(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】医療装置及びコーティング方法
(51)【国際特許分類】
A61M 25/00 20060101AFI20240822BHJP
A61L 33/00 20060101ALI20240822BHJP
A61L 33/06 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
A61M25/00 610
A61L33/00 200
A61L33/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509464
(86)(22)【出願日】2022-08-22
(85)【翻訳文提出日】2024-02-15
(86)【国際出願番号】 CN2022114039
(87)【国際公開番号】W WO2023020627
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/113777
(32)【優先日】2021-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524060382
【氏名又は名称】スーヂョウ・ラバメッド・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】ファ,シン
(72)【発明者】
【氏名】ファリッセイ,リアム
(72)【発明者】
【氏名】カニフェ,ブレンダン
(72)【発明者】
【氏名】シェン,クアン
【テーマコード(参考)】
4C081
4C267
【Fターム(参考)】
4C081AC03
4C081AC06
4C081AC09
4C081BA02
4C081DC03
4C081EA06
4C267AA50
4C267BB06
4C267GG12
4C267GG16
4C267HH08
(57)【要約】
側壁を形成する複数の要素を含む拡張可能な管状部材を含む医療装置を提供し、前記要素のそれぞれが1つ以上の他の要素と交差し、前記側壁における前記要素間に複数の孔が形成され、抗血栓性材料は、任意の2つの要素の間に本質的に前記抗血栓性材料のウェビングがないように、管状部材上にコーティングされる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁を形成する複数の要素を含む拡張可能な管状部材を含み、
前記要素のそれぞれが1つ以上の他の要素と交差し、前記側壁における前記要素間に複数の孔が形成され、
抗血栓性材料は、任意の2つの要素の間に本質的に前記抗血栓性材料のウェビングがないように、管状部材上にコーティングされる、医療装置。
【請求項2】
前記管状部材は、少なくとも、前記管状部材の側壁を形成する複数の要素を含む分流部を有し、前記要素のそれぞれは、1つ以上の他の要素と交差し、前記側壁における前記要素間に複数の孔が形成され、
前記孔は、前記管状部材が拡張する際に動脈瘤を血栓化させるのに十分な程度に血流を阻害する大きさであり、
抗血栓性材料は、任意の2つの要素の間に本質的に前記抗血栓性材料のウェビングがないように、前記分流部上にコーティングされる、請求項1に記載の医療装置。
【請求項3】
動脈瘤を処置するためのものである、請求項1又は2に記載の医療装置。
【請求項4】
前記抗血栓性材料は、プラズマ蒸着法により前記管状部材上にコーティングされる、請求項1-3のいずれか1項に記載の医療装置。
【請求項5】
前記プラズマ蒸着法は、非熱プラズマ蒸着法である、請求項1-4のいずれか1項に記載の医療装置。
【請求項6】
前記医療装置は、ステントであり、前記要素のそれぞれは、フィラメントであり、前記ステントは、前記フィラメントを編組して形成される、請求項1-5のいずれか1項に記載の医療装置。
【請求項7】
前記管状部材は、その全体が前記抗血栓性材料でコーティングされる、請求項1-6のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項8】
前記管状部材は、その内腔面が前記抗血栓性材料でコーティングされる、請求項1-6のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項9】
前記管状部材上に青色酸化物の層が設けられ、前記青色酸化物の層上に前記抗血栓性材料がコーティングされる、請求項1-8に記載の医療装置。
【請求項10】
前記管状部材上への前記抗血栓性材料のコーティングは、超平滑表面を有する、請求項1-9のいずれか1項に記載の医療装置。
【請求項11】
前記抗血栓性材料の前記コーティングの前記表面は、約0.02-0.2μm、特に0.1μmの平均粗さ、及び/又は約0.2-2μm、特に0.5μmの平均粗さ深さを有する、請求項10に記載の医療装置。
【請求項12】
前記抗血栓性材料は、化学結合により前記医療装置の前記表面に付着する、請求項1-11のいずれか1項に記載の医療装置。
【請求項13】
共有結合は、前記抗血栓性材料の隣接する粒子間に形成され、及び/又は共有結合は、コーティング中に前記抗血栓性材料と前記医療装置の前記表面又は前記青色酸化物の層との間に形成される、請求項12に記載の医療装置。
【請求項14】
前記抗血栓性材料は、抗血栓性高分子を含む、請求項1-13のいずれか1項に記載の医療装置。
【請求項15】
互いに交差する複数の要素を有する医療装置をコーティングする方法であって、
抗血栓性材料の溶液を調製することと、
前記溶液を噴霧して液体エアロゾルを形成することと、
プラズマ源によりプラズマを生成することと、
前記液体エアロゾルを前記プラズマに導入することと、
本質的に前記医療装置の任意の2つの要素間に前記抗血栓性材料のウェビングがないように、前記液体エアロゾル及び前記プラズマに前記医療装置を露出することで前記医療装置に前記抗血栓性材料のコーティングを堆積することとを含む、方法。
【請求項16】
前記医療装置は、動脈瘤を処置するためのものである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記プラズマは、非熱的に動作する、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記液体エアロゾル及び前記プラズマに前記医療装置を露出する前に、前記医療装置に対してプレコーティングプラズマエッチングを行う、請求項15-17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記抗血栓性材料は、化学結合、特に共有結合により前記医療装置の前記表面に付着する、請求項15-18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記医療装置は、ステントであり、前記要素のそれぞれは、フィラメントであり、前記ステントは、前記フィラメントを編組して形成される、請求項15-19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記抗血栓性材料は、抗血栓性高分子を含む、請求項15-20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
側壁を形成する複数の要素を含む拡張可能な管状部材を含み、
前記要素のそれぞれが1つ以上の他の要素と交差し、前記側壁における前記要素間に複数の孔が形成され、
