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特表2024-531335自動車又は工業用歯車を潤滑する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】自動車又は工業用歯車を潤滑する方法
(51)【国際特許分類】
   C10M 169/04 20060101AFI20240822BHJP
   C10M 133/08 20060101ALN20240822BHJP
   C10M 135/04 20060101ALN20240822BHJP
   C10M 135/36 20060101ALN20240822BHJP
   C10M 137/10 20060101ALN20240822BHJP
   C10M 139/00 20060101ALN20240822BHJP
   C10N 10/04 20060101ALN20240822BHJP
   C10N 30/00 20060101ALN20240822BHJP
   C10N 40/02 20060101ALN20240822BHJP
   C10N 40/04 20060101ALN20240822BHJP
【FI】
C10M169/04
C10M133/08
C10M135/04
C10M135/36
C10M137/10 A
C10M139/00 A
C10N10:04
C10N30:00 Z
C10N40:02
C10N40:04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509366
(86)(22)【出願日】2022-08-12
(85)【翻訳文提出日】2024-02-16
(86)【国際出願番号】 US2022040162
(87)【国際公開番号】W WO2023022930
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】63/233,952
(32)【優先日】2021-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591131338
【氏名又は名称】ザ ルブリゾル コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】THE LUBRIZOL CORPORATION
【住所又は居所原語表記】29400 Lakeland Boulevard, Wickliffe, Ohio 44092, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】フィリッピーニ, ブライアン ビー.
(72)【発明者】
【氏名】バートン, ウィリアム アール.エス.
【テーマコード(参考)】
4H104
【Fターム(参考)】
4H104BE04C
4H104BG02C
4H104BG19C
4H104BH07C
4H104BJ05C
4H104FA02
4H104LA20
4H104PA01
4H104PA02
(57)【要約】
開示される技術は、自動車又は工業用歯車、並びに車軸及び軸受け用の潤滑剤組成物であって、自動車又は工業用歯車油は、潤滑粘度の油と、任意選択のホスフェート及び/又はチオホスフェート化合物と、特定の硫化オレフィンと、ジアルキルジチオホスフェート亜鉛などの金属チオホスフェート化合物、チアジアゾール官能化分散剤、又はこれらの混合物のいずれかと、ヒドロキシル/アミン含有ブースターと、を含有する、潤滑剤組成物、並びに、そのような自動車又は工業用歯車を自動車又は工業用歯車油で潤滑することによって自動車又は工業用歯車の動作効率及び温度を改善する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.潤滑粘度の油と、
b.式:R-S-R[式中、R及びRは、別々に2~6個の炭素原子を含むオレフィンから誘導され、xは、1~10の整数である]の硫化オレフィンの混合物を含む0.01~10重量%の硫化オレフィンであって、ただし、前記硫化オレフィンは、約10~約50重量%の硫黄含有量を有することを条件とする、硫化オレフィンと、
c.100~10,000ppmのヒドロキシル/アミン含有ブースターと、
d.
i.0.1~2重量%の金属アルキルチオホスフェート、
ii.0.1~8重量%のチアジアゾール官能化分散剤、
iii.(i)と(ii)との混合物、のうちの少なくとも1つと、を含む、自動車又は工業用歯車油。
【請求項2】
前記ヒドロキシル/アミン含有ブースターが、式I:
【化1】
[式中、
nは0又は1であり、
Xは、ヒドロキシル又は1~9個の炭素原子を有する第一級若しくは第二級アミンであり、
Yは、ヒドロキシル又は1~9個の炭素原子を有する第一級若しくは第二級アミンであり、
W及びZは、個別に、H原子、又は追加のヒドロキシル若しくはアミノ基の任意選択の置換を有する1~9個の炭素原子のアルキル基であり、X及びYが両方ともヒドロキシルである限り、W及びZの少なくとも1つは、H又は-CHであることができず、
(W中の炭素)+(Z中の炭素)+nの合計は10以下である]のアルカノールアミンを含む、それから本質的になる、それからなる、請求項1に記載の自動車又は工業用歯車油。
【請求項3】
前記ヒドロキシル/アミン含有ブースターが、1-アミノ-2-プロパノールを含む、それから本質的になる、それからなる、請求項1に記載の自動車又は工業用歯車油。
【請求項4】
前記ヒドロキシル/アミン含有ブースターが、2-アミノエタノールを含む、それから本質的になる、それからなる、請求項1に記載の自動車又は工業用歯車油。
【請求項5】
前記ヒドロキシル/アミン含有ブースターが、エチレンジアミンを含む、それから本質的になる、それからなる、請求項1に記載の自動車又は工業用歯車油。
【請求項6】
0.01~5.0重量%のアミンアルキル(チオ)ホスフェート化合物を更に含む、請求項1に記載の自動車又は工業用歯車油。
【請求項7】
前記金属アルキルチオホスフェートが、ジアルキルジチオホスフェート亜鉛を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の自動車又は工業用歯車油。
【請求項8】
前記ジアルキルジチオホスフェート亜鉛は、第二級ジアルキルジチオホスフェート亜鉛を含む、それから本質的になる、又はそれからなる、請求項7に記載の自動車又は工業用歯車油。
【請求項9】
前記ジアルキルジチオホスフェート亜鉛は、0.02~0.2重量%の亜鉛を前記自動車又は工業用歯車油に提供する、請求項7又は8に記載の自動車又は工業用歯車油。
【請求項10】
前記硫化オレフィンが、式:R-S-R[式中、R及びRは、別々に3~5個の炭素原子を含むオレフィンから誘導され、xは、3~7の整数である]の硫化オレフィンの混合物を含むが、ただし、前記硫化オレフィンは、約40~約50重量%の硫黄含有量を有することを条件とする、請求項1に記載の自動車又は工業用歯車油。
【請求項11】
前記チアジアゾール官能化分散剤が、(i)分散剤基材と、(ii)チアジアゾール化合物と、(iii)任意選択的に、ホウ素化剤と、(iv)任意選択的に、亜リン酸化合物と、を含む成分を一緒に加熱することによって調製され、前記加熱は、潤滑粘度の油に可溶性である、(i)、(ii)、及び任意選択的に(iii)、及び任意選択的に(iv)の生成物を提供するのに十分である、請求項1~10のいずれか一項に記載の自動車又は工業用歯車油。
【請求項12】
前記潤滑剤は、約0.75~約5重量%の総硫黄レベルを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の自動車又は工業用歯車油。
【請求項13】
前記潤滑剤は、約0.01~約0.5重量%の総リンレベルを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の自動車又は工業用歯車油。
【請求項14】
前記潤滑剤は、約1ppm~約500ppmの総ホウ素レベルを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の自動車又は工業用歯車油。
【請求項15】
ドライブライン動力伝達装置の動力損失を最小化する方法であって、前記ドライブライン動力伝達装置に、請求項1~14のいずれか一項に記載の自動車又は工業用歯車油を提供することと、前記ドライブライン動力伝達装置を動作させることと、を含む、方法。
【請求項16】
歯車の動作温度を最小化する方法であって、請求項1~13のいずれか一項に記載の自動車又は工業用歯車油で前記歯車を潤滑することと、前記歯車を動作させることと、を含む、方法。
【請求項17】
歯車の動作効率を改善する方法であって、請求項1~9のいずれか一項に記載の自動車又は工業用歯車油で前記歯車を潤滑することと、前記歯車を動作させることと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
開示される技術は、自動車又は工業用歯車、並びに車軸及び軸受け用の潤滑剤組成物であって、自動車又は工業用歯車油が、潤滑粘度の油と、特定の硫化オレフィンと、ヒドロキシル/アミン含有ブースターと、ジアルキルジチオホスフェート亜鉛などの金属チオホスフェート化合物、チアジアゾール官能化分散剤、又はこれらの混合物のいずれかと、任意選択のホスフェート及び/又はチオホスフェート化合物とを含有する、潤滑剤組成物、並びに、そのような自動車又は工業用歯車を自動車又は工業用歯車油で潤滑することによって自動車又は工業用歯車の動作効率及び温度を改善する方法に関する。
【0002】
ドライブライン動力伝達装置(歯車又は変速機など)は、耐久性及び清浄度を提供しながら、複数の、しばしば相反する潤滑要件を満たすための非常に困難な技術的問題及び解決策を提示する。
【0003】
動作効率を改善することは、相手先ブランド製造業者及び潤滑剤製造業者の両方が共有する共通の目標である。相手先ブランド製造業者は、動作効率を改善し動力損失を低下させるために、機械的加工方法を使用して表面粗さを低減することに注力する場合もある。これらの機械的加工方法としては、ホーニング、トップポリッシング、及び振動仕上げが挙げられる。あるいは、潤滑剤製造業者は、動作効率を最適化する努力において、多くの場合、レオロジー及び摩擦を最適化することを目標とする。現在の機械的加工方法は、大規模な自動車用歯車の生産で実装するには費用がかさみ時間がかかる可能性がある。したがって、この目標を達成するために機械的プロセスに依存するのではなく、流体特性を修正することによって動作効率を改善したいという要望がある。
2019年6月11日にDouglassらに付与された米国特許第10,316,712号は、様々な添加剤を使用して添加剤製品の粗さを低減し、エネルギー効率を最大化することを教示している。‘712号特許のデータは、多くの異なる添加剤が表面粗さを低減するように機能できること、そして実際、非添加潤滑油でさえ表面粗さを低減できることを示唆している。‘712号特許は、例えば、ASTM D7452、ASTM D6121、ASTM D4172、又はASTM D5704で必要な性能を提供するなど、潤滑油に任意の他の利点を提供する方法を教示していない。
表面粗さ及びトラクション係数の測定が、効率改善に対する潤滑液の寄与を理解するための予測ツールとして使用されることが多いが、動作効率を求めるためのより直接的な道筋は、電気モータ被動車軸効率リグが駆動サイクルを行う場合にその動力損失を記録することである。再現性及び繰返し精度を向上させるためには、車両試験よりもリグ試験が好ましい。動作効率は、式:%効率=[(動力入力-動力損失)/動力入力]*100%によって動力損失に関連付けられる。効率又は動力損失は、以下の文献で報告されているように、動作温度にも関連し得る(Barton,Wら、「Impact of Viscosity Modifiers on Gear Oil Efficiency and Durability」:パートII、SAEインターナショナル01-0299、2013年、pp295-309、doi:10.4271/2013-01-0299、米国特許第8,435,932号、同第6,303,547号)。動作温度は、動作効率と密接に相関する。動作非効率性は、熱を発生させ、動作温度がより高くなる。したがって、より効率的なシステムで発生する熱がより少ないほど、より低い動作温度が観察される。動力損失及び動作温度を最小限に抑えることにより改善された流体効率となり得る潤滑剤による解決策が、技術的にも商業的にも有益であろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第10,316,712号明細書
【特許文献2】米国特許第8,435,932号明細書
【特許文献3】米国特許第6,303,547号明細書
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Barton,Wら、「Impact of Viscosity Modifiers on Gear Oil Efficiency and Durability」:パートII、SAEインターナショナル01-0299、2013年、pp295-309、doi:10.4271/2013-01-0299
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
特定の硫化オレフィン混合物、ヒドロキシル/アミン含有ブースターを、金属アルキルチオホスフェート化学、チアジアゾール官能化分散剤、又はこれらの混合物のいずれか、及び任意選択のアミンアルキル(チオ)ホスフェート化学とともに使用すると、動力損失を最小限に抑え、動作温度を低下させるのに驚くほど有益であることが判明した。
【0007】
したがって、本技術の一態様は、潤滑粘度の油と、0.01~10重量%の硫化オレフィンと、100~10,000ppm、又は150ppm~9,000ppm、又は200ppm~8,000ppm、又は250ppm~7,000ppm、又は250ppm~1,000ppm、又は250ppm~1,000ppmのヒドロキシル/アミン含有ブースターと、0.1~2重量%、又は0.2~1.9重量%、又は0.2~1重量%、又は1.0~1.8重量%の金属アルキルチオホスフェート、0.1~8重量%、又は0.3~4重量%、又は0.35~3重量%のチアジアゾール官能化分散剤、又はそれらの混合物のうちの少なくとも1つとを含む自動車又は工業用歯車油を対象とする。潤滑剤は、任意選択的に、0.5~2.0重量%のアミンアルキル(チオ)ホスフェート化合物を含み得る。
【0008】
硫化オレフィンは、触媒の存在下の過圧状態で硫化水素及び硫黄と反応した2~6個の炭素原子を含むオレフィンの反応生成物であり得る。一実施形態では、硫化オレフィンは、式:R-S-R[式中、R及びRは、別々に2~6個の炭素原子を含むオレフィンから誘導され、xは1~10の整数である]の硫化オレフィンの混合物であり得るが、ただし、硫化オレフィンは、約10~約50重量%の硫黄含有量を有することを条件とする。
【0009】
ヒドロキシル/アミン含有ブースターは、構造I:
【化1】
[式中、
nは0又は1であり、
Xは、ヒドロキシル又はアミノ基であり、1~9個の炭素原子を有する第一級又は第二級アミンを含み、
Yは、ヒドロキシル又はアミノ基であり、1~9個の炭素原子を有する第一級又は第二級アミンを含み、
W及びZは、個別に、H原子、又は追加のヒドロキシル若しくはアミノ基の任意選択の置換を有する1~9個の炭素原子のアルキル基であり、X及びYが両方ともヒドロキシルである限り、W及びZの少なくとも1つは、H又は-CHであることができず、
(W中の炭素)+(Z中の炭素)+nの合計は10以下である]のものを含むことができる。
【0010】
自動車又は工業用歯車油中の金属アルキルチオホスフェートは、ジアルキルジチオホスフェート亜鉛を含み得る。いくつかの実施形態において、ジアルキルジチオホスフェート亜鉛は、第二級ジアルキルジチオホスフェート亜鉛であり得る。
【0011】
チアジアゾール官能化分散剤は、チアジアゾール化合物を分散剤基材とともに加熱すること、反応させること、又は錯体化することを含む方法によって調製される混合物であり得る。
【0012】
