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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】電極材料としての縮合芳香族分子
(51)【国際特許分類】
   H01G 11/30 20130101AFI20240822BHJP
   H01G 11/60 20130101ALI20240822BHJP
   H01G 11/02 20130101ALI20240822BHJP
   H01M 4/02 20060101ALI20240822BHJP
   H01M 10/36 20100101ALI20240822BHJP
   C07D 241/46 20060101ALI20240822BHJP
   H01M 4/60 20060101ALN20240822BHJP
【FI】
H01G11/30
H01G11/60
H01G11/02
H01M4/02 Z
H01M10/36 A
C07D241/46
H01M4/60
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509465
(86)(22)【出願日】2022-01-26
(85)【翻訳文提出日】2024-02-16
(86)【国際出願番号】 US2022013925
(87)【国際公開番号】W WO2023022750
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】63/234,849
(32)【優先日】2021-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060697
【氏名又は名称】マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ディンカ, ミルチャ
(72)【発明者】
【氏名】バンダ, ハリシュ
(72)【発明者】
【氏名】チェン, ティアンヤン
【テーマコード(参考)】
5E078
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5E078AB03
5E078BA30
5E078BA44
5E078BA53
5E078DA07
5E078DA14
5H029AJ05
5H029AK16
5H029AL16
5H029HJ18
5H029HJ19
5H029HJ20
5H050AA07
5H050CA20
5H050CB20
5H050HA02
5H050HA17
5H050HA18
5H050HA19
(57)【要約】
縮合芳香族系を含む組成物、ならびに関連する電極、電気化学セル、および電荷蓄積デバイスが、概して記載される。好ましくは、芳香族系が、ビス-テトラアミノ-ベンゾキノン分子、ならびに/またはその互変異性体、オリゴマー、および/もしくはポリマーを含む。あるいは、芳香族組成物が、炭素原子、水素原子、および炭素原子と各々置き換わる複数のヘテロ原子を含む縮合芳香族系を含む活物質を含む。本発明の主題は、ある場合は、相互関係にある製品、特定の問題に対する代替的な解決法、ならびに/または1つもしくはそれより多くの系および/もしくは物品の複数の異なる使用を伴う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記構造:
【化11】
のビス-テトラアミノ-ベンゾキノン分子、ならびに/またはその互変異性体、オリゴマー、および/もしくはポリマーを含む組成物。
【請求項2】
下記構造:
【化12】
のビス-テトラアミノ-ベンゾキノン分子、ならびに/またはその互変異性体、オリゴマー、および/もしくはポリマーを含む電極。
【請求項3】
複数のビス-テトラアミノ-ベンゾキノン分子、ならびに/またはそれらの互変異性体、オリゴマー、および/もしくはポリマーを含む、請求項2に記載の電極。
【請求項4】
前記複数のビス-テトラアミノ-ベンゾキノン分子、ならびに/またはそれらの互変異性体、オリゴマー、および/もしくはポリマーの少なくとも一部が、水素結合を介して平面および/または二次元構造において相互作用する、請求項3に記載の電極。
【請求項5】
前記複数のビス-テトラアミノ-ベンゾキノン分子、ならびに/またはそれらの互変異性体、オリゴマー、および/もしくはポリマーの少なくとも一部が、π-π相互作用を介して三次元積層構造において相互作用する、請求項3および4のうちのいずれか一項に記載の電極。
【請求項6】
前記電極が10-7S/cmより大きいまたはそれに等しい導電率を有する、請求項2~5のうちのいずれか一項に記載の電極。
【請求項7】
前記電極が300F/gより大きいまたはそれに等しい比容量を有する、請求項2~6のうちのいずれか一項に記載の電極。
【請求項8】
前記比容量が0.2mV/sの走査速度で測定される、請求項7に記載の電極。
【請求項9】
前記電極が20,000サイクルより大きいまたはそれに等しいサイクル性能を有する、請求項2~7のうちのいずれか一項に記載の電極。
【請求項10】
前記サイクル性能が30mV/sの走査速度で測定される、請求項9に記載の電極。
【請求項11】
第1の電極、
第2の電極、および
電解質を含み、
前記第1の電極および/または前記第2の電極が請求項2~10のうちのいずれか一項に記載の電極である、電気化学セル。
【請求項12】
前記電解質が0より大きいまたはそれに等しく、2より小さいまたはそれに等しいpHを有する液体電解質である、請求項11に記載の電気化学セル。
【請求項13】
前記電解質が12より大きいまたはそれに等しく、15より小さいまたはそれに等しいpHを有する液体電解質である、請求項11および12のうちのいずれか一項に記載の電気化学セル。
【請求項14】
炭素原子、水素原子、および炭素原子と各々置き換わる複数のヘテロ原子を含む縮合芳香族系を含む活物質を含み、
炭素原子のヘテロ原子に対する比が1より大きく2未満であり、前記複数のヘテロ原子がN、O、S、および/またはSeを含む、電気化学的に活性な電荷蓄積材料。
【請求項15】
炭素原子、水素原子、および炭素原子と各々置き換わる複数のヘテロ原子を含む縮合芳香族系を含む活物質を含み、
前記縮合芳香族系の少なくとも一部が、いくつかの水素結合相互作用を介して平面および/または二次元構造にあり、前記水素結合相互作用の数が炭素原子1モル当たり0.3より大きいまたはそれに等しく、1より小さいまたはそれに等しい水素結合である、電気化学的に活性な電荷蓄積材料。
【請求項16】
活物質を含み、前記活物質が炭素、水素、および炭素原子と置き換わる1つまたはそれより多くのヘテロ原子を含む縮合芳香族系を含む電気化学的に活性な電荷蓄積材料を含み、
前記電気化学的に活性な電荷蓄積材料が、活物質1グラム当たり100mAhより大きいまたはそれに等しい電荷容量を有し、および/または、
前記電気化学的に活性な電荷蓄積材料が電気化学的に活性な電荷蓄積材料1グラム当たり50mAhより大きいまたはそれに等しい電荷容量を有する、電荷蓄積デバイス。
【請求項17】
前記電荷容量が、60秒未満である充電および/または放電レートで放出される、請求項16に記載の電荷蓄積デバイス。
【請求項18】
電気化学的に活性な電荷蓄積材料であって、活物質を含み、前記活物質が炭素、水素、および炭素原子と置き換わる1つまたはそれより多くのヘテロ原子を含む縮合芳香族系を含む、電気化学的に活性な電荷蓄積材料を含み、
前記電気化学的に活性な電荷蓄積材料が電解質に配置され、
前記電気化学的に活性な電荷蓄積材料が、前記電解質のpH値が0より大きいもしくはそれに等しく、2より小さいもしくはそれに等しい、または12より大きいもしくはそれに等しく、15より小さいもしくはそれに等しい場合に、前記電解質のpH値が2より大きく12未満である場合と比較して少なくとも50%大きい電荷容量を有する、電荷蓄積デバイス。
【請求項19】
電気化学的に活性な電荷蓄積材料であって、活物質を含み、前記活物質が炭素、水素、および炭素原子と置き換わる1つまたはそれより多くのヘテロ原子を含む縮合芳香族系を含む、電気化学的に活性な電荷蓄積材料を含み、
前記電気化学的に活性な電荷蓄積材料が、2.0V vs.Li/Li標準参照電極より高い電圧でその電荷容量の少なくとも90%を放出する、電荷蓄積デバイス。
【請求項20】
電気化学的に活性な電荷蓄積材料であって、活物質を含み、前記活物質が炭素原子、水素原子、および炭素原子と置き換わる複数のヘテロ原子を含む縮合芳香族系を含む、電気化学的に活性な電荷蓄積材料を含み、
ヘテロ原子1モル当たりの電荷として蓄積された電子のモル比が0.3より大きいまたはそれに等しく、0.6より小さいまたはそれに等しい、電荷蓄積デバイス。
【請求項21】
電気化学的に活性な電荷蓄積材料であって、活物質を含み、前記活物質が有機材料を含む、電気化学的に活性な電荷蓄積材料を含み、
前記活物質が、周囲温度および大気圧下で溶媒1リットル当たり1ミリモルより小さいまたはそれに等しい溶解度を有し、
前記電気化学的に活性な電荷蓄積材料が少なくとも20,000サイクル後に85%より大きいまたはそれに等しい電荷容量保持率を有する、電荷蓄積デバイス。
【請求項22】
前記電荷蓄積デバイスがキャパシタである、請求項16~21のうちのいずれか一項に記載の電荷蓄積デバイス。
【請求項23】
前記キャパシタがスーパーキャパシタである、請求項22に記載の電荷蓄積デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年8月19日に出願され、「FUSED AROMATIC MOLECULES AS ELECTRODE MATERIALS」と表題された米国仮出願第63/234,849号に対する優先権を主張し、それは全ての目的のために本願で参照として全体的に組み込む。
【0002】
技術分野
縮合芳香族系を含む組成物、ならびに関連する電極、電気化学セル、および電荷蓄積デバイスが概して記載される。
【背景技術】
【0003】
背景
スーパーキャパシタ(SC)は、リチウムイオン電池(LIB)と比較して、高電力密度および長期的なサイクル安定性を提供するエネルギー蓄積デバイスである。しかし、電極材料として多孔質炭素を使用する典型的なSCのエネルギー密度は、LIBより少なくとも二桁低い。SCの高電力を維持しながらこのエネルギー密度のギャップを埋めることは、理想的な蓄積デバイスの作製に向けた挑戦である。エネルギー密度のギャップを埋める1つの戦略は、擬似容量性電極材料を使用することである。無機酸化物は、例えば、秒のより速い時間スケールで機能している間、迅速なファラデー作用を経て、電池に匹敵する電荷蓄積(約160mAh/g)を放出し得る。しかし、最良の性能を示す無機酸化物(例えば、RuO・xH2OおよびIrO・xH2Oなどの含水貴金属酸化物)は、SCの商業用途には非常に高価である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
縮合芳香族系を含む組成物、ならびに関連する電極、電気化学セル、および電荷蓄積デバイスが概して記載される。本発明の主題は、ある場合は、相互関係にある製品、特定の問題に対する代替的な解決法、ならびに/または1つもしくはそれより多くの系および/もしくは物品の複数の異なる使用を伴う。
【0005】
いくつかの実施形態によれば、組成物が記載され、組成物は、下記構造:
【化1】
のビス-テトラアミノ-ベンゾキノン分子、ならびに/またはその互変異性体、オリゴマー、および/もしくはポリマーを含む。
【0006】
ある実施形態によれば、電極が記載され、電極は、下記構造:
【化2】
のビス-テトラアミノ-ベンゾキノン分子、ならびに/またはその互変異性体、オリゴマー、および/もしくはポリマーを含む。
【0007】
いくつかの実施形態によれば、電気化学セルが記載され、電気化学セルは、第1の電極、第2の電極、および電解質を含み、第1の電極および/または第2の電極が上記のような、例えば、下記構造:
【化3】
のビス-テトラアミノ-ベンゾキノン分子、ならびに/またはその互変異性体、オリゴマー、および/もしくはポリマーを含む電極である。
【0008】
ある実施形態によれば、電気化学的に活性な電荷蓄積材料が記載され、電気化学的に活性な電荷蓄積材料は、炭素原子、水素原子、および炭素原子と各々置き換わる複数のヘテロ原子を含む縮合芳香族系を含む活物質を含み、炭素原子のヘテロ原子に対する比が1より大きく2未満であり、複数のヘテロ原子がN、O、S、および/またはSeを含む。
【0009】
いくつかの実施形態によれば、電気化学的に活性な電荷蓄積材料が記載され、電気化学的に活性な電荷蓄積材料は、炭素原子、水素原子、および炭素原子と各々置き換わる複数のヘテロ原子を含む縮合芳香族系を含む活物質を含み、縮合芳香族系の少なくとも一部が、いくつかの水素結合相互作用を介して平面および/または二次元構造にあり、水素結合相互作用の数が炭素原子1モル当たり0.3より大きいまたはそれに等しく、1より小さいまたはそれに等しい水素結合である。
【0010】
ある実施形態によれば、電荷蓄積デバイスが記載され、電荷蓄積デバイスは、電気化学的に活性な電荷蓄積材料であって、活物質を含み、活物質が炭素、水素、および炭素原子と置き換わる1つまたはそれより多くのヘテロ原子を含む縮合芳香族系を含む、電気化学的に活性な電荷蓄積材料を含み、電気化学的に活性な電荷蓄積材料が、活物質1グラム当たり100mAhより大きいまたはそれに等しい電荷容量を有し、および/または電気化学的に活性な電荷蓄積材料が電気化学的に活性な電荷蓄積材料1グラム当たり50mAhより大きいまたはそれに等しい電荷容量を有する。
【0011】
いくつかの実施形態によれば、電荷蓄積デバイスが記載され、電荷蓄積デバイスは、電気化学的に活性な電荷蓄積材料であって、活物質を含み、活物質が炭素、水素、および炭素原子と置き換わる1つまたはそれより多くのヘテロ原子を含む縮合芳香族系を含む、電気化学的に活性な電荷蓄積材料を含み、電気化学的に活性な電荷蓄積材料が電解質に配置され、電気化学的に活性な電荷蓄積材料が、電解質のpH値が0より大きいもしくはそれに等しく、2より小さいもしくはそれに等しい、または12より大きいもしくはそれに等しく、15より小さいもしくはそれに等しい場合に、電解質のpH値が2より大きく12未満である場合と比較して少なくとも50%大きい電荷容量を有する。
【0012】