抗血栓性材料は、前記管状部材上にコーティングされ、その上に形成される前記抗血栓性材料のコーティングは、10nm以上の厚さを有する、医療装置。
【請求項23】
前記管状部材は、少なくとも、前記管状部材の側壁を形成する複数の要素を含む分流部を有し、前記要素のそれぞれは、1つ以上の他の要素と交差し、前記側壁における前記要素間に複数の孔が形成され、
前記孔は、前記管状部材が拡張する際に動脈瘤を血栓化させるのに十分な程度に血流を阻害する大きさであり、
抗血栓性材料は、前記分流部上にコーティングされ、その上に形成される前記抗血栓性材料のコーティングは、10nm以上の厚さを有する、請求項22に記載の医療装置。
【請求項24】
動脈瘤を処置するためのものである、請求項22又は23に記載の医療装置。
【請求項25】
前記抗血栓性材料は、任意の2つの要素の間に本質的に前記抗血栓性材料のウェビングがないように、プラズマ蒸着法により前記管状部材上にコーティングされる、請求項22-24のいずれか1項に記載の医療装置。
【請求項26】
前記管状部材上に青色酸化物の層が設けられ、前記青色酸化物の層上に前記抗血栓性材料がコーティングされる、請求項22-25のいずれか1項に記載の医療装置。
【請求項27】
前記管状部材上への前記抗血栓性材料の前記コーティングは、超平滑表面を有する、請求項22-26のいずれか1項に記載の医療装置。
【請求項28】
前記抗血栓性材料は、化学結合により前記医療装置の前記表面に付着する、請求項22-27のいずれか1項に記載の医療装置。
【請求項29】
共有結合は、前記抗血栓性材料の隣接する粒子間に形成され、及び/又は共有結合は、コーティング中に前記抗血栓性材料と前記医療装置の前記表面又は前記青色酸化物の層との間に形成される、請求項28に記載の医療装置。
【請求項30】
前記抗血栓性材料の前記コーティングは、10-200nmの厚さを有する、請求項22-29のいずれか1項に記載の医療装置。
【請求項31】
前記抗血栓性材料の前記コーティングは、40-60nmの厚さを有する、請求項30に記載の医療装置。
【請求項32】
前記抗血栓性材料の前記コーティングの前記表面は、約0.02-0.2μm、特に0.1μmの平均粗さ、及び/又は約0.2-2μm、特に0.5μmの平均粗さ深さを有する、請求項27に記載の医療装置。
【請求項33】
前記医療装置は、ステントであり、前記要素のそれぞれは、フィラメントであり、前記ステントは、前記フィラメントを編組して形成される、請求項22-32のいずれか1項に記載の医療装置。
【請求項34】
前記管状部材は、その全体が前記抗血栓性材料でコーティングされる、請求項22-33のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項35】
前記管状部材は、その内腔面が前記抗血栓性材料でコーティングされる、請求項22-33のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項36】
前記抗血栓性材料は、抗血栓性高分子を含む、請求項22-35のいずれか1項に記載の医療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療装置に関し、さらに医療装置をコーティングする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内科、冠状及び末梢血管用ステント等の医療装置の抗血栓性に対する要求が高まっている。従って、このような医療装置の抗血栓性の持続的な改善が期待される。以下では、動脈瘤用ステントを例に、このような状態について詳しく説明する。
【0003】
血管の壁、特に動脈壁は、動脈瘤と呼ばれる病的拡張の領域領域が発生する場合がある。周知のように、動脈瘤は、破断しやすい薄くて脆弱な壁を有する。動脈瘤は、疾患、傷害、先天性異常によって血管壁が弱くなったことをもたらすことができる。動脈瘤は、体の異なる部位に存在することができ、かつ最も一般的なのは、腹部大動脈瘤と、神経血管系の脳又は脳動脈瘤である。動脈瘤の弱くなった壁が破裂すると、特に脳動脈瘤が破裂した場合に死亡をもたらすことができる。
【0004】
動脈瘤は、概して、血管の弱くなった部分を動脈循環から除去することで処置される。脳動脈瘤は、動脈瘤の外科的クリッピング等の侵襲的な手段、又は動脈瘤嚢内にコイル等の塞栓装置を充填するか若しくは首を横切ってステントを配置することで血流を嚢から逸らす等のフローダイバーターとして知られる低侵襲な血管内経路により処置することができる。
【0005】
ステントは、血管の閉塞に対する治療又は支持を提供するために、半径方向又は血管若しくは管腔内で拡張する通常管状のプロテーゼを含む。バルーン拡張可能な金属ステント、拡張可能な編組金属ステント、編まれた金属ステント、コイル状ステント、巻かれたステント等を含む様々な構造のステントは、利用されてもよい。また、金属製のステントによって支持された管状のグラフト材料を含むステントグラフトも使用される。
【0006】
コーティングは、医療装置に応用されて、潤滑性及び/又は防着性を付与し、生物活性剤放出用の徐放性製剤として機能する。医療装置、特に不規則な及び/又は粗い表面を有する医療装置としては、血栓形成を促進する場合があり、血栓の形成を低減するためにこれらの医療装置にコーティングを塗布する場合がある。
【0007】
一般に、当該分野でステントに形成されるコーティングの硬度が低く、コーティングの厚さが非常に薄いため、ステント等の従来のコーティングされた医療装置では、様々なコーティング欠陥及びそれによる欠点が明らかになる。これらの欠点の間、ウェビング、層間剥離、コーティング材の不均一な層形成は、重大なリスクをもたらす。脱落したコーティング材は、血管中の閉塞を引き起こすか又はそれに寄与することができる。また、装置の正確な拡張を阻害する場合がある。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、ステントの任意の2つの要素間又は特徴(フィラメント)の間、特に隣接する2つの要素又は特徴の間に(コーティング材の)ウェビングが本質的にないコーティングを有するステント又は編組ステント等の医療装置を開示する。
【0009】
このような「ウェビング」とは、装置の1つの要素(又は特徴)から別の要素(又は特徴)へのコーティングの連続的な接続が存在し、かつ要素間の橋渡しが行われることを意味する。すなわち、装置の要素は、互いに接触しないが、コーティングは、ブリッジを介して1つの要素を別の要素と連結し、かつこのようなコーティングがウェビングを構成する。ウェビングは、要素から容易に剥離することができ、脱落したウェビングは、その中に医療装置が展開される血管の閉塞を引き起こすか又はそれに寄与することができる。また、ウェビングは、編組構造等の要素の構造の固有の気孔率を変化させる可能性があり、それによって標的部位の処置における構造の有効性に悪影響を与える。
【0010】
装置の要素が互いに接触する場合(例えば、配線の交差点で)、コーティングが交差点でのみ1つの要素から別の要素に連続し、接触する要素を横切る材料のブリッジを形成しないことを意図する。コーティングは、2つの要素間の材料のブリッジではなく、要素自体に薄い連続コーティングを形成するものであることを意図する。換言すれば、装置の要素が互いに接触すれば、どのフィラメント交差点でもウェビングが存在しない。
【0011】
