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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】微振動端子、挿着構造および自動車
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/11 20060101AFI20240822BHJP
   H01R 13/533 20060101ALI20240822BHJP
   H01R 13/03 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
H01R13/11 D
H01R13/533 D
H01R13/03 D
H01R13/03 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509443
(86)(22)【出願日】2022-08-15
(85)【翻訳文提出日】2024-02-26
(86)【国際出願番号】 CN2022112464
(87)【国際公開番号】W WO2023020424
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】202110945331.2
(32)【優先日】2021-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522388383
【氏名又は名称】長春捷翼汽車科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Changchun JETTY Automotive Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No. 957, Shunda Road, High-tech Development Zone, Chaoyang District Changchun City, Jilin Province, 130000, China
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】王 超
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE02
5E087EE06
5E087FF06
5E087FF13
5E087QQ04
5E087RR15
(57)【要約】
本発明は、微振動端子、挿着構造および自動車を提供し、該微振動端子は、順に配列する端子固定部と、振動体と、接続アームとを含み、前記振動体は前記端子固定部に固着され、前記端子固定部はケーブルと電気的に接続され、前記接続アームは、相手端子と接触して係合される張出端と、前記振動体に固着された固定端とを含み、前記振動体には、凹部が設けられた。本発明により、挿着端子の接触領域が酸化しやすく、挿着端子の使用寿命が短縮されたという技術的課題を緩和した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
順に配列する端子固定部と、振動体と、接続アームとを含み、前記振動体は前記端子固定部に固着され、前記端子固定部はケーブルと電気的に接続され、前記接続アームは、相手端子と接触して係合される張出端と、前記振動体に固着された固定端とを含み、前記振動体には、凹部が設けられた
微振動端子。
【請求項2】
前記接続アームを少なくとも2つ含み、各前記接続アームの固定端がいずれも振動体に固着され、対向する2つの前記張出端の間に挿着溝が設けられ、相手端子は、前記挿着溝に挿着されて前記張出端と接触して係合することができる
請求項1に記載の微振動端子。
【請求項3】
前記接続アームの内側には、前記張出端の延在方向に沿って間隔をあけて配列する複数の突起部が設けられた
請求項1に記載の微振動端子。
【請求項4】
前記突起部の断面は、三角形状、円弧形状、台形状または波形状を呈する
請求項3に記載の微振動端子。
【請求項5】
同一の前記張出端の複数の前記突起部の断面形状が異なる
請求項3に記載の微振動端子。
【請求項6】
前記振動体は環状体であり、前記凹部は前記環状体の中心孔である
請求項1に記載の微振動端子。
【請求項7】
前記環状体と前記中心孔は、いずれも多角形または円形または楕円形を呈する
請求項6に記載の微振動端子。
【請求項8】
前記振動体は、S字状、Z字状、U字状、V字状、L字状またはT字状を呈する
請求項1に記載の微振動端子。
【請求項9】
前記凹部の面積は振動体の総面積の15%よりも大きい
請求項1に記載の微振動端子。
【請求項10】
前記微振動端子の少なくとも一部の表面にめっき層が設けられ、前記突起部の表面に前記めっき層が設けられ、前記突起部の表面における前記めっき層は、第1のめっき層である
請求項3に記載の微振動端子。
【請求項11】
前記端子固定部の表面に前記めっき層が設けられ、前記端子固定部の表面における前記めっき層は、第2のめっき層である
請求項10に記載の微振動端子。
【請求項12】
前記接続アームの前記突起部以外の表面および前記振動体の表面には、前記めっき層が設けられ、前記振動体の表面における前記めっき層は、第3のめっき層である
請求項11に記載の微振動端子。
【請求項13】
前記第1のめっき層の材質と、前記第2のめっき層の材質と、前記第3のめっき層の材質とは異なる
請求項12に記載の微振動端子。
【請求項14】
前記第2のめっき層と前記第3のめっき層とは、材質が同じであり、前記第1のめっき層の材質と前記第2のめっき層の材質とは異なる
請求項13に記載の微振動端子。
【請求項15】
前記第1のめっき層の厚さと、前記第2のめっき層の厚さと、前記第3のめっき層の厚さとは異なる
請求項12に記載の微振動端子。
【請求項16】