ある実施形態によれば、電荷蓄積デバイスが記載され、電荷蓄積デバイスは、電気化学的に活性な電荷蓄積材料であって、活物質を含み、活物質が炭素、水素、および炭素原子と置き換わる1つまたはそれより多くのヘテロ原子を含む縮合芳香族系を含む、電気化学的に活性な電荷蓄積材料を含み、電気化学的に活性な電荷蓄積材料が、2.0V vs.Li/Li標準参照電極より高い電圧でその電荷容量の少なくとも90%を放出する。
【0013】
いくつかの実施形態によれば、電荷蓄積デバイスが記載され、電荷蓄積デバイスは、電気化学的に活性な電荷蓄積材料であって、活物質を含み、活物質が炭素原子、水素原子、および炭素原子と置き換わる複数のヘテロ原子を含む縮合芳香族系を含む、電気化学的に活性な電荷蓄積材料を含み、ヘテロ原子1モル当たりの電荷として蓄積された電子のモル比が0.3より大きいまたはそれに等しく、0.6より小さいまたはそれに等しい。
【0014】
ある実施形態によれば、電荷蓄積デバイスが記載され、電荷蓄積デバイスは、電気化学的に活性な電荷蓄積材料であって、活物質を含み、活物質が有機材料を含む、電気化学的に活性な電荷蓄積材料を含み、活物質が、周囲温度および大気圧下で溶媒1リットル当たり1ミリモルより小さいまたはそれに等しい溶解度を有し、電気化学的に活性な電荷蓄積材料が少なくとも20,000サイクル後に85%より大きいまたはそれに等しい電荷容量保持率を有する。
【0015】
本発明の他の利点および新規の特徴は、添付の図面と併せて考慮される場合、本発明の様々な限定しない実施形態の次の詳細な説明から明らかとなるであろう。本明細書と参照により組み入れられる文書とが相反するおよび/または一貫しない開示を含んでいる場合には、本明細書が優先するものとする。参照により組み入れられる2つまたはそれより多くの文書が、互いに対して相反するおよび/または一貫しない開示を含んでいるなら、後の有効な日付を有する文書が優先するものとする。
【0016】
図面の簡単な説明
本発明の限定しない実施形態は、概略的であり、一定の比で書かれることを意図しない添付図面を参照して例示により記載される。図面においては、図示されている同一またはほぼ同一な構成要素のそれぞれは、通常はただ1つの番号で表されている。明瞭のために、全ての構成要素は全ての図面に表示されておらず、あるいは、本技術分野における当業者が本発明を理解することができるようにするために図面が必要でない場合には、本発明の各実施形態の全ての構成要素は図示されていない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、ある実施形態による電極の概略図を示す。
【0018】
図2図2は、ある実施形態による電気化学セルの概略図を示す。
【0019】
図3図3は、ある実施形態による電荷蓄積デバイスの概略図を示す。
【0020】
図4図4は、ある実施形態によるビス-テトラアミノ-ベンゾキノン(BTABQ)およびそのポリマー(pBTABQ)の合成を示す。
【0021】
図5図5は、ある実施形態による縮合芳香族分子結晶およびそれらの自己縮合による共役ラダーオリゴマーへの転換の概略図を示す。
【0022】
図6図6は、ある実施形態による縮合芳香族材料への様々なカチオンの擬似容量性インターカレーションの概略図を示す。
【0023】
図7図7は、ある実施形態による0.625Åの最大解像度のBTABQの三次元(3D)逆格子を示し、差し込み図は、BTABQロッドの走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す(スケールバー:2μm)。
【0024】
図8図8は、ある実施形態による水素結合相互作用によって形成されたBTABQ分子の二次元(2D)層の概略図を示す。
【0025】
図9図9は、ある実施形態によるBTABQの2D層のπ-πスタッキングの概略図を示す。
【0026】
図10図10は、ある実施形態によるBTABQの2D層の供与体受容体配列の概略図を示す。
【0027】
図11図11は、ある実施形態によるBTABQおよびpBTABQの拡散反射紫外線可視の近赤外(DRUV-Vis-NIR)スペクトルを示す。
【0028】
図12図12は、ある実施形態による1MのLiCl水性電解質を使用して、10mVs-1の走査速度で得られたBTABQおよびpBTABQのサイクリックボルタンモグラム(CV)を示す。
【0029】
図13図13は、ある実施形態によるBTABQおよびpBTABQについてのCVサイクル数の関数としての容量保持率のプロットを示し、差し込み図は走査速度の関数としての重量比容量を示す。
【0030】
図14図14は、ある実施形態によるBTABQおよびpBTABQの電気化学インピーダンススペクトルを示す。
【0031】
図15図15は、ある実施形態による初期および負の分極BTABQのインサイチュ広角X線散乱(WAXS)パターンを示す。
【0032】
図16図16は、ある実施形態によるpBTABQのエクスサイチュエネルギー分散分光(EDS)マッピングを示す。
【0033】
図17図17は、ある実施形態による水とアセトニトリルとの混合物に1MのNaClOを含む電解質に記録されたpBTABQのCVを示す。
【0034】
図18図18は、ある実施形態によるBTABQへのカチオンの水支援擬似容量性インターカレーションの概略図を示す。
【0035】
図19図19は、ある実施形態による0~14.7の範囲のpH値で調整されたいくつかの1MのNaCl電解質において5mVs-1走査速度で得られたCVを示す。
【0036】
図20図20は、ある実施形態による走査速度の関数としてのピーク電流のプロットを示す。
【0037】
図21図21は、ある実施形態による0.2mVs-1の走査速度でCVから得られた電解質pHの関数としての重量比容量のプロットを示す。
【0038】
図22図22は、ある実施形態による分極電極のエクスサイチュ高解像度O1sおよびN1sのX線光電子スペクトルを示す。
【0039】
図23図23は、ある実施形態によるpH0下での分極pBTABQのEDSマッピングを示す。
【0040】
図24図24は、ある実施形態によるpH14.7下での分極pBTABQのEDSマッピングを示す。
【0041】
図25図25は、ある実施形態による4MのHClおよび6MのKOHにおける初期および浸漬pBTABQのDRUV-Visスペクトルを示す。
【0042】
図26図26は、ある実施形態による17モルのNaClOの塩中水電解質(water-in-salt electrolyte、WiSE)を使用して10、20、および40mVs-1走査速度で得られたpBTABQのCVを示す。
【0043】
図27図27は、ある実施形態による活物質充填が1.5、2.5、3.5、および6mgcm-2の電極上に0.2~100mVs-1の範囲の走査速度でCVから得られたWiSEにおけるpBTABQの電力性能を示す。
【0044】
図28図28は、ある実施形態によるpBTABQおよび関連する最先端のLICカソードおよび擬似容量性電極についてのレート性能の比較を示す。
【0045】
図29図29は、ある実施形態によるBTABQの4電子還元の概略図を示す。
【0046】
図30図30は、ある実施形態によるpBTABQの12電子還元の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
詳細な説明
輸送部門の電化およびグリッドの脱炭素の増大する要求は、様々なエネルギーおよび電力要求に応える電気化学エネルギー蓄積(EES)系の開発を必要とする。最先端のEESデバイスとして、従来のリチウムイオン電池(LIC)および電気化学キャパシタ(EC)が、典型的には高エネルギーまたは高電力のいずれかを提供する。いくつかの試みは、LICとECをデバイスレベルで統合することによってハイブリッドエネルギー蓄積系(HESS)において高電力およびエネルギー密度を達成することを目指した。このアプローチは、高エネルギーおよび電力を用途に供給するモジュール式を表し、ここで、電力要求は、時間と共に変化する、または高電力でエネルギーを回収する可能性が電力放出と同じくらい重要である。しかし、そのようなデバイス集積に伴う複雑さおよびコストは、電気自動車などのようなパッケージ敏感用途での使用を不可能にする。本発明者らは、LICの高電荷容量を、単一のEESデバイスにおけるECの急速充電および長いサイクル寿命と組み合わせた材料を開発することに強い関心が向けられていることを理解している。
【0048】
豊富な酸化還元活性部位を有する電極材料は、酸化還元部位が電極バルクにわたって急速に電気およびイオン電荷を輸送するので、高容量および高電力材料として適切であり得る。そのような擬似容量として典型的に公知である電荷蓄積機構は、酸化還元活性遷移金属酸化物、窒化物、および炭化物の薄膜において短い電荷拡散長と主として特定された。しかし、実際に関係のある質量負荷を備えたこれらの材料の厚い電極膜は、バルクイオンおよび電子輸送が劣ることにより準最適な性能を放出する。さらに、従来の無機材料の電気化学的挙動における界面化学、結晶度、および水和度の複雑な役割は、正確な設計制御を制限し、その代わり、複合材料合成およびナノエンジニアリングを必要とする。
【0049】
上記従来の無機材料とは対照的に、有機材料は、地球の豊富な元素を利用する電極材料の種々の設計に大きな構造の選択性および合成実現可能性を提供する。しかし、従来の有機分子は、それらの劣った本来の導電率、制限された電子非局在化、および電解質への高い溶解度により、それらの無機相当物と比較して劣った電気化学的性能を放出する。不溶性基材を使用して有機分子を重合および合成するなどの戦略は、電極分解を制限することができるが、不溶性有機固体中の電荷輸送および蓄積を同時に向上させる分子設計が強く望まれる。
【0050】
本発明者らは、縮合芳香族材料、例えば、ビス-テトラアミノベンゾキノン(BTABQ)、ならびにそのオリゴマーおよび/またはポリマーを含むものが、電極活物質として使用され得、EESに適することを実現し認識した。縮合芳香族材料は、拡張共役を備えた芳香族骨格中に高密度な酸化還元活性部位を有する。いくつかの実施形態において、例えば、材料の炭素対ヘテロ原子(例えば、N、O)比は1.3未満である。材料は、強い分子間水素結合および供与体受容体π-π相互作用を介した有機および水性媒体の両者中に不溶性固体を形成する。縮合芳香族材料、例えば、BTABQ、ならびにそのオリゴマーおよび/またはポリマーを含むものなどは、様々な電解質における高充放電レートで優れた電荷蓄積容量を示し、第1に、電子非局在化および容易なイオン輸送による電極バルクの全体にわたる迅速な擬似容量性インターカレーション作用から生じる。電子非局在化および容易なイオン輸送は、縮合芳香族材料中の酸化還元活性基の高密度な存在、および電子供与体および電子受容体の芳香環の交互の配置によって促進される。
【0051】
ある実施形態によれば、組成物が記載される。組成物は、いくつかの実施形態において有機材料を含む。ある実施形態において、例えば、組成物は縮合芳香族系を含む。本明細書で使用する用語「縮合芳香族系」は、当該分野でのその通常の意味を与えられ、結合手を共有する2つまたはそれより多くの環状(例えば、単環式、二環式、三環式など)芳香環、および/または結合手を共有する複数の2つまたはそれより多くの環状(例えば、単環式、二環式、三環式など)芳香環を一般に指す。いくつかの実施形態において、例えば、縮合芳香族系は、結合手を共有する少なくとも2つの芳香環を含む1つまたはそれより多くの縮合芳香族分子を含んでいてもよい。当業者によって一般に理解されるように、縮合芳香族系は、電子電荷の非局在化およびイオン電荷の拡散を有利に促進する拡張共役系であってもよい。
【0052】
縮合芳香族系は、当業者によって一般に理解されるように、炭素原子および水素原子を含んでいてもよい。ある実施形態において、縮合芳香族系は、炭素原子と置き換わる1つまたはそれより多くのヘテロ原子を含んでいてもよい。適切なヘテロ原子の例としては、例えば、窒素(N)、酸素(O)、硫黄(S)、および/またはセレン(Se)を含む。
【0053】
ある実施形態によれば、縮合芳香族系は、ヘテロ原子(例えば、N、O、S、および/またはSe)に対する炭素原子の様々な適切な比のいずれかを有していてもよい。炭素原子のヘテロ原子に対する比較的低い比(例えば、2未満)は、ヘテロ原子に対する炭素原子の高い比(例えば、2より大きい)を備えるが他の点で同等の系と比較して有利に系により多くの酸化還元活性部位をもたらし、それによって材料のバルクを介した電気および/またはイオン電荷に十分な輸送経路をもたらす。ある実施形態において、例えば、縮合芳香族系は、限定されないが、カルボニル基、アミン基、および/またはイミン基を含む比較的多くの酸化還元活性部位を含んでいてもよい。縮合芳香族系中のヘテロ原子の存在は、さらに、電子供与体および電子受容体の芳香環の交互配置を有利にもたらしてもよく、したがって、材料のバルクを介した電気および/またはイオン電荷の輸送を促進する。
【0054】
いくつかの実施形態において、縮合芳香族系中の炭素原子のヘテロ原子に対する比は、1より大きい、1.1より大きいまたはそれに等しい、1.2より大きいまたはそれに等しい、1.3より大きいまたはそれに等しい、1.4より大きいまたはそれに等しい、1.5より大きいまたはそれに等しい、1.6より大きいまたはそれに等しい、1.7より大きいまたはそれに等しい、1.8より大きいまたはそれに等しい、または1.9より大きいまたはそれに等しい。ある実施形態において、縮合芳香族系中の炭素原子のヘテロ原子に対する比は、2未満、1.9より小さいまたはそれに等しい、1.8より小さいまたはそれに等しい、1.7より小さいまたはそれに等しい、1.6より小さいまたはそれに等しい、1.5より小さいまたはそれに等しい、1.4より小さいまたはそれに等しい、1.2より小さいまたはそれに等しい、または1.1より小さいまたはそれに等しい。上記列挙される範囲の組合せも可能である(例えば、縮合芳香族系中の炭素原子のヘテロ原子に対する比は、1より大きく2未満であり、縮合芳香族系中の炭素原子のヘテロ原子に対する比は、1.2より大きく1.4未満である)。他の範囲も可能である。
【0055】
ある実施形態において、縮合芳香族系の少なくとも一部は、1つまたはそれより多くの水素結合相互作用によって相互に連結されてもよい。いくつかの実施形態において、例えば、BTABQ分子、それらのオリゴマー、および/またはポリマーの少なくとも一部は、水素結合を介して平面および/または二次元構造において相互作用してもよい。いくつかの実施形態によれば、水素結合相互作用は、1つまたはそれより多くの水素原子および1つまたはそれより多くの酸素原子(例えば、カルボニル基の)および/または1つまたはそれより多くの窒素原子(例えば、アミン基および/またはイミン基の)の間にあってもよい。理論に束縛されるものではないが、水素結合相互作用を介した縮合芳香族系の相互連結は、有利に電子電荷非局在化および縮合芳香族系を介したイオン電荷の拡散を促進してもよい。いくつかの実施形態において、水素結合を介した縮合芳香族系の相互連結は、また有利に有機および水性媒体に不溶性の固体材料をもたらし、それによって電極で用いるのに適切な材料をもたらし得る。