2つの要素が非常に近接してもウェビングが存在しない。1つの実施形態では、2つの要素の交差点で、2つの要素の間の距離は、ゼロに近づく。1つの実施形態では、要素間の距離は、約200ミクロンである。
【0012】
2つの要素が十分に離れる場合にウェビングも存在しないため、どの孔でもウェビングが存在しない。
【0013】
本発明の1つの態様によれば、
側壁を形成する複数の要素を含む拡張可能な管状部材を含み、前記要素のそれぞれが1つ以上の他の要素と交差し、前記側壁における前記要素間に複数の孔が形成され、
抗血栓性材料は、任意の2つの要素の間に本質的に前記抗血栓性材料のウェビングがないように、管状部材上にコーティングされる、医療装置を提供する。
【0014】
本発明の別の態様によれば、
拡張可能な管状部材の側壁を形成する複数の要素を含む分流部を少なくとも有し、前記要素のそれぞれが1つ以上の他の要素と交差し、前記側壁における前記要素間に複数の孔が形成される前記拡張可能な管状部材を含み、
前記孔は、前記管状部材が拡張する際に動脈瘤を血栓化させるのに十分な程度に血流を阻害する大きさであり、
抗血栓性材料は、任意の2つの要素の間に本質的に前記抗血栓性材料のウェビングがないように、前記分流部上にコーティングされる、医療装置を提供する。
【0015】
好ましくは、前記医療装置は、動脈瘤を処置するためのものである。
【0016】
好ましくは、前記抗血栓性材料は、プラズマ蒸着法により前記管状部材上にコーティングされる。
【0017】
好ましくは、前記プラズマ蒸着法は、非熱プラズマ蒸着法である。
【0018】
好ましくは、前記医療装置は、ステントであり、前記要素のそれぞれは、フィラメントであり、前記ステントは、前記フィラメントを編組して形成される。
【0019】
好ましくは、前記管状部材は、その全体が前記抗血栓性材料でコーティングされる。
【0020】
好ましくは、前記管状部材は、その内腔面が前記抗血栓性材料でコーティングされる。
【0021】
好ましくは、前記抗血栓性材料は、抗血栓性高分子を含む。
【0022】
好ましくは、本発明の1つの態様によれば、互いに交差する複数の要素を有する医療装置をコーティングする方法を提供し、
抗血栓性材料の溶液を調製することと、
前記溶液を噴霧して液体エアロゾルを形成することと、
プラズマ源によりプラズマを生成することと、
前記液体エアロゾルを前記プラズマに導入することと、
本質的に前記医療装置の任意の2つの要素間に前記抗血栓性材料のウェビングがないように、前記液体エアロゾル及び前記プラズマに前記医療装置を露出することで前記医療装置に前記抗血栓性材料のコーティングを堆積することとを含む。
【0023】
好ましくは、前記医療装置は、動脈瘤を処置するためのものである。
【0024】
好ましくは、前記プラズマは、非熱的に動作する。
【0025】
好ましくは、前記抗血栓性材料は、化学結合により前記医療装置の前記表面に付着する。
【0026】
好ましくは、前記医療装置は、ステントであり、前記要素のそれぞれは、フィラメントであり、前記ステントは、前記フィラメントを編組して形成される。
【0027】
好ましくは、前記抗血栓性材料は、抗血栓性高分子を含む。
【0028】
本発明の別の態様によれば、
側壁を形成する複数の要素を含む拡張可能な管状部材を含み、前記要素のそれぞれが1つ以上の他の要素と交差し、前記側壁における前記要素間に複数の孔が形成され、
抗血栓性材料は、前記管状部材上にコーティングされ、その上に形成される前記抗血栓性材料のコーティングは、10nm以上の厚さを有する、医療装置を提供する。
【0029】
本発明の別の態様によれば、
拡張可能な管状部材の側壁を形成する複数の要素を含む分流部を少なくとも有し、前記要素のそれぞれが1つ以上の他の要素と交差し、前記側壁における前記要素間に複数の孔が形成される前記拡張可能な管状部材を含み、
前記孔は、前記管状部材が拡張する際に動脈瘤を血栓化させるのに十分な程度に血流を阻害する大きさであり、
抗血栓性材料は、前記分流部上にコーティングされ、その上に形成される前記抗血栓性材料のコーティングは、10nm以上の厚さを有する、医療装置を提供する。
【0030】
好ましくは、前記医療装置は、動脈瘤を処置するためのものである。
【0031】
好ましくは、前記抗血栓性材料は、任意の2つの要素の間に本質的に前記抗血栓性材料のウェビングがないように、プラズマ蒸着法により前記管状部材上にコーティングされる。
【0032】
好ましくは、前記管状部材上に青色酸化物の層が設けられ、前記青色酸化物の層上に前記抗血栓性材料がコーティングされる。
【0033】
好ましくは、前記管状部材上への前記抗血栓性材料の前記コーティングは、超平滑表面を有する。
【0034】
好ましくは、前記抗血栓性材料は、化学結合により前記医療装置の前記表面に付着する。
【0035】
好ましくは、共有結合は、前記抗血栓性材料の隣接する粒子間に形成され、及び/又は共有結合は、コーティング中に前記抗血栓性材料と前記医療装置の前記表面又は前記青色酸化物の層との間に形成される。
【0036】
好ましくは、前記抗血栓性材料の前記コーティングは、10-200nmの厚さを有する。
【0037】
好ましくは、前記抗血栓性材料の前記コーティングは、40-60nmの厚さを有する。
【0038】
好ましくは、前記抗血栓性材料の前記コーティングの前記表面は、約0.02-0.2μm、特に0.1μmの平均粗さ、及び/又は約0.2-2μm、特に0.5μmの平均粗さ深さを有する。
【0039】
好ましくは、前記医療装置は、ステントであり、前記要素のそれぞれは、フィラメントであり、前記ステントは、前記フィラメントを編組して形成される。
【0040】
好ましくは、前記管状部材は、その全体が前記抗血栓性材料でコーティングされる。
【0041】
好ましくは、前記管状部材は、その内腔面が前記抗血栓性材料でコーティングされる。
【0042】
好ましくは、前記抗血栓性材料は、抗血栓性高分子を含む。
【0043】
本発明は、ステント又は編組ステント等の医療装置にコーティング材を堆積させるプラズマ法を開示する。プラズマ法は、装置上にコーティングを形成するために用いることができる全ての公知のプラズマ蒸着法であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図3】コーティング材により形成されたウェブを示す画像である。
【
図4】
図4A及び
図4Bは、ここに開示されるプロセスを用いてコーティングされた編組ステントのSEM画像である。
【
図5】本発明に係るフローループ試験を示す概略図である。
【
図6】本発明に係るプラズマ処置ヘッドの概略図である。
【
図7A】
図7A-7Fは、本発明に係るステント上のコーティングの概略図である。
【
図7B】
図7A-7Fは、本発明に係るステント上のコーティングの概略図である。
【
図7C】
図7A-7Fは、本発明に係るステント上のコーティングの概略図である。
【
図7D】
図7A-7Fは、本発明に係るステント上のコーティングの概略図である。
【
図7E】
図7A-7Fは、本発明に係るステント上のコーティングの概略図である。
【
図7F】
図7A-7Fは、本発明に係るステント上のコーティングの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