前記第2のめっき層と前記第3のめっき層とは、厚さが同じであり、前記第1のめっき層の厚さと前記第2のめっき層の厚さとは異なる
請求項15に記載の微振動端子。
【請求項17】
前記めっき層の材質は、金、銀、ニッケル、スズ、亜鉛、スズ鉛合金、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、グラフェン銀および銀金ジルコニウム合金のうちの1種または複数種を含む
請求項10に記載の微振動端子。
【請求項18】
前記めっき層は、下地層と表層とを含む
請求項10に記載の微振動端子。
【請求項19】
前記めっき層は、電気めっき、無電解めっき、マグネトロンスパッタリングまたは真空めっきによって前記微振動端子に設けられる
請求項10に記載の微振動端子。
【請求項20】
前記下地層の材質は、金、銀、ニッケル、スズ、スズ鉛合金および亜鉛のうちの1種または複数種を含み、前記表層の材質は、金、銀、ニッケル、スズ、亜鉛、スズ鉛合金、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、グラフェン銀および銀金ジルコニウム合金のうちの1種または複数種を含む
請求項18に記載の微振動端子。
【請求項21】
前記下地層の厚さは0.01μm~15μmである
請求項18に記載の微振動端子。
【請求項22】
前記下地層の厚さは0.1μm~9μmである
請求項18に記載の微振動端子。
【請求項23】
前記表層の厚さは0.5μm~55μmである
請求項18に記載の微振動端子。
【請求項24】
前記表層の厚さは1μm~35μmである
請求項18に記載の微振動端子。
【請求項25】
前記微振動端子の本体材質はテルル銅合金である
請求項1に記載の微振動端子。
【請求項26】
前記微振動端子の本体において、テルルの含有量は0.1%~5%である
請求項25に記載の微振動端子。
【請求項27】
前記微振動端子の本体材質はベリリウムを含む
請求項1に記載の微振動端子。
【請求項28】
前記微振動端子の本体材質において、ベリリウムの含有量は0.05%~5%である
請求項27に記載の微振動端子。
【請求項29】
前記微振動端子の本体材質において、ベリリウムの含有量は0.1%~3.5%である
請求項27に記載の微振動端子。
【請求項30】
前記端子固定部は、平板状または筒状またはU字状またはV字状または椀状である
請求項1に記載の微振動端子。
【請求項31】
前記端子固定部は、ケーブルの導体に圧着または溶接される
請求項1に記載の微振動端子。
【請求項32】
請求項1~31のいずれか1項に記載の微振動端子と、相手端子とを含み、複数の前記微振動端子が前記端子固定部を介して接続され、前記相手端子が複数の前記微振動端子に挿着される
挿着構造。
【請求項33】
単一の前記微振動端子と前記相手端子との挿着力の大きさの範囲は、3N~150Nである
請求項32に記載の挿着構造。
【請求項34】
単一の前記微振動端子と前記相手端子との挿着力の大きさの範囲は、10N~95Nである
請求項33に記載の挿着構造。
【請求項35】
単一の前記微振動端子と前記相手端子との接触抵抗は9mΩ未満である
請求項32に記載の挿着構造。
【請求項36】
請求項1~31のいずれか1項に記載の微振動端子を含む自動車。
【請求項37】
請求項32~35のいずれか1項に記載の挿着構造を含む自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、出願番号が202110945331.2であり、出願日が2021年08月17日であり、発明名称が「微振動端子、挿着構造および自動車」である中国特許出願の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、電気接続部品の技術分野に関し、特に微振動端子、挿着構造および自動車に関する。
【背景技術】
【0003】
電気的接続において、ワイヤハーネスは、電流の伝達および信号の伝送に用いられる。ワイヤハーネスの端末には、対応する導電部材との挿着接続を実現可能な挿着端子が装着されている。挿着端子が一定時間使用された後、その接触領域に酸化層が出現することがあり、酸化層が挿着端子の導電性能を低下させ、即時に処理しないと、酸化層が徐々に腐食し、挿着端子の導電接続機能を喪失させてしまう。
【0004】
挿着端子の寸法は、一般的に小さく、挿着端子の接触領域は、一般的にその内側に位置するため、接触領域における酸化層を取り扱いにくく、また、自動車などの機器における挿着端子の数が多く、取扱の難しさをさらに増大させる。現在、挿着端子の酸化層を定期的に取り扱うことは実現し難く、酸化層の出現により、挿着端子の使用寿命が短縮され、ひいては接続不良を引き起こしてワイヤハーネスの着火燃焼を引き起こす。
【0005】
したがって、電気接続部品の技術分野では、挿着過程において、挿着端子の接触領域が酸化しやすいことを緩和し、使用寿命が長い挿着端子が切に求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、挿着端子の接触領域が酸化しやすく、挿着端子の使用寿命が短縮されたという技術的課題を緩和するために、微振動端子、挿着構造および自動車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は、以下の技術方案によって実現されることができる。
【0008】
本発明は、順に配列する端子固定部と、振動体と、接続アームとを含み、前記振動体は前記端子固定部に固着され、前記端子固定部はケーブルと電気的に接続され、前記接続アームは、相手端子と接触して係合される張出端と、前記振動体に固着された固定端とを含み、前記振動体には、凹部が設けられた微振動端子を提供する。
【0009】