【0056】
縮合芳香族系は、様々な適切な水素結合相互作用のいずれかを有していてもよい。いくつかの実施形態において、例えば、縮合芳香族系中の水素結合相互作用の数は、縮合芳香族系中の炭素原子1モル当たり0.1より大きいまたはそれに等しい、0.2より大きいまたはそれに等しい、0.3より大きいまたはそれに等しい、0.4より大きいまたはそれに等しい、0.5より大きいまたはそれに等しい、0.6より大きいまたはそれに等しい、0.7より大きいまたはそれに等しい、0.8より大きいまたはそれに等しい、または0.9より大きいまたはそれに等しい水素結合である。ある実施形態において、縮合芳香族系中の水素結合相互作用の数は、縮合芳香族系中の炭素原子1モル当たり1より小さいまたはそれに等しい、0.9より小さいまたはそれに等しい、0.8より小さいまたはそれに等しい、0.7より小さいまたはそれに等しい、0.6より小さいまたはそれに等しい、0.5より小さいまたはそれに等しい、0.4より小さいまたはそれに等しい、0.3より小さいまたはそれに等しい、または0.2より小さいまたはそれに等しい水素結合であり、炭素原子1モル当たり0.33より大きいまたはそれに等しく、1より小さいまたはそれに等しい水素結合である。上記列記された範囲の組合せも可能である(例えば、縮合芳香族系中の水素結合相互作用の数は、縮合芳香族系中の炭素原子1モル当たり0.1より大きいまたはそれに等しく、1より小さいまたはそれに等しい水素結合であり、縮合芳香族系中の水素結合相互作用の数は、縮合芳香族系中の炭素原子1モル当たり0.3より大きいまたはそれに等しく、0.3より小さいまたはそれに等しい水素結合である)。他の範囲も可能である。ある実施形態において、縮合芳香族系中の水素結合相互作用の数は、構造および元素分析によって決定されてもよい。
【0057】
縮合芳香族系は、様々な適切なπ-π相互作用(例えば、供与体受容体π-π相互作用)のいずれかを有していてもよい。例えば、ある実施形態において、縮合芳香族系の少なくとも一部は、1つまたはそれより多くのπ-π相互作用を介して積層および/または三次元構造で構成される。理論に束縛されるものではないが、π-π相互作用を介した縮合芳香族系の相互連結は、有利に電子電荷非局在化および縮合芳香族系を介したイオン電荷の拡散を促進してもよい。いくつかの実施形態において、π-πを介した縮合芳香族系の相互連結は、また有利に有機および水性媒体に不溶性の固体材料をもたらし、それによって電極で用いるのに適切な材料をもたらし得る。
【0058】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くのπ-π相互作用を介して積層および/または三次元構造で構成された縮合芳香族系の部分間の平均層間距離は、2Åより大きいまたはそれに等しい、2.5Åより大きいまたはそれに等しい、3Åより大きいまたはそれに等しい、または3.5Åより大きいまたはそれに等しくてもよい。ある実施形態において、1つまたはそれより多くのπ-π相互作用を介して積層および/または三次元構造で構成された縮合芳香族系の部分間の平均層間距離は、4Åより小さいまたはそれに等しい、3.5Åより小さいまたはそれに等しい、3Åより小さいまたはそれに等しい、または2.5Åより小さいまたはそれに等しくてもよい。上記列記された範囲の組合せも可能である(例えば、1つまたはそれより多くのπ-π相互作用を介して積層および/または三次元構造で構成された縮合芳香族系の部分間の平均層間距離は2Åより大きいまたはそれに等しく、4Åより小さいまたはそれに等しく、1つまたはそれより多くのπ-π相互作用を介して積層および/または三次元構造で構成された縮合芳香族系の部分間の平均層間距離は3Åより大きいまたはそれに等しく、3.5Åより小さいまたはそれに等しい)。他の範囲も可能である。ある実施形態において、1つまたはそれより多くのπ-π相互作用を介して積層および/または三次元構造で構成された縮合芳香族系の部分間の平均層間距離は、構造分析および/または微視的方法によって決定されてもよい。
【0059】
本明細書で説明されるように、組成物は、少なくとも部分的に縮合芳香族系の水素結合相互作用および/またはπ-π相互作用による周囲温度および大気圧下で有機および水性溶媒への溶解度が低くてもよい。いくつかの実施形態において、組成物は、縮合芳香族系が電極活物質として使用されてもよいので、有機および水性溶媒への溶解度が低いことが有利であってもよい。
【0060】
縮合芳香族系は、様々な適切な溶解度のいずれかを有していてもよい。ある実施形態において、例えば、縮合芳香族系は、溶媒(例えば、水および/または有機溶媒)の1リットル当たり2ミリモルより小さいまたはそれに等しいより小さいまたはそれに等しい、溶媒1リットル当たり1.5ミリモルより小さいまたはそれに等しい、溶媒1リットル当たり1ミリモルより小さいまたはそれに等しい、溶媒1リットル当たり0.5ミリモルより小さいまたはそれに等しい、またはそれより小さい溶解度を有する。いくつかの実施形態によれば、縮合芳香族系は、溶媒(例えば、水および/または有機溶媒)1リットル当たり0ミリモルより大きい、溶媒1リットル当たり0.1ミリモルより大きいまたはそれに等しい、溶媒1リットル当たり0.5ミリモルより大きいまたはそれに等しい、溶媒1リットル当たり1ミリモルより大きいまたはそれに等しい、または溶媒1リットル当たり溶媒1リットル当たり1.5ミリモルより大きいまたはそれに等しい溶解度を有する。上記列記された範囲の組合せも可能である(例えば、縮合芳香族系は、溶媒1リットル当たり2ミリモルより小さいまたはそれに等しく、溶媒1リットル当たり0ミリモルより大きい溶解度を有し、縮合芳香族系は、溶媒1リットル当たり0.5ミリモルより大きいまたはそれに等しく、溶媒1リットル当たり1.5ミリモルより小さいまたはそれに等しい溶解度を有する)。他の範囲も可能である。
【0061】
いくつかの実施形態によれば、組成物は、下記構造:
【化4】
の分子(および/または上記構造の複数の分子)を含み、式中、Xは、O、S、Se、またはNRからなる群から選択され、Rは、それぞれ同一または異なり、水素(-H)、必要に応じて置換されたアルキル(例えば-CH)、必要に応じて置換されたアルケニル(例えば、-CH=CH)、または必要に応じて置換されたアルキニル(例えば、-C≡CH)からなる群から選択される。上記示された構造の互変異性体および/または異性体もいくつかの実施形態において可能である。
【0062】
ある実施形態において、例えば、組成物は、本明細書においてビス-テトラアミノ-ベンゾキノン(BTABQ)と称するテトラアミノ-ジヒドロフェナジン-1,4,6,9-テトラオンを含む。ある実施形態において、BTABQは、下記構造:
【化5】
を有する。
【0063】
いくつかの実施形態において、組成物は、複数のBTABQ分子を含む。上記示されたBTABQ構造の互変異性体および/または異性体は、いくつかの実施形態においても可能である。
【0064】
ある実施形態によれば、BTABQは、下記構造:
【化6】
のテトラアミノ-p-ベンゾキノン(TABQ)分子から合成されてもよい。
【0065】
TABQは、商業的に購入され、および/または当業者に公知の技術を使用して合成されてもよい。いくつかの実施形態によれば、BTABQは、アンモニアのロスによるワンステップマイケル付加および脱離によってTABQから形成されてもよい。
【0066】
ある実施形態によれば、組成物は、BTABQのオリゴマーおよび/またはポリマー(および/またはBTABQの複数のオリゴマーおよび/またはポリマー)を含む。BTABQのオリゴマーおよび/またはポリマーは、様々な適切な形態のいずれかを取ってもよい。いくつかの実施形態において、例えば、BTABQのオリゴマーおよび/またはポリマーは、下記構造:
【化7】
のものであり、式中、点線は、それぞれ独立して縮合芳香族系の別の芳香環の結合、または縮合芳香族系の末端のいずれかを表す。点線が縮合芳香族系の別の芳香環の結合を表すいくつかの実施形態において、XはNであってもよく、Rは、水素(-H)、必要に応じて置換されたアルキル(例えば、-CH)、必要に応じて置換されたアルケニル(例えば、-CH=CH)、または必要に応じて置換されたアルキニル(例えば-C≡CH)からなる群から選択されてもよく、nは1であってもよい。点線が縮合芳香族系の末端を表すある実施形態において、Xは、O、S、Se、またはNRからなる群から選択されてもよく、Rは、水素(-H)、必要に応じて置換されたアルキル(例えば、-CH)、必要に応じて置換されたアルケニル(例えば、-CH=CH)、または必要に応じて置換されたアルキニル(例えば、-C≡CH)からなる群から選択されてもよく、nは2であってもよい。上記示された構造の互変異性体および/または異性体は、いくつかの実施形態においても可能である。
【0067】
当業者によって一般に理解されるように、点線が縮合芳香族系の別の芳香環の結合を表すある実施形態において、縮合芳香族系は、点線によって表される結合によって形成された芳香環を越えて1つまたはそれより多くの縮合芳香族環を介して延長し続けてもよい。
【0068】
いくつかの実施形態において、BTABQのオリゴマーおよび/またはポリマーは、下記構造:
【化8】
のものであり、式中、kが0よりも大きい場合、XおよびYはNであり;kが0である場合、XはOであり、YはNRであり;lが0より大きい場合、XおよびYはNであり;kが0である場合、XはOであり、YがNRであり;mが0より大きい場合、XおよびYはNであり;mが0である場合、XはOであり、YはNRであり;nが0より大きい場合、XおよびYはNであり;nが0である場合、XはOであり、YはNRであり、Rは、水素(-H)、必要に応じて置換されたアルキル(例えば、-CH)、必要に応じて置換されたアルケニル(例えば、-CH=CH)、または必要に応じて置換されたアルキニル(例えば、-C≡CH)からなる群から選択される。
【0069】
いくつかの限定しない実施形態において、BTABQのオリゴマーおよび/またはポリマーは、下記構造:
【化9】
【化10】
を有する。
【0070】
上記示された構造の互変異性体および/または他の異性体も可能である。
【0071】
BTABQのオリゴマーおよび/またはポリマーの構造は、いくつかの実施形態において元素分析、マトリックス支援レーザー脱離イオン化-飛行時間型(MALDI-TOF)質量分析法、および/またはX線光電子分光法に基づいて決定されてもよい。
【0072】
ある実施形態によれば、BTABQのオリゴマーおよび/またはポリマーは、水が減少し熱が存在する状態でBTABQの重縮合によって合成されてもよい。いくつかの実施形態において、重縮合反応は、ラダー化反応であってもよい。
【0073】
いくつかの実施形態によれば、電極が記載される。電極は、いくつかの実施形態において、電気化学的に活性な電荷蓄積材料である、または電気化学的に活性な電荷蓄積材料を含む。本明細書でさらに詳細に説明されるように、電極は、いくつかの実施形態において、電気化学セル(例えば、電池)および/または電荷蓄積デバイス(例えば、キャパシタ)に配置されていてもよい。
【0074】
図1は、ある実施形態によれば、電極の概略図を示す。ある実施形態において、電極102は、少なくとも2つの異なる(例えば、化学的に別個の)材料を含む複合電極である。いくつかの実施形態において、例えば、電極102は活物質104を含む。活物質は、いくつかの実施形態において、本明細書に記載される組成物である、または組成物を含む。活物質は、ある実施形態において、例えば、有機材料(例えば、BTABQ、ならびに/またはその互変異性体、オリゴマー、および/もしくはポリマーなどの縮合芳香族系)を含む。いくつかの実施形態によれば、電極102は、1つまたはそれより多くの添加剤を含んでいてもよい。
【0075】
複合電極(例えば、電気化学的に活性な電荷蓄積材料)は、活物質を様々な適切な量のいずれかで含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、例えば、複合電極は、活物質を複合電極の全重量に対して50重量パーセント(重量%)より大きいまたはそれに等しい、60重量%より大きいまたはそれに等しい、70重量%より大きいまたはそれに等しい、80重量%より大きいまたはそれに等しい、90重量%より大きいまたはそれに等しい、または95重量%より大きいまたはそれに等しい量で含む。ある実施形態において、複合電極は、活物質を、複合電極の全重量に対して99重量%より小さいまたはそれに等しい、95重量%より小さいまたはそれに等しい、90重量%より小さいまたはそれに等しい、80重量%より小さいまたはそれに等しい、70重量%より小さいまたはそれに等しい、または60重量%より小さいまたはそれに等しい量で含む。上記列記された範囲の組合せも可能である(例えば、複合電極は、活物質を複合電極の全重量に対して50重量%より大きいまたはそれに等しく、99重量%より小さいまたはそれに等しい量で含み、複合電極は、活物質を複合電極の全重量に対して80重量%より大きいまたはそれに等しく、90重量%より小さいまたはそれに等しい量で含む)。他の範囲も可能である。
【0076】
上記のように、複合電極(例えば、電気化学的に活性な電荷蓄積材料)は、1つまたはそれより多くの添加剤を含んでいてもよい。適切な添加剤は、限定されないが、導電種および/またはバインダーを含む。適切な導電種は、例えば、導電性炭素材料(例えば、アセチレンブラックカーボン)を含む。ある実施形態において、適切なバインダーはポリマー(例えば、ポリフッ化ビニリデン)を含む。
【0077】