ここに用いられる全ての技術用語及び科学用語は、特に定義されない限り、当業者によって一般的に理解されるものと同様の意味を有する。ここに記載のものに類似又は同様の任意の方法及び材料がここに記載の実施形態の実践又は試験に使用することができるが、好ましい方法、装置及び材料について本明細書で説明する。また、本開示が医療装置がステントである実施形態を指してもよいが、医療装置は、編組ステント、コイル、フィルタ、足場、拡張可能及びバルーン拡張可能なステント等の埋め込み型の装置、及びその他の装置であればよい。
【0046】
ここに開示されるいくつかの実施形態によれば、装置の任意の2つの要素間の塊、繊維、ウェブ及び/又はその他の障害物等の欠陥が本質的にない均一なコーティングを含む医療装置(例えば、ステント)を提供する。また、いくつかの実施形態では、このような装置は、編組することができ、及び/又は装置が内部に(又は体内空間を横切って)展開された体内空間(例えば、動脈瘤)内の(又はへの)血流を阻害するように、塞栓性を付与する分流部を有することができる。装置の1つ以上の部分の気孔率及び/又は孔径は、動脈瘤又はその他の体内空間を血栓化するのに十分な程度で血流を阻害するよう選択することができる。
【0047】
例えば、いくつかの実施形態は、血流を阻害して、動脈瘤の血栓症を誘発することができる親血管と動脈瘤との間の血液交換を一般的に低減するように構成することができる装置(例えば、ステント)を提供する。このように血流を阻害する装置(ステントの側壁又はこのような側壁の一部等の装置部品)は、「分流」性を有するといえる。
【0048】
医療装置は、管状部材を含むことができ、管状部材は、側壁と、側壁における複数の孔とを有し、複数の孔は、管状部材が血管内で動脈瘤に隣接して配置された場合に、血栓形成及び動脈瘤の治癒を引き起こすのに十分な程度の、側壁を通って動脈瘤に入る血液の流れを阻害する大きさである。装置はまた、コーティングにより形成されたウェブが孔に存在しないように、管状部材上に分布する抗血栓性コーティングを有することができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、管状部材は、一体に編組されてそれらの間に孔を形成する複数のフィラメントを含む。管状部材は、動脈瘤の頸部を跨ぐように構成される分流部を有することができる。装置はまた、分流部上に分布するコーティングを有することができる。コーティングは、ウェブがない分流部の全体に分布する。
【0050】
いくつかの実施形態では、装置は、2つ以上のフィラメントで製造された拡張可能なステントであることができる。フィラメントは、例えば、ニチノール、白金、コバルトクロム、ステンレス等の形状記憶材料及び超弾性材料を含む公知の可撓性材料で形成することができる。いくつかの実施形態では、フィラメントは、丸線又はオボイド線であることができる。さらに、フィラメントは、装置が拡張可能であるように構成することができる。1つの実施形態では、ステントは、40%白金コアを有する32ミクロンのDFTワイヤーで製造することができ、編組前に電解研磨することができる。他の実施形態では、フィラメントの1つ以上は、生体適合性金属材料又は生体適合性高分子で形成することができる。別の実施形態では、フィラメントの1つ以上は、X線不透過性のコアを有する複合ワイヤーであることができる。ワイヤー又はフィラメントは、格子状構造に編組することができる。ただし、その他の実施形態では、本開示の範囲を逸脱せずに、その他の編組方法に従うことができる。装置は、血行動態の流入を低減し及び/又は、例えば、動脈瘤内に血栓を誘発するように構成される気孔率を示すが、同時に装置の一部がプラスチムを横切る隣接分岐血管への灌流を可能にすることができる。理解されるように、装置の気孔率は、当技術分野で知られるように、展開中に装置を「梱包」することで調整することができる。装置の端部を長く切断することができるため、径方向の自由拡張及び収縮を維持する。装置は、使用する材料、フィラメントの密度(つまり、気孔率)及びワイヤー又はフィラメントの端部がステントの端部の少なくとも一方で互いに固定されない事実に応じて、高い柔軟性を発揮することができる。
【0051】
また、いくつかの実施形態では、装置(例えば、ステント)には、5%-95%の範囲の気孔率を設けることができ、拡張した編組に使用されてもよい。
【0052】
図1は、その少なくとも一部に沿って配置されるコーティングを含むステント10として示される管状の拡張可能な装置を示す。管状のステント10は、複数の編組されたフィラメントで形成可能な細長い中空体を含む。ここに開示されるいくつかの実施形態は、ステントの全長に亘って又はその一部のみに亘ってコーティングを含むことができる。ステント10は、分流部11を含むことができる。分流部11は、分流孔径を有する複数の孔を含むことができ、この特性に代えるか又はそれに加えて、分流部11は、分流気孔率を有することができる。分流部11は、ステント100の一部又はステント全体を含むことができる。分流孔径は、分流部11又はその一部内等のステントの関連部分内の平均孔径、又は編組角、フィラメント数、フィラメント径、フィラメント径、ステント径、インチあたりの縦方向のピック数、インチあたりの放射状のピック数等の測定又は公称の基本ステントパラメータから算出される「算出された」孔径であることができる。このような算出された孔径は、平均孔径の一種とみなすことができる。分流孔径は、例えば、親血管と動脈瘤の血栓化を誘発するか又は引き起こすのに十分な動脈瘤との間で、ステント100の側壁を介して血流を阻害又は妨げるサイズ範囲内にあることができる。コーティングは、分流部11の一部又は全部に沿って、又はステント10のその他の部分に沿って配置することができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、分流部11の孔は、500ミクロン(内接径)未満の平均孔径を有することができる。
【0054】
分流部11における孔の平均孔径は、コーティング材が配置されるか又は配置せずに測定される孔の平均孔径であることができる。従って、裸ステントの分流部の平均孔径は、分流範囲内にあることができる。また、コーティングされたステントの分流部の平均孔径は、分流範囲内にあることができる。さらに、分流部11は、平均孔径の範囲よりも大きい又は小さいサイズを有する孔を含むことができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、分流部11は、一体に編組されてステント10の管状体を形成する複数のフィラメントを含む。ステントが拡張又は緩和状態である場合、フィラメントは、互いに交差してステント10の孔を形成する。
【0056】
図2は、緩和状態の分流部11の単一の孔を示す。孔は、複数のフィラメントにより形成される2つのフィラメントの間の角度は、従来技術における任意の適切な角度であることができ、例えば、フィラメント121、122間の角度は、約100°-約170°とすることができる。
【0057】
また、孔径を最大化するために、いくつかの実施形態では、フィラメントは、正方形及び/又は長方形等の直角四辺形を形成することができる。しかし、フィラメントに外接する孔形状は、全て直角四辺形でなくてもよく、ステントの同一部位又は異なる部位の孔間で多少のばらつきが生じることができる。
【0058】
1つの好適な実施形態では、ステントの孔径及び拡張された「緩和時」直径(つまり、公称の直径)は、熱処理ステップによる形成過程で、設定される。この熱設定ステップにより出力(編組ワイヤーの数、編組角度、ワイヤー径、形成径等の組み合わせ)は、その設計に固有の孔径構成(つまり、サイズ及び形状)となる。動脈瘤への血流を適切に変化させる埋め込まれた編組構造の能力の観点から、最適な気孔率及び孔径が存在する。