本発明は、上記の微振動端子を含み、複数の前記微振動端子が前記端子固定部を介して接続され、複数の前記微振動端子に挿着される相手端子をさらに含む挿着構造を提供する。
【0010】
本発明は、上記の微振動端子を含む自動車を提供する。
【0011】
本発明は、上記の挿着構造を含む自動車を提供する。
【0012】
本発明の特徴および利点は以下の通りである。
【0013】
接続アームが相手端子と接触し、振動体が機器の振動に伴って振動することができ、振動体が接続アームを連動させて共に振動させることによって、接続アームと相手端子との間に相対運動を発生させ、繰り返し摩擦を発生させ、摩擦により相手端子と接続アームとの接触領域の表面の酸化層を除去し、該微振動端子と相手端子とで酸化腐食が発生することを減少させる。振動体に凹部を設けることによって、応力を低減し、振動時にエネルギーを吸収し、振動体の弾性変形能力を向上させることができ、酸化層を摩擦除去する効果を向上させることに加え、振動による接続アームの変位によるフレッティング腐食の問題を回避する。該微振動端子は、電気接続の分野に適用され、端子表面の酸化層を自動的に除去し、酸化腐食を減少させ、使用寿命を延ばすことができる。
【0014】
以下の図面は、本発明を模式的に説明や解釈することを意図するものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。図面において、
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明により提供される微振動端子の正面図である。
図2】本発明により提供される微振動端子の正面図である。
図3】本発明により提供される微振動端子の正面図である。
図4】本発明により提供される微振動端子の正面図である。
図5】本発明により提供される微振動端子の正面図である。
図6】本発明により提供される微振動端子の正面図である。
図7】本発明により提供される微振動端子の正面図である。
図8】本発明により提供される微振動端子の正面図である。
図9】本発明により提供される微振動端子の正面図である。
図10】本発明により提供される微振動端子の正面図である。
図11】本発明により提供される微振動端子の正面図である。
図12】本発明により提供される微振動端子の一実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の技術的特徴、目的および効果をより明確に理解するために、ここに、図面を参照しながら本発明の具体的な実施形態を説明する。本発明の説明において、別段説明されない限り、「複数」は、2つ以上を意味する。
【0017】
方案一
本発明は、微振動端子を提供し、図1図2および図12に示すように、該微振動端子は、順に配列する端子固定部10と、振動体30と、接続アーム20とを含み、振動体30は端子固定部10に固着され、端子固定部10はケーブルと電気的に接続され、接続アーム20は、相手端子と接触して係合される張出端22と、振動体30に固着された固定端23とを含み、振動体30に凹部31が設けられている。
【0018】
該微振動端子は、自動車等の機器に適用され、張出端22は、相手となる端子と接触し、振動体30は、機器の振動に伴って振動することができ、振動体30は、接続アーム20を連動させて共に振動させることによって、張出端22と相手端子との間に相対運動を発生させ、繰り返し摩擦を発生させ、摩擦により、相手端子と張出端22との接触領域の表面の酸化層を除去し、該微振動端子と相手端子とで酸化腐食が発生するリスクを減少させる。振動体30に凹部31を設けることによって、応力を低減し、振動時にエネルギーを吸収し、振動体30の弾性変形能力を向上させることができ、酸化層を摩擦除去する効果を向上させたことに加えて、振動による接続アーム20の変位によるフレッティング腐食の問題を回避した。該微振動端子は、電気接続の分野に適用され、端子表面の酸化層を自動的に除去し、酸化腐食を減少させ、使用寿命を延ばすことができる。
【0019】
該微振動端子は、接続アーム20を少なくとも2つ含み、各接続アーム20の固定端23がいずれも振動体30に固着され、対向する2つの張出端22の間に挿着溝201が設けられ、相手端子は、挿着溝201に挿着されて張出端22と接触して係合することにより、接続アーム20との電気的接続を実現することができる。張出端22によって相手端子をクランプして、相手端子と該微振動端子とを固定するとともに、両者の間に大きな接触面積を持たせ、電気的接続の信頼性を確保する。張出端22の寸法または形状を調整することによって、クランプ力の大きさを制御し、相手端子とのマッチングを容易にし、様々な挿着要求を満たす。図1図11に示すように、該微振動端子は、2つの接続アーム20を含み、2つの接続アーム20の間に1つの挿着溝201が形成され、相手端子は、該挿着溝201に挿着されることができる。該微振動端子における接続アーム20の数は、3つ以上であってもよく、該微振動端子は、複数の挿着溝201を含み、複数の相手端子は、各挿着溝201にそれぞれ挿着され、複数の相手端子が同時に該微振動端子に挿着されて係合することを実現する。
【0020】
一実施形態において、接続アーム20の内側には、張出端22の延在方向に沿って間隔をあけて配列する複数の突起部21が設けられ、相手端子が張出端22に挿着されて係合する場合、突起部21の天面が相手端子に当接し、張出端22と相手端子がより緊密に接続され、相手端子と該微振動端子との機械的接続および電気的接続の信頼性が向上したとともに、接続アーム20が振動するときに相手端子上の酸化層を除去することに有利である。
【0021】
突起部21は、当該微振動端子の厚さ方向に延びるストライプ状であってもよい。さらに、図8図11に示すように、突起部21の断面は、それぞれ三角形状、円弧形状、台形状または波形状を呈する。
【0022】