複合電極(例えば、電気化学的に活性な電荷蓄積材料)は、1つまたはそれより多くの添加剤を様々な適切な量のいずれかで含む。いくつかの実施形態において、例えば、複合電極は、1つまたはそれより多くの添加剤を複合電極の全重量に対して1重量%より大きいまたはそれに等しい、10重量%より大きいまたはそれに等しい、20重量%より大きいまたはそれに等しい、30重量%より大きいまたはそれに等しい、または40重量%より大きいまたはそれに等しい量で含む。ある実施形態において、複合電極は、1つまたはそれより多くの添加剤を複合電極の全重量に対して50重量%より小さいまたはそれに等しい、40重量%より小さいまたはそれに等しい、30重量%より小さいまたはそれに等しい、20重量%より小さいまたはそれに等しい、または10重量%より小さいまたはそれに等しい量で含む。上記の列記された範囲の組合せが可能である(例えば、複合電極は、1つまたはそれより多くの添加剤を複合電極の全重量に対して1重量%より大きいまたはそれに等しく、50重量%より小さいまたはそれに等しい量で含み、複合電極は、1つまたはそれより多くの添加剤を複合電極の全重量に対して10重量%より大きいまたはそれに等しく、30重量%より小さいまたはそれに等しい量で含む)。他の範囲も可能である。
【0078】
本明細書に記載される電極は、当業者に公知の技術を使用して作製されてもよい。ある実施形態において、例えば、適切な比の電極材料が混合され、基材上にコーティングされ、乾燥されてもよい。ある限定しない実施形態において、例えば、活物質、導電性材料、およびバインダーは、有機溶媒中で8:1:1の比で混合され、炭素基材上にコーティングされ、乾燥されてもよい。
【0079】
ある実施形態によれば、電気化学セルが記載される。当業者によって一般に理解されるように、電気化学セルは、1つまたはそれより多くの電極(例えば、1つまたはそれより多くの電気化学的に活性な電荷蓄積材料)を含んでいてもよい。ある実施形態において、電気化学セルは、電池(例えば、充電式または非充電式電池)である。
【0080】
図2は、ある実施形態による電気化学セルの概略図を示す。いくつかの実施形態において、電気化学セル202は、第1の電極102aおよび第2の電極102bを含む。第1の電極102aおよび第2の電極102bは、いくつかの実施形態において筐体208内に配置されてもよい。ある実施形態において、第1の電極102aおよび/または第2の電極102bの少なくとも1つは、本明細書に記載される組成物を含む活物質を含む。いくつかの実施形態において、例えば、少なくとも1つの電極の活物質は、有機材料(例えば、BTABQ、ならびに/またはその互変異性体、オリゴマー、および/もしくはポリマーなどの縮合芳香族系)を含む。
【0081】
いくつかの実施形態によれば、電気化学セル202は電解質204を含む。電解質204は、いくつかの実施形態において筐体208内に配置されてもよい。ある実施形態において、電解質204は液体電解質である。他の実施形態において、電解質204は固体電解質である。液体電解質および固体電解質に関するさらなる詳細は本明細書に記載される。
【0082】
液体電解質は、様々な適切なpH値のいずれかを有していてもよい。いくつかの実施形態において、例えば、液体電解質は十分に酸性で、0より大きいまたはそれに等しい、0.5より大きいまたはそれに等しい、1より大きいまたはそれに等しい、または1.5より大きいまたはそれに等しいpHを有する。ある実施形態において、液体電解質は十分に酸性で、2より小さいまたはそれに等しい、1.5より小さいまたはそれに等しい、1より小さいまたはそれに等しい、または0.5より小さいまたはそれに等しいpHを有する。上記の列記された範囲の組合せが可能である(例えば、液体電解質は十分に酸性で、0より大きいまたはそれに等しく、2より小さいまたはそれに等しいpHを有し、液体電解質は十分に酸性で、1より大きいまたはそれに等しく、1.5より小さいまたはそれに等しいpHを有する)。他の範囲も可能である。
【0083】
いくつかの実施形態によれば、液体電解質は十分に塩基性であってもよく、12より大きいまたはそれに等しい、12.5より大きいまたはそれに等しい、13より大きいまたはそれに等しい、13.5より大きいまたはそれに等しい、14より大きいまたはそれに等しい、または14.5より大きいまたはそれに等しいpHを有していてもよい。ある実施形態において、液体電解質は十分に塩基性で、15より小さいまたはそれに等しい、14.5より小さいまたはそれに等しい、14より小さいまたはそれに等しい、13.5より小さいまたはそれに等しい、13より小さいまたはそれに等しい、または12.5より小さいまたはそれに等しいpHを有する。上記の列記された範囲の組合せが可能である(例えば、液体電解質は十分に塩基性で、12より大きいまたはそれに等しく、15より小さいまたはそれに等しいpHを有し、液体電解質は十分に塩基性で、13より大きいまたはそれに等しく、13.5より小さいまたはそれに等しいpHを有する)。他の範囲も可能である。
【0084】
液体電解質のpHは、いくつかの実施形態においてpH計を使用して決定されてもよい。
【0085】
以下にさらに詳細に説明されるように、十分に酸性のpH(例えば、0より大きいまたはそれに等しく、2未満)および/または十分に塩基性のpH(例えば、12より大きく14より小さいまたはそれに等しい)の液体電解質は、有利により中性のpH値(例えば、4より大きいまたはそれに等しく、10より小さいまたはそれに等しい)と比較して液体電解質に配置された電極の電荷容量を向上させてもよい。
【0086】
いくつかの実施形態において、電気化学セル202は、第1の電極102aと第2の電極102bとの間に配置されたセパレーター206を含む。セパレーター206は、いくつかの実施形態において、筐体208内に配置されてもよい。セパレーターに関するさらなる詳細は本明細書に記載される。
【0087】
ある実施形態によれば、電荷蓄積デバイスは記載される。当業者によって一般に理解されるように、電荷蓄積デバイスは、いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの電極(例えば、1つまたはそれより多くの電気化学的に活性な電荷蓄積材料)を含む。電荷蓄積デバイスは、いくつかの実施形態において、キャパシタまたはスーパーキャパシタであってもよい。
【0088】
図3は、ある実施形態による電荷蓄積デバイスの概略図を示す。いくつかの実施形態において、電荷蓄積デバイス302は、第1の電極102aおよび第2の電極102bを含む。第1の電極102aおよび/または第2の電極102bの少なくとも1つは、ある実施形態において、本明細書に記載される組成物を含む活物質を含む。いくつかの実施形態において、例えば、活物質は、有機材料(例えば、BTABQ、ならびに/またはその互変異性体、オリゴマー、および/もしくはポリマーなどの縮合芳香族系)を含む。
【0089】
いくつかの実施形態において、電荷蓄積デバイス302は、第1の電極102aと第2の電極102bとの間に配置された絶縁体304を含む。ある実施形態によれば、絶縁体304は誘電材料であってもよい。
【0090】
電極(例えば、電気化学的に活性な電荷蓄積材料)は、様々な適切な導電率のいずれかを有していてもよい。いくつかの実施形態において、例えば、電極は、10-8S/cmより大きいまたはそれに等しい、10-7S/cmより大きいまたはそれに等しい、10-6S/cmより大きいまたはそれに等しい、10-5S/cmより大きいまたはそれに等しい、10-4S/cmより大きいまたはそれに等しい、または10-3S/cmより大きいまたはそれに等しい導電率を有する。ある実施形態において、電極は、10-2S/cmより小さいまたはそれに等しい、10-3S/cmより小さいまたはそれに等しい、10-4S/cmより小さいまたはそれに等しい、10-5S/cmより小さいまたはそれに等しい、10-6S/cmより小さいまたはそれに等しい、または10-7S/cmより小さいまたはそれに等しい導電率を有する。上記の列記された範囲の組合せが可能である(例えば、電極は、10-8S/cmより大きいまたはそれに等しく、10-2S/cmより小さいまたはそれに等しい導電率を有し、電極は、10-6S/cmより大きいまたはそれに等しく、10-4S/cmより小さいまたはそれに等しい導電率を有する)。他の範囲も可能である。電極の導電率は、いくつかの実施形態において導電率計を使用して決定されてもよい。
【0091】
電極(例えば、電気化学的に活性な電荷蓄積材料)は、様々な適切な比容量のいずれかを有していてもよい。いくつかの実施形態において、例えば、電極は、活物質1グラム当たり200Fより大きいまたはそれに等しい、250Fより大きいまたはそれに等しい、300Fより大きいまたはそれに等しい、350Fより大きいまたはそれに等しい、400Fより大きいまたはそれに等しい、450Fより大きいまたはそれに等しい、500Fより大きいまたはそれに等しい、550Fより大きいまたはそれに等しい、600Fより大きいまたはそれに等しい、または650Fより大きいまたはそれに等しい比容量を有する。ある実施形態において、電極は、活物質1グラム当たり700Fより小さいまたはそれに等しい、650Fより小さいまたはそれに等しい、600Fより小さいまたはそれに等しい、550Fより小さいまたはそれに等しい、500Fより小さいまたはそれに等しい、450Fより小さいまたはそれに等しい、400Fより小さいまたはそれに等しい、350Fより小さいまたはそれに等しい、300Fより小さいまたはそれに等しい、または250Fより小さいまたはそれに等しい比容量を有する。上記の列記された範囲の組合せが可能である(例えば、電極は、活物質1グラム当たり200Fより大きいまたはそれに等しく、700Fより小さいまたはそれに等しい比容量を有し、電極は、活物質1グラム当たり500Fより大きいまたはそれに等しく、550Fより小さいまたはそれに等しい比容量を有する)。他の範囲も可能である。比容量は、いくつかの実施形態において下記式:C=Q/(Vm)によるサイクリックボルタンメトリー(CV)データから算出されてもよく、C(F/g)は比容量、m(g)は活物質の質量、Q(C)は充放電プロセス時の平均電荷、V(V)は電位窓である。いくつかの実施形態によれば、比容量は0.2mV/sの走査速度で測定される。
【0092】
電極(例えば、電気化学的に活性な電荷蓄積材料)は、様々な適切なサイクル性能のいずれかを有していてもよい。いくつかの実施形態において、例えば、電極は、10,000サイクルより大きいまたはそれに等しい、20,000サイクルより大きいまたはそれに等しい、30,000サイクルより大きいまたはそれに等しい、40,000サイクルより大きいまたはそれに等しい、50,000サイクルより大きいまたはそれに等しい、60,000サイクルより大きいまたはそれに等しい、70,000サイクルより大きいまたはそれに等しい、80,000サイクルより大きいまたはそれに等しい、または90,000のサイクルより大きいまたはそれに等しいサイクル性能を有する。ある実施形態において、電極は、100,000サイクルより小さいまたはそれに等しい、90,000サイクルより小さいまたはそれに等しい、80,000サイクルより小さいまたはそれに等しい、70,000サイクルより小さいまたはそれに等しい、60,000サイクルより小さいまたはそれに等しい、50,000サイクルより小さいまたはそれに等しい、40,000サイクルより小さいまたはそれに等しい、30,000サイクルより小さいまたはそれに等しい、または20,000サイクルより小さいまたはそれに等しいサイクル性能を有する。上記の列記された範囲の組合せが可能である(例えば、電極は、10,000サイクルより大きいまたはそれに等しく、100,000サイクルより小さいまたはそれに等しいサイクル性能を有し、電極は、30,000サイクルより大きいまたはそれに等しく、40,000サイクルより小さいまたはそれに等しいサイクル性能を有する)。他の範囲も可能である。ある実施形態によれば、サイクル性能は30mV/sの走査速度で測定されてもよい。
【0093】
以上説明されるように、縮合芳香族系は、複数の炭素原子、水素原子、および炭素原子と置き換わる1つまたはそれより多くのヘテロ原子(例えば、N、O、S、および/またはSe)を含んでいてもよい。ヘテロ原子は、有利に材料のバルクを介した電気および/またはイオン輸送を促進する酸化還元活性部位として機能を果たしてもよい。ある実施形態において、縮合芳香族系中にヘテロ原子1モル当たりの電荷として蓄積された電子のモル比は、0.1より大きいまたはそれに等しい、0.2より大きいまたはそれに等しい、0.3より大きいまたはそれに等しい、0.4より大きいまたはそれに等しい、0.5より大きいまたはそれに等しい、0.6より大きいまたはそれに等しい、または0.7より大きいまたはそれに等しい。いくつかの実施形態において、縮合芳香族系中にヘテロ原子1モル当たりの電荷として蓄積された電子のモル比は、0.8より小さいまたはそれに等しい、0.7より小さいまたはそれに等しい、0.6より小さいまたはそれに等しい、0.5より小さいまたはそれに等しい、0.4より小さいまたはそれに等しい、0.3より小さいまたはそれに等しい、または0.2より小さいまたはそれに等しい。上記の列記された範囲の組合せも可能である(例えば、縮合芳香族系中にヘテロ原子1モル当たりの電荷として蓄積された電子のモル比は、0.1より大きいまたはそれに等しく、0.8より小さいまたはそれに等しく、縮合芳香族系中にヘテロ原子1モル当たりの電荷として蓄積された電子のモル比は、0.3より大きいまたはそれに等しく、0.6より小さいまたはそれに等しい)。他の範囲も可能である。
【0094】
複合電極(例えば、電気化学的に活性な電荷蓄積材料)は、活物質1グラム当たり様々な適切な電荷容量のいずれかを有していてもよい。ある実施形態において、例えば、複合電極は、活物質1グラム当たり50mAhより大きいまたはそれに等しい、100mAhより大きいまたはそれに等しい、150mAhより大きいまたはそれに等しい、200mAhより大きいまたはそれに等しい、250mAhより大きいまたはそれに等しい、300mAhより大きいまたはそれに等しい、または350mAhより大きいまたはそれに等しい電荷容量を有する。いくつかの実施形態において、複合電極は、400mAhより小さいまたはそれに等しい、350mAhより小さいまたはそれに等しい、300mAhより小さいまたはそれに等しい、250mAhより小さいまたはそれに等しい、200mAhより小さいまたはそれに等しい、150mAhより小さいまたはそれに等しい、または50mAhより小さいまたはそれに等しい電荷容量を有する。上記の列記された範囲の組合せが可能である(例えば、複合電極は、活物質1グラム当たり50mAhより大きいまたはそれに等しく、400mAhより小さいまたはそれに等しい電荷容量を有し、複合電極は、活物質1グラム当たり150mAhより大きいまたはそれに等しく、200mAhより小さいまたはそれに等しい電荷容量を有する)。他の組合せも可能である。