【0059】
熱設定ステップ後、装置を洗浄し、コーティングして所望の表面特性を装置に付与することができる。その後、ここに開示される方法の1つを用いて装置をコーティングすることができる。
【0060】
本発明は、医療装置上にコーティング材を堆積させるプラズマ法を開示する。プラズマ法は、装置上にコーティングを形成するために用いることができる全ての公知のプラズマ蒸着法であってもよい。
【0061】
コーティング材は、様々な抗血栓性材料又は血小板凝集阻害剤、又は抗血栓性高分子若しくは単量体の1つ以上であることができる。適切なコーティング材は、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)、PARYLENE CTM、PARYLENE HTTM、BAYMEDIXTM、BIOCOATTMヒアルロン酸又はポリエチレンオキサイド等を含む。その他のコーティング材では、ヘパリン、ヘパリン様物質又はその誘導体、ヒルジン、H-ヘパリン、HSI-ヘパリン、アルブミン、リン脂質、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノーゲンアクティベーター(TPA)、ウロキナーゼ、ヒアルロン酸、キトサン、メチルセルロース、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルピロリドン)、内皮細胞増殖因子、上皮増殖因子、骨芽細胞増殖因子、線維芽細胞増殖因子、血小板由来増殖因子又は血管新生増殖因子を含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、MPCの適切な形態は、PCとメタクリレート油とを混合して、予備成形高分子である安定なMPC混合物を得ることで調製される。その他の実施形態では、MPCの適切な形態は、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン-ポリ(メタクリル酸n-ブチル)である。
【0063】
いくつかの実施形態では、方法は、予備成形高分子等のコーティング材の溶液を調製することと、溶液を気体等で噴霧して液体エアロゾルを形成することと、プラズマ中で重合を開始させ、反応し続けて完全なコーティングを形成する(例えば、ステント)医療装置の表面に反応フラグメントを堆積させることとを含む。従って、その結果、高分子が装置の表面に不溶性のネットワークを形成するため、強力な付着を実現する。
【0064】
プラズマ重合又はグロー放電重合では、重合を開始するために、プラズマ源を用いてガス放電を発生させて、エネルギーを提供して、ビニル基を常に含有する気体又は液体の単量体を活性化又はフラグメント化する。この技術により形成される高分子は、概して、高度に分岐し、高度に架橋され、化学結合によって固体表面によく付着される。このプロセスの最大の利点は、チェーンを成長させる一方、高分子が所望の表面に直接付着することができることであり、これは、グラフト等のその他のコーティング処理によるステップを減少させる。これは、溶剤不溶性高分子を使用する100ピコメートルから1マイクロメートルまでの厚さのピンホールなしのコーティングに非常に有用である。
【0065】
これらの高分子の両親媒性により、PC分子が応用プロセス中に優先的に配向する可能性があるため、疎水性部分は、装置表面と相互作用し、親水性部分は、水和時にそれら自体が表面に現れて非血栓形成特性を提供する。
【0066】
プラズマは、イオン、フリーラジカル及びその他の化学反応種を含有するエネルギーガスである。これらは、金属表面に衝突すると、表面の酸化物層と反応することができる。これは、金属を洗浄し、消毒することができるとともに、金属表面と反応して金属表面が反応種の層で一時的に覆われたままになる。そのうちのいくつかは、金属の表面での結合を切断することを含む。表面で使用されるプラズマパワーが大きいければ大きいほど、表面がより活性化される。プラズマ体積プロセスにおける代表的な第1のステップは、最初に高出力プラズマを用いて金属表面を洗浄し、活性化することである。これをプリエッチングステップという。これにより、表面がフリーラジカル及び酸化された分子で覆われる。第2のステップは、液体前駆体を導入する一方、低パワープラズマを使用する。コーティング処理は、主としてフリーラジカルにより駆動される。フリーラジカルは、特定の化学結合で前駆体を優先的に攻撃する。MPCコーティングの場合、優先的に反応する炭素-炭素二重結合である。次に、前駆体は、プラズマ中で重合を開始する。それは、プラズマ中を移動し、さらに表面に衝突する前に反応する。表面では、重合反応が終了し、これは、発明者が金属酸化物表面で生成した活性種との直接反応を常に関連する。その結果、金属表面での活性部位にも直接結合する均一なコーティングを得る表面でのin-situ重合は、発生する。
【0067】
その他の実施形態では、コラーゲン及びヘパリン等の大きな高分子生体分子は、医療装置の表面に堆積することができる。方法は、予備成形高分子等のコーティング材の溶液を調製することと、溶液を気体等で噴霧して液体エアロゾルを形成することと、プラズマ中で重合を開始させ、反応し続けて完全なコーティングを形成する(例えば、ステント)医療装置の表面に反応フラグメントを堆積させることとを含んでもよい。
【0068】
いくつかの実施形態では、コーティング処理中に、医療装置(例えば、ステント)は、マンドレル又はホルダを用いて医療装置を保持することにより、プラズマ装置内に位置決めされる。コーティング処理中に、医療装置は、回転して反管腔面及び内腔面をコーティングする。その他の実施形態では、プラズマ装置は、医療装置(例えば、ステント)全体を内包することができるため、装置を回転させる必要がなく、コーティングを均一かつ連続的にすることができる。
【0069】
医療装置(例えば、ステント)に応用されるコーティング材の量は、装置自体及び使用されるコーティング材を含むが、これらに限定されない多くの変数によって変化することができる。一態様では、コーティング材の量は、装置表面を完全に覆うのに十分であることができる。
【0070】
プラズマ蒸着プロセスを用いてコーティング材を応用することは、前処理の選択肢として他の表面処理技術を用いることを妨げるものではない。このような前処理技術は、電解研磨又はパッシベーションを含んでもよいが、これらに限定されない。このような前処理技術は、コーティングの基板への付着に有利の効果を有する場合があるが、弊害がない。その他の実施形態では、装置は、例えば、下塗り層を生成するために、複数のコーティング層でコーティングされてもよく、油性単量体を追加することは、物理吸着を高めるための疎水性を有するより柔軟な高分子膜を提供する。
【0071】
コーティング材は、プラズマの動作パラメータ(例えば、使用するプラズマパワーのレベル)及び材料をプラズマに露出する方式によって、医療装置と強固に結合してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、プラズマパワーを高くすることは、コーティング材間の架橋強度を向上させてもよく、及び/又は表面との結合強度を向上させてもよく、その結果、隣接する粒子間の共有結合及び/又はコーティング材の装置への共有結合を形成してもよい。
【0072】