実施形態において、任意選択のアミンアルキル(チオ)ホスフェートは、単にアミンアルキルホスフェートであり得る。他の実施形態において、任意選択のアミンアルキル(チオ)ホスフェートは、アミンアルキルチオホスフェートであり得る。更なる実施形態において、任意選択のアミンアルキル(チオ)ホスフェートは、アミンホスフェート及びアミンアルキルチオホスフェートの両方の組み合わせを含み得る。実施形態において、任意選択のアミンアルキルチオホスフェートは、ジアルキルジチオホスフェートであり得る。
【0013】
一実施形態では、潤滑剤は、アルキルピロホスフェート塩構造中に少なくとも約30モルパーセントのリン原子を有する硫黄を実質的に含まないアルキルホスフェートアミン塩であるアミンホスフェートを含み得る。いくつかの実施形態において、そのような硫黄を含まないアルキルホスフェート中のアルキル基の少なくとも約80モルパーセントは、約3~約12個の炭素原子の第二級アルキル基であり得る。いくつかの実施形態において、そのような硫黄を含まないアルキルホスフェート中のアルキル基の少なくとも約25モルパーセントは、約3~約12個の炭素原子の第一級アルキル基であり得る。
【0014】
自動車又は工業用歯車油は、他の添加剤も含み得る。一実施形態では、自動車又は工業用歯車油は、約0.75~約5重量%の総硫黄レベルを有する組成物を提供する量で、他の硫黄含有添加剤を含み得る。一実施形態において、自動車又は工業用歯車油は、約0.01~約0.5重量%、又は約0.02~約0.4重量%、又は約0.08~約0.3重量%、又は約0.1~約0.25重量%、又は更には約0.02~約0.10重量%、又は約0.025~約0.07重量%の総リンレベルを有し得る。
【0015】
本技術の別の態様は、ドライブライン動力伝達装置に上述のような自動車又は工業用歯車油を供給し、ドライブライン動力伝達装置を動作させることによって、ドライブライン動力伝達装置を潤滑する方法を含む。ドライブライン動力伝達装置は、例えば、車軸、軸受け、変速機、又は歯車であり得る。
【発明を実施するための形態】
【0016】
様々な好ましい特徴及び実施形態を、非限定的な例示により以下に説明する。本発明の一態様は、(a)潤滑粘度の油と、(b)硫化オレフィン又はその混合物と、(c)ヒドロキシル/アミン含有ブースターと、(d)(i)金属アルキルチオホスフェート、(ii)チアジアゾール官能化分散剤、又は(iii)それらの混合物、のうちの少なくとも1つと、任意選択的に、(e)少なくとも1つのアミンアルキル(チオ)ホスフェートと、を含有する自動車又は工業用歯車油である。
潤滑粘度の油
【0017】
開示された技術の1つの成分は、潤滑粘度の油であり、基油とも称される。基油は、米国石油協会(the American Petroleum Institute、API)基油互換性ガイドライン(2011)のグループI~Vの基油のいずれかから選択されてもよく、すなわち、以下の通りである。
【表18】
【0018】
グループI、II、及びIIIは、鉱油ベースストックである。APIによって公式に特定されない場合であっても、他の一般に認識されているカテゴリーの基油を使用してもよく、グループII+は、110~119の粘度指数を有し、他のグループIIの油よりも低い揮発性を有するグループIIの材料を指し、グループIII+は、130以上の粘度指数を有するグループIIIの材料を指す。潤滑粘度の油には、天然又は合成油及びそれらの混合物が含まれ得る。鉱油及び合成油、例えば、ポリアルファオレフィン油及び/又はポリエステル油の混合物を使用してもよい。
【0019】
一実施形態では、潤滑粘度の油は、1.5~7.5、又は2~7、又は2.5~6.5、又は3~6mm/秒の、ASTM D445による100℃での動粘度を有する。一実施形態では、潤滑粘度の油は、1.5~7.5、又は他の前述の範囲のいずれかの、ASTM D445による100℃での動粘度を有するポリアルファオレフィンを含む。
硫化オレフィン
【0020】
本技術で使用される硫化オレフィンは、混合物を包含し、その組成は、それらを調製するために使用される反応を除けば、容易には説明されない。一般に、硫化オレフィンは、約80%のポリスルフィドであり、ほとんどがジ-t-ブチルポリスルフィドであり、硫黄原子の範囲は2又は3~8であり、ほとんどが3~5個又は3~4個の炭素原子に集中している。混合物は、式:R-S-R[式中、R及びRは、別々に2~6個の炭素原子を含むオレフィンから誘導され、xは、1~10、又は2~9、又は3~8、又は3~7の整数である]によって一般的に表すことができるが、ただし、硫化オレフィンは、約10~約50重量%の硫黄含有量を有することを条件とする。
【0021】
より具体的には、硫化オレフィンは、触媒の存在下の過圧状態で硫化水素及び硫黄と反応した、2~6個の炭素原子を含むオレフィンの反応生成物である。
【0022】
本発明の方法により硫化され得るオレフィン化合物は、性質が多様であり、置換されていても置換されていなくてもよい。オレフィンが置換されている場合の置換基の性質は、通常、技術の重要な態様ではなく、いかなるそのような置換基も、潤滑環境と適合性があるか、又は適合可能であり、意図した反応条件下で干渉しない限り、有用である。したがって、使用される反応条件下で有害に分解するほど不安定な置換化合物は考慮されない。しかしながら、ケト又はアルデヒドなどの特定の置換基は、望ましく硫化され得る。適切な置換基の選択は、当技術分野の技術の範囲内であるか、又は通常の試験を通じて確立されてもよい。このような置換基の典型としては、上記部分のいずれか、及びエステル、カルボキシレート、ヒドロキシ、アミジン、アミノ、スルホニル、スルフィニル、スルホネート、ニトロ、ホスフェート、ホスファイト、アルカリ金属メルカプトなどが挙げられる。
【0023】
硫化オレフィンを調製し得る例としてのオレフィンは、2~30個の炭素原子を含み得る。場合によっては、オレフィンは、2~16個の炭素原子を含み得る。多くの場合、オレフィンは、2~6個の炭素原子を含み得る。硫化オレフィンは、3~5個の炭素原子を含むオレフィンから調製されてもよい。オレフィンは、ブチレンであり得る。オレフィンはまた、イソブチレンでもあり得る。アミレンはまた、オレフィンとして使用されてもよい。オレフィンはまた、イソアミレンでもよい。オレフィンはまた、ジイソブチレンでもよい。本明細書での使用に適した硫化オレフィンは、前述のオレフィンのいずれかの混合物から調製されてもよい。
【0024】
硫化オレフィンの調整方法に不可欠な他の2つの試薬、硫黄及び硫化水素は、周知であり、市販されている。これら全ての試薬の市販ソースは通常使用されており、通常それらに付随する不純物は、悪影響なく存在し得る。
【0025】
オレフィン化合物1モル当たりの硫黄及び硫化水素の量は、それぞれ、約0.3~2.0モル当量及び約0.1~1.5モル当量である。好ましい範囲は、それぞれ約0.5~1.5モル当量及び約0.4~1.25モル当量であり、最も望ましい範囲は、それぞれ約0.7~1.2モル当量及び約0.4~0.8モル当量である。
【0026】
硫化反応が行われる温度範囲は、一般に、約50℃~350℃である。好ましい範囲は約100℃~200℃であり、約125℃~180℃が特に好適である。反応は過圧下で行われ、これは自己圧力(すなわち、反応の過程で自然に発生する圧力)であってもよく、通常は自己圧力であるが、外部から加えられた圧力であってもよい。反応中に発生する正確な圧力は、システムの設計及び動作、反応温度、反応物及び生成物の蒸気圧などの要因に依存し、反応の過程で変化する場合がある。
【0027】
硫化触媒として有用な物質を反応混合物に組み込むことは有利であることが多い。これらの物質は、酸性、塩基性、又は中性であってもよい。有用な中性及び酸性材料には、「Super Filtrol」、p-トルエンスルホン酸、ジアルキルホスホロジチオ酸、及び五硫化リンなどの硫化リンなどの酸性化粘土が含まれる。好ましい触媒は、塩基性材料である。これらは、水酸化ナトリウム、酸化カルシウム及び硫化ナトリウムなどの無機酸化物及び塩であってもよい。しかしながら、最も望ましい塩基性触媒は、アンモニア及びアミンを含む窒素塩基である。アミンは、第一級、第二級、及び第三級ヒドロカルビルアミンを含み、ここで、ヒドロカルビル基は、アルキル、アリール、アラルキル、アルカリールなどであり、約1~20個の炭素原子を含む。適切なアミンとしては、アニリン、ベンジルアミン、ジベンジルアミン、ドデシルアミン、ブチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、ナフチルアミン、タローアミン、N-エチルジプロピルアミン、N-フェニルベンジルアミン、N,N-ジエチルブチルアミン、m-トルイジン及び2,3-キシリジンが挙げられる。ピロリジン、N-メチルピロリジン、ピペリジン、ピリジン及びキノリンなどの複素環式アミンも有用である。
【0028】
好ましい塩基性触媒には、アンモニア、及びアルキル基に約1~8個の炭素原子を有する第一級、第二級、又は第三級アルキルアミンが含まれる。このタイプの代表的なアミンは、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジ-イソ-プロピルアミン、ジ-n-ブチルアミン、トリ-n-ブチルアミン、ビス-2-エチルヘキシルアミン、2-エチルヘキシルアミン、トリ-sec-ヘキシルアミン及びトリ-n-オクチルアミンである。これらのアミンの混合物、並びに、アンモニアとアミンの混合物を使用することができる。
【0029】
使用される触媒材料の量は、一般に、オレフィン化合物の重量の約0.05~2.0%である。好ましいアンモニア及びアミン触媒の場合、オレフィン1モル当たり約0.0005~0.5モルが好ましく、約0.001~0.1モルが特に望ましい。
【0030】
硫化オレフィンの正確な化学的性質は確定的には知られていないため、それらの調製方法に関して説明するのが最も便利である。しかしながら、7個未満の炭素原子を含むオレフィンから調製される場合、それらはいくつかのジスルフィドを含むことができるが、主にトリスルフィド及びテトラスルフィドを含むことができ、いくつかのペンタスルフィドを含んでもよい。これらの硫化組成物の硫黄含有量は、主にトリ及びテトラ硫化オレフィンを送達するのに十分である。硫黄含有量は、通常、10~50重量%、又は更には約15~50重量%、又は20~48重量%、又は25~46重量%ある。いくつかの実施形態において、硫黄含有量は、約30~50重量%又は40~50重量%であり得る。いくつかの実施形態において、これらの硫化組成物の硫黄含有量は、約18~32重量%、又は20~30重量%であり得る。
【0031】
前述の硫化オレフィンは当技術分野で知られており、更なる詳細は、例えば、米国特許第4,119,549号、同第4,191,659号及び同第4,344,854号に見出すことができる。
【0032】
前述の硫化オレフィンは、例えば、米国特許第2,708,199号及び同第3,697,499号で教示されるプロセスで調製されるものなどの、C(C[式中、bは、0~8であり得、x及びyは、1~3であり得る]のオリゴマーポリスルフィドとは区別される。簡潔に言えば、そのようなオリゴマーポリスルフィドは、1~2モルのオレフィン及びハロゲン化硫黄の付加物を形成し、続いて任意選択的に遊離硫黄の存在下で、その付加物をアルカリ金属硫化物と反応させることによって調製される。
【0033】
自動車又は工業用歯車油中の硫化オレフィンの量は、0.01~10重量パーセントであってもよい。硫化オレフィンの代替量は、0.1~8重量パーセント、又は0.2~6重量パーセント、又は0.5~5重量パーセントであってもよい。存在する硫化オレフィンの量は、0.5~3重量%の硫黄の量で潤滑剤配合物に硫黄を提供するのに適している場合もある。この量は、潤滑剤配合物に0.75~2.75重量%の硫黄を提供するのに適している場合もある。この量は、潤滑剤配合物に1~2.5重量%の硫黄を提供するのに適している場合もある。
【0034】
アミンアルキル(チオ)ホスフェートと同様に、硫化オレフィンは、典型的には、様々な個別の化学種の混合物を含むことが当業者によって理解されるであろう。本明細書での硫化オレフィンへの言及は、記載された合成によって調製され得るような化合物の混合物を包含することが当業者によって理解されるであろう。
ヒドロキシル/アミン含有ブースター
【0035】
潤滑剤はまた、少なくとも1つのヒドロキシル/アミン含有ブースターを、約25ppm~約10,000ppm、又は約50ppm~約9,000ppm、又は更には約75ppm~約8,000ppm、又は更には100ppm~7,000ppm、又は更には100ppm~1000ppm、又は更には100ppm~500ppm又は200ppm~800ppm、又は300ppm~700ppmで含む。潤滑剤に使用するのに好適なヒドロキシル/アミン含有ブースターは、構造I:
【化2】
[式中、
nは0又は1であり、
Xは、ヒドロキシル又はアミノ基であり、1~9個の炭素原子を有する第一級又は第二級アミンを含み、
Yは、ヒドロキシル又はアミノ基であり、1~9個の炭素原子を有する第一級又は第二級アミンを含み、
W及びZは、個別に、H原子、又は追加のヒドロキシル若しくはアミノ基の任意選択の置換を有する1~9個の炭素原子のアルキル基であり、X及びYが両方ともヒドロキシルである限り、W及びZの少なくとも1つは、H又は-CHであることができず、
(W中の炭素)+(Z中の炭素)+nの合計は10以下である]のものを含む。
【0036】
構造Iに関して、n=0の場合、炭素架橋は消失し、鎖は短くなり、構造は構造II:
【化3】
[式中、W、X、Y及びZは上で定義された通りであり、W+Z=10以下である]のように見える。
【0037】
前述の構造には、ジオール及びトリオールを含むポリオール、アルカノールアミン、並びにジアミン及びトリアミンを含むポリアミンのいずれもが含まれる。
【0038】
本発明で使用するのに適したポリオールは、構造Iの化合物内で過度に限定されない。好適なポリオールの例としては、2,3-ブタンジオール又は1,3-ブタンジオールなどのブタンジオール、2,4-ペンタンジオールなどのペンタンジオール、1,3-ヘキサンジオールなどのヘキサンジオール、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0039】
ポリアミンは、アルキレンジアミン、N-アルキルアルキレンジアミン、及びポリアルキレンポリアミンを含んでもよい。有用なポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,2-ジアミノプロパン、N-メチルエチレンジアミン、1,3-プロピレンジアミン、及びジエチレントリアミンが挙げられる。
【0040】
アルカノールアミンとしては、例えば、第一級アミン及び第一級アルコール含有アルカノールアミン、例えば、2-アミノエタノール及び2-アミノ-1-プロパノールなどが挙げられる。このようなアルカノールアミンとしてはまた、例えば、第一級アミン及び第二級アルコール含有アルカノールアミン、例えば、1-アミノ-2-プロパノール、4-アミノ-2-ペンタノール、及び3-アミノ-2-ブタノールなども挙げられる。アルカノールアミンとしてはまた、例えば、第二級アミン及び第一級アルコール含有アルカノールアミン、例えば、N-メチルエタノールアミン、N-メチル-2-アミノ-1-プロパノールなども挙げられる。アルカノールアミンとしてはまた、例えば、第二級アミン及び第二級アルコール含有アルカノールアミン、例えば、N-メチルイソプロパノールアミン及びN-メチル-3-アミノ-2-ブタノールなども挙げられる。ある場合には、ヒドロキシル/アミンは、ジエタノールアミン又はトリエタノールアミンを含むことができる。
金属アルキルチオホスフェート化合物
【0041】
自動車又は工業用歯車油は、金属アルキルチオホスフェート化合物を更に含むことができる。金属アルキルチオホスフェート化合物は、式:
【化4】
[式中、R25及びR26は、独立して、水素、ヒドロカルビル基、又はそれらの混合物であるが、ただし、R25及びR26のうちの少なくとも1つは、ヒドロカルビル基、好ましくはアルキル又はシクロアルキルであり、1~30個、又は2~20個、場合によっては2~15個の炭素原子を有することを条件とする]で表すことができる。特定の実施形態において、R25及びR26は、2~8個の炭素原子、又は更に3~6個の炭素原子の第二級アルキル基、例えば、4-メチルペンタン-2-オール又はイソプロパノールから誘導されたものであり得る。いくつかの実施形態において、R25及びR26は、炭素原子3個の第二級アルキル基であり得る。いくつかの実施形態において、R25及びR26は、炭素原子6個の第二級アルキル基であり得る。