図1に示すように、複数の突起部21は、第1の突起部211を含み、第1の突起部211は、三角形状を呈し、接続アーム20と相手端子とが相対的に運動する場合、第1の突起部211は、相手端子の表面の酸化層をスクラッチし、スクラッチ効果を向上させる。
【0023】
図1に示すように、複数の突起部21は、第2の突起部212を含み、第2の突起部212は、台形状を呈し、第2の突起部212と相手端子との接触面積が大きく、導電性能を確保すると同時に、摩擦により酸化層を除去する効果を向上させる。第2の突起部212は、さらに円弧形状または波形状であってもよい。
【0024】
さらに、同一の張出端22の複数の突起部21の断面形状が異なり、複数の突起部21は、連携すると、導電性能が良好であると同時に、酸化層を除去する効果を向上させ、酸化状況を減少させ、該微振動端子と相手端子の使用寿命を延ばす。
【0025】
振動体30は、実体を有し、該実体は、通常、金属構造であり、凹部31は実体ではない部分であり、孔または溝であってもよく、凹部31は、接続アーム20と端子固定部10との間の領域に位置し、振動体30の実体の側方または中部に設けられた。振動体30に凹部31を設けることによって、応力を低減し、振動時にエネルギーを吸収し、振動体30の弾性変形能力を向上させることができる。
【0026】
一実施形態において、振動体30は、環状体41であり、図1図2に示すように、凹部31は、環状体41の中心孔411である。振動体30には中心孔411が設けられ、中心孔411は、貫通孔であり、貫通孔の側辺は、良好な弾性を有し、車体が運動する場合、振動体30は、微振動を発生し、接触領域における酸化層を除去し、振動体30は、さらに振動および異なる組立公差による位置ずれにも自己適応できる。
【0027】
環状体と中心孔は、いずれも多角形または円形または楕円形を呈する。さらに、図1に示すように、環状体41は、矩形を呈し、中心孔411は、矩形孔である。図2に示すように、環状体41は、六角形を呈し、中心孔411は、六角形孔である。好ましくは、環状体41の外輪郭と中心孔411には、それぞれ丸みが設けられている。振動体30の幅は、端子固定部10の幅以上であり、且つ、振動体30の幅は、各接続アーム20の被覆領域の幅以上であることによって、振動により酸化層を除去する効果を向上させる。
【0028】
さらに、振動体30は、S字状、Z字状、U字状、V字状、L字状またはT字状を呈する。図3に示すように、振動体30は、S字状を呈し、凹部31は、振動体30の実体の側方に設けられている。図4に示すように、振動体30は、Z字状を呈し、凹部31は、振動体30の実体の側方に設けられている。図5に示すように、振動体30は、L字状を呈し、凹部31は、振動体30の実体の側方に設けられている。図6に示すように、振動体30は、T字状を呈し、凹部31は、振動体30の実体の側方に設けられている。図7に示すように、振動体30は、Y字状を呈し、凹部31は、振動体30の実体の側方と中部に設けられている。
【0029】
一実施形態において、凹部の面積は、振動体の総面積の15%よりも大きい。
【0030】
凹部が閉構造である場合、図1図2に示すように、凹部の面積は、明らかであり、振動体30が打ち抜かれる孔の面積は、凹部面積である。
【0031】
凹部が非閉構造である場合、図3図6に示すように、振動体30の面積は、振動体30の水平方向(すなわち図3における水平方向)の最大値と振動体30の高さ(すなわち図3における垂直方向の寸法)との積であり、振動体30の面積から振動体30の実体部分の面積を引いたものは、凹部面積である。
【0032】
凹部が閉構造と非閉構造との両方を含む場合、図7に示すように、振動体30の面積は、振動体30の水平方向の最大値と振動体30の高さとの積であり、振動体30の面積から振動体30の実体部分の面積を引いたものは、凹部面積である。
【0033】
振動体30は、凹部31が設けられると、応力を低減し、振動時にエネルギーを吸収し、振動体30の弾性変形能力を強くすることができる。変形能力は、振動体全体に占める凹部31の割合に関連し、凹部31の割合が大きいほど、変形能力が強くなり、発明者は、振動体30の面積の割合による振動効果への影響を検証するために、関連試験を行った。同じ相手端子と、振動体30の割合が異なる微振動端子とを選択し、挿着した後、揺動試験を行い、接続アーム20と相手端子とが相対運動したか否かを観察した。
【0034】
発明者は、異なる凹部の割合による微振動端子の寿命への影響を検証するために、振動実験を行い、検証に用いられた振動方式は、正弦波振動に分けられることができる。正弦波振動は、回転、脈動、振動などの車両でよく現れる振動環境を模擬するために実験室においてよく採用される試験方法である。振動による微振動端子への破壊は、一般的に30分から1時間で見られる。発明者は、凹部31の面積の割合が異なる10個の微振動端子を選択し、微振動端子を振動機器に同時に置き、振動周波数は10Hzであり、検証過程において微振動端子に損傷があるか否かを観察し、60分間以内に損傷したものを不合格とした。
【0035】
以上の検証結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
表1から分かるように、凹部31の面積の割合が15%未満である場合、接続アーム20と相手端子とが相対的に運動せず、接触領域の酸化層を除去する目的を果たすことができず、且つ、振動機器の振動のエネルギーが振動体30に吸収されることができないため、振動したエネルギーが微振動端子の接続アームに直接伝達され、微振動端子の変形および損傷を引き起こす。そのため、発明者は、凹部の面積が振動体の総面積の15%よりも大きい方案を選択し、これによって、頻繁に振動する使用環境において、該微振動端子の寿命が要求を満たさないことを回避する。
【0038】