任意の適切な方法を用いてコーティング材の溶液を噴霧することができる。超音波スプレーシステム、回転ノズル、エレクトロスプレー装置、油圧ノズル、空気圧スプレー又はガス補助スプレーシステムを含む。ガス補助システムに対して、任意の適切なガスを用いて、生体分子を含む溶液を噴霧することができる。例えば、ガスは、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス及びこれらの混合ガスからなる群から選択することができる。
【0073】
プラズマパラメータ(電極設計、周波数、電圧、ガス組成等)を選択して、プラズマプロセスを制御することと、プラズマが非熱的に動作して、堆積している温度に敏感な材料又は敏感な材料がその上に堆積している基板材料に悪影響を与えない低温プラズマを生成することとを確保することができる。
【0074】
本発明の実施形態は、プラズマが室温付近で動作する非熱プラズマ装置を用いる。
【0075】
コーティング材を水性スプレーとして低エネルギー大気圧プラズマ中に直接導入することにより、安定な乾燥付着性コーティングを形成するためのワンステップルートを作ることが発見した。
【0076】
プラズマ装置は、1つ以上の電極と、非熱平衡プラズマを提供するための電極に動作的に接続される点火システムとを含んでもよい。プラズマ装置は、ガス供給口と、大気圧に露出するプラズマチャンバーとをさらに含み、非熱平衡プラズマは、プラズマチャンバー内で生成されてもよい。
【0077】
少なくとも1つの実施形態では、プラズマ装置は、プラズマ凝固装置であり、装置により生成されたプラズマは、コーティング材及び/又は少なくとも1種の薬剤に沿ってチャンバー内に導入される。前記チャンバーの端部は、大気に開放され、処理対象の医療装置は、チャンバーの出口に隣接して配置される。プラズマ処理の材料がコーティングとして装置の表面に堆積することを引き起こす可能性がある。
【0078】
プラズマを生成するガスは、例えば、ヘリウム又はアルゴン等を含んでもよい。例えば、装置は、アルゴンプラズマ凝固装置を含んでもよい。いくつかの実施形態では、例えば、アルゴン凝固装置の代わりに、ヘリウムプラズマ凝固装置を用いてもよい。
【0079】
プラズマは、コーティング堆積に複数の利点を与えることができる。反応性プラズマと化学活性単量体との組み合わせは、均一及び/又は医療装置との結合が良好なコーティングを形成してもよい。さらに、コーティング材の硬化は、加工上の利点を提供してもよいほぼ瞬間的に発生してもよい。
【0080】
従って、ここに開示の装置及び方法のいくつかの実施形態は、任意の2つの要素(フィラメント等)の間に本質的にウェビングがないコーティングを有するステント又は編組ステント等の装置を提供することができる。このコーティング処理で見える材料のウェビングがない理由は、いくつかある。一態様では、コーティング処理は、溶媒を使用せず、高分子を溶液として応用すれば、ある程度の表面張力を有してもよく、溶媒が蒸発する際に毛細管力によって小さな隙間を本質的に架橋して高分子のウェブを形成してもよい。プラズマ相材料を利用することは、浸漬塗工法及びスプレー塗工法のいずれで液相コーティングの応用に関連付けられる上記現象を回避してもよい。
【0081】
本発明に係る装置又はステントにおいて、上記プラズマコーティング法により、ウェビングが本質的にない。例えば、編組ステントにおいて、コーティング処理が終了する時、ステントの任意のワイヤー間にウェビングが全く形成されない。しかしながら、従来技術では、ステントのワイヤー間にウェビングが形成されないこと、又は従来技術のコーティング方法によりステントにウェビングが確実に形成されることを保証できない。コーティングされたステントにエアーを吹き付けるように、コーティング後にウェビングを除去するための追加ステップを使用する必要がある。しかし、エアーを吹き付ける際、コーティングは、ステントの表面に堆積し、かつそこから除去されにくい。また、エアーを吹き付けることは、コーティング自体に不具合が生じる場合がある。このため、従来技術では、ウェビングが本質的にないコーティングを有するステント又は装置を製造することができない。
【0082】
密編組構造の任意の2つの要素の間にウェビングを形成することは、応用プロセス中に基板の「濡れ」が顕著であるコーティング処理の一般的な事実である。これは、典型的に、コーティング溶液を、後処理ステップ(例えば、過剰なコーティング溶液を吹き飛ばすために「エアナイフ」を使用する)がコーティング厚さを許容レベルまで薄くすることに必要であるこのような量で滴下する浸漬又はスプレー応用プロセス中に発生する。このような後処理ステップでも、コーティング溶液の表面張力によって、編組構造の隣接する要素間にウェビングが残存することができる。典型的には、硬化ステップは、コーティングの応用後に必要であり、これは、任意のウェブを位置に「凍結」させる。
【0083】
一方、プラズマ蒸着の使用は、コーティング材を応用する基本的に異なる方法である。堆積対象の材料は、アルコールを溶媒として使用する溶液中に配置される。基板を(コーティング材が噴霧された)通電された冷プラズマコロナと共にプレエッチングすることにより、コーティング層がゼロの厚さから所望の厚さになる。コーティング材の送達時に共有結合が基板とコーティング材との間に瞬間的に形成される一方、アルコール溶媒は、蒸発して、溶質コーティング材のみが残る。コーティング材の硬化は、隣接する分子チェーンが自発的に架橋するために、自動的に起こり、隣接するワイヤーの接合部で湿潤コーティング溶液を集めることができるメカニズムとしての表面張力を効果的に解消する。そのため、コーティングのウェビングは、プラズマ蒸着コーティング処理の一部として発生することができる特徴としては見えない。
【0084】
これは、本発明に係る装置及び方法が、従って、任意の2つの要素(フィラメント等)の間に本質的にウェビングがないコーティングを有するステント又は編組ステント等の装置を提供することができる原因である。
【0085】
分流孔径及び/又は分流気孔率を有するいくつかの実施形態では、ステントの分流態様は、ステント全体又はステントの一部のみに現れる。
【0086】
いくつかの実施形態では、ステント等の医療装置は、全長に亘ってコーティングされてもよい。その他の実施形態では、ステント等の医療装置は、分流部の長さに沿ってコーティングされてもよい。
【0087】
図3は、コーティング材により形成されたウェブを示す画像である。
図3において、上部は、装置の2つの要素(フィラメント)が互いに接触し、かつコーティングが一方から他方まで連続するが、要素が接触するためブリッジを形成しないことを示すことに対して、下部は、装置の2つの要素が互いに接触しないが、コーティングがブリッジを介して1つのフィラメントをその他のフィラメントに連結することを示す。このブリッジ部は、2つの要素間のウェビングを構成する。
【0088】
コーティングされたステントは、SEM(走査型電子顕微鏡)画像で観察することができる。
図4A及び4Bは、ここに開示されるプロセスでコーティングされた編組ステントのSEM画像である。
【0089】