【0042】
Mは金属であり、nはMの利用可能な原子価に等しい整数である。Mは一価又は二価又は三価、好ましくは二価、より好ましくは二価の遷移金属、最も好ましくは亜鉛である。
【0043】
金属アルキルチオホスフェートの例としては、イソプロピルメチルアミルジチオリン酸亜鉛、イソプロピルイソオクチルジチオリン酸亜鉛、ジ(シクロヘキシル)ジチオリン酸亜鉛、イソブチル2-エチルヘキシルジチオリン酸亜鉛、イソプロピル2-エチルヘキシルジチオリン酸亜鉛、イソブチルイソアミルジチオリン酸亜鉛、イソプロピルn-ブチルジチオリン酸亜鉛、ジ(ヘキシル)ジチオリン酸カルシウム、ジ(ノニル)ジチオリン酸バリウム、ジ(イソブチル)ジチオリン酸亜鉛、イソプロピルsec-ブチルジチオリン酸亜鉛、イソプロピルジチオリン酸亜鉛、イソプロピル4-メチルペンタン-2-オールジチオリン酸亜鉛、4-メチルペンタン-2-オールジチオリン酸亜鉛、イソプロピルメチルアミルジチオリン酸銅、イソプロピルイソオクチルジチオリン酸銅、ジ(シクロヘキシル)ジチオリン酸銅、イソブチル2-エチルヘキシルジチオリン酸銅、イソプロピル2-エチルヘキシルジチオリン酸銅、イソブチルイソアミルジチオリン酸銅、イソプロピルn-ブチルジチオリン酸銅、ジ(ヘキシル)ジチオリン酸カルシウム、ジ(ノニル)ジチオリン酸バリウム、ジ(イソブチル)ジチオリン酸銅、イソプロピルsec-ブチルジチオリン酸銅、イソプロピルジチオリン酸銅、イソプロピル4-メチルペンタン-2-オールジチオリン酸銅、4-メチルペンタン-2-オールジチオリン酸銅、又はそれらの混合物が挙げられる。
【0044】
金属チオホスフェートは、ジアルキルジチオホスフェート亜鉛であり得る。ジアルキルジチオホスフェート亜鉛は、その調製に使用されるアルコールの構造に応じて、第一級ジアルキルジチオホスフェート亜鉛又は第二級ジアルキルジチオホスフェート亜鉛と記載されることもある。いくつかの実施形態では、自動車又は工業用歯車油は、第一級ジアルキルジチオホスフェート亜鉛を含むことができる。いくつかの実施形態では、自動車又は工業用歯車油は、第二級ジアルキルジチオホスフェート亜鉛を含むことができる。いくつかの実施形態において、自動車又は工業用歯車油は、第一級及び第二級ジアルキルチオホスフェート亜鉛の混合物を含み得る。
【0045】
亜鉛などの金属アルキルチオホスフェートからの金属は、約0.02~約0.095重量%の亜鉛、又は約0.022~0.085重量%、又は更には約0.025~約0.075重量%の亜鉛の濃度で供給され得る。そのようなレベルは、約0.15~約0.8重量%、約0.2~0.75重量%、又は更には約0.22~約0.70重量%の金属アルキルチオホスフェート濃度に関連してもよい。
【0046】
亜鉛などの金属アルキルチオホスフェートからの金属は、約0.02~約0.2重量%の亜鉛、又は約0.0225~0.19重量%、又は更には約0.025~約0.18重量%の亜鉛、又は更には約0.03~約0.12重量%の亜鉛の濃度で供給され得る。そのようなレベルは、約0.2~約2重量%、又は約0.25~1.9重量%、又は更には約0.3~約1.8重量%の金属アルキルチオホスフェート濃度に関連し得る。
【0047】
実施形態では、金属アルキルチオホスフェートは、0.01又は0.02~約0.095重量%のリン、又は約0.0225~0.085重量%、又は更には約0.025~約0.075重量%のリンを提供することができる。
【0048】
実施形態では、金属アルキルチオホスフェートは、0.01又は0.02~約0.2重量%のリン、又は約0.0225~0.19重量%、又は更には約0.025~約0.18重量%のリンを提供することができる。
チアジアゾール官能化分散剤
【0049】
自動車又は工業用歯車油は、チアジアゾール官能化分散剤を更に含むことができる。チアジアゾール官能化分散剤は、チアジアゾール化合物を分散剤基材とともに加熱すること、反応させること、又は錯体化することを含む方法によって調製される混合物であり得る。得られた混合物は、十分に知られていないか、又は容易に分析可能ではない場合があるが、チアジアゾール化合物は、分散剤と共有結合される、塩形成される、錯体形成される、又は他の方法で可溶化され得ると考えられる。
【0050】
完全に配合された流体に対してチアジアゾール含有分散剤が寄与する硫黄のppm濃度は、30~2480ppm、90~1240ppm、110~930ppm、500~900ppm、又は600~800ppmである。
【0051】
チアジアゾール官能化分散剤は、潤滑組成物中に、潤滑組成物の約0.1重量%~約8重量%、又は約0.3重量%~約4重量%、又は約0.35重量%~約3重量%を含む範囲で存在する。
チアジアゾール化合物
【0052】
チアジアゾールの例としては、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール、又はそのオリゴマー、ヒドロカルビル置換2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール、ヒドロカルビルチオ置換2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール、又はそのオリゴマーが挙げられる。ヒドロカルビル置換2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾールのオリゴマーは、典型的には、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール単位の間に硫黄-硫黄結合を形成して、当該チアジアゾール単位の2つ以上のオリゴマーを形成することによって形成する。
【0053】
異なる実施形態では、ヒドロカルビル置換基上の炭素原子の数は、約1~約30、約2~約20又は約3~約16の範囲を含む。一実施形態では、チアジアゾール化合物、例えば、ヒドロカルビル置換メルカプトチアジアゾール(並びに非置換材料)は、典型的には、約25℃で、潤滑粘度の油などの非極性媒体に実質的に可溶性である。したがって、溶解性を促進する傾向があるヒドロカルビル置換基中の炭素原子の総数は、概して、約8個以上、又は約10個以上、又は少なくとも約12個である。複数のヒドロカルビル置換基が存在する場合、典型的には、各置換基は、約8個以下の炭素原子を含む。一実施形態では、チアジアゾール化合物、例えば、ヒドロカルビル置換メルカプトチアジアゾール(並びに非置換材料)は、典型的には、約25℃で、潤滑粘度の油などの非極性媒体に実質的に不溶性である。したがって、溶解性を促進する傾向があるヒドロカルビル置換基中の炭素原子の総数は、概して、約8個未満、又は約6個未満、又は約4個未満である。複数のヒドロカルビル置換基が存在する場合、典型的には、各置換基は、約4個以下の炭素原子を含む。
【0054】
「実質的に不溶性」という用語は、チアジアゾール化合物、例えば、ジメルカプトチアジアゾール(dimercaptothiadiazole、DMTD)化合物が、典型的には、室温(約25℃)で油中に約0.1重量パーセント未満、又は0.01若しくは約0.005重量パーセント未満の程度まで溶解し得ることを意味する。溶解度が評価され得る潤滑粘度の適切な炭化水素油は、Chevron(商標)RLOP 100 N油である。特定量のDMTD又は置換DMTDを油と混合し、例えば1週間の貯蔵後に残留堆積物の外観に対する透明度を観察することによって、溶解度を評価することができる。
【0055】
好適なチアジアゾール化合物の例には、ジメルカプトチアジアゾール、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール、3,5-ジメルカプト-1,2,4-チアジアゾール、3,4-ジメルカプト-1,2,5-チアジアゾール、又は4-5-ジメルカプト-1,2,3-チアジアゾールのうちの少なくとも1つが含まれる。典型的には、容易に入手可能な材料、例えば、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール又はヒドロカルビル置換2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール又はヒドロカルビルチオ置換2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾールが一般的に利用されており、入手しやすいことから2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾールが最も一般的に利用されている。いくつかの実施形態において、ヒドロカルビル置換基上の炭素原子数は、約1~約30、約2~約25、約4~約20、約6~約16、又は約8~約10を含む。
【0056】
他の有用なチアジアゾール化合物としては、2-アルキルジチオ-5-メルカプト-1,3,4-チアジアゾール、2,5-ビス(アルキルジチオ)-1,3,4-チアジアゾール、2-アルキル-ヒドロキシフェニルメチルチオ-5-メルカプト-1,3,4-チアジアゾール、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0057】
更なる好適なチアジアゾール化合物の例としては、2-オクチルジチオ-5-メルカプト-1,3,4-チアジアゾール、2-ノニルジチオ-5-メルカプト-1,3,4-チアジアゾール、2-ドデシジチオ-5-メルカプト-1,3,4-チアジアゾール、又は2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾールが挙げられる。好適な2,5-ビス(アルキル-ジチオ)-1,3,4-チアジアゾール)の例としては、2,5-ビス(tert-オクチルジチオ)-1,3,4-チアジアゾール、2,5-ビス(tert-ノニルジチオ)-1,3,4-チアジアゾール、2,5-ビス(tert-デシルジチオ)-1,3,4-チアジアゾール、2,5-ビス(tert-ウンデシルジチオ)-1,3,4-チアジアゾール、2,5-ビス(tert-ドデシルジチオ)-1,3,4-チアジアゾール、2,5-ビス(tert-トリデシルジチオ)-1,3,4-チアジアゾール、2,5-ビス(tert-テトラデシルジチオ)-1,3,4-チアジアゾール、2,5-ビス(tert-ペンタデシルジチオ)-1,3,4-チアジアゾール、2,5-ビス(tert-ヘキサデシルジチオ)-1,3,4-チアジアゾール、2,5-ビス(tert-ヘプタデシルジチオ)-1,3,4-チアジアゾール、2,5-ビス(tert-オクタデシルジチオ)-1,3,4-チアジアゾール、2,5-ビス(tert-ノナデシルジチオ)-1,3,4-チアジアゾール又は2,5-ビス(tert-エイコシルジチオ)-1,3,4-チアジアゾール、又はそのオリゴマーが挙げられる。一実施形態では、ヒドロカルビル置換2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾールは、2,5-ビス(tert-オクチルジチオ)-1,3,4-チアジアゾール2,5-ビス(tert-ノニルジチオ)-1,3,4-チアジアゾール、又は2,5-ビス(tert-デシルジチオ)-1,3,4-チアジアゾールのうちの少なくとも1つを含む。
【0058】
一実施形態では、チアジアゾール化合物は、2,5-ビス(tert-オクチルジチオ)-1,3,4-チアジアゾール、2,5-ビス(tert-ノニルジチオ)-1,3,4-チアジアゾール、又は2,5-ビス(tert-デシルジチオ)-1,3,4-チアジアゾールのうちの少なくとも1つを含む。
【0059】
分散剤基材
【0060】
分散剤基材としては、スクシンイミド分散剤(例えば、N-置換長鎖アルケニルスクシンイミド)、マンニッヒ分散剤、エステル含有分散剤、脂肪ヒドロカルビルモノカルボン酸アシル化剤とアミン若しくはアンモニアとの縮合生成物、アルキルアミノフェノール分散剤、ヒドロカルビルアミン分散剤、ポリエーテル分散剤、ポリエーテルアミン分散剤、分散剤官能基を含有する粘度調整剤(例えば、分散剤官能基を含有するポリマー粘度指数調整剤(VM))、又はこれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、分散剤基材は、スクシンイミド分散剤、エステル含有分散剤又はマンニッヒ分散剤を含む。
【0061】
一実施形態では、チアジアゾール官能化分散剤は、
(I)分散剤基材と、
(ii)チアジアゾール化合物と、
(iii)任意選択的にホウ素化剤と、
(iv)任意選択的に亜リン酸化合物と、を含む成分を一緒に加熱することによって調製され、当該加熱は、潤滑粘度の油に可溶性である(i)、(ii)、(iii)及び任意選択的に(iv)及び任意選択的に(v)の生成物を提供するのに十分である。
【0062】
ホウ素化剤としては、種々の形態のホウ酸(メタホウ酸、HBO、オルトホウ酸、HBO、及びテトラ酸、Hを含む)、酸化ホウ素、三酸化ホウ素、並びにアルキルホウ酸塩、例えば、式:(RO)B(OH)[式中、xは約1~約3であり、yは約0~約2であり、xとyの合計は3であり、Rは約1~約10個の炭素原子を含有するアルキル基である]のものなどが挙げられる。一実施形態では、ホウ素化合物は、アルカリ又は混合アルカリ金属ホウ酸塩及びアルカリ土類金属ホウ酸塩であり得る。これらの金属ホウ酸塩は、一般に、当技術分野で知られている水和粒状金属ホウ酸塩である。一実施形態では、金属ホウ酸塩は、混合アルカリ金属ホウ酸塩及び混合アルカリ土類金属ホウ酸塩を含む。金属ホウ酸塩は市販されている。
【0063】
亜リン酸化合物は、典型的には、その構成元素として酸素原子及び/又は硫黄原子を含有し、典型的にはリン酸又は無水物である。この成分としては、亜リン酸、リン酸、次リン酸、ポリリン酸、三酸化リン、四酸化リン、五酸化リン(P)、ホスホロテトラチオン酸(HPS)、ホスホロモノチオン酸(HPOS)、ホスホロジチオ酸(HPO)、ホスホロトリチオン酸(HPO)、及びPが挙げられる。これらのうち、亜リン酸及びリン酸又はそれらの無水物が典型的に使用される。亜リン酸化合物のアミン塩などの塩も使用することができる。これらの亜リン酸化合物を複数併用することも可能である。亜リン酸化合物は、しばしば、リン酸若しくは亜リン酸又はそれらの無水物である。
【0064】
他の実施形態において、亜リン酸化合物は、+3又は+5のリン酸化を有するリン化合物、例えば、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、又はホスフィンオキシドを含む。これらの好適な亜リン酸化合物についてのより詳細な説明は、米国特許第6,103,673号、第9欄64行~第11欄8行に記載されている。
【0065】
一実施形態において、チアジアゾール官能化分散剤は、米国特許第4,136,043号の実施例26~35に記載されているように調製されたスクシンイミドであり得る。米国特許第4,136,043号に開示されているタイプの分散剤は、塩素媒介プロセスによって調製されたポリイソブチレン無水コハク酸から誘導され得る。典型的には、塩素媒介プロセスから調製される分散剤は、約50モル%~約100モル%、又は約60~約100モル%の炭素環を有する分散剤分子を有する。
【0066】
一実施形態において、分散剤は、「エン」反応によって調製されたポリイソブチレン無水コハク酸から誘導され得る。「エン」反応機構及び一般的な反応条件は、「Maleic Anhydride」、147-149頁、B.C.Trivedi及びB.C.Culbertson編、Plenum Press出版(1982)に要約されている。
【0067】
分散剤基材が「エン」反応によって調製される場合、分散剤分子の約0モル%~約50モル%未満、又は約0~約30モル%未満が炭素環を含有する。
【0068】
一実施形態では、チアジアゾール官能化分散剤は、エステル含有分散剤であり得る。チアジアゾール官能化分散剤は、典型的には、ポリイソブチレン無水コハク酸をポリオール又はそれらの混合物と反応させることによって調製される。ポリオールとしては、例えば、ペンタエリスリトールが挙げられる。
【0069】