【0095】
複合電極(例えば、電気化学的に活性な電荷蓄積材料)は、複合電極1グラム当たり様々な適切な電荷容量のいずれかを有していてもよい。いくつかの実施形態において、例えば、複合電極は、複合電極1グラム当たり30mAhより大きいまたはそれに等しい、50mAhより大きいまたはそれに等しい、100mAhより大きいまたはそれに等しい、150mAhより大きいまたはそれに等しい、200mAhより大きいまたはそれに等しい、250mAhより大きいまたはそれに等しい、または300mAhより大きいまたはそれに等しい電荷容量を有する。いくつかの実施形態において、複合電極は、複合電極1グラム当たり350mAhより小さいまたはそれに等しい、300mAhより小さいまたはそれに等しい、250mAhより小さいまたはそれに等しい、200mAhより小さいまたはそれに等しい、150mAhより小さいまたはそれに等しい、100mAhより小さいまたはそれに等しい、または50mAhより小さいまたはそれに等しい電荷容量を有する。上記の列記された範囲の組合せが可能である(例えば、複合電極は、複合電極1グラム当たり30mAhより大きいまたはそれに等しく、350mAhより小さいまたはそれに等しい電荷容量を有し、複合電極は、複合電極1グラム当たり100mAhより大きいまたはそれに等しく、150mAhより小さいまたはそれに等しい電荷容量を有する)。他の組合せも可能である。
【0096】
ある実施形態によれば、上記電荷容量(つまり、活物質1グラム当たりの電荷容量および/または複合電極1グラム当たりの電荷容量)は、従来のキャパシタ系と比較して、比較的高速の充電および/または放電レートで放出されてもよい。いくつかの実施形態において、例えば、電荷容量は、60秒未満、50秒未満、40秒未満、30秒未満、または20秒未満である充電および/または放電レートで放出される。ある実施形態において、電荷容量は、10秒より長いまたはそれに等しい、20秒より長いまたはそれに等しい、30秒より長いまたはそれに等しい、40秒より長いまたはそれに等しい、または50秒より長いまたはそれに等しい充電および/または放電レートで放出される。上記の列記された範囲の組合せも可能である(例えば、電荷容量は、60秒より短いまたはそれに等しく、10秒より長いまたはそれに等しい充電および/または放電レートで放出され、電荷容量は、30秒より長いまたはそれに等しく、40秒より短いまたはそれに等しい充電および/または放電レートで放出される)。他の範囲も可能である。
【0097】
以上説明されるように、本明細書に記載される電極(例えば、電気化学的に活性な電荷蓄積材料)は、電解質(例えば、液体電解質)を含む電気化学セルに配置されてもよい。いくつかの実施形態において、液体電解質は、十分に酸性のpH(例えば、0より大きいまたはそれに等しく、2未満)または十分に塩基性のpH(例えば、12より大きく14より小さいまたはそれに等しい)を有していてもよい。いくつかのそのような実施形態において、電極は、2より大きいまたはそれに等しく、12より小さいまたはそれに等しいpHを有するが、その他の点では同等である液体電解質を含む電気化学セルに配置される電極の電荷容量より大きい電荷容量を有していてもよい。理論に束縛されるものではないが、十分に酸性および/または十分に塩基性の液体電解質pH値での増加した電荷容量は、電極のバルクにわたるカチオンおよび/またはアニオンの迅速な擬似容量性インターカレーション作用から生じ得る。
【0098】
いくつかの実施形態において、例えば、電極は、液体電解質のpH値が2より大きく12未満である場合に比較して、液体電解質のpH値が0より大きいまたはそれに等しく、2より小さいまたはそれに等しい、または12より大きいまたはそれに等しく、15より小さいまたはそれに等しい場合に少なくとも20%大きい、少なくとも30%大きい、少なくとも40%大きい、少なくとも50%大きい、少なくとも60%大きい、少なくとも70%大きい、少なくとも80%より大きい、または少なくとも90%大きい電荷容量を有する。ある実施形態において、電極は、液体電解質のpH値が2より大きく12未満である場合と比較して、液体電解質のpH値が0より大きいまたはそれに等しく、2より小さいまたはそれに等しい、または12より大きいまたはそれに等しく、15より小さいまたはそれに等しい場合に100%未満大きい、90%より小さいまたはそれに等しく大きい、80%より小さいまたはそれに等しく大きい、70%より小さいまたはそれに等しく大きい、60%より小さいまたはそれに等しく大きい、50%より小さいまたはそれに等しく大きい、40%より小さいまたはそれに等しく大きい、30%より小さいまたはそれに等しく大きい電荷容量を有する。上記の列記された範囲の組合せも可能である(例えば、電極は、液体電解質のpH値が2より大きく12未満である場合と比較して、液体電解質のpH値が0より大きいまたはそれに等しく、2より小さいまたはそれに等しい、または12より大きいまたはそれに等しく、15より小さいまたはそれに等しい場合に少なくとも20%大きく100%未満大きい電荷容量を有し、電極は、液体電解質のpH値が2より大きく12未満である場合と比較して、液体電解質のpH値が0より大きいまたはそれに等しく、2より小さいまたはそれに等しい、または12より大きいまたはそれに等しく、15より小さいまたはそれに等しい場合に少なくとも40%大きく60%より小さいまたはそれに等しく大きい電荷容量を有する)。他の範囲も可能である。
【0099】
いくつかの実施形態において、電極(例えば、電気化学的に活性な電荷蓄積材料)は、電極のサイクル後に高い量の電荷容量を有利に維持してもよい。いくつかの実施形態において、例えば、電極は、少なくとも20,000サイクル後に75%より大きいまたはそれに等しい電荷容量保持率、80%より大きいまたはそれに等しい電荷容量保持率、85%より大きいまたはそれに等しい電荷容量保持率、90%より大きいまたはそれに等しい電荷容量保持率、または95%より大きいまたはそれに等しい電荷容量保持率を有する。ある実施形態において、電極は、少なくとも20,000サイクル後に99%より小さいまたはそれに等しい電荷容量保持率、95%より小さいまたはそれに等しい電荷容量保持率、90%より小さいまたはそれに等しい電荷容量保持率、85%より小さいまたはそれに等しい電荷容量保持率、または80%より小さいまたはそれに等しい電荷容量保持率を有する。上記の列記された範囲の組合せも可能である(例えば、電極は、少なくとも20,000サイクル後に75%より大きいまたはそれに等しく、99%未満の電荷容量保持率を有し、電極は、少なくとも20,000サイクル後に85%より大きいまたはそれに等しく、95%より小さいまたはそれに等しい電荷容量保持率を有する)。他の範囲も可能である。
【0100】
ある実施形態によれば、電極(例えば、電気化学的に活性な電荷蓄積材料)は、有利にその十分に高い量の電荷容量を放出してもよい。いくつかの実施形態において、例えば、電極は、2.0V vs.Li/Li標準参照電極より高い電圧でその電荷容量の少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%を放出する。ある実施形態において、電極は、2.0V vs.Li/Li標準参照電極より高い電圧で、その電荷容量の100%未満、99%より小さいまたはそれに等しい、95%より小さいまたはそれに等しい、90%より小さいまたはそれに等しい、または85%より小さいまたはそれに等しい量を放出する。上記の列記された範囲の組合せも可能である(例えば、電極は、2.0V vs.Li/Li標準参照電極より高い電圧でその電荷容量の少なくとも80%および100%未満を放出し、電極は、2.0V vs.Li/Li標準参照電極より高い電圧でその電荷容量の少なくとも85%および95%未満を放出する)。他の範囲も可能である。
【0101】
上で指摘されるように、ある実施形態において、本明細書に記載される電気化学セルおよび/または電荷蓄積デバイスは、1つまたはそれより多くの電極を含んでいてもよい。例えば、ある実施形態において、電気化学セルおよび/または電荷蓄積デバイスは、アノードおよびカソードを含む。
【0102】
アノードは、様々なアノード活物質を含んでもよい。本明細書で使用される用語「アノード活物質」は、アノードに関連したいずれかの電気化学的活性種を指す。
【0103】
いくつかの実施形態において、アノードは、1500マイクロメートルより小さいまたはそれに等しい、1250マイクロメートルより小さいまたはそれに等しい、1000マイクロメートルより小さいまたはそれに等しい、750マイクロメートルより小さいまたはそれに等しい、500マイクロメートルより小さいまたはそれに等しい、または200マイクロメートルより小さいまたはそれに等しい厚みを有する。ある実施形態において、アノードは、少なくとも1マイクロメートル、少なくとも5マイクロメートル、少なくとも10マイクロメートル、少なくとも25マイクロメートル、少なくとも50マイクロメートル、少なくとも100マイクロメートル、または少なくとも150マイクロメートルの厚みを有する。上記の範囲の組合せも可能である(例えば、1マイクロメートル~1500マイクロメートル)。他の範囲も可能である。
【0104】
カソードは、様々なカソード活物質を含んでいてもよい。本明細書で使用される用語「カソード活物質」は、カソードに関連したいずれかの電気化学的活性種を指す。
【0105】
いくつかの実施形態において、カソードは、2000マイクロメートルより小さいまたはそれに等しい、1500マイクロメートルより小さいまたはそれに等しい、1250マイクロメートルより小さいまたはそれに等しい、1000マイクロメートルより小さいまたはそれに等しい、750マイクロメートルより小さいまたはそれに等しい、500マイクロメートルより小さいまたはそれに等しい、または200マイクロメートルより小さいまたはそれに等しい厚みを有していてもよい。ある実施形態において、カソードは、少なくとも1マイクロメートル、少なくとも5マイクロメートル、少なくとも10マイクロメートル、少なくとも25マイクロメートル、少なくとも50マイクロメートル、少なくとも100マイクロメートル、または少なくとも150マイクロメートルの厚みを有していてもよい。上記の範囲の組合せも可能である(例えば、1マイクロメートル~2000マイクロメートル)。他の範囲も可能である。
【0106】
本明細書に記載されるように、電気化学セルは、いくつかの実施形態において、電解質を含んでいてもよい。当業者によって一般に理解されるように、電気化学セルにおいて使用される電解質は、イオンの蓄積および輸送用の媒体として機能することができ、固体および/またはゲル電解質の特別な場合、これらの材料は、さらにアノードとカソードとの間のセパレーターとして機能してもよい。イオンを蓄積および輸送することができる任意の液体、固体、またはゲル材料が、アノードとカソードとの間のイオンの輸送を促進する限り使用されてもよい。電解質は、アノードとカソードとの間の短絡を防止するために一般に電子非伝導性である。電解質は、1つまたはそれより多くの液体電解質溶媒、ゲルポリマー材料、またはポリマー材料を含むことができる。電解質は、また、1つまたはそれより多くのイオン電解質塩を含み、イオン伝導性をもたらす、および/または向上させ得る。
【0107】
ある場合は、電気化学化学セルは液体電解質を含む。
【0108】
ある実施形態において、液体電解質は、水性電解質(例えば、水)である。水性電解質は、いくつかの実施形態において、他の成分、そのような1つまたはそれより多くのイオン電解質塩(例えば、イオン伝導性をもたらす、および/または向上させるため)を含んでいてもよい。
【0109】
ある実施形態において、電解質は非水電解質を含む。適切な非水電解質は、有機液体電解質溶媒を含む。これらの電解質は、必要に応じて1つまたはそれより多くのイオン電解質塩(例えば、イオン伝導性をもたらす、および/または向上させるため)を含んでいてもよい。有用な非水有機液体電解質溶媒の例としては、限定されないが、アセトニトリルが挙げられる。本開示は、この点に関して限定することを意図しないので、他の非水有機液体電解質溶媒が可能である。
【0110】
ある実施形態によれば、電気化学セルは、固体および/またはゲル電解質を含む。例えば、いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの固体ポリマーは、固体および/またはゲル電解質を形成するために使用することができる。
【0111】
電解質は、電解質のイオン伝導性をもたらすおよび/または向上させるために、本技術分野において一般に公知の1つまたはそれより多くのイオン電解質塩をさらに含んでいてもよい。例えば、ある場合は、イオン電解質塩は、塩化物塩(例えば、NaCl)、リン酸水素塩(NaHPO)、炭酸塩(NaCO)、および/またはクエン酸であってもよい。本開示は、この点に関して限定することを意図しないので、他のイオン電解質塩も可能である。
【0112】
いくつかの実施形態において、電気化学セルは、セパレーターを含む。セパレーターは、一般に高分子材料を含む。いくつかの実施形態において、セパレーターは、電解質と電極(例えば、第1の電極、第2の電極、アノード、カソード)との間に位置する。セパレーターは、電気化学セルの短絡を引き起こし得る第1の電極と第2の電極との間の物理的接触を抑制する(例えば、防止する)ように構成することができる。セパレーターは、実質的に電子非伝導性に構成することができ、それは、セパレーターが電気化学セルの短絡をもたらす程度を抑制することができる。
【0113】
下記実施例は、本発明のある実施形態を示すように意図されるが、本発明の全範囲を例示するものではない。
【実施例
【0114】
(実施例1)
下記実施例は、ビス-テトラアミノ-ベンゾキノン(BTABQ)分子、およびそのポリマー(pBTABQ)の合成および特性を記載する。
【0115】
BTABQおよびpBTABQを含む縮合芳香族材料は、電極として電気化学エネルギーの蓄積(EES)に使用されてもよい。材料は、拡張共役を備えた芳香族分子骨格中に高密度な酸化還元活性キノン/イミン基(例えばC:(N/O)<1.3)を有し(図4)、強い分子間水素結合および供与体受容体(D-A)π-π相互作用により有機および水性媒体の両者中に不溶性固体を形成する(図5)。BTABQおよびpBTABQは、様々な電解質中における高充放電レートで優れた電荷蓄積容量を示し、優れた電子非局在化および容易なイオン輸送により、実際的な質量負荷でさえ、電極バルクにわたる迅速な擬似容量性インターカレーション作用(図6)から主として生じる。