本発明の一実施形態によれば、動脈瘤を処置する医療装置において、上記方法に係る分流部上に抗血栓性材料をコーティングし、その上に形成される抗血栓性材料のコーティングは、10nm以上の厚さを有する。好ましくは、抗血栓性材料のコーティングは、10-200nmの厚さを有する。より好ましくは、抗血栓性材料のコーティングは、10-60nm、10-100nm、20-30nm、30-40nm、30-50nm、40-60nm、60-80nm、80-100nm、100-120nm、100-150nm、120-130nm、130-150nm、150nm-180nm、150nm-200nm、160nm-180nm又は180nm-200nmの厚さを有する。
【0090】
本発明では、上記開示のプラズマ法により医療装置上にコーティングを堆積させる。このような方法で、抗血栓性材料が化学結合により前記医療装置の前記表面に付着するため、その上に形成されるコーティングは、医療装置に対して非常に良好な付着性を有する。
【0091】
その結果、上述したように、コーティングは、10-200nm以上の厚さを有してもよい。このようなコーティングが通常3nm以下の厚さを有する従来技術と比較して、本発明に係るコーティングは、抗血栓性に優位性を有してもよい。
【0092】
また、付着性がよいため、本発明に係るコーティングは、良好な硬さと耐久性を有し、使用中に医療装置から剥離しにくく、これは、人体、特に血管内で使用されるこのような医療装置にとって非常に優れる。
【0093】
図5は、本発明に係るフローループ試験を示す模式図であり、その結果、本発明に係るコーティングの良好な硬さと耐久性を示する。
【0094】
図5に示すように、一般的な考え方は、本発明に係るコーティングを有するステントをチャレンジ位置に保持し、かつその周囲に食塩水を28日間ポンピングすることである。熱画像は、ステントが依然として37℃の食塩水にさらされ、かつループ内の温度が低下しないことを確認するものである。
【0095】
4つのステント及び6つの解析ポイントを有する。週2-1つのポイント、週3-1つのポイント、週4-2x個のステント及び2x個の解析ポイントがそれぞれ存在する。
【0096】
低倍率画像のいくつかでは、多くの結晶堆積物が見られるが、これは、食塩水からの塩の残留物のみである。実情報は、高解像度の断面画像にあるこれらは、2週間から4週間まで変化しない。実際には、食塩水ループ試験を行わなかった初期サンプルと同じように見える。従って、今、最長4週間の埋め込み期間まで積極的な流れを受けた場合にコーティングが付着性と耐久性の両方を有すると論理的に仮定する。
【0097】
本発明の上記実施形態によれば、抗血栓性材料は、任意の2つの要素の間に抗血栓性材料のウェビングがないように、プラズマ蒸着法により医療装置の管状部材上にコーティングされる。
【0098】
本発明の上記態様によれば、管状部材上への抗血栓性材料のコーティングは、超平滑表面を有する。好ましくは、抗血栓性材料のコーティングの表面は、約0.02-0.2μm、例えば、0.1μmの平均粗さ、及び/又は約0.2-2μm、例えば、0.5μmの平均粗さ深さを有する。コーティングは、抗血栓性材料を医療装置の管状部材上に付着させるプラズマ蒸着法のため、このような超平滑表面及び上記粗さを有する。
【0099】
本発明の一実施形態では、医療装置用の編組ワイヤー上に、青色酸化物表面が設けられる。青色酸化物表面仕上げにより、編組部品に巻き入れる前に電解研磨ステップを行うため、超平滑性を得る。材料の青色の色合いは、熱処理ステップが部品が見る最終処理ステップであることから由来し、得られた酸化層は、持続してこの着色を示す。ワイヤー上の青色酸化物表面は、約0.02-0.2μm、例えば、0.1μmの平均粗さ及び/又は約0.2-2μm、例えば、0.5μmの平均粗さ深さを有する。
【0100】
上述したプラズマ法によりワイヤーの青色酸化物表面上にコーティングを堆積させる場合、抗血栓性材料のコーティングの表面も、約0.02-0.2μm、例えば、0.1μm平均粗さ、及び/又は約0.2-2μm、例えば、0.5μmの平均粗さ深さを有する。
【0101】
青色酸化物表面仕上げは、基準表面仕上げより10倍の平滑性を有することがわかる。得られた測定値に基づいて、ワイヤーを編組する前に電解研磨すると、表面平滑性の点で顕著なメリットがあることがわかる。プラズマ蒸着法による青色酸化物へのコーティングは、青色酸化物とほぼ同等の平滑性を有し、かつ超平滑性を示すことができる。
【0102】
本明細書の他の箇所で記載されるように、本開示はまた、ここに開示される被覆ステントの実施形態のいずれかを用いて、動脈瘤又は頭蓋内動脈瘤等の血管症状を処置する方法を含む。コーティングされた低血栓性ステントは、動脈瘤の頚部を横断して展開することができ、かつ動脈瘤と親血管との間の血流を減少させるために使用されるその分流特性は、動脈瘤内の血液を血栓化させ、動脈瘤の治癒を引き起こす。
【0103】
ここに開示されるコーティングされたステントのいずれかを埋め込むために、ステントを送達システムに取り付けることができる。概して、送達システムは、ステントを支持又は含有する細長の芯線アセンブリを含むことができ、部品の両方は、マイクロカテーテル又は他の細長のシースの管腔に摺動自在に収容されて、マイクロカテーテルの遠位開口部が進入可能な任意の領域に送達することができる。芯線アセンブリは、ステントが動脈瘤又はその他の処置箇所を横断して血管内の箇所に自己拡張することを可能にするように、ステントがマイクロカテーテルを通して前進してマイクロカテーテルの遠位端から出るために用いられる。
【0104】
処置手順は、典型的に脚又はアーム内の主要血管を介して、患者の動脈系に経皮的にアクセスすることから開始することができる。ガイドワイヤーは、経皮的アクセスポイントを介して配置され、かつ頭蓋動脈内にあることができる処置箇所まで前進することができる。次に、マイクロカテーテルをガイドワイヤーに亘って処置箇所まで前進させ、ガイドワイヤーの遠位開口端が処置箇所に隣接するように位置決めされる。次に、ガイドワイヤーをマイクロカテーテルから引き抜くことができ、芯線アセンブリは、それに取り付けられるか又は支持されるステントと共にマイクロカテーテルを通して前進してその先端から出ることができる。次に、ステントは、自己拡張して血管の内壁に密着する。動脈瘤を処置する場合、ステントの側壁(例えば、編組管の一部)が動脈瘤の内部と親動脈の管腔とを分離するようにステントを動脈瘤の頸部を横断して配置する。ステントが配置されると、芯線アセンブリ及びマイクロカテーテルを患者から除去する。ステント側壁は、今、動脈瘤に対して分流機能を果たし、動脈瘤内の血液を血栓化させ、動脈瘤の治癒を引き起こすことができる。
プラズマ処置ヘッド
【0105】
いくつかの実施形態では、プラズマ処置を行うために、
図6に示すプラズマ処置ヘッドを用いる。プラズマ処置ヘッドは、
堆積対象の治療/材料の供給部と、
不活性ガス(いくつかの実施形態では、ヘリウム)の供給部と、
高圧電極と、
チャンバーという主部品を含む。
【0106】
高圧電極に隣接して流れるヘリウムガスは、コーティング材が噴霧ヘッドを介して注入される通電低温プラズマを生成する。チャンバーは、本発明に係るコーティング対象のステント等の処理対象の部品の局所に留まるようにコーティング材と通電ガスとの組み合わせを含有する。プラズマのエネルギーは、コーティング材の分子チェーン中の活性部位の形成を引き起こす。
【0107】