一実施形態では、チアジアゾール官能化分散剤は、ポリイソブチレン無水コハク酸をポリオール及びアミンの両方と反応させることによって調製される。好適なアミンの例としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンなどのポリアミンが挙げられ、又は、一実施形態では、ポリアミンスチルボトムス(polyamine still bottoms)が挙げられる。
アミンアルキル(チオ)ホスフェート
【0070】
開示された技術の潤滑剤は、少なくとも1つのアミンアルキル(チオ)ホスフェートを含んでもよい。本明細書で使用される場合、括弧内に「チオ」を含むことは、ホスフェートが硫黄原子を含有する場合も含有しない場合もあることを意味する。
【0071】
一実施形態では、アミンアルキル(チオ)ホスフェートは、アミンホスフェート、すなわち、硫黄を実質的に含まないホスフェートを含むことができる。硫黄を実質的に含まないとは、硫黄がアミンホスフェートに意図的に添加されておらず、好ましくは、アミンホスフェートが完全に硫黄を含まないことを意味する。ただし、生産状況ではいくらかの硫黄汚染が発生する場合があり、結果としてアミンホスフェートにいくらか硫黄が含まれることが認識されている。アミンホスフェートがいくらかの硫黄汚染を含む範囲内で、硫黄がアミンホスフェートの基本特性に影響を及ぼさなければ、そのような汚染された化合物は、依然として硫黄を実質的に含まないと見なされることになる。一般に、硫黄を実質的に含まないと見なされるための硫黄汚染レベルは、2.5重量%、又は1重量%、0.1重量%、又は0.01重量%未満であり得る。
【0072】
一実施形態では、アミンホスフェートは、オルトホスフェート(又はモノマーホスフェート)構造とは対照的に、アルキルピロホスフェート構造に少なくとも30モルパーセントのリン原子を含み得る。ピロホスフェート構造中のリン原子のパーセンテージは、30~100モル%、又は40~90%又は50~80%又は55~70%又は55~65%であってもよい。リン原子の残りの量は、オルトホスフェート構造であってもよく、又は部分的に未反応のホスフェート若しくは他のリン種からなってもよい。一実施形態において、リン原子の最大60又は最大50モルパーセントが、モノ-又はジ-アルキル-オルトホスフェート塩構造である。
【0073】
一実施形態では、ピロホスフェートの形態で存在するアミンホスフェートは、式(I)の半中和塩及び/又は式(II)のような完全に中和された塩によって部分的に表され得る。
【表19】
【0074】
アミンホスフェートの実際の中和の程度、すなわち、リンエステル酸の-OH基の塩析の程度は、50%~100%、又は80%~99%、又は90%~98%、又は93%~97%、又は約95%であってもよい。これらの材料の異形は、式(I)又は式(II)の異形などで存在し得る。ここで、式(I)中の-OH基は、別の-OR基で置き換えられるか、又は1つ以上の-OR基は、-OH基で置き換えられるか、又はR基は、リン含有基(すなわち、末端R基の代わりに、第3リン構造を含むもの)で置き換えられる。例示的な異形構造には、以下が挙げられる場合がある。
【表20】
【0075】
式(I)及び(II)の構造は、リン原子が硫黄原子ではなく酸素に結合しているという点で、完全に硫黄を含まない種として示されている。しかしながら、O原子の小さなモル分率は、0~5パーセント、又は0.1~4パーセント、又は0.2~3パーセント、又は0.5~2パーセントなどのS原子によって置き換えられ得る可能性がある。
【0076】
ピロホスフェート塩は、一般的な構造のオルトホスフェート塩と区別され得る。
【表21】
これは、任意選択的に、上記の量でも存在し得る。
【0077】
アミンホスフェートはまた、オルトホスフェート構造のモノエステル及びジエステル並びにピロホスフェート構造のジエステルを含むいくらかの量の部分エステルを含み得る。
【0078】
式(I)及び(II)において、各Rは、独立して、3~12個の炭素原子のアルキル基である。アルキル基は、第一級基又は第二級基、あるいは第一級基及び第二級基の両方の混合物であり得る。特定の実施形態において、Rアルキル基の少なくとも80モルパーセント、又は少なくとも85、90、95、又は99パーセントは、第二級アルキル基となる。特定の実施形態では、Rアルキル基の少なくとも25モルパーセント、又は少なくとも30、40、50、60、70、80又は90、又は更には99モルパーセントは、第一級アルキル基となる。
【0079】
いくつかの実施形態において、アルキル基は、3若しくは4~12個の炭素原子、又は3~8個、又は4~6個、又は5~10個、又は6~8個の炭素原子を有することになる。アルキル基は、直鎖、分岐、環状、又は芳香族であり得る。そのような基としては、2-ブチル、2-ペンチル、3-ペンチル、3-メチル-2-ブチル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、シクロヘキシル、4-メチル-2-ペンチル、及び他のそのような第二級基及びそれらの異性体(6、7、8、9、10、11、又は12個の炭素原子を有する)、並びに、プロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、3-メチルブチル、2-メチルブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、フェネチル、及び他のそのような第一級基及びその異性体(3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12個の炭素原子を有する)が挙げられる。いくつかの実施形態において、アルキル基は、基のα-位置にメチル分岐を有することになり、その一例は、4-メチル-2-ペンチル(4-メチルペンタ-2-イルとも呼ばれる)基である。
【0080】
アミンアルキル(チオ)ホスフェートはまた、アミンアルキルチオホスフェートであってもよく、ここで、アルキルチオホスフェートは、式:(R’O)PSSH[式中、各R’は、独立して、約3~約30個、好ましくは約3~約18個、又は約3~約12個、又は約8個までの炭素原子を含有するヒドロカルビル基である]によって表される。R’基の例としては、イソプロピル、イソブチル、n-ブチル、sec-ブチル、様々なアミル、n-ヘキシル、メチルイソブチルカルビニル、ヘプチル、2-エチルヘキシル、イソオクチル、ノニル、ベヘニル、デシル、ドデシル、及びトリデシル基が挙げられ得る。例示的な低級アルキルフェニルR’基としては、ブチルフェニル、アミルフェニル、ヘプチルフェニルなどが挙げられる。R’基の混合物の例としては、1-ブチル及び1-オクチル、1-ペンチル及び2-エチル-1-ヘキシル、イソブチル及びn-ヘキシル、イソブチル及びイソアミル、2-プロピル及び2-メチル-4-ペンチル、イソプロピル及びsec-ブチル、並びにイソプロピル及びイソオクチルが挙げられる。
【0081】
一実施形態において、アミンアルキルチオホスフェートのアルキルチオホスフェートを、エポキシド、又はグリセロールなどの多価アルコールと反応させてもよい。この反応生成物は、単独で使用されてもよく、又は更にリン酸、無水物、又は低級エステルと反応させてもよい。エポキシドは、一般に脂肪族エポキシド又はスチレンオキシドである。有用なエポキシドの例は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブテンオキシド、オクテンオキシド、ドデセンオキシド、スチレンオキシドなどを含む。エチレンオキシド及びプロピレンオキシドが好ましい。グリコールは、2~約12個、又は約2~約6個、又は2個から、若しくは3個の炭素原子を有する脂肪族グリコールであり得る。グリコールは、エチレングリコール、プロピレングリコールなどを含む。アルキルチオホスフェート、グリコール、エポキシド、無機リン試薬、及びそれらを反応させる方法は、米国特許第3,197,405号及び同第3,544,465号に記載されており、それらに関するこれらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0082】
アミン成分-これらのアミンアルキル(チオ)ホスフェートに関し、アミンアルキル(チオ)ホスフェートのアミン成分は、R Nによって表すことができ、式中、各Rは、独立して、水素又はヒドロカルビル基若しくはエステル含有基又はエーテル含有基であるが、ただし、少なくとも1つのR基は、ヒドロカルビル基又はエステル含有基又はエーテル含有基であることを条件とする(すなわち、NHではない)。好適なヒドロカルビルアミンとしては、1~18個の炭素原子又は3~12個若しくは4~10個の炭素原子を有する第一級アミン、例えばメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン及びその異性体、ペンチルアミン及びその異性体、ヘキシルアミン及びその異性体、ヘプチルアミン及びその異性体、オクチルアミン及びその異性体(イソオクチルアミン及び2-エチルヘキシルアミンなど)、並びに高級アミンが挙げられる。他の第一級アミンとしては、n-オクチルアミン及びn-デシルアミン、並びに脂肪アミン、n-ドデシルアミン、n-テトラデシルアミン、n-ヘキサデシルアミン、n-オクタデシルアミン及びオレイルアミンが挙げられる。他の有用な脂肪アミンとしては、「Armeen(登録商標)」アミン(Akzo Chemicals,Chicago,Illから入手可能な製品)などの市販の脂肪アミン、例えば、Armeen(登録商標)C、Armeen(登録商標)O、Armeen(登録商標)OL、Armeen(登録商標)T、Armeen(登録商標)HT、Armeen(登録商標)S、及びArmeen(登録商標)SDなどが挙げられ、ここで、文字の指定は、ココ、オレイル、タロー、又はステアリル基などの脂肪族に関する。
【0083】
使用され得る第二級アミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、メチルエチルアミン、エチルブチルアミン、ビス-2-エチルヘキシルアミン、N-メチル-1-アミノ-シクロヘキサン、Armeen(登録商標)2C、及びエチルアミルアミンが挙げられる。第二級アミンは、ピペリジン、ピペラジン、及びモルホリンなどの環状アミンであり得る。
【0084】
好適な第三級アミンとしては、トリ-n-ブチルアミン、トリ-n-オクチルアミン、トリ-デシルアミン、トリ-ラウリルアミン、トリ-ヘキサデシルアミン、及びジメチルオレイルアミン(Armeen(登録商標)DMOD)が挙げられる。トリイソデシルアミン又はトリデシルアミン及びそれらの異性体を使用することができる。
【0085】
アミンの混合物の例としては、(i)第三級アルキル第一級基に11~14個の炭素原子を有するアミン、(ii)第三級アルキル第一級基に14~18個の炭素原子を有するアミン、又は(iii)第三級アルキル第一級基に18~22個の炭素原子を有するアミンが挙げられる。第三級アルキル第一級アミンの他の例としては、tert-ブチルアミン、tert-ヘキシルアミン、tert-オクチルアミン(1,1-ジメチルヘキシルアミンなど)、tert-デシルアミン(1,1-ジメチルオクチルアミンなど)、tert-ドデシルアミン、tert-テトラデシルアミン、tert-ヘキサデシルアミン、tert-オクタデシルアミン、tert-テトラコサニルアミン、及びtert-オクタコサニルアミンが挙げられる。一実施形態では、アミンの有用な混合物としては、「Primene(登録商標)81R」又は「Primene(登録商標)JMT」が挙げられる。Primene(登録商標)81R及びPrimene(登録商標)JMT(両方ともDow Chemicalによって製造及び販売されている)は、それぞれ、C11~C14第三級アルキル第一級アミンの混合物及びC18~C22第三級アルキル第一級アミンの混合物であり得る。
【0086】
他の実施形態では、アミンは、N-ヒドロカルビル置換γ-又はδ-アミノ(チオ)エステルなどのエステル含有アミンであってよく、したがって、第二級アミンである。エステル含有アミンは、例えば、典型的には分岐ヒドロカルビル基を有する第一級アミンの、エチレン性不飽和エステル又はチオエステルとのマイケル付加によって、又は、例えば、5-オキシ置換カルボン酸又は5-オキシ置換チオカルボン酸のエステルの還元的アミノ化によって調製され得る。それらはまた、5-ハロゲン置換カルボン酸又は5-ハロゲン置換チオカルボン酸のエステルのアミノ化によって、又は2-アミノ置換ヘキサン二酸のエステルの還元的アミノ化によって、又は2-アミノヘキサン二酸のエステルのアルキル化によって調製され得る。
【0087】
アミンは、どのタイプであっても、反応してリンエステル成分の酸性基を中和し、アミンアルキル(チオ)ホスフェートを調製する。
【0088】
一実施形態では、アミンアルキル(チオ)ホスフェートは、式(I)又は(II)のホスフェートアミン、又はその異形であり得、アミンは、2-エチルヘキシルアミンである。
【0089】
一実施形態では、アミンアルキル(チオ)ホスフェートは、式(I)又は(II)のアミンホスフェート、あるいはその変形であり得、アミンは、N-ヒドロカルビル置換γ-又はδ-アミノ(チオ)エステルである。
【0090】
一実施形態において、アミンアルキル(チオ)ホスフェートは、アミンアルキルチオホスフェートであり得、それは、C14~C18アルキル化ジチオホスフェートと、C11~C14第三級アルキル第一級アミンの混合物であるPrimene 81R(商標)(Dowによって製造及び販売されている)との反応生成物である。
【0091】
実施形態において、アミンアルキル(チオ)ホスフェートとしては、アミンホスフェートの組み合わせ、アミンアルキルチオホスフェートの組み合わせ、及びアミンホスフェートとアミンアルキルチオホスフェートとの組み合わせを挙げることができる。
【0092】
自動車又は工業用歯車油中のアミンアルキル(チオ)ホスフェートの量は、0.01~5重量パーセントであってもよい。アミンアルキル(チオ)ホスフェートの代替量は、0.2~3重量パーセント、又は0.6~2重量パーセント、又は更には0.7~1.75重量パーセント、又は0.2~1.2重量パーセント、又は0.5~2.0重量パーセント、又は0.55~1.4重量パーセント、又は0.6~1.3重量パーセント、又は0.7~1.2、又は1~2、又は更には1.5~2、又は1.2~1.8重量パーセント、又は更には1.8~2.2重量パーセントであってもよい。この量は、リンを潤滑剤配合物に200~3000重量百分率(ppm)、又は400~2000ppm、又は300~2000、又は600~1500ppm、又は700~1100ppm、又は900~1900、又は1100~1800ppm、又は1200~1600ppm、又は1500~2000ppmの量で提供するのに好適であり得る。
【0093】
アミンアルキル(チオ)ホスフェートは、典型的には、様々な個々の化学種の混合物を含むであろうことが当業者によって理解されるであろう。本明細書でのアミンアルキル(チオ)ホスフェートへの言及は、記載された合成によって調製され得るような化合物の混合物を包含することが当業者によって理解されるであろう。
他の添加剤
【0094】
例えば、自動車又は工業用歯車油には、例えば、粘度調整剤、ホウ酸塩化分散剤などの官能化分散剤を含む分散剤、流動点添加剤、極圧剤、消泡剤、銅防食剤(ジメルカプトチアジアゾール化合物など)、鉄防食剤、摩擦調整剤、染料、香料、任意選択的に洗剤及び酸化防止剤、並びに色安定剤を含む他の材料が、それらの従来の量で存在してもよい。
【0095】
本明細書で使用される自動車又は工業用歯車油は、歯車、軸受け若しくは車軸、又は変速機などの自動車用歯車を含む工業用歯車又はドライブライン動力伝達装置を潤滑するのに十分なレベルの添加剤を有する自動車又は工業用歯車油を指す。この点で、自動車又は工業用歯車油は、硫黄及びリンのレベルに基づいて、エンジン油潤滑剤などの他の潤滑剤と区別され得る。自動車又は工業用歯車油は、自動車又は工業用歯車油の重量に基づいて約0.75~約5重量%の総硫黄レベルを有することができる。いくつかの実施形態では、総硫黄レベルは、約0.8~約4重量%、又は更には約0.9~約3.5重量%、又は約1~約3重量%であり得る。
【0096】