一実施形態において、該微振動端子の少なくとも一部の表面にめっき層を設けることによって、耐食性を向上させ、導電性能を向上させ、挿着回数を増加させ、該挿着構造の使用寿命をよりよく延ばすことができる。一実施形態において、突起部の表面にめっき層が設けられ、突起部の表面におけるめっき層は、第1のめっき層である。
【0039】
一実施形態において、端子固定部の表面にめっき層が設けられ、端子固定部の表面におけるめっき層は、第2のめっき層である。
【0040】
一実施形態において、接続アームの突起部以外の表面および振動体の表面には、めっき層が設けられ、振動体の表面におけるめっき層は、第3のめっき層である。
【0041】
さらに、第1のめっき層の材質と、第2のめっき層の材質と、第3のめっき層の材質とは、異なり、すなわち、第1のめっき層、第2のめっき層および第3のめっき層のうち、少なくとも1つの材質は、他の材質と異なり、第2のめっき層の材質が第3のめっき層の材質と異なってもよく、または第1のめっき層の材質が第3のめっき層の材質と異なってもよく、または第1のめっき層の材質が第2のめっき層の材質と異なってもよい。
【0042】
好ましくは、第2のめっき層と第3のめっき層とは、材質が同じであり、第1のめっき層の材質と第2のめっき層の材質とは、異なる。
【0043】
さらに、第1のめっき層の厚さと、第2のめっき層の厚さと、第3のめっき層の厚さとは、異なり、すなわち、第1のめっき層、第2のめっき層および第3のめっき層のうち、少なくとも1つの厚さは、他の厚さと異なり、第2のめっき層の厚さが第3のめっき層の厚さと異なってもよく、または第1のめっき層の厚さが第3のめっき層の厚さと異なってもよく、または第1のめっき層の厚さが第2のめっき層の厚さと異なってもよい。
【0044】
好ましくは、第2のめっき層と第3のめっき層とは、厚さが同じであり、第1のめっき層の厚さと第2のめっき層の厚さとは、異なる。
【0045】
一実施形態において、めっき層は、電気めっき、無電解めっき、マグネトロンスパッタリングまたは真空めっきなどの方法によって微振動端子に設けられることができる。
【0046】
電気めっき方法は、電解原理を利用してある金属表面に他の金属または合金の薄層をめっきするプロセスである。
【0047】
無電解めっき方法は、金属の触媒作用下で、制御可能な酸化還元反応により金属を生成する堆積プロセスである。
【0048】
マグネトロンスパッタリング方法は、磁場と電場の交互作用を利用して、電子をターゲット表面付近で螺旋状に運動させることによって、電子がアルゴンガスに衝突してイオンを発生させる確率を増大させ、発生したイオンが電界の作用でターゲット面に衝突してターゲット材料をスパッタするものである。
【0049】
真空めっき方法は、真空条件下で、蒸留またはスパッタリングなどの方式により部品の表面に様々な金属および非金属薄膜を堆積するものである。
【0050】
めっき層の材質は、金、銀、ニッケル、スズ、スズ鉛合金、亜鉛、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、グラフェン銀および銀金ジルコニウム合金のうちの1種または複数種を含む。銅またはアルミニウムは、活性金属として、使用過程において酸素および水と酸化反応する。よって、端子の使用寿命を延ばすために、めっき層として1種または複数種の不活性金属が必要である。さらに、常に挿抜する必要がある金属接点に対しても、良好な耐摩耗性金属をめっき層とする必要があり、接点の使用寿命を大幅に増加させることができる。さらに、接点には良好な導電性能が必要であり、上記金属の導電性能および安定性は、いずれも銅または銅合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金よりも優れ、これにより、端子は、より良い電気的性能およびより長い使用寿命を得ることができる。
【0051】
異なるめっき層の材質による微振動端子全体の性能への影響を検証するために、発明者は、規格、材質が同じで、めっき層材料が異なる端子サンプルを使用し、同じ規格の相手端子を利用して一連の挿抜回数および耐食性時間に関する検証を行った。検証結果を表2に示す。
【0052】
表2における挿抜回数は、微振動端子と相手端子をそれぞれ実験台に固定し、機械装置を採用して微振動端子と相手端子に対して模擬的に挿抜するとともに、100回の挿抜を経るたびに、その挿抜を停止して接続アーム20の表面のめっき層の破壊状況を観察し、接続アーム20の表面のめっき層に傷が発生して微振動端子自体の材質が露出すると、検証を停止し、その時の挿抜回数を記録した。本実施例において、挿抜回数が8000回未満であるものを不合格とした。
【0053】
表2における耐食性時間に関する検証は、微振動端子を塩霧吐出試験箱内に入れ、接続アーム20に塩霧を吐出し、20時間ごとに取り出して洗浄して表面腐食状況を観察し、すなわち20時間は1サイクルであり、接続アーム20の表面腐食面積が総面積の10%を超えると、検証を停止し、その時のサイクル数を記録したことである。本実施例において、サイクル数が80回未満であるものを不合格とした。
【0054】
【表2】
【0055】
表2から分かるように、選択されためっき層の材質が金、銀、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、グラフェン銀および銀金ジルコニウム合金を含む場合、検証結果が標準値を大幅に超え、性能が安定している。選択されためっき層の材質がニッケル、スズ、スズ鉛合金、亜鉛を含む場合、検証結果も要求を満たすことができるため、発明者は、めっき層の材質を金、銀、ニッケル、スズ、スズ鉛合金、亜鉛、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、グラフェン銀および銀金ジルコニウム合金のうちの1種または複数種を含むものに選択した。