いくつかの好ましい実施形態では、基板の表面への活性部位の形成を引き起こす(分体のプラズマエッチングマシンにおいて真空条件下で行われた)基板のプレコーティングプラズマエッチングプラズマエッチングが提供されてもよい。コーティング対象の部品を、ダイナーZEPTO又は市販の既存のマシン等のプリエッチングマシンのチャンバー内に配置し、真空引きする。プラズマを生成するためのシステムのパワーは、50ワットから400ワットまで可変である。プリエッチングステップの時間は、0.1-20分間である。プレエッチングが終了すると、チャンバーが排気され、部品が取り出される。表面の活性がプレエッチングステップ後も数時間持続するため、厳密に必要ではないが、これらは、PC材料をコーティングするために直ちにプラズマ蒸着マシン内に配置される。
【0108】
これらの活性部位は、コーティング材の分子チェーン上に形成されるものと共に、コーティング材と基板との間に共有結合を形成する。コーティング材の分子チェーン間の架橋は、この処理間に発生するが、水環境で接触した際にPCチェーンがそれら自体を再配向できることを確保するために、これらをできるだけ最小限にすることを目的とする。
【0109】
いくつかの実施形態では、分流部上に青色酸化物の層が設けられ、青色酸化物の層上に抗血栓性材料がコーティングされる。
【0110】
いくつかの実施形態では、管状部材上への抗血栓性材料のコーティングは、超平滑表面を有する。抗血栓性材料のコーティングの表面は、約0.02-0.2μm、例えば、0.1μmの平均粗さ、及び/又は約0.2-2μm、例えば、0.5μmの平均粗さ深さを有する。
【0111】
いくつかの実施形態では、抗血栓性材料のコーティングは、10-200nm、好ましくは、30-50nmの厚さを有する。
処理の概要とパラメータ
【0112】
いくつかのパラメータは、基板又はステントの表面上の応用されたコーティング材の最終的な構造を変化させるために、変化することができる。これらのパラメータは、大別して
1)プラズマエネルギーパラメータ、
2)コーティング溶液と濃度パラメータ、
3)プレエッチングパラメータ、及び
4)処理間パラメータという4つの異なるカテゴリに属する。
プラズマエネルギーパラメータ
【0113】
所定の正弦波電圧と電流は、プラズマ処置ヘッドにおける2つの電極の間に印加される。これら2つのパラメータの大きさと時間的パターンは、プラズマ電界に印加されるパワーを決定する。典型的には、
図7に示すように、電圧と電流は、電圧と電流が遮断される期間(「パルスオフ時間」と呼ばれる)に続く短パルス期間(「パルスオン時間」と呼ばれる)印加される。プラズマ電界に印加されるパワー全体を変化させることができるように、両時間を独立に変化させることができる。
【0114】
高圧電極に供給される(従って、プラズマ電界に印加される)パワー全体は、
【数1】
に従って与えられる。
【0115】
Vは、印加された電圧、Iは、印加された電流、Mは、プラズマ処置ヘッドに印加されたパルスの総数である。
【0116】
例えば、電圧が1-200V、パルスオン時間が1-200ms、パルスオフ時間が1-200msであり、パワー出力は、好ましくは、1-20Wの範囲にあってもよい。
コーティング溶液と濃度パラメータ
【0117】
コーティング溶液は、一定量のホスホリルコリンの予め形成されたコポリマーをアルコールに溶解し、かつ得られた溶液を脱イオン水で希釈することで調製される。2つの異なるアルコールタイプ及び様々な水(アルコール濃度)を評価した。最後に、最終溶液のエージング時間は、プロセスパラメータとして変化することができる。
【0118】
本発明のいくつかの実施形態では、コーティング処理に対して、
1)90:10-10:90の水:アルコール濃度、
2)アルコールの選択:エタノールとメタノール、及び
3)コーティング処理前のエージング時間という溶液及び濃度パラメータを考慮することができる。
プレエッチングパラメータ
【0119】
コーティング処理前に基板の表面をエッチングする程度は、変化することもできる。これは、コーティング材と基板との付着性のレベルを変化させる効果を達成する。
【0120】
いくつかの実施形態では、プラズマを生成するためのシステムのパワーは、50ワットから400ワットまで可変である。プリエッチングステップの時間は、0.1-20分間である。
処理間パラメータ
【0121】
処置対象の部分又はステントをプラズマ蒸着ヘッドに提示する方式は、変化可能である。ヘッドは、ステント上を設定の速度で数回通過する。本実施形態におけるヘッド設定の典型的な構成は、
1)ヘッドスピードが300-2000mm/minであり、
2)部品上を通過する回数が1-20回である。
【0122】
いくつかの実施形態では、上記パラメータは、
水:エタノール混合物が90:10-10:90、例えば、80:20、70:30、60:40、40:60、30:70、20:80、90:10であり、
溶液中のPCの濃度が、0.5-20mg/ml、例えば、0.7mg/ml、1mg/ml、2mg/ml、3mg/ml、5mg/ml、7mg/ml、10mg/ml、12mg/ml、13mg/ml、17mg/ml、20mg/mlであり、
プラズマヘッドでのパワー測定値が1-20W、例えば、1W、2W、4W、5W、6W、8W、10W、14W、18W、20Wであり、
プレエッチング時間が0.1-20分間、例えば、0.1min、0.5min、0.8min、1min、4min、6min、10min、15min、18min、20minであり、
ヘッド速度が300-2000mm/min、例えば、300mm/min、500mm/min、700mm/min、900mm/min、1200mm/min、1500mm/min、1800mm/min、2000mm/minであり、
部品上を通過する回数が1-20、例えば、1、3、6、7、8、10、15、17、20であるように設定されてもよい。
【0123】
標的コーティング厚さに応じて上記パラメータの様々な選択肢を調整して一貫した結果を得ることができる。ステントは、上記プロセスに基づいてプラズマでコーティングされる。そのプラズマ処理のパラメータは、上記の範囲において選択される。
【0124】
上記ステントについて、
図7Aは、その目視画像である。
【0125】
図7Bは、その蛍光画像である。ホスホリルコリンコーティングの存在を可視化する方法は、ローダミン色素を使用して材料を染色し、蛍光下で構造を画像化することである。
【0126】
【0127】
【0128】
厚さ測定が行われた箇所が完全にランダムであるため、観察された範囲が構造全体上のコーティングを表すと仮定することは、合理的である。この観点をさらに強化するために、SEM、視覚顕微鏡法及び蛍光による画像化を使用して比較が行われた。視覚顕微鏡法は、青色色相がさらに複数の着色の領域を含む他の試験サンプルとは対照的である、構造全体に亘って一貫した青色色相の着色を示す。このステントを蛍光を用いて検査する場合、かなり一貫した赤の着色(低輝度)が見られ、高輝度の仕様は、ほとんどない。最後に、このステントのSEM画像化は、特にその他のサンプルに存在する円形の斑点、塊又は薄片のような特徴のいずれがない合理的に均一な表面トポロジーを示す。
【0129】
ここに開示される装置及び方法は、ステントのコーティングに限定されるものではなく、任意の数量のその他の埋め込み可能な装置を含んでもよい。処置部位は、血管と、臓器等の体のエリア又は領域を含んでもよい。
【0130】
前述の説明は、説明のために、本発明に係る特定の実施形態を参照して説明した。ただし、上記の例示的な説明は、網羅的であること、又は本発明を開示された正確な形態に限定することを意図するものではない。
【国際調査報告】