自動車又は工業用歯車油はまた、約0.01~約0.5重量%、又は0.03~約0.35重量%、又は更には約0.05~約0.3重量%の総リンレベルを有することもできる。
【0097】
自動車又は工業用歯車油はまた、約1~約500ppm、又は約5~約450ppm、又は更には約10~約400ppm、又は約25~約350ppm、又は更には約50~約300ppmの総ホウ素レベルを有することができる。
【0098】
リンは、例えば、上記のアミンアルキル(チオ)ホスフェート、又は他のリン含有化合物から、自動車又は工業用歯車油に導入され得る。このような他のリン含有化合物には、例えば、ホスファイト又はホスホネートが含まれ得る。好適なホスファイト又はホスホネートには、3若しくは4個以上、又は8個以上、又は12個以上の炭素原子を有する少なくとも1個のヒドロカルビル基を有するものが含まれる。ホスファイトは、モノヒドロカルビル置換ホスファイト、ジヒドロカルビル置換ホスファイト、又はトリヒドロカルビル置換ホスファイトであり得る。ホスホネートは、モノヒドロカルビル置換ホスホネート、ジヒドロカルビル置換ホスホネート、又はトリヒドロカルビル置換ホスホネートであり得る。
【0099】
一実施形態では、ホスファイトは硫黄を含まない、すなわち、ホスファイトはチオホスファイトではない。
【0100】
ホスファイト又はホスホネートは、式:
【化5】
[式中、少なくとも1個のRは、少なくとも3個の炭素原子を含有するヒドロカルビル基であり得、他のR基は水素であり得る]によって表され得る。一実施形態では、R基のうちの2個はヒドロカルビル基であり、3個目は水素である。一実施形態では、各R基はヒドロカルビル基であり、すなわち、ホスファイトはトリヒドロカルビル置換ホスファイトである。ヒドロカルビル基は、アルキル、シクロアルキル、アリール、非環式又はそれらの混合物であってもよい。
【0101】
当技術分野において、ホスホネート(すなわち、R=ヒドロカルビルを有する式XI)は、亜ホスフェートエステルと称されることもある。式XIIのR基のうちの1つがH基である場合、その化合物は一般にホスファイトと見なされるが、そのような化合物は、式XI及びXIIの互変異性体間に存在し得ることが多く、したがって、ホスホネート又は亜ホスフェートエステルとも称され得る。参照を容易にするために、本明細書で使用されるホスファイトという用語は、ホスファイト及びホスホネートの両方を包含すると見なされる。
【0102】
Rヒドロカルビル基は、直鎖又は分岐、典型的には直鎖、及び飽和又は不飽和であり得る。
【0103】
一実施形態では、他のリン含有化合物は、C3~8ヒドロカルビルホスファイト、又はその混合物であり得、すなわち、各Rは、独立して、水素又は3~8個若しくは4~6個の炭素原子、典型的には4個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であってもよい。典型的には、C3~8ヒドロカルビルホスファイトは、亜リン酸ジブチルを含む。
【0104】
一実施形態では、リン含有化合物は、C12~22ヒドロカルビルホスファイト、又はその混合物であり得、すなわち、各Rは、独立して、水素又は12~24個若しくは14~20個の炭素原子、典型的には16~18個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であり得る。典型的には、C12~22ヒドロカルビルホスファイトは、C16~18ヒドロカルビルホスファイトを含む。R、R、及びRのアルキル基の例としては、オクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、オクタデセニル基、ノナデシル基、エイコシル基、又はそれらの混合物が挙げられる。C12~22ヒドロカルビルホスファイトは、自動車又は工業用歯車油の約0.05重量%~約4.0重量%、又は自動車又は工業用歯車油の約0.05重量%~約3重量%、又は約0.05重量%~約1.5重量%、又は約0.05重量%~約1重量%、又は約0.1重量%~約0.5重量%、又は約0.7重量%~約1.4重量%で、自動車又は工業用歯車油中に存在してもよい。
【0105】
いくつかの実施形態では、他のリン含有化合物は、C3~8及びC12~C24ヒドロカルビルホスファイトの両方を含み得る。
【0106】
一実施形態において、亜ホスフェートエステルは、(a)モノマーリン酸又はそのエステルと、(b)少なくとも2種のアルキレンジオールと、の反応生成物を含み、第1のアルキレンジオールは(i)1,4又は1,5又は1,6の関係で2個のヒドロキシ基を有し、第2のアルキレンジオール(ii)はアルキル置換1,3-プロピレングリコールである。
【0107】
硫黄含有ホスファイトは、例えば、式[RO(OR)(S)PSC(C)(O)ORO]P(OR2-n(O)H[式中、R及びRは、それぞれ独立して3~12個の炭素原子又は6~8個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であるか、又はR及びRは、隣接するO及びP原子とともに2~6個の炭素原子を含む環を形成し、Rは、2~6個の炭素原子又は2~4個の炭素原子を有するアルキレン基であり、Rは、水素又は1~約12個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であり、nは1又は2である]によって示される材料を含み得る。C12~22ヒドロカルビルホスファイトは、自動車又は工業用歯車油の約0.05重量%~約1.5重量%、又は約0.7重量%~約1.4重量%、又は自動車又は工業用歯車油の約0.1重量%~約1.0重量%で、自動車又は工業用歯車油中に存在してもよい。
【0108】
一実施形態では、他のリン含有化合物は、リン含有アミドであり得る。リン含有アミドは、ジチオホスフェートと不飽和アミドとの反応によって調製され得る。不飽和アミドの例としては、アクリルアミド、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、メタクリルアミド、クロトンアミドなどが挙げられる。リン酸と不飽和アミドとの反応生成物は、ホルムアルデヒド又はパラホルムアルデヒドなどの結合又はカップリング化合物と更に反応されてもよい。リン含有アミドは当技術分野で知られており、米国特許第4,670,169号、同第4,770,807号及び同第4,876,374号に開示されており、これらはリンアミド及びそれらの調製の開示について参照することにより組み込まれる。
【0109】
自動車又は工業用歯車油はまた、防錆剤を含むこともできる。防錆剤には、アミン基、エーテル基、ヒドロキシル基、カルボン酸、エステル、又は塩基、又は窒素含有複素環基のうちの1つ以上を有する有機化合物が含まれる。例としては、オレイルアミンなどの脂肪アミン、イソプロパノールアミンなどのヒドロキシアミン、ヒドロキシアミンと脂肪酸との縮合物(トール油脂肪酸とジエタノールアミン又はN-ヒドロキシエチルエチレンジアミンとの生成物など)、カルボン酸、エステル、及び塩(アルキル置換コハク酸、エステル、及びアミン又はアンモニウム塩、例えば、コハク酸及びプロピレンオキシドからのモノ又はジエステルなど)、及び複数の機能を有する化合物が挙げられる。後者の例には、アミド及び酸官能基を有するサルコシン誘導体(例えば、RCO--NR--CH--COOH)が挙げられる。窒素含有複素環を有する材料には、トリルトリアゾール及びトリアジン塩などのトリアゾール化合物が含まれる。他の防錆剤には、エトキシル化フェノールが含まれる。他の防錆剤には、ワックス又は油の部分酸化によって形成されてもよい様々な酸化物質が含まれる。例としては、パラフィン油酸化物、ワックス酸化物、及び石油酸化物が挙げられる。他の防錆剤には、長鎖アルケニルアミドボレートなどの有機ホウ素化合物が含まれる。更に他のものには、スルホン酸ナトリウム及びアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルカリ金属スルホン酸塩が含まれる。
【0110】
他の防錆剤には、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、シュウ酸、グリコール酸、ヒドロキシプロピオン酸、及びヒドロキシグルタル酸などのヒドロキシ酸のエステルが含まれる。これらの例には、C6~12又はC6~10又はC8~10アルコールから形成される酒石酸エステル(すなわち、特にジエステル)を含むエステル、例えば、酒石酸イソトリデシル、酒石酸2-エチルヘキシル、及びC12~14直鎖アルコール/C13分岐アルコール(例えば、80:20~95:5比又は90:10比)の混合酒石酸エステルが含まれる。そのような物質のアミド及びイミドもまた有用であり得る。
【0111】
更に他の防錆剤には、ポリエーテルが含まれる。これらには、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、並びにエチレンオキシド及びプロピレンオキシドのコポリマーなどのポリアルキレンオキシドが含まれる。このようなポリエーテルは、ブチル基などのアルキル基で一端がキャップされていてもよい。このタイプの材料は市販されており、ブチルキャップのポリプロピレンオキシド又はブチルキャップのエチレンオキシド-プロピレンオキシドコポリマーであると考えられる。そのような物質は、鎖の一端にヒドロキシ基を含む場合、ポリエーテルアルコール又はポリエーテルポリオールと称されてもよい。
【0112】
一実施形態では、防錆剤はポリエーテルであり得る。他の実施形態では、防錆剤は、脂肪族アミン、ヒドロキシアミンと脂肪酸との縮合物、カルボン酸、エステル、又は塩、サルコシン誘導体、トリアゾール化合物、エトキシル化フェノール、部分的に酸化されたワックス又は油、長鎖アルケニルアミドボレート、ヒドロキシ酸のエステル、又はスルホン酸ナトリウムのうちの1つ以上であり得る。
【0113】
防錆剤は、自動車又は工業用歯車油の0.02~2重量パーセント、代替実施形態では、0.05~1重量%又は0.1~0.5重量%又は0.1~0.2重量%で存在し得る。
【0114】
自動車又は工業用歯車油は、ASTM D445による100℃での動粘度が2~25cStであってもよい。自動車又は工業用歯車油は、ASTM D445による100℃での動粘度が2~15cStであってもよい。自動車又は工業用歯車油は、ASTM D445による100℃での動粘度が2~12cStであってもよい。自動車又は工業用歯車油は、ASTM D445による100℃での動粘度が2~9cStであってもよい。自動車又は工業用歯車油は、ASTM D445による100℃での動粘度が2~7cStであってもよい。自動車又は工業用歯車油は、ASTM D445による100℃での動粘度が2~6cStであってもよい。自動車又は工業用歯車油は、ASTM D445による100℃での動粘度が2~5cStであってもよい。自動車又は工業用歯車油は、ASTM D445による100℃での動粘度が3~6.5cStであってもよい。自動車又は工業用歯車油は、ASTM D445による100℃での動粘度が3~5.5cStであってもよい。
【0115】
開示された技術は、一般に、自動車又は工業用歯車油を自動車又は工業用歯車に提供し、自動車又は工業用歯車を動作させることによって、自動車又は工業用歯車の動力損失を最小化し、動作温度を低下させる方法を提供する。
【0116】
この技術はまた、歯車を自動車又は工業用歯車油で潤滑し、歯車を動作させることによって、歯車の動作効率を改善する方法を提供する。特に、この技術は、歯車を自動車又は工業用歯車油で潤滑し、歯車を動作させることによって、新しい歯車の動作効率を改善する方法を提供する。「新しい歯車」とは、以前に運転で使用されたことのない歯車を意味する。本明細書で教示された組成物以外の流体下で以前に動作された中古歯車においても、効率が改善され得る。
【0117】
特に、開示された技術は、ドライブライン動力伝達装置を潤滑する方法であって、本明細書に記載の自動車又は工業用歯車油、すなわち、(a)潤滑粘度の油と、(b)本明細書で説明した硫化オレフィンと、(c)ヒドロキシル/アミン含有ブースターと、(d)(i)金属アルキルチオホスフェート、(ii)チアジアゾール官能化分散剤、又は(iii)これらの混合物、のいずれかと、又は場合によっては、(a)潤滑粘度の油と、(b)本明細書で説明した硫化オレフィンと、(c)ヒドロキシル/アミン含有ブースターと、(d)(i)金属アルキルチオホスフェート、(ii)チアジアゾール官能化分散剤、又は(iii)これらの混合物、のいずれかと、(e)アミンアルキル(チオ)ホスフェートと、を含む自動車又は工業用歯車油を、ドライブライン動力伝達装置に供給することと、自動車又は工業用歯車油が、制御された方法で一般的な歯車潤滑剤よりも大幅にドライブライン動力伝達装置の動力損失を最小化して動作温度を低下させるのに十分な期間ドライブライン動力伝達装置を動作させることと、を含む、方法を提供する。この動力損失の減少は、自動車又は工業用歯車油を使用した装置の動作中に測定することができる。
【0118】
ドライブライン動力伝達装置は、車両の歯車ボックス(例えば、マニュアル変速機)、若しくは車軸若しくはディファレンシャル、又は他のドライブライン動力伝達装置におけるような少なくとも2つの歯車を含んでもよい。ドライブライン動力伝達装置はまた、軸受けを含んでもよい。軸受けの転動体は、設計上、円筒状又はボール状であってもよい。潤滑された歯車は、平歯車又は遊星歯車、並びにアンボイド(amboid)、又はスパイラルベベル、又はより一般的には、例えば、駆動車軸におけるものなどのハイポイド歯車を含んでもよい。車軸のギヤ比は、2:1~8:1であり、リングギヤの直径は、約13~64センチメートルであってもよい。車軸には、オープンディファレンシャル又は何らかのタイプのトラクション有効化装置が組み込まれてもよい。車軸は、タンデム又はトライデム設計などの1つ以上の駆動車軸を備えたドライブトレインの一部であってもよく、車軸は動力分配器とともに結合されてもよい。これらの車軸の用途には、軽量、中型、及び大型車両(例えば、職業用又はラインホールサービス)が含まれ、高速道路上又は一般道路で使用され得る。車軸は、従来の石油駆動車両からのものであってもよいし、電気駆動車両、又はそれらのハイブリッドからのものであってもよい。電動車軸では、車両の車軸に直接動力を供給するユニットで電気モータ、パワーエレクトロニクス機器、及び変速機を組み合わせることができる。
【0119】
潤滑剤は、ドライブライン動力伝達装置の通常の動作で、潤滑剤の期待される他の態様を満たすことができるべきである。
【0120】
本明細書で使用される場合、「縮合生成物」という用語は、縮合反応が実際に実行されて生成物を直接導くかどうかに関係なく、エステル、アミド、イミド、及び酸又は酸の反応性等価物(例えば、酸ハロゲン化物、無水物、又はエステル)と、アルコール又はアミンとの縮合反応によって調製され得る他のそのような材料を包含することを意図する。したがって、例えば、特定のエステルは、縮合反応によって直接的にではなく、エステル交換反応によって調製され得る。得られた生成物は依然として縮合生成物と考えられる。
【0121】
説明される各化学成分の量は、他に示されない限り、市販の物質中に慣習的に存在し得るあらゆる溶媒又は希釈油を除いて、即ち活性化学物質基準で表される。しかしながら、別段の指示がない限り、本明細書で言及される各化学物質又は組成物は、異性体、副生成物、誘導体、及び商用グレードで存在すると通常理解される他のそのような物質を含有し得る商用グレードの物質であると解釈されるべきである。
【0122】
本明細書で使用される場合、「ヒドロカルビル置換基」又は「ヒドロカルビル基」という用語は、当業者に周知であるその通常の意味で使用される。具体的には、分子の残りの部分に直接結合した炭素原子を有し、主に炭化水素特性を有する基を指す。ヒドロカルビル基の例としては、
・炭化水素置換基、すなわち、脂肪族(例えば、アルキル又はアルケニル)、脂環式(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル)置換基、並びに芳香族、脂肪族、及び脂環式置換芳香族置換基だけでなく、環が分子の別の部分を介して完成される(例えば、2つの置換基が一緒になって環を形成する)環状置換基、