【0116】
テトラアミノベンゾキノン(TABQ)のワンステップマイケル付加および脱離は、グラムスケールでBTABQを製造する(図4)。BTABQは、通常の有機溶媒に非常に不溶性である一方、粉末X線回折(PXRD)によって明らかにされるように、結晶マイクロロッドとして現れる(図7)。BTABQの結晶構造を、ab initio法でシンクロトロンPXRDデータのPawley精密化および連続回転電子回折(cRED)によって得た。cREDデータセットの高分解能は、0.625Åまで、全ての非水素原子の直接の位置を可能にする。BTABQは、平面縮合芳香族骨格を有し、BTABQ分子はそれぞれ、6つの隣接に密接に囲まれ、強い分子間水素結合を介して二次元(2D)層を形成する(図8)。2D層は、わずかな層間分離3.14Åで供与体受容体(D-A)π-π相互作用を介して積み重なる(図9図10)。BTABQ単結晶の実験指標は、(102)結晶学的方向(つまり、2D層に垂直)に結晶の長軸が相当する一方、その断面図が2D層と平行であることを示す。剥離BTABQ結晶は、2D層状性質をさらに証明する。結局、BTABQの異方性結晶成長および2D性質は、分子間水素結合が層間π-πスタッキングより強いことを示す。全体として、BTABQの高密度でエネルギー的に好適な固体パッキングは、効率的な電子非局在化のために電位を提供する。
【0117】
2D層中のアミノおよびカルボニル基の近接を考えれば、BTABQがより多くの拡張材料を製造するために固体重縮合を受け得ることが想定された。BTABQの熱重量プロファイルは、約300℃で顕著な重量損失を明らかにし、そのような環縮合の可能性を支持する。実に、2日間の真空下の約300℃でのBTABQの加熱は、粒子サイズおよび形態が不変の状態で、BTABQの完全な消費および非晶質固体(pBTABQ)の形成をもたらす。pBTABQは、ラダー化の間に水分損失で予測された通り、BTABQより著しく高い分子量およびより低い酸素含量を有する。両者の材料の対分布関数分析は、それらの同様の局所構造を明らかにし、長い範囲の秩序が不足するにもかかわらず、pBTABQが、BTABQと相似性の分子断片の高濃度固体状態の配置を有することを示す。pBTABQの高倍率Cryo-EM画像は、その乱れているが高濃度の固体パッキングを確認した。驚くべきことに、pBTABQは、さらにBTABQに類似する強い水素結合相互作用を示す。ガス収着の研究は、両者の材料が、それらの低比表面積が約20m/gであると仮定して非多孔性であることを示す。結局、様々な特性は、pBTABQが拡張芳香族骨格、リッチなカルボニル/イミン酸化還元部位、強い水素結合、および高濃度固体パッキングを有するBTBAQの不規則オリゴマー類似物であることを確認する。
【0118】
BTABQおよびpBTABQの電子物性は、拡散反射UV-Vis(DRUV-Vis)分光を特徴とする。両者の材料は、およそ520および800nmを中心に広い吸収を示す(図11)。前者がイントラキノン遷移から生じている一方、BTABQおよびpBTABQの縮合芳香族骨格内の拡張共役は、後者を占める。驚くべきことに、両者の材料は、近赤外領域(NIR)への著しい吸収を示し、BTABQおよびpBTABQのそれぞれについて0.82eVおよび0.79eVの狭い光学バンドギャップに結びつく(図11、差し込み図)。非常に強いNIR吸着は、主として拡張共役、強い分子間水素結合、およびπ-πスタッキングを介したバルクの電子非局在化による。特に、pBTABQは、その拡張芳香族コアおよび相応する電子バンドの大きな分散により中間赤外領域(MIR)へのかなりの吸収も示し、優れた電子非局在化を示す。
【0119】
BTABQおよびpBTABQは、室温で2.4×10-5Scm-1および0.79×10-6Scm-1の固有バルク導電率をそれぞれ示す。電子常磁性共鳴(EPR)スペクトルは、両者の材料に有機ラジカルについて非常に強い等方性の信号を示し、pBTABQは、BTABQよりも著しく高い信号強度を示す。非常に強いDrude型バックグラウンドMIR吸収と一緒に、拡散反射赤外線フーリエ変換分光法(DRIFTS)によって明らかにされるように、pBTABQは、より高い自由キャリア濃度を有する。全体として、電子非局在化が効率的な拡張共役構造中への高密度酸化還元部位の組み込みは、BTABQおよびpBTABQをハイレートEESに対する有望な候補にする。
【0120】
(実施例2)
下記実施例は、中性電解質中にBTABQ分子およびpBTABQを含む材料を利用する系の電気化学を記載する。
【0121】
BTABQおよびpBTABQのサイクリックボルタモグラム(CV)は、1MのLiCl水性電解質を使用する3電極構造で得られ、0.2~30mVs-1の範囲の走査速度でほぼ矩形状曲線を示す(図12)。BTABQおよびpBTABQは、0.5Vおよび1.0Vの還元電位窓でそれぞれ安定した電流を示す。指数法則の式(i=av)を使用する異なる走査速度(v)でのCV電流(i)の分析は、両者の材料についての単一に近いb値を明らかにし、電荷蓄積作用がイオン拡散によって制限されていないことを示す。全体として、BTABQおよびpBTABQの電気化学的挙動は、カルボニルまたはイミン基を備えた有機分子について一般に観察されるシャープな酸化還元特徴および拡散律速挙動とは固有に異なる。代わりに、これらの特徴は、キャパシタ状であるが、迅速な酸化還元系電荷蓄積機構、擬似容量を示すRuO・nHOおよびMXenesなどの無機材料について報告された挙動に類似する。確かに、BTABQおよびpBTABQの両者は、低比表面積(<20m-1)を有するが、0.2mVs-1での約510Fg-1および10mVs-1での約300Fg-1のCVから算出された高い重量比容量を示し(図13(差し込み図))、擬似容量性電荷蓄積機構の可能性を示す。2~10Ag-1の範囲の電流密度での定電流充放電(GCD)実験は、三角波電圧対時間プロファイルを示し、それらの高い容量を確認する。さらに、両者の材料は、30mVs-1の高い走査速度でのCV(図13)および10Ag-1の電流密度でのGCD実験での20000サイクルにわたる容量の優れた保持率を示す。
【0122】
観察された電荷蓄積挙動を、様々な負の電位での電気化学インピーダンススペクトル(EIS)による動的条件下でさらに評価した。BTABQおよびpBTABQの両者についてのインピーダンスのナイキストプロット(図14)は、低周波での拡張90°容量性領域と共に低い等価直列抵抗(約1~2Ω)、短い半円、および45°遷移領域を備えた典型的なキャパシタ状の特徴を示す。一方、高周波領域における半円は、負の電位が付与されて減少する直径を明らかにし、急速電荷移動イベントが両者の材料の電荷蓄積中に起こることを確認する。全体として、BTABQおよびpBTABQのEISおよびCVは、キャパシタ状の特徴を示し、擬似容量性電荷蓄積機構の可能性を強調する。
【0123】
電荷蓄積時の酸化還元プロセスを、初期および負に分極された電極のエクスサイチュX線光電子分光法(XPS)および固体核磁気共鳴(ssNMR)研究によって分析した。BTABQのssNMR、および両者の材料のN1sのXPSスペクトルにおいて146.4ppmでイミン炭素化学シフトによって確認されるように、初期のBTABQおよびpBTABQ中のアミノ官能基は、ケトエノール互変異性化により部分的なイミンの特徴を有する。分極電極のO1sのXPSスペクトルの解析は、C=Oピークの強度の著しい減少およびC-Oピークの出現を明らかにし、カルボニル基の還元を示す。N1sスペクトルの解析は、還元時にイミン成分の消失およびベンゾイド-アミン成分の成長を示す。分極BTABQのssNMRは、カルボニルおよびイミン基の両者が、BTABQおよびpBTABQ中の電荷蓄積のための酸化還元活性部位であることをさらに裏付ける。これらの酸化還元活性部位に蓄積された電荷は、縮合芳香族骨格内で分子内、および水素結合およびD-Aπ-πスタッキングを介した分子間での両者で非局在化され、明確にほぼ矩形状CVで現れる。対照的に、局所的な電子構造を備えた小さな有機分子は、十分に定義され、シャープな酸化還元特徴を示す。さらに、5,7,12,14-ペンタンセテトロンなどのπ-πスタッキングが接近したより大きなπ-共役有機分子は、水素結合相互作用を欠き、電子非局在化を制限し、そのCVにおいてシャープで、十分分離された酸化還元ピークをもたらす。
【0124】
BTABQおよびpBTABQにおける擬似容量の性質を、表面限定またはインターカレーション系バルク作用として分光学的研究によって調査した。負に分極されたBTABQのインサイチュ広角X線散乱(WAXS)パターンは、より低い2θ値への(102)反射の顕著なずれを示す(図15)。Li挿入の間のBTABQの2D層間の間隔の増加は、インターカレーション系電荷蓄積機構を裏付ける。注目すべきことに、分極された試料のエクスサイチュエネルギー分散型X線分光(EDS)研究によって確認されるように、NaおよびMg2+などの他のカチオンは、両者の材料へ挿入することもできる(図16)。元素マッピングは、金属カチオンの相当量が粒子全体に均一に分布することを示し、BTABQおよびpBTABQ電極の両者のバルク中の電荷蓄積を強調する。
【0125】
インターカレーションへの電解質イオンおよび溶媒の役割の総合的な理解は、様々な電解質中での電気化学的研究によって求められた。両者の材料は、異なるアルカリまたはアルカリ土類電解質において大部分類似したCVを示す。しかし、CVにおける著しくより低い電流は、テトラエチルアンモニウム(TEA)カチオンを含む電解質を使用して得られた。TEAをLiの増加量と置き換えると、CV電流が増加した。全体として、これらの結果は、両者の材料が、様々なアルカリおよびアルカリ土類イオンを挿入することができるがより大きなTEAイオンを排除することができることを示す(図18)。複数のカチオンを挿入し、サイズに基づくふるい挙動を示す、このBTABQおよびpBTABQの能力は、インターカレーション擬似容量を示すMXenesおよび配位重合体の報告された挙動に類似する。
【0126】
インターカレーションへの溶媒の役割を、有機および水性電解質でのCVによって調査した。アセトニトリル(MeCN)の1M過塩素酸ナトリウム(NaClO)溶液に記録されたpBTABQのCVは、水性条件下で記録されたものよりも実質的に低い電流を示す(図17)。1%または5%の水をMeCNに添加することは、観察された電流で著しい増分をもたらす。しかし、水をTEAを含む電解質に添加する場合に、同様の向上は観察されなかった。これらの結果は、BTABQおよびpBTABQへのカチオンインターカレーション中の水の重要な役割を示唆する。具体的には、水は、バナジウム酸化物およびプルシアンブルー類似体(PBA)への金属カチオンの水支援インターカレーションと類似する電極材料の重要な構造の歪みを引き起こさずに、金属カチオンのインターカレーションおよび拡散を促進するコインターカラントとして機能を果たすことができる。挿入カチオンの水和球面のおそらく一部としての水分子のコインターカレーション(図18)は、BTABQおよびpBTABQ中の水素結合ネットワークによって促進され、それは、さらに蓄積電荷の総量を向上させ得る。
【0127】
(実施例3)
下記実施例は、BTABQ分子およびpBTABQを含む材料を利用する系の電荷蓄積に対するpHの影響を記載する。
【0128】
電解質pHは、擬似容量性材料の電荷蓄積挙動に強く影響を及ぼすことが示された。BTABQおよびpBTABQにおける水素結合および水コインターカレーションの強い役割を考慮して、0~14.7の広いpH範囲を備えた水性NaCl電解質を使用するそれらの電気化学的挙動に対するpHの影響を評価した。材料の両者が同様のpH依存挙動を示しながら、下記考察は、主としてそのより大きい電気化学窓(1V)を考慮してpBTABQに焦点を当てている。
【0129】
中間pHを備えた電解質に記録されたCVは、ほぼ矩形のままである一方、強酸性およびアルカリ性条件下で記録されたCVは、ピーク分離が小さく、著しく電流密度が増加した広い酸化還元特徴を示す(図19)。具体的には、2組の広い酸化還元ピークは、pH0および1で示されるが、単一の広い酸化還元特徴は、pH13および14.7で観察される。前述のピーク電流対走査速度の分析から低および高pHで約0.9のb値を見出し(図20)、電荷蓄積がバルクイオン拡散によってまだ制限されていないことを示す。異なるpHで蓄積され、0.2mVs-1でCVから重量比容量(mAhg-1)として算出された電荷の総量は、中間pHでの約160mAhg-1からpH14.7および0での272および310mAhg-1に増加し、それぞれU字型曲線を示す(図21)。そのような比容量のpH依存は、以前にRuO・xHOについて観察されたが、本発明者らの知る限りでは有機系において最初の例である。驚くべきことに、観察された容量は、同等の電気化学電位で機能する最先端の無機LICカソードおよび擬似容量性電極よりも実質的に高い。さらに、225mAhg-1(pH=0)、135mAhg-1(pH=14.7)、および72mAhg-1(pH=7.3)の高容量は33秒以内にアクセスすることができ、優れたレート能力を示す。pBTABQは、0.2、5、および100mVs-1の走査速度の増加で、320mAhg-1(Qmax、0.05mVs-1)の最高能力に対してそれぞれ96%、90%、および70%容量の保持率で、pH0で最大レート能力を示す。あるいは、pBTABQの12電子還元は、389mAhg-1の理論容量を割り当て、pH0でpBTABQの82%の実験のバルクの有用性を示す。2~10Ag-1の高電流密度を使用するpH0でのさらなるGCD試験は、6~50C(1C=1時間で放電)に対応するレートで200mAhg-1より大きい容量を放出する。
【0130】