【0056】
いくつかの実施例において、めっき層は、下地層と表層とを含み、すなわちめっき層は、多層めっきの方法を採用し、微振動端子が加工された後、その表面の微視的な界面には、依然として多くの隙間と穴が存在し、これらの隙間と穴は、微振動端子の使用過程における摩耗と腐食の最大原因であるため、接続アーム20の表面には、まず一層の下地層をめっきして、表面の隙間と穴を埋め、接続アーム20の表面を平坦で穴がないようにする必要がある。次に、表層めっき層をめっきすると、結合がより強固になり、より平らになり、めっき層の表面に隙間と穴がなくなり、接続アーム20の耐摩耗性能、耐腐食性能、電気的性能を向上させ、微振動端子の使用寿命を大幅に延ばすことができる。
【0057】
いくつかの実施例において、下地層の材質は、金、銀、ニッケル、スズ、スズ鉛合金および亜鉛のうちの1種または複数種を含み、表層の材質は、金、銀、ニッケル、スズ、スズ鉛合金、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、グラフェン銀および銀金ジルコニウム合金のうちの1種または複数種を含む。
【0058】
別の実施例において、下地層の厚さは、0.01μm~15μmである。好ましくは、下地層の厚さは、0.1μm~9μmである。
【0059】
別の実施例において、表層の厚さは、0.5μm~55μmである。好ましくは、表層の厚さは、1μm~35μmである。
【0060】
下地層めっき層の厚さの変化による微振動端子全体の性能への影響を検証するために、発明者は、規格、材質が同じ、ニッケルめっき下地層の厚さが異なり、銀めっき表層の厚さが同じである接続アーム20サンプルを使用し、同じ規格の相手端子を利用して一連の温度上昇と耐食性時間に関する検証を行い、検証結果を表3に示す。
【0061】
表3における温度上昇に関する検証は、挿着後の微振動端子と相手端子に同じ電流を流し、閉塞された環境で通電前と温度が安定した後の接続アーム20の同じ位置の温度を検出するとともに、差を取って絶対値にしたことである。本実施例において、温度上昇が50Kより大きいものを不合格とした。
【0062】
表3における耐食性時間に関する検証は、微振動端子を塩霧吐出試験箱内に入れ、接続アーム20の各位置に塩霧を吐出し、20時間ごとに取り出して洗浄して表面腐食状況を観察し、すなわち20時間が1サイクルであり、接続アーム20の表面腐食面積が総面積の10%を超える場合、検証を停止し、その時のサイクル数を記録したことである。本実施例において、サイクル数が80回未満であるものを不合格とした。
【0063】
【表3】
【0064】
表3から分かるように、下地層ニッケルめっき層の厚さが0.01μm未満である場合、微振動端子の温度上昇は合格であったが、めっき層が薄すぎるため、接続アーム20の耐食性サイクル数が80未満であり、端子の性能要求を満たさない。挿着部材の全体性能および寿命に大きな影響を与え、深刻な場合に製品寿命の激減、ひいては失効による燃焼事故を引き起こす。下地層ニッケルめっき層の厚さが15μmを超えると、下地層めっき層が厚いため、微振動端子から発生した熱が放熱されず、端子の温度上昇が不合格となり、そして、めっき層が厚いため、かえって接続アーム20の表面から脱落しやすくなり、耐食性サイクル数が低下する。したがって、発明者は、下地層めっき層の厚さを0.01μm~15μmとして選択した。好ましくは、発明者は、下地層めっき層の厚さが0.1μm~9μmである場合、端子の温度上昇および耐食性の総合的な効果がより良いことを発見したため、製品自体の安全性、信頼性および実用性をさらに向上させるために、下地層めっき層の厚さが0.1μm~9μmであることは好適である。
【0065】
表層めっき層の厚さの変化による端子全体の性能への影響を検証するために、発明者は、規格、材質が同じ、ニッケルめっき下地層の厚さが同じ、銀めっき表層の厚さが異なる接続アーム20サンプルを使用し、同じ規格の相手挿着部材を利用して一連の温度上昇と耐食性時間に関する検証を行い、検証結果を表4に示す。
【0066】
【表4】
【0067】
表4から分かるように、表層銀めっき層の厚さが0.5μm未満である場合、端子の温度上昇は合格であったが、めっき層が薄すぎるため、接続アーム20の耐食性サイクル数が80未満になり、端子の性能要求を満たさない。挿着構造の全体性能および寿命に大きな影響を与え、深刻な場合に製品寿命の激減、ひいては失効による燃焼事故を引き起こす。表層銀めっき層の厚さが55μmを超える場合、表層めっき層が厚いため、端子から発生した熱が放熱されず、端子の温度上昇が不合格となり、そして、めっき層が厚いため、かえって端子表面から脱落しやすくなり、耐食性サイクル数が低下する。また、表層めっき層の金属は高価であるため、厚いめっき層を用いても性能が向上しなく、使用価値がない。したがって、発明者は、表層銀めっき層の厚さを0.5μm~55μmとして選択した。好ましくは、発明者は、表層めっき層の厚さが1μm~35μmである場合、端子の温度上昇および耐食性の総合的な効果がより良いことを発見したため、製品自体の安全性、信頼性および実用性をさらに向上させるために、表層めっき層の厚さが1μm~35μmであることは好適である。
【0068】
いくつかの実施例において、端子固定部10にめっき層を有することによって、耐食性を向上させ、導電性能を向上させ、ケーブルとの溶接を容易にし、端子固定部10の使用寿命をよりよく延ばすことができる。めっき層は、端子固定部10の表面全体を覆っていてもよいし、端子固定部10の一部の領域のみに設けられていてもよい。
【0069】