・置換炭化水素置換基、すなわち、本発明の文脈において、置換基の主に炭化水素の性質を変化させない非炭化水素基を含有する置換基(例えば、ハロ(特にクロロ及びフルオロ)、ヒドロキシ、アルコキシ、メルカプト、アルキルメルカプト、ニトロ、ニトロソ、並びにスルホキシ)、
・ヘテロ置換基、すなわち、本発明の文脈において、主に炭化水素特性を有するが、そうでなければ炭素原子から構成された環又は鎖中に炭素以外を含有し、かつピリジル、フリル、チエニル、及びイミダゾリルとして置換基を包含する置換基が挙げられる。ヘテロ原子としては、硫黄、酸素、及び窒素が挙げられる。一般に、ヒドロカルビル基中の10個の炭素原子ごとに2個以下、又は1個以下の非炭化水素置換基が存在し、代替的に、ヒドロカルビル基中に非炭化水素置換基が存在しない場合がある。
【0123】
本明細書において説明される材料のうちのいくつかは、最終配合物中で相互作用し得るため、最終配合物の成分は、最初に添加されたものとは異なり得ることが既知である。例えば、(例えば洗浄剤の)金属イオンは、他の分子の他の酸性部位又はアニオン性部位に移動することができる。それによって形成される生成物は、その意図された用途において本発明の組成物を用いる際に形成される生成物を含めて、容易に説明することができない場合がある。それにもかかわらず、全てのそのような修飾及び反応生成物は、本発明の範囲内に含まれる。本発明は、上で説明される混合することによって調製される組成物を包含する。
【0124】
本明細書の本発明は、以下の実施例を参照することにより、より良く理解され得る。
【実施例
【0125】
以下の表1及び表2の配合に従って、一連の完全に配合された自動車用歯車油を調製した。
【表1】
【0126】
サンプル1~5の配合物は、表に列挙した添加されたヒドロキシル/アミン含有ブースターを除いて同一である。化合物の同一性は、以下の表1Aに記載されている。
【表1A】
【0127】
サンプル1及び2は、列挙したアルカノールアミンを含有する。サンプル3は、いかなるヒドロキシル/アミンブースターも含有せず、サンプル4及び5は、第三級アルカノールアミン、及びヒドロカルビルアミンのみを含有する。添加されるヒドロキシル/アミンブースター及び/又は比較アミンの重量パーセントは配合物ごとに異なるが、列挙されたヒドロキシル/アミンブースター及び/又は比較アミンを、同じモル濃度で最終流体(0.052mmol)に添加した。
【0128】
表2は表1と非常によく似ており、3つの追加の流体のレシピを表す。これらのサンプルは、サンプル1~5に匹敵するが、全て異なる分散系を含有し、摩擦調整剤を欠いている。サンプル6は、ヒドロキシル/アミンブースターを含有する。サンプル7は、ヒドロキシル/アミンブースターも比較アミンも有さず、サンプル8は、比較オレイルアミンを含有する。
【表2】
【0129】
次のガイドライン及び手順に従って、各流体についての車軸効率試験が完了された。
【0130】
使用した車軸は、北米のティアワンサプライヤーから入手した。各効率試験は、新しい車軸を使用し、温度制御なしで実行された。温度を経時的に自己安定化させた。表3は、4つの異なるピニオン速度及び5つの異なるピニオン荷重を含む16組の条件を表す速度-荷重マップである。
【表3】
【0131】
試験は、各ステージ1~16で順番に実行される。流体が全16ステージに供されると1サイクルが完了する。試験は、10サイクル繰り返される。動力損失及び流体温度は、各ステージの後に測定され、記録される。ここで報告されている動力損失及び温度のデータは、手順のステージ7、11及び16のものである。動作温度が160℃に達すると、そのステージの残りの間、160℃以下の温度を保持するために冷却水が適用される。ステージ16は、流体を最高速度及び最高荷重条件の両方にさらす。それは電力が最も高いステージであるので、他のステージよりも動力損失及び動作温度の顕著な差を示す。サイクル1、サイクル3、及びサイクル10からのデータが、各流体について報告される。選択された試験は、示されている場合、2回又は3回繰り返した。動力損失及び動作温度の両方を最小限に抑えることが最も望ましい。
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【0132】
各データセットにおいて、ヒドロキシル/アミンブースターを含有する配合物は、最も低い動力損失及び最も低い動作温度を示した。表4~6において、DEEA及びオレイルアミンと比較したヒドロキシル/アミンブースター1-アミノ-2-プロパノール及び2-アミノエタノールの影響は、構造IIの定義内の化合物が動力損失を低下させ、動作温度を低下させる能力を示す。表7~9は、構造IIのヒドロキシル/アミノブースターを含まないか、又はオレイルアミンを使用する流体と比較して、1-アミノ-2-エタノールが動力損失を低下させ、動作温度を低下させる能力を示す。
【0133】
動力損失及び動作温度に対する1-アミノ-2-プロパノールの影響を、ZDDPをDMTDで後処理されたエステルアミド分散剤で置き換えたことを除いて、上記と同様の配合物において研究した。サンプル9は1-アミノ-2-プロパノールを含有していた。サンプル10はサンプル9と同一であったが、1-アミノ-2-プロパノールが存在しなかった。サンプル11は、ヒドロキシル/アミンブースターの代わりに比較オレイルアミンを含有した。
【表10】
【0134】
サンプル9、10及び11は、前述した同じ車軸効率試験を用いて評価された。選択された結果を以下の表11、12、及び13に見ることができる。
【表11】
【表12】
【表13】
【0135】
動力損失及び動作温度に対するエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレンジアミン、及びオレイルプロピレンジアミンの影響を、表1と同様の配合物において研究した。サンプル12はエチレングリコールを含有し、サンプル13はプロピレングリコールを含有し、サンプル14はエチレンジアミンを含有し、サンプル15はオレイルプロピレンジアミンを含有していた。
【表14】
【0136】
化合物の同一性は、以下の表14Aに記載されている。
【表14A】
【0137】
サンプル12、13、14及び15は、前述した同じ車軸効率試験を用いて評価された。選択された結果を以下の表15、16、及び17に見ることができる。
【表15】
【表16】
【表17】
【0138】
エチレンジアミンを含有するサンプル14は、最も低い動力損失及び最も低い動作温度を示した。サンプル12、13及び15について記録されたデータは、より高い動力損失及び動作温度を示す。
【0139】
上記で言及した文献の各々は、上記に具体的に列挙されているか否かにかかわらず、優先権が主張される任意の先行出願を含めて、参照により本明細書に組み込まれる。任意の文献の言及は、そのような文献が先行技術として適格であること、又は任意の管轄区域における当業者の一般知識を構成することを認めるものではない。実施例を除いて、又は他に明示的に示される場合を除いて、材料の量、反応条件、分子量、炭素原子の数などを特定する本説明における全ての数量は、任意選択的に「約(about)」という語によって修飾されるものとして理解されるべきである。本明細書に記載される量、範囲、及び比の上限及び下限は、独立して組み合わされ得ることが理解されるべきである。同様に、本発明の各要素についての範囲及び量は、他の要素のうちのいずれかについての範囲又は量と一緒に使用することができる。
【0140】
本明細書で使用される場合、「含む(including)」、「含有する(containing)」、又は「を特徴とする(characterized by)」と同義である移行用語「含む(comprising)」は、包括的又はオープンエンドであり、追加の列挙されていない要素又は方法工程を除外しない。しかしながら、本明細書における「含む」の各記載において、この用語がまた、代替的な実施形態として、「から本質的になる」及び「からなる」という句を包含することも意図され、ここで、「からなる」は、特定されていない任意の要素又は工程を排除し、「から本質的になる」は、考慮中の組成物又は方法の本質的又は基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を及ぼさない追加の記載されていない要素又は工程の包含を許容する。「からなる」又は「から本質的になる」という表現は、特許請求項の要素に適用される場合、特許請求項のどこかに「含む」が存在しているにもかかわらず、その要素によって表されるタイプの全ての種を制限することを意図する。
【0141】
a)潤滑粘度の油と、b)式:R-S-R[式中、R1及びRは、別々に2~6個の炭素原子を含むオレフィンから誘導され、xは1~10の整数である]の硫化オレフィンの混合物を含む0.01~10重量%の硫化オレフィンであって、ただし、硫化オレフィンが約10~約50重量%の硫黄含有量を有することを条件とする、硫化オレフィンと、c)25~10,000ppmのヒドロキシル/アミン含有ブースターと、d)(i)0.1~2重量%の金属アルキルチオホスフェート、(ii)0.1~8重量%のチアジアゾール官能化分散剤、(iii)(i)及び(ii)の混合物、のうちの少なくとも1つと、を含む、自動車又は工業用歯車油。
【0142】
潤滑粘度の油は、グループIの油を含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0143】
潤滑粘度の油は、グループIIの油を含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0144】
潤滑粘度の油は、グループIIIの油を含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0145】
潤滑粘度の油は、グループIII+油を含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0146】
潤滑粘度の油は、グループIVの油を含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0147】
潤滑粘度の油は、グループVの油を含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0148】
潤滑粘度の油は、ASTM D445による100℃で1.5~7.5mm/秒の動粘度を有する、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0149】
潤滑粘度の油は、ASTM D445による100℃で2~7mm/秒の動粘度を有する、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0150】
潤滑粘度の油は、ASTM D445による100℃で2.5~6.5mm/秒の動粘度を有する、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0151】
潤滑粘度の油は、ASTM D445による100℃で3~6mm/秒の動粘度を有する、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0152】
潤滑粘度の油は、ポリアルファオレフィンを含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0153】
少なくとも1つのヒドロキシル/アミン含有ブースターが、約25ppm~約10,000ppmで存在する、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0154】
少なくとも1つのヒドロキシル/アミン含有ブースターが、約50ppm~約9,000ppmで存在する、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0155】
少なくとも1つのヒドロキシル/アミン含有ブースターが、約75ppm~約8,000ppmで存在する、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0156】
少なくとも1つのヒドロキシル/アミン含有ブースターが、約100ppm~7,000ppmで存在する、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0157】
少なくとも1つのヒドロキシル/アミン含有ブースターが、約100ppm~1000ppmで存在する、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0158】
少なくとも1つのヒドロキシル/アミン含有ブースターが、約100ppm~500ppmで存在する、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0159】
少なくとも1つのヒドロキシル/アミン含有ブースターが、約200ppm~800ppmで存在する、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0160】
少なくとも1つのヒドロキシル/アミン含有ブースターが、約300ppm~700ppmで存在する、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0161】
ヒドロキシル/アミン含有ブースターが、構造I:
【化6】
[式中、
nは0又は1であり、
Xは、ヒドロキシル又は1~9個の炭素原子を有する第一級若しくは第二級アミンであり、
Yは、ヒドロキシル又は1~9個の炭素原子を有する第一級若しくは第二級アミンであり、
W及びZは、個別に、H原子、又は追加のヒドロキシル若しくはアミノ基の任意選択の置換を有する1~9個の炭素原子のアルキル基であり、
(W中の炭素)+(Z中の炭素)+nの合計は10以下である]のアルカノールアミンを含む、それから本質的になる、それからなる、先行文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0162】
ヒドロキシル/アミン含有ブースターが、構造II:
【化7】
[式中、W、X、Y及びZは上で定義した通りである]のアルカノールアミンを含む、それから本質的になる、それからなる、先行文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0163】
ヒドロキシル/アミン含有ブースターが、ポリオールを含む、先行文に記載の自動車又は工業用歯車油。ヒドロキシル/アミン含有ブースターが含む、先行文に記載の自動車用又は工業用ギヤ油、ヒドロキシル/アミン含有ブースターがブタンジオールを含む、先行文に記載の自動車用又は工業用ギヤ油。ヒドロキシル/アミン含有ブースターが、2,3-ブタンジオールを含む、先行文に記載の自動車又は工業用歯車油。ヒドロキシル/アミン含有ブースターが、ペンタンジオールを含む、先行文に記載の自動車又は工業用歯車油。ヒドロキシル/アミン含有ブースターが、2,4-ペンタンジオールを含む、先行文に記載の自動車又は工業用歯車油。ヒドロキシル/アミン含有ブースターが、ヘキサンジオールを含む、先行文に記載の自動車又は工業用歯車油。ヒドロキシル/アミン含有ブースターが、1,3-ヘキサンジオールを含む、先行文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0164】
ヒドロキシル/アミン含有ブースターが、ポリアミンを含む、先行文に記載の自動車又は工業用歯車油。ヒドロキシル/アミン含有ブースターが、アルキレンジアミンを含む、先行文に記載の自動車又は工業用歯車油。ヒドロキシル/アミン含有ブースターが、N-アルキルアルキレンジアミンを含む、先行文に記載の自動車又は工業用歯車油。ヒドロキシル/アミン含有ブースターが、ポリアルキレンポリアミンを含む、先行文に記載の自動車又は工業用歯車油。ヒドロキシル/アミン含有ブースターが、エチレンジアミンを含む、先行文に記載の自動車又は工業用歯車油。ヒドロキシル/アミン含有ブースターが、1,2-ジアミノプロパンを含む、先行文に記載の自動車又は工業用歯車油。ヒドロキシル/アミン含有ブースターが、N-メチルエチレンジアミンを含む、先行文に記載の自動車又は工業用歯車油。ヒドロキシル/アミン含有ブースターが、1,3-プロピレンジアミンを含む、先行文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0165】