酸性およびアルカリ性条件下の高容量および酸化還元ピークの出現を、分極電極に関するエクスサイチュ研究によって分析した。第1に、分極時にO1s(C=O)およびN1s(C=N)のXPS信号の減少する強度によって明らかにされるように、電荷蓄積はさらにイミンとカルボニルの還元によって起こる(図22)。特に、XPSおよび元素マッピングにおけるアルカリイオンの非存在によって明らかなように、強酸性条件のイオンインターカレーションがプロトンによってほとんど排他的に起こる(図23)。第2に、広い酸化還元ピークの出現は、局所的な酸化還元状態を示唆し、強酸性またはアルカリ性条件下の電極材料の部分的なプロトン化または脱プロトン化による電子非局在化が弱まることによるようである。確かに、酸または塩基に浸漬されたpBTABQのUV-Visスペクトルは、著しくブルーシフトした吸収を示し(図25)、より多くの局所的な電子構造を示す。XPS分析(図22)は、プロトン結合電子移動(PCET)が酸性条件下でイミンおよびカルボニル(pH0、第1のピーク)の両者、その後カルボニル(pH0、第2のピーク)のみで連続してスタートして起こるが、広い還元エノラート形成が、アルカリ性条件下で支配することを示す(pH14.7)。顕著には、金属カチオンに対するプロトンの選択性は、電極の水素結合ネットワークによる優れたバルクプロトン拡散を強調し、電極バルクにわたる優れた電荷蓄積に結びつく。しかし、PCETの寄与は高塩基条件(pH>13)で非常に制限されそうであり、比容量の相当な増加について説明することができない。代わりに、実質的により多くの量のNaは、中性条件でよりもアルカリ性条件下の分極されたpBTABQにおいて観察され(図24)、電極中への金属カチオンのインターカレーションが著しく向上されることを示す。これは、アルカリ性pHで水酸化物イオンによるバルク電極材料の水素結合支援部分的脱プロトン化によるようである。
【0131】
(実施例4)
下記実施例は、BTABQ分子およびpBTABQを含む材料を利用する系の充電放電能力を記載する。
【0132】
本発明者らは、塩中水電解質(WiSE)の最近の開発から利益を得て、1.5Vのより大きな還元電位窓におけるpBTABQの深い充電放電能力を探求した。17モルのNaClOに記録されたCVは、ほぼ矩形のままであり、40000サイクルにわたる優れたサイクル安定性を備えた水性中性電解質で見られたものに類似する容量を放出する(図26)。特に、WiSE中の分極されたpBTABQ電極のEDSマップは、中性電解質で観察されたものに対して著しく多い量のインターカレートされたNaを明らかにし、制限のあるPCET寄与を示す。確かに、CV中のキャパシタ状の挙動、およびWiSE中の拡張電位窓上のEISは、225mAhg-1の高電荷容量、中性条件に対して50%の増加を放出する。レート能力の研究は、6mgcm-2の実際に関係のある値までの様々な活物質充填でウルトラハイレート性能を示す(図27)。例えば、100mAhg-1より多い放電容量を60秒以内に放出することができる。酸性、アルカリ性、およびWiSE電解質中のpBTABQ性能の概要は、最先端の高容量LICカソードおよびハイレート擬似容量性電極に対するその優位性を強調する(図28)。2V vs.Li/Liより大きい電位で試験され、1.5mgcm-2の最小活物質充填の材料を、比較(MS-Mxene:溶融アルカリ塩を使用して合成されたTi、PHATN:ペリレンジイミド-ヘキサアザトリナフチレン、NCA、NMCAM、およびNMA:Al、Mn、Co、およびMgをドープしたLiNiOのNiリッチ類似物、NiBHT:Ni(ベンゼンヘキサチオール))について選択した。負極としてpBTABQおよび正極として多孔性活性炭を使用して作製された非対称ハイブリッドキャパシタは、容量保持率が90%を超える状態で、60000サイクルにわたって2Vおよびサイクルを安全に放出する。WiSE電解質の注意深い選択は、さらにセル電圧を2.3Vに向上させることができる。全体として、ここで有機擬似容量性材料の基本的理解および設計原理は、実際的で、ハイレート、高容量のEESデバイスへの必須段階を表す。
【0133】
(実施例5)
下記実施例は、BTABQ分子およびpBTABQを含む材料を合成し特性を示すために使用される材料および方法を記載する。
【0134】
BTABQの合成:28.4mgのテトラアミノ-p-ベンゾキノン(以前に報告された手順を使用して合成されたTABQ)および220mgのテトラブチルアンモニウムクロリド(TBACl、TCI)を備えた15mL圧力管(ACEガラス、150psi)に、6mLのジメチルホルムアミド(DMF、Sigma-Aldrich)を添加した。管を周囲条件下で蓋をし、1分間超音波処理し、次いで120℃で恒温オーブンに入れた。12時間後、管を室温に冷却し、現れる濾液が無色になるまで、反応混合物を濾過し、DMFで洗浄した。結果として生じる黒色固体をさらにメタノール(Sigma-Aldrich)で洗浄し、空気下で乾燥させた。15.5mgのBTABQを得た(60%収率)。BTABQは一般のNMR溶媒に不溶性である。BTABQの固体NMR:174.8ppm(C=O)、146.4ppm(C=N)、134.5ppm/129.9ppm(C-N/C-O)。元素分析:C1210、実測値:C、47.14%;H、2.84%;N、26.06%;計算値:C、47.69%;H、3.33%;N、27.81%。MALDI-TOF:[M+H]:実測値、303.9;計算値:303.1;機器の±1Daエラー内。BTABQの結晶度をPXRDによって特徴付けた。
【0135】
BTABQの合成をグラムスケールにスケールアップすることができる:1.07gのTABQおよび10.3gのテトラブチルアンモニウムブロミド(TBABr、Sigma-Aldrich)を備えた250mLのシュレンク管(ChemGlass)に、80mLのジメチルホルムアミド(DMF、Sigma-Aldrich)を添加した。シュレンク管を周囲条件下で密封し、1分間超音波処理し、次いで120℃で恒温オーブンに入れた。12時間後、シュレンク管を室温に冷却し、現れる濾液が無色になるまで、反応混合物を濾過し、DMFで洗浄した。結果として生じる黒色固体をさらにメタノール(Sigma-Aldrich)で洗浄し、空気下で乾燥させた。0.4gのBTABQを得た(42%収率)。
【0136】
pBTABQの合成:100mgのBTABQをガラス管に移し、真空下、約300℃で2日間加熱した。85mgのpBTABQを黒色固体として得た。元素分析:C36101016、実測値:C、52.48%;H、1.44%;N、26.34%;計算値:C、52.31%;H、1.22%;N、27.11%。MALDI-TOF:[M+H]:実測値、827.7;計算値:827.1;[(M-NH)+H]:実測値、810.7;計算値:810.1;機器の±1Daエラー内。
【0137】
電極の作製:作用電極を、活物質、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、およびアセチレンブラックカーボンを8:1:1の比でジメチルホルムアミドを使用して混合することによってスラリーとして作製し、0.3cm炭素繊維紙製ディスク(Fuel Cell Earth)上にコーティングした。調製された状態の電極を空気中65℃で3時間乾燥させ、その後真空下120℃で一晩乾燥させた。乾燥させた電極は、1.5~6mg/cmの充填密度を有する。
【0138】
活性炭対向電極を、8:1:1の比の活性炭、アセチレンブラック、およびPTFE溶液混合物とエタノールとのスラリーの混練および回転を繰り返して薄膜として調製した。調製した膜を、使用の前に120℃で一晩乾燥させた。
【0139】
電解質の調製:中性条件での電気化学試験を、脱イオン水にLiCl、NaCl、MgCl、塩化テトラエチルアンモニウム(TEACl)を含む1M水溶液を使用して行った。水の役割の調査を目指した詳細な研究を、純水中にNaClOおよびテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート(TEABF)を含む1M溶液、無水アセトニトリル(MeCN)、およびMeCN中に1%および5%の水を含む溶液混合物を使用して行った。
【0140】
電気化学的性能へのpHの役割を、pH値が0~14.7の範囲の電解質を使用して調査した。中間pH値が2~13の電解質を緩衝化するが、強酸性および塩基性溶液を非緩衝化した。1MのNaClを使用して同等なイオン強度を維持したが、HClおよびNaOHを使用して緩衝液のpHを調整した。電解質とそれらの構成成分の説明を表1に示す。
【表1】
【0141】
塩中水電解質(WiSE)における深い充放電試験を3電極構造で17m(重量モル濃度)のNaClOを使用して行った。2つの電極デバイスを、1:1重量比の水および1,5-ペンタンジオールに12.5mのLiNOを含むWiSEを使用して作製した。
【0142】
インハウス粉末X線回折(PXRD)パターンを、θ/2θ反射ジオメトリおよびNiフィルタCuKα放射線(Kα=1.5406Å、Kα=1.5444Å、Kα/Kα=0.5)を備えたBruker Advance II回折計を使用して記録した。管電圧および電流は、それぞれ40kVおよび40mAであった。PXRD用試料を、適切な材料の薄層をゼロバックグラウンドケイ素結晶プレート上に設置することによって調製した。
【0143】
BTABQのcREDデータ収集、処理、および構造解析については、結晶をエタノール中に分散し、5分間超音波処理した。その後、懸濁液の液滴を炭素膜を備えた銅グリッド上に移した。cREDデータを、クワッドハイブリッド画素検出器(Timepix、512×512画素、画素サイズ:55μm、Amsterdam Sci.Ins.)を備えた200kV JEOL JEM-2100透過型電子顕微鏡で収集した。データ収集前に、試料を、Gatanクライオトランスファートモグラフィーホルダーを使用することによって96Kに冷却した。データ収集中に、制限視野電子回折(ED)パターンをinstamaticのソフトウェアを使用することによって同時に結晶から捕獲しながら、ゴニオメーターを連続的に回転した。電子回折の強度と分解能との平衡を保つために、EDパターンを全て、露光時間0.5sで、スポットサイズ3で記録した。3D逆格子をソフトウェアREDpによって再構成し、それは、反射条件を割り出し、得るのに非常に役立った。
【0144】
BTABQの構造解析については、空間群(反射条件:hk0、h+k=2n、h0l、h=2n、0k0、k=2n)におけるa=Å、b=Å、c=Åの平均格子定数で、斜方対称で5つの結晶を割り出すことができた。X線結晶構造解析ソフトウェアパッケージXDSをデータ処理に使用して集積型回折強度を推定した。その後、完全性を向上するために、XSCALEをデータ統合のために適用し、それは、5つのデータセットの統合により完全性が88.9%となった。SHELXソフトウェアパッケージを構造分析に使用し、SHELXTを構造解析に使用した。これらのcREDデータセットの分解能を、0.625Åまで測定すると、BTABQ中の非水素原子位置を全て、ab初期方法によって直接位置決めすることができる。SHELXLを、電子散乱因子の全ての原子に使用して構造精密化に使用した。全ての骨格原子用の原子変位パラメーター(ADP)を、異方的に精密化した。
【0145】
高分解能シンクロトロンPXRDデータを、デバイシェラージオメトリおよび0.458111Åの平均較正波長を使用して、Advanced Photon Source(APS)、アルゴンヌ国立研究所のビームライン11-BMにおいて100Kで収集した。
【0146】
BTABQのシンクロトロンデータのPawley精密化をTOPAS Academic(バージョン6)を使用して行った。100KでのBTABQの精密化された格子定数は、Rwp=5.828、Rexp=5.248、R=4.667、およびGoF=1.11の空間群P2/cで、a=4.8923(1)Å、b=11.2897(3)Å、c=9.9041(4)Å、β=101.67°である。
【0147】
吸着等温線を、Micromeritics ASAP 2020 Plusガス収着分析計を使用して、容量法によって測定した。TranSeal(商標)(Micromeritics)を備えたオーブン乾燥試料管を脱気し、風袋重量を計量した。試料を試料管に移し、その後、TranSeal(商標)で蓋をした。試料を分析前に24時間高い動的真空(<10-4mbar)下で100℃で活性化した。N等温線を、77Kで液体窒素槽を使用して測定した。超高純度等級(99.999%純度)N、オイルフリーバルブ、およびガスレギュレータを、全ての自由空間補正および測定に使用した。Brunauer-Emmett-Teller(BET)式への適合は、公表された整合性基準を満たした。
【0148】
熱重量分析(TGA)を、室温から700℃にプラチナパン上で5mL/分の空気またはNガス流れ下で2.0℃/分の加熱速度でTA Instruments Q500 Thermogravimetric Analyzerで行った。
【0149】
元素分析を、Robertson Microlit Laboratories、Ledgewood、New Jerseyによって行った。
【0150】
X線光電子分光(XPS)測定を、単色AlアノードX線源を備えたPhysical Electronics PHI Versaprobe II X線光電子分光計を使用して、MIT MRSEC(以前は材料科学工学センター、すなわちCMSE)で行った。メインチャンバ圧力は、10-10トールの範囲であった。MOF粉末試料を完全に被覆して銅テープ上に押し付けた。測量スペクトルを、0.8eVの分解能で結合エネルギー(BE)0~1100eVから収集した。C1s、N1s、およびM2p領域の高分解能スペクトルを0.1eVの分解能で収集した。BE較正を、不定炭素C1sピークを284.8eVにシフトすることによって実行した。MOF試料がさらに多くの量の炭素を含んでいるとすれば、不定炭素C1sピークを見つけ出すためにBE較正前にC1sスペクトルの解析を行った。ローレンツ成分が30%のガウス-ローレンツ生産関数を、フィッティング時に線形に使用し、それはC1sに一般に使用される。
【0151】
走査型電子顕微鏡法(SEM)を、3または4kVの作業電圧で、InLens検出器を備えたZeiss Merlin高分解能走査型電子顕微鏡でMIT MRSEC(以前は材料科学工学センター、すなわちCMSE)で行った。
【0152】
MALDI-TOF質量分析法を、正の線形モードで高分解能Bruker Autoflex LRF Speed質量分析計を使用して行った。ジスラノールをマトリックスとして使用した。粉末試料を乳鉢および乳棒を使用してジスラノールと混合し、混合物を測定のためにペレットに圧縮した。内部標準を使用せず、したがって、質量精度は±1Daである。
【0153】
