功していない。CAR-T細胞などの多くの形態の細胞療法に共通して、DCも、抑制性微小環境に適応し、免疫活性化機能を損失することが知られている。さらに、腫瘍抗原は、望ましい抗原プロセシングおよび提示のために、DCによって取り込まれてプロセシングされなくてはならず、これは多次元的なハードルである。無細胞のDC模倣性ワクチンを創出することによってDCベースのワクチンに打ち勝つために、DC/Tリンパ腫ハイブリドーマは、細胞内小器官および細胞骨格を有さない可溶性細胞質内容物を含む膜小胞を生成する化学的に誘導されたブレブ形成を介してマイクロサイズのEBに変換された(図12Aを参照)。CD11c、CD40、CD80、CD86、MHC I(SIINFEKLを提示するものを含む)、およびMHC IIを含むハイブリドーマおよび相当するEB上の表面マーカーの分析により、親DCの成熟状態に応じて、化学的に誘導されたブレブ形成中の正確な保存が確認された(図12Bを参照)。抗原を提示して、T細胞を活性化するEBの能力は、それらをCD8 T細胞ハイブリドーマ、B3Z細胞とともにインキュベートすることによって測定した。B3Z細胞は、APCのMHC(H-2K)に提示されたSIINFEKLを受容すると、LacZを分泌するよう操作されている。T細胞を活性化するDCの抗原提示能は、DCの成熟状態依存的な様式で、相当するEBに同等に置き換えられることが示された(図12Cを参照)。結果により、無細胞EBは、表面分子だけでなく、T細胞との相互作用も厳密に模倣し、それらをDCベースのワクチンに対する有望な代替品とさせていることが明らかに実証された。
【0114】
EBワクチンによる腫瘍曝露動物の防御。DC/Tリンパ腫細胞の相当するハイブリドーマに由来するEBによる保存された抗原提示およびT活性化のin vitroでの確認に基づいて、C57BL/6マウスにPBS、OVA(タンパク質ワクチン)、imDCまたはmDC(抗原を含まない細胞ベースのワクチン)、またはDC/Tリンパ腫細胞の様々なハイブリドーマに由来するEBを、等価なタンパク質濃度に基づいて皮下注射を介して14日間隔で2回ワクチン接種した後、2回目の(ブースター)注射の10日後に、動物にE.G7-OVA(E7OG、その免疫原性を回避するためにGFPを含まない)またはEL4(E4)細胞を曝露した。PBSまたはOVAをワクチン接種したマウスにおける腫瘍は急速に進行した一方で、DCまたはEBによるワクチン接種は、腫瘍成長を効率的に抑制し、動物の生存率を伸ばした(図15および16;ならびに表1~表4を参照)。ワクチンおよび曝露した腫瘍タイプにかかわらず、mDCおよびmDC/Tリンパ腫細胞由来EBの成熟状態は、未熟な対応物よりも効率的であった。さらに、EBは、DCとは異なり、免疫抑制環境に適応されずにおそらくそれらの拡張された安定性に起因して、動物を防御するのに相当するDCよりも効率的であった。予想通り、mDC/E7OG EBは、抗原を有する腫瘍に対するそれらの共刺激能に起因して、E.G7-OVA腫瘍に対して最も効率的であった(図15を参照)。さらに注目すべきことに、mDC/E4 EBはまた、EL4腫瘍に対しても有効であった(図16を参照)。これは、癌細胞の正確な分子プロファイルを提示することが、特徴的な抗原の非存在下で免疫系が標的を認識するのに特異的である可能性があることを含蓄している。しかしながら、E.G7-OVAおよびEL4細胞に由来するEBは、腫瘍成長に影響を及ぼすことが不可能であり(図17を参照)、癌細胞をmDCと統合させることによって達成された、適切な免疫学的シグナルとともに癌細胞の分子プロファイルを提供することが重要であることを示している。結果により、mDC/Tリンパ腫細胞のハイブリドーマに由来するEBによる腫瘍曝露された動物の効率的な防御が実証される。
【0115】
【表1】

【0116】
【表2】
【0117】
【表3】
【0118】
【表4】
【0119】
EBによる細胞傷害性Tリンパ球(CTL)媒介性応答の誘発。概して、CTLは、癌細胞を根絶するのに効率的な役割を果たし、直接的なCD8 T細胞活性化にはMHC I、およびヘルパーT細胞生成にはMHC IIによる抗原提示を要する。腫瘍曝露したマウスの有効な防御が、DC/Tリンパ腫細胞のハイブリドーマに由来するEBによるCTL活性化に起因するかどうかを確認するために、C57BL/6マウスに腫瘍曝露研究と同様にワクチン接種し、続いてブースター注射の10日後に脾細胞を採取した。活性化T細胞を含む脾細胞を、E.G7-OVAまたはEL4細胞とともにインキュベートした後、これまでに報告されたようにフローサイトメトリーによって癌細胞の特異的溶解を定量化した。エフェクター/脾細胞対腫瘍細胞比(E:T)25にて、E.G7-OVA細胞のおよそ92%(図18Aおよび図21Aを参照)およびEL4細胞の49%(図18Bおよび図21Bを参照)が、mDC/E7OG EBをワクチン接種したマウスから採取した脾細胞によって特異的に溶解された。腫瘍-曝露研究から予測されるように(図16を参照)、mDC/E4 EBをワクチン接種したマウスから採取した脾細胞(即ち、標的抗原なし)は、それぞれE.G7-OVAおよびEL4細胞のおよそ38%ならびにおよそ55%の特異的溶解を示した(図19および図21を参照)。これらの見解から、既知の抗原に対するワクチン接種は、図15において同様に観察されるように、相当する抗原を有する癌に対する最も効率的なCTL活性化を保証することが明らかである。注目すべきことに、特徴的でない標的に対するワクチン接種は、腫瘍曝露研究(図16参照)と一致して、適合する腫瘍に対するCTL活性化において依然として有効であった。mDC/E4 EBをワクチン接種したマウスから採取した脾細胞によるE.G7-OVA細胞の特異的溶解が、EL4細胞の特異的溶解よりも低かったという事実は、抗腫瘍免疫応答を活性化する際に、単一の特徴的な抗原よりも完全な分子プロファイルを標的とするというより重要な役割を含蓄し得る。図15図16図18および図19に示される結果はまとめて、特異的CTL活性化に寄与される、相当する腫瘍に対するDC/Tリンパ腫EBワクチンの有効性を実証した。
【0120】
本開示の主旨および範囲から逸脱することなく、様々な修正が行われ得ることが理解されよう。したがって、他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内にある。

図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13
図14
図15A
図15B
図16A
図16B
図17A
図17B
図18A
図18B
図19A
図19B
図20
図21A
図21B
【国際調査報告】