ヒドロキシル/アミン含有ブースターが、アルカノールアミンを含む、先行文に記載の自動車又は工業用歯車油。ヒドロキシル/アミン含有ブースターが、2-アミノエタノールを含む、先行文に記載の自動車又は工業用歯車油。ヒドロキシル/アミン含有ブースターが、2-アミノ-1-プロパノールを含む、先行文に記載の自動車又は工業用歯車油。ヒドロキシル/アミン含有ブースターが、1-アミノ-2-プロパノールを含む、先行文に記載の自動車又は工業用歯車油。ヒドロキシル/アミン含有ブースターが、4-アミノ-2-ペンタノールを含む、先行文に記載の自動車又は工業用歯車油。ヒドロキシル/アミン含有ブースターが、3-アミノ-2-ブタノールを含む、先行文に記載の自動車又は工業用歯車油。ヒドロキシル/アミン含有ブースターが、N-メチルエタノールアミンを含む、先行文に記載の自動車又は工業用歯車油。ヒドロキシル/アミン含有ブースターが、N-メチル-2-アミノ-1-プロパノールを含む、先行文に記載の自動車又は工業用歯車油。ヒドロキシル/アミン含有ブースターが、N-メチルイソプロパノールアミンを含む、先行文に記載の自動車又は工業用歯車油。ヒドロキシル/アミン含有ブースターが、N-メチル-3-アミノ-2-ブタノールを含む、先行文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0166】
ヒドロキシル/アミン含有ブースターが、式:
【化8】
[式中、Xはヒドロキシル基であり、
Yは、第一級アミンであり、
ZはH原子である]のアルカノールアミンを含む、それから本質的になる、それからなる、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0167】
ヒドロキシル/アミン含有ブースターが、式:
【化9】
[式中、Xはヒドロキシル基であり、
Yは、第一級アミンであり、
Zは、1~9個の炭素原子のアルキル基である]のアルカノールアミンを含む、それから本質的になる、それからなる、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0168】
ヒドロキシル/アミン含有ブースターが、式:
【化10】
[式中、Xは、第一級アミンであり、
Yは、ヒドロキシル基であり、
Zは、H原子である]のアルカノールアミンを含む、それから本質的になる、それからなる、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0169】
ヒドロキシル/アミン含有ブースターが、式:
【化11】
[式中、Xは、第一級アミンであり、
Yは、ヒドロキシル基であり、
Zは、1~9個の炭素原子のアルキル基である]のアルカノールアミンを含む、それから本質的になる、それからなる、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0170】
ヒドロキシル/アミン含有ブースターが、式:
【化12】
[式中、Xは、第二級アミンであり、
Yは、ヒドロキシル基であり、
ZはH原子である]のアルカノールアミンを含む、それから本質的になる、それからなる、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0171】
ヒドロキシル/アミン含有ブースターが、式:
【化13】
[式中、Xは、第二級アミンであり、
Yは、ヒドロキシル基であり、
【0172】
Zは、1~9個の炭素原子のアルキル基である]のアルカノールアミンを含む、それから本質的になる、それからなる、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0173】
硫化オレフィンのR及びRが、別々に3~5個の炭素原子含有オレフィンから誘導される、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0174】
硫化オレフィンのR及びRのうちの少なくとも1つが、別々にブチレンから誘導される、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0175】
硫化オレフィンのR及びRのうちの少なくとも1つが、別々にイソブチレンから誘導される、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0176】
硫化オレフィンのR及びRのうちの少なくとも1つが、別々にアミレンから誘導される、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0177】
硫化オレフィンのR及びRのうちの少なくとも1つが、別々にイソアミレンから誘導される、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0178】
硫化オレフィンのR及びRのうちの少なくとも1つが、別々にジイソブチレンから誘導される、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0179】
硫化オレフィンのR及びRのうちの少なくとも1つが、別々に前述のオレフィンのいずれかの混合物から誘導される、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0180】
硫化オレフィン中のオレフィン化合物1モル当たりの硫黄及び硫化水素の量は、それぞれ約0.3~2.0グラム原子及び約0.1~1.5モルである、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0181】
硫化オレフィン中のオレフィン化合物1モル当たりの硫黄及び硫化水素の量は、それぞれ約0.5~1.5グラム原子及び約0.4~1.25モルである、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0182】
硫化オレフィン中のオレフィン化合物1モル当たりの硫黄及び硫化水素の量は、それぞれ約0.7~1.2グラム原子及び約0.4~0.8モルである、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0183】
硫化オレフィンが、0.1~8重量%で存在する、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0184】
硫化オレフィンが、0.2~6重量%で存在する、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0185】
硫化オレフィンが、0.5~5重量%で存在する、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0186】
硫化オレフィンが、0.5~3重量%の硫黄を歯車油に提供する、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0187】
硫化オレフィンが、0.75~2.75重量%の硫黄を歯車油に提供する、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0188】
硫化オレフィンが、1~2.5重量%の硫黄を歯車油に提供する、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0189】
硫化オレフィンの硫黄含有量が、10~50重量%である、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0190】
硫化オレフィンの硫黄含有量が、15~50重量%である、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0191】
硫化オレフィンの硫黄含有量が、20~48重量%である、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0192】
硫化オレフィンの硫黄含有量が、25~46重量%である、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0193】
硫化オレフィンの硫黄含有量が、30~50%である、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0194】
硫化オレフィンの硫黄含有量が、40~50重量%である、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0195】
硫化オレフィンの硫黄含有量が、18~32重量%である、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0196】
硫化オレフィンの硫黄含有量が、20~30重量%である、先行文のいずれか一文に記載の自動車(utomotive)又は工業用歯車油。
【0197】
0.01~5.0重量%のアミンアルキル(チオ)ホスフェート化合物を更に含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0198】
0.2~3重量%のアミンアルキル(チオ)ホスフェート化合物を更に含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0199】
0.6~2重量%のアミンアルキル(チオ)ホスフェート化合物を更に含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0200】
0.7~1.75重量%のアミンアルキル(チオ)ホスフェート化合物を更に含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0201】
0.2~1.2重量%のアミンアルキル(チオ)ホスフェート化合物を更に含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0202】
0.5~2.0重量%のアミンアルキル(チオ)ホスフェート化合物を更に含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0203】
0.55~1.4重量%のアミンアルキル(チオ)ホスフェート化合物を更に含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0204】
0.6~1.3重量%のアミンアルキル(チオ)ホスフェート化合物を更に含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0205】
0.7~1.2重量%のアミンアルキル(チオ)ホスフェート化合物を更に含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0206】
1~2重量%のアミンアルキル(チオ)ホスフェート化合物を更に含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0207】
1.5~2重量%のアミンアルキル(チオ)ホスフェート化合物を更に含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0208】
1.2~1.8重量%のアミンアルキル(チオ)ホスフェート化合物を更に含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0209】
1.8~2.2重量%のアミンアルキル(チオ)ホスフェート化合物を更に含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0210】
200~3000ppmの量でリンを歯車油に提供するのに適したアミンアルキル(チオ)ホスフェート化合物を更に含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0211】
400~2000ppmの量でリンを歯車油に提供するのに適したアミンアルキル(チオ)ホスフェート化合物を更に含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0212】
300~2000ppmの量でリンを歯車油に提供するのに適したアミンアルキル(チオ)ホスフェート化合物を更に含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0213】
600~1500ppmの量でリンを歯車油に提供するのに適したアミンアルキル(チオ)ホスフェート化合物を更に含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0214】
700~1100ppmの量でリンを歯車油に提供するのに適したアミンアルキル(チオ)ホスフェート化合物を更に含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0215】
900~1900ppmの量でリンを歯車油に提供するのに適したアミンアルキル(チオ)ホスフェート化合物を更に含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0216】
1100~1800ppmの量でリンを歯車油に提供するのに適したアミンアルキル(チオ)ホスフェート化合物を更に含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0217】
1200~1600ppmの量でリンを歯車油に提供するのに適したアミンアルキル(チオ)ホスフェート化合物を更に含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0218】
1500~2000ppmの量でリンを歯車油に提供するのに適したアミンアルキル(チオ)ホスフェート化合物を更に含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0219】
アミンアルキル(チオ)ホスフェートがアミンホスフェートを含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0220】
アミンホスフェートは、硫黄を実質的に含まないアルキルホスフェートアミン塩を含み、リン原子の少なくとも約30モルパーセントは、アルキルピロホスフェート塩構造にあり、アルキル基の少なくとも約80モルパーセントは、約3~約12個の炭素原子の第二級アルキル基である、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0221】
アミンホスフェートは、硫黄を実質的に含まないアルキルホスフェートアミン塩を含み、リン原子の少なくとも約30モルパーセントは、アルキルピロホスフェート塩構造にあり、そのような硫黄を含まないアルキルホスフェートにおけるアルキル基の少なくとも約25モルパーセントは、約3~約12個の炭素原子の第一級アルキル基であり得る、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0222】
アミンが2-エチルヘキシルアミンを含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0223】
アミンアルキル(チオ)ホスフェートがアミンアルキルチオホスフェートを含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0224】
アミンアルキルチオホスフェートのアルキルチオホスフェートがジアルキルジチオホスフェートを含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0225】
アミンがC~C20アルキルアミンを含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0226】
金属アルキルチオホスフェートは、以下の式によって表され、
【化14】
式中、R25及びR26は独立して水素、ヒドロカルビル基又はそれらの混合物である、ただし、R25及びR26のうちの少なくとも1つはヒドロカルビル基である、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0227】