端子固定部10のめっき層と接続アーム20のめっき層とは、材質が異なる。以上の説明から分かるように、異なる金属材質のめっき層によって、得られた導電効果と耐食状況が異なり、価格が高い金属材質のめっき層であれば、対応する導電効果と耐食状況は比較的によく、より多くの挿抜を行うことや、より複雑な環境で使用することができ、より長い使用寿命を得ることができるが、価格が高いため、これらの金属材質のめっき層の使用が制限されている。このため、発明者は、接続アーム20のような挿抜回数が多く、使用環境に曝される箇所において、金、銀、銀アンチモン合金、グラファイト銀、グラフェン銀、パラジウムニッケル合金、スズ鉛合金または銀金ジルコニウム合金といった性能に優れる高価な金属材質をめっき層材料として使用する。しかし、端子固定部10は、導線が接続される箇所であり、導線と接続された後、相対的な変位がほとんどなく、それに、端子固定部10は、一般的にプラスチックケースの内部に保護され、使用環境に曝されないため、発明者は、微振動端子のコストを低減するために、常用の金属スズ、ニッケル、亜鉛を端子固定部10のめっき層材質として使用する。
【0070】
端子固定部10のめっき層と接続アーム20のめっき層とは、厚さが異なる。以上の説明から分かるように、接続アーム20は、挿抜回数が多く、使用環境に曝され、めっき層がスクラッチおよび外部環境の腐食を受け、めっき層の厚さが薄いと、使用過程において容易に破壊または腐食されるため、発明者は、挿着端の耐スクラッチ性および耐食性を向上させるために、接続アーム20の位置に厚さがより大きいめっき層を設ける。さらに、端子固定部10側では、スクラッチが生じることがなく、使用環境に曝されることもないので、コストを低減するために、厚さの小さいめっき層を用いることができる。
【0071】
いくつかの実施例において、振動体30上にめっき層を有する。さらに、振動体30のめっき層、端子固定部10のめっき層、および接続アーム20のめっき層は、材質が互いに異なっている。以上の説明から分かるように、異なる金属材質のめっき層によって、得られた導電効果と耐食状況が異なり、価格が高い金属材質のめっき層であれば、対応する導電効果と耐食状況は比較的によく、より多くの挿抜を行うことや、より複雑な環境で使用することができ、より長い使用寿命を得ることができるが、価格が高いため、これらの金属材質のめっき層の使用が制限されている。このため、発明者は、挿抜回数が多いまたは使用環境に曝される箇所において、金、銀、銀アンチモン合金、グラファイト銀、グラフェン銀、パラジウムニッケル合金、スズ鉛合金または銀金ジルコニウム合金といった性能に優れる高価な金属材質をめっき層材料として使用し、逆に挿抜回数が少なく曝されにくい箇所では、安価な材質をめっき層材料として選択する。
【0072】
いくつかの好ましい実施例において、振動体のめっき層、端子固定部のめっき層および接続アームのめっき層は、厚さが互いに異なっている。上記の説明から分かるように、微振動端子の一部の領域では、挿抜回数が多く、使用環境に曝され、めっき層がスクラッチおよび外部環境の腐食を受け、めっき層の厚さが薄いと、使用過程において容易に破壊または腐食されるため、発明者は、挿着端の耐スクラッチ性および耐食性を向上させるために、これらの位置に厚さがより大きいめっき層を設ける。同時に、他の領域では、スクラッチが生じることがなく、使用環境に曝されることもないので、コストを低減するために、厚さの小さいめっき層を用いることができる。
【0073】
いくつかの実施例において、微振動端子の本体材質は、テルル銅合金であり、テルル銅合金により端子が良好な導電性能と切削容易性を有することができ、電気的性能を確保しながら加工性を向上させることができ、それにテルル銅合金の弾性も優れている。
【0074】
好ましくは、テルル銅合金において、テルルの含有量は0.1%~5%であり、より好ましくは、テルル銅合金において、テルルの含有量は0.2%~1.2%である。
【0075】
テルルの含有量による端子の導電率への影響を検証するために、発明者は、形状が同じ、膨張収縮スリット幅が同じである10個の挿着端子を選択して検証を行い、各端子はいずれもテルル銅合金であり、そのうち、テルルの含有量はそれぞれ0.05%、0.1%、0.2%、1%、1.2%、1.8%、3%、5%、6%、7%である。検証結果を表5に示す。
【0076】
【表5】
【0077】
表5から分かるように、テルルの含有量が0.1%未満、または5%より大きい場合、導電率が著しく低下し、実際の要求を満たすことができない。テルルの含有量が0.2%以上1.2%以下である場合、導電性能が最もよいため、発明者は、テルルの含有量が0.1%~5%であるテルル銅合金を選択した。最も理想的には、含有量が0.2%~1.2%のテルル銅合金を選択する。
【0078】
いくつかの実施例において、微振動端子の本体材質はベリリウムを含む。
【0079】
さらに、微振動端子の本体材質におけるベリリウムの含有量は0.05%~5%である。
【0080】
さらに、微振動端子の本体材質におけるベリリウムの含有量は0.1%~3.5%である。
【0081】
微振動端子がベリリウムを含むことによって、端子が良好な導電性能と切削容易性を有することができ、電気的性能を確保しながら加工性を向上させることができ、それに弾性も優れていることを確保することができる。
【0082】
ベリリウム含有量による端子の導電率への影響を検証するために、発明者は、形状が同じ、膨張収縮スリット幅が同じである10個の微振動端子を選択して検証を行い、各端子はいずれもベリリウムを含み、そのうち、ベリリウムの含有量はそれぞれ0.03%、0.05%、0.1%、0.2%、1%、1.2%、1.8%、3%、3.5%、5%、6%である。検証結果を表6に示す。
【0083】
表6から分かるように、ベリリウムの含有量が0.05%未満または5%より大きい場合、導電率が著しく低下し、実際の要求を満たすことができない。ベリリウムの含有量が0.1%以上3.5%以下である場合、導電性能が最もよいため、発明者は、ベリリウムの含有量が0.1%~5%である微振動端子を選択した。最も理想的には、ベリリウム含有量が0.1%~3.5%の微振動端子を選択する。