Cryo-HRTEM画像を、Falcon3ECダイレクト電子検出器で200kVの加速電圧で操作されたTalos Arctica G2顕微鏡でのMIT.nanoの自動低温電子顕微鏡設備で得た。粉末をイソプロパノール中で約5秒超音波処理することによって試料を調製した。試験片を、Cryo-EMに穴のある炭素を備えたC-flat(商標)Cuグリッド上に、超音波処理された試料をドロップキャスティングすることによって調製した。画像取得(標準低用量画像化プロトコル)に先立って、ビーム露光を最小化するために画像化された領域に隣接して焦点化を行って、画像取得を全て1sの露光時間でEPUを使用して行った。生HRTEMデータの分析を、Gatan Microscopy Suiteソフトウェア(GMS3)を使用して行った。
【0154】
拡散反射赤外線フーリエ変換分光法(DRIFTS)を、DiffusIR(商標)アクセサリー(Pike Technologies)を利用する水銀カドミウムテルル(LNで冷却されたMCT)検出器でBruker Tensor 37(MIR源およびKBrビームスプリッター)で行った。空気を含まない測定を確保するために、ZnSe窓(Pike Technologies)を備えた密封性環境チャンバを使用した。試料を、乳鉢および乳棒中で乾燥KBr(99.9%、Pike technologies)を用いて空気中で粉砕して0.5~1重量%の混合物を製造した。データを、4cm-1の分解能で4000~600cm-1の64回の走査について平均した。各クベルカ-ムンク関数変換DRIFTSスペクトルを、4000cm-1でのF(R)のDRIFTS値を4000cm-1での同じ試料のF(R)のDRUV-vis-NIR値と一致させることによって、DRUV-vis-NIRデータに対して正規化した。
【0155】
200~2500nmの拡散反射UV-Vis-NIRスペクトル(DRUV-Vis-NIR)を、UV-Vis DiffusIRアクセサリー(Pike Technologies)が取り付けられたCary 5000i分光光度計上に周囲条件下で600nm/分の走査速度で収集した。KBr基線およびゼロバックグラウンド補正を、試料測定に先立って収集した。DRIFTS測定のために上記のように試料を調製した。Taucプロットおよび光学バンドギャップの測定については、UV-Vis-NIRスペクトルを、同じ試料について得られたDRIFTSスペクトルと手動でステッチした。
【0156】
固体試料のラマンスペクトルを、532nmの励起レーザー下で、レーザーが全電力の5%を超えない状態でRenishaw Invia反射ラマン共焦点顕微鏡を使用して測定した。
【0157】
室温導電率測定を、先に記載した4探針プローブセットアップを使用して加圧ペレット上で周囲雰囲気中で294Kで実行した。各試料については、導電率値を、少なくとも3つのデバイスで平均した。
【0158】
電子常磁性共鳴分光法(EPR)測定を、マイクロ波周波数9.37GHz、電力0.100mW、および減衰33.0dBで、約5KでER 4199HSキャビティおよびガンダイオードマイクロ波源を備えたBruker EMX分光計を使用してセプタム密封した石英管中で窒素下で充填された活性化試料に行った。測定を垂直モードで行った。純粋MOFおよびCCP粉末試料を測定に使用した。
【0159】
インサイチュ広角X線散乱(WAXS)測定を、ビームエネルギーが16.1keVおよびビームサイズが200×20μmで、ブルックヘイブン国立研究所でNational Synchrotron Light Source II(NSLS-II)の軟質物界面ビームライン(12-ID)で行った。コインセルを、金属ワイヤを介したインサイチュバイアス制御のためにPrinceton Applied Research Potentiostat(PARSTAT2273)に接続した。国産3D印刷ホルダーを使用して、透過WAXS研究用試料ステージ上にコインセルサンプルを装填し、セルがビームライン内にあることを確保した。散乱データを、1475×195アレイで0.172mm角の画素からなるPILATUS3 300kW検出器(Dectris、Switzerland)で真空中で収集した。広範囲の波数ベクトル移動(q)を得るために、一連の2D回折パターンを、試料-検出器距離が275mmで検出器を円弧上に回転させることによって収集した。各検出器の角度からの散乱パターンを、カスタムソフトウェアを使用して一緒にステッチし、その後、円周平均によって1D散乱強度対q曲線に低減した。WAXS用インサイチュセルを、工業用CR 2032コインセルの機械加工により設計した。具体的には、直径が3mmの孔をコインセルの上下ケーシングにドリルで開けた。孔を1片のカプトンテープで蓋をし、エポキシで密閉してX線の透過を促進し、電解質が漏れるのを防止する。同様の孔もセパレーターおよび多孔質炭素対向電極に作製した。セル部品を全て、積み重ねて注意深く配置してBTABQペレットを介したX線ビームのシームレス透過を確保した。作製されたセルを、WAXSチャンバでそれらを装填する前にサイクリックボルタンメトリーを使用して、それらの電気化学的性能について試験した。セルをそれらの対応する残留電位で試験し、その後-0.9V vs.OCPに可逆的に分極した。
【0160】
エクスサイチュ高角度円環状暗視野走査透過電子顕微鏡(HAADF-STEM)画像およびエネルギー分散分光元素マッピングを、Oxford Instrument ULTIM MAX検出器を備えたJEOL 2010 FEG分析電子顕微鏡上にMIT MRSEC(以前は材料科学工学センター、すなわちCMSE)で収集した。試験片をCuグリッド上に分極試料をドロップキャスティングすることによって調製した。
【0161】
電気化学的特性決定方法:合成材料を、多孔性活性炭(YP50)をカウンターとして、銀線を参照電極として、25μmの厚みのセルロースシートをセパレーターとして3電極スーパーキャパシタ構造で最初に試験した。過剰重量の多孔性活性炭電極を使用して電荷に対応し、作用電極からの別個の応答を確保する。特注T形状スウェージロックタイプのセルを使用してセル部品を組み立てた。様々な金属塩の水性、有機、または水性/有機混合溶液を電解質として使用した。セルを換気フード中で組み立て、電気化学試験前に12時間静置した。
【0162】
電気化学測定を全て、ソフトウェアEC-Labによって制御されるBiologic VSP-300ポテンシオスタットを使用して実行した。EIS測定を、10mHz~200kHzの大きい周波数範囲にわたりマルチシヌソイド信号を振幅10mVで使用して行った。比重量容量(C)を、式1:
【数1】
を使用して3電極CV曲線の放電シーケンスから算出し、式中、m=作用電極の質量、dV=放電電位窓、υ=走査速度である。異なる走査速度でのCVをそれらのレート正規化電流をプロットし、電流を対応する走査速度で除算することによって比較した。
【0163】
電気化学プロセスの動態を、式2に示される指数法則の式を使用して分析した。
【数2】
【0164】
log(i)対log(υ)をプロットして、フィッティングの勾配としてbの測定が可能となった。このアプローチに従って、b値を、中性電解質、酸性電解質、および塩基性電解質を使用して、一連の走査速度にわたってCV上の様々な電位で評価した。
【0165】
理論容量の算出:材料の理論容量を式3:
【数3】
を使用して、ファラデーの法則によって算出し、式中、nは酸化還元イベントに関与する電子の数、Fはファラデー定数96485sAmol-1、MWは材料の分子量(gmol-1)である。
【0166】
BTABQについては、理論容量を、図29に示される酸化還元プロセスに基づいて、355mAhg-1と算出した(n=4)。
【0167】
pBTABQについては、理論容量を、図30に示される酸化還元プロセスに基づいて389mAhg-1と算出した(n=12)。
【0168】
本発明のいくつかの実施形態を本明細書に記載し図示してきたが、当業者は、機能を実行するならびに/または結果および/もしくは本明細書に記載された利点の1つもしくはそれより多くを得るための様々な他の手段および/または構造を容易に想到し、そのような各変化および/または変更は本発明の範囲内であると考えられる。より一般に、当業者は、本明細書に記載されたパラメーター、寸法、材料、および構造が全て例示であることを意味し、実パラメーター、寸法、材料、および/または構造が、本発明の教示が使用される特定の用途または複数の用途に依存することを容易に認識する。当業者は、本明細書に記載した本発明の特定の実施形態に対する多くの等価物を認識する、または日常的な実験だけを利用して確認することができるであろう。したがって、前述の実施形態は、あくまでも例を提示したものであり、本発明は、添付の特許請求の範囲に記載された範囲内で、およびそこに記載されたものと均等である範囲内で、具体的に記載され特許請求されている以外の方法で実施できることが理解されるべきである。本発明は、本明細書に記載された個々の特徴、系、物品、材料、キット、および/または方法のそれぞれを対象とする。さらに、2つまたはそれより多くのそのような特徴、系、物品、材料、キット、および/または方法のいずれかの組合せも、そのような特徴、系、物品、材料、キット、および/または方法が互いに矛盾しないなら本発明の範囲に含まれる。
【0169】
本明細書において定義され使用される全ての定義は、辞書による定義、参照によって本明細書に組み込まれた文書における定義、および/または定義された用語の通常の意味よりも優先すると理解されるべきである。
【0170】
不定冠詞「a」および「an」は、ここで本明細書および特許請求の範囲にて使用される場合、そうでないと明確に示されない限りは、「少なくとも1つ」を意味するものと理解されるべきである。
【0171】
ここで本明細書および特許請求の範囲において用いられるフレーズの「および/または」は、そのように結合した要素、すなわちある場合においては接合的に存在し、他の場合においては離接的に存在する要素の「いずれかまたは両者」という意味であると理解すべきである。「および/または」で列挙された多くの要素、つまり、そのように結合した要素の「1つまたはそれより多く」は、同様に解釈されるべきである。「および/または」という節によって具体的に特定された要素以外にも、それら具体的に特定された要素と関係するか関係しないかにかかわらず、必要に応じて他の要素が存在してよい。このように、これに限られるわけではないが一例として、「Aおよび/またはB」なる表現が「・・・を含む(comprising)」などの非排他的な言葉と組み合わせて使用された場合、一実施形態においてはAのみ(必要に応じてB以外の要素を含む)を指すことができ、別の実施形態においてはBのみ(必要に応じてA以外の要素を含む)を指すことができ、さらに別の実施形態においてはAおよびBの両者(必要に応じて他の要素を含む)を指すことができ、以下同様である。
【0172】
ここで本明細書および特許請求の範囲にて使用される場合、「または」は、上記定義された「および/または」と同じ意味を有すると理解すべきである。例えば、リスト中の項目を分ける場合、「または」または「および/または」は包括的なものとして、すなわち数または要素のリストの少なくとも1つを含むだけでなく、数または要素のリストの1つよりも多くを含むものとして解釈すべきであり、必要に応じてリストにない項目がさらにあってもよい。このようでないことが「・・・のうちの1つのみ」または「・・・のうちの正確に1つ」などと明確に示されている用語、あるいは特許請求の範囲において使用される場合の「・・・からなる(consisting of)」という用語のみが、ある数の要素またはリストの要素のうちの厳密に1つを含むことを意味するであろう。一般に、本明細書において使用されるとき、用語「または」は、「いずれか(either)」、「・・・のうちの1つ」、「・・・のうちの1つのみ」、または「・・・のうちの正確に1つ」などと排他的な用語によって接頭されたときにのみ、排他的な選択肢(すなわち、「一方または他方であって両方ではない」)を示していると解釈すべきである。「本質的に・・・からなる」は、特許請求の範囲において使用されるとき、特許法の分野において使用される通常の意味を有する。
【0173】
ここで本明細書および特許請求の範囲において使用されるとき、1つまたはそれより多くの要素からなるリストに関して、「少なくとも1つ」というフレーズは、当該要素のリスト中の任意の1つまたはそれより多くの要素から選択された少なくとも1つの要素を意味すると理解すべきであるが、当該要素のリストに具体的に挙げられた各要素の全てを少なくとも1つ含む必要はなく、当該要素のリスト中の要素からなる任意の組合せを排除するものでもない。この定義は、「少なくとも1つ」というフレーズが言及する要素のリスト内に具体的に同定された要素以外の要素が、必要に応じて存在してもよいことをも許容し、具体的に同定されたこれらの要素に関係するか否かには関係がない。このように、これに限るわけではないが一例として、「AおよびBの少なくとも1つ」(あるいは、「AまたはBの少なくとも1つ」もこれと等価であり、あるいは「Aおよび/またはBの少なくとも1つ」もこれと等価である)は、一実施形態においては、必要に応じて1つよりも多くてよいが少なくとも1つのAを、Bが存在しない状態で指すことができ(必要に応じて、B以外の要素を含んでもよい)、別の実施形態においては、必要に応じて1つよりも多くてよいが少なくとも1つのBを、Aが存在しない状態で指すことができ(必要に応じて、A以外の要素を含んでもよい)、さらに別の実施形態においては、必要に応じて1つよりも多くてよいが少なくとも1つのAと、必要に応じて1つよりも多くてよいが少なくとも1つのBとを指すことができ(必要に応じて他の要素を含んでもよい)、以下同様である。
【0174】
また、反対のことが明確に示されていない限り、1つよりも多くのステップまたは動作を含む本明細書で特許請求されている任意の方法において、方法のステップまたは動作の順序は、方法のステップまたは動作が引用される順序に必ず限定されないことも理解されるべきである。
【0175】
特許請求の範囲ならびに上記本明細書においては、「含む」、「備える」、「担持する」、「有する」、「含む」、「関係する」、「保持する」、「構成される」などといった移行句は全て、限定なしであると理解すべきであり、すなわち、含むが、それだけには限られない、ということを意味すると理解すべきである。移行句「・・・からなる」および「実質的に・・・からなる」のみが、米国特許庁特許審査手続便覧2111.03項記載のように、それぞれクローズドまたはセミクローズドの移行句である。
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【国際調査報告】