金属アルキルチオホスフェートが、R25及びR26が独立して水素、アルキル若しくはシクロアルキル基、又はそれらの混合物であるが、ただし、R25及びR26のうちの少なくとも1つが1~30個の炭素原子を有するアルキル又はシクロアルキル基であることを条件とする、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0228】
金属アルキルチオホスフェートが、R25及びR26が独立して水素、アルキル若しくはシクロアルキル基、又はそれらの混合物であるが、ただし、R25及びR26のうちの少なくとも1つが2~20個の炭素原子を有するアルキル又はシクロアルキル基であることを条件とする、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0229】
金属アルキルチオホスフェートが、R25及びR26が独立して水素、アルキル若しくはシクロアルキル基、又はそれらの混合物であるが、ただし、R25及びR26のうちの少なくとも1つが2~15個の炭素原子を有するアルキル又はシクロアルキル基であることを条件とする、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0230】
金属アルキルチオホスフェートが、R25及びR26が独立して水素、アルキル若しくはシクロアルキル基、又はそれらの混合物であるが、ただし、R25及びR26のうちの少なくとも1つが2~8個の炭素原子を有する第二級アルキル基であることを条件とする、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0231】
金属アルキルチオホスフェートが、R25及びR26が独立して水素、アルキル若しくはシクロアルキル基、又はそれらの混合物であるが、ただし、R25及びR26のうちの少なくとも1つが3~6個の炭素原子を有する第二級アルキル基であることを条件とする、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0232】
金属アルキルチオホスフェートは、ジアルキルジチオホスフェート亜鉛を含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0233】
ジアルキルジチオホスフェート亜鉛は、第二級ジアルキルジチオホスフェート亜鉛を含む、それから本質的になる、又はそれからなる、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0234】
ジアルキルジチオホスフェート亜鉛のアルキルが、3~6個の炭素原子を含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0235】
ジアルキルジチオホスフェート亜鉛のアルキルが、3個の炭素原子を含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0236】
ジアルキルジチオホスフェート亜鉛のアルキルが、6個の炭素原子を含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0237】
ジアルキルジチオホスフェート亜鉛が、0.02~0.2重量%の亜鉛を自動車又は工業用歯車油に提供する、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0238】
ジアルキルジチオホスフェート亜鉛が、0.02~0.095重量%の亜鉛を自動車又は工業用歯車油に提供する、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0239】
ジアルキルジチオホスフェート亜鉛が、0.0225~0.085重量%の亜鉛を自動車又は工業用歯車油に提供する、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0240】
ジアルキルジチオホスフェート亜鉛が、0.025~0.075重量%の亜鉛を自動車又は工業用歯車油に提供する、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0241】
ジアルキルジチオホスフェート亜鉛が、0.15~0.8重量%存在する、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0242】
ジアルキルジチオホスフェート亜鉛が、0.2~0.75重量%存在する、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0243】
ジアルキルジチオホスフェート亜鉛が、0.25~0.7重量%存在する、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0244】
ジアルキルジチオホスフェート亜鉛が、0.0225~0.19重量%の亜鉛を自動車又は工業用歯車油に提供する、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0245】
ジアルキルジチオホスフェート亜鉛が、0.025~0.18重量%の亜鉛を自動車又は工業用歯車油に提供する、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0246】
ジアルキルジチオホスフェート亜鉛が、0.2~2重量%存在する、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0247】
ジアルキルジチオホスフェート亜鉛が、0.225~1.9重量%存在する、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0248】
ジアルキルジチオホスフェート亜鉛が、0.25~1.8重量%存在する、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0249】
チアジアゾール官能化分散剤が、0.3~4重量%存在する、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0250】
チアジアゾール官能化分散剤が、0.35~3重量%存在する、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0251】
チアジアゾール官能化分散剤が、(i)分散剤基材と、(ii)チアジアゾール化合物と、任意選択的に(iii)1,3二酸及び1,4二酸からなる群から選択される芳香族化合物のジカルボン酸と、(iv)任意選択的にホウ素化剤と、(v)任意選択的に亜リン酸化合物と、を含む成分を一緒に加熱することによって調製され、当該加熱は、潤滑粘度の油に可溶性である、(i)、(ii)、(iii)及び任意選択的に(iv)、及び任意選択的に(v)の生成物を提供するのに十分である、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0252】
チアジアゾール官能化分散剤が、チアジアゾール化合物を分散剤基材とともに加熱すること、反応させること、及び錯体化させることからなる群から選択される方法によって調製される、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0253】
チアジアゾール官能化分散剤の分散剤基材が、スクシンイミド分散剤を含む、それから本質的になる、それからなる、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0254】
チアジアゾール官能化分散剤の分散剤基材が、マンニッヒ分散剤を含む、それから本質的になる、それからなる、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0255】
チアジアゾール官能化分散剤の分散剤基材が、エステル含有分散剤を含む、それから本質的になる、それからなる、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0256】
チアジアゾール官能化分散剤の分散剤基材が、脂肪ヒドロカルビルモノカルボン酸アシル化剤とアミン又はアンモニアとの縮合生成物を含む、それから本質的になる、それからなる、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0257】
チアジアゾール官能化分散剤の分散剤基材が、アルキルアミノフェノール分散剤を含む、それから本質的になる、それからなる、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0258】
チアジアゾール官能化分散剤の分散剤基材が、ヒドロカルビル-アミン分散剤を含む、それから本質的になる、それからなる、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0259】
チアジアゾール官能化分散剤の分散剤基材が、ポリエーテル分散剤を含む、それから本質的になる、それからなる、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0260】
チアジアゾール官能化分散剤の分散剤基材が、ポリエーテルアミン分散剤を含む、それから本質的になる、それからなる、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0261】
チアジアゾール官能化分散剤の分散剤基材が、分散剤官能基を含有する粘度調整剤を含む、それから本質的になる、それからなる、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0262】
チアジアゾール官能化分散剤の分散剤基材が、前述の分散剤(disepersant)のいずれかを含む、それから本質的になる、それからなる、又はそれらの混合物である、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0263】
チアジアゾール官能化分散剤の分散剤基材が、スクシンイミド分散剤を含み、それから本質的になり、それからなり、スクシンイミド分散剤分子の約0又は0.1モル%~約50モル%未満が炭素環を含有する、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0264】
チアジアゾール官能化分散剤のチアジアゾールが、ジメルカプトチアジアゾールを含む、それから本質的になる、それからなる、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0265】
チアジアゾール官能化分散剤のチアジアゾールが、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾールを含む、それから本質的になる、それからなる、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0266】
チアジアゾール官能化分散剤のチアジアゾールが、3,5-ジメルカプト-1,2,4-チアジアゾールを含む、それから本質的になる、それからなる、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0267】
チアジアゾール官能化分散剤のチアジアゾールが、3,4-ジメルカプト-1,2,5-チアジアゾールを含む、それから本質的になる、それからなる、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0268】
チアジアゾール官能化分散剤のチアジアゾールが、4-5-ジメルカプト-1,2,3-チアジアゾールを含む、それから本質的になる、それからなる、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0269】
分散剤基材のチアジアゾール官能化分散剤のチアジアゾール化合物に対する重量比が、約0.1超~約10の範囲である、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0270】
分散剤基材のチアジアゾール官能化分散剤のチアジアゾール化合物に対する重量比が、約0.1超~約9の範囲である、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0271】
2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾールを更に含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0272】
潤滑剤が約0.75~約5重量%の総硫黄レベルを含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0273】
潤滑剤が、約0.8~約4重量%の総硫黄レベルを含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0274】
潤滑剤が、約0.9~約3.5重量%の総硫黄レベルを含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0275】
潤滑剤が、約1~約3重量%の総硫黄レベルを含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0276】
潤滑剤が約0.01~約0.5重量%の総リンレベルを含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0277】
潤滑剤が、約0.03~約0.35重量%の総リンレベルを含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0278】
潤滑剤が、約0.05~約0.3重量%の総リンレベルを含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0279】
潤滑剤が、約1~約500ppmの総ホウ素レベルを含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0280】
潤滑剤が、約5~約450ppmの総ホウ素レベルを含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0281】
潤滑剤が、約10~約400ppmの総ホウ素レベルを含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0282】
潤滑剤が、約25~約350ppmの総ホウ素レベルを含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0283】
潤滑剤が、約50~約300ppmの総ホウ素レベルを含む、先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油。
【0284】
ドライブライン動力伝達装置における動力損失を最小化する方法であって、ドライブライン動力伝達装置に先行文のいずれか一文に記載の自動車又は工業用歯車油を提供することと、ドライブライン動力伝達装置を動作させることと、を含む方法。
【0285】
ドライブライン動力伝達装置が車軸を含む、先行文のいずれか一文に記載の方法。
【0286】
ドライブライン動力伝達装置が軸受けを含む、先行文のいずれか一文に記載の方法。
【0287】
ドライブライン動力伝達装置が歯車を含む、先行文のいずれか一文に記載の方法。
【0288】
歯車の動作温度を最小化する方法であって、上記自動車又は工業用歯車油を対象とする先行文のいずれか一文で特許請求された自動車又は工業用歯車油で歯車を潤滑することと、歯車を動作させることと、を含む方法。
【0289】
歯車の動作効率を改善する方法であって、上記自動車又は工業用歯車油を対象とする先行文のいずれか一文で特許請求された自動車又は工業用歯車油で歯車を潤滑することと、歯車を動作させることと、を含む方法。
【0290】
本発明を例示する目的で、特定の代表的な実施形態及び詳細を示したが、本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更及び修正を行うことができることが当業者には明らかであろう。これに関して、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。
【国際調査報告】