【0084】
【表6】
【0085】
好ましい実施形態において、端子固定部10は、平板状または筒状またはU字状またはV字状または椀状である。いくつかの好ましい形態において、端子固定部10は椀状であり、図12に示すように、ケーブルとの十分な接触に便利であり、同様に、平板状または筒状またはU字状またはV字状を選択してもよい。
【0086】
好ましい実施形態において、端子固定部10は、ケーブルの導体に圧着または溶接される。
【0087】
圧着は、端子固定部10とケーブルの導体とを組み立てた後、圧着機を用いて両者を一体にプレスする生産プロセスである。圧着の利点は、量産性であり、連鎖端子と自動圧着機を用いることで安定した品質の製品を大量で迅速に製造することができる。
【0088】
溶接は、摩擦溶接、抵抗溶接、超音波溶接、アーク溶接、圧力溶接、レーザ溶接、爆発溶接を採用し、端子固定部10とケーブルの導体を金属溶接点によって一体に溶接するため、接続が強固で、接点抵抗が小さい。
【0089】
方案二
本発明は、上記の微振動端子と、相手端子とを含む挿着構造をさらに含み、複数の微振動端子が端子固定部を介して接続され、相手端子が複数の微振動端子に挿着される。
【0090】
該微振動端子は、自動車等の機器に適用され、振動体30は、接続アーム20を連動させて共に振動させることによって、接続アーム20と相手端子との間に相対運動を発生させ、繰り返し摩擦を発生させ、摩擦により、相手端子と張出端22との接触領域の表面の酸化層を除去し、該微振動端子と相手端子とで酸化腐食が発生するリスクを減少させる。凹部31は、応力を減少し、振動時にエネルギーを吸収し、振動体30の弾性変形能力を向上させることができ、酸化層を摩擦除去する効果を向上させることに加え、振動による張出端22の変位によるフレッティング腐食の問題を回避する。該微振動端子は、電気接続の分野に適用され、端子表面の酸化層を自動的に除去し、酸化腐食を減少させ、使用寿命を延ばすことができる。
【0091】
好ましくは、単一の微振動端子と相手端子との挿着力の大きさの範囲は、3N~150Nである。より好ましくは、単一の微振動端子と相手端子との挿着力の大きさの範囲は、10N~95Nである。
【0092】
挿着力による導電率への影響を検証するために、発明者は、形状が同じ、挿着力が異なる10対の微振動端子と相手端子を選択して挿着力を検証し、検証結果を表7に示す。
【0093】
【表7】
【0094】
表7から分かるように、挿着力が3N未満である場合、導電率が著しく低下し、実際の要求を満たすことができない。挿着力が3N以上になると、導電性能がよく、挿着力が150Nを超えると、同様に導電性能に優れる。しかし、挿着力が150Nを超える場合、導電率の増加が目立たず、加工が困難になるため、発明者は、好ましい接続力が3N~150Nであると考えた。同様に、表7から分かるように、挿着力が10N以上である場合、導電効果がより良好であるが、挿着力が95Nを超える場合、導電率の増加が目立たないため、発明者は、さらに好ましい挿着力を10N~95Nにする。
【0095】
好ましくは、相手端子と各微振動端子との接触抵抗は9mΩ未満である。
【0096】
一般的に、大電流を導通する必要があり、微振動端子と相手端子との接触抵抗が9mΩを超えると、接触位置において大きな温度上昇が発生し、且つ時間の増加に伴い、温度がますます高くなり、微振動端子と相手端子とは、材質が異なるため、熱膨張率が異なり、機械的変形が同期せず内部応力を発生してしまい、深刻な場合にめっき層の脱落を引き起こし、保護作用を実現できない。同時に、微振動端子と相手端子との高すぎる温度が、それらに接続された導線の絶縁層に熱伝導したりすることによって、対応する絶縁層が溶融し、絶縁保護の役割を果たすことができなくなり、深刻な場合に回線の短絡による接続構造の損傷、ひいては燃焼などの安全事故を引き起こす。このため、発明者は、微振動端子と相手端子との接触抵抗を9mΩ未満に設定した。
【0097】
相手端子と微振動端子との接触抵抗による挿着構造の温度上昇と導電率への影響を検証するために、発明者は、同じ相手端子と、接触抵抗が異なる微振動端子とを選択し、導電率と温度上昇を検証した、
【0098】
導電率に関する検証は、相手端子と微振動端子とを挿着した後、該挿着構造に通電した後、対応する挿着箇所の導電率を検出することである。本実施例において、導電率が99%より大きいことを理想値とする。
【0099】
温度上昇に関する検証は、該挿着構造に同じ電流を流し、閉塞された環境で通電前と温度が安定した後の微振動端子の同じ位置の温度を検出するとともに、差を取って絶対値にしたことである。本実施例において、温度上昇が50Kより大きいものを不合格とした。
【0100】
【表8】
【0101】
表8から分かるように、相手端子と微振動端子との接触抵抗が9mΩより大きい場合、挿着構造の温度上昇が50Kを超え、同時に、挿着構造の導電率も99%より小さくなり、標準の要求を満たさない。このため、発明者は、相手端子と微振動端子との接触抵抗を9mΩ未満に設定した。
【0102】
方案三
本発明は、上記の微振動端子を含む自動車をさらに提供する。
【0103】
方案四
本発明は、上記の挿着構造を含む他の自動車をさらに提供する。
【0104】
以上は、本発明の例示的な具体的な実施形態に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。当業者であれば、本発明の思想および原則から逸脱することなく行われる同等の変形および変更は、いずれも本発明の保護範囲に属すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】